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2019年6月27日 社会保障審議会児童部会第15回遊びのプログラム等に関する専門委員会

子ども家庭局子育て支援課

○日時

2019年(令和元年)6月27日(木)13:00~15:00

 

○場所

厚生労働省12階子ども家庭局会議室 5
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

○出席者

委員

安部 芳絵 (工学院大学教育推進機構准教授)
植木 信一 (新潟県立大学人間生活学部子ども学科教授)
大竹 智 (立正大学社会福祉学部子ども教育福祉学科教授)
熊澤 桂子 (東京教育専門学校専任講師)
鈴木 一光 (一般財団法人児童健全育成推進財団理事長)
中川 一良 (社会福祉法人健光園 京都市北白川児童館館長)
長﨑 由紀 (岩手県立児童館いわて子どもの森チーフプレーリーダー)
松田 妙子 (特定非営利法人せたがや子育てネット代表理事)
渡邊 一 (目黒区子育て支援部放課後子ども対策課課長)
 

事務局

田村子育て支援課長
小松健全育成推進室長
結城子育て支援課課長補佐
佐藤児童健全育成専門官

○議題

(1)委員の改選について/新任委員ご挨拶
(2)これまでの委員会の経過について
(3)平成30年度の遊びのプログラムに関連する事業について
(4)令和元年度の遊びのプログラムに関連する事業について
(5)その他

○配布資料

資 料 1 遊びのプログラム等に関する専門委員会 設置要綱・委員名簿
資 料 2-1 遊びのプログラム等に関する専門委員会の実施状況
資 料 2-2 「遊びのプログラムの普及啓発と今後の児童館のあり方について 報告書」(概要)
資 料 2-3 「児童館ガイドラインの改正について」(概要)
資 料 3 平成30年度「遊びのプログラム」関連事業一覧    
資 料 4 令和元年度「遊びのプログラム」関連事業一覧
参考資料1 「遊びのプログラムの普及啓発と今後の児童館のあり方について 報告書」(平成30年9月)
参考資料2 「児童館ガイドラインの改正について」(平成30年10月)
参考資料3-1 「児童館等における遊びのプログラム等の全国的な普及を図るための調査研究業務 報告書」
(一般財団法人児童健全育成推進財団,平成31年3月)
参考資料3-2 「児童館等における遊びのプログラム実践マニュアル」一部抜粋
(一般財団法人児童健全育成推進財団,平成31年3月)
参考資料4-1 「「改正児童館ガイドライン(仮称)」の理解を促すための調査研究」
概要(みずほ情報総研株式会社,平成31年3月)
参考資料4-2 「「児童館ガイドライン」を理解するための確認ツール」
(みずほ情報総研株式会社,平成31年3月)
参考資料5 「児童館等における「遊びのプログラム」の効果の検証・分析に関する調査研究」報告書概要(学校法人早稲田大学,平成31年3月)
 

○議事

○結城課長補佐 ただいまから、第15回「遊びのプログラム等に関する専門委員会」を開催いたします。
本日、委員の皆様方におかれましては、御多用の中、御出席いただきまして、ありがとうございます。
本日は、大塚委員、佐野委員、柳澤委員よりに欠席の御連絡をいただいております。
それでは、開催に当たりまして、子育て支援課長の田村より御挨拶申し上げます。
○田村課長 御紹介いただきました子育て支援課長の田村でございます。
本日は、皆様、御多用の中、お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
この委員会は、昨年の9月が直近の開催ということで、それから、もう半年が過ぎております。
この間、任期満了ということで代わられた委員もいらっしゃいます。そういったこともございますので、簡単に、これまでの専門委員会の経緯等を御説明申し上げたいと思います。
また、後ほど資料には入っておりますので、担当のほうからも、詳しく御説明をさせていただきたいと思います。
昭和60年に、皆様御存じかと思いますが、国が設置しました、青山にございます「こどもの城」が、平成27年3月末をもちまして閉館をしたということでございます。
それに伴いまして「こどもの城」において約30年にわたって蓄積されてきました遊びのプログラム、それから「こどもの城」が果たしてきた機能、役割について国が引き継ぐということになったわけでございます。
これに伴いまして、平成27年5月に、社会保障審議会児童部会、この親部会になるわけですけれども、そのもとに「遊びのプログラム等に関する専門委員会」というものを設置させていただいたというところでございます。
この中では、遊びのプログラムの全国的な普及啓発や新たなプログラムの開発、それから、今後の地域の児童館等のあり方などというものを検討するということで、立ち上げたものでございます。
平成27年5月ですから、3年以上経っているわけでございますけれども、昨年の9月まで14回にわたりまして、遊びのプログラムの普及啓発、今後の児童館のあり方といった課題に対しまして、検討を重ねていただきまして、その成果として、昨年の9月に報告書を提出いただいたという次第でございます。
それを踏まえまして、厚生労働省といたしまして、児童館の児童福祉施設としてのさらなる機能拡充ということを目指した児童館ガイドラインというものを平成30年10月に改正をして、関係者の皆様に周知させていただいたというところでございます。
こういった経緯でございます。
先ほど申し上げましたように、本日の委員会から、委員の皆様に変更がございます。これまでに引き続きまして6名の方は、引き続き委員をお願いするということになります。
それから、新たに6名の方に委員として御参画いただくということになっているところでございます。
これまでも活発な議論をいただいたわけでございますけれども、また、本日から、この専門委員会の中で活発な御議論をいただければと願っているところでございます。
委員長を初め、委員の皆様、どうぞ、本日からよろしくお願いいたします。
簡単ではございますが、以上です。
○結城課長補佐 今回、新しい委員の先生方に着任をしていただいておりますが、本年4月から人事異動等によりまして、事務局の体制も変わっておりますので、改めて、ここで事務局の紹介をさせていただきます。
今、御挨拶を申し上げました子育て支援課長の田村でございます。
健全育成推進室長の小松でございます。
児童健全育成専門官の佐藤でございます。
申しおくれましたが、私、子育て支援課の課長補佐をしております、結城と申します。どうぞ、よろしくお願いいたします。
それでは、ここから先、鈴木委員長に進行をお願いしたいと思います。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
○鈴木委員長 わかりました。
新任委員の方もいらっしゃって、ちょっと重々しい雰囲気でスタートしましたが、明るい活発な御議論をよろしくお願いいたします。
それでは、まず、きょうも資料がたくさんあるようでございますから、配付資料の確認について、事務局からお願いいたします。
○結城課長補佐 本日配付しております資料について確認させていただきます。
資料につきましては、議事次第に記載がありますが、記載のとおり、資料というものにつきましては、資料1から資料4まで。
それから、参考資料といたしまして、参考資料1から参考資料5までをお配りしております。
もし、不足等ございましたら、後ほどでも構いませんので、事務局のほうにお申しつけいただければと思います。
○鈴木委員長 どうでしょうか。委員の皆様、資料等過不足ございませんか。
それでは、議事の1に入りたいと思います。
「委員の改選について」ということでございます。この間、課長の御挨拶にもありましたように、委員の改選がございましたので、事務局から説明をお願いしたいと思います。
○結城課長補佐 前回、本専門委員会を昨年9月20日に開催いたしましたが、この間、北島尚志委員、高松絵里子委員、羽崎泰男委員、吉村温子委員の4名の委員が任期満了等により退任されることになりました。
これに伴いまして、6名の先生方に新たに委員に御着任いただいております。
資料1をごらんください。
横置きで右側でございますが、こちらが本専門委員会の新しい委員の名簿となっております。
それでは、ここで、事務局より、新しい委員のお名前と御所属を紹介させていただきますので、続けて一言御挨拶を頂戴いただければと思います。
まず、工学院大学教育推進機構准教授、安部芳絵委員でございます。
○安部委員 今、御紹介にあずかりました工学院大学の安部と申します。どうぞ、よろしくお願いいたします。
先ほど、課長からもありましたとおり、児童館は、改正児童館ガイドラインにあるように、子どもの権利保障の拠点だと思っていますので、これをさらに具体的に実施していけるよう、この場でも話し合いができたらと思っております。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
○結城課長補佐 続きまして、立正大学社会福祉学部教授、大竹智委員です。
○大竹委員 初めまして、立正大学の大竹でございます。
私は、今回から初めて参加させていただくということです。この健全育成というような分野でございますけれども、私自身のもともとのところは、要保護児童というところで、乳児院・児童養護施設、そして、里親等の支援にかかわりを持ってきたというところがあります。
しかし、その入ってくる子どもたちの前段では、一般家庭、地域の中での暮らしがあったわけで、そこでも今は大変いろいろな課題を抱えている子どもたちもいらっしゃる、その子どもたちが児童館、そして、学童クラブ等に通ってきているというところであれば、私のフィールドにも一致するところでありますので、そのようなところから、何かお役に立てればと思います。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
○結城課長補佐 続きまして、東京教育専門学校専任講師、熊澤桂子委員でございます。
○熊澤委員 初めまして、熊澤桂子と申します。
渋谷にありました「こどもの城」の施設に開館以来ずっと勤めておりました。
現在は、保育士、幼稚園教諭の養成と、大学において社会福祉士、それから、児童厚生員の資格を取りたいという学生の指導にも当たっております。
現場でのたくさんの子どもたちの声や、それから、指導者の方々の研修などもしておりましたので、こういったことを、この委員会で生かしていければいいなと思っております。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
○結城課長補佐 続きまして、岩手県立児童館いわて子どもの森チーフプレーリーダー、長﨑由紀委員です。
○長﨑委員 初めまして、いわて子どもの森の長﨑と申します。
これまでの14回のこの委員会については、現場の一職員として議事録を拝見し、そして「こどもの城」の存在の大きさと、それから大型児童館頑張らなければという思いと、それから、改正児童館ガイドラインがどんなふうになるのかなという、わくわくを持ちながら議事録を拝見しておりました。
まさか、自分がこの委員会に来ることになるとは、大変大役ではございますけれども、現場の一職員として、全国の児童厚生員を代表するというのはおこがましいですけれども、現場の声を少しでもお伝えしたり、それから、私は児童館が本当に大好きなので、その児童館のために何かできることを、自分も精いっぱい頑張りたいと思います。よろしくお願いいたします。
○結城課長補佐 続きまして、目黒区子育て支援部放課後子ども対策課課長、渡邊一委員でございます。
○渡邊委員 初めまして、目黒区の放課後子ども対策課長の渡邊でございます。
私ども本区におきましては、平成31年度当初予算規模は1062億円程度でございますけれども、その中で、児童福祉費が、310億円ということで29%もかけて、私ども待機児童対策、放課後児童クラブ整備、また、児童館の整備といったものも進めてございます。
大竹先生にも選定委員会に入っていただきましたけれども、目黒区内で来年4月に民設民営の児童館の整備を予定してございまして、保育所と放課後児童クラブ、3つの施設が一体となったものを準備しているものでございます。
私ども本区では、昨年3月に忘れられない事件が発生いたしました。私ども国の検証、また、東京都の検証を踏まえて、子ども家庭支援センターの充実なども、今、対応を図っているところでございます。
また、今回、こういった事件を踏まえて、区議会のほうも児童虐待のない目黒を実現するための決議といったものがなされてございますので、私ども一自治体の経営陣の立場ということで、今回、皆様方の一助になるような形で努力をしてまいりたいと思います。
以上でございます。
○結城課長補佐 最後に、本日、御欠席となっておりますが、西真岡こどもクリニック幼保・学校訪問部顧問、柳澤邦夫委員でございます。
以上、6名の先生方が、新しい委員となります。
本日、メンバーが新しくなった初めての会でございますので、引き続き、御就任いただいております先生方からも、ぜひ、御一言ずついただければと思います。
まず、新潟県立大学人間生活学部教授、植木信一委員でございます。
○植木委員 皆さん、こんにちは。植木でございます。
私の大学の所属は、子ども学科といいまして、私自身は社会福祉が専門でございますけれども、子どもに対することというのは、福祉だけではなくて、いろんな分野がかかわっていくことが必要なのだなということを日々感じているこのごろでございます。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
○結城課長補佐 続きまして、社会福祉法人健光園京都市北白川児童館館長、中川一良委員でございます。
○中川委員 失礼いたします。京都市北白川児童館の中川でございます。
児童館の館長といたしまして、日々、児童館の職員であったり、あるいは他の児童館の館長と、この間、いろいろお話をする中で、一番皆さんにとって、昨年の10月に発出されたガイドラインができたということ、これは本当に現場の一人一人が大変喜んでおりますし、この中身、これをしっかり実現していくこと、実践していくことが、今後の児童館のまさに正念場だと、しっかりやっていこうと、こんな思いで、現場は今燃えております。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
○結城課長補佐 続きまして、NPO法人せたがや子育てネット代表理事、松田妙子委員でございます。
○松田委員 松田です。
東京都世田谷区で活動しているNPOなのですけれども、私は児童館の外側というか、地域の側で、乳幼児の子育てを中心に子育て支援をしています。
世田谷は直営で25館、児童館があることが結構自慢で、その方たちとも連携しながら、今、活動をしています。
豊かな遊びというところもそうなのですけれども、児童相談所が、あと1年で開設されるということもあって、その両面をどうやっていくのかなみたいなことを、実は区内の児童館の有志の方たちと勉強会を開いたりして、今はとにかく切れ目のない支援ということで、地域ともつながりながらというところの実践をしているところです。
ここで、いつもいろいろなことを皆さんが議論されるのをすごい楽しみにしております。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
○結城課長補佐 最後に一般財団法人児童健全育成推進財団理事長の鈴木委員長、一言お願いいたします。
○鈴木委員長 皆さん、お忙しい中、お集まりくださいましてありがとうございました。
きょうは何の記念日かというと、演説の日とされています。福沢諭吉が慶應義塾の三田の演説館で日本初めての演説会を開いたという。
その中で、彼が言ったことは、世界と伍して生きていくためには、有効な言葉をもつ国民をつくらなければならない、というのが最初の演説の内容であったようです。
今、多くはしゃべりませんが、児童館をずっと推進したいと思ってやってきた者でございまして、皆さんに助けられて委員長を4年続けておりますが、本日も、どうぞ、意地悪をしないようによろしくお願いいたします。
ありがとうございます。
○結城課長補佐 以上、全12名となります。これから、どうぞ、よろしくお願いいたします。
○鈴木委員長 続いて、議事の2に入りたいと思いますが、きょうは、ここは、大変健康にいい温度になっていますので、お暑い方は上着を、私も脱がしていただきますので、脱いでリラックスして進めていきたいと思いますので、御協力ください。
課長、早速、ありがとうございます。
では、議事の2の、これまでの委員会の経過ということで御説明をお願いいたします。
○佐藤専門官 事務局より資料2-1、2-2、2-3につきまして、御説明をさせていただきます。
資料2-1をごらんください。
先ほど来、お話が出ておりますが、平成27年に、この委員会が立ち上がっております。昨年の9月に報告書を出していただいておりますので、そこまで、27年から30年度の、これまでの議論を資料2-1にまとめておりますので、簡単にではございますが、本委員会の経過について御説明をさせていただきたいと思います。
まず、資料の中の一番上、1番のところ「『遊びのプログラム等に関する専門委員会』の設置趣旨」ですが、こちらも先ほどから話が何度か出ておりますけれども、「こどもの城」の閉館を受けまして、本委員会が設置されております。「こどもの城」は、これまで先駆的な遊びのプログラムを開発し、来館した子どもたちに提供するほか、全国の児童館に情報提供するなどの役割を果たしてきておりました。こうした約30年にわたり蓄積されてきた遊びのプログラムや「こどもの城」が果たしてきた機能、役割を国が引き継ぎ、遊びのプログラムの全国的な普及啓発、新たなプログラムの開発、今後の地域の児童館のあり方を検討するために、本委員会が平成27年5月に設置されております。
全14回ですが、年度ごとに簡単に実施状況を説明させていただきます。
2番のところですが、最初の年度、平成27年度になります。回数でいいますと、1回から5回になりますけれども、27年度につきましては、1つ目の〇にありますように、「こどもの城」が開発または普及に携わってきた遊びのプログラム及び地域の児童館で行われている活動プログラムの実践状況調査というものを実施しまして、全国の児童館において「こどもの城」の実践が広く取り入れられた実態及び「こどもの城」が果たしてきた機能・役割を明らかにするとともに、児童館ガイドラインの評価・検証を行いました。
その結果としまして、2つ目の〇ですが、「こどもの城」が果たしてきた機能と役割に一定の評価が示されたということと、3つ目の〇ですが、当時、旧ガイドラインになりますが、児童館ガイドラインが児童館の運営や活動の向上を図る上で重要な役割を果たしているということが明らかにされました。
その次、3番目ですが、28年度の主な実施状況です。
28年度、まず、1つ目の○ですけれども、厚生労働省の「児童館等における『遊びのプログラム』の開発・普及に係る調査研究事業」として、全国の16カ所の児童館に対し、遊びのプログラムの実践(モデル事業)という形で委託をさせていただきまして、子どもの成長発達にもたらす効果などを分析・検討しました。専門委員会の委員の先生が実施児童館に赴いて助言を行うとともに、専門委員会において、それらの遊びのプログラムの検証と横断的な評価を行っております。
また、2つ目に地域の児童館等の果たすべき機能及び役割について、有識者からのヒアリング、意見交換等を実施しました。これが、後にガイドラインの改正作業につながっております。
それでは、次のページをごらんください。
4番目です。平成29年度の主な実施状況になります。1つ目の〇です。厚生労働省の委託調査研究事業により、全国38カ所の児童館等において開発・改良された39種類の遊びのプログラムを全国で実践する取り組みに対し、専門委員会から助言等を行うなど、有機的にかかわり、その成果物として「児童館等における遊びのプログラムマニュアル」をまとめていただきました。
2つ目ですが、同取り組みでは、全国の児童館で企画・開発・改良された遊びのプログラムの紹介・実践の場として「遊びのマルシェ」を、平成29年9月に開催し、全国各地で取り組まれている遊びのプログラムを一堂に集めて、展示、実践し、出展者相互及び健全育成関係者間で技術交換が行われました。また、この際も専門委員会から委員の先生がアドバイザーとして参画して下さっております。
3つ目ですが、専門委員会のもとに、「今後の地域の児童館等のあり方検討ワーキンググループ」を設置し、地域の児童館等が果たすべき機能及び役割を検討するとともに、改正児童館ガイドラインについて検討していただきました。
30年が、27年からの総まとめになりますが、まず、1つ目ですけれども、「今後の地域の児童館等のあり方検討ワーキンググループ」で検討した、児童館ガイドライン素案について、専門委員会での議論を経て、「児童館ガイドライン改正案」として厚生労働省に提案していただいています。児童館ガイドラインは、これを受けて昨年の10月に改正されておりますが、後ほど、内容については御説明いたします。
2点目ですが、児童館ガイドライン改正の検討をはじめ、専門委員会における検討の過程及び結果を踏まえて「遊びのプログラムの普及啓発と今後の児童館のあり方について」という名の報告書を平成30年9月20日に出していただいております。27年から30年までのまとめの形で報告書として御提出いただいております。
では、続けて報告書の内容について、次の資料で御説明をさせていただきます。資料2-2をごらんください。
資料2-2に、昨年9月20日に公表された本専門委員会の報告書の概要を掲載させていただいております。報告書本体は、参考資料1としてつけておりますので、また、後ほどごらんいただければと思います。
報告書の中身としまして、専門委員会での検討事項として、まず、1点目、「こどもの城」が開発した遊びのプログラムの分析、評価、普及啓発、2点目に遊びのプログラムの改定、開発、3点目に、地域の児童館が果たすべき機能及び役割、について検討していただいてきました。
主には、表にある「遊びのプログラムの普及啓発の方向性について」と、また、後でお話しします、「児童館ガイドラインの改正(案)」の大きく2点にまとまっております。
まず、表面にあります「遊びのプログラムの普及啓発の方向性について」というところですが、報告書の中で、今後の方向性というのを示していただいております。
ちょっと読ませていただきますと、「こどもの城が閉館した現在、専門委員会、大型児童館及び地域の児童館等がこれまでこどもの城が果たしてきた役割を分担することによって、遊びのプログラムの実施・検証・評価にかかる取組を担っていくことが必要である」。その上で、専門委員会、大型児童館、地域の児童館という形でそれぞれの役割を示していただいています。
ここでは、専門委員会のところだけを御紹介させていただきますが、専門委員会としましては、全国の児童館で取り組まれている遊びのプログラムの情報の定期的な収集・検証・評価、厚生労働省のホームページや大型児童館等を通じた情報提供による全国的な普及啓発、発達段階に応じた遊びの効用を踏まえた遊びのプログラムの実施方法の提示などというような役割が必要であるということを示していただいています。
この提案に基づいて、本専門委員会を、今後進めていきたいと考えております。遊びのプログラムの実施・検証・評価にかかる取り組みを進めていくというところが、1つのポイントになっておりますが、それを進めていくために、専門委員会と、後ほど御報告、検討いただく委託事業等と有機的に連携しながら、こうした取り組みを進めていきたいと考えております。
2枚目をごらんください。
2つ目として、児童館ガイドラインの改正案を御提案いただいております。内容は、次の資料にございますので、割愛させていただきますけれども、この中で、特に右下のところですが、「児童館ガイドラインの活用と周知の方法」として、児童館ガイドラインができた後、各自治体や児童館で児童館ガイドラインの積極的な周知がされることが望まれるということを専門委員会の中で御提起いただいて、その上で、1から4のような具体的な方法を御提示いただいております。
実際に通知として出された改正児童館ガイドラインについては、次の資料になります。資料2-3をごらんください。専門委員会とワーキングでの議論を受けまして、平成30年10月に児童館ガイドラインが改正されております。
簡単に発出・改正の経緯を、資料の上のところとともにお話をさせていただきますが、まず、平成23年3月に児童館ガイドラインが、児童館の運営や活動が地域の期待に応えるための基本的事項を示し、望ましい方向を示すものとして発出されました。
その後、しばらく改正はなされておりませんでしたが、ガイドライン発出後、改正、施行された児童福祉法などの子どもの健全育成に関する法律との整合や、今日的課題に対する児童館活動の現状を踏まえた児童館ガイドラインの見直しというのが課題となってきました。
こうしたことが課題になる中で、繰り返しとなりますが、本専門委員会と、そのもとに設置されたワーキンググループで児童館ガイドラインの見直しについての検討を行っていただき、児童館ガイドライン改正案をまとめていただきました。
ポイントとしましては、その下の矢印のところですけれども、「地域の子ども・子育て支援に資する児童福祉施設としての児童館のさらなる機能拡充を目指し」という点で、平成30年10月に通知を出しております。
下のところに、具体的なポイントを6点挙げさせていただいておりますが、特にポイントとなるのが、左側の1番目と2番目になるかと思います。これらは総則に示されておりますが、この総則で示された内容が、その後の章のところで具体的な項目として示されているというような形になっています。
左側一番上ですが、1点目が、児童福祉法改正及び児童の権利に関する条約の精神にのっとり、子どもの意見の尊重、子どもの最善の利益の優先等について示しています。また、2点目に、児童福祉施設としての役割に基づいて、児童館の施設特性というのを新たに示しまして、拠点性、多機能性、地域性という3点を整理しております。具体的なところは、ごらんいただければと思います。もう一つ、23年のガイドラインには大型児童館の項目がなかったのですけれども、大型児童館の機能・役割について第9章で示しております。
次のページからは概要で、1章から9章までの内容が3ページにわたって記されております。ポイントだけお話をさせていただきましたが、児童館ガイドライン本体は参考資料2としてつけておりますので、こちらを御参考にしていただけたらと思います。
以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございました。
今、御説明をいただきましたが、何か御質問等はございますか。
ここはよろしゅうございますか。
それでは、続きまして、議題の3に移らせていただきたいと思います。
「平成30年度の遊びのプログラムに関する状況について」。事務局から、また、御説明をお願いいたします。
○佐藤専門官 事務局より御説明いたします。説明が長くなってしまって申しわけございません。
続きまして、資料3について、ご説明をさせていただきたいと思います。
昨年度、平成30年度に遊びのプログラム、児童館に関連する事業として、委託事業、補助事業という形で合わせて計3本、事業を実施しております。その事業の内容を少し御報告させていただきたいと思います。
まず、上の段、委託事業の1をごらんください。1番が、「児童館等における遊びのプログラム等の全国的な普及を図るための調査研究」です。
内容としましては、その下にございますが、本調査研究では、大型児童館が提案し、企画検討委員会で選定した優れた21の遊びのプログラムを地域の小型児童館とともに改良し、実践を行い、その普及効果の検証を行いました。また、実践交流会の「児童館・遊びのマルシェ」を開催し、広域の児童健全育成関係者にそのプログラムを普及させるとともに、そのノウハウを集約した「児童館等における遊びのプログラム実践マニュアル」を作成しております。
詳細は、参考資料3-1に本事業の報告書をつけさせていただいておりますので、そちらをごらんいただければと思いますが、幾つか紹介したい事項だけ、お話しさせていただきたいと思います。
本事業には、21のプログラムに、子ども1,590名、保護者624名が参加してくださいました。30年度のこの事業の特色としましては、大型児童館と、その地域にある小型の児童館もしくは児童クラブが協力関係のもとに、ガイドライン改正の観点というのも入れながらプログラムを実施していただいたというところになっております。
このことにより、さまざまな成果といいますか、効果といいますか、出ていると言えると思うのですけれども、このように大型、小型児童館で連携して実施していただくということで、双方の理解が深まったことですとか、それぞれが刺激し合って、モチベーションが高まったということなどが、最後の企画検討委員会における報告の中でも聞かれました。この事業がきっかけになりまして、今年度ある大型児童館では、ここで開発したプログラムを出前事業として実施してくださるという、自主的な事業にも展開しております。
また、たくさんの子どもと保護者が参加してくださいましたので、参加者にアンケートを実施しているのですけれども、そこで、プログラム自体の楽しさというところだけではなくて、児童館にいる職員の重要性なども浮き彫りになったということもお伝えしておきたいと思います。
開発したプログラムについてまとめたものが、「児童館等における遊びのプログラム実践マニュアル」という形で、冊子としてできております。本日、分量が多いので、参考資料3-2として、一部抜粋させていただいております。抜粋させていただいている箇所が、この事業、長﨑委員にかかわっていただいておりましたので、いわて子どもの森と、その県内の児童館等とで実施していただいたプログラムの部分となります。全体につきましては、ホームページのアドレスを書いておりますが、ホームページに掲載されておりますので、そちらをごらんください。
なお、この事業の企画検討委員として、安部委員、植木委員にかかわっていただいております。また、企画検討委員兼プログラムアドバイザーとして、長﨑委員にもかかわっていただきました。
2つ目、補助事業のところですが、平成30年度の子ども・子育て支援推進調査研究事業というのがございまして、そこで2つ、児童館関係の調査研究を行ったものになります。
1つ目が、「『改正児童館ガイドライン(仮称)』の理解を促すための調査研究」で、児童館ガイドラインの活用状況を把握整理するとともに、「『児童館ガイドライン』を理解するための確認ツール」を開発しております。報告書の中で、児童館ガイドラインのチェックリストを作成して、普及、活用することにより周知を図るといったような提言がなされていたのですけれども、本調査研究はそれを受けた形になっているかと思います。
具体的な調査研究の結果は、参考資料4-1、それから、ツールのほうを参考資料4-2に掲載させていただきました。「『児童館ガイドライン』を理解するための確認ツール」は、○、×でチェックするだけではなくて、ガイドラインの内容をきちんと理解できるよう、ガイドラインの構造からきちんと理解できるような確認ツールにしようというところで、検討委員の先生方につくっていただいたものになっております。こちらは、かなり大部にはなっているのですけれども、ごらんいただけたらと思っております。
こちらの調査研究ですが、委員のメンバーとして植木委員、それから、ツール作成過程のヒアリング協力者として安部委員に御参画いただいております。
2点目ですけれども、「児童館等における『遊びのプログラム』の効果・検証に関する調査研究」を行っております。
こちらは、児童館や放課後児童クラブにおいて実施される遊びのプログラムの効果の検証・分析について研究し、その方法について具体的に提言いただいたものになっております。
報告書の概要につきましては、参考資料5としてつけさせていただいておりますけれども、遊びのプログラムを分析、検討する際の指針に児童館ガイドラインを位置づけるということですとか、アウトプット、短期的な成果ではなく、アウトカム、長期的な成果を評価の対象として、子どもとかかわる業務の質こそ、評価対象となるべきであるということ、そして、その検証のためのツールとして、児童館の職員が書く実践記録が大切であるといったようなことが提言として書かれております。
また、こちらの調査研究に関しましては、委員として鈴木委員長、それから、安部委員にも御参画いただいております。
簡単にはなりますが、平成30年度の遊びのプログラムの関連事業につきまして、ご報告は以上になります。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
今、御説明の中にもありましたが、委託事業、補助事業、それぞれに本委員が加入していただいていますので、上の委託事業から見ていきますと、安部委員、植木委員、長﨑委員が、本日もいらっしゃいますが、何か一言補填ないしは、この際、研究をして感じられたようなことというので、御発言はございませんでしょうか。
どうぞ。
○植木委員 植木でございます。
私がかかわった研究事業は、改正児童館ガイドラインの理解を促すための調査研究でございます。
今、佐藤専門官から資料の説明がありましたけれども、そもそもこの専門委員会で作成した新しいガイドラインを用いて、現場で、それをチェックリストのような機能を果たすことができないかというところから出発したものでございましたけれども、実際、研究を進めますと、先行してチェックリストを使っていた現場の様子を調べたところ、○、×でチェックをしてそれで終わりと、要するに、やっているか、やっていないかで終わってしまうようなことが見受けられたのです。
したがいまして、どうやら、そういったチェックリストというよりは、むしろ、ガイドライン、特に総則のところを理解できて、ひいては全体も理解できるような、理解を促すための確認ツール、あえてチェックリストではなくて、理解をするための確認ツールというようなことで成果を出したということでございます。
そういった意味では、資料4-2あるいは4-1を見ていただければわかりますけれども、特に後半の部分では、○、×云々ということではなくて、実際、具体的な内容を書き込めるような工夫ができるような、そういう成果物になったかなと思います。
以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
まさにおっしゃるとおりのことが、現場では簡単に行われているかと思いながら報告書を読ませていただきました。
長﨑委員、どうぞ。
○長﨑委員 私は、1番の児童館等における遊びのプログラム等の全国的な普及を図るための調査研究事業というのにかかわらせていただきました。
大型児童館には、遊びを普及啓発するという役割があって、移動児童館として県内に遊びの出前をするという事業はやっておりましたけれども、小型児童館と共同でプログラムをつくっていくという経験は初めてでした。
どうしても大型児童館、いわて子どもの森というところは、敷地が広い、それから、不特定多数の親子が遊びに来るという特性をフルに生かしたプログラムを、今回、マニュアルにするに当たって、それを提案したので、地域の小型児童館と一緒にやるといったときに、敷地はない、毎日同じ子がいるという、全く違う条件の中で、私たちが考えていたプログラムを、そこにどうすり合わせていくかということを、私たちだけでは、どうしてもできなくて、小型児童館の先生方のアイデアと協力とで進めてきました。
結果的には、お互いにとって、すごくよかったです。そして、私たちにもすごく大きな気づきがありました。
大型児童館は、どうしてもパッケージ化して子どもに遊びを提供するという、遊びを提供するというのは何かおかしいなと思いつつも、どうしても私たちがつくり込んでしまう部分が多くなります。そこに子どもたちを迎えるという姿勢でいるので、でも、小型児童館ですと、子どもが参画して一緒に準備をしてつくっていくとか、それから、私たちは、万人にうけるように、少しテーマをふわっとさせることが多いのですが、小型児童館ですと、その子たちの好みとか、今、はやっていることに切り込んだテーマでできるとか、子どもたちをよく知っているからこそできるプログラムにアレンジができるというところと、私たちが気づけなかったところを小型児童館の先生にアドバイスをいただきながらつくっていけたなということで、よりお互いに理解が深まったなと思います。貴重な経験をさせていただいたなと思います。
今もそれは、続いておりますし、それから、これで提案した私たちの命のお話、先週、さぬきこどもの国、香川県に呼んでいただいて、大型児童館同士のつながりとして、命の話をやらせていただき、香川でも、このプログラムが、今度、香川版として広がりそうな予感もし、これからも楽しみだなというか、この事業が終わった後も広がっているなという感じがしています。
済みません、長くなりました。
○鈴木委員長 ありがとうございます。

それでは、次が2番目の児童館等における遊びのプログラムの効果・検証・分析ですけれども、これは、安部先生にしっかりかかわっていただいたので、一言ありましたら。
○安部委員 先に、長﨑委員がかかわっていただいていた委託事業1についてコメントしても大丈夫ですか。
○鈴木委員長 大丈夫です。
○安部委員 委託事業1に関して、佐藤専門官から参考資料3-1の説明があったかなと思います。これに関して、2点ほど非常に大事だなと思う点がありまして、1点は、3枚目の表の下のところ「(3)『遊びのプログラム』の普及効果の検証」で、一番下の段落のところなのですけれども、保護者のアンケート結果をご覧ください。遊びのプログラムというと、プログラムさえあれば、言ってしまえば、児童館などは要らないのではないかという議論も起こり得ると思うのですけれども、保護者の方たちは、そうではなくて、職員がいることが大事だと答えているのがわかります。児童厚生員さんが子どもの親の話を聞いてくれたりとか、親ができないことを子どもに対してやってくれているというところが、非常に強調されているというのがアンケートから明らかになりました。。
1枚めくっていただいて、子ども参加の視点から遊びのプログラムを考えた場合の課題なのですけれども、先ほど長﨑委員がおっしゃっていただいたように、遊びのプログラムは非常にパッケージ化されていて、完成度が高いので、子どもが意見表明しにくいというふうな側面もあるのかなと思いました。
ところが、報告を聞いたときに、小型児童館さんは、そこを非常にうまく子どもたちの意見を吸い上げて、自分たちの地域に合った形で展開をしていたので、大型館ではなくて小型館に行くと、こういう形で子ども参加ができるのだなと、非常に勉強になりました。
それから、そのページの真ん中のほうに、児童館のよいところとして、相談できる大人がいるという回答が出てきているのですけれども、これは、学校現場だと、なかなか相談は教師にはしにくいというデータが出ている一方で、やはり、児童館の先生方には、話しやすいということが明らかになっています。これは、当然、プログラムに関するアンケートだったわけですけれども、やはり、遊びを通して、子どもたちは児童厚生員を身近な存在だなと感じ、そこから相談に繋がっていく。SOSの声を上げることができるというのも子どもの意見表明・参加の一つの側面ですから、虐待予防などとも関係してくると思われます。
以上が委託事業1に関してです。
補助事業2に関して、続いてしゃべっても大丈夫ですか。
○鈴木委員長 お願いします。
○安部委員 補助事業2に関してなのですけれども、こちらは、遊びのプログラムの効果の検証・分析に関する調査研究ということで、まず、遊びのプログラムに関して、全国のさまざまな児童館さんにヒアリング調査、それから、質問紙の調査をしていく中で、皆さん方が、子どもたちにとって非常に大事なのが、もちろん遊びのプログラム一つ一つも大事なのですけれども、それ以上に、日常の子どもとのささいなやりとりがあってこそ、遊びのプログラムがうまくいったりとか、遊びのプログラムから入っていって、日常にいろんなサポートができるという状況がだんだん見えてきたのが、この調査だったかなと思います。
単体のプログラムを評価するのではなくて、日常も含めて児童館活動全体を評価しなければいけないとなったときに、どんな評価が考えられるだろうかということで、ここでは実践記録を振り返ることで何かできないだろうかということを提案しています。
恐れ入りますが、お手元の参考資料5の10ページ、11ページに図が載っているかと思うのですが、10ページのほうは、例えば、児童厚生員さんが自分と書いてある丸ですね。実践をするときに、軸がなく、あっちへ行ったり、こっちへ行ったり実践をしていくと、振り返りがなかなかうまくいかなくて、でも、子どもと向き合う中では葛藤が非常にある。その葛藤とふりかえりをうまく次の実践に生かしていけないというのが10ページの図です。
一方、児童館ガイドラインを振り返りの際に軸としていくほうのモデルが11ページになりまして、単に振り返りをすればいいわけではなくて、児童館ガイドラインに書かれてあることに立ち返って、自分たちの子どもとのかかわりは、児童館ガイドラインから見たときにどうだろうかというのを念頭に置くことで、実践がよりよくなっていくのではないかというのが11ページになります。
これに関しては、実際に、児童館の職員の方たちに、こういう形で実施することはどうでしょうかというプレ検証をしてみたところ、自分たちが無意識的にやっていることが、まさに、ここに言語化されているというお話を伺いました。
ですので、実施をしてみると、また、何かおもしろい知見が得られるのではないかと思っているところです。
以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございました。
この研究に関しては、私も少しかかわりましたから、私なりの迷いというか、難しさもあって、遊びのプログラムというように研究テーマにプログラムと記されていますので、このプログラムというものを、まず、定義しないといけないのかなと考えました。
私が、児童館事業を継承したときに、プログラムをきちんと立てろということを諸先輩から指導されましたけれども、そのときのプログラムの定義というのは、多分「意図的な活動をもって子どもと接する」という意味だったと思います。その場、その場しのぎではなくて。
ところが、近年、アメリカのほうからプログラム論というものが台頭してきて、これが社会を席巻する1つの理論体系だということになると、それも検討した上で、我々の採用するプログラム論を再定義しないと、実証的にまずいと考えて、プログラム論の研究もしました。
ところが、アメリカ由来のプログラム論というのは、基本的には、目的があって結論が出るようなもの、それをどう評価していくか、ということのようです。例えば、子どもの防犯対策の見回り活動というのは、結論は別に出ないですね、犯人を逮捕して修了するものではない。
それから、児童館の日常で、今日は疲れたから休ませてと飛んでくるような小学生や中学生がいた場合に、おお、そこで寝っ転がっていいよ、というのも意図的活動と言えばプログラムですけれども、アメリカ的に言うプログラム論では、なかなか評価できにくい活動です。
あえて言えば、計画して、お化け屋敷だとか、流しそうめん大会をやるような企画プログラムと、児童館そのものの機能、従来の機能である日常的な受付対応で来た子どもに笑顔を向けることから始まって、何か子どもの成長、発達に意図的なものをもって、共通して実行することを職員が共有化しておく日常的プログラムがあるのではないかと。実は、そういうものが児童館は一番大事で、それがあって初めて企画的なプログラムが成功しているというのが、現場をたくさん見れば、見るほどの私たちの実感でありました。
それを、今度は、評価対象ということになったときに、今、安部委員に話していただいたような職員そのものも成長発展しながら、子どもや保護者とともに振り返りをする。そのときの、きちんとした1つの指針が児童館ガイドラインで、児童館ガイドラインの意味は、そこにもあるなと私自身も非常に納得して、この研究の成果をさらに進めたいなと思った次第でございます。
みずからしゃべってしまいましたけれども、ありがとうございます。
これに関して、御質問とか、特に御意見とかはよろしゅうございますか。
それでは、次に、議事の4に入りたいと思います。
令和元年度の遊びのプログラムに関する事業について、事務局から御説明をお願いします。
○佐藤専門官 資料4について、御説明をさせていただきたいと思います。
資料4「令和元年度『遊びのプログラム』関連事業一覧」が、2枚になっているかと思いますが、まず、最初に2本の委託事業について御紹介させていただきます。
まず、1つ目が「児童館等における遊びのプログラムの開発・普及と普及方策を検討するための調査研究」で、大きく3つの目的、内容をもって、この事業を実施いたします。
本調査研究では、まず、全国の児童館等において活用することができる遊びのプログラムを開発、普及するとともに、その普及方策のあり方を検討することを目的として、全国数か所の大型児童館等で健全育成に関する関係者を対象としたワークショップを開催し、児童館等で活用することができる遊びのプログラムを開発します。2番目に、そこで開発したプログラムを地域の児童館等で実施します。3番目に、全国の健全育成に関する関係者を対象に、開発プログラムを紹介し、体験できる「遊びのプログラム実践交流会」を開催します。
これらによって、遊びのプログラムの開発・普及のプロセスを研究し、全国の児童館等で遊びのプログラムを実施・普及するに当たっての効果的な方法等を検証・分析するという事業になっております。この事業に関しましては、5月から開始されているものでして、一部、事業が既に始まっているところでございます。
1番のワークショップに関しましては、今年度、3つのテーマを設定しておりまして、そのテーマに基づき、3カ所の大型児童館等でワークショップを開催させていただきます。7月に実施する予定になっています。テーマは、1つが屋外遊び、2つ目が運動遊び、3つ目が発達支援で、発達障害ですとか、障害児への支援を含むものとなっています。
ワークショップでは、大型児童館と小型児童館もしくは児童クラブがペアになって申し込んでいただいて、それで、プログラムを開発していただく。そのうちの大型児童館のメンバーが、地域の児童館で開発したプログラムを出前事業として実施していただくという形になっています。また、それぞれのテーマに詳しいメンターの先生をワークショップ等に配置しておりまして、そこでアドバイスをしていただくといったような事業になる予定でございます。
次に2つ目ですが、「児童館ガイドラインに基づく子どもの健全育成実践活動の広報啓発」です。
本事業では、子ども主体、子どもの権利の視点に基づく子どもの健全育成の取り組みを広く全国の児童館に普及、展開させることを目的とし、児童館ガイドラインに基づく全国の児童館の実践事例を収集した「児童館ガイドラインに基づく児童館の実践事例集」(仮称)を作成します。これによって、健全育成に関する関係者、自治体関係者や児童館の職員に、ガイドラインを具体化した実践事例という形を通して改正された児童館ガイドラインを普及・啓発することを目指しております。
先ほど説明をさせていただきましたが、子どもの意見の尊重であるとか、子どもの最善の利益というところを今回の児童館ガイドラインに明確に示しており、ガイドラインを貫く視点となっているわけですけれども、それに基づくさまざまな事例を収集しまして、ガイドラインの普及に努められるような事例集というのをつくることを予定しております。
続きまして、次のページですが、補助事業で、また本年度も調査研究事業があるのですけれども、そちらのほうも御紹介をさせていただきます。
調査研究事業は1本ですが、「児童館ガイドラインに基づく評価のあり方に関する調査研究」で、本調査研究では、児童館ガイドラインに基づき児童館の運営・活動を向上させるため、児童館ガイドラインに準拠した第三者評価の評価項目案等の作成を主とした評価のあり方の検討を行うことを目的としています。主な内容は、1番の児童館ガイドラインに準拠した第三者評価の評価項目案の作成と評価基準・方法等の検討で、その過程でプリテストの実施もしていただく予定でございます。
こちらも、昨年度の報告書の中に、改正児童館ガイドラインに準拠した児童館の第三者評価の指標について検討し、その内容を普及・活用することにより、児童館ガイドラインの周知を図るということを提起いただいているのですけれども、それを受けました調査研究事業になるものと考えております。
以上、3事業が、本年度実施するものとなっております。
先ほど、30年度の事業報告をさせていただいて、これまでも遊びのプログラムのマニュアルですとか、さまざまな成果物を作成しておりますが、実際に児童館の現場でいかに使っていただけるようなものをつくれるか、また、それを通していかに普及できるかというのは、事業の全体の課題と考えております。
また、もう一つ、先ほど昨年度の事業の中で、子どもや保護者のアンケートをとりまして、声を聞いていただいたというのが幾つかございましたけれども、利用者という言い方がいいかわからないですが、児童館活動の主体は子どもですので、子どもの声や意見をどのように事業の中でも聞いていけるか、どう取り入れていけるかというのも全体的な課題と考えております。
3事業ございますので、委員の先生方には今年度もさまざまな形で御協力をいただくかと思いますが、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
今年度の事業を進めるに当たりまして、大体の枠組みとか、既に予算がついて動き出しているものもございますから、抜本的なことは、なかなか無理かもしれませんが、進めるに当たっての注意事項とか、こういった視点をぜひ差し込んでほしいとか、実施主体のほうにも声が届くと思いますので、御意見がございましたら承りたいと思いますが、何かございますか。駆け足で来ていますので、なかなか頭の整理が追いつかないかもしれませんけれども、昨年度の流れを尊重しながら、今年につながっているようでございますので、途中でもお気づきのことがありましたら、また、言っていただければと。
どうぞ、中川委員。
○中川委員 令和元年度の遊びのプログラムの関連事業の2番目なのですけれども「児童館ガイドラインに基づく子どもの健全育成実践活動の広報啓発」。これを見させていただきますと、事例集を作成するとのこと、非常にいいことだと思うのですけれども、例えば、事例を実際に担った方が発表する機会があれば、より現場の皆さん方には具体性を持ってお伝えすることができるのではないかと思います。
子ども主体、子どもの権利の視点に基づく取り組みというのが、非常に大切な、今回のガイドラインの、ある種、肝でもあると思うのです。
ただ、具体的にはどんな取り組みができるのだろうと悩みを持っている現場はたくさんあると思うのです。
ですから、その事例を実際に担った方が紹介をしていただくような場面を全国何カ所かで、非常にお金のかかる話で申しわけないのですけれども、済みません、何とかそんなことが実現できればいいのではないかなと思います。
○鈴木委員長 しっかりと受けとめて、事務局にもお伝えしておきたいと思います。
特に、ずっと事例集を見ていて感じることは、苦労したところとか、失敗した話などというのもうまく載せておいてほしいですね。皆さん、それのほうが逆に自信を持ったりできますので、中川委員から金をかけろという御注文がございましたので、しっかりと受けとめたいと思います。
ほかにございますか。
安部委員、お願いします。
○安部委員 委託事業の1番に関してなのですけれども、先ほど、佐藤専門官が、子どもの声をどう反映するのかというところをおっしゃっていただきましたが、私もそこがとても大事だと思っていまして、せっかく遊びのプログラムを開発するのであれば、ぜひ、この開発の場面に子どもたちに参加してもらったら、相当おもしろいのではないかなと思うのです。
ですので、ぜひ、この調査研究に関しては、子どもの声を組み込んで実施していただけたらなというのが1つです。
○鈴木委員長 私の関わっている団体が実施主体でございますので、肝に銘じて、それを中心に据えるようにいたします。ありがとうございます。
あと、ございますか。
それでは、今の委員からの御意見をきちんと肝に銘じながら、3事業ですね、実施主体に伝えていきたいと思います。
それでは、議事の5、その他ですが、事務局のほうから何かございますか。
○結城課長補佐 資料の説明等で何度か出ておりますが、本委員会の議論、報告書の内容を受けまして、昨年10月に児童館ガイドラインを改正いたしました。
また、報告書の中にもございましたように、今後の課題としましては、各自治体や児童館等における児童館ガイドラインの積極的な周知と活用を図るということと、あと、遊びのプログラムを児童館等でより普及、発展させていくこととなっております。
これらの課題に対しまして、今後、この専門委員会で検討していきたいというような事項がございましたら、ぜひ、御意見をいただければと思います。よろしくお願いします。
○鈴木委員長 どうでしょうか、今の事務局からの御依頼というか、申し出に御意見はございますか。
今、各都道府県、できるだけお声をかけながら、ガイドラインの説明会に、私どもも伺っていたり、機会を捉えてはガイドラインの勉強会もしてほしいということを訴えていたり、出版物等も使って広報をしているところでございますが、それ以外にも何かお気づきの点がございましたら、御示唆をいただければありがたいところでございます。
安部委員、お願いします。
○安部委員 質問なのですけれども、児童館ガイドラインの子どもたちへの広報というのは、どういうふうにお考えですか。
○鈴木委員長 子どもにどう伝えるか。
一応というか、ガイドラインの説明会のときに、子どもたちにもかみ砕いて伝えるようにというような意図の説明はしておりますが、子どもに向けての直接的なパンフレット等はまだありません。
それと同時に、この委員会で子ども版ガイドラインをつくろうという話も昨年度出たのですが、実は、実際に考えてみると、かなり難しいところで、むしろ、その土地、土地の児童館の職員さんが指導して、子どもたちに、その土地の児童館でガイドラインの子ども版をつくったらどうかというように水を向けております。という段階です。
○安部委員 というのが、子どもたちにわかる形で児童館ガイドラインを職員の方が説明するためには、まず、職員の方がよく知らないと説明できないと思うのです。
それで、先ほど、中川館長がおっしゃっていたこととも少し関連するのですが、すごくたくさんいい実践をされている児童館が日本全国にあると思うのですけれども、その実践を子どもの権利の視点からは捉え直していない方たちも多いのかなという気がするのです。つまり、児童館ガイドラインの視点から、もう一回捉え直したときに、どういうふうに語れるのかというところでは、明確化されていないのかなと思うので、ぜひ子どもたち向けの広報と児童厚生員さん自身が児童館ガイドラインを学ぶというのをセットにして、何かできたらいいのかなと思います。
○鈴木委員長 今後のこの専門委員会の課題に、積極的に現場の児童厚生員さん向けに、子どもに伝えるときのポイントというようなものを少し提示していくというようなことでもよろしいのですかね。
事務局のほうの狙いは、それでもよろしいですか。
○結城課長補佐 いろいろ、こういったことをやったほうがいいのではないかと幅広に言っていただいて、今後、こちらの専門委員会で議論していくようなこととして検討していきたいと思います。
○鈴木委員長 子ども自身が虐待されているから助けてくれと発信するように、子ども自身が児童館なり、周囲の大人に向けて、このガイドラインをもとに自分の権利を理解するためにどういうふうに子どもに伝えたらいいかということを専門委員会のテーマの1つにされたらどうでしょうか。大変大事なことだし、児童館現場にとっても、職員自身が、それを100倍も理解しないとうまく伝えられませんから、逆に有効な伝達の手段かなと、今、伺っていて思いました。
それが1つ御意見でよろしゅうございますか。
ほかにどうでしょうか、こんなことというのがございましたら。
熊澤委員、お願いします。
○熊澤委員 ガイドラインについてなのですけれども、子どもも、もちろん子どもが主体でそうなのですが、児童館を理解していただくという意味では、地域の方々が、こういったことがあるということを意外と知られていないのではないかなと。
やはり、子どもを取り巻く環境の中の、より地域の人にも児童館が、こういうことをしているということがわかるためには、もちろん大人ですから、改正ガイドラインを読めば、以前のものと比べられると非常にわかりやすいので、読めばいいのですけれども、いかんせん、全く知らない人にとっては非常に固いものではあるので、それが、何かしらの形で地域の人にも児童館は、こういうことをベースにやっていますというふうにできるようなパンフレットなり、リーフレットなり、そういったものがあると、より一層協力していただいているボランティアの方々にも提示できますし、今、児童館にかかわっていない地域住民でも、こういうことを児童館がしていると、何となく遊んでいるだけの施設という理解は非常にあるので、そういうところも広報できる1つの手段になるかなと思いました。
意見です。
○鈴木委員長 ありがとうございました。
ほかの人から見ると、児童館に勤めている人のものでしょうと、自分たちには関係ないと思っていることが実際的に多いですね。要対協ではないけれども、いろんな組織に呼ばれていったときに、児童厚生員さんも置いてこられる1枚もののパンフレットみたいな、札幌で飲み屋さんにも児童館のチラシを配っている方がいましたけれども、一番大事にされるところなのですね。そういうような形も、ここで考えていけるかなと思いました。
松田委員、今、手を挙げましたね。
松田委員、お願いします。
○松田委員 ありがとうございます。
ことしも、さまざまな取り組みがあるのが楽しみなのですけれども、このガイドラインに沿ってやっていらっしゃるというのが92.7%となっていて、本当かなというのがあります。私が全ての児童館を見たわけでもないし、知っているところは本当に少ないと思うのですけれども、余裕があったり、実施主体の理解があって、こういう児童館大好きコミュニティーとその仲間たちみたいなところに研修に行けたり、参加できたり、情報が入手できる児童館と、全くそういうところにはかかわらず、もしかしてかかわっていても出してもらえないようなところは、どうやって届けていくのだろうというのをいつも感じています。
やはり、好事例とか、取り組んでいるところの皆さんたちは、どんどんネットワークができて、いい実践ができていくし、実践交流もされていると思うのですけれども、全くそこにタッチしていない人たちはどのぐらいなのか、マイノリティーなのかちょっとわからないのですけれども、そういった方たちにつながっていく部分というのが、今回の調査や広報啓発で届くのかなとか、そこに対して、どういう層が、そういうところなのかわからないですけれども、そういうところにどのようにアプローチするのかというのが、実は、一番大事なのかなと、すごくトップクラスのところをたくさんふやすのもいいのかもしれないのですけれども、底辺を上げていくというところが、本当はすごく大事なような気がして、ガイドラインに、そういうところにこそ届いてもらいたいというのがあります。ぜひ、取り組んでいただけたらと思います。
以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
基本的に、全国の市町村に連絡すると、国から発出されたけれども、行政でとまっているというような市町村も実際にありますね。一番底辺に届くようにするボトムアップのことを考えるということも大事なことだと思いますので、それも今後いいアイデア、いい発想がありましたら、ぜひ取り上げて、事例を通してとか、研修を通してとか、隅々までくまなく行き届くようにする算段をするのも専門委員会の仕事かなとも考えますので、確認していきたいと思います。ありがとうございます。
よろしゅうございますか、大竹委員。
○大竹委員 ちょっとポイントが違ってしまうかもしれないのですが、この遊びのプログラム等のというところの、これが部会のわけですけれども、今、本当に子どもたちを見ていったときに、遊びが本当に大事なのだというのを全国に発信していかないといけないのではないかと。なかなか数字にはあらわれてこない。しかし、現状の子どもたちを見たときに、あのときに、ああいうふうな遊びをしていればという遊びの質が問われてくるのですけれども、本当に今の大人たち、親たちに子ども時代の遊びが大事なのだと、この遊びを通じてというところを児童館がやっているわけで、この根本的な遊びが、なぜ、私たち人間にとって必要なのかということを、また改めて親にも伝えていかないと、遊びのプログラムという言葉だけが走っていくのではなくて、遊びがなぜ大事なのか、そのときに、こういう遊びがあって、こういうような子どもたちへと、さらに言えば、児童館というところは、やはり、遊びもあるけれども、人に会いに来ているような、すると、やはり職員がどういう職員であるのか、その職員がいるから、子どもたちは声を出せる、その声を出したときに、きっちりとキャッチしてくれるから、また、話をしたいと思う。こういうようなやりとりが地域、地域に、児童福祉施設の中で2番目に多い4,500もある、この児童館のありようによっては、本当に地域の子どもたちの姿、生活が大きく変わっていくのではないかなというところもあわせて、何か全国への発信というのが、厚生労働省に置かれている、この委員会が、何かそういう役割も一方ではあるのではないかなということを、改めて、初めてで少しポイントがずれているかもしれませんけれども、そんなことを会議に出させていただいて少し思いました。
以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
遊びの大切さは、ガイドラインの総則、それから第2章の育ちの中でも重要だということは、非常に訴えてきましたけれども、なかなかこれがマスコミ等々も通じて、大きな声になりにくいというところがありますね。
今、それを阻害するような要因が非常に広まっているときに、それをどういうふうに広報していくか、このプログラムにしろ、新しいプログラムの創造にしろ、事例集にしろ、その中に世間の耳目を集めるようなものが1つ、2つ見つかれば、それは大きな議論のきっかけになるのかなと思います。健全育成のかなめの御意見を、今、いただきましたので、忘れずに、そこを常に意識しながら事業を進めていければと思います。
専門委員会においても、どのように世間全体に訴えていくかという発信の画期的な、衝撃的なツールを見つけたいと思いつつ、ずっと何年も経ってしまっていますけれども、ここをよろしくお願いしたいと思います。
よろしゅうございますか。
安部先生、どうぞ。
○安部委員 今、大竹先生がおっしゃったこととの関連なのですけれども、遊びの重要性、特に、災害後の子どもたちにとっての遊びの重要性という点で、できたら、一度ここで議論ができたらいいのかなと考えています。
西日本豪雨から、間もなく1年たちますが、水没した真備の児童館を、倉敷市内のほかの児童館の方たちがみんなでサポートをして、真備の避難所の近くに遊び場をつくったという事例もあります。そこで、子どもたちがじっくり遊びながら回復ができたというところは、私たちが学ぶべきことなのかなと思いますし、それを全国にどういうふうにつなげていくかというのは、地域の児童館と、地域と広域でどう連携していくかというところにも関係するので、まさに児童館ガイドラインの活用と普及啓発にもかかわることかなと考えています。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
遊びの効果の中で、医療的側面というのも大きく言われておりますので、これは、大きな災害があるたびに、私どもも支援に出かけていっていますけれども、今後も事故はあるし、事件には遭うし、これに対する対策も専門委員会の大きな課題かもしれません。肝に銘じておこうと思います。
植木委員、お願いします。
○植木委員 今、鈴木委員長、それから、安部委員が言われたように、災害時の避難所のキッズスペースといいましょうか、それはNPO等が設置することがありますけれども、やはり、児童館がその場になって、そこで何かしらの支援を行う、その事例に関しては、児童健全育成推進財団さんが蓄積されていると思いますので、その活動も一度、この専門委員会で、これまでどのようなことがあったかというのを知ることも1つかなと思いました。それが1つ点目です。
2点目は、その際に、児童館の職員だけではなくては、地域のボランティアさん、地域住民が支援ボランティアとしてかかわる場面というのが多く見られるわけですね。これは、災害時にかかわらず、児童館には地域のボランティアさんがかかわって、それで健全育成がセットになっているということは歴史的にあるのではないかと思います。
例えば、ガイドラインにも、母親クラブ等の地域組織活動というのが出てきます。そうした伝統的な母親クラブに限らず、児童館にかかわるボランティアさんが遊びのプログラムを児童館が遂行する際に、やはり、どのようにかかわってきたか、あるいはかかわれるかということも、何か検討ができるような場面があるといいかなと。
調査研究事業においても、そのあたりも少し含めて明らかになるといいかなと思いました。
以上の2点です。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
日常の児童館活動と、非日常、特に災害時における児童館のあり方に対して、基本的な検討をしておこうという事前に備える心構えだと思います。
やはり、非常時においても、このガイドラインの総則で書きました、児童館の拠点性とか多機能性とか地域性というのは変わりませんので、行く先々の地域性を大切にして、どういうふうに地域の方々を活性化したり、協力したり、支援していくかという問題と、児童館は公序良俗に反しない限り何をやってもいいという多機能性がございますので、その範囲の中で必要を感じたら、すぐ助けにいくというようなこと。
そのときに、子どもに関しては、遊びも含めた拠点性を持つというベースをきっかけにして、具体的な対応策というのも、今後、考えておく必要があるかなと、今、お話を聞いて思いました。
どうぞ。
○中川委員 今、お話の出ております、災害時における児童館の役割ということで、京都市内の児童館は、京都市児童館学童連盟という組織に加盟しておりまして、この児童館学童連盟と京都市との間で、災害時における児童館での子どもの受け入れについて協定を交わしております。
児童館が災害時において子どもたちにどういうケアができるのか、どういう受け入れを求められているのかということを、その協定を通して、我々児童館メンバーが、もう一度児童館のあり方、特に災害時における子どものケアの中で、遊びの大切さについて確認する。そこを児童館がしっかり担っていこうということで、協定を結ぶことによって、我々自身も理解、認識を深めるし、地域においても行政においても、子どもに対する児童館の役割というのが、非常時におけるあり方について、お互いが確認し合える、そういういい機会になっているかなと思いますので、御参考までにお伝えできたらと思ったところです。
○鈴木委員長 ありがとうございます。
児童館が何でもやるよと言っても、児童館自身が流されるというケースが、東日本のときにもたくさんありましたし、児童館の職員の人的パワーの限界もございますし、児童館職員の自宅が被害に遭っているということもある中で、どこまでそれが達成できるのかというのは、1つ大きな研究課題になることかなと思いました。ありがとうございます。
渡邊委員、お願いします。
○渡邊委員 皆様方の御意見を頂戴しまして、私も児童館を運営している立場でございます。
実は、私らは児童館を整備するに当たって、地元の説明会とかを行うのですけれども、やはり、児童館とは何というところからスタートします。そこまで児童館というものの国民の皆様に対する認識というものは、やはり子どもが遊ぶところというイメージだけがついているかなと思っています。
例えば、私どもが今進めている児童館整備に当たって、20時まで、いわゆる中高生が活躍できる時間までということで運営するということでお伝えしたところ、子どもは早く帰って勉強するものだという話をいただいたりも、実はしています。
そういったところで、なかなか児童館というものの機能に対する御理解が深まっていないというのは事実なのかなというところです。
私どもは、こういった状況の中でも、引き続き児童館の整備といったもの、必要性というものも含めて、先ほどおっしゃっていただいたように、議会のほうからも、児童館に職員がいるということが重要ですと。その職員が、例えば、小学校の挨拶運動にいるだけでも、子どもの顔が笑顔になるのですと。学校の先生に言わせると、ちょっと厳しいなというところもありますけれども、議会でもそういう話が出ているという状況の中で、私どもとしては、やはり、児童館の機能として必要なのだろうということで、これは区の内部でも訴えてまいっている状況です。
きょう午前中も、実は児童館学童のあり方といったものも議論がなされてきたところでございますが、私どもとしては、小学生の居場所が、今、放課後子ども総合プランが動き始めて、小学校に移っているといった中でも、やはり配慮が必要なお子さんだとか、きょうは、お友達とけんかしたのでしょうと、学校にいたくないお子さんが、児童館に駆け込んでくるといった受容性もしっかりと行政の中で議論し、この児童館ガイドラインの中身についてもしっかり共有して、必要性についても理解を進めているといった状況でございます。
行政の中もこういった状況でございますが、私どもとしては、何とか子どもたちのためにという形で、また、私どもの児童館は、利用者は小学生が半分、それで半分が乳幼児と大人という構成になってございます。
となると、午前中ベビーカーで来る大人の皆さん、保護者や乳幼児のお子さんも含めて、貴重な居場所となっているところも事実でございます。
そういったところも、私ども、この児童館の必要性といったものをしっかりと共有して、整備に向けた準備を進めているといった状況でございます。
きょう、皆さん方の御意見を頂戴しまして、いろいろと今後、行政の中でまた共有させていただきたいと思ってございます。
以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございました。
長﨑委員、どうぞ。
○長﨑委員 今、2点あったお話の中で、地域にも児童館を知ってもらう必要があるという大竹先生のお話もありましたけれども、やはり、現場の先生、岩手の話ですが、小型児童館の先生たちからは、私たち、こんなにやっていて、児童館はいろんなことをやっているのに、地域の人たちに全然何をやっているかを知ってもらえていないと。だから、児童館は、こういうことをやっているよということをちゃんと発信してと、それは、私がいる大型児童館の役割でもあるかなと。
その底上げをするところの拠点となるというか、自分たちが、まずは声を上げるという役割を担っているのだなというのを、今、感じています。
それで、岩手では、児童館を発信していくためのワーキンググループというのをつくって、児童館は、こういうところだよというパンフレットをつくって、地域に配付しようという計画と、それから、こんなことをやっているというのを、ちゃんと県とか市町村に伝えられるような話し合いの場とかを持とうということで、去年と今年度で進めているところです。やはり、活動というのは大事だなというのを改めて感じました。
災害時の児童館の役割というところも、東日本大震災で岩手は大きな被害があって、財団さんにもたくさん支援に入っていただいて、ただ、私のいる盛岡とか内陸は被害がなかったので、沿岸の児童館に出向いて、やはり、委員長がおっしゃっていたとおり、先生方も被災をされていて、それをどう支えるか、子どもたちに向き合う前に、先生たちが疲弊しているので、内陸の先生たちを沿岸に毎週派遣をして、遊びをただ提供するだけではなくて、保育の補助に入るという形でも取り組みをした事例がありますので、何かこの委員会の中で参考になるような情報を提供できたらいいなと思いました。
以上です。
○鈴木委員長 ありがとうございました。
大体よろしゅうございますか。
ありがとうございました。たくさん意見をいただきました。いただいた御意見につきましては、事務局のほうでも、ぜひ御検討をいただければと思います。よろしくお願いします。
ほかに事務局のほうから何かございますか。
○結城課長補佐 いろんな視点からの御意見、ありがとうございました。
いただいた御意見につきましては、今後、検討させていただきたいと思います。
次回の専門委員会につきましては、現時点では未定となっておりますが、実は、鈴木委員長におかれましては、任期がことし10月に満了となりますため、今回の専門委員会が最後の委員会になる可能性がございます。
鈴木委員長より、本専門委員会のこれまでを振り返って、一言御挨拶をいただけますでしょうか。
○鈴木委員長 それでは、退任に当たりまして、一言御挨拶をさせていただきます。
振り返ってみると、平成27年3月に「こどもの城」が閉館してから、厚労大臣の肝いりで、平成27年6月5日から第1回目の専門委員会がスタートしまして、令和の本日まで4年間、15回にわたり専門委員会の委員を務めさせていただきました。
ひょんなことから委員長になりましたけれども、大変未熟で至らず、皆さんに時間管理ばかり迫ったことも思い出しながら、皆様が寛大な心で見守ってくださったので、無事に任期を務められました。本当にありがとうございました。心から御礼を申し上げます。
この間、浅学菲才の身にも限らず、児童館ガイドラインの改正素案に、皆様と一緒に、これを練り上げられたというのは、生涯忘れられない私の思い出になるかなと考えております。
私自身、この児童館の仕事を始めたときに、子どもは歴史の希望という言葉にすがりまして、そして、児童館は希望の星だと確信をするに至りました。
私も含めて、時々希望の星を見失いそうになることがあるのですけれども、児童館ガイドラインというのは、嵐のときの羅針盤ですね。そういった羅針盤を大事に守り育てていきますが、今後、どんな嵐が来るかわかりませんので、また、その時々に、新しく児童館ガイドラインをつくり直さなければいけないときが来るだろうなと思っております。
時宜に応じた問題は、昔からの子どもの課題に加えて、貧困の問題が出てきましたし、ネット依存の問題が出てきましたし、孤立無業の問題が出てきました。
去年の研究の後書にも皆さんで書かせていただいたのですけれども、川島隆太先生のネット依存への警鐘、『ネットが学力を破壊する』という本を読んでも、御本人のお話を伺っても、どうも特にネットの中でも、ラインを7~8時間しているような中学生、高校生が出てきていると。それがものすごく彼らの能力を低めている。大脳の前頭前野や海馬や扁桃体の機能が低下している。これは、MRIで脳画像を見ると、言葉調べのときなどに、辞書を引くとその部位は活性化するのだが、ネットで検索したときには、大脳前頭前野に抑制がかかるのだそうです。
大人でも、これを続けていると、いわゆる認知症が早く進むだろうと言われています。ただ、先生本人もIT機器を離れての研究生活が困難なために、一体どうしたらいいか、子どもたちにどう対処するというのは喫緊の課題だと。文科省も学校にスマホ持参を解禁した時代にどうするか。
それで、MRIを使って生物学的な脳検査をすると、ラインをやっているときに脳内麻薬といわれるドーパミンが出ているらしいです。そうすると、一種の麻薬中毒・麻薬依存と同じ状態ですから、それに代わる喜びを子どもに健全な遊びで与えられるか、という一点が勝負だと思います。読書が解毒剤だと川島先生は言うのですけれども、ラインよりおもしろく読書を動機づけられるかということは、今、先生ご本人もずっと悩んで研究中のようでございます。
こういったことも、子どもの基本を守ろうとすると、私たちが考えていかないといけないことだと考えています。
この専門委員会に委員として参加させていただいて、専門委員会の大切さとか、委員の方々がガイドラインの作成のときにも能力や力を出し合って下さり、大人もグループワークが大事だということを、改めて実感させていただきましたし、今後とも、私はこの経験を生かしてリング外で児童館について一生懸命努力してまいろうと思っております。
委員をやめても生きていますので、街角で私の姿を見かけましたら、優しくお声をかけていただければ嬉しく思います。
本当に長い間、ありがとうございました。
○結城課長補佐 鈴木委員長、ありがとうございました。
それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。
今後につきましては、改めて事務局より御連絡させていただきたいと思います。
皆様、本日は、お疲れさまでございました。

(了)

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