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2018年1月29日 第4回放課後児童対策に関する専門委員会 議事録
子ども家庭局子育て支援課健全育成推進室
○日時
平成30年1月29日(月) 10:00~12:00
○場所
厚生労働省 共用第6会議室(3階)
○出席者
委員
柏女委員長 | 安部委員 | 池本委員 |
植木委員 | 小野委員 | 金藤委員 |
清水委員 | 中川委員 | 野中委員 |
山田委員 |
オブザーバー
西川文部科学省地域学校協働推進室長 |
黒柳 いずみ氏 |
清水 利昭氏 |
参考人
嶋村 仁志氏 (一般財団法人TOKYO PLAY代表理事) |
武田 信子氏 (武蔵大学人文学部教授) |
事務局
吉田子ども家庭局長 | 成田大臣官房審議官 | 長田総務課長 |
川鍋子育て支援課長 | 鈴木健全育成推進室長 |
○議題
1.これまでの議論を踏まえた論点整理と検討の方向性について
2.分権関係報告
3.最近の主な動き
4.関係者からのヒアリング(1)
5.その他
○議事
○鈴木健全育成推進室長 定刻より少し前ですけれども、ただいまから第4回「放課後児童対策に関する専門委員会」を開催いたします。
委員の皆様方にはお忙しい中、お集まりいただきまことにありがとうございます。
本日は、委員全員出席になっております。
また、これまでの議論を踏まえた検討の方向性にも盛り込まれているところでございますが、放課後の子供の居場所または生活の保障を検討していく際に、居場所の多様性またはプレイワークの専門性などにつきまして、しっかりと学び、議論する必要ではないかという委員からの御意見もございましたので、本日、専門家の方々から御意見をいただく機会を設けさせていただきました。お二人の方にお越しいただいておりますので、御紹介をさせていただきます。
まず、一般社団法人TOKYO PLAY代表理事の嶋村仁志様でございます。
武蔵大学人文学部教授の武田信子様でございます。
後ほど説明していただく時間をとっておりますので、よろしくお願いいたします。
さらに、今回から放課後児童対策に関する具体的な施策の検討に向けた議論をしていただくことになります。その中で地方自治体関係者にも加わっていただき、議論を進めていきたいと考えております。
本日につきましては、知事会からの推薦で静岡県健康福祉部こども未来局こども未来課の黒柳課長。また、全国市長会から御推薦いただきました三鷹市子ども政策部児童青少年課の清水課長。お二方につきましては、オブザーバーとして御出席をいただいております。
なお、町村会からの推薦でございます新潟県聖籠町子ども教育課の田中課長でございますけれども、本日は欠席となっております。
お三人の方々につきましては、事務局で手続が済み次第、本委員会の委員に御就任をいただく予定となっております。
では、本日オブザーバーとして御出席いただいている静岡県の黒柳課長、三鷹市の清水課長様から一言、御挨拶をお願いいたしたいと思います。よろしくお願いします。
○黒柳静岡県こども未来課長 静岡県のこども未来課長の黒柳と申します。
地方におきましても放課後児童クラブ、待機児童も大変多くなっておりまして、大きな課題だと認識しております。本県は全国でも待機児童が多いほうになっておりますので、また、地方の立場からこちらでの委員会での御意見も伺いながら、地方の実情というものもお伝えできればと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
○清水三鷹市児童少年課長 三鷹市子ども政策部児童青少年課長をしております清水と申します。よろしくお願いいたします。
三鷹市はまだ人口が増加傾向で、子供たちも増加の傾向にあるということで、長く待機児童は発生していなかったのですが、ここ数年になって急増しつつあるというような状況でございます。それぞれ自治体さんによっても状況は違うかと思いますが、私どもの状況も踏まえて現場の声を上げていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○鈴木健全育成推進室長 本日、国会等の関係で事務局に出入りがあることにつきまして、御了承を願えればと思います。
それでは、議事に移りたいと思います。柏女委員長、どうぞよろしくお願いいたします。
○柏女委員長 皆さん、おはようございます。
寒い日が続いておりますが、皆様お体いかがでしょう。私は夫婦共々インフルエンザにかかってしまいまして、ようやく復帰をしてもう大丈夫ですので、移すことはございませんので、皆様と一緒に議論をことしも進めていきたいと思っております。
今、黒柳委員、清水委員、新しくお入りいただくということで、ぜひこの問題、今お話がありましたけれども、自治体の意向抜きに放課後対策のあり方を考えていくことはできませんので、ぜひよろしくお願いをしたいと思います。また、田中委員はきょうお休みということですけれども、追ってまた参加してくださることを願っております。
それから、きょうは嶋村参考人、武田参考人の御両人には、お忙しいところおいでいただきまして本当にありがとうございました。この専門委員会の中の議論でも、放課後の子供たちを支えていくためにどのような場とともに、どのような方法が必要なのだろうかというようなことがさまざま議論が出ておりまして、それを踏まえて参考人の2人には御意見を頂戴できればと思います。
また、放課後対策といいますと、どうしても国でやる議論、政策の中に取り込まれているものだけが議論になりがちですけれども、そうでないさまざまな活動がありますので、そうしたことについても御経験の深いお二人の参考人からお話を伺うことができればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議事に早速入っていきたいと思います。議事は大きく(1)から(5)まで挙がっております。
まず最初に事務局から資料の確認をしていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○鈴木健全育成推進室長 お手元に配付させていただきました資料の確認をさせていただきます。結構盛りだくさんになっております。
資料1「これまでの議論(第1回~第3回)における主な発言要旨」。
資料2「これまでの議論を踏まえた論点整理と検討の方向性(修正版)」。これは第3回目に提出したものの修正版になっております。
資料3「『平成29年の地方からの提案等に関する対応方針』(抜粋)」。
資料4「放課後児童支援員の基礎資格の拡大について(省令改正案)」。
資料5「『平成29年の地方からの提案等に関する対応方針(閣議決定)』を受けての今後の議論の進め方」。
資料6-1「平成30年度予算案の概要(子育て支援課)」。
資料6-2「平成30年度予算案の概要(放課後子供教室関連事業)」。
資料7「平成29年放課後児童健全育成事業の実施状況」。
資料8「今後のスケジュール(案)」。
資料9-1「清水委員提出資料」。
次がヒアリング関係資料で、資料9-2「嶋村代表理事提出資料」。
資料9-3「武田教授提出資料」。
参考資料1「第3回専門委員会における議論の補足資料」。これは各委員からの要求などがあった資料を取りまとめたものになっております。
参考資料2「放課後児童クラブ関係資料」。これは第1回目、第2回目に出していた資料の平成29年5月調査を踏まえた資料になっております。
参考資料3「第11回 遊びのプログラム等に関する専門委員会(抜粋)(資料3、
資料4)」。
最後に机上配付でございますが、武田教授より冊子「社会で子どもを育む」を配付させていただいております。
資料の欠落等がございましたら事務局までお申しつけください。
○柏女委員長 皆さん、よろしいでしょうか。後でまた足りないことにお気づきになりましたら、その場で手を挙げていただければと思います。
それでは、最初にきょうの進行ですけれども、まず最初に事務局から今、読み上げだけあった資料1から7まで幾つかの動きが出ておりますので、それらについて説明をしていただいた上で、その説明内容についての御質問、御意見を若干の時間ですけれども、とらせていただこうかと思います。
メーンは嶋村代表、武田教授のお二人からのヒアリングという形になりますが、現在のところ各20分ほど意見を開陳していただければと思います。その後、その意見交換を行っていきたいということです。
意見交換では、後ほど事務局から今、説明があった資料に基づいて説明があるかと思いますけれども、この委員会として6月ぐらいをめどに中間とりまとめを行っていこうということになっておるようでございますので、その中間とりまとめを見据えた議論をしていきたいと思います。
今回は資料2、いつも使っている「これまでの議論を踏まえた論点整理と今後の方向性」ですが、その中の「3 類型」に関する内容を中心にきょうのヒアリング内容を踏まえて具体的な仕組みや実施方法などについてアイデア、御提言をいただければ幸いに思います。もちろんそれ以外のところも含めていただいて結構ですけれども、よろしくお願いしたいと思います。
それでは、議事(1)から(3)まで、これまでの議論を踏まえた論点整理と検討の方向性、分権関係報告、そして最近の主な動き、この3つをまとめて行いますので、関係資料に基づいて事務局から簡潔に説明をお願いできればと思います。簡潔にと言ってもかなり量があるようですので、時間はそこそこかかるかもしれませんけれども、お願いしたいと思います。
○川鍋子育て支援課長 まず資料1をごらんいただきたいと思いますが、本専門委員会で昨年3回の御議論をいただきました。資料1につきましては、資料2の論点と一緒ですけれども、まずその総論から始まって、その他5つの論点ごとに3回の御議論の内容をまとめたものでございます。全体像をまとめたものです。その中で特にポイントになると思われるものについて、アンダーラインを付しております。
これを踏まえて資料2をごらんいただきたいと思うのですが、資料2はこれが論点整理と検討の方向性のペーパーになりますが、今、申し上げた3回の御議論の中で特にポイントとなるもの、アンダーラインの部分を踏まえて3回目の12月4日のときに御意見も一部出ましたので、一部加筆修正といいますか、少し直している部分がございます。それが朱書きの部分です。
例えば「1 総論」をごらんになっていただくと「児童の権利に関する条約の精神にのっとり」「自己の意見を表明する権利など」という表現を加えているということでございます。それぞれ量的拡充から類型、質の確保、その他という形で朱書きの部分を新たにつけ加えた形で整理をしたものでございますが、時間の関係上、ほかにもありますので説明を省略しますが、特に朱書きの部分を御確認いただいて、この形で進めていただければと思います。
それと先ほど座長からお話がありました、ちょうど3回目の12月4日以降にいろいろ動きがございましたので、そこを御説明したいのですが、1つは資料3をごらんになっていただきたいと思います。地方分権の関係で「平成29年の地方からの提案等に関する対応方針」が昨年12月26日に閣議決定されました。この資料3はその抜粋でございます。この44ページを見ていただきたいのですが、3枚目になります。ここの3のところから放課後関係の御提案に対しての対応方針が書かれております。3を見ていただくと、放課後児童健全育成事業に従事する者及びその員数、これは従うべき基準になっておりますけれども、この基準については子供の安全の確保等、一定の質の確保をしつつ、地域の実情等を踏まえた柔軟な対応ができるよう参酌化することについて、地方分権の議論の場において検討し、30年度中に結論を得るとなっております。その結果に基づいて必要な措置を講ずることになっています。
その下の4ですけれども、放課後児童支援員の員数については、登録指導数が少ない場合、地域の人口が少ない場合または学校との連携が可能な場合等に対応できるように地方分権の議論の場において検討し、平成30年度中に結論を得る。その結果に基づいて必要な措置を講ずるという閣議決定がなされております。
放課後子ども総合プランについての一体型のクラブの実施については、地域の実情を踏まえた運用ができるよう、児童の数が20名未満の場合における人員配置の考え方を検討し、これも平成30年中に結論を得る。その結果に基づいて必要な措置を講ずることになっています。これは文科省とも関係しますので、文科省のほうにも書かれておって、これは再掲の部分ですが、こうなっております。
その下のポツですが、放課後児童支援員の基礎資格については一定の実務経験があり、かつ、市町村長が適当と認めた者に対象を拡大することとし、平成29年度中に省令を改正すると閣議決定がされています。
その次のポツ以下は、実はその前から継続していわゆる昨年より前から御提案されていて継続している部分となります。
今回ここまでの放課後の関係で、まず1つは平成29年度中、今、45ページの2つ目のポツを見ていただいていますが、時点としてやることで一番早いのが今年度中で、これがこの部分だけなのです。あとは30年度中あるいは31年度中に措置を講ずるとなっていますので、最初に今年度中にやるものについて1枚資料を用意しております。
資料4をごらんになっていただくと、今、申し上げた今年度中に省令を改正するものというのが支援員の基礎資格の拡大についてでございます。
1つまず現行、今の制度がどうなっているかといいますと、そもそも放課後児童健全育成事業に従事する者、員数については省令の基準に従って条例で定めるとなっています。基準省令については、事業者は支援単位ごとに支援員を2名以上置くこととされておりますが、ここのアンダーラインの部分を見ていただくと、2つ目の〇ですが、放課後児童支援員は、この基準省令10条3項各号に定める基礎資格を有している者であって、都道府県知事が行う研修を修了した者でなければならないとなっていますが、現在この規定上ですと、高校を卒業していない方については支援員となるための研修を受講する基礎資格がないという形になっている。なので支援員になれないことになっているわけです。これについて地方の御提案については、それはやはり2番のところに書いてありますけれども、中卒者であって放課後児童支援員になれないとなっているが、これは経験も豊富で評価の高い方もおられるので、それは中卒者の方についても基礎資格を拡大すべきであるという御提案でございます。
一番下の枠で囲った3番の提案についての対応でございますが、これは今年中に基準省令を改正しまして、アンダーラインのところを見ていただくと、新たに放課後児童支援員認定資格研修を受講できる者として、支援員になる道を開くということでございます。具体的には5年以上、放課後健全育成事業に従事した方で、市町村長が認めた者となります。これが1つ今年度中に対応するというものでございます。
もう一つ、先ほど閣議決定のところの資料で申し上げましたが、資料5をごらんになっていただきたいと思いますが、分権の御提案についての検討の場は、地方分権の場で検討するということで閣議決定されておりますので、本専門委員会で御議論していただくことと、地方分権で御議論していただくことの整理をさせていただきたいということでございます。
資料5に書かれてある内容は、これまで専門委員会の先生方に御議論をしていただいたものを切り出したものなので、何も変更しているとか、全くそういう手を加えているものではございません。議論の整理をするためにつくったものです。ここで主な論点と書かれていますけれども、多様なニーズの対応、自立を育む多様な体験ができる居場所づくり、以下はこういった内容を御議論していただきました。その中には放課後児童クラブの充実のところの3つ目の〇を見ていただくと、今のクラブの設置促進及び支援員の確保・定着策の検討の中で、例えば支援員の養成促進とか処遇改善といった御議論が出ました。それから、地域人材の活用策等の検討という御議論も出ました。これは専門委員会で御議論いただくことになりますけれども、その下の参酌基準化による地域の実情等を踏まえた対策等の促進という、ここの議論も専門委員会で出ていましたので、これについては先ほどの議論の整理として※についての論点は、先ほどの閣議決定に基づいて地方分権の議論の場で検討することになりました。こちらで検討することになります。
それから、本日御議論をいただく類型の御議論ですけれども、まだどうなるかというのは先生方にこれから御議論していただくことになりますが、例えば今、特に基準の話にはなっていないかもしれませんが、あるいは全くこれからどういう御議論が出るかわかりませんけれども、例えば今回掲げる論点の中で、これはこれから例えばある基準が必要であるとか、あるいは基準化が必要ではないかというお話になった場合には、実施主体は自治体でございますので、この分権の議論の場で検討することになることを御了承願いたいと思います。
分権の関係は2つのところがポイントになりますが、もう一つ、資料6-1をごらんいただくと、3回目の専門委員会の後に予算案が固まりましたので、若干説明しますが、表紙をめくっていただくと放課後児童クラブ関係全体の予算額としては対前年度74.4億円の増。一番大きいのは、今ごらんになっていたりする紙の資料の一番下に、いわゆる受け入れ児童数、利用児童数をずっと拡大してきておりますので、30年度予算については児童数の増の要素が一番大きいということになります。
来年度予算については、特に大きな新規事項とか拡充というのは大きくはないのですが、今の利用児童数の増なのですが、若干ちょっと御説明すると、8ページのところで実はこれは平成29年度に支援員の方のキャリアアップの処遇改善という事業を考えて立ち上げました。この部分の補助基準額を若干、世の中の状況を見て少し引き上げていることが1つと、その下の9ページのところで、これも継続してやるのですけれども、2番の整備費のところの(4)補助率ですが、先ほども待機児童の話が出ましたけれども、放課後児童クラブの待機児童が発生しているところは、今まで通常、国の補助率補助率3分の1でやってきておりますが、かさ上げを28年度からやっていますので、できるだけ待機児童が解消できるようにかさ上げを引き続きやるということが、今回の放課後関係のポイントになるかと思います。
これは厚労省の予算でございますが、資料6-2は文部科学省の予算になります。
○西川文部科学省地域学校協働推進室長 文部科学省でございます。簡単に御説明させていただきます。
資料6-2「地域学校協働活動推進事業」とあります。放課後子供教室につきましては、この事業の一部として国庫補助を行っているところでございまして、具体的には裏面をごらんいただきますと、右下のところにありますように、これは放課後子供プランのしかも1年の前倒しの目標数として、2万カ所を平成30年度予算案として対象としているところでございます。うち半数の1万カ所を一体型ということで、地域学校協働活動の総額としては約60億円ですが、その中の一部ということで予算措置をしようとしているところでございます。
以上でございます。
○川鍋子育て支援課長 最後の御説明で資料7でございますが、これは毎年5月1日時点での放課後児童クラブの実施状況を調査しておりますが、昨年の年末に公表した資料になります。
この調査のポイントを若干申し上げると、1ページの二重線で囲った部分ですけれども、登録児童数については前年比で約7万8,000人ふえている。これもずっとふえ続けているということになります。放課後児童クラブの数ですけれども、これも954カ所、前年よりふえているということになります。
「うち」と書いてありますが、放課後子供教室との一体型についても対前年比で750カ所ほどふえているという増加です。
めくっていただいて裏面になりますけれども、クラブの支援の単位数ですが、3万支援単位ということで、これも前年から1,800単位ふえております。それから、待機児童です。利用できなかった児童の数というのは本当にわずか減っています。見方としてはほぼ横ばいと見るのかなと思いますが、そのうち低学年、1年生から3年生までは待機児童は492人ほど減っております。逆に高学年、4年生から6年生については459人ということでふえている形になります。これは恐らく平成27年4月に子ども・子育て新制度が施行されて、対象を小学校6年まで拡大しているという影響が多分あるのかなという気もしております。それと、待機児童の数を都道府県別で見ていったときに、一番多いということは2つ目の※に書いてありますが、東京、埼玉、千葉で1万7,000のうちの約4割を占めている状況になります。
その下の18時半を超えて開所しているクラブについては、全体の約55%を占めている。平日、長期休暇とも同じぐらい、55%ぐらいになっているということで、これもかなりそういう対応がされてきているのかなと思います。
一番最後になりますが、小学校内、学校内で余裕教室あるいは敷地内の専用の施設で実施されているクラブの数というのは、今1万3,271カ所ということで、これも全クラブのうちの54%ぐらいあるということです。
細かいデータについては、この後にずっとついておりますので、適宜ごらんになっていただければなと思います。
若干ポイントを説明させていただきました。以上です。
○柏女委員長 ありがとうございました。
大部の資料でどこに何が書いてあったかすぐに思い出すのは難しいのですけれども、今、御説明をいただいたことについて、今後の議論を進めていくに当たって確認しておきたいこと、あるいは資料そのものについての御意見等ございましたら、時間の関係もあるので10分くらいお時間を頂戴して、何かあればお伺いできればと思いますが、皆様いかがでしょうか。池本委員、お願いします。
○池本委員 質問なのですけれども、先ほど文科省から説明があった放課後子供教室に関しては、全体が2万カ所という数字はあるのですが、厚労省の放課後児童クラブの実施状況のように、実際にどこの県に何カ所とか、それぞれ日数が何日なのか、利用人数がどのくらいなのかとか、そういった詳細な実態調査の資料があれば拝見したいと思うのですが。
○柏女委員長 お願いします。
○西川文部科学省地域学校協働推進室長 実は補助金の対象となっている各自治体が申請をいただいて、それに対して3分の1の補助という形をとっていますけれども、申請の上がっている教室数については文科省として把握しているのですが、単費でやられているケースですとか、申請が上がってこないケースについては実は実態が毎年は把握できておりませんで、そういう意味で放課後子ども総合プランの結果の検証という意味合いで、必要に応じて推進状況の調査を今後やっていく必要があると考えているところでございます。
○池本委員 今の段階で最新の資料がもしあれば、きょうでなくてもいいのですけれども。
○西川文部科学省地域学校協働推進室長 今、申し上げた申請ベースのものでしたらございますので、御提供させていただきたいと思います。
○柏女委員長 わかりました。次回でもお願いできればと思います。よろしくお願いします。
ほかいかがでしょうか。中川委員、お願いします。
○中川委員 質問といいますかお願いも込めてなのですけれども、先ほど御説明のありました平成29年の地方からの提案等に関する対応方針なのですが、今後、参酌化、基準の問題等については地方分権の場に移行する、そこでなされるということなのですけれども、私個人的にはこの専門委員会の中で議論ができるかなと思っておりましたので、大変残念ではありますが、しっかりと地方分権の場で御議論をいただけたらと思っております。
つきましては、ぜひとも地方分権の議論の場において、この基準そのものに対する策定の経過であるとか、あるいはこの基準の目指すもの等について、しっかりとした見識をお持ちの有識者の方が例えば参画していただくことをお考えになっているのかどうなのか、できればそうしていただければと思っているところなのですけれども、お尋ね、お願いということでございます。
○柏女委員長 今、御要望と御質問がありましたけれども、今、その御質問の件についていかがでしょうか。お願いいたします。
○吉田子ども家庭局長 中川委員からの御質問、御要望について承りました。
率直に申し上げて、先ほど課長から申し上げましたようにいろいろな政府の中での議論の結果、閣議決定という形で議論の場は設定されました。議論の場自身は私ども事務局ではございませんので、この場の設定の仕方については今のは御意見として私ども承らせていただきたいというのが今、申し上げられるところでございます。
率直に言ってなかなか難しいというのが私の感じであります。ただ、委員のおっしゃっていただいたような地方行政のプロの方々に御議論をいただく場においても、中身についてこの専門委員会をはじめとするこれまで関係者の方々が御議論されていたものも十分踏まえた上で、最終的な成案を得るようにという御趣旨と受けとめましたので、どのような形で地方分権の議論の場において、これまでの専門家の方々が行われた議論などを御紹介する、あるいはそういうものも踏まえたうえで最終的な成案に結びつけていただくようにできるかは、地方分権の場の事務局にも私どもよく相談をさせていただきたいと思います。
○柏女委員長 よろしいでしょうか。
○中川委員 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○柏女委員長 今お話がありましたように、地方分権のところで議論を進めていくためにも、本来、放課後対策がどうあったらいいのかということの議論をしっかりとここでしておくことがとても大切になるかと思いますので、ぜひ皆様方の御見識をこの中で集約していければと思っております。
また、今、地方分権の議論の場でということがありましたけれども、当然、議論の中で基準について触れてくるところはあると思いますので、その意見が出た途端、私のほうでブーと言って、そこはしゃべっちゃだめとかいうようなことはしないつもりでおりますので、皆様方の御意見の中で一部そこにかかわることは当然あり得るだろうと思っておりますので、そこは少し心広く見ていきたいと思っております。
ほかにはいかがでしょうか。では安部委員、お願いします。
○安部委員 今、委員長が指摘されたこととも関連しますが、資料5放課後児童クラブの充実の現行クラブの設置促進及び支援員の確保、定着策の検討の中の基準化につきまして、ここで話せないことの中には評価・検証に関することも入ってくるのですか。それとも評価・検証に関してはこちらで話してもよいのでしょうか。
○柏女委員長 いかがでしょうか。
○川鍋子育て支援課長 今おっしゃったお話で言えば、専門委員会については皆さんの専門的な知見に基づいて議論をしている場になるので、例えば支援員のスキルの問題とか、あるいは今おっしゃったような評価の部分というのは、当然話をしていて出てくる、質の中で出てくる問題だと思います。ただし、それが例えば各自治体において、ある一定の物差しみたいなものをつくるのかつくらないのか、要るのか要らないのかというのもありますけれども、そうなったときには先ほど申し上げたように、分権の場においても議論をするということを考えてございます。
○安部委員 わかりました。
○柏女委員長 よろしいでしょうか。それでは、先に進ませていただきたいと思います。
これから議事(4)のヒアリングに移らせていただきたいと思います。
きょうは先ほど御紹介をいただきました嶋村参考人、武田参考人においでいただいております。まずお二人からお話を伺った後で皆様からの御質問、御意見を頂戴できればと思っております。その上で質疑の時間、御意見の時間、余り十分にはとれないかもしれませんけれども、もしも嶋村参考人、武田参考人が終わってからも12時までの時間がございますので、お時間がございましたら残って議論を聞いていただければというふうに、私からは切にお願いをしておきたいと思います。
それでは、まず最初に嶋村さんから御説明をお願いしたいと思います。およそ20分程度で御報告をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
○嶋村代表理事 こんにちは、嶋村です。きょうは貴重なお時間をいただきありがとうございます。
一般社団法人TOKYO PLAYという2010年に設立した団体の代表理事をしております。もとは1996年から東京都世田谷区にある羽根木プレイパークという日本で最初に常設になったプレイパーク、冒険遊び場で常駐のプレイリーダーと呼ばれるお仕事をしていました。その前はイギリスのリーズ・メトロポリタン大学という大学があって、そこがイギリス国内でも数少ないプレイワークという専門分野を教えている学科で、そこの日本で言う短大卒に当たりますけれども、高等教育課程修了というところで来ております。
現在も全国、北海道から九州まで大体400カ所ぐらい冒険遊び場があって、立ち上げる場所もふえてきています。そこの立ち上げ支援のお仕事も含めてやっているところです。なのでTOKYO PLAYとしては冒険遊び場にかかわるというのはほんの一部分なのですけれども、そちらからお話をできればと思います。
冒険遊び場についてなのですけれども、一遊び場です。このお話を進めていくに当たって、子供の遊びが環境問題になってきているということをまず前提でお話ができればなと思っております。
というのは海外でも言われているところなのですけれども、きれいな水とか空気が当たり前であった時代というのは、水とか空気に関して大して問題にならなかったという事情がある中で、だんだんそういうものが汚れてくると環境アセスメントがあり、対策法がありというところがあったと思います。子供の遊びも多分同じような状況にあるのかなと思っていまして、子供が自由に外で思いっきり普通に大人のかかわりもなく遊べていた状態。それが多分、歴史の中では何世紀も続いてきたと思うのですけれども、それがだんだん今、危うくなってきている。この1世代、2世代ぐらいで危うくなってきているところで、大人が動かなければいけないという時代に来ているのかなというところの延長線での冒険遊び場だと思っておりますので、お話しできればと思います。
資料は3ページぐらいしかありませんけれども、用意をいたしました。プレイパークと呼ばれていることが日本では割と一般的でもあるのですが、冒険遊び場というふうに呼ばれています。世界的には冒険遊び場と呼ばれていることのほうが多いと思います。
もともと北欧でプレイパークというような名称で呼ばれていたところから、日本では呼びやすいというところからプレイパークという名前がついていますけれども、遊び場の種類の名前としては冒険遊び場と呼ばれているかと思います。現在、日本冒険遊び場づくり協会という全国のいろいろな冒険遊び場をネットワークする組織がありまして、2003年にできた組織です。そちらにそれぞれの地方の冒険遊び場の話も載っていますので、一番北は旭川とかそういうところの取り組みから熊本、宮崎あたりまでのどのような団体があるのかというところがわかるかと思います。
もともとの経緯としては、日本で始まった活動というよりは海外で始まった活動になります。一番最初は1943年です。第二次世界大戦中のドイツ軍に占領されていたデンマークのコペンハーゲンというところで始まった活動になります。もともとこのとき、開園にかかわったのは都市計画の人が提案したものなのですけれども、単に遊具を置いたりとか、どのようなゲームをするかというものを出すよりも、子供たちが廃材置き場とか、台風の後に倒れた大木の周りで楽しそうに遊んでいるというようなところから発想を得て、素材とか道具を用意しておく。それで子供たちが自由につくれるようにしておけば、一括で子供たちを一遍に動かすというのではなく、それぞれの子供たちの興味関心に合った遊びがそれぞれでつくれるのではないかという発想で生まれています。
そういう流れから第二次世界大戦後に、まだドイツ軍で爆撃されて瓦れきの残っているイギリスとか1948年に始まっています。ベルリンは1961年、世界各地で広がっているところです。実際に置いてあるものは材木だったり、水が使えて、火が使えて、シャベルがあって土が掘れて、材木では工具が使えるので小屋を建てたりとか、あとは遊具です。日本なんかでも中高生を中心にして、一緒にスケボーのハーフパイプを一から子供たちとつくるみたいな、そのような取り組みもされていたりします。
そういうところでは子供自身が遊びを生み出すというのと同時に、環境を変えていくことができるということです。子供の育ちに大切な一部分でもあると思いますけれども、自分がやったことの何かが目の前のものを変えていけるという実感、そういうものを持てるようにしようという取り組みです。日本では1975年ぐらいから東京の世田谷区で今の形で言うプレイパークの最初の形が生まれています。そのときは夏休みの3週間だけ実施されているのですが、その当時から公園に行くと禁止看板がいろいろ立っていて、もちろん既に事故があったりとか、噴水の中に割れたガラスが投げ入れられていたりとかして、入ってはいけませんという掲示が出ていたりしました。そういう中で昔、自分たちが遊んだように今の子供たちが遊べないかもしれないという状況から、海外に視察に行った大村夫妻という都市計画をやられていた方が中心になって呼びかけて、東京の世田谷区で3週間だけの実験的な冒険遊び場を始めたというのが始まりです。
このときからなのですけれども、つい行政だけで全てやってしまうと1つのクレームで禁止になってしまうことが多いということから、ただ利用者は遊び場を利用するだけではなくて、その運営にも回ることでクレームを言う人、言われる人、サービスを提供する人、される人という枠を超えて、関係の貧困の中でついついクレームが出て禁止になってという悪循環を解消するための取り組みとして日本では広がるようになってきています。そのため、市民団体が最初は草の根で中心になって運営をしていたり、最近ですとそこから発展したNPOが運営をして、行政との共同でやっていたりというところが多くなっています。
そこに携わる専門職としてプレイリーダーと呼ばれる人が配置されています。イギリスでは当時プレイリーダーという名称で1970年代、80年代ぐらいまで呼ばれていたのですけれども、プレイワークという後から武田さんからお話が出るかと思いますが、その専門分野が確立され始めてから放課後児童クラブにかかわる職員、児童館にかかわる職員も含めて、子供の遊びに中心的にかかわる人をプレイワーカーと呼ばれるようになっていますが、イギリスではそのように呼ばれるようになってきています。現在は国家資格として、国家の職業資格として位置づけられているところです。
世界各地、今でも、ここにも書きましたが、スイス、オランダ、デンマーク、オーストラリア、アメリカ、カナダ、日本、最近では香港、韓国でもつくりたいという動きが出ていますが、実際に見に行くとしたらどこに見に行ったらいいというような国際NGOの会議なんかでは、大体冒険遊び場を見に行くのであれば日本かドイツの実践を見に行くといいよと言われているところです。
実際に常設の冒険遊び場、今、日本で言うと大体20カ所ぐらいで、そのほか定期開催、週2日から3日ぐらいとか、あとは月に1回、年間に何回かというものも含めたもので言うと、活動団体は400を超えるというところになっています。
国内の背景のところで少しお話したところがありますけれども、1990年代に入ってから次世代育成支援行動計画の中の文言に入ったりとか、それぞれの自治体での魅力ある公園づくりであったり、放課後の子供の支援であったり、さまざまなところの背景から行政の中長期計画に入ってきているようなところもあります。特に横浜市などでは中期計画の重点計画に入っていたりするところで設置が確保されているというところであったりもします。
都内で言うと、一番東京都内が常設の場所が多いというところですが、世田谷区、渋谷区、品川、練馬、豊島、新宿、武蔵野、国分寺、町田です。自治体の健全育成支援事業の中に入っているものもあったり、公園の土木部が場所を含めて予算も提供しているところもあったりします。
関係する専門性というところで、数年前に教育評論家の尾木直樹さんとお仕事をしたときに、子供の遊びの大切なところというのは未知との遭遇である。もちろん習い事が悪いわけではないのだけれども、習い事よりも遊ぶということが大切だということをおっしゃっていたことがあって、大人がその時間、その子のために用意した、予定された学びしか入らないというところの限界を超えるためには、未知との遭遇にあふれた環境がある遊び空間、遊び環境が必要だという話があります。
冒険遊び場も基本的にはそのように考えています。ですので全ての子供がこれをしなければならないというふうには用意しておりません。基本的には道具、工具を使うというところです。そういうところでそういう技術をやっていくうちに学ぶところがあります。大工道具一式、電動工具一式、チェーンソー、バーナー、シャベル、ねこ車、造園土木とか建築とか、子供の興味関心に合わせて一緒に場をつくっていくという専門性があると思っています。
あとは日常利用、イベント準備に必要とされる関係設備というところで、常設の遊び場なんかですと、子供商店街と呼ばれるようなイベントなんかもあったりして、現金を使って、子供たちが店を自分たちで3週間ぐらいかけて建設をして、自分たちの商売をするみたいなイベントもあったりします。そういうところでは地域の保護者の人たちとのやりとりであったり、衛生面その他、あと大きなイベントをするというところです。さまざまな子供の遊びが生まれますので、そういう意味では導線がぶつからないとか、そういう意味での空間構成であったりとか、実際に焚き火の場所はどこにすればいいか、水遊びはどこにすればいいか、近隣住民に迷惑がかからないようにはどこにどう配置すればいいのかとか、そういう割と空間的な専門性もあったりすると思います。
あとは危険管理です。ここが一番大きいかと思います。やはり子供は自分の発達を喜ぶようにできていると専門分野の中では教えられていたりもしますので、そうすると危ないところ、高いところから飛んでみたりとか、火を使ったり、工具を使ったり、そういう中でもいろいろなお試し行動を子供たちはすることがあります。その中でもそういうやってみたい気持ちを受けとめつつ、大きなけが、事故に至らないという危険のコントロール、海外ではリスクベネフィットアセスメントと言われたりしますけれども、そのように危険への挑戦と、そこから得られることの効用、そのバランスをいかにとるのかというところをそれぞれの子供とか、全体に対してバランスをとるという、そういう専門性を持っていると思います。あと日常の点検、メンテナンスです。恐らく冒険遊び場はさまざまな危険が起こり得るところですので、そういう意味での専門性は高いと思っています。
あとは子供たちの居場所としてというところで、子供の放課後の居場所全般に大事な要素だと思うのですけれども、子供が大人の都合で比較されない、評価されない。そういう時間が1日の中にわずかでもあるということが重要だと思っています。それは冒険遊び場近隣の児童館または放課後児童クラブの職員さんたちとも連携をとってやっているところもあったりします。中には学校には居場所がなかったりとか、家には居場所がなかったりというところで、登録しないで済む場所であったりとか、何か言われそうな大人がいなさそうな場所であったりというところで、児童館、放課後児童クラブでももちろんそういうところはあると思いますけれども、冒険遊び場もその選択肢の1つとして選ばれていることがあります。なのでいわゆる基本的にはオープンアクセスという、いつ来て、いつ帰ってもいいという施設になっています。
利用する年齢は0歳から18歳までさまざまですので、子供が来たときに大きい年上のお兄ちゃん、お姉ちゃんに出会うこともあれば、乳幼児、ふだん同じクラスだと同学年だとなかなか居場所がない子が、小さい子の面倒を見たりとか、お母さんたちと話すことにすごく長けているというような場面も見られたりするところがあります。
時には子供の居場所に関する場所は全てそうだと思うのですけれども、発見する相談というところです。子供たちからのアポイントメントをとって、相談があるんですけれどもと来ることはほとんどありません。その中で少し気になる子がいたときに、何となく声をかけたり、あとはナイフで工作をしているときに横に座っているときに、実は僕さということを話だしたり、そういうところから始まる相談というのがあったりします。なので常設の場所で特にですけれども、児童相談所の緊急一時保護の案件なんかも時々あったりするという状況です。
あとはさまざまな表現の場所でもあったりしますので、プレイリーダーに限らず、さまざまな地域の特技を持っている人たちが、そこで表現するというようなこともあったりします。中には地域のいろいろな素材をもらってきますので、近所の車のディーラーさんからいただいてきたエンジンオイルの入っていたドラム缶なんかをきれいに洗って、バリを取って、それで子供たちがドラム缶風呂を沸かせるというのが日常的にできるようになっていたりとか、子供たちの思いつきとか創意工夫でやってみたいということをできる限り子供たちとかその場所に危害が加わらない限り、実現できるようにするという意欲を持った職員が働くというところになっています。
あとは先ほども申しましたけれども、ついサービスする側、される側、クレームを言う側、言われる側に分かれてしまうと、あっという間に禁止だらけの場所になってしまいますので、そういう意味では住民参画、常に保護者も含めて周囲の方もつくる側に回ってもらう仕組みをつくり続けるために、地域の人にたくさんかかわっていただく。その中で一緒になってもらうという、場づくりを進めていくという新しい公共マネジメントの形だと思うのですけれども、そのようなものを進めています。
最近では団体視察対応もふえています。川崎市のプレイパークなんかでは図工の授業で単元でいきなり素材に触れるというところで粘土をあげてしまうのではなく、まず半日プレイパークに来て泥だらけになるという体験をしてから、次の時間に図工の時間で初めて粘土をもらうというような形があったり、そういう意味では地域のいろいろな組織と連携してというものが生まれ始めています。
あと、最近では夏休みは特になのですけれども、放課後児童クラブ、あとは民間、特に企業の学童が遠足で行きたいというところで、場所によっては1カ月に20件ぐらいの放課後児童クラブ、学童の受け入れをしたりしているような場所もあったりします。
実際の課題となるのは、そこでもちろんたくさんの人たちに来てほしいというのがある一方で、そこで人員を追加できるかというと、そういう状況になかなかないというところがあります。そういう意味で冒険遊び場を運営していくというところでは、下のところでも書いたりしていますが、受け入れをぜひしていきたいなと思っています。近隣の職員の方から伺っても、過度の管理責任を追及されるという風潮があるので、ブランコの立ちこぎは2年生からとか、ジャグルジムは2段目までしか上ってはいけないというお話をどうしても子供たちに徹底するしかないんですというお話を伺うことがあります。
そういうことを超えるためにというところなのですけれども、学校の場所と共用の放課後児童クラブで自由な校庭をつくるというところはハードルがなかなか高いのかなと思ってもいますので、もちろん海外ではそういう場所も生まれ始めていますが、そういうところに、では冒険遊び場が近隣にある場合、放課後児童クラブを受け入れるというところを積極的にできたらなと思うところもあります。ただ、そういうところで実際に児童館、放課後児童クラブを含めて設置根拠がなかったりもするので、予算的には非常に厳しい民間の一NPOだったり、草の根の団体で運営しているというのが実情だったりします。
先ほどの資料にもありましたけれども、放課後児童クラブの登録人数がふえていく中で、放課後、一歩も学校の外に出ないでというところが子供がふえていったとすると、前にイギリス政府のホームページにも書いてありましたが、遊びって生きている世界を知るための扉である。だから遠くに行ける子はたくさんの環境に触れられるけれども、狭い場所にいなければいけない子たちほど豊かな環境に触れられなければならないというところがあると思います。そういう意味でも冒険遊び場への日常的な遠足なりお出かけを選択肢にできるような仕組みができたらいいなと思うところが1つ。
あとは冒険遊び場のほうから放課後児童クラブに定期的な出張を行うというような取り組みも海外では行われているというのを聞いたことがあります。そういうこともある。あとは最近、力のあるNPOもふえてきたりもしますので、学童保育と冒険遊び場を両方運営しているようなNPOも練馬区なんかでも出てきたりしますので、そういうことも含めてさまざまな形で放課後児童クラブ、子供教室以外の居場所というところでは確実な一角を占めているのではいなかと思っております。
20分ちょっと過ぎてしまったかもしれませんけれども、以上とします。ありがとうございました。
○柏女委員長 ありがとうございました。貴重な御報告をいただきましたこと、心より感謝申し上げます。
続きまして、武田さんから20分程度でお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○武田教授 武田と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
資料を結構たくさんつけました。きょうは社会環境の変化に伴う子供の発達保障のための放課後環境の整備についてということで、お話させていただきたいと思っております。
最初にそのお話をした後で、提言をさせていただいて、たくさんつけました資料に関しましては、最後の数分間でどのような資料をつけたかということを説明させていただく予定にしております。
今回はお招きいただきまして、どうもありがとうございました。私のプレゼンテーションは多分話があちこちに行ってしまいますので、そのバックグラウンドをお伝えするためにまず1分ほど自己紹介をさせてください。
私はもともと臨床心理士です。子供のための心理臨床のカウンセリングをやっておりました。今は大学で教員養成をしておりまして、あちこちで教員研修などをやって教師教育を中心とした活動をしているのですけれども、一方で子供の健全な養育環境をつくるためのコミュニティーワークをしながら、地域をどう変えていったらいいのだろうかということを考えている研究者でもあります。
現在はIPAといいましてInternational PLAY Association、国際子どもの遊ぶ権利のための協会日本支部の運営委員を嶋村さんと一緒に務めさせていただいていまして、日本プレイワーク協会というものが昨年立ち上がりましたので、そちらの理事もやっています。それから、プレイワーク研究会の共同代表として、このようなプレイワーク研修といいますか、プレイワークだけではなくて学童保育あるいは児童館の先生方の研修テキストをつくりました。きょう2冊持ってまいりましたので、目次は資料としてつけさせていただいたのですが、よろしければこちらから回していただいてごらんいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
それから、NPO法人あそびっこネットワークというところが練馬区でかなり手広くいろいろなことをやっていて、学童保育もやっているのですが、そこのアドバイザーもしております。ただ、こういうことをやってきているのですが、冒険遊び場づくり業界だとか、そういったところと直接的な関係性を持った仕事はしていませんし、私自身はプレイワーカーではございません。そういうことで専門的なことは嶋村先生にいろいろ伺いながらということですので、きょうの資料も嶋村先生からいただいた私が持っている資料を幾つか一緒に載せさせていただいていて、こういったことをまとめてやっていくことによって、柏女先生の子ども家庭福祉という考え方を総合的に考えていくことができるのではないかと思っております。
最初の説明から行かせていただきます。子供の日常生活の変化と発達の変化ということなのですけれども、先ほど嶋村先生のお話にありましたように、乳幼児期から日常生活がかなり変化しています。皆さんが小さいころに楽しかったことを思い出してくださいというワークを全国でやるのですが、すごく楽しかったことを1つ思い出してみんなに話をしていただいて、その後で、そういった楽しいことを今の子供たちはできますかというふうに私が問いかけますと、多くの方たちがあっと気がつくのです。すごく楽しかった、自分が本当に楽しかったと思う経験を今の子供たちができていないということなのです。そういうことができていない中で生活体験が剥奪され、遊びが剥奪され、遊びや生活体験の中で人間というのは小学校に入るより前にほぼ脳が発達して、体も脳も心も基本的なベースの部分というのは乳幼児期につくられるというところなのですが、そこができないまま小学校に入っていくことになっています。それが十数年前ですか。カナダに私が行っていたときには既に話題になっていたのですが、ヘックマンさんの非認知能力、やっと日本に届きましたね。非認知能力が必要なんだというふうに言われるようになったゆえんなのだろうと思います。
学力が足りないということになりますと、勉強の時間を長くすることが必要である、塾が必要であると言われますが、北欧では小学生は宿題が禁止である国が結構ありますし、塾というのは日本系の塾以外ありません。北欧だけでないです。ヨーロッパはありません。さらに学力、学習時間、宿題をふやそうとしている日本の現状の中で、放課後の時間をどのように使っていくのか。学習プログラムというものをふやしていくことで学力が本当に上がるのか。PISAの結果などを見ていただいてわかると思うのですけれども、必ずしも学習時間というものが子供たちの学力につながっているわけではないということが見られるのではないかと思っています。
学童の24時間の生活環境に関しまして、野中委員の資料などにも既に言及がなされていたと思いますけれども、学校の中にずっと7時ごろまでいるということは、地域とのかかわり、帰りの道で八百屋さんとお話をしたというような経験がなくなっていくことになります。文房具屋さんに寄って行ったというような経験がなくなっていくわけです。
さらに少子化によってさまざまな人とコミュニケーションをとる機会が減少しているということで、24時間考えてみますと学校の中にいるのが8時から3時ぐらいまでの7時間ぐらいで、その後、数時間、3.5時間から4時間ぐらい学童にいて、その後、3~4時間家庭にいるとあとは睡眠時間なのです。要するに学校以外の自由な時間の半分が学童で半分が家庭という中で、その半分の時間を一体誰とどのように、どういうふうに過ごすのかということを24時間全体の中で私たちは検討していかなければならないのだろうと思います。
そうしますと日本の場合、先ほど申し上げましたように宿題や塾や習い事によって生活時間がさらにこれより短くなっています。それから、地方で合併などがあって、小学校がすごく遠くなっていたりとか、友達の家が遠くなっていたりということがありますと、車でしか友達のところに行けない状況の中で、子供たちが自由に地域を歩くことができない。まず車が危なくて小さな子供たちは外に出られないし、小学生ですら誘拐の危険とかいって、スマホやGPSで追跡されなければならないような状況の中で、子供たちが一定の場所にずっと長時間滞留しているという生き方を送るようになっています。そして、それを可能にしているのがさまざまなメディアなのだと思います。
放任でもなく管理でもなくというところで、乳幼児であれば森の幼稚園なんかが人気なわけで、この間デンマークに1月の最初に行ってきましたけれども、デンマークでも小学校の中で週に何時間かアウトドアで過ごすというようなものが授業と組み合わせる形で総合的な学習の時間の応用として進んできています。子供の権利条約の第31条ではレクリエーションの時間とありますが、レクリエーションというのはリ・クリエーションなのです。創造的なことをするためには再びその創造的なことをするための余裕のある時間が必要である。それを保障するようにということが子供の権利条約には書いてあるのだけれども、一体子供たちの生活時間の中にそれを取り戻すためにはどこに私たちは焦点づければいいのか。これは学校教育と家庭教育と、そして、学童保育などの時間をトータルに考えた中で、バランスよくそれを入れていくということを考えなければならないのだろうと思っています。
現在、学童は学校施設の共用で済ませられる場所であるということも日本全国に広がっているのですけれども、そのような副次的な場というふうに学童を位置づけていて、本当によいのであるかということ。それも検討しなければならないのではないかと思います。
提言のほうに行かせていただきます。1番はソフトに関してです。児童厚生員や放課後児童支援員等、いろいろな立場の大人の方がいらっしゃると思いますが、そういった方たちの専門性の開発をどのようにしていったらいいかということです。
こちらに従来型と書きましたのは語弊があるかとは思いますけれども、正直なところ、子供たちは学校の中であれば教室の中あるいは学校の中にいますので、そういう子供たちはまだ扱いやすいわけです。枠の中に入っていますから。それが自由になったとき、子供たちとつき合っていくのは相当な力量がむしろ逆に必要になっていきます。私もカウンセリングをやっていたのですが、カウンセラーとして学童保育や児童館の先生方に初めて出会ったとき、彼らが扱っている子供たちの問題の大きさ、大変さにびっくりしました。私は週に1回だけその子たちの話を聞いていればいいカウンセラーだったのですが、もっと広い場所で毎日の生活の中で彼らにつき合っている学童の指導員の方、さらに広がるのが児童館なのですけれども、そういう方たちの専門性の高さというものにびっくりしたことがあります。そういった子供へのかかわり方のスタンスというものを、どうやって支援員の方たちに身につけていただいたらいいのだろうかということを真剣に考える必要があるだろうと思います。
一方で、プレイワークという話をしたときに冒険遊び場でしょうというふうに言われてしまうことがあるのですが、私はプレイワークを冒険遊びとか外遊びとイコールだとは実は思っておりません。もっとその子供との関係性を考えていくものであるという、プレイというのも遊びに限らず、その子供たちの自由さであるとか主体性であるとか、コミュニケーションの力であるとか、そういったものを含んだプレイ・ザ・ギターとか、演劇であるとか、そういう意味を含んだ海外のプレイという言葉であると受けとめております。
つまり、日常生活やスタッフとの関係や遊ぶような心持ち。実際に遊びであるというふうに名前がつくものではなくて、日々の生活の中での遊ぶ心持ちを大切にしたかかわりのあり方を知ることが重要なのではないかと思うわけです。そうしますと、そういった研修をさらに、今もう既にあちこちで嶋村先生含め、いろいろな方たちが研修をしているのですが、そういった研修をさらに開発していく。あるいはモデル実施していく。そして、その成果が子供たちにどうあらわれているのかといった研究を連動させて進めていく必要があるだろうと思っています。昨年立ち上がりました一般社団法人日本プレイワーク協会は、そういった研修をどのようにしていったらいいのだろうかということをさまざまに今、検討しているところでございます。
基礎研修として今、例えば私がかかわっている練馬区のNPOでやっている基礎研修は、2日間です。生活や遊びを通して発達する脳や心や体に関して、さまざまな研修を最低限ということで2日間から始めております。そこに3つ書きましたような視点をもとにいろいろなことをやっているわけです。
一方、こうやってソフトが大事であることは確かなのですけれども、ハード面に関しても検討が必要になるだろうと思われます。放課後児童クラブあるいは学校のそういう場所、学童の内外に外遊びの空間を確保すること。かつては児童館の近くに、敷地内に外遊びの場があるところもたくさんあったと思うのですけれども、なかなかそれだけの余裕のある場を今はつくることが難しくなってきています。学校の中に入ったことによって、高学年の6時間目の授業が終わるまで低学年は室内待機という状況になっているところが多いと伺っていて、これは全国いろいろ調べてみれば、さまざまなそれぞれの状況があると思いますので、私は一部のことをお話しているのかもしれませんが、そういう傾向はあるだろうと思います。それが1点。
もし校庭を今以上に活用していこうというふうに発想するのであるならば、校庭改革が必要なのではないか。これは文部科学省の範囲になるのでこの会議で話をすることがどうかということには思いますけれども、明治時代に山がたくさんある日本の社会の中で、軍事教練であるとかサッカーや野球をやるために平らな場所をつくりました。そこに人がたくさん集まるということでできた小学校ですが、今は日本全国が平らな場所なのです。そうすると、でこぼこしたところを歩かなければ子供たちの体力というのはつかないわけですから、むしろ校庭を遊べる場にしていくというような校庭改革の動き。これは世界的に起きている動きなのですけれども、こういったことも必要なのであろうと思います。
同時にやはりでもそういったハード面を充実させていくことは、財務省の協力も必要になってくるでしょう。予算を勘案した場合、プレイワーカーが校庭に行って遊び方、ちょっとしたプレイリヤカーであるとかプレイカーと言われるようないろいろな道具を持っていって、そこでちょっとした遊び方の工夫を子供たちに教えてあげるということも考えられるかもしれません。きっかけを与えることで、子供たちは常に大人がいなくてもそこで遊んでいくことができるようになるのだろうと思います。
ただ、問題は、そういう自由な遊びをしますと必ずけがの問題が起きるということです。そこで参考になるのはPLAY WALESです。PLAY WALESは市長さんも議員さんも元プレイワーカーだったというところなものですから、そこではハザード、つまりそのままやっていたら危険なことが必ず起こるような状況を放置しておけば、それは大人の問題であるとされるわけなのだけれども、もしかしたら起こってしまう可能性がゼロではないが、例えば木登りでそこに毛虫がある季節に木登りをさせていたら、それは指導員の怠慢なわけだけれども、あるいは折れそうな枝があるのにほっておいてはだめだけれども、でも木登りのリスクがある程度子供たちになければ、子供たちは身体運動を発達させていくとか、遠くを見るとか、そういうことができないわけですから、そういった形の法律や条例などを整えていくことによって支援員を守るということを同時になしければ、自由な遊びを保障していくことは難しいだろうと思います。
さらに、こういうことを進めていくためにはプレイワーカー養成であるとか、あるいは場のコンサルテーションができる専門性を持った人材を育成することがどうしても必要になってくるだろうと思います。ですから来年実現するというような問題ではないのですが、大学院や専門学校あるいはそういったセンター…下のほうに書いてありますけれども、ケンブリッジ大学がPEDALというセンターをつくりました。教育・発達・学習における遊びの研究センターです。あるいはトロント大学にも遊びの研究センターが発達心理学分野でできていますが…そういったところで現場経験者の専門性を開発していく。大学に入ったばかりの子生たちを育てていくのは、今の時代、実は経験を持っていないので難しいので、既に現場で経験をしている人たちの専門性開発を入れていくことが早いのではないかと思います。その際、この会議でさまざまな資料の中で出てきました災害時支援であるとか、障害児を持つ子供あるいは外国につながる子供、LGBTQの話は資料の中にあったかどうか記憶にありませんが、そういった支援の必要な子供たちへどのように支援を特別にしていけばいいのか。学校という枠を外れた中ですから、なかなかそういう子供たちを見ていくのは大変ということになります。そういった場合にどういうことができるのかということを考えていけるような場を日本でも開発していくことが必要なのではないかと思っています。
現在、日本で行われている場としては、1つだけ挙げておきましたが、私がかかわっている「あそびーむ」というところです。写真があるページになりますけれども、子供たちが学校から帰ってくると、その近くにプレイパークがありますので、そちらに行ってきて、わっとそちらで遊んで、戻ってきて、思いっきり遊んだ後なので自由な時間の中で宿題がある子は宿題をしてというような落ち着いた時間を持ってから家へ帰っていくというような、モデルになるような場所も最近はできてきているということをお伝えしたいと思います。
最後2分ほどですが、資料の説明をさせていただきたいと思います。
最初の資料が子供の放課後にかかわる大人の、先ほどの本です。これはプレイワークを現場の先生方にお伝えするのにいいかなということで、現場の先生方の課題意識をもとにつくった資料でございます。これはテキストでございます。
その次についているのがプレイワークの評価表というので、これはイギリスの資料ですけれども、こういったことができる人が現場にいるといいよというのが15ページ、16ページになっています。
17ページからあるこの表なのですけれども、現場の先生が実際のところ何に困っているかというものを、嶋村先生がいろいろな現場の先生方とやったワークショップの中から抽出したものなのです。例えば遊ばない職員がいるとか、遊びがマンネリ化しているとか、けんかが多い、おもちゃをすぐに壊すというようなレベルのところで今、現実の現場の先生方は困っていて、そこで理想を言っても仕方がないわけですが、ではそれに対してどういう研修をしたらいいだろうということでつくつたのが、そちらの先ほどのテキストでございます。
その後、プレイワークの専門性ということで、今は先ほど冒険遊び場の専門性について話をしていただきましたけれども、さらにそれが人となった場合どういうことであるかということを書いていただいたもの。その後、子供の権利条約の中から私の翻訳なのですけれども、子供の権利条約第31条をわかりやすく具体的に落としたもので、そしてここに書いてある事例のコメントの中には、私たちが国連のほうに持って行った、私たちの日本で検討して国連のほうに提案していったものがありますので、かなり日本の現状に近いことが40番前後からずっと入っています。40、41、42あたりは私の大学などで学生たちから得た意見なども入っております。
その後は『貧困と幸せを考える』という論文を入れさせていただきました。今、さまざまな問題が起きていて、それに対する社会のフォローが子供食堂などの形でできていますけれども、これに関しては貧困であれば必ず学力が低くなるのか、貧困であれば成功しないのかというふうに考えると、それは違うと思います。日本で戦後、貧困の状態にあった人たちが必死で働いて今の日本ができ上っているわけです。だとすると、貧困の状況にある子供たちに関係性であるとか、あるいは体験であるとか、そういうものを与えていくことによって、その状況、今の学力が低い状況も変わっていくのに対し、学力支援だけで本当に子供たちが成長していくのだろうかということを考えるのには、例えば英語を日本で6年間時間をかけて、あるいは12年間時間をかけて勉強したからといって、みんな日本人が英語ができるようになっているのだろうかということを考えてみればわかりやすいのではないかなと思います。
済みません、時間が過ぎていますが、PLAY WALESの遊びの剥奪、遊びが脳にどのような影響を与えるのかという資料。それから、先ほど申し上げました遊びの危機管理の資料、そして最後に1冊、私の冊子をつけ加えさせていただきました。
以上です。長くなりました。終わります。
○柏女委員長 ありがとうございました。
膨大な資料とともに簡潔にまとめていただいて、すばらしいプレゼンテーションをいただきました。ありがとうございました。
それでは、お二人のプレゼン、説明を受けまして、委員の皆様からもしも御質問等がございましたら挙手をお願いしたいと思います。発言される場合は氏名を名乗っていただいて、どちらの方に対する御発言であるか告げていただいた上でお願いをしたいと思います。
では植木委員、お願いします。
○植木委員 嶋村先生に御質問です。
イギリスではプレイワーカーが国家資格だというお話がありましたけれども、どのような位置づけで、どのような内容なのかお聞かせいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○嶋村代表理事 主任の人がいないと働けないレベル2と呼ばれるもの、主任クラスのレベル3と呼ばれるもの、あとは高等教育課程が次につながっていくのですけれども、3つ例えば主任の人がいないといけないという現認資格だったりもするので、働きながら学んでいけたりするというところでは、児童厚生員のところとも一緒だと思うのですけれども、3つあります。
最初、短い時間座学だけ受ければ修了できるもの。もう一つは、それよりももう少し深く勉強すると修了できるもの。あともう一段階は実習をしないと修了できないもので時間数が全然違っていたりします。そういうものをとって、中には子供をお出かけで外に連れていくにはという話もあれば、子供の権利の話があったり、子供の理解をするというところですね。プレイワークで言うと、子供との遊びの関係がどう発生するのかというあたりでは、かなり深く見ていったりするので、例えば子供のプレイキューと呼ばれるものがあったりするのですけれども、子供たちはそれぞれに遊びを始めるときの合図とか入り方があって、それをテレビ局で「3、2、1、キュー」という言い方をします。それが人をそれぞれその子の安心とか不安が出てくるので、それってどこにあるのだろうということを見ていったり、そういうことを含めた実践的、具体的なものを勉強していくというところです。
イギリスで例えば中卒、高卒とかで言うと、中学を卒業して17歳で移動型の遊び場のプレイワーカーをしていますという子と会ったりするときもあります。結構、地方のほうに行くと近所に子供たちが住んでいる家が集まっているわけではないので、いろいろな車に物を積んであちこち出ていくわけなのですけれども、それを向こうではプレイレンジャーという呼ばれ方をしていますが、そういう子たちもプレイワーカーとして現場に出ていくという形です。
○植木委員 ありがとうございました。大変専門性の高い内容なのだなとお見受けいたしました。そういった意味では、日本においても屋外の公園等を活用する専門家というのはあってしかるべきかなと思うのと、もう一方で児童厚生員とか放課後児童支援員も今、島村先生が言われたような専門性をどうやら持っているのではないかという感じもするのです。ですから一方ではプレイワーカーの養成、もう一方では既存の放課後の子供たちにかかわる専門職者たちのスキルアップ、プレイワークの概念も含めたスキルアップということがあるのかなと。
それから、日本の仕組みとしては公園等を活用するという視点においては、児童遊園というのが児童厚生施設の中にあります。児童遊園には児童厚生員がつくということが仕組み上あるのではないかと思われます。そういった仕組みというものが今後、プレイワークの視点からもう少し拡大することもできるのかなということも一方で思いました。
以上です。
○柏女委員長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。類型ということで言えば後の議論につながってくる御発言だと思いますけれども、それ以外にはいかがでしょうか。池本委員、お願いします。
○池本委員 武田さんに質問なのですが、資料の中に子供のアドボケイトという公的職業というものがあったので、不勉強で、どのようなものか教えてください。
○武田教授 カナダにおきましては各州に1人、州議会に対して子供のいろいろな意見というか考えを聞き取って、それをそのまま議員さんに届けるという役割を持った人がいるのです。つまり子供たちが自分たちでいろいろ考えていること、感じていることを丁寧に聞き取っていきながら、それをまとめて、その彼がまとめるというより、子供たち自身をエンパワーして、子供たちがそれをまとめて、子供に関する施策をどのようにしてほしいかということを子供たち自身が州議会に直接届けるというような活動をサポートする役割がアドボケイトというふうに言うのですけれども、あるのです。12月に日本にも来ていただいたのですが、そういう専門職です。
今、日本は結局、子供たちの言葉を聞くということ、声を聞くということが十分に、例えば子ども・子育てのいろいろな計画を立てたりするときにアンケートはなされるのですけれども、アンケートで子供たちが例えば中高生の居場所をふやしてくださいと書いたからといって、それが施策につながるかというと、つながるような形のためにアンケートをしている感じではないわけです。もちろん記録には残るのですけれども、その結果として実現していることはほとんど日本人では起きていないと思うのです。それを実現するところまで持っていくのがアドボケイトの仕事なのです。アクションを起こすというのがアドボケイトの仕事です。
○池本委員 そういう方は、どういうバックグラウンドの方なのですか。
○武田教授 その方は教育学と心理学のバックグラウンドを持っている方です。選出されていきますので、特にこういう資格がというより、虐待された子供や貧困の子供やさまざまなバックグラウンドを持った子供たちの支援をずっとしてきたような人たちの中から、子供たちに信頼されている人が選出されて、その職業につくということです。
○柏女委員長 ほかいかがでしょうか。では、お願いします。
○中川委員 私は児童館、放課後児童クラブの運営に携わっておりまして、児童館が小学校の中に設置されており、目の前が学校の校庭なのです。小学校の御理解もいただく中で日常的に校庭を利用させていただいているのですけれども、主にかけっこしたり、ドッチボールしたりというふうな形で子供たちは利用しているのですが、お尋ねしたいのは武田先生なのですけれども、校庭改革のお話が出ましたね。平らな校庭を自然な発達を促す場へということで、でこぼこな校庭みたいなこともおっしゃったように思うのですが、具体的にどういうふうにイメージしたらいいのかなと思いまして、お尋ねをさせていただきたいと思います。
○武田教授 ネット上で調べますと、ドイツの小学校などで、緑豊かな、いわゆる雑木林まではいかないのだけれども、私たちというか、私たちより上の世代が遊んでいたような地域の公園というか、緑あるいわゆるプレイパークに近いのだと思いますが、そういった場所を校庭にしている例があります。校庭が全部ビオトープみたいな感じの状況にまで持っていっているところもあります。
○中川委員 ありがとうございます。私なんかはともすれば平らなところでかけっこできることの安心感みたいなものが先にございまして、校庭でならば足をひねったりするリスクもないだろうみたいな考え方でいたものですから、きょうお話を聞かせていただいて違った観点から考えてみようかなと思ったところでございます。
○武田教授 けがにしても、小さいころから走り回っている子供のけがと、まっすぐのところばかり走っていて、突然大きくなってから走ったときのけがは違うと思っています。小さいころからさまざまなでこぼこなところを走り回ってきた人たちは、多少のでこぼこでころんでも大丈夫だと思うのですが、今の子たちは赤チンも何もないような、すり傷を持っていない子供たちが大きくなってからけがをするという、そういう状況をつくっていること自体に対して環境に働きかけていくことが必要なのではないかと思ったという次第です。
○中川委員 ありがとうございます。
○柏女委員長 では金藤委員、お願いします。
○金藤委員 嶋村さんにお尋ねします。御発表ありがとうございました。大変興味深く聞かせていただきました。
リスクを経験させながらの非常にすぐれた体験を含めた遊びの提供ということ、大変すばらしいと思いました。また、御発表の中で学童等の受け入れもしたいのだけれども、なかなか人員とか組織の大きさの理由などで、難しいところがあるというようなお話をされたように思います。
今後、放課後支援というものとより連携していくためには、こちらの組織としては地方公共団体と公的な行政にどのような支援を求めているのか。どういうふうにあってほしいのかというのがもしございましたら、お聞かせいただきたいと思います。
○嶋村代表理事 児童館なんかでも既にランドセルを背負ったまま来館してもいいよというようなところも出てきたりしていると思うのですけれども、地域の中で実際にある重要な社会資源の1つとして、自治体の中で冒険遊び場という選択肢があるよというところが入ってくるといいだろうなと思っています。
あと、最近、都心なんかでもお庭のない保育園がふえてきたりとか、そういうのも含めて実際に運営をやっているところにお金が入るのと同時に、その運営の人たちが出ていった受け皿となる社会資源としての冒険遊び場というところに予算化ができるのかどうかというあたりを検討されるといいのではないかと思っているところです。
○金藤委員 ありがとうございました。
○柏女委員長 武田参考人、お願いします。
○武田教授 発言させていただいてよろしいでしょうか。今のことに関連して言いますと、若者がこの理念に感動してプレイワーカーになるのです。ただ、生活の保障がないのです。それで何年かやった優秀なプレイワーカーがどんどん別の職業に出ていってしまっているという現実があります。この力をつけた者の生活保障が予算的にあればというふうに切に願っております。
○嶋村代表理事 そういう意味で言うと、冒険遊び場だけではないと思います。放課後にかかわる若者たち、本当に自治体によっては20代と50代しかいないというようなところで、ノウハウの蓄積が全然進んでいかないというところで言えば、大きな課題かなと思います。
○柏女委員長 では、安部委員、お願いします。
○安部委員 嶋村先生に質問です。
2点あるのですけれども、まず1点目がプレイワーカーの養成に関してです。常設が20、不定期が400くらいあるということだったのですが、そこで働いているプレイワーカーの方たちをどういうふうに養成していて、数としてどれくらい今いるのかというのが1点目。
もう一点が、常設と不定期の冒険遊び場の違いとや課題について教えていただければと思います。
○嶋村代表理事 今、実際に常設の場所では基本的にOJTというか、実際に働きながら基本的には振り返りの実践を通してやっていくということが1つと、あとは外部から講師を招いて、それで例えばケーススタディーであったりとか、建築の技術であったりとか、子供とのいろいろなやりとりについていろいろな先生を呼んできて、それぞれがやっているということです。日本冒険遊び場づくり協会でも育成の仕組みを今、探っているところなので、資格として特に独自で持っているというわけではないというのが状況です。
あとは常設でないところと常設のところの違いで言うと、常設は週5日から6日、例えば朝9時か10時ぐらいから夕方6時ぐらいまでやっているところがあるので、そうすると基本的には専門職の人を置かないとなかなかできないところがあります。ほかは例えば週2日、3日だったり、月に1日というと割と地域のお父さん、お母さんとか有志の方が実際にその役割を担うという形になると思います。どちらの場合にもプレイワーカーがそうすると常設でない場所にはいないということになるのですが、でもプレイワークというそのもの自体を知っていると、実際にプロの大工さんでなくても、素人の人たちが勉強をたくさんしてログハウスを自分たちで建てられるように、その建て方の違いだというところもあると思いますので、そういう形でやっているところです。
あとは常設と非常設の場合ですと、行政の計画に乗っている乗っていないというところでも大きく分かれるかなと思います。
○安部委員 プレイワーカーの人数はどれくらいかわかりますか。
○嶋村代表理事 1カ所につき最低2人としているところが多いと思います。可能であれば男女それぞれがいたほうがいいというのが私のいた世田谷ではそのようにしていましたけれども、というのは例えば家庭での虐待があったときに、男のスタッフでは聞かないほうがいい話があるというときもあったりすると、女性のスタッフが必ずいることは利点であったりするので、多いところでは3人いる場所もあったりします。
○安部委員 今なぜそのことを質問したかというと、非常に卑近な例で申しわけないのですが、うちの子供たちが常設のプレイパークにすごく行きたがるのです。でも不定期で開催しているところだと余り行きたがらなくて、恐らくかかわりの度合いとか質がきっと違うのだろうなと思って質問をしたのです。
○嶋村代表理事 なるほど、そういうことですね。その違いでいくと、きょうできた遊びがあしたもできるという、それはとても大きいなと思います。何かつくりかけの基地をとっておけたりとか、そういう意味ではその子そのものとかかわるという形のスタンスが多いと思います。例えば月1回だったりすると、それを目がけてたくさんの子供たちとか親子がやってくるので、どうしてもイベント的な対応にならざるを得ないというふうになっていくと、一人一人の子供を見ていく目というのはどうしても比重的には変わってくるのかなと思うので、そういう意味で常設のプレイパークに行きたがるというのは何かわかるような気がします。
○柏女委員長 ありがとうございます。
まだまだ御質問あるかもしれませんけれども、残りの時間を少しディスカッションに充てていきたいと思います。お二人に対する質疑はこれで終わらせていただきたいと思います。嶋村さん、武田さんにおかれてはお忙しい中、御出席いただいてありがたかったのですけれども、もしもよろしければ12時には終わりますので、お時間がございましたら議論を聞いていていただけるとうれしいなと思います。
それでは、残りの時間ですが、お二人からのヒアリングの内容も踏まえまして、関連する論点の中の資料2の特に「3 類型」に関連して、具体的な御意見を頂戴できればなと思います。もちろんこれに関係するところでないところでも結構ですけれども、御意見のある方はぜひ挙手をお願いしたいと思います。
では植木委員、お願いします。
○植木委員 実は私も10年ぐらい前に冒険遊び場を新潟でしたことがありまして、ただ、やはりその際は皆さんスタッフが仕事をほかに持っていたものですから常設にはできなかった。ですからそのときだけしかできなかったということがあります。なるほど、志や専門性を持っていても、専任のスタッフでないとなかなか常設というのは難しいんだなと思っています。
一方で、例えばプレイパークに限らず公園が児童館に隣接していたり、あるいは放課後児童クラブに隣接していたりする場合が多々あると思うのです。その場合に隣接する児童館の職員や放課後児童クラブの職員が、その隣にある公園も使う、あるいはそこも含めて仕事を行う。つまり屋内だけではなくて外の公園等も活用しながら仕事ができるというようなことはあり得るのではないか。そういった意味では今、言ったような児童館や放課後児童クラブあるいはひょっとしたら地域子育て支援センターなんかも含まれるかもしれませんけれども、それに公園等が隣接する場合はプレイワークという専門性を活用しながら、外の空間も含めた何か予算措置を含めた活用の仕方があるのかなと。そういった新しい類型があるのかなということを思いました。
以上です。
○柏女委員長 ありがとうございました。
ほかはどうでしょうか。では、清水委員、お願いします。
○清水委員 類型について資料9-1を見ていただければと思います。これは地域型保育事業の資料、家庭的保育事業などについて示されております。以前、池本委員が家庭的学童の可能性を示唆されておりました。小集団での学童保育の可能性を言及されていらっしゃいました。この事に関連あるいは参考になるものと考えまして資料を出させていただきました。
資料では家庭的保育、小規模保育、居宅訪問型保育、事業内保育ということで、これを援用した学童ということも考え得るのではないかと思っております。ただ、メリットとデメリットがあると思います。デメリットからですが、放課後の子供たちの多様な人間関係であるとか、斜めの関係であるとか、そういうところに関しては小集団になりますので、そこが失われてしまうことがあると考えられます。
もう一つは家庭的ということになりますので、外部からの目が行き届かないというおそれもあるのかなと思います。メリットとしては比較的小さい規模になりますので、児童への目が行き届きやすいということと、あとは家庭と連携しやすいことはないかと思います。いずれにせよメリットとデメリットがあるかなと思います。
次に、今までの議論の中で総合型地域スポーツクラブというものが恐らく出ていないのではないかと思います。平成23年にスポーツ基本法が制定され、その前文に「スポーツは世界共通の人類の文化である。」と言われておりますし、その中で青少年、子供の体力向上というものは非常に重要であるというような言及がなされております。
スポーツというと競技型のスポーツをイメージしやすいわけですけれども、このスポーツ基本法の中では競技型のスポーツだけではなくて、体力の向上や健康寿命を向上させるということと、あとは身近な地域でスポーツを通じて交流をする。その中で体力の向上を図っていこうということもうたわれています。
ただ、スポーツ基本法を見るだけでは放課後児の子どもの過ごし方の話と直接的関係がないのではないかと思います。しかし、スポーツ基本法を具現化するアクションプランでスポーツ基本計画というものがあります。第2次基本計画が2017年に制定されています。その中で総合型地域スポーツクラブが全国の各市町村や小学校区あるいは中学校区に1つぐらいあれば望ましいということなのですが、その機能の中に1つに放課後や週休日の子供たちの受け皿という機能があります。次の資料には、埼玉県新座市で行われている総合型地域スポーツクラブで学童保育を運営されている事例です。事例については、こちらの団体の許可を受けてこちらに出させております。今までの類型の議論の中で恐らく総合型地域スポーツクラブという話は出ていませんでしたので、お話をしておきたいと思います。
以上でございます。
○柏女委員長 ありがとうございました。この3枚目のものが総合型地域スポーツクラブは学童保育にいいという事例だということですね。わかりました。ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。では金藤委員、お願いします。
○金藤委員 2点、申し上げたいと思います。
類型に関することでは、既存の施設ですとか遊び場だけではなく、きょうの御発表にありましたような冒険遊び場というものを初めとする、また、地域総合型地域スポーツクラブもそうだと思いますけれども、新しく出てきている子供たちの遊びの場となる可能性のある組織、NPO、企業などとの連携がますます必要である。それを視野に入れて放課後支援を検討していくべきであるということが1点です。
2点目は、どのような呼び方をするのがいいかまだはっきりしませんけれども、ユースワーカーなのかプレイワーカーなのか、今の段階でははっきりしませんが、特に青年期の若者の子供支援というものの専門家養成と、仕事として成り立つ労働条件等環境の整備が本当に必要なのだなということを、きょう御発表をお伺いしまして特に感じました。
以上です。
○柏女委員長 ありがとうございます。
そのほかいかがでしょう。
私のほうから1点、事務局に1つお願いしたいのですけれども、例えば先ほど嶋村委員がおっしゃっていたプレイパークが、例えば放課後児童クラブに出張したり、公園に出張したりというようなものについては、例えばそれも児童遊園とか児童公園だというふうに規定すると、出張型、派遣型、受け入れ型、全部今まで補助金で出ていたわけですね。つまりコミュニティー児童館とか、そういうものが全部一般財源化されてしまって、例えば家庭的学童というか保育所が卒園児の子供を学童でやれたら補助金が出るとかいうものもあったものが、全部一般財源化されてしまった結果、類型を考えると言ってもなかなかそれは考えにくいというのがあって、今までの補助が出ていたものはいろいろな類型で補助が出ていたと思いますので、それは一覧を次回、御用意いただけると頭の整理になるのではないかと思いますので、それは1つお願いしたいと思います。
ほかどうでしょうか。では安部委員、お願いします。
○安部委員 その類型の中の(4)高学年児童が利用する居場所については、余りまだ検討がされていないのかなと思っています。これは質とも関係してくると思うのですけれども、既存の低学年の子供が多かったときと比べて、中高生世代を見据えたより主体的な遊びであるとか生活の場が可能となってくると思うのです。そのあたりのことも今後、議論できたらいいかなと思います。
以上です。
○柏女委員長 ありがとうございます。
野中委員、お願いします。
○野中委員 今の御発言に続く形で、同じような(4)のことについてなのですけれども、先ほど事務局から紹介していただいた平成29年度の実態5ページ、学年別登録児童数の状況で、4年生が12.6万人で10.8%、5年生が5.6万人で4.8%、6年生が2.7万人で2.3%という数字です。これは前年度から比べてそんなに大きくは変わっていないことと、それから、4・5・6年生は1年生から3年生までと比べて明らかに数値の違いがあります。これは長年、3年生までが対象としてきたなかで、実際には障害のあるお子さんや放課後1人で長い時間過ごすことが困難なお子さんが高学年も在籍できるようになっていた状況、保護者運営の児童クラブを中心に6年生までが受け入れるケースがあったということがあるのですが、それから比べてもそんなに大きく変わっていない部分があるのです。
自治体の施策でも、例えば東京圏を中心にして児童館が整備されているところは事実上、施策上も3年生か4年生までの対象でして、それ以外のお子さんについては児童館を中心に地域のいろいろな居場所を活用するようにという施策を進めているところがあります。高学年の問題というのは放課後児童クラブの1年生から6年生までを全部ひとくくりにすると、第2種社会福祉事業としての問題が曖昧になってしまうということがあります。そういうことも含めて一昨年の暮れに利用の優先順位ということを厚生労働省が示されていると思います。
そこでは、「ひとり親家庭」「虐待またはDVのおそれがあることに該当する場合など社会的養護が必要な場合」「児童が障害を有する場合」などと合わせて、「低学年の児童など発達の程度の観点から配慮が必要と考えられる児童」ということが記述してあります。放課後児童クラブとしては全般の状況から考えた優先度の高い児童をしっかりと育成支援するということをポイントに置いています。高学年の問題をどうするかは、そういうものとの関係で、安部委員おっしゃいましたように、もっと幅広く考える必要があるのではないかと思います
その点で考えますと、先ほど申し上げましたように児童館が活用されている例が施策的にも実態的にも多いので、この部分についてはほかのさまざまな施策と同列に考えるというよりは、少し重きを置いてしっかり分析して、国としても考えていく必要があるのではないかと思います。
以上です。
○柏女委員長 ありがとうございました。
放課後児童クラブの中にいろいろな塊があるので、その塊のところを別に取り出して、ほかの社会資源とも連動させながら考えていくことが大事ではないかという御意見で、非常に貴重だと思います。
ほかいかがでしょうか。では池本委員、お願いします。
○池本委員 まだ何か整理し切れていないのですけれども、先ほど嶋村さんのお話を伺っていて、プレイパークが放課後の1つだということを行政がきちんと認識して位置づけてもらうことがすごく意味があるとおっしゃって、実は地域にいろいろな資源があるのに行政が自分のクラブの話しかしていないので、一般の利用者に伝わっていなくて、そうすると伝わっていなくて認知されていない活動だとやっている人もやる気がなくなってというのがあるので、例えば先ほどのスポーツクラブだとか、あるいは地域にアトリエがあって子供の活動にも使われていたり、いろいろ地域によって資源があるので、それをきちんと見える化する作業がまず必要かなと。類型というと制度上になってしまうのですけれども、そのことよりも全体の地域に何があって、どういうものを子供は望んでいて、どこに補助をすれば活性化するかみたいな全体を議論する。だから子ども・子育て会議で保育のことはいろいろやっていますけれども、同じぐらい放課後のことについても市町村ごとに計画を策定するとか、会議みたいなものをつくっていただきたいなと思いました。
以上です。
○柏女委員長 ありがとうございます。
ほかはいかがでしょう。黒柳委員、清水委員もどうぞ、大丈夫ですので遠慮せずに。
私から1つだけ、文科省のオブザーバーの方にお伺いしたいのですけれども、放課後子供教室はプレイパークみたいな類型はないのですか。学校の中でやらない限り補助の対象にはならない。つまりそういう場所で、羽根木でやったら放課後子供教室は認められないとか。
○西川文部科学省地域学校協働推進室長 御質問ありがとうございます。
放課後子供教室は、場所は学校には全く限定しておりませんで、実際にも学校以外の例えば公民館ですとか、地域のさまざまな場所で行うことが可能ですので、プレイパークという選択肢も当然入ってくるかと思います。
○柏女委員長 そうすると、今の新しい類型をつくらなくても、放課後子供教室という概念の中でプレイパークに対する助成金は出せるということでいいのでしょうか。
○西川文部科学省地域学校協働推進室長 はい。ただ、我々の補助金としましては、ほぼ謝金の一部という形でございますので、人件費の一部というような形、整備費等は含まれていないというような形になります。
○柏女委員長 わかりました。ありがとうございました。
よろしいでしょうか。では小野委員、お願いします。
○小野委員 きょういろいろ冒険遊び場のお話をお聞きして、改めて遊びにかかわる人材にもすごく専門性が問われているなということを感じました。私ども放課後児童クラブの支援員としても、研修の中身について人材育成部分ですごく制度としてつくってきた中で、今回、専門性ということを学ばせてもらうことが大きかったので、類型を考える上でもどのような人がそこにかかわっていくのかということを、制度としてつくっていく中では専門性をどう確保していくのかというところを考えながら、放課後子供教室で冒険遊び場が予算化できるからお金が少しふえるとか、予算ができるので大丈夫だけではなくて、その中でどのような専門性を持った人を配置するのかということを考えれば、ある一定の予算をしっかり確保していくということは切り離せないのかなということを感じましたので、少し発言しました。
○柏女委員長 ありがとうございました。
もう間もなく時間になりますが、ほかよろしいでしょうか。では清水委員、お願いします。
○清水委員 資料2の論点の構成のところの6ページ目です。質の確保のところできょうは認定研修のことについては余り議論がありませんでしたが、(7)のスキルアップのところでリスクマネジメント、外国籍の子供への配慮というところにデジタルデバイス、インターネット関係の研修内容を入れていただけないかということを提案したいと思います。
個人的な話ですが、我が家には良く10人位の子どもが集まり、常時家庭的保育事業の様相を呈しています。その中の子供が遊んでいる姿の動画をYouTubeにアップをしてしまいました。そういったことがあり、小学校からも実際に御注意くださいというような注意喚起の文書が回ってきました。対象となっている子供は小学校4年生でしたが5年生や6年生の高学年がその子どもを捕まえてYouTubeにアップはどうやってやるんだと小4の男の子に聞いていました。実際にそういった問題が小学生の中高学年あるいは今は低学年かもしれませんが、そういったことにさらされています。それを実際に放課後児童クラブなどの場でどうやって子供たちと向き合ってやっていくかということも今後必要なのかなと思います。検討の方向性の中に入れていただければと思っております。
以上です。
○柏女委員長 ありがとうございました。
それでは、時間になりますので、このあたりで意見交換を終了とさせていただきたいと思います。
議事5のその他ですけれども、今後の予定も含めて事務局から御説明をお願いいたします。
○鈴木健全育成推進室長 資料8になります。今後のスケジュール、1枚紙をつけさせていただいております。第4回はきょうの議論です。第5回、第6回ですが、また2回ほどヒアリングしますけれども、今後の方向性の中の質の確保とか量の拡充に関係がある部分でございます。
都合3回ヒアリングしまして、第7回目までとりあえず日程を確保していますが、3月19日、中間取りまとめとしましてとりあえず骨子を提示するような形で考えております。
次回の専門委員会ですが、2月8日木曜日10時から、場所は同じです。3階の第6共用会議室になります。
この会場は次に別の会議が入っておりますので、12時15分ぐらいまでにはここを整理したいと思っておりますので御容赦願います。
以上です。
○柏女委員長 ありがとうございました。
それでは、委員の方から最後に何かございますか。よろしいでしょうか。
武田参考人、嶋村参考人、最後までお残りいただきまして貴重な御発題をいただきましたこと、心より感謝を申し上げまして、この会を閉じたいと思います。ありがとうございました。
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