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第23回社会保障審議会医療保険部会 あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会議事録(2022年2月22日)

○日時

令和4年2月22日(火)14時00分 ~ 16時30分(目途)
 

 

○場所

日比谷国際ビルコンファレンススクエア8F

○出席者

<委員等 敬称略>
遠藤久夫(座長)、新田秀樹、橋爪幸代、清水惠一郎
吉森俊和、幸野庄司、中野透、川村弘、中島一浩
中村聡、往田和章、角本靖司参考人、逢坂忠
<事務局>
濵谷保険局長、間審議官、高宮保険医療企画調査室長

○議事

○遠藤座長
 それでは、委員の皆様全員おそろいのようですので、ただいまから第23回「社会保障審議会医療保険部会あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会」を開催いたします。
 本日は、新型コロナウイルス感染症対策の観点から、オンラインによる開催とさせていただいております。
 委員の皆様におかれましては、御多忙の中、お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
 初めに、委員の交代について御報告いたします。
 木倉委員に代わりまして吉森俊和委員、小谷田委員に代わりまして古村法尾委員が当専門委員会の委員として発令されております。
 続きまして、委員の出席状況について御報告いたします。
 本日は釜萢委員、古村委員が御欠席です。
 古村委員の代理としまして、角本参考人が御出席されておりますが、参考人の出席につきまして、お認めしてよろしゅうございますでしょうか。
(首肯する委員あり)
○遠藤座長
 ありがとうございます。
 それでは、マスコミの方々のカメラの頭撮りはこの辺りにさせていただきたいと思います。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 本日は、「あはき療養費の令和4年改定の基本的な考え方(案)について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、事務局から説明をお願いいたします。
○保険医療企画調査室長
 保険医療企画調査室長でございます。
 資料「あ-1」の資料を御用意ください。「あはき療養費の令和4年改定の基本的な考え方(案)について」になります。
 また、1ページに目次をつけています。まず最初に、近年のあはき療養費の料金改定について振り返った上で、2番目で、あはき療養費の現状についてお出しできるデータ、それから、3番目で、令和4年改定の基本的な考え方(案)についてということです。前回、令和2年改定につきましては、6月に改定が間に合わずに12月改定になったということがございます。ですので、今回は、2月から、本日から議論を開始して、6月改定に間に合わせたいと考えております。本日、事務局のほうで、令和4年改定の日程に考え方の案をお示しして、議論いただきたいと。その上で、本日の御意見を踏まえて、次回以降、案を作成して、御議論いただいていくということを考えています。
 最初の近年の料金改定についてです。3ページをお開きください。
 平成30年のこの検討専門委員会の報告書の抜粋になります。近年の改定、この報告書を基にして行ってきています。(2)の「往療料の見直し」のところで、1つ目のポツ、施術料よりも往療料が多くなっているという現状を見直す改定を行う。
 2つ目のポツで、2段落目で、まずは、30年改定において、距離加算を引き下げ、施術料や往療料に振り替えていくと。さらに、ということで、激変緩和にも配慮しつつ、原則平成32年改定までに、距離加算の廃止、施術料と往療料を包括化した訪問施術制度の導入について検討し、結論を得る。ただ、平成32年改定までにと書いてあるところについては、まだ実施していないということになります。
 3つ目のポツで、距離加算を廃止する際や訪問施術制度導入する際には、ほかの制度も参考に離島や中山間地等の地域に係る加算について検討する。往療内訳表についても見直しを行う。さらに、同一日、同一建物での施術の場合の料金のあり方についても検討するということになっています。
 4ページ、平成30年6月改定です。一番上の「技術料の引き上げ」、これを行う一方で、真ん中のところで「距離加算を往療料に振り替えて包括化」。その前に、その下の改定前のところに書いてある、距離加算2kmごとに770円と。これをその下の改定後のところの4km超で2,700円ということで、包括化をしているということです。
 5ページが、令和元年10月の改定になります。消費税率の引き上げに伴う改定を行っています。
 6ページが令和2年12月改定になります。あん摩マッサージ指圧のところの3つ目の○、往療料について、4km超のところ、2,700円から2,550円ということで、距離加算の引き下げを行っています。この引き下げを行う一方で、一番上のマッサージのところ、1局所につき340円から350円という引き上げも行っています。
 7ページからは、「あはき療養費の現状について」になります。
 8ページは、「あはき療養費の推移」です。まず、はり・きゅうについては、平成23年度、対前年度で11%の伸びで、かなり大きな伸びになっていたものが、24、25で9%弱、26、27、28は3~4%の伸びと。29、30は、1%とかのマイナスとなっていました。令和元年度については6.2%の伸びで、金額で言うと400億円という状況です。
 マッサージについては、その下で、平成23年、24年、9%とか8%の伸びでした。これは、25、26、27は4~5%、28年度以降は1~2%の伸びということになって、令和元年度は2.4%の伸びで、金額では750億円という状況でございます。
 9ページが、「あん摩マッサージ指圧療養費(金額)の内訳の変化」になります。先ほどの平成30年の報告書の前の平成29年、往療料が61.9%、6割を超えていたということです。これは右側の令和2年に往療料が50.5%ということで、平成29年よりはかなり下がっているという状況です。とは言え、まだ5割を超えているという状況になります。
 10ページが、「はり・きゅう療養費(金額)の内訳の変化」になります。平成29年度は、往療料が28.9%、令和2年度、27.1%ということで、これはあまり大きな変化はないというものになっています。
 11ページ、往療料の金額の割合だけではなくて、患者の割合も出したものになります。あん摩マッサージ指圧で、金額ベースだと、先ほどの50%強ということですけれども、件数ベース、往療料を算定する患者の割合になります。こちらですと、82.3%ということで、8割を超える患者さんが往療料を算定しているという状況になります。
 12ページ、今度は、あん摩マッサージ指圧療養費の受療者の年齢分布になります。70歳以上の患者の割合が6割強になっています。
 13ページが、はり・きゅう療養費の受療者の年齢分布です。こちらも70歳以上の患者の割合が5割を占めているという状況です。
 14ページ、今度はあん摩マッサージ指圧療養費の症状別・傷病名別の患者の割合になります。左側の症状別で言いますと、筋麻痺とか、関節拘縮、筋萎縮の方が多くなっています。右側の傷病名別割合では、脳血管疾患、パーキンソン病、変形性膝関節症などが多くなっています。
 15ページは、はり・きゅう療養費の傷病名別の患者の割合。神経痛、頸腕症候群、腰痛という方が多くなっています。
 16ページ、1か月当たりの施術回数別の患者の割合になります。右側のあん摩マッサージ指圧ですと、5~8回が約3割、9~12回が23%、13~15回が13%、16回以上が5%ということになっています。右側のはり・きゅうについては、5~8回が28%、9~12回が17%、13~15回は10%、16回以上は5.8%という状況です。
 17ページが、部位数別の施術回数の割合の推移になります。マッサージ、最大で5部位まで算定できることになっていますが、令和2年で、5部位が53.9%、5割を超えるという状況です。平均部位数が3.73部位。その下の変形徒手矯正術は、最大で4肢ですが、令和2年に、4肢が63%という6割を超えている。平均部位数が3.28となっています。
 18ページは、過去の療養費料金の改定の改定率を参考までにおつけをしています。
 19ページは、令和4年度の診療報酬改定の改定率です。こちらも参考でおつけをしています。
 20ページからは、令和4年改定の基本的な考え方(案)になります。
 21ページで、まず全体像を、項目を記載しています。令和4年改定について、以下の基本的な考え方(案)をどのように考えるかということで、それぞれの項目について、次のページ以降に記載、整理をしていますので、説明は、次のページ以降で行います。
 22ページ、(1)「往療料の距離加算の廃止」です。平成30年の報告書を踏まえるとともに、施術料よりも往療料が多いマッサージの現状をさらに見直すために、往療料の距離加算について廃止し、その財源を施術料等に振り替えることとしてはどうかということです。
 その下の〔見直しのイメージ(案)〕に書いています、現行の4km超の場合、2,550円となっていますが、これを見直し後のところではなくなるということです。
 続いて、23ページ、(2)「往療料の離島や中山間地等の地域に係る加算の創設」です。これも平成30年の報告書を踏まえ、往療料について、距離加算廃止の影響に配慮し、介護保険の特別地域訪問介護加算などを参考にして、離島や中山間地等の地域に係る加算を創設することとしてはどうかということです。
 これも、〔見直しのイメージ(案)〕を下に書いてあるところの見直し後のところに特別地域加算というものを創設してはどうかということです。
 その下、あるいは、24、25ページに介護保険の加算の関係告示を参考でつけています。
 26ページ、(3)で、「料金の包括化の推進」になります。1つ目のポツで、マッサージ及び変形徒手矯正術の施術料については、「施術部位数に応じた報酬」となっているが、マッサージを受けた場合に5割強で5部位の施術、また、変形徒手矯正術を受けた場合の6割強で4肢の施術となっており、部位数に応じた報酬は、施術部位数を多くする方向に影響している可能性がある。
 また、人体は筋、筋膜、骨格等によってつながり影響し合っているため、患部の改善のため、患部とともに、非麻痺側等の患部以外への施術も必要となる場合があるという指摘がある。
 この四角の下の右側に、(参考)で、患部の改善のため、患部以外へのアプローチの必要性を示唆する研究というのを記載しています。
 例えばで、理学療法の研究によりますが、脳卒中片麻痺者の非麻痺側の敏捷性が低下し、歩行能力に影響して、麻痺側のアプローチだけではなく、非麻痺側へのアプローチを行うことにより、歩行能力の改善につながる可能性を示唆しているという研究もございます。
 四角の3つ目のポツです。1回の施術で施術部位数が幾つでも同額になる「包括料金」に移行することにより、療養費のより適正な支給を図るとともに、施術部位数によって患者の負担が変わらないようにして、必要な場合に、患部とともに、非麻痺側等の患部以外にも施術を行いやすくする観点から、マッサージ及び変形徒手矯正術の施術料について、「施術部位数に応じた報酬」から「包括料金」に移行することとしてはどうかということです。
 〔見直しのイメージ(案)〕現行で、(1)マッサージを行った場合 1局所につき350円(最大で5部位)というようなものを、下のほうの見直し後で、マッサージを行った場合 1回につき●●円というような形に見直してはどうかという案です。
 27ページ、施術料の料金包括化するに当たって、幾つか論点が考えられるかなということで、その論点についての考え方を整理した資料をおつけしています。
 最初、1番目の論点。「包括料金」に移行する理由、メリットは何かです。こちらについては、先ほどの26ページと同様のことを記載しています。「施術ベースに応じた報酬」が施術部位数を多くする方向に影響している可能性があるということで、1回の施術で施術部位数が幾つでも同額になる「包括料金」に移行することにより、療養費のより適正な支給を図る。
 それから、「包括料金」とすることにより、部位数によって患者の負担は変わらないようにして、必要な場合に、患部とともに、非麻痺側等の患部以外にも施術を行いやすくするということです。
 2つ目の論点。包括料金化に伴い医師の同意書が変更され、施術部位の情報が得られなくなると、傷病名、症状、施術部位、回数等の関連が分からなくなり、審査に影響が出るので、医師の同意書は変更すべきではないということ。
 それについての考え方(案)は、あん摩マッサージ指圧については、医師の同意書(傷病名、症状、施術種類、施術部位等を記載)において医療上マッサージが必要と認められている場合に療養費の支給対象となるものだと。「包括料金」とする場合も、医師の同意書は変更せず、施術部位が記載されるものとしてはどうかということです。ですので、医師の同意書で施術部位を示していただいて、施術を行うというような体系は変えないとしています。
 3つ目の論点。少ない部位数で施術を受けていた患者について、「包括料金」により負担が増えるが、これは説明困難ではないかということです。
 これについては、右側で、「包括料金」とすることにより、療養費のより適正な支給を図るとともに、必要な場合に、患部とともに、非麻痺側等の患部以外にも施術を行いやすくするものであるという料金改定の趣旨について、患者に周知を図ることを考えています。
 最後、28ページ。(4)「その他の見直し」について、その他に見直しを行うものはあるか。
 それから、(5)「引き続きの検討事項」。平成30年の報告書で検討することとしている事項について、残っているものを記載しています。
 1つ目のポツで、令和3年度の療養費頻度調査において、往療内訳表を提出いただいています。これを基に、今、同一日・同一建物での施術の状況等を集計・分析をしているところです。その結果を踏まえて、同一日・同一建物での施術の場合の料金の在り方、往療内訳表の在り方について、引き続き検討することとしてはどうか。
 それから、施術料と往療料を包括化した訪問施術制度の導入について、(1)・(2)の往療料の見直し、(3)の料金包括化の推進を行った上で、引き続き検討することとしてはどうかというものになります。
 説明は以上になります。
○遠藤座長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいま事務局から説明のあった内容につきまして、御意見・御質問等あれば、承りたいと思います。事務局の考え方の案というものが具体的に出されておりますので、御意見等をいただければと思います。いかがでしょう。
 角本参考人、お願いいたします。
○角本参考人
 日本あん摩マッサージ指圧師会、日マ会の角本です。どうぞよろしくお願いいたします。
 施術料金の包括化につきまして、賛成の意見を述べさせていただきます。資料27ページの考え方(案)にあるように、事務局の御指摘いただいている内容につきまして、我々は臨床でも全くそのとおりと考えておりますので、事務局の案に賛成いたしますとともに、平成30年4月23日の専門委員会のとりまとめの文書でも、包括化を導入するという御意向だったと思います。このような見解により、包括化につきまして、事務局の案に賛成させていただきます。
○遠藤座長
 どうもありがとうございました。事務局案について、賛成という御意見でありました。
 ほかに何かございますでしょうか。
 往田委員、どうぞ。
○往田委員
 全日本鍼灸マッサージ師会の往田でございます。今日は、貴重なお時間ありがとうございます。
 まず、往療料と施術料の包括化についての意見を述べさせていただきます。本日の議題になっている包括化に関しては、もともと平成30年の社会保障審議会でのとりまとめ文書によって、そちらには往療料と施術料全てを包括化した訪問施術制度の導入が方針として盛り込まれておりまして、私どもとしましても、最終的にはこちらのほうに向けて議論を進めていくべきだと考えております。
 ただし、今回に関しましては、施術料と往療料を全部セットにした訪問施術料の包括化には、幾つかの解決すべき課題が存在しておりまして、1つ目は、マッサージの療養費に関しても、数は非常に少なくはありますが、外来で施術を受けていらっしゃる方がおります。その外来で施術を受けていらっしゃる方と往療で受けていらっしゃる方について、主治医の先生が御記入いただく同意書の在り方をどうするかというところが1点、まだ議論が深まっていないのかなと思っております。
 2点目としては、先ほど事務局からも説明がありましたが、いわゆる同一日・同一建物での往療の場合ですね。現状ルールも含めて全部セットにしてしまうと、現状は、同一日・同一建物での現状ルールの算定に関しては、どなたかお一人から算定をして、それ以外の方からは算定しないというルール立てになっているのですが、ここの部分の結論が出てこないと、この状態で施術料と往療料を全部包括化してしまうと、同一日・同一建物の患者さんに対する往療料の算定をどうするのかという大きな問題が残ってきます。
 そういった観点からも、今回に関しては、最終的な訪問施術制度の導入に向けて、段階的に制度を実施していくことが妥当ではないかと思っておりまして、基本的に、今回に関しては、往療料の加算の廃止と施術料の包括化、この部分をまず第一段階、今回の改定として行って、次回以降の体系で、そこの部分で残された課題である施術料と往療料を包括化した訪問施術制度の導入というふうに持っていくことが妥当ではないかと考えております。
 以上でございます。
○遠藤座長
 どうもありがとうございました。丁寧な説明よく分かりました。
 ほかにいかがでございましょう。
 幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
 今、包括化について賛成という意見が出ていますので、ここについて意見をまず述べさせていただきたいと思います。
 今までの議論の中で、往療料と施術料を包括した訪問施術制度というのは出ていたのですが、施術料自体を包括化するというのは初めての議論だと思います。まだ積み残しになっている議論もいっぱいある中で、これが唐突に提案されたというのは非常に理解しかねるところでございます。マッサージは部位ごとに算定できるため、施術部位数を多くする方向に影響している可能性があったり、患部でない部分を施術する場合もあったりするという短絡的な理由で、これを包括化してはどうかという提案ですが、これに対するエビデンスは施術部位数の割合ぐらいしか示されてなく、どんな疾病が多いか等、そういったデータも示されてない中で、これをいきなり包括化するということには、私は明確に反対いたします。
 医療保険の目的は、健康保険法第1条にありますとおり、疾病や負傷に対する保険給付と規定されており、あん摩マッサージ指圧療養費の支給対象は、一律に診断名によることはなく、麻痺、関節拘縮等であって、医療上マッサージを必要とする症例と明確にうたわれています。保険者は、医師の同意書で指示された部位を患部と認め、支給対象とするものであって、症状が認められない部位を施術することを否定するものではないのですが、それを保険給付の対象とするというのは、健康保険法の考え方とは異なると思います。やはり医師の同意書で指示された部位と受療した部位が必ず一致するということが基本であり、これを包括化をした場合、医療保険の対象外となる部位への施術について、保険者が不要な保険給付を行うことを認めることになります。これは不適切であると考えます。
 資料で示されているとおり、マッサージは5部位にわたって施術されているのが5割を超えていて、変形徒手矯正術は6割超で4肢の施術が行われているということになっているのですが、施術部位数に応じた報酬から、1回の施術で施術部位数が幾つでも同額となる包括化をすることによって適正化を図るということがうたわれておりますが、これは全く違いまして、療養費の適正化というのは、支給基準に基づいて適正に保険給付を行うことであると考えます。患部でない部位について行った施術は、施術自体は否定しませんが、それに対して保険給付を行うというのは、法の考え方から逸脱するので、これは反対です。
 もし、この包括化の議論を今後も検討していくのであれば、もっとエビデンスの収集が必要だと思います。まずは、課題点の整理のために、主に5部位の施術になっているのはどんな疾病に多いのか。それから、年齢別にどういう状況になっているのか。介護保険の該当部位の分析や訪問リハビリ等、ほかの治療との関連性などを検証した上で、これはきちんと議論していくべきだと思います。
 26ページの下のところに、非麻痺側等、患部以外への施術も必要になるという指摘が記載されています。ここでは、歩行能力の改善には筋力低下の改善等の目的において、理学療法、リハビリテーションの必要性が指摘されていますが、日常生活において機能維持を目的とした施術は、介護保険に該当します。また、この例は、この4つのうち3つが、脳卒中片麻痺者に限定されているものであって、これが全ての疾病に医学的に通用するのか、その辺についてもきちんと検証していく必要があると思いますので、今後も検討していくのであれば、こういう議論を積み重ねて、データを分析したうえで、行っていくべきで、今回の料金改定でこの包括化を取り入れるのは、議論もできておらず、データも少なく、時期尚早ということで、反対させていただきます。
 また、現在少ない部位数で施術を受けられている方がデータの上では2割は存在している中で、包括料金にすれば、この方たちの負担が増えるわけですね。負担が増えれば、行く回数は抑制される方向にも向かって、治療計画に影響を及ぼすという懸念もありますので、患者の立場からも、施術料を包括化するということは、今回は時期尚早だということで、明確に反対させていただきます。
○遠藤座長
 ありがとうございました。
 吉森委員、どうぞ。
○吉森委員
 ありがとうございます。
 今の包括化のお話ですけれども、過去の経緯も含めて、包括化に対する議論については、特段、反対するものではないですけれども、これは、幸野委員がおっしゃっているように、まだまだ議論を深める必要性はあると思っています。
 確認ですが、あん摩マッサージについて、医師の同意書、その同意書にはマッサージと変形徒手矯正術については、5部位、4部位と指定するようになっておりまして、それに基づいて施術者の皆さんは施術を行っていると理解しています。我々保険者としても、その同意書に基づいて、申請者と見比べて、しっかりと同意どおりか確認しております。
 そこで、26ページの下にありますように、先ほど幸野委員が指摘していましたけれども、理学療法とかリハビリ、この辺について、もし必要性があると医師が判断すれば、この同意書があるということを前提として我々は審査をするわけですけれども、そうではなくて、施術者の皆さんの判断で、これは患部ではなくて反対側もマッサージしたほうが良いということで、もしなさるのであるならば、それは根拠としては、医師の同意書に外れるわけでして、それは自由診療と考えるわけですけれども、この辺についてどのように事務局はお考えなのか、まず教えていただければと思います。
○遠藤座長
 ありがとうございます。
 それでは、企画調査室長お願いします。
○保険医療企画調査室長
 今、吉森委員からの質問がございました、今回、料金を包括化するとした場合でも、医師の同意書は変更しないという案にしています。ですので、医師がこの部位について施術をするということの同意があった場合に、その部位について施術を行うということになります。ですので、この医師の同意と関係なく施術者の判断で施術をするという、そういう案ではございません。
 以上です。
○吉森委員
 ありがとうございます。
 そうすると、医師の同意書が規定どおりですと、包括化で1回とか2回とかで4部位やりますよということではなくて、医師がきちんと指定したならば、包括化の意味は何なのかという辺りがちょっと疑問になるのですけれども、その辺はいかがですか。
○遠藤座長
 企画調査室長お願いします。
○保険医療企画調査室長
 そこのメリットについては、施術部位数に応じた方針になっていないことによって、施術部位数を多くする方向に影響していく可能性を排除するということ。それから、施術部位数によって患者の負担が変わらないことになりますので、これによって施術部位数に関係なく医師の同意をやっていただけるようになるのではないかということです。
○吉森委員
 そこがよく分からないのですけれども、医師の先生たちは、マッサージの必要性を診て、こことここの部位が必要だというふうに判断すれば、それぞれの部位についてマッサージが必要で、今の規定ではそれぞれ料金が加算されるということなのでしょうけれども、指定部位以外の部位をやるというのは、療養費の対象とならないわけですけれども、その辺の在り方はいかがなものかと。この包括化というのは何を目的にするのか、ちょっとよく分からないのです。
○遠藤座長
 何かコメントがありますか。
○保険医療企画調査室長
 繰り返しになりますが、施術部位数に応じた方針ということによる施術部位数を多くする方向への影響をなくす、あるいは患者負担を考慮しないで、必要な部位について、それに基づいて施術を行いやすくするというようなことになります。
○吉森委員
 医師の先生は、不必要な部位の指示はしないのだろうと思いますし、患者にとっても、きちんとマッサージが必要なところは同意書に書いていただければ、施術をしっかりしていただける。逆に、施術者サイドでは、ここは反対側もしたほうがいい、でも、同意はないということであれば、これは医師が行う同意はどうなのですかというところの連携があるような仕組みにするというのが、まず本来的なところではないかと思います。いわゆる同意書以外にマッサージを行うことが横行されているということであれば、我々保険者も、そこはしっかりと照会はしているのですけれども、本当に同意書と施術がマッチしてないのかなど、慎重に議論を深めたうえで、包括化する必要があると思います。
 それが意見ですけれども、さらには、この同意書の在り方は、これは現行では駄目だというならば、こちらの在り方も併せて議論をしなければと思います。
 以上です。
○遠藤座長
 どうもありがとうございました。
 それでは、先ほど来お手を挙げておられます中島委員、どうぞ。
○中島委員
 ありがとうございます。ちょっと確認をさせてください。
 今回の議論の中で大前提は、基本的には、最大5部位が多いということですけれども、基本的に医師の同意に基づいた施術が最大5部位が多いということでよろしいのかというところが前提の1つです。
 だとすると、基本的には、包括化しようが何しようが、医師の同意があるもので5部位であるならば、ここは変わらないのではないかなというのが1点あります。
 それと、先ほど事務局さんから、患者の負担が変わらないようにするという話をされていましたけれども、逆に、これを導入してしまうと、少ない部位の方たちがプラスアルファで負担をするという側面もありますので、この辺は短絡的に議論をするのではなくて、もう少し議論を積み重ねてから、制度を変えたほうがいいのではないかなというのが思っているところでございます。
 以上です。
○遠藤座長
 ありがとうございます。
 最初の大前提だとおっしゃった点については、事務局への質問でしょうか。それとも、それを前提で議論しているというお考えを述べたことでしょうか。
○中島委員
 事務局への質問でお願いします。
○遠藤座長
 分かりました。
 お願いします。
○保険医療企画調査室長
 今の現行の制度、医師の同意があった部位に対して施術を行うというものだと理解をしています。
○遠藤座長
 ありがとうございます。
 ほかにございますか。
 中村委員、どうぞ。
○中村委員
 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 療養費の支給対象になるものは、保険医療機関において専門のスタッフによる理学療法の一環として行う医療マッサージが療養費の支給対象だということから考えますと、医科におきましては、脳卒中、骨折も丸められた治療の点数を出されているわけでありまして、そのような観点からいきますと、患者さんの身体全体の機能向上ということで、私たちも包括化を提案させていただいています。
 脳卒中の治療ガイドライン、これは2021年の中に、脳卒中患者の非麻痺側の上下肢の発症からリハビリテーションの開始までが長くなるほど廃用性の筋委縮が著しく出てくるということが書いてあります。そのことから、家庭において自立度を増すということにおきましては、筋萎縮が残ってしまっている非麻痺側も同一にやるべきではないかと思います。同意書の事例からいきますと、例えば、右片麻痺は、右の上下肢と体幹だけに施術という申請が出ていたことが多く、実際に多くの施術者の施術を見ておりますと、座る・立つ・歩くというリハを行い、実質的に非麻痺側の筋委縮が起こっているところですけれども、施術を行なっているにもかかわらず算定せずに申請している実態があります。病名からその症状が発生しているところのみ申請している事例もあり、今回包括化の検討はすべきではないのかなと考えています。
 以上です。
○遠藤座長
 ありがとうございます。
 包括化については、施術側と保険者側でお考えが対立しているということはかなり明確に分かりました。それぞれの御意見があるということです。
 包括につきましては、いずれにしても、もう少しいろいろと調べてみる必要があるだろうということになると思いますが、時間も限られておりますので、ほかの箇所で何か御質問はございますでしょうか。
 それでは、清水委員どうぞ。
○清水委員
 今までの議論の中で幾つか、今日は釜萢先生がおいでになっておりませんので、私、医師の立場としてのお話をさせていただきます。
 まずスタートのところで、技術料を評価すると。これはすばらしいことだと思います。距離加算で遠くへ行けば行くほど点数は上がって、それが収入というのは、これはおかしいわけで、実際施術をした技術の評価の点数がそれぞれ上がっていくのが基本ですので、距離加算を含めて、その辺のところを少し見直すというのは非常にすばらしい考え方だなと思います。
 それから、前々回のいろいろな議論の中で、医師が書く同意書に対して、ある形のものができたということ。これも非常によくて、現場ではコミュニケーションがかなりできるようになりました。
 それから、もう一つは包括の考えですが、確かに医療のほうでは、リハビリ、在宅を含めて、特に生活習慣病などでは3つの包括化がありまして、それぞれですが、これは体全体をトータルで診ていくということで、部位別に分けているわけではないのです。ですから、医療の領域では、一人の方の健康全体、病気全体を診るということが包括なので、これは大いに理解はできます。今回の施術料の包括ですが、いろいろな病態の方を診てみますと、軽い方、そうでもない方、重い方と、たくさんいらっしゃるわけです。もし、万が一包括を入れるとすれば、軽度・中度・重度ぐらいのものを入れておいて、施術によって何回か行っているうちに、重度の方が中度に改善したり、逆に、軽度の方が時間とともに、悪くなっているいう変化があると思うのです。そういう評価ができるような包括だったらいいのかなということで、医師の立場では考えております。
 ただ、いずれにしても、包括の議論はかなりしませんと、今の現場でいろいろ病気をお持ちの方がどんな状態かを、もう一度評価すると、多分、正規分布に近い形になると思うのですが、今は重度の方が非常に多くなってしまうという格好になりますので、療養費の負担が大きくなりそうで、その辺を危惧するところです。
 意見だけを述べさせていただきます。
○遠藤座長
 どうもありがとうございました。
 ほかに何かございますか。
 往田委員、どうぞ。
○往田委員
 ありがとうございます。
 21ページにあります「あはき療養費の令和4年度の基本的な考え方(案)①」の(4)「その他の見直し」について、意見を幾つか述べさせていただきたいと思います。
 まず1点目は、まさに今、新型コロナウイルス感染症が非常に拡大を続けておりまして、収束がなかなか見えない状況でございます。我々も、今日の資料にもありますように、あん摩マッサージ指圧、はり・きゅうともに対象となる患者さんは70歳以上の方が大半を占めておりまして、我々もほぼ毎日のようにどこかで感染者が出ました、患者さんが感染しました、患者さんの御家族が感染しましたという報告を臨床の中で受けているわけでございます。
 その中で、主治医の先生、訪問医の先生も同様ですけれども、特に新型コロナウイルスが蔓延して以降、訪問医療であっても、外来でも、電話での診察が時限的に認められているところだと思いますが、私どものあん摩マッサージ指圧、はり・きゅうの同意書の交付に関しては、今現状、対面での診察、対診での診察の上に原則を置くということに、まだそこが縛られているところであります。
 まさに、少しでも感染による高リスクを抱えた方が大半の患者さんを対象としているものでございますので、ここに関しては、機能的に主治医の先生が、電話でも再診が認められている状況下においては、同意書の交付も併せて対診が必須ではなくて、電話での対診でも同意書の交付は可というふうに、運用を改めていただきたいというのが、まず1点目でございます。
 2点目は、昨年ですが、政府の行政手続における押印廃止の流れがございまして、あはき療養費の支給申請書に関しても、押印廃止の通知が出たところでございます。ただ、こちらに関しては、あはきの受療後以降、支給申請書に関しては、患者さんの署名もしくは押印で可ということで、支給申請書の作成ができていたわけですけれども、この通知があった後に、基本的に署名か押印というところでは、ほぼ扱いとしては変わらないはずなのですが、それ以降、比較的様々な保険者さんごとにそこの部分の取扱いはかなりばらつきが出ております。
 具体的に言うと、厚生労働省の方は、あはき療養費は、多分、柔整と違って押印、判子を押して名前を確認して、支給申請書を確認していただくという方が非常に多いとは思うのですけれども、その中が、通知発出以前は、ここの患者さんのお名前に関しては、レセプトで、パソコン等で患者さんのお名前を印字して、それを患者さんに確認してもらって、内容を確認したものに患者さんに御捺印いただくということが、運用上、ほぼ全ての保険者さんで認めていただいていたのですけれども、この通知以降、患者さんのお名前に関しては、判子を押してもらった場合であっても、患者さんのお名前はパソコンでの印字は不可、誰かが手書きで書かないといけないというような扱いをされる保険者さんも多く出てきております。
 こちらに関しては、押印は、基本的に内容をきちんと確認していただいて行うものでございますので、そこに書かれた患者さんのお名前は施術者が手書きでないと駄目だという合理的な理由がないものですから、従前どおり、通知発出どおり、運用として認められていたとおり、パソコン等々での印字でもいいようにしていただきたい。行政手続の簡素化が主な目的だったはずですけれども、逆に、簡素化ではなくて、施術者がそこの部分に関して、今まで印字でよかったものが手書きで患者さんのお名前を書かなければいけないということで、逆に不便になってしまっている。特に私どもの会員さんも、視覚障害を持っている先生はたくさんいらっしゃって、そういった方々が、今までは印字ができていたものを、患者さんのお名前を全部施術者が手書きで書かなければいけないというのは、かなり負担になっておりまして、この部分は、改めて、Q&Aなり、通知の発出、追加通知の発出などで整理していただきたいということを、事務局のほうにも要望をしておきたいと思います。
 この2点について、「その他の見直し」の部分で御提案をさせていただきたいと思います。
 以上です。
○遠藤座長
 ありがとうございます。主に、事務手続上の課題について御要望があったということでございます。
 ほかに何かございますでしょうか。
 それでは、逢坂委員お願いいたします。
○逢坂委員
 ありがとうございます。日本視覚障害者団体連合の逢坂です。
 当連合は視覚障害者の全国組織ということもございまして、視覚に障害があるあん摩マッサージ指圧師、はり・きゅう師も多く会員でおります。会員の皆様からのいろいろな御意見を伺いますと、まず1点目としては、様々な手続、書類作成とか、同意書の内容確認など、いろいろな点で視覚に障害があることでなかなか御苦労されている。もう少し、視覚に障害があっても、パソコン等を活用して簡単に確認できるようなシステムを構築してほしいという御意見をいただいております。これは、今日どうこうということではないですけれども、今後の課題として、皆様にもお力添えいただければと考えております。
 それから、今、往田委員からもありました押印承諾に関連したことですけれども、うちの会員の中でも、実際に手書きでなければならないということで、専門の施術者が独居の高齢者のところに施術に行って、最終的にどちらも書けなかったということで、療養費の適用を断念したというようなケースが報告されています。昨年見直しをした際には、コロナで仕事ができなかったのですけれども、こういう事例も出てきておりますので、今、往田委員からもありましたように、見直しの検討をいただければと、日視連からも要望いたします。
 以上です。
○遠藤座長
 ありがとうございます。往田委員と同様の御要望ということでございますね。ありがとうございました。
 それでは、吉森委員、お手をお挙げになっています。よろしくお願いします。
○吉森委員
 ありがとうございます。
 往療料に関して、確認と「その他見直し」の意見を申し上げたいと思います。
 往療料の方向性については、施術料に振り替えていくというのはよく理解できるところですけれども、往療料の必要な患者については、私の理解としては、医者の同意書に、あん摩マッサージであれば、「往療」という欄があって、「必要とする」「必要としない」というふうになっておりまして、理由が1、2、3となっているわけです。それについて、我々保険者としては、これは往療料が必要なのだと判断できるわけですけれども、はり・きゅうについては、同意書に欄がないのです。いわゆる往療内訳表をつけていただいて、我々は判断をするのですけれども、これは施術者の皆さんと我々の間の判断であって、医師が往療が必要だというところのそもそものところは、照会してみたりして、妥当であれば、我々もそれで通しているわけですけれども、ここのところは、あん摩マッサージと同じような同意書のフォーマットはできないのだろうかというのが1つの提案であります。
 2つ目は、往療料について、代わりに介護保険等にもあるように、離島、中山間地等の地域に係る加算の創設の方向性は理解するのですけれども、この離島、中山間地域は、いろいろ対象地域に所在する施術者、それと、その対象地域に居住されている患者さん、この方々については特別的に地域加算を認めるという理解でよろしいのかどうかというのが、確認です。
○遠藤座長
 ありがとうございます。
 それでは、事務局、コメントがあれば、よろしくお願いいたします。
○保険医療企画調査室長
 今、吉森委員からの後ろのほうから、離島、中山間地域の加算の創設のところで、施術者がそういう地域にあった場合なのかというような御質問がございました。今回の案で参考にしている、介護保険のこの地域に着目した加算が3つございます。(1)と(2)が事業所の所在地に着目した加算になっていて、離島あるいは中山間地域などに事業所が所在をしている場合に加算と。(3)は、今度は、対象の地域に居住している利用者に着目をした加算になっています。
 ここは、介護保険を参考にしながら、どういう加算を具体的にしていくかというのは、御意見をいただきたいと考えています。
 それと、もう一点は、吉森委員から、はり・きゅうの同意書について御意見いただきました。あはきの場合は、医師の同意書に往療に関する同意に関して記載がございます。これは、あはきのほうの往療料の要件として、施術の同意を行った医師の往療に関する同意は必要だというようなことになっていて、他方ではり・きゅうのほうは、往療料は、治療上真に必要があると認められる場合に支給できるとはなっているけれども、その要件に、医師の往療に関する同意が必要というような記載がこちらのほうにはないので、医師の同意書のほうに往療に関する記載がないというような整理になっています。
 以上です。
○遠藤座長
 吉森委員、いかがでしょう。
○吉森委員
 そうすると、はり・きゅうは、保険者の判断ということでよろしいですか。
○遠藤座長
 事務局、どうぞ。
○保険医療企画調査室長
 必要があると認められる場合かどうかは、恐らく保険者のほうに判断いただくということになります。
○遠藤座長
 吉森委員、よろしいですか。
 では、先ほど来お手を挙げておられた幸野委員を先にさせていただきたいと思います。その後、中村委員お願いします。
 では、幸野委員お待たせしました。
○幸野委員
 今、話題が出ました、中山間地への加算の意見をいただきたいということだったので、後ほど意見を申し上げようと思っていたので、言わせていただきます。
 まず、今回、23ページにありますように、距離加算が廃止になって、往療料が一本化されるというのは非常に評価したいと思います。
 それに加えて、中山間地をどうするかというところですが、23ページの上のほうの四角に書いてある特別地域加算は、往療料の加算のように見えるのですが、もし往療料に加算をするということであれば、せっかく距離加算を廃止したのに、また、特別な加算が載るということになりますので、これを往療料の加算とするのは違和感があります。
 それと、今、室長が説明されましたように、(1)(2)は、そこに所在していれば、特別加算が取れるということなのですが、介護保険ではそういう取扱いになっているのですけれども、そこにいれば加算が取れるというのは考え方としてどうかと思います。(3)のいわゆる施術者が離島や中山間地に居住している患者、中山間地で一定程度離れているところに時間をかけて、施術所を閉めて行かなければいけない、こういう場合に対しては、手間がかかるということから、往療料に加算をするのではなくて、これは施術料のほうに加算すべきではないかというふうに思います。
 ただ、施術所が所在しているというだけで、施術所から近くの患家に行って施術を行えば加算がつくというのは、これは考え方としては少々違和感があるので、その行くこと、往療することによる一定度の負荷に加算をつけるという考え方で整理していくべきだと思います。
 それから、対象地域についてですが、施術所と保険者の間にそごが生じないよう、住所ではなくてはっきりと郵便番号等で指定していただくと、保険者としては非常にありがたいと思います。
 これが、往療料の中山間地の考え方に対する意見です。
 それから、積み残しになっている同一日・同一建物の施術の往療の取扱いについても、早く結論を出していくべきだと思います。今は分析中ということですが、我々が知りたいのは、同一日・同一建物の施術には、どういう施術者が行っているか。これは介護保険施設や高齢者の専用施設入居者に対する往療がこれに該当すると思っているのですが、例えば、施術所を持っていて開業している方が一時的に施術所を閉めて行っているのか。それとも、出張専門の施術者がこういうところをたくさん回っているのか。今の往療内訳表では分からないので、そういったものも分かるような調査をしていただきたいと思います。
 また、施術を受けている方の要介護度がどのような状態なのかというところも、要介護度を書く欄がありますので、これもクロスで集計していただければ、どんな施術がどういう方に行われているのかというのが見える化されてくるのではないかなと思います。
 最後に、これもいまだに解決してないのですが、施術料と往療料を包括した訪問施術制度を厚生労働省に本気で検討をしていただきたいと思います。医科の世界では、訪問診療と往診では、基準や料金体系が異なっていますが、あん摩マッサージ指圧は一律の体系になっているというところ、これはもう少し考えていいのではないかと思います。
 制度を考えていくにあたっては、施術所を持っている方と持ってない方の料金設定。それから、臨時的なものと、定期的に計画的に行うものについても差があっていいのではないかと思いますので、そういったところも今後、これは以前から課題として取り上げられているところですので、施術料を包括化するというのを唐突に出して進めるのではなくて、もともとあった課題を、まずはしっかりと整理して、それから、施術料の包括化というところに進んでいっていただきたいと思います。
 以上です。
○遠藤座長
 ありがとうございました。御意見、御要望として承りたいと思います。
 それでは、先ほど中村委員がお手を挙げておられました。中村委員どうぞ。
○中村委員
2つの御質問にお答えをしたいと思います。
 1つ目についてですけれども、はり・きゅうの往療料について医師の同意がないことについてお話をさせていただこうと思っております。はり・きゅうにつきましては、腰痛症が多いのですけれども、慢性的な腰痛であっても、急性増悪が起こりまして、急に動けなくなったから往療して欲しいとの依頼が結構多い状況です。
 施術者に判断をさせてもらって、保険者様に、理解できるようにお伝えできれば、私は今の取り扱い方がいいのかなと思っております。
総合的な包括化のことについて、保険者様は過去から、これは原則平成32年までに距離加算の廃止や往療料の包括化した訪問制度を考えると言っていらっしゃったわけですので、私どもの提案としては、今回、往療料の包括化、それから、マッサージの包括化、変形徒手の包括化というところをやらせていただいて、そこから次の段階で、訪問制度または往療料を含む全体的な包括化というところに行くということでどうなのだろうかと提案させてもらったわけです。
今回の資料14ページを見ていただきますと、右側の病名では、8割方が中枢性の疾患で起こっている。左の症状別を見ても、ほとんどの多くは中枢性疾患によって起こる症状を表しているということを考えますと、マッサージ師が、理学療法士と同じように身体全体を診、患者様の日常生活の維持向上する者として使ってもらいたいという思いがあります。 
慢性期の症状を診ている鍼灸・マッサージ師を考えますと、はり・きゅうは包括化させてもらっているわけですので、マッサージにおいても包括化をして、患者様の生活を維持向上するためには、体を全体的に診るという考え方を導入させてもらいたいというお願いを再度させていただきます。
○遠藤座長
 ありがとうございます。
 往田委員、お待たせしました。
○往田委員
 ありがとうございます。
 先ほど吉森委員から御指摘のあったはり・きゅうの同意書の件でございます。これは、私も20年来、こういう制度を、サ高住が始まる以前から、厚生労働省さんに、なぜ、こういうふうになっているのかということを質問させていただいたことがありまして、こちらに関しては、私の理解では、マッサージに関しては、もともと医療機関において、医師を含む専門のスタッフが行うべきところをマッサージ師にやらせることができるということで、いわゆる医療の一環として取り扱われて、理学療法の一環として取り扱われているので、往療の可否も含めて、事細かに、いわゆる医師の指示書に近い形が採用されている。我々のマッサージ、はり・きゅうもともにそうなのですけれども、同意書は、ちょっと言葉を丁寧に選びたいと思いますが、施術そのものについて、施術の管理について、主治医の先生の御同意をいただくということではなくて、あくまでも療養費の支給の範囲について先生から御同意をいただくというふうな制度立てになっていると説明を受けてきておりました。ですので、逆に言うと、自費のはり・きゅうとか、自費のマッサージは、特に主治医の先生の同意とか御指示がなくてもできるというのは、まさにそういうところなのだという説明でした。
 その一方で、はり・きゅうに関しては、何度かこの場でも発言させていただいているのですけれども、支給対象が、医師による適当な治療手段がないものとされておりまして、マッサージは、今、医師の代わりにマッサージ師にやらせるという制度になっているのですが、はり・きゅうに関しては、ドクターは御自身の例えば投薬とか処方とかというところで、なかなか外から介入できないものに対してのみはり・きゅうを認めるという制度立てになっていて、ここの部分が、まさに吉森委員がおっしゃった医師の適当な治療手段がないものに対して労働が盛り込まれているので、その労働の可否に関しても、医師は関与をしないというのが制度の根幹なのだという説明を過去に受けたことがございます。
 ここに関しては、制度設計がつくられた時代と患者さんの構造も大分変わってきておりまして、はり・きゅうもマッサージもともに高齢者の方が中心となっている以上、ここは御同意いただく医師の先生との連携とかコミュニケーションをしっかり取って、そういった先生からの御意見とか、いわゆる御指示に近い部分も含めて、我々は対応していく必要があると思っておりますし、また、それだけではなく、看護師の方とかケアマネジャーとかそういった多職種でこういった患者さんに当たっていかなければいけないという時代に今なってきておりますので、そこの部分を同意書がもうちょっと細かくなったほうがいいのだという御指摘に関しては、まさに、はり・きゅうが抱える医師による適当な指示、治療手段がないものに対象が限定されているところに起因している部分もあるので、ここの部分を主治医の先生の選択すべき治療手段の一つとしてはり・きゅうが取り扱われるような仕組みも含めて検討をしていただけたらと思っております。
 以上です。
○遠藤座長ありがとうございました。
 幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
 また、包括化の話に戻るのですが、議論することはやぶさかでないのですが、あまりにもデータと、医学的なエビデンスが少な過ぎるのではないかと思いますので、これはもう少し時間をかけて、どんな疾病が5部位全部受療しなければいけないのか、
それは中枢疾患なのか、それとも脳血管疾患の後遺症なのか、そういうデータを取ること。あとは、健康な部位にも施術を行ったほうがいいという医学的な根拠、またそれは全ての疾病に当てはまるのかどうか。それとも、特定の疾患だけ必要なのか、そういったデータが提示されてからもっと議論をして決めていくべきだなと思いますので、今回、これを決めていくのはちょっと難しいということだけは最後に言わせていただきます。
○遠藤座長ありがとうございます。
 大体御意見はよろしゅうございますか。
 角本参考人、お願いします。
○角本参考人
 ありがとうございます。日マ会の角本です。
 「その他の見直し」の件で1つ発言させていただきます。変形徒手矯正術の同意書の有効期限についてです。変形徒手矯正術は、現在、1か月ごとにいつも同意書が必要とされています。しかし、受療される患者様の中には、関節拘縮、可動域制限のほかは病態が安定していて、医師の指示による受診は1か月を超える患者様が多く存在しております。そういった患者様は同意書を取るために、取得の目的のために受診をすることになり、患者様にとって大きな負担になっております。
 前回の改定で、変形徒手矯正術の同意書の有効期限が約6か月のマッサージ施術の加算となりましたが、このため、マッサージ施術の有効期限との差を極力減少していくことを望まれております。
 以上のことから、特に同意医師が認めた場合に限り、変形徒手矯正術における同意書の有効期限を3か月まで延長できる制度を検討していただければと、要望いたします。
○遠藤座長
 ありがとうございます。要望として承りました。
 ほかにございますか。
 中村委員どうぞ。簡潔にお願いいたします。
○中村委員
 ありがとうございます。
 変形徒手矯正術につきましては、マッサージ、また、はり・きゅうと同じような16日ルールで、月末で同意の期間が終わるというシステムにして欲しいのです。現行の取り扱いでは、同意確認の管理業務が非常に苦しくなるものですから、月末で終わり、月初からの同意で開始できるようにぜひ検討をお願いしたいと思っております。
 以上です。
○遠藤座長
 ありがとうございました。
 ほかによろしゅうございますか。
 ありがとうございました。
 非常に活発な御意見を頂戴いたしまして、感謝申し上げます。様々な御意見出ましたので、事務局におかれましては、本日の議論を踏まえまして、次回以降の議論に資するような資料の作成をお願いしたいと思います。
 それでは、本日の議題は全て終了いたしましたので、次回の日程について、事務局からお願いいたします。
○保険医療企画調査室長
 次回の日程につきましては、また、後日連絡をさせていただきます。
○遠藤座長
 よろしくお願いします。
 それでは、これをもちまして、第23回「あん摩マッサージ指圧、はり・きゅう療養費検討専門委員会」終了したいと思います。
 本日は、お忙しい中、活発な御議論、どうもありがとうございました。
 

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