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第18回社会保障審議会医療保険部会 柔道整復療養費検討専門委員会議事録(2021年8月6日)

○日時

令和3年8月6日(金)14時00分 ~ 16時00分(目途)
 

 

○場所

全国都市会館 第2会議室

○出席者

<委員等 敬称略>
遠藤久夫(座長)、新田秀樹、釜萢敏、松本光司
木倉敬之、幸野庄司、川村弘、中野透、榎本直樹
三橋裕之、伊藤宣人、長尾淳彦、田畑興介、田村公伸
<事務局>
濵谷保険局長、横幕審議官、山田保険医療企画調査室長

○議事

○遠藤座長
それでは、定刻になりましたので、ただいまより第18回社会保障審議会医療保険部会「柔道整復療養費検討専門委員会」を開催したいと思います。
本日は、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、ウェブと対面のハイブリッド方式で開催させていただきます。委員の皆様におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきましてありがとうございます。
まず初めに、委員の交代がございましたので、御報告をいたします。
中島委員に代わりまして榎本直樹委員が当専門委員会の委員として発令されております。
続きまして、委員の出席状況について御報告をいたします。本日は、橋爪委員が御欠席でいらっしゃいます。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りは、これまでとさせていただきたいと思います。
それでは、議題に入らせていただきます。本日は、「柔道整復療養費の適正化について」を議題といたします。
事務局から資料の説明をお願いいたします。
○保険医療企画調査室長
保険医療企画調査室長でございます。
資料柔-1、柔-2がございますが、柔-1に沿って説明をさせていただきたいと思います。柔-1、1こま目「柔道整復療養費の適正化について」です。1ページ、最近の経緯でございます。社会保障審議会医療保険部会柔道整復療養費検討専門委員会におきましては、平成28年に様々な議論を行いまして、その議論の内容につきまして、28年9月に「柔道整復療養費に関する議論の整理」として取りまとめを行っております。その後の専門委員会におきましても適正化の具体策などを議論してまいりました。
1ポツには、それ以降、既に措置された適正化策の主なものを記載させていただいております。
2ポツ目が引き続き検討中のもののうち、主なものを記載しております。平成28年9月の専門委員会で指摘されたものでありますが、1つ目のポツ、問題のある患者を特定する仕組みや事後的に償還払いとする場合の取扱いなど事務的に検討すべき点があり、引き続き検討。
2つ目のポツ、1部位目から負傷原因を記述することについて、さらに検討すべき。
また、平成30年4月の専門委員会では、患者が施術・請求内容を確認する取組について、平成31年中の実施に向けて検討するとされております。
本日、「引き続き検討中のもの」とされた中で、1つ目と3つ目について御議論いただきたいと考えております。
2ページ「①明細書の義務化について」であります。進んでいただきまして、3ページに「現状」を書かせていただいております。現状では、患者から施術に要する費用に係る明細書の発行を求められた場合にのみ明細書を交付することとされております。
この専門委員会におきましても、平成30年4月23日において平成31年中の実施に向けて検討するという宿題を負っているところであります。
4ページ、明細書の交付についてでありますけれども、患者から一部負担金の支払いを受けるときには、患者から求められたときは、当該一部負担金の計算の基礎となった項目ごとに記載した明細書を交付するとされておりまして、今は「患者から求められたとき」に限られております。
5ページは現行の明細書です。求められたときには、この明細書の様式で発行するということとされております。明細書には宛名があって、例えば、初検料、往療料、後療料といったものの額を書く。①で一部負担金幾ら。②で保険外のお金が幾ら。合計金額が①と②で幾ら。こういったものを出すということになっております。
6ページは、参考までに医科の診療所における明細書の取扱いを記載させていただいております。診療所におきましては、平成21年度までは「患者から求められたときは、明細書を交付」とされていました。まさに今の柔道整復の施術所と同じような形でありました。平成22年度以降は「患者の求めにかかわらず、原則、明細書を交付する」ということとなっております。
平成22年度以降の診療所における取扱いを図示しております。6ページの左側に「原則、すべての診療所」。この「原則、すべての診療所」から、矢印が出ておりまして、下に「使用しているレセコンに明細書発行機能があるか否か」。これで明細書発行機能がありの場合には、明細書の発行義務がある。明細書発行機能がなしの場合は、患者の求めに応じて明細書を交付するということとされております。
右側に移っていただきまして、例外が2点ございます。1点目が「レセコンを使用していない診療所」。2点目は、「レセコンを使用しているが、オンライン又は光ディスク等による請求を行う体制がない診療所であって、平成22年7月1日時点で保険医の年齢が65歳以上」の場合には、明細書の発行の義務がないということとされております。
4ページに戻っていただきまして、明細書の義務化についての対応方針(案)でございます。「施術に要する費用に係る明細書を患者に手交することは、業界の健全な発展のためにも必要であることから、明細書の発行を義務化する。実際に当たっては、施術所の事務負担軽減に最大限配慮する」。こういった案を掲げさせていただいております。
8ページ、2点目の適正化案でございます。「②不適切な患者の償還払いについて」でございます。
9ページです。現状でありますが、不正が「明らか」な患者及び不正の「疑い」が強い患者であっても、引き続き受領委任払いとされている。不正があれば、当然その回は療養費の支払いはされないわけでありますけれども、その後、施術を受けた場合には、引き続き受領委任払いとされているということであります。この点につきましても、この委員会の28年9月23日、議論の整理におきまして、問題のある患者については今後の検討課題とするという宿題を負っております。
10ページ、不正が「明らか」な患者、「疑われる」患者の例を記載させていただいております。左側は不正が「明らか」な患者の例でございますが、例えば自己施術を行っている者であります。これ自体、療養費の支給対象外でありますが、次回以降の施術は受領委任払いとなっているということであります。
右側、不正が「疑われる」患者の例でございます。4つ記載させていただいておりますが、1つ目はいわゆる自家施術(従業員や家族が、関連する施術所の患者となった場合など)。2つ目は、複数の施術所において、同部位の施術を重複して受けている患者。3つ目が、保険者が繰り返し患者照会を送付しても回答しない患者。4つ目が、施術が非常に長期にわたり、かつ非常に頻度が高い患者。こういった患者は不正が「疑われる」患者の例として記載させていただいております。
ちなみに、11ページは参考であはき療養費の取扱いを載せております。この7月1日からあはき療養費については長期・頻回の方を償還払いに戻す手続が始まっております。2年間のうち5回以上、月16回以上実施した場合には、保険者から施術管理者及び患者に通知を行う。その後、さらに月16回以上実施した場合には、施術者から詳細な理由とか今後の計画を提出していただく。そういった手続を踏んで、患者に償還払いに変更することを通知した上で、償還払いという手続と目安を定めさせていただいているところであります。
9ページに対応方針(案)を記載させていただいております。「不適切な患者の償還払いについては、不正が『明らか』な患者に加え、不正の『疑い』が強い患者も対象とする。ただし、真に不適切な患者に対象を絞る観点から、『償還払いとする範囲』『償還払いとするプロセス』について年末までに検討する」という案でございます。
12ページ、3つ目の適正化策案でございます。「療養費を施術管理者に確実に支払うための仕組み」と書かせていただいております。
13ページ、現状でありますが、復委任団体の中に悪質な団体が存在する。柔道整復療養費が私的に流用された事例も起こっております。13ページの下段でありますが、ホープ接骨師会の事案というものがこの1月に起こっております。前代表が資金を私的流用したことにより、会員の柔道整復師への療養費の振込ができなくなった事案であります。
14ページが受領委任払いにおける請求代行業者、いわゆる復委任についてのイメージ図であります。施術所と保険者の間に請求代行業者という業者がある場合がありまして、施術所から代行業者を通じて保険者に請求。保険者から療養費の支払いを請求代行業者に行い、請求代行業者から施術所に対して療養費の支払いを行う。この中でホープ接骨師会の事例が起こったということであります。
15ページ、現状の課題であります。受領委任の取扱規程に基づく療養費の請求は、各施術管理者から各保険者に対して行う必要があります。施術所の数、保険者の数が多数に及びますので、請求ルートが多数かつ複雑になっております。そのために、施術管理者の中には、当該請求事務を請求代行業者に行わせているケースがあります。請求代行業者による不正事例により、療養費が施術管理者に支払われないことがあります。
ポツを2つ書かせていただいております。1つ目のポツ、施術管理者は、受領委任規程に基づき、地方厚生(支)局長と都道府県知事の指導・監査等に応じなければならないとされています。一方、請求代行業者は受領委任規程の当事者ではないために、地方厚生(支)局長などによる指導・監査等のチェック機能が働かないという課題がございます。
また、請求ルートが多数、かつ複雑であることから、オンライン請求などの導入の検討が具体的に進まないという課題がございます。
対応方針(案)でありますが、現状の課題を踏まえ、療養費を施術管理者に確実に支払うため、またポツを2つ書いておりますけれども、不正防止や事務の効率化・合理化の観点から、公的な関与の下に請求・審査・支払いが行われる仕組みを検討してはどうだろうか。
併せて、オンライン請求、オンライン資格確認などにつながる仕組みとできないか検討してはどうだろうかという対応方針(案)でございます。
16ページは、今後の進め方であります。1つ目の丸であります。「①明細書の義務化」及び「②不適切な患者の償還払い」につきましては、必要な準備を行い、年明けをめどに施行してはどうだろうか。2つ目の丸です。「③療養費を施術管理者に確実に支払うための仕組み」については、より綿密な制度の検討・準備が必要となりますため、令和4年6月。これは通常療養費の改定が行われる時期でございます。それまでに方向性を定め、令和6年度中をめどに施行を目指すこととしてはどうだろうかという提案でございます。
柔-2は参考資料ですので、説明は省略させていただきます。
事務局からの説明は以上であります。
○遠藤座長
どうもありがとうございました。
本日の議論の進め方でありますけれども、ただいま事務局から説明がありましたように、アジェンダが大きく3つに分かれておりまして、1番目が明細書の義務化、2番目が不適切な患者の償還払い、3番目が療養費を施術管理者に確実に支払うための仕組みということであって、最後に、資料の16ページに「今後の進め方」という形で提案がなされておりますので、最初の3つはそれぞれ性格が違いますから、一つ一つ議論をさせていただければと思います。今後の進め方、スケジュールにつきましては、この3つの議論をした後でまたお諮りをしたいと考えます。
それでは、まず最初の明細書の義務化について、御意見、御質問ございますでしょうか。いかがでしょう。それでは、三橋委員、お願いいたします。
○三橋委員
明細書の義務化につきまして、今、説明がありました。既に何回もお答えをしているとおり、既に施術所では患者さんの希望によって発行しています。現在では予診録に明細書の要否についてチェックをしてもらっています。また、待合室とか受付にも「明細書を希望する際には、お気軽にお申しつけください」という掲示を貼っています。しかし、誰一人として欲しいという患者さんはおりません。そういう方に尋ねますと、自身でどんな施術を受けたかというのはもう分かっていると。ましてや高額ではないので、領収書だけで十分だという回答もいただいています。
また、今回の明細書の義務化につきましては、前にもお話をしましたけれども、保険者側が委託をしているとんでもない悪質な調査会社の調査材料の一部になるのであれば、これはけしからぬことであって、義務化はまかりならないと思います。患者さんが本当に欲しいというものであれば、我々は今も出していますので、調査会社の調査材料になるのであれば、我々は義務化に反対という意向を出したいと思っております。
以上です。
○遠藤座長
ありがとうございました。
ほかにいかがでございましょう。それでは、田村委員、お願いいたします。
○田村委員
明細書の発行の義務化についてですが、これについては別に反対ではありませんが、個々の施術所体制によっては、施術以外にかかる作業のため、大きな負担と考えます。コロナで打撃を受け続けている状況下、最低賃金の引上げが決定した中で、対応のために従業員を雇用することは非常に厳しく、明細書発行の対価という部分的な料金設定や評価ではなく、従業員を雇用できるだけの全体のベースアップを考慮された料金改定を具体案策定時と療養費改定時にお願いします。
実施に当たっては、診療所における明細書の取扱いを参考にするのであれば、診療所と同様、「明細書の交付を希望しない場合は、窓口でその旨を申し出てください」等と掲示し、患者の意向を確認できるようにすることが必要ではないでしょうか。よろしくお願いします。
○遠藤座長
ありがとうございました。
では、幸野委員、お願いいたします。
○幸野委員
先ほど三橋委員が明細書の義務化は不要だとおっしゃられましたが、全く理解できません。患者照会をするときには、負傷原因や施術内容等の療養費の支給要件のほか、合計金額、一部負担金額、保険外がそれぞれ幾らかというのを確認する必要があるのです。患者照会で確認するとこれが申請されている療養費支給申請書と全然違っているところから、不正の原因になっているというところもありますので、患者が明細書を欲しいとか欲しくないということでなく、保険者が患者施術内容の確認するためにも明細書の義務化は絶対に必要であり、これを我々はずっと言い続けてきたので、明細書の発行義務化はぜひやっていただきたいと思います。
○遠藤座長
ありがとうございます。
それでは、田畑委員、お願いいたします。
○田畑委員
田畑でございます。よろしくお願いいたします。
今、幸野委員がおっしゃられたように、この明細書のそもそもの議論というのは、患者が施術・請求内容を確認する取組から発展して、今、明細書の議論になっていると思うのですけれども、それなら毎回発行の理由がないのではないでしょうか。月に1回発行で、温罨法何回とか冷罨法何回とか、月まとめで最終に分かれば施術・請求内容の確認ができると思うのですが、毎回発行を求められる理由はどこにあるのでしょうか。よろしくお願いいたします。
○遠藤座長
これは幸野委員に対する御質問ということでしょうか。
○田畑委員
では、事務局にお願いいたします。
○遠藤座長
では、事務局、お答えください。
○保険医療企画調査室長
事務局であります。
三橋委員の御質問からお答えしたいと思います。三橋委員から調査会社のためのものだったら断固反対という御意見をいただいています。ただ、この明細書の発行は、調査会社の業務のために発行するものだとは考えておりません。明細書の発行は商習慣として広く行われていると考えています。サービスを受けた顧客、この場合は患者でございますけれども、患者にどのようなサービス・施術が行われたかを伝えるということが非常に大事なことだと考えておりまして、提案させていただいております。
発行義務の対象は、診療所と同様に、明細書の発行機能を持つレセコンを使用している施術者に限るとさせていただいております。施術所の負担軽減も含めて検討していきたいと思っております。
また、田村委員から患者が希望しない場合についてですけれども、これは医科でも同じでありますが、患者が希望しない場合は発行しないということを考えております。
また、田畑委員から月まとめにすればよいのではないかという御質問をいただきました。明細書を発行する意義というのは、領収書で医療費控除するのとは違って、その日どのような施術内容があったのかというものを患者に伝えるものだと思っています。患者から特に希望がなければ、その都度発行していただく。要らないという申出があった場合には発行する必要がないと考えております。
以上であります。
○遠藤座長
ありがとうございます。
それでは、長尾委員、木倉委員の順番でお願いいたします。
○伊藤委員
伊藤です。
○遠藤座長
伊藤委員ですね。失礼しました。伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員
先ほど幸野委員からも内容の確認というお話が出たのですが、これまで領収書の発行義務化、それと医療費通知、そして健保組合さんなどは、1部位であったとしても外部委託の調査会社を使って調査をされているわけなので、そこでしっかりと内容が分かるかと思います。そして、領収書の中に一部負担金の金額、あるいは実費金額等々が分けてきちっと書かれておれば、どのような内容か、例えば何部位やって、3割だったら、一部負担金は幾らですと。こういう内容できちっと分かるはずなので、いわゆる明細書の発行義務までする必要は全くないように考えます。特に1部位であっても、平成30年に出ました事務連絡に沿った形での調査ではなく、1部位であっても受診抑制とも取れるような分で照会もかけているわけですから、十分これで分かるのではないのかなと。そういう意味をもってして明細書までは必要ないと私は考えております。
以上です。
○遠藤座長
ありがとうございます。
事務局、何かコメントありますか。
○保険医療企画調査室長
明細書の発行とともに施術所の負担軽減というものも講じさせていただきたいなと考えております。例えば現行の様式の明細書には合計金額の記載欄がございます。ですので、今、別途発行を義務づけている領収書とかぶるところがございます。現行の様式の明細書の位置づけを例えば領収書兼明細書のように改めまして、現行の様式の明細書を発行していただいた場合には、現在別途発行を義務づけている領収書の代わりにし、2枚発行しないでいいというようなことも考えられるかと思います。患者に対してサービスを行った場合に、その内容をお伝えするということは非常に大事なことだと考えておりまして、こういったことを施術所の負担がなるべくかからない方策で御検討させていただきたいなと思っております。
○遠藤座長
ありがとうございます。
それでは、お待たせいたしました。木倉委員、お願いいたします。
○木倉委員
協会けんぽの木倉です。ありがとうございます。昨年、前任の髙橋から交代いたしましたので初めてですが、よろしくお願いいたします。
1番目の論点につきましては、協会けんぽとしてもぜひ明細書の発行の義務化をお願いしたいということでございます。今、山田室長の御説明にありました提案の趣旨にもありますように、医療保険制度の中で柔道整復師の皆様が患者さん、被保険者さんの理解を得て、適切な施術を行っていただく。それの正当な評価として療養費を払わせていただくということでございますので、患者さんにも、明細書の求めがないからというよりも、その仕組みというものを一緒につくり上げていただいているわけですから、その療養費の仕組みということを十分理解いただいて、低額なもの、軽微なものであっても、きちんと自分で納得した上で療養費が払われているのだということを御理解いただきたいと思っております。
また、今、補足で御説明がありましたように、この発行に際してのいろいろな事務負担、領収書と1枚のもので兼用するといったことや、記載内容の簡略化等もあるでしょうし、それからレセプトコンピュータの業者の皆さんもこういう保険の仕組みを前提として常に改善を図っていらっしゃると思いますので、こういう提案をしていくことによって、さらに簡便で使いやすい仕組みが普及してくるものと思います。そういうことを前提にお考えいただきたいと思います。
以上でございます。
○遠藤座長
ありがとうございました。
では、幸野委員、お待たせしました。
○幸野委員
山田室長に確認したいのですが、医科の場合は、レセコンに明細書発行機能がある場合は、患者の求めに関係なく義務化されているため、それに平仄を合わすということでよろしいかというのをもう一度確認します。
また、なぜ明細書発行をそんなに嫌がっておられるのか、理解できません。レセコンに明細書発行機能がある場合は自動的に発行が義務化され、ない場合は患者の求めに応じて発行という仕組みになると思うので、明細書発行機能がある場合は発行していただければいいと思うのですが、それを嫌がるというところにまた不信感を感じているところです。
○遠藤座長
では、まず事務局にこの提案の確認ですので、お願いいたします。
○保険医療企画調査室長
施術所における明細書の発行の義務の範囲でありますが、6ページにありますとおり、診療所における取扱いに倣おうと考えております。診療所で使用しているレセコンに明細書発行機能があるかどうか。レセコンを使用していて、明細書発行機能がある場合には、明細書の発行の義務づけをお願いしたいと考えております。
○遠藤座長
ありがとうございます。
では、三橋委員、お願いいたします。
○三橋委員
先ほどから幸野委員が私の意見に対してまた反論していましたけれども、毎回のようにきれいごとばかりで、先ほど事務局のほうが調査会社の材料にはならないのだという話もしていましたが、実際に領収書にしても明細書にしても本当に患者さんが望むのであれば、これは患者さんのために出すものですね。先ほど幸野委員は保険者が確認するためと言いましたね。それだったら、意味がないではないですか。領収書にしても明細書にしても患者さんが見るものではないですか。それは保険者さんが見るものではないですよ。あなた方のところは全ての組合がとんでもない調査会社に委託して、1部位、1回であっても全部調査を始めるではないですか。それで我々は疲弊しているのですよ。そういうことに使われるのであれば、我々は反対だと言っているわけです。患者のために出すのであれば、我々は喜んで出しますよ。そうでないから反対をしているのです。そうでないということがきちんと約束されているのであれば、それは出しても構いません。だけど、必ず調査会社の調査に使うではないですか。健保連さんは、今まで領収書にしても調査書にしても全部そうやってきたではないですか。だから、我々は反対しているのです。そういう材料にはされたくないのです。
以上です。
○遠藤座長
ありがとうございました。
いかがでしょうか。では、幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
全く考え方が違うのですけれども。明細書の発行は患者のためだけではありません。保険給付をしているのは保険者です。保険者のためにも明細書を発行していただきたいと言っているのです。そこは誤解がないように。
○遠藤座長
ありがとうございました。
では、伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員
先ほどの幸野委員の意見でございますけれども、これは患者さんのためではないと言いながら、実際的には医療費通知でも患者さんには知らせているわけでありますし、また、それぞれの保険者さんは保険者さんで独自の、先ほどの業務委託等々を使って医療費の調査をやられているわけです。これ以上我々に負担をかけないでほしいわけです。そういうことに使われることであれば、前回からずっと言い続けていますけれども、我々の柔道整復師は施術所を大体1.4人ぐらいでやっているところが多いのです。これにさらに明細書まで発行となると、手書きの人もおりますし、相当負担も大きいわけなので、そこら辺を理解していただければと思います。これはあくまでも患者さんのため、国民のためのものだと考えていただきたいと思います。
以上です。
○遠藤座長
ありがとうございます。
大体御意見は出尽くしましたか。
では、事務局、コメントをお願いいたします。
○保険医療企画調査室長
少し補足をさせていただきたいと思います。幸野委員が保険者のためということをおっしゃいましたけれども、5ページの明細書を御覧ください。この明細書は、額を初検料、何々料で記載していくわけでありますが、そこで一部負担金幾ら、保険外幾ら、合計金額幾らと書く欄になっております。保険者のため、患者のためという議論とは少し違うのかもしれませんが、患者の方にも社会保険料で柔道整復療養費というものが出ているのだ、その額は幾らなのかということをお知らせするということも大切なことなのかなと思っています。
また、施術所は診療所と比べても規模が小さいというお話がありました。繰り返しになる部分もありますけれども、一つは、今、出しております領収書と今度の明細書というものが同じことをカバーして記載されますので、今の明細書を出していただければ、領収書というものを改めて出す必要はないように改めたいと思います。
また、患者の施術をした都度レセコンのほうには向かわないという慣習があるということもお聞きしております。そういった場合には、施術者がレセコンにその都度向かわなくても、レジスターのほうに向かっていただいて、一部負担金を頂くときにレシートのようにその明細書が出せるようにしたい。また、それで明細書の代わりになるようにしたいということを考えております。いずれにしましても、施術所の事務負担を最大限軽減できる措置というものを考えてまいりたいと思っております。
○遠藤座長
ありがとうございます。
ただいまの事務局のコメントについて、何か御意見ございますか。長尾委員、どうぞ。
○長尾委員
幸野さんが言われたように保険者さん、患者さんに出すのは当たり前なのですが、それは十分理解をしております。ただ、明細書とか、特に領収書のときなどでも調査会社がその調査に対して、もらった領収書を添付しなさいとか、そのコピーを添付しなさいと言う調査会社も中にはあるわけです。そうしたこと、または今回明細書を出して、その明細書についても一枚一枚きちんと出せというような保険者さんでなくて、調査会社がそういったことをして受診抑制をしていることは多々あるわけです。そうしたことも含めまして、保険者さんが、または支払い側がきちんとするということをこの場で明確にしていただきたいと思います。
以上です。
○遠藤座長
ありがとうございます。
何かコメントございますか。釜萢委員、どうぞ。
○釜萢委員
先ほど山田室長さんから御説明がありましたように、この明細書の発行については、医科で特に診療所の明細書の発行の経緯を思い起こしてみますと、医科のほうでも発行の義務化ということについてはそれなりの抵抗というか、仕事量が増えるということについての戸惑いがあったと思います。ですから、これまで施術所でやってこられたことに、また仕事量が増えるのではないか、今でも大変なのにという思いは、私は十分理解できる思いです。
調査会社がその明細書をさらにいろいろ調査するという経験は、医科では少なくとも私自身は全く経験がないことでありまして、保険者の立場としてそのようなものが必要だと判断をされたのかなと思います。今後に向けては、患者さんが施術内容をしっかり把握して、適正に施術を受けるということを目指す意味から、施術所のさらなる努力をしていただきたいとお願いいたします。今日は委員の皆様からいろいろお話が出ておりますので、ぜひそれらのご意見を保険者の方々にも一定御理解をいただいて、なるべくすり合わせて今回の改正が前に進んでいくように、公益の立場としては非常に強くお望み申し上げるところです。
以上です。
○遠藤座長
釜萢委員、ありがとうございました。
では、幸野委員、お手を挙げておられますので、お願いします。
○幸野委員
再度確認させていただきます。医科の場合は、レセコンで明細書発行機能を持っていれば、患者の求めにかかわらず義務化になっていると思います。医科と同様に考えておりますので平仄は絶対に合わせてください。患者が求めないから、レセコンの明細書発行機能や体制は持っていても発行しないというのは違うと思います。再度事務局に確認しますが、それでよろしいですね。
○遠藤座長
事務局、どうぞ。
○保険医療企画調査室長
資料の6ページを御覧ください。診療所で使用しているレセコンに明細書発行機能があるか否か。発行機能があるのであれば、明細書発行の義務があります。発行機能がないのであれば、患者の求めに応じて明細書を交付することになります。患者が何も言わない場合、レセコンに明細書発行機能がある場合には、明細書発行をしていただきます。患者が明細書は要らないよと言った場合には、明細書を発行していただく必要はありません。
以上であります。
○遠藤座長
幸野委員、いかがでしょう。
○幸野委員
いや、患者が要らないということを確認して明細書を発行しないというのは、違うのではないかと思います。レセコンによる明細書発行機能を持っていれば、患者の意向にかかわらず診療所は発行義務があると捉えているのですが。
○遠藤座長
事務局、どうぞ。
○保険医療企画調査室長
発行する、しないの原則をどちらにするかということです。今は患者から求められたときには明細書を交付となっています。今、提案させていただいている義務化というものは、患者の求めがないときもあるときも交付をする。明確に要らないと言われた場合には交付しないでいいということであります。これは医科と同じ取扱いであります。
○遠藤座長
幸野委員。
○幸野委員
原則発行ということでよろしいのではないですか。
○遠藤座長
それでは、三橋委員、どうぞ。
○三橋委員
幸野委員が言っている意味がよく分からないのですけれども、大学病院に行ったって、医療機関も明細書が要るか要らないかを選択するではないですか。そうなっているのに、何で療養費だけが必要だ、原則的に認めろと言うのかよく分かりません。
我々が先ほどから言い続けているとおり、とんでもない請求団体がいまだに子会社で調査会社をやっているのです。そこにあなた方の組合は調査材料として出しているではないですか。それが認められないと言っているのですよ。だから、請求団体がやっている子会社の調査会社へは出さないという文書が出ているにもかかわらず、あなた方のところはそのような調査会社へ委託をして全部依頼しているではないですか。それが納得できないのですよ。それをやっている限り我々は認めませんという話をしているのですよ。領収書にしたって、明細書にしたって、欲しいのは患者さんですよ。見たいのは患者さんなのです。それを保険者が、調査会社がと言うのであれば、駄目だということを我々は言っているのではないですか。
○遠藤座長
幸野委員、何かコメントありますか。
○幸野委員
調査会社は関係ないと思います。保険者が施術内容を確認するわけであり、その事務をどこに業務委託するかということだけですので、関係はないことだと思います。
それと、後で事務局に調べていただきたいのですが、平成30年3月5日に発出された通知を見てみますと、「公費負担医療に係る給付により自己負担のない患者について、患者から求めがない場合でも、明細書の無償交付に係る義務が設けられたところである」という記述があります。明細書の無償交付というのは義務づけられていると理解しておりますが、そこをもう一度正確に調べていただけないでしょうか。
○遠藤座長
事務局、お願いいたします。
○保険医療企画調査室長
先ほどの答弁のとおりかと思いますが、改めて調べます。
○遠藤座長
よろしくお願いします。
あと、田村委員が先ほど来お手を挙げていますが、よろしくお願いします。
○田村委員
先ほども言わせていただいたのですけれども、診療所と同様、明細書の交付を希望しない場合は、窓口でその旨を申し出てくださいというふうに診療所のほうの明細書発行にはなっているのです。それを厚労省の方が先ほど言われたので、あの案はそのままでいいのだなということで、納得しました。すみません。
○遠藤座長
ありがとうございます。
活発な御意見をいただきました。この議論はまだ少し議論を続けなければいけないかと思いますが、本日はこのぐらいでよろしいかと思いますので、ほかの2つの案件もありますので、次の案件に進ませていただければと思います。
次が「不適切な患者の償還払いについて」ということで、事務局からの原案もありましたけれども、これについて御意見をいただければと思いますが、いかがでございましょう。三橋委員、どうぞ。
○三橋委員
不適切な患者に対しての償還払いということですけれども、これは保険者側の問題だと思うのです。現在、国民皆保険制度の中でこのような平等性を欠くような対応が実際に組合員にできるのかどうか、非常に疑問であります。保険者側が問題とするいわゆる問題のある患者だという内容と、我々施術者側の問題がある患者だとする内容には非常に差異があります。ただ、長期になっているとか多部位だからとか、そういう定義は当てはまらないように考えています。
また、参考例としてあはきが出ていますけれども、あはきでは保険者裁量で償還払いとされていますが、我々柔整の療養費というのは、受領委任協定があります。あはきのほうは全部契約なはずなのです。我々柔整は協定がありますので、前提として保険者の裁量で償還払いというのができないのだと考えておりますが、いかがでしょうか。
○遠藤座長
いかがでしょうかというのは、事務局にですか。
では、田畑委員、お手を挙げておられますので、どうぞ。
○田畑委員
ありがとうございます。
ただいま三橋委員がおっしゃられたように、これはただ単に保険者さんが問題があるから償還払いにするぞというところは、非常に問題かと思います。同じく国民皆保険制度の理念の中でそんなことがあってもいいのかなと思っておるところであります。
この議論は、まず不適切な患者の定義をしっかり定めるというところが大事なのかなと思います。その定義を定めるのも、我々施術者だけでも駄目ですし、保険者さんでも駄目ですし、できれば厚生労働省に定めていただいて、そこをしっかり運用する、公平に運用するという方法が適切かなと考えておりますが、いかがでしょうか。事務局、よろしくお願いいたします。
○遠藤座長
では、事務局、お願いします。
○保険医療企画調査室長
患者の定義を明確にすべきとの御意見をいただきました。年末までに償還払いとする不適切な患者の範囲とかそのプロセスにつきまして、施術者、保険者、有識者の方々と御相談させていただきまして、保険者が倣うべき目安を厚生労働省として定めていきたいと考えております。
○遠藤座長
田畑委員、いかがでしょうか。
○田畑委員
資料の10ページ、不正が「疑われる患者」の例のところに「自家施術」というのが載っておりますけれども、自家施術だって、結局、加入している健康保険の種類によって請求が許される場合もあれば、許される場合もないと。自家施術の可否には結構揺らぎがあるのです。だから、まずそういったところをしっかり定めていかないと、後々混乱を非常に招くことになると思いますので、まずは厚労のほうで定義をしっかり定めていただければなと思っております。
○遠藤座長
事務局、お願いいたします。
○保険医療企画調査室長
自家施術の取扱いが保険者ごとに異なるとの御指摘だと思います。現在、自家施術についてどのような取扱いをするかは、保険者ごとに異なっているのだという趣旨だと思います。ここで書かせていただきましたように、自家施術につきましても、どういった範囲を償還払い、「疑われる」患者とするのか、年末までに皆様方と御議論させていただきまして、保険者が倣うべき目安を厚生労働省として定めていきたいと考えております。
○遠藤座長
ありがとうございます。
ほかに何か御意見ありますか。伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員
2の不適切な患者の償還払いのことにつきましては、本来被保険者のことは、保険者さんの中で考えるべきことであり、この場で被保険者の委員がいない中、我々だけで議論するということにまず無理があると思います。もしこれを議論するのであれば、被保険者代表等々も入れて、以前も出たと思うのですが、第三者機関でやっていただくとか、そういう方向で考えていかなければ、こういう問題はここでの議論にふさわしくないと思います。
先ほど定義の問題も出ておりますけれども、被保険者、被扶養者だけの問題なのか、あるいは柔整師が関わるのかによってもこれは大きく異なってきますので、その辺の整理をしながら議論していかなくてはいけないのかなと思いますので、我々はこの問題につきましては、この場でのこの議論は不要だと考えております。
以上です。
○遠藤座長
幸野委員、お待たせしました。
○幸野委員
これは、10ページにありますように、不正が「疑われる」患者の例として、4つ丸がありますが、保険者としては、このような例に該当する患者については、自分たちでしっかりと確認したいという意思があるのです。そのため、不適切な患者を償還払いとする仕組みを導入して頂きたいと考えています。これは受領委任払いのデメリットを排除するために非常に有効な確認方法だと思います。支払わないわけではなく患者にきちんと事実を確認したうえで、償還払いにより給付をしたいということですので、これは粛々と年明けの施行を目指して進めていただきたいと思います。不適切な患者の対象については年明けまでに議論して、しっかりと受領委任規程の中にうたうべきだと思います。
以上です。
○遠藤座長
ありがとうございます。
木倉委員、お願いいたします。
○木倉委員
ありがとうございます。協会けんぽの木倉です。
今、幸野委員もおっしゃいましたように、これは社会保険としての仕組みの中で療養費を適正に使っていただいて、施術を受けていただくと。そういうことの理解を促すため、先ほどの明細書の趣旨と同じだと思うのです。そのためにも不正というものがないようにしていく。それを求めていく、その一環としてぜひスケジュールに沿って導入をお願いしたいと思っております。
以上です。
○遠藤座長
どうもありがとうございます。
では、三橋委員、どうぞ。
○三橋委員
今、保険者側の委員のほうからいろんな説明がありましたけれども、本当に保険者として、あるいは健保連からすれば、組合費を払っている組合員に対して償還払いにできるのですか。保険証自体を取り上げるような行為ができるのですか。それを聞いてみたいと思います。
○遠藤座長
何かコメントございますか。幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
できます。健保組合のことをご心配いただきましたが、お気遣いは不要です。不適切な患者の対象や手続等については厚労省の方で受領委任規程に記載していただく必要はあると思いますが、可能だと思います。
○遠藤座長
ありがとうございます。
伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員
今の幸野委員の発言であれば、保険者サイドでやっていただければ済むことであって、もし不適切なそういう運用がされたのであれば、保険者のほうでできるということであれば、やっていただければ、それでよろしいのではないでしょうか。
医療費も同じくそのようにするわけですか。この辺はどうなのでしょう。
柔整療養費にもこれを入れるとしたら、医療費も同じように考えているわけですか。
○遠藤座長
あと、お手を挙げておられる方で、木倉委員、新田委員の順番でお願いいたします。
木倉委員、どうぞ。
○木倉委員
ありがとうございます。
これは給付を行わないということではない。療養の給付という形ではなく、施術内容を確認させていただき、適正な利用を促しながら療養費の支給を行うこと。そういう前提で運用する必要なものだと思っております。
以上です。
○遠藤座長
ありがとうございます。
新田委員、どうぞ。
○新田委員
これまでのお話とはちょっと観点が違うお話になるかもしれないので恐縮ですが、一言申し上げたいと思います。まず、大前提として療養費というのは、これまでの裁判所の判例などを見てみますと、支給に当たっての保険者の裁量がかなり広範に認められている給付だということがあります。現物給付である療養の給付については、その支給要件や内容等が健保法を始めとする法令でかなり細かく決められていますが、一方で、療養費の支給については、要するに保険者が必要があると認めたときには支給するということになっているわけで、療養の給付に比べると保険者の裁量がかなり広いわけです。ただ、そうはいっても、裁量権の逸脱・濫用に当たるようなことはもちろん許されないわけですが・・・今回のお話も、結局のところ、加入者である被保険者に対する療養費の支給について、保険者の裁量がどこまで認められるか、逸脱・濫用になるかならないかの線をどう引くかという問題の一ケースではないのかなという気がしております。
それで、今回の件について申し上げると、そもそも受領委任という支払方法自体が、療養費の支給方法としては原則でなくて例外な訳です。本来は療養費は償還払いが原則であるところを、わざわざ関係者間で契約を結んで、療養費を事実上法定代理受領方式に近い形にしているのですが、なぜそのようなことができるかといえば、保険者はそのような契約を施術者等と結び得る裁量が認められるとの健保法の解釈が前提で行われている話なのだろうと思います。
ともかく、受領委任を内容とする契約が一旦結ばれれば、定められた契約内容に従って双方が権利義務を負うということになると思うのですけれども、今回の話では、不正受給が疑われる患者さんについては、一旦契約で受領委任にしたものを本来の原則である償還払いに戻すという取扱いが保険者の裁量として認められるか、認められるとしてどのような範囲・内容まで認められるかという議論であろうと思うのです。
特定の患者について受領委任払いという事実上現物給付に近い支払方法を償還払いに戻す訳ですから、償還払いが健保法上の原則であるにしてもそれに戻す理由が合理的かどうか、すなわち、不正受給の疑いを理由としてその患者に対し他の被保険者よりも事実上不利益な取扱いをすることが保険者の裁量として許されるかどうかということを検討する必要があると思います。
その場合、少なくとも、明らかに不正受給を行った患者・被保険者に関しては償還払いに戻し得るのではないか。というのは、直接の参考にならないかもしれませんが、国保制度や後期高齢者医療制度では、保険料を滞納した被保険者に対しては、被保険者証を返納させて被保険者資格証明書を交付することで、現物給付を償還払いに切り替えるという取扱いが認められているわけです。これは保険料滞納についての取扱いですし、療養の給付は法定給付なので、その償還払いへの変更も法律で規定しなければなりませんけれども、今回これを契約ベースで現物給付化している柔整療養費についてやるかやらないか、特定の被保険者につきそのように取扱いを変えることが保険者の裁量として許されるかどうかという議論だろうと思うのです。
今申し上げた被保険者資格証明書とパラレルに考えることが許されるとすると、明らかな不正受給を行った被保険者に対しては、それに対する事実上のペナルティーとして支払い方法を変更することは、保険者の裁量の範囲内として許容され得るのではないかという気はいたします。
ただ、問題は、今回は明確な不正受給を行った患者だけでなく、より広く不正受給の疑いがあるものということで、今、4つぐらい事例が出ておりますが、そこまで範囲を広げて、それが保険者の裁量として許されるという同じ論理で説明できるかどうかということだと思います。それについては、それぞれの個別の事例ごとに今申し上げた理屈で償還払いに戻すことが認められるのか、あるいは、それに加えてもう少し償還払いに戻すことを正当化する合理的な理由を付け足す必要があるかどうかを検討する必要があるかと思います。
けれども、今回の「不適切な患者の償還払い」という取扱い自体の方向性に関しては、いま申し上げたとおり対象患者の範囲や理由づけについてはさらに詰める必要があるにしても、全くこれが認められないということはないであろうと考えますので、本件についての実施の検討を進めることを前提にさらに御議論が深まっていけばいいのではないかという印象を持ちました。以上、感想でございます。
○遠藤座長
どうもありがとうございました。
では、幸野委員、お待たせしました。どうぞ。
○幸野委員
新田先生、ありがとうございました。
新田先生のおっしゃるとおりだと思います。今、日整の委員のほうから信じられない発言が出たのですが、日整の委員の幹部の方がこのようなご質問をされるというのは、それ自体、不信感を覚えるのですが、療養の給付と療養費の違いをはっきりと理解してください。医療費というのは現物の給付が原則です。療養費は、健康保険法第87条において、保険者がやむを得ないものと認めるときは、療養の給付等に代えて、療養費を支払うということなのです。療養の給付と混同したような考え方をされているのですが、これは基本中の基本ですので、なぜ日整の幹部の方がそのようなことを言われるのか、理解できないのですが。
これはペナルティー的なものではなく、確認が必要だと思う患者には、健康保険法第87条の原則に戻って、保険者が施術内容等事実を確認して支払うということでありこれはペナルティーではないです。本則に戻すということですので、そこを理解していただきたいと思います。
○遠藤座長
どうもありがとうございます。
それでは、田畑委員、お願いいたします。
○田畑委員
ありがとうございます。
今、幸野委員から御発言がございました本来の形に戻すということで、先ほども申し上げましたけれども、本来の形に戻すにはそれなりのきっちりした公の基準というのが必要かと思います。そこは施術者でも決められないし、保険者さんだけで決めていただいても非常に困ります。なので、例えばこの専門委員会の下部組織としてワーキンググループを立ち上げて、有識者の先生、保険者さん、我々施術者代表が入りまして、償還払いに戻す基準というのを話し合っていければなというふうに御提案させていただきます。
以上でございます。
○遠藤座長
ありがとうございました。
幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
ですから、私は、どのような患者が不適切な患者の対象になるのか、あるいはどのような手続を行うのかを、あはき療養費と同じように受領委任規程の中に入れていただきたいということなのです。これはワーキンググループなどをつくって話すようなことでなくて、施術者側、保険者側、両者で話せば結論が早くて、要は、10ページに書いてある不正が「明らか」な患者の例、不正が「疑われる」患者の例等を決めればいいわけです。ワーキンググループなどで詳細な検討をしてもしようがないので、これは令和3年末までに結論を出せると思います。
○遠藤座長
ありがとうございます。
それでは、長尾委員、どうぞ。
○長尾委員
いつも幸野さんからあはきというのが出ますが、あはきと我々柔整は全てが一緒ではないということと、不正が「疑われる」患者さんにつきましては、被保険者、または保険者間できちんとそういったルールを決めながら出していただくということで、そこが出てきた中できちっと話し合いをしていけばいいと思っております。
伊藤委員のほうから出た部分につきましては、もちろん医療費と我々の療養費の違い、そういうことは分かっていることであります。被保険者、保険者間でできることと柔道整復師が不正をしているようなところを混同しているような気がしてならなくて、この部分は被保険者、保険者の問題として両者行うことだと思っております。そこがスタートではないかと思っております。
以上です。
○遠藤座長
ありがとうございました。
大体御意見はよろしゅうございますか。
それでは、事務局からコメントをお願いいたします。
○保険医療企画調査室長
ありがとうございます。
資料の10ページを御覧ください。不正が「明らか」な患者の例、「疑われる」患者の例を記載させていただきました。この中には施術者側、保険者側で基準が違ったり、意見が違ったりする類型というものがあると思いますが、例えば施術者側の方にとっても、保険者側の方にとっても、これはさすがに償還払いとすべきだという類型もあると思います。自己施術を行ったことがある者ですとか、こういったものについては合意が取りやすいのかなと思っています。
どういった類型にするという目安をつくるのは厚生労働省なので、私どもがしっかりやらせていただきますけれども、関係者の合意の取れたものから実施をさせていただけないかと考えております。その際に、患者はいずかの保険者の被保険者でありますから、その方に保険者のほうからあなたは償還払いの手続になったのですよというのをしっかり伝えていただくというのが前提かと思っております。できるところ、合意が取れたところからこの仕組みを導入できないかという提案でございます。
以上であります。
○遠藤座長
ありがとうございます。
事務局から追加の説明がありました。
いろいろと御意見が出ましたけれども、これもなかなか議論がまとまらない内容でありますが、それでは、この分野はこのぐらいにさせていただきまして、次の議題「療養費を施術管理者に確実に支払うための仕組み」について、御意見をいただければと思いますが、いかがでございましょう。三橋委員、どうぞ。
○三橋委員
平成30年に審査会の権限の強化が始まりまして、問題がある施術管理者については現在面接確認で呼び出しをかけているところですが、呼び出された個人契約柔道整復師は、必ず自分は個人契約者でないという勘違いをしています。必ず言うのは、日本柔道整復師会とは別の団体に所属していると真剣に答えているのが事実です。請求代行業者自身も、あたかも協定団体であるかのように勘違いしてもらうことで利益を上げているのも事実です。
今回のホープ、あさひ接骨師会の問題についてですが、そもそも保険者への請求金額とは施術管理者が施術した患者から直接受領を委任され、支給申請していたものであって、柔道整復療養費という公的資産であります。13ページにも記載しておりますけれども、「復委任団体の中に悪質な団体が存在」ではなくて、それが代行業者の民間企業であって、そこの代表者が柔道整復療養費を私的流用したわけです。
言い換えれば、総額数十億円に及ぶ、本来患者が受領すべき療養費を民間企業の代表者に奪われてしまったという大事件であるということをぜひ認識いただきたいと思います。被害者は療養費が入金されなかった個人契約柔道整復師というだけではなくて、柔整療養費の受領委任という制度を利用した患者までもが被害者となり得る。柔整療養費全体が正しく機能していない最大の理由は、国が定めた受領委任が取扱規程どおりに運用されていないことであります。国と保険者、柔整業界の三者がもう一度共通の認識の下で、柔整の療養費制度、協定と契約、取扱規程をルールどおりに運用させる、この当たり前のことが必要であると考えています。規程どおりに運用されることが重要な課題。先ほど幸野委員からも言われているとおり、療養費の原点に戻ってと言うのであれば、この療養費のルールにのっとって、取扱規程のルールにのっとって支払い側もぜひ進めていただきたい。
不正をなくすという意味合いの中には、施術者の不正と保険者側、いわゆる支払い側が取扱規程どおりに審査や返戻、振込をしないという2つの問題があります。支払い側の規程を黙認するような不正についても目をつぶるようなことは決して許されません。
今回、国から対応案として示していただきました療養費を施術管理者に確実に支払うための法的な関与の下に、請求・審査・支払いが行われる仕組み、ようやく国が案として挙げていただいたことについて、我々公益社団法人としては大賛成でありまして、ぜひこれにつきまして議論を積み上げていきたいと考えております。
以上です。
○遠藤座長
ありがとうございます。
確認させていただきますと、この事務局案については賛成していただいているということでよろしゅうございますか。日整としてはよろしゅうございますか。
○三橋委員
はい。
○遠藤座長
ありがとうございます。
ほかに。田畑委員、田村委員の順番でお願いいたします。
○田畑委員
ありがとうございます。
私は個人契約者なのですけれども、個人契約者の団体の会長を仰せつかっております。先ほど三橋委員からあたかも我々個人契約者が日本柔道整復師会の名前を語ってやっているよという感じの御発言を受けましたが、私たちは個人契約者としてのプライドをしっかり持っておりますので、別に日整さんのパチモンとして生きているわけではございませんので、その点、よろしくお願いいたします。
そしてまた、このたび個人請求の団体のホープ接骨師会さんのところで不正が起こってしまいました。それを未然に防げなかったことは、同じ個人請求の団体の長として非常に残念だなと思っています。しかしながら、これは1人の会長の資質の問題だと思いますので、こういう業界全体を占う専門委員会で話し合わなければならないことなのかなと思っております。
我々全国柔道整復師連合会といたしましては、現在、全国柔道整復師統合協議会は日本個人契約柔道整復師連盟さんと協調しておりまして、個人契約者の統合団体をつくっております。全国柔道整復師統合協議会の中で、二度とこのようなことが起こらないように、加盟団体相互で監査する仕組みを構築するのはどうかということで、今、議論を重ねておる最中でございます。
資料の15ページ、対応方針(案)の中に「公的な関与の下に」というふうに厚生労働省のほうからお示しいただいております。我々が今後実施いたします相互監査の部分で公的関与というのがいただければ、ますます相互監査にも効果が上がってまいると思っております。
また、参考資料の柔-2の14ページ、これは平成23年の資料でございますけれども、既に厚生労働省のほうも任意団体として我々個人契約団体をお認めいただき、既に通知として発出、書類に載ってしまっております。なので、取扱規程に任意団体の在り方や、施術管理者が委任にできる範囲を明記していただいて、各保険者さんと任意団体のお付き合いというのを文書化していただけるというのが、今後こういう不正が起こらない第一歩になろうかなと考えております。
以上でございます。
○遠藤座長
ありがとうございます。
この事務局案についていろいろと解釈を述べられたと思いますけれども、事務局から何かコメントがあればお願いします。
○保険医療企画調査室長
ありがとうございます。
まず、三橋委員から、この案件は整復師だけのものでなく、患者にとってもデメリットのある大事な事件だというお話がありまして、私どももそのとおりだと考えております。また、田畑委員から相互監視のアイデア、提案もございました。事務局としましては、そういった提案もいただきながら議論していきたいと思いますが、例えば参考資料の15ページを御覧ください。これは医科での審査支払の概要でありますけれども、公的な関与の下に請求・審査・支払いが行われる仕組みについて、様々なアイデアがあると思いますが、例えば社会保険診療報酬支払基金や国保連合会が審査・支払いを行うという案も念頭に置きながら御議論をさせていただきたいと思っております。
田畑委員からいただいた御提案も含めまして、関係者の御意見を聞きながら、令和4年6月、次期療養費改定までに方向性を定められればなと考えております。
○遠藤座長
ありがとうございます。
では、田村委員、先ほどから手を挙げておられます。お願いします。
○田村委員
復委任についてですけれども、受領委任の取扱規程は、受領委任に係る事務手続を定めたものであって、協定、契約共にその内容に差が生じてはなりません。復委任は適切でないと言うのならば、協定、契約共に是正を行わなければ、公正さに欠けます。
また、平成30年12月17日付事務連絡によれば、面接確認は柔整審査会が審査業務の一環として実施するものであり、地方厚生局長及び都道府県が行う指導・監査業務とは異なると明記されています。しかし、取扱規程第8章42、43、指導・監査の項目に規定されたとおり、明らかに柔整審査会による指導・監査業務であります。これは、審査以外の何らかの行為をすることは、健康保険法上、療養費の支給制度が予定されていない制度を創設するものである疑義があり、第15回の検討委員会で発言させていただきました。当時の室長より、第8章42、43に入れた経緯について確認し、御回答していただけるとのことでしたが、いまだ回答をいただいておりません。
もう一点です。審査会を強化した一方で、組合管掌健康保険の柔整審査会への審査の委任については、受領委任の取扱規程第5章28、健保協会支部長に審査を委任することができることにより、審査の委任を強制することはできません。これは、本制度の発足当初は政府の管掌する健康保険に限定して取扱いが認可されていたもので、民間の健康保険はその対象ではないためです。
長年、受領委任の取扱規程での条文が改正されない結果、健康保険組合連合会会長から地方厚生局長が受領委任の契約に係る委任を受ける取扱規程を定めながら、申請書の審査、返戻、支給額の減額または不支給について、健康保険組合に審査の自由を認め、その支給について審査会に委任していない多くの健康保険組合は、柔整師からの再審査を申し出る道を閉ざしています。
このような制度のたてつけは問題です。全ての健康保険組合が審査会に入っていただけるよう取扱規程の改正をすべきです。公的な関与の下に請求・審査・支払いが行われる取組を目指すのであれば、審査会の制度上の問題もあり、復委任問題を含め、取扱規程の整備も早急に対応していただけるよう、厚労省にお願いします。よろしくお願いします。
○遠藤座長
ありがとうございました。
それでは、ほかにお手を挙げている伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員
まず、13ページのホープ接骨師会の事案ですが、私どもは従来、三者協定に基づいてやってきたところでございます。ところが、昭和63年7月に公益社団法人に入らない、入りたくないという方々が個人を認めてくれということで、今、協定と個人があると思っております。その流れでこれまで来ているというふうに私は認識しているのでございますけれども、私ども公益社団法人につきましては、新たに公益社団法人として平成20年から25年の5年間で新しい法人法にのっとって認可され、47都道府県において大変厳しい条件をクリアして公益認定をされたと。そしてまた、ここの役員につきましては、欠格事項等々、適切な役員でなければならないという形になってございます。
そういう中で、私どもの事業運営に関しましても、1か月あるいは3か月程度の間隔で公認会計士であるとか、あるいは税理士等々にこの運用状況を監督してもらっています。そしてまた3年に一度県のほうから厳しい立入検査等もございます。公益社団法人と同様に適正に行われれば、ここに出てくるようなこういう問題は起こらないと思います。また、起こりようがないと思います。そういう観点から、昭和63年の協定と契約に立ち戻って、こういうことが起こらないようにしていただくことが重要かと思います。
また、最近ではある請求団体が外国の企業に身売りした事例があるようです。そういうことによって、また新たなこういう問題も起こりかねないと思っております。したがいまして、やはり63年7月に立ち戻って、いま一度この原点に戻ってこれらを今後の対応としてしっかりやっていかなければならないと思っております。これにつきましては、冒頭三橋委員が言いましたように、協力は惜しまないつもりでございますので、よろしくお願いします。
○遠藤座長
三橋委員、どうぞ。
○三橋委員
先ほど厚労事務局から出されている対応方針(案)には賛成です。先ほど田村委員がおっしゃったとおり、もう一度見直すというのも賛成です。
しかしながら、幸野委員をはじめ、保険者の皆さんにお尋ねしたいのは、この支給基準にある取扱規程の協定、契約に戻れないのか。これに戻っていれば、請求団体、復委任の問題とか起きなかったはずなのです。保険者にしてみても、返戻の書類を請求団体に戻している保険者があります。その結果、施術管理者が内容を全く理解していない。取扱いの中身が全く分からないというのが現実なのです。返戻にしても施術管理者に戻す。支払いについてもしっかりと施術管理者に支払う。こういう形を取っていただければ、原点に返っていただければ何の問題も起きていないのです。そこについて、ぜひ保険者側の意見をお聞きしたいと思います。
○遠藤座長
幸野委員、お手を挙げておられますので、よろしくお願いします。
○幸野委員
三橋委員のおっしゃることについては、保険者も少し検討すべき事項はあると思いますが、先ほど触れられましたように、参考資料14ページのとおり復委任の取扱いは柔道整復施術療養費支給申請書(復委任)の書き方も示されております。このようなものも含めて、今、この請求代行業者が不正の温床になっているということで、厚労省からこのような公的な関与という提案が出されましたので、これはぜひ整理して進めていかなければならないと思っていますが、さらっと「公的な関与の下に」と15ページの対応方針(案)に書かれているのですが、これは・請求・審査・支払いのインフラを大きく変えることになるので、大変な事業になると考えておりまして、1~2年や数年でできることとは思っておりません。公的な関与を行う前に審査・支払い方式の抜本的な改革が必要だと思っております。明確な審査・支払い基準の設定がないまま公的な関与ができるはずもないので、まずはそこから入っていく必要があると思っています。
現行の受領委任規程の延長線で公的な関与に移行するということはあり得ないと思っておりますので、これは公的な関与を行う前に相当な整理が必要だと思っています。患者が療養費の受領を施術管理者に委任するという基軸を新たな仕組みの中で構築していく必要があると思っています。
もう一つ大きなポイントとしては、「オンライン請求、オンライン資格確認につながる仕組みとできないか検討」というのが2つ目の丸で書かれているのですが、今、時代はこういう趨勢になっていますので、これと絡めて構築していくことは重要なのかなと思っております。オンライン請求、オンライン資格確認については、療養費のことも考えていかなければならない時期に来ておりますので、必要なことだと思っております。
せっかく構築するのであれば、施術管理者と保険者双方にメリットのある仕組み、枠組みをつくっていく必要があるのではないかと考えているのですが、オンライン請求自体も大変大きな課題で、例えば令和2年1月に行われた「電子請求に係る保険者会合」においても、既に多くの保険者からこのオンライン請求自体にかなりの問題点が指摘されているのは事実で、例えば患者署名の実現方法や、受領委任払いを設けているあはき療養費との整合性の整理など、必要になってきますので、令和6年度中にどこまで施行できるのか、イメージも湧かないような状況です。
それほど大きな問題だと思っておりますので、厚労省で令和6年度中に施行したいと考えられているのであれば、それまでの多くの課題をクリアしていくための検討スケジュールについて、令和4年6月の料金改定までには、しっかりお示ししていただきたいと思います。
これらの課題点を整理した上で、公的な関与の下に行われる請求・審査・支払いについて、最も気になりますのは、審査の質がどう担保されるかということと、この仕組みの構築には開発費用や運用コストがかかってくると思いますので、これらの費用等を全てもってして判断しなければならないと思っていますので、今後、このようなことを絡めた現実的な議論を要望したいと思います。
これらのことから、これは他の議題「①明細書の義務化」及び「②不適切な患者の償還払い」とは次元が違う大きな話なので、しっかりと議論していきたいと思います。今の議論を聞いていますと、施術者側と保険者側、双方、方向性には異論はなかろうかと思いますので、進めていくということについては合意できると思うのですが、中身の大きさについては、お互いのそごもあるかと思いますので、これは慎重にやっていく必要があると思います。
以上です。
○遠藤座長
ありがとうございます。
これは支払い側からの質問でもあったわけなので、原案をつくられたお立場として、事務方はその辺をどう考えているのか。つまり、審査・支払いのスキームを大きく変えることであるということについて非常に危惧を持たれているわけですが、その辺についてコメントがあれば、お願いしたいと思います。
○保険医療企画調査室長
ありがとうございます。
確かに①②と比べても大きな制度の改正の提案かと思っております。オンライン請求のスケジュールに関しても御質問もいただいています。令和4年6月までに方向性を定めるべく関係者の方々と御議論をさせていただきたいと思っておりますが、その検討の中でオンライン請求につきましても併せてスケジュールを考え、併せて整理し、議論をさせていただきたいと思っております。仕組みを具体的に検討していく中で多くの課題や論点が出てくると思いますが、関係者の皆様と丁寧に議論を進めていきたいと思っております。
○遠藤座長
ありがとうございます。
幸野委員、よろしいですか。
○幸野委員
そのような認識で取り組んでいただくということであれば、じっくりと検討していただきたいと思います。
○遠藤座長
ありがとうございます。
では、田畑委員、木倉委員の順番でお願いいたします。
田畑委員、お願いします。
○田畑委員
ありがとうございます。
先ほど伊藤委員のほうから昭和63年の原点に戻ろうというお話がございましたけれども、昭和63年からもう30年以上たちまして、様々な制度疲労を先生方も認識しておられるところと思います。30年前と最も違うのはこういったことでございまして、我々は公益社団の先生方の協定があってこその契約だというのは十分認識おりますが、現状協定に基づく施術所というのが1万5000、我々個人契約者の施術所というのが3万5000。協定さんが30%、契約が約70%という図式になってございますので、この数からしても、協定さんしかいない時代の63年に返ろうというのは、現実問題としてちょっと難しいのかなと思ってございます。なので、何か新しい枠組みとかそういうものが必要なのだろうなとおぼろげながら思っているところでございます。
以上でございます。
○遠藤座長
ありがとうございます。
では、木倉委員、お待たせいたしました。
○木倉委員
ありがとうございます。
御提案の中身、「令和4年6月までに方向性を定め、令和6年度中を目途に施行を目指す」というものについては、間に請求代行業者と復委任と言われるような新しい姿のものが入ってしまって、それが不正を起こしているということについて、これは施術者の皆さんにも大変御迷惑になっていることでもあると思いますし、受領委任の考え方から外れてしまう、当事者でない者が含まれる仕組みですから、これを通さない仕組みとしてのルールは明確にしていただきたい。被保険者が受領委任をしているところにきちんとお支払いをするということを我々保険者も徹底していかなければいけないと思いますが、そういうルールは明確にしていただきたい。
その次に、協会けんぽは47支部ありまして、そこで当時の地方事務官制度の政管健保の時代から、都道府県ごとに審査委員会をつくって審査をしながら、療養費の支給を行うという仕組みがあり、協会けんぽが2008年にできましてからもそれを支部が引き継いだ形で行っております。その中では健保組合さんの委任を受けて一緒に行っているものもあります。また、国保は国保連でそのような審査会をつくって実施をされてきた。そういう経緯があろうと思っております。
そうしてみると、我々も率直に申しますと、47支部ごとの基準の並びを正していくこと、ルールを明確にしていくことに大変苦慮していることもありますので、そういうことの調査もこの検討会では過去にもやっていこうということになっていたと思いますが、47支部で委嘱をしておる審査委員会の姿から見ても、一つ全国の共通の基盤をつくっていく。そういうものの中でこの審査・支払い方を検討していくという方向性もこの間議論をして、方向を示していただきたい。そのときには、参考資料の15ページにありましたような審査支払機関、今、国保連さんがやっていらっしゃいますが、支払基金も参加していただいた形で、我々からも支払基金さんにこの審査会の機能をお願いするということも含めて議論があり得るのだろうと思っております。
もちろん、幸野委員がおっしゃいますように、大きくインフラ、審査・支払いの仕組みを変えるので、そのルールを明確にしながら、本当に効率的なのかどうかというコストも検証しながら、我々が保険者として審査・支払いが委託できるものかどうかを議論していかなければいけないと思います。また、今、オンライン資格確認の仕組み、ネットワークができてきて、この基盤の上に立って保険者間の資格の確認もできますし、効率化もできるようになり、施術者の皆さんにもネットワークを使うことのメリットが出てくるのではないか。それをどう使うかという工夫を懲らしながら、オンライン請求につながる仕組みをつくっていくべきではないか。もちろん、時間がかかると思いますが、スケジュール、工程ということについて合意を取りながら一歩一歩着実に進めて、この時代の要請、効率化に合わせていくべきものだろうと思っております。
以上です。
○遠藤座長
どうもありがとうございます。
それでは、長尾委員、お願いいたします。
○長尾委員
今までこのオンライン請求について積極的でなかった幸野委員から非常に積極的な御意見をいただきまして、ありがとうございます。
木倉委員のほうからも今、オンラインにつきましては非常に前向きなご発言でありましたが、③の療養費を施術管理者に確実に支払うための仕組みにはこのオンラインシステムが非常に重要かと思います。我々のほうでもトレーサービリティー、入力の担保をきっちり取るような機能も含めまして、このオンラインにつきまして、審査・支払いに協力できるようなスキームを組みたいと思っております。ぜひこのオンラインシステムの構築を推進していただきたい思います。
先ほど社団の伊藤委員が言いました昭和63年7月14日に戻ってというような意見は、何も我々が優位に立ってということでなくて、請求の仕方、支払いの仕方をそこに戻ってもらって、そこから議論を始めようというところで、平成22年にこういうことがあるから、これだというのでなく、昭和63年7月に戻ってからの議論をしていただきたいと思っております。
支払い側の先生方には非常に前向きな意見をいただきまして、ありがとうございます。
以上です。
○遠藤座長
三橋委員、どうぞ。
○三橋委員
いろんな意見が出ましたけれども、先ほど田畑委員から社団に関していろいろ御指摘をいただきましたが、我々は例えば公益社団がどうだとか、協定がどうだとか、個人契約がどうだとか、団体がどうだとかということを言っているのではなくて、業界全体が社会で評価をいただけるような形にしっかりとつくり上げていきたい。厚労省がこのような対応案を出していただいたので、我々は全面的にこれに協力し、しっかりと業界をきれいにしていきたい。そういう思いで全面的に協力をしたいと考えております。
○遠藤座長
ありがとうございました。
大体御意見はよろしゅうございますか。何かあれば承りますが。
それでは、大体御意見をいただいたと思いますが、何かございますでしょうか。田畑委員、幸野委員、どうぞ。
まず、田畑委員からどうぞ。
○田畑委員
今回の議題からは少し外れるかと思います。業界の正しい運営を目指してと三橋委員から今、御指摘を受けましたので、その一端として御意見をさせていただければと思います。都道府県柔整審査会の中に面接確認委員会というものがございます。これは審査会の権限強化の中でこの会議体でできたものでございます。そこの設置要綱に「面接確認する委員は、所属している団体に属する施術管理者の面接を行わないなど、公平性の確保に努めるものとする」とございます。ところが、都道府県によりますと、公益社団の先生しか審査委員がおられないところがあるのです。となりますと、その県の公益社団の会員さんは永遠に面接確認を受けることがない設置要綱となってございます。
これにつきまして事務局に要望なのですけれども、まず都道府県国保連合会の審査会、協会けんぽの審査会の審査委員の所属団体を明らかにしていただいて、実際に我々個人契約者の審査委員がいるのか、はたまた公益社団の審査委員の先生で占められているのか、まずはお調べいただければと思います。公益社団の先生だけだと、面接確認を公益の会員さんは受けないということになりますので、運用上、非常に問題があるかなと感じているところでございます。事務局、いかがでしょうか。
○遠藤座長
では、事務局、お願いします。
○保険医療企画調査室長
ありがとうございます。
③の仕組みを検討するに当たりましても、柔道整復療養費の審査というものはどうなっているのかというのを改めて調べようと思っております。審査会の委員の所属団体についての御依頼がありましたけれども、まず我々としましては、協会けんぽ、国保連の協力も得つつ、柔整審査会においてどのような審査が行われているのか、どのような体制でどのような方が審査をしているのか、どういった課題があるのか、こういったことについて調査を行ってまいりたいと思っております。
○遠藤座長
ありがとうございます。
では、幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
終わりの段階になりましたので、少し確認させていただきたいのですが、本日は3点論点が出て、様々な意見があったのですが、座長に代わって申し訳ないのですけれども、基本的には本日示された方向性について、3点とも実施していくということでよろしいですね。
○遠藤座長
いや、やっていくというのはこれからお諮りしようかと思っていたわけですが、今後の進め方ということがあるわけですけれども、それについて合意が得られるかどうかということを確認しなければいけないと思います。
○幸野委員
分かりました。すみません。出しゃばりまして。
○遠藤座長
いえ、とんでもないです。
大体よろしゅうございますか。
それでは、今、幸野委員からそういうお話が出ました。この3つのアジェンダがあるわけでありまして、これは最終的には「今後の進め方」という形でスケジュールと内容についての提案が事務局から出されております。16ページでありますが、③につきましては、令和4年6月までに方向性を定めて、令和6年度中をめどに施行を目指すということでありますが、私の伺った限りでは、おおむねこの方向については御賛同が得られるのではないかなと思いますけれども、そのように理解してよろしゅうございますか。特段反対をされる方はいらっしゃいますか。よろしゅうございますね。
(首肯する委員あり)
○遠藤座長
これは時間的に比較的余裕があるということと、それからあまり限定的に書かれているわけではない。それだけに大変難しい課題も含まれているわけですが、これを検討するということであります。
では、これは当委員会として了承したということにさせていただければと思います。よろしゅうございますか。
(首肯する委員あり)
○遠藤座長
問題は「①明細書の義務化」及び「②不適切な患者の償還払い」について。これは御意見がいろいろございました。明確な反対理由もございました。ということもあるので、これについては、「年明けを目途に施行」というところまで具体的に書かれておりますので、これを決めることについてはもう一度確認をしたいのですけれども、いかがでございましょうか。当部会でこの方向、進め方をお認めしてよろしゅうございますか。
(首肯する委員あり)
○遠藤座長
では、どなたかコメントがあれば。もしよければ議論をいたしますが。もちろん、必要な準備を行い、年明けをめどに施行ということですけれども。三橋委員、どうぞ。
○三橋委員
いろいろと意見がありましたが、施術者側、保険者側、事務局側がしっかりと意見を出し合って、今日も出ましたけれども、検討専門委員会の中でまた議論を進めて、それをまとめていっていただきたいと思います。
○遠藤座長
分かりました。したがいまして、まだまだ意見はまとまっていない部分もありますが、議論を重ねていって、基本的にはそれを進めていくことによって、年明けをめどに施行するというこの流れについては御同意を得たという理解でよろしゅうございますか。
(首肯する委員あり)
○遠藤座長
事務局としても積極的にこの辺の調整を行っていただきたいと思いますけれども、それを前提としてお認めいただくということでよろしゅうございますか。特段反対をされる方はいらっしゃいませんね。
(首肯する委員あり)
○遠藤座長
ありがとうございました。
それでは、「①明細書の義務化」及び「②不適切な患者の償還払い」について、必要な準備を行って、年明けをめどに施行ということで、これに向けて調整を行っていくということで、これは御同意を得たということにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。では、そのような形で今後議論をさせていただきたいと思います。
先ほどの幸野委員からの御質問は、こういう形でお答えするという形になったかと思います。
ほかに何かございますでしょうか。松本委員、お願いいたします。
○松本委員
今日は療養費の適正化というのがテーマだと思うのですが、そのことについてお話ししたいと思います。私は整形外科なので、日常診療をしていて、痛みを訴える患者さんを診ることが多いのですが、接骨院、整骨院にしばらく通った後、整形外科に来られる方というのも非常に多いのです。そんな患者さんを診察してみると、膝の関節症とか、腰のすべり症とか、坐骨神経痛、慢性の疼痛性の疾患であることがほとんどです。そんな方も整形外科に来る前に接骨院に例えば2か月間毎日通っていると。そして健康保険が利いていると。つまり、慢性疾患で接骨院、整骨院に通い、捻挫、挫傷という負傷名で保険請求をされているケースが大変多いということです。
第12回検討専門委員会で私は柔道整復とは何でしょう、定義は何ですかと質問したかと思いますが、その場で施術側の委員から柔道整復とはあくまで外傷に対する施術ですとお答えいただきました。もし外傷でないものに柔道整復の施術をして柔道整復療養費を請求しているとすると、大変おかしなことになるのではないかと思います。これもある意味不正請求ではないでしょうか。この実態について、まず事務局にその観点についてお尋ねしたいと思います。
○遠藤座長
事務局、お願いいたします。
○保険医療企画調査室長
柔道整復師法では、脱臼または骨折の患部に施術をする場合には、医師の同意が必要です。ただし、応急手当をする場合はこの限りではないとなっております。医師による同意がなくても、打撲、捻挫の施術に関しては行うことができるとされています。外傷性が明らかな打撲及び捻挫については、医師の同意なく施術をし、療養費の支給申請をすることは認められていますけれども、腰痛のような慢性疾患に対する施術に関しては、医師の同意の有無にかかわらず、療養費の支給はされないものと認識しております。
○遠藤座長
松本委員、いかがでしょう。
○松本委員
ありがとうございます。
あはきは施術するのに医師の同意書が必要です。柔整のほうは医師の同意書は要らない。これは柔道整復の対象が外傷に限られて、診断に迷う可能性がないというのが前提だと思いますが、しかし、現実には慢性の疾患の人がたくさん接骨院、整骨院に行っているわけですから、そうでないケースがたくさんあるのです。本来あはきで扱うべき慢性疾患や、または整形外科医の診断が必要な患者さんの多くが接骨院、整骨院に行っているのではないかと思っております。なので、あはきと同様、医師の同意を柔整にも入れたほうがいいのではないかというのが私の意見です。
以上です。
○遠藤座長
御意見として承りました。
ほかに何かございますか。よろしゅうございますか。幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
最後に一言申し上げたいと思います。今回の一連の対応につきまして、私は令和2年4月22日の検討専門委員会で申し上げました通告を撤回するものではないと思っておりますが、これに端を発して厚労省ほか関係機関に御尽力いただき、受領委任払いの課題点が一定程度整理され、本日の検討専門委員会において受領委任制度の改善案が提案されるに至ったことについては、大変感謝を申し上げたいと思っています。
医療全体の、デジタル化やオンライン請求、オンライン資格確認などが進んでいますが、療養費の受領委任払いも転換期を迎えているのではないかと考えています。厚労省におかれましては、医療保険全体の流れを視野に入れた受領委任制度の抜本的改革について、引き続き仕組みの構築に御尽力をいただきたいと思っております。
当会といたしましては、今回決定された明細書の原則義務化や不適切な患者の償還払いの実効性、あるいは令和4年6月までに示されるであろう今後の受領委任制度の仕組みについて費用対効果等を見極めた上で、今後の議論を続けていきたいと考えておりますので、最後に意見として言わせていただきました。
○遠藤座長
どうもありがとうございました。
それでは、大体御意見は出尽くしたかと思いますので、本日の委員会はこれにて終了したいと思いますけれども、次回の日程について、事務局から何かございますか。
○保険医療企画調査室長
次回の日程は未定です。決まり次第、改めて御連絡をいたします。
○遠藤座長
それでは、これをもちまして、第18回「柔道整復療養費検討専門委員会」を終了したいと思います。お忙しい中、長時間ありがとうございました。
 

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