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2018年1月17日 平成29年度 第1回 厚生科学審議会 疾病対策部会 議事録

○日時

平成30年1月17日(水) 17:00~19:00


○場所

厚生労働省専用第15会議室(12階)


○議事

○田中難病対策課長補佐 それでは定刻となりましたので、ただいまから平成29年度第1回厚生科学審議会疾病対策部会を開会いたします。委員の皆様には、お忙しい中お集まりをいただきまして誠にありがとうございます。

 はじめに新任委員の御紹介をさせていただきます。今回より臨時委員として公益社団法人日本看護協会常任理事の中板様に加わっていただいております。どうぞよろしくお願いいたします。次に、本日の委員の出欠状況ですが、上本委員、小幡委員、倉橋委員、鈴木委員、本田委員から欠席の御連絡をいただいております。また、本日は参考人といたしまして、伊藤たてお日本難病疾病団体協議会理事会参与にお越しをいただいております。どうぞよろしくお願いいたします。

 前回の疾病対策部会は、平成29118日に開催をしておりますが、以降に事務局に異動がありましたので紹介をさせていただきます。川野難病対策課長、井内移植医療対策推進室長、魚谷がん・疾病対策課長補佐です。佐々木がん・疾病対策課長は公務のため1730分ぐらいに到着する予定です。また、福田健康局長も、本日出席の予定でございましたが公務により欠席をさせていただきます。最後に難病対策課課長補佐の田中でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 開会に当り、傍聴される皆様におかれましては、傍聴時の注意事項の遵守をよろしくお願いいたします。また、カメラの撮影はここまでとさせていただきます。

 以降の議事進行につきましては、福永部会長にお願いをいたします。

○福永部会長 それでは、よろしくお願いいたします。まず資料の確認をお願いいたします。

○田中難病対策課長補佐 資料の確認をさせていただきます。まず議事次第、委員名簿、参考人名簿、本日の座席表、それ以降が本資料になっております。資料1、指定難病(平成30年度実施分)に係る検討結果について、それぞれに別添の資料13が付いております。次に参考資料1-13が付いております。続いて資料2、難病の医療提供体制について、こちらも参考資料2-12-2があります。資料3-1、臓器移植の現状と対応について、資料3-2、造血幹細胞移植の現状と対応について、資料4、リウマチ・アレルギー対策委員会の名称等の変更について()、こちらに別添のカラーの資料が1枚付いております。資料は以上です。欠落等ありましたら事務局までお申しつけください。

○福永部会長 それでは早速議事に入ります。1つ目の議事は、平成30年度に新たに追加する指定難病についての審議です。まず指定難病対策検討委員会委員長の水澤委員から御報告をお願いいたします。

○水澤委員 それでは御報告申し上げます。平成30年度に新しく追加する指定難病の検討につきましては、昨年925日から計5回にわたり、指定難病検討委員会で議論し、1226日に、その検討結果がまとまりましたので御報告させていただきます。具体的な内容につきましては事務局から御説明をお願いいたします。

○川野難病対策課長 それでは御説明いたします。お手元の資料1になりますが、資料説明の前に、まず検討の流れについて説明させていただきます。難病医療費助成制度の対象となる指定難病につきましては、難病法第5条の規定により、厚生労働大臣が厚生科学審議会の意見を聞いて指定することとされています。これに基づき、厚生科学審議会疾病対策部会の下に置かれています指定難病検討委員会で、個々の疾病が指定難病の要件を満たすかどうかについて、医学的見知から検討を行うこととされています。

 平成30年度から新たに追加することになります指定難病の検討につきましては、先ほど水澤委員長からお話がありましたとおり、指定難病検討委員会で、昨年925日に議論を開始し、1226日に検討結果を取りまとめていただきました。本日の部会では、その検討結果を御報告させていただき、その上で御審議をいただきたいと思います。

 その結果、指定難病検討委員会の検討結果について、本部会で御了承いただきましたら、厚生科学審議会運営規程第4条に基づき、審議会会長の同意を得て、本部会の議決を厚生科学審議会の議決とさせていただき、厚生科学審議会の御了承を得たものとして、今後、告示改正等、指定難病の追加に係る所要の手続を進めさせていただきたいと考えています。

 それでは、具体的な説明に移ります。資料11ページ、検討結果についてです。「2.検討の対象・方法」ですが、この度の検討では、昨年の7月末時点で、指定難病の要件に関する情報収集がなされた疾病を対象としています。具体的には、1,平成2829年度の難治性疾患政策研究事業で、指定難病の検討に資する情報が整理されたと研究班が判断し、情報提供のあった疾病、そして、2,小児慢性特定疾病のうち、同様に日本小児科学会が判断し、要望のあったもの、合わせて61疾病あります。これらを検討の対象としたということです。この61疾病について、個々の疾病ごとに、指定難病の各要件、下の※1に記載している5つの要件ですが、これを満たすかどうか検討を行うとともに、要件を満たすと考えられる疾病につきましては、その疾病の医療費助成の支給認定に係る基準、※2にあるように、その疾病と診断するための客観的な基準や、難病法に規定されている「病状の程度」である重症度の基準についても、併せて検討を行ったということです。

2ページ、「3.検討の結果」です。61疾病のうち6疾病について、指定難病の各要件を満たすと判断したということです。次の別添1の資料は、指定難病の要件を満たすと判断することが妥当とされた6つの疾病の一覧です。このうち1の特発性多中心性キャッスルマン病については、新規の指定難病として追加すること、そして、265つの疾病については、類似する既存の指定難病、この表の真ん中の欄の疾病名がそうですが、これらの疾病と統合して再整理をすることが妥当と判断したということです。右の欄の疾病名が統合後の疾病名になります。例えば、2A20ハプロ不全症のように疾病名がそのままで変わらないものもあれば、3の関節型若年性特発性関節炎のように、疾病名を変更しているものもあるということです。

 続いて、別添2の分厚い資料は、6つの疾病についての支給認定に係る基準です。簡単に1例を紹介しますと、1ページにある107番ですが、先ほどの6つの疾病の3番目、関節型若年性特発性関節炎の関係です。新しい統合後の疾病名が一番上に書いてあります。疾病の概要が3ページまであり、45ページが、既に指定難病になっている疾病である全身型の診断基準と重症度分類です。

67ページが、2)で関節型という今回追加する疾病に関する支給認定に係る基準で、6ページに診断基準、7ページに重症度分類があります。このような形で、今回対象となる全ての疾病について整理をさせていただいています。

 次に別添3の資料ですが、こちらは残りの55疾病、指定難病の要件を満たしていないと判断することが妥当とされた疾病の一覧です。5つの要件ごとに、どの疾病がその要件を満たしていないと判断されたかということを整理したものです。1点補足ですが、一番上に「発病の機構が明らかでない」という要件があり、これを満たしていないものとして疾病名を書いていますが、これにつきましては、※にあるように、がんや感染症など、他の施策体系が樹立している疾病もここに含まれていますので、念のため補足させていただきます。

 資料1に戻りまして、2ページ、「3.検討の結果」につきましては、ただいま御説明したとおりで、この度の疾病の追加につきましては、3月中に告示等の改正を行い、4月から新たに医療費助成の対象としていくことを予定しています。

 「4.今後の検討」です。今回検討の対象とならなかった疾病や検討はなされたが要件を満たしていないと判断された55疾病につきましては、今後、必要に応じて、難治性疾患政策研究事業等で研究を支援することとし、指定難病の各要件を満たすかどうか検討を行うに足る情報が得られた段階で、改めて指定難病検討委員会で議論することが適当ということです。

 その際には、既に指定難病に指定されている疾病の支給認定に係る基準等についても、医学の進歩に合わせ、必要に応じて見直しを行うことが適当ということです。事務局からの説明は以上です。

○福永部会長 指定難病検討委員会の検討結果の報告でした。次に、今日は難病患者の立場を代表する者として、日本難病疾病団体協議会理事会参与の伊藤たてお様に参考人としてお越しいただいておりますので、御発言いただければありがたいと思います。よろしくお願いいたします。

○伊藤参考人 ありがとうございます。この指定難病をどう決めるかというのはなかなか大変な作業だと思います。この委員会で様々な議論を積み重ねてこられた結果だということについては、十分感謝したいと思います。

 ちょうど先週の土曜日から日曜日にかけて、これは厚生労働省の難病患者サポート事業の助成をいただいている事業ですけれども、新しい患者会を作る、あるいは患者会のリーダーになって間もない方々の役員を対象とした患者団体リーダー養成研修会を、今年で7年目ですが、開催いたしました。その中で、例えば今要件を満たしていないと判断することが妥当とされた疾病の方々が、見渡すだけでも何団体かありまして、この指定難病に入るのではないかということで喜んで患者会を作ろうとしている、あるいは作ったという疾患も参加していたのですが、患者にとっては指定難病として指定されるかどうかというのは大きな励ましにもなると思います。

 そして医学的にはいろいろ難しいことがあるでしょうけれども、難病法というのは御存じのように、研究と医療費助成だけの対策だけではなくて、その患者さんたちが尊厳を持って地域社会で生きていくことができるような社会を目指すのだという趣旨でもあります。そういう難病対策の対象となること、あるいはそのことによって障害者福祉サービスを利用できるということを大変喜んでいるわけですが、そういう方々が苦労して患者会を立ち上げようとしている、あるいは立ち上げたという方々のことを考えますと、今の方式で本当にいいのだろうかと。医学的な面と、そうでない面とを切り分けて対象にしていく。それが患者さんたちの励ましにもなるし、あるいはそういう数の少ない患者さんたちも尊厳を持って生きていくことのできる共生社会というものに向かって活動していく、あるいは発言していくことができるようになるのではないかというようなことも考えますと、何かもっと別な方法はないのだろうかと強く感じています。ちょうど先週の土、日にお会いした方々ばかりですので、顔が思い浮かぶという気がいたします。

 しかし、医学的にあるいは科学的には正しいのだという御判断につきましては特に申し上げることはないのですけれども、難病法の理念からすると今後の見直し等に当たっては、もっと別な観点からも対象としていく、あるいは支援をしていく対象としていくというようなことなども必要なのかと強く感じた次第です。具体的にどういう方法がいいのかということについては、若干内部では検討しているのですけれども、これは後ほど時間があったらお話をする機会を頂ければと思います。現在のこの指定難病の検討の結果ということについては冒頭申し上げたように、諸先生の御尽力あるいは事務局の難病対策課の皆さんの御尽力には、十分に感謝し敬意を払いつつ、しかし、ちょっと違うものも模索する時期なのかということを感じましたので、発言をさせていただきます。

○福永部会長 どうもありがとうございました。ただいま説明のあった指定難病検討委員会の報告について、委員の皆様から何か御意見あるいは御質問がございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。当初の56疾患からすると随分増えたと思うのですが、恐らく伊藤さんのほうにはいろいろな患者団体やいろいろな所からお願いというか、要望が来るわけですよね。

○伊藤参考人 そうですね、そうして一生懸命勉強して、遠くから出てきて患者会作りを学んでいくという姿勢もあります。ただ、残念なことに専門医の先生方とのコンタクトが自分でうまくできないというか、あるいはその存在になかなか結び付かないという方々もいまして、そこが課題ではありながらも皆頑張っているという実態もあるということです。

 これから私どもがどういうことを考えていくかということにつきましては、指定難病の検討の結果に関することとはちょっと違ってきます。軽症であっても様々な社会的支援を必要とする人たちのグループあるいは今ちょっと申し上げたように、ほんの一例を申し上げましたけれども何とかこの指定難病の患者会を立ち上げようとする人たちのことも考えますと、疾患指定というよりも、これは国会の衆議院、参議院の厚生労働委員会で全会一致で承認していただいたわけですけれども、そのときの条件となっているのは5年後の見直しを目指して附帯決議が付いているわけです。この附帯決議というものが本当に尊重されるのか、されないのか。尊重されるとすれば、難病の対象というのはもっと幅広く捉えていくべきかと思います。患者会の要望としては全ての難病を対象にというスローガンを掲げているわけですが、全ての難病といっても患者さんの多い、少ないということもあるでしょうし、非常に重症であるかそうでないかということもありますし、あるいは症状の重い、軽いだけではなくて日常生活上様々な困難を抱えているかどうかや、専門医受診ができるのか、できないのかということもあると思います。それを単に疾患名で否定するという方式が本当にいいのかと思います。もっと幅広く対象として、その中で研究の対象としていく疾患あるいは日常生活支援や、地域での支援を必要とする疾患というものに分けていくなど、そういうことも今後は必要だろうと思います。いつまでもこの対象となる疾患とそうでない疾患というように分けていくと、患者さんの中でも非常に不公平感を抱いてしまう、行き場がなくなってしまうということもありますので、見直しに当たっては、今後はそういうことも視野にこの部会で御検討いただければ、患者会も一緒になって取り組むことができるのではないかと考えております。

○福永部会長 ほかにいかがでしょうか。

○山本委員 確かに今、伊藤さんが言われたことは重要で、今までの医学は診断名をつけることが重要だということが金科玉条のごとくあって、それに診断名を付けると治療法が決まると考えていました。確かに今までの医学はそうだったのですが、プレシジョン・メディスンという考え方も含めて1つの疾患の中のヘテロジェナイティ、多様性というのが最近注目されてきています。というのは、1つの診断をつけて、ある薬を投与しても、反応する方としない方がいらっしゃるわけです。それは、やはりもともとその診断名がどうかというよりも、元の病態が違っているので、そこの所をやらなければいけないと考えられつつあります。今科学が進歩しつつあるので、診断名が付かないから指定難病にならないというのではなく、全体としてのこういう病態があるというところの認識というのは、例えば指定難病には入っていないけれども関節リウマチというものの中にも明らかに違う病態が幾つかあるので、こういう指定難病に入るような病態の中でも、例えば原因が分からない小児の発熱というような自己炎症症候群などでも、実際には疾患の概念がまだないではないかと言われるような症状の方々がいて、だけれども実際に原因不明で発熱されていてというような方がおられます。そういうものも見据えて少し幅広く見ていくという方向もあっていいのかと。今すぐにどうこうというのではないのですけれども、診断名ありきで行く限界というのはやはり出てくると思いますので、この審議会としては一応そういうこともあるのだということは議論しておいたほうがいいと思います。

○福永部会長 本当に重要な視点かと思います。難病対策委員会でも疾患名ではなくて症状としてどうかというか、いろいろな議論をしたこともあったのですけれども、その辺りについては水澤委員、いかがでしょうか。

○水澤委員 今、正に委員長がおっしゃったように、一定の基準はあるわけですけれども、その基準に従いつつもこれでいいのだろうかという議論はありました。ただ、実際にどのようにやるかということを考えたときなかなか難しくて、例えば現在の疾患のくくりを外して、重症度の考えにもつながると思いますけれども、障害の度合、日常生活でも社会生活でもいいと思うのですが、そういった負担の大きさ、そういう尺度で判定するのであれば、そういう制度は今でもあるわけですけれども、そちらを充実するという考えにもなると思います。そうなるとまた、かなり困ってくる人も出てきてしまうかもしれません。これは一例ですけれども、そういったことをいろいろと議論をして、将来的にそれを専門に検討するような場で、ここかもしれないのですが、やはり議論をしたほうがいいのではないかと思っております。

○福永部会長 先ほどの課長の説明の中にも、医学の進歩に合わせて必要に応じて見直しを行うことが適当と考えるとありましたので、今後はそういう方向で考えていけたらと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。一応この件に関してはよろしいでしょうか。

○水澤委員 もう一点、いつも議論があった点ですけれども、今の医学の進歩はやはり非常に目覚しいものがあって、かつて治しにくいと、難病と言われていたものが相当治るようになってきているという現実があります。したがって、そういうことも考えていかなければいけないということです。ちょっと付け加えておきたいと思います。良い方向には来ているわけですけれども、制度としてどうするかといったときにまた難しい問題があるといったところです。

○福永部会長 最近は、いろいろな治療によって昔は難病と言われていた病気が治るようになって、軽症になった結果認定の面ではいろいろな問題も生じているかと思います。そういうことで、事務局はよろしいでしょうか。それでは、資料1の指定難病検討委員会の検討結果の報告について、本部会として了承するということで皆さん、よろしいでしょうか。

 ではそういうことで、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。それでは、本件についての本部会の了承としますので、事務局におかれましては、本議決に基づいて、指定難病の追加に係る所要の手続を進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

2つ目の議事です。難病の医療提供体制について(報告)ですが、事務局からお願いいたします。

○川野難病対策課長 資料2を御覧ください。前回の疾病対策部会、昨年1月に行われていますが、その際には、平成2810月に難病対策委員会で取りまとめていただいた難病の医療提供体制の在り方に関する報告書について、御報告させていただきました。本日は、その後の取組状況について御説明いたします。

 まず1ページです。これまでの取組の経過を記載しています。平成271月の難病法の施行、9月の基本方針の告示、そして平成2810月に、今申し上げた報告書を取りまとめていただいています。この中で、基本方針で触れられている点もありますが、目指すべき方向性として、できる限り早期に正しい診断ができる体制、そして、診断後はより身近な医療機関で適切な医療を受けることができる体制、3点目として、小児慢性特定疾病児童等の移行期医療にあたって、小児科と成人診療科が連携する体制、このような方向性が報告書の中に盛り込まれているということです。

 この報告書で取りまとめていただいた考え方に基づき、平成294月に、難病の医療提供体制をどう構築していくかという手引きを、具体的なモデルケースも含めまして、都道府県に通知をしているということです。その通知を受けて、一番下ですが、平成30年度から、都道府県で難病医療の拠点となる難病診療連携拠点病院を都道府県で指定し、この拠点病院を中心とした新たな難病医療提供体制を推進することとしており、現在、各都道府県で、それぞれの地域の実情を踏まえ、体制構築に向けた検討・調整を進めているところです。

 もう一点、平成2910月に、小児慢性特定疾病の患者に対する移行期医療支援体制の構築に係るガイドを都道府県に通知しています。これは、4月に手引きを通知した際に、別途検討して通知することとしていたものになります。このガイドの取りまとめに当たっては、難病対策委員会と、もう1つ社会保障審議会の児童部会の下に小児慢性特定疾患児への支援の在り方に関する専門委員会という小慢関係の委員会があり、この2つの委員会で初めて合同会議という形で、昨年7月から3回にわたって御議論いただきました。

2ページです。真ん中に「難病診療連携拠点病院」とあります。この拠点病院を、各都道府県で、基本的には1か所、地域の実情によっては複数指定したり、特定の専門分野について分野別の拠点病院を設けるということも考えられますが、各都道府県で指定していただくことになります。そして、拠点病院の役割について、真ん中に3点記載しています。1点目が、難病医療協力病院や一般のかかりつけ医からの診療連携などの具体的な連携調整、2点目が、難病が疑われながら診断がつかない患者などからの相談対応、3点目が、協力病院や難病相談支援センター、ハローワーク等様々な機関がありますので、そうした関係機関への研修の実施、こうした役割を拠点病院で担っていただくことを考えています。都道府県がこのような難病医療提供体制を整備するために必要な予算につきましては、平成30年度予算案で大幅に拡充して盛り込んでいるところです。

 下の方を御覧ください。基本的には、各都道府県で拠点病院を中心に対応していただくことになりますが、拠点病院でも対応できない場合も考えられますので、そうした場合の難病診療を支援するため、国としても「難病医療支援ネットワーク」を設けることとしています。その事務局については、難病情報センターを運営しています難病医学研究財団にお願いをしていますが、研究班、関係学会などからなるネットワークを構築し、そこに各都道府県の拠点病院も入って、拠点病院からの照会等に対応していくこととしています。

3ページです。ここからは、移行期医療の話になります。移行期医療につきましては、まず現状ですが、近年、小児慢性疾患の患者全体の死亡率が減少し、成人期を迎える患者が多くなってきたという中で、小児期から成人期への移行期の患者に対して、必ずしも適切な医療が提供できていないのではないかということです。そして、課題として2点記載しています。1点目が、医療体制の課題ということで、小児と成人の診療科の連携が不十分ではないかということ、2点目が患者自律(自立)支援の課題ということで、患者自身が病気への理解を深めて、医療の意思決定ができるように患者を支援していく体制が不十分ではないかということです。そこで、小児慢性特定疾病の児童が成人後も適切な医療を受けられるよう、これまでもモデル事業を実施してきましたが、その成果をもとに、先ほど申し上げたように関係の委員会で議論し、都道府県向けのガイドを取りまとめていただき、昨年10月に通知したところです。

 その具体的な対応として、移行期医療支援体制整備事業を平成30年度から実施する予定で、来年度予算案に新規事業として盛り込んでいます。個々の疾病の特性や患者の状況等を踏まえた移行期医療を充実させるため、下に簡単な図がありますが、移行期医療を総合的に支援する機能として移行期医療支援センターを設けることとしています。

 移行期医療支援センターの役割など具体的なイメージについては、4ページを御覧いただきたいと思います。右上に箱がありますが、役割としては、成人期の小児慢性疾患の患者に対応可能な診療科・医療機関の情報を把握・公表していくということ、そして小児期と成人期の診療科・医療機関がしっかり連携して対応するよう連絡調整・連携支援を行っていくということ。具体的な取組内容としては、こうした連絡体制の整備や相談受付体制の整備、関係機関と連携しながら患者や家族からの相談に対応していくということ。そして、実際の医療の提供は、小児期と成人期の診療科・医療機関で連携して対応していく。こうした体制を構築していくことが必要ではないかということです。

 最後のページです。これは、日本小児科学会でまとめられた資料です。移行期医療支援の形につきましては一概にこうした形と決めるようなものではなく、そこに3つのパターンが示されていますが、1つ目として完全に成人診療科に移行する場合、2点目として小児科と成人診療科の両方で連携して対応していく場合、3点目として小児の診療科で継続して受診をしながらも、より患者の自律性を尊重した医療を提供していく場合など、様々な対応が考えられるということです。こうした対応については、診療科によっても異なりますし、都道府県の実情によっても異なると思いますが、地域の実情に応じて様々な関係者が連携していく体制を構築しながら、具体的には、個別の事例ごとに個々の患者の症状や置かれた状況に応じて、その方にふさわしい医療が選択されることが望ましいと考えています。

 最後になりますが、先ほど都道府県向けのガイドを都道府県宛てに通知をしたと御説明いたしましたけれども、その他にも医療従事者向けのガイド、共通のコアガイドと疾患別ガイドがありますが、これらについても小児科学会を中心に作成していただいているところです。出来上がり次第、移行期医療支援の情報共有サイトがありますので、そこに掲載していく予定です。説明は以上です。

○福永部会長 ただいまの報告について、何か御質問はございますか。

○五十嵐委員 大変細かいことでお願いなのですが、1ページの目指すべき方向性の3.の所に小児科と成人診療科が連携する体制と書いてありますけれども、5ページにあるように小児診療科としていただいたほうがより正確ではないかと思いますので、もし可能でしたら修正していただきたいと思います。

○福永部会長 よろしいでしょうか。ほかにいかがでしょうか。難病医療の提供体制や移行期医療については、この難病対策委員会でも議論してきた部分ですけれども、何か御質問等はございますか。

○大澤副部会長 以前にもちょっとお願いしたことですけれども、5ページに移行期医療の概念図というのがあります。実際に2番目の小児診療科と成人診療科が合同で患者さんを拝見していく場合が一番自然かなと思いますが、例えば大学病院などの小児科病棟に成人年齢の患者さんが多く入院している場合には、保険診療の医療費の点で、小児科に経済的負担がかかるシステムになっています。差額ベッド代というか、15歳以下の患者さんが100%入院していらっしゃる場合には、今は差額ベッド代みたいなものを取らなくてもいいように手当がされているのですけれども、成人の患者さんの入院率が高くなっていくと、小児病棟とみなされず加算されないので、今後そういう面でもご配慮いただければと思います。

○福永部会長 御検討をお願いいたします。ほかにいかがでしょうか。ないようですので、一応この件については終わりといたします。どうもありがとうございました。

3つ目の議事です。移植医療の現状と対応についてということで、事務局から報告をお願いいたします。

○井内移植医療対策推進室長 それでは、資料3-1、資料3-2に従って臓器移植の現状と対応について、及び造血幹細胞移植の現状と対応についてを御説明させていただきます。

 本疾病対策部会の下に、「臓器移植委員会」「造血幹細胞移植委員会」とありますので、その中で議論をして、今、現状がどうなっているのか、また、最近決まったトピックス等を御報告させていただきたいと思っております。本日、御意見を承りましたら、また、各委員会に持ち帰りまして、そこでの議論につなげさせていただきたいと思っております。それでは、資料3-1の臓器移植の現状と対応についてを御説明させていただきます。

 次ページに移ります。脳死下での臓器提供者数の推移です。経年のグラフですが、平成2912月で終わったところで76例で、脳死に関しては右肩上がりということです。赤は本人の意思表示、ブルーは家族の意思表示で、家族承諾による臓器提供、小児の場合は必ずですので、緑のほうが小児ということです。

3ページ、心停止下と脳死下での状況です。心停止下が35、脳死下が76です。法律が変わりまして、脳死下での提供の範囲が増えたときに、タイミングを同時にしまして、心停止下が低下しており、その傾向は止まりませんが、脳死下での提供というのが右肩上がりで伸びてきております。総数としては、一番多かったときにつながっているというものです。今後、これについては、更に右肩上がりになるのではないかという予測がされています。

4ページ以降です。今後の臓器移植に関する取組を御説明させていただきます。

5ページ、「国民の理解をより深めるために」、普及啓発ということですが、我々の基本的なスタンスとしては、この20年間で、一定程度の普及は進んだと。これからは、我が事として認識していただくような取組を考えております。

 下にこれまでの取組、最近の取組とありますが、今後は学校での啓発というのに力を入れていきたいと考えております。

6ページ、院内体制整備支援事業です。現在、先ほどの普及・啓発と併せて、病院内での、院内の体制の整備ということを図っているものです。この提供施設ですが、脳死の判定等、大変なことが多いので、そういったところのシミュレーションといったことをやっていただいているものです。過去の実積として、一番下にありますが、171617ということで、昨今、この事業に手を挙げていただいている病院も増えまして、全国各地でやられているというものです。

7ページ、院内体制整備事業を現在やっている85病院の分布があります。

8ページ、提供・移植施設における課題への対応です。臓器提供、今、脳死については右肩上がりということで、ドナーの強い希望がかなり出てきています。諸外国と比べると、まだまだ少ないですが、右肩上がりになっていくだろうという予測をしております。ドナー側とレシピエント側、臓器提供には臓器を提供するドナーを見ている病院と、移植を行う、移植を実施する施設の2種類があります。左側がドナー側を見る施設、これに関しては、救急学会、臨床救急学会、集中治療学会、脳神経外科学会などが中心になっております。移植の右側のほうは、移植学会が中心であります。このそれぞれの学会を中心に、今後、臓器提供が増えていくという中で、どういった対応していくべきかという検討をしているものです。

9ページ、提供施設における課題と対応です。現在、先ほどの4学会が中心に研究班のほうでやっていただいている内容です。1つ目、課題1として、選択肢提示による主治医の負担です。提供病院のほうは、選択肢を提示するという主治医の負担が大きいと聞いております。ここをいかに和らげるかということで、検討していただいております。今は、終末期、急に悪くなり終末期を向かえるようになった方へ、コーディネーターを配置してはどうかという案を出していただいています。

 課題2は、患者搬送からお見送り、最後のところまで、臓器提供が進むところまでの一連を示した教科書がない。国のほうは、脳死判定等については出しておりますが、この病院で全体として、どう取り組むのかというようなものがないということで、これについては、今、救急医学会を中心に、、ドナーを見たことがない病院でも取り組みやすいように一連の教科書を作って頂いています。そういった取り組みをしていただいております。

 課題3は、現在、国において、脳死が正しく行われたか、また救急医療が適切に行われているか等を検証するということで、全て、全症例を検証しておりますが、この検証会議の資料作成というのが、かなり負荷になっている。今後、臓器提供が増えてくるという前提に立ちますと、こういった負荷を軽減させる必要があるということで、しっかりと検証ができるのですが、簡便に、円滑にできるような方法というのを検討していただいています。

10ページ、移植施設における課題と対応です。先ほどは、ドナー側の病院ですが、今度はレシピエント側、臓器の提供を受ける側の病院の問題です。まず、右上のほうにある課題1で移動による負担で、現在、移植医が大体、ドナーが出ると、そのドナーがいる病院に全国から各臓器ごとに、23人ずつ出ますので、1213人集まるという対応でやっております。これも、今後、臓器提供数が5倍、10倍と増えたときに、この体制では、もう到底やっていけないということで、どのような対応策があるか。ここに書いてありますように、互助体制というようなものも含めて検討していただいております。

 課題2、真ん中の所ですが、物品搬送ということで、それぞれ摘出医の先生が、全て自分で手術に使う物は自前で持って行くという体制で、今、やっております。これについても、物品の統一化等をやって、その辺を簡便にできるような体制というのを考えていくというものです。

 右下課題3ですが、これは、移植実施施設内での検討になりますが、移植数が増加する、実際、移植実施施設のキャパの問題があります。キャパをどうするかというような問題、いかに病院を確保していくか。また、現在、スクランブルで大体臓器移植が行われていますので、通常のルーチン業務の上に乗ってくるという形になっております。こういったことを回避するためには、一定程度集約化を行った上で、その集約化された病院では、ルーチン業務を減らしても、病院の運営が成り立つというような形を目指すべきだという御意見もありますので、そういった検討もしていただいております。

 あと、院内体制の連携体制構築ということで、現在、移植の患者さんについては、おおむね移植医が徹頭徹尾見ているという形ですが、集中治療の先生方等と、いかに連携していくかを課題として上げています。この辺りを移植学会を中心に研究班のほうで検討しています。

11ページからは、最近の施策の進捗状況です。まず、12ページは、レシピエント選択基準の改正を行っております。これは3つとも、結局、小児がドナーになられたときに、特に腎臓などでは、高齢者の方にその腎臓が行ってしまうということについて、国民としては納得できないという声が出まして、子供がドナーになった場合は、子供のレシピエントに優先して行くというルールづくりというものです。心臓については、平成271215日より運用。腎臓は、決定は去年に行っておりますが、実際、ここの選択基準については、今、システムを改修しております。3月ぐらいをめどに進めたいと考えております。肝臓については、この腎臓ができてからシステムの改修に入ります。

13ページ、小児からの臓器提供に関する作業班についてです。小児の臓器提供が出てきておりますので、いろいろな検討を行っております。1回目の会合で出た論点を、ここに幾つかまとめさせていただいております。普及・啓発をどうしていくか、あと、臓器提供施設の体制整備をどう進めていくか。この中でも、14ページの真ん中辺りにありますが、虐待への対応というのが、小児については特有でありますので、こういったことを、うまくやったところはどのようにしているのかというようなことを、きちんと見える化するということが必要ではないかということです。3.は、次回の作業班の議論内容とありますが、これは8月にやっております。中学校の先生や、実際に小児科で臓器提供に関わっていただいた先生等に、現状をお話いただいたということで、今後、幾つかの論点をどのように解決していくかということで進めてまいりたいと思っております。

15ページからは、日本臓器移植ネットワークにおけるシステム改修についてです。昨年126日に、心臓のあっせん誤りを臓器移植ネットワークが行ったというもので、そこをよくしていくためにということで、様々な手を打っているということです。実際このときに出たのが、やはりシステムの運用がなかなか難しいということで、システムの運用をどのようにするかということを中心に、この臓器移植委員会の中で検討をいただいたということです。

JOTのほうでは、そのシステムの担当になるCIOを配置して、PMOという組織もつくりまして、実際、対応しているというものです。

17ページ、厚生労働省における対応についてです。システム改修に関する情報システム作業班を設置して、臓器移植委員会の下に、システム改修に関する専門家に集まっていただきまして、こういったあっせん誤りを起こすようなプログラム変更しないために、しっかりと見ていただくということを進めております。

18ページは、レシピエント選択基準改正の手順です。今までは、学会からレシピエント選択基準の改正の希望があったら、随時受けて、その改正をしていたのですが、これから全てシステム改修が伴いますので、年に1度ということで、タイミングを決めさせていただいて、それに向かってしっかりとシステムを改修する。そうすることで、今後、システムが、またプログラムミスが起きないような体制をつくっていくというものです。以上が、資料3-1、臓器移植の現状と対応です。

 続いて、資料3-2、造血幹細胞移植の現状と対応についてです。移植に用いる造血幹細胞の適切な提供に関する法律が、平成2611日より、全面施行がされました。法律の目的は、造血幹細胞移植の円滑かつ適正な実施に資するということで、法律の主な内容は、ここにあるとおりです。

3ページ、造血幹細胞移植の現在の体制ですが、真ん中の下に医療機関があります。ここで骨髄採取・移植をやっております。真ん中の上に日本赤十字社とあり、ここにデータが全てはまっているというものです。左側に骨髄バンク、右側にさい帯血バンクということで、この医療機関は、骨髄移植が必要だと思う場合は日本骨髄バンクに、さい帯血バンクが必要な場合は、さい帯血バンクに提供の申し込みをする。骨髄の場合は、コーディネートの開始を依頼するという形で動いております。

4ページ、造血幹細胞移植実積の推移です。総数が折れ線グラフになります。非血縁の骨髄移植と、臍帯血移植ですが、これについては、平成24年以降、大体2,500ぐらいになっています。直近の大きな変化は平成27年ですが、骨髄移植と臍帯血移植の数は、下の棒グラフですが、平成27年から臍帯血移植のほうが骨髄移植よりも多くなりました。ここについては、我々としては、医療現場が望むものを提供できる体制をつくるということで、どちらかに集約するとか、どちらがいいということは今のところ、予定はしておりません。

5ページ、これまでの主な取組です。法律が施行されて、どのようなことをしているかという御紹介です。まず、6ページは、国民の理解の増進ということで、普及・啓発を頑張ってやっております。7ページは、骨髄バンク、ドナー登録のしおり「チャンス」で、これが一番定型的な、昔からやっているもので、これを使って普及啓発を進めております。

8ページ、移植に用いる造血幹細胞に関する情報の一体的な提供で、真ん中にありますが、「日本造血細胞移植データセンター」というものがあります。各移植施設、骨髄バンク、臍帯血供給事業者からここにデータが入るということですが、これを今回の法律で、しっかりと位置付けたということで、ここにデータをしっかり集まるようにしたということです。関係学会、医療機関、患者団体等、国民へ向かっての情報の発信を行っています。

9ページ、造血幹細胞に用いる情報の一体的な提供ということで、先ほど、医療機関が臍帯血が必要なときは臍帯血バンク、骨髄バンクのときは骨髄バンクと言いましたが、今の手続上の問題で、このシステムがばらばらだったというのがありまして、臍帯血のほうについては、医療機関がHLAのタイプを合わせて患者さんを選びますと、ポチッと押すだけで臍帯血が届けられるということですが、骨髄バンクのほうは、少しシステムが違っていたので、日本赤十字社のほうでデータから患者さんを探して、その患者さんを紙に書き取って、FAXでお願いするという形になって、非常に非効率であるということで、これが一連でできるように仕組みを変えているというものです。口で言うのは簡単ですが、システムを直すのはかなり難しいということで、5カ年計画で進めております。

10ページ、造血幹細胞移植法ができまして、推進拠点病院というのが始まりました。真ん中に推進拠点病院がありますが、各ブロックとして8ブロック、関東だけ2施設で、合わせて9施設で、人材育成、コーディネート支援事業、地域連携事業、拠点病院の連絡会議等をやって、人材育成等やっていただいています。

11ページ、これがブロックにある各拠点病院、9か所ということです。

12ページ、造血細胞移植患者手帳について、骨髄移植、臍帯血移植を受けられた患者さんが、その後、実際、社会に復帰された。生活される数も、期間も多く、長くなってきたということで、地域の病院等とも連携をして、しっかりその患者さんをサポートするということで手帳を作りまして、先ほどの拠点病院が中心となって、こういった手帳を作って、今、運用しております。

13ページからが、最近の対応です。14ページは、開始ドナー増加トライアルで、先ほどの骨髄バンクのほうで、今やっているところです。14ページを見ていただくと、骨髄移植の場合は、ドナーに、声を掛けて、ドナー登録されている方に声を掛けて、了承を頂いて、その方と日程を合わせて、骨髄を採取して移植するということで、結構日にちがかかります。2001年はそれが201日かかっていたのが、2015年には、147日ということですが、ちょっと伸び悩んでいるというのが現状です。

 そういった中で、今、始めたというのが、16ページ、現在のドナーの選定は、最初に声を掛けた5人スタートというルールでやっています。1人がやらないと言うと、1人追加するという形でやっていますが、今回、トライアルでやったのが、10人ということで、最初に10人に声を掛けてスタートするということを始めたというものです。

17ページ、先ほどの149の一部ですが、患者登録からドナー選定までの中央値です。トライアルが通常であれば50日かかるのが、39日となり短くなったということで、次の4月から本格運用をしようと進めています。

18ページからは、臍帯血移植関係です。19ページ、研究目的の臍帯血の利用提供基準というのができました。

20ページ、臍帯血バンク、今までは、基本的には臍帯血移植に用いるということで、研究利用というのをどのようにするかということ。iPS細胞のシーズとして非常に優秀だということもありまして、それをどうするかということです。実用化、商業化されるものに提供するということは、先ほどの法律に基づいて提供できないということですが、医療機関、研究機関がやるという場合にはできるということで、ルールを定めたというものです。こういった中で、今、臍帯血の提供時に、そういった患者さんへの説明と、同意も頂くようになったということです。

21ページ、公的臍帯血バンクと、プライベートバンクについてです。プライベートバンクから臍帯血の流出が、去年の夏ぐらいにかなり新聞に出たかと思いますが、その御説明をさせていただきます。

 その前段として、公的バンク、造血幹細胞移植法の中でやっている公的バンクというのが、ブルーの所です。患者さんは、臍帯血を患者さんに提供するという前提で寄付をします。真ん中の公的バンクで、調整、凍結保存をしておくということで、提供者は寄付をするというだけで何のメリットもないと。それを公的バンクでしっかり預かっておいて、右側の移植施設で、要るときに渡すというのが公的バンクの仕組みです。

 今回、話題になっているプライベートバンクというのは、臍帯血をバンキングするというのは同じなのですが、依頼者の方が、自分の子供が将来病気になったときに、臍帯血を再生医療等に使いたいという目的で、プライベートバンクに預けるものなので、プライベートバンクはそれを預かっていて、御本人のみ必要なときに返すというスキームです。ですので、上のほうは、当然、公的バンクの運営費用は国であったり、移植医療機関、患者さんのお金で成り立っていますが、プライベートバンクについては、依頼者のお金で成り立っているものです。

22ページ、今回、臍帯血の流出があったのは、プライベートバンクのほうです。法律で見ていないほうですが、プライベートバンクが破綻して、保管臍帯血が、臍帯血販売事業者、仲介業者を通じて、12のクリニックに移りまして、再生医療法違反ということになりました。

23ページ、こういった問題を受けまして、我々のほうでも実態調査を進め、現在、このような対応をしておりますというのが、最後のページの右上です。現在、今まで民間プライベートバンクは、特に何の法的な規制もないし、我々のほうとも無関係であったのですが、今回は業務内容に対する届出を求め、それをホームページで開示するということで、国民に見える化をするということ。あと、望ましい契約書を提示するということで、預けたお母さんの意図に反して流出しないような契約書を提示し、そのように直していただくということ。あと、再生医療のほうでも、しっかりとこういった情報を使うということ。あと、先ほどの公的バンクと、プライベートバンクの違いが、お母さんにはなかなか分からないので、そこを、しっかり説明するということ。

最後は、造血幹細胞移植委員会と、再生医療部会との合同で継続的に検証し、対策を検討していただいているというものです。臓器移植と造血幹細胞移植の現状と対応についての御報告は以上です。

○福永部会長 何か御質問はありますでしょうか。

○鶴田委員 先に失礼しますので、確認と意見を述べたいと思います。資料3-17ページに、静岡県の医療機関が9つぐらい上がっているので、何でこんなに他県に比べて多いのかと県職員に質問しました。

1つは、これは都道府県が全く関与しない補助制度であるという理解でよろしいですか。何で静岡県だけ多いのかと聞いたら、やはり、腎臓バンクのコーディネーターが非常に丁寧に説明して、熱心にやっているからだということだったので、やはりこういう事業は人だと思います。誰がこういうことを担当するかによって成果が違います。

 もう1点は、私が言ったように、本県は腎臓の移植コーディネーターなのですが、ほかのコーディネーターもあり、別々に活動するのですか。

○井内移植医療対策推進室長 基本的には、臓器移植ネットワークのコーディネーターは全て統一ですが、ただ、過去の経緯から、腎臓移植から始まっておりますので、そういったところからは腎臓を中心にやっている。例えば、アイバンクだけをやっているとか、そういう方もおられます。

○鶴田委員 第2点ですが、同じ資料の5ページ、これまでの取組と今後の取組について書いてありますが、提案としては、やはり若い人のこういう病気とか、移植に対する知識がないとか、熱意がないというのは、輸血関係も言われています。高校とかを含めて。従って、輸血関係の若い人への取組で、効果的なのは何なのかということを調べてもらって、それがこの臓器移植に適用できるかどうかということも、取組まれてもどうかなと思います。以上です。

○福永部会長 ありがとうございます。よろしくお願いします。よろしいでしょうか。

○井内移植医療対策推進室長 静岡県が多いのは、先ほどお話いただいたように、熱心な病院が多いということだと我々は理解しております。これ、都道府県を経由していたときには、実は1617ぐらいしか応募がなくて、直接募集をかけると、85まで上がったということですので、これは県を通さずにやっている事業です。

 あと、御提案いただいた若い人へのということで、実は今日、お話させていただきませんでしたが、造血幹細胞移植のほうも、骨髄ドナーの獲得という面でも、若い人をたくさん集めなければいけないというような問題もありますので、そこではかなり、日本赤十字社と連携して、いろいろ作戦を練っているということですので、本日頂いた御意見を踏まえて、また今後とも検討させていただきたいと思っております。

○山本委員 余り大きな問題ではないのですが、この部会で今まで移植のことは余り出てこないので、ある意味で第三者的に見させていただいて、ちょっと気になったので、お話させていただきたい。この中に言葉として「あっせん」という言葉が出てきていて、それをいろいろなところで使っているのです、恐らくこのフィールドの方たちはずっと使っていたのだと思います。だけれども、移植というのは、ある意味でいうととても厳粛なもので、ある方が亡くなったときの臓器を、ある方に差し上げるということで、いろいろな方たちの、いろいろな思惑というか、心も含めて入っているわけです。それを「あっせん」という言葉を使うのが適切かどうかというのは非常に慎重に考えなくてはいけないと考えます。よくよく見てみると、「コーディネート」という言葉も使われていて、移植コーディネーター、それと一緒ですよね、ほとんど。コーディネートというのは、別に日本語にすると、あっせんではないわけです。「調整」なわけです。

 だから、こういう言葉というのは、時として、その領域はずっと昔から使っているのだから、そうだっていうのは、それはいいのだけれども、こう見てみると、「あっせん業者」という言葉も出てくるし、あっせん業者というと、本当に商売との関係のような言葉になってくるし、先ほどの流出問題ということも含めて、もう少し厳粛な言葉を使っていただくといいのではないかという気はします。それはもう、議論した後のことであればそれはいいのですけれども、もし、今までの慣用で使っているのだったら、ちょっと考え直していただくといいかなと考えます。

 こういうことは、以前、この会議で、小児から成人に移行するときの問題点は、昔は「キャリーオーバー」と言われていたのです。キャリーオーバーというと「残り物」という意味もあり、いかにもお子さんに対して失礼だろうということで、「トランジション」になったのです。そういうテクニカルタームはずっと使っていると、慣用でそのまま使うのですけれども、やはり、そうではないだろうという意見もあるので、移植のこれだけ頑張っているフィールドで、あっせんという言葉が出てきたときに、ちょっとドキッとしたので、検討だけしていただければと思います。よろしくお願いします。

○福永部会長 本当に重要な視点だと思います。何かあっせんというと、非常に軽いですよね。これは検討していただければ有り難いと思います。

○井内移植医療対策推進室長 法律にも使われている用語で、なかなか変えていくというのは難しいです。

○山本委員 法律書いてあるから、だからこそ重要だと思っているのです。

○井内移植医療対策推進室長 本日頂いた御指摘は、実際、初めての視点で、実際、移植医療の業界のお話しかないですが、指摘されたことはありません。

 

○井内移植医療対策推進室長 こういった御意見もあるということを踏まえて、また今後、どういったことをできるか考えさせていただきます。

○福永部会長 どうもありがとうございます。それでは、次の議題ですが、「リウマチ・アレルギー対策委員会の名称等の変更について()」です。事務局から説明をお願いします。

○佐々木がん・疾病対策課長 資料4に基づいて御提案いたします。1つ目が、「内容」、2つ目は「理由」、3つ目は、「背景」を御説明させていただきます。資料4と、別添があります。まず、別添を御覧ください。

1つ目、提案内容です。現在、疾病対策部会には6つの委員会が設置されております。その中の「リウマチ・アレルギー対策委員会」を「リウマチ等対策委員会」という形にさせていただけないか。それに関連して、アレルギーに関する事項については、他の組織での検討とさせていただけないか、これが提案内容です。

 提案理由です。資料4です。端的に申し上げると、平成266月、3年ほど前に成立したアレルギー疾患対策基本法というのがあります。この法律が、翌年、平成27年に法律として効力を有する施行、そして、昨年3月には、基本指針がまとまったという状況にあります。このように法律に基づいての協議会が設置され、従前、この疾病対策部会の中の委員会で議論いただいたような事項を、こちらで審議いただくということに法律上の整理がなっていたことから、この際に整理をさせていただきたいというのが、2つ目の理由です。

3点目、もう少し背景を申し上げます。アレルギー疾患対策基本法の内容ですが、資料4の真ん中ほどにある「アレルギー疾患対策推進協議会」という所を議論する場所として、そしてそこで検討された内容については、このペーパーにはありませんが、基本指針というものをつくります。

 ほかにどういう内容が盛り込まれている法律かというと、医療についても、例えば、国の中核となる病院を国立成育医療研究センターと、もう1院を設置するとか、かなり広汎にカバーされている法律です。こうしたことから、冒頭に提案申し上げた「リウマチ・アレルギー対策委員会」を「リウマチ等対策委員会」とし、それでアレルギーに関する審議については、法律に基づく「アレルギー疾患対策推進協議会」に移させていただきたいというものでございます。以上です。

○福永部会長 それでは、委員の皆様方から何か御意見、御質問等はありますか。いかがでしょうか。そうしたら、「リウマチ・アレルギー対策委員会」からアレルギーが抜けたわけですね。

○佐々木がん・疾病対策課長 そうです。

○福永部会長 リウマチの所に「等」という言葉が入ったわけですね。

○佐々木がん・疾病対策課長 はい。

○福永部会長 いかがでしょうか。よろしいですか。

 特に御意見がなければ、名称等の変更については、委員の皆様方に了解を頂いたということで、よろしいでしょうか。

○佐々木がん・疾病対策課長 ありがとうございます。また、これまでアレルギーについて、様々御審議いただいたことも合わせて、お礼を申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。

○福永部会長 ありがとうございます。それでは、本日のこの部会の意見を踏まえて、事務局は必要な手続を進めていただきたいと思います。

 次に、議題5、その他ですが、何かありますでしょうか。特にないようですので、今後の予定について、事務局から説明をお願いします。

○田中難病対策課長補佐 委員の皆様方、本日は、どうもありがとうございました。次回の疾病対策部会の日程については、追って御連絡させていただきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

○福永部会長 それでは、川野課長から、最後に一言御挨拶を頂ければ有り難いと思います。よろしくお願いいたします。

○川野難病対策課長 委員の皆様、そして伊藤参考人には、本日は、遅い時間にもかかわらず、御出席いただき、また、貴重な御意見をいただき、ありがとうございました。

 指定難病の追加に係る検討については、先ほども御説明しましたとおり、昨年9月から、指定難病検討委員会で61疾病について精力的に御議論いただき、委員会での検討結果を踏まえた疾病の追加につきまして、本日、御意見をお聞きする場を設けさせていただいたところ、この度の疾病追加にとどまらない幅広い御意見をいただき、ありがとうございました。まずは、指定難病に新たに追加する6疾病について、平成30年度から医療費助成が開始できるよう、事務局として準備を進めてまいりたいと思います。

 また、難病の医療提供体制について難病対策委員会で御議論いただいた内容、そして、移植医療の現状と対応についても、本日、報告させていただき、最後の「リウマチ・アレルギー対策委員会」の名称の変更についても御審議いただいたところでございます。

 本日いただきました御意見も踏まえ、患者の皆様に対する良質で、適切な医療の確保、そして、患者の皆様の療養生活の質の維持・向上など、疾病対策を総合的に推進するため、全力を尽して取り組んでいきたいと考えております。

 最後に改めて、委員の皆様、そして、伊藤参考人にお礼を申し上げまして、挨拶とさせていただきたいと思います。本日は、どうもありがとうございました。

○福永部会長 それでは、本日の疾病対策部会は、これにて閉会としたいと思います。御出席の委員の方々、どうもありがとうございました。


(了)

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