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2017年11月15日 第3回 厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会 議事録

医薬・生活衛生局

○日時

平成29年11月15日(水)10:00~12:00


○場所

厚生労働省共用第6会議室


○議題

(1)薬局、医薬品販売に関する課題
(2)医薬品等審査に関する課題
(3)医薬品関係事業者の事業活動・ガバナンス等に関する課題
(4)その他

○議事

○屋敷総務課長 傍聴の皆様にお知らせいたします。傍聴に当たっては、既に御案内の注意事項をお守りくださるようお願いいたします。それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第3回厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会を開催します。委員の皆様方におかれましては、御多忙の折、お集まりいただき御礼申し上げます。本日は現時点で19名中17名の御出席を頂いております。花井委員及び本田委員については、少し遅れるという御連絡を頂いております。なお、本日は赤池委員及び三村委員からは御欠席の御連絡を頂いております。

 続いて、第2回の部会以降に事務局の人事異動がありましたので、御紹介させていただきます。初めに、医薬・生活衛生局長の宮本です。

○宮本医薬・生活衛生局長 この7月の異動で医薬・生活衛生局長を拝命いたしました宮本です。どうぞよろしくお願いいたします。

○屋敷総務課長 次に、医療機器審査管理課長の中井です。

○中井医療機器審査管理課長 中井です。どうぞよろしくお願いいたします。

○屋敷総務課長 次に、監視指導・麻薬対策課長の磯部です。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 磯部でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○屋敷総務課長 次に、大臣官房企画官の吉屋です。

○吉屋企画官 よろしくお願いいたします。

○屋敷総務課長 また、本日、遅れての参加ですが、医薬品審査管理課長に山本が着任しております。最後に、私は総務課長の屋敷です。よろしくお願いいたします。

 議事に入る前に、本日の配布資料の確認をいたします。議事次第、資料1は健康サポートの関係、資料2は医薬品条件付き早期承認制度の関係、資料33-13-2があり、医薬品販売に関する情報提供の適正化の関連、資料4は医薬品偽造流通防止の関係、資料5はオンジ製剤の広告の関係、参考資料1は委員名簿、参考資料2は健康サポート薬局の関係、参考資料3は条件付き早期承認制度の関係、参考資料44-14-4まであり、情報提供の関係、参考資料5-15-2は偽造品流通防止の関係、参考資料6GPSP省令の関係、参考資料77-17-2があり、医薬関係者による副作用報告の推進の取組の関係、参考資料8-18-2はスマートドラッグの関係、参考資料9は、その原薬メーカーの不正製造事案の関係、参考資料10は各種閣議決定の関係です。資料の不足等がありましたら、お申出ください。

 それでは、間もなく議事に入りますので、冒頭のカメラ撮影等はここまでとさせていただきます。以後の進行は、森田部会長からよろしくお願いいたします。

○森田部会長 皆様、おはようございます。お久しぶりでございます。それでは、早速ですが、議題1「薬局、医薬品販売に関する課題」について、御議論いただきたいと思います。まず、初めに事務局から資料の説明をお願いします。

○紀平医薬情報室長 資料1「健康サポート薬局の現状について」です。2ページです。健康サポート薬局は、昨年10月から届出を開始しているものです。かかり付け薬剤師・薬局の基本的な機能を有した上で、地域住民による主体的な健康の維持・増進を積極的に支援する薬局ということで、基準を設けて、その基準に合った薬局について届出を受けているというものです。

 そちらの現状については、3ページに示しております。まず、薬剤師としては、健康の保持増進に関する相談などについて、適切に行うための研修を修了していることを要件にしております。その研修の内容や実施要領等について、第三者機関として、現在、日本薬学会が行っておりますが、こちらが研修内容を確認した機関で実施している研修を対象としているというものです。左側にあるとおり、これまでに6機関が研修実施機関として確認を受けているというもので、これまでに4,000人を超える薬剤師が、この研修を修了しているという状況です。健康サポート薬局の届出状況については、右側のグラフにお示ししております。この10月末現在で567件の届出を受けております。これまで毎月このような状況で届出が増えてきているというものです。

4ページです。健康サポート薬局の取組について紹介しております。これは幾つかの薬局で行われているものをまとめてお示ししております。地域住民に対する「出前講座」「健康フェア」「健康通信」の発行等が行われているというものです。また、右側に受診勧奨により早期治療につながった事例ということで、塗り薬を求めて薬局を訪れた方に対して、症状を伺った結果、受診勧奨を行ったというものです。

5ページです。「健康サポート薬局に係る現状(マル3)」です。これまで基準の適合性等について、届出を受け付ける際に各自治体で確認をしているのですが、その内容について、明示するためのQ&Aを、この4月に出しております。主なものをこちらに例示しておりますが、例えば、1つ目の項目として、健康保持増進などの各種事業に積極的に参加することという要件があります。「積極的」な参加という解釈について、単に薬剤師が聴講したり、健康の保持増進に係るイベントに参加するというだけではなくて、主体的に講演を実施したり、イベントを企画・提供することを想定しているというQ&Aを出しております。

 その後ろの資料としては、参考として、この10月現在の届出の状況について、各都道府県別、次の紙に政令市、保健所設置市別の届出数をお示ししております。以上です。

○森田部会長 それでは、ただいまの説明について、御意見、御質問等をお願いいたします。

○山口委員 健康サポート薬局を作るときの検討会に参加していたので、その後のことが非常に気になっています。今の御説明の中で、4ページに現状というお話がありました。今、健康サポート薬局として認可を得ている所は、どちらかというと、これまで一生懸命手掛けてきた所ではないかという気がしております。

 私は、なかなか前向きになっていかない薬局を、いかに健康サポート薬局が支援していくのかということも大事だと思います。いろいろな取組が出てきている中で、地域のほかの薬局に対して、もっと前向きになるという働き掛けをしているという事例が上がってきているのかどうかを1つお聞きしたいです。それから、各都道府県、ゼロ県がなくなったということですが、もし、チェーン薬局と個別の薬局の数の違いが分かれば教えていただきたいと思います。

○紀平医薬情報室長 まず、最初の御質問についてですが、地域の他の薬局に対しての働き掛けがどれぐらいかということを御質問いただいたかと思います。例えば、もともと、地区の薬剤師会の中で中心的にいろいろなことをされてきた薬局が、健康サポート薬局として届出いただいているような事例もありますので、そういうところでは、地域の中で他の薬局とも一緒にという取組も進められているかと思います。

 そのほかにも、この要件を見て、それに合わせて、これから届出を始めようということで届け出られているような所もあると思いますので、そういう所については、地域の中でというところを、より積極的に行っていただくように、今、いろいろなお話をさせていただいたところです。

 もう1点の、今、届けていただいている健康サポート薬局のチェーンと個人の別については、特に集計をしておりませんので具体的な数はありません。チェーン薬局をどこまで取るのかということもあるのですが、印象としては、幾つかの自治体にお聞きしたところ、それぞれ、大体同じ数ぐらいのところが出てきているのではないかという印象があるようです。

 例えば、個人薬局では、これまでいろいろな取組をされている薬局が、そのままこの要件に合うような形にして届けられているということもあるかと思います。チェーン薬局では、むしろ、この要件を見てそれに合う取組を準備して、そのチェーンの中で、できた所から出されているという印象を受けているということかと思います。

○中川委員 今の山口委員の質問にも少しかぶるのですが、2ページの「地域の薬局への情報発信、取組支援も実施」となっております。これは、薬局が情報発信して取組を支援するという意味ですか。先ほどの説明で薬剤師会が積極的に発信するとおっしゃいましたが、薬剤師会は健康サポート薬局の仕組みの中に入っていますか。

○紀平医薬情報室長 特に、要件として入っておりません。

○中川委員 突然、薬剤師会という言葉が出てきたのですが、この仕組みを作ったときに薬剤師会の関与はほとんどなかったはずです。

○紀平医薬情報室長 特に、薬剤師会に入っていることを要件とはしていないです。

○中川委員 ですから、薬剤師会が積極的に健康サポート薬局になりましょうということは言っていないはずです。

○紀平医薬情報室長 はい。

○中川委員 なので、先ほどの説明と違います。

○紀平医薬情報室長 もう一度、先ほどのお話を改めて説明いたします。

○中川委員 いいえ、もういいです。それと、3ページの健康サポート薬局の届出数(10月末全国値)567件、これも同じ質問で繰り返しですが、内訳はどのようになっているのかということです。大手調剤チェーンの薬局がほとんどなのか、そうではないのかということが重要な問題で、薬局のあるべき姿、こうあればいいというものを作ると、それと、調剤報酬の改定でも、いろいろなあるべき姿にできるだけ近づけようと思って変更しても、結果として付いてこられるのは、大手調剤チェーンが主体なのです。それでは本来の目的ではないので、その辺りのことはしっかり把握していないと駄目です。総論で答えてやりたいと、この場を乗り切られても困るので、しっかり調べてください。よろしいでしょうか。

○紀平医薬情報室長 はい。

○中川委員 もう1つは、5ページの「健康サポート薬局に係る現状(マル3)」です。積極的に参加することの説明の中で、最初の○の所に健康の保持増進に係る啓発イベントに参加するだけではなく、講演を実施したり、イベントを企画・提供することを想定しているとあります。講演を実施するということは、講師を呼んで講演会をするのですか、それとも、健康サポート薬局の誰かが自分でしゃべるということですか。

○紀平医薬情報室長 どちらのケースもあると思っております。例えば、地域の中で医師や栄養士を呼んで講演会をするということもあると思いますし、その薬局の薬剤師自身が講演会を実施するということも想定しております。

○中川委員 これは、講演を実施しなさいと事務連絡として出したのですか。

○紀平医薬情報室長 もともと、この各種事業への積極的な参加ということでお示ししましたが、その内容として、こういうこともあるということを事務連絡で出しております。

○中川委員 健康サポート薬局になることは、本来、経営上のメリットがないように作ったのです。今、テレビCMで某大手調剤チェーンが、皆様の国民のかかりつけ薬局宣言ということを言っているではないですか。そもそも、かかりつけ薬局という言葉はないはずなのに、堂々と言い続けている。そして、講演を実施しましょうということは、うちは健康サポート薬局だからこうですよという、いわゆる、営利企業の宣伝にもなりかねないのです。ここの所をどのように整理しているのかということが大事なことなので、どのようになっていますか。

○紀平医薬情報室長 薬局の宣伝活動の講演は基本的に想定していないというか、それだけでは駄目だと考えております。講演会の内容についても、何かそういうお話が入ったときには、自治体である程度、指導なり何なりをしていただくということかと思っております。

○中川委員 ほとんど把握していないということでしょう。なので、先ほどの567件の健康サポート薬局の内訳が大事なのです。ほとんどが大手調剤チェーンだった場合に、講演会を積極的に実施しなさいと言うと、どうしても宣伝になるでしょう。この資料をまとめる段階で、その辺りのところをきちんと把握していなければ駄目です。ほかの方で今のことについて答弁できませんか。

○早乙女委員 今、中川委員から貴重な御意見を頂きました。健康サポート薬局については、確かに、今は内訳が確実に集計できる形にはなっていませんので、東京都でもあくまでも印象なのです。印象ですと、今日こういうものが出るので昨日見てきたのですが、私が一生懸命手で数えたら東京都の場合は個人の薬局は51軒中10軒ありました。そのほかに大手のチェーンと、チェーンを何軒持っているとチェーンというのかという定義もあるのですが、23軒展開している薬局もそこそこ出しているので、あくまでも、これは私の印象ですが、都内では今のところ、一応、バランスよく届出は出ているのかと思います。

 ただ、確かに、今後チェーンが伸びていくのか、個人の薬局さんもきちんと頑張っていくのかというのはきちんと見ていかないといけないところかと思っています。補足です。

 

○森田部会長 その件は、よろしいでしょうか。

○乾委員 内訳については、今、早乙女委員がおっしゃったとおりで、地元が大阪ですが、大阪府薬剤師会会長も健康サポート薬局になっており、多くの個人の薬局が比率的には半々くらいかという印象です。それに関連して、いろいろな御意見を頂いて日本薬剤師会として、中川委員は健康サポート薬局の制度に積極的に薬剤師会は関与していないのではないかということを言われたと思ったのですが、制度に関して、当然ながら積極的に、日本薬剤師会として、会員の皆様に国民の健康の保持増進のためにしっかりと健康サポート薬局に積極的に取り組むようにという話はさせていただいております。ただ、まず、質の担保が一番大事で、数さえあればいいというものではないと考えており、全国の研修会、担当者会議等を行っているところです。

 ただ、まだ実際に健康サポート薬局の仕組みが始まって1年というところであり、地域における役割をしっかり担えるように、今後、薬局も手を挙げていくのではないかと考えているところです。ただ、いろいろな現行の要件があり、そのQ&Aも出ており、研修をクリアした薬剤師が常にいなければならないというところはあります。

1人薬剤師の場合と又は複数の薬剤師の場合、それらについて、この1年間である程度、整理ができ、特に複数の薬剤師の場合、研修を受けた薬剤師はどうしても1年目ということで、多くの薬剤師が研修を受けることができなかったということもあり、1人しかいないという場合も複数の薬剤師を配置している薬局についてもあります。その場合には、研修を修了した薬剤師が休暇の日の場合には、今の状況では閉めなければならないということになるわけです。又は夜遅くまで開いている薬局でも、やはりそういうことが出てきて夜中まで、その薬剤師がいなければいけないという課題も見付かってきているところです。

 薬剤師に研修を受けさせればいいということなのですが、その辺り、1年たって多くの研修機関が積極的に研修会を開催しつつありますので、その辺りの問題も解消されていくのではないかと考えております。その他、勤務年数等の要件もありますので、その辺りで、今後、年月がたてば進んでいくのではないかと。健康サポートの届出の要件となっている最低限の開局時間等、常勤を確保する、夜間等について研修修了薬剤師スキームをどのようにするのかということについて、連絡体制が取れるようにするという考え方で検討していただければいいのではないかと考えております。

 今後、いろいろアンケートを取ったときに、この12年で、その条件が整備できれば、地域で健康サポート薬局になりたいという薬局も多く出てきておりますので、その辺りも含めて進めていきたいと。ただ、健康サポート薬局制度というものが、まだまだ国民に十分周知されていないというところもありますので、薬剤師会ももちろんですが、国や自治体からも、是非、積極的に周知していただきたいというのが私の意見です。どうぞよろしくお願いいたします。

○中川委員 私の言ったのは、仕組みとして薬剤師を経由していろいろやるということにはなっていないということを言っただけで、薬剤師会が怠慢だということを言っているわけではありません。一生懸命にやっているのは、私はそれなりに評価しています。

 そこで、健康サポート薬局は、看板を出していいことになっていますよね。適正な表示になっているのかどうか確認していますか。過度に特別な薬局みたいに思わせるような看板を付けているとか、そういうことはないでしょうか。大丈夫でしょうか。

○紀平医薬情報室長 今、そのようなクレーム等が入っているという状況ではないと思っていますが、今後、引き続きそういう確認、指導も徹底していきたいと思います。

○中川委員 先ほどから同じですが、問題があったらとか、クレームがあったらということではないでしょう。都道府県庁と連絡を取ってきちんとやっているかどうか確認を、これはそういうシステムを作らなければ駄目ではないですか。

○紀平医薬情報室長 それは、現状の自治体の薬事監視の中でも確認していただいていると思っております。引き続き徹底してまいります。

○森田部会長 この件は、よろしいでしょうか。それでは、ほかに何か御発言はございますか。ないようですので、ありがとうございました。今の御意見を踏まえて、引き続き、対応を進めていっていただきたいと思います。

 それでは、2番目の議題に入ります。議題2「医薬品等審査に関する課題」について、御議論いただきたいと思います。まず、事務局から説明をお願いします。

○荒木医薬品審査管理課長補佐 資料2「医薬品の条件付き早期承認制度について」です。医薬品の条件付き早期承認制度については、1020日に施行通知を発出いたしました。制度の概要についてです。一般的に医薬品の承認申請に当たっては、探索的臨床試験の後に、検証的臨床試験を行った上で、そのデータに基づいて製薬企業は承認申請を行い、承認後、製造販売後の調査や副作用報告を行っているところです。

 その一方で、患者数が少ない等の理由で、検証的臨床試験を含む治験の実施が困難な医薬品や、そういう試験に長期間を要する医薬品も存在いたします。この制度では、そのような医薬品の承認申請において、申請時には検証的臨床試験以外の臨床試験等で、一定程度の有効性及び安全性を確認した上で、製造販売後に有効性・安全性の再確認に必要な調査を実施することなどを承認条件として付与する取扱いを整理、明確化するものです。

 この制度の対象医薬品については、優先審査として審査期間を短縮して審議を行うこととしており、こういう制度を通じて重篤な疾患に対する医療上の有用性が高い医薬品を早期に実用化できることを想定しております。なお、この制度への該当性の判断については、医薬品医療機器総合機構の相談業務を活用して情報を整理し、しかる後に薬事・食品衛生審議会の医薬品部会に諮り、御了承いただくこととしております。説明は以上です。

○森田部会長 ただいまの説明について、御意見、御質問等をお願いいたします。

○野村委員 コメントだけですが、製薬業界としては、医薬品の条件付き早期承認制度について、要件を明確にしていただき、開発において予見性の高い制度としていただいたことについて、感謝申し上げたいと思っております。ありがとうございます。

○森田部会長 ほかに何かございますか。

○北澤委員 教えていただきたいのですが、この条件付き早期承認制度では、検証的臨床試験を行わずに承認し、後から有効性・安全性を再確認するという御説明でした。その中にリアルワールドデータ活用を含むと書いてありますが、このリアルワールドデータを使った有効性・安全性の確認ということで、従来の検証的臨床試験、多くはランダム化比較試験が行われているわけですが、それに対応できるような確認、検証能力がどのぐらいあるのかについて質問したいと思います。よろしくお願いします。

○荒木医薬品審査管理課長補佐 ランダム化比較試験を用いた検証的臨床試験がやりやすいような医薬品については、条件付き早期承認制度の対象とは考えておりません。そのような試験を行うことが難しい医薬品を対象としております。リアルワールドデータ、データベースの活用は製造販売後調査で必要に応じて用いることとしており、後ほどGPSP省令の改正において、そういう調査が可能になることを説明いたします。ただ、それぞれの調査の検証能力については、特性に基づきますので、リアルワールドデータを用いた調査とランダム化比較試験の検証力を比較することは難しいと思っております。

○花井委員 この図です。これは、いわゆる黄色いものが第二相で赤が第三相というイメージでよろしいのかと思います。そうなると、これまでも一部の抗がん剤は第二相で承認申請されているものがあったと思います。それとの違いについて、もう少し説明してほしいかと思います。私の理解では、条件がより明確になったということかと思います。

 それから、リアルワールドデータということが出ていますが、思い付くのはMID-NETみたいな、あれは10拠点に限られているのですが、例えば、よくあるのは全数調査するのかどうかという、よくあることです。これは、ほぼ全数調査という形で条件を課すというイメージなのでしょうか、それとも必ずしもそうではないというイメージなのでしょうか。

○荒木医薬品審査管理課長補佐 正に、御指摘のとおりです。一部のこれまでも検証的臨床試験の実施が難しい医薬品については、探索的臨床試験に基づいて承認等を実施してきたところなので、その辺りの取扱いが変わるというものではありません。これは、制度でそういう承認のやり方を明確にするという話が1つと、承認申請の段階で製造販売後調査等を含めたPMSの在り方について、あらかじめ、整理して申請していただくところが新しいことではないかと考えております。

 リアルワールドデータとして考えられるものとして、MID-NETを挙げられましたが、そういうものも考えられますし、また、現在、様々な学会やナショナルセンター等で、整備が進んでいる疾患レジストリーというものもリアルワールドデータに該当するのではないかと思います。今後、そういうものの整備が進みましたら、そういうものも活用して、製造販売後調査を進めていくことができればいいのではないかと考えております。

 全数調査についても、希少疾病に近いような医薬品については、そういうレジストリーを活用して、半ば全数調査に近いようなものもあるのではないかと思っております。ただ、従来的な使用成績調査で行っていた全数調査とは、また取扱いは違うのではないかと思っております。

○花井委員 分かりました。ある程度、前倒しであるならば、なるべく全数調査を求めるべきと個人的には思います。

○荒木医薬品審査管理課長補佐 運用については、また引き続き検討してまいります。ありがとうございました。

○森田部会長 ほかに何かございますか。この件もよろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、今の御意見を踏まえ、引き続き御検討いただきたいと思います。では、続いて、議題3「医薬品関係事業者の事業活動・ガバナンス等に関する課題」について、御議論いただきたいと思います。まず、(1)「医薬品製造販売業者等が行う医薬品等の販売に関する情報提供の適正化について」、事務局から説明をお願いします。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 監視指導・麻薬対策課長です。私のほうから、今の案件についての説明をさせていただきます。資料が幾つかありますので、議事次第の配布資料を御覧ください。資料3-1、資料3-2、それから参考資料の4-14-24-34-4とあります。それから、議事次第にミスプリがありました。参考資料4-2に「EDA」とありますが、これは「FDA」の間違いです。大変恐縮ですが、修正いただければと思います。以上の資料を使って説明していきますので、よろしくお願いいたします。

 最初に全体をまとめた資料として、資料3-1がありますので、こちらを御覧ください。経緯ですが、医療機関や薬局においての処方・調剤に関して、医薬品のメーカーによる医療関係者を対象とした広告などの販売活動における情報提供の関係が、特に処方に関しては、いろいろと影響を与えていることは、これまで、各種論文などでも報告されているところです。

 私どものほうでは、国内における医薬品等の適正使用を確保するという観点から、医薬品製造販売業者の方々が行っている広告などの情報提供活動に関し、これが適正なものなのかどうかということを、医療機関の方々にモニターをお願いして、その状況を見ているところです。

 その結果は後でまた報告しますが、平成28年度から始まったものですけれども、様々な類型や不適切事例があったので、我々のほうでもその内容については、業界のほうにもお伝えして、適正化を促しているところです。しかしながら、中でも出てきておりますが、個別のMRによる実施作成のスライドや口頭説明など、受け手のほうの誤認を誘発するような見せ方をしているなどの情報提供活動については、なかなかその証拠が取れないので、現行の広告規制等では、対応をするのが難しいという意見を頂いております。

 それから、営業活動の中でも、特に情報提供活動の適正化については、古くはWHOでの医薬品プロモーションに関する倫理基準、それから、ずっと長年、この問題に関しては、業界団体のほうで実施基準を定めて、運営されているということです。内容は後で説明しますが、私どもとしては、こういったモニター事業などの結果も踏まえ、これらの情報提供活動の適正化について、どのように考えて取り組んでいくか、忌憚のない御意見を頂ければということで、今日の準備をさせていただいております。

 次の資料3-2を御覧ください。広告活動監視モニター事業ということですが、概略は先ほど申し上げました。モニター医療機関を選定し、どこの医療機関が指名されているかは覆面で行っております。モニターは薬剤部の方が多いのですが、これは変だという事例を持ち寄っていただき、事例検討会を開催し、これは問題かどうかということを、その検討会の中で議論します。問題があるものについては、私どものほうにも話があり、必要なものは、また指導の対象になるという形で行っております。

 どのようなものがあるかということで、全体の統計があります。平成28年度分ですが、3か月間の調査を行いました。その中で39の医薬品で疑義があり、違反が疑われる項目が延べ64件ということです。その情報に関しては、企業の印刷物が一番多く、それからホームページ、製品説明会、それから企業担当者のデータ・持ち帰り、口頭説明がありました。また報告の中でも、いわゆる虚偽・誇大というものではないのだけれども、ある意味、いいとこ取りといいましょうか、非常に有用性をデフォルメして、事実誤認ではないのかというおそれもあるようなものが、かなり挙がってきております。

 次の3ページを御覧ください。疑義報告の事例を少し紹介しております。最初の事例が

高リン血症の治療剤です。これはMRによる口頭説明ということで、これについてのリンの抑制効果を説明し、副作用でいろいろな栄養成分が過剰になるような薬ということです。逆にこの薬を使用すると、例えば血液透析患者の症状で、栄養成分の何とかの補充が可能になるとか、臨床検査値の上昇が期待できるという、副作用を逆手に取ったプロモーションを行ったことを見付け出しました。これは不適正なのは事実ですので、こういったものが処方への影響を懸念されるものだということです。

 その下は、抗リウマチ薬のものですが、これは投与量の関係について、少し適切ではないというものの推奨があった。また、その説明に関し、下の「また」以下に書いていますが、「複数の医薬品の併用群は有効性を示す数値が有意に高く、効果不十分による例」というものを示していたのですが、強調したい所の色が変わったり、点滅したり、強調の表示があったということです。

 次のページを御覧ください。他の医薬品との差別化のために、臨床データのない効能・効果等を紹介した事例ということで、実際には認められていない効能についても、MRによるプレゼンテーションのスライドの中には、何かの機能改善も記載されているものがあったと。それで審査報告書を見たのだけれども、それらの資料には記載はなく、製品情報概要にはないのだけれども、説明会において、このような説明があったと。

 その下の案件では、これは気管支拡張剤ですが、実際にWebセミナーで、差を少し強調するのに、左側のほうが製品情報概要では、ゼロから始まる縦軸のグラフになっているのですが、右側では大分縮めて、差が大きく見えるようなスライドにするといった工夫もされており、こういったことで議論がありました。

 参考資料4-1を御覧ください。我々はこれらの事例について、法律上、今の医薬品医療機器法の規制条文としては、法の第66条がメインの条文で、虚偽・誇大な広告の禁止、記述・流布の禁止などがあります。2ページ目を御覧いただくと、広告の該当性ということで、顧客の誘引性や商品名の特定性、認知性など、こういったものが要件になっています。私どもは古くからこれらの問題に対処すべく、医薬品等適正広告基準というものを設けておりますが、これだけで十分なのかということだと思っております。

 参考資料4-2を御覧ください。これは私どもの平成27年度の研究班の報告書で、日大の中島先生がまとめられた部分ですが、FDAで行っているプロモーション活動のモニタリング制度について、実際のFDAに行ってインタビューして、いろいろ聞いてきたということです。各種学会に赴いて、不適切なプロモーションの発表や資材など、ないかどうか、それらのチェックもやっているということですが、余りにも多く、人手も掛かるので、このときの話では、どちらかというと企業に対する教育などを大事にしていこうということが、今、始まっているとの報告です。

 参考資料4-3ですが、これはWHOの倫理基準で、1988年のものです。この中にプロモーションという言葉が出てきますが、業界のほうでもよく使っておりますけれども、ちょうど下のページが168ページから、これは製薬協の仮訳ですが、170ページを御覧いただくと、プロモーションというのがなかなか幅広い言葉なので、意味が少し取りにくいと思います。一応、WHOの基準の中では6番のところで、「プロモーションとは製造業や流通業による全ての情報提供活動や説得活動を意味する。そして医薬品の処方、供給、購買、あるいは使用を勧誘する効果を持つものである」ということが書いております。

 そのほか御覧いただきたいのですが、前のページの5番で書いてあるWHOの倫理基準では、「この基準は、法的義務を伴うものではない。各国政府は、これに基づいて、法律やその他の措置を、適合すると思われるものについて採用していくことが可能である」というようなことも記載されております。

 次のページに、一般大衆に関するあらゆる形の広告、それからMR(メディカル・レプラゼンタティブ)についての規定なども書いておりますので、これは後で御覧いただければと思います。それから、このWHOの倫理基準を受けて、業界のほうで非常に熱心にやっていただいております、資料4-4が製薬協のコード・オブ・プラクティスということです。最近は今年の5月にも改正になっている、いわゆるプロモーション関係のものですが、この中でも販売促進活動だけではなく、医療関係者に医薬情報を提供、収集、伝達し、それらに基づく医療用医薬品の適正な使用と普及を図るということで、経営トップがきちんと分かるとか、どういうことをやっていくのか、それらをかなり細かく業界のほうで決めていただいております。

 その具体的なものが5ページにありますが、「プロモーションコード」というものです。これについては製薬協の取組を説明しましたが、大体、業界団体ごとにこのようなものを作っており、その代表例として製薬協のほうで行われたものを紹介させていただきました。私の説明は以上です。

○森田部会長 それでは、ただいまの御報告につきまして、御意見を発言していただきたいと思います。では順番に村島委員、それから山口委員、お願いします。

○村島委員 今日は妊娠と薬というのではなくて、リウマチの専門家として、少し意見を言わせていただきますが、リウマチ関係の医薬品は、多くの新薬が出ておりまして、講演会等いろいろ活動が活発です。私自身も講演する機会が多いのですが、この取り決めのために、真実が伝えられないという現状もあるのです。

 先ほどの抗リウマチ薬のところですけれども、用法・用量のところに、初期投与量が300mgとなっているのに、臨床現場では100mgから始めているのは不適切だという報告がされていました。少量から始めて、その後増やしていくことが不適切であるとすると、臨床現場のリアルなリスクベネフィット・バランスというものが、他の臨床現場や製薬会社に到達しにくい。そうすると、初めに承認された用法・用量が改善されるまでに非常に時間の掛かることになると思うのです。

 ですので、やはりリアルな臨床の現場で有用な情報というものが、それなりに適切に伝わるように考えていただかないと、単にコンプライアンス、コンブライアンスと言っていますと、患者さんがデメリットを被ることも出てくるように思うので、バランスが必要ではないでしょうか。

○山口委員 資料3-22ページを見てみますと、たった3か月間の調査をしただけで、これだけの数が出てきたということに、ちょっと驚きを禁じ得ませんでした。これはわざわざモニター事業をやって出てきたことであって、通常から言うと、医師であったり薬剤師が説明を受けて、それに対して疑問に思わない限りは、表に出てこない問題ではないかと思います。

 事実誤認のおそれのある表現とか、誇大な表現がかなりの数を占めているということは、これは本当に患者にとってマイナスになることだと思うのです。だとすれば、きちんと医療者がおかしな、特に口頭というのは全く消えてしまいますので、言った、言わないの証拠が残らないという問題もあって、どれだけこういうマイナスなことを、きちんと収拾していくということが、現実的なのかどうかということも、ちょっと疑問に思いました。

 でも、今、医療者が、事実誤認ではないかとか、誇大な表現ではないかとか、そういうことを見付けたときに、ここに届けたらいいという窓口みたいなものが余り明確ではないのではないかという気がしていまして、きちんとそういう届出をする窓口を医療者に周知していくことが大事ではないかと思います。

 その一方で、忙しい医療現場にあって、わざわざそこまで働き掛けをするというのは、そんなことより、やはり本来やらなければいけない仕事がいっぱいある中で、実際にこういうことを収拾していくことが現実的なのかどうかということが、かなり疑問を感じたのですが、その辺りはどのようにお考えでしょうか。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 これは、広告監視からはみ出るものも当然あるのですが、それに近い仕事です。これについては、特に都道府県、今日も早乙女課長に来ていただいておりますが、各県の薬務課が非常に熱心にやっていただいておりまして、医療者からも話が来ることがあると思います。また後でお話もしていただければと思うのですが、基本的には都道府県の薬務課が窓口で、薬の関係で何かあれば、多くの薬剤師の方は、薬務課に行ってこようかという話はあると思います。

 もう1つは、逆に言うと、忙しい中でなかなか取りにくいということもあったので、私どもとしてはモニターという方をきちんと決めて、国の事業としてやってくださいということでした。確かにサンプル調査でしかないのですが、それでも問題があるような事例がかなり引っ掛かれば、正しくこういったものについてどのように、実際に正しく山口先生がおっしゃるような形での拡大をどうしていくのかとか、今後のルールもどう考えていくのかとか、いろいろなことを考えていく端緒になると思いますので、まずはファクトベースをなるべく調べていくことを、端緒にやらせていただいたということです。

○森田部会長 よろしいですか。

○山口委員 それを見付けたときに、どれぐらい実行力のある指導など、具体的にされているのでしょうか。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 私どもはこの中身がまとまった段階で、途中で企業を入れられないものですから、私どものほうで一応、事例検討会で医療者や有識者の大学の先生などに入ってもらって検討会を設けているのですが、それでまとめて、これは問題だというものについては、実はこういった報告書にまとめてプレスに発表もしております。

 それについては業界のほうに全部お示しして、うちのほうからは個社の特定まではしないのですが、見れば分かると思います。それをきちんと徹底していただいて、また引き続き、今年度もやっておりますので、また今年度も同じような事例が出てきたら、どうなのかということを、また引き続きやっていくと。この繰り返しをしばらくやっていくことになるのかと思っております。

○山口委員 製薬協に入っていらっしゃるような、製薬協のコードにのっとってやっている所はいいと思うのですけれども、やはりそうではない企業もあるだけに、こういう程度を越えたことをする所というのは、そういうコードから外れている所だと思いますので、そこのきちんとした調査ということが必要ではないかと思います。

○中川委員 磯部課長、全然駄目ですね、あなたの答えは。靴の上から足を掻くよりも悪いですよ。もう3か月の調査で分かったではないですか、全ては。またいろいろな問題が出てくればなんて、何をのんびりしたことを言うのですか。実際問題、直接被害を受けるのは患者さんですよ。一刻の猶予もならないというようにしないと。それから、必ず都道府県を通じてとは、それを言い訳にしているとしか聞こえません。

 何が問題かと言うと、山口委員がちょっとおっしゃいましたが、製薬協に加盟している所はちゃんとやっているというのは間違いです。製薬協に加盟している所がちゃんとやっていないから、このように表面化してきているのです。全然駄目なのですよ、現場は。では、確認しますが、MRの問題はこうだけれど、卸のMSはこういうことはないのですね。どうなのですか。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 一応、この事業は、医療者のほうでモニターをしているので、一応は対象にはしています。ですからメーカーを基本に対象にしているのですが、特にそこでは引っ掛かってきていないと。ただ、そういう意味では先生が言われるような、もっと本格的な調査はしていないので、その点はまだ十分ではないと思います。

○中川委員 現場の声を聞けばすぐ分かると思いますが、基本的に一般的に考えると、卸のMSは、1つのメーカーの製品を一生懸命売るという努力を余りしていないと思いますので、余りないと思います。それでMRが問題だと思いますが、全MRのうちの薬剤師は何%いますか。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 薬剤師はどうでしょう。逆に業界の委員の方から答えていただいたほうがいいと思ったのですが。

○中川委員 では、野村さん、どうぞ。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 今、全般的には、一時期、MRさんは薬剤師の方が非常に減った時期があると思います。今は若干、MRは専門性を求めているような形が多いので、薬剤師は若干、増えているのではないかと。

○中川委員 いや、大体何割ですか。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 ちょっと手元にその数字を持ってきていないのですが。

○中川委員 それも分からないのですか。誰か分かる人はいないのですか。

○佐藤医薬安全対策課長 ちょっと確認させていただきます。

○中川委員 すぐやってください。それで、まず問題が明らかになった所から対処すべきでしょう。MRが勝手にというか、自分の営業で頑張るのですよ。頑張って自分でいろいろなスライドを作る、熱心なのですよ、企業としてはものすごく熱心な社員で、それは褒められることに分類されるのでしょうね、どちらかというと。ただし、効能・効果を逸脱して強調したパワーポイントを作るとか、そういうことを厳に慎まなければいけないといわれているのにやっているわけです。

 ですから、役所として決めるべきではないですか。例えば、こういう営業活動は、メーカーが作ったパワーポイントに限定するとか、文章も独自のものは作るなとか、そういうことを緊急に課長通知か何かで出したらどうですか。そういうことをしなければ駄目ですよ、また事例を集めて何年も掛けて、それはもう何もしないということと同じですよ、答弁としては。是非、そういう速効性のある対応をしてくださいよ。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 はい。

○野村委員 確かに中川先生のおっしゃるとおり、製薬協の会員の中にも、この事例に入っている会社があるのではないかと思います。業界としては、先ほど事務局からの御説明がありましたように、新薬メーカーの団体である日本製薬工業協会では、コード・オブ・プラクティスとかプロモーションコードがあって、それを各社のルールとして設定して守るように、各社に言っております。

 モニター調査の報告書も拝見しましたが、報告書に出てくる事例は製薬協のコードに照らして見ても、違反しています。そういう意味で言うと、非常に残念でもあり、また遺憾でもある事態が起こっているということが判明したと思っています。

 それから、説明する資材については、もともと白神先生の研究班よりいろいろ提言を頂きまして、第三者も含めた審査体制を整えつつ、審査を通った資材のみが使われるのが正しいルールであって、MRが作ったパワーポイントなどは使ってはいけないことになっているわけです。しかしながら、現場ではまだそういう事例があるということは、これもまた非常に遺憾な事態だと思います。

 基本的には先ほど事務局からもお話がありましたように、きちんとルールを守って正しく情報伝達をするということについては、経営のトップのコミットメントが必要と、製薬協のコードにも書いてある話ですので、そこのところはしっかりと業界で徹底させていただくということではないかと思います。

 私どもとしては、資材についてはかなりきちんと対応できたと感じていましたが、今回のモニター事業により、実際の医療現場において、MRが口頭で違反が疑われる説明をしていることが判明しました。業界にとって、新たなアクションを取るべき材料と認識しており、今度はその辺りを業界でしっかりとやっていこうとしているところです。

 製薬協においては、この報告書に基づいて既に研修も行って、それをメンバー企業に全部伝えていって、横展開をしているところです。

○佐藤医薬安全対策課長 医薬安全対策課です。先ほど中川委員から御質問を頂きました、MRの中に占める薬剤師の割合ということですけれども、2016年の調査結果に基づきますと、大体薬剤師さんの割合の10.2%です。その他、薬剤師以外の方が全体で、その引き算になりますので、89.8%ということです。

○中川委員 しつこいようですが、この資料3-22ページの対象の製薬企業の担当者云々と、これは全部、製薬協加盟企業でしょう。確認しますけど。製薬協に加盟していない、こういうMRってあり得るのですか。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 多くは先発メーカーです。ここに4例ありますけれども。

○中川委員 潔くないですね。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 多分、製薬協会員企業だということです。1社を除いて、4社のうちの3社がそうです。違反が疑われる項目の、延べ64件という中で、63件が先発の製薬協のメーカーです。

○中川委員 だから現実は極めて深刻なのです。決めたことを全然守られていないのです。それで役所としてはどうするのかと、業界の皆さんの自主的な判断にお任せしますなんていうことを言っているようでは駄目ですよ。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 はい。

○中川委員 ちゃんと答えてください。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 いつも叱咤激励を頂いてありがとうございます。今の点については、ある意味、これは非常に大事な問題でありまして、私も別にどうこうしないと言っているわけではありません。ただ、先ほどWHOの倫理基準がありまして、一番汗をかいて努力してくれたのは、多分、製薬協さんだと思います。実際に個々の企業に対しての指導を含めて、そういうことをやってきたのは事実で、どちらかというと民間ベースでかなり進められてきたということがあって、ただ、それについての綻びと言いましょうか、幾つかの問題が出てきているというのが現状で、幾つかの問題については、大きな問題にもなったということだと思います。

 私どもとしては、このモニター事業を始めたのも、そういう問題意識からですが、昨年度に始めたばかりということで、3か月しかできませんでしたが、今年度にまた集めて、その上で、あとは外国の調査もいろいろとしなければいけないと思っております。この問題については、欧米各国でもいろいろ問題意識がありまして、いろいろな論文でこういった問題の指摘もあります。各国によっていろいろと取組も違います。そういったこともよく調べた上で、どういうことが役所としてやれるのかということについては、詰めていかなければいけないと思っております。のんべんだらりとやる気は全くありませんけれども、必要なことの調査、ファクト・ファインディングはしないと、非常に影響がある問題と思っておりますので、先ほど村島先生からもいろいろとお話がありましたが、いろいろなことを考えて、各国の取組などもよく勉強した上で、対応していかなければいけないと思っている次第です。

○中川委員 すみません、もう一言だけ、もう一度言いますが、やれることをすぐやってください。これから勉強なんかしないでください。そんな時間はないのです。

○村島委員 何か違和感をもって聞いておりました。こういう製薬会社さん側の努力ももちろん大事なのですけれども、やはり処方するのは医師ですのに、医療者側にあまりこういう内容が伝わっていないと思うのです。ですので、例えば各学会の医療倫理のところにこういうものを入れてもらう働きかけとかやってもらってもよいのではないでしょうか。私はリウマチ学会の理事をやっていますけれども、理事会でこういう議題が出ることがありません。こういう議題が厚労省から出されることによって、理事会などで議論されて、それが会員に広まっていくということになるかと思います。処方するのは医師であるということを、医師が自覚していないというのが一番の問題だと思っています。

○阿真委員 美容の話から医療機関に限定された話ですけれども、医療機関のホームページで、誇大広告とか疑義の報告に関して、かなり大々的にプレスリリースとかを打って、医政局の事業が進んでいると思うのですが、そこに国民も直接、連絡ができたりといったことがあって、いろいろな情報というか、誇大広告とか疑義の報告に関しての情報が、かなり集まっているのではないかと思うのですけれども、医療機関のホームページに出ている医薬品の誇大広告などに関しての報告というのは、もう上がってきておりますでしょうか。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 実は、今のお話は医政局総務課がやっているのですが、同じような体系であるのは事実で、彼らも虚偽・誇大でやっておりますので、この前の医療法改正でも導入したわけですが、一応、今のところは、医薬品での不適切などについては、特に聞いておりません。

○森田部会長 今のお話はよろしいですか。では、花井委員どうぞ。

○花井委員 この件については、1時間ぐらい話したいのですが、そういう時間もないようなので、1つ、先ほども意見がありましたように、そもそも明治の時代は、薬屋さんは嘘をついて、誇大広告ばかりしていたからこそ、処方権と調剤権というものがあるということです。お医者さんと薬剤師さんがいれば、どんなに誇大広告があっても安心だというのが、もともとの制度設計だと思うのです。

 ところが、現状は個人のそういう問題ではなくて、やはり医師だけではなくて、医療機関であると。薬剤部とか、やはり薬剤師さんと医師が処方権と調剤権という権限を行使するに当たっての、いろいろな環境に対するリソースが圧倒的に不足していると。この部分はやはり何か考えなければいけない。具体的に診療報酬とかそういうことを言うつもりはありませんが、そういう基本的な機能に対するリソースというものに対して、必ずしも手当てがないということが、1つあると思うのです。

 そうは言っても、2010年代では、ディストリビューター側の責任というのは、非常に重くなっているわけですが、先ほどから議論になっていますが、加盟とかいっていますが、明らかにこれは正に、世界に名立たる有名な一流企業が、事実上やっているのです。1つはMRさんの評価は、やはり営業成績で評価される、まあ、一部企業はやめてみたことがあったようですが、営業成績で評価される限りは、基本的にこれはダブルバインドの話であって、つまりさじ加減でしかないという、つまりきれいに規制することはできないことになっているのが現状だと思うのです。

 そういう意味においては、先ほども少し出ましたが、組織としてのメーカーが責任を持った媒体だけを使用するべきと、それでそうなっていると。こういうのはやはり罰則を付けて規制にしていかないとどうしようもなくて、これは多分、法律79年改正法から基本的には、いじっていないと思うのです。

 もう1つのダブルバインドは、例えばダイレクトマーケティングという、患者に対する情報はどのぐらいかという話もあるのですが、かつては情報の流れがそんなになかったです。今もインターネット上に溢れている中で、例えば第68条をどう考えるかというのもありますし、承認前についても、今、治験情報を公開しろ、公開しろと言っているのです。公開しろと言うことは、新しい薬が開発されているということを、みんなに知らせましょうという話です。

 今度は承認前の広告禁止は、ある種コンフリクトしている話にもなっている。つまり今の実態に、この条文自体が合っていないというのが、やはり基本的にあると思うのです。なので、まず、規制強化という面も含めて、もともとダブルバインドになっているこの状況の中で、やはりどこを規制して、どこを民間で自主的にするかという整理をしないと、今、現状の66条、67条、68条だけを前提にやろうとするのは、ちょっと無理がある。

 今、できることはあるでしょうというのは、中川先生がおっしゃったとおりだと思うのですが、ちょっと根本的にこれは見直さないと、だって現に私は聞きたいのですが、承認申請しましたという情報が、ホームページに商品名を含めていっぱい載っているのですが、これは違法なのですか、合法なのですか。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 そのような客観的事実のみの場合は、違法とは言っておりません。ですから、違法ではないという整理です。

○花井委員 では、どんどんこんな開発をしていますというのを、患者の目の触れる所に出してもいいということですか。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 つまり、客観的事実として、我が社のこういう薬をこのように申請しましたということについては、これが承認前医薬品の広告の禁止に該当するということはやっておりません。ただ、実際には幾つかのメーカーでは、その前のデータをいろいろデフォルメして、こういうものに効果があるというようなことがあります。そういったことについては、指導の対象になるということです。

○花井委員 例の抗がん剤裁判の話によると、普通、非劣性の対照薬があって、対照薬と比較して、これはかなりいいですねみたいな話を、何か座談会方式でやったではないですか。あれはいいのですか。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 判断の考え方としては、参考資料4-12ページを御覧いただいて、この3要件を満たしているかというのが、1つの判断基準になってきます。この顧客を誘引する意図が明確であるということは、しかも企業の方が主催しているということがあれば、そしてその内容が、どう見ても顧客誘引作用の意図を明確に持っているということがあればありますが、先ほども言ったような客観的な事実で、特にそういった意図がないというものであれば、よろしいかと思います。

○花井委員 今の例であると、ちょっと意地悪なことを言っていると思うのですが、型番というか開発番号で大体、言いますよね。それは商品名ではないということになるし、顧客を誘引する意図は、本当は明確なのだけれど、それだけ見たら明確ではないという話なので、明確ではないとなっていくということですよね。だから、やはり実質と外形基準が掛け離れていることは、否定できないと思うので、やはりそういった現状を踏まえてやるとすると、この条文だけでは厳しいと思います。これは今、変えるという話ではないのかもしれませんが、少し論点を整理していただいて、2010年に対応したような制度設計をお願いしたいと思います。以上です。

○森田部会長 この件は、よろしいですか。少しルールのコンプライアンスの議論が出ていますが、専門家の山本委員、何かコメントはありますか。

○山本委員 広告規制は薬の問題だけではなく、いろいろな法律に含まれており、虚偽広告、誇大広告の規制が、いろいろな法律に入っています。今の話を伺っていると、今の医薬品医療機器法の中の規制の仕方は、ほかの法律の規定とそれほど変わっていないのですが、それで本当に対応ができるのかというところが、少し問題かという感じは持ちました。医薬品の場合、通常の商品やサービスの売り方と、かなり違う態様になりますので、それに法律上の規制が合っているかという点は、これから検討しなくてはいけないかと思いました。

○森田部会長 この件、ほかにいかがでしょうか。

○野村委員 花井委員の先ほどの、ホームページでの、例えばこういう薬を申請しましたという話の中で、一番注意が必要なのは適応追加の話だと思います。これだと既に薬は市場に出回っているので、新しい適応が追加されましたねという話なのですが、ただそれは、ホームページでは事実を伝えているだけなので、あれをプロモーション目的に使うということは、どこの会社でも禁止されているはずですので、そういうことは多分ないと、私は考えております。

○森田部会長 ありがとうございました。やや時間がオーバーしています。この件ですが、ちょっと私は気が付いたのですけれども、いわゆる最初に問題提起されたときには、MRさんが薬剤師さんや医師に対して、どういう情報提供をするかという話でしたが、今は一般の国民の方に、どういう情報を提供するかという話で、そこの性質が同じなのかどうか、途中で一緒になってしまったような気がします。その辺も整理をしていただきたいと思います。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 よく分かっているつもりです。患者団体の皆様からも、いろいろな御意見も頂いておりますので、それはそれでまた考えなければいけない問題だと思っております。

○森田部会長 ありがとうございました。それでは、この件は今の御意見等を踏まえまして、引き続き進めていっていただきたいと思います。続いて(2)「医療用医薬品等の偽造品流通防止に向けた対応について」、これにつきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○紀平医薬情報室長 資料4、「医療用医薬品の偽造品流通防止のための施策の在り方に関する検討会の中間取りまとめを踏まえたこれまでの取組について」です。1枚目は、1月にハーボニー配合錠の偽造品の事案が発生したあとの状況については、前回のこの部会でも御報告させていただいたところです。1月に事案が発生し、早々に2月に再発防止のための通知を発出しております。検討会を立ち上げ、621日に中間取りまとめをまとめていただいたというところまで、前回この部会で御報告いたしました。その後、この中間取りまとめを受けて、制度の方向性についてパブコメを行い、105日付で省令改正を行い、併せて通知も発出しております。そちらの内容について、御報告させていただきます。

3ページを御覧ください。こちらと次の紙が、105日に発出しました省令、通知の内容についてです。マル1「秘密厳守」の取引の根絶のために、許可証等の書類により、身元の確認を徹底するということで、購入する際に相手方の身元を確認することを省令で義務付けております。また、記録事項として、これまでの氏名、商品名のほかに、取引相手の住所、連絡先、ロット番号、使用期限を追加するということを行っております。また、同一の開設者の事業所間での医薬品の移動についても、それぞれ記録、保存をしていただくことも追加しています。

 マル2、開封した医薬品の販売・授与のルールの明確化です。こちらは、開封した医薬品を販売・授与する際には、開封した者の名称・住所等の表示をルール化するということです。卸から薬局、あるいは薬局間同士で、封を開けて中身の少ない単位で取引をする場合には、誰が開封したかという表示をするというものを、省令として追加しております。また、調剤された医薬品の再流通防止について、例えば販売包装単位、箱のままで調剤をするような場合には、外見から調剤済みと分かるような処置を行うよう、通知を徹底するとしております。

 マル3、品質に疑念のある医薬品を発見したときのルールの明確化です。こちらは、卸、薬局それぞれにおいて、業務手順書に具体的な手順を明記するということと、管理薬剤師等による品質確認の義務を、それぞれ通知で指導しております。

4ページ目は、その他として卸、薬局それぞれについて、貯蔵施設を設ける区域について、医薬品を貯蔵する区域について、他の区域から明確に区別するということを、書類で追加しております。また、他の区域へ立ち入る者を、事前に社内で特定しておくことを求めているものです。これらについて、薬事監視の中でも徹底するということで、「監視指導ガイドライン」の改正を、現在準備しています。

5ページは、それら省令通知の改正を踏まえ、それぞれ追加で対応している取組について、こちらにお示ししております。製造販売業者においても、各社で封について、それぞれの商品についてどういう封をしているかといったものを開発・導入について、今後も引き続き行っていただくことと併せて、それらについて関係者にも情報提供いただくということです。行政については、医薬品の封について、こういった形で封を施すという具体的な事例を、現在通知で示しております。それが、昭和36年の通知で示している状況ですので、現在の技術に合わせてその封の考え方について現在整備しており、今後整備でき次第、改めて通知の見直し等を行うものです。それから、都道府県が実施する薬事監視については、先ほど御紹介しましたとおり、監視指導ガイドラインの改正を現在進めています。実際の卸や薬局への立入りといった場合に、実効性の高い監視指導を行うために、来年度予算で薬事監視の研修のための費用を要求している状況です。

 続いて6ページは、インターネット販売の監視強化などについてです。インターネットパトロール事業はこれまでも行ってきておりますが、今年度から削除要請を行う対象として、レジストラのほかにプロバイダにも直接行う取組を進めております。また、個人輸入についても、本年3月より、医療従事者の個人用の輸入について、薬監証明の発給に当たって、本人確認を行っております。その次の情報収集、情報提供では、厚労省で委託実施しております「あやしいヤクブツ連絡ネット」などを使って、いろいろな情報収集、情報発信などを行っています。その次は、卸、薬局の関係者への情報提供ということで、今回の省令改正と通知について、周知を行っています。また、今回の省令通知の対象は、医薬品医療機器法の許可を受けている卸、販売業者、薬局についてです。医療機関にも、この通知の趣旨を踏まえて、それぞれ必要な対応を行っていただけるよう、医政局から通知を発出しているところです。

78ページは、今後更に検討を進めている事項について記載しております。こちらは、現在検討会でその後の検討を進めています。1つ目は、流通過程における品質の確保に向けた検討です。国際的にGDPと呼ばれるガイドラインがありますので、こちらの国内ルール化に向けた検討を行っています。2番目は、規制の法令上の位置付けの在り方の検討です。こちらは、卸売販売業者の現在の法律上の許可基準について、見直す必要がないかといった検討や、薬局における卸業務を行う場合の考え方の整理、それから開設者と管理者の責任、責務の在り方についてといったことについて、現在議論を行っていただいています。

8ページです。封かん方法については、先ほども説明いたしましたが、現在厚労省より通知で示している封の方法について見直しを行うとともに、製造販売業者でも封かん方法について偽造防止などの観点から、よりいろいろな技術を導入していただくということと、関係者間での情報共有を進めるということで、議論を進めております。それから4番は、一連のサプライチェーンにおける共通ルールの策定に向けた検討ということで、不動在庫や返品に関係するようなものです。こちらは、現在医政局で流通改善に向けた懇談会といった別の場もありますので、そちらとも合わせて今後検討を進めていくこととしております。5番は、情報システムの整備に向けた検討です。現在、バーコードの表示を進めておりますが、そちらの利活用や、今後トレーサビリティを向上させるようなシリアルナンバーの導入について、どのように考えていくかといったことを、この検討会と先ほどの流通改善に向けた懇談会で引き続き検討を進めていくということで、現在議論を進めています。以上です。

○森田部会長 この件について、御発言がありましたら、お願いいたします。

○平井委員 ハーボニーの件に限って感想を申し上げます。こういうことが起こったのはハーボニーの販売形態があって、要するに一つ一つのカプセルが見えないじゃないですか。普通調剤するときは、確認をしてお渡しするのが一般的なのですが、ボトルで封がされていてボトルでしか売らないと。ですから、残ったものは他の方にも使えないと、しかも高額というようなことがありました。そういう条件で、このような偽造医薬品がすごく問題になったと思うのです。一般的なものに関しては、ここでルールを決めていただいて。これは重要な点だと思うのですが、元とはといえば、ああいう販売形態になって、これでしか売らないという形であったのが、そもそもの発端ではないかと思います。日本で流通させるときには、きちんとしたPTPシートになっているということでないと、やはり信頼して調剤や処方はできないということをメーカーに申し入れるということをやっていてもよかったのではないかと、今になって思います。これでしか売らないという状態をそのまま認めてしまったということも、1つの原因ではないかとは思っています。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 ハーボニーのことで言いますと、確かにおっしゃるとおりの部分があると思います。しかし、話題の薬であって、日本でも特に初期需要がかなりあるだろうと。それに、安定供給をするのにどうしたらいいだろうかということは、ギリアドの会社もものすごく考えられて、世界的には日本だけ包装形態を変えるかという議論はあったと理解をしております。しかし日本だけ包装形態を変えると、例えば他の国で会社が思った需要より超えた場合に、海外の在庫を持ってこられるかということを考えると、なかなかその回しがやりにくいだろうということで、海外共通の形態のほうが、特に初期需要に対して想定を超えたような需要があった場合に、供給できるのではないかということでやったと聞いております。それについて、一概によくなかったとまでは言いにくいだろうなと思っています。ただ、平井先生がおっしゃったように、我々としてもそういうことが起こったということは今回身にしみましたので、こういうことも気にして見ていかなければいけない問題だと思っております。

○平井委員 多分今後のことが問題なので、これからいろいろな高額の薬がたくさん出てまいりますよね。それで、そのようなことがまた起こる可能性もあるので、その辺りは是非きちんと対応していただければと思います。

○森田部会長 ほかに御発言はいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、今の御意見を踏まえて、更に取組を進めていただきたいと思います。

 次に(3)「オンジ製剤の広告に対する対応について」、説明をお願いいたします。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 私のほうからよろしくお願いいたします。資料5「オンジ製剤の広告に対する対応について」です。2枚目の別紙1から御覧ください。どんなものかが分からないとなかなか話が分かりにくいと思いますので、オンジというものは生薬で、右側に写真がありますが、イトヒメハギという植物の根の部分を使う生薬製剤です。もともと漢方処方にいろいろ配合されて、こういった漢方に使われているということです。臨床現場では強壮、鎮静、去痰などを目的とするほか、漢方処方に追加して、健忘症の治療に用いられることもあります。実は、これらの単味の製剤について、今、5社の製品が出ています。それで、中年期以降の物忘れの改善ということで、本年になりましてからこういった5社のものが承認されています。

 これについての広告をめぐって議論がありまして、1ページ目に戻り、発売までの経緯は今申し上げましたことです。このオンジ製剤の広告において、1ページ目の下のほうに「記憶機能の活性化」とか、「脳神経細胞の増加や再生」、「脳全体が活性する」、「既に忘れてしまった記憶を蘇らせる」といった非常に分かりはいいのですが、かなり記載ぶりが踊りまして。これについてはやはり我々としても先ほど広告の話をしましたが、認められた効能範囲を超えるような暗示になっているのではないかというようなことで、あと認知症にも効果があるような形でのお話もあったり、そうしたことがありましたので、私ども、企業の方々にお話をさせていただき、必要な指導内容をまとめて事務連絡を作り、発出いたしました。

 それで、また御指摘もいただいております。各社のホームページ、Webサイトでも出ていまして、私ども指導したつもりになっておりましたが、まだ直っていないという御指摘もいただいております。それについては緊急で、また自治体の方と協力もさせていただき、早急に修正するように努力しております。

 最後のページに、私どもの出した事務連絡を付けております。一般的なことですが、効能効果として「中年期以降の物忘れの改善」ということで、これは従前から漢方製剤で用いられていた効能であるということだけで、加齢による正常な物忘れで、うんぬんと、これまでの「健忘」の効能と変わるものではない。したがって、認知症の予防または治療に関する効能とは確認されていない。広告表現に関しても、先ほど申し上げたような科学的見地に基づかない作用機序や効能等の表現、販売名を組み合わせた表現などによって効能等が承認された範囲を超えると暗示させるものは、厳に慎むこと。また、認知症の治療の薬ではないこともきちんと書いてくださいということを記載したものを、企業のほうにもお伝えもして、事務連絡も発出しました。以上です。

○森田部会長 これについて中川委員、どうぞ。

○中川委員 これ、先ほどのMRの広告問題は営業成績を上げたMRの頑張りということにはなるのですが、こちらのほうは企業を挙げた広告ですから、企業を挙げての相当重大なものだと思います。それで、まず聞きますが、オンジの薬事承認はいつですか。

○山本医薬品審査管理課長 この中年期以降の物忘れの改善という効能効果を付けた承認は、おおよそ各社の承認時期は違うのですが、今年の1月以降の承認です、オンジの単味生薬。

○中川委員 オンジ自体のですよ。

○山本医薬品審査管理課長 オンジ自体で。

○中川委員 薬事承認されたのはいつですか。

○山本医薬品審査管理課長 最初ですか。昭和時代、遡ってどのぐらいかというのは、今、手元にございませんが、昭和のかなり昔からということです。

○中川委員 どうしてこんな議題のときに、そんなことも答えられないのですか。

○山本医薬品審査管理課長 申し訳ございません、かなり古いことでして。

○中川委員 調べてください、今すぐ。

○山本医薬品審査管理課長 ちょっと調べまして、後ほど。

○中川委員 では、そのときから健忘という効能効果はあったのですね。

○山本医薬品審査管理課長 一緒に確認いたしますが、昭和の頃から健忘という効能を持っていたと思います。

○中川委員 今回発売にあたり、健忘を「物忘れ」に置き換えたということになっていますけれど、それで間違いないですか。

○山本医薬品審査管理課長 一般用の漢方処方として健忘ということは出しておりましたが、単味の生薬、単味のオンジの生薬として、この健忘ないしは物忘れの改善ということを出したのは、今回が初めてになるということでございます。

○中川委員 では、今回は薬事承認をし直したのですか、効能効果の追加承認ですか。どちらですか。

○山本医薬品審査管理課長 個別の製品について新しい申請が来て、それに対して承認を出しております。

○中川委員 では、データとしてこれが物忘れの改善になるというデータがあるのですか。昭和の時代の薬事承認のときに健忘というのがあったから、それを、表現を変えたというふうに書いてありますよ。新しいデータが出たのですか。

○山本医薬品審査管理課長 以前より健忘に用いられてきたということに加えまして、2000年以降で単味生薬を使ったデータで、MMSEの改善ないしはそういった新しい治験が出たことをもって、厚労科研の研究班でそういった近頃の治験も合わせて、物忘れの改善ということについて効能を付すと。厚労科研におきまして平成27年ぐらいまでに取りまとめられた厚生労働省の研究班におきまして、これまでの使われ方、そして新しく2000年以降で得られた単味生薬の治験で、それらを踏まえまして中年期以降の物忘れの改善というものについて、このオンジについて妥当だろうということで設定したということです。

○中川委員 治験の結果はどうだったのですか、対照例は何例ですか。なぜ、こうしつこく聞くかというと、そもそも健忘というものにこういう生薬が効果あるのかどうか、私は疑問だから言っているのですよ。強壮、鎮静、去痰を目的として元気になるから、物忘れ改善すると書いてあるけれど、どうもつながらないではないですか、医学的に。そして、今回、このように商業的な商品名を付けて、大々的にテレビコマーシャル、新聞で一面広告を出して売りまくると。これが、厚生労働行政として看過できるのかという問題提起をしているのです。極めて重大なのですよ。医療現場では患者さんが、自分のかかり付けの先生に、「先生、今、キオグッドという記憶が良くなるっていう薬、薬局で買えるみたいだけど効くんですか」と。「うちのお父さんに飲ませたい」とか、そういう類がたくさんあるのですよ。アレデルと、アレアレと言ったのが出るようになるとか。ワスノンとかね。そういうこと、国民を翻弄しているのですよ。そういうことを医薬局として放置しておいていいのかという問題提起をしているのです。

○山本医薬品審査管理課長 先生の御指摘、エビデンスのお話、あるいは販売名、あるいは広告全般の問題に対する御意見、ありがとうございます。近頃得られたエビデンスについて御紹介しますと、健康成人への投与試験として一群20数例ぐらいで、オンジエキス剤を服用したものと、プラセボ群を設定しまして。それで単語の想起テストの得点がどうだったかとか、この種の記憶の試験をやって、オンジエキスの投与群のほうが有意に高かったというような試験成績、ないしは高齢者への投与結果として、同様にやはりプラセボと二重盲検をやって、MMSEとかスコアで有意な改善が認められたといった試験結果が得られたというのが、ジャーナルに掲載されたということです。それらを踏まえての研究班の取りまとめというところです。

 広告あるいは販売名全般につきましては、こういった効能効果あるいはその基になったエビデンスから外れるような虚偽・誇大といったものについてはやはり厳に慎まなければいけないということで、先ほど申し上げたような事務連絡を発出させていただいたということです。それから一般用漢方としてオンジがいつ頃からかということですが、昭和45年からの承認が、今、手元で確認できるところで一番古いところということです。

○中川委員 そのときには健忘はあったのですか。

○山本医薬品審査管理課長 健忘の効能はあったということです。

○中川委員 すみません、いいですか。ここに、事務連絡に書いてありますが、効能効果があるのは、正常な物忘れなのですね、正常な物忘れ。そうでない物忘れは、効かないのですね。一般の国民は、一般の患者さんは、自分の物忘れが正常な物忘れか、そうでない物忘れかと区別できますか。

○山本医薬品審査管理課長 そこはやはり物忘れの自覚症状が各皆様方自覚されるようになってから、それが正常か、あるいは病的かというのはなかなか難しいと思っております。

○中川委員 区別できないのです。それで、こういう状況の中で医療現場が混乱していますからね。そして、かつ、その一方で売上げがぐいぐい伸びているのです、これは。そこで、こういう一般用医薬品の名前、商品名、どこで決めるのですか。

○山本医薬品審査管理課長 申請者の方が承認申請の中に販売名を書いて、それをPMDAで審査の上、厚生労働省で承認をすると、こういった流れになっております。

○中川委員 部署はどこですかと聞いています。

○山本医薬品審査管理課長 部署ですか、PMDAの部署ですか。厚生労働省であれば、私ども審査管理課が担当部署です。

○中川委員 流れとしてどちらが先、どこで決まるのですか、最終的に。

○山本医薬品審査管理課長 最終的には承認は厚生労働省の審査管理課で。

○中川委員 商品名も含めてですか。

○山本医薬品審査管理課長 はい、販売名を含めてです。

○中川委員 では、そこで国民に混乱を及ぼすような商品名は、これは修正すべきだというようなそういう機能があるのですか、そこに。

○山本医薬品審査管理課長 はい。一応私どものところでも最終的な承認前の段階でチェックをさせていただきます。現実的にはかなり修正をお願いするケースもございます。既に出ていたものについては、確かに私どものほうで承認をしておりますが、現在オンジを含め、ほかの一般用医薬品もそうですが、販売名についてきちんとPMDAともちろん協力はするのですが、私どものところでもチェックをするようにしております。

○中川委員 では、今回のアレデルとかキオグッド、ワスノン、これは認めたのですね、あなたの部署が認めたのですね。

○山本医薬品審査管理課長 はい、私どものところで部署で認めております。

○中川委員 では、PMDAが決めてきたから、しょうがなかったというわけではないのですね。

○山本医薬品審査管理課長 はい、私どものところで最終的な責任を取っております。

○中川委員 では改めて言いますが、今の時点でこういう製品名を認めたことを後悔していますか。大事な質問です。

○山本医薬品審査管理課長 率直に申し上げさせていただきますと、承認後に展開された広告、先生が先ほどおっしゃった広告も含めて考えますと、販売名を更に便乗したような、しかも効能効果からかなり逸脱した広告に使われてしまっているという意味では、いかがなものかとは思っております。

○中川委員 すみません、長くなって。反省してないということですね。こういう物が、同じ物がほかの薬に出てきたら、また同じことになるということですね。これでは駄目ですよ。局長、いかがですか。

○宮本医薬・生活衛生局長 今、先生から御指摘がありましたけれども、当時はメーカー側の戦略についてそこまでのものが予測できなかったということかもしれませんが、これは一つの反省材料ですので、今後の名称等含めた審査については、この反省点に立った上で採用すべきものと思っております。

○森田部会長 時間が予定より遅れておりますが、よろしいですか、中川委員のほうは。

○中川委員 はい、どうぞ。

○森田部会長 では本田委員、どうぞ。

○本田委員 一応私も意見を言わせていただきたいと思ったのですが、このオンジ製剤の広告、この件に関しては中川委員のおっしゃることに私は賛成です。せっかく今日議題として出されるのに、その辺の整理をしたものをまず出していただきたかったなというのが、一つお願いしたいと思いました。それと、この物忘れという言葉ですが、私も認知症のことをずっと取材している一人なので、これは一般の方には、多くの方に大変響く言葉で、物忘れと言われると、何でも使いたくなるわけですよね。なので、その言葉の使い方というものについてですが、私は全て広告に関してギチギチに厳しくすればいいとは言いませんが、やはりこの問題に関してはもう少し、どのようにチェックをするのかとか、そういうところもきっちり考え直していただきたいなと思います。現在、どういうふうにしているのかということもできれば出していただきたかったと、これは意見ですが、次回にでもお願いしたいと思います。

○山口委員 今、ネットで検索をすると、ここにある5つのうちの少なくとも3つは、「物忘れ改善」「記憶機能改善」「加齢に伴う物忘れ改善」と書いてあります。今まだ直りきっていないというふうに Webサイトで書いてあるのですが、どこまでのことを改善することを目指していらっしゃるのか。今のような表現ということは、ここはまだいいということなのか。ちょっとその辺り、明確にしていただきたいと思います。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 今の山口先生がおっしゃったのは、物忘れ改善は、オッケーですね。記憶機能改善は、これは超えています。記憶機能の活性化による物忘れ改善、僕らも昨日もう一回見たのですが、記憶機能の活性化は認められていない。

○山口委員 加齢に伴う物忘れ改善も、駄目なのですか。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 加齢に伴う物忘れ改善、それはいいのでしょう。

○山口委員 本田委員と私も一緒で、その違いを一般的には分からないですし、どちらもやはり物忘れに効くのだというふうに安易にやはり手を出してしまうと思いますので、お役所的にそれが駄目と思っていても、やはり一般的ではないと思います。

○中川委員 物忘れ改善はバッテンですよ。正常な物忘れはいいのですよ、改善するのですよ。そうでないものは改善しないのですよ。だから、物忘れ改善、駄目ですよ。

○山口委員 先ほどちゃんと言えなかったのですけれど、何かこれだと、認知症のお薬のように見えてしまうというのが一番の私は問題だと思っていて。そこの区別を明確にするということが、とても大事で。その付け方ということをどうしているのかということも、きっちりまた示していただければと思います。

○森田部会長 予定した時間を大分超えておりますので、この件につきましてかなり重要な話だと思いますので、事務局のほうは次回ないし、もう一度きちっと対応した形で、見解を示していただきたいと思います。タイミングの問題もありますので、それはまた御検討いただきたいと思います。それではこの件もこの辺りで閉めさせていただきたいと思います。

 議題といたしましては、その他で幾つかありますので、これについて最後に事務局から御説明をいただきたいと思います。では、どなたかどうぞ。シナリオでは荒木補佐となっておりますが、いかがですか。

○山本医薬品審査管理課長 それでは、GPSP省令の改正について御説明をさせていただきます。資料としては、参考資料6を御覧ください。GPSP省令といいますと、新薬は申請されて承認されますと市販後に様々な取組をしていただいた上で、一定期間の後、再審査の仕組みがまいります。再審査をして、承認について引き続き実施していいかどうか等々を審査させていただくのですが、その中でこのポンチ絵にあるように、通常のどんなお薬でも必要な副作用報告等々のほかに、製造販売後の一定の調査をそれぞれの品目でしていただくことがほとんどです。

 その際の製造販売後調査というのが、今まで使用成績調査あるいは製造販売後の臨床試験というのがほとんどだったわけですが、先ほど前半に御紹介しましたように、リアルワールドデータということで、これまでは医療機関から直接情報を企業の方が集めることが前提、そういうことを想定した仕組みなり、基準であったわけです。各種のデータベースと医療情報データベースが構築されつつある、あるいはもう活用できるようになりつつあるということで、医療情報のデータベースを使って製造販売後の調査を行うことも組み込むための省令改正をさせていただきました。

 具体的には裏をめくりまして、黄緑色のボックスが既存の省令に入っていた事項と思っていただければと思います。使用成績調査の中で、これはデータベースではないのですが、使用成績調査の中でカテゴリーをもう少し分けさせていただいたものです。そのほかに、メインとしてこの真ん中のオレンジの製造販売後データベース調査というもののカテゴリーを起こさせていただいて、いわゆる医療情報のデータベースを使って、それをよく活用して製販後の各種データを集め、そしてそれを再審査に持ってきていただくというようなことを進めていきたいと考えております。1026日に省令公布をしましたが、施行は来たる来年41日としております。データベース調査と一言でいっても、いろいろやり方も含め、もう少し詳細に通知などでお示しをしていきたいと思っており、それらについて施行までの間に発出をできる限りしていきたいと考えております。簡単ですが以上です。

○森田部会長 では続きまして、どうぞ。

○佐藤医薬安全対策課長 医薬安全対策課です。お手元の参考資料7-1です。「医薬関係者による副作用報告の推進に向けた取組について」ということで、前回6月の当部会において御議論をいただいたものです。この資料の5ページを御覧ください。医薬関係者の副作用報告ガイダンスの骨子ということで、現状、医薬関係者からの副作用報告、全体の副作用報告のうちの10分の1程度ということですが、これをやはり近年のいろいろな後発医薬品、ジェネリック医薬品の普及とか、ボリファーマシーによる複合的な副作用の発生等に対応して、より推進していこうと。医療機関報告を推進していこうということです。医療機関内での職種間、更には院外の薬局、医療機関等との間の連携を深めていただいて報告を促進していこうということで、厚生労働科学特別研究班の中に、今御検討いただいているガイダンスです。

 最後の6ページは副作用報告ガイダンスの骨子についてです。こちらに書いてありますような、報告する副作用の対象、医療機関の中での様々な職種機能間の連携、また薬局において病院、医療機関等々との連携を図るということで、この部会でも薬局の対応については赤字で示しているような点について御指摘をいただき、これを修正した形で本年710日に事務連絡を発出させていただいております。

 事務連絡については参考資料7-2で付けておりますので、御参考までに御紹介させていただきます。事務局からは以上です。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 続きまして、参考資料8-18-2を御覧ください。また脳の機能の関係です。前回の会議において、集中力を高めるとか、頭がすっきりするというような、脳の機能を高めることを標ぼうして海外で販売されている製品について、これを個人輸入で入れて、いろいろな問題が起こっているのではないかというような御指摘がありました。「スマートドラッグ」という言い方がいいかどうかということもありますので、余りそれについては書いていませんが、今までそういうふうに言われたものです。

 私どものほうでは、インターネット上でこれは日本人向けに日本語の表記があって、販売サイトだろうというようなものをいろいろ調べた結果、脳の機能等を高めることを標ぼうして販売している製品は約60品目ありました。これらの品目に関してその薬理作用や実際に副作用の情報、薬物依存の研究など、専門の先生方に評価していただくのが大事だろうということで、日本アルコール・アデクション医学会の先生方にこれの問題はどうなのかを見ていただきました。そうしたところ、個人輸入における取扱を見直すべき品目として、次の参考資料8-2にありますが、27品目が選定されました。

 参考資料8-2を御覧いただきますと、ピラセタムから始めまして、3ページにわたりまして最後のプレグネルノロンまで27品目あります。対応の方向性ということで資料8-1の下のほうですが、これらについては適切に使うためには医師、薬剤師の関与が必要ということです。海外から入国された方が持ち込む物を除いて、今、個人輸入に関しては実際に輸入する場合に個人使用が明らかということで、例えば処方箋薬や劇薬の場合は1か月分、その他の医薬品は2か月分、特に処方箋がなくても個人で輸入ができることになっております。これらの問題は非常にそういう問題も多いだろうということで、実際に1か月分、2か月分という量であっても輸入する場合には医師の処方箋や指示があるということを、確認を求めることにするとしたいと思っております。一応今回27品目選定しましたが、今後もいろいろなこういったことがいろいろな違うもので起こったりすることもあると思いますので、引き続いてずっとモニタリングをかけてフォローアップをしていきたいと思っております。

 今後の予定ですが、この27品目に関して個人輸入の規制を強化することになりますが、パブリックコメントを行い、いろいろな御意見をいただくと思いますが、その結果を踏まえて、先ほど申し上げた個人輸入の規制強化を行うかどうかという判断を最終的にさせていただきたいと思っておりまして、今日はその旨を御説明させていただきました。

○森田部会長 では続いてどうぞ。

○磯部監視指導・麻薬対策課長 続いて申し上げます。時間ないところ恐縮です。参考資料9、原薬メーカーの不正製造事案です。これは和歌山県の原薬メーカー、山本化学工業という会社ですが、今年の5月に和歌山県・厚労省・PMDAが無通告で立入検査を行った結果、以下の違反事項を確認ということです。一番大きく問題視されたのはアセトアミノフェンという風邪薬の成分ですが、これがPMDAに登録している製法と異なり、違う品質の悪い中国産アセトアミノフェンを添加して、かさ増しを行っていたということです。それが端緒でしたが、そのほか、抗てんかん薬のゾニサミドについても違う形の溶媒を使っていたとか、そのほか調べていきますといろいろなGMP省令の違反なども見つかったということです。これを受けて、この会社で、全部で10製品の原薬を製造しておりましたが、全原薬についての出荷停止を命じ、6月に22日間の業務停止命令を行ったということです。

 経緯は2ページです。その後、実際に業務停止が解けた後もきちんとGMP省令に反しない形で改善がなされるのかについて確認を行い、立入りも数度行い、現在のところアセトアミノフェンの製造の開始、それからアスピリンも111日から出荷再開になっております。問題になった事項については3ページにまとめております。こういった事項を受けて、4ページに原薬製造所、最初に製剤の製造所ではなくて、原薬製造所においても無通告の査察の実施や定期的な確認の監視などについて通知を打ち、都道府県に話をさせていただいているところです。以上です。

○森田部会長 では続いて、どうぞ。

○屋敷総務課長 続きまして総務課です。最後、参考資料10です。成長戦略あるいは経済財政改革基本方針と、大体6月頃に閣議決定をされる政府全体の方針があります。様々な分野がありますが、医薬品あるいは医療機器の分野についても決定事項があります。それについての対応状況を表にまとめたものです。14ページまでは再興戦略あるいは未来投資戦略で、これは技術革新や対応とか、データに関する国際展開といったテーマのものがあります。例えば、平成30年度から本格活用できるようにしていますとか、そういうものを対応状況と今後の予定でまとめておりますので、御覧ください。

 また56ページ目は、経済財政運営と改革の基本方針です。こちらは事業運営や施策の効率化といった点からの内容です。最適使用ガイドラインの作成とか、健康サポートもありますが、そのような内容についての進行状況あるいは今後の予定をまとめているものです。実際に710ページ目までは規制改革の実施計画です。これは割と個別事項のものが多く、薬局での販売体制に関するもの、9月に薬剤師不在時の登録販売者が販売できるような省令改正等の通知を行っているなどの対応状況を書いております。全般として、これは政府全体の取組ですので、しっかり対応するとともに、また実施済みというものの施行状況をしっかり確認することは大切だと思っております。引き続き取り組んでまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。以上です。

○森田部会長 ただいままとめて御報告いただきましたが、時間があと3分もありませんが、何か御発言がありましたら簡潔にお願いいたします。

○川西委員 参考資料7-1の関係で、最後の6ページ目、医療機関の対応についてです。ジェネリック医薬品の関係で、院外処方の薬剤への対応ということで、佐藤課長が説明していただいた資料の関係ですが、これで薬剤を特定するということで、これは医療機関に何を選択したかを知らせるということを考えている、薬局からということなのですか。この辺が具体的にどういうふうなメカニズムを考えているのか、教えていただければと思います。

○佐藤医薬安全対策課長 御指摘をいただきまして、ありがとうございます。ジェネリック医薬品の場合ですと、どの銘柄のものが実際に調剤で使われたかということを、実際報告を書かれる医療機関のほうで分からないケースがあるといけませんので、そこについて実際に調剤をされた薬局と、その報告をされる医療機関との間できちんとコミュニケーションを取っていただく。そこに、例えばお薬手帳等を参照して、対応いただくようなケースもあります。それで分からなければ、実際に処方した薬局に照会をしていただくというプロセスを、この骨子の中では盛り込んでいるということです。

○川西委員 これ、義務ということにするのですか。

○佐藤医薬安全対策課長 これは、現状は報告のガイダンスの骨子ということでして、こういったものを試行的にまずはお知らせをして、実際に現場でお使いいただいて、また更なる改善等をさせていただくということで、検討しているものです。

○川西委員 はい、ありがとうございました。

○森田部会長 それではよろしいですか。どうもありがとうございました。事務局は今の御意見も含めて、これから取組を進めていただきたいと思います。

 それではまさにちょうど時間がまいりましたが、本日の議論はここまでとさせていただきたいと思います。最後に事務局から連絡事項をお願いいたします。

○紀平医薬情報室長 御議論ありがとうございます。本日幾つか議題で御議論いただきました。様々な御意見をいただいたところですが、それは事務局としてもまた対応してまいりたいと考えております。健康サポート薬局の関連についてはその現状の把握ですとか、またその届出の要件についての御意見をいただいております。また、情報提供の適正化について、あるいはまたオンジの広告の適正化についても数多くの御意見をいただいております。これらについても、また事務局で進め方について検討を進めていきたいと考えております。次回、第4回の医薬品のこの部会ですが、来年の開催を考えております。詳細な開催日時については改めて御連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

○森田部会長 今日幾つかの問題提起もあったかと思いますが、特に、まさにその物忘れの薬の件については対応をよろしくお願いいたします。失礼いたしました。それでは、本日はこれで閉会といたします。ありがとうございました。


(了)

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