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2018年1月23日 第8回「仕事と育児の両立支援に係る総合的研究会」

雇用環境・均等局職業生活両立課

○日時

平成30年1月23日(火)10:00~12:00


○場所

厚生労働省共用第9会議室


○出席者

委員

武石委員、池添委員、池田委員、佐藤委員、座間委員

厚生労働省

宮川雇用環境・均等局長、成田審議官、源河職業生活両立課長、岡雇用環境・均等局総務課企画官、土岐職業生活両立課課長補佐

○議題

1. 男性育休取得促進等に係る周知・啓発等について
2. その他



○配布資料

資料1 男性育休取得促進及び育休中の所得保障にかかる周知・啓発について
資料2 これまでの議論の取りまとめ骨子(案)
参考資料1 周知・啓発資料の実物等

○議事


○武石座長
 定刻になりましたので、ただいまから「第8回仕事と育児の両立支援に係る総合的研究会」を開催いたします。委員の皆様には、ご多忙の中、それから足下の本当に悪い中、お集まりいただきありがとうございます。池田委員が少し遅れるということと、駒崎委員が急遽いろいろな対応があるということでお休みということですので、よろしくお願いいたします。
 本日は、議事次第にありますように、まず周知・広報に関する議論を行っていただき、その後全体的な議論をしたいと考えております。早速、議題に入りたいと思います。
 皆様には、6月1日に第1回を開催して以降、お集まりをいただいております。そして男性の育児促進という観点から議論を頂いてまいりました。それからヒアリング等も実施して、調査などもして実態把握をしました。そして男性の育児参加の現状を取り巻く環境、それから対策としてすべきことなどに関しても、ご意見を頂戴しいろいろなことが明らかになってきたと思います。
 そろそろ、この研究会も様々な議論をしたと考えておりますので、年度末を1つの区切りとして、一旦議論の取りまとめをしたいと考えております。今回事務局のほうで、研究会の議論を取りまとめた資料を作成していただいていますので、その説明をお願いしたいと考えています。併せて周知・広報関係について第6回の研究会の際に資料等の準備をしていましたけれども、時間の関係で議論ができておりませんので、その説明もお願いしたいと考えています。では事務局から説明をお願いします。


○土岐職業生活両立課課長補佐
 説明させていただきます。資料2です。「これまでの議論の取りまとめ骨子」ということで、1回から前回まで出していただいていた議論を、事務局で総論、各論で分類した上で整理させていただいたものです。
 資料の構成は、「総論」でまず1に「現行の法制度と課題」、それから2で「男性による育児の必要性」、その次のページになりますが、「男性が育休取得をはじめとする育児参加をする意義」ということでまとめた上で、それらを踏まえて次のページの4の「今後の両立支援に関する基本的な考え方」で、今後どうしていくべきかということをまとめ、その後の5ページ以降の各論以下で、具体的な対応策として、どうしていくかまとめています。
 1ページ目に戻って、総論から説明させていただきます。現行の法制度と課題ということで、まず上から3つ目まで現行の法制度の説明を簡潔にしています。現行は、原則お子さんが1歳になるまで育休を取得できます。男性の育休取得の促進のためパパ・ママ育休プラス等も整備しております。
 2つ目に、緊急的な、保育園に入れない場合等の雇用の継続のために特に必要と認められる場合には、最長で子が2歳になるまでの育休が取得できます。3つ目に、育休以外にも、育休からの復帰後等にお使いいただく、所定労働時間の短縮措置ですとか、所定外労働の制限等の利用が可能となっています。
 これらの制度については、現在男女ともに取得はできますが、多くは母親が取得している実態となっていて、男女の区別なく取得できる一方、母親だけでも取得しきれる仕組みとなっている点が、父親による育児休業の取得ですとか、育児参加の促進を妨げている要因になっているのではないかということで、課題としてお出しいただきました。
 2つ目は男性による育児の必要性です。こちらも上2つで、データとして分かる現状を書いています。現在、約5割の女性が出産を機に退職をなさっている状況です。その要因の1つとして、男性による育児、家事への参加の少なさが挙げられる。2つ目に、夫の平日の家事、育児時間と、妻の出産前後の継続就業割合には相関が見られますが、日本における6歳未満児のおられる男性の1日当たりの家事、育児関連時間は、平均1時間7分となっていて、先進国中最低の水準であるとなっています。
 3つ目は、このように日本では男性による家事や子育てへの関わりが弱く、その結果、女性に家事や子育ての負荷が掛かっていることが女性の継続就業を困難にし、女性活躍の妨げとなっているのではないか。女性の社会進出のためには、「男性の家庭進出」が不可欠であると考えられるという意見が出されました。
 4つ目は、夫婦で働く家庭が増えてきていますけれども、約4割の家庭が男性雇用者と無業の妻から成る世帯、いわゆる専業主婦家庭ですけれども、このような専業主婦家庭における男性の育児参加も重要であると書いてあります。
 近年、地域によってはコミュニティの希薄化も相まって、子育て中の者が孤立化しており、専業主婦の子育てへの不安感が増してきている。男性の育児への関わりが十分でないことは、第二子以降の出産意欲にも影響を及ぼし、少子化の一因になっている。これらを踏まえ、どのような家庭においても、男性による家事、育児が当たり前に行われる状況となることが重要であると考えられている、ということでまとめています。
 次のページをお願いします。3の男性が育休取得をはじめとする育児参加をする意義ということですけれども、こちらは第5回、9月の研究会だったと思いますが、こちらで出した資料とほぼ同内容となりますので、簡潔に説明します。マル1、マル2、マル3で、男性の育休、育児の意義ということでマル1の女性の活躍につながる。マル2の男性ご自身の働き方改革にもつながる。マル3の少子化対策にも寄与する、と3つ挙げております。
 その次ですが、育児休業の取得時期、妻の働き方、家庭の状況等により、様々な男性の役割が考えられます。1つ目の○、2つ目の○、3つ目の○と時期で分けていますが、1つ目の○で、出産直後の時期による男性の役割。その次に、妻の復職時等における男性の役割。その下、3つ目で、それ以降における男性の役割、ということでまとめています。
 次のページで、1、2、3を踏まえて、今後の両立支援をどう行っていくべきかということについて、基本的な考え方としてまとめて記載しています。各家庭における様々な働き方、家庭環境等に応じて、男性の育児、家事への関わり方がいろいろあると考えられて、主として両立支援制度を利用しながら育児、家事をするケース。それから両立支援制度には限らず、有給休暇等の制度を利用して育児、家事をされるケース。こういった制度を利用せず、日々の働き方の工夫等により育児、家事をするケース等が想定されます。
 このように多様化している労働者の育児、家事への関わり方を踏まえて、更に利用しやすい両立支援制度にするために工夫していくべき点は何か。男性労働者に対して、いかにして制度の利用を促進していくのか。それから日々の働き方の工夫等によって、いかに推進していくかという観点から、下記のマル1からマル5にまとめています。
 マル1は、男性の両立支援制度の利用の促進です。男性の育児休業所得率は、ご存じのように3.16%にとどまっています。男性労働者の意識を見ると、育児休業等について、取得を希望する労働者は約3割に上っています。育児休業を取得できなかった理由は、職場の要因が大きい。子育て世代の男性は、育休の取得を希望するものの、会社内の育児休業を取りにくい雰囲気であるとか業務が多忙であることを理由として、現実には仕事を優先せざるを得ない現状となっていることが多い。よって、育児のための休業等の取得を希望する男性が取得しやすい職場風土の改善も、より一層進める必要がある。また、男性の育児、家事への関わりは、育児休業以外にも短時間勤務等、様々なケースが考えられますので、これらを促進することも重要である。
 マル2は、両立支援制度の利用に限らず男性が主体的に育児を行うための支援策ですが、育児・介護休業法に基づく両立支援制度を利用しなくても、有給休暇等の制度を利用し育児、家事をすること、制度の利用に限らず日々の働き方の工夫等によって育児、家事をすることも重要です。育児休業等を取得せずとも担える重要な役割があることを男性労働者等に周知し意識改革を図るとともに、男性労働者による育児等を後押しできるよう企業の意識変革につながる取組を検討していく必要があります。
 マル3は、少しマル2と重なる部分もありますが、企業における、休める文化の醸成です。次のページに飛びますが、企業において、有給休暇や特別休暇の取得促進に向けた取組を進めているような「休める」文化が醸成されている企業においては、有給休暇の取得率も比較的高く、また、男性の育児休業取得促進に係る取組も併せて進められていて、その影響もあって、男性労働者の育休取得が進んでいます。働き方改革による長時間労働の是正、ワーク・ライフ・バランスの改善の推進も含め、当たり前に休め、当たり前に長時間労働をしないような文化が企業に醸成されるような取組を進めるべきであります。
 マル4は、仕事と家庭の両立支援のための制度の在り方ということで、中長期的には、様々な労働者のニーズに応えられるように、柔軟な利用が可能な仕組みを検討することが必要です。加えて、労使間において、円滑な制度の利用調整ができる環境を整えることも重要です。
 マル5は、事業主及び制度を利用する出産期の労働者に対する有効な周知ということで、これまで厚生労働省として、企業・労働者に対して様々な周知を行ってきました。これは後ほど説明しますが、最も重点的に周知すべき対象である子育て世代の男性労働者、男性労働者には限りませんが、子育て世代の労働者に対する効果的な周知内容・方法を念頭に検討を進めていく必要がある、ということで今後の方向性と基本的な考え方をまとめています。
 その次のページ以降が「各論」になって、具体的に考えられる対応策ということでまとめています。先ほどご説明したマル1~マル5に沿って、項目を1~5と立てています。それぞれについて、ポツを中心にご説明します。1つ目の「男性の両立支援制度等の利用を促進するための方策」ですが、まず1つ目のポツです。男性の育休をはじめとする育児参加のパターンの提示です。男性の育児、家事への関わり方は、家族の状況等により多様なパターンが考えられます。先ほど言ったとおりです。それぞれの状況における男性の育児や両立支援制度の利用の仕方、役割等のモデル例を提示することによって、例えば短い育休の取得期間でも有益な取得の仕方があることとか、そのような好事例等を企業や労働者にも周知していくべきであります。
 2つ目に、配偶者の産休期間における休業等の呼びかけです。育児、家事のための休業、休暇中に男性が行ったことを見ますと、女性の産休期間である産後8週間以内においては、約9割の男性が、病院への付き添いや面会を行っていました。まずこの共通した役割ニーズもある産後8週間における父親の育児、家事のための休業、休暇等を進める取組を行うべきであります。これにより、企業にとっても産後8週間は、男性も女性も産休期間として育児を行う期間であるという認識が進み、また、労働者にとっても休業するのが当たり前という意識が芽生えることで、「男性も女性も子育てしながら働く社会」の実現につながると考えられます。
 3つ目に、育児・介護休業法に基づくハラスメント防止等の取組の周知徹底です。これは昨年1月1日に施行されており、これを進めていくのは当然ですが、そのことについて書いています。育児・介護休業法に規定する労働者が育児休業等の対象であることを知った場合の事業主による個別周知努力義務や、育休等を理由とした不利益取扱いの禁止及び職場におけるハラスメント防止措置の周知徹底によって、労働者が育児休業等を利用しやすい環境を整えていく必要があるということです。
 その次に、育休以外の制度の利用呼びかけですが、育児・介護休業法では、子が3歳になるまでの短時間勤務制度の措置義務を事業主の方々に課していますが、利用状況を見ますと、短時間勤務制度は、利用経験のある女性が4割以上おられる一方で、利用経験のある男性は2.6%となっています。一方、育児・介護休業法では措置努力義務となっているフレックスタイム制度の利用状況は、女性が11.6%、男性が14%。同じく努力義務となっている時差出勤制度の利用状況は、女性が13.9%、男性が6.3%となっていまして、短時間勤務制度よりも、フルタイムで働けるフレックスタイム制度や時差出勤制度が男性にとって利用しやすい実態も踏まえて、これらの活用による男性の育児参加も呼びかけていくことも必要です。
 その次に、育休取得による男性労働者への好影響の周知になります。育児休業等を取得した男性労働者は、早く家に帰ることを意識するようになった、仕事の効率化を考えるようになった等、自身の働き方を効率化する好影響がデータ的にも出ています。また、育児休業を取得した男性労働者が「会社への帰属意識が高まった」と感じる割合は、育児休業以外の有給休暇等により、育児をした男性労働者よりも大きくなっています。
 このように、男性による育児休業は、労働者、会社双方にとって有益な変化をもたらすことが明らかとなっていることを周知していくべきである。以上、1についてです。
 2の「制度の利用に限らず男性が主体的に育児を行うための支援策」についてですが、まず1つ目のポツです。ワンオペ育児を防止するための社会的機運の醸成です。企業の方から労働者の配偶者への手紙の送付ですとか、育児中の女性の配偶者の勤務先に配慮を依頼するような、企業がお互いに、いわゆるワンオペ育児を生み出さないように意識付けをしていくことが考えられます。
 その次ですが、男性の参加しやすい両親学級の普及促進です。出産を控えたご夫婦を対象に、妊娠、出産、育児等について学ぶための両親学級が各自治体で行われていますが、この両親学級への男性の参加を促進することで男性の育児への意識を向上させるべきである。また、名称が「母親学級」となっている等、男性が参加しにくい状況となっている場合もありますので、男性も参加しやすい形になるよう、必要に応じて働きかけていくべきです。
 その次に、乳児家庭全戸訪問事業です。いわゆる「こんにちは赤ちゃん事業」ですが、こちらへの男性参加促進ということで、生後4か月までの乳児のいる全ての家庭を訪問し、子育て支援に関する情報提供等を行う乳児家庭全戸訪問事業について、母親だけが対象になっているように誤解されているという声がありますので、父親も対象の事業である旨を明確化するべきであるということです。
 次に3番目、企業における「休める」文化の醸成です。先ほどの繰り返しになりますが、「休める」文化を醸成している企業では、男性の育休取得も進んでいます。具体的にデータ上、育児休業以外の育児参加のための休暇制度が整備されている企業においては、配偶者が出産した男性がいた企業のうち、当該制度を利用した男性がいた企業の割合は、39.0%です。事業所全体で見ますと、男性労働者に育児休業を取得させたことのある事業所は5.4%にとどまっている状況ですので、育児に対する取組が進んでいる企業では、男性の育児への参加がかなり進んでいるということが明らかになっています。
 そもそも、長時間労働が削減され、有給取得が促進されれば、日常的に育児に関わることが容易になり、また、育児に関わる度合いが大きい男性ほど、長時間労働を削減する傾向もあることが明らかになっていますので、働き方改革による長時間労働の是正も進めることが重要です。
 よって、男性労働者の育休取得実績のある事業所の増加、育児休業以外の育児参加のための休暇制度の整備の呼びかけ、及び働き方改革の推進等を通じ、企業において、当たり前に休め、当たり前に長時間労働をしないような「休める」文化を醸成していくべきです。
 4つ目は「制度の在り方」ですが、近年改正が続いていますので、改正内容の施行状況も見ながら中長期的に議論する必要がありますが、法制的な改善策としては次のような意見がありました。取得可能期間である原則1年間は変えず、育児休業取得年齢を一定の年齢まで引き上げる。これに伴い、パパ・ママ育休プラスは廃止する。2つ目に、育休の分割取得など、弾力的な育休制度とする。育児休業の円滑な取得促進のため、労働者の育児休業取得の希望に対し、事業主と事前に相談対応できるような仕組みを導入する。こういったことが意見としてありました。
 その次に、5の「その他」になります。マル1で、男性育児参加に係る指標です。現在の男性の育児参加に係る数値目標は、2020年までに男性育児休業取得率を13%としています。育児休業以外にも多様な家庭環境等に応じた育児、家事への関わり方があり、育児休業の取得のみならず様々な形での育児参加を促進することが重要ということです。男性の育児参加状況を測る指標としては、男性育休取得率だけではなく、他の指標も併せて男性の育児参加を捉えるようにすることが望ましいと考えられます。そのため、男性の育児参加状況を測る指標を検討の上、経年的にデータの把握ができるようにすべきであるとの意見がありました。
 マル2は、企業による男性育休促進の取組の見える化ですが、企業風土の変革に向けた働きかけに加え、企業による男性育休促進の取組を見える化することも重要です。次世代育成支援法に基づく一般事業主行動計画に男性の育児休業に係る目標を定めるよう奨励すること、及び女性活躍推進法に基づく男女別の育児休業取得率の公表を推進していくこと等により、企業行動の見える化を検討すべきではないかということです。
 マル3は、女性のキャリアに対する意識付けですが、女性が仕事と育児を両立しながら活躍するには、男性による育児、家事参加が重要です。そのためには、女性側のキャリア継続に対する意識を関係者が高めていくことも必要です。仕事と育児を両立させながら、いかにキャリアを積んでいくかについて、女性労働者だけではなく、上司や男性配偶者も一緒に考えることが有効であって、企業によっても、本人、上司、本人の(男性)配偶者に対して人事担当が面談を行う四者面談を実施しているような例もあり、こういった好事例を広めていくことが望ましいと考えられます。
 以上をもちまして、皆様方のご意見を総論、各論的に分けた資料の説明を終わります。
 併せて周知関係です。先ほどの4に該当する部分ですが、資料1の「男性育休取得促進及び育休中の給付等に係る周知・啓発について」の資料をご覧ください。こちらにこれまで厚生労働省として取り組んできた、男性育休取得を中心とした周知、育休中の給付に関しての周知・啓発についてまとめています。
 対象者ごとにまとめていますが、マル1で企業・労働者向け、双方に対する取組ということで、イクメンプロジェクトがあります。これは平成22年から開始していますが、積極的に育児をするイクメン及びイクメン企業を周知・広報していく。表彰や参加型の公式サイト等を通じて、男性の育休取得に関する社会的な機運を醸成しています。
 男性の育児休業等の取得を契機とした職場内の業務改善や働き方の見直しや、男性の育児に参画したいとの希望の実現等を通した女性の継続就業率と出生率の向上を図っています。具体的に取り組んでいる内容としては、そちらに書いてあるとおりです。
 2つめのポツですが、平成22年の育児・介護休業法の改正(H22.6.30)の周知です。こちらは、パパ・ママ育休プラスが導入された改正になりますが、父親も子育てができる働き方の実現を目指して、育児・介護休業法にパパ・ママ育休プラスの規定を追加し、改正法の内容と併せて男性の育児休業取得促進を周知したということです。リーフレット、パンフレット等を作成し、労働局で開催する説明会での配布のほか、事業主、業界団体、労働組合に配布するという取組を行いました。
 マル2では、企業向けの取組として、3つほど挙げています。ちょっと古いですが、1つ目は、男性社員が育児参加しやすい職場づくりガイドブックということで、平成20年のものです。21世紀職業財団において作成していただいて、47地方事務所に配布しています。その次、両立支援の取組、20事例の紹介ということで、これは好事例紹介ですが、これを平成25年1月に行い、労働局、都道府県庁、個別企業、事業主等に配布しています。併せて電子媒体をHPに掲載しています。
 3つ目は、両立支援に取り組む企業の事例集。これも好事例集ですが、平成29年3月に作成して、同じく電子媒体をHPに掲載するなどしています。その下、特に中小企業向けの取組として、「育休復帰支援プラン」の策定マニュアルということで、平成27年に作成していますが、改訂版として作成しています。初版はその前年に作成されています。中小企業における、男性の育休促進の取組として、中小企業のための育休復帰支援モデルプラン改定・周知事業という委託事業があり、こちらで男性従業員向けの規定例を策定していただき、それを育児プランナーによる企業支援や育休復帰支援セミナーの資料として活用していただいているという事業です。こちらについても、HP掲載とともに、労働局に通知しています。
 マル3は、労働者向けの取組ですが、まず、「育児休業給付金が引き上げられました!!」という、育児休業給付率が50%から67%に上がった際のリーフレット、これは平成26年6月ですが、こちらの周知を行ったということで、これも労働局配布とHPの掲載になります。
 その下の、「育児休業や介護休業をする方を経済的に支援します」というリーフレット、これも平成28年11月作成で、労働局配布、HP掲載となります。最後、周知媒体を全体的に書いていますが、いずれも紙媒体を労働局等に配布、電子媒体はHPに掲載するという方法でしています。HPは、厚生労働省のHP、両立支援のひろばやイクメンプロジェクトは公式サイトです。厚生労働省HPとイクメンサイトは、スマホ対応です。両立支援のひろばは、まだスマホは対応していないという状況です。
 一部、ツイッターに投稿するなどの取組もあります。紙媒体は、説明会の参加企業に配布するなどして周知を図っています。こちらについて、周知が不十分、工夫の余地があるというご意見を頂いたので、これでどういった部分が足りないか、どうすればユーザーにきちんと届く形での周知ができるかをご意見として頂ければと思います。長くなりましたが、以上です。


○武石座長
 ありがとうございます。2つ併せて資料をご説明いただきましたが、これからの議論としては、まず、後半でご説明いただきました、周知関係の資料に関してのご意見等があればお願いします。続いて、骨子についてのご意見を頂くという順番で進めたいと思います。では、最初に資料1のほうの周知・啓発等に関して、ご質問、ご意見があればお願いいたします。いかがでしょうか。池添委員、どうぞ。


○池添委員
 厚労省では、スマホ対応されている部分もあり、ツイッターに投稿もされている。私も登録はしていて、たまに見ますが、厚労省のフェイスブックのページはありましたか。SNSはいろいろな媒体があるので、ツイッターと同じ内容でもいいので、いろいろなツールを使ったほうがいいのではないかと思ったのが1つ。
 もう1つは、このようないい事例がありますよとか、リーフレットとか、パンフレットの配布、あるいは説明会をやったりといったことだと思うのですが、特にこの研究会では男性の育休取得をどのように向上させるかというのが趣旨で始まったと思うのですが、やはり男女間の賃金格差があるので、配偶者、女性のほうに取ってもらったほうがいいかなと男性は思いがちなのではないかと思うのですけれども、そうすると、男性に取ってもらうきっかけづくりとして、あなたが、もし、育休をこれぐらい取ったら、育休を取っている期間、これぐらいの経済的な状況になりますよ、実質8割補償ではないですか。だからそういうところを、もっと若い世代、子供を持とうという世代とか、これから育児が目の前に状況としてあるという世代に、きっかけづくりとして提供できると、効果は全然分からないので、予算の無駄遣いという批判は結果的にはあり得るかもしれませんが、あなたに対する個人的な経済的な補償というのは、これぐらいになるかもしれませんという予測のアプリのようなのを作ったらいいかなと。年金関係でもあるではないですか。あなたの受け取れる年金はこれぐらいですという、あれに類するようなものを検討されたらよいかなと思いました。以上です。


○武石座長
 ありがとうございます。佐藤委員、どうぞ。


○佐藤委員
 この資料の中の「育休復帰支援プラン」策定マニュアル、この抜き刷りがあるものでいいでしょうかね。これは、育児プランナーによる支援を委託でやっていますよね。ここに本文がないから分かりませんが、見てみると、復帰ではなくて、ほとんど育休取得ですよね。目次の3を見ると、(3)のマル3、マル4があるようですけれども、1つ確認したいのは、これは復帰プランなのかということです。育休取得プランではないかという感じがしなくもなくて、プランナーがやっているのもそうではないかなと思っていて、という確認が1つです。


○源河職業生活両立課長
 まず、育児休業を取得して、復帰してもらうことが重要なので、実際には、個々の企業ごとにいろいろなケースはあるかと思いますが、育休取得前から支援して、取得して復帰してもらうということを前提にして行っています。したがって、マニュアルも復帰だけではなくて、取得していただくところから始まっています。


○佐藤委員
 よく分かるのですが、ただ、復帰のことをほとんどやってないかなと。そうすると、取得できたけれども、なかなか復帰できなくて、長く取ることになるような支援なのかと少し思ってしまったので。取りにくいのを改善するのはよく分かります。


○源河職業生活両立課長
 休業するだけでしたら、法定上の権利を果たしているだけですので、復帰の点も当然視野に入れております。


○佐藤委員
 ただ何となく、私はよく知らないのですが、育児プランナーの支援は、取得支援であって、復帰のことはやっていないのではないかという印象です。


○源河職業生活両立課長
 そのように見えないように、ご指摘を踏まえ、今後、注意していきたいと思います。


○土岐職業生活両立課課長補佐
 先ほど、池添委員から頂いたご意見についてですが、お配りしている「育児休業給付金が引き上げられました!!」というリーフレットがあると思いますが、先ほど紹介したものの1つですが、表の所に、手取り賃金で比べると約8割支給されますといったものや、下の部分に小さく、非課税のためというような注意書きがあって、こういう資料は既に作っています。裏には、その取得例ということで、両親ともに取得すれば給付率67%の期間が増えますよ、という説明をしており、先ほど言っていただいた要素は大体入っているかと思います。母親だけで取るという表がないので、それとの比較ができていないということはあるかもしれませんが。父親が一緒に入ったほうが、月額で見ると得だといったことが分かりにくいのかもしれませんが、何かその辺りでご意見があれば教えてください。


○池添委員
 すみません、これをちゃんと見ていなかったのですが、この経済的な面だけではなくて、後ほどお話が進むと思いますが、意識の面、実際に配偶者の方を助ける、あなたの役割もあるのだというような啓発の面も含めてだと思いますけれども、経済的にそれほど、あなたにとって損ではないということを、短期的なスパンで見れば、損は損ではないですか。だって、8割なのだから。なのだけれども、長期的なスパンで見たら、いろいろな意味でメリットがあるということが伝わるようなものであればいいのかなと思って、ただ、紙媒体で、これがきちんと若い世代に伝わっているかどうかよく分からないので、わざわざそれのために調査を打つというのも、どうかと思いますが、効果がどれぐらい上がっているのか検討された上で、SNS等、ほかの媒体でもっと周知・啓発をしていけたらいいのかというぐらいのものです。


○武石座長
 佐藤委員、どうぞ。


○佐藤委員
 これはお願いだけですけれども、後での議論で、女性に自分のキャリアを考えてもらって、上司だけではなく夫婦で話し合ってくださいという議論で、女性活躍新法のほうで、企業に女性のキャリアを考えさせる中の、こういういろいろな資料の中に子育てのこと、夫と話し合えといったことが入っているのかどうかを調べておいてほしいという話です。ここは担当の場所ではないと思いますが、向こうで、女性のキャリアを考えてもらうようなことをいろいろやっていますよね。その中に、結婚していなくてもいいのですが、もし結婚したら、特に子供を持とうと思ったら、配偶者の役割は大事ですといったことが議論するテーマに入っているのかどうか、見ておいていただきたいのが1つです。
 あと、池添委員の、これも後の議論ですが、よく経済学者は、男女の賃金格差があるから、どうせ取りにくいと言うのだけれども、もちろん、それは私は全然否定しませんが、武石座長と昔に男性育休取得をやったとき、同じような所得でも女性が取るのですね。だから、男女の賃金格差がなくなれば解消する話でもないのですね。だから、そこは少し分けて考えなくてはいけないということ。
 もう1つは、やはり現状で言うと、平均で見ると、女性のほうが年齢が少し下でしょう。だから、やはり格差が起きるのですね。それでしたら無理なのです、そこだけに原因を求めてしまったら。だから、もちろんそれはそれとしてやらなければいけないのだけれども、同じでも、「女性が」というのがまだまだ強いし、それで、男性のほうが年齢は上だから、同じになっても差はあるのです。だから、この議論をするときにあまり経済的な議論だけにしないほうがいいかなという気はしています。以上です。


○池添委員
 そこは、佐藤委員のご指摘のとおりで、適当に修正していただいて。考え方を修正していただいて、それは私の思い付きの意見なので、それはそれでいいのですけれども。
 佐藤委員が先ほどおっしゃっていた女性活躍推進法関係の男性の意識を変えていくという、夫婦でちゃんと話し合うことに関連してお話したいと思います。これは、後からの議論になるのですか。


○武石座長
 いいですよ。


○池添委員
 男性と企業の意識改革を進めたほうがいいですといったお話があって、これは広げてしまうと、育児・介護休業法の目的規定がどうだといった壮大な話になってしまうので、そこは置いておいて、少なくとも、男性と企業の意識をもっと変えていこうということを法律上の規定に書き込むというのはなかなか難しい話なので、この法律の規定にのっとって、男性とか企業の意識をより変えていこうということを国として、施策としてレコメンドしていくというようなやり方はあると思っています。そういう意味では、法令上、委任規定があるのかどうか。要するに、こういうガイドラインとか、法令の名称的には、多分、省令とか、告示のような話になるのかもしれませんけれども、そういうことを書き込める委任規定というのは何か今あるのかと思いまして。
 それで、少し法令を調べてみたら、第33条で「職業生活と家庭生活との両立に関する理解を深めるための措置」という規定があって、そういったガイドライン的なものとか、更に理解を深めていくための、何か法令とは別ものの省令、告示のような手段で意識啓発を図っていけるとすれば、この第33条を使って、佐藤委員がおっしゃったような女性活躍推進の法律を使うのもいいのですが、育児・介護休業法それ自体を使ってもっとレコメンドしていける工夫が、施策的に工夫していける余地があればいいかと思ったので、今、申し上げました。以上です。


○源河職業生活両立課長
 その点については、研究会の初期の頃に、確か池田委員がおっしゃってくださったかと思います。育児・介護休業法の話なのか、次世代法の話なのかということがあると思いますので、どのようにするかは、考えたいと思いますが、社会的機運の醸成は、ご指摘を踏まえてしっかりやっていきたいと思います。


○武石座長
 ありがとうございます。後半というか、前半ご説明していただいた資料2のほうの議論にも入っていますので、では、啓発に関して、資料1に関しては、またご質問等があれば出していただいてもいいのですが、そちらは一旦、以上にさせていただきます。
 資料2、骨子のほうでご意見を頂戴したいと思います。全体でやると整理ができないので、まず、総論と各論で分けます。総論の所で、項目が足りないとか、それから、もっとここを書き込んでほしいというご意見があればお願いいたします。ただ、駒崎委員から、今日、急遽ご欠席なので、ご意見がペーパーで出ていますので、それをまずご紹介いただいたほうがよろしいかと思います。お願いします。


○土岐職業生活両立課課長補佐
 では、私から、駒崎委員からのご意見を読み上げさせていただきます。大きく4点ほど出ております。
 まず、1点目は、「男性産休」という言葉を入れてほしい。今回の取りまとめ案の書き方だと一般国民には分かりにくいです。ですので、男性産休という言葉を具体的に入れ込んでいただきたいということ。
 2点目、育児休業から子育てセーフティネット休業へ、ということで、以前、研究会において、育児休業取得の可能時期を引き上げようという提案がありました。その際に、私は、「エニタイム休暇」だと申し上げました。子供を育てる中で就労困難になるタイミングというのは、産後すぐだけではありません。医療的ケア児であれば小学校入学後の3か月間は保護者同伴が迫られます。それにより就労継続は困難になります。また、例えば、現在、ソーシャルワークしている中で、子供の発達障害と学校の不手際が原因で、引きこもってしまった小3の子供を育てるシングルマザーのケースがあります。子供が引きこもったら、ひとり親の場合は働けません。彼女は、失業の危機にあります。このように子育てをする中には予想もつかない困難があり、そこに長期にわたってエネルギーを割かないといけない場合があります。育休がそうした子育て困難期に使える仕組みになっていく。つまり、産後のみの子育てに集中する期間ではなく、子育て中の突発的なアクシデントに備えられるセーフティネットになっていくというパラダイムシフトが必要だと思います。是非そうした発想の転換を盛り込んでいただければと思います。
 3つ目、イクメンプロジェクトと接続してほしいということです。ここまでせっかく議論したことを報告書を出して終わりという形にはしたくありません。広報を厚労省単独で行うと、非常に形式的、かつ実効性の薄いものになりがちです。民間も交えたイクメンプロジェクトでも、この研究会を接続したというか、男性産休も含めたキャンペーンを行わせてほしい。
 4点目、指標の話です。育休の取得率は、いまだに3%で13%には遠く及びません。このままでは、「前に進んでいる感」が出せず、ムーブメントが萎んでいってしまうことが懸念される。そこで、共働き夫婦の夫の育休取得率を追加してもらえないか。恐らく共働き夫婦の夫の育休取得率は伸びていて、一方で、妻が専業主婦の夫の育休取得は進んでいないので、相対的に育休取得率が低いままなのではないかと思われます。よって、共働き夫婦の夫の育休取得率も追加していただくことで、進んでいる感をしっかり出していけるのではないかということ。また、育休だけではなく、男性の家事、育児時間も指標に入れることで、産後だけではなく、子育て期間を通じた男性コミットメントを測定できるのではないかと思います。ということで意見が出ています。以上です。


○武石座長
 それでは、駒崎委員の意見も踏まえて、私は、先ほど前半と後半と申し上げましたが、まず、全体の構造としてローマ数字の1総論、ローマ数字の2各論となっていまして、総論のところが、現状認識とか、男性の育児の必要性、それから、その意義、そして各論につながる基本的な考え方ということになっております。各論のほうで、その考え方のところから具体的に各論に落とし込むということになっているのですが、この全体の構成について、何かご意見があれば、まず、お願いしたいと思います。その上で、中身について議論を進めたいと思います。いかがでしょうか。


○佐藤委員
 今、総論が4ページ、各論が4ページなので、総論がこれ以上増えなくて、各論が厚くなればいいのですが、若干、今だと重複感があるかなと思います。もう少し総論を絞って、今回の研究会で、何を、なぜ検討してということを大きく書いてしまって、各論に持っていってもいいかなと思います。今の状態だとそういう印象なので、そこだけ見ると、なぜこういう研究が立ち上がって、現状、何を議論したというのが大きく分かればいいかなと、例えば1ページにでもと、そう思いました。


○武石座長
 ありがとうございます。全体はよろしいでしょうか。少し、総論と各論の書き分けをすることを考えていきたいと思います。では、構成は、特にご意見がなければ、総論のほうで足りない部分とか、内容について疑義があれば、ご意見をお願いいたします。いかがでしょうか。


○佐藤委員
 まず、1ページの2の「男性による育児の必要性」のところですが、後ろに関わるので、先ほど駒崎委員が、指標の見直しとかいろいろあったので、それにつながるように書いたほうがいいかと思っています。
 1つは、2の最初の○で、5割辞めてしまっているというようなことですので、そうすると、育児・介護休業法をいろいろ改正してきた効果がないということになってしまうので、ここはやはり、正社員と有期に分けると、正社員は多分、一番新しいと、7割弱は就業継続してすごく伸びているので、育児・介護休業法改正で育休を取りやすくした効果があることを言ったほうがいいかと思います。ただ、有期のところだと、すごく低いままなので、そういう意味では、今回、そこは議論していませんが、そこは依然として残っているというようなことが分かるようにしたらどうか、というのが最初の○です。
 2つ目の○の所は、後ろのほうの話で、これは、家事、育児参加をしている人としていない人の平均なので、まずは男性の子育て参加の必要性の議論をするので、ゼロの人が7割弱、家事、育児を何もしていない人が7割、している人が2割後半ぐらいというのを、まず言ってしまったほうがいいと思います。ゼロの人が圧倒的に多い中で、3割弱の人の平均が1時間7分なので。ですから、まずはゼロが多いというように言う。それも専業主婦家庭と共働き家庭は変わらないのですよね。そういう意味では、女性に偏っているのがはっきり分かるようにした上で、それで育休時間をどうするかですけれども、全体の平均を取り上げないというやり方もありますが、している人だけの時間を書くというのもあるかと思います。
 4つ目の○は、増えてきているのですが、まだまだ3割辞めてしまうので、結果的に、専業主婦の家庭が多いという書き方にしたらどうかということです。
 あと、総論、2ページの3のマル3の所で、「ワンオペ育児」の書き方ですが、ひとり親の家庭もいるのです。だから「カップルで子育てできるにもかかわらず」など何か入れたほうがいいのではないかと思います。「にもかかわらず」をどうするかなのですけれども、使うなと言うのではないのですが、もともとそういう人は1人で働いていますよね。だから、本来カップルで子育てできるにもかかわらず、1人でやっていて、仕事もできないみたいな人に、少し配慮したらどうかという気もしました。
 3ページの4のマル1の所は、やはり育休取得率のところは、駒崎委員と同じように、きちんとしたデータはないのですが、夫婦で働いている人の育休取得率はいくつかあるので、並べて、そうすると、15%ぐらいから2割ちょっとぐらいとか、3つほどあると思うので、実際は結構高いよというようにしておくと、後ろの話につながるかというのが前半です。
 あと、3ページの下のマル3で、「企業における、休める文化の醸成」の所は、中身と同じように、働き方改革をしたら休めるようになる、というように働き方改革、休み方改革と両方入れたほうがよいのではないかというぐらいです。


○武石座長
 ありがとうございます。ほかによろしいでしょうか。


○池田委員
 総論の部分ですが、3ページの男性の「今後の両立支援に関する基本的な考え方」の中身の部分、マル1の所に育児・介護休業法で定める制度利用を促進すると書いているのですが、マル2は両立支援制度の利用に限らず、男性が主体的に育児を行うとある。利用しなくても育児に関わりましょうねという話で、マル3が休める文化の醸成。結局のところ、両立支援制度を使う方向を打ち出していくのか、両立支援制度は別に使わなくてもいいのか、わかりにくい。たとえば、育休の代わりに年休でもいいですよ、時短勤務をしないで時間単位年休を取得しても、場合によってはいいですよといったことなのか。その点がすごく曖昧な気がします。佐藤委員がおっしゃった働き方改革の話は、風土醸成の部分と制度運営のオペレーションの部分を考え方として分けておられるわけですが、現状は、例えば5日未満の育休を取っても良いし、そこの期間年休を当てても良いし、企業が用意する配偶者出産休暇とか、別のファミリーフレンドリー休暇などで消化しても良い。そこのところが曖昧ではないですか。やはりある程度育休ないしは短時間勤務とか、育児・介護休業法に沿った制度で対応すべきところはするということと、とは言え、先ほど言った育児・介護休業法で全ての育児のシーンをカバーしているわけではないですから、その部分は、他の休暇休業制度を使って対応していくという、棲み分けというか、使い分けというか、そういったニュアンスが伝わる書き方にしておかないといけないと思います。
もう少し言うと、マル1で両立支援制度を使いましょうねと、育休取得率は低いですねと言っておきながら、育休を利用しなくても有給休暇等を利用し、育児、家事をすることをと言ったら、妻の産後、私は別に育休は取らないですと、年休を取りましたよ、半日休暇ぐらいは取りましたみたいな話でもいいのかという話になると思います。多分、この研究会の話は、そうではないと思うのですね。年休ではなく育休を取ることの価値というか、その効果というのも、また別に議論されていたと思うのですよ。調査結果としても、やはり育休というか、ある程度まとまった期間の休みを取ったほうがいい。最終的にイクメンプロジェクトの接続ということを駒崎委員がおっしゃっていましたけれども、このイクメンプロジェクトの冊子に載っている事例も、やはり基本的に育休の長期取得ですね。佐藤委員からも育休の長期取得ということを前提に考え直したほうがいいのではないかという議論があったので、即座に、そちらを前面に舵を切るというわけではないですけれども、育休ないしは育児・介護休業法で定める制度で対応すべきマターと、そうではなく、他の休暇制度も含めて、総合的・複合的に対応するマターというか、場面によって問題等を分けたほうが良いというか、そこについての議論があったということは、少なくとも分かるような書きぶりにしておいたほうがいいのではないかと思います。
どういうことかというと、マル1、マル2、マル3の順番で読むと制度利用がまずあって、それ以外も大事で、風土醸成も大事ですねと思いますけれども、マル3、マル2、マル1と読んでいけば、誰でも休めるのだったら、別に育休とか言わなくてもいいでしょうというような話になってしまうではないかという部分もあります。そこはやはり育休なのだという部分は何らかの形で伝わるようにしておいた方が良い。曖昧な印象を与えない取りまとめ方にしておいたほうがいいのではないかと思います。
 その上で、駒崎委員からの問題提起のあったエニタイム育休というか、追加的に子育てに対応できる制度を育児・介護休業法のような法律的な枠組みで用意する必要があるのか、あるいは通常の年休とか、通常の人事労務管理の休暇の中のフレームで対応してくださいというような話にするのかということが出てくると思うのです。局長からもお話があったように、育児に必要だから何でもかんでも育児・介護休業法で定めていいというものではない。そういう法規制上の考え方もあると思うので。その辺りが今のところ曖昧な状態であるところを少し仕分けするような議論も研究会にはありました。まだ結論は多分出ていないのですけれども、小1の壁で育休、あるいは今そういうシーズンですが、中学受験とか、子育てでいろいろ時間を割きたいという場面は様々にあるのですが、それを法律で新たに対応しなければいけない場面なのか、個別の企業の自主的な人事労務管理に任せるのか、そういうところは多分、今後、いろいろな場面で検討課題になってくると思います。育休と他の休暇の使い分けということについて、研究会で少し議論があったということを痕跡として残しておいていいのではないかと思います。以上です。


○武石座長
 ありがとうございます。要は両立支援を少し優先的なニュアンスを出すということですか。


○池田委員
 優先的なというか、典型的なのは年休と育休だと思いますが、代替的に利用されている場合と補完的に利用されている場合とがあって、補完的に利用されている部分については、もともと育児・介護休業法で対応できない話ですから、それでいいと思います。つまり、法定の年齢を超えた時点で休まなければいけない場合に、どうしますかといった話になった場合は年休でいいと思います。あるいは、明らかにどう考えても育児・介護休業法に馴染まない。例えば妻の退院のときだけお迎えで帰るようなときに、いちいち育休申請してというのは、一応、1日でも取れるけど、わざわざ育休申請するという話はないですねという話になると思うのです。
 しかし例えば、1~2週間単位の休みを、ある人は育休を取っているけど、ある人は年休を取っているみたいな代替的に使っている場合が現にあるわけです。現状は、それはいいのではないかという話はありますけど、佐藤委員も武石座長もおっしゃったように、本来の育休というのは何なのですかという話が付いてくるし、年休についても育休の代わりに年休を取っているという話を言うと、時季変更権を発動されたらどうするのという意地の悪い質問を労働法学者から時々されます。あるいは、年休というのは、そもそもそういう趣旨のものですかという話があって、代替的な利用については突き詰めていくと、これで本当に良いのかなという側面があるのではないかと思います。そういう部分でまだ結論は出ていないですけど、こういう場面は育休でしょうという話と、こういう場面は育休とか大げさなことを言わないで、年休でカバーすれば良いのではないですかとか、そういう議論の整理は問題提起としてあったほうがいいと思う。
 最終的には、例えば武石座長が言うように男性も長期で取れる。妻と交代で取るということをノーマルにしたほうがいいのかどうかを考える上でも大事な問題ではないかと思います。しかし、今は、何となく1日でも育休はいいし、年休でもどっちでもいいような話が曖昧模糊としてあります。結論は出ていないですが、最終的に取りまとめるときに、今の書きぶりだと、何でもいいから休めればいいのだったら別に育休などと言わなくてもいいし、社員としても年休のほうが、いっぱい溜めてあったら使いやすくていいと言われたときにどう考えるか、その辺りが曖昧かなと思います。


○武石座長
 確かに今のは、どれでもいいから男性が育児をすることを、もうちょっと進めましょうねという書き方なのです。比較的長期的な育休というのを説得的に主張するとすると、働いている女性はほとんど育休を長期に取って短時間勤務を取ってという、そことの兼合いで、これも女性の活躍というのが随分出てきますけれども、女性がそんなに取っているのに男性はゼロというところのアンバランス、そこの視点から男性が両立支援制度を利用するのは、女性の活躍という視点から大事なのだというのは1つあると思います。年休でも育休でも、どっちでもいい人に育休を取れというところの理屈は、どうなのでしょうか。ほかの方のご意見もお聞きしたいと思います。


○座間委員
 会社としては、統計の面で、然るべく理由がある休暇を取ってもらったほうが、分かりやすいです。しかし、今、社会が変化している現状において、どっちを使ってもらっても社員が満足であればそれでいいというのが、企業の立場では正直なところです。この研究会としてどう考えるかということは、またちょっと別とは思っています。
 自分の意見を申し上げてよろしいですか。全体の所を見て正直申し上げると、会社として何を率先して考えてやればいいのかなというのが、このまとめからはよく理解できませんでした。法律がこうなったのでこうするとか、先んじてこれをやろうというところが、つかみにくいところがあって、責任分担というか、その辺りが曖昧になっている点が気になりました。
 もう1点、ここにはないところで、今回は男性当事者、パートナー、企業という主な話がありましたが、社会という視点というのはこの中には入ってこないものでしょうか。例えば、前にこちらの研究会で申し上げましたけれども、家族が、自分の息子が育児休暇を取るなんて、そんなことをしていいのかみたいな発言がなされる状況が、まだ日本においては正直ございますので、何か社会全体に対して男女ともに育児をすることが、これからの日本には必要なんだみたいな、そういう啓発を、どこがするのかはありますが、働きかけていく必要がある。そういった部分をその他の所に含めていただきたいという気がいたしました。
 企業としては、状況を整えて会社に来てくださいという話なので、家庭で何をするかというのは家族が考えればいいことであり、それに対して、ああしろ、こうしろというのは立ち入ってはいけない部分だと捉えています。ですから、そういうところだけれども、こういう社会背景があるので、この問題のために一歩とは言わないけど、半歩、このくらいまで踏み出すことは求められていることなのだから、してもいいよというような担保的な部分があると、より動きやすいかと思いました。恐らくこの資料をこのまま出したところで、義務でないのに家庭に立ち入るようなことは、いろんな考え方もあるのに、どうして一企業で、当社だけが先んじるのか、そんな議論になってしまいそうで、懸念いたしました。


○池田委員
 今のお話を伺って、私が先ほどした発言も混乱するところがあったなと思うのですが、今回の取りまとめがどこの人をターゲットに置くかというのは、総論を書くときに考えたほうがいい。先ほど佐藤委員がおっしゃった総論の部分で、例えば花王株式会社さんのように、ある程度いろいろな形で男性が育児をきっかけに休めるようになった会社だと、この先、何が求められているのという部分は確かに曖昧で、私が先ほど言った年休で対応するのですか、育休で対応するのですかというのも、ある程度の実績というか、少なくともゼロではない状態になっている所は、育休を1か月単位で考えたほうがいいとか、女性は数か月単位で取っているのに男性が数日というのは問題としてあると思います。ですが、現状、全くゼロの状態の会社に何か訴えるとすると、何でもいいので、取りあえず休めるようにしましょうという話になる。
 佐藤委員の先ほどの育児参加のお話でも正にそうなのです。ゼロの人たちがまだ多数派を占めていて、実はゼロを除いた行動者平均で見ると、それなりに育児をやっているのです。それなりにやっているとしても、妻に比べたら足りてないという部分を引き伸ばしていくことも課題ではあります。しかし、ゼロの人を1にするのと、取りあえず1になった人を2、3、4と進めていくのとではメッセージの与え方が違うと思います。
この研究会では今までイクメン度ゼロから結構高い所まで、いろいろな想定で語ってきましたが、最終的にどの辺りの人たちに主なメッセージを伝えたいのかということを、ある程度固めて最終的に取りまとめないと、実績ある企業としては「だから何なのか」となるし、逆にゼロの会社からすると、いろいろ書いてあるけど何をしたらいいのですかみたいな話になりかねないと思います。


○佐藤委員
 どういうターゲットかで、多分、今回大事なのは、日本の場合、まだ妊娠・出産で4割ぐらい辞めてしまっている。そういう意味で専業主婦の妻がいる男性もいるのです。そういう男性をどうするか。もう1つは、カップルで働いていて育休を取る男性も出てきて、家事、育児をしている人もいますけど、ここでゼロもいるわけです。何もしない男性がいる。多分、これまでは実際にそういう状況があるにもかかわらず、多分、男性に育休を取ってくださいというのは、妻が働いているという想定でいろいろ作ってきたと思います。でも現状は今みたいなことなので、妻が専業主婦の男性に育休を取れと。でも、育休を取ることがどの程度意味があるのかというのは確かにあるので、そういう人にとっては有休でもいいのではないか、あるいは早く帰ればいいのではないかというのは私はあると思います。
 4割は専業主婦がいるということと、もう1つ、カップルで働いているけれど、全然、家事、育児をしない人たちがいる。もちろん、育休を取って家事、育児をしているカップルもいるけど、この人たちも女性に比べるとまだ少ない。だから、かなり課題が違うということが分かるようにして、それぞれにはどういう取組が必要だと書き分ければいい。何でもいいというわけでなく、もしかしたら妻が専業主婦であれば有休でというのも、ある意味で合理的かもしれない。だって働いている人は1人なのだから、いくら67%でもかなり減るわけです。妻も子育てすると言っているわけだから。もう1つ、カップルで子育てしなさいと、武石座長がおっしゃるように、女性は1年も取るのに男性は取らないのというのは説得的だと思うので、現状が一様でないから日本の場合はやりにいくのかなと思っています。


○武石座長
 ターゲットはいろいろあるのですが、それをどう書き分けるかというときに、要は層を3つなら3つに分けて、そこでダーッと方策を書き込んでいくのか、この方策のメインはここですよと言って書いていくのか。方策で分けるか、そこはどちらが読みやすいかというのはあります。


○佐藤委員
 一応、総論の所で現状は進んできたけれど、今、こうなっていて課題が違いますと。ただ、後ろのほうは分けては書けないので、書きながら、これはこういう層では特に大事だとか、長い育休、確かに現状は1日で取れるのは問題だけれど、カップルでフルタイムで働いている層は、女性が長く取るのはキャリア上不利だから男性も取ってねとか、そこで少し強調して書くというやり方はあると思います。


○池田委員
 私もそれは賛成です。例えば駒崎委員がパパ産休と言っている、妻の産後のところの1か月間というのは、職業を持っているか持っていないかにかかわらず、身体的な状態として妻に制約がかかるので、男性が育休を取らなければいけないという事情がある。そこに実家の親の問題が入ってくるとまたややこしいので、それを抜きにして考えると、妻の就業の状態にかかわらず夫が休む必要は生じますよね。その後の、先ほどから話が出ている妻が復職するときに交代で取るという話になると、かなり女性のキャリアの度合いによって事情が変わってくる。
 企業の人事労務管理についても、まず休みやすい風土醸成ということは社員の家庭の事情にかかわらず、みんなが働きやすいという部分では必要になってくると思います。その中で長期取得の事情が生じる社員もいるとか、あるいは同じ職場の中でも女性ばかり長く取っていて、男性社員はいつも残業とか、それが職域分類になるわけですから、そういう形で書き分けていく感じで、共通部分と層別の部分を書き分けるというのは、これまでの研究会の議論にも沿った考え方ではないかと思います。


○武石座長
 ありがとうございます。そうすると総論の最初のほうに、これは何のための議論だったのかということで、多分男性の育児休業だけが重要なのではなく、男性の育児を前に進めていって、男性も女性も活躍できる社会を作るということで、ゼロの人は1になるように頑張ってもらわなければいけないし、5の人は5の人なりに、全体として前へ進めるものなのだということをきちんと確認しておいたほうがいいですね。ありがとうございます。


○池田委員
 1点だけ、駒崎委員から問題提起があった、小1の壁みたいな話が研究会の議論であったと思いますが、これが法律で新しく制度を定めることがふさわしいかどうか、研究会の中で局長からも、多角的に検討が必要だというお話があったように記憶しています。身体障害というか、障害を持ったお子さんは、小学校1年生のときにしばらく付き添わなければいけない。これは介護休業の対象になるのですか。


○源河職業生活両立課長
 要件に当てはまれば、対象となります。


○池田委員
 2番目の例の引きこもりとかは当てはまらないと思いますが、いわゆる身体障害だったり、身体的なケアの必要が高いお子さんの場合だったりしたら、乳幼時期は育休を取って、その後は、介護休業、93日ですけど、それで対応するということもできるわけですね。そうすると、追加的に何かそういう制度が必要かどうかという話も、どこまで個別の事情に付き合うかという話になると思います。
 男性の父親役割の面でも、夫婦で非対称な役割を男女が担っているという場合は、比較的子供の年齢が上がってきた方が、男性の出番が多いというのは昔から言われていることです。そういう部分で言うと、2ページの所に「小学校以上の子供に対する子育て役割として、例えば夏休みの自由研究、スポーツ、キャンプ等」と、これは私が言ったことだと思いますが、あるいは子どもが学校から早く帰ってくるときに、ヨーロッパなどでは男性が在宅勤務で家にいて、子どもが帰ってきて宿題をやっているのをお父さんが見ているみたいな家もあります。そういう意味では小1の壁みたいなところは、むしろ何でもお母さんでなく、お父さんの出番があったり、子供がある程度大きくなったときにはお父さんが出て行くことがあり得ることは、今後の検討課題としてあるのではないか。そうでないと駒崎委員がおっしゃっていることも、結局、お母さんが子供が小学校を卒業するまでとか、ずっと何かあったらすぐお母さんの出番ですという話になってしまうと思うのです。そういうところは今後の制度を考える上でも、男性の出番を増やしていく方向で制度拡充をどう考えていくかは、制度設計の考え方としてあってもいいのではないかと思います。まだ、制度の具体的な中身に今回は言及していないですが、そんなところです。


○池添委員
 今、池田委員からも話がありましたし、土岐補佐からの冒頭のお話でも、要するに子育てとか、子の養育の役割というのは非常に多様化してきているのではないか。そういう方向も将来的には考えなければいけないのではないか。どういうふうに具体的な法制度の設計をするかは将来の課題だとして、そうすると、そのときに育児・介護休業法というのは誰のためにあるのかということも、将来的には幅広に考えていかなければいけないのではないか。そういうことも研究会の報告として、メッセージを社会に伝えるという意味はあるのかなと思うので、そういうことを1つ書き込んでいただければ有り難いなと思うのが1点です。
 それと、これは話が遡って全体構成の話になってしまって申し訳ないのですが、両立支援とか男性の育休という話の流れで総論も各論も来ていますけれども、途中に、企業における「休める」文化の醸成というのが別途入るのです。流れ的にどうなのでしょうか。さっき池田委員から年休の補完か代替かという話もありましたが、そもそも「休める」文化はもちろん必要だと思いますけど、それは男性育休ということに特化した話のベースにある部分の話ではないですか。それこそ長時間労働是正も含めて。だから育休にかかわらない、幅広の労働者の福祉や健康の増進ということで考えれば、ベースなので、途中に入ってくるのは構成としては違和感がある。これはその他か、最後に重要な施策的な課題という形で掲げるほうがベターではないかと私自身は思います。それが2点目です。
 もう1つは、これも池田委員から年休の補完、代替の話で出ましたけれども、年休は法令上は最高裁判決が出ているし、行政解釈でも自由利用と言われているから、それ自体は動かせない話だと思いますが、しかしながら、三菱UFJリサーチ&コンサルティングさんの調査結果からも見えてきたように、育休という特別な休暇を取ること自体にその後の効果とか、あるいは本人の生活に意味や意義が独自にあるのだということを考えれば、年休でサポートするのはご自由ですけれども、本来的には育休を取るほうが、いろいろな意味で、その後の価値はあるということを言っていただく。そういうニュアンスを強調してまとめていただくほうがいいのかなと思いました。それが3点目です。以上です。


○武石座長
 ありがとうございます。1点目は私も申し上げようかと思っていたのですが、育児・介護休業法の趣旨というものがこの研究会でも議論になりました。要は1ページの1の○の3つ目ぐらいだと思いますが、今、女性だけでも取り切れる仕組みになっているとか、趣旨そのものが就業継続とか再就職という、女性が取ることを前提にした法律の佇まいになっているので、育児・介護休業法が議論された当時の考え方というのが色濃く残っています。今すぐということではないのですが、将来的にそこの考え方をどこかで整理しなければいけないということは、ここに書いていただくほうがいいのかなと私も思っていました。


○池添委員
 それで言うと、今、法令を見ているのですが、第1条の目的規定の中核は雇用の継続及び再就職の促進を図るというところなので、研究会の議論の筋とはだいぶ違ってきているかなという印象はあるのです。将来的な課題として含み置いていただけるような形で、まとめていただければと思います。今の座長の補足で申し訳ないですけど。


○武石座長
 ありがとうございます。それから、先ほどの池田委員の問題提起の育休か有休かというところで、育休のほうが実際に仕事の調整をしたり、いろいろなことをやっている。1週間でも結構いろいろなことをやっているという報告もあったので、2ページの意義の辺りに、育休と年休では実際に取った人の意気込みが違うというか、そういう辺りも書いておいたほうがいいかなと思いました。ありがとうございます。


○佐藤委員
 確認ですが、育児・介護休業法の育休は1日からでも取れるみたいなのは、法律に書いてあるのですか。



○源河職業生活両立課長
 最低取得期間は特に、定めていないと思います。


○佐藤委員
 1つ、そこが問題なのです。極端ですけれど、1か月以上にしてしまうとか。あと、くるみんの認定のほうは当初1日でもにしてしまったのは、あれは法律でもないですね。あの認定基準は何ですか。くるみんの日数はどこで決めているのですか。


○源河職業生活両立課長
 認定基準自体は省令で決めています。


○佐藤委員
 それを例えば1か月、特にくるみんは1か月以上とかにしてしまえば、かなり変わる。今は1日でもいいみたいになってしまっている。
 正直言って、くるみんのときに1日でもいいにしてしまったところが問題で、そのメッセージが伝わっていってしまったのがすごく大きくて、そういうことも含めてどうするか。給付金も初めは駄目だったのが今は1日でも出るでしょう。だから、全体として短期でいいですよとしてしまったのです。そこは長期的にどう見直すかというのはあるかなと思いました。
 2つ目、駒崎委員の男性産休という言い方、確かに今、育休は出産予定日から男性は取れるわけです。事実上、取れるのを名称だけ変えるというか、多分、そう呼ぶというだけなのでしょうね。男性の場合、産後6週間に数える部分を産休と呼ぶと法律を変えてしまうのも1つかもしれないですが、問題は女性の場合には産前もある。だからいいのですが、駒崎委員が言うのは、そのほうが伝わりやすいという趣旨ですね。でも、法律上はないのです。その辺り、どういうふうにやるかというのはあるかなということ。それから、産後6週間が強制休暇ですね。だから6週間は絶対取らせなければいけない。その辺りも含めてどうするか。法律に関係なくやる、イクメンプロジェクトの中だけでやる、役所としてどうなのか。法律の根拠が何もないですね。賛成なのですが、どういうふうにやるかというのは少し考えたほうがいいかなと思いました。


○池添委員
 駒崎委員の男性産休というワーディングには違和感があって、男性は産休はないだろうという話です。恐らく企業では配偶者の出産に伴う休暇、休業という形だと思うので、それも佐藤委員がおっしゃったように産前もOKなのか産後もOKなのか、それは任意ですから、どういうニーズがあるからそこをレコメンドするかというのは、調査結果に基づく話になってくるのかもしれないと思って。調査がどういうふうに出ていたのか記憶にないですが、役所がワーディングとしてやるという、イクメンプロジェクトのように独自に運動論としてやるのは男性産休でもいいでしょうけど、ちょっと言葉は考えなければいけない。


○佐藤委員
 配偶者出産休暇5日というのも、中に入ってしまっている。配偶者出産休暇も入れている。配偶者出産休暇は前からです。それで育休が1日でも取れてしまうから、有休と配偶者出産休暇と育休が事実上、同じように使えるような企業も実態としてあるわけです。配偶者出産休暇を作ってしまったから育休を取ってくれないと、企業の方が言っていることもある。特別休暇が出てきてしまっているから、その辺りも本当は整理しないといけない。


○源河職業生活両立課長
 育児・介護休業法上は、育児目的休暇という形で、今年度の10月1日から努力義務で課していますが、日数等の制限は課していないので企業によっていろいろ工夫はしていただいています。ただ、おっしゃるように施行状況を見てみないと、どういうふうになっているかは分からないのですが、恐らく配偶者出産休暇という形で大企業は措置されるケースが、多いのではないかと考えています。


○佐藤委員
 現状でも、配偶者出産休暇8割以上とか、一応、少子化の目標に入れてしまっていますね。去年ぐらいからね。


○源河職業生活両立課長
 産後8週間に取る休暇として8割以上という目標があります。年休でもよくて、半日でもいいとなっていたと記憶しています。


○池田委員
 だいぶ前、中里先生をゲストに呼んでヨーロッパの事情を聞いた話等を踏まえると、現状、いろいろな使われ方をしているとしても、育休の場合はある程度長期取得で、かつ、妻の復職と交代で単独取得するということが、国際的に見れば念頭に置かれやすいのではないかと思います。ただ、日本は今、過渡的な現象としていろいろな使われ方がされていることは否定できないのですが、それとは別に、配偶者出産休暇は正に配偶者の出産に対応するというところで、いわゆる男性産休と呼んでいるものは、paternity leaveという形でヨーロッパでも取扱いが分けられている。そこは研究会の認識として、ある程度分けておくというところは何となく皆さんの共通理解ではないかと思いました。
 今後の指標を取るところの話に関連すると思いますが、8ページの育休だけでなく、それ以外の育児参加目的の休暇取得みたいなものを含めていく。男性の育児参加状況を測る指標を検討の上という話がありますが、ここで産後の今言った6週か8週か、いわゆるヨーロッパで言うpaternity leaveに当たるところで、差し当たり制度の名称は何でもいいから、取りあえず休んでいるかどうかという指標は、今後、取ってみたらいいのではないかと思います。いわゆる試験的に取ったデータでも、結構な人数が休んでいるという結果になっていますから。これはこれとして、先ほど言いましたように妻の就業状況にかかわらずニーズが発生するので、カップルで子育てということを念頭に置けば、どんどん引き上げていくということです。育休の方は、行く行くは長期取得、しかも妻と交代でというのが女性活躍の文脈では、そっちに話がいくのかなという雰囲気で、武石座長も何回も問題提起されています。いわゆる男性産休は、数値を把握する上では分けておくというのは、いかがかなと思います。曖昧にすると、水増ししているのではないかと思われる。育休取得率は低いけど、ほかのはもっと取っていますよみたいな感じで曖昧な部分をなくしてみたいになるのもどうかと思いますし、いろんな数値が混在するのもよろしくない。趣旨の違う数値だということで、いかがかなと思います。


○武石座長
 結構難しいのは、そこに育休も混在するので、そこが産後のところで育休を取る人もいるし年休の人もいるし、育休取得率はまた別途取るとなると、産後に育休を取っている人をどうカウントするか。技術的には難しい面があるかもしれません。


○池田委員
 そうですね。社会生活基本調査などで取るのですか。


○佐藤委員
 基本的に、前者については目標に入れてしまったから、データを取らなければいけない。何でもいいけど8割というのは、少子化対策の目標に入ってしまっているので、一応、政府はデータを取らなければいけない。


○武石座長
 ただ、趣旨的には分けていったほうが、本当は実態は分かりますよね。


○佐藤委員
 引き算するしかない。産後は全部入ってしまっている。それとは別に、そこにあるけれど育休の長いものとか、1か月とか、1か月以上とか。あと家事、育児は、社会生活基本調査でゼロは取れるので。社会生活基本調査では5年に一度、ゼロの人が減ってきているからというのは取れます。


○武石座長
 議論は、既に後半の各論のほうにも入っていますが、こちらも含めてご意見があればお願いいたします。


○池田委員
 研究会の中で駒崎委員が断片的に言及されていたので、ちょっとどう考えていいのかというのは思うのですが、非典型家族というか非典型例というか、先ほども佐藤委員からワンオペを完全に否定してしまうと一人親家庭に対する配慮がないという話になるし、駒崎委員からも制度拡充に当たってはやはり特殊事情にもっと配慮すべきであるということを踏まえた制度の有り様が今後は求められるのではないかという問題提起があったと思います。この辺りを研究会で、あまり正面から話してはいないのですが、今後の特に制度拡充みたいなのを考えていくとき議論になるのかというところではないかと思います。駒崎委員が先ほどご意見をくださったようなことに取りまとめをするときに特殊事情をどこまで書き込むか。完全に正面から議論をしたわけではないので、そこは削るのも1つの考え方だと思います。中途半端に言及できるような話でもないものがあると思うので、そこは最終的に取りまとめるときに、事務局に判断いただくことかと思います。
 そうすると、駒崎委員からこういう子どももいるから、ああいう子どももいるからと問題提起があったときに、そういう話があるのは分かっているけれども、差し当たりは取り扱わないとするのかという話だと思います。そこも先ほどのいろいろな層がいるというところに対して、ある程度どこまで広げるかという話とちょっと関連すると思うのです。


○座間委員
 今の配慮の所なのですが、やはり片親で育児をするという方は非常に大変ですし、数は多くないですけれども、そういう方への配慮はやはり全体のどこかで何か触れておくべきだと強く思います。いわゆる病児、障害のあるお子様がいらっしゃるケースで、当然そういうこともあると思うのですが、企業の立場で言いますと、それは育児ではなくて介護の制度の範ちゅうになるのではないか、と考えます。もしも介護・看護の領域にいれるならば別途そのように触れていただくとか、そんな意見も出たといった整理にしていただいたほうが、企業の立場からは判断がしやすくなります。障害児の対応を主に育児の中に入れ込むことが難しい場合があると思います。しかし、配慮が必要な事例だということは認識しております。


○武石座長
 この研究会自体が男性の育児の議論なので、一人親家庭といっても、そもそもやはりメインのターゲットからもう排除されている所だと思うので、どこかにきちんと書かなくてはいけないと思います。


○座間委員
 会の目的か何かの所で、このような議論をしたということを明記すればいいのではないかと思います。


○武石座長
 そうですね。それと、先ほどの池田委員のいろいろな事情がというので、多分7ページ辺りの制度の在り方というのがいろいろご意見はあったと思います。1つは駒崎委員の言うエニタイム育休というのは7ページのポチの1つ目ぐらいだと思うのですが、この辺りで要は両親がいるとすると、今は原則1人1年ずつ権利を持っていてそれを分割できるようにするかということ。ここで1人親の人はそれが半分になってしまうのでみたいなのは先ほどの最初の所で、この研究会はちょっとそこは議論しませんということを言っておけばいいかと思うのですが、制度の在り方というところで池田委員も分割取得等はいろいろご意見をおっしゃっていたと思うのですけれども、その辺りはどうですか。


○池田委員
 そうですね。ただ、何年もの間の休業の取得記録を企業が管理して、1歳のときに早く復職した人がその後、子供が小学校へ上がるときに取るというのは現実的に管理しづらいとか、あるいは短時間勤務についても、繁忙期はフルタイムで働いてもらいたいけれども閑散期は時短でもいいとかいう意見も一部の企業の人事の方から伺ったことはあります。逆に現実的にそれをするのは面倒なので、企業の管理としては、ずっと時短をベースにして、労働時間が増えたところで残業代を払うとか、フルタイム分の給料を払うとしたほうが管理しやすいのかという面もあったりして、問題意識は多分共有されているのですが、今後の制度設計については技術論として超えなければいけない話がいろいろとあるのかなというのもあります。
 あと、これは以前に佐藤委員や武石座長と介護の検討をしたときに、少しだけ私が触れたのですが、結局5年10年という単位を通期でみて、その累算で何日休めるという話では制度設計がなかなかしづらいので、子どもが大きくなっていった場面は1年単位で休める特別休暇みたいなもので考えると。例えば、1年のうちに先ほど言ったようにお父さんが夏休みに子供の自由研究に付き合うとか、子どもの中学受験の世話で付き合うというところで、1、2年といったある一定期間内に年休で足りない分を育児・介護休業法で追加的に補足するような、今は子の看護休暇が年に5日ありますけれども、それ以外の育児目的休暇というのを年単位で付与したほうが、会社として管理しやすいという面があるのではないかと思います。そうしたほうがいいという話ではなくて、技術論的にいろいろな選択肢の中から子どものライフステージのいろいろな場面に対応していく有り様が制度としては考えられるのではないかと思うということです。育休と時短をいきなり通期で分割するというのが最終的な結論なのかということは、ちょっと如何とも言い様がない部分はあるのですが、問題意識としては、はっきりと書いておいても良いのではないかと思います。


○宮川局長
 今の休暇というのは、ノーワーク・ノーペイの無給ですか、それとも有給を想定していますか。


○池田委員
 育休に準じる制度ということで考えれば、無給ではないですか。ただ、そこも分からないですよ。ただ先ほども言ったように、男性の育児参加の場面という意味では、いわゆる乳幼児期にフォーカスしてここだけ休めるようにとは言えない部分があるのも確かだと思うので、男性がうまく入り込む余地を今後どう作っていくかという趣旨で、弾力化や分割とかという話は残しておいてもいいのではないかと思います。


○武石座長
 制度に関してはいろいろご意見が出ました。最終的にどのようにまとめるかが難しいのですが。


○座間委員
 今、池田委員のおっしゃったとおりで、5年なり10年なり1人の社員の就労のデータをずっと持っておくというのは、企業においてはほとんど不可能に近いです。例えば異動して勤務地が変わったとか、海外に行ったとか、転籍したといったことがあったりすると過去のデータがリセットされてしまうこともありそうです。実質、就業管理は相当ハードになってくると想定されます。このように、実務面では相当難しいので、例えば池田委員からあった例は現実に近い1つの案にはなり得るものとは思いますが、利用者側と雇用側の両方のニーズでもう少し整理をする必要があるかとは思います。


○池田委員
 私がこの種の発言をしたときの趣旨は、総論の所にも書いてあったと思うのですが、現行の制度は男性が1日も制度を利用しなくても、女性1人だけで仕事と育児の両立が完結するように制度設計ができてしまっているところが問題だということです。どこまでを両立とするかはまた別ですけれども、少なくとも離職を防止できるように完結しているので、男性が出てくる場面をどうやって作るかという趣旨の発言でした。そうすると、男性が子育てのいろいろなステージに妻と交代で関わる、妻もその分トータルの休業期間を延ばさずに、育児のいろいろな場面に夫婦交代で関わっていくということをどう実現するかという問題意識があっての発言だったので、新たに提案した制度も結局、女性1人で全部の制度を利用するという話になると、今回の研究会の問題意識とはちょっとずれるところがあります。そこは意見の1つとして書き加えておいていただければと思います。


○佐藤委員
 各論の書き方ですけれども、現行の法律を変えるというのは7ページの4だけでいいのですか。


○武石座長
 制度を変えるのはそうですよね。


○佐藤委員
 そうですよね、これは少し長期的でもいいのだけれども、今の育児・介護休業法の在り方や給付金の在り方みたいなことは、出たら少しここにまとめて書く。ただ、今回やるという意味ではなくて、このような課題があると。そうするとほかは、5ページを見ると現行法の中で利用促進で国がやるようなものがずっと並んでいて、企業のというのは8ページの5のマル3とか、所々ありますが、どのようにしたらよいのかと。企業によっては3年取れるという、やれれば分けて取るようにしたっていいわけですよね。だから、現行法でやること、これも企業や国もあると思うのだけれども、あとは法律を変えることと企業独自にこのようなことを考えたらみたいなことと、少し書き分けたほうがいいのかと思いました。
 例えば、8ページの5のマル3の所とか、女性のキャリアの意識付けも、もしかしたら女性活躍推進法で国がやることもあるかも分かりませんよね。あと、企業が中でやるのもあるわけでしょう。だからどうするかなのだけれども、現行法上でやること、それも育児・介護休業法や次世代法だけでなくやれるところもありますよね。あとは法律を少し長期的に見直したほうがいい点と、企業がいろいろ考えて、こういうことがやれるのではないかというのを分けてもいいかと思いました。


○武石座長
 要は、国がやることと企業がやることと。


○佐藤委員
 あるいは中に、企業はとはっきり書くかですよね。


○武石座長
 そうですね、そこは書き方を多分工夫できると思います。先ほど佐藤委員がおっしゃった次世代法のくるみんマークの考え方をどうするかというのも、この7ページの所で。


○佐藤委員
 書いたらどうかということです。


○武石座長
 取りあえず、いろいろと出た意見は入れてみます。


○佐藤委員
 育児・介護休業法の取得期間が一定の期間などとしているところを、運用上もう少し長く、ということもあり得るかも分かりません。それは最終的に議論すればいいと思います。それで1週間以下でやめてしまうと、1日や2日で育休をやめるというのは。


○武石座長
 給付金が出るようになったのは、いつからでしたか。最初は28日、20日でしたか。長くないと出なかったのですよね。


○佐藤委員
 なかったのです。全体的にだんだん短いほうに寄せてきてしまったのですよね。


○宮川局長
 給付金が出ない最大の理由は恐らくそこだということに気付いて、給付金が出るようにしましょうという発想だったのではないかと想像されます。ただ、いつまでもそれでいいのかというのもまた逆の議論で、給付金の趣旨からすれば、恒常的に出す給付金だったらそうですけれども、そうではなくていろいろなものをもっと進めていきましょうという奨励的な意味での給付金であれば、基準を引き上げていくというのも1つの政策判断としてあり得ることだと思います。


○佐藤委員
 多分女性がほとんど取る時代で、その短い期間に対する支給がないときの給付金でよかったのですよ。次世代法ができて男性も取れと言い出したときに矛盾が出てきてしまったのです。1週間で取ったら出ないではないかと企業が怒って、1週間は有給化としたわけでしょう。多分そちらのほうだと思います。


○宮川局長
 男性1日も、最初はかなりハードルが高いと思ったのではないでしょうか。


○佐藤委員
 多分そうです。


○宮川局長
 先ほどの話のゼロから1にするという所ですが、正にゼロだった所を1にするというのでもいいという助成金はあって然るべきだったし、それをいつまでやるかということと、1を2や3に上げていくところに来ているかどうかということは、当然いずれかの段階ではあるのではないかと思います。


○座間委員
 ちょっと申し上げておきます。確かに1週間以下で意味がないというご意見がありましたが、短い期間でも取得をすることで、仕事と育児を両立するということについて発言してもいいのだという文化風土醸成には役に立ったという事実が、企業例としてはあります。短期間で充分とは思っていませんが、取り組みの入口としては意義はありました。


○宮川局長
 恐らく、ゼロを1にするということをどうするのかを考えながら、ただ短期的ではないにしてもある程度中期的ぐらいには考えるべきではないかというご示唆ではないかと思います。


○池田委員
 事務局の方と池添委員とUFJさんのデータを見せていただいてお話したときに、先ほど池添委員もおっしゃったみたいに同じ期間でも育休を取ることの効果のほうが大きいのだというのは、社会学でいう通過儀礼というかイニシエーションとしての効果があって、宣言してちゃんとした正規の制度を使うことで襟が正されるというか。だから、通過儀礼とはただ年齢が来てあなたも大人よというよりも成人式に出るということです。自覚が芽生えるといったようなことです。駒崎委員が話したのかな、私が言ったのですかね、父親研修制度みたいな話をしましたが、それは多分データで、そう言ってもよさそうな効果が出ています。池添委員とデータを見たときに、やはり育休を取っている人というのは、そうではない人に比べていろいろな育児の場面に関わっているという、包括的な育児参加の効果というのはあると思います。年休だとそこはいろいろな人が交ざってくるので、分かりづらいと思います。極めて断片的で補助的に関わっている人と、年休といえども本格的にやっている人と当然いると思うのですけれども、やはり育休を取ることで自覚が芽生える部分があると思うのですが、1日で自覚が芽生えるのか。データでは7日間ぐらいというところなので、そういう意味では1日よりは7日間、5日未満よりは6日以上という形で話を進めてもいい段階に来ているのかなという印象を個人的には持っています。


○池添委員
 すみません、各論の話だと思うので、一言だけ言わせてください。以前の研究会で私が少しだけ触れたと思いますが、ご記憶があるかもしれませんけれども、中長期的に見てやるべきことと、短期的にやることをきちんと整理して打ち出していったほうが分かりやすいのではないかというのはあって、各論の1の一番最初の○を見ると、短期的にできることという意味で、「以下のような職場の風土改革を進める取組を進めることが」、進める、進めるでかぶっていますが、風土改革を進める必要があると書いてあって、それ自体はいいのです。その前提として、いきなり風土改革と書かれてしまうと法改正をするとか、もっと大々的にやるという打ち出しが弱いかなという印象があって、社会的なメッセージとしてはちょっと後ろ向きな印象が個人的にはあります。一番最後のほうに中長期的な法制度改革と書かれているので、短期的にできることとしては、先ほど佐藤委員がおっしゃったように、取りあえず国としてはこういうことを進めます、企業としてはこういうことを進めていただければいいのではないかということも整理した上で、中長期的にやるべきことと短期的にやるべきことという整理があった上での、1の職場の風土改革にこのようなことをやりますというような流れ、そういう点にも留意をしていただけたらよろしいのではないかと思い、意見を申し上げます。以上です。


○武石座長
 そろそろ時間ですけれども、何かありますか。いかがでしょうか。よろしいですか。
 いろいろなご意見を頂戴いたしまして、ありがとうございました。今日のご意見は骨子ということでのご意見でしたので、次回は今お話がありましたように、フルペーパーの形にしてご意見を頂きたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。事務局から何かありますか。


○土岐職業生活両立課課長補佐
 本日は、いろいろなご意見をありがとうございました。整理をして、またご相談したいと思います。次回の予定は、また追ってご連絡いたしますので、ありがとうございました。


○武石座長
 では、以上で終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。


(了)

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