ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 疾病・障害認定審査会(身体障害認定分科会)> 第8回疾病・障害認定審査会身体障害認定分科会(2018年1月15日)




2018年1月15日 第8回疾病・障害認定審査会身体障害認定分科会

社会・援護局保健福祉部

○日時

平成30年1月15日(月)15:00~16:00


○場所

厚生労働省専用第21会議室(17階)


○出席者

奥野妙子委員、奥村謙委員、志賀博委員、白川哲夫委員、白阪琢磨委員、鈴木ゆめ委員、飛松好子委員、中井俊子委員、中村耕三委員、前田耕太郎委員、八橋弘委員、湯澤美都子委員、和田隆志委員

○議題

(1)視覚障害の認定基準の見直しについて
(2)その他

○議事

 

○渡企画課長補佐 定刻になりましたので、ただいまから第 8 回疾病・障害認定審査会身体障害認定分科会を開催いたします。委員の先生方におかれましては、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。

 本分科会は、自治体からの障害認定に係る疑義についての諮問機関としての役割と同時に、身体障害認定基準等の改正等についても、必要に応じて医学的・専門的見地から審議を行うものです。また、本分科会は全委員の過半数の出席をもって成立することとされておりますが、本日は 17 名中 13 名の委員に御出席を頂いておりますので、本日の分科会は成立しておりますことを御報告いたします。なお、久徳委員、田口委員、鳶巣委員、林委員におかれましては、欠席の御連絡を頂いております。奥村委員については遅れるとの御連絡を頂いております。写真撮影については以上となりますので、御了解いただければと思います。

 まず、事務局の御紹介をさせていただきます。障害保健福祉部長の宮嵜でございます。企画課長の朝川でございます。企画課長補佐の大熊でございます。企画課長補佐の渡でございます。よろしくお願いいたします。

 なお、本分科会は疾病障害認定審査会運営規程第 5 条第 1 項によりまして、原則公開となっております。本分科会での審議内容は、厚生労働省のホームページに議事録として後日掲載される予定です。あらかじめ御了解いただけますようお願いいたします。

 それでは、以後の議事進行については、中村分科会長にお願いいたします。

○中村分科会長 本日、委員の皆様には、お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。まず、議事に入る前に、事務局から資料の確認をお願いします。

○渡企画課長補佐 お配りしております資料の確認をさせていただきます。まず、資料 1-1 、視覚障害の認定基準に関する検討会報告書、資料 1-2 、身体障害者福祉法施行規則別表第 5 号の改正案、資料 1-3 、身体障害者障害程度等級表の解説についての改正案、資料 1-4 、身体障害認定基準の取扱いについての改正案、資料 1-5 、身体障害認定基準等の取扱いに関する疑義についての改正案、資料 1-6 、総括表・診断書・意見書の改正案、資料 1-7 、調査研究についての方針案、資料 2-1 、身体障害者障害程度等級表の解説についての改正案、資料 2-2 、身体障害認定基準の取扱いについてです。資料 2-3 、身体障害認定基準等の取扱いに関する疑義についての改正案。参考資料 1 、身体障害認定分科会について、参考資料 2 、疾病・障害認定審査会身体分障害認定分科会委員名簿、参考資料 3 、視覚障害の身体障害認定基準の見直しについて、参考資料 4 、じん臓機能障害認定基準の見直しの提案です。以上、お手元にございますでしょうか。過不足などございましたら、事務局までお申し付けください。

○中村分科会長 それでは、本日の議事に入ります。 1 つ目は、視覚障害の認定基準等の見直しです。これは、昨年の 1 月から 12 月まで、厚生労働省の視覚障害の認定基準に関する検討会で議論をして、報告書が取りまとめられました。この報告書に基づいて、視覚障害の認定基準の見直し案等を事務局に作成していただきました。本日は、この見直し案について御議論を頂きます。それでは、事務局から資料の説明をお願いします。

○渡企画課長補佐 資料 1-1 を御覧ください。視覚障害の認定基準に関する検討会の報告書です。 3 ページを御覧ください。「はじめに」という部分があります。視覚障害の認定基準に関する検討会は、身体障害者福祉法における身体障害として位置付けられている視覚障害の認定基準について検討するため、平成 29 1 月に設置され、 5 回の検討をいたしました。本検討会では、視覚障害の認定基準の改定に関する取りまとめ報告書 ( 平成 28 8 26 日、公益財団法人日本眼科学会視覚障害者との共生委員会、公益社団法人日本眼科医会、身体障害認定基準に関する委員会との合同委員会 ) の内容を踏まえ、視力障害、視野障害の基準の変更についての検討を行うとともに、関係団体からのヒアリング、視力障害や視野障害以外による見づらさの問題を含めた視機能全般についての検討事項の把握などを行い、 5 回にわたり議論を行ってきたということです。

4 ページ目に経緯がありますが、重なる部分がありますので、 5 ページ目を御覧ください。こちらは、合同委員会による報告書となっております。まず、「視力障害について」、「視野障害について」という所で、これまでの問題点の指摘の内容が書かれております。 5 ページの「視力障害について」です。両眼の視力の和について、日常生活は両眼開放で行っていることを考えれば、両眼の視力の和ではなく、良い方の眼の視力で認定することが妥当。当事者団体からも両眼の視力の和ではなく、良い方の眼の視力で認定を行うように希望がある。

 次に、「視野障害について」です。ゴールドマン型視野計の製造中止並びに日常診療における自動視野計の普及。ゴールドマン型視野計、自動視野計どちらでも等級認定できるようにする必要があるが、自動視野計の運用方法に対する具体的な記述がない。

 次のマルは、求心性視野障害や輪状暗点の評価についてです。現状の判定では、 1/4 イソプタの面積が例え同程度であっても、 5 級判定となる。また、輪状暗点の定義が明確でなく、病期が進行した症例のほうが軽度の等級になるなどの問題がある。このような指摘がされていました。

 その他の部分としては、 Functional Vision Score 導入の検討とあります。国際基準にもなる米国の American Medical Association の推奨する評価法であり、視力、視野を統合してスコアで示すものである。両者を統合して判定する方法は一定の合理性があるという内容でした。

6 ページ目、今回の検討会における視覚障害の認定基準の見直しの方向性についてです。基本的考え方としては、現行の視力障害は「両眼の視力の和」で認定されることとなっているが、日常生活は両眼開放で行っていることから、視力の認定も両眼の視力の和ではなく、良い方又は両眼視力で判定することが望ましい。日常の眼科診療では、通常片眼ずつの視力を測定し、両眼視力は特別な場合を除き測定しないため、「良い方の眼の視力」で認定することとする。

 現行のゴールドマン型視野計による認定基準に加え、自動視野計による認定基準を新たに設ける。今後の視覚障害認定基準の改善に向け、 Functional Vision Score 等に関する調査研究を行い、データを蓄積することとする。

 当事者団体等から、視力障害及び視野障害による視覚障害認定では障害認定されないが、見づらさを抱えている当事者への配慮を検討してほしいことなどの意見があり、視覚障害認定基準の改善のための調査研究の中で、これらについても検討を行い、その結果を踏まえ検討するとなっております。

 具体的な認定基準についてです。視力障害の各等級の境界値については、客観性・公平性を期した合同委員会の案を基本とし、 0.1 以下の視力について、 logMAR 値の 0.6 1.7 の範囲を 12 段階に細分化し、 3 段階ずつ、 2 5 級の各障害等級に割り当て、その結果を日常診療で用いられている小数視力に換算したものにより設定する。その例外として、良い方の眼の視力が 0.04 かつ他方の視力が手動弁以下の場合と、良い方の視力が 0.08 かつ他方の視力が手動弁以下の場合については、日常生活の困難度という観点から、等級を下げるべき強い根拠が現時点であるわけでないことを踏まえ、経過的な取扱いとして、新規認定分も含め現行の等級を維持するとあります。文章ですと分かりにくいかもしれませんので、参考資料 3 を御覧ください。

 今の内容を図示しているのが参考資料 3 にあります。カラーの階段のような表になっております。左側の図が現行の基準、右側の図が今回の改正案の基準になっております。下のほうに書いてある軸が良い方の眼の視力です。これまで他方の眼の視力と良い方の眼の視力を足し算でやっていたものが、右側の図のように、良い方の眼の視力で基本的には真っ直ぐ線を引くというような改正案になっております。ただし、一部例外がありまして、例外部分については真っ直ぐ線が引かれておらず、右側に出ているというものです。これが具体的な案です。

 次に、先ほどの報告書の 6 ページ目にお戻りいただきまして、具体的な認定基準についての所の 2 つ目の視野についてです。視能率、損失率の用語を廃止し、ゴールドマン型視野計においては、 33 による 10-2 プログラムによる中心視野視認点数により判定する。また、周辺の視野狭窄が進み中心分の視野も欠損した場合や、周辺視野に異常がなくとも中心視野が重度の障害を呈している場合についての評価を明確にするとあります。以上を踏まえた視覚障害の新たな認定基準は、別添のとおりであるとなっております。今の視野の部分については、後ほど、資料の図を御覧いただきたいと思います。

 次に、資料 1-2 を御覧ください。等級表の見直し案になっています。資料 1-2 1 枚ですが、下の段に赤字で改正案が記載されております。視力については 1 級~ 6 級まで、全て良い方の眼の視力というようなことが入っておりまして、各々、視力の数値については、先ほど申し上げたように、縦線で良い方の眼の視力で書かれるということになっております。 1 級については、良い方の眼の視力が 0.01 以下のもの。 2 級については、良い方の眼の視力が 0.02 以上 0.03 以下のもの。良い方の眼の視力が 0.04 かつ他方の眼の視力が手動弁以下のもの。 3 級については、良い方の眼の視力が 0.04 以上 0.07 以下のもの (2 級の 2 を除く ) 。良い方の眼の視力が 0.08 かつ他方の眼の視力が手動弁以下のもの。 4 級については、良い方の眼の視力が 0.08 以上 0.1 以下のもの (3 級の 2 を除く ) 5 級については、良い方の眼の視力が 0.2 かつ他方の眼の視力が 0.02 以下のもの。 6 級としては、良い方の眼の視力が 0.3 以上 0.6 以下かつ他方の眼の視力が 0.02 以下のものとなっております。

 視野についても同じ表です。 2 級については、 3 、周辺視野角度 ( 1/2 視標による ) 56 度以下のもの。 5 級の 4 は、両眼開放視認点数が 70 点を超えかつ 100 点以下のもの。 5 級の 5 は、両眼中心視野視認点数が 40 点以下のものとなっております。

 こちらについては、資料 1-3 の最後の 7 ページ目に表 2 としておりまして、今、読み上げた内容について、それぞれゴールドマン型視野計で、 1/2 視標ではどういう判定基準になるか、次に、自動視野計では、それぞれ両眼開放エスターマンテスト視認点数でどのようになるか、 10-2 プログラム両眼中心視野視認点数でどのような点数になるかというものを、表でまとめております。

 戻っていただきまして、資料 1-3 の御説明をいたします。まず、 1 ページ目、総括的事項として、 (3) 視野はゴールドマン型視野計、あるいは自動視野計を用いて測定するとあります。それぞれゴールドマン型視野計と自動視野計について、視標等の測定方法が書いてあります。一番下の段の自動視野計の所を御覧いただくと、自動視野計を用いる場合は、両眼開放視認点数の算定には、両眼開放エスターマンテストで 120 点を測定する。中心視野視認点数の算定には、 10-2 プログラムで中心 10 度内を 2 度間隔で 68 点測定するとあります。

 こちらについては、 2 ページ目に、両眼開放エスターマンテスト (120 ) の参考の図、また、 3 ページ目に、 10-2 プログラム (68 ) の図があります。

3 ページ目の 2 、各項解説です。視力障害についてです。視力は万国式試視力表によって測ったものをいい、屈折異常のある者については、矯正視力を用いる。両眼の視力を別々に測定し、良い方の眼の視力と他方の眼の視力とで等級表から等級を求める。等級の換算表 ( 1) の横軸には良い方の眼の視力、縦軸には他方の眼の視力が示してあるとありまして、下のほうの表 1 の所で、先ほどのカラーの図の内容としては同じものが示してあります。

 次にイとして、両眼を同時に使用できない複視の場合が、非優位眼の視力を 0 として取り扱う。例えば、両眼とも視力が 0.6 で眼筋麻痺により複視が起こっていて、日常生活で片眼を遮閉しなければならないような場合は、一眼の視力を 0 とみなし 6 級となる。なお、顕性の眼位ずれがあっても、両眼複視を自覚しない場合は、これには該当しないというものがあります。

5 ページ目、視野障害です。まず、アのほうでゴールドマン型視野計を用いる場合の説明、イのほうで自動視野計の場合の説明になっています。アのゴールドマン型視野計を用いる場合は、周辺視野角度 ( 1/2 視標が視認できない部分を除いて算出する。さらに次式により両眼中心視野角度を計算するということで、中心視野角度の計算方法を示しております。

 次に、イ、自動視野計の部分です。自動視野計については、両眼開放視認点数及び両眼中心視野視認点数の判定方法が、 ( ) ( ) にあります。まず ( ) として、視標サイズ 33 による 10-2 プログラムで測定を行い、左右眼それぞれ感度が 26dB 以上の検査点数を数え、中心視野視認点数を求める。 dB の計算は、背景輝度 31.5asb で、視標輝度 10,000asb 0dB としたスケールで算定する。さらに次式により計算するということで、計算式を示しています。ウとしては、両眼による視野の 2 分の 1 以上欠けているものについて、どのように判定するかということが記載しております。資料 1-3 については、以上でございます。

 次に、資料 1-4 です。基本的には、資料 1-3 に、これまでの御説明での変更点に基づいた変更がなされておりますけれども、 1 ページ目については、診断書の総括表の障害名等について例示の変更が記載されておりまして、その他の部分については、詳細な視力を測る場合の方法等が書かれております。

 また、資料 1-5 では疑義解釈が、資料 1-6 については診断書の改正案を示しております。これも基本的な考え方に沿った変更となっております。

 次に、資料 1-7 を御覧ください。こちらは先ほど報告書でもあったように、今後視覚障害の基準の改善に向けて調査研究を行うべきだということがありまして、調査研究についての方針案を示しております。

 目的としては、視機能における障害認定基準について、今後より一層、医学的観点かつ日常生活の制限の程度の観点から、合理的で客観的なものとなるよう改善していくため、国際的動向も踏まえ、視機能を評価する手法や指標に関する基礎資料を収集するとありまして、研究計画については、先ほどの報告書の中にもあった FVS とか、その他日常生活の状況について評価するための項目を取りまして、視機能の状況と日常生活の制限の関連に関する基礎資料を作成することとしております。以上でございます。

○中村分科会長 ただいまの御説明について、御質問と御意見を頂く前に、この認定基準に関する検討会の構成員として、今回の見直し案の検討に参加くださいました湯澤委員に補足説明をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○湯澤委員 よろしくお願いいたします。視覚障害は「視力」と「視野」の異常について、別々に判定するということになっております。そして、視力については、今までは「両眼の視力の和」で判定していました。しかし、実際のところは、良い方の眼の視力でいろいろな物を見ております。そこで、これまでの両眼の視力の和というのではなくて、「良い方の眼の視力」で判定しようというのが大きな改正点でございます。改正する場合に、どのように等級の境界線を引くかということが問題になります。客観的に、あるいは公正に行うためには、実は視力というのは角度で測るのですが、角度を測るのに、一番よい logMAR 視力を使います。それを使って 0.1 以下の視力を均等に 3 段階ずつに分けて、 2 5 級の視力の判定に用いるというのを原則といたしました。これは非常に理論的には公正であります。しかし、このやり方をしますと、現段階で等級が下がるケースがあります。この分け方が実生活で公正であるかどうかということがまだはっきり言えていないので、これは今までどおり、現行の等級を使うということになっています。

 視野については、今までゴールドマン視野計と呼ばれるものが使われております。しかし、ゴールドマン視野計は発売中止になっておりまして、自動視野計が広く使われています。そこで、ゴールドマン視野計と同じような判定、つまり不利にならないように自動視野計を使って判定し、それを今回の規定に加えたいというのが、視野の大きな改正点です。そのためには、たくさんのゴールドマン視野計の視野異常のある人を自動視野計で測って、どのように区分すればよいかというのが検討されました。ですから、随分ややこしそうなのですけれども、これはゴールドマン視野計でも、それから自動視野計でも判定できるということで、整合性が取れているものです。

 もう 1 つ問題があったのは、ゴールドマン視野計では、言葉の使い方が全て客観的というわけにいかなかった部分がありまして、中心視野の部分で問題が少し出ていました。それを明確に改正したということです。

 その結果、今回のものは非常に現実に即していて、公正で、かつ使いやすい物になっていると思います。ただ、いろいろまだ問題点があることが、今回の検討で分かりました。これらについては、今後検討会が組織されて、更に適正な改正に向けての努力を進めていくということになっております。よろしいでしょうか。

○中村分科会長 どうもありがとうございます。それでは、事務局及び湯澤委員からの説明を踏まえて、今回の視野障害の等級表、認定基準等々の改正案について、また、残った課題として調査研究を行うというときの方針案について、御質問、御意見がありましたら、お願いしたいと思います。いかがでしょうか。肝臓について、八橋先生がやっていらっしゃいましたが、そういう観点から見ていかがでしょうか、今回の改正について。

○八橋委員 視野の測定に関しては、時代とともに新しい測定法を取り入れるということ、またより客観的であるということから、いいのだろうと思います。今回、視力の和だったものを、良い方の眼で判断する。いろいろなばらつきがある中で、実際は良い方の眼で判断しているということですから、そのように変えるのはリーズナブルと思います。また、変更しても少なくとも現時点の等級よりは下がることはないということで、患者さんにとっても、この変更で不利益はないのだろうという点も評価できます。今後、また検討されるということですから、もう一度見直す機会があるということも踏まえて、私は今日の時点では、この変更は合理的というか、ある程度納得できると思います。

○中村分科会長 ありがとうございます。ほかに感覚器でいうと、耳鼻科のほうからはいかがでしょうか、奥野委員。

○奥野委員 両方の眼と片方の眼の機能という意味で、両眼にすることによって、やはり少し良くなるわけですよね。耳鼻科にとってみれば、両耳を使うことによって方向感覚とか、そういう意味で非常に大きい重要な違いが出てくるので、ちょっとその辺を少し御説明いただけたらと思って伺っておりました。

○中村分科会長 ありがとうございます。いかがでしょうか、湯澤委員。

○湯澤委員 先生のおっしゃる通りです。視力は今まで両方の和でやっておりましたが、これは物を見るのには全くナンセンスです。どうしてかというと、私たちが物を見た場合に、物を確認するということに関しては良い方の視力で見ております。もう片方の視力が実際に役に立っていないかというと、先生がおっしゃったとおり、役に立っていて、時には、両眼の相乗効果みたいな現象が起こることもあります。しかし今の日本の眼科の視力検査の方法は片眼ずつで測ることになっていて、両眼での測定を一般的に行っておりません。それで、余り大きな改正ではなくて、今回は普通の眼科診療で行われている方法、つまり良い方の眼の視力を用いるということにさせていただきました。

○奥野委員 現行のものに、ふさわしいようにという意図、解釈でよろしいでしょうか。

○湯澤委員 はい。

○中村分科会長 ほかにありますでしょうか。なかなか難しい問題もありますが、中井委員いかがですか、何か御意見はありますでしょうか。

○中井委員 ちょっと気になったのですが、先生の御説明で、現行の等級よりも下がってしまう可能性の場合があるとおっしゃって、その差がどのぐらいの方にそのようなことが起こるのか、要するに今後。すみません、この等級は 1 回判定して、再判定というか、再認定はあるのでしたか。

○湯澤委員 再判定はございます。

○中井委員 何年ぐらいでというのは。

○湯澤委員 それは人によって違っていて、症状が安定しているかどうかによります。

○中井委員 なるほど。

○湯澤委員 どんどん悪くなっていく人は、それは、その時点で医者が決めることになります。

○中井委員 ありがとうございます。それでは、見直しを今回、例えば、たくさんの方の等級が下がってしまうという、もし現行のものと、かなりずれが生じた場合には、やはり見直しが、また必要になるということになりますよね。

○中村分科会長 事務局、どうぞ。

○渡企画課長補佐 もう一度、参考資料 3 のカラーの図を御覧ください。右側のほうに、今回のお示しした改正案の図があります。良い方の眼の視力 0.04 の所を見ていただくと、良い方の眼の視力 0.04 で、左側の軸ですが、他方の眼の視力 0 から手動弁の所、こちらは 2 級という印になっておりますけれども、こちらは当初の考え方の logMAR 視力による等分で行いますと、上にあるとおり、黄色部分の 3 級の所が引かれていたのですけれども、これらの方々が現行より基準が下がってしまうということで、今回については、これは 2 級を維持するということで、等級は下がらないような改正案となっております。

○中井委員 それは理解したのですが、ということは、今後この規定でいくと、等級が最初から下がってしまう判定に今後なっていく可能性が、この認定の仕方をしていくとなっていく可能性があるかもしれないということがあるのかと思って。

○渡企画課長補佐 こちらについては、経過的というような表現もありましたけれども、特に何箇月、何年という経過ではありませんので、今後調査研究をして見直しをするという意味での経過的ですので、下がってしまうということはございません。

○中井委員 なるほど、下がっていくということはない。分かりました。

○渡企画課長補佐 分かりにくく申し訳ありません。

○中井委員 ありがとうございます。

○中村分科会長 ありがとうございます。ほかにありますでしょうか。なかなか重要なことでありまして、手帳というのは、いろいろな障害をカバーしており、基本的な文言がありますので、それに合致しているかどうかということは、やはり重要な 1 つのポイントだろうと思います。それについて、この研究をしてこの不明のところを調査するといった理解でよろしいわけでしょうか。

○渡企画課長補佐 はい。

○中村分科会長 ほかにありますでしょうか。よろしいですか。

 それでは、改正案について、身体障害認定分科会として了承するということでよろしいでしょうか。

                                     ( 了承 )

○中村分科会長 ありがとうございます。続いて、 2 つ目の議題です。 2 つ目はじん臓機能障害の認定基準等の見直しです。これは現行のじん臓機能障害の認定基準等が実態に即していないという、日本腎臓学会、日本透析医学会からの意見を踏まえて、見直しを検討するものであります。それでは、事務局から説明をお願いします。

○渡企画課長補佐 まず、参考資料 4 を御覧ください。日本腎臓学会及び日本透析医学会から頂いた要望書です。 1 ページの 2 段落目の「クレアチニンは」の所から読みます。

 「クレアチニンは筋肉から排出される老廃物であるため、「血清クレアチニン濃度」については、高齢者や女性など、小児以外の者においても、腎機能障害による日常生活の困難度に比して低い値となることが指摘されています。一方、「内因性クレアチニンクリアランス値」は、血清クレアチニン濃度に対するクレアチニンの尿中排泄量の値を基本に、身長・体重を加味した値であるため、体格等に関わらず、腎臓機能障害による日常生活の困難度を正確に反映する観点で、有用な指標と言えます。したがって、小児以外を含めた全ての者に対して、また 1 級、 3 級、 4 級の全ての等級に対して、既存の指標「血清クレアチニン濃度」に加え、「内因性クレアチニンクリアランス値」を、検査データの指標として追加することが適当です。

 更に、近年診療現場においては、「血清クレアチニン濃度」を年齢・性別で補正して得られる「 eGFR 」も、糸球体濾過量を反映する推算値として広く用いられています。前述のとおり、「血清クレアチニン濃度」では、高齢者や女性など、腎機能障害による日常生活の困難度が過小評価される事例がありますが、一方で「内因性クレアチニンクリアランス値」は、畜尿を要するなど検査が煩雑であり、人工透析導入を決定する段階など、特殊なタイミングを除き、計測されることはありません。したがって、 3 級、 4 級の認定においては、「血清クレアチニン濃度」の要件を満たさなくても、「 eGFR 」の異常が高度である場合、「血清クレアチニン濃度」の異常と同等とみなすことが適当です。

 なお、平成 26 年に開催された「障害年金の認定 ( 腎疾患による障害 ) に関する専門家会合」における障害認定基準の見直しの議論を経て、血清クレアチニン濃度 3mg/dL の異常には eGFR20mL/ /1.73 平方メートルを、血清クレアチニン濃度 5mg/dL の異常には eGFR10mL/ /1.73 平方メートルをそれぞれ対応させることとされており、今回新たに「血清クレアチニン濃度」に加えて導入を提案する「 eGFR 」に当てはめる異常値については、一定の妥当性があることを申し添えます」とあります。

 それから、後ろのほうに具体的な変更の案について頂いております。こちらを踏まえて作成した資料ですが、資料 2-1 を御覧ください。

 資料 2-1 、身体障害者障害程度等級表の解説のじん臓機能部分です。次ページ、注 9 の部分についてですが、現行のものが、「内因性クレアチニンクリアランス値については、満 12 歳を超える者に適用することを要しないものとする」とあります。これに変えまして、注 9 として、「 eGFR( 推算糸球体濾過量 ) が記載されていれば、血清クレアチニン濃度の異常に替えて、 eGFR 10 以上 20 未満のときは 4 級相当の異常、 10 未満のときは 3 級相当の異常と取り扱うことも可能とする」とあります。

 次に、資料 2-2 は身体障害認定基準の取扱いについての改正案です。こちらも内容的には同じですが、 2 ページ目を御覧ください。 2 ページの 2 (2) の部分について、現行のものは、「満 12 歳未満の者については、じん機能のうち、内因性クレアチニンクリアランス値あるいは血清クレアチニン濃度のいずれかが認定基準に該当すれば認定できるが、満 12 歳以上の者については、血清クレアチニン濃度が認定基準に該当しなければ、認定はできない」とあります。

 これに対して改正案のほうですが、「 eGFR が記載されていれば、血清クレアチニン濃度の異常に替えて、 eGFR 10 以上 20 未満のときは 4 級相当の異常、 10 未満のときは 3 級相当の異常と取り扱うことも可能とする」とあります。

 資料 2-3 、疑義解釈については、説明は割愛させていただきます。以上でございます。

○中村分科会長 ただいまの御説明について御質問を頂く前に、御専門の和田委員に基準の見直しの背景など、コメントを頂けたら有り難いと思います。よろしくお願いいたします。

○和田委員 発言の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。ただいま御紹介がありましたように、「血清クレアチニン濃度」というのが、現在、既存のじん機能の指標となっております。一方、既によく御存じのとおり、クレアチニンというのは筋肉から排出される老廃物です。したがって、血清クレアチニン濃度というのは、筋肉量、体格あるいは年齢といったものに依存します。

 一方、「内因性クレアチニンクリアランス値」というのは、体格は関係ありません。じん機能障害による日常生活の困難度を反映するという点で、有用だろうと考えています。したがって、今回年齢に関係なく、内因性クレアチニンクリアランス値が適用されるということは、適切ではないかと考えております。

 さらに、「 eGFR 」の点があります。 eGFR というのは、現在、診療現場で血清クレアチニン濃度を、年齢・性別で補正して得られております。これは日本人のエビデンスに基づいた精度の高い方法ということで、糸球体濾過量を反映する推算値として現在用られているものです。 eGFR の値に関しても、これまでの値のものと対応するものと考えます。以上でございます。

○中村分科会長 ありがとうございます。それでは、ただいまの事務局及び和田委員からの説明を踏まえて、認定基準等の改正案について、御質問や御意見がありましたらお願いしたいと思います。白阪委員、よろしくお願いいたします。

○白阪委員 十分検討されているので、非常にすばらしいと思いますが、 HIV の領域では、例えばドグテグラビルとか、そういう薬剤の場合には、トランスポーターをブロックすることによって、クレアチニン値が見かけ上、上がることが知られております。ただ、それは非常に僅かな上昇であることと、これを判定に使うような非常に重症な方の場合には、そのような懸念はないものと個人的には考えております。つまり、適用基準から外れるのではないかということで、考えなくていいのではないかと考えております。

○和田委員 ありがとうございます。

○中村分科会長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。同じ内臓障害ということで、また肝臓の八橋委員にお聞きしてよろしいでしょうか。

○八橋委員 肝疾患の臨床の現場でも、じん機能によって薬を選択するときには、クレアチニンではなくて eGFR を基準に行っています。薬剤の添付文書にも eGFR を基準に記載されていますので、 eGFR で評価する、 eGFR で物事を考えるのは、時代に合っていると私も思いました。

○中村分科会長 分かりました。ほかによろしいでしょうか。もし、和田委員に、私のほうから、この eGFR というのは、今、御説明に、簡易になったという文言がありました。ちょっと気になるのは、「簡便にできます」ということが強調されすぎているのではないかという気がいたします。この 2 ページですが、簡便にできればいいとはいいますが、例えば重度の障害になっていかれる方については、やはり正確に判定していくということになると思うのですがいかがでしょうか。簡便のほうがいいということだけでは、私はないと思います。要するに、障害がそこまでいっていないような人については、簡便な検査は、私も良いだろうと思いますが、では、等級が上がっているような、日常生活に大きな困難を抱えているような方については、今はその機能検査は何を使うのですか。

○和田委員 はじめに、この eGFR の値は、先生の御指摘のとおり、年齢・性別と補正をしている点があります。かつ日本人のエビデンスとして、これは学会のほうで調査して、日本人の腎機能を反映する精度の高い方法という形になっています。したがって、簡便だけではなく精度が高いだろうと考えております。

 それから、 1 級に関しては、クレアチニンクリアランスが使われていますので、ここでの精度は高いのだろうと考えます。以上でございます。

○中村分科会長 そうすると、 1 級はクレアチニンクリアランスでやるということでよろしいですか。

○和田委員 そうですね、 3 級、 4 級が eGFR でも対応するということになっています。

○中村分科会長 併用してもいいという意味でしょうか。

○和田委員 はい。

○中村分科会長 分かりました。精度が高く簡便にできるものがあれば、それに越したことはないわけなので、それに若干でも懸念があるような場合には、その従来法をしっかりやるということも、していただきたいと思っております。皆さん、御意見はいかがですか、よろしいでしょうか。

 それでは、見直し案について、身体障害認定分科会として、了承するということでよろしいでしょうか。

                                     ( 了承 )

○中村分科会長 ありがとうございました。それでは、最後に事務局からお願いします。

○渡企画課長補佐 本日は御多忙の中、御審議いただきまして、誠にありがとうございました。今後はパブリックコメント及び省令等改正の手続を進めていく予定でございます。事務局からは以上でございます。

○中村分科会長 それでは、これで閉会といたします。委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、御参加いただきまして、どうもありがとうございました。

 


(了)
<照会先>

厚生労働省社会・援護局保健福祉部障害企画課人材育成・障害認定

03-5253-1111(内線3029)

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