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2017年9月13日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第138回議事録

○日時

平成29年9月13日(水)8:30~10:12


○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)


○出席者

中村洋部会長 野口晴子部会長代理 関ふ佐子委員 田辺国昭委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 宮近清文委員
松本純一委員 今村聡委員 遠藤秀樹委員 安部好弘委員
加茂谷佳明専門委員 吉村恭彰専門委員 上出厚志専門委員
<日本製薬団体連合会>
多田正世意見陳述人
<米国研究製薬工業協会>
パトリック・ジョンソン意見陳述人
<欧州製薬団体連合会>
フィリップ・フォシェ意見陳述人
<日本医薬品卸売業連合会>
鈴木賢意見陳述人 中原岳志意見陳述人 村井泰介意見陳述人
<日本ジェネリック製薬協会>
吉田逸郎意見陳述人
<日本製薬工業協会>
畑中好彦意見陳述人
<日本バイオテク協議会>
塩村仁意見陳述人 山田英意見陳述人
<事務局>
鈴木保険局長 渡辺審議官 伊原審議官 迫井医療課長 古元医療課企画官
矢田貝保険医療企画調査室長 中山薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○関係業界からの意見聴取について

○議事

○中村部会長

 ただいまより、第138回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。

 まずは本日の委員の出欠状況について報告します。

 本日は、全員が御出席です。

 なお、会議冒頭のカメラの頭撮りは、ここまでとさせていただきます。

(カメラ退室)

○中村部会長

 それでは、議事に入らせていただきます。

 今回は、これまでの議論を踏まえて、関係業界からの意見聴取を行いたいと思います。

 関係団体として、日本製薬団体連合会、米国研究製薬工業協会、欧州製薬団体連合会、日本バイオテク協議会及び日本医薬品卸売業連合会より意見を徴収したいと考えております。

 それでは早速、意見陳述に移りたいと思います。

 まず、関係団体の皆様よりプレゼンテーションをしていただき、その後に質疑とフリーディスカッションを行いたいと思います。

 関係団体の皆様には、最初に自己紹介を行った上で、プレゼンテーションをお願いいたします。

 それでは、最初に日本製薬団体連合会よりお願いいたします。

○日本製薬団体連合会(多田)

 日本製薬団体連合会会長の多田でございます。おはようございます。

 このような意見陳述の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 本日は、日本製薬工業協会の畑中会長、日本ジェネリック製薬協会の吉田会長にも御同席をいただいております。

 今回の意見陳述におきましては、前半で医薬品のライフステージ全般について、また、後半では次期薬価制度改革に向けた、私どもの意見を申し述べます。検討すべき多くの課題があると認識しておりますが、時間に限りがございますので、陳述内容は重点課題についての意見に絞っております。その背景や具体的な考え方等につきましては、別添資料におきまして、陳述で取り上げなかった課題とともに整理をいたしております。ぜひ、後ほど御一読いただきたく存じます。

 それでは、スライドの2ページをお開きください。こちらは「医薬品のライフステージ全体から見た医療への貢献」をイメージ図で示したものでございます。

 図の左側から右側へ時間が経過していく中で、まずイノベーションの結果として創出された新薬は、「新規治療法の普及・確立」を通じて、医療の質の向上に貢献してまいります。

 図の中央になりますが、特許期間満了後には「後発品使用促進による国民負担の軽減」に貢献をいたします。

 そして、図の右側でございますが、収載から数十年経過してもなお、医療現場からのニーズに応えていく段階でございます。先発品、後発品の違いを問わず、成分としての安定供給を継続することに貢献いたします。

 このように、新薬、長期収載品、後発品、基礎的な医薬品がその時々の役割を果たし、医療に貢献しております。「ステージ毎の医療への貢献を踏まえたメリハリのある施策が必要」と考えます。

 では、新薬の研究開発、イノベーションの創出に向けた取り組みにつきまして、畑中会長から御紹介いたします。

○日本製薬工業協会(畑中)

 日本製薬工業協会会長の畑中でございます。

 スライド3をごらんください。

 こちらに示しておりますとおり、新規医薬品を生み出すためには「基礎研究」「非臨床試験」「臨床試験」「承認申請・審査」というプロセスを経る必要がありまして、合計で9~16年という長い期間を要しております。

 また、私どもは、1社当たりの平均で年間1,300億円を超える多額の研究開発投資を行っております。しかしながら、臨床試験におきましては、有効性あるいは安全性等によって、ドロップアウトしてしまうことも多々ありまして、1年間に上市できる新薬は、1社当たり平均で0.87個という状況でございます。

 スライド4をごらんください。

 新薬開発の難易度は高くなってきておりますが、医療の質の向上に貢献し、アンメット・メディカル・ニーズを満たしていくためには、科学技術の進歩を創薬イノベーションに取り入れて、引き続き推進していく必要がございます。

 こちらのスライドにお示ししましたような、さまざま技術を活用しまして、創薬ターゲットや候補化合物を見出し、有効性あるいは安全性の検証を行うとともに、バイオマーカー等を利用しまして、患者の層別化への対応等にも取り組んでおります。

 また、医薬品の属性でございます、モダリティにつきましても、従来の低分子化合物からバイオ医薬品、再生医療等製品、核酸医薬品と多様なものになってきており、リアルワールドデータや人工知能を活用する取り組みも進んできております。

 このように、私どもはイノベーションの創出に向けまして、多様な新規技術・知見を駆使して、継続的に取り組む必要がございます。

 スライド5をごらんください。

 私どもの使命は「新薬の開発を通じて社会に貢献する」ことでございまして、創薬イノベーションを実現し、日本を初め世界中の患者さんにその成果を届けることで、医療の質の向上、経済発展等に貢献し続けます。

 また「国民皆保険の持続性」と「イノベーションの推進」を両立して実現することは、製薬産業界としても異論はございません。協力していく所存でございますが「イノベーションによる医療の質の向上」に向けましては「経営の予見性を損なわない、安定的な事業環境の整備」が必要であり、そのためには「イノベーションを促進し、その成果が適切に評価される薬価制度の実現が必要」と考えております。

 それでは「後発医薬品産業の状況と取り組み課題」につきましては、吉田会長から御紹介をいただきます。

○日本ジェネリック製薬協会(吉田)

 日本ジェネリック製薬協会の吉田でございます。

 6ページをごらんください。

 後発医薬品企業は、基本方針に示された「国民負担の軽減」と「医療の質の向上」に貢献するため、数量シェア80%目標の早期達成と、将来にわたる安定供給体制の確立に現在、精いっぱい努力しているところでございます。

 その一方で、80%目標達成後は、これ以上の数量の伸びは考えにくく、さらには「低分子医薬品の特許切れの減少」、多剤投与の適正化などの「適正使用の推進」等により、後発医薬品の数量は減少に転じる可能性が高いと推定されます。

 各企業は「医薬品産業強化総合戦略」にも記載されている「集約化・大型化」を含め、「後発医薬品産業の構造変換」への取り組みも同時に行う必要があります。

 このような中、当協会は5月に「ジェネリック医薬品産業ビジョン」を策定いたしました。この中で「安定供給」「品質に対する信頼性の確保」「情報発信」といった「安心・信頼の追求」に継続して取り組むだけではなく「期待される産業像の実現」として、後発医薬品を扱う全ての企業が、それぞれの役割を明確化し、産業としての透明性を高め、全ての人々に信頼される産業を目指すとしております。このビジョンを実現するためにも、左上の枠内の3点の要望事項、銘柄別の薬価、中間年改定の適切な実施、初収載薬価の維持については、ぜひとも実現していただきたいと思います。

 そのような制度のもと、国民の皆様に安心して使用していただける後発医薬品を、将来にわたって持続的に供給していく努力をする企業が最終的に残ることで、全ての人々に信頼される産業になるというビジョンが実現し、日本の保健医療の一翼を担うことができると考えます。

 以上でございます。

○日本製薬団体連合会(多田)

 それでは、スライド7をごらんください。ここからは、次期薬価制度改革に向けた重要課題について、私どもの意見を申し述べます。

 まず「・特許期間中の新薬の薬価を維持する薬価改定方式について」でございます。

 スライド8は、新薬創出等加算のルールの概要を示した表でございます。

 現行のルールには、各方面からさまざまな指摘があることを承知しておりますが、まずは次のスライドで、新薬創出等加算に対する私どもの考え方をまとめております。

 スライド9でございます。

 本制度のコンセプトは、特許期間中の新薬の薬価維持によるイノベーションの推進により、革新的新薬の創出を加速させようとするものでございます。イノベーションを推進し、革新的新薬の創出をさらに加速するために、本制度は特許期間中の新薬に係る薬価改定方式として制度化すべきと考えます。

 スライド10をお願いいたします。

 その上で、「対象の範囲」につきましては、本制度のコンセプトに基づき、特許期間中の新薬の薬価は全て維持されるべきであります。今般、平均乖離率を指標とすることの妥当性への指摘があり、対象範囲の見直しとあわせて検討されておりますが、本制度の趣旨を踏まえれば、対象範囲の縮小は行うべきではないと考えます。

 次に「企業要件」につきましては、今後、新薬創出により軸足を置いた企業の取り組みを確認し、その状況に応じて評価を行うという枠組みそのものに異論はございません。

 具体的な指標や要件の検討におきましては、複数の指標と一定の期間をもって判断がされる必要があると考えます。

 スライド11は「薬価算定の正確性・透明性及びイノベーションの評価について」でございます。

 新薬の薬価算定は、一定の正確性・透明性は担保されていると認識しておりますが、より向上させることが重要であると考えております。

 イノベーションの評価につきましては、今般、正確性・透明性を向上させる中で、より評価できる仕組みを設けることが提案されており、その方向で御検討いただきたいと思います。

 また、世界に先駆けた革新的な新薬につきましては、新たな薬価算定方式について、今後、検討を進めるべきと考えます。

 次に、スライド12は「後発品のある先発品」と後発品、そして「基礎的医薬品」についてでございます。

 後発品への置きかえが着実に進んでいる現状を踏まえますと、長期収載品の薬価を追加的に引き下げる必要性は乏しく、また、新たな効能・剤形追加等の開発を行っている場合もあり、長期収載品の状況や背景はさまざまであるため、一くくりで取り扱うべきではないと考えます。長期収載品の薬価のあり方につきましては、薬価制度全体を俯瞰した検討を行うべきと考えます。

 また、後発品への置きかえが進まない先発品の特例引き下げにつきましては、引き下げ率を拡大すべきではないと考えます。

 さらに、基礎的医薬品につきましては、対象範囲の拡充が必要であります。

 スライド13をごらんください。我々の意見を総括いたします。

 「国民皆保険の持続性」と「イノベーションの推進」を両立・実現させることには異論はなく、業界として協力してまいります。

 一方、経営の根幹にかかわる薬価制度には、安定性・予見性を強く求めたいと思います。

 新薬創出等加算は、対象範囲を縮小することなく、特許期間中の新薬に係る薬価改定方式として制度化すべきと考えます。

 また、世界に先駆けた革新的な新薬については、新たな薬価算定方式について、今後、検討を進めるべきと考えます。

 さらに、抜本改革に際しては、薬価制度全体を俯瞰した検討を行うべきと考えます。

 私どもからは以上でございます。ありがとうございました。

○中村部会長

 ありがとうございました。

 それでは、次に米国研究製薬工業協会よりお願いいたします。

○米国研究製薬工業協会(パトリック・ジョンソン)

 米国研究製薬工業協会在日執行委員会委員長のパトリック・ジョンソンでございます。

 本日は、製薬業界の見解を共有できる機会をいただきまして、感謝いたします。

 まず、私どものプレゼンテーションを、スライド2枚目から御紹介させていただきます。

 近年、よりよい新薬を開発するに当たり、新薬開発はより困難になってきております。医薬品の臨床開発における成功確率は、1999年以前は平均18%でございましたが、20042010年の期間ではそれが9%にまで落ち込み、同時に開発費は30%以上増加しました。つまり、革新的医薬品業界において、研究開発の決断は非常に過酷でリスクを伴うものになっております。

 医薬品市場の過去5年間の年平均成長率は、各国で異なっております。米国が6.4%、欧州主要国が3.7%、中国が14.9%、日本は1.8%となっております。日本の今後5年間の薬剤費支出の見通しは、横ばいまたは縮小することが予測されておりまして、結果として、日本で薬剤費が医療費の伸びを押し上げる要因になることは考えにくいとされます。

 日本市場は低成長で推移してきたものの、2010年に新薬創出等加算が試行導入されたことは、外資系企業にとって日本への研究開発投資を活発化させる上での重要な判断材料となってきました。

 今後、国外の患者様におくれることなく、日本の患者様に世界最先端の革新的な新薬を迅速に届け続けるためにも、特許期間中の価格安定性を国際的に適正なレベルにしておく仕組みの制度化が強く望まれます。

 3ページに移ります。

 新薬創出力のある先進国の中で、特許期間中であっても薬価が定期的に引き下げられるのは日本だけであります。長期収載品から後発品への置きかえについて、諸外国並みの水準を目指すのであれば、特許期間中の新薬についても、諸外国と同様に、薬価が基本的に維持される仕組みが必要と考えます。

 新薬創出等加算の対象範囲の縮小により、特許期間中であっても薬価が定期的に引き下げられる品目の割合が増加すれば、日本は諸外国よりも研究開発投資の回収において著しく不利であった2010年以前と同様の状況へと逆戻りし、日本の患者へ新薬を提供するに当たり、遅延が生じかねません。

 スライド4に移ります。

 新薬創出等加算の対象要件について、現在の対象範囲は縮小するべきではないと考えます。薬価収載時の算定区分や上市の順番等で一律に対象範囲を定義することは妥当ではないと考えます。

 御存じのとおり、新薬開発における健全かつ必要に応じた競合が発生した結果、短期間に新薬の上市が集中することがあります。上市時には明らかでなかった有用性や独自性が、市販後に実証される場合もあります。日本でも、そのような事例が幾つかあります。

 しかし、ここで段階的なイノベーションがもたらされることもしっかりと認識する必要があると考えます。

 企業要件につきましては、次に述べる3つの項目が最も重要と考えます。

 1つ目に、企業の規模、国籍、業態にかかわらず、全ての企業に対して公平な指標とすること。

 2つ目に、研究開発の評価は、1~2年ではなく長期にわたるものであり、数年かけて評価されるべきである点。

 3つ目に、シンプルで企業にとって予見可能な仕組みとすること。この3つです。

 最後に、スライド5に移ります。

 特許期間中の価格安定性を国際的な適正価格レベルに維持することは、日本の患者並びに研究開発における対日投資の継続において最も重要と考えます。中間年の再算定、著しい医療ニーズに対する効能追加等に伴う市場拡大算定、外国平均価格調整など、薬価改定におけるその他の項目に関する私どもの見解については、前回のヒアリングの際に共有させていただいたとおりでございます。また、本日、日本製薬団体連合会、日本製薬工業協会が共有された内容と合致しております。

 これより、欧州製薬団体連合会によって、見解を提示いただきます。

 御清聴ありがとうございました。

○中村部会長

 ありがとうございました。

 次に、欧州製薬団体連合会よりお願いいたします。

○欧州製薬団体連合会(フィリップ・フォシェ)

 おはようございます。

 欧州製薬団体連合会副会長のフィリップ・フォシェと申します。きょうは陳述する機会をいただきまして、ありがとうございます。

 スライド2をごらんください。日本の患者さんのベネフィットにつながるイノベーションのサポートについて説明いたします。

 まず初めに、この専門部会の皆様方はよく御承知のことと思いますが、日本の薬剤費は既に十分に管理されていることを明確に申し上げたいと思います。

 先ほどもありましたように、今後10年間、日本の市場がフラットである、あるいは徐々に減少していくと考えられております。これは主として、後発品の処方の割合が高くなることの結果、また、計画されている、例えば、一部の製品の毎年の薬価改定などの手段がその原因となるわけです。

 このように、市場がフラットである、あるいは減少していく状況は、他の先進国市場の状況と考えますと、非常に対照的な状態となっています。我々の社会が高齢化していくことを考えますと、薬剤費市場は少なくとも中程度には成長を続けていくのが自然であると考えられ、実際に日本と似た国ではそのとおりになっています。

 最近のデータによりますと、国際的な薬剤費の市場上位20カ国においては、日本が唯一、市場の減少を示しているデータが出ております。したがって、日本が例外なのである。それによって、内資にとっても外資の製薬会社にとっても、グローバルの開発投資を行う上で、日本は優先順位から外れてしまうリスクを冒すことになり、これが現実になりますと、新しいドラッグラグを生み出してしまう危険があります。

 御承知のように、後発品の処方の割合が高くなっていること、その他の手段によりまして、イノベーションを支持するリソースが得られています。薬価制度の見直しにおいては、まずトップの優先順位の一つとすべきは、現在ある新薬創出等加算を通じてのイノベーションのサポート、支援を現在の水準で維持すること、その必要があると考えます。

 スライドの3枚目に移ります。今、お話しした薬剤費市場が既に十分管理されていることを図で示したいと思います。

 こちらは既にごらんになったことがある方も多いかと思いますが、EFPIA-QuintliesIMSによる、今後10年間の医薬品市場のシミュレーションです。幾つかのシナリオがあり、最も楽観的なシナリオにおいても市場はフラット、それ以外のシナリオでは減少するという結果です。

 見通しでは確信が持てない方には、最近の実際の数字を御紹介したいと思います。

 昨年は、この医薬品市場が4%近く縮小しました。確かに薬価改定の年であったということもあるわけですが、ことしは改定年ではありません。しかし、ことしの上半期で、市場の成長はマイナス4%近い数字となっています。

 このことから、現在ある薬価制度が、既に市場の拡大に対しては十分に管理をする中核のメカニズムとなっていることが示されていると思います。

 スライド4枚目、薬価制度改革に関するEFPIAの意見を御紹介いたします。

 先ほど、PhRMAの発表にもありましたように、この新薬創出等加算については、我々もこれは継続すべきであると強く考えます。

 そして、この加算を維持するかどうかの根拠については、薬価からのディスカウントがどの程度されているかということで、現在のまま維持していくのが適切であると考えます。

 そして、企業要件の新たな設定に関しましては、最近の研究開発の性質全体を鑑みたものであるべきと考えます。

 原価計算方式につきましては、このアプローチには制約や限界もあると認識しています。専門家の方々にさらに議論していただくための追加案あるいは代替案の提案も御紹介しています。

 米国参照価格につきましては、現在の方法に問題もあると認識しております。しかしながら、米国は医薬品イノベーションの最大の中心であり、最大の市場でもあります。したがって、今後も米国価格を参照し続けることは適切であると考えます。

 しかしながら、米国参照価格の代替案につきましても、オープンに考えたいと思います。

 中間年の薬価の改定につきましては、支持したいと考えます。しかしながら、中間年の薬価改定は、後発品及び長期収載品で、薬価より大幅なディスカウントがされているものに限定すべきと考えます。

 おおむね、現在の2年に1回の薬価改定は、患者さんのためにも政府のためにも、そして業界のためにもよく機能していると考えます。

 最後に、効能追加で予算上の影響が非常に大きいものにつきましては、素早く対応する必要があると認識しております。そして、このような例外的な状況においては、スピーディーな薬価の改定を支持するものです。

 まとめになりますが、日本はおおむね、薬剤費を良好に管理しながらイノベーションを支援し、高度に成功している市場です。EFPIAといたしましては、この制度に対して理にかなった調整がなされること、そして、後発品及び長期収載品に対して、コスト削減策が行われることを支持いたします。

 そのかわりとして、イノベーションへのアクセスを担保し、長期の事業計画等を可能にするような予測可能性を担保するためにも、現在の新薬創出等加算を通じて、イノベーションを支持し続けることが重要であると考えます。

 どうもありがとうございました。

○中村部会長

 ありがとうございました。

 次に、日本バイオテク協議会よりお願いいたします。

○日本バイオテク協議会(山田)

 御紹介ありがとうございます。

 日本バイオテク協議会会長の山田でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 本日は、塩村理事も同席してございますので、重ねてよろしくお願い申し上げます。

 また、本日は本会に私どもをお招きいただきまして、ありがとうございます。厚くお礼を申し上げ、これから意見陳述をさせていただきます。

 1ページ目でございます。冒頭に、日本バイオテク協議会の簡単な紹介をさせていただきます。

 私ども日本を代表するバイオテクカンパニー約36社が会員でございます。2007年から準備を始めてございましたが、2009年7月に日本バイオテク協議会として発足いたしました。

 隔月で、官民で勉強会を開催してございまして、本年11月で第60回を迎えるところでございます。

 目的でございますが、官民対話を通じまして、バイオテクの推進を図り、我が国の医療への貢献並びに医療産業及び会員各社の健全な発展に寄与したいというものでございます。

 また、厚労大臣の医療系ベンチャー振興推進会議がございますが、この構成員15名のうち6名は、幸いなことでございますが、私どもの会員企業が選抜されてございます。

 会員企業でございますが、開発要請・公募品目、難病治療薬、希少疾病用薬の提供を通じまして、患者様の治療に大きく貢献したいと念じているものでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 続きまして、塩村理事より御説明を続けさせていただきます。

○日本バイオテク協議会(塩村)

 理事の塩村でございます。

 スライドの2ページをごらんください。

 「現行の原価計算方式の課題」になりますけれども、私ども日本バイオテク協議会の会員企業がこれまで製造販売いたしました医薬品のほとんどが新規性が高く、例えば、全く新しい適応症の医薬品ということで、原価計算方式で薬価算定されております。

 現行の原価計算方式では、企業規模にかかわりなく、同一の係数を用いて算定されます。しかし、ベンチャー企業の原価構成は、通常企業と大きく異なります。特に販管費、工場設備償却等の占める割合がベンチャー企業では大きくなります。同一係数を用いることは、平等のようにお感じかもしれませんが、それは必ずしも公平でないと考えております。

 先ほど来、各社が苦しみを語っておりますけれども、新薬の開発には大変苦労が伴います。苦労してやっと開発した新薬について、低薬価となった長期収載品や後発医薬品も総合した平均営業利益率を適用されれば、新薬しかないベンチャー企業にとって、大変過酷なものになります。

 また、原価計算には、開発失敗でドロップアウトした薬にかかわる費用が織り込まれておりません。平均営業利益率は、当然ながらドロップアウトされた医薬品、開発品の費用も織り込まれた後の利益率でございますが、個別の原価計算をするときには、そのものは含まれていない。赤字を吸収する手だてのないベンチャー企業にとっては、吸収のしようがないということでございます。

 世界初の革新的医薬品を日本から上市することを私どもは目指しておりますが、この場合は、外国価格が存在いたしません。参考となるべき外国での価格形成が存在しないので、現実的には大変不利な状況に置かれております。過去の例を見ましても、例えば、日本初のアルツハイマー病治療薬が、残念ながら日本で最初に発売されずに、外国から発売されたというケースがあったことを、皆さんは覚えておられると思います。

 もう少し詳しく、原価計算方式に対する意見を申し上げたいと思います。スライド4をお願いします。

 「世界初の革新的医薬品を日本で初めて上市する場合には、メーカー主張を十分に尊重した原価構成によって計算していただきたい。」

 今までの査定におかれましては、査定される当局から非常に厳しい査定を受けておりまして、なかなか私どもの現実の原価を御説明しても、納得いただいておりません。それは制度ですから、いたし方ないわけですけれども、非常に厳しくされております。

 ただこういうメーカー主張を十分に尊重した原価構成については、対象は「1 患者数が限定されたセグメント」、難病とか非常に珍しい病気の場合。あと、私どものような「2 ベンチャー企業発」の医薬品に限ると考えます。

 ただし、これはある種の仮価格と考えていただき、一定期間後に引き上げも引き下げも考慮して見直すことが適切と思います。

 スライド5をお願いいたします。

 さらに具体的に「メーカー主張を十分尊重した原価計算方式等」でございますが、係数につきましては、メーカー主張を十分尊重できるよう、自由度を高めていただきたい。

 また、加算につきまして、原価計算方式において、加算は営業利益に掛けられます。営業利益は十数%で、それに加算をして、仮に100%加算しても18%の加算になるわけです。

 しかし、新規性が乏しい類似薬効比較方式の場合では、全体の価格に加算をいたしますので、そういう意味では公平ではないと思います。

 次に、AMEDあるいはオーファン指定にかかわる助成金をいただいて開発しているケースが多くございますけれども、それは原価計算のときには控除されて計算されます。しかしながら、これらの助成金につきましては、収載後に売上見合いで返還しておりますので、結局はお返ししているということですから、開発費からその助成金等を控除するのはやめていただきたいと思います。

 収載後の見直しにつきまして、いろいろ議論があるとは思いますが、簡単に言えば、たくさん売れたときに値段を下げるのが常識でございますので、下げる場合には当初の市場規模予測に対して、2倍以上・150億円超あるいは10倍以上・100億円超という現在の規定に従って、随時引き下げるのが適切だと考えます。

 逆に、下げるばかりではなくて、上げることも御考慮いただきたい。例えば、3年後に半分以下の売り上げにしかならなかった場合では、引き上げを御考慮いただきたいということでございます。

 スライド6は、平成29年5月8日付で厚労大臣宛てに要望書を提出しております。その中に記載しております保険に関することでございますので、後ほどごらんいただければと思います。

 御清聴ありがとうございました。

○中村部会長

 ありがとうございました。

 次に、日本医薬品卸売業連合会よりお願いいたします。

○日本医薬品卸売業連合会(鈴木)

 おはようございます。日本医薬品卸売業連合会会長の鈴木でございます。

 本日は、当連合会を代表して、薬価制度の抜本改革について意見を述べる機会を賜り、中医協及び厚生労働省の皆様に感謝いたします。

 初めに、1ページをごらんください。

 本年7月に、九州北部豪雨災害が発生しましたが、医薬品卸は、医療機関・保険薬局への医薬品の供給について、全力で取り組んだところであり、医薬品の適切な供給に支障を来しておりませんでした。

 医薬品卸は、災害時を含め、医薬品の安全かつ安定的な供給を重要な社会的使命と考えていますが、近年、医薬品卸を取り巻く環境は非常に厳しくなっております。政府による後発品の使用促進策により、後発品の売上市場が拡大しておりますが、このことに加えて、高額医薬品の特例拡大再算定など、特別ルールの導入等が行われた結果、医療用医薬品市場は縮小しています。

 また、長期収載品の市場シェアが縮小し、後発品の市場シェアが拡大するなどのカテゴリーチェンジが進んでいます。後発品の数量シェアが80%になりますと、全医療用医薬品に対する売り上げシェアが15%程度にすぎない後発品が、数量ベースで約半分を占めると試算されています。

 2ページのグラフは、8月9日の当部会において、メーカーの専門委員から提供された資料をお借りしたものです。これによれば、後発品数量シェアが80%のときに、医療用医薬品全体の数量の約50%を占めることが試算されています。少量多品種の後発品の特性から、現在でも売上比率の10%にすぎないものが、卸の物流センターの保管スペースの40%程度を占め、センターの処理能力を低下させる要因となっています。

 また、今後、頻回配送・急配が増加することが予想されますが、これらにより、流通コストが大幅に増大する可能性があり、医薬品卸の収益構造を圧迫しています。

 薬価制度の抜本改革に当たっては、このような医薬品卸を取り巻く厳しい環境を勘案して、慎重に検討していただけるようお願いいたします。

 次に、3ページをごらんください。

 「2 中間年の薬価調査について」は、基本方針では「価格乖離の大きな品目について薬価改定を行う」と明記されておりますので、その趣旨を踏まえて、薬価改定の範囲は、価格乖離の大きな品目に極力限定すべきであると考えております。中間年の調査は、あくまで価格乖離の大きな品目を改定するという趣旨を踏まえた調査とすべきと考えます。

 具体的には、卸連加盟の卸業者だけでは、後発品等で取り扱いがない品もありますので、卸連以外の卸業者も全て対象とし、品目の漏れのない調査とすべきであると思っています。

 また、今後、効能追加等に伴う一定規模以上の市場拡大に速やかに対応するため、年4回の新薬の薬価収載の機会を利用して、薬価を見直すこととされております。これにより、価格交渉の負担が増加することが見込まれます。さらに、中間年においても調査を行うこととすると、大幅に負担が増すことになります。

 そのため、全ての営業所を対象とせず、無作為抽出による調査とし、少しでも負担を軽減していただきたいと考えております。

 4ページで「3 薬価本調査の公表範囲の拡大について」の当連合会の意見を申し述べます。

 医薬品卸各社は、統計的に処理した加重平均値の公表を前提に「会社にとって経営・営業上の秘密情報に属する価格情報」を任意に提供し、薬価本調査に協力してまいりました。価格交渉に影響を及ぼす調査データが公表されれば、企業の経営・営業上、重大な支障を生ずるため、そのようなデータの公表は容認できません。

 5ページをごらんください。

 昨年12月に4大臣合意された<薬価制度の抜本改革に向けた基本方針>では、【薬価制度の抜本改革】とあわせた今後の取り組みについても明記されております。

 その中には、安定的な医薬品流通の確保とともに、適切な価格形成を促進するため「単品単価契約の推進と早期妥結の促進について効果的な施策を検討し、結論を得る」というものが盛り込まれております。したがって「中間年の調査を含む薬価制度の抜本改革を進めるに当たっては、安定的な医薬品流通の確保や流通改善のための効果的な施策が前提である」と考えております。

 6ページをごらんください。

 未妥結減算制度につきましては、平成26年にこの制度が導入されて以来、医薬品流通は大きく変化いたしました。「1 流通改善の推進に効果的な点」としては「・9月までの妥結率が大幅に向上」「・遡及値引きがなくなった」ことが挙げられます。未妥結減算制度は、早期妥結に有効な制度と考えられることから、この制度の維持は必要であると考えております。

 「2 問題点」としては、2つの点が挙げられます。

 まず「・未妥結減算の対象とならない妥結水準を見据えた部分妥結や上期の妥結価格が下期の再交渉により変動する取引が増加」しております。

 次に「・未妥結減算制度の対象期間の最終月(9月)に価格の妥結が行われる取引が多く、単品単価契約が停滞」しております。

 7ページをごらんください。

 今、申し上げた「未妥結減算制度下における流通上の問題点を解決し、薬価制度の趣旨を全うする観点」から、改善策を要望させていただきます。

 「・部分妥結や上期の妥結価格が下期の再交渉により変動する取引が増加」している問題点につきましては、薬価制度の「市場実勢価格主義」という趣旨からは、原則としては「妥結価格は、年度内(翌年3月まで)は変動しないことが望ましい」と考えております。

 また「対象期間の最終月(9月)の妥結が多く、単品単価契約が停滞」という問題につきましては、薬価制度が「銘柄別収載方式」をとっている趣旨から「単品単価契約による取引」が望ましく、その推進を図るべきと考えております。

 先ほども申し上げましたが、薬価制度の抜本改革に向けた基本方針においては、改革とあわせた今後の取り組みとして、適切な価格形成を促進するため、単品単価契約等の推進について、効果的な施策を講じることが明記されております。単品単価契約の推進などは、医療保険制度の適正な運営の観点から、ぜひとも必要であると考えます。

 こうしたことを踏まえて、当然、連合会として、

1 単品単価で妥結契約

2 妥結した価格を原則として年度内(翌年3月まで)は変動させない

の2点を中心に、関係者が遵守すべき指針(ガイドライン)を策定していただきたいと考えています。あわせて新ガイドラインに盛り込まれた事項について、関係者が積極かつ前向きに取り組める効果的な施策を講じていただきたいと考えております。

 以上、当連合会の意見を申し上げました。何とぞよろしくお願い申し上げます。

○中村部会長

 ありがとうございました。

 一通り御説明いただきましたので、これより質疑及びフリーディスカッションに移りたいと思います。なお、質問は日本語でお願いいたします。

 どうぞ。

○松本純一委員

 今回の意見聴取で、初登場された日本バイオテク協議会を含めまして、日薬連、PhRMAEFPIA、卸連の今までの主張と今回の主張といいますか御意見は、前回は5月17日でしたでしょうか。資料と議事録で比較してみましても、目新しいものはなかったのかなと思います。これは私の印象であり、感想であります。

 その中で、資料より感じたことを意見として言わせていただきます。

 まず、日薬連のスライドですけれども、スライド9の1点目で「特許期間満了後は後発品への置換えが進むことを前提」とおっしゃっております。これは前もこの中医協の場で中川委員から指摘をしておりますが、先発企業が関連会社や子会社に長期収載品を承認ごと委譲している例があり、業界全体として、この長期収載品への依存から脱却する気があるのかどうかが疑問であると言わせていただいております。

 また、11番目のスライドですけれども、「薬価算定の正確性・透明性について」でございますが、例えば、オプジーボについては原価計算方式によって、中医協での加算ルールをもとに、平均的な営業利益率の160%が妥当と、薬価算定組織が判断されました。総会でこの提案を了承しており、これにより正当にイノベーションが評価されたと考えているのですけれども、業界としてはいかがなのでしょうか。

○中村部会長

 松本委員、質問ということでいいですか。

○松本純一委員

 この部分だけお答えいただければありがたいのですが。

○中村部会長

 では、お願いします。

○日本製薬工業協会(畑中)

 最後の原価計算方式の点でございますか。

○松本純一委員

 いえ、イノベーションの評価です。

○日本製薬工業協会(畑中)

 イノベーションの評価全体でございますか。

○松本純一委員

 イノベーションの評価が、平均的な営業利益率の160%と薬価算定組織が判断されて、中医協で了承したという経緯と記憶しているのですけれども、これによって正当なイノベーションが評価されたと我々は考えているのですが、業界としてはこの辺はいかがでしょうか。

○日本製薬工業協会(畑中)

 まず、基本的には類似薬効比較方式ということで、最類似薬との比較でつけられるのが薬価算定の基本と私どもは認識しております。そのような類似薬がない場合に、原価での計算方式が適用され、ただいま御指摘のございましたようなイノベーションの評価という意味では、営業利益率への加算が行われる。このような仕組みでございます。

○松本純一委員

 妥当であったか、妥当でなかったかをお聞きしているのですが。

○日本製薬工業協会(畑中)

 私どもとしては、この原価計算方式は、イノベーションを評価するにはまだ課題が大きくあるという認識でおります。

○松本純一委員

 イノベーションの評価をするのに、原価計算方式が当然、底流にあるのだとは思うのですけれども、今、原価計算方式のところは言っていなくて、イノベーションの評価を営業利益率の160%というのは、まだまだこれは評価が足りないと思われているのか、それとも妥当であるかをお聞きしたいのですが。

○日本製薬工業協会(畑中)

 私どもとしては、まだ評価として足りない分があると認識しております。

○松本純一委員

 わかりました。

 また、今の御主張は御主張でよろしいですけれども、前の意見聴取の際もこういう話は出ておりますが、原価計算方式において示される経費の額が、我々にとって企業の言い値ではないか。算定組織で厳しく査定をしているとは思うのですけれども、透明性に欠けているとあえて申し上げたいと思います。

 続いて、日本バイオテク協議会の方に少しお聞きしたいのですけれども、スライドの4です。ここに非常に太字で、しかも下線まで引かれているのですが、それはそれといたしまして、中医協では、国民の医療のために議論をしていることは御理解いただいていると思います。国民を守る社会保障費としての医療費・薬剤費であって、営利企業の開発失敗分まで見込んで薬価を設定するべきではないと考えます。ベンチャー支援は各省庁、独立行政法人がしておりますので、それはよく御理解をされていることだと思いますけれども、あえてまた言わせていただきます。

 そして、スライドの4ですけれども、メーカーの主張は十分尊重されていると思います。むしろ、製造原価あるいは輸入原価が企業の言い値であることが、現行の原価計算方式の透明性を損ねていると考えております。

 最後に、日本医薬品卸売連合会の6のスライドの未妥結減算の件ですけれども、これによって単品単価取引が減ったという正確な状況を把握してもらいたいと思います。

 5月の医療用医薬品の流通の改善に関する懇談会、いわゆる流改懇で指摘されておりますけれども、単品単価取引は200床以上の病院では増加しておりまして、大規模チェーン薬局で減少している現状があります。つまり、大規模チェーンの取引の仕方に問題があるのであって、未妥結減算はほかにはさほど影響していないと考えます。

 つまり、病院のほうは改善しているのに対して、チェーン薬局は後退している印象が強くありますので、ぜひ改善を促進していただきたいと思います。

 とりあえず、今のところは以上です。

○中村部会長

 次に、今村委員、お願いします。

○今村委員

 私はここの委員は新人なので、繰り返しの議論が出るかもしれませんが、御了承いただければと思います。

 まず、製薬団体連合会の意見陳述の資料の、最後のまとめですけれども、「新薬創出等加算、長期収載品、後発品並びに基礎的医薬品をセットとして検討を行うべきである」というこの御意見については、全く同感であります。

 ちょっと揚げ足をとるような言い方で恐縮ですけれども、1番目の「国民皆保険の持続性」と「イノベーションの推進」には、製薬業界として異論はなく、協力していくというのは、これは当たり前の話だと思うのですけれども、イノベーションというのは、製薬業界に限らず、これからの全ての産業が取り組むべきことであって、イノベーションに協力するのだから、何らかの配慮をしてほしいという感じが、全体的にほかの方たちからも出ていて、イノベーションというのは、企業が企業戦略の中ですぐれたものをつくっていこうというのが当たり前のことであって、「協力」などという言い方は違うのではないかという感想を持ちました。

 それで、ここから個別の御意見をいろいろ申し上げたいと思います。

 まず、外国平均価格調整の話で、アメリカの価格をどうするかという話でありますけれども、以前より、いわゆるPhRMAの資料の5ページの「その他の検討課題について」のところで、外国平均価格調整が、以前よりASPあるいはNADACについてのデータが詳しく出ているとは思いますけれども、やはりカバー率が十分でないと思います

 もう一つは、アメリカのものをどうするかという話で、EFPIAからの資料を拝見すると、パワーポイントの4ページの「抜本的薬価制度改革に関するEFPIAの意見」のところで、米国参照価格が入っています。ここの記載が大変気になることで、「日本が引き続き先進国としてグローバルな研究開発のコストに貢献する」。研究開発という企業が本来、自分で投資すべきものに貢献するために、アメリカの参照価格を入れる。このEFPIAの別添の資料を1ページめくっていただくと、やはり「外国平均価格調整」というところがあって、4つ目の●に、米国参照価格を除外するのであれば、引き上げ調整を適用すべきであると書いています。つまり、高くなることを前提にして、アメリカを参照するから薬価が高くなっているのだから、それを外すのだったら別の形で保証しろと主張されている。そもそも高くなることを前提にするようなことでアメリカの価格を入れることは、先ほどのカバー率の低さからいっても、これは私は問題だと思うので、従来申し上げているとおり、アメリカの価格については参照すべきでないと考えます。

 もう一つは、新薬創出加算の話で、これもEFPIAの資料の5ページに「ドラッグラグが顕著に減少した」とあります。これは大変好ましいことで、本来の趣旨に沿ったことで、成果が出ているということだと思います。これはもともとの目的なので、これが達成されましたというのは当然のことだと思いますけれども、今、違う意味で費用対効果の話が出ていますが、当然のことながら、こういった成果が出るに当たって、どれだけの国民の負担がふえているかも改めて考えるべきだと思います。

 これは厚労省の資料ではございませんけれども、直近の医療メディアの中に、財務省の主計官がいわゆる新薬創出・適応外促進等加算を導入することによって、年間2,500億円以上の負担が国民にかかっているというデータがあるということで、私もこれを見て大変びっくりしました。その中に、高齢化に伴う薬剤使用量の変化や、類似薬効比較方式による医薬品の引き上げも加味すると、もっともっと大きな影響が出ているのだという発言が出ています。

 私はぜひ、厚労省にこれからの議論の中で参考にするために、この辺のデータをしっかりと出していただくことをお願いしたいと思います。

 それから、今回の新薬創出等加算の見直しの中で、企業要件と対象の範囲が課題に挙がっていることは理解しておりますけれども、そもそもイノベーションを評価するということであれば、どの業種でもそうだと思うのですけれども、よいものが出たからそれを高く評価するのが当たり前であって、これからよいものをつくりますから、そのために費用をくださいというのは順番が違うと私は思っています。ですから、国民の医療にとってしっかりとしたよいものが出たときに、それに手厚く評価することは当然のことであって、例えば、それが特許期間中にどんどん値段が下がるのはおかしいということであれば、そういう仕組みを見直すこともあるのかもしれませんけれども、それを前提にして、最初からイノベーションの評価のために、いわゆる保険料であるとか、税金であるとか、患者さんの負担で補填する形はどう見ても違和感があります。これはそもそも論なので、今さらそもそも論の話ができるかどうかは別として、そこは私は大変問題だと思っております。

 それから、バイオテク協議会の御主張を拝見しました。今回が初めてということなのですけれども、これについてもちょっと違和感がありまして、メーカーはメーカーとして主張をされるのは当たり前のことですけれども、その主張を受けて、公平な立場でその主張が適正かどうかを議論するということであって、その主張を尊重しろと、我々の言っていることを聞けというように聞こえるので、これは言い過ぎなのではないかということです。

 それから「収載後の見直し」のところで、3年後に2分の1以下であった、市場予測より小さかったら値段を上げろと言っているのですけれども、これは要するに、商品が世の中で評価されなかったから売れなかったのでしょうと。つまり、それの価値が十分になかったから、世の中に売れなかったものの値段を上げろという仕組みが世の中にあるのか。これはやはり、薬が何か特別なものだというのが強過ぎて、一般的な市場の物の考え方と違っているのではないかと私は思います。これは感想です。

 申し上げましたとおり、まとめさせていただくと、私の論点は、外国平均価格調整から米国を参考にすることは外していただきたいということと、新薬創出加算のいわゆる企業要件等を含めた見直しについては、根本的な議論がもう一度必要なのではないかということを、改めて申し上げます。

 以上です。

○中村部会長

 意見ならびに一部、厚労省への要望があったと思います。

 では、松本委員、お願いします。

○松本純一委員

 事務局への質問なのですけれども、たまたまPhRMAの資料の3番目のスライドのところに「特許期間中であっても薬価が定期的に引き下げられるのは日本だけである」と書かれているのですが、これは薬価収載時の薬価が不適正であったことも一つの理由になるのでしょうか。

○中村部会長

 薬剤管理官、お願いします。

○中山薬剤管理官

 お答えしますけれども、日本につきましては、皆様が御承知のとおりですが、2年に1回で実勢価格に基づく薬価の引き下げが行われるシステムがあるということで、新薬であっても引き下がることになっている。それを新薬の価格を維持させるために、新薬創出加算という形で今は維持する制度があるということかと思います。

○中村部会長

 ほかにはいかがですか。では、幸野委員、お願いします。

○幸野委員

 印象に残ったところで、もう少し意見をお聞きしたいところについて申し上げます。EFPIAさんが提案されている、4ページの「EPFIAの意見」の「原価計算方式」のところで、1つ目のポツで「製造コストを基に算定される原価計算方式は医薬品の価値を評価するには限界がある」と断言されていて、また、これまでの算定方式に加えて○1~○3が提案されています。その○2で、類似する疾患に対する治療薬や治療法を比較して算定するという選択肢も良いのではないかとの提案は、画期的な御提案かと思うのですが、製薬協さんやPhRMAさんは、この意見についてはどうお考えでしょうか。

○日本製薬工業協会(畑中)

 製薬工業協会の畑中でございます。

 先ほども一部、申し上げましたけれども、現在の原価計算方式は、新たな医薬品で類似薬がないところに出てきた医薬品を評価するには一定の限界がある。コストを積み上げることで評価することには限界があると私どもも同様に考えております。

 したがいまして、例えば、ここにございますように「同一効能に対する薬物以外の治療法」など、こういったものも参照にしながら評価をしていただきたいという点については、製薬協としても同じ意見を持っております。

○中村部会長

PhRMAの方はいかがでしょうか。

○米国研究製薬工業協会(パトリック・ジョンソン)

 私どもも同じ意見を持っております。現在の算定方式ですけれども、こちらは見積もりレベルでは、ある程度の効果はあるかと思いますが、それ以外の要素も踏まえた上での検討が必要だと考えます。

○中村部会長

 幸野委員、お願いします。

○幸野委員

 どうもありがとうございました。

 各団体の皆さんが御賛同されているということであれば、これは検討の余地があるのではないかと思っています。

 たとえば、新薬に対して類似薬がなくても、ほかの治療法で向上させた患者のQOLと同程度まで向上させることができる新薬であれば、その治療法を比較対象にして、薬価算定することは意味があると思います。原価計算方式で、いわゆるブラックボックスの状態で費用を積み上げるよりも、国民の納得性が得られると思いますので、抜本改革を機に、この考え方も薬価算定方式の見直しにおける検討材料としてはどうかと思うのですが、事務局の考えをお聞かせいただけますでしょうか。

○中村部会長

 では、薬剤管理官、お願いします。

○中山薬剤管理官

 お答えします。

 同等の治療法と価格を比較するという考え方は一つあり得ると思っております。ただ、これを検討するに当たっては、過去の事例をもとにということになろうかと思いますけれども、どのような算定の仕方があるかという事例をそれなりに積み上げて、それを精査していく作業が避けられないと考えますので、今回の抜本改革の中でこれを取り入れることはなかなか難しいと思いますけれども、そうした観点で引き続き事例を集め、業界の方の協力を得なければいけないと思いますけれども、そうした精査をしていく中で、こういったこともあり得るのかどうかを検討していくべきと考えます。

○中村部会長

 幸野委員、お願いします。

○幸野委員

 各団体がこういう提案をされたということは、ある程度過去の事例をもとに見積もりをしているのではないかと思ったのですが、いかがでしょうか。

○中村部会長

 これは業界団体への質問ですね。いかがでしょうか。

○日本製薬団体連合会(多田)

 日薬連の多田でございます。いろいろな治療法の中で、医薬品を使うケースと医薬品とその他を組み合わせて使って治療される場合とがあります。最終的に我々が議論しているのは、トータルとしての治療費をどうするか、トータル評価をどうするかという議論です。他の治療法を薬剤に置換えるケースは今までもあったと思います。そういう視点を持ち込んでいくことが、新たなアプローチ、我々ができそうなアプローチになるだろうということで、こういう提案を申し上げたわけでございます。

○中村部会長

 吉森委員、お願いします。

○吉森委員

 関係団体の皆様には、本日は貴重な御意見をいただきましてありがとうございます。

 私の印象としては、今村委員と同じ印象を持っておりますけれども、それはそれとして1点、基礎的な質問をさせていただきたいと思いますが、新薬創出等加算の存続、制度化については、御列席の各団体の皆様の主張はほぼ同等な意見だと拝察しますけれども、そもそもこの加算のコンセプトは、特許期間を満了し、後発品が収載されるまでの間の薬価の引き下げを一時的に猶予し、それによって前倒しで得られる収益を研究開発に再投資するということで、後発品が上市された後には、それまでの加算の累積分をまとめて引き下げるという制度であって、その試行的な目的はEFPIAさんの資料の5にもありますように、ドラッグラグの解消についてはある程度、目的が達せられているとは思いますが、そもそもこれは理論上は財政中立になるかと思っております。

 ここからが質問なのですけれども、個別の品目単位で見た場合に、果たして財政中立になっているのかどうか。この辺がやや疑問に思っておりまして、各団体さんで個別の医薬品単位で、この加算制度による加算額と控除額とを比較した検証をしていらっしゃるか、比較したデータをもし個別にお持ちであれば、加算のほうが大きいのか、控除額のほうが大きいのか、どうなっているのかとか、そういうものを教えていただければありがたいと思います。

○日本製薬団体連合会(多田)

 日薬連の多田でございます。私どもの認識は、加算期間が終了、特許が満了していわゆる後発品が出てきた段階で一挙に加算分が返される。そういうルールが守られていると考えています。

 もう一つ、全体の話で、さっきの主計官の話が少し出たのですけれども、このお話は、例えば、容易に御理解いただけると思うのですが、全体の話ですから、新薬が比較的多く出ている期間が続きますと、どうしても加算額がふえる。一方で、新薬が出なくなって、返却するものがふえてくる。そうすると、全体としては調整されていると我々は理解しております。

○中村部会長

 これはこちらの理解でいいのですか。

○中山薬剤管理官

 委員のおっしゃっている財政中立の意味が違うのかもしれないのですけれども、基本的には新薬創出加算に関しては、加算した分を後発が出た時点で引き下げることによって控除する形での財政中立のシステムになっているということであろうかと思います。

○中村部会長

 では、吉森委員、お願いします。

○吉森委員

 理屈上そうですし、制度としてそれで担保されているということなのですけれども、実際にそれがどうだったかという検証はされていますか、そういうデータはお持ちですかとお聞きしているのですが、検証はされていない、そうだからする必要がないということでしょうか。

○中村部会長

 では、これは業界の方、いかがでしょうか。

○日本製薬工業協会(畑中)

 まず、私どもの理解でございますけれども、当時、この制度を導入したときは、特許満了後はジェネリックに急速に置きかえを物量的に進めることと、猶予された薬価のダウンを一挙にお返しすることの両方で中立性を保とうというコンセプトであったと考えております。8月9日の専門委員からの資料のとおり、現在、70%近くのものがジェネリックにかわるという、まずジェネリックへの促進が進んでいる。それに加え、それぞれ特許が切れたときに、薬価の猶予されたものはお返ししている。この両方を考えてみまして、ここは中立性が保たれている。また、先ほど来、ほかの団体からありましたように、現在の日本のマーケットの推移を見ましても、他国に比べましてコントロールされている。このことを見ましても、私どもは個別の品目ではなかなか比較検証をすることができませんけれども、全体的に中立になっているという理解でおります。

○中村部会長

 吉森委員、お願いします。

○吉森委員

 ということは、そのような検証データはないけれども、理解はしているということでございますね。

○日本製薬工業協会(畑中)

 個別に詳細にわたる検証のデータは、現在は手元に持ち合わせておりません。

○中村部会長

 では、平川委員、お願いします。

○平川委員

 少し前にかかわった、新薬創出加算を廃止した場合ということで、EFPIAさんの3枚目のスライドで、シナリオの違いというものがあり、その中に「新薬創出加算は縮小シナリオでは廃止」とある。その場合は市場規模が9兆円から8兆円に下落していくデータが出ておりますけれども、この1兆円というのは、単純に1兆円の効果があるのか、それとも1兆円の利益が出ているのか。その辺がどういう根拠でこのデータとして出されているのかを教えてほしいと思います。

○中村部会長

 これはEFPIAの方ですね。お願いします。

○欧州製薬団体連合会(フィリップ・フォシェ)

 こちらのスライドですけれども、発表の中でも御説明したように、シミュレーションの結果をお示ししたものです。3つのシナリオがありまして、基本シナリオを黄色で、その他2つのシナリオを示しておりまして、主なシナリオの違いについてはこの左下に示しているとおりです。後発品の状況、その他の違いがシナリオの違いとなっていて、私たちがこのスライドで説明したかったことは、今後の市場の予測としてはほぼフラットである、あるいはフラットか減少であることです。

 このシミュレーションにおいては、全ての売り上げ、卸を通過しないものも含めております。通常、省庁などのデータですと、DPC関連の製品は含まれていない、あるいは保険償還の対象とならないものが含まれていないなどの違いがありますので、お手元のほかの資料と恐らくその点でも数字が異なっているかと思います。

○中村部会長

 平川委員、お願いします。

○平川委員

 いや、ですから質問したのは、新薬創出加算が廃止されたら、1兆円の市場が縮小されることになっていますけれども、それは新薬創出加算が1兆円の効果があるのか、それとも1兆円の収益として寄与があるのかどうなのかを聞いているのです。

 もしわからなかったら後でいいのですが、この1兆円の差について、厚労省としては、こういうことが想定されている、こういう効果があるのだということについてどう考えているのかをお聞きしたいと思います。

○中村部会長

 では、薬剤管理官、お願いします。

○中山薬剤管理官

 このグラフを見させていただくと、新製品の上市数で、年に5製品の違いによってこれだけの差が出るというふうに見えるので、その内容については私もまだ理解ができません。

 したがって、このデータについては、詳細は確認させていただきたいと思います。

○中村部会長

 平川委員、お願いします。

○平川委員

 あと一点、吉森委員から発言がありました、新薬創出加算の効果については、何らかの形で見える化していくのは私も同意させていただきたいと思います。

 あと、バイオテク協議会の御意見ですけれども、これにつきましては、松本先生、今村先生の御意見と私も同意見でありまして、医療保険でありますので、これはベンチャー企業であれ、大企業であれ、よい薬が提供できる体制であれば、その辺はベンチャーだろうが大企業だろうが差をつける必要もないと思いますので、その辺はバイオテク協議会の皆様にも、医療保険についての御理解をお願いしたいと思います。

 以上です。

○中村部会長

EFPIAの方、さっきの回答で何かありますか。それとも、先ほど薬剤管理官からあったように、また後でということにしましょうか。

○欧州製薬団体連合会(フィリップ・フォシェ)

 このシミュレーションのデータに関しましては、この加算等によってどのようなインパクトがあるのかをさらに詳細に示す内容も持ち合わせておりますし、この創出等加算が実際にバランスのとれたものであることを示すデータも持っております。

 御承知のように、この加算があることで、我々企業は研究開発による投資を行うことができ、そういった形でイノベーションに報いることができているわけです。この加算等がなくなれば、それによってそのような投資が難しくなる。それがどの程度の影響を生じるものなのかを示したのがこのシミュレーションです。

○中村部会長

 そろそろ予定の時間も超えています。では、安部委員、お願いします。

○安部委員

 全体的な印象ですが、以前、プレゼンテーションしていただいたものと余り大きく変わらなかったという印象を持っております。

 例えば、新薬創出・適応外薬解消等促進加算に関しては、これまで中医協の中でも相当な議論をしてまいりました。抜本的な改革が求められている中で、これまでの実績でありますとか、イノベーションの必要性といったことも踏まえて、中医協の中では比較的、建設的な議論をしてきたのではないかと思いますし、その中で、例えば、対象の範囲についてなどは、抜本的な見直しの中でも一定合理的な説明とか理解が必要ではないかという議論があったわけでありますが、その部分については今回、特にプレゼンテーションの中で触れられていない印象がありましたので、今後、業界団体さんのほうで意見を集約していただくことが必要なのではないか。これは私の印象でございます。

 それから、質問でありますが、新たな資料が出ましたので、まず日薬連のスライドの2ページ目でしょうか、「医薬品のライフステージ」というところで新しいポンチ絵を出していただきましたが、この横の時間軸というのでしょうか、これはどのぐらいの期間をイメージとして持っていらっしゃるかをお聞きしたいのが1点です。

 それから、6ページ目は後発医薬品の取り組みとして、兼ねてからの議論の中で、後発医薬品メーカーの集約化とか大型化が重要だという指摘、それから品目数が多過ぎるとか、そういう問題があるわけであります。そういった意味では、ここに「集約化・大型化」という転換が必要と書いていただいているのは非常に重要な御指摘かと思いますが、イメージとしてどういう方法で「集約化・大型化」の方向性に進むのかについてお伺いしたいと思います。

○中村部会長

 では、それぞれ1つずつお願いします。

○日本製薬団体連合会(多田)

 日薬連会長の多田から、この時間軸のお話を少しさせていただきたいと思います。

 御承知のように、後発品の上市までの期間は、以前に資料が出されたと記憶いたしますけれども、75パーセンタイル値が14.4年というデータ、だから、最初のますから2つ目のますが大体75パーセンタイルで14.4%となっております。

 では、2つ目から3つ目のますにはどのような時間がかかるかにつきましては、これは先発品の性質あるいは後発品収載後の時間経過の長さ等にもよることがあるわけでございますけれども、一つの考え方としましては、既に設定されております、基礎的医薬品というものがございますが、これが薬価収載から25年というルールがございますので、そういうことも参考にしますと、2530年ぐらいがこの期間かと理解いたします。

○中村部会長

 ジェネリック医薬品の方をお願いします。

○日本ジェネリック製薬協会(吉田)

 日本ジェネリック製薬協会から、先ほどの御質問にお答えさせていただきます。

 ジェネリック医薬品業界の「集約化・大型化」のイメージはどうかということでございますが、今年の5月に、「ジェネリック医薬品産業ビジョン」を日本ジェネリック製薬協会で策定しております。

 その内容が6ページに書いてございますけれども、「ジェネリック医薬品産業ビジョン」は、ジェネリック医薬品の数量シェア80%を達成した後のジェネリック医薬品産業の目指すべき将来の方向性を明確に示したものでございます。そのビジョンで示しました将来の業界地図では、今後の各社の目指すべき企業像として、研究開発に特化する企業、特定の剤形に特化して製造受託を行う企業、特定の領域に特化した企業などを例として挙げており、各社がそれぞれの強みを生かして、役割を明確化し、研究開発や製造の分担、共同生産体制の構築などを通じて効率化を進める必要性を示しております。こうした各社の取り組みの結果、「集約化・大型化」につながるものと考えております。

 現在、業界では既に統合・再編の動きも出始めております。実際には、水面下ではさらに多くの動きがあると思われます。今後は「集約化・大型化」が進み、会社数・品目数も減少していくことは必然の流れであろうと思っております。

 以上でございます。

○安部委員

 御説明ありがとうございます。

○中村部会長

 では、今村委員、お願いします。

○今村委員

 時間のないところ恐縮ですが、先ほどの吉森委員の御意見について追加というか、中医協の6月14日の資料の中で、新薬創出等加算の対象品目と加算額のところで既に控除額が出ているというか、新薬創出等加算から外れているものが既に出てきているわけです。当然のことながら、どの品目がどのぐらい加算されて、どのぐらいの減算になったかという数字は、出そうと思ったら出せる品目が既にあるのではないかと思います。逆に言うと、余り数が多くないので、厚労省のほうでぜひ調べて出していただきたいと思います。

 繰り返しになりますけれども、先ほども申し上げた、多田さんからも今、触れていただいた、2,500という根拠はそれぞれに言い分が当然あるのだと思いますけれども、先ほどの適応というか、どんどん高齢化に伴って使われていく量がふえていく薬もあるでしょうし、類似薬効比較方式でほかのものの価格が高くなっていることも当然、影響があるので、そういったものも厚労省としてぜひ、議論のたたき台になるようにここの場に出していただきたいことを改めてお願いとして申します。

 それから、後発医薬品メーカーの方から今、「集約化・大型化」についての御意見をいただきましたけれども、聞いていると、ずっと将来の話で、だんだんだんだん集約が起こっていきますというビジョンについても、遠い将来のように聞こえてしまうのです。ですから、我々ユーザーからすると、できるだけ早期に「集約化・大型化」はやっていただきたいということを改めてお願い申し上げたいと思います。

○中村部会長

 幸野委員、お願いします。

○幸野委員

 新薬創出等加算の財源について、新薬創出等加算自体ではなく、この加算がついたものの類似薬にまで、加算分が上乗せされているということも医療費に影響を与えていると思うので、これに関するデータもあわせて出していただければと思います。

 新薬創出等加算とは関連しませんが、ジェネリック製薬協会の吉田会長にお聞きしたいことがございます。まず、後発医薬品の数量シェア目標の第1ステップである2017年央に70%以上は、塩崎前厚労大臣が達成できないと明言されましたが、本当に達成できないのか、事実関係をお聞きしたいということと、達成できないのであれば、次の80%以上の目標達成に向けて、総括が必要になってくるのではないかと思うのですが、まずは事実関係について、ジェネリック協会では把握されておりますでしょうか。

○日本ジェネリック製薬協会(吉田)

 私どもも7月の時点の数字は持っておりませんが、日本ジェネリック製薬協会として持っている数字といたしましては、2016年度第4四半期、2017年の1~3月でございますけれども、そのときのジェネリック医薬品の数量シェアが67.1%ということで、70%までには到達していません。この6月末の数字はまだ把握しておりません。70%にかなり近いところまで来ていることはわかりますが、その程度の数字でございます。

○中村部会長

 幸野委員、お願いします。

○幸野委員

 事務局にお願いですが、まず、第1目標である70%に到達しなかった原因と総括は必ずやるべきだと思います。目標が達成できなかった要因の一つとして、若年層のジェネリック使用率が低いというデータが出ておりますが、公費助成などが使用率に与えた影響なども分析してほしいと思います。また、ジェネリック製薬協会においても、行政に対してどのような働きかけをしたのかなど、総括をお願いしたいと思います。

 以上です。

○中村部会長

 御意見・御要望ありがとうございました。

 もう時間は過ぎていますけれども、ほかに何か。よろしいでしょうか。

 どうもありがとうございました。

 まだまだ御意見・御要望があるかもしれませんが、時間も過ぎておりますので、関係業界からの意見陳述につきましてはここまでとさせていただきます。

 本日の業界意見陳述の内容も踏まえて、本件については引き続き議論を行いたいと思います。

 本日予定された議題は以上になります。次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、本日の薬価専門部会はこれにて閉会といたしたいと思います。

 どうもありがとうございました。

 

 


(了)
<照会先>

厚生労働省保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会薬価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第138回議事録(2017年9月13日)

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