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2017年9月27日 第18回中央訓練協議会議事録

人材開発統括官付訓練企画室

○日時

平成29年9月27日(水)16:00~18:00


○場所

中央合同庁舎第5号館3階 共用第6会議室


○議事

○今野浩一郎名誉教授(学習院大学) 定刻になりましたので、ただいまから、第18回中央訓練協議会を開催いたします。本日、御出席の方については、お手元に座席表がございます。それと参考資料2に名簿がございますので、それで代えさせていただければと思います。なお、本日、御欠席の兒島京都府商工労働観光部長の代理として、小山商工労働観光部雇用政策監に御出席を頂いております。よろしくお願いいたします。また、事務局については、新たに安藤人材開発統括官及び志村人材開発総務担当参事官、山口訓練企画室長、山崎特別支援室長、それに職業安定局の小林審議官が就任されましたので御紹介をさせていただきます。報道のほうの頭撮りはここまでとさせていただきます。

 まず、安藤統括官より、御挨拶を頂ければと思います。よろしくお願いします。

○安藤人材開発統括官 本年の711日付けで人材開発統括官を拝命いたしました安藤でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。委員の皆様方にはお忙しい中、この中央訓練協議会に御出席を頂きまして誠にありがとうございます。議事に入る前に、一言、御挨拶を申し上げます。

 この夏、厚生労働省では組織改編がございまして、従来ございました職業能力開発局が人材開発統括官という組織に再編されるとともに、職業能力開発行政に加えて、職業安定局で従来行っておりました若者の雇用対策も吸収するということで、少し大きくなったところでございます。その後の職業人生の展開に大きな意義を有します若者の就職から、一体的に職業キャリアを捉えることができる、そういう体制ができたものと考えております。今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 現在、政府をあげて取り組む1丁目1番地の政策課題が、働き方改革であるという状況にございます。3月に決定をされました働き方改革実行計画の中で、訓練関係につきましては、例えば非正規雇用労働者などを対象として国家資格の取得を目指して、正社員就職を実現するための長期の離職者訓練コースを新設することや、託児サービス付き訓練、保育士、看護師の職場復帰を支援する訓練を充実するというような内容が盛り込まれ、また、6月に決定されました未来投資戦略2017の中では、第4次産業革命の進行を見据えて、産業構造や就業構造の変化に対応できるように、基礎的なITデータスキルを身に付けるため、社会人の学び直しを充実するための支援策を講じる、といった内容が盛り込まれておりまして、後ほど御説明を申し上げますが、これらの施策を着実に実施できるような形で、来年度の予算要求を組んでいるところでございます。

 また、働き方改革の次の一手としては人づくり革命であると言われておりまして、そのエンジンとなる人生100年時代構想会議が、総理の下にスタートしたところでございます。この会議の中では、今後、リカレント教育や人材育成のあり方などについても俎上に上るということでございます。一方、人的投資による生産性の向上についても未来投資会議の中で議論がされていくということで、年内の中間取りまとめ、さらには来年の夏の取りまとめに向けまして議論が続いていくことになると考えております。

 本日は、この平成30年度に向けてのハロートレーニングの訓練規模や、目標値などについて御議論を頂くことにしております。また、この協議会を終了いたしますと、これを受けて各都道府県において地域訓練協議会が開催されまして、それぞれの地域ニーズを踏まえた訓練計画の策定や、ハロートレーニングの効果的な運営のあり方について、それぞれ御議論いただくというような流れになっております。本日は、各委員の皆様方の忌憚のない御意見を賜れば幸いでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○今野浩一郎名誉教授 ありがとうございました。議事に入りますが、その前に、今、お話がありましたように組織改編がありましたので、それに対応して、この協議会の開催要綱が一部変更になっています。参考資料2を見ていただくと中央訓練協議会の開催要綱があります。ここでアンダーラインが付いていますが、ここが変更になりましたので御承認いただかなければいけないですね。そういうことですね。

○波積人材開発統括官付人材開発政策担当参事官  はい、ご承認をお願い致します。

○今野浩一郎名誉教授 承認ですね。実質的な内容は変更ありませんので御承認いただければと思います。よろしくお願いいたします。

                                   ( 異議なし)

○今野浩一郎名誉教授 早速、議事に入りたいと思います。お手元の議事次第を見ていただいて、最初は、「平成30年度ハロートレーニング(公的職業訓練)に係る概算要求について」、報告をお願いいたします。よろしくお願いします。

○山口人材開発統括官付訓練企画室長 訓練企画室長の山口です。資料1を見ていただきたいと思います。平成30年度概算要求についてということで、まず訓練規模の欄を見ていただくと、公共職業訓練の訓練規模が33.0万人ということで、括弧内が平成29年度の予算額になっていますが、昨年と比べまして若干の増となっています。増加した部分ですが、その下の欄、離職者訓練の中の委託訓練が14.2万人ということで、昨年度に比べて1万人の増となっています。これは後ほど御説明しますけれども、1年から2年の長期訓練を実施していくということで、そこの部分が増えているところです。そのほか、全体としては訓練の実績を見まして、最近、定員充足率等の低下ということもありますので、それを見て全体としては少し減らしていますが、その増やした分が大きいので差引きで若干の増という形になっています。

 要求額のほうを見ていただくと、来年度要求の金額が1,258億円ということで、昨年度の960億円に比べてかなり増加しています。これは先ほど申し上げた2年の長期訓練ということで、1つには期間が長いのと、単価が、通常、116万円のところを、最大12万円までと単価も高いこと。単価が高いのと期間が長いことを合わせて金額的には大きく増えているところです。在職者訓練につきましては、これを増やしていくという方針のもとで、昨年度の12.9万人から13.2万人という形で増となっています。学卒者訓練については横置きとしています。障害者訓練につきましては、人数について訓練規模は横置きということですが、要求額は若干の増となっています。これも後ほど説明いたしますが、精神障害者に対する職業訓練の支援の強化ということを踏まえ、金額的に若干の増となっているところです。

1枚めくっていただいて裏面ですが、求職者支援訓練については実績見合いで見直しをしていて、訓練規模については若干の減、予算規模については1人当たり単価が実績で増えていることを踏まえ、若干の増となっています。全体としては二重線の下の欄にありますが、人数的には21.5万人ということで計上しているところです。

 以下の資料で、個別の予算事業について若干御説明いたします。資料1-3で非正規雇用労働者等への長期高度人材育成コースの推進ですが、要求額としてはかなりの増となっています。これは四角囲みの所にありますように、委託訓練において、これまで能力開発機会に恵まれなかった非正規雇用労働者等を対象として、国家資格の取得等を目指す長期の訓練コースを拡充し、高い可能性で正社員就職に導くことができる充実した訓練を実施するということです。左側の現行制度にありますように、現行は主に3か月から6か月といった短い訓練を行い、早期の再就職を目指すというコンセプトですが、これを拡充するということで、特に先ほど申し上げたような非正規労働者の若者を中心に、少し長い訓練をしてしっかり資格を取ってもらう。そして安定した仕事に就いてもらう。そういう道もあっていいのではないかということです。こうしたコースを拡充していこうということで、下にコース例がありますが、現在、介護福祉士ないしは保育士ということで若干の実施を既にしているところですが、応用情報技術者といったIT関係の資格、あるいは社会福祉士といった福祉関係の資格、こういったものも取れるようにしていこうということで拡充を図っているところです。

 次に資料1-4を御覧ください。第4次産業革命による技術革新に対応した基礎的ITリテラシー習得のための職業訓練の実施です。これは未来投資戦略の中でうたわれていますが、これから第4次産業革命が進行していく中でIT人材の確保が重要である。そうしたときに、いわゆるトップ人材だけでなく、広くITを活用できる人材がユーザー企業も含めて必要になってくるのではないかということで、そうした方を養成するための訓練を実施していくということで新規に要求しているものです。真ん中の欄が在職者に対する訓練、一番下の欄が離職者に対する訓練です。まず真ん中の在職者訓練ですが、これは在職者に対する訓練ということですから比較的短い期間、2日、3日、4日といった短い期間で学べるような基礎的ITリテラシー習得のためのコースを開発し、民間教育訓練機関等を活用して実施するというものです。平成30年度計画数で4,000人を計画しています。一番下ですが、離職者に対する訓練ということで、これは少し長目の訓練ということになりますが、離職している方がこれから就職するに当たって、社会人が標準的に装備しておくべき基礎的ITリテラシーを学ぶコースを作っていこうということで、平成30年度は1696人を計画しているところです。

 資料1-5になりますが、地域レベルのコンソーシアムによる開発等訓練コースです。これは上の囲みありますとおり、各地域のニーズを踏まえ、都道府県が主体となって関係団体と連携し、より就職可能性を高めるための地域の創意工夫を生かした委託訓練コースを開発して訓練を実施するというものです。左側にコンソーシアムのイメージがありますが、ここにありますとおり都道府県が主体となり、関係団体、労働局、ポリテク、企業、業界団体、民間教育訓練機関等、こうした所がコンソーシアムを組んで、地域のニーズについて議論して必要な訓練コースを開発する。そうした場合に、右側の二重囲みの所にコース概要とありますが、ここの欄にあるようなカリキュラムの構成、きめ細かな就職支援、既存の訓練がない分野もやっていこうということで、こうしたことをやった場合に、委託訓練の単価の上限を9万円とする。通常、6万円のところを少し割増しして設定が可能なコースを作っていこうということです。ただし、※にありますとおり、受講者数や就職率をきちんと把握し、それをフォローアップすることでPDCAサイクルをきちんと回していくことを要件としていく。それを要件に少し高い単価を設けるということです。

 資料1-6ですが、子育て中の女性のためのリカレント教育の充実です。これは要求額の所を見ていただければ分かりますけれども、ほぼ横置きということで、これまで実施してきている女性向けのリカレント教育の実施、短時間訓練コースの実施、託児サービスの実施といったことを引き続き推進していくというものです。

 最後になりますが、資料1-7、職業能力開発校(一般校)における精神障害者受入モデル事業です。趣旨・目的の所にありますように、特に最近、精神障害者の増加が就職支援に当たって重要になってきています。知的、身体については一定程度、この期間で進捗があるところですが、これから精神障害者に対する支援を強化していかなければいけない。そういった中で、現在、障害者職業能力開発校が全国に19校しかないということですので、むしろ47都道府県に設置されている一般校のほうで、精神障害者の方も受け入れられるような体制を作っていくことが大事だろうということです。事業内容の所にありますとおり、真ん中の所ですが、一般校でこうしたモデル事業をやっていく。実際に2か月の導入訓練+4か月の職業訓練、職業訓練コーチによる支援、就職支援員による支援、精神保健福祉士によるサポート、こうしたことを盛り込んだモデル事業を全国11か所で実施するということで予算要求を行っているところです。説明については以上です。

○今野浩一郎名誉教授 ありがとうございました。それでは、何か御質問、御意見がございましたら、どうぞ。

○関口正雄常任理事総務委員長(全国専修学校各種学校総連合会) 非正規雇用労働者への長期高度人材育成コースの推進というのは1年、2年のところまでが対象ということで、私どもの専門学校のほうは2年が主力ですから大いにこの辺は対応させていただきたい、有り難いと思っています。ちなみに、雇用保険を財源とする専門実践教育訓練について、データはちょっと古いですが、27年の受給者2,752人中、1,396人は看護師、准看護師ということで、看護に代表されるような厚生労働省の医療系の資格については3年の課程が大半ということです。この1年、2年というのを経て、将来的にまた3年の課程まで拡大していただける可能性があるかどうか。この時点では分からないかもしれませんが、そうなると余計、私のほうとしては張り切って対応をさせていただけるということで、ちょっとお聞きしたいのですが。

○今野浩一郎名誉教授 どうですか。

○山口人材開発統括官付訓練企画室長 まず、この長期人材コースの設定に当たっては、専修学校、各種学校様に非常に大きな期待をしているところで、協力を頂いていましてありがとうございます。1年から2年の長期訓練ということで、ここにもありますように、これまでの3か月から6か月というところから、かなり拡充をして、1年、2年の訓練を受けている期間は基本的に公共職業訓練で離職者訓練ですから無料ですし、訓練期間中は基本手当、失業手当が延長給付されるということで、かなり手厚い制度になっているかなと思います。

 一方で、失業給付のほうの給付期間も、1年、2年もらえる人というのは相当長い間働いていないともらえないということ。2年もある方はいないですが、それとのバランスを考えても今回は大幅に拡充したかなと思っています。3年となると、そこら辺のバランスも考えないといけないのかなと思います。いずれにしても、今はまだ始まったばかりですので、まずはこの1年、2年という形で始めたいというところで考えているところです。

○今野浩一郎名誉教授 ほかに、いかがでしょうか。

○森信介専務理事・総務委員長(一般社団法人全国産業人能力開発団体連合会) 資料1-5で御説明いただきました、委託訓練における「地域レベルのコンソーシアムによる開発等訓練コース」の創設につきまして、意見を述べさせていただきます。この中身は業界団体・企業のニーズを踏まえ、民間教育訓練機関等と共同開発ということと、単価の上限を引き上げていただいたことにつきまして、私ども実施機関としては大いに歓迎したいと思います。ありがとうございました。会員に周知徹底いたしまして積極的に応募を呼び掛けるとともに、就職率の基準達成に尽力していきたいと思います。

 私どもで会員の方のアンケートを取りますと、必ず単価の引上げの要望といったものが多い中で、今回は、このように民間の様々な創意工夫を引き出すという試みであって、かつ、単価も引き上げていただけるということで、是非、就職率基準達成に尽力するように徹底してまいりたいと思います。以上です。

○今野浩一郎名誉教授 ありがとうございます。今のは決意表明ですね。ほかに、いかがでしょうか。

○代理出席小山商工労働観光部雇用政策監(京都府) 京都府でございます。1点、確認です。今の資料1-5にございました委託訓練で、就職率を公表という形になっていますが、この就職率というのは、いわゆる常用雇用の就職率を指すのか正規だけのを指すのか、これはどのような解釈になっているのでしょうか。

○山口人材開発統括官付訓練企画室長 現在のところ、まだ要求ベースですので、これから細かいところを財政当局とも詰めていかないといけないと思っていますが、基本的には雇用保険の適用就職率というイメージを持っています。

○今野浩一郎名誉教授 よろしいですか。ほかに、いかがでしょうか。私のほうから1点、いいですか。先ほどの資料1-3で分からない言葉があったので教えてほしいと思ったのですが、コース例で応用情報技術者というのは何だろうと思ったのです。これは何ですか。シスコ技術者認定はシスコシステムズがやっているものですね。

○山口人材開発統括官付訓練企画室長 はい、そうです。

○今野浩一郎名誉教授 応用情報技術者というのは。

○山口人材開発統括官付訓練企画室長 経産省の方がいる前であれですけれども、経産省が主導してやっているIT関係の資格がございまして、その中で応用情報処理技術者というのがございます。その中の資格の1つというか類型です。

○今野浩一郎名誉教授 中身の説明はなしですね。

○山口人材開発統括官付訓練企画室長 応用情報処理技術者もいろいろ類型がございまして、基礎的な部分が1階部分です。その上に2階部分でそれぞれの分野ごとになっています。その中で対象となるものを選んでやっていくというイメージです。

○今野浩一郎名誉教授 これを取ると一定の資格が取れると。

○山口人材開発統括官付訓練企画室長 そうです。そういうような資格がもらえるということです。

○今野浩一郎名誉教授 ほかに、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、次の議題に入りたいと思います。次は、「平成30年度全国職業訓練実施計画の策定方針について」です。まず説明からお願いします。

○山口人材開発統括官付訓練企画室長 資料2を御覧ください。平成30年度の全国職業訓練実施計画の策定に当たっての方針でして、左側が平成29年度の計画、右側が今回の議論のためのたたき台です。1の公共職業訓練(離職者訓練)ですが、対象者数・就職率目標については、施設内訓練については25,000人ということで、これは実績を踏まえて、昨年度と比べて若干の減としております。一方、委託訓練については138,942人ということで、昨年に比べて増ということですが、これは先ほど説明をいたしました長期高度人材育成コースが大幅に増えていくということで、全体として増となっております。就職率の目標については、施設内訓練80%、委託訓練75%ということで、同様です。

 訓練内容については、左側が現行ですが、地域のニーズを踏まえた訓練ないしはものづくり分野においての実施といったことが記載されています。こうした内容に加えまして、IT系以外の職業への就職を希望する者を対象とした、これからの社会人が標準的に装備しておくべき基礎的なITリテラシーを習得する訓練コースを実施する、こうしたことを記載してはどうかと考えております。

 裏面にいきまして、効果的な訓練実施ための取組です。産業界や地域の人材ニーズの把握、あるいはハローワークとの連携強化の下、キャリア・コンサルティングの実施、こうした現行の内容を踏まえた、同左ということで、同様の記載をしていきたいと思っております。

2の公共職業訓練(在職者訓練)ですが、人数については、先ほど御説明を申し上げましたように少し増やしていくということで、62,000人ということで記載をしてはどうかと考えております。訓練内容については同様です。

3の公共職業訓練(学卒者訓練)ですが、これは基本的に横置きということで、対象者数、訓練内容、実施のための取組について、同様の記載をしていきたいと考えております。

4の公共訓練(障害者訓練)については、対象者数は横置きですが、裏面にまいりまして、訓練内容として、先ほど御説明いたしました一般校における精神障害者の受入れ支援ということで、モデル事業について記載をしたいと考えております。

5の求職者支援訓練についてですが、訓練規模・就職率の目標については、実績を踏まえて38,900人ということで、若干の減としております。訓練認定規模については、定員充足率の実績を踏まえまして設定をしております。裏面にまいりまして、実践コースの重点分野、新規参入上限等については、昨年同様の記載を考えております。以上が資料2です。

 資料3以降、参考データが付いておりますが、皆さん御案内だと思いますので、ごくかい摘まんで関係箇所だけ御説明させていただきます。資料36ページを見てください。資料36ページは、公共職業訓練(離職者訓練)の都道府県別の就職率の実績を見たものです。上の枠囲みにありますとおり、就職率は施設内訓練で86.8%、委託訓練で74.6%ということで、平成27年度実績と比べますと、平成27年度は施設内訓練が85.7%、委託訓練が75.0%でしたので、施設内訓練については若干の増、委託訓練については若干の減になっております。

 目標については、平成29年度は、先ほど申し上げたように施設内が80%、委託訓練が75%という目標ですので、委託訓練についてはまだ74.6%ということですから、これを75%に向けて引き上げていくということで、県によって結構ばらつきもありますので、県と協力しながら委託訓練の就職率の増加に努めてまいりたいと考えております。

 資3-8を見てください。これは同じく離職者訓練の平成28年度分野別実績です。分野で見ますと、左側の欄にありますように、こうした分野が並んでおりますが、最もメインである合計の委託の欄を見ていただきますと、介護系が83.8%ということで、介護系の就職率が最も高くなっており、次いで事務系ということで、73.8%となっております。介護系は就職率がとても高いのですが、各現場に聞きますと、人がなかなか集まらないということで、求職者ニーズと求人ニーズのミスマッチが少し生じているところがあるのかと思っており、こうしたところは、ハローワークでの就職支援などの場できちんと助言・指導してまいりたいと考えております。

 資3-20を見てください。資3-20は求職者支援訓練についてですが、先ほど御覧いただいた公共職業訓練(離職者訓練)と同様の傾向があるわけですが、介護福祉分野は、雇用保険適用就職率が高いということでして、こうした求職ニーズと求人ニーズのマッチングが課題です。

 資3-21は、求職者支援訓練の分野別年齢階層別の受講者数を見たものです。これを見ていただきますと、IT分野は比較的若い人が多く、一方で介護分野は高齢者層が少し多い傾向が見られるということです。網掛けで少し黒めになっている所が、多い所でして、これを見ていただきますと、年齢階層別の受講状況がある程度分かるということです。

 資3-22は、求職者支援訓練のコース別・男女の受講者比率です。これを見ていただくと、受講生の7割近くが女性ということで、実践コースを見ますと男性は少し多いという傾向です。分野別を見ますと、IT関係で男性が多く、それ以外の分野は女性が多くなっております。

 資料4は現行の職業訓練実施計画ですので、割愛をいたしまして、資料5が地域職業訓練実施計画の一覧表、これも割愛いたしまして、資料6を見てください。資料6は、平成28年度地域訓練協議会で出された主な意見をまとめたものです。1.「制度周知について」ですが、キャッチフレーズもできたのだから、一目でわかるようなものを作ってほしい、あるいは、女性の無業者等に対して知ってもらう努力が必要だ、職業訓練について、情報を届けていくためには、コンビニ等での周知を行っていくことも大事ではないかといった御意見がありました。

2.「地域の特性を踏まえた訓練設定について」は、基礎コースから実践コースへ連続受講で率を上げるという考え方もあるのではないか、定員充足率が低下しているということであるが、必要な方も一定程度いると思うので、人手不足分野等も考慮のうえ、少なくとも現状規模の訓練設定をお願いしたい、求職者支援訓練においても、男性向け訓練も設定すべきではないかといった御意見がありました。

3.「人材不足分野について」ですが、介護分野のニーズは拡大している、基礎コースから実践コースへステップアップできる制度の改善は良い、看護師が人手不足で、実際に資格を持っている方の就職を後押しするような支援策が必要だ、製造、運輸、建設業界は人手不足分野、中小企業で、入職後にビジネスマナーやコミュニケーションの向上教育等を行うのは厳しい状況にあるといった御意見でした。

 裏面は、4.「受講者属性等を踏まえた訓練設定について」です。女性について、特にスキルアップを図る訓練が必要であり、そのメニューの充実を望む。また、正規雇用の望む非正規労働者のスキルアップを図る訓練も充実が必要。若者について、ビジネスマナー関係や基礎学力を補足する内容をカリキュラムに取り入れたほうが良い。

5.「訓練実施機関について」は、受講者の減少は、訓練カリキュラムの内容も要因としてあるのではないか、真に時代にマッチしたものなのかという検証も必要ではないか、女性が受講しやすい環境整備が必要であるといった御意見がありました。

6.「総論的意見について」です。景気改善基調時は職業訓練は縮少傾向にあるけれども、こういったときこそ在職者の能力を高める訓練を強化すべきである。50歳、60歳になっても学び直しは必要である。そのような訓練についてのノウハウを関係機関でも高めてほしい。そういった御意見がありました。詳細についてはその次にそれぞれまとめておりますので、お時間のあるときに見ていただければと思います。

 最後、参考資料3を御紹介させていただきます。参考資料3は、「労働市場分析レポート」として今年630日に公表したものでして、結構、各方面からお問い合わせもありました。これは公的職業訓練の受講者の再就職の状況を、雇用保険データを使い分析したもので、公共職業訓練を受けた方と受けていない方とを比べた場合に、いつ頃再就職しているか、どういった分野に再就職している傾向があるか、どのぐらい定着しているか、そういったことを調査・分析したものです。

 簡単に御紹介させていただきます。参3-2ですが、図1は受講者がいつ再就職をしたかの分布を見たものです。これは0日が訓練修了日ですので、訓練が始まる前に就職をされている方も一部いらっしゃるわけですが、訓練を修了した日から1か月以内に就職した方が一番多くて、そこから下がっていくという分布になっております。

 下に「非受講者」の図があり、これは訓練を受けていない方の分布ということで、これは0日が受給資格決定日となっておりますので、受給資格決定前に就職されている方もいますが、受給資格決定後1か月から60日で就職されている方が一番多いという分布になっています。

 参3-3の図2は、再就職時に他の産業にどのぐらい移動しているかを見たものです。訓練受講者は86.5%が他の産業へ移動している、非受講者は64.5%が移動しているということで、産業が変わった者の割合は訓練受講者のほうが高いということです。これは他の産業に移動したい方が訓練を受けているということも考えられるので、厳密な因果関係の分析はまだできていないのですが、全体としてそうした傾向があるというデータです。

 図3も非正規から正規にどのぐらい転換しているかを見たものでして、これを見ていただくと、受講者のほうが正規へ転換している者が割合として一定程度高いと。これも同じように因果関係が明らかではないわけですが、そういった傾向があるということです。

 参3-4の図4は、正社員へ再就職した方がどのぐらい被保険者で居続けたか、つまり安定した仕事にそのまま勤め続けたかを見たものです。これを見ると、受講者のほうが若干、平均通算被保険者期間が長い、つまり勤めている期間が長いというところが見て取れるかと思います。

 こうした分析を雇用保険データを使ってやっていくことを、今、正に始めたところです。雇用保険データを使うと、これは受けた方と受けていない方を比べているのですが、受けた方の中で、例えば分野別にどうかとか、地域でどうかとか、分析がかなり可能となってくるかと思っており、今度1月に開催される訓練協議会においては、少しそうした分析結果も含めて、皆様に御議論いただければと思っております。今日の段階では、準備が間に合わずにここまでの御紹介ということで御容赦いただきたいと思いますが、今、そういう形でデータの分析に取り組んでいるということです。説明は以上です。

○今野浩一郎名誉教授 ありがとうございました。それでは、御質問、御意見をお願いします。

○関口正雄常任理事・総務委員長 今、最後におっしゃられた、データのこれからの詳細な分析に関わる点で2点あります。1つは、今後の就職率目標に関してです。資料3-3で、公共職業訓練のように施設内訓練の86.8%、これは80%の目標に対して86.8%とか、委託訓練は74.6%とか、ほぼ煮詰まってきている。そこで、確か前回申し上げたかもしれませんが、これが目標として適正かどうかに関してです。残りの就職していない人たちはどういう状況か。そこが就職していないことについて、明確な、然も有りなんという理由がはっきりしているのであれば、これ以上に目標値を上げることはなかなか難しいことの逆証明にもなると思うのです。ですから、目標設定に関わる話として、非就職者のデータも意味があるのではないかと思いますがいかがでしょうかというのが1点です。

 資料3-21は、かねがねこういう分析のお願いをしていたところで、今回はこういう分野別の年齢階層の分析をしていただいて、大変良かったのではないかと思います。しかし、さらに新たな目標の視点として、就職率だけではなくて、その後の定着率やキャリア状況も、年齢や分野の異なりを踏まえつつ、今後の目標設定の視野に入ってくるこの点も是非ご検討をいただけたらというのがもう1点、以上2点です。

○山口人材開発統括官付訓練企画室長 1点目の就職率の目標についてですが、委託訓練については、実は労働政策審議会でも御議論を頂きまして、今年度、70%から75%に引き上げたところです。引き上げた途端に下がってしまったのですが、これは結構、雇用情勢などにもかなり影響される部分があり、何パーセントにするかは非常に難しいところがあるわけです。そういう設定に当たっても、個別のデータをきちんと分析して、それを反映させていくことが必要であろうかと思っています。

 ただ、雇用保険データを使って分析を行う場合に、基本的には雇用保険データですので、雇用保険で就職した方のデータが取れるのですが、今、御指摘がありました就職していない方の所がどれぐらい取れるかは、実は難しいところもあるかと思っています。いずれにしても雇用保険データの中で把握できる所もあるかと思いますので、そうしたところもしっかり分析をして、目標設定にも反映させていきたいと思います。

2点目の年齢階層も含めての定着率ですが、定着率を見ていくのは非常に大事だと思っており、現在、言ってみれば就職率一本やりである程度アウトカムを判断しているところがあるかと思いますが、やはりその後の定着がどのぐらいしていくかも非常に大事ですので、そこはこれからしっかり見ていかなければいけないと思っています。

○今野浩一郎名誉教授 定着率のほうは、雇用保険データで取れるのですね。

○山口人材開発統括官付訓練企画室長 そうです。雇用保険の被保険者でずっと居続けていたかどうかで、全くイコール定着率ではありませんが、ある程度の傾向は分かると思っています。

○今野浩一郎名誉教授 一般論で言うと、今の目標としている就職率は、企業で言うKPIというものですが。目標を就職率という量的指標で設定すると、目標水準を上げれば上げるほど、上げるための資源が大きくなる、要するに上げることが大変になってくるので、それよりか今度はクオリティーのKPIを入れることが必要になる。例えば就職率は75%でいいとして、あとは、定着率みたいなクオリティーを示すKPIを増やしていくのも、1つですよね。一つのアイディアですが。量的指標でみるとこれ以上は上げることが難しいというところは出てくるのではないかと思いますが。ほかにいかがですか。

○堀有喜衣主任研究員(労働政策研究・研修機構) 今、関口さんから御質問のありましたこのレポートは、大変興味深いもので、是非、次回、一層詳細な分析を見せていただければと思っております。今回の集計対象者については、参3-4で、前職の資格取得が20094月以降、かつ離職日が20101月以降の者という形で設定をされているのですが、例えばこの期間を景気の状況に合わせて分類していただくとか、何か属性の分析も重要だと思うのですが、いつ雇用保険受給者になれたかというあたりも非常に重要かと思いますので、是非、分析の御検討を頂ければと思います。

○今野浩一郎名誉教授 という要望です。

○山口人材開発統括官付訓練企画室長 分かりました。

○今野浩一郎名誉教授 ほかにいかがでしょうか。

○森信介専務理事・総務委員長 資料6の、各協議会で出された主な意見で指摘された所と重なるのですが、2の「定員充足率が低下している」の受講生の確保についてですが、私どもの会員の中でも意見が上がっていまして、求職者支援訓練については、受講希望者が分散する余り、結果、開講が中止になる場合もあるということで、応募した求職者を考慮して少数でも開講できる工夫、例えば最低保障制度、基礎経費の負担を設定していただく工夫をしていただきたいという声が上がっておりますのが1点です。

 もう1点は、ハローワークとの連携強化を是非もう少し図っていただけると有り難いということです。この資料の中にも、具体的な事例として資料6-3の訓練実施機関の声の中の一番下段に記載がありますが、「いかにハローワークと一緒に訓練制度について周知、公表していくことができるのか検討が必要である」という意見や、あるいは資料6-8の訓練実施機関の声として、「介護職員初任者研修の訓練を実施したが、ハローワークの担当者の力の大きさを改めて実感しました。定員がなかなか充足しない中、必死に動いていただき、多くの受講生を集めてくれました。仕事を求めてハローワークに来所する方に対して訓練への誘導を強化してお力をお貸しいただきたいと思います」という声も出ているとおりです。

 私どもで、例えば説明会に一緒に出るとか、そのような形でハローワークと一緒になって受講生を集める工夫を行われている所と、取組が若干普通の所という所があるようですので、是非、成功事例の共有とともに、そういった工夫をしていただけると、より受講生確保につながるのではないかと考えております。以上です。

○今野浩一郎名誉教授 何かありますか。

○山口人材開発統括官付訓練企画室長 今、全国的な傾向といたしまして、就職状況、雇用情勢が非常にいい中で、訓練受講生の確保に困難、苦労しているという現状については、承知をしており、もちろん、そういった中でハローワークとの連携強化も必要ですし、先ほど申し上げた求職者ニーズと求人ニーズのミスマッチを解消していくという意味でも、ハローワークの果たす役割は非常に強いわけですので、そうしたハローワークの機能の強化も必要だと思います。

 もう1点、御紹介をしそびれたのですが、参考資料4が付いております。参考資料4にありますとおり、これはハロートレーニングのワンストップ情報提供サービスということです。現状を見ていただくと、これは都道府県の公共職業訓練機構、ポリテクが行っている訓練、民間教育訓練機関が行っている求職者支援訓練と、ハローワークに行きますと、こういうのがそれぞればらばらに貼ってあるみたいな形になっているのですが、これは一括して情報検索して見られるようにしたほうが、利便性が高まるだろうということで、右側のほうにしていきたいということです。

 具体的には裏面を見ていただくと、こういう感じで検索がワンストップでできるようにしていきたいということです。そのためには、例えば県に訓練情報を入力してもらったりとか、そういった感じでデータベースみたいなものを蓄積して、それをワンストップで公表する。今、こういう仕組みをやろうとしており、これが今年の秋、11月ぐらいからできればと思っているのですが、こうした仕組みで、訓練がいつ始まって、どういう分野の訓練が何人ぐらいどこでやるのだというのが、すぐ分かるようになると、もう少しアクセスもよくなるかと思っており、こうしたところも含めて訓練の周知も行っていきたいと思っております。

○代理出席小山商工労働観光部雇用政策監 今、ワンストップのサービスの提供という形で、こういう媒体を通じて求職するのに分かりやすくという形で非常に有り難いと思っておりますが、特に訓練をする種目、時期とかは、京都の場合ですと、府立の専門校の施設内訓練とか、委託訓練、それと、ポリテクセンターの関係があります。実は私どもの所は、事前にポリテクセンターと協議させていただいて、訓練の種目や時期がうまく連動できるような形で組ませていただいていて、そうすることによって、今まではいろいろな形でダブってやっていて、非常に非効率だったところがあったのですが、お互いがより良くしていこうという工夫をする中で、一歩前進の取組ができるのかと思っています。

 全国的にそういう取組をされている所もあると思いますが、都道府県も今はいろいろな形で厳しい状況に置かれていますので、是非、国の指導によって、そういう取組をもう一歩やりましょうという形でお声掛けをしていただくと、非常にまた取り組みやすいのではないかと思っております。今後、都道府県と国との関係で協定等も結ばせていただく形で一本化されますので、その中にポリテクセンターを連名に入れていただく形でやらせていただければ、非常に有り難いと思っております。実は京都の場合は、そのような形で今、進めたいと考えております。以上でございます。

○山口人材開発統括官付訓練企画室長 京都府は、もともと公共訓練と求職者支援訓練の計画を一体的につくるということを最近始めたのですが、それを先進的に非常に取り組まれた所だと承知しております。そういう意味では、正に今おっしゃられたように、全国でも先進的な取組をされていると思っておりまして、そういった取組をダブりがないように連携してやっていくというのは非常に大事だと思っています。好事例もありますので、そういったところもきちんと周知をしながら連携が取れるように進めていくことが大事かと思っております。

○今野浩一郎名誉教授 いずれにしても、今、説明していただいた参考資料4というのは、そういう方向でいきましょうということですね。

○山口人材開発統括官付訓練企画室長 そうです。

○今野浩一郎名誉教授 ほかにいかがでしょうか。私から質問です。資料21ページ目で公共職業訓練(離職者訓練)があって、対象者数がありますが、少し人数が減っています。25,500人から25,000人に、500人が減っていて、その括弧内を見ると、デュアルシステムで500人減らしているのですよね。そういう理解でいいですか。デュアルシステムが3,000人から2,500人で、500人減っていて、全体が500人減っているので、ここで想定しているのはデュアルシステムで500人減らすということですか。

○山口人材開発統括官付訓練企画室長 そういうことになります。

○今野浩一郎名誉教授 そういうことですね。

○山口人材開発統括官付訓練企画室長 はい。

○今野浩一郎名誉教授 デュアルシステムというのはすごくいいと思いますが、ここで減らすというのは難しいのですか、どうですか。

○山口人材開発統括官付訓練企画室長 ここは短期課程のデュアルシステムというので、学卒者に対するものですが、実は学卒者訓練自体の就職率が大変高く、95%ぐらいになっていますので、デュアルシステム訓練は就職率が高まる効果があるということなのですが、既に一般の学卒が非常に高いので、そちらでも十分就職ができることもあり、応募が、実際に企業に行って研修しながらというのが、まだ重荷に感じるような学卒者の方もいらっしゃるようです。

○今野浩一郎名誉教授 なるほど。

○山口人材開発統括官付訓練企画室長 必ずしも集まりはよくないです。

○今野浩一郎名誉教授 そういうことですか。

○山口人材開発統括官付訓練企画室長 ええ。ですから、そこのところは、今はもちろん景気が非常にこういう状況ですし、人手不足が非常に強いので、学卒者でも十分、普通にいっても就職できるという状況があるという前提ではあるのですが、そういう状況が、今、実際問題として定員充足率が低いものですから、少しそこのところを実績見合いで減少させているというところです。

○今野浩一郎名誉教授 分かりました。ほかにいかがですか。全体的に左側から質問があったのですが、右側から質問がないのですけれども、いかがでしょうか。

○遠藤和夫労働政策本部副本部長(一般社団法人日本経済団体連合会) 幾つか御指摘があったこととかぶるような形ですが、まずはお尋ねをさせていただきます。公的訓練を経る人と、公的訓練を経ない人を対象にした場合、ハローワークの関わり方というのは、差異があるのかどうかを教えてください。求職者支援制度以外の公的訓練ということでお願いします。

○松原職業安定局総務課訓練受講者支援室長 公共訓練ということですね。

○遠藤和夫労働政策本部副本部長 はい。

○松原職業安定局総務課訓練受講者支援室長 ハローワークで公共訓練を受ける方が、どういった流れで訓練受講に結び付くかについて御説明させていただきます。

 まず、ハローワークにお越しになった求職者の方がいらっしゃるのは相談の窓口になります。基本的には相談の窓口でお話を聞きながら、訓練に興味がある方、あるいは、ハローワークの職員が、この方が就職するために訓練が有効と思われる方に、それをある程度、御本人とも相談しながら判断して、普通にそのまま就職に行かれる方は職業紹介をさせていただきます。この方には訓練が適切ではないかと判断した場合は、訓練部門に御案内をして、訓練の説明をしたり、御本人の了解のもと、その後受講あっせんをさせていただく形になります。ですから、相談を通して見極めて、訓練に送り込むというパターンがあります。もちろん御本人が、既に御自身で訓練についての情報を収集されて、ハローワークにお越しの時点で、訓練に興味があると受付にいらした方については、始めから訓練部門に行っていただくという流れもあります。大体そのようなことです。

○遠藤和夫労働政策本部副本部長 受講後はどうなるのですか。

○松原職業安定局総務課訓練受講者支援室長 公共訓練の受講後については、一応、訓練受講期間中も就職支援をさせていただきます。求職者支援訓練のような形に義務付けには今の時点ではなっておりませんが、通知を7月に出しまして、訓練実施機関と連携して、訓練が修了する1か月前ぐらいをめどに、必ずハローワークに送り出しするようにということでお願いしておりますので、そのスキームに乗って、公共訓練の受講者について、ハローワークのほうに来ていただいて、就職支援をさせていただく。それを強化しているところです。

○遠藤和夫労働政策本部副本部長 ありがとうございます。まず訓練前の状況からハローワークの関わり方で言えば、どのタイミングで受講を指示していくのかということがポイントかと思います。これは繰り返し申し上げていて、悩ましいところではあるのですが、一定程度求職活動をした段階でのタイミングというのも私はありうると思っています。ただ、これはモラルハザードの関係があるので、どこまでのルールにするのかという一定の縛りがあっても仕方がないと思っています。

2点目ですが、受講後の対応については、御存じのように、求職者支援制度は担当者制が原則になっていますので、公共訓練についても希望者で対応している部分はあろうかと思うのですが、一定程度前向きに対応していくことも必要であると思います。そのようなことが実現すれば、先ほどあったように、なぜ受講したのに、その人は就職できなかったのかというデータが、ハローワークを通して実地でデータが入ってくることになり、今後の分析には役立っていくのではないかと思い、発言させていただきました。

○今野浩一郎名誉教授 何か追加でありますか。

○松原職業安定局総務課訓練受講者支援室長 最初の前段でおっしゃっていただいた、就職活動を一定程度経てから訓練に行く方という方も、一定程度実際にいらっしゃいます。ですので、誘導の基準というのはある程度緩やかですけれども、ハローワークなどで決めている場合は、就職活動をしたけれども、なかなか面接で採用にならないような方というのは、労働市場において、やはり知識・技能が足りない部分があるので、その結果を踏まえて、「訓練はどうですか」というように、御本人が訓練はまだ念頭にもなかった方でもアシストするというような支援をある程度しております。それは当然あり得る選択肢かと思っております。

 公共訓練の実施機関と連携して綿密に就職支援をしていくというのは、以前から緩やかには決まっておりましたが、今回、ある程度それを強化したというところもありますので、それも検証しつつ、ある程度公共のほうで就職率を上げていく支援はしていきたいと思います。ありがとうございます。

○遠藤和夫労働政策本部副本部長 関連で、取り分け障害者の場合ですが、委託訓練の受皿となり得る民間企業の開拓というのは、関係者の方がこれまでも引き続き御努力されていると聞いております。委託訓練については、やはり企業側が、年間を通してどのタイミングであれば受け入れることができるのかというところが、最大のポイントだと理解しております。企業側が年間のどのタイミングであれば対応できるか、前年度の状況である程度情報はつかめると思いますので、その辺のタイミングをつかみながら、委託訓練の柔軟な実施時期を模索していただければと思います。

 こちらのテーマではないのですが、例えば、学校段階における障害を持っている方々の職場実習についても、企業側は時期さえ合えば対応したいという声は、結構聞こえてきます。これについては、引率される先生方の御事情、それから、学校内のプログラムとの兼ね合い等々あると聞いておりますが、企業側の実情を踏まえて対応いただければ、職場実習についても可能性が広がっていくことは、十分想定できるかと思っております。

○今野浩一郎名誉教授 ありがとうございます。今の点についていかがでしょうか。

○山口人材開発統括官付訓練企画室長 すみません。

○今野浩一郎名誉教授 遠藤さんの部分ですか。

○山口人材開発統括官付訓練企画室長 ええ。先ほど、デュアルシステムのところで学卒者を対象と申し上げましたが、対象者が違っておりまして、今回は離職者に対するデュアルシステムのところを減らしています。そこの理由については同様ですが、離職者の方が余り希望されないことが多いので、充足しないのは一緒なのですが、対象者が誤っていたので訂正させていただきます。すみません。

○今野浩一郎名誉教授 ということは、結局、離職者の人が、デュアルシステムをやっているよりは就職してしまうという人が多いということですね。

○山口人材開発統括官付訓練企画室長 そうですね。企業実習があるというのを少し重荷に感じられる方がいらっしゃるから集まらないということです。

○今野浩一郎名誉教授 残念なのですけれども。ほかにありますか。小林さん、どうぞ。

○小林信労働・人材政策本部長(全国中小企業団体中央会) 資料1の関連ですが、平成30年度概算要求で、公共職業訓練、障害者訓練、それから求職者支援訓練、これらの数字については平成30年度の概算要求をしていますし、来年についてはとやかく言うつもりはないですが、思い出してみると、求職者支援事業については、第3のセーフティネットという形で、失業等給付を受けられない方々が受ける訓練としてスタートし、それもリーマン・ショック当時、かなり大変な状況で雇用情勢が厳しいときに、この制度ができたと記憶しております。

 今、景気がいいのか分かりませんが、就職の状況では、企業側にとってみれば人手不足の状況ですが、社会では離職者もいます。それも失業等給付の離職者、それから、仕事を離れて期間があって失業等給付を受けていない方々で、求職者支援制度を利用したいという方もいらっしゃると思います。失業者の状況等、できた当初とかなり違います。求職者支援事業の対象人数は減ってきていますが、景気の状況、それから失業者数の状況等を把握した上で、現状のこの状況でいいのかどうなのかを、もう一度考え直す時期がきていると感じています。

 確かに第3のセーフティネットとしての求職者支援事業の必要はあると思いますが、今、充足率はかなり低いです。なおかつ、失業等給付を受けている方が求職者支援の訓練を受けられる形になっていることから参考資料4の最後の、ハローワークに行って、いろいろな公共職業訓練、委託訓練、それと求職者支援の訓練を見た上で、実質上は、失業等給付を受けている方々も受けられる仕組みになってしまっていますこれがいいのかどうなのかということを含めた上で、もう一度しっかり考え直すときにきているのかと感じています。

 公共職業訓練の在り方、障害者訓練の在り方、求職者支援制度の在り方を、もう一度根本的に見直す必要があるのかと思っております。相互に乗り入れていますし、その上で何を言いたいかというと、公共職業訓練の高障機構をはじめ、都道府県の訓練校はいろいろありますが、かなり施設が老朽化していたり、訓練範囲も狭まっていますし、時代に合っているのかどうかも含めて、もう一度、どこで見直すのか分かりませんが、御検討いただきたいという意見です。

○今野浩一郎名誉教授 司会者としては協議会マターではないと思ってお聞きしていたのですが、でも、大変重要な御意見ですので、何かコメントがあれば。協議会マターから外れますが、何か御意見があれば。

○小林信労働・人材政策本部長 意見なのですが、是非ともコメントを言っていただければと思います。

○今野浩一郎名誉教授 何かありますか、反応しますか。

○松原職業安定局総務課訓練受講者支援室長 求職者支援制度について、確かに、当初できたときは、リーマン・ショック後に非常に失業者が多いときに、第2のセーフティネットというような形でかなりの規模で実施しておりました。当初、基金訓練という形で始まったものを法制度として恒久化して、今の求職者支援制度になっています。今、雇用情勢が非常によろしいですので、求職者支援制度としては、ある程度、人数的には非常に下がっております。一番ピーク時は10万人ぐらい受講者がおりましたが、今は3万人台ですので、3分の1ぐらいになっているのが実態としてあります。ただ、我々としては、今の時期に求職者支援訓練は、ある意味でそれなりの、不況期とは別の役割があると思っております。セーフティネットということだったので、法制度として恒久化をしたかなと思っています。

 では、今の役割がどういうところかというと、それは先ほど来出てきている、若い方たちで、スキルの低い方、今の好況期であっても正社員就職になかなか結び付かない方が、現にハローワークにお見えになっていますので、そういった方たちを、今の時期だからこそ正規雇用にもっていくために、ワンクッション、求職者支援訓練を受けていただく。そういった方、そういった意義、その部分と、あるいは、ブランクのある主婦の方をもう一度正社員として労働市場に戻す、実態としては7割ぐらい女性が受けていらっしゃって、年齢層としても子育て世代が多いですので、そういった方たちのリカレント教育的な意味も求職者支援制度が担っているかと思っています。やはり景気の状況によって、役割の幅というのはかなり変わるかと思いますが、今の時期についてもコア的な部分での役割を担っているかと思っております。この枠組みがせっかく法律として成り立っていますので、そこの部分を維持しつつ、来るべき、また、世の中の景気が変わったときにも、きちんと機能するような制度として守っていきたいと担当としては思っております。

○小林審議官(職業安定担当) 景気が変わってきているので、小林さんから言われたように、メリハリがあるようにやっていかないといけないと思います。それはまず申し上げた上で、今は非常に人手不足の状況になっていまして、基本的に今までは、先ほどから出ていたお話のように、訓練コースがあって、それをどう充足させて、訓練を受けた人の就職率をどう上げるかという運営の仕方で来たと思います。今、非常に人手不足の分野が一部の分野で顕著になっていって、そういうところをいかに充足させていくかということを考えたときに、訓練というルートを通じて充足を図っていくという視点が1つ今後の方向として重要になってきているのではなかろうかと。

 そうだとすると、不足分野で、これから育成していかないといけない分野がどういう分野なのかをきちんと見極めた上で、コース設定していかないといけないということで、ますますコース設定の意味というのが、その分野でも重要になってきているのだろうということです。先ほど京都のお話にもありましたが、関係機関とよく相談し合いながら、ハローワークを交えて、不足分野のコース設定というのをきちんとやっていくということ。

 もう1つは、そこにうまく受講者を送り込んでいって、それがその不足分野の求人を埋めていくというところに、うまくつながるようにもっていかないといけないと思いますので、受講者をいかにして確保していくか。

 先ほど、職業相談の過程でというお話を申し上げましたが、そういう今までのやり方だけではなくて、もっと潜在ニーズを掘り起こしていくということも必要になってくるのかと。そういう意味で、先ほどのポータルサイトを作るという話があったのですが、まず、そのようなことをしながら、うまく受講生を確保し、訓練を受講してもらい、そして、不足分野を充実していく。そこの流れを今まで以上によくしていくということが、これだけ人手不足になってきていますので、求められてきているのかと思います。

○今野浩一郎名誉教授 よろしいですか。小林さんの問題提起というのは、もっと広いのですが、公共訓練もどうにか考え直すということも含めてですので。制度設計の話なので。

○小林信労働・人材政策本部長 そうですね。この場の話ではないのかもしれませんが。

○今野浩一郎名誉教授 それをわきまえて発言してください。

○小林信労働・人材政策本部長 今、求人という情報でいえば、離職者が少ない状況にあるのですが、この時こそ高障機構をはじめ、公共職業訓練の関連施設がいろいろな体制整備をするチャンスだと私は思います。これからまた景気が悪くなる可能性もあります。オリンピックの後はガタンと落ちるとよく言われていますがそのときになって、失業者が多く出てきて、訓練を受けたいというときに、正に公共職業訓練機関が、実力を発揮できないような状況になっては困ります。そういう意味を込めて、公共職業訓練のいろいろな機関、それから委託訓練施設も含めて、しっかり対応できるような、今は暇とは言いませんが、今、正にその体力があるうちにしっかりした体制を整備していただきたいということで、考え直していただきたいというお願いをした次第です。以上です。

○今野浩一郎名誉教授 ほかに御意見はありますでしょうか。それでは、いろいろ御意見を頂きましたので、その意見を踏まえて、事務局は来年度の全国職業訓練実施計画について、更なる検討作業をしていただきたいと思います。今日の用意された議題はここまでですが、何か全体を通じて言っておきたいことや、質問があれば、お願いしたいと思います。よろしいでしょうか。

 では、終了となりますが、次回の開催は、来年1月頃を予定しております。また、具体的な日程については、事務局から連絡させていただきます。

 本日の中央訓練協議会は終了させていただきます。ありがとうございました。

 


(了)

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