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2022年6月3日 社会保障審議会障害者部会(第131回)議事録

社会・援護局障害保健福祉部

○日時

令和4年6月3日(金)14:00~16:30

○場所

ベルサール飯田橋駅前
東京都千代田区飯田橋3-8-5 住友不動産飯田橋駅前ビル1階

○出席者

菊池馨実部会長、阿部一彦委員、阿由葉寛委員、安藤信哉委員、石野富志三郎委員、井上博委員、江澤和彦委員、岡田久実子委員、沖倉智美委員、菊本圭一委員、久保厚子委員、小﨑慶介委員、齋藤訓子委員、酒井大介委員、櫻木章司委員、白江浩委員、新保美香委員、陶山えつ子委員、竹下義樹委員、飛松好子委員、中里道子委員、永松悟委員、丹羽彩文委員、野澤和弘委員、飯山参考人、大塚参考人、山本参考人

○議事

○菊池部会長 定刻になりましたので、ただいまから第131回「社会保障審議会障害者部会」を開会いたします。
委員の皆様には、大変御多忙のところを御参加いただきまして、ありがとうございます。
議事に入ります前に、毎回のことではございますが、本日の会議につきまして、こちらの会場とオンラインで開催をいたします。事務局においては、資料説明はできる限り分かりやすく要点を押さえた説明となるようにしてください。
各委員からの発言について、お願いがあります。最初に私が発言を希望される方を募りますので、会場の方は挙手をお願いいたします。オンラインの方はZoomの「手を挙げる」機能を使用してください。私の指名により、発言を開始してください。より多くの委員の御発言の機会を確保するため、できるだけ簡潔に御発言いただきますようお願いします。御発言の際は、まず、お名前を名乗っていただき、可能な限りゆっくり分かりやすくお話しください。また、会場の方は、できるだけマイクに近寄ってお話しください。発言後は必ずマイクのスイッチをオフにしてくださいますようお願いいたします。円滑な会議運営に御協力をお願いいたします。
それでは、事務局より、委員の出席状況、資料の確認をお願いいたします。
○矢田貝企画課長 企画課長、矢田貝です。
委員の状況について、御報告させていただきます。
本日の出席状況ですが、藤井委員、吉川委員より、御都合により欠席との御連絡をいただいております。
また、黒岩委員の代理として山本参考人、小阪委員の代理として飯山参考人、小林委員の代理として大塚参考人に御出席いただいております。
続きまして、事務局の職員の出席につきまして、議題1の議論に関しまして、関係部局である職業安定局障害者雇用対策課長の小野寺が出席しております。
本日の資料でございますが、議事次第、資料、参考資料1が参考資料、参考資料2が地域で安心して暮らせる保健医療福祉体制の実現に向けた検討会の報告書案、参考資料3が今後の障害者雇用施策の充実強化についての意見書でございます。以上となります。
もし会場にお越しの方でこれらの資料の不足などがございましたら、事務局にお申しつけいただければと思います。
また、カメラ撮りはここまでにさせていただきます。大丈夫かと思いますので、ここまでとさせていただきます。
以上です。
○菊池部会長 それでは、議事に入ります。議題1の資料、これまで皆様には多数回にわたりましてお集まりいただき、様々な議論を重ねてまいりましたが、本日、報告書案ということで出されております。
それでは、資料につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○矢田貝企画課長 企画課長、矢田貝です。
お手元の資料「障害者総合支援法改正法施行後3年の見直しについて~社会保障審議会障害者部会報告書~(案)」について、御説明させていただきます。
ただいま部会長からもございましたとおり、これまでの議論を踏まえ、報告書の案を、部会長とも相談の上、事務局において作成したものでございます。これまで議論の整理で2回御議論させていただきまして、そこでの方向性から、御意見を踏まえまして、さらに修正を加えているところに下線を引いてございますので、最初に私から前回の議論から変わった主なところについて御説明させていただきます。また、前回も御説明いたしましたとおり、精神障害等に対する支援についても、今回、検討会での報告書案をベースに盛り込まれておりますので、そちらは詳しめに林から御説明させていただき、今日も御議論をいただければと考えてございます。
それでは、報告書案、まず「I はじめに」についてでございます。こちらは、昨年12月の中間整理のところから書き加えたところについて下線を付しております。その中間整理以降の議論の経過について、2ページには書いてございます。
3ページ、以上のような審議経過を経て、ここに障害者総合支援法など3年をめどとする見直しの議論を本部会として取りまとめる、政府には、本報告書に基づく今後の対応として、関係法令等の改正や次期報酬改定等について検討を進め、可能な限り早期に実現するよう取り組んでいくことを求める、なお、今回の3年見直しの後、今後の障害者部会における議論に当たっては、障害福祉施策に関する各論点のみならず、制度や障害福祉サービス等の在り方そのものに関する中長期的な議論をいかに進めていくべきかが課題であると記載してございます。部会の中での骨太でもう少し大きな視点での議論が必要であるという御意見を踏まえまして、この「I はじめに」に、政府に対して実行を求めることと今後もさらにそうした議論が必要であることを書かせていただいております。
4ページ、「II 基本的な考え方」についてでございます。こちらにつきましては、まず、前文部分について、意思決定の支援に配慮しながら支援の充実を図っていくこと、また、当事者目線のところの書きぶりにつきましても、前回の御意見を踏まえまして修正をしてございます。さらに、本年8月に国連・障害者権利委員会による対日審査が予定されており、今後も、こうした国際的な動き、障害者基本法など関連する国内法の上に対応する見直しが求められていることも追記してございます。4ページ、どの地域においても、あるいは、一番下で、個々の障害者の支援の必要性に即することを基本としたという形で、前回いただいた御意見を含めて追記してございます。
5ページも、障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法につきまして、ここの「II 基本的な考え方」と各論のところにも1つ節を設けまして追記をしているところでございます。
7ページにつきましても、前回の御意見を踏まえまして追記させていただいているところがございます。
以降、各論につきましても、前回の御意見いただきまして追記をさせていただいているところに下線を引いてございます。例えば、11ページ、居住支援について、グループホームにおける重度障害者向けの個人単位の居宅介護の利用については、複数の委員から恒久化すべきとの御意見もありましたので、そのことをきちんと書くようにしてございます。
また、飛びますけれども、例えば、34ページ、就労のところで、まさに職場での支援の在り方につきまして、重度障害者の就労の促進を図るため、職場や通勤などにおける支援を必要とする方の利用がさらに広がるよう、特別支援事業での支援が広がるようということを書き加えてございます。
主なところだけ御説明いたしますと、例えば、75ページ、76ページで、高齢の障害者に対する支援、特に介護保険との関係のところについては、地方自治体における具体的な運用事例なども含めて現場の実態を踏まえた対応をすることが必要であるということを、ほかにも多々書いてございますが、そうしたことも書き加えているところでございます。
最後、86ページからの医療と福祉の連携につきまして、こちらは第3ラウンドから議論を始めたということもございまして、前回も多々意見が出ましたので、その出ました意見について書き加えるとともに、そうした意見も踏まえて引き続き検討していくというまとめ方にしているところでございます。報告書の精神以外の部分は、そのように前回出ました意見につきまして下線部で追記してございますけれども、できますれば、本日、さらにこの報告書案についてここはこうすべきであるということがありましたら、できるだけ具体的に御発言いただけると、次回に向けて我々もそれをいかに反映させるかということで検討できるかと思います。そうした御意見がある場合には、そうしたことを明確に御発言いただけるとありがたいと思っております。よろしくお願いいたします。
それでは、精神のパートについて、林から御説明いたします。
○林精神・障害保健課長 精神・障害保険課長でございます。
35ページ、「4.精神障害者等に対する支援について」の説明をさせていただきます。地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会を開催しておりまして、前回5月30日にお示しした報告書案を基に作成したものをここに掲載をさせていただいております。5月30日にも御意見をいただきまして、その反映についてはまだここには間に合っておりませんので、そうしたことも含めて最終的な文書を詰めていく段階にあるところでございます。時間も限りがございますので、主要な事項に絞って御説明させていただきます。まず、4-1、基本的な考え方についてでございます。1つ目に、精神疾患の現状として、精神疾患は誰もが経験し得る身近な疾患となっていることについて記載をしております。2つ目、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築について、これまでの取組を掲げております。
3つ目に、患者の権利擁護に関する経緯につきましては、精神保健福祉法の制定や改定の経緯、併せて、障害者権利条約に基づく初回の対日審査の予定等について記載しております。4つ目には地域の精神科医療機関の役割について、5つ目に医療機関や福祉サービス事業者等の優れた実践的な取組の普及定着を図っていく観点が重要であるといったことを記載しております。
こうしたことを受けて、37ページでございますが、令和3年10月から検討会が設置され、報告書が取りまとめられたという経緯を記載する形としております。
38ページ、4-2から4-8まで個別のテーマがございます。4-2は、精神保健に関する市町村等における相談支援体制についてでございます。現状・課題でございます。福祉分野の相談支援を市町村が担っておりますけれども、市町村が様々な分野において相談を担っていく中で、こういった相談や困り事の背景に精神保健の課題があり、そうした対応がなされている状況にございます。精神保健に関する相談支援はこれまで都道府県と保健所設置市を中心に行ってまいりましたが、全ての市町村で実施される体制が整うことを目指して、具体的な取組を行っていくという内容となっております。具体的な取組といたしましては、(2)のマル1でございますけれども、精神保健福祉法に関することで幾つか挙げられております。精神保健に関する相談支援について対象を精神障害者に加えて精神保健に関する課題を抱える者に拡大をしていくこと、2つ目として国及び都道府県の責務として市町村による相談支援体制の整備が行われるように援助を行っていくこと、3つ目に地方公共団体が設置し関係者により構成される協議会を活用して精神保健に関する課題を抱える者を含めた地域の支援の在り方について協議を進めることなどが言われております。
39ページの下、2つ目の丸でございますけれども、このほか、下位法令の改正によって市町村が実施する精神保健に関する相談支援を明確に位置づけることも記載されております。
このほか、関連して、市町村のバックアップ体制の充実、普及啓発の充実についても、議論があった事項をまとめてございます。
42ページから、主に精神科の入院に関するものでございます。4-3から4-8まで続きます。4-3として、精神科病院に入院する患者への訪問相談についてでございます。真ん中辺り、今後の取組の基本的な考え方でございます。2つ目の丸で、精神疾患により、本人の意思によらず入院が必要とされる場合がございます。こうした非自発的入院による患者さんは、閉鎖処遇に置かれていて、外部との面会交流が難しい。こういった中で患者御本人の孤独感や自尊心の低下があるといったことを御指摘いただいております。したがって、市町村長同意による医療保護入院者の方々へ、精神科病院の理解の下、精神科病院に入院する患者さんを訪問し、相談に応じることで、医療機関外の方との面会交流を確保するといった考え方でございます。
具体的な内容でございますが、続いて、43ページにわたります。支援の実施主体は都道府県等とすることが考えられること、都道府県等が行う任意の事業として位置づけて全国の都道府県等での事業実施を目指していくということであります。支援者は、都道府県等が、経歴等を踏まえて選任する、また、研修等も行っていくことになります。支援内容でございますけれども、支援者が精神科病院を訪問し、入院患者との面会交流を行うものです。生活に関する一般的な相談に応じ、患者の体験や気持ちを丁寧に聴くとともに、必要な情報提供を行うといったことを想定しております。こうした支援の導入を図るに当たって、支援の対象者は、精神科病院に入院する、市町村長同意による医療保護入院者を中心とするということであります。
さらに、44ページの2つ目の丸として、今後、こうした支援を望む入院患者に支援がより普及するよう、支援実施体制の構築を進めていくべきであるといった議論がなされたところでございます。
45ページから、医療保護入院についてであります。医療保護入院の必要性については、2つ目の丸のところ、できる限り入院治療に頼らない介入を行うことが原則であり、入院治療が必要な場合についてもできる限り本人の意思を尊重して任意入院を行うことが重要とされています。ただ、病気の自覚を持てない場合があり、症状の悪化により判断能力そのものが低下するという特性を持つ精神疾患については、本人が病気を受け止められないこともある中で、入院治療へのアクセスを確保する仕組みが必要という考え方となっております。また、一方で、障害者権利委員会の対日審査の関係で、事前の情報提供を求められている中で、患者の権利を確保するための取組をより一層推進させていくことも重要であります。こうした点も踏まえて、医療保護入院については、誰もが安心して信頼できる入院医療が実現されるように、課題の整理に取り組み、具体的・実効的な方策を検討することが必要であるという考え方で議論がされてまいりました。
46ページ、今後の取組のところでございます。
○丹羽委員 すみません。いいですか。手元に配られている資料とネットに上がっている資料には39ページまでしかないのですけれども、どこだか、今、負えなくなってしまっているので、確認をしていただければと。
○矢田貝企画課長 今、参考資料を御覧になっていますかね。精神保健の検討会の報告書を参考資料2につけておるのですけれども、今御説明しているのは私が説明した同じ資料の中で織り込まれているものです。その検討会は39ページであって、それが報告書に入っているもので御説明させていただいているということになります。失礼いたしました。
○丹羽委員 分かりました。見失ってしまって、すみません。
○林精神・障害保健課長 失礼いたしました。
本体の資料、45ページで、今、医療保護入院のところを御説明させていただいておりました。
46ページから、続けさせていただきたいと思います。今後の取組といたしましては、入院医療を必要最小限にするための予防的取組として、包括的支援マネジメントの推進などについて書き込まれております。
47ページに参りますと、患者の緊急ニーズに対する受診前相談や入院外医療等の充実を図っていくことが重要であるといった検討がなされました。続いて、47ページのマル2でございます。その1つ目の入院期間について、一番下の丸のところ、患者の同意を得ることが困難な状況で入院を開始することを要した場合にも、その後の症状等の変化に応じて対応する必要があることから、医療保護入院中の患者についても、その症状に照らし、本人が同意できる状態になった場合には、速やかに本人の意思を確認し、入院への移行や入院治療以外の精神科医療を行うことが、必要であること。
こうした確認は、入院中に日々行われるものですけれども、制度上もこうした確認が確実に行われることを一定の頻度で担保できるよう、医療保護入院の入院期間を定め、精神科病院においてこの期間ごとに医療保護入院の要件を満たすか否かの確認を行うべきであるということでございます。具体的な期間については、3か月ごと(入院から6か月経過後は6か月)とすることが考えられるとされております。48ページの下のほう、(ii)の退院促進措置の拡充策でございます。平成25年改正で盛り込まれた退院後生活環境相談員の選任などの措置の導入により、その後、様々な連携が推進されております。一番下ですけれども、こうした結果を踏まえ、医療保護入院以外の入院者についても退院促進措置の対象とすべきであること、また、退院支援委員会の対象者を拡大すべきであることが書かれております。
(iii)長期在院者への支援につきましては、一番下、退院促進措置に係る連携先として、地域援助事業者に加え、地域生活支援事業において障害者相談支援事業を実施する市町村を追加すべきであることなどが記載されております。
マル3、より一層の権利擁護策の充実といたしましては、49ページの一番下から50ページにかけて、入院時に告知を行うことになっております。このときに、新たに入院を行う理由についても告知の内容として加えるべきであるといったことが記載されております。マル4、今後の検討課題についてであります。今後、患者の同意が得られない場合の入院医療の在り方などに関し、課題の整理を進め、将来的な見直しについて検討していくことが必要となるとされておりまして、幾つかの観点を挙げております。患者の同意が得られない場合の入院医療の在り方に関する基本的な考え方について、幾つかの点が議論されました。また、患者のニーズに応じた医療の提供でも、精神疾患の特性による様々な場合があり得ることなどが議論されたところでございます。
さらに、51ページ、関係者の負担に関しましては、家族など特定の者に過度の負担を求める仕組みとならないように留意することが必要であるといったことが議論されました。海外の制度との対比につきまして、患者の同意が得られない場合の入院医療の在り方について、こういった対応もしながら総合的な検討を進めることが必要ではないかといった議論がなされたところでございます。
52ページ、医療保護入院の同意者についてであります。現在、医療保護入院は家族等が同意するという要件がございますけれども、この意義といたしましては、医師の判断の合理性や入院医療、入院治療が本人の利益に資するかどうかについて、本人の利益を勘案できる方の視点で判断する点にあると整理されているところでございます。家族以外の方にこの役割を担っていただくことは可能であるかどうかということについて、52ページの下のところにありますように、様々な御意見を踏まえて検討が行われました。
しかし、53ページにもありますけれども、現状では家族や市町村以外の同意者を想定することは現実的に容易ではないということで、家族等同意及び市町村長等同意については、現行の仕組みを維持することになるものと考えられるとまとめられております。
54ページであります。家族等同意の機能でありますけれども、本人と家族が疎遠な場合にはこうした家族同意のそもそもの機能を期待することが困難な場合があることが指摘されております。こうしたことを踏まえて、54ページの今後の取組のところでありますが、長期の音信不通等により家族が同意・不同意の意思表示を拒否する場合、家族がどうしても同意・不同意の判断を下せない場合など、当該家族の意向を確認することができない場合は、市町村長が同意の可否を判断できるようにすべきであるということ。また、患者本人と家族等との間で、DV、虐待等が疑われるケースの場合は、DV、虐待等の関係にある家族に代わり、市町村長が同意の可否を判断できるようにすることについて、実務的な課題の整理を行いながら、検討することが適当であるとされております。
55ページ、精神医療審査会につきましては、今後の取組の2つ目で御紹介させていただきますが、精神保健福祉法において措置入院を行った時点で速やかに精神医療審査会の実施審査を実施できるようにすることが望ましいことなどが議論されました。
また、56ページ、患者の意思に基づいた退院後支援につきまして、これもより一層の推進策の検討が必要であるといったことで、今後の取組の1つ目でありますけれども、引き続き退院後支援の効果等を見極めつつ診療報酬における適切な評価を含めた検討を行う必要があることがまとめられております。
58ページ、不適切な隔離・身体的拘束をゼロとする取組についてであります。隔離・身体的拘束は、精神保健福祉法上、指定医の専門的知見に基づいて、代替方法によることは困難であり、医療・保護を図る上でやむを得ないと判断された場合に、必要最小限の範囲で行われるものでございます。しかしながら、権利擁護に関する取組が必要でございます。不適切な隔離・身体的拘束をゼロとすることを含め、隔離・身体的拘束の最小化に、管理者のリーダーシップの下、組織全体で取り組み、行動制限最小化を組織のスタンダードにしていくことが求められるということが基本的な認識でございます。今後の取組としては、幾つか掲げてございます。隔離・身体的拘束の最小化の取組を総合的に推進すべきであると議論がなされておりまして、マル1で、切迫性・非代替性・一時性の考え方について、処遇基準告示上で要件として明確に規定するべきであること、2つ目として、多動または不穏が顕著である場合という身体的拘束の要件は、さらにこれを定める方向で、多動または不穏が顕著であって、かつ、患者に対する治療が困難であり、そのまま放置すれば患者の生命にまで危険が及ぶおそれが切迫している場合や、常時の臨床的観察を行っても患者の生命にまで危険が及ぶおそれが切迫している場合に限るということで、身体的拘束の対象の明確化を図るべきであるといったことが書かれております。
マル3でございますが、管理者のリーダーシップの下、組織全体で最小化に取り組んでいくこと、マル4として、そのためにも、行動制限最小化委員会の定期的な開催など、組織としてなすべきことについて明確化していくといった内容が掲げられてございます。
61ページから、精神病床における人員配置の充実についてでございます。
精神医療の歴史的経緯を記載した上で、今後の取組について、最後のところを御紹介いたしますが、入院患者に対して、より手厚い人員配置の下で良質な精神科医療を提供できるよう、個々の病院の規模や機能に応じ、医師・看護職員の適正配置や精神保健福祉士、作業療法士、公認心理師等を含む適切な職員配置を実現していくことが求められるといったことが議論されました。
4-8として、虐待の防止に係る取組でございます。現状・課題でございますけれども、こうした虐待は潜在化させてはならず、発生防止に加え、早期発見、再発防止に向けた対応を行っているということでございます。今後の取組でございますけれども、1つ目の丸、虐待を起こさないことを、組織風土、組織のスタンダードとして醸成していくための不断の取組が重要になるということであります。したがって、医療従事者による積極的な取組を行う現場づくりを実現していくことも重要でございます。その上で、虐待防止の潜在化を防ぐ仕組みとして、一番下の丸でございますけれども、医療機関は、障害者虐待防止法に基づく通報義務の対象とされておらず、通報者保護の仕組みが設けられていない。虐待の疑いを発見した精神科医療機関の職員等が、行政機関への通報をちゅうちょし、悪質な虐待行為が潜在化することのないよう、通報義務及び通報者保護の仕組みを設けることについて、制度上の対応を検討するべきであることが議論されております。
64ページに移りまして、具体的な仕組みの在り方については、検討会では、障害者虐待防止法を改正して設ける考え方と精神保健福祉を改正して設ける考え方について議論が行われ、双方を支持する意見があったが、いずれにしても、精神科医療機関における虐待行為の早期発見、再発防止に資する実効的な方策となるよう、制度化に向けた具体的な検討を行うべきであるといった議論がなされたところでございます。
5月30日の分はまだ一部反映できておりませんが、表現ぶり等を整理した上で、今後、精神のほうの検討会で最終的な報告書をまとめ、その内容についても反映した上で、ここに盛り込むための御議論をいただきたい、盛り込んでいただきたいと思っておりますので、今日は、こうした現時点での状況ではございますけれども、御意見を賜ることができましたらと考えております。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
ただいまの議論、議題1に関しましては、まず、同様に、前半と後半の2つに分けて御議論いただきたいと考えております。
まず、前半で、資料の「I はじめに」、「II 基本的な考え方」、「III 各論点について」の「1.障害者の居住支援について」から「4.精神障害者等に対する支援について」、今、林課長から御説明のあった部分ですが、ここまでについて皆様からの御意見と御質問をいただきたいと思います。今日は、今までで最も会場で御参加の委員と参考人が多くなってございまして、私を含めて9名の皆様に御参加いただいております。
○矢田貝企画課長 部会長、すみません。1つだけ、説明漏らしたところがあります。失礼いたしました。
企画課長、矢田貝でございます。
今、「I はじめに」から各論の「4.精神障害者等に対する支援について」、前半の御議論をいただくに当たりまして、参考資料3で労働政策審議会障害者雇用対策分科会の意見書の案を参考資料としてお配りしていますので、簡単に御紹介させていただきます。
こちらの障害者部会でも議論いただいておりますけれども、こちらの労働政策審議会障害者雇用分科会でも福祉との連携という部分も含めて議論が進められておりまして、その意見書案を参考資料として配付しているものでございます。雇用と福祉のさらなる連携の強化、多様な障害者の就労ニーズを踏まえた働き方の推進、障害者雇用の質の向上等を中心に議論が進められております。特に、雇用と福祉のさらなる連携といたしまして、例えば、当部会で議論いただいているアセスメント、就労選択支援を利用した障害者が一般就労を希望してハローワークに来所した際にハローワークでそのアセスメントの結果を参考に職業指導を実施することや、障害者の就労支援に従事する人材に対して福祉と雇用の両方の知識・スキルを横断的に付与する研修を実施するなど、専門人材の育成を強化することなどが具体的な方策で示されておるところでございます。両方の審議会で取りまとめていただく内容に基づきまして、今後とも両分野の連携を図りながら対応を進めていくという考え方でございますので、そちらの意見書についても参考で配らせていただいていることについて先ほど説明を漏らしましたので、追加で説明させていただきます。すみません。失礼いたしました。
○菊池部会長 今の矢田貝課長の御説明に係る参考資料3についても、何か御質問等があればということでよろしいですか。
○矢田貝企画課長 もし御質問があれば、御質問していただいて構いません。もちろん報告書案の御意見をいただくことがメインでございますが、こちらも、御質問等をいただければ、今日は小野寺課長も来ていますので。
○菊池部会長 就労支援との関連なので、この前半部分ということで。
○矢田貝企画課長 さようです。すみません。そこで、割り込みました。失礼いたしました。
○菊池部会長 そういうことでございます。
まず、会場の皆様から、御発言がおありの方はお手を挙げいただければと思いますが、こちらからいかがでしょうか。櫻木委員、竹下委員、丹羽委員、酒井委員、4名の方がいらっしゃいます。
それでは、櫻木委員からお願いします。
○櫻木委員 ありがとうございます。
日本精神科病院協会の櫻木です。
まず、第1点目、基本的な考え方の1.(3)医療の福祉の連携の推進ということが挙げられています。その次の(4)精神障害者の地域生活に向けた包括的な支援にも、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築ということが挙げられていますし、(3)医療と福祉の連携ということに関して言えば、そういった精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの中のかなり重要なパートです。そこでいかに連携を保っていくかということが、この精神障害にも対応した地域包括ケアシステム、いわゆる地域共生社会を目指すという理念の下に行っていくものです。この基本的な考え方のところで、少し記述が薄いかなという気がするのですが、その辺のことを、地域包括ケアシステムあるいは地域共生社会を構築していくんだという理念を含めて、もう少し分厚く表現していただけたらありがたいと考えました。
障害者の居住支援についてでございます。13ページのところにも、住宅セーフティネット法に関する記述があります。現場から我々に、日常の要望というか、現状に対する訴えがあるのですけれども、障害者の方が地域で単身居住をしようとした場合に、例えば、賃貸物件を契約するときに、いわゆる保証人を求められて、そのことが隘路になって、地域移行というか、地域生活を始めるスタートラインでなかなか難しいことがあるということを聞かされます。住宅セーフティネット法の中にもそういった考え方があろうかと思うのですけれども、この仕組みが全国的に普及しているというわけにはいきがたいところがあることと、これは国土交通省と連携して厚生労働省でもやっていただくという中身ですので、なかなかそこのところが進んできていないということがありますので、その辺も含めて少々記述を深めていただければありがたいと思います。
4.精神障害者等に対する支援については、地域で安心して暮らせる精神保健医療福祉体制の実現に向けた検討会には私も構成員としてずっと参加しているわけですけれども、そこでの議論はなかなか難しい議論があります。我々精神科医療を提供する立場からすれば、精神障害ないしは精神疾患の特性として場合によれば非同意的な治療の在り方を選択せざるを得ない場面があって、それについて、例えば、入院形態あるいは隔離・身体的拘束をはじめとする行動制限に関して、議論が白熱したというか、でも、お互いの立場を理解した上で議論が進んでいますし、そういった意味では非常によく練れた報告書に近づいていると思います。構成員として参加していて、自画自賛になってしまいますけれども、そういった意味では、6月9日に最終の答申が出ると思いますけれども、今までになくサービスを受ける当事者の方々と我々精神科医療のサービスを提供する側で本音の議論ができて、そこは深まった議論になったかと思います。これは、意見というより、報告になります。
以上です。ありがとうございました。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
4については、大変厚い記述にしていただいていると思います。
最初の2点に関しては、具体的な修文の求めではありませんけれども、そういった地域共生社会や住まいの部分を少し手厚くということは可能かと思いますが、事務局から何かありますか。
○矢田貝企画課長 御意見を踏まえて、書き足すことを検討させていただきたいと思います。2点目のところについても、何らかの記述を検討させていただければと思います。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それは、竹下委員、お願いします。
○竹下委員 ありがとうございます。
日本視覚障害者団体連合の竹下です。
4点ほど、意見を述べさせていただきます。この報告書全体に対しては、基本的には賛成であり、特に修正や異論を述べるわけではありませんが、留意していただきたい点を4つ述べたいと思います。
まず最初は、就労支援について、各論の3の最後、34ページの部分ですが、就労支援特別事業の普及の問題であります。この文章の書きぶりでは、「事業の利用が進まない背景の検証や利用事例に関する情報収集などを含めて、その実施状況を踏まえながら、特別事業の周知や必要な運用改善を行うことにより」とあるのですが、まさに文章としてはこれでいいと思うのですけれども、大事なことは、実施状況だけではなくて、あるいは、好事例だけをそこに拾うのではなくて、自治体としてそのニーズとのずれがどういう形で生じているのか、あるいは、自治体に申込みがあったけれどもそれが実施に至らないあるいは利用に結びつかなかった事例を拾わないと、問題点が見えてこないということがあると思うのです。そこまで十分に踏まえないと、ここで言うところの必要な運用改善に結びつけることはできないのではないかと思っておりますので、この点を十分留意していただきたいということが1点目であります。
2点目は、同じく各論の4-3、精神科病院への訪問相談の部分であります。これは非常に大きな前進というか、重要な制度が創設されると認識しております。閉鎖病棟における、言わばその改善ということに結びつくでしょうし、入院患者の意思決定の大きな支援にも結びつくと思っております。ただ、この制度は、自治体の理解や自治体の取組が鍵になるという制度内容でありますから、どういう形で自治体が十分にこの制度を正しく理解し相談員を派遣するかというところまで結びつくような自治体への支援を必ず考えた上での制度設計をお願いしたいということが2点目であります。
同じく、各論4-4-1、医療保護入院の見直しについて、48ページ、(2)今後の取組の中で、マル2の3つ目の丸になるかと思います。入院期間について、書きぶりは「管理者は、この期間ごとに医療保護入院の要件を満たすか否かの確認を行うこととするべきである」とあるのですけれども、確認をするということは言葉としては明快なのですが、中身としては非常に曖昧かなと率直に思うわけです。すなわち、どういう確認をして、どういう、要件といいますか、状態を確認してそれを継続するかどうかという判断基準が重要なわけですから、確認するというだけでは、記載上、少し弱いというか、曖昧なように思うのです。この点をさらに確実に期間の更新がされる場合の適性化が図られる仕組みにしていただきたいという思うわけです。
最後に、64ページ、4-8、虐待の防止に関する取組、(2)今後の取組の部分であります。この議論の中で、精神科病院以外の病院における人権擁護あるいは虐待防止のための通報制度については議論が見えてこないわけであります。精神科病院だけに虐待があるということは、僕は逆に偏見があると思うのです。そうではなくて、現実には、例えば、老人病棟といいますか、療養型の病床も含めて、そういう危険性がそこに存在するわけであります。そういう意味では、医療機関全体に対する虐待防止あるいは通報制度についての制度づくりを考えた上で、法律の改正は虐待防止法によるか精神保健福祉法によるかという議論の中で、そのことを踏まえた議論をぜひお願いしたいと思っております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
4点、御意見ということで承らせていただきますが、事務局から何か。
○林精神・障害保健課長 1点、48ページの入院期間のところで、要件を満たすかどうかの確認ということでございますけれども、概念としては、症状が医療保護入院を行うほどに重いものであるかどうかということと、要件のもう一つは同意を行うことができないということでありますので、御本人が同意を行うことができる状況になっていれば医療保護入院の条件を満たさないということが大きくございます。そういった点について確認をいただくという内容ということをお答えさせていただきたいと思います。
○菊池部会長 竹下委員、何かございますか。
○竹下委員 特にございません。
○菊池部会長 よろしいですか。ありがとうございました。
それでは、丹羽委員、お願いします。
○丹羽委員 ありがとうございます。全国地域生活支援ネットワークの丹羽でございます。
前回の整理案から、障害者権利条約の対日審査や障害者基本法のことの記載、地域移行コーディネーターの必置化を求める声があるとの記載、地域移行を担う職員を施設に配置することの記載をしていただきました。
その上で、さらに当ネットワークからは、「I はじめに」の部分の3ページ、2つの丸について、追加の御意見を申し上げます。1つ目の丸の文書の後に続けて、「あわせて、本報告書を踏まえて様々な調査研究事業が行われることが想定されるが、とりわけ今後障害者権利条約との関係でテーマとなる障害者の地域移行、地域生活の推進に関しては、調査研究事業の枠にとどまらず、必要な検討会等を設置した上で、論点整理をすることを求める」と追記していただければと思います。続いて、2つ目の丸で、「なお、今回の障害者総合支援法改正法施行後3年の見直しの後、今後の障害者部会における議論に当たっては、障害福祉施策に関する各論点のみならず、制度や障害福祉サービス等の在り方そのものに関する」の部分を少し修正・追記して、「関して、国連障害者権利委員会による再審査等、国際的な動きを踏まえた」と入れ、「中長期的な議論をいかに進めていくべきか、が課題である」と。この最後の「課題である」の部分を「進めていくことが求められる」としっかりと言い切っていただきたいと思います。
今回も資料の確認から今日までの時間が少し短かったため、当ネットワークで取り上げられた意見は以上です。
また、今回を受けて、6月20日も予備日とされていますことから、6月13日までに各団体がしっかりと精査した上での意見出しをし、この最終報告が取りまとめられるものと考えております。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
今の御指摘につきまして、事務局から。
○矢田貝企画課長 企画課長でございます。
御意見につきまして、そのまま書くかどうかというところは、書き方も含めて事務局で引き取らせていただいて、趣旨は理解できましたので、書き方については事務局で検討させていただければと思います。
また、この資料の案が示されてから今日までの時間が短かったということについてはおわび申し上げなければいけない部分もあるかと思います。
20日は一応予備日ということで考えており、本当に必要であれば20日の開催も部会長と御相談して検討させていただかなければと思っておりますけれども、13日、次回までに、本日も含めて、その後も含めて、なるべく意見を出していただいて、13日にしっかりとそれを踏まえた報告書案を基に議論いただければと考えてございますので、御協力をぜひよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 この修文に関しては、記述の趣旨を生かす形で、私も関わらせていただいて事務局と話をしたいと思っています。
スケジュール的には、まとまるようであれば13日が最終ということで、現時点では予備日は使わないという方向で進めているところでございます。
ありがとうございます。
それでは、酒井委員、お願いします。
○酒井委員 全国就労移行支援事業所連絡協議会の酒井です。
まず、4ページからの「II 基本的な考え方」では、7ページからの就労支援に関するところで、これまでに申し上げました「福祉から一般就労へ」等々のメッセージを盛り込んでいただきまして、ありがとうございます。
各論として、25ページからの就労支援ですけれども、今回の報告書の中で、就労支援では主に就労アセスメントと就業中の福祉サービスの利用が大きな柱であると理解しています。そこには留意すべき点等も記載されておりまして、おおむね網羅されているのではないかと思います。
1点、表現として、就労アセスメントですけれども、「就労選択支援」の新設について、この言葉が使われているところと「新たなサービス」という表現にとどまっているところと混在しているところもありますので、委員の皆さんに特段この表現に関して異論がなければ、例えば、仮称ということで「就労選択支援」という表記で報告書は統一してはどうかと思います。
今回、新たに、33ページ、ネットワークの強化について今回は追記をしていただいております。ここに記載がありますように、現場レベルでさらなる連携が強化されて地域の就労支援の底上げを目指していくことはまだ必要であって、こういう表記はとても大切であると思います。また、体制強化に向けて、財源の確保についても検討をしつつという表現になっております。まさにここは従来の枠組みにとらわれず雇用・福祉施策の連携の中で何ができるのかという視点を持って検討いただければありがたいと思います。
そういう中で、先ほど雇用対策分科会の意見書を御紹介していただきましたけれども、ここにも、雇用・福祉施策に関わる連携の内容が多く含まれておりました。ありがとうございます。特に今回の報告書では就労アセスメントが1つの柱で、この意見書の中にも「アセスメント」という言葉がたくさん使われております。現場レベルで労働行政機関とより連携ができるよう、障害者雇用促進法の見直しの際には、アセスメントに関する条文等、何か工夫することができないか、ぜひ検討いただければありがたいと思います。
35ページからの精神障害者に対する支援についてです。具体的には、42ページの精神科病院に入院する患者への訪問相談についてという内容について、今回、私は初めて文書を読ませていただきまして、その中で、まず、基本的な考え方というところで、この訪問相談については市町村長同意による医療保護入院者を対象とするとなっておりますけれども、長期入院患者、社会的入院患者もこのような閉鎖処分に置かれており、外部との面会や交流が難しくなっているという同じような境遇にあると思います。どうしてこの対象者のみとするのかというところが、この報告書だけでは分からなかった。もちろん議論の経過があるのだと思いますけれども、この文章だけを見ると、どうして限定的なのかなと思いました。
支援の内容というところでも、恐らく地域生活支援事業の任意事業として新たに事業を検討していく方向で考えられているのかなとも思うのですけれども、既に福祉サービスでは一般相談支援事業があって、その中に、地域移行支援、地域定着支援の実績がありますので、そこには精神科病院との連携がもう既に位置づけられていきます。そういう一般相談支援事業の中に権利擁護という機能を付加して、その制度を拡充するという選択肢はないのかなということも思ったりします。
その相談の内容ですけれども、生活の支援ということで考えますと、例えば、金銭の問題、家族関係の問題、外泊や外出の問題等々の相談が占めるのではないかと推測するのですけれども、既存の病院のPSWとの業務のすみ分けを一体どのように考えるべきなのか。この辺りがまだ不透明かとも思います。もちろん検討会の議論の経過もあるでしょうから、私がこれをもってどうこうということではないのですけれども、この報告書の段階で、ほかの部分は1年かけてこうやって議論してきた中で、報告書を取りまとめる段階でぱっと出てくる中で、私自身、具体的な内容もあって、細かい意見ですけれども、ありましたので、もう少しこの場でも丁寧に取り扱っていただければよかったなと思うところです。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
様々な御意見をいただきましたが、26ページの記述について、何かございますか。26ページの「就労選択支援」の記述のところで、今、何かありますか。
○津曲障害福祉課長 事務局でございます。
「新たなサービス」と書かせていただいているところは、まさにその「就労選択支援(仮称)」を指している部分でございますので、そのように修正して分かりやすくするという趣旨かと思いますけれども、支障はないと考えております。
以上でございます。
○菊池部会長 小野寺課長から、何かあれば。
○小野寺職業安定局障害者雇用対策課長 ありがとうございます。障害者雇用対策課長の小野寺でございます。
酒井委員から、今御指摘がありました労働行政との連携について、雇用促進法上の位置づけを明確にというお話がございました。私どもで今日御提示しております参考資料3の意見書の案で申し上げますと、4ページの16行目から18行目にかけまして、「ハローワークは、就労アセスメントの趣旨を活用した新たな障害福祉サービスとして検討されている支援を利用した上で、一般就労を希望する障害者については、その結果も踏まえて支援を行う」という記載となっておりまして、この取りまとめを最終的に確定した場合には、こういった記載に基づいて、法律上に対して必要な規定を置いていくことも検討してまいりたいと思っております。
以上でございます。
○菊池部会長 それでは、林課長、お願いします。
○林精神・障害保健課長 精神科病院に入院する患者への訪問相談について、検討会での議論の状況を御報告させていただきたいと思います。
まず、1点目の対象者について、42ページの対象者の書き方が限定的であるという御指摘は、前回の検討会でもいただきました。実際には、43ページにありますように、マル3の支援内容の下のところですけれども、「医療保護入院者を中心とする」となっております。限定する趣旨ではありませんので、それについては検討会で修文の要請が出ておりますので、今、取扱いを検討中でございます。いずれにいたしましても、今はまだこうした相談の基盤が十分でない中でいきなり最初から全員にということはなかなか難しい状況にはありますけれども、優先順位の高い方から始めていくということで検討会の中では議論がされたところでございます。
相談事業の枠組みでございますけれども、これについてもいろいろ御意見がございました。ここも、既にこうした事業が始まっているような地域もないわけではないのですけれども、実際にこうした事業を始めていくとなると、まだその基盤が整っていない地域が実際には多いといった議論もなされていたところでございます。都道府県の予算事業などとして研修などをしっかりやりながら全国の展開を図っていくことが現時点では一番いいのではないかといった方向でまとめがなされたところでございます。
支援の内容でございますけれども、医療機関と相談のすみ分けといいますか、役割分担についても、かなり時間を割いて議論がなされたところでございます。治療方法などについて、医療機関が、しっかりと、相談といいますか、御本人と話し合うことは当然のこととした上で、この基本的な考え方のところにもありますように、御本人の孤独感、自尊心の低下に対応する内容がこの訪問相談の主体であると。そういった議論の結果として、43ページにありますように、患者の体験や気持ちを丁寧に聴くことと医療機関の外部から必要な情報提供を行うといったことで、どうしても入院をさせている側の医療機関等のコミュニケーションだけでは十分でない部分を補っていただくような趣旨で、こういったまとめになっているところでございます。議論の状況として、そこは随分長い時間を割いて議論したところでございますけれども、そういった議論があったことを御紹介させていただきました。
○菊池部会長 酒井委員、よろしいですか。
○酒井委員 おっしゃっていることは分かりましたけれども、例えば、業務のすみ分けでも、気持ちを受け取ることは相談支援員として当然の話であって、その先にどんなサービスを提供して導いていくのか、そこまでの表記もなく、これが実際に役割分担と言えるのかなという思いもあったので、意見をさせてもらいました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
議論の過程についてもう少し報告を受けたかったというご趣旨もあったと。今後の反省というか、課題として、これは私の責任も関わりますけれども、そこは今後に向けてということになりますが、留意していきたいと思います。そこは事務局とも共有させていただきます。
お待たせしました。オンライン参加の皆様から、お願いいたします。挙手機能をお使いいただければと思います。いかがでしょうか。途中退席の多い方もいらっしゃると聞いておりますが、早い段階がよければ今お手を挙げていただくと幸いですが、よろしいですか。
それでは、久保委員からお願いします。
○久保委員 ありがとうございます。全国手をつなぐ育成会連合会の久保でございます。
全体としまして、これまでに私どもが提出いたしました意見を反映していただいておりまして、感謝を申し上げたいと思います。最終的な意見の取りまとめということでございますので、繰り返しの部分もあるかと思いますけれども、意見として申し上げたいと思います。
4ページの「II 基本的な考え方」の部分でございますけれども、障害者権利条約の対日審査も記述いただきまして、感謝を申し上げます。その上で、本会といたしましては、総合支援法第1条2の基本理念を改正すべきではないかと考えております。その根拠は、権利条約の第19条でございます。その意味で、この部分に「権利条約第19条の考えに基づき」といった一文を追加していただいたらどうかと考えております。
続きまして、11ページの居住支援の部分でございます。グループホームにおける居住介護利用の恒久化を盛り込んでいただきまして、大変ありがとうございました。この問題と併せまして、本会としましては、グループホーム入居者が外出する際の行動援護や同行援護サービスの利用につきましても課題があるという認識をしております。この点につきましても何らかの形で検討していただけるという方向の記述を盛り込んでいただけたらありがたいと思っております。
その次は、23ページの相談支援の部分でございます。協議会の役割につきましては、一義的に障害福祉サービスを中心とした地域支援の開発であると考えておりますけれども、全国どこでも必要な支援を受けられるよう、改めて協議会の役割に障害福祉サービスを中心とした地域資源の開発が重要であることを盛り込んでいただきたいと考えております。
その次、26ページの就労支援の部分でございます。就労選択支援の制度化は基本的に賛成でございます。しかし、前回の障害者部会で、就労定着支援の利用につきましては、慎重な検討をする方向性が示されたように思っております。本会では、特別支援学校を卒業してすぐに就職した人が障害福祉サービスから切り離されてしまう課題は数多く声が寄せられております。現状で進路指導教員が極めてきめ細かな卒業後の支援までは対応できていないことを踏まえまして、ぜひ前向きな検討をお願いしたいと思っております。
就労支援と相談と少し関係があろうかと思いますけれども、就労支援につきましては、企業で働いていて障害福祉サービスを全く使っていない軽度障害者の相談支援体制が不十分ではないかという意見が多く聞かれております。就業・生活支援センターの体制が整っていない地域も多いことを踏まえまして、基幹相談支援センターなどで受け止める体制づくりをお願いしたいと思っております。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
幾つか御意見がございましたが、基本理念の規定を変えるということは、これは家の建てつけ自体をいじるというか、増築する作業になって、これは法律改正にとっては簡単な作業ではないと私は認識しているので、ここは事務局ともじっくり相談ということにさせていただきたいのですが、その他の部分は、どこまでどういった形でということを含めて、事務局で引き取って御検討いただくという形でいいですか。
お願いします。
○津曲障害福祉課長 障害福祉課長でございます。
ただいま、現場の御意見として、様々な課題があるということについて御指摘をいただいたと考えております。確かに、特別支援学校を卒業しまして一般就労に至った方でなかなかうまくいかずに離職をされる方もいらっしゃると聞いております。ただ、そのような方に対してどのような支援を行っていくのか、企業様がどのようなアプローチをされていたのか、それをなかぽつセンターとして十分な相談ができていたのか、非常に重度化をしていて障害福祉サービスによる支援が必要な状況になっていたのか、また、学校におけるその後のフォローとはどういうものだったのか、そのようなまさにその関係機関が連携した上で地域資源を活用して支援をしていくということが恐らく必要なのだと思うのですけれども、そのような場合にどういう対応を取っていくのかということについては、各地域においてもしっかりと話し合っていく必要があると思いますし、一制度による対応というものでもないと考えております。
ただ、そのような問題点、御指摘も踏まえまして、今後、様々な施策などの検討におきまして、そちらの御指摘を頭の片隅に置いて検討してまいりたいと考えております。
○菊池部会長 久保委員、よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、白江委員、お願いします。
○白江委員 ありがとうございます。全国身体障害者施設協議会の白江と申します。
私からは、1点質問と1点要望をお願いしたいと思います。
まず、この障害者部会の報告書につきましては、いろいろと取り入れていただきまして、本当にありがとうございます。異論は全くございません。よろしくお願いしたいと思います。その上で、精神保健医療福祉の検討会に絡んで、先ほど櫻木委員からもかなり踏み込んだ議論があったということですが、まさに読んでいてもその辺は伝わってくるなということで、読ませていただきました。また、竹下委員からの、精神保健医療だけではなくて、医療全体についての虐待といった問題も法改正のときには考えるということについては、全く同感です。その上で、58ページに身体拘束について書かれているのです。質問ですが、我々は、総合支援法、指定基準、虐待防止法では、プロセスや手続、記録が非常に重要視されております。そういった意味で、プロセスについては若干書かれているのですが、記録についてはどういった議論があったのかなというところを、1点、教えていただければと思います。
もう一つ、要望につきましては、雇用分科会の8ページに難病についての記載があるのですけれども、私は、読んでいて、少し違和感というか、少し不十分ではないかという印象を持っております。実際にどの程度当事者から意見のヒアリング等をされたのかなというところに疑問を思っております。要望としては、今後検討を引き続き行っていくということですので、例えば、分科会の委員に当事者の方を含めるとか、もう少し丁寧な聞き取りとか、そういったものも十分にしていただきたいなという要望でございます。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。林課長、何かございますか。
○林精神・障害保健課長 ありがとうございます。
行動制限の記録について、もともと、診療録等に記録がなされる、また、精神保健指定医という特別の資格を持っている方しか判断できないという枠組みが定められている中で既にルール化されているということでありますので、今回はその点について取り立てて議論が行われたというわけではないところでございます。むしろ明確でないあるいは解釈の幅があるようなところに着目させていただいて、そこについてより明確化あるいは厳格化が図れないかという方向での議論が行われたということを御報告させていただきたいと思います。
○菊池部会長 小野寺課長から、何かございますか。
○小野寺職業安定局障害者雇用対策課長 ありがとうございます。
難病に対しての記載ぶりにつきまして御意見をいただきまして、状況を申し上げますと、この意見書の取りまとめに当たりましては、関係団体のヒアリングを行っておりまして、難病団体の方にもおいでいただきまして御意見を頂戴しております。それ以外にも、日常的に意見交換の場などを設定して積極的に対応させていただいております。また、ここで引き続き検討としております前提として、研究会等に対してこれから調査研究を進めるとありますが、この6月に研究会を立ち上げる準備をしておりまして、その研究会の中にも団体から御参画いただいているところでございます。いずれにしても、丁寧にお声に耳を傾けていきたいと思っております。
以上でございます。
○菊池部会長 白江委員、よろしいですか。
○白江委員 ありがとうございました。
○菊池部会長 それでは、陶山委員お願いします。
○陶山委員 日本難病・疾病団体協議会の陶山です。
報告書の内容については、おおむね了解しました。本当に取りまとめは大変だったなと思います。
私としては、意見というよりは今後に期待することということでお話しさせていただきたいのですけれども、障害者自身が主体であるという考え方を前提に、当事者目線を大切にすることや家族の支援を含める支援が重要であることなどが網羅されておりますし、多様な障害特性に配慮しつつも保健医療福祉の連携はもとより、障害児と障害者を一緒に考えるのではなく、属性や年齢に合わせた取組の必要性も随所に報告書の中には書かれております。特に教育の必要性が書かれているところは評価したいと思います。
また、今の難病の患者さんたちの声が届いているのかなという白江委員からのお話でしたけれども、大体こういう土台に上がっただけでも難病の患者さんたちのことも考えていただいているんだと思っております。今までは、この話の中にも入れなかったというところがございますので。今、難病患者さんの抱える課題の中で、最も皆さんの関心が強いところが就労のことなのですね。そういうところの支援体制が見直されておりましたし、新たなサービスの必要性という部分も入ってきておりますので、そういうものも含めて、今まで利用されなかったような難病の患者さんたちに、こういう福祉サービスも利用していいんだよということが分かっていただけるのではないかというところに大いに期待したいと思います。
最後に、7ページの5つ目の丸ですけれども、これは前回もお願いしたところですけれども、「関係省庁が緊密に連携した障害児施策の推進に取り組む必要がある」とこれには明記されております。特に子供のことに関しましては、こども家庭庁の創設後は、より一層の連携を期待したいと思っております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
先ほどの白江委員のところで1つ言い忘れたのですが、先ほどからほかの委員からも御意見があったのですが、虐待は、医療全体、精神だけではないではないかということは、確かにそのとおりだと思うのです。そこはどこの所管になるのかなと思って、こういう意見が複数あったということはそちらにお伝えしたほうがいいのではないかと思ったのですが、どこになりますかね。
○河村障害児・発達障害者支援室長 先生、今の御指摘の点は、虐待の関係でございますか。
地域生活支援室長でございます。
まず、精神の検討会の結果として、先ほど林課長から御説明いただいた64ページがあるかと思います。その上で、障害者の虐待全般で、分かりにくくて恐縮ですけれども、78ページ以降に昨年以来の議論の経過を書かせていただいておりまして、構造としては、80ページの1つ目の丸のところが、学校、保育所、医療機関全般における虐待防止の取組の推進という箇所になってございまして、これらについて、何回のときか忘れてしまいましたが、学校、保育所、医療機関で、この間にそれぞれが取り組んできている虐待の防止措置について御報告させていただいて、この点についてはここに書かせていただきましたとおり、市町村や関係機関との連携を含めてそういった一定の虐待防止に資する取組を進めていく必要があるとされた上で、精神科の医療機関に関しましては、この間、いろいろな事件も含めて御議論があったということで、特に精神の検討会の中で御議論いただいたと私どもとしては理解をしております。
その上で、学校に対して、仮に今の措置をさらに深めようとするとどこが担当になるかということでございますけれども。
○菊池部会長 精神以外の医療機関。
○河村障害児・発達障害者支援室長 学校は文科省ですし、精神以外の医療機関になりますと医療機関全般ということになりますので、この間、御報告いただいたときも、私どもから医政局に対して照会をして取組を聞かせていただくということをしております。いずれにしましても、御議論の結果につきましては、私どもからそれぞれの医政局なり保育課なり文科省に提供させていただくという関係性になるかと思っております。
○菊池部会長 ありがとうございます。
この報告書が周知されることで、そこで明白に誰でも読めるのであれば、それでこれを見てくださいということになりますが、精神以外の部分について必ずしもここでは読み切れないということであれば、そこはこういう議論が部会であったということを医政局にお伝えいただくという形がいいと思うので、それでどこが所管なのですかねということをお聞きしたのです。医政局であれば、その所管にお伝えいただければと思います。
○河村障害児・発達障害者支援室長 分かりました。私どもから医政局等にお伝えいたします。ありがとうございます。
○菊池部会長 すみません。ちょっと時間を要してしまいました。
それでは、阿由葉委員、お願いします。
○阿由葉委員 全国社会就労センター協議会の阿由葉です。お世話になります。
雇用対策分科会の意見書案を、今日、拝見させていただきました。こういった形の意見書で、障害者部会からの意見も聞いていただけると、非常にありがたいと思っております。その上で、大変恐縮なのですが、今日、この内容を確認させていただいて意見を出すということも非常に難しい。気になるところもたくさんあります。例えば、6ページから7ページにかけて、雇用率制度の問題ですけれども、特例的な取扱いのこととか、A型の利用者についての労働時間等に関すること、あるいは、算定方法、0.5カウントといった内容が書かれていますけれども、初めて確認する内容ですので、この場でこれをこうしてほしいということもなかなか言いづらい、分からないところもありますので、確認をさせていただいて、次回、きちんとした意見を出させていただきたいと思っておりますけれども、そういったことは可能でしょうか。確認したいと思います。
○菊池部会長 今日は御報告いただいたという形だと思いますので、分科会に対してこちらの部会の委員が何か意見を出すということはできないと思うのです。あくまで参考にということでお伝えする形にとどまると思います。
○阿由葉委員 それは結構なのですけれども、内容がまだ読み切れていないので、ここはきちんと確認させていただくことが必要なのではないかと思っています。これは、出しただけ、読んでくださいで終わりではないと思っていますので、申し訳ありませんが、そういった機会をつくっていただくなり、お話をする時間を取っていただくなりすれば、大変ありがたいと思います。
○菊池部会長 もちろんそれはこれまでの医療と福祉の連携のときからも議論してきましたので、お聞きいただけると思いますけれども、日程的なものもあると思うので、小野寺課長が何かあれば。
○小野寺職業安定局障害者雇用対策課長 ありがとうございます。いつも大変お世話になっております。
阿由葉委員から、御要望というか、いただきまして、私どもで個別に御説明させていただいたり意見交換をさせていただく機会を設けることは全くやぶさかではございませんが、分科会の議論としては、関係者、4者の中において、ここまで積み上げてきておりまして、その辺りも踏まえますと、御意見として伺うことは可能でございますが、なかなか意見書として何か反映させていただくことは現実的には難しいかと思っております。いずれにしても、別途の機会を設けまして意見交換をさせていただければと思います。
以上でございます。
○阿由葉委員 よろしくお願いします。
○菊池部会長 それでは、また別途調整いただければと思います。
それでは、井上委員、お願いします。
○井上委員 ありがとうございます。日本知的障害者福祉協会の井上でございます。
基本的な考え方や今まで説明いただいた部分は、方向性も内容も賛成です。特に、前回、沖倉委員から発言のあった、意思決定支援を明確に打ち出していただいたことは非常にいい方向性だと思うところです。
もう一点、今日は山本参考人にも参加されていますが、前回も随分と議論されたところだと思いますけれども、神奈川県の障がい福祉に係る将来展望検討委員会報告書を読ませていただき、国と地方自治体が一緒になって本人の意思決定支援や当事者目線の政策を進めていくことが一番大事だと思いますので、そういう点ではいい方向性だと思うところでございます。
私からは、質問を1点です。私が精神障害の方たちとかかわっていたのが40年も前なので、資料を読ませていただいてもよく分からないところはあるのですが、当時、いわゆる社会的入院というのでしょうか、治療が終わったにもかかわらずなかなか地域での受け皿がないために長期の入院にならざるを得ないことが一番問題だと言われたわけですが、今、これだけの年数がたって、実数として、以前で言ういわゆる社会的入院はかなり解消されているのかどうか。そういう実態をどのように把握されているのかというところだけ、お聞かせいただければありがたいと思ったところです。
私からは、以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
事務局からは、いかがでしょうか。今、お答えできますでしょうか。
○林精神・障害保健課長 事務局でございます。
社会的入院というのも定義が難しいところがございまして、一概にお答えすることは難しい状況ではございますけれども、精神科の入院患者数全体としては減少する方向に来ております。今日の参考資料1の40ページに、入院患者数の推移、最近の推移を掲載しておりますけれども、平成14年には34.5万人の入院があったところ、平成29年には30.2万人といったところまで減ってきておりまして、減少の大きな部分を、統合失調症の方あるいは長期入院の方が占めているところではございます。この間、障害者総合支援法によるサービスの充実なども相まって、こうした入院患者の減少が達成できるのではないかとは感じております。他方、地域に基盤があればもっと何かができるのにという御意見も出ておりましたので、今後もそういった観点も含めながらこの場でも御議論いただき、また、今回の見直し等も進めてきているものと理解しております。
○菊池部会長 井上委員、よろしいですか。
○井上委員 ありがとうございました。
○菊池部会長 それでは、岡田委員、お願いします。
○岡田委員 ありがとうございます。全国精神保健福祉会連合会の岡田です。
私からは、2点、お伝えしたいことがございます。
1点目は、障害者の相談支援等について、21ページに、家族の総合支援の重要性の理解ということを書き込んでいただいて、ありがとうございます。前回の発言の背景といたしまして、身体障害、知的障害では、それぞれの法律で障害者相談員という制度が設けられておりまして、全国で、当事者はもちろん、その家族にも行政から委託された相談員としての活動が行われておりますが、精神の分野では障害者相談員といった法律上や制度上の裏づけがないために、行政からの理解が得られにくいという実情があり、この家族のピアサポートとしての相談や支援の重要性の理解ということを申し上げました。このような背景を含めて書いていただけるように御検討いただけたらということが1点です。
2点目は、内容についてではなくて意見としてですが、精神障害等に対する支援についての中の医療保護入院について、私どもは医療保護入院の家族等の同意の削除を求めてまいりましたが、本日の資料に書かれていますように、現状では難しいという判断になっております。既に御承知のこととは思いますが、非自発的な入院制度は精神科特有のものですが、非自発的入院制度には、医療保護入院とは別に、措置入院という2名の精神保健指定医の診察、医療的判断による入院制度がございます。45ページに「諸外国においても」という記述がありますけれども、医療保護入院制度は日本独自のものであって、諸外国の非自発的入院制度は、主に精神科医療関係者や裁判所などの法律関係者による複数名の判断で実施されていて、日本における措置入院制度に近いものだと認識をしております。51ページの最後に書いていただいていますように、そのような諸外国の入院制度の実情を調査研究していただきまして、精神科医療の専門的な知識を持たない家族等という特定の個人に負担を負わせることのない、また、家族等という個人が悪意を持ってすれば本人の意思とは関係なく入院させることができてしまう、人権侵害にもなり得る入院制度、このようなものがなくても、精神科医療につながることができる体制を求めたいということを考えての医療保護入院制度の廃止に向けた検討の必要性ということを、本日、改めまして、意見として申し上げました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
1点目につきましては、事務局で引き取って検討いただくということでよろしいですかね。後半について、何かございますか。御意見として承っておくということで、何かコメント等はございませんか。
林課長、何かありますか。
○林精神・障害保健課長 おっしゃるとおりでございます。
検討会でもかなり時間をかけて議論した部分でございまして、現時点では難しいという記載になっておりますけれども、今後、引き続き、議論、また、研究等が必要である部分であると、私どもとしても認識をしております。
以上です。
○岡田委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 それでは、阿部委員、お願いします。
○阿部委員 日本身体障害者団体連合会の阿部です。
途中退席することもありますので、ほかの部分にも関わったお話になります。
まず、基本的な考え方を含めて、どこで暮らそうと安心した生活を送れるということ、障害者の社会参加活動の意義ということを明確に示していただいて、ありがたいことだと思います。当事者団体としては、セルフヘルプ活動、自助団体活動もすごく大事なことだと思いますし、これも社会参加の中の大事な領域を占めることと思っています。後半部分の10、地域生活支援事業に関わることですけれども、そこで社会参加に関する支援の重要性を加えていただいたことはありがたいことだと思います。ただし、地域生活支援事業における、市町村事業もですけれども、都道府県事業も、社会参加支援はいずれも任意事業でありますので、私の団体は、都道府県、政令市、また、それに関わる市町村に関係する団体でありますので、私たちの団体の活動として、任意事業ですから、裁量的経費であって、地域の違いもあろうかと思いますけれども、お互い、それぞれの地域に関して、これは団体としてですけれども、調査事業を今年度に立ち上げようと、今、進んでいるところです。その上で、今、地方分権を背景にした取組も多いわけですので、各地域で大事なことを発信するということを行っていく必要があるだろうし、それがまた当事者団体の役割ではないかということで、現行、コロナ禍の中で、孤独・独立の防止、健康の維持ということ、ただし、このコロナ禍の中ですけれども、今度はコロナが終息した後についてどのように考えていったらいいか、コロナ禍になる前はどうだったかなどについて、しっかり検討しながら、私たちを構成する団体の地域の役割を確認しながら、また地域で発信していくような事業を行いたいと思います。そのような中で、また関係する方々に御助言いただくことがあろうかと思いますけれども、そのように考えているところです。
なお、今回の検討に関しては、検討内容を報告書で整理していただいて、基本的に本当に大事なまとまりをつくっていただいていると思います。それの活用ということで、私たちは、健康づくり、飛松委員に前回御指摘いただきましたように、健康に生きるということはすごく大事なことだと思いますし、そのためにも社会参加の重要性を強く認識して団体事業として取り組んでまいるところであるということを報告させていただきます。
すみません。途中退席なので、早めにお話しさせていただきました。後半に係ることだと思いますけれども、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございました。阿部委員は途中退席の御予定ということで、先に御発言いただきました。
それでは、永松委員、お願いします。
○永松委員 市長会の永松です。
報告書案を読ませていただきました。いろいろな意見を入れていただいて、市長会としても感謝を申し上げます。
特に精神保健に関する市町村等における相談支援体制ということで、38ページ、市町村は、今、福祉分野だけではなくて精神保健も含めた相談支援体制に取り組んで、「地域包括ケア」や「重層的支援体制整備」という社会福祉法改正の視点を踏まえた実施主体としての責任も増えてきております。ぜひ精神保健に関してはこういう形でやっていただければと。先ほどからお話を伺っておりまして、ありがたいと思います。38ページ、39ページ、40ページと、市町村の職員にとっても、勇気づけらます。責任を持つこと、そして、責任を果たすことで誇りが持てるということにもなります。
1つだけ、来年の4月からこども家庭庁ができますけれども、私はそこら辺が暗いのですけれども、文部科学省の知見、特に、小学校の6年間、中学校、高校、支援学校の6・3・3の12年間で、学校現場で御苦労なさったこととか、成果とか、学校の先生と家庭がどういう状況だったのかとか、そういった記録。また難しい問題もあるかもしれませんけれども、市町村が実施主体となるということは、6・3・3の12年間の後、また地域で暮らしたり、相談に乗ったり、就労支援をしたりということにもずっとつながりますので、文部科学省さんとこども家庭庁さんで、特にハンディがあったり疾患を抱えていたり障害がある子供たちのそういう記録が市町村と常に共有できると。つまり、小学校、中学校、高校のときに、子供さんが中心だと思うのですけれども、家族への支援は市町村もずっと続けていきたいということもありますので、その6・3・3の情報がないと、その後でまた御家庭に入り込むことはなかなか難しいし、相談を受けてその12年間はどんな形だったのだろうかということも大変もったいないので、先生がすごく一生懸命やっていただいた努力が行政にスムーズに伝わるように、こっちもきちんと精神科の先生やそういうチームと一緒に包括ケアに取り組みたいと思います。これはお願いですけれども、文部科学省と、こども家庭庁と、ハンディキャップのある疾患を抱える、もちろん難病の子供さんもいらっしゃると思うのですけれども、これから市町村でそういう連携がうまくいくといいなと思いますので、どうかまた御支援いただきたいと思います。
○菊池部会長 ありがとうございました。
基礎自治体は1つだけれども、中央省庁の新たな分断が生まれないように連携をしっかりというお話でございます。よろしいでしょうか。
部長に御発言いただけますか。よろしいですか。
○田原障害保健福祉部長 障害保健福祉部長の田原でございます。
今御指摘いただいたように、新しい庁もできますので、我々としては、しっかりと連携をして、基礎自治体、市町村、都道府県をしっかりと支援できるようにしてまいりたいと考えております。
○菊池部会長 ありがとうございます。
齋藤委員、野澤委員、菊本委員からお手が挙がっております。前半はここまででよろしいでしょうか。
齋藤委員は、途中退席の御予定ということで、後半も含めて御発言いただいて結構でございます。どうぞ。
○齋藤委員 ありがとうございます。日本看護協会の齋藤でございます。
4時には出なければいけませんので、先に失礼いたします。
各論の8、高齢の障害者に対する支援につきまして、前回申し上げればよかったのですが、これまで、本会では共生型サービスがなかなか広がっていない原因として、報酬が運営に見合っていないということを発言してまいりました。前回資料の「議論の整理(案)」には、「これまでの部会における御意見」として、そのことを記載いただいていたのですが、今回提示いただいた報告書(案)には、その辺りの記述が抜けているのではないかということと、今後の取組のところにも、周知のことがメインに書かれており、なかなか財源の話には言及されていない状況がございます。共生型サービスにつきましては、医療的ケア児が成人期を迎えたときの移行においても非常にマッチするサービスですので、さらに広げていく必要があるのですが、そもそも安定的な事業運営ができる単価になっていないことが問題になっていますので、ぜひその辺りの書き込みをしていただいて、アンダーラインを引いて、※(報告書内において、障害福祉サービス等報酬の改定時において、省令、告示等による対応が想定されるものに記載されるマーク)をつけていただきたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
どうぞ。
○津曲障害福祉課長 障害福祉課長でございます。
共生型サービスの報酬についての御指摘でございますけれども、今までも何度か御指摘をいただいたところでございますが、そもそも共生型サービスの報酬設定に関しましては、単独でサービスを提供するという場合に比べて基準を緩和している面がございます。このため、介護保険制度等と並びを取っている部分はあるのですけれども、報酬設定に関しましては、一定程度、満額とまではいかない形での設定とさせていただいているところでございます。
ただ、このたび、また改めてこの報告書の中にぜひ記載をしていただきたいという御意見をいただきましたので、どのような記述ができるかということについて考えてみたいと思います。
以上でございます。
○菊池部会長 御検討をお願いいたします。
それでは、野澤委員、お願いします。
○野澤委員 野澤です。
すみません。私も、時間的に、見ていて、後半部分は発言できそうにないので、まとめて発言させてもらってよろしいでしょうか。
○菊池部会長 どうぞ。
○野澤委員 まず、前半の部分なのですけれども、前半は発言する予定はなかったのですが、竹下委員をはじめ、何人かの方から、虐待通報のところで、一般の病院はどうなのか、当然含めるべきではないかという意見があり、これは当然だと思います。議論を混乱させてしまった責任は私のほうにあるものですから、改めてこの点だけコメントをさせていただきたいと思います。一般病院も含めて虐待通報の網をかける、これが正論であり筋だと私も思っています。ただ、2011年だったですかね、障害者虐待防止が成立されたときも、全部網をかけようということでやっていたのです。一般病院、学校、保育所、諸官庁とか、なかなか難しくて、政治的・行政的な手続のハードルが高くて、皆さんはすごく苦労していたのですけれども、できなかったのですね。その後も何とか改正してこれを広げていこうやったのですが、ことごとく挫折していることを目の当たりにしてきました。今、またここで一般病院も含めてやるべきだという正論を押し通すと、またぴくりとも動かずに何年も推移していくかもしれないということを感じております。その上で、日本障害者虐待防止学会という私も所属している学会でいろいろ話し合った結果、神戸の神出病院の事件を一つの契機として、精神科病院の中でも、通報者の保護、小さな芽のうちに表に出すとういう仕組みや風土とかをつくっていくべきではないかということで、あえて今回は精神保健福祉法の中でこの表に出す仕組みを盛り込んだらどうだろうかと、そういう提言というか、意見を言わせてもらったのです。そこでちょっと混乱していると思うのですね。
もう一つ、付け加えて言わせていただくと、「通報」という言葉が刑事処罰やペナルティーを想起させる気がいたします。実際、私も自分のやっている法人はありますけれども、もっと小さなうちから表に出すほうが絶対にいいのですよね。それが一つのきっかけになって、みんなで掘り下げて考える契機になりますので、「連絡」や「相談」という言葉に置き換えて精神保健福祉法の中で検討してはどうかという意見を出させてもらったということを、改めて説明させていただきたいと思います。
もう一つ、すみません。後半の部分なのですけれども、今回の総合支援法の見直しで、いろいろな、新しいといいますか、視点で盛り込まれてきて、画期的なものが幾つか、これから反対も含めて議論になりそうなものも含めて盛り込まれていますけれども、私は、その中でも、このサービスの質を確保・向上という辺りが、将来から見ると、今回の2022年度の改正の論議はここが大きな目玉だったと言われるのではないかと思っています。本来であれば、いい支援をしているところをちゃんと評価して、報酬上も高い報酬をつけることが基本だと思います。一般の商品やサービスでは、消費者がそれを選んで市場原理が働いてやっていくのですけれども、この障害者福祉、特に自らのコミュニケーションが難しいあるいはいろいろな意思表明をこちらが酌み取ることが難しいという方の場合に、そういう原理が働かない。報酬改定のたびに評価の仕組みのもっと実情に沿ったものを研究すべきだということを私は繰り返し訴えてきたのですけれども、今回の素案を見ると、いろいろな新しい試みが盛り込まれていて、非常に感慨深いものがあります。行政による評価だけではなくて、事業所自らも評価と情報公開、これまではこのぐらいだったかと思うのですけれども、プロセス評価も含めて事業所間がお互いに協力し合って高めていく仕組みとか、地域連携運営会議とか、いろいろな重層的な評価の仕組みが盛り込まれて、大変評価したいと思います。これをぜひ進めていっていただきたいのですが、そのときに改めてもう一度思い返してみると、とはいえ、原点というか、基本は本人による評価とか、利用者本人による選好が土台にないといけないなと改めて思うのですね。そのときに出てくるものが意思決定支援だと思います。この意思決定支援とサービスの質の確保・向上がもっとリンクしたほうがいいのではないかと私は思います。そこにまた相談支援というものが重なることによって、縦の一貫した評価システムというか、その評価の体系みたいなものがぼんやり見えてきやしないかなと、この報告書を読みながら考えました。
これからは、財源あるいは働き手不足のことも考えると、持続可能な公平・公正なサービスの質を最重視した施策をつくっていかなくてはいけないということを考えたときに、今回がようやく本格的なこの評価の緒に就いたと思いますので、ぜひこれを次の改定に向けて体系化していっていただきたい。できれば、そんなことも少し今後の取組の中で文言として盛り込んでいただけるとありがたいなと思っております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
今後に向けての前向きな御意見ですので、どういう形で取り込めるか、御検討いただければと思います。
それでは、菊本委員、お願いします。
○菊本委員 日本相談支援専門員協会の機構でございます。
本当に今回の取りまとめはお疲れさまでございました。大変な労力だと思っております。ありがとうございます。
私からは、ほかの委員の発言を聞いていて、1点、気がついたところを発言させていただきます。こちらは埼玉県川越市にいるのですが、物すごい雷でして、パソコンに落ちなくてはいいなと冷や冷やしながらしゃべっております。また、今日の出席は4時半までで失礼させていただきます。よろしくお願いします。私の気づいた点ですけれども、23ページ、地域づくり、協議会のくだりでございます。3番目の丸のところですけれども、障害福祉サービスというか、障害福祉の世界において、自立支援協議会はいわゆる地域を調整する機能だと私は思っています。地域調整機能をどうつくっていくかということはすごく重要だと思っています。ですから、自立支援協議会の中で、障害福祉サービスだけではなくて、より幅広の社会資源と申しますか、地域にあるというか、社会資源全てを調整していくことが重要だと思っていますので、開発のみならず今あるものを柔軟に活用するとか、そういった幅広な表現の方法をもう少し加えていただくと、どうしても地域における自立支援協議会が陳情型になる傾向が強いものですから、その点に留意した文言を入れていただければいいかと思います。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
総論の地域共生社会にも通じるようなお話ですので、ここも御検討いただければと思います。お願いいたします。
それでは、前半の議論が一巡いたしましたので、ちょっと時間は押しておりますが、一旦休憩を取らせていただきます。4時再開ということでお願いいたします。
 
(休 憩)
 
○菊池部会長 それでは、再開させていただきます。
後半の「III 各論点について」の「5.障害福祉サービス等の質の確保・向上について」から「13.医療と福祉の連携について」まで、皆様からの御意見等がございましたら、お願いいたします。
本日、16時30分までの予定ですが、少し延びることが予想されます。16時30分退席予定から先に御発言をいただこうかと思ってございます。御了解のほどお願いいたします。まず、会場の退出御予定の方で挙手をお願いできればと思いますが、大塚参考人、石野委員、竹下委員ですね。
まず、大塚参考人からお願いします。
○大塚参考人 どうもありがとうございます。日本発達障害ネットワークの大塚です。
私は、2点について発言させていただきます。
1つは、障害福祉サービスの質の確保ということで、先ほど野澤委員からもお話があったように、非常に障害福祉サービスの質の評価は大切だと私たちも認識しております。そのことで、66ページの1行目、「また、サービスの質の評価に関する仕組みを導入するに当たっては、一律の仕組みとするのではなく、こうした視点やサービスごとの特性を踏まえつつ、」の後に、「多様な主体による自己評価及び外部評価等、それぞれのサービスに適した評価の仕組みを検討する必要がある」ということで、「多様な主体による自己評価及び外部評価」という言葉を文言に入れていただきたいと考えております。その理由は、例えば、平成12年度の障害者・児施設サービス共通評価基準は施設の自己評価でした。平成17年度は、福祉サービスの第三者評価として、障害者福祉サービスのガイドラインができて、これは社協による外部評価、さらに平成27年度には放課後等デイサービスのガイドラインができ、この中で保護者向けという外部評価と事業者向けの自己評価が組み合わされております。また、介護保険においては、認知症サービス、認知症のグループホームにおいて、従来の外部評価だけではなく、運営推進会議を活用するという選択肢ができたと。このように、福祉サービスの評価を考えるときには、誰が評価するか、どのような評価項目を誰がつくるかという主体の問題が非常に大切だと思っています。さらに、今まで見ていただいたように、自己評価あるいは外部評価、あるいは、その組み合わせという形で仕組みをつくっていくということが今後は考えられます。そういう意味で「多様な主体による自己評価及び外部評価」という言葉を入れていただきたい。具体的にこういうことをしていくんだという指針にもなると思うので、よろしくお願いいたします。
もう一つ、78ページの障害者虐待の防止であります。現状・課題、今後の取組ということで、制度上のこととしては大きな話としてここではいいかと思いますけれども、この間の障害者虐待の全国的ないろいろな状況を見ていますと、例えば、神奈川県における事例のように、強度行動障害の方たちは虐待のハイリスクなわけですね。その人たちへの支援が虐待の防止にまさに資するわけですので、強度行動障害に関する支援の確立あるいはそういうことができる職員の養成、そのためには、皆さん、事業者あるいは施設の組織に努力していただく、あるいは、国立施設などについても御協力いただきながら、まさに強度行動障害と虐待との関係をきちんと書いて、ここにきちんと取り組んでいっていただくということを書いたほうがいいのではないかと思っています。これは意見です。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
1点目は具体的な修文の御提案ですね。2点目も盛り込むべき内容についての御提案ですが、これも事務局で検討していただくということでよろしいですか。お願いいたします。
それでは、石野委員、お願いします。
○石野委員 全日本ろうあ連盟の石野です。
3つ、ございます。
まず、1点目、総論の部分で、障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーションの法律について明記していただきまして、ありがとうございます。せんだっての部会で、私は意見書をまた別の資料に加えて提出させていただきました。その附帯決議について、5項目がございます。例えば、情報アクセシビリティ・コミュニケーションについて、相談窓口を設けるあるいは手話言語法の立法化を求めるなどが書かれていました。この法案が成立して、次に附帯決議についてもつけていただきましたので、これも明記していただければと思っております。先日、5月25日、5省庁から自治体あての通知文が出ました。「技術的助言」という文言があります。技術的助言という意味は、国による助言であり、これは義務ではないのですね。ですので、これからさらに、県、市町村等、法に基づいてやっていただきたいと私は思っております。
2つ目なのですが、これに関連しますが、地域生活支援事業で、参考資料1の8ページです。いつだったかの部会で私は申し上げたと思うのですが、障害福祉サービスの予算について、これまで12年間で3倍に増えているにもかかわらず、地域支援事業はさほど伸びていない。12年間、推移が据置き状態であるということですね。この財源の問題、財源確保について明文化していただきたいと思っています。これがないと、障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法についても、何かと問題が起きてくるのではないか。県や市町村での格差をなくすためには、これはぜひとも必要なことであると思っておりますので、大事な課題だと考えております。ぜひここは明文化していただきたいということが2点目です。
最後です。手話通訳者の設置事業について、一昨日、全国手話言語市区長会という会の総会がありまして、私も出席させていただきました。この報告を見ますと、全国の手話通訳者についてそちらに加盟しているのは600を超える市区があるのですが、600を超える市区から集めた情報によりますと、全ての回答があったわけではないのですが、正規職員が16%にとどまっている。手話通訳者を設置していても、会計年度任用職員とかが72%以上で、正規職員よりかなり多いのですね。このままですと、会計年度任用職員という非常に不安定な身分のままです。不安定なままで制度が確立できるのか。これは聴覚障害者に対する制度もサービスも質が落ちていくのではないかと考えます。こういった格差をなくしていくことも課題ではないかと考えています。
以上、3点になります。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございました。
これらの点についても、事務局で検討していただくと。
矢田貝課長。
○矢田貝企画課長 すみません。私が最初の説明のときに省略してしまいましたが、例えば、84ページ、最後に、障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法の施行ということで1つ新たな項目を設けまして、法律の趣旨を踏まえて、今御指摘のありました障害者からの相談対応を含めまして、促進を図っていくということも書かせていただいております。
また、81ページ、地域生活支援事業のところにつきましても、この前の御意見を踏まえまして、81ページ、下から2段落目でございますが、予算の確保ということで、「地方自治体に対し必要な補助が行われるよう、」と新たに追記しまして「引き続き予算の確保に取り組むとともに」という書き方もさせていただいております。また、もともと意思疎通支援事業に従事する担い手の確保のことも、84ページに項目を立ててございます。ここに、本日御発言いただきました御意見を踏まえて、どういう追記ができるかということで、引き取らせていただければと思います。
○菊池部会長 よろしくお願いします。
それでは、竹下委員、お願いします。
○竹下委員 ありがとうございます。日視連の竹下です。
3点についてだけ、意見を述べさせていただきます。
まず、各論8の高齢者の関係なのですけれども、この部分で、今後の取組のところで、具体的事例を示しながら地方自治体による取組が不合理な決定にならないようにするということは、この内容で正しいのですけれども、現在でも、幾つかの厚労省から文書を出していただいても、現実に不適切な事例が数多く見られて、不幸な裁判事例にまでなっていることを考えると、僕は裁判によって解決することは決していいことではないと思っております。そういう意味では、そういう不適切な支給決定等がされた場合に対する是正のための何らかの方策を考えるべきではないかと思っております。それは、自治体と厚生労働省との協議の場になるのか、あるいは、不適切な決定がされた場合の指導の在り方のようなものを少し考えていただく必要があるのではないかと思っております。
次、各論10の地域生活支援事業について、この部分については、この書きぶりでやむを得ないのかなと思うのですけれども、非常に地域の実情とは無関係に支給決定内容や事業内容に地域格差が広がってきていると思うのです。そこをどういう形で是正していくのか。例えば、ここにいろいろとICT化の関係がありますが、各自治体の地域生活支援事業の事業内容をデータとして集約する中で、不合理な格差を把握しながら、地域生活支援事業の自治体における独自性といいながらも、その不合理な地域格差にならないような情報の在り方や自治体の運用に対するガイドライン指針の示し方などを御検討いただきたいと思います。
最後に、13の福祉と医療の連携のところなのですが、これは非常にいろいろと意見を入れていただいて、修文していただいたことは非常にありがたいのですが、その中の最後、「この他」以下の書き出しの部分ですが、「重度訪問介護利用者以外の入院中のコミュニケーション支援についても」とあるのですが、ここで言うコミュニケーション支援というものの定義ないし枠をどう考えるかにもよるのですが、いわゆる意思疎通支援に限定されるものではなくて、入院中の障害の特性によっては、医療の提供と結びつかないところでの入院中の生活の質や療養がより正しく確保されていくための支援としての福祉の利用がそこに十分想定された内容で御検討いただくことをお願いしたいと思っております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
いかがでしょうか。
津曲課長、お願いします。
○津曲障害福祉課長 障害副課長でございます。
今の高齢の障害者に対する障害者サービスの支給決定の運用についての御指摘がございましたけれども、少し確認をさせていただきまして、また後ほど説明させていただきたいと思います。すみません。
もう一点、重度訪問介護利用者以外の入院中のコミュニケーション支援という記述に関して、医療機関におきましては、保険医療機関としての役割といたしまして、完全看護を提供することとなっております。その中では、入院中のベッド、療養環境の確保もございまして、生活面での総合支援ということになりますと、基本的にはそこに含まれるということになるかと思いますけれども、そのような保険医療機関として提供しようとしている医療というもの、比較的高度なコミュニケーション支援と言っていいのかもしれませんけれども、その高度なコミュニケーション支援に関しましては、福祉サービスでもフォローをさせていただくという考え方の下に、重度訪問介護利用というものが今も入院中に認められているということでございます。そのような各主体の役割を踏まえた上で引き続き検討する必要があると考えております。
以上でございます。
○竹下委員 ありがとうございました。
○菊池部会長 よろしいですか。
ありがとうございます。
それでは、オンライン参加の皆様で途中退室を御予定の方は先にお手を挙げていただきたいのですが、いかがでしょうか。
安藤委員のほかにはよろしいですか。
それでは、安藤委員、お願いします。
○安藤委員 ありがとうございます。全国脊髄損傷者連合会の安藤です。
今日は、3つほどお願いもあるのですが、まずは感想というか、もう終わりに近いので、感想を言わせてください。
まず、私は7月からこの障害者部会に入らせていただいて、1年生だったので、もう右も左も分からないところ、意見を言わせていただきまして、大変勉強になりました。ありがとうございます。そして、厚生労働省の皆さんが本当に親身になって私たち当事者の声を聞いてくださっていることに対して、本当に感謝を申し上げます。ありがとうございます。
3つほど、感想に近いところもあるのですが、まずは、前回の竹下先生の意見書を拝見したときに、本当にそうだなとしみじみ思いまして、あれをぜひもっと反映していただきたいと思います。
次に、前回も発言させていただきましたが、ICTの活用の件です。65歳問題とか、就労支援の特別事業とか、地方自治体の多くで全然対応してくれていない状況が多々あって、本当に会員の皆様、障害当事者の皆さんが、困っている現状があるのです。双方向のコミュニケーションをもっとよく取っていただいて、通知したら終わりというわけではなくて、理解するまで、しっかりと、通知というか、連絡をしていただきたいなと思います。
それと、今さらと言っては申し訳ないのですが、この65歳問題のこともそうなのですけれども、当会でいろいろと議論していただくときに、4月18日開催の第127回、資料5、7ページ、障害福祉制度と介護保険制度の適用関係の概要というポンチ絵があるのですけれども、厚生労働省の障害者部会のホームページから見ていただければ分かると思うのですが、その障害福祉サービスの中に、65歳になったら、居宅介護、重度訪問介護、生活介護、短期入所は原則として介護保険サービスに行く、個別の状況によって共生型サービスなどで対応するという形になっていますが、障害福祉固有のサービスもあって、就労継続支援、同行援護などは、いわゆる障害福祉固有のサービスになっていて、障害福祉サービスを引き続き利用できるということになっています。今はもう取りまとめに入っていて大変申し訳ないのですけれども、重度訪問介護に関しては、障害福祉固有のサービスではないかと思っているのです。その理由としては、これだけ65歳問題が起きているということ。介護保険と重度訪問介護で2階建てでやっていくという仕組み自体が、どうしても僕ら当事者の生活実態に即していない。座長ともお話しさせていただいたのですが、介護保険と障害者福祉のサービス、障害者総合支援法、自助、共助、公助の在り方、こちらの法的根拠について、あまり明確でない。私もいろいろと調べたのですけれども、自助、共助、公助が当たり前だから、今はそういうコンセンサスだから、そうなっているという考え方ならば、天動説ではないですけれども、コペルニクス的な転換をしていただいて、障害者福祉とは公助なのかという議論、共助ではないよねという考え方を、少し取り入れていただいてもいいのではないかということが私たちの考えです。重度訪問介護は、介護保険の居宅サービスとは似て非なるものなのですよね。私はそう思うのですけれども、見守りもあって、移動もあって、様々なことを主体的に行動できるところが、介護保険にはないサービスだと思うのです。固有のサービスだと思うのです。表面上は似ているように見えるけれども、違うものなのですね。そこをもう少し御理解いただいて、障害福祉固有のサービスに変えていただきたいなと思っているのです。本当に今さらなので、ここから議論と言うことはもちろん大変恐縮なのですが、ぜひ御検討いただいて、これにこれから盛り込むということは無理だとしても、今後の検討課題にでもしていただきたいと思っています。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
ここでの取りまとめの議論と、問題提起というか、検討課題という両面があるかと思いますが、とりわけ最後の点ですね。
津曲課長から、ございますか。
○津曲障害福祉課長 御指摘をありがとうございます。
先ほど、竹下委員からも、この65歳の障害福祉制度と介護保険制度の適用関係につきまして御意見を頂戴したものと思っております。この部会、特に春の部会におきましては、各委員から非常に多くの問題提起と御指摘をいただいたと考えております。私どもといたしましても、先ほどの安藤委員の御指摘もそうですけれども、重度訪問介護を利用されていた方が、65歳を超えたときに、必要性に即したサービスを受けられないことがあるという御指摘であろうと思っております。それに関しまして、私は、4月の障害者部会におきまして、ぜひ皆様方の御指摘を踏まえて効果的な手法を考えていきたいと申し上げました。それに関しまして、内々に検討していたところでございますけれども、竹下委員から先ほどいみじくも御指摘がありましたけれども、裁判でないような形、すなわち、市町村の現在の施行・運用に関わるものでございますので、事後的ではない対応ができないかということを考えております。確定していないので申し上げにくいところはあるのですけれども、市町村に対して直接説明をする機会が必要かと考えておりまして、私どもが全自治体に対して説明する場合は通常は都道府県を経由して行わせていただくものでございます。しかしながら、安藤委員からも御指摘がありましたけれども、ICTなどを活用することによりまして、つまり、ビデオ会議などを活用することによって、この部会において様々な御意見をいただいているということも含めまして、私自ら御説明させていただくということも検討していく、そんなことが必要なのかなと思っているところでございます。
ただ、このようなことに関しましては、確定していないので、これ以上は申し上げられないわけではありますけれども、本当に多くの委員から御指摘をいただいたことをしっかりと受け止めまして、65歳の介護保険の適用に関しまして効果的な対応を検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
○菊池部会長 そういうことでございます。
竹下委員は、団体の代表であると同時に、著名な法律家、弁護士でもいらっしゃるわけで、私も法律学者の端くれでございますけれども、竹下委員からもお話がありましたように、この7条の解釈問題としていろいろと議論することは可能といえば可能なのですが、それを裁判レベルでいろいろと議論しても、制度としてどうつくっていくか、そこはすっとした将来に向けた答えが出てくるものではないのではないかと私は思ってございます。そういった意味で、今、安藤委員からもございましたが、竹下委員からも御示唆がございましたけれども、そうであれば、その法律の解釈云々というレベルは大事だけれども、それはそれとして、市町村との関係は、もう一工夫、単に上意下達で通知を出すといったレベルではないところで工夫できないかという竹下委員からの御示唆でもあると思います。安藤委員からは、それでは足りないと、そこは本音のところだろうと思うのですが、まずはそういうところで、国と自治体との関係性をもっと実質的な形で密にしていただいて、何かできないかというところで、津曲課長は、今、申し上げられないという、まさに今検討中のところであると思うのですが、そういった思いも受け止めていただいて、引き続き、何か一歩前に出るようなものをお出しいただけるような方向で御検討いただきたいということだと思うのですが、そういう方向で考えたいという津曲課長の御発言だったと私も受け止めておりますけれども、今日のところは、安藤委員、いかがでしょうか。
○安藤委員 ありがとうございます。そちらでぜひ御検討いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、ほかにお手は挙がっていませんので、すみませんが、少し時間をオーバーしてしまいますが、まず、会場から御発言の方はお願いできればと思います。櫻木委員、丹羽委員ですね。
それでは、櫻木委員からお願いします。
○櫻木委員 ありがとうございます。日本精神科病院協会の櫻木です。
まず、第1点目は、先ほどからいろいろな御意見をいただいている高齢障害者に対する支援の問題です。障害福祉サービスよりも介護保険サービスを優先するということも確かにあるのですけれども、特に就労継続支援などの訓練系のサービスに関して、65歳が来たら、一般の社会でいっても65歳はもう定年だと、だから、そういう人が、例えば、就労継続支援のA型あるいはB型を利用すると、それは居場所になってしまうので、使用は認められないという形で、一律に利用を拒否されるケースもあるようです。津曲課長からは、厚生労働省から地方自治体に対する発信についていろいろお考えがあるということを承ったわけですけれども、例えば、この報告書の76ページの上から5行目ですかね。下線が引いてあるところ、「地方自治体における具体的な運用事例なども含め、現場の実態を踏まえて対応することが必要である。」という記述があります。私どもの団体やそれぞれの委員が所属されている団体には、直接利用者からのそういった実態の報告が寄せられています。かなり多く。ですから、以前、竹下委員もお話しになっていたように、厚生労働省が一元的にそういった実態や現場の声を受け止める機会をつくっていただくことも必要なのではないかと考えています。御検討をよろしくお願いします。
2点目は、9.障害者虐待の防止についてのところです。これも、報告書によれば、80ページのところ、学校、保育所、医療機関における障害者を含めた虐待防止の取組の推進というところで、こういったところでは、「障害者を含めた児童・生徒、患者等に対し、一定の虐待防止に資する取組が行われていることから、障害者を含めた虐待防止の取組について、市町村や関係機関との連携を含め、より一層進める必要がある。」と記述されています。これは、まさに私がずっとお話ししていました。通報義務があるかどうかというような象徴的な問題ではなく、より実効的な方法を取る必要があるのではないかと。実際に、精神科の医療機関に関しては、間接的防止措置ということで、いろいろな取組を、今、現にしています。ここではいわゆる通報義務の有無というようなことを象徴的に取り上げられているような印象が強かったものですから、そのようなお話をしました。そこの後段のほう、なお、精神科医療機関については、この報告書のもう一個のほう、地域で安心してという検討会の取組があります。そこの部分が64ページになるわけですけれども、上から2行目のところです。「通報を契機に精神科医療機関が再発防止策を講じることが可能となり、より良質な精神科医療の提供に向けて、虐待を起こさない組織風土の構築・徹底に資する効果も期待される」と、通報にそういう効果があるとおっしゃっているのですけれども、私はちっともそのように考えていません。現行の枠組みの中できちんと間接的防止措置を取ることのほうがよほど実効的だと考えています。先ほども、ある委員から、医療機関全体に通報義務を課すようなことになると、非常にそれは困難なことになるので、精神科の医療機関から通報義務を課すということをしたらどうかという、極めて驚愕するような発言がありましたけれども、私はそれには一切反対いたします。まだ地域で安心してのほうの検討会は、最終回があって、そこで報告書の取りまとめが行われますけれども、ここの部分については私は絶対に反対と言わせていただきます。
その次、13番目の医療と福祉の連携のところです。これもずっと私はお話をさせていただいて、例えば、精神障害をはじめとして、発達障害あるいは難病患者さんは、いわゆる疾病と障害が併存をしているという説明をずっとしてきました。ひょっとすると、私の舌足らずの説明で、皆さん、誤解をされているのではないかという心配をしています。この報告書の87ページの下の丸のところ、医療と計画相談をはじめとする相談支援等の連携について、5行目のところ、「精神障害者や強度行動障害のある者、高次脳機能障害のある者等の医療との関わりが特に深いことが想定される者」という記述があります。次の88ページ、上から2行目のところ、「日常的に医療を必要としている者をはじめとして」という記述があります。私は何も医療の必要性が高いから医療の意見を聞いてほしいと言っているわけではありません。疾病と障害が併存するということは、つまり、病気が悪くなれば、当然、日常生活に与える影響も大きくなるし、そのためにいろいろな障害を来す、ですから、医療の立場からいろいろな話を聞いてほしいんだという話をしています。この辺の記述を見ると、私の説明が十分ではなかったため、議論をミスリードして、間違った方向に行ってしまっているという心配をいたします。そこのところを、もう一度、疾病と障害が併存するという意味について、今、お話ししたような内容ですので、そこのところを踏まえて報告書をつくっていただきたいと考えます。
時間がないところで、最後、どうしようかなと思っていたのですけれども、もやもやした気持ちを抱えたまま飛行機には乗りたくなかったものですから、あえてお話しさせていただきます。これは各論というよりは全体の部分です。何人かの委員もお取り上げになりました、いわゆる「目線」という議論です。この「目線」という言葉がここで初めて使われたときに、非常に違和感を持ちました。一体その違和感はどこから出てきているのだろうかということをずっと考えていました。1つは、「目線」という言葉が、例えば、映画や演劇でのいわゆるその業界用語というものですかね。演技者が目を向ける方向というような意味。それがだんだん一般化されてきて、例えば、「上から目線」あるいは「カメラ目線」という言葉になってきたと。「目線」とは、そういう意味でいうと、見ている内容、見ている人がどういう気持ちになるか、あるいは、どのようにそこで感じて考えるかということは一切入っていません。そっちの方向に向くという動作、これだけを指しています。それに対して私が提案した「視点」は、視線が注がれる場所、ところという意味と、その物事を見る立場という内容なので、そこには、その方がどのように感じるかあるいはそれに対してどのように考えるかという中身が入っています。私が最初に感じたその違和感はそこのところから発しているのではないかと考えます。ですから、この際は、例えば、当事者の視点を大切にするとか、あるいは、当事者の視点に立ってとかという言葉に変更していただくほうが、より正しい、日本語としてもより美しいと考えますので、そこのところを考慮していただきたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
最後の点に関しては、櫻木委員のおっしゃっているお考えは、私も、理解できるというか、共感を持って受け止めさせていただきますけれども、「目線」という文言を入れる・入れないということについて、これまで多くの議論がなされてまいりまして、一旦「視点」という表現に変えましたけれども、それが維持できなかった。それに対してさらに強い御意見があり、事務局も考えてこういうところに落ち着かせていただいたということで、当初、「目線」ということに対する違和感は多くの委員から御議論がなされてきましたので、この文言自体を入れることについては、発言されなくても、今でも様々な御意見がおありの方がおられると思います。その中で、どこで落ち着かせるかというところで、もう一度事務局にもお考えをいただきますけれども、この「目線」という文言を外すことについて、さらにもう一回延長戦をやらなければいけないぐらいになりかねないなという思いもございます。ただ、その内容はどういうことか、何が大事かということは、おおむね皆さんも共有されているとは思うのです。なので、この点につきましては、私も事務局とももう一度話しまして、最終案を御検討いただきたいと思ってございますので、すみませんが、一旦引き取らせてください。
それ以外に、実効的な取組が大切だというお話があります。それはどう盛り込めるかということになろうかと思います。88ページのところの表現ぶりというか、今櫻木委員が言われた思いをもう少し表現できるような部分があれば、調整していただいて事務局に御検討いただくという形かと思うのですが、事務局から何かございますでしょうか。
津曲課長でしょうか。
○津曲障害福祉課長 ありがとうございます。
櫻木委員の御意見を踏まえまして、検討させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 お願いいたします。
それでは、丹羽委員、お願いします。
○丹羽委員 全国地域生活支援ネットワークの丹羽でございます。
私は、まず、サービスの質の確保と向上についての部分、66ページのところが、どういう経過でこうなったのか、今、過去の議事録なども見て、もう一度見直しをしていたのですけれども、例えば、事業運営の透明性を高めるための評価の仕組みに書いてあることや事業所間の学び合いにより地域全体として地域の質を底上げする仕組みは、まさしく地域自立支援協議会が目指していた取組の一部ではなかったかと、はたと思っています。今回の報告書の中で、地域自立支援協議会、いわゆる協議会については、相談支援と精神の検討会の中の報告書に書かれていますけれども、それ以外のところには書かれておらず、相談支援の一部と位置づけられていますが、先ほど菊本委員からもあったように、幅広な社会資源の開発だけではなくて調整の機能と考えたときには、自立支援協議会が担う役割はすごく重要で、そういう地域の取組を行うことが形骸化をさせないということにつながっていくのではないかと感じております。ここで何で介護保険の運営推進会議の取組を参考にするのだったのだろうかということがよく分からなくなってきてしまったのですが、ここでちゃぶ台をひっくり返すわけにはいかないので、ぜひこの事業者間の学び合いによりというところや透明性を高めるための評価の仕組みというところに、自立支援協議会でも取り組むという文言を入れていただければいいのかなと考えております。できれば、地域の事業所は、私たちのところでもそうですけれども、自立支援協議会のメンバーに、参画を事業者に呼びかけても、人手が足りないからと拒否をされてしまいます。だけれども、その自分たちの取組や地域の課題を自分たちの仕事に取り入れていくためには、自立支援協議会への参画は欠かせないものだと考えていますので、本当であれば自立支援協議会に参画すべきであると強く書いていただきたいところではありますけれども、もう少し柔らかく、全ての事業者は何らかの形自立支援協議会の取組に参画していくことが求められるという書きぶりが入ってくるといいかなと思いました。
もう一点は、先ほどの櫻木委員の通報が防止につながるとはなかなか思えないというお話について、コメントをさせていただきます。虐待防止法が始まったとき、福祉の我々も全くそうは思えなかった。通報しなければいけないのかと。例えば、始まったときには、本当ささいなあざを発見すれば、みんながヒステリックになって、通報するのかしないのかということで、わあわあとやり取りがあって、それに労力がかかったという時期がありました。そういったことを虐待防止委員会の中で何度もやり取りをして、また、外部の市町村の虐待防止センターからの調査などもしながら、市町村の担当者ともやり取りをして、これは虐待ではないねということを積み重ねながら、外部から人に見られる、外部から人が入ってくるんだということが意識されることで、管理者だけではなくて、管理者の上からの指導だけではなくて、現場の職員から、いい取組をしよう、しっかりして誰から見られても恥ずかしくない支援を行おうという取組に変わってきて、今はあざがあってもというところが、ちゃんとインシデントとアクシデントも現場の中では使い分けられるようになってきて、その取組が大分精緻なものになってきたなと思いますし、虐待が起きない、起こさないという風土づくりが進んできたと感じております。これについて私がどう言っても、精神の検討会の中で御議論いただくことなので、一つの参考意見としてお聞きいただければと思います。ちょっと意見をさせていただきました。
私からは、以上でございます。ありがとうございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
前段部分について、具体的な盛り込むべき内容についての求めがありましたが、御検討いただくということでよろしいですか。
津曲課長。
○津曲障害福祉課長 協議会の役割なども踏まえまして、ここの66ページのところの記述はどのようなものが可能かということを検討したいと思いますが、まず、参考資料の26ページにも市町村協議会の主な機能を書かせていただいておりますので、原典に当たりまして、どのような記述が可能かは検討させていただきたいと思います。
以上でございます。
○菊池部会長 それでは、よろしいですね。
オンライン参加の皆様から御発言いただきます。いかがでしょうか。
阿由葉委員から、お願いします。
○阿由葉委員 全国社会就労センター協議会の阿由葉です。
報告書につきましては、それぞれの意見をきちんと取り込んでいただき、とてもよい形になってきたと思います。ありがとうございます。
その上で、1点だけ、8.高齢の障害者に対する支援について、新高額障害福祉サービス等給付費につきまして、前回も意見させていただきましたが、改めて意見させていただきます。76ページの一番下の丸のところで、新高額障害福祉サービス等給付費について、「希望する対象者が本制度を利用できるようにすることが重要であり、」と記載され、それ以下は地方自治体での取組が記載されています。新高額障害サービス等給付費について、前回の障害者部会で育成会の久保会長から御指摘のあった、昨今の企業における定年と制度がマッチしていないという点に同感です。支援の現場では、60歳を過ぎてB型で働かれている方もたくさんいらっしゃいます。また、生活介護等に移行するタイミングが60歳前か60歳以降かという違いだけでその後の負担が異なるという点は不公平だと考えます。どのタイミングで切り分けを行うかという難しい問題はあると思いますが、まずは新高額障害福祉サービス等給付費による障害者負担の軽減の要件を、65歳に達する日の前に介護保険サービスに相当する障害福祉サービスの支給決定を受けていたこととしてください。このことによって、先ほど言いました、そこに記載されている、希望する対象者が本制度を利用できるようにすることにつながる障害当事者の課題だと思っておりますので、よろしくお願いいたします。併せて、前回もお伝えしましたが、この件を検討するに当たり、現在65歳以上で軽減措置の対象外である障害者の経済状況の確認をお願いいたします。
以上です。ありがとうございました。
○菊池部会長 今の点は、事務局からはいかがでしょうか。御提案ということになるかと思うのですが。
津曲課長、お願いします。
○津曲障害福祉課長 障害福祉課長でございます。
高額障害福祉サービス等給付費制度の今の御指摘に関して、そもそもの趣旨といたしましては、長年にわたりまして障害福祉サービスを利用されている方に関しまして、65歳に到達したときに、ほぼ同一のサービスを受けているにもかかわらず自己負担が発生することに関する課題に対応するために、前回の改正の中で設けられたものと考えております。このため、65歳直前に支給決定を受けた場合ですと、その障害を持った方が長年その人生の中で同一のサービスをずっと受けてきたにもかかわらず突然そこで変化が起こるということとはまた異なると考えておりまして、今、御提案はいただきましたけれども、現在の制度趣旨と異なるケースではないかと考えられるところではございます。今、このように委員から御指摘をいただいたことでございますので、私どもとしてもできる検討を行ってまいりたいと思いますけれども、ただ、このように、今回、この障害者部会の中でも本当に多くの課題をいただいている中で、私どものマンパワーも一定の限界がある中で、優先順位をつけて様々な事項を検討させていただくという状況にあるということも御理解いただきたいと思います。
以上でございます。
○菊池部会長 御提案ということで、承らせていただきます。
今、お話がありましたように、この仕組みの制度趣旨とはまた別の要素を持ち込む、新たな御提案という面があるので、それも踏まえて検討するということで、まずは引き取らせていただくということでお願いいたします。
続きまして、久保委員、お願いします。
○久保委員 ありがとうございます。全国手をつなぐ育成会連合会の久保でございます。
68ページの障害福祉サービスの質の確保・向上の部分でございます。報酬の評価にアウトカム指標を導入する方向が示されておりますけれども、障害福祉サービスには定量的な評価になじむものとなじまないものが混在しているのではないかと思っております。まずは、障害福祉サービスにおけるアウトカム指標の考え方を明確にしていただきまして、なじむものとなじまないものを整理していただけたらありがたいと思っております。
続きまして、最後でございますけれども、81ページの地域生活支援事業でございます。地域生活支援事業の見直しにつきましては、個別給付に近い位置づけの支援、特にこの移動支援や日中一時支援の整理をぜひお願いしたいと思っております。また、行動援護につきましては、全国各地で対応できるヘルパーがいないために使えないという実態の声もたくさん寄せられておりますので、その辺のところも御検討いただきたいと思っております。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
要検討事項ということで、承らせていただいてよろしいですかね。何かありますか。よろしいですか。
ありがとうございます。
それでは、井上委員、お願いします。
○井上委員 ありがとうございます。日本知的障害者福祉協会の井上です。
先ほど野澤委員からありましたが、障害福祉サービスの質の確保・向上というか、サービスの質の評価が今回の報告書の肝だと私も思っています。今後の基本的な考え方で利用者本人の希望などが何点か書いてありますので、ぜひ早急な実現に向かっていただければありがたいと思うところでございます。実際、私も長年障害福祉の現場に携わり、持続可能で質の高い障害福祉サービス等の実現とは逆のような状況があるのではないかと思っています。日額制度や常勤換算方式が進む中で、先ほど委員の御指摘にもありましたが、パート化や非常勤化が非常に進んでいて、質を一定程度に担保することがなかなか難しくなっているという非常に厳しい現実もあることをぜひ知っていただきたいというところでございますので、今後の報酬等の在り方等についても、ぜひその辺について御配慮いただければと思います。
最後ですが、資格化や研修制度は質を高める上で非常に大事だと思うのですけれども、特に私はいわゆるマネジメントをする立場にいる人たちの研修制度なり資格化が遅れているのではないだろうかと思うわけです。現場の職員に対しての研修制度や資格制度は随分充実してきたとは思うのですが、その辺りの視点が抜けているというか、まだ見直しがされていないのではないかと感じますので、ぜひ今後は御検討いただければと思います。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、ほかにございませんでしょうか。
なければ、江澤委員、最後の御意見として承らせていただきたいと思います。お願いします。
○江澤委員 ありがとうございます。江澤でございます。
時間も押していますので、簡単に3点のみ申し上げたいと思います。
資料の65ページから、サービス等の質の確保・向上についての記載がございます。ぜひ、医療の診療報酬、介護の介護報酬での導入も参考に御検討いただければと思います。また、そのためには、障害福祉サービスにおける実態把握が欠かせませんので、並行してお願いできればと思います。66ページの丸の2つ目、最後の下線部分のところですけれども、「その際、介護分野における先行事例である」の後に、介護保険で行われているグループホームにおける外部評価、したがいまして、「先行事例である」の後に外部評価や運営推進会議の実施状況の追記が必要かどうか、また検討いただければと思います。 後半の冒頭の意見に、外部評価についてはこのページの前半部分にという意見がありましたので、その辺りは適切な箇所にお願いできればと思います。ただ、地域連携運営会議のところに評価の場とも書いてあるので、そちらでもいいかと思いますけれども、追記が必要かどうか検討ができればと思います。外部評価についてでございます。
続きまして、79ページ、2点目でございます。丸の2つ目、3段落目の冒頭辺り、必要かどうかについてでございます。この中に自治体による行政の役割が明記されておりませんでしたので、障害福祉サービス事業所等における虐待が、年々、微増、少しずつ増加している傾向にございますので、この辺りの3段落目の最初の辺りに、例えば、「自治体による行政指導監査の充実もしくは強化を図るとともに」という言葉を追記すべきかどうか、検討していただければと思います。
最後、3点目は、88ページ、福祉と医療の連携についてでございます。88ページの丸の1つ目、後半部分の下線部の医師の意見書についてでございます。前回の私の発言を追記していただき、ありがたいと思っております。その中で、前回の発言の中で申し上げたのですが、傍線部の3行目に「医師意見書の作成に当たって」とありますけれども、その「当たって」の後に、「医師の責任の下、多職種協働で取り込むことの有用性」あるいは「医師の責任の下、多職種協働で取り組むことが有用である」という趣旨を前回に発言させていただきましたので、もし追加できれば、よろしくお願いしたいと思います。
以上、3点でございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
具体的な文言追加・修正の御提案、御要請でございますので、これも事務局で御検討いただければと思います。よろしくお願いします。
5時を過ぎてしまいました。ここまで、非常に多くの御意見をいただきまして、どうもありがとうございました。時間も参りましたので、本日はここまでとさせていただきたいと思います。
最後に、今後のスケジュールについて、事務局からお願いします。
○矢田貝企画課長 企画課長です。
本日は、御多忙の中、御議論いただきまして、ありがとうございました。
次回の部会は、6月13日、月曜日、14時、午後2時より、ベルサール飯田橋駅前にて開催いたします。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 本当に多くの御意見をいただきまして、ありがとうございました。最後の取りまとめはさらに充実した内容になるものと確信をしてございます。
これで、本日は閉会とさせていただきます。
 

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