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2021年10月1日 社会保障審議会障害者部会(第119回)議事録

社会・援護局障害保健福祉部

○日時

令和3年10月1日(金)14:00~16:00

○場所

ベルサール御成門タワー 3Fホール
東京都港区芝公園1-1-1 住友不動産御成門タワー3階

○出席者

菊池馨実部会長、阿部一彦委員、阿由葉寛委員、安藤信哉委員、石野富志三郎委員、井上博委員、江澤和彦委員、岡田久実子委員、沖倉智美委員、菊本圭一委員、久保厚子委員、小﨑慶介委員、小林真理子委員、齋藤訓子委員、櫻木章司委員、白江浩委員、新保美香委員、陶山えつ子委員、竹下義樹委員、飛松好子委員、丹羽彩文委員、藤井千代委員、吉川かおり委員、小阪参考人、松本参考人、渡辺参考人

○議事

○菊池部会長 皆さん、こんにちは。
定刻になりましたので、ただいまから第119回「社会保障審議会障害者部会」を開会いたします。
皆様には御多忙のところお集まりいただきまして、ありがとうございます。
会場にお越しの皆様、東京は台風で風雨が強い中で、どうも御苦労さまです。
それでは、議事に入ります前に、本日の会議につきましては、こちらの会場とオンラインで開催いたします。事務局においては、資料説明はできるだけ分かりやすく、要点を押さえた説明となるようにしてください。
各委員の皆様からの発言についてお願いがあります。最初に私が発言を希望される方を募りますので、会場の方は挙手をお願いいたします。オンラインの方は、Zoomの「手を挙げる」機能を使用してください。私の指名により発言を開始してください。より多くの委員の御発言の機会を確保するため、できる限り簡潔に御発言をいただきたいと思います。御発言の際は、まずお名前を名乗っていただき、可能な限りゆっくり分かりやすくお話しください。会場の方はできるだけマイクに近寄ってお話しください。発言後は、必ずマイクのスイッチをオフにしてくださいますようお願いいたします。円滑な会議運営に御協力をお願いいたします。
それでは、事務局から委員の出席状況、資料の確認をお願いいたします。
○矢田貝企画課長 企画課長、矢田貝です。
委員の出欠状況でございますが、黒岩委員、中里委員、野澤委員より御都合により欠席との御連絡をいただいております。
また、内布委員の代理として小阪参考人、酒井委員の代理として松本参考人、永松委員の代理として渡辺参考人に御出席いただいています。
資料につきましては、議事次第、資料1から3、参考資料1から2となります。もしこれらの資料が表示されていないなどの状況がありましたら、事務局のほうにお申しつけください。
事務局からは以上です。
○菊池部会長 それでは、早速議事に入ります。議題1につきまして、資料1について事務局から説明をお願いします。
○河村地域生活支援推進室長 地域生活支援推進室長の河村でございます。
それでは、資料1をお手元に御準備いただければと思います。資料1、「障害者の相談支援等について」をテーマとしておりまして、前回は7月16日に1回御議論いただいたところでございます。
2ページの資料は、7月16日にもお出しをさせていただいた資料ですので、ごく簡単に触れさせていただきます。障害者等の相談支援について、丸の2つ目ですが、以下のような状況と課題があるとしまして、幾つか並べさせていただいておりますが、主なものを御紹介申し上げますと、2ポツ目、相談支援専門員について、人員の不足とかさらなる資質の向上を求める御意見がございます。また、3ポツ目のところです。様々な相談支援のお仕事の中で、特に基本相談の部分のなお一層の強化を求める御意見をいただいております。また、下から3つ目のポツのところでございます。基幹相談支援センターについて増加傾向にはあるけれども、設置市町村が45%にとどまっていて、未設置の自治体においては、地域の相談支援事業所に対するスーパーバイズの機能とか、研修等の人材育成でありますとか、支援者の支援といった取組が十分でない傾向があるということ。下から2つ目のポツですけれども、その裏返しとして、基幹相談支援センターが設置されるとそういった様々な強化の取組が推進される傾向にある。その一方で、基幹センターを設置したのだけれども、なかなか期待される役割が果たせていないようなケースもある。設置済みの場合であってもさらなる充実・強化が必要だといったような課題がございます。また、一番下の黒ポツですけれども、自立支援協議会について、設置自体は非常に進んだのだけれども、形骸化を指摘するお声もいただいているところでございます。
その上で、3ページは前回お出しした論点として、丸の1つ目、相談支援の制度の在り方についてどう考えていくか。
その下の白丸のところです。自立生活援助と地域定着支援の制度の在り方についてどう考えるかという論点を挙げせていただいて、詳細な黒ポツのほうの論点ですが、1つ目として、分かりやすく、アクセスしやすい仕組みが重要だということ。黒ポツの2個目ですが、御本人が希望する暮らしをしっかりと形づくって、継続するための相談支援のさらなる充実・強化が必要ではないかということ。3ポツ目ですが、いろいろな状況によって多様な支援が発生し得るということを考えて、業務の範囲や仕組みを検討する必要があるのではないかということ。一番下の黒ポツのところですが、支援者支援、また、支援の検証の取組等についてさらに推進することが必要ではないかということ。
その下の白丸のところですが、協議会の活性化と「地域づくり」、地域資源開発等について推進策をどう考えていくのかといった論点を挙げさせていただいて、御議論をいただきました。
前回の御議論の中でも、分かりやすい仕組みというのが非常に重要な課題であると。今の障害の相談支援体系がかなり細分化されて、分かりにくいのではないかといった趣旨の御意見ですとか、基幹相談支援センターの重要性に関する御指摘をたくさんいただいたところでございます。
こういった前回の御意見を踏まえまして、4ページは、今後の方向性の案として事務局のほうで幾つか書かせていただいております。4ページの冒頭の行のところでございます。地域における相談を受け止める機能、また、地域の中核的な機関としての機能を強化する取組について、幾つか論点を挙げさせていただいております。
丸の1つ目でございます。住民にとって分かりやすくて、アクセスがしやすい相談というのが重要である中で、その入り口としてどのような相談もまずは受け止めるという、総合的に相談をやるという姿勢が非常に重要であるということ。
次の丸のところですが、第6期の障害福祉計画の基本指針の中では、成果目標として5年度末までに市町村または圏域において、相談支援体制の充実・強化に向けた取組の実施体制を確保するとした上で、活動指標として総合的・専門的な相談支援の実施ということを挙げております。また、地域の相談支援体制の強化ということを活動指標として挙げております。
一方で、3つ目の白丸のところでございます。総合的な相談を行うための機関である基幹相談支援センターにおきましては、その地域に対する様々な支援、体制強化の取組として、マル1のところにありますような地域の事業者さんに対するスーパーバイズの機能、マル2、地域の事業者さんのための人材育成の部分、マル3、地域の相談機関との連携強化の役割を期待して、そのような取組に対して基幹相談支援センター等機能強化事業の中で推進をしようとしてきたところでございます。
こういった結果として、丸の4つ目、基幹相談支援センターの設置市町村では、こういった総合的、専門的、包括的に相談に対応するとか、あとは地域の事業所に対する体制のバックアップの取組が促進されている効果が現に見られる。ここの部分は資料を御参照いただければと思いますので、後ほどご紹介させていただきます。
こういった中で、今後の方向性として、真ん中のところですけれども、基幹相談支援センター等については、45%という水準になっている現在の設置状況について、設置促進をさらに進めていって全ての市町村に設置されると。複数市町村、あるいは小さな町村の場合はもちろん共同設置も含みますが、基本的に全国の全域をカバーされる方向で目指すということで検討を進めていってはどうかということを挙げさせていただいております。
また、基幹相談支援センターが期待されるような地域に対する中核的な役割を着実に果たすために、必要な方策を検討していくことが必要ではないかということ。
下から2つ目の矢羽根のところでございますが、関係機関等との連携について、調査研究を引き続き進めた上で、調査研究の成果に基づいて、計画相談支援における指定基準の業務指針となるようなものを見直していくという方向性とか、そういった調査研究の成果を活用して基幹相談支援センターによる地域の相談支援事業者に対するスーパーバイズに活用していくということを含めて、実効性のある連携の在り方を検討していってはどうかということ。
一番下の矢羽根のところでございますが、障害のある方の地域生活の実現、継続のために必要な相談支援専門員さんが行う相談の業務の在り方自体については、令和3年度の報酬改定の中でも様々な多様な支援があるということを念頭に置いた上で、モニタリング月のはざまの月に当たる支援について、集中支援加算を設ける等の取組を進めてきたところでございますけれども、こういった報酬改定の施行状況や影響等も踏まえながら、引き続き問題意識を持って検討することとしていってはどうかということを挙げさせていただいております。
5ページは、自立生活援助と地域定着支援の制度の在り方の論点でございます。
丸の1つ目ですけれども、障害のある方が希望する地域生活の実現・継続をしっかりと支援する観点から検討を進めていくことが必要ではないかと考えておりまして、各論のマル1、自立生活援助の人員基準について今回問題提起をさせていただいております。資料にその経緯を書いていなくて恐縮なのですが、自立生活援助については、近年改正を行って新たに設けたサービスでございますけれども、自立生活援助の創設を検討するときにある程度視野に入っていましたのは、当時、既にグループホームにおいて、グループホームを退去された後に地域で一人暮らしを進めていこうとする方々に対して、グループホームが手弁当の形で一生懸命定着支援を行っているという事例が実態上あったことも踏まえて、グループホームの延長線上の中で自立生活援助の検討が進められて、逆に言いますと、相談に近い位置づけにありましても、相談ではなくてサービス体系の中で位置づけられたという経緯もございます。
こういった中で、下線部のところでございますが、障害福祉サービスに位置づけられていて、地域移行支援、地域定着支援は相談のほうに位置づけられていて、相談支援専門員の配置が必要であると。一方で、今、申し上げましたとおり、自立生活援助のほうはサービス体系の中に位置づけられておりますので、サービス管理責任者の配置が今、要件となっているという状況にございます。
一方で、自立生活援助につきましては、入所施設あるいは精神科病院からの地域移行を進める相談のほうの地域移行支援ですとか、あとは自立生活援助と同じようにお一人暮らしの方々に対して緊急時の対応等を行う地域定着支援。地域定着支援のほうも相談体系のほうなのですけれども、こういった地域移行支援があり、一人暮らしを始めて、比較的濃度の高い自立生活援助があり、その先に緊急時の対応をメインとする地域定着支援がありといったような、3つのサービスの間での支援の連続性とか継続性が非常に重要であるという中で、地域移行支援や地域定着のほうは相談のサービスでございますので、そういった相談事業者には必ずしもサービス管理責任者の方がいらっしゃらない場合があるわけですが、そういった場合ですと自立生活援助の連続性のあるサービスの指定をなかなか受けることができないという状況がある中で、相談の事業所さんにこういった自立生活援助に乗り出していっていただくということは、地域の生活を支える基盤の強化として非常に重要なことだと認識するわけですけれども、なかなか事業者指定を受けていただく際の壁になっているのではないかという点がございます。
こうした観点も踏まえまして、次の白丸でございますが、地域移行支援、地域定着支援との支援の連続性・継続性の確保とか、自立生活援助の整備をより進めていく、担い手を増やしていくという観点からも、自立生活援助の人員基準の在り方について検討していってはどうかということを挙げさせていただいております。
マル2のところは利用期間の問題でございます。自立生活援助につきましては、今回の改定の中で標準利用期間(1年間)を超えても必要であるという場合には、市町村審査会の審査を経まして複数回の支給決定ができるようにということで、見直しを行ったところでございます。これにつきましては、見直し後の支給決定の更新の運用状況等も踏まえ、引き続きその対象者の状況に応じた標準利用期間等の在り方について検討していってはどうかということを挙げさせていただいております。
6ページ、マル3でございますが、自立生活援助の支援内容として、現行ですと月4回程度の訪問というのを標準形として念頭に置いているわけですが、さらに手厚い訪問が必要な方もおられるのではないかということ。一方で、ICTを活用した効率的・効果的な在り方もあるのではないかといった観点から、対象者の状況に応じた支援内容、また、報酬について、よりなだらかに連続的になるような観点も持って検討していってはどうか。その際は連続性のあるサービスである地域定着支援とも併せて一体的に検討していってはどうかと考えているところでございます。
マル4、住宅施策との連携の推進でございます。下線部のところにありますとおり、自立生活援助の事業者と居住支援法人との連携、また、自立生活援助の事業者さんによる居住支援法人の指定の推進をより図っていってはどうかということを挙げさせていただいております。
7ページのほうは「地域づくり」の機能強化と協議会の活性化についてでございます。
丸の1つ目です。自治体さんで協議会等を活用していって、いろいろな地域の方の参画を得ながら、個別の課題の中から見られる地域の課題を抽出して解決を図るということが、協議会の機能として非常に重要なところではないかと考えているところでございます。
一方で、協議会において個別の事例を検討する場合に対する守秘義務が現状かけられていないところがございまして、マル1の他制度の協議会において多く守秘義務がかけられていることも念頭に置きますと、こういった個別事案を通した地域課題の抽出の動きをより進めていくためには、守秘義務が必要ではないかという問題提起をさせていただいております。
次の矢羽根のところでございます。協議会の活性化のためには、自治体さんがもちろん主導的な立場になっていただかなければいけないわけですが、自治体さんと協働していくパートナーが必要だという認識の下で、基幹相談支援センターが事務局機能の一端を担う等の積極的な関与をしていくということを促進するための方策を講じていってはどうかということを挙げさせていただいております。
その下のところでございます。事務局機能を強化していく中で、障害福祉分野の中で複数の協議の場、特に近年いろいろな政策課題ごとに協議の場が設けられてきている中で、それらが合理的・効率的に開催されるような運用上の工夫について、より進めていく必要があるのではないかということ。
一番下の矢羽根のところでございます。都道府県の協議会と市町村の協議会が効果的に連動すると。広域的に検討が必要なものであれば、市町村から上げていって、逆に都道府県のほうとしては、広域での地域課題の抽出に当たって、市町村の整理したものを把握するといった効果的な連動方策をより進めていってはどうかという点を挙げさせていただいてあります。
資料は前回おつけしているものと同じものが多いので、省略をさせていただきますが、31ページを少し御覧になっていただければと思います。先ほど少し触れさせていただきましたが、基幹相談支援センターを設置しているところとしていないところにおいて、地域のいろいろなスーパーバイズでありますとか、専門性が高いケースの引き受け、また、下のほうに行きますと人材育成を挙げておりますが、基幹があると、そこが主導して対応されている中で、基幹がないと、市町村域として「対応していない」という回答が現に多くなっているということがございます。こういったことも踏まえますと、基幹がより重要な位置づけであるということが改めて認識されること。
42ページに飛んでいただければと思いますが、これは前回もお出ししておりますが、改めて御覧になっていただきますと、左の上のところでございますが、自立生活援助の必要な見込量に対して、実績が全然届いていないところがございまして、利用者数もなかなか伸び悩むところがある中で、先ほどのような工夫を重ねることによって自立生活援助を分厚くしていくことがありませんと、地域の中での望む生活の支援がなかなか難しいのではないかという問題意識でございます。
資料の御説明は以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局の説明について、皆様から御意見、御質問がありましたら、挙手をお願いいたします。御発言については、いつもお願いして恐縮ですが、できるだけ簡潔にお願いいたします。この関係については15時10分をめどとして御議論いただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。それでは、まず会場からいかがでしょうか。それでは、石野委員からお願いします。
○石野委員 全日本ろうあ連盟の石野でございます。
相談については非常に重要な問題であるという認識を持っております。障害当事者といたしまして、相談の入り口というものが、適切な相談を受けるためには非常に重要です。一般相談なのか、あるいは障害者総合支援法の中の相談なのか、あるいは専門的な知見が必要な相談なのか、様々な角度からのアプローチが必要です。入り口の後、出口がありますが、出口の後の相談もまた重要になってまいります。
現在課題になっているものについては、検討の方向性を示されておりますが、就労定着事業をどう見ていくか。いろいろと今まで議論があったのかも分かりませんけれども、ただ、就労定着事業はまだ経過も浅く、平成30年に新事業として始まったばかりという状況ですので、実績も少しずつですけれども始まっていると。ですから、実績報告はまだ伺っておりませんが、なかなか増えないという状況があるのではないかと思っています。
就労定着事業は、相談機能があるような、ないようなというふうに思っておりますが、就労定着事業は、今後相談機能をきちんと盛り込むべきではないか。今後の検討をぜひお願いしたいと思っています。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、丹羽委員、お願いします。
○丹羽委員 全国地域生活支援ネットワークの丹羽でございます。かなりたくさんの論点がございましたけれども、なるべく端的に意見を申し上げたいと思います。
まず、相談支援事業は、障害のある人たちがその人らしい生活を実現したり、継続をするということがとても重要なことでありますけれども、それとともに、地域移行の支援についての位置づけもしっかり持っていくということを打ち出していただきたいと思っております。以前精神障害の支援の中には退院促進支援事業というのがございましたが、地域移行支援が個別給付化されたことによって退院しようという意欲が出た人については、個別給付で対応できるのですけれども、その意欲の形成や働きかけというところの支援が少し弱くなっているというふうに認識をしております。そういった部分については、今、基幹相談支援センターが地域移行の普及啓発などを担っていますが、改めてその位置づけについて地域生活支援拠点に位置づける等、引き続きしっかり位置づけを持っていただきたいと考えております。そういう意味でも前回の部会でもお話しした地域移行のコーディネーターを配置するということが重要ではないかと考えております。
自立生活援助については、地域定着支援との一体化というのがいいのではないかと考えておりますが、その際には、今、個別支援計画の作成を自立生活援助では求めていますが、地域移行支援のように時間経過を追った計画と、地域定着支援台帳のような緊急時の支援に対応するものを併せたような計画を自立生活援助計画としてしっかりと位置づけた上で、一体化ということをしていったらいいのではないかなと考えております。
また、協議会については、官民協働というところをしっかりと強く打ち出さなければならないと思います。特に都道府県の相談支援体制整備事業の中の具体的な内容にその官民連携ということをきちっと入れて強く打ち出すということがまず大切で、都道府県の自立支援協議会の運営についても相談支援がしっかりと関わっていくということが打ち出される必要があろうかなと思います。
最後に、市町村の相談支援事業についてです。計画相談、自立生活援助の個別の給付がしっかりできてきてはいますけれども、申請に至らない人たちについてどうするのかと考えたときには、やはり市町村の相談支援事業が重要になってこようかと思います。そういった申請に至らない人たちに対しての支援を市町村相談支援事業では行うのだということを明確にするべきではないかと考えます。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、小阪参考人、お願いします。
○小阪参考人 日本メンタルヘルスピアサポート専門員研修機構の小阪と申します。
障害者の相談支援等については、利用者目線からの充実という観点は欠かせない視点だと思います。その上で、障害福祉サービス等における相談支援という考え方や検討だけではなくて、もっとインフォーマルな支え合いで、かつ相談支援に資するような活動は地域にないだろうかという視点からも取り上げて、その推進を図ることはより身近な相談支援等の充実に資するものではないかと考えます。具体的には、例えば障害当事者同士のつながりや、その家族同士のつながり、地域住民同士のコミュニティーなど、相談支援に準じる適切な活動については、政策としても何かしらサポートができないかということを一度検討してみることもいいのではと一当事者の立場から思います。
加えて、本人を主体とした地域生活中心の支援を鑑みますに、まだ支援等につながっていない方たちを発見する仕組みの検討、及びそうした方を対象としたアウトリーチ支援の実施、そして評価、あるいは伴走型支援、例えばピアサポートの活用の一層の推進などを丁寧に行っていくということが、一つのあるべき方向性かと思います。よって、例えば基幹相談支援センターが中核的な役割を確実に果たすためにということですと、ピアサポート活動従事者をその配置要件としてはどうかというふうにも考えます。
また、自立生活援助の人員基準に関してですが、サービス管理責任者だけでなく、相談支援専門員でも可とするような検討をなされるほうが現実に即した、そして利用者目線にも即したありようだと考えます。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、オンライン参加の皆様にお願いします。まず、白江委員からお願いします。
○白江委員 全国身体障害者施設協議会の白江と申します。
まず、基幹相談、自立生活援助、まちづくり等の今後の方向性については、基本的には賛成でございます。その上で2点御意見を申し上げたいと思います。
1点目ですけれども、これまでもお伝えしてきたように、基本相談、計画相談、基幹相談、いわゆる3層の在り方というのは基本的にはいいと思っておりまして、今後はその役割、報酬というか予算的な対応の在り方、人材配置等々、この辺りはもう少し明確に。どういった人材が必要なのかとか、どう予算づけをしていくのかというところをより明確にしていく必要があろうかと思います。その上で市町村に対して丁寧な説明と、対応ということについて理解を求めて設置を進めていくような、そういう在り方が必要かなと思っております。
2点目は人材の在り方なのですけれども、現任研修とか専門研修とか主任相談員とか、これまでもいろいろ工夫されてきたのは十分承知しておりますが、今、申し上げましたように、それぞれにおいて必要な人材はどういう人材なのかということを明確にした上で、それぞれに必要な研修の在り方、キャリアパスも含めてその体系化というのをある程度考えながら進めていかれたらいいのではないかと思っております。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
続きまして、菊本委員、お願いします。
○菊本委員 ありがとうございます。日本相談支援専門員協会の菊本でございます。よろしくお願いいたします。
論点は非常に多いわけでありますが、私のほうからは、今回検討していただく相談支援の内容の方向性については、おおむね賛成をいたしているところでございます。ですけれども、少し重きを置いてというか、重点的に御議論いただきたいと思っている点がありますので、その点について幾つか御意見を述べさせていただきます。
まず1点、自立生活援助と地域定着支援につきましては、以前にもお話をしたかもしれませんが、非常に制度が複雑化している中で、利用者に対しての説明等々を含めても非常に煩雑になっているというか、説明をして理解をしていただくということが難しくなってきております。ですので、この点については、より利用者目線で分かりやすいものに整理をしていただきたいというところで、そこに重きを置いて御議論をいただきたいという点でございます。
それに付随してですけれども、指定基準の中にありますサービス管理責任者でなければ担えないということではないのではないかと思っております。特に養成の段階におきましても、相談支援専門員とサービス管理責任者は共通講義の時間等を設けておりますので、そういう意味ではお互いの認識は地域においては一定程度図れていると思っております。ですので、サビ管だけではなく、そこの要件の中に相談支援専門員も含めていただける方向で御検討いただきたいなと思っております。
もう一点、最後でございますけれども、これもずっと議論の中で言われていることですが、都道府県の自立支援協議会の役割・意義については、市町村以上に分かりにくくなっている、内容が形骸化している点が多いのではないかと思っています。改めまして都道府県協議会の役割、市町村の自立支援協議会との連携、もしかすると国との連携も必要な部分があるかもしれませんので、都道府県の自立支援協議会についての議論をもう少し深めていただく方向でお願いをしたいと思います。
私からは以上でございます。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、安藤委員、お願いします。
○安藤委員 ありがとうございます。全国脊髄損傷者連合会の安藤です。
私からは4点ほどございます。1つ目、相談支援です。事業所の報酬が非常に低過ぎると思っています。時間をかけて質のよい相談支援を提供しようとすると、どうしても赤字になってしまう。いい相談支援事業所は、私の知る限り大体赤字です。質より量でやっていって黒字を出そう、とんとんにしていこうとすると、質が担保されていなくて、私が相談しても、んーというような感じの対応をされる場合もあります。ですので、まずはちゃんとした報酬が出るようにしていただきたいと思います。
それに付随して、基本相談支援に対しても報酬上の評価を実施していただきたいと考えています。基本相談支援に対して給付費を支給する場合、地域相談支援給付費や計画相談給付費のように法律に位置づけていくことが重要だと思っていますので、今回の法改正でぜひ盛り込んでいただきたいと考えています。
何名かの方もおっしゃっていましたけれども、5ページ、人員基準の見直しに関して、ピアサポートの配置を義務化していただきたいです。こちらは人員換算で、例えば非常勤でも構いません。0.5とか0.3でも構わないので、まずはピアサポートを入れていくというのをぜひ人員基準の中に盛り込んでいただきたいと思います。私は当事者ですが、当事者の方からお話を聞くと、とても心にしみるし、そうだなと思うところがいっぱいあるので、ぜひこちらは入れていただきたいと思います。
最後に、20ページ、指定特定相談支援事業所や指定障害児相談支援事業所の対応日についてですが、平日のみという事業所が72%なのです。でも、利用者さんや御家族は365日困っているので、安心して地域で生活を送る上では365日相談できることが不可欠だと思っています。ですので、土日も開所するような事業所には加算をつけるなどの御対応を御検討いただきたいと思います。
以上です。よろしくお願いします。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、阿由葉委員、お願いします。
○阿由葉委員 全国社会就労センター協議会の阿由葉です。
実は私どもも財源問題が非常に重要であると考えております。まず、スライド4の基幹相談支援センターについて、3点意見をさせていただきます。
1点目ですが、基幹相談支援センターの設置を進めるためには、基幹相談支援センターの運営費を国による義務的経費とし、安定的な財源を確保する必要があると考えます。私の地元の足利市では、基幹相談支援センターの職員として3つの法人から職員を派遣し業務を担っています。しかし、職員の人件費は足利市からの委託料では賄い切れず、受託法人によっては受託料に迫る額の負担をしている状況です。必要な人件費も確保できない状況では安定的な運営は困難であるため、義務的経費とし、安定的な財源を確保することを検討してください。よろしくお願いします。
2点目ですが、総合的な相談の実施は重要と考えます。しかし、その体制については、市町村ごとの状況等を踏まえ、柔軟な形態を認める方向で検討していただきたいと思います。
3点目ですが、基幹相談支援センターの役割の一つである地域の相談支援事業所等への専門的な指導・助言については、国がガイドライン等で一定の形を示し、取り組みやすくする必要があると考えます。
次に、スライド1の現状・課題の中にあります個別給付による相談支援や、それを担う相談支援専門員の不足や、さらなる資質の向上について、意見をさせていただきます。特定相談支援事業所ではサービス等利用計画の作成、モニタリングの実施といった計画相談支援のほかに、報酬では評価されない多岐にわたる業務を抱えており、結果として赤字となっています。基幹相談支援センターと同様、財源確保が重要となるため、小規模な事業所を含め、単独で安定的な運営ができるよう基本報酬での評価をお願いいたします。
また、相談支援事業所は、現状として利用者が希望しても既存の契約数が多く、質の担保の観点からお断りをするケースも存在するようです。背景には利用者数に対して事業所数や相談支援専門員の数が不足している問題がありますので、論点とした上で、議論する必要があると考えます。
最後に、自立生活援助の人員基準についてですが、スライド5の自立生活援助について、自立生活援助の人員基準の見直し、相談支援事業所が指定を受けやすくすることについては賛成です。
以上です。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 どうもありがとうございます。
それでは、陶山委員、お願いします。
○陶山委員 日本難病・病疾団体協議会の陶山です。よろしくお願いいたします。
本日は2点ほどお願いをしたいと思います。まず1点目です。4ページの検討の方向性、4つ目の丸、基幹相談支援センターを設置した市町村におかれましては、強化されて効果が見られるということですけれども、現在の設置状況は45%ですが、これを全ての市町村に設置される方向で検討するということに関しましては、大いに期待したいと思います。
理由としましては、特に難病とか小慢の申請が都道府県とか政令市で行われているために、政令市以外の難病患者とか小慢の子供たちは相談する場所が限られている状況があります。自立支援法の中の目玉として基幹相談支援センターが核となり、地域の中核的な役割を果たしてほしいと思います。そのために、福祉サービスの情報提供ができる人材はもちろんのことですけれども、臨床心理士などのメンタルケアができる人材、難病医療コーディネーターなど医療に関わる専門性のある人材、難病患者就労サポーターを設置するなど、共にピアサポートに関わる団体との連携も進めていただきたいですし、難病患者や障害者がワンストップで利用しやすい相談支援の体制を構築していただきたいと思います。各都道府県、政令市には難病相談支援センターが設置されておりますので、両センターが定期的な情報交換をしながら、たらい回しにならないような連携をお願いしたいです。
なお、これはすぐにできるのではないかと思うのですけれども、基幹相談支援センターがどこに設置されているのかを調べたのですが、ネット上には政令市とかそこを探せば出てくるのですけれども、全国規模の一覧というものがございませんので、住んでいる地域にセンターがあるかどうか分からない状況では相談に至らないのではないかと思います。全国の情報や活動内容などをまとめたホームページをつくり、均てん化の一助としていただきたいと思います。
2点目は、7ページ目の「地域づくり」機能の強化と協議会の活性化についてですけれども、2つ目の丸の4つ目の矢羽根のところです。都道府県の協議会と市町村の協議会が効果的に連携するための方策を講じるということに対しても、基幹相談支援センターと同様の理由で大いに期待したいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
続きまして、岡田委員、お願いします。
○岡田委員 ありがとうございます。全国精神保健福祉会連合会の岡田です。私からは3点意見を述べさせていただきます。
1点目が障害者の相談支援等についてということで、検討の方向性として、「住民にとってわかりやすく、アクセスしやすい相談の入り口として、どのような相談もまずは受け止める総合的な相談の実施」とあります。これは相談支援を利用する立場に立った視点としてとても重要です。そのためには、何かあったらあそこに相談できるというふうに日頃から誰もが知っているようなワンストップの窓口が必要と思います。専門的な知識を持つ人材が対応し、24時間365日機能する、医療も含めた多機関との連携や、必要に応じてアウトリーチや訪問もする、そのような相談窓口が各地に偏ることなく設置されることを望みたいと思います。
2点目が自立生活援助の論点についてということで、現在、私の身近なところで精神障害当事者の自立生活に向けて取り組んでいる家族が複数名おりますが、新しい生活への移行のところで様々な課題に直面し、体調を崩して、再入院を数回経験するということが続いています。そこには本人の状態や意向に沿った継続的な丁寧なきめ細やかな支援の提供が課題になっているのではないかと実感しております。
5ページの論点、自立生活援助の人員基準の項目では、サービスの継続性という課題があると書かれております。このことは支援を受ける立場にとって大変に重要な視点と思います。自立生活援助の人員基準を見直し、1人の人に継続的に寄り添えるきめ細かい支援体制を望みたいと思います。そこにはピアサポートの方々の役割もとても重要ではないかと考えます。
また、その利用期間についても、その方その方の必要に応じた柔軟な対応が可能になる見直しが必要と考えます。
最後に、自立支援協議会の守秘義務についてですが、基本的にはその議事録を公開していたとしても、事業所や個人が特定される審議内容については、各地域の情報公開条例などの規定によって議事録を非公開とするという対応がなされたりしています。そのような内容を扱っている協議会ですので、守秘義務を設けることに異論はありませんし、またちょっと違う視点かもしれませんが、守秘義務を明確にした上で、自覚を持って当事者や家族の立場からの参加が推進されるということも期待したいと思います。
以上です。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、櫻木委員、お願いします。
○櫻木委員 ありがとうございます。日本精神科病院協会の櫻木です。4点ほどお話をしたいと思います。
第1点はその制度全体の話ですけれども、何人かの委員の方も御指摘になっていたように、その制度自身が非常に分かりやすく、アクセスしやすい、利用しやすい制度であるというのは最低必要な条件だと思います。ワンストップの相談ということで、法律の改正によって断らない相談ということが市町村に求められるということになっておりますが、残念ながら精神の分野はそこの部分に含まれていないという部分があります。将来的にはそこの部分も統合されるということですけれども、早い時期にその辺も含めていただきたいと考えております。
第2点目は計画相談についてです。計画相談に関して言えば、全ての障害福祉サービスの利用にはサービス等利用計画が必要だということで、障害福祉サービスを利用するためには計画相談が必要だということになっています。全ての障害福祉サービスということですので、例えば前回の議論にありましたように、就労系のサービスに関しては、就労アセスメントということで、幅広く医療のほうの見方、視点も入れていただくようにお願いをしたところでありますけれども、計画相談ということで言えば、就労系サービスにとどまらず、特に精神障害、あるいは発達障害、あるいは難病の患者さんに関して言えば、医療的な視点、見方ということが必要ですので、計画相談の段階で何らかの形で医療の視点というのを入れていただく。以前からお願いをしています主治医の意見書ないしは指示書というものの検討をぜひお願いをしたいと考えています。
3点目、地域定着支援、自立生活援助に関してですが、御説明にありましたように、地域定着支援はいわゆる地域相談支援の中に含まれてやっている。その前段としての地域移行支援はこれから連続的に行われるということが多いわけですけれども、自立生活援助は障害福祉サービスとして行われるわけです。退院後の患者さん、特に精神障害の患者さんに関して言えば、例えば訪問看護であるとか、あるいはデイケアの利用であるとか、あるいは訪問診療といった形で医療系のサービスも見込まれています。ですので、障害福祉サービスと医療系サービスの連携ということが必要になってくると思います。
サービス利用管理者、いわゆるサビ管という方がケアマネジメントを行っていただけるということで考えれば、当然サビ管が必要だということになりますが、制度全体として何らかの形で障害福祉サービス、医療系のサービスのケースマネジメントを誰がするのだということも明確にしていって、切れ目のないサービスが利用できるように、あるいは過不足のない必要なサービスが利用できるようにということを考えていく必要があると考えています。
最後に、自立支援協議会の活性化というお話です。精神障害にも対応した地域包括ケアシステムに関して言えば、自立支援協議会が協議の場というふうに利用されるということも多くなってきています。ただ、そこで問題になるは、現在の自立支援協議会の組織は、どちらかというと福祉側の人たちに構成が偏っているという指摘がよくされるわけですが、医療であるとか保健といった立場の委員も含めて協議をしていくということが活性化につながるのではないかと考えています。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、江澤委員、お願いします。
○江澤委員 ありがとうございます。
検討事項の方向性については全体的に賛成でございます。
資料の29ページから、基幹相談支援センターが設置されると相談支援体制が強化されて、相談支援がより充実したものになることが示されておりますが、一方で、32ページの資料では、人口規模の小さい自治体のほうが設置率が低い傾向にもあります。したがいまして、先ほどからほかの委員の先生方もおっしゃっておられますけれども、自治体への人材確保、あるいは人材養成、あるいは予算確保、財源確保のための支援も検討の余地があると思っております。
もう一点申し上げます。自立生活援助の人員基準の見直しにつきまして、サービス管理責任者の実務や人材養成の実態を踏まえて、どの程度事業者指定の障壁となっているのか。さらには人員基準の見直しによるサービスの質への影響を踏まえて、そして十分に代替可能な有効な対策を講ずるべきだと思っておりますので、引き続きこの方向で検討していただければと思います。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
お声はよく聞こえておったのですが、画面の切替えが遅れてしまったようで、大変申し訳ございません。事務局におかれましてはよろしくお願いします。
続きまして、小林委員、お願いします。
○小林委員 日本発達障害ネットワークの小林です。
今回障害者の相談支援等について、特に自立生活援助と地域定着支援の制度の在り方については、各論まで踏み込んでいただいて論点整理をしてくださり、おおむね賛同とともに、感謝を申し上げるという気持ちになっております。
今回二巡目の検討として、JDDnetとしましては次のような点を強調してお伝えしておきたいと考えております。発達障害のある方の場合は、高校、専門学校、大学などは卒業できても就労に結びつかないとか、あるいは就労したのだけれども不適応状態になる。それから中学校・高校時代から不登校傾向や不登校状態のまま成人期を迎えて、ひきこもり状態になるというような事例が多くて、このようなときには様々な専門性の高い相談の支援パッケージのようなものが必要になってくるという感じで、例えば本人へのアウトリーチ型の支援とか、ピアサポートの伴走型支援、障害特性に配慮した上で、発達障害のある方の自己信頼の回復とか獲得をするための心理療法的要素の高い支援とか、保護者への心理教育的な支援などといったものが想定されてきて、今、申し上げましたように高い専門性を有する相談支援が必要となります。
また、先ほど櫻木委員も何度かおっしゃっていましたが、医療の現場でのサービス、デイケアとか、精神保健福祉センターやひきこもり地域支援センターなどとの連携・協働などということが必要になってくるという場合があります。
このような場合の中で、障害福祉サービスからの支援として、自立生活援助とか地域定着支援といった相談・サービスの仕組みそのものに対して利用しやすくするということを心がけていただけるといいなと考えておりまして、この段階だと、例えば自立生活援助だと、「家族による支援が見込めないと判断する場合」となっているので、家族は困っていて、支援をしたいと思っているのだけれども、なかなか難しくて支援できないのだよというふうなこともあったりするわけですので、まさに各論に入っていくのですが、様々なサービスの支援パッケージをつくる上で、障害福祉サービスの中でどのようなことができるのかということをもう一度検討し直していく必要があるのかなと思って、今回各論として出していただいた案に賛同いたします。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、久保委員、お願いします。
○久保委員 ありがとうございます。全国手をつなぐ育成会連合会の久保でございます。
地域で本人の希望する暮らしを形づくり、継続していくための相談支援体制を構築する方向性は賛成でございます。その上で、3点申し上げたいと思っております。
基幹相談支援センターにつきましては、現行の法律条文ができる規定でございますので、設置の機運醸成だけでは限界があるのではないかなと考えております。法改正によりまして努力義務化すべきではないかと考えております。
2点目は、自立生活援助と相談支援事業を一体的に運用できる仕組みにすること、さらに自立生活援助を継続利用しやすくすることについては大変重要でございます。それで計画的にしっかり進めていただきたいと思っております。
3点目でございます。自立支援協議会につきましては、市町村が国からお示しいただいております親会と部会を置く組織イメージを図のように立ち上げておられまして、結果として議論すべき事項が見当たらずに形骸化しているということを目にすることがございますので、自立支援協議会を改めまして活性化するためにも、国から組織ありきではなく、相談支援などから上がってくる生活課題ありきで議論するという新たなモデルを明確にお示しいただく必要があるのではないかと思っております。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、松本参考人、お願いします。
○松本参考人 全国就労移行支援事業所連絡協議会の松本でございます。参考人として発言させていただきます。委員より先に発言の機会をいただきましてありがとうございます。
基幹相談支援センターにつきまして、4ページの資料になりますが、全ての市町村に設置をすると書かれたことに関しまして、先ほど久保委員からも発言がありましたけれども、現在市町村の任意となっているものを前提とするのか、努力義務とするのか、その辺りの議論は確認が必要かなと思っております。
中核的な役割を果たすための方策については、基本的は必要だと思いますが、資料27ページ、都道府県別の設置率というのがグラフで載っていますが、10%を下回っている都道府県につきまして、低い要因などの調査や分析したものがあるのか教えていただければと思います。これについては議論の材料として、基幹がなくともうまく回っているのか、逆に課題が山積しているかということを知りたいということでございます。
4ページ目、3つ目の関係機関との連携・調査等につきましては、前回会長の酒井の発言の繰り返しになりますが、自立支援協議会と連動させることが有効と考えております。協議会の活性化にもつながると思われます。
5ページ目の自立生活援助についてでございます。マル1の人員基準の緩和につきましては、ほかの委員からも発言がありましたように、賛成でございます。特にグループホームからの地域移行は、障害者が望む地域生活の支援の鍵になる取組になると思いますので、多くの相談支援事業者が担える事業になればよいと思っております。
また、マル2の利用期間の延長も賛成でございます。これにつきましては手続がスムーズであってほしいなと思っております。
7ページ目の自立支援協議会につきまして、3つ目に自治体の軽減についての記載がありますが、むしろ市町村が事務局機能の一端を担って、基幹相談支援センターなどの民間支援機関をバックアップすべきではないかと考えております。事務と実務の役割分担を分けて、基幹相談支援センターなどが実務に専念できるよう、市町村がバックアップすべきと思っております。
以上でございます。
○菊池部会 ありがとうございます。
事務局に問いかけがあったようにも思うのですが、何かお答えできることはありますか。
○河村地域生活支援推進室長 27ページで、委員から御指摘をいただきました都道府県別での分析というのとちょっと性質が違うのですけれども、比較的近しいものといたしまして、私どもの調査研究の中で、基幹を置いていないところは実際基幹に相当する機能をどうやって代替的に果たしているのかというものを見たものがございまして、そうしますと、市町村自身であるとか、市町村などの障害者相談支援事業の中でそれを果たしているというところがございます。
あと、先ほど委員のほうからも御指摘をいただきました人口規模別に見ていきますと、小規模市町村ほどなかなか厳しいという実態から推察いたしますと、その2つを合わせますと、小さなところは基幹相談支援センターの設置にまでなかなか至らなくて、その代わりに市町村自身でやっているというところがあるのかと思います。その背景には、先ほど来ほかの委員からもたくさん御指摘をいただいています基本相談のところについての財政支援に関わってくる問題だと思います。基幹相談支援センターの財政的なバックアップの今の仕組みとして、ベースのところは、9ページの一番下ですが、地方交付税措置、一般財源化されて、地方交付税の収入の中から自治体が自己の判断として充てていくという構造になった上で、その上の機能強化の部分について私どもの地域生活支援事業で見ていると。過去のそういった分権改革等の関係も含めた構造が複合的に関係しているのかなと捉えております。
以上でございます。
○菊池部会長 よろしいでしょうか。
それでは、齋藤委員、お願いします。
○齋藤委員 ありがとうございます。日本看護協会の齋藤です。
私も松本参考人の発言にあったように、なぜ基幹相談支援センターを設置できないのかと疑問に思っておりましたが、今の事務局の御発言で構造的な問題もあることが分かりました。
基幹相談支援センターが果たしている機能に着目しますと、これから基幹相談支援センターが不可欠になることは容易に想定できますので、市町村が設置しやすいような改善をぜひお願いしたい。
それから、機能に照らし合わせて見ていきますと、何よりもその機能に対応し得る人材をどのように育成し、かつ確保するかというところが大きな課題になるであろうと思っております。十分な予算確保、あるいは今後検討になると思いますが、こういった機能を果たしていくため、スーパーバイズや総合的な対応という役割を果たし得る人材確保をぜひお願いしたいと思っております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、竹下委員、お願いします。
○竹下委員 ありがとうございます。日本視覚障害者団体連合の竹下です。3点について意見を述べさせていただきます。
1番目は基幹相談支援センターの位置づけです。この方向づけに全て賛成です。それを前提としてぜひ深めていただきたいのは、基幹相談支援センターと他の相談所と連携というのは当然のことなのですけれども、連携というのは何を意味するかという議論が大事だと思うのです。単に情報を提供するとか相談を引き継いだというだけでは連携の意味がありません。そうではなくて、こうした連携というところまでしっかり打ち出すのであれば、持ち込まれた相談ケースについて、その人の状況が変わったときにも継続的に対応できる体制づくりまでをもきちっと視野に入れるとか、あるいは問題が発生したときに速やかにというか、非常に瞬時に連携が成り立つような仕組みまでもがそこに想定されることが必要だろうと思っております。
それだけに、基幹相談支援センターと他の相談所との連携ということを考えたときに、市町村全てに設置するというのは大賛成なのだけれども、これは非常に難しい面があると思っています。先ほどから出ているように、小さな市町村を含めてそういうところに基幹センターを設置することが現実的にすぐできるのだろうかという面。他方で、大きい都市などで1つの自治体に1つの基幹では、連携などということは、その機能から見てあり得なくなるわけですから、基幹相談支援センターがどの圏域で連携の核となっていくのかということを意識しながら、その配置が可能となる法的ないしは財政的な議論をしていただきたいというのが1点目です。
2点目には、相談を支える相談員、ここに出てくるように相談支援専門員の資質あるいは役割について今後引き続き検討するということになっているわけですが、ここで問われてくるのは2つあると思うのです。先ほど安藤さんも言われたように、当事者との関係ではピアサポーターの位置づけというものをもっと明確にして、そこは報酬面からも対応できるようにすべきだろうと思っています。
もう一つは、障害種別に対応できる資質というものをどうやってその専門員に担わせるのか。1人に全てなのか、何人かで対応するのかも含めて、そういう障害全てに対応できるという面での資質というものが問われてくるだろうと思っています。この点を考えた検討をお願いしたいと思います。
最後に、協議会の活性化。これは方向づけは非常にいいのですけれども、大事なのは守秘義務だけの問題ではなくて、ここで協議された結果が、どれだけそれぞれの相談所において実践に結びつくようなシステムや裏づけがあるのかということだろうと思っているのです。事務局が果たす役割も問われるでしょうけれども、それと併せて問われるのは、その協議会で課題となった事案について、それらを解決するための議論がされたら、それを実践に結びつけるためのその後のシステム、流れというものまで盛り込んだ形での活性化をお願いしたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、阿部委員、お願いします。
○阿部委員 ありがとうございます。日本身体障害者団体連合会の阿部です。よろしくお願いします。
まず初めにお話し申し上げたいのは、障害がある人は、必ずしも障害福祉サービスを利用している方だけではないということです。障害福祉サービスを利用していないけれども、障害による様々な困難を有する人がいるということを確認するとともに、これは委員の方々がお話しされていますように、指定相談支援事業所では基本相談が様々な財源のこともあってなかなか難しいということ。さりとて、数的にはかなり少ない一般相談支援事業所は様々な基本相談、委託ということで受けているがゆえに、今度は計画相談のほうが大変だという話も聞いたりします。そのようなことを考えますと、今回お話があるように、基幹相談支援センターが一般的な相談支援を受けるということはとても大事なことだと思います。
さて、基幹相談支援センターについては、この頃体制が整備されてくるというところだと思いますし、まだ設置率も45%ということでもありますが、運営の形態も様々なように思います。阿由葉委員がおっしゃったように、事業所から何人かずつ出て構成するというのもあれば、どういう形態になるかということで、自治体が直営で行っている場合もあるように聞いていますけれども、その運営の仕方、並びにこの内容、関係機関との連携について調査研究が行われるということは、とても大事なことだと思います。そのようなことで調査研究を充実させていただいて、それぞれの地域に合った基幹相談支援センターの在り方をしっかりと検討した上で、皆さんの御意見のように、これもまだ努力義務的なところですけれども、義務化すべきだと思います。
その中で、29ページかと思いますけれども、基幹相談支援センターが担っている機能・役割ということでの調査があります。ピアサポーターの重要性ということに関しまして、私もすごく大事だと思っています。
29ページのところでピアカウンセリングという項目の中に「ピアカウンセラーによる相談や情報提供」「ピアサポーターとの連携」とありますが、様々なところで議論するときに、ピアカウンセラーとピアサポーターという用語にはいろいろな使い方があるのだと思います。ここでは2つの名称が同じ調査研究に出ていますので、定義づけということ。それぞれ歴史的な経緯があるかもしれませんけれども、多くの方々は「ピアサポーター」というほうが分かりやすい中で、2つの名称が使われている。使い分けについて御説明いただければありがたいと思います。どうしてもカウンセラーと言うと、心理的なようなところが思い浮かぶところがありますので、私自身は「ピアサポーター」でなぜ統一できないのかなと思いながらも質問させていただきたいと思います。
もう一点です。災害時ということで、災害対策基本法の改正などとともに、個別避難計画に関しましては、それぞれ相談支援を行っている方々の参入が大事であり、交付税措置でありますけれども、1件作成で7,000円ということも伝わってきているところですが、このように相談支援事業所の役割というのは多岐にわたってきているということで、そのようなことの周知と、それから本来であれば私たちは総合支援法の中の相談支援事業の中に個別避難計画策定というのも入れていただきたいと主張してまいりましたが、今の段階では地方交付税措置ということになったところも進歩だとは思いますけれども、そのように様々なところで相談支援事業所の在り方、重要性が問われているわけですので、報酬費も含めてしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
定義について御質問がございましたが、いかがでしょう。
○河村地域生活支援推進室長 御指摘をいただきました「ピアカウンセラー」というほうの言い方は、市町村相談支援事業の中で取組を進めてきたときに「ピアカウンセラー」という呼称を使ってまいりまして、今回の4月の報酬改定もそうですけれども、個々の障害の給付の体系の中で類似の役割を果たすものについて、私どもは「ピアサポーター」として位置づけてきたのですが、それぞれについて、実際にピアの方の専門性を生かして果たしている役割ですとか効果のところでかなり同じ性質のものがある中で、この2つの呼称があるというのが適切かという御指摘は、全くそのとおりかと思いますので、引き続き預からせていただいて検討させていただければと思います。
○阿部委員 よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 それでは、藤井委員、お願いします。
○藤井委員 ありがとうございます。国立精神・神経医療研究センターの藤井です。
相談窓口に関しまして、利用者にとって分かりやすくて、アクセスしやすい相談支援をしていこうというのは非常に重要で、全くそのとおりだと思いますので、総合的な相談窓口の設置ということに関しては、非常に重要だと考えます。
その際に、何人かの委員の方もおっしゃっていましたけれども、自ら声を上げられない方、今、サービスを利用していない方に関しての支援も取りこぼさずに行っていくということも非常に重要で、類似の趣旨の相談窓口として社会福祉法の重層的支援体制整備事業の中の相談支援というものがあるかと思うのですが、そことの整合性をどういうふうに取っていくのかということ。これに関しては、幾つかの好事例については、社会福祉法の総合相談窓口と総合支援法の窓口を一体化して運用しているような事例の紹介もございますけれども、実際には部署が違うので一体的な運用が難しいという声も聞かれるところでございますので、総合支援法の総合相談窓口と社会福祉法上の重層的支援体制整備事業との整理というものは必要かなと考えます。
その際に部署間が押しつけ合いになるようなことがあってはいけないので、相談の対象になる方を取りこぼさないような連携の形や事業の整理をしていくことが必要かと思います。
さらに、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムというものが精神の領域では重要視されているのですが、先ほど櫻木委員からもありましたように、精神障害の方に関して、総合支援法のサービスを利用している方については、総合支援の相談窓口での相談ということもできるかと思いますけれども、利用していない方、あるいは精神障害の診断がついていない方に関しても必要な相談ができるように考えていく必要があると思います。
さらに、医療の視点について。これも櫻木委員から強調されたところでありますが、特に精神障害の方、難病の方に関しては、医療サービスがほぼ必須になってくるかと思います。例えば精神障害の方に関しては、医療機関のほうが意外に障害福祉サービスの内容について十分知らないことも多く、地域相談支援などの利用が進まない実態もあります。医療機関もそれらについて情報収集をしたり、制度の変化について追いついていく努力はもちろん必要ですけれども、自立支援協議会の中に医療機関がもうちょっと積極的に入っていただくようにしていただくとか、ピアサポーターが病院の中に入っていくようなことをさらに積極的に進めていただく等々の工夫をしていただいて、医療機関にも障害福祉サービス、総合支援法の相談の周知を進めていくような工夫を強化していく必要があると思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、お手が挙がっている中では最後になりますが、井上委員、お願いします。
○井上委員 ありがとうございます。日本知的障害者福祉協会の井上でございます。私からは3点申し上げたいと思います。
1点目ですが、提案された内容や方向性についてはほぼ賛成です。多くの委員からも意見が出されましたが意思決定支援や地域移行を進める上では、相談支援体制の充実が極めて重要だと思いますので、基本相談等も含め、報酬的な財政面を重点的にぜひお願いしたいと思うところでございます。
知的障害の方たちの地域移行を考えると、分かりやすくて継続的な取組となる仕組が必要かと思いますので、自立生活援助と計画相談をセットにするとか、居宅介護とホームヘルプを活用するなど、継続的な支援につなげるための制度設計の見直しをぜひお願いしたいというところです。
2点目は、先ほどの齋藤委員の意見と同じですが、人材確保、専門性が相談支援では最も重要な柱ではないかなと思うわけです。利用者の方々のニーズに対応する高い専門性を有する職員を育成できるかということが最も大事なところだと思うので、61ページ等の相談支援専門員の研修等の充実は、もちろんそのとおりだと思うのですが、一方で、ソーシャルワークを基本とした考え方であるとするならば、社会福祉士や精神保健福祉士という立派な国家資格がこの国にはあり、多くの人材がいると思いますので、それらの方々の制度上の活用等もぜひお願いしたいというのが2点目でございます。
3点目ですけれども、私の周りだけかもしれませんが、今、相談支援の現場からは悲鳴にも似た声が聞こえるわけです。というのは、計画相談の件数が非常に多くなっていて、1人で200ケース以上を抱えているという実態があります。相談の質を考えると、他分野におけるケアマネジャーは35ケースぐらいが1つの上限だと言われていますので、障害福祉分野においても1人の相談支援員が対応できるケース数、人数をもう少しお考えいただき、相談の質の維持と現場職員の負担を軽減するような取組が今、求められているのではないかと思います。今日の論点とは少し離れてしまうかもしれませんけれども、現場の疲弊感が随分伝わってきておりますので、ぜひ御検討いただければありがたいと思っているところでございます。
以上でございます。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございます。貴重な現場からの御発言をいただいたと思います。
一通り委員から御発言いただきましたけれども、この点はちょっと言い残した、あるいはほかの委員の御議論に触発されて、ちょっと付け足したいということはございますか。あったらお手を挙げていただきたいのですけれども。オンラインのほうはなさそうですね。では、石野委員、お願いします。
○石野委員 ちょっと質問したいことがございます。どなたかがおっしゃった中で、24時間体制、365日での相談が必要ではないかというような御意見があったかと思います。誠にそのとおりだと思っておりまして、資料の20ページ右上、24時間365日対応しているかどうかのグラフですが、このパーセンテージを見ますと、27年度のときと比べるとあまり変わっていないような感じがするのです。なぜ変わらないのかという分析で、分かっている原因があれば教えていただきたいなと思います。
○菊池部会長 事務局、いかがでしょうか。
○河村地域生活支援推進室長 御指摘ありがとうございます。データで定量的にという性質とはちょっと違うのですけれども、事業者さんからのたくさんの声として、1つの事業所の中で24時間365日の体制をつくろうとしますと、実際雇用されている相談支援専門員さんに相当の負荷がかかるのは事実でございます。この点に関しましては、今年の4月にスタートした新しい報酬改定の取組の中で、24時間365日を進めていく上では、複数の事業所の中で言ってみれば当番制のような形にして、24時間の連絡体制を取っていくということを促していこうという観点で、複数の事業所で連絡体制を取った場合の機能強化型としての算定要件を満たすことにして、加算で誘導していくということを4月から始めたところでございますので、またその推移等もしっかり見てまいりたいと思います。御指摘ありがとうございます。
○菊池部会長 よろしいですか。
○石野委員 はい。
○菊池部会長 ありがとうございます。
様々な建設的な御意見をいただきましてありがとうございます。本当に様々に御意見をいただいて、まとめるのが大変かと思いますけれども、ピアの重要性、位置づけというお話はたくさんいただいたと思いますし、利用者にとっての分かりやすさという話も結構出てきていましたし、財源の手当てをお考えいただかなければいけないわけですけれども、いかがでしょうか。河村さんのほうから皆様の御意見を踏まえて何かありますでしょうか。
○河村地域生活支援推進室長 どうもありがとうございます。
今、部会長に御指摘いただいたとおり、ピアの重要性について、非常に多くの委員の方々から御指摘をいただいて、ピアサポートにつきましては、委員の皆様は御承知のとおり、今年の4月から相談系の事業所に対してピアサポートの体制加算を始めたところでございます。その一方で、基幹とか市町村相談とか、そちらのほうに必ずしも自分たちの意識が十分ではなかったかもしれませんので、今日の御意見もよく整理させていただいて、相談体系全体として何ができるかという辺りを改めて考えたいなと思っております。
財源関係の問題に関しましては、事務局としても一般財源化されている世界の中で、進めなければいけないけれどもなかなか進まない現実がある中で、何ができるかというのは非常に悩ましくて、自分たちも正直いい知恵があったらすごく欲しいと思っているところはあるのですが、そうは言ってもあるべき議論を進めませんと前進もないということで、今回比較的腹をくくって基幹の在り方について全国に広めるべきという方向性を打ち出させていただいたのですけれども、この辺りは引き続き委員の皆様からいろいろなお知恵ですとか現場の声もお借りしながら、実効性を伴う形での進め方を考えていきたいと思っております。どうもありがとうございます。
○菊本委員 菊池先生、菊本でございます。ちょっとだけ発言、よろしいでしょうか。
○菊池部会長 では、どうぞ。
○菊本委員 すみません。少しだけ。今の発言の中でのことで思いついたのですけれども、24時間365日の体制整備、賛成でございますが、相談支援のみで語るのは非常に危険だと思っています。一方で、整備が進んでいない地域生活支援拠点の整備とも一体化するでしょうし、また、基幹相談支援センターの設置率が伸びないという点にも同様の問題を含んでいますので、トータルな議論でお願いをしたいと思っております。
以上です。
○菊池部会長 大変貴重な御指摘だと思います。ありがとうございます。
丹羽委員からもどうぞ。
○丹羽委員 まとめに入っているようなところですみません。
2つあるのですけれども、1点目は、日本知的障害者福祉協会の井上会長から意思決定支援と地域移行については、相談支援がとても重要な役割を持っているという御意見があったかと思いますが、全く賛同で、知的障害の入所されている方の意思をきちっと酌み取って地域に移行していくということをしっかり進めるためにも、相談支援の重要性や地域移行の重要性というのは改めて確認されたなということを思いました。
2点目は、今の菊本委員の御意見にも賛同で、基幹相談支援センターを設置すると、受けた相談をどこで受け止めていくのかという中では、拠点の整備というのが次の課題として必ずセットで見えてくるなというところがございます。なので、基幹と拠点の部分、さらに地域移行を含めた部分について、引き続き整備の議論というのは必要かと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
阿部委員からも手が挙がっておりますので、どうぞ。
○阿部委員 ありがとうございます。
ただいま総合支援法の枠組みの中の相談支援ということで検討していることだと思います。とても大事なことですが、一方、例えば厚労省が関わっているよりそいホットラインというのもありますし、NPOなどとの連携というのも考えていく必要があるのかなと思って一言申し上げたところです。それらの相互の活用というか連携というのも大事ではないかと思って一言発言いたしました。よろしくお願いします。
○菊池部会長 どうもありがとうございます。
今日は時間がやや押していますけれども、以前から私がお願いしておりまして、皆さん、大変コンパクトにおまとめいただいて、最初に私がお約束申し上げたように、できるだけ二巡目の議論もできればと考えておりましたので、その方向で2回目の御発言をいただけたということで、こういう形で言い足りないことはまた御発言される機会を確保したいなと思っております。どうもありがとうございます。
私から最後に、今、阿部委員からもお話がありましたが、これは委員の皆様へというよりは、事務局にまとめに向けてお考えいただきたいことですけれども、2つありますが、1つは藤井委員が直接的におっしゃったことで、櫻木委員、竹下委員、今の阿部委員もそれに関わると思うのですが、相談支援について、他法他施策との関係ですね。とりわけ昨年の社会福祉法改正で重層的支援体制整備事業が入ったということで、直接関わってくるわけですが、今のところ何ら言及はない。もちろん、総合支援法の論点そのものではないので、総合支援法の論点については、委員の皆様の議論に尽きると思っていますけれども、しかし、同じ社会・援護局内で施策として動いている相談支援。しかも重層的に、包括的にという形で動いている。これをどう整理するのかというのは、所管課間で少しすり合わせていただく必要があるのではないか。全ての自治体で基幹センターを設けるということと、重層的・包括的な支援体制というのは、端的に言うとぶつからないのですかと。逆に、全ての自治体に丸投げでやらせるのですか。お互いのすり合わせというか、そういう基準づくりみたいなものを国として示さないのですかとか、そういった部分で、障害福祉課だけでなくて、関係各課とのすり合わせをやっていただいたほうがいいのではないかなと思いました。
もう一つは地域づくりですけれども、これも各方面で地域づくりが今、言われています。介護保険法でもそうですし、社会福祉法、生活困窮者自立支援法、それぞれ地域づくりというものを理念として政策を進めているわけで、地域とは何だという話ですが、私は地域というのは人と人のつながりの束と捉えているのですけれども、分野ごとにつながりというのはそれぞれにあるのだと思いますが、それは物理的地理的に重なりのある中で全く接点がないのか。その辺りもそれぞれの所管課がそれぞれ地域地域と言っているだけでは、では、厚生労働省全体として地域づくりとは何ですかという話にもなりますので、そこは事務局へのお願いですけれども、まとめに当たって、その点を少し意識してすり合わせもしていただいた上で、取りまとめに向けて出していただけたらなと思います。
総合支援法の論点そのものについては、今日の皆様の御意見で尽きていると思いますし、私もそれに対しては何も申し上げることはないというか、非常に勉強になることばかりでしたので、その点、お願いしてよろしいですか。いいですか。
○河村地域生活支援推進室長 下とか上を一生懸命見ておりましたけれども、ちゃんと横も見ないといけないということだと思いますので、取りまとめの時期までにしっかり対応させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○菊池部会長 多分今日の皆様の御発言からして、私が申し上げたことで、それは違うということにはならないかなと。場内からそんな雰囲気があるので。すみません。
ありがとうございました。次のステップの議論に向けてよろしくお願いいたします。
それでは、続きまして、議題2の資料2について、事務局から説明をお願いします。
○河村地域生活支援推進室長 それでは、資料2「障害者虐待の防止について」をお出しいただければと思います。こちらは、論点整理の後、第1回目の御議論をいただくことになります。
1ページ、現状と課題を書かせていただいておりますが、丸の1つ目、皆様御承知のとおりの障害者虐待防止法が平成24年10月に施行されて、10年近くが経過しております。
丸の2つ目、現在の虐待の状況として、まず養護者虐待のほうは警察からの通報件数が非常に伸びている。施設従事者のほうの虐待は、管理者自らですとかスタッフの方からの通報が、近年周知の成果もあって伸びてきたことを背景に、相談と通報の件数は非常に増えて、今も増えている傾向にございますけれども、一方で、虐待の判断件数は比較的横ばいの傾向に入っております。後ほどグラフで御覧になっていただこうと思います。
一方で、通報された後の虐待と認定されなかったケースについて、通報の後、それぞれのプロセスがあるわけですが、これはよく検討が必要ではないかという御指摘を、ちょうど1年ぐらい前にこちらの障害者部会の中でお受けをしているところでございます。
3つ目の丸は、これまでの厚生労働省としての取組、主なものを御紹介しておりまして、黒ポツの1つ目、虐待の防止と対応に関する手引。これは自治体向けと施設向けがございますが、こちらを随時見直して改定をしてきておりまして、こちらの手引の中で、例えば虐待判断、どういうものがそれぞれのカテゴリーの虐待として相当するのかという事例を挙げたり、手続のフローとか、いろいろな大事な部分を示しております。
黒ポツの2個目でございますが、全国の中で指導的な立場を担っていただく方の指導者養成研修をして、それぞれの地域での研修で指導していただく方々を育てていっているという取組がございます。
黒ポツの3つ目でございますけれども、予算事業の中で、マル1のところで市町村の虐待防止センターの体制整備、マル2のところで様々な専門機関との連携体制の整備、マル3のところでこういった様々な施設の方々に対する研修、マル4のところで虐待防止、権利擁護全般に関わる普及啓発に関する補助を通じて全国の取組を進めてきたところでございます。
下から2つ目の黒ポツ、令和2年度の私どもの調査研究事業の中で、学校・保育所・医療機関における虐待防止の取組の事例を収集して整理をしてきたところでございまして、その成果を生かして、それぞれの3機関においてどのような取組を進めていただくことが効果的かということで、学校ですと文部科学省さん、保育所ですと保育課、医療機関に関しては私どもの医政局で、それぞれの担当部局のほうに私どもから情報提供をさせていただいて、それぞれの所管部局から都道府県等を通じて周知を行っているところでございます。
次の黒ポツでございます。今回の報酬改定の中で、従業者への研修実施、虐待防止委員会を組織内に設置して動かしていくということとか、虐待防止責任者を置くということを義務化させていただいたりしてきた経過がございます。
続きまして、2ページの続きでございますが、一方で、市町村が通報を受けた後に取っていく体制が非常に重要ですので、そういった観点から立入検査体制を強化するという観点で、基幹相談支援センターの職員の関与についても御指摘をいただいているところでございます。
その上で、下の検討事項(論点)のところでございます。丸の1つ目として、障害者虐待の対応に関して、通報を受けた後の市町村の対応が非常に重要なわけでございますが、市町村の事実確認、その後の対応の措置の実効性を高めていくための方策をどのように考えるべきか。
論点でございます。黒ポツの1個目、通報を受けた場合の事実確認調査の実施。また、虐待判断件数について自治体間で相当なばらつきがございます。こちらは、先ほど申し上げた昨年の部会における御指摘を踏まえて、一旦春で御報告をさせていただいておりますけれども、改めて自治体別に分散を分析させていただいたところ、かなりばらつきがある。後ほど数字を御覧になっていただきます。こういったことを踏まえて、私どもが毎年自治体さんに調査をかけさせていただいているものの中で、さらに要因分析等を進めていくことが必要ではないかという観点。
次の黒ポツのところでございます。現行、虐待防止法の中で立入検査については、市町村長は、自らの事務に従事する職員をして、障害のある方の住所、居所に立ち入って、必要な調査、質問ができるというふうに規定をされております。立入検査は、応じない場合の罰則を背景に、公権力の行使として入っていく性質のものでございますので、立入検査を行うということに関して、市町村の職員であるということは必要であると思っておりますが、市町村職員としての身分のある直営の基幹相談支援センターの職員さんは、立入検査に入れるという方向の解釈を明確化していってはどうかということが2つ目でございます。
次のポツでございます。障害者虐待防止法附則2条に基づく検討。こちらの法制定時のときについた附則に基づいて、一旦当部会としても平成30年に検討を行ったところでございます。こちらについては後ほど少し触れさせていただきますが、そこで当時は間接的防止措置の実効性を高めていこうという方向性で動いているわけですが、この間の対応ですとか検討を踏まえて、この点についてどのように考えるべきかという論点を設定させていただいております。
3ページ以降は参考資料をおつけしておりまして、少しはしょらせていただきます。4ページが養護者、5ページが施設従事者の虐待の件数の推移でございます。先ほど御覧になっていただきましたとおり、青の相談・通報件数は非常に伸びておりますが、虐待の判断件数、赤い帯のところはおおむね横ばいの傾向に入ってきているところでございます。
その上で、6ページと7ページがそれぞれ養護者と施設従事者の虐待の相談・通報を受けてからの件数の推移とフローです。6ページの養護者のほうを御覧になっていただきますと、相談・通報件数が5,700件強ある中で、真ん中の市町村さんの欄を御覧になっていただきますと、事実確認調査を行った事例が5,002件あって、さらに虐待判断に至ったものが1,655件と、だんだんとスクリーニングされて絞られていくわけですが、こういったプロセスの経過が果たして適切なのかというのが以前いただいた御指摘でございます。
この問題意識に基づきまして、私どもは昨年度分のデータについて、都道府県別に分析をさせていただいたものが9ページから14ページにかけてでございます。9ページ、10ページが養護者と施設従事者それぞれについての通報件数を分母とした場合の、最終的な虐待判断件数を分子にしたものでございます。
10ページを御覧になっていただきますと、施設従事者のほうで見ますと、最終的な虐待判断に至った例が一番少ない都道府県さんですと6%という水準であるのに対して、多い県ですと32%ということで、ばらつきが見られるところでございます。
11ページ、12ページは、分母を相談・通報件数にいたしまして、事実確認調査を行った件数を分子にしておりますけれども、こちらも相当程度の大きなばらつきが見られております。
こういった状況にございますので、こういったものについて、今年度、今ちょうどその調査をかけさせていただいているところでございますが、自治体さんに対しては、それぞれのプロセスごとに、例えばどういう自治体内の判断の組織体制でやっているのかとか、あとはなぜ事実確認調査が不要だと判断したのかといった理由について、調査負担に配慮しつつも今回設問を相当追加させていただいておりまして、そういった調査の結果も踏まえてきっちりと分析をして、また部会のほうにも御報告をさせていただきたいと考えているところでございます。
先ほど少し御紹介いたしました30年当時に、附則2条に基づく検討について、部会に御報告をさせていただいた資料を21ページ以降につけさせていただいております。こちらの中で、24ページ、平成29年度の調査報告書の概要を用いまして、当時の整理の考え方としてお示しをしております。(1)附則の2条の機関、学校、保育所、医療機関といったところを通報義務に含めることについての課題として、マル1、こういった機関を障害の有無に関係なく利用されていて、特に保育所とか学校の場合ですと、先生方のお立場でお子さんが障害があるかどうかというのを分かっているケースもあれば、必ずしも判明でないというケースもあるという中で、不整合が生じるのではないかということ。あとは、それぞれの体系の中で対策を行っておりますので、既存法令と重複する部分があるのではないかといった中で、既存の法制度で対応可能なことを充実・強化しようということで、間接的防止措置の具体的な強化を図るという方向で進めてまいりましたところでございます。
25ページ以降が直近のそれぞれの学校、保育所、医療機関等における取組について、効果的なものを集めて周知をさせていただいた資料でございます。
御説明のほうは以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、この論点につきまして、御意見、御質問がおありの方は挙手をお願いいたします。時間もありますので、御質問のおありの方は、今の段階でお手を挙げていただいてよろしいでしょうか。会場の方は分かりましたので、お手をお下げください。よろしいですね。
それでは、11名の方からお手が挙がっていますので、すみませんが、端的にお話をいただければ幸いでございます。まず、石野委員からお願いします。
○石野委員 全日本ろうあ連盟の石野でございます。
虐待防止の問題につきましては、私自身も非常に関心を高く持っております。虐待の早期発見、早期通報、対応システムは非常に重要なことだと感じております。聴覚障害者の場合、コミュニケーションの問題について、例えば医療機関に入院した場合、暴れないために身体拘束をするなど、そういう措置を取られるケースもあります。身体拘束をすると、結局、手話で十分に意思疎通を図れなくなり、なかなか難しいという現状があります。第三者の立場から見て虐待ではないかという例もあるわけです。ろう重複障害者の方も同様な状況にあります。
見える虐待と見えない虐待、双方がありまして、見えない虐待については、心理的な虐待と理解しております。資料の8ページに掲載されておりますが、心理的な虐待は29.5%という数字になっております。実際に具体的な内容があれば、ぜひ教えていただきたいと思います。全体的に見ますと身体的虐待というケースが多いですけれども、心理的虐待は見えない虐待で、これが非常に見えづらい。ですから、その辺を具体的に示していただければ幸いです。
以上です。
○菊池部会長 事務局のほう、いかがでしょうか。
○河村地域生活支援推進室長 心理的虐待につきましては、過去の様々な例の中から典型例を手引の中で整理をしておりまして、威嚇的な発言、態度ですとか、侮辱的な発言、態度、また、障害者の方々の尊厳を否定、無視するような発言、態度でありますとか、意欲・自立心を低下させるような行為等々についてお示ししているところでございます。
以上でございます。
○菊池部会長 それでは、続きまして、丹羽委員、お願いします。
○丹羽委員 全国地域生活支援ネットワークの丹羽でございます。私からは2点御意見を申し上げます。
1点目は、先ほどの資料の説明の中で、基幹相談支援センターの職員も立入調査について行うものとして明確化してはどうかということについては、賛同いたします。ただし、御説明の中で直営の基幹相談支援センターという御説明がありましたが、この資料からはそこが読み取りづらかったので、表現についてはすごく慎重に表記をしていただいたほうがいいかなと感じました。
2点目です。虐待防止研修について、これは別の研修ではございますけれども、4年前から津久井やまゆり園の事件を踏まえて、厚生労働省が主催をして、共生社会等に関する基本理念等普及啓発事業という事業で研修を行っております。私も少し関わらせていただいているのですが、糸賀一雄氏の思想に基づいてもう一度共生社会について考えていこうということを中心にやっておりますが、このベースの基に虐待防止の研修がさらに行われるというふうになると、より虐待防止について従事者がきちっと自覚を持って取り組むということが進められるのではないかと思いますので、今後の研修の検討については、両方の研修がリンクするような形も検討していただいたらいいのかなと考えております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、小阪参考人、お願いします。
○小阪参考人 ありがとうございます。日本メンタルヘルスピアサポート専門員研修機構の小阪です。
虐待防止に係る検討事項を論点として、障害者虐待防止法附則第2条に言及してくださっていますけれども、結論から申し上げますと、障害者虐待防止法においては、少なくとも医療機関はその適用に含まれるべきだと考えます。特定の事例等に言及するつもりはありませんが、昨今、例えば精神科病院等における虐待事件なども発生していますし、その内容たるや、看過しがたい、非常に強い憤りを感じるものとなっています。そのような事案などは一部の特異な事例なのだと信じていますが、虐待防止や発生時の早急な対応のためにも、当該法の適用除外の機関は基本的には設けないほうがよいと考えています。
そもそも当該法の目的などから、例えば医療機関等がその適用対象になったとしても、何か過度に新たに負担を求めるようなことにはならずに、社会として当たり前の、障害者に対する虐待が障害者の尊厳を害するものであり、障害者の自立及び社会にとって、障害者に対する虐待を防止することは極めて重要であることという観念に照らし合わせて、平等にその適用対象とし、広く社会全体として障害者の虐待防止に努めるということが本筋であると考えます。また、通報件数と虐待判断件数に大きな乖離がある。その実態把握と運用確認については、改めて早急になされるべきだと強調して申し添えておきたいと思います。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、オンライン参加の白江委員、お願いします。
○白江委員 ありがとうございます。全国身体障害者施設協議会の白江と申します。端的に6点あります。申し訳ありません。
1点目ですが、基幹相談の職員が、市の職員ということなのですが、立ち入りできる等々については賛成ですが、これは民間委託の職員もできるように何か工夫ができないかということをぜひ検討していく必要があると思います。
2点目ですが、附則第2条についての通報義務の対象範囲を広げる検討は、すぐにでも始めていくべきだと思います。先ほど事例として精神科病棟のお話がありましたが、難病の方でも同様の身体拘束等々が実際行われていたりしますので、ぜひこれは進めていただきたいと思います。
3点目、都道府県の関わりがどの段階でも弱いように思います。これは都道府県によって格差が出ておりますけれども、研修から対応、虐待対応を全て含めて、もう少し責任、役割を明確にすべきだと思います。
4点目、地域の専門職等のネットワークのつくり方です。これについて実際検証して、より具体的に事例も含めて多くのところでつくられていく方向でぜひ対応していくべきだと思っています。
5点目です。先ほど実際に虐待を起こす方の数字が出ておりましたが、管理職、設置者という方が20%近く毎年のように出ているわけです。管理者の研修をもっと徹底していく、あるいはその辺の実態をきちっと把握していくということは非常に重要だと思いますので、この辺りも職員だけでなくて、管理者への研修等々の徹底も図っていくことが必要だと思います。
6点目です。来年度からかなり義務化が進むわけですけれども、小規模なところ、数名でやっているような事業所等が多々あるわけですので、そういったところに丁寧に市町村が対応できるような体制づくりというものをお願いしたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、井上委員、お願いします。
○井上委員 ありがとうございます。日本知的障害者福祉協会の井上です。
先ほど御説明があったとおり、特に知的障害の方たちに対応する障害者支援施設従事者による虐待は本当に見過ごせず、私ども協会内でも相当研修は積んでいるわけですけれども、なかなか減少しない実態があります。虐待を受ける8割近くが知的障害のある方だということや、入所型施設やグループホームでの住まいの場、また生活介護事業というところで発生している状況から障害が重い人たちが虐待に遭いやすいという傾向が読み取れるのではないかと思っています。協会としては今、強度行動障害に対する調査研究を行っており、まとまりましたら御報告したいと思いますが、約1万人を対象とした調査を実施しているわけですけれども、虐待防止につながる提案を行いたいと考えております。
もう一点だけ。先ほど立入調査の件もありましたが、防止していくためにはある種の緊張感は必要だなという思いもございますので、専門家を含めた立入調査をある程度積極的な形で導入いただきたいという思いでございます。
以上でございます。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、菊本委員、お願いします。
○菊本委員 ありがとうございます。日本相談支援専門員協会の菊本でございます。
今回示されました資料の中で、通報件数が伸びているにもかかわらず、虐待の判断をされたというところが横ばいで、伸びていないという数字の実態については、現場にいる人間としては非常に違和感を覚えるわけです。これにつきましては国のほうでも今、調査を進めているということですので、結果を待ちたいと思っておりますけれども、今回御提案をいただいた中で少し懸念を抱くところにつきましては、自治体の責務として虐待への通報の介入と判断については、基幹相談支援センター等、外に出すということではなくて、ここの責任についてはしっかりと自治体に持たせる、持っていただくということはずっと続けていただければと思っています。
ただし、そこに相談支援専門員、基幹相談支援センターが関わらないということではなくて、特に国が示してきました虐待フローのいわゆるコアメンバー会議、虐待通報から現地確認をして行うわけですが、このコアメンバー会議のところにきちっと例えば法律の専門家や基幹の相談支援センターのセンター長、外部の人間が入るということが非常に大事ではないかと思っています。コアメンバー会議のところで大きな支援方針や判断がなされていくわけですから、ここが今回の話の肝になる部分ではないかと思っています。
そうしますと、これは自分も含めて非常に痛みを感じていることではありますが、あえて勇気を持って発言させていただくと、残念ながら先週でしたか、神奈川県の施設で虐待なのか、事故なのか、隠蔽なのかという報道が一部でありましたが、あちらを読ませていただいていると、入所施設で暮らされている方々への相談支援の在り方は、同じ法人の中で相談支援専門員がそこについて担当するということではなく、外部の相談支援専門員が入所されている障害のある方について相談支援を受けられるという体制を何らかの形でそろそろ一歩踏み出して、いわゆる丸抱えという形でやる風景は終わりにしていけないかと思っておりますので、ぜひ御検討いただければと思っています。
ですから、そういうことが行われれば、国からも通知が出ていると聞いていますけれども、もし虐待通報があったり、それが虐待認定はされなくても、そういう方々に対しての相談支援におけるモニタリング等々は、例えば1年程度は毎月行って、そういった状況が解消されているかとか、虐待が行われていないかということで、外部の相談の目が入ることによって少しは抑止されたり、改善の方向に進んでいく。相談支援専門員のやれることは微力かもしれませんけれども、重要な視点ではないかと思いますので、御発言をさせていただきました。
先ほどの部会長の発言は私も賛成でございますし、菊池先生がおっしゃっていたように、そろそろ地域づくりの定義と、そこに向かっていくための方法論は1つではないと思いますので、その辺の議論を進めていただきたいということ。
1点、これを言って閉じますが、重層的な相談の「層」という言い方は、非常に違和感を覚えておりまして、地域に上も下も層もないと思っています。地域での活動というのは、全部が並列につながって行われているものだと思っていますので、この言葉の使い方についても少し御留意をいただければありがたいかなと思っています。
以上でございます。
○菊池部会長 なるほどと思います。ありがとうございます。
それでは、久保委員、お願いいたします。
○久保委員 ありがとうございます。全国手をつなぐ育成会連合会の久保でございます。私のほうから大きく分けて4点ございます。
まず最初に、立入調査を行う者に市町村職員としての身分を有する基幹相談支援センターの職員も含まれると。解釈を明確化することについては賛成でございますが、実際に被害を受けた障害者の保護や、養護者支援を担う基幹相談、委託相談などとの連携が重要でございます。その点も強調していただきたいと思っております。
また、通報されたものの虐待と認定されなかったものにつきましては、私も大変疑問がございますので、検討が必要という指摘はそのとおりであると思っております。行政による家庭や事業所への事実確認が厳密に行われるよう、国として必要な指導をすべきであると考えております。
2点目でございます。附則第2条関係の学校や医療機関の扱いにつきましては、本会といたしましては、一貫して定義に加え通報義務を課すことを求めております。これは法律に位置づけることが目的なのではございません。現に深刻な虐待事案が学校でも医療でも発生しているということから申し上げているということを御理解いただきたいと思っております。
3点目でございます。先ほど丹羽委員から御発言がありましたように、糸賀一雄氏の『福祉の思想』をベースにした研究を有効に活用していただいて、福祉の現場の方々も含めて研修を積んでいただきたいと思っております。
4点目でございます。厚労省の研究事業では、既存の法制度におきまして対応可能なことの充実・強化を図ろうとしていると思っておりますけれども、そうであれば、実際に学校や医療に対して虐待防止の取組というのは、学校の取組は資料がございましたが、その結果、どのような効果が現れたのか、何を行い、その結果がどうだったのかということをぜひアウトカムでお示しいただきたいと思っております。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、岡田委員、お願いします。
○岡田委員 ありがとうございます。全国精神保健福祉会連合会の岡田です。私からは2点お話しさせていただきます。
論点にありますように、自治体間でのばらつきがあるということにつきましては、立入検査体制の強化と、さらに分析等を進めるということには賛同いたします。
2点目、障害者虐待防止法附則第2条に基づく検討についてですが、特に精神科医療機関について意見を述べさせていただきます。別の委員会でも障害者虐待防止法に医療機関を含めることが必要だと述べたことがありますが、本日の資料2の24ページの研究報告の中で、医療機関を通報義務に含めることの課題として、精神保健福祉法等の既存法律と重複する部分の調整が必要とあります。現在の精神保健福祉法で安心できる体制になっていれば、障害者虐待防止法に含めるという意見は必要ないとは思うのですが、現状を見る限り精神科医療機関内での虐待事案を防ぐことはできていないと言わざるを得ないのではないでしょうか。
精神科医療機関内での虐待事案が発覚するたびに、大変残念なことではありますが、入院経験のある当事者の方からは、あれは氷山の一角だという声が聞こえてまいります。2020年の兵庫県の事例では、通報からではなく、別件で逮捕された職員の携帯画像から偶発的に発覚したということも問題視すべきかなと考えております。
また、一部の問題ではあると思いますが、長期入院者の収容施設化しているという精神科医療機関の現状の中で、密室性・閉鎖性が高くて虐待が起こりやすい環境もあると考えられます。障害者虐待防止法での対応がどうしても難しいということであれば、精神保健福祉法の見直しを含めて、精神科医療機関内での虐待防止対策に力を入れて取り組む必要があると考えております。
もう一点、養護者による虐待事案についてです。精神障害がある人をケアしている家庭内でも地域で孤立して、収容施設のように密室性・閉鎖性の高い環境に陥りやすいという現状があります。数年前にはかつての座敷牢のような養育環境がニュースになったり、また、表には出にくいのですけれども、養育者が精神障害がある御本人をあやめてしまったりという事案が少なからず起きております。
このような事案を防ぐためにも家族支援という視点が大変重要だと考えております。現在、ヤングケアラーへの理解を進めようと取り組んでいただいておりますが、とても重要な取組として感謝しております。その視点をさらに広げた家族支援というものを法律に位置づけていただいて、社会的に家族支援が認知されて、様々な形で取り組まれるようになる、そのような御検討をぜひお願いしたいと思っております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。支援者支援というのは、幅広くいろんな分野で今、言われ始めているかなと思います。
それでは、小林委員、お願いします。
○小林委員 日本発達障害ネットワークの小林です。
法の附則第2条に基づく検討については、虐待の対象者としての学校と医療機関については明記すべきだと考えています。学校現場での体罰、性加害、病院での身体拘束の多さなど、残念ながら続いており、法の適用対象として追加する必要があると思っております。
また、身体拘束の3要件、切迫性、非代替性、一時性の遵守についても法に規定すべきであると考えております。そのためには、身体拘束以外の方法で対応ができるような支援方法の確立や普及。例えば各地への行動支援センターの設置などが考えられると思います。
JDDnetとしましては、発達障害、とりわけ自閉スペクトラム症の方や強度行動障害等の特別な支援が必要な場合の方たちに対して、感覚過敏等に配慮した地域生活の環境整備や専門家の投入等を充実することも同時に行われる必要があると考えております。
もう一点です。私ごとですが、実は5年前まで児童相談所長をやっておりました。児童虐待の問題に関して、とても片手間ではできない、大変な時間を過ごしていたというのを、障害者虐待の対応について考えるに及んでまた思い出したところがあります。
障害者虐待の対応として2点挙げさせていただきます。発見。何人かの委員からもお話がありましたが、支援というときには、本人と保護者・養育者への支援ということはパッケージというか、それは一緒に行われるものになると考えていますし、そして、できれば予防という観点になりますけれども、それら2点という形で、1つ目は予防的支援の対策を充実させることが必要であると思います。そのため、虐待を発見した際の通報意識の徹底に対する情報発進を強化するということ。それと同時に通報者の保護ということについて、法に規定すべきであると考えております。
具体的にはペアレントメンター、ペアレントトレーニング、ペアレントプログラムなどの保護者支援の普及の推進。また、アメリカのP&A(プロテクション・アンド・アドボカシー)の機能をモデルとした都道府県権利擁護センターの機能を強化してはどうだろうかとか、また、検証を目的とした観察カメラの利用。介護分野ではシークレットセンサーを利用するなどの前例があると聞いておりますが、これらの導入が役立つものだと考えております。
2つには、迅速な介入を行うための体制や技術を強化することだと考えております。具体的には24時間体制の市町村虐待防止センターの機能を発揮できるように体制を整備する必要があると思います。また、市町村職員の虐待通告の対応の際の聴き取りの技術の向上を推進するため、研修内容について工夫をする必要があるものと考えております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、松本参考人、お願いします。
○松本参考人 全国就労移行支援事業所連絡協議会の松本でございます。よろしくお願いいたします。
私のほうからは1点だけ意見を述べさせていただきます。ほかの委員の方からも出ております立入の調査に基幹の職員を加えるという件ですが、同じ市町村の中で同じ基幹の職員が入るというところで、その当該ケースに支援者として関わる可能性があるのかどうかというのがちょっと疑問というか、あるのではないかと想像してしまいます。その際、その後の支援の介入の妨げにならないような十分な配慮というのが、基幹の職員が立入に入るに当たっては必要なのではないかと思っておりまして、慎重に議論すべきではないかと感じております。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、江澤委員、お願いします。
○江澤委員 ありがとうございます。
検討事項の論点について賛成でございます。資料の4ページ、5ページに虐待の相談・通報件数、虐待判断件数、被虐待者数の経年的なグラフが示されておりますけれども、平成24年に障害者虐待防止法が施行されて以降、これらの件数や人数が減っていないことが課題であります。したがいまして、特に5ページの障害者福祉施設従事者等職員による件数とか人数は少しずつ右肩上がりに増えており、増加傾向にあります。例えば介護分野では、高齢者虐待防止法が制定されて、身体拘束においては国の3要件も示され、やむを得ない場合には施設全体で判断するという取組の方策も示されまして、実態的には介護事業所において身体拘束は今、ほぼゼロとなっております。
その背景には、多くの事業所が施設内に身体拘束廃止委員会を設置して自ら取り組んでいること。そして、定例の実地指導や、行政指導において、かなり厳格な指導を行っているということがあると認識しています。したがいまして、例えば医療機関におきましても定例の医療監視による行政指導がありますけれども、そういったことを利用して指導の充実を図って、身体拘束の廃止を推進することも方策ではないかなと思っています。特に医療機関においてはまだまだ身体拘束については改善の余地がありますし、そういったことで医療機関が自主的に取り組めるようにということも大事ではないかなと思っております。
また、先ほどの障害者虐待防止法附則第2条に基づく検討においては、これは全ての人が虐待を受けることがあってはならないことなので、学校、保育所等、あるいは医療機関、官公署とありますけれども、今後見直しを検討していく課題ではないかと思っております。
もう一点だけ申し上げます。2点目につきましては、先ほどの4ページ、5ページのグラフは令和元年度までになっておりますが、コロナ禍の影響がどうであるかということについて実態を把握して、必要な対策を講じることも重要と考えております。内閣府の調査によると、全国のDV相談件数については、新型コロナウイルス感染症が流行した2020年においては、対前年比50%程度増加になっております。その一方で、厚労省の公表では、全国の児童相談所への虐待通告件数は、例年においては対前年比2割増しの状況が続いていた中で、2020年は増加傾向が見られておらず、子供の虐待を発見する機会の減少も指摘をされています。背景には、当然経済的な困窮、それに加えて新型コロナウイルス感染症に感染したり、感染するかもしれない不安がトラウマ体験となることが要因との指摘もされております。したがいまして、障害者福祉施設においてもコロナ禍の影響を踏まえた対策も十分考慮すべきであると考えておりますので、そういった取組もよろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。
○菊池部会長ありがとうございました。
あと、櫻木委員からお手が挙がっておりますので、どうぞ。
○櫻木委員 ありがとうございます。日本精神科病院協会の櫻木です。
障害者に対する虐待はあってはならないことですし、決して許されるものではないと私は考えております。治療の目的に全く合致をしない恣意的な行為に関しては、刑事罰も科せられて当然だと考えております。
ただ、残念なのが、一部の報道においては、いわゆる精神保健福祉法に定義をされ、なおかつ厚生労働省が示した基準に基づいて行われている行動制限、隔離であるとか身体的な拘束に関しても、虐待と混同して報道されているということがあって、このことは非常に遺憾なことだと考えておりますし、我々のいわゆる広報に関してもやはり考えるところがあるのではないか。よく精神科医療の閉鎖性・密室性ということも言われますけれども、その点に関しては心して広報に努めていきたいと考えております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょう。よろしいでしょうか。
虐待という非常にセンシティブなテーマに関して、様々建設的な御意見を頂戴いたしました。ありがとうございます。
今後に向けては調査研究を引き続き継続しつつ、何らかの制度改正に向けて、その辺りは今後どういった方向性になりますでしょうか。現時点では。
○河村地域生活支援推進室長 今年度の、先ほど来皆様に御意見をいただきました通報を受けた後のプロセスが自治体間格差なく適切かという辺りの分析に関しましては、今、調査票を自治体さんにお願いしているところでございまして、実際全部取りまとまって一定の分析を終えるのが3月になってしまいますので、それが済み次第御報告をさせていただきたいと思っております。そのほかの多岐にわたるいただいた御意見につきましては、この後、事務的に整理をさせていただいて、また座長とか部会の皆様にも御相談をさせていただければと思います。
○菊池部会長 では、よろしくお願いします。
よろしいでしょうか。かなり時間が過ぎてしまって申し訳ございません。
もう一点、議題3の資料3がございますので、御説明のほうをお願いいたします。
○矢田貝企画課長 企画課長、矢田貝でございます。
資料3「療育手帳に係る研究の状況について」を御説明いたします。療育手帳につきましては、昭和35年の法律の制定以降、法律に基づくものではございません。一部の自治体でその手帳制度というものが始められまして、それを踏まえて昭和48年に厚生事務次官通知に基づいて制度化しているというものでございます。国からは重度とその他の区分の基準のみを示していたという状況でございまして、資料3の一番上にございますけれども、自治体によって判定方法や判定基準にばらつきがあるという状況でございます。
このため、今、調査研究を行ってございます。令和2年度におきましては、資料の真ん中左側、最適な「知的機能」と「適応行動」の判定方法の検討ということで、例えば知的機能についてはウェクスラー式、適応行動尺度についてはVineland-Ⅱのやり方が優れていたという結果であったり、これらを組み合わせてやったほうが精度が高いという結果が出ています。
また、新しい判定方法を導入する際の課題として、真ん中右側でございますが、児童相談所や知的障害者更生相談所にアンケートを実施するとともに、例えば新たな制度を導入する場合の課題について確認してございまして、新しい仕組みを入れるとやはり時間や費用がかかるところについて、容易にできるような仕組みを検討する必要があるというような必要性も示唆されているところでございます。
令和3年度におきましても、一番下でございますが、判定基準の国際標準との整合性の検証や、実際の被験者を対象とする複数の知的機能検査の検査方法の並行実施によって有効性の比較検証ということで、調査研究を続けていくという状況でございます。
この問題につきましては、特にIQの上限値、軽い方はどこまで療育手帳の対象にするか、もしくは発達障害の扱いというところに地域ごとに考え方の違いがあったり、もしくは昔と比べてどこまで手帳を出すかというところは、時代によってもちょっと変わってきている面があると認識してございます。ですので、そこをどうしていくのかということにつきましては、この手帳制度によって必要な方に必要な支援をしていくためにはどうしたらいいのかという観点からも検討が必要になりますし、また、1つのラインを決めることによって様々な影響というものが出てくるというものでございますので、この辺につきましては、そうした課題も含めて、自治体をはじめとした関係者の御意見などもいただきながら、先ほどの調査研究と併せて検討していくべき課題と考えてございまして、引き続き厚生労働省のほうでこうした調査研究等を続けてまいりたいと考えているところでございます。
現時点での取組の状況は以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問等ございましたらお願いいたします。会場はよろしいですか。
では、オンラインでお二方ですね。では、井上委員からお願いします。
○井上委員 ありがとうございます。知的障害者福祉協会の井上でございます。
この療育手帳の件に関しては、検討の方向性なりというのは賛同いたしますし、ぜひ実施していただきたいと思いますが、日本では知的障害に対する法的な定義が明確ではないというところが一番の問題ではないかと思います。せっかくの機会ですので、そちらのほうにつながるようなこともぜひ考慮いただいて、しっかりとした定義づけができればありがたいなと思ったところでございます。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、久保委員、お願いします。
○久保委員 ありがとうございます。全国手をつなぐ育成会連合会の久保でございます。
現時点では療育手帳の判定基準などに関して研究している段階であるということは理解をしております。ただ、本会は一貫して療育手帳制度を法定化することを求めておりまして、この点を改めて強くお願いをしたいと思っております。
既に療育手帳は長期にわたって全国どこでも発行される手帳として定義づいているところがございます。そのことを踏まえますと、知的障害者福祉法における知的障害者の定義と、そして統一化された判定基準の導入を期待しているところでございます。ただし、その際には既に療育手帳を所持している方が不利益にならないような取扱いにしていただきたいと思っております。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、小﨑委員、お願いします。
○小﨑委員 全国肢体不自由児施設運営協議会の小﨑でございます。
私のほうも実務上、自治体によって、療育手帳の名称も含めて統一されていないというところが、現場でも混乱しているところでありますので、このような研究を通して全国で基準を統一する方向でやっていただければいいかと思います。同時に、久保委員がおっしゃられたように、既に手帳を取っておられる方が不利益にならないような配慮というのも当然必要かと思います。
以上になります。
○菊池部会長 ありがとうございます。
ほかにはいらっしゃいませんでしょうか。よろしいでしょうか。
すみません。私も一応研究者の端くれとして。法学の研究者なのですけれども、その立場、見方からすると、身体障害者手帳と精神保健福祉手帳は法律上、位置づけがあるのに対して、療育手帳は通知なのです。単なると言うとちょっと失礼なのですが、法的な位置づけが全く違うというか、法令上の位置づけがないのです。だから、私もここは気になるところでございます。引き続き研究をされるということで、いろいろクリアすべき課題もあるということですが、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
本日も時間を超過してしまいまして申し訳ございませんでした。
最後に、今後のスケジュールにつきまして事務局からお願いいたします。
○矢田貝企画課長 企画課長でございます。
本日は御多用の中、御議論ありがとうございました。
次回は10月18日(月)14時よりベルサール飯田橋駅前にて開催いたしますので、よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 それでは、本日も長時間にわたりましてお疲れさまでございました。これで閉会といたします。どうもありがとうございました。
 

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