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2021年5月14日 社会保障審議会障害者部会(第109回)議事録

社会・援護局障害保健福祉部

○日時

令和3年5月14日(金)10:00~13:00

○場所

ベルサール御成門タワー
(東京都港区芝公園1-1-1 住友不動産御成門タワー4階)

○出席者

菊池馨実部会長、阿部一彦委員、阿由葉寛委員、石野富志三郎委員、井上博委員、内布智之委員、江澤和彦委員、大濱眞委員、大原裕介委員、岡田久実子委員、沖倉智美委員、菊本圭一委員、久保厚子委員、小﨑慶介委員、齋藤訓子委員、斉藤幸枝委員、酒井大介委員、櫻木章司委員、白江浩委員、竹下義樹委員、飛松好子委員、中里道子委員、永松悟委員、野澤和弘委員、江島参考人、三澤参考人

○議事

○菊池部会長 定刻になりましたので、ただいまから、109回「社会保障審議会障害者部会」を開会いたします。
おはようございます。委員の皆様におかれましては、御多忙の折お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
本日の会議につきましては、こちらの会場とオンラインで開催をいたします。
まず、事務局より、委員の出席状況、資料の確認をお願いいたします。
○源河企画課長 事務局です。委員の状況について報告させていただきます。
本日の出席状況について、新保委員、中込委員、吉川委員より、御都合により欠席との御連絡をいただいています。また、小林委員の代理として三澤参考人に、山口委員の代理として江島参考人に御出席いただいています。
なお、事務局の出席者につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大防止のために、最小限としております。
出席していない者につきましては、配信の傍聴により、御意見をお伺いしております。
では、本日の資料です。議事次第、資料1から資料12で、団体の皆様から提出されましたヒアリング資料、以上です。万が一、これらの資料が表示されていないなどの状態となっておりましたら、事務局にお申しつけください。
では、カメラ撮りはここまでということで、御協力をお願いいたします。
以上です。
○菊池部会長 それでは、議事1に入ります。
本日は、前回に引き続き関係団体の皆様のヒアリングを行わせていただきます。
事務局から本日の進め方について説明をお願いします。
○源河企画課長 本日の進め方につきまして、タイムテーブルを御参照ください。
1団体10分以内で御発言をいただきまして、グループごとに全体の発言終了後に意見交換を予定しています。団体の発表につきましては時間厳守でお願いしたく、御発言が8分を超えた時点で事務局がベルを1回鳴らします。発言時間10分を経過した時点でベルを2回鳴らしますので、その場合は速やかに意見をまとめていただきますようお願いします。
以上です。
○菊池部会長 本日は、貴重なヒアリングの機会ですので、団体の皆様と意見交換を念頭に置きながら議論を進めていきたいと思っております。
皆様からの発言についてお願いがあります。御発言の際は、私の指名により発言を開始してください。委員の皆様におかれましては、最初に私が発言を希望される方を募りますので、会場の方は挙手をお願いいたします。オンラインの方はZoomの手を挙げる機能を使用してください。
委員の皆様、団体の皆様、より多くの方の発言の機会を確保するため、質問回答等もできるだけ簡潔にお願いしたいと思います。御発言の際はまずお名前を名乗っていただき、可能な限りゆっくり分かりやすくお話しください。また、会場の方はマイクに近寄ってお話しください。発言後はマイクのスイッチをオフにしてくださいますようお願いいたします。円滑な会議運営に御協力をお願いいたします。
本日は3時間コースという長丁場でございますので、3つのグループに分けさせていただいておりますが、途中で一度若干休憩を取らせていただこうかと思っております。各団体の皆様、先ほどお話がありましたけれども、限られた時間で大変恐縮でございますが、ぜひよろしく御協力のほどお願い申し上げます。
それでは、最初のグループのヒアリングから始めてまいります。
まず、公益社団法人日本精神科病院協会様からお願いいたします。
○櫻木委員 おはようございます。日本精神科病院協会の櫻木です。
本日は、意見表明の機会をいただきまして、どうもありがとうございます。
それでは、早速、障害者総合支援法の見直しに当たって、我々の団体の意見を表明いたします。
今回、障害者総合支援法の見直しに当たってということですので、まず、障害者総合支援法の制定に当たる経緯をちょっと振り返ってみたいと思います。添付の資料があるのですけれども、1ページ目のところに法律の概要ということで示してあります。応益負担を原則とするそれまでの障害者自立支援法を廃止し、制度の谷間のない支援の提供、個々のニーズに基づいた地域生活支援体制の整備等を内容とするということで、新しい法律の制定に向けて検討が行われるというようなことが、2010年、平成22年6月の閣議決定によってなされております。
その後、2014年、平成24年6月に、正式に言うと「地域生活における共生の実現に向けて新たな障害保健福祉施策を講ずるための関係法律の整備に関する法律」が可決成立をされて、6月27日に公布されております。法律の目的、基本的な理念としては、それまでの自立という表現に代わり、基本的な人権を享受する個人としての尊厳というようなことが明記をされております。この法律の目的の実現のために障害福祉サービスにおける支援、その他の必要な支援を総合的に行うというようなことで、総合支援法と言われているということになろうかと思います。
その中で幾つか変更点があるわけですけれども、障害者の範囲に関して言えば、制度の谷間を埋めるということで、難病等が加わっております。それから、大きなところで言うと障害支援区分の創設が行われております。精神障害、知的障害、発達障害の状態を適切にそれまでの障害程度区分が適切に反映していないという指摘がありました。障害の多様な特性、その他の心身の状態に応じて必要とされる標準的な支援の度合いを総合的に示すというようなことで、障害支援区分と改められております。
その後、例えば支援の在り方については、ケアホーム(共同生活介護)とグループホーム(共同生活援助)が一元化をされる等々変更がなされたわけですけれども、一番下のところに検討規定というのが示してあります。障害者施策を段階的に講ずるために、法律の施行後3年をめどとして、以下のことについて検討するということで、5つほど挙げられておりますけれども、今回、私どもがお話をしたいのは、このうちの2番、障害支援区分の認定を含めた支援決定の在り方、それから5番、精神障害者及び高齢の障害者に対する支援の在り方を中心に意見を述べたいと考えております。
今回、総合支援法が改正されるに当たって、基本理念、あるいは障害者自立支援法からの変更点を考慮し、地域共生社会の実現を目指す、こういう大きな観点から考えると、先の3月に精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に関する検討会の報告書が出ております。これに盛られた視点も、やはり地域共生社会を目指すためのシステム、あるいは仕組みと位置づけられております。
そういった観点に立って今回の見直しに関して言えば、これは意見資料のほうにありますけれども、1番目として、精神障害者に対する障害福祉サービスの支給決定については、精神障害においては疾病と障害が併存する視点を重視した支給決定が行われるべきであると考えております。精神障害においては、症状の安定を図ることによって障害の程度も改善をされました。逆に、精神症状の不安定化や増悪によって障害の程度も悪化をすることは、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの中で指摘をされているいわゆるかかりつけ精神科医機能、ケースマネジメントを主にやる立場でありますけれども、その主治医の意見書の提出を受けることを義務づけるべきであると考えております。
かかりつけ精神科医機能というのは、入院から退院、さらには地域での暮らしをサポートできるように多職種チームを総括してそのことに当たる。あるいはクライシスプランを作成して、急変増悪時には必要な医療に障害者の方のアクセスを確保する。急変増悪時の相談窓口機能を果たす。それから、当事者のニーズに応じてのマネジメントを行うと私は考えておるわけですけれども、そういったかかりつけ精神科医機能というのが示されておりますので、このことを重視していただきたいと考えております。
先ほどの資料を共有していただくと、15分の2から15分の5にかけて、日精協が行いました精神科病院に対する就労系障害福祉サービス事業所の事例報告の資料を載せてあります。これは今年の4月に日精協が行った資料であります。サービスの利用開始に当たり、事業所、主治医の連携の状況がどうであるかというようなことを調べております。
マル1として利用開始時に相談支援事業所と主治医の連携ができているか。
2番目に、利用開始時に就労系事業所と主治医の連携ができているか。
3番目に、就労系事業所から、現の主治医に対する通院、あるいは治療の内容に対して理解を示していただいて、協力は得られているかどうか。
4番目に、病状変化時、あるいはモニタリングのときに情報提供がされているかというようなことを調べております。
円グラフを見ていただくと、一番多い通院や治療内容に理解を示し、協力を得られているかというのは半数ぐらいありますけれども、主治医と事業所との連携が十分ではないというようなことが示されております。
その次に、サービス利用開始による通院への影響の有無、それから、具体的な事例ということで聞いております。大体4分の1ぐらいに影響があったというようなこと。例えば病状が悪くなったときに、その悪化について転院を勧められたとかいうようなことがあります。
それから、4番目、サービス利用開始時に患者に不利益が生じた事例の有無、あるいは具体的な事例ということで聞いております。具体的なところで言うと、いわゆる連携が十分に取れていないために、適切な障害福祉サービスが症状とマッチしたような形で提供されていないとか、あるいは病状が悪くなったときに十分な情報の共有ができていないため、最終的には患者さんの病状が悪くなって不利益が生じているというようなことが言われております。
それから、今回の2番目の私たちの意見に関しては、障害支援区分に改められても、精神障害者に対する支援の度合い、これが適切に行われるようになったとは言えず、さらに検討すべき余地があると考えています。障害者総合支援法における支援の内容は、いわゆる介護サービスとは異なって社会参加の機会の確保、あるいは地域社会における共生等、これに資する日常生活、あるいは社会生活の支援という中身であるべきだと考えています。精神障害者における、例えば意欲、あるいは行動の面の障害であるとか、あるいは感情の障害、こういった精神症状に生活機能障害が併存をしております。そういったことを考慮して、より実情を反映した支援区分への改定が必要だと考えております。
以上、今回の総合支援法の見直しに関して、私どもの団体の意見を申し述べました。ありがとうございました。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
続きまして、一般社団法人日本精神科看護協会様からお願いいたします。
○東氏 皆様、おはようございます。日本精神科看護協会の副会長をしております東美奈子と申します。よろしくお願いいたします。
本日は、このような機会を与えていただけたことに感謝いたします。私どもの団体の理念と今後の方向性をお話しした上で、今回の見直しに当たっての看護の視点に基づいた意見を述べさせていただきたいと思っております。
日本精神科看護協会は、精神保健医療福祉の現場で勤務する看護者を主な会員とする団体として「こころの健康を通してだれもが安心して暮らせる社会づくり」を目指して活動を行っております。精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築と、医療機能の分化・強化、連携の推進に向けた取組がより一層求められる中、精神科医療に従事する看護者として、精神障害を有する方等の潜在的ニーズに寄り添い、本人の意思が尊重され、自分らしく暮らすことができる地域共生社会の実現を目指しております。
本日は、今回の法律の見直しに当たっての看護の視点について述べさせていただきますが、精神障害にも対応した地域包括ケアシステム検討会での取りまとめと、障害福祉サービス等報酬改定に加味いたしまして、3点に集約をさせていただきました。
1点目は、精神科医療における相談体制の充実という点です。主に地域移行支援、地域定着支援のサービスの利用は非常に芳しくありませんが、この部分を充実するために、積極的に研修等の取組は行われています。ただ、行政職員や福祉関係者などからは、病院から依頼がなければ、こちらから医療機関に介入することは難しいなどの声をよく聞きます。そこで期待されているのが、地域で支援しており、医療機関の状況にも比較的詳しい訪問看護師などの医療関係者が医療と地域の橋渡しをしてくれたり、実際に具体的な相談に応じる専門職になってくれたらということです。
精神科医療は必要なときに必要な医療を受けられる医療体制を確立することがとても大事だと思っております。個々の対象者の医療ニーズに応じて適正に必要な医療が提供される仕組みをつくることが重要です。
地域で暮らしている精神障害者に入院医療の必要が生じた場合には、それまで地域生活の中で関わっていった支援者がどのような支援が提供されていたのかなどについて、入院医療機関に情報を提供することが必要だと考えております。つまり入院医療がその人の暮らしを分断しないということがとても大事だということです。
円滑な入院医療の提供につなげる等の観点からも、入院時から在宅医療や訪問看護等の地域で働く医療従事者との連携が不可欠であり、入院医療から切れ間なく地域医療につなぐための体制の整備が必要となります。
また、精神障害者が地域生活を継続する上で、再発の予防及び再発した際の重症化の予防が大変重要な課題となります。地域援助事業者等が医療ニーズの高い精神障害者の地域生活を支えていくためには、今まで以上に在宅医療や訪問看護等の医療者の関与が求められるため、医療福祉連携の充実に向けた方策の検討が望まれるのではないでしょうか。
さらには、地域で暮らす精神障害者は相談しづらさを抱いており、どこに相談してよいか分からないことも多いという現実があります。実際にデイケアや訪問看護につながっている場合にはその人たちに相談をする。相談支援専門員につながっている人たちは相談支援専門員に相談をすることができますが、通院医療機関以外には誰ともつながっていない精神障害を持っておられる方がいらっしゃるのも現実としてあります。ですので、通院していらっしゃる方々が安心して相談ができる場所として、外来診察時に医療機関内に気軽に相談できる等の相談支援体制の充実が求められるのではないでしょうか。
2点目といたしまして、地域共生に関する取組の促進ということを挙げさせていただいております。これも精神障害にも対応した地域包括ケアシステム構築の検討会の取りまとめで強調されたところでして、特に病状の増悪や早期発見、身体合併症等の医療ニーズに関しての関与は不可欠であることは間違いがなく、その専門的な支援者として訪問看護師等の協議の場への参画の必要性を要望いたします。
昨年度、訪問看護師を対象に調査を行った結果、保健所への調査では保健所と訪問看護の連携状況についてはおおむね連携が図られているという結果が半数以上ありました。現実、連携が図られているのかどうかというところには少し疑問の残るところではありますが、調査結果としては連携が図られているということでございます。重症な方や措置入院等の場合を特に重要視して、やはり訪問看護師と保健所が連携をすることはとても大事だと感じております。
また、精神科訪問看護に関する期待といたしましては、身近な地域の支援者としての役割、地域と医療をつなぐ役割ということで期待されていることが分かっております。そのような部分をしっかり私どもは行っていくためにも、地域共生社会の実現に向けて、住民が主体的に地域課題を把握して解決を試みる体制づくりを支援しながら、多機関の協働による包括的な支援体制の構築が求められると思っております。
精神障害に関しては、疾病と障害が併存している特性があるため、医療的な関与は不可欠であり、精神障害者の医療的ニーズに対して身近なところで気軽に相談できる体制が必要です。
精神科訪問看護は、精神障害者の地域生活を支える観点から、精神科医療機関において継続的に治療を受けることへの支援や、日常生活での困りごとの相談、身体合併症の早期発見・管理、精神科医療機関以外の関係機関からの相談に応じること、医療との連携を促進すること等の役割が期待されていると報告がされています。
このような社会の要請に応えていくためには、障害福祉計画及び医療計画に基づき、保健、医療、福祉等関係者等による協議の場への参画がさらに促進される体制の強化が望まれます。
3点目といたしまして、ピアサポーターとのさらなる協働という部分を挙げさせていただきました。今回の診療報酬改定において、ピアサポーターの活躍が報酬として認められるようになっております。ピアサポーターの取組につきましては、精神障害を尊重した支援を実施するだけでなく、普及啓発や教育、精神保健相談、意思決定支援等に寄与することも期待されます。
精神科医療機関においては、地域移行支援等を促進する観点から、ピアサポーターの力は先進医療福祉に係る重要な資源の一つになり得るものと考えられます。今後、ピアサポーターとのさらなる協働に向けては、精神医療機関と協働して支援する体制の整備が必要であり、医療計画や障害福祉計画の施策等に位置づけて推進していくことが望まれると考えております。
私どもからの発言は以上です。ありがとうございました。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
続きまして、公益社団法人日本精神保健福祉士協会様からお願いいたします。
○廣江氏 公益社団法人日本精神保健福祉士協会の副会長をしております廣江と申します。どうぞよろしくお願いします。このたびは貴重な機会を与えていただきまして感謝しております。
私どもからは、いただきました論点に基づいて一つ一つ通意見を述べさせていただきたいと思います。資料に沿ってお話したいと思います。
まず、地域における障害者支援につきまして、障害の重度化・障害者の高齢化を踏まえた地域での生活の支援について、意見を述べさせていただきます。障害の重度化や障害者の高齢化に伴って、様々な福祉介護サービスの調整等を行うケアマネジメントが非常に重要になってきます。その中核的役割を担う基幹相談支援センターの必置化を求めていきたいと思っております。当然財源確保も必要となってまいります。
現在、基幹相談支援センターの設置状況ですが、平成31年の4月の時点で全国1,741市町村中688市町村、約40%という報告が上がってきております。人口規模別に設置率を見ますと、人口10万人以上の自治体では6~7割となっておりますが、一方で、10万人未満の比較的小規模な自治体では3~4割という状況になっております。基幹相談支援センターが未設置の市町村では、基幹センターが担うべき幾つかの機能、例えば総合的・専門的相談支援であったり、地域の相談支援の強化であったり、そういった機能が十分に発揮されていないということで、相談支援のさらなる充実が求められるところだと考えております。これらの障害者の地域生活を支える核である相談支援の充実のために、基幹センターの必置を求めていきたいと考えております。
続きまして、一人暮らしを望んでいる障害者がチャレンジできる支援の仕組みとして、通過型グループホームを提案したいと思います。通過型グループホームの制度化によって地域での自立生活の機会が増えるだけでなく、より必要性の高い重度障害者の方がグループホームを利用しやすくなる効果も考えられると思っております。グループホームに入居されている方の中には、一人暮らしを希望され、支援があれば可能な方もいらっしゃると思います。しかし、現行のグループホームでは、なかなかそういった支援を想定した人員配置等のサービス体系になっておりません。
現在、東京都が実施しております通過型グループホームの仕組みがございます。おおむね利用期間を3年として、入居時に利用者が一人暮らしを実現するためのマネジメント機能を持って支援に当たるというような仕組みになっており、多くの実績を上げております。これらを全国展開することができれば、入居期限を設けることで入居者と職員双方が利用の目的や目標を共有することができ、支援のめども立てやすく、通過型のメリットを最大限に生かして地域での一人暮らしを推進できる。それによって滞在型のグループホームの利用がさらに推進されて、重度の方も利用しやすくなるのではないかと考えております。
続いての論点ですが、地域での自立生活の移行、相談支援の在り方等につきましては、一般相談支援と特定相談支援を一本化することを求めていきたいと考えております。現在、全国に特定障害児相談支援事業所等は1万強ございます。一方、一般相談支援事業所は3,377という数字にとどまっております。一般相談で行われる地域移行支援、そういった利用対象の方への対応をさらに広げる意味でも、これらを一本化するという形でぜひ推進していただきたいと思っております。
続きまして、長期在院者の地域生活の移行につきましては、先ほどの東さんのお話にもありましたが、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築、検討会の報告にもありました。その中で、ぜひ取り組んでいただきたい市町村による長期在院者の訪問、これらを制度上の位置づけとして行っていただきたいと考えます。また、報酬化されましたピアサポート加算について、ピアサポーターの養成と配置の促進が十分行われるように、国の責任としてリードしていただきたいと考えております。
少し時間がなくなりましたので、次に就労についての話をしていきたいと思います。障害者の就労支援につきましては多様な就労ニーズへの対応という論点について、まずお話ししたいと思います。短時間雇用などの多様な就労ニーズに対応するためには、現在実雇用率が低い常用労働者100名未満の企業はもとより、雇用義務がない常用労働者43人以下の企業での障害者雇用の推進が必要と考えております。このため、43人以下の企業でも障害者雇用を進めやすくなる施策、インセンティブ制度を検討していただきたいと思います。例えば雇用調整金の報奨金の評価対象を6カウントという要件でなく、従業員数に応じた比例制にしてはいかがかということも考えております。
続いて、加齢に伴う能力変化につきましては、キャリアプランや働き方、合理的配慮について検討した上で、本人の意向に沿って行うべきと考えております。具体的には、特に知的障害者の場合、体力以外の能力を使う仕事への転換が難しいということで、加齢に伴う能力の衰えで雇用の継続に関わる問題となることがよく耳にされるところです。この問題を解決するために、定期的なキャリア形成のための仕組みであるセルフキャリアドックの推進であったり、職場適応援助者等の外部専門家を活用して、継続雇用のための職務開発・職務転換をする仕組みの構築が必要と考えております。それによってキャリア支援とともに、加齢の問題に関して早めにキャッチすることができ、本人に合った業務や多様な働き方を検討できると考えております。
また、一般就労か福祉就労という二者択一ではなく、障害福祉サービスを利用しながら働き続けることができる仕組みも必要と考えております。例えば就労継続支援事業などを働きながらも利用できるような柔軟な運用も考えられるのではないでしょうか。
雇用と福祉の連携強化についてですが、こちらについてはILOが提唱します働きがいのある人間らしい仕事という意味の「ディーセントワークの実現」という視座から検討することが必要と考えております。ディーセントワークとは、権利が保障され十分な収入を生み出し、適切な社会的保護が与えられる生産的な仕事を意味します。人間としての尊厳を保てる生産的な仕事という意味です。もちろん障害者に限った考え方ではありません。ILOは全ての人にディーセントワークをという目標を掲げております。
続きまして、ハローワークの障害者窓口での件なのですが、必須となっているわけではないのですが、どうしても医師の意見書を求められるということが現場で非常に重要視されております。職業準備性の把握につきましては、就労移行事業所や相談支援事業所などの支援機関と本人で作成した就労パスポートなどをこれに代えて選択できるような柔軟な取扱いを検討していただきたいと思っております。それによって多面的なアセスメントが可能となり、ハローワークにおいて適切な職業紹介にもつながると考えております。
雇用、福祉それぞれに各課携わります相談支援専門員や就労移行、就労定着の支援員等の人材につきましては、ジョブコーチやIPS援助つき雇用の体系的な研修の機会を通して支援の質の向上を図る必要があると考えております。本人中心かつ医療チームと密な連携を重視したIPS援助つき雇用が効果があると言われておりますが、全国的に取り組む事業所も増えており、精神障害のみにかかわらず、多様な要支援者に有効であることはアメリカの各地の実践においても実証済みです。ぜひこちらの考え方も取り入れていただきたいと考えております。
最後に、その他の論点につきましては御覧いただいたとおりとなっております。
御清聴ありがとうございました。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
続きまして、社会福祉法人日本身体障害者団体連合会様からお願いいたします。
○荻津氏 日本身体障害者団体連合会施策検討委員長の荻津と申します。どうぞよろしくお願いをいたします。
初めに、地域における障害者支援についてです。地域での生活の支援について、障害の重度化や障害者の高齢化による要介護状態、または要支援状態の予防を図るためにも、地域の特性や障害者の状況に応じて柔軟な形態で実施でき、健康づくりや生きがいづくりに寄与できる地域生活支援事業を充実すべきと考えております。
その一環として、地域の障害当事者による自主グループの活動、例えば健康増進のための教室や閉じこもり、孤独な環境防止のための交流の場などを支援して、これらの活動を通じた障害者の社会参加の意欲を高める取組が大切であると考えます。そして、これらの活動をよりやりやすくするためには財政的支援を含めた市町村行政の支援も必要であり、地域間格差の是正にもつながるのではないかと考えます。
次に、相談支援の在り方について、また、地域生活に必要な暮らしの支援についてです。相談支援専門員の役割は単なる計画策定にとどまることなく、自立支援協議会や基幹相談支援センターを中心に地域のネットワークを形成し、その地域における社会資源の開発や掘り起こしを担う必要があると考えます。さらに改正社会福祉法による参加支援や地域づくりといった観点も踏まえると、障害領域で蓄積してきた支援の仕組みは、地域の支援ニーズに対応する包括的な支援体制構築の中核となることが求められると考えます。
また、日々の業務に追われる現状を改善するとともに、計画相談に偏った報酬体系を改める必要があります。その上で、包括的な支援体制を構築するために、高齢、児童、生活困窮分野、そして、障害当事者団体との連携が求められます。その際、災害時の要支援者への対応についても構築する必要があります。
地域における包括的な支援体制の構築には、障害当事者である障害者相談員や障害当事者団体が、学校や地域で障害理解の話題を提供したり、当事者としての体験を基に、誰もが暮らしやすいまちづくりのための点検や提言を行う意義は大きいと思います。そのためにも地域生活支援事業の拡充を行い、障害当事者や障害者団体活動の活性化を促進する必要があります。なお、東京オリンピック・パラリンピックの開催を契機として策定されたユニバーサルデザイン2020行動計画には地域共生社会実現に向けたメニューが盛り込まれております。この行動計画を一過性のものと終わらせるのではなく、レガシーとして持続していくことが重要であると思います。
次の障害児支援については、特に意見は割愛させていただきます。
続きまして、障害者の就労支援についてです。一般就労から福祉的就労への移行についてです。基本的に働きやすい環境づくりが大切だと思いますので、多様な就労ニーズに応えるためには週20時間未満の短時間就労は重要と考えます。現在の雇用率の算定では、週30時間以上は1人、20時間以上30時間未満は0.5人となっています。20時間未満は対象外となっております。20時間未満の短時間雇用であっても、2人以上の雇用時間を合わせて、例えば合計30時間以上になれば雇用率の対象にするなどの仕組みがあれば、企業のインセンティブにもなると考えます。一般就労と就労経営福祉サービスを併用できるようにする必要もあります。
加齢等によって体力が低下した場合や、一時的に体調を崩した場合に、企業雇用を継続しつつ、就労継続支援事業を利用することで、体力の維持や企業職場での新たな業務の切り出しなど、支援員がサポートできるようになると考えます。また、福祉就労への移行も大事な選択肢でありますが、その場合は本人の意向を尊重し、安易に福祉的就労への思いを誘導することもないよう注意する必要があります。
次に、雇用と福祉の連携強化についてです。障害者総合支援法に基づく一般就労支援と雇用促進法に基づく職業リハビリテーションを合わせた一体的な支援の展開が求められます。現状では福祉施策と労働施策で別々にアセスメントし、別々に支援していますが、双方が連携して支援対象者の支援内容を共有する必要があります。そして、社会参加・余暇活動支援等も含めた総合的な支援計画を作成し、福祉、雇用、教育などの各分野の関係者、すなわち、就労支援事業所、企業、ハローワーク、障害者就労生活支援センター、特別支援学校、障害当事者団体などが集まって情報を交換するとともに連携して一体的な支援を展開する必要があります。
また、福祉施策の就労定着支援事業の支援対象者について、対象外としている特別支援学校の卒業生や福祉サービスを利用していない一般就労者に対しても定着支援できるよう制度を変更することが求められます。
続きまして、その他で、障害福祉サービス等の制度の持続可能性についてです。制度の持続には、これまで述べてきたことに加え、人材の確保も重要なことの一つと考えます。利用者支援だけでなく、年々事務作業の質量が増え、職員に負担がのしかかっている現状に鑑み、適切な情報を把握した上での業務の簡素化や、ICTの活用等により事務量を減らすことが必要です。そうすることによって、法律的な運営とともに地域間の格差がなく、必要かつ質のよい福祉サービスの提供が期待できるものと考えます。
私どもからは以上です。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまいただきました4団体からの御意見につきまして、委員の皆様から御質問等がございましたら挙手をお願いいたします。御発言についてはできるだけ簡潔にお願いいたします。なお、この第1グループにつきましては、11時をめどとして御議論いただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、櫻木委員からお願いします。
○櫻木委員 ありがとうございます。それでは、日本精神科看護協会さんと日本精神保健福祉士協会さんに御質問をしたいと思います。
まず、日精看さんのほう、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの中で、必要なときに必要な医療が受けられる医療体制を確立するということを取り上げられましたけれども、まさに我々の意見と同一のところがあるかと思います。入院医療から、あるいは地域医療、それから、地域での様々な支援の在り方というところにシームレスな体制をつくっていくことには我々も共感をいたします。その中で、訪問看護について触れられておりました。訪問看護のいろいろな内容のことについては我々も、例えば主治医のほうから指示書を出すとか、あるいは訪問看護の従事をされている方から報告書をいただくというようなことで非常に連携がスムーズな形で取れていると考えていますけれども、これが例えばそれ以外の地域援助事業者と医療の連携を確保する上で、何かお考えがあればお教えいただきたいと思います。
続いて、精神保健福祉協会さんのほうですけれども、利用期限を定めた通過型のグループホームというようなことが取り上げられておりました。ちょっと私のほうの聞き方が少し十分でなかったのかもしれませんけれども、通過型のグループホームのほうが、より重度の方が利用しやすくなるとお話をされていたように聞いたのですけれども、その辺の御説明をよりしていただければありがたいと思います。
それから、ハローワークでの医師の意見書について取り上げられておりました。我々も例えば鬱病の患者さんが職場復帰をするときにいろいろな意見を申し述べさせていただきます。例えば勤務は少々様子を見てからにしてくださいとか、あるいはトライアルのような形で短時間の勤務から始めてくださいとかお願いをしつつ意見書を書くのですけれども、今の話だと就労パスポートの中身が私にはもうひとつよく分かっていないのですけれども、就労パスポートというのに代えて。主治医の意見書はあまり必要がないのだと聞こえたのですけれども、それについて御説明をお願いしたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 それでは、東様からいかがでしょうか。
○東氏 御質問ありがとうございます。東です。
訪問看護と地域援助事業者の連携についてということですが、各種支援会議等ではなるべく参加をさせてもらうという方向性を出させてはいただいております。
あと、訪問看護の報告書ですが、主治医のほうには必ず送らせていただいているのですが、地域援助事業者に必ずしも報告書を送っているかということは、必ずしも送っているとは言えない現状があるのではないかと思っておりますので、書面で言うと主治医に出させていただく訪問看護の報告書、計画書等を地域援助事業者とも共有するという方向性のほうがよいかと思っております。
あとは支援会議の中で、なかなか訪問看護師が時間が取れず、一人一人の方の支援会議に参加することが難しいという現状もあるのですが、極力支援会議等に参加をさせていただき、連携を図りたいとは思っております。
以上です。
○菊池部会長 廣江様、いかがでしょうか。
○廣江氏 櫻井先生、御質問ありがとうございました。
グループホームにつきましてですが、私の説明不足で十分な説明ができなかったと思いますが、通過型グループホームに重度の方が利用していただくという意味で説明したわけではなく、現状のグループホームの中に通過型が向いているタイプの方、一人暮らしを希望されている方もずっとそこにとどまっているという方々が多くいらっしゃるのではないかというところで、そこの方々をどんどんアパートに出て行っていただくということで、全体のパイの中で、重度の方がずっと待機状態が続いているというところを解消していけるのではないかという意味で説明をさせていただきました。
それから、ハローワークの医師の意見書につきましては、当然、医師の意見書には重要な内容が含まれていると思います。これが不要ということではなくて、そちらの医師の意見ももちろん踏まえつつ、一方で就労パスポートというものも、具体的にこれが就労パスポートですというものが決まっている仕組みではありませんが、例えば今までどういうサポートを受けてきた、もしくはどういう仕事をしてきた、そういったものを含めて、それから、御本人の意向、こういう仕事に就きたいというような思いですとか、そういったものがそこに入っている。さらには支援者のアセスメントがそこに書き込まれているというような総合的な本人のアセスメント情報です。そういったものが含まれているということで、こちらの就労パスポートを使うことで、多面的なアセスメント情報を基に職業紹介ができるようになるのではないかと考えている次第です。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、オンライン参加の皆様から、竹下委員、岡田委員、井上委員からお手が挙がっております。ほかにはよろしいでしょうか。それでは、竹下委員からお願いいたします。
○竹下委員 ありがとうございます。日視連の竹下です。
まず、精神科看護協会の方に1件お聞きしたいのは、ピアサポートの位置づけの問題です。私は非常にこの点は重要だと考えている立場なのですけれども、具体的にはどういう形でピアサポーターに関与してもらうのか。ピアサポーターの職種としての位置づけ、ないしは役割、役割はここに書いてあるのだけれども、具体的にはどういう配置の仕方が考えられるかについて、考えていることがあれば教えていただきたいというのが1点です。
それから、精神保健福祉士協会の方にお聞きしたいのは、特定相談所と一般相談所の合体をおっしゃっているのですけれども、現在のような形でどういう弊害があると考えておられるかについて御指摘いただければありがたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 それでは、東様からいかがでしょうか。
○東氏 御質問ありがとうございます。
現状でピアサポーターの方というか、ピアの方を医療機関で雇用しているというところはありますので、雇用の場所として医療機関で仕事をしていただくということはありかなと思います。その中でデイケアや地域で生活をされている方の支援をする立場として、ピアサポーターとしての位置づけでも雇用が進むとよいのではないかと思っておりますし、看護師の資格があれば訪問看護という形で雇用ができるとよいのではないかと思っております。
また、地域移行支援や地域定着支援においては、ピアサポーターの方が相談支援事業所に配置をされ、その配置の中で医療機関に一緒に入っていって、ピアとしていろいろな相談を受けていただくとか、そういう活動もできるのではないかと思っております。
以上です。
○菊池部会長 それでは、廣江様、いかがでしょうか。
○廣江氏 特定と一般の問題なのですが、現状で一つ課題と思っていますのが、福祉サービスを利用していた方が、精神科ではなくて一般の病院に入院してしまうようなケース、そこからの退院に向けての支援、もしくは在宅の方、同居家族等がいらっしゃったのですが、そこから諸事情によって一人暮らしをしなければいけなくなるというような方もいらっしゃいます。そういった方への支援が今のところ指定特定の特定事業所が担うような形になっております。そこのあたりも地域相談のほうで対応できるような形になるとよいのではないかと、地域相談支援の対象範囲を拡大したいというところです。そのような観点からも、地域相談についてはなかなか活用が進んでいないというところも踏まえまして、特定と一般、ぜひ一緒に一本化していくといいのではないかと考えております。
○菊池部会長 ありがとうございました。
次に、岡田委員からお願いします。
○岡田委員 ありがとうございます。全国精神保健福祉会連合会の岡田です。
私からは日本精神科病院協会さん、それから、精神看護協会様、それから、日本精神保健福祉士協会様に共通の御質問をさせていただきたいと思っております。
1点目が、精神障害者の地域生活の継続の実現には精神障害への偏見の克服というものが大きな課題だと考えております。このことに寄与する可能性として、先ほども話題に上がりましたけれども、ピアサポーターの活躍ということが考えられると思いますが、精神科看護協会さんからは少しお話がありましたけれども、今後のピアサポーターの活躍についての考えをぜひ、重なる部分もあるかと思いますけれども、それぞれお聞かせ願いたいということが1点目です。
2点目は、地域生活の中で、やはり精神障害者の家族支援の必要性ということが考えられると思うのですけれども、そのことについての考えをそれぞれお聞かせいただけたらと思います。
よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 それでは、櫻木委員からお願いします。
○櫻木委員 ありがとうございます。
ピアサポーターのことに関しては、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築に係る検討会でもかなりいろいろな意見が出ました。私もピアサポーターの立場というのをきちんと確立して、ちゃんと報酬がいただけるような形で、やはり考えていただくべきだろうと考えて、そのことについてお話をしました。先ほど日精看の方からもお話がありましたけれども、例えばデイケアの現場であるとか、あるいは訪問の現場でピアサポーターが活躍できるというようなことは十分に考えられると思います。むしろそういった形で活躍をしていただくということが、例えば長期の入院の患者さんに対しても精神的なサポートになるのではないかと考えています。
それから、家族支援の在り方の話です。結構我々の病院などでも、昔、家族会というのを病院単位でもやっていまして、そこでいろいろな御相談を受けたり、あるいはお互いに支援をするというような場がありました。今、入院自体が短期の入院の方が増えてきていますので、家族会というような形ではなかなか御相談には乗れていないのですけれども、何らか新たな形で御家族の支援というようなことは考えるべきだと考えています。
○菊池部会長 東様はいかがでしょうか。
○東氏 御質問ありがとうございます。
まず、偏見の克服について、ピアサポーターさんがどのような活躍をということですが、当協会では心の健康出前講座という形で、地域の方に対する心の健康に関する啓発活動を行っております。そこは今、基本として看護師が出向いて行っているわけですが、そこにピアの方と一緒に行ってお話をさせていただくということも一つの活用の在り方ではないかなと思っております。
次に、家族支援についてですが、御家族の方は精神障害の方を支援する立場ということと、あとは家族という当事者としての支援ということ、この2種類の支援があるのではないかと思っております。看護師が地域家族会等々に出向いていって、地域の家族会の方たちの御相談を受けたりとか、一緒に何か活動を展開するということは、日精看としても広くやっていきたいことでございますので、そういう形での支援をさせていただけたらと思っております。
以上です。
○菊池部会長 それでは、廣江様はいかがでしょう。
○廣江氏 ピアサポーターの活躍についてですが、これは幾つかフェーズがあるのではないかと考えております。今回報酬化されましたが、常用雇用ということを目指すようなピアサポーターの在り方、それから、単発で講演をしたりとか、そういった活動の仕方、また、当事者団体での活躍、そういった活動の仕方もあろうかと思います。ピアサポーターの多様な活動の仕方があると思いますので、それぞれ皆さんがしっかりとした活動ができるように仕組みを整えていく必要があろうかと思います。
それから、家族支援につきましては、今、家族会に入会される方も非常に減っているということを地元の家族会さんからもお話をよく耳にしております。また、そういった御家族のニーズが時代にとともに変わっていくことも、しっかり我々として踏まえながら、地域で多くの共同で取り組むような活動をしっかり推進していきたいと思っております。もちろん御本人もですが、御家族ともども生き生きと地域で生活していただけるような取組が今後も継続して行われる必要があると考えております。
以上です。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
続きまして、井上委員からお願いいたします。
○井上委員 ありがとうございます。日本知的障害者福祉協会の井上です。
4団体ともに大変示唆に富んだ提言をいただき大変勉強になりました。
日本精神科病院協会の櫻木先生に御質問というか意見ですけれども、障害支援区分についての記載というのは本当に参考になるところが多かったですし、多くの資料で大変勉強になりました。特に私どもと同じような課題だなと思うのは、私たちの知的障害の分野でも比較的軽度の障害の人たちの支援区分という問題が非常に大きなテーマの一つとなっておりますので、今後ともいろいろな面で教えていただいて、先生の言ういわゆる社会参加の視点をより取り入れた障害支援区分となるよう変えていければ嬉しく思います。
もう一点が、身体障害者団体連合会の先生に一つ、これも同じような意見ですけれども、最後の障害者支援サービスの今後の制度の持続可能性という部分では、私どもも人材の確保というところが非常に大事なのではないだろうかと、特に人口減少だったり労働人口が減っているところでは、障害のある人たちを支える人の問題が非常に大きな課題になっていると思っておりますので、このあたりの視点も加えていただいて、何かコメントがあればいただければありがたいと思います。
以上でございます。ありがとうございます。
○菊池部会長 それでは、御意見とともに何かコメントがあればということでございます。
まず、櫻木委員からいかがでしょうか。
○櫻木委員 本当におっしゃったとおりで、いわゆる障害の程度というよりは社会参加、あるいはその日常生活で、よりその人らしい生き方を支援するような形の区分となっていけばと思っています。これから我々もいろいろ研究をして、その辺のところをそういう方向でやっていきたいと考えております。ありがとうございました。
○菊池部会長 荻津様、いかがでしょう。
○荻津氏 理事の浅香のほうから。
○浅香氏 日身連の浅香と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
福祉サービスの持続可能性ということですけれども、細かな障害者のニーズに応えて、多様な制度施策が生まれてきたと思っております。しかしながら、福祉を希望する人材は圧倒的に少ない。制度や施策の施行に追いついていないのが現状だと考えております。より効率的な事業所運営はもとより、福祉に対する就労意識を高めさせていく方策を講じることによって、人材の育成・確保と、それによる質の高いサービス供給ができるものと考えております。
簡単ですけれども以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、大濱委員からお願いいたします。
○大濱委員 脊損連合会の大濱です。ありがとうございます。
日身連の荻津さんにお聞きします。相談支援の中で計画相談に偏った報酬体系を改めるべきというお話があったと思いますが、これは具体的にどのように報酬体系を変えたほうがいいのか、そのあたりの御意見があったらお願いします。
○菊池部会長 それでは、日身連様、いかがでしょうか。
○浅香氏 浅香と申します。今言われた報酬体系の改正についてということでございますけれども、やはり部分的な報酬体系であると、やはり事業所運営に支障を来しているということを多々話に聞くところであります。一元的なというか、一括的な報酬体系にしていただくと、事業所の運営に支障を来すことも少なくなるでしょうし、イコール我々障害当事者にとっても、相談しやすい体制づくりができるのではないかと考えております。
以上です。
○菊池部会長 よろしいでしょうか。
特にほかにはございませんようですので、この辺にさせていただきます。4団体の皆様、本日は大変ありがとうございました。非常に貴重な御意見を賜りました。
それでは、次のグループに移らせていただきます。御準備のほど、お願い申し上げます。
まず、公益社団法人日本精神保健福祉会連合会様からお願いいたします。
○木全氏 ヒアリングにお招きくださいましてありがとうございました。全国精神保健福祉会連合会です。すなわち家族会です。家族会という名称が退いてしまったので、これだけだとちょっと分かりづらいですね。要は家族会の全国組織であります。理事長がお話しすべきことなのでしょうが、理事長の岡田は本会議の構成員でありますので、副理事長の木全が話させていただきます。
まず地域における障害者支援です。私どもは介護と障害を一本化するという方針に基づいて、介護保険優先の原則の見直しが必要ではないかなと考えております。もう一つは訪問支援を充実させてほしいということです。
内容としては、福祉サービスが施設利用という枠にとどまるのではなくて、展開されていくことが必要ではないか。年齢や世代間で切れることなく、生活を継続していくための支えとなる提供が欠かせません。そのために、介護保険優先にこだわらず、必要な加算を恒久的に実施することが重要と思います。65歳になった障害者が従来のサービスを受けられなくなる問題が見受けられます。「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」の第7条に規定された介護保険優先原則を撤廃することが必要だと思っております。
この法律は障害者の自立のための法律であり、介護とは本質的に異なるものではないかと思っております。同法のサービスを介護保険のサービスに相当するとみなすべきではないと思っております。現状では、まず精神障害やその支援の独自性が介護保険事業所に理解されるように、事業所がヘルパーに対し精神障害に関する研修を義務づけるなどの仕組みが必要ではないかと思っております。
次に、地域での自立支援生活についてであります。障害者当事者家族のヒアリングと相談支援における精神障害者家族加算をしていただく必要があると思っています。福祉サービス利用者はもちろんですが、サービス利用ができなかったり、求めるサービスがない状況にあることを含めて、ニーズに応じた対応を実現するには、当事者家族からの声を最大限反映できる仕組みにしてもらう必要があると思います。
次に、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの推進です。これが全国で進んでいるわけでありますが、この中で4つほど述べさせていただきたいと思います。
1番目に、精神障害についての正しい情報の普及啓発、精神障害のある人が地域で安心安全に暮らせるには、精神障害への偏見をなくしていくことが重要だと思っております。義務教育で精神疾患についての正しい教育の実施を求めていきますが、教職員への教育、さらには精神科医療を含めた医療従事者への教育も必要だと思っております。
2番目に、本人を中心に据えた支援ネットワークをつくることで、安心安全な地域生活の実現を目指すことが進められていることに大いに期待は持っております。その中で、本人の意思を確認しながら地域支援ネットワークをつくって、必要に応じて調整をする。いわゆるマネジメントの役割は誰が担うのかということが明確にされていないのではないかと思っております。高齢者の支援体制のように責任を持ってマネジメントする人の存在が必要だと思っております。精神障害者の場合には、本人の状態によって医療関係者がマネジメントするのがよい場合と、地域の支援者がマネジメントするのがよい場合があると思われます。その人にとって必要な立場の方が責任を持ってマネジメントできる体制をつくっていただきたいと思います。
3番目で、家族支援の取組であります。精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの一事業として、精神障害者の家族に関わる事業に取り組むことが言われていますが、本人が精神的不調を表し始めた当初から医療につなげる、回復経過を見守り福祉サービスにつなげる、就労先を模索する等々、全てのプロセスで家族が関わらなければならない現状です。家族自身も当たり前のことと考えて問題を抱え込んでしまっていた傾向があります。このことから本人の意思決定に家族が深く入り込みすぎるという問題も生じております。家族が問題を抱え込み、そして、家族が本人とともに地域で孤立することを防ぐためには、障害者支援施策の前提として家族は障害当事者と同様に支援される存在である。この認識が広まっていくことが必要だと思っております。
このような認識が広がって、障害者当事者とともに、そのケアする家族も支援の対象となり支えられることで、その家族はその後に貴重な体験を生かした地域のインフォーマルな支援力になり得ると思います。家族自身の支援をすることが、当事者の病状回復とリカバリーに重要であります。このことは精神に特化されたことではないわけですけれども、他の障害等も共通している視点だと考えております。したがって、障害者総合支援法に家族支援をしっかりと位置づけることを求めていきたいと思っております。
4番目に、訪問支援の重要性であります。例えば私どもも行ってきたのですが、イギリスにはメリデン版訪問家族支援というプログラムがあります。それから、スウェーデンのほうにはオープンダイアログということで訪問支援をする。訪問支援が目的ではないのですが、訪問で治療も家族支援もやっているシステムがあります。訪問支援をするマンパワー、これは医者だとかPSW、心理師が圧倒的に不足しております。また、全国的に見ても訪問支援をする組織がないか、あるいは貧弱な状態です。精神保健の先進国を調査して、それに学び、政策に取り入れていただきたいと思っております。先進国とは何をということになると、今、我々家族では、英国、フィンランド、ベルギー、ドイツ、フランス、イタリア等は、日本に比べれば、精神障害については先進国だなと思っております。
次に、障害者の就労支援についてであります。短時間雇用はフルタイム雇用の段階的な位置づけはなく、短時間労働だからこそ継続して能力を発揮できるケースを想定して、ものを考えていただきたい。要するに短時間労働は経過でなくて、ずっと短時間労働だっていいではないかということであります。週20時間未満の超短時間労働も雇用率に反映できるようにしていただくと、雇用主も意欲が湧いてくるのではないかと思っております。
また、病状の悪化や体力の減退等、一時的に併用できるなど、柔軟な対応が求められるケースには積極的な対応が必要だと考えます。ただし、安易な雇用形態の解消に結びつかないように、原則としては一般雇用の中での支援の充実が重要であると思います。
雇用率ありきの雇用ではなく、障害特性や実態に合った時間での雇用ができるようにするべきだと思います。
最後に、その他でありますが、マンパワーの確保のために財源の確保の施策を、やはりみんなで考える必要があるのではないかなと思います。また、パーソナルアシスタントの検討をお願いしたいということです。国庫財源の配分には、事業実施に欠かせない人材の流出が大きい財源確保が必要です。
パーソナルアシスタントの問題でありますが、サービス事業所を通さずに、本人が介護者を直接雇用する仕組みを考えていただきたいと思うわけです。これは私どもに広島市の社協の例がちょっと耳に届きましたので、これはボランティアの派遣についてでありますが、本人の希望したヘルパーを社協に登録させて、希望した人に社協が派遣するという仕組みを行っているようです。これはボランティアということでありますから、限定的ですぐ応用できるわけではないのですが、報酬体系のある制度として、希望した人に来ていただけるという一つの形態としてどうかと思うわけです。
○菊池部会長 木全様、大変恐れ入りますが時間がまいっておりますので、おまとめいただけますでしょうか。
○木全氏 分かりました。当事者が直接雇用できる仕組みが一番よいと思いますのでお願いします。
以上です。すみません。
○菊池部会長 大変恐縮です。ありがとうございました。
続きまして、一般社団法人日本精神保健福祉事業連合様からお願いいたします。会場からということでお願いいたします。
○大友氏 資料6に基づいて、簡単に説明したいと思います。
今回の検討会の主な検討事項ということで、全部でその他も含めて4点ありますが、時間の関係でテーマを絞って説明したいと思います。
最初の地域における障害者支援についての最初の障害の重度化、障害者の高齢化を踏まえた云々というところで、家族形態の多様化、単身世帯の急速な増加傾向にある中で、重度化障害者の高齢化を踏まえて、令和3年度4月のグループホームの報酬改定について、重度化・高齢化に配慮した改定を出されたということについては高く評価できると思っています。
ただ一方で、障害者区分3以下は評価が低くなって、報酬が大幅に減少するということになりましたし、休憩時間の取扱いが変更になったことで、人件費や待機の人も含めて給与を払わなくてはいけないみたいな仕組みになりましたので、結果としては、事業所は大変経営的に苦しい状況になって、夜間支援体制も急遽止めざるを得ない。それで、通知がかなり直前になって来ましたので、なかなか現場としても混乱している状況がありますので、その辺は、今後家族形態の多様化・単身化が急速に進んでいく中で、親亡き後の地域での生活支援というところで、グループホームは非常に大きな役割を持ってきますので、今度の見直しの中では、地域生活におけるグループホームの重要性を踏まえた対応をぜひ御検討をお願いしたいということが一つです。
また、令和3年度の自立生活援助事業が標準利用時間原則1年を超えて複数回認めたということについては、実態に即した改定だと一定評価できますが、ただ、精神障害者の場合ですけれども、利用者の意思決定とか区分申請、あるいは役所による認定審査会日の調整とか、認定調査とか、その上で区分審査会に上げて区分決定まで、やはりどうしても最低3か月とか4か月、場合によっては5か月ぐらいかかるのが実務のフローですし、そういう中で原則2回、あるいは複数回認めるといっても、その後に4か月、5か月かかって地域に定着するための具体的な支援が始まって、また市町村の個別審査を要件とするとなっていますが、この辺はかなり事業のスムーズな運営を考えたときに、柔軟な取扱いをぜひお願いしたい。できれば介護認定制度のような仕組みをもう一度考えていただきたい。
これは横浜市の自立生活アシスタント事業を一つのモデルとして、こういう事業が設けられたと思うのですが、横浜市の場合は大体3年とか5年ぐらいですし、補助金については人員の配置は1.5人で970万ぐらいです。これは人員配置基準を緩和されて、サービス管理責任者と地域生活支援との兼務を認める方向だということですが、やはり兼務ということではなくて、一つの独立した事業として実施できるように、報酬単価についても単独で成り立つような事業の仕組みという方向を考えていただきたいと思っています。
2番目の障害児支援については飛ばして、3番目の障害者の就労支援についてということですけれども、まず基本的な考え方として、現在のA型とかB型とかについては、やはり障害者の捉え方として生産性の側面、あるいは工賃を幾らお支払いしたかというところで評価されている。それは一つの基準としては合理性を持つものだと思いますが、やはり働きたくてもなかなか就労が困難な人もいるということは事実でありますので、そういう人たちが地域の生活者としての側面、社会の中でちゃんと役割があるという、そういう役割をどのようにつくっていくか、生活者として地域の中でどのように活躍場所を用意するかということも考えて制度設計をしていただきたい。現状は必ずしもそうなっていないのではないかということ。
あと、働き方の捉え方として、工賃、賃金ということは当然非常に重要な指標になりますけれども、やはり働きがいとか、本人の自尊心とかプライドがこの仕事をしてよかったなみたいな、その辺の働きがいということもきちんと評価する仕組みを考える必要があるのではないかと思います。これまでの障害者の就労支援に関わる制度設計においては、障害者の捉え方として社会モデルと言いつつも、障害者の生活者としての側面や働き方、プライドの側面に十分に配慮した制度設計とはなっていないと感じていますし、ここには書きませんでしたが、精神障害者については特に病状の変化だったり、必ずしも安定的に通所できる状況ではありません。
全国的には日中活動支援型の事業所でも、どの事業所もやはり50%とか55%の出席率ですので、20名を確保するのに35名とか45名を確保しないとできない、経営の安定が難しいという実態が全国どこでもなっていますし、ここは知的障害者の大分違うところですので、やはり就労支援の制度設計に当たっては、そういう出席率が障害特性として悪いのだということを前提に制度をつくらないと、精神障害者の事業所にとっては仕事は増えるけれども、単価が安いという実態はずっと変わらない。そこにも着目した制度設計をお願いしたいということです。
それで、具体的にそういう基本的な考え方の上で、令和3年度の報酬改定においてはB型について、平均工賃に応じた報酬体系と利用者の就労や生活生産活動をもって一律に評価する新しい制度を新設された。さらに地域活動加算とか、ピアサポート実施加算とかを申請されたということは、非常に大きな前進だと思っています。ただ、持続的、安定的な仕組みとして改定されたとはまだ言い難い側面がある。就労Bそのものは、理念も崩壊し液状化しているのが実態で、それに対して一定、実態に即した再整理をしようという意欲というか、そういうのが見えますし、そこは非常によかったなと。
ただ、利用者の就労や生産活動への参加をもってと、まだまだやはり就労とか工賃とか生産活動とかに引きずられているなというか、やはり障害者の持つ生活者として、あるいは地域で生活している、そういう人の地域での居場所や活躍の場所を保障するという、そういう就労にはこだわらない社会参加型、地域で生き生きと生きていけるような仕組みというところに、もうちょっと踏み込んでいただけるとありがたい。
また、就労支援のA型については、障害者が持つ労働者性を前提とした保護的な就労の制度として、労働法も適用事業所としてもっともっと純化させていくことが必要ではないかと思っています。ただ、比較的重度の障害者や55歳以上の障害者については、最賃適用除外という仕組みも導入することが必要ではないか。
最後に、雇用と福祉の連携強化について、福祉的な就労については大きく労働法を適用した就労に特化した仕組み、そして、保護的な就労、あるいは就労したいけれども、なかなか就労が困難な人に対して、地域の中で活躍の場、あるいは居場所を保障するような、大きくはそういう3つの視点でA型、B型、あるいは地域活動支援センターをやはり再整理する必要があるのではないか。どうしてもこの制度は大分昔の話になりますが、支援制度が破綻する中で、かなり急ごしらえでつくったという側面はぬぐえないので、もう一度その辺は考えていただきたいと思います。
ちょっと時間を超過してしまいました。申し訳ありません。以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
続きまして、全国精神障害者社会福祉事業者ネットワーク様からお願いいたします。
○森氏 全国精神障害者社会福祉事業者ネットワーク代表の森と申します。よろしくお願いします。
提出されています論点に基づき意見を述べさせていただきます。
まず、地域における障害者支援、1つ目の障害の重度化、障害者の高齢化を踏まえた生活支援についてです。重度、または高齢の精神障害者が地域生活を円滑に進めるためには医療機関や関係機関等との連携の下、疾病や障害の状況に応じた多様な支援の活用が可能な環境が必要であると考えております。
現在、地域生活を進めるために利用できる障害福祉サービスの多くが通所によるサービスが中心となっており、タイムリーにアクセスしにくい状況もあることから、通所できない状態から通所できる状態になるまでのリハビリテーション支援が必要であり、そのための個別支援を強化するために地域にある現行の就労支援事業所や生活訓練事業所などの利用可能な障害福祉サービスに訪問支援の機能を充実させ、こうした段階から始められると効果的な支援が可能になるのではないかと考えます。
それまで障害福祉サービスでサポートを受けていた障害者は、65歳で介護保険を優先して利用することになりますが、費用の負担増や支給される支援料が相当に不足する現状も散見されます。このため、障害者のニーズに合わせて、介護保険サービスと障害福祉サービスを併用して使えるような仕組みづくりが必要であり、併用に加えて、さらに上乗せ支給を審査会に提案して実施している積極的な市町村もある一方、それを認めない地域もあるなど、国の制度の運用に地域間の格差が見られます。どこに住んでも誰もが同様に福祉サービスが受けられる環境を整えるべきだと考えます。
重度で社会経験の乏しい精神障害者には、地域の福祉サービスを利用することをイメージすることが難しい場合があります。このため、体験の機会が欠かせず、これらを身近な地域で保障できるような仕組みの整備が必要と考えます。
2つ目の地域での相談支援の在り方についてですが、精神障害者の地域移行や地域生活を進めるためには医療機関との連携は欠かせません。障害福祉サービス利用以前の受診動向などの医療へのつなぎの役割の中心となるのは、地域の精神保健福祉支援など相談支援者であり、相談支援事業所であります。これらの相談支援機関に配置されている精神保健福祉士などの国家資格を有する専門職が、その専門性に見合った待遇が維持できる環境が不可欠であり、さらにこれらの専門職がその資質を向上できる研修、育成の機会を充実する必要があります。このための予算の確保、予算の裏付けなどが必要ではないでしょうか。
また、多くの精神科医療機関が複数の障害福祉サービス事業を運営しています、障害者の地域移行を効果的に進めるためには、自己完結型で事業を進めるだけでなく、地域にある相談支援事業所等との連携が欠かせないと思います。このため、医療機関と地域の相談支援事業所との連携を促進するための仕組みづくりが必要ではないかと考えます、
障害者が暮らしやすい地域づくりを進めるためには、地域の自立支援協議会の果たす役割が大きいと思います。しかし、各地の自立支援協議会の構成員はほとんどが福祉関係者で占められ、教育、医療、行政関係者が数名参加する形が一般的となっているように思われます。関係者同士に新しい視点の意見が出にくい状況もあります。このため、地域共生社会に向けた地域づくりの観点から、自立支援協議会の構成メンバーに障害当事者の代表者や企業関係者、民生委員協議会関係者、町内会連合会関係者、ボランティア関係者、地域づくりアドバイザーなどを新たに追加するなど、地域のニーズに沿った構成員を加えて、組織を活性化する取組が望まれます。これらを踏まえた国の指針・指導などをお願いできればと思います。
次に、障害者の就労支援についてです。短時間雇用など多様な就労ニーズへの対応等についてです。障害者雇用の促進のために、障害者雇用率制度は大きな役割を担ってきました。しかし、長年精神障害者がこの制度の恩恵を受けることがなかったため、精神障害者が一般企業で雇用される取組は雇用率制度が適用されないような中小零細企業への働きかけが積み重ねられていました。また、精神障害者や発達障害者、高次脳機能障害者にはいきなりの長時間での就労が難しい事例も多くあります。短時間雇用はこれらの障害者の特性をカバーし、障害者が地域で働く機会を実現する可能性を持つものと考えております。
高齢者雇用安定法の観点からも、高齢によりフルタイムに一般就労が難しくなった障害者に対し、働く場の保障として緩やかな福祉的就労が可能となる就労継続支援B型事業の併用ができる仕組みが必要と考えます。また、精神障害者が一般雇用に移行する手段として、就労継続支援B型事業を利用しながら一般企業でのアルバイトなどを行うことも有効ではないかとか考えます。
現在、週20時間未満の雇用では法定雇用率に算定されないため、複数名での積算などの雇用率制度などの検討をしてはいかがかと思います。
次に、雇用と福祉の連携強化についてですが、就労継続支援事業所や地域活動支援センター、精神科デイケアなどには一般就労が可能な精神障害者がまだまだ多く存在していると思います。事業所の支援者は利用者の一般就労の可能性に着目し、一般就労への移行を積極的に促進するような施策を推進すべきだと考えます。
一般就労を促進する評価の仕組みについて、相談支援事業所がその役割を担い、技術的、時間的に困難がある場合などは、就労移行支援事業所や就業生活支援センター及び障害者職業センターの協力を得て連携できるような取組ができる施策の展開が望まれます。
社会資源が少なく人口減少している過疎地域においては、雇用と福祉を結び連携を後押しする役割として期待できるのは就業生活支援センターであります。小規模での設置が認められていますが、小規模ではなかなか機能的に強化することが難しいので、この面での障害者就業・生活支援センターの機能強化を図る必要があるかと思います。また、障害者就業・生活支援センターでは公的機関に就労した障害者への支援が難しいことや、財政的な面でのいろいろな課題が多くありますので、障害者就業・生活支援センターの機能強化、中核的な機能を果たせる機関として、財政的な見直しなどが必要ではないかと思います。
その他ですけれども、介護保険制度の居住地特例については省かせていただきます。文書を御覧ください。
障害福祉サービス等の制度の持続可能性についてですけれども、障害福祉サービス等の制度の持続可能性が議論になる際、介護保険との統合という話がよく出てきますが、社会保障に対する国民負担の受けとめ方は個人によって避けられない高齢化の問題と障害福祉と大きく異なるものがあり、障害福祉サービスを含めて保険負担に理解を得るのは難しいように思われます。したがって、障害福祉についてはこれまでどおり税負担で政策を進めるのが必要ではないかと考えます。
一つ飛ばしまして、現在、全国各地で精神障害者に当事者活動が展開されています。精神保健福祉サービスを受ける当事者が経験によりエキスパートとしてケアシステムに関わることの利点の一つとして、再入院の防止やQOLの向上をもたらすことなどにも財政的な効果なども指摘されており、地域のニーズに合ったきめ細かな障害福祉サービスの提供が可能となると考えられますので、ピアサポート活動を制度化することを検討すべきだと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。最後のほう、時間の関係で端折る形になってしまいまして、すみませんでした。御協力ありがとうございます。
続きまして、全国「精神病」者集団様からお願いいたします。会場からとなります。
○桐原氏 全国「精神病」者集団の桐原です。障害者総合支援法の見直しについて、論点を網羅した形で資料に沿って要望形式でお話します。
第1に、ピアサポートについてです。国がピアサポーターの効果を障害の経験を生かしたサポートなどの経験に依拠したものであるとしています。しかし、ピアサポート活動の本質的な価値は経験に依拠したものという点ではなく、立場に依拠したものという点にあります。同じ問題に直面した者同士が同じ立場で問題を共有して、一緒に立ち向かうからこそ自分だけの問題ではない、私たち全体の問題なのだ、私は孤立していないのだという自信やエンパワーメントにつながっていきます。ピアサポーターは単に障害の経験を使って利用者に共感したり、健常者の専門職に向けて言語化したりするだけの中継職にとどまるべきではありません。国のピアサポートの捉え方自体を再検討してください。
令和3年報酬改定では、ピアサポーターの専門性を評価するために、ピアサポーター体制加算・ピアサポート実施加算が新設されました。同加算は地域生活支援事業の障害者ピアサポート研修の受講を要件としており、国による研修テキストの活用が推奨されています。しかし、当該研修テキストにはピアサポーター研修の想定するピアサポーターが事業所に雇われた障害者等に限定されており、自立生活センタースタッフや当事者団体などの多様なピアサポート活動が想定されていないこと、日本において長年活動してきた精神障害の当事者団体等による取組の歴史が書かれていないことなどの問題があります。これらを修正するためにも、当事者や障害者ピアサポート研修の研修テキスト及びシラバスは大幅な見直しをしてください。
これらピアサポートの専門性の評価の検討は、全国「精神病」者集団をはじめとする従来から活動に取り組んできた精神障害者の全国組織とは切り離されたところで進めてられており、価値の継承などの観点から問題があります。厚生労働省及び研究代表者の方々は、厚生労働科学研究費補助金等を財源とした調査研究に全国「精神病」者集団からの研究分担者、または研究協力者の参画に向けて調整を開始してください。
第2に、精神科病院入院者に対する意思決定及び意思表明の支援、権利擁護についてです。これからの精神保健医療福祉の在り方に関する検討会報告書では、入院中の患者の意思決定支援等を地域生活支援事業で取り組むことが考えられるとされました。これについては報告書の文脈にとどまらず、権利擁護の機能を持たせるための検討を十分行うとともに、将来的には同事業において実施してください。
第3に、通院等解除の自宅発着要件の撤廃についてです。居宅介護の通院等解除は自宅発着要件があるため、通院先から職場、職場から通院先への移動に利用できないこととされています。しかし、通院等解除の利用者が利用希望者の中には仕事終わりに職場から精神科などの通院先に移動するときに利用したいというニーズが一定程度あります。なお、介護保険法では社会保障審議会介護給付費分科会で通院等乗降介助の見直しが議論されて、自宅発着以外の経路への支給適用が認められました。居宅介護の通院等介護においても、勤務先から通院先、通院先から勤務先までの移動に使えるようにするため、自宅発着要件の撤廃をしてください。
第4に、育児支援についてです。支給決定する市町村が居宅介護の業務に含まれる育児支援の存在を知らないがために支給に至らないケースというものが散見されます。育児支援の周知が不十分であるため、改めて地方公共団体に向けて文書で周知徹底を図ってください。また、障害者を支援する責務を持った地方公共団体から支援を受けられずに、結果としてネグレクト状態に陥って、児童相談所が一時保護するケースが散見されます。これについては、障害者行政と児童行政の連携に瑕疵があると言わざるを得ません。育児支援の周知徹底と障害者行政と児童行政の連携強化を求めます。子ども家庭局が実施する検討会にヤングケアラーの支援に向けた福祉、介護、医療、教育の連携プロジェクトチームというものがありますが、こうしたところにも育児支援という観点を入れる必要があると思います。
第5に、重度訪問介護についてです。重度訪問介護は長期入院者等の退院後の地域生活の資源として極めて重要です。しかし、多くの精神障害者は障害支援区分4以上と行動障害10点以上の要件を満たすことができないがために、見守り等のニーズがあっても重度訪問介護の利用ができません。障害支援区分3以下に拡大するとともに、行動障害10点以上の要件を撤廃するか、少なくとも引き下げる見直しをしてください。
入院中の重度訪問介護の利用は、入院中からの利用を認めるとともに、区分4及び5にも適用してください。また、室外での待機の時間もサービスとして認められるよう待機の累計を新設してください。
重度訪問介護は、通勤中、通学中の利用を認めるべきです。重度訪問介護の移動制限である通年かつ長期にわたる外出を削除してください。
第6に、就労と福祉の連携についてです。就労継続支援A型・B型事業等は、居場所機能が評価されるような仕組みをしてください。利用契約書に60歳で退職のような形で利用できなくなってしまうという規定を設けているがために、居場所を失ってしまう方がいます。また、ハローワークの障害者雇用については、医師意見書がなくても登録できるようにしてください。
第7に、障害福祉サービスの利用に当たっての意思決定支援ガイドラインについてです。国連の障害者権利委員会は一般的意見第1号において最善の利益を否定しています。そのため、最善の利益を規定した障害福祉サービスの利用に当たっての意思決定支援ガイドラインは、一般的意見を参考にしながら見直しをしてください。成年後見制度についても適正化という観点から、漫然に利用件数を増やすだけの政策という形にはしないでください。
第8に、介護保険優先原則の削除についてです。同法の介護給付費の受給者が65歳になった途端に、ろくに相談もないまま介護保険に半ば強引に切り換えさせられるというようなケースが散見されます。障害者総合支援法の目的と介護保険法の目的というのが異なります。同法の介護給付を介護保険法の給付に相当するものとの見方を強める同法第7条に規定された介護保険優先原則は削除してください。
第9に、障害者虐待防止法の見直しに向けた検討の継続についてです。障害者虐待防止法附則第2条に基づく検討は、ここ障害者部会に対する報告をもって法改正をしないということでなったとされています。しかし、障害者団体ヒアリングの意見には、既存の法制度では対応できない問題点などが指摘されています。論点漏れがあると考えますので、同法附則第2条に基づく検討を継続してください。
第10に、障害当事者参画についてです。精神障害領域における障害当事者参画は、ピアサポーターの職能団体の参画が一定進んでいるものの、地域患者会や病棟患者会、自立生活センタースタッフや当事者活動団体など、幅広い層の精神障害者を構成員とした全国的組織の参画が不十分です。施策の検討過程や地域における協議の場などには、ピアサポーターの職能団体の代表者だけではなく、幅広い精神障害者を構成員とした組織から推薦を得た精神障害当事者の参画を積極的に進めてください。
最後に、これらあらゆる検討が障害者権利条約の観点から整合するかどうかということを網羅的にチェックするような形で進めてください。
以上になります。御清聴ありがとうございました。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの4団体様からの御意見につきまして、委員の皆様から御質問等ございましたら、挙手をお願いいたします。御発言につきましては、できるだけ簡潔にお願いいたします。なお、この第2グループにつきましては少し時間が押しておりますが、12時10分を目処として御議論いただきたいと考えております。
それでは、櫻木委員からお願いします。
○櫻木委員 いろいろな御意見をお聞かせいただいて随分参考になりました。ありがとうございました。
それでは、それぞれの団体に御質問させていただきます。
まず、全国精神保健福祉会連合会さんのほうからマネジメントの重要性について御指摘がありました。その中で、医療を中心とした部分と地域での援助を中心とした部分というのは、それぞれフェーズがあるだろうというお話でした。我々の意見の表明の中では、いわゆるかかりつけ精神科医機能を念頭に置いたケースマネジメントという御提案をさせていただきましたけれども、これについての御意見とか、あるいは御評価をいただければと思います。
続きまして、日本精神保健福祉事業連合の方です。グループホームが区分3以下、かなり減収になった。これは我々の影響度調査でもはっきり出てきています。それについて、やはり見直しが必要だという意見は我々も持っています。その上で、今日のほかの意見の表明の中で、利用期限を限定した上での通過型のグループホームいう御提案がありました。先ほどの貴連合さんのお話の中では、グループホームというのは町の中で障害者の暮らしを支える最もベーシックな社会資源であると、このことについて私も全く同感なのですけれども、通過型グループホームの御提案について御意見があれば、お聞かせいただきたいと思います。
それから、就労継続支援B型に関して、労働者性ではなく生活者としての側面にさらに踏み込んだ制度の改正という御提案がありましたけれども、これは現在のA型、あるいはB型に限らず、新たな類型を考えておられるのでしょうか。それもお聞かせいただきたいと思います。
病者集団さんのほうでも、A型・B型に居場所機能を評価するようにという御意見がありました。これについては新たな類型も含めて考えておられるかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
それから、全国精神障害者社会福祉事業者ネットワークさん、医療機関が種々の障害福祉サービス事業を運営していると、これが自己完結型になっているという御指摘がありました。確かにそういった事例もなくはないわけですけれども、私の意見の中でもお話をしたように、医療機関と相談支援事業所の連携というのが必ずしも十分ではなくて、その結果、利用しておられる精神障害を持っておられる方に非常に不利益になっている部分があるということも反面、意見をさせていただいたわけですけれども、医療機関と相談支援事業所の連携について、我々はかかりつけ精神科医の主治医の意見書ということで提案させていただきましたけれども、何か連携に関して御意見があれば、お聞かせいただきたいと思います。
以上です。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 4団体全てに対する御質問がございました。
まず、木全様からお願いいたします。
○木全氏 かかりつけ医については、まだ私どもとしては論議を十分していませんので、個人的な見解ということで聞いてほしいのですが、私もこの提案というのは、ごく最近聞いただけで十分論議していません。というのは、私どもはどうしても今まで入院中心の精神科医療であったし、病院中心の治療だったものですから、ここ10年ぐらいは急速に増えていますけれども、地域のいわゆる開業医さんにまだそんなに精神科がなかったという状況の中で、まだ十分でないのですが、私は個人的には、そういう点でいけば、今の特に都会部では大分クリニックも増えていますので、そこからかかりつけ医という考え方は、私はいいのではないかなという賛成の立場であります。
ただ、病院が中心になると、病院の先生方は転勤で変わるものですから、どうしても今までの病院中心の医療体系の中では、この問題はちょっと考えることはできなかったけれども、新たな定義として考えていきたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。それでは、大友様、いかがでしょうか。
○大友氏 通過型グループホームと生活者の側面に着目した新たな類型を考えているか、その2つですよね。
東京都のグループホームは大体通過型がほとんどなのです。全国的に見ると、では、それは普遍的な在り方なのかと考えると、東京都の住宅事情に応じた特別な仕組みかなと思っています。それで、やはりグループホームを考えたときに、障害の程度に応じた利用者が選べるような多様なホームの在り方が必要だと思っています。ですから、通過型がいいとかということではなくて、利用者が自分の障害の程度に応じて選べるような多様なグループホームの居住支援の在り方が大事だと思っています。その中にあってもいいかなと思っていますけれども、私は横浜ですけれども、そんなに広がっていないなと思います。
それと、生活者の側面に着目した新たな就労の支援で何か類型を考えているのかということですけれども、うちの団体としては特にこうすべきという形では今のところ意見はまとまっていませんが、インクルーシブ議員連盟というところが超党派の議員と市民サイド、事業者サイドと一緒になって就労支援の体系の在り方を今検討して意見書をまとめている段階ですけれども、その中ではやはり3類型、大きく就労AとかBとか、地域生活支援事業、あるいは就労政策も含めて、大きく3類型に整理したらどうかとインクルーシブ議員連盟では一応そういう方向でまとめていて、近々最終報告が出る。だから、その中に私どもの団体も入っていますので、その中で考えていきたい。大きくは3類型という方向で考えられているということです。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、森様からいかがでしょうか。
○森氏 自己完結型で事業を進めるようなことがありますが、これが意見としては、例えば件数を制限するとかいうような意見もあるにはあるのですけれども、そういう制限を加えるような考え方というのはなかなか進めにくいという部分もあると思います。それよりは、地域の相談支援事業所とも連携を取るには、やはり医療機関を外れるところがありますので、結構支援者の側の手間暇が随分かかる状況がありますので、こういうものを報酬の中で、加算などでしっかり見ていって、やはり地域の中の事業所と連携を取って、御本人の社会資源の幅を広げていく、そういう取組を評価していく。そういう制度が必要ではないかなと思っております。
以上です。
○菊池部会長 それでは、桐原様、いかがでしょうか。
○桐原氏 御質問ありがとうございます。
新たな類型を完全に否定するものではないですが、あくまでA型・B型に居場所機能という形のものを評価できるようにしてほしいという趣旨の要望です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、オンライン参加の皆様から、白江委員、岡田委員、阿由葉委員からお手が挙がっています。まず、白江委員、お願いいたします。
○白江委員 全国身体障害者施設協議会の白江と申します。お二方に合わせて3点御質問があります。
まず、精神保健福祉事業連合の大友様に、先ほどもお答えになられたのですけれども、生活者としての活躍の場をつくるということで、今、インクルーシブ議員連盟でも検討されているということなのですが、働きがい、プライドと視点は非常に重要だなと私も思いますが、ここの中でそういった視点での議論というのは深まっているのかどうか、あるいは具体的にどんな話が出ているのかということが、もしお分かりであればお聞かせいただきたいと思います。
それから、全国「精神病」者集団の桐原様に2点ございます。
意見書の中の2番に、意思決定、意思表明の支援、権利擁護の視点を持たせということなのですが、具体的にどういった視点、あるいはどういった仕組みを想定されているのか、何か腹案でもあれば御披露いただければと思います。
それから、9番目に虐待防止法の見直しについて、検討を継続してほしいということなのですが、具体的に検討課題とか、どういった点が問題あるのかというのをお持ちであれば教えていただければと思います。
以上です。
○菊池部会長 それでは、まず大友様。いかがでしょうか。
○大友氏 私もあまりここに積極的に参加できない状況なので、あまりここで何か意見を述べるようなことができないので、何か別の形で調べていただけると、立場上、何かここで言うような立場にはないので、申し訳ありません。
○菊池部会長 ということでございます。
それでは、桐原様、いかがでしょうか。
○桐原氏 御質問ありがとうございます。
権利擁護の機能というのは、具体的には治療についてはある程度ニュートラルにだけれども、何か問題があった場合には、例えばソーシャルワーカーだとか、法律家だとか、関係する機関のハブとなるような機能を持つといった意味です。
障害者虐待防止法の見直しに向けた検討については、医療機関、通報義務の対象とはなっていないわけなのですけれども、やはり精神科病院とかでこのたびいろいろ深刻な虐待問題とかが報道されていますけれども、職員が例えば通報したときに、通報の匿名が守られるようになっていたら、そこで働く職員も通報しやすくなるのではないかなというようなこと。それから、ピアサポーターが病院に訪問した場合も全く同じで、匿名が守られるということが法的に担保されていれば、それは心強いという点で、まだ検討すべき課題があると思っています。
○菊池部会長 ありがとうございました。
続きまして、岡田委員からお願いいたします。
○岡田委員 ありがとうございます。全国精神保健福祉会連合会の岡田です。
就労支援施設の居場所機能について、とても重要な視点だと考えておりましたので、質問をと思いましたが、これまでの方々の御質問と重なりましたので、それはちょっと割愛させていただこうと思います。
私のほうからは、病者集団の桐原様にお伺いしたいことがあるのですけれども、私ども家族会は、これまで精神障害がある御本人の声を代弁するような活動もしてきたのですけれども、本来は当事者の方々が力を発揮してくださることを心から望んでおります。それは精神障害がある人への間違った認識、偏見の低減にもつながることですので、ピアサポーターの御活躍には大変大きな期待をしているところです。
一つは、資料の10の障害当事者の参画、これは精神に限らず全ての障害において進められるべきと思いますが、特に精神障害、知的障害、発達障害については、立ちおくれが見られておりますので改善が必要と考えております。そこで1点お聞きしたいのですけれども、先ほどの御発言の中で、ピアサポーターの職能団体の代表は参加しているがというようなお話がありましたけれども、職能団体の代表のピアの方とともに、当事者団体の全国組織から代表が参画するということの意義について、改めて少し詳しくお話をいただけないでしょうかということが1点ございます。
それから、今ちょっと御発言もあったのですけれども、障害者虐待防止法の見直しに向けた検討の継続ということで、今のピアサポーターの活躍と関連して、この先、例えば退院支援であったり、この中には意思決定支援や意思表明支援などが含まれると思いますが、そのような役割を持って精神科病院内に訪問することが活発にされるようになることを期待しているのですけれども、そういう中で、病院内で虐待事案と思えることに遭遇した場合、現状のような医療機関が障害者虐待防止法の対象となっていないということが、どんなふうに影響されるかということをどうお考えになるか、この2点御質問させていただきます。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 それではよろしくお願いします。
○桐原氏 御質問ありがとうございます。
事業所に雇用されたピアサポーターはあくまでプロバイダーサイドです。利用者サイドも含めた網羅的な意見を反映させていくためには、当事者団体の参画こそ不可欠になると思っています。
また、ピアサポーター職能団体の参画をもって精神障害当事者参画が達成されたものだと位置づけられてしまうことが、自立生活センタースタッフや病棟患者自治会、運動団体、回復者クラブや都道府県連合会など幅広い層からの意見を阻却してしまうということに直結するので、ピアサポーター職能団体の参画とともに、精神障害当事者団体の参画が必要になると考えています。
2点目についてですけれども、障害者虐待防止法には通報義務の対象に限って通報者の匿名を保護する規定が適用されますが、精神科病院には通報者保護が適用されないため、匿名性が守られないのではないかという不安に陥って通報を躊躇させるばかりか、ピアサポーターが辞めてしまうような要因になってしまうことがあります。
また、入院中の意思決定及び意思表明支援の中でもピアサポーターの活用が効果的であると言われていますが、私たちの団体は入院中の意思決定、こういった厚生労働科学研究の班には参画しているのですが、ピアサポーターの研修などの研究班には参画させてもらえていません。上述の問題の検討もされていないので、ピアサポーター研究班への参画が必然であると考えています。ぜひ厚生労働省と研究代表者には参画に向けた調整というものをお願いします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、阿由葉委員からお願いします。
○阿由葉委員 お世話になります。SELP協の阿由葉です。
精神保健福祉事業連合様と精神病者集団にそれぞれ御意見、確認があります。
まず、精神保健福祉事業連合様の先ほどのB型事業、何回か出ていますけれども、生活者等としての側面にさらに突っ込んだ制度を検討されるような希望があることですが、社会参加型というようなことだと思うのですか。現在のB型の事業を考える中で、B型というのはあくまでも働く場ということを基本にして考えていく場ですので、そういった意味では、むしろ先ほどお話もありましたが、私自身は地域活動支援センター的なものを、そういった場としたほうがいいのではないかと思っています。将来的にはそこをどうするかというのは、これからまた議論がされるところではないかと思っています。
それからもう一点、A型の先ほどのお話の中で、A型で就労する比較的重度障害者及び55歳以上の障害者に限って最低賃金の適用除外ができるような仕組みを検討してくださいというようなお話がありました。最低賃金の適用除外を我々の側から安易にこれを改定でできるような仕組みをということは、非常に大変なことだと、むしろやはり最賃をきちんと払っていただいて仕事をしていくということが本来の働き方ですので、そういった意味で、これを要望するというのは、ちょっとあるべきではないかなと思っています。
また、このことが言うなればおかしなA型を適用除外して、障害者を安く雇用することができるというような、そういったA型事業所を改めて増やしてしまうことになってしまうきっかけになってしまうということが非常に問題になるのではないかなと思います。現在のA型ですけれども、今年度からスコア方式を導入することによって、おかしなA型事業所を増やさないことを含め、厚労省の側でも十分に検討して、こういった制度をつくってきました。今はこの制度をきちんと検証していくことが大事だと思っていますが、その辺はいかがでしょうか。
それからもう一点、精神病者集団様なのですが、A型・B型の居場所機能ということですけれども、従来A型・B型の中でも、こういった居場所的な機能でもあるはずだと思っていますけれども、さらにどのようにしたら、その居場所機能がよりよいものになるのかということが分かれば教えていただきたいと思っています。
それから、先ほどのお話の中で、60歳で就労をされるというようなお話がありました。これは国としてはそういう方向ではこの制度を設けていないはずですし、私どもA型・B型の事業所としても、そういったものを一般的ではないと思っています。ですから、こういったことがある場合には、きちんとそれに対して本来そうではないということをお話ししなければ、こういった問題が当たり前のように起きてしまっては困ると思いますので、そういったことは直接御意見いただくか、きちんと話をしていただくことがいいのではないかなと思います。
以上です。
○菊池部会長 阿由葉委員の御意見なので、それをどう考えるか、コメントがあればという御趣旨かと思いましたが、大友様、いかがでしょうか。
○大友氏 時間がないのでちゃんとお答えできるかどうか分からないのですが、自立支援法が導入されたときの経過で、やはり非常に急ごしらえに制度設計をしてしまった。最初は精神障害者は入っていませんし、3障害が一緒でということで精神も入れなくてはいけないのではないのという形で、十分な検討期間がないままとにかくスタートした。それがずっと来ているというところで、最初からやはり制度設計上問題があった。でも、ずっと見直しができない中で部分的にやってきた。
でも、そういうことでは、なかなか利用者の実態に合った制度ができないのではないかと私は思っていて、そうは言ってもなかなか厚生省の壁は厚いということで、では、微調整でこういうことはどうかとずっとやってきたのですけれども、制度がスタートして10年以上たっていますので、そろそろこの10年間の経過を踏まえて、就労支援の在り方の制度全般について、抜本的な見直しをしていただきたい。
その中で、私が言ったことになりを生活者の社会参加型、働けない人の居場所、活躍場所をどのように制度的に担保するか。地域活動支援センターなどはそういう役割を担っていると思いますが、多くの市町村は財政的に負担なので全部B型でやってくださいということで、B型そのものがもう何だか分からない制度になっているということで、その中で、今回の仕組みにメスを入れたというところでは評価しますけれども、やはり制度全般を見直さないといけないということではないかなと思っています。
時間があればもうちょっと各論にわたって答えられるのですが、抜本的な見直しが必要な時期に来ているのではないかと思っています。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、桐原様、いかがでしょうか。
○桐原氏 居場所機能の評価の具体策についてなのですけれども、一つは法条文上に生産活動以外の居場所的なものを役割として書き込むということです。そうすることによって、僕らは重い障害を抱えながら暮らしているわけだけれども、あまり働け働けみたいにされてしまうと、逆に体調を崩してしまって就労が遠のいてしまうこともあるので、やはりそこら辺に配慮のあるような形の制度設計を望んでいます。
○菊池部会長 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
ほかにないようですので、この辺でこの第2グループの4団体の皆様のヒアリングは終了させていただきます。4団体の皆様、大変ありがとうございました。
やや時間が押してございますが、あと4団体の皆様がいらっしゃいます。かなり長時間にわたりますので、お昼を挟んで大変恐縮なのですが、もし第3グループの4団体の皆様、あと5分休憩を取っても終了時間は差し支えないということでしたら、ここで5分休憩を取らせていただきたいのですが、お急ぎの方はいらっしゃいますでしょうか。
○鎌田氏 日本看護協会です。その後の私の業務の関係で申し訳ないのですが、できたらこのまま続けていただきたいと思っております。
○菊池部会長 分かりました。やはり団体の皆様の御意向優先ですので、看護協会様を最初にやっていただいて、それで質疑もさせていただくということでもよろしいですか。
○鎌田氏 よろしいですか。勝手を言って申し訳ありませんが。
○菊池部会長 お急ぎということでしたら、すみません。日本医師会様にはちょっとお待ちいただくことになりますが、江澤委員、よろしいですか。
○江澤委員 大丈夫でございます。
○菊池部会長 すみません。ありがとうございます。
それでは、続きまして、公益社団法人日本看護協会様からお願いいたします。
○鎌田氏 よろしくお願いいたします。本来ならば委員である本会副会長の齋藤が発表するところでございますが、齋藤に代わりまして私から御報告させていただきます。私は、常任理事の鎌田と言います。よろしくお願いいたします。
まず1点目でございます。障害児者に対する地域共生社会の実現に向けた支援体制の構築についてでございます。ここに書いていますとおり、障害者総合支援法の基本理念で掲げられています、「全ての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現する」ために、やはり誰もが住み慣れた地域で安心してその人らしく暮らすことができる、地域包括ケアシステムの構築・推進が必要です。
そのためには、障害児者の実態把握並びに障害児者を支援する医療やサービス提供の実態把握が欠かせません。また、地域の実情に応じた障害者の福祉施策の推進を可能とする人材確保が必要と考えます。そこで意見・提案でございます。
まず1つ目、令和3年度障害福祉サービス等報酬改定において、看護職員の配置や医療連携体制加算の見直しにより医療ニーズの高い障害児者への医療・看護サービスが可能な体制となりました。この体制が有効に機能するよう周知・普及に向けた取組及び施設や事業所の運営、経営状況、実態把握を定期的に実施するための財源確保が必要と考えます。よろしくお願いします。
また、2つ目になりますが、医療的ケア児については、出生数や生存率を把握する方法がなく、現在、厚生労働省障害児発達障害者支援室による医療的ケア児数の推計値のみの公表となっているため、実数や実態を把握する方法の確立をお願いしたいと思います。
3つ目、障害児者支援の事業化・施策化に当たっては、生活支援のみならず、医療ニーズへの対応が欠かせないことから、自治体によっては企画部門に保健師等の看護職を配置して、医療機関との連携や住民への啓発に関する取組に専門性を発揮している例があります。保健所及び市町村における精神保健福祉業務の中において、保健師の配置等について言及されているように、各自治体の実情に応じた施策を実現できるよう、障害福祉分野においても看護職の配置を提案したいと思います。
次に2点目になります。障害児の支援についてでございます。医療的ケア児の増加や重度の障害を抱える障害児の地域生活への移行に対応し、障害児が住み慣れた地域で自立生活を実現・継続できる体制の整備が必要とされています。そのためには、障害児のニーズやライフステージに応じたきめ細やかな支援体制の整備、医療的ケア児が家族とともに地域での生活を継続するための家族への十分な支援が必要です。そこで意見・提案です。
まず1つ目、本会が2019年度に実施しました医療的ケア児に関する事業のヒアリングにおいて、医療的ケア児の主たる介護者である母親が自宅にて医療的ケア児への全面的なケアを行いながら、通学や学校などでの医療的ケアも実施しており、家族への負担が非常に大きくなっている実態が明らかとなりました。下の図1に医療的ケア児の家族による介護の状況について表しております中段に、母親の介護の状況等様々な負担が生じていることがこのヒアリングで明らかになっております。
また、一時的に医療的ケア児を預かり、介護者の休息や医療的ケア児の兄弟らの育児時間等の確保や、医療的ケア児の育児をしながら就労継続や社会参加等ができるよう、家族支援のさらなる充実を提案します。
2つ目です。支援体制の整備を検討する際には、制度やサービスの狭間に落ちることがないように配慮しつつ、保健、医療、福祉、教育の連携の観点から、省庁横断的な検討をお願いします。
3つ目、医療的ケア児とその家族の支援には看護の視点が求められるため、訪問看護ステーションや看護小規模多機能型居宅介護の活用や連携が考えられます。特に看護小規模多機能居宅型介護は看護職と介護職が配置されており、医療ニーズへの対応のみならず、家族のレスパイトを含めた支援が可能となるため、この行政型サービスの指定を受けることが可能とされていますが、整備の状況は全国地域差があるのが現状です。これらの事業所の課題や参入の障壁についてしっかり把握し、既存制度の積極的活用に向けた体制整備をお願いしたいと思います。
次に3点目です。地域共生社会の実現に向けた国民の理解の促進についてです。地域生活支援事業の必須事業として理解促進研修、また、啓発事業が位置づけられています。様々な疾患や障害を持つ人が住み慣れた地域でその人らしく自立した生活を送るために、専門職のみで行うことのできる支援には限りがあり、国民一人一人の理解や支え合いが必要とされています。そこで意見・提案です。
既に取り組んでおられる自治体もありますが、幼少期から障害児者への理解を深める教育の実施や障害児者の社会参加や地域での支え合いを推進するための一般向けのサポーターの養成等、国民一人一人が障害児者について理解を深め、支え合うことのできる地域社会の構築に向けた取組及び財源確保をお願いしたいと思います。
日本看護協会からは以上でございます。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、この段階で、ただいまの御意見に関しまして、委員の皆様から御質問等がございましたら、お願いしたいと存じます。
会場からはいかがでしょうか。よろしいですか。
オンラインでお2人の手が挙がっております。石野委員、小﨑委員の順お願いします。まず、石野委員、お願いします。
○石野委員 全日本ろうあ連盟の石野です。
御説明を伺いました最後のところなのですけれども、地域生活支援事業に関連することなのですが、理解を促進するために様々な地域での取組ということでした。そのとおりだと思います。ただ、現状を見ますと、地域でやっているところもあれば、消極的な地域という地域格差が非常に大きいです。そのため、最後におっしゃいました財源のところですが、財源確保をぜひお願いしますという話でしたけれども、看護師の視点といいますか、考え方をもう少し御説明いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 鎌田様、いかがでしょうか。
○鎌田氏 御質問ありがとうございます。
看護職には看護の専門性を発揮しながら国民に幼少期から健康や障害の理解を深めるための教育をする役割があるかと思います。財源確保については、ぜひこれを所管する国の所管部署にもお願いしたい。その際には、保健分野だけ、教育分野だけでもなく、省庁を超えた横断的な取組の中で進めていただきたいと思っております
○菊池部会長 それでは、小﨑委員、お願いします。
○小﨑委員 全国肢体不自由児施設運営協議会の小﨑でございます。御意見表明ありがとうございます。
私のほうからは、資料の2ページ目の上のほうで、一時的に医療的ケア児を預かってというような御提案のところで、我々ももちろん短期入所等のサービスを提供しているところではありますが、やはり小児の方の場合、例えば週末ですとか御兄弟の学校行事のシーズンとかにかなり需要が集中してしまうということがあって、結果的には、皆さん十分にサービスを受けられなかったという不全感があるように思いますが、そのあたりについてのいわゆる利用と供給のバランスが一定でないというようなところについての調整というのも必要になるのではないかなと思いますが、そのあたりについて何かお考えとかアイデアとかがございましたら、教えていただきたいと思いますがいかがでしょうか。
○菊池部会長 いかがでしょうか。
○鎌田氏 介護者の負担の状況を考えても、利用できるサービスの需要と供給のバランスの検討は必要であることに賛同します。私どもがヒアリングした常時吸引が必要な医療的ケア児の介護者は、入園時、登園から降園まで常に廊下で待機し、小学校でも6年間毎日小学校への送迎と必要時の吸引など、常に負担がかかっています。看護職により、医療的ケア児が学校等で処置を受けられる体制と、介護者が気軽にレスパイトができる仕組みが必要かなと思います。
看護職の配置されている事業所、施設の看護小規模多機能居宅介護やデイケアなどの施設が少ないことが課題です。こういった事業所、施設の増加により、需要の集中が改善できるのではないかと考えます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、白江委員から、最後の御質問ということでお願いします。
○白江委員 全国身体障害者施設協議会の白江と申します。1点だけです。
介護ニーズが非常に多様化してきている状況の中で、介護職員は一部、医療的ケアが認められるようになっているのですが、今後、そういったことの拡充といいますか、拡大ということについて、看護協会としてはどのようにお考えになられているのかということの1点だけです。
以上です。
○菊池部会長 いかがでしょうか。
○鎌田氏 今は医療的ケア児の人数が不明確ですので、どのような医療的ケアが必要か把握できていないと考えています。そういった意味では実態把握が必要であると、報告の当初に意見したところであります。
○菊池部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
それでは、お時間のない中御対応をいただきまして、鎌田様、どうありがとうございました。
ということで、休憩のタイミングを逸してしまった感もあり、差し支えなければ、引き続き、あと3団体の皆様からヒアリングをお願いできればと思いますが、よろしいでしょうか。
特に御異議がなさそうですので。それでは、順番が前後して申し訳ございません。公益社団法人日本医師会様からお願いいたします。
○江澤委員 ありがとうございます。それでは、資料に沿って簡略に御説明させていただきます。
まず、地域における障害者支援についてでございます。障害者総合支援法の第1条に記されている目的のごとく、個人としての尊厳にふさわしい日常生活、または社会生活を営むことができることが原点であり、そのために、自立を支援することや、障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し、安心して暮らすことのできる地域共生社会の実現が極めて重要であると考えております。
続きまして、資料に沿って御説明いたします。まず、極めて重要でございます本人の意思の尊重に基づいた支援の定着でございます。診療報酬や介護報酬においては、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」が一部の運営基準や加算の算定要件に導入されており、障害福祉サービスにおいても「障害福祉サービス等の提供に関わる意思決定支援ガイドライン」に関して、より一層の定着を図るべきと考えております。
続いて、尊厳の保持や自立支援に資するサービスの質の担保についてでございます。今年度の介護報酬改定において、LIFEというシステムにより介護データベースの構築が本格的に始まりますが、障害福祉サービスにおいてもデータベースを構築し、エビデンスを蓄積していくことが必要であり、さらに好事例のノウハウの共有を推進し、サービスの質の向上を図っていただきたいと思っております。また、障害福祉等サービスの報酬上の質の評価として、ストラクチャー評価からプロセス評価を中心として、一部はアウトカム評価を導入することを今後検討すべきとも思っております。
次に、適時適切なサービス提供体制の確保でございます。必要なときに適切なサービスが過不足なく提供される体制が不可欠であり、過小サービスにより状態が悪化することが決してあってはなりませんし、一方で、過剰サービスは自立を阻害し得る場合もありますので、マネジメントが重要となります。
次に、かかりつけ医と専門医療機関の連携による適切な医療提供についてでございます。精神疾患の患者は再入院も多く、精神科病院における入退院支援の充実や、かかりつけ精神科医と一般かかりつけ医の連携強化を地域の実情に応じて検討することが重要であると思っております。また、かかりつけ医の社会的機能に準じた社会的手法とも最近は呼ばれますが、例えば社会的孤立を防ぐためのサービス利用を本人に勧めることといった支援も有効と考えております。
最後に、地域包括ケアシステムの構築による地域共生社会の実現についてです。地域共生社会の実現のためには、そのツールである地域包括ケアシステムの構築が重要となります。そのためには、保険者や自治体の進める地域包括ケアシステムの構築に関する基本方針が同一の目的の達成のために、専門職や関係者に共有される状態である規範的統合の推進が不可欠であり、そのための協議の場の設置や住民を交えたネットワークづくりを進めることを推進すべきであります。特に地域住民の理解を深める受け皿づくりが極めて重要と考えております。
続いて、障害児支援についてでございます。今年度の障害福祉サービス等報酬改定において、新たな医療的ケア判定スコアが導入されましたが、いわゆる動ける医療的ケア児のサービスの受け入れ促進に役立っているのかどうか。また、親の就労促進や医療的ケア児のインクルージョンに寄与しているかどうかについて、実態調査を今後していただきたいと考えております。
次に、過齢児について、例えば医療型障害児入所施設に入所後に成人年齢に達した重症心身障害児で医療的ケアを有する場合に、受け入れる療養介護施設に対して看護師の配置等ができる仕組みを新設し、受け入れ促進を図るべきではないかと思っております。
さらに、学校における医療的ケアの支援として、学校医とかかりつけ医の連携の下、学校の看護職員、訪問看護師、喀痰吸引等の医療行為のできる介護職員を弾力的に組み合わせて支援する仕組みも検討すべきではないかと思っております。
3番目に、障害者の就労支援についてでございます。例えば就労中は移動支援等のヘルパーサービスが利用できないため、地域生活支援事業において、今年度から雇用施策との連携による重度障害者等就労支援特別事業も施行されておりますが、現場の弊害の実態を踏まえた就労支援を引き続き推進していただきたいと思っております。
また、個人情報に十分な配慮の下、サービス利用の経緯の情報を保管することは、本人を理解した周囲の支援に資するものと思っております。
最後に、資料にはございませんが、その他についてでございます。障害福祉等サービスにおいても介護保険施設等を居住地特例の対象にすることについては賛成でございます。また、障害福祉サービス等の利用の持続可能性については、報酬改定等の議論に関して事後報告ではなく、進捗を踏まえた議論を当部会においても幅広く行っていただければと思っております。
以上でございます。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
続きまして、特定非営利活動法人難病のこども支援全国ネットワーク様からお願いいたします。
○福島氏 難病のこども支援全国ネットワークの福島でございます。本日はこのような機会をいただきましてありがとうございます。
それでは、資料に沿って御説明をさせていただきます。
まず、総論の部分ですけれども、1点目は骨格提言の完全実施を目指した議論というのが必要だということをやはり忘れてはならないと思っております。
2点目は、難病や慢性疾病による活動制限、あるいは参加制約を含んだ障害の認定という視点が必要だということでございます。一例として人工呼吸器を使っている、経管による栄養注入を行っている、気管切開をしているなど、一定の医療デバイスを使っているなど、一定の状態によっても障害福祉サービスが利用できるように検討する必要があると思っております。
また、痛みやだるさなど、難病や慢性疾病による生きづらさ、暮らしにくさを考慮することも必要です。
それから、病気によっては増悪や寛解、再発を繰り返すこともございますので、障害イコール固定という概念ではくくれないこともあることも考慮いただきたいと思います。
また、内部障害におきましては、臓器の種別によって障害認定の該当非該当が決まるというのは著しく不公平だと思っております。
3つ目は、小児慢性特定疾病の対象疾病を全て総合支援法の対象として明確化していただきたいということでございます。
続いて各論ですけれども、1点目は家族支援の必要性と充実です。難病や慢性疾病、障害のある子供の子育ては保育や学校教育、そして、就労という子供の成長、発達、自立のライフステージにおきまして、親による体験的な知識だけでは解決することが難しいことに向き合わなければならないことも多くございます。そのため、ライフスタイルの大幅な変更や自己実現を諦めざるを得ないような家族全体に大きな影響を及ぼすことがあります。
また、家族による丸抱えの生活は子供自身の発達・成長にも大きな影響を与えるため、子供の自立、あるいは社会参加の制約要因となることもあることにも目を向ける必要があります。
そのため、難病や慢性疾病や障害のある子供本人への支援に加えること、その親や兄弟を含めた包括的な家族支援が必要だと思っております。
今般のコロナ禍におきましても、例えば医療的ケア児のケアを全般的に担っている御家族から、自身が罹患したときの預け先などに対する不安が多数寄せられております。
緊急時においては、専門性よりも利用者と支援者のふだんの関係性がものを言う側面もございますので、やはり日頃から利用しやすいサービスが必要だと思っております。
また、ピアサポートや親の会など、当事者による体験的知識を生かした相談支援も大切だと思っております。
2つ目が、医療的ケアのある子供への支援です。たんの吸引、経管栄養、導尿などのいわゆる医療的ケアの必要な子供たちが地域で増えているわけですけれども、現行の障害福祉サービス、特に居宅系のサービスにおいては、こういった子供たちが利用できるサービスがほとんどございません。ということは、家族がそのケアを担わざるを得ないという状況にあるわけです。
また、医療的ケアがあるがゆえに、幼稚園や保育所、学校への受け入れに制約が生じたり、集団活動や学習活動から排除されたりするような例は今でも枚挙に暇がございません。
難病や慢性疾病を原因とする障害については、医療と福祉を切り離して考えることは難しいわけで、医療保険制度と障害福祉サービスの谷間をつくらない制度の構築が必要だと考えております。
子供に対する訪問看護は、現在医療保険の仕組みの一つとして実施されておりますけれども、診療報酬上の制約がございまして、長時間の利用や頻回の利用が難しいというところがございます。
そこで、障害福祉サービスに訪問看護を新たに位置づけて、現在必要な障害福祉サービスの利用に結びついていない医療依存度の高い利用者への支援を確保する必要があると考えております。
また、いわゆる歩ける医療的ケア児のような子供たちに対するサービスも必要だと思っております。
3点目が、地域の通常の学級に在籍している子供たちへの支援です。特別支援学校における基礎的環境整備との差を埋めるための合理的配慮が必要なわけですけれども、なかなか行き届いていないケースが多くございます。特に地域の学校の通常の学級においては、いまだに親の付き添いを強要されたり、修学旅行に連れていってもらえないなどの差別事例が聞こえてまいります。
学校というのは言うまでもなく子供たちにとって将来の自立を見据え、社会性を身につける大切な場でございます。現在、文科省のほうから提供されている特別支援教育支援員(介助員)制度ですけれども、これだけでは多様な子供のニーズや校外学習などに対応しきれないこともしばしばございます。そういった場合は親が付き添えという話にすぐになってしまうわけです。いわゆる居宅縛りをなくしていただいて、学校内、あるいは宿泊を伴う修学旅行や林間学校などを含む校外学習においても、補完的に障害福祉サービスの居宅介護、重度訪問介護、医療保険による訪問看護を利用できるようにしていただきたいと思っております。
また、通学や移動が保障されなければ教育機会を保障することにはなりません。学校への登下校時においても重度訪問介護、あるいは医療支援などを利用できるようにしていただきたいと思っています。
以上でございます。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
続きまして、きょうされん様からお願いいたします。
○斉藤氏 きょうされんの斉藤と申します。本日はヒアリングの機会をいただきまして、ありがとうございます。
きょうされんは日中支援、居宅支援、相談支援、居住支援などの事業所で構成する団体でございます。障害者権利条約に基づいた法整備がなされ、安心して地域生活を送れることを目指しております。
本日のヒアリングでは、政策調査委員長の小野より、障害者総合支援法全体を通じて改定への意見を述べさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○小野氏 きょうされんで政策調査の責任者をしています小野と申します。長時間お疲れさまです。
それでは、提出させていただいた文書の要点をかいつまんで発言に代えさせていただきます。事前に厚生労働省のほうから4つの項目が宿題として提示されましたけれども、私どもとしては、この機に障害総合支援法全体に見直しに関わる意見として、主な点を述べさせていただきます。
まず1点目です。障害福祉の利用の仕組みと相談支援の見直しをするべきだと、現在、総合支援法では障害支援区分の認定調査、移動や動作で12項目、ADL・IADLで16項目、意思疎通で6項目、行動障害34項目、そのほか特別な医療項目が12項目、医学モデルの比重が多い80項目の調査に基づいています。これをコンピューター判定と審査会での審査を経て、その利用者の利用できる支援の種別と、その量、時間数が決まってしまいます。
しかもその障害支援区分が低く判定されたとしても、実際の社会生活上、日常生活上、福祉や支援の必要度の高い人たちは、この前のグループで桐原さんとか精神の分野からも発言がありましたが反映されない。区分には反映されない支援の必要度があります。これがこの調査で出てこないというのは、権利条約で今回重視している社会モデルの視点が確実に反映されていないからであります。
これを抜本的に見直すのと合わせて、相談支援についてなのですが、この障害支援区分の認定調査で、先に相談の前に、福祉の種類と支援の量が決まってしまって、それから、サービス等利用計画を策定の相談になっているため、多くの相談支援事業所が障害認定区分の認定調査の結果の範囲内のサービスのコーディネート、支援のコーディネートになってしまっている。ここはもうそれを逆転させて、ニーズアセスメントから入って、必要な支援の度合いの調査等を行う。そういう仕組みにすることによって障害支援区分認定調査の抜本的な見直しを必ず実現できると思っています。1点目がその仕組みです。
2つ目が、利用者負担の見直しです。現在の総合支援法においても1割の相当額という、これは給付費の算定をしていると明細書に必ず記載されるのですが、利用者の負担が算定されます。障害者自立支援法違憲訴訟団と国が交わした2010年の基本合意文書によって、独身の18歳以上の障害のある人たちは月額の負担上限が0円になりましたので、独身の18歳以上の障害のある方たちの利用者応益負担は、それ以来発生をしておりませんけれども、配偶者の収入のある方は、いまだにこの1割相当の利用者負担額を課せられています。また、障害のある子供たちの児童発達支援や放課後等デイサービスでも1割相当の重い負担となっています。児童の分野はほとんどが課税世帯で上限月額3万7200円という世代が多くを占めています。そのため、満額の1割相当額の負担になっています。
コロナの中で、この1割負担の問題は相当混乱を生じました。それは詳しく説明している時間がないので、次に触れる日額払いとも関連するのですけれども、この応益負担の月額上限0円というのは、今、政令で定められていますので、そうではなく、ぜひ総合支援法の法律の条文上、これを定めていただきたいというのが2つ目です。
3つ目に、日額払いと常勤換算方式の見直しです。今回のコロナの緊急事態宣言の下で、この日額払い制度の欠陥は際立ちました。通常においてもそうなのですけれども、特に精神や通所日数が不安定な人たちが多い事業所ほど、この日額払いというのは本当に支援の安定的な運営を妨げます。なおかつ、この常勤換算方式という仕組みが導入されたことで、適正な職員配置基準をきちんと定められて、必要な支援が十分確保できる体制になっておりません。ですので、先ほどの団体も冒頭でおっしゃられましたが、骨格提言の中で主張されている事業所運営の人件費や固定費を月額払いとし、利用者支援に関わるところを日額払いとすべきと思います。
4つめの見直しが、各事業全体に障害福祉事業全般に関わる、今まで述べてきたところもそうなのですが、特に事業種別ごとというか、それに横断的に関わる問題で4つ挙げておきました。
第1に、利用者主体で本人本位の支援、事業を原則とすべき、これは一般就労移行や定着率、工賃などを評価基準とした成果主義によって、やはり大きな格差が生じている。
2つ目に、重度化・高齢化が今回の報酬改定で大きな課題になりました。医療的ケアについても、それはそれで当然大事なことです。けれども、この重度化・高齢化の中で、重度加算などが制度化されましたが、結局、看護師3人を確保できない地域の通所型の生活介護やグループホームなどでは、この重度加算の対象から除外されたところが多く、こういった障害支援区分、あるいは要件によって格差が生じている。
3つ目に、小規模な暮らしの場であるはずのグループホームの大規模化の傾向や、あるいは放課後等デイサービス、就労継続支援A型、先ほど委員の方からも指摘がありましたが、不適切な運営をしているもうけ本位の事業者が多く参入をしています。特に放課後等デイサービスとA型、最近はグループホームにすごく多いです。日中支援型グループホームをターゲットに不動産会社をバックにしたもうけ本位な事業者が入り、定員20名、あるいは30名というグループホーム、それはもうグループホームではないですね。そういったもうけ本位の事業者の参入に対して財務省もここ数年、何度となく指摘をしています。もうけ本位の事業者が入り、営利法人が入り、公費をむさぼっていると。でも、この営利法人の参入を認めたのは国ですから、これを早期に見直すべきだと。
4つ目に、就労支援のところですが、先ほどから議論になっていましたが、福祉と雇用の有機的な連携が必要である。それから、介護保険優先原則を廃止し、選択できる制度に見直していくべきだと、これは2018年12月の広島高裁での浅田裁判の判決、あるいは今度5月18日に判決を予定している天海裁判でも優勢な方向性が示されて議論されていますので、ぜひそれも法改定の見直し検討の素材に挙げていただきたいと思います。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
ただいま3団体の皆様からお話をいただきました。委員の皆様から御質問等がございましたら挙手をお願いいたします。御発言についてはできるだけ簡潔にお願いいたします。
まず、会場はいかがでしょうか。よろしいですか。それでは、オンラインで阿部委員、沖倉委員、斉藤幸枝委員からお手が挙がっています。まず、阿部委員からお願いします。
○阿部委員 日身連の阿部です。
日本医師会の発表いただきましたことについて質問いたします。生涯にわたる療養データベースの構築という話がありましたけれども、また、御説明の中でも個人情報保護ということには十分留意しなければいけないというコメントもありました。この生涯にわたる療養データベースにつきましては、どのように作成して、どこでこのデータを保持して、どのように活用していくのかということで、お考えをお話しいただきたいと思います。このデータの共有する範囲も含めてよろしくお願いいたします。
以上です。
○菊池部会長 江澤委員、いかがでしょうか。
○江澤委員 御質問ありがとうございます。
御存じのように、現在、診療報酬のレセプトに関するデータのナショナルデータベースと介護DB、即ち介護レセ等のデータベースと、それから、今回のLIFE、ケアの状態とか、あるいはリハビリのデータベース、これが連結されて、匿名の下、一気通貫をされて、今後の政策とか、ケアの質の向上に利用される予定で、これについて私も歓迎しております。
一方で、ここで申しましたものは、現場の先生からの要望がございまして、要はかかりつけ医が診察するときとか、いろいろ指南をするときに、これまでの経緯とか、あるいはどういったサービスを使っていたのか、あるいは入所施設にどのように入っていたのかということが、診療の中において参考になるケースが多いと、そういった現場の先生方からの要望を受けましたので、あえてデータベースと書いておりますけれども、こういった上段に構えることなく、個々の診療の場においてそういった情報があると、きめ細かく、さらなる支援ができると、そういう意見がございましたので書いておりますので、そういった形で御理解いただければありがたいと思っております。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、沖倉委員、お願いします。
○沖倉委員 大正大学の沖倉です。一点御質問がございます。
難病こども支援全国ネットワークの方にお願いします。今日、御意見を頂戴した団体の中でもございましたけれども、一つの論点として、家族支援の取組とか要望というのが出ていたと思います。この家族支援といったときに、どうしても御本人の支援を強化することによって負担を軽減するというイメージが強くなってくると思うのですけれども、その家族自身に対して、具体に誰がどのように支援をしていくことが望まれるかということを御意見を伺いたいと思います。お願いいたします。
○菊池部会長 福島様、いかがでしょうか。
○福島氏 御質問ありがとうございます。家族支援についてですけれども、例えば親に対するレスパイト、医療的ケアの要る子供の家族に対するレスパイトなども必要だと思いますし、それから、親、あるいは兄弟に対するピアサポートとか、そういった視点も必要だと思っておりますので、そういったことも含めた包括的な家族支援という意味で御説明させていただきました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、斉藤幸枝委員、お願いします。
○斉藤委員 日本難病・疾病団体協議会の斉藤です。御質問を2点させていただきます。日本医師会の江澤先生と難病のこども支援ネットワークの福島様に御質問させていただきたいと思います。両方とも医療的ケア児についてです。
日本医師会の江澤先生には、医療的ケアの新判定スコアということで御説明いただいたと思いますが、この新判定スコアというのは医療技術が発達していきますと、この新判定スコアの対象となる医療的ケア児の範囲が随分変わっていくものだと思っております。その辺のことについて御意見をいただければと思っております。
それから、動ける医療的ケア児というのは、どの程度の人を指しているのかということをお聞きしたいと思います。
福島様のほうに関しましては、似たような形で動けるではなくて歩ける医療的ケア児という表現がありました。これも日本医師会の江澤先生の動ける医療的ケア児と同じようなことなのかなということを伺いながらですが、医療的ケア児といいますと、かなり重症な方を想像してしまっているのが現状だと思うのです。国のほうで出しております2万人程度の数というのは恐らく重症な方を指しているのであって、福島様がおっしゃるような歩ける医療的ケア児とか、江澤先生の動ける医療的ケア児というのは入っているのかどうかというのが疑問なものですから、この辺について実態とお考えをお知らせいただければと思います。
以上です。
○菊池部会長 それでは、江澤委員、いかがでしょうか。
○江澤委員 御質問ありがとうございます。
御指摘のように、医療的ケア児のサービス需要はどんどん増えておりまして、必要なサービスが続くことに関してはいい傾向だと思っております。一方で、今回の医療的ケア児のスコアの見直しについてでございますが、現場で、例えば気管切開があっていろいろな呼吸管理をしている子供さん方においても、寝返りが打てて、あるいは座位が取れて、少し動くことができるというような子供さんが、これは御指摘のごとく医療技術の進歩等によって、そういった改善も見られているところでございます。
そういった中で、そういう子供さんたち、いわゆる動ける医療的ケア児という表現が適切かどうかははっきり分かりませんが、そういった子供たちに対する見守りの支援、あるいはそういった子供たちを受け入れる側の事業者のいろいろなお世話や手間、そういったものの視点が今回導入されたと理解をしております。
したがいまして、幅広い医療的ケア児、狭義ではなくて幅広い意義での医療的ケア児を支援していくというのは、これは地域共生社会の実現においては、非常に重要なことだと思っておりますので、このたび、そういった視点でスコアの見直しがなされたところでございます。現にそういった子供たちが増えているのも事実でありまして、これは多くの現場の医師たち、あるいは事業所からもそういった声が多々あったことが、今回の見直しにつながったと理解しております。
以上でございます。
○沖倉委員 ありがとうございました。
○菊池部会長 福島様はいかがでしょうか。
○福島氏 ありがとうございます。
先ほど斉藤委員からも御指摘をいただいたように、2万人という数字は恐らく呼吸器を使っている、あるいは気管切開をしているなどのかなり重度な子供たちのことを指していると私も理解しておりますけれども、先ほど説明させていただいた歩ける医療的ケア児というのは、それ以外の、例えば肢体不自由がないけれども、気管切開をしているようなお子さんであるとか、心臓病のお子さんで酸素を使ったりしているか、そういったもうちょっと広い意味での医療的ケアということで、この言葉を使わせていただきまして、そういった子供たちに必要な支援が行き届いていないという部分が多くあると思っております。例えば先ほど学校での親の付き添いの話をさせていただきましたけれども、医療的ケアと言わないような、例えば服薬であるとか、水分補給があるがために付き添いを求められているようなケースもあると聞いておりますので、そういった子供たちを含めた幅広い支援が必要だと考えております。
以上でございます。
○沖倉委員 ありがとうございました。
○菊池部会長 続きまして、飛松委員、お願いいたします。
○飛松委員 国立障害者リハビリテーションセンター顧問の飛松です。
日本医師会に、これは質問というよりも要望であります。障害者の健康ということについて、そういった観点を持っていただきたいと思います。障害者も病気になったり、あるいは障害者も健康増進や健康寿命の延伸ということが叫ばれなければならないと思っておりますが、そのような観点を日本医師会も持っていただき、今後考えていただきたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 要望というのはちょっと異例ではございますが、江澤委員、何かございますか。
○江澤委員 ありがとうございます。御要望を賜りたいと思いますけれども、今、審議会も含めていろいろな場で障害者、あるいはそういった精神障害の方も含めて、そういった方も身体合併症は当然起きてきますし、昨今、障害者の方もいわゆる高齢化という問題が出てきておりますので、要介護の問題も含めて医療ニーズは非常に高まってきていると認識しておりますので、そういった中で、障害者の、例えば精神科の専門の医療機関と一般かかりつけ医が連携する。あるいは場合によっては手術とか、緊急の疾患もございますから、高度機能医療機関とも連携する。そういったネットワークを医師会としては各地で推進する方向でずっと取り組んでおりましたので、そういった視点で継続して取り組んでまいりますので、御要望、誠にありがとうございます。
○菊池部会長 あとは阿由葉委員、井上委員、岡田委員からお手が挙がっておりますが、ほかにはございますか。よろしいですか。それではお三方ということで、まずは阿由葉委員からお願いします。
○阿由葉委員 きょうされんさんなのですけれども、大変大事な視点での御意見をたくさんありがとうございます。その上で、最後の6の大事な内容をきちんとお聞きすることができなかったものですから、ここを改めて説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○菊池部会長 申し訳ありません。時間の制約もございますので、かいつまんでお話しいただければ幸いでございます。
○小野氏 資料の6番目については、法律の改定の大前提にもなってくるのですけれども、ここ数年、障害福祉の支援の量と財政が著しく増勢をしてきたと、この10年間で2倍になったという指摘が再三にわたってされてきています。しかし、障害年金や、あるいは障害福祉費の現物給付などの全ての障害施策を国際比較で見ている調査結果があります。皆さん御存じだと思うのですけれども、OECDで各国の社会支出を見ると、対GDP比において、障害施策の水準というのは、もうここ数年ずっと1%、OECDの平均は2%です。トップでデンマークが5%です。その水準で推移が来ています。
ですから、確かに自立支援法以降、障害施策の事業所数も財政も伸びたかもしれませんけれども、それはそもそものパイが小さかったということです。障害の出現率の範囲も狭い。そういう意味では、ここで高い水準で推移しているというだけではなくて、やはり必要な財源、必要な施策なのだということの評価は、まず、そこに立って今回の法改定についての議論に臨んでいただければと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、井上委員、お願いします。
○井上委員 知的障害者福祉協会井上です。どうぞよろしくお願いします。
きょうされんの方に御質問です。大変重要な視点を多くいただいて感謝を申し上げます。特に4番目の障害福祉事業全般の見直しについての3番でございますけれども、やはり実際にいろいろなグループホームや放課後等デイ等が非常に問題になっているというのは認識しているわけです。私は今の認可の仕組みとか、いわゆる監査制度というものは、もともと行政中心にされていると思うのですけれども、専門家の視点が入らないと、この部分はなかなか改善しないのではないだろうかと個人的意見として思っています。何かコメントをいただければありがたいと思います。
以上でございます。
○小野氏 ありがとうございます。
今、井上さんのほうから指摘をされたとおりなのですけれども、ただ、そもそも監査云々というよりも、そもそも指定事業所の範囲に営利法人が入ることが適切であるかどうかということがあると思います。特にグループホームや放課後等デイサービスについては、本当にそれは言えると思います。
放課後等デイサービスについて、3年前の報酬改定でも大混乱だったのですけれども、営利法人のもうけ本位な事業者を抑制するということから、3年前の見直しがあったのですが、今回の報酬改定でそれが全く逆の見直しをまたされたのです。結局、ぎりぎりの人員体制でもうけを出そうとする営利法人の事業所に対して、重い障害があって支援ニーズの高い子供たちを受けとめている非営利法人が、今回の報酬改定で年収300万から400万の減収になるという実態が全国各地で起こっていて、大問題になっているのです。これはもう本当に早急に見直しを必要とするし、そもそもの事業者の参入のところで、やはり非営利法人を中心とした支援の障害福祉、障害のある方を主体とした支援を目的としているか否か、そこが審査の基準となって参入できるような仕組みが望ましいと思います。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、岡田委員、お願いします。
○岡田委員 時間が押し迫っている中で、お時間をいただきありがとうございます。全国精神保健福祉会連合会の岡田です。
日本医師会の方に1つだけ御質問をさせていただきます。当会では、2019年度に当事者の家族に対する差別や偏見に対する実態把握全国調査というものを実施いたしました。その中で、家族の3割の人が差別や偏見の体験をしたと答えているのです。その中で大変残念なことなのですけれども、医療機関に関連した体験も語られております。例えば受付を済ませて問診票を記入しているときに、医療機関のほうから受診を拒否されたりとか、内科クリニックの主治医から精神障害者は二度と来ないでくれと言われたりですとか、救急車で搬送される際に、病名を伝えることで病院から拒否されましたと救急隊員の方から告げられたりというような切実な体験が寄せられております。
このような実態がある中で、先ほどの御意見にありましたかかりつけ医と専門医療機関の連携による適切な医療提供であったり、地域包括ケアシステムの構築による地域共生社会の実現、これらの体制の充実により、現状の改善が進んでいくと理解してよろしいでしょうか。あるいはこれ以外に何か必要とお考えのことがございましたらお聞かせいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 江澤委員、いかがでしょうか。
○江澤委員 御質問ありがとうございます。
今日のヒアリングの中でも何度か出てきました精神障害にも対応した地域包括ケアシステムに関する議論、そういったところでも、今、いろいろな地域包括システムに資する取組が、まさにある意味ではこれから本格的にスタートする時期と認識をしております。そういった中で、確かに医師においても各専門性がございますので、1人の医師が全ての分野に対応するというのは難しいかもしれませんので、それがゆえに地域で連携して、相互補完し合うような協力体制、これが非常に重要だと思っております。
私もそういった会議で発言しておりますのは、各地域で顔の見える関係で関係者が集まって、協議の場を積極的に開催する。そして、その中で今申し上げましたように、当事者団体、当事者の方、そういった方もぜひ参画していただいて、その地域のオールメンバーで話し合いをするということを提案しているところでございますので、ただいまの御意見は真摯に受けとめまして、今後の医師会の方策に生かしていきたいと思います。御質問、どうもありがとうございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
ほかには何かございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、3団体の皆様、本日は大変ありがとうございました。
長時間にわたりまして、皆様お疲れさまでございました。また、活発な御議論をいただきましてありがとうございます。
時間がまいりましたので、本日はここまでとさせていただきます。
最後に、今後のスケジュール等につきまして、事務局からお願いいたします。
○源河企画課長 事務局です。2点ございます。
1点目は、前々回の障害者部会で、櫻木委員、内布委員からヒアリング団体として御要望いただきました全国地域でくらそうネットワークさんですが、こちらは前回の見直しの際に、団体ヒアリングを行った後設立された新しい団体でもあり、複数の委員から御要望いただいた点も踏まえ、部会長とも御相談し、皆様の御異論がなければ5月24日の部会にこの団体をお呼びしたいと思います。
2点目、次回の部会は5月17日月曜日13時より、こちらの会場にて開催しますので、どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。
○菊池部会長 2点御連絡がございましたが、委員の皆様から何かございますでしょうか。よろしいですか。それでは、ただいま御連絡いただいた方向で進めさせていただきます。次回、来週週明けの月曜日、また長丁場が予定されてございますので、ひとつよろしくお願いいたします。
それでは、本日はこれで閉会といたします。どうも御苦労さまでした。お疲れさまでした。

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