ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(障害者部会)> 社会保障審議会障害者部会(第107回)議事録(2021年4月19日)

 
 

2021年4月19日 社会保障審議会障害者部会(第107回)議事録

社会・援護局障害保健福祉部

○日時

令和3年4月19日(金)13:00~15:00

○場所

ベルサール御成門タワー
(東京都港区芝公園1-1-1 住友不動産御成門タワー3階)

○出席者

菊池馨実部会長、阿部一彦委員、阿由葉寛委員、石野富志三郎委員、井上博委員、内布智之委員、江澤和彦委員、大濱眞委員、大原裕介委員、岡田久実子委員、菊本圭一委員、久保厚子委員、小﨑慶介委員、小林真理子委員、齋藤訓子委員、斉藤幸枝委員、酒井大介委員、櫻木章司委員、白江浩委員、新保美香委員、竹下義樹委員、飛松好子、野澤和弘委員、東参考人、渡辺参考人

○議事

○菊池部会長 皆様、こんにちは。定刻になりましたので、ただいまから第107回「社会保障審議会障害者部会」を開会いたします。
委員の皆様には、御多忙のところお集まりいただきまして、ありがとうございます。
議事に入ります前に、本日の会議については、こちらの会場とオンラインで開催をいたします。関西圏、首都圏でまた感染拡大が心配な状況でございます。事務局もそれに対応する形で対応していただくことになっています。
まず、事務局から、出席状況、資料の確認をお願いいたします。
○源河企画課長 事務局です。
それでは、委員の状況について報告いたします。
委員の交代がありましたので、お知らせします。日本身体障害者団体連合会の阿部一彦委員です。
本日の出席状況でございます。沖倉委員、中込委員、中里委員、吉川委員より、御都合により欠席との御連絡をいただいています。また、永松委員の代理として渡辺参考人に、山口委員の代理として東参考人に御出席いただいております。なお、白江委員は遅れて御出席予定です。
本日は、感染防止対策の関係から、事務局出席者も限定しておりますが、配信にて審議を視聴しております。
また、4月1日で事務局内人事異動もございましたが、今日は紹介を控えさせていただきます。
では、本日の資料です。
議事次第。
資料1「団体ヒアリングのスケジュール」。
資料2~7、団体の皆様から提出されましたヒアリング資料。
資料8~10。
以上です。
万が一これらの資料が表示されていないなどの状態となっておりましたら、事務局にお申しつけください。
以上です。
○菊池部会長 それでは、議題1に入ります。
本日は、関係団体のヒアリングを行うことになります。事務局から資料1及び本日の進め方につきまして、御説明をお願いいたします。
○源河企画課長 事務局です。
資料1を御覧ください。今後の本部会における団体ヒアリングの予定スケジュールでございます。
本日から5月24日まで5回開催し、前回、障害者部会で見直しの議論をしたときと同様に、合計45の記載団体からヒアリングいただく予定です。よろしくお願いいたします。
本日の進め方につきましては、タイムテーブルを御参照ください。1団体10分以内で御発言をいただき、グループごとに、全体の発言終了後に意見交換を予定しております。時間厳守でお願いいたします。御発言が8分を超えた時点で事務局がベルを1回鳴らします。発言時間10分を経過した時点でベルを2回鳴らしますので、その場合は速やかに意見をまとめてくださいますようお願いします。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
本日は貴重なヒアリングの機会ですので、団体の皆様との意見交換を中心に議論を進めてまいりたいと考えてございます。皆様からの発言について、あらかじめお願いがあります。
委員の皆様におかれましては、いつもと同様ですが、最初に私が発言を希望される方を募りますので、会場の方は挙手をお願いいたします。オンラインの方はZoomの「手を挙げる」機能を使用して、合図をお願いします。私が指名させていただいた後に、発言を開始してください。
委員の皆様、団体の皆様、より多くの方の御発言の機会を確保するため、質問、回答ともにできる限り簡潔に御発言をいただきたいと存じます。大変恐縮ですが、説明の際には時間厳守でお願いいたします。
御発言の際は、まずお名前を名のっていただき、可能な限りゆっくり分かりやすくお話しください。また、会場の方はできるだけマイクに近寄ってお話しください。発言後は、必ずマイクのスイッチをお切りくださいますようお願いいたします。円滑な会議の運営に御協力のほど、お願い申し上げます。
なお、本日は6団体のヒアリングを予定してございます。3団体ずつグループにさせていただいて、最初の3団体が終了いたしましたら、その時点でまとめて質疑という形にさせていただきます。
それでは、最初のグループのヒアリングを始めさせていただきます。
まず、一般財団法人全日本ろうあ連盟からお願いいたします。
○一般財団法人全日本ろうあ連盟有山氏 一般財団法人全日本ろうあ連盟福祉・労働委員会副委員長の有山と申します。よろしくお願いいたします。今回は2人で発言を担当いたします。もう一名はこちらにいます全日本ろうあ連盟本部事務所長の倉野と申します。
発表は2人で分けていたしますので、御理解をよろしくお願いいたします。
福祉部門について、私がお話をしたいと思います。まず、資料に合わせてポイントをお話しします。
聞こえない人の福祉人材が不足している状況があります。例えば、聞こえない人は相談員等の資格がなかなか取れない状況にあります。特にピアサポートをする場合、資格がないのでなかなか活動が進められません。聞こえない人が利用できる社会資源が少ないために、支援者を育てる必要があり、それを要望したいと思います。
デイサービス、放課後等デイサービスにおいても、支援者が聞こえる人の場合、手話通訳士・者への加算はあるのですが、聞こえない支援者は加算されておりません。同じように加算をしていただきたい、それを要望いたします。といいますのは、手話言語のコミュニケーションはとても大切で必要です。デイサービス等には聞こえない、また聞こえにくい支援者の支援が必要ということです。地域の中で、指定特定相談支援事業が全国各地でできていますが、その中で聞こえない相談員の体制が少なく、採用も少ない状況です。今後聞こえない人も採用されるように、聞こえない相談支援員を育てる必要があると思います。聞こえない相談員が手話言語そのものを使って、聞こえない人の支援をするということです。
現在、コロナの感染症のため、コミュニケーションにいろいろと困難を抱えています。もし感染した場合、入院したときのコミュニケーションがなかなかできない、手話通訳士・者がそこに立ち入れないので、代わりにモニター等を使って遠隔手話通訳をしますが、その理解がなかなか進んでいません。また、加えて聞こえない人の日常生活用具の制度の中で情報機器には、遠隔手話通訳で使う機器が対象外になっています。タブレットやスマホなど、手話が見えるテレビ電話のような機器を日常生活用具に加えていただきたいと思っています。
日常生活用具は全国各地で市町村において、それぞれの自治体が決めることになっていますので、自治体ごとの格差が起きております。国からの指示により、全て統一していただきたいと思います。
現在、難聴支援の相談はあります。8地域でモデル事業があります。聞こえない当事者がそこに参加できるように要望しています。事業に聞こえない当事者が参加していないと意見が反映されません。きちんと当事者を加え、意見が出せる環境にしていただきたいと思います。
就労に関してですが、福祉就労から一般就労に移行するだけではなくて、将来的には一般就労から福祉就労にも変われるということもスムーズにできるような体制作りを要望します。雇用と福祉の連携はとても大切です。労働政策審議会には、聞こえない当事者が入っていません。聞こえない人が参加して、積極的に意見が言える機会を作っていただくよう要望します。
7月1日から電話リレーサービスが開始されます。お店等に周知されていないと、聞こえない人からお店に電話リレーサービスを利用して電話をかけた場合、違和感を持たれないように電話リレーサービスというシステムがあるということを、きちんと皆さんに周知して下さい。
意思疎通支援事業に関しては、倉野から申し上げます。
○一般財団法人全日本ろうあ連盟倉野氏 ろうあ連盟の倉野です。
意思疎通支援事業については、私から説明したいと思います。
まず、意思疎通支援事業の中の聞こえない人に関することは、手話通訳者の派遣、養成、設置の3つとなりますが、それらは現状と課題があります。また、今、障害者基本法、障害者差別解消法の見直し等が新しい現状に合っていないのです。意思疎通支援事業の見直しとか、新しい役割を含めるようにしていただきたいと思います。
まず、現状と課題は3つあります。1つ目は、今の手話通訳派遣事業、設置事業は自治体の判断に任されているために、地域格差が出ています。制度そのものが脆弱だということです。
2つ目に、その制度を担う通訳者の身分保障が弱く、そのほとんどが非常勤職員です。または有償ボランティアというような立場になっており、身分が安定していないというのが課題です。
3つ目に、手話通訳者は単に手話通訳を行うだけではなく、聞こえない人の生活、環境または生い立ち、言語の習得状況等々も含めて支援が必要になるのですが、その支援を求められていることに対して十分評価されていないという現状課題があります。
障害者基本法の第3条では「言語(手話を含む。)」と書かれています。改正にあたっては、意思疎通支援のための情報活用を自分の言語に合わせて選択できるような機会を保障してほしいということです。
また、22条には情報の利用に対するバリアフリー等の部分で、情報利用のバリアフリーに当たって意思疎通支援者を養成・派遣すると書かれています。今までの事業では福祉の範囲でしたが、新しい役割として合理的配慮または情報バリアフリー化が求められています。その新しい役割が今の手話通訳事業の実情に合致していないので、見直しの中で、最初に説明しましたように、新しい役割を含めるようにお願いしたいと思っております。
以上です。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
続きまして、一般社団法人日本難病・疾病団体協議会からお願いいたします。
○一般社団法人日本難病・疾病団体協議会辻氏 本日はありがとうございます。一般社団法人日本難病・疾病団体協議会の辻と申します。
私どもの団体では、難病や長期慢性疾患、地域難病連、その他約90の団体が加盟していて、役員の斉藤もこの委員会の構成員として出席させていただいており、いつも大変お世話になっております。本日はヒアリングの機会をいただき、ありがとうございます。
今回、斉藤と私で意見を述べさせていただきます。
まず、地域における障害者支援についてですが、支援法の対象となる難病等の疾病は、指定難病が333、それ以外が29で、まだ多くの原因不明で根治療法のない難病が支援対象外と考えています。また、支援の利用やニーズの把握も不十分のところがあると思いますので、「地域における難病等支援」と読み替えて、発言いたします。
1つ目は、頂いた第106回の資料の障害保健福祉施策の動向等において、まず最初の障害者数964万人には難病等が含まれていないようです。総合計も粗い推計であると書かれていますけれども、※印の説明にも難病等という文字が見当たりません。医療費助成の患者だけでも大人、子供を合わせて100万人いますので、ぜひ数字に反映していただきたいと思っております。
また、対象疾病は限られていて、特に痛み、しびれ、疲れなどを主症状とした線維筋痛症や筋痛性脳脊髄炎など日常生活に困難を生じさせる疾病や、重症の場合には長期の療養が必要となってまいります例えばギラン・バレー症候群等が含まれておりません。支援の対象となる疾患を選ぶ検討会の構成員には、当事者の参加もありません。支援の光が当たらずに、谷間に人がいると考えております。
難病等で実際に福祉サービスを利用しているのは、昨年11月で全国で3,621人にすぎないということです。全国の自治体のほとんどで自立支援協議会や障害者施策推進協議会などの会議に難病の当事者は参加できていません。市町村の障害者施策も、手帳のない者にとっては非常に限定的です。
利用者が少ないということは、難病患者も利用できるよという周知、また難病患者のニーズの把握とかそれに基づく施策の立案や実行がなされていないからではないかと思っております。ある県庁所在地の市でも、障害者福祉のしおりには難病等という字すら存在していないということです。支援法の施策も他の障害者施策や障害年金などと同様に、難病等の者についてはハードルの高い、使いにくいものになっているのではないかと思っております。
また、希少な疾病も多く、社会の理解もなかなか進んでいないのですが、認定調査員の方は、難病等に対する理解が十分できているのかどうか、そのような機会が得られているのかどうか。認定の際は保健師や看護師が当たる、または同席するとされていますが、実態等も分かりません。認定マニュアルもそろそろ改訂の時期かと思いますが、使われている資料も平成20年代のものがかなり多いです。
このような形で、なかなか難しい面もたくさんあるのですけれども、ある時点で同じような病態とか生活の困難度を示す疾患でも、難病の場合は原疾患が進行しているかどうか、あるいは再発型なのか、遺伝性なのか、発症する時期は子供が多いのか、働く世代が多いのかなどによって生きづらさの違いが相当出てまいります。このような難病を支援する相談支援センターは、多くの県で1つしかありません。指定難病しか受け付けないというようなところもあります。ぜひ、基幹相談支援センターについても難病等を対象にしていただくなど、他の支援とよく連携してほしいと考えております。
また、別の難病対策委員会というところで、軽症者を含めて指定難病登録者証というものを今検討していると思います。こちらを実現して、ぜひ障害者手帳と同様に、例えば難病手帳として活用できないかと思っております。
以上、地域については私から申し上げました。障害児支援について、斉藤から申し上げます。
○斉藤(幸)委員 斉藤です。
障害者部会の委員でもありまして、私の述べる障害児支援につきましては、よく障害者部会の中でも発言させていただいております。
障害児支援についてですが、障害児の多くは地域の学校や保育園、幼稚園に通学、通園しております。また、教育というのはその後の人生に大きな影響を与えますので、この機会を奪わないでいただきたいという思いがたくさんあります。ぜひ、文科省と一体化して、支援する施策が大事だと、このように感じております。
3点挙げさせていただきます。
1点目は、自力通学が困難な障害児は保護者の送迎に頼っています。保護者の都合が悪くなったり具合が悪くなったりしますと、学校を休まざるを得なくなります。通勤もまた同じような問題を抱えておりますが、通勤・通学については障害者の就労支援のほうで述べさせていただくことになっております。
通勤・通学は、福祉サービスの対象としていただきたい、この思いが非常に強いです。小児慢性特定疾病の自立支援事業の中で、地域自治体の協議会で決めれば通学に使えることにはなっておりますが、予算との関係があって、ほとんどの自治体で実施されておりません。ぜひ制度として確立していただきたいです。
2つ目が、放課後等デイサービスのことです。インクルージョンの観点を基本といたしまして、健常児と共に学び、遊ぶことを基本として、学童保育、放課後子ども教室と連携した仕組みをつくることが必要だと感じております。授業は一緒、でも放課後は別々ということでは、遊び等を含めまして障害児と一緒に暮らすことを学んでいく子供たちの大きな機会を奪うことになります。
例えば週4日は学童保育や放課後子ども教室でインクルーシブに過ごし、1日だけは専門家のいる放課後等デイサービスのほうに行って、訓練あるいは指導を受けるという方法もあるかなと考えます。また、身体障害者の放課後等児童デイは施設の問題がありまして、数が少ないと伺っております。バリアフリーの対応ができている特別支援学校の放課後は閑散としており、子供たちの姿が見えません。この特別支援学校というのは放課後等デイの施設面、費用面で使用可能と考えます。要検討事項と考えます。
3点目です。医療的ケア児の看護師配置予算は今年度増額いたしました。長年の親たちの願いが実ったということで、大変うれしく思っております。ですが、看護師の人数が300人増えて、全国で2,400人分だけです。小学校は全国で2万校あります。中学校区にと言われておりますが、中学校は1万校あります。まだまだ足りません。また、私たちが心配するのは、新判定スコアという形でこの配置は決められる可能性がありそうですが、医療的ケア児と判断されたら、看護師の配置ができない自治体では、保護者の付き添いが今のように求められてしまうことです。常時付き添う必要のない軽度と言える準医療的ケア児向けの判定スコアが求められます。アレルギーショック時にエピペンを教員等が打ち、救命できるようにした方法が、全てが医療従事者でないと駄目だということから変えられたということもありますので、この方法が参考になると思いますので、ぜひ御検討をしていただきたいと思います。
私のほうは以上です。
○一般社団法人日本難病・疾病団体協議会辻氏 では、障害者の就労支援について、最後に述べたいと思います。
難病等は、障害者の法定雇用率のカウントから除外されています。雇用施策の軸になっているものが法定雇用率であると考えますが、難病等の患者は約8割が手帳を持っていないため、患者が就労を支援する側、就労を提供する側から支援の対象外と見られやすく、支援の受けにくい環境にあります。就労支援、移行、定着の各場において理解が不足していると考えています。難病患者の継続・定着を支援する役割に難病患者就職サポーターがありますが、ほとんどの県で僅か1名、身分は非常勤で、このような現状を変えていただきたいと思っております。
先ほどもありましたように、通勤・通学に同行援護の対象を広げていただきたいと思っております。家族の送り迎えの負担、危険などを考えて、通勤・通学の手段がなくなるということは権利を奪うことにもつながるかと思います。
最後に、難病等以外にもLGBTの方やひきこもりの方など、雇用者側の理解が進んでいないものがあると思いますので、その方々と一緒に総合的に支援する組織や人材が各地域に必要ではないかと考えております。
以上となります。どうぞよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
大変申し訳ございません。私のほうのミスで資料2から4に飛んでしまいまして、お待たせをして大変申し訳ございませんでした。資料3に戻りまして、一般社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会からお願いいたします。
○一般社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会新谷氏 こんにちは。全日本難聴者・中途失聴者団体連合会の新谷と申します。
今回のヒアリングに当たって、3点の意見がございます。
まず1番目、障害者総合支援法第4条において、「この法律において障害者とは、身体障害者福祉法第4条に規定する身体障害者」とされていますが、この規定を障害者基本法の定義に沿ったものに改定いただきたいというものです。
身体障害者福祉法の聴覚障害認定基準と世界保健機関(WHO)の認定基準に大きな違いがあることは、各方面で指摘されております。その違いにつきましては資料の図に表示しておりますけれども、聴力レベルで言えば、身体障害者福祉法は70デシベル以上聴力の悪い方を聴覚障害者と規定しており、世界保健機関は25デシベルより聴力の悪い方を聴覚障害者としております。
2020年度、WHOは、25デシベルよりももっと聴力の悪化の軽い方、20デシベルまでを聴覚障害の対象にすべきだというレポートを出しております。現在、世界の調査機関の報告数字は、聴覚障害者の人口比が6.5%から11.3%の間に集まっています。これに対して、厚生労働省の調査結果では、我が国においては僅か人口比0.3%の聴覚障害者にとどまっております。
障害者基本法においては、「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう」とあります。これに対して、障害者総合支援法においては、「身体障害者福祉法第4条に決める」という言い方をしております。聴覚障害に係わる福祉サービスの対象者を限定する現在の障害者総合支援法や身体障害者福祉法の規定を障害者基本法の定義に沿ったものに改正して、日常生活や社会生活に制限を受けている聴覚障害者を広く福祉サービスの対象とすべきだと考えております。この点においては以前議論があって、福祉サービスの対象者の限定が必要なのだという議論があったかと思いますけれども、その議論はWHO調査の6.5%と我が国の調査の0.3%との大きなギャップを合理的に説明する内容になっていないと私たちは考えております。
2番目は、補聴器購入に対する公費助成を充実してくださいという要望です。
聴覚障害者の日常生活のコミュニケーション手段は右の図にありますように、圧倒的多数、70%の方が音声によるコミュニケーションを図って日常生活を営んでおります。音声による生活手段として一番大きな補助手段は補聴器ということになるのですけれども、この補聴器利用に関する日本補聴器工業会の2018年度の調査では、補聴器利用者の割合が欧米諸国に比べて非常に低い水準になっております。右の図にありますように、イギリス、ドイツ、フランス、アメリカ、いずれも聴覚障害者の30%以上の方が補聴器利用をしている。これに対して、日本の場合は僅か14%の方しか補聴器利用がされていないという現状があります。
また、同じ調査で、補聴器所有者の12%が補聴器購入の助成を受けたと報告されております。それ以外の方は、ほとんどの場合は自費による購入だと考えられ、自分で補聴器を買って、日常生活のコミュニケーションを図っていると考えられます。欧米諸国と大きなギャップがあるというのは、現在の福祉制度の大きな課題だと思いますけれども、こういう状況を踏まえて、補聴器購入に対する公費助成を欧米水準に近づけるべく、議論をいただきたいと思います。
3番目の要望は、障害者総合支援法おいて、聴覚障害者の多くは要約筆記というものを利用して会議をしているわけですけれども、総合支援法が想定している要約筆記利用というのは個人利用であり、また居住市町村内の利用が想定されております。私たち、特に中途失聴難聴者の場合には、会議において共有なコミュニケーション手段がありませんので、非常に多くの場合要約筆記を利用します。個人利用ではなくて、そういう団体・集まりにどうしても要約筆記利用といった意思疎通支援が必要だという現状があります。現在、団体としての利用を法律が想定していないために、やむを得ず市町村・都道府県が個別の事業実施要項の中にその旨を規定して、団体の利用を認めているというのが現状です。
団体利用についての都道府県・市町村の理解がだんだん増えていって、実現しているところが多くありますが、これをもっと広げて、全国規模の団体・集まりに対しての要約筆記利用の実態を見てみますと、集まり開催地の自治体が特例で支援するか、あるいは集まり・会議の主催者が自分たちの費用負担で要約筆記を用意せざるを得ない状況が続いております。いつでも、どこでも、誰でもが必要な要約筆記が利用できるということで、私たちは聴覚障害者の権利が守られると理解しております。都道府県・政令指定都市等で団体への派遣事業を推進すると同時に、全国規模の集まり・会議への要約筆記者派遣の仕組みを実現していただきたいと思います。
以上3点が、私どもからのヒアリングに当たっての要望事項です。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいまの3団体の御意見につきまして、委員の皆様から御質問等がございましたら挙手をお願いいたします。御発言については簡潔にお願いいたします。なお、13時50分をめどとして御議論いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
いかがでしょうか。
石野委員、お願いします。
○石野委員 全日本ろうあ連盟の石野です。発言の機会をいただき、ありがとうございます。
部会におきまして、特に地域生活支援事業の在り方について、今後どのような展開で見ていくかという、これから議論のテーマになると思いますが、聴覚障害者に関して申し上げますと、課長会議資料などを拝見いたしまして、市町村において意思疎通支援事業の実施率が約93.3%というデータが載っております。その中で90%未満が全部で9県ありまして、北海道、山形、福島、東京、長野、奈良、島根、鹿児島、沖縄です。手話通訳派遣の状況を見ますと93.3%という高い数字が出ておりますが、割っているのは先ほどと同じように9県というデータになっています。
そして、手話通訳設置事業も全体で39.9%という形ですが、要約筆記は、全国的に平均77.7%というデータになっています。地域格差はかなり如実に表れていまして、また実施しないという現状もあると思います。この現状をどう見るかということをぜひ考えなければならないと思っているところです。
全難聴の方に1つ質問させていただきたいと思います。先ほどのお話の中で、団体の利用がなかなか進まないというお話がありましたが、障害者差別解消法における考え方を見ますと、団体に対して合理的配慮が必要かと思っています。確かに要約筆記の派遣の現状を見ますと、全体的に地域格差もあり、十分でないと思います。現状についてお話しいただけますでしょうか。
○一般社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会新谷氏 全難聴の新谷です。
合理的配慮というのは、障害者権利条約、障害者差別解消法においても基本的にそういう配慮を求める個人に対して提供していくものだということが基本的にあると思います。個人ではなく、そこに参加された方全てに対して支援していく、「会議・集まりの場」に対しての支援は、障害者差別解消法で言えば、第5条にある環境整備というものに当てはまるのだと理解しております。福祉サービスとして総合支援法の意思疎通で担当する部分と、障害者差別解消法の環境整備としてサポートしていく部分、これをどういうふうにすみ分けるかというのは大きな議論としてこれからやっていかないといけないと思います。
公費としての福祉サービスが団体の集まり・会議に対してどのような支援ができるのか。個人は支援するけれども、団体の集まりになると支援しないのだという現在の福祉サービスの在り方でいいのかどうかということを総合支援法の改正議論の中で、是非議論いただきたいと思っております。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
石野委員、よろしいですか。
○石野委員 はい。
○菊池部会長 ほかにはいかがでしょうか。
竹下委員、お願いします。
○竹下委員 日視連の竹下です。
ろうあ連盟と全難聴に共通する質問ですけれども、今、地域格差があるということを問題にされていることはよく分かるのですが、これを解消・改善するにはどうすればいいとお考えでしょうか。端的には地域生活支援事業ではなくて、全国共通の給付である個別給付、自立支援給付に制度を切り替えるということはお考えになっていないのでしょうか。
以上です。
○菊池部会長 どうでしょうか。それではまず会場から。
○一般財団法人全日本ろうあ連盟倉野氏 倉野です。
意思疎通支援は、地域生活支援事業としてやっているところがありますが、先ほどお話ししましたように、障害者基本法の中の第22条の情報利用におけるバリアフリー化について、また、障害者差別解消法にもありますが、情報のバリアフリーのための派遣・利用をはっきりすみ分ける、そこで基準をつくるところから始めなければならないと思っています。今はそれが何もない状況で、制度を切りかえるとなし崩しの状態になる恐れがあります。私どもはまず、情報利用意思疎通の権利を守るための手話言語法と情報アクセシビリティ法の制定が必須と考えています。そして法制定後に、国のシステム・制度としてどのように整備していくかということの議論をお願いしたいと思っています。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、日難聴さん、お願いします。
○一般社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会新谷氏 今、竹下さんからお話のあった意思疎通支援を自立支援給付にするか、それとも地域生活支援事業に残すかというのは一つの大きな問題ですが、団体に対する支援が自立給付化すれば解消するのか実現するのか是非議論いただきたいと思います。障害者差別解消法の環境整備でやればいいではないかということでは現在の差し迫った状況に対する答えになりづらいのではないか。前回改正のときに集まりに対する支援も考慮すべきだという附帯決議的なものがあったのではないかと記憶していますけれども、意思疎通支援事業の膨らみの中で団体利用を考えていただくというのが、現実的に積み上げてきた一つのステップであるという流れは大切なものだと思っております。
以上です。
○菊池部会長 竹下委員、よろしいですか。
○竹下委員 ありがとうございました。
○菊池部会長 ほかにいかがでしょうか。ございませんでしょうか。
ないようですので、質疑はここまでとさせていただきます。3つの団体の皆様、本日は大変ありがとうございました。
続きまして、次の3団体に移らせていただきます。御準備のほうをお願いいたします。
それでは、特定非営利活動法人日本高次脳機能障害友の会からお願いいたします。
○特定非営利活動法人日本高次脳機能障害友の会片岡氏 よろしくお願いいたします。
日本高次脳機能障害友の会の理事長を務めさせていただいております片岡と申します。よろしくお願いします。
このたびは、貴重な時間をありがとうございます。
厚生労働省による高次脳機能障害の診断基準が策定されて、支援普及事業が全国的に展開されている現状においても、高次脳機能障害がある人の支援、高次脳機能障害がある人を取り巻く環境には多くの課題が山積しています。
資料の1枚目には、当会が考える高次脳機能障害の現状と課題につきまして、簡単に記載させていただいております。全ては読み上げませんが、御参考にしていただければと思います。
まず、高次脳機能障害の普及・啓発の課題、医療機関と地域・福祉の連携の課題、医師の診断や保健所などの課題、親亡き後の問題、生活・就労支援活動における課題、高次脳機能障害に対し社会的支援を行う支援者の育成の問題、触法行為の問題、高次脳機能障害に関する全国的調査が自治体把握もできていない現状にある。このような現状と課題があるということを前提に、今回の団体ヒアリングにおける主要な検討事項につきまして発言させていただきたいと思います。
まず、地域における障害者支援ですけれども、厚生労働省の障害保健福祉施策の動向等にも記載がありますとおり、地域生活支援の中核的な役割を担う日中サービス支援型グループホームの増設や、地域生活支援拠点等の整備が必要であると当会は考えております。
高次脳機能障害(特に社会的行動障害)が重度の方が地域で生活をしていくときに、その多くの負担は家族に委ねられているという現状があります。家族がいない場合等は共同生活援助、施設入所支援、療養介護の利用が必要となるケースが多く存在しますが、他者とのトラブル、他害とか暴力や脱抑制によって、共同生活援助下でのルールが守れないなどの理由から利用を断られるケースが存在します。共同生活援助における重度障害者支援加算は、高次脳機能障害の方は対象となっていません。そして、精神障害者が障害支援区分6を取得している割合は低く、高次脳機能障害の障害特性上、区分では障害の重症度を定量化できない現状があります。
自立生活を実現するための相談支援の在り方につきましては、地域生活支援拠点事業、日中サービス支援型グループホーム、自立生活援助等が充足して、かつ有機的に機能することで日常生活支援のマネジメントから日々の生活課題や手続等への助言が可能になると考えております。
ただし、本人に病識が乏しいことにより家族の意向に乖離が生じる場合があります。例えば、病識がないために本人は通院や内服を拒否しているのですけれども、家族は適切な治療を望んでいたり、家族は経済的に困窮していて障害年金受給を望むのだけれども、本人の制度理解が乏しい・障害を否定することなどによって受給できないといったことがあります。現在、地域生活支援事業の必須事業に意思疎通支援を行う者の養成研修事業や派遣事業を明記していただいておりますが、当事者が会話の内容を正しく理解できない、自分の思いを正しく表現できない場合がありますので、高次脳機能障害の場合は意思疎通支援あるいは意思決定支援の在り方について議論する必要性を感じております。
障害児支援につきましては、平成30~31年度の厚生科研におきまして、高次脳機能障害の障害特性に応じた支援マニュアル開発のための研究では、東京都の指定障害児相談支援事業所で相談支援を提供した高次脳機能障害と推定される児は65人中51人が未診断であったとされています。すなわち、高次脳機能障害児は成人よりもさらに診断されず、支援も受けていないという現状があるということです。日本各地の障害児の療育機関やデイサービス提供機関、また通学先の学校に対し、高次脳機能障害に対する啓発活動が必要なのですけれども、それのみならず、通所・通学先で適切な支援を受けられるように専門的なバックアップが必要であると考えております。
また、放課後等デイサービスは、高次脳機能障害である子供にとって、支援を受けながらの育ちの場となっておりますが、てんかんなどがあり、見守り、例えば水分補給への配慮、発熱しやすいことや易疲労への配慮が必要な病弱児は通所を断られることがあります。病弱児に分類される高次脳機能障害の子供も、放課後等デイサービスが利用できるような仕組みが必要であると考えます。
障害者の就労支援につきまして、高次脳機能障害当事者は症状の自覚がない場合があります。そういうケースでは周囲の理解・支援が必須です。このような場合において、企業側が対応に困惑し疲弊する場合や、共通理解が得られていない状況から、部署異動や降格処分となるケースがあります。企業側は高次脳機能障害当事者に、どこまでが要求できる妥当性のあることで、どこからが合理的配慮とされることなのか判断できないこともあります。こういった企業側の相談先や企業側の負担を軽減できるような仕組みも必要であると考えております。
それから、高次脳機能障害がある人への就労支援として、雇用施策においては地域障害者職業センターや障害者就業・生活支援センター等の利用、福祉施策では就労移行支援、就労継続支援、就労定着支援を利用するケースが考えられるわけなのですけれども、高次脳機能障害の場合、その障害特性上、回復の過程にかなり長期間を要するケースが多々あります。
就労支援には利用可能な期間が定められておりまして、その期間で高次脳機能障害者は就労能力を得ることが難しいケースが存在します。支援計画に障害特性を加味し、期間延長を含むプラン作成の検討が必要であると考えております。また、専門的な職業評価を行う場合、地域障害者職業センターで職業評価を受けることとなるわけなのですけれども、居住している生活圏域で職業評価を受けることができる仕組みづくりや、ハローワーク、地域障害者職業センター、就業・生活支援センターの有機的な連携体制構築を希望しております。
最後に、高次脳機能障害は認知機能障害のほかに易疲労性、疲れやすいという課題を持ち合わせている方々がたくさんいらっしゃいます。合併症としててんかんがある方も疲労への配慮が要求されます。このような方は、就労する能力を有していても、障害者雇用の対象となる週20時間以上の労働が難しい場合があります。20時間未満の就労でも障害者雇用として認めていただけますと、賃金を得ることができるとともに、社会参加していることによる生きがいが見いだせると考えております。
以上です。御清聴ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 日本高次脳機能障害友の会の片岡さん、どうもありがとうございました。
続きまして、一般社団法人日本筋ジストロフィー協会からお願いいたします。
○一般社団法人日本筋ジストロフィー協会矢澤氏 このたびは貴重な機会をいただき誠にありがとうございます。私は、日本筋ジストロフィー協会副理事長の矢澤健司です。以下、課題に挙げられている3点について意見を述べさせていただきます。
地域における障害者支援について。現在、障害分野を問わず、新型コロナウイルスの感染は1年以上世界中にまん延し、非常に大きな打撃を与えています。日本においても2回の緊急事態宣言を出して沈静化を試みてきましたが、沈静化ができておりません。感染はあらゆる場所に広がっており、大きな打撃を与えております。このことは、地域で生活する障害者と家族、職員にとって非常に大きな課題になっております。国民全員がこの脅威に立ち向かっていますが、先の見通しが立っておりません。
資料1のように、社会福祉法人清瀬わかば会では事前に新型コロナウイルスに対する取組をしていたにもかかわらず、感染者が出てしまいました。しかし、全利用者及び全職員の行政検査と社会的検査を行い、感染者には適切な処置を行ったため約1か月で感染を終息させることができました。
このように、自粛や3密を防ぐだけでは新型コロナウイルスの感染を抑え込むことは非常に困難であり、徹底的な社会的検査が必要であると思いました。そこで、日本筋ジストロフィー協会では感染症の専門家にお願いし、「新型コロナウイルスの検査法について」研修会を企画してオンラインで行いました。資料2を御覧ください。
そこで分かったことは、指数として再生産数があります。これは免疫を持っていない集団の中で、感染を持たない状態で1人の感染者が平均で何人に感染させるか表した指数で、基礎再生産数と言います。新型コロナウイルスでは2.5と言われています。再生産数が1より大きいと感染が拡大し、1より小さいと終息していきます。全ての人の外出を20%に制限すると、実効再生産数は0.5になります。昨年の4月7日に出された緊急事態宣言では、学校の休校もあって実効再生産数が0.5になりましたが、現在は第4波を心配する状態です。
資料2の3ページを御覧ください。この実効再生産数を1以下に抑えるためには、ワクチンで免疫者数を大幅に増やすか、または社会的検査を拡大して無症状の感染者を見つけ、適切な処置を行うことにより実効再生産数を減らすことができます。ワクチンが全国民に届く見通しがない現在、社会的検査を広める必要があります。資料を見ていただきますと分かりますように、現在の日本の検査数は先進国の中でも最低で、開発途上国並みです。
地域における障害者支援のために次のことを提案します。問題になっている新型コロナウイルス感染防止対策のために実行再生産数を減らす必要があります。そのための処置として、マル1、社会的検査を拡大する。マル2、検査により、感染者を見つけて適切な療養と生活保障を行う。
次に、障害児支援について。放課後等デイサービスは、平成24に初めて公的な制度としてできました。利用者は当時5万人程度でしたが現在は約25万人と5倍に増加しています。このことは障害児家族にとって必要な制度で多くの家族が望んでいた制度です。放課後等デイサービスは家庭と学校に対し第三の生活の場として、家庭や学校では体験できない社会的生活の場となっています。家族の生活も親がフルタイムで動ける環境にあるので、親の生活保障としても重要で、育児だけでなく社会に対する貢献度も大きくなります。
次に、(ア)の放課後等デイサービスの課題についてです。資料3を御覧ください。放課後等デイサービスは3年に一度の制度の見直しがあり、今回の大きな改定では、基本単価が引き下げられ、今まで保育士資格と医学療法士等の資格が同等に扱われてきたものが、一部認められなくなり、状況によっては、年間500万円ほどの減収になり、問題になっています。医療的ケア児に対する予算も少なく、逆に、虐待に関する加算は利用者にとっての大きな精神的負担になります。安定的な利用のために、加算によらない基本単価で経営ができるようにしていただきたいと思います。
過齢児の問題です。現在の制度では、高等部卒業後、放課後等デイサービスの適用がないため、今までの生活の環境の中で過ごしてきた25万人の青年・成人の家族は卒業後、困難状態に陥っています。作業所等から帰ってくる青年・成人を迎えるため、フルタイムの仕事をパートタイムに切り替えなければなりません。
また、青年、成人にとっても社会生活を行う場がなくなり、コミュニケーションや精神的な発達の場が奪われることになります。職場での緊張をほぐす第三の場は、親しい仲間らとほっとする環境の中で、精神的に安定して帰ることができるため、家庭の中の生活もスムーズに過ごすことができます。
このような環境は、障害者だけではなく、一般の人もコロナウイルスの自粛生活の中で余暇の大切さを実感した人もたくさんいると思います。障害者権利条約では、障害者でも余暇を楽しむ権利を一般の人と同様に持つことを締約国に義務づけています。文部科学省も生涯教育として、余暇等の必要性を認めております。
次に、障害者の就労支援について。憲法や障害者権利条約にも、働くことの権利は全ての人に与えられています。短時間でもほかの人のために働き、役に立つという喜びを実感する機会を与えてほしいと思います。
さきの参議院選挙で2人の重度障害者が当選して国会議員として働いていますが、重度訪問介護制度を国会で使うことができません。現在の重度訪問介護制度は就労と通学で使うことが原則できなくなっています。働くことは生きがいになります。働くために体調を維持しようと積極的に生活することにより前向きになり、生活のリズムを正しくつかむことができます。就労や通学でトイレの支援をしてくれる人がいないために、リハビリパンツを使っている人もいます。大学の就学支援に協会各支部からいろいろと意見が出ています。重度訪問介護事業者の大学就学支援事業についても、私どもも大きな期待をしていますが、大学の支援体制は短く1年間の制度であることと、自治体によっては格差があることが問題になっています。重度訪問介護制度は非常に可能性を持っている制度です。いろいろな面で活用を広げ、障害者が豊かな社会生活を獲得できることを願っています。
以上です。御清聴ありがとうございました。
○菊池部会長 矢澤様、どうもありがとうございました。
続きまして、全国身体障害者施設協議会からお願いいたします。
○全国身体障害者施設協議会三浦氏 ありがとうございます。全国身体障害者施設協議会制度・予算対策委員長の三浦と申します。本日はヒアリングの機会を設けていただき、心から感謝いたします。
私どもは6つの意見を提案させていただきますけれども、これらは附則の第3条見直し事項に項目立てされているもの、それから衆議院と参議院の附帯決議にも項目立てされているものですが、これからの中から私たちの要望を提案いたします。
まず1つ目の「地域生活支援拠点の機能の強化(原点に立ち返ったあり方の検討)」です。
私たちは地域生活支援拠点づくりを基本として、障害福祉サービス制度の全体像の制度設計を行っていただきたいという希望を持っております。緊急時の受入以外の機能が整備されるようにするための一定の義務化を行うとともに、「どういう拠点を作っていく必要があるか」の検討が必要だと思います。例えば、「災害時の受入れ・対応」という機能は現状で機能の中には入っていないのですけれども、これを6つ目の機能として位置づけて、拠点相談支援事業所もしくは機関相談支援事業所における災害時個別支援計画策定の役割を明確化したり、災害救助法における福祉避難所の在り方を関係機関と調整して、日常的な福祉サービスと連携できるようにしていただきたいという意見です。
理由といたしましては、緊急時の受入れ・対応の体制整備だけではなくて、拠点が機能するためには専門的人材の確保・養成、地域の体制づくりの強化が重要です。また、緊急時の受入れは、障害者等の災害時要援護者の命を守るための予防的な避難等、これは福祉避難所が二次的な避難所の役割の中で災害救助法適用にならないと開設できないという致命的な課題を抱えているので、風水害には事前避難が必須ですので、非常に困ったことが地域で起こっているという論点です。災害を想定した視点も弱いので予防的に避難できないということで、災害支援拠点として独自に地域生活支援拠点が開設できるような経費負担の仕組みが必要と考えております。これが1つ目です。
2つ目、「移動支援の地域格差の改善」を要望します。
移動支援サービスの利用は自治体間で差異が生じています。事業の趣旨を正しく周知していただきたいと願います。
理由といたしましては、入所施設や共同生活援助の利用者も移動支援の活用が可能であるにもかかわらず、地域生活支援事業、いわゆる市町村事業であることから、利用に関して地域格差が生じております。施設利用者が利用できないケースもあって、利用対象から除外している市町村もあるということが理由です。
3番目、次のページになりますけれども「医療的ケア者等への支援の充実」を要望させてください。
生活介護事業等の支給決定日数と報酬の見直しの要望です。私たち協議会の会員施設には、人工呼吸器等の生命維持支援を必要とする医療的ケア者が多数おられます。支給決定の上限の見直しを要望します。
生活介護事業所であっても、実際の利用者の状態像が「療養介護事業」であれば最大1か月の日数が支給決定で認められているのですけれども、同じ状態像であっても支給決定されるのは生活介護の22日です。このことを何とか改善していただきたいという要望です。
障害者支援施設の日中活動は、月マイナス8日が支給決定の条件ですが、土日を問わずに生命に関わる支援を必要とする利用者が多数おられます。せめて人工呼吸器使用者や喀痰吸引が常時必要な方々に対して、1か月の日数の支給を要望するものです。
続きまして、同じく2ページ目の(2)短期入所の分類の見直しを提案いたします。
医療的ケア児者の受入先について、医療機関と福祉施設という分類ではなくて、利用される方の状態像と受入体制での整理が必要ではないかという意見です。
理由といたしましては、福祉施設での生活によって、日中活動への参加等が広がり、QOLが上がった方々がいらっしゃいます。同じ状態像で医療と福祉、同様の受入体制を取っていれば、その際の目的によって医療機関・福祉施設の選択が可能になるようにすることができます。そこでQOLが上がり、また、同様の報酬が得られれば、福祉施設側にもインセンティブが働き、受け入れる実施施設が増加することが期待できます。
続きまして、4番目は「サービスの質の向上」です。
意見といたしましては、基本報酬と加算で評価されることを再整理していただきたいということです。提供するサービスの質の向上につながるような評価基準・指標の開発が必要ではないかと思われます。
私たちは、利用者の自己実現という目標に向かって同じ体制を同じスキルで行っているということへの評価が必要ではないかと考えております。事業所に求められる機能・役割は拡大しています。提供するサービスに求められる水準が高まっているので、従来は加算として評価されていても、全ての事業所またはほとんどの事業所が対応しているものは基本報酬として評価される必要があると考えます。
また、加算によって、事業所では人的な配置等だけでなく、質の向上につながる取組が行われていることから、それを適正に評価することが必要ではないかと考えるためです。
続きまして、3ページ目の「意思決定支援に関する取組の強化」をお願いします。
意見といたしましては、意思疎通支援はもちろんですが、意思決定支援についても取組を強化することが必要だと思われます。
理由といたしましては、現行の意思決定支援ガイドラインに関する理解度の格差や実施の状況から、取組を明確化して普及啓発を図るとともに、権利条約に沿うもの、そして支援そのものの在り方を検討するために、研究事業のさらなる充実が必要と考えるためです。
最後に「共生型サービスの実態の把握と対応の検討」をお願いします。
安定的な事業運営は共生型サービスにも必要なのですけれども、実態と課題は非常にたくさんあります。これを把握していただいて、対応を検討していただきたいということです。
大きくは2つです。支援区分と要介護認定の認定基準の違いがあります。それから、訪問系サービスはそのままの人員配置でやれるのですけれども、通所系の共生型サービスは定員を2倍にしないと正規の介護報酬がもらえるような体制はできません。みんな基準該当になっています。このダブルのことによって報酬が大幅に減額となっています。このような事態が生ずるために、共生型サービスを継続していけるような見直しを提案いたします。
以上、6つです。
○菊池部会長 いろいろとありがとうございました。
それでは、ただいまの3団体の御意見につきまして、委員の皆様から御質問等がございましたら挙手をお願いいたします。なお、14時35分をめどにして御議論いただきたいと考えてございます。いかがでしょうか。
それでは、会場から竹下委員、お願いします。
○竹下委員 施設協議会の三浦さんに2つの質問をさせていただきたいと思います。
1点目は、移動支援のところの地域格差を問題にしておられるわけですが、この移動支援における地域格差をなくすためにはどういう施策を講じたらいいのか、あるいは仮にそれを法律改正するとすれば、どういう改正が移動支援における地域格差をなくすことに結びつくのかについて、お考えがあれば教えていただきたいというのが1点目です。
2点目はサービスの質の向上のところで、御指摘になっているように、サービスの質の向上に結びつくような報酬の在り方というのは賛成なのですが、具体的にはどういう仕組みをつくることによって、そうした質の向上に結びつけることができるのかについて具体的な意見があれば教えていただきたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 お願いします。
○全国身体障害者施設協議会三浦氏 ありがとうございます。
まず、1つ目の移動支援に関しましては、民間は個別給付化で市町村事業から個別給付のほうに上がっていただきたいと思うことが最終目標ではあります。ただ、現行で市町村事業ということが続くのであれば、ぜひとも厚労省のほうから通知を出していただいて、使える利用者の幅、大体障害者というのは入っていると思うのですけれども、施設入所者を除くであるとか、そういう判断ではないということの通知を出していただければありがたいと思います。
2つ目の質問に関しましては、サービスの質の向上というところでありますけれども、そのことを検討していて、提案しております社保審の委員であります私どもの副会長の白江がおりますのでそちらのほうからお答えしようと思いますが、白江さん、いかがでしょうか。
○白江委員 白江です。
厳格にこういうやり方がいいというものがまだまだ我々の中でも定まっているわけではないのですけれども、幾つかの視点で考えますと、例えば看護師加算があると。そういった場合に、看護師の研修を義務づけていくとか、配置しただけではなくて、そういった形で加算の中身についてもレベルを上げていくといいますか、求めていくものも変えていくということが一つ在り方として考えられるかと思いますし、また、研修だけがいいわけではないのですが、OJTも含めて、どういう形で各自施設なりが質的なレベルアップに取り組んでいるかという計画づくりといったものは、もちろん実践しなければ意味がないのですけれども、少なくともまず計画をつくっていくとか、そういったことをある程度義務づけるというか、最初は努力義務でもいいとは思いますが、そういう形で提案していくという意味では加算に含まれてくるということで、自分たちにとっては大変なのですけれども、そういう意味で質を上げていくことが必要であろうと考えます。
以上でございます。
○菊池部会長 竹下委員、よろしいでしょうか。
○竹下委員 ありがとうございました。
○菊池部会長 それでは、会場はよろしいですね。
オンライン参加の委員の皆様から、岡田委員、井上委員、大濱委員からお手が挙がっております。ほかの方はよろしいですか。
それではまず、岡田委員からお願いいたします。
○岡田委員 ありがとうございます。全国精神保健福祉会連合会の岡田です。
高次脳機能障害友の会の方に1点質問させていただきたいと思います。
大変貴重な御意見をお聞かせいただいて、ありがとうございます。その中で、親亡き後の問題であるとか、当事者と家族の社会的孤立のこと、それから重度の方の地域生活が家族に委ねられてしまうこと。本人の病状から、家族の意向との乖離が生じるなどの課題のお話がありましたけれども、このような課題に関しまして、家族への支援という視点から何か感じていらっしゃることやお考えのことがございましたら、ぜひお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 お願いします。
○特定非営利活動法人日本高次脳機能障害友の会片岡氏 御質問ありがとうございます。
家族への支援ということなのですけれども、意思疎通支援と言いましても、失語症とかであれば割とイメージが浮かびやすいことがあるのですけれども、家族と本人の意見が食い違っていて、本人が病識がないパターンのときに、本人が言っていることが尊重されて、家族の思いがなかなか伝わらないということが起こっているので、そういったことに対して、家族にも御本人の病状をきちんと説明させていただいて、それを聞いていただくという建設的な対話の場面が増えることを願っています。
以上です。
○菊池部会長 岡田委員、よろしいですか。
○岡田委員 どうもありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、井上委員からお願いします。
○井上委員 知的障害者福祉協会の井上です。ありがとうございます。
高次脳機能障害友の会の片岡さんから教えていただきたいのですけれども、2ページ目にありますが、地域における障害者支援という中で、一番下のほうに、共同生活援助における重度加算の問題とか、高次脳機能障害の特性上、なかなか重症度を定量化できない現状があるというのは、軽度の知的障害の人たちの支援度という点でも全く同じような課題を抱えているのかなともお聞きしていました。できれば支援度というなかなか定量化できない部分を、どのような形で皆さん方に分かっていただくのか、軽度の知的障害の人にも支援度の高い人たちもいらっしゃるので、その辺りの評価をきちんとしていただきたいと思っています。
それについて、何か現時点での御知見がありましたら、ぜひ教えていただければありがたいと思い質問させていただきました。どうぞよろしくお願いします。
○特定非営利活動法人日本高次脳機能障害友の会片岡氏 御質問ありがとうございます。
ここに書かせていただいているのは社会的行動障害にスポットを当てさせていただいて、社会的行動障害というのは、感情のコントロールができないとか、暴力を振るってしまうとか、なかなか抑制が利かないというような症状が見られる方、要は障害の重症度を定量化するものが今の社会にないという状況にあります。関連項目などを含めましてそういったことを考えていくときに非常に重要なのは、社会的行動障害、記憶障害というように、この障害があるということで打ち切られている現状があるように感じておりまして、その記憶障害があるから自分のコミュニティーに立ち返ったときに、その障害がどういう生活のしづらさを生むのか。孤立を感じさせるような状況に追い込んでいくのか。そういったことを社会モデルとしてしっかり捉えられるようになればいいなと考えております。
以上です。
○菊池部会長 井上委員、いかがでしょうか。よろしいですか。
○井上委員 分かりました。ありがとうございました。
○菊池部会長 それでは、大濱委員、お願いいたします。
○大濱委員 全国身体障害者施設協議会の三浦さんにお聞きしたいのですが、「短期入所の分類の見直し」のところで、福祉施設での生活によって日中活動への参加等が広がり、QOLが上がった利用者がいるということを書かれていますが、これは実際にどのような事例があったのかを教えていただければと思います。
2点目として、短期入所が全国的に足りないと言われている中で、福祉施設での短期入所は現状どのような状況なのかも教えてください。
以上2点、よろしくお願いします。
○菊池部会長 三浦様、お願いします。
○全国身体障害者施設協議会三浦氏 大濱さん、御質問ありがとうございます。
御質問をいただいているところが白江委員担当の部分が多くて、申し訳ありません。QOLが上がったという事例に関しましては、後ほど白江のほうから申し上げます。
実は今度の報酬改定で、短期入所に関しましては、福祉の施設のほうでも医療型の短期を一部受け入れられるようになったのですけれども、コロナの影響があったようです。このことに関して、今の医療型の短期入所というのは、医療機関が併設しているという条件がないと受け入れることができない。それとプラスして看護師の夜間配置という前提があるので、医療型を受け入れられる箇所はそう多くはありません。ですが、重症心身障害児者レベルの方々は多数受入れをしていて、地域にもよります。地方のほうでは比較的スムーズに短期入所を受け入れられるのですけれども、都市部のほうでは非常に混み合っているというお話なども聞くところです。
あと、個別のQOLが上がった事例に関しましては、白江のほうからお答え申し上げます。
○菊池部会長 どうぞ。
○白江委員 身体障害者施設協議会の白江と申します。
具体的なところでは、私どもの事例で言いますと、子供病院のショートステイと私どものショートステイを利用されている小学生のお子さんなのですが、病院では4人部屋で、日中は割とベッド上で過ごされることがほとんどだということでお母様から聞いております。
私どもに来られますと、車椅子に移ったり、日中活動にも一緒に参加して、歌を歌ったりとか、その場で日中は楽しく過ごされているということで、お母様も来るのをすごく楽しみにしているというような、そういった評価をいただいていて、お子さんの状態においても変化してきているという事例がございました。
ほかにもございましたけれども、そんな感じです。
以上です。
○菊池部会長 大濱委員、いかがですか。
○大濱委員 ありがとうございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
もう少し時間がございますが、ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
小崎委員、お願いします。
○小崎委員 全国肢体不自由児施設運営協議会の小崎でございます。
全国身体障害者施設協議会さんのほうに質問をさせていただきたいのですが、御意見の1番目で、緊急時の受入体制のことについて御意見がありました。これは施設のほうでふだんからの受入体制を拡充しておくべきだという御趣旨と考えてよろしいのでしょうか。
○菊池部会長 三浦様、いかがでしょうか。
○全国身体障害者施設協議会三浦氏 その趣旨です。経験上も、私どもは熊本地震で、また白江は東北の震災で地域で被災された方々を受け入れていて、制度上大きな課題があり、まず初動が大事なので、せっかくですので地域生活支援拠点の機能を使って制度をつないで、地域の障害者の方々のお役に立ちたいという気持ちから、このようなことを提案させていただきました。
○小崎委員 三浦さん、ありがとうございます。
ということは、要するに、ふだん生活されている状況では、施設にはもう少し余裕を持たせたいと考えてよろしいということでしょうか。
○全国身体障害者施設協議会三浦氏 そうですね。ベッドもしくは居室を空けておいてその対応というところまでは想定をしていないのですけれども、災害時は災害の規模によって、例えば通所系を休止してそこに被災者の方を受け入れるとか、様々な対応をいたしますので、現時点ではベッドを空けておいてというところまでは考えておりません。ですが、実際にこれが本当に機能していくためには、通常の緊急時受入れもそうなのですけれども、お部屋を用意しておく、ベッドを空けておくということが今後は必要になってくると思います。
○小崎委員 分かりました。ありがとうございます。
○菊池部会長 ほかにはよろしいでしょうか。
それでは、ございませんようですので、後半の3団体の皆様、本日は大変ありがとうございました。
以上、本日は第1回目でございましたけれども、議題1のヒアリングを終わらせていただきます。
櫻木委員、どうぞ。
○櫻木委員 本当はヒアリングのスケジュールを御説明いただいたときに御質問すればよかったのでしょうけれども、今回45の団体がヒアリングに参加されるという御説明がありました。当事者団体あるいは医療、保健の団体、サービスを提供する団体ということで、45の団体が選ばれたのだろうと思いますけれども、これはある程度漏れなく選ばれたのでしょうか。どういう基準で選ばれたのかということ。あるいは、実際にはヒアリングに参加の御意向を持っておられる団体で、選ばれていないような団体もあるようにお伺いをしておりますけれども、それについて担当の課のほうから御説明いただきたいのですが、よろしいでしょうか。
○菊池部会長 お願いします。
○源河企画課長 櫻木先生、御質問いただきましてありがとうございます。
冒頭のほうで申し上げましたが、今回の団体につきましては、前回、障害者総合支援法の見直しを行ったときと同じ団体を選定させていただいているところでございます。
以上です。
○櫻木委員 それは何か意図があって。
○源河企画課長 特に意図等はございませんが、同じ団体を選定させていただいております。
○櫻木委員 例えば全国地域でくらそうネットワークさんなんかは精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの検討会にも構成員を出しておられましたし、そういうところが選ばれていないというのは何か事情がおありなのかということでお伺いしているわけです。
○源河企画課長 前回と同じ団体を選ばせていただいておりますので、もしほかに御要望等がございましたら、それを承らせていただきます。今、櫻木先生から個別に団体名を出して御意見をいただきましたので、それは改めて事務局のほうで部会長とも相談して、また御報告させていただきたいと思います。
○櫻木委員 よろしく御検討をお願いします。
○源河企画課長 かしこまりました。
○菊池部会長 よろしいでしょうか。
それでは、続きまして議題2の資料8~10につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○河村地域生活支援室長 資料8-1をお出しいただければと思います。
障害者虐待に関して毎年度、全国の自治体が調査を行っておりますけれども、令和元年度分について取りまとまりましたので、御報告をさせていただきたいと思います。
1ページ目はよく御覧になっていただいております障害者虐待防止法の概要の資料でございます。下半分に3つ箱がございまして、障害者虐待の種類である一番左の養護者による障害者虐待、これは家庭内の虐待でございます。真ん中が障害者福祉施設従事者による障害者虐待でございます。これはまさに施設における虐待ですが、一番右側の使用者における障害者虐待に関しましては、雇用環境・均等局のほうで昨年夏に数字を取りまとめて公表が行われておりまして、本日御報告をさせていただくのはこの左側の2つ、養護者と施設になります。
2ページは養護者による障害者虐待の経年のグラフでございます。表の一番右側、黄色く塗ってあるところですが、令和元年度は直近の数字として相談・通報件数が5,700件、虐待の判断件数が1,655件、被虐待者数が1,664人という数字でございました。
数字の動き方としては、下のグラフを御覧になっていただけると少し分かりやすいかと思いますが、青い棒のところが相談・通報件数でございます。相談・通報件数は平成24年度の初回の調査以降、着実に伸びておりまして、平成30年度から令和元年度にかけましても8%の高い伸びを示しております。
一方で、虐待判断に至った件数に関しましては赤い棒で表しておりますけれども、虐待判断ケースは数字としては平成25年がピークでございまして、その後、おおむね横ばいの水準にございます。平成30年度から令和元年度にかけての直近の数字は2.7%ほどの伸びがございます。こういった形で、相談・通報件数が非常に大きく伸びた背景については、後ほど説明します警察からの通報の件数が創設以降非常に高い伸びを示している影響があるものと考えております。
続いて、3ページが施設のほうの表とグラフになっております。施設のほうも中ほどの表のところを御覧になっていただきますと、一番右に令和元年度の数字がございますが、相談・通報件数として2,761件と、こちらも先ほどの養護者と同じでして、下のグラフに青い棒で伸びを示しておりますけれども、平成24年度以降、高い伸びを示しております。平成30年度から令和元年度にかけては6%ほどの伸びとなっております。
一方で、虐待判断件数については、令和元年度は547件でございました。被虐待者数は734人となっております。この数字につきましては、下のグラフを御覧になっていただきますと、平成30年度の頃までは比較的緩やかに伸びてきていたのですが、令和元年度に関しては若干の数字の減少となっております。横ばい傾向に入ってきた可能性もあるかと思いますが、単年度ではなかなか判断が難しいだろうと思っております。
続いて、4ページは先ほど御覧いただきました養護者のほうの障害者虐待について、相談・通報を得てから最終的な対応に至るまでの流れをお示ししたものでございます。
左側の上のところに相談通報の枠囲みがございますが、この中で主な通報の届出者をお示ししております。第1位が警察で34%を占めている。先ほど申し上げましたとおり、非常に高く伸びているところがございます。それから御本人様の届出が15.9%、サービスの事業所職員が気づいて通報するというケースも15%と続いております。そのうち都道府県に連絡が行くケースもありますけれども、多くは市区町村において事実確認調査に入りますけれども、事実確認調査の真ん中の緑色の枠でございますが、事実確認調査を行った事例が5,000件、事実確認調査を行っていない事例が860件という形になっております。それぞれの内訳は資料にお示ししたとおりでございます。これらの中で虐待の判断に至ったものが1,655件でございます。養護者に関しましては、今年度、死亡事例はございませんでした。
右側に目を移していただきますと、虐待に関する措置として、多くは虐待者と分離を行う。分離以外の対応ですと、サービス等利用計画見直し等が挙げられているところでございます。
下半分は、左側に虐待者の属性の記載がございます。真ん中のところに虐待行為の類型、身体的虐待なのかというところがあります。一番多いのは身体的虐待で、6割強を占めております。続いて心理的虐待が3割ほど、経済的虐待が2割ほどとなっております。
その下に発生の要因と状況、市区町村の職員が判断したものを記載しておりますけれども、虐待者の虐待としての認識がないが最も占めていて、その次に人間関係、虐待者における知識や情報の不足が続いているところでございます。
最後、右側に被虐待者の属性を記載させていただいております。障害種別を見ますと、知的障害の方が53%で一番多くを占めていて、その次が精神障害の36.4%となっております。高度障害のある方も28.4%と多くを占めている状況にございます。
続いて、5ページが施設従事者による虐待の同じフローとなっております。左上を御覧いただきますとおり、相談通報の全件数が2,761件でございますけれども、その内訳を見ますと本人による届出が18.4%と一番多いのに続いて、設置者・管理者、施設・事業所の職員による通報が続いております。この2つが近年比較的大きく伸びて、相談・通報件数が伸びている要因になっているかと思っております。
続きまして、右に目を移しますと、市区町村においてこれらの通報について事実確認調査を行った事例が2,405件、事実確認調査を行わなかった事例が412件となっておりまして、市区町村においてそのうち虐待の事実が認められた事例については、都道府県に報告があって、確認を経て、最終的に都道府県において虐待事例として認められた事例が547件と。今年度に関しましては死亡事例が2件ございました。対応の結果は右上でございますけれども、市区町村による指導、障害者総合支援法に基づく都道府県による指導が行われているところでございます。
下半分の左側に虐待者の属性を書かせていただいております。職種として、生活支援に携わる直接支援に従事している方が42%と最も多くを占めております。
その下のところに、市区町村等職員が判断した虐待の発生要因が書かれておりますけれども、知識や介護技術等に関する問題が最も多く59.8%、職員のストレスや感情コントロールの問題、倫理観や理念の欠如が多くを占めております。
右側に施設のほうの虐待の類型を書かせていただいております。身体虐待が52.7%と最も多くを占めておりまして、2番目に心理的虐待、3番目に性的虐待となっております。虐待が認められた事業所全てについて、その下に小さく表で掲載しておりまして、最も多いのが障害者支援施設、少し下に行きますと共同生活援助と続いております。その次が療養介護、その次が放課後等デイサービスといった構成割合になっております。基本的にナイトケアを伴うところが多くを占めている状況にございます。
一番右側が被虐待者の属性でございますけれども、障害種別で見ていただきますと知的の方が78.7%と非常に多くを占めていて、次に身体障害の方が21.3%、行動障害のある方が37.5%と非常に高い割合を施設のほうは占めております。
ざっと例年の数字の動きとしては以上でございまして、続いて、資料8-2をお開きいただけるとありがたいと思います。
資料8-2は、今、御報告申し上げた数字の詳細版が冒頭のページからざーっと続いておるのですけれども、かなり飛んでいただいて恐縮なのですが、30ページからが昨年障害者部会のほうに1年度前の数字を御報告させていただいた際に、委員の皆様方の御意見として、虐待判断に至った件数は重要な問題であるけれども、虐待判断に至らなかったものについて、もう少し分析を深めたほうがいいのではないかという趣旨の御指摘を頂戴しておりました。昨年の部会の御意見を踏まえまして、私どものほうで今年度から初めての試みとして、都道府県別に虐待の判断の比率でありますとか、その前のプロセス等について詳細を分析したものが30ページ以降でございます。
お時間が限られているのでざっとだけ御紹介します。31ページを御覧いただきますと、真ん中の辺りの縦の列なのですけれども、人口10万人比で見たときのマル1が相談・通報件数、マル2が最終的な虐待判断件数です。都道府県別に上からざーっと並べておりまして、高いほうの上位5位と下位5位の都道府県を濃い着色、薄い着色でお示ししております。全体的に相談・通報が高く行われる都道府県は比較的最終的な判断率においても人口10万人比で高い傾向がございます。
同じものを施設についてお示ししているのが33ページでございます。こちらも同じように比較的相談・通報件数が高いと虐待の最終的な判断に至るものも高い傾向にございます。
そのほか、例えば41ページ以降で、施設における最終的に相談・通報を受けた中でどれだけ確認調査を行っているかであるとか、事実確認調査を行っていない事例がどう変化していくかというデータを詳しくおつけしておりますので、御参照いただければと思います。
以上です。
○諏訪依存症対策推進室長 続きまして、資料9を御覧ください。依存症対策推進室の諏訪と申します。
私からは、アルコール健康障害対策推進基本計画(第2期)について御報告申し上げます。
1ページを御覧ください。この基本計画につきましては、アルコール健康障害対策基本法という法律に基づいて策定するもので、基本計画では四角い枠内の定義の欄にございますように、アルコール健康障害というものをアルコール依存症その他不適切な飲酒の影響による心身の健康障害と位置づけ、その対策を講じることとしています。
基本法におきましては、対策推進のための基本計画の策定と4年ごとの見直しを政府に義務づけておりまして、一番下の矢印のところにございますように、平成28年に策定された第1期の計画に引き続きまして、令和3年度、今年度からの5年間を対象とする第2期の計画を本年3月に関係省庁とともに策定し、閣議決定したところでございます。
2ページをお開きください。2番目の重点課題の欄のところを御覧いただきますと、基本計画におきましては、アルコール健康障害の発生予防、進行予防、再発予防の各段階に応じて対策を講じ、それぞれ重点課題、重点目標を設定するということになってございます。左側の発生予防の段階では、飲酒に伴うリスクの知識の普及などを重点課題に据えた上で、マル1と書いてございますが、生活習慣病リスクを高める量を一つの目安として、多量飲酒者の減少、また、マル2にございます20歳未満の方、妊娠中の方の飲酒をなくすことを目標としてございます。
右側の進行、再発予防の段階におきましては、特にアルコール依存症の本人や御家族が必要な支援に円滑に結びつきますように、相談から医療機関での治療、自助グループ参加による会議支援まで、各地域での切れ目ない支援体制の構築を重点課題としております。
また、中ほどの欄の目標につきましては、マル3に記載がございますように、切れ目のない支援を実現していくため、都道府県等におきまして、関係者の連携会議を定期開催することなどを目標として設定しておるところでございます。
3ページをお開きください。計画では、10の分野で関連の施策を実施することとしております。第1期からの主な変更点に下線が付されてございます。
主立ったところだけかいつまんで御説明いたしますと、第2期の計画におきましては、不適切な飲酒の予防の観点で、マル1教育の振興等の3行目、年齢、性別、体質等に応じた「飲酒ガイドライン」を策定いたしまして、適切な飲酒の判断に資するような形でこうした普及啓発を取り組んでいきたいと考えております。
左下のマル4にアルコール健康障害に係る医療の充実等というのがございますが、1行目のところでございますけれども、アルコール依存症などの早期発見・早期介入の観点から、内科などの一般の医療従事者向けの研修プログラムの普及を新たに盛り込みまして、依存症を疑われる方が地域の身近な一般医療機関での受診から、必要に応じて専門の医療機関に円滑につながるような環境づくりを進めることを盛り込んでいるところでございます。
説明は以上です。
○源河企画課長 続きまして、資料10について、企画課から御報告させていただきます。
2ページ目を御参照ください。難聴児の方の早期発見・早期療育のために都道府県において取り組んでいただくこととしておりまして、都道府県で計画をつくっていただくこととしていますが、そのための指針となるようなものを国において作成することになっておりまして、難聴児の早期発見・早期療育推進のための基本方針作成に関する検討会を3月より開催しております。構成員は4に掲げておりますが、この中には御自身が当事者である方も含まれております。今後は、当事者の方をはじめとする有識者の方からヒアリングを行い、夏頃をめどに取りまとめる予定でおります。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
大分終了予定時刻には近づいておるのですが、お許しいただければ、少し質疑の時間を取らせていただきたいと存じます。15時5分ぐらいまでお許しいただければと思うのですが、皆様からいかがでしょうか。かなりいらっしゃいます。ちょっと15時5分というわけにはいかないので、お許しいただきたいと思います。
オンラインで6名の方が手をお挙げです。会場からもお二方、お手を挙げていらっしゃいます。それでは、会場から参ります。石野委員からお願いします。
○石野委員 全日本ろうあ連盟の石野です。
資料8-1、虐待の例として問題になっていますが、虐待を受けたかどうか、その判断は非常に微妙な判断になるだろうと思います。私も聴覚障害者でも、例えば施設に通っている方々もたくさんいますが、特に職員の間で虐待防止のための取組等についての検討をしているところが多いと聞いています。
資料の4ページの下、虐待数が18.5%という数字が載っています。次の5ページの下にも身体障害者21%と数字が載っております。身体障害にもいろいろありますが、聴覚、視覚、あるいは肢体、内部障害等々、障害種別を教えていただきたいのです。もしできないということであれば、何かデータがあればありがたいと思いますが、いかがでしょうか。
○菊池部会長 事務局、いかがでしょうか。
○河村地域生活支援室長 現在手元にございませんので、確認をさせていただきたいと思います。
○菊池部会長 確認の上、分かる範囲で御回答いただけるということですね。
○河村地域生活支援室長 そうです。石野委員には個別にもお返しいたしますけれども、そのほかに参考になることがあれば、また先生と御相談させていただいて、資料を提出するなどさせていただきたいと思います。
○石野委員 分かりました。
○菊池部会長 それでは、竹下委員、お願いします。
○竹下委員 竹下です。
アルコール依存症の関係で1つだけ教えていただきたいのですけれども、第1次計画が終わって、この4月から第2次計画ということですが、第1次計画によって、どのような対策の効果があったかどうかということが数字的に出ているのであれば、今日でなくても結構ですが、どういう対策の効果を踏まえた結果として、第2次計画が立てられたかについて、特徴的なことがあれば教えていただきたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 お願いします。
○諏訪依存症対策推進室長 事務局でございます。
第1期計画からの主な変更点というところで御説明させていただきたいと思います。
先ほどの資料9の2ページの重点目標等のところで御説明させていただいたところでございます。第1期におきましては、右側の重点目標の欄で点線で囲っているところがございますけれども、相談や治療先として頼るべきところが各地域になかなかないという状況が第1期ではございました。そのため、全都道府県でまずはそうした拠点をしっかりと整備するというところが第1期の一番の目標であったと認識してございます。その点につきましては、各都道府県のほうで御努力いただく中で、こうした拠点の整備は第1期で完了することができたという状況でございます。
ただ、引き続き、アルコール依存症の疑われる方がしっかりと医療機関で治療を受けていくことができることができるかどうかというと、まだなかなかそういう環境にはないということでございますので、そうした生じてしまっているギャップを埋めるためにどうすべきかということで、先ほど御紹介させていただいたような関係機関での連携をさらに強化して、切れ目なく支援をしていく、そのような環境をつくっていこうとしているところでございます。
また、左側のほうにございますように、発生予防という観点では、多量飲酒の問題が生じないように予防をしていこうということが第1期のときからの目標になっておったわけでございますが、その点については第1期のときの目標も達成できていないというところでございましたので、引き続き同様の観点で取り組み、この予防をしっかりやっていきたいということで、今期、取り組んでいきたいと考えております。
○菊池部会長 竹下委員、よろしいですか。
○竹下委員 ありがとうございます。
○菊池部会長 それでは、オンライン参加の委員の皆様から。
内布委員はよろしいですか。先ほどお手が挙がっていましたけれども、質問されませんか。
○内布委員 櫻木委員と同じ意見だったのですけれども、ヒアリング団体の件なので、後に回していただいても結構です。
○菊池部会長 分かりました。
それでは、齋藤訓子委員、白江委員、井上委員、久保委員、阿由葉委員の順でお願いします。もし、もう時間が来て中座されるので早くしたいという方がおられたら先にと思いますが、よろしいですか。お待ちいただけますか。
それでは、齋藤訓子委員からお願いします。
○齋藤(訓)委員 ありがとうございます。
1つは虐待の件で、もしデータがあればと思うのですが、施設での虐待につきまして、発生要因の分析で職員のストレスや感情のコントロールの問題だと判断されたものが大体53%を占めるということだと思うのですけれども、最近米国で開発されたアンガーマネジメントというものが日本にも取り入れられつつあるのですが、こういった職員の感情コントロール等々について、研修の実態等、先ほどサービスの質の向上で職員の研修も義務づけてはどうかという御意見がありましたけれども、もし厚生労働省でこういった施設で働いていて、きちんとした研修を受けている、特に感情のコントロールについての研修の受講の実態について把握されているのでしたら、その実態を教えていただきたい。
ここから先は意見ですが、施設に入所していて、職員から虐待を受ける。こんな切ない話はないと私は思っています。ですので、もし研修を受けていないということであれば、こういったコントロールの方法等も含めた研修の体系をつくっていくべきではないかと思っております。
2点目のアルコールにつきまして、第2期の計画で、関係機関の連携のために定例の会議をやることが挙げられているのですが、相談拠点と医療者と自助グループになるのですが、ここに産業保健というものが入ってくるのかどうなのか、そこをお示しいただきたいと思っております。こういったところ、産業保健との連携もかなり重要なファクターになるのではないかと思っておりますので、もしないということであれば、そういったスキームの構築が必要になるのではないかと思っております。
以上です。
○菊池部会長 事務局、いかがでしょうか。
○河村地域生活支援室長 1点目の虐待の関係で、アンガーマネジメントに特化した研修の受講状況というのは、大変恐縮なのですが、ちょっとデータがないのですけれども、お時間の関係で説明を割愛してしまったのですが、資料8-3に今回の4月からの報酬改定に合わせた虐待防止措置の強化の内容を入れさせていただいておりまして、1ページでございますけれども、今回の改定において新しく従業者への研修実施の義務化を行ったところでございます。研修の義務化もそうですし、あとは虐待防止委員会の設置の義務化も行ったところでございます。虐待防止委員会の設置の中で、委員会での検討の内容の中心的な3つのうちの1つとして、虐待防止のチェックとモニタリングとして虐待が起こりやすい職場環境等がないか、また労働条件等のチェックの任務をお示ししたところでありまして、実際に義務化が行われるのが令和4年度からになっておりますので、この後、そういったところも含めて、委員の御指摘を踏まえて対応してまいりたいと考えております。
○齋藤(訓)委員 ありがとうございます。期待したいと思います。
○菊池部会長 2点目はいかがですか。
○諏訪依存症対策推進室長 アルコールのほうで御指摘いただいた点でございます。
産業保健分野との連携というのは保健指導の場面での早期発見・早期介入に非常に重要でございますので、今回の計画におきましても、そうした産業保健分野との連携をしっかりと位置づけているところでございます。
したがって、各地域におけます連携会議の開催におきましても、そうした産業保健の関連の機関ともしっかりと連携して、会議の開催に取り組んでいただけるように自治体に対する周知にも力を入れていきたいと考えてございます。
以上です。
○菊池部会長 よろしいでしょうか。
○齋藤(訓)委員 ありがとうございました。
○菊池部会長 続きまして、白江委員、お願いします。
○白江委員 ありがとうございます。
全国身体障害者施設協議会の白江と申します。2点ございます。
1点目は、今、齋藤委員からもお話がありました発生要因といいますか原因について、例えば介護技術等に関する問題などと書いてあるのですが、さらなる分析と言うのでしょうか、どういった介護技術が必要なのか。今のアンガーマネジメントもそうなのですけれども、どういった研修が有効なのかということにつながってくる話ではあるのですが、どういう体制が必要かとか、そういったことにもつながってくる話ですので、さらなる分析を厚生科学研究なんかでもいろいろと研究されているのは承知しているのですけれども、そういう段階ももう少し見えるような形にしていかれるといいのかなと思っております。それが1点目です。
2点目なのですが、都道府県別の虐待防止に関してですが、都道府県別のデータをより詳しくしていただいて、ありがとうございます。とても分かりやすく、見やすくなったなと思うのですが、認定件数が多いからその都道府県で虐待が多いのかという立場は避けたいと思うのですが、むしろ啓発活動が十分に行き届いて、掘り起こしが進んでいる意識が高いという見方も一方ではできると思うのです。要するに、私は都道府県格差というのがあるように思っております。研修への取組や実際の通報に対する対応といった意味で、私としては虐待防止法が改正されて、都道府県の役割とか義務といったものをもっと評価していくことが必要ではないかなと思っております。
以上2点でした。
○菊池部会長 御意見だったと思いましたが、事務局から何かありますか。
○河村地域生活支援室長 数字の受け止めに関しましては、まさに白江委員におっしゃっていただいたとおり、むしろ管内の警察署だとかいろいろな協力を得て、通報を一緒に行えるようになった自治体さんのほうが、逆に認定の率が高くなるという関係がございまして、まさに認知が十分に進んで意識が高まっているということであろうと思います。
御意見のほうは承らせていただきます。
○菊池部会長 白江委員、よろしいですか。
それでは、井上委員からお願いします。
○井上委員 ありがとうございます。知的障害者福祉協会の井上です。
先ほどあった御報告のとおりで、従事者による虐待の8割は知的障害を持つ人たちだということですから、事業者団体としても大変深刻に受け止めて、今後とも対策を強化してまいりたいというのが一つでございます。
私も様々な虐待の事例を受け取るわけですけれども、その中でいくつか感じているのは、虐待が発生する土壌というか、発生する施設や事業所のいわゆる管理者なり責任者のマネジメントがほとんど利いていない中で起こってくるということを非常に強く感じています。施設長・管理者等を含めたマネジメント力というのでしょうか。虐待を防止するためのマネジメント力が大変求められているのではないかというのが第1点です。
2つ目は、行動障害のある場面で非常に起きやすいということですから、当協会でも特別委員会を立ち上げ、行動障害に対するスキルの向上や、環境要因を含めた対応の在り方を検討していますので、ぜひ今後提案してまいりたいと思います。
3つ目は、施設入所支援やグループホームにおいて発生しやすいということがはっきりしていて、それはある種の密室性なりスタッフの孤立感なども非常に大きく影響しているのではないかと認識しているところでございます。
全体としては意見という形になりますけれども、あってはならないことでございますので、今後とも皆さん方と一緒に考えて、いろいろと対策を図ってまいりたいと思いますし、どうぞ皆さん方の御協力もお願いしたいと思っております。
以上でございます。ありがとうございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
貴重な御意見あるいは分析をいただけたと思います。
続きまして、久保委員、お願いします。
○久保委員 ありがとうございます。全国手をつなぐ育成会連合会の久保でございます。
虐待の件でございますけれども、養護者による虐待ですが、この表を見てもずっと高止まりになっております。何でこのような状態なのかという視点での対応を考えていくことが不可欠ではないかと思っております。多くの場合、養護者虐待の背景には支援不足がございます。相談支援事業所による支援サービスの調整であったりとか、自立支援協議会における地域全体の取組の検討を進めるべきではないかと思っています。
あわせまして、家族に対しましても、自分はもうこうするしかなかったということであっても、本質上は虐待に当たるケースがあるということをちゃんと家族も理解する必要もあると思っています。
障害者福祉施設の虐待のほうに移りますけれども、そちらのほうは、障害者虐待については相談・通報件数は増加している反面、虐待の判断件数が減少していることが私は気になっております。育成会としましては、相談の通報件数が増加傾向にあることから、現時点で判明している支援者からの虐待は氷山の一角ではないかとも思っております。加えて、過日も愛知県で発生しました虐待事案ですけれども、市町が立入検査をしたにもかかわらず見過ごしていたという実態もございました。そうした意味で、虐待判断をする市町村がしっかりとした調査スキルを身につけて、検証していただく必要があると思っています。
また、国の虐待防止指導者養成研修を都道府県から市町村などへ伝達することになっておりますけれども、十分に伝達されていないとの声も聞かれております。実態を調査し、確実に伝達されるように取り組んでいけたらと思っています。
施設従事者につきましては、虐待防止研修を受けていても、研修を受けたというだけで、実際の支援の活動に生かされていないという声もよく聞きます。現場で生かす支援についても検証すべきであると思っております。施設内での取組に期待をしたいと思いますので、ぜひその部分の分析をしていただけたらありがたいなと思っております。虐待を受けている人は知的障害者、特に行動障害の方が多くおられますので、私ども育成会としましては、行動障害者へのナショナルセンターをつくって、行動障害者の従事者のスキルアップとか支援の仕方をもっと広めていって、きちんとした支援ができるようなことをしていくことが、一方で虐待を少なくすることにもつながっていくと思っておりますので、そのこともまた御提案していきたいと思っております。
以上でございます。
○菊池部会長 貴重な御意見をありがとうございます。
一部、さらなる分析の御要望もありましたので、それは事務局のほうで御検討いただきたいと思います。
それでは、阿由葉委員、お願いします。
○阿由葉委員 全国社会就労センター協議会の阿由葉です。
障害者虐待防止について2点あります。
1つ目が必要な支援と虐待の違いの明確化をお願いしたいと思います。障害者虐待防止法が浸透して、施設での障害者虐待への抑止力になってきていますが、障害者虐待防止法を理由に支援が困難な利用者の受入れを断る事業者が増えてきていると思います。例えば自傷行為を止めることが虐待となるということで受入れを断るということですとか、あるいは強度行動障害の方の受入れを拒否するというようなことを聞いています。そのために、障害者虐待防止の意識づけをきちんと行うとともに、自傷行為を止めるには必要な制止支援と虐待との違いがあると思います。強度行動障害のある方に対する支援と虐待の違いを明らかにする必要があると思っていますので、そういった内容についてきちんと提示できるよう検討いただければと思います。
2点目ですが、医療機関における障害者虐待防止の取扱いについてです。病院における障害者虐待は、通報義務づけの対象外とされています。精神保健の分野だけではなく、医療機関においては虐待の第一発見者となる事例も少なくありません。定期通院が必須の方で、家族が介助あるいは通院支援等を行っている方々は、家族からの虐待の第一発見となる事例をよく耳にすることがあります。
一方では、精神病院における過度な身体拘束などの虐待事例が発生する中で、精神保健福祉法との整合を視野に入れた医療機関における虐待防止法の取扱いの見直しについて整理が必要ではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。
以上です。
○菊池部会長 貴重な御意見をありがとうございました。
よろしいでしょうか。
内布委員から先ほど手が挙がっていました。
○内布委員 日本メンタルヘルスピアサポート専門員研修機構の内布と申します。
私も団体ヒアリングの件について、櫻木委員と同じように、全国地域でくらそうネットワークからの意見を聞きたいと思っています。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
○源河企画課長 内布委員、御意見をいただきまして、ありがとうございました。
先ほど櫻木先生からも御意見をいただきましたので、改めて検討させていただきたいと思います。ありがとうございました。
○菊池部会長 それでは、資料8~10に関してはよろしいでしょうか。
様々な御意見をありがとうございます。前回のこの審議会での委員の御指摘を踏まえて、今回、事務局のほうでさらなる分析を試みたところでございましたけれども、さらにいろいろな角度からの分析が必要である旨の御指摘もございましたし、非常に重要なテーマでもございますので、貴重な分析資料があればお出しいただいたり、今後のさらなる分析に本日の委員の皆様の御意見を反映していただきたいと思います。どうもありがとうございました。
それでは、時間が大分過ぎておりますので、本日はここまでにしたいと思います。
最後に今後のスケジュールなどにつきまして、事務局からお願いいたします。
○源河企画課長 事務局でございます。
本日は御多忙の中、御議論いただきまして、ありがとうございました。
次回の部会は4月23日金曜日の15時半より、こちらの会場で開催いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
○菊池部会長 また金曜日ということで、本当に皆様にお忙しいところを恐縮でございますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(障害者部会)> 社会保障審議会障害者部会(第107回)議事録(2021年4月19日)

ページの先頭へ戻る