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2021年3月26日 難聴児の早期発見・早期療育推進のための基本方針作成に関する検討会議事録

社会・援護局障害保健福祉部

○日時

令和3年3月26日(金)15:00~17:00

○場所

TKP新橋カンファレンスセンター
(東京都千代田区内幸町1丁目3-1 幸ビルディング14階)

○出席者

中川尚志座長、新井敏彦構成員、神田幸彦構成員、酒井邦嘉構成員、城間将江構成員、関沢明彦構成員、髙橋真一朗構成員、武居渡構成員、問田直美構成員、福島朗博構成員、福島邦博構成員、細井裕司構成員、村瀬泰彦構成員、渡辺弘司構成員、大沼直紀参考人、玉田さとみ参考人

○議事

○源河障害保健福祉部企画課長 時間になりましたので、ただいまから第1回「難聴児の早期発見・早期療育推進のための基本方針策定に関する検討会」を開催いたします。
 皆様方には、年度末のお忙しいところ御参加いただきましてありがとうございます。
 本日は、第1回ということですので、議事の進め方や出席者の御紹介など、初めに事務局にて対応させていただきます。
 では、まず本日の議事の進め方についてです。
 本日の検討会は、オンラインでの開催です。このため、皆様方からの発言についてお願いがあります。
 本検討会は座長の進行により進めさせていただきたいと思いますが、座長から御発言を希望される方を募りますので、御希望の方は挙手を、オンライン出席の方は「手を挙げる」という機能などもございますので御活用ください。座長から御発言される方を指名させていただきますので、指名された後、発言を開始してください。
 御発言の際は、まずミュートを解除し、お名前を名のっていただいてから発言をお願いします。発言後は、必ずマイクのスイッチをオフにしてください。
 なお、操作方法や設定などについて、事前にお送りしている「会議の開催、参加方法について」を御参照ください。
 何かトラブル等ありましたら、事務局までお問い合わせください。
 続いて、資料の確認です。本日の資料は、議事次第、資料1、資料2、資料3-1から3-5、資料4-1から4-3、参考資料1から3までとなっておりますが、不備等ございましたら、お手数ですが事務局までお声がけください。
 では、初めに、本検討会を開催するに当たり、厚生労働省障害保健福祉部長より御挨拶申し上げます。
○赤澤障害保健福祉部長 障害保健福祉部長の赤澤でございます。
 皆様、本日は御多忙のところお集まりいただきまして、ありがとうございます。開会に当たり、一言御挨拶申し上げます。
 難聴児の支援に関しましては、令和元年6月の難聴児の早期支援に向けた保健・医療・福祉・教育の連携プロジェクト報告書に基づきまして、厚生労働省、文部科学省両省で連携した取組の下、進めてまいりました。
 難聴は早期に発見し、適切な支援を行うことが大変重要でございまして、そのために福祉・教育分野の連携、保護者の方への支援等が課題と認識しております。この課題の克服に当たりましては、各自治体において難聴児支援のための体制整備を計画的に行っていただくことが肝要だと考えております。
 この検討会では、医療・福祉・教育等各分野で御活躍の皆様にお集まりいただきまして、当事者の方々の御意見もいただきながら、地域で難聴児とその家族を支えていくための方策について検討していきたいと考えております。
 構成員の皆様におかれましては、積極的な御議論とお力添えを何とぞ賜りますよう、よろしくお願い申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。
○源河障害保健福祉部企画課長 続きまして、文部科学省大臣官房審議官より御挨拶を申し上げます。
○蝦名文部科学省大臣官房審議官(初等中等教育局担当) 失礼をいたします。文部科学省の大臣官房審議官の蝦名と申します。
 皆様方におかれましては、平素から難聴児に対する教育につきまして御理解、御協力を賜り、誠にありがとうございます。文部科学省では、難聴児の早期支援に向けた保健・医療・福祉・教育の連携プロジェクトの報告を踏まえまして、難聴児の支援の充実に向けて取組を進めてきております。この検討会につきましても、厚生労働省と連携をしながら参画をさせていただいているところです。
 聴覚特別支援学校では、従来から、地域における聴覚障害教育のセンター的機能の一つとして、地域の難聴のある乳幼児の教育相談や支援に取り組んでまいりました。各地域において療育体制を整えていただくことはもちろんのこと、教育行政もその体制としっかり連携をし、専門性を生かしながら難聴児の適切な就学の場の決定に……(通信切断)
○源河障害保健福祉部企画課長 すみません。音声が途切れてしまったようなので、申し訳ございませんが、先に行かせていただければと思います。
 続きまして、本検討会の構成員の皆様と事務局を御紹介させていただきます。
 開催要綱の別紙、裏面にございます名簿の順に構成員の皆様の御紹介をさせていただきますので、資料1の裏面を御覧いただければと思います。
 まず、秋田県教育庁特別支援教育課長、新井敏彦様。
 神田E・N・T院長、長崎大学医学部耳鼻咽喉科臨床教授、神田幸彦様。
 国立研究開発法人国立成育医療研究センター副院長、小枝達也様は本日欠席でございます。
 東京大学大学院総合文化研究科教授、酒井邦嘉様。
 国際医療福祉大学大学院教授、城間将江様。
 昭和大学医学部産婦人科学講座教授、関沢明彦様。
 静岡県健康福祉部こども未来局こども家庭課長、髙橋真一朗様。
 金沢大学人間社会研究域学校教育系教授、武居渡様。
 全国盲ろう難聴児施設協議会副会長、問田直美様。
 九州大学大学院医学研究院耳鼻咽喉科学分野教授、中川尚志様。
 島根県立松江ろう学校長、福島朗博様。
 医療法人さくら会早島クリニック、耳鼻咽喉科皮膚科院長、福島邦博様。
 奈良県立医科大学理事長・学長、細井裕司様。
 埼玉県福祉部障害者福祉推進課長、村瀬泰彦様。
 公益社団法人日本医師会常任理事、渡辺弘司様。
 続きまして、事務局を御紹介いたします。
 障害保健福祉部長の赤澤でございます。
 本日司会進行を務めております企画課長の源河です。よろしくお願いします。
 企画課長補佐の藤田です。
 同じく企画課長補佐の平田です。
 子ども・家庭局母子保健課長は御欠席でして、子ども・家庭局母子保健課主査の内山知佳でございます。
 続きまして、文部科学省大臣官房審議官の蝦名審議官です。
 同じく文部科学省の八田特別支援教育課長です。
 続きまして、本検討会の趣旨、運営について、事務局より御説明させていただきます。
 先ほどの資料1の表の面を御覧ください。1.及び2.を御覧いただければと思いますが、令和元年6月に厚生労働省及び文部科学省両省の副大臣を共同議長とするチームの下、難聴児の早期支援に向けた保健・医療・福祉・教育の連携プロジェクト報告がまとまりました。その中で、難聴児の早期発見・早期療育の促進のために、難聴児及びその家族に対して、都道府県及び市区町村の保健、医療、福祉及び教育に関する部局や、医療機関等の関係機関が連携して支援を行う必要性が指摘されております。
 これを踏まえ、都道府県における難聴児早期発見・早期療育推進のための計画策定のため、国においてその作成の指針となる基本方針を関係者の皆様方に御議論いただいて、作成することとなっておりまして、本検討会はその議論のために立ち上げました。
 続きまして、要綱の3.でございます。本検討会は(1)のとおり文部科学省初等中等教育局長の協力を得て、厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長が開催するものです。
 構成員につきましては、先ほど御案内させていただきました。
 また、本検討会に座長を置いて、構成員の互選により選出していただき、座長に本検討会を統括していただきます。
 座長につきましては、座長代理を指名する旨、規定を設けさせていただいております。座長に出席困難な事情が生じた場合は、座長代理が座長に代わって議事進行していくことを想定しております。
 なお、本検討会につきましては、(5)にありますとおり構成員の皆様方のほか有識者の方の参加・出席を求めることができることになっております。
 また、要綱に定めのないものに関しましては、適宜座長と事務局で相談し、進めさせていただきたいと考えております。
 その他にございますが、本検討会の資料、議事録につきましては、原則公開としております。
 これまでの説明で御質問等ございますでしょうか。
 それでは、要綱に従いまして、座長の選任に入らせていただきたいと思います。
 要綱の3.(4)に基づき、この検討会の座長は皆様方の互選により選出することとなっておりますが、どなたか御推薦ございますでしょうか。
 福島邦博構成員、お願いします。
○福祉(邦)構成員 九州大学中川先生を座長に推薦いたします。
○源河障害保健福祉部企画課長 ただいま福島邦博構成員から、中川構成員を座長にという御意見がございましたが、皆様、いかがでしょうか
(構成員首肯)
○源河障害保健福祉部企画課長 皆様に御賛同いただけたようですので、本検討会の座長は中川構成員にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、座長代理の指名を行います。中川座長、御指名をお願いいたします。
○中川座長 座長代理には、福島邦博構成員を指名したいと思います。
○源河障害保健福祉部企画課長 ただいま座長から、福島邦博構成員を座長代理にという御指名がございましたが、福島構成員、よろしいでしょうか。
○福島(邦)構成員 はい。よろしくお願いします。
○源河障害保健福祉部企画課長 ありがとうございます。
 事務局からは以上です。
 それでは、以後の進行は、座長にお願いいたします。
○中川座長 本検討会の座長を務めさせていただきます中川です。皆様、よろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入ります。
 まず、議題1「検討会の開催について」です。事務局から説明をお願いいたします。
○平田障害保健福祉部企画課長補佐 障害保健福祉部企画課の平田と申します。
 資料2を御覧いただきながら、本日の検討会の議事及び今後の運び方について御説明申し上げます。
 では、まずスケジュールについて、資料の左側を御覧ください。本日を含め全4回程度の開催を予定しております。その中で関係者のヒアリングを行い、基本方針案に盛り込む内容を議論、7月めどに基本方針については取りまとめられればと考えております。
 本日の議事ですけれども、本検討会は冒頭の趣旨で御説明いたしましたとおり、最終的には都道府県における難聴児の早期発見・早期療育のため、どのような取組を実施すべきかといった点をゴールとしておりますので、まずは現状、難聴児支援としてどのような取組がなされているのか、国から自治体に対してどのような支援が行われているのか、また各自治体においては現状どのような取組がなされているのかという点を確認させていただきまして、今後どのような取組を推進するかというのを御議論いただきたいと考えております。
 そこで、本日の議事1にございますように、難聴児の早期支援に関する取組を厚生労働省及び文部科学省から御説明させていただいた後、検討会構成員として参画いただいております秋田県、埼玉県、静岡県の皆様より、各自治体における取組を御紹介いただければと考えております。
 また、ヒアリングに関しましては、本日と次回の2回にわたり実施させていただければと思いますが、資料2の右側の欄にもございますとおり、ヒアリング対象の考え方につきましては、こちらの検討会は基本方針をつくるものですので、基本方針に盛り込まれる内容に沿って行うこととしてはどうかと考えております。
 現状、難聴児支援における課題は大きく2つ認識してございます。福祉、教育、医療、行政など関係機関との連携と保護者への支援です。これらに関するヒアリングを行ってはどうかということと、また、本検討会の趣旨に鑑み、難聴児支援における自治体の役割についてもお聞かせいただければと考えております。
 初回こうした課題を含めまして、難聴児支援に関する幅広い観点から筑波技術大学名誉教授の大沼先生、また、保護者が必要とする支援に関しまして明晴学園の玉田理事より、関係機関の連携に関しましては岡山県の地元で難聴児支援に携わっていらっしゃる福島座長代理に御発表をお願いできればと考えております。
 また、次回のヒアリングですけれども、候補案に書かせていただいているような関係者の方からヒアリングを実施してはいかがかと考えております。
 なお、酒井構成員から参考資料3を提出いただいておりますので、こちらについてもヒアリングに併せて御紹介いただきます。
 以上でございます。
○中川座長 それでは、今の事務局からの御説明に関しまして、御質問、御意見はございますでしょうか。
 特にないようですので、次に進めさせていただきたいと思います。
 まず初めに、国から都道府県に対する支援の紹介と、構成員にもなっていただいている自治体の皆様から現状の取組を御紹介いただければと考えています。厚生労働省、文部科学省、3県の説明が終わった段階で10分程度の質問時間を設けさせていただいています。時間に限りがありますので、こちらのほうで仕切らせていただきます。御了承いただければと思います。
 では、まず厚生労働省障害保健福祉部から取組の説明をお願いします。
○平田障害保健福祉部企画課長補佐 資料3-1を御覧ください。厚生労働省において難聴児支援に関する都道府県への支援として、現状の取組を2つ御紹介させていただきます。
 1つ目は、厚生労働省において冒頭御説明いたしました難聴児の早期支援に向けた保健・医療・福祉・教育の連携プロジェクトにおいて取りまとめられた報告に基づいて、令和2年度より聴覚障害児支援中核機能モデル事業というものを新たな事業として創設いたしました。こちらの事業においては、資料の内容欄にございますとおり、聴覚障害児に対応する協議会の設置、聴覚障害児支援の関係機関との連携、家族支援の実施、巡回支援の実施というものを柱にしております。
 地域における聴覚障害児の支援体制を整備することによって、聴覚障害児に対して切れ目ない適切な情報と支援を提供することを目的としておりまして、赤字にございます聴覚障害児支援に関する研修等の開催については、令和3年度から新たな柱として設けさせていただいております。
 予算については、令和2年度は1.7億円、令和3年度の予算は本日にも案が取れるかもしれない状況ですが、2年とも1.7億円を計上させていただいております。
 また、この体制に参画いただく方の想定といたしましては、言語聴覚士の方、医師の方、自治体の福祉教育などの担当部局、当事者団体の皆様、特別支援学校教員などを想定しております。ただ、地域の実情に応じて体制を構築いただくというスキームになってございます。
 本事業の実施状況ですけれども、令和2年度については実施主体、都道府県、指定都市となっておりますが、8自治体が実施いただいております。岩手県、埼玉県、静岡県、岐阜県、大阪府、福岡県、北九州市、長崎県の8自治体となっております。新型コロナの影響を受けまして協議会の設置などがなかなか難しかったという状況も漏れ聞こえておりますが、後ほど埼玉県の方から一例を御紹介いただければと思います。
 次のページをおめくりいただきまして、こちらは障害児福祉計画に関するものです。各自治体で策定いただいている計画ですけれども、令和3年度から5年度までを計画期間とする障害児福祉計画の中に、難聴児支援のための中核的機能を有する体制の構築を盛り込んでいただくよう、厚生労働省告示により示す指針によりお願いをしているところでございます。
 簡単でございますが、以上でございます。
○中川座長 ありがとうございました。
 続いて、厚生労働省子ども・家庭局母子保健課から御説明をお願いします。
○内山子ども・家庭局母子保健課主査 母子保健課の内山でございます。本日、課長は都合がつかないので、私のほうからお話しさせていただきます。
 聴覚障害の早期発見・早期療養を図るために、全ての新生児を対象として新生児聴覚検査を実施することが重要と考えられております。
 現在の実施状況に関しましては、これは平成30年度のものなのですけれども、市町村の中では86.9%が実施していただいております。また、公費負担を実施している市町村は38.8%、要支援児に対する療育が遅滞なく実施されるための指導援助を実施している市町村は78.1%いただいております。
 次のページをお願いいたします。
 平成29年より新生児聴覚検査体制整備事業を実施しております。新生児聴覚検査に係る協議会の設置や研修会の実施、普及啓発等により、都道府県における推進体制を整備するものでございます。
 実施主体は都道府県で、令和2年度は43都道府県実施いただいております。都道府県においては、医療機関や教育機関などの関係機関等による協議会の設置、医療機関従事者等に対する研修会の実施や、新生児聴覚検査のパンフレット策定等による普及啓発、県内における事業実施のための手引書を作成することにより、市町村が、聴覚検査に対する公費助成の実施だとか、新生児訪問の際に母子健康手帳を活用し、聴覚検査の実施状況及び検査の把握などを行うことを支援しております。
 次のページをお願いいたします。
 令和2年度より、こちらの体制整備事業の拡充をしているところでございます。こちらも実施主体は都道府県、もしくは都道府県から医療機関に委託していただく場合でありまして、拡充の内容としましては、産科医療機関等や市町村から、新生児に関する聴覚検査結果を集約し、検査結果を把握するよう市町村へ指導することや、ほかの精密検査の実施医療機関等への治療や療育等の依頼等を行っていただきます。
 また、電話面接相談や、産科医療機関や市町村からの相談対応もしていただいているところです。
 また、小規模の医療機関等が聴覚検査の機器である自動ABRを購入する際の補助を実施しております。
 母子保健課からは以上でございます。
○中川座長 ありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、文部科学省初等中等教育局特別支援教育課から御説明をお願いいたします。
○八田文部科学省初等中等教育局特別支援教育課長 文部科学省特別支援教育課でございます。
 私から、聴覚障害特別支援学校におけます乳幼児教育相談につきまして御説明させていただきます。
 聴覚障害特別支援学校の幼稚部におきましては、地域の実態、それから家庭の要請等によりまして、障害のある乳幼児、またはその保護者に対しまして、早期からの教育相談を行っております。その実施の形態といたしましては、乳幼児が特別支援学校に通ってくる場合もございますし、非常にわずかではございますけれども、家庭の都合または医療機関の依頼を受けまして、乳幼児宅等を訪問する場合もございます。
 共有させていただいております資料は全体の教育相談に係るものでございまして、今申し上げました特別支援学校に通ってくる場合というのが下から3つ目の通学児というところ。それから、乳幼児宅を訪問する場合というのが下から2つ目の訪問児でございます。これを合わせたものが上から2つ目の定期的支援者数でございますけれども、ゼロ歳、1歳、2歳、それぞれ約600名という相当数の乳幼児に対して定型的な支援が行われているところでございます。
 具体的な支援の活動内容といたしましては、乳幼児教育相談の担当教員が保護者に対しまして、聴覚障害の特性等の理解、または良好な親子関係の形成に結びつくような関わり方を助言したり、乳幼児に対しまして、聴覚に関わる以外の事項につきましても助言等を行ったりしております。また、保護者に対しまして、障害のある乳幼児にとって必要な教育の在り方や見通しなどにつきまして、情報を提供するなどしているところでございます。
 なお、これらの定期的支援以外にも不定期という相談がございまして、その合計数が1番上でございます。総面談者数が2,214名で、個別の相談件数を合わせますと、一番上の右でございますけれども、3万6189件となっているところでございます。
 このように聴覚障害による乳幼児の支援に対しまして、特別支援学校の乳幼児相談は一定の役割を果たしてきているところでございますけれども、近年の状況を見ますと、例えば今申し上げました総面談者数が平成28年時点では2,214名ということでございますけれども、これを過去の平成14年度で振り返ってみますと、ゼロ歳児は59名、1歳児は186名、2歳児は364名、計609名ということでございますので、面談者数は約3倍になっているということと、また、特にゼロ歳児の相談件数の増加が顕著になっているところでございまして、これを支援するための担当者の負担をどのように考えていくのかという課題を持っているところでございます。
 また、活動内容につきまして、過去の調査研究におきましては、保護者の評価が担当者の評価よりも低い項目を調査した事例がございますけれども、その中におきまして低い項目といたしましては、聴覚障害についての説明、また障害を受け止めることについての悩みへの助言や支援、お子さんの聞こえについての説明という3つが低くなっていることが挙げられているところでございまして、これらの内容は、単に教育領域だけからの情報ではなく、医療、心理、福祉等の専門機関との連携が非常に重要だと考えているところでございます。
 このような乳幼児教育相談の現状、また課題認識を踏まえまして、文部科学省におきましては、令和2年度から、スライドでお示しさせていただいておりますような、保健、医療、福祉と連携した聴覚障害のある乳幼児に対する教育相談充実事業を実施しているところでございます。本事業は、保健、医療、福祉関係機関との連携に係る連携調整を担う乳幼児教育相談マネージャーを配置いたしまして、他分野との連携を強化するものでございます。
 先ほど厚生労働省からも御説明がありました事業等により、地域の療育体制が整えられ、児童発達支援センター等から言語聴覚士の派遣する体制が整えられた場合、それをしっかり活用することにより、乳幼児教育相談を充実させることを目指しているものでございます。
 文部科学省としては、引き続き、各市町村におきます教育体制の整備に努めていただいた上で、行政がその体制をしっかり連携し、乳幼児教育相談事業を持続的に展開していくことができるよう、支援に努めてまいりたいと考えているところでございます。
 私からの御説明は以上でございます。
○中川座長 ありがとうございます。
 それでは次に、自治体からの説明をお願いいたしたいと思います。最初に、秋田県教育庁特別支援教育課長の新井構成員から御説明をお願いいたします。
○新井構成員 秋田県教育庁特別支援教育課の新井と申します。よろしくお願いします。
 それでは、自己紹介ですけれども、秋田の聴覚支援学校で11年、そして、秋田県の教育庁特別支援課でも11年、課長2年目であります。このたび、このような経歴から、教育行政の立場で参加させていただいております。どうかよろしくお願いいたします。
 本日は、秋田県における難聴児支援の取組ということで説明させていただきます。
 本日の内容は以下のとおりです。秋田県の取組から参考になる部分がありましたら幸いです。
 初めに、秋田県の行政による難聴児支援についてです。
 行政として3つの課が難聴児支援に関わっております。健康福祉部保健・疾病対策課が新生児聴覚検査事業を所管しております。この後、この事業の体制について説明いたしますが、今年度はこの関連事業としまして、「難聴児保護者のための教育講座」というものが以前からありますが、このDVDと副読本の改訂をしております。これは新生児聴覚検査事業で難聴診断となったお子さんの保護者が学ぶための教材です。療育機関、教育機関、どちらで受けてもSTの解説をしてもらいながら共通の教材で学ぶということになっております。そのほか保健・疾病対策課では難聴児補聴器購入助成事業なども所管しております。
 本日は、教育行政の立場からの説明ですので、私ども教育庁特別支援教育課と秋田の聴覚支援学校の説明が中心となります。
 秋田県における新生児聴覚検査事業について簡単に触れたいと思います。
 秋田県における新生児聴覚スクリーニングは、平成13年度より、厚生労働省のモデル事業として開始されております。このモデル事業終了後は、県の単独事業として継続されておりまして、平成22年度以降は、秋田県産科医会の御協力によって全県でのスクリーニング体制が整っている状況です。
 本県の新スクの体制は、産科を中心とした検査医療機関が22機関。それから、その後の精密検査を行う専門医療機関として、秋田大学医学部附属病院と中通総合病院の2機関。そして、その後の療育を担う療育拠点機関として、発達支援センターオリブ園と秋田県立聴覚支援学校の2機関が指定されているという体制となっております。
 子ども発達支援センターオリブ園、療育拠点機関の一つですけれども、こちらは昭和50年に設立された日本で最も古い難聴児通園施設の一つであります。難聴児療育の経験が豊富で、現在は8名のSTが勤務しております。
 オリブ園も様々な展開をしておりますけれども、特に行政と関係しているところに関しましては、先ほどの専門医療機関であります中通総合病院にSTを派遣しまして、保護者へのカウンセリングに当たっております。さらには、県内の保育所等を訪問する障害児支援も行っております。
 もう一つの療育拠点機関であります聴覚支援学校について説明いたします。
 秋田県の地図が右にありますけれども、聴覚支援学校、赤印で県のほぼ中心の秋田市にあります。先ほどお話した病院、秋田大学附属病院も中通総合病院も秋田市、オリブ園も秋田市という状況です。しかしながら、県内には難聴児が全県域に点在している状況でありますので、聴覚支援学校に、きこえとことば支援センターを設置しました。併せて、県北部、県南部にはサテライト教室を設置して、乳幼児や幼児の教育相談を全県域で行っております。
 本日は早期ということで、そのうち乳幼児教室について少し説明させていただきます。
 基本は個別相談でありますが、合同保育も実施しておりまして、その合同保育のうち、本日は、土曜日開催しているものについて紹介させていただきます。
 0から2歳児のグループにおいて、土曜日に月1回、年にしますと四、五回、毎年行っております。目的としましては、平日勤務あるいは遠方在住の保護者が参加できる場を設ける。あるいは祖父母や兄弟姉妹を含めた家族で話題が共有できるようにする。それから、家族同士や当事者と出会う場を設けるために行っています。なお、今年度はこのとおりコロナがありましたので、1回のみ、少数の家族に限定して実施しております。
 写真で紹介いたします。これは朝の挨拶の後、手遊びをしている場面です。登校してすぐの時間であること、人数が多かったり初めて見る大人が多かったりすることから、この段階では、子供たちの動きや発声もまだ少ないです。活動の前半は、お父さんやお母さんにだっこしてもらい、ゆったりと一緒に活動していただいております。
 これは保護者講座の様子です。毎回、聴覚支援学校の聴覚障害教員が手伝っておりまして、家庭ですぐ使えそうな表現をみんなで練習しています。自己紹介などの基本的な表現や御家庭でお子さんとやり取りする際に使ってほしい表現などを取り上げて行っております。個別相談でも母親と手話を学ぶ時間を設けておりますが、合同保育で家族と一緒に手話表現に取り組んでもらうことで、家庭で始めるきっかけになるようです。特に、お兄ちゃん、お姉ちゃんがいる場合は覚えも早くて、下の子と一緒に遊んで、それが御両親の刺激になって家庭で取り組んでいるという報告もいただいています。
 このほか、難聴疑似体験ですとか、先輩の御両親の子育ての話を聞くとか、聴覚障害教員の経験談などを内容として盛り込んでおります。合同保育ということで、リラックスして温かい雰囲気の中で進めております。
 そのほか、聴覚支援学校には、私ども県教育委員会の事業として様々取り組んでもらっておりますが、聴覚支援学校の教員が、幼稚園保育所等から小・中学校、高等学校に至るまで、こういった様々な事業を通して、難聴児あるいは保護者、その担当教員などの支援に当たっている状況であります。
 ここで、聴覚支援学校における有資格者の状況について説明させていただきます。秋田の聴覚支援学校には、教諭とSTのダブルライセンスを持つ者が勤務しております。上段のほうにあります赤いところ、移行措置で資格を取得した者が2名、下段のほうにありますけれども、県教育委員会として教員を現職のままST養成校に派遣して資格を取得してもらった者が2名いるということで、多いときで最大4名の体制がありました。現在は3名が聴覚支援学校で勤務して、大きな力を発揮していただいております。
 ここにあるような校内支援、校外支援ということで様々な支援をしております。
 次に、連携協議会について説明いたします。関係者のネットワーク構築を目指して、互いに情報共有し合う。特に何かを決めるということではなくて、情報共有の場ということを目的に、平成23年度から年1回開催しております。
 座長は、本県の新生児聴覚検査事業のリーダーであります耳鼻科医の中澤操先生にお願いしております。そのほか、県内の小児難聴に関わる先生にも多数参加していただいております。本年度は、やはりコロナの関係で紙面開催に変えたということであります。
 次に、教育と医療の連携ということで、ここに示してあるとおり様々な形で、教育も医療の方との連携を図らせていただいております。特に赤印で書きましたけれども、秋田大学医学部附属病院とのカンファレンス、あるいは中澤操先生、オリブ園とのカンファレンス、こういったものは、聴覚支援学校の教員にとりまして、新しい情報を学ぶ貴重な機会となっております。
 まとめです。一言で申しますと、秋田県の難聴児支援の特徴は「顔の見える連携」だと思います。
 医療については、本日あまり説明できませんでしたけれども、先ほどの連携協議会にも多数の耳鼻科医の先生に参加していただいていることからも、耳鼻科の先生方の共通認識が図られています。
 療育に関しましては、先ほどのカンファレンスで紹介しましたが、オリブ園と聴覚支援学校が日常的な連携を図って療育に当たっております。
 教育ということでは、サテライト教室等によりまして、全県域への支援をしており、それから、STの資格を有する教員がおりまして、専門性の高い支援を行えているところが特徴であります。
 私ども行政は、こういったことに対しまして、様々な事業あるいは施策によって支援を行っているということであります。
 終わりになりますけれども、私ごとですが、4月から、今日紹介させていただいた聴覚支援学校の校長へ異動となります。今度の4月から立場が変わりますけれども、引き続きどうかよろしくお願いいたします。
 説明は以上です。ありがとうございました。
○中川座長 ありがとうございました。医療、療育、教育、行政に広く連携されているということがよく分かりました。
 それでは、引き続きまして、埼玉県福祉部障害者福祉推進課長、村瀬構成員から御説明をお願いいたします。
○村瀬構成員 埼玉県福祉部障害者福祉推進課長の村瀬と申します。
 本日は説明の機会をいただきありがとうございます。
 埼玉県は今年度、先ほど御説明のありました聴覚障害児支援中核機能モデル事業の採択をいただいたところでございます。この事業を通じまして、今まさに手探りで難聴児支援の本格的な取組に着手したばかりでございます。参考になるお話ができるか甚だ心もとないのですけれども、同じような状況にある都道府県もあるかと思います。そうした観点からお聞きいただければと思います。
 スライドを御覧いただけますでしょうか。資料3-4の埼玉県における難聴児支援の取組でございます。
 従来からの取組ということで、私が所属しております福祉行政における取組でございますけれども、聴能訓練事業というものを昭和51年からやっております。こちらにつきましては、今、大河ドラマの「青天を衝け」の主人公の渋沢栄一の出身地ですけれども、埼玉県北部の深谷市に県立皆光園という障害者の施設がございまして、そちらのほうで始めております。その後、草加せんべいで御存じの方もいるかと思いますけれども、県立そうか光生園という施設でも実施をいたしまして、2か所で今日までやっております。平成18年から社会福祉法人の社会福祉事業団という組織に移管されたことに伴いまして、現在はこの事業団に委託をして実施しております。
 委託の内容でございますけれども、こちらのほうに記載されておりますとおり、聴能言語指導ということで、ゼロ歳児から就学前の聴覚障害児を対象といたしまして、個別の訓練と集団の訓練を行っております。そのほか、訓練児の聴力検査、あるいは近隣の子供たちの聴力の検査などもしております。あるいは補聴器の装用指導、保護者向けの研修会、訪問指導。こちらは訓練児が在籍する幼稚園等へ訪問いたしまして、適応状況ですとか課題の把握指導を行っております。また、予後指導ということで、訓練終了後の現況把握ですとか、在宅での訓練方法の指導等を行っているところでございます。
 昨年度、令和元年度の利用人数になりますけれども、両園合わせて65人ということでございます。
 いろいろスタッフのお話を聞いていると、もう少し早く訓練に来ていただければ訓練効果が上がったというような事例が聞かれております。
 この2園のほか、埼玉県内では、就学前の聴覚障害児を対象とした聴能訓練を行っている施設が2か所ございまして、市町村立が1か所、児童発達支援事業所が1か所ということで、県内4か所でこうした聴能訓練を行っているところでございます。
 令和2年度からの新たな取組ということで、先ほどお話をさせていただきました聴覚障害児支援中核機能モデル事業の補助金を採択いただきまして、今年度から開始をいたしております。
 目的につきましては、先ほど御説明がありましたとおりで、早期発見・早期支援につなげるため、医療、保健、福祉、教育の連携が十分なされていない部分があるということで、中核機能を担う機関を指定いたしまして、その中核機能を中心といたしまして、こうした関係機関の連携体制をつくっていくということが一つ。もう一つは、保護者からの相談等に対応して直接支援ができるような、そういう聴覚障害児の支援を進めていきたいと考えております。
 事業自体は、先ほどお話ししました社会福祉事業団のほうに委託をいたしております。今年度はコロナの関係等がございまして、9月から委託が開始されまして、こういった予算額で進めております。
 先ほど中核機関ということで、そうか光生園のほうを中核機関として指定いたしましてやっておるところでございます。主な内容は、国のモデル事業で示されているのが主な柱でございます。1つは、支援協議会というものを設置いたしまして、医療、保健、福祉、教育の関係者で、今後の支援体制の整備あるいは連携の在り方等を協議しているということでございます。
 また、協議会の下部組織といたしまして、連携会議というものを設置いたしまして、こちらのほうは実務者レベルで、より具体的な現場に即した意見交換を行うこととしております。
 また、相談窓口といたしまして、聴覚障害児支援センターを運営いたしております。
 最後、巡回支援ということで、教育や福祉の現場を巡回し、職員等に助言・指導を行うといったような活動を予定し、実際にいたしております。
 この障害児支援の協議会は、まだ1月にようやく設置にこぎつけたということでございますけれども、現在14名で委員を構成いたしております。医療からは、本県の所沢市にございます国立障害者リハビリテーションセンターの耳鼻咽喉科の先生。また、県立の小児医療センターをはじめ、耳鼻咽喉科、小児科、産婦人科の各医師に参加をいただいております。また、保健分野として、県あるいは市の保健部門、福祉部門として、福祉行政のほうからは県、町、あるいは児童発達支援事業所、それと、聴覚障害者協会ということで当事者の団体、あるいは難聴児を持つ親の会ということで家族会にも参加をいただいております。また、教育部門については、県の行政、あるいはろう学園に参加をいただいております。まだ2回しか開催しておりませんけれども、コンスタントに会議を持っていきたいと思っております。
 相談窓口につきましては、1月19日に開設をいたしまして、子供の聞こえを心配されている方や難聴児の支援に関わる方を対象に相談に応じております。まだ13件ということで、相談事例は少ないのですけれども、中には、生後1か月未満の子を持つ保護者の方から、スクリーニング検査で再検査と告げられたのだけれども、次の検査まで3か月先になってしまうということで大変不安だということで御相談をいただいたケースに対して、実際に御自宅を訪問していろいろアドバイスをさせていただいたりしております。
 最後になりますけれども、難聴児支援に向けた体制整備の課題ということで、まだ2回しか協議会を開催しておりませんので、具体的なことはお話しできないのですけれども、この2回の協議会で出ている意見も踏まえて整理をさせていただいております。
 1つは、全ての関係機関による認識の共有ということで、スクリーニング検査から診断、治療、療育に至る全体の流れ、また、連携による支援の必要性について、いかに関係機関が意識を共有していくかということが非常に大事だと思っております。
 最後のページに書いてあるのですけれども、医療機関から聴力検査、そして療育、教育といろいろな関係機関が絡んできますけれども、この連携がうまくいかないと、なかなか支援が行き届かなくなってしまうということで、認識の共有が大事である。
 また、各ステージにおける連携体制の整備ということですけれども、例えば今、新生児聴覚スクリーニング検査についていろいろ話をしております。こちらについては埼玉県の場合、現在、13市町村で公費助成を行っておりますけれども、この4月からは県内63市町村全てで公費助成が行われる予定となっております。そうした意味で、スクリーニング検査の検査率を高めて、なおかつリファーとなったときの判定期間について、これをどういうふうにしていくかということで、マニュアルの整備ですとか、あるいは市町村に検査結果の情報が参りますけれども、プライバシーの関係等ございますが、その取扱いをどうしていくか。あるいは保護者へのフォローをどうしていくか。こういった課題を整理していく必要があると思っております。
 また、保護者に対する支援といたしまして、手引きの作成ですとか、相談窓口をいかに周知していくか、あと、正しい情報の提供ということで、人工内耳や補聴器、療育、そして手話という選択、こうした様々な選択肢を正しく提供していきたいと考えております。
 また、人材育成ということで、先ほど新年度予算でも研修の部分がありましたけれども、今後に向けて関係者への指導研修、そうしたことも課題だと考えております。
 説明は以上でございます。
○中川座長 ありがとうございます。取り組み始めて様々な課題にぶつかっているということがよく伝わってきたと思います。
 それでは、続きまして、静岡県健康福祉部こども未来局こども家庭課長、髙橋構成員から御説明をお願いいたします。
○髙橋構成員 静岡県健康福祉部こども家庭課長の髙橋です。よろしくお願いいたします。
 私から、これまでの静岡県の難聴児支援に関する取組について御説明いたします。
 まず、難聴の早期発見の意義についてでございます。既に御承知のとおり、新生児聴覚スクリーニング検査による難聴児の検出率は1,000人に1人から2人でありまして、他と比べても格段に高い検出率であります。
 そして、乳幼児の難聴につきましては、早期の人工内耳と療育につながれば、障害を軽減できるという効果があります。
 一方で、難聴の診断に当たっては、確定するまで1年以上かかることもあります。この間、保護者は不安を抱きながら医療機関を行き来することになりますから、保護者の不安軽減のためのサポートが必要となります。このため、乳幼児支援としての成果を達成するためには、医療と保健、福祉、教育の密接な連携が必須となっております。
 この表は、静岡県のこれまでの取組についてまとめたものでございます。一番上にございます平成11年度に多職種で構成します、静岡県難聴児を考える医療と保健福祉と教育の会が発足いたしました。これは行政主導の会議ではなく、有志の会でございます。当時はまだ難聴の早期発見・早期療育を行うという意識が関係者の間でも希薄でありましたが、静岡県立総合病院の高木先生が旗振り役となってこの会を立ち上げまして、現在では、本県の難聴児支援体制の基礎となっております。
 スライドについては、難聴児を考える医療と保健福祉と教育の会の開催時の様子でございます。
 スライドは、静岡県の取組についてでございます。受検率の向上及び早期支援を図るためには、単発の取組ではなくて、複数の取組を連動させました事業展開が効果的だと考えまして、平成28年度より下の図の円のとおり、3つの取組を同時に進めております。
 まず1つ目になりますが、県内どこでも受検可能な実施体制の整備についてでございます。平成28年度に県内の分娩取扱機関に対しまして、新生児聴覚スクリーニング検査に必要な検査機器の整備の費用につきまして、県単独の助成を実施いたしました。補助率は3分の1、補助上限が100万円というものでした。1年間限定での補助事業でしたけれども、これによりまして、平成29年度には県内での検査機器の整備率が100%になりまして、県内どの分娩取扱い医療機関で出産されても聴覚スクリーニング検査が受検できる環境が整っております。
 一番下に米印で書いてございますけれども、令和2年度につきましては、国の補助をいただきまして、自動ABR型の検査機器を整備するための助成を実施しております。これにより県内の医療機関の全てが自動ABR型を用いた検査体制となっております。
 このスライドは、自動ABR型機器による聴覚検査の写真でございます。
 2つ目の取組であります、市町における公費助成制度創設に向けた支援についてでございます。
 検査費用の助成につきましては、保護者の経済的負担が軽減されるという利点がありまして、受検率の向上に向けて大変有効であります。本県では、平成28年度から各市町への助成制度創設の働きかけを行いまして、平成30年4月には県内全ての市町におきまして、公費助成を開始しております。
 スライドは、県内市町の公費助成制度の概要を表にまとめております。助成額につきましては、平成30年度から県内全ての市町で同額となっております。一番下の表の赤字の部分ですが、自動ABR型の検査は4,700円、OAE型検査の場合は2,100円が助成額となっております。
 3つ目の取組であります、発見された難聴児等の支援体制の強化についてです。
 本県では、平成22年後に静岡県乳幼児聴覚支援センターを静岡県立総合病院内に設置いたしました。検査によって難聴を疑われた乳幼児のデータの収集と管理、あるいは精密検査機関への連絡調整、保護者からの相談対応など、難聴児支援に関する事業は支援センターが中心に担っていただいております。
 こちらの図は、本県の聴覚スクリーニング検査とその支援フローについて図式化したものです。図の右側になりますが、検査の結果、異常あり、要精密と診断された乳幼児につきましては、乳幼児聴覚支援センター精密聴力検査機関、市町の保健センターを含めた連絡体制を整備いたしましてフォローをしております。本県では、これらの関係機関が情報を共有しているということが特徴となっております。
 こちらの図は、令和元年度の静岡県の新生児聴覚スクリーニング検査の結果でございます。県内出生者数2万4254人のうち99.5%に当たる2万4128人が聴覚スクリーニング検査を受検しております。
 こちらの写真は、乳幼児聴覚支援センターで実施しています「きこえを育む親子教室」の状況でございます。聴覚障害児を抱える保護者の方の不安軽減のほか、言語能力やコミュニケーション能力のための相談、指導を行っております。乳幼児聴覚支援センターではこのほかにも言語聴覚士が各地域に出向いた巡回相談なども実施しております。
 最後になりますが、今後の展開についてまとめております。4点を記載してございますけれども、1つ目の聴覚スクリーニング検査、2つ目の精密聴力検査につきましては、いずれも受検率、受診率100%を目指しております。
 乳幼児聴覚支援センターの機能強化は3番目となりますが、現在、乳幼児聴覚支援センターは県の中部地区に位置しておりますが、東部や西部も含めた県下全域に偏りのない支援の提供、あるいは精密聴力検査機関への支援を充実していく必要があります。
 4つ目は切れ目のない支援のための多職種連携の強化でございます。難聴児の支援をさらに充実させるために、保健、医療、福祉、教育の多職種が相互連携した取組を進めていくことが重要であります。
 また、一番下に書いてございますけれども、聴覚言語の専門家については、今年度4月に開学いたします静岡社会健康医学大学院大学におきまして、難聴児支援の専門科目を設けまして、人材の育成を進めていくなど、引き続き、難聴児支援の取組を充実させていきたいと考えております。
 以上でございます。
○中川座長 ありがとうございました。
 ただいま国・自治体から説明がなされました。時間の制限がありますので、5分から10分ぐらい簡潔な質問にと考えておりますけれども、皆様から御質問、御意見がありましたらお願いします。御発言の際は、Zoomサービス内の「手を挙げる」のボタンをクリックしてください。よろしくお願いします。
 関沢先生、どうぞ。
○関沢構成員 産婦人科医の関沢と申します。私自身は日本産婦人科医会の中で母子保健を担当しておりまして、難聴のことにずっと関わっております。
 難聴支援の中の最初のステップが早期発見であるということになると思いますが、今、静岡県であるとか、埼玉県であるとか、新生児聴覚検査に対するサポートがしっかり行われているということであったわけですけれども、2007年に一般財源化されて、その後公費補助がなかなか進まない状況が続いています。産婦人科医会の調べでは、産科医療機関内で検査が可能な施設は98.1%と物すごく高い状況になっていますが、実際に検査を受ける方は87%ぐらいということで、検査をためらう人が10%以上いるというのが現実です。公費負担がある地域とない地域で、受検率は15%ぐらい差が出てくるというような現実もあります。
 先ほど母子保健課の資料にありましたように、公費負担を実施している自治体が38.8%でしかないというのが現実であるということと、一般的に補助額が低いために、平均で2,000円くらいの自己負担が発生しているということで、公費負担がある地域においても、自己負担があるということで検査を受けないお母さんがそれなりにいるということが現実でありますので、いろいろな対策の最初のステップが早期発見にあるということを御理解いただいて、その辺のことについてもしっかり対応していただきたいなと思いました。
 以上です。
○中川座長 ありがとうございます。母子保健課のほうから何かございますか。
○内山子ども・家庭局母子保健課主査 ありがとうございます。
 御指摘のとおり、公費負担のほうが平成30年度におきまして38.8%、こちらは毎年毎年調査していますので、この数字を注視していくとともに、市町村のほうに、また手引き等において周知しているところではあるのですけれども、さらなる周知と、あと私どもでもやっていけることを検討していきますので、今後ともよろしくお願いします。
○中川座長 ありがとうございます。
 この件につきまして、御意見ある先生がおられたら、お願いします。
 神田先生、お願いします。
○神田構成員 中川先生、お疲れさまです。
 公費補助の件なのですが、今、関沢先生ですか、産婦人科の先生から、公費負担がないと15%ぐらい新スク率が下がるということを言われて、やはり公費補助というのは非常に大事だなと思います。
 長崎県では2003年、約18年前から公費補助が得られていまして、もうずっと95から100%近い新スク率がそのおかげで続いています。
 静岡のほうに1つ質問していいですか。
○中川座長 どうぞ。
○神田構成員 静岡の取組も非常にいいなと思って聞いておりました。ただ、意外だったのは、平成28年度、29年度ぐらいから公費補助が入って、99から100%になったということで、公費補助がない状態で非常に新スクに対する取組がなされたり、それから、以前、日本耳鼻咽喉科学会の乳幼児医療委員会で人工内耳の実態調査をした際に、2014年、福島先生もその委員会のメンバーだったし、中川先生も現在メンバーなのですけれども、静岡県は乳幼児のバイラテラル、両側人工内耳の症例が日本で一番多かったのですね。そこまで非常に新スクと人工内耳の医療に頑張って取り組んでおられた。それが非常に、公費補助がないのにどのようにして行われていたのかというのが、静岡県の先生から、自治体から何か参考になる点がありましたらお聞きしたいです。
○中川座長 そうしたら、静岡県のほう、簡潔にお願いいたします。
○髙橋構成員 静岡県の髙橋でございます。
 1つは、冒頭、先ほどの説明でございましたけれども、保健、医療、福祉、教育の会ということで、本県では静岡県立総合病院の高木先生が旗振りとなって、様々な関係機関、行政も含めてですけれども、人工内耳の必要性あるいは難聴児支援の必要性を周知していたというのがございます。実際に公費助成を市町が取り組むという、先ほどのお話と少しずれているかもしれませんけれども、県のほうで予算を取るだけではなくて、様々な実態調査、あるいは医療機関との調整、あるいは事務担当者の要綱とか要領、そういうのを一応県のほうで取りまとめて、市町にフィードバックして提供してあげたと。そういうものが市町のほうの乳幼児公費助成の増大につながったのかなと考えております。
○中川座長 ありがとうございます。
○神田構成員 ありがとうございました。
○中川座長 ほかにございませんか。
 それでは、時間も実は後ろのほうのスケジュールが詰まっておりますので、次に進みたいと思います。
 次は、有識者等からのヒアリングです。
 冒頭事務局から説明がありましたとおり、本検討会は、基本方針に盛り込まれる内容に関するヒアリングを行い、方針の内容を検討するという形で進めさせていただければと考えております。
 そこで、本日は3名の方に関連するプレゼンをお願いしたいと思います。それぞれ10分程度お話しいただき、最後にまとめて20分程度、ちょっと時間を取れるかどうか分かりませんけれども、質疑の時間を用意しております。
 なお、酒井構成員から参考資料の配付の御希望がございましたので、明晴学園の発表に併せて御説明いただけますようにお願いします。
 それでは、大沼先生からよろしいですか。お願いいたします。
○大沼氏 本日は発表の機会を与えていただいて、どうもありがとうございます。
 用意したスライドが多いのですが、事務局のほうで画面共有して流していただければと思います。
 今日は、難聴児の支援をめぐるコンフリクトから、さらにIPE/IPWに向かうため、私たちはどんな基本姿勢を持っていったらいいのか。そのお話をしたいと思います。
 難聴児支援には、IPE、専門職連携教育を経て、IPW、多職種連携に向かうという、これが大事な点です。
 本日のプレゼンの最後には、福島構成員からIPEとIPWの定義については詳しくお話があろうかと思いますので省略いたしますが、このIPEやIPWを進めていく上では、当然様々な衝突だとか対立、葛藤が生じる。その場合に、やはり多様性を認め合うということ。それから、家族中心の支援を大事にする。それから、専門家の連携、そしてさらに、幼児期だけではなくて、幼児期のその先を見据えて考えていく。こういった基本姿勢が大事かと考えております。
 東大の先端研ではバリアについて4分類しております。物理的バリア、制度的バリア、情報・文化のバリア、心・意識面のバリア。これらを一つ一つ克服してきたのが今の障害者教育の発達につながっていたわけです。ところが、最近、5つ目のバリア、バリアフリーが生み出した新たなバリアといったことも一つ考える必要があると言われております。例えば、視覚障害者にとって優しい環境であるはずの点字ブロックの道路、これは当然いいわけですが、一方で、歩行障害者にとってはこれが優しくない環境が増えていると感じられてしまう。このように、バリアがバリアフリーになり、それがある程度成熟していくとバリアフリー・コンフリクトが起こるわけですね。衝突や対立や葛藤が起こる。こういったことは聴覚障害の世界でも歴史的に随分あったわけです。
 次のスライドにありますように、コミュニケーションの手段をめぐるコンフリクトというのは、聴覚法、口話法、手話法をめぐり昔からあったわけですが、さらに人工内耳の出現によって新たなバリアフリー・コンフリクトが生まれているわけです。御承知のように、手話か人工内耳かの選択に関わって、悩み、葛藤が生じる。あるいは乳幼児期から青年期までの療育機関や教育機関をどこに選択したらいいかというようなことであります。
 次のスライドにあるイタールはパリ国立聾唖学校に住み込んでアヴェロンの野生児の教育をした有名な耳鼻科医ですが、同時に聴覚障害児の音声言語教育に尽力した教育者でもあります。
 このイタールと、世界初の聾者のためのギャローデット大学を創設したギャローデットとの「手話口話論争」が始まるのは1800年代です。この手話か口話かといった論争は今でも止むことなく底流では続いているのです。
 聴覚障害者のための仕事や問題解決に気概や熱意がある人であればあるほど、あるいはそういう組織であるほどに、自分の信念と専門性には当然自信とこだわりを持つものでありますから、勢い他領域との連携の必要性を認識しながらも、利己的、保身となりがちであるのは否めないと思います。
 古今東西、言語・コミュニケーションの補償方法を一つに限定し保守したことによってコンフリクトが生じてきたといった歴史があります。
 そういった意味では、聴覚障害児/者のライフステージは常にコンフリクトに取り囲まれているのだという認識を我々は持っておいたほうがいいと思います。
 次のスライドにありますように、聴覚障害者といっても一生を通じて多様な方法が使われるわけです。そういう意味では、あらゆる方法の恩恵を受けながら、それを融通無碍に使いこなしていくという姿勢が非常に大事でありますし、専門家もこの姿勢を大事にしておく必要があろうかと思います。
 次のスライドは、1975年に日本が初めて聴覚障害の国際会議を東京で開いたときの写真であります。この1975年以降、聴覚障害の問題が日本でも国際舞台に上がって、国際化が進んだわけですね。このときに記念講演をしたお二人の著明な先生が、デービス博士とシルバーマン博士であります。
 次のスライドは、このお二人の著明な聴覚医学の先生が著した「Hearing and Deafness」の第4版です。それを私も含めてCIDの留学仲間が集って「聴覚障害学」という訳本を出版しました。その次のスライドにありますように、第4版は非常に驚くべき変化があったわけです。聴覚医学のデービス先生、デービス先生というのは脳波聴力検査の開発ですね。それからオーディオロジストであり聴覚障害教育のパイオニアで純粋口話法一辺倒だったシルバーマン先生、このお二人が編者である本の中で、第15章に手話を取り入れ、そして、さらに次のスライドのように、第20章には聾文化を入れたのですね。まさに聴覚医学の世界でも、聾のことや手話のことを知らないといけないのだという、こういった大きい動きを起こした有名な教科書であります。
 その次のスライドは、筑波技術大学のある年度の学生全員の、左の図が裸耳、右の図は補聴器装用時の聞こえのレベルです。見て分かるように補聴器を全員がつけていても低域に比べ高域の聞こえが十分ではない。つまり、「音」は聞こえるけれども「言葉」は聞こえにくいという状態にあります。
 それなのに、次のスライドにありますように、手話をコミュニケーション手段としている多く聾の青年が補聴器も手放さない。これは何故なのかというと、音が聞こえてくる安心感が理由なのですね。言葉の聞き取りには役立たなくても補聴器を使い続けていくという青年たちが今増えています。つまり「音を感じる世界」と同時に、手話や文字で「言葉を見る世界」の両方に身を置いているのです。
 そういう意味では、より高度専門的な情報とか上質な音環境を求めるようになった若者というのは、もはや手話だけでは満足しない。手話プラス文字、手話プラス文字プラスさらに「音」、音楽を日常楽しむ聴覚障害青年が増えているというのもこのことを表しています。
 たとえ残存保有する聴力が言葉の聞き分けには役立たないとしても、音、物音や環境音や音楽が聞こえることによって、生活の空間や感性に広がりが見えるという側面が非常に大事なわけです。聴覚法、口話法、手話法、どのようなコミュニケーション手段が選択されようとも、基本的には全ての人に「音」の聞こえが補償・保障されていいというふうに考えています。
 青年たちは自分の生き方を聾者とか難聴者という枠にはめないで、手話も音声も、補聴手段も文字も駆使して、相手や環境に合わせて融通無碍に対応する傾向があります。
 次のスライドはあるエピソードです。私は、アメリカの聾工科大学(NTID)をはじめ聴覚障害者のためのギャローデット大学等の歴代の学長と全てお付き合いをしてまいりましたが、当然皆さん聾者であるわけですね。NTIDの歴代の学長さんは、初代のキャッスル博士が教育オーディオロジストで耳の聞こえる学長だった以後は、全て耳の聞こえない学長さんかCODAであります。
 現学長のバックレイ学長も聾者でありますが、当然、私と公的な場で会談をしたりする場合は声も出さず、手話だけを使って手話通訳者が常に同行してコミュニケーションを取ります。ところが一方、私と2人で食事をしたり、あるいはバックレイ先生が車を運転しながら助手席にいる私と話をするときは、2人だけの間で人工内耳を使って、よく聞き、よく話す難聴者となるのです。そしてまた、大学の学長室に入ると全く声を使わない手話の聾者になる。まさに見事に、手話も聴覚口話も相手や状況に合わせて融通無碍に使い分ける新しいリーダーの姿を目の当たりにしました。
 その次のスライドは、秋田県立リハの中澤操先生とあるときお話ししたときの内容です。人間は、聞こえる、聞こえないにかかわらず言語を有して、その固有の言語がその人のアイデンティティを形づくるのだということ。特に、聴覚障害問題に関わるステークホルダー、当事者も専門家もがコミュニケーションモード、音声であれ、手話であれ、文字であれ、そういった多様性を認め合わないといけない。そうしないと社会の寛容性が失われ、障害者の育ち方、学び方、生き方がつらくなるのだということです。
 その次のスライドは、日本では先進的な早期療育・教育プログラムが1980年代にピークを迎えましたが、そこでいろいろな知見が得られました。特に重要な知見は、健常児の発達と同じように、乳幼児期からの母子コミュニケーション関係を通した豊かな経験を重ねることが、後々の言語発達に重要な影響を及ぼすということです。
 次のスライドは、従来「聴能訓練」と言われていたものよりは「聴覚学習」が大事だということです。主体的に学ぶ子供になってほしいということです。初期の親指導プログラムはどうしても親が子供に期待をし、親主体の指導になってしまう。いつまでもそれを続けていないで、子供の発達に即して自主的なスキルへ向かう必要がある。そうすることによって、9歳の壁などを乗り越えられる力にも繋がると思います。
 その次のスライド、主体的に学ぶという一つの例に、偶発的学習と言われるものがあります。聞こえる子供は第三者同士の会話を自然に耳にして、そのやりとりから情報を得て、無意識に体験的な学習をしているわけです。それが聴覚障害の子供にはなかなかできにくい。自分と相手だけの対話場面では、聴覚活用を含めて様々なコミュニケーション手段を使って話し合うことができるようになった子供であっても、第三者同士の会話を明瞭に聞き取ることは難しい。このことが今後、聴覚障害者がもっと広く自主的に言語学習やコミュニケーション能力を発達させるのに大事だと改めて考える必要があります。
 こういった偶発的学習というのは、実は小学生、中学生になってから始まったのでは遅いので、早期からの家庭や学校での経験に基づいて行われるのです。
 その次のスライドは飛ばしてください。
 子供が成長するにつれてどの親もが遭遇することになる共通したクリティカルなイベントがあります。こういったことを専門家同士はよく分かっているわけですが、これらの事例を散逸させず貯めて整理しておくということが一つ大事な姿勢であろうかと思います。
 その次のスライド、ヒアリング/コミュニケーション・ストラテジーという考え方も取り入れる必要があると思います。
 次のスライドです。学童期や青年期に必ず直面するのはコミュニケーション・ブレイクダウンという現象です。聞こえなかったり聞き間違いが重なったりすると、応答に食い違いが生じて会話が中断してしまう。こういったことが重なるとコミュニケーション意欲も失い、自信を失っていくことになるわけですが、相手の話が聞こえなかったり、分からなかったりしたら、その事態を修復して会話を継続させるスキル。これは訂正方略といいますが、こういった能力をつけておく必要があります。これも小さいときからこのことを見据えておく必要があります。
 次のスライドです。時間がないので、ヒアリング/コミュニケーション・ストラテジーの具体例はここに書いたようなことであります。
 最後のスライドです。今起きている乳幼児、幼児期の問題に当然真剣に向き合う必要がありますが、同時に、その先を見据えて考えていくことが大事であります。そして、さらにもう一つ付け加えれば、当事者研究という視点を我々の協議に取り入れていく必要があると思います。
 以上です。
○中川座長 ありがとうございます。非常に深い内容をまとめていただいて、選択のところから最後の様々な具体的な課題、今回の方向性を考える上で非常に大切なプレゼンテーションだったと思います。
 それでは、次に、明晴学園の玉田理事より、保護者が必要とする支援に関しましての発表をお願いいたします。
○玉田氏 明晴学園の玉田さとみです。本日はこのような機会をいただきまして、ありがとうございます。
 明晴学園は、2008年に構造改革特区で設立した小さな私立の聾学校です。13年の歴史しかまだないのですけれども、その前は若い聾者たちがつくった手話で学ぶフリースクールとして9年間活動していました。
 明晴学園は、聾者と聾児の保護者がつくった聾者が理想とする学校です。私もその立ち上げのメンバー、保護者の一人で、息子は明晴学園の1期生です。中学部から都立高校に進んで、昨年3月に大学を卒業し、都内のIT企業に一般採用で就職しました。
 明晴学園とほかの聾学校の一番の違いは、教員の半数以上が聾者で、聾者の価値観と方法で自分たちの仲間である聾児を教育しているというところです。
 ここでは、日本手話の簡単な紹介と、明晴学園の早期支援、保護者支援、そして今後に望むことというのをお話しさせていただこうと思います。
 まず、手話についてですけれども、明晴学園の共通言語は日本手話です。日本語とは異なる文法構造を持つ自然言語です。手話というと、手や指で表すものというイメージをする方がとても多いと思うのですが、それは単語のみです。単語を幾ら並べても文や会話というのは成立しませんよね。そこには当然、文法が必要になります。手の動きは同じでも、目とか眉とかうなずきとか、資料のほうにもありますが、NMと呼ばれるこういった文法、これによって意味が変わってきます。このNM部分が聾の赤ちゃんにとって一番分かりやすいものなのです。
 でも、手話なんか社会で通じないじゃないかとおっしゃる方はたくさんいらっしゃると思います。そのとおりです。でも、聾の赤ちゃんにとって一番分かりやすくて、早く確実に習得できる言語で、乳幼児期の大切な時間を無駄にせず、概念とか思考を育てることができます。その一方で、もう一つの言葉として、日本語ももちろん学んでいきます。
 これは中程度の難聴児でも人工内耳装用児でも可能です。実際に明晴学園には、そうしたお子さんもいらっしゃいますし、幼稚部2年になると、日本手話と音声日本語をしっかり使い分けている。先ほど大沼先生のお話にも少し出てきましたが、手話のみで満足しないというお話が出てまいりましたよね。例えば幼稚部の子でも、通常のやりとりは全て日本手話で行っていますけれども、おうちに帰って例えば好きなアニメを見るときだけ補聴器をつけるとか、自分できちんとコントロールをして言語を選ぶということを既にやっています。
 続いて、明晴学園の早期支援についてお話をさせていただきます。明晴学園では、乳児相談という形ではなく、児童発達事業支援所として運営していますので、6か月ごとに個別支援計画を作成しています。指導者は聾者と聾児の保護者です。つまり、いずれも当事者ということです。聾者の指導者というのは非常に重要でして、聞こえる先生では気がつくことができない、聾の赤ちゃんの小さな行動とか発話を発見して伸ばすことができるのですね。聞こえない子に聞こえる子と同じような発達を期待するのであれば、当然、言葉と同時に概念を育てるということが大切だと、これは皆さん、異論はないと思います。先ほど大沼先生のお話にも出てきました、音とか音声による偶発的学習ができません。代わりに手話による会話で様々な概念を育てていくことが乳児でももちろんできます。詳しいことは補足資料を御用意させていただきましたので、そちらを後ほど御覧になってください。
 この方法は、補聴が機能するまでの間、有効ですし、100%分かる視覚情報に加えて補聴をしていくという育て方ができます。
 一方、聴覚障害児の40%程度(※当日は60%と発言されたが、後日発言者より発言内容に事実誤認があった旨連絡を受けたため、会議時の発言を訂正。)にほかの障害も見られるというデータがあったり、内耳をしても音声トレーニングだけでは言語能力が十分達しないケースが2割ほどあるというような報告も目にしております。聴覚障害児の療育はどうしても音声言語の習得に偏って進められる傾向がありますけれども、日本語習得が期待値に達していないということに気がついてから手話を導入したのでは、手話の習得も遅過ぎます。つまり、早期支援での手話の導入は、聞こえにくい子供の言語と発達のセーフティーネットでもあるということを御理解いただきたいと思います。
 続いて、保護者支援についてです。15年ほど前には日本には産後ケアというジャンルがありませんでした。これを言い出したのは、かつて明晴学園ができる前に私どもがNPOを運営していたときのNPO仲間で、産後ケアは民間から出てきた言葉なのです。当時は、妊娠、出産を終えると育児。つまり、すぐに赤ちゃんの話になってしまうとそのNPOの代表の方もおっしゃっていました。
 今回の難聴児の早期支援もこれに似ているのかなというところを危惧しております。出産、新スク、リファー、産科、小児科、耳鼻科と行く過程で、リファーの後、医療に関わる間に母親のケアというのがとても必要になってくると思います。今回の早期発見・早期療育推進というのは、ちょっとそこが薄いように見えますので、母親に対する、母親目線みたいなものをもう少し厚くしていってほしいなと思っています。
 母親が病院で出産する。新スク、リファーとなって、医療機関とのつながりはあります。でも、それ以外とのつながりがないのです。早い段階で自分の子供と同じように聞こえにくい子とか、少し年齢の上の子、それから聞こえない大人、聞こえにくい大人、そういうロールモデルに出会える仕組みというのが必要だと思います。
 難聴児の早期支援は、耳に注目する前に母親支援からスタートするぐらいなところがあってもいいのかなと。コーディネーターは、こうしたところをしっかりとつないでいくことが必要だと思います。
 例えば、自治体の公的サービスでそのようなことが担える場所があるのではないかと私たちは思っています。生後24日以内に新生児訪問というのがあります。助産師さんとか保育士さんが家庭を訪問します。ほかにも乳児家庭全戸訪問事業というものがあります。そちらですと、助産師さんとか保健師さんだけではなくて、看護師、保育士、母子保健推進員、子育て経験者といった方がおうちを訪問したりすることができます。
 また、地域によっては、障害を持っているお子さんのいる家庭には別途そういった方たちが訪問する仕組みを持っているところもあるようです。この辺りは既に整備されているもので、保健サービスとして機能しているものですし、お母さんとの接し方もすごく分かっていらっしゃる。お母さんは赤ちゃんが聞こえないと分かって非常に落ち込んでいる。私なんかは息子を抱えて無理心中しようと思った口ですけれども、そういうところにすっと寄り添ってくれる方たちだろうと思います。
 また、公的サービスなので、こういう方たちがコーディネーターになると、情報が偏るという心配も少なくなるのではないかと思います。
 明晴学園の乳児支援、児童発達支援事業所でもお母さんが不安定だったりした場合は、その方が住んでいらっしゃる地域の保健師さんと連携して、一緒にケアしていくということを実際にやっております。いろいろな立場から、たくさんの方の目と手が親子を支えていくのが良いと思います。
 最後になりますけれども、難聴児とその家族に関わる方へのお願いです。少しでも聞こえることがいいに決まっているという考えは、聞こえる人の価値観です。ぜひそれを知ってください。長いこと、聾者たちは手話で学びたいと言ってますが、その声はずっと無視され続けてきました。なのに、聞こえる方がいいに決まっているという聞こえる人の価値観だけは優先されているのです。そこが聞こえない子供や大人たちを生きにくくしています。例えば上手に話すことで、逆に周囲からの配慮がなくなって苦しんでいる難聴者は少なくないです。その現状をもっと重く見てほしいと思います。補聴によって軽度難聴になる。軽度難聴というのは抱える問題が軽くなるのではありません。軽度難聴という問題を抱えるのです。それはさらに見えにくくて、社会の中で全く解決されていない、非常に厄介な問題で苦しんでいる子はたくさんいます。
 補聴はあっていいと思います。でも、どんな補聴具をつけても、聴者になることはないということを、保護者に正しく分かるように伝える必要があります。なぜならば、そのギャップを抱えていくのは保護者と本人だからなのです。補聴だけで難聴児と家族の問題を解決するということはできません。この御時世ですから、将来「先生が聞こえるようになるって言ったのに」という訴訟が起きないとも限りませんので、その辺りはきちんと、これまでどうだったのかということを検証していただきたいなと思います。
 私たちは、聞こえない、聞こえにくい子がストレスなく自分の力を発揮できて、その力が正しく評価される社会を目指して、それを目指した仕組みがつくられることを願っています。
 以上です。ありがとうございました。
○中川座長 玉田先生、ありがとうございました。保護者支援、あと自立という目標というところで2つの非常にいいキーワードが出てきたと思います。我々の検討会にも役に立つ話だと思います。
 それでは、酒井構成員から配付資料について、時間が押していますので簡略にお願いいたします。
○酒井構成員 酒井です。私は言語脳科学者の立場からお話をいたします。
 共有されています資料は、学術会議から提言として出されたものです。手話に関して私が考えることを簡潔に述べさせていただきますが、まず手話の使用は、法律において既に定められているものです。資料の16ページのところを中心にお読みいただきたいと思います。国連総会で採択され、日本で交付された障害者権利条約では、「言語」の定義に手話が含まれ、難聴児、ろう児にとって手話が第一言語であり、「手話の使用を認め、及び促進すること」と明記されています。このような言語権は、基本的人権の一つなのです。
 ですから、大沼氏の発言に対して反対の立場から申し上げますが、全てのろう者に手話が保障されなくてはならないのです。決して音声ありきではありません。
 ろう児にとって自分がどのくらい聞こえるかということは、手話を身に着けて初めて、手話による理解度を基準として自分で分かることです。親や医師、教育者にとって、限られた音声発話からは、本人の理解度を正しく評価できません。ですから、本人が十全な言語として手話を身に着けて初めて、補聴器による聞こえはどの程度なのか、人工内耳は果たして自分の役に立っているか、ということが分かります。これは言語脳科学の問題なのです。
 先生方のこれまでの発言の中にありましたが、人工内耳、補聴器と並べて第三の選択肢としての手話ということではなく、手話が最も優先度が高いのです。その点を強調しない限り、「早期療育推進のための基本方針」の意味がなくなってしまいます。
 それから、補聴器を使い続ける若いろう者が多くいて、最近のトレンドであるという発言がありましたが、そうではない真逆の例もあります。高校生のときに口話から手話に変えて、その後、補聴器を捨てた若者が実際にいます。才能ある写真家でいらっしゃる齋藤陽道(はるみち)さんです。ですから、そういう方の声に真摯に耳を傾ける必要があります。
 音声か手話か、という言語の選択はどちらが多数派か少数派かということでは決められません。ろう者にとって手話を中心に位置づけるということをぜひ御議論いただいて、最終的に方針として盛り込んでいくという方向性を私は提示したいと思います。よろしくお願いいたします。
○中川座長 ありがとうございました。
 それでは、最後に、福島構成員からの発表をお願いいたします。
○福島(邦)構成員 それでは、共有させていただきます。
 まず、難聴のお子さんの現実的にとても大変な問題は、先ほど玉田さんからのお話もありましたけれども、赤ちゃんでまだいろいろなものが定まっていない段階でその対応を考えなければいけないということがあると思います。そのようになった場合に、医学の分野でこれをどのように対処するかと考えますと、一つはやはり家族中心ケアということになります。家族中心ケアとして、家族が大切にする価値観を中心に置いていろいろなサービスを展開するためには、やはり多様性のある福祉サービスの提供体制を整えることが必要になると思います。
 その一方で、地域における多様性のある福祉サービスを提供するためには、様々な立場の専門家がお互いに教え合い、協働することが必要になってくるわけです。そのためには多くの専門家が同じ目的を持って協力するということが必要になります。そして、その同じ目的を持って協力するためには共通のゴールが必要になるわけですけれども、それはやはり家族のニーズを中心に考えるというのが現実的な目標として出てくるのではないかと思います。
 私のところで話せというふうに指示が出ておりますのは、多職種間教育・協働、IPE/IPWという考え方です。WHOでも適切な医療的なケア、医療的なサービスを提供するためには、IPE/IPWというものがあるべきだと言われておりますので、これについてもう少し掘り下げてお話しさせていただきます。
 IPEというのはInter Professional Educationで、ここの間にcollaborativeというのが入ることもありますけれども、多職種間教育と訳されると思います。複数の領域の専門職者が連携及びケアの質を改善するために、同じ場所でともに学び、お互いに教え合いながらお互いのことを学ぶということになります。最初のうちで話がありましたけれども、聴覚障害児支援に関する研究会等の開催というのが典型的なIPEになってくるのではないかと思います。
 ただ、IPEが専門職間の教育だけで終わってしまうのではもったいないので、その上で多職種がお互いに連携し合い、複数の領域の専門職者がおのおのの技術と役割のもとに共通の目標を目指す協働のことをIPWと言います。IPWを果たすための手段として、IPE、多職種間の教育が必要になってくるというのが一つの考え方となります。
 現実的に例えばこの検討会の大きな目標は、地方行政の中でどうやってサービスの仕組みを作るか、つまり多職種連携を成り立たせるかということになりますので、具体的にどういうものが多職種連携のため、つまりIPE/IPWのために必要かというところを説明していきます。
 チームとして一つの役割を果たしていくためには、多職種の中で異なる倫理観や価値観をすり合わせていくことが大切になります。地域における人的資源としての医療職とか教育職、行政職は、それぞれ目標となる価値観、倫理観が異なっていますので、それはやはりIPEを経ながらすり合わせていって、一つの目標に向かうチームになっていくということになります。
 コラボレーションを実践するためには、それぞれが異なる役割を持っているのだということを明確にする必要があると思います。そのためには各機関や職種で異なる役割の理解が必要になってきますし、それぞれどういう分業の在り方があるかということを考える必要があるでしょう。
 その上で、適切なコミュニケーションが必要になってきます。チームとして働くためには当然ある程度のリーダーシップも必要になってくると思います。先ほど秋田県の実践例でのお言葉でありましたけれども、顔の見える連携というものが多職種間のコミュニケーションの中心になってくると思います。
 そして、繰り返し言いますが、単なる勉強会であってはせっかくのIPEがうまく生かせないことになりますので、これが勉強会からさらに一歩進んで、実践としてのIPWの形になっていくことが必要になるのかなと思います。
 地方自治体でどれぐらいの割合でこういうことができているかというのは、例えば文部科学省の令和元年度の調査では、教育と福祉の連携に関する調査が行われていますけれども、この中で半数、56%ぐらいが設けているとなっていますけれども、おおむね半数に相当する自治体が設けていないという状況にありました。
 また、令和2年度の厚生労働省の調査研究で、まだこれは今後発表されるものですけれども、例えば地方行政の中で教育や医療、福祉の連携を中心になって進める部局はありますかとお聞きしますと、やはり半数ぐらいが中心になる部局はないというお答えでした。
 あると答えているものの中では、障害福祉課と母子保健課がおのおの半分ずつぐらいです。その他というものの大多数は障害福祉課と母子保健課が協力して行っている、あるいは事業内容によって出番がそれぞれ変わってくるというものでして、どこが中心になるかというのはあまり定まっていないという形です。
 そのように考えていきますと、自治体でIPE/IPWを進めるために必要なことは何かというと、一番に出てくるのは、担当部局を明確にすることになるだろうと思います。
 そして、連携の足がかりとなるプラットフォームを準備することが最初の段階として出てくるだろうと思います。IPEはつまり専門職種間の教育というのがいろいろな自治体でしばしばIPW、実践としての協働作業の土台となっていることが多いですから、このように勉強の場面、いろいろな人たちが実際に顔を見て勉強する場所を提供するということは非常に重要なことになってくるだろうと思います。
 そして、行政として行い得ることとしては、例えばそれがうまくいっているのかどうかモニタリングすること。そして、トラッキングすることというふうになるのではないかと思っています。
 このIPE/IPWのメンバーを考えるときに想定される参加者としましては、もちろん、医療の面からいいますと、耳鼻咽喉科医師や言語聴覚士というのが出てくるわけですけれども、しばしば高い頻度で発達障害の合併などが見られますので、小児科、小児神経科、児童精神科などの参加が必要になってくる場合があるだろうと思います。盲聾二重障害などがある場合には眼科からの参加も必要になってきます。
 もう一方で、言語聴覚士には、サブスペシャリティとして聴覚系、言語系、発達系という言い方があったりしますけれども、こういうそれぞれのサブスペシャリティの参加が必要になってくる場面もあるだろうと思います。
 あと、サービスコーディネーターも大切な作業をしていると思います。先ほどの玉田さんのお話にもありましたけれども、岡山県でも保健師が訪問指導することによって産後のお母さんの支援ということをやっておりますが、いろいろな施設に参加するサービスコーディネーターが重要な働きを示すと思います。
 また、このような場面では当然ロールモデルあるいはメンターとしての成人聾者、聴覚障害者、そして聴覚障害者の支援団体が代弁者として加わるべきと思います。
 ただ、これを行う前に足元で必要な要件としましては、各専門家の育成と地域における配置が必要になってくると思います。当然のことながら、特殊教育免許の所有者の所有率を高める聾教育のための専門課程も必要になってきますし、言語聴覚士の中ではサブスペシャリティとしてのオーディオロジストが重要な役割を果たすであろうと思います。
 早期支援が今回のテーマですけれども、大沼先生のお話にもありましたように、やはり大きくなったお子さんからのフィードバックを得て、そして、どういう状況になっているかというのを考えることによって新しい支援体制が組まれるところもあります。小学校高学年以降も含むような支援体制について、そこからの情報のフィードバックも大切になってくるでしょう。
 また、軽度・中等度難聴児というのもたくさん検出されてくるのが新生児聴覚スクリーニングでもあります。早期発見に伴って出てきますので、これをどのように支援体制を確立するかということが大切になってくるだろうと思います。
 岡山県における対応も実際には、例えば新生児聴覚検査事業推進協議会では、岡山県の母子保健課から振り出してこういう施設が関わってきますが、軽度・中等度難聴児補聴器助成事業となってきますと、岡大やかなりや学園というのがプレイヤーになってきます。そして、小学校に上がったものでは相談支援が来るわけですけれども、岡山市内の地元の学校を支援する仕組みとして、児童発達支援事業所なども関わってくるものになります。
 そして、岡山聾学校自体もエキスパート活用事業でこうした施設との連携を行っておりますので、幾つかのいろいろな事業が複雑に絡み合いながら支援が成り立っているというところがあります。こういうものがきれいな形で一元化されると、より分かりやすい制度になってくるのではないかとも思います。
 以上です。
○中川座長 福島先生、ありがとうございました。今もたくさん大切なキーワードとメッセージが入っていたと思います。
 時間がもうほぼなくなってしまい、今日幾つか出た非常に大切な話がありますが、それ全てに対してディスカッションしているともう時間がなくなってしまうのと、次回以降がまた控えておりますので、今日は様々な話を聞けたということにさせていただきまして、後日またディスカッションさせていただきたいと思います。
 それでは、最後に、議題3「その他」として事務局のほうからお願いいたします。
○源河障害保健福祉部企画課長 本日は、御多忙の中、どうもありがとうございました。
 第2回検討会は5月中の開催を予定しておりますので、詳細はまた皆様方に御連絡させていただきます。
 以上です。
○中川座長 すみません。今日はディスカッションができないのが非常に残念ですけれども、本日はこれで閉会といたします。また次回、何とぞよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。

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