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2019年12月16日 社会保障審議会障害者部会(第97回)議事録

社会・援護局障害保健福祉部

○日時

令和元年12月16日(月)18:30~20:00

○場所

ベルサール飯田橋駅前
(東京都千代田区飯田橋3-8-5 住友不動産飯田橋駅前ビル1階)

○出席者

駒村康平部会長、阿由葉寛委員、石野富志三郎委員、内布智之委員、江澤和彦委員、大濱眞委員、菊池馨実委員、菊本圭一委員、北岡賢剛委員、小﨑慶介委員、小西慶一委員、斉藤幸枝委員、櫻木章司委員、竹下義樹委員、飛松好子委員、中込和幸委員、吉川かおり委員、鎌田参考人、眞下参考人、松本参考人、山口参考人、渡辺参考人

○議事

 

○駒村部会長 こんにちは。
 定刻になりましたので、ただいまから第97回「社会保障審議会障害者部会」を開会いたします。
 委員の皆様には御多忙のところ、特に今日は遅い時間にお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 毎回お願いしておりますけれども、次議事に入る前に、進め方について確認したいと思います。
 事務局におかれましては、資料説明をなるべくわかりやすく、要点を押さえた形でお願いしたいと思います。
 委員の皆様におかれましても、既に何回かお願いしておりますけれども、御発言をされる方は、まず私が最初に発言予定の方を募りますので、挙手をお願いいたします。その後、私の指名により発言を開始してください。なるべく多くの委員が御発言の機会を確保できるよう、できるだけ簡潔に御発言いただければと思います。できましたら最初に結論を述べていただき、その後、理由ないしは説明を加えるという形でお願いしたいと思います。
 御発言の際には、まずお名前を名乗っていただき、可能な限りゆっくりとわかりやすくお話しください。また、できるだけマイクに近寄ってお話しくださるようお願いいたします。発言後はマイクのスイッチをオフにしてください。
 円滑な議事運営に御協力いただければと思います。
 毎回、会場が違いますので、声の響き方も違うわけですけれども、やはりマイクに近いほうが聞き取りやすいのではないかと思います。
 では、事務局より、委員の出席状況と資料の確認をお願いいたします。
○野村企画課長 事務局でございます。
 本日は遅い時間帯での開催となりまして、まことに恐縮でございます。御出席を賜りまして事務局からも改めて御礼を申し上げたいと思います。
 本日の委員の出席状況でございます。
 井上委員、岡田委員、沖倉委員、久保委員、白江委員、中里委員、永松委員、野澤委員から御都合により御欠席との連絡をいただいております。
 また、小林委員の代理として渡辺参考人に、斎藤訓子委員の代理として鎌田参考人に、酒井委員の代理として松本参考人に、山口祥義委員の代理として山口昭博参考人にいずれも御出席をいただいております。
 また、本日、事務局のほうでございますけれども、資料3に関する説明者といたしまして、社会・援護局地域福祉課生活困窮者自立支援室長の吉田が出席をさせていただいております。
 本日の会議につきましても、ペーパーレス会議ということで開催をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 操作の説明につきましては、いつものとおりお手元にペーパーレス審議会タブレット操作説明書を配付させていただいております。こちらを御参照いただきながら御使用いただければと思います。
 操作方法は毎回同じでございますけれども、お手元の机のタブレットの左上にマイプライベートファイルという文字が見えるかと思いますけれども、そこを1回タッチしていただきますと、本日の会議資料一覧が提示をされます。その中から表示をしたい資料を触れていただくと、その資料が画面に展開されるということになります。
 ほかの資料に切りかえたいという場合には、再度、左上のマイプライベートファイルを1回タッチしていただきますと、資料一覧の画面に戻りますので、その中から改めて表示をしたい資料をタッチしていただければと思います。
 操作、御不明の点がございますれば、事務局のほうにお気軽にお声かけをいただければ幸いでございます。
 本日の資料でございますけれども、マイプライベートファイルを開いていただきますと、並んでおりますように、
 議事次第
 資料1 電話リレーサービスについて
 資料2 障害者就労に係る最近の動向について
 資料3-1 「地域共生社会に向けた包括的支援の多様な参加・協働の推進に関する検討会」(地域共生社会推進検討会)の検討状況について
 資料3-2 地域共生社会推進検討会最終とりまとめ(案)について
 以上の資料が画面に表示されているかと思います。
 万が一、この資料が表示されていないなどがございますれば、これも事務局のほうにお申しつけいただければ幸いでございます。
 では、報道の方のカメラ撮りは以上までとさせていただきたいと思いますので、御協力をよろしくお願いいたします。
 以降の議事につきましては、座長、お願いいたします。
○駒村部会長 それでは、議事に入ります。
 今回の議題としては「今後の障害者福祉施策の動向について」となっています。
 内容がそれぞれ趣が異なることもありますので、資料単位で議事を進めたいと思います。
 まず資料1「電話リレーサービスについて」を、事務局より説明をお願いいたします。
○金原自立支援振興室長 自立支援振興室長の金原でございます。
 私のほうから「電話リレーサービスについて」を御説明させていただきます。
 現在、聴覚障害の方が電話を使うことができるよう、日本財団のモデルプロジェクトとして電話リレーサービスを実施しておりますが、このサービスを公共インフラとして整備することを目指して、総務省と厚生労働省の共催によるワーキング・グループが開催され、今般、報告書が取りまとまりましたので、実現に向けた方向性とか今後の取り組みについて御報告をさせていただきます。
 1ページ目になります。
 「電話リレーサービス(TRS)とは」ということで、聴覚障害者と聴者を電話リレーサービスにいる通訳オペレーターが、手話や文字と音声等を通訳して電話で双方向につなぐサービスでございます。
 絵のとおりございますが、利用者の方が、パソコンやタブレットあるいはスマホを活用して通訳オペレーターの方と通信をして、手話あるいは文字をオペレーターが音声により利用者にかわって電話をするという制度でございます。
 2ページ目になりますが、現在行われている日本財団の電話リレーサービスのモデルプロジェクトについて御説明をします。
 この事業は、平成25年9月から実施されておりまして、日本財団は電話リレーサービスの無償提供プロジェクトを実施しております。
 下の絵にございますけれども、通信料は、聴覚障害者の方が通訳オペレーターと通信する場合は利用登録者の負担になりますけれども、通訳料については日本財団あるいは厚生労働省の補助金で賄われており、オペレーターからかけ先への通話についても日本財団の負担になっているというプロジェクトでございます。
 運営費用については年間2.8億円程度、通訳料がその中で1.5億円程度かかっております。厚生労働省の補助金としては、8982万円を予算計上しております。
 概要でございますけれども、このサービスを利用するに当たって登録制となっておりますので、現在、登録している聴覚障害者の方は約9300人でございます。1カ月当たりの利用回数、コールは約3万1000コールが取り扱われております。
 内容のところにございますが、いわゆるオペレーターを配置している電話リレーサービス事業者というのは今、民間会社が4社、聴覚障害者の情報提供施設が7団体で実施しております。民間会社のほうは日本財団からの業務委託、情報提供施設については厚生労働省の補助金によるサービスを提供しております。
 このページの下のほうに利用可能時間というのが書いてございます。これについては、今、実施している11事業者で、若干の、それぞれの利用可能時間が異なっておりますけれども、一例としてプラスヴォイスという株式会社が8時から21時ということで実施しております。
 土日についても、全ての事業所が実施しているわけではなく、今のところ一部の事業者が実施しているという状況でございます。
 3ページ目になりますけれども、これは、先ほど申しましたとおり、総務省と厚生労働省が協力して会議を開催したということで「デジタル活用共生社会実現会議」というものの下に「電話リレーサービスに係るワーキング・グループ」というものを置いて、公共インフラ化を見据えた議論をさせていただきました。
 ことしの1月からワーキングが開催され、11月25日、先月、第8回の開催をして、取りまとめを行ったところでございます。
 4ページ目については構成員でございますので、ごらんいただければと思います。
 5ページ目でございます。
 ワーキングのスケジュールということで、第7回が6月28日に行われて、このときに報告書案を作成し、意見公募、パブリックコメントをかけております。
 その後、実務的な打ち合わせ等々を行いながら、11月25日に改めて報告書として取りまとめられたところでございます。
 6ページ目になります。
 その報告書の中の柱となる実現に向けた基本的な方向性というところを御説明させていただきます。
 一番上に「電話リレーサービス」と書いてありますけれども、ここにつきましては、今やっているモデルプロジェクトと同じスキームでございまして、オペレーターが手話や文字、音声等を通訳して即時、双方向につなぐサービスでございます。
 「耳の聞こえる人」と書いてあるその下に「緊急通報受理機関」というのがございます。現在のモデルプロジェクトでは対応できておりませんが、いわゆる警察・消防・海上保安庁などへの緊急通報についても、このシステムで対応できるよう検討をしているところでございます。
 「公共インフラとしてのサービス概要」とございますけれども、提供条件とすると、今後、当事者団体を踏まえてさらに検討、整理をしていきますが、通訳方式は今申しましたとおり、手話あるいは文字。提供時間については、一般の電話サービスと同じように24時間365日を目指すということでございます。
 また、利用料金につきましては、通常の方が音声通話でかけるのと同程度の従量制という形で考えております。
 「費用負担の考え方」というところがございますが、いわゆる、通訳にかかるような費用でございますが、報告書では3つ検討として挙げさせていただいております。
 まず1つ目が「ユニバーサルサービス交付金制度による負担金」ということで、現在、いわゆる地域間格差を解消するために、1電話番号につき3円、毎月課金をされております。この制度でございますけれども、ただ、法律的に目的が違うという状況がございます。
 また、2番目とすると、電気通信事業者による負担ということも考えられますが、それぞれの電気通信事業者さんのどこまでの負担かというのも、いろいろと議論があるところです。
 3番目「音声サービスの利用者による負担」につきましては、ユニバーサルサービス交付金制度と類似の制度ということになります。
 ただ、先ほど言ったように、ユニバーサルサービス交付金制度というのが、地域間格差の解消という目的でございますので、新たな目的を立てて、利用者による負担というものを考えるということでございます。赤い字になっておりますので、一番実現性の高いものについて考えていくということでございます。
 今後の取り組みでございますが、さらに実務者レベルによる検討と、制度整備を検討、いわゆる法案の提出の準備をしていくということでございます。
 ただ、いろいろなものがございますので、なかなか全てが一度に導入できないものもございますので、可能なものを段階的に導入していくと。
 それから、今後に向けては、音声認識とかを技術開発で賄うというところも考えていかなければならないというところでございます。
 7ページ目になります。
 実現に向けたスケジュール、工程表というところでございますが、先ほどから申しております、一番下「日本財団による電話リレーモデルプロジェクト」でございますが、これが2021年3月31日を終了予定とされておりますので、サービス開始については、この時期にはサービスを開始しなければいけないと考えております。ただ、サービスの空白期間が生じないように、日本財団さんとも連携をしながら考えていくというところでございます。
 検討すべき事項が幾つもありますが、今、4つほど掲げております。
 多くは総務省さんのほうで検討すべきことでございますけれども、我がほうとすると、このオペレーター養成、いわゆる手話のオペレーター、文字のオペレーターの養成をどうするのか。あるいはどんな要件の方をオペレーターとして認めるのかというところが、我々が担っていく分野でございます。
 こういうところについて、御意見をいただければと考えております。
 以上でございます。
○駒村部会長 ありがとうございました。
 ただいまの事務局の説明について、皆様から御意見・御質問をいただきたいと思います。
 先ほどもお願いしましたように、御発言につきましては、なるべく簡潔に2~3分でお願いできればと思います。
 発言予定の方は挙手をお願いできますでしょうか。
 こちらが1名で、では、こちらから行きたいと思います。小﨑さんですね。お願いいたします。
○小﨑委員 肢体不自由児施設運営協議会の小﨑でございます。
 かなり制度が固まっている段階での質問で申しわけないのですけれども、対象となる方というのが耳の聞こえない方と限定されているのですが、もう少し広く考えると、音声言語によるコミュニケーションに障害がある方ということも可能性があって、例えば、脳性麻痺の方の中でも、アテトーゼ型の脳性麻痺の方などは、キーボードを使った文字入力は可能だけれども、なかなか電話でのコミュニケーションが難しいという方もあると思いますので、そのあたり対象については、やや広めて考えていただいてもいいのではないかと思いました。
 以上です。
○駒村部会長 ありがとうございます。
 石野委員の手が挙がっていましたね。
 どうぞ。
○石野委員 石野です。
 今、金原室長からの御説明がありましたように、とりあえず2021年度から始められるとの説明でしたが、それまでの間、法的な整備を考えていると思うのですがその見通しはどうなりますか。その辺について御説明いただきたいと思います。
○駒村部会長 ほかはこの点について手は挙がっていらっしゃいましたか。よろしいですか。
 では、今、お二人から御質問があったと思いますので、事務局からお答えいただければと思います。
○金原自立支援振興室長 ありがとうございます。
 小﨑委員から、いわゆる音声言語の障害で、音声がなかなかできずに、文字でやれる方に関して対象にならないかというお話でございますが、今、制度を検討している過程の中では、そういう方を排除する形ではない形で検討をさせていただいているというところでございます。
 それから、石野委員から、その間、今後の法的整備の見込みといいますか、そういう形でございますが、まだ、今、準備段階でございますので、実際、国会に出す段階で、またどういう形になるかというのは、なかなか今ここではお話はできないのですが、先ほど申しましたように、日本財団さんのほうのモデルプロジェクトの終了期間というのが一定示されておりますので、そこに間に合うような形でサービスを開始しなければいけないということで準備を進めてございます。
○駒村部会長 資料1についてはよろしいでしょうか。
 それでは、次に資料2の議論に入っていきたいと思います。
 資料2、障害者就労の動向について、事務局から資料説明をお願いいたします。
○源河障害福祉課長 資料2につきまして、障害福祉課長の源河から説明させていただきます。
 資料2「障害者就労に係る最近の動向について」をお開きください。
 3つ御説明したいことがありまして、まず1ページ目からA型の経営改善状況、12ページ目から、通勤、職場等における支援のあり方、17ページ目からは、安定局の方でやっています障害者雇用関係のトピックを御紹介させていただきます。
 まず、2ページ目でございますが「就労継続支援A型における経営改善の状況」でございます。
 都道府県等により実態把握を行った3,162事業所のうち、経営改善計画書の提出が必要ない事業所が1,069、33.8%、必要がある事業所が2,093、66.2%でございました。経営改善計画の提出が必要なのは、生産活動収支が利用者の賃金を下回っている事業所でございます。
 これにつきまして、2ページに都道府県ごとの状況、3ページに指定都市ごとの状況、4ページに中核市ごとの状況を挙げておりますので、後ほど御参照いただければと思います。
 続きまして12ページ目から「通勤や職場等における支援の在り方」でございます。
 13ページに載せておりますのは、前回、25日にお出ししたのと同じものですので、14ページのほうをお開きいただければと思います。
 赤字で書いておりますのが、前回の資料から追記したものでございます。論点が4つほどございまして、まず1点目が、今後の障害者の就労支援全体の目指すべき姿を展望しながら、通勤や職場等における支援について対応策を検討する必要があるのではないか。
 2点目が、通勤や職場等における支援にはいろいろなものが含まれているのではないかと。
 前回、皆様方からいただいた御意見を踏まえまして、その提供の責任等を整理するのに当たっては、障害者の方の働き方が雇用なのか自営なのか、民間なのか公務なのかによって、それを踏まえて検討する必要があるのではないかというのを追記しております。
 また、3点目は、実態を把握した上で、支援の対象等について整理する必要があるのではないかです。
 これについては、調査を行っていることを御報告いたしておりましたが、調査結果の速報値が出ておりますので、15ページをごらんいただければと思います。
 全国の重度訪問介護事業所を対象とした全数調査を行いましたところ、4つ目の囲いの中にありますように、そのアンケート調査結果では、現在、重度訪問介護を利用している方で就労している方、つまり就労率が6%。今は就労していないが、今後就労したいと希望する方が5.4%でございました。なお、この調査の回収率は、真ん中のほうに掲げておりますとおり39.6%でございました。これは速報値でございますので、まだまだ精査は必要だと考えております。
 お戻りいただきまして14ページ。
 4点目の論点といたしましては、現在、雇用施策と福祉施策の制度の谷間で働く機会を得られない方に関して、通勤や職場等における支援について早期に検討進め、段階的に対応策を講じる必要があるのではないかでございました。
 これにつきまして、これまで私どもの方でPT等も設けて議論してまいりました。PTの状況については16ページをごらんいただければと思いますが、前回の部会では第6回目までのPTの状況を御紹介しましたが、その後、今日までに3回開催しております。
 当事者といたしまして、この部会の委員であります竹下会長にも御出席いただきましたし、日身連の阿部会長にも来ていただきました。また、先週金曜日には、労使からもヒアリングを行っております。
 お戻りいただきまして14ページです。
 これまでの検討を踏まえまして、重度の障害がある方の通勤や職場における支援について、今まで雇用施策と福祉施策で分かれていたのを、一緒に連携してこれに対応していくために、意欲的な企業や自治体について、次に掲げるような取り組みを来年度実施してはどうかと考えております。
 具体的には、障害者雇用納付金制度、これは安定局のほうで持っている助成金でございますが、この障害者雇用納付金制度に基づく助成金の拡充を図るとともに、自治体が必要と認める場合に、障害部で持っております地域生活支援事業の新事業により、各自治体が支援を行うことはどうかというものでございます。これは、企業と企業の連帯であります納付金助成金と、地域生活支援事業としての自治体・国がそれぞれ連携してお金を出し合って対応するというようなイメージでございます。
 ただ、これをやってみたとしても新たな取り組みの状況等を踏まえて、必要に応じて今後も改善について検討する必要があるのではないかと考えております。
 3点目が、17ページからでございますが、安定局のほうでやっておりますトピックをいろいろ御紹介しております。
 まず、18ページでございますが、ここに掲げておりますのは、さきの通常国会で改正されました障害者雇用促進法の改正内容でございます。
 赤い枠で2点ほど掲げておりますが、1点目が、厚生労働大臣が障害者活躍推進計画作成指針を定めるものとなっていること。
 2点目が、障害者の雇用の促進等に関する取り組みに関して、優良な中小企業を認定する仕組みでございます。
 これは、それぞれ19ページ、20ページに掲げておりますが、まず19ページで、厚生労働大臣が定める指針について、ここに御紹介しております。
 この指針の内容につきましては、11月29日の障害者雇用分科会で諮問され、即日答申されております。12月中にこれを踏まえ告示を公表し、3月中には各機関が計画を作成することという運びになっております。
 また、20ページに掲げておりますのは、障害者雇用に関する優良な中小企業の認定制度でございます。これにつきましては、本日の午後、障害者雇用分科会で省令の諮問がされていると聞いております。済みません。その結果をまだ確認していないものですから、本日諮問されている内容でございます。
 おめくりいただきまして、21ページ、22ページで御紹介しておりますのは、障害のある方についての就労パスポートを作成したというプレスリリースでございます。後ほど御参照いただければと思います。
 説明は以上です。
○駒村部会長 ありがとうございました。
 では、ただいまの資料2に関する事務局の説明について、皆様から御質問・御意見をいただきたいと思います。発言予定の方は挙手をいただけますか。
 では、今度は向こうからだと思いますので、竹下委員から始めたいと思います。お願いいたします。
○竹下委員 ありがとうございます。竹下です。
 2点だけ質問させていただきたいと思います。
 点字が一部資料がないので、中身がずれたら申しわけありませんけれども、今、御報告いただいた中で、就労、通勤の支援のところに関連して1つ質問は、自営と雇用という場面、それから公務と民間事業という場面で分けることになって整理されていくと聞いているのですけれども、その場合に、まず1点目の自営と雇用という場面で支援のあり方が当然違ってくるかと思うのです。雇用という場面については、先ほど3時からあった障害者雇用分科会で一定の報告があったわけですが、その自営という場面については、その場での説明は、自営に関する支援は全て福祉部門において、その支援を組み立てていくことになるという説明で、雇用分科会ではその部分の説明がなかったわけでありますが、そこでお聞きしたわけですけれども、自営の部分については、どういう形態の支援というものが想定されているのかということについて御説明いただきたいと思います。
 もう一点は、公務と民間と分けると。それについては、今回の新たな支援のところでは、民間のところでの通勤と就労の場面での支援は実施する、簡単に言えば公務員はここから外すと。説明の仕方は不的確かもしれませんがそう聞いたのですけれども、特に気になるのは、公務員の場合の通勤というものは、民間と区別する必要あるとは思えないわけでありますが、この部分についての支援は、どういう形で議論されているのかについて教えていただければと思います。
 以上です。
○駒村部会長 では、こちらの列はいかがでしょうか。
 石野委員、その後、大濱委員でお願いします。
○石野委員 石野です。
 私は6年前にイギリスに行って視察をしたことがあります。情報コミュニケーションについてイギリスで学んだことは、障害者の就労にはアクセス支援というかATW(Access to Work)という保障があるのです。障害者が就労する上で支援が必要だと思ったときには、申請すると認められた場合には援助がもらえるというもので、聴覚障害者の場合は、イギリス全てに3,880人の方々が支援事業を受けたということです。
 その内容をお聞きしましたところ、先ほど話があったように、公務なのか民間なのかとか、イギリスの場合は全く関係なく、全て平等に、誰もがどこでもアクセスの事業が受けられると聞いています。
 それから、聞こえない弁護士が、雇用されるのではなく、自分の事務所を自営でやっているのですが、アクセス支援をその方も受けることができるので、弁護士の仕事をスムーズにされているという報告を聞きました。
 それは良いのですが、日本に当てはめると、同じような仕様でも、日本の場合には、雇用納付金制度というのがありますので、限界があると思います。予算の限界もあると思います。助成金期間が5年とか10年に限られています。その後は、福祉制度からサポートができるかもしれませんが、そうではなくて、納付金制度そのものを見直し、制限を撤廃して、継続して支援できるというような話があると聞いています。
○駒村部会長 大濱さん、どうぞ。
○大濱委員 脊損連合会の大濱です。ありがとうございます。
 今、お話しいただいた点ですが、雇用納付金制度の助成金の拡充を図るということになっています。ですが、この制度は、事業主から言わせると、何しろ事務が煩雑で、前から非常に評判が悪くて利用しづらい制度で、みんな活用していないというのが現実です。いろいろな欠点がありまして、25%が事業主の負担になる、助成金の入金が8カ月後になる、その間は事業者の持ち出しになる、先ほど言ったように事務が煩雑。それから、財源がかなり枯渇しているという話を以前より高齢・障害・求職者雇用支援機構から聞いています。また、支給期間が10年、その後の継続措置が5年間と区切られて、その後はどうなるのだということで、なかなか事業主も利用しづらいと聞いています。
 それから、もう一点、これは職場介助者を1人だけしか登録できないという制度です。重度訪問介護では1週間に何人もの介護者に来てもらっているのが現実ですから、1人しか登録できない現行の職場介助者制度では、実質的に利用できません。このように実態とは相当かけ離れていますので、ぜひそのあたりをきちんと見直していただきたいと思っています。
 以上です。
○駒村部会長 こちらの列で手を挙がった斉藤委員、お願いします。
○斉藤(幸)委員 日本難病疾病団体協議会の斉藤でございます。
 通勤や職場等における支援のあり方ということで、一歩進んだのかなと思いまして、非常に注目しているところでございますが、毎回のことなのですけれども、障害者の雇用促進法に基づくという形になりますと、どうしても難病患者はこの対象外かなと思っております。
 いろいろな福祉サービスが受けられるというのが、総合支援法のほうと、この障害者の雇用促進法の中でも、企業の紹介等で若干の支援は受けているのですが、ここになりますと、企業の納付金制度等によってこの制度が行われるということになりますと、確実に排除されるのかなと思っているのですが、もしそうだとしたら、ぜひ検討していただいて、次回のときでも結構ですから、対象にするような検討していただければと思います。
 以上です。
○駒村部会長 こちらの列は。
 では、江澤委員、お願いします。
○江澤委員 ありがとうございます。
 14ページの下のところに新たな取り組みが示されておりますけれども、今、就労率が15ページのところに6%と速報値が出ておりますけれども、ぜひ、この新たな取り組みの評価を、今後、検討していただきたいと思っております。
 特に、そこの2行目に「意欲的な企業や自治体」と書いてありますで「意欲的な」というフレーズがあると、なかなか取り組みに制限があると思いますので、ぜひ中小企業等も含めて、参加しやすい取り組みをお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○駒村部会長 阿由葉委員、どうぞ。
○阿由葉委員 全国社会就労センター協議会の阿由葉です。
 18ページの改正の概要にあります障害者雇用促進法の一部を改正する法律についてのところですが、1の「(2)民間の事業主に対する措置」の、マル1「短時間であれば就労可能な障害者等の雇用機会を確保するため、短時間労働者のうち週所定労働時間が一定の範囲内にある者(特定短時間労働者)を雇用する事業主に対して、障害者雇用納付金制度に基づく特例給付金を支給する仕組みを創設する」ということでありますが、それに関連しまして、就労継続支援A型事業についての意見をお話しします。
 A型事業所の中には、障害特性や本人の希望によって、短時間労働にならざるを得ない方を多く受け入れ、支援している事業所も存在しています。現行でも、平均労働時間の算出から、除外できる要件は定められていますが、不十分だと考えています。
 例えば、障害特性や本人の希望により、短時間労働となることが、サービス等利用計画や個別支援計画に位置づけられている場合も、平均労働時間の算出の際に除外できるように御配慮をいただきますようお願いいたします。
 19ページになりますが、障害者活躍推進計画の概要にある2の(3)マル4「キャリア形成」についての意見です。
 都道府県によっては、障害者雇用で1年間の雇用契約で最長3年というような任期つきで雇用が行われているところがあります。任期つき雇用等ではなく、無期雇用がされる仕組みをつくるとともに、長期的視点に立ったキャリア形成を行われるようにお願いをしたいと思っています。
 また「(4)その他」の、優先調達推進法に基づく、障害者就労施設等への発注等につきましては、御配慮いただきまして、大変ありがたく思っています。
 以上です。
○駒村部会長 こちらの列はいかがしょうか。発言予定の方はいらっしゃいますか。
 では、鎌田参考人、お願いします。
○鎌田参考人 本日、代理で出席しております日本看護協会の鎌田です。
 障害者の雇用に関しては、一般の方と同様に労働安全衛生の観点からも配慮を要することが必要かと思います。その際、障害によっても配慮の仕方は違うと思いますが、厚生労働省の配慮に関する指針の事例集など、そのような好事例について、各企業のほうにしっかり普及されてあるのかどうか、企業がそれを把握しているのかどうかについて、お尋ねしたい。
○駒村部会長 ほかはいかがでしょうか。
 松本参考人、お願いします。
○松本参考人 全国就労移行支援事業所連絡協議会、酒井の代理で出席しております松本と申します。よろしくお願いいたします。
 私のほうからは2点あります。
 まず、一番最初のA型の経営改善計画についてでございます。
 改善計画の必要のある事業所は66.2%という報告を受けまして、前回に比べて若干減っているとしたものの、依然として改善が必要な事業所が高いかなと感じております。この背景には、安易な事業所の立ち上げや経営の見通しの甘さなどがないかと思う次第でございます。
 自治体におかれましては、事業所開始時の指定に当たって、計画の確認や面談など、改めて強化が必要だと思いますので、厚労省より自治体に向けた発信をお願いしたいという点。あわせて、経営改善計画提出を、その事業者がどうなっているのか、モニタリングも必要であると考えておりますので、改善計画提出後のフォローも行うよう、あわせて自治体に発信をお願いしたいと思っております。
 2つ目でございます。
 先ほどから皆さんから出ております通勤や職場での支援のあり方についてですが、まずは福祉部、労働部が連携して迅速に対応していただいたことについては、評価をしたいと思っております。
 まずは始めて、出発していただいて、支援が必要な人に対応し切れているのか。財政措置のあり方も含めて、今後も十分に検討を行っていく必要があると思っております。
 これまでの繰り返しになりますけれども、福祉施策と労働政策の有機的な連携のはざまにある問題につきましては、PTと合わせて、この障害者部会と、障害者雇用分科会との合同で小委員会を設置するなど、我々も含めた公の場で議論ができることを期待しております。
 以上でございます。
○駒村部会長 このテーマについて一わたりしたと思いますので、事務局から御回答いただければと思います。よろしくお願いします。
○源河障害福祉課長 障害福祉課長の源河です。たくさん御質問や御意見をいただきまして、ありがとうございました。
 まず、竹下会長からいただいた御質問でございますが、先ほど雇用と福祉の連携のところに気を取られていて民間企業に係る例しか説明しませんでしたが、自営業者につきましては、私ども障害部で持っております地域生活支援事業の新事業として、自営業者に対する通勤支援と職場等における支援を実施することがいいのではないかと考えております。
 それから、民間と公務の問題でございますが、これは公務における障害者雇用のときにも問題になったことでございますが、納付金制度を活用しようと思っておりますので、納金が現在は民間企業からの徴収する制度であるということから、民間企業について想定しております。公務部門につきましては、職場が対応することと今回はしたいと考えております。
 続きまして、石野委員からイギリスについて教えていただきました。私どもも海外の事例については勉強をしておりますが、海外の事例を取り上げるときに、社会制度とか全体を取り上げなければいけないので、一部だけを日本に導入するのは難しいと思っておりまして、全体を見ながら海外の制度については勉強したいと思っております。
 納付金につきましては、納金制度そのものにつきましても、さまざまな御指摘はあると承知しておりまして、障害者雇用促進法の改正に係る作業が一段落したら、納付金に係る制度についても安定局のほうで検討されると聞いております。
 大濱委員から納付金に基づく助成金について、たくさん問題点の御指摘をいただきました。私どもといたしましても、今後やる事業が、なるべく使いやすい取り組みになるようにとは思っておりますので、いただいた御指摘については安定局のほうと共有したいと思います。
 斉藤委員からいただきました障害者雇用促進法で難病者は対象外になっているという点につきましても、安定局と共有させていただきます。
 江澤委員から御指摘いただきました新たな取り組みの評価ございますが、新たな事業を始めたときに、どのようになっているかというのを検証することは必要だと思っておりますので、随時、皆様方にも御報告するようにしたいと思っております。
 鎌田委員から御質問いただきました、障害者雇用に係る配慮の例とか事例集でございますが、安定局のハローワーク等を通じて、普及していると承知をしておりますが、もし行き届いていない、例えば、日看協さんが把握している範囲で、ここは全然行き届いていないという点がありましたら、ぜひお教えいただければと思います。
 阿由葉委員からいただきました御質問につきまして、最初のA型の問題につきましては、A型の報酬改定等の段階でまた御議論いただきたいと思っております。
 2点目として御質問いただきました、キャリア形成のところにつきましては、安定局とも問題意識を共有したいと思います。
 松本委員からいただきました御質問でございますが、A型の経営改善計画に係る自治体への発信につきましては、どのような形でうまく自治体にお知らせするかというのを考えながら発信していきたいと思っております。
 福祉施策と雇用政策で連携するときに、当事者等の方も入っていただいて議論する場につきましては、どのような場を設定することが適当かというのを安定局とも調整し検討していきたいと思います。
 説明は以上です。
○駒村部会長 御質問に対しては、一わたりお答えがあったと思いますが、竹下委員が追加でということですね。
 ほかはよろしいですか。
 では、竹下委員、お願いします。
○竹下委員 竹下です。ありがとうございます。
 今、源河課長の御説明で一定理解できたのですけれども、少し意見が違うのかなと思ったのは、率直に言って公務員への支援を雇用納付金でやるというのは現在は無理だと僕もそうだろうなと思うのです。あくまでも雇用納付金は、民間事業者の負担の公平化というか、そこにあるわけですから、しかも財源は民間事業者から集めた納付金でやるわけですから、それを公務員に突っ込む。突っ込むというのは失礼ですね、そこに使うというのはあり得ないのだろうというのはわかるのです。
 そうではなくて、公務員の通勤の場面については、これは、誰がどうやって支援するのだろうということであります。すなわち、民間の通勤のところは、納付金はここの場合財源として入らないのだろうと思って僕は理解したわけです。したがって、民間の就労における支援が、納付金と制度と、地域生活支援事業の組み合わせでやってくというのは理解できたのですけれども、通勤のところについては、公務員と民間の通勤を分ける理屈はあるのだろうか。そこには区別はないのではないかということと、支援をする場合に、雇用納付金で通勤の部分は支援するということには今の議論はなっていないのではないかと理解しているのですが、私の理解が間違っているのでしょうか。
 以上です。
○駒村部会長 ほかはよろしいですね。
 では、事務局、お願いいたします。
○源河障害福祉課長 御質問いただきまして、ありがとうございました。障害福祉課長の源河です。
 私の説明が不足していたのかもしれなくて申しわけないのですが、今回の納付金でやろうとしている民間企業に関する支援は、職場における支援と通勤における支援と両方をやろうと考えております。
 自営業者についても、自営業者に対する通勤支援と職場等における支援を地域生活支援事業の新事業としてやろうと考えているものです。
 公務部門につきましては、通勤についても職場についても、職場が対応するべきではないかと考えておりまして、今回につきましては,公務部分については職場に対応していただくということで整理できないかなと考えているところでございます。
○竹下委員 理解できました。ありがとうございます。
○駒村部会長 よろしいですね。
 ほかにこのテーマについてなければ、次のテーマに入りますが、何かありますか。
 石野さんと大濱さん、では、このお二人の御発言で最後にしたいと思いますの、石野さん、お願いします。
○石野委員 石野です。
 先ほどの説明の中に、自営については、地域生活支援事業の新事業になるとお話がありました。改めて確認したいのですが、自営といっても、いろいろ幅広くあります。定義そのものがいろいろあると思うのですが、聞こえない人で自営をやっている人も多いのです。自営でやっている以上は、必ずコミュニケーション上、手話通訳が必要な場合があるのです。地域生活支援事業に、コミュニケーション支援事業はありますが、これは、コミュニケーション支援事業が拡充するという考えと受けとめてよろしいのでしょうか。その辺を確認したいと思います。
○駒村部会長 大濱委員、お願いします。
○大濱委員 ありがとうございます。
 自営の場合は地域生活支援事業の新事業ということですが、この地域生活支援事業は現在でも市町村では予算が足りないというのが現状です。各市町村では必須事業にかなりの予算が割り当てられていますが、今回の新事業はおそらく必須事業に位置づけられないと思いますので、ここに予算を回すことができないのではないかと思います。そのあたりはどのようにお考えなのか、よろしくお願いします。
○駒村部会長 では、事務局お願いします。
○源河障害福祉課長 御質問いただきまして、ありがとうございました。
 石野委員からの御質問でございますが、これは地域生活支援事業の新しい事業として立てることを想定しているものです。
 大濱委員から御質問いただきました点でございますが、地域生活支援事業の問題点としては私どもとしても把握しているところでございます。ただ、今回の事業をなるべく自治体に取り組んでいただけますよう、制度を簡素化する等、いろいろ工夫することによって取り組んでいただくように持っていきたいと思っていますので、またいろいろアドバイスをいただければと思います。
○駒村部会長 よろしいですか。
○大濱委員 予算が増えるわけではないのですね。
○源河障害福祉課長 予算については、現在調整中でございます。
○駒村部会長 よろしいですね。
 お願いします。
○橋本障害保健福祉部長 できるだけ新しい取り組みに、各自治体のほうで取り組みやすいよう、地域生活支援事業総額について、少しでも上積みできるように調整しているところでございます。よろしくお願いします。
○駒村部会長 そういうことです。
 では、次のテーマに入りたいと思います。
 資料3「地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会」の検討状況について、事務局から資料説明をお願いいたします。
○吉田社会・援護局地域福祉課生活困窮者自立支援室長 失礼いたします。生活困窮者自立支援室長でございます。
 資料3-1、地域共生社会推進検討会の検討状況についての資料をごらんください。
 10月下旬に、一度この部会の中でも、検討会の検討状況について御報告をさせていただいたところでございますが、今般、12月10日に最終取りまとめ案を出しまして、検討会の中で御議論いただくような状況になってきておりますので、最新の状況を御報告させていただきます。
 1ページ目をごらんください。
 検討会の設置要綱でございますが、2ページ目、主な検討項目でございますが、この検討会につきましては、次期社会福祉法改正に向けた市町村における包括的な支援体制の整備のあり方について、御議論をいただいているところでございます。
 構成員につきましては、この部会にも出ていただいています菊池先生などにも入っていただきながら、各分野の方に入っていただいて御議論をいただいているところでございます。
 4のところで「審議スケジュール・開催状況」ですが、先ほど申し上げましたとおり、第9回、12月10日に最終取りまとめ案について御議論をいただいたところでございます。その御議論いただいたものが、資料3-2として出させていただいているものでございます。
 引き続いて、資料3-1を御説明させていただきますが、少し飛びまして、5ページ目をごらんください。「新たな包括的な支援の機能等について」の資料でございます。
 8050の問題とかダブルケアの問題でとか、御家族全体で複数の問題を抱えられているケースなどがふえてきてございます。そういうようなものにしっかりと対応していくために、市町村が包括的な支援体制を整備していくのが求められているところでございます。
 検討会の議論の中で、この絵の中にもございますが、1つ目「断らない相談支援」、2つ目「参加支援」、3つ目「地域づくりに向けた支援」、こういう3つの支援を一体的に実施する事業を創設していってはどうかというような御提案をいただいているところです。
 「断らない相談支援」については、左下に書いてございますが、属性にかかわらず、地域のさまざまな相談を受けとめ、みずから対応する、または、対応できない場合はつないでいくというような機能。あと、そういうつなぎ先の、つなぐ役割を果たすために、多機関協働の中核の機能、これは後ほど御説明させていただきます。そういうものを「断らない相談支援」体制として、市町村全体で取り組んでいただくというところでございます。
 右側「断らない相談支援」の中で、出てきたニーズに対して、参加支援ということで、社会とのつながりや参加を支援する機能を充実させていこうというようなこと。
 上側は「地域づくりに向けた支援」ということで、人と人とが結びつくような場づくりを進めていこうというような機能と、また、地域づくりを応援する、コーディネートをする機能というものをあわせ持つ、セットで取り組んでいただくような機能を充実させていこう、そういうような御議論をいただいているところでございます。
 6ページ目をごらんください。
 「新たな事業の枠組み」として整理をさせていただいています。
 2つ目の矢印のところで、この事業につきましては、希望する市町村の手挙げに基づく任意事業というところで整理をしていただいています。準備が整った自治体から手挙げで取り組んでいただくということを念頭に置いてございます。
 3つ目でございますが、これは法的な措置、社会福祉法改正を念頭に置いてございますが、新たな事業の実施に要する費用に係る市町村の支弁の規定、また、国等による補助の規定を、社会福祉法に新設していってはどうかというようなこと。
 それに付随しまして4つ目のところでございますが、国の補助については、新たな事業に係る一本の補助要綱に基づく申請等により、制度別に設けられた各種支援、障害者、介護、子供、困窮、制度別に各種支援が行われているわけですが、そういうものを一体化していって、一体的な支援を取り組めるようにということを想定してございます。
 7ページ目をごらんください。
 新たな事業の事業全体のイメージでございます。
 上の四角の文字のところと絵をあわせて見ていただければありがたいですが、例えば2つ目の○ですが、機能強化していきたいと思ってございます。2つ目の○で「断らない相談支援」の機能につながった本人・世帯について、複雑・複合的な課題が存在している場合には、新たに整備する多機関協働の中核の機能が複数の支援者間を調整するとともに、地域とのつながりを構築する参加支援へのつなぎを行うということで、真ん中の、人のマークで「新」と書いてございます多機関協働の中核の機能というようなところで、相談者、相談関係者への連携つなぎでありますとか、居住支援、居場所、就労支援へつないでいくような新たな機能を整備していこうというところでございます。
 上の箱に戻っていただいて3つ目の○ですが、支援ニーズが明らかでない本人・世帯については、支援を届けるというような観点から、アウトリーチによる支援というのを進めていくというようなところで、こういう機能、継続的につながり続ける伴走の機能により、関係性をつくっていく、保っていくというようなことを考えてございます。
 「断らない相談窓口」のところで「新」と書いてある、アウトリーチによる支援など、継続的な伴走機能、書いてあるところを充実させていくというようなところでございます。
 こういうことを通じまして、必ずしも国として一律にワンストップの窓口を設けるというようなことを意図しているわけではございませんで、今申し上げたように、こういう多機関の協働の中核の機能、また、その伴走をしていくような機能を充実させながら、市町村全体で、各相談支援機関、今もございます、そういう方々に御協力をいただきながら、市町村全体で相談支援の体制を組み立てていく、そういうことを市町村にお願いをしていきたいと思ってございます。
 あわせて、参加支援のところははざまのニーズにも対応する参加支援を強化という形で指針に書いてございます。この部分は、障害の既存のサービスなど、いろいろ充実されておりまして、そういう支援が使える方は使っていただくという前提ですが、どうしてもなかなかはざまのニーズに落ちてしまっている方がいるというようなことで、検討会では、経済的困窮にない8050世帯の引きこもりの方にいろいろと就労支援などしていくことがなかなか、今、はざまではないかというような御指摘もいただいています。そういうようなものをしっかりと参加につなげていくというようなことで支援を強化していくということを考えているところでございます。
 8ページ目をごらんください。
 新たな事業の枠組みでございます。
 3つの支援を、少しお金の流れを中心に整理をさせていただいています。
 左側、マル1「断らない相談支援」、また、その下の「地域づくりに向けた支援」、ここにつきましては、今、高齢、障害、子供、困窮、それぞれの分野で「断らない相談支援」であれば、相談支援の事業について一体的に執行するというようなことを目指してございまして、市町村における、属性、世代を問わない相談というのを実現していこうというようなことを考えてございます。
 あわせて、先ほど御説明したとおり、新たな機能として多他機関協働の中核、また、専門職による伴走支援というので、機能強化も進めながら「断らない相談支援」を実現していくというところでございます。
 同様に地域づくりに向けた支援につきましても、各制度の補助が行われてございます。それを一体的に執行することによりまして、多様な居場所、参加などを創出していきたいと考えてございます。
 右側でございます。参加支援につきましては、先ほども申し上げたとおり、既存の各分野での支援が取り組まれてございます。基本的にはそれを活用していただくというようなところですが、先ほど申し上げた、はざまのニーズというようなことが出てくるケースもございます。そういうときには、地域資源にしっかりと働きかけをして、そういうニーズに対応していくような取り組みを進めていく枠組みを考えているところでございます。
 9ページ目、10ページ目です。
 今、申し上げた、9ページ目は、まず相談支援の財政支援の状況ということです。相談支援のところは先ほど申し上げたとおり、一体化、一括化して広報していくということを念頭に置いてございます。手を挙げていただいた自治体については、障害の分野で言えば、基幹相談支援センター等機能強化事業、障害者相談支援事業について一括化の対象にしていけないかというような御議論がされているところです。
 10ページ目につきましては、地域づくりのほうでございまして、ここも一体化、一括化の対象でございますが、障害の分野で言うと自立支援協議会また地域活動支援センター事業につきまして、一括化の対象にしていってはどうかというような御議論をいただいているところです。
 11ページ目でございます。
 介護、障害、子供、生活困窮等の各制度から拠出する際の基本的な考え方というところで、財源を充実していく部分があるわけですけれども、それに加えて既存制度を一体化していくというようなところです。それについての考え方を、最終取りまとめのところでまとめていただいている、それを抜粋したものでございます。
 1つ目の○で、新たな事業において実施される支援のうち、市町村が行う「断らない相談支援」及び地域づくりに向けた支援については、属性を超えた支援の柔軟かつ円滑な提供が求められるというところで、国等による財政支援は、介護、障害、子供、生活困窮等の各制度における関連事業に係る補助について一体的な執行ができる仕組みとすべきであると、今申し上げてきたことが書かれてございます。
 2つ目の○ですが、介護、障害等の既存の各制度における基準額や補助率が異なるといった実態がございます。そういうものを踏まえて、事業費を積み上げたり、また、配分したりするわけですが、積み上げ方や配分方法については検討を行う必要があるとの御指摘をいただいています。
 その際には、既存の制度からの拠出については、拠出が特定の制度に偏らないように、合理的なルールに基づく機械的な方法により案分とすることが必要であるといった意見。また、現在の取り組みを継続できるように、交付水準を保つべきであるといった意見がございました。そういうことを踏まえて、より詳細を検討すべきであるというようなことをいただいているところです。
 また、国による財政保障についても、十分配慮するというようなことも言っていただいていまして、現在、義務的経費とされているもの、これは主に困窮の補助金などですが、引き続き、義務的経費として整備できるような仕組みとすべきであるということで、国レベルでしっかりと財源を確保して、取り組みを進めるべしというようなことで11ページ目で整理をしていただいています。
 6ページ目に戻っていただければと思います。
 それを踏まえまして、国が一体的に補助金を交付しいていく中で、市町村が裁量性を持って取り組みを進められるというスキームでございます。
 そうすると、市町村の中でどういう配分をしていくのか、どういう取り組みをしていくのかというのは、しっかりと共通認識、プロセスが重要ではないかということを検討会の中では議論していただいております。
 6ページ目の下の囲いで、市町村が取り組みを進めるに当たって留意すべき点というところで、市町村が手挙げをしていただく際に、どういうことをあらかじめやっていただきたいか、また、事業実施後にやっていただきたいかというのを整理していただいている報告書から抜粋している部分でございますが、市町村は地域住民や関係機関とともに、ニーズや人材、地域資源の状況を把握し、見える化した上で分析を行うと。それらを前提としつつ、地域住民や関係機関と議論をしながら、包括的な支援体制整備について考え方をまとめ、共通認識を持ちながら取り組みを進めるということで、事前にしっかりと議論をしていただくということが言われてございます。
 一つ飛ばしまして、3つ目の矢印ですが、事業実施後も、地域住民や関係機関と振り返りや議論を繰り返し行いつつ、事業の実施状況等を定期的に分析評価し、改善していく必要があるということで、こういうプロセスをしっかり踏んでいくというようなことが言われています。
 最後、※の部分ですが、市町村がこのようなプロセスを適切に経て、地域住民や関係機関等とともに考え方を共有すし、事業を推進するためには、幅広い関係者をメンバーとする議論を行う場を市町村が設置する仕組みとすべきであるということで、仕組みとして、こういうプロセスを重視する設計にするべきではないかというような、検討会での御議論をいただいているところです。
 検討会報告書は最終の段階に来てございます。厚労省としては検討会報告書が取りまとまりましたら受けとめまして、詳細な制度等につきまして検討していく、また、社会福祉法の改正も念頭に置いてございますので、検討をさらに進めていくということを想定してございます。
 以上でございます。
○駒村部会長 地域共生社会に関する報告書の概要を説明いただきました。
 両方の委員に入っているのは菊池先生ですけれども、この取りまとめについて、何か先生からいいですか。もし何か思いがあれば。
○菊池部会長代理 御紹介ありがとうございます。
 本当に多様の意見が出ている中で、鋭意、今、まとめていただいているということで、御苦労さまです。
 今までの縦割りの相談支援体制、それはそれとして重要ですけれども、そこから生じるさまざまな問題、はざまにこぼれ落ちる方々がいるとか、あるいは地域共生社会の取り組みの中で、やはり地域で支えるという、そういうことも制度からアプローチしていかなければいけないといったことから、横断的な事業として、縦割りではない新しいものをつくっていくという、多分反対するという方はおられないと思いますし、検討会の中でも、皆さん前向きに議論されておられたと思います。
 その中でいろいろな意見がありましたけれども、まず、御指摘があった点として、課題として挙げられたのは、大きくまとめると2つあって、一つは市町村の手挙げ方式でやっていただくということで、先進的な、いわゆる成功事例を持っている自治体は、まず手は挙がってくるだろうけれども、なかなか人手もない、特に町村部などでは、なかなかすぐに手は挙がってこないのではないか。そうすると、やはり自治体間の格差というものが生じざるを得ない面があるのではないかと。この辺をどうやってフォローしていくのか、その意味でも国、あるいは、特に都道府県の役割というものをしっかり構築していく必要があるのではないかといった意見が割と多かったかなと思います。
 もう一つは、一体的な事業としてやっていくということで、それはそれとしていいとしても、既存の各分野のそれぞれに相談支援体制を構築してきた部分があるので、それがかえって後退しないようにというところは気をつけてもらいたいという意見も割と多かったかと思います。
 特に、意見が出ていただのは子供分野です。相対的には高齢、障害、そして新しい困窮分野と比較すると、この分野での体制というのは、ややおくれてやってきているという部分があるので、この新しい体制ができることで、かえって後退しないように、そこは留意してもらいたいという意見も多かったかと思います。それらの意見を留意しながら、今、事務局のほうでまとめていただいているのではないかと思います。
 以上です。
○駒村部会長 ありがとうございます。
 ここしばらく厚生労働省が力を入れている分野だと思いますけれども、委員の皆様から確認したい点とかございますか。
 お一人、お二人、あとは。割と多いですね。
 では、どうぞ。
 きょうは8時に終えたいという御希望が実はありまして、なるべくまとめてお話しいただければと思います。
 お願いいたします。
○櫻木委員 日本精神科病院協会の櫻木です。ありがとうございます。
 この取りまとめが12月10日にされたということですけれども、その直後から、かなり多くの報道がされています。それは大体共通していて、私も読んでみたのですけれども、一つ言っているのは引きこもりのことで、これをかなり報道としては捉えていることが多い。引きこもりを中心に介護や困窮といった複合的な問題を抱えている家庭に対応するために市区町村の体制整備を促す方針、これを決めたということで報道されていることが多かったのです。
 引きこもりに対してはかなり深刻な状況がありますので、断らない相談ということで、ワンストップの相談、今、御説明にも出てきましたけれども、アウトリーチサービスを使うような継続的な取り組みというのは必要だろうとことです。引きこもりについては以前からかなり取り組みがされているわけですけれども、引きこもりに至る原因というのはかなりさまざまで、例えば、就職とか、あるいは受験、いじめといった挫折体験から始まるというようなことも多いとされておりますけれども、原因やきっかけがはっきりしない場合、これもかなりあります。
 引きこもりの状態に随伴する精神症状あるいは問題行動ということがあれば、我々の治療的な支援も対象になるということで、しばしば未治療の発達障害とか統合失調症、こういった精神疾患が潜んでいるというような場合もあるようです。その場合には、専門家よる鑑別診断も必要となると考えられます。
 前の名古屋大学医学部保健学科の鈴木國文教授は、次のようなことを提唱されていて、引きこもりには二次性の引きこもり、一次性の引きこもりがあると。二次性の引きこもりというのは、精神疾患の病名を付すことが可能で、原因疾患の治療が優先されると考えられる。一次性の引きこもりというのは、精神疾患の病名がつかないということで、こういった一次性の引きこもりについては、行政的な支援を継続するということが必要ですし、二次性の引きこもりは、なるべく早期に精神医学的な関与が必要だろうと。
 こういった一次性の引きこもりあるいは二次性の引きこもりといった、いわゆる精神医学的なトリアージ、これが必要だろうと考えられるわけですけれども、なかなかそこに進むのには難しい面があると。かなりきめ細かに丁寧な対応が必要だろうと考えられるわけです。
 アウトリーチによる継続的な支援というお話がありましたけれども、アウトリーチとしての初期集中支援チームというようなものが必要になってくるだろうと考えられます。
 ヨーロッパ諸国、特にフランスとかイギリスとかイタリア、こういった地域では、精神疾患に対する地域支援システムが構築をされているということがあって、引きこもりに対する対応、これもかなり早い段階でできていることを聞いています。
 障害福祉サービス、障害福祉計画であるとか、あるいは今回の医療計画などに記載されている精神障害にも対応した地域包括ケアシステムというようなことをうたわれているわけですけれども、その中で検討するという方法はないだろうかと考えます。
 私たち日本精神科病院協会では、こういった引きこもりに対する取り組みの検討、これを含めて、専門対応チーム、ワーキング・グループを立ち上げて、来年の3月をめどに政策提言をまとめたいと考えております。
 担当課のほうから何かコメントがあればいただきたいと考えております。
 以上です。
○駒村部会長 菊本委員から手が挙がっておりましたので、菊本委員、お願いします。
○菊本委員 相談支援専門員協会の菊本でございます。
 私からは3点ほど質問というか御意見をさせていただければと思います。
 まず、きょうのスライドにございます11ページや9ページに出てくるところですけれども、いわゆる合理的なルールに基づいて、これから案文ルールというか、いわゆる縦割りを廃したというか閉した形でのルールをつくっていくと考えられるというところで、そこができていないので、そういう意味では少し創造的なお話になってしまうかもしれませんが、この話が具体的に基礎自治体レベルにおりてきたときに、現場にいる感覚としては、どうしても分母の数字というか人口の割合というか、そういうところに基礎自治体レベルだとどうしても引っ張られる可能性が高いのではないかと。
 そうしますと、こういった障害のある方についての議論の場では問題にならなくても、基礎自治体の全部の財布の中で考えたときに、やはり人口割合が少ないことになりますと、そこが大きいものに引っ張られてしまう可能性がかなり高いのではないかと感じています。それに近いような経験も今までしてきたと思っています。ですから、大きい財布から小さい財布への移行というようなことであると比較的受け入れやすい考え方にもなるかと思いますけれども、逆に小さいほうから大きいほうにとか、それから、小さいほうからまた別のところにといったときに、かなり障害分野の相談がダメージを食う可能性があるのではないかと考えていまして、そういう意味ではきょうお示しされています9番目のスライドのところにあるように、基幹の相談支援センターがまだまだ設置率が低いというところも考えますと、きょうのポンチ絵の中にも出てくる、縦割りでつくってきた相談体制の整備状況をいま一度きちんと検証や評価、それから過去の実績等々も各自治体において確認をしていく中で、この合理的なルールというものは議論されるべきだろうと思いますし、決定をされていくべきだと思っています。
 ですから、そこに非常に懸念を持っていますので、この点をどのようにお考えになるかというところでございます。
 また、前々回のところでも御質問をさせていただきましたように「断らない相談支援」というネーミングがひとり歩きしないかどうかというところでございます。
 当然、我々はその「断らない相談支援」という理念というか考え方に反対する立場はとっておりませんけれども、これも具体的な運用場面になりますと、この言葉がひとり歩きする可能性が高い。要するに、断らないということは、そこで全てを解決してくれるというように相談に来られる方や、そこにつなげていこうとした住民に誤解を招く言葉にならないだろうかということを懸念しているわけです。
 ですから、今までも、障害の相談分野においては、基本相談という言葉を非常に大切にしてきておりまして、そういう意味では基本相談で全てを丸ごと受けとめながら、そしてときには問題も抱えながら、その方を支援していく、寄り添い伴走型支援みたいなものの考え方をずっと大事にしてきたことでございます。そうすると、そこを丁寧にやってきたというか、真面目にやってきた相談員が潰れる可能性がないかどうかと考えています。
 ですので、具体的には、例えば、この言葉がひとり歩きをして、生活困窮者の自立相談支援のセンターというようなものが各地域に整備されたことだと思うわけですけれども、例えば、生活困窮者というものが、相談の看板に上がったときに、行きにくくなる方もたくさんいらっしゃったと思っています。
 そうすると、今度のことが基礎自治体におりてくるといったときに、断らない相談支援センターというのが、全面的なネーミングになって、全国で展開される懸念はないかどうかというところは感じているところでございます。
 最後でございますけれども、3つ目は、いわゆる中核の機能でこの問題に対して対応していくのだと言ったときに、ありがたいことに、スライドの中にしっかりと1事業所に偏らないというところは書いていただいていて、少し安堵するとこなのですが、ただ、往々にして起こるのは、必ずここには個別の担当者というものが存在してくることになるのだろうと思っています。そうしますと、今回のような非常に大きな問題を、1担当者で抱え切れるわけでは絶対ないと思っていますし、例えば、人材育成でスーパーマンのような人を養成するのは難しいことだと思っております。
 ですので、この多機関協働の中核の機能というものは、具体的にはやはりチームづくりであって、チームづくりというのは、私の経験上からお話をさせていただくと、やはり一つところで、毎日同じようにする机を並べて、お互いが持っているケースというか、お互いが担当しているケースについての情報共有や、日常的なスーパービジョンみたいなものが行える体制ではないと、この中核機能というのは、本当に実現できないのではないかと思っています。ですので、この点については、今後の周知の中で注意をしていただければと思います。
 以上でございます。
○駒村部会長 こちらで、江澤委員と北岡委員、斉藤委員、3人でいいですか。
 交通機関の関係で8時にぜひとも出たいとおっしゃっている委員もいらっしゃるので、シンプルにお願いできればと。
○江澤委員 手短に申し上げます。
 7ページに新たな事業全体のスキームが出ておりますけれども、その中で保健医療の果たす役割も重要だと思っております。
 取りまとめ案の21ページの上から2つ目の○にも書いていただいておりますけれども、医療法人による地域貢献活動あるいはかかりつけ医の社会的機能というので、ぜひ貢献させていただければと思っております。
 一つだけ説明しますけれども、かかりつけ医には医療的機能に加えて、社会的機能、すなわち地域住民との信頼関係を構築し、健康相談、健診、地域保健等の地域における医療を取り巻く社会的活動、行政活動に積極的に参加するとともに、福祉、介護、保険と連携をしていくというものでございまして、ぜひ今後、そのあたりを踏まえて参画させていただきたいと思っております。
 以上でございます。
○駒村部会長 では、北岡委員、お願いします。
○北岡委員 時間がないということですので、簡単に申し上げると、先ほど菊本さんがおっしゃったこととかなり重複するのですが、私ども全国地域生活支援ネットワークでもこのことについて少し意見交換をしまして、2つ心配していることを言うと、圏域の設定についてが一つなのですけれども、障害者の支援においては、これまで相談支援にかかわるものとか、施設等を効果的・効率的に整備するために、障害保健福祉圏域単位での整備が図られてきたと思います。
 報告書では、各分野の圏域の考え方に留意することとは示されているものの、例えば、高齢者への地域包括ケアシステムが基盤となれば、市単位、あるいは幾つかの校区での整備が進むということが予想されます。より身近な場所で、あらゆる御相談ができる窓口が整備されるということは、とても大切なことだというのは十分わかるのですけれども、今申し上げたようなことが、障害のある人たちへの対応ができるのかということを心配しています。
 2つ目は、専門性の高い支援に関することなのですが、例えば、現状においても、十分な支援体制が整っていない医療的ケアを有する障害児者とか、高次脳機能障害のある子供さんや大人の方、あるいは触法障害者など、これらの人たちへの支援の充実に、この仕組みがつながるのかどうかということも心配しています。
 相談者の多数を占める高齢者や一般的な児童、また、先ほどもお話がありましたが、引きこもりや生活困窮の状況にある人たちへの支援に視点が集中してしまわないかと。そういう方々と比べれば、場合によっては少数である障害のある人たちに対する十分の対応が後回しになって、断らないけれども後回しにされてしまうのではないかという不安もあります。
 私も実は、この「断らない相談」というネーミングは、今さら言っても難しいのかもしれませんが、例えば、私もこれは変えることは無理なのかと思うのですが、実は障害のある人たちの相談に、これまで取り組んできた人たちは、一度も断っていないと言うのです。断っていないのに、あたかも障害の相談を断られているかのような印象を持ってしまうので、これまでの相談所が否定されているようなことさえ、この言葉から印象を受けるということなので、ぜひ、今さらと言っても難しいのかもしれませんが、そういう意見がございます。
 もちろん、全体としては、こういう流れに大賛成ではあるのですが、この障害者部会という立場に軸足を置いたときに、障害のある人たちの相談支援事業について、今、申し上げたような点で心配をしています。
○駒村部会長 斉藤委員、お願いします。
○斉藤(幸)委員 手短にお話しさせていただきます。日本難病疾病団体協議会の斉藤でございます。
 地域共生社会に向けた包括支援ということですので、地域の中で、専門職の方々、教員も全部含めてでしょうか、そういう方々が担えるものというのはたくさんあると思います。しかし、地域社会を包括的に皆さんで支えるというときに、一番必要なのは、地域づくりだろうと私は思っております。
 地域づくりといいましても、地域は今、忙しい人ばっかりで、昔のように専業主婦がいたり、それから、大学に余り行かないで地域の商店街にいる、そういう人たちがどんどん減っております。そういう意味で、地域、地域と言ったときに、一体どこに地域社会があるのだろうという地域さえあると私は感じております。
 そういうことを考えますと、やはり地域の中に人を育てていくということが柱としてもう少し強くあってもいいのではないか、特に教育という言葉はちょこっとは出ていましたが文科省の顔が見えてこない、生涯学習が見えてこないという感じをいたします。
 私の経験で言いますと、やはり、企業をリタイアしたとても偉い方々は地域社会に入り込めません。そういう方々は学校教育とか生涯学習を通して、地域の人と知り合って地域社会に溶け込んでいく、そういう姿を見ておりますと、本格的にこの地域社会に溶け込むような人材育成というのが、このベースのところにないと、これが絵そらごとになってしまって、専門職と公務員をどんなにふやしたとしても、あるいは準公務員をふやしてもやり切れないのが、この包括の地域社会だろうと思っております。
 大変期待もしていますし、こうなるべくしてなっていくのだろうと思っていますので、ぜひそのあたりのところも御検討いただければありがたい、このように考えております。
 以上です。
○駒村部会長 では、事務局より、今のコメントに対して、回答できる範囲でお願いします。どちらがしますか。
 では、お願いします。
○佐々木精神・障害保健課長 では、櫻木委員からの御指摘につきまして、精神・障害保健課長の佐々木よりお答えいたします。
 引きこもり支援について御指摘をいただきました。さまざまな原因がある中で、医療的なかかわりという意味では、委員から御指摘いただきました、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムによる対応が大事だと考えております。
 ついては、早期介入など、まだ研究途上のものもございますが、いずれにしましても、この地域包括ケアの一環として、担当課としては捉まえてまいりたいと考えております。
 以上です。
○駒村部会長 あとは吉田さんですか。
○吉田社会・援護局地域福祉課生活困窮者自立支援室長 ありがとうございます。
 菊本委員と北岡委員からいただいた点ですけれども「断らない相談」というような言葉も含めてというようなところですが、先ほども申し上げたとおり、国としてワンストップの窓口をつくるというようなことを意図しているわけではございません。既存の取り組みを十分生かしながら市町村で体制を組み立てていただくというようなことかなと思ってございます。したがいまして、障害者の支援をやっていただいている圏域などもしっかりと重視をしていただいて、組み立てていただくことが重要かと思っております。
 そのためにはやはりプロセスが重要で、関係者の皆さんに入っていただきながら、市町村と関係者の皆さんが議論をして、見える化をしながらどういう体制で組み立てていくかということをしっかりと議論していただくような枠組みというのが、我々としては必要かなと思ってございます。
 あわせて、現場の相談員さんの負担感があるというようなことでございますけれども、全体で取り組んでいくようなところでございますので、余り負担感がないように体制を組み立てていただくということは重要でございますし、先ほど言っていただいた中核の機能も充実させていきます。
 中核の機能も、おっしゃっていただいたとおり、一人でやっていくということになると、また難しい事例がその人ばかりに集まってしまうというようなケースも出てくるかと思います。今、モデル事業をやっていますが、そういう少し困難を抱えている自治体さんも実際いらっしゃるところです。そういうところはしっかりとまた検討して、体制を組みかえたりして、市全体でチームで支援していくというような形をとられているところでございますので、そういう事例などもしっかりとお伝えをしながら、市町村の方々にしっかりと関係者の皆さんと議論していただきながら、この事業に手を挙げていただくということかなと思ってございます。
 ネーミングにつきましては「断らない相談支援」、報告書上はこのようになってございますが、自治体が住民の方々に来ていただきやすいようなネーミングをとっていただくのが基本と思ってございますので、もちろんこの「断らない相談」という言葉を使っていただいても結構ですし、自治体の中で、こちらのほうがいいというようなことで、これも関係者の中で議論いただきながら決めていただくというプロセスがまさしく重要かなと思いますので、そういう形でお願いをできればなと思っているところです。
 あと、合理的なルールに基づく案分のルール、機械的な方法によるというようなところを菊本委員からいただきました。これはこれから検討していくというようなところですが、検討会で御議論いただいていた中では、過去の実績などもしっかりと勘案していくべきというようなことで、過去実績をしっかりと基準にすべきではではないかというような御意見、また、一方で、子供分野とか障害分野というのは、これからさらにサービスを伸ばしていかないといけない部分もあると。そういうこともしっかり加味できるようにするべきではないかということで、過去実績だけではだめなのではないかというような御意見もあったところです。
 そういうこともいただいておりますので、既存の取り組みがしっかりと生かされ、また、今後伸ばしていかないといけないというような分野ごとの事情もあると思います。そういうものがうまく組み込めるような案分方法というものを今後検討していきたいと思ってございます。
 最後、地域づくりのところを斉藤委員からいただきました。ここは、なかなか我々も悩ましいところもあるわけですけれども、やはりいろいろな方々、関係者にかかわっていただく、どうしても我々は議論していくと福祉の分野だけになりがちなのですけれども、検討会の議論でも、例えば地方創生とかまちづくりとか環境とか観光とか、いろいろな分野でいろいろな方々が活躍されているという状況がある中で、そういう方々、多分野協働のプラットフォームみたいなのをつくっていかないといけないのではないかという御指摘もいただいています。
 そういうことを通じて、今まで出会わなかった人が出会って、学び合って、いろいろ地域の取り組み、また、豊かになっていくというような方向性も実践事例の中では出てきていますので、そういうものがうまく各自治体でできるように、我々としても応援をしていきたいと思ってございます。
 以上でございます。
○駒村部会長 ありがとうございます。
 お願いします。
○本後障害児・発達障害者支援室長 障害保健福祉部で相談支援と地域生活支援を担当している本後でございます。
 今、菊本委員あるいは皆様からいただいた御意見につきまして、まず、相談、障害の中でもしっかりと形づくってきた歴史があるということは受けとめながら、この仕組みをつくるときにも担当室と協議をさせていただいておりました。今、いただいた御意見も踏まえまして、これから具体化されていく段階でも、しっかりと議論していきたいと思っています。
 それから、この「断らない相談」、ネーミングはともかくといたしまして、今まで相談になかなかつながってこられなかった、どういうところに相談に行けばいいかわからなかったという方々を、地域あるいはいろいろな機関が全体として、市町村全体で相談につなげ、そこから専門的な相談支援につなげていく、そういう意味があるのだろうと思っています。
 そういう意味で言うと、まさに身近なところで相談できる、そういう体制ができるということは、それぞれの分野、障害も含めまして、障害の中でも、先ほど御指摘ありました高次脳機能障害とか、さまざまな障害の分野につきましても意味はあるのだろうと私は理解をしております。
 いずれにいたしましても、これから制度は具体化されていきます。その段階で、今いただいた御意見を踏まえまして、担当室と引き続きしっかりと協議をしていきたいと思います。
○駒村部会長 ありがとうございました。
 きょうは遅く始まりまして、また、帰りのお時間もあると聞いておりましたので、これ以上議論できるということは、時間制約上難しいので、きょうの議論はこれに終わりにしたいと思います。
 きょうの議論の中で、障害者就労支援について、福祉施策と雇用施策の谷間への対応をすると。その第一歩として、来年度予算の取り組みを考えているということでございます。事務局はそう準備をされているということですので、その事業内容については、きょう幾つか御意見がございましたので、きょうの御意見、御議論を踏まえて、事務局で詰めの作業をしていただきたいと思います。
 また通勤、就労中の支援を含めて、福祉と雇用の連携強化について、引き続き、雇用分野との緊密な連携、これがこれからますます重要になってくると思いますので、きょうの議論も踏まえて厚生労働省としては、着実に両分野で連携して、内容を詰めていただきたい、このようにお願いいたします。
 それでは、最後に、今後のスケジュールについて、事務局から御報告をお願いいたします。
○野村企画課長 本日は御多忙の中、また、働き方改革と言われる中、このような夜遅い時間帯にまことに恐縮でございましたけれども、御議論、御協力をいただきまして、まことにありがとうございました。
 次回でございますけれども、あくる年の1月17日、10時から予定をしております。場所等につきましては、決まり次第、改めて御連絡をさせていただきます。
 今後とも、引き続きペーパーレスの会議開催などを予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
○駒村部会長 それでは、本日の会議はこれで閉会としたいと思います。
 委員の皆様、遅い時間まで大変ありがとうございます。お疲れさまでした。
 

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