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第8回社会保障審議会医療保険部会 治療用装具療養費検討専門委員会議事録(2025年2月28日)

○日時

令和7年2月28日(金)13時00分~ 14時00分

 

○場所

全国都市会館 第2会議室

○出席者

<委員等 敬称略>
遠藤久夫(座長) 橋爪幸代 今村英仁 清水惠一郎 
鳥潟美夏子 幸野庄司 橋本忠幸  
平井正利 時吉重雄 東江由起夫
<事務局>
神ノ田審議官、米田保険医療企画調査室長 

○議題

・ 既製品の治療用装具の販売価格等調査の概要について
・ 既製品の治療用装具に係る価格改定(案)について

○議事

○遠藤座長
 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第8回「社会保障審議会医療保険部会 治療用装具療養費検討専門委員会」を開催したいと思います。
 委員の皆様におかれましては、本日もどうぞよろしくお願いいたします。
 それから、本日も対面を基本といたしまして、オンラインも組み合わせるという形態で運営させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 まず、久しぶりの開催でございますので、委員の交代がございました。これについて、私のほうから御報告いたします。
 釜萢委員に代わりまして今村英仁委員、吉森委員に代わりまして鳥潟美夏子委員、川村委員に代わりまして森明宏委員、中澤委員に代わりまして橋本忠幸委員、野坂委員に代わりまして東江由起夫委員が当専門委員会の委員として発令されておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、本日の委員の出席状況についてでございますが、本日は、新田委員、池田委員、森委員が御欠席です。
 なお、マスコミの方々のカメラの頭撮りにつきましては、ここまでとさせていただきたいと思います。
 それでは、議題に入らせていただきます。本日は「既製品の治療用装具の販売価格等調査の概要について」及び「既製品の治療用装具に係る価格改定(案)について」の2つを議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、事務局から説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○米田室長
 保険局医療課保険医療企画調査室長の米田でございます。
 まず、資料治-1を御覧ください。「既製品の治療用装具の販売価格等調査の概要について」でございます。
 1ページ目でございます。調査の目的につきましては、ここに書かれてあるとおりでございます。
 2番、調査の概要につきましては、「療養費の支給対象となる既製品の治療用装具について」という通知の別紙のリストに収載された既製品の治療用装具57製品を対象として、以下のとおりの調査を実施いたしました。
 販売側調査と購入側調査の2つありまして、調査対象は、既製品の治療用装具の販売メーカー等、また既製品の治療用装具を購入する義肢装具製作所等でございます。
 調査の実施期間は、令和6年12月27日から令和7年1月27日の1か月間でございます。
 調査項目につきましては、ここに書かれてあるとおりでございまして、次の2ページを御覧ください。調査結果の概要でございます。
 まず、リストに収載された既製品の治療用装具57製品のうち、現行のリスト価格算出時の最多販売価格、いわゆる仕入価格と本調査の最多販売価格を比較して、価格が上昇したものは51製品であった。
 また、価格が下がったものはなく、同額のものは2製品であった。販売を中止しているものは4製品であった。
 最も高い値上げ率は110.8%であった。また、値上げ率が30%~40%のものが1製品、20%~30%のものが3製品であったという結果でございました。
 下にグラフを示しておりますので、こちらも併せて御覧ください。
 続きまして、資料治-2を御覧ください。「既製品の治療用装具に係る価格改定(案)」でございます。先ほど申し上げた価格等調査の結果を踏まえまして、事務局からは既製品治療用装具のリスト価格(基準価格)の改定案についてお示ししたいと思っております。
 まず、1ページの1.基本方針(案)を御覧ください。
 令和4年3月以降、価格が据え置かれている中、現行リスト価格の算出に用いた最多販売価格と今回調査の最多販売価格を比較し、仕入価格が著しく上昇している(具体的には、値上げ率30%以上)の製品を改定対象としてはどうかと考えております。これについては、2製品が該当いたします。また、これらは仕入価格の価格上昇分が技術料分を上回っており、価格改定の必要性・緊急性が高いものと考えております。
 また、2つ目です。「既製品の治療用装具に係る基準価格の算出方法」のA算定式に用いる「オーダーメイドで製作された場合における採寸・採型の基本価格」につきましては、令和6年度の補装具費の改定によって約6%引き上がっておりますが、今回の治療用装具の価格改定では、従前の令和3年4月1日施行分の「基本価格」を用いることで、純粋な製品の価格上昇分のみリスト価格を引き上げることとしてはどうかと考えております。
 また、製品価格分については、A算定式では仕入価格の「1.3倍」の額であるところ、今回に限り、仕入価格に利益分のみ勘案するとの考えから、「1.078倍」の額としてはどうかと考えております。1.078倍の額の根拠につきましては、下の参考の※3を御覧いただければと思います。
 また、この2つ目、3つ目のポツに関して、理由としては、今回の価格改定は、仕入価格の著しい上昇が確認できた製品を対象とする臨時特例的なものであるため。また、価格改定を行わない製品とのバランスを図る必要があるため、こうした考え方を採用させていただいてはどうかと考えております。
 2ページ目が、先ほどの基本方針(案)に基づいて、実際どういった製品が価格改定の対象となるのか。また、その新基準価格(案)はどうなるのかという資料でございます。
 製品名は、フィラデルフィアカラー(頚椎装具)でございます。こちらの新基準価格案は1万2460円でございます。また、オモニューレクサプラス(肩装具)でございます。こちらの新基準価格案は2万7620円としております。
 以上について、お諮りしたいと考えております。
 また、最後に参考資料を御覧いただければと思います。「既製品の治療用装具に係る課題について」ということで、こちらの1ページ目、令和5年2月、この治療用装具療養費検討専門委員会の資料でございます。少し前の資料となっておりますけれども、基準価格の在り方というものを今後検討していくこととされております。今回の臨時特例的な価格改定については、あくまで今回限りということでして、実際の基準価格の在り方については、また引き続き、この検討専門委員会において議論を深めていきたいと考えております。
 説明は以上でございます。
○遠藤座長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明に関連しまして、御質問、御意見等あればいただきたいと思います。いかがでございましょうか。
 時吉委員、お願いいたします。
○時吉委員
 日本義肢協会の時吉でございます。
 まずもって、2年ぶりの療養費検討専門委員会開催に心より感謝を申し上げます。私は、全国の義肢装具製作事業所を代表して、ここにおります。
 現在の療養費における治療用装具の既製品装具について、リスト収載されている57品目については、令和4年に47品目、さらに令和5年に10品目追加されましたが、令和3年度と令和4年度の仕入価格調査を基に、A・B式により基準価格が示されたままです。昨今の原材料価格高騰により、メーカーから相次ぐ値上げがあり、令和6年11月の臨時価格調査により、廃盤の4品目を除き、平均13%上昇しております。
 加えて、令和6年3月29日改正により、補装具の種目、購入等に要する費用の額の算定等に関する基準、この中の基本価格の約6%改善されております。令和6年改定がなされなかったのであれば、令和7年4月をもって実態に即した基準価格を事務的に修正していただきたく存じますが、今回、臨時特例的に仕入価格の1.078倍の額で2品目のみ改定内容と、ほかのリスト収載製品について、義肢装具製作所はあまりにも利益が圧迫され、経営が成り立たなくなる可能性もございます。そうなりますと、オーダーメイドで軟性装具を製作せざるを得なくなり、もしそうなれば療養費の増額に発展し、患者様の負担増となります。
 早期に納品することができ、オーダーメイドと同等の機能を持ち、オーダーメイドより安価な既製品装具が今後も使用できるよう、リスト収載57品目の基準額の見直しを早期に御検討いただきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○遠藤座長
 ありがとうございました。御意見として承りました。
 ほかにいかがでございましょうか。
 よろしくお願いします。
○東江委員
 日本義肢装具士協会会長の東江でございます。このたびは改定、ありがとうございます。
 私も、ただいま日本義肢協会理事長の時吉様がおっしゃったように、職能団体としては、同じように上げてもらいたいということを切に願っております。その点、何とか御理解いただきたいなと思っております。
 日本義肢装具士協会の会員、義肢装具士ですけれども、現在、これはどの職能団体も同じですけれども、義肢装具士が不足しております。その要因の一つに、補装具費並びに治療用装具の価格に課題があるかなと思っております。義肢装具士の処遇を変えない限りは、今、各養成校の定員割れも起こっており、義肢装具士の処遇が改善されないというのがその大きな要因の一つと見ております。その点もよくお考えの上、恐らく今年は無理ですけれども、来年度以降、そういった検討がなされるということなので、お願いしたいと思います。
 もう一つは、補装具費に準じた、この治療用装具の価格でございます。補装具費というのは、そもそも患者様が義肢装具事業所に赴き、製作するというような価格体系になっております。一方、治療用装具は、患者様が事業所に行くのではなくて病院に行くわけですから、そこに義肢装具士が出向して仕事をするといった点、補装具費に準じた価格体系を参考にするということもいいのですけれども、義肢装具士が病院に出向するという、その対価も含めた治療用装具の価格の在り方を検討していただかないと、これは職能団体としても義肢装具士の獲得、国民の保健・医療・福祉に寄与できないという状況に陥りつつありますので、その点も来年度、検討していただきたいなと切に願っております。
 以上です。
○遠藤座長
 ありがとうございました。御意見、御要望として承りました。
 ほかにいかがでございましょう。
 幸野委員、よろしくお願いいたします。
○幸野委員
 今日の議題は、治-2の2ページの2品目の価格改定をどうするかということが焦点なので、先ほど時吉理事長もおっしゃったように、この製品が令和4年のリスト化以降、価格改定していなかったので、その間、物価の高騰などもあったので、これは対応する必要性というのは重々感じておりますが、この改定のやり方について、例えばフィラデルフィアカラーの価格は急に倍近く上がっているわけです。こんなところをすんなりと了承していいのかというところもあるのですが、とは言っても、今まで改定を行っていなかったことと。
 あと、補装具が令和6年に改定を行っていて、こっちとの関連があるので、このまま放置しておくわけにもいかないということで、今回、臨時特例的取扱いということなので、この改定方法を前例としないということで、この2品目については了承したいと思います。
 ただ、この議論、検討を行ってきた中で、浮き上がってきたいろいろな検討項目とか課題がありますので、これを何点か指摘させていただいて、今後の価格改定にぜひつなげていただきたいと思いますので、その意見を言わせていただきます。その意見に対して、事務局とか義肢協会・義肢装具士協会のほうから何かあれば、その後、御意見いただきたいと思います。
 まず、一番重要なのは仕入価格ですね。全ての基礎になっている仕入価格をどういうふうに正確に把握していくかというところだと思うのですが、例えば今回の一つの例のフィラデルフィアカラー。これは先ほども言いましたように、仕入価格がほぼ2倍以上に高騰しているという現状があります。輸入品であるので、円安の傾向が強くなったということと、昨今、インフレ傾向が強くなったので、上がるということは分かるのですが、それにしても2倍以上引き上がるということがあるのかというのが、甚だ純粋な疑問であります。
 この仕入価格というのは、本来であれば、これはメーカーが外国社だと思うのですが、メーカーが幾らで出荷して、その間に輸入業者、代理店が入ると思うのですが、代理店がどのような経費とか利益を上乗せして仕入価格になっているのかというところが、残念ながら今回、見えないと。これがブラックボックスになっているのが、我々の不信感にちょっとつながっていると思います。
 もう一つの問題は、流通の問題だと思うのです。代理店が何社かあれば、多分、価格の競争をすると思うのですが、代理店が1件しかない場合、競争原理が働かないわけです。ですから、代理店の言い値で義肢装具士事業者が買わざるを得ない状況が出ているのではないか。この辺は、後で義肢協会の方にお教えいただければと思うのですが、私が思っているのはそういう疑問点です。価格設定の競争原理が働いている中で、この仕入価格というのが形成されているのかというのが、私、一番疑問に残るところです。
 今回、その辺りが精査できていないので、利益率の7.8%のみを上乗せするという考えが提案されているのですが、これ自体もどうかと思うのですけれども、時間的な制約があるので、了承はしますが、今後はちょっと精査していかなければいけないなと思います。今後、同じA算定、B算定というやり方を仕入価格に掛けていくのであれば、この仕入価格がベースとなるので、今、言ったように仕入価格の把握の方法をもう少し厳密にやるようなやり方を検討していくべきだと思います。
 今、日本は医薬品とか特定保険医療材料、これは中医協のほうで行われているのですが、この価格調査と同じような調査方法で、今回の治療用装具もやられたわけですが、先ほどから言っているように、医薬品とか特定保険医療材料と異なっているのは、まず流通の在り方が全く違うということですね。医薬品や特定保険医療材料の場合は、代理店や問屋が競合しているわけです。ですから、値引き交渉しながら価格形成を行ってくるのですが、治療用装具の場合は、極端な場合、1社が独占しているものもあるのではないかというふうに思っていて、そうであれば、価格競争等が起きないのだなと。
 そうすると、業者の言い値になって装具事業者が買わされているという現状がもしあるのであれば、それを果たして仕入価格として正しいものと取り扱っていいのか非常に疑問として感じます。
 医薬品や特定保険医療材料の場合は、代理店や卸業者も競合していると思うのですけれども、購入は病院とか診療所とか薬局とか、それぞれいるわけですから、バイイングパワーが働くわけですね。そこで価格の値引きが行われて、適正な価格が形成されるというのがあるのですけれども、これが本来の健全な価格形成の姿じゃないかと思って、それが果たされない治療用装具の価格をどういうふうに把握していくのかというのは、自分で言っていても非常に難しい問題だと思うのですけれども、そこは避けて通れないところなのかなと思います。義肢協会の方で、もしそんなことはないという意見があれば、後でお教えいただきたいと思うのですが、支払側として見れば、それを疑問に思うわけです。
 今回の方式で今後も価格改定をA・B方式でやるということになると、治療用装具の場合は改定のたびに価格が引き上がってくるのではないかということを非常に懸念していて、治療用装具の年間の伸び率は、今、実は6%ぐらいあるのです。医療費の伸び率は2%から、多くても3%ぐらいだと思うのですけれども、6%の伸び率を示している、この治療用装具はこんなことが1つの原因になっているのかなという感じもするので、その辺を懸念するところです。
 いろいろ言ってきましたけれども、今後の検討においては、仕入価格を厳密にするために、仕入価格の中にどんなものを含めるのか。代理店がどんな経費を含めてあげるのか。それから、流通の特別性をどう反映するのか。こんなところを詰めていく必要があるのかなと思って、今後、ワーキンググループの中でぜひ詰めていただきたいなと思います。
 その解決策の一つですが、これはワーキンググループの中でも健保連が提案させていただいているのですが、特定保険医療材料のように機能区分的なものを取り入れれば少しは解決するのではないかと思っていて、個々の製品に個々の価格をつけるから、こういう事態が生じるので、ある程度グルーピングして、いろいろな製品をまとめて評価する中でやっていけば、流通の違いなんかも薄れてきて、より適正な価格が出るのではないかと思うので、機能区分方式というやり方というのも、これの一つの解決策になるのではないかと思います。A・B算定があるのですけれども、仕入価格に含める範囲を決めた暁には、現行の算定方式の1.3倍とか2倍という係数を引き下げるということも検討の余地があるのではないかと思っています。
 それから、もう一つの観点は補装具との関連なのです。補装具の価格との乖離というのがあまりあってはいけないというのもあって、フィラデルフィアカラーなんかも引き上げざるを得なかったということもあるのですけれども、治療用装具というのはオーダーメイドについては補装具の基準を適用することとなっていまして、既製品についても、A算定式では補装具の基本価格の0.52倍という基準があるのですが、補装具は、時吉理事長も先ほどおっしゃったように、令和6年改定で基本価格が約6%引き上がっているのですね。今回の改定は、前回の改定前の基本価格をベースとされたのですが、オーダーメイドについての今後の改定は、改定後の6%引き上がった基本価格が適用になるわけです。
 補装具も、治療用装具と同様の利率であれば、改定のたびに引き上げられることが想定されて、それが治療用装具の価格を決める基本要素になるというのは、ちょっと違うのではないかと思いますので、その辺も検討していくべきだと思います。
 それから、補装具の算定方法、これは直接、この検討会で議論すべきことではないのですが、私、これにも疑問を感じていまして、例えば今回、令和6年度に補装具でレディメイドという既製品の補装具の算定方式が決まったわけですが、これは原価計算方式をベースにやるということになっているのですが、資料を見てみますと、原価計算方式で設定されている係数とかが、これはどこから取ってきたのだというぐらい根拠のないもので、例えば営業利益率は薬価の営業利益率、十何%を取っているのですが、薬価は何から取っているかというと、日本の一部上場企業の優良製薬会社の営業利益率の平均を取っているわけです。
 これを補装具の業者の利益率に適用するのかというのは、私は本当に疑問を持っていまして、これはどんな議論がなされたのだということを思っていて、この補装具の価格の決め方は、支払側が委員として入っていないので、そんな意見があまり出てこないのではないかと思うのですけれども、この辺についても関連する要素として検討をしていただきたいというのが意見でございます。
 長くなりましたけれども、私はこの価格、了承しますが、これで残された課題というのを述べさせていただきました。ここは違うよということであれば、事務局とか装具士協会の方々から御指摘いただければと思います。
○遠藤座長
 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの御意見に関しまして、まず、事務局から関連でコメントがあればいただきたいと思います。その後、協会から関連があれば御意見いただきたいと思います。では、事務局、どうぞ。
○米田室長
 ありがとうございます。保険医療企画調査室長でございます。
 幸野委員からの御指摘につきまして、今後の予定ということを補足説明させていただきます。参考でお配りした資料の2ページ目ですが、今、「既製品装具のリスト収載等検討ワーキンググループ」で、1番、基準価格のあり方のうち、3 厚生労働省が実施する、リスト収載を検討する既製品装具の仕入価格の妥当性を担保するための方法についてとか、4 リスト収載された既製品の治療用装具の基準価格の改定方法について、現在議論しているところでありますので、先ほどの御指摘も踏まえて、またワーキンググループで議論していければと考えております。
 以上です。
○遠藤座長
 ありがとうございます。
 それでは、協会から何かございますか。
○時吉委員
 日本義肢協会の時吉でございます。
 幸野委員のほうからたくさん御意見がございましたので、それについて、私の分かる範囲でお答えさせていただきます。
 まず、フィラデルフィアカラーのような値上げに関して、このたび非常に大々的な値上げがあったということでございますが、それにつきましては、メーカーがこれまでずっと値上げしないで価格を据え置いてきておりました。そのメーカーの企業努力というのもあったのでありますが、昨今の原材料価格の高騰等もあって、もう値上げせざるを得ないという時期でもございました。
 それと、補装具のレディメイドで、原価計算方式によって昨年4月にフィラデルフィアカラー等が登録されたことにより、仕入価格といったものも原価計算方式によって改正されましたので、そこにおいて、このように仕入価格が大幅に上昇してしまったと理解しております。
 それから、メーカー、代理店、製作所の製品の流れについてでございますが、代理店は国内においてはそんなに多いものではございません。幸野委員が御指摘されるように、代理店が複数あって、それぞれが競争して値引き等々を行って製品の価格が下がるという薬価の内容の御指摘をいただきましたけれども、治療用装具に関しては、メーカーから直接製作所が購入できる場合と、メーカーから直接買えずに最寄りの問屋を通して製作所が購入するという2パターンございます。いずれにしても、製作所がメーカーから購入した金額と、ほぼ同等に近ければ非常に理想なのでありますが、そこに値引きというのは普通発生しませんで、むしろ代理店が販売経費とか、そういったものを加算して製作所に納品するというケースも散見されます。
 それについては、今回、令和6年12月に行いました価格調査において結果が出ているのではなかろうかというふうに考えておりますが、値引きに関しては代理店のほうでは発生していないということを申し添えておきます。
 それから、特材の機能区分について御指摘いただきましたが、特定保険医療材料のような機能区分化については、区分ごとに上限価格を設定することによりまして、製品のクオリティーが落ちる可能性があります。それと、区分を複数分ける必要がありまして、加算要素を設けるにしても、項目と金額の設定について、新たな議題が生じるおそれがあるため、こちらとしては現行どおりA・B式にして、そして技術料のところを区分化してはいかがかなという案を提出させていただいております。
 最後ですが、レディメイドの係数についても御指摘いただいたと思いますが、このレディメイドの原価計算方式の係数について、営業利益率が高いという御指摘ではありますが、これは全く別の補装具評価検討会という場で御議論されて決まっていることでありますので、我々と別の制度でありますので、これに関しては、こちらの療養費検討専門委員会からは御意見できる内容ではないのではないかなと考えております。
 私から以上です。
○遠藤座長
 御丁寧にありがとうございました。
 幸野委員、ただいまのようなリプライがございましたけれども、何か御意見ございますか。
○幸野委員
 ありがとうございました。
 まず、流通の問題なのですが、代理店が値引きすることはないとおっしゃったのですけれども、それを問題視している中で、通常の流通経路であれば、医薬品や特材は毎年改定やっているのですけれども、それでも乖離が生じてマイナスになっているわけですね。ですから、市場実勢価格を調査するというのは、そういう狙いがあるわけで、ある1社のあまり競争がないところで出しているところを市場実勢価格だと決めつけるやり方というのは、価格を引き上げる方向だけに進む方法であって、これを治療用装具に入れるというのは適切じゃない。あまりにも流通のやり方が違うから、妥当じゃないのではないかということで、医薬品と特材とは違ったようなやり方を検討すべきじゃないかということで提案させていただきました。これ以上、議論する気はないですけれども。
 それと、機能区分方式というのは、こういった流通が特殊だというところを改善するための一つの方策ではないかなということで提案させていただいているわけです。これはここでどうこう言いませんが、グルーピングのやり方というのをうまく検討していけば、何もかも一緒に1つのグループにしろと言っているわけじゃありませんで、本当に機能とか材料とが一致している、似たようなもの、少しの改良が加わったもの等については、同じ価格でもいいのではないかというのが私の意見です。
 その中でも特殊な機能を持っているものについては、少し違った価格をつけるとか、そういったものも検討する必要があると思いますので、時吉理事長がおっしゃった、何もかも一緒にしてということは考えておりませんので、その辺はグルーピングのやり方で解決できるのではないかと思っています。
 これ以上、ここで議論する場じゃございませんので、御意見としてありがとうございました。
○遠藤座長
 貴重な御意見、御提案ありがとうございました。
 ほかの委員の方で何かコメントございますか。お願いいたします。
○東江委員
 先ほどコメントしました日本義肢装具士協会の東江でございます。
 価格については、今、時吉理事長のほうからコメントがあったことと同じでございますけれども、職能団体としては、先ほどお話しましたように、治療用装具が補装具費支給基準制度に準じた価格体系になっているということであれば、補装具というのは、患者さん、障害者が事業所に行って製作するといったことでは価格体系ができている。一方、治療用装具は、実際、義肢装具士が病院に行って製作する。その点、例えば東京都内なら近場でいいですけれども、さらに遠くに出向いていくとなると、治療用装具よりも交通費のほうが上がってしまって、かえってマイナスのサービスになる、赤字になるということが起こっているわけですね。
 その点を、治療用装具の中では、我々職能団体は、その分の対価をきちんと示していただけないと、義肢装具士もきちんとサービスを提供できないというような状況に陥るといったことで、これはこういった治療に関して支障が出るのではないかということを非常に危惧しております。その点もディスカッションの中に盛り込んでいただかないと、職能団体も義肢装具士の数を維持することが難しくなってくる。ということは、国民の保健・医療・福祉に支障を来すといった点もございますので、ぜひともこの点、御検討をお願いしたいと思います。
 以上です。
○遠藤座長
 御意見として承りました。
 ほかに何かございますか。
 幸野委員、どうぞ。
○幸野委員
 座長、今日の議題ではないのですが、少し早く終わりそうなので、治療用装具検討委員会はあまり頻度がないので、少し違ったことで5分以内に提案したいことがあるので、よろしいですか。
○遠藤座長
 結構です。簡潔にお願いいたします。
○幸野委員
 以前、ワーキンググループとか検討専門委員会で言ったことがあるのですが、置き在庫の話です。今でも置き在庫で結構トラブルが生じています。というのは、医療機関に患者が行って、義肢装具士の立会いがなく医療機関で装着して療養費として請求するということが、多発というわけじゃないのですが、起きております。これは保険者として非常に悩んでおるのですが、義肢装具士の立会いがないと不支給にせざるを得ないのですね。医師はそれを御存じの上でやられているのかどうか分からないのですが、そうなると不支給にせざるを得ないので、置き在庫というのは極力控えていただきたいというのは以前も申し上げたとおりです。
 以前、時吉理事長の前任の理事長が、置き在庫については調査するとか、極力やめていきたいということを御発言された経緯があるのですが、今、もし実態が分からないのであれば、我々保険者としても、この実態とか、義肢協会はこれをどういうふうに考えているのかというところを早急に知りたいので、ぜひ何らかの形で現在の実態とか、今後どういうふうにしていこうかというのがあればお教えいただきたいと思います。
 以上でございます。
○遠藤座長
 ありがとうございます。
 それでは、時吉委員、お願いいたします。
○時吉委員
 日本義肢協会の時吉でございます。
 幸野委員、貴重な御意見ありがとうございました。御指摘いただきました置き在庫の件でございますが、幸野委員もおっしゃるように、義肢装具士の関与ということが非常に重要となってきております。これにつきましては、現在、置き在庫の調査をする予定は立っておりません。令和5年5月に、日本義肢協会としては、疑義解釈資料の問7について全会員に補足説明を促しました。これはどういう内容かというと、疑義解釈資料の問7には、保険医療機関で、保険医や看護師等が既製品装具を装着させた場合、療養費の対象となるかという問いでございます。
 それに対する回答ですが、治療用装具療養費は、保険医の診察や義肢装具士への指示を経ずに患者へ採型・採寸、装着又は購入された治療用装具について、保険者が療養費を支給することは適当ではないとされている。そのため、義肢装具士は、担当保険医とどのように連携し、どのように関与したのか、当該患者に係る治療用装具の製作記録を速やかに整備すること。治療用装具療養費の支給申請において求められた場合には、保険者への証明や説明が必要となる。
 という答えに対して、補足説明として、幸野委員がおっしゃるように、夜間・救急といった場合に、治療用装具として既製品装具が使われることが多々ございます。それに対しては、義肢装具士を派遣することができません。したがって、夜間・救急、訪問日以外の理由により、やむを得ず義肢装具士が立ち会えない場合には、義肢装具士は保険医との連携により、保険医の診察に基づく指示を受け、その詳細を製作記録に記録として整備するなど、通知等に沿った適切な対応が必要である。その上で、保険者は個々の患者の状況に応じて、通知等に沿った適切な審査を行った上で、療養費の最終的な支給可否を判断するというような説明を流しております。
 医師による証明書も当然発行されております。その中には、義肢装具士の名前も記載しております。こういった内容も総合的に判断いただいて、保険者の方々には療養費の最終的な支給の可否をしていただきたいと考えております。
 以上です。
○遠藤座長
 丁寧な御説明ありがとうございました。
 幸野委員、何かコメントございますか。
○幸野委員
 御説明ありがとうございました。
 ちょっとよく分からなかったのですけれども、夜間とか救急の場合に備えて置き在庫をしていて、こういう場合には医師が義肢装具士の立会いなく装着して、これを療養費として支給できるというふうに受け取ったのですが、我々保険者は、あくまでどういう場合であれ、義肢装具士が立ち会うということが大前提となって、初めて療養費の支給対象となるという解釈をしておるのですが、そこが考え方に齟齬があるなと思っていて、事務局に判断を仰ぐわけじゃないですけれども、ここは検討の余地があろうかと思います。
○遠藤座長
 それにつきましては、御意見として承るということでよろしゅうございますか。
○幸野委員
 結構です。今日はこの議題じゃありませんので。
○遠藤座長
 貴重な御意見ありがとうございました。
 ほかに本日の事務局原案について、何か御意見、御質問ございますか。よろしゅうございますか。
 それでは、御意見、大体出尽くしたかと思います。本日は、事務局から既製品の治療用装具に係る価格改定(案)が出されたわけでございますけれども、これについては反対の御意見はなかったと認識させていただきますので、様々な今後の課題についての貴重な御意見はいただきましたけれども、価格案の事務局原案については了承していただいたということにさせていただきたいと思いますが、それでよろしゅうございますか。
(委員首肯)
○遠藤座長
 では、そのような対応をさせていただきたいと思います。事務局におかれましては、所用の改定作業を行うようによろしくお願いいたします。
 本日用意いたしました議題は以上のとおりでございますけれども、次回の日程について事務局から何かございますか。
○米田室長
 次回の日程は未定でございます。また日程調整の上、後日連絡させていただきます。
○遠藤座長
 それでは、これをもちまして、第8回「治療用装具療養費検討専門委員会」を終了したいと思います。本日は大変お忙しい中、どうもありがとうございました。

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