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2018年12月21日 第6回社会保障審議会年金記録訂正分科会議事録

○日時   平成30年12月21日(金)15:00~16:00

○場所   厚生労働省17階 専用第21会議室

○出席者  白波瀬分科会長、瀬川委員、池田委員、大山委員、神津委員、鈴木委員、南委員

○議題   年金記録の訂正に関する事業状況(平成29年度事業状況及び平成30年度上期概況)

○議事

○中嶋年金記録審査室長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第6回「社会保障審議会年金記録訂正分科会」を開催させていただきます。
委員の皆様におかれましては、御多忙の年末の折、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。
審議に入ります前に、昨年12月開催の分科会以降、事務局に異動がございましたので、私の方から紹介させていただきます。事業管理課長の巽でございます。
 
○巽事業管理課長 巽でございます。よろしくお願いいたします。

○中嶋年金記録審査室長 続きまして、日本年金機構にも異動がございましたので、私の方から紹介させていただきます。岡部年金記録企画部長でございます。
 
○岡部日本年金機構年金記録企画部長 岡部です。よろしくお願いいたします。
 
○中嶋年金記録審査室長 また、本日の委員の出席状況でございますが、石倉委員、児島委員、山口委員からは御欠席の御連絡をいただいております。
そして、南委員におかれましては、所用によって16時頃に御退席と承っております。
あと、神津委員が本日は御出席の予定なのですが、ちょっと遅れておりますけれども、定刻でございますので開催させていただきます。
それでは、議事進行でございますが、白波瀬分科会長よりお願いいたしたいと存じますが、本日御出席いただきました委員の方が3分の1を超えておりますので、会議は成立しておりますことを御報告申し上げさせていただきます。
それでは、白波瀬会長、お願いいたします。
 
○白波瀬分科会長 ありがとうございました。それでは、議事に入らせていただきます。
御説明の前に、資料の確認をさせていただきます。事務局からよろしくお願いいたします。
 
○中嶋年金記録審査室長 本日は、私どもの分科会もペーパーレスということで開催させていただきます。机の上にタブレットと操作説明書を置かせていただいておりますが、手元のタブレットは資料が閲覧できる状態にしてあると存じますので、画面をもちまして資料の確認をさせていただきたいと存じます。
タブレットの画面をご覧いただきますと、マル1で議事次第、マル2に年金記録訂正分科会の座席図、マル3で委員名簿、マル4が本日の資料1「平成29年度の事業状況と平成30年度の上期概況」、マル5に資料2「訂正請求手続に係る処理期間の状況」ということで、資料が5つ揃っております。
もし、何か不都合・不具合がございましたら、事務局までお申しつけいただければと思います。また、会議中にタブレットの不具合等がございましたら、お近くにいる事務局の者にお伝えいただければと思います。よろしくお願いいたします。
なお、皆様方の机上には、タブレットで閲覧できる資料と同一の資料を置かせていただいておりますので、必要に応じてご覧いただければと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○白波瀬分科会長 それでは、議事次第に沿って進めてまいります。
恐縮でございますけれども、カメラにつきましては、ここまでで退室をお願いいたします。
タブレットを見てやりたいと思います。本日の議題は「年金記録の訂正に関する事業状況(平成29年度事業状況及び平成30年度上期概況)」についてでございます。
御存じのとおり、年金記録の訂正請求は、平成27年2月に当分科会で議論した内容を踏まえまして、厚生労働大臣が示した訂正に関する方針に基づき、平成27年3月から年金事務所での受付を開始し、平成27年4月から地方厚生局などにおいて訂正請求に関する事務処理を行ってきております。前回、平成29年12月、1年前の分科会では、事務局から平成28年度及び平成29年度上期の事業状況の報告を受け、御議論をいただいたところでございます。今分科会では、平成29年度及び平成30年度上期の事業状況について事務局から説明いただき、委員の皆様に御意見等をいただきたいと考えております。
それでは、事務局から資料の説明をお願いいたします。
 
○中嶋年金記録審査室長 それでは、まず資料1の「平成29年度事業状況及び平成30年度上期概況」ということで、事業状況につきまして御説明をさせていただきたいと存じます。
お手元のタブレットでございますが、資料1をご覧いただければと思います。
1ページで、平成29年度の受付の概況を書いております。平成29年度の受付件数は4,621件ということで、昨年度よりも671件減少ということになっておりまして、この傾向は総務省の第三者委員会が平成22年度に件数のピークを迎えて以来減少傾向になっておりますが、この大きな減少傾向の流れに沿った状況でございます。ただ、減少幅は少しずつ縮まっているところでございます。
受付件数の制度別割合としましては、厚生年金が9割を占めている状況でございます。
また、マル2として平成30年度上期の受付状況でございます。前年度の上期に比べて減少となっております。
今申し上げましたことを数字で表したものが、2ページに受付件数の数字として示されております。件数は平成28年度の5,000件台から平成29年度は4,000件台になりまして、厚生年金が受付事案の9割を占めているという傾向でございます。
引き続きまして3ページでございます。これは受付に対して処理状況ということで、平成27年度、平成28年度、平成29年度とありますが、処理状況の一覧表でございます。受付件数の減少に伴いまして、処理件数も減少をたどっております。後ほどのページにおきましてグラフ化したものがございます。特徴といたしましては、厚生年金事案が多いということと、あと地方厚生局が処理する事案と日本年金機構が処理する事案がございますが、一定の証拠が揃っているために日本年金機構で迅速に処理が可能な事案の方が件数的には平成29年度も増えておりまして、比率で言うと地方厚生局が4に対して日本年金機構の処理事案が6といった割合になっております。この辺につきましては、後のページでグラフや図表にしたものがございますので、そちらでもう一度御説明させていただきたいと存じます。
続きまして、4ページが第三者委員会以来の傾向でございます。第三者委員会で、大体、平成21年度、平成22年度に年間6万件の受付件数がございましたが、大体平成22年度をピークにして、その後は減少傾向にあるということでございます。
5ページに、先ほどの数字で表しました処理件数を、厚生年金、国民年金、年金の種別に分けたものと、日本年金機構と地方厚生局の処理に分けたものでございます。受付件数がどうしても厚生年金の方が多くなっていますので、処理件数も厚生年金が多いということと、あとは処理事案を日本年金機構が処理したものと地方厚生局が処理したものに分けますと、最近ですと日本年金機構が処理したものが大体6割で、地方厚生局が処理しているものが4割という比率になっております。これは後で御説明いたします賞与事案が多いことが関係しているものと存じます。
6ページが、処理状況のうち、どのくらいの割合が訂正されているか、訂正・不訂正をグラフ化したものでございますが、厚生年金は訂正に結び付く割合が高い賞与事案などが多いので、厚生年金は訂正決定の割合が高くなっております。国民年金、脱退手当金は第三者委員会以来かなり処理が進んでおりますので、不訂正のものが多いという状況になっております。
続きまして7ページが、処理事案のうちでどのくらい記録訂正に結び付いているかという率でございますが、これも厚生年金の賞与事案などが多いことが影響しまして、大体今、記録が訂正されている割合が8割くらいになっております。
8ページは取下げ件数で、一定の取下げ件数はあるという状況でございます。
9ページは処理中事案ということで、年度末段階でどのくらい未処理事案があるかということでございます。平成29年度末は処理中事案960件となっております。平成28年度末では1,327件でございましたが、滞留分の処理は順調に進んでいるということでございます。
その辺につきましては、10ページの地方厚生局の制度別の標準処理期間と処理の平均日数の数字にも表れております。マル1は訂正請求の処理期間ということで、日本年金機構で受け付けて地方厚生局で審議して決定するまでの標準処理期間が143日でございます。参考をご覧いただきますと、平成28年度は全制度平均で158.9日ということになっておりました。これは平成27年度の事案を平成28年度に処理していたこともありまして、若干平成28年度の全制度平均は長い状況がございましたが、その後処理が進みまして、平成29年度につきましては全制度平均134.1日ということで、標準処理期間に収まるような傾向になっております。
この資料でございますが、平均の数字を挙げておりますので、昨年12月の当分科会におきまして、平均ではなくて長期間掛かっている事案について、どういった傾向が見られるのか。例えば、二極分化とかそういうことはあるのかといった実態を反映した資料が欲しいということがございましたので、本日用意しております資料2で、長期事案の分布状況について御説明させていただきたいと思いますので、後ほど資料2でこの件につきまして補足させていただきたいと存じます。
続きまして、11ページは、請求者を属性で示したものでございます。やはり被保険者本人の請求が圧倒的に多いという傾向が見てとれると存じます。
続きまして、12ページと13ページで、請求者の年齢階層別でございます。12ページは50歳代より若い人たち、いわゆる現役層がかなり多くなってきているということでございます。
その辺につきましては13ページでも、被保険者区分で裁定済み者の割合よりもその他、現役の被保険者はその他に入りますが、こちらの方が多くなってきているということでございます。
14ページは、請求者の住所地別のデータでございます。
ここまでが請求者の属性でございますが、15ページ以降からは、委員の皆様方にもいろいろ御議論いただいた認定基準・要領の内容に入るような事案類型の特色でございます。
15ページ以降は、小さな字で注釈が書いてありますが、請求期間というのは、例えば、賞与を10件とか賞与を5件、賞与と一定期間の標準報酬月額を請求するという方がいらっしゃいますので、1つの請求事案の中に複数の請求期間があります。ここ以降は請求期間ごとに分類しておりますので、実際の事案の件数より請求期間が多くなっているのは、1つの事案に複数の請求期間があることの表れでございます。
厚生年金の中では、標準賞与額に関する訂正請求が非常に多いということになっております。受付件数も減っておりますので、請求期間数も減ってはいるのですが、一番割合として高いという状況になっております。この辺は昨年と同様の状況でございます。
賞与が多いことの表れといたしまして、16ページをご覧いただきますと、平成15年4月以降のものが非常に件数的に多いと。ちなみに平成15年4月から平成19年3月は1,053件。平成15年は、賞与から厚生年金保険料を徴収する、総報酬の制度が始まった年でございますので、これ以降の請求期間のものがどうしても多く表れております。
その辺につきましては、17ページにおきましても同様の状況がございます。第三者委員会以来、賞与事案は1カ月として分類されておりますので、この1カ月が2,306件という数字を示しておりますのは、賞与事案が多いということの一つの表れでございます。
18ページは、事案類型ごとにどのくらい訂正されているかということでございます。これをご覧いただきますと、やはり賞与事案につきましては9割近くが訂正されると。賞与の場合、明細書や何らかの金銭に結び付くものを持たない請求というのは余りないと存じますので、高い率で訂正されております。
19ページを見ていただきますと、訂正・不訂正の事案におきまして、どのくらい月数があるのかということでございます。賞与は1カ月でカウントしますので平均も1カ月になっております。これをご覧いただきますと、件数的に厚生年金が多い中でも標準報酬月額につきましては、訂正決定されるものでも平均で25.2月、不訂正で31.5月ということで、標準報酬月額については基本的に1件当たりの月数が長いという状況でございます。また、全体の傾向を見ますと、不訂正の方が期間は長くなっています。
20ページは請求期間別になっておりますが、平成15年4月、平成19年4月、平成25年4月と件数は減っていくのですが、平成15年4月以降のものが多くなっているのは、厚生年金の賞与事案の影響でございます。
21ページは先ほどと同様でございますが、請求期間の月数別、やはり賞与が1カ月ということでかなり影響を表しておりますので、数字上に表れているところでございます。
22ページにつきましては、厚生年金事案の場合、訂正決定に至るものとして、いわゆる厚生年金特例法につきましては下の点線の括弧の中にもございますが、事業主が保険料を天引きしていながら保険料が納付されていない、届出もしていない事案。厚生年金法75条ただし書きにつきましては、事業主が届出をしていたのに記録がないということですので、これはもしかすると年金事務所が届出後の処理を漏らしたのかなということが推測される事案でございますが、これをご覧いただきますと、厚生年金の適用法別で訂正されているものは、厚生年金特例法第1条1項、事業主の届出漏れなどに起因すると思われるものが76%ということで、約4分の3は事業主に問題があったケースでございます。
マル3で厚生年金法75条本文その他もありますが、これも事業主が届出をしたとしても保険料徴収権が時効で消滅した後の届出ですので、やはり事業主に問題があるということでございます。
右側をご覧いただきますと、訂正決定に結び付いた中で賞与に関する訂正請求が82%ということになっております。
ここまでが大きな状況、概要でございますが、これ以降は細かい話で恐縮でございます。第三者委員会当時から事案を決定するに当たっては積極的事情、訂正に結び付くようなもの、例えば、保険料を引かれていたことを示すような給与明細があるとか、事業主の証言があるとか。消極的事情というのはどちらかというと、うちの会社では当時、保険料は控除していなかったとか、この人はうちのアルバイトで社会保険に入れていなかったという事情。こういった積極的事情、消極的事情を総合的に勘案しまして、審議会で御議論をいただいて結論を出しているわけでございますが、それらの件数がどのくらいであったのかということでございます。合計して見ていただきますと、やはり訂正決定に結び付くものはかなり積極的事情が多くて、不訂正になるものは消極的事情が全体として見れば多いという傾向が見てとれるところでございます。
24ページと25ページは、それを1件当たりに置き直したものでございます。1件当たりで見れば、なおさら訂正されるものは積極的事情が多くて、不訂正のものは消極的事情が多いということでございます。
26ページと27ページは、積極的事情、消極的事情が具体的にどのようなものかということでございます。例えば、マル1標準賞与額をご覧いただきますと、積極的事情でいろいろ書いてございますが、ただ、これは機械的に集計したものでございますので、必ずしもこれが決定打になったというものではございません。総合的勘案の対象となる要素の1つでございます。
標準賞与額のところを見ていただきますと、オンライン記録とか被保険者名簿は本人のものを収集したり、商業登記簿謄本や当時の事業主の回答が上にきております。ただ、特徴がありますのは、金額に関わるものでございますので、預金通帳や賃金台帳という要素も出てくると。6番目あたりに給与明細があると存じます。そういった事情によって判断しているので、どんな事情が多いのかというのを示したのが、26ページが厚生年金、27ページが国民年金と脱退手当金ということになっております。
28ページは、一定の資料があることによって、日本年金機構で記録訂正ができる事案、日本年金機構段階での訂正処理件数でございます。日本年金機構段階での訂正処理件数は、平成29年度をご覧いただきますと最近の傾向と同様に、賞与事案が96%ということで圧倒的に多いという傾向が見てとれると存じます。
29ページは、日本年金機構でどのような事案が訂正できるのかということでございます。
30ページ以降は、地方年金記録訂正審議会の部会の開催状況等々でございます。こちらに第三者委員会を御経験の委員の方もたくさんいらっしゃいますが、昔に比べますと今は事案も減っておりますので、開催件数等も減っているということでございます。
また、諮問期間の状況が31ページですが、大体2週間ぐらいでかなりのものは終わっているところでございます。
32ページ以降は審査請求事案、31ページまでのものは、訂正か不訂正かについて地方厚生局が原処分という形で地方審議会の御意見をいただいて決定いたしておりますが、その処分に不服がある方については、私ども年金記録審査室が審査庁ということで審査請求を受け付けております。審査請求の件数でございますが、平成27年度、平成28年度に比べまして、平成29年度から73件ということで少し減少傾向を見せております。
33ページでございますが、審査請求につきましては、地方厚生局の処分と状況がちょっと違いまして、審査請求は60歳代以上、受給者世代と思われる方が約4分の3を占めている状況でございます。
もう一つの特徴は、34ページをご覧いただきますと、訂正請求ですと受付の9割は厚生年金でございますが、審査請求事案につきましては、厚生年金が平成29年度で35件、国民年金が30件ということで、厚生年金と国民年金が拮抗しているような状況というのは、訂正請求とちょっと違った傾向が見てとれます。
35ページは訴訟の状況でございます。平成30年9月末までに提訴されたものが34件ございますが、(3)判決・係争の状況をご覧いただきますと、13件が確定又は取下げで終了しておりますので、現在21件を係争中ということでございます。これらにつきましては、御本人は年金に結び付く判決を求めておりますが、原処分を覆して年金給付に結び付くような判決はないということでございます。
36ページ、37ページは、事務執行体制の簡単な説明でございます。
38ページ以降は、参考資料ということで訂正手続の概要、39ページ以降は訂正請求の受付・処理状況の詳しいデータでございます。
以上が、資料1についてでございます。
資料2を続けて説明させていただきたいと思います。資料2が「訂正請求手続に係る処理期間の状況」でございます。
これは、昨年の分科会で長く処理期間が掛かっているものはどういう状況なのかという分布状況が見たいという御指摘がございましたので、平成29年度中に受け付けた地方厚生局処理事案で、平成30年9月末までに処分通知書を出した事案の分布を見たものでございます。
1ページですが、処理期間を見ていただきますと、右側が折れ線グラフになっておりますが、標準処理期間から期間が超過するに従って、件数的には減っておりますので、例えば二極分化ということはなくて、標準処理期間の近くではかなり処理しておりまして、長くなるにつれて少なくなっているという状況が見てとれたのが1点でございます。
もう一つは、厚生年金の中で標準報酬月額に係る訂正請求でございますが、標準報酬月額に係る訂正請求は、他の事案に比べてみると非常に時間が掛かっていると。143日以内の件数が74件で、割合が47.4%ということなので、143日の標準処理期間以内におさまっているものは5割を切っているという状況でございます。賞与や被保険者期間に関するものはいずれも5割を超えているのですが、これは事案の性格上非常に時間が掛かっているということが見てとれました。
その辺につきましては、2ページと3ページで、日本年金機構における受付処理と、受付後、地方厚生局に送られた地方厚生局での処理期間の2つに分解して示しております。2ページ、3ページをご覧いただきましても、標準報酬月額の事案は時間が掛かっているという傾向が見てとれます。
4ページは、厚生年金におきましては、請求者が個別に請求する場合と、事業主自身が保険料を控除していながら納めていなかったことを認めて、まとめて事業所単位で出してくる、いわゆる一括請求の場合がございますが、一括請求の方が時間が掛かっているということでございます。一括請求は事業主が請求してくるものですから、大体資料は揃っているはずで、資料が正しく揃っているものは日本年金機構の方で記録訂正が可能なのですが、例えば資料に一部不備があったり、事業主によってはなかなか資料を出さないケースとか、いろいろな状況で時間が掛かるものがどちらかというと地方厚生局の扱いになっております。
これが資料2ということで、昨年12月の分科会で御指摘いただいた長期の事案についての処理の分布状況について説明させていただいたものでございます。
大変長時間で恐縮でございましたが、以上が資料1、資料2の御説明でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○白波瀬分科会長 大変ありがとうございました。
それでは、年金記録の訂正に関する事業状況について説明がありましたので、委員の皆様から御質問・御意見を頂戴したいと思います。いかがでしょうか。よろしくお願いします。情報量がたくさんありましたので。
たしか前回、私の方から分布を見せてくださいとお願いしておりましたので、ご対応くださいましてありがとうございました。この統計から見る限り、二極分化とか後ろの方に偏っているとかいう実態は確認できません。ですから、長期といっても、ある特定期間よりも過ぎたケースという意味ですよね。
 
○中嶋年金記録審査室長 はい。
 
○白波瀬分科会長 いかがでしょうか。
 
○神津委員 発言がないのも何なので、敢えていたしたいと思いますけれども、私もこの組織の立ち上がりからずっと関与しておりまして、気の遠くなるような人数から大分減ってきて、だんだん底をついてきたなという感じがしまして、皆さんの御苦労に本当に感謝したいと思うのが第一点。
いつも賞与のことでトラブルになっているというのはおかしな言い方ですけれども、おかしなことになっているということで、訂正を求めている割合が非常に多いという御説明を中嶋室長からいただいて、多分前回もそのような印象を受けたと思うのですけれども、防止策を講じることができれば、ほぼなくすことができるのではないかと。全く無くなることは無理だということは存じておりますけれども、企業側がうっかりしているとか、わざとやっているところも含めて、いろいろと落ち度があると思うのですけれども、防止策を講じることを何か手段としておやりになっているかどうか御質問したいと思います。
 
○白波瀬分科会長 日本年金機構さんから、よろしくお願いいたします。
 
○菅野日本年金機構事業推進統括部長 日本年金機構の事業推進統括部長をしております菅野でございます。今日は、よろしくお願いいたします。
先ほど神津委員の方から賞与事案ということで、なぜ届出が進まないのか等につきまして御質問いただきましたのでお答え申し上げますが、私ども日本年金機構で事前に各事業所から賞与の支払い予定という情報をいただいておりますので、それに基づきまして予定月の前月にターンアラウンドの形式で届出書をこちらからお送りしております。日本年金機構から事業主の皆様方にお知らせして、お届けいただくことを基本にしております。ただ、やはり事業主の皆さんからお届けをいただけないというケースもございますので、その場合には、2カ月後ぐらいを目処に御提出いただきたいということで勧奨のお手紙をお送りしているということでございます。それでも届けが無いということですと、事業所調査等を行いまして、直接事業所にお伺いして届出をお願いしていると。ここまで何年かやっているのですが、それでもまだ出てくるという点については、まだどこかもう少しやる点があるのかもしれませんので、その点は委員の御指摘も踏まえまして、検討してまいりたいと思っております。
 
○大山委員 今の点は、たしか2年ぐらい前に私も質問したと思うのですけれども、私どもはわかっているのですが、ここ1年、2年で効果は上がっていますか。
 
○菅野日本年金機構事業推進統括部長 申し訳ございません、効果という点で統計的にとったことがないので何とも申し上げられないのですが、そういうことをやってもこういう事態がまだ少し続いているということは、十分に私どもが追い切れていない部分があるかもしれませんので、そういった点については研究してみたいと思っております。
 
○大山委員 神津委員がおっしゃったとおりで、これが解消すれば適用段階で終われば相当件数は減ると思いますので、何か方法を我々も考えていますけれども、その辺の取り扱いをしていただければありがたいかなと思います。
 
○白波瀬分科会長 ありがとうございます。お願いいたします。
 
○瀬川委員 今のことに関連してでございますが、先ほどの御説明の中で、特に厚生年金の賞与事案だと思いますけれども、一括請求の割合が極めて多いと。一括請求というのは事業主自体がまとまって行うという意味で、その傾向が出てきているということは、ある意味では今までの啓発活動が効果を与えてきているのかなと思っているんです。今までは、この記録はおかしいよねという人が個人で請求するというのが非常に多かった。それが一括請求になったということは、事業主がそれなりの意識を持つ、あるいはいろいろな啓発活動の指導によって、改めてそれを見直してみたら間違っていましたということから一括請求がきているのかなと。もし、そうだとすると、それ自体はある意味では良い傾向の予兆といいましょうか、始まりではないかという気はしているんです。
ただ一方、本当言うと、間違っていました、だから一括しますという前に何とかならないかなというのが、多分先ほどの大山委員や神津委員の発想だろうと思いますので、そのあたりがメカニズムとして上手くいくような方法がないものなのでしょうかといったところが実はありました。
それから、たまたまある方から御相談を受けて応じたことなのですが、一括請求をしようとしていたら一部退職者がいて、その人たちからのいろいろな資料、あるいは請求が集らないと一括請求が部分的になってしまって、なかなか困ってしまうのだというお話を伺ったことがあるんです。その辺について、日本年金機構側での取り扱いについてお伺いしたいなと思っているのですけれども、例えば、当該問題があって訂正の必要性が一括請求でやろうとすると100名いた。そのうち既に退職者が20名か30名いた。その部分についても訂正しなければいけないのだけれども、その人たちの連絡がつかないといった場合に、連絡のつかない方を除いたその他を一括請求というやり方で申し立てをした場合に受理していただけるものなのか否かといった取り扱いがどうなっているのかを伺いたいのですが。
 
○菅野日本年金機構事業推進統括部長 全員揃っていなくても、確認ができる方だけでも訂正の請求はお受けしているはずですので、もし、そういう事例がございましたら、申し訳ございません、お知らせをいただけると助かります。
 
○瀬川委員 実は、ある社会保険労務士の方が一括請求をある企業から頼まれてやろうとしたら、どうしても漏れている方がいる。それで御相談に行ったら、揃ってからでないと受け付けませんよと言われたと困っていたので、それは本質論からいったらおかしいのではないかと。個人請求だってできるのに、部分的な一括請求であろうと、それは効率が良い話なんだからやったらということを申し上げた記憶がちょっとあるので、その辺の取り扱いを確認させていただきました。
 
○菅野日本年金機構事業推進統括部長 大変申し訳ございません。もし、そういうことが実際にあるようでしたら、年金局等を通じて御指摘いただければ、しかるべき対応をとらせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 
○白波瀬分科会長 いかがでしょうか。
多分、このあたり毎年同じような質問がありますが。どうぞ。
 
○神津委員 税務の立場からいくと賞与の源泉徴収部分は払われていると思います。省庁間の連絡で難しいことかとは思いますけれども、国税庁や何かと情報共有とかできればそういうことはなくすことができるし、年金の収入も上がるのではないかと考えますけれども、荒唐無稽な質問かどうかも含めて御示唆いただければと思います。
 
○白波瀬分科会長 私が答えることではないのですけれども、私もどちらかというと応援したいなというか、マイナンバーとか法人番号があるのですけれども、様々なデータが存在し、データサイエンスというのが急に浮上していてビッグデータについても多くの関心が注がれているいま、委員からも、もう少し積極的に活用を検討してもよいのかという意見がありました。将来に向けて、対費用効果を改善していく方策も前倒しで取り組んでもよいのではないかと思います。実際には、具体的にいつから新たなシステムを導入するのかなどの問題があるかとは思います。ただ、毎年、これだけの効果が上がりましたという実質的な効果のデータの提示はもちろん大切なのですけれど、このあたりの複雑な案件が処理されれば加速度的に解消する部分もあるように感じます。ですから、もう一歩、積極的な手立てを考えていただくのがよいように思います。
○大山委員 今の分科会長からのお話にあわせて、今は未適用事業所の解消問題もありまして、今は多分、国税の情報を入れていると思います。ですから、神津委員がおっしゃったように、この辺もできるなら可能かなという気がしないでもないので、追加でお話しさせていただきました。
 
○白波瀬分科会長 そうですよね、そこで最初はやってもらって、そこで一致しなかったらその方がということなので、そんな簡単ではないということはわかっているのですけれども。
審議官から何かございますか。
 
○高橋年金管理審議官 今、未適用事業所の解消のために国税から情報をもらっていますけれども、研究してみようと思います。
 
○白波瀬分科会長 ぜひ、お願いしたいと思います。
 
○大山委員 そうすると事案が減りますので。
 
○白波瀬分科会長 そうですよね。
ほかにいかがでしょうか。
 
○鈴木委員 今の賞与と関係するのですけれども、これからは啓発活動をしていただくということで解消すると思うのですが、平成15年から平成19年の分が依然としてかなりのボリュームを占めていると思うのですが、昔の第三者委員会から、この頃の事案はずっとやっていて、未だになくならないというのはどういう理由があるのかなと素朴な疑問で思ったのですけれども、この辺はどうなのでしょうか。
 
○菅野日本年金機構事業推進統括部長 言い訳ばかりをして本当に恐縮なのですが、私どもは事業所調査をやる際に、保険料徴収権の問題がございますので、2年間を基本に調査をするということをやっておりますので、今回の標準賞与が変わった時点というのが言い換えれば時期がどんどん古くなってしまって、年金事務所の通常行う調査の範囲を超えてしまっているのかなという気がします。そういった意味で、お申し出によってしかなかなかできないのではないかと、想定ですので申し訳ないのですけれども、我々が調査に入った時点で平成15年ぐらいということを特定して全部やるということであればできるかもしれませんが、その調査というのは直近の2年間ぐらいが中心になってきているということがございますので、こちらからやるのはなかなか難しい部分があるのではないかと思っております。
 
○白波瀬分科会長 よろしいですか。では、大山委員どうぞ。
 
○大山委員 全く違う話ですけれども、事案の類型ということでも15ページあたりで説明いただいているのですが、長くやっておりますので、いろいろな類型というのはほとんど固まっているとは思いますが、新たな事案の類型とかあるのだったら教えてもらいたいと思ったのですけれども。
 
○中嶋年金記録審査室長 第三者委員会の時代で大きく整理していただきまして、平成27年から平成29年と3年、実質的には4年たっておりますが、こういった類型を外れるようなものはないというのが状況でございます。
 
○大山委員 わかりました、ありがとうございます。
 
○白波瀬分科会長 ありがとうございます。いかがでしょうか。
 
○池田委員 ちょっと教えていただければと思っているのですが、請求内容・処分の状況の中で、被保険者年齢階層別というところですけれども、80代のあたりは絶対数が少ない部分もあるのかなと思っているのですが、20代から30代あたりが非常に少ないなと思っているのですが、これは何か理由があるのでしょうか。考え方でも結構ですけれども、教えていただければと思います。余りまだ興味を持っていなくて、まだそういう事案がないということなのでしょうか。あと、高齢者の方も教えていただければと思います。
 
○中嶋年金記録審査室長 大変恐縮ですが、私がこれまでの事案を見た限りですと、明確な線引きができるような特徴はないのですが、だんだん年齢層も65歳とか70歳というあたりが中心になるということと、20代、30代ということですが、今、ねんきん定期便などでかなり若い方の意識も高まって、いろいろ請求等につながっていると思うのですが、今まで見た事案だと、どうしてこういう状況になっているのか明確な特徴は現在のところ申し上げられないのですが、こうした状況についてもこれから注視していきたいと思います。
 
○池田委員 特に後期高齢者、80代くらいになると、御本人がなかなか理解できていらっしゃらない部分があるだろうなと思っているものですから、遺族でもない限りないだろうなと思いながら、確認させていただいただけです。
 
○高橋年金管理審議官 これは、賞与事例に引きずられているからというのがあるのですかね。平成15年くらいの賞与事例の山が大きいので、20歳代や30代前半くらいですと、平成15年ぐらいの賞与の手続が一番漏れた時期の人がまだ働き始めていなくて入っていないと、それはある程度あると思います。
 
○池田委員 ありがとうございます。
 
○白波瀬分科会長 南委員どうぞ。
 
○南委員 特にお尋ねすることはございません。私も第三者委員会時代から長くかかわらせて頂いており、所感としては本当にかなり少なくなってきている、できることはほとんどやっていらっしゃるという感じだと思います。残っている問題、先ほど来先生方が御指摘のような、特に厚生年金の賞与事案の問題。これが予防策とか何かで改善していけるのかどうか。マイナンバーと先ほど会長がおっしゃったのですけれども、今後、それが制度で改善できる見込みは現状では余り持てないのでは、と思ったりしております。
 
○白波瀬分科会長 マイナンバーを社会保障制度の充実にあたってどう有効に活用していくかは重要なところで、用語の意味も含め注意深く扱わなければなりません。その意味で、個人情報の議論とマイナンバーの議論を適切に区別しつつ、建設的に議論を進めていかなくてはならないと思います。
 
○南委員 ただ、厚生年金は企業の話ですから、マイナンバーはかなり浸透しているわけです。むしろ、国民全般にならすとマイナンバーは浸透していないので、今後、もし国民年金の問題になれば、課題が多いいということではではないしょうか。
 
○高橋年金管理審議官 今年3月から厚生年金関係の書類の提出と、資格取得届というものにもマイナンバーを記載するようになりまして、被保険者や受給者の情報というのは、まだ若干結び付いていないところもありますけれども、基本的にマイナンバーと結び付ける作業を行っています。年金の業務もマイナンバーを使いながら漏れがないように、昔のように記録がどこかに行ってしまったということがないように、そこはどんどん進みつつあると思っています。マイナンバーをベースとして、国民年金の資格取得の加入漏れがないようなことも今、順次行っておりますので、そういう意味での効果は非常に上がっています。マイナンバー時代だからといって何でも結び付けていいというわけではないので、先ほどの国税庁に出てきたような所得情報とまではいきませんが、日本年金機構のいろいろな管理をしっかりと漏れなく、重複なく行うという点では、非常に効果を上げつつあると思っております。しっかりやっていきたいと思っております。
 
○巽事業管理課長 先ほど、賞与の訂正請求が多いという話だったのですけれども、我々もどういう訂正請求があるのか、例えば、事業所別でも種別によってとか、あるいは規模別とかそういうことを分析して、エビデンスベースで事業所調査につなげていくということは大事だと思っておりますので、今、日本年金機構で来年度から始まる中期目標、中期計画を作るわけですけれども、そのあたりどういう訂正請求が多いのか、あるいは我々は適用あるいは加入していただくことが大事ですので、そのためにどういうところが漏れているのかということをよく分析して、それに対して事業所調査を重点化していく、効率化していくという形でやっていきたいと思っております。
 
○白波瀬分科会長 ぜひ、そのところをよろしくお願いいたします。エビデンスベーストとどこの省庁でもおっしゃっているので、なかなか言うはたやすくというところもあったりするのですけれども、実際にエビデンスとの照合可能な環境になるよう前倒しのご検討をよろしくお願いいたします。
いかがでしょうか。他に御質問等ございませんか。
では、確認と将来に向けての強い要望の再確認という感じだったのですけれども、本日の議題等は全て終了いたしました。
次回の日程につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
 
○中嶋年金記録審査室長 大変ありがとうございました。
次回の日程につきましては、また後日改めて調整の上、御連絡を差し上げたいと存じます。
 
○白波瀬分科会長 それでは、本日の会議はこれで終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。

 

 

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