ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 検体検査の精度管理等に関する検討会> 第2回検体検査の精度管理等に関する検討会議事録(2017年11月20日)




2017年11月20日 第2回検体検査の精度管理等に関する検討会議事録

○日時

平成29年11月20日(月)14:00~16:00


○場所

厚生労働省専用第21会議室(17階)


○議事

○野坂医療情報管理専門官 定刻になりましたので、ただいまから、第2回「検体検査の精度管理等に関する検討会」を開催させていただきます。

 構成員の皆様方におかれましては、御多忙のところ、御出席いただき、誠にありがとうございます。

 まず、前回御欠席の構成員の御紹介をさせていただきます。

 公益社団法人日本歯科医師会常務理事、三井博晶構成員です。

 続いて、事務局の御紹介をさせていただきます。前回欠席いたしました医政担当審議官の椎葉でございます。

 本日全構成員の先生方に御出席していただいているところではございますが、佐々木構成員は所用により途中で退席されると伺っております。また、事務局の医政局総務課長の榎本が所用により少々遅れる予定でございます。

 また、本日は外部精度管理調査について、実施主体である日本医師会及び日本臨床衛生検査技師会から説明いただく予定であり、まず、日本医師会から常任理事の羽鳥裕参考人、臨床検査精度管理検討委員会委員長の高木康参考人に有識者として御参加いただいております。日本臨床衛生検査技師会からは、本検討会構成員の丸田秀夫構成員に御説明いただく予定です。

 続きまして、お手元の資料を確認させていただきます。

 まず、座席表、議事次第。

 資料1「ブランチラボ、衛生検査所における精度の確保等に係る現行の基準」。

 資料2「医療機関における検体検査の品質・精度の確保について」。

 日本医師会提出資料である資料3「日本医師会臨床検査精度管理調査の現状」。

 日本臨床衛生検査技師会提出資料である資料4「日本臨床衛生検査技師会(日臨技)精度管理調査事業の概要」。

 参考資料「前回検討会における主なご意見」、縦置きの資料でございます。

 構成員の皆様におかれましては、構成員限りでございますが、測定標準作業書のひな形と検査機器保守管理標準作業書のひな形を机上配付させていただいております。

 資料の欠落等がございましたら、事務局にお申しつけください。よろしいでしょうか。

 では、冒頭のカメラ撮りについてはここまでとさせていただきます。

 それでは、議事に移りたいと思います。以降の議事運営は座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○楠岡座長 座長の楠岡でございます。本日はお忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。

 それでは、早速議題に入りたいと思います。

 まず、資料1「ブランチラボ、衛生検査所における精度の確保等に係る現行の基準」について、事務局より御説明をお願いいたします。

○木下保健医療技術調整官 事務局でございます。

 資料1をお手元に御用意ください。今回と次回におきましては、医療機関における精度管理に関する基準等の御検討をいただきたいと思っております。医療機関につきましては、現状精度管理に関する基準等が定められていないこともございまして、まずは現行のブランチラボ及び衛生検査所における精度の確保に関する基準等について、資料1を用いまして御説明をいたしたいと思っております。その後、外部精度管理に関しまして、今日御参加いただいています2つの団体から御説明いただきまして、その後全体の議論という形で、医療機関に関しまして、どういう基準にするべきかということにつきまして御検討いただきたいと考えております。

 2ページ、現行のブランチラボ、衛生検査所におけます精度の確保等に係る現行の基準の主なものを列挙しております。まず大きく3つのカテゴリーに分かれておりまして面積要件でありますとか、機械器具の要件でありますとか、構造設備に関するもの。中段におきまして、人員の配置要件等を定めております管理組織に関する要件。さらには、標準作業書といったものを定めました精度の確保の方法等に関する基準として、大きく3つのカテゴリーに分かれております。

 それぞれの具体的な項目といたしましては、最初の構造設備に関しましては、用いる機械器具のほか、検査室の面積といったものが定められております。また2つ目の管理組織に関しましては、現行ブランチラボ、衛生検査所におきましては、基本的には受託で検査を行っていることもございまして、受託の責任者、また、医師、臨床研技師の必要な人数、精度管理責任者といったものを定めております。また、3つ目のカテゴリーであります精度の確保の方法といたしましては、内部精度管理、外部精度管理調査のほか、検体検査の方法でありますとか、容器・採取量等を決めました案内書の話でありますとか、測定の実施方法、検査用の機械器具の操作方法を記載しました標準作業書の作成、こういったものを定めているところでございます。

 3ページ、今、御説明しました3つのカテゴリーごとにそれぞれ具体的なものをお示ししております。まず構造設備に関する基準といたしまして、面積に関する基準でございます。こちらに関しましては衛生検査所についてのみ定められておりまして、具体的には検査業務の項目1つを行う場合は20平米、以降、2つ、3つ、4つと増えるに従いまして、要件となります基準の面積が増えていく状況になっております。2つ目、検査用の機械器具に関する基準に関しましては、ブランチラボ、衛生検査所、それぞれにおきまして必要な検査用の機械器具が定められております。そちらには現在微生物学的検査の場合の必要な検査器具の例示を掲げているところでございまして、ふ卵器、顕微鏡、こういったものが必要な器具として定められているところでございます。また、衛生検査所についてのみ廃水及び廃棄物の処理設備に関する基準が定められております。

 4ページ、管理組織、配置人員に関する基準でございます。まず1つ目、受託責任者・管理者に関する基準、こちらはブランチラボ、衛生検査所いずれも定められておりまして、例えばブランチラボにおきます受託責任者におきましては、3年以上の検査業務の実務経験のある常勤の医師または臨床検査技師といったものが定められてございます。また、臨床検査技師を受託責任者とする場合には指導監督医の選任が必要という要件が定められております。また、配置人員に関する基準におきましては、こちらは衛生検査所のみでございますが、検査の項目が増えるに応じまして、必要となる基準の人員が増えていくという関係になってございます。書きに書いておりますが、ブランチラボの場合は、行う検査に必要な人員と定められているところでございます。

 また、精度の確保に関する基準としまして、各種標準作業書、日誌等の作成でありますとか、内部精度管理の実施、外部精度管理調査の受検、こちらは衛生検査所については基準として定められているところでございます。

 5ページ、6ページにつきましては、備えるべき作業書につきまして、5ページがブランチラボ、6ページが衛生検査所につきまして、検査の流れに沿った形で定めております。まずブランチラボ、検体採取に関する業務の案内書から始まりまして、実際に検体が持ち込まれるということもありますので、検体が持ち込まれた場合の受け付け、さらには、それをどう仕分けしていくのかといった作業書、それに伴う作業日誌、血清の分離の標準作業書、また、受託、委託の関係にありますので委託検査の管理台帳。さらには中段を超えまして、検査測定に関するものといたしまして、検査機器の保守管理に関する標準作業書、測定標準作業書、それらに伴う作業日誌。さらには、試薬の管理台帳でありますとか、内部精度管理に相当します統計学的精度管理台帳、さらには外部精度を受けた場合の管理台帳といったものが備えるべき作業書として定められているところでございます。6ページに関しましては、それに類する衛生検査所における作業書等になりますので、説明は重複いたしますので、割愛させていただきます。

 7ページ、8ページには、測定標準作業書の例示をお付けしております。構成員の方々におかれましては、具体的な標準作業書のサンプルとして机上に幾つか配付させていただいておりますので、そちらも参照いただければと思います。測定標準作業書に関しましては、基本的には測定標準作業書は一般的に検査項目ごとに作成をお願いしているところでございます。また、各医療機関で複数の検査等を行うことも想定されますから、文書の管理番号等を記載して管理いただいているところでございます。

 8ページ、具体的に測定標準作業書の主な内容という項目を列挙させていただいております。3番目にあります測定方法、また、7番目には試薬・機器・器具・消耗品、10番目には検査の手順でありますとか、12番目にありますような検査結果を判断するに当たっての基準の範囲、判定基準、さらには14番目としましては、精度管理の方法、これらのものを標準的な作業書の中に盛り込んでいただいているところでございます。

 9ページ、今、お示ししました作業書のほかに、日誌として日々の測定結果等につきまして管理いただいている日誌の例示を挙げているところでございます。これは衛生検査所で行われているものを想定しておりますが、まず、左上に具体的な検査項目を記載いただきまして、その日、日誌ですので、1日に何件検査を行ったでありますとか、その中で異常データの記録があった場合については記載いただくといったものを含めた形で、こういった日誌というものを現行は作成いただいているところでございます。

10ページ、検査に用います試薬の管理台帳の例示をお示ししております。こちらにつきましては、試薬品ごとに購入日でありますとか数量、さらにはそれらの有効期限といったものを記載することによって、試薬の管理を現在やっていただいているというときの台帳になります。

 ここまでが作業書、日誌、台帳の御説明になります。

11ページ、12ページ、精度管理に関しまして、内部精度管理と外部精度管理調査について御説明いたします。

11ページ、検体検査の精度管理の方法といたしましては、大きく「内部精度管理」と「外部精度管理調査」に分かれております。まず、内部精度管理につきましては、施設内におきまして、管理試料等の同一検体を繰り返し検査したときの結果のばらつきの度合い、再現性を管理するものです。主に精密度を確認するということを目的としておりまして、下の左にありますように、同一検査における測定値のばらつきの度合いということで、この場合はわざと中心から外しておりますが、同じ部分、同じ的のようなところに結果が集まっているということで、再現性を管理するということで、主に精密度の確認になります。

 一方で、外部精度管理調査につきましては、第三者機関からの同一の試料を複数の施設に送りまして、各施設で測定した検査結果に偏りがないかを確認するということで、イメージ図としましては、下の2つの丸のうちの右側、正確度というところで施設間の偏りの度合い、中心にどの程度近いかということを外部精度管理調査によって確認を行っているというものになります。

12ページ、今、御説明しました外部精度管理調査につきましては、検査の質的向上を目的としまして、関係団体、今日御参画いただいています日本医師会さんや各都道府県から送付された同一の試料を各施設で測定しまして、検査の精度を調査することで、客観的に精度管理状況を評価するということを目的としております。現行、衛生検査所の開設者におきましては、臨床検査技師に関する法律の施行規則におきまして、検査業務について、外部精度管理調査を受けなければならないと規定されているところでございます。現行、国内で行われています外部精度管理調査につきましては、下の表にありますように、実施団体として日本医師会、日本臨床衛生検査技師会、日本衛生検査所協会というところにおきまして、実施いただいております。各団体が行っております外部調査の調査内容につきましては、表を御参照いただければと思います。主な実施方法につきましては、右の四角になりますが、まず1といたしまして、実施団体から試料が送付され、医療機関もしくは衛生検査所におきまして、その検体を用いて結果を測定し、報告する。それらを集計して、集計結果をまた実施団体から報告いただくという流れにおきまして、外部精度管理が行われている状況になります。具体的な事業につきましては、今日御参画いただいています団体から御説明をお願いしたいと思っております。

 事務局からの説明は以上になります。

○楠岡座長 ありがとうございました。

 ただいまの御説明に何か御質問はございますか。よろしゅうございますか。

 続きまして、日本医師会の羽鳥先生、高木先生から、日本医師会で実施している外部精度管理調査について御説明いただくことになっています。

 よろしくお願いいたします。

○高木参考人 日本医師会の臨床検査精度管理委員長を拝命しております高木でございます。

 今日は担当の羽鳥常任理事と、皆様方に日本医師会で行っております臨床検査の精度管理について御説明させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 2ページ、日本医師会に参加していただいている施設の変遷です。昭和42年に第1回の精度管理調査を行いまして、その当時は70施設でしたけれども、年々増えて、平成29年度では3,245の施設に参加していただいています。これは今年度の数値でまだ公表されていませんので、今回は28年度の精度管理調査について皆様に御説明させていただきたいと思います。

 3ページ、これは50回、昨年の日本医師会の参加施設の施設分類です。全部で3,223の施設に参加していただいており、大学病院が138施設。厚労省の臨床研修の指定病院、これは平成16年から初期臨床研修が必修になりましたので、以前は大学病院と一緒のくくりにしていましたが、臨床研修をしている指定病院ということで新しく分類をしました。それから、一般の200床、一般の200床未満、一般の200床未満が一番多くて、1,110施設、34.4%です。以下、精神科病院・療養所、医師会の病院・検査センター、登録衛生検査所、健診機関、その他で分類しています。

 4ページ、調査項目ですが、日本医師会では生化学が25項目、免疫学的な項目が13項目、尿検査が3項目で、血液学検査が8項目の全部で49の項目につきまして精度管理調査を行っています。

 5ページ、配布試料ですが、49の項目をいくつかのグループに分け、そのグループに合った別々の調査試料を参加施設に配布して、調査をしています。例えば臨床化学ですと総たんぱくとアルブミン、これが1つのグループになっていまして、凍乾品の2濃度を配布しています。総ビリルビンやグルコースの一般的な臨床化学の項目については、正常域のものと、中等度高いものと異常高値の3種類の試料を配布して調査を行っています。脂質、尿検査、ヘモグロビンA1c、腫瘍マーカー・ホルモン、炎症たんぱく、感染症などが調査の目的により2もしくは3試料を配布して調査を行っています。血液については、人工的に調製した全血2濃度を配布して調査をします。生血ですと試料調整、施設への搬送、測定などのステップでいろいろな調査に不都合が生じる可能性がありますので、加工血を配布しています。凝固検査につきましても適切な調査試料を調整して行っています。

 6ページ、日本医師会の精度管理の項目です。時代の要請、状況により、調査項目も変えています。50回は49項目で調査しましたが、臨床化学についても総たんぱくやたんぱく分画は第1回から27回まで行っていました。当時、かなりいい精度になっていることが判明しましたので、しばらく中断しておりました。しかし、臨床の先生方から総たんぱく、アルブミンは臨床診療上非常に大事な項目なので、調査をしてほしい旨の要望がございましたので、44回からまた再開しました。

 免疫学的検査についても、梅毒は8回から23回まで調査しており、一時中断してまた46回から再開しました。これは梅毒の検査が自動化されまして、どのぐらいの精度であるかを調査をしなくてはいけないことになり、46回から再開しました。

 細菌検査につきましては、現在は実施していません。しかし、6回から33回には、細菌検査を同定と感受性について行っていました。どうして中止をしたかというと、これはやむを得ない事情がございます。細菌検査の調査では生の細菌を使いますので、そのころから生の細菌を通常の郵便、荷物と同様な手段で施設に発送することは感染性の点からよくないということがいわれるようになりました。また、参加施設数が3,000施設を超え、配布するだけの細菌を培養して、一律にそれを配布するということが困難になりましたので、33回からは中止しております。便の潜血反応につきましては臨床診療上非常に重要だということがわかっておりますので、次回30年度から再開したいと考えています。

 7ページ、日本医師会の回答様式ですが、インターネットの回答が多くなりまして、昨年度は85.5%の施設がインターネットで回答していただいています。このインターネット回答の良い点は、回答するときに、間違った試薬、間違った検査方法を選択するとアラームが鳴ることになっています。アラームが鳴りますので、もう一度チェックをし直して登録することになりますので、誤登録の防止にも役立ちます。

 8ページ、大規模な精度管理調査では、集計作業上の問題が非常に重要になってまいります。と申しますのは、誤った試薬、誤った測定系で測定値を返却されますと、誤った評価をしなくてはなりません。それは誤って登録している参加施設はいいのですが、それによって評価のための測定値がシフトしますと、正確に登録していた施設が悪い成績になってしまう可能性もありますので、誤った記入、誤記入が集計上は非常に困るということです。日本医師会では「製造販売元」をきちんと書いてくださることをお願いしております。

 9ページ、誤った成績、誤った試薬メーカーを返却しているアンマッチの施設数です。これは昨年と一昨年ですが、ブドウ糖、中性脂肪、アミラーゼ、マグネシウムなど検査室で一般的に検査されている項目にもご登録が多いことがお分かりと思います。

10ページ、このような誤登録がありますと、解釈上、非常に問題がありますので、日本医師会では誤登録の施設に対しまして、あなたの施設ではこの項目について間違った記入になっておりますよということで、是正の書類を送らせていただいています。しかし、送らせていただいても、なかなか改善が見られない施設もあります。

11ページ、調査項目の参加施設数と参加比率です。なるべく多くの参加施設で検査をされている項目について調査をしたいと思っています。といいますのは、日本医師会では一律同じ金額を参加費としていただきますので、あまり少ない項目については、その参加施設に不都合・不利益がありますので、なるべく多く参加できる項目を調査したいと思っています。ただし、臨床診断上、非常に重要な項目につきましては調査項目に入れています。この表でも、インスリンは参加比率が25.8%ですが、インスリンは糖尿病の病態診断に非常に重要な情報ですので調査項目としています。調査項目については、毎年検討しまして、新しい項目に変えることも検討しています。

12ページ、日本医師会の精度管理調査は、数少ない評点を行っている精度管理調査です。100点満点で、あなたの施設は何点ですという評点を参加施設に返却しています。その際に統計学的に測定値のCVを用いる評価では統計学的な数字ですので、必ず一定の比率だけ悪い成績になってしまいます。それでは精度向上の努力が報われないことにもなりますので、絶対評価をコンセンサスCV、現在の検査の状況・水準で許容されるだろうばらつきをコンセンサスCVとして設定しています。大きなバラツキのグループを外したり、報告値の桁数で補正した補正共通CVという統計学的なCVとコンセンサスCVを組み合わせて評価しています。

13ページ、これが現在日本で行われております臨床検査の方法間変動、それから、方法内変動の結果です。方法内変動は、同じ測定原理を用いる測定系がどのぐらい同じ値を示すか。方法間変動は違う測定系でどの程度互換性のある値を示すかで、これがある意味では施設間変動になるかもしれません。生化学につきますと、左側のほうが正常域の試料での値です。総ビリルビンの平均値が0.9mg/dLですから、健常人の濃度では方法間変動が4.63%、方法内変動が3.81%ですので、5%以内におさまっています。右のほうは異常高値試料ですが、全部の項目で方法内変動は3%以内と優れています。ただ、方法間変動はかなり大きな項目もあります。一番大きなものが12.47%のコリンエステラーゼ、それから、LDH11.12%と多少方法間変動は大きくなっています。

14ページ、これが免疫学的な検査と血液学的検査です。免疫学的検査は専用試薬、専用機器を使っていることが多いので、方法内変動はそれほど悪くはありません。10%以内、もしくは多くの項目では5%以内になっています。方法間変動は、例えばCA19-9は、方法間変動の低値調査試料は32.15%ですので、ばらつきが非常に大きいということです。

 血液検査の項目では、赤血球とヘモグロビンについては、方法内変動は1%以下ですばらしい成績です。方法間変動も小さく、施設間変動もほとんどないと考えています。一方、白血球と血小板については、血小板数は方法間変動が5.5%で、若干大きなバラツキです。これについては、次のページにまずはヘモグロビンと赤血球数について図示していますが、測定機器メーカーごとにまとまっています。ヘモグロビンと赤血球については、先ほどお話した方法内変動と方法間変動の精度ですので、ほぼ同じような結果が患者さんに返却されていると考えてます。

16ページ、白血球と血小板数です。ある測定装置は左側の白血球数が高値傾向にあり、右側の血小板数については低値傾向にあります。これは先ほど申し上げましたように、血球算定調査では加工血を使っておりますので、多少このような傾向が出てくるものと考えています。

17ページ、日本医師会の調査では評点をしています。どのぐらいの施設、どのぐらいのパーセンテージがA評価なのかB評価なのかC評価なのかD評価なのかを示したのがこの表です。先ほど申し上げましたように、コンセンサスCVという絶対評価を使っていますので、統計学的数字ではございませんので、D評価についても非常に比率が少ない項目から割と大きな項目までいろいろあります。

18ページ、19ページ、日本医師会では評価評点一覧表をお配りしています。評価項目修正点というのはその施設が参加している項目につきまして「評価せず」という項目があります。これは測定数があまりにも少なく評価できない場合には評価できる項目だけを修正した点、この図では99.1点になります。参加項目の修正点、これは参加している項目については、「評価せず」というものは除外しませんで、そのまま評価をした点数でこの施設では89.7点。総合評点は全ての項目についての評価で分母が大きくなり、分子は評価項目だけの点ですから、87.6点ということになります。日本医師会ではできる限り多くの項目について参加をしていただきたいということで評価項目修正点、参加項目修正点、総合評点という3つの評価をそれぞれの施設にお返ししています。

 「おわりに」です。日本医師会の精度管理調査は、3,000を超える施設に参加していただいております。しかも、大・中・基幹病院だけでなくて、小病院検査室、衛生検査所、メーカーなどが参加している日本最大級の精度管理調査です。この調査結果から、方法内変動はかなりよくなっておりますが、方法間変動、言い換えれば施設間互換性が多少不良な項目があることがわかっております。

 それから、今回お話ししませんでしたが、多くの施設でトレーサビリティー、この測定値が何を根拠に値付けされたかを示した経路、上位とどれぐらいのトレーサブルな値なのかということを示すことですが、今は85%以上の施設がこのトレーサビリティーの確認を行っています。このようなことも含めて、日本医師会に参加されている施設は非常に収束された成績になっていると考えています。

 それから、第50回、平成28年度の結果報告書を皆さんにお持ちしましたので、参考にしていただければと思っています。

 以上でございます。ありがとうございました。

○楠岡座長 どうもありがとうございました。

 引き続きまして、日本臨床衛生検査技師会の丸田構成員から御説明をお願いしたいと思います。

 よろしくお願いいたします。

○丸田構成員 よろしくお願いいたします。

 しばらく時間を頂戴いたしまして、日本臨床衛生検査技師会の精度管理調査事業の概要について御説明させていただきます。日本臨床衛生検査技師会、これ以降日臨技と略させていただきます。

 2ページ、本邦の精度管理・施設認証の現状ということで、まず先ほど御説明がありましたように日本医師会さん、我々日臨技、そして日衛協さん等が御座いますが、これらの主な全国的な外部精度管理の実施状況でございます。あと、施設認証というものもございまして、日本臨床衛生検査技師会のほうで行っている施設認証が現在742施設、そして、ISO15189の認定施設が126施設という現状でございます。下のボックスのところには、現在の医療機関の現状を示しておりますけれども、こういった施設数の中で精度管理調査あるいは認証を取得されている施設はこのような状況であるということでございます。

 3ページ、まず当会の精度管理調査は昭和45年より開始をしておりまして、50年以上の歴史があるということでございます。そして、全国規模の外部精度管理調査といたしましては、臨床検査の全分野を網羅した精度管理調査であるということ。そして、平成23年度より、それまでは会員施設を対象に行っておったわけですけれども、全ての医療機関が受検できるようにオープン化しております。平成29年度の参加施設数は4,026施設ということで、過去最高の施設数となっております。

 4ページ、繰り返しになってしまいますけれども、当会の精度管理調査の特徴でございます。全国4,000を超える施設の大規模調査であるということで、登録、やりとりにつきましては、医師会さんと同様にウエブを使ってリアルタイムの管理をやっているということでございます。臨床化学、血液以外の項目も充実している。そして、認証施設制度も実施しており、外部精度管理調査と連動しているということでございます。また、全国に基幹施設を設けて、それらの基幹施設を中心にデータ標準化事業を展開しております。これにつきましては後述いたします。あとはサポート事業です。精度管理調査でやや不具合があったところについて支援をするような事業を開始しております。あとは諸外国との精度管理事業を通じての交流ということで、韓国あるいは台湾等々との連携もとり始めているところでございます。

5ページ、少し精度管理の細かいところの説明に入ってまいります。当会の精度管理事業は日臨技が公益目的で行っている継続事業であり、29年度の調査項目は定量検査ですが数値として検査結果を報告する項目が54項目、定性検査、プラスマイナス等定性値で結果を報告する項目で8項目、参考項目、あとはフォトサーベイですね。写真を見てこれは何かというような出題形式の89項目、こういった設問になっております。

 6ページ、こちらから具体的な実施項目内容でございます。生化学項目、免疫血清項目、血液項目、そして、一般の検査の項目です。

 7ページ、オプション項目ということで、微生物検査はA・Bで、Aのほうがやや簡素な内容でBがより細かな項目が含まれるコースになります。輸血検査は血液型検査に加えて、不規則抗体スクリーニングであるとか、同定検査であるとか、そういった内容です。そして、遺伝子検査、遺伝子検査Aでは結核菌群定性検査、そして、遺伝子検査Bにつきましては、結核菌群の定性検査に加えまして、C型肝炎ウイルス、あるいはB型肝炎ウイルス、こういった検査も含まれております。あとは生理学的検査、細胞学的検査、病理学的検査についてのフォトサーベイを実施しているという状況でございます。

 8ページ、フォトサーベイにつきまして、このような写真を送付いたしまして、これについてどう判断をするのか、というようなサーベイを実施して、機械で測定する以外の例えば尿検査の尿沈渣検査であるとか、血液検査の血液像検査であるとか、そういった技師の判断に関する精度管理についても日臨技の精度管理でカバーしている状況でございます。

 9ページ、当会の精度管理調査につきましては、会員施設がそれぞれさまざまな検査項目を実施しておりますので、それに対応できるように、コースを13パターンの細かなコースに分けております。それぞれの施設において、実際に検査をしている項目に該当するコースを選択して、精度管理調査に参加するということになっております。それぞれ参加料、金額を記しておりますけれども、全項目受検することになりましたら、8万円の費用をいただくということでございます。その一番右側に施設数を記載しておりますけれども、最も多いところは基本項目で2,700施設が参加しておりますし、遺伝子項目につきましても、100施設を超えるぐらいの施設につきまして、外部精度管理に参加いただいているということです。一番下のところに会員不在施設はということで記しておりますけれども、268施設におきましては、会員が不在の施設においても参加いただいている現状でございます。

10ページ、参加状況になりますけれども、わかりにくい表で申しわけないのですが、まず左側の数字です。参加施設数、構成割合というところは、一番下、精度管理調査に参加し、正しい回答をした施設が4,007施設になるのですけれども、その4,007施設に対します、それぞれ病床数区分ごとの参加施設数になります。病床なし514施設。4,007施設のうち514施設の病床なしという施設に参加いただいているということです。20床未満の診療所、クリニック等の施設におきましても14.5%ぐらいの施設が我々の精度管理に参加いただいているということでございます。それぞれ病床区分を見ていきますと、100床から199床あたりが21.8%ということで、構成割合としては多い比率になっております。

 右側ですけれども、こちらの会員施設数は当会に所属している会員の施設数を示したものです。そして、その会員施設の中でどれだけの施設が精度管理調査に参加をしているのかということを、参加割合ということで示しております。病床数なしのところで1,368施設の中の514施設が精度管理調査に参加をしたということで、3割強の施設が病床数なしの施設でも参加いただいている状況でございます。こちらにつきましては、病床数が増えるに従い、参加割合が増えているというようなことが見てとれるかと思います。全体におきましては、会員施設7,612施設中の4,007施設ですので、52.6%の施設が当会の精度管理調査に参加しているという現状でございます。これらの数値につきましては平成29年度、直近のデータでございます。参加施設の推移ですけれども、年々増加している状況が11ページのグラフで見られるかと思います。

12ページ、具体的な実際の調査の流れですけれども、年度初めに参加申し込みをし、6月ぐらいから試料配布、それぞれの施設で測定、そして、回答。8月ぐらいに大まかな統計を出して、1月末までに総合的な結果を報告する流れになっております。

13ページ、完全オープン化ということで、御説明いたしましたけれども、平成23年度からは全国どこの施設でも参加できることということで、完全オープン化をしております。中点の3つ目ですけれども、日本医師会であるとか都道府県技師会・医師会等々で実施されております精度管理調査、標準化事業と協調・協力して、情報共有しながら臨床検査の精度向上・発展に今後も寄与していくということで、完全オープン化をしております。

 毎年それぞれの年度の精度管理調査についての総括の報告会ということで、東京において全国の参加施設を集めて、精度管理の解析あるいは結果報告といったものを開催しています。平成28年度は561名の参加のもとに東京都で開催されております。

15ページ、その外部精度管理の調査結果について、幾ばくかの不適合と思われるような施設がございます。そういった施設につきましては、それぞれの施設で是正が必要ということになるわけですけれども、これまではどちらかというと施設の主体性に任せてしていた感がございます。

16ページ、それではよくないだろうということで、そういった不適合施設については、全国レベルの対応はなかなか難しいですので、関連団体である都道府県の技師会と連携をとりまして、都道府県技師会におきまして、それぞれ不適合項目について該当する施設に集まっていただいて、検討会をして、是正報告書を作成していただく事業を一昨年から開始しているところでございます。これがうまく軌道に乗れば、PDCAサイクルがうまく回って、この外部精度管理調査がさらに有効に活用されるのではないかと考えております。

17ページ、これは直接的な外部精度管理に関するものとは若干異なる部分はございますけれども、関連する事業として御紹介させていただきます。こちら、臨床検査標準化事業、標準化ということ、どこで測定しても同じ検査結果が得られるということですけれども、先ほど高木参考人からも施設間差であるとか機器間差であるとか、そういった御説明がありましたように、どこで測定しても同じ結果が出るということは、なかなか難しいのが実際的なところでございます。そういった施設間での検査結果の差を是正するために、全国に165施設の基幹施設というものを設けまして、そこの基幹施設を中心に各地方の検査データを標準化しようという作業を進めております。

19ページ、「その他の精度管理に関連する事業-2」ということで、「日臨技精度保証施設認証制度」というものがございます。当会では、臨床検査の信頼性を維持管理するために、「標準化され、かつ、精度が十分保証されていると評価できる施設」に関して、施設認証ということで、現在742施設を認証しております。その要素といたしましては、外部精度管理あるいは先ほど申しました標準化事業であるとか人的資源であるとか、こういったものを認証しております。

 認証の主体といたしましては、当会、日本臨床衛生検査技師会と、先ほど御説明をいただきました高木参考人が会長をされております日本臨床検査標準協議会、この連名で発行している状況でございます。

 以上でございます。ありがとうございました。

○楠岡座長 ありがとうございました。

 ただいまの2つの御説明に関しまして、何か御質問はございますでしょうか。

 市川構成員、お願いします。

○市川構成員 どうもプレゼンありがとうございました。

 お聞きしたいのは、費用は大体これに見たようなことだと思いますけれども、それ以外に被検施設の負担はどのようなものがありますでしょうか。この精度管理調査を受けるに当たっての被検者の負担的な部分は。

○丸田構成員 外部精度管理調査を受ける際の費用ということですか。

○市川構成員 費用はここに書いてあるからわかるのですけれども、それ以外の負担ですね。

○丸田構成員 あとは通常の検査以外にこれについての測定をし、あるいは判断をし、そして、入力作業をするというところがプラスアルファの作業になってくるかと思います。

○市川構成員 そこのところ、例えば各測定器などは、ある部分、とめながらやるわけですね。

○丸田構成員 基本的に通常の流れ、検査の工程の中で測定するのが原則ですので、それを特別扱いして測定するというのは正しい方法論ではございません。

○高木参考人 補足させていただきますと、精度管理には事務局からお話がありました内部精度管理と外部精度管理調査と2つございます。内部精度管理ではキャリブレーターとか標準品とかで測定器を調整し、生化学の場合には、精度管理のため血清を測定してこれが一定の範囲内に入っているか確認します。このような内部精度管理をしていて、その後に今、丸田構成員からお話がありましたように、調査試料を測定しています。ですから、内部精度管理をきちんとしていて、外部精度管理試料を測定する、これが全部合わさって外部精度管理調査に参加することになると思います。

○市川構成員 ありがとうございました。

 ここで見せていただきました、特に医師会は3ページの参加施設の施設分類のところで見せていただきますと、病院が大体2つ合わせて2,000200床以下の病院ですね。ということは、一般病院が8,000ぐらいとして、結構多いと見るのか少ないと見るのか、そこのところはいかがなのでしょうか。

○高木参考人 これは先生御存じのように、毎年全国の全病院数は発表されております。それらのうちの2,000以上の施設が参加されています。これ以上の病院が参加していただくのが理想だと思いますが、いろいろなことを考えると、個人的にはこれぐらいが限度かなとは思っています。

○市川構成員 丸田構成員のほうは、特に200床未満の部分ですね。中小病院と言われているところの参加は数的には。

○丸田構成員 参加割合は3分の1強ですので、まだまだおそらく検査は実施されていると思いますので、もう少し増えていただきたいのが実際のところです。ただ、当会の場合は少し細切れにいろいろな項目をつくっておりますので、小規模施設に合ったコースを新たにつくって調査を進めることも今後検討しております。

○市川構成員 そうしますと、日本臨床衛生検査技師会と医師会とのかなりオーバーラップしている部分の可能性があるということですね。

○丸田構成員 項目間のかなりの部分で重複しております。

○市川構成員 そうしますと、中小病院の約半分が外部精度と考えてもよろしいのか。もうちょっと多いでしょうか。6割ぐらい。

○高木参考人 そうだと思います。もう一つは、日臨技と日本医師会に参加している施設は、かなりオーバーラップしていると思っています。精度管理をしっかり行っている施設のほとんどは、日本医師会か技師会の精度管理調査には参加して、よい成績を返していただいていると思っています。

○市川構成員 そうしますと、阻害するような部分ですね。ないのか。費用的には多分医師会が5万円ぐらいで、全部やっても8万円ということでそんなに大きくないのですけれども、阻害する部分は何か。ここでこれから話す内容であるかもしれませんけれども、せっかくですから御意見としていただければ。

○丸田構成員 今、先生がおっしゃいましたように、1回の精度管理は5万とか8万とかということですけれども、高木参考人がおっしゃいました日々の内部精度管理があっての外部精度管理ですので、日々内部精度管理を実施するというところでは、手間と費用は若干かさんでくるということ。そして、臨床検査技師がいらっしゃらないような施設においては、おそらくドクターあるいは看護師さんがこういった検査を担われているかと思いますけれども、そういった職種の方は精度管理よりさらにやらなければならない仕事が沢山あられるはずですので、そのあたりでどうしても後回しになっているのかなと。想像の域を出ませんけれども、私の感覚としてはそう思っています。

○羽鳥参考人 医師会の羽鳥です。

 例えば精神病院とか、慢性療養病床とか、あまり沢山の検査はしないような病院もあるかと思います。多くは外注だと思うのですけれども、中でされているところもあるかもしれません。それを一律に大学病院や高度急性期病院と合わせて検査精度管理を求める、内部精度管理を求めると言われると精度管理についていけないところも多数でてきます。実情に応じてきめ細かく、最初は緩くというスタンスでお願いしたいと思います。

○楠岡座長 菅間構成員、お願いします。

○菅間構成員 3点お聞きしようと思ったのですけれども、1点目は、今、市川構成員が質問された内容とほぼ同じです。基本的には医師会あるいは検査技師会がプロフェッショナルなオートノミーとして、自らやっている精度管理検査の中でこれだけやっているというのはかなりのものだと思います。さらにこの医療法の改正を受けて外部精度管理を、各施設の現状を考えながらどこまで適用するかを考えていかないといけないと思います。

 2つ目、医師会にしても、臨床検査技師会にしても、臨床検査の項目によって、外部精度管理が適するものと適さないものがあります。厚労省資料の12ページにあるように、例えば病理検査というのは医師会はどうしてやっていないのですか。

○高木参考人 病理検査につきましては、医師会とか大きな規模の精度管理調査ではやっておりません。ただ、例えば東京都は精度管理調査で検査センターに対して検査数などの調査をして、調査成績としては報告しています。病理が難しいのは、病理切片を作製するとか、その切片、標本を評価、診断する調査になりますと、病理医の先生の判断、診断能力を含めては評価が難しい点もありますので、病理は医師会では調査しておりません。検体検査でも、検体を配布して評価ができる、数字として表せる、もしくは半定量的な評価ができる項目についてだけ現在では調査しています。

○菅間構成員 多分検査技師会も同じだと思うのですけれど、ただ、病理に関してやっているフォトサーベイとして、今、病理の医者が判断するところまではと言われました。例えば、この大腸がんフォトサーベイで、がんかどうかという医師の判断まで含めて精度管理を行っているということなのでしょうか。

○丸田構成員 基本的に標本作製に必要な知識として、どこから切り出されたものであるかとか、標本の出来栄えとか、そういったことが中心で、診断のところまではフォトサーベイの中には含んでおりません。

○菅間構成員 そうすると、今の話の大腸を撮った写真の中で、がんを見極めてどこから切り出したかというところも検査業務で医行為ではないということですか。

○丸田構成員 これについては診断するわけではございません。どこから切り出された標本かということは、医療安全上も我々はある程度理解する必要があります。やみくもに標本をつくってドクターに回すということではよろしくないと考えます。

○菅間構成員 同じことだと思うのですけれども、なかなかそこのところは難し。病理の標本だけではなく、血液の標本にも形態のフォトサーベイの中に入っている、例えば末血あるいは骨髄のスメアの判断まで問うているかというと、なかなか難しい。

○丸田構成員 先生、そこにつきましては、最終的には血液の先生に確認をしていただいてサインアウトするという形ですので。

○菅間構成員 検査であるけれども、医行為までかぶるものに関しては精度管理にはなじまないということでしょうか。

○丸田構成員 基本的には正常か正常ではないかということの判断は、検査技師の力量として必要なわけでありまして、そこのところを担保するということです。それの形態学的な部分の外部精度管理がフォトサーベイになっております。

○菅間構成員 今のお話ですと、がんか正常かの判断を検査技師は必要だということですね。

○丸田構成員 典型的な症例についての判断でございます。ボーダーラインであるとか、そういった境界病変はもちろんあるわけですけれども、判断をするだけであって、診断をするわけではないという御認識でいていただきたいと思います。

○高木参考人 つけ加えさせていただきますと、今、丸田構成員がおっしゃいましたフォトサーベイですと、例えば血液検査では写真の細胞を同定するサーベイは行っています。日本衛生検査所協会では、バーチャルスライドというものを使いまして、100個の白血球について、1番目から100番目の血球、細胞を同定させています。先生がおっしゃるように、これががんか、がんではないかというサーベイは、今の日本ではやられていないと思っております。

○菅間構成員 ただ、衛生検査所にも病理の検査に回っていますね。その病理の検体の切り出し、あるいは検査の所見も含めては、どのような形で精度管理されていますか。

○田澤構成員 サーベイの参加ということではなくて、まず一つは標本作製に関する精度管理ということで、基準どおりつくられているかどうか、染色はどうか、そういうところの見方が一つと、今、お話にありますように、アウトカム評価(診断)の精度管理の参加ということはできないので、特定の病院あるいは特定の研究機関等でクロスチェックだとか、そういう形での確認を行う。その程度になります。

○菅間構成員 外部は別として、内部的にはいかがですか。

○田澤構成員 内部については、既に診断がついた(標本)を用いて。

○菅間構成員 臨床検査所で診断しているという表現でしょうか。

○田澤構成員 先生、今、精度管理という観点と言うことでよろしいでしょうか。既知評価判定のものについての精度管理ということになった場合に、もう一度繰り返しになりますが、内部の精度管理についても、一つは標本の作製ということの精度管理が1点です。あと、診断ではなくて判断という観点で見たときに、既知評価判定のものについて、それをベースとして、例えばある測定の手技のときに、それが正しく染色されるとか、正しく評価されるかということに関して確認をして、その病理標本の評価を得るだとか、そういうことはあります。ただ、結論から言いますと、厳格な精度管理というアウトカム評価の観点では正解は何なのかというのは非常に難しいところがありますので、標本の作製と言うプロセス評価ということに尽きると思います。

○菅間構成員 難しいところがあるのでそのぐらいにいたします。3つ目として、これから問題になる遺伝子検査に関する精度管理、臨床衛生検査技師会ではやっているわけですが、具体的なところを御説明いただけますか。

○丸田構成員 これにつきましては、ある程度遺伝子量が含まれているもの、明確にこちらで把握しているものを各施設に配布して、それで検査を実施していただいているということです。通常の外部精度管理と同様の扱いでございます。

○菅間構成員 この後で、機器設備、施設基準に関しては議論されますが、遺伝子検査に関して、結核に関してはPCRの結果も含めて精度管理がやられているわけですね。

○丸田構成員 そうです。

○菅間構成員 ただ、項目数が限られているということですね。

○丸田構成員 そうですね。

○菅間構成員 結構です。

○楠岡座長 ほかにございますか。

 伊藤構成員、お願いします。

○伊藤構成員 日本難病・疾病団体協議会の伊藤です。

 我々は全く素人で細かい議論はよくわからないのですけれども、ちょっと驚いたのは、患者の立場としては、どこの病院でどの検査を受けてもみんな同じように答えが出ていると思っていたのです。意外にそれはそうではないということなのですが、それはやむを得ないところがあるのだと思うのですが、そういうばらつきができる原因は、主に先ほど推測でいろいろありましたけれども、あれは調査への協力に関する推測だったと思うのですが、違いがいろいろ出てくる本当に主な要因というのはどういうものがあるのか、ちょっと気になったということです。

 それが結局治療に反映するというところまで行くのか、それはそうではなくて病理の先生がいたり、主治医がいたりして、そこはある程度ストレートに治療に反映するなどということはないのかどうかというのが2つ目です。

 もう一つは、数字であらわすときに、全てパーセントですね。何%とか、どのぐらいがという話ですけれども、一人の患者にとってみたらパーセントというのはあまり意味がなくて、ゼロか100かみたいな話ですので、そういう影響も含めて今後どのようなことをしていったら、もっともっと精度が高められ、標準化されていくということなのか。先ほど標準化への努力のお話がありましたけれども、もっとわかりやすく言えばどういうことなのかなということをお聞きしたいと思ったのです。

○楠岡座長 どなたか専門家の方、わかりやすく御説明をお願いします。

 高木参考人、お願いします。

○高木参考人 それでは、十分に御説明できるかどうかわかりませが、お話しいたします。まず、先ほど申し上げたように、ばらつきが大きいのは、免疫学的な検査です。免疫学的測定項目の調査では、我々が調査試料とするのは、例えばCA19-9の調査ではがん患者でCA19-9が物すごく高い患者さんの血清を集めてきて、それを調査試料とすることはできません。日医調査では3,000以上の施設に調査試料としてお配りするには、3リットルとか5リットルぐらいの血清を必要としますので、患者血清を試料として調達することは無理です。多くの場合は、健常人の血清をプールしてその中に遺伝子的操作でつくったものを加えることで異常高値試料として、使用します。

 そうしますと問題が出てまいりますのは、免疫学的測定法ですと抗原抗体反応を原理として測定しますので測定に使用する抗体が問題になります。専用試薬を使っている装置が多いですので、ある測定試薬で使用している抗体は抗原エピトープのAとは反応しますが、抗原エピトープBとは反応しない。また、もう一つC社の測定装置は、抗原エピトープBはキャッチできるが、抗原Aは余りキャッチできないというのが起こります。それで我々が調査試料中に添加する遺伝子操作で作製したCA19-9がエピトープAをもっているかBをもっているかで測定値が多少違ってきます。

 ですから、普通の患者さんの血清を調査試料とすると、それほど離れていない測定値となる項目もありますが、かなり大きく離れてくる項目もあります。これはすでに文献として発表されていて、例えばCA-19-9ですと、A社では100ぐらいの測定値となるのが、B社では20ぐらいの測定値となることが報告されています。このため、調査試料をいろいろと改善する必要性を感じています。

100から200施設を対象とした中小規模の精度管理調査、サーベイではそれほど多量の調査試料を必要としませんので、患者検体を集めることができます。その検体を使っての調査ではそれほど乖離しない成績となることがありますので、そちらを参考にした方が検査の現状を反映していると思っています。

 日臨技にしても医師会の調査にしても、非常に多くの施設に調査試料を配布しなければいけませんので、調査試料の調製が非常に難しい、日常の検体と異なる組成であることがまず一点だと思っています。

 もう一つは、CVが大きいのを赤で書いてしまいましたが、それらは健康な人を対象とした調査です。方法間精度、施設間互換性でも、例えばALT20単位ぐらいですから、20単位で20%ですと4単位ぐらいしか違いません。ですから、CV%だけでなくその絶対値も考えると、それほど大きなばらつきではなく、ほぼ大丈夫かなとは思っています。

○楠岡座長 ほかにございますか。

 これからの議論になるかと思うのですが、精度管理にはプロセスの管理とアウトカムの管理があると思います。例えば血液検査など生化学的な検査はプロセス管理をすると、それがほぼアウトカムの管理に直結する。きっちりした分析の仕方をすれば結果はほぼ同じところに来る。多少、いろいろなことでばらつきはあるにしても、そんなに異ならない。それに対しまして、病理検査などですと、標本をつくるというようなプロセスのところでかなり大きな差が出る可能性があって、かつでき上がった標本を病理の先生がどう解釈するか、読むかということでも多少差が出てきますので、プロセスの管理とアウトカムの管理を分けないといけないものもあるかと思います。その辺のところをこれから御議論いただくことになるかと思います。

 先ほどの病理標本のプロセスの管理は、ある意味、病理の先生がご覧になって、これではとても読めない、要するに、質的に解析にたえないということであったらもう一回やり直さないといけない。一方、これであればちゃんと正しい判断ができると病理の先生が判断されればプロセスの部分はオーケーということになる。そういう意味では、化学的な分析と違うところもあるということは御理解いただければと思います。

 菅間構成員、お願いします。

○菅間構成員 今のことでもう一つ、検体の採取部位による誤差の精度管理もありますよ、そこのところは医行為ですよと先ほど言いたかったのです。

○楠岡座長 その辺になってくると、場合によっては外科の手術をされた先生がこの部分を見たい、分析したいという指示を受けてというように、入り口のところもある意味プロセスの管理の一部に入ってくるということかもしれないと思います。

 市川構成員、お願いします。

○市川構成員 先ほど試料の話が出たのですけれども、これで例えば外部精度管理が増えた場合、試料はどのくらいのペースで間に合うか。それだけお教えいただきたいと思いました。

○丸田構成員 何ともはやお答えしにくいところなのですけれども、急激に増えたら対応は多分無理だと思います。少しずつ増えてくるのであれば、こちらも製造について少しずつ考慮しながらラインを増やしながらということは可能だと思いますけれども、急激にということは全く未知数ですので。あと、繰り返しになりますけれども、おそらく全項目ということはあり得ないと思うのです。うちの場合は幾つかのコースがございますので、さらにもう少し、おそらくクリニックさんレベルでは血糖検査であるとかヘモグロビンA1cであるとか、そういったものが多い項目なのだろうということを推測しておりますので、そのあたりは十分対応できるような形で準備ができればということで検討しているところでございます。

○市川構成員 要するに、対応が一朝一夕にはいかないかもしれないと。

○丸田構成員 はい。

○市川構成員 わかりました。

○菅間構成員 1つだけいいですか。今の点と関連していることですけれども、先ほど最後に質問した件の繰り返しですが、遺伝子関連検査に関しては臨床検査技師会では対応できますか。

○丸田構成員 はっきり言って、全ての項目については無理でございます。今、体外診をとっているもの、IVDもそうでしょうけれども、LDTであるとか、いろいろな項目がございますので、そこまで当会でというのは現実的には厳しいのではないかと考えております。ほか、CAPであるとか、そういったものがございますので、そのあたりで補完するということになろうと思います。

 精度管理調査について追加ですが、全国的な精度管理もそうなのですけれども、都道府県レベルで医師会さんであるとか、技師会さんであるとか、そういったことを盛んにされておりますので、そのあたりもうまく合わせながらということが必要と思います。現在、都道府県レベルでの外部精度管理調査について少し調査しているところでございます。

○楠岡座長 よろしいですか。

 それでは、資料2、検体検査の精度管理の現状につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○木下保健医療技術調整官 事務局でございます。

 資料2をお手元に御用意ください。これまで御議論いただきました現状のブランチラボ及び衛生検査所におけます精度管理の状況を踏まえまして、今般法改正を受けまして、医療機関におけます検体検査の品質の確保についてどのように取り組んでいくかということにつきまして資料2で、今回は昨年度の矢冨構成員の研究班の成果等も踏まえまして、事務局で整理させていただいた資料になります。

 2ページ、第1回の検討会の資料と同じものをお付けしております。現行におきまして、まず1つ目といたしまして、医療機関におけます品質・精度の管理に関しましては、前回御紹介しましたように、診療報酬等におきまして、実効上、基準は設けられているところでございますが、医療法におきましては、これらに関する基準が法律上の規定は設けられていないところでございます。一方で、中段にございますように、ゲノムタスクフォース等におきましては、遺伝子検査を含めまして精度管理を確保するための取り組みを進めるべく法改正を行うことが求められたところでございます。

 それを受けまして、今年6月におきまして、医療法の改正を行いまして、改正の内容のの1つ目にございますが「医療機関が自ら実施する検体検査について、品質・精度管理に係る基準を定めるための根拠規定を新設する」ということで、医療法の改正を行っているところでございます。

 3ページ、平成28年度の厚生労働科学研究事業におきます矢冨先生を研究代表者といたします研究班におきまして、医療機関が自ら検査を実施する場合の基準として、以下のようなものを例示いただいているところでございます。こちらにつきましても、先ほど御説明しましたブランチラボ、衛生検査所と同じ大きな枠組みとしまして、まず1つ目、構造設備に関すること、2つ目、管理組織に関すること、3つ目、手順書、作業書を含めました精度管理に関するものという大きな枠組みで研究班の中でも基準の案を作成いただいているところでございます。次ページ以降、各項目について御説明したいと思います。

 4ページ、先ほど御紹介しましたブランチラボ、衛生検査所と並べた場合のそれぞれ研究報告書で御提案いただきました医療機関におけます基準につきまして、表にまとめたものでございます。

 5ページ、まず1つ目のカテゴリー、構造設備に関する要件でございます。研究班報告書に関しましては、構造設備におきましては、抗酸菌検査を実施する場合等におきましては、専用の微生物学的検査室を設けることを御提案いただいているところでございます。中段以下になりますが、今回事務局からの御提案といたしましては、面積に関する基準の要否、また、面積以外の構造に関する基準の要否につきましては、まず結核菌などの抗酸菌検査は、院内での感染リスクもあるということから、研究班報告書にございますように、専用の微生物学検査室を設けることを御提案しております。また、それ以外につきましては、ブランチラボと同様に特段の構造設備は不要ということでどうかと考えております。

 また、機械器具におきましては、医療機関におきましては、検査器具が通常具備されているということから、保有・設置に係る義務は特段は設けないということとしてはどうかと考えております。

 6ページ、2つ目、管理組織に関するところになります。研究班報告書では、管理組織に関しましては、まず責任者としまして医師または臨床検査技師として、他の業務との兼任は妨げないこと。2つ目といたしまして、医師以外に臨床検査技師を責任者にする場合は、指導監督医を別途選任すること。また、臨床検査技師を責任者にする場合には、業務経験を求めるということを御提案いただいております。また、人数に関しましては、各医療機関の実情に応じて必要な数を配置することを御提案いただいているところでございます。

 論点、以下になりますが、まず、責任者の職種につきましては、医師または臨床検査技師として事務局も整理させていただいているところでございます。2つ目、配置人員につきましては、ブランチラボと同様、行う検査の特性に合わせて必要な体制を整備するということにしてはどうかということを御提案させていただいております。

 7ページ、3つ目、精度確保の方法に関する項目になります。こちらは研究班報告書の概要を御説明いたしますと、まず標準作業書の作成に関しましては、検査機器保守管理標準作業書と測定標準作業書につきましては、作成を求める項目としてまとめていただいております。また、血清分離に係る内容は、測定標準作業書に含めるという整理をいただいております。2つ目といたしまして、作業日誌の作成と保存になりますが、こちらにつきましては、検査機器保守管理作業日誌の作成を求める。保存期間は2年というものを御提案いただいております。また、検査の実施の記録に関しましては、他の記録をもってかえることができるということを御提案いただいております。次の内部精度管理、外部精度管理調査、研修につきましては、全ての医療機関に努力義務として求めるということをまとめていただいております。

 8ページ、今、御説明いたしました標準作業書と日誌に関しまして、事務局で整理させていただいております。作業書につきましては、検査の品質・精度を維持するために必要な検査機器保守管理標準作業書の策定を求めること、また、測定標準作業書の策定についても、研究班で御提案いただいたとおり策定を求めることとしてはどうかと思っております。

 また、日誌に関しましては、検査機器保守管理作業日誌のみのほか、ブランチラボでありますとか、医療機関でも想定される業務に係る作業日誌につきましては、作成・保存を求めたいと考えておりますが、その場合、他の記録でもかえることができるということを想定しております。

 下の2つ、ブランチラボと衛生検査所におきます作業書や日誌の類いを一覧にしているところでございます。ここで御説明したい内容としましては、特に左をご覧いただければと思いますが、ブランチラボで今、想定されています作業書と日誌の一覧をつけております。このうちマルとバツをつけておりますが、まずバツに関しましては、ブランチラボでありましても、受託、委託の関係で作成をお願いしている項目につきましては、バツをつけております。具体的には業務案内書でありますとか、委託検査管理台帳、さらには、前後いたしましたが、検体の受け付け及び仕分けの標準作業書、一番下に行きまして、検査の結果を報告する台帳、苦情処理台帳といったものは、受託、委託の関係にありますので、必ずしも医療機関自らがやる場合は作成を求めることは不要ではないかと考えております。

 一方で、下から4番目の統計学的精度管理台帳でありますとか、外部精度管理台帳につきましては、先ほど努力義務ということを御提案いただいているということもございまして、そういったものに実際に取り組まれた場合には、これらの台帳をつけることで管理をお願いしたいと考えております。

 これらが今回医療機関で自ら検査を行う場合のもろもろの基準ということで、研究班報告書を踏まえて、事務局からの現在の整理ということで御提案させていただいております。

 また、本日におきましては、医療機関に関する基準について御検討をお願いしたいと思っておりますが、本日の検討内容を含めまして、次回以降、歯科診療所、または助産所におけます、どのような基準が適当かということにつきましては、次回以降、改めて御検討をお願いしたいと思っております。

 事務局からの御説明は以上になります。

○楠岡座長 ありがとうございました。

 かなり広い範囲にわたっている内容ですので、少し区切りながら議論いただきたいかと思います。本日説明いただきました資料の5ページでありますけれども、まず、構造設備、面積、機械器具等に関して、事務局から下のほうに案が出ておりますけれども、この点に関しまして、いかがでしょうか。御議論をいただければと思います。

 宮地構成員、お願いします。

○宮地構成員 この検討会でバイオセーフティーをどこまで議論するのかはタスクが不明ではございますが、精度管理の観点から言うと、議論がしっかり深められない部分がございます。バイオセーフティーの立場からのお話になりますと、これはもう微生物、病原体を扱う場合には、御存じのとおりWHOのバイオセーフティー指針というものがございまして、それを世界中の国々がそれぞれのローカルな事情に合わせて修正した形のものを国の指針として使っております。これはレギュレーションとして、日本でも厚生労働省、または感染研がつくったものに従っているわけです。通常の検査室では、バイオセーフティーレベルで言うと1、2を通常扱う。抗酸菌(結核菌)は3になりますので、特別な封じ込めが必要になりますが、1の場合はオープンスペースでいいのですけれども、2の場合は、これはそれなりの封じ込めが必要ですし、必要に応じてはバイオセーフティーキャビネットが必要になりますので、設備及び機器についても基準が必要になります。ただ、ここの精度管理でそれをお話しするのかどうかは別問題として、整合性はとらないといけないと思います。

○楠岡座長 事務局、感染症法等で規定されている部分はありますか。先ほど2とおっしゃったのは、大体どのようなものが対象になるか。まずそれをお願いします。

○宮地構成員 一般の細菌検査室で扱う病原体は大抵2までになります。抗酸菌、結核菌になりますと3とぐっと上がるわけです。

○楠岡座長 事務局、感染症法等の関係はいかがなのでしょうか。

○木下保健医療技術調整官 今御指摘いただきましたバイオセーフティーとの関係に関する整理は、今すぐお答えできる状況にはございません。ただ、今、実際の各医療機関、医療施設における検査の状況、あとは、いわゆる感染症法における分類ごとの取り扱いということを改めて整理させていただきたいと思っております。現状を踏まえた対応が必要であろうかとは思っているところでございます。

○楠岡座長 今のようなことでいかがですか。

○宮地構成員 現状が国の基準に従ってやっておりますので、それとの整合性はとっていただく必要があるということで、この文面ですと本当に誤解されてしまうと思います。つまり、今までの感染症法に基づくものでやっていたものは国のルールが緩んだのかと誤解されてしまいますので、国際水準というものも今回ゲノムタスクフォースでのテーマなのです。水準から、日本だけ独自の安全性を欠いたものを出すというのは、これは避けなければいけないと思います。

 もう一つは、新しい検査としてPOCTがございまして、POCTが結構いろいろな取り扱いをされており、ノロウイルスなどのすごく広がりやすいものを一般の検査室でやっていることを決して否定はしないのですけれども、国際的な議論の中ではしっかりしたエリアを確保して、コンパートメントをして、通常の患者さんの動線とは離すとか、往々にして、例えば診療所の中で、患者さんがいるすぐそばでPOCTの検査をしたり、または、ひどい場合は、職員が食事している隣で検査したりとか、そういうことが起きかねないわけですので、そういう部屋、構造という考えとは別に、エリアの概念での要件も本来は必要なのだと思います。精度管理から離れてしまうので、あまり深くは議論できないかと思いますが。

○楠岡座長 事務局、お願いします。

○木下保健医療技術調整官 事務局でございます。

 今、御指摘いただいたことにつきましては、構造設備の部分で対応する部分と、実際の検査、感染症法の観点に基づいてどう対応するかというところは分けて整理が必要かと思っております。まず、構造設備として最低限どのような要件が必要かということについて整理させていただくとともに、関係のあります健康局結核感染症課に確認をさせていただければと思います。

○宮地構成員 よろしくお願いします。

○楠岡座長 菅間構成員、お願いします。

○菅間構成員 先生の言われること、そのとおりだと思うのですけれども、ただ、これは医療法の改定に基づいた医療機関の設備の話ですから、その上で、感染症の関連の法律に関しては、コメントだけ入れておけばよろしいのではないか。そうでないと、実際は先生が言われるように、完全に隔離できる体制は必要なのですけれども、地方の田舎の中小病院では、それが確保できないのが現実だと思うので、その場合には、地方の病院においてどう対応するのか。全て病院の設備諸々を改築することになると、病院自体の経営、その他もそうですけれども、問題になってくるということも頭に入れながら、そこのところの対応を全て法律に合わせて全部この施設設備に関することをここに書き込まれると、対応はなかなか難しくなるということを御理解いただきたいです。

○宮地構成員 御指摘のとおりなのですが、地方だから緩くすることによって、職員がそれで結核に感染していいという話ではございません。必要なものは必要なものとしてお金はある程度かけて、あくまで安全第一という考えでいく必要があると思います。例えば結核の検査室を持っている旧療養所等、古くからの国立の病院は地方にございますが、そこでこそしっかりした対応をとっておくべきでございまして、その安全が確保できないのであれば、外部委託など、いろいろな選択肢があるわけですから、安全を軽視した形を許すことは避けたほうがいいと思います。

○菅間構成員 繰り返しになりますけれども、安全を確保すること、精度管理を一番高いレベルに保つこと、それはもちろんそれが理想ですが、現実を考えると、国から全て予算措置されてできる病院はいいですけれども、民間病院はそれを国に請求したら補助金がもらえるか。もらえません。そこの点を考えて、現状の今回の法改定に伴う移行措置が入れられるような形で検討していただければと思います。

○楠岡座長 市川構成員、お願いします。

○市川構成員 私は宮地構成員のおっしゃるとおりだと思います。やはり安全第一でないと医療機関として問題が起きる。ただし、そこで若干の経過措置的な部分をいただくことによって設備を整えていただくということぐらいで、改修をしてでも安全をということが基本だと思っております。

○楠岡座長 そうしましたら、設備構造に関しましては、二重規制はあまり好ましくありませんので、こちらの省令のほうには案のような書き方とし、抗酸菌を扱うなどに関しては、感染症法等々、バイオハザード等を考慮してということは通知か何かの中で示すような形でよろしゅうございますか。

 それでは、そのような形で取りまとめということで、御了解いただいたものとします。

 続きまして、管理組織、配置人員等に関しましてはいかがでしょうか。

 菅間構成員、お願いします。

○菅間構成員 先ほど説明があった責任者に関して、注のところの「少なくとも臨床検査技師等とするべきである」ということに関して、もう一回議論できればと思います。

○楠岡座長 この点に関していかがでしょうか。

 菅間構成員としては、この「等」の中ではどういうものを想定されているのですか。

○菅間構成員 基本的には臨床検査技師がやるべきだと思っています。ただ、臨床検査技師が現実に配置されていない地域、あるいは病院があるという現実を含めて、多少考慮した表現にしていただきたい。

 それから、今後この中で話し合われる遺伝子関連検査に関して、先ほど臨床検査技師会から話があったように、現状では、遺伝子関連検査に関して、場合によっては、臨床検査技師はエキスパートではない。多少そこのところを考慮しておく表現として、臨床検査技師と断定しないほうがよろしいのではないでしょうか。場合によっては、いろいろな理科系の分子生物学等の研究室を出たドクターの方のほうが適切であるかもしれません。

○楠岡座長 丸田構成員、お願いします。

○丸田構成員 後段で出ました臨床検査技師は遺伝子検査のエキスパートではないということは語弊がございます。エキスパートも沢山おります。それ以外の職種の方も非常に長けた方もいらっしゃるということは事実であるという認識を持っております。

○菅間構成員 先ほどの話は撤回いたします。

○丸田構成員 ありがとうございます。

 追加で、この場における精度管理の責任者ですね。臨床検査室の責任者ですけれども、基本的に精度管理にある程度精通した職能であると私は理解しています。もちろん先生方がいらっしゃるのでそれでよろしいかと思うのですけれども、ある程度臨床検査室の運営、その中核であります精度管理についての教育をしっかりと受けた職種がこのような任を負うことが当然ではないかと思います。臨床検査技師ということで、ここに明記するべきだと考えております。

 それ以外の職種の方、臨床検査技師がいないような場合は、それぞれの施設にドクターがいらっしゃいますので、その方を責任者として当てることが妥当ではないかと考えております。

○菅間構成員 もう一度申し訳ないですけれども、臨床検査技師がいないところで、医師が専任の責任者をやれるほど、医師は多分沢山いない。そういうところほど臨床検査技師以外の方が対応せざるを得ないこともあり得る。いずれにしても、これまでは臨床検査技師という言葉さえなかったわけですから、医師と医師以外のところに臨床検査技師を中心としてという意味が入っているわけですから、それでもよろしいのではないかと思いますが、皆さんの御意見に従います。

○楠岡座長 丸田構成員、お願いします。

○丸田構成員 ずれてしまうのですけれども、先生からドクターは忙しいというお話がございました。それに絡んでくるのですけれども、例えば中点の2段目です。「臨床検査技師を責任者にする場合は、指導監督医を選任する」ということで、臨床検査技師に責任者を任せた場合には、さらに医師にもお願いするということなのだと思います。そういったことになりますと、指導監督医を、非常に御多忙な先生方にお願いするということもいかがなものかと私は考えます。それであれば、臨床検査技師に全てを任せることもありではないかと思います。

 というのは、医療機関におきましては、基本的に医師の指示のもとに検査が依頼をされます。そして、院内にいらっしゃるドクターに直接結果をお返しする業務形態です。ブランチラボであるとか委託検査であるとか、そういった業態ではございませんので、ドクターと臨床検査技師が直にディスカッションする環境にございますので、ここにおきましては指導監督医ということで、御多忙な先生をあえて選任をして、指導監督をしていただくというのはいかがなものかと考える次第でございます。

 以上です。

○楠岡座長 いかがでしょうか。

 三井構成員、お願いします。

○三井構成員 歯科医師会のほうですけれども、ここの中で、このままの議論が行きますと、歯科診療所においては全く直接の検査ができないという流れになってしまうのですね。ですから、臨床検査技師の皆さんの言われることも重々理解はいたしますけれども、ここでこういうようにぽんとしてしまうと、もう将来的に今はっきり申し上げて、歯科の診療所の中でも簡単な微生物学的検査などを実施されている医院はちょっとずつふえてきていることになります。ですから、そういうことを考えますと、あまりここの要件を厳しくされてしまいますと、次回に助産所ということもあったのですけれども、流れがそうなってしまいますと非常に厳しい部分があるかなと。ですから、先ほどの構造の部分、施設の部分におきましても歯科というのは本当に零細診療所の最たるものですから、クローズドスペースというのは非常に厳しいというのが現状かなと。ただ、やはりより安全・安心のためには、そこの部分の確保は必要なのですけれども、人員のところはもう少しお考えいただきたいと考えます。

○楠岡座長 安達構成員、お願いします。

○安達構成員 助産師会です。

 今、御発言いただいた歯科診療所よりももっと小規模なのが助産所でございます。特に助産所には医師はおりません。いわゆる健康な人を対象としているのが助産所ですので、そういった部分でまた違う部分もありますので、今、御発言いただいたとおり、少し全体をまた別立てで検討いただくということだと思いますが、その辺も御配慮いただければと思います。

○楠岡座長 先ほど事務局からも歯科医師、助産所に関しましては次回の検討ということで、今日のここの議論でそこを縛ってしまうということではないと。これは事務局への確認ですが、それでよろしいでしょうか。

○木下保健医療技術調整官 事務局でございます。

 今回は、医療機関におけます検査の体制を御議論いただきたいという趣旨でございます。助産所、歯科診療所につきましては、別途改めて次回以降で議論するということで、必ずしも本日の議論がそのまま直結するということではなく、医師がいる医療機関においてどういう体制で臨むかということにつきまして、まず一度整理をいただきたいと考えております。

○楠岡座長 三井構成員、お願いします。

○三井構成員 再度、確認します。医師のいる医療機関ですね。医療機関における議論ということを今、一番最初に言われましたけれども、歯科医療機関も医療機関ですから、医師のおられる医療機関ということでよろしいですね。

○木下保健医療技術調整官 事務局でございます。

 本日の議論としましては、それでお願いしたいと思っております。

○楠岡座長 ほか、いかがでしょうか。

 先ほど菅間構成員から御提示がありました「等」をどうするかというところでありますけれども、一つは、医療に関わるこういう重大な結果につながるようなことをするとなると、単に医療職の資格があればいい、何でもできるという話ではないですけれども、全く資格のない人が携わると問題であろうということで、その資格のところをどうするかというところが一つあるかと思います。医師の場合は、いろいろなことに関して資格を持っている形でありますけれども、最終的に先ほど臨床検査技師がおられないところに関して責任者をどうするかということであります。他の医療職の中で臨床検査に関する精度管理についての教育を受けているというか、カリキュラムに入っているとなると、現状のところ、臨床検査技師と薬剤師なども一部それが入っています。そういうことを考えると、もし臨床検査技師以外でということになると何らかの研修やそういう別資格みたいなものを持っていただかないと、医師の補助としてのものであればいいですけれども、医師にかわる責任者としては少し問題があるのではないかという気がいたします。この辺を含めてお願いいたします。

 菅間構成員、お願いします。

○菅間構成員 今の質問の前に、先ほどの事務局からの話で、一般には医療機関と言えば歯科も含めていますので、医師がいる医療機関と限るのは変な気がします。

 今の話で、座長の先生がおっしゃられたのは、医療関係者ではなくて、先ほど言った分子生物学等の大学院を出た者等には確かに責任を負わせるのには不適切なのかもしれませんけれども、今のお話のように、この責任者は歯科医師あるいは薬剤師を含めてあり得ると思いますので、そういう意味で「等」は残してもよろしいのではないかと、私は繰り返し申し上げます。

○楠岡座長 伊藤構成員、お願いします。

○伊藤構成員 何か発言をためらうのですけれども、先ほど検査技師でも非常にエキスパートの方もいらっしゃるということをおっしゃっていました。もちろんそうだと思います。しかし、それを逆に言えば、医師だからといって全てに詳しいとか技術が高いとかも言えない。現実にいっぱいそういう事件も事例もあるわけですから、患者の身になってみると、これはそういう小さな診療所でわざわざやる必要があるのかということも一つですし、医師だから全部任せられるという議論も少し違うような気がするのです。もう少し本当にこの精度を高めるということを前提とすれば、別の議論になってもいいのかなと。先生方が多い中では非常に言いにくかったのですけれども、ちょっと違うというように私は感じます。

○楠岡座長 日高構成員、お願いします。それから、市川構成員、お願いします。

○日高構成員 今、おっしゃったような意味であれば、ここはあくまでも自ら医療機関が検査を実施する場合という設定ですので、基本、いろいろな詳しい検査を行いたいというのであれば、それは外部に委託するということになろうかと思います。そういった意味では、自ら検査をする場合ということであれば、それを行うに当たっては、先ほど座長もおっしゃいましたけれども、それなりの専門的な修練を受けた医師もしくは臨床検査技師に限るほうがいいのではないかと思いますし、もし小規模の医師のいる医療機関でなかなか検査技師を新たに雇うことは厳しいということであれば、それは自ら検査を行うという意味からすると、その医療機関の責任者である医師がきちんと責任を持って検査を行うということを整理したほうがいいのではないかとは考えます。

○楠岡座長 市川構成員、お願いします。

○市川構成員 日高構成員のおっしゃったことで結構です。

○楠岡座長 伊藤構成員、お願いします。

○伊藤構成員 しつこいようですけれども、大概自信を持っている先生はいっぱいいますね。これは言い方がよくないかもしれませんが、私のところは大丈夫だ、やるとかと言われれば、患者はそれでとってもらって、結果はこうだったと言われればそうでしたかと言わなければならなくなる。そこのところをもう少し客観性を持たせるようなエビデンスのあるようなものをどこかで挿入しないと、そのままいいという話にはなかなかなりにくいかと思います。

○楠岡座長 そのあたり、この次の議題になってくる外部精度管理、内部精度管理の話になってくるのだと思います。ですから、先ほど日高構成員がおっしゃった、自ら検査を実施するということであれば、当然それに伴って精度管理等もくっついてくる話になりますので、ただ、それをどの程度までというのは、これから御議論いただくことになろうかと思います。

 ほかに御意見、ございますでしょうか。

 三井構成員、お願いします。

○三井構成員 歯科はまたということだったのですが、今ちょっと疑問になってきたのでお教え願いたいのですけれども、例えば歯科大学の附属病院で医師がいない歯科大学の附属病院は結構あって、臨床検査技師の方は結構おられます。病理医もいます。医師ではないです。歯科医師の。そのような場合、これでいくと歯科大学の附属病院などは指導監督医が欠落してしまうので、どうなるのだろうなと。これは一つ、またお教え願えたらとは思うのですが。

○楠岡座長 そこは多分、次回いろいろ御議論いただくことになるかと思います。

 ほか、いかがでしょうか。

 丸田構成員、お願いします。

○丸田構成員 私どもの認識といたしましては、これは医師というような表記をされておりますけれども、基本的に法律上、我々の仕事は医師もしくは歯科医師の指示のもとに業務を進める業態でございますので、私の認識では、この中の医師という中に歯科医師も含んでよろしいのではないかと判断しております。

○楠岡座長 宮地構成員、お願いします。

○宮地構成員 何の職種かというところにまた議論が戻ってしまったと思うのです。私は伊藤構成員のおっしゃるポイントをしっかり真剣に受けとめて、どういう職種だから精度管理がしっかりいくとは、私は臨床検査を長くやっておりますが、思えません。それなりのコンピーテンスをしっかり踏まえた上でということになると思いますので、その点は次回以降議論ということだと思います。

○楠岡座長 いかがでしょうか。

 そうしますと、この「等」をつけるかどうかというところが先ほどからの議論の中心ですが、これはスタート時点においてどうするかということになると思うのですが、スタート時点は「等」まで含めると、その「等」に何が入るのかということがまたいろいろ議論になってくると思います。もし「等」で広げる場合には、それなりのそれを担当する方のバックグラウンドなりの調整も必要になってくるかと思います。これは省令ですので、また改めて変えることは法律ほど難しくないということもあるので、とりあえずは「等」なしでスタートということでいかがでしょうか。

 宮地構成員、お願いします。

○宮地構成員 厚生労働省の研究班のほうで、この文書のたたき台をつくるときの議論の繰り返しになるわけですが、内部精度管理、外部精度管理をしっかり指定の教育カリキュラムとして学んできて、それに基づく国家試験を受けた職種は臨床検査技師だけですので、ここはそういう意味で臨床検査技師の「等」を外したのです。しかし、菅間構成員がおっしゃるところも、いわゆるコンピーテンスの問題ということになればそれは再度議論する余地はあるだろうということになりますが、今のところは指定カリキュラム制と国家資格、国家試験の内容、それを踏まえると、他の職種に広げるのは別途特化した国家レベルの資格が必要になるのではないかと思います。

○楠岡座長 よろしいでしょうか。

 今後遺伝子検査等、非常に複雑な検査に関しては、その分野のエキスパートの方に責任者になっていただく必要が出てくるかもしれないと思いますが、今回医療法の関連で求めているものは臨床検査全般、かなり広い範囲に対して責任を持つ者ということで、医師もしくはそのかわりの者として臨床検査技師という形になっておりますので、当面は「等」なしということで御了解いただけますでしょうか。よろしいでしょうか。

 では、そのように進めさせていただきたいと思います。

 丸田構成員、お願いします。

○丸田構成員 申し訳ございません。中点の2のところで少しつけ加えさせていただいたのですけれども、指導監督医はそのままここに残すという認識でよろしいですか。

○楠岡座長 これは皆さん方もその認識だと思うのですが、よろしいですね。

○丸田構成員 非常に先生方はお忙しいという御意見がございましたけれども、よろしいでしょうか。

○宮地構成員 精度管理を目的に議論していて、医師の負担軽減は本質論と違うのではないでしょうか。大事なところはトレーニングを受けた方しっかり監督をすることが大事なのだと思うのです。

○丸田構成員 先ほどしっかりと教育を受けたのは臨床検査技師であるというように。

○宮地構成員 お話ししましたが、最終的な責任を、検査データがクリニカルに正しいのかどうかとか、そういうところも見ていくという最終責任は医師にあるわけですね。

○楠岡座長 先ほどちょっと申し上げましたけれども、プロセスとアウトカムの両方に対して責任を持たざるを得ないところがあるわけですので、現段階、将来少し進めば変わるかもしれませんけれども、現状においては最終的な指導監督医は必要なのではないかと思います。よろしゅうございますか。

 それでは、3番目の精度の確保の方法等でございますが、これは一番最後のページとその前のページに関わるところで、かなり膨大な内容もありますし、かなり御議論は多いところだと思いますけれども、10分程度御議論いただいて、そこで引き続きその後は次回へということで、まずいろいろ御意見を伺いたいと思いますので、どうぞ御意見をいただければと思います。

 矢冨構成員、お願いします。

○矢冨構成員 論点の3、4、5です。内部精度管理の実施は努力義務にすべきか、外部精度管理調査の受検は努力義務にすべきかということに関して、基本的には一律的な基準を課すことは難しいというのが前年度の班会議における議論において一致したところです。例えば、高度な医療を担当する特定機能病院や臨床研究中核病院に関しては、努力義務ではなくて義務にしてよいということで意見の一致を見ておりますし、それは報告書にも明記しております。ですから、この論点に関しては、きめ細かく、どういうカテゴリーの医療機関に、どういう精度管理を求めるかという議論にすべきと思っております。

 それとの関連で、今日は間に合いませんでしたが、各種医療機関に対して、精度管理を中心としたアンケート調査を行っておりますので、おそらく次回のこの検討会には間に合うと思いますので、それも参照していただければと考えております。

 以上です。

○楠岡座長 ありがとうございます。

 ほか、ございますか。

 三井構成員、お願いします。

○三井構成員 この日誌の部分ですけれども、ちょっと見せていただきまして、カルテへの記載をもって、医療機関としては非常にカルテの記載をもってという形をしていただくことは非常にありがたいことかと思うのですけれども、カルテの保存は向こうでは5年間、ここに関しては2年間ということで、カルテの記載要項の中に、このような日誌項目を含むと書かれますと、5年が今度はかんでしまうということになるので、そこの辺の整合性はきちんととれるのでしょうか。

○田澤構成員 日誌保存の2年というのは現在の省令で担保すべき最低の部分でありますから、カルテの5年保存とは独立したものであるのでそれはそれで全然問題ないと思います。

○楠岡座長 ほか、いかがでしょうか。

 伊藤構成員、お願いします。

○伊藤構成員 これもまた言いにくい話ですけれども、HIVの論争のときに多少かかわりを持ったのですけれども、あのときもカルテはないという医療機関が大変多かった。理由は、保存期限が切れているから。しかし、実際その後訴訟が進行していく中で、医療機関内に保存されていたということがいっぱいあって、それで救われた人は沢山いるわけですね。そういう意味では、この保存期間2年そのものが短いと言えるかもしれません。数字を持っていても構わないのですけれども、決められたのが2年だから、それ以上の保管はないと言われてしまえばそれまでだということがあるので、そこのところはあまり曖昧な要素を残さずきちんとしてしまったほうがいいように思います。

○市川構成員 今、おっしゃった部分に関しては、検査結果はカルテに添付されますから、2年ではなくやはり5年になると思います。ここはあくまでも実施記録ですから、これはやったというだけのことで、結果は5年カルテにきちんと保存されます。今は電カルですので10年ぐらい一般の医療機関はやっております。

○伊藤構成員 カルテが5年間でカルテに添付するというのはわかりました。でも、何でわざわざここだけ2年と書かなければいけないのかがまだわからないのですが、それはデータの量が多くなり過ぎるということでしょうか。

○市川構成員 これはカルテの記録等という、いわゆるカルテに記録した場合も用いるけれども、別に実施記録というものもつくってもいい。カルテで代用もできるというだけの意味ですから、これはあくまでも結果が大事であって、やった、やらないという議論よりも、結果をきちんと保存するということは間違いないと思います。

○楠岡座長 事務局、検査実施の記録というものは具体的にどういうものか御説明をお願いします。

○木下保健医療技術調整官 事務局でございます。

 事務局としましては、資料1の9ページをご覧いただければと思います。現行の衛生検査所におきましては、検査の内容につきましては、どの患者の検査ということではなくて、その衛生検査所全体で何件の検査を行ったという観点から、検査の実施記録をつけていただいております。その中で異常データの記録も管理いただいているところです。今回、全ての医療機関に対しまして、9ページの日誌と同じものという同水準を求めるのはハードルが高いかなと事務局としては思っております。そのため、簡便なものとして、どの検査項目を何件やった、また、その中に異常データがあったとかなかったとか、そういった情報を含めて保存いただきたいと考えております。その上でさらに、市川構成員がおっしゃったように、医療機関の実態に合わせまして、その件数が極端に少ない場合でありますとか、そういう場合におきましては、場合によってはカルテ等で代用する場合が考えられるかどうかというように考えておりまして、カルテ等の記録という形で御提案させていただいているところでございます。

○楠岡座長 従いまして、ここに検査結果そのものが残るわけではありませんので、2年が一つの区切りかというところで、2年という数字が出ているのかと思います。

 ほかにございますか。

 まだこれから細かいところで、例えば今の日誌もどれぐらいのものを残すかとか、あるいはどの項目に関してとか、いろいろ御議論いただかなければならないかと思いますけれども、時間も迫ってまいりましたので、それは次回にお願いするということで、ここで本日の議論を終了したいと思っております。次回におきましては、また今のいろいろの点に関しまして、次のことを進めていくというように予定されていると伺っております。

 これ以外のことで何か追加はございますか。

 なければ、事務局、お願いします。

○野坂医療情報管理専門官 次回開催については12月ごろを予定しており、詳細については改めて御連絡させていただきます。

○楠岡座長 それでは、本日はこれで閉会させていただきます。

 どうもありがとうございました。

 


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 検体検査の精度管理等に関する検討会> 第2回検体検査の精度管理等に関する検討会議事録(2017年11月20日)

ページの先頭へ戻る