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2017年11月7日 第3回科学的裏付けに基づく介護に係る検討会議事録

老健局老人保健課

○日時

平成29年11月7日(火)
9:00~12:00


○場所

中央合同庁舎第5号館 共用第7会議室


○議題

1.今後の検討について
2.今後のエビデンスの蓄積に向けて収集すべき情報について
 ・リハビリテーションについて
 ・(主に介護支援専門員による)アセスメントについて
 ・介護サービス計画(ケアプラン)について
3.その他検討を要する各論テーマ等について

○議事

○井口課長補佐 定刻となりましたので、ただいまから第3回「科学的裏付けに基づく介護に係る検討会」を開会いたします。

 皆様方におかれましては、お忙しい中御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。

 構成員の方々の出席状況でございますけれども、本日は真田構成員、松田構成員が御欠席でございます。

 また、海老原構成員からはおくれて御到着との連絡をいただいております。

 また、藤井構成員もおくれていらっしゃるということでございます。

 また、本日もオブザーバーとして全国老人保健施設協会より折茂オブザーバー、10分ほどおくれていらっしゃるという御連絡をいただいております。

 それから、全国老人福祉施設協議会から瀬戸オブザーバーの代理として小泉様に御出席をいただいております。

 また、厚生労働省葛西顧問、筑波大学大学院教授の田宮菜奈子先生にも御出席をいただいております。

 それでは、冒頭のカメラ頭撮りはここまでとさせていただきますので、報道関係者の皆様はよろしくお願いいたします。

○井口課長補佐 なお、検討会終了後、この共用第7会議室において記者ブリーフィングの機会を設けておりますので、御希望の報道関係者の方は引き続きよろしくお願いいたします。

 議事に入ります前に資料の確認をさせていただきます。

 資料は、1-1、1-2、2-1、2-2、3、4、5、参考資料が1と2でございます。もしお手元に不足の資料等がございましたら、事務局までお申しつけください。

 それでは、議事に入らせていただきます。これから先は鳥羽座長に議事の進行をよろしくお願いいたします。

○鳥羽座長 おはようございます。鳥羽でございます。

 第3回目になりました。お忙しいところありがとうございます。「科学的介護の裏付けに基づく介護に係る検討会」といたしまして、特にキーワードといたしましては介護の質といったものをどうやって担保するかということを第1回、2回目で議論いただきました。また、質を担保するのですけれども、現実的な対応についての実現性のある科学的な介護ということも御議論いただいたところでございます。

 本日の議題は、ここの1、2、3にまとめたとおりですが、まず、本日の検討の内容について、事務局から御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○井口課長補佐 再び事務局でございます。

 資料1-1及び1-2に沿って御説明を申し上げます。

 まず、資料1-1でございますが、「今後の検討について(案)」ということで、第1回、第2回の検討会における御意見及び今年度中にデータベースの初期の仕様を確定させる必要性があることを踏まえて、事務局のほうから今後のデータベースに係る検討についての御提案を幾つか挙げてございます。

 まず、検討のスケジュール感、先ほど申しました、今年度中にデータベースの初期仕様を確定させるというスケジュール感に関連するものとしまして、短期の課題(初期仕様に盛り込むことが予定できる項目に関する課題)と中長期の課題(データベースに盛り込むとしても、初期仕様に間に合わせることは難しい項目に関する課題)を分けて、今年度の議論については前者を重点的に議論してはどうかという御提案を一つ挙げてございます。

 また、短期の課題については、研究に利用可能な項目のうち、既に電子化されているもの、現場の負担をふやさずに収集できるものといった観点から、初期仕様で収集する項目に関する議論を行ってはどうかとしております。こちらは第2回でも皆様方にお諮りしたものでございます。

 また、介護現場からのデータ収集については、研究に十分なn数が確保できるのであれば、必ずしも悉皆調査に限らずに、当面はデータ収集の労力が比較的少ない一部の事業所、例えば「施設系サービス」であるとか、「既に○○について電子的に取得している事業所」といった形で事業所を限定するような形、または一部の利用者に対象を絞るような形で行うことも視野に入れてはどうかという御提案をしております。

 次に、「介入」のデータ収集についてでございます。

 介護総合データベースの要介護認定調査データやVISITの情報であるとか、本日御議論いただきます介護支援専門員等によるアセスメント等といったところで、状態の情報については比較的収集のめどがあるという認識を事務局のほうで持っております。一方で介入の情報の収集については余りめどが立っていないという認識を持ってございまして、介入の情報の収集について重点的に検討してはどうかという御提案を挙げております。

 また、前回の御議論の中で介入情報については一連の介護行為をパッケージとした取り扱いのほうがしやすいのではないかという考え方をいただいております。また、一方でレセプト情報まで粗さを挙げてしまいますと、研究上のニーズに対して粗過ぎるのではないかという問題意識から、そもそも補完的なデータ収集が必要なのではないかという議論が始まっていることもございますので、研究所のニーズや現状どのような細かさ・粗さで電子化されているのか等を踏まえながら、適切な細かさ・粗さのレベルを見きわめる必要があるのではないかという御提案を挙げております。

 おめくりいただきまして、「状態」のデータ収集についてでございます。

 状態のデータ収集ですけれども、現時点で複数の指標が使われているものがございます。複数の指標が使われているけれども、これが標準であるというものはまだない。しかも互いの換算も現時点では困難であるという状態の評価というものがございまして、そういったところについてはデータベースで用いる指標を一つに絞らずに、当面は複数の指標を用いた入力を認めることも考慮してはどうかというものを挙げてございます。

 また、状態の評価について、現在、評価指標は特になく、また、評価情報の取得や収集が難しいものであっても介護サービスの質に深くかかわると思われる内容であれば、評価のあり方も含め、中長期の課題としてはどうかというところを挙げてございます。

 最後に、「イベント」のデータ収集でございます。

 イベントについてですけれども、前回、事務局の御説明に拙い部分がございましたので、定義として、利用者の健康状態に急激な変化を生じさせ得る出来事、例えばけがをするとか、病気に罹患するとか、そういったものの発生、また、利用者の健康状態の変化を反映する出来事(入院、死亡、自宅復帰等)をイベントとして捉えているという定義を再確認・共有した上で、必要な議論を行ってはどうかというものを挙げてございます。

 続きまして、資料の1-2でございます。

 先ほどの御説明の中で、既に電子化されているもの、または、一部で電子化されていて現場の負担をふやさずに収集できるものについて、短期の課題として扱っていってはどうかというものを挙げてございますけれども、では、実際どういったものが電子化されているのかということについて、事務局のほうで幾つか介護情報システムの事業者さんに御協力をいただいて、情報を集めたものを資料1-2としてつけてございます。

 それぞれ内容をテーマ別にしてございます。まず、栄養についてですけれども、施設系のサービスについては給食システムがあって、どのような食事が提供されているかはデータとして存在する。ただし、ベンダー間でコード等の統一は行われていないということでございます。

 また、介護記録システムと同一のベンダーが給食システムを提供している場合には情報の連携ができるのですけれども、中小規模のベンダーさんの場合、給食システムをラインナップとして用意していないケースが多くて、その場合にはシステムの連携というのが困難になることもある。

 それから、食事の種類や三大栄養素、カロリー、塩分等の情報は電子的に記録されているのですけれども、これについてベンダー間でコード等の統一は行われていないということがわかってまいりました。

 次に、個別の介護行為についてですけれども、例えば具体的に排せつ援助をしたとか、車椅子からの移乗をしたといった介護行為については、コード化されている事業所というのは少なくて、フリーテキストの入力、または手書きの文書をスキャンしたり、そのままファイリングしていることが多いという状況です。

 また、コード化されている場合でも、個別の介護行為について統一されたコード体系はない。同一ベンダーのシステムを導入していても、事業所で独自のコードを設定可能とするシステムもあって、統一されたコードが使われているとは限らないということでございます。

 次に、ケアプランでございます。ケアプランについては、居宅の場合、1~7表、施設の場合、1~6表というものがございます。これについては後々詳しく御紹介いたしますけれども、これらについては多くの事業所で電子化されているということでございます。ほかの情報と比較しても、ケアプランについて電子化されている割合が高い。居宅と比較すると、施設の電子化割合は若干低いということでございます。

 また、同じ帳票であっても、ベンダー間で電子的な仕様が異なるため、収集しても一つのテーブルにそのまま連結することはできないということでございます。

 また、地域でケアプランをスキャンして共有している事例であるとか、サービス計画やサービス提供票を電子的な仕様を定めて共有している事例があるというお話もいただいております。

 イベントでございますけれども、具体的に誤嚥性肺炎や褥瘡の発生というものを例に挙げてお伺いしたところ、イベントの発生についてコード化されている事業所は少なく、また、フリーテキストの入力または手書きの書類をファイリングしていることが多い。

 コード化されている場合でも統一のコード体系はないということがわかっております。

 アセスメント様式、これも後々詳しく出てまいりますけれども、事業所で用いられているアセスメント様式については電子化されていて、複数のベンダーさんへお伺いした中では以下のアセスメント様式について共通して電子化されている。具体的にはMDSMDS-HC方式、居宅サービス計画ガイドライン方式、包括的自立支援プログラム方式というものについては、共通して電子化されているということでございました。

 同一のアセスメント様式であっても、ベンダー間でテーブルレイアウトといいますけれども、どの情報をどこに格納するかというものが異なるため、そのまま収集してもがっちゃんこすることはできないということがわかっております。

 全体としますと、介護記録等を電子化している事業所というのは3割程度でございました。

 例えば栄養マネジメント加算とか個別機能訓練加算とか、そういった厚生労働省が様式例を示している加算については電子化されている割合が高いということでございます。

 資料1-1と1-2について、御説明は以上でございます。

○鳥羽座長 ただいまのところで、重要な論点がたくさん含まれていますが、ここまでで何か特別、現在指摘しておいたほうがよい御議論はございますでしょうか。後でまとめて順を追って御議論いただきますので、引き続き事務局のほうから資料の説明を続けてください。

○井口課長補佐 次の議題ということで「リハビリテーションについて」、資料2-1に基づいて、あらかじめ近藤先生から資料を御用意いただいておりますので、近藤先生のほうから御説明をお願いいたします。

○鳥羽座長 よろしくお願いします。

○近藤構成員 資料2-1をごらんになってください。先日お願いがあって、余り時間がなかったのですが一生懸命まとめてみましたけれども、栄養のほうが先行されているので、そことのオーバーラップを極力避けるのと、厚労省のほうから介入を少し多目に入れてほしいということでしたので、少し介入を入れてみましたが、ただ、後で振り返ってみても、まだ少し取り残した部分があるかもしれないということで、それに関しては何とぞ御容赦ください。

 それでは、まず、1ページ目をごらんください。

 リハビリテーションですので、状態に関するものに関しましても、1ページ目の「筋量」とか「筋力」とか、たぐっていただいて、裏側の「バランス保持能力」「歩行能力」「手指の巧緻性」「嚥下能力」などがどうしても挙がってきてまいります。ただ、そのほとんどがなかなか今の介護サービスの中で取り上げられている手法かというとそうではございませんので、新たにテークする必要があるものは多うございます。

 1ページ目に戻りまして、筋力などは本当に基本的な情報なのですけれども、なかなか正確にはかることが難しゅうございます。本当に正確にはかろうとするとバイオデックス等のトルク測定装置が必要になってまいりますが、もちろん介護施設でそんなものが御用意できるわけはないので、なかなか難しい。むしろよくやられているように、2ページ目の最初のほうに書かせていただきましたが、ロコモ度テストとかのパフォーマンスを使った評価で代替したほうがよいかもしれません。そこは御検討いただければありがたいなと考えております。

 続きまして、3ページ目のほうを見ていただきますが、認知機能は非常に大事な指標になります。認知症の中核症状の部分ですが、スクリーニングテストとしてはHDS-RとかMMSEとかMOCA-jなどが使われていますが、変化を見る場合、スクリーニングテストというのは、実際にはもともと反応性に使われるテストですので、反応性という利用者さんの認知機能が変化して、それが何かの介入の原因であるということを検出しようとしても反応性が少ないためになかなか差異を検出できないということがございます。

 基本的には覚醒レベル、注意機能、要素的な高次脳機能(言語、視空間認知、行為)及び複合的な高次脳機能としての作動記憶、遂行機能などに分けて評価するべきなのですけれども、非常に手間がかかります。ここは基本的には、もし短期でやられるようであればスクリーニングテストで代替されるのがいいかと思います。

 3ページ目の右側から2つ目の欄を見ていただくと、実際、リハビリテーション計画書にはHDS-Rの記載がありますので、ここは少し使えるのではないかと考えております。

 また次のページをごらんになってください。

 認知機能の認知症の中核症状のほかに、認知症は周辺症状がございます。これは最も介護負担に影響を与える大きな要因ですので、ここは必ずさわっておく必要があると思います。

 一般的にはNPIという手法がございまして、これは使えるのですけれども、ほかのアセスメントには含まれておりませんので、ここも新たにテークする必要があるかもしれません。

 その下の「コミュニケーション能力」に関しましては、どうしても周辺とのコミュニケーションが認知症の周辺症状の発現にかかわってきますので、ここの部分が改善すると非常に大きなQOLの改善が得られますので、やはりテークしておく必要があるのではないかと考えております。ただ、現状のアセスメントでは有無程度しか拾えませんので、ここは何か工夫が必要になってくる可能性がございます。

 次のページをごらんください。

 あと、鬱、睡眠時間なども非常に大事になってきます。私が調べた限りでは、鬱はアセスメントされておりません。睡眠時間はケア記録等で読み取れる可能性がございます。

 続きまして、今までのところが、どちらかというとICFで言う心身機能、身体構造なのですが、そこから先、この次は活動のほうに入ってまいります。

 活動で代表的なのはADLでございまして、ADLはいろいろなアセスメントでとられているので、多分問題なくデータとして分析に使えるようになっていくのではないかと考えております。

 あと、介護度ですが、介護認定で必ず出てくるものなのですが、ただ、どうしても段階が少のうございますので、要するに介入に対する効果の判定に使おうとすると、ちょっと反応性が欠けるという問題がございます。

IADLも非常に大事でございまして、Lawton indexなどを使ってとりますが、これはアセスメントの中に含まれておりますので、使える指標なのではないかと思います。

 大きな変化が認められるのは、やはり活動量とか活動の範囲で、活動量のほうは、物理的な歩数計とか加速度センサがあれば、最近はスマートフォンなんかに加速度センサが入っているものがございますので、そういったものを使うととれます。割とアクセスしやすい部分です。

 それから、活動範囲は定番のFrenchay Activities indexがございますが、これは新たに評価が必要になってまいりますので、ちょっと難しいかもしれません。一部の介護の指標の中には既に使われ始めておりますので、使っているところを探してみる必要があるかもしれません。

 最後、「参加」ですが、6ページ目の一番下の「イベント参加への積極性」などは、介入すると非常に変化が見られるところですので、ぜひとっておいたほうがいい部分でございますが、ケア記録では回数などの把握ができるのではないかと考えております。

 「その他」でございますが、ここから下がなかなか難しいのですけれども、QOLとか主観的幸福感とか、指標はございますが、変化を見ていくという部分ではなかなか難しいところがございます。

 介護負担は、いわゆる定番のZarit、長寿のほうで荒井先生が導入されているものがございますので、ただ、これはアセスメントには入っておりませんので、新たに入れる必要が出てくる。

 あと、服薬量とか服薬の種類、どんな薬を飲んでいるかということに関しても健康度を間接的に評価することにつながるので、これもどこかのデータを見れば入ってくると思いますので、テークできる可能性があると考えております。

 次、8ページ目をごらんになってください。

 介入に関するものをなるべく多くとお願いがございましたので、主にリハビリでやっているようなことを訓練または運動、あるいは活動という形で最初のパートにまとめまして、環境調整の部分を後ろのパートにまとめてあります。

 筋力増強訓練とかバランス訓練、起居動作訓練、歩行訓練、嚥下訓練等は、入所でも通所でも比較的頻度高く行われているものですので、これは記録を見れば情報をとることができると思います。

 あと、ADL訓練、IADL訓練、体操療法、集団でやられるものです。

 それから、10ページ目をごらんになってください。

 その下は、どちらかというと認知症に関係してくる、しかも比較的頻度高く行われているものですが、例えば回想法とか、リアリティオリエンテーション、アニマルセラピー、音楽療法、スポーツ、ここら辺はケア記録でやられているかどうかをとることができると思います。ただ、内容に関しては、もちろん種々雑多なものが含まれておりますので、ここは多少整理する必要があると思います。

 続きまして、環境調整にかかわる部分ですけれども、11ページ目の下のほうをごらんになってください。例えば「食べやすい食具の使用」です。これは、最近よく使われていますつなぎ箸とか、昔からよく使われている簡易カフとか、あるいは、食器の滑りどめシートなどを使って食事動作を容易にすることによって食事動作の自立度を確実に高めることができますので、これは拾っておく必要があると考えております。

 あと、栄養と多少かぶるかもしれませんが、客観的な評価に基づいた嚥下能力に見合った食事の提供というのは、栄養環境を改善して自立度を上げていくことにつながると思います。これはアセスメントでとっている場合とそうでない場合がございますが、データとしてとれる可能性があると考えております。

 続きまして、12ページをごらんになってください。

 「転倒予防に資する歩行補助具の提供・移動のための環境整備」というのも非常に重要です。転倒は確実に介護サービスの利用者さんの活動性を低めてしまいますので、これは介入とその効果をきちんと見ておく必要があると考えております。提供した補助具や建築物の改造の種類とか時期などに関して、生活行為向上プログラムに記載がある可能性がございますので、そこは見る。ただし、実施の状況は確認できませんので、そこの部分に関しては何か一つ工夫があればと思います。

 その下の「膀胱容量・尿意のモニターをした上での排尿介助」というのは、最近大分注目されてきている領域でございまして、適切な時期に排尿意図を検知して排尿に係る介助を行うと、生理的にマッチした状況で排尿が行われるのでストレスが減って、なおかつ十分な睡眠がとれるようになるということなので、ここの部分は少し今後の課題として考えていただければありがたいなと考えております。

 「長柄ブラシなど洗体のための器具の提供」、「お薬カレンダーなど服薬支援環境の整備」、今度は13ページに行っていただきまして、非薬物的な認知症に対するアプローチとして、今、中心になっているのは介護者のコミュニケーションスキルの向上でございます。これは、パーソン・センタード・ケアとかいう形でまとめられておりますが、これも介護者のコミュニケーションスキルが向上すると、実際、認知症のせん妄に対する服薬量が減るというデータが出ておりますので、これは注目しておくべきかと考えております。

 「介護中の会話機会の提供」というのも、最近のロボット研究で非常に注目され始めております。ロボットを使いながら、少し余裕ができたところで介護者の方と被介護者の方が会話を持つ機会がふえるということが注目されつつありますので、これも少し考えておいたほうがいいのではないかと思います。

 あと、「趣味の場の提供」、「趣味活動、提供できる食事などのオプション」は、これも確実にQOLを上げる方向につながりますので、介入としてはテークしておいたほうがいいと考えております。

 最後、イベントでございますが、厚労省さんのほうの定義を十分に聞いておりませんでしたので、ちょっと違うものが入っております。まことに申しわけございません。

 例えば「居室からの移動回数」と「居室以外の場所での滞在時間」というのはちょっとイベントとは異なりますので、別のところに含めるべきなのかもしれません。

 「転倒回数」、「外傷受傷回数」はイベントになると思います。

 あと、これは少し境界領域かもしれませんが、「行事への参加回数・時間」などもイベントとしてとっておいたほうがいいかもしれません。

 「外出回数・時間」、「失禁、有無/頻度」に関しましては、別なところで分類していただくのがよいかもしれません。

 以上でございます。

○鳥羽座長 ありがとうございました。

 数多くの論点がありますので御議論が山ほどあると思いますけれども、これもほかのアセスメントやケアプランの資料を説明した後、全体として討議したいと思いますが、よろしいでしょうか。

 それでは、次に、具体的なリハビリ内容を記した資料2-2についての説明をお願いいたします。

○村松地域情報分析支援専門官  それでは、資料2-2について、事務局より御説明いたします。

 資料2-2は、リハビリテーションにおいて、特に介入について、前回の第2回の資料の1-2で御紹介したVISIT(通所・訪問リハビリテーションの質の評価データ収集等事業)のデータにおいて、一部コード化しているものがございますので、現状の御紹介をしたいと思います。

 資料2-2でお示ししていますのは、リハビリテーションマネジメント加算を算定する際に作成する必要がある様式のうち、様式3というもののリハビリテーション計画書でございます。

 赤枠でお示ししていますとおり、この計画書のうち、左側の「目標」の部分と右側の「具体的なリハビリの内容」については、このVISITの中ではコード化をして収集しているところでございます。

 具体的にどのようなコードになっているかというのは、参考資料1をごらんいただければと思います。

 後ろのほうにおつけしております参考資料1でございますが、例えば目標でございますと、第一水準コードと第二水準コードというふうに分けてデータを収集しております。例えば第一水準コード01の「健康管理」ですと、さらにそれに対応する第二水準コードとして「01服薬管理」とか「02水分補給」といったものが存在することになっております。

 おめくりいただきまして、8ページ以降をごらんいただきますと、支援コードということで具体的なリハビリの内容についてコード化をして収集することになっております。

 具体的なリハビリ内容については第一水準のみということになりまして、01ですと「呼吸機能訓練」、02ですと「全身持久力訓練」というふうにコード化をしているところでございます。

 事務局から、リハビリテーションについては以上でございます。

○鳥羽座長 参考資料については、項目数とか内容、場合分けで漏れているところがないか、またじっくり見ていただければと思います。

 事務局、これでよろしいですか。

 それでは、次に、「(主に介護支援専門員による)アセスメントについて」、資料3についてお願いします。

○村松地域情報分析支援専門官 それでは、資料3について御説明いたします。

 おめくりいただきまして、1ページ目でございます。

 そもそも「『アセスメント』とは」ということでございますが、お示ししておりますのは、「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について」というものでございます。その中で、記載のとおりでございますが、利用者が生活の質を維持・向上させていく上で生じている問題点を明らかにし、利用者が自立した日常生活を営むことができるように支援する上で、下線が引いてありますが、「解決すべき課題を把握すること」をアセスメントというふうにしております。

 このアセスメントについてですが、下の段にありますとおり、介護支援専門員の個人的な考え方や手法のみによって行われてはならず、利用者の課題を客観的に抽出するための手法として合理的なものと認められる適切な方法を用いなければならないものでありますが、この課題分析の方法については、別途通知するところによるというふうになっております。

 おめくりいただきまして、2枚目が、「別途通知するところ」というものをお示ししております課題分析標準項目でございます。課題分析標準項目を具備することをもって、それにかえることができるというふうになっております。

 この課題分析標準項目でございますが、ポツの2つ目に記載のとおりでございますが、以下のとおり、「基本情報に関する項目」と「課題分析(アセスメント)に関する項目」で構成されております。

 基本情報に関する項目といたしましては、利用者さんの基本情報や生活の状況、現在利用しているサービスの状況等を記載することになっております。

 続きまして、課題分析に関する項目については、次のページでお示ししている合計で14の項目に分けて記載することになっております。

 3ページ目でございますが、課題分析標準項目のうち「アセスメント」に関する項目をお示ししておりますが、健康状態、ADLIADL、認知、コミュニケーション能力、社会との関わり、排尿・排便等々ということで、この14について解決すべき課題を明らかにして記載することを求めているところでございます。

 次のページにお移りいただきまして、4ページ目でございますが、現場では、このアセスメントの条件を満たす複数のアセスメント様式が用いられているということがわかっております。お示しをしております資料は、介護報酬改定検証・研究委員会の資料でございますが、介護保険制度におけるサービスの質の評価に関する調査研究事業の中で、介護老人保健施設、介護老人福祉施設、居宅介護支援事業所で、それぞれどのようなアセスメントの様式が用いられているかという調査を行った結果でございます。施設系サービス、介護老人保健施設様、介護老人福祉施設様では、包括的自立支援プログラム方式を使用している施設が多く、それぞれ29.8%、49.7%という状況でございました。

 居宅介護支援事業所におきましては、居宅サービス計画ガイドライン方式を使用している事業所が37.7%と最も多かったという状況でございます。

 また、介護老人保健施設様では、R4というアセスメント様式を使用している施設が20%あったということでございます。

 上の箱には記載しておりませんが、MDS方式、MDS-HC方式につきましては、介護老人保健施設で12.1%、居宅介護支援事業所で16.1%と一定程度の数使われていることがわかっているところでございます。

 ですので、この14の項目はお示ししているところでございますが、現場ではそれぞれのアセスメント様式のアセスメントが行われているところでございます。

 おめくりいただきまして、5ページ目でございます。

 この介護保険制度におけるサービスの質の評価に関する調査研究事業でございますが、平成26年から実施されておりまして、この後のアセスメントのところにつながる内容がありますので、これまでの経緯について御紹介させていただきたいと思います。

 これまでの検討の経緯でございますが、まず、平成26年度では、高齢者に発生し得る自立支援の障害となるリスクを適切に把握するため、関連するハザードを特定した上で、それに起因するリスクを予測するため、高齢者の状態の把握を行うために必要なデータの検討を行いました。

 右の図でお示ししておりますが、転倒、発熱、誤嚥、脱水、褥瘡、移動能力低下、認知機能低下というものをこの事業の中ではハザードというふうにしまして、これらの発生を予測するための高齢者の状態把握を行うために必要なデータの検討を実施したところでございます。

26年度では、各ハザードの領域の既存文献の情報やエキスパートインタビューによってデータ項目のver.1を作成したところでございます。

 平成27年度になりまして、26年度に作成したデータ項目ver.1を、介護老人保健施設、居宅介護支援事業所から収集を実際に行いまして、データの収集可能性とかハザードの発生を予測する際のデータの妥当性の検証を実施しております。

 それに加えまして、軽度者の状態を把握するための新規項目の検討等を行いまして、データ項目ver.2を作成したところが27年度でございます。

 おめくりいただきまして、6ページ目が28年度のまとめでございますが、実際にデータ項目ver.2を介護老人保健施設、居宅介護支援事業所に加えて、28年度は介護老人福祉施設でも収集を行いまして、データの収集可能性等々についての検討を行ったところでございます。

 その結果、転倒、発熱、誤嚥性肺炎、脱水、褥瘡の5つのハザードの発生については、その発生を予測する項目としてver.2で確保していることがいずれのサービスにおいても確認されたところでございます。

 おめくりいただきまして、7ページ目がデータ項目ver.2でございます。

 どのような項目になっているかといいますと、ADLの状況、基本動作、排せつの状況、食事の状況、視力の状況、薬の状況、歯の状態、過去3か月間の入院や在宅復帰、骨折の有無、そして、過去3か月のそれぞれ7つのハザードの発生の有無を聞いております。

 右側にお移りいただきますと、見当識、コミュニケーション、認知機能、周辺症状、歩行・移動という調査項目になっておりまして、基本的には自分で行っているか行っていないかという2択で選択肢を作成しているというところでございます。

 8ページ目にお移りいただきまして、今年度の研究内容について御紹介いたします。

 今年度の研究の中では、今までこの研究事業の中で作成してきましたver.2と、それぞれの事業所でお使いになられているアセスメント様式等の互換性の調査を行いました。具体的にどういうことかといいますと、施設・事業所調査、先ほどお示ししました、どれぐらいの割合で使われているかという結果から、使用されている施設・事業所が比較的多いアセスメント様式、具体的にはMDS方式、MDS-HC方式、居宅サービス計画ガイドライン方式、包括的自立支援プログラム方式、R4を対象といたしまして、データ項目ver.2の回答結果との比較を実施いたしました。

 それぞれ平成27年度の調査におきまして、データ項目ver.1とアセスメント項目との対応表というものを整理されておりましたので、それに基づいて互換性というものを見てまいりました。データ項目ver.2において新たに追加された項目については、新たに対応する項目を検討いたしました。

 下の図表3と書かれているものが、27年度調査において各アセスメント様式とver.1を項目別で比較した星取表になっております。この中に包括的自立支援プログラムは出てまいりませんが、データ項目ver.2と対応する項目については、居宅サービス計画ガイドライン方式と同一の項目でございますので、ここでは居宅サービス計画ガイドライン方式の整理の結果に基づいて読みかえを行って、互換性を検証したところでございます。

 おめくりいただきまして、9ページ目でございます。

 3ページにわたって具体的な例をお示ししております。本日は、ADLの状況で、更衣(上衣)の部分のADLについて互換性というものを実際にやった結果をお示ししております。

MDSMDS-HC方式では、ADLの自立度(上半身の更衣)が自立の場合、データ項目ver.2ADLの状況・更衣(上衣)を「自分で行っている」と回答した割合は94%でございました。MDSMDS-HC方式において「準備のみ」となっている方は82%、「観察」となっている方では76%、それぞれ「自分で行っている」という回答でございました。回答のクロス表は、図表5におつけしているところでございます。

MDSMDS-HC方式において「部分的な援助」と回答されていた方は、ver.2では「自分で行っていない」と回答された方が66%いらっしゃいました。「広範な援助」では86%、「最大の援助」では98%、「全面依存」では100%という結果になっておりました。

 次のページへお移りいただきまして、10ページ目でございますが、居宅サービス計画ガイドライン方式と包括的自立支援プログラム方式との互換の結果についてお示ししてございます。

 居宅サービス計画ガイドライン方式において「上衣の着脱」が「介助されていない」と回答されている場合、データ項目ver.2で「自分で行っている」と回答した割合は93%、「見守り等」と回答されている場合は75%であったということでありました。「一部介助」「全介助」の場合は、「自分で行っていない」と回答した割合がそれぞれ59%、96%でございました。

 包括的自立支援プログラムにおきましては、「上衣の着脱」が「自立」の場合、データ項目ver.2で「自分で行っている」と回答した割合は81%、「見守り」の場合は75%でございました。「一部介助」、「全介助」の場合は、それぞれ「自分で行っていない」と回答した割合が81%、99%という結果でございました。

 おめくりいただきまして、11ページ目でございます。

R4ver.2の互換についてお示ししております。R4において整容・衣服が「レベル5」となっている場合、レベル5は「衣服を畳んだり整理することを自分で行っている」という選択肢になりますが、その場合、ADLの状況・更衣(上衣)ver.2では「自分で行っている」と回答した割合は92%でありました。

 レベル4、「衣服を畳んだり整理することを自分で行っていないが、ズボンやパンツの着脱は自分で行っている」に関しては、79%が「自分で行っている」。

 レベル3、「ズボンやパンツの着脱を自分で行っていないが、更衣の際のボタンのかけはずしは自分で行っている」については、ver.2で「自分で行っている」と回答した割合は53%という結果でありました。

 レベル2、「更衣の際のボタンのかけはずしを自分で行っていないが、上衣の片袖を通すことは自分で行っている」の場合は、「自分で行っていない」と回答した割合が70%。

 レベル1、「上衣の片袖を通すことを自分で行っていない」という方は、97%が「自分で行っていない」というふうに回答をされていたという結果になっております。

12ページ目です。事務局で準備した論点が2つございまして、ポツの1つ目ですが、アセスメント情報(主に各アセスメントの様式)の収集についてどのように考えるかということと、ポツの2つ目で、介護保険制度におけるサービスの質の評価に関する調査研究事業の研究結果の活用、データ項目ver.2とか、その互換の検討の結果についてどのように考えるかということを2つ挙げております。

 アセスメントについては、以上でございます。

○鳥羽座長 ありがとうございました。

 ここでもまた宿題をたくさんいただいておりますので、後で論点をまとめるのが若干大変になってきましたが、まとめて後で整理して議論したいと思いますので、「介護サービス計画(ケアプラン)について」、引き続き説明をお願いいたします。

○村松地域情報分析支援専門官 それでは、資料4、「介護サービス計画(ケアプラン)について」、御説明いたします。

 資料をあけていただきまして1ページ目でございますが、そもそもケアプランとは何かということをお示ししております。

 先ほどありましたアセスメントの結果に基づきまして、家族の希望や地域の体制を勘案して、アセスメントにより把握された解決すべき課題に対応するための最も適切なサービスの組み合わせについて検討を行って、利用者及びその家族の生活に対する意向等々について記載をするというものが介護サービス計画になります。

 具体的には、介護サービス計画書というものの様式をお示ししておりまして、その様式については、居宅サービス計画書については第1表から第7表まで、施設サービス計画書については第1表から第6表まで様式を示しております。

 具体的な様式につきましては、参考資料2に通知の一部の写しをおつけしております。

 1ページ目から7ページ目までが居宅サービス計画書の様式になります。8ページ目から最後の13ページ目までが施設サービス計画書の様式となります。

 ポツの2つ目でございますが、居宅サービス計画書の第6表と第7表、参考資料2の6ページと7ページ目をごらんいただければ、その6表と7表が掲載されておりますが、この内容の一部については、既に厚生労働省のほうで整備をしております介護保険総合データベースに格納されております介護給付費明細書(介護レセプト)の情報で、その一部を代替することが可能であるということがわかっております。

 3ページ目、事務局で準備した論点でございますが、こちらも2つございまして、ケアプラン情報の収集についてどのように考えるか。特に介護保険総合データベースが収集している介護レセプト等の既存情報の活用についてどのように考えるかということと、ポツの2つ目でございますが、その既存の情報を活用する際に、加えて、現在は収集していないが補足的に収集することが既存の情報を分析し、活用するために有用と考えられる情報にはどのようなものがあるか、この2つというふうにしております。

 事務局からは以上でございます。

○鳥羽座長 どうもありがとうございました。

 それでは、今回説明していただいたことについて順々に御意見をいただいていきたいと思います。

 まず、第1点目は、電子化の現状・調査に基づいてコード化されていない施設が多いとか、相当のところでまだ不十分なところがあるということですけれども、きょうは介護現場やさまざまな諸団体の方がいらっしゃいますけれども、電子化が進まない理由について何か障壁となるようなもの、それは本質的なもの、あるいは技術的なもの、コスト的なものを含めて、現状認識について何かありますでしょうか。

 折茂オブザーバー。

○折茂オブザーバー 全老健の折茂です。おくれて申しわけございませんでした。

 介護のほうは、やはりコスト的な面が大きいのではないか。医療のほうほどは電子化に向けてお金はかからないのですけれども、それでもぎりぎりの介護報酬でやっている中で、うちは150床で、全て電子化しているのですけれども、それでも数百万かかるということで、電子化に向けてのモチベーションと費用のところのバランスがうまくいかないと、恐らく介護のところはなかなか入りにくいのではなかろうかというふうに思います。

○鳥羽座長 ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ。

○白石構成員 日本福祉大学の白石です。

 先ほどの折茂オブザーバーと同様の意見になるのですけれども、私も訪問看護ステーションや通所介護事業所とかかわりがあって、費用の面はよく聞いております。あと、どうしても、今は紙ベースで書いていて、それをまた電子情報に落とすという手間、書式が非常に多うございますので、そういった手間の問題も一方であるかと思います。

○鳥羽座長 ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ、瀬戸オブザーバー代理。

○瀬戸オブザーバー(小泉代理) 老人福祉施設協議会の小泉でございます。きょうは代理で参加させていただいております。

 形式的なものもあろうかとも思いますが、技術的なもの、入力方法でかなり困るところもあろうかと思います。どういうタイミングで入力をするのかとか、その入力方法が現場でいろいろとうまくいかなくて現実的にこういった形でできていないというところが多いのではないかと思っております。

 ただ、私の施設では十数年前からやっておりますので非常に便利だとは思うのですけれども、なれるまでが大変なので、導入を一歩控えているところが多いのではないかと思っております。

○鳥羽座長 そのほかいかがでしょうか。

 どうぞ。

○利光構成員 食事、栄養提供の部分なのですが、施設側が管理しているシステムと、給食業務を委託している場合においては委託会社が管理しているシステムがあります。給食管理においてシステムを使わないということは少ないのですが、情報管理者が異なり、情報を抽出する上では調整しにくいものがあります。

○鳥羽座長 ほかにはどうでしょうか。

 では、順番で。

○八木構成員 東洋大学の八木です。

 手書きのものが多いということなのですけれども、施設のほうでは、今、ICT的なものが進んでいると思います。しかし訪問とか居宅の現場に関しては、どうしても個別性が強いということもありまして、ひとりひとりについては既存のフォーマットだけでは事が足らないという現実があり、介護者自身のレベルにもよりますが、ITのものを使いこなすというよりも、訪問介護の現場に関しては、やはりまだまだテキストに書いている状況での申し送りというものが中心になっていると思います。現実的にはなかなかコード化に結びついていないのではないかというふうに考えております。

○鳥羽座長 どうぞ。

○福井構成員 介護サービスの一つの訪問看護でいろいろ事業に携わらせていただいているのですけれども、訪問看護もこの5年ぐらいIT化で利用者さんのデータを入力していただくということもやっているのですけれども、訪問看護の領域では、世代、若い訪問看護師さんだとすぐICTを使ってというのが、スマホなんかを使いこなされているのですごくできるのですけれども、40代、50代になるとそこがなかなか使いこなせないというのがあるのですが、でも一回やってみると、先ほどの発言にもありましたように、便利で実際に労力も効率化できるということを二、三年かけて体感するとちょっとずつ進んでいってくださるなという感触があるので、丁寧に導入すればやっていけそうに私個人としては考えております。

○鳥羽座長 ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ。

○伊藤構成員 山梨県立大学、伊藤です。

 訪問介護とかデイサービスの領域ですと、比較的年齢の高い女性の従業比率が高いというところがあって、割と苦手、そういう機械的な操作を最初から嫌だなと思ってしまう層は一定数いるかなと思います。

 なので、やはりメリットがわからないと、何か新しいことに変えるというだけで尻込みをするというか、積極的に取り組んでもらえないというところで、手書きのまま経緯している事業所というのはかなり多くあるのかなと思いますので、入力のインターフェース等を工夫しないと、変えましょうと言ってもなかなか変わらない。タッチパネル式のような形のものであるとか、そういった使いやすさへの配慮も必要かなというふうに思います。

 以上です。

○鳥羽座長 いかがでしょうか。

 まとめますと、電子化した内容が介護の現状の細かさとかレベルが低いので使えないというような本質的な欠点ではなくて、コストとか手間とか世代、教育の問題とか、あるいは、インセンティブの問題といった、そういう課題が解決されるのであれば、スマホが普及するようにいく可能性もあるので、ここはどうやっていくかというこの委員会及び今後の開発によって解決できるところもあるということで、とりあえずここまではよろしいですか。

 どうぞ。

○折茂オブザーバー それでいいと思うのですけれども、やはり一つ大事なのは、これから導入を進めていくのであれば、共通言語というか、各ベンダーさんでもばらばらという様式ではなくて、さまざまな様式を統一するということ、プラットフォーム化というのですか、そんなことをしっかりやっていかないと、またばらばらになっていってしまうと思います。

○鳥羽座長 ありがとうございます。これはその後のところでも課題になりますので、そこでも議論を。

 どうぞ、田宮先生。

○田宮教授 技術的なことで言えば、最近、音声入力がすごくよくなっているので、これから介護現場なんかではとても使える可能性があるのではないかと考えています。

○鳥羽座長 ありがとうございます。

 年配の方もスマホはよく使っておられますし、電子カルテを導入したときは、年配の教授だけはマウスの持ち方が反対で動かないとかそういうことがありましたけれども、今では相当進んでおりますので、いろいろ工夫によっていけるのではないかと思います。今後いろいろアドバイスをいただきたいと思います。

 それでは、次のところですが、リハビリテーションの視点から見た介護情報の収集項目案について、近藤先生、大分御苦労いただいてありがとうございました。これについて全般的な御意見、あるいは課題、そして、個別のことでもよろしいですが、どうぞ御自由に御発言ください。

 それでは、2点に分けてですが、まず、情報の項目の筋立てとか構造立てでこれが適当ではないとか、あるいは、ここが落ちているといった観点が1点と、近藤先生からの宿題は、定義測定方法について新たに計測が必要だとか、収集が非常に困難であるというようなところまで記載していただいておりますけれども、このような項目についてそれをどうしていくのか。例えば代替の科学的な裏づけ、それら意見があれば御自由に御発言いただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

 どうぞ。

○八木構成員 科学的な議論をしていきたいと思いますので、現在、厚生労働省の考えている自立の定義というものをまず教えていただきたいのですが。

○井口課長補佐 自立の定義そのものについて確としてお示ししているものはございません。自立に関するもので言いますと、介護保険法の第1条のところに介護保険法の「目的」として、「この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため」ということが書いてございます。

○鳥羽座長 ありがとうございます。

 自立は、ステージでここからここまでを自立と分けるのではなくて、自立を向上させるベクトルが重要であるということですね。よろしいでしょうか。

○八木構成員 もう一点いいですか。今回の科学的な介護の対象とされている方というのは、どういう対象者をイメージされているのか具体的に教えていただきたいのですけれども。

○鳥羽座長 厚労省が決めるのではなくて、ここですべき議論だと思いますけれども。まさにどういうところを考えるかということがこのためのものなので、御意見があればどうぞ。

○八木構成員 老施協さんとかが言われている施設とかの対象者のイメージと、また、要支援して訪問介護とか通所介護のイメージで話されている先生方がいろいろいらっしゃるので、どの状態像をイメージして自立とかリハビリのところを考えていけばいいのかと個人的に思いまして、お伺いしたところです。

○鳥羽座長 3回目までの議論では、重い人と軽い人で別々にいろいろ物差しをはからなければいけないという議論もなされた経緯もありまして、介護予防からエンドオブライフ・ケアに至るまで、いわゆるどこにも見落としのないようなところに関する自立支援、科学的介護のための検討会だというふうに考えております。それでよろしいですよね。

 だから、重いところの施設入所だけを考えるとか、介護予防を外すとか、通所を外すとか、そういうことは今まで一回も議論が出たことはございません。認識はそれでよろしいですか。

○井口課長補佐 座長、御指摘のとおりでございます。しいて付言するとすれば、八木先生がおっしゃるように、今、どういった方についての議論をされているのかということを、特に同じお話の中でイメージが異なってはいけませんので、今のこの議論についてはどんな方を対象にしているのかといったところを共有していただくことは必要に応じて必要かと思います。

○鳥羽座長 どうぞ。

○折茂オブザーバー 今の八木委員のお話にもあるのですけれども、例えば6分間歩行とかTUGなんかは施設の重たい人たちは恐らく難しいし、できないでしょう。ですから、そういう面で対象が多少分かれてくるということだと思うのですけれども、ここで近藤先生にいろいろすばらしいデータを出していただいたと思うのですが、これは病院ベースで多職種がさまざまいるところでは確かにとれると思いますけれども、結局、施設の現場でも、我々老健は多職種がいるのですけれども、それでも数少ないPTOTがここまでできるのか、数少ない専門職がここまでとれるのかというと、集めたい気持ちはわかるし、僕も集めたいですけれども、果たしてこれがどこまでしっかり集められるか。結局集めてもデータが出なければごみになってしまうというところもありますので、そういう面では介護の現場、そしてまた、本当の専門職ではなくてもある程度わかる、先ほど鳥羽座長もおっしゃいましたけれども、何か代替できるようなものをしっかり見つけていきながら、本当にリハビリ専門職ではない人たちでもできる項目に絞り上げていかないと、恐らくごみになってしまうのではないかという気がします。

○鳥羽座長 近藤構成員。

○近藤構成員 逆に定義が曖昧でやり方の提示が不完全だと、介護職の方がとられても、結局またごみになると思います。なので、割と今まで反応性が見られるという、要するに自立に資するという部分を協調して拾ってきたので、確かに施設でのフィージビリティーが低いとか、軽い人がメーンの対象になってしまうのではないかというインデックスが含まれているのはおっしゃるとおりだと思うのですけれども、ただ、後半の部分に関しては、今、申し上げたように、介護職の方がとれるとしても、そこの部分の方法論をきちんと確立してやらないと、やはりごみになると思います。

○鳥羽座長 いかがでしょうか。科学的にはどこまで精緻にするかという本質的なところですけれども、ここからスタートしていかないと、どういうデータを集めるか、御意見どうでしょうか。

 葛西顧問。

○葛西顧問 医療関係のシステムの話をすると、皆さんどの分野でも大体同じ話をされるのですが、私はシステムをつくる側の人間としては、どの項目が正しいかというのは、例えば日本全体1億人以上プラスアルファのデータがなければ証明できないほどの命題があるならば全部とらなければいけないと思うのです。だけれども、10人で証明できるテーマがあるならば、ある項目は10人でも別にいいと思っていて、その命題によって決めてもらえればいいと思うのです。そうすると、項目の標準化というのは一定必要で、標準化と互換化の話は後でまた別に私も意見があるのですが、標準性としては網羅的につくっていただいておけばいいだけであって、その中でとらなければならないというほどの命題があるならば、何の命題が今喫緊の社会課題なのかというのが示されていれば、それに従えば、厚生労働省もそうですけれども、ぜひとってくださいと。あるガバナンスに基づいてとりましょうとなると思うのですけれども、命題がいつもわからなくて、かつ、これは常にトートロジー的な課題があるのですけれども、命題に対して、誰もがそのデータをとらなくていいとまでは言えないというヒューリスティックな部分があるのでなかなか難しいのですが、今、喫緊の社会課題は何かというのは先に御議論いただく必要はあると思います。

 私はITなので、項目については網羅性が必要であって、足りなくなっているとちょっとまずいだろうなというのと、標準化がなされればいいのではないかというのが私の個人的な意見です。

○鳥羽座長 いかがでしょうか。

 その喫緊の課題というのは、葛西顧問はどういうイメージで絞り込みを考えておられるのですか。

○葛西顧問 私は、逆に言うと、ここは専門性はないので一国民でしかないですけれども、社会課題として、例えば認知症であるとか、これから明らかに社会生産性が失われるものであるとか、そういったものというのは喫緊の課題だと思うのです。一方で、私自身も希少性があるというか、誰もがかからないような病気にかかっておりますので、そうするとニッチな人間の尊厳というのは失われていいのかという課題があって、その両面はどちらをとるかというのは常に医療分野の倫理的な問題をはらんでいると思うのですが、ただ、誰もが持っているというか、認知症を含めて誰もが高齢化されて、誰もが影響を受けやすいことというのはデータ化されているので、それについては当然喫緊だと思うのです。それを何とか直すというのは、普通に政策論で言うと、政策を決めるべきパターンで言うとそうなるのではないかというだけです。

○鳥羽座長 ありがとうございます。

 きょうのアセスメントについての中の介護保険制度におけるサービスの質の評価に関する調査研究事業の中に、先行研究を参考にハザードを7項目選定したとありますが、どういう項目で7項目を選定していますか。

○村松地域情報分析支援専門官 手元に資料がございませんので、即答できません。

○鳥羽座長 これが介護の科学化をもって自立支援をするために、特に重要なものとして先行研究で選ばれているのであれば、今言った、葛西顧問の中の一つの候補になるでしょうし、この中には不眠とか痛みといったものも実は漏れているのですけれども、それが漏れていてもいいかという、そういうような議論も含めて近藤構成員から出られたものの重点化を図るべきだという葛西顧問からの意見です。

 どうぞ。

○田宮教授 先ほどから議論の「自立」とは何かというところをもう一度考えたいと思っているところがありまして発言させていただきます。要支援、要介護に対する自立という言葉が介護保険の中では使われています。でも、今、定義をお聞きすると、能力に応じて自立したという言葉が明示されています。介護予防としてあくまで自立を目指すのも必要でありますが、それは狭義の自立といいましょうか。そうではなく、要介護になったからといって、そこで諦めなくて、より痛みをとるとか、QOLを高くするとか、介護者の負担を減らしてもっとコミュニケーションをとるとか、そういうのもすごく重要なわけで、その2つを曖昧にしていると目指すところが違うように思うのです。

 なので、重点化のときにはその2つぐらいは意識されたほうがよいかと思います。この項目もですね。特に、私は、後半の環境調整とかの部分にも入っている項目というのは、後者のある程度能力障害はあっても、そこでさらにパーティシペーションを目指すような自立という言葉、そう言っていいのかわからないですけれども、そちらのほうを示す上には必要な項目であると思うので、そこを分けてもいいかなと思います。

 もう一つ言うと、医学の経緯から言うと、医学も疾病治療と予防が中心の学問で来て、病態生理からいろいろ進んできたわけですけれども、それに対して見直しが少し来て、それだけでは高齢化社会に対応できなということになっています。そういう意味でも疾病予防中心、介護予防中心ではなくて、その後の両方を見据えたということを介護の場合は最初から意識していくことが必要かと思っています。

○鳥羽座長 いかがでしょうか。

 重い人と軽い介護予防で、必ずしも絞り込みが同じ項目でなくてもいいのではないか、あるいは、いわゆる地域と施設介護でもそういうような違いがあってもいいのではないか、そういうような御意見です。

 折茂オブザーバー。

○折茂オブザーバー 喫緊の課題の一つは、やはり重度化してしまう原因というのがハザードなわけですね。リスク予防というのがとても重要で、例えば転倒なんていうのは介護予防でも施設でも重度化してしまいますので共通の項目だと思います。僕は、サービスの質の評価の調査研究にもちょっとかかわってはいるのですけれども、7つのハザード、ここのところをしっかり食いとめるということが重度化予防、悪化の喫緊の課題の一つではなかろうかというふうに思っております。

○鳥羽座長 ありがとうございます。

 いかがでしょうか。この調査研究事業は研究委員会でやっておられるので、少なくともこういう検討を生かしていくという御意見です。よろしいですか。

 そうすると、このような骨組みの中で近藤先生の出されたものをもう一度見直していただくということになると思います。

 どうぞ。

○三上構成員 日本作業療法士協会の三上です。

 近藤先生のまとめていただいたデータを見て、ほぼほぼ網羅されていると思っております。高齢者の自立、高齢者が元気な生活をどう送ればいいかといったときに、心身機能、精神機能、個人因子と呼ばれる、その人がどういった価値観を持っているかというところをどう評価するかとても難しいと思うのです。リハビリテーションの専門職種といっても、そこをどう評価するかというのがとても難しい状態だと思っております。それを介護現場でどう評価すればいいのか、とても難しいと思って、近藤先生の資料を見ておりました。

 あともう一つ、個人因子と環境因子が絡み合って健康状態に影響しているというふうに思いますので、環境因子と言われているコードをどのように分析するか、とても難しい課題だなと思って聞いておりました。

 以上です。

○鳥羽座長 ほかにどうでしょうか。

 近藤先生、後でいいですか。

 どうぞ。

○白石構成員 ふだんは訪問や通所等で利用者とかかわる中で、セラピストとかかわっていく中で、結構個別に評価をして介入することで、一人一人の方に対してどこまで活動できるのですよとか、あるいは、日々こういうような生活形態にしたらどうですかというような、いわゆる直接の介入プラスアルファで相談とか会話の中から利用者さんの行動を促していくということもあると思うのです。

 近藤先生の資料の中にもロボット化が進むことによって介護者との会話がふえてというようなことも出ておりましたけれども、そういったこともあるのではないかということが1点。

 私、知らなかったのですけれども、結構介入については調査研究事業等でコード化が進んでおりますので、使えそうだなというような印象を持ちました。

 以上です。

○鳥羽座長 ほかにいかがでしょうか。

 近藤先生、どうぞ。

○近藤構成員 自立というのは2つの側面があって、いわゆる機能的に自分でいろいろなことができるようになるという自立と、もう一つは、いわゆる英語でオートノミーと表現されている、自分がきちんと選択できるかという部分があるのです。多分そこが介護保険法の第1条には「尊厳」という言葉で集約されると思うのですけれども、ある程度そちらの部分も見ていかないと、やはり自立に資するという形での介護を実現するのは難しいのではないかと思います。

○鳥羽座長 心の自立の解説がございましたが。

 どうぞ。

○伊藤構成員 介護職として利用者さんをケアする場合に、今、おっしゃったような身体的にある程度機能して自分でできているという部分と、例えば着がえることに物すごく労力の要る方がいるのです。そうすると、1時間かけて着がえる価値があるのか、それぐらいなら5分で介助してもらって、さっさと出かけたいというような方もいらっしゃるわけです。まさにそれが何に時間とか労力を使うかという自分で選択していくという要素になると思います。

 ただ、動作的な面で見れば、手伝ってもらっているから自立度は低いというふうに評価される可能性もあるわけですけれども、自立的に選択していくという観点を重視するのであれば、自分でより大事と思うほうを重視して、そのために介助を自分で選んで活用しているというような判断を介護の現場ではするので、全部自分でやってもらおうというふうに介護職は余り考えずに、どこを重視するかというところで介助方法を変えているという面があると思います。

 その上で、ある程度尊厳を守って暮らしていくときに必要かなという要素が、いわゆる介護で重視している、食べる、飲む、寝る、出す、風呂入るみたいな要素があるのですけれども、これらが欠けてくると、例えば1週間風呂入っていない体でおむつにうんこがついていて人前に出たいかという話になってくるわけです。それは尊厳もへったくれもない状態像なので、それを守るためにはきちんと座位がとれるとか、ある程度、10秒程度でいいから立てる、立位がとれるであるとか、そういった身体機能が確保されていないとそういう生活を担保していくことが難しくなるので、そういう尊厳のある暮らしの前提として、ある程度共通指標になるような体の機能の部分というのは抽出できるのかなと、そんなふうに考えています。

○鳥羽座長 いかがでしょうか。

 今、全般的な意見をいただきましたけれども、もう一つは、近藤先生からの宿題としては、高価なものとか、まだ開発が必要なものとか、さまざまなものがあるということで、既存品や既存方法で活用できるものはないかという視点、あるいは、今後、こういうものを企業に開発してもらったほうがいいのではないかとか、特に介護現場でやるには人手やお金がかかってできないような研究レベルのものも入っている可能性もあるということなので、その辺について何か代替法で、こういうものはこうやって代替できるというものがある、あるいは、この中の困っているものはほとんど代替できるものが多いとか、さまざまな提案とか御意見はございませんでしょうか。

 秋下先生。

○秋下構成員 東京大学の秋下です。

 我々も、研究費がついているような研究で、そのために人を雇ってやればできるかなという感じはしますが、もちろん近藤先生を批判しているわけではなくて、こういうようなものがあるということを認識した上で、この中から、目的によって必要なものを選んでいくべきなのかなと思っています。

 例えば筋量ですね。200万円ぐらいするBIA法による体組成計を使うとか、大病院にはありますけれども、全身の骨量をはかるDXAで全身の筋肉量を見るというのは、やはり介護現場では無理だと思います。東京大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢先生の研究で、下腿周囲長が四肢の筋肉量によく相関するとか、スクリーニングとしては指輪っかテストが使えるといった報告があります。そういうものは筋量の代替になるかなと思っています。そのようなものがほかにもあるのだろうと思います。

○鳥羽座長 ほかにどうでしょうか。何か。

 どうぞ、葛西顧問。

○葛西顧問 個人的な意見でしかないのですけれども、一つは、きょうはコード化の話を事務局のほうからいただいているのですけれども、標準化と互換性の問題というのはITの世界では非常に混乱されやすいのですが、実は全然違っていて、コード化をするということは、誰かが行動をずっと管理して、延々行動のお守りをしていくということになるのですね。これは当然お金もかけて社会的な巨大な負荷がかかるというのが一つあります。言い方を変えれば、特定の言葉を、どこかの国の言葉を、その言葉をしゃべらない国に対してこの言葉をしゃべれと言うというような、一個間違うとやや占領的な部分が出てまいります。

 この標準化と、一方、互換化と言われる、いわゆるインターフェースの問題は別で、今聞いている限り、センサーであるとか、この分野はどうやらセンサーとか機械とか、少なくとも誰かが手で入力するという方法以外の入力装置を考えていかなければ限界があるなというのは、個人的に今までのお話を聞かせていただいて感じています。

 ただ、一方で、それぞれの機械は、今、ばらばらにソフトウエアがあって、ばらばらにインターフェースを持っているので、それらのインターフェース互換性の確保という議論はどこかで必要だというのが私の一つの意見でございまして、余りにもコード化・標準化ということを中心と考えるよりは、どちらかというと共和的なというか、インターフェース中心主義的な発想でいかないと、どこか集中的に巨大なお金をつけて、みんなでそこに入力せよみたいになるのはやめたほうがいいのではないかなというのは、まず一つ、私の個人的な意見です。

○鳥羽座長 ほかにどうでしょうか。

 議論でここでなかったのは、連続変数でなければ科学ではないというようなこともお考えの方がいたのですが、例えば3段階、5段階評価でも科学としてよろしいかということは、よろしいですか。0.01刻みで連続していないと科学ではないというふうに思っておられる方も実はいらしたことがあるので、それはないであろうと思うのですが、例えば握力の測定も握力計ですと0.1からずっとはかれるわけですけれども、サルコペニアの基準、フレイルの基準の握力というのはどこからがというのがありますし、非常に転倒しやすい握力というのはまた別にありますので、そういうような握力の絶対値で入れるのか、あるいは、そういうものを入れるのかによってもデバイスは変わってくるというふうに考えられます。

 例えば私が寝たきりをやるときは、やはりお金がかかるので、100円ショップで握力トレーニングのやつを買ってくるのです。あれは5キロ刻みであるのです。ですから、5・10152025で、それができたら幾つというのでやっていました。100円ショップで5つ買うぐらいは介護施設でも別にそんなに大変ではない、やるのもおありなので、例えば15キロ以下が転倒しやすいとわかっていますけれども、15のやつをやってできた、できないでも2段階ならできるし、サルコペニアだったら男性25、女性15ぐらいで、そういうような代替手段を既存の研究からこの中にできるだけ多く入れていくことによって、近藤先生のこの資料が生きてくると思うのですけれども、何かそういうものがほかに委員の中でありましたら、きょう全部は無理ですけれども、ここにもう1項目、近藤先生のエクセルのところに仮説の例、情報収集のところにもう1行加えていただいて、これとかわりになる介護施設でもできる測定方法の欄を設けていただいて、委員の先生にどんどん入れていっていただければ少し前に進むかと思うのですが、そういうまとめでよろしいでしょうか。

 ですから、項目としては、きょう御議論いただいたハザードを中心にもう一回、全部落ちていないか。どちらか落ちていますか。折茂委員、ハザードの視点から見て、今回の近藤先生の。

○折茂オブザーバー このぐらいのところでいいのではないかと思います。

○鳥羽座長 落ちていないですかね。

○折茂オブザーバー はい。

○秋下構成員 BPSDはこの中に入っていないかなと思うのです。介護施設で、先ほどお話の。

○鳥羽座長 イベントとして。ハザード。

○秋下構成員 そこはありなしの定義が少し難しいかなと。自分の研究で、介護施設でのイベントをBPSDについてもとってもらったら、1人に何十回もイベントが起きていて、要するに、毎日BPSDがあると毎日イベントが起きているみたいな、そういうふうになってしまったりして、後で処理が難しかったなということがありました。

○鳥羽座長 どうぞ。

○折茂オブザーバー BPSDも全老健としては統計学的に処理しようと思ったのですけれども、やはりこれは不穏だったり、そのときの心の状態とか環境でかなり違ってきて、それをBPSDの何がすごくひどくて、何が軽いBPSDかというのもなかなか難しくて、結局BPSDの評価はあるかないかという、例えば徘徊があるとか、弄便があるとかないとかという評価に落ち着かざるを得なかったという経緯があります。

 ですから、すごい嫌なBPSDと嫌ではないBPSDもあるのですけれども、その辺の客観的な評価というのは難しくて、あるなし評価におさめざるを得なかったという経緯がありました。

○鳥羽座長 ありがとうございます。

 どうぞ。

○近藤構成員 結構あるなしで、BPSDと総括してしまうとだめなのですけれども、例えば徘徊があるとかないとか、弄便があるとかないとかという形で出ていただいたほうが、むしろ処理がしやすかったりするのです。多分それは介護施設でもとれると思うのです。だから、そういう形のデータがあれば十分対応できるのではないかと考えております。

○鳥羽座長 いかがでしょうか。

 福井構成員。

○福井構成員 資料1-1と1-2について大きなところで確認させていただきたいのですが、前回までの御説明で資料1-1、1-2と前回で、状態、介入、イベントという3つの枠組みでこれから科学的裏付けに基づく介護というのを考えていくというようなことだったと思うのですけれども、イベントというのが、きょう、資料1-2の4で定義を「誤嚥性肺炎や褥瘡の発生等」ということで、その方にとってよくないことが問題として起こってしまうというところをイベントというふうに考えると、それを起こさない介入というのがどういうことで、その状態も含めてというふうになっていくと思うので、そこは介護サービスというのは悪いことを起こさないだけではなくて、その方の改善を目指して、自立とか尊厳を目指してというところのサービスであると思うので、この検討会の目的が一番悪いことを阻止というか、起こらないようにするための介入というのは何なのかというところにまずは焦点化して今年度はやりましょうという考え方であれば、イベントというのがその定義でいいと思ったのですけれども、そのあたりを少し改善とかも考え得るのかどうか。

○鳥羽座長 どうぞ。

○井口課長補佐 資料1-1の裏面のところにイベントについて「※」でお書きしておりますけれども、私の例示が余り多くなかったので少し誤解を生じてしまったようですけれども、これについては、悪いことが起こることだけをイベントと呼んでいるわけではございません。

 例えば利用者の健康状態の変化を反映するような出来事として自宅復帰というものを挙げておりまして、自宅復帰そのものは避けるべきイベントというよりも、むしろ目指す方が多いイベントでございますので、イベントそのものに避けるべき、避けるべきでないという色づけはしておりません。

 前者の利用者の健康状態に急激な変化を生じ得る出来事の部分ですと、やはり受傷とか罹患といったものが多くなってまいりますので、どちらかというと先ほどのハザードのようなものが出てくるかと思いますけれども、健康状態の変化を反映する出来事のほうについてはよいものも悪いものも含まれております。

○鳥羽座長 どうぞ。

○福井構成員 そうすると、いろいろ御議論が出ていて、要支援の方から要介護度5の方までたくさん自立を目指す方というのが幅広くいる中で、このイベントはいい変化も悪い変化も含めて変化の起こりやすい方に今年度は焦点を当てて、時間もないという状態でもあると思うので、焦点を絞ってというふうに私の頭の中で整理ができると、資料3の7つのハザードというところに、これが起こらないようにするにはというふうに考えていくのもすごくしっくりくるので、要支援の社会参加が主となるようなことを目指す方から要介護5で亡くなる寸前の方までというふうに全部やろうとすると頭がなかなか難しく整理できにくいので、この検討会はそういう考え方なのかなと思いながらお話を伺っていたのですが。

○鳥羽座長 どうぞ。

○井口課長補佐 まず、1つ目、イベントの部分でございますけれども、当初、介入と状態の変化というところで我々のほうは考えていたのですけれども、そこになかなか当てはまらないようなものがある。例えば転倒したといったときに、それが介入ではございませんし、状態でもないということですので、そういうのでイベントというものを1つカテゴリーとしてつくっております。

 ですので、イベントを避ける、もしくは、そういったイベントを起こすというところに主眼を置いているわけではございませんで、介入とイベントの頻度の関連であるとか、介入と状態の関連であるとか、そういった形でデータベースを用いた研究というのがデザインされていくのかなということを想定してつくってございます。

 それから、資料3の5ページの部分でございますけれども、先ほど7つのハザードというものが出てございまして、こちらはそれぞれイベントとして重要であるという認識は事務局も持ってございます。ただ、この資料の位置づけそのもので申しますと、この7つのハザードに注力して今後やっていくという目途の資料ではございませんで、あくまでデータ項目ver.2がどういった経緯で出てきたのかという御解説のものでございます。

 資料3のメインのポイントといたしましては、そういった形で出てきましたデータ項目ver.2が、ある程度たくさんあるアセスメント指標の間を仲立ちするような形で情報交換の一つのハブになり得るのではないかというものが最近の研究事業で出てきたというところにポイントがございます。

○鳥羽座長 よろしいでしょうか。

○福井構成員 はい。

○鳥羽座長 どうぞ。

○藤井構成員 今の事務局の説明で頭が整理されたというか、逆に混乱してきた面があるのですが、介入と状態、あるいは状態の変化があって、それに当てはまらないものがイベントであると、レジデュアルであるという御説明だったと思うのですが、一瞬すっきりしたのですが、そうすると資料1-7での今のハザードというもので、状態あるいは状態の変化ということで言うと、発熱、脱水、褥瘡、移動能力、認知機能というのは状態に分類できるのではないか。結局、レジデュアルであるイベントというのは転倒と誤嚥になってしまうのかなとか、ここの分類は再整理したほうがいいかなと。

 先ほど議論のあったBPSDは明らかに状態になったりしますし、状態に入らないものがあるということはわかったのですけれども、それから、直接働きかけていても防ぎにくい明らかな転倒、誤嚥、これはわかりやすいのですけれども、退院とかそういうものはどうするかとか、このあたりの概念整理が必要かなというふうに思いました。

○井口課長補佐 ざっくりとこの7つのハザードがイベントであるというような発言をいたしましたけれども、先生、御指摘のとおり、例えば褥瘡があるという状態については状態のお話でございますので、私の説明が不正確でございました。

○鳥羽座長 秋下構成員。

○秋下構成員 状態のデータというのは、その人の背景であり、例えば層別解析するときの情報になると思いますし、多変量解析するときの調整因子ということでもありますが、逆にその状態がアウトカムでもあるということになるのですよね。

 そうすると、例えば認知機能の悪化とか身体機能の低下みたいなものしかこのハザードに書いていないわけですが、状態の改善というのがあるわけで、そういうものは測定した数値とか、あるいはレベルでとっていますから、そのレベルが1個上がればということでいいのですね。

 福井構成員がおっしゃったのも、要するにイベントしか評価しないのかみたいな、多分そういう疑問かなと思うので、イベントで評価できるものはイベントで評価するし、状態像の変化で評価するものはそれでもすると、こういうふうに考えたほうがよろしいですかね。

○井口課長補佐 おっしゃるとおりでございます。

○鳥羽座長 よろしいでしょうか。

 もう一つ論点は、先ほど福井構成員から、介護予防の人と寝たきりの人でどこかフォーカスしなければというような話があったのですけれども、それは以前の先行研究では寝たきりプロセスで、施設の寝たきりプロセス予防と地域の寝たきりプロセス予防と両方同時にやったときに、確かに項目は異なってくるわけです。したがって、元気な高齢者でやる場合は落ちるほうのベクトルというか、マイナスのものばかりどれだけ起きるかというようなことが多いのですが、本当に寝たきりで体を動かせない人には、オートノミーというか、幸せな表情から始まって、情報のよくなるものしかないわけですね。中間の人は双方向がある。

 ですから、スケールの特性も踏まえて何を見るかというのは、その状態によってどちらかに動くかというのは、上の人は落ちるばかり、下の人は上がるばかりなのです。真ん中の人は双方向があるので、全部使えるというわけではないですが、使えるものと使えないものはある程度わかっていますので、そんなに心配はないのです。そんなに複雑なことはないです。それは全て機能評価の中で、どれがどこまで使えるかということは学問的に終わっている領域、だからそんなに心配する必要はないということです。

 どうぞ。

○田宮教授 イベントという言葉について確認をさせていただきたいと思って発言します。クオリティー・インディケーターとか質の評価指標の中でセンチネルイベントというのが使われていますが、これは、結構重大なアクシデント的なものです。またそれとは別にアウトカムのデルタといいますか、状態の変化もクオリティー・インディケーターにはなるわけですよね。多分、ここでのイベントというのはセンチネルイベント的な内容で使われているのかなと思いますので、そうであれば移動回数とかそういうのは状態のものであって、イベントではないと思います。転倒は入れてもいいかなと思いますけれども、あとは死亡とか入院とか大きいものをここには特化して入れてと思うのが一つです。

 また、入院についてもうちょっと情報があっても、現場から必要な情報なのでいいのかなということも思います。そこの区分けをはっきりさせたほうがいいかなと思いました。

○鳥羽座長 転帰ですね。転帰というやつをこのイベントの中に加えていくかという御議論ですが、どうでしょうか。

 大きく分けると、このイベントは老年症候群というものと生活機能評価の変化という2つの点でのイベントになっているわけですが、転帰というものが入っていない、概念として転帰のその3つを加えるかどうかという御議論です。複雑になり過ぎるかどうかということも含めて、どうでしょうか。

 どうぞ。

○伊藤構成員 転機ということで言うと、地域ケア会議等で細かく事例をほぐしていくと割と多く出てくるのが、本人の変化だけではなくて、主として支えている方の能力低下によって、がたっと悪くなるようなケースというのがかなり見受けられます。なので、転機といえば、例えば主介護者が、今まで見た例で言えば、結婚して家を離れてケアができなくなるとか、あるいは、入院してしまうとか、認知症になってしまうとか、あるいは、物すごくよく見てくれていた民生委員さんが引退してしまうみたいなのを機に物すごく本人の状態像が悪化するというような例も地域の事例ではすごく多く出てきています。

 そういう観点、利用者の健康状態に急激な変化を生じさせ得る出来事としては、地域では多く起きているような出来事もあるのかなと、そんなふうに思うのですが、そういうことは在宅の高齢者では起きるのですけれども、認知症施設であれば余りそういうことは勘案しなくていいという点はあると思うのですが、地域の高齢者の生活という意味では無視できない要因かなというふうに思います。

 以上です。

○鳥羽座長 武田構成員。

○武田構成員 先ほどの田宮教授の御意見について補足といいますか、確かに入院といってもさまざまな原因で入院があって、例えば心筋梗塞で入院したとか、脳卒中で入院したとかそういうこともあり得るわけで、入院の原因を詳細にしておかないと、それがケアに関連するものかどうかということはわからないわけで、転倒して骨折して入院したのか、誤嚥して肺炎で入院したのか、そこのあたりは非常に大事な部分ではないかと思いました。

○鳥羽座長 転帰の詳細についての御提案でしたが、そのほかはどうでしょうか。

 どうぞ。

○三上構成員 今、イベントの話になっていたときに、例えば震災とか何か住んでいる環境ががらりと変わるということで高齢者がうまく生活できなかったというところが、状態の変化が起きるときにイベントとしてそれがどうなのか。イベントが、医師の診断によるものがイベントになるのか、そういった環境の変化だけでイベントとなるのかというところの整理が少し必要なのかなと思って聞いておりました。

 以上です。

○鳥羽座長 いかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは、詳細な1項目ずつの詰めなどについてはまだ時間を要しますので、事務局のほうに具体的に近藤先生のものとか、今後出てきます介護支援専門員の中のものを見ていただきまして、落ちている点とかつけ加える点について事務局のほうに御意見をしてください。

 それでは、次に、「(主に介護支援専門員による)アセスメントについて」の中で、現状のアセスメント項目、今の議論の延長線上、それから、調査研究事業ではアセスメント様式の幾つかのものの紹介と採用率、それらを用いた場合のいろいろな項目の感度みたいなものとかがありますが、このおのおののものを用いたときの紹介のデータがございましたら、互換性やどのような形で現状のソフトを利用してアセスメントの情報を集めていったらいいかということが課題になってくると思いますが、何か御意見とかがございましたら、どうぞ。

 折茂オブザーバー。

○折茂オブザーバー ver.2のものは、見ると、個人因子が主体で環境因子がほとんど入っていないので、環境要因を別途追加しないといけないのかなと。個人因子については、ここで大まかにほかのところのアセスメントの互換性もあるようですので、そこのところを検討していただければと思います。

○鳥羽座長 ミニマムリクワイアメントとしてver.2というのは、まあまあそういうのは方向性としてはよろしいという前提でのお話ですね。

○折茂オブザーバー はい。

○鳥羽座長 これは事務局に確認したいのですけれども、ver.2というやつは既存のソフトを打つと、ここが自動的に打ち出せるようには将来可能なのですか。

○村松地域情報分析支援専門官 改定検証・研究の結果として、このアセスメントとこのver.2はこのように互換するのだというものを研究の結果、明らかにすることができたのであれば、変換は可能になるというふうに考えます。

○鳥羽座長 その結果はいかがでしょうか。今回いろいろ検討していただいた互換性についての。

○村松地域情報分析支援専門官 結果を見てみますれば、はっきり分かれている部分とそうでない部分もございますので、その辺についてはまだ今年度研究途中でございますので、引き続き検討委員会の中で御検討いただきたいというふうに考えております。

○鳥羽座長 図表の比較で「△」になっている部分は互換性がまだ可能性として不十分だという理解なのですか。そこまでは言えないのですか。

○村松地域情報分析支援専門官 8ページでお示しをしております平成27年度の調査結果の図表のことを御指摘いただいているのかと思いますが、こちらについては平成27年度の時点で項目ベース、選択肢のみを見て部分的に一致をしていてひもづけができるという判断を主に藤井構成員にしていただいたというふうに記憶しておりますが、項目だけを見て一部ひもづけが可能というのが「△」というふうになっております。「◎」のところは完全に一致をしているという扱いになっております。

○鳥羽座長 藤井構成員。

○藤井構成員 補足させていただきます。今ので間違いないのですが、いわば図表3はバリディティーといいますか、項目間を見て、ここは同じように評価できるであろうというのを、作業委員会を設けまして現場の方々の意見を聞きながら、これは恐らくきちんとひもづきそうだということをやりまして、10ページにあります図表6、7、8というのは、現にリライアビリティーを調べたという関係になっております。

○鳥羽座長 どうぞ。

○白石構成員 リハの中でも結構バーセルインデックスとかヘミとかがよく使われていて、それぞれ同じような項目で評価しているのですけれども、項目ごとに見てみると、やはりその項目でもちょっとずれが出てきていて、ただ、例えばトータルの予測式をつくると、ヘミとバーセルというのは九十何%ぐらい一致するようなことがありますので、なかなか項目で分けてしまうと一致してデータを分析していく中でこういうような違いが出てくるのかなという印象を受けました。

○鳥羽座長 いかがでしょうか。今後の方向性としても重要な論点かとは思うのですが。

 今回はver.2というか、統一したデータ項目、これはなるべくいいものをまとめるということはここの役目ですか。

○井口課長補佐 データ項目ver.2のブラッシュアップそのものについては、改定検証・研究のミッションでございます。

○鳥羽座長 だそうですが、いかがでしょうか。

 葛西顧問。

○葛西顧問 途中の議論の中であった言葉で私が印象に残っているのは、これは私もつくる側として常にそうなのですが、入力して現場の方が何に使えるのか、有用性がない限り入力の負担だけかかっていって、一体全体厚生労働省は何をしてくれようと言われるのは非常に心外というか、私もやってはいけないと思うのです。

 そのときに、なぜ還元がうまくいかないのかなということを考えると、科学的という言葉をつけたのが余りよくなかったかなとか、今、反省している面があるのですけれども、科学的には、いわゆる多変量とか回帰というのは、私も実は統計とかをやる身なので、統計をやる身からするとごく当たり前なのですけれども、介護の現場の人に突然多変量解析を要求するのは絶対にないわけですね。そうすると、最近ですと、例えば何かしゃべったり、現場で介護を受けている方の話し方が変わった、最初のころにその議論がありましたが、その音声を聞き取って、ロボットでも何でもいいのですよ、何か聞き取った結果、音声の変化を見て、この人はこういう要注意をしたほうがいいよというふうにAIが出すとか、そういう何らか明確な価値が現場に還元される必要は絶対にあると思うのです。これは専門的に言うと、いわゆる構造化データベースを使うことを中心とした議論をずっと続けていて、構造化データベースである限り、誰かが画面でデータを組み合わせて、もちろんこの中にたくさん専門の方がいらっしゃるので御存じだと思うのですけれども、データを解析して、誰かが翻訳をするということが必要になります。

 一方、最近の話題のAIとかは非構造化データベースを使っているわけですね。構造化データベースではなく、専門的にはKVSとかNoSQLと言われるものなのですけれども、いわゆる構造化データベースではなく、アルゴリズムがたくさん組み合わさって1個のサービスを提供するという仕組みを、そういうシステムづくりを考えないと、今、構造化データベースは、大きなドラム缶に何を入れるかばかり考えていて、還元の仕方の議論が欠けているなという気がしていて、何が現場に還元されるためにこのデータを取得するのかと考えたほうがより合理的ではないかなと思ったというだけです。

○鳥羽座長 近藤構成員。

○近藤構成員 それに関連してなのですけれども、ある程度の状態像を入れると、この人に何をやってあげると自立度が上がるか。オートノミーの部分でもいいのですけれども、というものができ上がれば、現場にとってすごいメリットになると思います。

○鳥羽座長 一番本質的なところですけれども、どうでしょうか。先ほど出していただいたハザードも、先行研究から寝たきりの危険因子であり、こういう発熱などは今後寝たきりのきっかけとなるときの一番多い観察項目であるわけですね。せん妄とか不穏というのが入っていないのも問題ですし、痛みも入っていないのは問題ですが、そういうような、これをなぜチェックするかというと、より悪化させないための重要な因子だから、ここに注意していれば悪くならないよというインセンティブはあると思うのですが、それに基づいてケアをやった場合に、本当によくなったかどうかを検証するフィードバックシステムでないと、現場の人も利用者も納得しないというところがありますので、最後のケアプランのほうに置いておく議論だと思ったのですが、そういうことは検証できますけれども、最終的なシステムはフィードバックして、アウトカム評価をしてよくなったかということを利用者、ケアに当たる人に返すということですね。そういうことでよろしいですかね。そこを目標にする。

 ただ、構造化のドラム缶のは本当に反省していまして、私もやはり限界はあると思うのです。AIのような形で複雑系の情報を処理してもらわないと無理だと思いますが、今回はそれに資するAIに対する教師のための。

○葛西顧問 いきなりつくることでは無理なので。

○鳥羽座長 教師の構造化の一歩手前を、完全オートメーションではない、その前の段階に資するものの枠組みをつくるというのでよろしいですか。そこまでしか私もお話しできないのですが。

 ほかにどうでしょうか。どうぞ。

○秋下構成員 ver.2を拝見していると、割と入れやすい、よくできているなというふうに思ったのですが、これは問2なので、問1や問3というのがわからないのですけれども、利用者の状態として、先ほど伊藤構成員からも指摘がありましたけれども、療養環境とか生活環境、介護者の問題とか、そういった情報というのは入るようになっているのでしょうか。

○鳥羽座長 それはここで議論して加えれば。

○秋下構成員 ですかね。なので、もし入っているとしたら、そういうのを見たいなと思ったのですけれども。

○鳥羽座長 これで全部ですよね。

○村松地域情報分析支援専門官 それ以外の情報としましては、入力者の情報ですとか、モニタリング時の要介護度とか要介護認定日とか、そういった情報、どちらかというと利用者の基本情報がここに含まれている以外の情報になります。環境因子については、ver.2については入っていないというところです。

○秋下構成員 そうすると、例えば入所系とか入居系のところであればこれでいいのかもしれないですけれども、やはり在宅の方なども含めてという話になるとしたら、環境因子というのは必須かなというふうに思いますので検討していただきたい。ここで検討するのですかね。

○鳥羽座長 環境因子は結構難しくて、冬の暖房、夏の冷房も入れるかとか、段差階段を入れるとかいろいろあるのですが、特に施設は比較的均一なのでいいのですけれども、在宅の場合のどこまで入れるかは、最大限のものを回して、皆さんのミニマムリクワイアメントを投票してもらうしかないですかね。エビデンスが非常に少ないので、もし入れるとしたら、そういう方法を経てやらざるを得ないですけれども、作業をしていただくことになると思います。

 海老原先生、環境要因について何かありますか。

○海老原構成員 おくれてきて申しわけありません。

 確かに環境要因は地域差もあるので、地域も考慮しなければいけないから一律にいくかどうかというのは結構難しい問題だと思いますし、地域だけではなくて、時代も関係してくると思うのです。だから、そういったものが普遍的なものをつくれるというのは結構難しいと思うので、相当な知恵が要るかなと思っています。

○鳥羽座長 ほかにどうでしょうか。

 では、そこは課題として、今後検討するということですが、ほかにいかがでしょうか。

 いろいろな団体から出ているやつの御苦労な比較があるのですが、この互換性について今後どういうやり方と展望を持っておられるのですかね。これはどうしたらいいのですかね。とりあえずこのまま。

 どうぞ。

○西嶋介護保険データ分析室長 この互換性については、今年度、改定検証の中で今まさに議論していただいています。

 基本的に我々、最初から御説明させていただいているように、現場の新たな負担が発生しない範囲でオールジャパンのデータを収集するにはどうすればいいかという命題に向かっているわけですね。その中で互換性というものを裏で、現場では今のアセスメントの既存仕様を使いながらも、ある程度オールジャパンのデータベースをつくるには互換性を持たせることでそういったデータを収集できないかというところの技術的な整理ということで互換性のところをやり、それがある程度クリアすれば、それをシステム上、次はどういう問題があるかというところを整理しという、方向性としてはそういう方向性だと思うので、そういう形でこの研究班の今の互換性の調査の内容を使っていく、研究内容を使っていく、そんなイメージです。

○鳥羽座長 いかがでしょうか。

 どうぞ。

○藤井構成員 この研究に一部かかわっているのですが、10ページを見ていただきますと、互換性の問題ですが、これは議論している途中ですので私の意見ということにはなるのですが、1つは、例示統計的なことがございまして、図表6が在宅のケアマネが主として使っているものでございまして、図表7が施設系が使っている。この介助の度合いを見ていただきますと、一部介助と全介助の割合等を見ますと、図表7は数とすれば特養が多くなっているのかなという感じかと思うのですけれども、これで、例えばセンシティビティーを計算しますと、左側が80%で右側が70%ぐらいになります。では、右側のほうが制度が悪いかというと、実は一部介助が右側は225人、左側は105人ということで全体の比率が低いがゆえにセンシティビティーの差が出ているということがございまして、こういうものを丁寧に見ていって、実際の制度というものがどうなっているかという分析が一点ございます。

 それから、もう一点は、今のと同じなのですが、要は、今の既存のアセスメントで一部介助に図表6も図表7も見ている部分が、左側のケアマネが主として使っている部分が非常に制度が悪い、右側は比較的いいということなのですけれども、左側で在宅のケアマネジャーが一部介助と見ているものが、自分で行っている、行っていないでは分かれている。それに対して、施設の職員が一部介助と見ているものが、行っている、行っていないで見ているものということが、施設の職員のほうがさまざまなケアをやりますので、行っていないという判断をしがちではないかとか、そういった互換における背景にあるものの評価の視点というものが見えてきておりまして、そうしますと、そもそも今使っていただいているアセスメントのあり方の問題なのか、それともver.2に入れていただくものの問題なのかという議論もあろうかと思いますので、そういったあたりを今年度に向けて検討しておりまして、これがうまくいくとかなり互換性のあるものにしていくことは可能なのではないかなと個人的には思っています。

○鳥羽座長 いかがでしょうか。

 どうぞ。

○白石構成員 ver.2のところなのですけれども、僕らリハビリテーションの立場からですと、例えばADLの状況で、「自分で行っていない」が「行っている」に変わると劇的な変化なのですね。なので、スクリーニングとしては非常にすぐれていて簡便でいいとは思うのですけれども、そういった意味では、近藤先生が御指摘のように、効果を見るとか、あるいは、悪化を見るとかというようなところではなかなか難しいなというような思いでした。

 以上です。

○鳥羽座長 どうぞ。

○近藤構成員 要するに、白石先生がおっしゃっているのは、狭い範囲での効果を見る場合はカテゴリーを細分化しないと反応性が得られないです。ただ、葛西さんがおっしゃるように、ブロードな範囲で見る場合はポジティブかネガティブで見るだけでかなりのことがわかるのです。だから、例えば施設なんかで使う場合のフィージビリティーを考えると、やっているかやっていないかでやってしまったほうがむしろやりやすいし、それから、全体像がつかみやすくなります。だから、そこは余りこだわらないほうがいいのではないかと考えています。

○鳥羽座長 データ利用の観点から見た、データ項目の細分化の特性についての議論ですが、どうでしょうか。

 確認したいのですが、ver.2の調査というのは、たくさん集めた場合に、今後どういうふうに使っていくような方向性があるのでしたか。

○村松地域情報分析支援専門官 座長の御質問は、このver.2を各施設から共通して集めるのかということですか。

○鳥羽座長 いわゆるソフトを利用する、しないは別としてですね。

○村松地域情報分析支援専門官 各アセスメント様式は既に現場でお使いになられているものがありまして、それは業務にひもづいているものもたくさんあろうかと思いますので、厚労省としてはこの様式に統一をするということは考えておりませんで、各アセスメントからこのver.2に読みかえるとか、そういったことでこのver.2を活用していってはどうかということを考えております。

○鳥羽座長 私、ちょっと理解が不十分かと思うのですが、このver.2は少なくとも介護の科学化についてのある程度ミニマムリクワイアメントの項目を設定しているものなので、統一はできないまでも互換性を高めていただいたり、あるいは、各ソフトが将来バージョンアップする場合にはより互換性を高めたり、ミニマムリクワイアメントが自動記入できるように改善していくように誘導するのかなというような邪推まで含めて考えていたのですが、それは座長の間違いですか。思い過ごしですか。

 どうぞ。

○西嶋介護保険データ分析室長 誘導しようという意図は余りございませんで、基本、アセスメント指標はアセスメント指標で現場で運用していただくというのが前提です。

 一方で、きょうの資料の12ページの「論点」の最後のところで、今、座長も少しおっしゃいましたけれども、やはりこういった互換性を持たせて一つのデータベースをつくって、できる、できないという選択肢がある中で、それぞれの事業所ベースでは難しいにしても、オールジャパンの大きいベースで見ると比較的変化もキャッチアップできると思いますので、そういったものの研究結果、こういうデータベースを活用して、このデータを活用していくのかというのはまた別の話で、これも議論していく必要はあるのかなと思っていますけれども、データの収集の話と活用の話とは両にらみでやっていくということだと思います。

○鳥羽座長 武田構成員。

○武田構成員 基本的な話で恐縮なのですけれども、ver.2と認定調査の項目とはどんな互換性があるかというのは、本当にオールジャパンでやっていますよね、それとどういう互換性があるのかないのかという検討はされていますか。

○鳥羽座長 介護認定調査ですね。

○武田構成員 ええ。

○鳥羽座長 どうぞ。

○藤井構成員 初期の段階から入っておりましたので、実は最初に認定調査項目を使う、使わないという議論がございまして、一番大きいのは認定調査項目は非常に長期スパンで、現場で必要がない限りやり直していないという問題がありまして、それから、見守りという項目について、これが実際のADLIADLをとる上では十分ではないのではないかという議論がございまして、特に全老健でR4とかをやっておられる中で、R4で使っている考え方をベースにしたものの項目をとるほうがより正確で科学的なものになるのではないか、あるいは、現場がとりやすいものになるのではないか、そういった前提で認定調査項目構成とは違う形で、項目というのは尺度構成といいますか、それを検討した経緯がございます。

 いずれにせよ、この研究そのものはここで議論していただいておりますように、そもそも負荷がどれぐらい現場にあるのかということと、さまざまな職種がいらっしゃるときに、果たして入力できるのか、できないのかといったような、かなりフィージビリティーに特化した形で検討を進めておりまして、ハザードが比較的きちんと予測できるということと、現にとっているいろいろなアセスメントとある程度互換性があるということで、このver.2というのはこういったテーブルに乗せられるのではないかという形で紹介がされているというふうに、この研究における委員は理解しておりまして、認定調査項目でいいのか悪いのかという議論は、こちらで再度していただく可能性はあるのだろうかと思っております。

○鳥羽座長 互換性というか、項目の一致性とか、それらのマスでこれを比較した研究はないということですか。

○藤井構成員 要介護認定ですか。

○鳥羽座長 はい。

○藤井構成員 ないです。

○鳥羽座長 よろしいですか。

○武田構成員 もし今ある項目でわかるのであれば、認定調査でも結構わかるのではないかという気がするのですけれども、どうでしょうか。ハザードが結構出るのではないかと思うのですけれども。

○鳥羽座長 利用しないともったいないということですね。

○武田構成員 せっかくオールジャパンのデータがあるので。

○鳥羽座長 いかがでしょうか。

○井口課長補佐 少し先のお話にはなりますが、この中で、例えばアセスメントの項目について新たなデータベースの中で収集させていただく、それから、それをver.2に自動変換するのか、あるいは、特定のアルゴリズムで書き直すのか、いずれにしろ互換性を持ったものにすると。

 一方で介護総合データベースの中でも要介護認定調査の結果というのはとっておりますので、そこを連結することによって、データベースができた暁には要介護認定調査でどういうふうな結果だった方が、居宅サービス計画ガイドライン方式ではこういうアセスメントになり、それについてデータ項目ver.2で変換するとこういった表現になるというサンセットが得られるという形にはなると思います。

○鳥羽座長 折茂オブザーバー。

○折茂オブザーバー ver.2は、見ておわかりのように、「行っている」と「行っていない」ということで明確になっていて、例えば要介護認定というのは、見守りとか一部介助とかという非常に観察者側の曖昧な要素が入っているわけですね。ですから、そこのところを排除して、例えばこれは御家庭の家族でも、うちのおばあちゃんは入浴を自分で行っている、行っていないというのがわかるわけでして、誰でもわかるという、そうすると介護の現場でどなたが見ても、専門職ではなくても判断ができるという指標でこれはつくってきているのだというふうにまず理解をしているところなのですけれども、ただ、これがこのままいいわけではなくて、例えば今話題のSNS、これからの世代はSNSが、今までやっていたのだけれどもできなくなってしまったとか、そういう項目も徐々につけ加えていきながら、それがSNSで社会とつながるとか電話でつながるとかという、そういう参加の概念みたいなところもしっかり加えていきながら、これはもうちょっと改定をまた別のところでやりながらバージョンアップしていくべきものなのだろうなというふうに思っております。

 それから、厚労省はなかなか言いづらいのだと思うのですけれども、基本的には一定のひな形はこんな感じですというのを示してもいいのではないかというふうに思います。皆さん、自分の好きなやつで勝手にやってくださいというと、独自様式ばかりでどんどんさまざまな独自様式が出てくると思いますので、ある程度のひな形はこんな感じを考えていますというものを提示したほうが混乱がなくなるのではないかなという気がします。

○鳥羽座長 いかがでしょうか。

 2点あって、要するに、新しく調査項目をふやすというのは、また介護現場はすごく負担になりますので、既存のデータで利用できるものは利用したほうがいいけれども、こちらのほうがいい面があれば、将来どうやって統一していくかという議論もまたしなければいけないということと、また、改善したもののひな形をなるべく公表して、この委員会だけではなくて、いろいろなもっと広い人の意見も聞けるようなという意見がございました。

 ほかによろしいでしょうか。

 海老原構成員。

○海老原構成員 おくれてきて、ちょっととんちんかんなことを言っていたら申しわけないですけれども、このver.2を見て、やはり介護のサービスを評価するときに、これから一番クリティカルなポイントになるのは、本当にターミナルのぎりぎりの部分だと思うのですね。例えばファースト分類の7をさらに細かく、というのは、その辺の入所者とかそういった方にリハビリをやることが本当に意味があることなのか、ないことなのか。例えばファーストの7だと笑顔がなくなるとか、「はい」としか言えないとか、そういう項目があるので、そういった本当のターミナルのところのサービスがどうなのかというのがこれからの非常に重要なテーマだなと思って、入所者の大多数を占めるのかもしれないですが、その人たちもずっと入所していくとターミナルになっていって、ターミナルのどの部分からどのような介入が必要なのかというのが私たちの本当に知りたいところだなと思って、もっとぎりぎりのところの評価があったらいいのかなと考えております。

○鳥羽座長 ありがとうございます。

 先ほど似たような議論がありまして、介護予防の人を重点に見るには、これは全部行っているということで丸になってしまうし、今、海老原構成員のように、本当の人については寝たきりのエンド・オブ・ライフの人については「いいえ」ばかりになってしまって、プラスのものが何も出てこないという、天井効果というか効果の問題があって、ちょうどこれは確かに施設で要介護2・3・4の辺をターゲットにしているのではないかという批判はなかなか免れないところがあるのです。

 2つの方法があって、広げてやる方法と、軽い人と重い人で、軽い人はこちら、重い人はこちらと別表をつけ加える方法とかアイデアはあると思いますが、今回全て議論できないと思いますので、その辺について皆様で何かいい知恵はございますか。余り複雑にならないように、なるべく統一したもので項目をふやさないようにしながらある程度見ていきたいとは思うのですけれども。

 どうぞ。

○藤井構成員 点でとりますと、最終ステージ、あるいは介護予防というのはかなり違うものを評価するという話になると思うのですが、リスポンシビリティーとアカウンタビリティーの関係で言いますと、利用者御本人にとってみれば、今、この時点でこういうサービスを受けたいという話があるのですが、社会とか制度としての介護保険制度とすれば、その方の生涯にわたってどれだけのコストをかけることによって、どれだけの仕組みになっているかということのほうがより重要になってくるのではないかと思うのです。

 何を言っているかというと、介護予防にどれぐらい力を入れると、最終ステージもどれぐらいハッピーでいられるのかといったようなデータが今後とれるという話ではないかと思っておりまして、どこを重視するかというよりは、現時点での考え方で言うと、例えば介護予防の部分と最終ステージの部分は特化していけばいいのではないか。それが生涯を通じてつなげていったときに、さらに今後ここを細かくするとかといった考え方をとったほうが、つまり、生涯にわたってといいますか、介護予防から最終ステージに至るまでというものを見渡しておく必要があるのかなというふうに思います。

○鳥羽座長 別表方式、例えば介護予防を上に10項目、エンドオブライフ・ケア10項目を加えて、そこは該当する人だけ書いてもらう方式というような御提案でしたが、いかがでしょうか。

 秋下構成員。

○秋下構成員 僕も賛成です。先ほども言いましたけれども、このver.2は、そういう意味ではコアな部分をしっかり押さえているように思います。

 逆に、例えば手段的ADLの項目が抜けているなとは思いましたが、それはそれで、ハイレベルな人にはそういうものが入ったものを別表でやるというようなスタイルのほうがふさわしいのかなというふうに理解しています。

○鳥羽座長 いかがでしょうか。

 では、大体そのような、上下に変化の多いところはこれでやりますけれども、軽いところとエンドオブライフ・ケアでは別の項目をある程度考えると。

○秋下構成員 もう一ついいでしょうか。

○鳥羽座長 どうぞ。

○秋下構成員 私はいつも主治医の意見書を書いておりますけれども、これと同じものを記入させていただけると大変ありがたいなというふうに思いました。

○鳥羽座長 意見書との互換性があるとうれしいという。

○藤井構成員 先ほどの小委員会で議論したときには、ケアマネジャーさんから毎月1回訪問に行くときに、これがチェックリストになって、これできちんとアセスメント、モニタリングしていたということの一つの書類として出せるといいのではないかという御意見もありまして、そういうツールにもなるという頭は必要なのではないかと思います。

○鳥羽座長 どうぞ、田宮教授。

○田宮教授 今日から参加なのでとんちんかんかもしれません。大きい話で言うと、科学的な介護を積み重ねていけるようにするための枠をつくるという意味では、先ほどの医師の意見書ですとか、要介護認定とか、ここでわかった問題点をいずれ改善していくような話も視野に入れておいたほうがいいのではないかなと思います。ここでどこまでかはわからないですけれども。

○鳥羽座長 ありがとうございます。

 それでは、よろしいですか。

 最後のことですが、「介護サービス計画(ケアプラン)について」、ケアプランの作成が、現状どの程度科学的なエビデンスに基づいてなされているかどうか。そうでないとすると、本日まで行われてきた評価などをどうやって生かして、しかも今までの既存の介入エビデンスを生かしてケアプランを立てていくかというところがフィードバック、アウトカム評価に関する一番重要な点だと思うのですけれども、現状はどうなのでしょうか、ケアプランの策定といったものはどの程度科学的な根拠に基づいて行われているのでしょうか。どなたかその辺のところを詳しい方に御紹介いただければと思います。

 今回の検討会で短期的に、あるいは中期的にどういうことを考えていったらいいかについても御発言いただければと思います。

 折茂オブザーバー。

○折茂オブザーバー 適切な発言かどうかわからないのですけれども、まずはきちんとしたアセスメントがあるということが前提で、当たり前のことですけれども、カンファレンスでしっかり多職種で議論してケアプランを立てるか。要するに、介護の世界にはエビデンスが多くはないので、しっかり現状を見て、利用者さんの願い、思いをしっかり受けとめて、アセスメントの中からどんなプランを導き出すか。我田引水的なケアプランではなく、やはり総合的に見て、自立に資するケアカンファレンスを行ってやるという、そのプロセスがちゃんとできているかできていないかがとても重要で、人間が考えることですから間違えはあると思うのです。間違えはあるけれども、そこをしっかり議論して、みんなでやるというところがいいケアプランの大前提というか、当たり前の発言でしたけれども、よろしくお願いします。

○鳥羽座長 いかがでしょうか。

 どうぞ、田宮先生。

○田宮教授 今の折茂先生と同じですけれども、アセスメントをきちんとするということをまず確認することが大事と思います、実は、私はケアマネの1回生なのですが、そのときに研修の中でアセスメント方式をみんなが習って、その中からMDSとか問題領域の選定の方法まで習って、それに基づいてケアプランをつくりなさいという授業をみんなが受けているのです。あのときにすごいすばらしいと思いました。、医療と介護のケアプランをアセスメントからこうやって導くという方式を教育しているわけですね。どの程度できているのかはまだ疑問ではありますが、あの方向性をきちんとすることは大切だと思います。ただ、多分無理があったからできていない部分もあって、MDSとかは難し過ぎたりというのがあるのですね。

 だから、そこもここで議論して、どういうアセスメントを現場でやって、それに基づいてどういう見方をしてプランを立てたらいいのかみたいなところも議論して、スタンダーダイズできればいいと思います。

○鳥羽座長 いかがでしょうか。

 どうぞ。

○瀬戸オブザーバー(小泉代理) 今、お二人の先生が言われましたように、カンファレンス、アセスメントは当然重視しますけれども、アセスメントの中でもライフスタイルヒストリー、過去の生い立ちですとか、どんな生活をしてこられたか、うちではそのようなことを一番大切にして、この方にどういうふうな介護をしたらいいのかということを一番に考えています。そのほうが本人も一番喜ばれますし、家族の意向も含めて、リハビリとかそういったものでないところで考えてやっています。

○鳥羽座長 いかがでしょうか。

 どうぞ。

○伊藤構成員 いろいろなケアマネジャーさんの介護計画を見る立場なのですけれども、例えば、今、おっしゃったような生活歴の記載がほとんどない、1行でどこどこ出身みたいな記載ばかりであったり、あるいは、アセスメント、イコール、情報を収集するところで終わってしまっていて、それをどう生かしてケアにつなげるか。つまり、根拠の提示の部分が非常に見えない、プランとして見えてきていないというケースはすごく多いように思います。

 細かく聞いていくと、ケアマネジャーさんの中にはどうもあるのですけれども、それをプランとして表現するときに書けないでいるというようなところは非常に多く感じていて、そうなると根拠を求められたときに、それを提示できないでいるというのがかなり多いのではないか、そんなふうに思っております。

 以上です。

○鳥羽座長 ほかにどうでしょうか。

 折茂オブザーバー。

○折茂オブザーバー 生活歴が大切だというのはとてもそのとおりだと思うのですけれども、もっと大切なのはこれから何をしたいかという、例えば高齢者で100歳だろうと何かしたい願い、思いがあるわけですから、また、認知症がある方の何か心の奥底の願い、思い、こうしたい、こうなりたいという、そこのところをプランに生かしていく。その前提として生活歴をしっかり見ていくというところが大切だというふうに思っています。

○鳥羽座長 ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ。

○三上構成員 リハビリテーション専門職という立場で言うと、これまで連携、例えば入院から退院される方、居宅の生活をしている方について、どうリハビリテーション専門職種と介護支援専門員が連携するという立場でいろいろと申し送りをしたり、一緒に会議をしたりということをやっていく中でいつも感じているところが、ケアプランの中で言うと居宅サービス計画書ということなので、介護保険を使ってどうやるかしか書かれないのですよね。御家族とか友人と遊びに行くところまでが書かれていないという、そこを支援していることもたくさんリハビリテーション専門職という介入の方法であると思うのですけれども、なかなか介護保険の中でどうするかしか書かれていない、先ほど議論のあった個人因子、環境因子をどういうふうに、介護保険外を使ってどうするかまでもどこかに何か書かれるようなことがなければ、全体のデータベースという情報をとらえるとしては、今の居宅サービス計画書には足りないところなのではないかなと思っていつも感じているところです。

 以上です。

○鳥羽座長 どうぞ。

○藤井構成員 三上構成員のおっしゃることは現実としてそのとおりだとは思うのですが、実際には今のケアプランにはそういうことを記載できるようになっておりますし、また、記載せよという教育はかなりしっかりやっているはずなのですけれども、では、現実でなかなか難しいのはなぜかというと、これは特に在宅のケアプランに関して言いますと、かなり御家族の意向というものを最初の時点でしっかり聞かざるを得ない、あるいは、このサービスを使いたいのだというふうに来られる方が多いわけでして、本来はそこからアセスメントに基づいた御本人が望まれる、御本人の尊厳を支援するようなプランをつくっていくかというふうなものをだんだん変えていければいいのですけれども、なかなかそこが難しくて、ケアプランだけを見ますと、いわゆる御用聞きケアプランみたいなものになってしまっているという現状がございます。

 科学的ということで言いますと、田宮教授がおっしゃったように、MDSとかですとアセスメントに基づいて問題領域を設定されて、それがケアプランの中でどう反映するかというのにひもづいたものがございますが、実際にはアセスメント方式で言うと、MDSと一部のものでございまして、アセスメントした結果をどうケアプランに反映するかというものの方式が決まっていないものがある。ある程度科学的な判断をしているものについても、そこのひもづけが弱いという現状がございます。

 これは、厚労省がいろいろなアセスメントの方式を認めるというところから始まったように思っておりますけれども、それが1点と、もう一つは、御本人がどういう生活を送りたいか、どういった生活歴をお持ちの方だから、こういうふうな考え方や行動をされるのではないか、BPSDがこういうふうに出るのではないか。この部分は、恐らく狭い意味の科学では非常に難しくて、ここで多職種という話になってきますのが、MDSみたいな形式知になっているものはある程度できている。ところが、みんなで議論する中で、例えば介護職の専門性、医師の専門性という、ケア会議とかそういうものをやっているところを見ますと、必ずしも医療職、看護職が医療の視点だけで見ている、介護職が生活の視点だけで見ているというわけではなくて、むしろ逆のこともあったりします。

 つまり、そこでいろいろな議論をされることによって、ある程度暗黙知みたいなものが共有化されていって、では、こういうプランがいいのではないかということができ上がっているというのが通称「いいプラン」と言われているものでありまして、それを科学的にどうしていくかという話があるかと思います。それが1点。

 もう一つは、冒頭に申し上げましたけれども、在宅の場合には、やはり御家族、あるいは御本人が、このサービスを使いたい、あるいはこうしてくれというニーズからスタートすることが非常に多くございます。そうすると、なかなかケアマネジャーも、いやいや、そうはいってもみたいな話を最初から言いにくいと。御本人が家族に迷惑かけたくないから私は施設にさっさと入りたいのだとおっしゃっているのを、ちょっとお待ちくださいみたいな話を、そのプロセスを通じて、関係性を通じてやっていくみたいなものがありまして、どうしても科学的かと言われると非科学的な部分があり、なかなかそれに取り組めていないケアマネジャー、ケアプランがあるという現実ではないかと思います。

○鳥羽座長 ほかにいかがでしょうか。

 どうぞ。

○八木構成員 現在、ケアマネジャーさんたちが作成されているケアプランに関して、今、藤井先生が言われたように、その人のニーズに対してケアプランというのはAさんもBさんもCさんも違うはずではあるのですけれども、どうしても現状としては、ニーズに対してはこういうケアプランを立てるみたいな形での方程式みたいなものができているような状況があって、一人一人の思いとかニーズに対してなかなかベストな状況が整っていないというのを聞くことも多いですので、科学的な根拠を設定する中でそれが全部マニュアルになっていくというのが一番恐ろしいところだなと思いますので、本人さんの意向というところもきちんと加味したような形での今後のケアプランにどういうふうに乗せていくのかということを考えていく必要があるのではないかと思っております。

○鳥羽座長 ほかにいかがでしょうか。

 ケアプランのフィードバックというか、例えばこういう介護をしたら、ケアプランを立てたらここがよくなったということは、現状はどうやってフィードバックされているのですか。うまくいったとか、だめだったとか。

○藤井構成員 改定検証委員会でケアマネの調査を幾つかやらせていただいているので申し上げますが、今、それが図られていないというふうに言ったほうが正確だろうと思います。もちろん、そういうことを目指してプランをつくりましょうということになっていますし、実際にそうやられているケアマネジャーもケアプランも多いことは間違いないですが、こういった項目で維持や改善を見ていこうというものが明確にあるわけではございませんので、一人一人の成功とか、うまくいった、うまくいかなかったというのは、ケアマネジャーさん一人一人によってもかなり違うという現実がございます。

 ちょっと補足ですけれども、先ほど暗黙知云々と申し上げましたのは、今後、AI等を使えばケアプランを、そういうAIをもとにいいケアプランという発想はあると思うのですが、今、ディープラーニングをどこでするかといった場合、きちんと多職種で行われているケアマネジメントのものをディープラーニングしていくという考え方はないことはないかなと。そして、今、先生がおっしゃっているようなアウトカムみたいなもの、そことひもづけたものさえあればAIに乗っていって、いいケアプランとは何であって、AIである程度代替できる部分、あるいは補完できる部分という話になると思うのですが、何せまずアウトカム的なものが明確に意識されていなかったり、あるいは明示されていない。それから、きちんと多職種によるケアプランをつくったり、そういったものがなかなかなされていないということですので、人工知能云々も今の段階では使っても余り意味がない、そういった状況だろうと思います。

○鳥羽座長 ありがとうございます。

 科学的介護の検討会の中の一丁目一番地は、いい介護ができて、よくなって喜ばれるというところが科学的介護の一丁目一番地の到達点なので、アウトカム評価がなかなかなされていない現状では、ここには相当、今回だけでは無理ですけれども、そこを厳しく、どうやって検証するための評価システムになるかとか、簡単でもアウトカムがしっかりわかるようにするにはどうしたらいいか、そのインセンティブはどうするか、そういう方向に向かっていかないと、この検討会には国民が納得しないと思います。

 折茂オブザーバー。

○折茂オブザーバー そのとおりだと思うのですけれども、例えば今、我々全老健では、R4の中のICFステージングというものでADLを見える化して、レーダーチャートで評価するという、これをやっています。そうすると、全てがよくなるというのはなかなか難しいのですけれども、例えば歩行能力、移動能力がよくなったとか、参加の視点がよくなったとかというのをレーダーチャートでよくなったところと悪くなったところをきちんととらえて、それで施設でのケアプランを再評価して見直すということはやっています。

 それは一つの我々老健がつくったICFステージングというものの評価なのですけれども、あともう一個は、アウトカム評価で在宅復帰だけではなく、例えばいい看取りにつなげられたとか、そうしたこともアウトカム評価で、ケアプランで満足度も調査してやったりしておりますので、そういう面ではアウトカムと実際のADLの評価という、だから、先ほども言ったように、アセスメントがしっかりできて、評価してよくなったか、悪くなったかを見るということがケアプランのよしあしという、あと、ケアのよしあし、場合によってはケアプランがあっても全然関係ないケアをやっているということもありますので、ですから、その辺のところをしっかり前後で評価するという軸が大切なのだろうというふうに我々は思っております。

○鳥羽座長 前後で評価することがアウトカム評価になるというような御指摘でしたけれども、いかがでしょうか。

 どうぞ。

○井口課長補佐 今までの御議論にありますように、例えばどんなケアプランを作成して、その前提としてどんなアセスメントがあって、どんなケアプランがあって、その結果、どうなったのかといったデータをこのデータベースで集めていくことは可能だと思います。それを用いて研究していただいて、全てのオーバーオールの評価というのはなかなか難しくても、この能力が落ちている方について、こういったケアプランを組めば、一般論としてはよくなることが多いですというような知見を積み重ねていくことによって、ケアマネさんの業務をサポートするようなものというのはつくっていけるのかなと思っております。

 前回の1-1の資料に研究の流れというものをお書きしましたけれども、そういったことをイメージしております。もちろん個別性はございますので、ラスト1マイルまでは一般論で行っても、最後の1マイルについてはケアマネさんのアセスメントと多職種による評価、御本人の希望をお伺いしながら調整していくということが必要になってくると思います。

 ですので、今、お話しされているものの中で、データベースを使ってそういったことができていくだろうと思います。そして、論点の中の第2点で挙げておりますものは、そういったときに、原則としては既に電子化されている情報を使っていきたいと思っておりますけれども、そういった分析をするときに、これだけはないと、この情報だけはないと研究の結果が正確性という意味で大きく違ってしまうというものがあれば御提案をいただけないかと事務局としては思っております。

○鳥羽座長 近藤構成員。

○近藤構成員 アウトカムに関しましては、特定のある程度ターゲットを絞って、そのターゲットがどのぐらいできたか、いわゆる遂行度と、できなかったとしてもターゲットを選んだことによって気持ちが変わったとかという満足度の部分を入れるべきだと考えます。そうしないと本当にそれがいいケアプランだったかどうかがわからないのではないかと思います。

○鳥羽座長 いかがでしょうか。

 どうぞ。

○伊藤構成員 ケアプランの評価に当たるような部分を、今、地域ケア会議のケアマネジメント支援という部分でやっていまして、そのケースに直接かかわってこられた各職種も入るのですけれども、それを支援する形で主任ケアマネジャーやリハビリのスタッフや地域のドクターや民生委員さんのような方も入っていただいて、もう一度どういう結果が得られてきているのかを検証し直すような試みはやってきております。

 場合によっては、いわゆる問題事例と言われてしまうものが出てくることが多いのですけれども、あえてうまくいったケースを挙げてくださいという依頼をして、成功の法則のようなものを共有しようではないかというような形で、うまくいったケースを共有するというような試みも地域ケア会議の中で行ってきている面があります。

 非常に地域性も強くて、例えば都市部にある24時間型のサービスが地方都市には採算が合わなくて存在しないということもあったりするので、かなり地域的な違いがあると思いますので、各地域ごとにそういう実践事例をきちんと検証・評価するようなことをして、そこからピックアップして、最後の1マイルの部分に当たると思いますが、そういうケースを少し収集していただくと役に立っていくのではないかというふうに思います。

 以上です。

○鳥羽座長 どうぞ。

○田宮教授 私も地域ケア会議のことを申し上げようと思ったのですけれども、あれは全国でやらなければいけなくなり、どんどんやっていますけれども、やり方もまだまだ手探り状態です。筑波では、ずっと何十年と似たようなことをやってきているのですが、3か月たったら振り返ろうと決めたのです。問題点がどういうもので、振り返って何があったからこれが解決できたというのをデータベース化しようとしています。まだファイナルにはなっていないのですけれども、今、ミクロレベルではそういうことを全国でみんながやっているわけですから、積み上げられるようなフォーマットをこういうところでつくるというのも一つかなと思いました。

 一方、マクロの点で言いますと、やはりアウトカムをどう設定するか、満足度も非常に重要ですし、要介護の推移とか入院とかドラスチックなアウトカムはきちんとバリデーションをもって捉えるべきだと思います。先ほどの要介護認定の見直しのところも含めて、検討すべきと思います。それから、それに関連して、介護レセと医療レセを突合して分析するとやれることはたくさん出てきます。入院という情報にしても、どういうことを入院でやったのか、どうして入院になってまた戻ってこれたのかとか、そういうことも含めて把握できます。もっと大きな話になると思いますけれども、医療と介護のレセを国レベルで突合できるようにしていただければ現状で乗り越えられる課題がいっぱいあると思います。ミクロとマクロの視点から申し上げました。

○鳥羽座長 どうぞ、福井構成員。

○福井構成員 私もケアマネジャーさんの研究事業にここ数年携わらせていただいている中で議論になっていることとしては、介護サービス計画(ケアプラン)の質というのが、ケアマネさんが立てる、すばらしいケアマネさんとそうでないケアマネさんという、今、すごく質の差があるというのが課題になっていると思うので、御発言があったような、地域ケア会議でもまれて、ある程度多職種が見ていいケアプランがつくられているとか、補足する情報にはチームを組んだ多職種なり、先ほど出た、御本人、御家族の満足度を入れるなりという第三者的な評価、もしくは質がある程度客観的に見て担保できているケアプランのデータが国として推奨例という形で引き出していけないと、全体の既存データからそういうものをAIなんかでやってもらったりすると、そもそも質が物すごくばらついているので、いいものも悪いものも全部一緒になってしまってという懸念があるのかなというふうに思いながら伺っておりました。

○鳥羽座長 いかがでしょうか。

 どうぞ。

○藤井構成員 これはデータを集めるコストと、すぐこういう因果関係があるのだというのはトレードオフにあると思うのですが、第2表の「生活全般の解決すべき課題」と「長期目標」「短期目標」というのを必ず立てるようになっておりまして、どのようなアセスメントがされて、どう目標が立てられたかという部分のブラックボックスですので、目標だけとってどうなのかなという懸念はあるのですが、ただ、さまざまな情報があって、それに対してこのような目標のリストがあって、この目標の立て方とかリストがどうなのかという検証をしていったり、あるいは、その目標が達成されたのかどうなのかというのは、それで確実にこういうことが言えると思いますというのはないのですが、ここをとらえるのが一つのキーになるのではないか。

 そして、先ほどのお話ですと、これはほぼ電子化しているということであれば、それを取り込むソフトさえあれば入りやすいということで、コストが余りかからないのであればこれをとっていただいてはどうかと思います。

○鳥羽座長 どうぞ。

○折茂オブザーバー 今、データ収集の話が幾つか出ているかと思うのですけれども、例えば、今、VISIT100事業所ぐらい集めていて、電算化されていますからとおっしゃいますけれども、あれはまた自分の施設のソフトのやつがそのまま変換できずに再手入力しないとVISITで集められないわけですね。ですから、前回、前々回にもあったように、介護の現場でさらに手間がふえるというと、恐らく難しくなってくると思いますし、CHASEでどういう情報をどういう方法で集められるのか、そこをもうちょっとオートマチックにできる、例えば自施設の、うちなんかもさまざまなデータを電子化しているけれども、それが外部とつながってはいけないという、電子カルテというのはどこもそうですよね、外部とつながれない環境になるわけですから、そこをちゃんとクリアしてやってもらわないと、データを集めますと、いかにも電算化していれば簡単だとおっしゃるけれども、とても簡単ではないという現場の声がありますので、ぜひそこのところは集め方をしっかりしていただければと思います。

○鳥羽座長 武田構成員。

○武田構成員 藤井構成員の言うことに全面的に賛成で、何のためにそのプランが立てられているかということが明確になって、できれば労力の問題もありますけれども、それが達成されているか、達成されていないのかということが、自己評価なり他者評価なりがあるということが最も重要なことではないかと思います。

○鳥羽座長 どうぞ。

○三上構成員 データの収集の方法という形で、サービス担当者会議と地域ケア会議、いわゆるリハビリテーションマネジメント2のときには、生活行為向上リハビリテーション実施加算はとても単価の高い加算になっております。ただ、あれをとるためには相当な計画を立てないといけないということになりますよね。その計画を立てるためには、会議で医師も含めて多職種も含めて会議をした中でやっていくということになりますので、やはりそのデータをどこで一度収集するか、入力をするかということに関して、もしかしたら、既存のサービス担当者会議、リハビリテーションマネジメントの会議、地域ケア会議でよい事例を集めるのか、うまくできなかった事例になるのかはわからないですけれども、一つは会議の場でデータを収集してしまうというのも一つなのではないかと思って聞いておりました。

 以上です。

○鳥羽座長 よろしいでしょうか。ケアプランの評価についてはなかなか確たるものがないのですが、いろいろこうしていったらどうかというものが出ました。きょう成案を得るのは無理なので、評価の方法、客観的な方法、自己基準、地域ケア会議におけるフィードバック、恐らくそういうのは教育の問題とか情報収集の問題とか多くの問題が出ました。これは懸案事項として、今回の期間にできるかどうかも含めて検討していきたいと思います。

 それでは、資料5「その他の検討を要する各論テーマ等について」、事務局のほうからお願いします。

○井口課長補佐 資料5をごらんください。

 こちらは、前回の資料1-4をお示ししてございますけれども、第2回「科学的裏付けに基づく介護に係る検討会」で、各論のテーマ及び検討の順序の整理をさせていただいております。本日が第3回、11月めどということでリハビリテーション、主に介護支援専門員によるアセスメント、ケアプランというものを御議論いただきました。第4回ですけれども、認知症とその他検討を要する各論テーマ等ということで挙げております。

 その他検討を要する各論テーマ等ということで、第5回が既に中間取りまとめというとこで初期仕様についての案をお示しして御議論いただくという形になりますので、それまでに追加で各論で御議論いただくべきテーマについて、今回御提案をいただきまして、それについて第4回の認知症の議論の前か後かは調整していただきますけれども、そのときに御議論いただくということを考えております。

 この各論テーマは、御指摘いただいたときに、第3回と第4回の間に検討用の資料を、できれば御提案いただいた構成員の先生が中心となって御用意いただくということを考えてございます。

 論点として、その他検討を要する各論テーマとしてはどのようなものがあるか。それから、事務局として一つ問題意識を持ってございますのが、特にこれまでの議論の経緯を踏まえて、リハビリテーション以外の介入の情報、例えばデイサービスにおける身体介護であるとか、ホームヘルプによる生活援助であるとかいったところについて、介入としては存在しますけれども、今のところ御議論いただいていない部分でございますので、そこの部分についてどのように考えるか。特に介入の情報については手薄というのを今回の最初の資料でもお示ししてございますので、リハビリテーション以外の介入の情報を御議論いただくということについて、どのようにお考えになるかというところを論点として挙げてございます。

 以上です。

○鳥羽座長 それでは、本日はたたき台としてリハビリテーションの視点から議論いただきましたが、4回目には認知症という視点から議論いただきますが、そのほか大きな切り口として何かございましたら御提案いただければと思うのですが、いかがでしょうか。

 提案した方が資料を用意するというような高いハードルを設定された上、急に発言がなくなったようですけれども。

 どうぞ。

○葛西顧問 これは厚労省の立場での私が資料を用意するということではないのですけれども、きょうの非常に興味があるのは、評価のところはいま一度すごく興味があるのです。というのは、これは余り要望的におまとめいただくと困ってしまうのですけれども、誰がまず評価をすべきかとか、特に私自身が課題として悩んでいるのは、今、システムもそうなのですけれども、全体的に地域ごとに多職種連携をするというモデルと、途中で御議論の中にも多々ありましたけれども、ナショナルサービスとしての、日本全土としての質の確保というのは、当然地域ごとに差が出てきてしまう可能性もあります。一方で、地域ごとにケアを行われるほうは当然手厚くなるであろうというところの差をどうやって埋めるかというところは、一つ質の評価の課題というのはすごく興味があって、資料を用意してくれということではなく、何か御意見があったらぜひいただきたいなというのが1点目です。

 それと、一方で、本日途中にもあったのですけれども、これはもともと自立支援というテーマでもやってきているのですけれども、自立以外にも1回目からずっと共通しているので、私は1回目のときに家族という話をしたのですが、きょうは満足度という話もありました。誰がそういった、自立というのはある程度科学的に出そうな、きょうのver.2みたいに、できないということがはっきりしていれば、できるようになれば自立に近づくだろうと言えるのですが、満足度あたりはどうなのだろうかというところの評価のあり方とか、当然ですけれども、皆様主体的に誰か第三者が評価することについての評価といっても、ケアプランそのものがいいのか悪いのかという評価をしてほしいわけではないでしょうみたいな点、この評価あたりというのは最終的に現場で皆様がケアをやられるときとか介護をやられるときにどういうフィードバックをすることが一番重要かという目的につながっているような気がするので、このあたりは御議論をもうちょっと深める必要があると思います。

 あと、途中でもありましたけれども、データの収集のところはもともと初回からずっと話題で出ておりまして、きょうも負担なくデータの収集をすべきだという、この総論は僕も全く同じ意見なのですが、負担ないデータの収集の具体的なあり方というのは、要望ベースでもいいと思いますが、どういった形であれば受け入れるかというあたりは御議論いただいておいたほうがいいのではないかという、レセプトと一緒に出すのがいいのか、個別にシステムに入力するほうがいいのか、現存するシステムを回収したほうがいいのかみたいなところをもう少し深掘りしたいなという気はしております。ここで私からの問題提起的な部分も含めてです。

○鳥羽座長 では、次回の議論は、切り口としては余り新しい御提案がないので認知症はやると。葛西顧問から、評価系について誰がするかということを具体的な、例えば近藤先生の評価のやつで、こういう人がやるべきだけれども、こういう人でもいいというような一覧を示すようなこと、それから、データ収集に対する要望について次回までに考えてきていただいて、どういうデータ収集はどうやって、既存のものはどうして、これは回収が必要とか、この程度のデータであれば現存の職員・スタッフで改善でいけるとか、そういうような分けた形で頭を整理してきていただくということでよろしいでしょうか。

 ほかによろしいですか。

 事務局、これでよろしいですか。

 それでは、ありがとうございました。

 次回、認知症は武田先生にお願いしてよろしいですか。

○武田構成員 出席できないのです。

○鳥羽座長 資料準備。

○武田構成員 資料は相談します。

○鳥羽座長 よろしくお願いします。先生がしないと私がつくることになる。

○武田構成員 相談させてください。

○鳥羽座長 どうもありがとうございました。

 


(了)

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