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2017年10月26日 第2回科学的裏付けに基づく介護に係る検討会議事録

老健局老人保健課

○日時

平成29年10月26日(木)
17:00~19:00


○場所

航空会館701会議室


○議題

1.今後のエビデンスの蓄積に向けて収集すべき情報について
 ・検討の前提となる情報、検討の方針及び枠組み
 ・栄養について

○議事

○井口課長補佐 定刻となりましたので、ただいまから第2回「科学的裏付けに基づく介護に係る検討会」を開会いたします。

 皆様方におかれましては、お忙しい中御出席をいただきましてまことにありがとうございます。

 開会に際しまして、鈴木医務技監から御挨拶を申し上げる予定でございましたが、到着がおくれておりますので、到着し次第、御挨拶をさせていただきたく存じます。

 冒頭のカメラ撮りですが、ここまでとさせていただきたく存じますので、報道関係者の皆様、よろしくお願いいたします。

 なお、検討会終了後、19時めどでこの第701702会議室におきまして記者ブリーフィングの機会を設けておりますので、御希望の報道関係者の方は引き続きよろしくお願いいたします。

○井口課長補佐 次に、本検討会の構成員の方の御紹介でございます。

 まず、座長の国立長寿医療研究センター理事長の鳥羽研二構成員でございます。

○鳥羽座長 鳥羽でございます。よろしくお願いします。

○井口課長補佐 ほかの構成員の皆様については、前回御説明が終わっております。

 また、事務局の出席者については配付させていただきます座席表に記載のとおりでございますので、個々の御紹介は省かせていただきます。

 では、議事に入る前に資料の確認をさせていただきます。

 資料ですけれども、お手元の資料1-1とあるものから1-4とあるものまで、また資料2とありますもの、そして参考資料ですけれども、1-1、1-2、そして参考資料2でございます。

 もしお手元に不足の資料等がございましたら、事務局のほうまでお申しつけください。

 では、これより議事に入らせていただきます。これより先は、鳥羽座長に議事進行をお願い申し上げます。

○鳥羽座長 それでは、進めていきたいと思います。

 議事に入る前に、前回の発言録などは皆さんお読みいただいていると思うんですけれども、今回の資料が出てくるまでの経緯についてごく簡単に説明しておかないと、本日出てきた資料の内容がわからないと思います。

 前回は、要介護者の介護の科学化について全体像の評価と個別化の評価について意見をいただきました。全体像の評価をどうするかという問題と、状態像としての個別化の問題として栄養に関係する誤嚥について海老原先生に、転倒について私から、またリハビリの介入の資料を出させていただきました。

 そこで出てきた主要な意見は、全体像をどう評価して一定のスケールをもって評価していったほうがいいという意見と同時に、介護、要介護者は個別性が非常に強いので、個別性は一定の評価だけでは救い切れないのではないかという意見がございました。

 しかしながら、一定の評価をしていくに当たって、より新しい評価基準やビッグデータなどを用いて評価していったらどうかという意見がありまして、本日の第2回目の検討におきまして、既存のデータベースなどを用いてどのようなところまでわかるかというような検討に移ったという状態でございます。

 以上の経緯を踏まえまして、今回の資料につきまして事務局のほうから御説明いただきたいと思います。お願いいたします。

○井口課長補佐 そうしましたら、議題の2、「今後のエビデンスの蓄積に向けて収集すべき情報」についてのうち、1つ目の「●」であります「検討の前提となる情報、検討の方針及び枠組み」について御説明を申し上げます。

 まず右上、資料1-1とある資料をごらんくださいませ。前回の検討会でも申し上げましたとおり、今回からの御議論については介護領域でデータ収集をすることによって介護領域におけるエビデンス構築に役立てていこうという構想についての御議論をいただきたいと思っておりますけれども、そもそもなぜデータ収集をしてデータベースを構築するとエビデンスの構築に役立つのかということについて整理をさせていただいたのが資料1-1でございます。

 まず、左の上に「医療・健診等における状態、介入、イベントデータ」、または「介護領域における状態、介入、イベントデータ」とございます。それで、これらが連結されております。

 後から出てまいりますけれども、この状態というのは例えば体重であったり、血圧であったり、ADLの評価であったりというものを御想像いただければよいかと思います。

 介入というのは少し硬い言葉でございますけれども、例えば栄養指導をしたり、機能訓練をしたり、レクリエーションをしたり、身体介助をしたりといった一連の介護行為を指しているとお考えいただければ結構でございます。

 イベントといいますのは、例えば転倒されたであるとか、入院された、誤嚥性肺炎にかかった、お亡くなりになった。また、逆に自宅に復帰された。そういった出来事を総称して、イベントと書いてございます。

 これらのデータを分析することによって、右上にいきますけれども、例えばどうやらこういった条件に合致する利用者について介入Aというものを受けているということと、状態Bが改善しているということが両方起こることが多いのではないかという気づきがあったとします。これを、相関と言っております。

 ここで御注意いただくべきこととして、相関というのは必ずしも因果関係とは限らないということが挙げられます。例えば、歩行器のレンタルと栄養状態の改善というのが両方起こるということが多かったときに、これが相関しているとは言いますけれども、歩行器のレンタルをしたから栄養状態が改善したと言えるとは限らないということを書いております。

 確かに、もちろんそういった可能性もあるのでございますけれども、因果関係が逆で、例えば栄養状態が改善したから歩行器を使って歩こうということになったという可能性もございますし、また廃用症候群からの回復というものがあって、歩行の開始と栄養の改善というのが両方とも廃用症候群の回復からの結果であるということも考えられるということでございます。

 それで、相関が因果関係であるかというところはデータベースの分析では限界がございますので、実地の検証が必要になってくるということを右下にいく矢印で記載しております。利用者に御説明をして承諾をいただいた上で、例えば介入群と対照群に無作為に割りつけをして、介入群の方にのみ、例えば歩行器のレンタルを行った場合に、介入群で状態の改善、例えば栄養状態の改善が見られる割合が多く見られて、対照群ではそれほどでもないということがわかってくると、いよいよ歩行器のレンタルと栄養状態の改善というものが因果関係で結べるのではないかということになってまいります。

 実際にはもちろん少し慎重なステップがございますけれども、このようなデータ分析であるとか、必要に応じて実地検証というプロセスを経てエビデンスが生まれていくというのが、左上から右上を通って右下にいくルートで図示したものでございます。

 このデータベースを用いた研究の強みでございますけれども、従来の研究ではまず日ごろの気づき、日ごろの臨床現場での気づきなどから仮説を立てて、個々の仮説に応じてデータを集めて、それを分析して仮説を裏付ける結果が出ているかを確認した上で、必要に応じて実地検証をするという流れが考えられます。

 この方法に比べますと、データベースを用いた研究というのは、とにかくデータをいろいろと分析してみるといろいろな相関が見つかってくる。それで、仮説を大量かつ効率的に構築できるのではないかというところが強みの一つではないかと思っています。

 また、普段の気づきから得られないような思いもよらない発見というのも期待できるのではないか。

 また、今はまだ時期が早いですけれども、将来的にはAIなどの情報処理技術がより活用できる可能性もある。こういった点が強みなのではないかということを書いてございます。

 それを踏まえまして次の資料、1-2についての御説明を申し上げます。

 先ほどのポンチ絵では、介護関係のデータベースというのは3段のちょうどだるま落としのだるまのようになっておりましたけれども、実際に我々が考えている介護のデータベースというのも大きく分けて3つのものから成り立ってございます。

 1つ目は、一番上に書いております「介護保険総合データベース」と呼ばれるもので、現在既に動いているものでございます。この中には、要介護認定の情報と介護保険レセプトの情報が含まれております。

 2段目、通所・訪問リハビリテーションの質の評価データ収集等事業で収集しているデータというものでございます。これは、現在通所リハ、訪問リハの事業所、約100カ所弱から御協力をいただきまして、リハビリテーションの計画書などの情報を電子的に収集しているシステムがございます。これを我々は、こちらに通称と書いておりますけれども、VISITという形で呼んでございます。

 3つ目といたしまして、今まで動いているこれら2つを補完するデータベースということを新たに構築して、必要に応じて構築していかなければならないのではないか。必要に応じて補完するデータを集めていく必要があるのではないか。先ほど介入、状態、イベントということを挙げておりましたので、今のところ通称CHASECareHealthStatusEventsCHASEと呼んでございますけれども、そういったデータベースをつくっていくことを考える。この3段で、特に一番下のCHASEの部分について今後どういったデータを集めていけるのかということを考えてございます。

 では、それぞれ介護保険総合データベース、VISITの中でどんなものがとられていて、どんなものが入っているのかということを御説明したのが2ページ目以降の御説明になります。

 まず「介護保険総合データベース」ですけれども、大きく分けて2種類の情報が入っております。

 1つは、要介護認定の情報です。要介護認定の情報というのは、例えば要介護認定がいつからいつまでの有効期間でなされていて、要介護度が幾つであったのか。また、後から出てまいりますけれども、要介護認定のときに要介護認定調査というものが行われまして、74項目についてアセスメントが行われるということがございます。その74項目の結果というものも書かれております。それで、74項目について3種類の評価軸、3種類の設問の種類がございますけれども、そういった形で74項目のデータというものが入ってございます。

 また、介護保険のレセプトの情報というものが大きく分けた2つ目の情報の内容でございます。これは、介護保険を請求するときの請求書の内容でございます。これを見ることで、例えばデイサービスを利用された。デイサービスを何時間利用されたといったことがわかってまいります。それから、その月に何度利用されたということもわかってまいります。

 また、幾つか加算というものが設定されております。例えば、個別機能訓練加算であるとか、サービスの内容にひもづいた加算というのが幾つかございますので、それを見ると加算が設定されているケアの内容についてはそういったケアが提供されたのだということがわかることがあるということを書いております。

 3ページ目、「要介護認定制度について」、釈迦に説法になる部分もございますけれども、御説明申し上げます。要介護認定ですけれども、一次判定と二次判定というステップで行われております。この一次判定の部分で、先ほど申し上げました74項目の基礎調査というものがコンピューターによる推計で一次判定という形であらわれるということになっております。

 この74項目ですけれども、次のページをごらんいただきます。能力に関する項目、介助の方法に関する項目、それから障害等の有無に関する項目で、あわせて74項目ですけれども、これを一次判定ソフトに入れることによって、介護の手間をあらわす数字である要介護認定等基準時間というものが出てくる。それが、例えば93.2分である場合には、この線分図でいくと要介護度4のところに当たりますので、要介護度4という一次判定になるという形をとっております。

 また、74項目の中には次の5ページにありますような特別な医療の提供という項目もございまして、例えば点滴の管理というものを最近された場合には要介護基準時間、要介護認定等基準時間に8.5分を足して計算をするという形がとられております。こういった最近受けた特別な医療に関するデータというものも、74項目の中に入っているということでございます。

74項目の詳しい内容については、参考資料1-1の中にそれぞれの項目でありますとか、それの定義でありますとか、そういうところも書かれておりますので、必要に応じて御参照いただければと存じます。

 続きまして、3つのデータベースのうちの2つ目、VISITの中に何が含まれているのかという御説明でございます。これが6ページになりますけれども、現在、通所リハビリテーション、訪問リハビリテーションを提供されている事業所さんの中で、リハビリテーションマネジメント加算をとられているところがかなりございます。

 リハビリテーションマネジメント加算を算定される場合に、幾つか様式を記載していただいております。中ほどに様式の1~6まで書かれておりますけれども、リハマネ加算Iを算定する場合には様式の1~3まで、リハマネ加算IIの場合には様式の1~5までですね。それで、生活行為向上リハビリテーション実施加算というのをさらに算定される場合には様式6というものをお書きいただくということになります。

 それぞれどんな様式なのかというのは、参考資料1-2にそれぞれの様式の現物がございます。参考資料1-2で、後ろのほうからごらんいただいたほうが早いかと存じます。例えば、横になっている別紙様式2とあります「リハビリテーション計画書(アセスメント)」と書かれているものですとか、別紙様式3と書かれている「リハビリテーション計画書」といったところを、リハビリテーションマネジメント加算を算定されているリハビリテーションの事業所さんではお書きいただいている。

 これに注目いたしまして、これを電子的に記入していただいて、電子的に記入していただいたものを国のほうに電子的に送っていただくということを今、全国で約100事業所弱で御協力いただいて行っております。今後、参加の事業所数を拡大していく予定にしております。

 それを模式的にあらわしたものが、7ページでございます。これまで御説明申し上げました介護保険総合データベース、それからVISITの中でそれぞれどんな対象者にどんな内容をとられているかというのを少し星取り表でまとめたものが8ページになります。

 介護保険総合データベースですけれども、対象者は要支援・要介護認定を受けた全ての方でいらっしゃいます。そのうち、状態については先ほどの74項目のデータであるとか、要介護度の情報というものが入ってございます。

 更新の頻度ですけれども、通常3カ月~24カ月の間で更新が行われる。したがって、長い場合には約2年前の情報が最新になるという更新頻度でございます。

 介入に関する情報については、レセプトの内容がわかるということになっております。したがって、この方が例えば通所介護に行かれたということはわかっていても、特に加算等がとられていない場合には、中でどういったサービスが行われたかというのはわからない。

 一方で、加算がとられていればある程度、例えば入浴介助が行われたであるとか、そういったところは追うことができるようになっております。これはレセプト情報ですので、月単位で更新されていくというものでございます。

 イベントの情報でございますけれども、これは直接はわからないということになります。例えば、ごく限定的なケースで、ずっと通所の点数をとられていた方が、次の月に今度は通所サービスの点をとられるようになったというと、恐らく施設を退所されたのかなということがわかるであるとか、急にとられなくなったので例えば入院されたのかなということを類推することはできるという程度でございます。

VISITのほうですが、VISITは対象者が通所リハビリテーションと訪問リハビリテーションの利用者ということになります。状態についてですけれども、先ほどの様式の中で、例えばADLの評価項目であるとか、活動参加の評価項目であるとか、そういった状態のデータも記入することになってございます。

 また、介入ですけれども、実施しているリハビリテーションの目的であるとか、具体的な支援内容という情報が入っております。

 イベントについてはフリーテキストになってしまいますけれども、リハビリテーション会議録の記載というものがございますので、その中で例えば1カ月前に転倒されたというものがあればそこから拾うことができるということになっております。

 これをまとめますと、特に既存の介護保険総合データベースやVISITですと介入の部分、それからイベントの部分というところが、そこに直に注目をしてとられているものがなかなか多くないというところがおわかりいただけるかと存じます。

 以上が、資料1-2の御説明でございました。

 こういった既存のものを踏まえていただいた上で、この3つのだるま落としの3段目にありますCHASEでどういった情報を補完的に収集するべきなのかというところについて検討の方針と枠組みの案をお示ししてございます。それが、資料1-3でございます。

 「検討にあたっての方針」の案でございますけれども、「●」を4つ挙げております。

 1つ目の「●」ですが、先ほど申し上げましたCHASEは既存のデータベース、つまり介護保険総合データベース及びVISITでは収集されていないものを補完的に収集することを目的とするということでございます。

 2つ目の「●」、これはあくまでも事務局の案でございますけれども、収集するデータを内容に基づいて状態と介入とイベントの3種類に類型化すると議論が進みやすいかなという御提案でございます。

 3つ目ですけれども、検討に当たって収集、分析、評価のニーズの高さというのはもちろん必要になってくるわけですが、同時にそれがちゃんととれるかとか、それがちゃんと研究に使えるかとか、そういったフィージビリティーのところも考慮する必要があるということを書いてございます。

 1つ目の矢頭ですが、標準的な評価指標やコードがあるなど、研究で取り扱いやすい形にまとめられるものであるかどうか。

 また、介護現場の負担をふやさないまま収集できるかどうかといったところは留意点として挙げられるかと思っております。特に、介護現場の業務負担の軽減というのは喫緊の課題とされておりますので、情報収集の対象となる事業所の種別を、例えばこの情報については介護現場をあまねくとりましょうというよりも、この施設類型でとるようにしましょうというふうに種別を特定するであるとか、または対象となる事業所の大部分で既に電子的に取得されているものを、取得されているんだけれどもそのままになっているというものを収集するという方法ですとか、あるいは一定程度の事業所のグループで既に電子的に取得されていて、それが簡便で横展開も比較的容易ではないかと思われるものについて収集するといった形が原則になってくるのではないかということをお書きしております。

 4つ目の「●」ですけれども、一方で近年、科学技術の進歩も目覚ましいものがございます。また、評価手法についても発展しているところがございます。今までですと、定量的な評価にはなじまないとされていたものについても、定量的な評価ができるのではないかという試みがなされているものが幾つかございます。

 そういったことを考えますと、今後CHASEが発展していくに当たって、それまではなかなか収集、分析、評価というのは技術的に困難だったんだけれども、将来的にはとって分析できるようになるものがあるかもしれないというときに、利用者への影響が大きいなど、その研究のニーズが高いと思われるものがあれば、この中でとれないけれども、将来的にはとれるとよいのではないかという形で、別にテイクノートしておくとよいのではないかということを書いております。

 裏をめくっていただきまして、「検討の枠組み」についての御提案でございます。CHASEについての議論ですけれども、1~5という形で一つの流れをお示ししております。

 まず1ですけれども、検討に先立って現在、介護領域において通常業務の中で電子化されている、または電子化して収集する簡便な方法が確立している情報というのはどういったものがあるのかというのをヒアリングなどの形で確認できればと思っております。本日、ちょっと予定のところに含まれておりませんけれども、近いうちに何らかの形で確認する手段を設けたいと思っております。

 各テーマの検討に当たりまして、御関係の構成員の先生に少し御協力をお願いいたしまして、別紙の様式を活用していただきまして、案の提示というものをお願いしてございます。本日ですと、この後、栄養が各論のテーマで挙がってございますので、利光構成員に御協力をいただきまして別紙の様式を少し埋めるような形で案を御提示いただいております。

 検討会では、その案を出発点として、項目の追加であるとか、削除であるとか、具体化、明確化などを議論していただいて、それを受けて再度構成員の先生にブラッシュアップをいただいて中間取りまとめの資料にしてはいかがだろうかということを挙げております。

 それで、そのフォームでございますけれども、別紙と書かれております横置きのフォームでございます。まず、こちらについて状態に関するもの、介入に関するもの、イベントに関するものという形で、少しそれぞれ埋めていただく項目が分かれておりますけれども、例えば状態に関するものであれば、意義であるとか、定義、測定方法、どういった頻度で収集するか。それから、どんなところからとれるかどうか。それから、それを収集することでどんな仮説を置いた研究に用いることができるかといったことを御提案いただくという形を書いております。

 それぞれ、例えば定義であるとか、情報ソース、それから仮説の例といったところは共通してございます。また、各列についてそれぞれ例を挙げて御解説をしているところでございます。

 一連の御説明の最後の資料でございます。資料の右上、1-4としているものでございます。今回、各論で栄養の部分の御議論を予定してございます。それで、第3回は11月めどということで、こちらの資料は第1回のときにも今後の検討の段取りとしてお示ししたものをもう少し詳しくしておりますけれども、第3回は11月めどに「リハビリテーション」と、主に介護支援専門員の方による「アセスメント」、それから「ケアプラン」といいったところの議論をさせていただこうかと思っております。

 また、このときに、その後、第4回で「認知症」も各論で挙がっておりますけれども、ここに挙がっていないものでこのくくりで議論することが必要なのではないかというものの御提案がもしありましたら、第3回のときにいただこうかと思っております。

 そこでいただいた御提案をもとに、12月に「その他検討を要する各論テーマ等」という部分を御用意しておりますので、そこでそのテーマについて御議論いただくということを考えてございます。

 大変長くなりましたが、資料の1-1~1-4の御説明は以上でございます。

○鳥羽座長 ありがとうございました。少し予定まで入って、そのとおりにうまくいくようにしたいとは思うのですけれども、大分タイトなスケジュールを示していただきました。

 今までのところで御質問、御意見などございますでしょうか。

 前回、御参加いただけなくて今回御参加いただいておりまして、介護医療のビッグデータについて松田先生、今までのことについて何か御意見を冒頭に頂戴いただければありがたいのですが。

○松田構成員 既存の情報の中で私たちがいろいろと分析をしていて、いつも使っていて、使えるときはすごく役に立つなと思うのが主治医意見書なんです。ある程度、介護はその状態に対応したサービスを提供するわけですけれども、実はベースとなっている病気は何かによってグループ分けができます。例えばも要支援から要介護1というところは大体筋骨格系疾患の人がぐるぐる回っているし、それから脳血管障害というのは起こしたときが一番重くて、そこからどのくらいきちんと急性期の治療をやるかでどこまで戻れるかで、戻った人がどのくらい維持できるかというのは今度は介護のリハビリの話になります。

 最近問題になってきているのが、介護保険を使う傷病の人が非常に多様化してきて、例えばCOPDとか、慢性心不全とか、がんとか、そういう人たちは大体要支援、要介護1とか2くらいのところでずっと固まっているんです。それで、多分病態に応じて実はやらなければいけないことは変わってくるので、それがわかるのが主治医意見書だろうと思います。

 それで、医師会がおつくりになっている意見書というソフトを使っているところでは、実はこれは電子化はできているんです。電子化できているものをわざわざPDFで出しているのですけれども、その元のものをもしお出しいただければ傷病に関する情報も使えるので、それがやはりこの中で一緒に入れていただけるといいなと思いました。

 それと、日常生活圏域ニーズ調査ですね。あれだけ全国の自治体でやっていて、あの中にはIADLも入っているし、いろいろなものが入っていますね。あのデータも使えるとすごくいいんじゃないかと思うんですけれども、既存のものでいろいろとあるので、そういうものも少しこの中でくっつけて分析できるといいんじゃないかと思いました。以上です。

○鳥羽座長 ほかにいかがでしょうか。

 このイベントという言葉が適当かどうかも検討しないといけないんですが、予後という言葉もちょっと硬いですし、アウトカムもちょっとなじみが薄いとすると、介護に対する何らかのサービスを行わなかったことによる状態像の変化というような形で日本語にしたほうがいいのかもしれませんけれども、その辺もちょっと。

 それで、前回からの流れでいきますと、個別性をこのような形で細かい状態像を分けることによっていろいろ一人一人が違うということを、生活機能や、病気の状態像や、さまざまなサービスが必要度、74項目以外のものを加えることによって、個別の複雑性を克服できるという仮説のもとに新たな評価のものをつくって、それをビッグデータとして評価の表としてやっていこうという厚労省のお考えだと思うんですが、それについていかがでしょうか。前回、個別性がなかなかこういう評価では救い切れないというような意見をいただいた方もいらっしゃると思うんですが、その辺はいかがでしょうか。

 では、どうぞ。

○三上構成員 日本作業療法士協会の三上です。

 前回、個別性というところで、ICFという言葉を発言させていただきました。このVISITにあるデータの中のいわゆる生活行為、リハビリテーション実施加算にまつわる計画書類の一式をデータ化していくという話が今、聞いている中で、VISITの項目の中に心身機能活動参加という形で分かれて書かれていると思うんですけれども、ICFの概念という形で心身機能活動参加というところを捉えてはいるのですが、そのコードを採用するかどうか、評価点をつけるかどうかというところがとても難しい問題になるのかと思いながら前回、発言させていただいて、それをつけるのも大変手間になるだろうという形では御発言もあったと思うのですけれども、個別性を評価するというところでICFの概念のレベルにとどまって進めていくのか。もう少し第2評価点まで整理した情報収集をするのかというところが、少し課題なのかなと思って今、見ておりました。以上です。

○鳥羽座長 議事の途中でございますが、鈴木医務技監においでいただきましたので、御挨拶を頂戴したいと思います。

○鈴木医務技監 御紹介をいただきました、医務技監の鈴木です。

 大変おくれて失礼いたしました。また、第1回目は海外出張と重なりまして出席できず、大変申しわけございませんでした。

 この科学的介護、私も3年間老人保健課長をやらせていただきましたけれども、非常に大事だと思っていまして、介護は対人サービスですので当然ですが、まずは愛と誠意が大事だと思いますけれども、それがあるという前提で、私は3つの視点からこの科学的介護というのは大事だと思っております。

 1つは、これだけ介護の労働がかなり厳しいということになってくると、いかに実際に介護に従事しておられる方の負担を減らすかという観点で、できるだけ効率的に介護を提供するというやり方をどうしたらいいか。そのためには、やはり科学的に介護を分解しないといけないということだろうと思います。

 2つ目は、今、医療費が42兆ぐらい、それから介護も10兆円ぐらいになりましたけれども、介護の保険料のことを考えると、そうそうこれからもどんどん伸びていくわけにはいかないということになると、財政的に見てもやはり効率的な介護というのは非常に大事だということになると思います。

 最後は、我々がよく使う言葉で横展開というのがありますけれども、ある地域、ある事業者で非常によくやっておられることを他の地域でも再現するためには、やはり科学的な分析というのは不可欠だということになると思いますので、この3つの観点からもぜひ先生方に御熱心に御検討いただいて、我々として活用できるものを1つでも2つでもふやしていただけたらと思います。どうもありがとうございます。

○鳥羽座長 どうもありがとうございました。

 それでは、議論を続けたいと思いますが、いかがでしょうか。この評価を新しくつくっていく上で、既に電子化されている情報というものと、その上のほうにはある程度、科学的な確立したスケールでなければいけないというんですけれども、その辺の整合性についてはどういうようなところを整理されていますか。

○井口課長補佐 事務局でございます。

 お答えになっているかどうかはあれですけれども、まず科学的に確立されたスケール、例えばほとんどそれの評価にはそれしか使っていないようなスケールがあるのであれば、それはもう共通言語ですので、それにあわせた形で集めていただく。そうすれば、分類も容易なのかなと思っております。

 一方で、例えば病名のICDであるとか、そういったものについては、病名を書くよりもICDコードを入れていただいたほうが非常に統計などもとりやすいといったようなことは言えると思います。

 一方で、幾つか指標が林立しているものであるとか、指標がないものであるとか、フリーテキストで書かれているものについてどういうふうに整理をしていくのかというのは、まさに先生方の御知恵をお借りしたいところだと思っております。

○鳥羽座長 何か御意見はどうでしょうか。

 どうぞ。折茂オブザーバー。

○折茂オブザーバー 視点がずれちゃったら申しわけないんですけれども、松田先生がいらっしゃるからあれなのですが、医療の世界は例えば抗がん剤が効いたとか、効かないとかという介入が明確じゃないですか。

 介護の世界は、例えば資料1-2の最後のページに、介入のリハビリテーションのところでVISITは「○」になっていますけれども、リハビリというのは単にリハビリ専門職がやるだけじゃなくて、チームリハとか、生活リハとか、多職種でやるというのがあります。

 ですから、医療のように単純に抗がん剤が効きました、効かなかったとか、抗生剤が効いた、効かないというものではないわけですね。ですから、その介入のところをどういうふうにしっかり分析するか。分析というか、ピックアップするかというところがきちんとできないと、最終的によくなった、悪くなった、こういう介入をしたらよくなったとかというところが難しいと思うんですね。

 そうなると、次回やるケアプラン、ケアプランが全てかどうかはともかく、エビデンスがなかなかない世界の中ではケアプランが唯一の、介入のケアプランを幾つ使っているかわかりませんけれども、そういうことになるので、そこのところは共通言語化されたケアプランとか、その辺がないと介入に対しての評価というのが難しい。

 それと、もう一個は、前回もお話ししましたけれども、評価するにはどういう物差しが正しいというか、使いやすい物差しで評価しやすいものかというところをしっかり議論していただくのが一番根底にあるんじゃないかと思います。

○鳥羽座長 いかがでしょうか。

 では、どうぞ。

○白石構成員 日本福祉大学の白石です。

 今回、介護というところで利用者、あるいは要介護者の状態像についての評価というのはたくさんあると思うんですけれども、やはり介護ですので、それを見守っていく側がどうかというような視点も少し入れていったほうがいいなと思っています。

 例えば、認知症を併発している骨折の方などでは理学療法や作業療法、あるいはリハビリテーションなどで非常に運動機能は向上したけれども介護負担がすごくふえてしまったとか、そういった例もありますので、本人様の状態もそうですし、周りで見守る介護の負担というような視点も一方では入れていかないといけないなというふうに思います。以上です。

○鳥羽座長 ほかにいかがでしょうか。

 海老原構成員、どうぞ。

○海老原構成員 東邦大学の海老原です。

 先ほど医療の方が単純だという御意見がありましたけれども、医療も実はそうは単純じゃなくて、医療のほうも個別性を非常に重要視していて、生活の視点も必ず取り入れています。そうしないといい医療になりませんので、必ずそういうことはやはり医療もやっているんですね。

 そういう中で、私もリハビリテーションを専門としておりますが、確かにリハビリテーションはチームで行うことによって包括的に行うことで効果が発揮できるものだということであります。

 しかしながら、包括的といってそれぞれを評価しづらいものとするのではなくて、我々がリハビリテーションの効果を評価するときは、やはりその包括的なものを一つのパッケージとして、その質が担保されているもとでどういった効果があるのかというのを検証していくわけでありますので、やはりその辺の包括的なリハビリテーションをやった中での質の担保を保った状態でどうなっていくかということをきちんと検証するというのが意味のあることだなと思っております。

○鳥羽座長 ほかにいかがでしょうか。

 そうしますと、少し話題提供というか、今までのところの論点の整理で、どのような包括的な物差しで、いい介護を評価していくかというところの原点に立ちどまりますと、物差しの検定というのは外せないと思いますが、物差しの検定で私の乏しい研究班での経験を言いますと、認知症の周辺症状というか、BPSDをはかるDBDという28項目があるんですが、それがケアの前後でどれだけ動くかというのを検定すると13項目しか動かないんですね。

 ですから、それをインターベンションセンシティブなものとしてDBD13として論文化したわけですが、そのようないわゆる短縮化というか、ケアによって動くものと動かないものがある。松田先生と一緒にやらせていただいたのは、ADLの中で、施設入所者で1年の間にどの項目がADLが変化しやすく、どの項目は変わらないかということを検定しますと、半分から7割はよく動かない。全然よくならないものもある。

 すなわち、全ての物差しを使うのか、あるいはいいケアといったものによって動く項目をミニマムで救って新しい物差しにするかということは、ケアの努力をどうやって反映するかという意味で大切な視点になってくるだろうと思います。

 そういう意味で、既存のスケールの中でエスタブリッシュしたものの中で、さらに今までの既存の文献でケアの前後で動いた項目を中心にスクリーニングをかけていくのは、物差しのほうの学問というか、この検討課題としてはいいかもしれません。

 次に、そのいいケアの内容について、介護の負担といったものが確かに前回も議論に出たんですけれども、施設介護者の介護負担というのはそれほど研究されていないんですが、家族のほうがすごく検討されていて、状態像が少しよくなっても家族の介護負担は年々、蓄積効果で悪くなっているというデータが多いものですから、いいケアが家族の介護負担といったものとどのように測定項目としてなるのかといったことは非常に重要な問題だと思いますし、これはすぐに結論が出ないので、もう少し皆さんで文献とかさまざまなものを持ち寄って検討するべき課題かもしれないと思いました。

 私ばかりしゃべってあれなので、ほかに何かございませんか。

 では、どうぞ。

○三上構成員 日本作業療法士協会の三上です。

 今は行っていないんですけれども、介護認定審査会に出たとき、やはり今、話していたケアの質というか、家族の負担、またはその対象者の生活の質、QOLという言葉で簡単に表現してしまえばあれですけれども、それもどのような尺度で、物差しではかるべきか。たくさんの評価スケールもあると思うので、今の日本の介護の中で対象者の生活をどのように充実させるかという尺度をどのように検討するか。

 介護認定審査会では、要介護では何となく介入のどのようなサービスを受けているかということがわかるんですけれども、やはり生活の質を担保されているかというところも、その物差しの中でどういったものがあるかというところも検討していきたいと思っております。以上です。

○鳥羽座長 ほかにどうぞ。

 では、福井構成員。

○福井構成員 大阪大学の福井です。

 去年、おととしと2年間ぐらいかけて世界中の看護介入の効果という研究を私どももやりたいと思っていろいろレビューをしたんですけれども、日本のオリジナルな文化を反映したプログラムをつくりたいというふうに最初は目指していたのですが、海外のレビュー結果と同じで、やはり看護とか、介護とか、そのケアマネジメントという個別性の高いものの効果を上げるためのプログラムというのは、先ほど海老原構成員がおっしゃったように、包括的なパッケージで質が保たれるというものしかやはりできない。

 看護研究をやりたいと思っても、そういう結論に私どもも達したので、回数とやるべき大項目を幾つか挙げて、それで例えば看護師であれば専門看護師が提供するというあたりで押さえていくしかないなというふうには思っているので、それが介護のほうでも恐らく全人的に個別性を重視した介入をしたときに、今回イベントという言葉であらわされている評価に通じる部分は、その介入の部分はそういう形でしか今のところなかなか解決策がないのではないかなというふうに自分の経験上も感じているんですが、先ほど座長がおっしゃったように、世界的な医学とか看護の介入効果を見るときには、患者さんのQOLとかウェルビーイングというところが今まで一番重視されてきていると思うんですけれども、座長がおっしゃったような家族の介護負担とか、少し多方面での評価基準というのを設けた上で、ビッグデータの中でどの人、どの立ち位置の方にとって効果があったのかというような分析も組み合わせた形で、イベントとか評価項目というのを見ていくといいのではないかというふうに考えながら話を伺っておりました。

○鳥羽座長 いかがでしょうか。

 では、どうぞ。

○藤井構成員 上智大学の藤井でございます。

 ただいまの福井先生の意見に関連してということなんですが、先ほど折茂先生のほうから医療との比較という話があり、福井先生のほうからパッケージでないとなかなか難しいんじゃないかと、確かにデイサービスに通ったからよくなったというかなり大ざっぱな言い方ではちょっと難しいんじゃないかと思いますし、ケアプランの中身云々というのも相当難しい感じがいたします。

 医療ですと、診断があって治療というのがかなり1対1で結びついている。絶対結びつくものではないと思いますが、かなり1対1で結びつけようとしているというのに対して、介護の世界ではアセスメントとケアプランというものが、MDSとかインターライとかというものを除くと、そこを結びつけようという努力そのものが、少なくとも日本の介護保険ではこの17年の間に進んできたというのは、余り言えない状況じゃないかと思います。

 ですので、パッケージといいますか、何を介入したのかという部分に関して、プログラムの評価ですとフィージビリィー尺度というのがございますので、どういった配置人員でやっているのかとか、そういったものをあわせないと、何を何回と言ったときも今、福井委員がおっしゃったような専門○○がいらっしゃるかどうかということも重要ですし、やはり介入のフィージビリティー尺度の部分というのは尺度化していかなければいけないんじゃないかというのが1点です。

 それから、ちょっと関係ない話になるんですけれども、介護とか福祉の領域でいいますと、やはり大きな変化があるのが退院時の話で、特に退院してかなり病院から出てこられたときに働きかけを行った結果としてADLQOLが向上したというのが明らかに見てとれるということがございまして、このあたりはむしろやりやすいといいますか、エビデンスを出しやすいんじゃないかと思うんですね。

 そのときに、ケアマネのほうは退院・退所情報記録書という形式がございますので、これはたしかデジタル化はされていないように思うんですけれども、それから病院のほうでいうと退院支援加算のときに退院支援計画書というフォームがございますので、先ほど松田委員がおっしゃったように、やはり主治医意見書の中でどういう疾病のもとで、どういうものをある種パターン化していかないと、要介護度だけでは見えにくいものが、そのベースにある疾患というもので、こういう疾患をお持ちになって、こういう状態で退院してきたので、こういった介護介入が効いたと、この結びつけがやられるようになっていないと、仮説探索型であると、ビッグデータの中から引っ張ってくるんだとはいえ、やはり大きな枠組みの考え方のフレームというものがベースにないと、医療介護のフレームがないといけないということでいうと、やはり医療の情報というのは非常に役立ちますし、主治医が書いたもの、病院が書いたものというのはぜひ利用するべきではないかと思います。以上です。

○鳥羽座長 いかがでしょうか。

○鈴木(邦)オブザーバー どういう議論になるのか、ちょっと聞かせていただいていたんですが、科学的介護ということで、介護で切り出して議論しようというふうに考えていらっしゃるのですが、やはり今の問題は医療と介護を同じ方に同時に提供するということをこれから推進していかなければならないので、切り分けてやるということ自体に無理があるんじゃないかと思いますので、その辺はあくまでも介護ということにこだわっておやりになるのか。

 いろいろな話を聞くと、やはり医療との関係というか、皆さんのお話も、これは医療でもあり介護でもありみたいなところもあると思うんですけれども、何かそういう科学的介護にこだわらなければならない理由があるのか、そういうことを教えていただければいいと思いますし、余り縦割りみたいにしていくと議論が逆に進まないのではないかなという気がいたしますけれども、いかがでしょうか。

○鳥羽座長 これはごく基本的なことなので、厚労省のほうからなぜ科学的介護、あるいはそういう言葉で切り出してということなのか、もう一回御説明いただけますか。

○鈴木課長 事務局でございます。

 もともとは介護事業所の中で要介護度を改善するというところがあり、また、そういったところがどういう介入をしているのかわからなかったというところがあるので、そういった事業所の中でどのような介入が行われたからどういった変化が起こったのかというのをきちんと分析をして、それを蓄積することによって、先ほど医務技監がおっしゃいました横展開も含めて新たにしていこうというのが、もともとの発端でございました。

 ですので、介護の世界で言いますと、パッケージ化というのは多分、通所介護ですとか通所リハに通っているというのが一番大きなパッケージだと思いますが、それだけではなくて、その通所リハの中で何が行われているのかというところまで掘り下げられるのであればそこをきちんと掘り下げ、そこも横展開できないか。そのためのデータベースをどうするのかというのが、まず議論の中の発端にございました。

 そういったところから、そのときにどういう項目をとるのか。それは、いわゆる物差しとしての前後の状態像というのもございますが、もう一つ重要なのが、どのようなことが行われたのかというところについてどこまで細かくとるかというお話はあると思いますが、そこについてフィージビリティーも含めて少しどういった項目をとったほうがいいのかということを御議論していただければと思っております。

○鳥羽座長 前回の議論でも、医療と介護は一体で分けられないといった議論は十分されております。

 それで、介護という言葉は特に日本だけの言葉で、本来はロングタームケアということで、急性期のケアに対する慢性期のケア、ロングタームケアというふうに分けられるわけで、医療と介護が実は一体化というのが世界の潮流でありまして、日本は制度上、分けられている。

 ただ、今回の科学的な裏付けに関する介護は、医療の知識も、医療の情報も、介護の情報もなるべく一体的に利用して、介護により科学的なエビデンスを付加しようという試みだと私は理解しております。

 ですから、鈴木先生のおっしゃることはまことに前回から出た話で、分けて介護だけに特化する話ではない。その中で、特に主治医の意見書は医療情報が多いので活用できないか。こんな流れだというふうに理解して、いかがでしょうか。

○鈴木(邦)オブザーバー そうすると、地域包括ケアシステムを構築するということは、基本的には医療と介護の連携を推進していくということですから、介護にこだわらないということであれば、要するに地域包括ケアシステムを効率的にというか、有効に推進していくにはどうしたらいいかというか、そういう手法をこのビッグデータから出すという試みをしてみるという話でしょうか。従来の手法と違うやり方でやるわけですよね。世界初の画期的な試みだとは思いますけれども、そういうことで皆さんの議論を期待したいというふうに思っております。

○鳥羽座長 将来の到達点としてそこまでいきたいとは思うんですが、とりあえずそういう理解でよろしいですか。特に問題はございませんか。

 では、どうぞ。

○松田構成員 去年やった仕事を忘れていて、去年こんなことをやったんです。

 主治医意見書の中に、今後起こり得る可能性が高いものという記載がありますね。肺炎とか、低栄養とか、それに関連している要因が何なのかということをほかの情報をくっつけて分析するということをやったんですけれども、例えば肺炎を起こしやすい。どういう状態像なのか。多分、そのリスクアセスメントがちゃんとケアマネジメントでできているかだと思うんですよね。

 それで、全老健と一緒にやった仕事の中で、例えば肺炎が起こるとか、転倒が起こるとか、脱水が起こるとか、尿路感染が起こるというと要介護度が上がるということも大体わかっているので、結局それをいかに予防するかということがいいケアマネジメントだと思うんです。そうすると、そのいいケアマネジメントというのはどのぐらいちゃんとリスクが把握されているかだと思うんですけれども、この間、少しやってみて思ったのが、主治医意見書でそういうものが今後起こり得る病態というか、今後起こり得る何々というところの根拠がよくわからないんですね。

 その根拠がわからないので、いろいろなデータをくっつけて少し分析をしてみたんですけれども、そこの根拠をきちんと評価するということがつなげて分析できれば、多分それはケアマネジメントのところで評価すべき項目になってくると思うので、いわゆる科学的なケアマネジメントという形でつながっていくと思いますし、それ自身が科学的な介護につながっていくと思うんですね。

 例えば、閉じこもりがちな人で、閉じこもりであれば当然いろいろな問題が起こってくるわけですけれども、そういう人に対して閉じこもりじゃないようにするために、例えばデイサービスに行っているんだとか、それに付随したいろいろなものを提供している。

 要するに、ケアマネジメント、ケアプラン上で問題だというふうに思われたものと、張りつけられているサービスの適切性というのがきちんと評価される。そういうロジックをどういうふうにつくっていくかということが、今の科学的な介護のところの前提としてはあるんじゃないかと思います。

 それから、包括的な評価という形でいうと、もう世界的には主観的健康観が一番いいと言われているわけでありまして、実際に日常生活圏域ニーズ調査でやっても主観的健康観は一番いろいろ聞いているんですね。

 閉じこもりの人はやはり主観的健康観が悪いし、それから移動障害がある人は主観的健康観が悪いし、そういう意味で今はアメリカでもハーバードなどでポジティブサイコロジーとかいろいろやっていますけれども、そこのところに何かまたひとつ鍵があるんじゃないかなと思うので、そういうものをどういうふうにエビデンスとしてつくっていくかという作業をこの中でやらなければいけないんじゃないかと、今ちょっと伺っていて思いました。

○鳥羽座長 介護というのは、状態が安定しているばかりではなくて、途中で悪くなるようなことがあって、それは予測できるものと予測できないものがあるので、その辺を明らかにすることにも役に立てばというようなお話でした。いかがでしょうか。

 では、鈴木構成員。

○鈴木(裕)構成員 わからないことで恐縮なんですけれども、福井構成員が先ほど世界中のエビデンスをレビューされたということですが、その中で設定されているアウトカムというのは、QOLとかウェルビーイング以外に、恐らく1つではないと思うんですけれども、どういうものがあるのかということをちょっとお教えいただきたいと思います。

 もう一つは、途中から参加で的外れなことを言ったら本当に恐縮なんですけれども、もともとこの科学的介護というものは自立支援というようなことが言葉として挙がっているんですが、自立支援といってもその人のADLの状態とか、受けている介護の状態によってゴールが違ってくると思いますので、恐らくアウトカムの設定というのは余り一律にできるようなものではなくて、その人の主観的な、先ほど言われたみたいな主観的幸福感と客観的な状態像もその方の恐らくADLを含めた状況によって設定されるゴールが違ってくるのではないかと考えております。

 済みません。質問と、1つ私の意見ということです。

○鳥羽座長 福井構成員、よろしいですか。

○福井構成員 私がやったのはあくまでも看護研究ですけれども、そこで取り上げられていたのは松田先生がおっしゃったような主観的幸福感、QOLといったような御本人の主観的な評価に加えて、あとはコストとか、再入院の回避とか、在宅復帰とか、施設入所期間とか、サービス投入量がどう抑えられたかとか、そういう客観的なものの2つが重大アウトカムという印象ですけれども、それで捉えられていたということで、やはり主観的アウトカムは御本人というところにブレはないんだなというふうに感じました。

○鳥羽座長 いかがでしょうか。また物差しの話になるんですけれども、QOLとか、うつというのは要介護1、2くらいまでしか実は測定できなくて、要介護4、5になると、うつとかQOLははかれないんですね。それで、客観的な意欲のものとか、フェイススケールとか、そういう話になってくるので、結局この物差しも一体要介護のどのぐらいの人を主体に今回見ていってつくるのかという問題と、それからその状態像によって笑顔が出ていいというのが、例えばフェイススケールでやるのが要介護4、5だけれども、1、2だったらQOLがはかれるとか、そういうところまで一応目配りした物差しと、何をはかるかということもちょっと見ていかなければいけない。こういう議論だというふうに思いますけれども、ほかにいかがでしょうか。

 海老原構成員、どうぞ。

○海老原構成員 ちょっと確認なんですが、これは基本的にアウトカムを見るときに、やはり大きな交絡因子としては医療データが、例えば内服薬とか、既往歴とか、それとも介護情報で入るものもあるし、医療レセプトデータで入るものもある。

 だから、医療のデータベースとの連結みたいなものはどのように考えているのかというのをちょっと知りたいんですけれども。

○鳥羽座長 お願いします。

○井口課長補佐 事務局でございます。

 資料の1-1の左上に書いておりますとおり、医療・健診のデータとその介護領域のデータというものの連結は非常に重要なものだと考えています。

 先ほどもありましたけれども、介護に主軸がある分析だからといって医療のデータは要らないということは全くございませんので、非常に助けになる情報がたくさん医療のほうのデータにもあると思っております。

 今度は資料1-2の下のところをちょっとごらんいただきたいのでございますけれども、「※」印の中で医療や健診データの連結についても進めていく。ただし、この部分で「IDの突合等の諸問題を解決しつつ」ということをひとつ書いてございまして、現時点ではちょっと技術的につなぐことが難しいというところがございますので、我々も必要性、重要性は認識してございますけれども、技術的なところでまた少しハードルがあるというふうに考えています。

○鳥羽座長 ほかによろしいでしょうか。

 それでは、どうぞ。

○八木構成員 東洋大学の八木です。おくれてきて済みません。

 最初のほうはちょっとお聞きしなくて、途中からのことで見当違いなことを言っていたら大変申しわけないんですけれども、この流れを見ていく中で、情報収集の中でいわゆる御本人さんのニーズとか、暮らしへの思いとか、そういうものも取り入れるようなことになっているのかということが疑問です。

 福祉のほうからいいますと、皆さんの今までお話を聞いている中で、介護というものが先ほど座長の先生も言われていましたが、いいケアとか、いい介護というものはどこに向いているのかというのを不安に感じているのですが、介護の意味が今お話を聞かれたように、例えばリハビリをしていくとか、栄養状態を改善するために何かをするという形で、介護労働者の負担を減らすというような御意見がありましたが、私はそのお世話とか介助をするということ自体が本当に介護なのかということは不安で、お世話や介助というのは介護ではなくて、お世話や介助は手段であって介護の目的ではないと思っております。

 本来の介護の目的というのは、やはり御本人様の生活的価値の実現ということを考えていく中で、いわゆる介護というのが大げさに言うと医療のお手伝いではなく、御本人さんがいかに暮らしの中で自己実現をしていくのかというところを支えていくためには、果たして医療の状態像と今、介護でこういうことをやっているという形の情報だけの偏った評価尺度では、やはり個人の不利益になるような方たちも出てくるのではないかというふうに危惧しておりまして、今のお話をずっと聞かせてもらっているんですけれども、どういう暮らしをしていきたいとか、どういう形で御本人さんがニーズを持っているのかというところなどは、情報としては取り入れるような流れにはなっているんでしょうか。

○鳥羽座長 いかがでしょうか。

○井口課長補佐 ありがとうございます。1つ御参考になるかと思いますけれども、参考資料の1-2でございます。こちらは後ろの方に別紙様式が並んでおりますが、別紙様式の1のところに「興味・関心チェックシート」というものがございます。こちらはあくまでもリハビリテーションの文脈で、リハビリテーションの文脈の中でこういったことができるようになりたいであるとか、「興味がある」というところから「してみたい」の段階になって「している」の段階になっていく。活動や参加の文脈で設けられたものでございますけれども、こういった形で御本人様のニーズに合った形のサービスが提供されているのかどうか。

 例えば、御自身でトイレに行くというところに非常に強いニーズがある方に対して、特に御自身でトイレに行けるようにリハビリテーションを提供する。そこに対して、例えば御本人様のニーズと全く離れたようなリハビリテーションを提供しているのであれば、また質の考え方からしてどうなのかというようなことはできるのかなと思っております。

 もちろん、こちらはあくまでもリハビリテーションの文脈のところでございますので、先生がおっしゃっているのはもう少し広いところでおっしゃっているのかと思いますけれども、こういった形で御本人様のニーズが何なのかであるとか、それから御本人様のニーズについてどれだけ詳しくちゃんと聞いたかであるとか、それが介入行為の一つとしてはかれるのであれば、そういった形でデータをとっていくことは可能な部分はあるかと考えております。

○鳥羽座長 どうぞ。

○三上構成員 補足させていただいてよろしいでしょうか。

 この興味・関心チェックシートが平成27年、介護保険の別紙様式という形で出たんですけれども、平成25年度に老人保健健康増進等事業で興味・関心チェックシートというものを使って、地域の高齢者等でいろいろと検証してきている結果でもあると思っております。

 その中で、やはり地域性が出る特徴もあるんじゃないかと思っております。今、包括的パッケージという流れでの尺度、物差しという形ですけれども、特に要支援1、2の方にとってやはり地域でどういった施設があったり、通いの場があったり、特徴があったり、交通手段とか、住民の密度であったり、そういったところももしかしたら今のVISITと介護保険情報とCHASEという中でも、その地域の特徴、地域情報もあわせて取り入れないと、高齢者の方がどういう暮らしをして自立支援ということになってくると、この興味・関心チェックシートというもので何かカテゴリーを分けていく中で、住まいの情報もセットで考えていくことで、今、八木委員がおっしゃったどういった暮らしをしているのかというところの補足ができるのではないかというふうに思って聞いておりました。以上です。

○鳥羽座長 いかがでしょうか。

 葛西顧問、どうぞ。

○葛西顧問 ちょっと整理を、今までの議論を聞かせていただいた中で、資料1-1をある程度、補完していく必要があるのかなという整理だけ、私は前回もお話ししたとおりデータベースを構築していく、どこのデータベースにどういう入れ物をつくるのかというところにちょっと関心があります。

 そのときに、今お話を伺っているとリハビリに関係する、例えばリハの計画であるとか、ICFでもそうなんですけれども、背景因子とか、環境因子、もともと人間が何とか頑張って何とかできるものとは全く関係なく、地域性であるとか、住環境であるとか、ポジティブに何かできない部分というのがデータとして存在しているのかなということが気になっています。

 それともう一つ、背景因子とか環境因子も全てにおいて標準化されていないのも事実なんですが、介入をすると介入が常態化していく。ずっと常態化すると、何かの用具を使っているとか、用具を使っているのは介入なのかどうなのかとか、これからきょう栄養の話も出てくると思うんですけれども、栄養も積極的にポジティブに栄養に気を使ったものなのか、地域特性でたまたまそういう栄養だったのかというような、自分の中で気を配ってやったものとそうでないものという部分も存在していますね。それが多分、環境因子とか背景因子に変化していく可能性が大だと思うんです。

 つまり、そのデータをとった瞬間は、皆さんがすごく気を配られていて、ブームになっていて、ある種の介入をやってみました。ところが、ブームが過ぎ去っていって常態化してくると環境因子になっていったりという部分がもう一つあるなというところを、どうやってデータベースの中で連結していけばいいのかなということはちょっと気にはしています。

 それはロングタームでもちろん気にしているんですが、それともう一つ、この1-1を補足していくのが重要なんですけれども、この実地検証する前にこのあり方は何の評価をもってよしとするんだろうかというのは、いろいろな多角的な視座があらわれるのはもちろん承知をしておりますが、その中に例えばニーズであるとか、前回家族の議論をされた方はたくさんいらっしゃいました。家族がそういうふうに思っているものと要介護認定がぴったり合っているわけでも多分ないでしょうというところについて、どういう評価のあり方があるのかなということが気になっています。

 そうすると、1-1の資料の中でイベントと書かれたもののところというのも、例えば常態化して背景因子となっているイベントなのか、病気になってしまったのかというと、当然医療と介護は連結してデータベースをつくらなければいけないですし、そういうような背景のあり方と評価のあり方というところと、あとはリージョンで地域的に見るものですね。ミクロ的に見るものと、ナショナルなマクロ的にリージョンでカバーできないことを、リージョンである地域でうまくいっている要因は何なのか。それをナショナルに展開したら本当にうまくいくんだろうかというところまで、全体像でどう捉えるのかというのをちょっと気にしているんですね。

 それによって、当然データベースを連結するときに無駄な投資にならないようにしなければいけないですし、必要なものを一番優先度を高くつないでいくということになりますし、医療と介護のシステムを多分このタイミングでだんだんシステムのあり方も一個ずつ変えていくというか、つくり変えていかざるを得ないだろうなと思っているというのが一つの意見でございます。

 その中で、皆様と御議論いただくのに重要なのは、きょうではないんでしょうけれども、背景因子と環境因子のところも今後検討いただく必要があるかなと思っています。

 それと、先ほど言った評価の点も気になる。どういう評価が専門家である皆様にとっていいというものなのかというのは、結構意見は割れるだろうと思うんですが、すごく気になっているというところでございます。

○鳥羽座長 いかがでしょうか。

 どうぞ、瀬戸オブザーバー。

○瀬戸オブザーバー 全国老施協の瀬戸でございます。

 先ほど八木先生がおっしゃられていたことで、介護はやはり目的ではなくて、我々は介護は生活の支援をしているんだと思っているので、座長がおっしゃられた重度者のQOLはなかなかはかりづらいですけれども、我々がやっている介護は重度者を含めての介護なので、そこがしっかりと評価できるような評価軸を、せっかくの機会ですのでつくっていただければ、我々重度の人を日々支えている者としてとてもありがたいと思っています。

○鳥羽座長 折茂オブザーバー、どうぞ。

○折茂オブザーバー 先ほど鈴木先生とか松田先生がおっしゃったことに通じるんですけれども、やはり医療と介護の一体化というのはとても重要で、前回もそうですが、きょうもよくなるということに光が当たっていますけれども、やはり悪くなるというイベントは避けなくていけない。

 その中で、やはり薬剤の問題とか、薬剤で例えば眠剤でふらつく、あとは多剤併用でふらつく。薬剤情報で本当に10剤、12剤、抗凝固剤とか、そういうのを2種類、3種類飲んでいる方がいて、それで下血して悪くなって寝たきりになっちゃうとか、そこをしっかりリスク管理するというところは、やはり医療情報をしっかりとっていかないといけないと思います。

 ただ、介護保険のレセプトは電算化しているんですけれども、病名ですらあやふやなデータですし、薬剤情報はさっきも言ったようにとれていないですよね、ですから、薬剤情報をしっかりとって、例えば医療のほうで原薬の加算がついてきましたけれども、果たしてこの10剤が必要なのか。各専門医の先生方はこれは絶対に必要だとおっしゃいますけれども、その辺のところは高齢者のエビデンスをとるためにも、医療情報というのはしっかりとって連結をしていかないと片手落ちになってしまうのではないかと思います。

○鳥羽座長 どうぞ。

○藤井構成員 先ほど来、八木構成員、あるいは瀬戸オブザーバーがおっしゃっていた、実現したい生活とか、介護の目的はということは、次回行うケアプランに今の介護保険ではそこに凝縮されるということになっておりまして、私もケアプランをちょっとテキストマイニングとかを使って分析できないかとやってみたことはあるんですけれども、非常に大変で、従来のやり方では難しいというか、とても難しいと思っております。

 ただ、そのケアプランで実現したい生活とかというのが計画の1表、2表とかに書いてあるものを、どうやってそれを使うのか、使わないのかという議論は、ケアプランという形で介護保険というのはもうデータ化することになっておりますから、そこで議論をすればいいことではないかと思います。

 次回、ケアプランが出てきますので、それでいいんじゃないかというふうにお聞きしたいのですが、事務局のほうはそれでお間違いないですか。

○井口課長補佐 はい。

○鳥羽座長 よろしいでしょうか。

 そろそろ時間がきていますので取りまとめて話しますと、社会的な背景といったものも包括的な評価の中に実は入っていまして、定まったシートというものもある程度は提案されているのですが、特に先ほどから言う物差しには天井効果があって、いい人には全然はかれないものと、悪い人にははかれないものがある。ですから、特に社会的な背景などは軽い人には非常に重要になってきますので、今後どういう対象にどういうところをはかるか。先ほどの、介護によってどういう自立をして自己実現したいかというのも軽い人には非常に重要ですけれども、重い方にはなかなか少なくとも質問紙法ではとれないということがありますので、一律の評価のものをつくるのか、あるいは状態像に分けて大きく2つに分けるかという議論も含めて、今後展開していければというふうに思っております。まだ、きょうは結論が出ません。そういうことで、多様な意見をありがとうございました。

 きょうのもう一つの具体的な事例といたしまして、栄養に関してシート資料をつくっていただきましたので、ちょっと時間が押しておりますけれども、利光構成員のほうから説明をお願いいたします。

○利光構成員 愛媛大学の利光です。よろしくお願いいたします。

議論の後で少し的の外れたまとめ方になっていたら大変申しわけありません。御説明をさせていただきます。

 資料2と、それに伴う参考資料2をごらんいただければと思います。

 この栄養を提案いたします前に、基本的に食、栄養の部分というのは医療と介護は別のものという考えではなく生活を営む上で同様でございます。もちろん、疾病に関する考え方も同様に行うべきものと考えております。

 今回の提案に当たりましては1ページにお示しをさせていただいておりますとおり、現在の介護現場での記録の有無にかかわらず、取得されている情報を提案させていただきたいと思います。意識して記録しているものと、確認はしているけれども記録されていないものもございます。

 また、居宅施設、通所に共通して利用できる可能な情報であること、それから介護現場の指標であると同時に、医療現場と連動可能な情報として利用することができること。

 一番重要な事として、誰でも測定調査可能である情報といたしております。

 また、一つの情報がその時々の評価指標であり、リスクの回避指標であるということと、統計処理と書いておりますが、分析可能な情報であることを原則としてお示しさせて頂きます。

 前回お話にございました、日本人を対象とした高齢者とか介護等にかかわるもので文献を多少用意させていただいております。

 3ページから始めさせていただきます。栄養の分野に関するもので、大きく状態にかかわるものを4つに区分させていただいております。

 1つが、身長、体重、BMI、体重減少率という身体状況に関するものです。身長そのものの重要度は高くありませんが、BMI、体重減少率という栄養状態を評価するものを確認する上で、身長と体重というものを入れさせていただいております。

 ※1に除脂肪体重、骨格筋量と書いてございますが、これは下の部分の上腕周囲長、上腕三頭筋皮下脂肪厚、上腕筋囲長と関連するのですけれども、現在この上腕周囲などの測定はメジャーを上腕三頭筋脂肪厚はキャリパーを使って測定をしている施設もございます。

 ただ、今、論議されているサルコペニアの考え方を採用するとするならば、経費的にはかかるものではございますけれども、体組成計を用いることも可能です。誰でも測定可能ですし、仰臥位で測定できるものもございます。このような機器を用いれば、体重、それから除脂肪体重、骨格筋量、上腕周囲長というものが90秒ぐらいで測定できるものがございます。

 ただ、機械を必ず用いなくても、現在あるメジャーで測定することも可能です。

 次のページに移らせていただきまして、4ページ目です。下腿周囲長と握力、これはサルコペニア指標であり、リハビリテーションの介入が多いかと思いますが、その介入と栄養状態の指標として考えられると思います。

 最後に栄養の状態についてですが、栄養に関する介護報酬の一つとして栄養ケアマネジメント計画というものがあります。栄養素の摂取状態や栄養補給法等について記入しています。

 また、食品の摂取頻度です。栄養摂取量の計算についてはもともと各介護施設であっても、医療施設であっても、コンピューター内に挿入されているデータを用いて計算することができます。

 ただ、在宅につきましては、基本の食事内容がなくコンピューター内で把握していないことから、いわゆる食品の摂取頻度を用いて概算の摂取量を計算する必要があります。

 また、食事の時刻と、食事入手ルートです。自炊をしているのか、配食を用いるのかでやはり栄養摂取状況も違うという報告もあり、記入をさせていただいております。

 最後の栄養診断(判定)ですが、これは必須項目という意味ではありません。実際に栄養状態や食事、栄養に関する問題点について判定し示すことで、どのような改善をすべきかについて明記すべきかと考え記入させていただきました。ここについては非常に総括的で管理栄養士が行っている内容ですので、これは必須項目としてではなく記載のみさせていただいております。

 次の5ページに入ります。これが直接、栄養の指標という意味ではなく、関連と影響するものとして大きく認められる内容についてまとめさせていただいております。

 1つは歯の状況、咀嚼、咬合、かみあわせです。咀嚼・嚥下状態、それから認知症の評価、次のページの日常生活の自立度のADLです。それから先ほどもお話にも出ておりました服薬です。

 食事と服薬の観点で申しますと、やはり睡眠導入剤などを飲んでいる方では傾眠症状も出現し、食事が進まない状況になるなどの影響があります。または私自身も介護施設で経験することがございますが、利尿剤の服用によりナトリウムの排泄を促している状況で食事摂取量も進んでおらずナトリウムそのものもほとんど摂取できていない。そのために傾眠や錯乱などの状況が起きるということも目にすることもあります。

 また、各疾患によるいろいろな関係性と食事に対する本人の満足感、楽しみ、食事の意義の部分についても関係してくるものと思われます。

 7ページからは介入に関するものを記入させていただいておりますが、食事のまずは提供です。療養食や、形態調整、嚥下とか咀嚼に関する提供を行ったものに関するものの介入によって食事摂取量が増加しています。

 また、現在の経口維持加算の部分ですが、食事の際の観察時に食べこぼしの状態を見たり、丸飲みをする食べ方であったり、食事の時間に傾眠状況であるなど、その時の状態を観察することによって咀嚼・嚥下機能や食事量の低下等について早期に確認し介入することによって低栄養状態の改善につなげることができるものと考えられます。

 また、今、在宅においては、スーパーが近くになく自分で買い物に行けないといったことも問題視されています。ヘルパーさんにお願いをする場合もありますが、配食サービスを利用される方も増えています。その配食サービスについても介入項目に入れさせて頂きました。

 それから、食支援です。大きなくくりですが、食介助による食事の支援をすることによって食事量の改善と低栄養の改善を示すことができます。

 最後に、食事の相談です。家族の方が、どういうものならば食べやすいだろうかとか、特に形態調整や調理の工夫、食事を作れない状況であれば、配食をどういうふうに活用するかなど、食事に関する相談について介入内容として提案をさせていただきました。

 9ページから10ページにかけては、「イベントに関するもの」を記載させていただいています。イベントは誤嚥性肺炎や窒息、また、うつ症状の出現により食事を口にしなくなるという状況や低栄養が伴う褥瘡です。これらについてイベントとして想定させていただきました。

 また、ここに記載はございませんが、在宅から施設に移ったり、環境が変わったりすることによって食事が摂れなくなったり、精神状態が不安定になったりということも見受けられる現状があります。

 説明を致しました、これらの内容について11ページにまとめさせていただいております。この11ページのものについて参考資料に抜粋した引用論文を記載させていただいています。まずは4ページを見ていただいたらと思います。

 参考資料の4ページに、「栄養状態の(予測)指標・改善計画指標」として一覧にまとめさせていただいております。先ほど申し上げました身体状況、それから筋肉量を測るための上腕周囲長などを、また栄養関係の摂取量については左側に項目を示し、右側に栄養状態に関する評価指標としてどういうものが見受けられるかについてまとめさせていただいております。

 冒頭に申し上げましたとおり、これらの調査項目、確認項目というのは、現在の栄養ケアマネジメント計画で用いられている項目であり、施設におきましては、もともと食事を提供する上でシステムを持っており、その中に情報が入っています。ただ、報告事項として表には余り出てきていない内容というものも含めてここに記載させていただいています。

 時間もございませんので詳細な御説明は割愛させていただきますが、参考文献につきましては8ページから15ページまで、参考文献の要約につきましては、参考資料の17ページ以降に記載をさせていただいております。

○鳥羽座長 ありがとうございました。

 これは、案を出していただいて、フォームを出していただいたのですけれども、全体的にこういうような案というものに関して何か御意見ございますでしょうか。

 先生に1つ聞きたいのですけれども、厚労省のほうでこれをやっていく上でフィージビリティースタディですね。その項目がどのぐらい回答が容易であって、介護現場で記載するのに負担が大変かということも調べていくようですけれども、これはマキシマムな項目と考えてよろしいのですか。

○利光構成員 はい。その意味で書かせていただきました。

○鳥羽座長 折茂オブザーバー、どうぞ。

○折茂オブザーバー 詳細にありがとうございます。画期的だと思ったのは、アルブミンが入っていないのは、あえてアルブミンを抜いたんですか。

○利光構成員 アルブミンは、医療現場においてもアルブミンだけを指標にするということはありません。

 と申しますのは、先生方も御存じのとおり炎症マーカーと逆相関があり、アルブミンのみでは栄養状態を判断できません。疾患によって左右致します。また、介護現場においてアルブミンを常時測定するということは不可能かと考えましたので、省かせていただきました。

○折茂オブザーバー とても画期的なものだと思います。

 それと、介護の現場、特に私は施設系にいるので、施設系だと上腕周囲長とか余りはからないですね。余りというか、必要に迫られた場合ははかることはありますけれども、皮下脂肪厚計なんて老健にはないことが多いんじゃないかと思うんです。ですから、この辺をはかれとなると負担が随分施設ではふえてくるんじゃないかという気がしますけれども。

○利光構成員 ありがとうございます。その点につきましては、確かに私も県内ではございますが、測定している施設、測定していない施設というものがございました。

 それで、今回お示しをさせていただいたのが、筋肉量についてやはり高齢者の指標としては大事な部分であろうということからあえてご提案させていただきました。使用するか否かは別として、体組成計は誰でも90秒で測定できるということからご提示だけさせていただきました。

○鳥羽座長 ほかにいかがでしょうか。

 では、どうぞ。

○瀬戸オブザーバー 私も折茂先生と同じことを言おうと思って、特に状態像のところの収集などに関しては体組成計を入れたらとございましたけれども、多分、特養としてはかなりはかるのに厳しい。基本的に、この検討に当たっての留意事項で現場の負担をふやさないということがあるので、そこを見ればすごく大事なことなんでしょうけれども、かなり厳しい状況かなというふうに思います。

 それから、介入に関しても多分このこと自体はやっていますが、特に現場で言えば加算をとっている、とっていないものありますが、加算をとっていればミールラウンドに関してはきっちりやっていますのでそこはすぐ出ますけれども、それ以外のところを記録されているのをとるのがすごく大変というのは今、現場で悩んでいるところで、記録自体も大変だけれども、それをもう一度収集してやるという作業をすることも現場にはかなり負担かなと思いました。

 それから、イベントに関して、イベントがどういうものかというのは最初に座長もおっしゃられていて、どう表現するかという話もされていましたけれども、これをアウトカムというふうにするのであれば、このイベントというのはすごく悪いことばかりが書かれていますが、何か状態がよくなったとか、すごくいいことがあったということも含めたイベントも評価していただければ少し変わってくるかなと思いました。以上です。

○鳥羽座長 いかがでしょうか。

○利光構成員 ありがとうございます。イベントについては、確かに先生がおっしゃるとおりなのですが、イメージとして医療的な内容を書かせていただきました。大変失礼いたしました。

 先ほどのACTSFの件ですが、あえて記載させていただいた理由として、次回、論議される予定のリハビリの効果判定にも使用するマーカーでもあります。栄養だけではなくて、これはリハとの絡みもあってのマーカーになるかと思います。

 今まで測定していないところは負担になるということは重々、私も理解いたしておりますので、ミニマムの御提案ということで御許可をいただければと思います。よろしくお願いします。

○鳥羽座長 どうぞ、鈴木オブザーバー。

○鈴木(邦)オブザーバー 非常に盛りだくさんの内容で意欲的だと思うんですけれども、この調子でリハビリや、ケアプランや、認知症、いろいろなものが入ってくると膨大な量になるのではないかと思うので、それをどう整理していくかということが重要になってくると思いますし、言うなれば介護に医学的視点を入れていくというか、そういう意味もあるのではないかとは思うんですけれども、そういうものと、それから自分の思いを実現する介護というのをどう折り合いをつけていくかというのも考えていかないと、科学的介護というと何か医学的に分析した介護というか、医学的な評価を介護に入れていくことが科学的介護なのかということだけではないと思うんですけれども、それをどのように評価できる仕組みをつくっていくかということがこの中から出てくるのかどうかというのはちょっと注目したいと思います。

○鳥羽座長 ほかにいかがでしょうか。

○利光構成員 ありがとうございます。栄養の部分と食事の部分というのは、介護とか医療とかという分け方というよりも生活の基本ベースというふうに考えております。医療系であれば、もう少しデータを集めるのですが、簡単に誰でも判断ができて測定できるものですね。

 では、この中からもう少し集約してということになりますと、当然ACTSFという測定ものけるという形を私も検討することになりますし、栄養のとり方についても、いかに簡単なもので、いつも確認している内容で評価ができるものという形での御提案をさせていただくことになると思います。

 あとは、高齢者の入所者の方でもやはり主観的評価というか、患者さんの訴えで食事が楽しみだよとか、きょうはおいしいと感じたとか、そういうことは非常に介護の世界においては大事なことではないかと考えています。

○鈴木(邦)オブザーバー 今の話ですけれども、例えば食事を楽しむとか、おいしかったとか、そういうのはどういうふうな評価が入っているんですか。

○利光構成員 今この項目につきましては、経口維持加算のところと栄養ケアマネジメントのところに少しこういう項目があります。その部分を抜粋させていただいております。

○鳥羽座長 葛西顧問、どうぞ。

○葛西顧問 いろいろ丁寧に整理いただきましてありがとうございます。大変興味深いんですけれども、結構なデータ量があって多分、皆様はこれをどうやってとろうかとか、真面目に考え始めるといろいろな課題があるという反応があるのだろうなとはもちろん思うのですが、先生がお考えのこの項目というのは、ざっくり各々何のデータベースからとるとか、何のシステムからとるとか、体組成計からとるとか、何となくイメージがあれば簡単に教えていただけると。

○利光構成員 ありがとうございます。先ほどのACTSFとかにつきましては、体組成計からもしとれるとするならば一番早いであろうと思っています。

 栄養素の摂取量とか充足率というものにつきましては、基本的に施設であればもともと食事を提供するシステムを持っています。つまり、その方にどれだけ提供したか。どういうものをその方に出しているかは、わかりますから、その摂取割合でどの程度の栄養素量を摂取しているであろうということを推測することができ、現在もその情報を利用し栄養管理を行っております。

 在宅におきましては、栄養士が行くところにつきましては聞き取りである程度、食品交換表などを使って簡易計算を行っています。栄養士でなくても、多くの人が御飯を食べているという話とか、お野菜は食べられますかという話をしていますし、その話の中から聞き取り、ある程度の推定計算をすることになるかと思います。

 最初に戻りますけれども、システムとしては、体重は体重計ですね。ACとか、TSFとか、もし除脂肪体重、骨格筋量まで求めるのであれば体組成計を入れれば導入することはできます。

 握力は握力計で、栄養素の提供量から実際の状況を見るのは給食システムというシステムと、あとは栄養マネジメント計画のものをクロスさせれば、摂取量をデータとして取ることができます。以上です。

○鳥羽座長 いかがでしょうか。

 では、どうぞ。

○藤井構成員 大変勉強になりました。栄養状態の改善介入項目という部分なんですが、先ほどフィージビリティー尺度みたいなことを申し上げたんですが、例えば経口維持加算を算定していれば計画がつくられて医師、歯科医師の指示を受けて管理栄養士、または栄養士がやって云々ということが明確になっていると思うんですが、例えば配食サービスの場合ですと、まずどうでなければいけないのかという条件がないということと、あるいは経口維持加算でも、この経口維持加算のやり方でないと効果が出ないというエビデンスがあってつくられたものではなかったのではないかと思うんですね。

 つまり、経口維持加算がどうあるべきか。あるいは、配食サービスがどうあるべきかというものがないと、この介入というものがはかりにくいんじゃないかと思うのですが、そのあたりは先生のほうはどういうふうにお考えですか。

○利光構成員 今、実際にしているものを参考資料のほうに論文として少しつけさせていただきました。報告分としてつけさせていただいております。

 食事の観察のミールラウンドにつきましては、文献番号が21ですので11ページです。参考文献の11です。「在宅要介護高齢者の栄養状態と咬合、摂食・嚥下機能の関係とミールラウンドによる栄養アセスメントの効果」という形で、件数的には東京都内、213名の方を対象にしたものです。ミールラウンドの項目というものに関しては、いわゆる食べることの動作ができるかどうかということが主体になっています。もう一つは、食べる環境的なものであったり、本人の意欲であったりということが示されていると思います。

 もう一つの配食サービスにつきましては、次のページの参考資料の12にございます。これにつきましては、1日1食を週3回、配食サービスを利用することによって栄養摂取量の増加、栄養改善の効果が認められた。免疫まで書かれていますが、これは宮城県の住民を対象にしたもので少ない症例でございますが配食サービスの効果について報告されています。

 先生がお話をされていましたように、確実な基準があって、実際に確実にこうすればいいというものは、調べました範囲では、論文はありませんでした。現状においては、このような報告文が出ている状況です。

○鳥羽座長 いかがでしょうか。

 鈴木先生、要介護高齢者の栄養を昔やられていたような気がするんですが、私の思い違いでしょうか。

○鈴木(裕)構成員 思い違いかもしれませんけれども、実は病院では結局リハビリテーション科、あるいはリハビリテーション部が運動機能のリハビリテーションとか、あるいは摂食・嚥下リハビリを共同で実行しているわけで、それが例えば介護保険になりますと、在宅の栄養指導ということになると、恐らくリハビリテーションとちょっと切り離されてしまうという部分がありますし、実際に介護プランを立てる上で、これは本当に栄養士の先生方には申し上げにくいんですけれども、どうしてもプライオリティーとして在宅の栄養指導というのはほかのサービスに比べると低くなってしまうというのが現実としてあると思うんですね。やはりメニューを、献立を立てたり、ミールラウンドをやったりということよりも、もう少し別のプランを実際には入れざるを得ないという部分があると思うんです。

 ですから、これも私の限られたエビデンスの理解ですと、やはり栄養的な介入だけで、ADLという視点から見てその改善が望めるということは非常に限られている。恐らく指標としては限られていると思いますので、栄養と運動のリハビリ、そういうものを組み合わせないと恐らく効果が上がらない。

 そういう意味では、こういう指標という点でも次回以降議論することになると思いますが、栄養の指標とリハビリというものをある程度、融合させたようなものを共通の指標としてつくっていく議論が必要ではないかと思います。

○鳥羽座長 よろしいでしょうか。時間が押してきましたので、栄養に関しての議論で、今、葛西顧問からのどこからその情報がとれるのか。新たに記入して答えてもらわなければいけないもの、それから機器を購入しないとできないもの、体組成計、例えば体重も要介護3、4では車椅子体重計がないとはかれないわけですね。それから、骨粗鬆症や拘縮した人では身長さえもはかれないんです。

 したがって、要介護高齢者のBMIというのは非常に限られた情報しかとれないので、その辺が一体どういうフィージビリティーをお考えでそういう項目を入れてきたか。普遍的に情報がとれるかどうかを一項目ずつ洗い出して、データがとりやすく、かつ信頼性のあるものはということを次回までに洗い直していただきたいし、ほかの項目についても恐らくそういう観点で、確かな指標であり、しかもフィージビリティーがある程度大丈夫そうなものをまず選ぶということが非常に重要だと思っております。

 葛西顧問、そういうことでよろしいですか。

○葛西顧問 はい。

○鳥羽座長 それでは、ちょっと時間が押してきて、本当はもっと熱く議論していただきたいところですが、次回以降も同じような各論が出てきますので、またこれはオーバーラップして議論いただきたいと思います。

 それでは、次回の予定等について事務局からお願いいたします。

○井口課長補佐 事務局でございます。

 次回の日程につきましては、11月7日火曜日を予定しております。

 詳細につきましては、追って御連絡をさせていただきますのでよろしくお願いいたします。

 それでは、本日の検討会を閉会させていただきます。どうもありがとうございました。

○鳥羽座長 それでは、御多忙中どうもありがとうございました。次回も、よろしくお願いいたします。

 

 


(了)

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