ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会)> 第12回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 議事録(2017年1月30日)




2017年10月6日 第12回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 議事録

健康局健康課

○日時

平成29年10月6日(金)16:00~18:00


○場所

新橋会議室8E会議室


○議事

○大林予防接種室長補佐 それでは、定刻になりましたので、第12回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会を開催します。本日は、御多忙のところ御出席いただき誠にありがとうございます。本日の議事は公開ですが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。また、傍聴の方は「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。

 続きまして、出欠状況について御報告いたします。池田委員、戸田委員から御欠席との連絡を受けております。現在、委員17名のうち、15名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会の規定により本日の会議は成立したことを御報告いたします。

 本年2月に厚生科学審議会委員の改選があり、予防接種・ワクチン分科会及び基本方針部会に委員として参画いただいておりました岡部委員と澁谷委員が退任されております。本分科会に新たに川西委員、倉根委員、山中委員が任命され、倉根委員は、当分科会の分科会長に選任されておられます。倉根委員と山中委員は基本方針部会に、川西委員は、研究開発及び生産・流通部会に既に御出席されておられますが、分科会には初めての御出席ですので、改めて御紹介いたします。国立医薬品食品衛生研究所所長の川西徹委員です。国立感染症研究所所長の倉根一郎委員です。青森県中南地域県民局地域健康福祉部部長、弘前保健所長の山中朋子委員です。なお、分科会長代理には引き続き中野委員が指名されておりますので、御報告いたします。また、本日は多屋参考人、畑参考人にも御出席いただいております。

 では、議事に先立ちまして、配布資料の確認をさせていただきます。座席表、議事次第、配布資料一覧、委員名簿、資料12、参考資料14、追加資料、各委員からの審議参加に関する遵守事項の申告書を御用意しております。資料等の不足がございましたら事務局にお申し出ください。申し訳ございませんが冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力お願いいたします。それでは、ここからの進行は倉根分科会長にお願いいたします。

○分科会長 よろしくお願いします。それでは、事務局から審議参加に関する遵守事項等について報告をお願いします。

○大林予防接種室長補佐 審議参加の取扱いについて御報告いたします。本日御出席いただきました委員から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規定に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄付金等の受取状況、申請資料への関与について申告を頂きました。各委員からの申告内容については、机上に配布しておりますので御確認いただければと思います。本日の出席委員の申出状況及び本日の議事内容から、今回の審議への不参加委員及び参考人はおりませんことを御報告いたします。以上です。

○分科会長 ありがとうございました。それでは、議題(1)報告事項に入りたいと思います。本日は、報告事項が3点あります。報告に対する質疑等については、その都度行いたいと思いますが、まず1点目、各部会からの審議状況の報告について事務局より説明をお願いします。

○黒崎予防接種室長補佐 それでは、第18回予防接種基本方針部会の開催状況及びそこに付随しますワクチン評価に関する小委員会の開催状況について御報告申し上げます。

 第18回予防接種基本方針部会については、平成29427日に開催をしております。このときの議題といたしましては、「予防接種に関する基本的な計画」におけるPDCAサイクルにかかるヒアリングということです。「予防接種に関する基本的な計画」の第2、国、地方公共団体その他関係者の予防接種に関する役割分担に関する事項ということで、予防接種センターの取組状況について中野委員から御報告を頂いております。それから、同じく第6、予防接種の有効性及び安全性の向上に関する施策を推進するための基本的事項の第4、予防接種関係者の資質向上ということに関しまして、国立国際医療センターが実施しております予防接種基礎講座のことを中心に、予防接種の啓発・信頼確立のためのプラットホームづくりについて堀成美参考人から御報告を頂きました。また、同じく第8、その他予防接種に関する施策の総合的かつ計画的な推進に関する重要事項ということで、同時接種、同じ接種間隔のことについて中野委員から御報告を頂いたところです。

 次、第19回の基本方針部会ですが、平成29914日に開催をしております。このときは、議題が全部で4つありまして、1つ目は、「予防接種に関する基本的な計画」におけるPDCAサイクルにかかるヒアリングとして、主に市区町村の取組について福岡市、練馬区、文京区、君津市の担当者の方からそれぞれ御報告を頂いております。議題の2つ目として肺炎球菌感染症の接種対象者についてです。今、高齢者の肺炎球菌ワクチンのことに関しましては、平成30年度までの特例ということで、65歳、70歳、75歳という方に接種を頂いておるところですが、この特例が終わって平成31年度以降、肺炎球菌感染症の定期接種対象者について以下の点について御了承いただいております。1つ目としては、技術的な観点から、このことに関しては、ワクチン評価に関する小委員会において検討を行うということと、2つ目、その検討に先立ちまして、肺炎球菌ポリサッカライドワクチンに関するファクトシートを作成いただくことがこの会で了承されております。

 議題の3つ目ですが、風しんの排除認定に向けた取組ということですが、風しんの排除認定を目指す取組として、先の感染症部会において麻しんと同様に積極的な疫学調査を行うこと、また、サーベイランスを実施することとしております。今後の風しん対策に向けて特定感染症予防指針の改正等を行うに当たり、より効率的な議論を行うため、「麻しんに関する小委員会」及び「風しんに関する小委員会」を統合し、「麻しん・風しんに関する小委員会」を設置することについて御了承いただいております。

 続いて議題の4つ目ですが、インフルエンザに関する特定感染症予防指針の改正についてです。改正の主なポイントですが、感染症法改正による感染症に関する情報の収集体制の強化に伴う修正というものと、新型インフルエンザに関することに関しては、新型インフルエンザ等対策特別措置法及び新型インフルエンザ等対策政府行動計画などに詳しく記載されている所がありますので、このインフルエンザの特定感染症予防指針のほうからは削除をするということが了承されています。

 引き続きまして、ワクチン評価に関する小委員会の開催状況について御報告をいたします。第6回の小委員会が平成29210日に開催をされています。このときは議題が2つありまして、帯状疱疹ワクチンについてということで、ファクトシートに基づいて今後帯状疱疹ワクチンを定期接種で使用することの是非について御議論いただきまして、引き続きこの論点を整理した上で、検討を継続していくということになりました。議題の2点目は、百日せきジフテリア破傷風混合ワクチンについてということでして、こちらは平成28年の12月に百日せきワクチンファクトシートが作成されまして、そのファクトシートに基づきまして、この百日せきジフテリア破傷風混合ワクチンを定期接種として使用することの是非について御議論いただきました。こちらも同様に、論点とデータを整理して、引き続きこちらの小委員会で定期接種で使用することの是非について検討を行っていくこととなりました。基本方針部会と小委員会に関する報告は以上になります。

○分科会長 ありがとうございました。引き続いて、研究開発及び生産・流通部会について事務局からお願いします。

○坪井予防接種室長補佐 それでは、研究開発及び生産・流通部会の開催状況につきまして御説明をさせていただきます。4ページ目を御覧ください。前回、開催された分科会以降、研究開発及び生産・流通部会は31日、529日、825日の計3回、開催されておりますので、その開催状況につき御報告を申し上げます。初めに、31日に開催されました第14回の部会について御報告申し上げます。第14回では1点目の議題として、予防接種に関する基本的な計画に基づくPDCAサイクルに関する業界団体からのヒアリングについてということで、2つの業界団体からの報告が行われました。1件目は、一般社団法人日本ワクチン産業協会から、「予防接種に関する基本的な計画について-ワクチン産業の観点から-」につきまして、2件目は日本製薬工業協会から「世界のワクチン市場と日本における研究開発の促進策について」ということで、それぞれ御報告を頂きました。

 それから2点目の議題としまして、2016/17シーズンのインフルエンザの流行状況についての御報告も行われまして、国立感染症研究所の信澤参考人から、2016/17シーズンの国内及び海外のインフルエンザ流行株の性状解析(途中経過)につきまして、御報告いただきました。

 引き続き、529日に開催されました第15回の部会について御報告を申し上げます。第15回におきましても第14回に引き続き、予防接種に関する基本的な計画に基づくPDCAサイクルに関する業界団体からのヒアリングについてとして、2つの業界団体から御報告いただきました。1件目は米国研究製薬工業協会から、「予防接種に関する基本的な計画について-これまでの成果と今後期待されること-」につきまして、2件目は欧州製薬団体連合会から、「ワクチン定期接種化のプロセス~欧州の経験~」、「ワクチンの定期接種欧州の視点」、「ドイツにおける技術諮問機関STIKO」につきまして、それぞれ御報告いただいたところです。

 最後に、825日に開催されました第16回につきまして御報告を申し上げます。第16回の部会では2017/18シーズンのインフルエンザワクチンについて審議が行われました。まず2017/18シーズン、今年度シーズン向けのインフルエンザワクチンに関し、ワクチンの製造株が資料に記載した4つの株に決定するまでの流れや、H3N2亜型の製造株決定の考え方について報告がありました。2017/18、今年度シーズン向けのワクチンの製造量の見込みにつきましても御報告がありまして、昨年度に加えて次の2つの対策、すなわち13歳以上の者が接種を受ける場合には、医師が特に必要と認める場合を除き1回注射であることを周知徹底すること、昨年度以上にワクチンの効率的な活用を徹底すること、これらを講ずることにより、昨年度と同等程度の接種者数を確保できる見込みであることが示されました。また、ワクチンの流通予定量を踏まえました安定供給対策の案が併せて提示されました。

 この第16回の部会では続きまして、「2016/17シーズンの国内外のインフルエンザ流行株(総まとめ)及び次シーズンのワクチン株について」ということで、国立感染症研究所の小田切参考人から御報告を頂きました。さらに、「インフルエンザワクチンの有効性と免疫原性-ヒト・データの意義-」につきまして、保健医療経営大学の廣田参考人から御報告を頂きました。これらの御報告等を踏まえ、部会では2017/18シーズンのインフルエンザワクチンに係る状況やワクチンの安定供給対策の案に関して御審議を頂き、御了承を頂きました。なお、この16回部会の議論も踏まえまして、本日参考資料の4として付けておりますけれども、915日付けで、「季節性インフルエンザワクチンの供給について」と題する3課長の連名通知を発出しておりますことを申し添えます。

 それから本日になりますけれども、関連の資料として追加資料をお配りしておりますので御覧ください。この追加資料ですけれども、昨年度シーズンの供給量と納入量の実績に関する資料、それから今年度シーズンの需給状況に関連する資料ということで本日お配りしました。こちらについて簡単に御説明いたします。

2枚ありますけれども、まず1枚目は、昨年度シーズンの供給量と納入量の実績を週ごとに示したグラフです。青の四角が累積の供給量の実績を示しておりまして、赤の三角が医療機関への納入量の実績を示しております。供給量、納入量とも10月から除々に右肩上がりに伸びておりますけれども、この2つのグラフの間、差分に当たる所が流通段階にある在庫量を示しております。それから2枚目、こちらも同様に今年度シーズンの累積供給予定量の見込み、これは今年の7月現在のものということをお断りさせていただきますけれども、その今年度シーズンの見込みと医療機関の需要予測を示したグラフになっております。同じように青い四角と赤い三角がありますけれども、青い四角の供給予定量の見込みは、先ほど少し御紹介した915日の通知別添3にお示ししたグラフと同じものです。赤の三角のグラフは、昨年度シーズンの納入量の実績をベースとしまして、先ほど御説明しましたが、13歳以上の方について医師が特に必要と認める場合を除いて「1回注射」であるということを周知徹底した場合の影響、それから効率的な活用の徹底の影響、こういったものを考慮した推計値として示されております。昨年度と同様に供給量、納入量とも10月から除々に右肩上がりになっておりますけれども、11月の後半から12月ぐらいにかけて、若干グラフが交錯しているような状況となっております。この青い四角のグラフを見ていただきますと、11月の所に新たに供給される量が少なくなっている部分がありますけれども、この部分については、程度についてはまだ不確定な部分がありますけれども、更なる供給の前倒しにつきまして取組を実施しているところでして、この青四角のグラフ全体が、先ほど7月現在ということで申し上げましたけれども、今後少し変わり得るものであることを御留意いただければと思います。研究開発及び生産・流通部会に係る御報告は以上です。

○分科会長 ありがとうございました。それでは次に、副反応検討部会について事務局からお願いします。

○堀専門官 よろしくお願いします。それでは、副反応検討部会開催状況について御報告申し上げます。6ページをご覧下さい。合計6回開催しております。第25回は平成29227日に開催しております。麻しん、風しん、おたふくかぜ、水痘、A型肝炎、23価肺炎球菌、インフルエンザワクチンの安全性について議論していただいています。麻しん、風しん、おたふくかぜ、水痘、A型肝炎、23価肺炎球菌、インフルエンザワクチンの安全性について、副反応の疑いとして報告された全ての症例の概要並びに後遺症症例、アナフィラキシー症例及び死亡症例のより詳細な経過等の資料を基に審議され、これまでの報告において、過去ワクチンの安全性に重大な懸念は認められないと評価されました。

 第26回は平成29410日に開催しております。議題の1題目として、HPVワクチンの安全性についてです。HPVワクチンについて、副反応疑いとして報告された全ての症例の概要並びに後遺症症例、アナフィラキシー症例及び死亡症例のより詳細な経過等の資料に基づき審議され、安全性において新たなシグナルの検出はなく従来どおりの評価とされました。議題の2題目として、全国疫学調査(子宮頸がんワクチンの有効性と安全性の評価に関する疫学研究)について議論していただきました。研究班(厚生労働科学研究 研究代表者:祖父江友孝・大阪大学大学院教授)から、全国疫学調査について追加分析の結果が報告され、「HPVワクチン接種歴のない者においても、HPVワクチン接種後に報告されている症状と同様な『多様な症状』を有する者が一定数存在した」という平成281226日の結論と変わりはありませんでした。

 ページをめくっていただき、第27回は平成29515日に開催されております。議題1として、百日せき、ジフテリア、破傷風、不活化ポリオワクチン、肺炎球菌(13)HibBCG、日本脳炎、B型肝炎、ロタウイルスのワクチンの安全性について議論していただいています。百日せき、ジフテリア、破傷風、不活化ポリオ、肺炎球菌(13)HibBCG、日本脳炎、B型肝炎、ロタウイルスの各ワクチンについて、副反応疑いとして報告された全ての症例の概要並びに後遺症症例、アナフィラキシー症例及び死亡症例のより詳細な経過等の資料を基に議論され、これまでの報告において各ワクチンの安全性に重大な懸念は認められないと評価されました。

 第28回は平成29728日に開催しております。議題の1題目として、HPVワクチン接種歴のない多様な症状(機能性身体症状)についての専門家のヒアリングについて議論していただきました。4人の専門家から、HPVワクチン接種歴のない者における、HPVワクチン接種後に報告される重篤な症状と同様な「多様な症状」の経過や治療の状況について報告していただきました。議題の2題目として、副反応報告基準(肺炎球菌感染症(高齢者がかかるものに限る))について議論していただきました。肺炎球菌感染症(高齢者がかかるものに限る)の定期接種後の副反応報告基準に関して、以下の点について審議が行われ了承されました。肺炎球菌感染症の定期接種後、28日以内に確認された注射部位の壊死、注射部位の潰瘍の報告が対象とされました。議題の3題目として、HPVワクチン接種後の多様な症状を生じる患者のうち、治療効果のあった症例の報告(概要)について議論していただきました。ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種後に生じた症状の診療に係る研修会(平成29719日開催)の概要について報告をしていただきました。

 ページをめくっていただき、第29回は平成29828日に開催しております。議題の1題目として、麻しん、風しん、おたふくかぜ、水痘、A型肝炎、23価肺炎球菌、インフルエンザワクチン、HPVワクチンの安全性について議論していただいております。麻しん、風しん、おたふくかぜ、水痘、A型肝炎、23価肺炎球菌、インフルエンザ、HPVワクチンの各種ワクチンについて、副反応疑いと報告された全ての症例の概要及び後遺症症例、アナフィラキシー症例及び死亡症例のより詳細な経過等の資料を基に審議され、HPVワクチンの安全性について新たなシグナルの検出はなく、従前どおりの評価とされ、その他のワクチンについては、これまでの報告において安全性に重大な懸念は認められないと評価されました。議題の2題目として、HPVワクチン接種後の多様な症状を生じる患者のうち、治療効果のあった症例報告の概要についてです。ヒトパピローマウイルス感染症の予防接種後に生じた症状の診療に係る研修会(平成29719日開催)について、研修会の講師代表として、愛知医科大学学際的痛みセンターの牛田享宏教授から概要について報告していただきました。

 最後に、第30回は平成29922日に開催しております。議題の1題目として、百日せき、ジフテリア、破傷風、不活化ポリオ、肺炎球菌(13)HibBCG、日本脳炎、B型肝炎、ロタウイルスの安全性について議論していただいてます。百日せき、ジフテリア、破傷風、不活化ポリオ、肺炎球菌(13)HibBCG、日本脳炎、B型肝炎、ロタウイルスの各ワクチンについて、副反応疑いの報告をされた全ての症例の概要並びに後遺症症例、アナフィラキシー症例及び死亡症例のより詳細な経過等の資料に基づき審議され、これまでの報告において各ワクチンの安全性に重大な懸念は認められないとの評価を頂きました。

 議題の2題目として、HPVワクチン接種後の症状に対する認知行動療法的アプローチについて、厚生労働科学研究事業研究班の研究代表者である愛知医科大学学際的痛みセンター牛田享宏教授から、報告していただいております。ページをめくっていただいて、議題の3題目として、HPVワクチン接種後に「多様な症状」を生じる患者に対する協力医療機関を中心とした医療提供体制の整備状況について御報告しております。以下のとおり、医学的な支援の状況について報告しております。85の指定医療機関(平成298月末時点)が設置されております。715名が受診しておりまして、このデータは平成261122日から平成29331日までのものを集計したものです。定期的に医療機関等を対象にした研修を実施しております。

 議題の4題目として、新潟県の副反応疑い症状の診療システムに関する取組(NIIGATA STUDY)について議論していただいています。新潟県の協力医療機関である新潟大学医歯学総合病院のリハビリテーション科の木村慎二教授から、新潟県内での副反応疑い報告を適切に診療につなげる取組について報告してもらっています。

 最後ですが、なお、成人用の肺炎球菌の副反応疑い報告基準の改正につきましては、平成29925日付けで予防接種法施行規則を改正し、公布、施行及び適用が同日からされておりますことを申し添えます。以上です。

○分科会長 今、3つの部会及び1つの小委員会のこれまでの経過について説明いただきました。それぞれの部会の座長の先生方に、また事務局からの報告について何か補足があればということで伺いますが、まず、私が予防接種基本方針部会の座長でありますが、特に追加はありません。また、ワクチン評価に関する小委員会は今は変わっていますが、第6回目を開いたときに私がやりましたので、特に追加することは現在ありません。

 それでは、研究開発及び生産・流通部会の座長でおられる伊藤委員、何か追加でありますでしょうか。

○伊藤委員 31日にワクチン産業協会と、日本製薬工業協会から御報告いただいたのですが、そのときは業界の方々からの陳情を大変多く頂きました。ワクチン開発に必要な体系的な疫学調査をもっとしろとか、研究開発段階からの定期接種化とか、とにかく定期接種化になる見込みがどの程度になるのかというのを早く教えてほしいというのが、業界の方々からの意見だと思っております。

 もう1つは、多分、後で議論になると思いますが、2016/17年シーズンのインフルエンザの流行状況について、やはりH3N2という株が、ワクチンを作る野生株とワクチン株との間のずれが生じていて、検体で測る限りにおいてずれているのではないかと。卵馴化についての問題点があるということが、今回のインフルエンザのワクチンの製造に関する大きな問題だと理解しています。

 その報告のまず先駆けがあったのが、31日でした。529日の第15回はアメリカとヨーロッパの業界の方々からお話を頂いて、大変有意義な話を頂きました。その点を申し上げると、アメリカのワクチンの供給体制とかヨーロッパの供給体制がやはり違うということがよく分かりました。もちろん国際調和というか、日本に導入するに当たって、国際的に使われているのをそのまま日本で使わせてくれないかという話などもあったのですが、それ以上にワクチン接種に関する制度として、州がワクチンを購入して、医師に無償で提供し、接種費用がメディケイドとか、民間保険で支払われているという話や、それから、ある程度の国家備蓄の要請をしているという話がありました。

 ヨーロッパのほうからは、アメリカのほうのACIPというのにも業界団体の人が入っているという話もあったのですが、逆にヨーロッパは、大変厳しくて、エビデンスベーストのGRADEシステムというようなシステムを使ってきちんと評価しているとか、それから、ドイツでは一般保険診療の一環として予防接種が実施されていることや、備蓄に関しては、業者が責任を持っているとか。それから、予防接種計画については、どうも国ごとの違いがあるという話ですので、それはそれで、今後、私どもとしても少し調べていきたいと思っております。

 第16回が、その問題のインフルエンザだと思っております。昨年度の流行に合わせて、今年作る予定だった株が、なかなか思うに任せず、卵で増えない、生産がうまくいかないということで、最後、選定の段階での遅れがあった、これが、今年の生産量の低下につながっているということについて話があったのが、825日だと思っております。ただ、これに対して、日本国としてどういう体制を取ればいいのかというのを随分議論した結果、やはりインフルエンザワクチン、今、13歳以上、10歳を超える人に関しては、1回接種でもいいのではないかというのは、エビデンスとして随分集まってきているところもあり、そういった形で皆さんで上手にワクチンを使えるような形を取ったらどうかというのは、最終的な結論だと認識しております。報告は、以上でございます。

○分科会長 ありがとうございます。次に、副反の検討部会の座長でおられる桃井委員に、追加等がありましたらお願いいたします。

○桃井委員 内容的には、この資料に基づいて大変詳細に御報告いただきましたので、特に追加はありません。全てのワクチンに関して、極めて精緻に慎重に安全性についての議論を毎回進めています。

HPVワクチンについては、安全性の議論に必要な様々な切り口、疫学、臨床像、そして、非接種者、接種者の臨床像の異同等々、様々な切り口からの情報収集をしているところです。以上でございます。

○分科会長 ありがとうございます。今、事務局からの説明と、それぞれの部会の座長の先生方からの追加がありました。

 それでは、今、説明があった3つの部会と、1つの小委員会について、何か御質問、御意見はありますでしょうか。

○中野委員 ちょっと些細なことですが、医療安全管理の観点から、大切と思うので確認させていただきます。部会としては、研究開発及び生産・流通部会の第16回、平成29825日開催の部会に関してです。今、御紹介いただいた参考資料4に関して、これは医師会を通じて当院にも来ておりまして、厚労省から出していただいた通達が既に行き渡っていると思います。また、ワクチンに関しては、やはりワクチンが足りないというのは非常に混乱を来しますので、現場に携わる者の1人として、効率的な運用に努めていきたいと思いますし、その普及・啓発にも努めてまいりたいと思います。

 気になったのは、参考資料42ページ目の(3)の最後の2行ですが、「最初の吸引から24時間を経過していた場合は使用せず、適切に廃棄すること」ということで、24時間という具体的な時間をお示ししていただいています。今、これを拝見していて気になったので、幾つか複数のインフルエンザワクチンの添付文書を確認してみたのですが、添付文書の記載は、「1度針を刺したものは、当日中に使用する」という記載です。私自身は自分の病院で医療安全管理の観点から、当日開封したものは、その日に使い切るように、これまで指示を徹底してまいりました。例えば、小児科と内科で接種しておれば、最後、お一人、お二人、予約の方が何人か見えたときは、小児科と内科で、それぞれ残ったバイアルの残量をお渡しして接種したりと、そういう効率化に努めてまいったつもりなのですが、24時間という理解ですと、夕方に新たに開封をした場合には、翌日まで使用ができることになると思います。なおかつ、開封した場合は、その時間とかをきちんと記載して、効率的な運用に努めるということは、今シーズン行うということを徹底すべきということになるかと思いますので、添付文書の記載と参考資料4と、今シーズンに当たって、どちらをきちんと優先して指導すべきかということを、医療安全の観点から明らかにしておいたほうがよいと思いました。

○分科会長 ありがとうございます。今、御意見というか、御質問ですが、事務局はいかがでしょうか。そこの齟齬というか、表現の違いをどのように解釈すればよろしいですか。事務局、お願いします。

○江浪予防接種室長 予防接種室長の江浪でございます。今回、今シーズンに関してはワクチンの有効使用を徹底していきたいという中で、当日中に使用することという添付文書の記載に関して、新型インフルエンザの対策を行ったときに、実際に、今、先生が御指摘の、夕方に開封したものについては、それは破棄になるのだろうかという中で、最初の吸引から24時間を経過していた場合は使用せず、適切に破棄することという運用で行いました。

 今回、使用について、効率的な使用というのを徹底しようとしたときに、またそこの部分が論点になるのかということもありましたので、新型インフルエンザのときの表現、それをこの通知の中で改めて明記したということです。この考え方に関しては、またいろいろな機会に医療安全の観点もあるということですので、情報提供をしっかりしていきたいと考えております。

○中野委員 どうもありがとうございます。了解いたしました。

○分科会長 大石委員、どうぞ。

○大石委員 感染研の大石でございます。7ページにある728日開催の副反部会の肺炎球菌ワクチンの注射部位壊死、潰瘍、これを対象とすること。これが新たに追加されたという理解だと思うのですが、きっかけになった事例が複数例なのか、治療が必要だったのか、あるいは、再接種のときに起こることなのか、初回接種でも起こるのか、事務局のほうでもしお分かりでしたら教えていただきたいのです。

○分科会長 事務局、お願いします。

○江浪予防接種室長 今回、副反応の報告基準で、接種部位壊死の関係について追加したことについては、添付文書の改訂が行われたということを受けて、その添付文書の中で記載のある重篤な副反応に関しては報告基準に位置付けるということがありましたので、今回、位置付けたというものです。

 実際に注射部位壊死に関しては、初回接種においても認められているということですし、これは部会のときにも、あるいは、予防接種法に基づく認定審査会も行っていますが、そういった中でも、果たして接種方法によって、例えば副反応の報告頻度は異なるのだろうかという議論もありましたけれども、今収集されているデータの中では、なかなか確定的なことが言えないというところが現状でありました。

○大石委員 了解しました。もう一点ですが、たまたま肺炎球菌ワクチンに関することですが、最後に堀専門官が23価肺炎球菌ワクチンの副反応の報告用式が変わったということをおっしゃったのですが、具体的にどのように決定したのでしょうか。最後におっしゃったことが十分理解できなかったのですが。

○分科会長 事務局、よろしいですか。

○大林予防接種室長補佐 事務局からお答えいたします。副反応疑い報告基準について定めている省令を改正しまして、925日付けで健康局長から都道府県知事宛てに通知しているのですが、その中で、従来、副反応としての疾病名をそれぞれ定めている部分に、「注射部位壊死又は注射部位潰瘍」で報告期間として「28日」というものを追加したという手続を行っています。

○大石委員 そういう通知が出たということをおっしゃったわけですね。

○大林予防接種室長補佐 はい。省令を改正して、それを都道府県を通じて市町村にお知らせしたということです。

○大石委員 ちょっと私が、ひょっとして23価ワクチンの副反応は非常に多いので、いわゆる蜂窩織炎というものは、届けなくてもいいという解釈だったのかと思ったのでお聞きしました。ありがとうございました。

○分科会長 ありがとうございます。ほかに御意見はありますでしょうか。

○館林委員 インフルエンザワクチンの研究開発及び生産・流通部会のことを確認したいのですが、昨シーズンで、H3N2株の野生株とワクチン株のずれとか、卵の馴化のずれという話があったのですが、今年作る予定のものについては、その点はどのように分かっているのか、若しくは、大丈夫とかそういうことは分かっているのでしょうか。

○分科会長 これは事務局にお願いします。

○江浪予防接種室長 今の御質問の点に関しては、825日に開催したワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会のほうで細かな資料を基に御報告を申し上げております。

 それを簡単に御紹介すると、インフルエンザワクチンは、今、4種類で構成されている4価のワクチンということです。そのうちH3N2の亜型のワクチン株に関しては、これはどうしても製造過程の中で卵を使うという中で、抗原性が変化するという課題が従来からあったということです。

 そういった経緯があった中で、今回、来シーズンに使用するワクチン株の選定のときに、卵馴化の問題が少ないワクチン株を選定しようということで、専門家による選定が1回行われたわけですが、その後、製造過程において、増殖効率が想定よりも著しく悪いということが判明しました。このことについてどのように対応するかという中で、卵馴化の課題があった場合に、では、ワクチンの有効性について疫学的にどういったことが言えるのかということについて、専門家のほうから、その同じ審議会の中でデータをお示しいただいております。確かに、抗原性の解析という中では、非常に流行株に近いワクチン株を選定したほうが、より有効性は期待されるということではありますが、流行株との合致度がよくなかったという場合であっても、その有効性は検出されているという疫学的なデータも基に、そういったことも参考に、今回の今年のウイルス株に関しては、昨シーズンも使用した株のほうに変更することにより、可能な限りの供給量を確保するという対策を取ったということです。ですので、卵馴化の課題に関しては、もちろん来シーズン使用するワクチンにおいても引き続きあるということですけれども、有効性に関しては、一定程度期待されるものであるという考え方に基づいています。

○分科会長 館林委員、よろしいでしょうか。福島委員、どうぞ。

○福島委員 今の点について補足させていただきます。先ほど室長が言われた疫学データというのは、この資料で言うと、研究開発及び生産・流通部会の5ページの上から3つ目の○で、廣田参考人から提出されたデータですが、その元データは、私が実施している調査で、小児のものです。私はこの部会に出席できませんでしたが、後で送られてきた議事録案を見ると、今、室長が言われたような議論がなされていたと思います。ただし、それを国民の方、あるいは、現場の方が見られたときに、結局、どうだったのかというのが、若干分かりにくいようなことになっていました。部会当日も、坂元先生から、「現場で、今年のワクチンは効かないといったような混乱が起こるのではないか」という懸念のご意見があったような記載もありました。それに対して、最後には、「日本で得られるデータからは、一定の効果は認められる。決してワクチン有効率はゼロではない」とまとめられたことが議事録にも残っています。その辺りは、もう少し分かる形で、本日のサマリーに残していただくと良いのではないかと思います。私も関連の先生方に部会での審議の状況などを説明するときに、若干苦労するようなこともあります。

 これは非公開のデータですけれども、先日、WHOのほうで、次シーズンの株選定に関する会議が行われました。その会議では、毎年、各国から疫学データも提出されているようです。今年から私は、とあるルートから要請を受けまして、日本からも小児のデータを出してくれないかということで提出させていただきました。非公開ですので、皆様が閲覧できるようなものではないのですが、私が各国のデータを見る限り、H3香港株のワクチン有効率は決してゼロではありませんので、一定の効果は認められているという理解でよいと思います。

○分科会長 ありがとうございます。坂元委員、どうぞ。

○坂元委員 ちょっと心配したのは、当日の会議で国立感染研のワクチン選定部会の方の中から、かなり強い意見が出て、それがそのまま流れてしまうと問題かなと思いました。今季接種するものは効果が期待できないので選定できないという、かなり強烈な意見が出てきた経緯があります。議事録を見るとお分かりになると思います。そういう見解がでると、接種主体の自治体としてはちょっと困ってしまうということです。やはり国民の皆さんに分かりやすい説明が必要で、あのところだけを捉えられてしまうと、まるで効かないワクチンが出るみたいになったので、ちょっと私は心配してます。しっかりした情報を国民に伝えるように努力すべきではないかというように意見を申し上げた次第です。

○分科会長 当日、伊藤委員にまとめていただいたとは思いますが、最後に、何か追加はありますでしょうか。

○伊藤委員 ありがとうございます。ワクチンを打つことの重要性ということのほうが、多少株がずれているということに勝るというのが最終的な結論だろうと思います。より精緻化されて、的に近いワクチンができるということが一番重要だとは思いますが、それがない中で、セカンドベストという、ベストを国として尽くすためにはどうすればいいのかというところが、最後の部会としてのまとめだと思っておりますので、くれぐれも、「少しずれていそうだからやめよう」ということに意見がならないことをお願いしたいと思います。

○分科会長 館林委員、どうぞ。

○館林委員 そうすると、どのようにワクチンを理解するのかというのを、ある程度理解しやすいように発信していただければと思います。今までインフルエンザワクチンは効かない年と、効く年があるとか、効く効かないという二元論になってしまっているので、努力した結果、テクニカルにこういう事情があるけれども、この程度は期待できるから、やはりお勧めしますとか、何か分かりやすくしていただいて発信したほうがいいような気がいたします。

○分科会長 実は私は当日そこにいたのですが、廣田委員から、効くとか、効かないとかという考え方、つまり、疫学的にどういう考え方が正しくて、どういう考え方が間違いとは言いませんが、ただ、余り正しくない解析方法であるというようなことまで、まず御説明していただきました。それに基づいてというか、そこもベースとしてもって次の議論に入ったということです。これはどのようなまとめをすればいいのかあれなのですが、何か事務局の考えはありますか。

○江浪予防接種室長 インフルエンザワクチンに関しては、インフルエンザの対策の関係のQ&A等も含めて、毎年情報を提供させていただいている内容に関して、今、頂いた御意見を受けて、より充実した形にしたいと思います。その際に、また委員の皆様の何人かに御相談、御協力をお願いすることになると思います。どうぞよろしくお願いしたいと思います。

○分科会長 釜萢委員、どうぞ。

○釜萢委員 私もこの部会に出ておりましたが、先ほど既に事務局からお話があったとおりですが、現在のインフルエンザワクチンは4価のワクチンの形で、A型も2つあり、B型も2つあるわけですが、どのタイプが流行するかという確実な予測が立たない中でワクチンを選択するわけですので、先ほどH3N2の香港型のタイプについて話題になりましたが、それ以外のH1N1が流行することも当然予測されるわけです。ですので、国民の皆さんに可能な限り有効な、一番良いと思われるものを一定量しっかり供給することが大事だという判断の中で、私は株が非常に適切で、妥当に今年は選択されたと判断をしています。

○分科会長 ありがとうございます。大石委員、どうぞ。

○大石委員 インフルエンザワクチンの効果(effectiveness)については、近年、廣田先生、福島先生方にtest-negative designによる小児を対象として評価を実施していただいています。

 一方では、ワクチン株をフェレットという動物に接種して、フェレット免疫血清の中和活性を流行ウイルス株に対して試験管内で評価しています。この中和試験において、取り分け、H3のウイルスが卵馴化を起こしやすいために、H3ワクチン株による免疫血清とH3流行株の中和活性におけるずれが生じてしまいます。試験管内ワクチン株による免疫血清の中和活性と、ヒトにおけるワクチン効果については、試験管内の中和活性ずれがないほうが一番理想的で、ワクチン効果も期待できるのですが、試験管内中和活性に少しずれがあった場合であっても、ヒトでワクチン効かないという理解にはならないと思うのです。試験管内のワクチン株による免疫血清の中和活性の評価と、ヒトでのワクチン評価がどのような関係にあるのだということを、皆さんにも分かっていただけるように、これもリスクコミュニケーションに努めてしていくべきと思います。以上です。

○分科会長 ありがとうございます。当日、廣田委員と福島委員がおっしゃったことは、いわゆるヒトにおける効果ということ、先生のデータだと思いますが、これを詳細に廣田委員に解説、お示ししていただいたということです。ほかにいかがでしょうか。

○三田村委員 私はどこの部会にも入っていないので、一応、現場からの意見ということです、3つ伺います。1つは、HBワクチンが定期接種になって、一定の期間が過ぎていますが、先ほど、いろいろなワクチンの中で安全性は問題ないということでしたけれども、例えば、安全性とか、いろいろな制度上の問題とかで、特に問題はなかったのでしょうか。

 インフルエンザの1回接種についてですが、今まで、余りこのことを強く言われたことがなかったので、非常に唐突な感じがしております。クリニックレベルでは2回やったほうが効くからということで、そのようにおっしゃっている先生も今までいらっしゃいました。ですので、何か根拠があってそう言っているのか、それとも、もともと1回でいいものだったからなのか、そこのところがはっきり分かりませんが、これをきちんとした形で伝えていただければと思います。

 もう1つは、今日、最初の部会ということで。私が参加させていただいてからも非常に着実に定期接種になってきていますが、幾つかまだ取組中と伺っていたことがあると思います。例えば、今年話題になったことでは、ムンプスの問題とか、あるいは、接種間隔を本当にあけなければいけないのかとか。ロタウイルスは今は自費でやっておりますが、非常に広い範囲で行われており、効果も出ているということですが、先ほど定期接種を見越した話が早く欲しいという先生のお話がありましたが、次の定期接種は何か、例えば、三種混合追加接種なのか、といういろいろなことが話題に上っておりました。今日この後、その他に出てくるのかもしれませんが、この分科会で、今まで懸案事項に上がってきたことが、今、どの程度の進行状況なのかということを是非、伺いたいと思います。

○分科会長 今、三田村委員から3点の御質問を頂いて、事務局からお答えいただけますか。

○江浪予防接種室長 3点の御質問について、順次お答え申し上げます。まず、B型肝炎の予防接種の関係ですが、B型肝炎の定期接種化に当たりましては、これは昨年、熊本地震があった関係で、定期接種を開始するために、供給量が十分なのだろうかということが、B型肝炎の定期接種を実施する中では一番の課題だったと考えております。

 安全性の観点に関しては、B型肝炎ワクチンは定期接種化される前から、その安全性に関しては、副反応検討部会のほうでモニタリングしていただいておりまして、定期接種化後のデータに関しても、副反応検討部会のほうで御報告を申し上げているというところです。供給量の課題に関しては、現在、我々が把握している中で、接種の開始に当たって、非常に大きな混乱があったという話は聞いていないということで、安全性に関しても、副反応検討部会で確認していただいている中で、安全性に関して従来と異なる傾向は見られておらず、その安全性に関しては確認されているという状況であると考えております。

 インフルエンザの接種回数に関しては、これも825日に開催した研究開発及び生産・流通部会の事務局資料の中で、少し資料を含めて御説明を申し上げているところです。今回のシーズンに関しては、ワクチンの効率的な活用が重要であるという中で、接種回数について見ると、13歳以上の方に関しても一定数、委員が御指摘のように、2回接種を行われている方もいらっしゃるということです。1回接種、2回接種のエビデンスに関しては、例えば、WHOのポジションペーパーというものの中では、9歳以上が1回というのが示されております。また、米国の予防接種に関する委員会であるACIPのレコメンデーションの中でも、9歳以上は1回ということが示されております。また、添付文書に記載されている成人における有効性のデータを見た中でも、13歳以上に関しては、1回接種で十分な抗体の上昇が見られるということになっています。そういったことを踏まえて、もちろん医師が特に必要と認める場合、これは基礎疾患があったり、著しく免疫が抑制されている状態にあると考えられる方々に関しては、従来から医師の判断で2回接種となる場合があるということはQ&Aなどでも申し上げているところですが、基本的に1回接種であることに関して、これに御理解いただきながら進めることによって、昨年度と同等程度の接種者数を確保できるのではないかと考えております。1回接種でどれぐらいの効果が認められるのか、2回接種でどうなのかということに関しては、先ほどの有効性に関する御意見もありましたので、それについても、丁寧に情報提供をしたいと考えます。

3点目、定期接種の関係で、検討を続けているワクチンのことですが、今日は、その他のところで特に何か資料を御用意しているわけではないので、少し簡単に口頭で御説明を申し上げると、定期接種にあるワクチンを位置付けるかどうかということに関しては、ワクチン評価に関する小委員会で御議論いただくこととなっております。おたふくかぜに関しては、先日、耳鼻咽喉科学会が調査の結果を公表されたということもありまして、また、関係学会からも意見書が出てくるのではないかというお話も聞いておりまして、そういったものも踏まえながら、どのようにこれから検討できるかということを考えていこうという段階です。

 ロタワクチンに関しては、今回の御報告のワクチン評価に関する小委員会の開催状況の中には入っておりませんが、昨年、ワクチン評価に関する小委員会を開催したところで、多屋先生の御協力を頂きまして、その後の追加のエビデンスについても、御報告いただきまして、それを継続審議ということです。

 ただ、今の委員の御指摘は、恐らく、どういったワクチンが検討の俎上に載っていて、それが一体どういった状態にあるのかということを整理してほしいという御意見ではないかと思います。それについては、また整理したものを、次の分科会に御報告することも検討したいと考えております。

 ワクチン評価に関する蛇足ですが、小委員会については、少し開催の日時があいておりまして、その点に関しては、少し日程調整上の課題もあったわけですが、なるべく早期に開催して、検討のほうを進めていきたいと考えております。以上でございます。

○分科会長 ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。

○桃井委員 先ほどのインフルエンザワクチンに関するリスクコミュニケーションの問題ですが、前にも申し上げたことがございますけれども、予防接種行政はリスクコミュニケーションが極めて重要です。これは皆様御承知のとおりですが、それぞれの部会は専門家が集まって議論をしておりますので、専門家の議論の内容を、もちろん議事録や資料を全てオープンにいたしますが、それだけでは全くリスクコミュニケーションになっていないというのも御承知のとおりです。情報公開をすることとリスクコミュニケーションは全く違います。例えば小さな赤ちゃんの心臓の手術をするというときに、それに伴うリスクをこと細かに説明しますと、御両親はリスクのほうが非常に大きく頭に入ってしまって、心臓の手術を拒否する場合もございます。それは説明の上手、下手というのもあると思いますが、専門的な情報を全て公開することが、必ずしも患者さん、あるいは国民のメリットにつながらないということが、リスクコミュニケーションで最も重要なことです。

 この1ページ目にありますような、予防接種の啓発・信頼確立のためのプラットホームづくりについて、どのようなことが御議論されたか私は存じ上げませんが、是非この事務局においても、厚生労働省の担当課においても、あるいはこの会議においてもかもしれませんが、予防接種を安心して信頼して受けていただけるということが必要な根幹の行政ですので、どこかでリスクコミュニケーションの方法論について、専門家も交えて、検討する必要があるのではないかなと思っています。

○分科会長 御意見ありがとうございます。どこまでの情報が入ることがいいのか。それから、全ての情報を含んで一番分かりやすい、理解できる形。ここにおられる先生方はもう専門家なので、ですが、実際に我々のここでの議論がそのまま出て行った場合、どこまで分かるかというのも、先生おっしゃるとおりだと思います。あと、先ほど予防接種室長からのお話にもありましたように、インフルエンザについてもQ&Aを充実させるということを先ほどおっしゃいましたので、そこについてもよろしくお願いしたいと思います。それから、今桃井委員がおっしゃった、このリスクコミュニケーションをどこで担当してどのようにやるかというのを、事務局でも全体に関わることですので、お考えいただいて、どこの部会がいいのか、あるいはどこの委員会がいいのか、また考えていただくということでよろしいでしょうか。

○大石委員 リスクコミュニケーションに関しまして、私が班長をしているAMEDの予防接種班の中では、お母さんたちにどうやったらワクチンを接種していただけるかというリスクコミュニケーションの研究を、慶應大学 吉川(キッカワ)先生を研究分担者として、実施しておりますので、是非、研究班結果がまとまりましたら、桃井先生にも見ていただいて、研究班で得られた方針でいいのかどうか評価していただき、実用化につなげていければと考えております。

○分科会長 ありがとうございました。

○江浪予防接種室長 少し蛇足的な話で申し訳ございません。確かに予防接種の関係については、リスクとベネフィットをしっかりお伝えしながら、かつそれを分かりやすくどのようにお伝えしていくかというのは、非常に大きな課題であると考えています。感染症部会においては、リスクコミュニケーションの専門家の方にも委員として加わっていただいているということも承知しておりまして、予防接種・ワクチン分科会におきましては、そういった専門家の議論への参画をどのような形で持てるかということを、しっかり検討したいと思います。

○分科会長 いろいろな御意見を頂きました。ありがとうございます。また、対応できる部分につきましては、事務局としてお願いをしたいと思います。多岐にわたった議論になりましたので、そこについてはまとめも是非よろしくお願いしたいと思います。

2点目ですが、予防接種に関する間違いについてということで、まず事務局から説明をお願いいたします。

○黒崎予防接種室長補佐 事務局から説明をさせていただきます。資料2を御覧ください。まず、資料2の説明をさせていただく前に、数字の訂正がございます。表の中に間違いの態様、件数、全体割合、10万回あたりの率と項目が並んでいますが、その10万回あたりの率についての数字が何箇所か間違っているところがありまして、そちらのほうを訂正させていただきます。

 まず、2番目の「対象者を誤認して接種してしまった」の所の数字は1.25と書いていますが、「1.26」の誤りです。続いて5番の「接種量を間違えてしまった」の数字については、0.46とありますが、こちらは「0.47」の間違いです。続きまして、8番の「既に他の対象者に使用した針を使う等、接種器具の適切でない取り扱いのうち、血液感染を起こしうるもの」に関しては、0.08と書いてありますが、「0.03」の間違いです。最後に、合計の所については、15.22と書いていますが、「15.14」の間違えです。お詫びして訂正させていただきます。

 それでは、改めまして資料2について御説明をいたします。今回は平成28年度分として、平成2841日から、平成29331日までに発生した予防接種に関する間違いについて取りまとめた結果を御報告させていただきます。本報告につきましては、定期接種実施要領に基づき、市区町村からの報告を、都道府県経由あるいは取りまとめの上報告いただいているもので、毎年度取りまとめて報告をさせていただいているものです。

 間違いの態様としまして、お手元の資料2にありますような、11の項目に類型化して、御報告をいたします。合計値としましては、全部で6,602件でございまして、昨年より434件増加しております。昨年はB型肝炎ワクチンの定期接種化、若しくは日本脳炎ワクチンの第2期の接種の積極的勧奨などもありまして、接種回数全体も増えている現状です。今のところで数値が出ております延べの接種回数は平成27年度のものでございまして、そちらの回数がおおよそ4,360万回ですので、接種10万回当たりの間違いを率として計算いたしますと、15.14という数字になります。

4番目の「接種間隔を間違えてしまった」の間違いにつきましては、昨年同様最も多い間違いという形で御報告をいただいております。また、11番目の「その他」につきましては、基本的には1から10の中に当てはまらないものを分類していただいておりますが、最も多かったものが、接種年齢、接種時期に関するもので693件、次いで予診票の記載誤りが286件となっております。また、溶解液のみで接種してしまったという間違いも報告されておりまして、注意喚起の意味も込めまして、資料に記載させていただいております。

 一方で、9番目の「期限の切れたワクチンを使用してしまった」に関しては、平成27年度は671件の御報告がありましたが、平成28年度は193件と大幅に減っている、こういったものもありました。

8番目の、「既に他の対象者に使用した針を使う等、接種器具の適切でない取り扱いのうち、血液感染を起こしうるもの」に関しましては、平成28年度は11件御報告をいただいております。

 次のページに11件の概要と間違いの対応について、報告をさせていただいております。ケースの1番目は、接種されるお子さんを、押さえていたお母さんの指に注射針が接触したため、注射針のみ交換して接種したという事例です。ケースの2番目は、昨年も類似の事例を報告させていただいておりますが、2種混合はジフテリアと破傷風ですが、DTの集団接種で、26人に接種し終わったところで、接種済みの注射器が23本しかなかったということで、3名に誤まった接種が行われた可能性のある事例です。3つ目のケースについては、医師が自分の指先に針が触れたことに気付かず、そのまま接種したという事例です。ケースの4番目は、医師が自分の指先に触れてしまったものの、指先、注射針の両方に血液の付着がないことから、酒精綿で注射針を拭き取ってそのまま接種したという事例です。

 次ページです。56件目ともBCGの集団接種に関するものです。終了後に接種した人数分よりも管針の数が少なかったという事例です。ケースの7番目は、いわゆる空打ちの症例で、1人目に使用した注射器をそのまま2人目の方に使用してしまったという事例です。ケースの8番目に関しましては、4件目と類似している症例ですが、医師の指先に注射針が刺さって、出血を確認したものの、注射針を酒精綿で拭き取ってそのまま接種したという症例です。

 ケースの9番目ですが、日本脳炎の集団接種の事例で、使用済みの注射器で接種してしまったという事例です。10件目に関しては、これも集団接種の事例で、同じく使用済みの注射器で接種してしまったことが判明した事例です。11件目に関しては、医師の指に注射針が刺さってしまったものの、そのまま接種を行った事例です。

 間違いへの対応につきましては、今読み上げさせていただきました概要の右のカラムに記載させていただいておりますが、血液検査等を行っていただいており、いずれの事例においても、報告時点での健康被害の報告はありませんでした。

 最後に、予防接種の間違いに関する取組についてまとめております。予防接種従事者向けの研修会を実施し、その中で間違い防止に向けた注意喚起を行っております。一番目の予防接種の従事者研修(全国7ブロック)というものに関しては、毎年開催をしておりまして、今年度分に関しては、北海道、東北、関東、東海地方が終了し、今後、近畿、中・四国、九州、沖縄地方で開催する予定となっております。このほか、国立国際医療研究センターが実施している予防接種基礎講座、予防接種センターが実施する研修、市区町村が実施する研修などがあります。また、予防接種従事者が注意すべき事項をまとめた、「予防接種における間違いを防ぐために」というリーフレットを、本日お越しいただいております多屋参考人を中心に御作成いただき、自治体や医療機関に配布しております。こちらは参考資料の1番として、本日も配布させていただいております。

 加えまして、予防接種の実施に当たって確認すべきポイントや、報告が多い間違い事例などを記載した通知を、自治体に宛てて発出させていただいておりまして、間違いの注意喚起を実施しております。そして、間違い報告については、国立感染症研究所感染症疫学センターと情報を共有して、実施した対応の確認等を行っています。事務局からは以上です。

○分科会長 ありがとうございました。多屋参考人何か追加等ございますか。

○多屋参考人 最後の資料の一番最後の行である「共有し」の所ですが、重篤と考えられる、あるいは、急いで報告いただいたものについては、毎日、情報を共有していただきまして、お一人ずつ気をつけることなどをお返事するという対応をしています。気が付きますのは、同じ間違いが多いということ、それから報告数が増えていることについては、届出制度があることを多くの方が知ってくださってきた成果ではないかと思っていますので、事故が増えているということではないのではないかと感じています。

 先ほど御紹介いただいた、「予防接種における間違いを防ぐために」というのは、一番後ろのページに記載している研究班のほうで、今日傍聴にも来ておりますが、佐藤研究員がかなり工夫をして、作ってくれた資料です。その中の6ページに、これが一番あっては困る間違いなのですが、血液媒介感染症を起こしてしまうのではないかと心配される事故が起こったときにどうしたらいいかというのをまとめてありますので、こういったものも御参考にしていただければいいかなと思います。

 最後なのですが、この研究班を開催しているときに、間違いを防ぐのは、具体的にあった事例を知ることだ、トップページに、一番大事なものを持ってくるべきではないかというお話を、班員の先生方から頂きました。「はじめに」の下に、実際にあった具体例を、かなり細かく、ポイントを書くことで、予防につなげられるということが指摘されました。ですので、接種の間違いが起こってから見ていただくのではなく、接種をするに当たって、こういうことが間違えられているんだというのを見ていただくことで、予防につなげていただけるのではないかと工夫しています。また接種医になられる先生には、御活用いただければ嬉しいと思います。私からは以上です。

○分科会長 ありがとうございました。何か御質問ございましょうか。

○坂元委員 この間違いに関してなのですが、これをよく見ていくと、実際に予防接種をやっている実施主体としまして、自治体の職員が見付けたものと、それから、現場で報告されたものというのが混在していると思います。これが可能かどうか分からないのですが、やはり報告がちゃんとされているのかというところの信頼性というのが多分あると思うので、自治体の名前は出す必要がないと思うのだけれども、できれば幾つかの自治体間のばらつきを見る必要があります。例えばこの接種間隔を間違えるというのは、恐らく自治体が見つけていると思うのです。行政機関に上がってくる問診票から見て、あれ、おかしいなということとかで気付く場合もあります。実際の名前を出す必要はないと思いますが、幾つかの県を比較して、その中でどの程度差が出てくるかというところも調査が必要で、やはり自治体の予防接種行政の信頼度を見るという意味においても、必要なことかと思います。医療機関から自治体に上がってくる問診票をチェックするやり方は、多分実に様々だと思うのです。職員が実際に全部見ているという場合と、業者や外部機関等に任せているという場合もあるかと思いますので、つまり、多種多様だと思うのです。だから、その辺のところも踏まえて、一度自治体間のばらつきというのを見られたらいいのではないかと思います。以上です。

○分科会長 ありがとうございます。これは多屋委員なりあるいは事務局いかがでしょう。

○江浪予防接種室長 今の御指摘を踏まえまして、どういった取組ができるか、検討したいと思います。

○分科会長 この表を見るに当たって少し確認なのですが、これは発生した日ですね。報告された、あるいは見付かった日ではないから、例えば2941日に報告があった、見付けたとしても、発生したのは29331日であれば、ここには入っているという理解でよろしいですか。

○江浪予防接種室長 この予防接種に関する間違いの報告に関しましては、2通りの報告のタイミングがございます。血液感染を起こしうる間違いを含めた随時報告というものと、年に1回、ここの資料21枚目にある様式のような形で御報告を求めているものとあります。基本的にこの平成2841日から平成29331日までに発生した間違いについて報告を求めているところですが、最近の事例で、予防接種液を混ぜて接種してしまった事例があったときに、複数年度にわたっているものだったと思うのですが、あの事例に関しましては、28年の今回の統計の中には入っていないのを確認しておりますので、少しそこの定義の部分に関しましても、検討していきたいと思います。今の予防接種に関する間違い報告に関しましては、事例がたくさん集積されてきているというところもありますので、そこを中心に今、解析を進めながら、今のような報告の時点問題とか、そういったところにつきましても、検討していきたいと思います。

○分科会長 ありがとうございました。ほかに御意見ございますか。

○中野委員 具体的に、11例の間違いの内容をお示しいただきました。「接種器具の適切でない取り扱いのうち、血液感染を起こしうるもの」というのは一番起こしてはならない間違いだと思いますので、このように具体的に挙げていただくことは非常に有用で有り難いと思っています。

 この11例を拝見して思ったのですが、11例中6例が集団接種なんですね。現在、予防接種法の1994年の改正以降、基本的には個別接種で行われているわけですから、半分近くが集団接種というのは、相対的に集団接種の割合が多いかなと、この内容だけからは読み取りました。ただ、その解釈として、集団接種でその間違いが起こりやすいと解釈していいものなのか、その解釈であれば、より個別接種を推奨するべきだと思うのです。しかし内容を見ますと、終わった後にワクチンのバイアルの本数を数えて、接種した方を数えてということで、集団接種だからこそできる、特定のワクチンを何本打ったというのが非常に明らかだからできる医療安全管理、その上からのチェックがなされているから出てきているのかなという気もいたしております。もしかすると、医療機関で複数のワクチンをたくさん打っている場合は、その日に接種したワクチンのそれぞれの種類と、使った本数、あるいは接種した人数というのは、チェックできないのではないかなという気もいたしております。ですから、今ここでお答えをお願いするわけではないのですが、その観点からも、この事例に関しては、今後より安全で安心な予防接種をするために掘り下げるべき内容かなと感じました。以上です。

○分科会長 ありがとうございました。ほかに御意見ございますか。

○川西委員 私自身、余り臨床のほうに直接接したことがないので、愚問かもしれないのですが、件数として6,602で、ケースとして挙げていただいている11というのを見ると、結局「報告時点での被接種者の健康被害等症状なし」となっているのですが、症状はあるようなものも、こういう報告に含まれているのでしょうか。

○分科会長 事務局いかがでしょうか。今回出てきた11例は、健康被害なしだけれども、ここには出ていないけれども、被害のあったものもあるのかという御質問です。

○川西委員 結局そういうものが報告に上がっているかどうかということについてなのですけれども、これ、全部「健康被害等症状なし」というので6,602ではないと。実際にはあるわけですね。分かりました。

○分科会長 いかがでしょうか。

○江浪予防接種室長 恐らくこれ、去年のこの分科会でも、同種の御質問があったような記憶もございます。今の御質問は、予防接種に関する間違いの結果、健康被害が出たケースがあるかという御質問というように受け止めておりますけれども、例えば血液感染を起こしうる間違いに関しましては、その都度確認をしておりまして、そうした中で毎年この分科会、あるいは部会のほうに御報告申し上げておりますけれども、今年と昨年のケースしか記憶にないので申し上げられませんが、昨年報告いただいた、この平成2841日から29331日までということで報告いただいたものについては、確認した中では健康被害が報告された例はありません。それではこの間違い報告のうち、1番から8番を除く11番の中で、健康被害が生じた例があるのかということなのですが、それについてはなかなか見づらいところがあるのですが、別途、定期接種によって健康被害が生じた場合に、それを11例審査していくという仕組みでやっていますが、そういった中で上がってくるケースに関しまして、接種の間違いのための健康被害のケースに関しましては、少なくともこの2年の間で確認したことはないというのが現状です。

○分科会長 ほかはいかがでしょうか。

○多屋参考人 今のことですが、間違いが起こったからその症状が起こったかどうかの因果関係は分かりませんが、普通に正しい方法で接種していたとしても、起こり得ただろうという、例えば接種後に高熱が出たとか、接種部位がかなり腫脹したとかという御報告はあったと思います。でも、血液媒介感染症を起こす可能性のある事例については、症状としては見えてこないので、血液検査の結果、例えばB型肝炎、C型肝炎といった血液媒介感染症を起こしたという事例の報告は私の記憶ではなかったと思います。ちょっと、気を付けなければいけないのは、健康観察をしたけれども、何もなかったというのは、観察していることにはならないので、先ほどの「予防接種の間違いを防ぐために」の冊子の6ページにあるようなフォローをして、感染がなかったということが確認されないと、何もなかったとは言えないと思います。血液媒介感染症に関しては、実際に起こったという事例はなかったと記憶しています。

○分科会長 ありがとうございます。ほか、いかがでしょうか。館林委員どうぞ。

○館林委員 何か、こういうことは社会的に見るとすごくフレームアップしやすいことだと思うのですが、このことは対応の例の所で接種者の保護者さんとか御本人とかに謝罪しましょうとかと書いてあるのですが、必ずしているのでしょうか。

○分科会長 いかがでしょうか。事務局、どうぞ。

○江浪予防接種室長 この予防接種における間違い報告については、例えば血液感染を起こしうる重大な事故の関係などの対応においては、もちろんその可能性がある方に対する説明などに関しては行われているということを、一例一例確認しながらやって対応しているところです。

○館林委員 この中の全部の件数でなくてもいいのですが、間違えて接種してしまったとか、血液感染を起こし得るものとか、そういうものはそんなに件数があるわけではないので、例えば必ず報告して、定期接種の場合は、保健所の人が御家族に一応説明をするとか、何かそういうことがあるといいなと思ったのです。なぜかというと、仮に、起こしにくいことだとは分かっているのですが、例えば副反応的なものが出ました、間違えた予防接種が接種されていました、本人は知りませんでしたと言ったら、それは大きく報道されることになってしまうではありませんか。そういう何かリスクを潰しておくというか、何かそんなに件数がないので、きちんと説明したかどうかを確認したとか、血液検査したか確認したとか、そういう仕組みになっていたほうが後々いいのかなとちょっと思いました。

○分科会長 事務局、あるいは多屋先生、今の御意見はいかがでしょうか。

○多屋参考人 この2ページ目以降に報告されているものについては、全例、自治体の方が保護者の御自宅に御訪問されて、かなり丁寧に説明をされているので、そのことについてはしっかり保護者に説明はされていると思います。

○三田村委員 実際は、東京都なのですが、医師会が間に入っておりますので、何か間違いがあったときは医師会に報告書を出すことになっておりまして、そこの項に御家族への対応を書くことになっているので、ほかの地域は分かりませんが、大体そんな感じになっているのではないかと思います。

○坂元委員 川崎市では予防接種運営委員会を開きまして、そこには医師会の先生にも入っていただいて、全例接種医に還元するという方法を採っておりますし、医師会の委員の先生も間違いがあった先生に対してきちんと伝えて指導するという、そういうシステムでしっかりやっております。大体どこの自治体もそういう方式でしっかり還元されているのではないかと思うところです。

○分科会長 館林委員よろしいですか。

○館林委員 はい。

○分科会長 私、先ほどちょっと聞こうと思ったのですが、この間違いの中に、明らかに不注意で起こったのと、理解不足というか、間違った理解を持っていたために起こる事例があると思うのです。例えば接種間隔を間違えたというのは、知識としては持っていたのだけれども、不注意でやってしまって起こったというのと、本来そう理解してしまっていたということもあろうかと思うのですが、なぜ起こったかというのはどこら辺まで探索できるのでしょうか。間違っていましたというのか、不注意でしたというのか、あるいは理解が間違っていたというのか、そういうのは分かることになるのですか。多屋参考人、もし分かればお願いします。

○多屋参考人 同じ間違いが多いと思ったのは、例えば、年齢によって接種量が倍違ったりするワクチンはどうしても間違いやすい。そういった間違いやすいポイントがあるのかなという気がしています。そこを特出しで情報提供することで予防につなげるのではないかと思っています。

 明らかに添付文書を見ていれば間違えなかったのではないかと思う間違いもあれば、すごく制度が難しいので、例えば具体例でいうと、生後7か月から11か月の間に、Hibワクチンや小児用の肺炎球菌ワクチンを始めた場合は、通常の接種より接種回数が1回少ないのですが、そういう非常に細かい制度のところで1回多く接種してしまった、間違えてしまったというのもあって、大きく医学的に不都合なことが起こってしまうものではないなというものも幾つかあります。ですので、具体例を挙げて、注意を喚起することで防げるものが多いような気がしています。

○分科会長 ありがとうございます。ほかに御意見はございますか。

○三田村委員 これは余り方針とは関係ないのですが、今、多屋先生から7か月過ぎて接種という話が出たので確認させていただきたいのですが、定期接種の間違いについてですが、「対象ではなかった子にやってしまった場合には、定期接種にならないから、報告には当たらない」ということを言われた事例がありました。4種混合なのですが、時期を違った子にやってしまったけれども、それは定期接種の期間内ではなかったので、それは定期接種の報告には当たりませんというふうに言われたということがありまして、定期接種の間違いについては、定期接種になっているワクチンについて何かあったら全て報告というふうに考えてよろしいでしょうか。それを確認させてください。

○分科会長 事務局いかがでしょうか。

○江浪予防接種室長 定期接種に使用されているワクチンに関しましては、任意接種として使われることがあるものもあります。例えばB型肝炎のワクチンを例にとりますと、定期接種で昨年からスタートしていますが、医療従事者などに対して行われる場合もあるという中で、現在我々がこの予防接種の関係で報告を求めているというふうに考えておりましたのは、予防接種法に基づく接種として行うということで実施をした場合に生じた間違いについて報告を求めたいというふうに考えております。

 確かに委員が御指摘のように、定期接種としてやろうとしたけれども、時期を間違えると定期接種扱いではなくなるという接種の報告はどうするのかというのは、ちょっと難しいところもありますが、我々としてはその部分については定期接種としてやろうということで、行われたものについての間違いですので報告を求めているという理解です。それに関しましては、その趣旨を明確にしていくという対応をしていきたいと考えております。

○分科会長 ありがとうございます。ほかはよろしいでしょうか。いろいろ、この予防接種に関する間違いについても御意見、あるいは御質問を頂きました。今後、今御質問いただいたこと等について、更に報告の精度も上げていく、あるいはそれに対する対応もとっていくということかと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは次にその他がありますが、何か事務局からございますか。よろしいでしょうか。

○釜萢委員 ちょっとまだ時間があるので、戻ってしまって恐縮ですが、HPVワクチンについてです。先ほどお話がありましたように、副反応検討部会で非常に地道に作業を進めていただいて、今日まできております。まずは、各都道府県にワクチン接種後に生じたいろいろな症状に対する相談窓口がしっかり設置されましたし、疾病・障害認定審査会に上がってくる関連の出来事に関する評価も、非常に適切に行われているというふうに思います。今、この作業は粛々と進める必要があると思いますが、一方で、現状において多くの国民にHPVワクチンを接種できないというか、積極的な勧奨は差し控えるという状況で、本人の希望があればもちろん定期の予防接種として受けられるわけですが、そういう状況がある中で、結果として予防接種を受けられない年齢の方々が増えているということがありますので、そのことをどのように評価したらよいかということは冷静に議論を進めなければいけないと強く感じております。随分このことに関する我が国の体制は整ってきているなというふうに感じておりまして、更に皆様の同意が得られて、積極的な勧奨が再開されるといいなというふうに私は思っておりますので、そのことをちょっと触れておきたいと思います。

○分科会長 ありがとうございました。今のコメントは先生のコメントとして承るということで、意見として承るということでよろしいでしょうか。

○畑参考人 SSPE青空の会の畑です。時間外に、一旦終わった後に申し訳ないのですが、今日のお話を聞いていて、リスクコミュニケーションの話だとか、間違いの問題とか、予防接種について怖い話ばかりされておられるのです。それがまた、マスコミ等で予防接種は怖いというか、ネガティブな要素だけ取られて、報道される。そういうことに対して大きな危惧を患者会としては感じております。

 リスクコミュニケーションの反対に、ベネフィットコミュニケーション、予防接種をすることによってどういうベネフィットがあるのか。例えばはしかの例でいうと、小さなアウトブレークは起きていますが、今年の例でも山形のほうでちょっと起きたけれども、あとはぐっと静まりまして、それは予防接種率が向上した結果です。そういうことに関してもっと広報、啓蒙するとか、ベネフィット、いいところ、予防接種をしたからこそこういう病気が防げているのだということを。

 我々としては究極的には予防接種というのは病気を防ぐためだけとは思っていません。特に我々の思いというのは、子どもを亡くしている親の会としては、病気をなくしたいという思いです。過去には天然痘はなくなったわけです。そうすると、天然痘の予防接種はもうする必要はなくなっている。そういうふうに、はしかについても次は世界中でそういう方向にもっていってもらいたいし、そういう夢があるというか、人類にとって大きな夢がある。ベネフィットがある。そういう面ももう少しクローズアップしていただければ有り難いなと、意見ですが申し上げさせていただきました。

○分科会長 ありがとうございました。

○桃井委員 リスクコミュニケーションという用語は人々のベネフィットを最大限にするためのコミュニケーションというふうに理解していただければと思います。

○分科会長 リスクということに限定しているわけではないということでよろしいですか。ありがとうございました。ほかに御意見はございましょうか。それでは事務局からは、もうお伝えはしてあるということですね。それでは今回も大変活発な議論を頂きまして、ありがとうございました。これにて終了いたします。ありがとうございました。


(了)

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