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2019年4月8日 第20回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会
研究開発及び生産流通部会議事録

健康局健康課予防接種室

○日時

平成31年4月8日(月)15:00~

 

○場所

厚生労働省 専用第22会議室
 

○議事

○元村予防接種室長補佐 定刻になりましたので、第20回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会を開催いたします。

 本日の議事は公開ですが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては、御協力をお願いいたします。また、傍聴の方は傍聴の際の留意事項の遵守をお願いいたします。なお、会議の冒頭の頭撮りを除き写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので御留意ください。

 開会に先立ちまして、41日付けで事務局側に人事異動がありましたので、紹介させていただきます。予防接種室長が長谷川から林に交代となりました。予防接種室長の林より、御挨拶を申し上げます。

○林予防接種室長 御紹介いただきましたとおり、41日付けで予防接種室長を拝命いたしました林でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○元村予防接種室長補佐 続きまして、本日の委員の出欠状況について御報告します。本日は、委員10名全員に御出席いただいていますので、厚生科学審議会令7条の規定により本日の会議が成立したことを御報告します。

 ここで新しく就任された委員の方を御紹介します。大野委員の後任の奥田委員です。

○奥田委員 国立医薬品食品衛生研究所の奥田と申します。よろしくお願いいたします。

○元村予防接種室長補佐 森委員の後任の信澤委員です。

○信澤委員 国立感染症研究所の信澤と申します。よろしくお願いいたします。

○元村予防接種室長補佐 次に部会長代理の指名についてです。厚生科学審議会令第6条第5項により、部会長があらかじめ指名する者がその職務を代理するとなっています。なお、本部会には厚生科学審議会委員から伊藤委員と奥田委員に御参加いただいています。伊藤部会長より御指名をお願いいたします。

○伊藤部会長 それでは、国立医薬品食品衛生研究所所長の奥田委員にお願いしたいと思いますが、よろしゅうございますか。

(了承)

○伊藤部会長 ありがとうございます。では、奥田委員によろしくお願いいたします。

○元村予防接種室長補佐 申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りについては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。なお、これ以降は写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので御留意ください。

 ここからの進行は、伊藤部会長にお願いいたします。

○伊藤部会長 厚生労働省は、ペーパーレス会議を行うことになっているということです。もう慣れていらっしゃる方もいらっしゃいますが、初めての方もいらっしゃるかと思いますので、事務局よりタブレット操作の方法と資料の説明をお願いいたします。

○元村予防接種室長補佐 厚生労働省におきましては、審議会等における資料のペーパーレス化を推進しており、原則ペーパーレスで実施することとなりました。本委員会におきましても、原則タブレットを用いてペーパーレスにより議事を進行させていただきます。

 お手元のタブレットを御覧ください。タブレットは、横置き又は縦置き、どちらでも使用することが可能となっています。各資料ファイルをタッチすると、資料が開きますので、議事の進行に合わせて資料ファイルを開いて閲覧していただきますようお願いいたします。また、開いた資料は指を上下にスライドすると、縦にページをスクロールすることができます。画面の表示については、2本の指を広げたり狭めたりすることで、拡大や縮小をすることが可能です。開いた資料を閉じる際は、左上部のマイプライベートファイルをタッチしますと、最初の資料の一覧画面に戻ります。その他タブレットの操作に関しまして、使用方法を机上に配布しておりますが、御不明な点がありましたら、事務局の者がまいりますので遠慮なくお声掛けください。

 続きまして、本日の資料の確認をさせていただきます。タブレットには、番号01の議事次第から番号06の寄附金等・資料作成関与者報告のファイルを格納しています。不足の資料等がありましたら、事務局にお申出ください。以上です。

○伊藤部会長 それでは、事務局より審議参加に関する遵守事項について報告をお願いいたします。

○元村予防接種室長補佐 審議参加の取扱いについて御報告します。本日、御出席いただきました委員の方から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受取状況、申請資料等の作成への関与について、御申告を頂きました。各委員からの申告内容については、資料番号06の寄附金等・資料作成関与者報告のファイルを御確認ください。

 本日の議事内容において、個別に調査審議される品目はB型肝炎ワクチン及びDPT-IPVワクチンとなります。出席委員の寄附金等の受取状況から、参加規程第5条により伊藤委員及び細矢委員が、調査審議を行う品目において、申請資料等の作成に関与されていますので、審議時に「退室」に該当します。また、細矢委員からKMバイオロジクス株式会社より、50万円を超えて500万円以下の受取について申告を頂いていますので、第9条によりDPT-IPVワクチンの審議の際に、部会に出席し意見を述べることはできるが「議決に参加しない」に該当しますので、これらの取扱いについてお諮りいたします。

 なお、このほか「退室」や「審議又は議決に参加しない」に該当される委員は、いらっしゃいません。以上です。

○伊藤部会長 ただいま事務局から、本日の審議参加についての報告がありました。参加規程の第5条により、私と細矢委員が審議時に「退室」に該当しています。また、細矢委員が第9条によりDPT-IPVワクチンの審議の際に、「議決に参加しない」に該当しています。しかしながら、参加規程によりますと審議会場から退室するの取扱いについては、当該委員などの発言が特に必要あると当部会が認めた場合には出席し、意見を述べることができるとなっています。今回の会議では、細矢委員におかれましては専門家としての意見を述べていただきたいことと、また意見を述べることがありましたら公平な立場でお願いしたいと思っています。私も部会長として、公平な立場で議事運営を行いたいと思っていますので、自分で言うのも変ですが、退室せずに審議に参加することとしたいのですが、皆さんの御意見を頂きたいのですが、いかがでしょうか。

(異議なし)

○伊藤部会長 ありがとうございます。それでは、部会としての了解が得られたということで、早速、審議に入りたいと思います。委員の皆様方には、議事次第を御覧いただいて、議題については2つあります。「季節性インフルエンザワクチンの製造株の選定について」と、もう1つが供給の問題だと思いますが、「DPT-IPV及びB型肝炎ワクチンの供給について」、「その他」とあります。まず1つ目の議題について、事務局から御説明をお願いいたします。

○賀登予防接種室長補佐 PDFの番号04と付いています資料1を開いていただけますか。議題としまして、季節性インフルエンザワクチンの製造株の選定についてです。ページ番号で1ページ目と付いているもの、PDFで言うと2枚目からになります。これまでの2017/18年シーズンまでの事案のおさらいですけれども、国立感染症研究所でインフルエンザワクチン株選定のための検討会議を開いていただいています。それを踏まえて、厚生労働省から次のシーズンに製造するインフルエンザワクチン株について、メーカーに通知をしていたということがありました。昨シーズンからそのプロセスについて、一部変更させていただきました。青色の部分、厚生労働省でも小委員会を作らせていただいて、その審議の結果を踏まえて厚生労働省から通知を出しているというプロセスに変わりました。

 具体的に2ページの所の組織図を見ていただくと、こちらの研究開発及び生産・流通部会の下に、小委員会、青色のものですけれども、そちらを新設させていただきました。この後の3ページ目の所、感染研でもインフルエンザワクチン株の検討会議を引き続き開催いただいています。それと本日この部会の後になりますけれども、小委員会を開かせていただきます。そこの役割分担については、感染研ではインフルエンザワクチンの株、4株ありますけれども、その各株ごとに製造株を評価していただくという観点と、小委員会では4種混合ワクチンですので、4価ワクチンとしての製造株を総合評価する役割ということで、役割分担しながら今シーズンも話を進めていきたいと考えています。

 この後のスケジュールですけれども、本日、小委員会を開催させていただきます。その後に株が決定していくというプロセスになります。夏から秋にかけまして、秋から販売が開始されていきますので、89月ぐらいにまた本部会を開催させていただきながら、供給量などについて御報告をするという流れになるかと思います。その際に、小委員会で議論しました株の決定については、改めて御報告させていただきたいと思っています。以上です。

○伊藤部会長 この議題1に関しては、報告事項ということなのですが、委員の皆様から特に御意見はありますか。先生方も承知されていると思うのですけれども、まだ株が決まっていない状況です。昨年のワクチンの供給に関して、10月、11月頃に足りないといわれましたので、早めに製造していただきたいと思っています。今回、小委員会で決まり切るのか決まり切らないのかはわかりませんが、国としてワクチン供給を安定にしていくためにも、いろいろな議論をしていただきながら、良い結論を出していただきたいと思います。この後、小委員会が開催されて、意見が出てくると思っていますが、こういった状況の中で報告がありましたので、皆さんに御承知おきいただきたいと思いますが、よろしいですか。

○細矢委員 大変いいスキームではないかと思います。特に安定供給ということについては、やはりこういった検討が必要だと思うのです。多分、安定供給は後で検証されると思うのです。ただ、もう1点、有効性についてというのが、ここは研究開発及び生産・流通部会なので、実際に安定供給とともに有効性というのも必要で、その有効性についての検証というのも、やはり同時にやっていかないと、このままでいってしまうと安定供給が中心になってしまうのではないかと。両方大事だと思いますので、両方とも検証するようなものを考える必要があるのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

○伊藤部会長 有効性についての検証についても、考えなければいけないのではないかというご意見です。安定性と有効性というのは去年の議論を先生方も覚えていらっしゃると思いますが、非臨床成績での有効性をある程度、犠牲にしても、去年は安定供給を優先をしたと思っていますが、最終的なアウトプットとして、いかに有効なものであっても、国民の方々に十分な供給がなければ、それはそれで有効ではない。そこのバランスについて、上手に議論していただくということが必要なのだと思います。多分、厚生労働省におかれても、感染研におかれてもと言ったほうが正しいのかもしれませんけれども、日本はきちんと感染者数が把握されている、ウイルスの分離もされているというところがあって、ただ問題なのは有効性が、ワクチンの供給とのリンクとして最終評価されているかどうかと言われると、心もとない部分もあるかと思います。

 そこに関しては今後の課題として、私どもも知恵を出して枠組みを考えていかなければいけないと思うのと同時に、事務局の方々も、特に小委員会の場所においては、今回、間に合うかどうかよく分かりませんが、それが分かるような資料を用意していただけると、十分な検討がされたということが皆さん分かるのではないかと思います。細矢委員の御意見を踏まえて、今後、改善する一番直近の方法としては、そのようなところかと思うのですが、ほかにどなたか皆さん、いい知恵などはありませんか。

○坂元委員 川崎市の坂元です。細矢委員のおっしゃることは、本当にもっともだと思います。ただ、我々、実際に予防接種を行っている市町村としては、過去の例から言うと、やはり安定供給というのが、最も大事かと思います。例えば、インフルエンザワクチンの株選定の結果によってはインターネット等にいろいろな情報が流れております。例えば、今年は当たっていないなどですね。いろいろな情報が流れるのですけれども、その手の有効性に関する苦情はほとんど自治体に来なくて、やはり接種が受けられない、ワクチンが足りないというのは、ものすごく苦情が来るということです。やはり、国民の皆さんを安心させるためには、安定供給というのは一番考えなければいけないと思います。できればそれが良いワクチンであれば、なおさら良いという感覚ではないかと私は感じています。でも、効果や安全性でより良いワクチンが安定供給できれば、それに越したことはないというのは私も賛成します。

○細矢委員 私も全くそのように思っているのですけれども、逆に、例えば有効性を検証したときに、どうしてもあまり有効でないというのであったら、本当に新たな生産方法や何かを考えるべきではないかと思うのです。より有効で、より安定供給ができるワクチン株を考える、あるいは製造方法を考えるということも、この部会の1つの目的ではないかというふうに思いますので、少し長期的にそういった戦略も考えるべきではないかと思います。

○伊藤部会長 ありがとうございます。

○釜萢委員 細矢委員の御指摘のとおりだと思いますが、これまでの検討の中でも、また足りないところは、信澤委員をはじめ感染研から御指摘を頂きたいと思いますが、株を選定していく段階では主に動物実験のデータを基に有効性を判断するわけですけれども、最終的には出来上がったワクチンに対して、ヒトでの抗体価の上がりがどうだったのかというところを見ていくことになりますが、これはワクチンが出来上がった後でないとできないことですので、それは既にやられていますけれども、しっかりとそのデータを毎年蓄積していくということが必要です。これまでの経験の中でも、動物実験の結果とヒトでの有効性については、少し乖離が見られるような指摘もありましたので、そこは今後また知見を集積していく必要があるかなと私は思っています。

 現状においては、この株がふさわしいと思って生産をした結果、実際にはウイルスの収量が低くなってしまったということもあり得るわけですので、その辺りは坂元委員からの御指摘のように、実際に打つときにワクチンがないということは、非常に大きな混乱を招きますので、生産をきちんと開始すべき時期がいつなのかというところを見据えて、そこから逆算してワクチンの株がきちんとしかるべき時期に選定されるということが、是非、必要だろうと思います。よろしくお願いいたします。

○伊藤部会長 ありがとうございます。

○信澤委員 恐らくここで感染研の検討会議と、この小委員会を分けたという理由は皆さん御存じだと思いますけれども、この役割分担をすることで感染研ではウイルスの特性や有効性と書いてありますが、先生方がおっしゃったようにこれはあくまでもヒトではなく動物、フェレットでの有効性と言いますか、免疫原性を見ているだけですので、ヒトの場合には参考程度にしかならないということを考えますと、感染研での検討会議というのはあくまでもウイルスの抗原性や増殖性を中心に検討する会議です。その結果を小委員会に上げさせていただいて、小委員会ではそのウイルスの性状プラスそのワクチンの生産性を加えて、総合的に評価するように分けたという判断でよろしいのでしょうか。ちょっと確認をさせていただきたいです。

○伊藤部会長 事務局からお答えいただいていいかと思うのですけれども、お答えになりますか。 

○賀登予防接種室長補佐 感染研と厚労省側の役割分担のところで、概ね信澤委員の御理解のとおりです。ただ、株の増殖性を踏まえて感染研でも御議論いただくことになりますので、生産性を感染研で全く見てないかと言うと、それは違うものと考えています。そちらのほうを従来から見ていただいているとおり、引き続きお願いしたいと思っています。4価ワクチンという特徴がありますので、それぞれ1価、1価での製造だけではなく、4価としての何本のワクチン量になるのかというところの観点も小委員会では、よく確認しながら総合的な評価をお願いしたいと考えています。

○伊藤部会長 インフルエンザのワクチンは、一番多く使われているワクチンでありながら卵馴化の問題など、必ずしも抗原性が野性株と合っていない問題がある一方で、去年、廣田先生からお話があったとおり、必ずしも合わなくても有効性は出ているみたいだなど、様々な議論がありました。まだ分からないところも、たくさんあるのだろうと思うのですが、今後皆さんが理解ができるような形での資料を提供していただいて、御理解を頂くというところが大切なのかと思います。

 事務局におかれても、次のときにそういう資料を御用意していただく、とりわけ今年の流行の状況と実際のワクチンとの関係を、データとして提供していただければ皆さんの理解が少しは進むという気もしますので、そういった資料の用意をいただけると有り難いと思います。

 1つ目に関しては、この程度でよろしいでしょうか。では2つ目の議題について、説明をお願いいたします。

○賀登予防接種室長補佐 資料はPDF05、資料2です。2点目の話としては、DPT-IPV及びB型肝炎ワクチンの供給についてです。ページ番号で言うと1ページ目、PDFで言うと2枚目のページをお開きください。

 最初にDPT-IPVの供給についてです。こちらはジフテリア・百日せき・破傷風・不活化ポリオワクチンが混合された4種混合ワクチンでして、定期接種を実施しています。主なニーズは定期接種でして、近年のワクチンニーズ自体は、年間で大体400万本前後というものです。現在、DPT-IPV3社から供給されておりまして、これが第一三共()(一財)阪大微生物病研究会、KMバイオロジクス()です。近年、年間で概ね480660万本ほどが供給されています。

 今般、第一三共()から、年間で概ね120万本ほど製造していただいているのですが、そちらのスクエアキッズ皮下注シリンジについて、その中の百日せきワクチンの原液の製造上のトラブルがありまして、2019年度、この4月から製造を停止せざるを得なくなったという報告がありました。ただし、当該品目の流通在庫というものもありますし、第一三共()以外からの供給というものも引き続きありますので、2020年度以降も国内のワクチンニーズを上回る見込みであるということの御報告です。

 具体的な本数につきましては、下の青と赤で書いてありますが、年間の当初在庫量、スタート部分の在庫量と、その年に供給される製造量、それを足したものが医療機関納入量よりも上回っているということで、特段の問題はないかと考えています。

 続きまして、3ページ目の資料を御覧ください。こちらがB型肝炎ワクチンの供給についてです。B型肝炎も定期接種に位置付けられているものです。定期接種以外にも母子感染だとかトラベラーズワクチン、そういったもののニーズがありまして、年間で大体350450万回接種分程度と考えられております。

 B型肝炎ワクチンはKMバイオロジクス社とMSD社の2社から、年間350640万回接種分ほどが市場に供給されています。少し幅があるのですが、それは0.25ml0.5mlのバイアル製剤とシリンジ製剤がありまして、小児のほうでは10.25mlという使用量になりますので、0.5mlのバイアル製剤、こちらを1回から2回使えるという考え方がありますので、少し広めの幅記載となっています。

 報告事項としまして、MSD社から、早ければ201910月以降に国内供給を継続できなくなるおそれがあると、こういった報告がありました。これは日本以外の国でも同様に、供給を継続できない事態ということです。具体的な理由としては、原液の製造工程の上流工程のほうで、断続的にポツポツと規格を満たさないケースが生じていたということですが、その頻度が上がってきたので、そもそもの製造を止めて、抜本的な改善に取り組まざるを得ない、そういった状況になったということです。

 現段階で製造再開の時期は、早くても2020年半ば以降ではないかと言われていますが、今のところは未定です。ただし、KMバイオロジクス社が可能な限り増産すれば、安定供給に対するリスクというものは大きく軽減されますので、まずはKMバイオロジクス社のほうに増産のお願いをしたいと考えています。

 具体的な最近の製造実績は、下の表に入っています。合計の所で、KMバイオロジクス社が年間約60180万回接種分、MSD社は年間約240520万回接種分となっています。相対的にMSD社のほうが、市場が大きいというところを御理解いただければと思います。

 ただし、当分の間は2社から、B肝ワクチンの供給は継続しますし、喫緊で安定供給に影響するものではありませんが、夏頃を目処に、どういった増産のスケジュールになるか、再開時期がいつぐらいになるかといったようなことも踏まえて、更新情報を含めながら、今後、御議論いただきたいと考えています。こちらは第一報ということになります。以上です。

○伊藤部会長 またワクチンが足りなくなりそうという、不安な状況の報告がありましたが、今の御説明に対して、まず御質問などはありますか。

○細矢委員 この第一三共()からの報告によると、202012月をもって欠品する。それまでは入るわけですよね。そうすると、2020年までの供給量が1ページに書いてあるのですが、2021年以降はどのようになるのですか。

○賀登予防接種室長補佐 今のところ承知をしておりません。というのも、メーカーのほうに供給予定というものを出してもらうのですが、大体23年というところを把握し続けているのが実質でして、4年先というところはなかなか、まだ承知していないということです。

○細矢委員 DPT+単味のIPVというのも定期として接種可能ですよね。その供給量というのは、ここには入らないのですか。

○賀登予防接種室長補佐 ここの所は、DPT-IPV4種混合の供給量を謳っておりますので、それぞれの単味というところは、今は念頭から外しております。

○細矢委員 十分あるということを示すのに、例えばそれを入れておけば、こういったことでも供給できますよと示しておくと、1つ安心になるのではないかと思うのです。ショーテッジを来さない、絶対に大丈夫だよという意味合いにおいては、あってもいいかなと思います。DPTはトリビックというのが、それからIPVもイモバックスポリオというのが入っていて、両方とも定期接種ワクチンとして使えることになっています。

○伊藤部会長 ありがとうございます。ほかに何かありますか。

○石井委員 スクエアキッズやDPT-IPVの場合ですが、百日せきワクチンを作る場合の製造工程に何か影響というか、規格に入らなかったと書いてありますが、製造工程を変えるというか、承認書に何か影響が出てくるような可能性というのはあるのでしょうか。

○賀登予防接種室長補佐 すみません、メーカーの御事情もありますので、あまり深いことをお答えするのは難しいのですが、承認書の内容を今の時点で前向きに変えないとという話ではなく、規格に合わなかったということが事実としてあります。

○石井委員 B型肝炎のほうもそうなのですが、もしも変更するという場合ですと、感染研のほうでも例えばSLP様式を変えたり、そのように影響が出てくるので、なるべく早く情報を伝えていただくほうが、タイムリーな供給などのためには、変更してからまた改めて様式などを検討していると、かなり時間がかかって、また生産が遅れてしまうということがありますので、その辺り、なるべく情報共有していただければと思います。

○賀登予防接種室長補佐 事務局としましても、メーカーだけではなく、関係機関などと連携しながら、安定供給に資するように準備を進めてまいりたいと思います。ありがとうございます。

○山口委員 1点、今すぐ答えられないかもしれないのですが、B型肝炎ワクチンでKMバイオロジクス社のほうは確かS型抗原だと思うのですが、MSD社もS型抗原ですか。その辺が分かったら教えてください。

○石井委員 同じです。

○山口委員 分かりました。

○福島委員 2点、御質問申し上げます。1点目は素人的な質問かもしれないのですが、B型肝炎ワクチンのほうでKMバイオロジクス社が可能な限り増産すればとありますが、これは実際メーカーにどれぐらいの負荷が掛かるものなのかということが、一般の視点としては気になるかなというのが1つ。

 あとは、このような情報を厚生労働省として早めに出されるということは、現場での備えといいますか、事前に心構えをしておくという点から、非常に大切なことだと思うのですが、季節性のインフルエンザワクチンについても毎年、厚生労働省のほうから早めに情報提供していただいて、不足がないように供給しますというお知らせをしていただいているにもかかわらず、現場では一部の先生方が大量発注をしている事例もなきにしもあらずといったことが、地域の先生方から情報が入ってまいります。せっかく厚生労働省のほうから早めに情報提供していただいていますので、現場での混乱をできるだけ防ぐようにするには、どのような方策がいいかなと、私も常々考えているのですが、委員の先生方から何か御意見を頂ければと思います。その2点です。

○伊藤部会長 事務局からどうぞ。

○賀登予防接種室長補佐 まず1点目、メーカーに対する負荷がどの程度のものかということで、定量的にお答えするのは難しいのですが、少なくともこのB型肝炎ワクチンにつきましては、原液を作って製剤化していくということがあります。

 今、MSD社がこのような状況になっているということを受けて、KMバイオロジクス社のほうで増産をかけてもらうというところでは、この先12年で使用する予定だった原液を、短期間で早く製剤化していくという負荷に、具体的にはなるかと思いますので、そもそもの製造スケジュールなどを1から見直すというような、大掛かりな対応をしてもらうことになるというのが1点目です。

 2点目、例えばインフルエンザワクチンで言うと、いわゆる偏在という言葉で表されるものかもしれませんが、厚生労働省側としては全体の供給量、これまで使用されていた量から、これぐらいのニーズではないかというところの全体の量の調整のところから御報告させていただく観点が多かったのですが、その後、地域的に一部足りないとか、時期的に不足しているという話はあるかと思います。どこまで緻密にできるかというのは、難しい宿題だなと思いますが、なるべく現場で混乱が生じないように、引き続き努めてまいりたいと思います。

○坂元委員 特にB型肝炎ワクチンは定期接種で行うということと、こういう医療に携わる方、例えば看護学校などで看護学生など、そういう方がこの4月から一斉にこの接種を行うということがあると思いますが、それが毎年どれぐらいそういう方々に接種が行われているかということです。ちょっと数的には分からないのですが、その辺もよければある程度把握して、毎年、定期接種以外にこれだけの接種が出るのかなという把握は、しっかりしておいたほうがいいのかなと思います。

 旅行者とかそういうのはさほど多くはないと思いますが、この4月は多分、軒並み全国の看護学校などで、B型肝炎は一斉接種を開始すると思うのです。だから、その辺の供給量を調べておかれるといいかなと思います。これは意見です。

○伊藤部会長 ワクチン不足になる度に同じ議論をさせていただいていますが、福島委員と同じ懸念を持っていまして、医者のモラルとして買占めはやめてほしいなと思っていますが、一方で監視カメラのようなトラッキングを考えていかないといけないのではないか、これに関しては公正取引委員会の承認が得られないと、トラッキングができないとか、様々な問題が発生しているようですので、今後も続いていく問題ですので、対策については考えていただきたいと思います。ほかに何か御意見はありますか。

○釜萢委員 今、福島委員からも御指摘があった問題は大変大事なところですが、実は例えば季節性インフルエンザのワクチンを、例年の実績を超えて買占めをしようと、仮に意図しても、卸はそうやすやすと応じてくれる状況ではないと思います。

 それから、厚労省も大変忙しいので、なかなか完全に実施というのは難しいと思いますが、卸が医療機関に納入したワクチンの情報は、ほとんどリアルタイムにメーカーのほうに集まります。そのデータを厚労省がしっかり把握されれば、どのようなワクチンの動きかというのは、実際にはかなり分かるようになっていますし、一方でインフルエンザのワクチンが季節後に大量に返品されるような状況も、実際に把握は可能だと私は思っておりますので、そういうことはマスコミを通じてきちんと公表していって、不適切な取引が行われないようにということは、しっかり監視をしていかなければいけないと思っています。

 ちょっと長くなって恐縮ですが、日本医師会では今年の6月から、医療機関が卸にワクチンを注文して、それが通常どおり納品されなかった場合は、これはワクチンの不足と医療機関は認識しますので、その情報をなるべくリアルタイムで吸い上げるシステムを、今、構築中です。それが出て、その報告があったものについては、地域をきちんと特定してグラフ化することができるように、今、システムを構築中ですので、それが分かれば、医療機関が注文をしたけれども、通常どおりワクチンが納入されないという情報は、全国規模でしっかり、ほぼリアルタイムで把握できるようになります。

 ただ、これは厚労省が考えておられる不足とは、少し基準が違いますけれども、少なくとも我々としては、注文をしたところで納入されなければ、これは不足と判断しますので、その情報が上がってきて、どの地域にどのような不足の訴えが出ているかということは、はっきり分かるように。これは、もちろん自治体には全部公開しますし、できれば幅広く公開して、その情報を国全体で把握していただくようにしていきたいと思っておりますので、そのことを申し述べさせていただきました。

○伊藤部会長 釜萢委員、ありがとうございます。日本医師会で需給関係が分かるというか、景気動向調査のようなものをおやりになるということで、それが今後、ワクチンの需給、安定供給に資する形になっていけばいいなと思いますので、よろしくお願いします。ほかにありますか。ありがとうございました。

 最後ですが、季節性インフルエンザワクチンの製造株について検討する小委員会の委員長の指名です。事務局からお願いします。

○元村予防接種室長補佐 これまで小委員会の委員長であった川西委員が、厚生科学審議会の委員でなくなったため、委員長を改めて指名する必要があります。小委員会設置要綱によりますと、委員長は研究開発及び生産・流通部会長の指名によるものとなっています。伊藤部会長より御指名をお願いします。

○伊藤部会長 それでは、この部会も含めて、ワクチンに関して大変造詣が深い坂元委員にお願いしたいと思うのですが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

○伊藤部会長 よろしくお願いします。利益相反がなく、かつ、いろいろな形で造詣が深いということで、坂元委員にお願いしたいと思います。

 それでは、本日の議事は以上です。今日あったDPT-IPVB型肝炎ワクチンの不足に関しては、第一報ということで頂いておりますので、今後、詳しい情報や方針が分かりましたら、またこの委員会に御報告を頂けるということですので、必要に応じて皆さんと情報共有をしながら、国全体にワクチンが安定的に供給される、次のときは多分、釜萢委員のほうからリアルタイムで足りているか足りていないかという情報を頂けるのではないかという期待をしておりますので、どうぞよろしくお願いします。事務局から何かありますか。

○賀登予防接種室長補佐 特にありません。

○伊藤部会長 それでは、本日の会議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

 

 

 

 

(了)

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