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2018年9月12日 第19回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産流通部会議事録

健康局健康課予防接種室

○日時

平成30年9月12日(水)17:00~

 

○場所

中央労働委員会会館 講堂
 

○議事

○事務局 少しお時間より早いのですが、先生方おそろいですので始めさせていただきます。

 それでは、ただいまより第19回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会を開催いたします。本日の議事は公開ですがカメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては御協力のほどよろしくお願いいたします。また、傍聴の方に関しましては、留意事項の遵守をよろしくお願いいたします。

 開会に先立ちまして、731日付けで事務局側に人事異動がありましたので御紹介させていただきます。健康局長として宇都宮、健康課長として武井が着任しております。それでは、健康局長より御挨拶を申し上げます。

○宇都宮局長 皆さんこんにちは。ただいまお話がございましたように、731日付けで健康局長に着任いたしました宇都宮と申します。よろしくお願いいたします。本日は大変御多忙のところ御参集いただきまして、誠にありがとうございます。この予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会、予防接種に必要なワクチンを滞りなくお届けするために、いろいろと御議論いただいている部会ということでございますが、このワクチンにつきましては、もちろん新しい有効なワクチンの研究開発、これはとても大事なことですが、それに加え、必要なワクチンを必要なだけきちんとお届けすると、そういった生産・流通、これも非常に大切なものでございます。

 ただ、もちろん私よりも、現場の皆様方御承知のように、この需要と供給の見込み、バランスをどういうふうに取るかというのが大変難しいところで、本日、そういったワクチンの生産・流通に関する事例の御紹介、それから今度のインフルエンザワクチンの供給について御議論いただくということでございます。本日はたくさん参考人の皆様方にもお越しいただき、現場の状況などについてお話いただいて、その上で専門的な見地から委員の先生方に御議論いただくことになっているということでございます。是非、忌憚のない御意見を交わしていただいて、実りある会にしていただければと思います。是非よろしくお願いいたします。

○事務局 それでは、本日の委員の欠席状況につきまして御報告させていただきます。本日は委員10名のうち、伊藤委員、大野委員、釜萢委員、坂元委員、野口委員、細矢委員、森委員の7名に御出席いただいております。また、石井委員と福島委員からは御欠席の連絡を頂いております。山口委員からは、少々遅れていらっしゃる旨の御連絡を頂いております。現時点で、厚生科学審議会の規定により定足数を満たしておりますので、本日の会議が成立いたしますことを御報告いたします。

 ここで、新しく就任されました委員の先生の御紹介をさせていただきます。公益財団法人 木原記念横浜生命科学振興財団 大野𣳾雄委員。

○大野委員 大野です。よろしくお願いいたします。

○事務局 また、本日は12名の参考人の方々をお呼びしておりますので御紹介させていただきます。日本薬品卸売業連合会の大石参考人、河邊参考人、斉藤参考人、吉田参考人。また、日本ワクチン産業協会から石川参考人、今川参考人、古屋参考人、山田参考人。続いて、日本ワクチン産業協会インフルエンザ専門委員の中川参考人、保澤参考人、松浦参考人、渡辺参考人です。

 次に、部会長代理の指名についてです。厚生科学審議会令第6条第5項により、部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理することとなっております。なお、本部会には厚生科学審議会委員から伊藤委員と大野委員に御参加いただいております。伊藤部会長より御指名のほどよろしくお願いいたします。

○伊藤部会長 皆さん、今日はお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。部会長代理の指名ですが、厚生科学審議会委員の大野委員にお願いしたいと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。ありがとうございます。それでは、大野委員、よろしくお願いいたします。

○事務局 申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りに関しましては、ここまでとさせていただきます。なお、これ以降は、写真撮影、ビデオ撮影、録音等をすることはできませんので御留意いただきますようお願いします。

 それでは、議事に先立ちまして、配布資料の確認をさせていただきます。議事次第、配布資料一覧、委員名簿、資料1-1から1-4、資料2を用意させていただいております。過不足等ございましたら、事務局までお申し付けください。

 次に、審議参加の取扱いにつきまして御報告いたします。本日御出席いただきました委員及び参考人から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づきまして、ワクチンの製造販売業者から寄附金等の受取り状況、申請資料への関与につきまして御申告を頂きました。各委員及び参考人からの申告内容につきましては机上に配布しているとおりですので、御確認いただきますようお願いいたします。本日の審議内容において個別に調査審議される品目はありませんので、本日の議事への不参加委員はありません。寄附金等で御申告いただいた内容につきましては、後日、ウェブサイト上で公開させていただきます。以上です。所用により、局長は、ここで退席させていただきます。

 それでは、ここからは、伊藤部会長に議事進行をお願いいたします。

○伊藤部会長 ありがとうございます。それでは早速議事に入らせていただきます。委員の皆様方には議事次第を御覧いただければと思います。議題は主に2つあります。1つは「ワクチンの生産・流通に関する事例等について」と「2018/19シーズンのインフルエンザワクチンの供給について」と「その他」です。

 控え席に御着席いただいた参考人の皆様におかれましては、関連する議題の際に前のテーブルに御着席いただくこと、ちょっと人数が多いものですから、そのような形にさせていただきたいと思います。

 議題の1つ目について、まず、事務局から簡単に御説明を頂けますでしょうか。

○事務局 まず資料の1-1を御覧ください。こちらについては、前回の部会で御提出した資料と同じものです。予防接種に関する基本的な計画の記載内容について、安定供給に関する内容について主にアンダーラインを引いています。前回と同じ資料ですので少し説明は簡略化させていただきますけれども、例えば国の役割としまして、ワクチンの供給の確保等に必要な措置を図ることや、都道府県の役割としては市町村間の広域的な連携の支援。市町村の役割としては、適正かつ効率的な予防接種の実施や住民の方々への情報提供等を行うこととしています。

 また、本日来てくださっているワクチンの製造販売業者の方や卸売販売業者の方の役割としましては、製造販売業者さんは卸売販売業者さんとともに、ワクチンの安定供給を行うという役割を記載されています。

 供給の確保に関します施策の基本的な事項として、緊急時にはワクチンの供給不足が想定されますので、迅速かつ的確な需給調整を行うことが求められることや感染症の流行時等、一時的にワクチンの需給が逼迫したような場合には、ワクチンは一般的に製造開始から出荷まで時間を要しますので、需要の変動に合わせて短期間で生産調整することが困難であります。このため、例えば国がワクチンの製造販売業者とワクチンの生産に関する調整を行ったり、前倒し出荷、在庫の状況等、情報提供を行うことや関係者と連携しまして、ワクチンが偏在しないように取り組むことに努めることが必要であると規定されています。

 これまでの取組の例として、供給に課題が生じるような場合については、国全体の需要推計と供給計画を把握して必要な対策を講じることや、製造販売業者等におきまして自主的に2か月程度の、いわゆる流通備蓄というものを確保している、このような状況です。

 続きまして、資料の1-2を御覧ください。こちらは、「ワクチンの生産・流通に関する事例等について」です。こちらも前回の部会で御説明したものと同じ資料です。2ページ、平成284月に発生した熊本地震で、化血研が被災しB型肝炎ワクチンやインフルエンザワクチンの供給に影響が生じました。その際には、他社の増産等により対応しました。平成288月頃には、麻疹の広域的な発生がありましたので、MRワクチンの全国的な不足は生じない見込みでしたが、一部の地域や医療機関においてMRワクチンの偏在等が懸念され、前倒しの出荷の要請や偏在等に関する情報の共有など、必要な対応が求められました。

 3ページ、熊本地震に関してですが、化血研の想定を上回るような需要が日本脳炎ワクチンで生じたということで、一定期間供給がなされない見込みとなり、一部の地域や医療機関において、日本脳炎ワクチンの偏在等が発生するということが懸念される状況がありました。

 また、平成29年のインフルエンザワクチンの製造株の切替え等を行ったことの影響により、前シーズンよりも供給が遅れるというようなことがありました。その際には、ワクチン供給関係者にも累次にわたって、出荷の前倒しやワクチンの偏在が生じないよう要請を行うなどの対応をさせていただきました。そういった事例等の御紹介と、4ページでは、ワクチンの生産・流通に関する課題を検討する際の論点を例示しています。ワクチンの全般的な需給に関して、1つ目の視点として、自然災害を含む不測の事態が生じた場合に、どのような対応が考えられるかということ。ワクチンの流通と受発注という観点で、視点の1つ目としては、正確かつ適切な情報共有をどのように確保するか。視点の2つ目として、卸売販売業者等が、医療機関からの必要な発注に対して、適切に対応するにはどのような対応が考えられるか。視点の3つ目としては、通常の取引先の卸売販売業者から必要なワクチンが入手できない、そのような場合に医療機関としてどのような対処が考えられるかという視点が考えられます。

 また、国や地方自治体の役割として、ワクチンの供給に課題が生じた場合に各自治体の役割についてどのように考えるか。この辺りが安定供給に関する課題を考えるときの視点として、考えられるのではないかと考えています。資料1-2の説明については以上です。

○伊藤部会長 ありがとうございました。今まで供給の問題については、全般に議論を進めてきたというか、いろいろな方々にお話を伺っております。前回は地方自治体の方々にお越しいただいて、どのような苦労を実際にされたのか。特に、昨年の日脳ワクチンについての対策のお話を頂いたと思っています。今回は、それに引き続いてお話を伺うことだと思います。

 それでは、日本ワクチン産業協会の方から説明を頂いて、その後質疑をさせていだたき、それから卸売業界の話を伺います。その後で、今後どうするかという問題点について議論させていただきたいと思います。それでは、日本ワクチン産業協会の方からよろしくお願いいたします。

○石川参考人 日本ワクチン産業協会の石川でございます。この度は、こういった部会での発言の機会を頂きましてありがとうございます。

 ワクチンの安定供給について、ワクチン製造販売業の立場から報告をさせていただきます。2ページを御覧ください。本日は、予防接種基本計画を受けてのヒアリングということで、このような内容について御報告をしたいと考えています。

 次ページですが、まず日本ワクチン産業協会について簡単に紹介させていただきます。本協会は、ワクチン等の安定的な供給と普及・啓発を図り、ひいては国民の保健衛生の向上に寄与することを目的に、1946年に社団法人細菌製剤協会として設立されました。その後2011年には、公益法人制度改革に対応いたしまして、名称が現在の一般社団法人日本ワクチン産業協会となりました。現在、主にワクチンの製造、輸入、販売を行います企業17社が会員となっております。

 次ページをお開けください。協会の主な活動の現状です。予防接種、ワクチンの普及・啓発については、講演会の開催や先ほどのスライドにありましたような資料の作成、配布等を行っています。またワクチン類の開発・改良としては、インフルエンザワクチンの製造株の検討作業を国立感染症研究所と一緒に行うなど、最近では、最終製品の包装の表示内容の改良、あるいは安定供給に関して厚生労働省と協力した対応を行っています。また種々の国際活動の推進を行っています。

 次のスライド5ページが「予防接種基本計画の概要」ですが、製造販売業者の役目として努めるべき項目を赤字で示してありますけれども、中でも役割分担に関する事項に明記されているように、安全かつ有効なワクチンの研究開発、安定的な供給等が製造販売業者の重要な役割であると認識し、鋭意努力しているところであります。

 次に、ワクチンの製造供給の現状について報告いたします。現在、「日本で販売されている主なワクチン類と製造販売業者」です。A類疾病として、定期接種されるワクチンが11種類。B類疾病として2種類。任意接種用として8種類ほどのワクチンがあります。それぞれ1社又は複数の製造販売業者から供給されています。このように右のほうに偏っていますけれども、海外からの輸入ワクチンが定期接種として6種類、任意接種として3種類が供給されています。

 次、7ページです。「ワクチン流通の仕組み」を示しています。多くのワクチンは、製造販売業者から1社又は複数の販売会社を介して卸売販売業社に販売され、更に卸売販売業者から直接医療機関、ごく一部ですけれども市町村を介して医療機関に配布されています。

 8ページです。「安定供給に向けた取組」について報告します。製造販売業者及び販売会社は、通常使用される量を上回る一定量のワクチンを常に在庫として確保しています。また後ほど詳細に述べますが、ワクチンは原液の製造から製品を出荷するまでには、10か月から、長いものでは2年を要するために、製造販売業者は一定量の原液を常に貯留しています。これら製品、原液を保管しておくためには、大きな保冷倉庫が必要でありまして、その維持管理に多大なコストを要しています。しかし、必要以上の在庫の貯留は有効期限の問題等で廃棄しなければならないリスクがありますため、多大な貯留はできません。したがって、安定供給するためには、より正確な需要予測が必要です。

 9ページです。市場における状況を模式的に示したのが、このスライドです。通常、需給が安定している状態は、このように市場において製品は使用量を上回る市場在庫を有しています。何らかの事情で使用量が増加してくると、保有している原液を製剤化して通常以上の量を市場に出荷することにより、市場在庫が回復するよう努めています。このためにも原液の貯留は非常に重要です。

 10ページです。これまで説明しましたように、製造販売業者としては安定供給に努めているところではありますけれども、供給が間に合わない事態が生じることがあります。1つは先ほどもありましたが、アウトブレイクなどが原因で予測不能な需要の増加が起こり供給が間に合わない事態であり、一昨年の輸入麻疹等がその例であります。2つ目は、災害等により製造販売業者の製造機能の停止や、その他の理由で一定期間製品ができない事態です。一昨年の熊本地震の影響により、日本脳炎ワクチンの供給元である1社が大きな被害を受け、昨年5月以降、市場での日本脳炎ワクチンの偏在等が懸念されました。こうしたワクチンの偏在等を確認するには、独禁法の関係から非常にデリケートな問題が絡みますが、このときは予防接種室に、公取とも調整しながら流通の見える化を図っていただきました。製造販売業者は、短期的には前倒し出荷に努めるとともに、増産にも努めました。販売会社は、各医療機関における供給の実績の把握に努めていただきました。

 11ページです。安定供給に向けた課題について報告いたします。ワクチンの安定供給に及ぼす特性として以下のことがあります。1つは、製造にかかるリードタイムが非常に長く、迅速な生産調整ができないことです。また、ワクチンは、有効期間が短いという製品特性から、不測の事態に備えた在庫の確保ができにくいということがあります。

 12ページです。これまでワクチンの特性として、いろいろなところで報告されています。まず、製造にかかるリードタイムが非常に長いことを御理解いただくために、例として生ウイルスワクチンの製造工程についてお示しします。まず、ウイルスを細胞で増殖させ原液を製造しますが、その作業の期間に加えて各工程において各種の品質管理試験を行いますので、その期間が必要となります。次に製造された原液について、中間段階として原液の国家検定を受けなければなりません。更に、国家検定に合格した原液を用いて製剤化し、各種の品質管理試験を行い、その後、製品について国家検定を受け合格した後に、包装され出荷されます。このように、非常に多くの工程と品質管理試験を実施する期間を要します。その上に、更には国家検定の期間ということがありまして、非常に長い期間を必要とします。

 13ページです。代表的なワクチンについて、具体的に「それらの原液の製造から出荷までのリードタイム」を示したものです。不活化ワクチンである日本脳炎ワクチンの場合、原液製造に約2850週、充填して品質管理試験、国家検定、それぞれ約1011週ずつ、更に包装試験に67週と、合計で約5678週間が必要です。生ワクチンであるMRの場合は、合計約66週間を要します。DPT-IPVの場合は、合計約100週間を要します。このように原液を貯留していても、製剤化してから出荷するまでに短い製品でも約19週間、長い製品では約45週間が必要です。

 14ページです。定期接種用ワクチンの、それぞれの有効期間を示したものです。有効期間の起算日は、製造日又は国家検定合格日となっています。有効期間が3年未満のものを赤字で示していますが、このようにほとんどのものが3年未満です。特に短いものでは、MRワクチンやインフルエンザワクチンのように国家検定合格日から1年又は製造日から1518か月間であり、他の医薬品に比べワクチンの有効期間は短いことが御理解いただけると思います。

 15ページです。実際の市場における有効期間と流通の現状について、MRワクチンを例に示したものです。MRワクチンの場合、有効期間は国家検定合格後1年又は製造後18か月です。通常、どの製品でも同じですが、有効期間の3か月前には市場での混乱を避けるために、製品の出荷をしておりません。そうすると製造後18か月のものであっても、品質管理試験、国家検定に34か月必要ですし、更には国家検定合格後に包装して出荷するため、実質、市場に出て流通する期間は711か月間です。したがって製品を一定期間貯留するには、物理的にも非常に困難です。

 16ページです。こちらは主に輸入ワクチンメーカー側からの、「安定供給確保のための提言」です。行政とメーカーの緊密な連携、コミュニケーションの確保が重要です。また、ワクチンの規格、品質規準の国際的ハーモナイゼーションの推進を行うべきである。定期接種ワクチンの国家備蓄制度を導入すべきであるというようなことが提言として出されています。

 次のページからは、参考資料です。17ページは定期接種ワクチンの国内生産、輸入の現状です。定期接種ワクチンの製品数の約半数は、輸入ワクチンが占めている現状です。18ページです。同じく参考資料ですが、輸入ワクチンは日本独自の品質規準に対応するために、製造期間が追加で必要となり、リードタイムが長くかかることから有効期間が一層短くなる傾向があるということです。19ページは参考として、「米国における国家備蓄制度」の概要を付けています。

 20ページです。本研究開発及び生産・流通部会の部会長の伊藤先生の研究班、「ワクチンの供給に係る課題の抽出及びその解決策の検討に関する研究」では、安定供給に関してこのような観点から問題点の整理をされています。21ページです。研究班の報告書では国による全量買い上げ方式、あるいは国による流通備蓄相当買い上げ方式、各業者による流通在庫積み増し方式について、製造販売業者並びに卸売業連合会の意見を聴取し、その結果、共通の問題として8つの課題があるとまとめられています。

 22ページです。まとめになります。安定供給に向けた今後の課題として、製造販売業者の立場からまとめると以下のようになります。1つは、任意接種の啓発です。定期接種以外の対象者に任意接種の啓発を行うことにより、一定量の任意接種分のワクチンを市場に流通させることにより、緊急時にはそれを定期接種分として確保できるのではないかと考えています。

 2番目が、任意接種も含めたできるだけ正確な需要予測です。正確な需要予測ができれば、生産調整をできるだけ速やかに行うことができ安定供給につながると考えます。しかし、市場での流通量の把握は独禁法との絡みもあり、非常にデリケートな問題が絡みますので、国主導での正確な需要予測をしていただければ有り難いと考えます。

 3番目として、国主導での管理又は備蓄です。国家備蓄ということも検討すべきと考えますが、伊藤先生の研究班の報告書にあるような問題点を、どうクリアしていくかといった課題があります。

 4番目には、返品の削減です。特にインフルエンザワクチンのような有効期限の短いワクチンが大きな問題となりますが、需要と供給のバランスが崩れ使用されずに返品が起こると、製造販売業者としては供給量に慎重にならざるを得ない問題があります。

 5番目として、薬事規制と国家検定制度の効率化です。国家検定のあり方を見直すことで、もし製剤化から出荷までの期間が短縮されれば、安定供給につながるのではないかと考えています。例えば、国家検定では一定の実績が確保できれば、動物試験は免除するという方法も1つの方法ではないかと考えています。

 6番目には、複数製造所・保管による危機管理上のリスク分散です。国内の複数製造所・保管によりリスク分散も検討すべき課題であると考えています。以上、日本ワクチン産業協会としても、これらの課題について積極的に検討し、厚生労働省とも連携して安定供給できるよう努めていきたいと考えています。御清聴、ありがとうございました。

○伊藤部会長 ありがとうございました。まず、委員の皆さんからワクチン産業協会に対して御質問を頂ければと思います。昨年度、ワクチン産業協会や卸連の方々を含めた多くの方々から意見を頂き、その結果を取りまとめて研究報告書として保健医療科学院のホームページで公開しているものですが、その概略を書いていただいたと思います。そのときに幾つかの問題点が明らかになったと思ってはいますが、今後、それをどのように改善していくのかということなのですが、昨年は、流通の見える化については随分、厚生労働省が公正取引委員会と協議し、日脳に関してはうまくいったのだろうとは思っているのですが、デリケートな問題もたくさんあり、法に触るか触らないかという部分もあり、そこは法改正も含めて考えなければならないと伺っており、一朝一夕ではいかないと思っています。

 そうは言っても今回、風疹も出てきていますし、今のところ、それほど足りないという話は聞いていませんが、今後どうなるか分からないといった状況ではありますので、アウトブレイクや工場が壊れたりしたら足りなくなるということだけではなく、毎年、何らかの事件が起きることを考えると、起きたら考えましょうということではなく、恒常的に、もう少し何とかしなければいけないと個人的には思っています。委員の先生方から何か御意見はございますか。細矢先生どうぞ。

○細矢委員 資料8ページで、実際に、「使用量を上回る一定量のワクチンを常に在庫として確保している」と書いてありますが、これは定期だけではなく、例えばMRワクチンの場合に任意接種分まで含めて、ある程度予想して常に在庫を確保しているということでよろしいのですか。

○石川参考人 そうですね。メーカーとしては通常の使用量の把握に努めており、その量を考え、半年後や1年後のことを予測しながら一定量は流通市場にあるようにと努めております。

○細矢委員 その任意接種分を、もう少し膨らませて在庫を置くというのは厳しいですか。メーカーだけでそれを備蓄するのは、なかなか難しいということでしょうか。

○石川参考人 そうですね。

○細矢委員 実際に、例えば、今の任意接種分のワクチンをある程度想定して造っていると思いますが、期限切れになって使えなくなる、廃棄処分になるようなものというのも、現在、実際にあるのでしょうか。

○石川参考人 基本的には今のところ、定期接種等の中ではそのようなことは特には生じておりません。

○細矢委員 定期接種ではないということですか。

○石川参考人 はい。

○細矢委員 そうですか。

○石川参考人 そのように承知しています。

○今川参考人 定期接種については、当然、需要予測はできますので問題はありませんが、任意接種においても、過去の取引分等々を勘案して、大体そこを見込んだ製造をしているところです。ですから、アウトブレイク等々が起こりますと、任意接種の接種分が増えて途端に供給が厳しくなる状況が起こるということです。

○古屋参考人 定期接種ワクチンの中でも特に定期接種を導入する当初は、どのぐらいの接種が殺到するのか分からない状況がありますので、実際にその分をかなり多く見積もって定期接種に備えております。結果的にそれほど立ち上がりの接種がなかった場合は廃棄するケースも出ております。

○細矢委員 私が知りたいのは、任意接種分のワクチンをもう少しメーカーとして備蓄することが可能かどうか、実際それは全く不可能なのかどうか、検討の余地があるのかどうかですが、どうでしょうか。

○石川参考人 具体例を申し上げますと、昨今の定期接種の日本脳炎ワクチン等は、当初考えています定期接種分よりも、実際の需要はかなりオーバーしているという事象もあり、その辺がどういった原因で需要が多いのか、まだ原因も十分分かっておりませんし、なかなかその定期接種分・任意接種分として切り分けて、その量を把握するのが非常に困難であると思います。

○伊藤部会長 山口先生、坂元先生の順でよろしくお願いします。

○山口委員 2点、教えていただければと思います。1点目が国家検定制度のことについて幾つか言及がありました。その中で技術論的な話ではなくて、むしろ国家検定と各社がされている品質管理試験とをどのような位置付けで考えるかというところからスタートして整理したほうが良いという気がするのですが、その辺の国家検定試験の果たすべき役割と各社の品質管理についての考え方をどのようにまとめておられるのか。そうすれば当然、その中でどのような試験が必要になってくるのか、国家でどれをやるべきなのかは出てくるような気がするのです。余り技術論的に判断するより根本のところから教えていただければと思います。

 もう一点が、先ほど、国際的なハーモナイゼーションの話が出ていたと思いますが、それはそれで、昔ICHに出ていたときも、海外のメーカーからは何でワクチンが入らないという議論もあったかと思います。その辺は、日本ワクチン産業協会も含めて、日本ワクチン産業協会というか日本の産業としてICHとかハーモナイゼーションをやる場で議論をする意思はお持ちというか、そのような方向性は持っておられるのか。その2点について教えていただければと思います。

○石川参考人 国家検定と各メーカーの自家試験との関係に言及するのは、なかなか私どもの立場から言いにくいことです。具体的には私ども日本ワクチン産業協会として、それぞれの製剤の専門委員会があり、感染研の先生方との試験方法についての摺合せ等、勉強会等もやっており、そういった中で、今後、国家検定をどうすべきかという議論も当然されていますので、その結果が国家検定の、例えば、インフルエンザの検討の在り方等も、ひょっとすると変わる可能性があるのではと私どもは期待しております。

 ハーモナイゼーションに関しては、私どもも含めて製薬協、あるいは、PhRMAさん、EFPIAさん、そういった団体も含めて、試験方法に関してもいろいろ要望書を出して前向きに検討していくというスタンスにはなっております。

○伊藤部会長 よろしいですか。坂元先生。

○坂元委員 国家備蓄の話を出されたかと思いますが、基本的な考え方は自治体にとってもそんな悪い考え方ではないと思いますが、備蓄したものが全部廃棄になってしまうという考え方だと無駄なので、うまく国家備蓄を回転させる方法の仕組みを考えていけば、決して悪い考え方ではないということと、単に国家備蓄というよりは、国と自治体が共同して何らかのうまい備蓄方法を検討していくほうが、むしろ良いのではないかと思います。やはり、今の予防接種が市町村業務になって、かなり細分化されてしまい、予防接種行政における都道府県の立ち位置に非常に温度差があるという形で、もう少し都道府県の広域調整のような機能をしっかり作っていくことがまず必要かなと思います。その中において国と協議して、例えば必要なワクチンの備蓄方法を考えることが1つあるのではないかと思います。

 いわゆる返品の問題です。例えば、私どもの川崎市では、市が委託し一括購入し、基本的には返品は認めていません。ただ、そこは医師会と十分協議して前年度の使用量などを勘案してかなり計画的に、いわゆる配布しているという形です。そこはかなりしっかりした計画を広域に立てていけばそのような問題は防げるということです。私は市町村ですが、もう少し都道府県という広域調整の体制をしっかり作っていく必要があると感じています。

○伊藤部会長 山口先生から大変心強いお話を頂いております。いろいろな所で、国家検定に掛かる時間が長くて、ワクチンが流通している時間が短いのが問題だという話を聞くのですが、では、国家検定をなくせば良いのかと業界の人に聞くと、それに関しては口をもごもごするのですが、逆に、製造物責任として、検査が偽造されたりすると困りますが、企業の責任で全部やるから、そのまま流通させてくれという意見はないのですか。

○石川参考人 国家検定の試験項目も製品によっていろいろ検討されていると思います。試験項目数をある一定期間を経て確認できれば、それは削減していきましょうという雰囲気も出てきています。

○伊藤部会長 感染研の事業がなくなるのもどうかと言われているのですが、山口先生、その辺は。

○山口委員 国が関与して国で試験をするべきという、そのポリシーはもともとあったと思うのですが、やはり試験そのものが製造者としてきちんと試験をされた上で、ある部分については国が責任を持つという体制だと思うのです。先ほどのハーモナイゼーションのことを考えていったときに、例えば、FDAEMAがどのような検定をやっているのか、多分EMAが国家検定をやることはなく、恐らくポールエーリッヒなどが国家検定をやっていると私は推察だけしているのですが、訂正してください。そのとき、もしハーモナイゼーションの活動の中で、このような試験はやはり国がやるべきだというのが出てくれば、逆に言うと、ハーモナイゼーションの中からこのようなもののスリム化などが出てくるのかと思って、先ほどの試験法のハーモナイゼーションという話もありますが、どのような試験をするのかということのハーモナイゼーションも、逆に言うと、議論すべきところかなと思った次第です。

○古屋参考人 国家検定に関連して、そのメーカーとしての責務ですが、これはワクチンも薬機法に基づく医薬品ですので、GMPという形でGMPに遵守した製造方法に基づいた物を出荷するという意味で、メーカーの品質における責務は既に果たしていると理解しております。

○伊藤部会長 では、大野先生。

○大野部会長代理 この国家検定に関係し、私も資料を見てびっくりしたのが、同じ製品に関して、なぜ国家検定を2回もやらなくてはいけないのか。原液で国家検定をやって、分配、充填したときにまた国家検定をしなければいけない。それはなぜだろうと思ったのです。それは業界のGMP体制が悪いからなのか、信用してもらっていないのか、本来、原液で良ければ、きちんと生産すれば後の国家検定は必要ないと思うのですが、それについてどう思われますか。

○石川参考人 これも業界の立場から非常に申し上げにくいのですが、非常に今のワクチンは歴史が古く、例えば、生ワクチンにしろ、例えばDPTワクチンにしろ、過去にいろいろな問題があったことから、中間体の国家検定が必要であると、当時そのような認識で定められた方式で、今から考えればGMP体制も含めてきっちりした中で、そのようなことは必要ないとはなかなか言えませんが、過去からの制度でこうなっているということで、これも1つの今後の課題にもなると思います。過去にはそのような事象からこのような制度ができたということです。

○大野部会長代理 やはり、それは時代、時代に応じて、業界の能力に応じて、修正できる所は修正していくべきではないかと。特に今回のような製造から出荷まで随分時間が掛かって、緊急時の対応で問題になっていることがあったわけです。それはやはり国と業界とが一緒に話し合って改善していくべきではないかと思いました。

○石川参考人 今後、それに努めていきたいと思います。

○伊藤部会長 ほかにありますでしょうか。今日は比較的時間があるそうですので、もう少し議論ができそうな気がするのですけれども、最後にまた戻ってくるかもしれませんが、そのときはよろしくお願いいたします。

 続いて、日本薬品卸売連合会のほうから、実際の製品の流通について御説明を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。

○大石参考人 それでは、「ワクチン供給に関する医薬品卸の現状と課題について」ということで、私は日本医薬品卸売連合会の流通改善推進委員会の委員長を務めさせていただいております大石と申します。

 本日は、ワクチン供給の現状と課題について、卸連を代表して意見を述べる機会を賜り、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会及び厚生労働省の皆様に感謝申し上げます。

 早速ですが、1ページの「医薬品卸の役割」のところから御説明させていただきます。まず、医薬品卸が果たしている役割について御説明いたします。医薬品卸は、国民の健康維持・増進が等しく図れるよう、ワクチンを含む医薬品の安全かつ安定的な供給を維持・継続することで、適切な医療の提供に対する支援を現在行っております。また、災害やパンデミック等の非常事態を含め、いかなる場合にも医療機関や保険薬局への安定した医薬品の供給体制を確保しております。予防接種に要する費用については、多くが公費による負担とされておりますが、現行のワクチン価格は自由価格とされており、卸各社は、メーカーからの仕入れ価格に、流通に必要な経費を乗せた適正な価格で安全かつ安定的な供給を行っております。

 2ページを御覧ください。「ワクチン供給における医薬品卸の現状」について、御説明いたします。ワクチンの安定供給体制については、複数のワクチンメーカーからのワクチン供給を医薬品卸で集約することにより、特定のメーカーで供給に一時的な支障が生じても、ほかのメーカーと調整を行うことにより、医療機関に対する安定的な供給の実現に寄与しております。

 しかしながら、一昨年の熊本地震でメーカーが被災したことなどに伴い、MRワクチンや日本脳炎ワクチンが全国的に不足した事例では、メーカー販社の出荷調整により、当該ワクチンの入荷が安定せず、卸各社で医療機関との需給調整が可能な在庫を保有できる状況ではなく、需給調整が十分に機能することができませんでした。また、ワクチンは治療薬と異なり、感染の流行前に接種を行うことが期待されるものであり、需要の変化に対応することが難しい面もありますが、近年のワクチン不足に際し、医薬品卸各社は、厚生労働省からの安定供給に関する要請を受け、メーカー販社とできる限りの連携を取りながら、優先順位を付けてワクチンの供給に努めたところであります。

 3ページを御覧ください。「ワクチン供給に対する課題」について御説明いたします。近年、メーカーの諸事情や一昨年の熊本地震のような自然災害等により、複数のワクチンについて安定供給に支障が生じる事態となっております。近年の具体例を挙げますと、平成19年にはMRワクチンや日本脳炎ワクチンが不足し、その後、不活化ポリオワクチン、風疹ワクチンと続き、平成27年にはメーカーの事情で多くのワクチンが不足しました。最近では、平成28年のMRワクチンや平成29年の日本脳炎ワクチンが不足した事例として、これは記憶に新しいところです。

 安定供給に支障が生じる要因としては、まず、ワクチンの製造のリードタイムが長く、需要の変化に合わせて短期間で生産調整を行うことが困難であるというワクチンの特性に起因する要因です。また、定期接種の必要量に合わせて製造量が設定され、任意接種での必要量が十分に配慮されていない場合や、想定以上の頻度で国家検定で不合格になるなど、製造量を見込む際の不確定要素の存在があります。さらに、ワクチンの安定供給の懸念につながる情報が不安を助長し、偏在を引き起こす要因になっている点も指摘できます。なお、データ上で全体の需給量のバランスが取れたとしても、実際の取引関係により、医療機関ごとの供給状況にばらつきが生じ、不足する事態もあり得ることについて、ここは御留意を頂きたいと思います。

 4ページを御覧ください。「ワクチン供給に対する課題」としては、以上のワクチンの生産量が不足している状況に対して、供給不足等の情報が不足しており、更に不安を増大させている問題があります。卸各社は、入荷数量の制限などにより、十分な仕入れがなされていない場合は、取引先からの需要に対して、優先順位をつけて分割納品を実施しております。メーカーからワクチンの入荷予定について、十分な情報が得られない場合であっても、取引先に対する丁寧な説明の多くを医薬品卸が行っております。行っておりますが、限られた情報の下では、その対応には限界があります。

 次に、偏在の問題があります。在庫の偏在については、メーカー在庫、卸在庫、医療機関在庫について、それぞれの偏在が考えられますが、メーカー在庫については取引卸が限定されていること、卸在庫については、そのほとんどが医療機関からの予約済みの在庫であることから、偏在の解消が難しい側面があります。

 5ページを御覧ください。今後の対応等についてと連合会の意見を申し述べます。まず、ワクチンの十分な供給量の確保が必要であると考えます。供給の安定化のためには増産により、製造コストや一定の返品増を見込んだ流通コストの増加があっても、需要量を十分に賄える供給量の確保が必要であると考えています。ただし、このことについては、関係者による十分な議論が必要であると考えています。2つ目に、供給不足等の情報の共有化が必要であると考えます。接種人数や生産数量の増減により、ワクチン供給に不足が見込まれる場合には、行政・メーカー・卸売業者・医療機関において、情報が共有されるよう体制を整備する必要があると考えております。

 6ページを御覧ください。3つ目に、在庫の解消策について申し述べます。メーカー在庫の偏在を解消するためには、ワクチンが不足する等の非常時には、銘柄を指定しないように医療機関の協力を得ることが有効であると考えられます。卸在庫の偏在を解消するためには、都道府県内の医薬品卸の在庫状況や医療機関への供給状況について、都道府県と都道府県単位の医薬品卸の団体、卸協同組合又は卸協会の情報共有を更に密にすることや、ワクチンが不足している状況では、全ての予約を最優先するのではなくて、緊急性を踏まえた調整ができるよう、医薬品卸が在庫をコントロールできる余地を拡大して供給の調整をしやすくする方向性が考えられます。医療機関在庫の偏在を解消するためには、都道府県が医療機関の在庫情報を掌握した上で、都道府県民に対して一定の在庫量を有する医療機関の情報を伝えることができる相談応需体制を構築することが有効であると考えます。

 7ページを御覧ください。最後に、厚生労働省から提案があったワクチン供給のリスク軽減策として、流通在庫量(卸在庫量)を通常使用量の2倍にするという「流通備蓄増対策」について、当連合会としての意見を申し述べます。

 平時には、メーカーに発注した翌日には医薬品卸に必要量が供給されることが一般的であるため、平時に流通在庫量を増やす必要はありません。一方で非常時、ワクチン不足時には、メーカーの出荷調整が行われ、医薬品卸が通常使用量の2倍の在庫量を確保することが困難な状況が想定されます。したがって、平時に通常在庫量を2倍にしても、非常時に通常使用量の2倍の在庫量を確保することが困難であれば、ワクチン供給のリスク軽減策とはなり得ないのではないかと考えております。

 以上、卸売連合会から現状と課題について発言させていただきました。ありがとうございました。

○伊藤部会長 ありがとうございました。厚生労働省に対するゼロ回答を頂いたと思っておりますが、まず、委員の方々から、御質問を頂けますでしょうか。よろしいですか。

 では、私の方から伺います。医薬品卸でなければ医薬品ワクチンの流通ができないという法的な根拠はあるのでしょうか。

○大石参考人 法的な根拠。

○伊藤部会長 今の流通の状況を、例えば小売に関しては、具体的な名前を出すといけないのでしょうけれども、Amazonとか楽天とか、いろいろな所がいろいろな流通をしていて、毒・劇は多分駄目なのでしょうけれども、ワクチンに関しては、医薬品卸以外の、いわゆる配送業者の方々が参入する障壁というのがあるのかどうかを教えていただけますでしょうか。

○大石参考人 薬機法の問題が、そこには絡んでくるのではないかと思います。これ、私の立場では、法的な問題ということを申し述べることはなかなか難しいと思うので、逆に、厚生労働省さんのほうにそこら辺はお聞きしたほうがよろしいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○伊藤部会長 どうも、いろいろな所で伺うと、卸の人についての監督権限は都道府県が持っていて、市町村でもないというところがあるので、至る所で都道府県の名前が出てくるのかなという気もしています。

○坂元委員 川崎市の坂元です。質問ですが、先ほどこの中で都道府県、つまり都道府県単位の医薬品卸との、いわゆる連携みたいな問題ですが、現実として都道府県によってこの辺は非常に温度差があるのか、実際に都道府県と医薬品卸との供給に関して、しっかりした連携ができている所がどれぐらいあるのか、その辺、お分かりになればと思います。例えば、2割ぐらいしかないとか、実際に都道府県と卸との間でしっかりした供給連携がなされている所が日本全体で2割ぐらいしかないとか、その辺の感触というのはどの程度のものでしょうか。

○大石参考人 これは分かりますか。斉藤参考人、分かりますか。

○斉藤参考人 私ども東北を地盤にした卸ですが、東北では、仙台市や盛岡市のような大きな都市では供給体制の連携というよりは、情報共有の連携というところでは行っております。全体として34割程度かと推測しています。

○伊藤部会長 森先生、どうぞ。

○森委員 森です。在庫の情報共有に対してお伺いします。これは実際どの状態で、できているのでしょうか。

○大石参考人 国もですけれども、やはり都道府県単位で。

○森委員 都道府県単位ですか。

○大石参考人 はい。

○森委員 では、実際在庫不足があったとしても、他の都道府県には情報が届かないということなのでしょうか。

○大石参考人 例えば、同一県内での情報だけであって、他県にはその情報が届かないのかと、そういう御質問でしょうか。

○森委員 はい。

○斉藤参考人 また東北の事例で恐縮ですが、宮城県や岩手県のような隣接した県においては、県単位の予防接種担当の方々と情報交換をしているように思います。その情報が私どもに届いて、また更に情報共有がなされているというような活動も行っております。

○森委員 その在庫不足を解消するには、やはり国単位で情報共有をされたほうがいいのではないかと思ったのですが。

○大石参考人 おっしゃるとおりで、例えば在庫が、ある県ではある程度充足しているけれども、違う県では充足していないとすれば、やはりこれは国単位での他県またがりの調整をしていただくのは必要かなとは思います。

○森委員 返品のことでお伺いしますが、実際どこまで返品されてしまうのでしょうか。

○大石参考人 どこまでというのは。

○森委員 メーカーまで戻ってしまうのですか。

○大石参考人 メーカーに戻します。

○森委員 だから、メーカーの方が最終的に負担しないといけなくなるということですか。

○大石参考人 インフルエンザワクチンはメーカーに戻ります。

○森委員 インフルエンザワクチン、それはワクチンによって違うのでしょうか。

○大石参考人 それ以外は卸。基本的に返品は受けないということになっています。受け入れられないという。

○森委員 受け入れられないというと、医療機関で止まるということでしょうか。

○大石参考人 そうですね。

○森委員 返品があるというように先ほど聞いたのですが、それはインフルエンザに限ってですか。

○石川参考人 その辺はそうですね。

○森委員 ほかのワクチンに関しては返品はなく、医療機関が最終的に責任を取るということでしょうか。

○石川参考人 ほとんどありません。

○森委員 それはどうしてインフルエンザに限ってはそうなのですか。

○山田参考人 よろしいでしょうか。返品に関しては、医薬品も同様で、医薬品の流通の課題の1つになっておりまして、基本はワクチンを含めて医薬品の返品に関してはお控えいただくようなお願いはさせていただいています。ただ、インフルエンザワクチンに関しては株が毎年変わりますし、使用期限も1年というところもありますので、一応、返品を受けているという特例のような位置付けになっております。

○森委員 分かりました。

○伊藤部会長 釜萢先生、どうぞ。

○釜萢委員 せっかくの機会ですから。卸の方は、インフルエンザの医療機関からの返品の割合をどのぐらいと認識しておられますか。

○河邊参考人 その具体的な数字に関しては、ちょっと把握していません。

○釜萢委員 割合をどのように認識していらっしゃるか、今は頭にないのですか。

○河邊参考人 はい。毎年大体流通量と返品量は相当ずれるので、何とも数としては把握していません。

○釜萢委員 だから、卸にメーカーから入って、医療機関に納入しましたと。それから戻ってくる割合というのがどのぐらいなのかなと。

○大石参考人 感覚論で申し訳ありませんが、2割くらいです。

○釜萢委員 2割戻るというのは大変なことでありまして、ですから是非、そこのところが必ずしも明確でないので、それは毎年しっかりと公表なさって、そして、医療機関、ここは問題もありますが、医療機関は、非常にたくさん注文してたくさん戻すというのは、私どもあってはならないと思っているので、そこが改善する必要が大いにあると思います。

 私はこれまでに把握しているところでは、確かにシーズンの末期にある一定量が戻るということは分かっています。それがどのぐらいのボリュームなのかというところが必ずしも明確でないので、そこをしっかり明確にして、そして、医療機関として発注の段階で配慮すべきところはしなければならないというところがあるので、是非、そこは御検討賜りたいと思います。

○大石参考人 はい、分かりました。まずは返品の数量の割合を卸連としてしっかり把握したいと思います。

○釜萢委員 そうですね。

○大石参考人 それから医療機関のほうには、やはりそれを踏まえた中で返品のないような、いわゆる受注在庫ということをお願いをしていこうと思っております。

○釜萢委員 ですから、返品が多い医療機関に対する納品を絞るということは是非必要になってくるだろうと思うので、「お宅からこれだけ注文があったけれども、昨年の実績でこれだけ返品されたのだから、今年の納入量は何掛けにします」ということを卸がおっしゃっていただいても私はよいと思いますが、いかがですか。

○大石参考人 大変力強いお言葉で、有り難く思っております。是非、我々のほうも今、基本的に前年の、特にインフルエンザなどは、前年の使用量に基づいてお得意様のほうにお届けをしているというのが現状なのですが、ただ、どうしても声の大小によっては、それ以上のものをお求めになるところがあるので、「これは去年も返品がありましたので、この数量まででお願いできませんか」というのが卸のほうからはっきり申し入れをするように、これから検討してまいります。

○釜萢委員 医療機関と卸との力関係も、それぞれの医療機関によって、規模によっても違いますから、そこは簡単ではないと思いますが、基本的には、ここにも出ていますが、医療機関の在庫をよそに回すというのは、ほとんど医療現場としては考えにくいことであって、予約があるから注文するので、既に行き先が決まっている、特に供給がタイトになっている場合に、行き先の決まっている在庫をよそに回すというのはとても考えにくいことなので、まずは返品の状況を明らかにするというのが流通の様子を少し見える化できるのかなと思って、質問させていただきました。

○大石参考人 ありがとうございました。

○伊藤部会長 山口先生、どうぞ。

○山口委員 7ページに、流通備蓄増対策について意見を出していただいているかと思いますが、2ポツで、平時に関しては2倍にしても余り意味がなくて、むしろ必要なのは緊急時というか、そういうときに2倍にしないといけないという話になってはいるのですが、逆に、この意図がちょっと分からなかったのは、要するに平時でないときというのは、逆に言うと逼迫しているわけで、そのときに2倍にするということ自体が何か難しい提案のような気がしていて、こういうときには、では、逆に、それがもし難しければ、どのような対策があればいいというように卸さんとしては考えておられるのか。要するに、この2倍が可能であれば、もちろんそれで構わないとは思いますが、多分、それは非常に難しいから緊急時になっているような気がするので、その辺の対策としてはどういうことが考えられますでしょうか。

○大石参考人 本来であれば、ここに書いてありますけれども、量が多ければ別に大きな問題にはならないと思いますが、ただ、それが、それだけの生産量ができるかどうかというところの難しさが、やはりここにあるのではなかろうかと思うのですね。

○山口委員 そうすると、例えば、そういうところでは、要するに、生産量そのものは今度はリミテーションがかかってきているわけだとすると、それまでの御発表を聞いていると、やはりあとは生産、要するに流通の調整とかそういうことのほうが、そういう時点では重要になるという、そういう考え方でよろしいですか。

○大石参考人 そうですね、調整で間に合わせていかなければいけないのかなというところだと思います。ただ、その調整がすごく、極めて困難であることも御理解いただきたい。

○山口委員 もう1つは、偏在の理由として、要するに地域的な偏在があるというのが、例えば、これは私はよく分かりませんが、流通のときに系列があるというか、言わば、特定のメーカーと卸さんが割と扱うものが決まっている。そのために流通の偏在があるという部分はあるのか、それとも、そういうのはほとんどないと考えてよろしいのですか。

○大石参考人 そういうのはないと思います。基本的には、先ほどのインフルエンザだけで物事を言えば、前年の使用量に基づいて、例えばどこのメーカーのものが前年はこれだけ出たので、それはきちんと供給しますというようにやっているので、それがメーカーごと、あるいは地域ごとの偏在が起きるというのは基本的にはないと思っております。

○伊藤部会長 ほかによろしいですか。前にお話を伺ったときは、ロットバックの話が随分出ていたと記憶しています。ロットバックというのは簡単に言うと、医療機関に1回納めたものよりも古い物を持って行くと怒られる。だから、その管理ができないので、卸としては、よその地域から持ってきたワクチンのロットが違っていたり、有効期限が古かったりすると、医療機関に持って行くと怒られるので持って行きたくない。だから偏在の解消をしたくないと聞いています。偏在の解消が大変困難なのだということが、この中に入っていないと思っていたのですけれども、医療機関サイドで、釜萢先生もいらっしゃるので、ロットバックの問題を医療機関がつべこべ言わなければ、別の地域にあるワクチンを配送して供給することは可能だというようにお考えなのか、それが1つ。

 銘柄指定をしないように医療機関の協力を、というのは今まで余り聞いたことはなかったのですが、ジェネリックと同じようにとのことですか。卸の人たちが特定の企業と結び付きが強いということも承知して申し上げているのですけれども、こういう形が全卸が協力してできる代物なのか、2点教えていただけますか。

○大石参考人 銘柄指定をしないでというのは、ワクチンが不足している状況において、このメーカーでなければならないという医療機関からの指定があるわけです。そのときに、その銘柄が全体量として供給が不足していれば、必ず、在庫がある別の銘柄を使っていただけないでしょうかという提案を卸はやっているわけです。ですから、銘柄指定を言われると、その銘柄をそろえなければいけない。その場合、かなり限界がくるので、銘柄指定ではなく、在庫のある物を使っていただけないでしょうかということをお願いをしているということです。

 それから、ロットバックの問題は、もしそれを許してくれるのであれば、卸は、全国でいろいろ在庫を抱えている部分はあるので、融通が可能であれば、全センターの在庫の融通を利かしてその物をお届けするということは可能だと思います。

○釜萢委員 ロットバックの問題は、是非、私どももしっかり考えて、それは期限があと半月できてしまうというぐらいのものであると、なかなか難しいかもしれませんけれども、ある程度の、従来のものに比べても残存の期間が短いものが来たらばいかんということは、もうとても言ってられないだろうなと思います。特に今、非常に供給が滞ってくるような場合には、それはもう正に、そのようなことは言ってられなくなるだろうなと思いますけれども。

 今、卸もかなり広域の卸がたくさんありますが、卸間での在庫のやり取りというのはどうなのでしょうか。余り私は現実的ではないような気がするのですね。というのは、卸に来ている特にワクチンは、もう行き先がほとんど決まっているのではないかと思うのです。そうすると、仮に今日は在庫があったとしても、これは行き先が決まっているというのをよそに回すというのは現実的ではないのかと思いますが、その辺りはいかがでしょうか。

○大石参考人 卸間の調整はできていないと思います。まず、自前の予約の部分で手一杯な状況なので、よそに回すというのはなかなか難しいということで、全く先生のお考えと一緒です。

○伊藤部会長 ほかに何かありますか。最後の流通備蓄対策で、1か月分ぐらいのバッファーを卸か、どこかが持つのがよいのではないか。持たないと、日本全体として2か月しか今はバッファーがなくて、よその国を調べてみると、6か月バッファーを持っている所もあるし、その6か月持てない理由が、1つは国家備蓄がない、国家検定などで、使用期限が短かったりといった理由もあるのだろうと思いますが、どこかで増やしていかないと、いつもタイトな状態で、感染症のアウトブレイクが起きる度にワクチンが足りない。今も風疹のワクチンを発注したのだけれども、卸から無いと言われたというのは、東京都でも問題になっていますので、それは、風疹など、頼んだ所が産婦人科などワクチンを普段使わない所が、急にワクチンを産婦人科で使いたいと言っても、今まで取引がない所に持って行けないという気持ちも分からなくもないですが、現実に打ちたい患者さんがそこに居て、そこから発注が出たのを断られているという状況もあるので、断らなくて済むためにはバッファーの部分を持たないといけないのだろうと思っているので、それについては皆さんに御協力いただき、安全保障の一環として、ワクチンを考えていく必要があると思っていますので、今後、また協議に応じていただければと思っております。

○大石参考人 おっしゃるとおりだと思います。私見ですが、やはり国家備蓄は必要だと思います。予測ができないものについては、メーカーも卸も用意できないというのが現実ですから、だから、ある物をどうやって回そうかということになれば、通常のときよりも非常時にそれだけの多くの物が出るということがあれば、これは保険みたいな考え方で国家備蓄が必要なのではないかと私自身は思います。

○伊藤部会長 ありがとうございます。こういう意見を挙げていって、厚生労働省から、予算とか、いろいろな体制とか、様々なことを考えていただいて、国の体制として、安全・安心の医療に結び付けていくのが審議会の仕事だろうと思っておりますので、また、よろしくお願いいたします。

○坂元委員 国家備蓄の考え方ですが、卸側の考え方としては、例えば、国がそういう冷蔵倉庫を持つという考え方なのか、それとも、国が各卸さんを指定して、保管している薬のある部分は、これは国家備蓄のものだと指定する方法なのか、どちらの方法をお考えでしょうか。

○大石参考人 それは、やはり協議する必要があると思います。ただ、昔、タミフルのときには、赤タミフルや青タミフルといって、各卸の、例えば都道府県内のどこかの卸が備蓄の役割をしていることもありましたので、やはりそういう意味では、これから協議をした中でどういう保管の仕方をするのかということは考えていく必要があるかと思います。

○伊藤部会長 青タミとか赤タミは有効期限が長かったので、溜めるのでよかったのだろうと思いますが、こちらは、なまものなので、ランニングストックにしないと難しいと思いますので、幾つかの可能性については報告書の中には書かせていただいておりますが、どれも一長一短あるというのは十分承知していますが、ゴールは、ワクチンの不足がない、感染症にかかる人がなくなるということだと思っていますので、それに向けて各方面の御協力を頂けると有り難いと思います。

○釜萢委員 私ばかりしゃべって恐縮です。まず、今日の中で、私は大変感銘を受けたのですけれども、3ページの下の「ワクチンの安定供給の懸念につながる情報で生じる不安に対すし」という所で、卸さんはメーカーからの情報を得て、その中で必要と思うものは自社の中でもいろいろ対策を講じた上で、取引のある医療機関にいろいろな情報を提供していただいているわけですが、ワクチンが不足しそうだと、あるいは、このメーカーのワクチンは今年は余り作られないみたいですよというような情報が医療機関に伝えられて、医療機関が過剰反応するというところがしばしばあるのですが、卸の組合業者の方も、厚労省としっかり連携を取っておられることは私もよく承知しているのですが、何とかメーカーと卸と厚労省と、私ども医師会も含めて、情報がしっかりよく管理されて情報の発信が同時期に適切に行われることを強く望みます。そうでないと、不安からのいろいろな不正確な情報で、あっちこっちが大変混乱するという事態があるので、特に卸さんから医療機関に情報提供していただく機会が多いし、非常に貴重ですから、卸さんからの情報は適切だと思いますので、是非あってほしいと願うので、さらに厚労省との緊密な連携を、この場をお借りして私は強く求めておきます。よろしくお願いいたします。

○大石参考人 承知しました。

○伊藤部会長 森先生、どうぞ。

○森委員 卸さん間でもネットワークがないということでしたので、そこは是非ネットワークを作っていただいて、情報共有していただかないと、国家備蓄となったときにもうまく動かないのではないかと思いますので、是非よろしくお願いいたします。

○大石参考人 はい。

○伊藤部会長 ありがとうございます。情報提供というか、見える化に関しては大変問題が大きくて、先ほどちょっとお話をさせていただきましたが、やはり公正取引委員会が動き始めてしまったりすると大変なので、ここは常に予防接種室に絡んでいただいて、きちんとしていただくのだろうと思っていますので、それはそれでよろしくお願いいたします。見える化で、どこまで解決ができるのかという問題もやはりあるのでしょうけれども、複数の方法、備蓄、見える化も含めて安定供給に向けての対策というのは、今後も具体化していかなければいけない問題だと思いました。野口先生、どうぞ。

○野口委員 先ほどから皆さんのお話を伺っていて、大変勉強になりました。ちょっと私が不思議なのは、供給の安定あるいは偏在等々、いろいろその量的なところでのいろいろな分析が出てきているのですが、例えば国家備蓄をするに当たっても、リアルタイムでワクチン全体がどうなっているか把握できるデータベースは今は存在しないのでしょうか。

○伊藤部会長 予防接種室のほうが答えやすいでしょうか。

○事務局 予防接種室です。本日はヒアリングということですので、余り行政のほうから発言をしないようにということで発言を控えておりました。ワクチンの供給の関係に関しては、基本的には卸さんのほう、あるいは販社さんのほうで、その各社ごとの物の動きに関しては、ある程度リアルタイムに確認できるような体制もあるというように聞いております。国全体の各メーカーを超えた出荷の状況に関しては、我々も必要に応じて、例えば最近の事例であれば、月に2回ぐらいデータを頂いて、どのような出荷状況になっているかということを確認したということもあります。伊藤部会長のほうからも御指摘がありましたとおり、データを誰が管理してモニターしていくかということになると、公正な競争環境の確保という観点もありまして、行政の役割というものが一定程度あるというところで我々も努力しているところですが、我々自身も、少し分析の体制の整備ということもしっかり形作りながら、これまで若干、手作りな感じで対応してきているのですけれども、その部分もしっかり対応していきたいと考えております。

○野口委員 どうもありがとうございました。とにかく、いろいろと、例えば在庫量とか、メーカー同士、あるいは卸の方同士のコミュニケーション、ネットワークを図るにしても、基本となるデータがないと、もう何もできないので、やはりその辺りは公的な、それぞれ企業秘密とかもあって、いろいろ難しいところもあると思いますが、そういったところは、やはり公的な機関がしっかりとデータを蓄積して、1か月に2度と先ほどおっしゃいましたけれども、それではスピードが間に合わないときもあると思うので、リアルタイムで対応して、その情報の公開というのをやっていただければと強く希望いたします。

○伊藤部会長 ありがとうございました。よろしいですか。

 それでは、2つ目の議題に移らせていただきたいと思います。「2018/19シーズンのインフルエンザワクチンの供給について」ということで、事務局から御説明いただければと思います。控え席にいらっしゃる参考人の皆様は、前のテーブルへの御着席をお願いいたします。前のテーブルにいらっしゃる参考人の皆様は、後ろの控え席に御着席をお願いいたします。

○事務局 それでは資料の2に基づきまして、2018/19シーズンのインフルエンザワクチンの供給につきまして御説明させていただきます。1枚めくっていただきまして、今シーズンのインフルエンザワクチンの供給につきましてグラフを示しております。時系列に累積のデータを積み上げているものですけれども、紫色のデータが今シーズン、平成30年度の製造量の見込みです。緑色のデータが平成28年度の製造量の実績、青色のグラフが平成29年度の実績です。今シーズンのインフルエンザワクチンにつきましては、その接種シーズンの開始時期であります10月当初は、例年並みの約1,000万本の供給を見込んでいる状況です。

 次、3ページ目に移っていただきまして、紫色の太い線は先ほどの2ページのものと一緒で、細い線の所が比較対照としまして医療機関の需要予測を付けております。この需要予測につきましては、平成28年度の使用量に、もう1つ推計を加えているのですけれども、13歳以上の者に、医師が特に必要と認める場合を除きまして、「1回注射」であることを周知徹底した場合の影響や効率的な活用の徹底を考慮した場合の推計値として出しております。

 4ページ目につきましては、その2回接種の割合の方の接種回数の分布を付けております。13歳以上の所でも2回接種の方、青い所ですけれども一定程度おられるという事実がございます。

 5ページ目、今シーズンの供給量の絶対数なのですけれども、現時点の見込みとしまして、約2,650万本という数字になっております。この数字ですけれども、昨年の使用量が2,491万本です。そのほかに去年を除きました過去5年間の平均の使用量が2,592万本ということですので、いずれの数値も上回っているという結果になっております。

 続いて6ページ、こちらは、今回ウイルス株の選定をしたということがございまして、そこのおさらいになりますけれども、411日のウイルス株の選定に関する小委員会のほうで、基本的な考え方といたしまして期待される有効性とワクチンの供給可能量を踏まえて、双方を考慮した有益性が最大となるような検討を行いましょうということで、B型のビクトリア系統につきまして、コロラド株とメリーランド株、どちらにするかというところを御議論いただきました。

 そのときの論点といたしまして、有効性につきましては、例えば動物試験の結果、ワクチンの供給可能量という点につきましては、12月中旬時点の需要予測に基づきまして判断しようという形で論点を挙げさせていただいております。具体的な数字としましては、下のほうなのですけれども、411日の株選定を行ったときの推計としまして、メリーランド株につきましては2,659万本でした。一方で、コロラド株では2,497万本ということです。その数としましては平成29年度から平成26年度の医療機関の納入実績、そちらと比較したところ、メリーランドのほうでは全て4年度とも製造見込み量のほうが上回っていると。一方でコロラドのほうでは、平成29年度は上回るのですけれども、それ以外の年は下回ってしまうというような結果でした。それらを踏まえまして、メリーランド株のほうが採用されたわけですけれども、この度、831日時点の推計値としましては、約2,650万本ということで、平成29年から平成26年度、いずれの年もこの供給可能量のほうが上回っているという結果です。

 最後に7ページ目ですけれども、今シーズンのワクチンの供給にかかる評価と対応といたしまして、まず、今シーズンの見込みの供給量につきまして、10月当初の供給量が例年並みの1,000万本を、まず確保できているということ。あと、ウイルス株の選定の経緯であったりだとか、近年の使用量の実績などを踏まえますと、ワクチンを適切に使用すれば不足は生じない状況ではないかと、そのように考えております。また、今シーズンを含みます今後の対応としまして、インフルエンザワクチンの効率的な使用と安定供給というものを推進するために、今後の対応といたしまして、昨シーズンと同様に13歳以上の方は原則1回の注射としていただくこと、また、必要量に見合う量のワクチンを購入いただくことなどにつきまして、医療機関に要請するなどの取組を引き続き継続することとしてはどうかと考えております。以上です。

○伊藤部会長 説明、ありがとうございました。せっかく専門委員の方々にお出でいただいていますが、何かコメントとかございますでしょうか。

○釜萢委員 株を決めるときにもいろいろ議論をしまして、今年はこの株でというのを決めた段階から今日までの間での経緯を御覧になって、当初の予想と違った点があったら教えてください。

○保澤参考人 ワクチン産業協会のインフルエンザ専門委員の保澤です。よろしくお願いします。違った点ですが、今シーズンのインフルエンザワクチンの製造につきましては、当初、増殖性であったり生産性の検討をあらかじめしたところから大きな想定外のことは起きてはおりませんが、今年は猛暑ということで、鶏や鶏卵に少し影響を受けたというのが、完全に想定できていなかった影響の1つとして挙げられます。ただ、それにつきましては、製造期間を最大限延長しまして、各社の取組で供給量の大幅減少といった事態は起きておりません。

○伊藤部会長 ほかにいかがでしょうか。去年に比べると生産が比較的順調で、足りないという話にはなっていないのだけれども、去年と同様、13歳以上は1回接種、国際的にはそれで十分というふうに理解をされていると思っていますが、国民の皆さんにもそういうお願いをするということです。今年のインフルエンザのワクチンの供給は去年ほど逼迫した状況ではないだろうということで、事務局、いいんですよね。それでよろしいですか。

○釜萢委員 敢えてもう1回。しつこくて申し訳ないですね。でも、2ページのこのグラフを見ると、去年の部分はしょうがないとして、平成28年度に比べると、やっぱり今年の予想は大分、下ですよね。そのことについては特にコメントはないですか。今は暑かったから鶏卵の状態が悪くて、あとは製造期間を延ばすことによってウイルスが増えて、なんとか足りるようになるでしょうという、今、御説明だったと思いますけれども、このグラフについては何かコメントはないですか。

○松浦参考人 平成28年度と平成30年度を比べると、製造株がいくつも変わっておりますので、やはり製造株の生産性の問題で、こういった緑と紫のグラフの違いが発生しております。

○伊藤部会長 先生、どうぞ。

○山口委員 今年の製造株を決めるときに、従来の、要するに生産性予測と、今回、生産性予測をするときの、パイロットスタディみたいな形でやられた方法が変わってたかと思うのですけれども、大量製造、実製造を行われたときに、パイロットでのその生産性の予測というのの、要するに実効性というか、その辺については今のお話だと一番、それは担保されていると考えてよろしいですか。

○保澤参考人 はい。

○山口委員 分かりました。

○伊藤部会長 ほかによろしいですか。では、こちらのほうは比較的短く終わったと思います。ありがとうございました。本日の議事は以上で終了ですが、その他、事務局から何かございますでしょうか。

○事務局 特にございません。

○大石参考人 先ほど、先生のほうから返品するのはどのくらいかと。今、会社の人とメールで問合せしていたのですが、すみません。私、2割という非常に大きい数字を言ったのですけれども、5%ぐらいだというふうに言っています。

○釜萢委員 今、御説明の、インフルエンザが一番返品が問題になって、それ以外のワクチンは、ほとんど返品はごくレアケースだと思いますので。5ページのスライドを見ると、この製造量と使用量との差は、これは全部返品ではないだろうとは思うのですけれども。ここのところに大体反映されてくるということでいいんでしょうか。

○大石参考人 はい。それでよろしいです。ただ、私の認識が非常に、自分の感覚ではえらく多く返品が入っているという感覚があったので。

○釜萢委員 いやいや、ですからね、そこを是非、しっかり出していただいて、そして、不適切な注文をしているところは、私ども医師会も大いに頑張りますので、不適切な注文をしていて無駄にしているようなところについては改めてもらわないと、供給がタイトになっているときは特にそうですから、そこの情報共有を是非させていただきたいというお願いでございます。

○大石委員 はい、ありがとうございます。大変、失礼しました。

○伊藤部会長 ありがとうございました。 

○細矢委員 あとでもう1回くるのかと思っていたのですけれども。安定供給のところで、部会長が今後の備蓄とか安定供給を国家備蓄も含めて検討するような話を、ちらっとおっしゃったように思うのですけれども、今後のその辺についてどういうふうに検討していくのかというのは既に決まっているのですか。何か予定はございますか。

○事務局 本日、ヒアリングということで、余り事務局からの発言で時間を使うのはもったいないかなということで少し控えておりましたけれども、この予防接種行政におきまして、定期接種、特にその定期接種に用いますワクチンの安定供給、これは全ての基本であると考えております。一方で、冒頭、御説明申し上げたように近年、ワクチンの安定供給に関していろいろな課題も出てきているのではないかというところで、一体、その安定供給のためにどういった取組が可能なのかということを幅広く御意見を頂きながら、法制度上、整備が必要なことも含めて幅広く議論はしていきたいと考えております。ただ、伊藤部会長からも何回か御指摘がありますけれども、国家備蓄ということで買い上げて、どこか倉庫に持っておくということに関しましては、有効期限等の関係からしても現実的ではないだろうというところもありますので、そもそもどういう選択肢があるのか、関係者に頂く御協力も含めて、どういった選択肢があるのか。それをまずしっかり把握しながら検討を進めていきたいと思っております。実際にそのスケジュール感というようなところに関しましては、本日はこのPDCAサイクルに関するヒアリングというところで、課題を浮き彫りにということですので、今回のヒアリングの結果も踏まえまして、また整理をして御説明を申し上げたいと思います。

○細矢委員 今日のヒアリングを聞いていても、やはり業者に、メーカーあるいは卸に在庫を持たせるというのはなかなか厳しいので、やはり何とか国で備蓄するという方向で検討してもらう必要があるというのが1点です。それからもう1点、先ほど有効期限の問題がありましたので、特に麻疹、MRワクチンについて、生ワクチンについての有効期限というのをもう少し長くしないと備蓄・安定供給というのは無理なんじゃないかと思います。その点について、例えば有効期限を少し延長するような方策がないかどうかということも検討すべきじゃないかなと感じました。以上です。

○伊藤部会長 ありがとうございました。コメントはありますか。

○事務局 ありがとうございます。少しこれは、この審議会の場ではない、例えば、麻疹・風疹の関係で申し上げますと、麻疹の患者さんの発生があった場合に、一時的にそのニーズが高くなるという現象があります。このことに関しましては、専門家から頂く御意見の中には、日頃からの予防接種の推進、これは定期接種以外にも任意接種の中でも推奨するなどして進めている部分もあるのですけれども、そういった部分の取組というものをもう少し計画的に着実に進めることによって、逆に、この突発的なニーズというもののピークを押さえることもできるんじゃないかという御指摘も頂いております。幾つかワクチンの安定供給でこれまで課題になったものに関しましては、それぞれ要因が異なる部分もありますので、今回、事例の紹介ということでさせていただいておりますけれども、もう少し要因分析を含めて整理をした上で、備蓄という方法に限らず、いろいろな対応の方法があると思いますので、それを幅広く議論していきたいと考えております。

○伊藤部会長 よろしゅうございますでしょうか。今日の話で、国家検定の話も出ましたし、坂元先生のほうから市町村から都道府県という、もう少し広域にコントロールの範囲を広げると、もう少し安定するんじゃないかとか、見える化についてとか、様々な御意見を頂いたので、これを予防接種室がまとめて、新たな施策にしてくれるんじゃないかと期待しておりますので、よろしくどうぞお願いいたします。

では、これでおしまいでいいですか。あと、事務局からどうぞ。

○事務局 今日は他の議題は特にございません。ありがとうございました。 

○伊藤部会長 では、これで終わりにさせていただきます。どうもありがとうございました。

 

 

 

 

(了)

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