ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会)> 第24回予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会議事録(2018年10月31日)

 
 

2018年10月31日 第24回予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会議事録

 

○議事

○友永室長補佐 それでは定刻になりましたので、第24回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会を開催いたします。本日は御多忙のところ、御出席を頂き誠にありがとうございます。

 本日の議事は公開となっておりますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては御理解と御協力をお願いいたします。また、傍聴の方は傍聴に関しての留意事項の遵守をお願いいたします。なお、会議の冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので御留意ください。

 続きまして、委員の出欠状況について御報告します。本日は、多屋委員、中野委員、脇田委員から御欠席の連絡を受けています。現在、委員11名のうち8名の委員に出席を頂いておりますので、厚生科学審議会令第7条の規定により、本日の会議は成立したことを御報告します。

 また本日は参考人として、2名の方に御出席を頂いておりますので、御紹介いたします。慶応義塾大学法務研究科教授の磯部哲参考人です。続きまして、国立感染症研究所感染症疫学センター長の大石和徳参考人です。

 また平成301014日付けで、事務局に人事異動がありましたので、御紹介いたします。予防接種室長が江浪から長谷川に交代となっています。

 それでは大変申し訳ありませんが、冒頭のカメラ撮りについては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。なお、これ以降は写真撮影、ビデオ撮影、録音はすることはできませんので御留意をお願いします。

 ここからの議事の進行は、倉根部会長にお願いしたいと思います。部会長、よろしくお願いいたします。

○倉根部会長 おはようございます。本日、よろしくお願いいたします。それから、お忙しい中お出でいただきました磯部参考人、大石参考人には、どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 本日からペーパーレス会議を行うということです。事務局から、まずタブレット端末の操作方法及び資料の説明をお願いします。

○友永室長補佐 説明いたします。厚生労働省においては、審議会等における資料のペーパーレス化を推進しています。本年10月以降に開催される会議については、原則ペーパーレスで実施することとなっています。したがいまして本部会においても、原則、タブレットを用いてペーパーレスにより議事を進行させていただきたいと思います。

 簡単に操作方法を説明いたします。お手元のタブレットを御覧ください。タブレットはタッチパネルにより、指で操作ができます。最初は横置きとしていますが、タブレットを回転させて縦で使用することも可能ですので、見やすい方で御覧ください。

 各資料を画面のファイルから、タッチしますとその資料が開きます。議事の進行に合わせて閲覧いただければと考えています。また、開いた資料を指で上下にスライドしてページをスクロールすることもできます。なお、画面の表示については、2本の指を広げたり狭めたりすることで拡大や縮小をすることも可能です。一度展開した資料を閉じる際は、左上部のマイプライベートファイルをタッチしますと、最初の資料一覧の画面に戻ります。その他、タブレットの操作に関して、使用方法を机上に配布していますので、御確認いただくとともに御不明な点があれば事務局の者がまいりますので、遠慮なくお知らせをお願いします。

 続きまして、本日の資料ですが、タブレットの中に資料番号の00の座席表から番号23の寄付金等資料作成関与報告書のファイルを格納しています。もし、資料の不足等がありましたら事務局までお申出をお願いします。

 続いて、審議参加の取扱いについて、御報告いたします。本日、御出席いただきました委員及び参考人から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づきまして、ワクチンの製造販売業者からの寄付金等の受取状況、申請資料への関与、この点について申告を頂きました。各委員及び参考人からの申告内容については、資料23の「寄付金等資料作成関与者報告」を御確認ください。

 なお、本日の審議事項に関連するワクチンは、肺炎球菌ワクチン、沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン、乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチン、乾燥弱毒生風しんワクチンとなっています。これらの各ワクチンの製造販売業者は、MSD株式会社、ファイザー株式会社、北里第一三共ワクチン株式会社、武田薬品工業株式会社、一般財団法人阪大微生物病研究会です。

 本日の出席委員及び参考人の申出状況及び本日の議事内容から、この審議にあたり「退室や審議又は議事に参加しない」に該当する委員はいらっしゃいませんので、御報告します。以上です。

○倉根部会長 ありがとうございました。それでは、この段階で何か御質問ありますか。よろしいですか。

 それでは、審議に入りたいと思います。まず、議題(1)肺炎球菌感染症(高齢者がかかるものに限る。)についてです。事務局から資料の説明をお願いいたします。

○黒崎室長補佐 御説明申し上げます。資料1-1「肺炎球菌ワクチン(PPSV23)について」をお開きください。一番直近の平成30910日、第11回ワクチン評価に関する小委員会に提出した資料です。これまでの肺炎球菌ワクチンの、小委員会での議論の経過を簡単に御説明します。

 1ページ目、平成299月の基本方針部会において、平成31年度以降の対象者について評価をするということに関して、小委員会で検討を行うということ。検討を行うにあたり、ファクトシートを作成いただくこと。また、13価の肺炎球菌ワクチンに関しても、ある程度、内容を含めることということを、こちらで検討いただいたところです。本年5月に、23価の肺炎球菌ポリサッカライドワクチンに関するファクトシートが作成され、以後、第8回、第9回、第10回と議論を重ねてきたところです。

 3ページ目に飛んでいただきます。このときの論点としては、23価ワクチンはある程度、接種後、期間がたちますと効果が減弱してくることが言われています。再接種を行う必要があるのではないかという意見が出されたことから、23価ワクチンに関しては再接種に関する議論を中心に小委員会で行ってきたところです。以下のページには、ワクチンの初回接種の有効性や持続に関するデータ、複数回接種における有効性や医療経済学的評価について、それぞれ検討をしてきたところです。

 資料1-2をお開きください。「沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)について」という資料です。こちらも、同じ日付で検討が行われました第11回ワクチン評価に関する小委員会に提出した資料です。こちらに関しては、13価ワクチンは、既に小児の定期接種として用いられているわけですが、こちらを高齢者の定期接種として位置付けるかどうかについて、検討を行ってきたところです。

 2ページ目、それぞれ論点を御提示して、各国の状況やファクトシートに関する知見、それぞれの論点にしたがってデータを載せさせていただいた資料となっています。

 資料1-3です。こちらの2つのワクチンに関して、小委員会でどのように議論が進んできたかということを論点を抜き出して、表にまとめています。先ほども説明したところではありますが、23価のワクチンに関しては第8回の小委員会から第11回まで、計4回の小委員会を開催し、主に再接種に関するエビデンスについて検討を頂いたところです。ワクチンの効果の持続性や有効性、安全性、医療経済学的評価について、総合的に御議論を頂いたところです。

 2ページ目、こちらは13価のワクチンに関する論点ですけれども、こちらに関しては第9回、第10回、第11回と3回にわたりまして検討を行ってきたものです。論点としましては、PCV13については高齢者を対象とした定期接種に使用できるワクチンに位置付けるにあたっては、平成2712月、第2回ワクチン評価に関する小委員会において、次のように整理されました。マル1として、国内の高齢者における疾病抑制効果の評価については、国内臨床試験に関する実行性の観点から、既存の調査・研究結果を用いて推計することとする。マル2として、国内の13価肺炎球菌コンジュゲートワクチンの評価に必要となる、下記の科学的知見をできるだけ早期に研究班等が収集した上、PCV13の単独、PPSV23の単独、PCV13PPSV23の併用など、実施する可能性のある施策について、それぞれのモデル解析による費用対効果等の分析・評価を実施するとされた上で、以下の4点、「成人市中発症肺炎などの発生頻度、血清型の分布について」「免疫原性及びその持続性について」「肺炎診療に掛かる医療費について」「QOL評価の指標について」ということに関して、国内のワクチン評価に必要となる上記科学的知見について、どこまで明らかになっているかという点を中心に3回の小委員会で議論をしてきたところです。資料1-1から資料1-3までの説明は以上です。

○倉根部会長 ありがとうございました。資料1-4については、実はワクチン評価に関する小委員会の委員長であり、この委員会の委員でもある脇田委員から報告を頂くことになっていたのですが、急遽、脇田委員が欠席となりましたので、報告書()については事務局から説明を頂くことにしたいと思います。よろしくお願いします。

○黒崎室長補佐 資料1-4をお開きください。「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会肺炎球菌感染症(高齢者がかかるものに限る。)に対するワクチンに関する報告書()」です。脇田委員に代わりまして、事務局より御説明します。平成29914日に開催された第19回予防接種基本方針部会において、平成31年度以降の定期接種の対象者について議論するにあたり、下記の方針で進めることについて了承されたということです。先ほど事務局から御説明した内容を、こちらに書かせていただいています。平成30517日及び628日に開催されたワクチン評価に関する小委員会において、国立感染症研究所が取りまとめた「23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチンファクトシート」等の最新の科学的知見に基づいて、医学的・科学的な観点から検討を行いました。肺炎球菌感染症のワクチンに関する評価結果の概要は以下のとおりですということで、評価結果を書かせていただいているところです。

 肺炎球菌感染症は、個人の発病又は重症化を防止することを主な目的としてB類疾病に指定されています。肺炎球菌感染症の最も重症な病態が、侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)です。予防接種は、IPDの予防が最も重視されるべきものと考えています。

 65歳以上の高齢者におけるPPSV23がカバーする血清型によるIPDは、IPD全体のうち60%程度ですが、それらのIPDに対するPPSV23の有効性は39%と報告されています。PPSV23の初回接種における有効性、安全性及び医療経済学的評価について、一定の評価ができることから、平成31年度以降も、65歳の方に対する定期接種として継続することが望ましいと考えられます。また、再接種については、効果持続期間や再接種の対象者に関するデータがまだ少ないことや、再接種の臨床的な有効性のエビデンスは明確になっていないことから、引き続き検討を行うことが求められます。

 なお、平成2610月以降5年間の経過措置の実績や今後の在り方に関しては、接種率や接種記録の状況も勘案しながら総合的な判断が必要であることから、基本方針部会で審議をすることが妥当であるという評価結果となっています。

 ここで23価の肺炎球菌ワクチンに関しては、現時点でのエビデンスから判断する限り、PPSV23の再接種に関しては、定期接種としては、現時点では位置付けないことと提言するものですが、今後、引き続き検討するものと小委員会では整理されたものです。

 2ページ目、13価の評価結果です。一方で、65歳以上の高齢者におけるPCV13がカバーする血清型によるIPDは、IPD全体のうち30%程度であるが、それらのIPDに対するPCV13の有効性は75%との報告があります。PCV13の小児への定期接種導入及びその高い有効性により、社会全体におけるPCV13がカバーする血清型による肺炎球菌感染症の流行が阻止されていることにより、PCV13がカバーする血清型によるIPDは着実に減少しており、今後もその傾向が進むものと想定されます。そのため、PCV13IPD対策として、広く65歳以上の高齢者全体を対象とした定期接種に使用できるワクチンとして新たに指定するメリットは少ないと考えられ、肺炎球菌感染症に対しては、PPSV23で引き続き定期接種を継続していくことが妥当であります。

 一方で、PCV13は、その高い有効性から、免疫不全者などのハイリスク者を対象としても、海外で使用されている実績があります。PCV13に関しては、PCV13がカバーする血清型による肺炎の発症予防の観点から、海外のQOL評価を参考とし、費用対効果分析を継続し、モデル解析に着手するとともに、ハイリスク者の定義とその接種の在り方について、引き続き検討をしていくことが必要であるという評価結果です。

 小委員会の整理としては、PCV13については、現時点でのエビテンスからは高齢者に広く接種を行っている定期接種としては位置付けないものですが、免疫不全者などのハイリスク者を対象とした接種の在り方については、引き続き検討していくこととされています。事務局からは以上です。

○倉根部会長 ありがとうございました。参考人から何か追加はありますか。ありませんか。それでは、今、事務局から資料1-11-4まで説明をしていただきましたが、いかがですか。今日、この議論としては、資料1-4のワクチン評価に関する小委員からの報告書()について、これがこの委員会として了解できるかも含めて、最終的にはここに関しての議論になるということですが、委員の方々から御意見、御質問はありますか。

○坂元委員 川崎市の坂元です。この報告書に従って、来年から肺炎球菌の定期接種を開始するに当たって、従来の5歳刻みの定期接種の際には、5年以内に接種した者は接種できないという形で、各接種主体である市町村のほうでお断りしてきた経緯があります。例えば、63歳で接種してしまったと正直に申し出た方は、65歳のときは受けられませんよという形で接種をお断りしてきた経緯があります。つまり、5年以内に接種した者は、副作用の問題で接種できませんというふうにアナウンスしてまいりました。今回、新たに接種が開始される場合は、その方法がまた適用されるのか。つまり、5年以内に接種した者は、やはり駄目という形でお断りするのか。それとこの中の議論であるように、再接種ですね、65歳で1回やって、その後の再接種においては、その効果等についてはまだ治験が十分でないので分からないという効果の面での判定だけで、副作用の部分はどうなのかという議論が今回されていないのか、その辺を御説明いただければと思います。

○倉根部会長 事務局、いかがでしょうか。

○黒崎室長補佐 予防接種室です。再接種に関しては、平成31年度以降の経過措置値の在り方については、またこの後御議論いただくものですが、現時点でも、一度接種を任意接種でされた方に関しては、定期接種の対象外と考えており、これは今後も同様に考えております。また、再接種に関しても、そのエビデンスがないというところから、1回定期接種で受けられた方が、その後受けられることになった場合でも、その場合は任意接種で受けていただく形になろうかと思っております。

 安全性の議論ですが、この小委員会の議論の中では余り触れてはいなかったのですが、以前のPPSV23を定期接種化するときの議論の中においては、その当時は再接種が禁忌とされていたところでして、その後、4年以内に接種した場合には副反応が強く出ることがありましたので、安全性の観点からは、もし再接種をする場合には5年以上空けて接種をするということで、添付文書にも記載がありますので、そのような運用でいければと考えております。事務局からは以上です。

○倉根部会長 坂元委員、よろしいですか。

○坂元委員 はい。

○大石参考人 追加でコメントさせていただきますが、PPSV235年以内の接種については、1つは副作用の問題があります。局所の発赤、腫脹が主ですが、これが基本的には重篤なものはないので、安全性としては高いと考えられます。接種間隔が5年以内だと明らかに局所の接種部位の腫脹等は大きくなりますので、それについては23価ワクチンのファクトシートの中にも記載しておりますので、見ていただければと思います。

 あと、もう1点は、小委員会の中でも議論されていたように、効果の持続という意味では、おおむね5年以内だろうと考えています。以上です。

○倉根部会長 ありがとうございました。ほかに委員から御質問、御意見はありますか。

○池田委員 医療経済、費用対効果の点から少しコメントさせていただきますと、例えば資料1-2で様々な医療経済の結果などが示されていて、これを基に議論されてきていたわけですが、海外ではおおむね13よりも23のほうが費用対効果が優れているという結果が出ており、23の単回の接種はもちろん、その2回目、3回目も、いろいろな前提条件の下ではありますが、おおむね費用対効果は良好ということになる。日本でもこれから臨床的なエビデンスが蓄積されたら、再検討していくことがいいのではないかと思います。現状では、もちろん十分なエビデンスはないということかもしれません。

 日本で行っていただいた分析ですと、2313も単回の接種は費用対効果がよいと。2313を比較した場合に、一見13のほうが少しお金は掛かるけれどもQALYが改善して費用対効果、補てんではより望ましいようにも見えるのですが、数字、その単位を見ますと、0.001ぐらいの差なので、これはほぼ不確実性を考慮すると、積極的に23から13に切り替えることを意味するものではないので、今回の小委員会の報告書、費用対効果、医療経済の観点からもこのようなことでよろしいのではないかと考えています。以上です。

○倉根部会長 コメントをありがとうございました。ほかはいかがですか。

○宮﨑委員 2つお聞きしたいのですが、1つは、高齢者の定期接種を5年やってきて、接種率がなかなか上がらなかった。このことをどう分析するかということと、1回もやっていない人が非常に多い中で2回接種の議論がどこまでできるのかと、そういう現実的な問題も1つあるかと思います。

 それから、先ほどPCV13が小児で導入されて、いろいろ肺炎球菌の疫学が変わってきていると。それが高齢者にも影響が出てきているという話がありましたが、実際、これから高齢者の肺炎球菌ワクチンは、いわゆる侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)をメインターゲットとしていくのか、ときどき市中肺炎、肺炎の議論もときどき混ざってきていて、そこも含めての議論なのか、その辺が議論として少し分かりにくいところがあるのですが、その2点について、どなたかお答えいただければと思います。

○倉根部会長 これは事務局でいいですか。

○黒崎室長補佐 事務局よりお答え申し上げます。1つ目の、1回目の接種率が低いことに関する分析はどのように考えるかという御質問ですが、次の資料1-5の資料にも関わってくる点ではありますが、いろいろな観点、擬要因が考えられるものではありますが、1つは、新しいワクチンの接種の仕方、5年ごとにただ1回だけ接種が回ってくることが十分に周知できていなかったのではないかということも、こちらとしては原因の1つではないかとは考えておりますが、ほかにもいろいろ要因があるとは考えております。今後、この後こちらの接種率に関してどのようなことが考えられるかは、更に分析が必要であると考えております。

 また、そもそも1回目の接種が進んでいない中で2回目の接種を分析することは、どうであろうかという御質問でしたが、こちらに関しては、国内の議論では全くそのとおりであり、海外の議論などを参考に、2回目のことに関しては議論を中心に行ってきたことと、研究班での分析など、大石参考人の分析などを参考にして議論を進めてきたものでした。再接種の議論は、次の経過措置にも非常に関わってくる議論ではありましたので、宮﨑委員の御指摘はごもっともではありますが、再接種のことについてもきちんと議論しておくべきだと考え、小委員会で議論を進めてきたものです。

 また、ワクチンの対象をということですが、こちらの報告書にも書いておりますとおり、肺炎球菌ワクチンのメインのターゲットと考えているのは、やはり侵襲性肺炎球菌感染症であると考えておりますが、こちらに関しては、23価の肺炎球菌ワクチンが定期接種化された当時は、肺炎に対する効果に対するエビデンスが余り多くはなかったという経緯もあります。最近になり、肺炎球菌性肺炎に対する効果などを示すエビデンスも出てきたということもあり、こちらの部分に関しては今後の検討課題ではないかと考えております。以上です。

○倉根部会長 宮﨑委員、よろしいですか。ほかはいかがですか。大石参考人、今の件でどうでしょうか。

○大石参考人 今の宮﨑委員の御質問について、少し追加させていただきたいのですが、接種率が上がらなかったことは、私自身、呼吸器内科医、感染症内科医としての反省点です。国のワクチンの定期接種の実施率の情報が少し遅れて報告されて、最初30%台であったというところで、接種率向上に向けての対応が十分できていなかったと思います。今、呼吸器学会、感染症学会でもこの点は大変懸念をされていて、医療従事者のほうでこれからもっと接種を進めていかなければならないということは、強く認識されていると思います。

 再接種の意義についても、接種率が上がらない中ではあるのですが、呼吸器学会、感染症学会の領域の中では、1回接種後5年たった人がかなり出てくる中で、再接種の必要性、その意義はかなり強調がされています。

 もう1点、IPDと肺炎球菌性肺炎の関係についてですが、事務局のおっしゃるとおりIPDは今の国の発生動向調査の対象にもなっている疾患なので、そこは問題がないのですが、肺炎球菌性肺炎はIPDの数の10倍あるいはそれ以上ぐらいの症例数があるわけですので、そこも研究班の調査対象として、肺炎球菌性肺炎の血清型の分布も見ております。今、IPD、肺炎球菌性肺炎のエビデンスに使われた情報は、基本的には両者の齟齬は特にないと思っております。基本は肺炎球菌感染症の予防ですので、両者に対するエビデンスの齟齬は特になかったと理解しています。以上です。

○倉根部会長 ありがとうございました。

○坂元委員 宮﨑委員と大石参考人の続きですが、今回、来年から651回接種を開始するに当たって、再接種の問題は大きな問題です。市町村が実施する場合、住民から65歳だけでいいのですかという質問と次の接種はどうしたらいいのですかという質問は、当然のごとく来ると思うのです。前の接種のときもその辺はかなり質問が来て、市町村としては5年以内は駄目ですという回答だけをして、その辺は曖昧なままにしておいたのです。やはり接種を開始するに当たって、その辺の見解、つまり市民に対する説明、再接種に対してどう考えるか、市町村として住民にどう説明すればよいのかということ、つまりある程度自治体間で統一的な説明をしておかないと、混乱が起きるだろうということが1点と、その再接種の問題は、来年から開始してから5年以内ぐらいにはある程度どうするかという方針も示していただければと思います。これは接種主体の市町村としてお願いしたいということです。以上です。

○倉根部会長 事務局、今の懸念といいますか、少し予想、懸念に対しての見解はどうでしょうか。

○黒崎室長補佐 今の1つ目の市民の皆様に対する説明、1回の接種、これだけでいいのか、次はどうするのかということに対するお答えとしては、資料1-4の報告書のとおりであり、現時点では再接種を抗体価の上昇という観点から指示をしていくようなエビデンスも出始めているところではありますが、臨床的なエビデンスを示す所がまだ明らかになっていないということでして、こちらから積極的に再接種を勧めることはなかなか難しいのではないかと考えております。ですので、今の段階では再接種に関しては、現時点ではしないということで整理していくのかと考えております。また、今回の報告書にもありますとおり、これで再接種はこの後ずっと行っていかないという結論ではなくて、今後も引き続き検討をしていくという結論になっておりますので、新たなエビデンス等が出てまいりましたときには、再びこちらの基本方針部会及び小委員会で、今後の対応について検討していくことになろうかと考えております。以上です。

○伊藤委員 今の事務局の説明で少し気になったのですが、もともと肺炎球菌ワクチンというのは、IPD、侵襲性肺炎球菌感染症を対象にして開発されていると言われているのですが、多くの人たち、国民、マスコミの人たちも含めて肺炎球菌、肺炎をターゲットにしているという理解をしていて、その説明をきちんとしていかないといけないのではないかという気はします。臨床現場では肺炎の予防であって、侵襲性肺炎球菌感染症の予防という認識を持たずに内科の医療現場では使っていると思いますので、そういった事項も理解しながらきちんとコミュニケーションしていかないと、危険ではないかという気がしました。

○倉根部会長 ありがとうございました。事務局、今のコメントはいかがですか。

○黒崎室長補佐 御指摘ありがとうございます。伊藤委員の御指摘のとおりであり、今、多くの国民の皆様は、肺炎予防でという観点で考えていらっしゃることは、私たちも認識しているとおりです。ですので、今後、大石参考人からのお話もありましたとおり、IPDがメインターゲットではありますが、肺炎球菌性肺炎というものに関しても、今後広げていくことも一部では検討すべきものではないかと考えており、より多くの国民に分かりやすく周知をするということ、侵襲性肺炎球菌感染症がメインのターゲットであることについても、今後、検討していく必要があると感じているところです。以上です。

○大石参考人 再接種について少し追加させていただきたいのですが、今日、私は国の立場で参考人で出てきておりますが、日本感染症学会から再接種に関するガイダンスも出ており、その中では再接種を推奨する立場でガイダンスは書かれております。再接種は臨床的にはエビデンスがないというわけではなくて、ワクチンの効果の裏付けとなる血清中のオプソニン効果等は、1回目に比べても2回目の接種でも、あるいは3回目の接種でも同様に上昇するのだと、そういう血清学的なエビデンスは示されているわけで、それを基に学会等では効果があるはずだと言っているわけです。ただ、定期接種にする要件として、臨床的に肺炎を予防したデータがあるのかと言われると、それはないので、定期接種までは難しいという判断になっているという理解ですので、よろしくお願いします。

○倉根部会長 それを示唆するかもしれないエビデンスはあるのだのだけれども、まだそこは十分かと言われると、まだそうではないということなのでしょうか。そういう理解ですかね。

○釜萢委員 先ほどのお話に戻るのですが、IPDに対する予防効果を狙っていることは分かりますが、予防接種の施行令には肺炎球菌感染症の対象になっているわけだし、それから、先ほど大石先生からの御指摘もありましたが、IPDと一般の市中肺炎の頻度は10倍以上あるかもしれないということで、このワクチンが肺炎球菌の市中肺炎に効果がないわけではないのだろうと思いますので、そこをどう整理して、むしろIPDの効果を狙ったワクチンなので、他の肺炎球菌には効果がないということは言えないわけだし、言うべきでもないと思うのですが、その辺りの今後の整理については事務局はどう考えておられるのか、もう一度教えてください。

○倉根部会長 それでは事務局、お願いします。

○黒崎室長補佐 御指摘ありがとうございます。肺炎球菌感染症の最も重篤なものが侵襲性肺炎球菌感染症であると考えております。同じB類疾病のインフルエンザに関しても、高齢者のインフルエンザに対する予防と書いておりますが、インフルエンザに関しても主には感染予防ではなくて、インフルエンザの重症化予防、発症予防という意味合いで位置付けているものです。肺炎球菌感染症のワクチンに関しても「肺炎球菌感染症」と広く書いてはおりますが、その中で1番のターゲットとしてのIPDであるという思いを込めているというところでして、こちらの部分に関しては、確かに分かりにくいという御指摘はそのとおりだと思っておりますので、今後、検討していきたいと考えております。以上です。

○釜萢委員 検討していくのだけれども、IPDのことを強調するのかどうかについて、私は特段、今のままでそれほど悪くないのではないかと思っているのですが、それを改めるお考えなのかどうかというところが聞きたいのです。

○武井健康課長 御指摘ありがとうございました。今、恐らく2つの議論があろうかと思います。1点目は、ターゲットとしてどう評価をしていくかということで、これはエビデンスで評価していくということと、あと、国民の方に分かりやすく、うまくコミュニケーションを推進するという観点があろうかと思います。小委員会で中心に御議論いただいたのは、IPDに対して、それをメインのターゲットとして議論をしてきたというところは、事実としてあると思いますし、一般の市中肺炎に対する予防効果も一定程度エビデンスがあるというのは、先ほど御説明いただいたところかと思います。ですので、小委員会で議論したことを我々としては重要な方向性として受け止めて、今後も議論を進めていきたいと、まず1点目は思っています。

 併せて、国民の方によく御理解いただくというのは、これはワクチン、予防接種の趣旨を考えますと、非常に重要かと思いますので、何らかの工夫をして、分かりやすい形でしっかり周知を行っていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○倉根部会長 大石参考人、今、手を挙げましたが、よろしいですか。

○大石参考人 もう説明は十分されていると思うのですが、IPDがターゲットと言ってしまうと、誤解もあるかもしれません。肺炎球菌ワクチンは肺炎球菌感染症を予防するのが目的とされているので、多分、肺炎球菌性肺炎という大きな輪っかがあったら、その中にまた侵襲性肺炎球菌感染症という小さな輪っかがあると。こちらはより重要なのだけれども、周りの肺炎球菌性肺炎もターゲットとしていいと思うのです。国民にはそういった説明をしていく必要があると思います。より重症なのは、IPDであるけれども、全体として肺炎球菌性肺炎を大きくカバーしているのだということをしっかり説明していく必要があると思います。

○倉根部会長 ありがとうございます。それでは、先ほど課長からもまとめていただいた形にはなりましたが、今回、予防接種・ワクチン評価に関する小委員会からの案については、方向性として特にはお認めいただくということで。

○宮﨑委員 先ほども言いましたが、1回目もなかなか進んでいない状況があって、では、来年度以降、今まで受けなかった人をそのままにしておくのかということも、なかなか難しいので、1つの現実的な案としては、結局、5年区切りの経過措置はそのままの形で継続するのも1つの案かもしれないですよね。もちろん、もう1つは、65歳以上はいつでもできるという案もなくはないわけですが、これもなかなか行政的に難しいところもあるかもしれないので、折衷案としては継続する。そうすると、5年置きにはチャンスは出てくるので、先ほどの5年置きの接種という追加接種のことも、また議論を続けやすいかもしれないと思っているのです。

○倉根部会長 経過措置については、また次の資料1-5も含めて議論は続きますので、まずは資料1-31-4については、御了解いただくという形でよろしいですか。

(異議なし)

○倉根部会長 それでは、ここで委員会としては了解するということで、これについてはワクチン分科会に報告したいと思います。

 続いて、資料1-5について、事務局からお願いします。

○黒崎室長補佐 資料1-5をお開きください。「肺炎球菌ワクチン(PPSV23)の経過措置について」です。本日のこれまでの議論においても、経過措置のことが幾つか触れられたところです。2ページ目に現状の整理として、現在の接種対象者は、予防接種法の施行令に書かれており、65歳の者、60歳以上65歳未満の者であって、持病がある者という形で、こちらに記載のあるとおりで定めております。予防接種法施行令の附則の2番に経過措置も定めており、この政令の施行の日から平成27331日までの約半年間です。ここの部分に関して、「65歳の者」とあるものについては「平成26331日において、100歳以上の者及び同年41日から平成27331日までの間に65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳又は100歳となる者」と定めています。

 それ以降の平成31331日までの者に関しては、「65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳又は100歳となる日の属する年度の初日から当該年度の末日までの間にある者」と定めております。現在、経過措置の最終年度に当たるものですが、その年齢が属する年度の初日から当該年度の末日までの1年間が、接種期間と定めているものです。

 接種率については、平成28年度までの接種率をまとめております。65歳相当のところで40%程度で、それ以降年齢が高くなるにつれて、少しずつ接種率が低下しているような傾向が見られるところではあるかと考えております。こちらの数に関しては、定期接種化以降の接種者数の実績であり、それ以前の任意接種による接種者数は含んでおりません。

 3ページ目は、論点として挙げております。肺炎球菌感染症は、個人予防に重点をおくB類疾病に指定しております。経過措置に関しては、ワクチン供給量も考慮し、5年間を掛けて、65歳以上の方全員に等しく1回の接種機会を付与するという目的で実施をしてきております。今後の経過措置の在り方については、接種率や接種記録の状況も勘案しながら、総合的な判断が必要であると、先ほどの報告書にも記載があったところです。経過措置をこのまま終了とするか、未接種者への何らかの対応を考えるかについては、本日は広く委員の先生方から意見を頂戴したいと考えておりますが、4つの視点を用意させていただきましたので、それぞれの視点での御意見を頂戴できればと考えております。

 マル1は、接種率の視点です。現状では、65歳相当の者の定期接種における接種率は、40%程度です。全くの任意接種で接種した者、自治体の補助事業を活用して接種した者の数は、正確には把握できていないところですが、これらの高齢者の皆様に対して十分な接種機会があったと考えられるのかどうかという視点です。

 マル2は、疾病重篤度の視点です。高齢者の肺炎球菌感染症は重篤な疾患で、侵襲性肺炎球菌感染症の患者の数については、2017年は3,139名で、うち65歳以上は1,881名と報告されております。ファクトシートの記載によりますと、その届出時点における致命率は、6.16.8%とされています。

 マル3は、制度の周知に関する視点です。こちらは、先ほどの議論でも少し触れさせていただきましたが、対象者が高齢者であること、5年間の中で1年間のみの対象期間となること、また年齢ではなく、年度での接種であること等、他の接種とは異なる取扱いがあったことや、生涯に1回のみの接種であって5年ごとに接種期間が回ってくるものではないということに関して、対象者への周知は十分であったと考えられるかという視点です。

 最後にマル4は、接種記録の保存状況の視点です。予防接種に関する記録に関しては、予防接種法施行令に、「予防接種を行ったときから五年間保存しなければならない」と書かせていただいております。仮に経過措置を延長する何らかの助成を行うということにした場合には、接種記録の保存についても考えていくべきではないかと思っており、このような視点についても御議論いただければと考えております。資料1-5の説明は以上です。

○倉根部会長 ありがとうございました。この件に関しては、今日何かの結論を出すということではなくて、この4点について、委員の皆様からの御意見を頂くことが大きな目的です。既に幾つか議論が入った部分もないではないのですが、どの観点でも結構ですので、御意見を頂ければと思います。

○山中委員 接種率に関してなのですが、個人の発症や重症化予防の観点ですので、例えば麻しんのように集団免疫を測るものではないですから、なかなか接種率に目標値を掲げるというのは、難しいのかもしれません。今回お示しいただきました全体で40%というのは、やはりまだまだ改善の余地があると思いますし、あるいは都道府県別や市町村別に見ますと、いわゆる集団免疫を必要な感染症に比べれば、結構地域格差は大きいのではないかと思われます。そういった意味で、目標という形がいいのかどうかはいろいろと議論があるかとは思いますが、もっと全体的な接種率を上げるべきだというのは、そういう方向性は必要なのではないかと思います。

○中山委員 接種率をどのようにして上げるかということですが、やはり高齢者の方に、どうやって周知していただくかということが大きいと思いますので、高齢者の方が比較的よく集まるような場所、例えば、地域包括支援センターなどで、ワクチンのアナウンスをいろいろしていただいて、これが肺炎の防止に役立つのだということを啓蒙するという活動が必要だと思うのです。地域包括支援センターなどは、高齢者の方々に対する情報発信をしていますので、そういう所と協力をとっていただくのも、1つの方向かと考えられます。

○倉根部会長 そのほかに何かありますか。

○坂元委員 高齢者の肺炎球菌の予防接種に関しては、若干自治体によって差はあるかと思うのです。多くの自治体が、該当者に対して全員通知という形で、接種勧奨ではないですが、接種を受けてくださいという通知はしている所が、圧倒的に多いと思うのです。川崎市でも、該当年齢の方に全員通知をして、私もその通知をもらった1人なのです。ただ、やはりそうやって全員通知をしてもなかなか受けないというのは、どこの市町村もそういう悩みを抱えているのかと思います。例えば予防接種だけではなく、特定健診とか、がん検診なども全員通知をやっても、大体34割で止まってしまうというのは、恐らくどこの自治体も経験していることです。今、中山委員がおっしゃった地域包括支援センターを利用するとか、集会を利用するというのは、実際にかなりきめの細かいことをやっていかないと、全員通知をしても、大体34割で止まってしまいます。

 全国的にいろいろな健診を見ると、大都市部がかなり低くて、地方に行くと健診率が上がってくるというのは、特定健診でも全般的な傾向として見れるところなのです。そこをどうしていくかは、我々としても非常に頭の痛い問題で、市町村も努力はしていないわけではないと思うのですが、良い方策があれば取り入れたいというのは、多分どこも思っていることだと思います。

○倉根部会長 ほかに御意見はありますか。

○伊藤委員 高齢者を多く診ている内科医としては、皆さんにきちんと打っていただくという情報提供ができていないのだろうと思うのです。このワクチンは、5年に1回しかチャンスがこないと。また、5年の途中で打ってもいいかなと思ったときに、そういうチャンスがないというのは、いかがなものかと、常日頃思っています。ワクチンを打ってもいいなと思った人ができるだけ打てるような仕組みはどこかで考えないと、広がっていかないのではないかと思っています。

○池田委員 この経過措置をどうするかは、これから検討するのだと思うのですが、日本の平均寿命などを考えますと、例えば80歳とか85歳以上の方は、毎年機会があってもいいのかなとも思います。接種率や財源との関係もあるとは思いますが、そのようなことも検討していただけるといいと思います。

○倉根部会長 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、今、各委員からいろいろな御意見も頂きました。また、本日出されたそれぞれの意見についても、事務方で取りまとめていただき、次回議論をすることになろうかと思います。それまでに検討いただくものは検討いただくことにして、資料1-5については今日はこれで終わりにいたします。磯部参考人、どうぞ。

○磯部参考人 どこで発言しようかと思ったのですが、マル4の接種記録の保存状況の問題ですが、これは要するに予防接種台帳として、都道府県、市町村が保存するものについての話だということだろうと思います。要するに広い意味で、予防接種に関する記録は一体誰のもので、それはどのように扱われるべきかということが大事なのだろうと思います。母子手帳も大事ですし、そちらで個人の方で持たれるという話と、自治体が持つ話、それをどちらもどのように充実させていくかということは、5年前の法律についての議論をしたときも、そのような話があったような気がいたします。その際に、予防接種台帳については、個人情報保護も大事だけれども、IT化やマイナンバーといった制度が変わっていくことで、どのようになっていくかを今後検証していきましょうというような話をした記憶があるのですけれども。その中で、経過措置についても長く持っていられるのならば、そのほうがいいのではないかという話だと思いますので、この論点との絡みだけで議論するものではないかということを申し上げたくて、一言コメントまでです。

○倉根部会長 ありがとうございました。恐らく手を挙げていただいていたのかもしれませんが、見逃していたとしたら、失礼しました。

○坂元委員 いわゆる、この予防接種記録の保存というのは、今、予防接種台帳がIT化されて、ほとんどの自治体が電子化されている中で、あえて電子化されたものを消す理由はないのですが、今までのペーパーの時代は公文書として5年保存というのはありました。逆に、今、参考人がおっしゃったように、5年以上保存して、いつまでも個人情報を持っていていいのかという懸念、自治体側に不用意に個人情報を長期的に持っていていいのかという、つまり目安がないということです。容量から言って、あえて5年以前のものを消す理由は特にないので、その辺りの指針がしっかりできれば今は電子化されているので、長期保存はかなり可能かと思っています。

○倉根部会長 ありがとうございます。今の議論は、肺炎球菌ワクチンのみに限らずということになろうかと思いますので、他のワクチン、その他多くの事象に関して関わることかと思います。ですので、そこの観点も今後議論の中に入っていくべきだということをもって、今日はこの議論は終了いたします。

 それでは、次に議題(2)「風しんの発生状況等について」に移ります。事務局から資料の説明をお願いします。

○黒崎室長補佐 事務局より説明を申し上げます。資料2-1をお開きください。「風しんについて」という資料です。まず、1ページ目には幅広く基礎的な内容を書いておりますが、風しんの症状というのはそこに書いてあるとおりですが、無症状の方が1530%ほどいらっしゃるということ、それから、風しんに特徴的なこととして、妊娠中の女性、特に妊娠20週までの女性が感染すると、生まれてくる子に先天性風しん症候群(CRS)が出現する合併症の可能性があるということです。風しん対策の概要として、風しんに関する特定感染症予防指針のほうには、CRSの発生をなくすとともに、2020年までに風しんの排除を達成するという目標を掲げているところです。

 2ページ目、風しんの累積の報告で、一番最近の報告である第42週のところまでをまとめております。

 3ページ目、週ごとの発生患者数を書いております。直近の42週に関しては、1週間で174例の報告があったとされているところで、大体30週ぐらいから少しずつ症例の集積が見られ、ここ37週以降では100の後半を推移しているような状況です。

 4ページ目、ここ4週間の発生を都道府県ごとに見ているものですが、やはり関東の4都県及び愛知県などで症例の集積がここ最近でも多くなっていることが分かります。

 5ページ目、男性と女性の発生の報告数ですが、男性に関しては40代の前半をピークとしたような山を築いているのに対し、女性に関しては数が少ないのですが、20歳から30代の前半に掛けてピークがあるような発生の状況です。

 1ページ飛ばして7ページ目、抗体保有状況に関しては男性と女性で少し差があり、これは後で触れますが、予防接種の制度に関わる違いというものが反映されたような結果になっております。

 次に資料2-2をお開きください。「風しんの発生状況等について」というもので、今回の発生の集積を受け、こちらでその動きを簡単にまとめたものです。まず、発生が見られた当初の814日の段階で、「風しんの届出数の増加に伴う注意喚起について」というような通知を発出しております。こちらの本文は参考資料4として付けております。

 次に、927日の第26回厚生科学審議会感染症部会において、風しんの発生状況等についても報告いたしました。風しんの発生動向から、関東圏を中心に報告数の増加が続いていることから、以下の取組を進めることとして、妊娠を希望する女性及び妊婦及びその同居家族に対し、抗体検査を受けていただくよう周知することなどが承認されました。

 この感染症部会の結果を受け、102日に「風しんの届出数の増加が認められる5都県における産科医療機関と連携した風しん対策について」など、「職域における風しん対策について」など、通知を幾つかまとめて出しております。こちらについては参考資料5-1から5-4に本文を付けております。

 また、こちらの資料にはありませんが、昨日1030日に「乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチンの流通に係る対応について」ということで、102日の通知を受け、5都県等の衛生主管部、日本医師会及び卸連に宛て、ワクチンの円滑な流通をお願いする通知を発出したところです。

 2ページ目、風しんに対する予防接種に関する制度の変遷ということでまとめております。風しんの予防接種は昭和528月から中学校等の女子を対象として、1回接種で開始しております。その後、対象の変更や男子を対象とするというような経過を経て、現在と同じ体制になったのは、平成186月からです。以降、平成19年の麻しんの流行を受け、平成204月には麻しん風しんワクチンのいずれかを、これまで1回しか受けていない中学校1年生相当の年齢の者と高校3年生相当の年齢の者に3期、4期と位置付けた2回目の接種を実施したところです。これを年齢ごとに整理すると、下の図のような形になります。事務局からは以上です。

○倉根部会長 ありがとうございました。現在の風しんの発生状況、それから、これまでの経過も含めて、事務局から整理してまとめていただいたところですが、何か御質問、御意見はありますでしょうか。

○伊藤委員 既に風しんの予防接種は、風しんの単味ではなくてMRワクチンで流通していただけているので、大変有り難いと思っているのですが、このワクチンに慣れている方の所は問題ないのでしょうけれど、妊婦さんを対象とする婦人科などで抗体価を測って、風しんの抗体価が低いので、風しんのワクチンをと、単味のワクチンを希望される医療機関があって、そういう所から「入ってこない」「不足して困る」というような話を伺うことがあります。

 ですので、行政にもお願いしたいのは、価格の問題はありますが、風しん単味ではなくて、風しんに対してもMRワクチンを使うのでよいのだということを周知していただけると大変有り難い。単味のワクチンの不足という問題は、それで解決できるのではないかと思うので、よろしくお願いしたいと思います。

○倉根部会長 事務局、いかがでしょうか。ただいまの現場からのコメントですが。

○黒崎室長補佐 御指摘ありがとうございます。伊藤委員の御指摘のとおり、私たちも麻しんの対策にしても風しんの対策にしてもMRワクチンを使っていただきたいということは、特定感染症予防指針のほうにも書かせていただいているところです。しっかりとこれからも、その点を周知していきたいと考えております。以上です。

○倉根部会長 ありがとうございます。伊藤委員のコメントは、つまり通常、ワクチンを接種する機会の多い科といいますか、そういう所には伝わっているのだけれども、そういう機会が余りない科の先生方には伝わっていないのではないかという御意見でしょうか。分かりました。

○坂元委員 この風しんの、特に40歳から50歳以上の男性の風しんの予防接種に関しましては、多くの市町村がいろいろな補助等を出して、抗体検査、予防接種を実施しているところでありますが、最近はいろいろな自治体から、やはりこの辺は何か制度化を検討するべきではないか、特に東京オリンピック等も近いこともあって、制度化の検討をしてほしいとのお願いもあります。

 なぜかと言うと、やはり抗体検査をして予防接種をするという二度手間なので、なかなかその辺の周知が難しいということもあって、各市町村でもいろいろな努力をされて、この該当年齢の特に男性に対しては、接種を進めるようにはしているのです。しかし、やはりその辺の何か全国的な制度化の必要があるのではないかという意見が、最近、市町村のほうから出ておりますので、その辺も踏まえて御検討いただければと思います。

○倉根部会長 ありがとうございます。ほかに御意見、御質問はありますか。

○宮﨑委員 今はまだ風しんの勢いが収まっていませんけれども、2013年の例を見ても、やはり半年ぐらいは増え続ける可能性があるのかなとは思っています。週ごとの発生を見ても、やはり潜伏期が大体2週間強ですから、ちょうどその範囲で出ているかなと思います。風しんは少し感染力がはしかに比べて弱いけれど、症状が少し分かりにくいということもあって、意外に封じ込めが難しい疾患だと思っています。

 ですから、結局のところ、やることは簡単で、ワクチン接種で感受性者を減らせばいいわけですから、中年男性のところも話は単純です。それから患者さんの出方を見ると、妊娠可能年齢のところが結構、患者さんが女性でも出ているというところもあって、やはり少し幾つかの施策をやっていかないといけない。私も坂元委員の意見と一緒で、抗体検査の勧奨だけでは、ここ数年、何も動かなかったわけですから、やはりワクチンを接種するという意思表明を国がきっちりやっていかないと、ワクチン製造も進まないと思っております。

○倉根部会長 ありがとうございます。ただいま、委員からそういう御意見も出ていますが、ほかにいかがでしょうか。特にありませんか。何か事務局から、これまでの御意見に関するコメントはありますか。

○武井健康課長 本当に貴重な御意見を頂きまして、大変ありがとうございます。実は今日の議題の4つ目に、予防接種法の5年後見直しの規定がありまして、恐らく制度的な面での検討を、今後しっかりしていくという中で、今日、頂いた御意見を、今後、議論していく機会もあろうかと思います。

 それと直近の問題として、やはり風しんに関しては、今取るべき対応ということで、すぐにやることと、それから、今日、男性も含めてという御意見がありましたけれども、中長期的にしっかりと取り組むという視点もありまして、この2つの観点から、しっかりと風しん対策を行っていきたいと考えています。具体的な点については、また今後、先生方に御相談していく予定を考えておりますので、是非、今日、頂いたいた意見を、引き続きしっかり事務局としても受け止めて、対応を考えて参りたいと思います。

○倉根部会長 ありがとうございました。今、まとめていただいたような形にはなりましたけれども、多くの御意見を頂きました。前のディスカッションでも、もうそこに入っている部分もあったかと思いましたが、そこを事務局で取りまとめまして、次回の議題としていただければと思います。よろしくどうぞお願いいたします。

 続いて、議論の(3)(4)をまとめて議論したいと思います。議論(3)が予防接種に関する基本的な計画に基づくPDCAの検討状況について。議題(4)が予防接種法の一部を改正する法律の施行状況等についてであります。事務局から資料(3)、資料(4)と、続けて御説明をお願いします。

○長谷川予防接種室長 それでは資料3、資料4に基づき、説明いたします。まず資料3ですが、こちらは予防接種に関する基本的な計画に基づくPDCAの実施状況についてです。予防接種基本計画に基づくPDCAに関しては、計画に基づく定期的な検証、PDCAについて基本方針部会において、下記のとおり議論することとなっております。(1)(3)までありますが、主として基本方針部会において検討を行うが、副反応や研究開発等に関する事項について、それぞれの部会において取り行う。また、実施主体である市町村、医療関係者、研究者からヒアリングを行うとなっております。また、各部会において、意見を取りまとめ、基本方針部会において、PDCAサイクルによる定期的な検証の今後の進め方を検証し、分科会に報告するとなっております。

 現在の実施状況ですが、現在、それぞれの部会において、ヒアリングを実施しているところです。今後のPDCAの進め方ですが、今後、予防接種基本計画に基づく施策の実施状況について、改めて評価し、また、次の資料4ですが、予防接種施策全般、予防接種法の施行状況と併せて、予防接種基本計画について再検討を加えることとしてはどうかと考えております。

 次のページを御覧ください。こちらは予防接種基本計画の概要です。こちらは第1から第8までまとまっておりますが、次の資料と重なりますので、次の資料で御説明いたします。

 3ページ目ですが、こちらは基本計画の実施状況についてです。左側のカラムが概要、右側が現在の取組となっております。まず第1、基本的な方向ですが、基本的な理念といたしましては、理念に沿った取組を実施するとなっております。予防接種の効果及びリスクについては、各部会で必要な審議を実施し、科学的根拠の充実を図っていただいているところです。

 第2、国、地方自治体その他の役割分担ですが、国においては法的、財政的な措置を講じてきたほか、情報発信を行うなどしております。都道府県においては、予防接種センター、機能推進事業を実施していただいております。市町村ですが、こちらは予防接種の実施、健康被害救済等を行っております。医療関係者ですが、こちらはワクチンに関する治験や予防接種間違いの主な事例についての照会を行っております。製造販売業者においては、有効性及び安全性に関する事項について、必要な情報を収集いただいております。被接種者及び保護者ですが、説明を行い、文書にて同意を得ております。

 第3、総合的かつ計画的な推進に係る目標に関する事項ですが、「ワクチン・ギャップ」に関しては、基本的考えに基づいて取組を実施していただいております。また、B型肝炎ワクチンについては、適正出荷するなど、ワクチン・ギャップの改正に向けた検討を進めていただいております。また、PDCAサイクルによる評価の実施を行っているということです。

 第4、予防接種の適正な実施に関する施策を推進するための基本事項ですが、ワクチン価格については、実態調査を実施しております。また、健康被害救済制度については、疾病・障害認定審査会において、医学的科学的知見に基づき、健康被害救済を実施、リーフレット作成に周知を実施しているところです。接種記録については、マイナンバー制度における情報連携及びマイナーポータルが運用開始です。

 次に、第5、研究開発の推進、供給の確保ですが、開発優先度の高いワクチンの開発について協力を依頼しております。また、ワクチンを国内で製造できる体制については、新型インフルエンザウイルスワクチンについては備蓄を行っているほか、開発生産体制製備事業を行っております。

 第6、有効性・安全性ですが、科学的根拠に基づくデータを収集、基本的な考え方に沿った取組を実施しております。また、副反応検討部会においては、副反応疑い報告について、定期的に評価を実施しております。ワクチンの有効性及び安全性の評価については、調査研究を実施。

 第7、国際的な連携については、諸外国の予防接種動向を調査しております。

 第8、その他の事項ですが、同時接種、接種間隔については、分科会で検討いただくとともに衛生部局以外の部局との連携については、各自治体において教育部門と連携を行っているところです。

 続いて資料4、予防接種法の一部を改正する法律の施行状況等について、説明いたします。2ページ目ですが、予防接種施策に関する近年の動向です。平成254月、予防接種法の一部を改正する法律施行をしておりますが、その後、平成263月に、予防接種基本計画を策定しております。また、予防接種・ワクチン分科会を平成254月に設置しております。その下の欄ですが、定期接種化・ワクチン安定供給、その他については、後ほど出て参りますので、そちらで御説明申し上げます。

 続いて3ページ目ですが、法律改正の概要が(1)(4)まであります。(1)予防接種の総合的な推進を図るための計画の策定。(2)定期接種の対象疾患の追加。(3)副反応疑い報告制度の法定化。(4)評価・検討組織への付議となっております。

 続いてスライドの4番ですが、予防接種基本計画の概要です。これは先ほど御説明した内容ですので割愛いたします。

 続いて5枚目です。こちらは定期接種対象の一覧ですが、平成25年の改正において、Hibワクチン、肺炎球菌(小児)ワクチン、HPVワクチンを定期接種化しております。また、その後、肺炎球菌(高齢者の部分)、また、水痘ワクチン、平成28年にB型肝炎ワクチンを新たに定期接種化しているところです。

 次のスライドです。こちらはワクチン・ギャップの関係の資料ですが、ワクチン・ギャップについては、ロタ・ムンプスの2ワクチンにしても評価を継続中で、ほぼ解消されている状況と考えております。

 7枚目です。こちらは副反応疑い報告制度ですが、個別の事例についてPMDAにおいて、その情報整理及び調査を委託しております。調査結果を踏まえ、厚生科学審議会副反応検討部会において、薬事・食品衛生審議会と連携し、2か月に1度、副反応に係る報告、評価・安全性の確認を実施していただいているところです。

 続いてスライド番号8番です。この予防接種関係の審議会・審査会ですが、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の下に3部会、予防接種基本方針部会、また、研究開発及び生産・流通部会、副反応部会を設置しております。またそれぞれ2つの小委員会を設置しております。また、疾病障害認定審査会とも連携を取らせていただいているところです。

 続いて、スライドの9番です。「改正法の施行後5年を目途とした検討」についてです。こちらは予防接種法の付則において、施行後5年を目途として改正後の規定等に検討を加え、必要な措置を講ずるものとされております。実は今年がその5年ということになっております。

 次のスライドを御覧ください。改正後5年間に生じた事例について御紹介いたします。次は、安定供給に関する具体的事例ですが、平成284月に熊本地震によりB型肝炎ワクチン、インフルエンザHAワクチンについて、供給の影響が生じております。平成288月、麻しんの広域的な発生において、1業者の製造がなかなか難しいということになり、広域的な発生もあって必要な対応を行ったところです。

 続いて、平成295月です。熊本地震による影響ですが、熊本地震について、当初の被災状況では安定供給可能と判断しておりましたが、想定を上回る需要を生じたという状況がありました。平成301月には供給が再開されております。平成299月、インフルエンザワクチンの製造株の影響ですが、こちらは当初に選定された株の1つが、製造がなかなか難しいということで、供給が遅れたという事例がありました。

 続いて、ワクチン・血液製剤産業タスクフォース 顧問からの提言です。こちらはワクチン、血液製剤の安定的な供給に関する課題に対処することを目的として、産業の在り方、抜本的な対応を検討するため、タスクフォースを設置されております。この中でワクチンにおいては、科学的根拠に基づく予防接種施策の推進、企業規模・市場構造の改革、安定供給、承認制度の国際的調和、研究開発・生産体制の拡充、海外展開の推進と、また、ガバナンスの問題について御提言を頂いたところです。

 続いて、造血幹細胞移植後の再接種について説明いたします。こちらは、造血幹細胞移植を行った際、免疫能が低下若しくは消失するという状況で、予防接種の実施が推奨されているところですが、これらの接種については、定期接種の対象外となっております。任意接種となりますが、被接種者の負担が大きくなることから、自治体によっては接種費用を助成しているケースがあります。下記の欄にありますが、これらについては後ほど、この議題の次に情報提供を申し上げたいと思います。

 続いて、HPVワクチンに関する取組についてマル1を御紹介いたします。経緯と概要ですが、平成2211月から補正予算に基づく研究対象としての接種を開始し、平成254月から定期接種としております。平成256月、持続的な疼痛がワクチン接種後に特異的に見られたことから、定期接種を積極的に勧奨すべきではないということで、同日、一時差し控えを決定しております。その後ですが、寄り添った支援を積極的に行いつつ、因果関係や症状の発生、ワクチン接種によって期待される効果について検討を行っているところです。

 寄り添った支援については厚生科学研究、また、協力医療機関を整備しております。また、PMDA法に基づく審査を実施し、因果関係までは必要とせず、接種後の症状が予防接種によって起こることを否定できない場合も対象とするとなっております。また、続いて各都道府県において相談窓口を設置、通院医療費等の助成を行っております。

 HPVワクチンに関する取組について、マル2ですが、こちらは継続的に副反応の発生状況をモニタリングするとともに、このワクチンの効果の推計を行うとなっております。また、平成261月、症状のメカニズムとしては、マル4機能性身体症状であると考えられるとされております。また、リスクとベネフィットに関する情報を整理する必要があるということで、整理の上、各種リーフレットにて国民への情報提供を行っております。また、安全性・有効性に関する内容も充実した上で、更なる情報提供を進めているところです。

 最後のスライドですが、HPVワクチンに関する情報提供です。平成301月、こちらに記載のリーフレットにより情報提供を開始しております。また、平成307月の審議会において、情報提供の評価の視点や方法について議論が行われ、今後、評価を実施することとなっております。以上、予防接種法の施行状況についての説明でした。

○倉根部会長 資料3、それから資料4は非常に多くの情報を含んだ資料でありますけれども、ここを事務局に説明していただきました。資料3PDCAに関する状況、それから資料4は現在のそれ以外の多くの要因、これが発生したことも含めての説明でありました。何か御質問はありますでしょうか。

○坂元委員 今まで、この基本方針部会等でも、いろいろな市町村、都道府県等から、いろいろな意見聴取を行ってきた中で、やはり1つ大きな課題が、都道府県の予防接種における機能というものではなかったかと思います。予防接種法の中では、特に都道府県の機能というのは、市町村と同じように勧奨接種、これは8条だったと思うのですけれども、その程度です。例えば今、この委員会でも問題とされた熊本地震の際とか、いわゆるワクチン流通の広域調整の問題等々が出ておりますが、特に都道府県のそのような機能としては法律の中に反映されてはおりません。

 現在、いろいろな災害が非常に増えている中において、やはりワクチン流通の広域調整とか都道府県のいろいろな広域調整機能というのは、非常に重要だろうと私は思います。いろいろな意見聴取の中でもそういう意見が出ているという中で、何らかの都道府県の広域機能というのをちゃんと明確化していかなければいけないのかなと感じておりますので、これは要望という形でお願いしたいと思います。

○倉根部会長 ありがとうございました。意見を頂きました。ほかにいかがでしょうか。

○釜萢委員 現状における事務局としての御見解をお示しいただきたいということなのですけれども、まずは今後の予防接種法の中で取り扱うべき課題として、ロタのワクチンとムンプスのワクチンについてが、今、考えられるわけですが、それを今後どういうスケジュールでどのように考えて、審議会等で取り上げていくかということの見通し。

 それからHPVワクチンについては、先日、日本医学会と医師会とでの公開フォーラムを行いました。これはワクチンに対する積極的な勧奨の再開を求めるということでは、それを前面に出すのではなくて、現状における、これまで蓄積されたエビデンスを国民の皆さんにお知らせするという観点で、演者の方が知見を述べていただきまして、かなりのことが新たな情報としてお示しいただけたわけですが、それらも含めて、HPVの今後の扱いについてはどのような方向で進めていかれるのかを教えてください。

○倉根部会長 事務局、いかがでしょうか。

○黒崎室長補佐 事務局で御説明申し上げます。今、御指摘いただきましたロタウイルスワクチンとおたふくかぜワクチンにつきましては、どちらもワクチン評価に関する小委員会のほうで議論を進めているところです。ロタウイルスワクチンに関しましては、今年の6月、第9回の小委員会におきまして参考人の方に来ていただきまして、今までの3つの論点とされております腸重積のサーベイランスとリスク・ベネフィット分析、それから3つ目として医療経済学的視点というものをそれぞれ整理して御発表いただいたところです。そちらのほうを事務局で取りまとめまして、ロタウイルスワクチンに関しましては、出来る限り早急に、定期接種化に関する議論を進めていきたいと考えております。

 また一方で、おたふくかぜワクチンに関しましては、平成25年の基本方針部会のときに、新たな、より安全性の高いMMRワクチンの開発が求められると整理されたところですが、昨年の日本耳鼻咽喉科学会のムンプス難聴に関する全国的な調査でありましたり、予防接種推進専門協議会のほうから、おたふくかぜワクチンの定期接種化を求める要望書なども出てきているところでもありまして、現行のおたふくかぜ単味ワクチンの定期接種に関する議論というのも始めるべきではないかという意見を頂いているところです。こちらに関しましては第10回のワクチン評価に関する小委員会におきまして、おたふくかぜワクチンの副反応として見られる無菌性髄膜炎の頻度というものを、しっかり明らかにした上で検討を行うべきではないかというような意見を頂いているところですので、そちらについてしっかり整理した上で、また検討を進めて参りたいと考えております。

○武井健康課長 併せまして、今、HPVについて御質問いただきましたので、HPVにつきましてはアンケート調査ということで普及・啓発・広報の充実を図ったわけですが、その影響がどういったところまできちっと周知されているかという点について、今、調査を行っております。この調査結果に基づいて、次のステップについて御議論いただきたいと思っております。今回、先ほど出ましたロタウイルス、HPV、個別の各論については、従前から小委員会などで御議論いただいておりますので、そうした点については引き続き御議論いただきたいと思っております。

 この5年後見直しについては、資料の中にどう書いてあるかというと、「施行後5年をめどとして改正後の規定等に検討を加え」となっておりまして、どういった点が前回、5年前に改定されたかといいますと、計画ですとか副反応報告に関する法定化、いわゆる制度に関する点について改定が行われております。ですので、この5年後見直しにつきましては、制度面の議論を中心に行っていきたいと思っておりますので、それぞれ議題に応じて、それぞれの委員会において役割分担をしていただくような、そんな考え方を持っております。

○倉根部会長 ほかに御意見、御質問はいかがでしょうか。

○宮﨑委員 制度を中心にということですので、それに沿ったという意味では、1つは被害保障のことがあります。現在、国の関与の重い軽い、勧奨するか努力義務を課すかどうかということで保障の額が決められているようなのですが、しかし、これには被害を受けた方々の年齢のことだとか、いろいろな要素が実は本当はあるのだろうと思いますので、こういう国の関与の度合いによって保障を決めているということも、もう一回考え直してもいいのかなということは思っています。

 それからもう1つは、まだ受けにくさといいますか、予防接種を定期接種で受けにくいという実態があります。先ほど伊藤委員も年齢はいつでも受けられるようにという意見を言われましたが、そのほうがいいのではないかと、私も実は基本的にはそう思っています。実は小児でもMRワクチンとか日本脳炎ワクチンとか、定期接種の対象年齢の隙間があるのですよね。それを超えてしまうと、必要なワクチンであってもいきなり任意になってしまうという。だから、そういうところももう一回見直していただきたい。実はこの隙間はなるべく作らないように昔は作ってあったのですが、あるときから厚労省が狭く狭くという施策を取られた時期があって、それが残っていると私は思っています。ですから、国民が受けやすい体制をより作っていくという意味では、制度的にもう一度考えていいのかなと思います。

 もう1つ、基本計画の中にワクチン供給のことがありますが、生産流通部会の中でもワクチンの不足、流通在庫の問題、いろいろ議論されていますけれど、どのようになっていくのかが見えてこない。ここはやはり実効的な対策をやっていかないと、毎年のようにワクチン不足の問題が出てきているので、これは真剣に取り組んでいただきたいと思います。以上です。

○倉根部会長 ありがとうございました。御意見を頂きました。

○釜萢委員 今、宮﨑委員から言われた点は私も大賛成でありますが、平成6年に大きく予防接種法が変わりましたときは、宮﨑委員が言われるように、かなり接種の受けることができる期間が長かったのですが、だんだんある期間にピシッとしないと接種率が伸びないからという配慮から、多分短くしたのですが、その辺りはもし変えるとすれば、どの部署で検討することになるのでしょうか。

○倉根部会長 事務局、ただいまの御質問、いかがでしょうか。部署の問題ですね。

○藤岡課長補佐 一度整理して、また御報告をさせていただこうと思います。

○倉根部会長 ほかはいかがでしょうか。

○伊藤委員 宮﨑先生から御指摘を頂いたとおりで、生産流通部会のほうでは、流通在庫ができれば持てるという話だと思っているのですが、それに関してはもしかすると、こういう予防接種法そのものの中に、そういう仕組みを持てるような書き込みをしていただけるのであれば、もう少しいろいろな形で議論が楽になるのかなと思うので、生産流通部会としては事務局に、そういったことも考えて法の改正のときにお願いしたいと思います。

○倉根部会長 ありがとうございました。先生、委員長でおられるのですよね。

○伊藤委員 はい。

○倉根部会長 そういう御意見でありますので、また、そこも生産流通部会との調整も含めてお願いしたいと思います。ほかはいかがでしょうか。

 それでは、実は今回は現在の状況を説明していただいて、そしてこれに基づいて、今後の議論を深めていくということの、まず最初ということであります。ですので、この議論については続くということでありますので、まずそのような形でこの委員会としては議論を深めていくという方向性を御了解いただくということで、この議論を終わりたいと思います。ありがとうございました。

 それでは、次に報告事項に入りますが、「骨髄移植等の医療行為により免疫を消失された方に対する再接種への支援の実施状況及び居住地以外で定期接種を実施した場合の取扱いについての調査結果について」ということであります。事務局から説明をお願いいたします。

○黒崎室長補佐 事務局より説明申し上げます。資料52枚目です。今回行いました調査の概要について説明申し上げます。全国1,741の市区町村に宛てて、骨髄移植等の医療行為により免疫を消失された方に対する再接種への支援の実施状況及び他の市町村等での定期接種の実施状況について、平成3071日時点での状況の調査を依頼したものです。平成30718日にこの調査を行う旨の事務連絡を発出し、全1,741自治体から回答を得たものです。結果の概要ですが、骨髄移植等の医療行為により免疫を喪失した方に対する再接種に対する何らかの助成事業を行っている自治体は90自治体、全体の5.2%で、うち28自治体では、費用の全額を補助していたことが分かりました。また、現在実施していない1,651自治体のうち、今後何らかの助成事業を実施予定としたのは83自治体あり、実施を検討している自治体は全部で238自治体ということが調査より分かりました。また、保護者が分娩の際に里帰り出産をした場合、居住地以外の市町村で定期接種を受けられる仕組みを設けている自治体は1,632自治体、全体の94.0%であったことが分かりました。

 次のページは、今言ったようなことを詳細に書いているものです。1-1、助成事業を持っている自治体は90自治体、1-2、今後助成事業を実施する予定があるかという質問で、平成31年度、平成32年度から実施などを含め、幾つかの自治体で実施予定が既にあることが分かりました。また、1-3は、助成対象年齢の規定に関してですが、長期療養特例に準じて規定していると答えたのが約半数の51自治体でした。1-4、助成額に関しては、先ほども説明しましたとおり3分の131.1%に当たる自治体が費用の全額を助成していることも分かりました。1-5、助成対象者をどのように確認していますかという質問に対しては、9割の自治体で医師の証明書、意見書を基に確認しているという答えでした。2-1以降は、里帰り出産に関しての回答や、2-5は、定期接種の対象者が医療機関等に長期入院している場合においての回答という形で設問を設け、それぞれに対する回答をこちらで示したものです。事務局から以上です。

○倉根部会長 ありがとうございました。この件に関して御意見、御質問ございますでしょうか。

○坂元委員 骨髄移植等を受けられた方の再接種の問題というのは、私は、費用面から見たらかなり深刻な問題だと認識しております。やはりこれを定期接種化すべきではないかという強い意見を持っている市町村もありますし、私も個人的にはそうすべきではないかと思っております。その1つの理由としては、やはり副作用の問題等々を考えると、定期接種化して、ちゃんとフォローしたほうがいいのではないかと思っております。ということで、この問題を市町村の任意という形で議論するのではなく、何らかの形で定期接種化を考えるのは、私は重要な方策ではないかと考えているところです。以上です。

○倉根部会長 御意見いただきまして、ありがとうございます。ほかに御意見、いかがでしょうか。

○宮﨑委員 里帰り分娩時の定期予防接種のこともデータを出していただきましたけれども、自治体が自治体や医療機関に依頼すれば定期として扱えるという制度が基本的にはありますが、どういうやり方で対応しているかは、いろいろ書かれていました。多くの市町村では対応してくれているわけですけれども、やり方がばらばらだということは、現場ではいろいろ苦労されているのではないかと思います。今は生後2か月からどんどんワクチンが入ってきますので、この辺もシンプルなやり方で、なるべく少ないエネルギーで、自治体も受ける側も、ワクチンを受けやすいシステムができないかなと思います。

○倉根部会長 ありがとうございます。ほかにございますでしょうか。

○釜萢委員 骨髄移植後の免疫消失のワクチンの接種は非常に大事でありまして、私は個人的には、これは治療の一貫ではないかという気もするのです。今回予防接種の対応で、どうするかということを議論すると伺っておりますので、その場合に、骨髄移植後の免疫が消失というのは割合線引きが分かりやすいのですけれども、同様の事例というか、必ずしも骨髄移植でなくても免疫が落ちてしまう場合もあるし、疾病による状況等もありますので、その辺りの整理を、どのように線引きをしたらいいかということが、今後議論すべき課題と考えております。

○倉根部会長 ありがとうございます。

○磯部参考人 磯部です。私は、今の御意見に賛成で、法令で接種の年齢や接種の回数を定め、しかし、それで十分に抗体が付かなかった方というのは、ほかにも広くいらっしゃるはずで、なぜ、このケースについてだけ特に取り上げるのかということの合理的な説明ができないといけないだろうと思います。もちろん私はこのテーマについて進めるのは全然異論があるわけではないですが、やはり平等原則という観点からも、そこは避けて通れない論点ではないかと法律の観点から考えます。以上です。

○倉根部会長 ありがとうございます。

○宮﨑委員 少し広げて考えると、いわゆる少数だけれども、ハイリスクの人たちに対するワクチンをどうするか。それに対して、今、健康保険がなかなか対応しないという現状の中で、別の仕組みがないかということだと思いますよね。先ほど肺炎球菌のところでも出てきましたが、小児でも高齢者でも、やはりハイリスクの人はPCV13を入れたほうがいいという、医学的には理論があるにもかかわらず、なかなか法律に乗りにくいという部分はあると思うのです。比較的数は少ないけれども非常に重要なところを、行政としてはどこで扱っていくのか、整理が必要だと思います。本当はもう少し健保も対応していいのだろうと前から思っているのですが、なかなかそこの垣根が高いので、こういう予防接種に関する部会のようなところのほうが逆に議論がしやすいのかもしれないとも思っております。以上です。

○倉根部会長 ありがとうございます。ただいま多くの意見が出ましたが、事務局で、現段階で返事ができることはございますか。

○武井健康課長 貴重な御意見、ありがとうございました。先ほど、法の見直しのところでもこの論点が出ていたと思うのですけれども、今日、重要な意見をいただいたと我々は思っておりますので、今後事務局として整理をしてみたいと思いますので、また今後御検討いただきたいと考えております。

○倉根部会長 ありがとうございました。それでは、報告事項については、ここで終わりたいと思います。本日は、準備しましたものに関してはここで終了ですが、事務局から何かございますでしょうか。特にありませんか。

○友永室長補佐 次回の開催につきましては、追って御連絡をさせていただきたいと思います。また、委員、参考人の皆様におかれましては、本日、お手元のタブレットを誤って持ち帰ることのないようにお願いしたいと思っております。事務局からは以上です。

○釜萢委員 伺おうと思って忘れていました。これまでは紙で出たのが、今回こういう形になりましたが、運用上は、これまで公開されていたのは、審議会が終わった後に出ていましたね。今回は、大体どのような時間で公開されるのか、目安を教えていただきたいと思います。

○倉根部会長 この質問に対して、いかがでしょうか。

○藤岡課長補佐 配布資料につきましては、実は事前にホームページに挙げておりまして、皆さん、御覧いただけるようになっています。議事録に関しては、また御相談の上、公開という形で処理させていただきます。

○倉根部会長 特にございませんでしょうか。今日の委員会、非常に活発な議論、貴重な御意見いただきまして、ありがとうございました。それでは、これで本日の第24回予防接種基本方針部会を終了いたします。ありがとうございました。

(了)

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