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2019年12月3日 第12回社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」議事録

社会・援護局

○日時

 令和元年度12月3日(火)16:30~18:50

 

○場所

 TKP新橋カンファレンスセンター ホール15D

○出席者

宮本 (部会長) 朝比奈 (委員)
浦野 (委員) 大西 (委員)
大野 (委員) 岡崎 (委員)
奥田 (委員) 勝部 (委員)
菊池 (委員) 小杉(委員)
佐保 (委員) 生水 (委員)
新保 (委員) 吉田 (委員)
吉濵参考人 (福田委員代理)  
山田参考人 (吉村委員代理)  

○議題

(1)「地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会」(地域共生社会推進検討会)の検討状況について

○議事

 

宮本部会長 定刻になりましたので、ただいまより第12回「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」を開催させていただきます。
大変お久しぶりでございます。委員の皆様におかれましては、気がつくと早いもので師走でございまして、御多忙の折、お集まりいただき、誠にありがとうございます。
本部会は、昨年の12月に、生活困窮者自立支援制度あるいは生活保護法の改正に向けて、報告書を取りまとめました。その折には、皆様、多大な御尽力、誠にありがとうございました。
一連の法改正も昨年6月に実現をいたしまして、順次施行されているところでございます。
しばらく、それから時間は経過しておりますけれども、本日お集まりいただいたのは、現在、厚生労働省で検討が進められております、地域共生社会をめぐる検討会、実は私が座長を務めさせていただいているわけでございますけれども、その取りまとめの段階に入ってまいりました。
地域共生社会のビジョンというのは、言うまでもなく、この生活困窮者自立支援制度あるいは生活保護法等に大変深くかかわる制度改革でございます。
したがって、この段階で、この部会の皆様から御意見を拝聴するということは、欠かすことのできないプロセスになるのかなと思っております。
今日は、ぜひとも忌憚のない、皆様の率直な御意見を存分にお聞かせいただければと
思っております。御協力のほど、よろしくお願いをいたします。
まず、事務局の方から新たに就任された委員の方の御紹介をいただくと、また事務局のほうにも、いろいろ人事の交代等があるように承っております。そのあたりの説明もお願いをしたいと思います。
よろしくお願いをいたします。
○岡河課長 地域福祉課長の岡河でございます。
私より委員の異動について御紹介をさせていただきます。
前回の平成29年12月の第11回の開催以降、石橋委員、平川委員、松井委員が退任をされまして、新たに佐保委員、吉田委員、吉村委員が任命されております。
佐保委員、吉田委員におかれましては、それぞれ順に、一言御挨拶をいただければ幸いでございます。
よろしくお願いいたします。
○佐保委員 連合で総合政策推進局長をしております、佐保といいます。どうぞよろしくお願いいたします。
○吉田委員 全国町村会から参りました、広島県坂町の町長の吉田でございます。よろしくお願いいたします。
○岡河課長 続きまして、本日の委員の出欠状況について申し上げます。
本日は、岡部委員、駒村委員、竹田委員、松本委員、渡辺委員より御欠席の御連絡をいただいております。
なお、福田委員の代理といたしまして、川崎市健康福祉局生活保護自立支援室担当課長の吉濱参考人に、吉村委員の代理として、大阪府福祉部地域福祉推進室地域福祉課長の山田参考人に御出席をいただいております。
次に、前回の部会以降、事務局に人事異動がございましたので、事務局から紹介をさせていただきたいと思います。
社会・援護局総務課長の高橋でございます。
保護本課長の梶野でございます。
保護課保護事業室長の西澤でございます。
地域福祉課生活困窮者自立支援室長の吉田でございます。
○宮本部会長 新しい委員、それから事務局の新しい顔ぶれの御紹介をありがとうございました。
カメラのほうは、ここで退室ということになりますので、よろしくお願いをいたします。
議事に入ります前に、資料の確認ということになります。
事務局のほうから資料の確認をお願いします。
○岡河課長 ありがとうございます。
本日の会議は、ペーパーレスでの開催ということでございます。
各席、お座席のほうにタブレットを1台ずつ御用意させていただいております。お手元のタブレットに事務局からの提出資料といたしまして、議事次第、座席表、資料の1-1といたしまして「『地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会』(地域共生社会推進検討会)の検討状況について」。
資料の1-2といたしまして「地域共生社会推進検討会 最終取りまとめ(素案)」。
「委員提出資料」といたしまして、参考資料1、菊池委員御ご提出資料。
最後に、参考資料2といたしまして「委員名簿」を保存させていただいております。
お手元のタブレットの御確認をお願いしたいと思います。御不備等ありますでしょうか。大丈夫でしょうか。
なお、紙媒体の資料も机上に置かせていただいておりますので、これも適宜御参照いただけましたらと思っております。
○宮本部会長 ありがとうございます。
それでは、早速、議事に入らせていただきます。
まず、今、御案内のあった資料についてですけれども、事務局のほうからまとめて御説明をお願いいたします。
○吉田室長 失礼いたします。生活困窮者自立支援室長でございます。
資料1-1で「『地域共生社会に向けた包括的支援と多様な参加・協働の推進に関する検討会』(地域共生社会推進検討会)の検討状況について」という資料を、まず、ごらんください。
先ほど部会長からも御説明いただきましたとおり、地域共生社会推進検討会の御議論をいただいているところです。
その検討状況、議論の状況について、大まかに資料の1-1で御説明をさせていただきます。
また、あわせて11月18日に検討会の中で、最終取りまとめの素案というのを出させていただいています。それが資料の1-2にございます。資料1-1に引き続きまして、その資料についても御説明をさせていただこうと思っております。
資料1-1の1ページをごらんください。
皆さん、よく御案内だとは思いますが、地域共生社会について厚労省としては施策を推進しているというところです。
上の括弧にも書いておりますが、制度分野ごとの縦割りを超えていく、また、支え手、受け手という関係性を超えていくというような中で、住民一人一人の暮らしと生きがい、地域をともにつくっていく社会、誰もが役割とか、生きがいを持つ社会の醸成を進めていこうということで取り組みを進めているところです。
2ページ目のところに、これまでの取り組みの経緯というのが掲載しております。後ほどごらんください。
3ページ目でございます。
具体的な政策の流れとして、1つポイントとなりますのが、前回の介護保険法改正の中で、社会福祉法を改正してございます。
その中で、地域福祉の推進の理念を規定するとともに、2の部分ですが、市町村が包括的な支援体制づくりに努める旨を新たに規定してございます。
この規定に基づいて、市町村で、今、取り組みを進めていただいているところになります。
欄外、※の1つ目でございますが「附則において」とございます。法律の公布後3年後を目途として、全国的に整備するための方策について検討を加え、必要があるときには、その結果に基づいて所要の措置を講ずるというような規定が設けられているところでございます。
こういう規定もあるということで検討会のほうで御議論をいただいているところです。
4ページ目をごらんください。
今の法律改正と相前後する形で、モデル事業のほうを取り組んでいただいてございます。市町村から手挙げをいただいて推進していただく事業として取り組んでいただいていまして、今、約200自治体の自治体の皆さんに、包括的支援体制構築に向けた取り組みを進めていただいているところです。
住民に身近な圏域で地域づくりを進めていくというようなこととか、市町村圏域において、縦割りを排して総合的な相談支援体制をつくっていく。主にこのような内容について、市町村、地域の実情に応じた形で取り組みを進めていただいているところでございます。
このモデル事業の中などから、先進的な取り組みも出てきているところでございます。
具体的に、今日の資料の中では、秋田県小坂町と三重県名張市の例を掲載させていただいています。
小坂町につきましては、人口5,000人を行かないような小さな自治体でございます。その中で「まるねっと」という、多世代に対応するワンストップ窓口をつくられているというようなところでございます。
三重県名張市のほうは、人口10万人をいかないような自治体でございます。7万人ぐらいだったと思いますが、その中で、地域の身近なところで、まちの保健室というのをつくられて、専門職の方々が相談を受けられるというようなこと。
あわせて、市役所バックアップ体制として、市役所のほうに、児童、困窮、障害、教育委員会、地域包括支援センターに、通常の職員さんに加えまして、エリアディレクターという縦割りを排して横のつなぎをしていくような職員の方を新たに配置していただきまして、まちの保健室のバックアップ連携を進めているというようなところです。
あわせて、こちらにおいては、住民が運営されるような地域づくり組織も活発に活動されていて、まちの保健室と相まって地域づくりを進めていただいているというようなところです。
6ページ目でございますが、このような熱心に取り組んでいただいている自治体がある中ですけども、一方で、補助金などは制度に基づいて支出されているところです。
介護、障害、子供、生活困窮といったような形で、それぞれの各制度から、それぞれされているというようなところで、その中で会計検査院において、いろいろと御指摘をいただくというケースもあるというふうに、実際のヒアリングから聞いてございます。
具体的には、例えばB市であれば、タイムスタディをやって、補助金の案分をしていくというようなことで、非常に熱心にやられている自治体ほど手間がかかっている状況にあるというような状況です。
7ページ目で、国としても、そのような状況も踏まえて、通知なども出させていただいているところですが、もう一方というようなところで、今、検討を進めているところでございます。
9ページ目が、先ほど部会長からも御紹介いただきました、検討会の概要の紙でございます。
2の「主な検討項目」のところに記載してございますが、先ほど申し上げた社会福祉法につきまして、市町村における包括的な支援体制の整備のあり方などについて、法改正も念頭に御議論をいただいているというような状況でございます。
開催経緯、開催状況については、4のところに書かせていただいています。
10ページ目は、夏の段階で中間取りまとめとしてまとめさせていただいたときの概要でございます。
全ては申し上げませんが、例えば重要なところで申し上げますと、福祉政策の新たなアプローチというようなところで、社会的孤立など、いろいろとその生きづらさリスクを抱えられている方がふえている、それも多様化、複雑化しているというような状況を踏まえますと、一人一人の生きるということが尊重され、複雑かつ多様な問題を抱えながらも、社会との多様なかかわりを基礎として、自立的に生きるを継続していくことを支援する機能、そういうものの強化が求められているのではないかということ。
それに関して、専門職の方による伴走支援で、地域や社会に個人をつなぎ戻していく、包摂していくというような観点とか、地域社会に多様なつながりを生まれやすくするための環境整備。こういうものを進めていく、そういうことを通じて地域における重層的なセーフティーネットをつくっていくというようなことが必要ではないかということ。
3つ目の○ですけども、従来の具体的な課題解決を目的とするアプローチ、これは非常に重要で、これまでも課題解決につながってきたわけですけども、それに加えまして、つながり続けることを目的とするアプローチの機能の充実というのも必要なのではないかというようなことも、御指摘をいただいているところです。
こういう基本的な考え方を踏まえて、具体的な対応の方向性、少し制度改正にまつわるような議論もいただいているところです。
具体的な中身につきましては少し飛ばしていただきまして、14ページをごらんください。
「新たな包括的な支援の機能等について」ということで書かせていただいています。
今、申し上げたとおり、御家庭で複合化した課題とか、複雑化した課題を抱えられていることが多くなってきてございます。そういうものにしっかりと対応できるように、こういう包括的な支援体制を市町村において組んでいただくということを考えてございます。
具体的には3つの支援、1、断らない相談支援、2、社会とのつながりや参加の支援を進める参加支援、3目で、地域づくりに向けた支援というので、この3つの支援を一体的に提供していく、こういうような事業を構築していってはどうかという御提案をいただいているところです。
上の四角の2つ目の四角の中に書いていますが、具体的にはアウトリーチを含む早期の支援でありますとか、本人・世帯を包括的に受けとめる支援、また、その地域とのつながり、関係づくりを行っていくような支援、そういうものが重要ではないかというようなことも言っていただいているところです。
15ページ目に進みます。
新たな事業の枠組みというところで、1つ目の矢印のところは、今、申し上げたことですが、2つ目のところは、この事業を創設していくべきではないかと御提案いただいている事業について、市町村の手挙げに基づく任意事業としてはどうかということを言っていただいています。
2つ目ですが、費用のところですが、市町村の支弁の規定、また、国等による補助の規定を新設しつつ、4つ目の矢印です。
新たな事業に係る一本の補助要綱をつくり、今、制度別に流れているお金について、各種支援が一体的に実施されるようなことを推進していってはどうかというような御指摘をいただいてございます。
16ページ目に、新たな事業の全体像なども示させていただいていまして、特に新というマークがついているようなところが、今回の事業の中で、3つの支援を一体的に市町村においてやっていただくわけですけども、国として新たな機能として、しっかりと整備をしていかないといけないというようなところで考えているものでございます。
具体的には、アウトリーチなど、その支援の窓口になかなか来られない方もいらっしゃいます。こちらから、その支援を届けるというような観点からアウトリーチによる支援というのを、しっかりとできるような、そういう機能を強化していこうというようなことです。
真ん中の青い人のマークのところに新と書いていますが、他機関協働の中核の機能ということで、相談支援の関係者につないでいったり、また参加支援につないでいったりというような形で、多機関の間の調整をとるような機能を充実させていくことが必要ではないかということ。
あと、参加支援のところで狭間のニーズにも対応するというようなところも求められてございますので、そういう機能も強化していく必要があるのではないかという御提案、御指摘をいただいているところです。
17ページからは、ちょっと事例が続きますので後でごらんください。
20ページが、今、申し上げたようなものを、より図示したというか、図式化したものでございます。
新たな事業の枠組みと整理させていただいていますが、断らない相談支援については、左上ですけども、各制度の補助等について一体的に執行していくということで、属性や世代を問わない相談が実現できるようにしていこうとしてございます。
新と書いてあるところで、多機関協働の中核とか、専門職による伴走支援をしていこうというようなところです。
参加支援のところは、既存の制度をうまく使いつつということですけども、既存制度では利用できる資源が存在しない狭間のニーズに対して、市町村が柔軟に事業を組み立てて実施できるようにしていこうということを考えてございます。
地域づくりに向けた支援については、これも制度ごとに補助事業がございます。それを一体的に行う事業としていきたいと考えてございまして、具体的にはコーディネートの機能と、居場所の確保の機能というのを一体化することを通じて確保していきたいというふうに考えてございます。
細かい詳細などは、後ろもつけてございますので、適宜御参照いただければと思います。
引き続いて、資料1-2のほうに移っていければと思います。
今、申し上げたのが大枠というような形で、検討会の議論を踏まえて最終取りまとめの素案を11月の半ばに出させていただいています。
それをベースに、資料の1-2について御説明をさせていただければと思います。
目次は「地域共生社会の理念と検討の経緯」「福祉政策の新たなアプローチ」「包括的な支援体制の整備の在り方」「包括的支援体制の整備促進のための基盤」「終わりに」という形にしてございます。
かいつまんで御説明しますが、1ページ目でございます。
「地域共生社会の理念と検討の経緯」というようなことで、これは今までずっと申し上げてきているところです。
分野ごとの専門的な支援が提供されるようになってきたところですが、例えば3つ目の○で、個人や世帯が抱える生きづらさやリスクが複雑化・多様化していくということで、ダブルケアとか8050世帯の問題などを例示として挙げさせていただいています。
4つ目の○で、これらの課題というのは、誰でも起こり得る社会的なリスクというようなところなのですけども、支援の現場においては、このような対応に苦慮している様子が見てとることができるというようなことで説明をさせていただいています。
そういう中で、1ページ目から2ページ目にかけて、先ほど申し上げたような地域共生社会の理念というのを、我々として掲げ、取り組みを進めてきているというようなところです。
具体的には3つ目の○で、一人一人異なるニーズに応え、生きていく力を高めながら支えていくという考え方ですと、もちろん検討会の中では、福祉政策を中心に御議論いただいていますが、それだけでとどまるものではなくて、社会保障領域、また、対人支援領域にもわたるというようなところです。
その下の○では、さらに、そういう社会保障の領域も超えてということで、他省庁がやられている地方創生とか、まちづくりとか、さまざまな分野にも影響があるというようなことで、そういうところとの施策との連携というのも求められるであろうということが言われてございます。
2ページ目からの検討の経緯のところでございますが、2ページ目の一番の下の○で申し上げますと、地域包括ケアシステム、また、生活困窮者自立支援制度などにおいて、必要な支援を包括的に提供するというような施策が進んでいるというようなことで、経緯として書かせていただいています。
3ページ目の1つ目の○でございますが、特に困窮の制度におきましては、自立相談支援機関による個別的かつ包括的な相談支援を軸とした実践が進められ、全国的に広がっているというようなところです。
こういうような前提がある中で、その下の○ですが、地域共生社会という理念が示す包摂的な社会像については、地道で継続的なものになりますというようなことを申し上げつつ、今、申し上げたような対人支援領域における包括的支援と地域支援を総合的に推進するという政策的な流れを確かなものとする観点から、申し上げたとおり、地域共生社会の実現というのを基本コンセプトとして掲げて、取り組みを進めてきているというようなところです。
先ほど申し上げたとおり、社会福祉法の改正から、モデル事業についてなどなど、御説明をさせていただいているところです。
こういう経緯がありまして5ページ目ですけども、その中で福祉政策の新たなアプローチというようなところです。
先ほど、中間取りまとめの概要のところでも少し申し上げたことともかぶりますが、対人支援における今後求められるアプローチとしては、3つ目の○で、具体的な課題解決を目指すアプローチとつながり続けることを目指すアプローチ。2つが支援の両輪として組み合わさっていくところが必要だというようなことです。
特に1つ飛んで下から2つ目の○ですけども、つながり続けることを目指すアプローチ、伴走型支援については、生きづらさの背景が明らかにない場合とか、8050の問題など、そういう場合に有効であるというようなことを御指摘いただいています。
5ページ目の一番下の○で、今、申し上げた、つながり続けることを目指すアプローチを具体化する取り組みを強化していく必要があるというようなことでございます。
6ページ目でございます。
重層的なセーフティーネットの構築について論じているところでございます。
今、申し上げたような伴走型支援を機能させていくためには、専門職による伴走型支援と、地域の居場所などにおける、さまざまな活動を通じた日常の暮らしの中で行われる支え合いや、緩やかな見守りといったようなことを、地域の中でやる見守りという感じですが、そういう双方の視点が重要だというようなことを御指摘いただいていまして、これらが重層的なセーフティーネットにつながっていくものだというような御指摘をいただいております。
少し飛びまして、8ページ目でございます。
「包括的な支援体制の整備の在り方」ということで、事業の枠組み等についてというところで、1として整理をさせていただいています。
事業の概略というか、概要を整理した部分というふうに捉えていただければいいかなと思います。
1つ目の○で、先ほどから申し上げている断らない相談支援、参加支援、地域づくりに向けた支援というのを、一体的に取り組む事業を創設するべきであるというようなことを言っていただいているところです。
3つ目の○などで、一体的に支援を展開することの具体的な効果なども書いていますが、地域づくりに向けた支援の中で人と人とのつながりが生まれて、住民さんの気づきが生まれ、断らない相談支援、早期につながりやすくなるとか、断らない相談支援の中で浮かび上がったニーズについて、既存の地域資源を活用して社会参加の推進や一時的な住まいの確保、オーダーメードの支援が実現する、そういうような効果が期待できるのではないかというような、まとめもしていただいています。
9ページ目でございます。
1つ目の○で、新たな事業の支援対象者については、本人世帯の属性を問わず、地域社会の孤立など、さまざまな課題を抱える全ての地域住民ということにするというようなことで言っていただいています。
下の注1のところで、生活保護との関係も書かせていただいていますが、生活困窮者自立支援制度においては、生活保護を受給されている方は、原則その支援の対象外になっているわけですけども、新たな事業においては、生活保護を受給していても、支援の必要があると判断される場合には、当然に事業の利用が可能となるというような整理もいただいているところです。
戻っていただいて、9ページ目の2つ目の○です。
この市町村が新たな事業を実施するに当たっては、圏域とか、会議体の設置につきましては市町村の裁量を発揮しやすい仕組みとする必要があるというようなこと。
その下の○におきましては、市町村が柔軟に包括的な支援体制を構築できるように、国の財政支援については一本の補助要綱に基づいて、制度別に設けられた財政支援を一体的に進めていく、一体的な実施を促進していく必要があるというようなことも言っていただいているところです。
9ページ目の下から、3つの支援と申し上げていますが、それぞれの支援について詳細を書かせていただいています。
断らない相談支援で、まず始まってございますが、10ページ目をごらんください。
いろいろと状況を書きつつというところですが、中段のところで(2)の「具体的なスキーム」というところで、具体的な機能としては、属性にかかわらず地域のさまざまな相談を受けとめ、みずから対応また関係機関につなぐ機能であるとか、多機関協働の中核の機能、先ほど強化していくと申し上げた機能です。
「さらに」ということで、支援に時間を要する方や、1人では相談支援機関の窓口まで来ることができない方、そういう方の対応のために、継続的につながり続ける支援を中心的に担う機能が求められる。
この3つの機能が必要であるというような御指摘をいただいているところです。
11ページ目の一番上のほうに、特に上記マル2及びマル3の機能を強化していくことが求められると書いていただいています。
11ページ目の2つ目の○で、断らない相談支援体制については、特定の相談機関や窓口が全てを丸抱えするのではなくて、適切に多機関協働を進めて、市町村全体でチームによる支援をしていくということが重要だというような御指摘もいただいているところです。
12ページ目のところに移っていただいて、財政支援については、先ほど申し上げたとおり、必要な経費について一括して交付をしていくというようなことを、2つ目の○で書いてございまして、その下の○で、対象となる事業、生活困窮でいうと、自立相談支援事業、福祉事務所道未設置町村におかれては、自立相談支援事業にかわって一次相談支援を対象とすることが想定されるというふうに書いていただいています。
12ページ目で多様な主体との連携というようなところですけども、多機関との連携が重要だということが書いてございまして、(3)の下から2つ目の○においては、連携先として保健、医療、福祉、教育、司法、消費者相談等の支援関係者との連携を図っていって、多職種連携、幅広いネットワークを構築して支援していく必要があると記載されてございます。
13ページ目です。
2つ目の支援になります、参加支援について論じております。
14ページ目をごらんください。
具体的なスキームですが、ここは既存の属性ごとの制度では社会につながることが難しい方について、本人世帯の状態に合わせた支援が求められるというようなことで、参加支援については市町村が、それぞれの地域の実情に合わせて構築することができるようにすべきであるというところです。
その下の○で、具体的に書いてございますが、既存の社会資源を狭間のニーズにも対応できるように機能拡充していくということで、例示として、生活困窮者自立支援制度における機能拡充の例を書いてございます。
就労体験の場に、経済的な困窮状態にない世帯の引きこもりの方を受け入れるとか、個人商店などに、中間的就労の場として受け入れを行っていただくとかというようなことを想定しているところでございます。
その下の○で、市町村において、既存の社会資源に働きかけ、また対象者との間を取り持つような機能、継続的に支援する機能が求められるというところです。
あわせて一番下の○ですけども、これも困窮の制度について書いていますが、民間企業さんがその就労体験を受け入れるケースにおいて、受け入れのための費用を補助するような取り組みが行われているケースがございます。
こういうような取り組みを拡張するなど、参加支援に携わることのハードルを下げていく仕組みについても検討すべきだというようなことを、整理していただいています。
15ページ目でございます。
財政支援のところですが、今申し上げた経費、支援対象者と社会資源との間を取り持つ支援機能などについて、財政支援を行うことを検討すべきというところです。
その下の○で、既存の属性ごとの支援、生活困窮はもちろんのこと、介護、障害、子供、それぞれの分野で社会参加に向けた支援に当たるもの、給付のサービスなどもございますが、そういうようなものがあるわけでございます。
そういう中につきましては、この部分については補助金の一体的な交付は行わないが、支援としては、一連のものとして密接に行う必要があると整理させていただいています。
15ページ目から3つ目の支援、地域づくりに向けた支援について記載してございます。
16ページ目の一番下まで飛んでいただいて、一番下の○ですが、地域の中で多様な参加の場や居場所を確保するための支援が必要ですということで、具体的には、地域づくりを応援するコーディネート機能が必要であるというようなこと。
この機能につきましては、個別の活動や人のコーディネートと地域のプラットフォームの2つの基本に構成されると整理されています。
17ページ目で具体的なスキームですが、以下の2つの内容をセットとして実施すべきということで、場や居場所の確保に向けた支援でありますとか、コーディネート機能についてセットで事業実施していくべきというようなことを整理してございます。
それぞれの効果を、その下に書いてございますが、居場所の確保に向けた支援につきましては、属性ごとの居場所というのは重要であると、同様の悩みは重いといった前提を共有している方が集まってくる、そういう安心感があるので、そういう既存の属性ごとのものも多様に存在していくことが必要です。
「一方で」ということで、今回の新たな事業の中で、地域住民同士の関係性が多様に広がっていくことを促すために、世代や属性を超えて住民同士が交流できるような場、居場所を整備できるような仕組みを導入すべきであるというようなことも、あわせて言っていただいているところです。
18ページですが「コーディネート機能について」というところです。
1つ目の○で、コーディネート機能を確保しなければいけないわけですけども、それが確保されることを通じて、地域づくりの関心のある方がプラットフォームに集まり、コーディネーターと連携することで、結びつきのなかった人と人とがつながって、新たな参加の場が生まれやすくなるというようなことです。
19ページをごらんください。
少し飛びますが、財政支援、一番上のところですが、今、申し上げている2つの機能については、必要な経費に対して一括して交付することを検討すべきであるとしていただいて言っています。
その下の○で対象となる事業を整理してございますが、困窮で言いますと、生活困窮者のための共助の基盤づくり事業というのがございます。
それを一括交付の対象としていってはどうかというようなことでございます。
20ページに飛んでいただければと思います。
「市町村における体制構築の際のプロセスと留意すべき点」というところで、市町村の手挙げの事業でございます、プロセスが重要だという御議論をいただいてございまして、事業構築、包括的支援体制の構築に向けて、いろいろとしっかりと検討していく、そういうプロセスを重視していこう、また事業実施後も、そういうものを重んじていこうということを記載いただいています。
例えば1つ目の○で言いますと、地域住民と関係機関等が議論をしながら、その共通認識を持ちながら取り組みを進めるべきであるというようなこととか、また、4つ目の○とかですけれども、これは事業実施後のことが書かれていますが、住民、また関係機関等とともに、振り返りや議論を繰り返し行って、事業実施状況を定期的に分析、評価、改善していくというようなことで、評価に際しては「例えば」ということで、包括的な支援体制が円滑に提供されているか、1つの相談機関に過剰な負担が生じていないか、一体的になされた財政支援が適切に配分されているかなど、幅広い視点について検討するというようなことで、必要に応じて、一度整備した組織体制についても試行錯誤しながら改善していくというようなことも記載していただいているところです。
21ページ目です。
今のようなプロセスがあってということですけども、6のところですが「各制度から拠出する際の基本的な考え方」ということで、既存制度、高齢、障害、子供、生活困窮の各制度の補助について、一体的な執行していくというようなところの仕組みとするというところです。
その中で、2つ目の○ですけども、既存各制度における基準額、補助率が異なりますので、その詳細、積み上げ方とか配分方法の詳細については検討を行う必要がありますが、拠出が特定の制度に偏らないというようなこととか、機械的な方法による案分とするべきだというような御意見、また交付水準を保つべきであるといった御意見を、検討会の中ではいただいているところです。
22ページ目です。
ここら辺からは、整備のため、促進のための基盤ということで、人材の育成や確保について掲載されてございます。
1つ目の○で、包括的支援に携わる人の支援の質を担保するというようなことが、事業のかなめですというようなことで、人材の育成確保に向けた環境整備を図る必要があるというふうに書いてございまして、その下の○からは、3つの支援、断らない相談支援、参加支援、地域づくりに向けた支援で、それぞれどういうことが必要か、どういうスキル、どういうノウハウが必要かということを整理いただいています。
その下、自治体の人材の育成・確保のところですけれども、市町村の裁量性を持った事業というようなところですので、自治体の人員、人材の育成、特に市町村ですが、その人材の育成の視点というのが重要だということで記載いただいています。
1つ目の○で、福祉の部門だけではなく、職員全体に対して研修をしていくとか、全ての職員が定期的に包括的支援体制について学ぶといった工夫も有効であるというようなことも記載いただいています。
23ページに飛んでいただいて「地域福祉計画等について」のところです。
プロセスが重要だと言っております関係もあり、地域福祉計画についても記載事項とするというような整理をいただいているところです。
その下の○で「計画の策定を通じて」と書いてございますが、意見交換を重ねていくというようなこと、またここでも共通認識を醸成していくというようなことが重要というところで、それは事業の実施状況の分析評価というようなことも、定期的にやっていくことになるというところです。
今は市町村のことを申し上げていますが、3つ目の○で都道府県も同じふうに記載事項とすべきというようなことで御提言いただいているところです。
24ページをごらんください。
「会議体について」ということで、包括的な支援体制、各分野の専門職が集まるというようなところですので、情報共有とか協議を行う会議体の機能が重要だというようなことでございます。
2つ目の○で、一方で、既存の会議体などがあることを十分に留意して有効活用していきましょうというようなことが書かれてございます。
24ページの「4 国及び都道府県の役割」というところですが、まず、都道府県の役割として、3つポツで整理をしてございます。
市町村における包括的支援体制の構築の取り組みの支援でありますとか、人材育成ネットワークづくり、また広域での支援や調整が求められる地域課題への対応、こういうような役割を果たしていただく必要があるかなと思っております。
24ページの下の3つぐらいの○が、それぞれ具体的な都道府県にやっていただきたい内容というのが整理されているところです。
25ページ目の2つ目の○で、小規模自治体のことが書かれてございます。
国や都道府県によるきめ細かな支援が必要だというようなことで、特に参加支援のところについては市町村と意見交換をしながら、事業の共同実施の調整でありますとか、事業の実施の委託の調整等、サポートを積極的に行う必要があるというようなことを言っていただいているところです。
下から2つ目の○につきましては、国の役割ということで、SNS等を活用した相談が、国みずからやるということに加えまして、研修カリキュラム教材の作成でありますとか、まさしくブロック会議等を通じた研修、人材育成の推進でありますとか、市町村へ職員を派遣するでありますとか、体制構築に関する事例の分析、共有などが挙げられるだろうというところです。
最後の○で、市町村の状況はまちまちですので、実際に足を運んで、その状況の把握に努めるとともに、市町村が必要としている支援を柔軟に提供していくという観点も必要だというようなことを整理いただいているところです。
少し長くなりましたが、地域共生社会推進に向けた検討の経緯の部分と、また、今、御議論いただいていて、取りまとめの素案という形で出していただいている部分について御説明をさせていただきました。
以上でございます。
○宮本部会長 松本委員からの資料等について、室長のほうから御紹介があるということだと思いますが。
○吉田室長 まず、委員参考資料として出していただいています。きょうは御出席ですが、菊地委員のほうから「相談支援体制の整備の理念」という資料を出していただいています。後ほど、触れていただければと思います。
あと、本日は御欠席ですが、松本委員から御意見を頂戴しておりますので、私のほうから御紹介をさせていただきます。
御意見としては、報告書素案では、断らない相談支援の部分などに医療との連携について記載がなされており、評価できる。
また、地域づくりの部分においては、かかりつけの役割も積極的に位置づけていただいているというところです。
さらにということで、資料1-1のP16の絵などにも医療が入ると、なおよいと考えているというようなことで、御意見を頂戴してございます。
○宮本部会長 ありがとうございました。
それでは、議論に入って参りたいと思います。
先ほど率直な御意見をというふうに申し上げましたけれども、当然私としては、この改革は大変大事な改革だと思っておりますが、同時に、心配される点も決して少なくはないのかもしれないと思ってございます。こうした制度の可能性を最大限に引き出して、同時に問題点を封印していくためにこそ、きょうの議論は重要であろうと思っております。何とぞ、よろしくお願いをいたします。
さて、いかがでしょうか。
岡﨑委員から、どうぞ。
○岡﨑委員 少し高知市で取り組んでいる内容も含めて、意見として申し上げたいと思います。どの絵で説明しようかなと思っていましたけれども、24ページ、これは資料1-1の24ページ、これは1つのプラットフォームの形を目指す方向での図ですけれども、自分も首長なので、4年ごとにある意味選挙がありまして、4年ごとに地域をくまなく回りますので、社会的な変化がよくわかります。
今年、実は先週日曜日まで選挙をやったので、ずっと市内をくまなく回って、一番よく気がついたのは、この4年間の間に、いわゆるデイサービス系の事業所がかなりできているということが、すごく目につきました。
自分が見た感じで言うと、高知市内におけるコンビニの数より、こういうデイサービス系の事業者の数が多いと自分は認識をしたような感じです。
そうすると、恐らく地域住民の方々からすると、どこにどういう関係のデイサービスの事業があるかとか、それから子育ての事業所があるかとか、例えば、子供食堂も相当広がっていますので、子供食堂も多分高知市内でも30ヶ所以上やっていると思うので、一覧性の情報がないのですね。
例えば、自分の近くにどういう子育ての支援のNPOがあって、何曜日にどういうサービスを何時までやっているか、こういう一覧性の情報が全体としてないので、高知市出身のカシオさんと一緒になって、全ての地域の、こういう地域福祉にかかわるデータを、今、落とし込んでいます。
全国的に見ても単発ではあるようなのですけれども、例えば、高齢者の支援のサービス事業とか、単発ではあるらしいのですけれども、地域全体、特に市町村行政は面なので、点ではなくて面行政なので、全ての地域福祉にかかわるような事業所、NPO等のデータを、今、全部落とし込んでいまして、来年の3月から、それが運用できるようになります。
当然パソコンからも検索できますし、若い方々はスマートフォンで全て検索するので、レストランを探すような食べログとか、ああいうようなものの地域福祉版が、来年の3月から運用できるようになりますので、そういう視点がまず1つ要るかなと思います。
プラットフォームで、すごくいろんなNPOもふえていますけど、一覧性で検索できるものがないので、そういうものが多分要るだろうということで、今つくり込んでいますので、カシオさんも全部落とし込んだのは、多分、日本で初めてだと言われていますので、そういうものを、まず、つくり込んでいるということがあります。
もう一つ、「断らない相談」ということがベースにはなっていますが、例えば地域住民からすると、わざわざ市役所まで出向いて、もしくは社会福祉協議会まで出向いて相談するのは、ちょっとハードルが高い部分が多分あると思います。ちょっと行きにくいかなと。
それで、地域の小学校区で気軽にいろんな相談、健康、それから地域に、1人で困っているおばあちゃんがいるとかということを、小学校区ぐらいが一番相談しやすいので、基本的には全部の小学校区に、そういう気軽に相談できる窓口をつくろうと思っています。とりあえず、各地域の薬局が非常に協力的なので、薬局・薬剤師会の御協力いただいて、今年度、5カ所で薬局を窓口とした、我々「ほおっちょけん」という犬のマスコットまでつくっていますけれども、放っておけないということですけれども「ほおっちょけん」相談窓口という仮称の名称をつけているのですが、今年度は、まず各小学校区に5カ所においてオープンをしました。
最終的には、市内の小学校区40校区ぐらいまで、全部つなげていこうということにしています。
切り口は、名張の地域保健システムは非常に有名ですけれども、やはり市役所に相談に行くとか、社協に相談に行くというのはちょっとハードルが高いので、1つの取り組みとして、そういうものをやっていこうかなということで、また、参考にしていただければということで申し上げておきたいと思います。
それから、補助金、これは総合補助金的なものなのですが、使い勝手のいい補助金というのは市町村も歓迎なのですが、よく言われますように、総合補助金でまとめてしまうと、これは対財務省対策なのですが、逆に言うと、一定の、のりしろを切られやすいので、これは厚生労働省の方々もよくわかっていると思いますけれども、総合補助金で、使い方のいい補助金にするというのは、多分そういう流れになると思いますけれども、逆に切られやすくならないようにということは、これまでもいろいろ経験がありますので、そこはまた気をつけておいていただきたいということでございます。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。
最終的な報告書をつくっている検討会ではございませんので、細かい修文をこの部会に諮るわけにはいかないのですけれども、大体皆さんの御意見が報告書のどの辺りの議論に相当するかということについては当たりをつけておいてもいいのかなと思っております。
今、岡﨑委員から3点ございましたけれども、1点目、面として利用できるサービスの情報を展開するというのは、例えば、報告書でも結構ですし、資料でも結構です。どのあたりを少し拡充していくということになるか、もし、考えがおありでしたら教えてください。
○岡﨑委員 行政全般、各省庁にわたって見える化という言葉が、今、かなり使われるようになったと思います。
書かれている内容に対して云々ではないのですが、実際に言うと、きょうも多くのNPOの方々がたくさん来られていますし、NPOの方々が、いろんなところで、いろんな事業をやられていますし、また、デイサービス系の事業とか、子育て支援の事業がそれぞれあるので、それが地域の人からすると見えていないのです。よく行政の方々は見える化と言うけれども、見えていないので、それを見えるようにするという視点は、多分、これから充実すればするほど、要ると思います。
どこに入れるかというのは、多分、もう少し精査しないといけないと思いますが、例えば、素案の1-2の資料でいうと、5ページ目のアプローチなのですかね、アプローチをするためには、見える化しないとわからないので、こんなところなのですかね。まだ、ざくっとしか見ていませんので、そういうところも含めてということになるかと思います。
○宮本部会長 ありがとうございました。
2点目、必ずしも断らない相談支援というのは、どこかに決まった究極のワンストップ窓口を据えるということではなくて、まさにコミュニティの問題発見機能というのを充実させていく。これは、恐らく報告書の中身とも一致しているのかなと思います。
3番目、補助金の問題ですけれども、これは、できれば、こうした改革が補助金の使い残しがなく、フルに活用できるような仕組みになっていくのか、今、岡﨑委員が御懸念になったような、のりしろを切られるというような方向をたどってしまうのか、それは、重要な分岐点だと思いますが、後者ではなくて前者に行く上で、何か具体的なアドバイズ等があれば、ぜひ、お示しいただければと思います。
○岡﨑委員 国土交通省の補助金と厚生労働省の補助金と、かなり性格的なものが違うのですけれども、国土交通省も、例えば、下水は下水、河川は河川と、縦割りの補助金でしたけれども、それを社会資本整備補助金という、使いやすいような一括の補助金にしましたけれども、どうしても一括の補助金にすると、枠で査定をされたりしますので、近いのは、国土交通省が総合補助金的のようなものに補助金を一本化した流れが近いのかなと思いますけれども、使い勝手はかなりよくなったと思います。
ただ、全体枠を切られやすい場合もあるので、そこは気をつけたほうがいいということではないかと思います。
○宮本部会長 ありがとうございました。
ほかに、いかがでしょうか。
では、順番からすると、生水委員、勝部委員の順番でよろしいでしょうか。
○生水委員 御説明ありがとうございました。
私のほうから、断らない相談支援について、2点お話しさせてください。
まず、1点目なのですが、説明を聞けば、断らない相談支援の真意、これは、本当によくわかるのです。でも、このネーミングが一人歩きしないように、丁寧に伝えていくことが必要だろうと思います。
例えば、市役所の相談窓口には、お金を貸してほしいという相談がちょこちょこあるのです。どこにも貸してくれないと。市役所には、個人にお金を貸す制度もないし、断るしかないのだけれども、断らない相談と言っているのに、どうしようというジレンマに陥ってしまう相談員がいるかもしれないです。
こういった事例の場合、お金を貸す、貸さないということではなく、なぜ、お金が必要なのかという背景をよく聞き取って、その原因にアプローチしていくことが必要であって、本当の困りごとは、どこにあるのかなということを一緒に考えていく作業と、いろんな部署や関係機関が一緒に協力し支えあう相談体制が、これが断らない相談支援の本来の意味だと思うのです。
現場から、1つ例を紹介しますと、犬がわんわん鳴いてうるさいと、市民生活相談課に苦情相談がありまして、犬の飼い方を指導している環境課につないで、環境課の職員が飼い主を訪問したけれども、実は、犬は老犬で、ワンとも、うんともすんとも言わないと報告があったのです。
そうしたら、犬の鳴き声が聞こえるのはどうだろう、おかしいのではないかということで、自立相談支援機関である市民生活相談官課の相談支援員と環境課の職員が、今度は報告という理由づけで相談者宅を訪問しましたところ、30代の女性が数年ひきこもっているというのがわかりまして、しんどそうな様子に、今度は健康推進課の保健師と相談支援員が一緒に訪問したことで、医療機関につながりまして、結果、自立支援医療制度と福祉サービスの活用で、地域の作業所に通所することになりました。
犬のワンワンという苦情から、地域参加につながっていったのですが、これは、異変に気づき相談をつながれたこと、相談窓口が、最後までかかわり続けたことと、相談窓口だけでは出来ないことも、おせっかいな市役所の庁内連携、地域の協力があるからこそ、地域参加が実現できたのだろうと思います。
地域住民に対しての断らない相談支援という話が進んでいますが、地域住民だけではなくて、関係機関からの相談もしっかり受けとめていく断らない相談支援というのが必要であって、その実現のためには、相談体制をしっかりと構築し支える専門職集団である自治体の責任が何よりも重要だと思うのです。だからこそ、自治体の責任についてもしっかりと書き込んでいただければと思います
次に2点目です。どうしても聞きたいことがあるのです。
これは、取りまとめ案の9ページ、1つ目の○です。
先ほどの吉田室長の御説明でもありましたが、新たな事業の支援対象者は、本人、世帯の属性を問わずとありまして、そのページの下の欄に、生活困窮者自立支援制度では、生活保護は対象外であるが、新たな事業においては、生活保護を受給していても、当然、事業の利用が可能となるとあります。
そこで、質問なのですけれども、まず、新たな事業において、生活保護を対象とするのであれば、生活保護を受給中であっても、生活困窮者の定義に含まれるということでしょうか。
それであるならば、御承知のとおり、生活保護受給世帯については、扶助費の計算等を行う給付に関する事務と、自立に向けた支援としてのケースワークがあります。
この文脈で考えると、ケースワークの部分について、新たな事業の断らない相談支援においてかかわることができるようになるという理解でいいのでしょうか。
具体的に言うと、野洲市で、新たな事業の断らない相談、これを市民生活相談課が実地した場合、生活保護のケースワーカーと生活困窮者支援の相談支援員が一緒に生活保護受給者への支援を行うということが可能になるということでの理解でいいのかということを伺いたく思います。
もともと断らない相談支援の本質は、生活困窮者自立支援法そのものだと思っています。
この考え方は、生活困窮者自立支援法の拡充にもつながると思うので、これについて、今後の検討をどのように考えておられるのか、教えていただければと思っております。
私は、必要だと思いますので、以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。
1点目、断らない相談支援の定義です。これをしっかり書き込むということ、これは、しっかりと受けとめなければいけないと思っております。
2点目の問題ですけれども、これは、吉田室長から、また、あわせて、もし、可能であれば、保護課長からも一言いただければと思いますが、まず、吉田室長からお願いいたします。
○吉田室長 ありがとうございます。
御指摘をいただいた、9ページの脚注の記載でございますけども、繰り返しになる部分もございますけども、新たな事業においては、支援の必要性がある方を包括的に受けとめていくというような考え方に立ってございます。
そういう考え方に立てば、生活保護受給者も支援の対象になるというふうに考えてございます。
脚注の中のなお書きで、ケースワーカーさんとの関係というのをまとめていただいていますが、我々のほうでも生活保護のケースワーカーさんと、新たな事業で相談支援に携わる支援員の方々の役割分担とか連携方法、運用に係る詳細については、これからしっかりと検討していかないといけないと思ってございます。
その際には現場の皆さんの御意見なども十分踏まえながら、御意見を伺いながら検討していく必要があるかなと思っています。
少し論点として考えられるかなと思っているのは、申し上げたこととも重なりますけれども、支援とケースワーカーによる支援内容の整理とか役割分担は少し考えないといけないかなと思っていますし、連携する部分もあるのだと思っていますので、支援員とケースワーカーの連携した支援の方法、どういうものがあり得るのかというようなこととか、新しい事業の支援員の方が支援を開始するタイミングと、終結のタイミング、どういう考え方に立ってやっていくのかというようなところとか、そういうさまざまな論点あるかなと思ってございます。
いろいろと現場の方々の御意見いただきながら、そういう部分をより細かく詰めていきたいと、現時点では考えております。
○宮本部会長 ありがとうございました。
1点確認ですけども、生水委員からの質問事項に、これは生活困窮者に生保受給者も、これからは含めて考えていくのかという点ございましたけれども、今、吉田室長から、やや全体として肯定的なお答えでしたけれども、その点、そのように理解してよろしいのでしょうか。
○吉田室長 法的な整理の部分も、もう一段深めなければいけないなと思います。
少し技術的なことを申し上げれば、今回の事業については、社会福祉法の改正の中で規定を設けていきたいと考えてございます。
もちろん生活困窮者自立支援法との関係性というのも出てくるわけですけども、社会福祉法の中では、その地域課が課題を抱えておられる住民さんとかというのが、定義として出てきていたりしますので、そういうようなところには含まれるというようなことにはなると思いますが、つまり、新たな事業の支援対象者については、課題を抱えている住民さんという形で社会福祉法では規定していくということになるとは思いますが、一方で、生活困窮者自立支援法の生活困窮者との関係というところにおいては、既存の整理もありますので、そこはもう一段深めて議論を考えないといけないかなと思っております。
○宮本部会長 ありがとうございました。
梶野課長もお願いできますでしょうか。
○梶野課長 基本的には、吉田室長が説明したとおりだと思いますけれども、生活保護分野でも、生活保護から脱却して、その後、相談が、連携がなかなかできなくてという声は、実際、いろんなところで聞いています。ですから、連携が必要だと。
生活保護の中で相談業務については、今、吉田室長からありましたように、生活保護受給者も対象になるということで、今後は、この注にありますように、ケースワーカーとの役割分担については、今後整理するということ。
それから、生活保護と困窮者法との関係で申し上げると、生活扶助の給付について、他法優先というのがありますけども、相談支援については別の話であると。
ですので、断らない相談支援の中でやられる相談支援については、他法優先とかそういうことは関係なく、一緒にということなのですけども、その中で、生活扶助に当たるような給付みたいなものがあると、そこはちょっと整理が必要になるという、技術的なところですけれども、基本的には、相談は一緒に相談支援の対象になるということで理解をしています。
○宮本部会長 ありがとうございました。
生活困窮者自立支援制度の立ち上げの時期からかかわってきたことを思い返すと、もともとはもっと一体化した制度だったのですけれども、まさに4条の他法優先の問題から、内閣法制局からいろいろ御意見をいただいて、こうした別物になってきたという経緯もございますが、そこは乗り越えられるという見通しでよろしいでしょうか。
○吉田室長 先ほど申し上げたとおり、生活困窮者自立支援法のたてつけとの関係というのは、より整理をしないといけないと思っております。法制局での指摘というようなことで過去の経緯もございますので、その点は、その点として整理をするということですが、繰り返しになりますけれども、社会福祉法の中で、その地域住民さんが相談に来られたときに包括的に受けとめるという規定を設けようと思っております。
その中では、生活保護受給者の方々も対象になってくる。つまり新しい事業の対象者として、生活保護受給者の方々も、相談に来られたら受けとめて必要に応じてつないでいくというようなことで、ほかの方々と同様の対応をしっかりとしていただくということが必要なのではないかと考えております。
○宮本部会長 ありがとうございました。
では、次は勝部委員ですけれども、もし、関連してということであれば、どうぞ。
○岡﨑委員 また、奥田さんからも多分発言があると思いますけれども、9ページの、今、議論になっている、自分も元ケースワーカーなので大体わかるのですけれども、多分、奥田さんなどがずっとやられているのは、自立支援のときに、いろんな方々が集まってチームで支援していて、ただ、生活保護になったときは、ケースワーカーに、簡単に言うと、引き渡されるので、そうすると、ケースワーカー担当になってやるので、そこでチームの支援が切れてしまうという議論は、ずっと長い議論の中でも結構あった大事なポイントだと思います。
問題は、そこではないかと思いますけれども、チーム支援でやっていたものを保護受給になった途端に生保のほうになって、そこでケースワーカーが一人で、その担当をするということで切れてしまうので、それはちょっといかんのではないかという議論は、これまでにもあったので、そこは一つ重要な部分ではないかなと思います。そういう意味です。
○宮本部会長 ありがとうございました。
では、勝部委員、お願いいたします。
○勝部委員 生活困窮者自立支援法がつくられる際も、断らない福祉というふうなことをずっと言い続けて、ついにそういう窓口までできるということで、非常に責任を重く感じております。
全国の生活困窮者支援の窓口にいるワーカーたちは、私たちがこうやって断らない福祉をやってきた、断らない相談をやってきたが、これが、また新たに屋上屋ができるのかという、非常に危惧した気持ちでいます。
要は、断らない相談支援体制整備なのか、いやいや、相談窓口なのかというのは、これは当初と比べますと、大分支援体制というようなイメージに近づいてきたようには思いますが、でも、断らない窓口はつくれという感じのことは、やはり随所に見受けられます。
これをそのまま受けとめると、断らないけれども届かない相談窓口が新たに奥の院にできて、なかなかそこまでたどり着けない人たちがたくさん出てくるのではないかという、これまで、身近なところに敷居を低く、できるだけ、いついつでも相談できる、SOSが出せる地域づくりということで進めてきていたものが、今回の改正によって、後ろに行くことがないようにというのを、非常に強く懸念しています。
そういう意味では、今はやりの一人も取りこぼさないワンチームをつくるというのが、断らない相談整備体制だというふうに考えていますので、住民から、そして、関係機関まで、みんなでそういう体制づくりをしていくという、そういう方向性なのだろうと思います。
そういう意味では、多機関協働の包括的支援体制ということ自体が、まだモデル事業で幾つかのところしか取り組んでいないところで、このままいくと、ますます自治体間格差が広がっていって、相談の体制のいいところに、全国から相談がどんどん集まってくるというふうな事態が、今もなお、あるわけですけれども、これにまた、さらにこういう窓口を幾らかモデルでつくるということになったら、全体の底上げはいつになったらできるのだろうかという、非常に危惧をしています。
今年の5月、6月に起きました、8050さまざまなひきこもり事件の後も、全国から自分の地域ではアウトリーチもない、相談窓口もないということで、多くの方々が悩んでいるという実態がある中で、格差をどうやって是正していくのかというか、全体に標準化していくかということについても、やはり国として、どう考えていくかという、トータルのビジョンというのが必要ではないかなというのを強く思います。
それから、一括交付金です。
これは、私は福祉の三位一体のときのような懸念が非常にあります。これは相談窓口の三位一体になりはしないかと。いろんな相談窓口が、高齢、障害、児童、そして困窮というふうになってきたときに、一般的に言いますと、子供の問題、高齢者の問題、障害者の問題については、それぞれの事業計画があって、それぞれを自治体の責任で推進していくという体制がありますので、自治体の担当者が、それなりにこの事業に対しての自負を持って推進してきているという体制がありますが、困窮に関しては、困窮事業をやるということで、委託をしているというところが大半になってきているという中では、この事業についての大きな方向性や計画を推進していくということについて、自治体の中で、温度差が相当あるのではないかと思った際に、この一括交付金によって、困窮の側の、我々としては、これまでやりにくかったことが、さらに、やりやすくなっていくのではないかという思いもありますが、一方で、昨今の高齢者の介護保険等の予算が厳しいというようなお話も出てきている中で、そうなったときに、やはり声の大きいところにお金がどんどんいってしまうのではないかという、非常に危惧をするわけです。
そもそも、パイがふえるのであれば、何の問題もないのですけれども、パイが変わらずして、それを取り合いしなさいということになったら、これまではお父さんが、3人兄弟の長男には2,000円、次男には1,000円と分けていたものを、そこをやめて、兄弟間で取り合いをしろとか、そこにいとこが入ってくるとか、そういう何かややこしい取り合いになってきた際に、本当に自治体の課長さんたちの力、パワーバランスによって大きく変わるのではないかと。
そう考えれば、一括交付金をどういうふうに交付するかについても、そこに実践者であったり、当事者の方々の意見も反映されたような配分のやり方ができないと、これはなかなか厳しいのではないかなということを思っています。
それから、3点目は、アウトリーチのことです。
これだけ大きな相談を、フロントの設定でつくるのか、後ろで包括化していくのかによっても、全然たてつけが変わってくると思うのですけれども、例えば、ひきこもりの人たちが115万人と、これをアウトリーチしていくという体制を本格的に考えるならば、何人規模の人たちが必要になるのか。これは住民とともに一緒にやっていくという話であったとしても、一定の体制が必要なはずです。
しかも、ふだん会いにくい人たち、土曜日、日曜日しか会えない人、あるいは人とのかかわりに非常に困難がある方々、私も6月から43回訪問している人がいます。彼はやって先週、いろんな課題について自分の言葉で、いろいろ話ができるようになりますが、そういう人に会いに行くということも、相当なスキルと、それから、時間がかかること、それから、1人で本当にみんながいけるのかというふうなことですね。
そう考えますと、どのぐらいの予算規模で、このアウトリーチを考えておられるのかというのも、非常に懸念がありますし、このアウトリーチをする人たちに対する研修であったり、OJTの体制がない中では、これは二次被害を起こしてしまうのではないかという、非常に強い思いがあります。
それから、参加支援、それから地域づくりのところで新たな予算をということ、これは断らないわけですから、それに対するさまざまな支援策をつくることについて、一定の方向性が出たことは非常に歓迎しますが、地域づくりの中で、やはり当事者の人たちとのつながりづくりのようなところが少し弱いように思います。
支援組織と、次にサークル、そういう感じではなくて、やはりマイノリティーの方々のつながりというのは、単なる御近所の中のサロンにぽんと入れるような状況ではないわけですから、当事者支援というふうなコミュニティの考え方も、もう少し例示していただくようなことがないと、当事者で支え合っているところもたくさんあるわけですので、そのあたりがすごく気になりました。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。
今、勝部委員のほうから4点御指摘がございまして、特に1点目ですね、屋上屋を架すというか、それにとどまらず、何か奥の院みたいなものができてしまって、現在、会計検査院にいろいろ邪魔をされながらも奮闘している、包括的な支援の窓口が、いわばB級化してしまうようなことは、ありはしないか。
それから、一括交付金をめぐって声が大きいとこがさらっていくところは、ありはしないか。
あと、アウトリーチの問題、それからピアサポートの問題、いずれも重要だと思いますけども1点目、2点目などは、これは多くの方が御指摘、御懸念されているところでもあるのかなというふうに思っております。
この点にかかわって、もし重なる御意見等ありましたら、今、承った上で議論を進めてまいりたいと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは、いかがでしょう、吉田室長、今の4点の御指摘でございます。
○吉田室長 まず、断らない相談のところで、まさしくおっしゃっていただいたとおりです。私も説明をしましたが、11ページの○の2つ目とかで、特定の相談機関や窓口が丸抱えをするのではないということで、この最終取りまとめ素案でも、いただいているところです。市町村全体でチームによる支援をしていくというようなことで、ここは我々のほうでもしっかりと御説明をしていかないといけない部分かなと思っています。
あわせて、最初の岡﨑委員との指摘にもかかわるかなと思いますが、同じページの圏域についての2つ下の○ぐらいですけれども「大きな方向性としては」と書いていますが、ここは圏域のことを論じている部分ですけども、その地域のさまざまな相談を受けとめ、みずから対応、また、関係機関につなぐ機能については住民の身近な圏域でやっていくというようなことも、大きな方向性として整理をさせていただいています。
そういうものを、住民の身近な圏域である程度受けとめ、多機関協働とか継続的につながり続ける支援については、すぐ上にありますけれども、市町村圏域単位でやっていくというようなことも書いていますので、バックヤードを充実させていくというようなことで、市町村全体で、チームで取り組んでいただくというのが基本かなと思ってございます。
もちろん人口が小さいところで、ワンストップの窓口を立てられるというところも出てくると思います。それを妨げるものではありませんが、基本的には多くの人口を抱えられているところについては、なかなか難しい部分もあると思っておりますので、今、申し上げたようにチームでの支援というのが重要かなと思っております。
一括交付金についての御懸念というようなところもいただいています。それにつきましては、例えば20ページのところで、そのプロセスが重要だというところでいろいろと御説明をさせていただきました。
声の大きいところに配分がいってしまうのではないか、また、自治体の課長さんの力関係でみたいなことも言っていただきました。そういうのはよくないなと我々としても思っております。
そのためにどういうことができるかということを考えてございまして、検討会でもいろいろと御議論いただいたところです。
その中では、地域住民の方々に入っていただくとか、関係機関の皆さん、実践者の方々に入っていただいて、しっかりとビジョンを描いていこう、共通認識を持っていこうというようなことを、繰り返し御意見としていただいたところです。
そういうものを20ページの1つ目の○には書き込んでいますし、同じことを4つ目の○、ここは、先ほども御説明しましたが、評価に際しては、一体的になされた財政支援が適切に配分されているかといったことも、関係者の皆さんとともにしっかりと確認、チェックしていこうというようなことも記載されているところでございます。
しっかりと実践者の方々にも入っていただきながら、この取り組み、市町村の中で、市町村だけではなくて地域住民の方々、実践者の方々、いろんな関係者を巻き込んで考え方を整理していく、また事業を展開していくということが重要です。
そういうことを、報告書の中にも記載させていただいているところです。
あと、アウトリーチについては、言っていただいたとおり、規模の部分は、これから財政当局ともしっかりと調整をしなければいけない部分です。
全ての窓口に人が置けるというと、多分そういうことにはならないと思いますが、いずれにしても、そういう継続的にかかわるような方が新たに配置できるように、しっかりと財政支援ができるように、財政当局との調整を進めていきたいと思ってございます。
あと、研修なども進めていかないといけないというようなところだと思います。これは検討会の議論の射程とは少しずれますが、国としては、生活困窮者の自立支援制度の枠組みの中で、予算要求などもしておりまして、アウトリーチの支援のする方を予算要求するなどの取り組みを並行して進めているところでございます。
それにつきましても、しっかりと検証を進めていくというようなことを考えてございまして、きょう来ていただいて実践者の方々などにも御意見を伺いながら進めるということかなと思っております。
そういう基盤というか、そういう全国的な動きがあるベースの中で、さらにこういうアウトリーチというような機能を付加していく事業を、法定化していく、位置づけていくというようなところですので、そういう動きも横で見ながら、しっかりとこの枠組みの中でも研修が取り組まれるようにしていきたいと考えてございます。
あと、当事者のつながりというところは、おっしゃっていただいたとおり、少し視点が薄いかもしれません。ちょっと何か工夫ができないかというのは考えてみたいと思います。
○宮本部会長 勝部委員、どうぞ。
○勝部委員 新たな事業のイメージのところの16ページのところに、やはり断らない相談窓口という書き方をすると、全国に断らない相談窓口ができるという感じになるわけですね。
それさえつくれば、この事業の補助金がもらえるという感じで、これは窓口ではなく、体制ということをしっかりしていただきたいというのが強い願いです。
私たちコミュニティーソーシャルワーカーが断らない相談をやりだして15年になりました。やはり親の介護のところで相談をしていた人が、息子、娘がひきこもっている状態で、今やっと相談に来たり、それから、母子世帯で、ごみ屋敷状態だった人を、片づけていた人たちが、次の段階で今度は就学援助のところでかかわりが始まったりということで、継続して支援できることで、家族をずっと、また相談に来られる場所に、戻って来られるというふうにはなっているのですが、そのためにも、プロポーザルの数年ごとに、毎回毎回人がかわるようなやり方では、この事業は「人」こそが断らない相談をやり続けていくためのキーになるわけですので、そこの処遇の問題と、継続的にできる体制というところも、幾分抱えていただいておりますが、それは多分、財政レベルのところでは全然違う評価をされていますので、ぜひそこについても、しっかりと庁内的な合意が得られるような体制を、ぜひお願いしたいと思います。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。
私からも1点確認ですけれども、今、吉田室長のほうから断らない相談支援、これはあくまで、先ほど岡﨑委員からもお話のあった、コミュニティ、ここに責任を投げるというのではないのだけれども、ここをしっかり支えることで、そこでの問題発見能力みたいなものと一体化した、そういう点では人造的なものではなくて、自然発生的な、そういうエネルギーを生かすものだと、そういう見方がある一方で、やはり、この報告書素案などに書かれていることというのは、子供、高齢者、障害者、困窮者4つきちんとそろえなければいけないと、これはなかなか力技であるわけですね。かなり自治体の高度なイニシアティブがないとできなくて、そういうところだけが多機関協働の中核や専門職による伴走支援等の補助金が回っていくということになると、さっきのコミュニティをベースにした手づくり感の部分と、断らない相談支援という看板を掲げる上でのハードルの部分というのが、やや乖離をしているようにも見えるわけなのですけれども。
要するにいろいろな窓口がたくさんできることが非常に大切である。これは検討会のほうでも議論が積み上がっているところだと思うのですね。
そういう意味で4つの連携をそろえるということの基準といいますか、そのあたりはどんなふうに我々は受けとめればいいのか、これは検討会でも議論してきているところではありますけれども、今、吉田室長のほうからも御説明をいただくと、こう理解がしやすくなるのかなと思いますが。
○吉田室長 ありがとうございます。
まず、前提として繰り返しになりますけども、今回3つの支援を一体的にやっていくということで、地域づくりに向けた支援というのも充実させていくということで申し上げています。
そこは人と人とのつながりができることによって、気づきの関係性ができてくるということが期待できるのではないか。それは地域に丸投げするということではないわけですけども、そういうところと断らない相談支援が結びつくことによって、早期に必要な介入ができるのではないかというような問題意識に立って、この3つの支援が一体的にやることが重要だというような問題意識で事業が組み立てられている、また御議論をいただいているということだと思っております。
その前提として、断らない相談支援というのは、おっしゃっていただいたとおり、いろんな窓口がその地域にある、いろんな相談できる場所がいろいろあるということが重要だというのは、まさしくそうであると思っております。
一方で、事業の枠組みとして、今回の新しい事業を法定化するに当たって、やはりしっかりと財政支援をしていかないといけないということを、もう一方であるのではないかと思っております。
もちろん新規で付与する機能というのもあって、そこは我々として努力をしていかなくてはいけなくて、パイを大きくするという努力はしないといけないわけですけども、一方で使い勝手のいい形にしていって、既存の属性に基づいて出ているものについて少し属性を離れて、その御支援ができる、いろいろな地域の方々にかかわってもらえるような枠組みというのも、また必要ではないかというところで、もちろんバランスの問題はたくさんあると思いますが、いずれにしてもスキームとしては、4つの既存の財源というところを一括化して、手を挙げていただいたところには交付をしていくということが、基本的には必要ではないかと考えてございます。
○宮本部会長 ありがとうございました。
奥田委員、吉田委員の順番でよろしゅうございますか。
では、奥田委員、お願いします。
○奥田委員 ありがとうございます、奥田です。
私は、4点ほどあるのですけれども、1点目は、資料1の24ページのイメージとか、資料2の20ページあたりの文言なのですけども、これは私の印象なのですけれども、まだ、ちゃんと理解できていないので、何回も読んだのですけれども、ちょっとわからなかったところもあったのですが、やはり、これは厚生労働省がつくっている施策だから、そうならざるを得ないのはよくわかるのですけれども、私、さっきの生活保護のことも含めて、総がかりでやるのだと、今回は断らないから始まって、全て、私たちのNPOでいうと、立っている者は親でも使え作戦だということでいうと、やはり、プレイヤーのイメージが福祉とか厚労省施策に割と偏っているイメージがあって、例えば、今、居住のことが大分問題になっているのですけれども、居住支援法人の全国組織をつくりましたけれども、今、160団体ぐらいが参加していて、居住支援法人自体も270団体ぐらいできていて、半分が株式会社なのです。半分が福祉系なのです。
これからの住民問題を考えると、やはり産業部門とか、企業部門をもっときちんと入れないと、多分総がかりにならないのではないか。厚労省の中の縦割りをどう横串を通すかだけではなくて、例えば、法務省、国交省という役所の名前だけではなくて、企業といっても、単なる就労先ではなくて、実はサービス提供している企業群、産業群があるわけだから、そのあたりも含めて少し書いておかないと、これが、多分、地方自治体に行くと、地方自治体自体が、まだ、縦割りでずっと動いているので、居住1つとっても、福祉部門と住民部門が一体化しないというのが地方自治体の現状なのです。
岡﨑市長みたいな方がおられたらいいのですけれども、そうでもないところというのは、なかなか大変で、私、イメージとしては、産業、企業の参加というあたりを、もう少し強化、書き込んだほうがいいのではないかというのが、まず、第1点。
2点目は、今回の3つの事業の中で、やはり、肝は参加支援だろうなと思うのです。この参加支援のところが、1つは、参加支援という概念が少しよくわからない。つまり、社会的孤立に対抗する言葉として参加支援という言葉が出てきている面と、総がかりで解決するぞと書いているところと、伴走型支援という概念が出てきたのは、僕はとてもよかったと、私は、ずっと伴走型支援と言ってきたし、伴走型支援養成講座もやってきたし、それはとてもよかったのだけれども、参加支援の、例えば、資料2の20ページの参加支援のところのイメージで言うと、社会とのつながりや参加の支援をするのだと、要するに、ここの文言だけを見ると、伴走型支援で、参加したり、つながったりするということを重点に置いているのかなと思うのだけれども、中を見ると、総がかりで解決するのだというイメージになっているのです。参加というのは、孤立している御本人が社会へ参加し、つながるという言葉の意味と、抱えている問題を、全てのプレイヤーが参加して、みんなで解決するという、その参加の主体は2つあって、孤立している本人と、ばらばらになってしまっている社会資源なり、制度というものが、1つのテーブルに参加していくという、2つの参加という概念があるのではないのかなと、私は勝手に考えています。
そういう議論があるからこそ、先ほどの生活保護、だから、生活保護も断らない相談のところだけではなくて、本当は参加支援の絵の中に生活保護が入らないと、まさに医療も含めて入らないといけないのではないか。
一方で、つながりの支援とか、伴走型支援の観点から言うと、必ずしもこのプレイヤーの話ではなくて、実際に、問題解決するか、しないか以前の問題として、社会参加しているか、地域参加しているか、つながっているかというところと、2つ書かないと、この枠の中だけで見ると、やはり問題解決型、課題課解決型の結論しか書いていないようなイメージです。
ですから、せっかく伴走型と課題解決型と2つの支援論で行くのだという両輪だとまで言っているのだったら、この参加支援は2段階に書いてあげないと、断らない相談で全部解決しろと言われているように思うと、支援員はバーンアウトする。もしくは、手前で断ってしまう、解決できそうもない人は断ってしまうということになりかねない。
ここのところは、私の理解不足かもしれませんけれども、参加支援が肝なのではないかと、ずっと思っているので、ここのところをもう少し、参加ということの概念、やはり、この絵は解決型に傾いているのではないかというような気がしてならないし、先ほど、岡﨑市長がおっしゃった生活保護との云々というところに関しては、この部分こそ、本当は生活保護も入れても総がかり戦をやるのだということを、今回、書けないかもしれないけれども、私は、議論の中においては、それは押さえておくべきだと思いました。
参加支援という言葉自体は、すごくいいと思いました。こういう言葉が出てきたのは、やはり、この間の議論の積み重ねの中で、普通は解決型の支援しか言ってこなかったのだから、だから、支援というと、就労支援という言葉になってきたのが、参加の支援と、参加を支援するのだという概念が、今回書かれたのは、僕は画期的だし、これは生活困窮の議論の中から生み出された言葉だろうと勝手に、手前みそに理解していまして、これはすごくいいのだけれども、絵だけを見ていると、解決型に特化していると、これはどうかと。
3つ目として、その中で、参加支援の裏づけとしての支援論としての伴走型支援という新しい概念が出たと、これは、すごく評価するべきで、やはり、ここに関しては丁寧に概念規定とか、あるいは人材育成とか、これは強化してやらないと、専門職による伴走型支援というのは、すらっと書いているけれども、多分、今までの概念とは大きく違う専門職が出てくるはずですよ、そうでないとおかしい。
なぜかといったら、専門職といったら解決のプロなのだから、そこがつながりのプロになろうとしているわけだから、全然概念が違う。
そうなると、専門職が、解決型の手法と伴走型の手法を両輪で動かせる専門職の育成というのは、結構ハードルが高いと思いますので、それを丁寧にやっていただきたい。これは3点目。
4点目、私、宗教者でもあるので、この辺が何とも言えないところなのですけれども、例えば、生きる力を高めるという言葉なのですけれども、結構決めワードで出てきて、そのとおりなのです。
やはり、現場で一番困るのは、自分がどれだけ大変かもわかっていて、どういう制度があるかもわかっているけれども、それを選ぼうとしないという意欲の面とか、生きる思いみたいなものをどう高めるか、そこにおいても伴走型というのは、人とのつながりの中で生きる力が湧いてくる。
そこのところを、決めワードなのだけれども、生きる力を高めるという言葉は、とても大事な言葉なので、ここをもう少し丁寧にやらないと、ちょっと上から目線の気もする、正直、生きる力を高めてあげる支援というのは、どういうことなのかなと、そういうことも感じるので、そこはどうなのかなと、生きる力を高めることはとてもいいし、これを否定しているわけではないのだけれども、だからこそ、丁寧に、ここは概念規定をしたり、いろんなことをやらないと、ちょっと危ないのではないかという気もいたしました。
以上です。
○宮本部会長 奥田委員のほうから、4点の御指摘でありました。
吉田室長のほうから、何かリプライはございますか。
○吉田室長 1点目、産業とか株式会社、企業というようなところで、済みません、報告書のところに、ひょっとしたら十分に書き込めていないと、今、感じましたが、資料1のほうのポンチ絵集というか資料集のほうの、例えば24ページには、ここは比較的、意識的に、右下の部分で、地域の企業や産業など経済分野、教育分野など、他分野との連携促進というようなことで、絵のほうですけれども、24ページですけれども、そういうものも書き込ませていただいていて、射程としてはそういうところとの連携というのは重要かなと思っております。
報告書レベルで、確かに御指摘をいただいたとおり、より記載が必要なのかなという印象を受けましたので、考えてみたいと思います。
関連して、居住支援法人というか、居住支援のことを言っていただきました。ここも民間企業という文脈でいただいたのだとは思いますが、一応、13ページあたりに、文章編の報告書の最終取りまとめの13ページでございますが、一番上の○のところに、ここはその連携が必要な分野として書いていますが、居住支援の分野というのをうまく使っていかないといけない、うまく活用させていただかないといけないというようなことを書かせていただいています。ネットワークでいろいろと解決していくということでしょうから、共通する部分もあるというような発想で、こういう記載をさせていただいているところです。
2点目の参加支援については、私自身がうまく奥田委員の指摘を受けとめられているかというのが、自信がありませんが、その参加支援というのは、我々がもともと考えていたのは本人がつながっていくというようなところを念頭に書かせていただいていましたが、言っていただいた要素、その地域の資源、資源という言い方がいいかわからないですが、総がかりでやっていくという要素ももちろんあって、いろいろ働きかけをして、お願いをして、例えば一時預かりしていただくとか、就労支援、参加支援みたいなものをしていくとかというようなことを念頭に置いていますので、そういう総がかりの地域のいろいろなプレイヤーの方々にかかわっていただくというような要素は、もちろんあるかなと思います。
その中で、つながりをつくっていく場伴走型との関係というようなことも言っていただきました。ここも、正直なかなか苦労をしています。参加支援のところに、その伴走が食い込んでくるというか、もちろん伴走していくというような要素はあると思います。
それで、機能論として分けたときには、今回、断らない相談支援にくっつけているということで、これは、済みません、事業の展開上、こういうところにくっつけたほうが、新たな機能として位置づけやすいというのもありますし、もう一段踏み込んで言えば、財政的な支援が得やすいかなというようなところもあって、機能論としてこういうところに組み込んでいますが、一方で、実態論としては、そういう参加支援のところに食い込んできて、専門職の方だったり、またそれは地域の方だったりというケースもあると思いますが、いろいろとかかわっていく、伴走していく、見守っていくというような要素があると思っています。
報告書レベルで、そこがうまく書けているかというと、正直ちょっと自信がないところがあるので、工夫をしてみたいと思います。
伴走型支援の研修体系とか、概念整理みたいなところは、御協力もいただきながらしっかりと国として進めていくべきところかなと思っておりますので、御協力というか、いろいろと御示唆をいただければ、今後もありがたいなと思ってございます。
「生きる力を高める」のところは、もう一度見直してみたいと思います。
○宮本部会長 ありがとうございました。
吉田室長、この限りでは、若干援護射撃をさせていただくと、やはり、これまでのいろいろな政策というのは、支援者と被支援者とか、その支える側と支えられる側とか、雇用の制度と福祉の制度とか、それなりにパーツが分かれていたので、その組み立てというのを表現することは比較的たやすかったのです。
ところが、この議論というのは、ともかく地域共生社会というひとかたまりなのです。その中で、いろんなことがわさわさ起きていくことを、どういうふうに表現するかと。
そのわさわさにかかわっても、今、奥田委員が御指摘になったような、狭義の福祉パート以外のさまざまなアクターですね。これも報告書の最初のほうで、実は地域共生社会は3つのレベルがあって、奥田委員がおっしゃってくださったような、経済主体等を全部ひっくるめたレベルでの地域共生社会というのがあるわけです。
あるいは、第2の次元としては、こう言っていいかどうかわかりませんけれども、厚労省的な医療あるいは介護、福祉等のかかわる次元、さらにはもっと狭義の次元があって、実はその区分けというのは、あくまで概念的にのみできるわけなのですけども、この報告書では比較的、福祉的パートに引きつけて議論をしていかなければいけないという、そういう問題がございます。
それから、伴走型と課題解決というのも、これも概念的のみに区分けできるわけで、伴走しながら解決していくわけなのですね。そういう問題をどういうふうに言葉として表現していくかという問題がある。
さらに言うならば、断らない相談支援、参加支援、支え合いの関係性の育成、これも実は全部1つなのです。そういう塊の中で発見が起き、塊の中で誰かがどこかにつなぐという動きが起き、そうしたわさわさの中で、コミュニティ全体の関係が強化されていくという、そういう運動をこの紙に表現していかなければいけないという問題がございます。
そういう意味では、室長が頭を抱えているのも、ちょっと気の毒な部分もありまして、ぜひ、そのあたりをどういうふうにうまく記述し、それが勝部委員からもお話があったように、よからぬ方向で使われないような、そういう歯止めもきちんと書き込まれていくにはどうすればいいのか、その辺、ぜひ皆さんのお知恵を拝借したいと思ってございます。
済みません、余計なこと、いかにも大学教師の余計な生理的な反応なのですけれども、吉田委員、お願いします。
○吉田委員 当会議におかれましては、最終取りまとめ案の作成に御尽力をされた構成員の方々、また事務局の皆様に深く感謝を申し上げます。
最終取りまとめについて、2点申し上げます。
素案に記載されているとおり、小規模町村では専門的な機能について確保することが難しい場合もあり、都道府県による支援がより重要になってまいりますので確実に実施されるよう、お願いを申し上げます。
2点目は、国におかれましては、新たな事業を創設して終わりとするのではなく、実際に導入した自治体において、どのような実施状況となっているのか、好事例の横展開もさることながら、支障事例の共有も積極的に行っていただき、フォローアップにつなげていただきたいと思います。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○宮本部会長 大事な御指摘ありがとうございました。
ベストプラクティスだけではなくてワーストプラクティスを、私は常々申し上げているのですけれども、そこから後学ぶもののほうが、ひょっとしたら多いかもしれないわけでございまして、何かありますか。
○吉田室長 ありがとうございます。
小規模町村の御支援、都道府県と連携してやっていく、国としても役割を果たしていくということは極めて重要だと思っております。それはやっていきたいと思います。
あわせて、言っていただいた失敗事例とかというようなところですけども、モデル事業でも実はいろいろと試行錯誤されている事例は出てきています。それが失敗で終わっているところもあるのですけども、うまくそれを転換されている事例も出てきています。一度体制を組んだけれども、ある人に負担がかかり過ぎていて、それを打開するために、もう一回議論をし、またチームで支援をしていくというような流れをつくられたケースもございます。
それは1つのストーリーだとは思いますが、失敗ということだけに着眼するのではなく、そうやってうまく試行錯誤をしながら、一度決めたことでも柔軟に変えていくというような、そういう柔軟性がこの事業が必要かなと思っておりますので、そういうことが発揮されている自治体さんの、我々も御支援をしながらということですけども、それをしつつ、自治体さんの結果としてのいい取り組みというのを、いろんな方々にお伝えしていくということは重要かなと思っております。
○宮本部会長 ありがとうございました。
続きまして、大西委員、その後、大野委員、お願いいたします。
○大西委員 また、少し戻るのですが、先ほどの断らない相談支援の9ページの下の注釈の部分、確認ですけれども、現に生活保護を受けておって、相談に乗るのはケースワーカーではないのですか。それ以外に相談があった場合には、思い当たるとしたら、生活困窮の相談事業、そのあたりになると思うのですけれども、この注釈の書きぶりですと、ケースワーカーは保護費関連のみで、相談を受けつけないというようなことが書いてあるのかと思うのですけれども。
先ほどの他法優先とか、法的な枠組みのこともあって、ここはちゃんと整理されておいたほうがいいのではないかと思います。
多分、現場では、譲り合い、悪くいけば、渡し合いみたいな感じで、責任逃れ的なことが、ここで起きるのではないかと思いますので、体制、質についても大変危惧していますので、早目に整理をしてスタートしていただきたいと思います。
○宮本部会長 いかがでしょうか。さっき役割分担というおっしゃり方、これからだというおっしゃり方をされたけれども、大西委員のほうから、少し、その点にかかわる危惧の表明だと思いますが。
○吉田室長 ありがとうございます。整理は、急ぎ、やりたいと思います。
ケースワーカーの方が相談を受けてないということで、必ずしもこういうことを書いているわけではございません。しっかりと受けていただいていますが、その中で今回の新たな事業の中で、幅広く御相談を受けとめていくという機能が付加されるわけで、そこで、受けとめるケースというのも出てくるでしょうし、あと、もう一歩踏み込んで言えば、多機関協働の中核の機能とか、伴走の機能というのを新たに充実させていこうというようなことがあります。
その中でケースワーカーさんとの役割分担というか、どういう関係性で御支援をしていただくのか、先ほど、チームで御支援するような形がいいのではないかという御指摘もある中で、どういう形が望ましい支援のあり方なのか、また今回事業で、新たに強化する部分について、どう生活保護との関係を整理していくのかというのは、重要な論点だと思いますし、御指摘いただいたとおり、早急に詰めなければいけない論点だと思いますので、整理をしていきたいと思っております。
○宮本部会長 確認ですけれども、大西委員のほうからの危惧は、ケースワーカーさんの仕事を侵食するというよりは、ケースワーカーさんが仕事を投げ出してしまうきっかけになりはしないか、そういうふうに法的に決められた業務がないがしろにされかねないきっかけになりはしないかというところにポイントがあると思うのですけれども。
○大西委員 そうです。今、室長が言われたことを全部ひっくるめてやるのがケースワークですよ。この部分はこちらで、この部分はケースワーカーというような仕分けが難しいと思うのです。その辺はちょっと慎重にやられたほうがいいと思いますので、よろしくお願いします。
○吉田室長 ありがとうございます。
御指摘を踏まえて、検討します。
○宮本部会長 保護課長、何かありますか。
○梶野課長 繰り返しになります。大西委員のおっしゃる御懸念をよく踏まえて、その整理をしたいと思います。
いずれにしても、これから実際の現場の御意見を伺いながらだと思いますけれども、もちろんケースワーカーの業務が、このことによりでそちらのせいにするということは、もちろんないようにしますし、むしろ、いろんな課題のノウハウ、相談のノウハウとか、そういったところでケースワーカーさんの支援になるような、解決方法とか、伴走もそうだと思いますけれども、より連携したほうが支援になるというところがあると思いますので、そこで、今回の新たな事業の支援員とケースワーカーの連携の仕方、それから、役割分担、相談が後退することがないように、しっかりよく整理して検討したいと思います。
○宮本部会長 線引きというよりは、支援の積み上げだという書き方が必要かもしれませんね。
どうぞ。
○岡﨑委員 法律の成立の時期とかが余り明確ではないので、社会福祉法と個別法である生活保護法との関係が、今、聞いていてよくわからなくなったのですけれども、今回のいろんな規定は、社会福祉法に根拠を基づいて、そこへはめ込もうということですね。個別法の生活保護法があって、優劣というか、どっちが上位なのかよくわからないのですけれども、上位がないのか、そこがよくわからないのです。法律の整理上は、どうなっているのですか、よくわからないのです。
○梶野課長 間違っていたら、室長からフォローをしてほしいのですけれども、1つは、生活保護法では他法優先と、保護法の4条に書いてあります。これとの関係になると思います。基本的には、他法優先です。
ただ、他法優先の、何が優先するかというところですけれども、この保護の分野では有名な小山本の昭和25年の制定時の逐条解説がありまして、ここでは、扶助について、全く重複する、また、一部が重複するものについては他法を優先といったことが書かれていますので、これを解釈するに、「相談」は優先関係とか、そういうものは適用されないと、他法優先は適用されないというふうに考えておりまして、これを今、法制作業をやっていますので、整理をしているということです。
○大西委員 それでいったら、何で自立相談のほうでは、生活保護をよけているのですか。
○梶野課長 よけているというか、あくまで「扶助」については、他法優先ということで、「相談」は、そもそもそういう概念には当てはまらないと。ですので、多分、今後整理が必要ですけれども、食事の提供とか、住まいの確保というような事業が含まれると、そこは整理が必要になるというのが課題なのですけれども、「相談」については、「扶助」というような、例えば、金銭給付という意味では、明確ではないからだと考えておりますけれども、いずれにしても、今まさに法制的に恐らく整理中である、ということです。
○勝部委員 それは、相談も、今までは分けろと言われてきていましたので、今までせっかく社会参加とか、参加支援とか地域の中にというふうにしますが、保護につながった途端にケースワーカーにバトンタッチしていく中で、参加支援とか、そういう部分が、扶助の考え方だけになってしまう。突然そこで私たちや地域との関係性が切れてしまって、経済的に安定しても社会的孤立になるという事態が起こることをみてきました。継続的な支援が必要だというのは、ずっと議論をしてきた内容なので、相談の段階でいいというのだったら、今でもできるという話になるので、物すごい大きなお話になってしまうから。
○宮本部会長 そのあたり、菊池委員のほうから、先ほどから手が挙がっておりますので、お願いいたします。
○菊池委員 今の点に関して言えば、生活保護法の解釈と運用は、1950年出版で、相談に関しては、27条の2が99年改正ですかね、だから、小山進次郎さんの、そこの記述の後、相談援助にかかわる規定が入っているので、そこは前の検討会でも申し上げたのだけれども、整理していただく必要があると思います。
○宮本部会長 では、吉田室長。
○吉田室長 今、申し上げたのは生活保護法の解釈として、ベーシックなものとして、昭和25年制定時に考え方がまとめられたものとして、そういうことがあるということを御説明したところです。
おっしゃっていただいたとおり、その後の逐次の法改正を踏まえて、一番大きなところは生活困窮者自立支援法ができたタイミングだと思いますが、そこでの仕分けを、先生方との御議論があった後でいろいろとあったというふうに聞いてございますので、そういうものももちろん前提としながら、一方で、社会福祉法に今回新たに事業を位置づけるというような側面もありますので、考え方としては、できるだけいろんな方々が相談窓口に来ていただいて包括的に受けとめるという考え方ですので、それをしっかりと法的に位置づけていき、この報告書の素案の中で書いていただいている考え方というものが法定化されるように努めていきたいと考えております。
○宮本部会長 大野委員から、先ほど、手が挙がっておりましたので、大野委員、どうぞ。
○大野委員 それでは、私のほうから、地域共生社会の実現に向けた包括的な支援体制の整備に関して、民生委員の立場から申し上げさせていただきます。
地域共生社会の実現は、私たち民生委員、児童委員の日々の活動が目指しているところと一致するものだと認識しております。今後、全国の自治体、行政が進める基盤整備に大変期待をしております。
特に、全国の委員のうち約4分の1、約5万人の委員が社会的孤立状態にある世帯や人々への支援経験がありますが、それらの支援事例の約4割は、地域で適切な専門機関がない。あるいは、つなぎ先があっても、必要な支援に至らない状況でございます。やむを得ず、民生委員が単独で支援をしている実態もあります。
こうした実態を踏まえて、地域の全ての専門機関が、あらゆる生活課題を断らず受けとめて、さまざまな機関と連携、協働し、継続的な支援を行う包括的な支援が、全国の自治体で整備されることが急務だと考えます。
その上で、民生委員、児童委員や民児協が包括的な支援に一層の役割を果たすための課題を3点ほど申し述べたいと思います。
1つ目が、民児協組織の強化など、民生委員、児童委員活動、環境強化の支援です。地域共生社会づくりに取り組んでいくためには、一人一人の委員活動では限界もあり、民児協として組織的な取り組みを強化することが重要と考えております。
特に、基礎単位である単位民児協は、民生委員法に位置づけられ、住民に身近な圏域を単位とし、毎月の定例会等で地域のさまざまな福祉課題を共有し、行政関係機関との情報共有の場となっております。
包括的な支援の体制整備におきましては、個々の委員だけでなく、委員を支える単位民児協の位置づけを明確にするとともに、関係機関とネットワークを構築するためのサポート体制を明確に示してほしいと考えております。
また、こうした単位民児協を支援する市町村や都道府県の民児協の機能も、ますます重要だと思います。
現在、民生委員法に規定されていない市町村民児協や都道府県民児協の法定化を、ぜひ検討してください。お願いいたします。
2つ目が、民生委員、児童委員活動の整理で、内容の整理でございます。
私たちは、福祉の専門家ではありません。地域住民の立場から、行政や多様な専門機関とともに、地域で活動しております。
その中で、地域のさまざまな生活課題を行政や専門機関につないでいく役割は、今後一層必要になるものと思っております。
しかし、私どもへの行政の協力事項や、各種の情報提供は、制度や所管ごとに伝えられていることが多いのが現状でございます。
また、その内容は福祉分野にとどまらず、防災なども含めて多岐にわたり、また膨大でございます。
一昨日、12月1日に民生委員の一斉改正を迎えましたが、活動範囲の広がりから、委員定数をふやす自治体も多くあり、新たななり手の確保に苦慮している地域も多くなっております。
制度や課題ごとでなく、制度を横断した統合的な支援会議等が、身近な地域でも行われるような体制を構築していきたいです。
また、あわせて現在の民生委員、児童委員の協力業務を整理し、ぜひ見直していただくことをお願いいたします。
最後に3つ目として、都道府県、市町村行政への国の責任による要請強化でございます。
包括的な支援は、各地域の特性に応じて、各自治体の創意工夫の中で取り組みを進めていくことが大事だと思います。
しかし、地域の格差も広がっております。包括的な支援の仕組みが、全ての市町村が取り組まれるよう、国の責任を持って継続的に指導や、財源の確保に取り組むことを望みますので、よろしくお願い申し上げます。
以上でございます。
○宮本部会長 ありがとうございました。
民児協の文書にもある、民生委員、児童委員の個別的、継続的、包括的な支援だとか、7つの役割というのは、まさに地域共生社会のビジョンとぴったり重なるというふうに思いますので、ぜひとも今後ともよろしくお願いをいたします。
では、今の問題に関連するところで、勝部委員、その後、小杉委員。
○勝部委員 ちょっと全体で見直してみると、民生委員の取り扱いが非常に薄いという感じがします。やはり、現状で見守りのところ、地域活動にというふうに書かれていますけれども、現状で、民生委員の皆さんを支えられていらっしゃることがとても大きい。
さらに、そこに屋上屋的に断らない相談窓口ができるのだったら、民生委員活動の軽減ができるので、「もう民生委員が相談をやめよう」となったら大変ですね、というところを、もう少し書きぶりも、現状のところを評価いただくほうがいいのではないかというのは、私も地域を担っている1人として思います。
○宮本部会長 ありがとうございました。
では、小杉委員、お願いいたします。
○小杉委員 時間のない中で、ほんの一言だけ。
参加支援という言葉は大変いいと思って、いい視点が入ったなと思うのですけども、一方で、その中で就労支援が埋没しまっていると、すごくそれを感じました。
就労支援、これまでかなり注力してきた政策だと思うのですけれども、まだまだ広がってないし、定着してないしと、大きな課題がある状態だと思います。
それがあってだと思うのですが、この中で他省庁との関係は書かれているのですが、労働との関係がほとんど全く書かれていない。あるいは労働のほうで、ひきこもり支援をずっとやってきた、地域若者サポートステーション関係の方とかは、大変この中で、全く言及されていないので、不安を感じるというようなことをおっしゃっていますし、あるいは
社援局の中なのですけれども、ひとり親就業支援の窓口の方からも、大変、この地域共生社会の中で私たちはどうなるのだと不安を感じていらっしゃいますので、そうした現に担っているさまざまな方々への不安が起きないような書き方をぜひお願いしたいと思います。
○宮本部会長 ありがとうございます。
労働との関係、まさにおっしゃるとおりでございまして、余り省内の垣根を気にし過ぎることなく、大胆に書き込んでいただければというふうに思っております。
さっきから新保委員からも手が挙がっているのですけれども、菊地委員、その後でもよろしいですか、では、新保委員、どうぞ。
○新保委員 新保です。
社会的孤立が本当に大きな課題として認識される中では、断らない相談支援と参加支援が方向性として示されたことは、本当に大きな意義があると思っております。
先ほど来生活保護についての話題が上がっておりましたけれども、9ページの注に書かれているように、生活保護受給者も新たな事業の対象とすることは、ぜひ積極的に実現していただきたいと思っております。
生活保護は、生存権を保障するという、とても大事な制度なのですけれども、残念ながら制度を利用することが、利用者を孤立させてしまうというような状況が生じているのではないかと思っています。1つには制度のわかりにくさというところもあるかもしれません。
ケースワーカーが、利用者の、健康で文化的な最低限度の生活と自立の助長に向けた業務を行っていますけれども、生活保護制度と、ケースワーカーに、利用者の課題解決や、社会参加に向けた全ての相談支援機能が備えられているわけではないと思います。
生活保護は、住民が利用できる1つの制度にすぎませんので、制度の利用によって孤立をしてしまったり、必要な他法他施策による支援が、利用しづらくなるということは、あってはならないことではないかと思っております。
少し視点を変えまして、生活保護と同様に、重層的な支援が必要となる対象として、従来、婦人保護事業として実施されてきた困難な問題を抱える女性に対する支援が挙げられるかと思います。
性被害や性暴力被害、10代の若い女性の支援の必要性がかなり顕在化されてきていると思います。
本年の10月には、子ども家庭局で、困難な問題を抱える女性への支援のあり方に関する検討会中間まとめが取りまとめられました。
売春防止法を根拠としない、新たな法制度の整備の方向性が示されておりますけれども、その中間まとめにおいても、地域共生社会の推進に向けて、連携や調整を推進していくための仕組みづくりが重要であると記載されております。
これは15ページとか25ページに関係すると思いますけれども、女性だけでなく若者も、複合的な課題を抱えながら、支援につながりにくい世代ではないかと思います。
こうした方々には、広域での支援や調整などを考慮して対応していく必要があると感じます。
今後は、生活困窮者自立支援法に掲げられているような、尊厳の保持というような理念も強く打ち出していただき、誰もが必要な支援が利用でき、かけがえのない存在として、地域生活が送れる地域共生社会の実現に向けて、ぜひ、取り組みを推進していくことができればと思うところです。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。
先ほどの小杉委員の労働にかかわる指摘もそうですけれども、今の新保委員の若い女性の支援にかかわる論点、実はこのビジョンそのものが、領域を突破することをまさにミッションとしているのですけれども、しかし、現実の文書を書いていく上では、領域侵犯に非常に警戒的になっていくという、そういうジレンマがあって、どこかでそれを突破していかないと本当に動き始めないのかなというふうに思ってございますので、そこは常々、事務局も本当に汗かいて奮闘しているのですけれども、なお一層の御尽力をお願いしたいというふうに思いますが、何かございますか。
○吉田室長 いろいろな目配せというか、ちゃんと関係性みたいなものを、いろんな領域の方々と御議論しながら書き込んでいかないといけないと思っております。
検討会の中では、DV被害者とか、刑務所出所者の方々の御議論が出ていますので、そういうことも取り込みながら、報告書をつくってきたところでございます。
きょう、いただきましたので、確かに特に労働の部分は少し弱いかなと感じる部分もありますので、どこにどういう形で書き込めるかというのはありますが、少し工夫をしてみたいと思います。
○宮本部会長 ありがとうございます。
菊池委員のほうからは、ペーパーも出していただいておりますし、その御説明もまだだと思いますので、その点も含めてお願いできればと思います。
○菊池委員 私は、検討会委員でもありますので、きょうは、発言を自粛しようと思っていたのですが、お隣の勝部委員から、発言をしなさいと強く発言の命令がくだりまして、参加させていただくということで、それは、勝部委員と問題意識を共有させていただいているということだと思うのですが、私がきょう出させていただいた資料の2ページ目のほうの1行目の真ん中の段落に尽きていまして、2つあるのですけれども、1つは「たとえば」と10行目ぐらいに書いていますが、ここの包括的支援体制の整備が、今回、手挙げ方式、任意事業ですけれども、だとすると、これは成功事例を持つ一部の自治体にしか広がらないということが、容易に予想されると、つまり、自治体間の格差が生じることは、容易に予想されるという懸念です。
もう一つは、今回の一体的実施というのは、私は賛成なのですけれども、結局、これによって財政支援の仕組みを見直すと、組みかえるということにとどまるのであれば、相談支援体制を本格的にやるとすると、まだまだお金がかかる、予算を拡大していかなければいけないことになると思うのですけれども、しかし、それがなかなか見通せないのではないかと。
これは、先ほど、別の角度から、ほかの委員の方からも懸念が示されていたと思います。
そのためにということで、私は研究者なので、1つは、今回の包括的相談支援体制の整備の理念というか、基本的な考え方というのを、しっかり整理する必要があるだろうということで、それが2段目の後段部分に書いていますけれども、ここでずっと議論をしてきている、あるいは検討会で議論してきた相談支援体制づくりと、地域づくりが、相互循環的に機能することで、しっかりした社会的基盤、支え合いにつながる社会的基盤ができるという説明がありますけれども、財源を得るということ、財務省に納得してもらうということのさらに向こうにあるのは、一般の住民の皆様、社会的な合意をいかに図っていくかということだと思うのですが、この説明だけでは、うまくやっているところはちゃんとやっているので、非常に共感を持っていただけると思いますが、その説明だけでは広がりをもてないのではないかと思っていて、それで、3段目にありますけれども、誰でも人生上、さまざまな困難とかリスクが起こり得るのだと、社会保障の基本的な考え方に近いですけれども、誰にでも起こり得る社会的リスクに対応するための体制整備なのですよということで、多くの方々の納得を得ていく可能性があるのではないかということです。
それから、3段目の最後で、これは社会保障や福祉の話に直接関係ないですけれども、これだけ自然災害が続いていく中で、いつ、何時、どこにそういった大きな災害が起きるかわからない。個人や家族だけで対応はできない。かといって、行政に全部対応してもらうわけにもいかないという中で、やはり、地域とか住民の中で対応する必要があるだろうと、そういう中で、そのための体制整備という意味でも、一定の資源を投入する、財源を投入する必要がありますねと、そういう形で納得を得ていくという方法があるのではないかと。
この第3の点については、まだ、十分に書き込んでいただいていないのですけれども、ここは、最後の取りまとめまで、まだある中で、検討会でも、ほかの委員からも同じような議論が出ていましたので、ぜひ、総論的なところで組み込んでいただけたらと思っています。
それから、自治体間格差に関して、25ページのところで、いろいろ書いていただいているのですけれども、2つ目の○に「サポートを積極的に行う必要がある」といった書き方をしていただいているのですが、もう少し踏み込んでいただけないかなと。
直接的な言葉で言うと、自治体による支援に大きな格差が生じないようにと、そのためにやるのだということなのですが、そこまで書き切れなければ、例えば、できるだけ多くの住民が市町村による支援を受けられるように、市町村をサポートするのだと、少し書き込んでいただけると、広がりが出る可能性があるのではないかと思った次第です。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。
10日の取りまとめ以前に、菊池委員のほうから、そういう御指摘、今、いただいたのは非常に貴重だったと思います。
浦野委員、お願いいたします。
済みません、横にいると、どうしても見えなくて。
○浦野委員 お時間のないところ、済みません。ごくごく簡単に、社会福祉法人の立場から申し上げさせていただきたいと思います。
今回のペーパーでも、19ページの中ほどに社会福祉法人による地域における公益的な取り組みについて言及をしていただいている。これは大変ありがたいことだと思っております。
ただ、地域における公益的な取り組みが社会福祉法24条2項となって書かれているわけですけれども、これが社会的な背景といいますか、経緯といいますか、どちらかというと、イコールフッティング論を背景にして、経済界、産業界等からの声に対する1つの応答として、地域における公益的な取り組みが社会福祉法人の責務ということになったと思います。
ただ、そのために、実は、きょうの議論でもいろいろ出ましたけれども、いわゆる属性別縦割りと、まさに社会福祉施設というレベルになると、老人福祉施設であったり、児童福祉施設であったり、まさに属性別、縦割りになっているわけです。
実は、社会福祉法人の公益的な取り組みの責務というのは、実践のレベルでは、個々の福祉施設をベースにしてやっていくことがほとんどであって、福祉施設を除外し、社会福祉法人が何か別個に公益的な取り組みをやりましょうといっても、これはなかなかできない。
ところが、個別法、老人福祉法にしろ、児童福祉法にしろ、障害者総合支援法にしろ、この公益的な取り組みであるとか、地域共生社会であるとかということに対して、施設の果たす役割というのは、必ずしも書かれていないと。
それは、今の世の中の空気の中では、それはやってはならないというようなことを言う空気ではないことはわかっているのですけれども、一昔前であったら目的外使用であるとか何とかと言われかねない状況だったわけです。
そういう意味では、当然、属性別の施設ですから、その施設の、もともとの利用者の支援、ケアが疎かになってはいけないけれども、それを担保しつつ、全ての社会福祉施設が地域共生社会に貢献するのだというようなことが、きちんと、これも社援局の所管外で、各局にお願いをして、法律を書いてくれというのは、今の段階ではとても難しいと思うんですけれども、我々としては、そういうこともちゃんと意識をしていかなければいけないというふうに思います。
もう一つは、その中で、きょうも断らない相談支援ということがありましたけども、まさにそこで、何か異次元的なことの、新たな相談機関をつくるということでは必ずしもないというお話でしたけれども、そうであればあるほど、既存の資源というのを大いに活用していくという必要があると思うのです。
その意味では、地域には保育所もたくさんあるし、特養もたくさんあるし、デイサービスセンターもたくさんあると。そういうところが、相談支援の一翼を担うということも、きちんと位置づけると。むしろ、ある意味、そこにお金などがつかなくても、それは当たり前のこととしてやりましょうねというぐらいのことが必要なのではないかなと、そんなふうに思っております。
この文書自体をお直しいただきたいというようなことはありませんけれども、我々の感想として、そんな要望を持っているということをお伝えしたいと思います。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。
全く同感でございまして、多くの社会福祉法人全てとは言いませんけれども、まさに包括的な支援に取り組みつつある、そのお株を奪ってしまうようなことにはならないで、むしろそこを支えていくような議論にならなければいけないと思っております。
大分私の不手際で時間も超過をしておりますが、ほかにどうしても、これだけはということがあれば承りたいと思いますが、よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
皆さんから、大変厳しいと同時に、建設的な御意見をたくさんいただいたように思います。
ぜひ、事務局ともども、きょうの議論を積極的に生かす報告書に近づけていきたいと思っております。
それでは、きょうのこの部会での議論は終了とさせていただき、事務局から連絡事項等があれば、よろしくお願いをいたします。
○岡河課長 ありがとうございます。
本部会につきましては、今後の開催予定は、現在のところございません。開催の必要が生じましたら、改めて御案内をさせていただきたいと思っております。
以上でございます。
○宮本部会長 ありがとうございました。
もう7時近くになってしまいましたけれども、これで本部会を終了させていただきます。
どうもありがとうございました。
 
(了)
 
<委員名の漢字表記について>
岡崎委員の「おかざき」の「さき」のつくりの上部は、一部ブラウザ上で正しく表示されないために、便宜上「崎」の字で表示しています。正しくは「大」ではなく「立」ですので、あしからずご了承ください。

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