ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会)> 第31回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、平成29年度第9回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)議事録(2017年11月29日)




2017年11月29日 第31回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、平成29年度第9回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催)議事録

健康局健康課

○日時

平成29年11月29日(水)16:00~18:00


○場所

中央労働委員会会館講堂(7階)


○議事

○事務局 定刻になりましたので、ただいまより、第31回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会、平成29年度第9回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の合同会議を開催いたします。委員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただきありがとうございます。

 それでは、本日の委員の出欠状況について報告いたします。副反応検討部会の永井委員、安全対策調査会の伊藤委員より欠席の御連絡を頂いております。現在、副反応検討部会の委員8名のうち7名、安全対策調査会の委員6名のうち5名の委員に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会並びに薬事・食品衛生審議会の規定により、本日の会議は成立したことを報告いたします。なお、全ての委員において関係企業の役員、職員等でない旨を申告していただいております。申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りについてはここまでとさせていただきますので、御協力お願いいたします。

 本日の審議の前に傍聴に関して留意事項を申し上げます。開催案内の「傍聴への留意事項」を必ず守っていただきますよう、お願いいたします。留意事項に反した場合は退場していただきます。また、今回、座長及び事務局の職員の指示に従わなかった方や、会議中に退場となった方については、次回以降の当会議の傍聴は認められませんので御留意願います。本日の座長については、桃井副反応検討部会長にお願いしたいと思います。

 それでは、ここからの進行をよろしくお願いいたします。

○桃井委員 審議に入る前に、まず、事務局から審議参加に関する遵守事項の報告をお願いします。

○事務局 審議参加について報告いたします。本日、出席された委員の方々の過去3年度における関連企業からの寄附金・契約金などの受取状況について、これまでと同様に御申告いただきました。本日の議題において調査審議される品目はMR、麻しん、風しん、おたふくかぜ、水痘、A型肝炎、23価肺炎球菌、インフルエンザ、HPVワクチンの各ワクチンであり、その製造販売業者は、一般財団法人阪大微生物病研究会、北里第一三共ワクチン株式会社、武田薬品工業株式会社、一般財団法人化学及血清療法研究所、MSD株式会社、デンカ生研株式会社、グラクソ・スミスクライン株式会社であり、事前に各委員に御申告を頂いております。各委員からの申告内容については、机上に配布しておりますので御確認ください。

 本日、出席の委員の寄附金等の受取状況から、柿崎委員が武田薬品工業株式会社及びMSD株式会社から、それぞれ50万円を超えて500万円以下の受取があるため、柿崎委員はMR、麻しん、風しん、おたふくかぜ、23価肺炎球菌ワクチン及びHPVワクチンについて、意見を述べることはできますが、議決に参加いただけないことを報告いたします。

 引き続き、委員におかれましては、講演料等の受取について通帳や源泉徴収票などの書類を御確認いただくことにより、正しい内容を御申告いただくようお願いいたします。以上です。

○桃井委員 以上について、特に問題はございませんか。よろしいでしょうか。それでは、配布資料について説明してください。

○事務局 配布資料としては、上から座席表、議事次第、委員名簿、配布資料一覧、資料1~19及び委員の謝金等受取の申告状況です。また、委員限りの資料として、「各社の出荷量と副作用の発現頻度」という1枚紙、黄色いファイルで各ワクチンの添付文書、資料18の参考資料に番号が付いておりませんが、当日配布資料として右肩に「様式FW_Q0」と書かれた資料と、もう一部、右肩に「様式FW_A0」と書かれた資料を配布させていただいております。配布資料一覧を御確認いただき、不足の資料等がある場合は事務局までお申出ください。

○桃井委員 資料に不足はございませんか。それでは、早速、議題1に入ります。「各ワクチンの安全性について」、御審議よろしくお願いいたします。まず、資料1~4についての説明の後、審議に入りたいと思います。よろしくお願いします。

○事務局 初めに全体的な事項を説明します。本合同会議での副反応が疑われる症例の報告については、平成25年9月の合同会議において定期的に検討を行うワクチンを選定して、比較的同時接種が行われるワクチンと、そうでない比較的単独接種が行われるワクチンにグループを分けて報告することとしております。本日は比較的単独接種が行われるワクチンについて、その副反応が疑われる症例の報告状況を説明いたします。

 比較的単独接種が行われるワクチンについては、前回、8月28日の合同会議において、昨年12月1日から本年4月末までの症例について報告しております。本日は、本年5月1日から8月末までの4か月間に報告された症例について説明します。

 資料1を御覧ください。具体的な製品名は、1ページの上段にある商品名に記載しております。1ページの中段の表には、医療機関への納入数量を基に推定した接種可能のべ人数、製造販売業者及び医療機関からの副反応が疑われる症例の報告件数を記載しております。MRワクチンは、今回の対象期間で接種可能のべ人数が約80万人であり、企業からは2件、医療機関からは8件、うち重篤なものが5件報告されております。報告頻度については、製造販売業者が0.00025%、医療機関が0.001%となっております。1ページの下段には、重篤症例の転帰等の情報をまとめておりますが、今回、後遺症及び死亡症例の報告はありませんでした。

 まず、2ページに移る前に、この資料を含めて各資料の1ページ目の見方について補足いたします。重篤症例の報告数については、製造販売業者と医療機関の双方から報告された場合には、重複を排除するために医療機関の報告として計上しております。また、中段の表の報告数は、集計対象期間内に報告された症例を集計しておりますので、この件数には接種日や発生日が対象期間以前の症例も含まれており、接種日が今回の集計対象期間内であったものについては、括弧書きでその件数を記載しております。また、企業ごとの出荷量や発現頻度については、委員限りの資料として1枚紙を机上にお配りしております。

 2ページは、報告された症例を症状別に集計したものです。縦に見ていただき、表の左側が前回の合同会議までに報告された件数、右側が今回、報告された件数です。4ページです。予防接種法の報告基準に定められた症状について集計した結果を記載しております。こちらも左側が前回までの報告、右側が今回の集計対象期間に報告されたものとなっております。

 5~7ページです。報告された症例の一覧表です。8ページは、アナフィラキシーとして報告された重篤症例の件数をまとめております。対象期間内に1件アナフィラキシーとして報告され、専門家による評価の結果、ブライトン分類3以上と評価されました。症例の詳細については、9ページにお示ししております。

10ページは、死亡症例についてです。今回、集計対象期間内には死亡症例の報告はありませんでしたが、対象期間後に1例報告がありました。死亡症例については、その重大性に鑑み、集計対象期間後も可能な範囲で情報収集に努めており、期間後の症例も資料に含めております。こちらの症例はMRワクチン、おたふくかぜワクチン、水痘ワクチンを接種した1歳の男児が、その後、死亡したというものです。死亡の時期も含めて、現在、詳細な情報は調査中です。調査結果が得られ次第、改めて報告させていただきます。資料1の説明は以上です。

 続いて、資料2は、麻しんワクチンです。対象期間内の接種可能のべ人数が約5万人、医療機関から非重篤の症例が1件報告されております。重篤な症例の報告はありませんでした。4ページに、報告のあった1件の詳細をお示ししております。また、5ページはアナフィラキシーの資料ですが、今回、対象期間内に報告されたものはありませんでした。資料2の説明は以上です。

 続いて、資料3は、風しんワクチンです。接種可能のべ人数が約6万人、医療機関から3件、うち重篤なものが1件報告されています。報告頻度は0.005%でした。症例の詳細については、4、5ページに記載しております。6ページは、アナフィラキシーとして報告された重篤症例のまとめですが、今回、そのような症例はありませんでした。資料3の説明は以上です。

 続いて、資料4、おたふくかぜワクチンです。接種可能のべ人数が約45万人、報告数が製造販売業者から12件、医療機関からは18件、うち重篤なものが13件報告されております。報告頻度は製造販売業者が0.003%、医療機関が0.004%です。1ページの下の転帰ですが、今回、集計対象期間内に後遺症及び死亡症例の報告はありませんでした。2、3ページは症状別の集計結果です。4~7ページは個別の症例の一覧です。8ページは、アナフィラキシーのまとめです。対象期間にアナフィラキシーとして報告された重篤な症例はありませんでした。9ページは、死亡症例です。先ほどMRワクチンで説明した症例と同じですので、説明は省略いたします。資料4は以上です。

 資料1~4の説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○桃井委員 それでは、資料1~4について、御意見、御質問よろしくお願いいたします。特にないようなので、これらのデータを御覧いただいて、副反応疑いの報告頻度は、資料1~4までのワクチンに関して、これまでと比べて特段高くないということでよろしいでしょうか。また、アナフィラキシーがMRワクチンで1例報告されました。集積はありますが1例、単独接種で報告されたというデータです。

 また、死亡例は期間外ですが、まだ調査中ですので、恐らく、次回以降、議論できるかと思います。このようなまとめでよろしいでしょうか。この内容を踏まえて、これらのワクチンの取扱いの変更に関して何か御意見はございますか。特にございませんか。それでは、以上のMR、麻しん、風しん、おたふくかぜの各ワクチンに関しては、これまでの副反応報告によって、安全性において重大な懸念は認められないという評価でよろしいでしょうか。ありがとうございました。では、続けます、資料5~8について説明をお願いします。

○事務局 資料5は、水痘ワクチンです。接種可能のべ人数が約69万人、報告数は製造販売業者から3件、医療機関から17件、うち重篤なものは5件でした。報告頻度は製造販売業者が0.0004%、医療機関は0.0025%です。1ページの下の転帰です。今回の集計対象期間内で後遺症や死亡症例の報告はありませんでした。

 2、3ページは症状別の集計結果、4ページは予防接種法の報告基準に定められた症状の集計結果です。今回の対象期間では、血小板減少性紫斑病が3例報告されております。続いて、5~7ページは個別症例の一覧、8ページはアナフィラキシーのまとめです。今回、対象期間内に重篤なアナフィラキシーとして報告された症例はありませんでした。9ページの死亡症例は、先ほどMRワクチンで説明した症例ですので詳細は省略させていただきます。資料5の説明は以上です。

 資料6は、A型ワクチンです。接種可能のべ人数は約5万人、対象期間内に報告は0件でしたので説明は省略いたします。

 資料7は、23価肺炎球菌ワクチンです。接種可能のべ人数は約100万人、製造販売業者から45件、医療機関から115件、うち重篤なものが27件報告されております。報告頻度は製造販売業者が0.0045%、医療機関が0.01%となっております。また、肺炎球菌ワクチンに関しては薬効欠如等、ワクチンの副反応ではないと考えられるような症状が報告されていることについて、これまで審議会で御指摘いただいており、内数として「肺炎球菌感染、肺炎等を除く」ということで、それらを除いた値も示しております。今回の対象期間では、企業から肺炎の症例が幾つか報告されており、これらを除くと企業の報告数は45から34に減り、報告頻度は0.0045%から0.003%に減ります。1ページの下の転帰です。今回の集計対象期間内に後遺症症例が医療機関から2件報告されており、また、死亡症例が製造販売業者から1件、医療機関から1件、合計2件報告されております。

 2~6ページは、症状別の集計結果です。この表で★を付けている症状は、先ほど1ページで内数として集計する際に除外したものです。7ページは予防接種法の報告基準に定められた症状の集計結果、8~15ページは個別の症例の一覧表です。16ページは後遺症の症例です。No.1の症例は74歳の女性で、ニューモバックスを接種して2日後に右膝の調子が悪くなり化膿、化膿部から肺炎球菌が検出され、その後、リハビリを継続しており、可動域も狭くなっているということで、後遺症として報告された症例です。

 一番右のセルの専門家の意見の所です。専門家の意見としては、ワクチン接種が膝関節の肺炎球菌の出現となることはあり得ない、不活化ワクチンでは、因果関係は否定的である、情報不足で原因の評価は困難であるという評価を頂いております。

 2つ目の症例は74歳の男性で、ニューモバックスを接種して11日後頃より手指の痺れ感が出現し、両上肢、両下肢、体幹へと拡大し、接種20日後頃から脱力感があり歩行困難となり、ギラン・バレー症候群と診断されました。その後、回復はしたものの後遺症として四肢の痺れ感が残ったという症例です。専門家の意見としては、臨床症状、検査所見ともにギラン・バレー症候群に妥当する、因果関係は否定できない、因果関係ありと判断されるとの評価を頂いております。

17ページはアナフィラキシーのまとめです。対象期間内に報告はありませんでした。18ページからは死亡症例の一覧です。肺炎の症状で報告された症例と、それ以外の症状で報告された症例について、表を分けてお示ししております。まず、1つ目の肺炎以外の症状で報告された症例について説明します。18ページのNo.1~3の症例を御覧ください。

No.1は狭心症等の基礎疾患のあった64歳の女性で、接種後から接種部位の疼痛及び悪心を訴え、接種3日後に自宅にて心肺停止状態で発見され、死因は不明とされた症例です。専門家による評価の結果、ワクチン接種との因果関係は不明と評価されております。

No.2、3は集計対象期間後に報告された症例です。No.2はファロー四徴症などの基礎疾患のあった13歳の男性で、接種約2年後に死亡した症例です。現在、詳細は調査中ですので、結果が得られ次第、改めて報告いたします。No.3の症例は75歳の男性で、ワクチン接種6日後に体調不良を訴え、その後、死亡したという症例です。専門家による評価の結果、情報不足のため、ワクチン接種との因果関係は判断できないと評価されております。

19ページのNo.4以降の症例は肺炎として報告された症例です。No.4は慢性心房細動等の基礎疾患のある79歳の男性が、接種3日後に肺炎と診断され、接種5日後に死亡が確認され、死因は細菌性肺炎とされた症例です。専門家による評価の結果、接種前に咽頭痛と鼻水が認められており、死因とされた細菌性肺炎とワクチン接種との因果関係は不明であるとされております。

No.5~8については、集計対象期間後に報告された症例です。患者さんの御家族や知り合いの方から企業に情報が寄せられたものが多く、いずれも情報不足のためワクチン接種との因果関係は判断できないと評価されております。21ページ以降に経過や専門家の意見の詳細等を添付しております。一部の資料については、委員限りの資料としております。委員限りの資料について、その内容を御発言いただく際には、患者個人の特定につながらないように御配慮いただきますようお願いいたします。資料7の説明は以上です。

 資料8です。8月28日の合同会議において、昨シーズンのインフルエンザワクチンの報告状況について報告しましたが、その際に未評価だった1例の死亡症例について調査結果が得られましたので、本日、報告いたします。基礎疾患として気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患のあった84歳の女性で、接種6日後に下痢、嘔吐、呼吸困難、意識レベルの低下が認められ入院、その後、退院したものの接種259日後に自宅で、心肺停止状態で発見、死因は慢性閉塞性肺疾患とされた症例です。専門家による評価の結果、ワクチン接種との因果関係は否定的であると評価されております。2ページ以降に委員限りの資料として経過や専門家意見の詳細等を添付しております。

 資料5~8の説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○桃井委員 それでは、資料5~8について御意見、御質問をよろしくお願いいたします。

○稲松委員 資料7の肺炎球菌の8ページの症例の所に「脾摘」と書いてあるのは、どういう意味ですか。それと、脾摘例は保険給付の対象ですので、この場合、定期接種との関係はどのようになるのでしょうか。患者負担は保険を使ったほうが安くなってしまうのですね。その2点お願いします。

○事務局 確認をいたしますので、少々お時間を頂ければと思います。

○桃井委員 確かに症状名が脾摘というのは違和感がありますね。

○稲松委員 脾摘例なのに定期接種をやってしまったという意味でしょうか。

○事務局 まず、脾摘と書いてある点についてです。接種をした後、何日後かは不明ですが、脾臓を摘出したという内容で報告されているもので、資料にはこのように記載しています。接種前に摘出したということではなく接種した後に脾臓を摘出した症例と報告されていますが、なぜ、脾臓を摘出したのかという詳細な情報は全く得られていないという症例です。

○桃井委員 副反応報告の症状としては極めて違和感があります。もし、より詳細なことが分かったらお知らせください。

○事務局 企業からの報告なのですが、薬剤師からそのような報告が上がってきて、企業としては因果関係が否定できない重篤な接種後の症状ということで、報告を上げてきたという状況です。

○桃井委員 よろしいでしょうか。

○稲松委員 副作用として上げるのはおかしいので。多分、状況としては、たまたまワクチンを打った後がんか何かの手術をして、広範な郭清の中で脾摘もやってうんぬんという話なのか、別に副作用というわけではないのですよね。それを確認しておいてください。

○事務局 報告してきた企業にどのような状況だったのかということは、再度、確認いたします。

○稲松委員 それと、先ほど申し上げた保険適用がきく病態において、この定期接種はどのような扱いになるのかよく分かりません。

○事務局 現在、高齢者の肺炎球菌に関しては、基本的に65歳の高齢者を対象とするという中で、経過措置として、更に、5歳ごとの接種機会を設けるという形で、高齢者に対する肺炎球菌の接種を行っております。定期接種を受ける年に、たまたま同時に脾臓摘出手術を受けられた方の取扱いという御質問なのかと思います。

 先生が御指摘のとおり、脾臓摘出後の肺炎球菌の予防接種に関しては、保険適用となっておりますので、その場合には、その保険の中で予防接種が行われているものと考えております。

○桃井委員 よろしいでしょうか。

○稲松委員 1つは患者負担の問題で、例えば、保険で1割や3割負担だと、公的接種で受けるよりも安くなってしまうのです。この間、たまたまそういう症例があり、患者さんに保険適用のほうが得だというお話をしました。それと、副反応が起きたときに補償がどちらの扱いになるのか、その辺りを整理しておいてください。

○倉根委員 この方は年齢等が何も書いていないです。
○倉根委員 年齢、性別が不明なので、ニューモバックスの効能というか効果の所に脾摘患者における肺炎球菌の予防と書いてあるので、何か脾摘があったので、ある予防のために打ったのかという理解もしたのですが、時間的には分からないので、ここは調べていただくということかと思います。

○桃井委員 そうですね。全く詳細が分からないのでお調べいただければと思います。

○事務局 先ほど、担当から申し上げたのですが、この症例については、接種後の脾摘ということですので、時間関係、そこだけは分かっています。

○倉根委員 それだけは分かっているのですね。

○事務局 ただ、どういう状況で脾摘になったのかは、少し調査をさせていただきます。あと、先生が御指摘の治療目的で使用した場合の救済については、PMDA法の副作用被害救済制度の適用ということになりますので、そういう点についても補足させていただきます。

○桃井委員 ほかに何かございますか。

○多屋委員 肺炎球菌で1つ、水痘で1つあります。肺炎球菌の16ページの1番の患者さんは感染症を発症されたということですが、この方の場合も一番初めのページの作表の中では「うち、肺炎球菌感染、肺炎等を除く」の除かれるほうの方に入っているのでしょうか。これが1つです。それと、最後の2行の意味が分かりにくくて、ロット番号これこれは、「pneumococcal vaccine, polyvalent23-valent)に対して有効なロット番号であることが確認された」という記載が分かりにくいので教えてください。

 あと、水痘の7ページですが、明らかに4種混合ワクチンの接種部位で腫れたという1011の方についても、非重篤ではあるのですが、やはり水痘のワクチンの副反応にカウントされてしまうのかについて、2点、質問とコメントです。7ページの1011のように、明らかに4種混合接種後腫大とか、「接種側の肘」と書いてあるのですが、そこはスクエアキッズだと思うので、こういう場合は水痘の一覧の中には入らなくてもいいのではないかと思ったのですが。たくさんの症例の中からまとめているので大変だとは思いますが、コメントでした。

○桃井委員 まず、肺炎球菌のほうからお願いします。

○事務局 今、肺炎球菌のほうを調べさせていただいています。水痘のほうですが、同時接種でされているものだということであれば、これは副反応疑いの報告制度ですので、言ってみれば因果関係が明示的に特定できない場合であったとしても、それは併用で使っていれば、それぞれ疑いとしての可能性はあるので、こういう形で報告は出てくるということです。素直に作表化しているということです。むしろ、それについてはこの部会の先生方の見識の中で御評価いただいて、それは関係ない、関連性はないというものであれば、関連性がないということを御意見として頂ければ、安全対策として非常に参考になるということだと思います。

○多屋委員 細かいことで申し訳なかったのですが、明らかに4種混合でと書かれていたのでコメントさせていただきました。

○桃井委員 そうですね。もし、それが明らかであればここに入れるのはおかしいということになりますので、同じ部位に接種したわけではありませんので、その辺も注意深く見ていただければと思います。

○事務局 肺炎球菌のほうですが、先ほどの後遺症の1例目、症状名として「レンサ球菌検査陽性」という所ですが、こちらは★は付けておりませんので、全体の集計からは除いていない症例になります。現状、★を付けている肺炎球菌の感染や肺炎などで報告されたものについては除いているという状況です。

 この「ロット何々に対して有効なロット番号であることが確認された」ということの意味については、報告されている企業にも確認して、改めて御報告させていただければと思います。

○桃井委員 余り意味のない記載であるようには思いますが、これがなぜ記載されなくてはいけないのかも御確認ください。ほかに何かおありでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、資料5から資料8までの御審議を頂きました。これらの副反応疑いの報告頻度は、これまでと比べて特段高くはないという評価でよろしいでしょうか。23価肺炎球菌ワクチンで、2例の後遺症報告がありました。1例は関連性に関して専門家の御意見が否定的、1例はGBSで否定できないという例でした。肺炎球菌ワクチンにおいて、今回の集計対象期間に死亡症例が2例、報告がありました。因果関係は不明という評価になっております。このような評価でよろしいでしょうか。これらの評価に基づいて、現在の状況に関して安全性に対する懸念等について、何か御意見はおありでしょうか。

 これらの評価に基づき御審議いただいたこれらのワクチンについては、その安全性において重大な懸念は認められないという評価でよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは次に進めさせていただきます。資料9から資料11までの御説明をお願いいたします。

○事務局 資料9から資料11について御説明いたします。まず、資料9を御覧ください。サーバリックスについてです。対象期間の接種可能のべ人数が約700人、製造販売業者からの報告が21件、医療機関からの報告が8件、うち重篤なものが8件報告されております。報告頻度は企業が2.9%、医療機関が1.1%となりますが、接種数が極めて少ない中で、過去の症例が報告されておりますので、こちらの頻度の数値自体は余り意味のないものとなっております。1ページの下の転帰です。今回の報告期間では後遺症や死亡の症例はありませんでした。

 2ページから5ページに症状別の集計結果、8ページに予防接種法の報告基準に定められた症状について集計した結果を記載しています。9~11ページが、報告された症例の一覧表です。製造販売業者からの報告については、文献等によるものが多く、発生日や転帰等が不明のものが多くなっています。また、医療機関からの報告も、発生までの日数が不明なものが多くなっています。こちらについては推測にはなりますが、当初受診していた病院ではなく、その後に受診した別の病院から報告されたために発生日等が不明になっていると考えられます。複数の病院を受診した場合には件数に重複が生じ得ることがございますが、こちらについては可能な範囲で重複を排除するように努めております。今回、報告後に重複が判明した場合においても、次回以降の会議資料で累積の件数を補正するようにさせていただきます。

 続いて12ページですが、接種後の迷走神経反射が疑われる副反応疑い症例でのアナフィラキシーの可能性について検討した資料です。下のほうの表にあるとおり、迷走神経反射が疑われる症例は9例ありましたが、ブライトン分類3以上として報告されたものはありませんでした。13ページが、GBS/ADEMの可能性のある症例のまとめです。今回は該当する症例は報告されておりません。

 続いて1415ページが後遺症の症例です。14ページの症例は、基礎疾患のない17歳の女性がHPVワクチン接種後に筋肉痛、痙攣発作、運動障害、失神について「後遺症あり」と報告された症例です。経過が非常に長いものになりますので、16ページ以降にまとめております。接種の同じ月から症状が出ているということが報告されております。14ページにお戻りいただきまして、専門家からの意見としては、現報告からは因果関係は不明との判定が適当である、情報不足のため判断できないといった意見を頂いております。

15ページの症例については、基礎疾患のない15歳の女性がHPVワクチン注射部位多毛症、注射部位結節、注射部位腫脹について「後遺症あり」と報告されたものです。専門家からの意見については、全体として情報不足で判断できないというものでした。また、隆起性皮膚線維肉腫については、病理組織学的所見の結果、不明といった意見もございました。

23ページは、これまでのアナフィラキシーの報告のまとめです。今回、アナフィラキシーが疑われる症例の報告はございませんでした。資料9の御説明は以上です。

 続いて、資料10を御覧ください。資料10はガーダシルについてです。接種可能のべ人数が3,106人、製造販売業者から16件、医療機関から重篤なものが3件報告されております。これらのうち、対象期間内に接種が行われた症例はございませんでした。報告頻度は企業、医療機関で、それぞれ0.5%、0.1%となっておりますが、こちらも接種数が少ない中で過去の症例が報告されておりますので、こちらの頻度の数値自体は余り意味がないものとなっております。1ページの下段には転帰の情報をまとめています。死亡、後遺症症例の報告はありませんでした。2ページから5ページが報告を症状別に集計したもの、6ページで予防接種法の報告基準に定められた症状について集計した結果をお示ししております。7ページから9ページが、報告された個別症例の一覧です。先ほどのサーバリックスと同様、発生日や転帰等が不明のものがございますが、理由は同様と考えられます。

10ページが、接種後の迷走神経反射が疑われる副反応症例でのアナフィラキシーの可能性に関する資料です。下にお示ししている表のとおり、迷走神経反射が疑われる症例は18例ありましたが、そのうちブライトン分類3以上としてアナフィラキシーが疑われるといった症例はありませんでした。11ページが、GBS/ADEMの可能性のある症例のまとめです。今回は該当する症例の報告はありませんでした。12ページが、アナフィラキシーとして報告された症例ですが、こちらも今回は該当する報告はございませんでした。資料10の御説明は以上です。

 資料11を御覧ください。HPVワクチン接種後の失神関連の副反応が疑われる症例をまとめた資料のアップデートになります。2ページから5ページがサーバリックス、6ページから9ページがガーダシルのまとめになります。2ページの1つ目の国内の発現状況ですが、サーバリックスの発売開始から本年8月末までの報告件数は972例、発生率が10万接種当たり13.88例、このうち意識消失のあった症例は643例で、10万接種当たり9.18例でした。3ページを御覧ください。意識消失までの時間を表したもので、上の棒グラフは接種後30分までに発現した症例、下の表は接種後30分以降に発症した症例をまとめたもので、多くは30分以内に発現しております。4ページは、意識消失があった症例の時期ごとの発現の傾向を示しています。5ページが最近の報告になりますが、最近は該当するような症例はございません。

 6ページ以降がガーダシルの資料です。6ページの1は国内の発現状況です。8月末までの報告では、失神に関連する副反応疑いが388例あり、発生率は10万接種当たり20.0例でした。このうち意識消失のあった症例は266例で、10万接種当たり13.7例でした。7ページは、サーバリックスと同様、それぞれ意識消失などまでの時間を示したグラフと表になっています。傾向はサーバリックスと同様で、30分以内のものが多くなっております。8ページから9ページが、意識消失のあった症例を期間ごとに集計したものですが、サーバリックスと同様、ここ最近の事例として報告されたものはございませんでした。資料11の御説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。

○桃井委員 資料9から資料11までの御説明を頂きました。御意見をお願いいたします。

○長谷川委員 重篤症例の一覧表を見ると、例えばサーバリックスのほうの5番で、接種日から発生日が6年たっているものや、ガーダシルの11番のように3年たっているものがある一方で、発生日が不明と書いているものが多くて、また不明の割合が会社によって違うということは、集計の仕方が会社によって違う可能性があると思います。製造販売業者からの報告で、もう少し発生日が分からないと、因果関係というのは非常に重要なポイントだと思いますので、そこら辺はもう少し発生日が分かるような形での報告にしてもらったほうがいいのではないかと思いました。

○桃井委員 これまでも、製造販売業者からの報告は発生日が分からないものが多かったように思いますが、改善し得る方策は何かありますでしょうか。

○事務局 製造販売業者については、副作用、副反応等を知った場合には報告をしなければならないという義務がありますが、医療機関や医療関係者からその情報を得て報告を出させていただくということです。これは発生日についてもできる限り当該医療機関から情報を得られるような形で、我々のほうも製造販売業者に対して引き続き指導させていただきますが、やはり状況によっては情報が得られないケースもあるということも御理解いただければと思います。そこは引き続き可能な限りの情報を入手できるように指導は徹底させていただこうと思っています。

○桃井委員 ほかにいかがでしょうか。

○佐藤委員 本年度から参加しているので教えていただきたいのですが、過去の文献を見ますと、adjuvantと接種部位の痛みや自己免疫との関連という報告が幾つかあると思うのですが、それらに関してどういった整理になっているのかを教えていただけないでしょうか。

○桃井委員 この案件とは全く別の案件になりますので、よろしければこの審査が終わった後で御質問いただければと思いますが、よろしいでしょうか。

○佐藤委員 分かりました。

○柿崎委員 資料9の19ページで、後遺症症例なのですが、接種1,870日時点で免疫治療をスタートしています。22ページで、「免疫治療後、接種5年3ヶ月後から接種5年5ヶ月後は問題なく経過している」と書かれているのですが、免疫治療というのは、どういった内容の治療をどういった施設で行われたのかというのは分かりますか。

○事務局 ここに書いてある以上の情報は入手できていないということですので、種類については我々からも照会させていただこうと思います。また御報告させていただきます。

○桃井委員 よろしくお願いいたします。先ほど、長谷川委員から発生日不明ということで御指摘を頂きましたが、例えばサーバリックスの11ページの医療機関からの報告でも、発生日不明というのが少なからずあって、発生日不明であるにもかかわらず、因果関係ありという記載があります。因果関係ありという御判断で御報告される医療機関であれば、発生日ぐらいはきちんと書くように御指導いただけないかと思います。これは医療機関の記載としては極めて無責任のように思いますので、せめて医療機関ぐらいは、当然分かるはずですから、きちんと御報告いただけるよう御指導ください。よろしくお願いいたします。

○事務局 承知いたしました。

○桃井委員 ほかに何かおありでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、資料9から資料11までをまとめさせていただきます。今回の報告では、この期間内では報告例がゼロで、平成23年に遡って過去に発生した症例が報告されているのが全てです。全体の傾向としては、これまでの報告と大きな変化はないと考える、これでよろしいでしょうか。このような評価を基に、この扱いに関して何か御意見はおありでしょうか。

 今、申し上げたような評価ですので、御審議いただいた2つのワクチンについては、今回までの副反応疑い報告によって、その安全性においては新たなシグナルの検出はないと。したがって、従来どおりの評価であるということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、以上でHPVワクチンの副反応疑い報告に関して御審議は終了しました。

 議事2の(1)の審議事項の2.です。HPVワクチンについての御審議に入ります。前回の9月の部会において、HPVワクチンに関する様々な医学的ファクトに関して、整理していただけるようにお願いしたところです。本日は、その資料が提出されてありますので、HPVワクチン接種後に生じた症状に関して皆様の御意見を頂戴いたしたいと思います。まず、事務局から資料12から資料17までの御説明をよろしくお願いいたします。

○事務局 資料12から資料17にかけて、一括で御説明いたします。まず、資料12「HPVワクチン接種後に生じた症状について」です。これまでの審議会での検討状況です。平成251225日に、HPVワクチン接種後に広範な疼痛又は運動障害を生じた症例を中心とする副反応疑い報告のあった症例の分析、7名の参考人、これは実際に患者を診察している医師、中毒学、免疫学、認知行動科学、産婦人科学の専門家、この方々からの発表を基に、御審議いただいております。

 平成26年1月20日、平成26年7月4日には、ワクチン接種後に副反応が疑われる症状として報告された症例、主に広範な疼痛又は運動障害を生じた症例について、論点整理を基に審議を頂いております。今回の症状のメカニズムとして、神経学的疾患、中毒、免疫反応、機能性身体症状が考えられるが、神経学的疾患、中毒、免疫反応では説明ができず、機能性身体症状であると考えられるとされています。また、HPVワクチン接種後の局所の疼痛や不安等が機能性身体症状を惹起したきっかけとなったことは否定できないが、接種後1か月以上経過してから発症している症例は、接種との因果関係を疑う根拠に乏しいと整理をされています。その後も、本部会においては継続して副反応の発生状況をモニタリングいただいているところです。

 平成281226日、また今年、平成29年4月10日には、HPVワクチン接種歴のない方におきましても、HPVワクチン接種後に報告されている症状と同様の「多様な症状」を有する方が一定数存在するかを確認するために、平成28年1月から実施されていた厚生労働科学研究事業の研究班による疫学調査の結果を研究班から御報告いただきまして、HPVワクチン接種歴のない方においても、HPVワクチン接種後に報告されている症状と同様の「多様な症状」を有する方が一定数存在したことが明らかとなったということです。

 本日の検討課題として、2点挙げさせていただいております。1点目は、HPVワクチン接種後に生じた症状に関する新たなエビデンスの有無についてです。平成26年1月の合同会議における検討以降、HPVワクチン接種後に生じた症状とHPVワクチンとの因果関係に関する新しいエビデンスが報告されているかということです。

2点目は、臨床現場で使用されている様々な傷病名との関係についてということです。平成29年7月28日の専門家のヒアリングにおいては、HPVワクチン接種歴のない方における「多様な症状」について、医師と患者の信頼関係の構築の重要さと、症状にだけ焦点を当てず、日常生活レベルの回復と維持を目的とした時間をかけた丁寧な診療により、改善している例が示されております。その際、医師の専門性の違い、あるいは主たる症状の違いなどにより、同一と思われる状態でも様々な傷病名で診療が行われていました。こういった臨床現場で使用されている様々な傷病名と機能性身体症状との関係について、どのように評価できるかということです。

 資料12の別添ですが、5月1日から8月末までに提出された副反応疑い報告のラインリストに関しては、先ほど御報告申し上げたところですが、その前の平成2112月にサーバリックスが販売開始されており、またガーダシルについては平成23年8月から販売されております。それ以降、平成29年4月30日までに報告された副反応報告について、改めてその一覧を御提出させていただいているところです。

 この1枚目が全体のサマリーということで、サーバリックス、ガーダシルごとに製造販売業者からの報告数、医療機関からの報告数、合計の報告数を記載しております。2ページから78ページまでが、これまで報告された副反応疑い報告の全ての症例です。

 続いて、資料13についての御説明をいたします。こちらは「我が国におけるHPVワクチン接種後に生じた症状の報告頻度等について」ということです。データは2種類示しております。1つ目が、副反応疑い報告で、副反応疑いとして報告された症例について、審議会において一定期間ごとに症例の概要を基に報告頻度などを確認し、安全性に係る定期的な評価を継続して実施していただいております。ここに掲載している数字は、今年の4月末までの報告件数を基に記載させていただいております。副反応疑い報告として総報告数は3,080人で、接種者数に対すると10万人当たり90.6人です。うち、医師又は企業が重篤と判断した報告数は1,737人で、10万人当たりで言うと51.1人です。ただ、この重篤と判断した報告数は、接種後短期間で回復した失神なども含んだ数字であるということは、先ほどお示しした累積のラインリストからも分かることだと思っております。

 また、救済制度に関しては、我が国の従来からの救済制度の基本的な考え方、「厳密な医学的な因果関係までは必要とせず、接種後の症状が予防接種によって起こることを否定できない場合も対象とする」にのっとり、救済に係る審査を実施しています。こういった中で、HPVワクチン接種との因果関係が否定できないとして救済制度の対象となった件数を整理させていただいています。予防接種法に基づく救済の対象としては、審査した計36人中21人を認定、PMDA法に基づく救済の対象としては、審査した計436人中274人を認定ということです。合計472人中295人を認定ということで、この認定者数を割合で申し上げると10万人当たり8.68人ということです。なお、この認定は、ワクチン接種に伴って一般的に起こり得る過敏症など機能性身体症状以外の認定数も含んだものだということです。

 資料13の別添2は、「HPVワクチン接種後に生じた症状に対する当面の対応」として、平成27年9月17日の副反応検討部会後に公表した考え方を、参考として付けさせていただいております。基本方針として、寄り添う姿勢と科学的知見の尊重ということで、救済に係る速やかな審査、救済制度間の整合性の確保、医療的な支援の充実、生活面での支援の強化ということで、寄り添った支援を強化していくということと、調査研究の推進ということで5本柱ということです。

 3ページには、5本柱のそれぞれについて、どういった進捗状況となっているかということを整理した資料も、参考として付けさせていただいております。この部会においては、例えばこの医療的な支援の充実の関係で全国に協力医療機関が整備されているということであったり、この生活面での支援の強化という中で相談窓口の相談件数などについては、過去に御報告を申し上げたこともあります。それを改めて整理したものということです。

 資料14は、「諸外国におけるHPVワクチンの安全性に関する文献等について」です。過去に1回この部会にも提出させていただいたことがありますが、それをアップデートした資料としてお配りしているものです。一定規模の疫学研究を中心に集めているものということです。1枚めくっていただくと、まず米国におけるHPVワクチンの安全性の評価の関係が、ある程度定期的に出ているので、それが掲載されています。3ページの下は、スウェーデン・デンマークにおいて、自己免疫疾患、静脈血栓症について検討が行われたというものです。29疾患のうち、ベーチェット病・レイノー症状・1型糖尿病の3疾患にワクチン接種との関連が示唆されたが、より詳細な解析の結果、関連はないと考えられたというものです。

 1ページめくっていただくと、英国において慢性疲労症候群の関係、またデンマークにおいて静脈血栓塞栓症の関係、右側のほうですとスウェーデン・デンマークにおいて多発性硬化症及びその他の脱髄疾患の関係、5ページでは米国における多発性硬化症及びその他の中枢神経系脱髄疾患のリスクの関係、6ページでは米国における静脈血栓塞栓症発症リスクの関係、また、6ページの下には英国におけるギラン・バレー症候群との関係、7ページにおいてはノルウェーにおける慢性疲労症候群/筋萎縮性脳脊髄炎との関係の評価がまとめられており、それぞれについてリスク増加はしていなかったという結果がまとまっているものです。なお、6ページの上段の資料について、四角囲いの中の2つ目の○の最後のほうの「リスクは」の後に、「増加していなかった」ということで、「増加」の2文字が抜けておりますので、その点をお詫びして訂正いたします。

 資料15は、「諸外国の公的機関及び国際機関が公表しているHPVワクチンに関する報告書」です。これも本部会において御報告した資料をアップデートしたものです。1枚めくっていただくと、米国医学研究所のレポートがあり、次に英国医薬品庁の公的評価の報告書が載っています。この関係に関しては、CRPSの関係、ギラン・バレー症候群の関係、脳症、ベル麻痺、CRPS、慢性疲労症候群の関係について言及があるということです。また、1枚めくっていただくと、米国の予防接種諮問委員会のレポートということで、静脈血栓塞栓症・失神・アナフィラキシーの関係、自己免疫・神経疾患の関係、CRPS、複合性局所疼痛症候群の関係について評価が行われているということです。また、欧州医薬品庁レポートの中でも、CRPSとPOTSの関係が評価されており、これらに関しては安全性の懸念は見られてはいないということが書かれています。

 5ページの上には、フランス医薬品・保健製品安全庁のレポートがあります。これは、接種群と非接種群における自己免疫疾患14疾患の発生頻度を比較分析したものです。14疾患全体での発症との関連付けはなかったということですが、炎症性腸疾患の関係に関しては、有意な相関があったということで、しかしながらその炎症性腸疾患については疾患の発症の過剰なリスクにはつながらないと考えられるということが述べられています。また、ワクチン接種に起因するギラン・バレー症候群10万人当たり、HPVワクチン接種に起因するギラン・バレー症候群は1-2例であると考えられるという記載もあります。この関係に関しては、その後WHOのワクチンの安全性に関する諮問委員会の声明の中で言及されており、5ページの概要の3つ目のポツですが、フランス医薬品庁の関係では、「ギラン・バレー症候群は主に接種後3ヶ月以内のリスクの増加を認めた」という記載があります。「追加の十分な規模の研究が、今後の知見の評価を進めることとなり、もしこの結果が検証された場合には、最終的なリスクの程度のよりよい評価に資するであろう。このリスクは-仮に存在したとしても小さいものであるが-HPV感染症に関しては、長期に持続してがんを予防する利益との文脈において評価する必要がある」という記載が、2015年の声明にはあるということです。

 この関係については、6ページのWHOのワクチンの安全性に関する諮問委員会の2017年のレポートの中に、再度記載があります。2つ目のポツですが、「ギラン・バレー症候群については、2017年英国で行われた大規模Self-controlled case-series研究において、いかなるドーズのHPV接種後でもGBSのリスクが上昇しないことが示された」と評価されていますし、また最後のほうのまとめですが、「HPVワクチンの承認以来、GACVSは、多くの非常に大規模で質の高い研究に基づいて、新たな有害事象は認められていないと考えている」ということが述べられています。

 資料16は、WHOがそれぞれのワクチンの対象疾患に関してポジションペーパーを出しており、それが、本年5月アップデートされておりますので、参考にお配りしたものです。この資料に関しては、原文は英文ですが、日本語訳を「仮訳」ということで付けております。この資料の詳細な説明は割愛させていただきます。

 資料17は、「HPVワクチンの有効性について」です。これもほかの検討部会で過去に御報告した資料をアップデートしたものです。内容については改めて申し上げるものではありませんが、前回のこの部会で報告した以降の主なアップデートとしては、「HPVワクチン導入のインパクト」の中で、前回御報告した際にはHPVの感染の頻度が減少したという報告があるということでしたが、子宮頸部の異形成に関しても、「頻度が実際に減少したとする報告がある」というところが主なアップデートということです。

 この有効性に関して、我が国におけるHPVワクチンによる効果の推計というのを過去にも示していますが、それをアップデートした数字をここにも記載しております。期待される子宮頸がんの罹患者数の減少を生涯累積罹患リスクによる推計で申し上げると、10万人当たり859595人ぐらい減らす効果があるのではないかということです。また、期待される子宮頸がん死亡者数の減少ということに関しては、生涯累積死亡リスクによる推計ということで言うと、10万人当たり209144人減少するのではないかということを示しています。これに関しては、実際の推計方法は資料の12ページ以降に細かく、過去にお示ししたものと同様に記載しています。以上が、本日御用意させていただいたHPVワクチンに関するファクトの整理についての資料です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○桃井委員 ありがとうございました。大変大部の資料ですが、資料は十分お目通しいただいていると思います。課題がそこにまとめてありますが、課題としては2点あります。まずHPVワクチン接種後に生じた症状に関して、新たな因果関係を示す、質の高いエビデンスが出ているかいないかに関して、御意見を頂戴したいと思います。2番目の課題ですが、様々な診療経験のある先生方にも御報告いただきました。その先生方の専門領域によって、同一の極めて類似の症状群の症例に関して、様々な診断名が使われているということも、お気付きの点かと思います。それらの傷病名と本部会で評価をしている機能性身体症状であるということと、これまでプレゼンされた先生方で使われた様々な診断名に関して、どのように評価をしたらいいか。この点についても意見があれば頂戴したいと思います。

 資料17は今、御説明いただきましたように、安全性に関するファクトの資料です。本部会は、効果について評価する部会ではありませんが、安全性を評価する中では効果が念頭に入っていて、当然審議されるべきものと思いますので、資料の御提示を頂きました。これらについて、御意見を頂戴できればと思います。

 まず1番目の課題の、HPVワクチン接種後に生じた「多様な症状」に関して、新たな因果関係に関するエビデンスがあるかに関して御意見があれば頂戴したいと思いますが、いかがでしょうか。現時点で、新たなエビデンスが提出されて、取り上げられるべき何らかの質の高いエビデンスかあるかということに関して、御意見を頂戴できればと思います。いかがでしょうか。

 恐らく委員の先生方は、大変多くの論文を検索されて、見ていらっしゃると思います。ギラン・バレーやその他の自己免疫疾患に関する論文、あるいは慢性疲労症候群のような病態に関する論文、あるいはPOTSと最近呼ばれているようですが、自律神経異常に関する論文等々が散見されます。先ほどギラン・バレーについても御説明がありました。何か御意見等ありますでしょうか。

○倉根委員 今のところに関して、新たなエビデンスですが、確かに近年、多くの論文等が出ていることは事実です。ただ、それぞれの論文、パブリッシュされたものとしても、どこまでその論文ではっきりしたことが言えるのかと言われると、やはり新たに、症状に関して因果関係をクリアに示すものはないのではないか、新たなエビデンスとしてはないのではないかと思います。というのは、それぞれの論文の著者が、どのように結論として書いておられるか、そのスタディーでどこまで言えるかというのは、ここに論文があったとしても、それは十分我々が専門家として見て、これで結論としてどこまで言えるかということを十分、そこまで読み込んで解釈する必要があるのだと思います。そういう意味では私は新たに何か出てきたということはないのかなと思います。

○桃井委員 ありがとうございます。ほかに御意見は、何でも結構です。山縣先生。

○山縣委員 私も基本的にはそういうことですが、研究デザインとして、医療機関に問題があって来る患者さんだけを見ているのでは、なかなかコントロールとの関係を見ることができないために、結論が出ていないものが多いのだろうと思います。

 一方で、例えばデンマークのように、疾病登録というか、受診のレジストレーションがあるような国で、しかも予防接種を打った記録がきちんとあるような国で、いわゆるレトロスペクティブではあるのですが、きちんとした、縦断的に追いかけているようなデータの研究に関しては、エビデンスレベルとしては、比較的高いと思うのです。例えばその中で、今年の7月に出ています、20万人ぐらいの子供に対して、予防接種HPVワクチンとMMRを打ったお子さんと、打たなかったお子さんとで、その後、医療機関にどう受診しているかといったような論文があるのですが、結論からいうと、打ってない人に比べて予防接種をしている子たちのほうが、コンサルティングないし比較的長期にわたって医師の診察を受けている人が多いのだけれども、例えばHPV単独が、それだけが多いかというと、必ずしもそうではなくて、MMRだけ打った子供たちと変わりはないのだというような結論も出ています。そういうことから言いますと、新たなHPVワクチンによって、医療機関を受診するような子供たちが増えているのだということに関しては、必ずしも確認できていないというのはこの論文の結果だと思います。

 我が国の場合に、このような仕組みがやはりどうしても、今後こういうことを考えるときには必要だろうなということを、改めてこの論文を読んで思いました。以上です。

○桃井委員 大変貴重な御意見をありがとうございました。今おっしゃられたデンマークの2017年報告の論文は、私も読みましたが、接種のみならず病院受診歴まで、明確なレジストレーションがあるため、大規模な疫学的な信頼できる数値が出てきやすいということは、大変重要なことであろうと思います。そういうものはリスク、安全性を迅速に見る上でも極めて重要なシステムだと思いますので、是非日本の保健行政においても、そういうシステムがいることを御指摘いただきました。大変貴重な御意見を頂きました。ほかに何か御意見はおありでしょうか。提示された資料以外のものもたくさんお読みになっていると思いますが、いかがでしょうか。

 御覧になった先生がいらっしゃるか分かりませんが、先ほどフランスの報告で、ギラン・バレーが直近で10万人に1人か2人に、因果関係を示唆するものがありそうだという報告を頂きましたが、2015年の報告でした。フランスからやはり2017年に報告が出ている、HPVワクチンとGBSの論文も、200万人のスタディーですが、接種をしていない方々のGBSの頻度が0.4/10万人年と、一般に考えられているより極めて少ない数字を出しています。接種をされた方のほうが1.4/10万人年と。接種をされた方々の頻度が1.4というのは、いろいろな論文をチェックいたしましたが、GBSの発生頻度はいずれも、10万人年で1.39とか1.65とか、そういう論文が散見されますので、このフランスのスタディーでどうしてこの非接種者のGBSの10万人年の頻度が、他の多くの数字の3分の1ぐらいになっているのか、その辺はちょっとよく分からないなというところでした。その辺が解決されないと、果たして本当に因果関係が言えるかどうか、私は疑問に思いました。

 イギリスで2017年に、self-controlled case series studyという、リスクを評価する疫学的に認められた方法論で評価をした論文もありました。これは3か月以内、6か月以内、12か月以内と、それぞれの接種間の期間でself-controlled case series studyをしていると。疫学的な方法論にのっとったもので、フランスとは違う方法論ですが、この期間において差がないという結果を出しているものもありました。方法論も違いますし、規模も違いますし、1つだけの結論で言えないというのが疫学調査だと思います。先ほどフランスのデータ紹介がありましたので、私が読んだ範囲で追加をさせていただきました。

 何かほかに御意見がおありでしょうか。新たな因果関係を示すエビデンスがここにあるぞというようなものをお読みであったり、あるいは御指摘いただければと思いますが、特に現時点ではそれらは出ていないということでよろしいでしょうか。

 もし後ほどお気付きの点があれば事務局まで言っていただければと思います。大変重要な点ですので、御意見をお寄せいただきたいと思います。

 2点目の検討課題です。先ほど申し上げましたように、臨床現場では類似の、あるいは全く同様と思われる症状群で悩まれている患者さんに対して、様々な疾病名が使われています。本部会では機能性身体症状というようにくくりましたが、臨床現場で使用されている、あるいはここの部会でプレゼンをしてくださった先生方が、様々な診断名で対応しておられます。それらと、機能性身体症状の関係について、どのように考えるかについて、もし御意見があれば頂きたいと思います。いかがでしょうか。

○倉根委員 当部会では機能性身体症状という考え方をお示ししております。それから、7月ですかね、ワクチンを接種していない方の症状についても、実際に診察されている先生方から教えていただきました。その症状を勉強させてもらいまして、非常に類似しているのではないかという理解を持ちました。特に何かある検査データが大きく変化しているというものではないのだということ等も伺いました。そういうことを考えると、やはり先日提示していただいた症例のデータ、教えていただいたものも、機能性身体症状というのと同類、あるいは同様の病態ではないのかなというのが私の理解です。

 一方、機能性身体症状という診断名というか病態の理解は、やはり臨床の先生方でも、いろいろな理解のレベルの相違があるのだろうと考えます。そういう意味では、一般の方、医療に従事されておられない方にとっては更に理解が難しいものだろうと考えます。今後、機能性身体症状ということの理解をしていただく、我々もここで申しましたけれども、委員会として考え方を示したのですが、これは何を示すのかということ、どういうものであるのかということを、十分理解していただくような方策が必要なのかなと考えます。

 もちろん前の議論でも出てきましたが、多くの新たなエビデンス、新たな文献等も出てきていますので、厚生労働省のホームページ等に出てくる情報のアップデートが、やはり必要ではないのかなと。この部会で述べているだけで十分に理解していただけるかというと、これはかなり難しいものがあろうと思いますので、できる限り、ホームページだけでいいかと言われるとまた別ですが、ホームページも含めてアップデートしていく努力が必要なのではないか。それによって更に我々がここで申し述べている症状についても、機能性身体症状という考え方についても、より理解が深まることになるのではないかと感じます。

○桃井委員 ありがとうございます。ほかに何か御意見はおありでしょうか。

○多屋委員 今の倉根先生のお話なのですが、私も、機能性身体症状という病名は、多くの方が同じ症状を意識して理解しているかどうかというところは難しいと思うので、一般の方々向けに、受けるお子さんたちのためにリーフレットなどが幾つか作られていると思うのですが、そういうものも改訂をして、病名について分かりやすく説明をするような追記がされるとよいのではないかと思いました。

○桃井委員 ありがとうございました。医学界でも2013年にDSM-5も変わりましたので、変遷している診断名の中で捉えようとしていることもあります。医学界の中でも自分はこの診断名は使わないとか、それぞれ専門によって様々な診断名が使われていることは事実です。ただ、それでは一般の方には、理解しにくい、混乱をするという御指摘はそのとおりであろうと思いますので、この「多様な症状」に関する理解を促進する、何らかの分かりやすい情報提供が必要だという御意見を頂戴いたしました。ほかに御意見は何かおありでしょうか。よろしいでしょうか。

○長谷川委員 疾病の名前を、様々な名前のものを1つにするためには、やはり学会なりが主導して、そういったものを決めていっていただくのが一番いいと思いますので、関連の腫瘍学会などに働きかけて統一を取ってもらうとか、ということはできないのでしょうか。

○桃井委員 おっしゃるとおりだと思います。ただ、この「多様な症状」の中には、主として疼痛と運動障害等の神経症状ですが、神経症状以外のものも含まれてきますので、それで機能性身体症状とくくっているというのが現実でして、恐らく依頼する学会によって意見が現時点では違ってくるであろうという段階であると理解しています。もう少しICD1011になって、全体の統一感が出てくれば、それは可能かなと思いますが、そんな医学界の現状が、より混乱に拍車を掛けているということも事実ですが、選択する学会によって、意見は恐らく違うだろうと思います。そのため、取りあえずは、この幅広い言葉でくくっているというのが現状です。よりよい用語の御意見があれば是非事務局に承りたいと思います。よろしいでしょうか。

 御意見を頂戴いたしましたので、まとめるまでもありませんが、現時点で1番目の課題に関しましては、平成26年1月の検討以降、HPVワクチン接種後に生じた「多様な症状」と、HPVワクチンの因果関係に関する新しい質の高いエビデンスが出されている状況にはないということでまとめてよろしいでしょうか。

 それから、疾病名、傷病名に関しては、これは先ほど御説明いたしましたように、様々な病名が使われている関係上、症状が極めて多様であるという特性上、これはDSM-5にもICD10にも含まれておりませんが、より大きくくくったという意味で、機能性身体症状というものを使っているということで、プレゼンしていただいた類似の症状とは同一のものであるという理解でよろしいと。

 それから、効果については、特に御意見を頂きませんでしたが、よろしいですか。資料を御確認ください。その議論を検討していただく中で、委員の先生から、機能性身体症状は専門によっては、医学界でも十分理解されているとは言い難いですし、国民には一層理解しにくい、今までの器質的疾患と違って、何かの検査指針があるわけでもなし、バイオマーカーがあるわけでもなし、極めて理解の難しい状態であるというところから、よりよく理解をしていただくための何らかの方策や、多面的な方策が必要であると。様々な情報のアップデートも含めて、また、この疾患を説明するリーフレットなども含めて、情報提供の仕方を検討する必要があるという御意見を頂きました。ありがとうございました。そんなまとめでよろしいですか。

 審議事項はこれで終わりました。報告事項に移らせていただきます。報告事項は「HPVワクチンに係る診療体制における協力医療機関等を受診している方を対象とした調査研究(症例フォローアップ調査)について」です。厚労省の研究事業研究班の研究代表者である、大阪大学大学院医学系研究科教授の祖父江友孝先生にお越しを頂いております。お忙しいところお越しいただき、ありがとうございます。祖父江先生から御報告をお願いします。

○祖父江参考人 厚労省の研究班を担当しております祖父江です。以前から、全国疫学調査ということで報告させていただいておりますけれども、今回はそれとは別の枠組みの調査でありまして、症例フォローアップ調査と称しておりますが、その報告をさせていただきます。ただ、データの収集はまだ進行中でありまして、今年度末まで続ける予定ですので、あくまで中間的な報告であります。

 症例フォローアップ調査の概要が、1ページ目の下に図示されていますけれども、研究目的としては、HPVワクチン接種後に症状を生じ、協力医療機関等を継続受診している症例の特徴を把握し、症状の経時変化の状況等について、評価をすることを目的とするということで開始しております。対象施設は、主には指定協力医療機関、その医療機関の先生方を通じて継続受診をされている方、患者さんに同意を取得した上で、患者さんに調査票を記入していただくという形での調査です。

 データの流れとしては、患者さんから、対象施設の医療機関の7人の先生方に、確認をしていただいた上で、これは記入状況を確認していただくということですけれども、その上で調査票を回収するという形になっています。別途、調査協力支援金として、初回1万円、2回目以降7,000円という協力支援金をお支払いするのに、大学の事務局等を通じて処理をするというルートを確保しています。全体の流れとしては、このような形です。

 次の2ページ目の上が文書での定義です。対象施設としては協力医療機関です。指定医療機関、協力医療機関としては85施設、92診療科が指定されています。それを中心として積極的に診察されている医療機関、あるいは小規模ですけれども、診療所等で診ておられる医療機関、研究連携施設ということで、協力していただける所は、できるだけ幅広く対象施設として組み入れました。

 対象者としての基準はそこにあるように、1.として、過去にHPVワクチンの接種歴がある方、2.として、HPVワクチンの接種以降に、以下のいずれかの症状を1つ以上有する方。疼痛、運動機能障害、自律神経失調様症状、認知機能の障害、あるいはそれら以外の神経又は運動機能症状ということです。

 このような2.の症状のために、協力医療機関等を現在でも受診している方を対象とすると。ですから、過去に受診した人を掘り起こすですとか、連絡をするという形でのリクルートはしないという方針で臨んでいます。具体的症状というのが書いてありますけれども、除外基準としては明らかにほかに疾患があって、症状が出ているという方は除くということであります。

 調査の経緯ですけれども、2015年から阪大での倫理審査等で承認を経た上で、研究班から協力機関に対して調査依頼を送付する、あるいはいろいろな関係機関から協力依頼を発出するということで行い、更に説明会を2015年の末、2016年の始めに行いました。ただ、この辺り、実は全国疫学調査をやっている最中で、かなり協力医療機関の先生方には混乱をさせてしまったところはあります。

 それ以降、これは各医療機関での倫理審査というのが、やはり必要になりますので、それをしていただいた上で承認が得られたところから、随時、患者登録を開始すると。ホームページ等にダウンロードできる申請書等も用意して、更に何回か再周知をしていただき、現在に至っているということです。今回は、7月末までのデータをフィックスして解析に用いております。

 質問紙票ですけれども、初回の質問紙票、それから2回目以降の質問紙票、これは入院あり、入院なしと分けてあり、全部で3種類あるわけですけれども、それに対応する回答票というのを付けています。委員の先生方にはお手元に別途ありますが、様式FW_Q0というものが質問紙票に当たるほうで、様式FW_A0が、それに対応する回答するほうの用紙であります。質問に対して細かい選択肢で回答票のほうには、例えば症状などは用意されていて、それをチェックするような形での回答になっています。

 今回、特に注目して集計したのが、症状あるいは継続的な就学・就労の支障の程度で、これについての変化を見るということを重視して解析したのですけれども、初回と2回目以降で、継続的な就学・就労への支障の程度、これは下の段で説明をしていますけれども、これが若干異なります。それが初回用では、ワクチン接種後から初回の調査までに、どのような状況になったかということを聞いており、2回目以降は、前回の調査票から今回までにどうなったかということを聞いていると。このタイムウィンドウがちょっと違うのですね。

 このことが、かなり回答状況に影響しておりますので、初回はちょっと別に集計し、2回目以降の変化を見るという形での解析をすることにいたしました。現在の病気の状況、1から10のほうは実は同じなので、これはできるのですけれども、就労状況のほうがやや聞き方が違うということで、初回を別途、集計するという方針にいたしました。

 ページをめくっていただいて、4枚目の上の段ですけれども、解析対象者としては、登録年月日が2015年から2017年、追跡期間といいますかは初回の調査から最終の調査まで、14か月程度、経過が追えていると。解析対象としては、登録症例は57例ありますけれども、初回調査票のみですとか、ワクチン接種日以前に症状が出ているということで、解析対象としては51例。初回の調査票が51枚、2回目以降が415枚、平均9.1か月ということで経過を見ております。下が、その具体的な、月ごとに見た回収状況ですけれども、初回とそれ以降が、ちょっと離れている例も幾つかありますけれども、総じて1か月ごとに経過が追えているというものが多いと思います。

 これを集計する際に、5ページ目の上ですけれども、施設別に集計するということを試みるわけですけれども、何せ51例ですから非常に少ないと。さらに1施設当たりの登録症例数が1例という所もありますので、それをまとめる際に1施設当たりの登録症例数が多い所は1施設という形になり、2症例あるいは1症例の所は、それぞれ4施設、7施設ありますので、それを合算した上で、このような分類で施設別の集計をするということで臨みました。施設数としては全体で15施設です。症例数が51症例ということになります。

 本日の解析の内容ですけれども、初回調査票の集計をまずいたしました。基本的な特性について、年齢あるいは接種日から出現日までの期間、発症から登録までの期間、あるいは診断名。それから変化を観察した項目として、症状、あるいは就学・就労の支障の程度というものです。2回目以降の調査票の分析として、特に継続的な就学・就労の支障の程度、それと現在の病気の状態、この2つに関して変化を解析しました。それと同時に治療に関しても、月ごとの治療内容というものを集計しました。

 実際に集計の結果ですけれども、6ページ目の下段にいっていただきまして、年齢に関しては、初回接種時の年齢は、平均14.3歳、初回症状の出現直前の接種時の年齢でいきますと14.5歳、ほとんど変わらないですけれども。発症時の年齢でいきますと、15.3歳ということで、1年ぐらい遅れたところで発症し、さらに登録時の年齢は18.8歳ですので、発症から既に3~4年経過しているところで登録していると。かなり長い期間、既に症状がある状態での登録であるということを御理解ください。

 7ページ目の上が、初回症状出現直前のワクチン接種日から症状が出るまでの期間ということで、これは1か月以内が19例、1年以内でいきますと39例ということで76.5%、短期間のうちに出ているものが比較的多いですけれども、かなり遅く出ているものもあると。下段にいっていただきまして、発症から登録までの期間としては、3年あるいは4年という所が多いですけれども、平均は3.7年というように分布しております。

 8ページ目にいっていただきまして、診断病名ということですけれども、これはあくまで患者さんが記入したものであって、施設の先生が書き加えたというものではありません。それまでに言われた病名というものを、受診機関数も言っていただいているので、それごとに集計したものですけれども、全数で見ていただくと、平均としては1例当たり平均診断病名数4.9ということなのですが、上から見ていただくと分かるように、診断名といっても不明とか、あるいは異常なしとか、こういったものも1個として数えての平均診断病名数です。

 受診機関数は、平均3.8施設ということなのですけれども、右上のほうに書いています。それを少ない、中ぐらい、多いというような形で分けてみますと、6か所から10か所、それまでに行かれているような患者さんでは、やはり不明、分からない、異常なしということを言われて、複数の所を受診したというような経緯が見て取れるデータなのかと思います。最もつらかった症状としては、やはり痛みが中心で、頭痛、関節の痛み、その他の痛みといったところが多いです。

 9ページ目にいっていただいて、これを「感覚・運動」「自律神経系」「認知機能」と、3つに大別した場合に、複数のカテゴリーにわたって症状を有しておられるかどうかということを確認したわけですけれども、やはり2つのカテゴリー、あるいは3つのカテゴリーの症状を持っておられるという方が多かったです。2つ以上でいきますと46例で、全体としては90.2%ということになります。単純に症状の数ということで分布を見てみますと、10以上を有する方が22例ということで、約半数ということになります。

 ページをめくっていただいて、初回時における就学・就労への支障の程度の質問において、それ以前に、初回調査記入時点までで最も悪い状況はどうだったのかということで集計をしますと、ほとんど休んでいたと答える方が36例、70.6%と、かなり悪い状況には一時期はあったということです。下の段を見ていただくと、これは初回調査票記入時から、過去1か月間の状況を再構成して、記入欄に、過去1か月のところには当てはまる症状がなかった、就学・就労の支障がなかったという方は支障なしということでカウントしますと、38例の方に関しては、初回調査票記入時に関しては支障なしということになります。支障ありの方も幾つかあると。この2つを比べると、過去にほとんど休んでいたというような、割と重篤な状況にあった人ではあるのだけれども、初回登録時には比較的改善していたというような経過が見て取れると思います。

11ページ目にいっていただくと、現在の病気の状態、1から10のスケールでいきますと、5を中心として、このような分布をしていたというようなことです。ですから小括としてまとめますと、初回調査時の集計としては、基本特性として平均年齢14歳ぐらいでの接種であり、発症時が15歳、登録時が18歳と。ワクチン接種から症状発現までの期間が、1か月以内、1年以内はこの程度と。発症から登録までは3.7年たっていて、診断病名としては複数の病名が付いていて、さらに不明あるいはなしといったことを気にされている方もかなりいるということであります。

 変化を観察した項目としては、最もつらかったのが痛みを中心としており、複数の症状を有する人がかなり多いと。症状も10以上の方が43.1%であります。就学・就労に関しては、最も悪い状況では、ほとんど休んでいたという人が多いですけれども、初回調査時においては、ある程度改善していると考えられる人が多く見られました。ただ、ここはまだちょっと詳細な集計が必要だと考えておりまして、それを予定しております。現在の状況としては、5を中心として分布ということであります。

 2回目以降の経時的変化を51例、415枚、9.1か月ぐらい、1年に満たない期間でありますけれども観察をしたということで、変化を検討した項目が就学・就労への支障への程度、それから現在の病気の状態と、対象者数は若干減って4845となっております。

 その経緯をとにかくグラフにしましょうということで、13ページ目にありますようなグラフ、これが個々の例に関しての変化の状況をプロットしたものです。上が就学・就労の支障の程度でありますけれども、上に行くほど悪い状況です。下が就学・就労ができる、上が休学・休業であると。下の図が現在の病気の状態で、これも1がいい状態で、10が悪い、上のほうが悪い状態であります。並びは余り意味はないですけれども、1例目は上下で同じ人です。2例目も同じ人が対応して位置付けられています。変化のない人もあり、あるいは非常に動揺している人もあり、改善しているのかなという方もいて、こういうようなことを、まずは見てみるということです。

 これをどうやって集計するのかというところで、はたと悩むわけですけれども、こういうふうにベースラインもはっきりしませんし、観察期間が個々の例で一定ではありませんので、どう評価するのかというのがなかなか難しいと思いましたが、とにかくやってみるということで考えたのが、14ページ目の上の段であります。できるだけ私意が入らないようにということで、まずは回帰直線を引いてみて、変化が一応、単調であるということを検出する意味ですけれども。その上で「Baseline」「Last measure」と書いていますが、Baselineは2回目の調査票です。 Last measureがそれぞれの人の最終の観察ですけれども、そこの間の最大観察された期間の差分を、一定の大きさで区分して、改善あるいは不変あるいは悪化と3つに分けました。継続的な就学・就労への支障の程度に関しては、-0.50.5、これをカットオフとし、現在の病気の状態の変化に関しては、-2、2というのをカットオフにしました。Bに関しては、1から10のスケーリングにおいて、2の変化というのが、患者さんが、変化があったと自覚をする最小の単位であるという論文が一応あります。それに応じて継続的な就学・就労への支障の程度のほうも幅が4なので、そのまま適用すると0.8になるわけですけれども、変化を拾うような形で、きりのいいところで0.5ということで区切りを今回は設定しました。

 このような判断基準で、まずは、Regression lineを引き、それが下の図と15ページ目の上の図です。さらに今の判断基準で並べ替えたものが、15ページ目の下の段で、これが経続的な就学・就労への支障の程度について改善されているのか、不変または動揺か、あるいは悪化しているかと。この際、Aに関しては48例に関して判断ができたのですけれども、Bの現在の病気の状態に関しての判断ができる45例に限って、今後の集計には使いました。ですから、悪化の次に、一番下に3例、Regression lineは引いてあるのだけれども、判断していないものがありますけれども、これは、そのペアのBの現在の病気の状態がmissingであるために、このような扱いをしています。

 その結果、Aに関して改善と判断できた例が、45例中11例、不変または動揺という判断をしたのが27例、悪化が7例ということになりました。このプロットとRegression lineとこの判断の結果をじっと見ていただいて、これが本当に妥当なのかということは、我々もじっと見ながら考えるわけですけれども、必ずしもそのとおりにはなっていないかもしれませんが、少なくとも私意が入った判断ではないだろうと考えます。Bのほうですが、現在の病気の状態のほうを同じような分類でいきますと、改善が9例、不変または動揺が31例、悪化が5例ということになりました。

 この判断を施設別に集計表にしたものが、16ページの下段であります。まず全体として施設数が14に減っています。1つの施設に関してはmissingが多いため、全例が消えてしまいました。症例数としては45例で、その中での改善が24.4%、不変または動揺が60%、悪化が15.6%と、このようなことで割と不変または動揺が多いということです。

 施設別に見ても、幾つかの所で悪化が0であるとか、改善が0であるとかいう所がありますけれども、全体として不変または動揺が多く、それに次いで改善、悪化が分布しているという意味では、施設ごとの変化というか、ばらつきというのは、それほど大きくないのではないかと考えます。

 同様に17ページ目の上のほうですけれども、まずはBの現在の病気の状態に関しては、やはり不変または動揺という所が68.9%で一番多く、次いで改善、悪化というような頻度であります。これも施設ごとに見て、やはり不変または動揺が一番多くて、改善、悪化がそれぞれの頻度でありますけれども、施設ごとに見て、大きくはばらつきがないのではないかと判断をします。

 AとBの関連です。クロス集計を見たものが17ページ目の下段であります。やはり両者連動している傾向があって、一番多いのが不変・不変の組合せの20症例ですけれども、極端なextremeですね、右上端とか左下端とかいうような所は、就学・就労が悪化し、Bが改善という例は1例ありますけれども、比較的少ない分布になっています。

 ページをめくっていただいて、治療に関しても毎月の状況を聞いていますので、それを集計しました。これも観察月数がばらばらなので、まずはそれぞれの例数について、延べ記入月数と観察した月数を計算し、その中身を入院、あるいは通院・外来と分け、その中でも内服薬、注射薬、その他と分けて、延べ記入月数で割り算をするということで、各月単位で見た実施割合というものを算出してみました。

 全体でいきますと、通院・外来の内服薬というのが68.0%、注射薬が6.2%、その他が27.3%と、入院治療は8.8%というところであります。内服薬を施設別に見ますと、多い所で91%、少ない所では27%、通院・外来の所のその他の治療も多い所で65%、少ない所で10%。入院と内服薬、その他等については、やはり施設ごとに、かなり対応が異なるということが伺えると思います。入院治療に関しては、2施設においてのみ実施をされていると、限られた所での実施ということになっているかと思います。

 以上をまとめますと、下段ですけれども、継続的な就学・就労への支障の程度、現在の病気の状態については、3つのパターンに分類しますと、不変または動揺が両者とも多く、1施設当たりで見た場合でも余り大きな施設間差はなかったと。AとBは、それぞれ変化のパターンが関連しているということになりました。一方で治療に関しては、月単位の実施割合で見ますと、外来での内服薬、外来での注射薬、外来でのその他の治療というものが、それぞれそのような分布ですけれども、施設ごとに見た場合に、やはりばらつきが伺われ、入院治療に関しては限られた施設で行われていたということです。

 以上、全体を総括いたしますと、51例について、このような解析をしましたけれども、就学・就労への支障の程度に関しては、発症後最も悪かった時期に比べれば、3年たっていますけれども、初回調査時には改善傾向にあった例が多く見られました。この点に関しては詳細な検討を今後予定しております。2回目以降の調査票で変化の程度を見ますと、就学・就労への支障の程度、あるいは現在の病気の状態、いずれも不変または動揺というパターンが多く、施設間に大きな差はなかったということですけれども、一方で治療に関しては、施設によるばらつきが見られたということでありました。

 ただ、最初の症例の収集のポリシーから考えますと、あくまで協力していただける方での限られた症例ですから、網羅性ということは全く考えていません。ですから、この結果を一般化するという際には、細心の注意を要すると思います。ただ、かなり協力しづらいというか、いろいろなことがある中で、きちんと協力していただいたデータですから、きちんとやはり解析をするというのが重要で、制限はあるにせよ、分かりやすい形で整理をしていくということが重要かと思います。以上です。

○桃井委員 ありがとうございました。これに関しまして、何か御意見、御質問を頂ければと思います。おっしゃられましたように、極めてサンプリングバイアスの強い調査でありますので、何が言えるのかということは、議論の余地があるところであろうと思います。

○倉根委員 以前、牛田班での治療経験なども教えていただいたのですが、今回の場合は治療の方法というのは、かなり多様なので、それぞれ治療の方針というのは、施設ごとに違うということなのでしょうか。

○祖父江参考人 かなり違うことが予想されますが、実際、実は関係していただいた先生方に集まっていただいて、1回合宿をしたのですけれども、やはり、かなり認識は違うということが認識されました。

○桃井委員 ほかに何か御意見、御質問はおありでしょうか。山縣先生、疫学的な観点から、何か御意見があればお願いいたします。

○山縣委員 とても感心して見ていました。これだけ少ない症例をこのように、ある意味分かりやすく表現していただいて、本当にありがとうございました。ただ、今、言われたように、本当にこれが実際にどういうことを意味するのかというのは、本当にこれから詳細に検討していく必要があると思いますし、それから、せっかく繰り返しのデータなので、それを今は非常に分かりやすい形で恣意的なものが入らないようにという解析ではあるのですが、この繰り返しのデータを、またどのように扱うかということについても、可能であれば御検討いただければと思います。

○桃井委員 ありがとうございます。ほかに御意見おありでしょうか。1つ御質問よろしいでしょうか。これは、ここに書いてある小さな数字は、1から51までは患者さんのナンバリングと考えてよろしいのですね。症例のナンバリングと。

○祖父江参考人 変化のプロットの。

○桃井委員 はい、経過のプロットです。

○祖父江参考人 番号が何を意味するかと。これは患者さん1人が。

○桃井委員 ですね、だから51は共通してどの表も51と。1はどの表も1と。

○祖父江参考人 それは13ページ、14ページ、15ページの上までは、並びは変えていません。15ページの下、16ページの上は、判断によって並び方を変えました。ですから、改善と判断できる人を上に持ってきています。

○桃井委員 そうではなくて、ここに書いてある32とか36とか、これは患者さんのナンバリングで、どの表も共通と見てよいのでしょうか。

○祖父江参考人 数字は変えていませんので。

○桃井委員 正しく理解していないかもしれませんけれども、15ページの下の図、それから16ページの上の図、比較しますと経過によって病気の状態が改善しているのに、活動性支障の程度は悪化している、急激に悪化している。また、その逆もあるということがあるようですが。

○祖父江参考人 あります。それが17ページの下のクロス集計であります。

○桃井委員 はい。それで1人の症例で症状が改善しているのに、支障の程度が急激に悪化している例もあり、この支障の程度の変化と、症状の変化が相関していないか、しているかは、見られるでしょうか。

○祖父江参考人 いや、この短い期間に限って言うと、余りずれはなくて、これは相関して一致していましたという結論です。

○桃井委員 そうですか。例えば症例3715ページでは悪化をしている、支障の程度は急激に悪化をしています。しかし、次のページでは、37は症状の程度は不変です。不変なこの期間の間に、支障の程度が急激に悪化している例もある。あるいは例えば40ですが、症状が比較的ぐっと改善をしているのに、支障の程度は急激に悪化をしている。相関をしていないような症例が散見されるのですが、これは機能性症状の特徴でもあると私は理解をして見ていたのですけれども、これは全部、本当に相関しているかどうか、あるいは相関していない特徴が見られるかとか、そんな解析は可能でしょうか。

○祖父江参考人 15ページの下段と、16ページの上のグラフにおける症例の番号が、全て付け直している可能性があると思います。ですから、15ページ目と16ページ目の対応関係を見ていただくのに、症例番号を使っていただかないほうがいいかと思います。

○桃井委員 症例番号は変わっていると。

○祖父江参考人 はい。

○桃井委員 分かりました。そうであれば結構です。

○祖父江参考人 そこは不変とか改善とかいうことを付けたために、ちょっとこれが変わっているかもしれません。それ以前の4つのグラフに関しては、対応関係は取れていると思います。

○桃井委員 分かりました。ありがとうございます。これにつきまして、何か先生方から御意見はおありでしょうか。大変詳しく御説明いただきましてありがとうございました。なおかつ解析のほど、よろしくお願い申し上げます。本日の議案で用意したのは以上ですが、厚労省のほうから追加の何かはおありになりますでしょうか。事務局から何かおありでしょうか。

○事務局 それでは、資料19について、簡単に御報告を申し上げたいと思います。資料19は、7月と8月の本部会に、牛田先生から御報告を頂きました資料ですけれども、研修会に御参加いただきました患者さんからの申出がありまして、一部修正したということで、牛田先生から御連絡がありましたので、その修正を御報告したいと思います。以上です。

○桃井委員 よろしいでしょうか。何か先生、御意見がおありですか。

○多屋委員 資料19とは関係ないところなのですが、途中でちょっと申し上げる機会がなかったのですけれども、今日の資料16と、それから資料13について、少し質問とコメントがあります。資料13につきましては、副反応疑い報告の総報告数と、救済制度の報告数、救済制度のほうは、かなり重症の方が申請されていると思いますので、数が違うのは当然のことだとは思うのですけれども、余りにも桁数が違うぐらいの差がありますので。

 先ほど長谷川先生がおっしゃられたように、ラインリストをたくさん付けてくださった、資料12の表なのですが、例えば今後、副反応疑い報告を出していただくときに、接種日から6年後の発生とか、発生日が不明ということも含めて、どなたが報告してくださっているのかが把握できるような報告書を使っていただくということができないのだろうかと思いました。ちょっと分かりにくくてすみません。定期接種の場合は、きちんとお名前ですとか生年月日とかが書かれた報告書で届けていただいているのですけれども、そういうことができないものだろうかと。なぜかというと、余りにも数が違い過ぎるのではないかと思ったからです。できるかできないかは別としてというのが1つです。

 それから2つ目は、資料16のポジションペーパーですけれども、これを読んでいますと、WHOのほうでは、接種回数は2回という表現が随分出てきました。日本では、その接種回数についての議論はされていないと思いますし、定期接種は、もちろん積極的勧奨は差し控えられていますが、されている方もいらっしゃることを考えると、その接種回数について、ポジションペーパーにある内容について、今後ディスカッションをしていく機会がないのだろうかと。そのように今回の資料を読んで思いましたので、それについて、今までちょっと話をする機会がなく、今となって申し訳ありません、2つよろしくお願いします。

○桃井委員 貴重な御意見をありがとうございました。1番目のほうは報告書の在り方です。

○事務局 それでは、資料1213の関係について、事務局のほうから御説明いたします。資料12ですけれども、先ほど事務局のほうから説明をいたしました。これは名寄せをした形のものであり、大分重複はない形で集計はしているのですけれども、御覧いただくとお分かりになりますように、この中には「多様な症状」と言えるか言えないかというところも含めて、非常に多種多様な有害事象が書かれております。これだけを御覧いただいて、どれが「多様な症状」に当たるものなのかどうかというものを、判断するのは非常に難しい、それが、この3,000例、1,737人の報告ということになります。この中に先ほど御報告した失神とかアナフィラキシーですとか、そういったものもかなり多く含まれておりますので、そこの仕分けは非常に難しいということです。

 一方で救済のほうですけれども、このPMDA法に基づきます、例えば救済の274例について言いますと、この症例はほとんどが、いわゆる「多様な症状」であり、こちらのほうはそういう意味では、「多様な症状」というものが大分より分けられているという言い方をしては失礼かもしれませんけれども、そういうようなものとして認定されているような状況です。一部、この中には重篤なアナフィラキシーとかそういうものも含まれておりますけれども、そういう状況です。

 したがいまして、先生がおっしゃられたように、救済のほうは、救済の請求をしていただいた方に対して、審査をして認定をするという仕組みですので、全体の母数から見ると、そこの差分が出てしまうのは、やむを得ない部分でもあります。また疑いで報告されている1,737というものについても、かなりいろいろな有害事象が含まれているというような状況から見ると、今、頂いている報告については、現状ではこういう形の発表といいますか、公表の仕方にならざるを得ないと思っております。

 ただ、これから頂く新しい報告につきましては、やはりこれまでと同様ということになりますが、できるだけその報告された方を特定して、きちんと名寄せができる範囲で、きちんとやりつつ、対応させていただきたいと思っておりますので、また引き続き御協力をお願いいただければと思っております。

○桃井委員 ありがとうございます。

○祖父江参考人 先ほど並べ替えをした図での、通し番号が変わっているというような懸念を言いましたけれども、実は変わっていません。全て通し番号は統一されています。

○桃井委員 申し上げましたように、症状の変化と支障の程度の変化が大きく食い違う例がちょっと目に付きましたので、そんなところも、相関関係についても解析をしていただくことがもし可能であればと思います。ありがとうございました。

 多屋先生から御意見を頂いた接種回数につきましては、また別の議論になるかと思いますので、貴重な御意見をありがとうございました。ほかに何か御意見おありでしょうか。大分時間も過ぎて申し訳ございません。佐藤委員、先ほどの御意見で追加ご意見はおありでしょうか。

○佐藤委員 大丈夫です。後でお伺いします。

○桃井委員 よろしいでしょうか。

○佐藤委員 はい、ありがとうございました。

○桃井委員 失礼いたしました。それでは、本日の議論はこれで終了させていただきます。大変貴重な御意見を、多々頂きましたので、それに沿いまして必要な検討事項を進めてまいりたいと思います。本日は誠にありがとうございました。また祖父江教授には大変御遠方から御報告を頂きました。大変ありがとうございました。御礼を申し上げます。以上で終わらせていただきます。

○事務局 先生、事務局からよろしいでしょうか。

○桃井委員 失礼しました。事務局からお伺いするのを忘れてしまいました。

○事務局 本日は長時間にわたり、活発に御議論を頂きまして、ありがとうございました。机上に配布しております添付文書集の黄色いファイルは、再利用させていただきたいと思いますので、机上に置いておいていただければと思います。もし書き込み等をされておりましたら、お名前を書いていただければ、次回以降も同じ資料をお配りいたします。次回の開催につきましては、日程調整の上、日時について御連絡差し上げます。

 また、傍聴者の皆様へお願いです。はじめに審議会委員が退室いたしますので、退室が終わりますまで、そのままお待ちください。事務局からは以上です。どうもありがとうございました。


(了)

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