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2017年10月25日 薬事・食品衛生審議会 化学物質安全対策部会 議事録

○日時

平成29年10月25日(水)14:00~


○場所

航空会館501+502会議室


○出席者

出席委員(11名)五十音順

板 倉 ゆか子、◎鈴 木   勉、 豊 島   聰、 長 尾 哲 二、
永 沼   章、 西 村 哲 治、○能 美 健 彦、 菱 田 和 己、
平 塚   明、 山 崎 初 美、 吉 田 喜久雄

欠席委員(5名)五十音順

大 前 和 幸、 川 本 俊 弘、 新 美 育 文、 平 林 容 子、
福 内 恵 子
(注)◎部会長 ○部会長代理

行政機関出席者

渕 岡  学 (化学物質安全対策室長) 他

○議事

○事務局 それでは時間がまいりましたので、ただいまから「平成29年度第2回薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会」を開催させていただきます。委員の皆様におかれましては、雨の中、お忙しいところを御足労いただいてありがとうございます。化学物質安全対策部会につきましては、総委員数16名となっております。定足数の過半数が9名となっておりまして、本日、大前委員、川本委員、新美委員、平林委員、福内委員の5名から御欠席の御連絡を頂いております。現在11名の委員の方々に御出席いただいております

ので、この会議が定足数に達していることを御報告申し上げます。

 また、本日の会議につきましては、公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼす恐れがある場合又は特定な者に不当な利益若しくは不利益をもたらす恐れがある場合等、非公開とすべき場合には該当しませんということから、公開で行わせていただき、資料及び議事録につきましても公開となっておりますので、御承知いただければと思います。また、本日の議題1の審議事項に関しまして、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律を、厚生労働省とともに共管しております経済産業省及び環境省の担当者にもオブザーバーとして出席いただいておりますことを申し添えさせていただきます。

 それでは、以後の進行につきましては鈴木部会長にお願いいたします。鈴木部会長、よろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 それでは議事を進めたいと思います。まず、配布資料の確認をお願いいたします。

○事務局 それでは、事務局から配布資料を確認いたします。お手元の資料を御確認ください。まず、一番上に議事次第ということで、本日の議題と配布資料の一覧の記載をしております。その後ろに座席表と委員名簿があります。実際の資料につきましては、まず審議事項一つ目の資料として、資料1、資料1の別添です。審議の二つ目の資料として資料2です。議題2、報告事項の関係資料としまして、資料3と資料4を付けております。さらには、議事の参考になるための資料として、参考資料1、参考資料2、参考資料3、参考資料4、参考資料5、参考資料6、参考資料7、参考資料8、参考資料9までお配りしております。大変申し訳ございませんが、議事次第に参考資料10と書いておりますが、こちらの手違いで配布しておりませんので御承知おきください。また、この資料とは別に、当日配布資料としまして、薬事分科会規程に関する適合状況の確認についてという紙をお配りしておりますので御確認ください。資料の説明は以上です。乱丁、落丁等がございましたら事務局までお申出ください。以上です。

○鈴木部会長 本日は、審議事項1議題、報告事項1議題となっておりますが、議題に入る前に、薬事分科会の規程に関して、事務局から説明をお願いします。

○事務局 それでは、事務局から薬事分科会の規程に関して報告をいたします。先ほど、最後に御説明しました当日配布資料「薬事分科会規程第11条への適合状況の確認について」を御覧ください。前回の本部会でも御連絡をしておりましたが、薬事分科会規程に基づく委員等への対応としまして、規程に抵触していたため辞任いただいた委員の事案と今後の対応について、9月28日に開催された薬事分科会において、報告し御確認を頂いたところです。

 今後の再発防止策として、薬事分科会の委員等就任時期及び会議開催時に、薬事分科会規程の適合状況を書面に御署名いただく形で御申告いただくことと、更にその際には、御覧いただいております申告様式で申告いただくことについて、併せて御了解を頂いたところです。

 本件につきましては、先日、会議の委員の皆様にあらかじめメールにて御連絡を差し上げた上で、本部会においては、本日の開催分よりこの運用を開始させていただいております。また、本部会の中川委員におかれまして、頂いた資料に誤申告がありまして、確認させていただいたところ、薬事に関する企業から定期的な報酬を得る顧問等に就任していたことが判明いたしました。その関係で、中川委員におかれましては、1023日付けで委員を辞任いただいておりますので、御報告いたします。その他の委員の皆様につきましては、分科会規程第11条に適合している旨を御申告いただいておりますので、併せて御報告をさせていただきます。委員の皆様におかれましては、今後も、会議開催の都度署名を御提出していただくことになり、大変御負担をお掛けするところでございますが、御理解を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。事務局からの説明は以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。それでは議事を進めます。

 議題1の審議事項の第1点目について、事務局から説明をお願いします。

○事務局 議事の1点目です。第一種特定化学物質に指定することが適当とされたデカブロモジフェニルエーテル及び短鎖塩素化パラフィンの個別の適用除外の取扱い及びこれらの物質群が使用されている製品で輸入を禁止するものの指定等について、事務局より御説明いたします。こちらは8月に御審議いただいた内容の続きという形になりますので、前回の振り返りも含めながら、まず参考資料1で御説明したいと思いますので、参考資料1を御用意ください。

 1ページの上段のスライドを御覧ください。化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(以下、化審法という)の体系をお示ししております。本日御審議いただきます第一種特定化学物質は、一番上にあるとおり、難分解性・高蓄積性・長期毒性ありという物質を指定することとしており、こちらは政令でその化学物質を指定することとしております。こちらで指定された物質については、製造・輸入の許可制となりまして、事実上禁止という形になります。また、第一種特定化学物質が使用されている製品で、政令で指定した製品については輸入が禁止されることになっております。一方で、代替困難な用途がある場合には、それを指定しまして、例外的に使用を認め、それ以外の用途については使用を禁止するという規制を行っているところです。

 なお右下は、本日の審議とは直接関係はありませんが、審査において、第一種特定化学物質に該当しないと判定された化学物質については、まず一般化学物質に該当することになります。その後、環境中へのばく露量に基づきスクリーニング評価の実施等を行いまして、各種の物質にカテゴライズされていくこととなります。

 続いて、1ページの下段のスライドを御覧ください。残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(以下、POPs条約という)の概要をお示ししております。マル1~マル4に掲げられているとおり、長期毒性・難分解性・高蓄積性・長距離移動性、これらの全てに該当する物質については、1か国にとどまらない国際的な環境汚染防止の取組が必要ということで、世界的に、製造・使用等を原則禁止等の措置を講じることにより、国際的に協調してPOPsの廃絶、削減等を行うというものです。この条約は、2001年5月に採択されまして、我が国は2002年8月に締結し、2004年5月に発効しております。2017年4月現在、181か国が締結しております。この条約の締約国会議(COP)は2年に1回開催され、これまで8回開催されております。また、専門・技術的事項は、このCOPの下での残留性有機汚染物質検討委員会(POPRC)で審議されております。なお、POPs条約上、製造・使用等の原則禁止とされている物質は、長期毒性・難分解性・高蓄積性の全てを有する物質であることから、全て化審法に規定する第一種特定化学物質に指定されているところです。

 続いて2ページの上段のスライドを御覧ください。2017年4月にスイスのジュネーブで開催されました第8回締約国会議において、デカブロモジフェニルエーテルと短鎖塩素化パラフィンにつきまして、POPRCの勧告を踏まえ、製造・使用等を原則禁止とすることが決定されております。なお、枠内に記載のあるとおり、それぞれ製造・使用等の禁止の例外措置も併せて決められております。

 2ページの下段のスライドを御覧ください。マル1になります。デカブロモジフェニルエーテルと短鎖塩素化パラフィンについては、前回の部会で、第一種特定化学物質に指定することが適当かどうか御審議を頂きまして、指定することが適当という結論を頂いたところです。本日御審議を頂くのが、次のマル2とマル3になります。マル2は、代替困難な用途がある場合において、当該用途を指定し、それ以外の用途への使用を制限すること。マル3は、海外における使用事情等を考慮して、輸入を禁止する製品を指定することになります。この2点について、本日御審議をお願いしたいと考えております。

 3ページの上段のスライドを御覧ください。本日の審議事項の1点目になります代替困難な用途の指定です。現状等の囲みを御覧ください。化審法第25条において、代替困難な用途がある場合においては、その用途を指定し、それ以外の用途への使用を制限することとなっております。代替困難な用途を指定する場合には、その用途は、先ほど申し上げましたPOPs条約の中で、除外が認められている用途でなければならないとされているところです。先ほどの資料にもありましたが、デカブロモジフェニルエーテルについては自動車用部品の製造等、短鎖塩素化パラフィンについては動力伝達用ベルト添加剤の使用等と、幾つかの用途について除外する規定が設けられているところです。これらの用途について、国内の状況を確認しましたが、デカブロモジフェニルエーテルについては、平成30年3月までに、他の物質、技術への代替が完了する見込みです。また、短鎖塩素化パラフィンについては、既に製造・輸入が中止されておりまして、今後の輸入も予定されていないということでした。

 以上を踏まえまして、下の対策()になります。デカブロモジフェニルエーテル及び短鎖塩素化パラフィンについては、いずれも、化審法第25条に基づく代替困難な用途の指定は不要ではないかとしております。

 続いて、下段のスライドを御覧ください。デカブロモジフェニルエーテルの輸入を禁止する製品の指定になります。現状は、化審法第24条第1項におきまして、海外における使用事情等を考慮して、輸入を禁止する製品を指定することとされております。海外調査等を行いましたところ、二つ目の○の箇所に記載がありますように、10の製品群について、過去10年以内での国内又は海外における製造実績等が確認されました。

 対策()です。上記の10の製品群のうち、過去10年以内に国内外でデカブロモジフェニルエーテルを含む製品の製造実績等があり、輸入を制限しない場合に環境汚染の恐れがあると考えられるものに該当する以下の製品を、輸入禁止製品として指定することとしてはどうかとしております。具体的には、繊維・樹脂・ゴム用難燃処理薬剤、防炎性生地、防炎カーテン、敷物、のぼり旗、接着剤及びシーラントになります。

 4ページの上段のスライドを御覧ください。こちらは、短鎖塩素化パラフィンの輸入を禁止する製品の指定についてです。こちらについても、海外調査等などの結果、現状等の二つ目の○の箇所に記載がありますように、8の製品群について、過去10年以内での国内又は海外における製造実績等が確認されました。

 こちらについての対策()です。上記の8製品群のうち、過去10年以内に国内外で短鎖塩素化パラフィンを含む製品の製造実績等があり、輸入を制限しない場合に環境汚染の恐れがあるものと考えられるものに該当する塗料、樹脂・ゴム用可塑材、接着剤及びシーラント、皮革用加脂剤、繊維用難燃処理薬剤、潤滑油、切削油及び作動油、こちらについて輸入禁止製品として指定することとしてはどうかとしております。以上が、本日の議題1の審議事項のエッセンスとなります。

 以上を踏まえまして、資料1の1ページを御覧ください。検討の背景としまして、残留性有機汚染物質に関するPOPs条約において、難分解性・生物蓄積性・毒性・長距離移動性を有する残留性有機汚染物質を対象に製造・使用等を原則禁止にするという措置を講ずることとされています。化審法においては、POPs条約の対象となった物質については、化審法第2条第1項に規定します第一種特定化学物質に指定しまして、その製造・使用等を制限することにより、この条約の義務を履行してきたところです。2段落目です。平成29年4月に開催されたPOPs条約第8回締約国会議において、デカブロモジフェニルエーテルと短鎖塩素化パラフィンが、その対象物質として追加されることが決定されたところです。

 次ページの、()化審法に基づく第一種特定化学物質に係る主な規制及び措置を御覧ください。製造・輸入の許可性、第一種特定化学物質が使用されている製品の輸入の禁止、エッセンシャルユース以外の使用の禁止、回収等の措置命令というのが大きくございますが、これらのうち、マル2の政令で定める製品の検討及びマル3の政令で指定された用途の検討というのが、本審議会の付議事項となっております。

 次ページです。デカブロモジフェニルエーテルについての状況になります。平成22年当時は、2,000トン弱の製造・輸入数量がありましたが、POPs条約で議論が始まりました辺りから、関連業界では代替物質への転換への取組が進められまして、平成29年4月以降、国内でのデカブロモジフェニルエーテルの製造・輸入・販売は終了している状況です。()のデカブロモジフェニルエーテルの製造・輸入規制等の在り方です。POPs条約におきましては、締約国会議で合意された用途については、製造・使用等の禁止の適用を除外する仕組みがあります。しかしながら、我が国におきましては、この条約上の適用除外規定の用途を含めまして、平成30年4月までには全ての分野において、このデカブロモジフェニルエーテルからほかの物質への代替が完了する見込みである状況でありますので、我が国におきましては、特段、エッセンシャルユースを設けることなく、平成30年4月以降からは、このデカブロモジフェニルエーテルの製造・輸入及びその使用を禁止する措置を導入することが適当であると考えているところです。

 続いて、2-2「製品の輸入の禁止について」です。国内外での使用状況について調査を行いまして、その結果を表3にまとめております。繊維・樹脂・ゴム用難燃処理薬剤等10の製品群について、製造・輸入実績が確認されました。

 次ページの、参考の部分、輸入禁止製品の政令指定の考え方ということです。基準マル1、基準マル2に該当するものについては、輸入禁止製品に指定することが適当であるとしてきております。基準マル1につきましては、海外若しくは国内で過去10年以内に製造・使用等の実績があるのが一つの基準となっております。そして基準マル2は、環境汚染の恐れがあるということです。具体的には、環境へ直接放出される形態でないとか、廃棄にかかる間の管理体制が確立されていることが満たされない場合というのが基準になっております。これらを踏まえまして、デカブロモジフェニルエーテルについては、表2にまとめられている四つの製品群について輸入を禁止することが適当であるとしております。なお、デカブロモジフェニルエーテルが使用されている製品の輸入の状況につきましては、今後ともしっかりと実態把握に努めまして、仮に環境汚染を生じる恐れのある製品が確認された場合には、輸入禁止製品に追加するなどの措置を含めまして、速やかに検討すべきものであるとしております。

 5ページ、2-3「その他の必要な措置について」です。化審法においては、第一種特定化学物質の指定に当たりまして、環境汚染の進行を防止するために特に必要があると認められるときには、必要な限度において、製造業者あるいは輸入事業者等に対して、当該物質又はそれを使用した製品の回収等の措置を命ずることができるものとされております。この措置の必要性につきましては、環境省で評価をやっていただいております。平成15年度から現在に至るまでの環境モニタリングデータに基づきまして、デカブロモジフェニルエーテルの環境リスク評価を実施しているところです。そちらについては、参考資料6としてお配りしております。その結果を見ますと、予測最大ばく露量とデカブロモジフェニルエーテルの毒性データを基準にした人及び高次捕食動物の有害性評価値、それから予測無影響濃度を比較したところ、現時点では、生体それから人それぞれにおいて、リスク懸念箇所が複数存在することが明らかになっているところです。

 一方、今後、このデカブロモジフェニルエーテルの製造・輸入・使用の禁止措置を講じるシナリオと、それらの措置を全く講じないシナリオ等を設定して、将来の環境リスクを推計した評価もございます。これらの評価の結果によりますと、デカブロモジフェニルエーテルの製造・輸入・使用の禁止措置を講ずるシナリオにおいては、環境リスクが低減していきまして、予測最大ばく露量は、デカブロモジフェニルエーテルの毒性データを基にした予測無影響濃度を下回るという予測結果が得られているところです。したがいまして、これらの評価に基づきまして、現時点で得られている情報からは、その環境汚染の進行を防止するために製品の回収等の追加措置を講じる必要性は特段認められないと考えているところです。ただし、今後とも継続して、このデカブロモジフェニルエーテルの環境モニタリングを実施しまして、状況に応じて必要な措置を講じる必要があると考えているところです。

 続いて、短鎖塩素化パラフィンについて御説明いたします。7ページ、()使用の現状及び今後の見込みです。デカブロモジフェニルエーテルと同様に、POPs条約で議論が始まりまして、関連業界においては、代替物質への転換への取組が進められてきた中で、平成28年4月までには製造・輸入を全て終了している状況です。

()の短鎖塩素化パラフィンの製造・輸入規制等の在り方です。平成28年4月までに全ての分野において、短鎖塩素化パラフィンの製造・輸入は終了されている状況ですので、我が国においては、こちらについても、特段、エッセンシャルユースを設けることなく、平成30年4月以降には、短鎖塩素化パラフィンの製造・輸入及びその使用を禁止する措置を導入することが適当であると考えているところです。

 3-2「製品の輸入の禁止について」です。国内外での使用状況についても調査を行いまして、その結果を表6にまとめております。塗料等8の製品群について、製造・輸入実績が確認されております。()()の製品につきましては、今後も短鎖塩素化パラフィンを使用したこれらの製品が輸入される蓋然性が否定されないこと。また、当該製品の輸入を制限しない場合には、この使用形態から見まして、環境を汚染する恐れがあると考えられることから、輸入禁止製品とすべきであると考えております。一方、()()については、国外での製造実績はありますが、その使用形態から見て環境へ放出されることがなく、廃棄まで適切に処理されると考えられることから、これら二つの製品につきましては、輸入禁止措置を講じなくても環境汚染の恐れは想定されないと考えているところです。これらを踏まえまして、短鎖塩素化パラフィンについては、表7にまとめている六つの製品群につきまして、輸入を禁止することが適当であるとしております。なお、短鎖塩素化パラフィンが使用されている製品の輸入の状況につきましても、今後ともしっかりと実態把握に努め、仮に環境汚染を生じる恐れがある製品が確認された場合には、輸入禁止製品に追加するなどの措置を含めまして、速やかに検討すべきものであるとしております。

 3-3「その他の必要な措置について」です。こちらの措置の必要性につきましては、同じく環境省で、平成14年から現在に至るまでの環境モニタリングデータに基づきまして、環境リスク評価を実施しているところです。こちらにつきましても参考資料6として配布しております。その結果を見ますと、予測最大ばく露量と短鎖塩素化パラフィンの毒性データを基にした人及び高次捕食動物の有害性評価値、それから予測無影響濃度を比較して、現時点では、生体影響、人影響につきまして、どちらもリスク懸念箇所は確認されていないという評価になっております。また、同じく禁止措置を講じるシナリオとそうでないシナリオに基づきまして、将来の環境リスクを推計した評価においても、今後、措置を講ずるシナリオにおいては、環境リスクが低減するという評価になっているところです。これらの評価に基づきまして、短鎖塩素化パラフィンについても、現時点では環境汚染の進行を防止するために、特段、回収等の必要性は認められないと考えているところです。ただし、今後とも、継続して短鎖塩素化パラフィンの環境モニタリングを実施して、状況に応じて必要な措置を講じていく必要があるものと考えているところです。

 最後に、4の「今後の進め方について」を御覧ください。こちらの第一種特定化学物質の指定と、本日、御審議いただく輸入禁止製品等の指定につきましては、政令で指定することになりますので、化審法施行令の一部を改正する政令案を今後作成していくことになります。参考に記載があるように、パブリックコメント、TBT通報等を実施した上で、来年の春頃をめどに政令の公布をしていく予定としております。長くなりましたが、説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いします。

○鈴木部会長 御説明ありがとうございました。化学物質調査会の座長である能美委員よりコメント等をお願いします。

○能美部会長代理 先月の化学物質調査会において、本件について審議しました。調査会としては、この二つの物質について、輸入禁止製品の指定など、事務局の提案の内容を妥当と判断したところです。以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございます。ただいま事務局からの説明内容について、御意見等はありますか。いかがですか。よろしいですか。

○板倉委員 耳が遠くなってしまったものですから、御説明が十分聞き取れていない部分があるかと思うのですが、資料の3ページにデカブロモジフェニルエーテルの海外との関係が書かれていると思うのですが、例えば防炎性の生地などについては、海外では適用外になっているけれども、日本では輸入禁止にすると読めるわけです。5の鉄道車両用の資材については、海外では使用禁止になっていて、日本では適用外になるところがあるかと思うのですが、これは適用外にしても環境汚染上問題がないという御判断だということで考えてよろしいのでしょうか。

○事務局 はい、そのような御理解で問題ないと思います。使用の段階で環境中に放出する恐れはないと考えられます。使用の段階で環境中にデカブロモジフェニルエーテルが放出されることは考えにくいので、特に輸入禁止製品として指定しなくても環境汚染の恐れは高くないと考えております。

○板倉委員 参考資料等を拝見しますと、ダストが家庭の中での環境汚染にかなりつながるということで、この商品についてはダストが発生しないかと思うのです。ただ、結局のところは、まだ多量に使われている可能性があるわけですね。多量と言ったら変ですが、今まで使われてきたわけですから。そうすると、その廃棄等で難燃性であるということもありますし、素材から溶け出てくることは、そのままほとんど考えられないことも分かるのですが、そのままでずっとあり続けることは考えにくいわけです。例えば廃棄処理等のところで、そういう物質について何か特別の処理をすることは考えられるものなのでしょうか。

○事務局 こちらのデカブロモジフェニルエーテルを使用している製品について、特別な廃棄の方法を定めることはないのですが、現状、こういったものの廃棄の方法、指定されている廃棄の方法に従って処理していただければ、環境中に環境汚染のリスクが懸念されるほど放出されることはないというところで、問題はないと考えております。

○鈴木部会長 よろしいですか。ありがとうございます。ほかにいかがですか。よろしいですか。それでは、議論も尽きてまいりましたので、委員の皆様にお諮りします。本日、審議いただいたデカブロモジフェニルエーテルと短鎖塩素化パラフィンについて、資料1のとおり、これらの物質が使用できる用途は指定する必要はないとし、また、それぞれの物質ごとに資料1の表4と表7に記載の製品を輸入禁止製品として指定することでよろしいでしょうか。

                                   (異議なし)

○鈴木部会長 ありがとうございます。御了承いただいたものとさせていただきます。また、本件の薬事分科会での取扱いについては、薬事分科会における確認事項に基づき、薬事分科会報告とさせていただきたいと思います。では、事務局から今後の手続について御説明をお願いします。

○事務局 今、御説明のありましたとおり、本日、御審議、御了承いただきました内容については、次回の薬事食品衛生審議会薬事分科会に報告させていただきます。また、今後の手続ですが、先ほど事務局から御説明させていただきましたとおり、パブリックコメント等の所定の手続を経た上で、来年春頃、政令を公布する予定となっております。以上です。

○鈴木部会長 次に進みます。議題1の審議事項の2点目について、事務局から説明をお願いします。

○事務局 ペルフルオロ(オクタン--スルホン酸)又はその塩のエッセンシャルユースの指定取消し等について、事務局から御説明させていただきます。御審議いただきたい事項は全部で3点あります。順番に説明してまいります。

 お手元の資料2「ペルフルオロ(オクタン--スルホン酸)又はその塩のエッセンシャルユースの指定取消し等について」を御覧ください。ペルフルオロ(オクタン--スルホン酸)(以下、PFOSという)又はその塩については、平成21年のストックホルム条約第4回締約国会議において、制限の対象物質とすることが決定されました。それを受け、平成22年4月に化審法の第一種特定化学物質に指定されているものです。この指定に際し、当時の我が国における使用実態を踏まえ、例外的に使用可能な用途として三つの用途、具体的には資料に記載がありますが、マル1エッチング剤の製造、マル2半導体用のレジストの製造、マル3業務用写真フィルムの製造、これらが規定されておりました。

()になりますが、これらの三つの用途については、その後の技術開発等により、可及的速やかに他のより安全な物質への代替を進めていくことが望まれているものでして、国は使用実態や代替に向けた進捗状況を把握する必要があるとされておりました。

 今般、その使用実態について調査を行いましたところ、上記3用途について、既に他の物質への代替が完了し、使用実態、製品在庫のいずれもないことが確認されたことから、これら三つの用途については、化審法第25条の要件である「他の物質による代替が困難であること」を満たさなくなりますので、これらの三つの用途については、PFOS等を使用することができる用途の対象から除外するということが、一つ目の御審議いただきたい事項になります。

 2のPFOS又はその塩が使用されている製品の取扱いについてです。現在、PFOS又はその塩が使用されている製品として、マル1~マル4の4製品、具体的にはエッチング剤、半導体用のレジスト、業務用写真フィルム、消火器、消火器用消火薬剤及び泡消火薬剤については、国が定めております取扱上の技術基準にきちんと適合させる義務、環境汚染を防止するための表示義務、そういったものが課せられているところです。

 しかしながら、先ほど御説明しましたように、マル1~マル3の製品については、既に代替が完了しており、使用実態がありませんので、こちらの技術基準の適合義務、表示義務が必要な対象からは除外することにしたいと考えております。

 一方、マル4の消火器、消火器用消火薬剤及び泡消火薬剤については、平成28年3月末時点で、いまだに約17トンのPFOS等を含有する消火器等が、全国の消火設備に設置されている状況がありますので、マル4の製品については引き続き義務の対象としておく必要があると考えているところです。こちらが御審議いただきたい事項の2点目です。

 3のPFOS又はその塩が使用されている場合に輸入することができない製品の指定についてです。現在、PFOS又はその塩が使用されている場合に輸入することができない製品として、3ページの点線で囲んでいる箇所になりますが、この中に示されております10の製品については、輸入できない製品として現在指定されているところです。

 しかしながら、1のところで説明しましたように、PFOS等の使用が認められている製品である、先ほどのエッチング剤、半導体用のレジスト、業務用写真フィルム、これらの三つについては、国内外無差別という観点から、PFOS又はその塩が使用されている場合には輸入することができない製品としては、指定していない状況にあります。

 1で説明しました使用することができる用途の廃止に伴い、国内での使用がなくなりますが、海外では引き続き、製造・使用等の禁止の適用除外規定が適用される状況がありますため、PFOS又はその塩を使用した輸入製品によって環境が汚染されることを防止するために、エッチング剤、半導体用のレジスト、業務用写真フィルム、これらの三つの製品については輸入禁止製品に追加で指定したいということです。こちらが御審議いただきたい事項の3点目です。

 最後に、4の今後の進め方を御覧ください。こちらについても、先ほどの議題の1点目で申しましたように、パブリックコメント等のプロセスを経まして、平成30年2月に公布をし、来年春頃をめどに政令の公布をしていく予定としております。説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

○鈴木部会長 御説明をありがとうございました。化学物質調査会の座長である能美委員よりコメントをよろしくお願いします。

○能美部会長代理 先月の化学物質調査会において、本件について審議しました。調査会としては、ペルフルオロ(オクタン--スルホン酸)又はその塩について、輸入禁止製品の指定等、事務局の提案の内容を妥当と判断したところです。以上です。

○鈴木部会長 コメントをありがとうございました。ただいま、事務局からの説明内容について、御意見等はありますか。いかがですか。よろしいですか。それでは、委員の皆様にお諮りします。本日、審議いただいた内容のとおり、マル1ペルフルオロ(オクタン--スルホン酸)又はその塩について、化審法第24条第1項に規定する政令で追加で定めるべき製品としまして、エッチング剤、半導体用のレジスト、業務用写真フィルム、こちら三つを追加する。マル2また、PFOS又はその塩につきまして、化審法第25条に規定する政令から除外すべき用途としまして、同じく三つの用途の製造を廃止する。マル3さらに、PFOS又はその塩につきましては、化審法第28条第2項に規定する技術上の基準に従わなければならない製品について、同じく三つを政令から除外するということでよろしいですか。

                                   (異議なし)

○鈴木部会長 ありがとうございます。御了承いただいたものとさせていただきます。また、本件の薬事分科会での取扱いについては、薬事分科会における確認事項に基づき、薬事分科会報告とさせていただきます。では、事務局から今後の手続について御説明をお願いします。

○事務局 ありがとうございます。御審議いただいた内容については、薬事分科会に次回報告させていただきます。また、今後の手続についても、先ほどと同様にパブリックコメント等の所定の手続を経た上で、来年春頃、政令を公布する予定となっております。事務局からは以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございます。次に進みます。報告事項について、事務局より御説明をお願いします。

○事務局 資料3を御覧ください。背景ですが、有害物質を含有する家庭用品について、保健衛生上の見地から必要な規制を行うことにより、国民の健康の保護に資することを目的とした「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」(以下、家庭用品規制法という)では、有害物質を含有する家庭用品、それら有害物質の含有量、溶出量又は発散量に関して、必要な基準が定められております。

 家庭用品規制法では、21物質群を「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律第二条第二項の物質を定める政令」で指定をしており、それら物質の試験方法や基準値については、「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律施行規則」に定められております。

 2の問題点です。家庭用品規制法で定める有害物質の試験法の多くは、基準が設定された後に改正されていない状況となっております。また、ガスクロマトグラフィーを採用している現行の試験法については、ベンゼンやジメチル硫酸などの有害な溶媒や試薬を使用していること、充填カラムを使用している試験では分離能(精度)が低いこと、確認試験が煩雑であること、キャピラリーカラム使用時の夾雑物質の妨害が問題点として指摘されています。

 3の今後の対応ですが、ガスクロマトグラフィーを用いて試験を実施している有害物質について、試験法の見直しを順次検討し、改めて家庭用品安全対策調査会及び化学物質安全対策部会で、試験法の改正案を御審議いただく予定としております。

 また、参考資料8を御覧ください。参考資料8は、家庭用品規制法で定めている21物質群について、有害物質、対象家庭用品、基準、施行年月日を記載した表となっております。基準の項目のうち、特に今回の問題点としているガスクロマトグラフィーを用いて分析する有害物質を、四角で囲っております。

 これらの物質のうち点線で囲っている1ページのアゾ化合物、2ページのトリフェニル錫化合物、トリブチル錫化合物、これらについては平成28年度に新たに施行したり、試験法を改正したりしておりますので、先ほど挙げた問題点が指摘されていない状況です。

 したがって、実線で囲った部分をまとめたのが、資料4に記載している物質の一覧になっており、これらの物質の試験法について、今後見直しを行っていく予定としております。御報告は以上です。

○鈴木部会長 ありがとうございます。ただいまの内容について御意見等はありますか。よろしいですか。それでは、本件については御確認いただいたものとします。事務局よりほかに何かあります。

○事務局 事務局からの報告事項は特にありません。本日はありがとうございました。

○鈴木部会長 それでは、以上で本日の化学物質安全対策部会は終了とします。委員の先生方、御協力ありがとうございました。

 


(了)

備  考
本部会は、公開で開催された。

連絡先:医薬・生活衛生局 化学物質安全対策室 補佐 小池(内線2910)

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