ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会)> 第10回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会 議事録(2018年8月1日)

 
 

2018年8月1日 第10回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会 議事録

健康局健康課

○日時

平成30年8月1日(水)14:00~16:00

 

○場所

中央労働委員会会館講堂(7階)

 

○議事



○友永室長補佐 定刻になりましたので、「第10回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会」を開催いたします。本日は御多忙のところ御出席いただき、誠にありがとうございます。開会に先立ち、7月31日付けで事務局側に人事異動がございましたので御紹介させていただきます。健康局長が福田局長から宇都宮局長に、健康課長が正林課長から武井課長にそれぞれ交代となっております。なお、健康局長でございますが、他の公務により少し遅れての到着予定となっております。本日の議事は公開でございますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。また、傍聴の方は「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。なお、会議冒頭の頭撮り、写真撮影、ビデオ撮影、録画をすることはできませんので御留意ください。
続いて委員の出欠状況について御報告いたします。現在、委員8人全員の御出席を頂いておりますので、厚生科学審議会の規程により、本審議会が成立したことを御報告いたします。また、本日は参考人として3名の方に御出席を頂いております。まず、予防接種推進専門協議会からの御推薦で、福岡看護大学基礎・基礎看護分野基礎・専門基礎分野教授の岡田賢司参考人です。続きまして、肺炎球菌感染症の関係で、国立感染症研究所感染症疫学センター長の大石和徳参考人です。続きまして、不活化ポリオウイルスワクチンの関係で、元国立感染症研究所長の宮村達男参考人です。
冒頭のカメラ撮りにつきましては、これまでとさせていただきます。御協力をお願いいたします。また、これ以降は写真撮影・ビデオ撮影・録音をすることはできませんので、御留意をお願いいたします。
議事に先立ち、配布資料の確認をさせていただきます。議事次第、配布資料一覧、委員名簿、座席表、資料1-1から2-2、参考資料1から10、各委員からの審議参加に関する遵守事項の申告書を御用意しております。配布資料一覧を御確認いただきまして、資料の不足等がございましたら事務局までお申出をお願いいたします。
それでは、ここからの進行は脇田委員長にお願いいたします。
○脇田委員長 承知しました。皆様、御出席ありがとうございます。国立感染症研究所の脇田です。よろしくお願いいたします。まず事務局から、審議参加に関する遵守事項について報告をお願いいたします。
○友永室長補佐 審議参加の取扱いについて御報告いたします。本日、御出席いただきました委員及び参考人から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄付金等の受取り状況、申請書類への関与について申告いただきました。各委員・参考人からの申告内容については、机上に添付しておりますので、御確認いただければと思います。
本日の審議事項は、肺炎球菌感染症(高齢者がかかるものに限る)、それから不活化ポリオワクチンを予定しております。これら各ワクチン製造販売業者は、MSD株式会社、ファイザー株式会社、サノフィ株式会社、化学及血清療法研究所、アステラス製薬株式会社、阪大微生物病研究会、田辺三菱製薬株式会社、北里第一三共ワクチン株式会社、第一三共株式会社、ジャパンワクチン株式会社となっております。
岡田参考人より、4種混合ワクチン、3種混合ワクチン及び13価肺炎球菌ワクチンについて作製に関与しているとの御申告を頂いておりますので、それぞれ該当のワクチンについて、「審議又は議決が行われている間、審議会場から退室する」に該当することから、これらの取扱いについてお諮りいたします。なお、このほか「退室」や「審議又は議決に参加しない」に該当する委員及び「退室」や「審議に参加しない」に該当する参考人の方はいらっしゃいません。以上です。
○脇田委員長 ありがとうございます。ただいま事務局から本日の審議参加についての御報告がありました。岡田参考人が4種混合ワクチン、3種混合ワクチン及び13価肺炎球菌ワクチンについての審議又は議決が行われている間、審議会場から退室するとのことです。しかしながら、参加規程によりますと、「審議会場から退室する」との取扱いにつきましては、「当該委員等の発言が特に必要であると当部会が認めた場合には、出席し、意見を述べることができる」となっております。岡田参考人におかれましては、当部会から御専門のワクチンの資料の説明を御依頼していることから、退室せずに審議に御参加いただきたいと思います。皆様、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○脇田委員長 ありがとうございます。それでは、そのように進めたいと思います。局長が到着されましたので、事務局からお願いします。
○友永室長補佐 健康局長から一言、御挨拶させていただきます。
○宇都宮健康局長 昨日付けで厚生労働省健康局長を拝命いたしました宇都宮と申します。よろしくお願いいたします。本日は遅参いたしまして申し訳ございません。
委員の先生方におかれましては大変お暑い中、また御多忙の中を本日御参集いただきまして誠にありがとうございます。また、日頃より予防接種行政の推進に御協力・御尽力いただいておりますこと、この場をお借りしまして厚く御礼申し上げます。
さて、本日のこの小委員会の役割は、予防接種法の対象となる疾病・ワクチンの在り方について、評価項目や評価の方法等を含めた医学的・科学的な視点からの検討を行うとともに、各疾病・ワクチンについて、予防接種法の定期接種に位置付けるかどうかの考え方を整理することとなっております。予防接種には最近いろいろな課題があるわけですけれども、その中でこの小委員会の果たす役割は非常に重要なものであると感じております。是非、忌憚のない御意見を交わしていただいて、この小委員会の議論が実りのあるものになりますことを祈念いたしまして、私の御挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○脇田委員長 宇都宮局長、どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。
それでは、審議に入りたいと思います。まず議事次第を御覧いただきまして、審議事項の1は、肺炎球菌感染症(高齢者がかかるものに限る)についてです。前回、前々回の2回にわたり、定期接種化を検討しているワクチン全体について、これまでの審議状況や研究班での研究成果について報告をしていただいたところです。
本日は議論の対象を絞りまして、2つの議題について御審議いただくことにしたいと考えています。最初に審議事項の1です。23価ワクチンの議論と13価ワクチンの議論がございますが、肺炎球菌感染症の疫学という観点からは重なる部分もありますので、両ワクチンの議論について資料を一通り説明していただきまして、その上でそれぞれの論点に沿って議論をすることにしたいと思います。資料1-1はPPSV23、資料1-2はPCV13ですので、こちらについて事務局から説明をよろしくお願いいたします。
○黒崎室長補佐 事務局より御説明申し上げます。資料1-1及び資料1-2をお手元に御用意ください。
まず初めに資料1-1、肺炎球菌ワクチン(PPSV23)についてという資料です。1ページ目の経緯につきましては、これまでの資料と同様です。今年の5月、第8回の小委員会におきまして、23価肺炎球菌ワクチンのファクトシートについて御報告を頂きました。前回、6月の議論のときには、そのファクトシートに基づいて議論をしていただいたところです。今回の小委員会におきましては、その議論の整理案を基に、更に検討を行っていただくというように整理させていただいたところです。それ以降の部分に関しては前回の資料と共通している部分もありますが、要点を少しずつ御説明させていただければと思います。
現在の接種対象者につきましては、65歳の者及び60歳以上65歳未満の者であって、
そこに書いてあるような厚生労働省令で定める者という形になってございます。平成26年から平成31年までの間に関しましては、経過措置として65歳、70歳、75歳と5歳刻みで対象者を指定するようにしております。
3ページ目に参りまして、上の接種率の推移に関しては前回、前々回に出させていただいた資料と同様ですが、定期接種化以降の接種者数の実績は、任意接種による接種者は含んでおりません。その下、血清型分布についてという所は、前回の資料にはなかったものです。ファクトシートに書かれております数字を表にまとめたものです。PPSV23が占める血清型に関しましては、黒枠で囲んでいる部分です。
4ページ目はワクチンの有効性(初回接種に関して)です。これもファクトシートに書かれているものを表に示したところです。IPD、侵襲性肺炎球菌感染症に対しての有効性というのは、65歳以上の年齢を対象にした場合は39%という報告があります。また、肺炎球菌性肺炎に対する効果というのは、ワクチンの対象となるタイプだけに限りますと、33.5%という報告がございます。
次に5ページ目、ここに前回と同じ論点を書かせていただいております。ワクチンの再接種に関して、どのように評価するか、若しくはワクチンの効果の持続性の評価を踏まえ、再接種を行う対象者、接種間隔、期待される効果について十分明らかとなっているかということで、論点を書かせていただきました。ファクトシートの知見の所には、ほぼ前回と同じものではございますが、5ページ目の部分は今回新たに追加させていただいたところです。ワクチンの効果の持続性についてという所で、ファクトシートで引用している文献の中から持続性に関わる部分を抜き出して、こちらの表にまとめてございます。表の中で、真ん中のAndrewsの結果ですが、65歳以上の高齢者においてIPVに対するPPSVの効果は接種後2年未満で48%、2年から5年未満で21%、接種5年後以上で15%、こちらは有意ではありませんが、そのような結果であったということです。そのほか、そのような結果が幾つか報告されております。
おめくりいただき、複数回接種の有効性に関して書かせていただいております。この表に関しては前回もお出しした表でございます。抗体価やオプソニン活性に関しては1回接種後、それが低下してきて、2回接種をすることによって再度反応が見られるというような結果です。安全性、医療経済学的評価に関しても前回お出ししたものと同一です。
最後、8ページ、2の海外の予防接種プログラムにおける再接種の位置付けです。書いてあることは前回と一緒ですが、十分な解説ができませんでしたので、再度こちらで説明させていただければと思います。それぞれ主要な国における再接種の状況ということで書かせていただいているものです。米国においては65歳未満で接種をしている場合に限って、再接種を1回のみ認めているという状況ですので、65歳以上の方に対する再接種というのは基本的には余りないのかなと考えております。オーストラリア、英国などに関しては、ハイリスクの方に関する接種を推奨している状況です。リスクの余りない、高齢であるというだけの方に対する追加接種というのは推奨する状況ではないと考えております。ドイツにおいては、6年以上の間隔でPPSV23の追加接種を繰り返してもよい。これは国として推奨しているもので、公費助成もあるというように聞いております。日本におきましては、2歳以上の脾摘患者における肺炎球菌による感染症発症予防という適応においてPPSV23を使用した場合に保険給付される。これは御承知のとおりかと思います。
最後、肺炎球菌ワクチンの再接種のガイダンスということで、日本感染症学会から出ているものに対して、委員会の考え方について書いてございます。ここの文章については、PPSV23の再接種による臨床的な有効性のエビデンスは明確になっていないが、症例によっては追加接種を繰り返すことを考慮してもよいと考えるという記載がございます。PPSV23の資料に関しての説明は以上です。
続きまして資料1-2、沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)についてという資料です。こちらも1ページ目は前回の資料でお出ししたものとほぼ同じです。前回、6月の検討会のとき、小委員会の場におきまして資料を一通り御説明申し上げたところですが、そのときの議論を基に今回、議論を整理して再度御議論いただきたいと考えております。
2ページの論点です。PCV13について、高齢者を対象とした定期接種に使用できるワクチンに位置付けるに当たっては、平成27年12月、第2回ワクチン評価に関する小委員会において、下記のとおり整理されています。
マル1として、国内の高齢者における疾病抑制効果の評価については、国内臨床試験に関する実効性の観点から、既存の調査・研究結果を用いて推計することとする。マル2として、国内の13価肺炎球菌コンジュゲートワクチンの評価に必要となる下記の科学的知見をできるだけ早期に研究班等が収集した上、PCV13単独、PPSV23の単独、PCV13とPPSV23の併用など、実施する可能性のある施策について、それぞれのモデル解析による費用対効果等の分析・評価を実施すると書かれており、4つの課題が書いてございます。
1番目として、成人市中発症肺炎などの発生頻度、血清型の分布について、2番目として免疫原性及びその持続性について、3番目といたしまして肺炎球菌に係る医療費について、4番目といたしましてQOL評価の指標についてということでした。上記に関して、それぞれ現時点での知見を次のページ以降で整理させていただきました。マル1の成人市中発症肺炎などの発生頻度、血清などの分布についてですが、ファクトシートから抜き出してきたものです。血清型の分布については23価の所で提示させていただいた表と同じものでありますけれども、IPD、肺炎球菌性肺炎、市中発症肺炎のそれぞれでPCV13をカバーする血清型のカバー率は減少傾向であることが見て分かると思います。
マル2免疫原性及びその持続性についてです。免疫原性につきましては、PPSV23のワクチン血清型に対する免疫原性は、PCV13とのそれと同等若しくは劣っていたと結論されているということで、13価の免疫原性としての有効性に関しては非常に高いものがあるという記載がされております。また、ファクトシートには載っていない論文ではございますが、65歳以上におけるPCV13の予防効果は、本研究の継続期間である5年以上にわたって、減衰することなく維持されたという報告もございます。また、PCV13の有効性ということでは、ファクトシートに記載のある論文のほうに報告がございます。IPDに対する有効性が75%、肺炎球菌性肺炎に対する有効性が45.6%と記載のある報告が掲載されております。
マル3肺炎診療に係る医療費についてです。これもファクトシートからのサマリーですが、主に海外の報告が2つ、文献レビューのほうでは取り上げられているところです。いずれも肺炎球菌性肺炎に対する効果に関するものです。6ページ、国内で実施した医療経済分析ということで、PPSV23単独群、PCV13単独群、PCV13単独で行った場合の医療経済学的な分析についての結果が掲載されております。
7ページ、マル4のQOL評価の指標についてです。前回、池田委員からも御報告いただいたところですが、厚生労働科学研究により高齢者の肺炎に関するQOL評価について研究が行われ、1年間の研究において肺炎り患の患者が出なかったので、QOL変化を調査することができなかったということでした。一方、オランダからQOLに関する比較的大規模な調査結果が発表されたことから、その結果及び文献レビューに基づき費用対効果を算出していくことは可能なのではないかという御意見を頂戴したところです。
PCV13に関して、海外の導入状況も踏まえて検討すべきではないかという御意見も前回頂戴したところでしたので、そこに参考として海外の導入状況を表にまとめております。1の区分にあるのが、高齢者だけでなく心疾患、肺疾患、糖尿病などのリスクのある者、HIV、がん、脾臓摘出後など免疫低下などの方たちに対して推奨するという国がアルゼンチン、オーストラリア以下、このような国々がそのような政策を取っているというところです。2番目の高齢者と免疫不全者に対してPCV13を推奨している国というのは、そこに書いてあるとおりです。また、ハイリスク者だけに推奨しているという国も3、4のようにございます。繰り返しになりますが、日本においては2歳以上の脾摘患者における肺炎球菌による感染症発症予防のために、23価ワクチンを使用した場合には保険給付がされるという状況です。事務局からは以上です。
○脇田委員長 ありがとうございました。高齢者の肺炎球菌感染症について、御審議をお願いしたいと思います。PPSV23とPCV13のそれぞれの資料を説明していただきました。まず、PPSV23の再接種に関して、資料1-1の論点は5ページにまとめてありますけれども、その辺からと、ワクチンの効果の持続性、その評価を踏まえての再接種を行う対象等で御意見いただければと思います。まず、23価ワクチンの有効性というか持続性はいかがでしょうか。あるいは再接種の対象者や接種間隔についても御意見いただければと思います。今日資料でまとめられていますように、持続性に関してはこのような論文からのデータがあるということです。
○原委員 再接種に関する発症予防効果について、6ページ目に書かれていることですが、免疫原性が初回接種と同等であるとする所見から、初回時と同等の予防効果が期待されるということで、恐らく有効性などが同じ程度期待されると結論付られているのかと思います。今、大分血清型の置換が起こってきていますが、このときの評価は肺炎球菌性肺炎の23価に対するもの全てについての血清型を使って検討されていたと思うのです。血清型の割合が変わってきていますので、その辺も合わせてきちんと評価したほうがいいのではないかと思いました。有効性については全体で見ると今は当時よりも少し低くなっているのではないかと推測します。
○脇田委員長 それは再接種の際の効果も初回と比べると下がっているのですか。
○原委員 そうです。ここに書かれた結論について、再接種のときに免疫原性は同じぐらいになるかと思いますけれども、それに対して肺炎球菌性の肺炎についてとか、IPDに対しても血清型置換が起こっています。血清型別の有効率も報告されていますので、そういうものまで併せて考えると、全体としてはもう少し低くなるのではないかと思いました。
○脇田委員長 大石先生、お願いします。
○大石参考人 感染研の大石ですが、参考人として発言いたします。御指摘の点は、効果を再接種においては全て免疫原性で評価しているわけです。得られているデータについては今現在起こっているような、セロタイプリプレイスメントとインダイレクトエフェクトとか、そうした血清型の変化が起こっていない状況下での検討だと理解していただければと思います。血清型によって免疫応答あるいは血清中の抗体の持続というのは違うのですね。でも23価全部を調べて、23価ワクチンの免疫原性はどうかというと、非常に漠然としたものになってくるので、おおむね5年は効果が持続するだろうということが言われているところです。それと、臨床的な効果については、再接種によって実際に肺炎がどのぐらい予防できるかは世界中どこにもないわけですので、それを免疫原性のデータと血清型置換、今現在あるいはIPDや肺炎の血清型の分布を組み合わせて推定するということになると思います。
○脇田委員長 そのほかはいかがでしょうか。大石先生、ワクチンの有効性につきましては、徐々に低下していくというようなことでよろしいのですか。
○大石参考人 はい、これは資料の5ページにあるように、幾つかの資料で実際にワクチンエフェクティブネスを推定した研究もあるのですが、これもサンプルサイズとか時代時代で変わってくるものです。そういう状況がありつつも、しかし先ほど申しましたように、免疫原性というものは接種1~2か月後でピークになって、徐々に減衰するものなので、やはり1年目、2年目が効果は高く、少しずつそれの効果が下がってくるというのは、どの研究でもあり得るということで、研究によっては多少その辺の数値、パーセンテージは変わってくるという理解です。
○脇田委員長 そうしますと、徐々に下がってくるということであるのですが、有効性がどの程度続くかと、明確に言えるようなエビデンスは余りないという理解でよろしいですか。
○大石参考人 はい、現状は、鈴木先生の論文とかでも、5年以降でもという記載があるのですが、あるいはRodriguezの論文とかでもありはするのですが、ここは非常に分散が大きくて、確実な数値ではないということだと思います。
○脇田委員長 福島委員、お願いします。
○福島委員 今、大石先生に御説明いただいたところで、私もワクチンの効果の持続性をどう考えたらいいのかなと思って見ていたのですが、年数が経過すると血清型特異的なIgG抗体価やオプソニン活性は減衰していくということでよろしいのですよね。それに伴って発病予防効果としての有効性も5年を経過すると、ばらつきが大きくなるという限界点はありますが、下がってきていると。これは免疫原性の推移をダイレクトに反映しているのか、それとも地域におけるセロリプレイスメントの影響を反映しているのか、どちらによる有効性の低下なのだろうというのが1つ疑問に思うところです。免疫原性をダイレクトに反映しているとした場合に、5年経過するとこれぐらい有効率が低下しますということになるのでしょうけれども、日本でも、小児へのPCV13の接種によってかなり血清型の置換が起こっていることと、集団免疫効果で高齢者への良い影響も出てきていますので、有効率の低下が深刻なものなのかというところもちょっと解釈に苦しんでいるところでありまして、その辺り御教示いただければと思います。
○脇田委員長 大石先生、お願いします。
○大石参考人 解釈ですのでどこまで正確かは分からないですけれども、今日本で起こっている状況については、小児のPCV導入後に、成人においてはいわゆるインダイレクトエフェクトが起こって、血清型が大分変化してきているということ。そして一方では、PPSV23の定期接種は2014年10月からスタートしているのですが、それによる血清型の変化への影響は明らかではありません。一方、IPDの症例の中で、この研究班で示しているインダイレクトコホート法を用いたワクチン効果の評価においては、PPSV23の接種によるワクチン型のIPDを予防しているというデータも得られている訳です。ですから、IPDサーベイランスにおいて、小児PCV導入による間接効果とPPSV23の定期接種によるIPDに対する直接効果の両方が示されていると考えています。インダイレクトエフェクトについては、PCV7血清型がほとんど消失し、一方で非PCV13血清型が大半となる状況下でどれだけPPSV23が成人IPDを予防するかをインダイレクトコホート法で評価したことになります。
○脇田委員長 ワクチン効果の解釈に対しての解説ですが、有効性に関しては、一定きちんと評価できるわけですけれども、有効性がどのぐらい持続するかというところはなかなか評価は難しいところかと思います。それを踏まえ、更に再接種の有効性についてどのように考えるかというところですけれども、ここに関しての御意見も頂ければと思います。
○岡田参考人 お聞きしたいのですが、8ページの2番の、海外の予防接種プログラムで再接種の位置付けがこれらの国々でやられていますけれども、再接種をやってこの評価は具体的にどうなっているのですか。
○大石参考人 ハイリスク以外の成人に対するPPSV23について、米国では65歳未満でPPSVを接種し、5年以上経過して65歳を越えた段階で再接種を1回のみ認めています。また、ドイツの委員会STIKOのガイドラインでは、再接種を6年ごとに繰り返してもよいと書かれており、公費助成もされるということが確認できています。しかし、この再接種制度に対する評価については文献として示されているものはないと思います。
○岡田参考人 再接種の評価はないのですね。
○脇田委員長 再接種が公費で行われている国も米国、ドイツとあるけれども、その評価は必ずしも明らかではないというところかと思います。そのほかはいかがでしょうか。
それでは今、PPSV23の有効性と再接種に関する論点を議論いただきましたが、続きまして、PCV13の議論をしたいと考えます。資料1-2の論点の順番でもよろしいのですが、まずマル2の4つのポツ、成人市中発症肺炎などの発生頻度、血清型の分布について、それから免疫原性及びその持続性について、その後、肺炎診療に係る医療費、それからQOL評価ですが、それぞれ御意見を頂ければと思います。まず市中発症肺炎の発生頻度や血清型の分布はどのように評価できるかというところで、ファクトシートの知見からはそのようにパーセンテージが変化している所は読み取れますけれども、ここはいかがでしょうか。大石先生、ここはいかがですか。
○大石参考人 研究班で行っているのは市中発症肺炎の発生頻度、そして主には血清型の分布です。ここにある2011年、2013年から実施された、これは継続して実施されてはいるのですが、2011年、2013年頃の血清型の分布、PCV13、PPSV23血清型が示されており、また同じ場所で行われている市中発症肺炎の血清型分布は、そのあと32%、49%と示されています。年代とともに2014年から小児のPCVの定期接種が開始され、小児のPCV導入のインダイレクトエフェクトが、成人の原因菌の血清型の分布にも影響していると理解しています。基本的には成人のIPD、侵襲性感染症の血清型の分布と近似したものにはなっていると思います。IPDではPPSV23の血清型のカバー率は60%ちょっとぐらいになっているのですが、こちらでは49%です。年々、PCV13血清型は、IPDも肺炎のほうも大体30%程度まで減少してきているということだと思います。
○脇田委員長 PCV13がカバーする肺炎というのが、今後減少していくということも期待できると考えてよろしいですか。今後ですね、更に減少していく。
○大石参考人 更に減少するということが予想されると思います。
○脇田委員長 この点についてはいかがでしょうか。
○菅沼委員 今、大石先生が話されたとおり、ファクトシートの3ページに書いてある血清置換のデータを見ますと、かなりPCV13が、これは平成27年に議論が始まっていると思うのですが、それから3年たって、思いのほかカバー率が下がってきているところがあるので、当初議論が始まったときに比べると、やはりPCV13のカバーが大分狭くなってきているというのは事実かなと思います。なので、PCV13単独と、もう1つは連続接種がPCV13に関わるところだと思うのですが、議論のスタート時点からすると、役割としてはカバーできるものがだんだん狭くなってきているという状況は否めないのかなという印象があります。
それともう一点、確か当初これに対する研究班が立ち上がって、データを大石先生の所であったと思うのですが、またそこら辺のデータ等々、効果とかそういうものについては、もしこれから先出ればということであれば、それは議論の1つの資料になるかとは思うのですけれども、大石先生、いかがでしょうか。
○大石参考人 研究班の活動につきましては、2014年の米国ACIPの発表があってから、2ページにあるPCV13の評価に関係して必要なものとして、この4項目が厚労省から言われて、私どもは上から3つに対してAMEDの研究班で行ってきています。その市中発症肺炎の血清型分布については今示したとおりです。そして、免疫原性及びその持続性につきましては、23価ワクチンと13価コンジュゲートワクチンと、そしてまたコンジュゲートワクチン接種後の23価ワクチン、この連続接種の免疫原性について、65歳以上の高齢者について検討を進めているところです。症例登録は昨年度にできるだけ終わらせたかったのですが、3群の登録症例数が十分ではなくて、今現在解析を進めています。
直近の研究班での成績につきましては、ある程度のサンプル数がそろってきたところではあるのですが、もう少し時間が掛かるかと思います。今年度中には発表ができると思っています。概要を申しますと、要はPCV13とPPSV23連続接種をすることで、共通する血清型のPCV13でまずメモリーBセルを誘導しておいて、23価ワクチンに共通する10価の血清型にブースターがかかるということを考えて、ここがポイントでこの連続接種をしようということになっているのですけれども、接種間隔を1年置いた部分では、ブースター効果が見えているかもしれません。その辺がサイエンティフィックに正しいかどうかは、最終的なデータの解析を待たないと、結論できないと思っています。
あくまで本研究は免疫原性評価なので、臨床効果を評価しているものでもありませんし、基本的にこの所見については、米国CDCは過去の研究データを組み合わせることでこうしたことが考えられると、ブースターがかかるだろうということで、両方のワクチンを接種し、また連続接種を進めているわけです。実際、65歳以上の各個人で連続して接種をしたときに、抗体がどう動くかについては誰も解析していないので、我々がこれを実施している訳です。以上、解説させていただきました。
2つ目です。肺炎診療に係る医療費については、赤沢先生、五十嵐先生が出された医療経済解析、分析について組み込まれた研究結果です。Konomura先生という先生のファーストネームで、永井先生、赤沢先生の3名の連名で論文化されておりまして、約3万人ぐらいの肺炎の症例の、これはレセプトデータだったと思うのですが、こういったものを解析することで、外来患者さんでは約3百数十ドル、そして入院患者さんになると4,000ドル以上という結果が出ております。それをこの分析の中で、このファクトシートの中にある分析、Konomuraら文献76、ここに組み込まれているのですが、こうしたデータの根拠をここに提供しているということです。AMEDの研究班で担当したのは、この3つのポイントです。
○脇田委員長 ただいま研究班での進捗状況の解説をしていただきました。それで今、免疫原性についてお話がありました。連続接種、ACIPで推奨している連続接種については、免疫原性が実際に本当にブースター効果等があるかというところについては今はまだ解析が進行中という理解だと思います。それから、肺炎に関する医療費がどの程度かという研究はされたということかと思います。免疫原性について、ここにファクトシートの知見として書かれていますが、これで見ると、PCV13はPPSV23よりも免疫原性が高いと考えられるというところはよろしいでしょうか。
(異議なし)
○脇田委員長 ありがとうございます。あとは、持続期間は5年以上はあるだろうということもよろしいですか。そうしましたら今お話がありました、血清型の分布、PCV13の免疫原性、持続性、そして肺炎診療に係る医療費のお話がありましたが、大石先生、お願いします。
○大石参考人 参考で示されているPatterrsonらの、65歳以上で、これは免疫原性のデータだと思うのですが、この部分について申し訳ないですけれども、事務局で御説明いただければ有り難いです。
○脇田委員長 事務局でこのPatterrsonの文献のデータをお願いします。
○黒崎室長補佐 参考で挙げている文献に関しましては、本文に参考文献の番号等を挙げるのを失念してしまいまして実際に見ていただくことができないのですが、こちらのほうで追記をさせていただきたいとは思います。この予防効果に関しては、詳細が失念してしまいましたけれども、免疫原性だけでなくて、予防効果というワクチンエフェクティブネスが保たれているというような結果であったと記憶しております。また再度きちんと詳細をまとめた上でお答え申し上げたいと思います。
○脇田委員長 よろしいでしょうか。更に御意見。福島委員ございますか。
○福島委員 7ページ目の海外におけるPCV13の導入状況について、御存じであれば教えていただきたいのですけれども。国によってはハイリスクではない高齢者に推奨している所もあれば、ハイリスク者のみに推奨している所もございますが、基本的にこれらの国では、PPSV23とPCV13を同時期にナショナルイミュナイゼーションプログラムとして導入されたという理解でよろしいのでしょうか。
○脇田委員長 これは事務局、お願いします。
○黒崎室長補佐 事務局からお答えします。こちらに挙げました国は主にPCV13のことだけ書かせていただいたのですが、それぞれの国において23価と13価がどのように導入されているかを以前整理したものがございます。その詳細についてはこちらでは示していませんけれども、23価と13価を両方導入している国は、今のところ米国だけではないかと考えております。13価のみを高齢者の肺炎球菌として使用している国も、少ないですけれども、あるというように記憶しております。
○脇田委員長 大石参考人。
○大石参考人 今の解説ですが、承認はされていても公費助成しているのが米国だけだという理解ですね。ほかは推奨していても公費助成していないのがたくさんあって、そこをきちんと区別して理解していないといけなくて、両方のワクチンを公費助成しているのは米国のみということです。
○脇田委員長 QOLの評価について何か御意見。池田委員お願いします。
○池田委員 池田でございます。資料1-2のマル4のQOL評価に関しては、前回御報告いたしましたとおり、日本で1年目、パイロットをやりまして、2年目以降で大規模な調査ということで計画をしておりましたが、海外、オランダより非常に大きな規模の、500人以上の肺炎で入院した患者さん及び1,000人以上のコントロール群に関してのQOLの調査結果が公表されましたので、こちらを用いて分析をすることができると思いますので、そのようなことで御報告させていただいたところです。
先ほど大石先生から御報告があったように、日本における肺炎に関するコストのデータも先生方の研究班で御報告をされておりますし、QOLも海外データが使えると。その他ワクチンの有効性に関しては、まだまだ特に連続接種とか、あるいは成人接種については不確実性が高いと言いますか、様々なそのデータが収集途上であるということも理解しております。幸いにしてこの費用対効果というのはモデル解析ですので、ある前提条件を置いたらこういう結果が出るということは様々に分析可能ですので、例えばですけれども、例えばなので本当ではないですが、例えば連続接種はどう転んでも費用対効果は悪いとか、あるいはこういう条件を満たせば費用対効果として受け入れられるといったことは、条件を変えることによってそれが分析可能ですので、そのようなことで費用対効果のモデル解析の研究を、大石先生にも御指導いただきながら少し進めていければと考えております。これは13価もそうですし、先ほどの23価についても同様でございます。
○脇田委員長 大石先生お願いします。
○大石参考人 池田先生、ありがとうございました。今年2月に米国ACIPに出席しまして、そこではもう既に連続接種の評価も米国CDCのほうは進めておられます。そして、実証効果及び費用対効果両方だと思うのですが、数理モデルを取り入れて、解析を実施されているというように理解しております。米国CDCとしては今年度中に報告する予定であり、その時期が今年10月か、来年の2月になるのか、ちょっと時期は分かりませんけれども、発表する予定だと担当者から聞いております。
○脇田委員長 ありがとうございます。かなり議論していただきましたけれども、以上を踏まえまして13価のPCV13を、これは高齢者における侵襲性肺炎球菌感染症対策として用いることについてどのように考えるか。また、このワクチンを高齢者における肺炎球菌性肺炎の予防対策として用いることについて、皆様の御意見を頂ければと思います。もう少し検討を進める必要があるのかと思いますが、いかがでしょうか。
○金川委員 どのように適用して公費負担にするかという話合いだと思います。今言っているのは、23価であっても血清型が変わってきたらその効果がどうかということですが、今の現時点での認識においては、1回打つことについては公費負担の接種をしましょうということは明らかなのですけれども、重複、PPSVの2回目については見ましょうと。そうすると、それに加えてPCVの13価が入ってきていて、これを例えば1度も打っていない人がPCVの13価を1回目として打ったときに公費負担として認めるのかという話と、追加として先ほどの連続接種の中で1回打つことについて公費負担にするのかという、そのパターンの違いで話合いが全然違ってくるかと思います。13価を1回目の公費負担とするとしたら、血清型の範囲がだんだん狭まってきていると、子供のほうの影響で狭まってきているので費用対効果がどれぐらいかということで、ちょっと難しくなりつつあるということだと思います。だから、どういう打ち方を認識するかということが一番大きな話合いの論点になるのではないかと思います。
○脇田委員長 接種の仕方によってどう考えるかということですね。ほかにいかがでしょうか。そこはなかなか難しいかとは思いますけれども。
○多屋委員 今までの議論を拝聴していまして、PPSV23の今の1回の接種については一定の効果があって、抗体価は下がってきているけれども、恐らくこのまま続くのだろうと思いますが、再接種に関して言えば、やはり現時点では、なかなかエビデンスが十分集まっているとは思えないことと、有効性のエビデンスが明確になっていないということから、再接種を広く実施するということについては、まだまだ決めるタイミングではないのかなという気がしています。PCV13については、抗体価が落ちてこないという結果は出ているように、先ほどPatterrsonの論文があると伺ったのですけれども、これまでの先生方、皆さんおっしゃるように、小児への肺炎球菌ワクチンの効果で血清型のカバー率がここまで下がってきているということになると、広く接種するということについては、なかなか難しいのではないかなというのが私の意見です。
○脇田委員長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。まだ研究班での解析も引き続きあるということですから、打ち方の有効性というか、連続接種の有効性といった議論もあると思いますし、費用対効果に関しても、まだ解析があると。近藤委員、どうぞ。
○近藤委員 近藤でございます。費用対効果の話が今、出ていましたし、公費助成ということになってくると費用対効果が大事になってくると思います。これから研究班で進められるということもあると思いますので、お願いしたいのは、今回ファクトシートは大変貴重な分析をされたと思いますけれども、こうやって打ち方のパターンの話まで出てきましたので、もう少し増分分析をきめ細やかな感じで、そのパターンに合わせて出していただけるといいかなと思います。モデル自体も、これは打ち方が決まらない段階で、多分、特にPCV13の分析などは65歳から、ずっと高齢者までコホートに年齢、そこはずっとある形なのですが、今のところ、法律上は来年以降に決めるとなると、増分分析の起点は、これまで打ってきた人は除いて65歳の人に打ってというのが法律上は想定されます。その先にPCV13を入れるということになると、そこのところの増分分析をしないといけないというようには考えるので、なかなか鶏の卵と親鳥とで打ち方が決まらないと、その分析がなかなかできないというところではあるのですが、若干、もう少しパターンを考えていただいて、増分分析をしていただけるといいかなと思っております。
○脇田委員長 ありがとうございます。大石参考人、お願いいたします。
○大石参考人 この点は担当の赤沢先生、五十嵐先生とかなり繰り返し議論を重ねた上で今回の分析手法、すなわち、PPSV23の単独とPCV13の単独で比較するということにいたしました。連続接種について解析できなかった理由は、連続接種に関連するエビデンスが少なすぎて、利用できるデータもかなり限界があったからです。赤沢先生、五十嵐先生との議論の中で、このような方針にしたことを御理解いただければと思います。
○脇田委員長 近藤委員、お願いいたします。
○近藤委員 データがないという御事情は分かるのですが、それとは別に、現状とディシジョンに伴う変化という観点でいうと、もうちょっとやれるのではないかというところはあります。例えば、年齢層を絞るということは、今のモデルでもできるわけで、65歳、打つだけということが法律で決まっているのでという話になれば、そういうことはできると思いますので、若干、連続接種のそのデータがないという問題とは別に、その政策決定のコンテクストに合わせた増分分析という形では計算は可能なところもあるかと思います。もちろんいろいろなレビューをされて、信頼性が高いということで、御努力されていることは当然分かりますので、また参考にしていただいて、恐縮ですが、御検討いただければと思います。
○脇田委員長 ありがとうございます。
○大石参考人 引き続きこの件については、赤沢先生、五十嵐先生と協議を進めて、更なる解析も検討していただきたいと思います。
○脇田委員長 ただいまの近藤委員の意見も御参考にしていただいて、研究班で解析を進めていただくということで、そちらの解析のデータも引き続き出していただくということで、それから、今日、すぐ頂いた議論についても事務局でまとめていただいて、引き続き小委員会のほうで議論をしていくということで、肺炎球菌ワクチンの件は引き続き議論したいと思いますが、岡田参考人、お願いいたします。
○岡田参考人 1つだけ質問させていただきます。そもそも公費助成として肺炎球菌ワクチンは、基本的には1回ということが今からもずっと進んでいくことになるのですか。結局、2回目の接種の議論です。免疫原性を考えれば、理論的にも1回目は13価のほうがいいと考えられていると思います。今日の議論は23価での再接種は、効果が余りはっきりしないけれども、13価を先にやれば、免疫原性はそれで高まると思いますから、連続接種という考え方も捨て切れないと思います。確認ですが、公費助成としては肺炎球菌ワクチンは1回しか公費助成をしないというのが基本的な方向ですか。2回の公費助成もありうるのでしょうか。
○脇田委員長 多分、正に今の議論はそれを検討していると、議論していると理解していますけれども、それでよろしいですか。今、岡田参考人から念を押されたという。まず、大石参考人。
○大石参考人 私のほうを向いておっしゃるので、私が答えるのかなと思っておりますけれども、基本的に公費助成を、再接種するかどうかということは、議論する場としてこの小委員会が組まれているわけです。皆さんの御意見でいろいろなファクトシートのデータを基に最終的に決めていくことにはなると思いますが、既に再接種はないという話で話が進んでいるわけではないと私は理解しています。
○脇田委員長 福島委員、お願いいたします。
○福島委員 それに関連して、私も聞きにくかったのですが、平成31年3月末日の経過措置が終わった後は、5歳刻みの年齢制限を設けずに、初回接種者を対象にPPSV23の接種について公的な助成を行うという理解でよろしいのでしょうか。
○脇田委員長 事務局にお願いします。
○江浪予防接種室長 事務局から、少し御説明させていただきます。資料1-1「肺炎球菌ワクチン(PPSV23)について」の2ページ目です。過去に御議論いただきまして、まず決定したのは、予防接種法施行令という所に書いてある、65歳の方か、あるいは60~65歳未満の方で基礎疾患がある方、これらの方に対して1回接種を行うと。PPSV23価を用いて肺炎球菌感染症の重症化予防という観点から1回接種を行うということが決められております。そのときに、では既に65歳を超えてしまっている方についてどう考えるかという論点の中で、経過措置ということをその下に書いてありますが、5年間、この規定を読み替えて、平たく申し上げれば、65歳以上の方に対して1回接種の機会を付与するということが、その当時決まっている内容ということです。ですので、時間がたつとその経過措置がそのまま従来の規定に戻りまして、新たに65歳になる方、あるいは60~65歳以上の方で基礎疾患がある方に対してPPSV23価の1回接種というのが基本ということです。
先日来ずっと御議論いただいておりますのは、こういった中で再接種に関してどう考えるかという点だったり、あるいはPPSV23価ではないPCV13についてどう考えるかという論点がありますので、その点について一括で少し現状、どういうエビデンスがあるかということについて御議論いただいているということです。
○脇田委員長 ほかにありますでしょうか。よろしいですか。それでは、次の審議事項に移ります。2番目は、不活化ポリオワクチンについてです。資料2-1を御覧ください。事務局から説明していただきます。よろしくお願いします。
○黒崎室長補佐 事務局より御説明申し上げます。資料2-1をお手元に御準備ください。不活化ポリオワクチン(IPV)についてという資料です。経緯については、IPVの5回目の接種の必要性及びその必要な場合においてはということで、平成24年8月、第4回不活化ポリオワクチンの円滑な導入に関する検討会において、IPVのみの接種を導入している国の多くで、2歳以降に追加の接種を行っていることが多いということです。抗体保有率の経年変化の観察を行う必要があるというようにここで決定されまして、それに基づいて、IPVの5回目接種の必要性及び必要な場合によってはその接種の時期の検討を行うこととなったということです。平成24年9月から定期の予防接種が経口生ポリオワクチンからIPVへと切り替えがされたところです。それ以降、何回か小委員会及び基本方針部会などで5回目の接種についての問題が提起されたところですが、直近では今年6月、前回の小委員会において、それぞれの研究班の先生方から研究の概要について御報告いただいたところです。その結果を基に、今回ポリオウイルスの専門家からのヒアリングを行うということで決定させていただいたところです。
次ページ、論点です。1番として、不活化ポリオワクチンの5回目の接種の必要性については、抗体保有率の経年変化に関する調査結果に基づき検討することとされています。前回の本委員会での報告された研究結果を踏まえ、抗体保有率の経年変化について、下記の4点を踏まえた上でどのように評価できるかということで御審議を頂ければと思います。マル1として、不活化ワクチン接種後の抗体価の推移と感染防御能に関する関係について。マル2として、不活化ワクチンの集団予防効果について。マル3として、ポリオの発生がないわが国におけるポリオワクチンの効果の推計方法について。マル4として、Sabin株を世界に先駆けて導入してきたわが国における追加接種の在り方についてということです。2番として、1番を整理した上で5回目の接種が必要であると判断されるのでしょうか。2番目として、必要であればいつ接種を行うべきか。5回目の接種を考える上で抗体価の状況に加え、ほかに考慮すべき事項は何かということで論点を挙げさせていただいております。こちらに関しては、この後に御発表いただく宮村先生の御意見も伺いながら御審議いただければと考えております。
次ページ、不活化ポリオワクチン抗体価に関する知見の整理です。これは感染症流行予測調査事業の2017年の結果を、ここに示しているところです。不活化ポリオワクチンを接種された世代の方々の抗体価については1型、2型、3型ともにそれぞれ高く維持されているということが分かるかと思います。
次ページ、これは参考として書かせていただいたところですが、平成25年以降のDPT-IPVの4種混合ワクチンの、それぞれ第1期の1回、2回、3回目と追加において実施率を記載させていただいているものです。その次以降に関しては、前回のそれぞれの委員及び参考人の先生方から御発表いただいたデータを要約としてまとめさせていただいたものです。1番目として、本日もお越しいただいておりますが、岡田参考人からの資料の要約を付けておりまして、1型、2型、3型の抗体陽性率に関しては96~100%という結果が出ていたということです。前回の岡田参考人の資料については、参考資料8として付けております。
次ページ、2番目として、多屋委員から御報告いただいたのは、10歳未満児、不活化ポリオワクチンの被接種者のみのポリオ抗体価保有状況においては、1型でやや低下する傾向が見られるという御報告であったかと思いますが、2型、3型のそれぞれで抗体保有率は95%以上で推移しているという御報告であったかと思います。多屋委員の資料に関しても、参考資料9として全体を付けさせていただいております。
3番目として、福島委員からの御報告です。幾何平均抗体価については、接種後1年で急速に低下し、2年目以降は緩徐に低下すると御発表いただいております。福島委員からの資料についても、参考資料10として付けさせていただいております。
一番最後のページについては、不活化ポリオワクチンの初回3回接種と追加接種した場合の免疫の維持についてということで書かせていただいているものです。以下の研究が行われた国では、ワクチン導入時から2期接種が実施されているため、1期接種のみで終生免疫が獲得されるということを示した研究は見当たらないということです。事務局からは以上でございます。
○脇田委員長 それでは引き続き、資料2-2、宮村参考人より御説明をよろしくお願いいたします。
○宮村参考人 それでは、発言させていただきます。まず、ポリオ根絶計画の現況ということで、WHOの資料をもとに世界のポリオが今どのような状況にあるかということを説明します。それから、後半はウイルス学を専門とする者として中和抗体価の測定結果を、国レベルの感染防御能としてどう評価するか、私の考え方を述べさせていただきます。
資料2-2の1ページは、ポリオ根絶計画関係者に毎週送られてくるWHOの直近のレポート(Polio Weekly Update)です。これは、先週の7月25日号です。先週、アフガニスタンのAFP(急性弛緩性マヒ)の1症例から野生株ウイルス(1型)が、分離されています。パキスタンではAFP例からの分離はゼロですが、環境中あるいはヒトから1型野生株が採れています。野生株のコントロールは徐々にいっているわけですが、生ワクチン由来のウイルスが大きな問題です。これは野生株と同様の強毒性、麻痺原性を持っています。先週はナイジェリアで2例のAFP例からcVDPV(伝播しているワクチン由来ポリオウイルス)が採れたと、報告されています。
次のマップを見ていただきます。過去を遡ること12か月、その次のページが、過去6か月に患者がどこで発生したか、どんなウイルスが採れたかということが記載されています。過去6か月のほうは、今年になってからということですので、こっちを見てください。今年になってから野生株が検出されたのはパキスタンで3例、アフガニスタンで7例、この2か国だけであります。野生株は、とうとうこの2か国に追い詰められました。緑、青、ピンクで書いてあるのは、ワクチン由来株によるワクチン関連症例です。これはもう少し広く分布しています。
その次の表は細かいですが、明確に記載されています。2013年には世界中で416例の野生株ポリオが分離されました。次は、359例、74例、37例、昨年2017年は22例となりました。ところが、2018年、今年になって、まだ13例あります。これは去年2017年の同時期と比較すると、去年よりも早いペースで経過しているということになります。2013年に416例であったものがこれだけ減ってきたと評価されるとともに、まだこれだけあるのかという、両方の評価があります。ポリオウイルスには、1型、2型、3型がありますが、これら野生株はすべて1型です。野生株の2型ポリオは、前の世紀に既に根絶されています。そして、3型は2012年のナイジェリアで分離されたのを最後に、分離されていません。今、世界中で野生株ポリオとして残っているのは1型13例であって、それらはアフガニスタンとパキスタンの2か国に限局しています。ところが、大きな問題が1つ出てきたわけです。弱毒化したポリオウイルスを用いる生ワクチンが世界根絶計画のポイントでありましたけれども、それが同時に生ウイルスですから、増殖の過程で変異をおこす、強毒復帰株というのが長い間ヒトのコミュニティーで伝播している間に生じてきます。そういうcVDPVが次の表に示されています。
cVDPVは分布が偏っておりまして、1型と3型が少なくて、野生株がとっくに根絶された2型のポリオのワクチン由来株cVDPVが世界のあちらこちらで流行していることになります。これは世界ポリオ根絶計画の最大のジレンマで、野生株を根絶するために使われた弱毒株が変異して、強毒化したものがポリオをきたすという、ジレンマであります。これをもう一度、マップを見て下さい。パプアニューギニアで、先月6月の半ばに、これは珍しいのですけれども、1型のワクチン由来株によるポリオが発生しました。分離されたcVDPVは直ちにオーストラリアのWHOレファレンス研究室(Victorian Infectious Diseases Reference Laboratory:VICRL)で塩基配列が決められています。昨年秋、WPRO領域でのポリオ根絶の地域認証委員会において、パプアニューギニアは低下したワクチン接種率、AFPサーベイランスが指摘され警戒されていたところでした。cVDPVが分離されて1週間後に、パプアニューギニアとWHOの下に積極的なワクチン投与が始まりました。それは1型と3型を含む2価bOPVです。ワクチンの接種率が下がって社会レベルの免疫状態が低下すると、ポリオウイルスは鋭敏に感受性のある領域を探して感染の鎖を拡大させます。
机上に配布した資料は、WHOのウィークリーレポートでは1例となっていましたが、先週更に1例見付かったということが詳細に記載されて、どのようなアクションを取ったのかが書かれています。流行はまだコントロールされてはいません。日本と同じWPRO領域のパプアニューギニアの流行は重要な警鐘です。
以上、述べてきたような問題点はあるものの野生株の伝播はやがて断ち切られる、そしてcVDPVによる流行もグローバルなOPVからIPVへの変換で防ぐことができることと思います。完全なグローバルなポリオ根絶が達成されればポリオワクチンの廃止とやがてつながると期待されます。しかし、根絶達成にはまだ時間がかかり、達成されてもなおポリオフリーの状態を維持しているという検証がなされなくては、世界レベルでワクチンを止めるわけにはいかないと思われます。それまで、日本を含め全世界の国々で、高いワクチン接種率の維持と社会レベルの感染防御維持は必須と考えます。
ついで次の話題に入ります。参考資料として先生方に配布されているポリオワクチンのファクトシートと、その追補版があります。これが非常によくできております。これはIPV導入の以前から導入に向けて考えられていたファクトシートですが、不活化ワクチンは日本で開発されて、世界で初めて適用になったsIPVの前に野生株を原材料としたIPVの安全性と有効性に係る膨大な実績があります。そのことも踏まえて、ワクチンの接種率と抗体保有率をきちんとフォローして、しかるべき追加接種を検討しながらスタートしようという発想でして、これは実に当を得た堅実な考え方だと思います。さればこそ、第9回の本委員会で幾人かの先生方から御発表があって、そして、いずれも第1期のワクチンの接種率が非常に良いと、完璧であると。その後の抗体の持続をフォローされています。
1つコメントします。中和試験を行うときに、Sabin株でチャレンジしてウイルスの中和試験を行う、それから、野生株のウイルスをもってチャレンジして中和試験を行うというところで区別して丁寧に結果を出されています。昔、WHOで推奨されたり、あるいは日本でのPMDAの審査のときにsIPVについて言われたことですが、sIPVの効果を見るときに、本当にSabin株で作られたワクチンは今流行している野生株ウイルスを中和するのか、というような疑問が呈されて、それで、こういうチャレンジウイルスを変えて中和試験をする必然性があったのです。それは大体結果が出ています。また、ここで使われている野生株はラボラトリーにおける研究室の参照野生株でやっていまして、今、本当に中和することができるかどうかという野外流行野生株は使われていない。例えば、1型のポリオのMahoney株という株、正に野生株の代表選手ですけれども、それとSabin株との塩基配列上の違いは本当に僅かでありまして、中和抗体価は余り変わらないのです。この結果を見ていくと、直後はずっと上がりまして、だんだん下がっていくのも想定内で、予想どおりであります。
また、抗体価を8倍でカットオフ値を決められています。安定した血清疫学のカットオフ値を8倍と定めて推移をみるのは理のあるところですが、私の考えでは、ポリオの中和抗体価というのは原液での夾雑物とかそういうものを排除すれば、4倍以上は感染防御能に近いものが得られるのではないかと思っております。そもそもワクチンによって得られる液性抗体は、感染防御というより発症予防と考えられています。しかし、大事なのは、一定の方法で持続的に抗体価の推移をフォローしていくことで、是非、岡田委員が発表された経時的フォローアップは貴重だと思います。
問題は、追加接種は諸外国のIPVで実績を上げている所と比べると、我が国ではsIPVできているわけですけれども、今までのところsIPVとcIPVで違いのあるデータは出ていない。それで追加接種が必要なのか、必要だとするといつなのか、では、どのようなものが具体的に考えられるかというようなことは、是非、ディスカッションして決めていっていただきたいと思います。
最後に、我が国での生ワクからIPV への移行期に生じたワクチンギャップがスムーズに解消され、ポリオワクチンに対する高い信頼度が示されていることを強調したいと思います。
○脇田委員長 宮村先生、どうもありがとうございました。ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問を頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。まず、世界のポリオの現状について御説明いただきましたので、ポリオが日本に持ち込まれるリスクがまだどの程度あるのか。それから、抗体価ですね。4回の接種が今、不活化ワクチンでされるわけですが、5回目の追加接種を必要と評価できるかどうかという観点、それがもし必要であるとするならば、どのような時期に行うべきなのかというところを議論していく必要があろうかと考えます。
○原委員 ありがとうございました。最後のほうに4倍以上あれば感染防御能があると考えてもいいのではないかとおっしゃったのですが、前回のときは大体8倍ぐらいのところで下がってきている例があるということで、そろそろ追加を考えなければいけないのではという議論をしたように記憶しています。4倍となると、割と1年目での減弱は大きかったのですが、そこからゆっくりしか減衰していかないと考えると、少し余裕ができそうというか、もう少し長く効果が持続しそうと考えていいのでしょうか。
○宮村参考人 何倍からかというのは議論が分かれるところだと思います。実際に中和試験をやりますと、原液のところ、2倍辺りでは夾雑物等のノンスペシフィックなものがどうしても出ます。しかし、4倍以降はより希釈をしていけば、大体の1つの目安ですけれども、私はいいと思っているし、そう考える人もいると思いますが、そこはどうなのでしょうか。私はこのタスクについて一番大事なのは、抗体価が徐々に減弱して、どういう方向にあって、追加接種を決断するためには抗体のチェック上の流れの中で、どこでどういうポイントを1つの決断の根拠とするかという、そこにあるのではないか、流れの中にあるのではないかと思います。
○脇田委員長 ありがとうございます。平均として4倍以上あればいいのか、あるいは個別の症例で4倍以上あったほうがいいのかみたいなところが、非常に多分難しいところだと思います。やはり、宮村先生が言われたように、抗体価の推移をしっかりフォローしていくところが大事なことだろうと考えますが、スレッショルドをどこに取るかということは少し難しいところかと感じますね。そのほかにいかがでしょうか。
ポリオが今、現状まだ流行国があって、ワイルドタイプのポリオが今2か国にまだ残っている。それから、ワクチン由来ポリオがまだ少し流行している国もあるところが世界の流行の現状かと思います。ですから、旅行者なりが日本にポリオを持ち込んで、それが感染源となるというリスクが今、全く解消されているわけではないところは、共通の理解であると考えます。それで、そのリスクが存在する現状で、日本でポリオに対する集団免疫の状況をどのように保っていくかというところが、議論の要のところであろうと思いますが、1期の接種の後、徐々に低下してくる抗体価を鑑みて、5回目の接種をどのように考えるかというところで、皆さんの御意見を再度頂ければと思います。多屋先生何かございますか。
○多屋委員 今の宮村先生のお話にありました、中和抗体を1:4以上で見るか、1:8以上で見るかで随分意見が変わってくるなと思いながら、拝聴しておりました。前回出した資料では、1:8以上のところでの抗体保有率と、1:8以上を持っている人の幾何平均抗体価でグラフを出しておりましたので、そうしますと、5歳ぐらいのところで若干落ちてくる傾向、ただそれでも90%以上しっかりあるのですが。なので、今日明日すぐということではないけれども、5、6歳という就学前のところで1回追加するのがいいのではないかと思いながら、出しました。しかし、1:4以上でいいことになるのであれば、今のところはそこまで落ちている傾向が見られてはいないので、これを継続して調査をしていく必要があるのではないかと思います。
○脇田委員長 ありがとうございます。
○岡田参考人 宮村先生、ありがとうございました。今日の論点である、4番目のSabin株を世界に先駆けて導入した日本で、この追加接種の在り方をどう考えるかに関してです。海外では野生株由来の不活化ポリオワクチンを追加接種してきた歴史がありますが、日本で開発されたSabin株由来のものでも、世界で広く使われているソーク株由来の4種混合ワクチンでも、前回の9回目のときにお示しいたしましたけれども、2つのワクチンともほぼ同じような抗体価の推移を示しています。海外では、抗体価が下がってきたから追加接種しているわけではなくて、国民の抗体価のレベルを高いレベルに維持して、世界から入ってくるリスクに備えていると伺っています。日本でSabin株由来の4種混合ワクチンを導入する時点では、諸外国と同じように追加接種は必要ではないのかなと考えます。2020年までに海外から多くの方々が入ってくることを考えると、余り時間的な余裕はないように思います。接種率も考慮すると、就学期前後で2期接種をまず行う。その後10歳代で必要なのかどうかを検討する。世界では10歳代もやられていますけれども、10歳代ももう一度の追加接種が必要かどうかは今後検討していただければと思いました。
○脇田委員長 ありがとうございます。今の岡田参考人の御意見は、追加接種は必要であろうと考える。その時期としては、就学前がよろしいのではないかと。さらに、その抗体価の推移を見ていくことが必要であろうと、そういった御意見だと思います。委員の先生方の御意見はございますでしょうか。
○多屋委員 私も岡田先生の御意見に賛成で、小学校に上がってしまいますと、接種率を高く保つのが非常に難しいので、5、6歳の小学校に上がる前1年間のMRの2期などと同じような時期に接種を検討するほうが、保護者や接種医の先生方にとっても、接種の仕方としてはやりやすいのではないかと思っています。そうすると、ちょうど1:4と1:8のところがあるのですが、1:8以上の抗体保有率と幾何平均抗体価の下がり具合、1型について見ていると、ちょうど5、6歳にそろそろ下がっているのかなという気がしているところです。
○脇田委員長 ありがとうございます。多屋委員からも就学前で追加接種をするのが適切ではないかという御意見だったと思います。そのほかはいかがでしょうか。
○福島委員 私は、不活化に切り替えた時点で、「2期の接種は必要」という方向性なのかなと思っていました。抗体価が1:4でも十分ではないかというお話を宮村先生から頂きまして、私が前回の小委員会で廣田先生の代理で発表させていただきました内容では、実際の抗体価の推移を見ていきますと、1:8未満に抗体価が低下したお子さんが4人おられ、研究班でも健康危険情報として報告書に出させていただいたこともあったと思いますが、宮村先生のお話から、その子たちが今すごく切迫している状況ではないということなのだなと理解をしました。しかし、抗体価の将来推計のグラフ等も出させていただきました通り、今後下がってくることは目に見えています。かつ最近の審議の経過から、あっという間に1年ぐらいたってしまうことを考えると、必要という御意見が多いのであれば、早めに議論は進めておくべきかなと考えました。抗体価が平均として1:4を切ってしまったときに慌ててというと、本当に間に合わなくなってしまうと思います。
○脇田委員長 ありがとうございます。そのほかに御意見はいかがでしょうか。この追加接種の必要性及びその時期ですね。そうしますと、おおむね今頂きましたような御意見で皆さん同意されるということで、原委員もよろしいですか。ありがとうございます。そうしますと、不活化ポリオワクチンですが、持ち込まれるリスクはそれほど今、差し迫って高いわけではないけれども、リスク自体は存在するところかと思います。ポリオワクチンの有効性につきましては、抗体価が緩やかに低下していくだろうということは、研究成果からも明らかにされていることですから、いずれ5回目の接種が必要であろうことは、皆さんの御意見からも一致したところかと思っています。5回目の接種必要性について、接種の時期、使用する製剤につきましても今後、議論を継続していくところかと考えますが、そのような結論でよろしいですか。ありがとうございました。それでは、今日発表していただきました内容と御意見につきましては、事務局でまた取りまとめていただきまして、次回以降の議題とさせていただきたいと思います。
以上で今日準備しました議題は終了いたしましたが、そのほかに事務局から何かございますでしょうか。
○友永室長補佐 次回の開催につきましては、追って御連絡をさせていただきます。事務局からは以上でございます。
○脇田委員長 それでは、本日の第10回のワクチン評価に関する小委員会を終了させていただきます。本日も活発な御議論を頂きまして、ありがとうございました。
(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会 予防接種基本方針部会 ワクチン評価に関する小委員会)> 第10回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会 議事録(2018年8月1日)

ページの先頭へ戻る