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2018年6月28日 第9回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会 議事録

健康局健康課

○日時

平成30年6月28日(木)14:00~17:00

 

○場所

新橋会議室8E会議室

○議事

○友永室長補佐 それでは、定刻になりましたので、第9回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会」を開催いたします。
本日は、御多忙のところ、また大変暑い中、御出席いただき、まことにありがとうございます。
本日の議事は公開でございますが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては御理解と御協力をお願いいたします。
また、傍聴の方は「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音することはできませんので、御留意ください。
続きまして、委員の出欠状況について御報告いたします。
現在、委員8名全員に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会の規定によりまして、本日の会議が成立したことを御報告いたします。
また、本日は参考人として、8名の方に御出席をいただいております。御紹介をさせていただきます。
まず、予防接種推進専門協議会からの御推薦で、福岡看護大学基礎・基礎看護分野基礎・専門基礎分野教授、岡田賢司参考人でございます。
続きまして、肺炎球菌感染症の関係で、国立感染症研究所感染症疫学センター長、大石和徳参考人でございます。
続きまして、ロタウイルスワクチンの関係で、川崎医科大学小児科学教授、中野貴司参考人でございます。
同じくロタウイルスワクチンの関係で、国立感染症研究所感染症疫学センター主任研究官、神谷元参考人でございます。
続きまして、おたふくかぜワクチンの関係で、国立がん研究センター中央病院感染症部長、予防接種推進専門協議会委員長、岩田敏参考人でございます。
同じくおたふくかぜワクチンの関係で九州大学大学院医学研究院耳鼻咽喉科学教授、中川尚志参考人でございます。
同じくおたふくかぜワクチンの関係で、国立成育医療研究センター感覚器・形態外科部耳鼻咽喉科診療部長、守本倫子参考人にお越しいただく予定となっておりますが、本日はおくれて御出席となる旨の連絡を受けております。
続きまして、百日せきワクチンの関係で、国立感染症研究所細菌第二部室長、蒲地一成参考人でございます。
申しわけございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
なお、これ以降は写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意をください。
(報道関係者退室)
○友永室長補佐 続きまして、議事に先立ちまして、配付資料の確認をさせていただきます。
お手元に議事次第、配付資料一覧、委員名簿、座席表、資料1-1から6、参考資料1から22、さらに各委員からの審議参加に関する遵守事項の申告書を御用意しております。
配付資料一覧、配付を御確認いただきまして、不足の資料等がございましたら事務局にお申し出をお願いします。
それから、傍聴者の皆様の資料に関して訂正がございますので、御案内させていただきます。参考資料は全て配付いたしておりますが、配付資料一覧の参考資料番号4以降、これが資料の追加があった関係で番号が2つずつずれております。また、最後に参考資料22が追加となっておりますので、配付資料一覧につきまして、訂正をお願いしたいと思います。
それでは、ここからの進行は脇田委員長にお願いいたします。
○脇田委員長 皆様、本日は暑い中、御出席ありがとうございます。国立感染症研究所の脇田です。本日はよろしくお願いいたします。
まず、事務局から、審議参加に関する遵守事項について報告をお願いいたします。
○友永室長補佐 審議参加の取り扱いについて御報告いたします。
本日御出席いただきました委員及び参考人から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づきまして、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受け取り状況、申請資料への関与につきまして申告をいただきました。各委員、参考人からの申告内容につきましては机上に配付しておりますので、御確認いただければと存じます。
また、本日の審議事項は、肺炎球菌感染症、これは高齢者がかかるものに限るものでございます。それから、帯状疱疹ワクチン、不活化ポリオワクチン、ロタウイルスワクチン、おたふくかぜワクチン、沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチンについてを予定しております。
今、申し上げたワクチンの製造販売業者は、MSD株式会社、ファイザー株式会社、阪大微生物病研究会、田辺三菱製薬株式会社、ジャパンワクチン株式会社、グラクソ・スミスクライン株式会社、サノフィ株式会社、化学及血清療法研究所、アステラス製薬株式会社、北里第一三共ワクチン株式会社、武田薬品工業株式会社となっております。
岩田参考人より、13価肺炎球菌ワクチン及びロタウイルスワクチンについて、岡田参考人及び中野参考人より、4種混合ワクチン、3種混合ワクチン及び13価肺炎球菌ワクチンについての作成に関与しているということを御申告いただいております。それぞれ該当のワクチンにつきましては「審議又は議決が行われている間、審議会場から退室する」に該当しますが、この取り扱いについてお諮りをいたします。
なお、このほかに「退室」や「審議又は議決に参加しない」に該当する委員、及び「退室」や「審議に参考しない」に該当する参考人はいらっしゃいません。
以上です。
○脇田委員長 ありがとうございました。
ただいま、事務局から本日の審議参加についての報告がございました。
岩田参考人が、13価肺炎球菌ワクチンとロタウイルスワクチンについての審議または議決が行われている間、審議会場から退室するということに該当する。それから、岡田参考人及び中野参考人につきまして、4種混合ワクチン、3種混合ワクチン及び13価肺炎球菌ワクチンについての同じく審議、議決が行われている間に審議会場から退室するということであります。
しかしながら、この委員会の参加規程によりますと「審議会場から退室する」との取り扱いにつきましては、当該委員等の発言が特に必要であるとこの部会が認めた場合には、出席して意見を述べていただくことができるとなっております。
岩田参考人、岡田参考人、中野参考人のいずれの参考人におかれましても、当部会からそれぞれ御専門のワクチンの資料の説明を御依頼しておりますことから、退室せずに審議に御参加いただきたいと考えておりますが、よろしいでしようか。
(「異議なし」と声あり)
○脇田委員長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきたいと考えます。
では、早速議事に入らせていただきます。本日は、前回の委員会での検討の進め方について御了承いただきましたとおり、6つの議題を用意しております。3時間の長丁場ということになっておりますので、活発な議論をしていただくのですけれども、時間内に終わりますように、どうぞ御協力をよろしくお願いいたします。
では、まず初めに審議事項1「肺炎球菌感染症(高齢者がかかるものに限る)について」、審議を行いたいと存じます。23価ワクチンの議論と13価ワクチンの議論がございますけれども、肺炎球菌感染症の疫学という観点からは重なる部分もございますので、23価ワクチンの議論と13価ワクチンについて、資料を一通り御説明いただきたいと思います。その上で、それぞれの論点に沿って議論をさせていただきたいと思います。
では、まず事務局から資料1-1、1-2について、御説明をよろしくお願いいたします。
○黒崎室長補佐 事務局より御説明させていただきます。資料1-1から1-3、参考資料2から6及び参考資料22を適宜御参照いただきながら御審議いただければと思います。
まず資料1-1でございますが、こちらにつきましては前回の小委員会でも提出させていただいているところでございますが、前回5月の小委員会におきまして、23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチンに関するファクトシートを大石参考人より御説明いただきました。今回は、そこに関しまして、論点を置かせていただいております。
おめくりいただきまして、論点を2つ挙げさせていただきました。論点1としまして、定期接種の再評価という観点から、23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチンの有効性、安全性、医療経済学的評価に関してどのようなことが言えるのか。
論点2といたしまして、1回接種者における再接種の有効性、安全性、医療経済学的評価について、どのようなことが言えるのかについて、マル1といたしまして、ワクチンの効果の持続性について、どのように評価するか、マル2といたしまして、ワクチンの効果の持続性の評価を踏まえ、再接種を行う対象者、接種間隔、期待される効果について、十分に明らかになっているのかというところを論点として挙げさせていただきました。
3ページ目、論点ごとの整理ということで、まず論点1に関しまして、それぞれ現行の接種対象者を示しております。現在は65歳の者及び60歳以上65歳未満の者であって、心臓、腎臓または呼吸器の機能に自己の身辺の日常生活活動が極度に制限される程度の障害を有する者、及びヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に日常生活がほとんど不可能な程度の障害を有する者というのが対象となってございます。
こちらの対象者については経過措置を設けておりまして、初年度におきましては、100歳以上の方、及び65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、または100歳となる者とさせていただいておりまして、その次以降の年に関しまして、同じように65歳、70歳、100歳となる日の属する年度の初日から当該年度の末日までの間にある者ということで、この経過措置期間については今年度が最後の期間ということになります。
おめくりいただきまして、ファクトシートの記載を順次書かせていただいております。それぞれ有効性についてというところでございますけれども、IPDに関するPPSV23の効果が示されているというところと、肺炎球菌性肺炎に関しましても、一定の有効性が認められたということがファクトシートには記載がございます。
5ページ目、安全性に関しまして、3つ目の部分でございますが、PPSV23が肺炎球菌莢膜ポリサッカライド等を構成成分としていることから、接種後の発熱、炎症反応、局所反応はあらかじめ想定される反応であるという記載を中心に書かれてございます。
また、医療経済学的評価に関しましては、文献レビュー及び国内で実施した医療経済学的分析のところにおきまして、PPSV23及びPCV13に関しましても、一般的な費用対効果の閾値となる500万円から600万円を下回るという結果を中心に記載がなされてございます。
その後、諸外国の導入状況、接種率の推移に関しましては、ファクトシート及び前回の小委員会の資料から載せさせていただいております。
前回の委員会における主要な意見ということで書かせていただいておりますが、主なものだけ御紹介させていただきます。対象であった人がまだ打っていない状態が現在起こっているので、そこをどうするかという議論が起こってくるのではないか、もしくは初回接種を続けるにしても、再接種をするにしても、接種記録をきちんと保管しておく必要があるのではないかといった御意見を頂戴いたしました。
9ページ目、論点2について、再接種に関してでございますが、まずマル1として、ワクチンの効果の持続性についてというところに関しては、確かなエビデンスというものがまだ余りそろっていないところでございまして、ファクトシートのほうには持続性に関する部分は記載が余りされていないところでございますが、免疫原性に関しましては、そこに書いてあるとおりでございます。まず、免疫原性に関しましては、再接種をすることで初回から上昇してくるというような結果が主に書かれてございますが、こちらについては、上の部分にも書いてありますとおり、臨床的な効果と関連するというようなところのエビデンスはまだ出されていないという状況でございます。
10ページ目、今度は再接種の安全性ということでございますが、PPSV23の初回接種より再接種において、全身、局所の副反応の頻度が多く、程度が強い傾向がある。しかし、初回接種、再接種のいずれにおいても副反応の程度は通常は軽度で、自然に軽快するということが書いてございます。
再接種に関する医療経済学的評価に関して、そちらに書いてあるとおりでございますけれども、文献レビューを中心にこちらで書かせていただいておりまして、主に海外の文献などに関しましては、記載のとおりとなってございます。
11ページ目、下でございます。前回委員会における主要な意見ということで、先ほども紹介させていただいたとおりですが、再接種を行うということであれば、まず、接種の記録というものをきちんと整えておく必要があるだろうといった御意見を頂戴したところでございます。
駆け足でございますが、資料1-1の説明は以上です。
続きまして、資料1-2の説明をさせていただきたいと思います。「沈降13価肺炎球菌結合型ワクチンについて」という資料でございます。
こちらにつきましては、経緯はそちらに書いてございますが、平成27年12月に開催されました第2回ワクチン評価に関する小委員会におきまして、高齢者にPCV13を定期接種として使用する場合には、我が国の現状を踏まえ、予防接種施策の推進の科学的根拠として、ワクチンの有効性、安全性及び費用対効果について、客観的で信頼性の高い最新の科学的知見に基づき、評価及び検討する必要があるとされました。特にモデル解析等による費用対効果等の分析・評価をすることとされたところでございます。
その決定を受けまして、平成29年4月より、厚生労働科学研究費補助金研究におきまして、「肺炎球菌ワクチンの費用対効果等についての社会の立場からの評価研究」が開始されたところでございます。
裏面に行っていただきまして、論点といたしましては、先ほど御紹介させていただきました平成27年12月に挙がった論点は4つございましたので、そちらについて、どこまで明らかになったのかということについて御検討いただければと思います。事務局から、ファクトシートに既に掲載されている部分だけ御紹介させていただきたいと思います。ファクトシートと申しますのは、23価肺炎球菌ワクチンとして先月出させていただいたものに記載されているものを中心にお話しさせていただければと思います。
まず1番目の血清型の分布に関しましては、ファクトシートで言いますと、9ページ目以降で、侵襲性肺炎球菌感染症、肺炎球菌性肺炎、市中肺炎に関しての記載がございまして、いずれも小児にPCV13を導入された効果が見られまして、それ以降、PCV13がカバーする部分のパーセンテージが大分少なくなってきているという記載がございます。免疫原性及びその持続性についてというところでは、同じくファクトシートの11ページ目に、PPSVに比べまして、PCV13のほうが同等もしくはすぐれているといった記載がございます。
また、3番目の肺炎資料にかかわる医療費についてということに関しましては、ファクトシートの17ページから21ページ目、医療経済学的評価のところに書いてございますが、この内容を主に要約いたしますと、文献レビューにおきましては、特に海外の文献では医療経済学的効果はPCV13のほうがより高めの価格になっているところに対しまして、国内で実施した分析に関しましては、PCV13のほうがやや医療経済学的効果はよかったというような結果になっておりまして、こちらのPCV13の件に関しましては、海外での導入状況についても十分考慮していくべきかと存じます。
また、それぞれの論点につきましては、大石参考人からも御発言いただければと考えてございます。
資料1-1及び1-2の説明は、以上でございます。
○脇田委員長 ありがとうございました。
続きまして、先ほどの論点にもなっております、肺炎に関するQOL調査、費用対効果分析について、池田委員から御発表をよろしくお願いいたします。
○池田委員 池田でございます。資料1-3について御説明させていただきます。
本研究は厚生労働科学研究におきまして、肺炎球菌ワクチンの費用対効果を推計するために必要となるデータの収集及び各国におけます費用対効果の文献のレビューを行うということで開始したものでございます。文献レビューにつきましては、成人を対象とした分析としては48件収集されまして、これについての詳細なレビューを本文で行ってございます。
また、費用対効果の研究を行うために必要なデータというのは、当然費用のデータが必要ですし、ワクチンの長期的な効果の特に持続、さらには患者さんのQOLといった情報が必要になってまいります。この中で特に諸外国も含めQOLの情報というものが非常に少なかったものですから、昨年度の研究班では高齢者の肺炎罹患時のQOLに関する調査に着手したというところでございます。
3年計画でございまして、初年度はパイロット的な調査を進めたところでございますけれども、実際的には実際に患者さんに同意をとり、そして、肺炎になったときにもう一回とるということで計画していたのですが、今回在宅診療を受けている患者さんに対しましてそういう調査をかけたわけですが、同意の取得が大変困難であるということや、非常に管理がよくて、しかもワクチンをかなり接種されているというところもございまして、同意のとれた患者さんの中では、幸いなことにと言っていいのでしょうか、肺炎罹患者がこの調査期間中にはいらっしゃらなくて、そういう意味では、昨年度の調査の中ではQOLの変化というものは十分にとることはできませんでした。
実は、一方、昨年、オランダから肺炎罹患の患者さんのQOLに関する比較的大規模な調査結果がちょうど発表されまして、これはオランダで562人の肺炎罹患者に対してのQOL調査の結果、そして、比較対照群もあるということで、このデータを我が国における費用対効果の研究を行う際にも、恐らく日本でこれから新たにデータをとるよりもよりエビデンスとしてはすぐれたものではないかと考えておりまして、今のところの研究班の計画では、今年度以降は肺炎球菌ワクチン以外の他のワクチンで予防できる疾患に関するQOLの調査に切りかえて研究班を継続するということで検討しているところでございます。
以上でございます。
○脇田委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問を皆様からいただきたいと思います。
では、まず沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン、PCV13ですね。こちらについていかがでしょうか。
大石参考人、お願いします。
○大石参考人 感染研の大石です。
PPSV23のファクトシートについて補足ですけれども、今回、皆さんに配布されている参考資料2の中で、一部、医療経済分析において、国内のいろいろな疫学情報などをダッシュボードに入れて解析をしていましたが、そのパラメータの幾つかに修正が入り、最終的に費用対効果の解析が少しだけ修正されています。しかしながら、基本的な費用対効果については、23価、13価、両方とも大きな変化はございません。追加させていただきました。
それと、PCV13の論点について、資料1-2の2ページ目ですね。ここにあります研究班で行っておる研究内容について、簡単に現状を説明したいと思います。市中発症肺炎、これは市中肺炎、医療ケア関連肺炎、この両方の概念を一緒にしたものなのですが、この65歳以上の市中発症肺炎としての原因菌である肺炎球菌の血清型の分布について、AMEDの研究班で解析を進めています。これについては、ファクトシートの中に記載があるとおりでございます。現在、論文執筆を進めているところであります。
また、2014年に米国ACIPがPCV13とPPSV23の連続接種を推奨しました。しかしながら、PCV13とPPSV23の連続接種の免疫原性及びその持続性についてはまだ国内に十分な情報がありません。このため、この連続接種の免疫原性と安全性についての解析を研究班で行っております。連続接種の安全性には特に問題はないのですけれども、PCV13単独、PPSV23単独、PCV13とPPSV23の連続接種による、血清中特異抗体の推移について現在解析を進めているところであります。今回はファクトシートには間に合っていないのですけれども、今年度中に報告したいと思っております。
肺炎診療にかかわる医療費についても、これも研究班の中で解析が進められて、ファクトシートの中にも引用されております。
以上、追加で説明させていただきました。
○脇田委員長 ありがとうございます。
研究班の中でまだ解析中のところがあるというお話だったかと思いますが、そのほかいかがでしょうか。PCV13のほうですが。
先ほどの池田先生のお話では、オランダのスタディーの結果から、そちらからもかなり情報が得られるということでよろしいですね。
○池田委員 QOL、もちろん海外と日本と、直接比較することは慎重であるべきところもございますけれども、幸いEQ-5D、EuroQOLという日本でも使われている同じ指標で調査をされておりますし、こちらの結果をもとに、文献レビューの結果も踏まえまして、大石先生の研究班と連携をしながら費用対効果の研究のお手伝い、御協力ができればと考えております。
○脇田委員長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。よろしいですか。
続きまして、PPSV23のほうです。23価肺炎球菌ワクチンについては、また御意見はいかがでしょうか。こちらは資料1-1の2ページ目に論点がございますので、そちらに関しての御意見もいただければと思います。この件も前回の委員会から引き続いて議論をさせていただいているところとなっています。
特によろしいですか。
今まで議論をさせていただいてきたところなのですけれども、論点1の定期接種の再評価というところですが、23価のワクチンの有効性、安全性及び医療経済学的評価について、一定の評価はできるというような今までのまとめだと理解しています。ですから、こちらのほうは当然のことかもしれませんが、平成31年度以降も65歳の方に対する定期接種ということを継続するという方向性かとは考えておりますが、委員の皆様、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○脇田委員長 ありがとうございます。
それから、論点2のほうです。再接種のことについてでございますけれども、こちらに関してもさらなる御意見がなければ、こちらは効果の持続期間とか再接種の対象者に関するデータがまだ余り少ないということでありますから、再接種の臨床的な有効性に関するデータについては、慎重な検討が必要であるということかと考えます。ですから、さらに再接種に関しては慎重に検討していくというところでまとめさせていただきたいと考えますが、よろしいですか。
(「異議なし」と声あり)
○脇田委員長 ありがとうございます。
大石先生、お願いします。
○大石参考人 参考人の立場ではあるのですけれども、現行の65歳以上の成人に対する23価肺炎球菌ワクチンによる定期接種については、接種率がまだ低く、30%台にとどまっているというところは懸念点だと思っておりますので、より啓発を進めるということも一つですし、できればもう少し迅速な接種率の評価の体制ができればと思っています。現在、現行のシステムでは2016年時点の接種率しか把握できていないというところなので、その辺はこれからの課題かなと思います。
また、成人における予防接種接種歴の記録ということも、再接種を含めて、これも大事な課題と思っております。
以上です。
○脇田委員長 ありがとうございます。
ただいま大石参考人からありました接種率の評価、接種の記録の問題について、こちらも含めまして、この23価肺炎球菌ワクチンの接種のあり方に関する議論ですね。こちらは基本方針部会での議論も必要と考えられますので、本日いただきました御意見を報告して、さらに結論をまとめていただくということになろうかと考えております。ありがとうございました。
金川委員、お願いします。
○金川委員 確認させていただきたいのですけれども、接種率というのが、費用対効果というのが何%ぐらいあれば費用対効果について評価できるのかということに関連すると思うのですが、今回の費用対効果は何%ぐらいの方が打ったかということでやっているのかというのがまず1点です。
それから、今の30%ぐらいというのは、今後どうやっていかに多くの人に打っていただくのかということについては、65歳以上でオーケーにするのか、65歳で打つのか、また、今までやった方法をもう一度延長するのか、たくさんの人に打っていただく方法はどうなるのかというのは決めないと、低いまま終わってしまうのではないかと思うのですが。
○脇田委員長 まず最初のところは、費用対効果を出したときの接種率のお話ですね。それに関しては、大石参考人、何かございますか。
○大石参考人 残念ながら、解析をしていただいた赤沢先生、五十嵐先生方と議論しながら医療経済データ解析はしているのですが、接種率がどう影響するという話はなかったと思います。池田委員、接種率がどのくらいあれば評価可能ということは議論されていなかったように思うのですが、いかがですか。
○池田委員 池田でございます。
通常、接種率が結果に影響を与えるのは、例えば2倍の方が打ったときに、2倍お金がかかるけれども、効果が2倍よりも下がるとか、あるいは効果が2倍以上になるとか、そういうような費用と効果の関係がちぐはぐといいますか、別の動きをするときには、接種率と費用対効果の値というものが関連してくるのですが、恐らく今回はそういう外部効果は考えずに分析していると理解しておりますので、そうなりますと、これは接種にかかわらず、打った方1人に対してどれだけのQALYが得られるという形で今回は計算していると思います。ただ、海外では、例えば接種率を一定程度以上やっても追加的な効果は少なくなるとか、あるいは外部効果という点では、この小児のワクチンの状況でまた大人の費用対効果が変わってくる。そういったいろいろな外部効果を考慮していることもあるようでございます。
○脇田委員長 ありがとうございます。
今の点について、お願いします。
○近藤委員 池田先生のおっしゃるとおりのような動きをするのですけれども、原則論として、これは結構国際的な学術的には大問題でありまして、ただし、主流の分析ではそういう分析で池田先生のおっしゃるとおりなのですが、原則論で言うと、予防接種の費用対効果をする場合に、人がもう予防接種を打つという状況を前提したような費用を測定すると、接種率の影響がなくなるのです。本来は、町なかにいる人たちで打たない人に打ってもらうためには、一体どれぐらいの広報活動や教育活動をするのかと。そういった費用を計上するというのが、本来の社会的立場なのですけれども、一応スタンダードプラクティスでは、それは余り入れないと。病院医療などの場合は、診察室で薬を買いますなどと言うと、新しい薬をとか、そこで理解してもらってとか、そういうことが全てないと同じなのですけれども、公衆衛生の場合は、実際は率を上げるということに関しての費用が莫大にかかる場合があるのですが、入れない分析が標準でありますので、池田先生のおっしゃるように特定のハードエフェクトがあるとか、そういうことで効果が変わることがなければ、ICERという増分費用効果比というものは接種率にかかわらず一定というものが多いということになると思います。
○脇田委員長 ありがとうございます。
それで、2点目のいかに接種者をふやしていくか、接種率を上げていくかということですね。こちらに関しては御意見があればいただくというところですが。
事務局からお願いします。
○江浪予防接種室長 申しわけございません。資料1-1の7ページの接種率の推移という表の補足説明だけを申し上げたいなと思っております。この表に関しましては、定期の予防接種として、接種を受けられた方がどれぐらいいらしたかということで、それを年代ごとの総人口で割り戻して計算したものだということでございます。この23価肺炎球菌ワクチンの関係に関しましては、これは定期接種に位置づけるかということを議論したときに、既に任意接種で一定数以上の方が受けていらっしゃるのではないかという御指摘もあったというところでございます。
また、例えばここで接種機会がなかった方、接種機会を逃してしまった方に関してお問い合わせがあったときに、自治体のほうで任意接種になりますけれども、接種をどうですかというお話をされている場合もあるとも聞いてございます。ですから、ここに書いてあります接種率そのものが実際に母集団における接種率の全てではない可能性があるということを補足で御説明を申し上げたいと思います。
○脇田委員長 ありがとうございます。
そのほか、よろしいですか。
お願いします。
○金川委員 もしかして任意で打っているかもしれないというのは、これはもう最後の課題で、記録にもかかわってきているのですね。成人がほとんど自分で受けたワクチンの記録をお持ちでないという状況なので、なかなかそこが確定できないというのがまず一点です。
もう一つ、2度目の場合は定期として扱わないという場合も、これも全部自己申告なのです。記録があればそれもできるのですけれども、記録がないから私は関係ない、打っているかどうかわかりませんとなると定期になってしまうし、打ちましたと言うとだめです、任意ですとなるので、記録との関係がすごく大きいのと、もしかしたら、このパーセンテージは上がるのかもしれないのですけれども、そういう点が気になるなと思いました。
○脇田委員長 わかりました。ありがとうございます。
前回以来、接種の記録の問題、こちらがかなり大事であろうという御意見をいただいておりますので、こちらも事務局にはその意見をとり入れていただきたいと考えております。
そのほか、いかがですか。23価のところです。
続きまして、13価の肺炎球菌ワクチンのほうですけれども、先ほど大石参考人からも御意見がございましたが、13価肺炎球菌ワクチンを高齢者に侵襲性肺炎球菌感染症対策として用いることについては、既に小児で導入しているワクチンの効果によって、血清型の分布が変化しております。そのため、高齢者へ導入した場合の効果については再度検討する必要があるということとなります。
加えて、ワクチンそのものの効果や海外での導入状況も含めて、総合的に考える必要があります。QOL評価に関しましては、池田先生に追加の分析をしていただいて、それぞれの結果がまとまり次第、再度また本委員会の議題として上げていただくこととしたいと考えておりますので、そのような結論にしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○脇田委員長 ありがとうございます。
それでは、一応最初の議題の結論といたしましては、23価肺炎球菌ワクチンと13価の肺炎球菌ワクチンについての結論とさせていただきたいと考えております。
それぞれ結論がまとまったところで、本委員会でまた検討するということにしたいと思っております。ありがとうございました。
続きまして、議題2「帯状疱疹ワクチンについて」に進みたいと思います。資料2-1、2-2をごらんください。
こちら、事務局から御説明をよろしくお願いいたします。
○黒崎室長補佐 事務局より説明いたします。
資料2-1から2-3及び参考資料7をお手元に御準備いただければと思います。「帯状疱疹ワクチンについて」という資料2-1から御説明させていただきます。
こちらの経緯に関しましては、前回の委員会でも出させていただいたところではございますが、平成29年の4月より「診療情報データベースを用いた帯状疱疹の疫学等に関わる研究」を池田委員に立ち上げていただき、NDBを用いて、帯状疱疹による全国の疾病負荷の推計、費用対効果の試算等を開始していただいたところでございまして、こちらにつきましては、後ほど池田委員から御説明いただきたいと思ってございます。
また、前回の小委員会におきましては、乾燥組みかえ帯状疱疹ワクチン、いわゆる不活化ワクチンでございますが、こちらについて、主要な臨床成績等の概要について報告いただいたところでございます。
おめくりいただきまして、事務局より論点として挙げさせていただいているところでございますが、まず、論点の1といたしましては、いわゆる生ワクチンに関しましては、本小委員会でずっと継続して審議をしているところでございますが、今回「我が国おける帯状疱疹の疾病負荷」というところについて、どこまで明らかになったかというところについて、御議論いただければと思います。
論点2といたしまして、乾燥組みかえ帯状疱疹ワクチン、いわゆる不活化ワクチンにつきましては、本年3月に薬事承認されたことから、本ワクチンを定期接種化することに関する議論を開始することが必要であると考えてございますが、平成29年2月に「帯状疱疹ファクトシート」を国立感染症研究所に作成いただいていることを踏まえまして、どのように検討を進めることが考えられるかという論点を置かせていただいております。
資料2-2をごらんいただければと思います。こちらにつきましては、第6回と第7回において、帯状疱疹の議論をしたときの論点と、そのときのファクトシートの所見と、主要な委員の先生方の御意見というものを記載させていただいております。それぞれ簡単に御説明させていただきますが、論点1は帯状疱疹の疾病の特徴や帯状疱疹後神経痛やその他の合併症等をどのように考えるかということで、ファクトシートには記載させていただいたようなことが記載されております。
論点2は国内の帯状疱疹の疫学状況について、帯状疱疹の罹患、帯状疱疹後神経痛、重症例、入院例、死亡症例の疾病負荷が十分明らかとなっているかで、ここの点に関しましては、まさに今回池田委員によって研究いただいたところが大分入ってきますので、そちらの部分であわせて御検討いただければと思います。
続きまして、論点3、論点4、あわせて書かせていただいておりますが、帯状疱疹ワクチンの期待される効果及び導入に最適な年齢が明らかとなっているかという論点につきましては、疾病負荷のデータにより、期待される効果や導入に最適な対象年齢が、今後検討できるようになるかと考えてございます。
論点5につきましては、帯状疱疹ワクチンの安全性について、特に留意すべき点はあるかということにつきまして、第6回小委員会の主要な意見といたしまして、局所反応の報告が多い以外に、重篤な全身反応の報告は国内外でほとんど認めなかったのではないかという御意見をいただいてございます。
最後に、論点6として、国内で帯状疱疹ワクチンを導入した場合の医療経済学的評価について、十分明らかになっているかというところに関しましても、今回、池田先生に御研究いただいた部分が大いに参考になる部分だと考えてございますので、あわせて御検討いただければと思っております。
事務局からは以上でございます。
○脇田委員長 ありがとうございました。
引き続きまして、資料2-3です。こちらを池田委員から御説明をお願いしたいと思います。
○池田委員 池田でございます。
今回厚生労働科学研究、単年度の研究で、NDB、ナショナルデータベースですね。レセプトのデータベースを使用いたしまして、帯状疱疹の疫学等の研究を実施いたしましたので、その概要、結果につきまして、簡単に御紹介させていただきます。
資料2-3にございますように、今回はNDB、ナショナルデータベースのサンプリングデータ並びに集計表情報を用いまして、帯状疱疹に関する診療情報の分析を実施いたしました。
3枚目、研究方法をごらんください。まず、サンプリングデータというのは、これは平成12年の1月から3カ月置き、1月、4月、7月、10月という年4回分といいますか、4カ月分のデータが、これは入院外のレセプトに関しましては1%の抽出、DPC及び入院のレセプトにつきましては10%抽出で、申請すれば研究利用が可能であるということで、この申請時点で直近の2015年10月までの16カ月分のデータの分析をいたしました。これを用いまして、帯状疱疹及び帯状疱疹後神経痛の患者数及び費用について集計を行いました。
もう一つは、入院外のレセプトにつきまして、これは集計表情報ということで、こういった特別な目的のためにNDBの全データから集計をしていただくというようなことを依頼いたしまして、年齢階級別の患者数、都道府県別の受療率等についての集計を行いました。
4枚目、下に書いてございますのは、帯状疱疹並びに帯状疱疹後神経痛の患者さんを特定するために、今回、この病名を用いたということで、そのリストでございます。
5枚目、では、帯状疱疹に関連した治療費ということなのですが、今回薬剤費並びに神経ブロック治療についての集計を行っております。帯状疱疹のために使用したと考えられる薬剤は、5枚目のリストのとおりでございます。
また、本小委員会におきまして、神経ブロックの治療もかなり帯状疱疹の患者さんに対して実施されているのではないかという御指摘がございましたので、神経ブロックに関する治療の数やコストについても、あわせて集計を行いました。これは6枚目に該当する診療行為を集計したということでございます。
7枚目、こちらはサンプリングデータ、入院外のレセプトを集計したというものでございまして、帯状疱疹の患者数及び帯状疱疹後神経痛の患者数の推移を示したものでございます。御注意いただきたいのは、これは1%抽出の集計結果ということでございます。これは年々といいますか、季節変動もあるようでございますし、また、徐々に患者数、特に帯状疱疹という病名のついた患者さんの数がふえているように見えますが、これの解釈につきまして、また注意すべき点がございますので、それは最後に申し上げたいと思います。
8枚目、こちらは今回入手し得たサンプリングデータの中の直近1年分の患者数について示したものでございます。これを全国1カ月当たりの患者数という形で割り戻してみますと、帯状疱疹の患者さん、受診されている方は1カ月当たり35万人程度、診療開始月がその月の患者さんのみに限定しますと、1カ月当たり10万人というような数値となっております。また、帯状疱疹後神経痛につきましては、患者数としては、同じように10万人程度、そして、その中で診療開始日が該当月というものが1万3,000人ということでございました。
9枚目、こちらは入院及びDPCのレセプトについて分析したものでございます。同様に、全国1カ月当たりの推計患者数が一番右の欄に載ってございます。
10枚目、こちらは医療費について集計をしたものでございます。単純に集計した数字は一番上の行でございますが、実は今回は調剤のレセプトを使用してございませんので、院外処方率ですね。公表されているデータを用いて院外処方の患者さんも含めた点数を推計してございます。全国1カ月当たりの推計が1億1,970万点という集計になります。また、神経ブロック治療についても、こちらに示したとおりでございます。
11枚目、今度は入院医療費について、同様の推計を行ったものがこちらでございます。点数及び患者数で示してございます。
12枚目、以上の結果を点数ではなくて円ということで、年間医療費の形で割り戻して推計したものでございます。2015年における外来の帯状疱疹の治療薬の使われた金額というのが144億円程度ですね。入院では11億円程度、神経ブロックの治療に使われた金額が外来では12億円程度、入院では7,000万円程度という集計結果となってございます。
次に、サンプリングデータではなくて、全数の中から集計をしたレセプト全体の集計の結果でございます。NDBの集計データを用いまして、2016年11月から2017年10月の申請時点で、直近の1年分の帯状疱疹の新患の受療率を示したものでございます。北海道から沖縄まで並べてございますが、若干都道府県ごとの数字の違いはございますけれども、このような集計結果となってございます。
14枚目、年齢階級別に月ごとの集計結果を示したものでございます。一番上の線が75歳以上の患者さんの数でございます。これは経年的に増加しているような集計結果となってございます。
15枚目、これは年齢階級別、性別に集計をし直したものでございます。
以上、帯状疱疹の患者数、特に新患の数、これがおよそ、いわゆるインシデンスですね。罹病率に近いような数字であるかと思いますが、経年的な傾向、あるいは都道府県、年齢階級ごとの集計値というものを出してみたわけでございますが、この数字の解釈をする上で課題となる点が何点かあるかと思います。
1点目は病名の問題でございまして、実はこれは海外の研究者にこういう研究をやっているよということを話したところ、ナンセンスだと言われたことがありまして、その国の問題だと思うのですけれども、いわゆる会計データ、請求データに書いてある病名を集計することで本当に真の罹患状況がわかるのかどうかということは、注意したほうがいいというような、意見交換のときにそのようなことを言われたことがございます。日本は一部保険病名等の問題は指摘されておりますけれども、今回、集計をしたものにつきまして、そうした病名の実際の臨床像と病名から集計した結果との関係につきましては、今後必要に応じて検証していく必要があるかと感じているところでございます。
2点目はレセプトの電算化率でございまして、最近では医療機関におけるレセプトの電算化率は医科の病院、診療所ともに、98%、99%というものでございまして、ほぼもう悉皆性のあるデータと考えてよいわけでございますけれども、今回の集計の特にサンプリングデータの2012年のころですと、まだレセプトの電算化率が、例えば医科の診療所などではそこまでは高くないというようなこともございましたので、この経年的な増加傾向が、レセプトの電算化率のほうの影響もございますので、その分を少し補正する必要があるかと感じているところでございます。それを差し引いたとしても、数としてふえているのはもちろん事実ということでございます。
3点目は帯状疱疹に関連した診療行為をどう把握するかということでございます。今回は、薬剤については帯状疱疹に専ら使える薬剤をリストしたわけでございますし、神経ブロック治療についても病名と神経ブロック治療の請求項目とを突き合わせましたので、ほぼこれに関しては正確に把握できていると考えておりますけれども、それ以外の検査をしたときに、これは帯状疱疹のためなのか、ふだんかかっている別の持病のためなのかということは、レセプトからは区別ができませんので、このあたりをどのように今後推計するかということについては、課題の一つと考えております。
最後に同一患者さんが例えば別の医療機関にかかられて、そこでもまた診療開始月が、つまり、初診患者として2回、3回カウントされるということもございますし、1年の間に、例えば再発をしたり、増悪してかかられたときにまた初診として記録されるということもございますので、今回はサンプリングデータを中心に集計しておりますので、同一患者さんが2度、3度、別の月にかかったものについては、それを特定できておりませんけれども、今後フルセットのデータなどを用いることによりまして、このあたりももう少し精緻に計算できるのではないかと考えております。
以上でございます。
○脇田委員長 ありがとうございました。
ナショナルデータベースからの帯状疱疹の疾病負荷の推計ということで御報告をいただきました。毎月10万人程度の新患の患者さんがいらっしゃるのではないかということだったと思います。
それでは、資料の2-1から2-3までを通しまして、皆様のほうから御意見、御質問等をいただきたいと考えておりますが、いかがでしょうか。
福島委員、お願いします。
○福島委員 池田先生、どうも詳細な御説明をありがとうございました。
NDBを用いて帯状疱疹の疾病負荷を明らかにできるのではないかと御提案したのは実は私でありまして、委員の言葉は非常に重いなというのを実感しつつ、池田先生にこのような大変なお仕事を正確にまとめていただき、本当に感謝を申し上げます。
先ほど言われておりました、海外の研究者からのコメントで、「このようなレセプトデータがどれぐらい正確に実情を反映しているかについて注意が必要だ」という御意見ももっともでございますので、お願いした責任として、どれぐらい反映しているのかなというのを私なりに考えながら拝聴していたのですけれども、この検討では1%抽出と全数がありますが、例えば新患というところで見る場合、15枚目の帯状疱疹新患受療率のNDB集計表データというところで見てもよろしいですか。
○池田委員 これは1カ月当たりで見ると、サンプリングデータで見た場合には、8枚目のデータで、11万人程度新患といいますか、診療開始月がレセプトの集計月になっているものが11万人程度毎月いらっしゃるということでございます。
○福島委員 スライド15枚目は全数でしょうか。これで見てもよろしいのですか。
○池田委員 そうですね。ここは10万人当たりでございますので、これを年齢階級別に出すときに10万人当たりにしましたので、これを日本全国の人口に置きかえれば、この数字から読んでいただくことは可能です。ただ、細かいことで申し上げますと、先ほどのサンプリングデータのほうは、1カ月の中で同一人が2つの診療所などにかかっている場合は、これはそこをつなぎ合わせて1人分とカウントしているのですが、このNDBの集計表データの場合には、例えば同じ方が別の都道府県の医療機関にかかっていたなどという場合には、これは2人になっていたりするので、NDB、集計表データから得られた数字のほうが、1割程度でしょうか。数字が大きくなってございます。
○福島委員 なるほど。わかりました。
私は15枚目のスライドで考えてしまっていたのですけれども、資料2-2、論点整理の論点2のところで事務局にまとめていただいておりましたファクトシートからの知見というところで、帯状疱疹の罹患率がこれまでの研究ではこのように明らかになっていますというものがございます。そこには宮崎県からのスタディー、これは県内の皮膚科46施設からの御報告であったと思いますし、香川県ではコミュニティーベースでこのように明らかになっている。そのほか、全国調査、医師会調査とございますけれども、その下の矢印の3点目ですか。釧路市でもこのような罹患率が出ております。最近のデータに限りますと、香川、釧路といったところになるのかと思うのですけれども、このファクトシートでは1,000人・年当たりで計算されていますので、これを1年人口10万当たりに換算しますと、先ほどのスライド15枚目の数値と大体似たような値になるのかなと思います。そういったところから、全数データで見ますと1割程度過大評価されてはいるものの、NDBにて、これまで得られた知見とほぼ遜色ない数値が疾病負荷として得られているのではないかと拝察したのですが、そのあたりについては先生の御見解はいかがでしょうか。
○池田委員 先生御指摘のとおりでございまして、この資料2-2の2ページ目「ファクトシートの知見」というところにございますように、罹患率の値のところに香川県の最近の調査データと、今回の調査結果、私の資料ですと15枚目のもの、これが人口10万人当たりになってございますので、済みません。1,000人当たりで一緒に直せばよかったのですけれども、100倍をしていただくとほぼ同じレベルで、ややNDBデータのほうが同じ方が2回受診しているような影響が1割程度ございますので、ほぼと同様の数値ということでございます。逆に言いますと、NDBで出てきた数字は絶対値としてはいろいろ問題はありますし、保険病名もあるのですが、経年的な変化とか、あるいは年齢階級別の分布とか、地域的な状況を見る上では、非常に追加の調査をかけることなく、全体的な傾向が把握できるという点では有用な結果ではないかと考えております。
○福島委員 ありがとうございます。
あと一点お伺いしたいのは、データの扱いがすごく煩雑であったと拝察いたしますが、もともと御提案した背景として、モニタリングが可能かどうかということも論点でありました。レセプトデータは、年度区切りで一旦返却しないといけない、申請してもまた返還しないといけないというのを後で伺いまして、そのようなデータを扱う上での制約がありながらも、今後もしワクチンが定期で導入された場合に、同じようなスキームで疾病負荷をモニタリングできる方法であるかという点についても、実際にデータを扱われた先生の印象をお伺いしたいと思います。
○池田委員 御質問ありがとうございます。
先生御指摘のとおり、若干データのハンドリングといいますか、まずはデータの入手に関してのいろいろな手続も煩雑な点もございますし、また有識者会議というところで審査をされますので、研究者が入手するまでに一定の時間がかかるという点でタイムラグが生じる点は今後の課題かと思いますが、新たな疫学的な調査をかけることなくいわゆる規模感といいますか、その各ワクチンで予防可能な、あるいはワクチンの効果をある程度検証するためのデータとして利用は十分可能と考えてございます。
○福島委員 ありがとうございます。
○脇田委員長 ありがとうございます。
ただいまの御説明で、このNDBのデータを使いまして、これまでの調査結果を見ても、ほぼほぼ全国的な疾病負荷を反映するような結果が得られたのではないかと。データの入手等には少し煩雑なところがあるのですけれども、ワクチン導入後のモニタリングにもこの方法を使っていけるのではないかといったことだったと思います。ありがとうございます。
岩田参考人、お願いします。
○岩田参考人 参考人の岩田です。
帯状疱疹は入院患者さんで発生すると、場合によっては非常に厳重な感染対策の管理が必要になってくる疾患なのですけれども、特に私が今、勤めているようながん専門病院等、免疫の状態が余りよくない方が入院しているようなところではなおさらそういった事態が発生するということで、そういう意味では、この帯状疱疹ワクチンというのは院内感染対策としても重要なワクチンなのかなと私は思っているのです。例えば、こういう経済的な面を考えるときに、院内感染対策にはすごくお金がかかるのですけれども、あるいは周りの患者さんに予防内服などが必要になってきたりするのですが、そういった形での疾病負担というのですか、そういうものは何か計算に入れられるようなスキームはあるのでしょうか。
○脇田委員長 池田先生、これはいかがでしょうか。
○池田委員 今回は帯状疱疹の患者さんに対して実際にかかったお金は幾らだという視点で集計をしたわけでございますが、先生がおっしゃるように対策に幾らお金がかかり、対策によりどのくらい患者さんが減らせるかというデータですね。これはいわゆる投資するほうの費用になるのですが、それによってこの患者さんを減らすことによる医療費の削減額というものを便益と捉えますと、費用対便益で、あるいはリターン・オン・インベストメントという形で集計が可能でございますので、もしそうした予防効果に関するデータがございましたら、そこはぜひ集計をお手伝いさせていただければと思います。よろしくお願いします。
○脇田委員長 ありがとうございました。
そのほかいかがでしょうか。
原委員、お願いします。
○原委員 先ほどの岩田先生の御質問と似ているのかもしれませんけれども、このNDBの集計データに関して、今、がんにかかっている方の中で発症された方とか、そういう分け方で集計することは可能なのでしょうか。
○池田委員 かかっている方の中で。
○原委員 担がん患者さんの中での発症状況を見るとか、ハイリスクの方について集計するということは可能なのか。
○池田委員 これは副傷病といいますか、病名のデータがございますので、先ほど申しましたようないわゆる保険病名等の問題はございますけれども、おおむね集計は可能と考えております。
○原委員 そうなりますと、やはり対象者を決めていくときに非常に重要な情報になるかと思うので、そういったところも含めてモニタリングできるといいなと思いました。
○脇田委員長 今回のデータに関して再度そこを調べることも可能なのでしょうか。
○池田委員 この研究に関しましては単年度研究でもう終了してございますが、新たな研究として同様の課題についての分担研究者として研究を開始してございますので、今、御指摘のあったようなものについて改めて集計したいと考えています。
○脇田委員長 ありがとうございます。
そのほか、今のNDBのデータ以外に関しても帯状疱疹ワクチンに関して、御意見はございますか。
菅沼委員、お願いします。
○菅沼委員 この中で論点の3から5に書いてあるワクチンのことについて触れられてはいるのですけれども、おおむねこの中で触れられているワクチンは、従来使用されている生ワクチンのデータ等々がほとんどと思うのです。前回ジャパンワクチンからも説明があったと思うのですが、不活化ワクチンが導入されたという状況で、そちらの検討がどうしても必要になってきますため、そういったところも何らかの形で反映される資料の作成があったほうが議論を進める上で必要ではないかと感じます。
○脇田委員長 それはファクトシートにそういったデータを追加していくというところですか。
○菅沼委員 可能であれば、そういった形で何か新しいワクチンのことについての知見が盛り込まれるようなものがあれば、生ワクチンとの比較等々も必要になってくると思いますので。
○脇田委員長 ありがとうございます。
多屋先生、そこはいかがでしょうか。
○多屋委員 ファクトシートをつくって以降のデータについても、もちろん一部あると思うのですけれども、幸い8月に厚生労働省と感染研がつくっている病原微生物検出情報(IASR)が、たまたま水痘、帯状疱疹の特集号ですので、そちらのほうでファクトシート以降の新しいデータは幾つか出てくると思うので、それを見ていただければと思います。
○脇田委員長 わかりました。8月号。
○多屋委員 8月号です。
○脇田委員長 では、ちょうど今年の8月号はIASRの特集ということですので、そこはかなり新しいデータも入ってきてと。
大石参考人、お願いします。
○大石参考人 参考情報なのですけれども、現在、発生動向調査の中で水痘入院患者のサーベイランスが実施されています。その中で解析したデータで、入院例の2割ぐらいが帯状疱疹から罹患しているという情報も得られているので、一定の疾病負荷ということが判断できるかもしれません。現在、解析中です。
○脇田委員長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。
福島委員、お願いします。
○福島委員 論点4の年齢依存的な罹患率というところで、池田先生のパワーポイントスライドでは14枚目に年齢階級別の新患数をプロットしていただいているかと思います。こちらのデータはトータルの集計表データということで、先ほどおっしゃいましたように1割程度は過大評価されているということですけれども、年齢が高くなるにつれてだんだん新患数はふえているといったようなことが非常に明瞭に見てとれるグラフだと思いました。1点お尋ねしたいのは、濃い赤の20歳から49歳の年齢階級を一まとめにしておられますが、そのほかは5歳刻みということで、この20歳から49歳を一まとめにされた狙いといったところはございますか。
○脇田委員長 お願いします。
○池田委員 御指摘ありがとうございます。
一つの理由は、これは全部5歳階級で書くと余りにビジーな絵になるのでこうしたということがございますが、実際的にはワクチンによる予防を考えるときには50歳より上、何歳から打つかというのが世界的には費用対効果なども勘案した上でのいろいろな議論となっておりますので、今回、50歳以上の患者さんについての罹患状況についてお示しをしたいと考えまして、このように書かせていただきました。
○福島委員 ありがとうございました。
○脇田委員長 ありがとうございます。
基本的には50歳以上から徐々にふえてくるというようなことが読み取れるのかなと思っております。
そのほか、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
ありがとうございます。帯状疱疹ワクチンにつきましては、疾病負荷に関するデータが一定程度このNDBの解析をいただきまして、明らかになりました。ただ、期待される効果及び導入年齢に関しましては、さらに検討していく必要があると考えております。水痘に関するIASRの特集号も出るというところですので、そういったところで生ワクチンと不活化ワクチンについて、あわせて議論を今後また進めていくということにしたいと思っておりますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○脇田委員長 ありがとうございます。
それでは、必要なデータに関して結果がまとまったところで、再度この委員会で検討させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
次に進めさせていただきます。審議事項3「不活化ポリオワクチンについて」です。
こちらについて、まず資料3-1、事務局から説明をお願いします。
○黒崎室長補佐 事務局より御説明申し上げます。資料3-1をお手元に御用意ください。また、参考資料につきましては、参考資料8、9、10を適宜御参照いただきながら御審議いただければと思います。
「不活化ポリオワクチンについて」という資料でございます。こちらにつきましては、経緯を1ページ目に書かせていただいておりますが、平成25年7月に第3回研究開発及び生産流通部会におきまして、不活化ポリオワクチンの5回目の接種の必要性が議論され、改めて抗体保有率の経年変化について調査を継続し、その結果に基づき、5回目の接種の必要性を検討するとされたところでございます。前回の小委員会におきまして、こちらに抗体価の推移に関する研究の結果がまとまった時点で御報告いただくということで、今回は参考人及び委員の先生から御発表いただく予定としてございます。
おめくりいただきまして、論点としましては、今回の研究結果の報告を受け、抗体保有率の経年変化について、どのように評価できるかということで御審議いただきたいと思います。
事務局からは以上でございます。
○脇田委員長 ありがとうございます。
それでは、不活化ポリオワクチンにつきまして、研究班での結果の概要につきまして、岡田参考人、多屋委員、福島委員にそれぞれ資料に基づいて御発表いただきたいと思っております。
まず、資料3-2です。こちら、岡田参考人から説明をよろしくお願いします。
○岡田参考人 資料3-2をごらんください。
4種混合ワクチンは国内には大きく分けると2つのタイプが使われています。これまで経口生ワクチンとして使われていたセービン株を不活化した4種混合ワクチンと、野生株由来のソーク株を含む4種混合ワクチンの2種類です。まず、最初に世界で初めて使われていますセービン株由来の4種混合ワクチンの抗体価の推移に関して、大石先生の研究班でやったものを御紹介させていただきます。
下のスライドが、研究協力者の先生方です。この研究の背景は、先ほど御紹介いたしましたように、セービン株由来の不活化ポリオワクチンは平成24年の11月から接種をされています。一方、海外では野生株由来のソーク株を含んだ4種混合ワクチン、あるいは5種混合ワクチンが使われています。世界で初めてのセービン株を含む4種混合ワクチンの導入の際に、追加接種をどのようにするか、どの年齢で2期をやるかは宿題でした。世界の状況を参考にしながら新しい4種混合ワクチンとして使われていた子供たちの抗体価の推移を見たものでございます。そのために、ソーク株由来の4種混合ワクチンとセービン株由来の4種混合ワクチンをともに今回は紹介をさせていただこうと思います。
対象と方法です。セービン株由来の4種混合ワクチンにも、細かく分けると2つの4種混合ワクチンがあります。2つの4種混合ワクチンの開発治験に入ってくれた子供たちを誕生日から半年以内に採血して3歳、4歳、5歳、6歳、7歳の時点で百日せき、ジフテリア、破傷風、ポリオに対する抗体価を経年的に追ってまいりました。本日はポリオに対する抗体価の推移を御紹介いたします。
3ページ目、上のスライドです。セービン株由来の2つの4種混合ワクチンはポリオウイルスの抗原量は2つのワクチンとも同じでございますけれども、3種混合ワクチンが違いますので、別々にお示しいたします。まず一つの4種混合ワクチンの抗体価の推移です。上はこのワクチンの抗原となっているワクチン株ポリオウイルス1型、2型、3型の中和抗体価の推移でございます。抗体価は、ワクチン接種直後が一番高くて、1~2年でこのように急激に抗体価が落ちてきます。それ以降はほぼ横ばいの状態で抗体価は推移しています。6歳、7歳時点では1型の抗体陽性率は100%、2型も100%、3型が1例だけ少し2の3乗以下になっているお子さんがいました。
その下が、いわゆる野生株に対する抗体価です。これも1型、2型、3型のトレンドは弱毒株とほぼ同じでございますけれども、3型が1~2名、2の3乗未満になっているお子さんがいたということでございます。
セービン株由来のもう一つの4種混合ワクチンの弱毒ポリオウイルス、強毒ポリオウイルスに対する抗体価の推移でございます。これも前の4種混合ワクチンと同じ抗体価の推移を示しています。下が強毒ポリオウイルスに対して1型、2型、3型の抗体価の推移です。3型が少し2の3乗未満になっている子供たちがいるということでございます。
全体の推移はお示したとおりでございますが、個人の抗体価にも目を向けてください。中には、抗体価が上昇している子どもがいます。抗体価が上昇しているが、国内でポリオの不顕性感染を受けているのかどうかは確定できていませんが、いずれにしても、注意深く経過を追っていく必要はあるのではないかと考えます。
5ページ目、今度は世界で使われていますソーク株不活化ポリオワクチンと日本で開発された無細胞百日せきワクチンを含む3種混合ワクチンを混合したソーク株を含む4種混合ワクチンの抗体価の推移です。先ほどの大石先生の研究班と同じプロトコールで、日本ワクチン学会で中山哲夫先生と一緒に検討させていただきました。御協力いただいた医療機関の名前でございます。その結果です。抗体価はソーク株のみでございますが、ごらんいただけますように1型も2型も3型も、ソーク由来の抗体価の推移はセービン由来の4種混合ワクチンの抗体価の推移とほぼ同じような推移でございました。3型が1例だけ少し下がっているお子さんがいたのも同様です。
結論的には世界で初めて使われてきたセービン株を含む4種混合ワクチンの抗体価の推移は、世界でずっと使われてきたソーク株を含む4種混合ワクチンとほぼ同じトレンドになっていることがわかりました。
6ページ目、世界で不活化ポリオワクチンがどのように接種されているのかを新しいプロトキン先生のVaccine7thから引用しました。乳児期に3回、幼児期に1回で、就学前後はゼロ(3+1+0)の接種方式、日本を含めた5カ国だけです。乳児期に3回、幼児期はなしで就学前に1回はオーストラリアなどのこのような国々です。乳児期に2回、幼児期に1回、就学前後に1回(2+0+1)がこれらの国々です。一番多いのが、3プラス1プラス1(3+1+1)、右のカラムです。多くの国々が乳児期に3回、幼児期に1回、就学前後、10歳代も含めてもう一回、トータル5回やっていることが御理解をいただけると思います。
結論です。ポリオが十分にコントロールできていない世界の状況から、先行して不活化ポリオワクチンを導入した国々では、ポリオに対する抗体価が低下をしたから追加接種しているのではなく、国民の抗体価を高く維持するために追加が行われていると聞いています。わが国で開発されたセービン株を含む4種混合ワクチンの抗体価の推移は、先行して海外で接種をされてきたソーク株を含む4種混合ワクチンとほぼ同じ状況でございました。日本でも海外で行われているように、ポリオに対する2期接種は必要と考えます。今後は最適な接種時期を百日せきワクチンも含めて検討していく必要があると考えます。
以上でございます。
○脇田委員長 ありがとうございました。
sIPVの接種後の抗体価の推移ですね。そちらをおまとめいただきました。
次は資料3-3で、多屋先生、説明は大丈夫ですか。よろしくお願いします。
○多屋委員 お聞き苦しいのですけれども、申しわけありません。
不活化ポリオワクチン定期接種導入前後のポリオの予防接種状況と抗体保有状況について、厚生労働省の事業である感染症流行予測調査事業からまとめたものを発表させていただきます。
2009年から2017年度に、ポリオの感受性調査、いわゆる抗体保有率調査を実施してくださった都道府県は、ここに書いてあるとおり北海道、山形、群馬、千葉、東京、富山、愛知、山口、愛媛となっております。2017年度からポリオウイルスの2型が国立感染症研究所でしか生ウイルスを使うことができなくなりましたので、2017年度からは2型の中和抗体は感染研のウイルス第二部で測定されています。1型と3型は全て地方衛生研究所で中和抗体が測定されています。
感染症流行予測調査の概要を御説明します。厚生労働省が都道府県知事に調査を依頼されます。県で対象者を集めてくださいまして、ポリオについては、この抗体保有率調査と環境水からポリオウイルスを分離するという2つの調査が行われています。
次のページをごらんください。ポリオの定期の予防接種ですけれども、従来生ポリオワクチン(OPV)2回接種だったのが、2012年9月に不活化ポリオワクチン(cIPV)4回接種に切りかわり、同年11月からセービン株由来の4種混合ワクチン(DPT-sIPV)が使用開始となっています。2015年12月からはconventionalIPV:不活化ポリオワクチン(cIPV)、ソークワクチンを混合した4種混合ワクチンの使用が始まっています。ですから、2009年度から2017年度の結果を今日御紹介するのですが、2009年度から2011年度まではOPVを受けた子供たち、2012年度から2017年度まではsIPVが混合されたDPT-IPV、cIPVが混合されたDPT-IPVの被接種者がいると考えてごらんください。
その下、ポリオワクチンの予防接種状況ですが、ピンク色がOPV、青色系統がIPVを示します。2016年度の調査ですと、ちょうど5歳のところで半分半分で、4歳以下はほとんどが不活化ポリオワクチンを受けているお子さんであることがわかります。抗体保有率は、生ポリオワクチンのときはどうしても3型の抗体陽転率がそんなに高くなくて、抗体陽性率の割合が低いですけれども、不活化ポリオワクチンになってからは、1型も2型も3型も、いずれも非常に高い抗体保有率になっています。
次のページをごらんください。上段です。1994年度から2016年度までの経時的な抗体保有率を示しています。一時、OPVの接種控えがありまして、1型の抗体保有率も3型とともに低くなって非常に心配された時期があったのですけれども、不活化ワクチンになってからそれらが全てキャッチアップされ、今は非常に高い抗体保有率となっています。
2017年度までの結果を示したのが、その下のグラフになります。5歳未満のお子さんでポリオのワクチンをどのような種類で接種しているのかを示したグラフになります。上のグラフは、1回以上の接種率が折れ線グラフで、ワクチンの回数1回が薄い黄色、2回が黄色、3回がオレンジ、4回接種が赤となっています。それぞれOPVを飲んでいるお子さんが下のグラフで水色、IPVを注射しているお子さんが濃い青となっていますので、2015年度以降はほとんどがIPV接種であることがこのグラフからわかります。
次のページをごらんください。先ほどの岡田先生の御発表にもありましたが、今度は中和抗体1:8以上の抗体保有率を示したものが上のグラフになります。2009年度、1型と2型は90%のお子さんが抗体を保有していますが、3型は低いというのがここからもわかります。2011年度、2012年度は、OPVの接種控えがありまして、9割を切るような1型、2型の抗体保有率となって、海外からも日本の状況を心配されていたのがこの年です。2012年度から不活化ポリオワクチンが導入され、1型も2型も3型も非常に高い抗体保有率が得られていることがわかります。
最も直近の2017年度の結果を示したものがその下のグラフになります。10歳未満のお子さんのポリオの予防接種状況を示しました。2017年度、昨年度はちょうど5歳と6歳のところでOPVを飲んでいるお子さん、IPVを接種しているお子さんがきれいに区切られていることがわかるかと思います。
このような状況でポリオの抗体保有状況をお示ししたものが、次のページの上段になります。下のグラフが抗体保有率で、上のグラフが幾何平均抗体価です。2の何乗という形でごらんください。2型については高い抗体保有率、そして、幾何平均抗体価もこのように高くなっていますが、1型と3型、特に3型で抗体保有率と幾何平均抗体価が低くなっているのがわかるかと思います。
そこで、一番論点となっている不活化ポリオワクチンを接種した人だけを集めたのが、その下のグラフとなります。ピンク色がセービン株由来の4種混合ワクチンを3回以下のお子さん、水色はconventionalIPVが3回以下のお子さん、濃い赤がセービン株由来の4種混合ワクチンを4回受けたお子さん、このように示したものがこのグラフになります。5歳以上だと、cIPVを4回の方が多く、5歳未満はsIPVを含んだ4種混合ワクチンを受けているお子さんが多いことがわかります。
そして、最後のグラフをごらんください。不活化ポリオワクチンを受けたお子さんだけを選んだグラフになります。1型は抗体保有率が4歳ぐらいのところで約90%と若干下がってきていること、幾何平均抗体価が2の8乗から2の5~6乗くらいに下がってきていることが若干気になる点です。2型については、そんなに大きな抗体保有率の差はありません。3型も1型同様に、抗体保有率と幾何平均抗体価が幼児期、5歳ぐらいで若干下がってきているのがわかるかと思います。
以上の結果から、先ほどの岡田先生とほぼ同様の結果がこの調査からも得られていることがわかりまして、幼児期に少し1型と3型の抗体保有率と幾何平均抗体価が下がってきている傾向が見え始めているのかなと思いました。
以上です。
○脇田委員長 ありがとうございました。
感染症流行予測調査のほうからの抗体価の推移ということでおまとめいただきました。ありがとうございます。
続きまして、資料3-4を福島委員から説明をよろしくお願いいたします。
○福島委員 ありがとうございます。
私のほうは、厚生労働省、廣田班の研究からOPV/IPV接種児における抗体価持続の検討の報告をさせていただきます。本来であれば研究代表者の廣田良夫先生にお越しいただきまして御説明いただく予定でありましたが、本日は出席がかないませんでしたので、班員の私から代理で報告させていただきます。
1ページ目、下のスライドですけれども、背景としまして、廣田班では本邦での2012年の不活化ポリオワクチンの導入に先立ち、「ポリオワクチン(OPV、IPV、DPT-IPV)の互換性に関する免疫原性、安全性試験」を実施いたしました。実際に不活化ポリオワクチンが導入された場合に、複数のポリオワクチンがいろいろな組み合わせ、順序で接種されることが想定されましたので、どのようなパターンでも同等の免疫が得られるか、または異なるかというのを検討したものでありました。その結果、ワクチンの組み合わせ、接種順序にかかわらず、3回の接種で防御レベルの抗体価である1対8以上を上回る抗体価が誘導され、4回目の追加接種により抗体価はさらに上昇したということを確認し、報告書あるいは論文等で発表されております。
次のスライドですけれども、今回の研究の目的ですが、さきの互換性試験に参加し、OPV、IPVあるいはDPT-IPVの4回接種、これは実際は3回プラス追加1回でございますけれども、それを完了した小児153人を対象に、その後の抗体価の推移を検討したものです。
その下、接種スケジュールと対象者数でございますけれども、実際の接種パターンとしては4種類設定しております。A群とB群は、1回目に経口生ポリオワクチン、当時の定期接種の対象でありましたけれども、これを接種した後、2回目、3回目、4回目は4種混合のセービン株を含むポリオワクチン、あるいは単味のワイルド株を含むポリオワクチン、どちらも不活化を接種したというパターンです。
C群とD群の接種ワクチンは全て不活化ポリオワクチンでありますけれども、C群は1回目と2回目が4種混合、D群は1回目と2回目が単味のポリオワクチンといったパターンになっております。実際にはもっとさまざまな組み合わせが想定されたわけですけれども、研究の実行可能性、あるいは財源を勘案して、代表的と思われるこのような4グループを設定されたということでございます。
次のページの上段、IPVとDPT-IPVのワクチン詳細でございますが、4種混合は阪大微生物研究会の製造によるワクチンでございまして、こちらがセービン株由来でございます。単味のIPVはサノフィパスツール製造のもので、抗原はそこにお示ししておりますけれども、これがいわゆるワイルド株になります。
その下のスライドですけれども、抗体価の測定ですが、追跡期間中は1年間隔で血清を採取し、セービン株及びワイルド株に対する中和抗体を測定しております。測定抗原、測定施設及び測定方法はお示ししますとおりです。
次のページに行っていただきまして、上段は群別に見た追跡例数でございます。A、B、C、Dの登録例数は、それぞれ11人、49人、50人、43人、接種を完了した者は同数でございますけれども、その後、追跡を重ねていくに伴い、どうしても脱落例が生じてしまっています。赤の点線が途中で切れてしまっているのですけれども、今回の御報告は、現時点で抗体価の測定結果が得られている追加接種4年後までの抗体価について検討しております。
下の段のスライドですけれども、統計解析では基本的に幾何平均抗体価を算出して評価しております。また、この研究対象者の中で、追加接種後4年間で抗体価が1対8未満となった症例が4例確認されましたので、この4例については、抗体価推移の詳細をお示ししております。
さらに、予測値としまして、追加接種後の抗体価が3時点、すなわち3ポイント以上得られた児につきまして、個人単位で10年後までの抗体価を最小二乗法で回帰させて推定し、その得られた推定値を使用して、各群における抗体保有割合1対8以上の抗体価を有する者の割合を予測しております。
この予測値の算出に寄与しました対象者数は、その下の※にお示ししておりますとおりです。A群は6例と、さらに少なくなっています。
次のページの上段、9枚目のスライドですけれども、登録時の年齢をお示ししております。A群とB群で月齢が少し高いのは、1回目接種が経口生ポリオワクチン、すなわち当時の定期接種であったOPVを接種したものということで少し高くなっているものと思われます。
その下のスライドですが、幾何平均抗体価の推移をお示ししております。こちらも縦の赤線が途切れていますが、セービン株、ワイルド株ともに、グループにかかわらず4回目接種から1年後の間で大きく抗体価が低下しているということが読み取れます。しかし、その後、4年目までは抗体価の低下は緩やかであるといったようなことがわかります。これは岡田先生が御説明された大石班の結果と同じようなものかと思います。
6ページ目、11枚目のスライドでありますが、これは追加接種後4年間で抗体価が1対8未満となった症例4例の詳細です。2例はA群から、2例はB群から認められました。そのグラフの下のほうに赤括弧で書いておりますのは、おのおのの症例で実際に抗体価が1対8未満となった株、あるいは型でございます。
その下のグラフでございますけれども、こちらは追加接種後10年間における抗体保有割合の予測をしたものであります。セービン株、ワイルド株ともに、4年を過ぎますとだんだん緩やかに低下していくといったことが読み取れまして、おおむね80%以下になるのかなと。もう少し詳しい正確な数字を申し上げますと、83%以下といったようなところのようです。目を引きますのは左下のほうで、ワイルド株についてA群、すなわち最初にOPVを接種しまして、その後、セービン株由来の4種混合ワクチンを3回接種したもので、接種後年数とともにかなり急激に抗体が低下するような予測となりまして、10年目の1対8以上の抗体価の保有割合がゼロ%ということになっておりますが、こちらは先ほど申し上げましたとおり、予測値算出の対象となったグループAの人数がわずか6人ですので、偶然よる変動を大きく受けている可能性があることを申し添えたいと思います。
7ページ目の上段には、これまで御説明しました結果をまとめております。
以上です。
○脇田委員長 どうもありがとうございました。
それでは、ただいま3つの研究、抗体価の推移についての御報告がございましたけれども、こちらに対して御質問、御意見をいただければと思います。
私から一つ岡田委員に、ワイルドタイプ、ソークのワクチンを打ったグループでの中和抗体価なのですけれども、こちらはセービンに対する中和抗体価は出しておられないということですね。
○岡田参考人 はかっていません。
○脇田委員長 多分、ホモのウイルスに対しては高い抗体価でヘテロに対しては低いという、理解はそういうことですね。
○岡田参考人 ご指摘のとおりと考えています。
○脇田委員長 ありがとうございます。
そのほか、皆さんから御質問はいかがでしょうか。大体全てのスタディーにおいて、不活化ワクチンの接種という性質をよく反映して、抗体価が徐々に低下していくこと。ただ、最初は少し低下しますが、その後の低下は緩やかであろうという結果かなと思いますが、諸外国の接種方法について岡田参考人のほうの資料にまとめてありますけれども、多くの国では追加接種を行っているというところですから、日本でもこの追加接種についてどう考えていくかということだろうということです。それも含めまして、皆様、御意見がございましたら、お願いしたいと思います。
この抗体価の低下というものが日本のポリオのコントロールにどう影響してくるのかというのはなかなか難しい問題かと私も考えるところですけれども、もちろん全体として低下してくるということは防御という面では弱まるということではありますが、それが直ちにポリオのアウトブレークにつながるかというと、それもまた必ずしもそうは言えないというようなところもあるかというところですから、その点、いろいろな論点があるとは思うのですけれども、きょう、せっかく中野参考人においでいただいております。中野先生は不活化ポリオワクチンの円滑な導入に関する検討会というところの構成員でもありましたので、せっかくの機会ですので、御意見を伺っておきたいと思いますが、先生からはいかがでしょうか。
○中野参考人 ありがとうございます。御指名をいただきましたので、発言させていただきます。
2011年から2012年にかけてだと思いますけれども、不活化ポリオワクチンの円滑な導入に関する検討会のメンバーとして、いろいろなことにかかわらせていただきました。そして、きょうは3人の委員、参考人の先生方からいろいろなエビデンスをお示しいただきまして、それぞれ臨床、あるいはワクチン学、あるいは疫学の御専門の立場から、おおむね抗体価は保たれているけれども、下がってくる例があると。なおかつ、不活化ワクチンなので、一定の期間をしたら下がってくるのであろうと。ただ、国内の疫学のデータから、多屋委員から御紹介があったように、パーセンテージでいくとすごく低いわけではない。福島委員からは、限定的な数ではあるけれども、n数が限られてはいるけれども、10年後に野生株の1型に関しては低くなるのではないかという推測値も出ている。
この中で今後の追加接種をどう考えるのかということに関しての議論になるかと思うのですが、きょうの3人の委員とか参考人の先生方からの意見としては、追加接種が必要であろうという御意見が多かったと私は理解しています。個人的には私自身も本当にそう思います。なぜならば、ワクチンというのは発病する前に子供たちを病気から守る手段でございますので、これはいろいろな観点からいろいろなエビデンスがそろってきている。きょうは幾つか議題がございましたが、いろいろな意味で皆さんに納得いただける一つのワクチンかなという印象を私個人は持ちました。
ただ、その一方で、100万人の子供たちにワクチンを打つわけですから、委員長がおっしゃいましたように、現在幸いにポリオの流行はコントロールされています。そこで、これを今回定期接種として認めることに、プライオリティーとしては一番高いのかどうか、そういう意見が恐らくきょうここに御発言されていない方々、いろいろな分野の方々からもあるかもしれないということは予想はしております。
しかし、私は不活化ポリオワクチンの円滑な導入に関する検討会でいろいろ資料を調べたときに思ったことは、確かに4歳以降で追加接種をしていない国がほとんどないのです。WHOからもポリオワクチンに関するファクトシートが出ていますが、Duration of Protectionという項目がOPVにもIPVにもございます。それぞれに書いてあるのですけれども、そこにはいろいろなことが書いてあります。例えば抗体価の低い集団でも、ポリオの流行を受けたからといって必ずしも麻痺の患者がたくさん出るわけではないということも書いてございます。でも、それは事実なのですが、それは全てOPVを使っていたころの時代です。IPVのDuration of Protectionのところに引用されているのは、結局OPVを使っていた子供たちのデータなのです。だから、各国は、不活化ワクチンというのは長く免疫が続かないだろうから追加接種が必要であろうと。なおかつ、4歳以降で追加接種をしていない国は非常に少ないわけです。そのように私は思っていますので、追加が必要であると私個人は考えております。
ただ、きっときょう意見が欠けているとしたら、ウイルス学の専門家の先生からの御意見がまだないと思うのです。もしウイルス学の専門家の先生方から、この抗体価とこのポリオウイルスの性格からいけば追加接種は必要ないという御意見であれば再考は必要かもしれませんけれども、きょうの意見と私の個人的な意見としては、追加接種のプライオリティーが高いかなということを感じました。
○脇田委員長 中野参考人、大変貴重な御意見をありがとうございました。
さらに委員の皆様から、よろしいですか。
岡田参考人、お願いします。
○岡田参考人 追加させていただきます。昨今、インバウンドがふえてきて、まだポリオがある国々から、一応推計ですが、6万人ぐらいの方々が国内に入ってきているということを考えると、東京オリンピックに向けても日本人の抗体価を高く維持しておく必要があると思います。2期接種での追加は早いうちに検討していただいたほうがいいのかなと思いました。
○脇田委員長 ありがとうございます。
今の6万人というのは、アフガニスタン、パキスタンだけではなくて、ワクチン由来株が流行している。
○岡田参考人 生ワクチン由来株によるポリオを発症している国々から6万人ぐらいが入ってきているという推計があります。
○脇田委員長 ポリオ根絶計画が進行して生ワクチンの切りかえも進んでいるところではありますけれども、いまだにワクチン由来のポリオの流行をしている国もあるというところからの流入ということも危惧されるという御意見だったかと思います。ありがとうございます。
それでは、さらなる御意見がなければ、今回、抗体価の推移についてまとめていただきましたけれども、抗体価だけの判断ではなくて、より総合的な判断が必要ではないかということで、中野参考人からも御意見がありましたが、このポリオウイルスの専門家の先生に御意見を伺うということも重要ではないかと考えております。ですから、次回、この委員会におきまして、ポリオウイルスの専門の先生に御意見をお伺いして、またさらに議論を進めていくということにしたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○脇田委員長 ありがとうございます。
それでは、そのようにさせていただきます。不活化ポリオワクチンにつきましては、本日の意見をまた取りまとめさせていただきまして、次回の小委員会で議論を進めていくということにさせていただきます。
続きまして、審議事項4です。「ロタウイルスワクチンについて」に入りたいと思います。
事務局から、資料の4-1、4-2の説明をよろしくお願いします。
○黒崎室長補佐 事務局より御説明させていただきます。
資料4-1から4-4、参考資料につきましては、11から14を適宜御参照いただきながら、審議を進めていただければと考えてございます。
資料4-1「ロタウイルスワクチンについて」という資料でございます。経緯につきましては、これまでの部会でも何回か出させていただいたものを追加してございますけれども、もともとロタリックス、ロタテックを発売されたときが平成23年、平成24年というところでございまして、そういった時期から検討をずっと続けてきたところでございます。
平成25年12月の第3回予防接種・ワクチン分科会について、「ロタウイルスワクチン作業班中間報告書」が報告されまして、1番目としまして腸重積のベースラインデータの整理、2番目としましてリスクベネフィット分析、3番目としまして費用対効果の推計の3つの課題についてきちんと整理していくように結論づけられたところでございまして、それぞれ研究班等で分析を行っていただいたところでございます。本日はその点に関しまして、研究班の報告を行っていただければと考えてございます。
後ろをめくっていただきまして、検討の進め方ということで、まさにこの3つの点に関して、どの程度まで明らかになったのかということを御議論いただければと思います。
資料4-2としてつけさせていただいておりますのは、前回ロタウイルスワクチンについて検討させていただいたところに関して、それぞれこれまでに報告いただいた作業班中間報告書、最近の知見等の記載を抜き書きしたものと、その他の最新の知見と思われるものをまとめた資料になってございます。
事務局からは以上でございます。
○脇田委員長 ありがとうございました。
続きまして、神谷参考人、そして、中野参考人から御説明をいただきます。
まず、資料4-3ですね。こちら、感染研の神谷参考人から説明をお願いいたします。
○神谷参考人 よろしくお願いします。国立感染症研究所感染症疫学センターの神谷です。
資料4-3「国内におけるロタウイルスワクチンと腸重積症の関係性についての検討」という資料を御説明させていただきます。
1枚目の下のスライドです。腸重積症というのは、腸管の一部がそれへと続く腸管腔内へ入り込んで、腸管が閉塞され、血行が妨げられた状態のことで、ここに示した図のような状態になることです。腸重積症の原因は約4%が器質性病変と報告されていますが、それ以外の原因は今のところはっきりとしておりません。国内の腸重積症の疫学については、男女比が2対1で、1歳未満の児が全体の6割ぐらいを占める、3カ月未満は非常にまれ、といったことが学会のガイドライン等に報告されております。
次のページ、上のスライドです。ロタウイルスワクチンと腸重積症の関係について、最初に取り上げられたのは、1999年8月に米国で使用されるようになったロタシールドという現在は使用されていないロタウイルスワクチンです。このときは治験において非常に有効性を認め、安全性にも問題がなかったということで、定期接種として米国で導入されましたが、その後の市販後調査で接種者数が増えるにつれ、ロタウイルスワクチンの接種と腸重積の関連性が指摘されはじめました。右図のように、1回目の接種後1週間以内に腸重積症の発症が集積しており、2回目も接種後1週間以内での腸重積症の報告が多いということで、調査が行われ、関連性が強く疑われたためこのワクチンは市場から撤退しました。
そのような過去があったこともあり、現在日本をはじめ世界的に使われている2種類のロタウイルスワクチン、5価ワクチンと1価ロタウイルスワクチンは、大規模な治験が行われ、高い有効性と安全性が確認されたため現在多くの国で認可され、導入されています。
ただし、ロタシールド同様、市販後調査においてワクチンの接種数が増加するにつれ、治験では認めなかった腸重積症の集積が認められることを想定し、2012年に研究班で腸重積症サーベイランスを立ち上げて、腸重積症のモニタリングを開始しました。ここから先は、その研究班についての報告となります。
この研究班の目的は、国内におけるワクチン導入前の腸重積症の発生頻度(ベースライン)とワクチン導入後の腸重積症の発生頻度について比較調査を行うことです。日本で最初のロタウイルスワクチンの販売が始まったのが2011年の11月でしたので、12年1月1日より前をベースライン調査期間、その後の2014年9月30日までの期間をワクチン導入後の期間として比較しました。
調査対象地域は、図のように7県2地域、合計9地域が参加してくださっております。参加地域の小児科入院病床がある全病院において、腸重積症を診断したら専用のウエブサイトに入力をしていただくという方式を採用しました。各地域に地域代表の先生を決め、地域内の入院患者の報告について責任を持って統括していただきました。この右側に示してあるのがその対象となった人口ですけれども、5歳未満、1歳未満とありますが、大体1歳未満のほうで全国の13%ぐらいの1歳未満の人口をカバーしている、それぐらいの規模の調査となっております。
4ページ目の上のスライドです。報告していただいた情報はBrighton Collaborationの腸重積症の定義を満たす日本小児救急医学会のガイドラインの確定診断、いわゆるC項目を満たしてあるもの、あるいは手術を行った際に腸重積症が確認できたもののみを解析対象としています。そのため、実際の報告数は4,254例でしたが、定義を満たさなかったもの、年齢が調査対象外であった、入院時期が2007年より以前であったといったものを除外し、最終的に3,785例が解析の対象となりました。
そのうち2,566例はワクチン導入前、それ以外の1,219例がワクチン導入後に報告されていました。さらにワクチン接種対象人口を分母として用いて比較するため、さらに報告された症例の居住地が対象地域でない症例を除外し、最終的にはワクチン導入前1,883例、ワクチン導入後903例が解析対象となっています。なお、これまでの小委員会での報告と少し数字が変わっているのは、データクリーニングをした結果であり、今回の数字が最終的な結果となっております。
5ページ目、これが毎年ごとの腸重積症の報告数です。青色の棒グラフが5歳未満の累積報告数で、毎年大体これらの地域からは350例前後の腸重積症の報告がありました。2014年は1月から9月の報告で、大体ほかの年と比べると4分の3程度ということですので、単純に比率でいきますと、2014年も恐らく300例前後の報告があったと推測されます。オレンジの線は、1歳未満の症例の占める割合です。これもワクチン導入前後で大体35%から40%ぐらいを占めており、ワクチン導入後の大幅な上昇は認めておりません。
下の図は1歳未満の腸重積症患者の月齢による分布です。2007年から2011年の左側の図がベースライン、つまりワクチン導入前の1歳未満の腸重積症の月齢分布となります。そして右側がワクチン導入後の状況となります。ワクチン導入前後を比較するにあたって、導入前は観察期間が5年、導入後は観察期間が2年9カ月ということで、単純には比較できません。そこで導入前の状況で観察期間が2年9カ月だった場合の患者分布が導入後の図のオレンジの棒グラフです。これらを比較すると月齢3と月齢7で期待される報告数よりも実際の報告数が多くなっていました。
6ページ上の図ですが、月齢患者分布以外の要因についてワクチン導入前後で明らかな違いがないかを調査した結果です。性別、観血的、非観血的な修復の割合、転帰に関して差は認めませんでした。腸重積症の原因と知られている先天性の器質異常が時期によって偏って報告されていることもありませんでした。腸重積症の重症度として入院期間を評価しましたが、これもワクチン導入前後で特に変化は認められませんでした。
下の図は、同様な調査の外国の報告です。10万人当たりの腸重積症発生率は、日本は99.6となっており外国と比較すると高い値となっております。国内のワクチン導入前後ですとそれぞれ102、94ということで、導入前後で大きな変化は認められませんでした。また、外科的処置の割合もほかの国と比べると日本は8.9%ということでかなり低い値となっており、腸重積症のうち外科的処置まで進むようなかなり重篤あるいは発見がおくれてしまったような症例というのは非常に少ないというのが、わが国の腸重積症の特徴と言えるかと思います。
7ページ目上の図です。調査地域の毎年のワクチン接種率と腸重積症の発生率をプロットしたものです。ワクチン接種と腸重積症の発症に強い関連性があるのであれば、正の相関が認められるはずですがそのような傾向は認められませんでした。これだけでははっきり何かが言えるわけではないのですけれども、少なくとも接種率の増加と腸重積症の増加は強い関連性はないということは推測できるのではないかと思います。
下の図ですけれども、先ほどお示しした患者の月齢分布で差が認められたため、月齢と腸重積症の報告数で何か関係性が認められる可能性を考慮し、月齢ごとの腸重積症発症率をワクチン導入前後で比較しました。その比をしたものが一番右側の数字ですが、ワクチン導入前後で差がなければほぼ分母と分子の値が同じとなるため1に近づくわけですが、見ていただくとわかりますように、先ほどの7カ月のところは1.1、3カ月のところは1.8と1より大きい、つまりワクチン導入後の方が腸重積症の発症率が高くなっています。ただ、95%信頼区間に着目しますと、これらは統計学的に有意な数字ではないとなります。ただし、他の月齢と比べると月齢3の値はやや気になる数字ではあります。
ここまでの結果をまとめますと、国内のロタウイルスワクチン導入前後の1歳未満の乳児における腸重積症の発生率は10万人当たり99.6で、諸外国の報告と比較して高いですが、観血的な修復の割合は低いということで、早期診断、早期治療ができる、そういった医療環境の中に日本の子供はあるということが一つ言えるかと思います。そういった中で、ロタウイルスワクチン導入後、明らかな腸重積症の増加は見られていなくて、患者の背景や転帰にも有意な差は認められていません。しかし、月齢3の増加傾向というのが少し気になるということで、さらにこの点を詳しく調べるために症例のワクチン接種日と発症日の両方の情報がある症例を2015年以降、追加調査で集めております。
その結果が8ページの下の図になります。1回目の接種後に腸重積を発症した人が18例、2回目が39例、3回目が29例の症例が集まったわけですけれども、1回目は症例数18例のうち13例が接種後1週間以内に腸重積を発症しており、諸外国と同じように、ワクチン1回目の接種の1週間以内に腸重積症が集積しているということで、関係性を否定できません。2回目、3回目の接種については接種後1週間以内の症例が非常に少なく、このデータで判断する限りでは相関があるとは考えられませんでした。
9ページ目、上の図になりますけれども、ロタウイルスワクチンと腸重積症の発症がどの程度相関しているかということを世界的に使われているセルフコントロールケースシリーズを用いて評価しました。日本の結果を赤で囲ってありますが、1回目の接種後1週間以内の発症グループを症例、接種後14日以降に発症したグループの症例を対照とすると、それらのリスク比は6.55倍という結果でした。同様に2回目の接種では0.17、3回目の接種では0.55ということで、1回目の接種だけ高い数字が出ています。ただ、この結果はシンガポール、オーストラリア、メキシコ、といった定期接種としてロタウイルスワクチンを導入している国と相違ない結果でした。
ワクチンの副反応の評価を行ってまいりましたが、ワクチンの評価は副反応と共に効果、メリットについても考慮する必要があります。そこで今ご提示した副反応と後ほど中野参考人から詳細な報告があると思いますが、三重県津市で行われたロタウイルスワクチンの効果をロタウイルスワクチンの導入前後でのロタウイルスワクチン胃腸炎の入院患者数の変化でまとめ、リスクベネフィットの評価をいたしました。左側の図を見ていただきますと、例えば1歳未満のところ、ワクチン導入前の5年間の観察期間で49例の入院例が報告されております。この数字を5年間の津市の1歳未満の人口で割ると、1歳未満のお子さん1,000人を1年間フォローすると、大体5.2人の方がロタウイルス胃腸炎で入院しているということになります。同じように2012年以降、ワクチンを導入した後の同じ地域での数字は1,000人・年当たり1.1人でした。この差である1,000人・年あたり4.1人というのが、ワクチンによって予防されたロタウイルス胃腸炎の入院例となります。この値を0歳から4歳までくわえ、その値をもとに全国でどれぐらいのロタウイルス胃腸炎の入院が予防できたか計算しますと、1年間で約1万2,000人のお子さんが、ロタウイルスワクチンの導入によってロタウイルスの胃腸炎の入院を予防できたということがわかりました。
次のページに行きまして、では、先ほどの腸重積の増加分と予防された入院例についての関係ですけれども、今、お話ししたように約1万2,000例が予防されて、そして、増加した腸重積というのは、先ほど御紹介したように、月齢3のみワクチン導入後腸重積症の発症が増えたと考えられましたので、そこからワクチン導入による過剰に発生する全国の腸重積症を計算すると25例となりました。ワクチンで予防できた入院症例数をワクチンで過剰に発生した腸重積症の報告数で割ると480という数字が出てきまして、これはロタウイルスワクチンによって発症した腸重積症が1例生じる間にロタウイルスワクチン接種により480例のロタウイルス胃腸炎の入院が予防されているということになります。同様の研究は外国でも行われており、10ページの下の図で示す通り、例えばオーストラリアは466、メキシコ282、といった結果が出ております。
まとめです。本調査によって国内の腸重積症の発生率は、ワクチン導入前から諸外国よりも高目であることが判明しています。ただし、観血的整復となる症例の割合は諸外国と比べ格段と低く、腸重積症が早期診断、早期治療ができる環境にあると言えます。ロタウイルスワクチン1回目接種後1週間以内に腸重積症を発症するリスクは、外国からの報告と同じように高くなっていますが、その範囲というのはほかの外国で見られる状況と同じと考えられる結果が出ました。また、重症例、死亡例や後遺症が残る例、観血的整復を要する症例の増加は、ワクチン導入後認めておりません。ロタウイルスワクチン接種によるリスクベネフィットの推計においても、既に定期接種化されている欧米諸国と同等の結果が得られました。
この研究の制限としては、まずリスクベネフィットの推計は、過剰に発症した腸重積症が全てワクチン接種と関係あると仮定しています。ですから、実際にはワクチンを接種していないけれども、発症している方たちもいるわけで、そう考えますと、最低限1例過剰に出る間に480例が報告されているということで、もし実際に関係ない症例がふえればふえるほど分子が小さくなりますので、1例発症する間により多くの胃腸炎が予防されているということになります。
セルフコントロールケースシリーズでは、倫理審査の関係から、誕生日がわからなかったのでランダム化して推計しています。誕生日を100回ランダム化して付与したうえでの計算ですので、かなり正確な数字だとは思うのですけれども、実際の誕生日を見てみないと本当の数字はわからないかもしれません。
三重県津市のデータで推計しておりますので、代表性や地域性については多少考慮する必要があります。ただ、津市では死亡例の報告がありませんでした。従って、逆に言うと、死亡例をワクチン接種により未然に防いでいる、という点については、過小評価している可能性が考えられます。
その他サーベイランスの制限ですとか、人口の統計が結果に影響を与える可能性は多少考慮しないといけないかと思われます。
12ページ目、最後に非常にたくさんの先生方に御協力をいただきまして、この研究が成り立っております。この場をおかりして深謝いたします。
以上です。
○脇田委員長 ありがとうございました。
ロタウイルスワクチンと、主に腸重積の関係性について検討していただいた結果を報告していただきました。
続きまして、資料4-4を中野参考人から説明をよろしくお願いいたします。
○中野参考人 ロタウイルスの後半部を担当いたします。
きょう、事務局からお示しいただきました資料4-1の裏に書いてございますように、今後の検討の進め方としては、マル1からマル3までの3つのことが記載してございます。これにつきましては、先ほど神谷参考人から御紹介いただいた、どんなワクチンでも副反応があるわけですけれども、その中の腸重積というのは少しクローズアップして検討しなければならないので、神谷参考人からは腸重積に関する御報告をしてもらいました。私のほうからは、リスクベネフィットとか費用対効果を考える上では、では、そのワクチンがどれだけ有効なのかということを検討しなければならないと思いますから、それについて御報告いたします。
そして、このロタワクチンというのは、現在任意接種のワクチンなのですけれども、これまでの日本の任意接種のワクチンとは違う位置づけというか、特殊な位置づけにございまして、なぜならば、任意接種であるにもかかわらず、国内の接種率が非常に高いです。今、恐らく7割ぐらいの接種率があるのではないでしょうか。ですから、きょうは私たちが厚労科研とかAMEDの研究班でやってきた研究をまず中心として御紹介いたしますが、国内で報告されているほかのデータも含めまして、有効性のデータを御紹介いたします。資料は16ページで32枚スライドがございますが、スライド番号で御説明させていただきます。
スライド2はもう既に御説明したことですし、スライド3もそうですので、省略いたします。
スライド4でございますが、ワクチンというのは世に出てくるときに、この有効性なのですけれども、英語で言うとエフィカシーです。多くの場合、対照薬と被験薬とを接種して、どれぐらい病気を予防できるかということで、ワクチンのエフィカシーが出ます。これはきょうの委員とか参考人の先生には釈迦に説法ですので、詳しくは触れませんが、古いワクチンの中には、このエフィカシーのスタディーが十分にはできずに世に出てきたワクチンもございますけれども、ロタウイルスワクチンは新しい世代のワクチンですから、大体重症のロタウイルス胃腸炎を予防できるエフィカシーが90%前後、重症度を問わないロタウイルス胃腸炎を予防できる有効率は80%前後というデータが、今、日本で使われている1価のワクチン、5価のワクチンとも報告されているかと思います。ただし、途上国においては、腸内環境とか、いろいろなことが異なりますので低いのですが、先進諸国では大体この90%、80%というのは一致していると思います。
スライドの5、もう一つ有効性で、ワクチンエフェクティブネスという言葉がございます。これはきょう委員のメンバーでもある原先生にわかりやすい総説を書いていただいているので、ここに示しました。これも委員の先生方にはもう百も御承知のことかと思います。
スライド6をごらんになってください。きょうの私の報告以前に、ファクトシート作業チーム中間報告書、最近の知見1、2、評価・分析ということで、既に2015年12月まで4つの報告をしていただいていますが、この中でもワクチンエフェクティブネス、実際にそのワクチンが導入されて、どれぐらいの効果があったか。例えばRV5、5価のロタウイルスワクチンの使用実績の多い米国、定期接種として1価のワクチンを使う英国、両方において非常に高い有効率が既に報告されているワクチンでございます。
では、その後のデータとしてどのようなものがあるのかというのは、次のスライド7でございます。スライド7でお示しした厚労科研、AMED研究事業は、この後報告しますが、スライド6でまとめさせていただいた4つの報告以降、新潟県新発田市の報告に始まりまして、東日本大震災の被災地における無料接種事業で患者さんがどれだけ減ったかという報告、一つ一つは触れませんが、スライド8をごらんになっていただくと、当初は入院患者さんが非常に減ったという報告が多かったと思います。これは患者数を把握するのは、入院患者さんを把握するほうがわかりやすいですね。外来患者さんの把握というのは難しいですから、入院患者さんがたくさん減ったという報告がございます。
スライド9につきましては、外来と入院の両方の患者さんで比較されています。これはクリニックの受診者というのは病院よりも受診者数自体は多いですから、外来の患者さんについても患者数の減少とか軽症化効果が報告されています。
スライド10以降は、近年のここ数年の報告は英文の論文もかなり出てきておりまして、国内のデータは英文の論文として報告されておりまして、神戸のデータに始まりまして、そして、次は健康保険のデータベースを使った報告がここにもございます。
スライド11につきましては、名古屋市内の医療機関の患者データベースによる報告、スライド11の下のスタディーは、秋田県でテストネガティブデザインでの症例対照研究の報告が行われています。
スライド12に関しましては、これも原先生の報告でございますが、佐賀県の医療機関におけるケースポピュレーションスタディー、そして、スライドの下は恐らくもうすぐ論文間近と伺っておりますけれども、パブリッシュ間近と伺っておりますが、研究班の報告で引用させていただきましたが、症例対照研究によるロタウイルスワクチンの有効性評価というものが報告されております。かなりこれまでのファクトシートに始まるデータ以降も、国内各地でこれはきっと国内の接種率が上がってきているので、有効率のデータがいろいろな地域で報告されていると理解しております。
きょうの私の役目ですけれども、13枚目のスライド以降になりますが、厚労科研とAMED研究事業で、平成19年度から行ってきています。
スライド14をごらんになってください。世界的にグローバルに、今、国内で使われている1価と5価のワクチンが導入されたのが2006年です。南米諸国から始まって、いろいろな国で、欧米諸国で導入されて、ちょうど研究班が始まったのが平成19年、2007年になります。このとき、海外ではロタウイルスワクチンが導入されているので、国内でもきっとそういう時代が来るだろうと。何か前向きにデータを集めたほうがいいのではないかということで、横にいる神谷先生と一緒に研究班の先生方に協力していただいて、そこから前向き研究を始めました。2007年の時点で、私、三重県におりましたので、まず、三重県の後方視的研究をカルテベースの調査を行いまして、それ以降、前向き調査として、急性胃腸炎症状を訴えて入院する患者さん全例に迅速検査でロタウイルスの抗原が便中にあるかどうかを検査して、なおかつ、藤田保健衛生大学の微生物学教室の協力を得て、ウイルスのタイプがどのようなウイルスのタイプかというのもサーベイランスで検討してまいりました。そして、岡山県とか千葉県にも調査定点を拡大して調査しております。
スライド15は、これまでに発表してきた論文でございます。ここに発表した論文の内容、スライド16に示している仲間たちとやってきたデータでございますが、それをスライド17以降で御報告いたします。先ほど申し上げましたように、調査定点は三重県、千葉県、岡山県、遺伝子型解析は藤田保健衛生大学で実施していただいています。前方視的・多施設共同・記述疫学研究という形で、スライド18に研究の対象と方法が示してございます。
スライド19は、これまでに集めた便検体というか、患者さんの登録患者数でございます。
先ほど来、接種率のことを申し上げてまいりましたが、ロタウイルスワクチンは接種率の計算が他のワクチンに比べてやりやすいと思います。それはなぜなら、乳児期前半、生後おおむね6カ月までには接種を完了してしまうワクチンなので、それぞれの1価のワクチンと5価のワクチンで投与回数は2回と3回で異なりますけれども、出荷本数とその地域の生まれてくる子供たちの人数を計算いたしますと、おおむね推定接種率を算出することができます。スライド20に示す方法で推定接種率を算出しております。
スライド21以降にデータをお示ししますが、まず、2007年から始まった三重県でございますが、ロタウイルスの流行は年によって流行に格差はございます。大きな流行がある年、余り流行がない年もございますが、日本でワクチンが導入されたのが2011年/2012年でございます。また、ロタウイルス胃腸炎は、通常、冬の終わりからゴールデンウイーク明けぐらいまで流行いたしますから、私たちは季節の時期は、前の年の10月から次の年の9月までを1流行期として、常に算出してまいりました。これをごらんになっていただいたらおわかりのように、ワクチンが導入されて2013/2014シーズン、それと翌シーズン、非常に患者数が減ったのですが、15/16と16/17は少し再上昇が認められております。
そのウイルスタイプを見ますと、恐らく2015/2016はG2のタイプの流行、2016/2017はG9の流行でございます。それ以前の流行タイプもウイルス型がここに示してございます。
では、ほかの地域はどうかと申しますと、岡山においてもこの2015/2016と2016/2017シーズンは順調に減っていた患者数が少し上昇しました。接種率はどうかといいますと、三重県のほうが岡山県より接種率は高いという状況でございました。
ここで流行タイプ、流行するウイルスは日本中同じかというと、そうではなくて、例えば2010/2011をごらんになってください。三重県は2010/2011の時点でG3が一番有意でしたが、G1も結構ございました。ところが、岡山県はG1が全然なくてG3ばかりだったのです。ですから、インフルエンザのように全国的に同じタイプが流行するというよりは、地域によっても少し流行するウイルスタイプに差異があるウイルスと理解しています。
スライド25と26は、千葉県のデータでございます。これはクリニックなので外来データでございますが、ここは公費助成をやっていることもあって、接種率が非常によろしいのです。高いのです。ただ、ほかの自治体の方が受けに来たりもするので、これは近似的に少し考えなければいけないですが、接種率が計算上は100を超えたりしますが、千葉のこのクリニック周辺の方々は接種率が非常に高い定点の状況です。
そこでは接種率が高いからなのかどうかはわからないですが、15/16シーズン、16/17シーズンも、患者数の再上昇はございませんでした。これをウイルスタイプで見ますと、他の地域、岡山と三重はG2とG9の流行がそれぞれのシーズンにあって、患者数が多かったのですが、この千葉県いすみ市にはG2とG9の流行が入り込んでいません。これは接種率が高かったからブロックできたのか、あるいは人口比率でいくといすみ市は一番この中では少ない人口で検討していますので、たまたまここに流行が入らなかったかはわかりません。ですけれども、接種率の高い地域でG2とG9の流行が認められなかったというデータは出ております。
スライド27をごらんになっていただきますと、今はこれは本当に前向きの記述疫学研究のみでしたので、論文にも報告した。では、有意差検定として患者数が減っているかというと、やはりこれは津市が長年やってきておりますので、計算をするときちんと減ってきております。
ただ、ワクチンで注意しなければならないことは、スライド28をごらんになってください。これだけ接種率が上昇してまいりますと、入院患者さん、外来患者さんを比べまして、病気で入院したり、罹患したりした人の中に、ワクチン接種歴がある人は当然目立つようになります。ただ、この未接種者と既接種者で私たちの班研究で何かの差があったかというのは、これはまだデータ集積中ですが、今のところ、明らかに接種者が入院しても症状が軽いかとか、そこまでは認められていないのが事実でございますが、先行研究でお示しした北海道の研究、札幌市の研究では、外来患者でも接種者のほうは症状が軽い傾向があるのではないかということが考察の中で述べられています。
スライド30をごらんになっていただくといいかと思うのですが、接種率の低い集団と高い集団、左が接種率の低い集団、右が接種率の高い集団、恐らく2つの集団を比べれば、ワクチンエフィカシーの高いワクチンの接種率が高い集団のほうが、トータルの病気にかかる患者数は絶対に少ないはずなのです。少ないのですけれども、たまたま病気にかかった人にワクチン接種歴があるかどうかを調べると、接種歴のある人はきっと目立つという結果になるのではないかと思っています。この患者数の中に接種歴がある人が目立つのは、こういった理由によるかと思っています。
最後のスライド2枚ですが、先ほどお話し申し上げましたように、現在接種率は7割を超える状況で、まとめますと1番、ロタウイルス胃腸炎は流行規模や流行するウイルスに年による差や地域による差がございます。しかし、このワクチンの普及で、外来患者や入院患者数を減少させる効果が期待できると考えています。
私はきょう3番を一番強調したいのですが、公費助成が実施されている地域以外でも、ロタウイルスワクチンの接種率は年々上昇しているのです。接種率が高くなると患者数も減ることが今回のデータから見てとれると思います。現在、まだ任意接種なのですけれども、きょうお示しした3つの地域は、どちらかというと全国的には平均よりも接種率の高い地域でございます。まだまだ50%に行くか行かないかという地域もありますし、ワクチンの本来の目的というのは、貧富の差なく、お金を出す出さないにかかわらず、ワクチンのことをどれだけ御存じか御存じでないかにもかかわらず、予防のための有効な手段ならば隅々まで行き渡って子供たちを病気から守るということが大切なワクチンだと思いますので、接種率が年々上昇しているということを考えますと、子育て世代からの要望度も高いですし、子育て支援という観点からも大切なワクチンと考えております。
以上でございます。
○脇田委員長 ありがとうございました。
神谷参考人、中野参考人からそれぞれロタウイルスワクチンと腸重積の関係、そして、ただいま有効性についておまとめをいただきました。どうもありがとうございました。
それでは、委員の皆様から御意見、御質問等を頂戴したいと思いますが、いかがでしょうか。
池田委員、お願いします。
○池田委員 池田でございます。
神谷先生に御研究のことでちょっとお伺いをしたいのですが、よろしいでしょうか。資料4-3の13枚目のスライドを拝見いたしますと、横軸がワクチンの接種率、縦軸が腸重積の1万人・年当たりの発症率ということで示していただいているわけですが、例えば白四角は沖縄でありまして、発症率は3年分でしょうか。3回とも比較的高い値になっていると。一方、例えば黒三角は高知でありまして、これは3回とも低いということで、これは3倍ないしそれ以上の発症率の違いがあるのですが、一つは、こういったさまざまな発症率が本当に違うとしたときに、これらのデータを統合して分析するということが適切なのかどうかが気になったので、もしそれについて何か対応されていたら教えていただきたい。
あと、これは本当に発症率が違うのか、それとも何か受診あるいは入院などの受療の状況が違うのか、あるいは沖縄だったらほかの県には受診しないけれども、高知だったら隣の県に行ったりなどして、そちらのほうの流入、流出の問題などがあるのか。それとも、本当に違うのか。違うとしたら何かそれは別途説明がつく理由があるのか、あるいはNDBなどのレセプトでも同様にこういった地域差は存在しているのか、そのあたりのことを教えていただければと思います。
○脇田委員長 神谷参考人、お願いします。
○神谷参考人 御質問ありがとうございます。
患者の居住地については調べておりますので、例えば高知県から報告され他症例でも近隣の県にお住いの方であれば解析の対象外としております。この図でお示ししたかったことは接種率と腸重積の発症率のざっくりとしたデータからは明確な相関はみられていないということです。
沖縄と高知がなぜ違うのかというのは何とも言えませんけれども、小児の人口、ほかの感染症が誘発した腸重積症の存在など様々な要因があると思われますので、腸重積症とワクチン接種率がこの時点で明確に創刊していることを示唆するものではない、といったところが一番のこのスライドの目的としてつくっているということです。
○脇田委員長 御質問の趣旨は、それぞれの地域でこの腸重積の発症率のデータが出ていますけれども、そこに何らかのバイアスがあるとすると、こういった解析が本当にリーズナブルなのかということかと思うのですが。
○神谷参考人 地域の小児科で入院する症例を全部御報告していただいていておりますが、日本の基本的な腸重積症の治療では、修復後排便を確認するためにほぼ全例1回経過入院をさせていると思いますので、そういった意味でほぼ全例ご報告いただいていると思いますし、データはある程度正確なものであると考えております。
○脇田委員長 ありがとうございます。
池田委員、お願いします。
○池田委員 御説明いただき、ありがとうございました。
例えば沖縄でたまたま調査が実施されていなくて、この四角い3点がないとすると、もしかしたら直線を引くと右上のほうに上がっているように見えてしまうかなと、ちょっと気になったものですから、別途のデータなどでこの発症率について、あるいは把握率については裏をとるというか、確認したほうがいいのではないかと感じたもので発言させていただきました。
○脇田委員長 ありがとうございます。
福島委員、お願いします。
○福島委員 スライド13のグラフについて、私も気になっていたのですけれども、神谷先生、これは生態学的研究ですね。集団単位で接種率と発症率を見ているということで、疫学では、集団単位で見た関連を必ずしも個人に帰することはできない研究デザインとして、歴史的な教訓事例としても挙げられているものです。ワクチンの歴史においてもミスリードされた事例がありますし、先ほどから池田委員がおっしゃっているように、いろいろな解釈が成り立つわけです。したがいまして、このデータはあくまでも参考程度に見る、詳細な考察は避けるというのが正しいのではないかと思います。
○脇田委員長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。
金川委員、お願いします。
○金川委員 神谷先生に質問があるのですが、このスライドの12のところなのですが、腸重積による、これは入院率ですね。
○神谷参考人 はい。
○金川委員 ですから、10万人に対して入院した数だとすると、入院基準が日本だと腸重積はほとんど入院すると思うのですけれども、アメリカなどで外来処置している可能性はかなり高いのではないかと思うのです。それで言うと、外科的処置が少ないというのは、普通に考えて軽症でも入院しているので外科的処置が少ないということで、これで比較するのは、入院と外来処置のことが入ってこないとちょっと違うのかなとは思うのですけれども、どうなのでしょうか。
○脇田委員長 お願いします。
○神谷参考人 御質問ありがとうございます。
恐らく、例えば米国などで入院率が低いのは、かなり重症化したものでないと入院はしなくて、なので、当然外科的な処置は高くなるというところはあると思うのですけれども、ここでお伝えしたかったのは、日本の場合、早い段階で腸重積症が診断され、処置されているといった現状の中で、腸重積の副反応があるワクチンを導入する場合において安全かどうかという判断の一つの指標になるかということで御紹介しているということになります。
○脇田委員長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。
福島委員、お願いします。
○福島委員 神谷先生のデータにつきまして、非常に詳細な分析をありがとうございます。大変な御苦労をされてここまでまとめられたことに敬意を表します。
私はワクチンの安全性を考える際に、自然発生率が極めて重要だと思っておりまして、先生のスライドでは14枚目のスライドに非常に興味があります。ワクチンが導入される前の腸重積の自然発生が月齢別に示されておりまして、それを踏まえた上で、ポストワクチネーションエラ、すなわちワクチンが導入された後に、月齢3カ月というところで、偶然の可能性もあるかもしれませんが、統計学的に境界域の有意性をもってリスクが上昇しているということを日本国内のデータでお示しされた非常に重要なデータだと思っています。これをワクチンの接種スケジュールとあわせて考える場合に、現行ワクチンでは、1価のワクチンも5価のワクチンも初回接種は生後6週以上14週までに行うことになっていまして、この3カ月というところが実際にダイレクトにかかわってくると思うのですけれども、月齢3カ月というところを避けて接種するのが望ましいとお考えですか。
○脇田委員長 お願いします。
○神谷参考人 この3カ月のところでふえることについては、本当に疫学センターの中でも、多屋先生とかといろいろ話し合ったのですけれども、一つはワクチン、13週、14週になってくるとこの3カ月というところに入ってくるので、そういったところが紛れ込みなのか、それとも本当にワクチンの影響なのか、これだけではよくわからないのですが、そういった可能性があるので、その前にもっと非常に低いところでしっかりとワクチンを打つことで、紛れ込みが減るということは考えられるかと思います。
○脇田委員長 福島委員、お願いします。
○福島委員 ありがとうございます。
私も海外の事例を調べたことがあるのですが、自然発生のカーブを自国データで描いてみて、もともと自然発生率が高くなる月齢のところを特定して、そこは避けると。先ほど先生が言われたように、紛れ込みを極力少なくするという配慮から、そういう施策をとっているところもありますので、そのような考え方のベースとなる非常に重要なデータをお示しいただいたなと思います。
○脇田委員長 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。
ありがとうございます。
今回、今後の検討の進め方ということで、3つのポイントについて検討していくということを事務局から示していただきましたので、きょうは腸重積のほうのデータ、それから、ワクチンの有効性のデータについて、神谷先生、中野先生からお示ししていただいたところだと思います。きょう、御発表いただいた内容と意見も事務局のほうで取りまとめさせていただきまして、次回の議題とさせていただくことにしたいと思いますが、いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○脇田委員長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきたいと思います。
それでは、審議事項5「おたふくかぜワクチンについて」に入りたいと思います。
では、事務局から資料5-1、5-2について御説明をお願いいたします。
○黒崎室長補佐 事務局より御説明いたします。資料5及び参考資料は15から19を適宜御参照いただきながら、御審議いただければと思います。
1ページ目、経緯を示させていただいております。昨年の9月、日本耳鼻咽喉科学会より、ムンプス難聴に関する全国調査の結果が公表されたところでございまして、12月に第20回予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会におきまして、こちらの結果について簡単に御報告させていただいたところでございます。この調査の内容につきましては、この後、守本参考人に御説明いただくところでございますが、従来指摘されていましたように、難聴のリスクは一定程度ありまして、決しておたふくかぜは軽い疾病ではないということが再確認された重要な調査であったというように私たちも考えてございます。
今年になりまして、今年の5月に予防接種推進専門協議会から「おたふくかぜワクチンの定期接種化に関する要望書」が提出されたところでございます。こちらについても、この後岩田参考人から御発表いただく予定となってございますが、接種年齢と無菌性髄膜炎の発症頻度に関するエビデンスも含めて御説明いただく予定としてございます。
後ろをめくっていただきまして、今後の検討の進め方というのは、まず、本日の発表内容等を踏まえ、事務局において論点等を整理することとして、次回の小委員会において検討いただきたいと考えております。
続きまして、資料5-2でございますが、これまでのおたふくかぜワクチンに関するまとめを簡単にさせていただいております。
背景といたしましては、そこに書いてあるとおりでございますけれども、平成25年の7月、第3回の予防接種基本方針部会において議論されたものがございます。
後ろをめくっていただきまして、多くの意見が出されたところではございますけれども、それぞれ予防を心がけるのが、おたふくかぜというのは無菌性髄膜炎、聴力障害、精巣炎などの合併症の多い小児期の疾患であり、予防することが大変望ましいものであるというようなことと、4つ目でございますが、1歳児に接種するほうがより年齢の高いところで接種するよりも耳下腺腫脹率が低いこと、また、自然感染の顕性感染率は1歳では20%であるのに対し4歳以上では90%であることから、初回接種を12カ月過ぎに行うことを提案するということがここで述べられてございました。
また、保護者の気持ちを考慮すると、現在販売されている2種のワクチンを定期接種として導入することは危険性が大きいのではないかという意見も出されたところでございます。
そこで今回、この基本方針部会におきましては、おたふくかぜの予防としてのワクチンは大変重要であるということを再度確認した上で、ワクチンにしても単体としてではなく、やはりMMRワクチンが重要であると。それであれば、早く開発を促す方針が重要であるというまとめにこのときはなってございました。
事務局からは以上でございます。
○脇田委員長 ありがとうございました。
続きまして、岩田参考人、守本参考人より、御説明いただきます。
まず、資料5-3につきまして、岩田参考人から御説明をお願いいたします。
○岩田参考人 岩田でございます。よろしくお願いいたします。
資料5-3ですけれども、おたふくかぜワクチンの定期接種化に関する要望ということで、先ほど御紹介いただきました予防接種推進専門協議会から要望書を提出させていただきましたので、その背景と内容のポイントというところを御説明させていただきたいと思います。
スライドの2枚目が、予防接種推進専門協議会から正林課長宛てに出させていただいた要望でございます。予防接種推進専門協議会というのは、そちらに書かれています17学術団体によって形成されておりまして、日本小児科学会あるいは日本感染症学会、あるいは日本耳鼻咽喉科学会等々、感染症、予防接種に関連する学会が含まれております。この要望書はこの17団体のそれぞれの学会の総意として出させていただいたということでございます。
3枚目、この要望書を提出した背景でございますが、これは後でまた守本参考人から御紹介があると思いますけれども、日本耳鼻咽喉科学会の調査によっておたふくかぜによる難聴の疾病負担、これがこれまで過小評価されていたのではないか、この疾病負担は意外と大きいのではないかということが一つです。
それから、おたふくかぜワクチン接種後の副反応として従来から問題となっておりました無菌性髄膜炎ですね。こちらの発生頻度が、どうも最近の調査では低下してきているのではないか。そして、おたふくかぜワクチンの接種対象となる3歳未満、特に1歳代のお子さんでは、ワクチン接種後の無菌性髄膜炎の発症頻度が低いということが報告されているということ、これらの3点を考慮した場合、リスクベネフィットの観点から、おたふくかぜワクチンを早期に定期接種として導入する必要があるのではないかと考えまして、要望書を提出させていただいたということでございます。
6枚目、これはおたふくかぜの耳下腺とか顎下腺が腫れている所見を示しております。
7枚目、これは感染研のホームページから持ってきたものですけれども、流行性耳下腺炎の患者さんの年次推移です。おたふくかぜワクチンの接種率は今、任意接種なので大体30%から40%ぐらいと言われていますけれども、3年から4年ごとで流行が周期的にありまして、これは定点あたりの報告なのですけれども、これから推計すると、大体多い年で135万人ぐらい、少ない年でも43万人ぐらいのおたふくかぜの患者さんがいるのではないかとされています。
8枚目のスライド、こちらが年齢分布ですけれども、大体小児に多くて、6歳未満で60%、10歳未満で90%ぐらいを占めると言われております。
9枚目のスライドですけれども、こちらはおたふくかぜの定点あたりの報告数を年ごとに並べたものですが、おたふくかぜで問題になるのは、一つは不顕性感染が非常に多いということで、これは大体30%から35%ぐらいと言われています。それから、感染経路は接触感染、飛沫感染でうつるのですけれども、合併症として先ほどからも問題になっている難聴と無菌性髄膜炎があります。実際におたふくかぜにかかって無菌性髄膜炎を起こすのは、報告によって違いますけれども、大体1%から10%ぐらいと言われています。
一方、難聴に関しては、以前言われていたよりも多くて、発生頻度は1,000例に1例ぐらい、あるいは500例から600例に1例ぐらいと言われているので、発生頻度としては0.1%から0.25%ということになります。
10枚目は、鹿児島県の徳之島において、流行性耳下腺炎、おたふくかぜの疾病負担を見た成績ですけれども、2015年7月から2016年6月の1年間で調査したところ、島民の約4.7%に当たる1,191例の患者さんがいて、その多くは10歳未満の小児ということで、10歳未満の小児に限ると、人口の3分の1ぐらいが罹患していたということでございます。合併症としては、先ほどから問題になっている髄膜炎が2%ぐらい、12歳以上の患者さんだと思いますが精巣炎が0.7%、難聴は0.17%ということで、600例ぐらいに1例という形になります。
11枚目、こちらはおたふくかぜ含有ワクチン接種後の無菌性髄膜炎に関する報告を並べたものですけれども、すごく大きな問題になったMMRを開始した時点での無菌性髄膜炎の発生頻度というのは大体0.1%から0.2%ぐらいと言われていましたが、その後、単味ワクチンの添付文書では0.04%から0.06%、大体1万人で4人から6人ということになるかと思います。2,000人に1人とか、そのぐらいになるのでしょうね。
それから、最近の国内での前方視的研究、これは牟田先生たちの報告ですけれども、これはおたふくかぜワクチンを打った患者さんをずっとフォローアップしていって、30日以内に無菌性髄膜炎を起こしてこないかどうかを見たもので、大体2万例規模のスタディーになりますが、これで見るとおたふくかぜワクチン接種後の無菌性髄膜炎の発生頻度は3歳未満で0.018%、3歳以上で0.078%ということで、大体3歳未満だと1万人で1.8人ということになります。3歳以上だと1万人で7.8人ということになるわけですね。
ということで、やはり3歳未満ではおたふくかぜワクチンを打った後に無菌性髄膜炎を発症する頻度は少なく見積もられるということになります。
それから、12枚目以降が、本年6月9日に行われました第59回日本臨床ウイルス学会で北里大学の中山先生が発表された成績で、現在、投稿中でございますけれども、それをお借りしてまいりましたが、星野株の入ったおたふくかぜワクチンの接種後の無菌性髄膜炎の発生頻度というものを、これは製造販売後の調査のデータから出してきています。製造販売後調査ということで、報告された事例での調査なので、そういうリミテーションはございますけれども、これを見ていただくと、上が年度ごとの無菌性髄膜炎の頻度、下が3年ごとの無菌性髄膜炎の平均報告頻度ということです。3年ごとにしたのは、おたふくかぜワクチンの有効期間が18カ月ぐらいございますので、ある単年度を引っ張ってくると、前の年のワクチンが使われていたかもしれないし、その年のワクチンは次の年のワクチンに使われている可能性もあるということで、例えば2000年のデータを出すときには1999年と2001年に出荷されたワクチンのドースを足して、それぞれ1999年と2000年と2001年の患者さんをそれで割って、出荷10万ドース当たりの頻度ということで出しています
そういうことで、プロットすると、この上下の図になるのですけれども、やはり経年的におたふくかぜワクチンの接種後の無菌性髄膜炎の出現頻度が減っているのではないかと思われます。かつては0.01%ぐらいで、1万人に1例だったのが、2010年以降では、大体3万人から4万人に1例になり、0.025%から0.003%でしょうか。ということで、以前言われていたよりは少なくなっているのではないかということになります。
13枚目、そのおたふくかぜワクチン接種後の髄膜炎の発症年齢を年齢別に分けていますけれども、こうやってみると年少児のほうが少ないと言われているのに1歳が一番多いではないかと見てとれるのですが、実は実際に接種されている方は60%ぐらいが1歳代ということで、そういうことを加味して推計すると、1歳代では5万3,000接種に1例ぐらい、1歳以上では2万4,500接種に1例ぐらいという計算になりまして、やはり1歳代のお子さんのほうが発生率は少なくなるということになります。
14枚目、無菌性髄膜炎の方が接種後何日ぐらいで来院しているかということですが、黒く塗ったところがワクチン株で、白いところが野生株ということになります。これを見るとおわかりのとおり、接種後2週間後ぐらいを境に起きてくるのはワクチン株によるものが多くて、大体2週間から3週間ぐらいと。それより前に起きてくるのは野生株のものが多いということでございます。
以上、まとめますと、おたふくかぜ含有ワクチンは、一定の頻度で確かに接種後の無菌性髄膜炎を発症する可能性はあるのですけれども、この後、御発表いただくいわゆる難聴を中心として、おたふくかぜの疾病負担というのは非常に大きなものがあるので、ここはワクチンによる予防が是非必要だということになります。ただ、どうしても一定の頻度でワクチン接種後の無菌性髄膜炎が出てくるのは避けられないので、これは頻度が高いワクチンでも低いワクチンでも同じようにありますので、そういうことを考えると、十分なリスクコミュニケーションをとった上で、現行のワクチンも含めて定期接種として導入することをぜひ御検討いただきたいと考えております。もちろん、MMRワクチンの形で接種するのがベストなのですけれども、現在、新しいMMRワクチンの開発は行われていますが、まだ実際に使えるようになるのはもう少し先になると伺っているので、現行の単味のものも含めて定期接種化の議論をしていただければと考えております。
以上でございます。
○脇田委員長 ありがとうございました。
続きまして、資料5-4につきまして、守本参考人から説明をよろしくお願いいたします。
○守本参考人 よろしくお願いします。日本耳鼻咽喉科学会の守本と申します。
私たちは2015年から2016年に流行したムンプスに伴って、ムンプス難聴の患者さんが多く発症しましたので、それについての全国調査を行いました。
たまたま今年になってから、「半分、青い」というNHKのドラマがありまして、それの影響でムンプス難聴の認知度が上がっているのか、問い合わせがふえているのですけれども、それでもこのムンプス難聴を経験したときに、そのことについて一般小児科医の先生方にもお話をしたところ、そもそも両側難聴になるということは知らなかった、片方の難聴になるのだったら、それは髄膜炎になるよりは片方ぐらい難聴になってもいいのではないかというような御意見をいただいたのです。これは本当に誤りだということで、でも、こういうことを私たちが、耳鼻科医にとっては当たり前で、片方の難聴でもあるというのは非常に疾病としては重いものではあるのですけれども、それを私たちが周知しなければいけないということで、このたび調査を行いました。
2ページ目の下になりますけれども、一般的に私たちが知っていることといえば、ムンプス難聴はほとんどは一側性なのですが、両側性のこともあると。両側、急に難聴になった場合には人工内耳を埋め込まなければいけないこともあると。ほとんどが重度難聴であり、治療を行ってもほとんど治らないというイメージがあります。
ムンプス難聴に頻度に関しましては、先ほど岩田先生もおっしゃいましたように1,000人に1人、これは橋本らが近畿圏において20歳以下7,400人のムンプスをコホートに見ていたところ、24人に難聴の疑いがあり、実際に7人が感音難聴であったということで、それから1,000人に1人というような頻度が言われています。ただ、それ以外にも200人から300人に1人という報告や、先ほどの徳之島などは600人に1人の割合でムンプス難聴があるのではないかと考えられています。
3ページ目、下の段ですが、ムンプス難聴の診断基準としては、このようになっていますが、確実例としましては、耳下腺や顎下腺が腫れて、腫脹出現の4日前から腫脹出現後18日以内に発症した急性感音性難聴というのを診断基準としております。それ以外には、臨床的にムンプスは明らかではないけれども、急性高度難聴発症直後からムンプス抗体価が有意に上昇を示した症例というのも診断となっていますが、下記の準確実例、また、参考例としましては、家族にムンプスの罹患があった症例なども診断されることはありますが、今回確実例について調べようということになりました。
4ページ目、上をごらんください。対象と方法ですが、2015年1月1日から2016年の12月31日までに、ムンプス難聴と診断された乳幼児から成人まで、全年齢層について調べることにしました。診断基準は先ほどの確実例になります。1次調査としましては、47地方部会、全ての耳鼻咽喉科標榜医療機関に調査票を送付しまして、期間中にムンプス難聴の患者が受診したかしなかったかを確認しました。受診したと回答した医療機関について、症例についての詳細を調査しました。
4ページ目、下をごらんください。結果としましては、全ての耳鼻咽喉科標榜医療機関5,565施設のうち、44地方部会3,906施設より回答がありましたので、回答率は70%です。これによると、359人のムンプス難聴症例、少なくとも359人いたということがわかりました。これについて症例ごとの調査、目まいとか唾液腺腫脹とか聴力の程度とか、そういったものを調査させていただきまして、その詳細な報告が得られたのが335人でした。
5ページ目、上をごらんください。年齢分布に関してですが、まずこのように3歳ぐらいから15歳ぐらいまでの幼児・学童期と、さらに驚くことに子育て世代の二峰性であることがわかりました。これからわかることは、まず就学、就園のときに罹患する。罹患した子供たちが家に帰るために、子育て世代のお母さんやお父さんにうつして、そこからまたその家族内でゼロ歳児や1歳児の赤ちゃんにもうつしているということがわかりました。
下をごらんください。この335例の特徴になりますけれども、男性、女性に関しては、男女比はありませんでした。結局最終的な罹患児として一側難聴が320例、両側の難聴が15例ありました。合併症状としましては、目まいや耳鳴りなどが40%に認められたのですけれども、ここで主張させていただきたいのは、唾液腺の腫脹が明らかだったのは73.5%でした。要は、26.5%は耳下腺の腫脹がない不顕性感染であることがわかりまして、腫れたわけではないけれども、ムンプス抗体価が上がって、それによって難聴になった患者さんがいたということになります。
6ページ目、上をごらんください。初診時及び最終聴力のどちらも明らかに判明している患者さんのデータが203例ありました。この203例について、初診時聴力と最終聴力を比較しました。左の縦軸が初診時の聴力になります。難聴なしとなっていますが、これは難聴なしといっても、ある1周波数とか2周波数だけが下がっている場合は、平均聴力で言うと難聴なしとなるのですけれども、軽く聴力は下がっていたということになります。初診時にこのような症例だったのが、右の横軸が最終聴力になります。難聴なしから重度難聴まで書いてあります。これによりますと、この黄色のマーカーが入っているものは初診時と最終聴力が変わらなかった症例になります。その黄色のマーカーの左側にあるものに関しては、初診時に比べて最終聴力が幾らかでも改善した症例ということになります。ですから、例えば重度難聴だった症例が高度難聴という感じで、ちょっとだけ改善したというのもこれに含まれますが、それはただ11例だけでした。
それに対して、どんどん悪化して、例えば軽度難聴と思われていたものが最終的に重度難聴になった、そういった症例に関しては54例ありました。ということで、ほとんどの例に関しては治療効果はなし。治療は基本的には突発性難聴に準じてステロイドを治療するのですけれども、ステロイドの治療が明らかだったのは6割ありましたが、それに関しても、ほとんどが治療効果がなかったという結果になりました。
6ページ目、下になりますが、最終聴力ですけれども、結局最終的には一側難聴290人のうち、高度以上の難聴だったものが263例、91%です。また、両側難聴15人のうち、高度以上、要するに、よかったほう、どちらかというといいほうの耳であったとしても、高度以上の難聴だったのが13例という結果になりました。ですから、ほぼ9割方は高度以上の難聴ということになりました。
7ページ目、上をごらんください。どのようにして難聴を補っていくかに関しましては、両側の難聴になった場合には補装具は必須であり、人工内耳または補聴器を使用しているような状況でした。また、この両側の難聴13例と一側の難聴5例に対して、補聴器や人工内耳が行われているのですが、中でも片方、もともと先天性の難聴があった症例が対側がムンプス難聴になってしまったために人工内耳を入れざるを得なくなった症例、または二十ぐらいになって外傷性の中等度難聴を起こしていたのに対側がムンプス難聴になってしまったために補聴器をつけざるを得なくなった症例などかありました。
そのことから、7ページ目、下ですが、小括としましては、少なくとも359人、少なくともというのは、回答がなかったところもありますし、また、常勤がいない施設では回答がなかったので、もっと多かった可能性が高いと思います。また、耳下腺が腫れなかった症例では診断がはっきりしていませんので、ただの突発性難聴として診断された可能性もあります。そこから考えると、症例はもっと多かったのではないかと考えます。また、小児にしか罹患しないイメージがあったかと思いますが、実は小児だけではなく育児世代と働き盛りにも罹患してしまっているというこの状況でした。また、治療の効果もなく、重度の難聴になっているケースがあるということから、非常に疾病としては大きなものになっていると思います。
先ほどお話ししました一般の小児科の先生から、片方が聞こえないだけだったらという御意見だったのですが、8ページ目の上でごらんになっていただきたいのですが、片方が聞こえないだけでも生じる困難としましては、方向感の低下です。どちらから音が聞こえたのかがわからない。ですから、呼びかけられたときに、誰がどこから声をかけたのかがわからないこと。また、無視したと言われるケースもあります。また、明瞭度の低下としましては、がやがやした騒音下での会話が聞き取れないと。教室内での声が聞こえなかったり、ちょっと外で歩いていると何を言っているのかわからないということがあります。
ですから、下のページですが、どのような場面で困るのかというと、ちょっとした学校での教室移動、課外授業など、最初から配慮しておくことが困難な場面とか、集団での会話が厳しいということで、4人以上では会話ができないということもありますし、車を運転していて、バイクがどちら側から来ているのかといったことすらもわからないということもあります。ですから、負担としては大きいと思います。
9ページ目、上になりますが、こういった話をしていると、ムンプスワクチンについてお母様方がいろいろなことをおっしゃるのですが、私の外来でおっしゃったのは、予防接種を受けるよりは普通に罹患したほうが免疫はつきやすいといううわさが立っていると。このために、予防接種をしないで誰かがかかったものをそこに行ってハグしてもらうほうがいいといううわさが立っている。また、15歳以上になってから罹患すると合併症を起こしやすいので、早いうちに普通に罹患したほうがいいと。予防接種が任意なのは、国が推奨していないからだということで、だから、打つ必要がないのだという話になっている。重篤な疾病負担を感じることを考えますと、子供たちの将来がいろいろな意味で制約されてしまうということがありますので、ぜひ、これは予防接種を推進していただく姿勢が大事なのではないかと思っています。
最後ですけれども、10ページ目上ですが、耳鼻咽喉科学会としても、おたふくかぜの予防接種を推奨していこうと考えております。
以上です。ありがとうございました。
○脇田委員長 ありがとうございました。
続きまして、事務局より資料5-5の説明をお願いいたします。
○黒崎室長補佐 事務局より説明いたします。
資料5-5「我が国におけるMMRワクチンの開発状況について」という資料でございます。
現在、開発中のものについては、2社から開発が行われているということがわかっております。ジャパンワクチン株式会社及びGSK株式会社のほうで開発中のものに関しましては、臨床試験の第2相試験が終了し、第3相試験に向けた準備中であるということでございました。
もう一方の化血研及びMSD株式会社での開発のものに関しては、現在医薬品申請を行って、これはもう結構前から申請を行っているところではあるのですけれども、現在も審査継続中であるということでございました。
事務局からは以上でございます。
○脇田委員長 ありがとうございました。
それでは、今回の委員会におきましては、予防接種推進専門協議会、そして、日本耳鼻咽喉科学会からヒアリングを受けるということで、今後それに基づいてまた議論を進めていくということにしたいと考えていますが、きょう御説明を受けたところで、委員の皆様から御意見、御質問等があれば、ここで受けたいと思いますが、いかがでしょうか。
福島委員、お願いします。
○福島委員 守本先生にお尋ねします。どうも詳細な御報告をありがとうございました。
私も難病のほうの研究班でいろいろな全国調査をするのですけれども、今回の調査は70%の回答率ということで、本当に学会を挙げて実施されたすばらしい調査だと思いました。
2点お伺いしたいのですが、対象は耳鼻咽喉科標榜医療機関ということで、クリニックも病院も全て対象にされたということでよろしいですか。
○守本参考人 これは耳鼻咽喉科が少なくとも常勤でいるところは全て対象としています。非常勤でいるところも対象にしているところはあると思うのですけれども、これは各地方部会によって異なっているようですので、北海道などは非常勤のところは調査していなかったということを伺っております。
○福島委員 わかりました。常勤が勤務している医療機関は、クリニック、病院ともに全数調査をされたということですね。
○守本参考人 全数です。
○福島委員 そこで上がってきた2次調査の359人のムンプス難聴症例のうち、重複していると思われる症例はありましたか。すなわち、クリニックで最初に診断されて病院に行くなど、重なっている症例も少なからずあるかなとは考えるのですけれども。
○守本参考人 それは可能性があると思いましたので、一回地方部会に集めて、地方部会ではじいていただくところもありました。ただ、それ以外に私のほうで見て、これは確実に重なっているなというものがありましたので、それは除去しました。
○福島委員 除外して359人ということでございますか。
○守本参考人 そうなのです。
○福島委員 わかりました。
○脇田委員長 ありがとうございます。
そのほか、いかがでしょうか。
菅沼委員、お願いします。
○菅沼委員 岩田先生に質問なのですけれども、中山先生から出されているデータの御提示があったのですが、この中で無菌性髄膜炎は減っているということで。
○岩田参考人 頻度としては減っていると。
○菅沼委員 トレンドとして減っていると。これに関しての考察というか、これからも下がるのか、このトレンドが維持されていくのか、コントロールできているものなのか、できないものなのか、そこら辺の考察等がありましたら。副作用について一番関心が高くなるところなので、そういうものであればと。
○岩田参考人 ありがとうございます。
なかなかそこのところの説明は難しいところなのですけれども、ワクチン自体はもちろんロットは違うにしても、基本的には同じワクチンが使われているということで、ワクチンは多分変わっていないと思うのです。そうすると、何で減っているのかということになると思うのですけれども、一つは、これはあくまでスペキュレーションなのですが、おたふくかぜワクチンを接種するのに、最近は同時接種も進んできて、大体おたふくかぜのワクチンを接種する場合、小児科医はMRワクチンと一緒に接種している場合が多いので、そうすると、必然的に1歳代で接種することが非常に多いと思うのです。大体6割以上は1歳代ぐらいだと思うのですけれども、そういった形で年齢が低いほうが無菌性髄膜炎の発生率は低いわけなので、実際に接種する年齢が少し低いほうにシフトしてきているためではないかというのが一つのスペキュレーションです。ただ、これはなかなか分母がどのぐらいになっているのかを見つけるのは難しいので、昔がどのくらいの年齢でやられていたのかというのはなかなかわからないものですから、比較するデータがないので難しいのですけれども、スペキュレーションとしてはそのようなことが考えられるかと思います。
○脇田委員長 ありがとうございました。
なかなか議論が尽きないところではあるのですけれども、少し時間も超過していますので、ここできょう御発表いただきました内容と御意見を事務局で取りまとめさせていただきまして、次回の委員会の議題とさせていただきますということにさせていただきますが、よろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○脇田委員長 ありがとうございました。
それでは、少し時間が過ぎていますけれども、最後の議題に進みたいと思います。審議事項6「沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチンについて」です。
こちらは資料6について、事務局から説明をお願いいたします。
○黒崎室長補佐 事務局より説明させていただきます。資料6及び参考資料21を適宜御参照いただきながら、御審議いただければと考えてございます。
百日せきに関しましては、平成28年の6月に百日せきワクチンのファクトシートを作成することとなりまして、29年の2月にファクトシートが報告されておるところでございます。前回の平成30年5月のワクチン評価に関する小委員会におきまして、きょうお越しいただいている神谷参考人より、2018年、第1週から第16週にかけての百日せき感染症の発生動向について御発表いただいたところでございます。
後ろをめくっていただきまして、その前回の委員会における主要な意見としましては、非常に重要なデータが得られたものと評価したいという御意見でありましたし、重症例、死亡例、入院例などの感染源についても重要な情報があるのではないかという御意見があったところでございます。
また、ここには書いてございませんけれども、まだもう少しサーベイランスのデータが定着してくるというところまで時間が必要なのではないかという御意見もいただいたところでございます。
それを受けまして、今回の論点として2つ御用意させていただいております。
まず1つ目としましては、前回の報告のあった発生動向について、現行の百日せきワクチンの有効性及びその持続性との観点から、どのように評価できるのかということ。
2点目といたしましては、百日せき感染症の発生動向につきましては、今後も感染症法に基づく届け出により把握していくこととなりますが、百日せきワクチンの追加接種の必要性について議論するに当たり、どの程度データを蓄積していくことが必要なのかという2点について御議論いただければと思います。
事務局からは以上でございます。
○脇田委員長 ありがとうございます。
それでは、委員の皆様から御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
前回いただいたデータは16週目までということですから、約4カ月分のデータをお示ししていただきましたが、季節的な変動等もあるということですので、もう少しデータの蓄積が必要ではないかというような意見があったと記憶しています。
岡田参考人、お願いします。
○岡田参考人 前回の委員会で、神谷先生から9歳がピークであるということが報告されました。現在の2期接種は、11歳から13歳で百日せきワクチンが入っていないDTです。9歳が百日せきの患者さんのピークであるということに関しては、現時点では百日せきに対しては何も施策として打てないということになります。9歳前に2期接種として百日せきワクチンを入れる必要はあると思います。就学前を含めた形で2期接種の年齢を検討いただければと思います。
○脇田委員長 ありがとうございます。
ただいまの岡田参考人の御意見は、就学前に百日せきの2期として行うということですね。
○岡田参考人 そうです。今の11歳から13歳の2期が、百日せきが入っていないDTですので。
○脇田委員長 その前にですね。
○岡田参考人 そうです。前回提案しようと思っていました案です。2期の年齢を5歳から13歳未満にして、標準的には就学前に百日せきとポリオの2期接種を御検討いただければと思います。
○脇田委員長 承知しました。DTの2期に合わせるのではなくてという意味ですね。
そのほか、いかがでしょうか。
金川委員、お願いします。
○金川委員 仕事の関係上、海外に出られる方にキャッチアップでうつるということがすごく多いことがあって、小学生ぐらいでどうやって打とうかと悩んだときに、任意ですので、4種を打つようにと、割と就学前の人でもキャッチアップとしては4種を打つということをやっているのです。それで特に問題があるかということではないですが、定期としてやる場合にどうなるかということになるとは思うのですが、一応ポリオも1回追加したほうがいいということを言われていますし、百日せきも就学前に打ったほうがいいということで考えると、4種を含めて考えていただいたほうがいいのかなとは思います。
○脇田委員長 ありがとうございます。
先ほど不活化ポリオの追加接種のところでもありましたけれども、それもあわせて、百日せきとあわせて4種混合で追加接種をする時期を考えていけばいいのではないかといった御意見かと思います。
岡田参考人、お願いします。
○岡田参考人 済みません。4種混合は5回目の接種が添付文書上、できません。5回目の接種ができるのは3種混合と単抗原の不活化ポリオワクチンだけです。就学前に4種混合と言われたときには、使えないワクチンを今から議論しないといけなくなります。
○脇田委員長 そうすると、臨床試験が必要になってしまうと。
○岡田参考人 そう思います。4種混合の5回目は臨床試験が求められると思います。5回目のワクチンの整理をお願いします。
○金川委員 今、キャッチアップということで5回目にはならない人に勧めているので、5回目には抵触していないのですけれども、治験をやらないといけないとなると壁が大きいのかなと思いますが、2つ別々に打つというのはあるのかもしれないですね。
○脇田委員長 その点も整理をして議論を進めていきたいと思います。
それでは、さらなる御意見がなければ、きょう、いただきました御意見をまとめさせていただきまして、やはりもう少しサーベイランスのデータは見させていただくということで、大体1年程度発生動向を見る必要があろうと考えておりますので、そのようにさせていただきたいということでよろしいでしょうか。
多屋先生、ありますか。
○多屋委員 もう既に1,000人規模のデータが集まっていますので、1年を待っていなくてもいいのではないかと思っていまして、今月既に生後1カ月の赤ちゃんが百日せきで亡くなっていることもあるので、余り1年は待てないかなという印象を持っております。
○脇田委員長 わかりました。では、もう少し考えて、半年からという形でまとめさせていただきたいと思います。
お願いします。
○金川委員 先ほどからキャッチアップとかということでやっているのですが、定期接種でやる場合、100万とか、ドースがかなり固定されていて、足りなくなるという事態がたびたび麻しんなども起こって大変だと。ここで検討するのがどうかというところなのですが、現場でよく困るのが、供給体制が十分安定供給できるかどうかというのがいつも毎年のように問題になるので、ワクチンがいいか悪いかということに加えて、供給体制を安定するにはどうするかということも考えていただいたほうがいいのかなというのが意見としてあるのです。
○脇田委員長 わかりました。御意見として伺っておくということにしたいと思います。ありがとうございました。
それでは、よろしければ、必要なデータに関して結果がまとまったところで、今の百日せきのワクチンについては再度検討させていただくということにさせていただきます。
それでは、少し時間が過ぎておりますけれども、以上で本日の議事は終了したいと思います。
そのほか、事務局から何かございますでしょうか。
○黒崎室長補佐 念のため確認させていただきますが、肺炎球菌感染症(高齢者がかかるものに限る)に関しましては、次回、今回の議論を確認するための資料を提出させていただきたいと考えてございます。
また、次回の開催につきましては、追って御連絡させていただきます。
事務局からは以上でございます。
○脇田委員長 ありがとうございました。
それでは、本日の第9回ワクチン評価に関する小委員会を終了させていただきます。本日も活発な御議論をいただきまして、ありがとうございました。

 

 

 

(了)

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