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2018年5月17日 第8回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会 議事録

健康局健康課

○日時

平成30年5月17日(木)14:00~16:00

 

○場所

中央労働委員会会館 講堂(7階)

○議事

 

 

○黒崎室長補佐 定刻になりましたので、ただ今から「第8回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会ワクチン評価に関する小委員会」を開催いたします。本日は、御多忙のところ御出席をいただき、誠にありがとうございます。

 本日の議事は公開ですが、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきます。プレス関係者の方々におかれましては御理解と御協力をお願いいたします。また、傍聴の方は「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。

 続きまして、委員の出欠状況について御報告いたします。金川委員から御欠席の連絡を受けております。現在、委員8名のうち7名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会の規定により、本日の会議は成立したことを御報告いたします。

 本日は、参考人として6名の方に御出席をいただいております。まずファクトシート作成の関係で、国立感染症研究所感染症疫学センター長、大石和徳参考人です。続きまして、予防接種推進専門協議会からの御推薦で、福岡看護大学基礎・基礎看護分野 基礎・専門基礎分野教授の岡田賢司参考人です。乾燥組換え帯状疱疹ワクチンに関する報告事項の関係で、ジャパンワクチン株式会社臨床開発部門メディカルアフェアーズグループ グループ長の小川正之参考人です。続きまして、百日せきサーベイランスに関する報告事項の関係で、国立感染症研究所感染症疫学センター主任研究官、神谷元参考人です。続きまして、国立感染症研究所細菌第二部部長の柴山恵吾参考人です。国立感染症研究所細菌第二部室長、蒲地一成参考人です。

 申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきます。御協力をお願いいたします。

 議事に先立ち、配布資料の確認をさせていただきます。ここで傍聴者の皆様の資料に訂正がございます。配布資料一覧におきまして、参考資料7をニューモバックスNP添付文書に御修正いただき、以降、参考資料番号を一つずつ送り合わせいただきますようお願い申し上げます。

 配布資料につきましては議事次第、配布資料一覧、委員名簿、座席表、資料16、参考資料19、各委員からの審議参加に関する遵守事項の申告書を御用意しております。配布資料一覧を御確認いただき、不足の資料等がございましたら事務局にお申し出ください。

 ここからの進行は脇田委員長にお願いいたします。

○脇田委員長 ありがとうございます。皆様、本日はお暑い中を御出席いただきましてありがとうございます。国立感染症研究所の脇田です、本日はよろしくお願いいたします。

 まず、事務局から審議参加に関する遵守事項等について報告をお願いいたします。

○黒崎室長補佐 審議参加の取扱いについて御報告いたします。本日、御出席いただきました委員及び参考人から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄付金等の受取状況、申請資料への関与について申告をいただきました。各委員、参考人からの申告内容については、机上に配布しておりますので御確認いただければと思います。

 本日の審議事項は、乾燥弱毒生おたふくかぜワクチン(北里第一三共ワクチン株式会社、武田薬品工業株式会社)、不活化ポリオワクチン(サノフィ株式会社)、沈降精製百日ぜきジフテリア破傷風不活化ポリオ混合ワクチン(化学及血清療法研究所、アステラス製薬株式会社、阪大微生物病研究会、田辺三菱製薬株式会社、北里第一三共ワクチン株式会社、第一三共株式会社、ジャパンワクチン株式会社、サノフィ株式会社)、沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン(ファイザー株式会社)、経口弱毒生ヒトロタウイルスワクチン(グラクソスミスクライン株式会社、第一三共株式会社、ジャパンワクチン株式会社)5価経口弱毒生ロタウイルスワクチン(MSD株式会社)、乾燥弱毒生水痘ワクチン(阪大微生物病研究会、田辺三菱製薬株式会社)、沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン(阪大微生物病研究会、田辺三菱製薬株式会社)、肺炎球菌ワクチン(MSD株式会社)を予定しております。

 本日の出席委員の申し出状況及び本日の議事内容から、今回の審議への不参加委員及び参考人はおりませんことを御報告いたします。事務局からの報告は以上です。

○脇田委員長 ありがとうございます、それでは議事に入ってまいります。今日は少し変則的に議事を進めさせていただきます。まず報告事項(1)から進め、そのあと審議事項(1)(2)(3)とまいりまして、そのあとまた報告事項(2)(3)と進めてまいりたいと思います。まず報告事項(1)、事務局から説明をよろしくお願いいたします。

○黒崎室長補佐 資料1-1をお手元に御用意ください。予防接種の費用対効果に関する研究ガイドラインについてという資料です。今回の経緯について簡単に御説明を申し上げます。平成235月、厚生労働科学研究において費用対効果評価の標準的指針が策定されております。平成2712月、第2回の小委員会におきまして、高齢者を対象とした肺炎球菌感染症の予防に対し、PCV13を導入することの是非について議論された際、費用対効果の標準的な指針の必要性について提言をいただいたところから、平成274月、厚生労働科学研究におきまして「予防接種の費用対効果の評価に関する研究」が開始され、平成293月にガイドラインとしてまとまったものでございます。

 今回、改定されたガイドラインについて池田委員から御報告をいただきたいと考えております。事務局からは以上です。

○脇田委員長 ありがとうございます。それでは、池田委員におまとめいただきましたので資料1-2及び1-3について説明をしていただければと思います。よろしくお願いします。

○池田委員 池田です。今回、予防接種の費用対効果に関する研究ガイドラインを研究班でまとめさせていただきましたので、簡単にその概要を御紹介させていただきたいと思います。実際のガイドラインは資料1-3ですが、時間の関係で前回、厚生労働科学研究の廣田班で作成いたしました基本的な指針との違いを中心に説明をさせていただきます。

 実は現在、既に中医協において薬剤あるいは医療機器の一部につきまして、価格改定の際、費用対効果評価のデータを参考に、特に高額薬剤の価格の引下げなどの際に参考にしておりまして、そちらで既にガイドラインが報告されております。一つ目のポイントとしては、中医協のガイドラインとできるだけ整合を取ろうということで、中医協ガイドラインの作成に関わった研究者とも連携しながら修正を行ったということです。

 具体的には資料1-2に書いておりますように、中医協のガイドラインでは高額薬剤等の医療財源への影響ということを見ることが主な目的となっておりますので、公的医療の立場で分析することを基本としております。すなわち、いわゆる保険診療で発生する医療費を中心に推計をしていくわけです。ワクチンの場合、それによって例えばある病気、ワクチンに関連する病気によって介護が必要になったという場合には社会的な負担も生じるわけです。更には子供が病気になって、親がそれを看病したという場合にも仕事を休むなどの社会的コストが発生しますので、必要に応じて公的医療介護の立場や社会の立場の分析を行っていいということで分析の立場をまとめております。廣田班のときのガイドラインでは、小児の場合と大人の場合で若干分析の立場を変えていたのですが、ちょっとそれも解釈がしづらいという御意見もありましたのでここでは大人の場合も子供の場合も同様の立場でということを基本としております。

 二つ目ですが、分析の手法です。実は費用効用分析や費用便益分析などいろいろな呼ばれ方のものがあるのですが、分析手法は中医協のガイドラインと同様、費用効果分析を用いることを原則としております。ワクチン等の接種の費用、それによって防げる病気の医療費がどれだけ減るかなどといったものを費用として算出してまいります。

 一方、効果のほうは、質調整生存年(QALY)という単位を用いることを基本としております。以前の廣田班のときには、子供のQOLを測ることが技術的に困難なところもございましたので、実は子供の場合にはこのような分析手法を基本としていなかったのですが、最近、小児のQOLの調査といったものの尺度も開発されてきておりますので、今回は費用効果分析を大人も子供も共通に用いることとし、効果指標は質調整生存年、対象者のQOLの改善、あるいは生命の延長、両方をとらえる釈度を用いることに統一をしております。

 三つ目、これはちょっと専門的な話になりますけれども、将来発生する費用や将来得られる効果を現在価値に割り引くということが費用効果分析では一般的に行われております。従来は年率3%がよく使われていたのですが、昨今の経済情勢などを踏まえ、中医協のガイドラインでは年率2%と定めております。今回の予防接種のの研究におきましても、年率2%を基本として分析するという形に改定しております。

 最後、社会の立場で分析する場合の生産性損失、つまり患者さん自身が仕事に行けなくなったり、あるいは早く亡くなってしまったりという、社会にとっての生産性の損失をどのように推計するかということでございます。この方法も、前提条件の置き方によって結果に大きな影響を与えるところですので、何らかの統一的な手法を定めたほうがいいだろうということです。

 特に、子供のワクチンの場合には、子供が病気になったとき、家族の方の看病のために仕事を休むコストが非常に大きく関わってまいります。廣田班のときには過大評価を避けるため、女性の賃金を使うということで当時はコンセンサスを得られたのですが、今どき、女性だけが子供を看病をするという時代でもございません。そういったことも含め全産業、全年齢、全性別の平均、あるいは全産業、全性別の年齢階級別の平均といった賃金を用いて推計をするという形に改めております。詳細は資料1-3を御覧ください、以上です。

○脇田委員長 御説明、ありがとうございました。ただ今の御報告に関し、御質問や御意見等ございましたらお願いいたします。このガイドラインに沿いまして、現在作成していますファクトシートでも費用対効果の部分はガイドラインに沿って検討していることになります。よろしいですか。大石参考人、お願いします。

○大石参考人 今回、このような予防接種の費用対効果についてガイドラインをまとめていただいたことは、大変よかったと思います。

 このガイドラインの評価項目というのはワクチン、対象疾患によってもガイドライン適用が変わってくるのかどうなのでしょうか。一般的なことはまとめられたと思うのですが、ある対象疾患/ワクチンに対しては重み付けといいますか、既にハイランクに費用対効果が位置づけられるのかどうか。そこは少し整理していただくのがいいのかなと思います。

 例えば、過去の事例でヒブ感染症・ヒブワクチンについては、疾患がほとんど侵襲性感染症に限られるため、費用対効果が認められなかったということがあったと思います。必ずしも費用対効果だけがワクチン評価の基準ということではないのだろうと思ったのですが、そこはいかがでしょうか。

○脇田委員長 今の御質問は計算というか、費用対効果の評価においてワクチン疾患別において重みが違うのかということか、それとも疾患において費用対効果の重みが違うのかのどちらでしょうか。

○大石参考人 ワクチンの疾患あるいはワクチン評価の中で、費用対効果の重み付けが違うのではないのかと考えております。

○脇田委員長 池田委員、どうでしょうか。

○池田委員 御質問、ありがとうございます。まず結果の解釈の点、例えば小児を対象としたワクチンであるとか、あるいは非常に重篤な障害を残すようなものに対するワクチンなど、そういったワクチンの種類やもともとの疾患の重篤度によって数字そのものの計算は同じガイドラインの方法で行うべきと思いますが、得られた結果の解釈についてはその数値で一つの値を超えたらもう駄目ということではなく、そこは幅を持って解釈をしていくということが必要だと思います。

 もう一点、仮に費用対効果が悪いといっても、その他の点で総合的な判断の中でこのワクチンは重要だから優先的に導入ということはあり得るわけです。例えば、イギリスはかなり費用対効果の計算を厳格に政策に適用している国ではありますが、そのイギリスでさえ費用対効果は悪いという結果ですけれども、総合判断の上でこれを推奨という結論も得られていると聞いています。そのような結果の解釈の問題と最終的な総合評価のところはケース・バイ・ケースということになろうかと思います。

○脇田委員長 ありがとうございます。計算の方法はこのガイドラインに基づいて同じようにやるけれども、結果の評価に関しては疾患あるいはワクチンにおいて重み付けが変わってくるかもしれないという説明だったかと思います。ほかにいかがでしょうか、どうもありがとうございました。それでは、これで報告事項(1)を終わり審議事項に入っていきたいと思います。まず議題(1)、定期接種化を検討しているワクチンに関する今後の検討の進め方についてです。事務局から資料2、こちらの説明をお願いいたします。

○黒崎室長補佐 資料2をお手元に御用意ください、定期接種化を検討しているワクチンに関する検討状況及び今後の検討の進め方という資料です。

 これまでの経緯ですが、昨年10月、第12回予防接種・ワクチン分科会におきまして、これまで懸案事項に挙がっていたワクチンがどのような検討状況であるかを明らかにしてほしいという委員からの御要望を受け、昨年12月の第20回予防接種・ワクチン分科会基本方針部会及び今年1月、第13回予防接種・ワクチン分科会においても整理表を提示したところです。

 今回の小委員会におきましては、参考資料2に示したワクチンにつきまして計画的に検討を進めることが必要となっていますものですから、事務局において小委員会委員長と御相談し、小委員会における当面の検討の進め方を策定させていただいたところです。この当面の検討の進め方に沿って、今後小委員会において御議論いただきたいと考えております。

 次のページは資料2の別添です。こちらが先ほど参考資料2として現在の審議状況を書いたもの、その右側の欄に当面の検討の進め方というものを追加して記載したものでございます。おたふくかぜについては次、審議事項(2)で触れさせていただきますのでここでは割愛させていただきます。

 2番目の不活化ポリオワクチン、3番目の沈降13価肺炎球菌結合型ワクチン、ロタウイルスワクチン、帯状疱疹ワクチン、この4ワクチンに関してはそれぞれの研究班、厚労科研及びAMEDにおける研究の研究班の報告が平成29年度で一つ区切りを迎えるということもありますので、5月末に報告書がまとまるところを待ちまして、次回の小委員会においてその研究結果について御報告いただいた上で検討を進めてまいりたいと考えております。

 一番下、沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチンに関してですが、本日、国立感染症研究所感染症疫学センターより本年1月から開始した感染症法に基づく全数報告の発生状況について御報告をいただきますので、その内容を踏まえ、次回の小委員会において御検討いただきたいと考えております。資料2の説明は以上です。

○脇田委員長 ありがとうございました。ただ今の説明につきまして御意見、あるいは御質問等いただければと思いますがいかがでしょうか。今日、データの報告がありますが、今後いろいろ議論を進めていかなければいけないということですが、今回の委員会の時点ではとりあえずこういう状況になっておりますということです。研究の報告が取りまとまり次第、また次回の委員会で議論を深めていきたいと考えておりますが今の時点で何かございませんか、よろしいですか。もし、後ほどございましたらお願いするとして、それでは当面の進め方につきましては資料2の別添のとおり、右側のとおり、今説明がありましたとおり進めさせていただくという方針にさせていただきたいと思います。よろしいですか。

(異議なし)

○脇田委員長 ありがとうございます。それでは、今後の小委員会においてそれぞれのワクチンについて議論を進めるということ、特に不活化ポリオワクチン、成人用13価肺炎球菌結合型ワクチン、ロタウイルスワクチン、帯状疱疹ワクチン、DTPワクチンについては次回の小委員会で議論を進めていくことにしたいと存じます。たくさん議論をさせていただくことになりますがどうぞよろしくお願いいたします、ありがとうございました。

 次に進めさせていただきます。審議事項(2)、おたふくかぜワクチンについてです。事務局から資料3について説明をお願いいたします。

○黒崎室長補佐 資料3-1をお手元に御用意ください、おたふくかぜワクチンについてという資料です。これまでのおたふくかぜワクチンに関する経緯をそこでまとめさせていただいておりますので、簡単に御説明申し上げます。

 まず、平成22年に国立感染症研究所により、おたふくかぜに関するファクトシートが作成され、その翌年、おたふくかぜワクチン作業チーム報告書が報告されたところです。平成245月、予防接種に関する第二次提言の中で広く接種を促進していくことが望ましいワクチンの一つに指定されております。

 平成257月、第3回予防接種基本方針部会におきまして、仮に広く接種をするに当たってはより高い安全性が期待できるワクチンの承認が前提であり、新たなMMRワクチンの開発が望まれるというように整理されております。

 平成2510月には、研究開発及び生産流通部会におきまして、「MRワクチンを含む混合ワクチン」が開発優先度の高いワクチンの一つに定められております。

 平成287月、第12回研究開発及び生産・流通部会において、MMRワクチンなど、開発優先度の高いワクチンに関するヒアリング状況を報告しております。

 昨年9月には、日本耳鼻咽喉科学会よりムンプス難聴に関する全国調査の結果が公表され、それを受けまして12月の予防接種・ワクチン分科会基本方針部会においてこの調査結果について御報告しております。こちらの資料に関しては、資料3-2にプレスリリースの全文を掲載させていただいております。

 本年5月、予防接種推進専門協議会から「おたふくかぜワクチンの定期接種化に関する要望書」が提出されました。この要望書の全文についても資料3-3に掲載されておりますのでそちらを御覧いただければと思います。

 資料3-1にお戻りいただき裏面を御覧ください、今後の進め方です。本日の小委員会での議論も踏まえつつ、次回の本小委員会において、予防接種推進専門協議会及び日本耳鼻咽喉科学会よりヒアリングを行うこととしてはいかがかと考えております。また、2番目として、現在3種混合、MMRワクチンを開発しているメーカーに対し、事務局からヒアリングを行った上で公表可能な情報の整理を行い、この小委員会に御報告するということにしてはいかがかと考えてございます。事務局からは以上です。

○脇田委員長 ありがとうございます。ただ今の説明につきまして、御意見、御質問等お願いしたいと思います。いかがでしょうか。おたふくかぜワクチンにつきましては、耳鼻咽喉科学会から調査結果が出ております。それから、予防接種推進専門協議会から要望書も出ているということですので、次回の小委員会でヒアリングをさせていただいて、その内容について理解を深め議論を進める。重要なことは、平成25年の時点で新たなMMRワクチンの開発が望まれるという結論になっておりますので、その点について進捗状況を我々が知り得る範囲で、公表可能な情報を整理していただくということで進めていきたいというのが今後の進め方ということになっております。よろしいでしょうか、何か御質問や御意見はよろしいですか。

(異議なし)

○脇田委員長 それでは、こちらも資料3-1の裏側、今後の進め方にあるとおり議論を進めていくということにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

 議題(3)に移らせていただきます。議題(3)、肺炎球菌ワクチンについてです。この肺炎球菌ワクチンにつきましては、前回の本小委員会において、肺炎球菌ワクチンの接種対象者を議論するに当たり、ファクトシートを作成いただき、検討することとされておりました。今回、感染研でファクトシートを作成していただきました大石参考人から、23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチンファクトシートの概要について御説明をいただきたいと存じます。まず、事務局から資料4について説明をお願いいたします。

○黒崎室長補佐 資料4-1をお手元に御準備ください、肺炎球菌感染症(高齢者がかかるものに限る)の接種対象者についてという資料です。肺炎球菌ワクチンに関する経緯をこちらにまとめさせていただいております。

 高齢者の肺炎球菌感染症に関しましては、平成2610月より、定期予防接種のB類疾病に追加されて定期接種が行われているところです。

 昨年9月の予防接種基本方針部会におきまして、平成31年度以降の定期接種対象者について議論するに当たり、今、委員長からもございましたが、技術的な観点から小委員会で検討を行うこと、ファクトシートを作成いただくことが了承されております。また、13価結合型ワクチンについても、ある程度内容を含めるべきという委員からの御意見もございましたところから、国立感染症研究所とも内容を相談していくこととしております。本年5月、国立感染症研究所によってファクトシートが作成されております。

 次のページ、平成26年度以降の接種率をそこに数字で示しています。現在は65歳相当の者に加え、5年ごとの経過措置を行っているところであり、70歳、75歳、80歳、85歳というように5年刻みでゲートを設け定期接種を受けていただいているところです。それぞれの年齢相当の部分に関する接種率と接種者数を、平成26年度から平成28年度の分まで実数で示しています。その下の棒グラフに関しては、接種者数の推移として平成29年度と平成30年度の分を推計値として載せて、視覚的に接種者数と未接種者数の割合を示したものです。

 自治体アンケートの結果については、資料4-3を御覧いただきたいと思います。資料4-31ページ目の下ですが、PPSV23に関し、全国1,741の自治体にアンケートをお送りさせていただき、1,737の自治体より回答を得ております。結果の概要ですが、予防接種台帳につきましては、1,666(95.9)の自治体で作成されており、その多くが、肺炎球菌ワクチンが定期接種化された2014年から作成されていたことが分かっております。予防接種台帳の保存年限については、約半数の自治体で設定されており、そのうちの84.8%が5年という設定をされておりました。予防接種記録を作成している自治体のうち、その96.9%が電子化されておりました。電子化された記録の保存年限については、79.3%の自治体で設定されておらず、「設定している」と答えた20.5%の自治体において、その約6割は5年と設定されておりました。

 任意接種につきましては、自治体が接種者数を把握しているのは36.4%の自治体にとどまっておりますが、その多くが、定期接種化される前に自治体で費用補助を行っていた場合でございました。任意接種の記録についても、接種記録を残している自治体においては、その多くを電子化し、その61.3%の自治体は保存年限を設定していない状況でしたが、残りの38.7%の自治体は保存年限を設定しており、その多くが5年でした。転入に伴う接種歴の確認を行っていない自治体は、90.9%でした。

 資料4-1にお戻りください。資料4-13ページ目、今回、肺炎球菌ワクチンのことに関し、これから大石先生にファクトシートの御説明をいただきますが、その前に論点として二つほど示させていただきたいと思います。1番目といたしまして、肺炎球菌感染症に対して、審議会で検討の上、すみません、「2016年」とありますが「2014年」の間違いでございます。2014年より23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチンの1回接種を定期接種に位置づけたところですが、それ以降出された新たなエビデンスも含め、ファクトシートのほうで整理をいただいております。定期接種の再評価という観点から改めて、有効性、安全性、医療経済学的評価に関し、どのようなことが言えるのか御議論いただければと思います。

 2番目として、平成265月の第9回予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会におきまして、「平成31年度以降の接種対象者については、経過措置対象者の接種状況や接種記録の保管体制の状況等を踏まえ、改めて検討する」とされてございますが、今後の接種対象者について、どのように考えるかという点につきまして、御議論いただければと思います。事務局からは以上です。

○脇田委員長 ありがとうございました。それでは、ただいまの検討事項についての御説明もありましたけれども、その点も踏まえまして大石参考人のほうから資料4-223価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチンのファクトシートについて、御説明を頂きたいと思います。よろしくお願いします。

○大石参考人 了解いたしました。今回この23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン(以下PPSV23)のファクトシートは、平成233月以来のアップデートになります。これの取りまとめに関しましては、34ページにあります執筆担当者として、国立感染症研究所の疫学センター、そして細菌第一部、そして医療経済学的な解析につきましては、今日の委員で出席されております池田先生、それ以外に赤沢先生、五十嵐先生、こういった方々に御協力いただいております。

 1ページ、2ページにはファクトシートの要約をしております。これは最後にもう1回振り返ってみたいと思います。

 4ページに目次がありまして、こういった内容で記載をしております。56ページについては説明いたしますが、ここは基本的な肺炎球菌感染の疾患について記載しているところでありますので、平成27年に発出したPCV13の内容と、そう大きくは変わっておりません。この肺炎球菌ワクチン導入の経緯について、6ページの下のほうから記載しておりますけれども、次のページになりまして、2014年に定期接種になったということが記載されています。ここにあるのは調査結果で、平均の接種率が2016年時点で40%であるということが示されています。

 次に、国内の疫学状況について、7ページ、8ページに記載しています。最初に疫学状況を説明する前に、肺炎球菌結合型ワクチンPCV7及びPCV13、この直接効果と間接効果について説明をさせていただきたいと思います。これにつきましては海外の状況で、PCV7が小児で導入された後に、小児の侵襲性肺炎球菌感染症(以下、IPD)、これがグッと減少してきたということがここで記載されておりますけれども、小児の侵襲性感染症が減少しただけではなくて、大人の侵襲性感染症も減少してきたということで、未接種の高齢者の病気が減ってきたということがありました。こういう小児のPCV7導入による間接的な集団免疫効果というものが、成人においても重要なファクターであるということがあると思います。

 その後、イギリスでの状況について、最近の論文が記載されているのですが、PCV13が導入されて約10年経過した中で、大人のIPD、侵襲性感染症の中でも、非PCV13ワクチン血清型によるIPD罹患率がかなり増えてきています。そして結果として、実際にPCV13でワクチン血清型のIPDが減少する以上に、この非ワクチン型のIPDのほうが大きくなって、ワクチンの有益性が損なわれているというような記載もあります。

 IPDPCV7PCV13IPDが減少するメカニズムの基本的な効果に関わっているのは、どうも直接PCV7を接種した小児の鼻咽頭保菌が減少するという現象が大事なようでありまして、これが実際の疾患の減少ということにも強く関連していると。そして、この注射ワクチンであるPCV7あるいはPCV13の接種では血中には特異IgGしか上がらないのですが、こうやって保菌を減少させるメカニズムとして、最近このIgG抗体が菌を凝集して、このクリアランスをするというメカニズムが明確になってきています。

 次の8ページには、我が国の状況を示しています。我が国では201011月からPCV7が導入されて、小児のワクチン血清型のIPD98%が減少しましたが、やはり小児でも7価以外の血清型のIPDが増加し、血清型置換が明らかになっております。また、2013年から実施した厚生労働省の研究班で行っている成人のIPDサーベイランスの中でも、英国と同じようにPCV7による血清型のIPDが減少しておりまして、こういう成人IPDの原因菌のPCV13ワクチン血清型の割合が、以前の20062007年のもので61%あったものが、現在では46%まで減少したということが示され、ここでも小児のPCV7導入による間接効果が明らかになっています。

 次に、国内の疫学として、20134月から実施しているIPDの感染症発生動向調査の結果を示しています。次のページにその報告数と10万人単位の報告数を年代別で記載しているところであります。ここにあるように発生動向調査は少しずつ、報告数が1,000から、2017年は3,000までずっと増加していますけれども、少しずつサーベイランスの精度が上がってきています。最初はアンダーレポートであったものが改善してきていると考えられます。罹患率と考えられる、この10万単位当たりの報告数は、1歳未満が高くて、そしてまた65歳以上で少しずつ増加していくという傾向が見られています。

 次に9ページでは、国内の成人IPDと肺炎球菌性肺炎の原因菌の血清型分布について示しています。こちらは生方先生方の論文も引用させていただいておりますけれども、現在継続している厚生労働省の班会議で行っている成人のIPDサーベイランスのデータを図2で示しています。図2には血清型の分布をお示ししておりまして、ここで分かりますようにPCV7の血清型のものが以前と比べてグッと減少しておりまして、それ以外の血清型3とか19Aとか12Fとか、こういったものが高いレベルにあるということが示されていると思います。

 また、2016年、2017年には血清型12Fが急増しまして、現在は最も高い分離率になっているということであります。また2017年にはPCV13ワクチン血清型が以前と比較して61%から31%に低下しておりますし、PPSV23のワクチン血清型は、以前の85%から67%に減少している状況があるということを記載しております。結果的には非PCV13血清型によるIPDの割合が、39%から63%に増加しているということであります。

 次に10ページでは、肺炎の血清型分布について示しています。幾つかの文献を引いているのですけれども、同一研究グループによって実施されている国内複数の医療機関において市中発症肺炎、これはいわゆる市中肺炎と医療ケア関連肺炎です。施設入所等の対象者の肺炎を指しておりますけれども、こういったものが2011年から2013年の期間と、そしてまた2016年、2017年の期間に実施されています。

 後半の調査はAMEDの研究班で行っているものであります。この同一の研究グループの報告におきましては、この2つの期間の中で肺炎球菌性肺炎の原因菌の血清型、PCV13ワクチン血清型の割合は54%から32%に減少し、PPSV23ワクチン型のものは67%から49%に減少しているという状況があります。少しずつ小児のPCV13の導入のインダイレクトエフェクトが効いてきているということが示されています。

 11ページでは、ワクチンの目的、製剤、そして有効性を記載しております。最初に、ここには免疫原性、すなわちワクチンを打つことで特異抗体がどれだけ応答するかということを示しています。PPSV23の初回接種の免疫原性については、PCV13のものと同等、若しくはPCV13に劣るという結論がされています。これはPCV13のファクトシートにも記載されている内容でもあります。

 12ページには、このPPSV23の再接種及び複数回接種の免疫原性について記載しています。要約して申すると、初回接種と同等の再接種においても同等の免疫原性が獲得できている。当初言われておりました再接種以降は、初回接種以上に上昇しない、いわゆる低応答という現象が知られていますが、少なくともそういうオプソニン活性を評価する限りにおいては、低応答はないとされています。複数の研究が示されておりまして、Hammittらは、この14回接種の免疫原性に評価しておりまして、このいずれの接種においても初回接種と同等であったということが記載されています。

 12ページの最後、下の段では、2014年、CDCは米国のACIPにおいて、PCV13PPSV23の連続接種の免疫原性について推奨をしました。これについては基本的にPCV13のファクトシートに記載した内容と同じでありまして、それ以降2014年の評価から、まだアップデートは現時点ではされていないというのが現状であります。

 13ページに行きますと、発症予防効果について示しています。国内の疫学研究におきまして、まず厚労省の研究班のほうで行いました、IPDに対するワクチン効果をここでお示ししています。先ほど成人IPDサーベイランスを実施しているということを申し上げましたけれども、インダーレクトコホート法、あるいはブルーム法と申しますけれども、こういった海外でも実施されているワクチンの有効性評価を検討した次第です。表2に示されておりますように、23価ワクチンの血清型のIPDに対しては45%、23価に含まれるけれども13価に含まれないワクチン型については52%という結果が示されました。

 最初に897例を対象とした解析では、表にありますように15-64歳では75%と高い効果を示しているのですけれども、65歳以下では39%、そしてまた、これが有意ではなかったということがありました。しかしその後、追加解析で症例数を増やしまして、1,125例を対象とした解析を再計算したところ、ここでも65歳以上の対象でも39%、一応、有意であるという結果を得ておりまして、現行の定期接種ワクチンであるPPSV2365歳以上の成人IPDに対する効果が、確認されたということであります。、

 次の14ページには、前回の23価のファクトシートにも記載された調査であります丸山先生方の研究、そして川上先生方の研究についても、ここに記載しております。今回新たに追加されたエビデンスとしては、2011-2014年の期間に国内で実施された市中発症肺炎の研究において、test-negative designによって、このPPSV23の血清型特異的なワクチン効果が初めて報告されたわけです。5年以内のPPSV23の接種効果は、全ての肺炎球菌性肺炎に対して27.4%、ワクチン血清型の肺炎球菌性肺炎に対して33.5%という結果が初めて示されまして、この肺炎球菌性肺炎に対する効果は低~中等度という効果が示されたということが、新しいエビデンスとして示されました。

 海外のメタ解析におきましても、IPD及び肺炎球菌性肺炎に対しての複数の結論が示されておりまして、国内の疫学情報と矛盾のない内容であろうと思います。

 15ページには、PPSV23の再接種を含む複数回による発症予防効果について記載しております。これにつきましては、初回接種によるワクチン効果は示されたところではありますが、再接種を含む複数回接種による予防効果ということについては、海外のデータも含めて、まだありません。日本感染症学会のワクチン再接種検討委員会では、この再接種の免疫原性が初回接種時と同等であるということから、初回時と同等の予防効果が期待できると記載されております。さらに米国ACIPが行ったPCV13PPSV23の連続接種が推奨されたわけですが、これによる発症予防効果についても国内外を通じて明確なエビデンスはありません。

 安全性の観点、この論文レビューにおきましては、ここに示されたような論文の内容でありまして、基本的には局所の腫れ等であります。特にほとんどが低度から中等度であり、1週間程度で自然に軽快するというものでありまして、これらは先行の研究とほぼ同等の結果であったということであります。それ以外にも海外の総説があります。Remschmidtが総説を発表しておりますけれども、同様の結果を示しています。

 また、国内の情報として、20134月から予防接種法に基づいて実施している「予防接種後副反応疑い報告」があります。これが昨年の12月までの実施された1,475万接種のうちで、1,246例の副反応疑い症例が、医療機関から報告されています。0.008%であります。このうち306例は、医師が重篤として報告しております。内容的には局所の反応がほとんどでありますが、ここにあるように副反応が重篤か否かについては統一された基準はなくて、医師の判断に委ねられているということであります。予防接種法に基づいた報告がされているということを記載しています。

 17ページに記載しておりますけれども、PPSV23には肺炎球菌莢膜ポリサッカライド等、蛋白質も少し含まれているのですが、こういった構成成分から、接種後の発熱炎症反応、局所反応はあらかじめ想定される反応であります。入院を必要とされた症例もあるけれども、その多くは数日の経過で軽快が見られている。これはもう炎症反応がワクチンの構成成分による臨床反応として起こりうることを、接種被験者に十分周知し、正しく理解してもらう必要があるということを記述させていただいております。

 あと、医療経済分析の文献レビューにつきましては、今日の委員である池田先生のほうから提出していただいたものであります。丁寧に文献レビューをしていただいております。Nishikawaらの文献レビューを取りまとめていただいております。また、厚生労働省研究で行われたHoshiらの文献、そして渡辺らの文献、邦文でありますが、それらの文献が示されています。また、Jiangの文献、これは英文で最近報告されたものであります。このようにHoshiら、渡辺らが、記載した内容の文献を報告されています。

 18ページにあるJiangらのデータでは、再接種の有効性について、これが初回接種と同等の免疫原性を有する、そして効果も同等と仮定した上でこういう評価をしております。全ての分で再接種まで行う戦略が、最も費用対効果に優れるということを結論されております。また、ドイツのグループでの評価が文献70、表4にまとめられております。これは推計結果とされておりますが、いわゆる増分費用効果比ということで、ICERについてのまとめがされております。あとはThorringtonの文献71についても表5にまとめております。これは単位がユーロになっておりますので、1ユーロ大体130円ぐらいの換算になるのかと思います。

 19ページには、国内で実施した医療経済分析の結果が示されております。これはAMEDの予防接種班で実施した研究でありまして、赤沢先生、五十嵐先生らがこの解析をし、御報告をしていただいた内容であります。疫学情報としては国内のIPD及び菌血症を伴わない肺炎、この疫学情報を罹患率と血清型の分布等を組み込んだ自然史モデルを構築し、ワクチン効果、血清型分布、罹患率等を組み込んで医療費、QALYを推計されています。これらの入力データを表6にダッシュボードまとめておられ、また、解析に用いた文献についてもまとめていただいております。

 ただ、この医療経済分析には、異なる背景のデータを組み込むことで分析されたということを理解していただきたいと思います。結果的にワクチン価格についても、PPSV237,793円と、PCV1310,370円と、算出されています。

 21ページには結論的なところが書かれておるのですが、いわゆる増分費用効果比(ICER)は、PPSV23単独接種で448万、PCV13単独接種で334万。どちらのワクチンも一般的な費用対効果の閾値となる500600万円を下回ったということであります。この間には、この解析の中にはいろいろな感度分析等もされているということがあります。表7に、その結果のまとめが示されています。また、感度分析の結果を表8に示されています。最も大きく変動したのは、非侵襲性肺炎に対するPPSV23のワクチン効果であり、ワクチン効果及びその効果の持続期間です。こういったところが結果に大きな影響を与えています。しかし、どちらのワクチンについても、分析の基本となるデータがまだ不足しており、不確実性(数値の変動幅)も大きいことが指摘されています。。

 また、22ページには、高齢者の肺炎球菌ワクチンを、接種者250万人と仮定したときのワクチン効果を推計しておられます。そしてまた、その結果を基に総医療費へのインパクトを計算した結果、次のページの表9にまとめていただいております。ワクチン導入によってPPSV23単独で195億円、PCV13単独接種で259億円の追加費用が必要になるけれども、感染症に掛かる医療費ををそれぞれ14億、24億削減することになるということが分析されており、そのインパクトということで、次の23ページに表9にまとめられています。あとは諸外国の導入状況であります。6065歳以上の全ての高齢者にワクチンを推奨しているのは、オーストリア、ベルギー等々の13か国であるということが記載されています。

 次のページには、海外の再接種の位置付けを示しています。米国では65歳未満でPPSV23を接種して、5年以上経過しても65歳を超えた段階で再接種を1回のみ認めている。オーストラリアでは50歳以上の先住民は、5年ごと再接種を1回行うということになっています。ハイリスク群では、510年後に追加接種を1回行うと。英国でもやはりハイリスク群について、繰り返し5年ごとに接種を行うことを推奨している。ドイツでは高齢者において6年以上の間隔で再接種を繰り返してよいとされており、ハイリスク群では、6年以上の間隔で繰り返すべきであるとしているということが書かれています。また、複数回接種でもPPSVの免疫原性は維持され、また副反応も許容範囲であるということがまとめられています。あとは文献です。

 最後に、一番最初の1ページの要約の所で、免疫原性のまとめが大事です。また、発症予防効果として、今回はIPDに対する効果、そして菌血症を伴わない肺炎球菌性肺炎、これに対して低~中等度の効果が示されたというのが新しい所見であります。安全性につきましては、国内の予防接種疑い報告、こういったものの情報も加味する必要があるし、また今後、接種医には本ワクチンの副反応を正しく理解してほしいということ。そして医療経済的効果については、それぞれのPPSV23PCV13、いずれも費用対効果としては良い結果が得られていると。

 しかし、この結果もいろいろな国内、あるいは海外のデータも組み込んで分析されたものであることから、さらにまたデータが十分でない部分もあるので、今後、この解析結果については、また不確実性を考慮する必要があるし、今後PPSV23PCV13血清型の割合がますます減少していくことも英国のように考えられるので、今後の両ワクチンのICER、増分費用効果は変動する可能性があるということであります。以上、ちょっと時間が掛かりましたけれども、御説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○脇田委員長 大石先生、どうもありがとうございました。それでは、資料4-13ページの論点といいますか、検討事項があります。1番目は、定期接種の再評価という観点から改めて、PPSV23の有効性、安全性、医療経済学的評価に関して御意見を頂く。2番目は、今後の接種対象者、平成31年度以降の定期接種の接種対象者について、どのように考えるかについて議論を進めたいと思います。

 今御説明いただいたように、まず1番目の有効性、安全性、医療経済学的評価の点について、御意見、御質問を頂ければと思いますが、いかがでしょうか。このファクトシートのまとめの要約の所にそれぞれまとめられているとおりかと思いますが、発症予防効果については、低~中等度程度の効果が確認できるということ、複数回接種においては余り報告がないというところかと思います。医療経済効果については、少し不確定要素があるかと。今のところは医療経済効果はあるという結論かと思います。安全性についてもそれほど大きな副反応に関しての報告はないかと考えておりますが。

○原委員 大石先生、まとめていただきましてありがとうございました。確認ですけれども、9ページの表1と図1を見ると数自体は増えているように見えますが、そもそも最初がアンダーレポートだったということですか。

○大石参考人 まだサーベイランスの課題がある内容でして、最初はやはりアンダーレポートで、医療者がこの発生動向調査の届出の必要性を理解して3,000ぐらいまで近づいてきて、これが大分、正しい値に近いのかもしれません。

○原委員 なるほど、分かりました。そうしますと、小児のハードエミニュティの所もちょっとこの報告数からは見えにくいということですか。

○大石参考人 そうですね、発生動向調査はPCV7の導入をした後に始めていますので前後の関係は見えていなくて、その関係が見えているのは厚労省/AMED研究班で菅先生方が行っておられる小児のIPDサーベイランスの中では、2008年ぐらいからサーベイランスを10道県で行っておられましたので、PCVの導入後にベースラインに比較して小児IPDが減少してきていることが確認できています。

○原委員 ありがとうございます。もう一点確認ですけれども、先生方の研究の中で、ちょっと余り私もやったことのないブルーム法でしたっけ、それで有効性を計算されたということだったのですが、これは通常の有効率の値とはちょっと違うものと解釈するのかと思ったのですが、いかがでしょうか。

○大石参考人 基本原理は、このポリサッカライドワクチンが血清型特異的に効果があるのだということでありまして、対象は全員IPDの患者さんなのですけれども、23価ワクチンの血清型によるIPDの患者さんは効果が期待できるけど、そうでない血清型の患者さんは効果が期待できないわけですよね。それをコントロールとして、PPSV23接種歴のodds比を計算して、1-odds ratioでワクチン効果を推定という方法です。これは1980年代にブルームが報告した方法で、海外でも最近、結構これを取り入れて分析されています。今回の結果は、海外の結果とも大体同等と理解しております。

○原委員 分かりました。私の印象だと血清型置換が起こってくるほどこれが高くなっていくのかと思ったのですけれども、そう考えると今までの報告よりもそんなに変わらないぐらいだったので、どうしてかなということをちょっと考えました。

○大石参考人 ここの中には詳しいことは書いていませんけれども、要は病気を起こしている血清型が、例えば2010年頃にあった7価に含まれる血清型、19Fとか14とか、そういった血清型はもう検出されない訳です。一方、血清型12Fは、PCVに含まれていないけどPPSV23に含まれているので、PPSV23接種で高いワクチン効果、87%が得られています。

○原委員 それでも報告されたものの中にその型が多いということは、接種率が低いのが問題だということですか。そもそも接種していない人が多いので、接種していない人の中から発症したときにこの数が多いということですね。

○大石参考人 そういうことです。実際、今日はデータは出していませんけれども、この成人IPDサーベイランスの中で患者さんの23価ワクチン接種率は10%を切っている状況です。

○原委員 分かりました、ありがとうございます。

○脇田委員長 ありがとうございます。そのほかにいかがでしょうか。よろしいですか。

○多屋委員 資料4-12ページのグラフをちょっと教えていただきたいのですが、201410月から定期接種が始まって、65歳、70歳、75歳・・と5歳刻みの方を対象として定期接種が行われているのですけれども、この年齢でいくと初年度は何歳の所に当たるのでしょうか。だんだん上がっていっているのか下がっていっているのかがちょっと分かりにくかったのですけれども。

○黒崎室長補佐 多屋委員の御質問に関しましては、年齢のことになりますか。今、肺炎球菌は、65歳であれば65歳になる年度の方が対象になっていますので。

○多屋委員 これは、今65歳というふうに見ればよろしいということですよね。

○黒崎室長補佐 その年度において65歳相当の者というのは、接種者数というのは64歳と65歳の人口を半々に割って足して2で割っているものをここに置いているのですけれども、平成26年度で65歳だった者、平成27年度に65歳相当の者、平成28年度に65歳相当の者で、この表についてはそのように計算しています。大丈夫でしょうか。

○多屋委員 例えば、このグラフで73歳の所、72717669というように見ていくと接種者の青い部分がだんだん増えているように見えるので、初年度はなかなか周知がされていなくて、接種者数がだんだん増えてきていると見ていいのか、私がこのグラフの見方を間違っているのかをちょっと教えていただきたかったのですけれども。

○黒崎室長補佐 分かりました、すみません。中ほどの棒グラフに関しては推計値ですので、平成28年度の接種率でそれぞれの数を推計しています。実数になっているのが平成262728年ですので、それ以外の平成2930年度の分に関しては接種率は、例えば65歳相当のものであれば40.4%ということになります。65歳と書いてある所に関してはそのような計算になっているということですので、6566歳の所は、65歳という所が平成30年度の接種者の推計で、66歳の所が平成29年度の接種者の指数の推計、67歳が平成28年度という形ということです。

○脇田委員長 江浪室長、追加があればお願いいたします。

○江浪予防接種室長 今の御質問ですけれども、多屋先生の御質問がこのPPSV23価に関して初年度、2年度、3年度はどのような予防接種率の推移だったかということであれば、この上の表をそのまま見ていただくのが一番よろしいかと思っております。平成26年度の65歳相当の方ですと接種率は42%だったと。平成27年度ですと38%、平成28年度だと40%ということで、年度によっては余り変わらない。では年齢別に接種率を見てみると、この上の表でちょっと横に見ていっていただくと、65歳相当ですと42.6%となっていますけれども、年齢が上がるに従って40.9%、37.2%と下がっているという感じです。

 この下の真ん中の接種者数の推移の表は、こういった3年度のデータしかないのですけれども、分からない2年分はちょっと推計で延ばしてということでイメージを付けていますが、もともと接種者数の人口の分母が異なります。例えばこの真ん中の表で見ますと、656667歳と何となく青い棒が延びているようにも見えて接種者数が延びているように見えますが、これは総人口が単に多くて接種の割合を一定にしているので、それが比例して延びているように見えるだけですので、年齢別の接種数の推移を見たいということであれば上の表を御覧いただければと思っております。

○多屋委員 大変よく分かりました。ありがとうございます。

○脇田委員長 ありがとうございました。そのほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、続いて論点の2番目、平成31年度以降の接種対象者についてはどのように考えるかということですけれども、こちらも御意見がございましたらお願いしたいと思います。初回の接種に関してはこれまでと同様に続けるというところはあるかもしれませんが、複数回の接種についてとか、ハイリスクの方々に対してどう考えるか、そういった論点はあるかもしれませんが、委員の皆様から御意見を頂ければと思います。

○福島委員 大石先生、どうも御説明をありがとうございました。複数回接種という点に関して、第2回の小委員会になりますかね、その時点ではPCV13を最初に打ったほうがオプソニン活性が良いといった海外のデータがあるので、複数回接種の場合はPCV13PPSV23の順番が問題になるのではということでかなり議論になったと思いますけれども、今般のアップデートしていただいたファクトシートでお示しいただいたエビデンスからは、順番は余り考えなくてもよいという見解でよろしいのですか。

○大石参考人 その点につきましては、2014年に米国ACIPが連続接種を推奨したということでして、これを受けて日本呼吸器学会、感染症学会では、接種の考え方についてまとめたところではありますが、連続接種をしていただくのはよろしいのですけれども、有効性を明確に示すエビデンスが、その後、米国CDCからはまだ報告されていないと。今年度中、今年10月若しくは2月のACIPの会議で報告されるかもしれません。

 MMWR20149月に出したものでは3年以内に見直しをするとは書かれていますけれども、要は新たなエビデンスが出ていないというところでありまして、今回のファクトシートについても、今回はPPSV23のファクトシートなので、その関係についてはPCV13のファクトシートに記載した以上のことはなかったという理解です。

○脇田委員長 ということです、よろしいでしょうか。ありがとうございました。

○菅沼委員 今のファクトシートを読むと、やはり成人でもPCV13とかPCV7から漏れてくるものの問題があって、そちらが増えてくるということになると、前言った話の連続接種の所で言う13価を打って23価を打つといった場合に、要はカバーできないものが増えてきているというところが、ある意味効果がちょっとどうなのかと。以前考えたよりも効果は思ったほどないかもしれないというところが出てくるのかというのが、ファクトシートを読んだ感じではあります。

 もう一点、別のほうですけれども、先ほどの接種者の所で言いますと再接種の問題もあるとは思いますが、接種者、未接種者の割合ということで言うと、対象であった人がまだ打っていない状態が現在起こっているので、そこをどうするかという議論が起こってくるのかとは思いました。

○脇田委員長 ありがとうございました。そのほかはいかがですか。

○原委員 再接種にしても、初回接種の人をまだ続けるにしても、やはり接種記録をきちんと保管しておかなければと思いました。先ほどの自治体アンケートでも5年しか保存しないと決めている所があるということで、そこも長期保管をしてもらう対策をすべきだと思いましたし、転入後の把握ができないというのも問題だと思うので、この委員会で話すことではないのかもしれませんけれども、そういった辺りも含めて接種記録の所をもう少し詰めていければと思います。

○脇田委員長 ありがとうございます。接種記録についても重要な案件だと思いますので、この委員会からも意見を出していきたいと考えております。そのほかはいかがでしょうか。

○多屋委員 今の原委員の御意見に私も全く同感ですけれども、現在の定期の予防接種の実施要領では、予防接種台帳の保管が5年と明言されてしまっていますので、本来ならば残せる自治体であっても5年で廃棄されている自治体もあろうかと思いますので、予防接種実施要領において5年という年限をそろそろ外して、永年でも可能になっていることをもう一度検討していただけると有り難いと思います。

○脇田委員長 ありがとうございます。岡田参考人、お願いいたします。

○岡田参考人 同じく接種記録のことです。自治体の記録は、ご説明いただいたように整備されてきたことは、よかったと思います。今後は、高齢者ご本人も自分で予防接種記録を保管する体制がとれないでしょうか。小児の予防接種の記録は母子手帳の中に予防接種を書く欄があります。今後、肺炎球菌ワクチンの、再接種をすることになったときに、その方が1回目をやっているかどうかを、その都度自治体に問い合わせないと2回目なのか1回目なのかが分からない状況になる可能性がありますので、高齢者ご本人が健康保険証などと一緒に予防接種記録もご自身で管理もする体制を検討いただけませんか。予防接種記録の様式はカード形式か手帳形式などいろいろ考えられますが、いずれにしろそういうものも高齢者御本人が持つ記録も検討していただければいいかと思います。

○脇田委員長 重要な御提言ですので、こちらは事務局のほうで検討をお願いしたいと思います。そのほかはいかがでしょうか。

○近藤委員 私は少し確認をしたいのですけれども、ファクトシートで赤沢先生や五十嵐先生がしっかりした分析をしてくださったと思います。ここで書かれていることを今後の経過措置後の参考としてどう解釈するかということになると、ここでメインにされていることは65歳のコホートに打つということではなくて、65歳以上でこの経過措置中に打たなかった人、その方々は65歳以上で打たない状態で社会に存在している人たちなので、その方々全体を対象とするという文脈で分析されているので、そうするとここで出てきたアイサーとかを見るときには、今後の打ち方についてここを参考にするのをダイレクトに読めば、90歳であろうと95歳であろうと打っていない人については対象にするというやり方をやったときには、不確実性はあるものの、おおむね閾値には達していないということでよろしいのでしょうか。

○大石参考人 そのような理解でよろしいかと思います。私も赤沢先生や五十嵐先生とディスカッションはしたのですけれども、かなり広範な分析なので全てを理解しきっているかどうかは分かりませんが、今おっしゃったことについてはそれでよろしいかと思います。

○脇田委員長 ありがとうございました。議論も尽きないところですけれども、ファクトシートの記載と本日の皆様の御意見を踏まえまして、今後の接種対象者に関して議論が再度できますように事務局で取りまとめいただき、次回の議題とさせていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、報告事項にまいりたいと思います。報告事項(2)の「不活化帯状疱疹ワクチンについて」です。こちらは生ワクチンの定期接種化の議論を行っているところですが、本年3月に不活化ワクチンが薬事承認されたことから、本日はジャパンワクチンの小川参考人より、製剤の概要について御説明いただきたいと思います。ではよろしくお願いいたします。

○小川参考人 よろしくお願いいたします。ただいま御紹介いただきましたジャパンワクチンの小川と申します。本日、乾燥組換え帯状疱疹ワクチン、シングリックスについて御説明させていただきます。スライド枚数が多少多く、かつ時間に限りがありますので、説明が、少々駆け足となりますことを御了承いただけますようお願い申し上げます。

 それでは、スライドの4ページです。シングリックスですが、遺伝子組換えVZV糖タンパクE(gE)にアジュバントシステム(AS01B)を添加したサブユニットワクチンです。生ワクチンではないという特性から、健康な方のみならず、免疫機能の低下した患者においても接種可能なワクチンとして開発されました。世界同時開発が行われており、海外ではグラクソ・スミスクラインが、日本ではジャパンワクチンが開発しております。昨年10月に米国及びカナダ、今年の3月に欧州及び日本で承認されました。米国及びカナダでは既に発売が開始されております。米国では、ACIPが昨年10月にシングリックスの接種に関する推奨を出しております。推奨の内容については、後ほど御説明いたします。

 次のスライドです。シングリックスは、5つの開発コンセプトに基づきまして開発を行いました。左から、50歳以上の成人において既存の生ワクチンよりも高い有効性を得ること。2つ目、生ワクチンでは有効率が低下することが報告されている70歳以上の成人においても高い有効性を得ること。3つ目、生ワクチンでは接種不適当者、禁忌と位置付けられている免疫機能の低下した患者も含む帯状疱疹のリスクが高い全ての方で安全かつ有効なワクチンとすること。4つ目、予防効果を長期持続させること。5つ目、サブユニットワクチンとして高い生産性を実現し、安定供給を可能にすること。以上の5点をコンセプトとして開発が行われました。

 臨床開発計画は、大きく2つあります。1つは、50歳以上の成人を対象とした計画で、本日お示しする「006試験」「022試験」は、こちらに含まれる試験です。もう1つが、18歳以上の免疫機能の低下した患者を対象とした計画でして、自家造血幹細胞移植を受けられた方を対象とした「002試験」などの試験が含まれます。なお、別添資料のほうに、全ての臨床試験の一覧表を添付しております。

 次のスライドは、昨年10月に米国のACIPが、シングリックスの接種について3つの推奨を出しました。まず、50歳以上の成人を対象とした帯状疱疹及び関連合併症の予防に、シングリックスの接種を推奨する。次に、生ワクチンの接種歴がある成人を対象とした帯状疱疹及び関連合併症の予防に、シングリックスの接種を推奨する。最後に、帯状疱疹及び関連合併症の予防には、弱毒生帯状疱疹ワクチン(Zostavax)よりもシングリックスが望ましいという推奨内容でした。

 次のスライドは、シングリックスは、日本で2番目に承認された帯状疱疹ワクチンですが、その承認事項をこちらに示しております。効能・効果について、生ワクチンの効能・効果は、水痘及び50歳以上の者に対する帯状疱疹の予防ですが、シングリックスの効能・効果は帯状疱疹の予防であり、水痘の予防接種に転用することはできないこととされています。また、用法・用量については、生ワクチンは皮下に1回接種であるのに対して、シングリックスは筋肉内に2回の接種です。接種不適当者について、生ワクチンでは明らかに免疫機能に異常のある疾患を有する者及び免疫抑制を来す治療を受けている者、妊娠していることが明らかな者が接種不適当者として記載されておりますが、シングリックスでは、これらの者は不適当者とはされておりません。

 次のスライドは、006及び022試験の違いをお示しします。試験デザインです。006試験と022試験は、シングリックスの帯状疱疹発症予防効果及び安全性の評価を目的とした試験で、日本を含む世界18か国で行われた国際共同試験です。両試験の試験デザインは、対象年齢を除き同じものとなっております。年齢については、006試験では50歳以上、022試験は70歳以上のみを対象としております。

 次のスライドは、接種スケジュールです。有効性については、2回の接種を行った後被験者の追跡を行いまして、シングリックス群、プラセボ群における帯状疱疹の発現数に基づいて発症予防効果の評価を行いました。また、安全性については、各回ワクチン接種後7日間の注射部位の症状などのあらかじめ特定した有害事象の評価、ワクチン接種後30日間の全ての有害事象の評価、試験期間中を通した重篤な有害事象、免疫の関与が疑われる疾患の評価が行われております。

 次のスライドは、有効性の成績です。まず、006試験の結果です。主要解析である50歳以上におけるシングリックスの有効性は97.2%でした。また、年齢別の部分集団解析を行った結果、各年齢層で有効性は同程度の値であり、加齢とともに有効性が低下する傾向は認められませんでした。なお、本試験で帯状疱疹発症後、帯状疱疹後神経痛に移行した被験者の数は、シングリックス群では0例、プラセボ群では18例でした。

 次のスライドは、予防効果の持続ですが、追跡4年目時点の有効性は93.1%であり、有効性の持続が接種後4年目まで確認されています。なお、有効性の持続については、現在、延長試験を実施中であり、10年目までの結果が今後得られる予定です。

 次のスライドは、022試験の結果です。主要解析である70歳以上におけるシングリックスの有効性は89.8%でした。また、年齢別の部分集団解析の結果、各年齢層で有効性は同程度であり、加齢とともに有効性が低下する傾向は見られませんでした。なお、帯状疱疹発症後、帯状疱疹後神経痛に移行した被験者の数はシングリックス群で4例、プラセボ群は28例でした。

 次のスライドは、追跡4年目時点の有効性は85.1%であり、有効性の持続がこちらの試験についても接種後4年目まで確認されました。

 次は、まとめになります。こちらのスライドは、今、御説明した内容の同じ繰り返しになりますので、本日は時間の都合、割愛させていただきます。

 次は、安全性の成績です。次のスライドです。安全性の評価は006試験と022試験を併合して行っております。まず、試験期間中に報告された重篤な有害事象、死亡及び免疫の関与が疑われる疾患の発現率について、シングリックス群では、それぞれ12.8%、4.3%、1.2%、プラセボ群では13.3%、4.6%、1.4%であり、これらの事象の発現率について両群に差は見られませんでした。

 スライドNO.19は、シングリックス接種後7日間に報告された、あらかじめ特定した副反応についてお示しします。シングリックス接種後7日間に報告された局所性の副反応である注射部位の疼痛、発赤、腫脹の発現率は、それぞれ78.0%、38.1%、25.9%でした。また、全身性の副反応である筋肉痛、疲労、頭痛の発現率は、それぞれ40%、38.9%、32.6%でした。これらの副反応の持続日数の中央値は、23日間であり、これら副反応の多くは、23日で消失に至ったことが確認されております。

 スライドNO.20は、安全性のまとめとなります。こちらも、今、御説明した内容の繰り返しになりますので、説明は割愛させていただきます。

 最後に、本剤発売後のリスク管理計画()をお示しします。スライドNO.22です。リスク管理計画における安全性検討事項として、開発中に重要な特定されたリスクは認められませんでしたが、重要な潜在的リスクとして、ショック、アナフィラキシー及び免疫の関与が疑われる疾患を検討事項としました。また、有効性に関する検討事項として、長期の有効性及び免疫原性を検討事項としました。これらの検討事項に関する追加の医薬品安全性監視活動として市販直後調査、使用成績調査、製造販売後臨床試験を計画しております。

 スライドNO.23です。製造販売後臨床試験については、現在、2試験が実施中です。「049試験」は、先ほど御説明した006試験、022試験でシングリックスを接種した方を追跡調査し、有効性の持続性を評価する試験で、接種後10年目までの成績が得られる予定です。もう一つの「056試験」については、006試験、022試験でプラセボ群に割り当てられた方にシングリックスを接種する試験でして、安全性を評価する試験です。

 最後、スライドNO.24は、使用成績調査として、臨床使用実態下における安全性の把握を目的として7,500例、15,000回接種分の安全性情報を収集することを計画しています。本調査では、治験に組み入れられなかった悪性腫瘍や、自己免疫疾患などの患者も含む幅広い集団を組み入れ、情報収集を行う計画としております。また、調査項目を臨床試験と同じ項目にそろえまして、本調査で得られた結果と、臨床試験で得られた結果の比較検討を行う予定でおります。発表は以上となります。

○脇田委員長 ありがとうございます。それでは、ただいまの発表について、御質問等がありましたらお願いしたいと思います。私から1つ、帯状疱疹後神経痛の発症の抑制というのは、この臨床試験では有意差はないということですか。

○小川参考人 帯状疱疹後神経痛については、臨床試験の全体の集団において実薬又はプラセボの発症例数の観点から有意差はありました。ただし、この試験の中で、帯状疱疹が発症した方の中で、帯状疱疹後神経痛に移行した方の割合という観点では、実薬とプラセボとで有意差は出ておりませんでした。

○脇田委員長 海外の試験ではいかがでしょうか。

○小川参考人 この試験は国際共同試験となっておりまして、海外も国内も同じような結果となっております。

○脇田委員長 分かりました。ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

○福島委員 御説明、ありがとうございました。シングリックスについては、米国ACIPでも、有効性が高いということで注目されていたかと思います。ただし、承認されたばかりなので、その点は気を付けるべきという意見が委員からあったということも書かれた上でACIPに公表されていたと思います。今後、市販後調査として10年目まで追跡されるということですが、1点教えてください。私の知識不足だと思いますけれども、これはシングリックス群に割り付けられた方のみを追跡されるのですね。プラセボ群は、別のゾスター056試験でシングリックスを接種されますので。となると、この市販後の有効性評価のリファレンスというか、基準は、スライドNO.13の追跡4年目までのプラセボ群の発病率をリファレンスとして、有効性が評価されていくということでしょうか。

○小川参考人 御質問、ありがとうございます。御指摘いただいたとおりでして、延長試験、10年目までの049試験については実薬群のみを追跡する試験です。プラセボに割り当てられた方は、もう一方の056試験で実薬の接種を行っております。有効率という数字については4年目までのこの結果で終わりですが、そこから先は実薬群で実際にシングリックスを打たれた方が帯状疱疹を発症するかしないかというところの追跡調査を行うことで、本剤の予防効果の評価を行っていきたいと考えております。

○福島委員 その場合は比較を行わないということから、発症率がどれぐらいの範囲に収まれば有効であるという指標が事前に決められているのですね。

○脇田委員長 お願いします。

○小川参考人 評価指標については、すみません、今すぐこの場で御回答することができません。ここでは御回答できないことで御了承いただければと思います。

○脇田委員長 先生の御質問は、対照群がないところでどうやって評価するかという意味でしょうか。

○福島委員 そうです。それを事前に決められていて、それが企業秘密であるというのなら結構です。どのように評価するのかなと疑問に思ったものですから。

○脇田委員長 ありがとうございます。それでは、帯状疱疹ワクチンについては先ほど資料2にあったとおり、次回の小委員会で再度、議論をさせていただくということにさせていただきます。

 続いて、報告事項(3)です。2018年第1週から第16週に報告された百日咳感染症のまとめです。本委員会ではDPTワクチンに関する議論を行ってきております。前回の小委員会で、「百日咳の疾病負荷が現状、十分には明らかではないと。来年1月から検査診断、全数把握による届出が行われますので、その結果を追いながら定期接種化の是非について議論する必要がある」とされました。そこで、本日、感染研のほうから百日咳の新しい届出基準による現状を報告していただきます。感染研の神谷参考人、よろしくお願いいたします。

○神谷参考人 よろしくお願いいたします。国立感染症研究所の神谷です。資料6について御説明いたします。2018年第1週から第16週、16週というのは、今年422日になりますが、この期間に感染症発生動向調査に報告された百日咳の症例についてまとめております。

 次ページです。200811日から百日咳は、5類の全数把握疾患に変更になっております。それまでは小児科定点報告疾患ということで、毎週1週間に百日咳と診断された人の年齢と性別のみが報告されていたわけですが、今年11日からは検査診断で診断された方の詳しい情報について報告をいただくということで、2017年と比べると非常に詳しい百日咳の患者さんの背景が分かるようになっております。

 次ページ、今年11日から422(16)までの感染症発生動向に報告された百日咳の患者さんの総数は1,023例となっています。各診断週、大体、平均64例の報告がされている状況です。

 次ページ、報告していただいた保健所の所在地を都道府県別にまとめてみると、東京都、それから大阪府、愛知県といった人口の多い所から、報告数が多くなっています。

 5ページ、11日からの検査診断された症例のみが報告されるということになったことから、診断方法についてもご報告いただいております。最も多い診断方法は単一血清の抗体価が高かったで全体の52%、ついで主にLAMP法でしたが遺伝子検査39%、分離同定2%、そのほかペア血清等で報告が上がってきています。また、臨床決定でも、検査診断例に疫学的リンクがあれば報告対象となっておりますので、臨床決定と書いてあるものはそういった理由になっております。

 6ページ、その一番多かった単一血清の診断ですが、現在、国内では抗PT-IgG抗体と、百日咳菌IgM/IgAの抗体検査が実施されています。このうち、疫学センターから出しております「百日咳届出ガイドライン」に記されております届出基準、すなわち抗PT-IgGの場合は、100EU/mL以上、それから、百日咳のIgM/IgAが陽性を満たしている症例が赤い四角で囲われている部分となりますこの届出基準を満たす症例は、単一血清抗体で届け出られた535例のうちの72%、逆に言うと、28%は届出基準を満たしていなかったとなります。

 以降、7ページから、届出基準を満たした症例だけの解析となっております。年齢別に見ると、6か月未満が6%、515歳が一番多く全体の58%を満たしております。それから、20歳以上は約20%ということで、成人の百日咳患者は小児科定点報告の時期ははっきりとした患者数が分からなかったところですけれども、かなりの患者さんがいることが分かってきています。

 8ページ、これは年齢別で1歳刻みで報告しています。1歳未満に関しては、6か月未満と6か月以上、1歳未満に分けておりますが、ワクチンを接種していない、あるいは接種しても、まだ4回全てのDPTワクチンを接種しきれていない6か月未満の所に1つピークがあり、9歳を中心に5歳から14歳に患者の集積を認めました。また、全体の約20%を占める成人患者は年齢別にみると、30歳代、40歳代の所に少し集積が認められるような状況になっております。

 9ページ、今回から全数報告になりましたので、都道府県当たりの人口に基づいた罹患率で比較することができるわけですけれども、先ほどは東京都、大阪府といった人口の多い所から報告数は多かったのですが、罹患率で比較すると高知県、宮崎県、岡山県といった所が高くなっています。これらの場所は追加で情報を収集しますと中学校などでの集団発生が起こっており、アウトブレイク探知も今回のサーベイランス変更によりできるようになってきています。

 10ページ、アウトブレイクが年齢分布に強い影響を及ぼしていないか確認するために、10万人当たり、2人以上の報告があった都道府県の報告数を取り除いたものが、10ページの下のようなグラフになります。集団発生を認めた所を取り除いても、やはり6か月未満、それから9歳を中心とした5歳から1415歳までの所に集積があって、成人では3040歳代に集積があるというところは変わっておりませんので、こういった年齢に集積があるというのは事実だろうと判断しております。

 11ページ、今、お示しした年齢分布は、感染症流行予測調査の百日咳の抗PT抗体の保有状況と非常に状況が合致しており感染予防の目安とされている抗体価を持っている人たちが5歳ぐらいで一番少なくなって、その後、恐らく自然感染で抗体価が上がっていたのであろうと言われていたわけですけれども、実際の患者さんの分布からも、この年齢で百日咳に罹患、あるいは菌に曝露してブースターがかかって抗体価が上がっているというのが説明がつくかと思います。

 12ページ、年齢群別の検査診断の方法の割合です。今回からLAMP法が加わったということで、オレンジ色の所が主にLAMP法の検査ですが、小児では非常にLAMP法での診断が出されているわけですが、成人になるに従って段々と単一血清の抗体価の値での報告が増えている状況が分かります。

 13ページ、各年齢群の発症日から診断までの日数を示しています。小児では、大体2週間前後でLAMP法を使って診断が付いていますが、成人の診断日の中央値は小児と比較し遅くなっており、単一血清抗体での診断の割合も多く、診断の遅れはLAMP法が特に成人患者を診断する際にまだしっかりと活用されていない点が1つ要因かと思われました。

 14ページ、これまでのサーベイランスではデータが少なかった6か月未満の症例について少し詳しく見ております。届出ガイドラインの基準を満たす47例について解析しております。1回目のDPTを接種する月齢3か月までに百日咳に感染してしまっている小さいお子さんが半分以上います。当然その方たちはワクチンの接種歴がありません。感染源としては、一番多いのが兄弟で3割ぐらい、それから、お父さん、お母さんが大体同数で2割程度、そして、おじいさん、おばあさんが続いています。

 15ページ、まとめとしては、2018年の第1週から第16週までに百日咳が1,023例の報告がされております。報告された百日咳の52%が515歳未満、34%が20歳以上の成人症例でした。届出ガイドラインの基準を満たす症例の842例に絞ると、515歳が58%、20歳以上が28%ということで、成人の割合が減って小児の割合が増えるということは、つまり、届出基準を満たす百日咳の報告がまだ成人ではしっかり行われていないと考えられます。重症化リスクとされる6か月未満の症例は全体の5%で、百日咳患者は6か月未満、それから、9歳にピークを認める前後の515歳にピークがあります。成人では3040歳代になだらかなピークを認めています。ほとんどの学童期の症例に関しては、百日咳含有ワクチンを4回接種している人たちでした。その他、百日咳の分離同定や遺伝子検査による診断が成人報告例で少ないという現状があること、6か月未満児の感染源の約8割が家族、同胞、両親、祖父母ということが現段階でのサーベイランスからの結果となります。

 16ページ、考察ですが、百日咳の全数サーベイランス開始後4か月ほどで1,000例以上の報告があり、うち8割ぐらいは届出基準を満たすものでしたが、去年までの患者数はサーベイランスシステムが非常に異なるので、過去と比較して患者数が増えているかといったことは、比較はできません。単一血清による抗体検査が百日咳の検査診断方法として適切か否かは、今後、特に成人において検証していく必要があるかと思います。

 百日咳含有ワクチン未接種者の多い6か月未満と、4回接種している9歳を中心とした学童期にピークがあったことが今回新たに分かった知見です。ワクチンを4回接種しても、時間の経過とともに患者数が増加しているという状況は流行予測調査の結果からも予測されたことですが、今回の結果と合わせ、追加接種の必要性というのが示唆されます。重症化しやすい6か月未満児の感染源は同胞が最多です。米国などでの報告ですと、同胞よりも両親のほうが感染源が多くなっていますが、米国は、就学前、ならびに1112歳で百日咳含有ワクチンを追加接種をしています。この違いが6か月未満の感染源の割合の違いとなって表れている可能性が考えられます。

 最後に、制限として今回お示ししたデータはサーベイランス開始直後の4か月間のデータであるため、今後さらに報告数が増えることでまた異なったエビデンスが出てくる可能性はもちろんございます。引き続きサーベイランスを実施していくわけですが、全国の自治体、地方衛生研究所、感染症情報センター、医療機関の皆様に深謝いたすとともに、特に6か月未満の症例に関してはFETPのほうから、追加調査をしておりまして、そちらのほうにも御協力いただきたいと思っております。以上です。

○脇田委員長 ありがとうございます。それでは、この発表に関して議論をしますが、その前に、柴山先生、蒲地先生、何かコメントはありますでしょうか。よろしいですか。

○柴山参考人 感染研の柴山です。今回、初めてこういうデータが明らかになって、非常に重要なデータが得られたのだと思います。私から質問するのも変なのですが、確認です。最後のほうで、考察のところで外国では親からの感染が非常に多いというお話がありましたが、このデータを見させていただくと、今回の感染症発生動向調査の結果ですと、成人、20歳以上だと、それほどたくさんないというような感じなのですが、やはりまだ現場の先生たちが余り検査をしないとか、そういったこともあるのでしょうか。

○神谷参考人 御質問、ありがとうございます。まだしっかりと成人の百日咳を診察されている先生方にインタビューはしておりませんが、間違った検査結果での報告や、LAMP法での診断割合を見ますと、まだそこまで百日咳の診断法としてLAMP法が浸透していないのかなというのが、あくまで印象ですけれども感じられます。

○脇田委員長 柴山先生、お願いいたします。

○柴山参考人 そうなると、サーベイランスのデータはかなり正確なデータだとは思いますが、例えば、もうちょっと臨床の病院の先生たちの成人に対する診断とか、そういう認識、認知度をもうちょっとしっかり上がってきたりしてサーベイランスデータが落ち着くまで、もうちょっと時間が掛かるということでよろしいのでしょうか。様子を見たほうがいいと、今すぐこのデータをもって判断するというよりは、もう少しデータを蓄積したほうが正確なデータが得られるということなのでしょうか。

○神谷参考人 もちろんそういったこともあると思いますし、これはあくまで最初の16週の結果で、小児科定点のころの報告では、百日咳も多少季節による報告数の増減がありますので、最初の4か月で百日咳に関する全てが明らかになったとはなかなか言い切れないところはあると思います。

○脇田委員長 ありがとうございます。季節性のこと、サーベイランスが定着するまで少しデータがまだ変わってくる可能性があるということかと思います。それでは、委員の皆様から御質問がありましたらお願いいたします。

○原委員 百日咳に関しては、接種前の子供の発症した場合の重症化が心配だということを言われていると思いますが、今回の報告の50例の患者さんたちで死亡例とかそういったものはなかったと考えていいのですか。

○神谷参考人 死亡例の報告はありませんでした。

○脇田委員長 ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。

○岡田参考人 死亡例に関してですけれども、死亡例だけではなく、入院例の感染源がどのようになっていたかをある程度数が集まってきた時点で出していただけると、対策として同胞の対策なのか、両親の対策なのかということも考えていく資料になるのかと思います。重症例、死亡例、入院例の感染源なども、今後まとめて出していただければと思います。

○脇田委員長 ありがとうございます。そちらはよろしくお願いします。ほかにいかがでしょうか。

○菅沼委員 先ほどの成人の例が比較的少ないというところでは、臨床的に見たときにやはり成人では比較的重症例が少ないというか、そういった臨床診断としてなかなかピックアップしにくいという側面もあると考えていいのでしょうか。

○脇田委員長 それでは、大石参考人。

○大石参考人 呼吸器内科医としてお答えします。日本呼吸器学会のワクチンに委員会などで、百日咳のサーベイランスのことでいろいろディスカッションをしたところです。やはり一般の臨床の先生の感覚として慢性咳嗽は百日咳の可能性があり、マクロライドを投与するというのが一般的な考えになっておられるという話がありました。このような臨床医は、以前の届出基準が今年から変更されたことはまだ認識されていない部分もあるかと思います。この点は、神谷先生から言っていただきましたように、大人の届出例についての調査をしっかりやっていく必要があるだろうと思っております。以上です。

○脇田委員長 呼吸器内科の先生への周知ということが求められることだと思いますので、よろしくお願いいたします。ほかにいかがでしょうか。

○福島委員 大変きれいなデータと解釈を、ありがとうございます。全数報告に踏み切られた成果が出ておられるのではないかと思います。成人でも一定程度の報告があるということで、全数報告になったことが現場で全く認識されていないということはもちろんないと思いますが、1点気になるのは、先生も少し触れられたかと思いますが、今回、小児科定点から全数になったことで、どこまで報告を頂いているのかということです。百日咳について、何が論点だったかなというのは私も忘れがちになりますので、その参考資料を見ながら想い出したりするわけですけれども、追加で接種する場合にどの年齢で打つかというのが、1つの論点だったと思います。

 全数に踏み切る前の議論としては、中高生で患者が多いのではないかという予想もあったのですが、先生の印象として、現時点、4か月の時点で、報告数としては予想よりも余り上がってきていないという印象がありますでしょうか。その場合、今後の周知・徹底ということになるかと思いますが、その辺りどのようなお考えかをお願いいたします。

○脇田委員長 神谷参考人、お願いいたします。

○神谷参考人 御質問、ありがとうございます。流行予測調査の結果である程度5歳の辺りで低いのではないかということと、それから、海外でも5歳ぐらいで患者さんが増えるということで、追加接種に踏み切っているところが多いという現状を踏まえると、この年齢で追加接種することは十分考慮すべきかと思います。また、感染研スタッフ、FETPで百日咳のアウトブレークの調査に行きますと、大体小学校の高学年ぐらいから患者さんがぽつぽつ出てきていたという印象もありましたので、私自身としては、この年齢分布はそれほど違和感はなく、LAMP法の確定診断が可能となったということも加味し、このような年齢分布となっても違和感のないところです。福島先生のおっしゃる通り、新しいサーベイランスが開始して最初の4か月ということで、少し慎重には見ております。

○脇田委員長 ありがとうございます。今、福島委員からリマインドされたところで、DT2期のところでいくのか、それとも就学前のところで追加接種が必要なのかという議論のところに必要なデータということになりますので、今、4か月目のところということですので、もう少しデータが蓄積されて正確なところが分かってくるということかと思います。傾向としてはこういうところかという感じを受けております。ほかにいかがでしょうか。ありがとうございます。それでは、百日咳と、DPTワクチンについて本日の報告と議論を踏まえて、次回の小委員会でこちらも議論を進めていきたいと考えております。

 少し時間が過ぎておりますが、そろそろ議事を終了させていただきたいと思います。それでは、事務局から何かありますか。

○黒崎室長補佐 次回の開催については、追って御連絡させていただきます。事務局からは、以上でございます。

○脇田委員長 それでは、これをもちまして、本日の第8回ワクチン評価に関する小委員会を終了させていただきます。皆様、本日は活発な御議論を頂きまして、ありがとうございました。

(了)

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