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2017年10月26日 第八回地域医療構想に関するワーキンググループ

○日時

平成29年10月26日(木)10:00~12:00


○場所

主婦会館プラザエフ カトレア(7階)
東京都千代田区六番町15番地


○議事

○田丸課長補佐 それでは、構成員の方々、皆様そろいましたので、ただいまから第8回「地域医療構想に関するワーキンググループ」を開会させていただきます。

 構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、御出席くださいまして、まことにありがとうございます。

 議事に入ります前に、新たに構成員になられた方の御紹介をいたします。相澤構成員にかわりまして、日本病院協会副会長の岡留健一郎構成員です。

 また、本日は今村構成員より欠席との御連絡をいただいております。

 また、参考人として、奈良県医療政策部の林修一郎部長、国立がん研究センターの石川ベンジャミン光一先生をお呼びしています。

 なお、前回に続き総務省自治財政局公営企業課準公営企業室より伊藤室長に御出席いただいております。

 続いて、前回のワーキンググループ以降、事務局に人事異動がありましたので、御報告させていただきます。

 医政局地域医療計画課医師確保等地域医療対策室長の松岡でございます。

 同じく地域医療計画課課長補佐の鶴田でございます。

 同じく地域医療計画課課長補佐の田丸です。よろしくお願いします。

 議事に入ります前に、お手元の資料を確認させていただきます。お手元に、議事次第、座席表、構成員名簿のほか、資料1-1、1-2、1-3、2-1、2-2、参考資料1から3までお配りしております。不足がございましたら、お知らせください。

 それでは、以降の進行を尾形座長にお願いいたします。

 もし報道の方で冒頭カメラ撮り等をしておられる方がおりましたら、ここまででお願いいたします。

(冒頭カメラ撮り終了)

○尾形座長 おはようございます。

 前回が7月でしたので、3カ月ぶりということになります。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、早速、議事に入りたいと思います。

 まず、議題の1つ目の「地域医療構想調整会議における議論の進捗状況について」を議論したいと思います。資料1-1の説明を事務局から、それに続きまして、資料1-2の説明を奈良県の林参考人から説明をお願いしたいと思います。また、その際、参考として資料1-3、総務省の研究会で取りまとめられました報告書骨子の御紹介について、総務省の伊藤室長からお願いをしたいと思います。

 それでは、一括して御説明を伺った後に質疑としたいと思います。

 事務局、よろしくお願いします。

○鶴田課長補佐 事務局です。

 資料1-1について、御説明させていただきます。「地域医療構想調整会議における

議論の進捗状況について」という資料です。

 2ページ目、調整会議の進め方のサイクル、これまでのワーキングでもお示ししているものですけれども、各都道府県における地域医療構想調整会議の進め方のスケジュールをお示ししているところです。緑の三角のところは、3カ月ごとに国から都道府県へ進捗状況を確認するタイミングになります。

 3ページ目、4ページ目、国が都道府県に対して確認する事項について、以前皆様方に御確認いただいた資料になりますが、国が確認している内容になります。

 5ページ目、今回、各都道府県の実態を確認した結果をまとめた資料になります。平成29年7月末までの議論の状況について、全341構想区域の状況をまとめさせていただきました。調整会議の開催状況について、平成29年4月から6月までで136の構想区域で150回の調整会議が開催されております。9月末までの開催予定を含めた場合は、256構想区域で296回となります。非稼働病棟に関する状況については、非稼働病棟を有する医療機関がトータル1,620施設、このうち構想区域で議論しているのが21カ所ということになっております。

 下段ですけれども、公立病院については、平成29年3月末までに新改革プランが800の病院で策定されております。7月末までに調整会議で議論がスタートしているところが135病院となっております。特定機能病院につきましては、8つの病院で調整会議での議論がスタートしている状況です。

 6ページ目、こちらは都道府県別の調整会議の開催状況を整理した資料になります。

 7ページ目、未報告の医療機関の割合、非稼働病棟を有する医療機関の割合を都道府県別に集計したものになります。

 8ページ目、こちらが今年度に入ってからの調整会議の開催実績を整理したものになります。こちらの資料には、あくまでも調整会議として開催したものだけを計上しておりますので、意見交換会ですとか勉強会といったものは計上されておりません。下段のところに関しましては、医療機関ごとのデータ分析を実施した割合をお示しさせていただいております。

 9ページ目、新公立病院改革プランが、調整会議で議論がスタートしている割合をお示しした資料になります。

10ページ目、今後の対応方針ということになるわけですけれども、引き続き3カ月ごとに議論の進捗状況を把握していきたいと考えております。現在、9月末までの状況を調査している最中になります。今回の調査では、新たに公的医療機関等2025プランの策定状況、協議の状況、具体的対応方針の決定状況、こういったことも確認することとしております。また、5疾病5事業についても、今回から確認させていただきたいと思っているところです。

 下段のところですけれども、我々のほうで把握できた内容、データ分析の好事例ですとか、公的プランの好事例、こういったものを各都道府県に周知しつつ、自治体支援等を行っていきたいと考えているところです。

 事務局から、資料の説明は以上です。

○尾形座長 ありがとうございます。

 引き続き、林参考人、お願いします。

○林参考人 それでは、資料1-2に基づきまして、奈良県の取り組みについて、御紹介させていただきたいと思います。

 きょうは、このような場で貴重なお時間をいただきますことを厚く御礼申し上げます。

 初めに奈良県の特徴について最初に若干触れたいと思います。3ページ目、地図がございます。奈良県は面積はそれなりにあるのですけれども、奈良盆地が北西部にございます。それ以外は山間部が多くを占めておりますので、人口が多く住んでいる部分は非常に狭いという県でございます。南和の医療圏は一番南側にございますが、吉野、五條とその山間部を含んでいるところで、ここが医師も少なく人口も少ない形になっています。

 4ページ目、奈良県全般の医療の特徴といたしまして、今、申し上げたように、可住地の面積が非常に少ない県、全国で最小なわけでございます。また、人口当たりの医師数は全国平均より若干少ないのですけれども、全国平均に比較的近い県でございます。しかしながら、救急医療体制におくれがあったり、また、県内の各病院から非常に強い医師不足感があるということで、これはなぜなのだろうということを課題として考えてまいりました。

 理由として、非常に大きな要因は、奈良県には大きな病院が少なくて、中規模、300床内外の病院が非常に多い。こういう中で、医療資源が分散している。「医師偏在」というよりは「医師散在」がこの奈良盆地の中で起きているということが大きな特徴ではないかと思っています。

 こういう前提の上で、奈良県のさまざまな取り組みを御紹介させていただきたいと思います。1つ目に、病床機能報告における急性期の取り扱いについてでございます。6ページが、奈良県の現在の地域医療構想の、病床に関しての概略を示したものでございます。病床数の必要量として計算されているものが、2025年、急性期で4,300余り、回復期で4,300余りとなってございます。一方、2015年の報告状況を見ますと、急性期で報告をされた病床が7,000余り、回復期で報告された病床が1,800余りということで、全国的にも同じ状況かと思いますが、回復期の不足、このデータを単純に比較すると、そういう絵柄になっているということでございます。

 では、回復期の不足は本当にあるのか。これは実態と理屈の面、両方から考えてみたのが、次と次のページでございます。まず、7ページは実態についてでございます。医療現場側から見ますと、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟ともに、全国よりも早く転換が進んでおりまして、65歳以上人口10万人当たりで見ますと、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟ともに比較的多いとなっています。また、地域包括ケア病棟は院内での転棟にしか使われていない、回復期リハビリテーション病棟もあいてきているというような声が出ておりまして、むしろ現場感覚として過剰感があるではないかということでございます。

 また、効率性の視点から見ましても、県内の病院の医療費あるいは在院患者延べ数を見ていきますと、医療費の伸び率は、1日当たりの医療費が、全国では入院単価が上がってきているところ、奈良県では下がっているわけですけれども、一方で在院患者延べ数が伸びてきているということで、医療現場としては、単価が下がっても回復期の入院をふやしていくことが実際に行われつつあるということでございます。そこまで進めるべき施策なのかということが、効率的な視点からも言えるのではないかと考えております。

 8ページ、では、定義の面からどうだったかということなのですけれども、病床機能報告制度では、急性期の定義は急性期の患者に対して医療を提供する機能ということで、病棟単位で見ると、急性期の中で比較的軽症の方もここに入る形になるわけでございます。医療需要推計のほうから見ますと、回復期の定義の中に医療資源量175点から600点未満となっておりまして、軽症の急性期の患者さんは比較的ここに入りがちということで、もともとが定義の違うものを比較して、回復期が不足と言っているような構造になっているのではないかと考えております。いずれの面からも、回復期病棟の不足という実態が本当にあるかどうかということはわからないところでございまして、むしろ医療資源投入量の少ない病棟をどう考えていくかということが、この地域医療構想の上での現場の課題ということかと思います。

 9ページ、ここからは、奈良県で私どもが病院等の意見交換に用いている資料でございます。病棟の機能だけではなくて病院の機能がイメージできるようにするということ、そして、中規模病院が多いということを前提にしますと、まず、先ほど申し上げたように、急性期の中で比較的高度・重症のところと、そして、比較的軽症のところ、少しミシン目を入れて考えると病院にとってわかりやすくなるのではないかということ。そして、病床の機能だけではなくて、そこは病院としてどういう機能を持つのか。例えば高度急性期、急性期の病棟を持つ病院は、総合的な機能を持っていかれるようなところ、機能の集約によって機能の向上を図っていかれるような病院であるということ。そして、軽症の急性期や回復期、慢性期の病院は、医療だけではなくて介護にもウイングを伸ばしたような「面倒みのいい病院」になっていかれるようだと、そういったことを念頭に置くとわかりやすいのではないかと思っております。

 これをさらにわかりやすく伝えるために、キャッチフレーズというか、メッセージとして、10ページにありますように、奈良に必要なのは「断らない病院」と「面倒みのいい病院」ということで、御説明をさせていただいているところでございます。「断らない病院」のほうは、奈良県には比較的大規模病院が少ないものですから、医療機関の数は絞られますけれども、医療機能を強化していくような病院であること。そして、「面倒みのいい病院」のほうは、高度な医療よりも介護事業者との連携、重症化したときの対応など、面倒見のよさが求められるということで、医療機能を絞りながらも、在宅・介護機能を強化していく。こういったメッセージでございます。

11ページ、このたび行いました急性期機能の病院の報告について、奈良県独自の取り組みを行ったということでございますけれども、急性期の中で、その病棟が重症の患者さんを中心とされるのか、軽症の患者さんを中心とされるのかということについて、県から各病院にお伺いをさせていただきました。急性期機能を有する病院は50余りございますけれども、ここに御協力をいただきまして、「機能の明確化」と真ん中に書いてございますが、県が一定の目安を示しながら、最終的には病院の意向でそれぞれの病棟がどちらに属するとお考えかをお伺いさせていただきました。あくまでも主な機能で選んでいただいておりますので、急性期病棟にも一部他の患者がまざっているという理解については、国のおっしゃるとおりと、私どもも考えております。

12ページ、その結果でございます。昨年の病床機能報告で御報告があった急性期病棟のうち、4,300床が重症急性期、そして、2,697床が軽症急性期ということで、御報告がございました。ちなみに、この軽症急性期の2,697と回復期の1,999、合わせると4,600余りでございまして、2025年の病床数の必要量の回復期の4,333と比較的近い数字になっている。実態上は、このあたりのところは回復期とあわせて考えて「面倒みのいい病院」としての機能を発揮していただくのがよいのではないかというディスカッションを県の中でしているところでございます。

13ページ、今後の取り組みでございますけれども、重症急性期を中心とする病棟や高度急性期も含めてでございますが、こうした選択をされる病院には、今後救急の応需率などを指標にして、断らない機能、高度な機能、救急車を受け入れる機能、こういったものの改善を一緒に取り組んでいけたらと思っております。奈良県は救急の指標もかなり改善しておりますけれども、まだ全国で見ると劣っているほうに入りますので、これをいま一つ改善していきたいと思っております。

 一方、軽症急性期を中心とする病棟のほうを書いてございますが、地域の医療・介護、さまざまな連携、リハビリ、在宅生活の支援、こういったものをできれば指標化をして、また、先進例を共有するなどして、県の中で高めていくような取り組みを医療関係者の方々と一緒にやっていきたいと考えております。

 次に、本県におけるさまざまな協議の進め方などを御紹介させていただきたいと思います。まず、データの分析についてでございます。かなりこのデータの分析について力を入れて取り組ませていただいております。15ページにありますが、国の統計の活用、病床機能報告のデータの再活用、また、レセプトの分析、これも県が独自に収集をして分析を行っております。あと、さまざまなアンケート調査を行っております。

 こうした中で感じることでございますけれども、国からいただくデータは二次医療圏単位でいただくことが多いのですが、県の中で議論するためには、病院ごととか市町村ごととか、よりきめ細かな情報提供をしていく必要があると思っておりまして、レセプトの分析なども県の中ですることによって、そういったことが実現できてくると考えております。

 例えば、16ページは、国からいただいているデータで、これは見せ方の問題でございますけれども、月平均の新たな入院患者数です。これを並べてみますと、大きな病院でふえていって、中規模の病院では構造的に減っていっている、あるいは余り変わっていないというようなことが実感できる。自分の病院だけが置かれている境遇ではなくて、多くの病院でどのあたりが過当競争になっているか、こういったものからも一目でわかるという形でございます。

17ページ、18ページは、よりきめ細かく医療機関の相互の立ち位置などがわかる資料でございます。

 次に19ページ以降、協議の進め方について御紹介をさせていただきたいと思います。20ページが病院へ県からお示ししているメッセージでございます。地域医療構想はマーケティングであって、県と病院が対立関係にあるようなものではなくて、現在と将来の医療需要をお知らせしてディスカッションすることで、厳しい経営環境の中で医療機関を支援する、こういう姿勢で取り組ませていただいております。奈良に必要なのは「断らない病院」「面倒みのいい病院」こういうメッセージでありますとか、改革への3段階、これも医療機関にお示しをして、総論としては御理解を得ていると思っておりますけれども、今すぐできる連携の強化、そして、今からやる医療機関内でのいろいろな機能の変革、そして、さらに今から考える複数の医療機関を含めてのいろいろな構造改革、こういったことに取り組んでいきましょうという呼びかけをさせていただいております。

21ページ、実際の実施の状況でございます。先ほど地域医療構想の調整会議そのものは奈良県、それほど多くないという御紹介がございましたけれども、実際には一部の病院ではなくて、多くの病院に入っていただきたいと思っているものですから、正式な地域医療構想会議よりも地域ごとの病院の意見交換会、あるいは機能ごとの病院の意見交換会、こういったものを頻繁に実施をさせていただいております。その中では、医療機関の管理者の方々や事務長さん、看護師長さん等に入っていただいて、グループワークをやっていただいて、顔合わせもしながら、いろいろな課題について理解を深めていただく。こういった取り組みをしております。

22ページ、意見交換の結果でございますけれども、医療機関からは、医療関係者で話し合う場をつくっていくことが大事だというような御意見、また、県側の印象といたしましては、非常に病院さんの御関心が高くて、こういったことを重ねておりますけれども、回を重ねるごとに参加者がふえていくというような状況になっております。ただ、民間の医療機関さんの取り組みの度合いにはいろいろな差がありまして、既にゴールに到達しているようなところから、なかなか意見交換会にも出席していただけない医療機関までさまざまあるということでございます。こういった動き、県が主導するだけではなくて、自発的ないろいろな連携にもつながっていくようにという裏方としての仕事もしていきたいと考えております。

 最後に、こういった取り組みを通じて感じたことを少し交えながら、今後のあり方について、少しお話しさせていただきたいと思います。新公立病院改革プラン、公的医療プランについてでございますけれども、24ページ、本県の中では、公的病院に大きく分けると3つぐらいの種類がございます。県全域の医療を担うような中核的な病院、人口10万人前後のところ、人口3万人前後のところでございます。中核的病院とそれ以外のところで、大きく抱えている課題が違っております。左の中核的病院のところでは、最大の課題は収支の均衡でありまして、例えばそういったところで病床を減らすという議論をするために、収支さえ成り立つようすればそういう議論が進むということだと思います。一方で、人口の少ないところの課題、やはり医師の確保が最大の課題でございます。機能を変えていくと、今まで派遣してもらっていた医師が確保できないのではないかというような議論になっているということであります。

 また、人口3万人前後のところは、これはなかなか医師不足の解決のしようがないということで、どういった取り組みをしたかということを次で御紹介をいたしますけれども、25ページ、南和地域、先ほど申し上げた五條、吉野あるいはそれより南の山間部の地域についての医療の再編の御紹介でございます。人口で言うと、大体7万数千人の地域になります。ここに小さな急性期病院が3つ、町立、県立、国保とございました。これを大きな急性期病院を1つ、そして、回復期、慢性期の病院を2つという形に大きく再編をさせていただいて、28年の4月から実際にこの南奈良総合医療センターが開院をしております。

 大きく救急医療の提供体制なども向上いたしました。これを医師の数の面から見たのが26ページでございます。もともとの3つの病院は、医師数がそれぞれ25人、13人、10人弱ということで、どれも急性期病院として機能を果たすには足りないような状況でございました。これを、急性期機能を1つに集めることで、南奈良総合医療センターに50人余りの医師を配置しているということでございます。医師の数の総数は1.26倍ということで、そこまで昨年度の段階ではふえていなかったのですけれども、救急搬送の受け入れ件数は3つの病院の合計で2倍弱ということで、この集約化によって非常に大きな機能の向上が図られたということでございます。医局からもミッションを明確にすることで協力をいただいて、派遣をしていただいておりますし、また、その後はこれだけ症例数も集まる病院になったということで、若手医師への魅力も向上しております。若手医師がみずからここの病院で働きたいというような病院になってきていると考えております。

27ページ、こうしたことから、いろいろな医療圏が地域にあると思うのですけれども、回復期病床をふやしましょうというメッセージだけではなくて、医療圏に合ったようないろいろな取り組みを国からも教えていただけるとありがたいと思っております。今、御紹介した南和のように、人口10万人ぐらいのところで基幹病院が足りないようなところでは、それを1つつくることが政策の課題になっていると思いますし、奈良県のほかの地域では、人口3040万人のところで基幹病院が1つしかなくて、中規模の病院同士が非常に過当競争になっているような実態がございます。そういったところでは、中規模病院の機能分化が課題になっております。また、奈良県にはないのですけれども、全国では人口30万人ぐらいの都市に基幹病院がたくさんあって、そういったところの機能分化が課題になっている地域もあると承知をしております。どのパターンに属するのかといったことを、それぞれ自治体、病院、理解しながら取り組んでいくのが、手っ取り早いのではないかと思います。

 ちなみに、28ページにその3つを、どれぐらい医療圏があるのかなと思って手元のデータで分析をしてみましたけれども、人口10万人ぐらいの医療圏ですと、医師40人以上の病院が1つもないという医療圏が実は70ぐらいあります。1カ所のところが60、2カ所以上あるというところは10ぐらいございます。人口15万人以上の医療圏で医師60人以上の病院が非常に乏しいところ、それから、人口12万人に1カ所というように非常に多いところがございます。それぞれの解決策は大きく違っていると思いますので、左側のAに属する青いところ、そして、Dに属する赤いところ、こういったところで、それぞれがどうしていくのかということを県がわかるようにまたお示しいただけると、こういった取り組みが進むのではないかと思っております。

 最後、29ページ、これまで回復期病床の不足が大きなテーマであったと思いますが、実際に地域で抱える問題はさまざまでございます。医療資源の散在であったり、供給体制の過多、医療資源の偏在、さまざまな課題がいろいろなところで地域の実態に応じてございます。報告制度の精緻化だけではなくて、地方が実際に抱えている課題を解決するためのツールを国から発信していただいて、この地域医療構想がより地域のために進むように、また一緒に取り組ませていただけたらありがたいと考えております。

 どうも御清聴ありがとうございました。

○尾形座長 ありがとうございました。

 それでは、伊藤室長、よろしくお願いいたします。

○伊藤総務省自治財政局公営企業課準公営企業室長 総務省でございます。

 お手元の縦長の資料があるかと思いますが、その右肩に資料1-3と書いてあるものがございます。まず、そちらをごらんいただければと思います。

 私ども総務省では、昨年の9月から全7回、この地域医療の確保と公立病院改革の推進に関する調査研究会の議論を重ねてまいりました。実は、尾形座長もそのメンバーのお一人でございます。今月の3日に最終回ということで、この取りまとめに当たった議論を行ったところでございます。また、その中でもいろいろ議論が出ましたので、実は報告書自体はまだまとまっておらず、骨子もあくまで案という段階でございますが、大まかな方向性については皆さん御了承いただきましたので、今回御紹介させていただければという次第でございます。

 まず、内容に入ってまいりますが、報告書の骨子案でございます。まず【はじめに】ということで、この研究会の設置の目的を述べております。

 それから、この報告書は大きく2つのパートに分かれておりまして、1つが【第1部 公立病院の現状と課題】ということでございます。まず「1.地域医療を取り巻く環境の変化及び公立病院の現状」でございますが、この周辺環境の変化ということで、例えば(1)で人口減少、あるいは高齢社会が到来し、それに伴います医療需要が変化していること、それから、きょうの御議論でもありますが、国の医療提供体制の改革、いろいろな動きが進められていること、さらには、医療と介護の連携の必要性が叫ばれていること、こういったことを述べてございます。

 (2)公立病院の現状でございます。実は、平成19年の12月に、公立病院改革ガイドラインというものを私どもは出しました。その後に、いろいろな改革の取り組みを続け、また、一昨年、平成27年の3月に新公立病院改革ガイドラインを出しました。それに基づきまして、先ほども御紹介がありましたが、新公立病院改革プランというものを各公立病院でおつくりいただいたといった経緯、その成果などを述べたものでございます。

 「2.地域医療における今後の役割を念頭に置いた公立病院の位置づけ」ということで、(1)でございますが、病床規模別の公立病院の現状ということで、この研究会のメンバーでもあります大規模病院の静岡県立総合病院、また、中規模病院の市立ひらかた病院、また、小規模病院の平戸市民病院、このそれぞれの病院長様に、それぞれの病院の課題ですとか概要、そういったものをヒアリングした結果をまとめているということでございます。

 2ページ、(2)でございます。これは「へき地などの地域における公立病院の位置づけ」ということで、実は(3)は「へき地などの地域以外における公立病院の位置づけ」、公立病院の位置づけを僻地などの地域及びそれ以外ということで、分けて整理したものでございます。

 まず、(2)でございますが、へき地などの地域においては、民間医療機関の立地が困難な過疎地などの条件不利地域ということでまとめまして、そこで医療を提供している公立病院には、実際の医療に加えまして、医療と密接に関連する保健、福祉、そういった事業などにも関与していること、それから、自治体が行う健康政策ですとか予防対策、介護福祉施策、そういったものとの有機的な連携が必要であり、また、実際にこれもされていること。さらには、雇用創出など、地域における生活や産業面の貢献があるといったことを書かせていただいてございます。

 (3)へき地などの地域以外の公立病院の位置づけでございますが、これは一言で言いますと地域の実情によってさまざまな役割があるだろうということを述べた上で、先ほど奈良県さんのお話にもありましたが、県立中央病院など、県庁所在地にあって基幹的役割を担う公立病院、これにつきましては、医師の派遣機能あるいは人材養成といった機能を新たな役割と位置づける必要があるのではないか。また、その他の病院につきましても、災害対応あるいは新型感染症など突発事項への対処、こういったものが必要性としてあるのではないか。さらに、公立病院でなければ担えない分野への重点化、あるいは他の医療機関との役割分担、こういったものがこれから必要になるということを述べております。

 (4)地域医療構想を踏まえた機能分化、再編・ネットワーク化の必要性ということで、今、やっております公立病院の機能を整理した上で、この場でも御議論されていますが、地域医療構想を踏まえ、医療圏単位で捉えた公立病院の具体的な将来像をぜひ示していただくべきということ。その上で、例えば新設や建て替え予定である病院、あるいは一定期間継続して病床利用率が低い病院、こういったものにつきましては、このタイミングを捉えまして、再編・ネットワーク化の必要性について検討すべきという指摘をしております。

 3ページ、「3.地域医療の確保と公立病院改革を進めていく上で4つの視点から見た課題」ということでございます。この4つの視点というのは、新公立病院改革ガイドラインで示したものでございまして、その視点ごとに整理したということでございます。まず1つ目の視点でございますが、(1)です。地域医療構想を踏まえた役割の明確化ということでございまして、これはもうこの会議でも御議論いただいていることでございますが、公立病院としてのミッション、あるいはポジショニング、こういったものをきちんと踏まえた上で役割を明確化していただきたいということを申し上げてございます。また、新プランを見直す場合には、関係する地域住民への説明、あるいは理解、こういったものにも配慮していただきたいということでございます。

 2つ目の視点が(2)経営効率化でございますが、これは多々ございます。まず最初にマル1、事業管理者や事務局に求められる資質、能力ということで、事業管理者には、医業と経営の双方への理解、あるいはスタッフ間の相互理解、こういったものに関する役割が必要であろうと。また、病院経営の現状把握ですとか課題抽出、また、それに基づく対応策の検討や実施、こういったマネジメント能力ですとか、他分野との調整能力、こういったものも必要であろうということを述べております。

 マル2、具体的なマネジメント上の課題ということで、ここでは現在直面しているものでございますが、事務職員のほうに焦点を当てておりますが、自治体の比較的短期の人事異動で公立病院に回ってくる方も多いということでございますので、なかなか回ってきた当初は十分な知識や能力を事務局に蓄積できていないのではないか。その意味でも、全職員の意識を変えていく必要があるのではないか。マンパワー不足にどう対応するのか。こういった課題を掲げてございます。

 マル3でございます。マル1、マル2は病院内の話でございましたが、マル3は病院外の話でございます。住民や首長、議会などに対する理解促進ということで、誰にでもわかりやすく適切な説明が、経営状況については必要ではないか。また、まちづくりの視点からの公立病院の位置づけも必要ではないか。こういったことを書いてございます。

 4ページ、3つ目の視点(3)再編・ネットワーク化でございます。これも従来からずっと言われていることでございます。ここでは今までの取り組み事例を代表例としていろいろ書かせていただいた上で、公立病院以外の医療機関との再編・統合など、新しいタイプへの検討も必要ではないか。こういったことを掲げさせていただいております。

 最後、4つ目の視点(4)経営形態の見直しでございます。例えば指定管理者制度ですとか、地方独立行政法人制度、こういったものを平成27年のガイドラインでも示しております。その区分ごとの効果、留意事項、そういったものをまとめた上で見直しや検討をする際の留意事項などについても申し添えた上で制度的課題、これは後ほど申し上げますが、特に地方独立行政法人への見直しに当たっての制度的課題が自治体から指摘されてございますので、それをまとめていったというものでございます。

 5ページからは【第2部 今後の公立病院経営に向けた提言】ということで、2つ目のパートで具体的な提言という形になります。大きな特色としましては「1.病院マネジメントの観点からの経営手段の充実」ということで、自治財政局として、財政的支援のほうがメーンではないのかという御意見もありましたが、病院経営、何事もマネジメントのことが大切だろうということで、最初にこれを打ち出している次第でございます。(1)公立病院の事務局の強化、また、経営人材の確保・育成ということでございます。事業管理者に求められる能力というのは、先ほど申し上げたとおりでございますが、それを支える事務局の職員、人事異動サイクルの見直し、また、研修体制の構築、そういったことの取組を重ねていただきたい。さらには、外部人材の登用も検討すべきではないのか。また、医療職員で経営感覚などに富む人材の事務局への配属、こういった人事運用の弾力化であるとか、お医者さんの業務負担軽減のため、コ・メディカルスタッフや事務職員の充実にも努めるべきだということを述べております。

 (2)体制を強化した上で、経営指標の「見える化」をぜひやってほしいということでございます。これは公営企業全体に通じる話でございますが、「経営比較分析表」という、ある種グラフのようなものをずっと並べたものを意識しまして、ぜひ住民目線に立った説明を、その上でしてほしいと。そういったことで、みずからの病院が置かれている経営の足元を見直してほしいということでございます。

 そうやって足元の状況を把握した上で、(3)経営指標の分析に基づく取り組み、PDCAサイクルの展開ということで、現状と課題を把握した上で、各病院におかれましては、PDCAサイクルをぜひ展開してほしいということでございます。

 6ページ、その中でも、日常業務にそういった課題の解決に向けた取り組みをどう結びつけるのか。それから、特にPDCAで言いますと、Cのチェックのところが重要ではないかということを述べております。

 (4)はまとめでございますが、まずは、病院の現状と課題、それぞれ共有した上で、できることから始めてほしいということをまとめとして書いてございます。

 「2.公立病院に対する財政的・制度的支援」ということでございますが、1つ目は(1)地域医療確保のための財政的支援ということで、特に不採算地区における医療の確保のために必要な措置ということでございます。不採算地区病院と、それ以外の病院、経営状況の比較を行った場合には、不採算地区の病院の経営がより厳しいことがわかったということで、ここはある程度の公的支援を入れたほうがいいのではないかということでございます。

 マル2、近年の資材単価の動向を勘案した、公立病院の施設整備に関する措置ということで、公立病院の建て替えなどをする場合に、その平均の建築単価、実例をとりまして、ずっと見ていったところでございますが、27年をピークにずっと上がってきたのですけれども、28年では下落していたり、あるいは、概して公立病院のほうが割高だったりということがわかってきました。このため、総務省ではそういった実勢を踏まえて、交付税に反映させる定期的な見直しの仕組みを検討すべきではないか、また、公立病院でなぜ割高になるのか、そういった原因分析もこれから進めるべきだということでございます。

 (2)再編・ネットワーク化の推進ということで、マル1は、今ある病院事業債(特別分)、これは通常の病院事業債に比べまして、交付税措置が充実しているものでございますが、それをぜひ活用すべく、わかりやすい説明を各所ですべきだということ。

 7ページ、最後でございますが、総務省でやっております「定住自立圏構想」あるいは「連携中枢都市構想」というまちづくり、あるいは「地域医療連携推進法人」制度、こういったものとの相互の活用も視野に入れて、この活用を検討すべきではないかということでございます。

 マル2、医療と介護等の連携のために必要な措置ということで、病院同士の再編・ネットワークに加えて、介護施設、介護サービス施設の再編もこの対象にすべきではないかということで、そこにどう位置づけられるのかということを財政面から検討すべきということでございます。ただし、その際には民業圧迫にならないようにという御指摘をいただいてございます。

 最後、(3)経営形態の見直しを支援する制度運用上の対応ということでございます。先ほど、地方独立行政法人に経営形態を見直したときの課題が浮かび上がってきたということでございますが、この欄の一番最後のところに(具体的な課題)と書いてございます。2つポツがございますが、例えば退職給付引当金の計上方法、地方公営企業だと15年で分割で計上できますが、地方独立行政法人の場合には、中期目標期間の中で分割ということで、長くても5年、このアンバランスをどうするのかという話。また、経営形態の見直しのときには、自治体のほうで多額のキャッシュによる財政負担が生じます。これについて、何か制度的な手当てはできないのかという問題意識、これを今後検討すべきだということが言われてございます。

 以上でございます。

○尾形座長 ありがとうございました。

 それでは、ただいま御説明がありました資料1-1及び1-2について、御質問や御意見を承りたいと思います。なお、ただいまの資料1-3につきましては、総務省の地域医療の確保と公立病院改革の推進に関する調査研究会で議論が行われているものであり、あくまでも参考ということで御紹介をいただいた報告事項であることに御留意をいただきたいと思います。

 それでは、どなたからでも、どうぞ。

 中川構成員、お願いします。

○中川構成員 今のは、1-3は質問を控えるようにという意味ですか。

○尾形座長 そういう意味ではありませんが、主として1-1、1-2を中心に御議論いただければという意味です。

○中川構成員 わざわざ来ていただいたので、同じように議論するべきだと思いますが。

○尾形座長 別に御質問を妨げるものではありません。

○中川構成員 そうですか。ありがとうございます。

 それでは、資料1-2、林参考人にお伺いしたいと思います。それの11ページ、この定義は、急性期の病棟の中で、50床当たり1日で手術と救急入院が2件以上あるのを重症の急性期病棟というようにしたのですか。

○尾形座長 林参考人、お願いします。

○林参考人 そうです。何か目安がないと判断がまちまちになってしまうこともありますので、こういう目安を県としてお示しさせていただきました。ただ、これで分類したということではなくて、それだったらお伺いする必要もないわけでございまして、こういった目安をお示しした上で、医療機関から見てどちらを意図していらっしゃるかということをお伺いしたものでございます。この指標が2を超えていても黄色のほう、軽症急性期のほうを選ばれた医療機関もありますし、2を下回っていても重症急性期を選ばれた医療機関もございます。

○中川構成員 病床機能報告は、選んだときに、急性期と報告をするのだけれども、奈良では、それをさらに重症か軽症かというように報告させているのですか。

○林参考人 これは病床機能報告の中で行ったということではなくて、奈良県が独自にこういう調査を行ったという位置づけになろうかと思います。報告させるというよりは、病院、いろいろな協議の場でこういった御相談をさせていただいて、皆様の御理解を得て、調査に御協力をいただいたという位置づけかと思います。

○中川構成員 そうしたら、医療機関は急性期という報告だけしているのですね。

○林参考人 病床機能報告としては、急性期という報告をしていらっしゃいます。

○中川構成員 県のほうでさらに踏み込んで、重症と軽症と分けているという意味ですか。

○林参考人 県への報告といいますか、県から行った御依頼として、こういった内容で調査させていただいたということでございます。

○中川構成員 それで、12ページですが、林参考人のおっしゃる回復期病床が不足していないというのは、そのとおりだと思います。それは、この資料の中の7ページで、非常に説得力があるのだろうと。6ページで、単純に比較するなと私は100回ぐらい言っていますが、単純に比較するとこうなったということで、全国でいい警鐘になるだろうと思います。それで、12ページの軽症急性期病棟2,697と回復期1,999を足して4,696になって、病床数の必要量が4,333、これはほぼ合っているなと考えたのですね。これは回復期が決して不足していないよという説得力を持たせるという意味ですか。

○林参考人 結果として、たまたま似たような数字になったということであります。それが医療の機能の点から申し上げると、9ページ、10ページのところでお話をしているように、実際上、救急などをもっと受け入れていただきたい重症急性期を受け入れるような病院さんと、患者さんに近いところで身近な医療、そして、介護への連携などをやっていただきたい、そういう医療機関さんに機能に大きな違いがありまして、それが両方急性期ということだと、なかなか施策の説得力がなくなってくるということでございます。そういった意味で、重症あるいは高度急性期のところの施策と、軽症急性期、回復期のところの施策を分けることがわかりやすい、また、医療機関さんの協力もいただきやすいということで、ミシン目を入れているということでございます。数字が合ったのはたまたまかなと思います。

○中川構成員 奈良県独自の取り組みとしてこのようにやっているということは、一定の評価ができると思います。ただ、回復期は不足していないというために使うことには、なかなかならないだろうと思います。回復期の患者さんというのは、治療経過の病期の中のその瞬間を捉えて、それを集計して医療需要、それを病床稼働率で割り戻して病床の必要量としての回復期の病床の必要量を出しているわけで、軽症急性期が回復期に近いというのは、ちょっと違うのだろうと。これも違うものを一緒に比べているなという気がします。ですから、このようにこういうところで発表すると、全国がまねして奈良方式でやろうというようになったら、これは問題があると。県独自の地域の事情でこのようにいろいろな取り組みをしているということにとどめてほしいなと思います。

 そういう意味では、20ページのこの取り組み、地域医療構想はマーケティングであるといった取り組み、「断らない病院」と「面倒みのいい病院」、ステップ1・2・3、これは非常にいい取り組みだと、全国で参考になることだと思いますが、この今言った11ページ、12ページはちょっと問題があるかなという気がしております。どうですか。

○林参考人 これは奈良県の一取り組みを御紹介させていただいたということで、これを国としてどうしていただくかは、検討会や国で整理していただくことかと思います。ただ、県の中で、単純比較してはいけないと中川構成員はおっしゃいますけれども、6ページのところの差が非常に大きく政策課題になっていて、回復期をふやすというメッセージがようやく全国津々浦々に届いている中で、早くこれを、何らかわかりやすい整理をしていただかないと、なかなか違う方向に行ってしまったり、次に進むことができないということを危惧しております。私も、こういう取り組みをした意図は、別に数字合わせをしたいということではなくて、申し上げているように、「面倒みのいい病院」ということでございますけれども、決して軽症急性期と回復期の病期が一緒だと言っているわけではなくて、そこを扱う医療機関に求められる機能が、医療・介護の連携であるとか、リハビリであるとか、非常に似通った部分があるということで、こういった取り組みをさせていただいているということでございます。報告の仕方自体は、ここでぜひ整理していただけたらと思いますし、御賛同いただいているように、この「面倒みのいい病院」、言葉はともかくとして、そういった機能をもっと位置づけていくというようなことは、また御参考にしていただければと思っている次第でございます。

○尾形座長 中川構成員、お願いします。

○中川構成員 林参考人、今、最初に言ったことは違いますよ。医政局で、単純に比較して回復期は少ないというのは、間違いだというアナウンスをしているのですよ。9月29日の事務連絡を知っていますか。各都道府県衛生主幹部御中で出しているでしょう。だから、この土俵に乗ったらだめだということを言っているのですよ。単純に比較して回復期病床は少ないというのは間違いだというアナウンスを全国にしているのですよ。これはその土俵に乗っていることになりますよ。そして、数合わせをして、悪く言うと、語弊を恐れずに言うと、ごまかそうと、乗り切ろうというように見える。だから違う、全国でやるべきではないと言っているのですよ。土俵に乗ってはだめですよ。

○尾形座長 佐々木課長、お願いします。

○佐々木地域医療計画課長 参考人に御紹介いただいた経緯をお話ししますと、きょう、参考資料3で今、御指摘をいただきました事務連絡をつけさせていただいております。我々も奈良県さんのお取り組みというのは、我々の事務連絡が出る前から地域でいろいろ議論を進めるためにさまざまに取り組んでいただいています。時系列で申しますと、この事務連絡のほうが、全国で誤解が広がっているということで出させていただいたので、その間、奈良県さんでも独自にさまざま取り組んでいただいている経過だと思います。お聞きしていて、決して事務連絡の内容と奈良県さんがここまで取り組んでこられたことは、矛盾しているとは思いませんでした。差し出がましいところでございますが、そのように拝聴しておりました。

○尾形座長 よろしいですか。

 中川構成員、お願いします。

○中川構成員 余りよろしくないですよ。林参考人ほどの人がいる奈良県でもこのような状態だという問題点が明確になったなと思って、ある意味、よかったと思います。単純に比較して回復期が少ないというのは違うのだということを払拭しようという努力を、今、我々は始めたのです。その土俵に乗ってしまっている。それで、この軽症急性期と回復期を足すと、病床の必要量とほぼ近似した数字になるからというようにしている。こういうことをしてはだめなのですよ。する必要がない。そういうことを言っている。

○林参考人 そのように整理をしていただければ、そのように県としても取り組みたいと思いますし、奈良県の取り組み自体は、中川先生のおっしゃっていることと何ら矛盾はしていないと思います。分けることは、数字を合わせるために分けているわけではなくて、病院が目指すべき方向性が違うから、重症急性期と軽症急性期を分けたほうがいいという、そういう取り組みをしているにすぎないというように御理解いただければと思います。

○中川構成員 それは全然否定しないし、そのとおりだと思います。

○尾形座長 それでは、ほかの構成員の方、いかがでしょうか。

 本多構成員、お願いします。

○本多構成員 資料に各県の報告の状況が出ており、国としては、資料1-1の2ページに、これはあくまでも参考ですが、調整会議は年4回という形で示されているにもかかわらず、余りやっていない県があるということで、どうして開かれていないのか、実態も調べていただければと思います。先ほど、奈良県の例でも、調整会議以外で病院関係者の意見交換が開かれているということもあるかと思いますが、逆に住民側から言いますと、医療の問題は難しくて、例えば調整会議が年に1回開かれてその情報が公開されても余りわからないということもありますので、もし調整会議に参加されている保険者や住民代表の方などがいたら、調整会議以外の検討状況もある程度周知していただくよう、都道府県に御案内いただければと思っております。

○尾形座長 事務局、何かありますか。

○鶴田課長補佐 今回の調査で調整会議の開催を機械的に把握しているわけですけれども、御指摘の趣旨も踏まえて、どうしてこのような状況にあるのかといった理由も含めて、確認していきたいと思います。

○尾形座長 よろしいでしょうか。

 ほかいかがですか。

 織田構成員、お願いします。

○織田構成員 今の議論の1-1の6ページ、地域医療構想調整会議の議論の状況ということで、これを見ますと、28年の3月に策定されたところは結構ありますね。その中で実際に開催の状況を見ると、早く策定されたから開催数が多いというわけではないですね。奈良県を見ますと、調整会議自体の開催は少ないですね。先ほどお話しされたことをどういう形で徹底しようとしているのか、そこら辺をお聞かせいただけますか。

○尾形座長 林参考人、お願いします。

○林参考人 御質問ありがとうございます。

 構想会議はどうしてもメンバーが限られているということがございます。調整区域ごとに、大きな病院の方が2~3人と、医師会あるいは介護なども含めた他の事業者さんということになります。ただ、私の話の最後のほうで御紹介させていただいたように、一番奈良県の中で機能分化などの取り組みが必要なのは、もう少し規模の小さな病院ということになろうかと思います。そういう中で、調整会議そのものを開いても、どうしても表面的な議論に終始してしまうので、もっとたくさんの病院に集まっていただいて、そういう場で議論していくことが必要だと考えております。最終的にもちろん調整会議というのは決める場として開く価値は非常に高いと思っておりますけれども、実際の意見交換はもっとたくさんの病院に入っていただきたいと思っております。医療圏は非常に多くて、奈良県は少ないといっても5個ございます。年間4回開こうと思うと20回の会議を開くということになります。また、場所も違うので、そのたびに県庁から1時間、2時間出向いてということになります。県の人材も限られておりますので、状況に応じて一番効果的な方法でやりたいということが、私どもがこのような形をとらせていただいている理由でございます。

○尾形座長 織田構成員、お願いします。

○織田構成員 ということは、調整会議以外に、そういう説明会なりを繰り返しやっておられるということですね。

○林参考人 先ほどの私が御説明させていただいた資料の中で申しますと、21ページにございますけれども、病院協会の役員、あるいは病院の方々全員に呼びかけさせていただいている意見交換会ですとか、あとは大学とか、地域ごとでもやらせていただいています。テーマごとにもやらせていただいています。全ての病院に入っていただけるような形でやらせていただいております。

○織田構成員 わかりました。

 あと一つ、お聞きしてよろしいですか。南和地域というのですか。奈良県の資料の26ページですけれども、これを見ますと、再構築がみんな公的病院ばかりですね。この地区には、民間病院はありませんか。

○林参考人 民間の病院は、慢性期中心の病院が幾つかございます。急性期を目指していた病院は公立の3つだけだったということでございます。

○織田構成員 この新公立病院改革のガイドラインには「究極の目的は、公・民の適切な役割分担の下」と最初にうたわれているわけです。そういう中で、この療養・回復という形で、2つの病院がなっていますね。これは、ガイドラインとの齟齬はないわけですね。

○林参考人 民間の病院はここには書かれておりませんけれども、実は南奈良総合医療センターの目の前にも慢性期の病院がございます。南奈良総合医療センターは慢性期をやっていないということもございまして、紙には出ておりませんけれども、そういったことも意識をして役割分担をさせていただいています。

○織田構成員 我々が一番危惧するのは、この新公立病院改革のガイドラインの地域医療構想とか地域包括ケア云々にかかわるということに目を向けられるのですけれども、実際は公と民の役割をちゃんとやることが基本になりますので、構想会議の中で、ぜひその議論の中に入れていただきたいと思います。

○尾形座長 ありがとうございました。

 中川構成員、お願いします。

○中川構成員 1-3に関連して少し御質問したいと思いますが、この中で公立病院の役割として政策医療とか不採算医療という言葉が、ここだけではなくていろいろなところで出てくるわけですけれども、政策医療の定義、それから、不採算医療はどのようなものが不採算医療になっているのかというものが、明確に示されていないままそういう言葉が使われているような気がするのですが、いかがですか。具体的に示してほしいなと。もしどこかにあるのだったら教えてほしいし、ないのだったら明確にしながら改革を進めなければいけないのではないかと思いますが、いかがですか。

○尾形座長 伊藤室長、お願いします。

○伊藤総務省自治財政局公営企業課準公営企業室長 今、不採算医療ですとか政策医療の定義を明確にすべきではないのか、あるいは、しているものだったらそれを示すべきではないのかということでございました。新公立病院改革ガイドラインの中でも、不採算・特殊部門ということで、小児医療ですとか災害関係、あるいは周産期、こういったものが書いてあるところでございます。また、政策医療につきましては、私の記憶の範囲で言うと、これとこれとこれというように明確に定義したものはすぐに出てこないわけでございますが、新公立病院改革ガイドラインの中でも、例えばがんセンター、循環器病センター、高度・先進医療、そういったものを例示してあったかと思います。

○中川構成員 政策医療というのは何となくイメージとして不採算に近いイメージがあるのですけれども、今言ったがんセンターとか循環器病センターというのは、決して不採算ではないですからね。だから、その辺のところを明確にしてほしいのです。そういう言葉で、例えば公立病院が大幅な赤字でもある程度許されるのだというイメージをつくるのもまずいと思うのです。

 もっと踏み込んで言うと、繰入金、補助金が多額に投入されている公立病院と、そうではない、さらに公立病院以外の公的医療機関等は、税制上の税金の優遇が非常にあるわけです。そういうところと、全て払う、税金もたくさん払っている民間とが同じ土俵で地域医療構想を進めていくということなれば、特に公立病院の繰入金だとか補助金の実態を明確にすべきだと思うのです。この1-3の資料では、その辺のところがはっきりしていないのではないかと思うのですが、いかがですか。

○尾形座長 伊藤室長、お願いします。

○伊藤総務省自治財政局公営企業課準公営企業室長 今の公立病院への財政支援、あるいは税の優遇、そういったことについて、他の民間機関とのバランスのことをきちんと明記すべきではないのか、実際に公立病院にどういう支援をしているのかということをはっきりさせるべきではないのかということでございました。この資料1-3、今回のような調査研究会の報告書の中で、そういった税の優遇ですとか、あるいは繰入金のお話、こういったものをしているところはございません。ただ、我々は新公立病院改革ガイドラインの中でも、当然ながら、安易に繰り出しをすべきではないということ、さらに言えば、先ほど織田構成員からもお話がありましたが、公・民の適切な役割分担のもと、地域において必要な医療提供体制の確保を図り、その中で公立病院が安定した経営を確保すべきだということを言っております。また、経常収支比率とか、そういった指標の話にもなるかと思いますが、一般会計から繰り入れ、繰り出しをすべきときには、きちんとルールにのっとってやってほしいということを、さまざまな会議の場で申し上げている次第でございます。

○尾形座長 関連ですか。

 邉見構成員、お願いします。

○邉見構成員 一番の不採算というか、公的なものは、やはり僻地医療ですね。これが一番わかりやすいですね。それから、ほかの繰入金の基準がありまして、例えばSARSみたいな新型感染症、これはなかなか民間病院では難しいであろうと。そういう方が入りますとほかの患者さんは来なくなりますし、そういうものははっきりわかりやすいですね。ほかのものにつきましても全部厳しい基準がありまして、これについては認めるとか、それ以外の赤字補塡のための繰入金、これはいけないということになっているのです。ただ、潰れたらいけないというようなところだけにちょっと入っているところはありますので、これは先生のおっしゃるとおりだと思います。今は以前と違いまして非常に厳しいので、そういうところはちゃんと議会でも報告していますし、公・民のイコールフッティングということで公立病院の会計準則も民間病院と同じようになりましたので、総務省へ出す分と、みんな民間病院と同じように、例えば繰入金などが、昔は資本などがあったのですけれども、今はそのようになっていません。見ていただくと非常にわかりやすくはなっていると思います。民間病院と同じような会計になっている。

○尾形座長 佐々木課長、お願いします。

○佐々木地域医療計画課長 今、御議論いただいております政策医療、不採算医療の定義というのか、明確化の議論でございますけれども、きょうも御議論になっていますが、病院団体からもそういったことについて明確化してほしいという御要望もいただいております。事務局のほうで次回以降、何か議論いただけるような資料を少し用意させていただいて、そういうことについて、また御議論をお願いできればと思っております。

○尾形座長 よろしくお願いします。

 中川構成員、お願いします。

○中川構成員 1-3の2ページの下の(4)の3つ目の矢印のところで「一定期間継続して病床利用率が低水準の病院、地域医療構想を踏まえ医療機能の見直しが必要な病院については、そのタイミングを捉え、再編・ネットワーク化の必要性について検討すべきこと等を記述」とありますが、後ろのほうで、介護のところで「民業圧迫とならないよう」と書いてあるのです。例えば一定期間継続して病床利用率が低水準であるとか、病棟を丸ごと使っていない、休棟しているところがあるところとか、そういうところについては、この報告書の全体から見ると、事務局に経営のプロを入れて経営をよくしなさいというように見えてしまうのです。ところが、繰入金、補助金が多額に入っている公立病院がやるべきことは、そうではないのだろうと。その構想区域に公立病院しかない場合は別です。でも、民間の医療機関、病院がある場合は、むしろダウンサイジングとか、撤退とか、そういう方向性を示すべきだという記載が少ないような気がしますが、いかがですか。

○尾形座長 伊藤室長、お願いします。

○伊藤総務省自治財政局公営企業課準公営企業室長 今、お話のありました一定期間継続して病床利用率が低い病院、あるいは地域医療構想を踏まえ、医療機能の見直しが必要な病院、これにつきましては、その後に続けて書いてございますけれども、今回そういうタイミングを捉えて再編・ネットワーク化の必要性についてぜひ検討してほしいということを新公立病院改革ガイドラインでも明記しておりますし、ここでも述べているということでございます。

○中川構成員 私は新公立病院改革ガイドラインを高く評価しているのですが、では、この再編・ネットワークのところにダウンサイジングとか民間譲渡も含めて、いろいろなそういうことも含まれているという理解でいいですか。

○伊藤総務省自治財政局公営企業課準公営企業室長 ダウンサイジングとか、民間移譲とかは、もう一つ別の視点、経営形態の見直しの中に入るもので、そこで例えば無床診療所化するか、民間移譲するとか、そういったことを掲げております。お互い関連するものだと思ってございます。

○中川構成員 繰り返しになりますが、繰入金だとか補助金の投入の状況、公立病院の経営の状況を、その区域の調整会議に示して議論しないと、民間医療機関とのバランスで公平を保てないと思いますので、ぜひそれをお願いしたいと思います。

 もう一つ、公立病院に限りませんが、公的医療機関もそうですが、休棟している、病棟丸ごと使っていなかった病床を再開する場合には、構想区域の中で新たな病床機能の病棟がふえることになりますね。そのときには、その前にぜひ調整会議でそのことを報告して議論してほしいと思います。医政局、いかがですか。

○尾形座長 事務局、お願いします。

○鶴田課長補佐 非稼働病棟で、今、患者さんを診ていなく、医療を提供していない、そういったところが新たな機能を担う場合は、調整会議の場でしっかり議論をすべきという、そういった御趣旨の御指摘かと思いますので、その御意見を踏まえて、我々もそういったことを、周知を含めてしっかり対応していきたいと思います。

○中川構成員 わかりました。

○尾形座長 よろしいでしょうか。

 ほかにいかがですか。

 織田構成員、お願いします。

○織田構成員 確認なのですけれども、今、調整会議の進め方ということで、これは公的病院とか公立病院が最初に調整会議に出てくることになっているわけですが、これは基本的に不採算の部門、要するに救急医療とか災害医療の中心的になるものと、それ以外には、先ほど邉見構成員がおっしゃったように、SARSなどの新しい感染が起こったときや僻地など、そこら辺をどう位置づけるかということが議論だと思うのです。だから、一つ一つの病院が機能をどうするか云々かという議論ではなくて、本来ならば、その不採算の部門を含めてどのようにやるかということを最初に調整会議で話すべきではないかと思います。今の議論の進め方を見ますと、一つ一つの病院がどう機能分化しようかとか、そういう議論が中心になってきているので、そこら辺を都道府県には伝えていってほしいなと思います。

 あと一つ、この1-3の資料の7ページ目なのですけれども、私は勉強不足で教えていただきたいのですが、例えば医療と介護連携のために必要な措置ということで、病院事業債(特別分)というものがありますね。これはどのようなものになりますか。

○尾形座長 伊藤室長、お願いします。

○伊藤総務省自治財政局公営企業課準公営企業室長 この病院事業債というものは今でもある制度でございますが、例えば病院などを建て替えるときに、大きな金額が必要になりますので、地方自治体のほうで借金をする。これが病院事業債と言われるものでございます。基本的には全ての事業費を対象にして借金ができて、そのうちの幾ばくかを交付税で措置するというものでございます。この特別分というものが新たな仕組みでございまして、通常の病院事業債ですと25%の交付税措置ですが、この特別分、いわゆる再編・ネットワーク化に資する部分については、40%上乗せしてインセンティブを高めている。それによって再編・ネットワーク化につなげたいといった事業債でございます。

○織田構成員 わかりました。そして、これを見ますと、介護分野の介護施設等、そういうネットワークにもそれが出ることになっていますね。これは明らかに考えられているのは、僻地や周りにそういう施設がなくて当然そこが担わなくてはいけないというようなところに限られるということですね。

○伊藤総務省自治財政局公営企業課準公営企業室長 ここで念頭に置いておりますのは、地方自治体のやっている公営企業の中に介護サービス事業というものがございます。そういったものも、この病院事業債、再編・ネットワーク化するときの活用に含めるべきではないのかという提言をいただいたということでございます。

○織田構成員 わかりました。そうしたら、ここに書いてありますように、民業圧迫とならないように、くれぐれも注意していただきたいと思います。

○尾形座長 ほか、よろしいですか。

 中川構成員、お願いします。

○中川構成員 1-3の7ページの一番上の枠の3つ目の矢印「厚生労働省の施策である「地域医療連携推進法人」制度も、再編・ネットワーク化を推進する上で有効な取組と考えられ、総務省と厚生労働省とで連携した取組の推進方策を検討すべきこと」とありますが、何度も言いますが、繰入金と補助金が多額に入っている公立病院と、この法人制度を使うということは、民間の医療機関が一緒にやるということですね。物すごくデリケートな問題が多々発生しますので、何げなく書いてあるのですけれども、そういうことは、室長が書いたのかどうかだか知りませんが、地元の医師会であるとか、物すごくデリケートな問題が発生しますから、これはもう少し慎重にやるというように、どこかで書きぶりをしてほしいと思います。

○尾形座長 それは要望として承っておきます。

 ほか、よろしいでしょうか。

 伊藤構成員、お願いします。

○伊藤構成員 最初に本多構成員からお尋ねがありましたように、構想会議がそんなに頻繁に行われていないのではないかという点に関して、少し現場に携わる者としてお話し申し上げたいと思います。

 まず、地域医療の構想会議自体は、喫緊の課題として、地域の医療機関の再編等が必要なところに関しては、これは恐らく頻繁に開かれているだろうと思われますけれども、そうではない部分、特に都会地域においてある程度自然にそれぞれの役割が分担されているところでは、この構想会議というのは、ちょっと言葉が不適当かもしれませんが、この会議で話し合われることにとても疑心暗鬼になってしまうことが、一つの原因ではないかと思います。それぞれの長い期間をかけて構成されてきたそれぞれの役割というものを、もう一度ここで全ての情報をさらけ出して見直そうということに対して、例えばきょうお示しをいただいた1-3の資料のように、公立病院の改革推進に対するさまざまな視点、課題をこの考え方に基づいて全てのデータを出しながら、その中でどういう役割を担っていくかということをきちんと話し合う仕掛けができていればいいのですが、それぞれの情報を全て出すことにとまどいがある様に思われます。どこまでどういう情報を出していくかということで、非常に難しい状況が現実にあるのではないかと思われます。

 したがいまして、今回特に1-1の資料の2ページにございますように、このスケジュールに沿って進むことになりますと、どうしてもある程度短い期限の中でそれぞれの病院の機能を明確にしなければいけないという、誤解が生じているために、これを払拭しない限りは、なかなか本音の部分での話し合いが進まないのではないかと、危惧をしているところです。したがいまして、きょうお示しいただいた1-3の考え方、課題も含めて、全て地域構想会議の中でお出しをいただくように、何らかの指示をいただくことは可能であるかということをお尋ね申し上げたいと思います。

○尾形座長 事務局、お願いします。

○佐々木地域医療計画課長 公立病院に関して、調整会議でどのように議論いただくかに関して、これは公立病院は先ほど来出ておりますが、新改革プランというものをつくっていただいておりまして、その内容について調整会議でお示しをいただき、会議で議論していただくことはお願いしておるところでございます。地域によっては、十分そういった取り組みが徹底されていないところはあるということかもしれませんが、機会を捉えまして、しっかり議論していただけるようにお願いしていきたいと思っております。

○尾形座長 よろしいでしょうか。

 織田構成員、お願いします。

○織田構成員 資料1-1の2ページ目、調整会議の進め方のサイクルのイメージなのですけれども、3回目になってくると、基金の活用というものが出てまいりますね。回復期は、先ほど通達が来ましたように、実際には現在不足していないということになっているわけですけれども、この基金というのは、どういう使い方をされる方向になっているのでしょうか。これは10月から始まるということで、直近の問題なのですけれども、そこら辺を御説明いただけますでしょうか。

○尾形座長 佐々木課長、お願いします。

○佐々木地域医療計画課長 回復期が不足しているかどうかは、地域によっていろいろな議論があると思いますので、一律にどうということではないと思います。先ほど奈良県さんの例でもありましたけれども、主として、確かに例えば回復期の病棟の整備というイメージに捉えられておりますが、これも以前この会議でも御説明いたしましたが、先ほど、再編した結果、急性期の機能を担う病院を新たに合併してつくるケースも当然再編というところの中身になってきますので、そういうものも対象になりますので、そういう意味では、回復期の病棟の整備のためだけに基金を使うということではなく、地域の調整会議の議論の結果として、新たな統合された病院をつくるというようなものを含めて対象になりますので、それは具体的な計画を立てていただいて、各都道府県から、こういうものは対象になるのかということを含めて、国のほうに確認をしていただければと思っております。

○尾形座長 よろしいですか。

 それでは、時間も大分たちましたので、次の議題に移りたいと思います。議題の2つ目の「病床機能報告の定量的な基準も含めた基準の検討について」でございます。

 まず、資料2-1の説明を事務局から、続けて、資料2-2の説明を石川参考人からお願いしたいと思います。一括して御説明いただいた後に質疑をしたいと思います。

 それでは、事務局、よろしくお願いします。

○鶴田課長補佐 事務局です。

 資料2-1の「病床機能報告の定量的な基準も含めた基準の検討について」という資料を、御説明をさせていただきます。

 2ページ目、これは以前第10回医療計画の見直し等に関する検討会において示させていただいたスケジュールになります。平成30年度の病床機能報告に向けて、病床機能報告の改善を図っていく必要があります。

 3ページ目、このワーキング、また、親の医療計画の検討会において議論のあった、病床機能報告に関する主な意見を整理して、3ページ目、4ページ目でお示しさせていただいております。簡単に御紹介しますと、病床機能報告については、調整会議の議論に供する非常に重要なデータ。定量化・精緻化していくことは客観的なデータという観点からも必要ではないか。病床機能に関しては、どう考えてもおかしいというものは少し考えるにして、その辺には幅を持たせつつ、調整会議で調整していくという考え方を持っていったほうがよいのではないか。病床報告自体は、あくまでも病院の判断による定性的なもの。定量的なものと言ってしまうと、判断を誤ってしまう。あくまでも病院の自主的な判断の一つの目安ではないか。

 4ページ目、高度急性期と急性期の区分はなかなか難しい。内科の指標がほとんど入っていないのではないか。回復期から慢性期に向けての頑張っている病院をうまく評価するような報告になっていないのではないか。関係者、住民にわかりやすく説明するということが重要ではないか。計画のほうの検討会の意見ですけれども、1カ月のデータでは不十分ではないか。療養環境とか、そういった視点が重要ではないか。そういった御意見をいただいているところです。

 5ページ目、病床機能報告制度の概要をまとめた資料になります。

 論点を3つに分けて資料の御説明をさせていただきたいと思います。まず、高度急性期機能・急性期機能についてですが、7ページ目の資料に関しましては、特定入院料等の関連をある程度整理した資料になりまして、高度急性期機能・急性期機能のところが上の赤枠部分のところになります。

 8ページ目、これは以前のワーキングでもお示しさせていただいた資料になりますけれども、平成28年度の病床機能報告制度における主な報告項目として、右の赤枠部分が具体的な医療の内容に関する項目になります。

 9ページ目、この内容をある程度病床機能と関連づけて整理した資料になります。

10ページ目、この中で、急性期と思われる医療行為というものが、実際に急性期病棟として報告している病棟のうち、どの程度実際に行われているのかということを分析したところ、1万1,459ある病棟のうち、これらの行為が全く行われていない病棟が610病棟あった。そういったデータ分析の結果ということになります。

11ページ目、論点1ということになりますが、1つ目のは、高度急性期機能と急性期機能の考え方を書いておりますので、説明は割愛します。2つ目のですけれども、一方で、高度急性期機能または急性期機能と報告した病棟のうち、病床機能において把握できる急性期医療を全く提供していない病棟が含まれており、その要因が、制度の趣旨の周知徹底に課題があるのか、病床機能報告における報告項目が不足しているのか、誤報告を訂正し切れていない事務処理に課題があるのか、十分な分析ができていませんというアセスメントを書いております。

 その上で、平成29年度の病床機能報告を分析する際に、高度急性期機能または急性期機能と報告した病棟のうち、例えば急性期医療を全く提供していないなどの明らかな疑義が生じた病棟を対象として、なぜ高度急性期機能または急性期機能と報告したのか、その理由を調査してはどうかということを論点として書かせていただいております。

 続きまして、2つ目の論点として、回復期機能・慢性期機能についてですけれども、13ページ目は、先ほどお示しした資料と同様で、下の赤枠部分が回復機能・慢性機能の話をしています。

14ページ目、これも以前のワーキングでお示ししている資料ですが、議論をする際の見せ方として、医療区分ですとか、看取りの程度、こういったものに着目して、構想会議で議論しやすいような示し方をしてはどうかということを、以前、御提案させていただいているところです。

15ページ目、回復期機能・慢性期機能の論点ということになります。1つ目のは回復期機能・慢性期機能の考え方を書いています。2つ目ののところで、一方で、病床機能報告制度において、在宅復帰に向けた医療、リハビリテーション、療養や看取といった医療の内容に関する項目が不足しているのではないかと書かせていただいています。

 それに対して、1つ目の○のところですけれども、地域における病床の機能の分化及び連携を推進するため、地域包括ケアシステムの視点も踏まえつつ、先進地域の取り組みを参考にしながら、在宅復帰に向けた医療などに関する項目、例えば、その患者の居住する市町村との連携であったり、ケアマネジャーとの連携であったり、療養環境であったり、そういったものを追加する検討をしてはどうでしょうかということを書いています。

 2つ目のとして、平成29年度の病床機能報告を分析する際に、明らかに回復期の患者さん、もしくは慢性期の患者さんの占める割合の多いと考えられる病棟のうち、回復期機能または慢性期機能として報告していない病棟を対象として、なぜ回復期機能または慢性期機能と報告しないのか、その理由を調査してはどうかとさせていただいています。

 3つ目の論点として、患者の病期というものを立てさせていただいております。17ページ目は、今回28年度の病床機能報告を実施するに当たって整理した基本的な考え方ということになるわけですけれども、実際の病棟には、さまざまな病期の患者さんが入院していることから、当該病棟でいずれかの機能のうち、最も多くの割合の患者を報告することを基本とするという整理をさせていただいているところです。

18ページ目が、今、報告していただいている病床機能報告のデータを用いて単純に集計させていただいた結果ですけれども、高度急性期、急性期、回復期、慢性期と報告している病棟の平均在棟日数に着目して、どのような分布になっているのかをお示しした資料になります。これを見てみますと、高度急性期、急性期の平均在棟日数は短くなっており、慢性期の病棟のところは長くなっているという傾向が見てとれます。

 それも踏まえまして、19ページ目の患者の病期に関する論点のところですけれども、1つ目のとして、病床機能報告においては、最も多くの割合を占める病期の患者に提供する医療機能を報告することを基本としています。2つ目のとして、一方で、急性期の患者、回復期の患者、慢性期の患者を区分するための基準が不明瞭であることから、現在報告されている内容の妥当性を評価することや、実態を把握することに課題がある。

 それを踏まえまして、1つ目のとして、急性期の患者は、入院してから一定期間、状態の早期安定化に向けて医療の提供を受けている患者であることから、例えば、入院してからの在院期間に着目して基準の検討を進めてはどうか。2つ目のですが、回復期の患者さんは、急性期の経過した患者であることから、例えば、入院してからの在院期間に着目して基準の検討を進めてはどうか。この際、急性期と回復期を区分する在院期間は、地域医療構想との整合性を踏まえる必要がありますと書いています。3つ目のですが、慢性期の患者さんは、長期にわたり療養が必要な患者であることから、例えば、入院してからの在院期間に着目して基準の検討を進めてはどうか。この際も、回復期と慢性期を区分する在院期間は、構想との整合性を踏まえる必要があるということを書かせていただいております。

 以降、参考資料をおつけしております。

 事務局の説明は以上とさせていただきます。

○尾形座長 ありがとうございました。

 それでは、引き続き、石川参考人、よろしくお願いします。

○石川参考人 それでは、資料2-2につきまして、御紹介をさせていただきます。先ほどの事務局からの御説明にもありました中で、3つ目の論点として、患者さんの病期について病棟ごとに見ていくのにはどうしたらいいかということで、議論の提供があったと思われます。今回の資料2-2の中では、あくまでも病院が自主的に御判断をしていただくために、その病期の状況というものが現状のデータでどうなっているのか、2つの観点から御報告をさせていただきたいと思います。

 2ページ目、先程の資料でも言われていた病棟の平均在棟期間等に関して、どのような状態になっているのかを改めてごらんいただくためのものです。データに関しましては、平成28年度の病床機能報告データを、できる限り各都道府県から集めさせていただきまして、1年間の各病棟の在棟患者さんの延べ数というものを、出入りがあった部分の患者数で割る形にして、機械的に計算した平均在棟日数というものと、それから、平均在棟患者さんの延べ数を、366日で割った1日当たりの患者数というものを使いまして、グラフ化をさせていただいております。何をやっているのかといいますと、最後の注意事項の上のポツにもありますけれども、今回はいわゆる病院の言っている病床機能ではなく、まずは入院基本料等の種類ごとに、今の病棟がどのような形で平均在棟日数別の患者数というものを抱えているのかということを確認するための資料を作成させていただいております。

 なお、注意事項にも書かせていただいておりますけれども、医療機関からの報告データについて綿密なデータのクリーニングが行えているわけではございません。そのため、分布をごらんいただく中では、極端に値というものが含まれておりますし、残念ながら、全ての県におきまして、このデータが公開されているわけではないので、一部の地域のデータが集計に反映されていないということを御理解いただければと思います。

 おおよそのところの分布ということでごらんいただきたいと思うのですが、結果のほう、ごらんいただきますと、3ページ目はいわゆる高度の特定機能病棟、救急救命やICU、あるいはHCUSCUといった部分のところの病棟に関する平均在棟日数の分布です。横軸は日数を示させていただいておりまして、色分けが高度急性期、急性期というところです。こうした高度の特定病床に関しましては、ほとんどが高度急性期として報告をしている中で、その平均的な在棟日数はおおむね1週間未満で、3日から5日ぐらいのところにピークがある状態になります。ただSCU、脳卒中の病棟に関しましては、回復期につなぐところまでということで、若干長目となっているのが実態でございます。

 引き続きまして、一般病棟の部分等がどうなっているのかの概要を4ページ目でごらんいただきたいと思います。上から順番に、いわゆる7対1について、一般病棟と特定機能病院と専門病院の分布を見ていただきます。こちらでは、おおよそ今まで言われているとおりの平均在院日数が12日から14日程度のところにピークがあるような分布の状態になっています。その他、一般病棟の中でも10対1、13対1、15対1ということにつきましては、少しずつ平均在棟日数は延びていくものの、おおむねご覧いただいているような状態ということになります。

 一方で、新しく入ってきております地域包括ケア病棟が、こうしたものに対してどのような日数になっているのかということなのですが、実は20日から30日程度のところに幅広く中心を持ったような形の分布になっていて、少し多様性のある状態にあるのではないかと思われます。また、回復期リハビリテーション病棟に関しましては、こうした急性期等が終わった後の転棟後の症例を扱うということも影響していると思いますけれども、40日以降、70日、80日といった数カ月単位の状態になっている形になります。

 慢性期等については、この状態ですと分布がよくわかりづらいので、日単位ではなくて週単位でごらんいただきますのが、5ページ目の資料になります。5ページ目の資料は週単位で見ていただいているわけなのですけれども、地域包括ケア病棟で言いますと、おおむね3週間から4週間程度、1桁の週のところで患者さんが退院される病棟が多いのですが、一部におきまして、ポストアキュートの機能というのでしょうか、在棟の平均期間が10床を超えるようなところというものがありまして、こちらに関しましては、いわゆるサブアキュートとポストアキュート、何らかの形で少し御検討いただく必要があるのかなと見てとれます。

 また、回復期リハビリテーションケア病棟に関しましては、1、2、3とございますけれども、おおむね10週間程度となります。また、特殊ではありますけれども、緩和ケアの病棟等は、より短い期間の間に患者さんのお世話をしていただいているという実態が明らかになっています。

 一方、慢性期、療養病棟と障害者施設等に関しましては6ページ目のところでごらんいただいておりますが、平均の在棟週数の分布で行きますと、実はかなり病棟ごとの多様性がございまして、平均的な在棟期間はもう20週を超えてくるような、4カ月、5カ月を超えてくるようなところの施設が存在しています。ということで、病期を反映した形になっているのではないかと思います。

 ただ、こうした形で見ていきますと、各病棟の平均在棟期間を1年間振り返ってみることはできるのですが、では、今、どうなっているのかというものは、なかなかここからは見えてこないかもしれません。

 7ページ目は今までの報告の概要になりますので、省かせていただいた上で、では、具体的に各病棟で今、入院していただいている患者さんにどのような入院日数の方がいらっしゃるのかということで分析をさせていただきました結果が、2番目の報告事項になります。こちらのデータにつきましては、厚労科研の伏見班で集めさせていただいております、平成26年、2014年度の1年間における約1,000施設からの退院患者さん、700万件に関する分析になります。こちらは限られた期間でありますが、2014年の6月30日から7月6日までの1週間におきまして、それぞれの日に病棟に在棟していた患者さんが入院何日目であったのかということを計算した結果になります。

 結果ですけれども、後の資料でグラフでごらんいただくのですが、おおよそ7日以内、それから、14日以内、28日を超えるような期間ということで見ていきますと、病棟ごとに当然構成割合は違っているという形で、こうしたものを見ていくことで、各医療機関に御判断いただく参考になるのではないかということで御紹介します。

 9ページ目、具体的なデータになります。上から救命救急、特定集中治療室、ハイケアユニット、脳卒中ケアという形でごらんいただいているのですが、棒の中でも赤い部分が1日目から7日目までの患者さんの比率になります。救急救命等では80%、おおむねICUHCUSCUのところでは60%程度が1週間以内の患者さんです。その後、特定集中治療室、ハイケアユニットに関しましては、2週間後に転棟、退院される患者さんの割合は少し低くて、2週間以降に延びる方もいらっしゃるのですが、救命救急と脳卒中ケアでは、ほぼ100%に近い患者さんが2週間程度でこの病棟から移動されるということが見えてまいります。

 一方で、一般病棟の部分なのですが、これはあらかじめお断りをしておりますが、私どもの研究班の中で調査に参加していただいている病院は、急性期の大規模の病院が中心となりますので、一般病棟でもある程度数を持って集計ができる部分として、7対1の特定機能病院と7対1の一般病院、及び10対1のところをごらんいただいております。この3つのグループでは、おおよそ1週間以内の患者さんが40%、2週間以内が60%、それから後、3週間から4週間、5週間という形で、在院期間が長期化される患者さんがいらっしゃるというのが、現状の一般病棟の状態となります。

 一方で、今回のデータの中には、1医療機関完結型で、地域包括ケア病棟や回復期リハビリテーションケア病棟を持っていらっしゃる病院というものがあります。右側を見ていただきますと、患者数は少ないわけなのですけれども、構成について見ていきますと、赤い部分、あるいは青い部分といった左側からごらんいただくよりも、右側からごらんいただく中で、紫色が7週、50日以上、また、グレーの部分が5週間、6週間、7週間ということで、おおむね1カ月を超えるような在院患者さんの割合がどうなっているのかと言えば、地域包括ケア病棟で60%、回復期リハビリテーションケア病棟になりますと、7割程度が比較的長期の入院患者さんで構成されるということが見えてきているということになります。

 ということで、あくまでもこれは御議論いただくための参考資料ではございますけれども、各病棟が担当されている患者さんの病期につきまして、こうしたデータの見方もできるということで、御紹介させていただきました。

 私からの御報告は以上になります。

○尾形座長 ありがとうございました。

 それでは、ただいま御説明のありました資料2-1及び2-2について、御意見、御質問等を承りたいと思います。

 中川構成員、お願いします。

○中川構成員 石川参考人の今の資料2-2ですが、もう一度確認しますが、このデータを分析した目的は何ですか。

○尾形座長 石川参考人、お願いします。

○石川参考人 この部分に関しましては、これは多くの方がもう取り組まれていることだと思いますけれども、各病棟のおおよその在棟の期間をごらんいただくということでつくったもので、全体を通じて、いわゆるICUHCU、あるいは救命救急病棟のところから、現状の療養型の病床あるいは障害者施設等に至るまでの中で、どの程度のところに在院の期間が分布しているのかの概観を改めてごらんいただくのが目的でございます。

○中川構成員 だから、何のために改めてごらんいただくのですか。

○石川参考人 これまで御議論いただいております、高度急性期、急性期、回復期等に関しまして、医療資源投入量だけではなくて、その病期に従った評価をきちんとした上で、それをもとに各病院に御検討いただくための参考資料でございます。

○中川構成員 病床機能報告をするときに、これを参考にしてくださいという意味ですか。

○尾形座長 事務局、お願いします。

○中川構成員 石川参考人に聞いているのです。

○鶴田課長補佐 先に簡単に御説明させていただきます。

○中川構成員 ちょっと待ってください。こちらに聞いているのです。後にしてください。

○鶴田課長補佐 わかりました。

○石川参考人 私どもが検討をしている中では、これだけをもとに病床機能報告上で御報告をしてくださいということをお伝えするものではありません。現状を理解していただくための全国の状況として参考にしていただくという意味で、まずは進めさせていただいております。

○中川構成員 わかりました。

 資料2-1の13ページ、これと石川参考人がきょう報告したこの内容とデータに齟齬はありますか。

○石川参考人 報告の前に拝見させていただいている限りの中では、恐らく上側の高度急性期、急性期等の状態に関しましては、特に齟齬がないというのでしょうか。右側に挙げられている救命救急のところから新生児治療回復室のところに関しましては、非常に在棟期間も短くて、入院の初期、急性期的な対応が必要なところが多いということは確認させていただいていると思います。

○中川構成員 地域医療構想における病床機能報告制度の報告を行う場合に、なぜ平均在棟期間に注目しなければならないのかという率直な疑問なのです。このデータは、入院基本料、特定入院料も含めて、そのときの要件に平均在院日数があるから、こういうデータになるのは決まっているのではないですか。当たり前ではないですか。それをあえてこういうように出すことで、資料2-1に悪い意味で反映されているのです。ですから、私はしつこく言っているのです。

 それでは、まず資料2-1の17ページ、これは医政局長も十分な理解をされていて、私は本当に評価しているのですが、ある病棟の患者イメージで、A、B、C、D病棟、各病期の患者はこれだけいて、結果として病床数の必要量はこうだというように構造区域ごとに出ているのだという認識が少しずつ定着して、非常に喜んでいるわけです。話は戻るけれども、林参考人の先ほどのものは、このA、B、C、D病棟の全てに回復期の患者がいるのだという概念と齟齬がありますね。先ほどはそれを言ったのです。

○林参考人 そこはそごはなくて、私どもも主な機能を選んでいただきたいということなのです。

○中川構成員 わかるけれども、だから、あれで結果として、病床数の必要量と、軽症急性期と回復期を合わせた数字が類似したと持っていったら、この概念に反するでしょう、齟齬が生じるでしょうと言っているのです。

○林参考人 こういう概念をとらなくても数字が合ってしまうと、先生のお考えと少しずれるのかもわかりませんけれども、もともとの概念自体は。

○中川構成員 合ったと言ってはだめだということを言ったのです。

 それで、2-1の19ページです。この点線の枠内ですが、3つのに全て「入院してからの在院期間に着目して」地域医療構想との整合性を踏まえる必要があると書いてあるのです。これは、まず結論から言うと、私は明確に反対します。中医協で、迫井医療課長が、診療報酬は地域医療構想に寄り添うと言いました。この19ページの記載は、地域医療構想が診療報酬にもたれかかっているではないですか。逆ですよ。在院期間は、これは平均在院日数に読みかえることができるではないですか。せっかく自主的にいろいろな病床機能分化をして、不足している病床機能を手当てするのだという地域医療構想の穏やかな仕組みになったのですから、この在院期間に着目してというのは逆行しています。急性期だから何日目までだと、急性期の患者でも治療が長引けば、経過が悪ければ、それはずっと何週間も急性期のままですよ。これは全部そういうことではないではないですか。在院期間で分けたら、それは機械的な仕分けにしかなりませんよ。明確に反対します。

○尾形座長 佐々木課長、お願いします。

○佐々木地域医療計画課長 今の御指摘に関して、この在院期間という書き方自体が、いわゆる平均在棟日数の資料、きょうもいろいろとデータを出しておりますので、それとつながっているというようなことにある意味誤解を生じるということはあるかなと思って承っておりました。病床機能報告で、ここでいろいろ議論していただいた各機能を選ぶときに、病院のほうでよりわかりやすい基準というか、何かないかなということで議論をしていただいているところでございます。その中で、平均在棟日数と各病棟にどういう役割があるかということは必ずしもイコールということとは捉えておりませんけれども、こういった視点で何らかの考え方ができないかということで、そういう意味では、きょうの資料で十分事務局として御説明し切れていないところもありますので、少し整理をしたいと思います。いずれにしましても、御指摘の点は重要な、注意深く取り扱わないと非常に誤解を生じる点であることは肝に銘じて、きょうは全般的に御議論いただきたいのですけれども、この考え方について、在院期間の取り扱いということについては、次に御議論いただくとすれば、しっかり資料を整理したいと思っております。

○尾形座長 中川構成員、お願いします。

○中川構成員 病床機能報告でどの機能を選択して報告しても、全ての診療報酬の算定に影響しないということを中医協でも繰り返し確認しながら来ているのです。これをやってしまうと、やはりそうではないかと。急性期と報告していなかったら、その病棟にいる急性期の患者さんは、急性期の診療報酬を算定できないと思ってしまいますよ。回復期と報告してしまったら、その病棟にいる急性期の患者さんの診療報酬の請求ができなくなると思い込みますよ。この表現では、やはりそうなのだということになりますよ。よろしくお願いします。

○尾形座長 ほか、いかがでしょうか。

 岡留構成員、お願いします。

○岡留構成員 石川参考人にお聞きしたいのですが、先生がお示しになりました9ページの伏見班データですね。救命救急、特定集中治療室、この辺のことはもっともな数字だと思うのですが、先生、このデータはDPCEFファイルから入ってきていますね。これだと重症度を加味したようなもうちょっと詳しい分析はできないのですか。

○尾形座長 石川参考人、お願いします。

○石川参考人 今回はあくまでも、まずは病棟にいらっしゃる患者さんがどういう日数の構成になっているのかということでお示しさせていただいておりますが、EFファイルを用いますと、1週間以内の患者さんに関して、在棟中にどのような医療行為が行われたかといったような細かなことの分析も可能ではあります。

○岡留構成員 この質問をしたのは、中川構成員などがよく言われていますけれども、本当に7・1が重症度、医療・看護必要度が大事なのかという疑問をいろいろな病院から聞くので、重症度、その中身は何なのだと。実際の詳細なデータがないのですね。そういうものがあると、先ほど中川先生が言われたような質問を少し解決する部分にもなっていくのではないかという気がしましたので、そういう質問をさせていただきました。

○尾形座長 ありがとうございました。

 本多構成員、お願いします。

○本多構成員 以前から、定量化ということに関しまして、客観的なデータで出すということの必要性は十分感じているところでございます。

 先ほど中川構成員からありましたが、診療報酬と病床機能報告は切り離して考えていただく前提で、11ページにもあるように、報告と実際の病床機能についてずれが大きいということが現実にあるわけですし、また、報告される方が、病院の事務関係者であることも十分想定されると思いますので、報告の際の目安となるものという意味で、どの切り口がいいかということは別ですが、定量化していく方向性は必要だと思っております。

○尾形座長 ありがとうございました。

 ほか、いかがでしょうか。

 織田構成員、お願いします。

○織田構成員 定量化するというのは非常に難しい面もあると思うのですけれども、この2-1の10ページ目の外れ値ですね。これは明らかに外れているではないかというものは徐々に整理していっていいのではないかとは思います。

○尾形座長 ありがとうございました。

 ほか、いかがでしょうか。

 よろしいですか。

 それでは、御意見も出尽くしたようですので、事務局では引き続き本日いただいた御意見も踏まえまして、定量的な基準についての検討をしていただくようお願いしたいと思います。

 そろそろ予定の時間も近づいてまいりましたけれども、最後に全体を通してでも結構ですが、何かございますか。

 伊藤構成員、お願いします。

○伊藤構成員 先ほど、私の発言の中で、地域医療構想会議自体が、疑心暗鬼という言葉を使いましたが、本当に完全な情報公開はなかなかできないというところで、これはある意味、それに携わる者として危惧をしているわけであります。ただ、そういう中で、公立病院のきょうお示しいただいたようなデータの公開だとか、あるいは、一方では、民間病院同士でも、実は地域構想圏域の中での十分な意見の交換は今まで全くなされていなかったことが今回明白になったところです。この地域医療構想会議を通じて、これからの地域全体の構造改革の中で、しっかりと位置づけて協議を重ねてゆきたいと思います。

 しかしながら、先ほどから申しておりますように、時間の制限がとても大きな足かせといいますか、おもしになっていることも事実です。この1年、2年の範囲で病院名で担う機能を明示するという点というところは、これはぜひに、そうではないのだということを明確に否定してそれを指示いただいて、地域の中で急ぐ部分も確かにありますが、そうでない地域ではある程度時間をかけてじっくりとそれぞれの機能を調整・集約させていく役割を担わせていただくということを、厚生労働省からきちんと御説明いただきたいと思うのですが、それは可能でしょうか。

○尾形座長 佐々木課長、お願いします。

○佐々木地域医療計画課長 必ず2年間程度を目途に全て議論しなければいけないのかという質問は、以前もこのワーキングや検討会でも出たところでございます。今回我々は地域医療構想調整会議の各県の取り組み状況に非常に差があるということも把握いたしましたし、地域によっての議論の熟度に相当差があると思っております。2年程度で進めていただくということではありますけれども、それは、各地域の取り組みによって少し差が出てくるということは認識しておりまして、逆にどういう理由で議論が進みにくいのかとか、そういうところは、またいろいろな機会に各地域の状況を把握した上で、そういうものを促進していくような政策的な取り組み、情報提供というものはしてまいりたいと思っております。

○尾形座長 伊藤構成員、お願いします。

○伊藤構成員 今お話をいただいたように、さまざまな病院医療を取り巻く環境が変化する中で、もう既にそれぞれの医療機関は、診療報酬も含めて経営環境が大きく変わることに伴って、例えば空床率が増加したりするような変化が起こっています。その変化の状況をきちんと情報提供しながら進めていくことはとても重要なので、慌てて2年でということのないように、指導していただくようによろしくお願いを申し上げます。

○尾形座長 本多構成員、お願いします。

○本多構成員 伊藤構成員からありました、公開できない情報があるということについて、非常に微妙な問題については、それは事実だと思います。先ほど申し上げたのは、医療関係者だけでやられる会議があってもいいと思いますが、そういうところでおおむねこういう話し合いが行われたとか、そういうことも調整会議に報告をしていただいて、今、このような進捗状況だということは、住民なり保険者なりに周知していただくことは非常に重要と思います。地域の実情によって開催回数などの違いはあるかと思いますが、できるものの情報公開は大事だと思いますので、できるだけ周知していただくようにお願いしたいと思います。

○尾形座長 いずれもごもっともな御指摘だと思いますので、事務局のほうでも配慮していただきたいと思います。

 ほか、いかがでしょうか。よろしいですか。

 それでは、本日の議論はこの辺にさせていただきたいと思います。

 最後に、事務局から何かありますか。

○田丸課長補佐 次回のワーキンググループについては、詳細が決まり次第、御連絡いたします。よろしくお願いいたします。

○尾形座長 それでは、本日のワーキンググループは以上とさせていただきます。

 本日は大変お忙しいところ、熱心な御議論をいただきまして、どうもありがとうございました。


(了)
<照会先>

医政局地域医療計画課医師確保等地域医療対策室
直通電話:03-3595-2194

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