ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会・援護局(社会)が実施する検討会等> 社会福祉住居施設及び生活保護受給者の日常生活支援の在り方に関する検討会> 第2回「社会福祉住居施設及び生活保護受給者の日常生活支援の在り方に関する検討会」議事録(2018年12月17日)

 
 

2018年12月17 日 第2回「社会福祉住居施設及び生活保護受給者の日常生活支援の在り方に関する検討会」議事録

○日時

平成30年12月17 日(月)14:59~17:33

 

○場所

中央合同庁舎5号館17階9号室 専用21会議室
 

○出席者(敬称略)

岡部 卓(座長) 大西 豊美 (構成員) 奥田 知志(構成員)
難波 勉(構成員) 滝脇 憲(構成員) 立岡 学 (構成員)
野村 泰洋 (構成員) 菱田 貴大 (構成員) 平野 方紹 (構成員)
水内 俊雄 (構成員) 宮澤 進 (構成員) 山田 壮志郎(構成員)
 

○議題

(1)無料低額宿泊事業の範囲について
(2)社会福祉住居施設の居住面積等について 等

○議事


○岡部座長 定刻となりましたので、ただいまから第2回「社会福祉住居施設及び生活保護受給者の日常生活支援の在り方に関する検討会」を開催いたします。
皆様方におかれましては、大変お忙しいところをお集まりいただき、誠にありがとうございます。
社会福祉制度並びに生活保護制度を適正に運営実施を図っていくためには、本検討会の審議は大きな意味を持っております。検討会構成員の皆様には忌憚のない御意見、御審議をよろしくお願いいたします。
本日は、辻井構成員が欠席となっております。
出席者におきましては、お手元の座席表のとおりとなっておりますので、これをもって紹介にかえさせていただきます。
それでは、早速本日の議事に入ります。冒頭のカメラ撮影はここまでとなりますので、カメラの方は御退室をお願いいたします。
まずは、議題1「無料低額宿泊事業の範囲について」です。事務局から資料説明をお願いいたします。
○清水室長補佐 それでは、資料説明に入らせていただきますが、まず、資料の確認をさせていただきたいと思います。構成員の皆様につきましては、お手元に御用意させていただきましたタブレット、または紙で用意しました配付資料を御確認いただければと思ってございます。
配付資料でございますけれども、タブレットで言いますと、左側の「プロジェクト領域」を選択していただきますと、本検討会の資料が表示されるようになってございます。
その中で第2回のフォルダをお開きいただきまして、上から「議事次第」「資料1」「資料2」、それから、各構成員からの提出資料といたしまして、滝脇様、水内様、山田様と。あと、タブレット上、この机上配付ということで、菱田様からの資料ということで配付をしてございます。
それでは、資料1をお開きいただければと思います。議題「無料低額宿泊事業の範囲」につきまして、説明に入らせていただきます。
無料低額宿泊事業の範囲でございますけれども、2ページ目にそれぞれ現行等を記載してございますが、「無料低額宿泊事業」につきましては、生計困難者のために、無料または低額な料金で、簡易住宅の貸し付け、または施設の利用をさせる事業としてきたものの、その範囲というのは必ずしも明確でなかった部分はあったのかなと思ってございます。
今回、法定の最低基準を制定するに当たりまして、あわせて、その事業の対象範囲についても明確化を図る必要があると考えてございます。その範囲の明確化を図る上で、論点・課題等ということで、下半分のところに4つほど載せさせていただいております。
まず、1点目につきましては、一般の民間住宅、例とすれば、単なる低額の家賃のアパート等と区分をどう考えるかという点になります。右側に考え方ということで案として提示させていただいておりますけれども、入居対象を「生計困難者」としている場合、また、明記をしていなくても、生計困難者を募集していたり、声かけを行っている場合等については、この「生計困難者」を対象とするということで、生計困難者のためという目的があるかどうかで判断してはどうかということで挙げてございます。
2点目、「貧困ビジネス」対策といたしましては、居室の提供のみではなく、別途料金をとって何らかサービスを提供している場合は、より一定のルールですとか基準の範囲内で事業運営を求める必要があるのではないかということから、考え方のところでございますけれども、入居対象を生計困難者に限定していなくても、主に生計困難者を対象に別途料金を徴収してサービス提供を行っている場合については、事業対象範囲として含めてはどうかということで挙げさせていただいております。
3点目、これまで無料低額宿泊事業については、一時的な利用を想定して位置づけてきたところでございますけれども、自治体によっては中長期的な利用が多いことを理由といたしまして、その届出の対象外としていたところもあったことから、そのような場合も対象から除外をしないようということで、考え方のところでございますけれども、事業の対象外とはならないように入居期間の制限等は要件としてはしないこととしてはどうかということで記載してございます。
4点目につきましては、これは他法、他の法律、または他の制度に基づく事業との関係をどうするかという点でございます。考え方、右のところでございますけれども、他法によって必要な規制等が行われている事業については他法を優先させることを前提として、他法優先ということで、無料低額宿泊所の対象範囲には届出を要しないということとしてはどうかということで挙げてございます。
次ページ、無料低額宿泊事業の範囲(案)ということで、それを踏まえて、具体的な要件の方向性について、今の点も含めて幾つか具体的な要件を整理したものが次ページになります。
1点目は、生計困難者を対象とした事業であることということで、それぞれ「生計困難者」の範囲、下に「生計困難者」を対象とした事業であるか否かの判断基準ということで載せてございます。特に対象とした事業であるか否かの判断基準については、マル1といたしましては、先ほど申し上げましたとおり、生活保護受給を入居要件としていたり、そういった入所、入居の対象を生計困難者と限定している場合等々、あと、入居者に対して生活保護の申請を要求したり、手続の補助を行っている場合、または声かけ等をしている場合というのは、生計困難者を対象とした事業であるということで判断してはどうかということで挙げてございます。
マル2につきましては、主に生計困難者を対象としてということで、米印でございますけれども、生活保護受給者が入居定員の大半を占める場合など、外形的に判断可能な指標は設けたいとは思っておりますけれども、主に生計困難者を対象として、施設の利用契約ということで、通常の賃貸借契約以外の契約によって施設を利用させている場合ということについては、この無料低額宿泊事業に該当し得るということで整理をしてはどうかということで思ってございます。
また、マル3、先ほども触れたとおり、主に生計困難者を対象として、住宅の提供とあわせて別途利用料を徴収して何らかのサービスを提供している場合ということについても、これは無料低額宿泊所の範囲に含めてはどうかということで整理をしてございます。
また、大きな2点目といたしましては、その利用料、特に家賃・居室の利用料が、住宅扶助基準額以下であることということで、無料低額の範囲ということで載せてございます。
3点目といたしましては、入居の定員が5人以上であることということで、これは社会福祉法の「社会福祉事業」の定義といたしまして、入所させて保護を行う者に当たっては、5人に満たない者は社会福祉事業には含まれないものとするというものになってございますので、5人以上であることという要件をつけてございます。
ただし書きでございますけれども、それでも、一つの建物ではなくても、複数の小規模な住宅、また、アパートの居室等、一体的に事業を運営している場合については、それぞれ全体の事業として5人以上であれば、無料低額宿泊事業に含むものとするとしてはどうかということで挙げさせていただいております。また、こちらについてはどういった場合に当たるのかというのは、要件については別途整理をしていきたいと思ってございます。
大きな4点目につきましては、他法によって必要な規制が行われている事業については他法優先を前提とするということで、主には有料老人ホーム等の要件に該当するものについては、そちらのほうの届出を求めるという形で整理してはどうかということで挙げてございます。
次ページ以降、それぞれ今の基本的な考え方に基づきまして、それぞれ一般賃貸住宅との区分の整理等々をしてみたペーパーでございます。
4ページ目、一般賃貸住宅と無料低額宿泊所の整理というところでございます。これはこれまでも説明をさせていただいたとおりでございますけれども、下の表のところをご覧いただければ、入居対象を生計困難者としている、意図的に集めている場合も含むということでありますけれども、この場合は、単なる住居の貸し付けであろうと、サービス提供していようと、無料低額宿泊事業に当たるということで整理できるのではないかということで記載してございます。
真ん中の2段目の欄でございますけれども、入居対象は限定をしていないけれども、生活保護受給者が大半を占めるというものなど、主な対象者が生計困難者となっている場合についてというところでございます。
通常の賃貸借契約で事業が行われている場合は、これは一般の不動産賃貸業と区分がないということかと思いますけれども、別途、違う形での利用契約で施設が利用されている場合、また、住居の貸し付けとあわせてその他のサービスを提供している場合については、無料低額宿泊事業に当たるということで整理ができるのではないかということの資料でございます。
入居対象を限定していない、また、生活保護受給者の割合も高くないという場合については、これは一般賃貸住宅等ということで、事業の規制の対象外ということになろうかということで整理してございます。
5ページ目、有料老人ホームと無料低額宿泊所の整理というところでございます。これも先ほど御説明をさせていただいたとおり、有料老人ホームに該当するものについては、有料老人ホームのほうで届け出ていただくということで整理したものでございます。
事業区分の整理案というところでありますけれども、有料老人ホームについては、入居対象を老人と高齢者として食事ですとか何らかのサービスを提供している場合については、有料老人ホームに当たるということになりますので、上2段、入居対象を高齢者として、かつサービスを提供する場合は有料老人ホームに当たると。
それ以外ということで、例えば入居対象は高齢者だけれども、住居の提供のみであるという場合ですとか、入居対象を限定していないけれども、生活保護受給者が一定割合以上利用していて、かつサービスを提供している。先ほどの無料低額宿泊事業の要件にも該当するものについては、無料低額宿泊事業としての届出を求めるということで整理できるのではないかということで挙げてございます。
また、次ページには参考としてサービス付き高齢者向け住宅の例を挙げてございますけれども、サービス付き高齢者向け住宅については、要件の合致するものについて都道府県から登録を受ける制度ということでございまして、また、介護等のサービスを提供する場合は、有料老人ホームの規制もかかるということになってございますので、こちらもサービス付き高齢者向け住宅として登録を受けたものについては、重ねて無低としての届出を要しないものとすると整理してはどうかということで挙げてございます。
7ページ目、簡易宿所と無料低額宿泊所の整理ということで挙げてございますけれども、こちらも基本的には簡易宿所、旅館業としての規制を受けるというところと、「また」以下のところでございますが、もともと旅館業ということで、業の目的といたしまして、不特定多数の方を対象としている事業であるということもございますので、簡易宿所として営業されているものについては、無料低額宿泊事業には当たらないということで整理をしてはどうかということで挙げてございます。
米印のところでございますけれども、実体上、例えば一般客の利用がなく、また、一般客の利用を制限して、かつ生活保護受給者の方がほとんど長期的に利用されているような場合については、これは旅館業の実態がないというところになれば、無料低額宿泊事業の届出の対象となるのではないかということで挙げてございます。
8ページにつきましては、薬物依存ですとかアルコール依存からの回復を目的とした事業との関係ということで、そういった依存症からの回復を目的とした事業については、これはそもそも事業そのものがどういった形で行われているのかというのがさまざまでございまして、障害福祉サービスとして実施されているもの、福祉ホームとして事業を行っている事業所もあれば、自主的な事業として行われている場合もあるということになってございます。これも基本的な目的といたしましては、そういった依存症からの回復を目的としたものでございますので、無低の対象には該当しないということで整理したいと思っておりますけれども、「ただし」というところで、他に特に障害福祉サービスの指定等を受けていない施設、他で特に位置づけがない施設で、かつ生活保護受給者の利用割合が継続して一定以上である、かつサービスを提供しているというような無低としての要件も満たすものについては、無料低額宿泊事業として届出を求めることとしてはどうかということで挙げてございます。
9ページ目以降につきましては、関連しまして、今回最低基準の整理を行う上で、無届け施設への対応も必要になっていくというところで、これは法律上等の整理を資料としてまとめたものでございます。今回、最低基準の制定にあわせてその範囲を明示、明確化いたしまして、その要件に該当する事業を運営する事業者については事業の届出を求めていく。その結果、必要に応じて調査なり、法律上は不当な行為をしたときは、事業の制限、停止を命ずることができるということになってございます。また、実務上はいろいろ困難な部分等もあろうかと思いますけれども、そのような形で今回範囲を明確化して、無届けの施設にも届出を要請していくという取り扱いで進めてまいりたいということの関連資料でございます。
資料の説明としては以上でございます。
○岡部座長 どうもありがとうございました。
ただいまの事務局の資料説明について、御質問または御意見はございますでしょうか。
どうぞ。
○山田構成員 無料宿泊所の範囲という考え方について確認をしておきたかったのですけれども、ここで言っている範囲の話というのは、主に無届け施設との関係といいますか、無届け施設の中でどういう施設だと届出を勧奨していく対象とするのかという話であって、社会福祉住居施設の最低基準の内容をどうするのかというのとは別の問題と考えてよろしいのかどうかということです。
資料を事前に拝見して、もしこの内容が最低基準に直結していくとすれば、特に入居期間のことなどについて少し違和感を覚えて資料を作成してあるのですけれども、居住面積のことは今日ですが、それ以外の最低基準の内容については、次回以降また議論されるという理解でよろしいのでしょうか。
○岡部座長 事務局、どうぞ。
○清水室長補佐 今おっしゃった、特に一時的な入居というところで事前に御提出していただいた資料であったのですけれども、基本的にはおっしゃったように、今回無届けのところも含めて届出を出してもらう範囲ということで今回挙げさせていただいたので、具体的な事業の基準、事業内容等はまたこれから御意見をいただいてということになってございます。
今の入居期間のところでございますけれども、先ほど説明をさせていただいたとおり、自治体によっては入居期間が中長期にわたるから無料低額宿泊所ではないよということで、届出の対象外としていたりということで、その範囲から漏れてしまうというようなことがあったところから、それは入居期間によらず届出の対象としてルールに則った運営をしていただく必要があるのではないかということで記載をしたところでございます。
○岡部座長 どうもありがとうございます。よろしいでしょうか。
○山田構成員 それであれば、資料にないことを発言しても大丈夫でしょうか。別の話です。
○岡部座長 先に水内構成員、山田構成員、滝脇構成員から資料が出ておりますので、その説明をしていただいた後に御意見をいただきます。
では、水内構成員、資料が出ておりますので、御報告をお願いいたします。
○水内構成員 お手元のiPadの5番に提出資料がございますので、見ていただきたいと思います。これをもとに情報提供させていただきます。
与えられたお題は、私の場合は届出なしの支援つき、ケア付住宅の実態と、一歩踏み込みまして、ホームレス、生活困窮者自立支援システムで働いている部分がございますので、その役割についてとなっております。5分プラスアルファという短い時間でございますので、届出なし支援住宅、ケア付支援住宅の水内がかかわった3つの調査に基づき、数字をもとに御紹介させていただきたいと思います。ややこしい資料構成になっておりまして、ちょっとぼやけた部分がございますので、公開するときにははっきりさせていただきます。
15までスライドがございまして、そのうちの1から8までは第1の調査ということで、結構大規模な調査に基づく結果をそのまま転載しておりまして、パラグラフに番号を打っておりますので、要点だけかいつまんで紹介させていただきます。9と12も別途調査がございます。これは研究会に発表したスライドの一つを抜き取っただけというものでございます。出典や不鮮明部分については公表資料で改善いたします。
11以降は、後ほど説明させていただきますけれども、居住スペース、家賃、利用の関係等々、今まで広範囲に調査をしてまいりましたので、この中で今回の議論の位置づけを確認したいということと、生活困窮者の脱ホームレスあるいは一時的な住居を提供しているという意味では、どうしてもホームレス自立支援あるいは生活困窮者自立支援と欠かせない部分がございますので、その点、全国の自治体においてどういう形でこの資源を利用しているかを概観するということで、11から15の資料になっております。
最初に第1の資料について紹介させていただきます。これにつきましてはかいつまんで紹介いたしますが、例えば2ページ目に4のパラグラフというものがございます。ここの真ん中に書いておりますけれども、ホームレス自立支援法をダイレクトに使っていない都市を中心に、ケア付支援住宅は、宿泊所と並んで、無低と並んで利用される貴重なハウジング資源として位置づけられているということになります。
この分布につきましては、6ページ目にちょっと古いデータなのですけれども、グラフがございます。無低と旧生活保護施設とケア付住宅の大ざっぱな都道府県別分布になりますが、大阪がトップ、その次、北海道、愛知、千葉、沖縄、埼玉という順でこういう資源が偏在しております。宿泊所と重なる部分もございますが、主に宿泊所のない部分がこのケア付支援住宅になっているという実態を見ていただきたいと思います。
3ページに戻りまして、パラグラフの9というところにこの調査の母数を載せておりますが、ちょっと古いのですが、2010年、2012年に、この社会福祉推進事業を利用して全国規模で行った中間ハウジング調査です。母数は3,600ぐらいございましたが、今回、2012年にパネル調査というものをしておりますので、実際に使った数字については、この数字を見ていただきたいと思います。クロス表をとっていませんので申し訳ないのですけれども、3分の2、66.9%が生活保護を利用しているということになります。この辺も難しいところなのですが、全てが生活保護を利用しているわけではないということは知っておいていただきたいと思います。
10以降につきましては、無低との比較を項目別に行っています。サンプルが大阪の事例が結構多いものですので、比較的濃い事例がケア付のほうに入っているかと思いますけれども、余りこれは一般化しなくてもいいと思うのですが、どういう形の方が入っておられるかということで、10においては障害者、それから、ミスで11、12が飛んでいますが、13においてはアディクションの方が多いとか、14に関してはファーストコンタクトでは、無低の場合は福祉事務所からのリファーが多いのに対して、届出なしではさまざまな矯正施設、医療施設、支援団体からが比較的に多いということになっております。ケア数は無低のほうがかなり多くなっていますが、平均入所期間につきましては、これも利用期間についてはさまざま今回も議論がありますが、我々の調査では15.2カ月ですので1年強、宿泊所では26.6で2年強となっております。
17につきましては、就労実態を載せておりますが、大体こういうところでも就労実態がございまして、2割強就労していくという場面もございます。その中で、1年以上就労を継続している人が宿泊所で長く出ているとか、利用期間の議論の参考にしていただければと思います。民民でやっているいわゆるホームレス自立支援センターで就労につなぐためにはこれぐらい期間がかかっているのかなという感じはしています。
17に届出なしの特徴を簡単にまとめていますが、4ページの最後のあたりですけれども、わかったことは、届出なしケア付住宅において、無低とほぼ変わらない利用者層を抱え、ケアを行いつつ、さまざまな生活困窮要因を持つ層をとにかく受け入れている状況があぶり出されたということになります。これが最初のパーツの簡単な結果となっています。
その次の調査は9というスライドになります。これはホームレス自立支援事業を使っていない、無低もない、政令指定都市の届出なしケア付住宅の実例、かなりビビッドな実例ですが、入退去事例を示しております。物件は写真にあるような物件でございます。退去において、自立とそれ以外の事例で分けておりますが、自立転居の定義はその欄外に書いております。自立者の利用期間の平均につきましては16.1カ月、1年半弱となっております。それ以外の事例につきましては21カ月ですが、利用中の方もおられますので、多分2年前後になるのではないかと思います。かなり障害を抱えた方とか、刑務所を退所された方とか、さまざまな方を受け入れている実態において、この利用期間、大体どこでやっても1年半から2年というのがこの手の支援つき住宅、あるいは無低の利用期間かなと思っております。
こういう調査は届出なしの事例の多い北海道や沖縄でもやっておりまして、今回は出しておりませんけれども、ほぼ同様の事例をデータとして持っておりまして、無低としての要件は十分クリアというか、いろいろな理由で無低をしていないということでございますので、そういうケア付が既にたくさんあり、無低と同水準のサービスをやっているということになります。
10につきましては、大阪は結構届出なしの量が多いので、独自調査をしております。これは利用者のうち生活保護者だけを抜き取ってやった実態でございますけれども、簡易宿所転用のケア付住宅を西成区とそれ以外で分けておりますが、ここで見られますような廃止事由等々を見ていただきましても、かなり困難な方々のケアを行っているということをこれで知っていただきたいと思います。
最後に、11から15につきましては、11につきましてはかなり昔につくった見取り図でございまして、広さの議論がすごく重要になっておりまして、縦軸に広さで横軸に利用料をまとめておるのですけれども、今回提示されている7平米前後の値の上下を見ていただければいいのですが、ケア付の住宅において4.5畳以下のところでかなりサービスが行われていると。生活保護施設の3.3平米から上の4.5という、この辺の資源をどう生かしていくか。暫定的な取り組みもあろうかと思いますけれども、ここをきっちりとフォローアップすることが大変重要であるということでございます。
ただ、大阪でも10.5平米ぐらいのところは、新築の更新型福祉アパート系は、大阪においてはこの辺の水準を供給することは可能になっていますが、できるところはやっています。しかし、できないところはできないので、一般住宅と申しましても、なかなか25とか18平米とはほぼ遠い状況でありますので、議論の参考にしていただければと思っております。
最後に12から15につきまして、ケア付住宅とか無低というのがどのように使われているかということを若干だけ述べますが、特に12の表にありますように、自立支援センターを持っている都市においても、資源がものすごくばらばらになっております。使えるハウジングの資源がそれぞれ地域固有であるということで、自治体を申しますと、もう生活保護を使う無低や届出なしの住宅も、そのシステムの一環に組み込んでいる自治体もございます。意識的に組み込んでいるところがございます。
最後の14ページ、15ページを見ていただければわかるのですが、14ページは自立支援センターのあるところのさまざまな困難な理由を持たれた方をどうしているかというときに、福祉が自立できて生活自立弱というところで、都市によれば、ここにも無低とケア付支援住宅を入れ込んでいるところがございます。入れ込まないところもあります。この辺は本当にかなり地域特有に対応されているということで、意識的にか、消極的にか、無低届出のケア住宅を使っていることが明らかになっているのではないかと思います。この辺、各自治体の御意見、どういうふうにして使っているのかというのをお聞きしておりますが、今回この話題の範囲を超えておりますので、別の機会にまた紹介させていただきたいと思います。
以上でございます。
○岡部座長 どうもありがとうございます。
各構成員から資料が出ておりますので、そのお話が終わった後に御意見等をいただければと思います。
山田構成員、お願いいたします。
○山田構成員 私も資料を提出させていただきましたけれども、先ほども申し上げたように、今回事務局の資料の中で、入居期間が中長期にわたることを制限しないということがあって、それが私は最低基準の話との関連かと思っていたのです。それでこの資料を準備しているのですけれども、そこで申し上げたかったのは、後で居住面積の話にもなりますが、現行のガイドラインの居住水準というのも決して十分な水準とは言えないのだけれども、ただ、それがまだ許容されているのは、それがあくまでも一時的な居住の場だから許容されているのではないかと。
例えば災害が起きたときの避難所とかも、決してもちろん居住環境としてはよくないけれども、緊急一時的な避難だからそこで過ごさざるを得ないというところがあるわけなので、日常生活支援住居施設はまた別としても、社会福祉住居施設のほうで中長期的な入所を想定するのであれば、そのときは人が住まうに値するような居住環境にもっと引き上げていかなければならないのではないかと。しかも、今回日常生活支援住居施設ができたわけなので、全ての無低を中長期的な場所としてしまうと、社会福祉住居施設と日常生活支援住居施設との区別が曖昧になってしまうのではないかということでここで書かせていただきましたけれども、先ほどの事務局の御説明ではそのあたりの話はまた次回以降の論点になるということでしたので、またそこで議論をさせていただければと思います。
資料にないことは今は話さないほうがいいのですね。
○岡部座長 関連していれば御発言ください。
○山田構成員 無届け施設の対応のところなのですけれども、それはまた後で。
○岡部座長 また別の意見で。
○山田構成員 わかりました。
では、以上です。
○岡部座長 滝脇構成員、報告をよろしくお願いいたします。
○滝脇構成員 「第2回検討会への意見」というレジュメを提出いたしました。この資料は、先ほど事務局の方から御説明のありました3ページ目の無料低額宿泊事業の範囲(案)というもの、ここで書かれていることに合致すると思いますが、ふるさとの会の経験に基づきまして、このような経緯でやってきましたけれども、範囲に入りますねといった確認を兼ねた考えとして提出いたしました。短いので読みます。
従来、無料低額宿泊所は一時的な起居の場所とされてきたが、ふるさとの会はこの枠組みを使ってさまざまな自立支援を行ってきた。その実績に基づき、自立の助長を目的として運営してきたのが、自立援助ホームと就労支援ホームである。今回、無料低額宿泊所の範疇に日常生活支援住居施設が入ってくるが、上記のように幅の広い実態を踏まえ、自立の助長を目的として運営してきた事業が対象になるような仕組みにするべきである。
もちろん無料低額宿泊所という仕組みの中で自立の助長をやってきたところもいろいろあると思います。ただ、ふるさとの会は、下に米印で注釈を書いた通り、東京都や幾つかの福祉事務所が抱えているニーズというものを聞きながら、「社会的入院患者等が社会復帰の訓練等を行うための民間の施設」、「社会的自立が可能な程度の者に対して就労支援等を行う民間の施設」が必要だ、つくってほしいと要請を受けてつくってきたものです。それは4月以降の議題だとは思いますが、日常生活支援住居施設に合流していくとという方向性を改めて確認したいという趣旨です。
2つ目は、ふるさとの会では、戸建て住宅を活用し、支援職員が巡回することで、これは厚生労働省の表現ですけれども、「「施設」ほどではない支援や見守りのある住宅」というものを提供したことがあるが、日常生活支援の対価が認められず撤退した経験がある。今後、このような取り組みに委託費がつくよう位置づけるべきである。
特に都心部におきましては、なかなか物件の確保が難しい。その一方で空き家の増加ということは言われておりますので、空き家の活用と地域における居住資源をつくっていく。今後、ここに日常生活支援の委託というものがつくようになっていけば、より住みなれた地域で暮らし続けていくということが実現していきますので、ぜひ、3ページの3.の2つ目で書かれている「ただし、複数の小規模な住宅やアパートの居室等を用いて、一体的に事業運営している場合、当該事業全体の利用定員が5人以上であれば無料低額宿泊所事業に含むものとする」をぜひ推進していただきたい。
私からは以上です。
○岡部座長 どうもありがとうございます。
事務局からの御説明で、無料低額宿泊所の範囲、そして、無届け施設の対応について御説明いただきました。その後に水内構成員、山田構成員、滝脇構成員から御報告いただきました。この件に関して少し皆さんからの御意見をいただきたいと考えます。
宮澤構成員、よろしくお願いいたします。
○宮澤構成員 ほっとポットの宮澤です。
前回冒頭で、私から第1回の検討会の資料としてお答えいただけなかった点の確認が、今日、厚生労働省さんの資料から確認ができたことで、一つ安心をした面があることは事実です。簡単に述べますが、小規模な5人未満の戸建て住宅を活用した巡回型のグループホームの形態を通じた地域に点在する社会福祉施設など、住居などを巡回して見守り支援などを行う形態を今後検討していくべきではないかということは、非公開ではあっても議事要旨が公開されている一昨年の意見交換会でも明確に掲載されているところでしたので、改めて私たちほっとポットのような、被保護者の方、生活保護を利用している方、申請者を含んで2人以上4人以下の戸建て住宅のタイプも無料低額宿泊所の届出ができるのだと。その中に含んで明確に規制していただけるのだと。そこの中にいる小規模な事業者も悪質な事業者を排除できるのだという明確な担保が今回の資料からうかがえたので、一歩前進したなという点で、ありがとうございますとお礼を述べさせてもらいます。
以上です。
○岡部座長 ありがとうございます。
ほかに、いかがでしょうか。
野村構成員、よろしくお願いします。
○野村構成員 2点あります。まず1点目は、これは次回以降の基準の話だと思いますが、私、東京都といたしましては、まず基本的には社会福祉住居施設について、設備、ハード及び支援、運営、ソフト、両面について最低基準を定める。まずそこをしっかりやるというのが大事であります。その上で、さらにその支援の充実している、特別な支援が必要な人に対して手厚いケアをしているというところに委託費をつける、日常生活支援住居施設として認定するのだろうと考えています。
これまで事業者の方々がやってきた努力というのは多とするところでありますが、今回の改正の根本的にあるのは、今までガイドラインという形でやってきたのを省令基準あるいは都道府県等の条例基準ということで明確に法制化を行い、居住面積等の設備、人材配置とか支援等の運営両面でレベルアップを図っていくというところであると思います。そこはまず押さえなければいけないと思います。今までの事業者の努力は多とするのですが、まずそこがベースにあり、なかなか最低基準というものがあってこそ、それを遵守した上でさらにそれ以上のものを日常生活支援住居施設に認めるということが基本だと考えているので、次回以降はそういう議論をしたいと思っています。
あともう一つ、今2つの事業者の方からあった小規模型とか巡回型の取り扱いなのですが、基本的には施設というのは何ぞやと。施設長が常駐でいない施設というのはどういう性格のもので、どういう支援が必要な利用者がいるのかというところから考える必要があると考えています。
また、そもそも法的な法律の条文で何があるかというと、改正の社会福祉法第68条の2の第1項において、社会福祉住居施設の届出は施設単位であること。また、68条の6において、66条を援用しておりまして、社会福祉施設には専任の管理者を置かなければならないとされています。このことから見ると、各施設に施設長が必要であるという意味の法の条文にはなっているということをどう整理するかということはあります。
あとは、一体的に複数の建物で巡回等をやりながらというところはあるのですけれども、もしそれを社会福祉住居施設としての届出対象と仮にする場合には、それでもある程度管理者が誰なのか明確にする必要があるのと、1人で管理できる人数というのはある程度限定する必要があると思います。また、地域的な分散といいますか、地域的な範囲もある程度限定する必要があると考えています。合計の施設定員が一定数を超える場合には、さらに必要な数の指導員を置くなど、何かそういう利用者の処遇確保という観点での担保が必要なのだと考えています。
また、行政としては指導検査あるいはそういう管理監督等を行う上では、例えば10個の建物で合計40人の施設と一体でやっていますという、そのような事業形態のときに、そのように指導、監督というか、指導検査をどの範囲でやればいいかとか、その辺に難しい面があるかなと思いますので、そういう観点でのさらなる検討が必要かと考えています。
○岡部座長 どうもありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
前回は第1回ということでそれぞれの方に御報告していただきましたが、今回の2回目以降は、それぞれ御発言のある方から意見を述べて下さい。
どうぞ。
○宮澤構成員 東京都さんのお話を伺って、いい勉強になりました。まさにそのとおりですね。ほっとポットは16カ所の条例届出施設を既に行って久しいのですが、社会福祉士が施設長になり、専門的な支援を、社会福祉士及び介護福祉士法の2条の定義に基づいた範囲の中で業務を行っています。
巡回の形式の施設ではない新しいこの枠組みをどのように捉えていくのかについては、そこに常駐していない他の法の形態の施設も現にあるわけですから、そちらとの比較も後々厚生労働省さんのほうにお願いができる余地があれば、例えば24時間そこに職員が張りついていない、届出制ではないより厳しい基準の、今お示しの他の法体系の社会福祉施設などとの一覧表をつくっていただくと、比較対象ができていいのかなと純粋に思いました。
以上です。
○岡部座長 どうもありがとうございます。
平野構成員、よろしくお願いします。
○平野構成員 立教の平野でございます。
今回の厚労省の提案を拝見して、結論から言うと妥当だなと思っていまして、無料低額の宿泊事業というものを、対象者は生活困窮者というくくりとサービスを提供しているという2つのくくりで整理したという点は非常にわかりやすい。ということは、逆に言えば、規制の対象をするときにも、ハードとあわせてどういうサービスを提供しているのかという、その両面から考えていく。そういう見方でいくことはすごく整理しやすいということで、この案が大体目安としては妥当なのかなという感覚を持ちました。
それから、先ほど東京都さんの言われたこともそのとおりですし、宮澤構成員の言っていることも当然でございまして、たまたま障害関係のほうにかかわっている関係もあって、障害のほうでは日常生活支援という巡回のものとか、グループホームでもサテライトを入れているので、これも一概に規定すると、今度は利用者がダブっていることもあるので、その辺の整合性もとってもらいながらやってもらう。もちろん先ほど言ったサービスの提供を考える上では、きちんとした責任が負えてちゃんとしたサービスができるという担保をする前提になりますけれども、そういうことが必要なのかなとは思いました。
他法との関係でも、ダブルスタンダードは避けたほうがいいと思うので、他法で優先適用されるのであれば、それはそちらを優先してもらうというのが現場的にはやりやすいのかなと。そして、ダブルスタンダードを避けていくということになるのかなというところで、結論で言えば、考える上での基盤としてはこれで適切かなという感想を持ちました。
以上です。
○岡部座長 どうもありがとうございます。
奥田構成員、よろしくお願いいたします。
○奥田構成員 前回、私、別の者が来ていまして、今回が初めてですので、よろしくお願いいたします。
意見なのですけれども、生計困難者の範囲なのですが、いずれにしても、このただし書きを見ると、生活保護受給者及びそれに準ずる低収入の人という経済的な概念が前面に出ていると思うのです。確かに生計困難者という話で言うと、まず一つはそういう経済的な困窮の問題だろうと。でも、一方で、今日、生活困窮者自立支援法にしても、共生社会の議論にしても、それ以外の要素ですね。生きづらさであったりとか、お金の問題以外にも一人で暮らすと。しかも既存の制度のニーズまでは行っていない、他方で、うまく接合できないと。
私はかつてその辺を家族という範疇でやってきたと思うのです。かつては家族の範疇が大きかったから、家族の限界が制度の入り口になってきたけれども、今、家族や企業が非常に縮小している中で、家族の限界点と制度の入り口というもののすき間があいていて、そこのところの家族機能の社会化みたいなものが一方で求められる時代になっている。そういう意味では非常に幅が広くニーズというものを考えないと、果たして経済的な範疇だけの議論でいいのかと。もともと無低はそういう廉価な物件を困窮の人にという話で法律上はなってきたのですけれども、滝脇さんの先ほどの話でも、それは最低ラインで、それをベースにしながらプラスアルファの要素に応えてきた面もあると思うのです。
一方で、当然それを悪用したケースもたくさんあるのでしょうけれども、その辺で生計困難者の範囲をどこで押さえるのか、私はどうかなと。もう少しこの辺は議論をきちんとしておかないと、サービスの中身が変わってくると思うのです。経済的な問題だけを捉えると、例えば自立支援であるとか生活支援であるとかということにおいても、これは経済的な側面だけが強調されても多分ニーズと合ってこないだろうと思うので、このあたり、いかがなものかと思って先ほどの説明を聞きました。
以上です。
○岡部座長 事務局、この件に関して何か御意見はありますか。
○清水室長補佐 今、御指摘いただいたところでございますけれども、一つ、事業の要件として考える上で、生計困難者の中でということで、後で要件の中で特に生活保護受給者の割合が一定割合以上ということで記載をさせていただいておりますが、これも対象範囲としてある程度明確化、外形的に判断可能な指標として何があるかというところで、特に生活保護受給をしていれば、それはある程度人数をどう把握するかという課題はあるにせよ、状態像としては明確であろうということで案として出させていただいております。
また、その中で御議論いただければと思いますけれども、対象の範囲とか、実際に当然無料低額宿泊所の中に生計困難者以外の方、経済的な困窮以外の方の利用を排除するものではないかと思っていますので、その点の入居の条件とか対象のサービスというところも、また今後整理していく中で御意見等をいただければと思っております。
また、その中で、届出の要件として挙げさせていただきましたけれども、また他に御指摘をいただければ、それも含めて検討させていただければと思っております。
○岡部座長 奥田構成員、どうぞ御発言下さい。
○奥田構成員 蛇足でだめ押しで申し訳ないのですけれども、ぜひそのあたりを議論していただいて、この最初の対象者の範囲のところに関しては「生計困難者」とわざわざくくったのだと思うのです。一方では「生活困窮者」という言葉が大きく主流になってきている時代の中で、私はそのあたりもきちんと両方とも見据えると。逆に言うと、生活保護の方でも、地域で一人で居住で十分いける人はたくさんいるわけですから、必ずしも生活保護イコール無低という議論にする必要は全くないわけです。ですから、この無料低額宿泊所なりのニーズというか役割は一体何なのかというところをこれからもう少し深めていただきたいと思います。
以上です。
○岡部座長 立岡構成員、どうぞ御発言下さい。
○立岡構成員 私の認識が間違っているかどうかもあってお尋ねしたいのが、今、不動産関係の方とおつき合いしていると、生活保護の人はなかなか入るところがないからねと言いながら、結局はあいているところに厚意で保証人もなく入れてくれるような大家さんなどがいたりして、結局、その大家さんがある意味福祉的なサポートというわけではないけれども、いろいろ福祉的な形でお世話をしている。ただ、生活保護受給者の人がたくさん入っていて、それでいてその大家さんとかがフォローしているみたいなものというのは、これは無低という届出をその大家さんはしなければいけないのか、それとも一般賃貸住宅という形として認められるのかといったときに、なかなかその辺はどうなるのか。何となくこれを見た限りの中において、その辺はどのように見えるのかなというか、どのような規定になるのかなというのをお伺いできればと思いました。
○清水室長補佐 今、提示させていただいている要件の中では、基本的に生計困難者、ある程度意図的に入居対象を限定しているとか集めている場合ということで限定をしている場合ということと、サービスを何らかの料金をとって提供している場合ということなので、おっしゃった事例が、例えば普通の賃貸住宅としてやっているのだけれども、結果的に家賃が安いので生活保護受給者の方、生計困難者の方が多く入居されていると。かつ、何らか大家さんが厚意で何か困ったことがあれば相談に乗ってあげるとか、役所に連絡をしてあげるとかというところで、厚意としてやられている分につきましては、それは普通の賃貸住宅として事業をやられているものだということで、今回提示させている要件には該当しないということで考えてございます。
○岡部座長 立岡構成員、どうぞ御発言下さい。
○立岡構成員 そうすると、例えば住宅も提供しながら見守りを定期的にします、その見守りの料金は1回当たり何円ですという形のものを明確にした形でサポートするものに関しては、これは無料低額宿泊所に該当するという形になるのですか。
○清水室長補佐 今提示させていただいている案では、住居の提供とあわせて何らかのサービス、見守りも含めて何か料金をいただいてサービスを提供しているということなので、それは無料低額宿泊所に当たるということで要件としては考えてございます。
○立岡構成員 そうすると、例えば今度国交省さんの住宅セーフティネット法上におけるまさに住宅確保要配慮者の届出住宅に、例えば生活保護受給者という形で届出をしましたという形の部分で、そこの見守りサポートみたいなものもそこにつくといったときには、この辺もそこは無料低額宿泊所という形で届出しなければならなくなるのですかね。
○清水室長補佐 そこはまたそれぞれそういった登録住宅として限定をして、かつ一体的に何らかサービスを徴収しているということであれば、それは事業としては当たり得るものだとは考えております。
あとは他制度との関係で、例えば住宅セーフティネット法のほうで、どこまで何かしら規制の部分とか、そういった他法との関係も含めて、具体的に届け出ていただかなければいけないねということであれば、そういうことになると思います。また、そこは少しセーフティネット法の内容とあわせて整理できればと思っております。
○立岡構成員 ありがとうございます。
○岡部座長 山田構成員、どうぞ御発言下さい。
○山田構成員 お願いします。
無届け施設への対応のことが資料の10ページのところに出ておりまして、下線を引いてあるのが72条の3項のところで、事業の制限、停止命令の話が出ているわけですが、下線が引いてある68条の2というのが今回の法改正で追加された社会福祉住居施設としての届出義務の話かと思うのですが、もともとこの72条の3項の中では、69条1項違反、つまり、これは第2種社会福祉事業としての届出をしていない。そこに違反している場合でも同じような事業停止命令を含めた指導ができることにはなっているわけですが、実際にはなかなかここが機能していない。その理由として、自治体などから今までのいろいろな場面で挙げられていたのは、この利用者の処遇について不当な行為をしたときという、そこの判断基準がなかなか明確でないので、だから、こういう事業停止命令などができてこなかったのだということが言われてきているような気がするのです。
そうすると、この68条の2をここに入れたとしても、この不当な行為というところがどのように判断できるのか。そこの基準が示されないとなかなかこの72条の3項が機能してこないのではないかと思っていて、それをどこに求めるのかは難しいところではあると思うのですけれども、私の意見を申し上げるとすれば、届出施設であれば、今回定められる最低基準を守らなければいけなくなるわけですので、その最低基準を満たさずに運営している場合には、この不当な行為に該当するということが妥当なのではないかと思いました。
以上です。
○岡部座長 ありがとうございます。
野村構成員、どうぞ御発言下さい。
○野村構成員 今の山田先生の話に関連しまして、行政の悩みというのはまさにおっしゃるとおりでございまして、今回の法で、届出施設に対しては今回改善命令ができたので、いわゆる最低基準違反で改善が見られず、改善命令になる。改善命令にさらに従わなければ事業の停止、制限になります。ただ、無届けに対しては改善命令の制度がないので、一発で不当な行為、不当な営利とか不当な処遇となるので、そこの判断基準を示していただきたいというのが自治体からのお願いでございます。
同じことが、72条第3項で無届け施設に対して適用する不当云々と、72条1項で届出施設に対して適用する不当が同じなのか違うのか。文言から考えれば同じ文言を使っているのですが、その辺の具体の適用はどうするか、どういうことを当てはめるかというところはよろしく示してくださいというのがお願いでございます。
○岡部座長 いかがでしょうか。
先ほど水内構成員から出された資料は、地域の中でどういう住宅の資源があるのか、施設資源があるのかによって利用の仕方が随分変わってきている。偏在しているところでは代替的なもので使っている場合もあれば、固有の使い方もあるということをお示ししていただきました。大都市中心で無低とそれ以外の地域の中ではいろいろな使われ方がされておりそれにかわるものとして出されている御指摘は貴重な御指摘です。この無低の範囲の話以外にも、この資料を活用していただければと思っております。
もう一つ、今、奥田構成員からも生活困窮者です。制度論的に言うとどういう人を対象にするのかということですが、多様な方々が地域の中では暮らしている。しかしながら、この無料低額宿泊所の目的からすると、生計困難者がおり、その中で一定数の人が生活保護受給者である。今、おっしゃっていた多様な人が地域の中で生活しづらさ、生きづらさを抱えていらっしゃるがこの無料低額宿泊所を利用することを実態としては十分受けとめられていない。
それと、野村構成員がおっしゃっていましたが、ハードとソフトの最低基準を設けないということも大事な御指摘です。また、無届け、届出に関するルールに適してしない場合についての対処も明確化していかないと、入所者の利益が守れないということもあります。その点はいろいろと皆さんから御意見をいただきました。そのことを踏まえて改めて検討を進めていければと考えます。
では、2つ目に入らせていただきます。議題2「社会福祉住居施設の居住面積等について」です。事務局から資料説明をよろしくお願いいたします。
○清水室長補佐 それでは、資料2「社会福祉住居施設の設備基準―居室面積基準等―」ということで資料をお開きいただければと思います。
2ページ目、こちらは今回策定をいたします施設に関する基準というところでございますが、こちらについては今後厚生労働省で定める基準をもとに地方自治体で条例を制定していただくということが、制度上そうなっておりますので、改めて記載をさせていただいております。
また、その中でも真ん中の厚生労働省令で定める基準のところで、厚生労働省で定める基準を標準として都道府県が条例で定めるもの、また、省令を参酌して定めるものと2つございまして、標準については、標準的な基準として合理的な理由があれば各自治体で異なる内容を定めることは許容されるものというところと、参酌すべき基準というものについては、これは省令で定める基準を十分に参照した結果であれば地域の実情に応じて異なる内容を定めることができるということになってございます。
今後、基準の中身に関する御意見を伺っていきたいということで思っておりますけれども、その前提としてこういう形になっているということで説明をさせていただきました。
3ページから、具体的な基準の関係でございます。今回は特に居室に関する面積の基準等々、議題として挙げさせていただきました。
3ページ目、居室の面積の基準でございますけれども、現行ガイドラインで7.43平米なので4.5畳相当ということになりますが、それを原則といたしまして、地域の状況によっては、これによりがたい場合は4.95平米、つまり、3畳相当ということでガイドラインを制定しているところでございます。こちらは現行ガイドラインということで平成27年4月に改定しましたけれども、それまでは3.3平米以上となっていたところであります。
右側の欄につきまして、直近の状況としまして、本年7月末で調査を行ったもの、一部抜粋をしてございます。こちらについては回答内容はまだ精査中のものも含めまして、速報値ということで今後変わり得るものということと、約ということで表記をさせていただいておりますので、御承知おきいただければと思います。現行、届出の無料低額宿泊所事業数は569カ所、利用者数は1.7万人、うち生活保護受給者は1.5万人ということになってございます。議題の面積別の居室数でございますけれども、ご覧のとおりとなってございまして、地域の実情により低いところも4.95平米以上となっておりますが、4.95平米未満のところも一部残っているというところと、4.95平米から7.43平米未満の層にも相当数のボリュームがあるという状況になってございます。
下の方向性のところでございますけれども、こちらについては平成27年以降、現行のガイドラインをもとに事業実施をしてきて、自治体等々を含めてそこにあわせた指導等も行っているところもございますので、現行ガイドラインを基本といたしまして、原則7.43平米以上で、地域の実情に応じて4.95平米以上とすることができるという形で整理してはどうかということで考えております。
また、その上でというところで、現存施設でございまして、4.95平米未満の居室の利用につきましては、一定の条件を付した上で、経過措置等々を講じて使用を認めるということにしてはどうかということで挙げさせていただいております。
4ページ目、居室の定員、多人数居室の取り扱いというところでございます。こちらも現行ガイドラインを載せてございますけれども、現行ガイドラインでも、原則として個室とするということが規定をされているところでございます。右側、現状の欄というところで同じく速報値でございますけれども、複数人の2人部屋、3人部屋、それ以上の部屋というものがありますが、それが全体で1,100ございまして、特に東京都を中心に大半が東京都内の施設として挙げられているという状況でございます。
方向性のところでございますけれども、これも現行のガイドラインどおり、原則として個室としてはどうかということで、今回調査した中で、例えば家族用の居室、また、夫婦でも入れるような居室というところはありますけれども、そちらを例外としまして、原則として個室としてはどうかということで挙げてございます。
その上でというところでございますけれども、現存する多人数居室につきましては、これも一定の条件を付した上で経過措置という形で使用を認めるというような経過措置を設けてはどうかということで挙げさせていただいております。
また、その場合でも何か一時的な使用に限定する等々、個室との取り扱いを区分してはどうかということで挙げさせていただいております。
5ページ目、いわゆる「簡易個室」の取り扱いということで、現行、一つの部屋を簡易な間仕切り等で複数に区画して、それぞれを個室として扱っているということで、いわゆる「簡易個室」が存在するということで書かせていただいております。
現行ガイドライン、左に書いてございますけれども、居室はプライバシーが守られるよう、環境整備に配慮することということで記載をしてございますが、具体的な部屋の形態等々については、要件等はガイドライン上は記載していない状況でございます。
また、右側の現状欄を見ていただきますと、簡易個室数ということで、これも速報値ということでございますけれども、個室の部屋数、1万6600室中3,200室ぐらいが簡易個室ではないかということで、2割程度はそういった形での個室が存在するのではないかということで見てございます。
方向性のところでありますけれども、いわゆる「簡易個室」につきましては、現行ガイドラインにもありますが、プライバシーという意味で十分確保されているとは言いがたいということから、個室の要件といたしまして、天井まで達している硬質の壁で区切られていること、また、廊下から出入り口の部分については、独立してこちらもカーテン等ではなく、硬質の扉が設けられていることを要件としてはどうかということで挙げてございます。
また、米印で書いておりますとおり、これは前提要件でございますけれども、建物として建築基準法違反となる場合については、居室としては認められないということで、特に代表的な例として、採光のための窓が確保されていない場合は建築法基準法違反になりますので、区切って入り口が独立していても、窓がない部屋の設置等は違反になるので認められないということになろうかと思ってございます。
その上で、真ん中の2つ目の○でございますけれども、今挙げたような個室としての要件を満たさない居室につきましては、段階的に解消を図っていくこととしてはどうかということで挙げてございます。
その上で、現存する簡易個室につきましても、一定の条件を付して経過措置ということで設けてはどうかということで挙げさせていただいてございます。
また、その場合でもということで書いてございますけれども、現行、個室との取り扱いについて、特に住宅扶助基準の取り扱いについては、通常の個室でも簡易個室におきましても一つの部屋ということで、住宅扶助上限額が一つの部屋として適用されることになってございますので、例えばそういった簡易個室における住宅扶助基準の適用については、一定の減額を行う等、通常の個室との差を設けることも検討してはどうかということで挙げさせていただいております。
以下、参考資料となりますので、全体の規定の方向性、また、経過措置等を講じること等、中身等についての御意見をいただければということで思ってございます。
資料説明は以上でございます。
○岡部座長 どうもありがとうございます。
ただいまの御説明に御質問、御意見はございますでしょうか。
どうぞ。
○宮澤構成員 ほっとポットの宮澤です。
重複してしまうのですが、次回までに厚生労働省さんには確認というか、整理をしていただきたい点があります。先ほど東京都さんがおっしゃっていた専任の解釈についてです。これは小規模巡回型について、ふるさとの会の滝脇さんがおっしゃったとおり、当然、脱大規模化の時代の社会福祉の潮流の中で、できる限り当事者の目の届きやすい、当事者のニーズに応えやすい形態で新しい形として生み出されてきた。そして、表現は違いますけれども、今日の資料に明確に示されてきたわけですので、専任と専従の違いであるとか、専任の解釈について、まさに小規模な巡回型の支援団体などにしっかりと調査をしていただく。
また、平野先生のおっしゃったポイントで、他法との兼ね合いの表を重ね重ね確認ですが、次回までに資料を作成して検討しやすいようなペーパーがあれば望ましいと思います。
続いて、本題なのですが、御説明いただいた4ページ目、5ページ目になりますかね。これは純粋な疑問なので質問です。複数人居室という表現であるとか、皆さん恐らく困惑されたと思うのですが、「個室」という表現と「居室」という表現と「複数人居室」という表現と「簡易個室」という表現などが散見されるのです。これは面積など、もちろん簡易個室について、天井まで達していない天井部分が開口している簡易な間仕切りなどが昨今どうやら話題になっているようですけれども、非常に重要な部分だと思うのです。何が何なのか明確な定義づけを。「個室」「居室」という表現でぶれが出ているような気がするのです。
要は、何を言いたいのかを言います。実は簡易個室数のカウントに、私は違和感を覚えておりまして、5ページ目の平成30年7月時点の速報値の約1万6600分の3200ですね。まだ全て回答が終わっていないのでという話なのですけれども、実は先週、埼玉県議会のほうで簡易個室数の質問答弁などが行われたのを傍聴していまして、埼玉県で福祉部長答弁だったかな、ここはうろ覚えなので正確でなければ申し訳ないです。謝っておきます。600という数字が埼玉県議会のほうで出ているのです。となってくると、全国で3,200部屋なのかどうか。もう一度簡易個室を、天井部分が常時開口していて簡易なベニヤ板などで単に間仕切っただけのプライバシーの権利が侵害されている住居、居室、今回は社会福祉住居施設、日常生活支援住居施設なので、しっかり位置づけてほしい。
理由を述べます。私がやっている小規模巡回型の形式の住居施設において、間仕切り壁はプライバシー侵害になるので明確に容認しがたい。この小規模巡回型において、間仕切り壁などは論外です。社会福祉士としても権利擁護の観点から許すことはできない。なので、明確に簡易個室の定義とは何なのか。
もうちょっとだけ踏み込ませてもらうと、例えば今ここの会場が一部屋ですね。ここが大量に、天井部分が常時開口していて、間仕切り壁で仕切られている部屋が20、30あったとする。そのカウントの方法が、自治体によっては簡易個室がある部屋を1とカウントしている場合がないのかという疑問点。2つ目が、この部屋に20、30の間仕切られた部屋があって、簡易個室の数を30、20と報告している可能性があるのではないかという純粋な疑問なのです。だとすると、しっかりと簡易個室とは何なのか、天井部分が常時開口していて、簡易なベニヤ板などで間仕切りした程度のプライバシーが侵害される部屋だと、そういうものを簡易個室と言うと。それで、簡易個室ごとにカウントしたものを次回までに出していただきたいというところです。
以上です。
○岡部座長 事務局から何かありますか。
○清水室長補佐 今御指摘いただいた点について、調査については基本的には2つに間仕切っていれば2つとして出してくださいということで依頼をしたところでございますけれども、回答内容がどこまで正確かどうかというようなところの制限はありますが、そういった形で登録をいただいているというところで、また、回答内容はできる限り精査してということで思っております。
実態は、これもある程度地域的な分布が明らかでございまして、回答のあった内容につきましては、ほぼ首都圏の周辺が主なので、埼玉、千葉、神奈川ぐらいにある程度数が集中しているのかというところは見てとれます。少しどこまで精査できるかというところはありますけれども、場合によってはまた資料等を御用意させていただければと思います。
○岡部座長 宮澤構成員、どうぞ御発言下さい。
○宮澤構成員 とすると、4ページの多人数居室の中に簡易個室数は含まれていないと理解しないと、右側の平成30年7月末時点の東京都が約980存在していて、東京都以外が120だと、早速埼玉県議会のほうの答弁と矛盾が生じてしまうのです。なので、複数人居室の中には簡易個室は含んでいないという理解でよろしいですか。
○清水室長補佐 前提として、今回、先ほど言葉がわかりづらいということで御指摘をいただきましたけれども、居室というのはまさに一つの空間としての居室ということで、個室と表現しているのは、居室を一人で利用している場合が個室として今この資料上は整理しているというところでございます。なので、一つの空間をいっぱいの人数で使っていれば多人数居室というところでありますけれども、先ほどの御指摘のあったような調査上は、簡易個室、いわゆる簡易でも間仕切りをして、そこの間仕切りをした後の空間を一人で使っていれば、それは個室として上げていただくような形での調査をかけてございます。なので、多人数居室の中には簡易個室は含まないという前提で調査を実施していると。
○宮澤構成員 含んでいないのですね。わかりました。
○岡部座長 水内構成員、よろしくお願いします。
○水内構成員 居室面積につきましての議論ですが、私は常に調査に基づきという枕言葉を入れてしまいますので、今回もそうなのですが、先ほどもちょっと御紹介しましたが、自立支援センターや生活保護施設や無低とかいろいろ社会資源のあるところでは使い分けをされているという実態と同時に、大部分の都市においては、大都市圏の周辺も含めまして、無低しかない、あるいはケア付支援住宅しかないところがあります。
そこでの居室面積を議論するときに、では、大都市における、例えばホームレス自立支援センターは全て簡易個室に近い実態があると思うのです。救護施設のほうは大分改善されてきたと思いますが、更生も含めて、基本的には個室はない。要するに、資源の偏在において、ここだけ視野に入れて居室面積の議論をするのはちょっと危ういなと。
もちろんこの居室面積を厳格に守っていくことは大変重要なのですけれども、これしか使いようのない自治体において、では、大都市自治体で自立支援センターの簡易個室をどう考えるのかというあたりは、どこかで保護課さんのほうで整理していただかないと、私たち的には大変不公平感があります。何で無低あるいはケア付支援住宅だけにこの議論が集中してしまうのか。もちろんここから改善していかなければいけないというのはよくわかりますが、その辺の背景は考慮していただきたいということがあります。
となると、自立支援センターはどうするのかという問題も出てくるかと思いますが、課が違いますのでまた調整していただきたいということと、無低やケア付支援住宅が入居者を囲っているというよりは、私たちの調査で行きますと、役所が無低を適切と判断して使っているという部分も結構ある。判断したから入居しているという部分もございますので、誰がという議論をするときに、役所さんのほうでのいわゆる生活困窮者、生計困難者とか、その辺のイメージ感はかなりばらばらですので、今後の議論でその辺は反映していただきたいと思っております。
以上です。
○岡部座長 菱田構成員、どうぞ御発言下さい。
○菱田構成員 エス・エス・エスの菱田です。
資料は机上配付ということで、委員会の方にのみ提出させてもらっているのですけれども、利用者情報などが少し入っているので、一旦机上配付にさせてもらっています。
私たちエス・エス・エスは、宿泊所事業者として20年にわたって、閉鎖したものまで含めれば150以上の施設をこれまで運営してきました。その中で延べ7万人の生活困窮者を受け入れてきました。その中でいろいろな試行錯誤を繰り返して、成功であったり失敗もしてきた中で、この検討会には事業者として招集されておりますので、あくまで事業者としての経験に基づいて、なるべく現実的な視点から話をさせていただきたいと思います。
居室が狭い、狭いのに住宅扶助の上限額を徴収している、高い、けしからぬ、貧困ビジネスだ、一部でそういう論調の発言があります。ほかには、この社会福祉法のコンメンタールでの説明、解釈からしても問題であると。私たちはこの単一的な視点というか、居室問題だけを取り上げてこのテーマを議論するというのは、なかなか答えが出ないのではないかと考えています。
私たちも居住空間で言えば全てのエリア、全ての施設、都市部も、なるべく広くて快適な居住空間を提供したいと思っています。それが理想です。また、その理想を実現するための具体的な努力や取り組みというのは実際にやってきています。しかし、利用者を日々受け入れて生活支援であったり自立支援、居宅への移行支援を行う。そのための人員を配置して、教育して、その職員の生活にも責任を持つ。社会福祉法やガイドラインだけではなくて、事業を運営する上での各種法律を遵守する。そして、責任を持って事業を持続していく。それには費用、あとは人員、例えば常駐職員の配置、こういったルールに従うことも含まれています。その他、投資もかかります。
民間団体が事業を通じてその組織の理念や使命を実現していく。エス・エス・エスでは、生活に困っている人をみずから助けるということを第一使命としてやっていますが、それには事業収支のバランスというものも必要不可欠です。また、この都市部や郊外では、同じ施設を運営するのでも、その条件面は全く違ってくると考えています。
また、これはぜひ事務局の厚労省で支援に対する委託費等の比較表などをつくって明らかにしてほしいと思っている部分なのですが、その辺の比較があって初めてさまざまな基準の妥当性というものが検証していけると思うのです。この無料低額宿泊所というのは、今、水内先生からのお話とかもあったとおり、他の1種や2種の施設と比べて相当低額な予算での運営というものを余儀なくされている。本当に相当低額な運営予算での事業を余儀なくされていると。まず、大前提としてそれがあると思います。そこにも中には狭い居室しかなかなか提供することができないといった状況との因果関係があると私たちは考えています。
それらの本来切っても切り離せない関連する要素というものを勘案せずに、居室の面積や設定家賃だけを切り離して個別に単純に議論するというのは、言い方はあれですけれども、非常にナンセンス、無意味な話になってしまうのではないかと思っています。
つまり、ちょっと長くなってしまっているのですけれども、提出させていただいた資料は時間がかかってしまうのでここでは読み上げて説明することはいたしませんが、資料の1枚目では、最低基準を設定していくに当たって事業者としての視点からあらかじめお伝えしたいこととして、都市部における不動産事情を踏まえた宿泊所事業の設置と維持の難しさに関する現状報告、そして、民間団体が遵守できないほど厳しい基準やルールを設定してしまった場合に後に想定されてしまう懸念事項についての報告や意見、要望等について記載させていただいております。
2枚目の資料は、これも参考資料として、都市部における簡易個室のある宿泊所の収支モデル、仮にその簡易個室がルール上、廃止となった場合の収支シミュレーションになります。これは実在する施設の収支状況であったり入所者の状況をモデルに、それらがなるべくわかりやすくなるように数字を丸めて単純化して記載させていただいております。
あとは、なぜ簡易個室が存在するのかというところですけれども、これはそもそも現行の27年のガイドラインよりも前のガイドラインの改定の際に、行政サイドと協議して行政指導をもとに設置されたものではありますが、その経緯はここでは一旦置いておくこととして、なぜすぐに簡易個室をなくすことが難しいのか。仮になくしていくとして、時間がかかってしまいそうだと考えているのですが、それは実際に、その資料等も見ていただきたいのですけれども、みずから事業を行っている者にしかわからない多面的な問題もあります。また、地域によっても全く異なる状況があると考えています。
最後、繰り返しになってしまいますけれども、居住空間の基準設定においては、法律論で何平米が妥当、理想的には何平米という単一的な視点からだけではなくて、社会福祉住居施設が社会資源として期待される役割というものを担う上で、都市部などにおいて守れるルールになっているのか、実現可能なのかという視点からもぜひ考えていただきたいというか、考えていくべきだと考えています。
今回、私たちの提出させていただいた2枚の資料は、それらを数値的に検証していく一つの材料になればというか、きっかけになればというところで提出させていただいた資料になっています。
以上です。
○岡部座長 どうもありがとうございます。
続いて、山田構成員、滝脇構成員からもペーパーが出ておりますので、山田構成員からお願いいたします。
○山田構成員 ペーパーの主に2点目ぐらいに書いた話が居住面積との関わりのことかなと思っているのですけれども、居住面積の問題は非常に社会的な注目も高いところですので、いろいろな事情はありつつも慎重に議論していくというのが、今回の法改正の趣旨からすると必要だろうと思っています。
今回、現行ガイドラインを踏襲した最低基準という提案になっているかと思うのですけれども、本来は4畳半という水準も決して十分とは言えない基準だろうと思っているのです。一方で、狭い部屋がなぜ問題なのかということを考えると、そこに長期間にわたって入居して、かつ住宅扶助が満額支給されているというところに問題があって、そこが自立支援センターとか他施設との違いかなと思っています。
長期間入所のことに関しては、繰り返しになりますけれども、社会福祉住居施設は一時的な居住の場ですので、そのことが最低基準の中でも明確にされるべきだろうと思っておりまして、そこはまた次回以降の議論になるかなと思っております。
もう一つ、住宅扶助の問題に関しては、これは平成27年から狭小面積の居室に関しては減額措置が適用されることになっておりまして、これは第5回の検討事項の中に入っているかと思いますので、そこで御議論されるだろうと思っていますけれども、そこを徹底していくことは必要なのだろうと思っています。
ただ、住宅扶助の減額措置に関しても、それが適用除外になる要件もあって、もともとあの議論は生活保護基準部会の中で無料低額宿泊所の問題からスタートしてきたと記憶しておりますけれども、どれだけ無低に対して適用されているのかという実態は把握した上で議論する必要があるのではないかと思っています。
いずれにしても、狭小な面積のやむを得なさというのは一方であるにしても、そこで住宅扶助が満額で支給されてきた、その背景にはケアの対価がなかなか捻出できないということがあったのだろうと思っていますが、まさにそのことに関して今回の法改正で日常生活支援住居施設という枠組みができたわけです。そこに対して委託費が支払われるわけですから、社会福祉住居施設の最低基準に関しては、本当は現行のガイドラインよりも引き上げていくことが望ましいのですが、少なくともそこよりも後退するということはあってはならないだろうし、それは簡易個室の問題も含めてですけれども、検討していく必要があるのではないかと思っています。
以上です。
○岡部座長 どうもありがとうございます。
では、滝脇構成員、御報告をお願いいたします。
○滝脇構成員 まず前提としては、これからつくるものについては新しくできた基準以上のものをつくればいいので、私がこれから問題として提起するのは、既存をどうするかという問題であります。
基本的には最低基準はガイドラインを踏襲するものだと捉えておりますけれども、ガイドラインも何回か改定してきておりまして、その改定、東京都では特に平成26年の改定が大きかったと思います。この時、居室床面積4.95㎡以上、新規開始は個室と定められました。
ふるさとの会ではこの改定よりもかなり先立ち、2005年(平成17年)以降、補助金がなくても自主的に個室をつくって提供してきました。しかし、この個室というものは壁が壁としてある場合には、広げるというのはとても難しいことです。例えば台東区の簡易宿泊所だったところを改装して、バリアフリー化して、2005年から自立援助ホームとして運営してきました。居室はもともと三畳間でつくられていて、建築確認申請が行われて、検査済証も出ている。そういうものを、前回も言いましたけれども、わずか0.1平米足りない、およそ30センチ四方足りないということで一律に居室として使ってはいけませんというのは、誰のための規制なのか。わずかに足りないといっても、それは一部の居室のことですけれども、そのことによって今安心して暮らしている人が追い出されてしまうという結果になってしまっては、何のためのものなのかという問題であります。
2つ目の段落で書きましたように、もしこれが著しく満たないということであれば、それはもちろん論外だと思います。しかし、無料低額宿泊所の範疇に入る既存の事業で、率先して個室で運営してきたところについては、利用者が今も地域でケアを受けながら暮らしているということに十分配慮していただきたい。
ふるさとの会の出発点は、居場所づくりと独居の支援です。地域生活支援事業では、アパートで暮らすおよそ700名の方を支援しています。高齢化が進み、一番多い年代は70歳以上の方ですが、地域包括支援センターと連携し、在宅医療、在宅介護などのサービスをコーディネートして、独居支援の地域のあらゆるサービスを駆使しています。それでも暮らせないという方を、この共同居住で受け入れているわけです。
私はこの居住面積の議論というのは、とても局所的な視点だと思っております。もし面積の水準だけを求めていくならば、それは町なかから出て山奥なり人里離れた市街地から離れたところにつくれば適合しますという話になっていく。でも、人は地域で暮らす、地域の中で障害のある人もない人もお隣さん同士で暮らしていくというノーマライゼーションという理念があるわけです。
先ほど奥田さんが孤立とか生きづらさと言いましたけれども、そういう人が地域に住まいを持って、例えば町会とか、商店の店主さんとか、周りに仲間がいたりだとか、あるいは地域のケアする人たちとつながって暮らしていて、そこが居場所になっているわけです。利用者自身も町なかで暮らしているが故に、自分でも町を歩いて人とつながっていく。そういうことの積み重ねとして、前回お話したように、例えばたまゆらから移られた方も10年暮らして、地元の人たちと交流が生まれて、地元の首長から表彰もされてきたわけです。居室、住居というものは、そういった社会的環境も含めての住居であると思います。そこをあくまで占有部分だけで議論するということについては、私は違和感を持っています。
もちろん、それでも最低というものをどこかで決めなければいけないことは重々承知していますけれども、少なくともこの検討の結果によって、今安定して地域とのつながりの中で生きている人が排除されるようなことだけはしてほしくないということを改めて強調したいと思います。
補足のところが長引きましたけれども、もう一点補足する必要があると思いますのは、厚労省の資料を見ておりますと、簡易な間仕切りという言葉で簡易個室というものが出てきます。私もこの問題を余り認識せずに、最後の段落で間仕切りを入れてと書きましたけれども、ここに書いたように、壁です。私たちは既にある居室の形態を使っているか、そうではない場合には壁として間仕切りをつくっている場合がありますけれども、消防の観点だとか、防音とか、断熱とか、防炎とか、さまざまな性能の中で居室として認定されてきましたので、単なる面積だけの話ではなくそういうトータルな視点で見ていただくことが必要ではないかと思っています。
以上です。
○岡部座長 奥田構成員、どうぞ御発言下さい。
○奥田構成員 まずは、無低のほうを例えば広さも含めて規制して、今の時点では多分家賃を基準以下のところに関しては低くすると。それによって規制をしましょうという、それは一つの考え方だと思うのです。ただ、山田先生が先ほどおっしゃったように、だからこそ日常生活住居支援施設をつくるのだから、そこでカバーすればいいではないかと。いいところは伸ばせばいいではないかということなのですけれども、ただ、私が気になるのは、この日常生活支援住居施設の対象者と無低の対象者が必ずしも並行にスライドしていないというところですね。無低の部分に関しては、生活保護及びそれに準ずるような生計困難者も入ってよろしいですよとなっていて、ただ、今回の日常生活支援住居施設に関しては、生活保護受給者で日常生活支援が必要だという2つの枠がはまっていて、ざくっと言えば制度の縦割りになっているわけですね。ですから、ここで落としてこちらで救う論理というのは、実は厳密にはそこはイコールではないというところは少し議論しなければならないだろうということですね。
もう一つだけ今の1点目で加えると、一方で、厚生労働省においても生活困窮者自立支援法においても居住支援の強化ということが言われていたり、国土交通省においては住宅セーフティネット法の改正をやっている。そこの議論は生活保護に限っていないのですね。非常に居住問題というのは広い範疇で来ている話があって、このステージが極めて狭いステージをしているというのが、私の前半の生計困難者は誰なのですかという話もそことの関わりがあるのです。本来、居住の安定とか支援というのはある意味ごちゃまぜで、生活保護者のみで議論しているということ自体の限界を我々は踏まえないと、先ほど水内先生から他に比べて不公平ではないのという話も出てきましたけれども、不公平かどうかは別としても、私は大前提となるのは、そういう生きづらさも含めた暮らしの問題をどう支えるかという全体像をきちんと議論しないと、ここだけの限定の議論をやると、先ほどのこちらで落としてこちらで救う、だけれども、実際にはそこで救われない人が出てくるのではないでしょうかと。つまり、家賃だけが下がっていく人たちがいるでしょうということですね。
2点目としては、居住の広さは非常に問題だし、問うべきだと思いますけれども、一方でそもそも本人の主体というか、本人の同意などがきちんとなされているのか、本人が望んでいるのかということの検証をどこでするのかということと、支援内容ですね。支援内容できちんと精査しないと、逆に言うと広ければいいのかという話になるわけで、広くてもろくでもないという話はあり得るわけですね。ですから、やはり広さの議論だけで終始しないで、そこによって家賃を絞り込むことによって貧困ビジネスを追い出すというのは、少し安易な部分が出てくるのではないかというのが2点目です。
3点目としては、簡易居室のことですけれども、やはりそれは原則的にはきちんとした部屋のほうがいいと思うのです。今あるものをどうするのか、それによって追い出される人が出てきたらどうするのだ、これは大きな問題なのですね。でも、一方で、簡易個室は人の暮らしとしてどうなのかということは、私は自立支援センターも含めて、あれはどうなのかと。15年前のあの仕組みは、今や特に若者たちも利用するようになってきては、なかなか厳し過ぎて、もう入る直前でやめますという人も現に出てきているわけです。やはり簡易個室の難しさは現にあるわけです。
そうしたら、簡易個室をやめて個室に変えるためにはどうすればいいのかという議論をすべきであって、簡易個室を認めるかどうかではなくて簡易個室をやめようというのだったら、国はそれを手伝って全個室化を図る、そこに関してはちゃんと手当てするという議論をしないと、現にあるものを後でできた規制でおまえら悪だと急に言われても、多分やってきた人は、うちは全個室なので簡易個室はないので気楽な言い方をしていますけれども、でも、やはりどうなのかなというのは私は気になるところです。
以上です。
○岡部座長 どうもありがとうございます。
平野構成員、どうぞ御発言下さい。
○平野構成員 今の論点を聞いていると、一つは面積の問題と、それから、個室の問題と、もう一つは簡易個室の間仕切りの問題ですね。3つの大きい論点になっていると思うのです。
面積の問題は置くにしても、今の議論を見ると、確かに菱田構成員さんの経営上の困難さ、それもわかります。それから、今あるものもわかりますし、先ほど水内構成員が指摘されたように、行政は認めているではないかと。でも、これはある意味では供給側、あるいは行政サイドの視点になっているわけですね。先ほど、奥田構成員さんが言われましたけれども、利用者サイドの視点を私は考えるべきだと思っているのです。
私は立場も学識経験者というあれですけれども、そういうことで考えてみると、行政の方向で見れば、似た形態である認知症のグループホームも知的障害者のグループホームも福祉ホームも、みんな個室という流れにあるわけですね。そのときに、では、なぜ生活困難者というだけでダブルスタンダードになるのというのは、説明がつかないと思うのです。つまり、ちゃんと明確な理由があるのだったらいいですけれども、そういう仕方がないからということでがまんしろというのは、利用者サイドからすれば説明がつかないと思うのです。
ですから、現実問題としては、いろいろな経過措置だとか改善策が必要だと思いますけれども、政策としては、ダブルスタンダードでは、供給がないから仕方がないではないかと、そこで考えてしまうというのは、利用者に対して私は説明がつかないと思うのです。
もう一つ、間仕切りの問題で言えば、そもそも社会福祉事業なわけですね。社会福祉法の3条に福祉サービスの利用の原則ということで、個人の尊厳を保持しなさいと書いてあるわけですね。そうしたら、その個人の尊厳の保持ということに、果たしてこれが合致しているのかどうかというところから、法として認める以上はそこから考えていく必要があると思うのです。ですから、そういった意味で、個人の尊厳をちゃんと保持するかどうかというところから考えて、できていないとすればどうすればいいのかということを考えていくということだと思うのです。
面積は確かに難しいと思います。広ければというのは一般論では言えますけれども、ただ、ミニマムというのはあると思うのです。ミニマムというのはどこかで考えなければならないと思っています。もちろん先ほど言った0.3平米とか、こういった場合には、古いものに関しては経過措置を入れるとか、協議を入れるとか、今利用している人に対して不利益になってはいけないと思いますけれども、ミニマムというのは国が決めるべきだと思いますし、ミニマムはどこかで考える必要があると思っています。理想は幾らでも言えると思いますけれども、ミニマムについてはきちんと議論したほうがいいという意見を持っています。
以上です。
○岡部座長 菱田構成員、どうぞ御発言下さい。
○菱田構成員 先ほどの私の早口の説明でどこまで伝わったかが心配ですので、例を挙げてお話をさせてもらいますと、先ほど宮澤さんのほうで簡易個室があり得ないというお話をされていましたが、例えば10人とか5人の建物に、一部屋を管理人室にして常駐職員を置いて、その方にお給料を払ってということでやったら、恐らく民間では事業として全く成立しない。
そうなると、職員を配置しないでそこのルールを守らずにやっていくのか、ある程度プライバシーに配慮した中で全てのガイドライン、ルールに従った中でどういう方法があるのかを考えた結果、数年前に生まれたのが簡易個室なのです。その辺で誤解していただきたくないというのがあります。私たちはルールを守るということに最大限重点を置いて、それをまた利用者にちゃんと説明して、通過施設として役割を果たしていかなければいけないという中でそういった手法をとってきたというところは、一つ御理解いただきたい点です。
奥田さんのおっしゃった、個室のほうが理想的だとは思います。ただ、単純に都市部においてそれをやれと言われても、それに見合った収入だったりとか、そういった施設の候補物件が見つからないという中で、実際にルールだけ決められても本当に実現不能な状態になってしまう。そうなると、事業者がどんどん都心部からいなくなって、結果、どうなるかといったら、先ほど滝脇さんがおっしゃったような地方で古い箱だけ用意して、そこでやればできることなので、それこそたまゆらのような背景をどんどん生み出していってしまうことにもなる。
都心部においても個室化ができるような前向きな議論は私どもはぜひやりたいと思っていますので、その経過措置として現状どうしていくかという話と、長い目で見て個室化をしていくために行政側としてどのような案をいただけるか、議論ができるのかというところで話をしていきたいと思います。
○岡部座長 座長という立場を離れて一つお話をしたいと思います。私は生活保護基準部会の委員を務めております。この生活保護基準部会での中の住宅扶助の論議の中で、憲法の25条の健康で文化的な生活は、8つの扶助を含めて健康で文化的な生活の保障としている。そうしますと、住の保障でも最低限度の住宅の保障をしなければならない。これが生活保護の中で行われていることになる。
今、お話の中ででている、住宅扶助の基準額が、そこに住んでいらっしゃる方の居住面積であるとか、プライバシーを守るとか、それは全部そこにつながっているます。それが保障されているかどうか。住宅扶助に見合った費用を国が保障するということになっている。それ以外の例えば対人サービスコストをどうするかとか、そういう話はまた別の話です。運営費用を例えば生活保護の基準の中で捻出しようということではなくて、その費用はまた別立てでどれぐらいかかるのか、その整理が必要だということが1点です。
2点目です。これは水内構成員ですね。無料低額宿泊の事業と日常生活社会福祉の住居施設の基準の話です。これは第1種と第2種の社会福祉事業のあり方で言ったときに、第2種は、社会福祉事業の話となります。第2種の基準の設定はどうするかという議論をしているので、他の制度との比較検証で公平であるかないかという話は別の議論になってきます。
第1種は行政か社会福祉法人が担うことになっています。第2種の場合は社会福祉法人、行政以外も運営することができる、その中で基準をどう設定するかという話になります。
これにはいろいろな議論があるかと思います。要するに、ミニマムを決めましょうという話は、そこで言ったときに生活保護の基準のミニマム、それと社会福祉事業の最低限が、社会福祉法第3条のサービスの理念の中で謳われている人間の尊厳に値する保障の議論として整理したほうが、生産的になる。議論として、いろいろな事項が入ってきますが、ここで少し限定をかけさせていただいたほうがよいのではないか、進行係として、また、基準部会の委員として整理させていただいたことを補足させていただきました。
以上です。
野村構成員、お願いします。
○野村構成員 各論に戻ってしまいますが、事業者から御意見のあったガイドライン改定以前から事業を実施した施設については、仮に今後定めるミニマムとしての居室面積等の基準を満たなくてもという話がありましたが、それは果たしてどうなのかと。先ほど申し上げたとおり、今回の趣旨から見れば設備、運営、両方の基準でレベルアップをはかっていくという観点があります。
一方で、事業者あるいは東京問題だと思っていまして、この都市事情の厳しい東京問題でかなり居室面積の問題、さらに多人数居室が多いというところで悩ましいところ、苦しいところはあるのですが、今回の制度の趣旨を考えれば、ナショナル最低基準を設けて、それをクリアすることが重要、それを明確にするのだということだと考えています。
なお、東京は厳しいのですけれども、仮に今ガイドラインにあるように、あるいは今の案により地域事情として4.95平米ということで言うと、ちなみに東京の個室で4.95平米未満は10部屋でとどまるというところであるので、そこをまた考える必要があるかなと思っていますし、事業者の方がこの東京の厳しい中で、努力しても、頑張ってもできない基準は確かに設けるべきではないとは思っていますが、そこはいろいろ厳しい中ではあるが考える必要があると思います。
もう一つ、今日のトータルのテーマに少しかかわって、予告的に申し上げますと、日常生活支援住居施設と社会福祉住居施設の関係をどう考えるかなのですが、一つの観点として、日常生活支援住居施設については、その運営の最低基準について指導検査し、処分する仕組みがありません。同じく生活保護法における保護施設については、生活保護法の中で最低基準に基づく指導検査が行われ、処分等が担保されている。ところが、日常生活支援住居施設にはそれがありません。その意味では、やはり何らかの法で最低基準についての設備、運営があって、そこに指導、監督が入ってクリアする、認められることがどこかで必要なのだと思います。それが基本的には社会福祉法であって、社会福祉法で定める最低基準をクリアしているということが前提にあるのだなと考えています。今日の冒頭もその観点を含めて申し上げた次第です。
○岡部座長 難波構成員、どうぞ御発言下さい。
○難波構成員 大阪市です。
今、東京都さんも日常生活支援住居施設との関係性についておっしゃいましたけれども、今回の法改正というのは、土台となる部分は社会福祉法による制度で、ソフト面のうち行政が費用負担を伴う部分は生活保護法による制度になっているかと思います。只今、ご発言がありましたように、生活保護法上の基準の中身については、大阪で言いますと救護施設、更生施設もありながら、このような無低宿泊事業等を利用することになりますと、そこのハード、ソフトの整理のところできちんと分かりやすい基準であることが求められます。委託を行う実施機関が判断を間違わないように、法令の中で制度の基準を決めるとともに、被保護者の委託にあたってどのような支援が必要なのかを福祉事務所が判断できるような基準を示していただくことが必要なのかなと思います。
大都市部の問題ということで出席させていただいていますけれども、前回の意見交換の中で、施設とは何か、居宅とは何かをきっちり整理していただいた上でこういう法改正に臨んでいただきたいという御意見も申し上げたのですが、今は、こういう状況にありますので、新規取り組みへの考え方を議論する一方、今実際にそのような支援を受けている方についてどうするかということが、経過措置の中で議論されると思っています。
ただ、経過措置が期限を定めず、単に当面の間であるということになりますと、いつまでもその基準が続いてしまうのではないかと懸念しています。例えば原則7.43平米にしたとしても、当面の間として4.95平米未満を認めるということであれば、結果としていつまでも経過措置が解消されないのではないかと思われます。
また、新規参入がどこまであるのかというのはわからないところですけれども、これから最低基準に従い、事業者を指導していく行政の立場としては、例えば検査をしていくという点に限っても、どのような頻度で検査をするのかとか、サービス提供についての検査を実際にどのようにするのが適切であるかというところは非常に難しい問題を抱えていると思います。運営側の問題もありますが、行政側の実施機関、例えばケースワーカー等の業務のことも考えますと、いろいろな整理をきっちり議論した上でしないといけないのかなと思います。今日はもう時間がないのですが、これからの議論の中でそのようなところはきっちり示していただいた上で、お互いの立場で意見を申し上げたいと思っております。
○岡部座長 どうもありがとうございます。
滝脇構成員、どうぞ御発言下さい。
○滝脇構成員 経過措置については今後の議論というところもあるかと思うのですが、その上でさらに補足をしておきたいと思います。
現状ということで言いますと、前回も申し上げたのですが、東京で高齢で独居困難で要介護になった場合に、8割の人が都外の施設を使っているわけです。だから、住みなれた地域でということがここでは実現していない。地域共生ということから置いてけぼりになっているわけですね。この全体状況を見てどうやって地域で住み続けられるかということを考えていかないと、それこそ尊厳というものが置き去りになってしまうのではないか。それを私は危惧しています。
先ほどは独居の方のセーフティネットなのだということを言いましたが、他の施設でうまくいかないという人もたくさん相談が来るわけです。中には県外のサ高住とか有料老人ホームとか、そういうところにいた人たちもいます。もちろんサ高住や有料にもいろいろなものがあって、いいケアを市街地でやっているところもたくさんあると思います。ただ、生活保護のお金で使えるところとなると、なかなか少ないのではないかと思います。多くは在宅医療とか介護保険サービス等、これは生活保護基準部会の報告書にも書かれていましたけれども、過剰医療や過剰介護というものを懸念される。この問題意識はどこに行ってしまったのでしょうか。全てではないにしても時にサービス漬けみたいなことが懸念される中で、一人一人に合ったサービスを地域の中でコーディネートしていく。そういうことを実践してきたわけです。
もちろん他の施設から移ってくるという方は、本人がどうしても東京に帰りたいということを訴え続けて戻ってきた方もいます。あるいは、背景に障害や認知症があって、生活上のトラブルになって、そのことに対応できない施設から追い出されてしまったという人もいました。中には、介護保険が自立になったから退去してくださいという、これが意味することはわかりますね。介護保険サービスを使えない人は出て行ってくれということです。住宅であっても、あるいは住宅型であっても、介護保険がセットでなければいてもらっては困ると言われてしまう人もいるわけです。
そういう人たちが長期に地域で暮らし続けられるのは、その人にとって地域が居場所になっているからです。だから、やはり箱だけでなくて、箱ももちろん最低は決めなければいけないにしても、地域生活という観点から議論をしてほしいです。住宅水準は一歩一歩改善していけます。
○岡部座長 よろしいですか。今の議論は確かにそのとおりで、どのように運用していくのかという話にはなります。人として最低限の居室面積、最低限のプライバシーを守れるような個室、その関連で先ほど言った間仕切りの話があります。そこで、最低限必要について合意形成がここされればよいわけです。
あともう一つ、先ほど述べた住宅扶助の出し方は、その世帯に出しているのであり、それを簡易の間仕切りをして個室であるから、住宅扶助を出してよいという出し方は、適切ではない。きちんとした個室、居室面積、個室に相当するきちんとした間仕切りが必要という話をここでしている。地域の中で住み慣れたところで住める住めないという話とは別な次元の話です。その整理を、今ここで議論をすることになっている。
宮澤構成員、どうぞ御発言下さい。
○宮澤構成員 ほっとポットの宮澤です。
繰り返しになりますが、私は社会福祉士であり、社会福祉士の事務所を運営しながら、そこで小規模巡回型、きょう、厚生労働省さんからお示しいただいた一体的に事業を行う事業者ということで2から4も含むということで安心したわけですけれども、今の岡部先生の話と、先ほど平野先生の他法とのダブルスタンダードが存在するというところについての、それは望ましくないだろうというところに共感をしました。
我々社会福祉士は、みずからの法人内で丸抱えをするのでなく、ほかの法や施策などの社会保障制度を活用しながら御本人たちの支援をしていくということなので、そういった機能は後日後段のほうで議論ができるかなと思うのです。そこがまさに支援の専門性が発揮される一つのポイントだなと思っています。少なくとも小規模巡回型についてですね。
あわせて、なぜ私が間仕切り壁について何度も言っているのかというと、そこで今この瞬間、我々が話し合っている間もそこに現に当事者がいて、現に侵害されている行為が続いているわけなので、それは最低基準として容認はできないでしょうという当たり前のことを当たり前に言っているだけの話なのです。
では、今いる人たちはどうなのですかという議論がありました。今いる人たちについても、当然生活保護を受給されている方であれば、福祉事務所のケースワーカーさんや査察指導員がしっかり見て、当然ですけれども、実施責任は福祉事務所にあるわけですから、適宜必要な適切な居宅を中心に、社会福祉施設に転居費用を支給すればいい話ですね。
もちろん話を伺いながら、滝脇さんのところと「簡易個室」との違いというのは正直あるなと思いました。滝脇さんの御主張を聞いていると、しっかりと個室にしてきたのだと。事業者としてこれまでの経緯の中で頑張って改善をしてきて、それで壁をつくってきたのだと。それはベニヤ板なのですか。違いますね。
○滝脇構成員 もちろん壁ですと強調したのは、ベニヤ板ではありませんということを言っています。
○宮澤構成員 ということなのですよね。
私たちほっとポットも同様に、事業規模はNPO法人なので、きょう傍聴席にお越しになっている方々も、きょう来ている構成員の事業団体の事業規模を普通にNPO法人であれば公表していますのでごらんください。我々のNPO法人や立岡さんのところは比較的近いので、意見交換会のときに事業規模がというところで、財政基盤がというところで悩んでいるという話をしましたね。
簡易個室を解消すると赤字ですという主張ももちろん経営者として、経営の代表者として、立岡さんも私たちのところもよくわかります。ただ、申しわけないのですが、それは我々ほっとポットは、赤字だからできないという選択肢でお手上げですと言って行政に泣きつくという手法はとってきませんでした。そうではなく、であれば、どうすれば御本人たちが望む住環境の施設が提供できるのかということを、本人を中心に考えて、かつペイできるところを何とか13年間やってきた結果、当事者から選ばれる団体になってきたと考えているのです。だから、経営がうまくいかないから云々かんぬんと言われても、そこは困ってしまう話ですね。
○菱田構成員 当法人の業務について誤解させる内容があり反論が必要ですが、ここでそういった議論をやりますか。
○岡部座長 こういう議論は余りせずに、もう少し一般論的な話をさせていただいたほうがいいかと思います。
○平野構成員 制度の話。
○岡部座長 制度の話にしていただいたほうがいいと思います。
○菱田構成員 では、私のほうからこの場での反論や抗議はしないでおきます。
○岡部座長 滝脇構成員、どうぞ御発言下さい。
○滝脇構成員 先ほど岡部座長から言われたことについて、別次元の議論なのですと言われたらそれ以上言うことはなくなってしまうのですけれども、ただ、この制度は、これから日常生活支援住居施設というものを後半に議論していくわけですね。その中で今特に都心部において生きづらさを抱えていて、この先どのように住まいを確保していったらいいのかということで悩んでいる本人たち、それから、恐らくケースワーカーさんたちもそういう不安を抱えている人がたくさんおられる。その中で、この制度の議論が地域のセーフティネットづくりに向かっていってほしいと私は思うのです。でも、その過程で利用者が不利益をこうむるということはあってほしくないので、別次元といっても全体状況を見て、そして、利用者に不利益がないようなというところの観点をいつも持ち続けた議論をしないと、それこそ当事者不在の議論になってしまう。そこを私は懸念していまして、そういう意味を酌んでいただければと思います。
○岡部座長 承知していますけれども、基本的に言うと、今、生活の場の拠点として最低限どれぐらいの居室の面積であるとか、あるいは個室であるとか、基本的に言うと、住宅扶助であるとかお金を出すときには、出し方はそこに独立して住んでいるということを前提にしてお金を出しているものですから、そこのところではっきりとした間仕切りが必要ですよと。最低限、人が住むに当たる居住面積というものがあるでしょうと。要するに、そこは基準というものを設定しましょうと。
もう一つは、今、お話の中で、ここで言うと施設をどう運営するかという話ですね。広い意味でいくと行政になるのですけれども、民間も官の行政がそういう人たちに対してどのような関わりをしたらいいのかということの話になってくるので、少しそこは整理しましょうということで、最低限、先ほど人間の尊厳という言い方でしたが、人として生活する場として、これぐらいは確保しておきましょうというのをミニマムで設定しましょうと。経過的な措置は当然考えますけれども、最低限のラインというのを考えないと、この話は出発できませんねと。一番の足場の話をしているということですので、滝脇構成員の話はまたこれから先の話でそういうことも出てくるかと思います。どれぐらいの人のサービスの量とか質が必要なのだろうという話が出てくると思うので、それはある意味では対人サービスのコストがどうなのかという話になってくる。今は場の問題でどうかということの話をさせていただきたいということで、少し整理をさせていただいたということです。
どうぞ。
○大西構成員 皆さんの議論をお伺いして、同じ届出をした施設であってもいろいろなご意見があるのだなと感じました。今回の議論は無届の施設も対象になると思うのですが、事務局としてどの程度把握されているのでしょうか。
○岡部座長 事務局、お願いします。
○清水室長補佐 全体の無届け施設の状況ということで言いますと、少し前回資料には載せてございますが、今おっしゃったとおり、前回の平成27年の調査といたしましては、生活保護受給者が2名以上利用している施設であって部屋の利用料以外に何らかの料金を徴収しているという前提で調査をしたものでございますけれども、それを言いますと、箇所数で1,236で入所者数は1万6578ということなので、その定義で言えば、今の届け出いただいている無低と同程度の量があるという状況でございます。
○岡部座長 よろしいですか。
○大西構成員 届けている施設と同程度の無届施設があるということで、かなりの数になるかと思うのですが、これを規制するにあたって現時点ではどのようにお考えでしょうか。○岡部座長 先ほど野村構成員が述べていましたけれども、届出に対しての一つの規制のかけ方と、無届けの場合。これははっきりと整理しておかないといけないので、それについての検討をお願いしたいということです。それも当然ここの中で一定議論ができればと考えております。
どうぞ。
○野村構成員 都において数が、届出施設と同等とまでは把握はしていないのですけれども、無届けの法制上の課題はもう一つありまして、無届けはなぜ無届けかというと、定める最低基準に達していないから、届け出られないからなのですね。これから、今回今日の議論で無低の範囲が定められて届出勧奨いたしますが、果たしてどこまで届出に応じてくれるのか。
そうすると、法上、実は社会福祉法において届出義務がある施設なのに届出しないことの罰則がないのです。そこが課題かなと思っています。例えば児童福祉法の同じように行政のお金が基本的に入っていない認可外保育施設などになると、児童福祉法上、届出指導を受けても、なお届け出ない場合には、行政上の過料、行政罰としての過料が科されるという規定はあるのです。同様に、指導検査は現行においても国の通知において無届けであっても無低とみなされる場合については70条に基づく指導検査ができるとなっていますが、指導検査にも果たして応じるのかどうか。そうしたときに、指導検査を拒否、立ち入りとかを拒否することに対しての罰則がない。現行は、社会福祉法においては届出施設が70条の立入調査を拒む場合には、72条1項で、それがもう事業の制限、停止の要件になっているのですが、そういうものが無届け施設にはないので、そこら辺は課題かなと思っています。今後、将来にわたってその辺の法の整備も厚労省にお願いしたいなというところはあります。
○岡部座長 保護課長、どうぞ御発言下さい。
○矢田貝課長 おっしゃるとおりだと思っています。ただ、一気に全てのところに届出義務化して、罰則までつけて、基準の話もそうですけれども、一気に非常に高いレベルの基準を求めてというのは、ある意味理想には近いかもしれませんけれども、現実的にそこまでできるのかという問題があろうかと思っています。
今回の法改正では、まず事前届出の義務にしたと。基準についてはきちんと法定化すると。今日前半で議論いただいたのは、どういうところまでこの届出の義務を課すか。これに当たるものについては、今まではそこは不明確だったのですけれども、この検討会の場で決めていただいて、そこは届出勧奨していってということで、今よりは無届けのところがこれにも当てはまるのだから、法律上も届け出るのだから、届出をしなさいと強く言えるようにする。基準についても単なるガイドラインではなくて、省令で定める、大臣が定める基準としてやっていく。
今日の議論は、最初の届出の範囲の話と基準のところの広さの話ですけれども、今後運営のほうの基準の話も次回以降させていただきますし、日常生活支援施設の話についても、これは年度を超えてということになりますが、議論していただく。そうした中では、全体がある中での今日は最初の部分について御議論をいただいたものと認識しています。
今日、さまざまな立場から御意見をいただいたものを我々のほうで受けとめまして、特に今回出した案の中では、一定の条件を付してとか、一定の期間の経過措置とか、実はそういうところで、今日の御意見なり今後の御意見も踏まえてやっていかなければいけないところはあると思うのですが、それのどのぐらいの経過措置とか、どういう条件なのかというところが重要になってくるのではないかと思っています。
恐らく皆さんきちんとした基準をつくってよりよいものを目指していく、それを原則にしていくということは合意されていて、いかに段階的にそこにやっていくか、それをどのぐらいのスピードでやっていくのか、どのぐらいの厳しさでやっていくのかというところのディテールのほうがまた大事になってくると思います。本日の御意見、また、今後の御意見も踏まえながら、それも含めて今後議論ができるように我々も準備していきたい。そういうところでございます。
○岡部座長 どうもありがとうございます。
水内構成員、どうぞ御発言下さい。
○水内構成員 今回厚労省さんの示されている、割と包容力のある規定を出されておりますので、非常に考えやすいと思います。
2点だけ補足情報ですが、無届けの調査について、受けられているところの実態は、基本的には福祉事務所さんが生活困窮者を扱っていただくために紹介している物件を挙げているということになります。先ほどの調査も踏まえますと、ほとんど無低と同じような基準のところが大変多いと思いますので、基準的には余り変わらないのではないかと思っています。東京都さんは違うかもしれませんけれども、広さ的には4.5平米以上のほうがどちらかといえば圧倒的に多いのではないかと認識しておりますので、その辺は割とすんなりとこういう枠組みに乗るのであれば入っていただきたいところではないかと。確定申告とか何かその点でわからない部分があったところで入れないとか、特に北海道や沖縄を見ていますとそういう文化がございますので、その辺はこういうところにもどんどん入っていただいたらいいのではないかと思っております。
人権の問題、居住権の問題で言いますと、建築学会でも今1人に1人の個室というよりは、1人に対して複数の共居、ともに居住するという概念を導入しようかと言っておりまして、建築学会のほうも家賃支払いの1対1の関係も見直していく必要があるのではないかという議論があります。
社会保障・人口問題研究所の推計によりますと、今までは複数世帯で、例えば夫婦と子供というのが1980年には5割近くあったのです。単身居住が2割を切っていたのですけれども、10年後によりますと、夫婦子供世帯、要するにそういう概念が20%台に落ちて、単身居住が4割になってしまうということを考えると、今後1人で住まうということに関して、逆にどう共に住んでいくかという考え方も必要になってくると思うときに、こういう生活困窮のさまざまな集合施設という役割を、一人一人の居住面積という考え方よりも、共用面積とか共用部分とかケアというものですね。ケアは今回の議論ではありませんけれども、共用面積あたりももうちょっと積極的に入れていったほうがいいのではないかと。建築学会自体がそのように動き初めているので、国交省さんも意識されているとは思いますので、その辺も今後の議論の中に入れていただければと思います。
以上です。
○岡部座長 立岡構成員、どうぞ御発言下さい。
○立岡構成員 なかなか議論を聞いていて、なるほどな、なるほどなと思う部分もたくさんあって、はっきり言うと、地方と都内周辺とは全く住宅環境が違うので、それを本当に一緒に議論できるのかというところはある。
最低の基準を定めますというのは、よりよいものを求めていくというところではすごくいいのかなとは思います。ただ、やはり今までやってきて、実際にそれで救われた人たちもたくさんいるような状況の中で、今後、本当にどう考えていくかといったときに、面積をきちんと守ってくださいねとなっていくのであれば守れるような形で、先ほど奥田先生も言っていましたけれども、何らかの形でハードの部分に対して修繕をかけるところにはきちんと手当てしますよということも踏まえた上で、よりよいものをつくっていくのだという形のものにしないとよくないのかなと思います。
これは都内のほうがすごく多いので、仙台で言ってしまうと、無低といっても1Kのアパートみたいなところですから、全然状況が違う。それと、本当に今はオリンピックがあるからか、東京だと住宅の部分に関するコストがすごく上がっていっていると思う中において、その辺は考えていかないといけないのかなと。原則は原則として話をしていく中において、現実は現実としてきちんと見た上で議論していく必要はあろうかという中において、最低基準を一定程度定めて頑張っていきましょうというところはいいのではないかと思った次第です。
勝手を言いましたが、以上です。
○岡部座長 ご発言は、あと1人2人だけにさせて下さい。
滝脇構成員、どうぞ御発言下さい。
○滝脇構成員 いろいろ議論をしましたけれども、最低基準が必要ないということではもちろんありません。それはつくっていくことは大前提でお話をしたつもりです。
その上で、先ほど水内先生がおっしゃいましたけれども、共有スペースはふるさとの会でも広目につくってきて、その共有スペースをどうやって増やすかとか、そのような工夫はできると思っているのです。だから、一部の居室を共有スペースにして居室水準を守るということは考えられますよということを提出資料にも書きましたけれども、実現可能な柔軟な方法を議論していただけたらと思っています。
○岡部座長 よろしいでしょうか。
今日、無料低額宿泊所の範囲をどうするかということと、無届け施設の対応、それと社会福祉住居施設の設備基準です。この事項について議論をさせていただきました。制度を運営するためには、最低限ルールが決められないといけません。基本的には、無料低額宿泊所ですとその範囲をどうするか、基準をどうするかの議論をさせていただいた。これはこれまでの社会福祉法や生活保護基準の考え方にのっとって考えるとするならば、その範囲の中でどう考えるかということになってくるかと思います。
非常に新しい考え方もいろいろと出されてきましたし、また、実態に即してよりよいものをつくろうという皆さんの御意見も非常に大切だと考えます。ただし、これを適切に運営していくためには、広く皆さんに理解していただかなければいけない。そのことについて説明責任を果たせるような制度にしていかなければいけませんので、それらのことを念頭に置きながら議論を進めていければよいのではないかと思います。
今日は時間を30分以上超過させていただき議論をさせていただきました。皆さんの中でまだ言い足りなかった部分もいろいろあるかと思います。これから2回、3回と続きますので、また忌憚のない御意見をいただければと思っております。
それでは、本日の議論は以上とさせていただきます。御多忙の中、ありがとうございました。
○清水室長補佐 第3回、次回の予定でございますけれども、1月21日、月曜日、午前10時からの予定でございます。また追って場所等を含めて連絡をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会・援護局(社会)が実施する検討会等> 社会福祉住居施設及び生活保護受給者の日常生活支援の在り方に関する検討会> 第2回「社会福祉住居施設及び生活保護受給者の日常生活支援の在り方に関する検討会」議事録(2018年12月17日)

ページの先頭へ戻る