ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(疾病対策部会臓器移植委員会)> 第49回厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会議事録(2018年6月6日)

 
 

2018年6月6日 第49回厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会議事録

健康局難病対策課移植医療対策推進室

○日時

平成30年6月6日(水) 10:00~12:00

 

○場所

経済産業省108会議室
東京都千代田区霞が関1-3-1

○議題

1 肝臓移植希望者(レシピエント)選択基準の改正について
2 膵臓移植希望者(レシピエント)選択基準の改正について
3 腎臓移植希望者(レシピエント)選択基準の改正について
4 システム作業班について
5 その他

○議事

○磯部委員長 おはようございます。定刻になりましたので、ただいまより、第49回厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会を開催します。委員の皆様におかれましては、御多用のところ、また天候不順のおり、御出席いただきまして誠にありがとうございます。事務局から出欠状況、資料の確認をお願いします。

○蔵満室長補佐 初めに委員の異動がありましたので申し上げます。新たに湯沢賢治委員、賀藤均委員、秋山千枝子委員に御就任いただいております。本日の委員の皆様の出欠状況は、小野稔委員、水野紀子委員、山本輝之委員、湯沢賢治委員から欠席との御連絡を頂いております。それでは、厚生労働省健康局審議官の吉永和生より、一言御挨拶させていただきます。

○吉永審議官 健康局審議官の吉永です。委員の皆様におかれましては、非常に御多用の中、御参集賜りまして誠にありがとうございます。また、日ごろより移植医療の推進に当たりまして御支援、御協力を賜っていることをこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。

 本日は第49回の臓器移植委員会ですが、本年4月に開催された肝臓移植、膵臓移植、腎臓移植、それぞれの「基準に関する作業班」の検討結果、また昨年9月に設置させていただいた「情報システム作業班」の現状などについて御審議いただく予定です。本日の御審議が、臓器移植に関する様々な課題の解消につながり、また希望者が1日でも早く移植を受けられる環境が整備されるよう、委員の皆様におかれましては忌憚のない御意見を賜れればと考えております。限られた時間ですが、よろしくお願い申し上げます。

○蔵満室長補佐 本日の審議会におきましては、前回に引き続き、厚生労働省として取り組んでいる審議会等のペーパーレス化の一環として、前回同様タブレットを使用して議事を進行させていただきます。お手元には紙で議事次第を御用意しております。タブレットは、左下のフォルダーマークかadobeマークをタップしますと資料一覧が現われます。資料1-1が、各作業班における検討事項と検討結果(まとめ)、資料1-2が、肝臓移植希望者(レシピエント)選択基準の改正について、資料1-3が、膵臓移植希望者(レシピエント)選択基準の改正について、資料1-4が、腎臓移植希望者(レシピエント)選択基準の改正について、資料2が情報システム作業班について、資料3(公益社団法人)日本臓器移植ネットワークにおけるあっせん誤り後の対応について、参考資料として、1-11-4が作業班の資料になります。資料2-1、資料2-2がシステム作業班の参考資料になります。資料3-1~資料3-5が、3番の最後の「その他」の公益社団法人日本臓器移植ネットワークにおけるあっせん誤り後の対応についての参考資料になっております。お手元に配布しているペーパーレス審議会等タブレット操作説明書に操作方法が記載されております。ご不明な点がありましたら、手を挙げていただきましたら事務局がお伺いします。また、机の上に現行の法令・ガイドライン等をまとめたファイルを置いておりますので、議論の際に参考にしてください。なお、ファイルは会議終了後、持ち帰らず机の上に置いたままとしていただきますよう、よろしくお願いします。これより議事の進行に移ります。今後の議事進行を磯部委員長にお願いいたします。

○磯部委員長 それでは議題に入ります。本日の議題は3つあります。1つ目が、「肝臓・膵臓・腎臓移植希望者(レシピエント)選択基準の改正について」です。2つ目が、「情報システム作業班について」です。3つ目が、「JOTにおけるあっせん誤り後の対応について」です。最初の議題の肝臓・膵臓・腎臓移植希望者の選択基準の改正について、事務局から御説明をお願いします。

○井内室長 本日の議題は、資料1-1~資料1-4までになります。各作業班における検討事項ということで、レシピエント選択基準の改正の一覧です。今回からは、改正については、JOTのシステムの改修が絡みますので、毎年このタイミングで、一元的に全てのものを御検討いただくことにさせていただきたいと思います。

 資料1-1は、本日取り扱って検討いただく項目一覧です。本日は肝臓、膵臓、腎臓ということで、3つの分野についてのレシピエント選択基準の改正の案です。1つ目の肝臓が資料1-2となります。これまでの経緯としては、平成28927日に厚生労働省肝臓移植の基準等に関する作業班でレシピエント選択基準の変更が行われて了承されたということです。13にあるように、1.疾病・病態に基づいた適正な医学的緊急性への選択基準の変更、2.血液型による待機期間不均衡の是正、3.18歳未満ドナーから肝臓が提供される場合は18歳未満レシピエントへの優先移植が、この委員会の中で了承を得られたというものです。委員の先生方も御存じのとおり、この後JOTにおいてあっせん誤りが起きたということで、それを契機にシステムを人員の増強等もされた中で見直すということで、現在まだこれは運用に至っておりません。そういった中で、本日の御提案ということです。資料1-21ページの一番下の○ですが、このうち小児への優先移植については、これだけであればシステムの改修が軽微ということで、これを先行して運用を開始してはどうかというものです。

 次のページ、改正後のレシピエント選択の流れについて、左側は「旧」、右側は「新」ということで、今現在は、まず親族優先があって、ABO式血液型(一致・適合)と、さらに医学的緊急性、待機期間があります。この中で、18歳未満を優先するというのを、親族優先とABO式血型の間に項目として入れておくことで御了承を得ていたところです。まだ運用に至っていないということで、おおむね後から御説明もさせていただきますが、18歳未満優先だけであれば、この秋にもスタートが可能だということです。ただ、全体では今年度いっぱいまで改修にかかってしまうということで、これを優先してはどうかというのが1つ目です。

 3ページ、3.医学的緊急性に基づく選択基準変更についてです。これも平成28年の委員会の中で御検討いただいたところですが、細かい所の確認事項として、JOTから上がってきたということで、これについては作業班の検証を経て、本日御提案をさせていただいております。「確認事項」の(1)MELDスコアについてです。MELDスコアを使うところは、前回御承認をいただいたとおりですが、例えば小数点第1まで入力するのかどうか、小数点第1位と第2位で微妙に順位が変わってきますので、そういったところをフィックスするということです。さらにMELDスコアの更新時期については、1か月とか3か月で、前回は御承認いただきましたが、これだとシステムの運用のときに、31日であったり28日であったりといろいろケースによって分かれるということで、これを一律にできるように30日、90日等にできないかということです。いわゆる(3)(4)も、同様です。

 次のページ、原疾患が変更される場合は、新規登録として扱うということです。ここについても明確化するということです。これについては、新旧対象表を挙げておりますが、特に5ページで、かなり具体的に疾患名などを書き込むことに変更したほうが、よりリジットで迷いがない、その都度変更されることがないということで、レシピエント選択基準としては適切ではないかという御提案です。

 4.待機inactive制度についてです。肝移植希望者が感染症等の医学的理由によって、当面の間移植を受けられない場合又は容体が落ち着いており、当面の間移植を受ける意思がない場合に、一時的に臓器あっせんの対象から除外する待機inactive制度が、平成2398日に開催された第38回臓器移植委員会で承認を受けまして、同年1020日より運用が開始されたものです。3つ目の○ですが、この際に、肝腎同時移植の希望者の取扱いについて現状では規定されていなかったということで、今年の423日に肝臓移植と腎臓移植の基準に関する合同作業班で、こういったところを御検討いただいたところ、いわゆる肝移植の主治医は腎移植主治医の了承を得た上で肝臓をinactiveに変更すること、肝臓をinactiveにした場合に連動して腎臓もinactiveに変更されることが御提案されております。これについて、レシピエント選択基準もそのように変えるということでの御提案です。

 資料1-3、膵臓については、これまでの経緯、膵臓移植希望者が膵腎同時移植の待機者である場合であって、かつ臓器提供者から膵臓及び腎臓の提供があった場合には、DR1マッチ以上のHLA型の適合がある場合という条件はありますが、当該待機者に優先的に膵臓及び腎臓が配分されるというルールで運用されております。

 平成281031日に、腎臓のほうは20歳未満の小児提供者から腎臓が提供される場合には、20歳未満のレシピエントの中から優先的に選択を行い、20歳未満のレシピエントがいない場合には、20歳以上のレシピエントの中から選択するということになっております。肝臓のほうは、まだ運用できていないのですが、小児・小児ルールについては、腎臓のほうは既に運用がなされております。膵腎で膵臓が当たった場合、膵臓の方が優先されるというルールと、腎臓が小児から小児に行くというルールを決めていただいたのですが、簡単に言いますと、膵臓が大人ですと、小児からの提供であったとしても、大人の膵腎同時移植のほうが優先されて、子供への腎臓が後回しにされるのが、現状のレシピエント選択基準の運用でいくと、そういった形になってしまうということです。これについて、同時移植の今後の取扱いということで、小児移植希望者への優先提供という年齢要件と、同時移植という医学的要件のいずれを優先させるべきかということで、日本膵・膵島移植研究会から年齢要件を優先するべきという意見書が提出されました。それをもって、作業班でも検討いただいて了承されたということです。簡単に言いますと、小児のドナーさんが出た場合、その腎臓に関しては、小児の腎臓を希望されている方に優先すると。それに打ち勝つ形で、膵腎の大人の方が当たった場合は、それは子供のドナーのときは後回しにするというルールに変更するということです。これが膵臓の部分です。

 資料1-4、腎臓移植希望者については、平成281031日に、以下の項目について御検討を頂き、1.5.になります。本日のところは、3つ目の○です。Age-match制度の導入については、腎臓移植の基準等に関する作業班による検討を踏まえて、現行の腎臓レシピエント選択基準の年齢区分である20歳未満を小児の年齢区分とすることが了承され、小児のほうが優先ということになっております。

 4つ目の○ですが、2腎同時移植の是非についても、医学的に1腎では機能が不十分と判断されるときは、2腎同時移植が可能ということです。5つ目の○は、C型肝炎の陽性ドナーについても変更があったということです。

 次のページ、1番の最後の○ですが、移植腎機能無発現ということで、移植腎の機能の無発現がドナー側の原因であることの医学的根拠をレシピエントの担当医が示した場合は、移植前の待機期間をそのまま維持するが、原因がドナー、レシピエントどちらかにあるのかを判断するための診断基準は関係学会で定めることと判断されました。簡単に申し上げますと、頂く腎臓の機能が少し低下をしている状況であれば、この腎臓の移植の順番はかなり待機期間に左右されることがありますので、待機期間が、今は移植を受けるとリセットしてゼロになってしまうのですが、それをドナーの腎臓が原因であったという場合には、待機期間をそのまま維持するということです。この2点について御議論を頂いたというものです。

 2.Age-match制度の導入ということで、現状の選択基準が左側、今回、議論を頂いて改正した場合には右側という意味で書かせていただいております。左側が現在のレシピエント選択基準を運用した場合の具体的な運用となっております。まず親族優先があり、ABO式の血液型一致が先に来ることになっております。まずABO式の血液型が一致した人の中から20歳未満のレシピエントを選んで、そこの中で選ぶ。これは全国一律、全国ブロックでやることになっております。ABO式の血液型一致の中で20歳未満のレシピエントの中で見つからなかった場合、現行のレシピエント選択基準を当てはめますと、血液型が一致している人の中で、今度は20歳以上の大人の方のレシピエントを選ぶというルールになっております。さらにそこで見つからなかった場合に初めて、ABO式の血液型が適合の患者の選択ということで、また20歳未満のレシピエントに移るということになっております。これは前回の御議論の中では、こういった仕組みを是とすることではなかったかと考えておりますが、少し我々のレシピエント選択基準の書き方がこういった形になっていたということで、これを改正させていただいてはどうかというものです。前回もこのことで議論を頂いていたと我々も理解をしていますが、改正後は、親族優先があって、その後、20歳未満のレシピエントがまず全国で選ばれると。その中で、ABO式の血型が一致された人がまず選ばれて、その中で優先順位が付けられる。そこにいなかった場合には、今度は20歳未満の方の血液型が適合している中から選ばれる。それでもどうしてもなかった場合、初めて20歳以上のレシピエントの方にABO式の血液型が一致という形で探し始めるということです。これは、我々のレシピエント適合基準の書き方が余りうまくなかったということで、本委員会の趣旨とは少しずれたような運用をせざる得なくなっているということで、今回の運用が始まったのが320日ですが、その後、今回、こういった形で、前回の委員会の趣旨という形で、こうして戻していただければどうかということの御提案です。

 次のページ、移植腎機能無発現であったレシピエントへの対応に関しては、日本移植学会で学術的に検討するということで、本委員会から宿題を頂いておりますが、日本移植学会よりこうすればどうかという提言がまとめられたということで、本日御審議を頂きたいものです。無機能腎の定義を決めていただいて、待機期間、最登録のフローチャートということで、ゼロにするのか、継続にするのかということです。いわゆるドナー側の要因で腎臓が機能しなかったという場合はドナー側絶対的因子ということで、温阻血時間、総阻血時間、ドナー年齢等々で区切っていただきました。さらに評価委員会を作って、この中で検討を行うというスキームです。要は、ドナーが原因である無機能腎を同定すればどうかという御提言を頂いたということで、これをレシピエント選択基準の中に入れ込むのはどうかということの御提案です。1つ目の所だけが、作業班のほうは書けていないのですが、肝臓のレシピエント選択基準、小児から小児の部分は先行できるので先行させてはいかがでしょうかということです。あとは併せて、学会作業班から提案があった部分、技術的な部分のレシピエント選択基準を変更してはどうかということの御提言を頂きましたので、本日、御審議をよろしくお願いします。

○磯部委員長 詳細に御説明いただきましてありがとうございます。御議論ですが、3点、肝臓、膵臓、腎臓とありましたので、順に臓器ごとで進めさせていただきます。肝臓から御議論、御発言をお願いします。

○猪股委員 ちょっと年齢優先のことでお伺いしたいのですが、これは終わった議論で前に、もしかして同じ議論があったかもしれないのですが、ドナー年齢を18歳で切っているので、例えば16歳という大きな方のドナーが出た場合に、仮に赤ちゃんが1番で当たりましたとします。その場合には分割優先することになっていますが、その反対側の大きいほうの肝臓もやはり18歳以下を優先するということで、18才未満を優先するということでよろしいのでしょうか。

○井内室長 はい。

○猪股委員 そういう順番でいくと、もし、もちろん希望がなければ降りていくのでしょうけれど、たとえ分割後でもかなり大きな肝臓でも、18才未満の小児レシピエントに優先提供される、こういうことでよろしいのでしょうか。

○井内室長 はい。

○猪股委員 ありがとうございます。

○磯部委員長 ほかにいかがでしょうか。

○上本委員 原疾患が変更という項目があったのですが、これは例えば、どういうことなのかよく分からないのですが。

○蔵満室長補佐 説明させていただきます。お手元タブレットの資料の1-25ページ目、詳細になって申しわけございませんが、5ページ目の左側の下線の部分の注21つ上です。上から3行目、例えば原発性硬化性胆管炎の方の場合、MELDベースであっせんできる場合と、こちらに書いてありますように、胆管炎を1か月に1回以上繰り返す場合(重症)と両方があります。「原発性硬化性胆管炎1」で登録されている方が、例えば「2」になった場合に改めて「2」という病名で登録していただくということになります。1から2への変更ではなく、新規登録として取扱いをさせていただくということになります。ただし、もちろん原発性硬化性胆化炎の方ですと、待機期間がかなり長いので、待機期間に関しては新規に登録しても引きつがれるということになります。

○上本委員 ということは、原発性硬化性胆管炎に限ってのことですか。

○蔵満室長補佐 何点かございます。例えば家族性肝内胆汁うっ滞症でも、何行か上になりますが、高度の栄養不良と、成長障害、制御できない掻痒感が存在する場合に「2」として登録できますので、こちらのほうで登録する場合も、新しく新規として登録していただくことになるかと思います。

○上本委員 分かりました。では、限定された疾患で、それが123というカテゴリーに別れているということで、全く違う病名になるというわけではないわけですね。

○蔵満室長補佐 おっしゃるとおりです。

○上本委員 ありがとうございます。

○磯部委員長 ほかにいかがでしょうか。特に御意見、御異存がなければ。これは11つ承認を取っていくような形になりますか。

○井内室長 いや、全てまとめて承認していただければ結構です。

○磯部委員長 3臓器をまとめて。

○井内室長 はい、それで。

○磯部委員長 それでは引き続き、膵、腎ですね。膵臓の選択基準について、御意見、御質問ございますか。

○横田委員 摘出の手順というのがよく分からないので、教えて欲しいのです。小児の提供者で肝臓、膵臓、腎臓を同時に摘出できるような承諾を頂いている場合で小児優先というお話は理解できたのですが、その際に、膵臓はもう摘出されているということは手順的にはないのでしょうか。質問の意味は、摘出したけれども結果的に移植されなかったということは想定をしなくてもよろしいのですか。

○井内室長 まず、移植をうけるレシピントが選ばれますので、膵臓に対しましては、いわゆる膵・腎ではなくて、膵臓の移植希望者リストが挙がってきます。そのうち、膵・腎同時移植希望者については、腎というコメントがリスト上に付きます。膵臓に関しましては小児優先がないので、大人でも順番に、いわゆる普通の優先順位の中で選ばれて、そこであれば当然、膵臓も摘出して移植になると思われます。そこでなければ、膵臓は「該当者なし」ということで摘出はなされないということになります。

○横田委員 膵と腎が同時に摘出されたけれども、実際は腎だけを使ったということがありえるかという質問なのです。

○井内室長 摘出チームが行く場合には、移植施設から行きますので、いわゆる移植施設が決っていないのに摘出チームは行くことはありませんので。

○横田委員 そういうことですね、分かりました。

○上本委員 ちょっと、この点なのですが、小児優先ですから、小児の、子どもで膵・腎同時は珍しいですが、それでも腎臓へ行くわけですよね。1つは子どもに提供されて、もう1つの腎臓も子どもに行くわけですよね。そうなると、子どもの膵・腎がなければ、膵臓だけが残るわけですよね。そのときは、膵臓を大人の膵臓の単独の方に行くと、そういうことですよね。

○井内室長 はい。

○上本委員 ありがとうございます。

○見目委員 基本的なことを1つ教えてもらいたいのですが、これを見ると、肝臓の小児は18歳未満で、膵臓とか腎臓の小児は20歳未満になっているという感じがするのですね。

○井内室長 肝臓は18歳で、腎臓が20歳、膵臓はそういう区分はございません。

○見目委員 そこら辺は混乱することはないのですか。よく分かりませんけど、例えば18歳の基準と20歳の基準が同時になるような移植というかですね。

○井内室長 例えば、19歳の方が出た場合、例えば、腎臓としては小児として取り扱われます。肝臓としては大人として取り扱われるということになります。前回もその辺を統一させるべきではないかという御議論を正に、この委員会でしていただいたと思うのですが、やはり過去からずっとそういった形で年齢を区切ってきたと。逆に言うと、18歳を20歳。もしくは20歳を18歳にする医学的なエビネンスがないという中で、いわゆる過去からの流れでは、どこか、誰かは得をするけれども、誰かは損をすると。やはり優先順位なので、そういったことが出てくるということは、やはり今の医学的なところから明確に言えない以上は過去からの踏襲しかないのではないかという御議論をここでしていただきました。運用するJOTのほうからすれば当然、統一していただいたほうが運用をしやすいのですけども、それは現時点では無理ではないかというような御議論をいただいたというように記憶しております。

○磯部委員長 ほかに、よろしいでしょうか。それでは膵・腎同時につきましては議論を終えまして、3点目の腎臓について御質問、御意見あればお伺いしたいと思います。

○横田委員 どうしても提供側の視点になってしまうのでお許しください。機能しなかった原因が提供側だという場合に、待機日数はリセットしないという説明はよく理解できます。提供者側の原因だというのは、はっきり診断できるものなのでしょうか。提供した家族にとって機能しなかったというのは、かなりつらい思いとなるので、その辺はどういうように診断するのでしょうか。

○井内室長 ここで学会からいただいているのが、いわゆる絶対的因子です。温阻血時間が30分以上たってしまったとか、総阻血時間が24時間以上たってしまったとか、ドナーの年齢が70歳以上では、やはりドナー側の因子ということで、うまく生着しなかったと言っていいのではないかということを今回、御提言いただいております。また移植側から、そうでないような要件であったとしても、ここは第三者的に評価委員会というものを学会の中に作っていただいて、ドナー側の因子であったのかどうかということをしっかりと判断するということで検討をする、特別のスキームを作っていただいたというのがありますので、そこの御判断になるという御提言です。

○有賀委員 多分、「ドナー側」と「レシピエント側」という用語の使い方が、今の話からすると少し違いますよね。つまり、提供側の因子で遅れたという話ですよね。「ドナー」と言ったときに今の話で合うのは、恐らく年齢だけですよね。「レシピエントという人の因子」「ドナーという人の因子」と言うから、話がこんがらがるのです。要するに、移植に至るまでのプロセスを易しい言葉で置き換えて、「の因子」というようにやらないと、何となく「ドナーとなったあなたが悪い」みたいな話になってしまって、ちょっと嫌だなというのが横田先生の本当の意図です。

○横田委員 正にそうです。もちろん提供者自体の問題もあるかもしれませんが、今の御説明ですと、提供時のプロセスも含めてという理解でよろしいのですね。

○磯部委員長 腎臓について、ほかに御意見はありますか。ないようですね。この3臓器を通じて、何か御発言がありましたらどうぞ。

○秋山委員 初めて参加しますので、既に御議論があったかもしれませんが、小児科医の立場から、やはり子供から子供にというのは、とてもいい方向になると思いますので、喜ばしいことだと思います。これまで子供から大人にといった場合で、うまくいかなかったケースがあったのではないかと思うのです。それはどのぐらいのケースがあったのか、教えていただけますか。

○井内室長 まず、移植が成立するためには移植側の施設のほうが、患者とうまく一致するかということを、当然、医学的に検討することが前提ですので、機械的にルールに従って「あなたに当たりましたから、あなたは必ずやってください」というものではない。つまり、きちんと移植が成立する、できるという前提の中でやっております。心臓などは体重などがありますので、当然、医学的範疇の中でやられていてきちんと子供に行っていたのですが、腎臓についてはそういうものがなかったので、優先順位の高い大人に行っていたということです。

 今、手元にはないのですが、特に子供から大人へ行ったがために、移植成績が悪かったということは、少なくとも現場のほうから問題意識として上がってはおりません。逆に、子供の臓器というのは、移植側からすると、生着などについても非常にいいという御意見は聞いております。定性的で申し訳ないのですが、数が幾つというのは、手元にないので申し訳ありません。

○磯部委員長 全体を通じて何かありませんか。これは承認を取るものですが、御承諾いただいたということでよろしいでしょうか。

○井内室長 はい。

○磯部委員長 肝臓・膵臓・腎臓については、御了解いただいたということで進めさせていただきます。これで肝臓・膵臓・腎臓の子供から子供へのルールが確立したと思いますけれども、既に心臓は確立されています。他に何が残っていますか。

○井内室長 肺と膵臓です。

○有賀委員 今、言葉の使い方について言ったのですが、「ドナー側因子」というのを「提供側因子」に置き換えるという話は、簡単なことなのでしょ。

○井内室長 はい。

○有賀委員 お願いしたいと思うのです。

○見目委員 肺と膵臓が残っているということですが、そちらの進行状況はどうですか。

○井内室長 いずれも、学会のほうで検討ということです。実情として、膵臓に関しては小児の待機患者がおられないという実態がありますので、そういったことも踏まえて今、検討いただいているという形です。うまくまとまれば、また作業班を通じてこの委員会の中で御検討いただくことになると思っております。

○磯部委員長 肺は小児にもあると思いますが、肺のほうも作業班で話が進んでいるのですか。

○井内室長 いや、作業班まではまだ至っていなくて、学会のほうで検討いただいているということです。

○磯部委員長 やはり早急にやるべきことです。この議論を始めて、心臓は23年ぐらい前からやっておりますし、臓器間で差があるというのは、国民の了解が得られないことだと思いますので、是非、御検討を進めていただきたいと思います。何か追加の御意見はありますか。

 それでは、先に行かせていただきます。「情報システム作業班について」ということで、2つ目の議題です。御説明をお願いいたします。

○井内室長 それでは資料2に沿って、また御説明させていただきます。これまでの経緯です。今回、御承認いただいたレシピエント選択基準は、JOTの中でシステムを運用するということで、システム改修というのが必須になってきます。移植数は徐々に増えてきておりますので、今後はそういった環境を受けて、完全にシステム化するという目標を持って、JOTですすめられています。そういった中で平成29126日に、JOTにおいて心臓のあっせん誤りという事件が起きたので、第三者調査チームによる報告書を作っていただき、JOTのほうで鋭意取り組んでいるところです。実際にJOTの中では、より精度の高い移植希望者選択システムの構築を検証し、情報システムの管理運営に十分な責任と権限を持つための情報統括部門を新たに設置し、ここにCIOを含めて専門家にも入っていただいています。

 これと並行して、我々のほうでも外部有識者に判断を仰いだ後にJOTのほうで運用する仕組みを取り入れ、臓器移植委員会の下部組織、健康局長の諮問機関という位置付けですが、情報システム作業班を設置しました。情報システム作業班での運用の状況ですが、まず平成29103日に、第1回情報システム作業班をさせていただきました。その後11月から12月にかけて、作業班の班員にJOTのほうに行っていただき、ヒアリングを行っていただきました。

 次のページに、要点を抜粋しておりますが、その上で情報システム作業班の報告書ということでまとめていただいて、JOTのほうにしっかりと改善するようにということで、ITガバナンスの強化や新レシピエント検索システムということで、テストのやり方等々について御助言をいただきました。さらにその下ですが、情報システム作業班によるヒアリング結果への対応ということで、この報告書を受けてJOTのほうで、システム改修、システム運用の中でしっかりと対応していくということで、方向性を決めていただきました。こういった流れがあって、これと並行して、本日の議題として承認いただいた内容に関し、こういった形で運用させていただきたいというのが3ページ以降にあります。

 腎臓の選択基準の変更ということでは、小児ドナーの場合、血液型一致・適合の小児腎レシピエントを成人腎臓レシピエントより優先するという、先ほど議論と検証をいただいたところについては、この4月からシステム開発業者によるシステム開発を鋭意進めており、6月にはシステム作業班による検証をまたやっていただきます。

 そして、このシステム作業班の検証がうまくいっている、こういう形で進めればいいというものがいただけたら、厚生労働省から関係機関に通知をして、JOTのほうでシステム作業班と相談をした上でやった受入れテスト等を実施し、予定どおりいけば平成309月から、運用が開始できるというものです。先ほどの肝臓のほうですが、小児ドナー、小児レシピエントを優先するという部分だけを切り離せばどうかということも同様の手続を取り、平成309月から運用をスタートするというように考えております。

 さらに4ページですが、肝臓・腎臓選択基準の変更ということで、残りは10月からシステム開発業者によるシステムの開発を行い、我々としても当面は作業班による検証に全て入っていただきます。こういった形で、目標としては平成314月に新選択基準、本日お決めいただいたものを、4月から運用するという形で進めさせていただきたいと思っております。実際に今、平成2810月に決めていただいたMELDスコア、肝臓の部分が積み残しでずっと残っているので、これでいくと来年の4月には今いただいている宿題、本日御承認いただいた内容については運用が開始できると考えております。これからこういった形で時期を決めて、この時期に大体毎年、臓器移植委員会の中で御議論を頂いて、JOTのほうで準備して、当然、システムの変更が複雑なものは、もう少し時間が掛かる可能性はありますが、こういった形で運用を繰り返していくことで、テストが不備であったことが原因で、あっせん誤りにつながるということを防止していきたいと考えております。事務局からの説明は以上です。

○磯部委員長 御説明、御報告を頂きましたが、御議論、御質問はありますか。随分時間の掛かるものだなというのが率直な印象です。これだけ掛かるものなのでしょうか。慎重になっていらっしゃるのはよく分かると思うのですが、急いでやってこういうことなのでしょうか。

○井内室長 はい。この中で普通はやらないプロセスは、システム作業班による検証です。第三者がいちいちチェックをして、このテストでいいのか、こういったやり方でいいのかというのは、普通の企業等では要らないプロセスかと思いますが、あっせん誤りがあったということも踏まえ、当面はこういったスキームですすめています。いずれJOTの中で完結していけるという時期になりましたら、こういったプロセスは排除されていくものだと考えております。時間は掛かるのですが、これからはシステム作業班を通した上でのシステムの改修ということです。今までは移植数が少なかったので、かなり手作業に依存しても、ある意味可能な運用だったのですが、そうではなく、今後は移植数が幾ら増えてもシステムがきちんと稼働して問題なく動くという形を我々としても目指してほしいと、JOTのほうにもお伝えしておりますので、少し時間が掛かるということにはなると思います。

○賀藤委員 これには改修とありますので、ゼロから作るということではないのですね。

○井内室長 はい。現在運用されているもののマイナーチェンジです。

○賀藤委員 マイナーチェンジで1か月掛かるのですか。

○井内室長 はい、そうです。

○賀藤委員 どのくらいの人数でどのくらいでやるのか。私の頭では、そんなに掛かるはずはないと思うのです。すごく基本的な構造まで改変しなければ多分、小児優先のところはyes or no2進法でいけば、1か月も掛かるものかなと思ったのです。

○井内室長 実際のところ、新たなテストパターンでやっていくのと、あとは変えたものが他のシステム、いわゆる現行で動いているシステムに影響を与えていないかどうかという検証も必要になってくると聞いております。システム作業班には、システムの専門家4名に入っていただいておりますし、JOTのほうでも2名、システム運用の経験のある方に入っていただいております。そういった方で、当然、無駄がないようにとは言っております。今日の説明は少し漠とした説明になっているのですが、細かく見ていけば、恐らく合理的な説明のできるスケジュールになっていると考えております。

○磯部委員長 ほかに御意見はありますか。

○猪股委員 検証ということになると、恐らくこの専門家だけでなく、当然JOTのコーディネーターが、手作業かどうかは分かりませんが、実際にやってみてというのがスタンダードな対象になるだろうと思うのです。そこら辺のマンパワーなどが、レートリミッティングになっているということはないのでしょうか。実際に相当大変ではないかと思うのです。

○井内室長 このシステム改修に関しては、当然、運用するのはJOTになります。ですからJOTが運用するという前提でのシステム改修ですので、当然そういった形は取っております。ただ、今のところコーディネーターの現行業務というのは、それはそれで忙しいのですが、そのために、こちらのほうに全く手が付かないから動かないというわけではないと、我々は理解しております。

○磯部委員長 ほかにはよろしいでしょうか。

○秋山委員 ヒアリング結果の報告書というのが資料にありますね。今初めて見たので、なかなか読み取れないのですが、この問題点に関しては、システムの改正だけで解決できるのでしょうか。

○井内室長 システムの改修だけでなく、学会や厚労省との連携も入ってきておりますので、当然そういったところへの周知や相談といったプロセスも含んでいきます。システムだけが良くなっても仕方がないですし、そのシステムがどう動いているかを、より多くの方に理解していただくプロセスは必要だと思っております。ここがこう変わったとか、例えば移植施設などに、入力する情報などを書いていただく必要が出るケースもあると思いますので、そういったことも当然やっていかなければいけないということで、トータルで間違いのないような仕組みをお願いしております。

○磯部委員長 よろしいですか。ほかにいかがでしょうか。

 ないようですので、ただいま御意見を伺ったということで、次に進ませていただきます。次の議題はその他ということで、「日本臓器移植ネットワークにおけるあっせん誤り後の対応について」です。御説明をお願いいたします。

○井内室長 それでは、資料3で御説明をさせていただきます。「日本臓器移植ネットワークにおけるあっせん誤り後の対応についてということで、あっせん誤りの後の対応ですが、端的に言いますと、JOTの中であっせん誤りにつながりそうなヒヤリハットが2件出たということで、その2点の御報告と、それに対しての対応策をJOTに立てていただきましたので御報告させていただきます。

 経緯ということで、平成29129日にいわゆるあっせん誤りが起きて、第三者調査チームによる報告書を329日に作っていただき、それを厚生労働省にいただいたということです。それを基に今、JOTのほうで人員の配置、専門的な知識を持った方の招聘等を繰り返して対応しているところですが、2番以下にありますように、残念ながらヒヤリハットとなった事例があったということです。

 1つ目が、JOTに登録している移植希望者については、毎年度末に登録を更新しています。2つ目ですが、平成29213日までにJOTに送付されてきた登録更新用紙に記載のある移植希望者について、バーコードの人為的な読込みミスにより、システム上は未更新になっている移植希望者がおられることが判明したというものです。JOTの中で報告されるという流れも悪く、事件判明後、責任者に報告があったのが3週間掛かっていました。

 あっせんの方について、それ以前にきちんと更新されていれば臓器提供になり得たかどうかという検証を内部でしましたが、実際このケースについては幸いなことに、その辺りはなかったということです。また、これ以外の方についてもこういった更新ミスがないかをチェックしたということですが、入力ミスも見つけられませんでした。ただ、これはあくまでも幸いなことだったので、この方が上位に位置するような、臓器提供を受ける、いわゆる移植に該当するような方であれば、これが「あっせんミス」という言われ方になっていたものです。

 32件目です。平成30216日のあっせん事例で、腎臓に関してはブロックごとにやっているのですが、ブロック外である県立病院の移植希望者が候補者として挙がっているというのが、検索のプロセスで分かりました。JOTで確認した際に、新レシピエント検索システムのマスターメンテナンス時に、新たに入力した郵便番号の入力ミスが原因であることが分かったものです。これについても幸いなことに、この県立病院が他のブロックに移っているということで、自分のブロックの中で移植から漏れているという事態ではなかったことを確認しております。しかし、メンテナンスのときにこういったミスが起きて、実際にあっせんの順位を決める際に影響したということがありました。

 この2事案を、厚生労働省の移植医療対策推進室として我々が報告を受けたことを踏まえ、JOTに対して平成30330日付で、今後、同様の事案が生じることを防止するための対応策を検討するようにという指示を出しました。その上で、JOTのほうからの対応ということで、あっせん誤りにつながる可能性のある今回の2件の事案は、いずれも新システムへのデータ入力の際の人為的なミスが原因であったので、新システムに登録・更新する作業を系統立てて、登録・更新する作業をどういった形にするかという対策を立てていただいたということです。

 短期的には、こういった作業をきちんと系統立てて洗出しすることと、そこのチェック体制を厳しくするということでいくしかないのですが、中長期的には下の3つの○になります。今後は、移植希望者の情報を新システムに登録・更新する作業時の人為的ミス防止のために、JOTだけではなく移植施設においても、登録された患者データのダブルチェックができるような体制を構築する。これについては関係学会等の御協力も必要なので、こういった周知もしていく必要があります。また、ドナー情報における人為的ミスの防止のため、データの転記を減らし、モバイル端末への直接入力を可能とするようなシステム改修を行います。簡単に申し上げますと、1点目がJOT内部のチェックだけでなく外部のチェックも受けられるようにする。2つ目が内部での転記など、そういった人が入れる作業を減らしていって、できるだけ外部から直接入る。ただ、このときに間違ったデータが入ってしまっても困るので、エラーが出るような仕組みも併せて構築するということをやっていただきます。

 こういったことを確実に運用するために、厚生労働省が関係学会と連携し、今後はミスが起きないように、周知徹底をしていただくということです。JOTのほうから報告を受けて、厚生労働省からこういった対応をしているということでの御報告です。

○磯部委員長 今の御報告に御意見、御質問はありますか。郵便番号だけで検索しているのですか。

○井内室長 今までシステムのほうには郵便番号が入っていなかったのを、今回初めて入れたと。郵便番号が、その病院がシステム全体のどこのブロックにあるかというのを選別する機能と連動していたということです。

○磯部委員長 郵便番号だけで選別するようなシステムだったのですね。

○井内室長 するようになっていたと。

○磯部委員長 何か御意見はありますか。あとは手作業の入力ミスですね。

○井内室長 はい。

○木幡委員 更新ミスのほうですが、移植待機患者は自分がちゃんと更新されているかというのを、何かページでチェックすることは可能ですか。マイページみたいなものがあるとか、自分の状態が今どうなっているかをチェックすることはできるのですか。

○井内室長 現実的にはそうなっていません。

○木幡委員 では、本当に皆さんに任せているということですね。

○井内室長 なので、移植をするドクターであったり、御提案いただいたような御本人であったり、将来的には、いわゆる外部からチェックできるような体制を目指していくということです。

○木幡委員 お金を払って更新作業をされているのに、それが反映されてなく、それによって本来、移植を受けるはずなのに受けられてなかったとしたら、大変なニュースにもなるでしょうし、移植への不信感にもつながって、せっかくこれまで積み上げてきたものが台無しになってしまう可能性もありますので、その辺は是非、しっかりとやっていただければと思います。

○有賀委員 今の話は、私たちも普段から考えていたと言ったらおかしいけれども、例えば学術集会があるときに、抄録を入力しますよね。そうすると「あなたの抄録が入力されました。変更したいときには、かくかくしかじか」というのが来るじゃないですか。要はあれと同じものですよね。だから誰かが更新のための手続を取ったという話が、今のように郵便とか、さすがに現金書留は使ってないと思いますが、そういうプロセスだと、電子媒体上のやり取りにはなりませんから難しいのかもしれないけれども、ちょっと工夫すれば、「あなたはこうです」という話が戻るような、又は手紙でもいいから戻ってくるような仕組みを入れておけば、どうして手紙が来ないのだろうということで分かりますよね。それもサービスの一環ではないですか。早速やってほしいなという感じです。

○井内室長 我々としても、基本的には今お考えいただいたような仕組みを、JOTにおいて、いずれは導入していただきたいと考えています。ただ、新たなシステムを導入すると、そこでその作業のミスがまた出てくるかもしれないので、我々としては全自動でシステム上で動くようにして、例えば患者なり移植医なりが見ることができるようにする。そこではそんなに難しくなく、簡単に確認できるような体制を取っていくべきだろうと思っております。もともと数がかなり少ない中での運用が前提だったので、内部で手作業が前提で全ての作業が組まれていますから、我々としてはマスで数が大きくなっても、どれも間違わないように、しっかりと運用できるような体制に再構築していただくということをお願いしております。

○有賀委員 そういうプロセスに向かって、現に仕事が進んでいると理解していいのですか。

○井内室長 今後のシステムに関しては、専門家にも入っていただきましたし、かなり良くなっているという実感を我々は持っています。

○賀藤委員 最初は少なかったと、だから、手作業でできてきた。でも、今は数が増えてきた。増えたことに対して、どのような対応をすればいいのかということ。普通、仕事をする場合は、手順書みたいなものを作っているはずで、それに見合ったものを毎年更新して、それで漏れのないようにと。あなたはこういう仕事です、あなたはこういう仕事ですと。それをきちっと定めて、それでもってチェックすることが1つと、多分お分かりだと思うのですが、きちんとした仕事が本当に行われているのだというのが、多分皆さん参加して、ここにいらっしゃる委員の方々は疑問だろうと思うのですが、手仕事にせざるを得ないところも多分、出るはず。それをチェックする機構は何なのかというところと、では本当に仕事が増えたのなら、増えた分どのぐらいのきちんとした体制が整えられているのか。それは多分、外部でチェックしなくてはいけない。病院ですと、医療安全、感染、IC機器に関しては、ほかの病院が入ってきて、それでもってチェックしますよね。それで指摘される。だけど、第三者のチェックは、先ほどおっしゃってましたが、では、どのような形でするのか。それは毎年するのか、それとも半年に1度やっていくのかという体制も全部含めて体制を作り直すことということでよろしいのでしょうか。

○井内室長 システム作業班に関しては、全くその趣旨で作っております。実際、我々の問題意識としても、JOT単独では、今まで積み上げてきた中で再構築というところまでは動かないだろうと。実際、あっせんミスが起きたときの第三者調査チームでも、そういったことでCIOを招聘するようにという御提言を頂いております。CIOに入っていただいた上で、なおかつ、JOTにとらわれない最新のシステムの情報を持っておられる委員の先生方にチェックをしていただいて、ミスが起こらないのか、さらに、今、先生がおっしゃられたような、再構築するためには、どういったプロセスを考えていくべきなのかをやっていただくというつもりでおります。そこは、システムも含めて体制をしっかり再構築するということを考えています。システムが変わると、現場での動きも変わりますし、先生がおっしゃるような標準手順書のようなものも、今後数が増えてくれば、当然必要になってくると考えあきやmす。今も手順書はあるのですが、我々のほうからしても、まだ十分機能しているとは思えていないので、そこの改善も同時に図っていただくというつもりでおります。

○磯部委員長 これは当然システムを改修していただくということで、作業されていらっしゃると、委員一同はそう願っているわけですが、この資料を見ても、今の御発言を聞いても、期限とかが全く示されていません。具体的な作業手順とロードマップが示されていません。もう少し具体的な手順、内容、日程を示していただかないと心配ですが、いかがですか。

○井内室長 まず、我々といたしましては、JOTの中であっせん誤りがあったというのを重く受け止めております。そういった中で、こういった報告等も今までなかったのですが、こういったことがあれば、我々のほうに全ての報告を挙げていただく体制をまず取ってもらいました。我々も報告を聞くだけではなくて、本委員会に、全て諮るという対応を今後もさせていただきたい。そういった中で、本日のような御議論を頂いた上でフィードバックしていくことは重要なことだと思っております。

 あと、全体のロードマップということですが、まず、今、実際、我々のほうで、目の前のレシピエント選択基準の変更への対応を、資料2では一応、ロードマップ的には出させていただいたのですが、それと並行して全体のシステムをどうするかは、本日の御意見を踏まえて、またJOTにもきちんとやっていくようにという指示は出していきたいと思います。

○磯部委員長 是非よろしくお願いします。ほかに御意見はありますか。よろしいですか。ないようでしたら、「その他」の議題は以上にします。ということで、本日、用意した議題は以上です。委員の先生方から何か御発言はありますか。

○見目委員 これとは別に、横田先生から中心になって進めていただいている小児の進行状況を教えていただければと思います。

○横田委員 過去3回、外部からの講師も招いて、問題点の共有を図っています。一定の問題点が明らかになってきましたので、私が主任研究者を務める厚労科研での対応と、事務局から説明があると思うのですが、小児に関する課題解決に関する研究班も立ち上げて、課題への対応が始まりました。我々どもの研究班では、小児の情報提供があったにもかかわらず、院内の体制のために提供ができなかったという報告が少なからずあります。これからは、決してそういうことがないような取組をしています。具体的には、小児に特化した研究班だけではなくて、施設の経験値に合わせて様々なマニュアルを作っています。また、動画も作っています。医師や看護師だけではなくて、院内の様々の業種が連携して提供者となり得る家族に対応するような取組も行っています。ある病院でパイロットスタディとしてそのような取り組みを行っています。そういう内容も今年度中には出てくると思います。マニュアルに関しては既にほぼ完成しており、531日締切りの平成29年度報告書にも書かせていただきました。以上です。

○井内室長 小児の臓器提供に関する作業班ですが、今、横田先生に言っていただいたとおり、進めていて、課題や今後進めていくための論点を幾つか抽出、浮き上がらせていただいたかと思っております。そういったことで、我々といたしましては、今お話がありましたように、厚生労働科研で小児の臓器提供を進めるためにという観点で、1つ立てさせていただいており、この作業班とも連動して問題解決をしていく、エビデンスを出していくということかと思っております。

 大きく分けて、現場での小児の提供が出るために、現場でどうするかということと、普及啓発の観点からということで、普及啓発の観点では、親子でお話を頂くような機会を、どうやって作っていくかということ。それを学校教育の中で取り入れやすくしていただくためには、どういったことをやっていけばいいのかというお話も出していただいたので、そういった検討も研究班の中で進めさせていただきたいと思っておりますし、あとは現場での運用となります。それで、臓器移植の話になると、今までこうやってうまくいかなかったという話ばかりが出るのですが、うまくいっている事例もありますので、そういったうまくいっている事例ではどのように運用して、うまく回ってきたかということで、それをどうやったら他の施設でも取り入れてもらえるのかといった観点からの前向きな検討を進めていただいた上で、横田先生にやっていただいている作業班と連動して、いずれは全国に展開していく形で進めていきたいと思っております。

○小笠原委員 私はJOTの副理事長も拝命しまして、今ずっと聞いていて、私もそちら側の立場としてはここでは全然違う立場で来ているのですが、よく分かりました。1つは、それとはまた別に、今、御質問があった、JOTの中でも現場がなぜできないのかということを具体的に検討する作業班が立ち上がり、女子医大の脳外科の教授に委員長をお願いし、今、全国の臓器移植を多くやっている所、あるいは臓器移植に造詣の深い現場の先生方を集めて、作業班のやることを先週のJOTの理事会で承認されました。

 それと、今、横田先生がやられている厚生労働科研のメンバーをダブらせて、それぞれ別にやるとまた話が面倒くさくなるので、JOTの中の委員会と横田先生の所の班をなるべくダブらせるようにして、齟齬のないような問題を抽出して、それをどう解決するかをやろうということが、この前JOTの会議で承認されました。

 ただ、今、JOTの中でいろいろなことをやっていただきたいという要望はあると思うのですが、私はここで内部のことを余り言いませんが、一生懸命やっていることは事実です。あとは、中のコーディネーター等のメンバーが入れ替わったりして、これは大きい声で言っているかどうか分かりませんが、JOTの中では、働き方の改革等を考えると、彼らは法律の中で働き方改革の中でぎりぎりでやっている状況であること、彼らは決してサボっているわけではないことを是非、お分かりいただきたい。私も本来は、彼らにちゃんとやってくれと言う立場ですが、かなり一生懸命やっていることは事実です。ただ、いろいろな事情があって、ことが進まないことを御理解いただきたいと思います。以上です。

○秋山委員 今、御発言にあったことですが、今回ヒアリングをされていますが、ヒアリングをするほうも、されるほうも、大変心的な御苦労があったと思いますので、そこを十分いかして修正していただければと思います。

○木幡委員 今年もそろそろ6月に入っております。今年の脳死下臓器提供数は、今現在どのぐらいになっていて、昨年と比べてどのような状況になっているのか、教えていただければと思います。

○井内室長 65日現在ですが、脳死下が29、心停止が9になっていて、38です。昨年と比較すると、脳死に関しては同数の29です。昨年は心停止が16ありましたので、心停止が7減っているという現状です。

○木幡委員 まず、当面の目標として、年間100例という話があったかと思うのですが、昨年が確か77でした。そうなりますと、また半年で、同数、倍近い以上の提供がないと、昨年と同レベルにもならないことになってきます。何かいろいろと取組をされていますが、その効果というか、なかなか数に表われるまでは難しいかと思うのですが、できるだけ、この数を増やしていきたい。また、減ってしまうという、これだけ一生懸命いろいろやっていても、なんだ、増えないんだということになってしまいますと、何でかと。是非、この数を何となく皆さん頭の中に入れながら、待っている患者さんの立場、日々、本当に死に直面しながら待っている患者の立場を考えながら突き進んでいければと思います。

○磯部委員長 よろしくお願いします

○有賀委員 今、心肺停止下が少し減っているという話でしたよね。これは日本救急医学会の脳死下での臓器提供に関する委員会の中の一部の議論だと記憶しているのですが、心停止下に関して言いますと、脳死下のように、メリハリのいい死亡時刻ということへの設営がかなり難しいと。つまり、例えば現場で、もちろん御本人は最終段階にあるのですが、御家族と医療者の間で「もう終わりですね」ということになると、そこで気管挿管の管を抜くと。それで呼吸が止まって間もなく心停止になると。それで患者さんの死亡ということで、心停止下臓器提供という話が有り得るだろうと。

 そういうことを包括的に日本救急医学会の中の議論に出ていると思います。厚生労働省の本丸としては、今言った心停止下の部分について、自然の成り行きで心停止ということは、私たちが臓器提供に関して勉強を始めた頃は、33晩、腎臓移植の先生が現場に寄り添ってというか、現場に居て自然の成り行きで臓器を提供されて帰っていくという話だったと思いますが。結果として、そういうことを、より合理的というか、患者さんの御家族の心情も含めた形での妥当かつ合理的な方法論について、何らかの考えるきっかけみたいなものを作っていく必要があるのではないかという気はするのですが、そこら辺については、本丸としてはいかがなものでしょうか。質問です。

○井内室長 心停止下は、正におっしゃるとおり、JOTのほうで待機に入っても、当然、心停止まで待つわけなので、脳死判定が終わったらというタイミングにはならないということで待機時間が長くなるし、JOTのスタンバイ時間も長くなる。それについては、実際にある状態ではあります。そうかと申しまして、「死のあり方」そのものをどう考えるかということも、ある意味、臓器提供ありき、いわゆる臓器提供であれば許されるというところはなかなか難しいのもあるので。だから、その辺は今後、いずれにしてもきちんと合理的な方法は検討されるのでしょうが、多分いろいろな考え方が出てきて、正直難しいかというのは直感的には思っています。

 もう1つ付け加えさせていただきますと、今、横田先生の研究班などでも、いろいろ検討いただいております。実際、今年の数が増えるための対応というよりも、将来的に、より移植医療が一般医療となるためにという形でいろいろな工夫を頂いているということがあるので、実際、今の小児の作業班についても、横田先生の研究班等々、去年の11月、この委員会でもさせていただきましたが、結果が出るのはもう少し先になるのかとは思っておりますが、我々といたしましても、当面は現状の体制の中で各施設に頑張っていただける努力はやってまいりたいと思っております。

○加藤委員 先ほどの木幡委員の御発言にあれですが、要するに、5類型の中でもなかなか受皿としてちゃんと体制整備がまだできていないというのが、確か5割以上あって、この前も横田先生からの御意見もあったのですが、しばらくの間その統計がどのぐらい改善されたのかがないものですから、それを先に出していただきたいということと、それの対策が挙がってくれば、心停止下にしてもどちらにしても、もう少し増えるのではないのかと思います。

○井内室長 昨年の11月の委員会の中で、今、御指摘いただいた部分についての分析は出させていただきました。実際、御指摘いただいたように、体制のできていないのが半分。ただ、結局、体制ができているといっても、そのうち1例も出していないのが、その中の半分。さらに、その1例しか出していないのが4分の1。つまり、体制ができているという中でも、ほとんど実効上動いていない施設が多いという分析をさせていただいた上で、今後、そういった施設がきちんと体制を作っていくためにということで、現行させていただいているのが、各施設、今、全国85だったと思うのですが、院内体制を整備していただくための補助金を出していることと、あとは、そういった施設が無理なくできるために、どういったやり方があるのかを、横田先生の研究班の中で検討いただいていて、教科書作りの話であったり、コーディネーターの配置であったり、検証会議の省力化であったりというような御検討を頂いているところですので、そこについては我々も今後も最も注力してやっていくつもりでおります。

○平澤委員 前回の会議のときに、院内コーディネーターにソーシャルワーカーの方を参入させてはどうかという案があったと思うのですが、その後の進捗などはどうなっているのでしょうか。

○井内室長 今、横田先生の研究班の中でやっていて、院内コーディネーターではなくて、臓器移植とは少し離れた格好で、終末期をフォローするコーディネーターのようなイメージです。ただ、そこも研究班の中で、これは1人のコーディネーターというよりもチームのほうが適切ではないかという議論や、あと、今、既存の院内コーディネーターとの連携の仕方、都道府県コーディネーターとの連携の仕方を、詳細なところをいろいろ議論していただいていると。そういった関係者の方にも入っていただきながら、体制はどういう形が一番提供施設にとってベストなのか、患者さんにとってベストなのかという検討を頂いているという認識でおります。

○平澤委員 先日のお話を、院内のほうでも、また福井のほうに持ち帰って、いろいろな方とお話しましたが、ソーシャルワーカーの方が早い段階で入っていただくのは、患者さんにとっても御家族にとっても非常に安心ではないかということが1点あったのと。あと、以前、小笠原先生からも御指摘があったように、院内移植コーディネーターというネーミングがどうにかならないかみたいなお話があったと思うのですが、それは私たちも本当に納得しているところで、その辺りについての御提案も頂けたらと思います。

○磯部委員長 このシステムは皆さん大変期待しているところですので、うまく制度になるように御尽力いただきたいと思います。そうしたら、大変活発な御議論を頂きまして、ありがとうございます。それでは、これで議論を終わりにしまして、最後に事務局からお願いします。

○蔵満室長補佐 本日は活発な御議論を頂きまして、ありがとうございました。次回以降の開催に関しては、別途に調整させていただきますので、よろしくお願いいたします。タブレット、タッチペン、資料ファイルに関しては、そのまま机の上に置いていただきますよう、よろしくしお願いいたします。事務局としては以上です。本日はありがとうございました。

 

 

(了)
<照会先>

健康局難病対策課移植医療対策推進室
 代表: 03(5253)1111
 内線:2365

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 厚生科学審議会(疾病対策部会臓器移植委員会)> 第49回厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会議事録(2018年6月6日)

ページの先頭へ戻る