ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会診療報酬調査専門組織(入院医療等の調査・評価分科会))> 平成29年度第12回入院医療等の調査・評価分科会・議事録(2017年11月9日)




2017年11月9日 平成29年度第12回入院医療等の調査・評価分科会・議事録

○日時

平成29年11月9日
14:59~16:47


○場所

全国都市会館 第2会議室(3階)


○出席者

【委員】

武藤分科会長、池田委員、池端委員、石川委員
岡村委員、尾形委員、神野委員、菅原委員
武井委員、筒井委員、林田委員、藤森委員
本多委員、牧野委員

【事務局】

医療課長、企画官他

○議題

1.一般病棟入院基本料の評価手法の整理について
2.入院医療等の調査・評価分科会における検討結果報告(案)について

○議事

○武藤分科会長

 それでは、おくれて来られる先生方もいますけれども、定刻になりましたので、ただいまから平成29年度第12回「診療報酬調査専門組織入院医療等の調査・評価分科会」を開催したいと思います。

 本日の委員の出欠状況ですが、田宮委員が欠席となっております。

 次に、事務局から本日の資料の御確認をお願いしたいと思います。

○事務局

 事務局でございます。

 本日もペーパーレス開催ということで、事前にメールで資料をお送りしておりますものが、入-1参考、入-2、入-3、神野委員・牧野委員提出資料でございます。

 本日、机上に紙資料として配付させていただいておりますものが、座席表、議事次第、委員一覧のほか、入-1、入-1追加資料。武井委員提出資料。先ほど配付させていただいた資料でございます。

 不足等ございましたら、事務局までお申しつけください。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 それでは、本日の議題のうち「1.一般病棟入院基本料の評価手法の整理について」につきまして、事務局から資料の説明をいただきました後に議論したいと思います。

 では、事務局から資料の御説明をお願いしたいと思います。

○事務局

 事務局でございます。

 入-1「入院医療等の調査・評価分科会における検討結果 報告(案)[別添]急性期の入院医療の評価手法に関する分析」という資料を御用意ください。こちらの資料につきましては、前回分析結果に関して御議論いただいた際に、事務局のほうで少し資料の準備が不十分だったこともあり、十分に御議論いただけていない、あるいはうまく御理解いただけていない部分もあるという反省のもと、急性期の入院医療の評価の指標ということの議題につきまして、これまでの経緯の部分も言葉、内容などを追加させていただいた上で、前回課長から申し上げましたように、整理をさせていただくということでしたので、その整理について、こちらのほうでつくったものでございます。

 まず、この分析の経緯に関しまして、きょうお手元に紙で配付しております入-1追加資料をごらんいただければと思います。中央に絵がついておりますが、これは「急性期の入院医療における医療・看護の必要性の高い重症な患者を把握する手法の分析に係る概念図」ということで、ポンチ絵ですので、突っ込みたい部分もあるかもしれないのですが、語りたいこととしては、前回ベン図でお示ししました分析結果は、一番下の影の部分に該当するところと見ていただければと思うのですが、我々、診療報酬で考慮すべき、つまり、診療報酬で評価したいと考える急性期の入院患者というもの、中央のマル示しておりますが、例えばこれが球体だとしますと、これをうまく的確に評価指標で把握することで、そこを目指して診療報酬で評価をするということを考えたいときに、この球体を把握することに関しまして何らかの指標を使わなければいけないというふうに考えると、それを投影すると考えると、その影をつかむということになるのですが、そうしますと、左下の影の部分ですが、重症度、医療・看護 必要度でそれを測定しているというのが現状でございます。

 DPCで今回A項目とC項目について一定の定義を置いて判定を使ったという部分が、A項目とC項目について、出来高報酬の区分というものをリストアップいたしましたということが、完全に今のA、C項目と一致しない部分も当然ございますので、そこはもともと一致しないという前提でございましたが、それを使っても急性期の入院患者という球体を把握するのにある程度使えるかどうかを見たかったということでございます。

 今回やった分析に関しては、右下に書いておりますが、現行、急性期の入院患者を把握するという項目自体を参考にできるものが現行の重症度、医療・看護必要度の項目でしたので、A項目とC項目をDPCデータのEF統合ファイルで参考に読んだということで、そうしますと、それが右下の影になっているということでございます。

 我々ができるだけ把握したいのは、影としましては点線の影になっている部分ですが、当然ながら現行の影もDPCデータの影も一致しないのはわかっているのですが、それぞれデータの持ち方なり測定の仕方に違いがありますので、それぞれ特徴が違います。ですので、例えば左下の円も、重症度、医療・看護必要度では拾えるけれどもDPCでは拾えていないという点線の内側、DPCにかかっていない三日月の部分もあれば、逆にDPCはかなり多くの診療報酬の項目を持っておりますので、DPCでは拾えているけれども重症度、医療・看護必要度では拾えないような部分もあるのではないかということなども確認したり、あとは、仮に真に点線の影に当たるところが現状、何というのがございませんので、仮にそれが重症度、医療・看護必要度で見られる影の部分だとすると、それとある程度似たようなものが拾えるのかどうかということもあわせて分析をしたということが今回の目的であったということなのですが、これまでうまく説明ができておりませんで、今回試行的にこのようなポンチ絵をつくらせていただいた次第ですが、それを文字にしたものが入-1の文章ということでございます。

 入-1の文章に戻っていただきたいと思います。(1)分析の前提としましては、現行の一般病棟入院基本料(7対1、10対1)につきまして、重症度、医療・看護必要度という指標がありまして、患者の状態に応じて医療・看護の提供料の必要性を適切に反映するために開発をされているということでございます。

 2つ目のポツとして、その指標について、より正確に医学的な管理や看護の必要性を把握して適正な配置管理に使うということで有用ですが、報酬算定のための評価手法や事務手続という視点からは必ずしも適切な運用になっていないのではないかとの指摘もあるということ。

 一方、急性期の入院患者ということで見ると、既存のデータとして主にDPC対象病院が提出しているDPCデータ、簡易サマリーや診療報酬請求情報というデータがあるので、これは医事会計システム等から二次的に生成可能なので、こういうものも活用できるかどうかを検討するために行っているということでございます。

 こちらに関しては、入-1参考ということで、メールで送らせていただいている電子媒体で改めてつけさせていただいていますが、6月21日の分科会の際に入院基本料の変遷ということをお示ししまして、今、入院基本料となっておりますものにはどのような要素が含まれているかということをお示しして、語りたかったのは入院基本料で評価をする対象範囲はどういうものかということで、それを考えればどういう指標がいいのかということをまず御確認いただきたく、それを出させていただいておりました。

 参考資料の4ページ目には、7月21日に出させていただいた資料ですけれども、評価指標、評価をするものとしてどういうものが適当かということも7月の資料で出させていただいて、このときに一番下に検討手法とありますけれども、何に着目して何を使ってみるかということで、何が見られるかということも変わってくると考えられますので、相関ですとか分布などについて分析を行うべきではないかという議論を重ねてまいりまして、最終的に今回必要度のA項目とC項目を相関する項目のDPCデータ、EF統合ファイルを使って分析をしてみたという経緯でございます。

 5ページ目、1018日、座長からの追加資料ということで、目的ということを改めて御提示し、6ページ目、データ内容の比較をさせていただいたということでございます。

 入-1の本文に戻っていただいて、その部分が1ページ目の(2)分析の目的というところでございます。2つ目のポツ、具体的には、「急性期の入院患者」に対する医療資源の投入に見合った報酬設定として、一般病棟での受け入れが求められる、診療報酬で考慮すべき「急性期の入院患者」、これが先ほどのポンチ絵の真ん中の円、球体の部分ですが、それを適切に把握できるかどうか、毎月の診療報酬請求や支払い手続として測定方法を含む運用が合理的であるかどうかといった検討に資する素材を提供することである。

 また、DPCデータを活用して診療報酬で考慮すべき急性期の入院患者をどのような項目で把握するかについては、今回重症度、医療・看護必要度のA、Cを参考にして、分析モデル、「DPC項目モデル」と申し上げますが、今回はそういう診療報酬請求区分の組み合わせを、前回参考資料で出させていただいたものを使って分析したということです。

 1ページ目の下3行ですが、繰り返しますけれども、ただし、これらの用いたデータはそれぞれ定義も性質も異なるものですので、判定結果が一致しないことはもともと自明でございました。その該当性を確認する。つまり、先ほどの影が一致するかどうかを見たかったということではなく、診療報酬で考慮すべき「急性期の入院患者」、球体のほうを見られるのかどうかということに関して一定の合理性があるか、診療報酬の評価に用いる手法として活用可能なものなのかどうかということを確認するというのが目的であるというのを御留意いただいた上で、分析をしていただく必要があるということでございます。

 まとめますと、今回の分析は、現行の重症度、医療・看護必要度の該当患者を急性期の入院患者であると仮定して該当割合を比較しているものなので、両者の割合が一致しないことが直ちに診療報酬で考慮すべき急性期の入院患者を把握できないことを意味するものではない。つまり、特徴の異なる別の手法を用いることで把握できなくなるものは何か、新たに把握できる可能性はあるか。先ほどの影の分で言うと、点線とのずれの部分が何かということを見られる可能性があるかということも含めて確認するということが目的ということでございます。

 (3)としてデータの比較。これは一度出させていただいているものを改めて文言などを明確になるように整理をさせていただきました。作成プロセスや記録の頻度、報告の手続等、対象範囲も差があるということでございます。これは繰り返しになりますので、割愛いたします。

 以上のような前提で、分析結果というものですが、こちらについては前回お示しした資料がございますが、本日お配りしている入-1参考の24ページから26ページのあたりでございます。26ページが横棒の帯グラフがある1枚紙になっているもので、サマリーになっておりまして、左側に行っているほうがDPCのほうがマイナス、少ないというもので、右に行っているほうがDPCのほうが多く当たっているという割合のもので、項目の数としては赤になっているほうが若干多いということでございます。

 右に大きく振れているものの1つ目のものを見ますと、それが点滴ライン同時3本以上の管理ということで、もともと診療報酬の出来高では表現できない項目でありましたので、診療報酬の区分の定義をするときに広い設定にならざるを得なかったので、当然こちらの右のほうに大きく出ているという、予想どおりの結果であったということでございます。

 青い棒の一番下側の長く出ているところが救急搬送の項目ですけれども、こちらもちょうど当たる報酬項目がなかったので少し広目になっているということを考えると、ずれてしまう、規定できないということに関してはそういった可能性があります。

 入-1の本文に戻っていただいて、3ページ目でございます。(2)の2つ上の黒ポツ、また、評価項目の定義と診療報酬の請求区分の表現・規定とがほぼ同等の項目(例えば、「心電図モニター」等)で、DPCデータを用いた判定のほうがより低い割合となった要因としては、DPCは包括算定なので、ほかの請求区分で包括評価されているため個々に出来高が入力されていないという場合もございますし、項目への該当に関する評価者の判断の違いなどの影響が考えられるということです。これは先ほどのスライドの下の部分に要因として書かせていただいていたもので、前回も御議論いただいた内容になっております。

 まとめとしましては、一覧表ですが、入-1参考の28こま目、前回も出しております表になります。合計のパーセンテージが上にありますように、現行だと28.8DPCを使うと24.8ということで、DPCのほうが判定の数値は低く出たということです。

 3ページ目、(2)医療機関ごとの該当患者割合の変化の比較ということで、先ほどの参考資料の28ページ目を見ていただきますと、仮にDPCデータで判定した場合の基準値も今の場合の25と同じと仮定すると、丸で囲った部分に関しては、右上の丸は、今の該当患者割合だと25を超えているけれども、DPCだと超えない人たち。左下の囲みは、今の該当患者割合は25未満だけれども、DPCだと超えるということで、未満か、超えるかが変更になってしまう人たちというのが一定ここに出てきたということでございます。

 本文の4ページ目をごらんください。判定結果がずれてしまうということもございまして、このような医療機関はDPCデータを用いて判定した該当患者割合のほうがより高くなる傾向があるという方は、その該当項目もより高くなるようなものが多くなる患者が多かったという可能性や、今回の分析で用いたDPC項目モデルの中で、該当する項目が重症度、医療・看護必要度で反映されていないような可能性などということで、要因はさまざまあるということで、このため診療報酬で考慮すべき急性期の入院患者に関連する診療項目は何かというのを検討する素材としては、どのような項目がずれた医療機関で当たっているか、当たっていないかといったことなどを、DPCデータでは全ての診療報酬の項目を見られますので、そうした項目も使った活用ということはあるのではないかということ。今回の分析で含まれていない診療報酬項目を使ってみるといったことも有用なのではないか。先ほどの冒頭の影、点線のところを把握するのによさそうな項目があるかというのを見るという意味でございます。

 次のポツのなお書きですが、なお、現行の重症度、医療・看護必要度の該当患者割合の判定を補助するという手法として考えると、現行の項目だと、診療報酬請求区分で表現・規定できない項目がありますが、それを除くといったことをすることで、医療機関ごとのDPCデータを用いた該当患者割合の判定結果が現行の判定結果の範囲内となるものがふえる可能性もあるのではないかと考えられる。つまり、DPCデータを使うと、定義できないものは該当割合が高いほうに出てしまうので、例えばそれはないものとすると、その範囲内といいますか、内数になるという意味で、診療報酬の観点で言うと、不当に判定が大きく出なければいいものなので、そういう意味では、大きく出てしまうものを除くという処理もあり得るのではないかという意味でございます。

 4ページ目の3ポツからが前回申し上げた整理をするという意味です。2つの手法、重症度、医療・看護必要度とDPCデータを比較、整理したものです。まず、評価項目の概要としては、重症度、医療・看護必要度は、A、B、Cという項目で、これはさまざまなスタディーから特に意味のあるものを整理していただいているので、22項目でございます。DPCデータは、出来高の点数表でございますので、4,000区分以上の項目と、様式1では患者サマリーがあるということです。更新頻度はいずれも診療報酬改定時に見直しをするということですが、DPCデータのほうは点数表の改定があると、それをそのままコード化されますので、それですと。

 評価の内容ですが、重症度、医療・看護必要度は、患者の日々の状態の変化、特にB項目やA項目のように特定の評価項目や診療行為を踏まえた患者の状態というものを見ていくということで、看護の必要性などに係る総合的な状態を把握して、その変化も把握する。

 DPCデータは右下ですが、診療行為の請求区分に基づいてその有無を把握するということなので、その行為が発生したというところを把握する。

 有無の把握だけですので、当然状態の変化という把握は困難ですが、診療行為の有無ということから、その変化を推測する。推測になるということです。

 なお、診療報酬点数表がベースなので、それをベースとして医療資源投入量、金額といったことも把握が可能ではないでしょうかということです。

 5ページ目に行っていただいて、測定の頻度は重症度、医療・看護必要度は毎日測定。DPCデータは、医事会計システム等で二次的に生成するということです。

 評価の性格をまとめますと、重症度、医療・看護必要度は、患者の状態を中心に評価項目を設定して、定点的に測定することで状態変化を把握するのに適した手法と言えるのではないか。

 DPCデータについては、急性期の医療全体を捉えた広範囲・汎用性のある評価項目を設定して、複雑で多様性のある個々の診療内容を把握するのに適した手法ではないかということで整理をさせていただいております。また、こちらは御意見をいただければと思います。

 以上を踏まえまして、では、この手法を用いて評価をする対象をどう考えるかというのが次でございます。マル1、評価手法としての特性の違い。ア)評価手法として、今のまとめから考えられることでございますが、重症度、医療・看護必要度については、A項目、B項目、C項目で構成され、前述の比較・整理を勘案すると、病棟別の看護師の配置管理などに有用である一方で、看護師等の医療専門職による毎日の入力が必要となり、一定の業務負担とともに、評価者の主観を排除し入力内容の質を担保するためには、評価者には一定の研修などが必要となる。

 このため、A項目、C項目のような診療行為等に直接関連する項目については、急速な医学の進歩、医療技術の革新等に伴う急性期医療の複雑化、多様化に適時適切に対応する観点からは、項目としては厳選されておりますので、逆に言うと、たくさん拾うということに関して考えると、一定の限界があると考えられる。

 一方で、急性期医療そのものの複雑化や多様化とは異なる観点で、患者の状態をきめ細かく把握するということに関しては、急性期に限らず、入院による管理の必要性ということを横断的に補足する手法としては活用できる可能性があるのではないか。

 DPCデータは、診療行為に対応した4,000を超える請求区分の項目に対応可能で、改定により定期的に更新されているものです。医事会計システム等から二次的に生成可能なので、新たな業務負荷を伴うことなく、項目の変更や追加などができる。

 6ページ目、さらにDPCデータセット様式1には、牧野委員から御指摘がありましたように、救急入院かどうかというデータもありますし、傷病名や臨床病期といったデータもありますので、さまざまな分析への利活用の可能性があると考えられます。

 一方で、DPCデータ(EF統合ファイル)では、重症度、医療・看護必要度のような患者の状態の変化の把握というのは困難ということもあるということで、マル2、評価の対象ということを考えると、急性期の入院医療の評価手法という検討では、入院基本料における施設基準による基準値、これは本編の最初のほうの入院医療分科会でやっておりました。7対1はカットオフ値になっていますが、10対1では加算で評価されているということがございましたが、そういう意味では、入院基本料でのカットオフ値での評価というのは、急性期の入院医療の必須である基本的な要素の評価になると考えられて、基本的な入院管理が必要かどうかといったことを把握するという視点での評価ではないか。

 一方で、診療実績に応じた広範で段階的な評価に関しては、入院基本料の中に含まれる変動的な要素の評価というものと考えられ、基本的な要素とは逆に、複雑で多様性のある個別の診療内容の部分について、実績を踏まえた評価となるのではないかということで、評価の対象として大きく2つ、基本的な要素、変動的な要素というものがあるとすると、そういった対象とそれに適した評価手法を選択する必要があるのではないかということで、7月のときに評価指標の考え方というのを出させていただいたのは、まさにこういったことがあるのではないかということだったのですけれども、うまく御説明の資料を出せていなかったということで、申しわけございませんが、こういう形でもう一度そこを整理させていただければと思っております。

 最後、4ポツ目の今後の検討に向けた視点というところでは、(1)次期報酬改定での活用の視点として大きくマル1とマル2に分けております。マル1に関しては、現行の重症度、医療・看護必要度のA、CにDPCデータを使うかどうかということと、マル2はもっと大きな視点で、急性期の入院医療の評価というものの視点ということで、2つに分けております。

 マル1の部分に関しては、医療機関ごと、判定結果が変わってしまうという医療機関も一定数存在しておりまして、今回分析に用いたDPC項目モデルに関して言うと、それでは表現できない項目の影響などさまざまあると。しかし、今回のDPC項目モデルの結果だと、全てではなく、定義が表現できないものを除くという処理などをすれば、今回の分析モデルで判定した該当患者割合も、ある程度そういった配慮を行えば使える可能性があるのではないかということを出させていただいております。

 なお、DPCデータを用いて判定した割合は、大きくずれるものを除くと、全体として低くなる傾向なので、もしDPCデータを用いるという場合は、今の該当患者割合そのままの基準なのかどうかということの検討。これは前回神野委員から御指摘があったと思うのですが、基準値をどうするかということや、実際にデータを用いるかどうかというのは、医療機関が選択する、あるいはきちんと入院できているかといった視点で条件を設けるといったことなどを検討する必要があると考えられます。

 マル2、急性期の入院医療の評価。これは現状存在していないけれどもこういう評価があったらどうかということも含めてということで、ちょっと大きな視点がございます。まず、2つの手法を考えると、手法としては施設基準で評価すること、あるいは診療実績で評価すること。ここでは基本的な要素と変動的な要素と呼んでおりますが、評価しようとする対象にも異なる特徴のものがあるということを考慮して、適切な評価手法を選択するということが必要ではないか。

 また、医療の複雑性や多様性を考えると、このような異なる特徴を持つ評価手法、必要度とDPCデータですけれども、それらを適切に組み合わせて評価をしていくということも、より適切な診療報酬の評価への活用の可能性を考える上では重要ではないか。

 さらに、診療報酬で考慮すべき、これが例のポンチ絵の球体の部分ですけれども、それを把握するのに関連するような診療行為は何が影響しているかといった分析の中で、また開発をしていくということですとか、そういった項目を関連で追加したりといったことでの分析を今後も進めていくべきではないか。これは今回こういったことをやってみましたが、さらにという形でございます。

 マル3は留意点で、こうしたDPCデータは、今は出来高評価に使っていないですけれども、そういったDPCデータを使うということを仮に何らか活用すると。活用する、しないというのは中医協の総会で決めることですが、そのときの注意点として考えられるのは、医療機関がみずから選択する、あるいは試行的にきちんと評価されるかを確認しながら使うといったこと、あるいは現場が混乱しないように配慮するといったことが必要ではないかということ。これはこの場でも御意見があったことだと思っております。

 (2)最後ですが、将来に向けた視点としては、こういった意味で評価手法を開発・検証していくということを行っていくべき。それから将来に向けて、より適切に把握できる手法の開発・検討の必要があると考えられたという整理をさせていただいております。

 最初の御説明は以上です。

○武藤分科会長

 ありがとうございました。

 それでは、ここで前回の分科会でも御提案がありましたけれども、神野委員・牧野委員からの提出資料について、この議題と関連しておりますので、牧野委員から資料の御説明をお願いしたいと思います。

○牧野委員

 それでは、提出資料に関して説明させていただきます。

 「重症度、医療・看護必要度に関する緊急アンケート-中間集計結果-」というものです。

 1ページ目にアンケートの概要が記載されています。そこにあるとおりなのですけれども、目的としましては、重症度、医療・看護必要度の評価表のうちA項目とC項目について、DPCデータのEFファイルを用いて評価する方法が検証され、その結果を踏まえてさらに検討することになっている。ここでは実情に即した検討が展開されるように、その根拠となる医療現場の意向を正しく把握する。実際に医療現場がどう考えているのかということを把握しましょうということで、実施したわけです。

 評価の内容ですけれども、そこにあるとおり、まず1番目として院内指導者研修の受講についてということ。2番目としまして重症度、医療・看護必要度について。3番目としまして診療報酬請求情報を選択可能となった場合にどうするか、その意向を確認したということになります。

 誰に聞いたかといいますと、医師。これは病院長です。もう一人、看護師。これは看護職の責任者。多分看護部長というような方だと思います。あともう一人、事務職員。これは事務部長ではなくて、医事課の責任者、医事課職員ということになります。この3人から伺ったということになります。

 方法は、そこにあるとおりです。

 期間が、ことしの1011日~11月2日の間に、全日本病院協会と日本病院会に加盟する会員病院のうち、一般病院入院基本料、特定機能病院入院基本料を届け出ている病院。ただし、7対1の病院です。その病院が1,241施設ありましたので、そこに送りました。その結果としまして、447病院から回答いただいたということになります。

 次のページには回答いただいた病院の規模と開設主体があります。規模としては500床以上の病院が多く、次いで300399400499というふうに続きます。主体としましては医療法人が最も多く、次いでその他公的病院、自治体となります。

 4ページ目です。院内研修が負担になっているかということの設問に対して、医師と看護師から聞いていますが、どちらも負担になっているというほうが多い。大体3分の2の施設の方が負担という回答かと思います。

 5ページ目は、活用状況ということになります。これを院内で活用しているかということに関して、医師がベッドコントロールに活用しているという答えが324と最も多くなりました。看護師は、病床コントロール、病棟の看護職員の配置管理、院内の分析ツール、多目的に結構使っているということもわかります。

 事務職員も病床コントロール、看護職員の配置、院内の分析ツール、診療報酬の精度管理といったことに活用して、特に活用していないというのも一部ありました。

 6ページ目は、看護職にきいたものですが、これを有用と考えているか、有用と考えないかということでいきますと、有用と答えた方が7割いらっしゃった。そうでない方が2割ということになります。ただ、有用と回答された中でも、評価については検討の余地がある。また、入力作業については検討の余地があると。それぞれかなりな割合、314の回答のうち148152。両方合わせると、ほとんどの方と。全く負担を感じしていないという方が14人ということになったわけです。

 有用と考えていないというほうでは、評価・入力ともに負担を感じているという方が非常に多かったということになります。

 7ページ目です。1勤務当たりの評価・入力作業にかかる時間ということでいきますと、これはかなりアバウトな聞き方だったのですけれども、一番多かったのが30分以上60分未満。その次が30分未満ということで、これに関しましては、右のほうに病床規模別の内訳が書いていますが、規模による差というのは余り大きくはなかったということになります。

 8ページです。レセプト情報の活用と書いていますが、要するに、正確性を期するために突合しているかということを聞いたものです。実に6割の病院が既に突合作業を行っているということがわかりました。しかも、右の表になっている部分は、ざっと見ますと、病床の多いほうがそういったことを行っている。逆に199床未満のところでは行っているところが少ない。規模が大きいほどやっているということになります。

 9ページ目です。診療報酬請求情報が選択可能になった場合に、その方法を選択するかということに関しては、まず院長、施設責任者、3分の2が選択を検討するということ。選択を検討しないのが3分の1なのですが、その理由として最も大きいのは、具体的な内容がわからないということで、現在の方法で施設基準を満たしているから選択しないという方は55人ということで、それほど多くはなかったということになります。あと、診療報酬を使うことに抵抗があるという方も一部いらっしゃいました。

 次は看護師さん、看護部長さんになりますけれども、これもほとんど今の医師、院長と同じような回答の内容になっております。

 11ページ目は、事務職員についてですが、こちらは選択を検討するという方が6割。管理職に比べると若干低いという結果になりました。選択を検討しない理由としては、具体的な内容がわからないというのが最も多いということ。その次に多かったのが現行で施設基準を満たしているからということで、あえて変える必要はないだろうというのが答えでした。

 以上のことをざっとまとめたものですけれども、院内研修では6割以上の方が負担と感じているということ。あと、院内で何らかの形でこのデータを活用しているということ。アセスメントが有用としていると考える人が7割いるのですが、その多くの方が評価方法や入力方法には改善の余地があると回答しているということ。レセプト等の突合作業は6割の施設で実施しているということ。仮に診療報酬を評価に活用することが可能になった場合に、それを選択するとした施設が6割。しないと回答した施設でも、具体的な内容がわからないということで、それを選択した方が多いということがまとめというふうになります。

 それ以下のほうには実際のアンケートの用紙が添付されております。

 私からは以上です。

○武藤分科会長

 ありがとうございました。

 続きまして、武井委員のほうからも事前に私のほうに追加資料の配付についての御相談がありました。関連の資料ですので了承させていただきましたので、武井委員のほうから御説明をお願いしたいと思います。

○武井委員

 よろしくお願いします。

 今、牧野委員からは主に病院管理者の方たちのアンケート結果でしたが、別の視点での資料になりますので、今後の議論の参考にしていただければと思って提示させていただきます。

 今までの分科会で私は現場の声を、現場の声をとずっと言ってきたのですが、それを示すようなデータが何もなくて、今回11月5日に臨床看護マネジメント学会で研修をするということでしたので、現場の声、多くの看護師の声を調査して今回の資料として出したいと思いまして、まとめさせていただきました。

 アンケートの概要と分析内容については、ここにあるとおりですが、いつもこの研修では必ずアンケートをとるのですが、そのアンケートにこのアンケート項目1から4について追加して調査いたしました。当日記載していただく方法でアンケートをしております。

 回収されたアンケートのうち使えるアンケート結果7,498票を分析しております。5日に実施したので、ぎりぎりの提示になってしまいましたが、混乱させて申しわけありませんでした。

分析対象者の所属機関の属性ですが、ここにもありますが、2,153施設でした。民間が47.5%、病床区分は1~19954.2%。半数を占めているというところです。

 分析対象者の属性で病棟の種別と職種、職位になりますが、多かったのは、半数が7対1、次いで10対1になっております。職種については、看護職員が98.2で、職位で最も多かったのは看護師長。その次がスタッフナースということで、かなり現場の声が反映される結果になったのではないかと思っております。

 次は看護記録および看護必要度評価にかかる時間についてです。こちらでは患者1人当たりの必要度評価に関する平均時間を見ているのですが、平均5.82分でした。一方、1人当たりの看護記録に要する時間、平均値も見ていますが、これについては15.2分でありました。

 その次のスライドは、重症度、医療・看護必要度の評価項目の難易度、研修の必要性、評価にかかる時間について聞いていますが、重症度、医療・看護必要度の評価、A、B、C項目で難易度、研修の必要性、評価にかかる時間を聞いたところ、いずれもB項目について、難易度も高く、研修も必要であるということがアンケートの集計で出てきております。

 次のスライドで、重症度、医療・看護必要度を使った患者割合の評価とDPCデータを使った患者割合の評価は、どちらが患者の重症度の実態をあらわしていると思いますかということでとってありますが、重症度、医療・看護必要度というのが68.8%を示しています。DPCデータは3.6%。ここで注目すべきは、「わからない」が27.6%いるということで、わからないことに対しての不安というのがあると感じております。

 その次のスライドについては、重症度、医療・看護必要度の評価から算出される重症患者割合とDPCデータを使った患者割合が選択性になった場合、どちらの評価を選ぶかということがありますが、これについても、重症度、医療・看護必要度を選ぶのが46.1%、DPCデータは4.3%というところです。こちらでも「わからない」というところが多いというのは一つ注目すべきと思います。

 重症度、医療・看護必要度とDPCデータが選択性になった場合、重症度、医療・看護必要度の評価を継続するかという問いに対しては、継続すると回答したのが全体の32.1%であったのに対して、継続しないと回答したのは10.2%ということで、こちらに「継続する」の理由として書いてあるのが、「病棟別の看護業務の実態を明らかにできるから」が最も多く、「継続しない」の理由で一番多かったのは、やはり日々の必要度の評価、記録の負担というところが出ていると思います。ここでも「わからない」というところが多いと感じました。

 スライドは以上になります。

 看護記録とか評価の時間についてですが、実は2008年に調査をしていて、そのときには評価が大体9.47分かかるとなっていたのですが、今回5.82分であり、だんだん短くなってきていると感じました。これは評価の標準化や入力支援システムが普及されている、これが一つ理由であるのかなと思っています。

 「わからない」が多いということに注目すべきと言ったのですが、「わからない」が多いということが、現場が負担軽減を喜ぶというよりも、不安が大きいということを示しているのではないかと感じております。

 私からの説明は以上になります。

○武藤分科会長

 ありがとうございました。

 それでは、ここから1の「一般病棟入院基本料の評価手法の整理について」について御議論いただきたいと思います。資料は先ほど御提示していただきました入-1の別添と入-1参考。委員の皆さん方の御意見も反映して再度まとめていただいたものです。それから、今、牧野委員と武井委員がお示しされた報告であります。神野委員、どうぞ。

○神野委員

 まず、両アンケートの話と入-1の話、続けてよろしいでしょうか。

○武藤分科会長

 はい。

○神野委員

 我々日本病院会と全日本病院協会がやったアンケートは、25%になって、看護部門だけでなくて、ほかの部門も含めて非常に苦労しているという実態が出てきたのかなと思っております。だから、病院が看護部門だけでなくて、医事課とか、あるいは医師の意見を聞きながら取り漏らしをなくやらないと、25%はなかなかだったというのが我々のアンケート。

 武井委員のほうから出てきたものは、主に現場スタッフのアンケートということですけれども、ただ、これは看護必要度、ステップアップ研修の受講生ですので、正直言ってそこに多少バイアスがかかってしまうのかなと思いますが、今回のこのデータの話は、スタッフのナースの方とか、多くの我々の会員病院もDPCの話はよくわからないというのが正直なところだと思いますが、最後のページでオレンジ色の一番上「病棟別の看護業務の実態を明らかにできるから」というのは、ここで流れとして重症度、医療・看護必要度のメリットとしてまさにここがあったわけですね。ただ、今回入-1で事務局のほうから出てきたのは「診療報酬で考慮すべき急性期の入院患者」というキーワードであるということなので、どうも見方が少し違うのかなという気がいたします。

 なので、私たちは、そもそも論として急性期とは何ぞやということで、まさに事務局の説明のとおり、重症度、医療・看護必要度でひっかかっていない患者に対して非常に不満を持っていたし、その逆もあるという事実の中で、こういった新たな手法で入-1の7ページのほうに急性期の入院医療の評価への活用という項目で書いていただいているわけですが、次期診療報酬改定でやるとするならば、同じ患者で24%と28%という現実がありますから、もしDPCのほうでやるなら急性期の基準は低い値にしていただかなければ困るけれども、その中で急性期の入院患者とは何ぞやというところでいろいろと項目を今後追加していく、あるいは検討していくという土俵に乗るのならば、よろしいのかなと思っております。

 以上です。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 ほかにございますか。牧野委員、どうぞ。

○牧野委員

 まず、武井委員からのアンケートは大変すばらしいアンケートだと思います。ただ、神野委員が言ったように、回答者のバイアスをしっかり考えなくてはいけない。ステップアップ研修という、最も医療・看護必要度に対してモチベーションの高いときに行った研修で、そういった人が回答したのだということでこういった結果になっている。だから、同じ現場の中でもそういった人だということは押さえなくてはいけないということです。

 逆に我々が行ったアンケートというのは、管理職なのです。管理職と現場の根本的な違いというのは、現場というのは一生懸命いろんなことをこなそうとする。管理職というのはいかにして職員の負荷を軽減しようかということを考えるわけです。ですから、そういった負荷を軽減しようという立場で考えたときにはこういった結果になった。こちらのほうもバランスがあるのだということを踏まえて見ていただきたいということになります。

 あと、今回、特にすばらしいと言ったのは、実際にどのぐらいの時間がかかっているか。我々も一応言ったのですが、何せ管理職が見ているので、余り正確ではない。それに対して、実際の現場では評価のために大体5.9分かかっていますよというふうに今、答えていただきました。しかも、一患者です。ということは、1病棟50人いたら、大体290分かかるのです。この評価のためだけに約5時間かかるということで、その労働というのは結構大きなものだなと。しかも、その評価を記録しなくてはいけないということを考えると、もっとかかる。ですから、これをいかに軽減するかというのが必要かなと思った次第です。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 ほかにございますか。石川委員、どうぞ。

○石川委員

 きょうは事務局が大変苦労していろいろなことを分析して、お話ししていただいて、大変感銘を受けましたが、特にきょう追加資料の球体と表現されているものの影ですね。くしくも球体と言われたということは、一つは立体的に医療活動というのは捉えなければいけなくて、例えばDPCですと、感覚からいきますと、どちらかというと日々の医療労働の積み重ねというよりは、結構単純化したデータみたいな形になっているというイメージがあるのですよ。そうすると、重症度、医療・看護必要度というのは、毎日看護師さんが、武井委員から以前発言がありましたように、毎日の看護労働をどういうふうにするのかというところで最初にこれをやって、その日の看護をどういうふうにしていくのかという組み立てから何から結構立体感のある、もう既に病棟の普通の作業になっているということなのです。そういうところからすると、毎日毎日のアクティビティーが、私の病院などを見ても、看護必要度で特に急性期のところは回っていっているという現象が実際あるのです。

 今、28%と24%という数字があるので、下げるとか下げないという問題がありましたが、EFファイルを全部やってしまいますと、看護必要度、これだけ大きな活動になっているものが一定消沈するのではないかと思います。そうすると、再び同じようなことができるということはないと思うので、この論議は極めて慎重に考えていただかないと、現場が混乱するのではないかと思います。

 きょう、EFファイルと看護必要度の目算、現場に行って目算でやるのと、いろんな違いが文章になって出てきまして、これはすごい文章だと思うのですけれども、これがちょっと問題だなと思うのは、5ページ目の(2)特性に応じた評価対象の考え方というのがありまして、マル1の評価指標としての特性の違いのところに重症度、医療・看護必要度のことが書いてあります。これの第2フレーズ「医学管理や診療行為に直接関連する項目について、急速な医学の進歩や医療技術の革新等に伴う急性期医療の複雑化や多様化に適時適切な対応を行う観点からは、入力の業務負荷や評価者への研修等を考慮すれば、評価手法として一定の限界があると考えられる」。これはまずいですよ。現場はこういうことにいつも対応しようとして努力しているのですから、ここを言ってはちょっとまずいと思うのです。特にICUとか急性期病棟は、医療の先進とか医療技術の革新について一生懸命努力しようとしているので、ここにこういうことを書いてはいけないのです。その下も同じようなことです。

 ですから、例えばC項目に限って言えば、DPCデータを参考にするということは大いにできますけれども、A項目、判断は中医協に仰ぐわけですが、すぐにできないのではないかと今までの資料からは思います。

 以上です。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 ほかにございますか。では、まず神野委員から。

○神野委員

 余り石川先生と言い合いをするつもりはないのですけれども、今の5ページのマル1の急速な医学の進歩の発展の話なのですが、DPCの場合は、今もある4,000項目の診療報酬の点数で来ますから、先進医療とかそういうのが認められた場合にはどんどんここに入ってくるわけですね。一方で、重症度、医療・看護必要度は、そういう先進医療がどうのこうのとか、もしかしたら再生医療とかそういったものが入ってくるのにはちょっと意味が違いますねという感覚からすればありなのかなと思ってしまいました。

 以上です。

○武藤分科会長

 牧野委員、どうぞ。

○牧野委員

 僕も石川委員とけんかするつもりは全くありませんけれども。

○武藤分科会長

 では、済みません。ちょっと事務局から。

○事務局

 済みません。事務局の資料のことでしたので、1点補足させていただきます。今、石川委員から御指摘ありました5ページ目のマル1、アの2つ目のパラ「このため」の部分ですが、趣旨は、今回入-1参考で7ページ目に重症度、医療・看護必要度の見直しの影響というデータを出させていただいていて、「新規項目について研修が負担となった」「新規項目の追加により入力作業が増え負担となった」というお答えが多かったというデータがございましたので、項目がふえたり変わったりということの影響が一定あるので、余り項目をふやしたり変更したりということは負荷になるのでという意味での限界で、評価指標の限界という趣旨でなかったので、表現が不適切であれば、ちょっと修正させていただきたい。そういう趣旨でございました。

○石川委員

 それは直さないとだめです。

○武藤分科会長

 確かにそうですね。

 では、牧野委員、どうぞ。

○牧野委員

 今、問題になっている5ページのマル1、アの「入力の業務負荷や評価者への研修等を考慮すれば、評価手法として一定の限界がある」、その付近のフレーズに関してのことですけれども、特にA項目の薬剤とかですが、僕は、今回のことが話題になって、病棟に行って看護師さんに実際に話を聞いてみたのです。この免疫抑制剤というのは評価の対象になるのかと聞いたら、一生懸命本で調べながら、これはなる、ならないということをやっているわけですよ。いろんな薬剤に関して評価のためのルールがありますから、それに合うか合わないかを一生懸命調べている。すごく努力してブラッシュアップしようとしています。ただ、その労力たるや涙ぐましいものです。ですから、それを少しでも軽減したいなというのが我々病院長としての立場ということが言えます。

 ついでに言いますと、重症度、医療・看護必要度というのは、病棟の中で看護師さんが手間のかかる人、重症と考える人と、基準は病棟なのです。ところが、Eファイル、Fファイルで見ているのは病院なのですよ。見ているものが最初から違うのです。同じ薬を使っても、看護必要度は病棟の中でという縛りがあるのです。ですから、例えば前に本多委員がA項目は全然ないではないですか、満たしていない患者は75%もいるのですかという言い方をしていました。それは病棟の中ではそうかもしれないけれども、実は病院の中で急性期らしい医療をたくさん行っているわけです。

 例えばここに載ってきていないものでいくと、きょうCVPを入れました、肝生検をしました、腎生検をしました、肺生検をしました、カテ検査をしました、そういったことというのは、重症度、医療・看護必要度では全く評価されていないものになります。ところが、それは急性期病院の医療としてはたくさんやっているわけです。

 ですから、現在急性期医療として評価されていないものがたくさんあるという視点で考えると、先ほど神野委員もおっしゃったように、今後そういったものを評価していかなくてはいけないだろうということを考えると、評価の仕方は少しでも簡便であったほうがといいと考えます。

○武藤分科会長

 藤森委員、どうぞ。

○藤森委員

 ありがとうございます。DPCということなので、一言だけ発言させていただきます。

 2つのアンケート、大変ありがとうございました。恐らくDPCデータがわからないというのは、そもそもDPCデータが何かわからないということなのだろうというふうにも思いますので、それはきちっと説明をしていけば、その不安は当然解消される。

 あと、前回欠席しましたけれども、まだDPCデータは不正確だという疑念があるのかもしれないですが、繰り返しますが、DPCは医科点数表の定義に基づいて算定されたものがきちっと記録されている。それが漏れているなら、それは医療機関の責任ですし、もし請求していないものが出ているのだったら、それはまた大きな問題。ですから、これは本来正しいものとして考えていただく。これも保険診療の根底だということであります。

 その中で、先ほど武井委員のスライドの中で、1人当たりの看護師さんの記録時間は40分ぐらいかかっているわけですね。AとCは少ないと言われても、半分ぐらいを占めるとなれば、労働生産性の損失とは言わないですが、そこが電子化できることによる大きなものがあるだろう。そこを我々は無視できないし、働き方改革が言われている中で、そこをいつまでも手作業でやりなさいというわけにはいかないのだろうと思うのです。

 ですから、置きかえということでなくて、新たなパラダイムの重症度、医療・看護必要度の事態の中で、最も確実にアベイラブルなものはDPCデータ。しかも、様式1まで使えることになれば、先ほどの救急搬送みたいなものが本当にとれるわけです。しかも、事務局は本当にこれをよくまとめていただきましたけれども、今後診療報酬の改定のたびに新たな項目がなる中で、DPCデータは、そこは悉皆的に集めていますので、次の指標への開発コストも大きいのです。それを今の手作業でやっていると、毎回特別調査をかけるような形でやらなければいけない。これは物すごい負荷になると思いますので、まだ少し未熟かもしれないけれども、これからの可能性ということを考えれば、DPCも平成15年に入ったときは、本当にどたばたで始まったものがこれだけのものになってきたわけです。ちょっと長い目で見ていただければ。むしろ情報活用という意味で、我々はこちらの方向に進むべきではないのかなと思います。

 以上です。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 では、まず池端委員、どうぞ。

○池端委員

 ありがとうございます。

 まず、武井委員に1つだけ質問をさせていただきたいのですけれども、すばらしいアンケートをありがとうございました。5ページ目の資料で、今、まさに藤森委員がおっしゃった評価にかかる時間帯、1人当たり、評価と記録する時間を合わせて二十数分かかっているということですけれども、私は急性期の現状がよくわかっていないのですが、では、1勤務当たり、要するに、1人大体何人ぐらいやっているのが平均になっているのか。全員均等にやっているわけではないのだろうと思うのですけれども、現状の感覚でもいいですが、おわかりになればちょっと教えていただきたいのです。まず、それが1点です。

○武藤分科会長

 では、武井委員、どうぞ。

○武井委員

 1人当たりどのくらい受け持っているかということですか。

○池端委員

 はい。

○武井委員

 当然7対1なので。

○池端委員

 50床あったら、7分の1で7~8人持っているという形になる。

○武井委員

 7人以下ですね。

 10対1なら、10人以下。

○池端委員

 1人120分近くかかっているということになる。1勤務当たり2時間それに使っているということになるのですか。

○武井委員

 はい。ただし、前々回ぐらいの、資料にも出ていましたが、看護師配置は7対1でも10対1でもその配置よりも多く配置しているというデータが出ていますので、一概に7対1だから7人とか、10対1だから10人ということは言えないかなと思います。

○池端委員

 6人、7人持っていれば、少なくとも1勤務当たり2時間前後はかかっているということですね。これを見ると、25分ぐらいかかりますね。

○武井委員

 記録の方法なのですが、看護記録は、施設基準でもしっかり記録することが求められていて、それをまとめて2時間なのか、患者さんのベッドサイドできちっと入力して2時間なのか、その記録方法は施設ごとに差があるかと思います。なので、まとめて2時間ではないということだけ御了解ください。

○池端委員

 わかりました。恐らく2時間前後だとすると、今、牧野委員がお示しいただいたアンケート調査も90分以内になっている。それが大体同じところの線なのかなと思いますけれども、それにしてもかなりの時間をとっているということは変わりないと思うので、これが少しでも簡素化できる方向であるということは、DPCデータを使うということの意義があるかと思います。ひょっとしたら療養病床もDPCがいずれ入ってくることを考えると、その負担も考えなければいけないなと思ったもので、ちょっと確認させていただきました。

 それから、牧野委員がちょっとおっしゃった今の重症度にかかっていない何かが入れたというものは、それこそ球体の影、見えていない部分としてDPCを入れれば、その評価を使えばそこがあぶり出されるだろうという意味合いですね。

○牧野委員

 はい。

○池端委員

 そういう意味で、合わせわざでやるともう少し正確なものが出るのではないかということに対しては、私も納得できるところがあるかなと思います。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 岡村委員、どうぞ。

○岡村委員

 きょう、2つのアンケート、大変勉強になりました。それでわかること、はっきりしているのは、現在の看護必要度というのは大変重要な評価方法であるのですが、武井委員が出された資料からしても、看護必要度は手間がかかるけれども頑張ってやっているのだということがわかるのですが、この看護必要度を記入するために看護師が時間をとられていてはいけない。やはり代用していく方向に向かわないといけない。そうすると、DPCが何とか役に立たないかと。藤森先生が言われるとおりだと思う。

 例えばきょう事務局から出た入-1参考の26枚目のスライドで、看護必要度とDPCデータの乖離しているやつがありましたね。結局、DPCで評価できない項目として、例えば点滴ライン3本以上とか、救急搬送後の入院、そういった乖離度の大きいものから順に何とか別のDPCの項目を使って代用できないかどうかということを検討していく必要があるのではないか。だから、最初から点滴3本というのをやってしまうと問題なのですが、別にA項目には昇圧剤とかそういったものもあるので、具体的にDPCを見ればわかるようなものを追加していただきたい。新しい項目を追加するのもまた研修が要ると大変なので、自動化して人の手を省くような評価項目を探していく。それが大事なのではないかなと思います。

○武藤分科会長

 尾形委員、どうぞ。

○尾形委員

 きょう提出された武井委員、牧野委員、神野委員のアンケート結果は大変興味深いものですし、有益なものだと思います。これらは対象も違いますし、質問項目も異なっているので、相互に補完的なものであると思います。いずれにしても大変有益だと思いますし、一見異なった結果を示しているようにも見えますけれども、必ずしもそうでもないかもしれないと思います。例えば武井委員の資料の8枚目、9枚目のところを見ると、説明では、これは比較したからそういう説明になっているのでしょうけれども、重症度、医療・看護必要度のほうがDPCデータを使うよりも多いとなっているのですが、実は一番多いのは「わからない」なのです。8枚目だと、49.7%が「わからない」。9枚目ですと、57.7%が「わからない」と言っている。これについては、先ほど藤森委員がおっしゃったように、そもそもDPCデータについての認識ということもあるかもしれませんが、もう一つ、神野委員・牧野委員の資料の9枚目を見ると、「選択を検討しない」と言っている人たちの一番大きな理由は「具体的な内容が分からない」。多分これと見合っている部分があって、具体的な内容がわかってくれば、ここは随分変わってくる可能性があるのではないかと思います。

 2点目として、私はこの分野の専門家ではないのですけれども、ほかの分野でデータに基づく分析とか評価を行ってきた経験から申し上げると、一般論として、先ほど事務局から球体の絵がありましたが、ある事象を評価するときに一つの絶対的な評価体系が確立しているというのは、むしろ余りないのではないか。異なったアプローチが並存しているという場合が非常に多いと思います。そういう意味からすると、それぞれの一長一短をどういうふうに考えるか、あるいはうまく組み合わせたり、長所を活用したりというのが現実的なアプローチではないかと思います。

 そういう観点からすると、事務局に示していただいた入-1の6枚目から7枚目のまとめは、おおむね妥当と思います。その中で特に「試行的に活用する」と書いてあるところですけれども、私は、診療報酬というのはもっと「試行的」という考え方を使うべきだと前から思っております。法令で規定されている制度というのは、なかなか試行はできないですが、やってみていろいろ改善点等が明らかになって、さらに次のステップに行くという意味では、診療報酬というのはもっと試行的なものを取り入れてもいいのではないかというのが私の基本的なスタンスです。従って、ここで試行的に活用するといった提案が出されているのはよろしいのではないかと思います。

 以上です。

○武藤分科会長

 池田委員、どうぞ。

○池田委員

 きょうのアンケート、大変感銘を受けまして、特に看護の現場で非常に御苦労されているとか、レベルを上げようということで努力されているということも大変よくわかりました。

 武井委員のほうのアンケートでも「わからない」というのが最後のDPCデータに関するところであって、藤森委員は自虐的にDPCのことをわかっていないのではないかとおっしゃったけれども、さすがにそれはこの現場の方に失礼だなと思いつつ、これは多分DPCのデータを選択した場合に病院にどういう影響があるのかがわからないということだと私は解釈しましたが、もしそうだとすれば、これは最後までわからないというか、どこが基準になるかという数値が出ないと最後まで何とも言えないと思うのですが、多分施設基準に利用するデータだとすると、重症度、医療・看護必要度は、評価法について大変トレーニングを受けて、非常に安定的なデータが収集できているということは私も理解していますが、とはいえ、項目への該当に関する評価者の判断の違いがゼロではないだろうということは、先ほどからの委員の先生方の話からそのような認識をしております。

 したがいまして、同等のあるいは同様のデータでDPCデータから収集可能なものがあるとすれば、そちらに置きかえていくというのが、正確性の観点からも望ましいと思いますし、また、現場の負荷を減らしていくということにもつながりますので、そのような方向で検討してはどうかと考えます。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 ほかにございますか。石川委員、どうぞ。

○石川委員

 先ほどの5ページのところですが、重症度、医療・看護必要度というのは、医療・看護必要度をさらに先進の医療に合わすように複雑化するというのはすぐにやるべきではないと思っております。

 しかし、現場ではこの患者さんを見ながら、今、重症度、医療・看護必要度をもとに患者さんの状況を把握するということが現実的にやられているということも事実であるので、それも新しい医学の進歩や医療技術に合わせてやっていることは確かだということであります。それは一つ言いたいことであります。

 DPCの話がありましたけれども、DPCは、看護師さんがなかなかわかりにくいものだと現場で思っているのは当たり前なのです。医師の中でも、医師の上のほうや事務系の幹部、看護師さんの幹部の一部にはDPCをそれなりに理解している方はいますが、看護教育の中にDPCというものについての理解力を醸成するようなものはないし、現場の中でDPCを本当に理解しなさいということはなかなか難しいというのが現状です。

 さらに、前の座長の先生がオブザーバーでいらっしゃいますが、DPCそのものも一向にやわらかくならない、簡単にならない。私も参加していると、どんどん難しくなっていくような気もしないでもないと思うので、DPC側も医療従事者がある程度簡単に理解できるような簡略さみたいなものについて努力する必要は絶対にあると思います。診療報酬にかかわる重症度、医療・看護必要度にある面ではそこでは初めて合致できるのではないかと思うので、そういう検討もしていただきたいと思います。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 ほかにございますか。武井委員、どうぞ。

○武井委員

 アンケート結果について、ご意見をありがとうございます。看護記録の時間のことについて先生方から御指摘もあるのですが、もう一つ、2008年に比べて1人当たり3分ぐらい評価とか記録が短くなっているというところは、先ほどお話をさせていただきましたが、システム化であったり、研修で少しずつ看護記録の整備もされてきている。各病院が取り組んで整備もされてきているというところは考えられることだと思っていますし、牧野先生が説明していただいたアンケートでも、アセスメントとして有効活用されているということもありますので、そこもぜひ見ていただければなと思っています。

 牧野先生が説明していただいた資料について、院内指導者研修が負担になっているというところの調査がありましたが、この調査で2年に1回のこの研修が負担になっている理由がよくわからないのと、ほかにも例えば施設基準の中で研修を求められたり、研修をした看護師や職員が求められているようなものがあるにもかかわらず、なぜこの研修だけ問題視するのかが私にはわからないというところがあります。

 あと、入-1の2ページの重症度、医療・看護必要度とDPCデータの比較のところで、報告・提出先なのですが、今、Hファイルを提出しているのですが、そこが記載されていないと思うのですが、これは何か意図があって記載をしていないのかどうかというところの確認です。

 下の情報の確認ですが、重症度、医療・看護必要度については、先ほどアンケートのところで各病院で突合させているような話がありましたが、各病院で精度管理をかなり実施していますので、院内での精度管理というところは入れていただきたいなと思います。

 先ほどからお話があった5ページの評価としての特性の違いの看護必要度のところですが、これについて、この文章を読んだときに、入力の業務負担や評価者への研修等を考慮すれば云々とあるですが、研修が求められるから一定の限界があるというふうに読めてしまって、表現をもうちょっと工夫していただければと感じました。

 以上です。

○武藤分科会長

 まず、事務局からよろしくお願いします。

○事務局

 御質問の部分にお答えいたします。2ページ目のデータの比較の表でございます。報告・提出先の部分で重症度、医療・看護必要度について、「地方厚生局(年1回)」としか書いていないのは、Hファイルは、今、御提出いただいているだけで、その結果を診療報酬の基準を満たしているかどうかの判断には使っていないので、そこは書いておりません。これはあくまでその判断に使う通知等で求めている提出先という意味なので、地方厚生局とさせていただいております。

 院内の検証の部分は、冒頭説明が不足しておりまして恐縮ですが、2ページ目の下から2つ目の箱「精度管理」という部分の2つ目のポツに「実際に、正確に測定されているか定期的に院内で検証」ということも同じく医療課長通知で定めてございますので、これは前回なくて、今回追記した部分になっておりますので、御指摘ありがとうございます。

 5ページ目の部分は、先ほど石川委員からも御指摘ありましたが、研修がというのではなくて、項目を例えば大幅に追加したり、変化したりということは負担があるので、そういった負担にも配慮しながら一定改正していく必要があるというふうに書いたほうが。「限界」という言い方だと強いのかなと思いましたので、修文は検討させていただきたいと思います。

○武藤分科会長

 では、牧野委員、どうぞ。

○牧野委員

 武井委員からの質問に対してですけれども、この研修の部分を項目として取り上げたということに関してですが、病院会では診療報酬等に関する定期調査というのを行っています。ことし3月に改定事項の要望を各病院からとっています。そういったときに、看護必要度を含めて、加算に必要なさまざまな研修要件というのがあるのですけれども、これを満たすための研修は、地域によっては結構希望者が多いということで、受講が難しいと。そういったことで、何とかならないかという声もあって、それに配慮した制度設計を求める声というのは結構上がっています。そういったこともあって、この項目を設定させていただいたということになります。

○武藤分科会長

 筒井委員、どうぞ。

○筒井委員

 この段階の議論で一番重要なことについては、DPCと「重症度、医療・看護必要度」の置きかえという話で、事務量が軽減できるかという観点から議論が始まったのですが、現時点ではそういうお話にはなっていません。

医療課としては、最終的に急性期にふさわしい患者像を評価する評価尺度としてどういうものがふさわしいかというお話をしたいのだと思います。そういう意図で先ほどの絵も出てきたのだと思います。

すでに、現段階では、いわゆる看護師の事務量が多いとか少ないというお話ではなく、また日病、全日の調査結果と臨床看護マネジメント学会から出てきた調査結果についても、先ほど尾形委員がおっしゃったように、現時点では、DPCと「重症度、医療・看護必要度」のどちらがよいかというような、比較については、現場はわからないということでしょう。

 なぜかというと、基準が示されていないからという大変、正直な回答が出てきているということでしょう。このことから考えると、最後に活用するとした場合の留意点のところで、医療機関がみずから選択する方式とすることにしたとしても、現段階で、6ページの全体としてDPCのほうが低くなる傾向があるというのが、すべての医療機関にあてはまると断言できるかどうかは、多分、誰にもわからないのです。

 それはなぜかというと、医療機関別のデータが出ていたと思うのですが、あのデータからは、かなり医療機関別に、両者の尺度によって算定される重症患者の割合は乖離があって、それを単に低いから低く設定するというふうにはできないだろうということです。したがって、これを使って診療報酬の基準を考えるとした場合には、大きい問題となると推察します。

 次に、多分、このことが一番、重要だと思いますが、先ほどの最初の絵は、円が2つあって、点線のところというふうに問題が設定されていましたが、実は、これは枠外が重要なのだと思うのです。

そもそも重症度、医療・看護必要度で重症になる患者さんとDPCデータで重症と判断された患者さんというのは、DPCデータの患者さんというのは重症度、医療・看護必要度の基準に合わせて選ばれた患者になっているわけです。ですから、本来は、それ以外にもたくさんの患者がいるわけですが、ここに、これらの患者さんは出てこないことになりますね。

 そもそもの5ページ、ここが問題になっているところだと思うのですが、医療機関で急速な医学の進歩とか医療技術の革新に伴う急性期医療の複雑化や多様化に適時適切な対応を行ったということを示す診療請求区分が選択されていない可能性がありますね。なぜなら、これは重症度、医療・看護必要度に合わせているわけですから。ですから、ここは、非常に論理矛盾となっている。

では、そこについて、ここで議論できるかというと、できないわけです。なぜかというと、診療請求区分のデータでどういうデータが医学の進歩や医学技術の革新等に伴う急性期医療の複雑化をあらわしたデータかということは提示されていません。

ですから、そういった意味で、単純にA項目であったものを、DPCを使って置きかえるという判断をここですることはできない。まあ判断するのは中医協なのでしょうけれども、私は、統計的な分析の考え方からしても、科学的にも根拠がないので、このような置き換えをするということは難しいと思いますし、まあ前回も申し上げましたが、この提案は、拙速であると思います。

 それから、今、申し上げたことと別の観点から申し上げたいのですが、「重症度、医療・看護必要度」のデータは、TQMとかTQCに用いられている生産現場で収集されるデータにすごく近いのです、これらは、全社的な品質管理に有用ですし、サービス業の中ではそういう性質を持っているデータは貴重だと思うのです。日々、サービスの質の管理をしていくためのデータで、これは石川委員がおっしゃられたのですが、今、日本という国はこういうデータについてデータベースができるぐらい持っているので、もうちょっとちゃんと活用できる方法を考えていくと、医療の質というか、そういうのを上げていくのに有用な手法になるだろうと考えております。それは現場の方々の大変、大きな努力によって創りあげられたものだと思いますので、これとDPCの複雑性、医療の複雑性とかそういうものを評価するものが両方あればよりよいというのは、皆さん、御意見は一緒だと思うので、今回で、余り拙速に、何とかと何とかを置きかえたらいいということをここで判断することは、難しいかなと思いました。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 事務局から何かございますか。どうぞ。

○事務局

 御指摘ありがとうございます。

 ちょっと順不同になりますけれども、確かに今の重症度、医療・看護必要度のデータセットに関しても、先生御指摘のような利活用という視点があると思いますので、5ページ目のところですが、評価指標の特性の部分のパラの中で、今、御指摘があったようなものも少し追記をするような修文をさせていただければと思います。

 あと、御指摘の中で、今回の評価の分析について大きく2つのことがあったということで整理をさせていただいています。

 6ページ目の4ポツの(1)マル1、つまり、今のA、B、Cの項目に関して、AとCの部分をDPCEFでの判定というのは、今の項目を変えないという前提で今回のDPC項目モデル、マスターがどうかということ。今、目の前の項目をそのままとした場合にという議論の部分と、7ページ目のマル2というところが、きょう球体の絵を出させていただきましたけれども、より診療報酬で評価に考慮すべきものを把握する。つまり、診療報酬で反映させる手法として見たときに、尾形委員から御指摘がありましたけれども、一つ完成された手法、これさえあればというのは恐らくなくて、いろんな複数のものを組み合わせて精度を上げていくという検討が必要ではないかという趣旨で7ページ目のマル2を書かせていただいています。

 それは今のA、B、C項目をどうかするということではなくて、少し長いスパンで見ていただくべきものとして書かせていただいています。今まで主として患者さんの重症度、急性期の入院患者を把握するということは、この重症度、医療・看護必要度でいろんな経緯の中でやってまいりましたけれども、さらに別のライトを当てて見てみて、先ほどのポンチ絵も修正させていただきますが、確かにこの点線が既にある2つの影の中に限定されているというのは、定義として、それもわからないところなので、本来この点線の円は、この円を外れる部分にもあるべきなので、このポンチ絵を修正させていただきますが、そのときの報酬でどういった患者を把握すべきなのかという、この球体自体も議論していかなければいけないことだと思うのです。

 そういう意味で、いろんな評価手法を使って、よりよき評価なのだろうということを継続的に検討していってはどうかという趣旨で、今回DPCの発端は、AとCを使ってということで使いましたけれども、こういう項目、マスターを変更して、外れているところだけれども何か把握できるところがあるかみたいな分析を今後やっていける可能性についてということでの文章とさせていただきましたので、まさに筒井先生の御指摘の部分というのはそういう趣旨で、一部修文もさせていただければと思います。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 大分時間もかけて議論していただいていますが、ほかに。本多委員、どうぞ。

○本多委員

 一つ質問したいことがございます。武井委員が提出された5ページの看護記録及び看護必要度評価にかかる時間ですが、実質上、重症度、医療・看護必要度の評価にかかっているのは5分程度で、看護記録に要する時間の15分というのは、重症度、医療・看護必要度の評価と別に看護記録としてやらなければならない時間と理解してよいのでしょうか。

○武井委員

 はい。

○本多委員

 わかりました。

 私もDPCデータの専門家ではないなかで、今回、検討させていただいたのですが、牧野委員や武井委員提出のアンケート結果を見ても、「わからない」という回答が非常に多いということもありますように、わからない点が多々ありますので、DPCデータを報酬の評価に使う場合に、特性やメリット・デメリットなど、もう少しつまびらかにしていただいた上で、今後検討した方が良いのではないかと思います。

 これまで示されてきた、重症度、医療・看護必要度とEFファイルの円がずれるのは、どうしてずれたのか、原因が何かといったことも、ある程度は示していただいた方が良いと思います。

 先ほど尾形委員がおっしゃったとおり、完璧な指標はないと思うので、いろいろな角度、視点から検討していただくということについては、やぶさかではありませんが、わからない中で進めるのではなく、評価手法を変えるということについては慎重にやっていただければと思います。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 そろそろ次の。では、石川委員、どうぞ。

○石川委員

 先ほど事務局の一番最初の説明の中で、この文面には書いていないのですが、DPCはマルメなのだから、例えば心電図の回数とかそういったものは入ってこないですねということの説明がちらっとあったのです。今、DPCで急性期の重症度とかレセプターではかるということであれば、出来高に近いようなことをやったほうが、むしろ急性期は克明に出てくるという可能性は高いのです。

 ですから、今回DPCデータでやろうといったときに、DPCで重症度ができるかどうかの特別な議論をするべきだと思うのです。ですから、DPCの分科会もあるので、そういったところでDPCでそういう急性期病棟の評価をするということの研究をぜひ組んでいただいたほうがいいのではないかなと思うのです。DPCそのものはマルメだから、立体的にというのがなかなか把握できないと思うのです。そんなことを感想として思いました。

○武藤分科会長

 では、事務局、よろしいですか。

○事務局

 今の御指摘についてなのですが、恐らく今、御指摘いただいた部分の事実関係の部分ですけれども。

 どうぞ。済みません

○武藤分科会長

 では、牧野委員。

○牧野委員

 今、「DPCデータ」という言い方をしていますが、ここで使っているのはEFファイルなのです。EFファイルというのは、DPCの中でも、それを出来高で請求したところですから、出来高の施設でも同じようにデータがとれるのです。ですから、「DPCデータ」という言い方がちょっとずれていると思います。様式1の部分は、確かにDPCですけれども、EFファイルは通常の診療報酬請求です。

○武藤分科会長

 では、事務局、どうぞ。

○事務局

 済みません。3ページ目の2ポツ(1)の上から5個目のポツで「また」というところのことを御指摘かと思います。「(例えば、[心電図モニター]等)で、DPCデータを用いた判定の方がより低い割合となった要因としては、DPC包括算定では他の請求区分で包括評価されているため個々に出来高の請求項目が入力されていない」の部分を先生はおっしゃったのだと思うのですけれども、これは出来高を登録するので、DPCの診断群分類の包括点数とは別の話で、出来高点数の要件でそもそもあちらの処置をとったらこれは請求できないというような、出来高の中のそういうルールがあった場合に、出来高ルールにのっとって入力するとなっているので、個々に見ると入力されていない項目があるということを言いたかったので、ちょっとわかりにくかったという御指摘かと思いますので、修文させていただきます。

○武藤分科会長

 では、林田委員、どうぞ。

○林田委員

 ありがとうございます。

 きょう、入-1の追加資料をいただいて、まさにそもそも急性期の患者像とはということを今後考えていくべきことなのだろうなと、また概念が非常にわかりやすく整理されているなと思いました。それから、武井委員や牧野委員等から出されたアンケート結果については集計等非常に大変だったと思いますし参考になるなと思いました。それで、先ほど筒井委員のお話を伺っていて、今回の分析に関して、限界というか、もしかしたら結果に影響があるのではと少し思ったのが、今回7対1の入院患者さんということに限定して比較分析をしているということです。それを10対1もとか全ての入院患者さんという形にすると、もしかしたら違う分析結果になるのかなと。DPCデータで該当するけれども、例えば重症度、医療・看護必要度は該当しないみたいな患者さんがもう少し出てくるとか、あるいは逆になるというパターンもあるのではないかなと思います。そもそも71という状態像が近似した中で、限定されている中での分析というところの限界というのが少しあるのかなと思いましたので、そこも留意すべき点かなと思いました。

○武藤分科会長

 そろそろ。では、最後にどうぞ。

○武井委員

 済みません。皆さんからスライド5、看護記録のところの時間について、かなりいろいろ御意見をいただいているのですが、これは看護記録に要する時間の中に評価も含まれていると判断しております。それを考えると、看護記録が10分ぐらいだとすると、当然患者さんの状態を書いたり、アセスメントをしたり、いろんなことをすると、そのぐらいは適切な時間なのかなと判断しておりますので、よろしくお願いします。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 それでは、引き続きまして「2.入院医療等の調査・評価分科会における検討結果報告(案)」につきまして議論を行いたいと思います。これまで平成28年度調査については御議論いただいて、その検討結果を中間取りまとめとして基本問題小委のほうに報告させていただきました。その後、前回の分科会までで平成29年度調査についても調査結果の検討を行いましたので、中間取りまとめを骨格として、平成29年度調査の検討結果を加えた上で、本報告をまとめたいと思います。

 まずは事務局から資料の御説明をお願いしたいと思います。

○事務局

 事務局でございます。

 それでは、入-2をごらんください。先ほどの入-1を修文したものを報告の別添という形で入れさせていただくのですが、入-2が本編ということでございます。前回の分科会でもこの案をおつけしておりましたが、1ページ目の目次で、追加した部分だけ少し御説明します。まず、2ページ目の下から2行目、病棟群単位の届け出状況の平成29年度調査結果が出ましたので、そちらを補足で入れております。

 3ページ目の下、1-2-1、7対1、10対1一般病棟入院基本料の平成28年度改定の影響という部分で、重症度、医療・看護必要度の項目で28年改定で追加したものの分析を追記、4ページ目の1-2-2の前までしております。

 6ページ目の一番最後にありますが、分析の、今、御議論いただいたものについては、別添参照という形で別添のほうにつけさせていただく形式でまとめております。

 8ページ目、1-4の部分、特定集中治療室管理料の項を新たに追加させていただいております。

 9ページ目、1-5の短期滞在手術等基本料も前回の議論のものも含めて追記をさせていただいております。

 9ページ目の下、1-7の救急医療管理加算につきましては、前々回と前回10ページ目にかけて、前回のJCSNYHABurnIndexの結果の部分も追記をさせていただいております。

 中間まとめとの違いとしては、19ページ目のところの下、7番、入院時食事療養費に関しての収支状況の調査結果の報告をまとめさせていただいております。

 入-3のほうは、中間まとめで200枚の参考をつけさせていただいたのですが、そこからの追加分につきましては、資料別添の後編という形で、201ページ以降のスライドをつけさせていただいております。

 御説明は以上でございます。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 これに関して何か御意見ございますでしょうか。文言等の修正とか、ありますでしょうか。特にございませんか。では、ないということで。

 ほかに御質問もないようでしたら、本件に関してはこれまでにしたいと思います。

 本日、いろいろな御意見、大変前向きな御意見をいただきました。本日の御議論を踏まえて、特に先ほどの入-1の別添等について幾つか御指摘いただいた点に関して、事務局と相談した上で修正を行って、そしてこれを中医協の基本問題小委のほうに報告したいと思います。

 細かい文言等につきましては。

○事務局

 座長、1点だけ補足させていただいてよろしいですか。

○武藤分科会長

 どうぞ。

○事務局

 補足で、基本問題小委員会に報告する際に、きょうお出ししたポンチ絵を修正したものも追加をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

○武藤分科会長

 では、ポンチ絵の修正も含めて私のほうに御一任していただければと思いますが、よろしいでしょうか。池端委員、どうぞ。

○池端委員

 その他ということでよろしいですか。

○武藤分科会長

 はい。

○池端委員

 今の前半の議論の中の重症度をDPCデータで置きかえるという話ですけれども、最後の入 3の資料編の113ページに、以前も出ていた医療区分に関してDPCデータで置きかえたらどうかという資料があったかと思います。今の重症度、医療・看護必要度と療養に関しても全く同じ議論がここで行われつつあるのではないかと思って、これで見ると、医療区分1と2、3はDPCデータの重症度で見ると差があるけれども、2と3は差がないということが出ていて、それが問題視されて、中医協総会ではちょっと議論になったことを覚えています。同じように、療養病床に関してDPCデータをすぐ置きかえることは多分できないのだろうと思いますが、療養病床にもDPCデータ推進の方向に行くということの中で、最終的にこういうことの置きかえを考えるのであれば、今、この球体と同じ議論を考えていただきたい。

 というのは、今の2、3の中に重症度があるわけでなくて、1の中にも重症度がいっぱいある。そこをあぶり出すような置きかえを想定して議論していただきたいということを最後に付け加えておきたい。今回の議論にならない、次のときになるかもしれませんけれども、そういうことをちょっとお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。

○武藤分科会長

 追加の御発言は特にございませんでしょうか。

 では、医療課長から何かございますでしょうか。

○医療課長

 今回一節ということでございますので、改めて御礼を申し上げたいと思っております。活発な御議論、毎回はらはらどきどきで参加しておりましたが、大変勉強にもなり、かつ建設的な御意見をいただけたように思います。今後中医協に舞台を移しまして改定に向けた議論をさせていただきたいと思っておりますが、こちらでいただきましたインプットを最大限活用させていただいて、よりよき報酬体系にしていくという努力は必ずさせていただきたいと思っております。

 本当にありがとうございました。

○武藤分科会長

 それでは、本日の議論は以上であります。

 次回の日程等について、事務局のほうからよろしくお願いします。

○事務局

 事務局でございます。

 一旦まとめさせていただいておるのですが、次回の日程等については未定ですので、また決まりましたら御連絡をさせていただきます。

 以上です。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 それでは、平成29年度第12回「診療報酬調査専門組織入院医療等の調査・評価分科会」は、これにて終了させていただきたいと思います。

 どうも御協力ありがとうございました。


(了)

ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会診療報酬調査専門組織(入院医療等の調査・評価分科会))> 平成29年度第12回入院医療等の調査・評価分科会・議事録(2017年11月9日)

ページの先頭へ戻る