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2017年11月2日 平成29年度第11回入院医療等の調査・評価分科会・議事録

○日時

平成29年11月2日
17:30~19:14


○場所

TKP赤坂駅カンファレンスセンターホール14A(14階)


○出席者

【委員】

武藤分科会長、池田委員、池端委員、石川委員
岡村委員、尾形委員、神野委員、菅原委員
武井委員、筒井委員、林田委員、本多委員
牧野委員

【事務局】

医療課長他

○議題

1.特定集中治療室等の重症度、医療・看護必要度について
2.一般病棟の重症度、医療・看護必要度について
3.救急医療管理加算について
4.短期滞在手術等基本料について
5.入院医療等の調査・評価分科会における検討結果報告(案)について

○議事

○武藤分科会長

 定刻になりましたので、ただいまから平成29年度第11回「診療報酬調査専門組織入院医療等の調査・評価分科会」を開催したいと思います。

 委員の出欠状況ですが、本日は田宮委員、藤森委員が欠席となっております。

 林田委員は少し早目に帰られるとお聞きしております。

 それでは、事務局からきょうの資料の確認をお願いしたいと思います。

○事務局

 事務局でございます。

 本日もペーパーレス開催ということで、事前にメールで送らせていただいております。議事次第のほか、入-1と入-1の参考と入-2でございます。過不足等ございましたら、お申しつけください。よろしくお願いします。

○武藤分科会長 ありがとうございます。

 それでは、本日のうち、まず「1.特定集中治療室等の重症度、医療・看護必要度について」「2.一般病棟の重症度、医療・看護必要度について」「3.救急医療管理加算について」「4.短期滞在手術等基本料について」以上について、事務局から一括して説明していただいた後に、それぞれ分轄して質疑応答をしたいと思います。

 よろしくお願いします。

○事務局

 それでは、入-1の資料を御説明させていただきます。

 2ページ目に、本日のテーマを4つ順番につけております。

 まず3ページ以降、「特定集中治療室等の重症、医療・看護必要度」の部分ですが、4ページ目が28年度改定の概要で、5ページ目が現状の特定集中治療室用とハイケアユニット用の「重症度、医療・看護必要度」の評価表になっております。B項目については一般と同じものとなっておりますが、A項目の特に専門的ないしは特殊な治療法等の部分が項目としては違っております。

 6ページ目をごらんください。今回のICU関係の分布になっておりますが、改定前と改定後、左右比較していただくと、分布の平均値のところが少し変わっております。

 次に7ページ目でございます。各項目の該当状況になっております。ICUのA項目になっていますが、心電モニターと輸液ポンプが9割超えていまして、8ページ目の前回改定前のデータと似たような形になっております。

 9ページ目をごらんください。B項目の該当状況を見ますと、口腔清潔の該当割合が89.2%で一番多くなっております。次に、寝返りや衣服の着脱等が来ております。

 10ページ目以降でございます。まず11ページ目ですが、このICU関係、救命救急入院料と特定集中治療室管理料、ハイケアユニット、脳卒中ケアユニットのそれぞれ算定要件を比較して一覧にしているものですが、この「重症度、医療・看護必要度」の測定が算定要件に入っておりますものと入ってないものがございまして、右から2つ目の「必要度」という欄で、救命救急入院料の1と3と一番下の脳卒中ケアユニットの部分は、測定が要件には入っておりませんが、それ以外のものについては、それぞれ基準値が設けられているという違いがございます。

 12ページ目以降が、医療課で今年実施しましたデータからの状況の御紹介です。

 13こま目以降です。先ほど、それぞれICU、救命救急入院料、ハイケア等、HCUということで一覧がございましたが、それぞれについて入室時の患者の状態で見ております。この矢印がついている部分について、それぞれ多いというところで、病棟の種類で少し違いがあるようでございます。

 14こま目が入室の患者の状態で、これは、「安定している」「時々不安定」「常時不安定」「未回答」で切っておりますが、青い一番左の部分が「安定している」の割合で、ICUや救命救急入院料の部分については「不安定」という方の割合が多くなっております。

 次に15こま目ですが、指示の見直しの頻度や看護職員の看護提供頻度で見ますと、左の濃いところが頻度が多い部分、1日数回というところですが、こちらもICUや救命の24というところはその頻度が多い部分が多くなるという傾向がございます。

 16ページ目をごらんください。こちらはそれぞれの評価基準に基づきまして、各病棟で該当患者の割合が何%になっているかというのを見ていまして、1つ目の表を見ますと、左の欄は、ICUとハイケアと7対1の一般病棟のそれぞれの基準で見たときの横軸のところですけれども、それぞれの病棟で該当患者割合が何%になっているかということで、例えばICUの基準で、ICUの病棟ですと81.9%ですが、ICUの基準で例えば救命の13とかハイケアを見ると、23%とか33%とかになってくるということです。一番右側に、参考までに7対1病棟のデータで、ICUの基準だと1.2%になる。こういうふうに表を読みますと、こちらの該当割合の要件がないところが救命の13SCUになるので、ここは基準を測定した場合でも、この割合がその他と比べると高くないというようなデータにはなってまいります。

 17こま目ですが、実際、救命の13SCUで測定をやっているかということを聞いたところ、既に7割ぐらいが測定していますという回答でした。具体的にどの指標で測定しているかというのを聞くと、SCUは一般病棟用、救命13はハイケアユニット用が多かったという回答でございます。

 18こま目はこの組み合わせを見ていまして。一番左の欄とその次辺りのHCUICU3、それから、ICU3HCU1というところの組み合わせが一番多くて、そこがほとんどなのですけれども、それ以外さまざまな組み合わせがあるということでございますが、この下線を引いているのが救命13SCUということで、その救命13SCUとそれ以外ということで、測定があるのとないのとの組み合わせが、組み合わせのパターンがいろいろあるのですけれども、ちょっとあるということです。

 19こま目以降はちょっとテーマが変わりまして、生理学的指標に関してです。

 20こま目をごらんいただくと、APACHE2ということで、これは日本集中治療医学会に御提供いただいて、こちらでつくった資料ですけれども、生理学的指標を、入室から24時間以内に、ここの表にあります12項目と年齢や慢性の併存疾患の状態で指数化をして、各施設の標準化死亡比を用いて施設間の客観的な比較が可能になるというようなもので、具体的な指標の判定基準が21こま目に一覧でなっておりまして、これを使って、この計算式を用いて数値を出すと22のところになっておりまして、このドットが各医療機関ごとのスコアになっていまして、標準化死亡比が縦軸ですけれども、大体その施設の死亡と標準の死亡の割合が1対1であれば1のところに来るということで、右に行くと患者の数が多くなって、患者の数が多くなると1よりも少ないので、死亡の率は少ないというように見ていただけると思います。この信頼区間の内側にあるのが大体で、外れているところがぽつぽつとあるので、こういったものをベンチマークとして使っているところがあるということでございます。

 23こま目、今回の分析の課題をまとめますと、矢印の下になりまして、まずICUなどについて、指標の評価対象となっていない治療室の多くが既に指標を用いておりますことを踏まえて、こうした指標の評価対象となっていない治療室の患者についても、指標を用いて分析を進めてはどうか。

 2つ目として、アウトカムに着目した評価を推進する観点から、特定集中治療室については、先ほど御紹介したAPACHE等に基づく項目を測定することについて検討してはどうかということでございます。

 次、2つ目のテーマで「一般病棟の重症度、医療・看護必要度」の関係で、平成28年度改定で導入した項目についてで、27こま目をごらんください。B項目の関係で「療養上の指示が通じる」と「危険行動」という項目が、28年改定で追加になっていますということで、27こま目の下半分を見ると、その2つの項目の該当状況は、指示の通じるところは15.8、危険行動は9.7%となっています。参考までに、半分から上の円グラフでお示ししておりますが、認知症ありの患者の割合が13%ということと、そのうちBPSDの有無を見ると、4割がBPSDありということ。それから、せん妄の割合を見ると、せん妄の術後以外のところが2.7%で、指示が通じるというのと認知症というところが近いと考えると、大体近い結果が出ているかなということです。

 28こま目ですが、このB項目に関しての有無で身体抑制の有無を見ると、身体抑制ありが2割です。その中でA項目が該当しているかどうかと。つまり、医療処置やモニターが必要な方かどうかということで見ると、身体抑制ありのうちの半分ちょっとはそういった項目に該当する方でした。

 29こま目は、その項目に該当する方でA項目の該当状況で、医師の診察の頻度、指示の見直しの頻度、看護の提供頻度を見ると、やはりA項目の該当があるに従ってその頻度は高くなるという状況にあります。

 次に30こま目で、31こま目、A項目に関しては、一番下の欄にあります救急搬送後の入院が新規に追加しておりまして、0.6%が該当状況でした。その内訳を見ますと、32こま目で、搬送方法についてはストレッチャー、32こま目で医療的な状態を見ますと、時々不安定が39.6で多かったということです。

 33こま目、医師の診察頻度を見ますと、毎日が56.7、また、1日数回が21.3で、常時が4.9で、8割以上は毎日以上の診察が必要です。

 34こま目、日数を見ますと、9日以内で見ると2日という方が多く、その次3日ということで、2、3日という方が最も多い。

 次、35こま目、(参考)ということで、救急患者の救急搬送の入院で見ますと、こちらの委員会でも議論しています救急医療管理加算という報酬もありますねという御参考です。

 次、36こま目以降がC項目になっていまして、既存のものをつけておりますが、まず38こま目が該当状況で、一番多いのが骨の手術で1.3%で、次が開腹で1.0で、もともとC項目は、この性質上該当割合が1%前後で、ほかの項目に比べると少ないですが、39こま目、在院日数に関して、改定前のデータをもう一度出していますが、この基準にそれぞれ所定日数を7日とか5日とか3日というのを決めたときに、この39こま目のデータで見ておりましたが、開頭手術だと7日となっていますが、実線のところが7日ぐらいでしゅーっと落ちていくというようなこの退院率をもとにしておりましたということで、40こま目で、実際、今回のデータではどうだったかというのを見ますと、これはDPCデータを使った推計の在院日数になっておりますが、所定日数以内に退院した方の割合をそれぞれ見ると、一番右側の欄になっておりまして、開腹のところが17%、次、開胸のところが10%で、ほかは10%行かないぐらいということで、大体39の曲線のような形の比較してどう見るかという、また、御意見をいただければと思います。

 続きまして、41こま目以降が「DPCデータを用いた分析」で、43こま目をごらんください。こちらは前にもお出ししたベン図のファイ係数と感度、特異度でございますが、左の円が現行の判定に該当している人、右の円がDPCデータで該当している人でEFと書いております。右上の表の中に各指数のデータは出ております。ファイ係数0.51、感度、特異度ということで、45こま目をごらんいただくと、ファイ係数で見ると、中程度の連関ありということでございます。

 46こま目以降が、各項目の現行の必要度とEFファイル判定の違いを比較して見ています。A項目については、3つ目の点滴ライン同時3本以上のところは、これはもともと定義は合っていませんので、4.2%と32.4%で、違いがほかよりも大きく出ておりますが、専門的な処置とかほかの部分でも毎日しているようなところもありますと。

 続きまして、47こま目も、A項目のうちの専門的処置の内訳で見た部分で、こちらは数が少ないのでパーセンテージの実数自体は少ないですけれども、一致しているものもあれば、A7のマル6の免疫抑制剤の管理などはちょっと定義が違いますので、ずれているところもある。

 48こま目、C項目について見ますと、これはもともと数が少ないのでパーセンテージは少ないですが、ファイ係数で見ると0.7ぐらいで、下から2つ目の全身麻酔・脊椎麻酔の辺りは、これは入力の際にほかの手術項目とあわせて入力しているとEFには出てこないといったような、EFのほうに入ってないというようなことが想定されるような形で、ちょっとずれが見えるのかなということですが、それ以外は0.7ぐらい、それ以上あるということでございます。

 50こま目は、医療機関別の分布を見ておりまして、縦軸がDPCデータ、横軸が現行の必要度で、右肩に平均値をそれぞれで出しております。現行のもので見ると28.8%、DPCデータで見ると24.8%で、当たる、当たらないは、そもそもの定義の違いがありますので、4%ぐらい違いが出ています。

 51こま目は、それを縦軸と横軸で、どこの位置にどのぐらいの数がいるかというのを数字で出したものと、52こま目は、その差分について分布を見たもので、X軸で-4%が中心で、そこを中央前後に4%ぐらいのところにほとんど入ってくるような分布になっていますということですが、一方で外れているところもありますということです。

 5354は、前回お出しした資料で、55をごらんください。今回のこの分析について、データが合ったところ、合ってないところ、いろいろありましたので、留意点としてこのようにまとめさせていただきました。

 EFファイル情報については、必要度の評価項目を活用して、急性期の入院患者の状態の把握するものとして、一定の活用可能性が示唆されたが、判定に当たって、以下のような点に留意する必要があるのではないかということで、4点挙げております。

 1つ目は、EFについてはそもそも診療報酬区分の項目が対象で、必要度のほうの行為に該当する請求区分がないとそもそも出ないということがあったと。

 2つ目として、EFファイルは、原則、出来高の報酬ルールに沿って入力されるものなので、実際行った行為であっても入力されないような、先ほどの麻酔のような例もあります。

 3点目として、EFファイルに入力されたデータの傾向に、これは入力する・しないというようなものが医療機関で差があるという可能性があって、そうすると、実施しているけれども、データとして出てこないという特定の声がもしある場合には、その判定結果がすごく低くなってしまうような可能性もあります。

 4つ目としては、EFファイルによる判定結果が、現行の判定結果と大きく乖離しているような医療機関がありますが、それについて定義がどうかとか、入力が不十分ではないかといったようなことを引き続き検証が必要と考えられます。

 矢印でまとめますと、以上から、「重症度、医療・看護必要度」の該当患者割合の判定方法として活用する場合は、項目の定義などを踏まえて適切な条件を検討する必要があるのではないかということです。

 56こま目ですが、改めまして、課題は矢印の下ですが、まず1つ目、28年度改定で追加された項目については、より状態を適切に反映するという観点で、改定後の結果をどう考えるか。

 2つ目として、「重症度、医療・看護必要度」の割合の判定に、EFファイルが一定の条件を設定した上で活用できる可能性が示唆された。一定の条件を設定するに当たっては、現行のEFファイルと大きく乖離する項目や医療機関について、その要因などはさらなる検討が必要ではないかということでございます。

 57こま目以降が救急医療管理加算で、追加で出しているのが61こま目になります。これは加算2の算定割合の分布で平均値を見ています。右側の表を見ていただくと、加算2の割合が70%以上と70%未満で見ますと、70%以上になっているところは、n数61で少ないので、恐らく病床規模が70%未満と比べると小さいのではないかと推察されます。

 62こま目で、これらの指標のうち幾つか分析のデータを出してみました。

 63こま目はJCSで見ておりまして、1桁のところを見ますと56.2%で半分以上でした。

 64こま目、NYHA分類で見ますと、3、4が合わせて72%ぐらいでした。

 65こま目で、Burnindexで見ますと、全体の82.215未満でしたということで、66こま目に課題を挙げておりますが、これをどのように解釈するかということでございます。

 最後、67こま目、短期滞在の手術料のところですが、こちらについては、前回、DPC等の整理を論点で1つ出させていただきました。

 現状は71こま目です。DPCの仕組みを改めて御説明するのもあれですが、このように病名があって、さらに、手術、処置があり・なし、それから、副傷病あり・なし、それらのさらに、2の手術、処置あり・なしで、複数の手術、処置を組み合わせて分類をしていくという仕組みになっていまして、72こま目で、点数の設定ルールとして見ると、4パターンあります。例えば右下の入院期間1を1日ということで固定した支払方式は、短期滞在手術料と似ていますというお話をしました。

 73こま目で簡単に比較表をつくらせていただいていまして。短期滞在3とDPCの比較です。短期滞在のほうは表を見ていただくと、包括範囲は「全ての診療行為」になっていて、報酬水準は5日目までが同一。分類の方法としては、特定の手術・処置は1つあるかないかということで判断と。算定できる病棟は「全て」になっている。その他として、平均剤院日数や「重症度、医療・看護必要度」の計算から除外されるというところの違いがございます。

 一方DPCのほうは、右にありますように、1日ごとの包括点数ですし、複数の手術や処置や傷病名で分類をされていて、病棟は7:110:1だけですという違いがあるということですので、矢印の下、74こま目ですが、そういった違いがあることを考えると、DPCについてはかなり精緻に分類をしてやっているという部分が言えるのではないかと考えておりまして、矢印の下の論点としては、DPC対象病院では、平均在院日数等への影響にも配慮した上で、傷病、複数の手術・処置を加味したDPCに基づく評価を優先するという整理にすべきではないか。

 また、短期滞在手術料については、DPCに係る検討状況を踏まえつつ、入院料の区分別の分析を考えてはどうかということです。

 75ページ目以降は、前回、以前に御指摘のあった資料について追加をつけさせていただきました。

 御説明は以上でございます。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 それでは、ここからは分轄して見ていきたいと思います。まず1番の「特定集中治療等の「重症度、医療・看護必要度」について」。これに関して御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

 本多委員、どうぞ。

○本多委員

 救命救急入院料につきましては、入院料2と4にICU用の重症度、医療・看護必要度の基準が要件化されているのに対し、入院料1と3は要件化されていないということで、16ページに示されておりますように、基準が要件化されていない入院料1と3は入院料2と4に対して、該当患者割合に大きな差があります。これは本当に救急医療の必要性に応じた病床となっているのか疑問が残る上、指標の有無でこれだけ患者像に差が生じる点はいかがなものかと思います。患者像に応じた評価の観点から、当然、入院料1と3についても適正な指標を用いた基準の設定について、今後、議論していくべきと思います。

 次に20ページに、重症度スコアを用いた患者の重症度評価の例が示されておりますが、一般病棟は7対1の病床の基準の厳格化が進む中で、ICUのような高度急性期の患者に必要とされるべき病床にも、本来あるべきではない患者が含まれるようなことがあってはならないと思いますので、医療の質向上の観点からも、事務局案のように、ICUについても重症患者をより客観的・定量的な基準でとらえていく方向で検討をしていただければと思います。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 ほかにございますか。牧野委員、どうぞ。

○牧野委員

 まず、コメントの書き方に関して修正をお願いしたい部分が2つほどあります。

 スライドの13こま目になります。まとめの2行目のところですけれども、「意識障害または昏睡」が多いという表現になっています。ただ、救命救急病棟においては、救命救急疾患の多様性を考えると、これだけでは不適当ではないか。ここは「意識障害または昏睡が多いが、その他、呼吸循環不全も一定数見られた」というような多様性を評価した書き方のほうが適当ではないかと思います。

 次に、16こま目と18こま目。これに関しては、先ほどの本多委員の発言に対する、私のちょっと別な意見ですけれども、まず18こま目で、救命救急1もしくは3を持たずに救命救急2と4を持っている施設は全くないのですね。0なのです。そこで、16こま目の赤い枠の中の記載を見ていただくと、ここは救命救急24に比べて13の必要度該当患者の割合が低いということが書かれているのですけれども、実際、両方持っている場合に、明らかにその場で24の必要度を満たすと判断できる患者をまずそちらに入れて、残りが13に行くことを考えれば、低くなるのはある程度当然の結果ということが言えるのだろうと思います。

 18こま目に戻っていただいて、そこの赤枠の中の2つ目の○のところです。「複数の治療室を有する場合は、「重症度、医療・看護必要度」の基準のない施設を含めた多様な組合せがある」という書きぶりになっているのですが、ここはちょっと違うと思うのです。といいますのは、多様の組合せの中で最も多いのは、基準があるICU3HCU1なのですね。この組合せです。また、3番目に多いのはICU1HCU1という組合せになっているわけです。ということは、ここは「複数の治療室を有する場合には、基準がある治療室同士や基準のない治療室とある治療室の組合せの多様な組合せがある」という表現のほうが全体をあらわしているのではないかと言えます。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 石川委員、どうぞ。

○石川委員

 牧野先生のように現場で厳しくやっておられる方の意見なので、非常に私なんかはすとんと落ちます。先ほどの救命救急の該当患者割合が低いのは、救命救急というのは非常に時間軸が切羽詰まっているので、非常に高い得点、A得点4点以上とかそんな得点は取れないうちに入院を判断しなければいけないということもあるのですね。それは、例えばNYHAという指標で出しているのが後のほうに出てきますけれども、New York Heart Associationの心不全の分類ですね。あれは3と4が多いというデータになっていますけれども、これは当然なのですね。2はぴょこぴょこ歩いて普通の生活もできるわけなので、大体いないわけですよ。

 ただ、救急で心不全の患者さんが来て、例えばPVCなんかでぽこぽこ出ていて、少し起坐呼吸になっている患者さんなんかはやはり入るのですよ。1日見なければいけないとか、そういう時間軸があって、どうしても4点以上入るような患者さんはいないこともあるということなのですよ。これは現場でやっていると、そういうことは往々にしてありますので、だから、ここが全てふさわしい患者さんがいなければいけないとか、重症度で厳しく得点しなければいけない患者さんしか入院できないとなると、本当の救命はできないと思う。

 それが私の意見です。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 ほかにございますか。武井委員、どうぞ。

○武井委員

 スライド17で示されているように、指標の対象となっていない治療室の多くが、もう既に評価、測定を行っているということがまずあります。脳卒中ケアユニットは別として、特定集中治療室やハイケアユニット、救命救急入院料の施設基準に記載されている対象患者がアからコまであるのですが、ほぼ同じなのですね。ただ、特定集中治療室やハイケアユニットは、この重症度で評価していることで該当患者を判断できて、適切な治療室に入室できていると感じています。指標を用いて測定しているところが7割いるのであれば、これを踏まえて、全ての治療室で重症度の指標としてもいいのではないかと思っています。

 もう一つは、生理学的指標についてですが、これに基づいて測定していくことはいいと思っています。ただ、特定集中治療室には医師配置が要件とされていますので、測定については、ぜひ医師が行うことを規定してほしいと思います。現状は、APACHEスコアを測定している病院はあるのですが、実は看護師が評価しているというところもあると聞いています。なので、ぜひ、この規定というところをお願いしたいと思います。もしくは、自動計算できるようなシステムが事前に開発できれば、それもいいのかと思います。

 あと、APACHEですが、実は重症度基準を開発するときに調査した結果から、評価するタイミングとか、評価者の違いによって値が大きく変わってしまうという問題があるとも聞いております。APACHE以外にも重症度スコアはあると思うので、ぜひ、どれを導入するかということを十分検討した上で導入したほうがいいのではないかと思います。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 ほかにございますか。石川委員、どうぞ。

○石川委員

 15番目ですけれども、また、「医師の指示の見直し」が出てきまして。これ、しつこいぐらい出てくるのですけれども、ここは特定集中治療室におられる患者さんは、毎日何回も診るわけですね。必ずしも指示の見直しをするかしないか、全く関係なくて、観察、判断、そういったことが大事なので、ここは指示の見直しの頻度というのはいかにもおかしいと思うのですね。ここは厚生労働省の事務局は、ぜひ変えていただきたいと思います。

 それから、APACHEについては、今おっしゃったように、測る時間とか人によって全く異なります。しかも、ここで生理学的指標を入れるか入れないかというのは、この評価分科会の議論ではないので、ちょっとここはすっ飛ばしてもらいたいと思います。

○武藤分科会長

 十分御意見をいただけたと思います。

 牧野委員、どうぞ。

○牧野委員

 まず救命救急病棟の特殊性は、これは先ほど石川委員がおっしゃったのと全く同感ですけれども、最初の段階で同じように見えても、ある人は翌日には帰っているし、ある人はもっともっと悪い状態になっていると。確実に評価のできてない人を入れなければいけない。そういった特殊な病棟であるという点は御理解いただきたいなと思います。

 23こま目の下の四角の2つのコメントです。そういった特殊な病棟ではありますけれども、現在、評価の対象となっていない治療室についても、何らかの分析を進めることは必要かなと思います。ただ、それをどう利用するかというのは別問題として、なるべく現場の負担にならないような形でデータをとることはあっていいかと思います。

 2つ目の○です。これはAPACHEスコアということも出てきていますけれども、生理学的指標で何らかの測定をするということ自体は、これも今の時代必要なことだろうと理解します。ただ、APACHEスコアは、何人かの委員の方も出されていましたけれども、確かに若干不安定さがあります。それと、現在、20こま目にあるように、集中治療医学会が実際にAPACHEスコアの収集を行っているのですね。15年から始まって2年たっていますけれども、ただ、参加できる施設が限られているのです。これは結構大変なのです。ですから、これを提出するということはこのままだと負担になるということで、仮に、生理学的なデータを収集するにしても、施設の負担にならないようなことをまず考えなければいけないというのと、できれば、何らかのインセンティブも必要なのではないかということも含めて発言したいと思います。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 ほかにございますか。筒井委員、どうぞ。

○筒井委員

 今までの御意見で、何らかの評価指標が必要であるという意見には賛成ですけれども、すでに重症度基準を創る際に、APACHE2スコアについては検証済みです。当時のわが国のすべての特定集中治療室を対象にした調査をやっています。この研究からはAPACHE2については、課題があるということがわかっております。ただ、それは随分前です。

当時、分析して統計的に問題があったのは、APACHE2というのは尺度としては内的感性信頼性係数が非常に低くて、それは先ほど御意見があったように、時間軸は、24時間というのは長いのです。

もし、集中治療医学会がこういうアウトカムをつくるためのデータを集めておられるのであれば、患者が入室してから、一定の時間にするとか、相当、厳密な定義をしないと、尺度があっても評価結果はぶれてしまうという問題をもともと内包しているのだと思うのです。

したがって、これを本当に使おうとするのであれば、担当の医師が本当に責任を持ってやってもらえるのかと確認をすべきと思います。

当時は、APACHE2や重症度基準も、医者は忙しくて、やれないと言われました。このため、実際には看護師さんにやってもらっていますというのがほとんどとなりました。ですから、こういった評価をするということが、現場の実態に本当に合うのかどうかというのはよく検討されることが大事だと思います。

○武藤分科会長

 牧野委員、どうぞ。

○牧野委員

 ちょっと裏話をしますと、実は当院ではこれを出しています。ここに出てくる生理学的指標の数字は結構ポピュラーなものなのですね。ただ、これを計算するのが実は大変で、これ専用のコンピュータを1台置いて、そして、それをオンラインで学会とつないでいると。そういったことをやって提出していますので、一つ一つの数字を出すのは難しくはないのですけれども、APACHEスコアという格好で出すと大変だということになります。

○武藤分科会長

 池田委員、どうぞ。

○池田委員

 このAPACHE2は、私は多分学生のころからあるような、非常に確立された指標なので、しかも、諸外国ではこれに類したものもいろいろ開発されて、病態の評価に使用されているので、ぜひ、日本でもこれは入れるべきものと私は思っておりますが、むしろ、諸外国に比べて入れるのがちょっと遅いのではないかと思っておりますが、確かに、これはスコアリングが結構大変なので、例えば現場の御負担を減らすとしますと、生理学的な数値そのものを報告したほうが、スコアにして出すよりも、もしかしたら現場の御負担が少ないのかなという気もするので、いずれにしろ現場の御負担のほうを考えながら、ぜひ、こうしたアウトカム評価につながるような指標は導入すべきと思います。

○武藤分科会長

 いろいろ御意見ありがとうございます。

 岡村委員、どうぞ。

○岡村委員

 私たちの病院は高度救命救急センターで、一番重症を扱っているのですけれども、その病院でさえも、一番最初の4ページのICUの基準が、「重症度、医療・看護必要度」に該当する患者が、改定前が90%以上で、改定後に80%以上に改善されましたけれども、我々のところは一応90%は確保していますけれども、高度救命救急センターでさえも、時に必要度を満たさない患者が1割ぐらいいるので、今回の改定に関しては、ちょっと余裕ができたという感じで、そのように考えております。それぐらいICUというところは、よくなった患者も入ってしまうという、そういう状態のときもありえます。

○武藤分科会長

 菅原委員、どうぞ。

○菅原委員

 APACHEの議論のところで、私も基本的にはこういった指標を入れていく方向性には賛成をしています。前回の診療報酬改定の基本方針にも明記されているように、客観的な評価、アウトカム評価を進めていくことが既に明記されておりますので、社会的には、全体としてこのような評価手法の導入は、社会的要請に沿うものではないかなと個人的に考えております。

 一方で、このような評価を実施する場合には、評価指標の精度というか確定性みたいなものは非常に大事だとも理解をしております。APACHEを開発されたのはかなり昔ですので、先行研究を幾つかレビューしたのですけれども、高いリスクのグループの群で系統的予測値が実測値を上回ってしまうという問題がどうもあるみたいで、それは恐らくここ30年ぐらいの救命技術の進歩みたいなのが、この評価の式の中に十分含まれていないような気もするのです。ですので、先ほど武井委員もおっしゃいましたけれども、APACHEは非常に使われているので、これをベースにするのはいいのですけれども、ほかの重症度指標もいろいろ勘案しながら、適切な日本の重症度評価ができるようなものを探っていくという丁寧な作業は必要かと思います。

 それから、もう一つはICUの運用方法によって、早目にICUから外に出して、外で亡くなった場合とか、あるいは、転院した先で亡くなった場合とかのそういう評価は非常に難しいかなと個人的には思います。

 以上です。

○武藤分科会長

 最後に、どうぞ。

○石川委員

 要するに、APACHEは非常に細かい指標になっていると思うのですけれども、こういうものは、例えば今私たちなんかもいろいろ研究していますけれども、電子カルテから自動的に流し込むことができるようなソフトがもうすぐ出てくるのですよ。そうでないと、現場では、先ほど、医者はほとんどできないと、これは当たり前、今も全然できるわけはないので、これを導入するのは今は時期尚早だと。30年改定のところで、何か退院サマリーがどうのこうのという、義務づけられるとか何かいろいろありますけれども、あれだって、電子カルテのサマリーへの流し込みがどれだけできるかということによるのだと思うのですよね。そこまで待たないと、ちょっと無理だと思います。

○武藤分科会長

 御意見ありがとうございます。

 それでは、次の項目に移りたいと思います。2番目は「一般病棟の重症度、医療・看護必要度」についてです。御意見ございますでしょうか。

 本多委員、どうぞ。

○本多委員

 前回改定で重症度、医療・看護必要度のB項目の見直しや、総合入院体制加算の中でも、精神患者の受入に関する要件の設定が行われましたが、今後は、急性期の現場において、認知症患者などをいかに積極的に受け入れていくかということがより一層求められるのではないかと思います。29ページのグラフを見ると、認知症の患者はA項目に該当するほど医師や看護師の負荷が大きいことが示されています。患者像に応じた評価という観点から、医療提供密度を勘案し、評価にメリハリをつける方向で検討することには異論はございません。

○武藤分科会長

 牧野委員、どうぞ。

○牧野委員

 今の29こま目、私も全く同じ意見です。認知機能の低下した人は、医療従事者にとってはかなり大変な人なので、ここの部分の評価をもうちょっと大きくしてもいいのかなと思っているぐらいです。

 33こま目の上のコメントの書きぶりですが、このまとめではちょっと不適当かなと。ここでは、「毎日、医師による診察(処置、判断含む)が必要」そこだけを書かれているのですけれども、そこから左側にある3つの項目、これを含めて記載されるべきではないか。すなわち、1日数回や常時の医師による診察も含めてのパーセント、82.9%という数字が出てこないといけないかと。そうすることで救急搬送後の患者さんの重症の状態をより的確に判断できるのではないかと思われます。

 40こま目、ここで退院だけを問題にしているのですけれども、本来、術後は術期によってかなり長く不安定な状態になる人もいれば、比較的早期に回復する人もいるということで、術後の状態をもうちょっととらえた評価もあってもいいのではないかと思います。ですから、そういった点で、単に退院ということだけではなくて、そういう術期とその後の状態を踏まえた検討が必要かなと思います。

 以上です。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 ほかに。神野委員、どうぞ。

○神野委員

 先ほどの29こま目に関しては、前回の改定のときも何回も申しました。今、本多委員、牧野委員がおっしゃったとおり、認知症、せん妄は、現場の看護師さんたちの手間暇を非常にかけておりますので、そこはきちんと重みとして評価していただきたい。例えば入退院に関しても、以前の議論で、社会的な問題とか、本来ならば診療報酬でないようなところでの問題がいっぱい出てきたわけであります。それと同じように、せん妄、認知症に関しては、全部を診療報酬で関わるかどうかという話はありますけれども、ただ、これからの社会で非常に重要な問題ですので、重みづけを考えていただきたいと思います。

 それから、別な点で、きょうの一番いろいろなところの問題になる50こま目あたりになりますか。いろいろ評価はあるとは思いますけれども、現行の該当患者割合28.8がイコールDPCデータでの該当患者割合にすると24.8ということですよね。とすると、現行の「重症度、医療・看護必要度」よりもDPCデータでやると、同じパーセントならば非常に厳しく見積もられるというようなことになりますので、その辺をきちんと鑑みた7対1、10対1との重症度基準が、これは絶対に必要になってくるわけで、今の「重症度、医療・看護必要度」の基準で、それをそのままDPCでやるのはとんでもないということだけ申し上げておきたいと思います。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 岡村委員、どうぞ。

○岡村委員

 先ほどから、せん妄患者の特に危険行動に関してですが、危険行動が出ると、夜間ほとんど一人のナースがつきっきりにならないといけないということで、例えば9ページ目のB項目の点数を見ても、口腔清潔とか食事摂取みたいな、一日のうちで何分間かそれにとられるだけのものと、ほとんど時間をとられる危険行動がたった2点ということです。先ほど、A項目に該当するほどだという、危険行動はもっと重要視していただきたいなという気がします。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 ほかにございますか。武井委員、どうぞ。

○武井委員

 ほかの先生方からもお話のあった認知症のことについてです。スライド28に身体抑制との関係が書いてありますが、一般病棟の看護の現場で、身体抑制は基本的にはしないと、生命に関わる状況にするというところでありますので、チューブ、ドレーン、ルート類、自己抜去の対策が多くて、A項目1点以上の患者が多いことは、これを見て理解できるのですが、ただ、認知症患者は、例えばDBPAPがあったりとか、せん妄患者さんは、身体抑制することで状態悪化につながってしまうので、しないケースが多々あります。そういう場合の看護ケアの多さというのもあるので、身体抑制から看護師ケアの多さは比較できないと、データを見て思いました。

 しかし、スライド29にあるように、診療上の指示が通じるとか、もしくは危険行動に該当する患者について、医師の診察の頻度や医師の指示の見直しの頻度、看護師の直接の看護提供の頻度を見ると、A項目に該当するほど診療や診察や看護の頻度が高くなっているとありますが、急性期治療では、認知症やせん妄患者さんが安全に治療を受けるための環境設定や、その症状が正確に訴えられない患者さんなので、そういう患者さんの不安定な病状や治療による病態変化を、看護師は正確かつ迅速に発見して対応することも重要なことになっています。ぜひ、ほかの先生方もありましたが、現行のB項目の評価だけではなく、A項目との組合せで重みをつけた評価も検討していただきたいと思います。

 救急搬送についてですが、これは分析を見ると、一見軽症の患者も多く受け入れているような、そんなふうに見えるデータになっているのですが、症例数が少ないので、これで判断するのはどうか思いました。

在院日数のスライドがあるのですが、在院日数では、救急患者さんの妥当性は判断できないと思いました。例えば頭部外傷の経過観察であったりとか、今、急性虫垂炎の手術は2泊3日のパスであったりとか、救急患者でも短期で退院する方は多くいますので、在院日数の短い疾患はどういう状態の患者さんであるのかとか、もう少し掘り下げての分析も必要だと思います。

 ただ、救急搬送後の入院については、看護の手間という評価も含まれています。以前、分析したことがあったのですが、予定入院に比べて緊急入院の場合は、看護が情報収集や医師の指示受け、検査等の実施とか、病状や精神症状の頻回な観察など、本当にケアが多くなるのですね。さらに、夜間の緊急入院はもっと看護師配置が少ない上に、多職種のサポートも得られないので看護の量が多くなっているので、そういうことも踏まえて、ぜひ検討をしていただきたいと思います。

 長くなって申しわけないのですが、最後に、DPCデータを用いた分析について、このデータを見て私が感じたことを少しお話させていただきます。以前から私も意見しているように、EFファイルと看護必要度データは、質というか内容や処理方法等が全く違うので、今回示されたように、一致がうまくいかないのは当然ではないかと思っています。

 特にスライド50で、医療機関毎の分析結果が示されているのですが、Hファイルでは25%以上の該当割合がある医療機関が、EFでは10%以下から50%以上と、かなりばらつきがある。これが病院機能の差なのか、診療科の差なのか、わからないですが、こういうところはしっかり分析をしていかなければいけないのではないかと思っています。

 スライド49で示されている相関の大差、A項目の差が大きいと考えられる理由と記載されていますが、これだけではなく、もっとたくさんの理由が実はあるので、そのことも考えた中で、EFファイルと看護必要度データの相関が強い項目と全くない項目が混在している状況で、今、記載がある分析の目的である「急性期の入院医療とか看護の必要性や重症度を診療報酬に反映させる指標」としたら、まだまだ検討が必要なのではないかと思います。

 今後、スライド55に記載されているように、じっくり時間をかけて検討をして、看護必要度、EFファイルそれぞれの問題点を分析と検討していくことを以前より要望しているのですが、また、今回も要望させていただきたいと思います。

 もう一点だけ、現場の意見として、「重症度、医療・看護必要度」とEFファイルの突合については、現場の看護管理者から不安な声が聞かれていまして、現場の看護師の負担軽減につながるという喜びの声よりも、どうなるのかという不安の声がかなり多く聞かれています。例えて言うと、看護必要度は日々評価していって、重症度割合が日々確認できるのですが、EFファイルは現在では3カ月に1回の提出であるので、重症度割合が3カ月後にわかることになるのではないかとか、そのことにより現場ではどういう運用が求められてくるのかとか、かなり現場の混乱がありますので、また繰り返しになりますが、現場の混乱を招かないように十分配慮していただきたいと思います。

 長くなって済みません。以上です。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 牧野委員、どうぞ。

○牧野委員

 今の武井委員の最後のところにちょっと反論したいのですけれども、EFファイルの提出自体は確かに3カ月に1回です。ただ、そこに載せるデータは毎日つけています。ですから、決して3カ月後でないとわからないということは院内ではないと思っています。

 DPCデータを用いた分析で、ファイ係数が必ずしも高くなってないという理由。ここにも幾つか理由は説明していますけれども、私は、大きく3つに分けられるのかなと思っています。まずスライド46を見ていただきたいのですけれども、例えばA8の救急搬送の入院が出てきます。これはEFファイルのデータでは正しいデータがそこにないのですね。ただ、DPCデータという観点から言ったら、様式1にはまさに救急搬送という項目があって、これを持ってくればぴったり一致するはずなのです。ですから、一致するものを利用されてないというのがまず1つ。2つ目が、これはコメントにも書かれていますけれども、点滴ライン3本の要因は、そもそもそれに相当するEFがないというもの。あと、シリンジポンプなどでは、精密持続点滴注射があるのですが、これが輸液ポンプとシリンジポンプと両方にまたがっているということで、必ずしも一致してないために起こってくるもの。あともう一つ、3番目の理由が、創傷処置のように、「重症度、医療・看護必要度」の持つ独特のルールといいますか、看護師さんを中心につくり込んでいるルールですね。病棟の研修を受けた看護師さんが関与しないと、同じ処置を受けても評価してもらえない。そういったことが出てきますので、こういったルールが合わさってこういったファイ係数の違いになっているのかなと思います。

 ただ、今後、「重症度、医療・看護必要度」は、重症な急性期にふさわしい患者さんをピックアップすることを目指すのであれば、同じ医療行為を行ったのであれば、それが誰が行おうが、どこで行おうが、同様に評価されるようなものに変えていかなくてはいけないのかなと思っています。

 47こま目。ここには薬剤がいろいろ書いています。薬剤も、ぴたっと合っているものと合ってないものがあります。例えば内服薬。これは内服薬の処方の仕方を考えれば当然わかるのですけれども、複数の日数の処方をするわけです。そうすると、EFには処方した当日しか出てきませんので、2日目、3日目に関しては全く評価されない。そういった問題点をはらんでいるという事実があります。

 注射薬は多分一致するのだろうなと思って見ていたら、実は、麻薬なんかは一致してないのですね。どうしてかなと思ったら、これは例えばフェンタネスト、手術場で使っているものまで入ってきてしまっているのです。ですから、その辺をきちんと除くべきものを除くという操作をしないと、ちゃんと合わないことが言えます。

 もう一つ気になったのが、昇圧剤とか抗不整脈剤、抗血栓剤、こういったものは、実は同じ薬剤でも複数の薬効を持っていて、医者がいろいろな薬効を考慮しながら病態に合わせて使っているのですね。ですから、単純に薬だけ持ってきても当然合わないのですけれども、ただ、逆に裏返して考えると、看護師さんがどこまでちゃんとそれを理解してチェックできているのかなという点もちょっと気になるところではあります。

8こま目。手術に関しては、実はこれに該当するKコードは今までちゃんとは示されてなかったのですね。そういう格好で評価しなくてはいけないということで、誤差が出てきて当然です。ですから、これは逆に、きちんとしたKコードが示されれば、どこで評価しようが一致するということになるのだと思います。

 ついでだから最後まで言ってしまいます。55こま目。核心の部分に行きますけれども、2つ目の丸ぽち。例えば、今後、このEFファイルを使っていこうとしたときに、もう一つの問題が、例えば創傷処置は診療報酬では2週間までしか評価してもらえない。ところが、実際に病棟では、それ以降も病態に合わせて行為は行われていると。だから、そういった診療報酬の制度上の問題があることも理解しなくてはいけないと思います。

 あと、3つ目のぽちと4つ目の後半にかかる部分です。要するに、医療機関が実施した医療行為を医事算定していない、ちゃんと医事に載せていない。したがって、EFファイルに入力してない、そういった医療機関が存在しているのはまず間違いない事実だと思います。

 逆に、これに関しては、きちんと入力を促すことも必要ではないか。特にDPC病院では、処置を入れても入れなくても包括されてしまうので抜いてしまうのですね。ただ、それを入れることで、その病院にとっては、その医療機関の診療密度が上がることにつながるわけですし、あと、DPCの制度設計からいくと、その診断部分の複雑性係数にも影響するということで、各医療機関がしっかりと入れることは大事なわけで、そういった入力することのインセンティブをつけても、確実に入力していただくことが必要ではないかなと思います。

 あと、56こま目の2つ目の○にある記載ですね。この部分は、私は賛成、指示したいと思います。ただし、条件設定とか項目の定義、これは考慮すべき。特に、そこで考慮すべきことは、急性期にふさわしい重症患者を抽出するという視点でもって項目の定義を考えなくてはいけないと。

 何度も言いますけれども、現在の要件は、重症患者さんに対して行う看護行為を、研修を受けた者が行った場合には評価されるけれども、そうでないときには評価されないというふうな縛りも中には出てくるのですね。ですけれども、重症患者さんは看護師の行為にかかわらず重症だというような視点も持たなくてはいけないのではないかなということで、特に、B項目は別にして、A、Cの項目に関しては、その患者さんが受けた医療行為をもとに客観的に評価されると、そういった仕組みに変えることが必要かと思います。

 以上です。

○武藤分科会長

 御意見ありがとうございます。

 林田委員、どうぞ。

○林田委員

 ありがとうございます。

 「重症度、医療・看護必要度」におけるDPCデータの利用に関してですけれども、重症度をある程度正確に表現でき、しかも、それが負担軽減になるという方向性でいろいろ考えていくのは非常に重要かなと思っているのですが、実際に一部の項目についてDPCデータを使うといったときの影響という意味でいくと、先ほど、武井委員と牧野委員から、データが利用できるのは3カ月後とか毎日というお話がありましたけれども、実際は、そのちょうど間ぐらいで利用可能という病院が多いのではないかと思います。電子カルテやレセコン等のデータベースとつないでいるという前提であれば、恐らく毎日反映させることは可能なのだろうと思うのですけれども、なかなかそういうふうな病院さんは少ないのかなと。

 そうなると、いろいろな意味で手動でも入力するという形になってしまいますので、余り負担軽減にはならないのかなと思います。あえて言うと、C項目であればまだ可能かもしれませんけれども、A項目に関しては恐らく、例えば今回そういう形で置きかえることになると、かなり現場に影響があるのかなと思いますので、私自身は、A項目の置換えに関してはかなり厳しいと思います。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 ほかにございますか。本多委員、どうぞ。

○本多委員

 DPCデータを用いた分析について、前回、恥ずかしながらも、DPCデータを活用することで、看護師の負担軽減が図られ、客観的で統一性のあるデータになると思い、事務局案に賛成してしまったのですが、今回示されたデータを見ると、56ページにある論点で、「一定の条件を設定した上で活用できる可能性が示唆された」とありますが、私はこのようなデータはまだ示されていないのではないかと思います。一部のデータは示されていますが、中には、ファイ係数の差があって相関がないというものもある中で、30年度改定で活用するというのは乱暴ではないかと思います。

 ただ、先ほどから申し上げているとおり、客観的で統一性のある指標を求めていくことについては、ぜひとも進めてもらいたいと思いますが、30年改定でやるということは、拙速であると思います。

○武藤分科会長

 では、武井委員、どうぞ。

○武井委員

 済みません。先ほどの牧野委員のところですが、専門の教育を受けた看護師は、要件には、一切ないので、創傷処置についても特に認定看護師が必要ということは一切ありません。

○牧野委員

 「評価の手引き」には書いてあると思います。

○武井委員

 ないです。

 ありましたか。

○牧野委員

 ええ、ありますよ。

○武井委員

 ないです。

○牧野委員

 「評価の手引き」を持っていますから、それはちょっと後で。

○武井委員

 済みません。それだけ訂正させてください。

○武藤分科会長

 事務局、どうぞ。

○事務局

 事実関係ですので、補足させていただきます。

 きょうの資料ですと、54こま目の表ですと、左側が「重症度、医療・看護必要度」の関係で、「研修等」という欄ですが、この評価表の記入については、院内研修を受けた者が測定するというのは要件になっていますけれども、「評価の手引き」の中で、確かに、所定の研修を受けることが望ましいという要件はございます。あと、褥瘡の話は、武井委員がおっしゃったように、特別な者が判定するというような要件は、今、手引きのほうでは入っていない。

○武藤分科会長

 続けて、DPCの分析に関して。

 では、筒井委員、どうぞ。

○筒井委員

 28こま目の「身体抑制なし・あり」で、事実としてはこういう書き方なのですけれども、これは、先ほど武井委員がおっしゃられたように、抑制がある人が大変だというミスリードにならないような書き方に工夫してもらいたいと思います。つまり、現場は、特に慢性期、池端先生のところは大変やっておられると思うのですけれども、抑制はもうしないということで、看護師さんたちが相当、頑張ってやっておられるのです。こういったことを何とか評価できる方法を考えないといけないのです。このように単に身体抑制ありの人は大変なのだというような書きぶりはよろしくないと思います。また、とても重要なことは、認知症の患者さんは、7対1でも、とても増えているのです。ですから、そこは診断との関係で考えておかなければならないと思います。

 それから、「重症度、医療・看護必要度」データとDPCデータとの分析ですが、この結果から示されることは、急性期で重症患者とはどのような方を示す評価尺度について、どのように考えるかということなのだと思います。

今回の結果から、明らかになったことは、「重症度、医療・看護必要度」で重症な患者という人と、DPCつまり最後の診療請求区分から重症だと考える患者は、今のところ一致している人もいれば、一致してない人もいるということです。

 この結果について、我々は、どちらかに合わせるというような考えとすべきではなく、重症な患者とは、どのような特徴があるのかをこれらの結果から考察して示すということであろうと思います。それは、この部会は、学識経験者がいて、利害関係がない人たちが入っているということが前提となっているからです。それは中医協とは違うわけで、ここで考えるべき内容だと思うのです。

 そして、ここで重要なことは、何か診療請求区分のほうに、項目を追加していって、一致させて同じにするということが目的ではないということを共有してないと議論としておかしなことになってしまうと思うのです。

だから、「重症度、医療・看護必要度」で重症患者になった人が、どういう状態でどんな診断名を持っていて、どういう医療請求区分が出されているのかというプロフィールをもう少し明らかにすることがないと、先ほど本多委員がおっしゃいましたけれども、この改定で何か置き換えをすればよいとか、割合が合えば、変化すればよいというようなことをやってみるというのは拙速だと言われても仕方がないのではないかと思いました。

 現場的な話で申し上げますと、先ほどちょっと気になったのは、DPCの診療請求明細について、入力をしてない人、機関が結構あると言われていることについて、現在、暫定調整係数を決定するわけですから、2018年にこれは廃止予定ですけれども、これまでこれを出さないという理由がどうして起きていたのかなというのが不思議に思いました。これは、DPC病院の算定の実態がみえたともいえるかもしれません。これから、さらに包括と出来高についての関係を考えるという点でも、今回のデータはなかなかおもしろいデータが出ているなと本当に思いました。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 では、神野委員、どうぞ。

○神野委員

 今、筒井委員がおっしゃったように、「重症度、医療・看護必要度」、ファイ係数使って、イコールDPCのデータの重症患者さんだという論点に立つと、1対1はなかなか難しいと思われます。したがって、もし、DPCデータで行くならば、どういう患者さんが重症だという定義から本当は必要だということは、どうも、今回のデータを見て言えるのかなと思います。

 だから、「重症度、医療・看護必要度」ではなくて、新たな定義をつくるような、DPCからの重症度定義をつくるような仕事をしなければいけないとすると、いつまでにできるのかという話がとても重大な問題になってくるのかなと思われます。

 ただ、これも、また、さっき本多委員もおっしゃいましたけれども、C項目等に関してはきちんと相関しそうないろいろなデータをつくろうと思えばできそうです。なので、A項目で、例えば仮に、ある重症患者像をもとにするならば、今までの「重症度、医療・看護必要度」との差分というか、さっき、正規分布のグラフがありましたけれども、差分をどれぐらい見るかというような議論が必要なのかなと思いました。

 それから、もう一点だけ。ちょっと小さな話ですけれども、参考資料に出た54ページ目ですけれども、これは前回も出て、一番下のDPCデータは洗い出し、いわゆるデータクレンジングはできるということでは、いろいろな国としてのメリットは非常に大きいのかなと思いますけれども、そういえば、看護師さんの手間が少なくなるとか多くなるという話の論点がここになかったので、それは最初の原則がそこにありましたので、そこはやはり入れた上で議論したほうがいいのではないかなと思います。

○武藤分科会長

 DPCデータの分析に関して、皆さんの忌憚のない御意見をいただきたいのですが、池田先生いいですか。

○池田委員

 48枚目のC項目に関しては、DPCデータを若干さわったものとしては恐らくより客観性のあるといいますか、ぶれの少ない把握になっているのではないかと、そういう印象なのですが、この中の骨の手術と全身麻酔・脊椎麻酔の手術に関しては、ちょっと乖離が大きいように見えるので、これがどういう原因によるのかということが少し分析できるのかどうか。例えば、今回のEFファイルで拾ってきたロジックのほうを改善する必要があるのか、それとも、必要度のほうでとっているものが定義として十分定まっていないのか、ここはどういうふうに解釈したらよろしいでしょうか。

○武藤分科会長

 事務局、どうぞ。

○事務局

 まず、骨の手術については、きょう、入-1の参考をつけさせていただいていますが、入-1の参考だと17ページ以降に、この手術と区分のほう、診療報酬で言うとKコードと呼んでいますけれども、区分のほうがだーっと並んでおりまして、骨の手術は、骨の手術というような定義なので、23ページ目以降ですけれども、いろいろなものがあるということと。

 あと、もともとこのC項目に当たる人が、骨も0.1%ぐらいということなので、数人とか10人とか当たらないと、この差が大きく出てしまうということ、その両方があるのかなと。ただ、ファイ係数で見ると0.68なので、このグラフで言うと、メモリーが0.2%ごとになっているので、骨が、ここだけ外れているように見えるのですけれども、n数とかもろもろ考えると、確かにKコードの数が多いので、ここで拾い切れてない人とか、逆も入ってしまっている項目が多少あるだけで、たまたまそういう手術を受けた人、受けない人がいた影響がちょっと大きく見えている可能性があるのではないかなと思っています。

 あと、手術に関しては、EFファイルに入力されてないという、出来高のほうのルールの影響とか、その辺が考えられるかなと思っております。

○武藤分科会長

 よろしいですか。

 池端委員、どうぞ。

○池端委員

 今回、私は余り発言する場はないのですけれども、「重症度、医療・看護必要度」に関しては、いずれ、もしDPCデータが慢性期のほうに広がってくれば、人ごとではなくなる可能性があるということで、基本的な考え方が、現在の「重症度、医療・看護必要度」が100%正しくて、それにいかに合わせるかという考え方と、もう一つ、今DPCデータから持ってきたものと、もう一つ違う部分の重症度があるのではないかという、ここを両方考えていって、ある程度検証していったほうがいいのかなというのを門外漢としてはちょっと感じました。

 B項目に関して、28ページのさっき私が言わなければいけないところを筒井委員がおっしゃっていただいたのですけれども、私も、まさに筒井委員がおっしゃったように、身体抑制あり・なしというこのデータはすごく違和感を覚えて、誤解がないように理解していただきたいのですけれども、急性期から、これはミトンが必要ですとか、4点柵をつけてきた患者さんのかなりの部分が、実は、少しケアを工夫することによって外せるということは、実際、療養病床ではかなり経験しています。この部分は、これから、点滴を抜かれたらだめだからという論点だけで身体抑制を安易にやるのではなくて、外す方向に、むしろ、医療側も行くべきだと思います。そうなると、この表がこのままいくと重症度とつながって身体抑制ありが重症度ということになってしまい、逆の流れになってしまうので、表現をちょっと工夫されたほうがいいかと思います。

 それから、もう一点、これは現在のB項目が、療養上の指示が通じるという項目になっているので、これはこれでいいのですけれども、28ページの図でも、真ん中辺りに「診療・療養上の指示が通じる」もしくは「危険行動」に該当する患者が云々とありますけれども、「通じる」だと該当になってしまうので、日本語としてちょっとおかしくなる気がします。今後、療養とかでも同じこのB項目は関連してくるものだと思いますので、次の制度設計のときに、この項目の書き方をちょっと工夫したほうが見やすいのかなという気がしました。これは今後の検討ということでいただけるかと思います。逆に、通じないということをイエス・ノーにしたほうがこういう文書になるときはいいのかなという気もします。あるいは、通じ方という項目に持っていく方法もあるのかもしれませんけれども、現状は、こういう名前になっているので、こういう書きぶりで仕方ないと思いますけれども、これを一般の方が見ると、何かよくわからないなという感じになってしまうかもしれないということで、つまらないことで申しわけないです。

 以上です。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 それでは、この2番目の項目、「一般病棟の重症度、医療・看護必要度」の全体に関して、何か言い残されたことは。

○石川委員

 今の28ページですけれども、これは、一般病棟を持っているところでは、すごく深刻な問題になっているので、A項目のもう少し細かなデータが出れば、それをやはり添えるべきだと思うのですよね。それから、これは何%と書いていませんけれども、Aが1以上は何%と、数字をつけてやるべきだと思います。これは非常に重要なデータになるので。A項目のどれが該当するのかとかということが恐らく出てくると思うので、それを書いたほうがいいと思います。

 (参考)のところに書いてある「全患者のうち」は、この「全患者」はB項目に該当しない患者も含めてのことを言っていますか。7対1のところではそういうことですね。

○武藤分科会長

 事務局、どうぞ。

○事務局

 今回の調査対象の全患者という意味で、Bのこれに該当した人という限定ではないです。

○石川委員

 7対1の病棟ということですね。

○事務局

 そうです。

○武藤分科会長

 ほかによろしいですか。特に、DPCデータを用いた分析に関して、何か御意見言い残された方。

○石川委員

 50ページを見て、これはもう勝負あったということでいいのではないでしょうか。ここは評価分科会だから、これは無理ですよ。先ほどおっしゃったように、DPCデータの50ページの左側の表で、DPCデータの医療機関の該当患者割合は、分布が非常に縦長ですよね。これを見ても、今回よほどの工夫をしない限りは、4%の違いは結構でかいので、これはちょっと難しいだろうと思います。

○武藤分科会長

 牧野委員、どうぞ。

○牧野委員

 今回、「重症度、医療・看護必要度」が病棟にとってかなり負担になっていることは前から発言しています。実際に、各医療機関がこの評価をどの程度負担と感じているのか。また、この評価のためにどれぐらいの時間をかけているのか。仮に、今、反対の意見も出ていますけれども、今回のシミュレーションを行ったような、このDPCデータを活用できるとなった場合に、その活用する可能性がどの程度あるのかと、そういったことを、最近、日本病院会と全日本病院協会は共同でアンケート調査を実施しています。現在、その集計とりまとめ作業中ですけれども、もし、お許しをいただければ、次回のこの会で、その中間集計速報値を提供させていただきたいなと思いますが、よろしいでしょうか。

○武藤分科会長

 今、御説明がありましたが、よろしいでしょうかね。次回のこの会でもって資料提出をしていただけるということで。

(各委員首肯)

○武藤分科会長

 課長、どうぞ。

○医療課長

 医療課長でございます。

 ふだんは余り申し上げるべきではないと思うのですが、これは大事なアジェンダだと思いますので。

 きょうはすごくいい議論をしていただいているというのがまず1点であります。

 それと、事務局で、56こま目の課題、問題提起ということで書かせていただいているのですけれども、先ほどの議論があるように、石川先生に結論は出たと言われておりますので、その点、ちょっと明らかにしなければいけないと思って話をしているのですが、ここで御議論いただきたいのは、これは本多委員もだめなのだみたいなおっしゃり方をしているのですけれども、活用できる可能性が示唆されたということを1つ整理をしているということが1点です。

 それから、議論の過程で、筒井委員に事実上は総括をしていただいていると私も理解しているのですが、結局、診療報酬でどう評価をしていくのかという軸の議論と、それから、現場の看護の動態をどう評価するのかという話は基本的には、私は別だろうなと考えています。ただ、現行の診療報酬の運用が、本来必ずしも一致しないであろうものを、これも筒井委員が歴史物語で解説をいただきましたが、平成18年度以降、ある意味活用しつつ進化をしていきましたということなのだろうと思います。

 今、そこを踏まえた上で、改めて、ひもといている作業をしていただいていますので、今回、御提出をさせていただいたEFの集計をするとこうなりますと、必要度だとこうですと。これは両者完全に一致はしないというものが概念的にそうだというのがわかった上で、重なっているところもあるし、違うところもあると御評価をいただいているので、私はそのとおりなのだろうと理解をしています。

 一方で、これ報酬算定に活用していますよねということを考えると、違う両者をどううまく使っていくのかということはまだまだ工夫の余地があります。それから、EFの分析の仕方にも、きょういろいろ具体的に御指摘をいただいたので、まだ随分議論の余地はあります。

 最後に、私どもの問題意識をちょっとお伝えしておくと、最終的にどうするかという結論をこの場で出していただくのではなく、それは基本的には中医協だと思います。こちらでぜひお願いをしたいのは、事務局としてもこれは整理をさせていただいて、もう一回、次回がありますので、どういうふうに違うのかということと、それから、どういう活用の仕方がありうるのか、どういう改善の余地がありうるのか、それを整理をしていただいた上で、中医協で御審議をいただきたい。その素材をぜひ整理をしていただきたいということです。

 そういう意味で、途中御指摘がありましたが、あえて、現場負担の軽減みたいなことを、メリット、デメリットみたいな形で御提示をしていないのは、そういったことも総合的に勘案をして議論をしていただくのは中医協の場であって、現場の負担とか、事務改善とか、そういったことをトレードオフで、だからデータのクオリティーは下がってもいいのだとかそういうことでは必ずしもないはずで、あくまでアナリティカルにどう考えるのかということを、学識の方々も含めて整理していただいて、中医協で御審議いただけるような素材として整理していただくことに、事務局も努力をいたしますし、ぜひ御協力いただけないかなと。したがって、勝負あったとは言うのは時期尚早だということでございます。

○武藤分科会長

 今、課長が言ったように、きょうはたくさん御意見をいただきました。それを含めて論点を整理して、次回に、また、お諮りしたいと思います。

 牧野委員からの資料提出も、次回お願いしたいと思います。

 では、先に進みたいと思います。次は、3番目の「救急医療管理加算」についてです。これについて御意見はございますか。

 本多委員、どうぞ。

○本多委員

 63ページの表について、救急医療管理加算1の算定患者について、「イ 意識障害または昏睡」の患者のJSC点数を見ると、0~3までが56.2%を占めている一方で、300を超える分布も存在するなど、患者の状態にかなりばらつきがあるのではないかと思います。前回、加算2について、加算1に準ずる状態となっていて非常に曖昧だと問題視しましたが、加算1でも同様に、各医療機関による定性的な判断で加算が行われている可能性があるかと思われますので、より客観的で統一性のある評価基準を検討した上で、救急医療の加算にふさわしい患者が選定される必要があるのではないかと思います。

 また、加算の算定要件については、救急医療の現場において、患者の受入れが阻害されることのないように、患者像とは別な視点で、具体的には、断らずに救急患者を受け入れているかというような観点での評価軸を検討しても良いのではないかと思います。患者としては、救急の場合に断らないで受け入れていただくことも非常に重要な要素だと思います。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 ほかにございますか。牧野委員、どうぞ。

○牧野委員

 まず64こま目のところから行きます。上の赤い枠ですけれども、ここで、3、4が全体の7割を占めるという格好の書き方になっているのですけれども、救急患者という不安定な要素のある患者という点を考慮すれば、ここは、2、3、4の患者が全体の9割を占めるという書き方のほうが適当ではないかと思います。

 次に、66こま目になります。先ほど本多委員がおっしゃった点と重なるのですけれども、現在は明確な指標がないために、比較的軽症な患者さんにおいてもこれを算定しているというのはまず間違いない事実だと思います。

 ただ、救急患者さんというのは、搬入時に症状は軽く見えても、実は重篤な場合も当然あるわけです。ですから、明確な評価基準がない以上、医師の判断という要素はどうしても大きくなるということになります。意識障害に関しては、来院した時点では軽いと、あくまでもそれは来院した時点での評価であって、変動する要素の強いものを一つの時点で評価しているということを考える必要があって、救急の初期においては、ある程度の時間の幅、時間軸の幅を持たせることも考慮しなくてはいけないのかなと思っております。

 以上です。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 ほかにございますか。神野委員、どうぞ。

○神野委員

 先ほどの、前のデータで2日で退院する人もいますねというデータがさっき示されたと同時に、今度は逆に、データはないですけれども、ウォークインで入ったけれども、今おっしゃったように、病状が悪化する患者さんがいるというのも事実だと思いますので、私も、少し時間軸で診ないといけないし、本多委員がおっしゃったように、まず入れることが大事。救急患者さんを断らずに入れて、そして、場合によっては様子を見るという感覚がこの救急医療で必要なことなのかなと。それをきちんと診療報酬上で評価していただくことが大事なのかなと思います。

 さっきの「重症度、医療・看護必要度」のA項目の救急搬送とここがちょっと絡んでくるやに思いますけれども、その辺のところはデータを見ながら整理をしていく必要があるのかなと思います。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 ほかにございますでしょうか。

 なければ、4番目の「短期滞在手術基本料」に移ってよろしいですか。

 牧野委員、どうぞ。

○牧野委員

 74こま目ですね。下の四角の枠の中の話になりますけれども、診療を行っていく上で、短期滞在手術とDPC分類という2つの運用があるのは、確かに不合理かという点で、DPC分類に基づく評価を優先するということにはある程度理解ができるかと思っています。

 ただ、短期滞在手術が医療に与えた影響は結構大きくて、在院日数が短くなる、効率的になるという点では、かなりプラスのいい影響を与えていると、こういったことはちゃんと評価されなくてはいけないと思います。

 また、医療機関はそのためにいろいろと努力を行ってきているわけで、これをまたDPCのほうに戻してしまうことになると、例えば、「重症度、医療・看護必要度」が病院の中で大きく変わってしまうことにもなりかねないことになりますので、そういった点を考慮しながら進めなくてはいけないと思います。

 以上です。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 ほかにございますか。岡村委員、どうぞ。

○岡村委員

 短期滞在で、特に白内障の手術の場合に、両眼か片眼だけというのが、病院によってスタンス、患者さんの希望によって大分違うと思うので、その辺を資料をいろいろ出していただきたいなと思っております。

○武藤分科会長

 事務局、よろしいですか。

○事務局

 短期滞在、前回、件数とかお出しさせていただきました。

○岡村委員

 点数はわかるのですけれどもね。結局、一回の入院中に両眼をやってしまうかというそのときに、土日が入ったりしますよね。あれは5日でしたか、そのときに片眼でやるか両眼でやるかで、1週間だけど、土日が入ると、何曜日に手術をするかということで、入院が結構変わってくると思います。いつ入院して、手術をして、その後、片眼をやって、また、次のほうをやってというときに、土日が入るのです。それで、月曜日に手術をするか、火曜日に手術をするかで、結構変わってくると思います。

○武藤分科会長

 事務局、どうぞ。

○事務局

 ちょっと確認しますと、今のルール上は、両眼の場合と片眼だけやる場合とでは違うので、一応そういう趣旨で点数を分けたというのが前回改定でございました。

 土日をはさむかどうかを見るというのは、その評価に何か影響しているのではないかという御趣旨なのか。今、短期滞在は、手術を全体で包括した点数での評価ということですので、それが余り長くいることのメリットみたいなものもないですから、一応そういう意味でインセンティブは一定程度ついているので、改めて、土日みたいなことを分析する必要があるのかというところだと。

○岡村委員

 診療報酬のために手術の曜日を何か操作しないといけないというふうになると、ややこしいのではないかなと。

○武藤分科会長

 その曜日問題は、少し整理していただければと思います。

○事務局

 かなり細かなことになりますので、今回お出しさせていただいているデータはDPCデータになっていますので、カレンダーの曜日を見たりというような操作が要るので、分析としては結構難しいし、できるかどうかもちょっとこの場ではお答えできないような状況でございます。

 今回、入院の調査も、御回答いただく医療機関の負担も考えたので、なるべくDPCとかNDBとか、既に我々とっているもので評価していくということなので、短期滞在に関しては、そういった意味では今回DPCデータしか持ってないものですから、今御指摘いただいたものはかなり難しいということになります。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 池田委員、どうぞ。

○池田委員

 多分、両眼でやったとき、5日というこの設定が、週末が入ったり、いろいろな手術が入っていることもあるので、果たして、そこが妥当なのかどうかという御指摘かなと受けとめたのですが、それとか、新たに追加されるかもしれない全ての手術等について、全部同じ日にちで定めるのがいいかどうかというのは、今回とは限らず、今後、検討していく必要があるかなと感じました。

 その点からいくと、DPC病院では、短期で定型的な経過をたどるような手術等についてのDPCのほうの支払いを使ったほうがより妥当な支払いの設計になるのではないかと、私は個人的には感じています。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 短期滞在に関しては、何かほかにございますか。

 なければ、76個目以降の追加資料に関して、特別何か御意見・御発言はございますか。

 本多委員、どうぞ。

○本多委員

 一つ確認ですが、この追加資料は、中医協の基本問題小委員会にこの分科会のとりまとめとして報告されると理解してよろしいでしょうか。

○武藤分科会長

 事務局、どうぞ。

○事務局

 ありがとうございます。

 一応ここで議論したものは分科会の報告として上げるのですけれども、資料として似ているものとか、200ページとか250ページとかになってしまうので、多少重複するものとか類似しているものとかは整理をさせていただくことがございます。

○武藤分科会長

 よろしいでしょうか。

 それでは、5番目の項目に移りたいと思います。「入院医療等の調査・評価分科会における検討結果の報告(案)について」これは事務局から御説明をお願いしたいと思います。

○事務局

 それでは、入-2をごらんください。こちらにつきましては、次の分科会までの間に、また、御意見くださいということで、きょうここで御議論いただくものではございませんが、少し見ていただくべきポイントを御説明します。

 入-2の報告書(案)でございますが、前回の中間とりまとめをベースにさせていただいておりまして、平成29年の調査結果で議論した内容を追加という形になっていますので、主として、その追加部分を御確認いただければと思います。

 1ページ目をごらんください。1.の1-4から1-7という4つの項目を今回追加をしておりますのと、1-2-1と1-2-2というふうに、1-2を2つに分けまして、1-2-1に平成28年度改定の「重症度、医療・看護必要度」の影響を入れております。

 それから、2ページ目ごらんください。上の目次の部分ですが、中間まとめは6番までだったのですけれども、7番として、入院時食事療養の項目を追加させていただいております。

 というような構成で、あとは御議論いただいているところを、2ページ目の一番下の2行の部分は、病棟群単位の平成29年度の調査結果を追加させていただいたりといったこと。

 あと、3ページ目の1-2-1は、項目を立てて、今回の議論を少し文章を起こさせていただくので、基本的に、今回議論というところの枠にきょうの議論を踏まえて事務局でちょっとたたき台をつくらせていただきますので、また、そちらについて、近々、先生方にお送りしますので、御確認をいただければと思います。

 以上でございます。

○武藤分科会長

 この件に関して、何か御質問・御意見はございますか。

 次回、今回の議論を含めて、これを皆さんに御提示したいと思いますが、よろしいでしょうか。

 それでは、全般について、何か言い残されたこととか、特に御発言ございますか。

 それでは、本日の議論を踏まえて、事務局においてとりまとめの整理をしていただいて、次回、改めて議論をさせていただきたいと思います。

 なお、次回の日程については、追って、事務局から御連絡をお願いしたいと思います。

 それでは、平成29年度第11回診療報酬調査専門組織「入院医療等の調査・評価分科会」これにて、終了させていただきたいと思います。

 本日は、お忙しい中、ありがとうございました。

 


(了)

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