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2017年9月15日 平成29年度第8回入院医療等の調査・評価分科会・議事録

○日時

平成29年9月15日
15:00~16:20


○場所

中央合同庁舎第5号館 専用第22会議室(18階)


○出席者

【委員】

武藤分科会長、池端委員、石川委員、神野委員
菅原委員、武井委員、田宮委員、筒井委員
林田委員、藤森委員、本多委員、牧野委員

【事務局】

医療課長、保険医療企画調査室長、薬剤管理官、歯科医療管理官他

○議題

1.中間とりまとめ(案)について

○議事

○武藤分科会長

 それでは、定刻になりましたので、ただいから平成29年度第8回「診療報酬調査専門組織 入院医療等の調査・評価分科会」を開催したいと思います。

 まず、委員の出欠状況ですけれども、本日は池田委員、岡村委員、尾形委員が欠席となっております。

 それでは、本日の議題の「中間とりまとめ(案)について」の議論を行いたいと思います。

 まず、事務局から御説明をお願いしたいと思います。

○事務局

 事務局でございます。

 まず、本日はペーパーレス開催第1回目ということで、資料の確認ですが、前日メールにてお送りしているものでございます。お手元に、入-1の本編の資料をプリントアウトしたものを御用意させていただいております。また、昨夜お送りしている参考資料、別添集が200ページを超えるもので、そちらは適宜あちらのスクリーンでも映しますので、御自分のデバイスで見ていただいて結構ですけれども、並行してあちらでも準備させていただいております。

 資料自体は、議事次第、座席表、委員一覧のほか、入-1として中間まとめ案、入-2として関係する別添資料ということで御準備しております。

 それでは、入-1に基づきまして御説明させていただきます。

 まず、入-1の中間とりまとめ(案)につきましては、前回の会議で、前回の会議以前の分を踏まえたものを御提出させていただき、それにつきまして本日までに各委員からいただいた意見、前回の9月6日の議論の追加をした部分ということで、主として変更点を中心に御説明をさせていただきます。

 1ページ目は、今回の入院分科会での議論につきましての全体の目次がついております。

 2ページ目から、「II.検討の概要」ということで、「1.急性期入院医療について」でございますが、参考資料でいいますと、8ページあたりからが一般病棟入院基本料のデータになっております。例えば10ページにつきましては、「一般病棟入院基本料7対1の届出病床数の推移」として、約38万床をピークに近年は減少傾向で、一番新しい値が平成29年4月時点で35.4万床ということでございます。

 それから、本編の2ページ目、中ほど1-1の4つ目のポツですが、参考資料集の18ページになりますが、病棟群単位の届出状況については、今回のこの調査対象の中では現に病棟群を届け出ているのが8施設、割合でいうと1.2%でありました。届けていない医療機関への意向に関して、参考資料18ページの円グラフにある状況でございます。

 また、本編に戻っていただくと2ページ目の下から2つ目のポツ、参考資料ですと24ページになりますが、重症度、医療・看護必要度の該当患者割合のデータでございます。今回の調査に関しては、対象施設で改定前と改定後を比較すると、7対1病棟では9.6ポイント、10対1病棟では4.7ポイント増加ということでございます。

 参考資料集でいうと26ページ、本編でいうと2ページ目の下から2行目になりますが、該当患者割合のデータで見た医療機関数の分布でございます。7対1病棟は25%以上の区分に集中していますが、10対1病棟では全体にばらついているということです。

 続きまして、本編の3ページ目でございます。前回御議論いただいた2つ目のポツのところが、参考資料でいうと28ページ以降ですが、7対1の重症度、医療・看護必要度の非該当の内訳ということで記載させていただきました。

 本編3ページ目の上から3つ目のポツも、前回はなかったのですが、診療科別で該当患者割合を計算していまして、参考資料でいうと31ページになりますが、診療科別の該当患者割合の結果を分科会の資料としては新しく集計して提出しておりますので、記載を追加させていただいております。

 本編の3ページ目に戻っていただいて、「1-2.7対1、10対1一般病棟入院基本料の評価手法」について、参考資料は33ページ以降になります。こちらについては前回も記述しておりますが、委員からも事実関係等について修正の御意見をいただきまして、そちらを踏まえて文言は修正が入っているものですが、たてつけとしては、3ページ目の「(1)重症度、医療・看護必要度」の「導入の経緯と現状」のところでございます。こちらの文章は少し直させていただいております。

 4ページ目に行っていただいて、導入の経緯で、平成20年度改定以降の経緯についても、同様に事実関係を踏まえて追記、修正させていただいております。

 項立て自体は変更はございませんので、少し先に進みます。4ページ目の中ほどの「評価手法等」の部分でございます。こちらは御意見をいただいたので、4つ目のポツを追加させていただいております。

 その下の「測定方法等」のところですが、ここについても事実関係等を踏まえまして修正意見がございましたので、文章自体は同じ構成ですけれども、表現は少し修正させていただいております。

 5ページ目をごらんください。参考資料でいいますと44ページ以降の前回の診療報酬請求項目と必要度の項目との、前回はシミュレーションと呼んでいたのですが、基本的に違う定義で別のものを評価しているものということですので、シミュレーションと言うと意味合いを誤解する場合もありますので、表現としては「分析」という形に直させていただいております。こちらにつきましての記載は、本編の5ページ目の上から4つ目のポツ以降に、前回の御議論を踏まえた内容を追加させていただいています。資料としては、参考資料集の44こま目以降になっております。

 ここで、参考資料の55ページをごらんください。前回の入院分科会の資料でお示ししましたDPCデータを用いた分析(案)ということで、「分析方法」の1つ目のマル、「使用するデータ」について、これは前回お示ししたときに、資料では平成2810月から12月のデータとしていたのですが、申しわけありませんが、詳細に確認しましたところ、今、この分析に使えるデータセット自体は2812月の1カ月分ということですので、ここは12月ということで修正させていただきました。ほかの部分は、前回提出した資料と同じになっております。

 本文に戻っていただいて5ページ目、ここの部分につきましては、重症度、医療・看護必要度の評価項目のうちのA項目とC項目について、診療報酬請求区分と関連している項目を用いて該当患者割合を算出するということを行って、現行の該当患者割合と診療報酬請求区分を使って計算した該当患者割合との分布や相関などを検証するという御意見がありました。

 今、マスターは事務局で作成中でございまして、本日この方向性、この案について御了解いただきましたら、マスターについて、座長にはもうごらんいただいているのですけれども、関係する委員にもごらんいただく予定でございます。

 5ページ目の下、「(2)平均在院日数」以降の部分ですが、ここは細かい文言修正だけで、基本的には前回お出ししている資料の内容ということでございます。

 6ページ目、「(3)在宅復帰率」です。ここは、在宅復帰率の中でも一般病棟入院基本料に関係する記載に整理しまして、在宅復帰率として前回お示ししていた内容のうち、ほかの入院病棟にも関係するものは、項目としては最後のほうの「6.横断的事項について」の6-2に移動させております。内容は前と基本的には同じでございます。

 「1-3.13対1、15対1一般病棟入院基本料」の部分ですが、これは参考資料でいいますと62ページ目以降のデータで、こちらは少し、てにをはの修正がございましたが、内容自体は前のものでございます。

 7ページ、「2.地域包括ケア病棟入院料」、参考資料は71ページ以降でございます。こちらについて、2-1の2つ目、3つ目のポツのところで、参考資料では7274ページあたりですが、72ページのところで、地域包括ケア病棟入院料の開設者別の内訳も出させていただいておりますので、中間まとめのほうにもこの記述を追加させていただいています。

 本編の7ページ目、真ん中の「2-2.入棟前の居場所別の分析」についてですが、こちらは前回お示ししている記載内容で、てにをはの修正はございますが、同じ内容で記載しております。

 8ページ目、上から2つ目のパラグラフに「在宅医療の提供状況」ということで、地域包括ケア病棟を有する医療機関に関しての在宅医療提供状況で、ここは事務局のほうで記載が漏れていた部分を少し追記させていただいております。

 「3.回復期リハビリテーション病棟入院料」は、参考資料の93ページ以降が回復期リハビリテーション病棟入院料になっております。こちらについては、基本的に前回お出しした内容のデータで、微細な文言修正のみを行っております。

 参考資料116ページ以降、療養病棟の部分ですが、本編9ページの「4.慢性期入院医療について」というところでございます。こちらにつきましては、前回の提出したものと基本的には同じで、前回、データ提出加算について御議論いただいた部分は、「6.横断的事項について」の「6-3.データ提出加算」に記載を追記させていただいております。

 本編10ページ、「4-2.医療区分別の分析」というところで、4-2の上から5つ目のポツ、参考資料130ページ、「一定期間における医療区分の変化」ということで、本文のほうに、任意の2カ月間における入院患者の医療区分の変化ということで、このデータの記述を追加させていただいております。

 同じく本編10ページの一番下のポツの部分で、「以上から、現行の医療区分については」という記載ですが、委員のほうから表現がわかりにくいという御指摘がございまして、表現を修正しておりますが、同じ内容でございます。

 本編11ページ、参考資料は141ページからですが、「療養病棟入院基本料2」について、これは前回御議論いただいた内容として、このパラグラフ全体を追加させていただいております。141ページのところは、療養1と療養2での職員の配置とか、そのあたりのデータを追加させていただいております。

 「4-3.療養病棟入院基本料に関するその他の事項」ですが、11ページの一番下から2つ目のポツ、参考資料は161ページで、前回、療養病棟におけるリハビリテーションの提供量と提供回数ということでデータをお示しして御議論いただきました。本編の11ページの下の5行はその部分を記載しておりまして、特に提供量、提供回数と在宅復帰率の関係については詳細な情報が必要ということで、これだけではということでしたので、そのように記載をさせていただいております。

 次に本編の12ページ、「4-4.障害者施設等入院基本料及び特殊疾患病棟入院料」で、164ページが参考資料です。参考資料177ページをごらんください。177ページの資料は、最初に障害者施設等入院基本料の資料をお出ししたときに、年齢や入院期間での分析が必要という御意見をいただきまして、追加集計をしまして、前回の入院分科会の参考資料として添付させていただいておりました。前回御説明できなかったので、補足させていただきます。

 こちらは「障害者施設等入院基本料算定病棟」で、重度の肢体不自由児・者で、身体障害者の等級が「不明」「非該当」の者の年齢階級を右側にグラフとして出しておりまして、70歳以上が約8割というデータでございます。

 また、次の参考資料178ページですが、同様に入院期間別で分析をしておりまして、身体障害者等級が「不明」または「非該当」の者だけで見ると、右側の棒グラフで、全体に比べると少し日数が短いところの分布も多くなっているということでございましたので、本編の12ページをごらんいただくと、その部分の記述を「5.有床診療所入院基本料」のすぐ上の黒ポツのパラで追加させていただいております。

 本編12ページの一番下、「5.有床診療所入院基本料」の記載ですが、こちらは基本的には前回お出ししている内容ということで、少し文言修正しておりますけれども、記載をしております。

 13ページの一番下、「6.横断的事項について」で、「6-1.入退院支援」の部分ですが、これは前回も出しているもので、14ページ目をごらんください。事務局のほうで、上から5つ目と6つ目のポツ、「退院支援加算の算定に当たっては」というところで、入院早期から退院困難な要因に応じた患者で、要件に示していないが、虐待や生活困窮といった早期から支援が必要な患者が入院していたといったことと、その次のポツで、介護支援専門員との情報のやりとりに関する記述を追加させていただいております。

 次に「6-2.在宅復帰に関する評価」ということで、前半から後ろに持ってきたものでございます。この6-2のうち3つ目のポツ、DPCデータでの再入院の状況というのは前回お出ししておりますので、ここに新しく追加させていただいております。

 「6-3.データ提出加算」は前回議論したもので、このパラグラフ全体を追加しております。まず、15ページの上がデータ提出加算の対象病棟ということで、参考資料は215ページ以降のスライドになっております。

 15ページの上から4分の1ぐらいのところに「提出項目の概要」ということで、ここが223ページ、最後のスライドですが、様式1では主に急性期の内容で、回復期、慢性期の患者の情報は含まれていないということを書かせていただいています。

 実際にどういう内容にすべきかといった御議論がありましたので、ここはさらに4つ追加させていただきまして、前回の御発言を踏まえてこのように記述させていただいておりますが、また、この場でも確認していただいて御意見をいただければと思います。

 最後、15ページ一番下は29年度の調査項目ということで、前回と同様でございます。

 説明は以上でございます。

○武藤分科会長

 ありがとうございました。

 ここからは幾つかに分けて議論していきたいと思います。最初に急性期入院医療、本編でいいますと2ページから6ページまでです。これに関して何か御意見、御質問がございましたらよろしくお願いします。

 武井委員、どうぞ。

○武井委員

 5ページの4つ目のポツですが、文章がわかりにくいので修正していただきたいと思います。「ただし、A項目は、臨床現場のプロセス等に基づき項目が定義されており」と書いてあるのですが、これはそうではなくて、臨床現場のプロセスを評価するものだと思うので、修正をしていただいたほうがわかりやすいと思います。

 あと、重症度、医療・看護必要度に関しての一番下の「一方で」からの文章ですが、これは何が書いてあるのかわかりにくい文章なのです。ここに「診療報酬請求区分が適正に選択されているかといった視点から診療報酬請求区分の選択の適切性を分析することに意味がある」と書いてあるのですが、EFファイルというものが本当に正しいのかと思っています。

 実は、現場では既に診療報酬請求区分を重症度、医療・看護必要度で検証することはもう行われています。もともと診療報酬請求区分というのは医療機関ごとで正確さにばらつきがあることは、皆さん御存じかと思うのですが、重症度、医療・看護必要度は、以前から私も意見させていただいているように、教育とか訓練を受けた看護師が患者の医学的管理や看護の必要性を正確に記録して、客観的条件に基づき測定したもので、適正な医療が行われていることを示している有用なデータであるので、これを用いて逆に診療報酬請求区分の適正性を検証しているようなところがあります。この文章を、むしろ診療報酬請求区分の適正さを重症度、医療・看護必要度の評価項目の該当結果から検証すべきというふうに修正したほうがいいと感じたので、御検討ください。

 以上です。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 ほかにございますか。神野委員、どうぞ。

○神野委員

 今のとは別の話ですけれども、本編の3ページの上のほうの3つのポツで、特に今回新たな資料として資料編の31ページの説明がありましたが、そういうことですよね。診療科別の重症度、医療・看護必要度の割合が出ていて、私は外科医ですが、外科は有利に働いて、整形外科とかは低くなっていますと。それから、いわゆる一般内科系がぎりぎりのあたりを上下しているという形が出ておりました。

 これから重症度、医療・看護必要度と診療報酬のデータとの相関を見るということに関しては基本的に賛成でありますけれども、その中で今の診療科別の中身を見て、では一般内科系で重症とは何ぞやというのをもう一回議論しなければいけないという気がします。それが例の75%の非該当患者とは何ぞやというところが絡んでくるという話になってきて、内科系でも手がかかる方が果たして25%に入っているかどうかということを見ていく必要があるかもしれない。

 それから、これだけではなくて、例えば7対1は救急だけではなくて、がん患者さん等も多くいらっしゃいますので、当たり前ですけれども、手術の前日に入院したらAゼロ、Bゼロ、Cゼロという方がいらっしゃるわけだし、退院の二、三日前に地域包括とかほかの病棟に行かせるのか、日本はそんな冷たい国だったかという話もしなければいけないので、この非該当患者の75%部分に関しても、私は今の数字を大きくさわるべきではないと思うし、そういうところにまだいろいろな人が隠れている。それから、日本の医療の温かさが隠れていると思うわけであります。

 以上です。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 それでは、本多委員、どうぞ。

○本多委員

 神野委員の御意見に関係して、中間とりまとめの3ページの上から2つ目のポツに重症度、医療・看護必要度に非該当の患者について記載がありますが、資料編では28コマにありますように、A項目0点かつB項目0点の患者が36%いることは事実なので、これを追記いただきたいと思います。また、患者像に合わせた評価をしていくという観点からすれば、非該当患者の患者像のデータがどこまで把握できるのかはわかりませんが、掘り下げて分析していただきたいということも盛り込んでいただきたいと思います。

○武藤分科会長

 筒井委員、どうぞ。

○筒井委員

 まず間違っている箇所の修正をお願いします。4ページ目の上から4行目、括弧内ですが、これは「医療」はなくて「重症度、看護必要度」です。この「医療」は削除してください。

 2点目は、先ほど武井委員がおっしゃっていたのですけれども、「重症度、医療・看護必要度」の評価項目のうちの4つ目のポツですけれども、DPCのデータが評価しているものと書いてあるのですけれども、「診療報酬請求区分は請求のための区分であり、評価しているものとは異なるため」という、この「もの」というのが気になります。ここは、両者のデータの質が違うということを前回からずっと申し上げています。これは評価している内容が異なっており、評価軸が違うのです。

もう少しわかりやすく申し上げると、A項目は臨床現場のプロセスを評価する項目ですが、「診療報酬請求区分は、請求のための区分を示すものであり、評価している内容が異なる」とか、そういう表現が適切と思います。

 また、前回も、今回も申し上げますが、DPCデータと重症度、医療・看護必要度が異なる理由は、評価内容が違うということと、最終的に示されるデータにおける性質も大きく異なるということです。この違いは大きいと思います。

つまり、DPCデータは、いわゆるビッグデータで消費データといえます。消費された医療資源に何らかの名称がつけられたというものです、これがデータとして蓄積されていると考えられます。

一方、「重症度、医療・看護必要度」の評価項目が示すデータは、ここに書いているようにプロセスを評価するものなので、いわば医療現場で提供される医療というか看護サービスの生産にかかわるデータなのです。ですから、生産データというか、生産行動の過程を示すデータです。これは経営学的に、あるいは、サービス論的に説明すると、「重症度、医療・看護必要度データ」というのはディープデータです。

 ですから、ビッグデータとディープデータを分析することを考えたときに、先ほど武井委員がおっしゃっていましたけれども、まず、DPCの請求データが本当に適正かどうかというのを見るために、「重症度、医療・看護必要度」を利用するという考え方はあると思います。つまり、実際に、DPCで示された消費された医療資源が、本当に生産現場で利用されていたか、行われていたかどうか、あるいは、この資源消費における適切性を評価するために、「重症度、医療・看護必要度」データを使って吟味するという分析はあり得ると思うのです。

けれども、逆は、おかしいです、プロセスと結果の逆ということはありえません。今回は「シミュレーション」という言葉はなくなっていますが、分析をするときには、これらのデータの経時性をよく考えて分析していかないとおかしな解釈がでてくることになると危惧します。

 DPC で示される多数の診療報酬請求区分を「重症度、医療・看護必要度」に合わせるために追加していくというような本末転倒のような分析はすべきではないと考えます。そのようにマスターファイルをお考えにならないようにしてほしいと思います。その点については、十分に考慮して、分析を誤らないようにしてもらいたい。これは意見です。

○武藤分科会長

 牧野委員、どうぞ。

○牧野委員

 牧野です。今の筒井委員の意見に私は真っ向から反対いたします。

 まず、Hファイル、重症度、医療・看護必要度をつけるために看護師が研修を受けて、そしていろいろとチェックをしていく。これをHファイルとして提出したときに、実は病院の中で何が行われているか。現実にはかなりの病院で医事系統の職員がEファイル、Fファイルのデータと突き合わせてみて、間違っていないかのチェックをかけているのです。この作業が実は膨大になります。

 Eファイル、Fファイルのデータというのは、今、電子カルテとかオーダリングですから、そういったところからすとんと落ちてきて、ですからかなり客観的なものがとれていると我々は判断しています。それに対して、看護師が研修を受けて。実は今、看護師が研修を受けているのではないのです。看護師だけでなくて、薬剤師、栄養士、いろいろな職種が研修を受けないといけないことになっていますね。看護師だけがつけていいというわけではないですから。

 この研修内容といいますか、この評価項目を私も改めて見直したけれども、すごく難しいです。毎回、手引を見ないと間違えるのではないかというぐらいに非常に難しいプロセスでこれをつけているということを考えると、このEファイル、Fファイルという客観的な再現性のあるデータを使っていくことにはかなり根拠があると思っております。ですから、Eファイル、Fファイルが正しいかどうかということをHファイルで検証するということは、むしろ邪道かと思います。

○武藤分科会長

 事務局、どうぞ。

○事務局

 5ページ目の記載の趣旨がわかりにくいというところが発端なので、少し補足させていただきたいと思います。

 今回、この中間まとめに来るまでに御議論いただいてきた過程をもう一度整理させていただきますと、今、7対1と10対1の一般病棟入院基本料の7対1の施設基準の基準値、施設基準の要件に重症度、医療・看護必要度が使われています。そもそも入院基本料の評価する指標としては、この必要度と平均在院日数と在宅復帰率があります。それぞれの性質が違いますねと。

 入院基本料の評価の指標は何か、どういうものがいいのかということで、我々は資料を準備させていただいて御議論いただいてきたと思っていまして、重症度、医療・看護必要度につきまして何を見ているかというのを分解しますと、A項目、B項目、C項目というものになっていて、これを使って該当患者割合を算出して、それを基準値に使っているということになっています。

 だから、今の定義がどうであるかということではなくて、もう現に使っているものですということです。それを踏まえて、AとCはよく見ると診療報酬の請求データが、今、EF統合ファイルがありますけれども、必要度でAの例えば呼吸ケアに該当した人が診療報酬の請求コードの何とかにも該当している、同じではないのはもちろんわかっているのですけれども、関連しているというものも一部ありますよねと。それであれば、EFファイルを使って該当患者割合を判定してみたときに、相関するのかどうかというのを分析してはどうでしょうかということについて議論していただいているという趣旨でございますので、そもそもEFファイルに入っているデータとか、必要度に入っているデータが、双方それぞれの該当性といいますか、そういったことを何かしようというのではないということでございます。

○武藤分科会長

 石川委員、どうぞ。

○石川委員

 今までの議論ですけれども、牧野先生がおっしゃるように、そういうふうにやっている病院もあるのですよ。ところが、やっていない病院もあるのです。ですから、それは全てではないので、一応そのことは言っておきます。

 5ページ目の5番目のポツで、「一定程度重なる部分がある」と2行目に書いてありますよね。これが最も適切な事実であって、その下のポツの「一方で」というところの文章、これは何を言っているかわからないのですけれども、特に最後の部分で、「診療報酬請求区分の選択の適切性を分析することに意味があるのではないか」、これは全くわからないのです。そこまでの上の部分はわかるのですけれども、いずれにしても一定程度重なる部分があるので、これで表現ができるのかどうかということをやってみようということですよね。だから、ここだけで言えばいいのであって、その下でどちらが作用してどちらの適切性を変えるようなことになるのではないかということは余り議論しないほうがいいと思うのです。

 以上です。

○武藤分科会長

 御意見ありがとうございます。

 牧野委員、どうぞ。

○牧野委員

 私もちょっと言葉が足りなかったのですけれども、今の石川先生の意見に賛同します。要は、もともと見ているものが間違いなくちょっとずれるのです。私がさっき、事務系がEファイル、Fファイルと突き合わせをかけていますよと言ったときに、実はもう一度事務系が突き合わせたものを看護師に返して、看護師のほうで重症度、医療・看護必要度のつけ方の基準に合致しているかを再度見直して、そして最終的なものをつくり上げている。そういったプロセスを実は行っています。ですから、当然、Eファイル、Fファイルと100%一致するということではないのです。

 ただ、今回の分析の中で、実際の患者像を見たときに、Eファイル、Fファイルで見た患者像、Hファイルで見た患者像、何が患者さんの重症度を把握しているのかということの検証も含めてやってみることに価値があるだろうと思っています。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 ほかにございますか。筒井委員、どうぞ。

○筒井委員

 Hファイルは、日々データであることは、ご存じだと思うのですが、EFファイルは1入院データの日々版になりますよね。ですから、私が先ほど申し上げたのは、現行のシステムにおいては、日々データでどういう患者さんがどのような状態でいたかという、その存在の内容を示しているのは「重症度、医療・看護必要度」によるデータだということです。 

つまり、サービスを生産しているときに、現場でデータを入手する手法としては「重症度、医療・看護必要度」しか、今はないのです。

現状では、EFファイルは結果として、患者さんがどういう状況、どういう診療行為とか、薬剤とか、そういうものが一入院データとして、まとめられて、診断名に応じてDPCで収集されるようになっています。しかし、これを現場で当日に把握することができる病院は、システムがよほどしっかり機能していない限り、同日日での確認はできないと思います。

 EF ファイルもHファイルも違うものをとっているということは、先生のご意見と同じです。同じですけれども、石川先生もおっしゃっておられましたが、病院の中でEFファイルとHファイルを分析しているという病院もあれば、やっていない病院もあります。これも事実です。

ですから、ここに書いてある中身は、先ほど石川委員がおっしゃったように、一定程度重なる部分があるというのは正しいと思います。

 それから、最後のポツで「必ずしも」以降ですけれども、「医学的な管理や看護の提供量を測定しているものではないため」というのも、診療報酬請求区分は請求にかかわるものなので、ここまでは別におかしくないのではないかと思うのです。

 先ほど申し上げたのは、EFファイルとHファイルを相互に見て検証しているというやり方をやるのであれば、「Hファイルのほうが、看護師の記録を基礎として評価がなされているので、当該日の患者の状態の詳細な変化のデータまで戻れますよ」ということを言っているのです。現在のシステムとしては、EFファイルは1入院データの日々版であり、「重症度、医療・看護必要度」という、本来の意味での日々データ、日内変動を含めた変化を示すデータとは、性質が大きく異なるということについては、今日、先ほども申し上げましたし、前回も申し上げています。

○武藤分科会長

 林田委員、どうぞ。

○林田委員

 今、EFファイルのデータの話が出ていますので、ちょっと整理したいのですけれども、EFファイルは基本的にオーダーが入ったときに、ただしファイルとしていつ作成されるのかというところからいくと正確には月単位だと思いますけれども、基本的には何月何日にどういうオーダーを行った、どういうことを行ったという日々のデータとして存在しています。そのため、ファイル作成のタイミングは当然月次ですけれども、データの生成、生成といっても厳密に言うと違いますけれども、どの単位でつくられているか、把握できるかという意味でいくと、1日単位で把握可能です。そういう意味でいくと、EFは月単位で、Hファイルは日単位だというと若干誤解があるのかなと思います。

○武藤分科会長

 ほかにございますか。牧野委員、どうぞ。

○牧野委員

 ちょっと話題が変わりますけれども、2ページの4ポツのところに病棟群に関する記載があるかと思います。「病棟群単位の届出状況をみると」と書かれているのですが、この病棟群に関して追加の記載をお願いしたいと思っております。

 病棟群というのは、もともと2年間の時限つきということで設けられた制度だと。ですから、病棟群というものが使いづらいという認識が病院の経営側からはあるわけです。そういったことを前提にしてのアンケート結果だということを書き加えていただきたいと思っております。

○武藤分科会長

 御意見、ありがとうございます。

 ほかにございますでしょうか。

 神野委員、どうぞ。

○神野委員

 おっしゃるとおりで、今の使い勝手で結論を出すにはちょっと問題があるのかなと思います。

 蒸し返して恐縮ですが、さっきの非該当の話だけれども、原理原則に戻ると、急性期とは何ぞやというのは、日によってすごく変化するのです。慢性期は、幾ら人工呼吸器をつなげたとしても、ずっと変化していないのが慢性期である。そういう考え方からすると、例えば慢性期も重症度、医療・看護必要度で計算すると結構高いよねという議論があるわけですけれども、それとは違うということを言っておかなければいけないし、急性期で日がわり、あるいは週がわりですごく病状が変化するのが急性期だとするならば、非該当になったり、該当になったりするのを繰り返しているのが急性期なので、だから、全部該当しなければおかしいという理論はおかしいですよねということをもう一回だけ強調しておきたいと思います。

○武藤分科会長

 牧野委員、どうぞ。

○牧野委員

 今の点に関して、私も全く賛同します。さっきちらっとおっしゃったのですが、例えば全身麻酔をかける手術のときに手術の前日に入院する、これは当たり前だと思うのです。当日入院して、さあ麻酔をかけましょうということにはならない。そうすると、入院当日はゼロ点になりますから、必ずゼロの日ができるのです。そして、さんざん変動してきて、ようやく落ちついた、ではもう退院していいですね、その日のうちに帰りますかといったら、そういうわけにはいかない。そうすると、家族に迎えに来てねというと翌日か翌々日になる。そこでまた1日、2日のゼロ点ができる。常にゼロ点ができる環境にあるということを御理解いただきたいと思っています。

○武藤分科会長

 本多委員、どうぞ。

○本多委員

 牧野委員の御意見にあるように、そのような事情は十分わかるのですが、非該当患者の患者像について詳細なデータは示されておりませんので、手術の前日や退院前日のため非該当となる患者がどれぐらいいるのかといったエビデンスをもとに議論していくためにも、もう少しデータを示していただきたいと要望しています。

○武藤分科会長

 それでは、急性期入院医療に関して、また後ほどこちらに戻ってきてもよろしいので、先に進めたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 次は地域包括ケア病棟、本編のページ数で7ページから8ページにかかるところです。地域包括ケア病棟に関して何かございますか。

 神野委員、どうぞ。

○神野委員

 地域包括ケア病棟の話の中で、今、大きく2つに分かれていて、自宅から来るのと急性期から来るという話をたしか論点で言っていると思うのですけれども、今までの議論の中で、自院の急性期から来るのと他院の急性期から来るのが分かれていたやに思います。

 皆さんの話を伺うと、自院に比べ、他院は手間暇がかかる。手間暇というのは変ですけれども、今まさに地域連携とか地域包括ケアの話をすると、連携しろということであるならば、他院との連携の地域包括ケアと自院から来る地域包括ケアは、もしかしたら若干違うのかなという考えもありなのかなと思います。その部分がどこなのかは、いつもの論点でいくと、すぐわかるのですけれども。

○武藤分科会長

 では、事務局、どうぞ。

○事務局

 今の御意見の部分は、本文でいうと7ページ目の下から2つ目のポツ、「自院の一般病棟から入棟した患者と、他院の一般病棟から入棟した患者とで、患者の疾患や医学的な理由等について比較分析したが、明らかな違いはなかった」ということですけれども、このデータには当然限界がありますので、出なかったが、違う要素もあるということを少し言葉を追加させていただいたほうがいいのでしょうか。

○神野委員

 恐らく手間暇論からするとちょっと違うような気がする。病状はきっとよく似た患者さんだと思いますけれども、その辺を同じように評価するのはちょっとかわいそうかなと思うところであります。

○武藤分科会長

 何かほかにございますか。

 牧野委員。

○牧野委員

 今の神野先生に追加の発言です。確かに、検査をするとか、医事に上るようなものでは余り変化がないといった結果が実はデータの上で出てきたのですね。ただ、実際に新しい患者が病棟にやってきて、そこで看護師さんがいろいろとチェックをしたり、医者がチェックをしたり、そういった診療報酬に出てこないところでの差というのは間違いなくあると私も思っています。

○武藤分科会長

 ほかにございますでしょうか。

 池端委員、どうぞ。

○池端委員

 8ページの2つ目、手術等に関する表現ですけれども、今回、平成28年度改定で、手術と麻酔が包括から除外されたが、3.5%の患者で入棟中に手術が実施されていた、その内訳云々とあります。このときにも意見が出たかと思いますけれども、この調査は前回診療報酬改定があって2カ月後の調査であるということで、いきなり体制をとって手術が入るということは極めて難しい状況の中でのデータということをどこかにつけ加えないと、ミスリードされてしまうような気がするので、何かその表現を一つ入れていただきたいと思います。

 これは、手術を包括対象から外したから、どんどん不要な手術ができるというものではなくて、地域包括ケア病棟に行きやすい、ある程度地域包括的な治療ができる病棟として、手術を外したことによって、よりパフォーマンスが豊かな地域包括ケア病棟にできるためのものなので、ここを外すような表現にはしてほしくないという気がするので、何か表現をつけ加えていただきたいと思います。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 ほかに御意見は。

 藤森委員、どうぞ。

○藤森委員

 関連して、資料編の88ページを見てみると、包括ケア病棟における手術の3.5%のうち、かなりが輸血だと思うのです。確かに輸血も診療区分は50なので手術ですけれども、ぱっと見て手術というと輸血は余り想定されないので、内訳を見るとまず輸血で、次が胃ろうだと思うので、輸血を外すとどうかなと思っています。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 ほかにございますか。

 では、事務局、どうぞ。

○事務局

 先ほど池端委員から、改定直後のデータだという御指摘があったのですけれども、この調査概要のところに示していますように、これは2810月のデータですので、一応半年はたっているということでございます。

○池端委員

 わかりました。

○武藤分科会長

 それでは、地域包括ケア病棟はよろしいですか。

 次に進みます。次は回リハ、8ページから9ページです。何かございますか。

○武藤分科会長

 よろしければ、また後で戻ってきてもよろしいので、次は慢性期入院医療、9ページから12ページであります。

 池端委員、どうぞ。

○池端委員

 10ページの「4-2.医療区分別の分析」の真ん中の「医療区分の該当項目数別の割合をみると、医療区分2と3共に該当項目が1項目である患者が7割以上あった。その内訳をみると、医療区分3では中心静脈栄養が、医療区分2では喀痰吸引(1日8回以上)が最も多かった」ですけれども、もちろん7割以上1項目だったのだけれども、一方で3割弱は2項目、3項目、4項目、いわゆる多数の2あるいは3の項目を抱えたより重度の患者さん、3割ぐらいを病棟で診ているのだということも逆に言えるのではないかということも、それをどう解釈するかは親会議に上げたいと思いますけれども、私が言いたいのは合わせわざ一本みたいな要素も入っているのだということをここに表現していただければと思います。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 ほかにございますか。どうぞ。

○池端委員

 もう一点、9ページの一番下のDPCデータ加算に関してですけれども、私もそういう発言をさせていただきましたが、最後に入れていただいた、「データ提出を強化すべきとの指摘がある一方で、療養病棟を有する病院は病床規模の小さい病院が多くデータ提出に対応するのは困難ではないかとの指摘などがあった」ということの先には、よりDPCデータをとりやすくするような項目の簡略化ということも検討すべきではないかということを、それは前向きに発言したいと思うので、そういうことをもし書き込めたら書いていただければと思います。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 事務局、どうぞ。

○事務局

 今の御意見ですけれども、15ページのデータ提出加算のところで少し御議論があった部分を書いています。「提出項目の概要」のところで3つ目のポツ、「なお、療養病棟を有する200床未満の病院では、データ提出加算を算定している病院が少なく、提出項目の簡素化など、200床未満の病院でもデータの提出が可能となるような工夫が必要ではないかとの指摘があった」と書いてあるので、ただ、療養病棟のことなので、前に再掲で書くというのも。では、前にも。

○池端委員

 どこか、たしかあったような。済みません。

○武藤分科会長

 それでは、次に行きます。12ページから13ページ、有診ですが、いかがでしょうか。

○武藤分科会長

 なければ、最後の「6.横断的事項について」に移ります。13ページから16ページまで、いかがでしょうか。

 武井委員、どうぞ。

○武井委員

 最後の15ページですが、そこに療養病棟のADL区分の測定のことが書いてあるのですが、以前にも地域包括とか回リハもB項目をとったらどうでしょうかということで意見をさせていただいたのですが、患者さんの入院してからの状態を把握するためにも、そこのところをぜひ入れていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

○武藤分科会長

 事務局、よろしいですか。

○事務局

 御意見ということで。

○武藤分科会長

 ほかにございますか。

 筒井委員、どうぞ。

○筒井委員

 14ページの真ん中あたりですけれども、退院支援のところで、今回いただいたパワーポイントにはないのですけれども、「関係機関等」という中で、介護支援専門員との情報のやりとりだけではなくて、今回は、とくに分析として自治体の分析もしていただいていまして、「自治体や関係機関等の連携」としていただけないかと思います。

○武藤分科会長

 確かにありましたね。ありがとうございます。

 ほかにございますでしょうか。

 牧野委員、どうぞ。

○牧野委員

 武井委員に質問です。回復期とか地域包括ケアでB項目もということですが、それは毎日つけることを求めているのですか。

○武井委員

 そこのところは、毎日ということではなくて、やはり病院の機能や状況はあるので、そこも含めて検討していただければと思っています。

○牧野委員

 わかりました。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。ほかにございますか。

 事務局、どうぞ。

○事務局

 1点確認ですが、参考資料223ページが提出項目の様式1の概要になっていまして、今、御意見をいただいたのは、たしかこの223ページで示している中に、ADLは入院時、退院時だけで、FIMが回リハ病棟だけで入棟時、退棟時になっていて、一方でB項目もあるのでといったような御意見だったと思うのですけれども、そういう流れで両方統一するという話を、本文の15ページの下から2つ目のポツのところに意見として書いているものですから、そういう趣旨も込みでということでよろしいのでしょうか。

○武井委員

 はい。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 ほかにございますか。横断的事項です。

○武藤分科会長

 なければ、全体にわたって御意見をいただきたいと思います。全体を見渡して、言い残されたこと等はございますか。

 石川委員、どうぞ。

○石川委員

 幾つか会議のときも言ったのですけれども、今回、データ提出加算とかそういったもので、次世代のいろいろなビッグデータとか、そういったところで入力しやすいようなことがだんだん準備されていると思うのですけれども、DPCの場合と慢性期の場合で、DPCデータをそのまま慢性期のところでのデータ提出にするというのは大変無理があるし、これから医療のビッグデータをつくるときに、もう少し変えなければいけない点は詳細にあるので、そういう検討も一方でしないと大変無理があると思います。

 特に、ADLの部分、FIMと言いましたけれども、これが本当にFIMでいいかどうかという問題があると思います。ゆくゆくは、入院、退院のところでやっているので、ここにも何人かそういう研究者がおられるように、ICFをもっと簡略にわかりやすくして、今までのFIMと関連性を持たせてやるという手法をぜひ厚労省のほうで考えていただいて、データ提出加算を豊かにしていくといったことをやっていただきたいと思うのです。それについては、後で課長がコメントしてくれるとありがたいと思います。

 それから、これもまた言ったのですけれども、急性期のところで医師養成がされているわけです。医者が育っているわけです。急性期の部分でもやはりADLについて、これから退院サマリーとかそういったものが義務化されるかどうかわからないのですけれども、そういったところで急性期をやっている若い先生方、これは医師養成のところでも、退院する患者さんのADLをきちんとつけるという癖を、特に牧野先生のところの研修病院とか、そういうところではきちっとそういう指導もするような形でやっていただけると、本当に流れがある患者さんの療養生活ができるのではないかと思います。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 神野委員、どうぞ。

○神野委員

 今、流れとして、この分科会としてはデータ提出、200床未満の回リハとか療養とか、一応全体の意見としては了承という流れではないかと思うのですけれども、医療課側からすると、超急性期から慢性期まで全部データが裸になる、流れが全部データがつながるというメリットというか、あるいは保険者側からするとメリットが出てくると思うのだけれども、逆に今のDPCは、私たちは単なるお金の話だけではなくて、患者の分布とか、よその病院とのベンチマークにそのデータを利用させていただいているということも、医療の質を保っていくためには非常に大きいわけです。なので、私としてはデータ提出を広げていただいて、そのデータのもとで今のDPC病院の急性期だけではなくて、回復期とか慢性期のいろいろなデータ解析にも私たちが使わせていただくという形をとっていくならば、データ提出が広がることに対しては非常にメリットが大きい話なので、データ提出の範囲を広げるとするならば、ほかのDPC病院と同じような情報公開を求めるというふうに思います。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 筒井委員、どうぞ。

○筒井委員

 DPCデータを小さい病院にもお願いするということで、そういうデータが集まってくるというのは医療行政にとってはいいと思うのですが、先ほど、あまり通じてないと思いながら聞いていたのですが、結局、データの意味が違うというか、違う視点でとられたデータというのも一緒に持っておかないと評価はできなくなってしまいます。

例えば、「重症度、医療・看護必要度」のデータは、DPCデータとは、測定している内容が違います。これは、先ほども申し上げましたけれども、診療報酬請求区分として出てきたデータと「重症度、医療・看護必要度」というデータは、同じものをはかっていないというところが重要で、これらを分析することによって、DPCデータの精度を高めるということも可能になると思うのです。

 現場のデータは、大変、貴重なデータです。普通は、なかなか蓄積していくことが難しいので、こういうデータは大事にしていただいて、繰り返しになりますが、診療報酬請求区分が適切に選択されているのかといったことについて、「重症度、医療・看護必要度」のデータと重ねて検証するということを検討してほしいと思います。

このような別の観点から収集されたデータは、これは先ほど石川先生がおっしゃったようなICFというものも同じですが、別の観点から、別の評価軸のデータを同時に集めていくことが必要だということをぜひ書いておいていただきたいと思います。

○武藤分科会長

 牧野委員、どうぞ。

○牧野委員

 私も、一部筒井先生の意見に賛成します。確かに、別の2つの観点からデータを比較するというのは大変大事なことです。ですから、データが1本しか出てこないと、それが正しいかどうかという判断ができない。これは正しいと思うのです。

 ただ、データの精度を上げようとすればするほど手間がかかるということも事実で、そういったデータをとる際に、現場の負担をいかに軽くするのか、そういった配慮をした上で集めるということも大事かと思います。

○武藤分科会長

 菅原委員、どうぞ。

○菅原委員

 ありがとうございます。

 記載の確認というか、本当にこういうことが言えるのかどうかの確認です。8ページ目の回復期リハのところの2ポツ目です。文章で言うと、「回復期リハビリテーション病棟入院料1から3」云々で、「リハビリテーションの提供量をみると、患者の状態、年齢、日常生活動作」云々と書かれているのですけれども、資料編の例えば95こま目、97こま目を見ると、文章の主語が「提供量をみると」となっているのですけれども、今回、この資料の中に提供量で横串を刺している病棟入院料1から3の資料が入っていないので、ちょっと確認したいのですが、リハビリテーションの状態像というか、患者の状態とか年齢というのは資料の中でかなり明確な特徴があって、入院料1、2、3とも高齢者の利用が多くて、1のときは脳梗塞の患者が多くて、2、3は骨折・外傷が多いというのが、95こま目とか97こま目のスライドを見るとかなり明確になっていますよね。つまり、提供状況を見ると、かなり明確な使われ方の特徴が出ていると思うのですけれども、この書き方だと、「リハビリテーションの提供量をみると」云々という部分が、そこら辺の整合性から文章としておかしいような気がするのですけれども、いかがでしょうか。

○武藤分科会長

 事務局、どうぞ。

○事務局

 確認ですが、8ページ目の一番下の「3-2.リハビリテーションの提供状況」の記述の中の、先生が提供量とおっしゃっているのはどこの記述になりますか。

○菅原委員

 2ポツ目の文章の中の1行目から2行目のところに、「リハビリテーションの提供をみると、患者の状態、年齢」云々と文章が続いていますよね。8ページの3-1です。

 今回の文章自体は提供量が主語になっているのですけれども、「提供量でみると」という、その提供量を横串に刺している資料が出ていないのです。ただ、95こま目、97こま目、それから111こま目あたりを参考にすると、回復期リハの提供状態というのは割と明確な特徴が出ていて、高齢者が多くて、1、2、3の中に骨折・外傷と脳梗塞という差が出ていたという議論したような記憶があるのですけれども、この記述で正確でしょうかという質問です。

○武藤分科会長

 事務局、どうぞ。

○事務局

 確かに事務局で起こしたところであるのですけれども、「提供量」という言い方は特段意図を持ってしたわけではないので、委員御指摘のとおり、「提供状況」のほうがより適切だと思います。

○菅原委員

 そうすると、提供状況だとすると、この記述は適切ではないと思います。「様々」ではなくて、あえて言うと、9597を見ると「特徴があります」という記述をされているので、ここは訂正しないとまずいと思います。

○事務局

 ありがとうございます。

○武藤分科会長

 ほかにございますか。

 田宮委員、どうぞ。

○田宮委員

 包括的な意見になってしまうと思いますけれども、今のDPCと看護の必要量の議論ですけれども、今、確かに非常に違うものをはかっているというのは事実だと思うのです。看護の必要量をはかるのもとても手間がかかっているので、何とかしなければいけない。それも事実です。

 でも、やはり診療報酬の評価というのは適切に必要で、手間がかかっているものに対しては評価するのが本来なので、違う軸で評価している今だけれども、本来、両方を含めて、プロセス評価も含めた、いい評価に向かっていくのが求める姿なので、そういうことを意識して、どっちをどっちに近づけてどうのというのではなくて、見直していくちょうどそういう機運になってきているので、どんなに差があるのか、またはこれは一致するのかとか、そういうフラットな目で見てよりよい評価につなげていくという方向で考えればいいのかなと一つ思いました。

 もう一つ、DPCのようなものをほかからも提出とありましたけれども、それもDPCがいいのかどうかわからないですけれども、データとして患者さんの流れを評価して見ていくというのは非常に重要なことなので、これからデータヘルスとかどんどんいく中で、全ての病棟の流れが重要です。そして私がお願いしたいのは介護なのです。ここは介護のことを議論する場でないのはわかっていますけれども、老人ホームから入院して、また老人ホームに帰るとか、そういうことが非常に多いのです。今、医療と介護は全く仕組みが別ですので、御存じのように、なかなか名寄せして一括して考えることができない。

 これは最後だからお話ししますけれども、もっと広い目で、例えばマイナンバーとかもありますし、いろいろ議論が必要なのはわかっていますけれども、本当に適切な評価をするためにはそこもつなげて、本当の患者さんの流れと必要度をはかるようにしていただければと思っています。コメントです。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 ほかに全般を通じて。

 藤森委員、どうぞ。

○藤森委員

 DPCがやり玉に上がっているので、弁解ではないですけれども、混同していただきたくないのは、DPCというのはいわゆる手でつくる様式1という患者情報の部分と、日々の医療行為の医科点数表上に規定されている医療情報の積み上げのEFファイルから成っている。EFファイルは医科点数表に規定されている医療行為を要件に満たした場合のみ算定で、かつ、カルテに書いた場合のみ算定できるという性質のものですから、決して不正確であるはずがないものなのです。ですから、そこは不正確であるという議論があったのかもしれませんが、それは違うでしょうと言っておく必要があるのかなと。

 それで、A項目を見ると、これは確かにとっている側面は違うにしても、A項目の精神は、投入された医科点数表上に規定されている医療内容で代替し得るのだろうと、我々臨床医から見ると見えますので、ぜひそこは詰めていただきたいと思っています。

 それでもどうしてもとれないもの、確かにケアとか観察はとれませんので、それはぜひB項目をもっと充実させて、そこを特化してつくっていくと非常にいいものになるのではないかと思っています。

 あと、本文の15ページのほうで、療養病棟や回復期で全てのEFファイル、いわゆる医科点数表上の今ばらばらになってものを全部引き起こして書けというのは、かなり大変な作業になると思いますので、様式1だけではなくて、EFファイルの中身も少し考えていくということを書かないと、これだけと何となく様式1だけ簡素化するみたいに読めるのですけれども、どこまで求めるのかということが必要だろうと思います。

 以上です。

○武藤分科会長

 ありがとうございます。

 ほかに全体を通じてよろしいですか。

 それでは、きょういろいろいただいた御意見を踏まえて、特に重症度、医療・看護必要度、5ページ目の上からの4ポツ目、それから6ポツ目のあたりの書きぶりはまた事務局とも相談して修正していきたいと思います。

 それでは、医療課長、どうぞ。

○医療課長

 ありがとうございます。半ば御指名もございましたので。毎回毎回、大変勉強になりまして、有意義な御議論をありがとうございます。

 石川委員が口火といいますか、おっしゃっていただいたエビデンスを収集していくという流れは、特に診療報酬に限らず医療の分野全般がそうだというのが大前提で、これはおっしゃるとおりだろうと思います。

 その上できょうの御議論をお聞きしておりまして感じることは、まず、軸が2つありまして、結局何に活用するためのデータなのか、どう活用していくのかということが一つの大きな軸になっているような気がいたします。ここで御議論いただいているのはもちろん診療報酬を前提としたものですけれども、さらなる活用とか、ベンチマーキングともおっしゃいましたし、もう少し広がりのある視点はあり得ると思いますので、議論をしていただいて最終的には形にするわけですけれども、形にする過程においてはそこをはっきりしていくことが必要なのかなというのが一つ感じたことでございます。

 もう一点は、それを考える上でやはり相反するニーズがあるわけで、より広く、より普遍的で、より活用範囲が広くということを考える、横軸でというような考え方がありますし、一方で、それをやると、急性期から一気通貫で同じ項目ということになりかねません。したがって、弾力性がないので、帯に短したすきに長しということになり得るので、そこはトレードオフなのだろうと思います。結局、そういったことのバランスをよく考えることが必要なのかなと改めて感じたところですので、そういったことを最終的に形にするときによく整理をさせていただきたいと思っております。

 3点目、結局、そういったことを考えて、田宮委員がまとめていただいたようなところですけれども、やはり今回のこの議論はいい機会だろうと思いますし、目の前に30年改定を私ども事務局は抱えているのですが、30年改定に向けてなすべきことをしっかり整理しつつ、よりよきものにしていくということは一方で必要でございますので、そのこと自体は引き続き、体制が変わろうとも、改定がその先も続くわけですけれども、今回の改定に限らずよりよきものにしていくということをしっかり意識してやっていく必要があるかなと。

 横軸につなげるというのは、項目自体を共有化するという視点もありますけれども、田宮委員がおっしゃったように、ひもづけの問題で解決できるところもありますので、そういった技術的なことも含めてしっかり検討を進めていきたいと思っております。御指摘、ありがとうございました。

○武藤分科会長

 ありがとうございました。

 それでは、きょうの御意見を踏まえて、必要があれば修正を加え、そしてこれを基本問題小委のほうに御報告させていただきたいと思います。細かい文言の修正に関しては、座長に一任していただければと思います。

 本日の議題は以上ですけれども、次回の日程については、また事務局のほうから追って連絡があると思います。

 それでは、平成29年度第8回の「診療報酬調査専門組織(入院医療等の調査・評価分科会)」をこれにて終了させていただきたいと思います。御協力、どうもありがとうございました。

 


(了)

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