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2017年11月15日 第3回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議

○日時

平成29年11月15日(水) 16:00~18:00


○場所

厚生労働省共用第6会議室(3階)
東京都千代田区霞が関1-2-2


○出席者

出席委員

五十嵐委員、乾委員、上村委員、小縣委員、柿田委員
笠貫委員、門田委員、黒木委員、黒野委員、佐藤委員
鈴木委員、宗林委員、部坂委員、矢口委員、湯浅委員

出席参考人

伊藤参考人、近藤参考人、竹島参考人、寺内参考人、平山参考人、宮崎参考人、村上参考人

○議題

1.スイッチOTC医薬品の候補となる成分の要望状況について
2.パブリックコメントを踏まえたスイッチOTC化の妥当性について
2.要望品目のスイッチOTC化の妥当性について
3.その他

○議事

○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長

 それでは定刻になりましたので、ただいまより、第3回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議を開催いたします。本日はお忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。本日は杉山委員より御欠席との御連絡を頂いており、現在15名の先生に御出席を頂いております。また、要望品目のスイッチOTC化の妥当性について議論するに当たりまして、関係する学会・医会から参考人としてお越しいただいていますので、御紹介いたします。座席表の裏面の委員名簿も併せて御確認ください。

 資料5-1、資料5-2の関係で、東京医科歯科大学大学院女性健康医学講座教授 寺内先生です。同じく公益社団法人日本産婦人科医会常務理事 宮崎先生です。

 資料9の関係で、近藤医院院長 近藤先生です。富永病院副院長 竹島先生です。日本大学医学部脳神経外科教授 平山先生です。

 資料10、資料11の関係で、横浜市立大学大学院医学研究科発生成育小児医療学主任教授 伊藤先生は後ほどお越しになられる予定です。

 資料12の関係で、順天堂大学大学院医学研究科眼科学講座 教授村上先生です。村上先生も後ほど御到着になられる予定です。

 以上の先生方に御出席を頂くことになっております。座席表等の関係で、議題に入るタイミングで先生方に席の入れ替えをしていただきますので、あらかじめ御承知おきください。

 カメラ撮影はここまでとさせていただきます。それでは笠貫座長、以降の議事進行をよろしくお願いします。

 

○笠貫座長

 それでは第3回の本会議の議事進行を務めさせていただきます。よろしくお願いします。はじめに本日の配布資料について事務局からお願いします。

 

○事務局

 それでは配布資料の確認をさせていただきます。本日席上に座席表、座席表の裏面に委員名簿、議事次第、議事次第の後ろに配布資料一覧を入れております。

 資料1、評価検討会議における検討の進め方。資料2-1、スイッチOTC医薬品の候補となる成分の要望状況について(平成28年度要望)。資料2-2、同じタイトルですが、平成29年度要望というものです。パブリックコメントを踏まえたスイッチOTC化の妥当性に関する資料として、資料3-18です。こちらはホチキス止めでひとまとまりにしているものです。要望品目のスイッチOTC化の妥当性に関する資料として、資料9がリザトリプタン他です。資料10がクリンダマイシンリン酸エステルです。資料11はベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステルです。資料12は、ヨウ素・ポリビニルアルコールです。

 参考資料として、ひとまとめで参考資料14をお配りしております。本日追加で、当日配布資料として、眼科用薬製造(輸入)承認基準での効能・効果についてという1枚紙をお配りしております。

 机上配布資料1として、スイッチOTC医薬品の候補となる成分の要望理由について、取りまとめた資料です。机上配布資料2は、資料5-2の参考資料として配布しております。机上配布資料1及び2については、机上のみの配布とさせていただいておりまして、傍聴席の方には配布しておりませんので、あらかじめ御承知おきください。なお、机上配布資料1については、前回の会議におきまして、各成分の要望理由を確認したいとの御意見を頂いたこともありましたので、前回と今回御議論いただく各成分の要望理由を取りまとめた資料となっております。各成分を議論するに当たりまして参考にしていただくものですが、一部に企業情報が含まれており、クリティカルな部分は黒塗りにしております。具体的内容についての御発言には御留意いただけますよう御協力をお願いします。

 本日は、紙媒体での資料のほかに、席上にタブレットを用意しております。タブレットの中には、前回の会議で使用した資料を保存しております。資料3-18を御議論いただく際に、前回資料に戻る必要がある場合に御活用いただければと思います。タブレットの操作説明については、机上にカラー印刷で用意しておりますので併せて御確認いただければと思います。画面には、前回資料の3番のヒアルロン酸ナトリウムが表示されております。参照しているほかの資料に切り替える場合は、画面下に表示されているフォルダアイコンに触れていただいて、開きたい書類、例えば前回資料4であれば、前回資料4の書類アイコンに触れていただくと切り替えることができます。操作説明等、分からない点がありましたら、事務局職員がサポートいたしますので、御遠慮なく手を挙げていただければと思います。

 また、会議資料をめくる場合は、操作説明書の表面の下のIIですが、画面を触れたまま上下にスライドする、画面の上に表示される矢印マークに触れる、ページ番号を指定して表示するのいずれかの方法で資料をめくることができます。操作説明書の裏面、IIIの資料の拡大縮小ですが、2本指を使って、指の間を広げるか、+-のマークに触れることで拡大縮小ができます。最後に資料の向きですが、表示する資料によっては縦置きが見やすい場合と、横置きが見やすい場合があるかと思いますので、画面の向きを変えると、それに対応した形になりまして、適宜御活用いただければと思います。タブレットについては、ペーパレス開催に向けて次回も取り入れていきたいと思いますので、お帰りの際、お手数ですが、お手元のアンケートの御記入に御協力いただければと思います。少々長くなりましたが、本日の資料関係の説明は以上です。過不足や御不明な点等ありましたら、事務局までお申し付けください。

 

○笠貫座長

 資料の御確認をしていただきまして、過不足がありましたらお知らせください。よろしいですか。それでは、前回会議は昨年の726日に開催しておりますが、事務局からその後の進捗について御説明をお願いします。

 

○事務局

 それでは議題1の関係です。資料1、スイッチOTCの候補となる成分について、要望を受け付けた昨年から本年までの要望状況等や、検討の進め方について取りまとめたものです。前回もお配りしておりますが、今回変更点は資料左上の「要望件数」をアップデートしたところです。平成29年度の要望件数について、前回4件と御報告しておりましたが、3件追加がありまして7件となっております。詳細については資料2で説明いたします。裏面も同様の点の修正のみとなっております。

 資料2-1は、平成28年度の要望状況を取りまとめたものです。4ページまでは前回から特に更新はありません。5ページは、各成分の進捗状況を矢印でまとめたものです。前回御議論を頂いた5成分については、パブリックコメントが終了しておりますので、本日、2回目の御議論を頂くこととしております。また、No.49のトリプタン系の薬剤、No.10のクリンダマイシン、No.11のベタメタゾン、No.16のヨウ素・ポリビニルアルコールについては、医会・学会の見解が揃い、議論の準備が整いましたので、本日1回目の御議論を頂くことにしております。またNo.121317のオメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾールの3成分については、本日関係団体の先生方の御都合が合いませんでしたので、次回の検討会議で御議論を頂ければと考えております。それ以外の成分についても、現在準備段階のものですので、準備が整い次第、御議論を頂く予定です。

 資料2-2については、平成29年度の要望状況を取りまとめたものです。1ページについては、前回から特に更新はありません。2ページですが、新しく3件の要望が来ております。レボセチリジンが鼻炎、皮膚炎の効能・効果、ナプロキセンが各種鎮痛の効能・効果、プロピベリン塩酸塩が頻尿の効能・効果で、個人及び個人以外の方から御要望を頂いております。進捗については3ページです。いずれも、現在準備段階のものですので、今後準備が整い次第、検討会で御議論を頂く予定です。資料の関係については以上です。

 

○笠貫座長

 資料12の関係について事務局から御報告を頂きましたが、御確認いただきましたか。よろしいですか。それでは、続きまして前回議論した成分についての議論に移ります。1成分ずつ事務局より御説明を頂き、議論をしていきたいと思います。資料3の御説明をお願いします。

 

○事務局

 資料3-18までセットになった資料をお手元に御用意いただければと思います。こちらの資料番号の付け方は、各資料の枝番の1となっているのが、前回の会議で御議論を頂いた結果です。例えば、資料3-2であれば、枝番の2が付いているものがパブリックコメントの概要をまとめたものです。1ページ、資料3-1、ヒアルロン酸ナトリウムの検討会議の結果(案)となっております。前回の資料を確認したい場合は、タブレットの前回資料の3を併せて御確認ください。

 前回会議では、ドライアイについては、OTCとしての効能・効果としては認められないとされましたが、その他の目の症状の緩和というところで、OTC化は「可」とされております。

 資料3-2、ヒアルロン酸ナトリウムの関係ですが、パブリックコメントを行った結果、7件御意見が提出されております。No.1の所で、効能・効果は一般用医薬品・眼科用薬承認基準(人工涙液)で規定された範囲に限定すべきという御意見を頂いております。本日、当日配布の横の1枚紙で、どのような承認基準かというものはお配りしております。具体的には、要望のあった「まぶしさ」や「充血」の効能・効果については慎重に検討すべきではないかという御意見です。コメントの5番のコンタクトレンズを装着しているときの異物感という部分については、一般用医薬品・眼科用薬承認基準の人工涙液に合わせて、コンタクトレンズを装着しているときの不快感とすべきではないかといった御意見などを頂いております。説明は以上です。

 

○笠貫座長

 パブリックコメントで頂いた御意見について、柿田委員からコメントをお願いします。

 

○柿田委員

 眼科の柿田です。拝見したところ、特に言っていることは間違ってはいないと思いますので、それに即して少し変更することは全然問題ではないかと思います。もともとは人工涙液の効能・効果、当日配布資料ですが、ヒアルロン酸もこれにほとんど準じるような扱いで全く構わないと思います。よろしくお願いします。

 

○笠貫座長

 柿田先生から御意見を頂きましたが、他の委員の先生方から御意見はありませんか。そうしますと、パブリックコメント等の御意見を踏まえて、「まぶしさ」「充血」については、削除ということでよろしいですか。

 

○柿田委員

 「充血」に関しては、少し意見があるみたいなのでお願いします。

 

○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長

 充血については、一般用医薬品の承認基準の人工涙液の書き方に倣って削除ということで、先生方で御異論がなければ、それでよいかと思います。

 

○笠貫座長

 よろしいですか。この効能・効果を基本とするに関して、他に先生方から御意見はありませんか。特にないようでしたら、ヒアルロン酸ナトリウムのスイッチOTC化については、再度ここで確認をさせていただきたいと思います。OTC化については、前回の会議結果から変更はありませんが、パブリックコメントで頂いた効能・効果の部分については、承認基準に規定される効能・効果との整合性を図ることとして、OTCは「可」ということでよろしいですか。

 

○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課長
 1点だけお願いします。「コンタクトレンズを装着しているときの異物感」という表現は、パブコメで、そこは「不快感」という、承認基準の言い方がそういった形になっていたかと思います。そういった表現に直すことも含めてでよろしいですか。

 

○柿田委員

 そういう意味で、先ほどコメントしたつもりです。言葉足らずで申し訳ないです。

 

○笠貫座長

 分かりました。ということの御確認を頂きました。特に議決は取りませんが、皆様の合意を得られたということで、スイッチOTC化ということで確認させていただきたいと思います。続きまして、資料4の説明をお願いします。

 

○事務局

 3ページ、資料4-1が、前回のレバミピドの検討会議結果です。前回会議では、効能・効果から胃潰瘍を削除するとして、OTCとして適切な効能・効果とすることでOTC化は「可」とされております。
4ページ、資料4-2、パブリックコメントを行った結果、4件意見が提出されております。内容を見ますと、OTC化に賛成の旨の御意見という結果でした。説明は以上です。

 

○笠貫座長

 パブコメの結果も含めて、御意見はありませんか。よろしいですか。それでは、レバミピドのスイッチOTC化について、再度御確認をさせていただきます。OTC化については、前回の会議結果と変更なく、OTCは「可」ということでよろしいですか。ありがとうございます。続きまして、資料5の説明をお願いします。

 

○事務局
 5ページ、資料5-1、レボノルゲストレルの前回会議の結果です。前回資料を確認したい場合は、タブレットの前回資料の5を併せて御覧ください。前回会議ですが、5ページ目に記載されたような理由からOTC化することは認められないとされたところです。6ページ、資料5-2、パブリックコメントを行った結果、348件の御意見が提出されております。OTC化に反対との御意見が28件、OTC化に賛成との御意見が320件です。この320件の中には、対応策を講じれば将来的なOTC化に賛成といった御意見を含んでおります。実際の御意見ですが、机上配布資料の2「資料5-2参考」として配布しておりますので、併せて御確認ください。事務局の方で、主な御意見を67ページに取りまとめておりますので御紹介します。

6ページの「OTC化に反対」との御意見の部分です。効能・効果に関して「緊急避妊」とありますが、受精卵を着床し難くすることは、中絶であると考えるのではないかといった倫理的な観点からの御意見。避妊等に関する知識が、他の先進国と比較して低い、また、薬局薬剤師における産婦人科領域の薬剤の知識も十分ではないといった御意見。それから、病院に行きにくい人が薬局であれば来られるのかが疑問といった御意見。必要なことはOTC化ではなく、緊急避妊薬の一般への知識を高め、必要時に受診するサポート作りではないかといった御意見。さらに、不確実な避妊方法を繰り返す人が増える可能性があるといった観点から、OTC化に反対との御意見が提出されております。

 一方でOTC化に賛成との御意見です。東京オリンピックを機に、多くの観光客が来日した際に、緊急避妊薬を受診でしか購入できないという事実を知ることになれば、我が国における医療の在り方について、諸外国から疑問を呈されるのではないかといった御意見。避妊薬にいつでもアクセスできることは女性の権利であるといった御意見。本邦における人工中絶の件数は17.6万件と多く、これらの負担を少しでも減らすために必要ではないかといった御意見。産婦人科医の労働環境を改善するためにも市販化を望むといった御意見。未成年者を含む若い女性にとっては、産婦人科の来院のハードルが高いといった御意見。2016年の最新データでは、緊急避妊薬の女性の認知度は50%を超えているといった観点から、OTC化に賛成といった御意見が提出されております。

 さらに、OTC化に当たっての対応策に関する御意見をまとめております。薬剤師の質の向上に加えて、コンサルティング薬剤師を常駐させ、対応できるようにすればよいのではないかといった御意見です。産婦人科において、緊急避妊薬の使い方の指導を受け、認定カードが発行された方のみ購入できるようなシステムにしてはどうかといった御意見。患者さんが、リラックスして話せるような環境を整えるべきといった御意見。乱用防止のために購入したその場で服用させるべきではないかといった御意見。一般用医薬品となると、ネット販売で購入できてしまうため、薬剤師による対面販売を義務とする要指導医薬品に留めた方がいいのではないかといった御意見。販売店をホームページなどで検索できるようにし、掲載されている店舗で常時在庫しておく等の取り決めを作ればいいのではないかといった御意見。医療用医薬品と同様に、適正使用ガイドライン策定などを設けることを検討すべきではないかといった御意見が出されております。机上配布資料の2に全意見をお示ししております。説明は以上です。

 

○笠貫座長

 パブリックコメントで頂いた御意見を含めて、レボノルゲストレルのスイッチOTC化について、参考人として御出席の寺内参考人、宮崎参考人から御意見、補足がありましたらお願いします。よろしくお願いします。

 

○寺内参考人

 東京医科歯科大学産婦人科の寺内と申します。前回の会議に出席された国際医療センターの矢野先生の御都合がつかないということで、日本産婦人科学会の一員として代理で出席させていただいております。

 パブリックコメントをいろいろ拝見して、この問題に関して、様々な立場から様々な御意見があるということを非常によく理解できた次第です。特に、リプロダクティブヘルス/ライツの観点から、OTC化を望まれる声が非常に多く寄せられているということに関しては、私どもとしても真摯に受け止めていく必要があるかと考えております。

 一方で、産婦人科を受診して緊急避妊薬を要望された場合、非常に不愉快な思いをされたというパブリックコメントも多数お見受けしましたので、こういった点に関しては、早急に私どもとしても改善をしていけるものはしていきたいと考えております。ただ、スイッチOTC化ということに関してですが、この薬効成分に関しては、非常に複雑な問題が背後にいろいろあると感じております。例えば、緊急避妊という手段を取る以前の、妊娠や避妊といったこと全般に関わる啓発や情報提供及び診療を、今後どのように行っていくかという問題。それから、薬剤に関しては、有効性が80%程度とされておりますので、本薬剤が意図する効果を発揮しなかった場合に、出ている意見ですが、自然妊娠に対する診断や治療を遅滞なく行うことができるか、あるいは人工妊娠中絶などの処置を遅滞なく行うことができるかどうかという、そういう重大な問題も背後にあります。

 また、緊急避妊のやむなきに至った背景として、性暴力の問題等が存在する可能性もあり、そのような場合には、社会的な対処が必要となる可能性もありますので、本日の議題に上がっているような他のスイッチOTC化を検討される成分とは少し複雑性が異なっているように感じますので、今後はそういった全てのことを含めて、我が国における避妊に関する情報提供と診療ということを学会・医会はじめ、いろいろな関係者の方々とともに大きな枠組みの中で進めていくべきことではないかと感じております。今回この会議で、例えば、拙速にスイッチOTC化するということはやはり難しいのではないかと感じております。以上です。


○笠貫座長

 ありがとうございます。宮崎参考人、よろしくお願いします。

 

○宮崎参考人

 実はびっくりするぐらいの賛否が来ているのだという実感をいたしました。ただ、読ませていただくと、結局ここの部分に関しては、女性の権利という部分をどのように国全体が考えるかということにかかってくるのではないかと思います。ですから、例え動機がどうであろうとも、この国の形としてどのような女性の立ち位置があるのかということを、しっかりと協議した上で考えていかなければならない問題ではないかというのが、個人的な感想です。

 昨日も常務理事会があり、どうしようかという話をしたのですが、性急すぎるというのが医会内のコンセンサスです。ただし、一部の先生には当然、例えば性暴力に遭ったような場合の女性に関しては、逆に言うと、販売というよりは、国がただで保障してあげるぐらいの配慮があってしかるべきであるというような考え方をなさる先生もいらっしゃいます。ですから、OTCそのものという考え方であれば、現時点では性急すぎるのではないかと医会全体としての考え方はそのようでございます。

 

○笠貫座長

 ありがとうございます。他の御意見はございますでしょうか。

 

○佐藤委員

 この薬に関してだけではないのかもしれませんが、要望を2つ申し上げます。私は今回のOTC化しないという結論については、ここでの多くの方の御意見に賛同したいと思います。その上でのお願いです。

 今回少し気になったのは、先生方の御懸念が薬そのものの安全性であるよりも、むしろ患者の理解であるとか、薬剤師の知識や理解の不足などといった、環境や使われ方への御懸念が多かったことです。もちろん市販薬ですから、そうした要素があることは不可欠だと思います。ただ、中にはこういった薬を使える患者や薬剤師もいるだろうことを考えると、そういった方たちにとっては、日本で使えないのは不都合だということになります。

 前回の検討会の議論を振り返ると、学会や医会の先生方から、「薬剤師への教育や説明能力の向上が必要」「薬剤師に生殖や避妊、緊急避妊に関する専門的な知識を身に付けてもらうことが重要」という意見がありました。こうした教育や指導を、もしかしたらこの薬に限らずなのかもしれませんが、是非実際に始めていただけないかと思います。これが要望の1つです。

 なぜそういうことを申し上げるかと言いますと、OTC化が不適当とされた薬が今後どうなるかという出口については、まだ決まっておりません。一般の人が要望を出す仕組みであること考えると、再び同じ薬の要望が上がってくることが考えられます。

 来月、再来月に、同じ薬について再び検討するのは適当でないと思いますし、かといって金輪際検討しないというものでもないと思います。特に今回皆さんの間で御懸念が大きかったのは、環境に関するものでした。この環境が整わないから出せない、環境を整える努力もないということですと、ずっと出ないままだということになります。環境が整えられるかどうか、恐らく薬剤師の理解については、この薬に限っては非常に大事なことだと思いますので、そういった御努力を頂ければ有り難いと思います。

 もう1つは事務局への要望です。この薬については「OTCではなく、Behind the Pharmacy Counterの扱いにすべき」「一定期間後にネット販売される現状では反対せざるを得ない」というような意見がありました。今日議論される薬の中にも、同じように販売時の制約をある程度掛けることができれば、患者の利便性が上がるのかもしれないと思える薬がありました。例えば薬剤師の目の前で1錠だけ実際に飲むことを確認するような薬の出し方ができるのかできないのか、併せて御検討いただければ有り難いと思います。以上です。

 

○笠貫座長

 薬剤師の対応のことを含めて、乾委員からお願いいたします。

 

○乾委員

 日本薬剤師会の乾です。今、佐藤委員が発言された内容については、環境整備の中に薬剤師の教育、研修等の産婦人科領域について、まだまだ十分にできていないのではないかという御懸念がありました。そういうものについては、しっかりと真摯に受け止めまして、日頃から当然ながら医療従事者として、特に処方箋調剤等では、こういう産婦人科領域の薬も当然ながら調剤し、服薬指導を行っております。それゆえ、できていないという懸念を払拭するために、具体的に今後、今までも日本薬剤師会は生涯教育研修制度等でいろいろと薬剤師は研修し、各都道府県においても同じようにやっているところですが、そういうことをしっかりと環境整備の中の懸念の1つが払拭できるように、しっかりとやっていきたいと思います。

 また、制度に関しては、繰り返しになって申し訳ございませんが、やはり対面で薬剤師が販売し、情報提供、服薬指導をしなければならない成分というものがあると考えますので、是非製品のリスク区分が要指導医薬品に留まるような制度を構築していただきたいと希望いたします。

 研修制度についても、今までも医師の先生方にいろいろと協力いただきながら進めているところもありますし、その辺についても今後しっかりとやっていきたいと考えています。以上です。

 

○黒木委員

 中毒情報センターの黒木です。今回の結果に関しては、OTCとすることはできないということで賛成です。しかしながら、今後の環境整備によっては考えていく。薬剤師の知識のアップと同時に、懸念しているのは先ほど御発言があったように、緊急避妊ということについては、性的な暴力の問題等があると思うのです。

 薬局でお薬を買って、その薬について説明を受けたから、それで患者はいいかというと、かなりメンタル的なフォローも必要になってくるかと思います。そういう意味では、産婦人科を受診できるような社会環境を整備して、きちんと緊急避妊すると同時に、メンタルの面もつないでいくような体制、OTCになったとしても薬剤師がメンタルに関してもアドバイスできるような体制というものが重要かと思います。

 

○宗林委員

 宗林です。それほど違わない意見なのですが、今回スイッチ化しないということについては特段反対するものではありませんが、この「使用できる環境整備」という言葉の中に、例えば避妊の啓発という全体の話もありましたが、それ以外に具体的に今の仕組みの中ではできない、どこか変えなくてはいけない、薬剤師のインターネットでの販売ができない、対面販売に限るという要指導薬ではないですが、そういうような枠組みに入れることができるのかとか、今、黒木委員もおっしゃいましたが、それとはまた違った意味で、有効性が100%ではないということで、その後にすぐに産婦人科にかかるというような連携をするというところも、この薬については特にそういうようなことをする仕組みというものが必要だと思います。

 それに加えて、今、薬剤師会からお話がありましたが、薬剤師の全部が平準化しているわけではないので、格差を是正するのか、あるいは拠点を決めるのかというようなことで、これを取り扱える所はどこでどのようにするのかということを、薬剤師会としても、対面で1錠だけ飲んでいただくという形にするのかどうか、具体的なプログラムを作っていただきたいと思います。

 そういうような使用できる環境整備を宿題として、もうこれっきり検討する場がないかもしれないと思うので、今お話をしたことは、会議が開かれなくてもきちんとやっていただいて、数年あるいは10年後ということではなくて、使える環境整備に対して向かっていくということを発言として残しますし、皆さん、女性が発言して、同じようなことをお話されていますので、そういったことであることを皆さん感じていただいて、よろしくお願いしたいと思います。

 

○小縣委員

 女性薬剤師会の小縣です。パブリックコメントを見せていただいて、賛成と反対と数では随分差が出ていましたが、内容的なものを考えるに当たって、反対部分の意見にももっともなところがあり、賛成の意見にも共通の部分が多かったですが、もっともだと思うものがありました。

 薬剤師に対して、残念ながら、今この時点でお任せいただけるというところがないのは、薬剤師としては残念な部分ではありますが、当然これは今後しっかりと場を踏んで、この薬を受け入れられるようにしなければいけないものとは思っていますが、先ほど乾委員もお話になられましたように、薬剤師の努力と研修だけでは積めない部分があって、医薬品の規則のところで、法律的な部分を直さなければいけないと考えている部分があります。これについては薬剤師だけではどうにもならず、国でこれを変えていくにはどれぐらいの年限が掛かるのか、学校教育の問題も前回から出ていますが、これに対しては厚労省だけではなくて文科省の問題も出てきますので、省庁間を超えた問題をどのように解決していくと、果たしてどれぐらいの年月が掛かるか、その辺りをどれぐらいの時間が必要なのかというところをある程度見ていただいて、継続的な審議にしていただきたいと思っています。決して、現段階で「すぐにお願いします」というものではありません。ただ、現状では、これをスイッチにするわけにはいかないと思っておりますので、各省庁、各御担当の薬剤師でない方の部分にも、かなりの努力をしていただく必要があると考えております。

 

○湯浅委員

 このパブコメの対象者は、OTC化を積極的に希望されている方が多いようですので、少しバイアスが掛かっているような気がします。国民の間で考えると、反対と賛成は半々ぐらいになるような大きな問題だと思います。また、いろいろな立場の方々に様々な影響を与える可能性がありますので、当委員会のみで議論するには少し荷が重い気がいたします。

 

○笠貫座長

 この製品については、前回もかなり議論を重ねました。パブリックコメントも非常に多く頂きましたが、その多くは、前回議論された問題と思います。

 パブリックコメントの中には医学的な問題、薬剤師の問題、国民の教育の問題、法的な問題など広範な問題があることは、御理解いただいたと思います。前回の会議では時期尚早という話、あるいは「性急だ」という話も出ましたが、先ほどのリプロダクティブヘルス/ライツの話は、大きな問題として、これから議論を重ねていただくことだろうと思います。

OTC化については「否」としてよろしいかということを確認したいと思います。その条件として、御指摘のあったように、ここで否が出た場合にどう対応するかは、これまで議論していなかったと思います。ここでは、国民のニーズも取り上げることになっていますが、これだけ関心がありながら、前回認知度は33%という話も出ました。日本全体の問題としてどう考えるかという将来的な議論を、決してここで妨げることではないということは確認したいと思います。また、そういう意味でこの緊急避妊薬のアクセスに関するいろいろな医療上の問題、薬剤師の問題、国民の教育と啓発の問題も含めて、今後関係学会、医会、薬剤師会においても、問題の整理と、解決策の提言等について検討を進めていただきたいというお願いだったと思います。

 このパブリックコメントから国民もまた、こうした問題点をOTCのスイッチ化という議論を通して深く考えていただく機会になれたらと思うことを付け加えまして、この会議としては前回の会議結果を変更しないで「否」ということで確認を取りたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 

○鈴木委員

 今の座長のお考えでいいと思います。たくさんパブコメは出ましたが、前回の検討会で出された懸念事項が解消されたわけではありませんので、検討会としての結論は前回同様の「否」ということでよろしいと思います。

 また、いろいろな課題が出ましたが、それらの課題への対応はこの組織で行うものではないと思いますので、それは別途しかるべき所で検討していただいて、そういった状況を見た上で、学会・医会の先生方の考え方がどうなるのかも踏まえて、将来また議論をすることになる可能性はあると思いますが、今回は「否」ということで閉じるという整理でいいと思います。

 

○上村委員

 国際医療研究センターの国府台病院の上村と申します。専門は消化器内科です。今、鈴木委員もおっしゃったように、この会ではそこまでだと思うのです。私は、今日初めてこの会に出たのですが、1つだけこの薬に対しての提言というか、要するに、この薬が急に必要になった方に対するサポートシステムをどうするかというものを次にやってくれということを、この会からは出さなければいけないと思います。この会でやる問題ではないです。

 それは、先ほど医科歯科の先生が言われていましたが、これは学会では薬の有用性・安全性の問題を明確に、サイエンティフィックにエビデンスから求めるだけです。しかしながら医療の現場では、日本医師会が中心になって、そういう方が起こった場合にすぐに助けられるシステム、これはもう薬剤師に任せられないということは、ここで決まったわけです。したがってどうするかといったら、その人たちが助かる方法というのは、全国の医師会、病院がネットワークを作って、必ずどこかに連絡したらというものを作成できればいいと思いました。そのように素人ですが思いました。

 

○笠貫座長

 スイッチOTC化としては否ということですが、この問題についてより多くの関心を持って検討を進め解決に向かっていただきたいという御意見が出たことを確認して、この会として「否」という判断をし、合意が得られたということでよろしいでしょうか。前回も、パブリックコメント後の今回も時期尚早ということになりましたが、学会、医会、薬剤師会あるいは国民からも、多くの関心が出されたことに、この会としての意義があったのかなと思います。続いて、資料6の説明をお願いいたします。


○事務局
9ページ目、資料6-1を御覧ください。こちらはメロキシカムの前回の会議の検討結果です。前回資料を確認したい場合は、タブレットの前回資料6を併せて御覧ください。前回会議では、効能・効果から関節リウマチを削除する等、OTCとして適切な効能・効果とするといった条件を付けてOTC化を可とされたところです。

 資料6-2です。こちらはパブリックコメントを行った結果、1件の御意見が提出されており、OTC化は賛成という趣旨の御意見です。説明は以上です。

 

○笠貫座長

 各委員から御意見がございませんでしたら、メロキシカムのスイッチOTC化については、再度確認をいたします。OTC化については、前回会議結果から変更なく、OTCは「可」ということでよろしいでしょうか。ありがとうございました。続きまして、資料7について御説明をお願いいたします。

 

○事務局
11ページ目、資料7-1です。こちらはフルチカゾンプロピオン酸エステルの前回会議の検討結果です。タブレットの中は前回資料7です。前回会議ですが、OTC化は11ページに記載されている留意事項に基づき、可とされたところです。

 次のページは資料7-2です。パブリックコメントを行った結果、御意見を3件頂いております。そのうちNo.2で、小児用製剤についてもスイッチOTC化を可としていただきたいという御意見を頂いております。この内容については前回会議でも議論になりましたが、もともとの要望が成人に対する要望だったということで、成人に関する要望のみ妥当性を議論し、小児の要望が別途提出された場合に別途検討ということになっておりました。説明は以上です。

 

○笠貫座長

 委員の先生方から御意見はございますか。ございませんでしたら、フルチカゾンプロピオン酸エステルのスイッチOTC化について、再度御確認をさせていただきます。OTC化については、前回会議結果から変更なくOTCは「可」ということでよろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは資料8について御説明をお願いいたします。

 

○事務局
13ページ、資料8です。パブリックコメントでは、先ほど御紹介した資料3から資料7以外の全般的な御意見、御要望等を頂いており、こちらに掲載しておりますので、御参考までに御確認いただければと思います。

 パブリックコメントを踏まえた妥当性の御議論は以上になるのですが、今後の進め方について事務局より御報告させていただきますと、本日御議論いただいた内容については、会議結果を事務局で取りまとめさせていただき、資料1の流れにあるとおり、厚生労働省のホームページで公表させていただくとともに、薬事・食品衛生審議会に報告させていただきたいと考えています。その後、各企業より薬事申請がなされたら、医薬品医療機器総合機構(PMDA)において、個別の審査を行っていただくことになります。機構の審査の中では、本検討会議で御議論いただいた留意事項の反映状況の確認を行うことはもちろんのこと、従来どおり科学的見地から薬事承認に当たって必要となる資料等は審査の中で求めていき、最終的には、薬事・食品衛生審議会での御審議を経て承認という運びになっていくというところですので、よろしくお願いいたします。説明は以上です。

 

○笠貫座長

 ただいまの御説明について、御意見や御質問はございますか。特にありませんでしたら、資料8、今後の進め方について御説明がありましたが、御確認していただいたものといたします。ありがとうございました。

 続いて、要望品目のスイッチOTC化の妥討性について説明をお願いいたします。まず、資料9について事務局から説明をお願いいたします。

 

○事務局

 資料9をお手元に御用意ください。分厚い資料です。こちらの資料9は、トリプタン系の片頭痛薬、タイトルにあるとおり、5成分について取りまとめた資料です。3ページ目を御覧ください。1つ目、リザトリプタン安息香酸塩です。要望された効能・効果は片頭痛で、個人から要望がなされたものです。対応する医療用医薬品は、マクサルト錠10mg、同RPD10mgとなっており、効能・効果は同じく片頭痛です。

4ページ目、5ページ目を御覧ください。本成分ですが、5-HT1B/1D受容体作動型の片頭痛治療薬で、2003年に承認されたものです。再審査結果は2013年に通知されており、承認拒否事由のいずれにも該当しないと判断されたものです。同じ作用機序のものとして、15ページからスマトリプタン、27ページにエレトリプタン、38ページにナラトリプタン、49ページにゾルミトリプタンという形で来ており、これは同じ個人の方より御要望があったものです。

 続いて安全性に関する情報です。5ページのトリプタン系の薬剤は、こちらに記載したように禁忌、相互作用等があります。それから6ページに移っても重大な副作用と多数設定しており、劇薬に該当する製剤です。推定使用患者数ですが、日本頭痛学会の疫学調査によると、約840万人と推定されているところです。

 今回の5成分ですが、海外の承認状況の違いについて説明します。19ページ、スマトリプタンですが、イギリスにおいて処方箋なしで購入される医薬品として承認されております。それから41ページ、ナラトリプタンです。こちらについてはドイツにおいて処方箋なしで購入される医薬品として承認されております。それ以外の成分については、諸外国においては一般用、OTCとしての承認はありません。

8ページ目、医学会・医会から頂いた御見解です。他の成分についても一括して御見解を頂いておりますので、詳細については一括して、61ページ、63ページの学会見解と、65ページの医会見解に記載しておりますので、併せて御確認ください。まずOTC化することの可否ですが、61ページに日本神経学会、64ページに日本脳神経外科学会、両学会からいずれも「否」という御意見を頂いております。それから64ページ、日本臨床内科医会からは「可」という見解を頂いております。

 日本神経学会、日本脳神経外科学会での「否」の理由ですが、患者自身が自身の症状が片頭痛によるものと判断することが容易ではないこと、それから諸外国においても、ほとんどOTCとして承認されている実績がないこと等を理由に挙げていただいております。また「可」の理由ですが、海外でも承認されている実績もあり、多くの治療経験もあるといったことを理由に挙げていただいております。

 それから、OTC化する際の留意事項についてですが、日本神経学会の御意見として、将来的に片頭痛の疾患概念等について、国民の理解と認知が進めば、「再発例に限る」「セルフチェックシートの活用」といった条件付きであれば、OTC化の可能性を否定するものではないが、現状では時期尚早であるといった御意見を頂いております。

 また65ページに、日本OTC医薬品協会からの見解を頂いております。こちら、OTC化することについては、海外でもOTCとして承認されている事例があること。それから、国内の医療用医薬品で活用されている片頭痛チェッカーを参考とした適正なセルフチェックシートを活用することで、適切な対象者を判断することが可能であるといったことから、OTC化は「可」ではないかといった御意見を頂いております。説明は以上です。

 

○笠貫座長

 それでは、本日、参考人としてお越しいただいております竹島参考人、平山参考人、近藤参考人の先生から、御意見、補足をお願いしたいと思います。では、竹島参考人から、よろしくお願いします。

 

○竹島参考人

 竹島でございます。神経学会の頭痛領域の担当委員としての立場で、本日は参りました。神経学会の立場といたしましては、トリプタンは片頭痛に非常に有効な薬剤ですが、片頭痛以外に使った場合には効果が発揮されません。ですので、まず片頭痛の診断がきちんとなされる必要があります。トリプタンの使い方につきましては、服薬タイミングですとか、状況によって、指導の下で使用していただかないと、十分な効果が発揮できませんので、そういったことをきちんと患者さんが理解できるような指導が必要と考えております。それを今、現状では神経内科医や脳外科医、あるいは頭痛に詳しい医師が患者さんに御説明した上で処方して、また効果についても判断するということが重要と考えております。

 もう一点、「薬物乱用頭痛」、あるいは「薬剤の使用過多による頭痛」というものがありますが、これは片頭痛の患者さんが急性期治療薬を過剰に使用した場合に、かえって頭痛が悪化するという現象であります。現在、OTCの複合鎮痛薬による薬物乱用頭痛の発症が最も多いのですが、トリプタンでも発症し得ることが分かっており、徐々に増えてきているのが現状です。現状でOTC化されますと、そういった指導が不十分なまま、トリプタンによる薬物乱用頭痛が増えることが極めて懸念されますので、もう少しトリプタンに関する認知が広がってからでないと難しいのではないかというのが、神経学会の意見です。以上でございます。

 

○笠貫座長

 ありがとうございます。次、よろしくお願いします。

 

○平山参考人

 日本脳神経外科学会を代表しまして参りました平山といいます。今、竹島先生がおっしゃいましたように、我々、脳神経外科学会も全く同じでして、やはり診断が非常に難しいということです。例えば、最初に激しい頭痛が来たときに、くも膜下出血などの、そのほかの二次性頭痛を片頭痛と間違えると大変なことになるということです。さらには片頭痛の中には麻痺を伴うようなものもありますから、「これは脳梗塞」などの判断の辺りも非常に難しいと思います。

 それと、我々の所も薬物乱用頭痛を心配しています。このときにデパケンというバルプロ酸を上手く使えば、非常にトリプタンなどの製剤を使う回数が減ります。これには、その用量や使い方の説明をきちんとして、患者さんに啓発していかないと駄目だというところがありますので、ただ単にこのトリプタン製剤を簡単に買えるということであれば、薬物乱用頭痛を増やしていく可能性があるのではないかと思われます。

 要するに1回目の診断がきちんと付けばということなのです。しかし、その診断をきちんと付けることは、竹島先生は頭痛学会の理事で、私も代議員をやっていますが、頭痛学会の専門医クラスの人たちも、難しいと思っております。ましてや、医師でない人には非常に難しいということです。

 

○笠貫座長

 ありがとうございます。それでは近藤参考人、お願いします。

 

○近藤参考人

 日本臨床内科医会を代表して参りました近藤でございます。この資料を先週頂いて読みましたところ、64ページに日本臨床内科医会が、このOTC化を可とするとありました。これに関しては、私も日本神経学会の専門医でもありますし、この間まで日本頭痛協会の理事もしておりました。そうすると、片頭痛の診断が付いていること、それで医師の管理下でトリプタンを服用して、この薬の薬効をしっかりと経験している患者さんとの間の中では、多くの治療経験があるよということで「○」とされたのかなと思うのですが、実際には頭痛の患者さんの多くが診断を受けていません。多くの方は痛み止めを薬局で買って、それで対応しているだけであって、医師による片頭痛という診断が未診断の方、初めてお薬を買いに来られた方に出す薬ではないと思っております。

 イギリスとドイツの資料が、資料9の後ろのほうにありましたが、OTCとしてあり得るのであれば、薬剤師さんからの、それこそ丁寧な説明と、それからベテランの薬剤師さんから見て、この人には診断を受けてもらうべきだという判断がそこにあるべきです。それから、より速やかにという視点からは、患者さんからの希望もありましたが、病院で薬をもらうには、平日は仕事で行けませんとか、頭痛外来が混んでいて大変だというところは、これからの健康経営とか、患者さんの頭痛に伴うアブセンティズム、プレゼンティズムを改善しましょうという点からは、是非、外来に行っていただけるような就業の環境づくりが必要、また産業医の先生方の協力も必要かと思います。

 それから、一般の内科医が、頭痛に関する生涯教育をしっかり受けることによって、病診連携、診診連携が進めば、よりアクセスが進むのかと思っております。それと更に困るのが、頭痛のある方同士で、医師の診断を受けずして、頭痛ならこの薬を使ってごらんなさいということが起こりかねないということです。

 それから、一般用語での「片頭痛」という単語と、医師が言う「片頭痛」という言葉の意味合いに、まだまだ大きなずれがあるところは、非常に怖い面があります。初めての片頭痛、それから頻度が多い繰り返す片頭痛、また過剰服薬の話が出てきましたが、この辺もやはり指導の中で行うべきであって、しっかりとした診断を受けていない方には、OTCとしてトリプタンを処方すべきではないと思っております。それで日本臨床内科医会としても、その点を踏まえると「×」で、これは日本臨床内科医会側にも事前に伝えております。以上です。

 

○笠貫座長

 ありがとうございます。では、各委員の先生方、どうぞ。

 

○湯浅委員

 添付の日本臨床内科医会の資料には、OTC化容認となっておりますが、私は反対の立場をとらせていただきます。

 片頭痛の初回発作は小児期から始まり、40歳代ぐらいが一番多いわけです。どれぐらいまで続くかというと、70歳代ぐらいまで続いていくわけです。症状が、ずっと一定しているのではなく症状の程度だとか持続期間とかが、非常に変化するわけです。

 ある意味、生活習慣病と同じで、一度薬を出しておけば、その薬を一生使えるかというと、そういうことではなくて、薬を変えなければいけないこともあります。症状の変化を医師が日常診療のなかで観察していかなければならないと思います。

 それからもう1つは、併存症というものがあります。片頭痛も例えば花粉症や高血圧などと関連が深いと言われています。ですから片頭痛の治療だけしていればいいのかというと、そういうことではなくて、総合的な視点で患者さんを診察することが必要になります。

 片頭痛というのは単に頭痛を治せばいいというようなものではないということを付け加えさせていただきます。

 

○黒木委員

 私も現段階では、まだ早いかなといった意見に賛同いたします。御提案いただいている再発例に限るというような、まずは診断をきちんとしていただいた上で実施を考えるといったところが妥当かなと思います。
2点ありまして、1点は事務局に質問ですけれども、海外で承認されている2品目については、これは再発例に限るとか、ちゃんと診断を受けた者とか、何か添え書きがあったかどうかです。あとは、過剰摂取になることも多いというお話ですが、各薬剤の添付文書の過量投与の項目を見ますと、出る症状が心血管系の副作用といいますか、症状が出てまいりますので、やはりちょっと怖いものだなという印象を持っております。

 

○事務局

 事務局からお答えします。海外の事例ですが、初発のものも含まれるということで、チェックシート等も使ってということになります。

 

○黒木委員

 初発であるけれども、チェックシートはあるという状況ということですね。ありがとうございます。

 

○鈴木委員

 日本医師会としては、学会・医会の意見を尊重して対応を決めたいと思っております。今回、当初は学会と医会の意見が異なっていたので、どうしようかというところだったのですが、今日の意見では一致し、いずれも「否」ということなので、我々もその考え方を尊重し、今回は、「否」ということになると思います。

 医会である日本臨床内科医会におかれましては、組織決定としていただきたいと思います。個人の考えと言われると、また変わるかもしれないと思われても困りますので、医会として広範な分野を担当されていると思いますが、専門別のグループがあり、近藤先生など非常に専門性の高い方もいらっしゃいますので、是非そうした専門を同じくする方の中で、協議した上で、全体の組織としての対応を決めていただければと思います。

 また、神経学会や脳神経外科学会の先生方がおっしゃったように、片頭痛という病名は、日本の場合、先日のドライアイもそうですが、一般の方が使う場合と、専門家が使う場合では、かなり開きがあるので、その問題も注意しなければいけないのではないかと思います。

 それとイギリス等ではOTC化されているという話ですけれども、私どもの理解では、薬局の薬剤師の管理下に置かれて認められていると聞いております。再発例というお話もありましたけれども、我が国の場合は、OTC化されると自動的にインターネット販売に移行してしまうという制度になっておりますので、そうした制度下では認められないと考えます。以上です。

 

○笠貫座長

 ありがとうございます。

 

○乾委員

 今までの参考人の先生方の御意見と、委員の先生方の御意見をお聞きしまして、まずは繰り返しになりますけれども、スイッチ化した製品のリスク区分が要指導医薬品に留まるような制度を構築した上で、片頭痛の鑑別に関しては、やはり医師を受診して診断を受ける必要があると、もちろん考えております。

 ただ、一方で頭痛発作を繰り返して定期的な受診ができない患者は、今は市販の解熱鎮痛剤「NSAIDs」を服用して、そういう薬物乱用頭痛というものを起こしているケースも多くあると思います。ですから、少なくとも医師へ受診し、片頭痛の診断を受けることを必須として、片頭痛発作の再発時ということを限定した上で、スイッチ化を近い将来進めていただきたいと考えます。

 また最後に出ていますように、適正使用チェックシートとか、患者のセルフチェックシートなども活用して、しかも包装も2錠とか、そういう包装単位にすれば、御懸念されているような危険性も非常に減るのではないかと。また、受診勧奨も地域の医療機関、専門医等と薬局、薬剤師が連携して行うことができるのではないかと考えますので、その辺も含め、是非御検討いただけたらと思います。以上です。

 

○笠貫座長

 ありがとうございます。それでは、平山参考人、お願いします。

 

○平山参考人

 日本脳神経外科学会の平山です。例えば脳血管障害、生活習慣病がどんどん高齢者社会になってきて増えてきています。本人に自覚がなくとも、そういうときに血管が収縮するような薬を乱用してしまえば、脳梗塞とか心筋梗塞を起こす可能性は十分に考えられます。それを防ぐには、随時、やはり話を聞きながら、又は血液検査とか、必要であればMRIとかCTとかをやりながら、行っていった方がより患者さんのためになると私どもは考えております。

 

○笠貫座長

 ありがとうございます。

 

小縣委員

 この薬をお一人の方が5品目挙げたというところが非常にポイントでして、片頭痛の患者さんというのは、結構、自分に合う薬をいろいろ処方していただいて、探しておられるのです。これでは駄目、これでは駄目と。あるときはこちらが良かったが、また違うときは同じもので駄目だったという感じで、幾つかの種類のお薬を、御自身で使い分けされているというふうに考えますが、どうでしょうか。そういうことから考えると、ただ、片頭痛だと言ってきた方に売るのは、そこは問題かもしれませんが、受診をされて、自分なりの片頭痛の状況が分かっておられる方にとっては、この指名買いというのは、非常にいいことになるのではないかと考えます。

 

○笠貫座長

 何か御意見ありますか。平山参考人、どうぞ。

 

○平山参考人

 頭痛の専門医クラスであれば、この薬の半減期、どれぐらいで効いて、どれぐらい続くかとか、作用時間が長いとか、その状況によって使い分けることは可能だと思います。それが一般の患者さんができるかというと、感覚的なものだと思います。ですから、非常にアカデミックではないと思います。

 

小縣委員

 確かにそのとおりで、私が来た患者さんを見た感じの感覚的なもので、そこは大変申し訳ないと思いますが、そういう意味では患者さんも非常に悩んで来られて、長く受診をされているなとは感じます。

 

○平山参考人

 もし、頭痛専門医にかかるのが大変だということになれば、今、頭痛学会のホームページで、どこにどういう先生がいるとか書いてありますので、そこできちんとした先生にかかっていただいた方がいいかなと思います。ただ、それは医師側のほうの反省点もあります。内科の先生が毎日ロキソニン、トリプタンだけを出すとかというと、薬物乱用になる可能性が十分にあります。そういうところも我々医師側の反省点だと思います。ですが、その辺の啓発を併せてやっていけば、この先はもっと変わるかもしれません。よって、現時点では時期尚早だと思います。

 

小縣委員

 やはり受診し、診断をされているというところが、一番のポイントかと考えます。

 

○大臣官房審議官(医薬担当)

 事務局の説明の補足をさせていただきたいのですが、海外でOTCとして承認されているトリプタンのプラクティスガイダンスというのは、この資料9で英語訳が49ページ、その日本語訳が251ページに入っております。この部分が、多分、今の先生方の御意見、御議論を非常によく反映しているガイドラインになっているということなので、一応これはお目にかけていただければと思います。

 基本的にGPによる診察を指示する患者というところが、初発のケースについては、「そっちに行け」というふうな書き方に、実はなっていて、251ページの左上の黒ポツの2つ目、特に年齢が50歳以上で片頭痛発作を初めて経験した患者は、医師が片頭痛の診断を確定すれば、OTC薬のスマトリプタンの使用が検討できるというような書き方になっていて、やはりそこはきちんと医師の確定的診断を、初発のケースについては進めているということが、ここでは読み取れると思います。

 そして一方で、OTCとしての適用というのは、その隣に書かれていて、実際に片頭痛の診断が確定している場合に限り使用するべきであると、予防的に使用してはならないとか、非常に丹念に書かれております。海外のトリプタンのOTCでの使用における前提というのが、ここに表れていると思いますので、こうしたことが日本で実行可能かどうかということを踏まえて、議論を頂ければと思います。追加でした。

 

○近藤参考人

 今の説明、ありがとうございました。イギリスだと、例えば駅の売店のスタンドに、「私のお医者さん」シリーズみたいなものがあって、例えば「頭痛」という本を取り上げて、ページをめくりながら自分の症状を当てはめてチェックしていくと、片頭痛なのか緊張型頭痛なのか、それ以外なのかとか、おおよそ見極めが付いて、それを持ってお医者さんにかかりなさいというのが、普及していると伺っております。

 そういった面でも、やはり患者さんへの啓発、それから専門医と一般の医師の連携の話というのを進めていかなくてはいけませんし、先ほど乾先生のお話にありましたように、医師と薬剤師が一緒になって、その地区の頭痛の患者さんの対応をどうしようということを決めていくことが、これから求められると思います。平山先生のお話にありましたように、高齢者が増えてくる中で、どう対応するかということはとても大切です。ありがとうございます。

 

○笠貫座長

 宗林委員、よろしいですか。

 

○宗林委員

 やはり頭痛に関しては、今、現状では、大変多くの方が頭痛という症状を抱えたときに、薬剤師さん、ドラッグストアの薬剤師さんもそうでしょうし、また最初にかかったお医者様でも、一般的にNSAIDsみたいなものを処方されるケースが意外にあるのではないかと私は思っております。

 ですから、片頭痛の診断が自分でできない、それは承知していることで、診断をしていくまでは、きちんとした専門医というのですか、それにかかっていただくということが大切だと思いますけれども、その後、やはり片頭痛の方が、長期的に症状が出ると聞いておりますので、そういった段階で先ほどのイギリスの例で書いてあったようなことを取り入れて、より片頭痛の方が、もう少しNSAIDsをずっと飲み続けるようなことがないようにしていくためには、この辺を、より進めていっていただきたいと切に思います。

 確か再発の口唇ヘルペスなどもOTCになったときに、重大さは違うかもしれませんけれども、そういう話がありましたので、やはり再発がかなり多いものに関しては、そういった観点できちんと自分に合ったものを、切れ味のいいものを飲めるようにしていっていただきたいと思います。その一端ではないかなと患者側は思うと思いますので、よろしくお願いします。

 

○笠貫座長

 ありがとうございました。皆さんの御意見をまとめさせていただきたいと思います。専門家の立場から、診断の問題と薬物乱用という重要な問題を取り上げていただきました。また再発の方や、診断をされた後の方や、薬剤師の方の対応、あるいはチェックシートのような環境整備ができれば可能ではないかという御議論もされましたが、この薬剤も現段階では時期尚早という意見だと理解させていただきました。

 これらの問題に対して、学会、医師の中でも専門家とそうではない方の考え方もあります。薬剤師、あるいは国民の啓発・教育についても、近い将来にかわり得るという御意見だったと思います。これらの御議論を併記した上で、今回は現状では、「否」としてパブコメを出すということでいかがでしょうか。今後再発例に限定した要望など、改めて要望が医会・学会から、このプロセスを経て再度議論することを、決して妨げるものではありませんので、こうした意見含めて、時期尚早ということで「否」としてパブコメに出すという合意を得られたらと思いますが、よろしいでしょうか。それでは、ありがとうございました。そのような内容でパブコメを実施いただくよう、お願いいたします。それでは、竹島先生、平山先生、近藤先生、どうもお忙しいところをありがとうございました。

 

○笠貫座長

 続きまして、クリンダマイシンにつきまして、事務局より御説明をお願いいたします。

 

○事務局

 資料10を御覧ください。3ページ目、今回の要望の成分名はクリンダマイシンリン酸エステル、要望された効能・効果は、にきびです。個人の方から要望があったもので、対応する医療用医薬品は、ダラシンTゲル1%、同ローション1%です。効能・効果はざ瘡でございます。45ページを御覧ください。こちらは尋常性ざ瘡に対する外用の抗生物質で、承認は2002年です。8ページ目、海外の承認状況ですが、いずれの国においても一般用医薬品としての承認はございません。
9ページに医学会・医会からの見解をまとめております。詳細につきましては、13ページから日本皮膚科学会の御見解、15ページ目に日本小児科学会の御見解、16ページ目に日本臨床皮膚科医会の御見解を記載しています。
9ページの、まず、OTCとすることの可否についてですが、日本皮膚科学会、日本皮膚科医会からは「否」、日本小児科学会からは「可」との見解を頂いているところです。この否の理由は、ざ瘡患者からのクリンダマイシンの耐性菌の検出率が上昇していること。こちらをOTCとして容易に入手できるようになると、耐性菌を誘導するリスクが増すことが懸念されますので、これによって受診時に必要な治療機会を逸してしまう懸念というところが否の理由としております。それから海外でもOTC化された例がないことという点が理由となっております。一方、可の理由ですが、こちらは日本小児科学会からの御見解です。小児の診療でよく使用されるということで、副作用が少なく、安全性が高いので、特段の問題はないということを理由に挙げていただいております。OTC化する際の留意事項としては、日本小児科学会より、薬剤師とよく相談して使用することという見解を頂いているところです。
17ページはOTC医薬品協会からの見解です。OTC化することの可否につきまして、にきびについては薬剤師及び生活者がその症状を判断できること。それからセルフチェックシートの活用や、短期間の使用に留める塗布量や面積を最小限に留めることを条件にすることで、OTC化は可ではないかとした御意見を頂いているところです。説明としては以上です。

 

○笠貫座長

 五十嵐委員、矢口委員、本日参考人として御出席していただきました伊藤参考人から、御意見と補足をお願いしたいと思います。五十嵐委員からよろしいですか。

 

○五十嵐委員

 日本皮膚科学会の代表として、ここで意見を述べさせていただきます。資料13ページに皮膚科学会の見解がありますが、反対の理由としては、外用抗菌薬は何が問題かというと、耐性菌を非常に作りやすいのです。クリンダマイシンは日本でもアクネ桿菌の耐性菌が増えているのですが、そうしたところも含めて、後ろの資料にも付いていますけれども、ざ瘡治療患者のときにガイドラインを日本皮膚科学会が出しております。そこを見ていただくと分かりますが、例えば56ページのCQ6の「炎症性皮疹に外用抗菌薬は有効か?」とありますが、これは推奨度Aで、有効なのは間違いない。なので、こういうところに使うのはよろしいですけれども、にきびは炎症性湿疹だけではなくて、非炎症性の湿疹もあるのでして、そこが書いてあるのが70ページのCQ22「面皰に外用抗菌薬は有効か?」という所です。この面皰というのは非炎症性の湿疹です。推奨度はC2で、これは使わないほうがいいということです。71ページの左側の文献の少し上で、P.acnes、アクネ桿菌の耐性化の回避のために外用抗菌剤の単剤使用は避けるよう強く推奨しているということで、かつては非常に日本はざ瘡治療薬は遅れていまして、なかなかいいものがなかったのですが、今ようやくラインナップが揃いました。抗菌薬以外の作用を持つお薬もありまして、そういうものと併用して治療するのが好ましいのです。あと抗菌剤の使用に関しては期間を限定しろと、長期でずうっとだらだらと使うのはよくないのです。そういうことからすると、これをOTC化することによって、やはり耐性菌の増加がかなり懸念されてしまいます。ということで、私はこれに関しては反対です。

 逆に、今申し上げたように、他の抗菌作用以外のものは、海外でOTC化されているわけです。ただ日本ではちょっと事情が違います。日本では開発が遅れたためもありまして、こうした医薬品はまだ再審査期間中であったりと、まだOTC化されることは不可能です。そういった薬剤が、今後条件が整ってOTC化されるようになりましたら、そうしたものからOTCしていくのが安全に使えますし、国民の皆さんの健康維持のためにもつながるということです。ですので、今回私は日皮会としては反対の意見です。

 

○笠貫座長

 ありがとうございました。伊藤先生、お願いします。

 

○伊藤参考人

 小児科学会の伊藤です。五十嵐先生のおっしゃることは至極ごもっともだなと拝聴した次第であります。この個人からの御要望の理由の欄に「●●●●●」と書いてあります。我々小児科医としては、普通の生活をさせてあげたいということになりますし、思春期のお子さんはなかなかお母さんと一緒に皮膚科に行くというのは非常に何というか抵抗感がある。特に男の子の場合はそういう面もあります。私は腎臓の病気とかリウマチの病気でステロイドを処方することが多いので、副作用のざ瘡にクリンダマイシンジェルを意外に多く処方しています。そのときは意外と出しているという状態があります。ただ、今回、五十嵐先生が御説明くださったように、ガイドラインというものがきちんと整備されて、それに準拠して医療を行うべきだというのは国のコンセンサスとしてあるものですので、やはりそれを尊重すべきだということ。

 それからもう1つ、我々は余り意識を払っていなかったのですが、耐性菌率が13ページにありますように、ここ数年でかなり倍ぐらいに上がっているという現状を鑑みると、「可」とは書いたのですが、やはりガイドラインを遵守し、そして耐性菌を防止するという観点からは、数名でディスカッションしてメールで審議したのですが、「否」でもいいのかなと、今、心変わりしているところです。お母さんなのでしょうね、この要望者の方は。お気持ちはよく分かりますが、広い観点から見るとやはり難しいかなというように、今思い直した次第であります。

 ただ、要望としては、この会に対して、OTC化するというのは、いろいろな医薬品は非常にいいと思うのですが、理由と、どこからどのような理由で挙がってきているのかとは、我々に知らされておりません。外来では私たちも皮膚科に行く時間をとるのは大変だという、親御さんの希望に配慮して、意外と簡単に、簡単にと言ってはいけませんが、クリンダマイシンジェル剤を処方してしまいます。この親御さんも同じような気持ちで要望を出されたのだなと思いました。しかし、否で良いと思います。

 

○笠貫座長

 門田先生、お願いします。

 

○門田委員

 大分大学の門田でございます。私は日本呼吸器学会で感染症領域を担当しておりまして、以前、日本化学療法学会の前理事長もしていた立場から、抗菌薬の適正使用を推進してきたものですから、その立場から一言申し上げますけれども、クリンダマイシンの耐性化というのは非常に進んでいまして、呼吸器疾患領域においても、特に嫌気性菌等に対する耐性化は進んできています。そういうところを含めると、やはりOTC化するというのはちょっと問題があるなということと、現在世界的にAMRアクションプランを推進している状況があります。薬剤耐性をどうするかということで世界的に進めていて、去年の伊勢志摩サミットでも安倍首相がAMRアクションプランを日本が主導していくというようなことを宣言しています。その中で耐性菌を誘導するような療法をOTC化するというところは、抗菌薬の適正使用の観点からみても、ちょっと問題があると考えています。

 

○笠貫座長

 伊藤参考人、どうぞ。

 

○伊藤参考人

 すみません、1つだけ。先ほど五十嵐先生がおっしゃったように、アダパレンとか過酸化ベンゾイルみたいなのが出てきていて、我々は長い間これが承認されていなかったので使えなかった。「プ」が付く輸入品とかをみんな使われていたわけですけれども、これのガイドラインが作られたので、一般以下特に小児科医が、この使い方をもう少し、皮膚科学会から小児科学会や小児科医会といったものに啓発するようなアクションをしてほしいのです。そうしないと、我々は相変わらずクリンダマイシンを処方してしまうのです。最近使うようにはなってきましたが、どうもなかなか使い方が余り上手ではないのかもしれないので、どうか学会同士で連携をして、ガイドラインを普及するとともに、我々を是非教育していただきたいと要望する次第です。

 

○笠貫座長

 矢口委員、お願いします。

 

○矢口委員

 すみません、風邪をひいてこんな声になって申し訳ございません。日本臨床皮膚科医会からの要望も、先ほど五十嵐先生がお話されましたが、これで全てでございます。やはり抗生物質は、どうしてもその耐性菌が増えてきていることが、もちろんそうです。それと海外で売られていないこと。これは1つの例ですが、アメリカ本土又はハワイでドラッグストアに行って、1箇所と言いますか、1区画を見ますと、今出始めたと言いますか、ピーリング効果のあるお薬が、アダパレンをはじめとするお薬がずらっと並んでいて、もちろん抗生物質は並んでいないと。これが現状です、全世界の現状です。ですので我々の嚢胞期における治療の選択肢を減らさないでくれという意味も込めまして、これはOTC化には反対させていただきます。

 

○笠貫座長

 鈴木委員、どうぞ。

 

○鈴木委員

 これも学会の中で見解が分かれていると思っていましたら、今日この場で意見が揃ったということですが、事務局から事前に必要な情報はお伝えする必要があるのではないかと思いますし、学会としても組織決定をしていただきたいと思います。この薬は言うまでもなく、近年薬剤耐性菌の問題は世界的な大問題となっていて、海外でもOTC化の例はないとのことですので、当然我々としても本成分はOTC化すべきではないと思います。

 それにしても、この日本OTC医薬品協会という所は何でも可と回答するわけですが、世界に例がなくても、それから耐性菌の問題がこれだけ問題になっていても構わないという主張なのか、それとも知らなかったのか。知らなかったら問題ですし、知っていても可と言ってきたのでしたら、もっと問題だと思います。とにかく売ればいいという姿勢では、この問題は解決しないと思います。

 実は5年前に、私は当時の一般用医薬品部会に出ていましたが、企業の申請したゲンタマイシンの審議をした際に、委員として出席されていた皮膚科の先生が、皮膚での使用により抗体を獲得してしまったら、その方が他の感染症のときに注射や経口の剤形を使用できなくなるという大きな問題があるということで、当時から耐性菌の問題を指摘して、反対して認めなかったという経緯があります。また同じような薬が出てきたわけですが、今は正にこの薬剤耐性AMRの問題に対して世界中で国を挙げて対策を検討しているところであり、抗生剤の使用をコントロールしていくことが世界の流れですので、スイッチOTC化は認められないと思います。

 

○笠貫座長

 他に御意見はありませんか。クリンダマイシンにつきましては、否とするという意見が強く、特に耐性菌の問題を指摘されたと思いま。OTC化は「否」とする判断として、パブコメを進めさせていただくことでいかがですか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。そのような内容で、パブリックコメントを実施させていただきます。

 続きましてベタメタゾンです。事務局より御説明をお願いいたします。

 

○事務局

 資料11を御覧ください。3ページです。成分名はベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステルです。要望された効能・効果は湿疹で、個人の方より御要望があったものです。対応する医薬品は、アンテベート軟膏0.05%ほかです。

 効能・効果は3ページに記載のとおりとなっております。45ページ目、本成分はベタメタゾン誘導体の外用合成副腎皮質ホルモンです。作用ランクとしてはvery strongに分類される医薬品です。承認としては、1993年に承認されたものです。7ページの安全性に関する情報ですが、本剤は禁忌とか重大な副作用等、設定されており、劇薬に該当するものです。9ページ、海外での承認状況です。いずれの国においても一般用としての承認はございません。10ページの医学会・医会からの見解です。詳細については15ページ目からが学会の見解、17ページに医会の見解を記載しておりますので、併せて御覧いただければと思います。

 OTC化することの可否について、いずれの学会、医会からも、very strongのステロイド外用薬で、局所的副作用が出やすく、慎重に使用すべき薬剤であることから否という見解を頂いているところです。なお、11ページ目に現状の一般用医薬品でのステロイドのものを載せておりますが、一応ランクとしてはストロングとかウィーク~ミディアムという形になっています。

 19ページ目は、OTC医薬品協会からの見解です。very strongに位置付けられる医薬品ではあるが、本材のインタビューフォームによると、長期投与においても全身への影響が弱く、臨床試験の結果においても副作用の発現率が低いことと、いずれも局所的なものであること。急性増悪した湿疹に対して、短期間の使用に留めることで安全性は確保できるものと考えられることから、OTC化は可ではないかと御意見を頂いているところです。以上です。

 

○笠貫座長

 先ほどと同様に、五十嵐委員、矢口委員、伊藤参考人から、御意見、補足をお願いいたします。

 

○五十嵐委員

 皮膚科学会を代表して、また私から説明させていただきます。今日の取扱注意の机上配布資料の3ページ目のベタメタゾンの要望理由を少し読みますけれども、ちょっとこれはひどいですよね。「●●●●●」。ちょっとあんまりかなという気がいたしました。

 この一般名が長いので、アンテベートという商品名で言ってしまいますが、very strongのお薬で結構効果としては強いです。その半面、副作用もあります。日本ではステロイドの塗り薬の強さは、ランクで大体5つに分けていまして、これは上から2番目のランクなのですね。効果も強い半面、副作用もありますので、かなりうまい使い方をしないといけないお薬です。これがOTC化されてしまうと、かなり副作用が心配だと思います。

 今のところ日本では、ストロングクラスまでのOTC薬はあるのです。海外の状況を調べてみました。アメリカはよく分からなかったのですが、ヨーロッパは日本で言うマイルドクラスぐらいまでのお薬しかOTC化されていません。だから下から2番目ぐらいです。そうこうすると、日本はそれよりもランクが上のものまで、既にOTC化されている。割と今のOTC化されたお薬使うと、例えば虫さされででちょっと困ったとか、ちょっとしたかぶれというときに、ある程度効いてくれて使い勝手がいいと思います。それに比べて副作用が比較的少ない。ただ、今申し上げたように、今日議題に挙がっているvery strongのお薬は、下手をすれば2週間使っただけでも、例えば顔とかに使うと副作用が出ることもあるわけです。そうしたことがきちんとコントロールできるかどうか。それがOTC化されたときの懸念なのです。

 ちょっとすみません、話が長くてあれなのですが、昔こうしたOTCのステロイドで非常に社会問題になったのです。顔に塗ると化粧ののりがよくなると言って、女性に愛好家が多くて、皆さんよく塗られていた。お化粧するからその副作用が分からないのです。それが進行したところで来ると、酒さ様皮膚炎というかなり重症な症例になってきたというような事件が、私が医者になるかならないかぐらいの頃にありました。ということですので、こういうお薬はなかなか難しいお薬なので、私はOTC化には反対です。

 

○笠貫座長

 矢口委員、お願いします。

 

○矢口委員

 すみません、このだみ声でまたお付き合いいただきます。今、五十嵐先生がおっしゃいましたように、5段階、4段階に分かれているステロイドの上から2番目ということで非常に強い。その中では比較的副作用が少ないかという話はされておりますけれども、それでも副作用は結構ある。我々も適切に使っているつもりで、アンテベートを使っていまして、やはり皮膚の菲薄化、特に肘の内側で肘窩と言いますけれども、又は膝の裏側、そういう所に一生懸命に塗っていますと、やはり皮膚の菲薄化を起こして、血管が透けて見えてくると。半年も塗っていると、そういうことが起きてきます。ですからそういう副作用を起こさせてはいけないということで、私たちはもちろんたくさん出しますが、必ず2週間後に来いとか、1週間後に来いとか、必ずちょっと高飛車に言わせていただきますけれども、必ず我々の管理下でその薬は使わなければいけないと自負しております。

 それと五十嵐先生がおっしゃっていましたけれども、1990年の初頭ですが、テレビの何とかという番組の中で、ある女性がステロイドの薬、ここに書いてあるストロングクラスの薬を顔に一生懸命に塗っていた。これは化粧ののりがよくなるので、とにかく毎晩、毎晩塗っていて、それで1年もたったら顔がとんでもないことになったと。そういうそのことだけを報道していた。その裏には、薬局でOTCとして薬を買った、又は別の皮膚病でそのステロイドをもらっていたのですが、そこには特に言及もせず、それを塗っていたことによって、顔に重症ステロイド皮膚炎ですね、先生がおっしゃったように重症のざ瘡、酒さと言うものを作ると。それでその番組の最後に、私も視たので覚えているのですが、「ステロイドは大変な薬です。最後の最後まで使わないでください。ステロイドは悪魔の薬です」というように言ってその番組は終わりました。海外でもいろいろと聞いてみたのですが、もちろんステロイドバッシング、小さなバッシングはもちろんあります。ありますけれども、日本ほどの大きなバッシングがあったのは、やはりあれが一番の原因だったのかなというようには思います。それは特に悪く言うつもりはないのですが、ただ、アンテベートという上から2番目のお薬、強さ2番目のお薬がOTC化されて、それが出回ってしまうとその二の舞又はそれ以上のことが起こるのではないかということを危惧するのは、もちろん我々皮膚科医だけではなく、皆さんもそう思われると思います。ということで、これはこういう議論に挙がる前に、前にではなくて、議論に挙がってくることすらおかしなOTC化の話かなというように思っております。

 

○笠貫座長

 伊藤参考人、お願いします。

 

○伊藤参考人

 小児科学会の伊藤です。結論から申し上げますと、先ほど申し上げたように、10人ぐらいの中でディスカッションして、最後に意見を集約して持ってきているのですが、全員反対ということでした。先般お話いただいたように、皮膚の問題だけではなく、小児の場合は、ステロイドを大量に使っていると成長障害の問題が出てくるのです。成人に比べると、皮膚が非常に薄くて2分の1ぐらいで吸収が良いということで、こういう軟膏のみならず、実は点眼とか吸入とか、そのような薬剤でも人によっては身長が伸びなくなってしまうことがあります。

 やはりvery strongというのは、全くそういう安全性という意味では非常に論外という感じです。さらに顔に塗ると、眼圧が上がってしまう事例もあるので、やはり子どもの皮膚は吸収が非常に良いということで、その懸念もあります。

3番目としては、小児科特有の非常に多い皮膚の感染症に対して使われる可能性があって、1つはとびひと言われる伝染性膿痂疹ですね。後はおむつ皮膚炎、これはカンジダ等のカビによって起きますけれども、両方とも増悪してしまうので、安易に使うべきではないというのは衆目の一致するところです。

 後は社会的なこととして、今ワクチンを打たないとか、自然食でいくというような、ある意味少し一般的でないお母さんとかもおられて、逆にこういうものを使って悪くなることにより、そういう医療にいってしまったりとか、もしくは軟膏にステロイドを混ぜて、実はステロイドが入っているのに売ってしまうようなビジネスが横行する可能性もあるので、やはり社会的にいろいろな問題を、患者さん以外にも起こしてくるのではないかというのが我々の意見です。ということで「否」ということです。

 あともう1つは、最後に2人の委員からも御要望があったように、その理由と要望した人というのが、誰が要望したかというのは最初に教えていただいて、これはちょっとディスカッションに挙げるには、かなり難しい薬だと思いますので、こういうのは事前に選別していただくみたいなシステムがある方が、多分本当に必要なOTC化すべき薬が国民に届くのが早まるのではないかと考えます。以上です。

 

○鈴木委員

 この薬は、学会、医会、小児科学会も全て、very strongのステロイド剤は医療用医薬品においても、極めて慎重な取扱いをしているということでありますので、我々としてもOTCにはそぐわないと思います。今後、very strong以上のステロイド剤を提出してもスイッチOTC化は無理であるということを、コンセンサスとして決めて、個人の方の要望も可能なので、一般の方が知らないでまた出してこられることもあると考えられますので、それをお伝えしておいた方がいいと思います。

 海外でも行われていないOTC化を、日本OTC医薬品協会はOKということですから、過去の重大な副作用歴も知らず、調べずに、あるいは海外のどこもOTC化されていないことも調べずに、これも知らなかったのも問題だし、知っていたのに出したとしたら、もっと問題だということです。国民の安全を考えずにとにかく売れればいいという姿勢は改めていただきたいし、糾弾すべきだと思います。以上です。

 

○乾委員

 今、委員、参考人の先生方から御意見を頂きましたけれども、確かにvery strongの物については、非常に切れ味が良すぎるということもありますし、患者さんによっては適切に使えばいい薬は間違いないのですが。

 過去の副作用の話がありましたけれども、全ての薬局が過去そういうことをして、薬剤師が何もしなかったということでは決してなくて、先生方が今お話されたような、非常に慎重に適切に指導をして、その後逆にステロイドを使わない、薄くできるだけ弱くというようなことが出て、今きちんとしたステロイドを、処方箋の出た場合には的確に使うようにという、逆に炎症はきちんと抑えないといけない。ということは、しっかりと薬剤師が分かった上で、服薬指導等もしております。相談によって販売する場合にも、それはしているということだけは御理解いただきたいところです。今、委員の先生方がお話されたことについては、ぜひ御理解いただきたいと思いますので、一薬剤師としてよろしくお願いしたいと思います。

 

○笠貫座長

very strongのステロイドに位置付けられる医薬品ということで、議論が進められたと思います。これまで34が認められているが、12は認められなかったということが、今回の意義だと思います。そういう意味で、このOTC化が必要だという要望を出された方にも、その意味はあると思います。

 先ほどOTC協会についての批判も出ましたが、各々の考え方について、オープンの場で議論されて初めて皆さんの共有認識になるのではないかと思います。

 本剤がvery strongのステロイドに位置付けられる医薬品であることを考慮すると、OTC化は「否」とする判断として、このパブコメを進めるということでよろしいでしょうか。ありがとうございました。それではその内容でパブコメを実施していただくよう、お願いいたします。それでは伊藤先生、長時間にわたりましてありがとうございました。

 

○笠貫座長

 続きまして、ヨウ素・ポリビニルアルコールについて、事務局から御説明をお願いします。

 

○事務局

 資料の12を御手元に御用意ください。3ページ目を御覧ください。成分名はヨウ素・ポリビニルアルコールです。要望された効能効果は、目の殺菌、消毒、洗浄でして、個人以外から要望があったものです。

 対応する医療用医薬品ですが、PA・ヨード点眼・洗眼液で、医療用の効能・効果は角膜ヘルペス、洗眼殺菌です。4ページ目及び5ページ目を御覧ください。本成分はグラム陽性菌、陰性菌、ヘルペスウイルス等に対して、殺菌作用、抗ウイルス作用を示す殺菌洗眼薬で、1964年に承認されたものです。

6ページを御覧ください。海外の承認状況ですが、いずれの国においても一般用医薬品としての承認はありません。7ページからが医学会・医会からの見解でございます。詳細については、11ページ目より学会の見解、一部伏せ字となっている部分がありますが、御容赦ください。12ページに医会見解を記載しているので、併せて御覧ください。

 まずOTCとすることの可否ですが、こちらについては学会・医会とも、OTC化することは容認するといった見解を頂いています。OTCとする際の留意事項については、こちらはまず資料の29ページを御覧ください。医療用製剤ですが、29ページの下にありますように、医療用ではガラス瓶に入っていて、保冷庫から取り出したものに対して生食のパックに注入することで調整を行うものです。そうした観点から7ページに戻って、医療用製剤は安定性の観点から用時希釈が必要な製剤であるということで、OTC化の際には一般消費者が容易に希釈できるような製剤工夫を行うとともに、製剤の確実な取扱いに向けた薬剤師による指導体制の構築が必要であるということ。それから医療用医薬品として存在しない容器となりますので、使用期限遵守の指導、過敏症の説明等、薬剤師の理解と協力が重要であるといった御意見を頂いています。

13ページは、日本OTC医薬品協会からの見解です。学会・医会からの見解と同様、可ではないかといった御意見を頂いています。OTC化する際の留意事項ですが、指定された濃度に希釈されない可能性や、異物の混入等が危惧されることから、最終製剤は当該薬剤の使用濃度にあらかじめ調整しておくか、容易に用時調整が可能な容器等による工夫がなされることが適当であるといった対応が提案されています。

 また、机上配布資料13ページ、今回の要望理由です。こちらは要望時においても、こうした課題の解決策、こちらも一部伏せ字としていますが、その解決策の部分が伏せ字ですが、それとともに提案されているものです。

 また事務局から、医療用の用法・用量についてですが、9ページを御覧ください。こちらが医療用の添付文書です。こちらの用法・用量の記載が、通常精製水又は0.9%食塩水で48倍に希釈して用いるとだけ書いてありますので、こちらはOTC化する際には、例えば点眼であればどのぐらいかといったところを設定する必要があるかと思います。その辺りについても、専門的見地から御意見を頂ければと思います。説明は以上です。

 

○笠貫座長

 ありがとうございました。それでは、本日参考人としてお越しいただいていおります村上参考人、それから柿田委員から御意見と補足をお願いします。それでは村上参考人から、よろしくお願いします。

 

○村上参考人

 日本眼科学会の代表ということで、要望に対してのコメントを書かせていただいた村上です。よろしくお願いします。

PA・ヨード点眼・洗眼液は、眼科の領域では広く使われていて、我々になじみのあるものです。眼の白内障の手術などのときに、事前に目の周り、特に角膜結膜の消毒薬として広く使われていますし、適正な濃度で使っている分には、まず問題を起こすことはないということは、広く経験されています。

 年間100万件以上白内障の手術が、今行われていますけれども、その内のどれぐらいがこのPA・ヨード液を使っているか把握していませんけれども、かなりの数使っていることは間違いないと思われます。特異ないわゆるアナフィラキシーショックの報告も、まず我々のところにはないということで、ヨードアレルギーの危惧はあるにしても、十分なヨードアレルギーの問題だけ除外しておけば、まず実際上はこの薬を点眼薬として使うことには問題はないと思います。

 問題は、先ほど御指摘のあった濃度をどの程度でするかということと、適切な濃度に希釈した状態でOTC化が本当にできるのかというところが危惧されるところでありますけれども、これは恐らく既にかなりのところまで確認ができて、十分安定したものとして供給される確信があるのではないかと予測しています。

 日本眼科学会としては、むしろこれは抗菌薬の点眼の乱用、軽い結膜炎ですと我々眼科医も様子を見ろということも多いのですけれども、患者さんに押し切られる形で抗菌薬の点眼をしてしまうことは度々あります。そういう点からも考えると、適切なOTC薬で対応できるものがあるのであれば、非常に有り難い話ではないかと考えています。私からは以上です。

 

○笠貫座長

 ありがとうございます。それでは柿田委員からお願いします。

 

○柿田委員

 日本眼科医会を代表してお話します。村上先生からお話があったように、日本眼科医会も「可」として容認しています。事前配布資料で「不可」と書いてあったのをお気付きになった方もいると思うのですが、もともとこの希釈というのがかなりハードルが高いと思いまして、日本眼科医会は難しいのではないかと考え、不可としていました。

 ただ感染症学会からお話があり、希釈とかもクリアしていく、何とか一般の方が間違えないで正確に使用できる方法を開発しているというお話をお聞きして、でしたら耐性菌の心配も全くなくなりますし、このヨウ素・ポリビニルアルコールは、いわゆるウイルス性結膜炎にも有効との話もありますので、使えるのだったらそれは有り難いことかな思いまして、容認するという形にしました。

 

○笠貫座長

 ありがとうございます。希釈の問題は御確認いただいたと思います。効能・効果について、医療用が、角膜ヘルペスと洗眼・殺菌となっているのですが、OTC化のときの効能・効果の読み替えは、どのように考えますか。

 

○柿田委員

 ここは替えるのは難しいと思います。いわゆる結膜炎の診断は診察をしないとできませんし、何による結膜炎かも当然素人の方には分からないと思いますので、とにかく殺菌消毒をしたいという気持ちに対してお出しするOTCという形にしかできないと思いますが、村上先生はいかがでしょう。

 

○笠貫座長

 村上参考人に御意見がございましたら。

 

○村上参考人

 使い道として一般消費者の方が直接お使いになるときに、どういう形で使うかを想定しろというお話もあると思います。結膜炎あるいは角膜ヘルペスと診断が付いたものは、医療の行為でいいのですけれども、少し目やにが出てきたり、あるいは眼の周りがちょっと不快感があって消毒をしたいという気持ちは。ちょっと例えは不適切かもしれませんけれども、例えば喉のうがいをされる方は、違うヨード剤ですけれども一般OTCとしてうがい液は普及しています。眼をとにかくきれいにしたいというときに使っていただくには問題ないと思います。

 

○笠貫座長

 一般向けの場合には、効能・効果について読み替えをしないといけないということですね。

 

○村上参考人

 読み替えは必要だと思います。結膜炎の適用ということにはできないと思います。OTCの点眼薬の中に、眼の周りの消毒とまではいきませんけれども、清潔にする目的で一般的なOTC薬は使えていると思いますので、それに準ずる形で合わせていただければ問題ないと思います。その辺、確認いただければと思います。

 

○笠貫座長

 事務局お願いします。

 

○事務局

 資料12-13ページ、要望された効能・効果としては、医療用から若干異なり、眼の殺菌、消毒、洗浄ですが、こういった形でいかがか御意見を頂ければと思います。

 

○笠貫座長

 よろしいでしょうか。ありがとうございます。

 

○鈴木委員

 これについては、学会・医会とも容認するという方向性なので、我々もそれを支持したいと思いますが、いろいろな要望事項が出されましたので、それを尊重していただいて、学会・医会の要望した製剤の工夫がなされることを前提に、OTC化をしていいのではないかと思います。

 ただし原則としては、まずは医療用として開発し上市した上で、それをスイッチOTCするかどうかを議論すべきだと思います。今回そうした形ではないわけですが、学会・医会の要望のような製剤の工夫がなされるということであれば、容認したいと思います。

 

○笠貫座長

 他にございませんか。佐藤委員。

 

○佐藤委員

 質問ですが、製剤の工夫はされるということなのですけれども、恐らく一定の濃度で製剤して、一定の濃度で安定的にその後使えるものなのか、あるいは使う都度とか1日とか何日とかで使うものなのか、その辺のところが知りたいと思っています。

 もう1つは、これは特段、通常の市販薬のように、継続して使っていいものなのかどうか、その辺について教えてください。

 

○村上参考人

 ヨード薬の点眼は、長期に永続的に長く毎日使い続けるということは、恐らく適さないと思います。ですから必要に応じて使うということになると思います。実際に希釈すると、1日ぐらいしか安定性はないので、用時で溶かしてそれで使っていただいて、問題が解決しなければ、眼科に受診あるいは専門の科に受診を促すという形がよろしいと思います。

 逆に眼科で治療を受けた後、一応病状は安定したのだけれども、若干まだ不安があるというときに、消毒しておこうという使い方は間違いではないと思います。

 先ほど御指摘いただいた、確かにまず希釈したものについて、医薬品として使ったものがスイッチされるのが筋というのは、私もそれはその原則が正しいと思うのですけれども、実際に我々のところでもどこでもそうですけれども、お渡しするときには薬局で用時作成して、必要に応じて使っていただくというスタイルなのです。

 そのステップ自体が、もう既に医薬品として使われているという考えは、大きく間違っているのか間違っていないのか、ちょっとそこは理解できないまま容認という答えを出したことについては、一応釈明させていただければと思います。

 

○佐藤委員

 そうしますと、包装単位はどのぐらいになるというお考えでしょうか。

 

○村上参考人

 最大で、5cc未満ぐらいではないでしょうか。

 

○佐藤委員

 すみません、そういう意味ではなくて、多分自分で調剤して1日分ぐらいの安定性があるというお話だったかと思いますけれども、長期的に使うものではなくて、ただ診断の後に一定程度使うことには問題がないのではないかという御意見と拝聴しました。そうすると、市販される商品としては、調整分が何日分ぐらいあるというお考えですか。

 

○村上参考人

2日か3日分がせいぜいで、多くはないかなと思います。この辺は、実際にこのものをお作りになる製薬会社が、ある程度形を出していただいた上で検討をされるとよろしいのではないですか。まずはこのPA・ヨード点眼液というもの自体が、OTC化に値するものかどうかを議論するものだと私は理解して、今回お話をしました。ですから細かいことについては、また別のレベルになるのではないかと、私は理解しています。

 

○笠貫座長

 留意事項について、どこまで具体的に詰めるかという問題だと思います。村上参考人の御意見のように、安定するのは1日あるいは23日分だという具体的な数字が出れば、それを留意事項として付けながらOTC化を図るということです。これまでの製品でも議論されたことは、それを含めたパブコメを出していると思います。他にはございませんか。

 それでは、検討会議の方向性をまとめたいと思いますが、OTC化については先ほどの消費者が容易に希釈できるとか、安定性の問題あるいは何日分とか、議論されましたので、それらを条件に、成分としてOTC化を「可」と判断してパブコメに進めるということで差し支えありませんか。ありがとうございました。それではそのようなパブコメを実施していただくようお願いします。村上先生におかれましては、本当にお忙しいところありがとうございました。

 

○笠貫座長

 それでは本日の議題は以上です。

 

○鈴木委員

 議題についてはこれで結構だと思うのですが、パブコメの扱いについてです。前回が1回目で今回が2回目ということで、まだなかなか方針が固まっていないところもあると思います。前回の緊急避妊薬のときには「否」とした上でパブコメとするのに、かなり議論をしたと思いますけれども、今回は自動的に「否」でも「可」でもパブコメとなったわkでですが、パブコメの位置付けを事務局としてはどのようにお考えなのか、確認させていただきたいと思います。

 

○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課課長

 資料1でしたか、これまで2回の御検討の場のみですが、資料1の裏側にありますように、ここで1回目のスイッチOTC化の妥当性の評価で、真ん中の箱だと思いますけれども、御議論いただき、中身が「否」も「可」もあるかと思います。またいろいろな御意見があるかと思いますけれども、それらについて一旦パブコメをして、それをもう一度、評価検討会議でパブコメを御報告した上で、最終的に御判断をいただくという流れにしていると理解していますし、またその点をお願いしたいと思っています。そういう意味で、「可」「否」にかかわらず、パブコメの手続きに一旦移したいと考えております。

 

○鈴木委員

 確かにこの検討の進め方の図を見ると、「否」の場合はやらないとか、「可」の場合しかやらないとか、そういうことは書いてないので、全部やるような図にはなっています。むしろ前回はそこがまだ確認できなかった。事務局も、我々もそういうことだったのですが、今回は自動的にパブコメになっていますので、パブコメも含めた全体が一連のスキームだと理解してよろしいですか。

 

○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課課長

 はい。前回その点をもっと先に御説明すればよかったと、反省しております。

 

○鈴木委員

 その上で、あくまでも結論は、この評価検討会議で決めるべきものですから、1回目の決定は非常に重いと思います。パブコメは、ある意味参考だと思いますので、その意味ではパブコメによって意見が2回目の会議で覆るということはないと考えてよろしいですか。

 

○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課課長

 そこは先生方のこの会議での2度目の御議論で、1回目のままでよしという御判断を頂ければ、それでいいと思っています。

 

○鈴木委員

 いずれにしても、この評価検討会議で決めるということであれば、この会議は全会一致ということで進んでいるわけですから、そういうことであれば了解したいと思います。

 

○笠貫座長

 私も、このスキームは新しいスキームであると思います。評価会議で議論して、その結果をパブコメに出しながら、それを元に議論を重ね評価会議で決定することです。
OTC化は医師側と薬剤師側と企業側と国民の問題であり、各々がOTC化について共通認識を持っていくプロセスとしては、私はこのスキームは大変大事なことだと思っています。当面これで進めていく過程で、この会議のスキームについて、どこかで議論することがあるかもしれませんが、1回だけでもいろいろなことが分かってきたことがありますし、これから分かることもあると思います。そういうことを含めて、この評価会議で議論されていくことが意義があると感じています。

 それでは他にありませんでしたら、本日の議題は以上です。

 

○鈴木委員

 これは要望なのですが、今日もこの場で見解が変わったりするような医会もあったのですが、是非組織決定をしていただきたいということは、事務局からお伝えいただきたいと思います。

 

○医薬・生活衛生局医薬品審査管理課課長

 その点は、今回も組織としてまず出していただき、またこの場にもお越しいただいていると理解していますが、次回の分も含め、その辺りをお伝えしお願いをするつもりです。

 

○笠貫座長

 それでは事務局から他に何かありましたら、お願いします。

 

○事務局

 長時間にわたりありがとうございます。次回の検討会議は、来年316日金曜日の午前10時からを予定しています。次回は本日に御議論いただいた成分について、パブコメ後の検討と、残りの成分で準備が整ったものについて、御議論いただくことを予定しています。御多用のところ恐縮ですが、どうぞよろしくお願いいたします。

 最後に本日タブレットを使用しましたが、タブレットの使用に関して、アンケート用紙の御記入に御協力を頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。以上です。

 

○笠貫座長

 ありがとうございました。私の進行の不手際で、少し時間が超過したことをお詫びします。これで第3回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議を終わります。御協力ありがとうございました。


(了)
<照会先>

厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課

03-5253-1111(内線 2737、2741)

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