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2018年07月26日 第74回社会保障審議会介護保険部会 議事録

老健局総務課

○日時

   平成30年07月26日(木)10:00~12:00

 

○場所

   ベルサール半蔵門 ホールA
   (東京都千代田区麹町1-6-4 住友不動産半蔵門駅前ビル2F)

○出席者

安藤、石田、石本、伊藤、岩村、江澤、遠藤、河本、久保、黒岩(代理:川名参考人)、
齋藤(訓)、齊藤(秀)、佐藤、武久、栃本、花俣、濱田、東、藤原、桝田、山際の各委員
(井上、大西、岡、鈴木、の各委員は欠席)
 

○議題

   (1)介護分野の最近の動向等について
   (2)高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施について
   (3)医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議の検討状況の報告について
   (4)その他

○議事

○北波総務課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから、第74回「社会保障審議会介護保険部会」を開催いたします。
委員の先生方におかれましては、大変お忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
まず、昨年でございますが、前回の会議から委員の御異動がございましたので、新任の委員の御紹介をいたします。
まず、公益社団法人日本医師会常任理事の江澤和彦委員です。
続きまして、健康保険組合連合会常務理事の河本滋史委員です。
続きまして、一橋大学国際・公共政策大学院、大学院経済学研究科教授の佐藤主光委員です。

○佐藤委員 一橋の佐藤です。よろしくお願いいたします。

○北波総務課長  続きまして、民間介護事業推進委員会代表委員の山際淳委員です。

○山際委員 山際でございます。よろしくお願いいたします。

○北波総務課長 また、事務局におきましても異動がございましたので、御紹介いたします。
介護保険指導室長の山本亨でございます。

○山本介護保険指導室長 山本でございます。よろしくお願いします。

○北波総務課長 報道関係の方に御連絡いたします。冒頭のカメラ撮影はここまででございますので、御退席をお願いいたします。

(報道関係者退室)

○北波総務課長 それでは、以降の議事進行は遠藤部会長にお願いしたいと思います。
よろしくお願いします。

○遠藤部会長 久しぶりの開催ですので、どうぞよろしくお願いいたします。
まず、本日の出欠状況でございますが、井上委員、大西委員、岡委員、黒岩委員、鈴木委員が御欠席でございます。
黒岩委員の代理として川名参考人(神奈川県福祉子どもみらい局福祉部長)が御出席でございますので、御参加をお認めいただければと思いますが、よろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○遠藤部会長 ありがとうございます。
それでは、議事に入らせていただきます。本日の資料について、まず事務局から確認をお願いしたいと思います。

○北波総務課長 わかりました。お手元に、
資料1 介護分野の最近の動向等について
資料2 高齢者の保険事業と介護予防の一体的実施について
資料3-1 医療・介護データ等の解析基盤について
資料3-2 これまでの議論の整理(案)-NDBと介護DBの連結解析について-
資料3-3「医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議」開催要綱
資料4 地域包括支援センターの評価指標
資料5 平成30年7月豪雨による被害状況等について
そして、参考資料をお配りしております。
末尾でございますが、井上委員の提出資料をお配りしております。
不備等ございましたら、事務局までお申しつけください。よろしくお願いします。

○遠藤部会長 よろしいですか。
それでは、議題が3つありまして、その個々の議題と資料が対応しておりますので、議題の内容に該当します資料1から資料3-3まで、まとめて事務局から御報告いただきたいと思います。

○北波総務課長 わかりました。
まず、資料1をごらんいただければと思います。介護保険部会につきましては、昨年秋に開催いただきまして、今回、久々の開催ということでございますが、ことしに入りまして、第7期の事業計画期間、また29年の介護保険改正につきましての施行が始まっているところでございます。そういうこともありまして、最近の動向について御説明いたします。
1枚めくっていただきまして、介護保険をとりまく状況。
今後の介護保険をとりまく状況についての図が3ページにございます。
まず、2、認知症高齢者が、2025に向かいまして約700万人ということで増加していく。
また、人口構成につきましても、65歳以上の単独世帯や夫婦のみの世帯が増加していくというところが見てとれるところでございます。
また、4でございますが、75歳以上は都市部で急激に増加し、もともと高齢者人口の多い地方では緩やかに増加するということで、各地域に特性があるということが見てとれるところでございます。
次のページでございますが、要介護率が高くなる75歳以上の人口の推移というものでございます。
左の図でございますが、まず2025年までは急激に増加するということが見てとれるわけでございますが、その後はなだらかな状況が続くという人口構成の変化が見てとれるところでございます。
一方、40歳以上の方の人口、ほとんど負担者の推移でございますが、65歳以上、それから40~64歳をプラスしましても、2025年をピークといたしまして、徐々に減っていくという状況で、人口の状況が2025年以降は大きく変わってまいりますというところをあらわしております。
要介護認定の認定者数の推移でございますが、平成12年の介護保険発足から今年まで18年たっておりますけれども、200万人程度から600万人ということで、要介護認定を受けておられる方が3倍という形になっております。
次のページをごらんいただければと思います。それに伴いまして、介護保険の総費用につきましても年々増加しているということで、2000年、介護保険が発足した当初につきましては3.6兆円という総費用でございましたが、27年、15年後ということでございますけれども、9.8兆円という形になっております。
一方、第1号被保険者の保険料につきまして、制度発足時は2,911円ということで、3,000円を下回る水準ではありましたが、この4月からの第7期の保険料につきまして、全国平均では5,869円ということで、前期比でプラス6%という上昇率になっております。
また、自治体ごとには随分差がございますので、それにつきましては、後ほど後ろのほうの資料で御説明したいと考えております。
それでは、2番目の平成29年の介護保険法改正について、4月からの施行状況について御報告させていただきます。
1枚めくっていただきまして、8ページでございますが、御案内のとおり、29年の法改正は、昨年、改正法が成立いたしまして、地域包括ケアシステムの深化・推進、また2番目の介護保険制度の持続可能性の確保という柱で私どもも法施行に努めております。
1枚めくっていただきまして、10ページをごらんいただければと思います。保険者機能の強化推進交付金につきましては、30年度に200億円の予算で進めているところでございます。
真ん中に概要がございますが、市町村分につきましては、200億円のうちの190億円程度。また、都道府県につきましては、200億円のうちの10億円程度ということで配分しようと考えております。
下半分の参考2でございますが、市町村の評価指標につきましては、昨年、この部会で御議論いただいて、これを適用して、保険者それぞれに評価を行っていこうということで進めているものでございます。
11ページにつきましては、介護医療院の関係でございます。これにつきましては、4月からこの法律が施行されておりまして、今のところ承知しておりますのは、5施設が介護医療院のほうに流れているというところでございます。
13ページは、地域共生社会の実現に向けた取組の推進ということで、新たに共生型サービスを位置づけ。これにつきましては、30年度の介護報酬の改定におきましても、新たにこの介護報酬の項目を創設させていただいているところでございます。
14ページでございます。現役世代並みの所得のある者の利用者負担割合の見直しにつきまして、年金収入等340万円以上の者の3割負担の導入につきましては、この8月に予定どおり施行するということで準備しているところでございます。
また、総報酬割の導入が15ページでございますが、30年度は2分の1。また、来年度につきましては、4分の3という形で、段階的に完全施行に向けて進めていくというところでございます。
17ページをごらんいただければと思います。要介護認定の見直しでございます。
要介護認定につきましては、認定者数の増に加えまして、また事務処理、事務の効率化というものも課題になっております。そういう中で、要介護認定という趣旨の中で、できるところは効率化するということで進めてまいっております。この4月からでございますが、更新認定につきましての有効期限の上限を24カ月から36カ月に変更するという取り扱い。
また、下の半分でございますけれども、いわゆる状態が安定していて、要介護認定の時間の境目ではなくて、真ん中程度のところである状態の方。また、前回認定の有効期間が12カ月以上という方につきましては、審査の簡素化ということが可能ではないかということで、4月以降につきましては、取り扱いについて、その次の18ページでございます。認定審査におきまして、事前準備のときに、赤字で書いてございますが、簡素化対象者一覧というものを提示した上で、その一覧を確認することで結果を通知するという取り扱いにしているところでございます。
これは、法律上の基本原則ということでございますが、各自治体において、その趣旨のもとで簡素化方法を決定して進めていただくということにしておるところでございます。
次は、介護報酬の改定でございます。これは、社会保障審議会の介護給付費分科会で議論いただきまして、ことしの4月からということで新しい報酬体系で適用しているところでございます。ほぼ御案内のところが多うございますので、20ページのみを説明させていただきたいと思います。
改定率につきましては、平成30年度の介護報酬改定は、プラス0.54%ということで扱わせていただいております。趣旨につきましては、上にございますように、団塊の世代が75歳以上になる2025年に向けて、国民一人一人が状態に応じた適切なサービスを受けられるようにということで、質が高く効率的な介護の提供体制の整備を行うということでございます。
それのもとで、4つの柱を立てさせていただきまして、この改定の体系を設定いたしました。
1番が、地域包括ケアシステムの推進。どこに住んでいても適切な医療・介護サービスを切れ目なく受けることができるということで、1つは、まず在宅もしくは施設において、医療系のサービスにつきましてもきちんと対応できる。また、看取りにつきましても、特別養護老人ホームを中心に、体制についてはしっかり評価していこう。また、個別のケアについての評価。そして、医療と介護の連携、入退院時の整合性をとるということを同時改定の中で調整をとらせていただいたところでございます。
2番目の自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービスの実現におきましては、安心・安全で、自立支援・重度化防止に資する質の高い介護サービス。特にリハビリテーションにつきましては、医師の関与でありますとかアウトカム評価というものについて。また、実際のアウトカムのデータについても、データベースに登録するというものについての評価を行っていこうということにしております。また、介護の内容、褥瘡の発生予防や排泄につきましても、個別の計画について評価を行うことにしております。
また、3番目、多様な人材の確保と生産性の向上ということで、人材の有効活用。また、先進技術をなるべく取り入れようということでの改定を行いました。生活援助の担い手の拡大ということにつきましては、訪問介護を行える人についての研修要件を若干緩和いたしまして、生活援助については裾野を広げていこうという取組を進めたいと考えております。また、介護ロボット、今回は見守りセンサーということでございますが、こういうものを導入しているところについての配置基準の緩和も行おうということでございます。
また、4番目でございますが、介護サービスの適正化・重点化ということで、これは制度の安定性・持続可能性を確保するための措置ということで、福祉用具貸与の価格の上限設定でありますとか、集合住宅の訪問介護の減算の見直し等々につきまして、対応をとらせていただいているところでございます。
若干飛びまして、25ページをごらんいただければと思います。第7期介護保険事業計画につきましては、各自治体で定めていただいたところでございます。
この概要につきましては、26、27ページにございます。今回は、第7期、それから2025年度の推計も出していただいているところでございます。平成32年度が2020年度。これにつきましては、第1号被保険者数は3,500万人超、また2025年には3,600万人になっております。以下、数字が見てとれると思います。
高齢化率、第1号被保険者に対する65歳以上の認定者数の割合につきましても、現在、18%程度でございますが、2020年には19.1%。また、2025年には21.4%という推計になっているところでございます。
第7期介護保険事業計画におけるサービス量の見込みも、御案内のとおりでございますので、ごらんいただければと思います。
28ページ、29ページにつきましては、保険料のそれぞれ県ごとの平均値。また、保険料の基準額の分布ということでございます。保険料高額保険者、低額保険者を見ていただければ、3倍以上の差が生じているところでございます。原因はいろいろとございますが、このような形になっているところでございます。
また、政策面での動きにつきまして、31ページから少し御紹介させていただきたいと思います。
昨年12月8日でございますが、新しい経済政策パッケージというものを閣議決定いたしたところでございます。来年の消費税の改定に合わせまして、介護の分野におきましては、介護職員の処遇改善という項目で決定がなされております。
「具体的には」というところが肝でございますが、介護サービス事業所における勤続年数10年以上の介護福祉士について月額平均8万円相当の処遇改善を行うことを算定根拠に、公費1,000億円を投じましょうということにしています。
実施時期につきましては、消費税の引上げに伴う報酬改定において対応しということで、19年10月から実施することにされているところでございます。
また、先月、閣議決定されました骨太方針、経済財政運営と改革の基本方針2018につきましても、消費税のところについては、33ページの真ん中でございますが、介護人材の処遇改善について消費税率引上げ日の2019年10月1日に合わせて実施ということで盛り込まれているところでございます。
また、下の段でございますが、社会保障改革を軸とする「基盤強化期間」の設定ということで、これにつきましては、2019年度から2021年度になっております。2021年度というのは、第8期の初年度ということでございますので、介護保険を中心とする高齢者介護につきましても、どのような形にするか検討を進めるということだと受けとめております。
次のページ、34ページにつきましては、毎年度の予算編成、財政健全化目標とのフィットということでございます。1で書いてございますように、これはこのとおりでございますが、2020年度に向けてその実質的な増加を高齢化による増加分に相当する伸びにおさめることを目指す方針とされていること。また、経済・物価動向等を踏まえ、2019年度以降、その方針を2021年度まで継続させるという取り扱いになっているところでございます。
また、下の社会保障の基本的考え方につきましては、ごらんのとおり、改革工程表全44項目を着実に推進するとともに、最後の2行でございますが、健康寿命を延伸し社会の活力を維持する。また、人手不足の中でのサービス確保に向けた医療・介護分野における生産性向上を図るための取組を進めるという形になっています。
その関係で、35ページ目の予防・健康づくりの推進ということで、3つのかたまりの最後ですが、介護予防やフレイル対策、また疾病予防や重症化予防について、市町村が一体的に実施する仕組みを検討するということが盛り込まれているところでございます。
36ページにつきましては、保険者機能の関係のところでございます。
1番目にございます医療費の地域差半減、また1人当たり介護費の地域差縮減に向けてということで、3行目にありますように、保険者機能の一層の強化を含め、さらなる対応を検討とするという形になっております。
また、財政的インセンティブ、調整交付金の活用方策につきましても、真ん中のパラグラフにございますように、新たな交付金による保険者の取組の達成状況や評価指標の運用状況等も踏まえ、保険者間の所得水準の差等を調整するための重要な機能を担っていること等に留意しつつと、調整交付金の機能でございますが、第7期期間中に地方公共団体関係者の意見も踏まえつつ、具体的な方法等について検討し、結論を得る形になっているところでございます。
また、最後、37ページは、生産性の向上について、さまざまな提言が盛り込まれているところでございます。
また、38ページをごらんいただければと思いますが、こちらにつきましても、保険者努力支援制度の評価指標への追加などインセンティブの一層の活用とか科学的介護の観点。
そして、最後でございますが、負担能力に応じた公平な負担ということで、常々議論になっております資産の保有状況でありますとか、介護のケアプランの話、また多床室の室料、介護の軽度者への生活援助サービス、給付の在り方を検討という形になっているところでございます。
次は、未来投資戦略の関係でございますが、若干触れさせていただきますと、1つは、ワンストップサービス。そして、全国的な保健医療データシステムの構築という関係について、さまざまな提言等が盛り込まれているところでございます。
41ページの2医療機関等における健康・医療情報の連携・活用の2行目でございますが、全国的な保健医療ネットワーク。これにつきましては、平成32年度からの本格稼働を目指すと書いてありますが、あわせて、その構築の工程表に介護情報の提供についても盛り込むという形になっております。私どもも今、準備しているところでございます。
時間の関係もありますので、アジア健康構想等もございますが、飛ばさせていただきまして、47ページをごらんいただければと思います。地方分権の関係につきまして、一括法での法改正というのが行われております。施行につきましては、公布の日、6月27日ということで、既に施行されているわけでございますが、介護支援専門員(ケアマネジャー)が専門員証の交付を受けずに業務を行った場合、一律登録消除の取り扱いでございましたが、やむを得ない事情がある場合について、下のところでございますが、情状が特に重い場合、有効期間経過後に都道府県から、研修を受講し専門員証の交付を受けるよう指示があったにもかかわらず、そのまま業務を継続した場合などに限って、登録を消除するという取り扱いにしているところでございます。
また、49ページ以降はデータベースの構成でございます。若干紹介させていただきたいと思います。49ページのみで説明したいと思いますが、介護保険総合データベースにつきましては、要介護認定情報は2012年度から、またレセプト情報は2009年度から収集を行っております。また、2018年度からデータ提供の義務化ということを法律に基づいて行っているところでございます。
また、現在、構築して、これからデータをふやしていこうというところがVISITという、通所・訪問リハビリテーションの質の評価データ収集等事業のデータというものがございます。今回、行われる報酬改定におきましても、データ提出につきましては、リハビリマネジメント加算を新設いたしまして、評価していくということで推進しているところでございます。
それ以外の補完的な介入状況でありますとか状態像をデータ化するものにつきましては、先般、初期項目265項目、どのような項目を盛り込むのかについて、取りまとめを行ったところでございます。今後、収集経路等をきちんと整理した上で、2020年度の本格稼働に向けてということで作業を進めてまいりたいと思っております。
飛びまして、56ページをごらんいただければと思います。4月、5月、経済財政諮問会議におきまして、加藤厚生労働大臣から、これまでの社会保障制度改革と一体改革後はどう展望していくのかということについて発表し、議論を進めようということで発言をいただいております。
消費税の引上げにつきましては、来年10月に10%になるということで、一体改革に関わる社会保障の制度改革が完了することになるわけでございますが、一体改革後の社会保障改革というのはどう考えればいいのかについての問題提起でございます。
57ページを見ていただきますと、左側の2040年までの人口構造の変化。これは、最初に御紹介いたしました、2025年以降は、人口構造、また人口の変動についてのフェーズが変わってくるというものでございます。
そういう中で、就業者数の推移につきましても、医療・福祉のニーズがふえる中、それに携わる人のニーズというものは、全就業者数の割合で言いますと12.5%という現状から、この真ん中の下に暫定と書いてありますが、19%程度ということで、5人に1人程度ということになるわけでございます。
こういう中で、2025年以降の現役世代の人口の急減という新たな局面にどう対応するのかというので、1つは、国民的な議論を進めなければならない。
また、政策課題につきましては、現役社会の人口が急減する中での社会の活力をどう維持向上させていくかということで、高齢者を初め、多様な方が社会参加・就労参加をしていただく。
また、労働力の制約の中でのサービス自体の効率化、生産性の向上が求められているところでございます。
58ページにつきましては、健康寿命の延伸に取り組むことの重要性につきまして、幾つかの事例をもとに説明しているペーパーでございます。
59ページの右下でございます。これらの政策課題を総合的に検討していくため、社会保障改革の全体像に関する国民的な議論が必要ではないかということで発言していただいているところでございます。
そういう中、5月でございますが、2040年に向けて、議論の最初のとっかかりということで、将来の見通しという議論の素材を、これは内閣官房と内閣府、財務省、厚生労働省が連名で試算した上で、経済財政諮問会議に提示しているところでございます。単純に物価・賃金の上昇というものを見込んで、現状から延ばしていったところでございますが、それにおきましても、2040年にはGDP比で大体11%から12%という医療・介護の給付費になろうかと思います。
左側の現状投影は、2018を足元に延ばしていったものでございまして、現在、自治体が計画していますのは2025年までの推計値で、これをもとに延ばしていったものでございます。若干違いはございますが、いずれにしても伸びていくところでございます。
61ページにつきましては、医療・介護のみならず、子ども、年金、その他、全てを含めて投影していきますと、割合で言いますと23.8%から24%程度になるのではないかという推計になっています。これをもとに、どのような政策的な対応をするのかという議論をするということなのだろうなと捉えております。
63ページ、最後のページでございますが、2040年を見据えた社会保障の将来見通しに基づくマンパワーのシミュレーションということです。費用ではございませんで、先ほど就業者における医療・福祉に携わる人の割合が20%弱と申し上げましたが、それにつきまして、どういうふうに対応していくのかというところについて、幾つかシミュレーションを示したところでございます。
政策課題でございます医療・介護需要シミュレーション(1)でございますが、医療・介護需要が一定程度低下した場合ということで、これにつきましては、健康寿命の伸びというものを考慮して、介護の認定率につきましては、例えば1歳分程度低下するということで計算しまして、就業者数については、医療・福祉分野を合わせましてマイナス81万人。
また、シミュレーション(2)につきましては、生産性向上という観点から、5%程度生産性が向上するということで、マイナス53万人とはじいたものでございます。
これを右側の図で見ていただきますと、それぞれ計画ベースの数字と、需要低下、生産性向上を合わせたものの効果を試算しますと、930万人程度ということになります。現在の2025年の計画ベースで931万人ということで、これに近似したような数字ということで、最低限、このような取組は必要なのではないかという趣旨で用意したものでございます。
このような形で、経済財政諮問会議でも4月、5月と論点を提示させていただいていますし、また、秋以降には、国民的な議論をどうするかという話を、2040年に向けての検討課題ということで進めていくことになろうと思っております。
資料1につきましては、以上でございます。
引き続きまして、資料2のほうをよろしくお願いします。

○鈴木老人保健課長 老健課長でございます。
それでは、議題2「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施」につきまして、資料2をもとに御説明させていただきます。
あけていただきまして、まず2ページをごらんいただければと思います。これは、平成30年4月12日に、経済財政諮問会議のほうに加藤厚労大臣から提出させていただいた資料でございますが、健康寿命延伸に向けた取組といたしまして、2040年までに健康寿命を3年延伸、平均寿命との差の縮小を目指すということで、今後、健康格差の解消を目指していくものとしております。これの方法といたしまして、重点分野を設定して、ここにあります健康無関心層も含めた予防・健康づくりの推進。それから、地域間の格差の解消、この2つのアプローチで格差を解消していくという方向で考えております。
その中の重点的分野につきまして、下の絵の一番下にありますけれども、今回、介護・フレイル予防につきまして、介護予防と保健事業の一体的実施を進めていくということで考えているところでございます。
あけていただきまして、3ページになります。医療保険と介護保険におけます予防・健康づくりの一体的実施でございますが、下の左側にありますが、現在、疾病予防・重度化防止の対応ということと、高齢者の生活機能低下の対応、この2つの方法で行っているところでございますが、その右側を見ていただくとおわかりになると思いますけれども、それぞれ生活習慣病対策、フレイル対策、これは医療保険で行われているものと、介護保険で行われております介護予防というものが別々で展開されているということ。
それから、医療保険の保健事業は、75歳を境に保険者・事業内容が異なるということでございますので、ここの部分につきまして一体的に実施することによって、効果的・効率的な体制を構築したいということでございます。
4ページがイメージ図でございますが、今回、介護保険の介護予防で行っております通いの場といったものを中心としまして、ここにフレイルチェック、保健指導等を一体的に実施することによって、高齢者の健康寿命を延ばしていこうというものでございます。
続きまして、6ページをごらんいただければと思います。この保健事業におけるフレイル対策と介護予防についての概要でございますが、これらにつきましては、それぞれの制度によって行われているところが現状でございます。
まず、フレイル対策につきましては、左側になりますけれども、医療保険、いわゆる後期高齢者医療制度の中で行われておりまして、法律上の位置づけといたしましては、高齢者の医療の確保に関する法律、いわゆる高確法の中で努力義務として行われているところでございます。
一方、介護予防につきましては、その右側にありますが、介護保険法におきまして市町村の義務ということで行われているところでございます。
また、事業スキームになりますけれども、実施主体につきましては、フレイル対策につきましては、後期高齢者医療広域連合のほうで行われておりまして、対象者につきましては、被保険者、75歳以上の方々が主な対象となります。また、事業内容につきましては、ハイリスクの方々に対して、個別アプローチにより保健指導を実施するというのが事業スキームになっております。
一方、介護予防につきましては、その右にありますが、実施主体は市町村、対象者は65歳以上の被保険者で、事業内容につきましては、参加を希望する65歳以上の方、全てに対しまして、住民の通いの場等による介護予防活動の実施ということが事業スキームになっております。
また、財源につきましても、それぞれのようになっているところでございます。
飛びますが、9ページをごらんいただきたいと思います。こういった介護予防・フレイル対策につきましては、制度、実施内容等につきまして、若干の差がございますので、今回、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施をするため、制度・実務的な論点について整理を行うために、有識者会議を設けて検討させていただきたいと思っております。
また、この有識者会議の検討の結果等につきましては、医療保険部会及び介護保険部会それぞれに報告していただく。最終的にその報告を踏まえながら、両部会において、制度面・実務面の観点からの議論を行っていただきたいと考えております。
また、その下に例として挙げておりますが、有識者会議におけます検討事項といたしましては、現在、大きく5つのことを考えておりまして、1つは、一体的実施の意義・目的。それから、実施内容、実施主体をどうするか。それから、事業スキーム、その他ということで、こういったことを有識者の方々に議論していただいて報告いただきたいと思っております。
委員の構成につきましては、右側に掲げさせていただきますが、このようなメンバーで行わせていただければと思っております。
検討スケジュールにつきましては、その下にありますが、医療保険部会には、先週、7月19日に報告させていただきまして、御了承いただいているところでございます。本日、介護保険部会において御報告させていただき、了承いただければ、近日中に第1回有識者会議を開催し、年内には検討結果のとりまとめ。最終的には、両部会に報告ということを目指したいと思っているところでございます。
議題2につきましては、以上でございます。
それから、議題3「医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議の検討状況の報告について」ということでございます。
これにつきましては、まず、資料3-3の4ページをごらんいただければと思います。医療と介護のデータベースということで、医療保険と介護保険におきましては、それぞれ患者のデータを収集しているところでございます。医療保険につきましてはNDB、介護保険につきましては介護DBという形で、請求等に係るデータを国が悉皆的に収集し、国への提出前に匿名化して、これをデータベース化しているところでございます。
このデータベースですが、概要について、その下に掲げさせていただいておりますが、まず、NDBにつきましては、収集している情報については、医療レセプトと特定健診のデータを収集しております。介護DBにつきましては、介護レセプトと要介護認定情報というものを収集しております。
項目につきましては割愛させていただきますが、これらの2つのデータベースにつきましては、収集根拠となる法律がございまして、NDBにつきましては高齢者医療確保法の第16条、介護DBにつきましては介護保険法第118条の2に基づいて、それぞれ収集しているところになっております。
また、主な用途につきましては、NDBにつきましては医療費適正化計画の作成、実施、評価。それから、医療計画、地域医療構想の策定といったものに資するために収集している。介護DBにつきましては、市町村介護保険事業計画、または都道府県介護保険事業支援計画の作成、実施、評価といったものに使うということで収集しているところでございます。
これら両データベースにつきましても第三者提供が行われておりまして、NDBにつきましては平成23年度から、介護DBにつきましては今年度から第三者提供を行うこととしております。
また、これらのデータベースにつきましては、先ほど申しましたとおり、全て匿名化されて収納されているものでございます。
続きまして、5ページをごらんいただきたいと思います。NDBと介護DBの収集・利用目的でございますが、全体的な収集・利用目的につきましては、法定目的とガイドラインの組み合わせによって設定しておりますけれども、実は、法定目的には、このNDBと介護DBには差が生じております。
この下の表の一番左を見ていただければと思いますが、収集・利用目的の法定目的ですけれども、NDBにつきましては、適正化計画等の作成、実施、評価でございますけれども、介護DBにつきましては、事業計画等の作成、実施、評価に加えまして、国民の健康の保持増進及びその有する能力の維持向上のために収集するということで、NDBの利用目的と差が若干出ているところでございます。
ただ、最終的にはガイドラインのほうで補てんしておりまして、ガイドラインと法定目的を合わせますと、NDB、介護DB、両方とも同じ範囲、収集目的・利用目的で運営されているという現状でございます。
また、この下にありますが、NDB第三者提供の流れでございますけれども、利用を申し出ていただいて、個別審査して、この個別審査につきましては、設定されているガイドラインに沿って、個人が特定できないかどうかということも含めて審査をしていただき、最終的に了が出た場合にはデータ提出・提供。その後、成果の公表前にも、個人情報が識別できないかどうかということについて、もう一度事前確認を行った上で成果を公表していただき、最終的には、利用後は、データは厚生労働省に返却するという流れになっておりまして、これは介護DBにつきましても同じような流れで行うこととしております。
続きまして、6ページでございます。こういったNDB、介護DB、2つのデータベースを有しておりますけれども、新たな要請といたしまして、一番上にありますが、経済財政諮問会議等におきまして、医療と介護のレセプトデータを全国的に連結すること。または、健康・医療・介護のビッグデータを連結し、医療機関や保険者、研究者、民間等が活用できるようにすることが期待されている。
こういったことを踏まえまして、今後の検討にありますが、NDB、介護DBに関する特質を踏まえた検討ということで、提供するための枠組みを有識者会議のほうで検討していただいたところでございます。この有識者会議につきましては、今回、中間的なとりまとめが行われましたので、御報告させていただきたいと思っております。
その内容でございますが、資料3-2をごらんいただければと思います。この医療・介護データベース等の基盤に関する有識者会議を立ち上げまして、これまで、これらの連結解析について議論していただいたところでございまして、議論の経緯につきましては、割愛させていただきます。
基本的視点につきましては、最終的には、先ほど申しましたとおり、医療と介護のデータベースを連結して分析することが期待されるということなので、一番下にありますとおり、匿名で連結を行うことを前提に課題の検討を続けていただいたところでございます。
その検討した内容でございますけれども、2ページになりますが、まず1つは、データ収集・利用目的、対象範囲について、どう考えるのかということでございます。
データ収集と利用目的につきましては、先ほど申しましたとおり、現行、両者の法定目的の範囲に差が生じているということを踏まえまして、今後の方向性といたしまして、収集・利用目的について、明確に法定されることが重要である。
一番最後のところでございますが、双方の範囲の整合性にも留意しつつ、法の規定を整備すべきであるという御意見をいただいたところでございます。
また、個人特定可能性への対応ということでございますが、現行の情報につきましては、国へ提出する前に匿名化されているということ。それから、先ほど申しましたとおり、第三者提供に当たりましては、他の情報との照合等により個人の特定につながることがないように、データベース構築に係る関係主体、それから学識経験者で構成されます有識者会議において、提供前の個別審査、成果の公表前の確認等が行われて、厳重にそういったことがないような体制で行われているのが現状でございます。
こういったことを踏まえまして、今後の方向性といたしまして、連結したデータにつきましても、個々の第三者提供の申出に関して、提供前の個別審査、成果の公表前の審査等、現行ベースの取組の実施を前提として提供を認めてはどうかということで御意見をいただいたところでございます。
続きまして、3ページですが、収集・利用目的との整合性の確保ということでございます。先ほど申しましたとおり、法的な規定と、現在、ガイドラインにおきまして運用されているところでございます。そういったところを踏まえて、今後の方向性としては、今回のNDBと介護DBの連結解析を契機として、利用の公益性の確保を強化した上で、第三者提供の枠組みを制度化すべきという御意見をいただいております。また、具体化に向けては、個々の第三者提供の申出に係る利用目的・利用内容の個別審査、成果の公表、目的外利用の禁止、不適切事案への対応等の適合性確保のための仕組みについて、きちんと法定化に向けた検討を進めるべきであるという御意見をいただいたところでございます。
また、これらの具体的な運用につきましては、幅広い主体から分析・研究を募る等の円滑な実施に向けた方策について、きちんと検討すべきであるという御意見をいただいたところでございます。
なお、4以下につきましては、一度議論いただいておりますが、まだ深い議論をいただいておりますので、今後の検討課題としているところでございます。
それについて若干説明させていただきますと、まず、今、第三者提供を行っているということでございますので、これについても行うことになります。
今後の方向性の1番目にありますが、公益目的による利用を前提とした迅速な審査・提供を図る観点から、ここにあります審査のやり方等々につきまして取組を実施すべきであるということ。
それから、4ページの上から2番目のなお書きにありますが、現在、NDB、介護DBの連結解析に係る第三者提供を開始しておりますので、これらの試行運用、それを通じた課題の精査を行うべきであるという御意見をいただいております。
また、実施体制。
それから、費用負担につきましては、現在、NDB、介護DBにおきましても、提供に係る負担を求めているわけではございませんが、今後、費用負担の在り方についても検討する必要があるということ。
それから、5ページの7番目、技術的課題ということで、これは本当に技術的でございますが、現在、NDB、介護DB、両方とも匿名化されて、個人が特定できる情報が削除された上で提供され、データベースに収納されておりますので、これらを連結する際にどのような形で連結させるのかということについて、今後、引き続き検討すべきであるということをいただいているところでございます。
今後の進め方といたしましては、そういったことがございますので、4以下につきましては、適宜、きちんと議論していただいて、本年秋をめどに引き続き検討するということにしております。
また、6ページ、最後のページになりますが、今回は、NDB、介護DBの2つの公的データベースの関係性を整理いたしましたが、公的データベースにつきましては、そのほかにもDPCとか全国がん登録、難病、小慢等々がございますので、こういったものとの連結につきまして、秋をめどに有識者会議で検討するということで報告をいただいているところでございます。
説明は以上になります。

○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいま事務局から御報告のあった内容について、御意見、御質問等いただきたいと思います。
まず、資料1に関連して、御意見、御質問あれば承りたいと思いますが、いかがでしょう。
河本委員、どうぞ。

○河本委員 健保連の河本でございます。
2点ほど意見を申し上げたいと思います。
私、今回、初めて参加させていただくということで、素朴な感想みたいな部分も含めて発言させていただきます。先ほど御説明のありました2040年の社会保障の将来見通しの中で、10兆円の介護給付費が25年で15兆円、さらに40年で25兆円と、ここまで増えていくのかということであります。介護保険制度の持続可能性を確保するためには、介護給付費の適正化というのが極めて重要な課題だなと、改めて認識したところであります。
それから、骨太の方針の中にも触れられておりますけれども、1人当たりの介護保険の地域差縮減等の取組をしっかり行っていく上で、「地域別の取組あるいは進捗状況の見える化」をぜひ積極的に実施していただきたいと考えているところでございます。
それから、新しい経済政策パッケージの中で、介護職員の処遇改善に公費1,000億円というお話。これ自体についてはとやかく申し上げるつもりはないのですけれども、公費だけでなくて、保険料でも負担するということになるのであれば、それは介護保険部会の場で議論すべきではないかと考えております。
簡単ですが、以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございました。
ほかにいかがでございましょうか。
石田委員、どうぞ。

○石田委員 ありがとうございます。
2つの質問と、1つは要望です。
まず、資料の6ページです。ここに総費用の推移がございまして、これは最終的な実績ということなので、平成26、27で9.6、9.8兆円となっています。前に厚労省の発表で、当初予算ということで、平成26年ぐらいで10兆円を超すであろうという予測でずっと数字が提示されていたように記憶しております。その10兆円とか10.1兆円という予測が、実質的には9.6や9.8兆円になった。つまり、3,000億円から4,000億円ぐらい抑えられたということになります。
一方、第7期の介護保険料全国平均も、予想では6,000円を超えるのではないかということがよく言われておりましたけれども、今回、5,800円にとどまっております。この抑制されたところの主な要因をどのように分析していらっしゃるかというのを教えていただきたいというのが1点です。
2点目は、17、18ページにあります要介護認定の見直しのところで、17ページの後半に、下の6の要件に合致するものについては、簡素化するということが書かれてありますけれども、この簡素化されるであろうと予測される方々が、大体どのぐらいの割合でいらっしゃるかというのを教えていただきたいというのが2点目です。
それから、3点目は、これは要望ですけれども、34ページの後半です。主要分野ごとの計画の基本方針と重要課題について、社会保障の基本的考え方というところで、文言の中に、「医療・介護の無駄の排除と効率化の徹底」という表現があります。それから、最後のところで、「医療・介護等の分野における生産性向上」という言葉があります。「無駄の排除」、「効率化」、それから「生産性の向上」という文言につきましては、人の「生命」や「生活」、そして「人生」を対象としている医療とか介護の分野では、どうしても違和感を感じてしまいます。たぶん、的確に方法を選び、適正に効果を上げていくというニュアンスだと思うのですけれども、こういう文言の使い方につきましては、十分に御配慮いただくなり、御説明等を加えていただくほうがよろしいのではないか。これは私が感じている印象ですから、要望として申し上げます。
質問は以上です。

○遠藤部会長 それでは、最後は御要望、御意見ということですので、2つほど質問が出ていたかと思います。即答できなければ、また後でも結構ですけれども、事務局、お願いします。

○橋本介護保険計画課長 計画課長でございます。
2点、御質問いただきました。
まず、総費用につきましては、2015年度について9.8兆円と出ておりますが、当初予算では2015年度で10.1兆円でございましたので、実績では若干減っているということになります。なお、30年度予算では11兆円超という前提で予算を立てております。
保険料のことにつきまして御質問いただいたのですけれども、自治体の需要によって設定されておりますので、そこは自治体によって事情は異なりますけれども、お聞きしているところによりますと、例えば介護予防の効果が一定程度見られたということで、費用の見込みが減少したということもお聞きしている。
一方で、全国平均でいきますと5,869円ですけれども、このうち、7期において、給付費準備基金を若干取り崩されたことによって、一定程度、保険料が抑えられたという自治体もあるとお聞きしているところでございます。

○遠藤部会長 引き続きお願いします。

○鈴木老人保健課長 要介護認定の関係で御質問いただきました。
対象となる方でございますが、平成28年度のデータでシミュレーションしたところ、28年度の申請の総件数から比べますと、今回、対象となるのが23%ぐらいの方々です。
以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、ほかの御質問、御意見ございますか。
山際委員、どうぞ。

○山際委員 ありがとうございます。
民間介護委員会の山際でございます。資料1について意見を1点ほど述べさせていただきたいと思います。
未来投資戦略会議等々、さまざまな検討の場で生産性向上について記載があるわけでございますが、事業者としても非常に重要な課題、テーマだと受けとめさせていただいております。この生産性向上についてですが、さまざまな施策とかICTの利活用等々、掲げられております。これらの施策をより実効性を高めていくためにも、いま一度、介護給付実態について、それらを踏まえた検討が必要なのではないかと考えております。
例えば、生産性向上を阻む要因として、非常に複雑な制度の体系になっている、あるいは標準化のおくれというものがあるのではないかと考えております。事業者としても、ケアであるとかマネジメントの力量のアップということを通じて、こうした生産性向上に寄与してまいりたいと考えておりますが、制度のあり方を検討する上でも、これらの実態について、いま一度確認する必要があるのではないかと思っております。
例えば、加算の検討については、介護給付費分科会のマターになろうかと思うのですが、加算取得の実態の資料、あるいは介護保険事業計画と到達点資料など、そうした資料をお示し頂くとこれらの施策・生産性向上について、より実効性のある検討ができるのではないかと考えております。ぜひ御検討いただければと考えております。

○遠藤部会長 御意見として承りました。
ほかに御意見ございますか。
では、佐藤委員、桝田委員、藤原委員の順番でお願いします。
佐藤委員、お願いします。

○佐藤委員 よろしくお願いいたします。
私は、専門が財政学なものですから、その観点からのコメントというか、感想を述べさせていただければと思います。
まず、最後のマンパワーのシミュレーションのところで、これから就業者の5分の1が介護・医療関係に従事しなければならなくなるということは、現実的ではないと思います。実は、この人手不足という問題は、別に介護・医療の分野に限ったことではなく、私、財務省の財政制度等審議会の委員もやっているのですけれども、建設業などでも人手不足が深刻化しているというのがあります。要するに人口が減っているわけですから、どの分野においてもこれから就業者数が減って、人手不足になるというのは明らかな事実だと思います。
先ほどから御指摘がありますとおり、では、どうやってそれを克服するかというと、生産性の向上しかないわけでありまして、その生産性の向上の一つは、もちろんICT化でもあるのですが、これは建設業の分野でも言われているのですけれども、業界再編成が必要だろう。つまり、中小事業者について言うと、ある程度の整理整頓とか機能分化といったものが求められてくるだろうということも言われています。したがって、介護なので、どうしても福祉とか保健の視点が入りやすいですけれども、産業政策として捉えると、何らかの中小企業対策というのがこれから求められてくるのかなと思いました。
あと、これもよく議論されていることなのですけれども、自己負担のあり方につきまして、これは経済財政諮問会議の骨太にもありますとおり、所得に応じた自己負担の引上げというのはあってしかるべきですが、高齢者の場合は、所得だけではなく金融資産が重要な担税力をあらわす指標になるわけですので、この点については介護の分野は比較的早くから取り組んでいらっしゃるように思うのですけれども、金融資産の正しい捕捉と、金融資産も反映させた形での自己負担の向上というものがあっていいのかなと思います。
最後、1点だけ。これもコメントですけれども、骨太の方針にありましたとおり、地域差ですが、医療の地域差については、説明できない地域差を削減していこうという取組が今、進められていますけれども、同様のことが介護においても求められると思いますが、地域差がなぜ起きるのかという要因分析がないと、何をしたらいいのかわからない。医療の入院に関して言えば、これは明らかにベッド数だったわけですね。そういう形で、何が地域差の要因なのかということ。特に、認定率について、かなり地域差があるということは存じ上げていますので、このあたりについての分析がこれから求められるかなと思いました。
以上です。

○遠藤部会長 それでは、桝田委員、お願いします。

○桝田委員 介護保険の世界で、介護予防を市町村単位でいろいろ計画されて、実行されています。内容的には、それぞれ独自の工夫を凝らしてやっているということについては結構ですけれども、いろいろな報告書関係、事業者にとれば、共通事項であるものがどんどん細分化されて、それこそローカルルールでいろいろな形が出てきている。この中にも書いています。44ページの書類削減、業務効率化、生産性向上。国のほうのつくられた基本様式。例を挙げますと、介護職員の処遇改善加算の申請書・報告書というのはシンプル化されていますね。それで一つの簡素化の道筋がつくられたのだけれども、それが都道府県に下りる、市町村に下りていく。
それと同時に、都道府県・市町村独自様式がどんどん追加されて、それも市町村によって異なる様式をつけなさいと。ですから、例えば平成29年度の実績報告、この月末までに提出しますけれども、市町村によって様式が違うから、それぞれのところにその様式に合わせた形の書類を提出しなければいけない。事業者にとっては、国の基本様式は同じだけれども、実は出す様式は全く違うものを出さなければいけない。総合事業が始まって、それぞれの市町村に実績報告がまた増えています。各事業者にとっては、平成29年度の実績報告というのは、利用者がいる市町村ごとに報告書を提出していると思います。1人でも利用者の方がおられたら、その市町村には実績報告が要るということになっていきます。
この書類削減の問題、業務の効率化の問題というのは、共通項目は国レベルで考えていただかなければ、市町村単位になってしまったら、それぞれ考えていることが違ってしまいますので、とんでもないことが起こっています。基本的に、自治体独自の取組について、そこのルールはそこが定めるのでいいのですけれども、共通項目に関しても独自ルールというものがどんどん広がっていっている実態を改善する必要があります。
その部分も含めて、複雑になったサービス体系を、共通項目に関しては完全に統一したものにしていくという形を作っていただかないと、事業者にとってすごい事務量の増加を招き、それこそ現場の職員までが手伝わなければいけないということも起こってまいりますので、実態調査も含めて、その辺をよろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。
では、藤原委員、どうぞ。

○藤原委員 町村の立場から、若干申し上げたいと思います。
まず、昨年11月、この部会で議論されました介護保険の財政的インセンティブについてですが、保険者機能強化推進交付金ということで、介護保険制度の財源構成とは別に、都道府県分と市町村分を合わせまして200億円が確保されておりまして、その中でも190億円が市町村分ということで、改めて感謝申し上げます。引き続き、来年度もよろしくお願いしたいと思います。
今後、市町村は、評価指標の該当状況を国に提出することになっております。これまでも申し上げてきましたが、高齢者の自立支援や介護の重度化防止の取組は、評価指標では捉えられない住民同士の取組や介護分野を超えたさまざまな取組が行われて初めて安定的かつ将来にわたって効果が期待されるわけであります。この中で、市町村の取組状況の公表に当たっては、このことを踏まえまして、個々の市町村に対して、決して表層的な優劣をつけることにならないよう、その方法については慎重に検討をお願いしたいと思います。
継続的に取り組むスタッフ等が元気が出るような状況をつくっていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○遠藤部会長 東委員、どうぞ。

○東委員 1点、お願いを申し上げます。
資料1の7ページから地域包括ケア強化法、平成29年度の介護保険法改正についての資料が載っております。
その12ページに療養病床等の概要がございます。このなかで介護老人保健施設の概要のところに、「在宅復帰を目指す施設」と書いてございます。今まではこれで良かったのですが、平成29年度介護保険法改正により、介護老人保健施設の定義の中には「在宅支援」というものが、上位法である介護保険法で明確に規定されたわけでございます。「在宅支援・在宅復帰を目指す施設」と法律で改正されたわけですから、ぜひここにそのように書いていただきたいと思います。こういう資料は、どんどんひとり歩きをしてしまって、せっかくの法改正が現場で反映されなくては、法改正の意味が無くなってしまうと思いますので、ぜひ今後はそれをお願いしたいと思います。
以上です。

○遠藤部会長 では、武久委員、どうぞ。

○武久委員 資料1の介護分野の最近の動向についての中で、一番大きいは、新しい施設ができた。介護医療院ですね。これが現実問題として、地域によって、季節によって違いますけれども、病院病床が約30万床、ベッドがあいている。あいているベッドを有効に使うほうが、2040年までどんどんふえる高齢者の施設を新しくつくるよりは、効率的でいいと私も思っていました。これをつくったということは、私は非常にすばらしい考え方だと思いますけれども、現実に4月から始まりましたけれども、各地で滞っております。
その滞っている理由が、介護療養病床は、スムーズに財源は介護保険から介護医療に行くわけですけれども、医療療養病床から介護医療院に行く場合は、財源が医療保険から介護保険に行きます。そうすると、小さな市町村で人口が数千人というところでは、1つの施設が医療療養から介護医療院に行くと、そのまちの保険料がぼんと上がる。これも非常に大きな問題でありますから、都道府県の基金で補正するとかいう問題でなく、私はこの介護保険部会でも数年前から言っていますが、介護保険の財政は将来、非常に厳しくなる。
小さい市町村ではとても耐えられなくなるだろうということで、当時、検討されていた国民健康保険の財政を市町村から都道府県に移すということが決まったときに、介護保険も移してはどうかという意見を強く述べさせていただきましたけれども、そのときにはまだ賛同者は余り多くなかったのですけれども、実際に介護保険の実務は市町村が行うけれども、財政規模は、少なくとも国保と同じ市町村にすべきかなと思います。
介護医療院が今後、ふえていく。病院のベッドにされますと、1日の単価が非常に高い。介護医療院だと安くて済む。国全体の予算としては少なくなるということは、この介護医療院という施設を今後、どんどんふやしていって、病院病床があいている部分の3分の1なり半分をこういう施設につくれば、新たな介護施設をつくらなくていいということでは、非常にいいのではないかと思います。
それから、今回の改定は、介護の世界に医療の要素をかなり入れていただいた。これも非常に大きな、いい点だと思います。特にリハビリテーション等、入れられておりますけれども、また低栄養、脱水についても入れていただきました。非常にありがたいと思います。
最後に、介護認定審査会の委員を私、2000年から今までずっと継続して18年間やっておりますけれども、コンピューターがかなりよくなりまして、30名の委員会での対象者に対して、1割程度を変更するということで、そのために5人の委員が集まってやっています。今回も出ておりますけれども、簡素化というのは非常に重要で、コンピューターによってある程度整理して、本人に問題があったような例についてやるという簡素化をしないと、この介護認定審査会の費用も莫大になっていく。今回の改定の動きは、私は非常にいいと思うのですけれども、IT化で要介護認定の1次判定がかなり正確になっておりますので、この辺も私は評価したいと思います。
介護保険の保険者を市町村から都道府県に変えていただけたらということについての厚労省の御意見を1つだけお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。

○遠藤部会長 では、事務局、どうぞ。

○北波総務課長 先生方から幾つか御指摘ありましたので、一括してお答えいたします。
最初に、河本委員から、今回の処遇改善について、2号被保険者の保険料、もしくは1号被保険者の保険料等にも影響するという御指摘もございました。処遇改善の話につきましては、昨年12月の閣議決定で介護報酬の改定によって対応するということですから、基本的には給付費分科会で今回の30年度の改定と同様、しっかりと議論していただく。その中には、保険者の立場からの御意見も賜りつつ、分科会のほうで議論されるものだと思っています。当然ながら、その結果につきましては、この本部会でも報告させていただきたいと思っております。
また、生産性向上、文書量半減につきまして、幾つか御意見をいただきました。
生産性向上については、山際委員を初めとして、重要なテーマであるという御指摘がございました。私どもも、今年度からそれぞれのサービスにつきまして、まずは現状を把握し、どのような観点で計測すれば効率化の材料が見出せるのかということについて、予算の事業として進めると考えております。当然ながら、ガイドラインを提示するということも含めて、実効性のあるものを考えていきたいと思っております。
また、桝田委員からございました加算等につきまして、また共通部分の様式の話がございました。介護保険が始まりまして、当然ながら、指定権者、都道府県、また一部市町村と、それぞれが地域保険、地域ケアの観点からいろいろな工夫をして、いろいろな様式が積み上がってきているというところでございます。
文書量の半減という目標のもと、私どもも、まずは指定におきます文書について、先般、省令改正を行って、一部、不要なものということにしましたので、事務量的には大分減っているというところがございます。
一方で、基本的にはそれぞれ自治体の事務でございますので、一律、国のほうから共通のものは共通にせよということはなかなか言いにくいという中で、この辺につきましては、まさに事業者の事務処理の手間というところもありますし、また受け手としての市町村、もしくは都道府県の手間というところもございます。今回は、指定について一定の整理をいたしましたが、ことしは基本的には介護報酬の加算等の要件についての書類についても手を加えたいと思っておりますので、事業者の方々の御意見、また自治体の方々の御意見もうまく聞きながら、特に老健事業等を活用して検討を進めたいと思っております。
もう一つ、最後のところで、実務は市町村でありながら、財政運営というのは県単位でもいいのではないかという御指摘もございました。ただ、介護保険自体につきましては、まさに地域保険、市町村を保険者とし、地域で完結するというコンセプトの中でつくられている仕組みでございますし、また、保険者機能の強化という議論の中でも、この介護保険自体は市町村で行う、市町村の住民がサービスを受けたら、それが保険料のほうに反映される。非常に緊密な関係を維持しながら保険事業を運営しているという前提がございます。
この介護保険制度の本質と、これまでの経緯、その機能というものをよくよく踏まえた上で、財政運営はどうあるべきかが議論されるべきと思っておりますので、その辺のところはしっかりと押さえる必要があるかと考えております。
以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございました。総合的に御回答いただきました。
それでは、栃本委員、お願いいたします。

○栃本委員 それでは、資料1の部分について、簡潔に4点申し上げます。
一番最初は、先ほど武久先生からお話があった要介護認定の部分です。事務局の御説明でも、最初の見開きの3ページ目、つまり、今後の介護保険を取り巻く状況について、大都市部における75歳以上人口というものが極めて多くなるという数字が示されています。
今般、先ほどもお話ありましたけれども、要介護認定の簡素化であるとか、有効期限を36カ月にするということになりましたけれども、先日、36カ月パターンになりましたので、すぐにはどのぐらいの軽減になるかというのはわからない、数年たたないとわからないですけれどもどのぐらい、審査判定作業が軽減するのかということを尋ねたことがあります、大都市における75歳以上人口、そして要介護者の発生数から言いますと、36カ月にしただけではとてもおぼつかないということだと思います。したがって、36カ月にしただけではなくて、認定審査会そのものは極めて大切なものですのでそのうえで、さらなる簡素化であるとか、そういうものが必要であると思います。
その際、ちょっと技術的なことですけれども、状態不安定と認知ということで、要支援2と要介護1を振り分けるということであるとか、いろいろなことから状態不安定というものが定義上かなり重要ではあるのですけれども、状態不安定だと、どうしても認定期間を短くしなければいけないということになるのです。実態的に言いますと、状態不安定が安定しているという言い方は変ですけれども、状態不安定だから6カ月という短期でしなければいけないというモデルでないものも結構ありますので、その辺についても今後、検討していただきたい。
もう一つは、先ほど簡素化ということで、次のページにありますように、下の段の簡素化対象者のことが書いてあります。これも重要ですけれども、その一方で、36カ月パターンになる際には、利用者やその家族の方から軽度変更の依頼が出ることはまれにありますが、実際にはかなり軽度になっているにもかかわらず、ケアマネジャーが軽度変更を申請するとか、施設が居住系サービスのところで軽度変更するという例は余りありません。期間が延びる以上、そういうものについてはきちんと適切に軽度変更を行うことが必要だと思います。これが要介護認定に関するものです。
次が、27ページに、先ほどの事業計画におけるサービス量の見込みがあります。これは、増加率とか書いてありまして、平成37年度(2025年度)の推計値があります。これを見たらわかりますように、在宅介護系列で突出してデイサービスが280万人ということになっているのですね。それ以外に、小規模多機能や看護小規模多機能というのは、あわせて19万人ぐらいということになって、2倍弱になるのです。それに比べて、介護施設というのは、施設から在宅へ、在宅限界を上げるということですので、合わせても242万人になっています。
ということで、我が国における介護保険制度の中でデイサービスというものの持つ機能については、厚労省のほうでは、介護報酬のたびに機能化ということに着目して介護報酬をつけるということで、御尽力されているのはよくわかるのですけれども、全体的なデイサービスの組み立てというのは、我が国独特のものでありまして、これが定着しているわけですから、それを踏まえた上でデイサービスについての基本的な考え方というものを、もう一度時間をかけてというか、ある程度きちんとした議論をするべきではないかと思います。
あと2点ですけれども、31ページ、これは非常に簡単なことですけれども、こういう場で申し上げていいのかわかりませんけれども、介護人材の処遇改善のところの説明書きで、真ん中あたりよりちょっと上のところで、「これまで自公政権で月額4万7,000円の改善を実現してきた」と書いてあります。こういう文章ではそうなるのかもしれませんけれども、「自公政権で」という書き方というのは、いろいろあるのでしょうけれども、審議会ですので、どうかなと。これは、いろいろ考え方があるのでしょうけれども、表現の部分ですね。これは、一番つまらないというか、くだらないことで、余り言うことではない。ただ、審議会の文章ですので。
一番最後に、申し上げたいことが重要です。先ほどの要介護認定とか、そういうものとは違って、かなり大きな話ですけれども、最後のこれからの改革であるとか、2040年を見据えたとか、働き方改革とか未来像ということで、介護保険は、最近、介護の市場化ということがよく指摘されます。ただ、営利の追求とか利益率だけを求めるという企業体があっても、もちろんそれはいいのですけれどもそればかりの議論が過ぎます。介護の市民化と介護の市場化とは違います。行き過ぎた介護の市場化、それだけの議論をするのは良くない。もう少し大局観で言いますと、これからの中高年を中心とした年齢や、地域の持続可能性につなげるような形でのシステムの考え方ということから言うと、いわゆる社会的経済とか非営利における、いろいろなサービスの提供であるとかが重要です。ヨーロッパの議論はそのようなものです。それは、ボランティアに頼んでやってもらいましょうという意味では全くありませんので、そんなこと現実的ではない。そういうものではなくて、社会的経済とか社会的企業も、シェアバリューのそういうものが持つものの地域における重要性というものを、認識すべきである。介護の市場化だけ念頭に置いて、営利であると科利益率とか生産性とか、それはそれで重要だと思いますが、そうでない部分についても着目すべきであるということを考えます。
以上です。

○遠藤部会長 お待たせしました。江澤委員、どうぞ。

○江澤委員 私のほうから意見を申し上げたいと思います。
一番の重要課題は、介護保険制度の健全な持続と認識しております。これは、国民あるいは国・市町村、我々事業者、提供側、みんなで総力を挙げて考えていく重要な課題だと思います。事業者側においては、介護サービスの質をちゃんと担保しつつ、業務の効率化も図りつつ、いろいろ工夫しないといけないと思っておりますし、一方で、介護従事者の確保というのは非常に重要な課題でございます。現在、介護報酬の多くは人件費に消費されている中で、事業者によって当然異なりますけれども、事業所の介護職員の多くは、20代、30代の若手が支えていて、40歳以上の中高年齢の職員の割合はずっと下がっています。
昔から続いていることですけれども、裏を返せば、これは検証が必要ですが、御本人が定年まで希望すれば働ける職の形態、あるいはそういう処遇になっているのかどうかというのがちょっと気になっているところでございます。特に、平成22年以降、介護分野の周囲の景気がよくなったことも踏まえて、持続的に介護職員の有効求人倍率も上がっていますので、景気の動向によって介護分野への人材の流入・流出が、今までも影響を受けてきたところでございます。
今後、そのあたりも含めて、2034年には第1号被保険者と第2号被保険者の人口が逆転します。すなわち、40歳から64歳の人口を、65歳以上の人口が国全体として上回るわけで、これは国民的議論を踏まえて、抜本的な介護保険の財源確保の見直しが喫緊の課題と思っておりますので、一言意見を申し上げました。
以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。
では、伊藤委員、お願いいたします。

○伊藤委員 ありがとうございます。
きょうの資料は、全体を見渡してまとめられているので、この間の介護保険制度、介護報酬も含めて、大きな変更を行ってきていることが改めて確認できます。これが利用者の生活、また介護をする家族の就業や生活にも影響がどのようにあるのか、非常に心配しているところです。きょうは時間がないので、特に人材確保に絞って意見と質問をさせていただきます。
最後のほうに2040年のシミュレーションが出ているわけですけれども、就業者数5,654万人に対し、シミュレーション(1)と(2)を掛け合わせて438万人の介護人材を確保していくということになっています。2018年度が334万人ですから104万人を12年間で確保していくという計算になるわけです。つまり、毎年、8万7,000人程度確保していくということです。
毎回に近く、この部会と介護給付費分科会のほうでも発言させていただいていますけれども、働く人が選ぶ職場は介護に閉じているわけではありませんので、有効求人倍率の上昇の傾向、最近も5月の有効求人倍率は、70年代、高度成長期の水準になっている。介護について見ますと3.66ということで、全職種の1.33に対する乖離はますます拡大しているわけです。
昨年12月に新しい経済政策パッケージで、公費1,000億円程度の処遇改善を行うというメッセージは出たわけですけれども、その後もそのことが折々示されています。来年の話ということで、まだ具体的な検討が行われていませんが、その間にも雇用情勢はどんどん逼迫しているわけで、具体的な検討を状況に応じてしていかないといけないと思っています。その際、人材確保対策として処遇改善は、労働者が求める声として一番大きいという事実がございます。それと、資格取得者の復職支援ということが柱になってくると考えています。
きょうの資料の中にないのですけれども、経済財政運営と改革の基本方針2018には、技能実習制度の介護についての見直しの検討が書いてあります。きのう、新聞に大きく、技能実習生を2020年夏までに1万人受け入れることでベトナム政府と合意したという記事が出ていました。N4のままで2年目に入れるということと、12業者を優良法人として選定したということも書いてありました。これについて、事実かどうかということを教えていただきたいと思います。
こういうことを決めたということですが、どこで検討されたのか。また、優良法人というのは、技能実習制度における優良認定とは違う意味合いで定めるかのように読み取れるところでありますので、その意味で、法改正を行うつもりなのかという点も教えていただきたいと思います。

○遠藤部会長 では、事務局、コメントをお願いします。

○北波総務課長 それでは、お答えします。
人材確保の重要性、それから処遇改善等に努めるべきと。また、介護職種以外の有効求人倍率も非常に高くなっているところで、介護の人材をどう確保していくのかという観点から、高い見地からの御指摘を今、いただいたと受けとめております。もちろん、昨年12月の政策パッケージで書かれております公費1,000億円につきましては、来年の消費税率の引上げ時に行うということではございますが、それを待っていられない、手だてというものを着実に進めるべきであるという御指摘もいただいております。
私どもも、介護人材の確保につきましては、その処遇改善のみならず、多様な人材を確保・育成するために、これは老健分野ではございませんが、介護福祉士を目指す学生の修学資金貸与であるとか、また離職者、1回仕事を離れた方につきましても、再就職を準備する。その準備金の貸し付けであるとか、そういう施策を進めておりますし、また、それをさらに一層、研修をやり、資格取得、また、再就職へのマッチングを進めていくというところでの取組を進めたいと思っております。これは、江澤委員、伊藤委員から重要な指摘をいただいたと受けとめております。
また、伊藤委員のほうから、まさに骨太2018に介護分野の技能実習についての記述があるということであります。御案内のとおり、介護分野につきましては、昨年9月でございますが、1つは、利用者の方、それから職員の間でのコミュニケーションが求められるということを踏まえて、ほかの職種とは異なりまして、日本語能力。入国時はN4、入国1年後にはN3程度を求める告示というものを公布しております。
今回の骨太の方針というのは、その9月に行いました告示を踏まえて、他国政府が介護職種を送り出すのに必要な国内制度の整備を進める中で、政府間の意見交換で、入国1年後にN3を取得できない場合にどうしたらいいのかというものがありますので、そういうやりとりを踏まえたものと承知しております。いずれにいたしましても、相手国からの送り出しというものが円滑に行われつつ、技能の移転と国際協力という技能実習制度の趣旨・目的が果たされる。当然ながら、我が国の介護の質にも配慮しつつ検討を進めるということではございます。
先般、大手新聞にも報道されたということにつきまして、今、若干御指摘がございましたが、資料1で見ていただきたいのは45ページでございます。未来投資戦略2018、これは6月に閣議決定されましたが、国際展開等というところで、アジア健康構想の推進に当たり云々というところでございます。今回、海外の人材育成・受入れ及び日本語習得環境整備を支援するという形で、未来投資戦略というものに書かれております。こういう閣議決定等というのはきちんと踏まえておりますが、先般の報道の話というのは、私どもとしては全く承知していないところでございます。
当然、アジア健康構想というのは、内閣官房の健康・医療戦略室というところが所掌しているところでございます。承知しておりませんので、内容につきましても、私たちも何ら申し上げることはできないという状況でございます。
以上でございます。

○遠藤部会長 伊藤委員、どうぞ。

○伊藤委員 承知していないということなので、事実かどうかということは判明しないのですけれども、介護分野での技能実習生は、まだ1桁、入ったばかりということで、1年間の実習も終わっていない段階で、日本語能力基準を見直す検討を行うというのは、余りにも拙速過ぎると思っています。実習生の人権は、非常に重要だと思っています。介護現場でのいろいろなハラスメントの問題が明らかになっておりますし、また、適切な技能を習得して、帰国後にきちんとした技能移転を果たすという意味においても重要ですし、また、サービスの質の観点ということから、今の技能実習生について検証して検討するというプロセスをきちんと踏んでいただきたいと思います。
以上です。

○遠藤部会長 まだ御意見あるかと思いますけれども、相当時間が押しておりますので、資料1につきましてはこれぐらいにさせていただきまして、御発言、もしあれば、また今後の審議会の中で関連するところで御発言いただければと思います。
それでは、資料2及び資料3、資料3は3-1から3-3までですが、一緒に御議論いただきたいと思いますので、この中で御意見、御質問ある方、お願いいたしたいと思います。
花俣委員、山際委員の順番でお願いします。

○花俣委員 遠藤先生、資料2でよろしいですか。

○遠藤部会長 結構です。

○花俣委員 家族の会の花俣でございます。お願いいたします。
まず、2ページ目の下から2つ目の枠の中ですけれども、介護・フレイル予防の2つ目のポツの実施拠点として、高齢者の通いの場の充実、あるいは認知症カフェの更なる設置等とあります。
これについて、26ページには、通いの場の主要な内容について。
また、27ページには、総合事業の実施状況に関する調査として、棒グラフが記載されていますが、これによりますと、参加者人数は約144万人、高齢者の4.2%が参加と書かれています。
昨年10月に実施された総合事業の訪問・通所についての調査によりますと、予防・給付ではなく、従前相当でもない多様なサービスを提供しているのは、基準緩和型、サービスAと言われるものが多くを占めており、訪問で9割弱、通所で7割弱と書かれていましたが、住民主体のサービス、つまりサービスBと呼ばれているものはごくわずかという調査結果も報告されています。これがもし総合事業の現状ということであるなら、この実態では、要支援者の円滑な介護給付からの移行が進められているとは言いがたいし、むしろ、大きな課題を示しているのではないでしょうか。
そこで、冒頭申し上げました重点取組のフレイル予防、その具体的な方向性、高齢者の通いの場の充実については、目指す2040年の姿にはほど遠いと言わざるを得ません。今後も、利用者として総合事業の経過を注視しながら、まずはこういった課題解決に向けた取組に期待したいと思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
同時に、カフェについてですけれども、数が非常にふえております。ただし、その運営方法であるとか多様な形態はもちろんあるのですけれども、余りに漠然とした投げかけのまま、どんどんふえていっている感がありますので、本来の認知症の人と介護家族の居場所づくりという目的あるいは特徴さえも、ややもすると見失われているように感じられるもどきもあるような気がしております。このあたりの実情についても大変憂慮しておりますので、今後もある程度ガイドラインを出していただくとか、そういった工夫もできればしていただけるとありがたいなと思っています。
もう一つ、4ページに健康寿命の延伸で示された図ですけれども、これは医療・介護における予防健康づくりの一体的実施については、介護が必要となる高齢者が多くの疾患を抱えている場合が十分に考えられますので、介護だけでなく、医療面でもあわせて連携的な支援を受けられれば、それは本当に好ましい流れではあると思いますが、ここで1つ気になるのが、医療で言うところの予防と介護の予防というのは、もちろん重なる部分もなくはないのですが、同じ意味合いではないと私どもは感じております。
病気にかからないようにする、疾患があれば治療することと、人が生きて、年をとって、あらゆる機能が徐々に衰えていくことが自然の流れであって、努力で食いとめられたり、本質的に改善されるものではないということを改めて申し上げたいと思います。何でもかんでも予防、予防では、もしかすると行く先々の方針が違っているということもリスクがあるのかなと思っています。
たまたま見ておりました新聞の報道で、ドイツの介護保険の話が出ていまして、医療・介護の安全保障を推進する民間会議というところが、都内で開催された国際シンポジウムで発表されたお話だったのですが、3年かけて大改革を行ったドイツの介護保険の現状が報告された。2015年から3次にわたって成立した介護強化法は、施行後、初となる大改革となった。要介護度で中重度のみに給付、その内容も身体介護に特化していた介護保険が大きく方向転換して、増加する認知症の人への給付が不十分だという批判が高まったことで、軽度者に向けてを重点にした。真逆の動きをしたことで、それなりの効果が出ているといった報告があったという記事を読みました。
それも含めて、もちろん予防は大事なのですけれども、病気の予防と介護の予防とはちょっとニュアンスが違うということを、改めてここで申し上げたいと思います。
以上、意見です。済みません、長くなりました。

○遠藤部会長 全て御意見という形で、特段、事務局のコメントは必要ないということでよろしゅうございますか。ありがとうございます。
では、山際委員、どうぞ。

○山際委員 ありがとうございます。
資料2「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施」について質問を出させていただきます。有識者会議における検討では、具体的にどのような検討を行いどういう見通しを持たれているのか補足を頂戴できればと思っています。と言いますのは、具体的に書かれている通いの場、プラス、フレイル予防については、効果があろうかと思うのですが、資料にもあるとおり、地域差が非常に大きいであるとか、地域支援事業あるいは総合事業がさまざまな壁に当たっていると認識しております。そうした中で、例えば仕組みづくり等々についてまで、有識者会議で御検討されるのか、ここについて、お聞かせいただきたいと思っております。
以上です。

○遠藤部会長 では、事務局、コメントをお願いします。

○鈴木老人保健課長 老健課長でございます。
まさに、検討事項につきましては、9ページを先ほど御説明いたしましたが、今回のいわゆる通いの場という集団を相手にするような健康・予防づくりというものと、それから、これまで保健事業で行っていただいた疾病予防・重度化防止という個々の人たちに対するものを、どうやって一体的にやって、なおかつ効率的に行うのかというところを検討していただく。
ですので、先ほど花俣委員もおっしゃったとおり、確かに若干目的が違うところはございますけれども、目的が違うということで別々にやりましょうということだけではなくて、そこはうまく一体的に行うことによって、さらに、例えば特定健診だけからハイリスクの人を見つけるのではなくて、通いの場の中からもハイリスクのような方々を見つけられる可能性もあるわけですから、そういったことを考えながら、今回、一体的に行うやり方について検討したいと思っています。
中身の検討につきましては、今、おっしゃっていただいたとおり、今回、法律が違うということと制度が違う。もしくは、先ほど御説明しましたとおり、実施主体も違いますし、努力義務なのか、義務なのかといったことも違ってきますので、そういったところも踏まえて、どのような効果的なやり方があるのか。それは、法整備の問題もございますし、また実行上の中身、プログラムのこともございますが、そういったところを総合的に検討していただくということを考えているところでございます。

○遠藤部会長 よろしいですか。はい。
ほかにございますか。
それでは、安藤委員、どうぞ。

○安藤委員 先ほどのお話に出ました、今後、どういった形で検討していくかということですけれども、我々、医療保険者としましては、当然のことながら、加入者に対して保健事業を行っております。その保健事業の一環の中で、今回、お示しされている高齢者の保健事業について、連続性を持たせたほうが当然いいと思っていますので、今回、設定された会議体の中に保険者も入っていますので、その中でどういうふうに連携して、この実施主体の中心になるのは市町村であるというのは間違いないと思いますけれども、その中には、当然のことながら、我々、保険者もおりますので、そこでどういうふうにきちんとした形で実施していくのかということを詳しく議論する必要があると思います。
また、高齢者だけではなくて、小さいころからのお子様たちの教育の中でも、健康に対するリテラシーの教育であるとか、それぞれの段階、段階において、どういうふうにやって、健康に過ごすことができるのかということをいろいろな形で教育していくとか、それぞれが勉強していって、自分の体がどういうふうに健康で長生きできるのかということを、それぞれの方たちが安心して生きていけるような社会にしていくために、どういうふうにやっていくのかということを会議で話をすればいいのかなと思っております。
以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
それでは、江澤委員、川名参考人の順でお願いします。では、江澤委員、どうぞ。

○江澤委員 まず、2番については賛成でございます。
1点は、予防ですけれども、医学的には、フレイルに対しましては、筋肉の負荷運動と必須アミノ酸の同時介入をしたときのみに成果が認められておりますので、ぜひ医学的な視点、科学的な根拠、ある程度のエビデンスに基づいて取組を期待している中で、特に専門家とか、あるいは医師会、医療機関との連携をぜひ自治体にお願いしたいと思っておりますし、できる範囲でデータをちゃんととって蓄積していただいて、分析して、PDCAが回っていくような、科学的介護の視点のマインドを持って取り組んでいただければありがたいなと思っております。
2番に関して2点目ですけれども、フレイルドミノの1枚目はとじこもりと言われており、住民がどう自発的に参加していくかということが非常に重要なポイントだと思っておりまして、いかに住民の行動変容を起こすか、あるいは具現化していくかということは非常に重要なキーになると思っております。そういった中において、先ほども御意見がございましたが、まず総合事業において、今、訪問・通所サービスが提供されており、少しずつふえていますけれども、多様なサービスがまだ少なくて、従前相当のサービスが多いのが実態でございますので、これは保険者のほうにいろいろ工夫を期待したいと思います。
もう一つは、参加者がちゃんと参加したくなるようなモチベーションを高める取組が、いろいろこれから広まっていくことを期待しております。
続きまして、3番に関しても賛成でございます。特に、NDBには特定健診のデータも入っているわけで、脳血管疾患とか虚血性疾患のバックグラウンドとなる糖尿病のコントロール指標、HbA1cも入っていますし、HbA1cの数値と要介護認定の相関とか、非常に興味深いデータも今後、出てくると思いますけれども、これは研究者が質の高い研究を実施して、これが国民にフィードバックできるようなものとして期待しているところでございます。
2点目は、医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議におきましても、模擬的・試験的に運用して、準備段階で十分入念に取り組むという意見も出ておりますので、実際に入る前に準備をいろいろお願いしたいと思っております。
最後でございますけれども、資料3-3の5ページに、NDBと介護DBの収集・利用目的とガイドラインの概要がございまして、NDBの法定の収集・利用目的については、全国及び都道府県の医療費適正化計画の作成、実施及び評価のみが記載されております。一方で、介護DBについては、国民の健康の保持増進及びその有する能力の維持向上が記載されております。NDBのガイドラインにおいては、医療サービスの質の向上等を目指した施策の推進、学術の発展等が記載されております。
ですので、これは要望というか、意見ですけれども、NDBの法定の位置づけにおいても、これは国民の健康の保持増進ですとか医療サービスの質の向上にも資するものでございますので、医療費適正化計画のみならず、ちゃんと国民に資するものとして記載いただければありがたいかなと思っております。
以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございました。
お待たせしました。川名参考人、お願いします。

○川名参考人 ありがとうございます。
資料2の4ページの予防・健康づくりの推進、フレイル対策と生活習慣病の疾病予防・重症化予防の一体的実施についてでございます。この取組について、私も賛成するところでございます。
事例で申し上げさせていただきますと、神奈川県で現在、このフレイルチェック、フレイル予防対策についてを、まず県は健康増進部門と高齢部門が連携して実施して、その実施のフィールドとしては、市町村の介護予防の取組と連携して実施しているところでございます。現在、29年度は5市町が参加して、介護予防サロン等でフレイルチェックの取組を行っております。きっかけとしては、健康増進も介護予防も、無関心の方をどのような形で引き入れていくかという中で、このチェックを通じた自分の体の気づき等が動機づけにつながるのではないかというところを、実際、それぞれ市町村のほうも介護予防の取組に参加するのが限られてきているという現状の中から、この取組をやっていこうということで、東京大学と連携して、現在やっているところでございます。
進んできた中で、この成果を分析して示していくことで、これの有効性等がまた認識されて、さらなる拡大ということにつながっていくかと思っておりますので、その辺の状況等は、また機会があれば御紹介させていただいたりしながら、共有していければと考えております。
以上でございます。

○遠藤部会長 ほかにいかがでしょうか。
それでは、藤原委員、東委員、栃本委員、佐藤委員の順番でお願いします。

○藤原委員 医療・介護データの解析基盤に関する件です。医療保険と介護保険のレセプトデータ等について、それぞれ匿名化されたデータベースを連結・解析ということでありますが、人口の少ない町村など、介護サービス利用者等の数が少ない地域においては、それらのデータベースが連結されることによりまして、本人が特定されないか、大変危惧するところであります。
検討に当たっては、そのような地域の方々のデータについて、匿名性が十分確保できるよう最大の配慮をしていただきたいと思っております。
以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。
東委員、どうぞ。

○東委員 では、簡潔にお話いたします。
資料2の高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施については、大変いいことだと思います。私も賛成申し上げますが、1点ご要望を申し上げます。
まず、資料2の6ページを見ていただきたいのですが、介護保険法におきましては、介護予防という言葉は、「要介護状態等となることの予防又は要介護状態等の軽減若しくは悪化の防止」と記載されております。また、今回の資料を見ますと、資料2の4ページにありますように、いわゆるフレイル対策の一体的実施と言いますか、どちらかというと前半部分、要介護状態とならないための予防というところに重点が置かれていると解釈しております。
そういうものを踏まえた上で、最後の9ページにこの一体的実施を検討する有識者会議の構成員の名簿がございます。ここの中に、介護保険サービスを担う側、それからリハビリ関係団体等の構成員が見当たりません。私ども老健施設も地域支援事業とか介護予防訪問リハ等に携わっておりますので、できましたら、この構成員によるヒアリング等の場に、実際に担当している事業者等もお呼びいただけたらと思うところでございます。
以上です。

○遠藤部会長 御意見として承りました。
では、お待たせしました。栃本委員、どうぞ。

○栃本委員 さっき資料1に基づいて、行き過ぎた営利化であるとか利潤の追求のみだけじゃなくて、ヨーロッパで言われているような社会的経済に基づく視点というのも重要ですということをお話ししたのですけれども、資料3に、ナショナルデータベースと介護のデータベースの概要が出ています。基本は、ナショナルデータベースの医療の部分というのは極めて重要だと思っているのですけれども、それとの関係で介護のデータベースというのも必要に応じてというか、医療との関連で重要だというのはわかります。
さらには、こういう研究開発であるとか、また多くの研究者がアクセスできるような仕組みを最初からつくられているというのは、これからのこの領域の施策の展開だけじゃなくて、国民の理解を求めるという意味でも非常に重要だと思います。その際、アウトカム指標ということも重要なのですけれども、一時、厚労省でも検討されたと思いますけれども、インパクトマップという領域ですね。これとダイレクトではないのですけれども、そういうものについても引き続き、いろいろな観点からの検討をしていただくことも必要だと思います。
最後、お願いといいますか、非常に細かいことですけれども、4ページ目にナショナルデータベースと介護データベースのものが出ています。前も一度指摘したのですけれども、この中で要介護認定の1次と2次判定情報と書いてありますけれども、その際、さっきの話とも関係ありますけれども、36カ月パターンと24カ月パターンと6カ月パターンと区分変更申請パターンというものがありますから、その辺をどういう形で。もう検討されて解決済みなのかもしれないけれども、統計のデータだけを机上で見ている人には分からないが認定の期間のパターンがあってそれをごっちゃに統計処理したら全く意味はない。どういう分析をし始めているのか知りませんが。
もう一つ、ここでは要介護認定1次と書いてあるだけなので、子細をよく知らないので申し上げているだけなのですけれども、要介護度の3とか4というのは、要介護認定の1次判定のコンピューターのロジックというものが入っています。したがって、むしろ1群、2群、3群、4群のレ点がついている部分が非常に重要なのですね。ということで、要介護度3とか4というのも漠としては重要なのですけれども、ロジックが入って結果としてそういうふうになってしまっているというのがありますから、実際にできる、できないというものは、むしろ1群、2群、3群のレ点になります。要するに要介護度だけのデータでは分析はできないということです。認定機関パターンもそうですが。
どういう仕組みになっているか知らないから申し上げるのですけれども、そういうものももう少し子細なものがあったほうが、将来、活用できるということで言うと、意味が大きいのではないかということです。

○遠藤部会長 ありがとうございました。
では、佐藤委員、お待たせしました。

○佐藤委員 ありがとうございます。
まず、1点目は質問になるのかもしれないですけれども、高齢者の保健事業と介護予防の一体実施について、これはシステムとしてはすごくいいと思いますが、有効性というものを検証しないといけませんね。そのときに、どこかの自治体とかに手挙げ方式でも、別にランダムに分けるのでもいいのですけれども、例えばモデル的な事業を実施して、その有効性を確認した上で全国展開させるのかとか、そういう普及促進を促すに当たって、どういう形で優良事例を見出していくのかということも含めて、そういう見通しというか、計画があるのかということ、質問なのですが。
その際、先ほど何人かの委員からも御指摘があったとおり、どうやって参加者を募るのかということがポイントだと思うのですが、私も含めて、健康というのは関心をなかなか持たない分野のような気がします。そこで、最近、経済学だと、いわゆる行動経済学の知見などを使って、情報提供の伝達の仕方などを工夫する。我々、ナッジと言っていますけれども、そういう一工夫をすることによって参加を促すとか関心を高めるといったやり方もあると思います。
多分、いろいろな自治体の現場で、多様な取組の中からうまいやり方を見出していくという、そういうプロセスなのかなと思います。それについて、何か計画があれば教えてくださいということと。
その効果検証にかかわるのですけれども、例えばこういう保健事業とか介護予防に参加された方が、その後どうなったかということについては、実施した自治体などがフォローアップするのだと思いますけれども、広く知見を募るという点では、3番目のNDB、介護DBの話にもつながるのですけれども、データベース化して、できるだけ公開というか、ほかの第三者も利用できるようにしていただけると新しいアイデアが出てくる。効果分析についての新しいアイデアが募れるのかなという気がします。本格的にこれを進めるのであれば、その実施状況とかについてデータベース化を進められたらいかがでしょうということと。
最後は感想になってしまうのですけれども、健康問題というのは、介護、医療の領域にとどまらず、例えばスポーツとか高齢者の就業とかボランティア活動とか一般的な社会参加といったものに広くかかわる話だと思うので、他分野、他の省庁も含めて、この健康問題については、省庁横断的に取り組んでいくことなのかなと思いました。最後は感想です。
以上です。

○遠藤部会長 それでは、質問も出ましたので、これは老健課長ですか、どなたですか。

○鈴木老人保健課長 老健課長でございます。
先ほど、実際に効果判定するなり、モデル事業なりというお話がございましたけれども、今回の通いの場と保健事業の一体実施というものにつきましては、既に実際に行っている自治体がございまして、それが28ページから、例えば三重県ですとか、30ページが東京都多摩市、静岡県、そういうところで既に行って、いわゆる成果が出ているだろうという自治体がございますので、こういったところも参考にしながら、今回の制度をどうしていくのか。それから、実際のプログラムをどうしていくのかということを考えていきたいと思っているところでございます。

○遠藤部会長 それでは、こちらから行きましょう。伊藤委員、どうぞ。

○伊藤委員 簡潔に申し述べます。
まず、保健事業と介護予防の一体的実施のほうですけれども、参加者を募るというか、増やすということに加えて、三重県津市の例が紹介されていますけれども、アウトリーチという取組は、大変だと思うのですけれども、とても重要であり、これを促すようなことが重要ではないかと思います。
データについては、公益性ということが、この報告書3-2の整理では基本的には貫かれていると思うのですけれども、5ページの上のほうにある、6の費用負担の今後の方向性の2つ目の○を見ると、利用者における個別の受益というくだりも出てまいります。これがどういう意味合いなのか、今、質問する時間がないのですけれども、データ取得の背景を考えれば公益性こそを重視する必要があると思います。
以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。御意見として承りました。
ほかにございますか。
齋藤委員、どうぞ。

○齋藤(訓)委員 介護予防とフレイル対策を一体的に行うということについては、前回の介護保険部会等で、恐らく65歳から75歳ぐらいまでは要介護認定率が非常に抑えられているので、アプローチが異なるのだという報告がなされたので、このような取り組みが始まると理解しております。ぜひ一体的に進めていただきたいと思います。今後の有識者会議で詳細なことが決められるので、その議論に期待したいと思います。
資料2の4ページ目の図にも示されている保健指導等につきましては、資料2の8ページでは、課題として保健指導を実施する専門職の配置が困難だということが書かれております。私どもの看護職員のデータを見ていきますと、今、就業看護職の中で12人に1人が60歳以上と言われており、私どもはこの世代を「シルバー」ではなく「プラチナ」と呼んでいるのですけれども、定年退職を迎えるこういった人材をいかに地域の中で生かしていくかということを、検討のスキームの中にしっかり入れていただくことが非常に重要であると思っております。
また、資料1の関連で言及できなかったのですけれども、27ページの第7期介護保険事業計画におけるサービス量等の見込みについて、データを見ていきますと、医療系のサービスの需要が今後さらに増加するような状況になっており、特に訪問看護などを見ますと、数年前の予測よりも相当需要が高まるということがわかりました。そういったことを考えますと、これは介護保険部会の議論ではないかもしれないのですが、今の訪問看護事業所の設置基準や、管理者要件等についても、検討していく時期に来ているのではないかと思っておりますので、ぜひ議題に上げていただきたいと考えています。以上でございます。

○遠藤部会長 御意見ということで、特段、事務局のコメントは必要ないということでよろしゅうございますね。
ほかにございますか。
それでは、手短にお願いいたします。濱田委員、どうぞ。

○濱田委員 資料3-3の4ページ、先ほど栃本委員のほうからも御意見ありましたが、介護DBの認定調査情報も有効な情報ですが、基本調査と主治医意見書、特記事項、この3情報が一定程度、標準化されて活用されると連携する関係職種にとって、非常に有用性がある情報となります。このため今後は、テキストデータの解析が進むなどして、主治医意見書や特記事項等のテキストデータも少し標準化されていくと、今、認定調査は介護認定調査員も不足しているという状況がございますので、認定調査の効率化や標準化が進む可能性があると考えます。認定調査情報を活用するにあたって、将来的にはそういう方向性も少し御検討いただければと思っております。
これは意見でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございました。
それでは、予定した時間になりましたので、本日はこのぐらいにしたいと思います。積極的な御議論、どうもありがとうございました。
次回の日程につきまして、事務局から連絡をお願いしたいと思います。

○北波総務課長 次回につきましては、追って御連絡いたします。

○遠藤部会長 それでは、本日の部会はこれにて終了いたします。
どうもありがとうございました。
 
(了)

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