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2017年11月10日 第73回社会保障審議会介護保険部会 議事録

老健局総務課

○日時

平成29年11月10日(金)14:30~16:00


○場所

ベルサール飯田橋ファースト ホール


○出席者

遠藤、安藤、石田、石本、伊藤、大西、久保、黒岩(代理:川名参考人)、
齋藤(訓)、齊藤(秀)、佐野、鈴木(邦)、武久、土居、栃本、
馬袋、花俣、濱田、東(代理:平川参考人)、藤原、桝田の各委員
(井上、岩村、岡、鈴木(隆)、の各委員は欠席)

○議題

(1)改正介護保険法の施行について
(2)その他

○議事

○尾崎企画官 失礼いたします。それでは、定刻となりましたので、ただいまから、第73回「社会保障審議会介護保険部会」を開催いたします。

 委員の皆様方におかれましては、大変お忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

 まず、前回の会議から委員の御異動がありましたので、新しく着任された委員の御紹介をさせていただきます。

 全国健康保険協会理事長の安藤伸樹委員でございます。

○安藤委員 安藤でございます。よろしくお願いします。

○尾崎企画官 一般社団法人日本介護支援専門員協会副会長の濱田和則委員でございます。

○濱田委員 濱田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

尾崎企画官 続きまして、事務局でも異動がございましたので御紹介させていただきます。

 老健担当大臣官房審議官の谷内繁でございます。

○谷内審議官 谷内です。よろしくお願いいたします。

○尾崎企画官 老健局総務課長の北波孝でございます。

○北波総務課長 北波です。どうぞよろしくお願いします。

○尾崎企画官 介護保険計画課長の橋本敬史でございます。

○橋本介護保険計画課長 橋本です。よろしくお願いいたします。

○尾崎企画官 振興課長の込山愛郎でございます。

○込山振興課長 込山でございます。どうぞよろしくお願いします。

○尾崎企画官 認知症施策推進室長の田中規倫でございます。

○田中認知症施策推進室長 田中です。よろしくお願いいたします。

○尾崎企画官 このほか、老健局長の濱谷浩樹、大臣官房審議官の伊原和人、高齢者支援課長の武井佐代里がかわってございますが、所用のためにおくれてございますので、大変失礼いたしました。

 それでは、報道関係の方に御連絡いたします。冒頭のカメラ撮影はここまでとなりますので、御退席をお願いいたします。

(カメラ退室)

○尾崎企画官 それでは、以降の議事進行は、遠藤部会長にお願いしたいと思います。

 どうぞよろしくお願いいたします。

○遠藤部会長 久しぶりの開催でございます。またよろしくお願いいたします。

 まず、本日の出欠状況でございますが、井上委員、岩村委員、岡委員、黒岩委員、鈴木隆雄委員、東委員が御欠席でございます。また、石本委員がおくれて御到着の予定であります。

 代理出席についてお諮りしたいと思います。黒岩委員の代理として川名参考人、神奈川県保健福祉局福祉部長、東委員の代理として平川参考人、全国老人保健施設協会副会長が御出席でございますので、お認めいただければと思いますが、よろしゅうございますか。

(「異議なし」と声あり)

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、議事に移ります。本日の資料につきまして、事務局から確認をお願いしたいと思います。

○尾崎企画官 それでは、資料の確認をさせていただければと思います。

 お手元の議事次第をおめくりいただきまして、

 資料1 改正介護保険法の施行について

 資料2 介護保険における保険者機能の強化

 資料3 高齢者の自立支援、重度化防止等の取組を支援するための交付金に関する評価指標(案)

 参考資料1 改正介護保険法の施行について(参考資料)

 参考資料2 介護保険における保険者機能の強化等(参考資料)

を配らせていただいてございます。

 このほか、末尾に井上委員、岩村委員、大西委員、藤原委員、黒岩委員、それぞれの委員からの提出資料がございます。

 不備等がございましたら、お申しつけいただければと思います。

○遠藤部会長 よろしゅうございますか。

○尾崎企画官 お願いいたします。

○遠藤部会長 それでは、資料1から3につきまして、まとめて事務局から説明をお願いしたいと思います。

○橋本介護保険計画課長 介護保険計画課長でございます。よろしくお願いいたします。

 まず、今回の議題でございますが「改正介護保険法の施行について」ということでございまして、資料1に基づきまして、何点か御報告をさせていただきたいと思います。資料1をご覧いただきたいと思います。

 現在、市町村・都道府県におきましては、第7期の介護保険事業(支援)計画の策定に取り組んでいただいております。今回の法改正におきまして、新たに介護保険施設の類型といたしまして、介護医療院が創設されることになりました。また、療養病床につきまして、介護療養病床の廃止期限を6年間延長するという状況になっております。こうした中で、療養病床から介護医療院等に転換してくる場合の取り扱い等につきまして、介護保険事業計画でどのように取り扱ったらいいかという基本的な考え方を国から都道府県宛てに8月にお示ししたところでございます。

 1ページ目はその内容でございますけれども、1つ目の○でございますが、第7期の計画において必要入所定員総数を定めるに当たりまして、医療療養病床及び介護療養型医療施設、ここに療養病床が含まれますが、介護医療院か老健施設、特別養護老人ホーム、特定施設入居者生活介護に転換する場合における必要入所定員総数の増加分を含まない。同様に、いわゆる転換老健が介護医療院に転換する場合におきましても、その定員総数の増加分は含まないということでございまして、2つ目のにありますように、この取り扱いを踏まえますと、いわゆる総量規制がこの転換分につきましては基本的に生じないと考えられるということでございます。

 一方、3番目のですけれども、介護医療院の新設、ここには一般病床からの移行等を含みますが、これにつきましては総量規制の対象になりますので、まずは療養病床からの転換による対応を優先した上で、地域の実情、高齢者のニーズとか事業者の参入意向を把握して、地域の実情に応じて必要入所定員総数を設定することができるということでございます。

 転換分につきましては、介護サービスごとの量の見込みについては転換分も含めて推計していただくということになりますけれども、その転換分の見込みにつきましては各都道府県において転換意向調査を実施していただきまして、その見込み量を設定していただくということでございます。

 続きまして、2ページ目ですけれども、介護・医療一体の改革ということで、来年度、第7期の介護保険事業計画と第7次の医療計画の同時スタートを迎えることになっておりまして、両計画で整合性を持って作成していただくということにしております。

 そういう中で、都道府県におきましては、いわゆる地域医療構想を策定していただいておりまして、この中で3ページを見ていただきますと、病床の機能分化とか連携に伴いまして、2025年に約30万人分の新たなサービス必要量が生じるという見込みになっております。この需要の拡大に確実に対応していくためのサービスの整備につきまして、医療計画と介護保険事業計画が整合性を持って計画の策定の中でサービス量の見込みを立てていただく必要がございます。この受け皿といたしましては、外来、在宅医療、介護保険施設等の各種介護サービスが受け皿となってまいりますので、こちらにつきまして、医療計画と介護保険事業計画のそれぞれで整合性を持って策定いただくということになります。

 その考え方、サービスの必要量の推計方法につきまして、4ページ目を見ていただきますと、一番右に平成37年度、2025年度、こちらで約30万人分の追加的なサービス量の見込みがあるということで、これに向けまして、平成30年度からサービス必要量を推計していただく。この中の内訳といたしましては、一番右の箱の中の上のオレンジのところがC3未満ということで、こちらは一般病床の医療資源投入量の基準がC3未満のものにつきましては、整備計画としては外来で対応していただく。

 また、青の部分は療養病床に該当しますが、こちらの中で、医療区分1の70%でありますとか、入院受療率の地域差解消分につきましては、まずは先ほどご説明いたしました療養病床等から移行してくる転換分を、一番下の緑の斜線部分に該当しますけれども、こちらで転換意向調査等によって把握した人数などを設定していただく。その上で、それ以外の部分につきましては、在宅医療と介護保険施設を受け皿として対応していただく。

 さらに、在宅につきましては、この中に介護の居宅サービスを受ける方もいらっしゃいますので、居宅サービスも含めて見込んでいただくということで、これによりまして、医療計画におきましては、在宅医療の分を整備量として見込んでいただき、介護保険事業計画のほうでは、居宅サービス、介護保険施設、その中には転換分も含めて見込み量を設定していただきたいということで、こちらにつきましても考え方を8月に各自治体にお示しして、現在、これらに基づきまして、自治体で計画の策定をしていただいているというご報告でございます。

 続きまして、5ページ目の高額介護サービス費の見直しでございます。こちらは既に今年8月から施行いたしておりまして、一般の区分での上限額につきまして、医療保険並みに引き上げるということで、月額3万7,200円を4万4,400円に引き上げたということでございます。なお、3年間の時限措置でございますが、1割負担者のみの世帯につきましては、年間の負担総額が現行の負担最大額を超えないような仕組みにするということで、年間上限額を設定いたしております。

 こちらの内容につきましては、6ページ目のパンフレット等で既に周知いたしまして、実施を始めておるところでございます。

 7ページ目でございますけれども、介護納付金における総報酬割の導入でございます。こちらにつきましては、今回の制度改正におきまして、介護納付金につきまして、被用者保険間で総報酬額に比例して負担する仕組み、総報酬割を導入することといたしまして、今年の8月から、まずは2分の1を導入します。平成30年度は2分の1、平成31年度は4分の3で、平成32年度から全面施行という予定にしております。

 これに伴いまして、負担の増加が特に大きい健保組合等につきましては、平成31年度までの激変緩和措置ということで、被保険者1人当たりの介護納付金の額に上限を設けることにいたしておりまして、8ページ目をごらんいただきますと、総報酬割を導入したことに伴いまして、右側の上でございますが、1人当たり介護納付金の上限を設定いたしまして、それを超える部分につきまして、こちらを全ての被用者保険者の間で加入者数に応じてさらに均等に再按分して負担していただく。その再按分の負担部分は、下の真ん中あたりの青い斜線をつけた部分になりますが、こういう形で、超える部分につきましては再按分して負担していただくということにいたしております。なお、負担の上限額を超える部分、再按分した部分につきまして、一部の健保組合等の負担増加分の全部または一部を国庫補助するということにいたしております。

 9ページ目でございますが、調整交付金の交付基準の見直しでございます。調整交付金につきましては、国庫負担金の5%分を用いまして、市町村間の高齢者比率とか所得水準に応じて財政調整を行う仕組みでございます。こちらにつきましては、高齢者の比率における調整に係る高齢者の区分につきまして、現在は65から74歳、75歳以上という2区分になっておりますが、平成30年度以降、特に年齢が高い高齢者の方の分布をきめ細かく反映させるために、年齢区分を2区分から3区分にすることの導入を予定しております。

 3区分と申しますのは、右側の一番下にありますように、65から7475歳以上のところを2つ分けまして、75から84歳、85歳以上ということで3区分にいたします。なお、第7期の計画期間中は2区分と3区分を2分の1ずつ組み合わせるという激変緩和措置を講じまして、3区分の完全施行は平成33年度からという予定にしております。

 以上が資料1のご説明でございます。続きまして、資料2をご覧いただきたいと思います。介護保険における保険者機能の強化でございます。こちらはいわゆる財政的インセンティブの付与につきましての資料でございます。

 1ページ目が現状と課題でございまして、今回の法改正におきまして、3番目のでございますけれども、高齢者の自立支援・重度化防止に向けた保険者の取り組みや都道府県による保険者支援の取り組みが全国で実施されるよう、取り組みを制度化したところであり、この一環として、市町村や都道府県のさまざまな取り組みの達成状況を評価できるよう、客観的な指標を設定した上で、市町村・都道府県に対する財政的インセンティブを付与することとしたということであります。このための交付金の制度を新たに法律上設けたところでございます。

 今般のいわゆる骨太方針2017におきまして、次のような記述になっております。2行目をごらんいただきますと、保険者機能の強化に向けた財政的インセンティブの付与のあり方について、地方関係者等の意見も踏まえつつ、改正介護保険法に盛り込まれた交付金のあり方を検討し、早期に具体化を図るなど、自立支援・重度化防止に向けた取り組みを促進する。あわせて、調整交付金の活用についても検討するとされております。

 こうした状況を踏まえまして、2ページ目でございますけれども、今回、論点を数点提示させていただいておりますので、こちらをもとに御議論を賜れればと存じます。

 1点目のでございますけれども、新たに介護保険法に位置づけられました市町村や都道府県の高齢者の自立支援・重度化防止に関する取り組みを支援するための交付金における評価指標としまして、市町村や都道府県において実施することが期待されるさまざまな取り組みに関する客観的な指標を設定してはどうかということでございます。

 2番目のですけれども、この評価指標につきましては、以下の観点から検討することが重要ではないかということでございまして、1つ目のポツにありますが、高齢者の自立支援・重度化防止等に関する取り組みを支援するものとなること。適正なサービス利用の阻害につながらないことが前提であること。各保険者における高齢化率や地域資源の違い等を踏まえたものであること。アウトカム指標とプロセス指標を組み合わせること。次の2つのポツにつきましては、市町村あるいは都道府県におきまして、さまざまな創意工夫による取り組みを行っていただいておりますけれども、それを推進することができるような多様な観点で指標を設定すること。こうした観点から、指標について検討することが重要ではないかという論点であります。

 3つ目のですけれども、さらに評価指標による保険者ごとの評価の結果につきましては、国民等に見える化をする観点から、公表することとしてはどうか。また、こうした評価結果以外にも、各市町村の取り組みに活用できるように、介護給付費等に関するさまざまな市町村別の指標について、引き続き見える化をしていくこととしてはどうかということであります。

 最後のでございますけれども、骨太方針2017に、調整交付金の活用についても検討するとされておりますが、どう考えるか。財政審におきましては、具体的内容も含めて、調整交付金を活用したインセンティブの導入が提示されているということを付記させていただいております。

 こちらにつきまして、参考資料2をごらんいただきたいと思います。1ページ目は今回の法改正における保険者機能強化による自立支援・重度化防止に向けた取り組みの推進についての概要でございます。

 2ページ目は今回の新たな交付金につきまして、市町村あるいは都道府県に対しまして、予算の範囲内において交付金を交付するという条文が追加されております。

 3ページ目が昨年末の本介護保険部会において取りまとめられましたインセンティブの付与に係る部分を抜粋いたしております。1つ目のにおきまして、都道府県・市町村に対する取り組みを推進するため、評価につきましては各市町村・都道府県ごとに住民も含めて公開することとし、PDCAサイクルに活用することが適当であるとされております。次のにおきまして、財政面においても、市町村や都道府県に対するインセンティブを設けることも検討すべきであるということで、こちらが今回の法律で新たな交付金ということで反映されておりますが、そのインセンティブの具体的な内容につきましては、市町村及び都道府県の取り組みは多様であり、追加財源を確保した上で実施すべきとの意見がある一方、ディスインセンティブも組み合わせた上で財政中立で実施すべきとの意見もあった。また、自治体間の格差が広がらないように留意すべきとの意見などもあったということで、意見が併記されてございます。

 4ページ目は骨太方針2017の抜粋で、説明は割愛します。

 5ページ目は調整交付金の概要についてお付けしております。

 6ページ目をごらんいただきますと、平成30年度の予算編成等についてということで、先月26日の国と地方の協議の場で地方六団体から御提出された資料の抜粋をつけさせていただいております。2つ目のの真ん中あたりからでありますが、財政的インセンティブの付与について「あわせて、調整交付金の活用についても検討する」とされているが、本来調整交付金は、保険者の責めによらない要因による第1号保険料の水準格差の調整を行うものであり、その機能を損なうような措置を講じるべきではなく、新たな交付金の財源に調整交付金を活用することは断じて行うべきではないとの意見が出されております。

 一方、7ページ目をごらんいただきますと、先ほど御紹介した1025日の財政制度等審議会財政制度分科会におきまして出された資料でございます。調整交付金の活用について、一番下の改革の方向性をごらんいただきますと、新たな交付金とセットで調整交付金を活用したインセンティブの仕組みを導入すべきという案が提示されております。

 具体的な調整交付金の活用のイメージが真ん中に図としてございます。案が2つ掲げられておりまして、案1が調整交付金の一部を別枠にして、別枠のところを適正化の取り組みに応じて傾斜配分するという案になっておりまして、案2は従来どおりまずは調整交付金を年齢、所得で配分した後に、その取り組みに応じて減額した部分の調整交付金をさらに再配分するという案になっているようでございます。

 以上が資料2と参考資料2の御説明でございました。

 続きまして、資料2におきまして論点でも御提示しておりましたけれども、新たな交付金につきましては評価指標、客観的な指標を設定することを検討しておりますが、具体的な指標の案につきまして、資料3でお配りしてございます。資料3をお開きください。最初は市町村向けの指標がございまして、途中から都道府県向けの指標を載せてございます。

 まず「市町村向け指標(案)」でございますけれども、大きく分けますと、IPDCAサイクルの活用という観点からの指標、その後、具体的な自立支援・重度化防止等に資する施策の推進に関する指標、運営の安定化に関する指標というように続いていきます。

 1番目のPDCAサイクルの活用という観点の指標でございますけれども、1ページ目でございますが、現状把握・計画策定・点検評価等を推進するものとして、以下の指標を設定してはどうかということでございます。

 以降、かいつまんで御説明させていただきますけれども、○1で地域包括ケア「見える化」システムを活用して他の保険者と比較するなど、当該地域の介護保険事業の特徴を把握しているかということでございます。2とか3では、人口等の数の把握なり推計をしているかを指標にしておりまして、○4で介護保険事業に関する現状や将来推計に基づきまして、2025年度に向けて、自立支援・重度化防止に資する施策について目標及びそれを実現するための重点施策を決定しているか。○6におきまして、地域医療構想を含む医療計画も踏まえつつ、地域の在宅医療の利用者や在宅医療の整備目標等を参照しつつ、介護サービスの量の見込みを定めているか。○8で介護保険事業計画の目標が未達成であった場合に、具体的な改善策や、理由の提示と目標の見直しといった取り組みを講じているかということで、現状の把握、目標・取り組みの設定、その評価に基づく見直しというPDCAサイクルの取り組みを評価する指標(案)とさせていただいております。

 3ページをごらんください。ここからIIの自立支援・重度化防止等に資する施策の推進でございまして、各種取り組みを推進するものとして以下の指標を設定してはどうかということでございます。

 幾つか項目が分かれておりまして「(1)地域密着型サービス」でございますけれども、指定権限が保険者にあります地域密着型サービスにつきまして、その整備を図るために保険者独自の取り組みを行っているかとか、サービス事業所の運営状況の点検でありますとか、実地指導等の状況について指標を設定しております。

 4ページ目の「(2)介護支援専門員・介護サービス事業所」に関しまして、ケアマネジメントに関する保険者の基本方針を介護支援専門員に対して伝えているかとか、サービス事業所の質の向上に向けた研修等の取り組みについての指標となっております。

 「(3)地域包括支援センター」は大きく3つに分かれておりまして、1つがセンターの体制に関するものでございます。○2にありますけれども、センターの3職種(準ずる者を含む)の1人当たりの高齢者数はどうなっているかという人員の配置状況を評価するものなどを掲げております。

 5ページ目を見ていただきますと、○6からはケアマネジメント支援に関するものでございまして、地域包括支援センターと協議の上、介護支援専門員を対象とした研修会等の計画を策定しているかとか、8にはセンターが介護支援専門員から受けた相談事例の内容の整理・分類、件数把握といったことを掲げております。

9から地域ケア会議に関するものでございまして、地域ケア会議の開催計画の策定でありますとか、10は多職種と連携して個別事例の検討を行って対応策を講じているか。11が個別事例の検討件数割合はどうかということで、受給者数に対する検討件数などを指標として設定しております。13で、複数の個別事例から地域課題を明らかにしてそれを解決するための政策を市町村へ提言しているかという項目もございます。

 6ページに入っておりますけれども「(4)在宅医療・介護連携」でございますが、こちらは介護保険の地域支援事業でございます在宅医療・介護連携推進事業の事業項目に沿いまして、1から5までは、地域医療・介護関係者等が参画する会議で検討された対応策の具体化でありますとか、切れ目ない在宅医療・在宅介護の一体的提供体制の構築、情報共有、相談窓口の設置、7ページに行っていただいて、研修会の開催などの指標となっております。○6におきまして、アウトカム的な指標になっておりますけれども、居宅介護支援の受給者におきまして、入院時情報連携加算とか退院・退所加算の取得率がどうなっているかという指標も設定しております。

 「(5)認知症総合支援」でございます。こちらは認知症総合支援策に関するPDCAを評価するとともに、2とか3におきまして、初期集中支援チームと地域支援推進員との情報連携でありますとか、かかりつけ医と認知症疾患医療センター等の専門医療機関との連携などを評価項目としております。

 8ページの「(6)介護予防/日常生活支援」につきましては、総合事業についての周知でありますとか、多様なサービス等の計画的な整備やPDCAサイクルの活用。5におきまして、住民主体の通いの場への65歳以上の方の参加者数がどうなっているのかを指標に盛り込んでおります。9ページの○7でございますけれども、地域支援事業としての地域リハビリテーション活動支援事業などによりまして、介護予防の場にリハビリテーション専門職らが関与する仕組みを設けているかという項目になっております。

 「(7)生活支援体制の整備」は、生活支援コーディネーターや協議体が地域資源の開発に向けた具体的取り組みを行っているかということでございます。

10ページ目は「(8)要介護状態の維持・改善の状況等」でございまして、こちらがアウトカムの指標となっておりまして、1が要介護認定等基準時間の変化率で、要介護認定を受けた方について一定期間の間で要介護認定等基準時間の変化率がどうなっているか。2では要介護認定、いわゆる要介護度の変化率がどうなっているかをアウトカム指標として設定しております。

11ページがIIIでございまして、介護保険運営の安定化に資する施策ということで「(1)介護給付の適正化」がございまして、ケアプラン点検とか医療情報との突合・縦覧点検の実施状況、○4と5では福祉用具の利用に関しまして、リハビリテーション専門職が関与する仕組みを設けているかということも指標に盛り込んでおります。

12ページの「(2)介護人材の確保」では、第7期の計画から介護人材の確保が任意記載事項となったことを踏まえまして、市町村の指標におきましても、介護人材の確保のための具体的な取り組みを行っているかということを設定してございます。

 続きまして、13ページからが「都道府県向け指標(案)」でございます。こちらにつきまして、まず、Iでございますが、都道府県におきましてもPDCAサイクルに着目した指標がございまして、○1で都道府県あるいは管内の市町村の地域課題を把握しているかということ。○2以降は、課題の把握に基づきまして、自立支援・重度化防止に関して、保険者への支援事業を企画立案しているか。また、2025年度に向けて目標とか重点施策を決定しているかという項目になっております。

15ページでございますが、IIで自立支援・重度化防止等の個別の保険者支援の事業内容でございます。都道府県が具体的に実施している保険者支援につきまして、以下の観点から評価してはどうかということでございまして、(1)と(2)につきましては、保険者による地域分析とか介護保険事業計画の策定、あるいは地域ケア会議や介護予防に関しまして、市町村への研修事業やアドバイザーの派遣事業を行っているかという指標になっております。

16ページから17ページにかけましては「(3)生活支援体制整備等」あるいは「(4)自立支援・重度化防止等に向けたリハビリテーション専門職等の活用」「(5)在宅医療・介護連携」、「(6)認知症総合支援」、18ページの「(7)介護給付の適正化」、こうした保険者、市町村の取り組みに対しまして、都道府県として必要な支援を行っているかという観点からの指標になってございます。

 「(8)介護人材の確保」でございますが、2025年及び第7期の計画期間における介護人材の将来推計を行い、具体的な目標を掲げた上で、必要な施策を企画立案しているか、あるいは介護人材の確保、質の向上に関しまして、必要な事業を実施しているかという指標とさせていただいております。

 最後、19ページでございますけれども、都道府県の指標におきましても、アウトカム指標を設定しております。管内の市町村における評価指標の達成状況につきまして、○1でございますが、分野ごとにどんな状況になっているか、2と3につきましては、都道府県の指標におきましても一定期間内の要介護認定者の要介護認定等基準時間あるいは要介護認定の変化率がどうなっているかという指標を設定させていただいております。

 御説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 ただいま3つの資料の報告をしていただきましたけれども、資料1は報告事項でありますので、これから、皆さんと議論するわけですが、恐らくは資料2の論点あるいは資料3の評価指標(案)、この辺が議論の中心になるかと思いますが、御質問、御意見があれば承りたいと思います。また、できるだけ多くの方に御発言いただきたいので、簡潔に要領よく御発言いただければと思いますので、御協力のほどよろしくお願いします。

 それでは、いかがでしょうか。

 鈴木委員、どうぞ。

○鈴木(邦)委員 それでは、資料2に論点がありますので、4つがありますので、それに沿って意見を述べさせていただきます。1つ目のについてはよろしいと思いますけれども、小規模な保険者、市町村がたくさんありますが、そういったところでは、医療計画と介護保険事業計画の整合性もとれていないまま策定が進んでいる状況もあるようですので、都道府県が強力に支援することが必要であると思います。

 2つ目のにつきましては、これはこれでいいと思いますけれども、要介護認定率の低下を直接の目標にすべきではないと思います。

 3つ目は公表の話ですが、これはいいと思います。

 4つ目のについてですが、新たな交付金の財源は、ぜひ改定財源とは別に確保すべきということを要望したいと思います。

 資料2については以上ですけれども、3についても続けていいですか。

○遠藤部会長 結構です。

○鈴木(邦)委員 非常に細かい内容なので、小規模な市町村の保険者でも、対応が可能なように支援をお願いしたいと思うのですけれども、例えば12ページに「(2)介護人材の確保」とあります。これは任意の記載事項となっておりますが、介護人材不足は今や都市から地方まで、全国どこにおいても深刻になっておりますので、できれば必須の記載事項にしていただいたほうがいいのではないかと思います。私は、ずっと介護給付費分科会のほうで、サ高住の不適切事例の是正を質問させていただいたのですが、それはどこでチェックできるのか、指標としてはどれが考えられるのか、わかる範囲で教えていただければと思います。これはと質問させていただきます。

16ページの(4)です。この中で、1の1つ目のポツと3つ目のポツが非常に似た文面になっているのですが、あえて2つに分けているのか、実質的には同じことなのか、それについて確認させていただきたいので、これも質問とさせていただきたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 事務局、2つの質問がありましたけれども、いかがでしょうか。

○橋本介護保険計画課長 サ高住の関係でございますけれども、ケアプランのチェックといった項目も評価項目の中にございますので、そうした中で、内容的にはおっしゃったような項目も取り組みの中に含まれているかを見ることは可能であると考えてございます。

 次の似たような項目があるという点につきましては、そういった項目についてはさらに精査して、整理してまいりたいと存じます。

○遠藤部会長 よろしくお願いします。

 大西委員、どうぞ。

○大西委員 ありがとうございます。まず、本日の財政的インセンティブに関する問題につきまして、意見という形で全国市長会と全国町村会が連名で意見を出させていただいております。そこに書いてあるとおりなのですけれども、少し説明をさせていただきたいと思っております。

 まず、今回の改正介護保険法に盛り込まれました、いわゆるインセンティブを与える新たな交付金でございますが、これにつきましては、介護給付の適正化に向けて保険者の取り組みを後押ししていただけるという観点から、基本的に賛成でございます。ただ、あくまでも、それは介護保険制度の財源構成とは別に十分な財源を確保して、保険者が行う高齢者の自立支援とか重度化防止の取り組みが一層評価され、推進されるために、適切な指標を設定した上で実施されるべきものと考えておるところでございます。したがいまして、インセンティブ交付金に調整交付金を活用することは、おかしいということでございまして、財政的インセンティブの付与は、新たな交付金を活用してやっていただきたいと思っております。

 参考資料2の5ページ、6ページにその辺の資料が出ております。6ページの下に書いておりますように、先般の国と地方の協議の場におきましても、全国市長会の会長から、このような見直しが行われると、それが保険料にはね返り、国民の負担増になりかねず、介護現場を預かる市町村としては非常に困るという旨も発言しておるところでございます。

 これはお聞きしたいというか、間違っていたら教えていただきたいのですが、5ページの左上のグラフなのですけれども、現在、調整交付金は平均5%程度配られておりますが、それは公費負担の50%、国庫負担金の25%の中であって、これを見ますと、保険料がその分、調整交付金によって軽減されているようなイメージに見えるのですが、あくまで保険料はちゃんと50%とった上で、個々の団体のいろいろな事情を勘案して、調整交付金で調整されているという理解でよろしいかを確認しておきたいと思っております。

 そもそも調整交付金でございますけれども、介護給付を支えている個々の団体にとりまして、事情を調整していただける根幹の財源となっているものでございます。インセンティブ指標による配分は、制度の本旨、調整交付金の趣旨には馴染まないと思っております。先ほどもお話しいただきましたけれども、特に小規模で高齢化が極端に進んだ保険者は、なかなか改善に向けた取り組みの成果は出にくく、調整交付金がインセンティブという名のもとに一方的に削られるといった懸念があるわけでございます。

 また、検討されている成果指標などを見てみますと、1人当たりの介護費の水準やその低下率等によって、サービスを制限するインセンティブになりかねないのではないか、本来の調整交付金のあり方からすれば、逆効果になりかねないのではないかが懸念されるということでございます。重度化とか負担、給付の増加へつながることも懸念されるということでありまして、本来、意図したところとは全く逆の効果を生みかねないということで反対でございます。

 市町村は、ちょうど第7期、来年の4月からスタートでございますので、改正介護保険法が示す取り組みを反映させるために懸命に対応してきておるところでございます。保険料の具体的な設定作業も大詰めを迎えているところであり、その中で調整交付金の見直しといったものが、法律の予定しております枠外で行われることになれば、現在、市町村がやろうとしている作業等も全く覆されることになりかねず、信頼関係を損なうことになるのではないかと懸念しているところでございます。

 先ほどからいろいろ申し上げておりますように、調整交付金は保険者の責めによらない要因による、あくまでも第1号保険料の水準格差の調整を行うものであるということでございまして、その機能を損なうような措置を講じることには市長会として反対であり、新たな交付金の財源に調整交付金を活用することは断じて行うべきではないということを、意見として出させていただきたいと思っております。

 次に、資料3の評価指標について、評価指標(案)という形で網羅的に示されているところでございます。先ほども言いましたように、市町村は来年4月からの第7期事業計画を具体的に固めようとしているところでございます。実際、市町村によってはパブリックコメントにかけている保険者もあるわけでございまして、この段階で次期計画に組み込むように、このような指標が今から固められていくということにつきましては、作業として非常に混乱するのではないかということで、懸念せざるを得ないところでございます。

 今日、出された案を見ましても、これを全て用いて評価するということになった場合、実際には現場において非常な負担増になるのではないかと思っております。したがいまして、時間も限られているところではございますけれども、今後、市町村、我々保険者等の意見を十分に踏まえて、まずは指標をもう少し絞り込んでいただきたい。そして、早期に適切な指標を確定して、早目に示していただきたいと思っております。

 新たな交付金につきまして、これが平成30年度から開始するということであれば、保険料にも影響してまいりますので、先ほど意見を言いましたけれども、早期に交付金の規模等につきまして、示していただきたいと思っております。

 保険者はこの指標に沿いまして、保険者機能の強化に向けた体制の構築や、あるいは自立支援・重度化防止等の施策の推進を図ることになるわけでございます。指標の取得に当たりましては、新たに生じる技術的、事務的な負担に対する適切な支援が必要でございまして、人員、財源等について、国や都道府県による適切な支援、措置をよろしくお願いいたしたいと思っております。

 もう一点だけ、今日は直接の議題ではございませんけれども、先の経済財政諮問会議におきまして、軽度者に対する生活援助サービスや、その他の給付の、地域支援事業への移行を進めるといった提案がなされておりますので、それについて意見を申し上げておきたいと思います。これまで私もお話しさせていただきましたけれども、全国市長会は軽度者に対する生活援助サービス等に係る給付の見直しや地域支援事業への移行の検討につきましては、我々、都市自治体の負担を十分考慮して慎重に行っていただきたいと思っております。といいますのは、要支援者に対する総合事業の実施が平成29年4月に全国的に、全体として始まったばかりでございまして、実施状況の把握を今、厚労省で行われていると聞いておりますけれども、その結果が出てから、総合事業が給付費の抑制や新たな担い手の創出につながっているかどうか、その辺の検証や影響、課題等を整理することが、まずは必要なのではないか。それが先決であって、それを踏まえた上で、きちんと更なる制度の拡充等について、どう考えるかを検討していただきたいと思っております。

 全国市長会といたしましては、都市自治体の財政力や基盤整備の状況が異なる実情等を踏まえまして、まずは財政支援等の充実を図ること、2つ目といたしまして、総合事業の実施状況に対する検証結果を踏まえて、都市自治体の実態を反映した総合的な検討を行い、人材の確保や新たな事業者の参入が促進されるよう、制度の見直しを図ること、これらを要望しているところでございます。

 このような中で、更なる給付の見直しを今、行うという方向を出すことは、市町村の負担や混乱を招くおそれがありまして、この点につきまして、より一層慎重に、あくまでも検証を踏まえた上で行っていくことを、はっきりさせていただきたいということを要望させていただきます。

 以上でございます。

○遠藤部会長 それでは、事務局に1つ質問がありましたね。まずはその質問だけ答えていただきたいと思います。

○橋本介護保険計画課長 調整交付金の関係で御質問がありましたけれども、国庫負担金の5%分を用いまして市町村ごとの実情に応じて配分しているという中でございますので、平均5%の中で配分させていただいている状況でございます。

○遠藤部会長 大西委員、どうぞ。

○大西委員 図を見ていると、半分以上調整交付金が出ているように見えるのですが、誤解を招きかねないので、次からはきちんと、あくまで公費と保険料が半々だと、その中で調整しているのだということがわかるように、よろしくお願いいたします。

○橋本介護保険計画課長 わかりました。

○遠藤部会長 藤原委員、お願いいたします。

○藤原委員 住民、被保険者に最も近い、市町村保険者の立場から、幾つか意見を述べさせていただきます。まず、新たな交付金によるインセンティブの仕組みであります。これは全く大西委員と同じ意見であります。一番の大前提として、インセンティブの付与に関する新たな交付金については、1026日に開催された国と地方の協議の場においても、意見をしっかりと申し上げ、本日、先ほど大西委員がおっしゃったように、市長会と町村会の連名で意見書を提出しておりますとおり、この財源に調整交付金を活用するということは断じて容認できません。これは強く申し上げたいと思います。

 本来、調整交付金は参考資料2にありますように、保険者の責めによらない要因で生じる保険料格差を調整するためのものでありまして、介護保険財政を支える最も根幹でありますので、ぜひその辺をしっかり理解していただきたいと思います。さらに、調整交付金の総額も国費の5%と定められているため、保険者の取り組みに応じて配分するとなれば、必然的にディスインセンティブが出てくる仕組みとなり、対象となった自治体では、調整交付金が減額されれば、保険料の引き上げで対応せざるを得なくなります。保険料は本来必要な介護サービスの財源として設定し、徴収しているものでありますが、みずからの自治体の事情ではなく、他の自治体の取り組みとの相対比較ということで、地域実態とは全く性格の異なるものにより保険料が上昇することは、住民から理解を到底得られません。

 また、調整交付金制度の役割と新しい評価指標によるインセンティブの担う機能とは全く別物であり、保険料の上昇を招くことに本当に直結する仕組みであり、これは論外ではないかと思っています。改正法においても、調整交付金の活用については一切の言及がなされておらず、インセンティブにかかわる新たな交付金については、調整交付金を規定する条文とは条を変えて別に規定していますので、これは明らかに目的や使途が異なる位置づけだと理解しております。法制化に当たっては、当然財政当局等も調整がありまして、調整交付金のあり方については既に決着がついているものであります。ましてや現在、各市町村で来年度からの第7期事業計画策定に向け、既に保険料算定等の作業を行っているところであり、なぜ今、このことが議論されなければならないのか、非常に疑問であります。インセンティブの財源は、介護保険制度の財源構成とは別に財源を確保すべきであり、調整交付金の活用は行ってはならないことを重ねて申し上げたいと思います。

 以上の前提に立ちまして、新たな交付金に関する評価指標について若干述べたいと思います。介護保険制度の運営に当たって、予防、自立支援、重度化防止等の取り組みが必要であり、そのため、指標を用いて市町村みずからの取り組みを自己点検することは、意義のあることだとは思っております。ただ、今回、示された指標の中には、市町村の有する地域資源の違いなどによって、小規模自治体では取り組みが難しく、評価自体が非常に難しいのではないかと感じるところもあります。

 当然のことながら、個々の評価指標は、一面的な物差しであって、これらを一定の数を取り上げたからといって、全体を評価することにはなりません。効果を早期に発現するものから、重要度が高くても非常に息の長いロングスパンでの取り組みの先に成果が出るというものもあります。地域の取り組みとして重要であっても、指標化になじまないものなど、さまざまな取り組みがいろいろな形で組み合わさって効果が出るものもあります。ですから、そうしたことを関係者でしっかり意識しながら進めていく必要があることに、特に留意していただきたいと思います。

 長年現場を見てきた立場から申し上げれば、高齢者の自立支援や介護の重度化防止への取り組みは、今回、示された指標にあるような取り組みだけではありません。行政や事業者の取り組みだけではなく、住民同士の取り組みや介護分野を超えたさまざまな取り組みが行われて初めて、安定的かつ将来にわたって効果が期待できることを実感しております。それらは各市町村がそれぞれの実態に応じて、知恵を絞りながら懸命に数々の努力を重ね、地道な作業の先にある成果とも読めます。いろいろと経験してまいりましたが、本当に流した汗と出した知恵の量で相当いろいろな差が出てくることを体験しております。

 したがって、取り上げられた指標への取り組みだけが大きな存在となり、地域の実態に即した多様なその他の地道な取り組みを結果として軽視させられるようなことになれば、地域の現場における真の政策効果を阻害しかねないのではないかと考えます。さらに、指標自体も時間とともに政策のステージがかわるものでありまして、この点からも柔軟な対応が必要ではないかと思います。このようなことを踏まえますと、指標を用いた交付金の配分については、がちがちに固めたものではなく、一定の調整弁を持ちながら、特に現場でのサービスや地域差による不公平性が生じないように検討を行うことが肝要ではないかと思います。

 最後の評価の結果の公表であります。評価結果を公表する場合に当たっては、それぞれの市町村が前向きに取り組み、現場での創意工夫に生かされ、一層の成長と発展につながっていく、そのような動機づけとなる観点が重要と考えられます。しかしながら、これまで述べてきたように、評価にはおのずと限界もあることから、関係者間で十分に認識合わせをした上で、個々の市町村に対して、決して表層的な上辺で優劣をつけることのないよう、やり方については十分慎重な検討をお願いいたします。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 それでは、武久委員、伊藤委員、佐野委員の順番でお願いします。

 どうぞ。

○武久委員 保険者である市町村から危惧の念があるのは当然だと思いますけれども、私は現場の医療保険事業者として意見を言わせていただきます。

 介護保険が始まってからもう17年以上たつのですけれども、そのときから調整交付金とは一体何なのかなと思って、私もわからないままに思っていたのですが、市町村同士での保険金の余りの差に対して、これを調整するということだと聞いておりました。そうすると、市町村、保険者によっては、調整交付金がいっぱいたまっているところと、ほとんど使ってしまったというところがあってもいいのだけれども、その残高の報告は余り聞いたことがないのです。この新しい交付金は、お金は一体どこから出るのかということが余りはっきりしていないし、藤原委員から調整交付金を使うのではないかという話も出ていますね。これは非常に難しい問題ですけれども、やはりたまっているのだったら何かに使ったらいいのだと思うのです。

 私が一番心配しているのは、介護医療院なのです。小さな市町村だと、医療療養病床から介護医療に変わったら、例えば100ベッドがぽんと介護保険対応になってしまうのです。そうすると、介護保険料はぽんと上がるわけです。それに対して、調整交付金全部でやっても、小さい市町村では、パーセントで合わないと思う。ここをどうするか。こうなったときに、政策と実際の資金の動きは非常にややこしくなる。そのために、私は前から、介護保険部会では、国保と一緒のように、市町村ではなしに保険者は都道府県にしたほうがいいと。実務は市町村でするけれども財政は都道府県でやらないと、小さい市町村はえらい目に遭いますという話は何回かした覚えがあるのです。

 これについても、来年4月に介護医療院が発足するわけです。それに対して予定が立たない。25対1の医療療養病床から介護医療院にいきたいというものもあるし、一般病床からも介護医療院にいきたいというものもあります。どんどんいくと介護保険料が上がることになるのは、一体どのように担当部局は思っているのか。これは調整交付金で調整可能なのか、新しい調整交付金はそれを見越しているのかというようなことについて、もしおわかりいただける担当者がいらっしゃったら、私の疑問に答えていただけたらと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 事務局への質問ということですか。

 それでは、事務局、何かコメントがあればお願いします。

○橋本介護保険計画課長 御指摘の調整交付金が余るのではないかということについては、調整交付金を配分することによって保険料の負担割合がその分変わってくるということなので、それをあわせ持って考えますと、余るとかいうことにはならないと考えています。介護保険料への影響につきましては、介護医療院の今後の制度設計との関係もありますけれども、保険料にどう影響してくるかにつきましては、先ほど御説明しました計画における各自治体の見込み方をこれから注視していきたいと思っております。

○遠藤部会長 伊藤委員、お待たせしました。

○伊藤委員 資料2の2ページにあります論点に即して意見を言わせていただきます。1つ目のについては、よろしいと思います。2つ目のの中にポツが6つありますが、4つ目で、アウトカム指標とプロセス指標を組み合わせることというものは、アウトカム指標に偏重すると給付抑制につながりかねないということをこの場でも私は申し上げたことがあります。組み合わせられてはいるのですが、都道府県についてはアウトカム指標を使うこと自体が難しいのではないかと現時点で思っております。というのは、管内市町村のアウトカムを評価して、その都道府県のアウトカムとして扱うのだろうとは思うのですけれども、館内市町村には多分、いいところ、悪いところが出てくるのであろうと思います。それらの結果をその県の評価にして、市町村に対する県からの支援に差がつくということで、納得性が得られるのだろうかということが疑問にありますので、さらに議論が必要なのではないかと思います。

 3つ目のについて、見える化はよろしいと思います。

 4つ目の、調整交付金の活用につきましては、自治体、首長からの主張がございましたけれども、全く私も同感でして、もともと保険者の責めによらない格差を埋めるための法律事項としての調整交付金制度ですので、それを違う目的に使うことは各保険事業の安定的な運営に支障を来しかねないと思いますので、絶対に認めるべきではないと考えます。

 最後に、資料3の指標のほうで、少し質問させていただきます。市町村のほうで言いますと、IIの(3)の○2とか、(3)の11とか、どのようになっているか、どの程度かという類いのものが幾つかあります。アウトカムのところももちろんそうなってますけれども、こういう類いの指標(案)と、やっているか、やっていないかという単純なものとが混在しております。もっと言いますと、市町村のIIIの(2)の○1で具体的な取り組みとかいうものが出てきたりとか、都道府県のほうのIIの(9)の1で先駆的な取り組みというものが出てくるのですけれども、これはどうやって評価するのかなというのがありますので、現時点でこれをどう評価するつもりなのかを教えていただきたい。よろしくお願いします。

○遠藤部会長 事務局、お願いいたします。

○橋本介護保険計画課長 具体的にどう評価するかは、これから、さらに検討していきたいと思いますけれども、取り組みの内容そのものを評価することもありますれば、取り組み自体をやっているか、やっていないかという評価をするものもございますので、そのあたりにつきましては、引き続き地方団体とも協議しながら詰めてまいりたいと思います。

○遠藤部会長 それでは、佐野委員、お願いいたします。

○佐野委員 まず、資料1の改正法の施行状況について1点コメントさせていただきます。今般の法改正で、介護納付金の総報酬割が導入されて、やはり予想どおりといいますか、多くの健保組合では、この先、介護納付金がどれだけ増えるのかということに不安を抱いております。高齢者医療の拠出金負担もあり、どんどん財政が逼迫している中で、さらに健保組合に追い打ちをかけているというのが現状でございます。また、後期高齢者もそうですが、介護保険も健保組合は保険者という立場にはなく、みずからで給付の適正化等の取り組みができませんので、そういった点で負担を強いられているということもぜひ御理解いただきたいと思います。

 この資料にもありますが、今般、総報酬割の導入に関して、負担増となる医療保険者への軽減策として、1人当たりの介護納付金の上限設定と補助金という2つの負担軽減措置を設けていただきました。ありがとうございます。ただ、どちらとも、平成31年度までの措置となっておりまして、全面総報酬割になる平成32年度にさらに重くなるということを考えると、ここはぜひ引き続きの措置を続けていただけるようにお願いできればと思います。補助金も94億円をいただいて、来年度も同額が計上、概算要求されているのですけれども、今後とも拡充を含めて検討いただきたいと思っております。

 以上が1番目のところです。

 2点目が、資料2でございますけれども、論点の項目については基本的に全て賛成でございます。特に自治体の取り組み状況を住民等に見える化をして公表するというのは、みずからの自治体の立ち位置を認識することができますし、取り組みが遅れている自治体に対しては、いわば背中を押すことになると思いますので、全体的な取り組みが進む効果が期待できると思います。

 財源問題については、前から申し上げているところですけれども、ファンドイーブンの財政中立でやるべきだと思っております。保険者である自治体が保険者機能を発揮するというのは、保険制度の中では当然のことだと思います。その中で、インセンティブとディスインセンティブの両方を導入して、取り組みが進んでいるところと、逆に取り組みが遅れているところ。この両方に対して効果を目指すような仕組みにすべきだと思います。そういう意味では、調整交付金についても当然活用すべきだろうと思っております。

 3番目の評価指標のほうですけれども、インセンティブ、ディスインセンティブをやるに当たって、評価指標が極めて重要であることは今さら言うまでもないと思います。インセンティブという観点で見れば、お金がもらえるかどうかという基準指標であることは確かだと思いますが、単にその観点だけではなく、当事者である自治体にとって、励みになるような内容でなければ意味がないと思います。評価指標の中に励みの部分をどのように入れるのかが全体的なレベルアップにおいて極めて重要だろうと思っています。

 そういう点で、2つの視点についてコメントしたいと思います。1点目は、全体的なことで恐縮なのですが、評価指標の構成は、ある意味でユーザー目線の設定にしてほしい。今回で言えば、ユーザーは保険者の自治体だと思うのですけれども、保険者である自治体から見て、評価指標を上げるために誰がどのように取り組めばいいのかということを具体的にわかるようにすべきだと思います。例えば、主として組織面とか体制面とかになればトップを含めたマネジメントが対応すべき課題になってくると思いますし、実務的な部分であれば担当部門が中心に取り組むということになってくると思います。そういうことも極力わかりやすいような形で提示したほうがいいと思います。

 とかくこういう評価指標は、言い方はよくないのかもしれませんが、合格、不合格を判定する試験監督者の採点基準みたいな形になりがちだと思います。そうなってしまうと、その後の行動改善やレベルアップにつながらないケースも起こるので、それは避けるべきだと思います。評価指標の各項目を上げる、イコールみずからのレベルを上げるという方向の動きにいかにつなげていくのかが重要なファクターだろうと思います。そういう面で、ユーザー目線というところは意識していただきたいと思います。

 もう一点は、これは言わずもがなであるのですが、定量評価できるように数値目標をきちんと入れていくことが大事だと思います。できればプロセス評価にもつながるような加点方式を検討いただきたいと思います。ここは先ほど藤原委員がおっしゃった、流した汗、知恵をどうやって評価するのかと。ここを評価指標の中にうまく織り込んでいくことが大事なのだろうと思います。恐らく今回の評価指標も最終的にはスコアリングシート化されてくると思いますが、今の点数を知った上で、どの項目にどういう優先順位でどう取り組んでいくのかということが大事だと思います。例えば員年度は60点だけれども、来年ここをやって70点にして、3年後には90点にするのだというような形がベストだと思いますので、ぜひそういった観点で指標設定をしてほしいと思います。単純にインセンティブとしてお金がもらえるかどうかというだけの問題ではないと思っていますので、難しいとは思いますが、ぜひ工夫をお願いしたいと思います。

 そういう意味では、この仕組みを考える上では、ユーザーである自治体も含めてどのように組み立てるのか検討するのは一つの方法ではないかと思います。取り組みの進んでいるところ、逆に遅れているところ、両方にとって励みになるような内容にしていただきたいと思います。

 最後に1点です。地域格差の是正という部分は、当然ながら大きい課題だと思います。ある面では国の役割が極めて重要なのではないかと思います。適正サービスの利用阻害になってはいけないのは当たり前ですが、自治体間の要介護認定率のばらつき是正等々のためにも、この指標もぜひ検討いただきたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 それでは、土居委員からこちらの順番に行きましょう。

 土居委員、どうぞ。

○土居委員 まず、資料3についてコメントしたいと思うのですけれども、基本的にいい指標が並んでいると思います。

 先ほど佐野委員がおっしゃったように、さらなる改善は必要だと思うのですけれども、この仕組みはこれから初めて導入されるということでもありますので、余り最初からハードルが高いと、なかなか保険者もついてこられないという面もありますから、制度の定着をまずは考えつつも、かといって、最初に設けた指標で漫然として努力するインセンティブがそがれることがないように、段階を踏んでレベルアップしていただくことは大事かなと思います。

 資料3を拝見していると、保険者としては標準的に実施すべきことが割と並んでいると私は思いました。先駆的な取り組みがどれだけ実施できているかの評価というよりは、むしろ標準的ないしは最低限保険者としてこういうことは2025年を見据えてしっかり取り組んでいただかなければならないようなものだと思いますから、大きく落第点をとるような保険者は余りないのではないか。むしろほぼ多くの保険者は平均点に近いところにいて、しかも平均点を上回るような保険者が物すごく高い点数をとるような、それほど保険者の評価が大きく差が開くようなものには、今のところはなっていないのかなというのが私の実感であります。

 それを踏まえた上で、新たな交付金の仕組みをどう考えるかということであります。確かに地方六団体、保険者から、新たな交付金の財源を調整交付金から捻出するべきではないという御趣旨の意見が出ていることは承知しています。老健局も調整交付金について平成30年度は大体5,000億円の概算要求をされているということですので、5,000億円のうち1円も新たな交付金に使うなというようなことなのかもしれません。

 では、新たな交付金のお金をどこから持ってくるのだと。何の御提案もないというのは無責任だと私は思うのです。5,000億のうちの1%でもインセンティブづけのためのお金を外から持ってくるとすると50億円。2%分を持ってくるというと100億円。100億円というと相当大きな金額になるわけであります。今、骨太の方針2015にあわせて閣議決定されている経済・財政再生計画で、社会保障費の自然増は5,000億円にするということで、それをいかに達成するかも含めて議論されているわけで、その中での50億とか1,000億は、相当大きなインパクトのあるところだと思います。

 さらに50億とか1,000億ということで、本当にインセンティブづけになるのかどうかもよくわかりませんけれども、仮にその金額でインセンティブづけがある程度できるということだとして、介護報酬改定でこの金額のインパクトはどれぐらいなのだというと、例えば簡単に数字を計算しやすくするために100億円分新たな別の財源をどこかから持ってくるとなると、江戸の敵を長崎で討つではないのですが、介護報酬0.1%を余分に減らせという話になった場合、簡単に1,000億ぐらい財源が浮く。

 何のことはない。新たな交付金の財源を捻出するために、介護報酬全体を0.1%余分に下げるということで、捻出してきましたと言っていたら、はっきり言って、新たな交付金を調整交付金の中から出すなと言っているのは詮ない話というか、別にどこからお金を出すかといった話でもめているぐらいなら、介護保険全体の中で新たな交付金の財源を捻出するということを考えたほうが、よほど介護報酬を全体として何%の改定率にするのかを議論するには非常にシンプルになってくる。

 そういう意味でも、ないしは佐野委員がおっしゃったように、財源はあくまでも財政中立で賄うべきだという意味においても、新たな交付金の財源は基本的に国費で出している5%を調整交付金と今までは呼んでいるわけですが、調整交付金に新たなインセンティブづけという機能も組み込ませた上で計画期間に行うといったほうが、むしろシンプルだし、かつ介護報酬改定に向けた議論もよりシンプルになるということなのではないかと思うわけであります。

 さらに申し上げますと、同じような高齢化の状態に置かれている保険者があって、確かに調整交付金、従来の仕組みのまま、つまり、資料1の9ページのような新たな見直しは含むけれども純粋に人口構成や被保険者の所得水準を含めたところでの配分にしたとしても、保険者としての努力がどれだけ大きいか、小さいかによって交付金がもらえる額が全く変わらないということになっては、一生懸命保険者として努力するという意欲が失せるわけでありますから、努力が報いられるようなインセンティブの仕組みを調整交付金の中で、セットでやることは理にかなっていることではないかと私は思います。

 最後に一つだけつけ加えますと、保険者も、そうは言っても、幾ら交付金がもらえるかわからないということでは計画が立てられませんから、事務局におかれましては、インセンティブづけをするにしても予見可能性をしっかり担保するようなやり方をとっていただければと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 それでは、こちらから行きましょう。順番で栃本委員、馬袋委員、花俣委員、濱田委員の順番で行きますので、よろしくお願いします。

○栃本委員 ちょっと細かいというか、専門的なことなので、おわかりいただけるかはあれなのですけれども、まず、インセンティブをつける、つけないという場合、もともとの本質論は別にして、どのようにつけるかといった場合、評価指標がどの程度のできになっているかということは、根本的に非常に重要なわけです。

 これはまだ開発段階、途中だとは思うのですが、数を数えてみると、項目ごとに、大体評価はとりやすい評価を多くとって、とりにくいのだけれども重要な評価はなかなかとれないということがあって、そういう意味で、数を数えていろいろな項目ごとに見ますと、8、4、2、14、6、4、8、4、2、6、1という形で、項目ごとに数が違うわけです。あるものは評価しやすいとか、そういうデータがあるので数がふえるということになりますので、それと本質的に重要なものとは別ですから、そこら辺をちゃんとロジカルに、かつ、ウエートづけをするなりして重要であるということと取りやすい項目であるがゆえに数がふえているものを補正して見ていかないとよくない。

 アウトカムについては、項目が最初は8、4、2、14、6、4、8、7、8、4、2、6、1のうち、アウトカム指標そのものは少ないですね。それはしようがない。先ほどの委員のそれぞれの先生方の御発言にもありましたが、言ってみれば、土居先生からありましたが、9割方やっているという項目もあれば、全体的に3割ぐらいしかやっていないので、3割しかやっていないのだけれどもこれは重要な項目だというもので評価するということで、やっている、やっていないでレ点をつけるというのもあるのですが、9割やっているものについて、それも加点してやるのがいいのかどうかは判断です。

 1つはウエートづけをどうするのかということ。あとは多分、まだ試行はしていない、したのかな。ただ、わからないけれども、一旦データをとってみて、いろいろ展開はされたのではないかと思うのです。それで大体9割方できているのか、7割方とか、そういうものをちゃんと見ながら検討していかなければいけないのではないかということ。

 あとは先ほど別の委員からもお話がありましたけれども、これは今、出せるところはこの範囲だということで、資料3を出されていると思うのですが、例えば資料3の10ページに地域リハビリテーションの活動支援事業の一番上の7で指標(案)が出ていて、地域リハビリテーション活動支援事業等により、介護予防の場合にリハビリテーション専門職が関与する仕組みを設けているか。設けているということについても、スコアリングガイドによって、どういうものを設けているというようにするかがいろいろありますよね。

 趣旨・考え方は、なぜそれをということで、リハビリテーション専門職との連携を評価するもの、その下に何とかの場合なども含むと書いてあるのだけれども、重要なのは、こういう指標とか考え方が書いてあるのはいいのですが、今、申し上げたスコアリングガイドの方はどうなっているのか、しっかりどの場合やっているのかにレ点を入れるのか明確化されていないで、まちまちだったら意味がないのです。非常に漠とした点数しかつけられなくなるのです。なおかつ、9割やっているところと2割しかやっていないようなものを組み合わせているのはどういうことになるかを考えなければいけない。

 今、開いていただいている10ページで、指標という部分と趣旨・考え方と二つの枠があるのだけれども、通常は、指標は、関与する指標を設けているとあるのですが、リハビリテーション専門職が関与する仕組みを設けていることによって何が起きるか、何の効果が生まれるかというところまで路線というか回路をつけておかないといけないわけで、言ってみれば、インパクト指標、マップ的な部分がある程度書かれていないといけない。何のためにこの部分が必要なのか、それの結果、連携したら、仕組みがつくられたら、どのようにプラスに働くのだというものがしっかり描いていただきたい。完成バージョンでは書かれるのでしょうけれども。

 そういう意味では、評価ということについてはかならず評価の誤謬が発生します。現場に対するメッセージも、繰り返しになりますが、とりやすいものが多いと、それが重要なのだと思ってしまう場合もあるでしょうし、本質的に重要なのだけれども項目立てとしては1項目とか2項目しかとれないところもありますから、そこら辺は項目としてとるのはいいのですが、インセンティブ評価に使う場合は、それを全部使うのか、チョイスするのかとか、そういうことも含めて今作業中であると思いますが、検討していただきたいということです。これが評価指標のほうの部分です。

 あとは先ほどのインセンティブ評価ということで、もう一つディスインセンティブということなのですけれども、先ほど財務省の資料で、最後のページだったと思うのですが、財務省で検討されている資料があって、イメージという部分です。参考資料2の最後の7ページに、調整交付金を活用するやり方では、案1と案2があると書いてあります。調整交付金を使った場合には、どう考えてもインセンティブとディスインセンティブが両方入って中立というか、プラマイゼロにならないとできるわけがないのだから、この場合はしようがないのです。調整交付金活用だったら、それ以外のやり方は難しいです。

 その上で、私は、1クール前の期の審議会で資料として各市町村の介護保険特別会計の伸び率を示したと思うのです。先ほど来事務局の説明にもありましたし、ほかの委員も話されていましたけれども、調整交付金の本来の目的は違うわけですし、係数として掛けているのは75歳以上とか高齢化の率とか、65歳以上のそこに住み一号被保険者の負担能力で掛けているというもので、そこに調整交付金の本質はあらわれているわけです。それでもって何をするかがあるので、やはりこれは無理筋と言わざるを得ない。本来であれば、市町村の特別会計、介護保険の特別会計からそれぞれ拠出して、集めて配分する。そうなると、ディスインセンティブではなくて、インセンティブの部分だけの評価になるということも可能ですし、しかも保険者を支えるステイクホールダーすべてにかかわることになる。

 なかなか難しいし、それだけ大きなことをするのは無理だということに落ちつくことになるのかもしれないけれども、筋論といいますか、そういうものから言ったら、先ほどほかの委員からもありましたが、介護保険の給付を適正化して、より効率的に行うという非常に大きな目的があって、そういうことから考えたら、まさに介護保険特別会計は国、都道府県、市町村、第1号被保険者、第2号被保険者のお金が入り込んでいるものですから、それらを使うのが筋ではないかということ。財政インセンティブのための交付金は調整交付金を使うべきでないということです。

 最後に、例えば先ほどの財務省のあれですと、市町村によっては調整交付金が2%であったり調整交付金が7%だったりするわけです。その上で、先ほどの図柄で言うと、それと別枠の2つのやり方があるわけですけれども、調整交付金適正化の取り組みに応じて傾斜配分する別枠でやる場合と、再配分方式でやるやり方があるわけです。仮に1%しか来ないところ、8%来るところで、8%来るところは、一般的に大体財政規模が小さいところだと思う。その中で、それ以外の枠取りをしたものを、お金を配ったり減らしたりして、どれだけの意味が発生するのかと考え疑問に思います。

したがって、非常に難しいことではあるのだけれども、筋論としては、先ほど申し上げたようなことが本当は妥当なのではないかということを申し上げたいということです。

 以上です。

○遠藤部会長 それでは、馬袋委員、お願いします。

○馬袋委員 ありがとうございます。私は特にインセンティブ評価のところを中心に意見を申し上げたいと思います。

 一つは、評価の見える化は非常に大切だと思います。しかし、インセンティブ評価が過度に意識されることで、適切なケアプランに基づき実施されるサービスが不適切なものにならないように注意する必要があると思います。これはこの資料でも指摘されているところです。そのために、例えば、インセンティブ評価の目的に沿うためのガイドライン、インセンティブを取ることを目的とするものではなく、インセンティブ評価の目的は何であるかのガイドラインを作成していくことも考えられます。その評価に対しては、例えば、第三者評価的に市町村の中で実施されているいろいろな評価に対して更に第三者的な評価を行う関係がありますが、同様に介護保険のインセンティブ評価に関しても、客観的に見ていただく人が必要なのではないかと思います。

 もう一つ、抜本的な話なのですが、国としては、自立支援に資する適切なケアプランと言われる参酌すべき標準を示していないのです。こういうケアプランでこういう評価があるという標準的なものがない中で、そのことをもって、結果を評価するというのは、今の段階では非常に無理があるのではないかと思います。ぜひその面では、自立支援に資するケアプランとは一体何なのか、と言われるものは、このインセンティブ評価から新たに整備していくものであるいうことを国、都道府県または、市町村として理解して進めるべきだと思います。

 評価事項に高齢者の住まいとか、先ほどサービス付き高齢者向け住宅とありましたけれども、これらはその方の住まい方だと思うのです。住まいと住まい方、生活困窮者などが大きく影響する環境もあるだろうと思います。その環境の要因だけで、保険者による違いが出てしまうことがありますから、公表するが故に公正な評価ができるような配慮が必要だと思います。自分の住む我が町がどのように評価され、どういう状況かといったときに、いろいろな方々の住まい方、住まいなど、いろいろな環境があるということを配慮して公表すべきで、単に比較だけではいけないと思います。

 さらに、介護保険ができて第7期の計画に入っていますけれども、公表にあたり大切なのは、これだけのインセンティブの項目をつけるとなると、これらをマネジメントしその経験を伝えていくというマネジメント人材が行政や自治体、保険者には絶対に必要なのです。そういった人材を育成していく、支援していくという活動も一方でやらないと、指標だけでやり方も経験もない人にやっていただくというのはかなり厳しいと思いますし、ノウハウを伝承させていくことが大切だと思います。

 最後に、これを開始するにあたっては、複雑な手続や、縦割りの手続きの整備などもやっていただきたい。生産性向上が国の狙いとしてあるならば、行政機関も生産性向上とマネジメントをこの機会にぜひ進めていただきたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 それでは、花俣委員、お願いします。

○花俣委員 ありがとうございます。今回の改正法につきましては、そもそも自立支援とはというスタート時点での見解の相違があるままの議論であって、当事者、利用者の立場から見ますと、介護の実態が反映されているとは言いがたい厳しい方向へと議論が流れていくことに、正直むなしさと憤りさえ感じてしまうことがございます。

 時間の制約もございますので要約して意見を申し述べたいと思います。最初に、資料2の論点ですけれども、2つ目の○の2つ目のポツ、適切なサービス利用の阻害につながらないことが前提であること。この文章については、ぜひきちんと堅持していただきたいと思っております。

 それから、4つ目のです。先ほど来の財政制度審議会において調整交付金を活用したインセンティブの仕組みの導入ですけれども、大西委員を初め複数の先生方の御意見にもございましたとおり、新たな交付金の財源に調整交付金を活用することはあってはならないという意見に賛同いたします。

 次に、お時間があったらで結構なのですけれども、資料1のページ5です。高額介護サービス費の見直しのところなのですけれども、ことし8月から引き上げになって、月7,200円の負担増になったわけです。利用者家族の側からは、これでも負担が厳しいという声も聞こえてきますので、通常国会で来年8月に医療保険の現役並み所得がある人の自己負担を3割にする前に、2割負担になった人たちの実態調査を行うことになっていると示されたと思うのですが、この調査の進みぐあいの確認をさせていただきたいというのが1つあります。

 もう一点ですけれども、実は、私どもは4日に徳島において支部代表者会議を開催しました。その際、参加者総意のアピールを表明しております。その中に、社会保障審議会介護給付費分科会で、今、行われている介護報酬改定の議論で、成果主義の考え方が持ち込まれようとしています。要介護認定率が下がった自治体や利用者の要介護度を改善させた事業所に報酬を与え、そうではない場合には報酬を引き下げることまで検討されています。

 こうした考え方は介護が必要になった高齢者の生活の実態に沿っておらず、認知症の人が敬遠されるなど、不利な扱いを受けることが強く懸念され、導入には賛成できませんということで、資料3の10ページ、指標のところなのですけれども「(8)要介護状態の維持・改善の状況等」ですが、要介護状態の変動は、認定者お一人お一人の様態で違いがあるものであって、これを保険者のインセンティブの指標にされてしまうと、インセンティブに寄与しない認定者が排除されるのではないかという心配を持っております。それが今、アピール文の中にそういったことには賛同できませんという根拠になっています。

 さらに、財務省作成の資料が示されて、1カ月に100回以上利用していると過剰な利用だという意見が相次ぎましたけれども、それとともに、生活援助の報酬引き下げあるいは利用制限といったことが根拠になって、こんなものが利用制限されるということも、私たちは認めるわけにはいきません。このような介護の実態を無視した、まるで介護保険を使わないことがよいことで、介護を必要とする状態になることが利用者家族の自己責任であるかのような考え方は、介護保険の介護の社会化の理念に照らしても到底受け入れられるものではありませんし、私たち家族の会では、負担増や実態を無視した利用制限が行われることなく、認知症の人と家族が社会的な支援のもとで自分らしく暮らせる社会を実現することを支部代表者の総意として、アピールとしてまとめました。

 以上です。

○遠藤部会長 質問がありましたけれども、今、確認しますか。調査に関してどこまで進んでいるかという御質問です。お願いします。

○橋本介護保険計画課長 2割負担の調査でございますが、国会での審議も踏まえまして、現在、その内容、方法につきまして検討中でございます。以上でございます。

○遠藤部会長 お待たせしました。濱田委員。

○濱田委員 どうもありがとうございます。資料3について意見を述べさせていただきます。市町村指標でございますけれども、実際の個々の中身は、私たち現場の医療・介護にかかわる者の支援が間接的に評価されるということで、大変恐縮ですが、項目につきまして、少し意見を述べさせていただきます。

 5ページの6あるいは○9の地域ケア会議の実施計画の指標でございますが、もし可能であれば、開催回数や出席者等、こういうものも管理をいただくような形としていただけると幸いかなと思っております。

 7ページの6、いわゆる入退院支援の指標でございますけれども、実際のアウトカム指標の例の中では、医療機関への入院後、退院前の介護支援専門員等も含めた多職種によるカンファレンスも実際のアウトカム指標の例として出ておりますので、もし市町村の現場で評価を行う場合は、そういう内容も含めて、さらには、実際には入退院の加算に算定できない転院や死亡や、実際には算定し得ない支援もございますので、そういうものも評価指標として含められる形、あるいはひとり暮らし、認知症の方などのケースであれば傾斜をつけていただけると大変ありがたいかなと思っております。

 これは将来的にということでありますが、いわゆる意思決定支援について、地域での啓発が、将来判断能力が低下したときに備えて、リビウングウイルをどう表明するかも非常に重要になってまいりますので、そういうものも少し検討していくのがよろしいのかなとも感じております。

 最後に、先ほど集合住宅に関してのケアプランチェックの話が、少し意見がございましたけれども、実際には、住宅でありますので住所地を御自宅に置いたまま入居されているというケースが少なからずありまして、無作為抽出等ではなかなか把握できないということがございますので、例えば自治体によっては、入居されている方を把握する取り組みなども行われているようでありますので、そういうところも少し評価の指標の一つとして検討してもよいのかなと考えました。

 以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 それでは、こちらから行きます。石田委員、石本委員から桝田委員、安藤委員の順番でお願いします。

○石田委員 では、手短に、あくまで利用者の立場として申し上げたいと思います。今回の論点に挙がっております内容につきましては、先進的な取り組みをしている自治体以外の圧倒的多数の多くの自治体にとって、こういう大変具体的な指標が挙がったというのは、見えやすく、わかりやすくなってきたかなとは思うのです。また、そうした自治体が「汗を流し、知恵を出して」創りだした仕組み等を評価するということについては大いに賛成いたします。ただ、やはり今までいろいろな委員の皆様たちがおっしゃっていただいたように、インセンティブであったり、ディスインセンティブが余りにも強調されますと、利用者としてみると、非常にここら辺は懸念が高まってまいります。何かがあるからインセンティブをつける、ないからディスインセンティブだということのみが周知されてしまうような、何となくそんな雰囲気があって、「どうしてその取り組みが生まれ、その成果がどのように利用者に反映されているか」という本質論が見失われることがないように、ぜひその内容については、非常に慎重に進めていただきたいと思います。

 また、先ほども出ましたけれども、アウトカムのほかにプロセスを評価する。ここに1行あるのは非常に重要な点であると考えます。ただし、プロセス評価については非常に難しい点も多々あるように思います。取り組みの経過をどのように見ていただけるか、実際には目に見えてほとんどプラスになっていないところであっても、例えば、高齢者の身体状況について、「回復・改善」ではなく「維持・継続」であった場合に、それをどのように評価していくか、ゼロ評価でいいのか、プラス評価しなくてよいのかどうか等、非常に内容の細部にわたり、質的なものが問われる評価になっていくかと思います。今後の課題でありますけれども、ぜひこの指標につきましては、慎重にきちんと多くの自治体が安心してそれにのっとってやっていけるようなものをつくり上げていただくように期待しております。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 石本委員、お願いします。

○石本委員 ありがとうございます。端的に2点申し上げます。

 まず、資料3の3ページの○4ですが、地域密着型通所介護のみがここに出されていることに、どうしても違和感があるところです。評価のあり方は今後、さらに議論されていく、もしくは考えていかれるのでしょうが、機能訓練・口腔機能向上・栄養改善、これは加算をとっていればいいというものではないと思いますので、そこはしっかりと、通常のかかわりの中でも担保されなければいけない部分ですから、どこを評価しなければいけないのかはきちんと議論していただきたいと思います。

12ページの人材の確保ですが、18ページの都道府県のほうには目標の設定がしっかりと書いてあります。市町村のほうには任意事項と書いてあるのですが、緩和型人材の養成や入門的研修というものも導入されて、いろいろな人材が今から養成されていく動きがある中において、市町村で具体的にどう見込んでいくのかが大事であろうと思いますので、ここは本来任意ではなくて必ずやる。できれば数字まで追うというところまで求めていったほうがよろしいのではないかという2点を申し上げたいと思います。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 桝田委員、どうぞ。

○桝田委員 まずは調整交付金の問題なのですけれども、給付費全体から考えますと、1号保険料と2号保険料は、同じような負担になるために今まで調整してきた。調整交付金が5%というのは、ずっと同じですね。でも、市町村の状況は変わってきているので、本当はこの率でいいのかと言う問題があるがこの5%枠という範囲で調整が行われてきた。市町村等の責めによらないものを調整する。そこに財政的インセンティブを持ち込むということは、保険財政が非常にガタガタになっていく可能性が強くなる。

 多分、財政基盤の弱いところは5%の調整の中でも足りないのだと思います。それで何が起こってくるかというと、最終的に評価の部分で、要するに、点数を上げるために、結果としたら給付抑制につなげなければ成果が上げられないということは当然のことだと思うのです。だから、中身がなくて結果だけを求めることによって、このインセンティブをとろうとするところが出てきてもおかしくはない。そういう問題があります。

 もう一つは、自立支援と重度化防止のための評価であって、給付の抑制のためであってはならないというのは大きなテーマになると思います。そこで、評価指標なのですけれども、いろいろな項目がこれから当然検討すべきなのですが、いかんせん保険者の財政規模、人口的な問題とかは余りにも差があり過ぎます。それを同じスコアで点数づけするのは、ちょっと無理かなと思います。ですから、その部分の評価の仕方は、ある程度規模別の部分を考えるとか、共同的にやっていることも評価するとか、そういうものを取り入れないと、財政基盤の弱いところ、人口規模の少ないところはなかなかクリアできないのだと思いますので、その点をよろしくお願いいたします。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 安藤委員、お待たせいたしました。どうぞ。

○安藤委員 ありがとうございます。手短に、最初に保険者にインセンティブを与えて保険者機能を強化するという方向性につきましては賛同いたします。ただし、数少ない財源を使ってやるということですので、その財源をどのようにするのかが非常に大事で、インセンティブを使うということであれば、ディスインセンティブも考える必要性はあって、財政的には中立でやっていただけるようにしていただいたほうがいいのかなとは考えております。具体的な評価指標や財政中立の部分については、今までたくさん意見が出ましたので、それをもとにしてこれからきちんと機能するような形でつくっていただければ非常にありがたいと思います。

 最後に質問です。今回の制度で付与される財政的インセンティブにつきましては、各保険者でどのような使途で使うのかに関しましては、事務局で何かお考えがあればお聞かせいただければありがたいです。

 以上です。

○遠藤部会長 事務局、お願いします。

○橋本介護保険計画課長 使途につきましても、これからさらに検討してまいりますが、もちろん自立支援とか重度化防止に向けた保険者の取り組みを後押しするという観点から、市町村では、そのような取り組みに使われる事業費でありますとか、都道府県におきましては市町村に対する支援に要する経費に充てていただくことが考えられますけれども、いずれにいたしましても、自治体の関係者等と十分協議しながら検討してまいります。

○遠藤部会長 平川参考人、どうぞ。

○平川参考人 老健協会の平川でございます。東の代理で出ております。

 本件につきまして、交付金の財源の問題とか評価手法の問題とか、市区町村の事務所の状態等さまざまな問題があることを置いておいて、どう進めていくかというところで、きょうの議論はどの意見もそのとおりだと思うのですけれども、一つ気になるのは、市民目線というか、先ほども出ましたが、要介護認定者数が減った、ふえたと。その結果、市民は幸せになったか、あるいはよかったか、一番大事に考えるのは、保険料を払っている方が、自分が思った生活ができるようになったかとか、それが一番大事なことであって、数、相対的な率が減ったか、ふえたかということは次の話だと思っているのです。

 お話を伺う限り、そのあたりが明確ではないと思って、要は、その方がよかった、要介護認定が、要介護度が下がったから、よくなれば本人はうれしいわけですし、実際にそれで全ての機能が上がればいいということをまず忘れてはいけないという気がいたします。

 そのために、我々専門職はどうするかということであって、そのあたりの視点が欠けているのが残念で、驕溢しますけれども、そのための指標として、残念ながら今の時点では、その方々の満足あるいは社会生活、社会参加できる指標についてちゃんとしたものがないものですから、どうしても要介護の認定時間を積算しているというのは、この時点では、これを中心にやっていくのはちょっと無理があると思うのですが、ゆくゆくはそのあたりもちゃんと正しい指標をつくって、実際に御本人がそれによって社会参加できるようになったということの見える化をすることが大事かなと思っております。

 いずれにしても、この事業を進めていくのであれば、この中では8ページぐらいに介護予防のところで若干触れてありますけれども、地域の住民の方々や御家族に、高齢者の自立支援とか重度化防止はどういう意味があるのかと。先ほど花俣委員からもお話がありましたけれども、そこをちゃんと詰めていかないと、狙っているところがぎくしゃくしているのではないかと思うので、そのあたりはぜひそういう点では市民の目線とか医療者目線をあくまでも根底に置きながら進めていくのが大事かなと思っています。

 以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 お待たせしました。齋藤秀樹委員、どうぞ。

○齋藤(秀)委員 ありがとうございます。資料3に関してであります。評価指標についてでありますけれども、確かに項目が多いとか、御意見がありますように、内容に関していろいろと疑義のあることだろうと理解します。しかし、介護保険が始まりますときに、走りながら考えていこうということからすれば、この新しいものが完成版であるわけではないので、これを一つの素材にして、将来発展させていくことを含めて考えていかないと、恐らくまとまっていかないのではないかと思います。

 しかし、今回出された案を見ますと、私は本来求められている保険者機能でありますとか、支援する立場にあります都道府県の機能が十分に発揮されているか、また、多職種の連携でありますとか、住民参加が促進されているかが見たいというメッセージを感じるわけでありますし、その結果として認定率への影響や保険料の上昇への影響に期待したいという事務局のお考えではないかと受けとめさせていただきました。

 財政的インセンティブの付与でありますけれども、いわばアウトカム評価だけで見るのは利用者にとって問題が非常に大きいと思っておりますが、今回のこれを見る限りでは、私はむしろプロセス評価を重視されている評価指標ではないかということで、これについては賛同したいと思います。

 さらに、この指標が契機になりまして、地方分権のよさが生かされて、地域差も縮まり、利用者が安心し、信頼し、この制度を利用することに近づくということであれば、これは意味のあることではないかと私は思っております。

 お金のインセンティブがどれだけつくかというお金の問題が全く見えない中で、いろいろと期待もあり、不安もあるわけでありますけれども、いずれそんなに大きなインセンティブ効果のものが期待できるとは考えられませんので、それをもとにしてそちらに走らなければいけないなどということは枝葉末節の話だと思いますので、ぜひ意味するところ、頑張っているところの評価、さらに、それをもとにして周りもそれに対して学んでいくという意味での効果が期待されるということなのだろうと思いますので、ぜひ少ない財源であっても別枠でしっかりと設けていただいて、頑張るところをみんなで評価する。そういう制度の考え方であってほしいということを申し上げておきたいと思います。

 以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 川名参考人、どうぞ。

○川名参考人 ありがとうございます。全国知事会からも意見書を本日、提出させていただいております。最後に1枚つけさせていただいております。今回、資料2、資料3で主に評価指標について御提案いただきましたけれども、こちらは各都道府県向けの意見交換会も開いていただいて、いろいろこちらの意見も言わせていただいた中で、それも取り入れていただいたりして、現在もいろいろ質問を投げさせていただいております。非常に幅広く、自治体によって規模の差、体制の差とかがある中で、できるだけ幅広く取り組みを拾いながら、全体の取り組みを底上げしようという観点から、この指標を設けたのかなと理解しておりますので、この辺は我々も賛同するところでございます。

 そのような中で、意見書としては、制度設計とか今後の財源とか、そういうところで出させていただきました。まずは書いてあるのでポイントだけですが「1.財政的インセンティブの制度について」は、(2)ですけれども、評価項目及び配点について、地方と十分に協議し、市町村の規模等によって不公平が生じることのないようにバランスのとれたものにしてほしいというところ。やはり都市部、地方部、高齢化率とかいろいろな差でこの辺の評価が、格差が生まれないようにというところ。(4)ですけれども、今回、非常に項目が多岐にわたっておりますので、各自治体ともどのような運用になるのかなと不安を感じているところでございます。そういうところも含めて今後、意見交換をさせていただければと思っております。

 「2.交付金等について」は(1)で、例えば既存の補助金の財源をこちらに振りかえるとか、いろいろ検討もあるかと思いますので、その辺も含めて事業に支障を来すことのないようにというところでお願いさせていただきたいと思います。

 調整交付金につきましては、市長会、町村会からも意見が出ているとおり、我々も同様に別枠で設定していただければと思っております。参考資料2の最後に調整交付金の活用について、先ほどもお話がありましたが、イメージが出ております。これでいくと、実際、今回のインセンティブを付与するという目的が果たせるのか。ここで示しているイメージでいくと、そのように危惧するところもございます。ぜひ各自治体の取り組みの後押しとなるような制度にしていただければと思っております。

 以上でございます。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 ほかにございますか。

 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤(訓)委員 手短に申し上げたいと思います。評価指標自体は、まだあらあらの段階だとは思いますが、今回、このように各都道府県あるいは市町村が高齢者の自立支援、重度化防止等の取り組みを、やるということ自体は非常に画期的だと私は考えております。また、先ほど齋藤秀樹委員も言われましたように、自治体の取り組みを後押しし、見える化をすることによって、ほかの自治体はどのように取り組んでいるのかもよく見えると思いますので、進めていくべきだと考えております。

 もう一つ、重要なのは、こういった市町村や都道府県の取り組みを見える化し、いろいろな事業の進捗状況を国が把握することによって、今後の介護保険制度のいろいろな仕組みづくりや国として必要な支援をどのように構築していくのかが大変重要ではないかと思います。今回はインセンティブの付与という形でこういったことが行われているようですが、本来は国が今後どうするのかを考えていく仕組みの一つではないかと考えています。

 評価の中身を見ていきますと、地域支援事業に関連するような内容などもありますし、当座はプロセス指標を十分に評価していくことが重要だと思いますが、地域支援事業以外の、ある程度古くから実績がある事業も中にはあると思いますので、少しずつアウトカム評価を入れていく方向にしていくべきではないかと考えています。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございます。

 栃本委員、手短にお願いいたします。

○栃本委員 先ほど専門的なことと申し上げたのは、基本はこのような評価はPDCAサイクルを回すためには絶対に必須なので、絶対に重要だという上で、非常にテクニカルなことでお話ししました。

 きょうは研究者が土居先生と私と部会長の3人しかいないので、少しだけ、すぐ終わりますけれども、いわゆる評価項目に中間評価項目的なものが多いので、先ほどインパクト評価的なものを考えなければいけないということを申し上げました。

 先ほど齋藤委員からもお話があったと思うのですけれども、アウトカム評価はまだ難しいところがあるので、あとは間違ったメッセージになる可能性があるので、これはプロセスの部分を当座は活用しつつ、比重を置きつつやるというのが現実的であろうかということ。あとはスコアリングガイドをつくるときに、市町村の規模とかそういうものによって代替的な施策、やり方がありますので、スコアリングガイドは代替的なものも評価するような形にしておくことが必要だということです。

 もう一つは、先ほどの財務省の参考資料2の最後の7ページで、2つの案があるということなのですけれども、仮に先ほど申し上げましたように、介護保険者の機能の評価ですから、ある意味では介護保険特別会計の0.000パーセントを使ってというのが本来のあり方です。この基本が現実的にも本当は重要だと思う。ただ、そうはいってもなかなか難しいということであるならならばという、あってはいけない仮定で、7ページ目の部分が仮に、これもあわせて活用される、ないしはこれのみになるのかはわかりませんが、そうだったとすると、この案のうちの1です。結果的には同じと言いながらも、案1のほうが、これを見ると最初の部分が、枠取りがきちんとはっきりする。

 このほうが枠取りをどのぐらい考えるのかが非常に見やすい形になる。また、もともとの調整交付金の趣旨からいって、それとは違ったものという形で見せるためにも、案2よりも案1のほうがきれいな形だと思いますが、ただし、すでに発言したように無理筋、ありえないということです。

 以上です。

○遠藤部会長 ありがとうございました。

 大体よろしゅうございますか。どうもありがとうございました。

 非常に貴重な御意見をほとんどの方から承ることができました。評価につきましては、まだ現在進行形でございますので、皆様方からの御意見等々を参考に、事務局におかれては、それを参考にしながら、自治体とも調整を図りながら、より完成度の高いものを作成するように努力していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

 司会の不手際で、予定した時間をかなりオーバーしてしまいました。本日はこれにて終了したいと思いますが、事務局、次回の日程について何かありますか。

○尾崎企画官 次回の日程につきましては、追って御連絡をさせていただきます。

○遠藤部会長 よろしくお願いします。

 それでは、これにて終了したいと思います。長時間どうもありがとうございました。


(了)

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