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2017年11月16日 第10回社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」議事録
社会・援護局
○日時
平成29年11月16日(木)14:00~17:00
○場所
全社協・灘尾ホール
○出席者
宮本 (部会長) | 駒村 (部会長代理) |
朝比奈 (委員) | 石橋 (委員) |
浦野 (委員) | 大西 (委員) |
大野 (委員) | 岡崎 (委員) |
岡部 (委員) | 奥田 (委員) |
勝部 (委員) | 菊池 (委員) |
小杉 (委員) | 生水 (委員) |
新保 (委員) | 竹田 (委員) |
平川 (委員) | 松本 (委員) |
渡辺 (委員) | 成田参考人 (福田委員代理) |
前河参考人 (松井委員代理) |
○議題
(1)生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の見直しに関する論点整理
(2)その他
○議事
○竹垣課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第10回「社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、大変お忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
本日は、駒村代理、岡崎委員、平川委員、朝比奈委員はおくれてお見えになる予定です。
また、大野委員、奥田委員、少し早く退席される予定でございます。
また、本日は、福田委員の代理として、川崎市健康福祉局長の成田参考人、松井委員の代理として、大阪府福祉部社会援護課長の前河参考人にお越しいただいております。
なお、定塚局長におきましては、本日は中途で退席させていただきます。
成田参考人、前河参考人の御出席につき、部会の承認をいただければと思いますが、よろしゅうございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
○竹垣課長 ありがとうございます。
それでは、これ以降の進行を宮本部会長にお願いしたいと存じます。
カメラの方、御退席をいただくようお願いいたします。
宮本部会長、よろしくお願いいたします。
○宮本部会長 それでは、早速議事に入らせていただきます。
皆様の御協力、活発な御議論をいただきまして、この部会の報告書も次第に形を整えつつあります。その前提として、第7回から前回第9回まで、それぞれの論点についてフォーカスを絞って議論を積み重ねていただいたわけでございますけれども、そうした議論を踏まえて、このとりまとめをどのような形で行っていくのか、きょうはその論点整理を進めてまいりたいと思います。
本日の議論の進め方になりますけれども、お手元の資料、まず事務局から、資料1「生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の見直しの視点」、それから、資料2「生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の見直しに関する論点整理」、この両者を一括して御説明していただいた後に質疑応答に入っていきたいと思います。
質疑応答のほうですけれども、これも全体を一挙に議論するのもなかなか難しいかと思いますので、まず資料1と資料2のうち、1の「地域共生社会の実現を見据えた包括的な相談支援の実現」というところと、資料2の2になりますが、「『早期』『予防』の視点に立った自立支援の強化」、この2つの部分について議論を行い、その後、資料2の残りのところ、つまり、3の「居住支援の強化」から5の「信頼による支え合い」までをまとめて議論したいと思います。
それでは、まず議題1、「生活困窮者自立支援制度及び生活保護制度の見直しに関する論点整理」ということで、資料説明をお願いしたいと思います。
○本後室長 それでは、資料1、それから資料2を一括して御説明したいと思います。
まず、資料1でございます。これは見直しの視点ということで、今までいただいた御議論の柱になる部分を5点でまとめております。まず1点目、下から3行目のところです。制度の見直しを進めるに当たっては、「支え手」「受け手」といった関係を超えて、誰もが役割を持ち、支え合いながら自分らしく活躍できる「地域共生社会の実現」という視点に立って制度を設計することが必要ではないか。
それから2点目、経済的困窮に対する応急措置だけではなく、社会的孤立や自尊感情の低下、健康意識の希薄さなど、問題の背景事情を踏まえた「早期の予防的な支援」を心がけることが必要ではないか。
それから3番目、子どもや若者は、社会の活力の源であり希望である。「貧困の連鎖を防ぐ」という視点に立って支援を行うことが必要ではないか。
4点目、高齢期に至る前の段階からの支援を強化するとともに、高齢者に対する就労支援、居住支援、家計相談支援等を強化するなど、「高齢の生活困窮者に着目した支援」という視点も重要ではないか。
それから5点目、支援する立場は、支援を受ける立場の人の尊厳を尊重し、支援を受ける立場の人は、誠意を持って社会の一員として積極的に参加するという「信頼による支え合い」が実現するような制度を目指すことが必要ではないか。
柱になる部分、以上5点としてまとめてございます。
続きまして資料2であります。ここはそれぞれの論点、各論ごとの整理でございます。今まで御議論いただいた内容を論点整理という形でまとめてございます。
時間の関係上、資料は大分飛ばし飛ばし参ります。太字の部分を中心に御説明していきたいと思います。
まず1点目の柱、「地域共生社会の実現を見据えた包括的な相談支援の実現」という部分であります。「支援に繋がっていない困窮者の存在」ということで、(自立相談支援のあり方)、それから、真ん中以降から(関係機関との連携)、そして2ページ目に行きますけれども、(地域との連携)、そういった点について整理しています。
その上で、2ページ目の太字の部分でございます。生活困窮者の存在に気づいた関係行政窓口や様々な福祉関係の相談機関、地域における活動から自立相談支援機関への利用につながるよう、それらの機関から自立相談支援機関の利用を勧めることを促進するなど、連携を促進することとしてはどうかということでございます。
それから、(情報共有の仕組み)というところでございます。これは3ページ目の最初の●ですけれども、本人の同意がないケースであったとしても、情報共有が必要となるケースが存在するのではないかということで御議論をいただいてまいりました。
真ん中の太字のところ、例えば「支援調整会議」の仕組みを活用し、構成員の守秘義務を設けることで、関係機関間で把握している生活困窮に関する情報の共有を、必ずしも本人の同意がない場合も含めて円滑にし、生活困窮者への早期、適切な対応を可能にするための情報共有の仕組みを設けることとしてはどうかということでございます。
それから3番目、(断らない相談支援)のところでございます。これは、そのページの一番下にありますとおり、生活困窮者自立支援法の定義ということで御議論をいただいてまいりました。あるいは4ページ目の理念、目指すべき目標をどうするかといった観点もございました。こうした生活困窮者の定義や目指すべき理念に関する視点について、様々な機関、関係者との連携のもとで展開される制度であることを踏まえ、多様な関係者の間で共有を一層図るためにできることは何かということでございます。
それから、<自立相談支援事業の体制>というところですけれども、これは支援員の配置のあり方ということで御議論いただいていました。自立相談支援事業を行うために適切な人員配置のあり方をどう考えるか。
それから、続きまして、就労支援や家計相談支援のあり方ということでございます。まず5ページ目ですけれども、(就労準備支援事業の全国での実施について)ということで、これは必須化すべきという意見が多かった一方で、様々な実情についても御議論いただきました。
それから、(家計相談支援事業の全国での実施について)も、同じように、必須化、意義というところと実情というところで御議論をいただいておりました。
6ページ目の一番下でございます。<就労準備支援事業及び家計相談支援事業について>、全国的に実施する必要性とそのための方策をどう考えるか。自立相談支援事業と、任意事業である就労準備支援事業や家計相談支援事業を併せて実施する場合に、より効果的・効率的な支援とするにはどのような工夫が必要か。
それから、7ページ目、「都道府県の役割」ということでございます。これにつきましては、生活困窮者自立支援法の責務規定がありますということ。それから、生活保護制度についても御議論いただきました。都道府県による管内自治体の広域的な支援を求める意見が強い中で、効果的・効率的に実施するために必要な方策は何か。
それから、(町村の役割)ということで、福祉事務所を設置していない町村の役割についても御議論をいただきました。8ページ目の「また」というところ、困難な事案等に対しては、都道府県の自立相談支援機関が町村へ訪問して対応するなど、都道府県による強力な支援が必要との意見がありました。
町村は、住民に身近な行政機関、多くの福祉制度の実施主体であることを踏まえ、希望する場合は一次的な自立相談支援機能を担い、都道府県につなぐなど、連携して対応することができることとしてはどうかということでございます。
それから、(社会福祉法人の役割)ということで、「地域における公益的な取組」ということの関係で御議論いただきました。
9ページ目でございます。「地域における公益的な取組」として、生活困窮者への支援により積極的に取り組むことができるよう環境整備を行うべきではないかということでございます。
続きまして10ページ目、「『早期』『予防』の視点に立った自立支援の強化」というところです。最初の論点、就労準備支援事業の対象者の要件というところでございます。年齢要件、資産・収入要件、交通費、利用制限それぞれについて、一番下ですけれども、そのあり方についてどう考えるかということ。
それから、認定就労訓練につきましては、11ページの真ん中です。認定就労訓練事業の認定事業所を増やしていくため、認定手続に市等が関わるような仕組み、経済的インセンティブや事業者に対する支援ノウハウの支援、手続の簡素化等の運用における必要な見直しを行うべきではないか。
それから、(福祉部門と労働部門との連携)ということで、12ページ目でございます。就労体験から一般就労へのスムーズな移行を可能にし、生活困窮者に対する就労支援をより効果的なものとする観点から、福祉部門と労働部門の更なる連携を図るべきではないか。
続きまして「生活保護受給者に対する就労支援のあり方」ということでございます。ここにつきましては、就労・増収を実現している実績とともに、事業への参加率ということを課題にして御議論いただきました。
あるいは、就労自立給付金につきまして、これも効果とともに制度の周知について、まだまだということについても御議論いただきました。
就労支援事業への参加率、就労・増収率等の向上に向けた好事例の収集・分析や事業の広域的な実施などを推進することとしてはどうか。それから、就労自立給付金について、より効果的・効率的なインセンティブを発揮できるようにするため、どのような方策が考えられるか。
大きな3番目、「高齢期に生じる生活の転機への対応」ということでございます。これは、高齢期に至る前の支援、それから、高齢者の支援として就労支援、次のページへ行きまして、居住支援、家計相談支援等ということで御議論をいただいてまいりました。
高齢期になって生活困窮に陥ることが懸念される人や、いわゆる「8050」世帯のようなリスクのある世帯に対して、生活保護世帯となる前の実効的な取組は可能か。高齢期の生活困窮者に対する就労面の支援、雇用対策や介護保険制度等との連携によりどのようなことができるかということでございます。
それから、(生活福祉資金貸付制度)であります。償還の確保を前提としつつ、機動的・迅速な貸付が行えるよう、運用面で必要な見直しを行う必要があるのではないか。廃止の方向が示されている年金担保貸付事業の受け皿として、家計面での相談も踏まえつつ、生活福祉資金貸付制度で対応する必要があるか。
それから4番目でございます。「生活保護受給者の健康に関する取組」ということで、1つ目の●、生活保護受給者は健康上の課題を抱える者が多いにもかかわらず、健康に向けた諸活動が低調。あるいは現役世代、子どもについても、御議論をいただきました。
16ページ目でございます。医療保険におけるデータヘルスを参考に、データに基づく生活保護受給者の健康状態の把握に努めることとしてはどうか。データに基づき、福祉事務所がかかりつけの医師との連携の下、生活習慣病の発症予防・重症化予防を更に推進することとしてはどうか。現場の実情のわかる実務者の意見を聞いてマニュアルを作成した上で、外部の保健医療専門職の活用、社会福祉分野の社会資源の活用も図りながら推進することとしてはどうか。
それから、国においてレセプト等の分析と地方自治体への情報提供を行うこととしてはどうか。受診率が比較的低い生活保護受給世帯の子どもの受診勧奨も含む健康管理支援は重要な課題。教育行政・学校とも連携して取組を進めることが重要ではないかということでございます。
続きまして17ページ目、「居住支援の強化」ということであります。まず最初、(一時生活支援のあり方)ということで、これは借上型シェルターの活用ということについて御議論をいただいてまいりました。借上型シェルターの効果的な活用方策も含め、どのようなことが必要かということでございます。
それから、(居住支援のあり方)ということでいきますと、次の18ページ目、3つ目の●ですけれども、ソフト面での対応として、社会的に孤立していることに対する支援ということで、相互の支え合い(互助)を促す取組を行っている例もあるということで御議論いただいてきました。
居住支援について、施設ほどではない支援や見守りの提供が求められる中、どのような支援が必要か。
それから、19ページ目でございます。「いわゆる『貧困ビジネス』の存在」ということで、無料低額宿泊所等の現状について議論いただいてきました。
20ページ目、無料低額宿泊事業については、利用者の自立を助長する適切な支援環境を確保するため、最低基準を設けたり、届出のタイミングを検討するなど、法令上の規制を強化する必要があるのではないか。届出のタイミングについては、営業の自由との関係、無届け施設の取扱いにも留意が必要ではないか。今回の見直し、規制と事業の支援、両方の視点から検討することが重要。単身で生活することが困難と認められる生活保護受給者については、支援サービスの質が担保された無料低額宿泊所等において、必要な支援を受けて生活ができるようにしてはどうか。また、支援付き住宅、支援付きの共同居住という新しい枠組の将来像を見据えて検討する必要があるのではないかということでございます。
それから、居住の最後です。(保護施設の現状)ということにつきましては、21ページ目、様々な障害や生活課題を抱え、居宅生活が困難な生活保護受給者を適切に支援するという役割を担ってきている保護施設の施設体系について、関係者の意見も十分に聞いた上で、更に検討してはどうか。
検討に当たっては、入所者の特性に応じたサービス提供機能を強化するため、他法施策の利用や、退所後の利用者への支援機能の強化、福祉事務所の役割の発揮・広域調整のあり方、適切な日常生活支援を行う無料低額宿泊所等の将来的な制度的位置づけとの関係整理などの課題も含めて議論を深めてはどうかということでございます。
それから、22ページ目、(貧困の連鎖を防ぐための支援の強化)ということでございます。まず、1点目が(子どもの学習支援事業のあり方)ということで、23ページ目で、学習支援のほか、生活習慣・環境の向上などの取組も事業内容として明確化すべきではないか。世帯全体の支援が必要な場合には適切に自立相談支援機関につなげるようにするべきではないか。
関係府省が様々な取組を行っているということで、特に福祉部局と教育委員会との更なる連携が図られることを確保するべきではないかということでございます。
それから、2番目が(生活保護世帯の子どもの大学等への進学について)ということでございます。23ページの一番下から、生活保護受給世帯であることが進学の阻害要因とならないようにし、大学等への進学を支援していくことが重要ということで、生活保護世帯の子どもの大学等への進学を支援する上で、就労か大学進学か選択するに当たっての生活保護制度特有の事情、奨学金等の一般施策との関係も踏まえ、どのような施策が必要と考えられるか。
大学等進学時の支援だけではなく、高校在学中における進路等についての様々な相談先の確保、高校生活のために給付される扶助費の範囲なども含めて総合的に支援することを検討する必要があるのではないか。
25ページ目からが最後の項目でございます。「信頼による支え合い」というところでございます。最初が「生活保護の医療扶助費の適正化」ということで、(頻回受診対策)。頻回受診への更なる対策として、個々の生活保護受給者の生活面、健康面の実情に応じた対策を行うという視点が重要。かかりつけの医師との連携の下、医療機関への指導員の同行などを通じた丁寧な指導、真に必要な受診の積極的勧奨を行ってはどうか。
なお、不適切な頻回受診を抑制するため窓口負担を求めるべきという考え方については、子どもを対象外としたり、過度な負担にならないような上限額を設けたりするなどの工夫により実現可能という意見もあったが、最低生活保障との両立が難しくなるという懸念、真に必要な医療の受診まで抑制され、むしろ長期的には医療費が増えるという懸念から、反対する意見が多数であったとしております。
それから、薬剤費の対策についてです。26ページの後半、モデル事業として実施している薬局の一元化については、向精神薬以外の薬剤に係る重複投薬の現状把握、モデル事業の結果を適切に評価した上で、指定医療機関・薬局の所在、交通等の地域ごとの事情にも配慮しつつ推進することとしてはどうか。
後発医薬品の使用については、医師又は歯科医師が後発医薬品の使用を可能と認めた上で、かつ、在庫がなく、すぐに必要な調剤の取寄せができない等の問題がない場合について、その使用を更に促進する方策としてどのような方策が考えられるか。
それから、(長期入院対策)ということで、27ページ目でございます。退院の促進等を通じた医療扶助の適正化にも資するよう、保護施設や無料低額宿泊所等を含め、生活支援の体制が整った居住環境の再構築を進めることとしてはどうか。
それから、2番目、居住地特例でございます。有料老人ホーム等の居住地特例について、有料老人ホームのうち介護保険の住所地特例の対象となっているものや軽費老人ホームについては、居住地特例の対象としてはどうか。その際、福祉事務所との関わりが薄くならないよう留意する必要があるのではないか。
無料低額宿泊所等については、長期間にわたり居住するケースも多いことから、福祉事務所が、単身で生活することが困難と認められる生活保護受給者の生活支援を依頼する場合には、居住地特例の対象としてはどうかということでございます。
それから、28ページ目、「生活保護の返還金の取扱い」というところでございます。不正受給以外の返還金についても、本人の同意を前提とし、また、保護受給者の生活に支障が生じないよう配慮した上で、保護費との調整を行うこと等を可能としてはどうか。
なお、福祉事務所の算定誤りに係る返還金を、保護費との調整対象とすることについては、慎重に検討すべきではないか。
それから、最後でございます。事業の委託についてということで、これは29ページ目、●の4つ目にありますけれども、事業の質の維持等の観点から事業の内容・経験・実績を中心とした総合的な評価を行うべきであり、価格のみの評価を行うことは適切ではないとの意見がありました。
生活困窮者自立支援法に基づく事業について、事業における支援の質や継続性の確保等の観点から、自治体に対して、その委託に当たっての考え方等を示す必要があるのではないかということでございます。
説明については以上でございます。
○宮本部会長 ありがとうございました。
議論に当たって、まず事務局に確認ということになりますが、この部会の最終とりまとめは、このようなフォーマットといいますか、いわば論点整理という形で公にするという理解でよろしいでしょうか。
○本後室長 今回の論点整理というのは、いわばとりまとめをまとめていただくに当たっての途中段階というものだと考えています。こういった議論を踏まえて、資料を踏まえてさらに御議論いただきまして、最終的にはこういうことが必要だという形で報告をとりまとめていただければと思っております。
○宮本部会長 つまり、残すところ、あと部会のスケジュールとしては1回でありまして、そこでとりまとめに合意をしていただかなければいけないわけですけれども、例えばきょうのこの四角にくくってある部分の修文などがかなり緻密に行われる必要が出てくるわけですけれども、きょうの修文が次回のとりまとめにほぼそのまま反映されていくという理解でよろしいでしょうか。
○本後室長 最終的にとりまとめの文章としてどういう形にするかということは、また部会長と御相談しながらということになるとは思いますので、一言一言についての修正ということではなくて、全体としてこうすべきだという形の御意見をきょうはいただければと思います。
○宮本部会長 わかりました。そういう趣旨、そういうルールでの議論になっていくかと思います。
それでは、きょうはお早くお出になる方もいらっしゃるようで、必ずしも厳密にとは申し上げませんけれども、先ほど言ったように、まず資料1と資料2のうち、地域共生社会の実現を見据えた包括的な相談支援の実現と2の早期予防の視点に立った自立支援の強化について、まず議論をいただきたいと思います。いつものように、赤い札を上げていただければありがたいです。
それでは、岡部委員、そして岡崎委員。
○岡部委員 私は、視点に関する件で2点、それと用語の使用方法について1点、意見を述べさせていただきます。
1点目。生活困窮者自立支援制度について、その視点と、具体的な内容について書かれております。そこで生活困窮者自立支援法の支援は、大きくは2つあると考えます。1つは個別支援、もう一つは地域支援です。この個別支援でどのように行うのかに力点を置いて書かれておりますが、地域支援という観点から生活困窮者自立支援制度でどのように行うのだということを明示的に書いていただきたい。さらに、個別支援と地域支援の関係についても記述をお願いしたい。
地域支援にはどういうものがあるか。これは地域の組織化を図ること。ネットワークを構築していくこと。それと社会資源の活用・開発を図っていくことが地域支援の中で主要な事柄であると考えます。具体的に述べますと、生活困窮者の早期発見や見守りという個別支援を充実させることは、地域支援として地域の住民団体や機関等の組織化を図って、ネットワークを構築し包括的な支援を用意すること、そして参加する場や働く場を広げていくことが必要となります。そのためには、既存の社会資源の活用、また社会資源が不在、希少であれば資源開発をするという地域づくりを行う。そういうことをもう少し強調して書いていただければと考えます。
また、地域支援を通じて福祉意識とか福祉文化の醸成を図るということが必要かと考えます。そこでは、生活困窮者は社会とのつながりが弱くなっている、孤立化していることがありますので、つながりを実感するような主体的な参加に向かっていただくためには、支援者と被支援者の関係が、支える、支えられる関係から相互に支え合う関係をつくっていく、そういう地域社会の構築を地域支援の中で行うことがあります。
それともう一つは、これは先ほど地域支援の中で組織化とかネットワークとか、社会資源の活用・開発を行うということは、もう一方で個別支援、地域支援を通じて相互に循環する仕組みをつくっていくということでもあります。こういうことを視点の中で、強調していただきたい。生活困窮者支援は個別支援でもあり、地域支援でもあり、大きく言えば福祉社会をつくっていく地域づくりになるということのコンセプトの理念に入れていただければありがたいと考えます。
2点目。生活困窮者自立支援制度と生活保護制度、それぞれ書かれておりますが、生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の支援は一体的に行うものであるという一貫性のある支援の記述をお願いしたい。生活困窮者自立支援制度と生活保護制度における支援は、相互に連携し情報共有した取組を促進する。しかしながら、自立支援の相談機関から生活保護の実施機関につないだ場合、自立相談支援機関の中でプランがと出されて、生活保護ということにつながり、また今度は、生活保護から自立相談支援機関につながり、そこでは一貫した支援の継続性や計画性が必要であり、視点の中でこの2つの制度の支援の一貫性をうたっていただけば、この制度が相互に地域社会の中で、生活困窮者あるいは生活保護受給者を支える制度であるということがより明らかになってくるのではないかと考えます。それをお願いしたい。
もう一点は用語の使用方法です。一番最初の文章に「対象者の属性にかかわらず」と書かれていますけれども、社会福祉法の3条、サービスの理念の中で、当事者主体、利用者主体という考え方を出しております。この対象者の属性という記述の意味はよくわかりますが、これを例えば「利用者の属性に」とか表現を変えていただく。それ以降は全て、利用者という表現を使っておりますので、考え方としては、社会福祉法の理念にのっとって、これは対象者という言葉ではなくて、利用者、あるいは当事者など、一番おさまりのいい言葉で使っていただきたい。この用語を使用することによって当事者主体、あるいは利用者主体の制度として出発していることがよりはっきりと出されるのではないかと考えます。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。岡部委員に確認ですけれども、今の3つの御指摘はいずれもこの見直しの視点にかかわるものでよろしいでしょうか。
○岡部委員 はい。全てそうです。もう一点は地域づくりという箇所にかかわってくるところもあると考えます。
○宮本部会長 つまり、地域支援の強調、それから生活保護との一貫性、用語の問題ですね。対象者と利用者。で、地域支援の強調については、これは視点の案でいくと、恐らくは1の部分に入れ込んでほしいということですか。
○岡部委員 そうです。ほかのところでおさまりがよいということであれば別の箇所でも可です。しかしながらこの地域支援と個別支援の箇所に、入れ込むところがなかなか見つかりにくい。あと、考え方に入れるとすれば、1のところがおさまりとしてはよい。5にはちょっと入りにくいと考えます。
○宮本部会長 生活保護との一貫性についてはいかがでしょうか。どの部分に、どのような形でという。
○岡部委員 これも、私のほうとしては視点のところで入れていただきたい。これも生活保護と生活困窮者の一体的なというところの箇所がなかなか見つけにくいので、できたならば1で書いていただきたい。それ以外のところで少しおさまりのいいところがあればそこに入れていただければと考えます。
○宮本部会長 はい、わかりました。ありがとうございました。
続きまして、岡崎委員、お願いします。
○岡崎委員 高知市長の岡崎でございます。
まずは、この週末でございましたが、土日で、高知市で生活困窮者支援のネットワークの全国大会を行いまして、多くの方々に御参加をいただきましたので、まずは御礼を申し上げたいと思いますし、全国から1,200人近く、それぞれ現場から来ていただきましたので、非常にいい大会になったと思いまして、感謝申し上げたいと思います。
それで、その全国大会の中の特に初日の総論の中でもちょっと感じて、一番最初に今の岡部委員さんの御発言につながるところなので、そこのお話につなげていきたいと思います。全国大会の初日のいろんなディスカッションを聞いていまして思いましたけれど、先ほどの生活保護と、その生活保護の手前の困窮支援の場合と、生活保護から自立した後の支援の問題です。
厚生労働省はいろんなところでシームレスという言葉、切れ目ないという言葉を使うのですが、我々のこの部会でみる限り、まだシームレスという言葉は実は省庁のほうからは出てきてないと思います。イメージとしては、よく厚労省の方々がほかのセクションで使っているシームレスみたいなイメージはやはり要るのではないかということを高知の大会でも感じました。そのあたりは奥田さんなんかも発言していましたけれども、今の自分の印象としては、我々も高知市の生活支援相談センターを立ち上げて、半数ぐらいがやはり生活困窮で、生活保護の福祉事務所につなげたのですけれども、生活支援相談センターと福祉事務所の入り口とはつながった印象はあります。
ただ、そこからあと、制度的に余り切らないほうがいいということは当然思うわけですが、生活保護受給になったときに、生活保護に渡したから、もうそちらのケースワーカーでやってくださいと切れてしまうといろいろ問題があります。そこはやはりつながっておく必要があるのではないかということと、今の現状をそれぞれ見ると、出口が余りつながってない。奥田さんのところなんか、一貫してサポートしていますので、出口もつながっている可能性もありますけれども、通常のところは、生活保護へ渡した後、集中支援して、自立したときに、出口で生活保護から自立する段階で連絡の協議というのがまだうまくいってないので、出口での支援、もしくは生活保護から自立した後の支援というのが多分まだうまくいってないのではないかなと思いました。そこを一つの言葉で言うとシームレスですけれども、全体をつなげたほうが社会的な損失が少しでも抑えられるのではないかということを高知の大会でも非常に感じたわけです。
それと、もう一つの地域のネットワークと個別支援というものは当然考えておかなければなりませんし、早期発見ということがこの会の中でもすごく言われましたけれども、早期発見したときに、例えばその地域に、町内会だけでなくて、いろんな地域の団体のネットワークがあるかないかによってもえらく違います。これがうまくいく場合とうまくいかない場合があるのですけれども、地域のさまざまな団体の、我々のところは少なくとも小学校単位で、いろんな団体が小学校区の中で動いていますので、年2回程度集まっていろんな情報交換をやろうというのをつくっていっています。まだ全部は完成していませんけれども、そこで情報交換するときに、お互いにつなぎ合えるという意味で、各小学校区単位でそういうコミュニティのネットワークというものを現在、つなげつつあるところなので、先ほどの視点も非常に重要になるかなと思いました。
いずれにしましても、高知の大会で非常にお世話になりまして、ありがとうございました。
○宮本部会長 岡崎委員にも同じようなことをお尋ねすることになるわけですけれども、そのシームレスの問題、それから地域の団体のネットワーク、これも論点整理も含めて、どこか、この部分にこんなぐあいにという御意見がもしございましたら、おっしゃっていただくとよりスムーズかと思います。
○岡崎委員 発言するときに、これは後段の話にもちょっと触れていますので、ただ、私が言った言葉は全体の総論部分に当たるかなと思っていますので、どちらかというと一番最初の入り口の総論部分の中で、今私が発言した、また岡部先生がおっしゃられたような概念のようなものを入れていただきながら、あと個別で後ろで触れていくという感じかなという思いです。
○宮本部会長 ありがとうございました。
続きまして、先にお出になる御予定のある方を優先してお話をいただこうと思いますが、大野委員、それから松本委員、お願いいたします。
○大野委員 ありがとうございます。
資料2の3ページの中段にあります<自立相談支援事業の情報共有の仕組み>ということ、これが私はぜひお願いしたいなと思いました。というのは、私たち、民生委員として地域を見回したときに、この人が確かに生活困窮者である、そうではないのではないかということはなかなか判断がつかないことがございます。それで、この制度が2年前にできましたときに、もしやと思って関係機関につないだことがございました。
そうしましたら、やはり出どころを、何で民生委員が私のうちのことを困っているというふうな通報をしたのだということでもめたことがございました。今はそういうことは余りないと思いますが。ですから、私たちが、同じ守秘義務のある立場にある人同士が関係機関で把握している生活困窮者に関する情報の共有をするということは非常にありがたいことかなと思いますので、ぜひこれが可能になると私たちもうれしく思います。
この支援調整会議の仕組みを活用いたしまして、私たちは守秘義務の固まりというようなものですけれども、常にそのような守秘義務を念頭に置き活動しておりますので、ぜひ関係機関との連携、また仕組みを活用して、生活困窮者を少しでもなくすということができたら、私たちもむしろ民生委員の活動としてこの上もない相談支援活動ができるのではないかなと考えております。この相談支援会議の構成員という方の守秘義務を皆さんと徹底し、ぜひ活用していただけることをお願いしたいと思います。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。今の大野委員の御発言は、この3ページの真ん中の囲みの部分に反映していただきたいということでよろしいでしょうか。
○大野委員 はい。
○宮本部会長 続きまして、松本委員、お願いいたします。
○松本委員 先に申しわけございません。
16ページでございますけれども、まず、これまでの発言の若干繰り返しになるかもしれませんけれども、生活保護受給者の中にはさまざまな理由によって糖尿病などの生活習慣病の治療のために医療機関を受診することを怠ったり治療を中断している方も少なくない状況がございます。
したがいまして、医療機関への早期受診を勧奨し、医療の治療と福祉事務所がかかわる生活面のサポートの両面から、患者さんの健康管理を支援することによって疾病の重症化を予防するということは、患者さん自身のQOLを維持するだけでなくて、医療扶助費の増加を防ぐことにもなります。そのような生活習慣病の重症化予防への取組を医師と協力して進めるということの意義を明記すべきだろうと思うのが1点。
それからもう一つ、この16ページの中の●の2つ目でございますが、「福祉事務所がかかりつけの医師と連携の下」と書いてありますけれども、確かにそうなのですけれども、さらに個々のケースワーカーとかかりつけ医の線としての連携を図るためには、むしろもっと行政の福祉部門と健康増進部門、それから地域の医師会による面としての連携を行ったほうがさらに効果的ではないかと思います。
なぜかといいますと、ケースワーカーさんから診療所のドクターに直接聞きに行ったりするということはなかなか敷居が高いという意見もお伺いしますので、面として取り組んだほうがむしろ進みやすいのではないかということがございます。
もう一つ、●の3つ目でございますけれども、国におけるレセプト等の分析について言及されておられますけれども、国がレセプト等を分析して、治療中断中の数なども明らかにするなど、重症化予防の効果をデータで明らかにできるような仕組みを構築することが望ましいのではないかと思います。
以上でございます。
○宮本部会長 ありがとうございました。今の3つの論点についても、もしこの部分をこんな表現に改めてはどうかといった具体的な御意見があればおっしゃってくだされば反映しやすいかと思いますが、いかがでしょう。
○松本委員 今言いましたとおり、2つ目については行政の福祉部門と健康増進部門と地域の医師会による面としての連携がより効果的ではないかとかいうことを入れていただきたいことと、それから、レセプトの分析につきましては、そういった国としての分析、取組が大事ではないかということでございます。
それから、冒頭にお話ししたことは、私としてはこの中に新たに●として入れていただければと思います。
○宮本部会長 わかりました。続けて議論を進めてまいりたいと思います。
いつも菊池委員には最後のまとめ役みたいなプレッシャーをかけておりますが、きょうは少し早目に御発言をいただけるでしょうか。
○菊池委員 早目でありがとうございます。3点述べさせていただきます。
まず、資料2の1ページ目の最後、「重要との意見があった」ということですが、私は全く同意見でありまして、そこから2ページの太線の連携強化というところにつながっているということで、これもまた賛成なのですけれども、実は私、ちょっと個人的なことですけれども、東日本大震災以降ずうっと福島にかかわらせていただいていて、今月初めも福島大学と早稲田大学の共催でシンポジウムを福島大学で開催しまして、「地域包括ケアから地域共生社会へ」というテーマなのですが、要するに、福島第一原発の爆発事故による全住民が避難した自治体の一部で、今徐々にもとの自治体に帰還が始まっていると。そういう中で、地域コミュニティをいかにして再構築していくかということが重要なテーマになっています。
そこで、県、市、町、社協、NPOなど交えて議論したわけですけれども、共通して言えるのは、帰還される住民は、当初は元気な高齢者が中心ですけれども、恐らく、時間がたつにつれ、要支援、要介護の方がふえていくということはもう確実に予想されるわけです。それから、高齢者以外にもさまざまな属性の生活困窮の方が戻ってくる可能性が指摘されています。そうすると、地域包括ケアを中心としながらも、そこに生活困窮者支援との連携というものが重要になってくるという、ある程度の共通理解が形成されたように思っています。今のお話は帰還した後の話ですけれども、避難を今も続けている多くの住民の方々に対応する面においても、地域包括の仕組みの取組の中で相談支援に当たっておられる保健師の方々などがやはり生活困窮者支援へのニーズを感じておられるということもわかりました。このことは恐らく、被災地に限らず、全国共通に多かれ少なかれ見られるものではないかと考えます。
したがって、「意見があった」ということですが、もし御異論なければ、「重要である」と言い切ってしまってもよろしいのではないかというのが、これは1つ御提案です。
それから2つ目が、これは結構重要なのですけれども、3ページの(断らない相談支援)のところで、要するに、法2条の生活困窮者の定義にかかわる部分です。資料1の視点の2でも書かれている、ここでずっと議論してきたこの制度のあるべき理念を実現するには、理想的には、経済的要件を外して、社会的排除ないし社会的孤立といった捉え方ができれば理想的かと思います。
しかし、それでは法の対象となる生活困窮者の外縁が曖昧になる、法のたてつけとしてはなかなか難しいとすれば、次善の策として、「現に経済的に困窮し」の「現に」という文言をとることで、削除することで、かなり柔軟な解釈が可能になると思われます。そのため、できれば、まずその方向性を追求していただきたいと思うのですが、ただ、仮にそれも難しいとした場合にどう考えるかということです。
その点、参考になるのが、生活保護法の受給要件について、保護開始要件と保護継続要件を分けて考えるという見方があります。私もそう思っています。3ページの下から6行目にありますように、まさにこの法に定める生活困窮者に該当するかどうかは、一見してわかるという性質のものではなく、相談・アセスメントを通じて見きわめることになるものであります。生活困窮者自立支援法においては、生活保護法のように、急迫保護の仕組みがないことからすればなおさら、入り口の部分を狭く限定することは妥当でないという解釈が成り立ち得ます。
そうすると、現行法の解釈においても、「現に経済的に困窮し」という文言を少なくとも相談支援の開始時に限定して、緩やかに解釈する余地、すなわち、法外援護ではなく、法のたてつけの内枠での対応として処理することは十分に認められると思うわけです。
これに対し、一旦相談支援が開始され、経済的状況が判明して以降もなお、法の枠組の中でこの支援を捉えられるかということについては、当然にはそのように解釈できるわけではないように思います。
そこで、これはこの論点整理に盛り込むというよりは、法律改正に向けてというお話になりますが、法2条の生活困窮者の定義の中で、経済的困窮に陥った原因、例えば地域や家族から支援を得られないことをこの2条の定義の中に書き加えることで、その原因、あるいは要因が除去されない以上、現に経済的に困窮していなくても、将来的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれがあると認められる者に対し支援をやめることは法の趣旨に反するという解釈が一定程度可能になるように思われます。その意味では、この定義規定にその要因ないし原因の部分を少し書き加えてはどうかと。
また、その延長線上で、法の趣旨、目的をさらに明確にするためにも、法律改正に当たっては、ここでも議論されてきましたけれども、基本理念に係る条文を起こして、しっかりと書き込んでいただければと思います。その点はこの論点整理には入ってはいないのですが、改めて確認しておきたいと思います。
また、そのことが、例えば就労準備支援事業に係る施行規則に定める資産・収入についての2号要件などの解釈に当たっても、この点を勘案して緩やかに認められるというような解釈につながっていくのではないかと思います。
3つ目に、7ページの(町村の役割)についてです。8ページの、いつも、私、この点、こだわって発言をするのですが、それは最初に申し上げたように、ずうっと福島にかかわっていて、そういった町村の方々と話をしている中での問題意識でもあるのですけれども、この4行目で、「相談窓口の設置の必要性を感じていない町村が約5割強存在している」とされていますが、必要性を感じないこととニーズがないこととは別だと思います。数の多少はあってもニーズが全くないとは思われないというのは、私自身、その町村にかかわらせていただいて実感していることであります。
1点、お願いというか、お考えいただきたいのは、2行目に、「役場が一次的な窓口として対応」という文言がございます。それから、真ん中の太字の部分でも、「一次的な自立相談支援機能を担い」という文言があります。私は、その文章の脈絡からして、これは違ったことを言っていると認識してはいるのですけれども、ですから、この真ん中の太字にあるように、少なくとも希望する町村には都道府県との共同実施のような主体的な役割を担わせていただきたいと思うのですが、2行目の「一次的」というのと真ん中の「一次的」という、ともすると変わらないのではないかという、そういう捉え方がされかねないとも思うので、もし中身が違うのであればどちらかの表現を少し変えていただいたほうがよろしいかと思います。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。8ページの書きぶりのところ、「5割強存在している」、それがニーズの問題を反映しているわけではないのだというところですね。それから、3ページの生活困窮者の定義にかかわる部分、それから、1ページ目の「意見があった」というところの修文の仕方について、いずれも大変具体的な御提言をいただきました。事務局にはぜひ御考慮いただきたいと思います。
続きまして、いかがでしょうか。
では、竹田委員、生水委員の順番でお願いいたします。
○竹田委員 ありがとうございます。
まず、資料1の視点のほうで2点ほどございまして、先ほど岡部委員からも御指摘ありましたが、個別支援と地域支援の関係、その循環ということで言うと、私の立場から申し上げると、ソーシャルワークという視点が非常に重要な視点ではないかと思っていますので、そういった視点も加味していただけるとありがたいと思っています。
そのほか、3番目の視点のところで、「貧困の連鎖を防ぐ」という視点がございます。さらにもう一歩踏み込んで、ぜひ早期に介入するとか、総合的とか、積極的な支援というところで、もう少し踏み込んだ表現にしていただいたほうが良いのではないかと思っております。
あと、5番目になりますが、支え合い自体は信頼から始まるのではなくて、相互の理解から始まって、支え合いを通して信頼関係が形成され、それが好循環となって地域共生社会の実現につながっていくのではないかと思っております。なので、この「信頼による支え合い」という表現が意味としては逆ではないかと捉えています。この点、後段で見ますと、何となく文意としてわかるところはあるのですが、視点で見ますと、信頼が先に来ると、支え合いがなかなか難しいと感じています。
あと、この文の中で、「支援を受ける立場の人は、誠意を持って積極的に」というのがちょっと誤解を生むような表現でもあると思っていますので、この点は不要ではないかなと考えております。
続いて資料2ですけれども、2ページの関係機関、地域との連携強化については、このとおりで進めていただければと思いますし、また、地域包括支援センター含めた関係機関と機能と役割を分担しながら連携を促進していただく必要があると思っています。
続いて3ページ目の情報共有の仕組みでございますが、仕組みを設けること自体には賛成ですが、一方で、仕組みを設ける上で、自己決定の尊重の観点から、やはり原則、本人から同意を得るということ、また、その共有する情報と構成員の範囲というのをある程度明確にしないと、知られたくない情報まで、本来知らなくていい人にまで知られてしまうということもなりますので、個人情報保護の観点から、運用上、何でもありにならないように、一定の基準ですとか、ガイドライン等を示していく必要があるのではないかと思っております。
あと、4ページになりますが、<「断らない」相談支援の実現>と<自立相談支援事業の体制>というところでいきますと、資料のとおり、生活困窮に該当するかどうか、一見してわかるものでもなく、相談・アセスメントを通じて見きわめるということからしますと、先ほどの個別支援と地域支援と同じですが、個人や世帯、その世帯が暮らす地域を一体的にアセスメントしていく力というのが実践する現場の人間にはやはり必要であろうと思っていますし、また、その世帯と地域支援、一体的に働きかけていくソーシャルワークというのがやはり重要だと思っています。専門職として社会福祉士の活用と配置をぜひ検討していただければと思っております。
最後になりますが、8ページのところで、<町村の役割について>、先ほど菊池委員からも御意見ございましたし、岡崎委員からのほうからもシームレスということでお話があったかと思いますが、前回の部会でも申し上げましたけれども、既に7割の自治体が一次的な対応をしているという現状を踏まえますと、シームレスという観点からすると、生活保護制度と同様に、町村役場にも申請・相談の窓口というのを設けていき、都道府県につないで連携していく対応というのが必要ではないかと考えています。その点についてもぜひ御検討いただければと思っております。
私からは以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。繰り返しませんが、見直しの視点について3点、論点整理について4点。特に論点整理の後半2つの問題というのは、先ほどの岡部委員、岡崎委員からの御提起とも重なりつつ、それを論点整理のどの部分でどのようにという指摘ともなっていると理解いたしましたので、これも反映させることができればと思います。
ほかにいかがでしょうか。
生水委員、お願いいたします。
○生水委員 先ほど大野委員から、本当に心強いご発言があり本当にありがとうございます。現場では、民生委員児童委員さんの任務が大変なためなり手がなかなかなく、担い手の確保のついては非常に大きな課題となっています。地域において重要な役割である民生委員児童委員の人材を確保していくために、処遇の改善、仕組みのあり方を見直して検討し改善する必要性があると思います。
資料2の論点整理について4点お伝えさせていただきます。
まず、3ページの(情報共有の仕組み)については、支援調整会議の枠組みに守秘義務を課して個人情報を共有する仕組みを整備することについては大賛成です。
それと、6ページのところの就労準備支援事業と家計相談支援事業の必須化についてですが、これらの事業の効果を考えれば、必須化し、自立相談支援事業と一体的に提供することが必要だと考えます。
実施方法については、7ページの(都道府県の役割)のところにも関係しますが、単独の市ではこれら事業を実施することができない自治体については、都道府県がスーパーバイズ、研修も行うこと等も含めたサポートセンターを設置することを都道府県の役割として必須事業とすること。そして、そこで専門的な家計相談の巡回相談を行ったり、就労準備支援事業の広域的な場をつくって、それを市や町が活用していく方策がいいのではないかと考えます。
あと10ページの就労準備支援事業について、ここは端的にお伝えします。まず、年齢要件、収入要件、資産要件、これは廃止です。交通費は支給する。利用期間は緩和する。もうここに尽きると思っています。
次、15ページ、<生活福祉資金貸付制度について>、こちらについては、機動的・迅速な貸付が行えるようにするためには、申請受付窓口であります市の社会福祉協議会が貸付の決裁権限を持つことが私は必要だと考えます。そして、その次に「廃止の方向性が示されている年金担保貸付事業の受け皿として」と書かれておりますが、ここには家計相談支援事業で高齢者の家計をしっかりと支えることが必要だと。そこをしっかりと書き込んでいただきたいと思います。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。4点にわたってかなり具体的な御意見がございました。2番目の必須化の論点でございますけれども、これは「必須化」という文字を入れるべきだということでしょうか。
○生水委員 はい、入れてください。
○宮本部会長 そのような御意見でございました。
続きまして、それでは、勝部委員、お願いいたします。その後、奥田委員、お願いいたします。
○勝部委員 まず、視点の1つ目のところですけれども、「地域共生社会の実現」という視点に立ってという話ですが、これはこの週末の全国の会議の中でもいろんな御意見があったところですけれども、結局、実施しているところだけがこの地域共生社会を語っているだけで、みんなが本当にわかっているのかとか、やはり丸ごとになっていないという話があったのですが、全部局が協働してこういうことを進めていくことについても、もう少し積極的にここに視点として書いていただくことが重要ではないかということがまず1点。
それから2点目が、先ほど竹田委員からもお話がありましたが、5のところの、誠意を持って社会の一員になろうとするというのは何か違和感が非常にあって、そんなに誠意を持って社会の一員に自分もなっているのかというのもよくわからないというところで言うと、支援を受ける立場の人の尊厳を尊重すると。これはもちろん大事なことですけれども、その人たちが社会の中でもう一度しっかりと居場所や役割を持てるようなという、そういうぐらいのことでないと、積極的に参加というのはどこまでを積極的と言うのかもちょっとわかりにくいなというのがあります。「信頼による支え合い」というのもちょっと押しつけがましいような気がするので、この表現というのはもう少し適切にするべきかなあと思います。
それから、「断らない相談」、3ページですけれども、この内容のところに関しては、これまでも一貫して何度も申し上げていますが、やはり支援員の安定した雇用の継続の実現、これなくしては、断らない相談の充実であるとかそういうことは反映しないのではないかということを考えますと、継続雇用の実現、これは後ほど出てきます、いわゆる契約の問題ですね。委託契約の条件の問題とも関連してくるとは思いますけれども、この契約の問題というのを、しっかりと継続できるお仕事になっていくということをぜひ書き込んでいただきたいということ。それから、関連しまして、人材の養成ということで、現在の初任者研修だけではなくて、都道府県レベルでしっかりとしたキャリアに応じた、2年目ですけれども、今後は3年目、4年目となればさらにもう少しスーパーバイズ的なことができるような職員の体制であるとかそういうことも必要になると思いますので、広域的なところでここをしっかりとやっていくということをぜひとも書いていただきたいなと思います。
それから、あとは都道府県のところの、先ほどから生水委員もおっしゃっていましたけれども、家計相談の関係に関しては、実際に町村のところからいろいろな御意見がある中で、家計相談を特出しして全てをやっていくのがいいのか、あるいは自立相談支援の中に家計相談員も必須で入れていくというやり方も、小規模のところであれば認めていくというふうにするのかとか、それぞれがたくさん機関をつくっていくということで、またそこで一人ぼっちの相談員をつくっていくのであれば、協働するような体制をつくっていくという方法も悪くはないのではないかなと思いますので、自治体の規模などによってそういう選択ができるようなやり方もありではないかと、この間の議論を聞きながら思っています。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。4点いただきましたけれども、2点目の視点の5のところですね。支援を受ける立場の人が、誠意を持って参加することで信頼ができるかのごとく読めるところは、これはいかがなものかというのは、先ほどの竹田委員の御指摘とも重なっているわけでございまして、確かに地域における信頼の欠落、これにどう対処していくのかというのは大きな問題でございますけれども、これが恐らく被支援者の心構えと誠意の問題だという形は少し単純過ぎるのかなあというふうに御意見が重なったように承りました。
○勝部委員 もう1点だけ。生活保護と生活困窮者自立支援法のベクトルが合わないということについての、この間、現場は非常に難しい思いをしていて、生活困窮者自立支援のほうは、経済的困窮だけではなくて、本人に寄り添いながら、本人の自立を一緒に促していくと。これは生活保護がやってないというわけではないのですが、ここの方法論がやはり違うということで、せっかく生活保護につながると、今度は経済給付が主になってきて、なかなか伴走型の形になってないというところでまた切れてしまうという、ここはやはり連続的に、先ほどシームレスというお話もありましたが、つないだ以上は、こちら側がかかわるのは無理ですというふうな、何かそういう機械的なものでないということをやらないと、結局、せっかくつながって本人がその気になっていたのに、またもとに戻ってしまうという残念な結果がよく見られているように聞いておりますので、ぜひそこを先ほどの観点で入れていただきたいなと思います。
○宮本部会長 続きまして、奥田委員、お願いします。
○奥田委員 済みません。幾つも重なっておりますので、あれです。私も、最初読んで、1も5もですが、地域共生社会という発想はすごくいいし、助けられる側と助ける側が固定化するというのは現場で一番だめなパターンの一つではあると。でも一方で、助けられたから助ける側に回らないかんというのが義務化されると、それは違うだろうと。だから、これは希望の話であって、できるという話であって、だから、5にしても、「誠意を持って」は要らないと思いますけれども、例えば積極的に参加できる信頼の関係を、できるだけであって、しなければならないというニュアンスがこれ以上強くなると、この制度自体に対して、もうかかわりたくないというマインドが高まると思いますね。行ったら嫌なことを言われる。かつて生活保護はそういう空気が漂ったところが現にあったわけで、そうなるともうセーフティネットにならないということで、1も5も、「支え手」と「受け手」というこの関係が何か取引みたいな、条件みたいにくれぐれもならないような表現を使っていただきたいというのが1つ。
それと、孤立の問題を苦労して2番目に書いていただいたということで、よかったなとは思うのですが、さっき菊池先生がおっしゃった、例えば孤立ってどうあらわすのかということで、家族等から支援を受けられない状態だということですが、専らこういうときに使う支援ってやはり経済的な概念で使われることが結構多いので、家族や地域から支援を受けられないというのは、例えば家族や地域と相談できない、あるいは支援を受けられないみたいな関係のことをあらわす言葉がいいのではないかと。家族から支援を受けられないと言うと、専ら生活保護で、資産調査の先に家族がいてみたいな、そういう話ではなくて、やはり関係が切れているということをあらわす。
そもそも、1の2としては、「早期の予防的な支援」の中に孤立を位置づけてしまっているので、これはなかなか御苦労されている点なので、この言葉が入るだけでも相当大きいということで、私はしようがないかなとは思うのですが、この理屈で言うと、経済的困窮の背景に孤立があるという、孤立の位置づけはあくまで経済的困窮の背景だと。それを放置すると、結論として経済的困窮になるよと。でも、ここから先、地域共生社会でテーマになってくる、例えば高齢者等々においては、必ずしも経済的困窮というところにはいってないけれども、孤立状態で、生活自体が成立していかないということが出てきて、そこを地域共生社会の中でどうするかということは、これは居住支援も含めて非常に大きな課題になるわけだから、どうしてもこれを順番の論理で、孤立が入り口で、経済的困窮が出口というか、結論というだけの読み方をしてしまうと、社会的孤立に注目した意味が非常に半減するのではないかということも思いました。
あと3つ目として、これもおっしゃっているとおりで、生活保護との一体ですけれども、この制度の意味づけとか位置づけを、この間の大会でもそういう話題になったのですが、最後のセーフティネットという生活保護と、その手前、これはさっき岡崎市長がおっしゃったとおり、違うと思うのですね。生活保護を申請したけれども、通らなかった人が相当数いるわけで、それが再び生活困窮者に戻ってくるということになると、生活保護のまだ先にこれがあるということで、二重にあらわれる制度で、これが一番大きな枠だと私は思うので、最後と言う必要はないのですけれども、そういう制度自体の位置づけがどこにあるのかという理解をもう一回し直さないと、最初の、数年前、厚労省が書いてくださった絵とはもう違ってきているのではないか。
最後に、4ページの「断らない」相談支援の実現なのですが、私、理念の共有化というのはすごく大事で、結局、これって何なのかということを常に言っていかないと、やはり制度の議論で終わっていって、何ができるかできないかという話。今回のこれはやはり理念をどう共有するか。それはすなわち、私は目の前のこの人どうするかという個別のところから入っていくということだと思うのですね。そうなると、理念の共有だけでなくて、もう一つは、制度というか、情報ですね。
今、現場では、例えば住宅セーフティネットのことが相当出てきていますけれども、やはり頑張って勉強しないとほとんどの人知らない。さっきの地域包括の話もそうですけれども、地域包括の方、生活困窮のことを知らない。例えば定着支援センターの人はこっちのことを知らない。このあたりで、理念の共有とともに制度情報の共有をどこでやるかというのが1つと、もう一つは、人材の共有と言うと非常に難しいのだけれども、実際やっている人がいろんな現場を共通して育てられていくという人材育成の共有化みたいなことまでやらないと、どうしても、この理念の共有をこの制度にかかわっている人たちの中だけの話にしたらだめだと。
なぜかというと、これは私はいい意味で言っているのですけれども、この制度は自立支援制度なのだけれども、制度としては非自立的な制度だと。つまり、この制度だけではひとり立ちできない。いろんな人と組まない限りこれはできない制度で、非自立的。これがこの制度のよさだと思うのですね。だから、予算も少ない。これは文句ばかり言っている場合でなくて、これは連携、地域共生というのがまさに前提になっている。だから、そういう意味で言うと、理念の共有であったり情報の共有であったり人材の共有ということを積極的にやらないと成立しないのではないか。断らない相談というのはそういうことによって確保できると考えます。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。支え手、受け手、それから孤立の問題、あるいはさらに繰り返されている誠意を持っての参加等の問題。これも、本当にこの書きぶりで随分ニュアンスが変わってくるところでもございますので、一連の御指摘、受けとめていきたいと思います。
続きまして、それでは平川委員、成田委員、お願いいたします。
○平川委員 おくれて来て申しわけありません。
最初に4ページの<自立相談支援事業の体制>のところですけれども、かなり簡素な文章になっておりますが、この間言わせていただいたのは専門性や資格の問題、もしくは支援員の配置のあり方をどうするかということであります。専門性に関して言えば、今までも皆さんおっしゃっているかと思いますけれども、研修の充実であるとか、もしくは社会福祉士を始めとした専門職の配置ということも重要ではないかと思います。
以前、たしか支援員について配置基準を設けたらどうかというお話があったと思いますが、確かにそれによって実施水準が高まる自治体があるかと思いますけれども、一方で、逆にこの配置基準が低下してしまうという可能性もありますので、配置基準については実態を踏まえて慎重に対応してもいいのではないかと思います。
それから、8ページの町村の役割であります。これは前回もお話ししましたけれども、やはり法律に明記しないと、町村にしてみればやりづらいのではないかなと思います。やはり生活保護法と同様に、一次的な自立相談支援機能というところについて、困窮者の自立支援法の中でも明記することが必要ではないのかと思います。
それから、10ページの就労準備支援事業であります。これも交通費の支給のあり方等がまだ明確になっておりませんので、ぜひとも個別給付全体について、その可能性を追求していただきたいなと思っているところであります。
それから、16ページの生活保護受給者の健康管理のところであります。16ページの枠囲いの上の●のほうで、「ケースワーカーにすべてを委ねることは限界がある」ということで、これはそうだと思います。それを具体的に誰がどのようにやっていくのかというのは四角の中で書いてあるのかと思います。
その中で、福祉事務所がどういう形で連携していくのかということについては、かかりつけ医であるとか、外部の保健医療専門職と記載しております。これについても、例えば保健医療専門職、自治体の中にも、保健センターであるとか国保課であるとか、そういうところには保健師さんが配置されておりますし、場合によっては委託ということも可能性としてあるかと思いますので、その辺の可能性について、よりわかりやすい形で整理していただきたいと思います。
また、レセプトの分析ですけれども、前回か前々回、市長会のほうから、審査支払機関を活用してはどうかという御提案もありました。私もそう思いまして、医療扶助については支払基金を通じてやっていると思いますけれども、支払基金にレセプトデータの分析を委託するということも検討してはどうでしょうか。
以上、簡単ですけれども、意見にかえさせていただきます。
○宮本部会長 大変ありがとうございました。
成田参考人、お願いいたします。
○成田参考人 私からは、資料の5ページからに関連いたしまして、家計相談支援事業の必須化についてと、それに関連して、事業の委託のあり方について意見を申し上げさせていただきます。
家計相談事業を必須化していくことは、生活困窮者自立支援にとって大いに有効であると考えております。本市では、現在、自立相談支援の中で家計相談にも対応していますが、マンパワー的に家計相談支援が十分に行き届いていない面もございまして、必須化により、この課題が解消され、十分な家計相談が可能となると考えております。
また、家計相談に際しては、自立相談支援の中で行う一般的なアドバイス等とは違って、家計相談の専門性や異なったアプローチが必要であることも十分理解しております。そのため、実施方法として、専門性の高い事業者へ委託することなどにより支援の質を担保できるのであれば、支援の連続性を考慮する意味でも自立相談支援と一体的に実施する方法も有効であり、こういった方法も選択できるようにするなど、各自治体の状況に合わせた運用を可能とすることが望ましいと考えております。
次に、委託による事業実施をより有効なものとするためにも、支援の質の維持と事業の継続性の確保の観点は必要不可欠なものでありますが、この点、本市の自立相談支援事業は、プロポーザルによる単年度契約となっておりまして、課題もあると感じるところでございますので、国から自治体に対して事業の委託のあり方について考え方を示していただくこともお願いしたいと思います。
以上でございます。
○宮本部会長 ありがとうございました。
続いて、前河参考人、お願いいたします。
○前河参考人 私のほうからは、本日は、今回の論点整理案につきまして、事前に全都道府県に照会しまして、全国知事会がとりまとめた意見について御報告をさせていただきます。内容につきましては、論点整理案への具体的な修正のお願いというより、都道府県としての御要望的な内容になります。前半部分について6点、後半部分について2点ございますので、まず、前半部分のところについて御報告させていただきます。
1点目は自立支援相談事業の情報共有の仕組みについてですが、個人情報保護の面での整理が必要と考えます。本人同意がない場合の関係機関との情報共有につきましては、情報の提供や、それを利用する場合のルール化など法的な裏づけを伴う仕組みとすべきではないかと考えます。
2点目の断らない相談の実現につきましては、断らない相談支援の実現に向けては自治体からの意見をよく聞いていただき、国として財政的、技術的な支援策を講じていただきたいと考えます。
3点目の自立相談支援事業の体制ですが、自立支援機関における必要な人員配置を促進するためには、一定の配置基準のみならず、国による十分な財政措置が必要不可欠であると考えます。また、配置基準につきましては、自治体の状況により柔軟な対応ができるようお願いいたします。
4点目の就労準備支援事業及び家計相談支援事業につきましてですが、この両制度、必須化するということであれば、地方の財政負担がふえることになるため、国の責任において十分な財政措置をお願いします。また、地域によっては家計相談支援員等の確保が困難な状況も考えられるため、地域の実情に応じて実施できるよう、要件の緩和や柔軟な運用をお願いいたします。
あと、5点目の都道府県等の役割についてでございますが、支援員の位置づけを明確化することであれば、国から都道府県に対する技術的・財政的支援をお願いします。あわせて、国の支援養成研修等は引き続き実施するなど、必要な技術的な支援についても充実・強化を図っていただきたいと考えます。
6点目です。町村の役割についてですが、社会福祉法の改正に伴い、町村は地域共生社会構築の主体に位置づけられていることから、希望する町村だけではなく、生活困窮者の自立相談支援機能についても積極的に担っていただけるようお願いいたします。
以上でございます。
○宮本部会長 ありがとうございました。あともう2点は。
○前河参考人 あとの2点は後半に。
○宮本部会長 後半ということですね。わかりました。
それでは、朝比奈委員、お願いいたします。
○朝比奈委員 朝比奈です。おくれて申しわけありません。
皆様から出された意見と重複があれば御容赦ください。
見直しの視点のところについては、これまでも何人かの方から御指摘あったところが、私としても、特に一番最後ですね。ここが非常に据わりが悪いというか、表現がとてもひっかかりました。ただ、ここで黒字で強調されているのがそれぞれの論点の後ろのタイトルになってきているという意味では、その柱の立て方をどうしたらいいのか、この「信頼による支え合い」が後半の中で見るとほぼ生活保護の適正化の話になっているものですから、逆にそういったことをはっきり書いてしまうというのも1つなのかなあともちょっと思いました。
○宮本部会長 はっきり書いてしまうというとどんな。
○朝比奈委員 何となくきれいにくるんでいて、中身を見ると適正化の話が書いてあるというのがちょっと気になる。そこが、だから、柱の立て方にとても苦労があったのだろうなとお察しするのですが、少し気になりました。
あともう一つ、柱の立て方で少し気になったのが、「高齢期に生じる生活の転機への対応」という13ページの(3)ですね。中身を見ていくと、特に14ページの居住支援の話ですとか、家計相談支援の2つ目の●、「成年後見や日常生活自立支援事業の対象となるまでには至らずとも」「金銭管理が必要な者」、このあたりは奥田さんからもたびたび御指摘あったところで、これはやはり高齢者だけの問題ではないという、現場では認識もしております。
居住支援のことについては後段にも出てきていて、そこで少し大きく書かれているのですが、高齢者に対する家計相談支援等の2つ目のところについては、ここ以外ではどこでも書かれていないので、例えば家計相談支援のところで、家計相談支援を使いながら一定期間働きかけをした後でも、日常的に継続的なかかわりが必要な人がいるといったようなことを指摘しておいたらいかがでしょうかということが1点です。
それから、どこに書いたらいいかわからないのですけれども、就労支援についてですが、会議でも発言させていただいたかと思いますが、就労支援全体にわたって、例えば生活困窮者の就労支援だけではなく、障害や高齢、一人親、難病など、いろいろな施策が並んでいる中で、それを横につないでいく仕組みが求められているのではないか。特に受け皿をつくっていくときに、困窮者だけという話では必ずしもなく、一方で、障害者雇用については雇用促進法の枠組が非常に厳然としてあって、そこを突破できないという悩みもありますので、地域という枠組の中で横を柔軟につないでいくような就労支援のネットワークをもう少し超えた具体的な仕組みづくりなども求められているのではないかと考えておりますので、どこかでつけ加えていただければと思います。
それからあと、17ページの居住支援のところの一時生活支援なのですけれども、1つ目の●で、「ホームレス数が減少傾向にある中」という、恐らくここに含まれてくるとは思いますが、現場で一時生活支援等を実施しておりますと、それがあることによって見えにくい状態のホームレスの方が表に出てくるということをたびたび経験しております。一方で、そのことがホームレスを集めてしまうのではないかという自治体の懸念にもつながっているのだろうと推測されますが、そのためにも、やはり全国で実施する必要があるということと、この見えにくい、減少傾向にあるということをそのまま受けとめないためにも、一時生活支援事業を実施することで、ホームレス状態に準じた扱いの方々のしっかりとしたつながり先になっていくということをぜひ指摘していただければと思います。
それからあともう一点、27ページになるのですけれども、大丈夫ですか。長期入院のところですが。
○宮本部会長 それはまだ。
○朝比奈委員 はい、わかりました。ではそれは後ほどまた述べさせていただきます。
○宮本部会長 それでは、前半部分、最後のところになるかもしれません。渡辺由美子委員、お願いいたします。
○渡辺委員 私からは1点だけ、資料1の3番目に「貧困の連鎖を防ぐ」ということで書いていただいて本当にありがたいのですけれども、この中の表現で「次世代が可能な限り公平な条件で人生のスタートを切る」とあるのですけれども、人生の起点をどこに置くかと考えたときに、生まれたときから人生だと思うと、そもそも不公平なスタートを切っているので、ちょっとここの表現が気になっておりまして、人生のスタートというのは多分自立をしていくということかなあと思っております。
今まで議論した中とか、今も出てきているのが、孤立をさせないとか、切れ目なく支えるということが出ていると思うのですけれども、本当に幼少のときからというか、生まれる前からずうっと見ていくという中では、例えば「成長の過程で孤立することなく、社会との接点を切らさずに自立を支え、貧困の連鎖を防ぐ」とか、何かそのような、やはり社会と接点が切れてしまうと非常にそこから困窮に陥って自立に至らなくなるなあということは今までもいろいろ議論してきたと思うので、そのようなことを書いていただいたほうがいいのかなと思いました。
以上です。
○宮本部会長 大変大事なところに大変具体的な御示唆をいただきました。
石橋委員、お願いします。
○石橋委員 皆さんから町村の役割の重要性というのをかなり述べていただいたし、前河参考人さんからも、全国知事会のとりまとめという形で述べられたと思います。
その中で私から少し述べたいと思いますけれども、特に8ページの町村の役割について、あるいは6ページの就労準備支援事業、あるいは家計相談支援事業の全国的な展開ということについて、町村の立場として少し触れたいと思います。
町村の実情というのは、繰り返しこの会議でも申し上げてきました。数百人の村から、数万人の町まであるわけです。実情はさまざまです。その中で、従来から言っているわけですけれども、やはり小規模の自治体になるほどマンパワー不足、あるいは委託先、委託事業者がいないとか、そういった状況もあるわけです。したがって、都道府県との連携というのを従来から繰り返し言ってきたわけです。今の前河参考人から言われたとりまとめの件で思うのは、財政的な措置というのは、町村としてもこれは非常に当然のことであるし、我々、国に対してそういうことを強く言わなければいけないと思います。
ただ、人材不足という中で、知事会のほうは、とりまとめの意見で、希望しない町村もやるべきだろうと、このような趣旨の発言もあったと思いますけれども、やはりそこは非常に町村としても辛いところで、この8ページに書かれておりますように、町村としては希望する場合はというところをぜひ勘案いただきたいなあと思うわけです。できる町村、できない町村というのが現実に現段階であるわけでございますので、その中で都道府県との連携がどんどん深まっていけば、できる町村もふえてくるのではなかろうかと思いますけれども、現状では非常に厳しい町村もあるということを認識いただきたいと思います。
と同時に、就労準備支援事業、家計相談支援事業の全国的な展開についても、やはり都道府県の強力な支援というのは当然必要なわけでして、そのことを前提にお願いしながら、町村としても取り組んでいきたいなと思っております。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。
それでは、後段の部分の議論になるわけですけれども、かなり時間も経過しておりまして、ただ、きょうの事務局から承っているタイムテーブルには休憩というのがないのですけれども、いかがでしょうか。ここで、事務局、差し支えないですか。5分ほど休憩を。
○本後室長 もちろんでございます。
○宮本部会長 それでは、50分から再開させていただきますので、5分ほど休憩をとりたいと思います。
(休 憩)
○宮本部会長 それでは、再開していきたいと思います。
後段の部分は、資料2の「3.居住支援の強化」から「5.信頼による支え合い」、先ほど来問題になっているところでもございますけれども、これについて議論を進めてまいりたいと思いますが、いかがでしょうか。
それでは、新保委員からお願いします。
○新保委員 大変申しわけありません。ちょっと前半の議論と後半の議論、勘違いしていて、前半の内容かもしれませんが、お話しさせていただきます。
13ページの生活保護受給者への就労の強化についてと書かれているところですけれども、この中身を見ますと、例えば「参加率や就労・増収率等」という言葉がありまして、こういう点での就労支援の強化といいますとなかなか厳しい状況になるのではないかと思います。ハローワークとの協働で行われている生活保護受給者と就労自立促進事業の支援内容も年々充実していますし、これからの被保護者の就労支援というのは日常生活自立ですとか社会生活自立も含めたトータルな支援が求められていると思いますので、就労・増収率というもので見ていく、評価することは難しい。ここは、できれば、例えば13ページの黒文字のところですが、「生活保護受給者への就労支援の充実・強化」とか、そのような形で入れていただきますとともに、その対象者の状態像もだんだん変わってきていますし、トータルな就労支援をしていくときの評価指標の開発も必要というような内容も加えていただきますと、取組がよりよく進んでいきやすくなるかと思います。
生活困窮者自立支援制度における就労支援は年々進化していると思っています。一人一人の持つ力を生かしていくことが地域で人材を必要とする企業や場所を支えて地域づくりにつながるという実践例がとても多く生まれていまして、それもだんだん形になってきていると思います。そうしたことから、生活困窮者支援だけでなく、生活保護の支援も同時に行っていく。これはもう前段にたくさん委員の皆様からお話が出ていたところですけれども、これを一緒にやっていくことで自治体の自立支援、就労支援が充実していくと思います。自立や就労という本当にかけがえのない大事なことをよりよく行うという視点から、生活保護と生活困窮者支援は分断せずに、できるだけ一体的に行うということが求められていると思います。
それで、済みません。本当に戻ってしまって恐縮ですが、1ページのところの見直しの視点の中のお話ですけれども、今回の部会は生活困窮者の制度と生活保護制度見直しを一体的に同時に行っているということにとても大きな意義があると思っています。この生活困窮者自立支援制度の目標であるところの「自立と尊厳の確保」と「支援を通じた地域づくり」というのは、困窮者支援だけに必要なことではなくて、むしろ本当に生活保護受給者についても同様だと思っております。とりわけ「生活保護受給者の尊厳の確保」という視点は重要であり、地域共生社会の実現を目指していく上でも不可欠だと思っております。
社会的孤立と自尊感情の低下ということについては、生活保護の自立支援を行う上でももう既に課題として認識されています。3つの自立の考え方ですとか、多様な働き方があることですとか、働くことの意味ですとか、当事者を尊重した支援というのは生活保護のほうでももう明確に示されていて、支援のスタンスというのはもう既に地続きになっていると思っています。どうしても生活保護受給者の支援が別建てに論じられがちなのですけれども、ここはやはり支援を必要とする住民に対して必要な支援を過不足なく行うということがとても重要だと思っております。
あともう一点ですけれども、これも既にお話がありましたけれども、人材養成についての記述がありません。先ほど勝部委員が4ページのところというようなお話をされていたのですけれども、ぜひ国が指針を示すとともに、技術的な支援を行っていく。これは前河委員からもお話がありましたけれども、そういう体制が、人が人を支援する制度には不可欠だということで、明確に記述をしていただきたいと思うところです。
大変申しわけありません。以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。
続きまして、小杉委員、お願いいたします。
○小杉委員 ありがとうございます。
私も、2の「予防」からが後段だとばかり思い込んでいまして、11ページと、あともう一つ、23ページ、この2点についてお話しさせていただきます。
認定就労訓練事業の件なのですけれども、つい最近、認定訓練事業アドバイザーの方にお話を伺う機会がございまして、そこから、認定訓練事業所は徐々にはふえていて、この段階ではまだ事業所をふやすためしか指摘されていませんけれども、もう一つ大事なポイントとして、その認定訓練事業をうまく活用するという部分も今は既に必要なのではないかと思います。
要するに、関連事業所の開拓はある程度進んでいるのですが、それがなかなか実際の訓練に結びついていない。労働の用語で言うならば、充足率が非常に低いのですね。そこの部分を効率的にどう運用するかということに踏み込んで考えるべき段階ではないかと思います。
実際に相談窓口の方と一緒に事業所を見学するとか、そういう現実に見る場面があるとお互いに理解が進んで、認定訓練のプログラムって最初にプログラムは指定しますけれども、実際にはかなり柔軟な運用をされていて、訓練を受ける方の立場に立ってみれば、既にあるセットされたものにぴったり当てはまる人というのはめったにいないわけで、その人その人に応じた組み立てをしていくわけですね。実際の現場の中からも、いわゆる職務の切り出しをやる。今のところ、介護事業所なんかが訓練事業を提供していることが多いのですけれども、言ってみれば、食堂にあるメニューを書いた掲示、これをつくるような仕事だってあって、さまざまな職務を実は切り出せる、こういう現場なのですね。その辺のことがやはりなかなか共有されてない。
言うなれば、今回の訓練というのは、一つのまとまりのプログラムではなくて、職務単位なのですね。職務単位の切り出しがあって、それを組み立てていくという中で、その職務についての情報がきちっと共有される仕組みがまだできていないのだと思います。見学会のような形にすればある程度共有されますが、そこまで至る以前に、受けたいと思う方は、一歩踏み出すためには、具体的な情報がもっと手にとるようにわかることが必要で、訓練の場所とか人とか、さまざまなハードルがあって、ちょっと踏み出しにくい。事業所を見ると介護事業所ばかりで、ちょっと介護はなあと、そこだけでもう引いてしまうようなことがある。
ただ、実際はそうではなくて、もっといろんな可能性があるのだということが十分伝わってない。ここを伝えるような工夫が必要ではないかということで、例えば写真とか動画とか、いろんな形で伝えることができるわけですね。ということで、ぜひここのところに認定訓練事業の活用を促進するために相談支援機関との事業所との関係を密にするようなさまざまな工夫が必要だみたいなことをもう一つ書き込んでいただいて、活用、運用というレベルまで踏み込んだ部分が必要ではないかなあと思いました。
次に、23ページのことで一言申し上げたかったのは、子どもの学習支援事業の中で、後ろの2番目のところですね。「関係府省が様々な取組を行っていることから、効率的・効果的な活用が図られるよう連携していくことが必要」と。連携は確かに必要ですね。文科省もいろいろやっていらっしゃいます。ただ、ここだけで言ってしまうと、ひょっとして大事な部分が切り捨てられてはいけないなという不安を若干持っています。
というのは、それぞれの教育プログラム、例えば算数を教えたり、その内容自体同じですけれども、教育って、その内容だけではなくて、やはり本人の意欲がなければ絶対身につきませんし、その動機づけをするというところが非常に大事なポイントなのですね。それぞれの制度というのは、その動機づけの内容といいますか、その受ける子どもたちの状況によってどう動機づけ、何をもって動機づけるのかでかなり違ってくるのだと思います。
一人親支援の学習支援について、ちょっと接する機会があったのですけれども、そういうところで、大学生のボランティア、それも本人もひとり親で育ったようなボランティアの方が入り込んだりして、そこで行われていることというのはある一つのモデルの提示なのですね。結局、そこで子どもたちは自分の未来について希望が持てるというか、自信が持てるきっかけを彼女たちが与えたり、そういうきっかけになっているのですね。ということを考えますと、この一文にはぜひ「それぞれの制度の趣旨に配慮して」とか、「何でも一緒にすればいいじゃない?」という話でなくて、それぞれ背景があるのだから、その部分は大事にしてほしいというような文章をつけ加えていただければなあと思います。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。11ページ及び23ページそれぞれに項目を加えるという趣旨の御提案でございました。
続きまして、成田参考人と前河参考人、続けてお願いいたします。
○成田参考人 私のほうからは、資料、19ページのところの無料低額宿泊事業について意見を申し上げさせていただきます。
現行の無料低額宿泊事業は届出制であることから、事業開始後の調査では、指導では行政処分決定までに一定の期間を要し、著しく狭隘で設備が不十分な場合でも、事業実施を規制することができない状況でございます。そのため、現在、指定都市市長会では、現行の届出制を許認可制に改めるよう国に提案していることはこれまでも申し上げてきたところでございます。
なお、許認可制での実施が難しい場合でも、利用者が劣悪な環境にさらされることのないよう、事前の届出を義務づけるなど、実効性のある仕組みづくりを検討することが重要であると考えております。
また、同様の趣旨から、無届け施設への規制についてもあわせて検討していただくことを要望いたします。
以上でございます。
○宮本部会長 ありがとうございました。
前河参考人。
○前河参考人 引き続き、全国知事会のとりまとめを2点御報告させていただきます。
1点目がいわゆる貧困ビジネス対策でございますが、無料低額宿泊事業に係る最低基準等の法令上の規制強化に当たりましては、事業停止以外の実効性のある処分権限等の手続を盛り込むことを御検討いただきたいと考えます。
2点目ですが、生活保護世帯の子どもたちの大学等への進学についてでございますが、貧困の連鎖を断ち切り、生活保護世帯の子どもの自立を助長するため、早期に見直しを行っていただきたいと考えます。また、見直しに当たりましては十分な周知期間が確保できるようお願いしたいと考えます。
最後にですが、各都道府県の細かな意見、質問については、別途厚生労働省に提出させていただきますので、御回答をいただきたいと考えております。また、今後も地方との協議を継続していただき、見直し後に円滑な運用にできるようにしていただきたいと考えます。
以上でございます。
○宮本部会長 ありがとうございました。
続きまして、大西委員、お願いできますでしょうか。
○大西委員 ありがとうございます。
まず、20ページ、21ページですが、保護施設の現状の文章、事務局のほうで大変配慮いただきまして、当初から大分書きっぷりが変わってきましたので、まずお礼を申し上げたいと思います。
その上で、20ページの貧困ビジネス対策、先ほど意見も出ておりましたが、これを逆に捉えて、この間、事務局から出していただいたこの資料、調査結果を見ますと、関東圏がものすごく数多いのですね。私どもから見ますと、そこに救護施設がないという、そういう見方もできます。ですから、そこはこの文章に出てこないかもわかりませんが、どうしても押さえておいていただきたいと。特に東京23区には救護施設が一つもないというような現状の中で、東京都自身が無低に頼っているという実態があって、その中で貧困ビジネスがもし生まれているとすれば看過できないことではないかという思いを持っています。
それから、その無料低額宿泊所のことですが、これはしつこいようですが、一番初め、生活支援を行う無料低額宿泊所という表現だったのが、私がお願いして、「適切な」という文言を入れてもらって、今度は「日常」という文言が入ってきたのですが、この定義をどこかの場面でしっかり示していただきたいという思いを持っています。
論点の今後のあり方について協議する場を持っていただくのは大いにありがたいことですが、どういった生活支援が適切なのか、また、日常生活支援とはどういうことなのかということを示していただいて、将来すみ分けがあるとすれば、相手が見える状態でのすみ分けは理解できるのですが、相手が見えない状況でのすみ分けというのはちょっと納得がいかないと思っていますので、この点については具体的なことが、もし盛り込めるようでしたら盛り込んでいただきたいと思っています。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。日常生活上の支援の中身について、救護施設のお立場からも、その具体的な中身をはっきりさせるという御趣旨でございました。
それでは続きまして岡崎委員、お願いできますでしょうか。
○岡崎委員 私のほうからは、ジェネリックの後発医薬品の関係ですね。多分、この委員会の中で、ここを余り発言される方はいないと思うので。26ページですけれども、生活保護費の全体総額の半額が実は医療扶助でございまして、医療扶助自体はやはり右肩上がりで伸びています。急激に伸びているというよりは、じりじりと伸びていまして、生保に限らずですけれども、ジェネリック医薬品の活用というものは、全体を考えますと相当のボリュームの額になっていますので、一定、推進していったほうがいいだろうと思っています。
26ページの上から3つ目の●でありますように、今現在、生保の場合でも、28年度ベースで大体7割ぐらいがジェネリックに転換されていると聞いていまして、今、大体70%ぐらいまで来たので、次の目標として80%という目標が掲げられていると思います。
私どものほうで、平成25年の12月に市内の調剤薬局の協力を得て、ジェネリックに転換しない理由は何かというのを調剤薬局からアンケートをとっていまして、そのうちの実は半数、在庫なしという理由が51.8%なので、52%の理由が、今の先発の薬と後発のジェネリックとすごく種類が多いので、その医師の処方箋でジェネリックを指定しても、さっき言ったように、薬局のほうが半分ぐらいそれを置いてないとかいうケースがかなりあるので、そこをどうするかという課題が1つあると思います。ここはジェネリックを勧めていくということは一つの大きな目標としてありますけれども、実は在庫がないと現場が言っているので、そこをどのように整理するかというのが実務の課題としてあると思いますので、そこを少し指摘しておきたいと思います。
それから、先ほどの子どもたちの学習支援、23ページで御発言がありましたので、高知市の場合は、平成23年からだったと思いますが、先行して、チャレンジ塾という、生活保護の子どもさんをぜひ高校に行ってもらいたいということで、珍しく教育委員会がやりたいということで、健康福祉部でないです、教育委員会のほうがやりたいということで立ち上げております。いわゆる無料の塾なのですが、市内5カ所で立ち上げましたけれども、すぐ10カ所になって、現在、市内10カ所でチャレンジ塾をやっておりまして、当然、マンパワーが要るので、全て教職員のOBがボランティアで運営しています。
それと、高知大学に教育学部があるので、学生さんがそれに入っているという状況になっていて、コストはあまりかかってないです。それで、トータルで400人近く、10カ所に来ているのですが、生保が3分の1、準困窮家庭が3分の1、一般の子どもが3分の1入っています。バランス的にはそのほうがよかったと思いますけれども、なぜよかったかというと、例えば生活保護を受給している子どもたちも約100人ぐらい入っていますが、親御さんが、うち、生活保護を受けているということを言ってない家庭というのも大分あると思います。だから、本人は生活保護を受けているとかいうこと自体を余り知らないケースもあるのですね。そういう中で、子ども同士が仲間内で誘い合って来ていますので、一つのサロンになっていますから、非常に効果が上がっていて、ことしの春でも、生活保護の受給者の中3が51人おるのですが、51人中50人が何らかの形で高校進学になりましたので、これまでの実績を言うとほぼ100%高校へ行っていますから、あとちょっとフォローはしていかなければいけませんけれども、非常に効果が上がっているし、教職員のOBネットワークが非常に、ある意味、志を持ってやっていただいていますので、コストがすごくかかってない。
それともう一つうれしいのは、もう何年かやっていますので、ここに来ていた子どもたちのうちから、ここ、すごくいいので、自分が大学生になったらここへ教えに入る。教える側にまわると子どもたちは言ってくれている。そのようにうまくつながっているので、地域によってやり方はいろいろあると思いますけれども、次の子どもたちに貧困の連鎖を少しでも食いとめていくためには一つのモデルではないかということで、御報告をしておきたいと思います。
○宮本部会長 ありがとうございました。
それでは、勝部委員、お願いいたします。
○勝部委員 4点お話があります。
まず、18ページのところですが、居住支援のあり方についてです。この内容につきましては、以前から何度かお話をさせていただきましたが、我々も随分、引っ越しの支援でありますとか、それから家賃のいろんな手続であったり、緊急連絡先の確保であったり、保証人の問題であったり、さらには死後の事務であったり、いろいろと居住に関することを相談機関のほうで行っておりますが、このたびの居住支援協議会との連携についてもここでしっかりと押さえていただいて、連携がしっかりできるような体制を書いていただきたいというのが1点目です。
それから、2点目が子どもの貧困のところですね。23ページ、24ページのあたりのところですが、高校生、それから高校中退の問題がこの間ここでもずっと議論されていました。大阪でも6,000人ぐらいの人が高校中退しているというお話の中で、自立相談支援機関が各市町村が窓口であるということで、都道府県が公立高校の窓口というところで、そこの連携がなかなか図りにくい。また、相談機関とのつなぎというところが非常に弱いということがあります。学校自体はそれぞれの自治体と連携するというのはなかなかしにくい。一校一校、子どもさんの学区をしっかりと把握して、そこの自立相談支援機関を探すというのはなかなか難しいと思いますので、ここの連携の体制をしっかりと強化していくということも明記していただきたいなというのがあります。
それから、13ページの親の養育支援のところ。現在はやはり一時保護のような方法しかなかなか家族を支援する方法がないために、大抵、我々が今かかわっているところで課題があるのは、家事ができないとか、育児が家の中で十分できてないというそこをフォローしていくような体制、養育支援の多様なあり方みたいなこともぜひ明記いただきたいなと思っています。
それから、3点目が25ページのところです。先ほども少しお話をしましたが、この「信頼による支え合い」というのは、制度に対する国民の信頼を高める信頼なのか、支え合いをしていくための信頼なのかというちょっと疑問に思うところがあるわけですけれども、このいろいろな適正、それから課題があることはもう十分承知しておりますが、これこそソーシャルワーク機能、専門職としてしっかりと尊重する対応をとること、ペナルティや取引のようなことを前提にした支援でないことを行うことが本人との信頼を獲得することになると思いますし、こういう方法の強化を進めていくことによってより信頼を失ってしまうのではないかなというのが懸念されます。
それから、最後ですが、28ページのところです。業務委託契約の問題です。この委託契約に関しては、これは自立支援相談の問題だけではなく、介護保険ですとかさまざまなところでも、自治体のプロポーザルや、それから業務委託というのが進んでいますが、この業務委託のあり方が非常に実施機関のモチベーションを下げていくということもありますし、それから、人材を育てることができないという大きなネックになっているように思います。
例えば人件費の問題につきましても、経験が上がっていけばそれなりの年数が上がっていくということになりますが、一定の金額を毎年何%カットという形でなっていけば、年齢が上がっていっても給料は下がるということが前提になってしまう。また、プロポーザルに関しましても、競争入札ということになれば、人材ということ以外のところでお金で判断されてしまう。こういうやり方をしていますと、まず、この事業そのものが、人が財産であるという機能であるのに大変残念な結果になって、また一からやり直し、またそれがどうにもつながっていかないということになるのではないかという懸念をしています。
さらに、ノウハウですとか、それぞれの機関が駆使してやったものが委託という形で行政に帰属するということになってきますと、努力した人たちのノウハウというのは全部廃棄して、また一から考えないといけないという、そんな形になっていくと、本気でやっていくとどんどん損してしまうみたいなことになりますので、このあり方もぜひしっかりと国のほうで、実施している人たちが希望を持ってやり続けられるような体制を考えていただきたいなと思います。
○宮本部会長 ありがとうございました。先ほど来議論が集中している5の「信頼による支え合い」のところですけれども、勝部委員としては、先ほど朝比奈委員から少しこのタイトルそのものについて御意見もございましたけれども、何か具体的な書きぶりについてお考えはございますでしょうか。
○勝部委員 この適正化に関しては、こういう医療扶助をどうしていくかとかいう個別のこともありますけれども、ソーシャルワーカー、いわゆるケースワーカーの資質、あるいは専門性のところで、やはりしっかりと向き合っていけるような体制をとることがまず前提であるというのが大事ではないかなと思います。
○宮本部会長 ありがとうございました。上尾からのヒアリングもございましたし、ここはもうちょっと健康増進という観点が自立支援の部会としては必要かと。
○勝部委員 そうですね。社会参加していくことが健康につながっていくというのは前回のところでもお話しさせていただきましたし、社会的に居場所がないから病院しか行くところがないというところから考えますと、地域づくりとここはもっとリンクさせて書いていくということも重要だと思います。
○宮本部会長 ありがとうございました。
奥田委員が早目に退出されるということで。
○奥田委員 済みません。きょうちょっと早目に出ますので。
私はまず、18ページの居住支援のところですけれども、この制度が始まったときには、これは私の勝手な感覚かもしれませんが、居住のことってこんなにクローズアップされてなかったと思うのですね。この3年間で物すごく前面に出てきている。その割には、この18ページの書きっぷりが、上2つはほとんど国土交通省の話だし、一番下は障害部の話になっているということで、ではこの制度でどうするのという、もう一度この姿勢というか、例えば今までは住宅確保給付金と一時生活支援事業、これはもうほとんどホームレス対策だったのです。今回、そこでなくて、つまり、住宅確保給付金は失業してから2年以内ということで、これは就労対策の一環で考えていた。一時生活はホームレスだったけれども、今議論しているのは、地域でどう暮らすかという話の居住支援なので、しかも期待できるのは、まさに、逆に言うと国土交通省さんとか障害部さんとかの政策と一体化しようではないかという横連携がもう明確に書かれている、割と珍しいページだと思うのですね。
だから、まさに地域共生社会というところを実現していくにも、居住ベースというのはすごくやりやすいというか、可能性があるので、ここのこれからの生活困窮者自立支援制度における居住支援とは一体何なのかというのをもう一歩二歩踏み込んで、つまり、住宅確保給付金、一時生活支援事業プラスアルファ何なのかということも含めてやっていく。
あるいは、家賃問題、低年金問題等々ありますので、家賃問題がクリアーされる中で相当なカバーができていくというふうにも期待できますし、地域での支え合いを考えても、やはり居住というものが地域そのものの個の単位ですので、私はだから、あらゆる面で居住支援というのはこれから相当大きな課題になるだろう。その割には、もう少し踏み込んで書いたほうがいいのではないかなというのが率直な点です。
すなわち、この書き方が全部、一時生活支援事業はこう、無低はこう、何々はこうというふうに書いていってしまうと、ばらばらで、一体的に居住ってどのように考えているのかというのがちょっとよく見えないという意味でもあるのですが、それで17ページ、2つ目です。借上シェルターの人材が必要だと。これは私、まさにそうなのですけれども、太黒字のところには人材までは書いてないのですが、もう一つ、前回、ちょっと私のほうから提出資料で出させていただいたのですが、実は自立支援センターの効果は非常に高いと。これは就労においても高い。なぜかといったら、一体型でやっていたからだということを前回出したわけですね。
私は、自立支援センターという大規模センターというイメージだけでなくて、小さな規模の自立支援センターみたいなものをやることによって効果が上がるのだよということを、特に5つ目の●で恒常的な利用があることを想定しなかったから、支援員を置いてないのだという説明しかないので、非常に消極的な説明ですけれども、逆に言うと、置かないから恒常的な利用ができてないのかもしれません。だから、どっちが先かよくわからない話なので、ただ、わかっているのは、自立支援センタータイプにすると非常に効率的で、しかも結果が出ているというのははっきりしているので、ここのところの評価をもうちょっと何とかならないかということが2つ目です。
3つ目が、再び18ページ以降に戻りまして、先ほど、無低の基準をはっきりしてくれという御意見がありましたけれども、私もそのとおりです。ただ、ちょっと繰り返して申しわけないですが、18ページには、「施設ほどではないけれども」と書いているのです。この「施設ほどではないけれども」というのが、施設ほどではないけれども施設みたいなというのが言いたいのか、いや、施設でなくてという話をしたいのかがこの文章ではちょっとわからないので、ただ、私、2つあると思うのですね。
18ページのほうでは、「施設ほどではない支援」。しかし、いわゆる制度の施設ではない支援ということで、ある程度施設的なものも想定するのかな。あるいは、互助の仕組みということでやるのかな。19ページになりますと、生活保護の人が使う無料低額宿泊施設でサービス提供するというのはどう考えるのかという議論になっている。21ページになると、保護施設との連携。生活保護施設からの連携でその受け皿をどうつくるのかというのが出てくる。そこも無低が出てきています。さらに27ページになると、退院促進の受け皿としての無低が出てくる。正直言って、これは無低ではないです。だから、そこまで期待するのだったら、新たな枠組をつくるのだということをやはり方向性として出すべきだ。これは、無低の議論をやっている限りは法律的にも無理がある。そんなこと想定してないわけですから。
ですから、ここまで何らかの民間受け皿が必要だということを繰り返し書いているのだったら、やはり私は、新たな枠組をこれからつくるぞと。これがそうだということはまだ出せないとしても、方向性としては無低の議論にとどまってないで、これだけニーズがあるのだったら、はっきりと、例えば地域の見守り拠点としても利用できる生活支援付き共同居住とか、そういうものをもう新たに提起すべきなのだと。これを私はどうしても申し上げたいというのが3点目。
4点目が、ちょっと飛びますが、いわゆる居住地特例の話。これは現実的な選択なのだろうとは思いますが、ただ、結局ここでの特例の中身はいわゆる費用負担の問題なのだろうと思うのですね。従来、生活保護はケアと給付の一体的なものなのだから、そうなると、飛び地で実施して、もと送ったところが費用負担するとしても、そこでの生活なりケア、誰が支えるのか。ここには、住んでいる現在地の保護課が動くのか、もしくは自立相談が動くのか、そういうことを考えないと、特例だけの話というのは無理なのではないかと、結局押しつけ合いの話になっていくのではないかというのが4番目。
5番目として、これはもう一回改めて言っておきますけれども、窓口一時負担の話ですね。医療費。反対です。先ほどからも繰り返し出てきているのですが、これも含めて、結局は信頼を損なうと思うのです。結局は、我々が現場でやっていることって、これは人が人を支える仕組みで、では人が人を支えるって何かというと、信頼しかないのですね。その人を信頼して相談していくわけだから、そこに対する邪魔な要素はつくらないでほしい。正直。こういうものが結局は、現場で頑張っている人たちの信頼を損ねるわけです。信頼を受けるということにおいて。だから私は、この一時負担に関しては、「信頼による支え合い」というところにまた書かれているのが皮肉っぽくていいなと思うのですが、ちょっと違うのではないかというのは改めて言っておきます。
最後、6番目。さっき勝部さんもおっしゃいましたけれども、委託の話ですが、これも当然のことだと。早く国の指針を出すべきだというのは当然です。なるべく早くやってほしい。もう来年の3月に向けて全て動き出していますので、こんなの、2月、3月に出されても、もう無理です。ですから、早く出してほしい。
さらに、委託の場面だけの問題でなくて、やはり日常的なところの評価というのをどうしていくか、どうつくっていくかというところをちゃんと決めてやらないと、年度末になって突然、委託を外しますということを言われて困るのですよね。まさにこれは雇用もだし、それ以上に、今まで蓄積されたさまざまなノウハウや経験知というのは無駄になるわけですから、あり得ないと。だから、委託のあり方だけの議論でなくて、例えば四半期ごとにお互いがどうお互いを見ていくかという仕組みをまずつくっておいて、3月になって突然言われるみたいな話にはならないようにということをくれぐれも申し上げたいと思います。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。たくさんの御指摘いただきましたが、中心になったのは居住支援のあり方。これは必ずしも将来ビジョンを細かく書き加えろということではないにしても、自立支援制度が求めていく居住支援のあり方について、少し厚く詳しく、特に18ページの囲みのあたりでしょうかね、書いていく。これは先ほど大西委員からの御意見とも重なるのかと思いますけれども、その前段では、国交省の住宅セーフティネットであるとか老健の地域支援事業の話が来て、その下に居住支援のあり方についてというのが突然来ているわけですけれども、このあたり、もう少し、この制度の文脈での居住支援の形というのをポジティブに書き込んでいくということと解してよろしいでしょうか。
わかりました。続きまして、それでは、竹田委員、平川委員、お願いいたします。
○竹田委員 ありがとうございます。では、私のほうから、4点ほど申し上げたいと思います。
21ページの保護施設のあり方の部分と25ページの長期入院対策に共通するところですけれども、入所してから、入院してから、ではどうするのだと言ってもなかなかその後のことを考えるというのが難しい場面が多いのかなと思っておりまして、入所前や入院前から、他制度、他施策の活用ができるかどうかという検討ですとか、退所・退院後の継続的・包括的な支援の検討の場というのが重要なのかなと考えております。既存の仕組み、例えば前半の議論でありました支援調整会議なども活用しながら、多機関、多職種で協働していく、そういう協議の場というのも設けていくことが必要ではないかと思っております。
あと、24ページの生活保護世帯の子どもの大学進学ですけれども、希望する子どもは、出身世帯にかかわらず大学等に進学できるということを前提に、当たり前にしていくことから全ては出発していくのではないかと思っておりま。子どもの教育の機会と将来の可能性を逸失することないよう、例えば小さいころから進学を見据えて費用を着実に貯蓄していくとか、民間の保険を活用していくとか、さまざまな方法が考えられるわけですが、貧困の連鎖を防ぐという観点から、学校をはじめ関係機関と協働しながら早期からの総合的かつ積極的な支援というのをしっかりと取り組んでいくことが重要かなと思っています。
また、学習環境の整備、高校在学中のみならず、進路相談、就労体験、入学体験、さまざまありますけれども、そういった可能なものを扶助の中に認めるなど積極的な対応をしていかないと、貧困の連鎖と言いながらもそこからなかなか前に進んでいけないのかと思いますので、このあたりは見込んで検討していただければと思っています。
また、25ページの、先ほど勝部委員や奥田委員からも出ておりますが、特に頻回受診対策等含めて、生活モデルの視点、ただ病院に来ているからということではなく、かかりつけ医をはじめ関係機関協働して、しっかり人が人を支えていくチームアプローチできちんと対応していくということが効果的な支援につながっていくのではないかと思っております。先ほども出ていましたが、一律に窓口負担化しても、結果的には非効率的、非効果的になるのではないか、難しいのではないかと思っております。
最後、4点目ですが、28ページの「生活保護の返還金の取扱い」です。実は私も後見人として、今、御本人にかわって毎月1,000円ずつ金融機関で返還しているのですが、この1,000円返すための費用と手間を考えると、ある程度生活保護費の中で調整していただいたほうが効率的だと思いますので、御本人の同意ということが前提にはなりますが、この点はこのとおり進めていただいてよろしいかと思っております。
私からは以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。頻回受診対策についても、改めて窓口負担反対という御意見、何度か繰り返されたわけですけれども、このあたり、修文上は、皆さんの御意見、例えば竹田委員としては、この25ページの囲みの中の表現ぶりなどについてどんなお考えでしょうか。一応「反対する意見が多数であった」という文章にはなっているわけですけれども、このあたり、「信頼による支え合い」から始まった流れそのものにちょっと違和感があるという御意見もあって、どのような手の加え方になるのかと思いますが、とりあえずこの囲みの中に関しては、奥田委員や、あるいは岡崎委員を含めていかがでしょうか。
竹田委員、いかがでしょうか。
○竹田委員 表現としては「反対する意見が多数であった」とはっきりと明記していただいていますので、このとおりでいいかと思っております。もう一つつけ加えるとすれば、先ほど出ていますけれども、人が人を支えていく、きちんと関わっていくことで頻回受診対策につながる。前段の部分をもう少し充実して書いていただけるといいのかと思っております。
○宮本部会長 ありがとうございました。
続きまして、平川委員、お願いします。
○平川委員 最初に24ページの大学の進学の関係であります。これはこれでいいと思うのですけれども、他方で、給付型奨学金の拡充ということも含めて、これは別な省庁で検討するべきことでありますけれども、社会全体として教育を支える仕組みというのをつくっていく必要があるのかなと思っています。
また、検討課題ではないのですけれども、監査のあり方で、以前お願いをしておりましたけれども、高校生のアルバイトに関しての未申告の問題がありましたので、それは現実に沿った形での対応ということをお願いしておきたいと思っています。
それから、25ページの頻回受診対策ですけれども、「かかりつけの医師との連携」と書いてあるのですが、この概念が少しよくわからないので、後で明確にしていただきたいと思います。そもそもかかりつけ医師というのを持たない方も結構多いと思いますし、地域の医師会と連携していただくということも含めてこういう言葉が書いてあるのかなと思いますけれども、それであればそのような方向もよろしいのではないかと思います。
それから、26ページですけれども、ジェネリックの関係です。この前、別な審議会でジェネリックの使用割合で医療保険者別に比較した場合、後期高齢者医療がかなりジェネリックの使用割合が悪く、一番高いのは公費負担医療でした。公費負担医療の中には医療扶助も入っていますので、公費負担の中にもいろいろありますが、医療扶助がジェネリックの使用割合が、とりわけ低いのかどうなのということも含めてその辺のデータを示していただくのがいいのかなと思いました。
それと、先ほど岡崎市長のほうからありました後発医薬品の在庫がないというのは別な観点でかなり大きな問題だと思いましたので、また後で聞かせていただければと思います。
それから、27枚目のスライドの居住地特例のところです。こういう方向でやるというのは、私は慎重にやるべきだと前回申し上げたが、提示の方向になるというのは、それも一つの選択としてあるとは思いますが、ただ、その際、「福祉事務所との関わりが薄くならないよう留意する」という中に、例えば行った先の福祉事務所が、委託か、委任を受けて訪問するという連携が制度的にできないのかどうなのか、検討していただくのも一つの考え方ではないかなと思っております。
最後に事業の委託のあり方です。課題については皆さんおっしゃっておりますので、私のほうから、その対応策についてお願いしたいと思います。マニュアルの改正、これは早急にやるべきだと思いますけれども、その後ですね。実はマニュアルだけで本当に解決がつくかというと、地方自治体の受けとめとしては、1つ、やや弱いかなあと思いました。継続性の問題であるとか職員の雇用問題、専門性、さらには事業評価をどうしていくのかということに関しては、やはりマニュアルだけではなくて、もうしっかりとしたものが必要ではないかなと思っています。
例えば公共工事に関しては、総務省と国土交通省で、公共工事の入札に関しての推進というのが共同で出されておりまして、その中には、相互評価方式の導入・拡充というところで、価格以外の多様な要素を考慮して、総合的にすぐれた内容の契約をなされることによって工事の品質が保たれるという趣旨の通知が出されております。そのようなことも参考にしながら、できれば、総務省、厚労省の通知が出るとかなり強力だと思いますので、その辺のことも、ハードルが高いとは思いますが、検討をお願いできればと思いました。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。
生水委員、続きまして、朝比奈委員、お願いいたします。
○生水委員 では、私のほうから2点意見を述べさせていただきます。
23ページの、まず子どもの学習支援事業についてです。こちらについては、食事の提供については●の3つ目ですね。「特別なイベントの場面」として書いてありますが、ここについては違和感があります。このことについては何度も私は発言させていただいているのですが、野洲市では、勉強が始まる前におにぎりとかみそ汁の提供をしております。子どもは食べることでほっこりして、安心して勉強の場に集まってきます。ボランティアの人とも交流もできるし、食べながら子どもの生活習慣というのもわかっていきます。食事の提供というのは、学習支援をする上において本当に非常に重要な支援なのです。なので、ここの書きっぷりについては、「学習支援事業において食事の提供や子どもの学力に合わせて教材の提供をすることは、学習支援を効果的に進める上で必要な支援である。こうした個別給付は認めるべきであるとの意見がある」と書いていただければありがたいです。
次、24ページです。こちらの「生活保護世帯の子どもの大学等への進学を支援する上でどのような施策が必要と考えられるか」という黒枠のところについては、子どもが大学や専門学校に進学する場合に、生活保護対象から外す「世帯分離」ではなくて、生活保護を受けながらの世帯内就学、世帯内進学を認めるべきだと思います。さらに、学生が働いて得た収入から学費など就学に必要な金額については経費として認めて、世帯の生活保護費の減額はしないようにする、こうした取り決めが必要だと考えます。ここもしっかり意見として書いていただければと思います。
それともう一つ、下の黒枠の2つ目の●になります。「高校在学中における進路等」とこの中にありますが、高校進学ができなければ目指す大学進学というのはできないです。中学在学中に高校進学のために必要な学費など準備するのに、奨学金、貸付金、助成金などのさまざまな仕組みはとても複雑で、活用するのも理解するのが難しい状態です。あわせて、生活保護世帯については給付される扶助費の対象となるものとならないものがあるために、進学費用のプランを立てる必要があります。だけど、家計相談支援事業はこうした生活保護世帯は対象外ですので、こうした相談を受けることはできません。生活困窮者も生活保護世帯も、専門的な家計相談を活用できるようにすることが必要だと思います。
それとあわせて、この黒枠の●の2つ目のところに、高校在学中だけではなくて、中学というのも入れていただければと思います。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。23ページの学習支援の特別なイベント云々のところについてかなり具体的な御発言、御提案でございました。これは最終的に事務局がどのように受けとめるかということにもなりますが。それから、生活保護世帯の子どもの大学等への進学についても、相当議論が集中したところでありますので、なるべく広く御意見を反映させていくために、ちょっとここも頑張っていただかなければいけないのかなあと思います。
続きまして、朝比奈委員、お願いいたします。
○朝比奈委員 朝比奈です。2点申し上げたいと思います。
先ほどフライングで一時生活のことを言ってしまったのですが、居住支援の中で、先ほど奥田委員がおっしゃられた点について、私も同感です。20ページで「支援付きの共同居住という新しい枠組の将来像を見据えて検討する必要がある」ということについてはぜひ進めていただきたいと思っているのですが、一方で、この方向性とは若干ずれていくような書きぶりもとても気になります。
特に居住地特例につきまして、27ページですけれども、実質、無低が事実上の運用という形で、入所前の住所地の福祉事務所が保護の実施機関となっているという例はほぼ大都市では一般的に行われているのではないかと思われるのですが、これらの施設の体系なり、それから無料低額宿泊施設の位置づけ、機能などを検討する前に、この居住地特例を運用を超えて定めてしまうということについては少し危惧を覚えています。現実に私が仕事している地域で死亡事件など起きておりますけれども、大多数の人たちが地元から入っていないと、遠くのところから入っているというところもこうした事件などの背景の一つとして考えられるのではないかと思われます。それが1点です。
それから、そこに関連するのですが、27ページの上のところの<長期入院対策>ですね。医療扶助の適正化の観点から、精神科の長期入院についてきちんと見ていくということは非常に重要だと思われますが、このまとめとして、「居住環境の再構築を進める」ということなのかなというところが少し違和感があります。
一方で、自治体が定める障害福祉計画の中で、長期入院からの移行ということを明確に数値目標として進めていくということがございますので、まずは障害部局との情報共有なり連携なりということをしっかり進めていき、日常生活やQOLを高めていくのはやはり障害福祉部局との連携・協働が必須だと思われますので、そうした前提の中で居住がどうあるべきかということを議論すべきかと思っております。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。
渡辺委員、お願いできますでしょうか。
○渡辺委員 ありがとうございます。
私のほうからは、まず23ページの<子どもの学習支援事業について>ですけれども、これは上で書いていただいているように、高校生とか高校中退とか、やはり若年層の方たちをどうするかという問題があると思うので、ぜひこの四角の中にそれを入れていただくということで、もしかしたら、子どもの学習支援ではなくて、子ども・若者の学習支援ぐらいにしていただいてもいいのかなあと思うのです。結局、高校入学を今は目指しているのですけれども、内閣府のほうでも、高校卒業を見届けることは高校卒業率を見ていくことが大事ではないかと言っているように、最終的な目標が自立になったときには、やはり義務教育終わった後の低所得の子どもたち、不安定なところをどうしていくかというのは非常に重要な問題だと思いますので、「高校進学のみでなく、高校卒業やその後の自立までを見届けるような支援をしていく」とか、そのようなことを入れていただければと思います。
先日も沖縄の方とお話ししたのですけれども、若年シングルマザーが沖縄では非常に多くて、高校中退をして妊娠をして出産した後で、本当にもう自立の道がなくて、夜の仕事を一時だけして、本当に30代半ばぐらいからは激貧困になっていくみたいな道しかないのだというようなところで、お母さんたちに何の資格が一番欲しいのと聞くと、やはり高卒が欲しいということをおっしゃっているのですけれども、高卒認定の勉強をしてもらおうと思っても、なかなかそれが、いろいろ相談しているのですけれども、子どもの学習支援という枠だとちょっとお母さんは入りづらいよねみたいなことになっていくので、その若年という捉え方で学力が学び切れてない方たちをどう支えていくかというところにしていくと、本当に貧困の連鎖をとめることにつながるのかなあと思います。
生活保護世帯の子どもの大学進学について皆さんからすごい応援をいただいているように、本当にそのとおりだと思うので、世帯分離という仕組みを検討していくということは少なくとも入れていただいたほうがいいのかなとは思っております。
また、最後になりますが、6番目の事業の委託のあり方についてということで、子どもの居場所とか学習支援をやっていても、非常にいい関係ができたところで、これがまた、委託の中で業者変えということになって、事業をしっかり見ていただいた上でだったらいいですけれども、なかなかそうでない今のプロポーザル評価の仕組みの中では、本当に一番被害をこうむるのは子どもたちかなあと思っていて、あしたから違う人が来るからねと言って来られるのかというところでは、実はその評価のところで、本当にすごく大きな損をしているかもしれないということも含めて、この事業に向いている業務委託の選定の仕方みたいなことはどうなのかというのはやはり御指導というか、指針を示していただいたほうがいいかと思います。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。子どもの定義といいますか、若いシングルマザーなども含めてというところですけれども、これは渡辺委員としては、23ページの囲みのところか、あるいは●を1つ加えてという、そんな方法もあるでしょうか。
○渡辺委員 そうですね。この四角の中に●を1つ加えていただいて、要は、高校生世代みたいな言い方を私は最近はしているのですけれども、中学を卒業してから20代後半、20代中盤ぐらいまでですかね。結局、例えば高校を中退した15歳が、サポステがあるから、サポステに行って対処してもらいましょうといっても、要は、39歳とかの人と一緒に就労訓練をするといっても、どうしてもやり切れないので、行けないのですね。そうすると行き場がなくなって、結局、バイトをちょっとするけれども、やはりだめでみたいなことで引きこもってしまって、結局そこで10年とか15年とかブランクができてしまうのですね。15とか16とかで中退した後で社会から孤立してしまって、でも、30代とかになってから、やはりこれじゃだめだと思うのですけれども、その15年とかの社会からの孤立の間に非常に大きなダメージがあって、それですごく自立が難しくなるので、本当に生活困窮の自立ということを考えるのであれば、なるべく切れ目なく早い段階でキャッチをして支援していくことが大切なので、今はそういう意味ではすごく若者のところが抜けているなというのは現場として感じているところです。
○宮本部会長 ありがとうございました。
岡部委員、お願いいたします。
○岡部委員 3点です。
1点目は、皆さんからいろいろ御意見が出ている25ページの「信頼による支え合い」ということです。竹田委員、朝比奈委員からも出ておりましたけれども、これは内容的に言うと制度に対する信頼性の確保に関しての項目がこの中に入っております。この5のところは、視点のところにも入ってきますが、ここはやはり私としては内容に合致したものにしていただきたい。
○宮本部会長 内容に合致した形というのは。
○岡部委員 「信頼による支え合い」ということです。ちょっと長くなって申しわけないのですが、信頼ができるということは、竹田委員もおっしゃっていたかと思いますが、ありのままの状態を受け入れ、共感性を持ち関わる姿勢・態度を通じて信頼関係を形成・確立し、その上で支援が始まります。これは制度と支援の関係が混在し、ソーシャルワークの関係が後で出てきます内容と合致していません。そのため最初の文面と「信頼による支え合い」というのをどのレベルで言っているか、もう少し検討が必要と考えます。
後段の内容では制度に対する信頼性の確保として、生活保護の適正実施、ジェネリック、返還金、居住地特例等にかかわってくることなので、後段の内容に合致させるのか、あるいは視点に合致させて内容に変えていくかの、どちらかにしないといけないのではないか。
2点目は無料低額宿泊所・宿泊所の関係です。制度に対する信頼性の確保からすると、貧困ビジネスに当たる業者に公的なお金を出すことは反対である。規制をかけていただきたい。これは川崎市からお話が出ましたが、許認可制、あるいは事前の届出制、そして基準を設けた上で仕分け(選別)をしていく。これは建物、居住部分等ハードの部分と支援に関わるソフトの部分、両面から行っていただきたい。規制と促進を無料低額宿泊所・宿泊所で具体化する方策をぜひ講じていただきたい。促進については対人サービスコストを検討できる仕組みがあると助かる。
3点目は、そのことに関連して保護施設についてです。保護施設は宿所提供施設から救護施設まで、住宅扶助を提供するという施設から心身に障害のある方の支援をする施設まで幅広くあります。そのため無料定額宿泊所等を視野に入れて施設の体系を検討していただきたい。将来的には住の提供と支援の提供のあり方を組み合わせて検討していただきたい。
追加として、これは先ほどお話ししたことで、福祉は人が人を支えるということでもあり、職員の体制の整備というのが大事になってきます。自立相談支援事業の断らない支援をしたときに、どれだけ受けられる体制がつくれるのか。生活困窮者の設定を緩やかにし、広く受入れることは大事ですが、もう一方で、その支え手も、支えるだけの体制をつくっていただかないと、入り口は広げた、出口も考えたと。しかし、そこの受け手のところはやはり職員の配置の問題。専門性を担保した質の担保と量的な充足という両面から考えていただきたい。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。
これも何度もリピートになりますけれども、皆さんの御意見が集中している5の「信頼による支え合い」のところですが、要するに、(1)の前の入り方の問題でもあるわけですね。恐らく、この自立支援制度というのは支えられる側と目されている人たちも支援を受けて頑張る。その中には健康増進ということに対する支援も含まれる。そんなお互いの頑張りを見て地域で信頼が育まれていく、信頼が醸成されていくということが恐らく制度の趣旨だと思うのですけれども、ここがいきなり不正受給金額が何億だという話から入っていって、信頼が裏切られているという話から入っているところが若干違和感あるのかなあと。皆様の御意見を少し集約すると、そんなことになるのかなあと承りました。
浦野委員、よろしいでしょうか。
○浦野委員 特にどこということでないのですけれども、社会福祉法人の役割についてきちんと表記していただいたので、特にそこについては文句を言う必要はないなと思っております。
あえて言うと、これは以前にも申し上げましたけれども、社会福祉施設もやはりずっと縦割りで来たわけです。その縦割りで来たがためにやれないことがいっぱいあったと思います。そういう意味では、今回、「社会福祉法人として」という表現にはなっているのですけれども、社会福祉施設として共通的にこの生活困窮者の支援というのに分相応に取り組むという考え方を持ったほうがいいのだろうなと思っております。ただ、この文中ではそれなりに表現していただいているとは思っております。
○宮本部会長 ありがとうございました。
最後になるかと思いますが、駒村委員、お願いいたします。
○駒村部会長代理 ありがとうございます。3つほどあります。
1つは、29ページの委託の記述のところですけれども、多くの委員からお話ありましたように、安かろう悪かろうでは困るということでございますので、表面的な説明では対応できないようなきちんとした委託事業者にお願いしたいと。例えばスタッフの経験年数とか、研修とか、定着率とか、こういったものを一つの指数としていただいて評価していただきたいと思います。
2つ目ですけれども、25ページですが、以前も申し上げたのですけれども、「真に必要な」とか、「真」という言葉が随分、まだ3つも残っているのですけれども、これは「真」という言葉を入れるか入れないかによって何か意味が変わってくるのか。医療サービスは当然医師が判断していますから、当然必要なサービスなわけですけれども、「真に」を入れるか入れないかで文意なり報告書の意味が変わってくるのか、ちょっとそこは確認したいなと思っておりますが、いずれにしても、「真」という限定的な言葉が真に必要かどうか検討いただきたいと思います。済みません。
それから、3つ目ですけれども、15ページ、ちょっと言いそびれたところですけれども、生活習慣病に関する記述があって、それに対する対応が、医療データに関する、健診データに関する記述に集中していますが、生活習慣病をもたらす要因としては、食事の習慣、禁煙、飲酒、運動、休養、あと健康リテラシーかと、このように思います。
このうち、本部会ではないのですけれども、生活扶助基準の議論にもかかわるところですけれども、所得と支出の関係にかかわるのが食事と禁煙と飲酒ということになります。扶助でお金を保障した上で、どう使うかというのは本人にある程度委ねている部分でありまして、そこは、こうしなければいけないというバウチャーでもないわけですが、一方で、扶助の基準というのはそれほど悠々と使えるほどの余裕があるわけでもないわけですね。生活保護を受給している世帯に、きちんとした健康習慣で規則正しい食事がとれるような、十分な栄養がとれるようなアドバイスが必要だと思います。
扶助の基準にもかかわる話と申し上げましたけれども、家計がどの程度の家事能力を持っているのかというのは、これは生活保護の研究の中でも従来から議論があったところでありまして、原材料から安いものを買ってきてすばらしい栄養素のあるものをとるようなスーパー家事能力のある人を想定しているわけでは多分ないと思います。時には会食なども必要だと思いますけれども、平均的な家事能力、今の時代の食生活、それから加齢による家事能力の変化などを考慮しても、必要な栄養がとれるようなアドバイスとともに生活扶助水準を保障しなければいけないと思っています。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。
○岡崎委員 部会長、1点だけいいですか。
○宮本部会長 はい。では、手早くお願いいたします。
○岡崎委員 済みません。25ページの「信頼による支え合い」のところの、いきなり不正受給から始まっているので、この書きぶりはよくないと思いますが、不正受給の、ここ、170億という一くくりになっていますけれども、多分、現場サイドとしては、例えば生活保護世帯の高校生がアルバイトした場合に、収入申告の必要性とかわかってなくて、1年ぐらいバイトしていて翌年発見されたりとか、いわゆる法律用語で不知、知らなかったというケースもあると思う。全部一くくりで170億ではなくて、制度を知らなかったとかいうのもあると思うので、この辺ももう少し丁寧に書いたほうがいいのではないかと思います。
○宮本部会長 ありがとうございました。先ほど私からも申し上げましたけれども、(1)の前のところは、これは少しこの部会の議論の方向性を反映させるような形で修文いただければと思います。
それでは、時間も参りましたので、本日の議論はここまでとさせていただいて、事務局から次回日程についての連絡をお願いいたします。
○竹垣課長 次回は、12月11日(月曜日)の17時からを予定しております。場所は追ってお知らせいたします。
以上でございます。
○宮本部会長 それでは、この部会、ここまでとさせていただきます。きょうも御多忙の中御参集いただき、どうもありがとうございました。
<委員名の漢字表記について>
岡崎委員の「おかざき」の「さき」のつくりの上部は、一部ブラウザ上で正しく表示されないために、便宜上「崎」の字で表示しています。正しくは「大」ではなく「立」ですので、あしからずご了承ください。
ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(生活困窮者自立支援及び生活保護部会)> 第10回社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」議事録(2017年11月16日)