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2017年10月19日 第63回先進医療技術審査部会

(了)


第63回先進医療技術審査部会

(1) 日時:平成29年10月19日(木)16:00~18:10

(2) 場所:中央合同庁舎第5号館 専用第21会議室(17階)

(3)出席者:
山口座長、石川構成員、伊藤構成員、上村構成員、
真田構成員、柴田構成員、関原構成員、大門構成員、
田代構成員、手良向構成員、藤原構成員、松山構成員、
斎藤技術専門委員、小原医師(有識者)

  (事務局)
医政局研究開発振興課 課長
医政局研究開発振興課 治験推進室長
医政局研究開発振興課 先進医療専門官
医政局研究開発振興課 先進医療係長
保険局医療課 企画官
保険局医療課 専門官
保険局医療課 課長補佐

議 題
1.継続審議の評価を受けた技術の再評価結果について
2.総括報告書の評価について
3.先進医療の継続の可否について
4.試験実施計画の変更について
5.先進医療におけるがんゲノム医療技術の取扱い等に係る検討について
6.協力医療機関の追加について
7.先進医療の取下げについて
8.先進医療会議の審査結果等について
9.その他

議事録
○山口座長 第63回先進医療技術審査部会を開催いたします。足下の悪いところ、また御多忙のところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。本日は一色構成員、掛江構成員、田島構成員、山中構成員、山本構成員より、御欠席の連絡を頂いております。本日は17名の構成員のうち12名の構成員の先生にお集まりいただいていることから、本会議が成立していることを申し添えます。まず、配布資料と本日の審議案件の確認を事務局からお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 傍聴者の方の撮影はここまでとさせていただきますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。
 配布資料の確認をいたします。議事次第、座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿と続きます。次に、「継続審議の評価を受けた技術の再評価結果について」、は資料1-1~資料1-5、「総括報告書の評価について」は資料2-1~資料2-6、「先進医療Bの継続の可否に係る審議結果の報告について」は資料3-1と資料3-2、「試験実施計画の変更について」は資料4-1と資料4-2、「がん遺伝子パネル検査の試験を行う医療機関の要件および同意説明文書の検討について(案)」は資料5、「協力医療機関の追加について」は資料6-1と資料6-2、「協力医療機関の取下げについて」は資料7、「先進医療として実施されている技術の保険導入等に係る検討方法等について(報告事項)」は資料8、会議資料の最終ページは200ページです。また、構成員の先生方のお手元には両面印刷の1枚紙の資料「先進医療Bにおける試験実施計画変更の遅延について」があります。また、傍聴の皆様にも配布させていただいている資料1-2の差し替えがあります。これらの資料については、会議終了後に厚生労働省ホームページにて閲覧可能となることを申し添えさせていただきます。本日の資料は以上です。乱丁、落丁等がありましたら、事務局までお知らせください。
 続いて利益相反の確認です。今回、いずれの先生からも利益相反の御報告はありませんでした。事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がありましたら、この場で御報告をお願いいたします。該当なしということで承知いたしました。
 また、今回もダブレットを使用します。届出書類等については、タブレットより閲覧をお願いいたします。なお、会議資料とダブレットの内容は異なっていますので、発言者は会議資料の何ページ、又はタブレット資料の何番の何ページとあらかじめ御発言を頂けますと議事の進行上助かりますので、よろしくお願いいたします。以上です。
○山口座長 議事に入ります。継続審議の評価を受けた技術の再評価結果についてです。事務局から御説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料1-1、15ページを御覧ください。再度御評価いただく技術は、整理番号68の腎摘出術による病気腎(小経腎腫瘍)を用いた修復腎移植術です。申請医療機関は東京西徳洲会病院です。審査担当構成員は、主担当が藤原構成員、副担当は田島構成員、柴田構成員、技術専門委員として斎藤委員、有識者として小原委員となっています。
 資料1-5、75ページを御覧ください。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について事務局より御説明いたします。まず、実施責任医師の要件は、移植実施機関については、診療科は泌尿器科、移植外科、又は腎臓専門診療科が必要です。また、腎摘実施機関については、泌尿器科又は腎臓専門診療科が必要です。また、資格は、移植実施機関は泌尿器科医、移植外科医、又は腎臓専門医となっており、腎摘実施機関は泌尿器科医又は腎臓専門医となっています。この項目ですが、当方で「泌尿器科専門医、移植外科専門医、腎臓専門医ということですか」と照会したのですが、そうではなく「専門医ではない」とお答えがありましたので、現時点では専門医としての要件は不要ということになります。差し替えが間に合いませんで申し訳ございません。現時点では不要となっているということを踏まえまして、資格の必要性について御意見を頂ければと思います。
 次の項目にいきます。当該診療科の経験年数は両機関とも10年以上が必要です。当該技術の経験年数は、移植実施機関は腎移植術の経験が5年以上、腎摘実施機関は腎摘術の経験が5年以上必要です。また、当該技術の経験症例数は、移植実施機関は腎移植の経験が10例以上必要、腎摘実施機関は腎摘術の経験が5例以上必要です。
 続いて、医療機関の要件です。診療科の要件については、移植実施機関は泌尿器科、移植外科又は腎臓専門診療科が必要です。腎摘実施機関は、泌尿器科又は腎臓専門診療科が必要です。実施診療科の医師数については、移植実施機関は日本臨床腎移植学会の認定医又は腎移植の実施者としての経験10例以上の実績を有する医師が2名以上(非常勤も可)必要です。腎摘実施機関は、泌尿器科又は腎臓専門診療科の医師が2名以上(術者1名、助手1名)(非常勤も可)が必要です。他診療科の医師数は両者ともに、内科、外科、麻酔科など、3名以上が必要で非常勤も可です。また、その他医療従事者の配置は、両機関とも臨床工学技士、臨床検査技師が必要です。
 病床数は、両機関とも100床以上が必要で、看護配置は10対1看護以上が必要です。当直体制は、移植実施機関は外科系医師又は内科系医師が1名以上、腎摘実施機関は当直医師1名以上が必要です。緊急手術の実施体制は、両方とも必要です。院内検査の24時間実施体制も必要です。他の医療機関との連携体制は要件にありません。
 また、医療機器の保守管理体制は必要、倫理審査委員会による審査体制も要件にあり、月1回程度の開催が条件となっています。医療安全管理委員会の設置も必要です。医療機関としての当該技術の実施症例数は、移植実施機関は腎移植10症例以上かつ外科系手術年間80症例以上が必要です。腎摘実施機関は、外科系手術年間80症例以上が必要です。その他の要件はありません。以上です。
○山口座長 これらの要件について、御意見はありますか。腎摘の手術と移植実施施設と2つに分けて併記してありますが、特にございませんか。
○小原医師(有識者) この1の実施責任医師の要件、資格の部分についてです。先ほどの文言ですと、泌尿器科医であればいい、あるいは移植外科医であればいいとも捉えられると思います。そうすると、非常に若い先生が移植あるいは腎摘に関わってくる可能性があります。技術的には高難度な手術と考えられますので、文言を合わせるとしたら、「泌尿器科専門医」、移植の場合は「移植認定医」という文言になります。さらに「腎臓専門医」が妥当だと思いますが、いかがでしょうか。
○山口座長 ただいまの小原先生の御意見に対して、何かございますか。より厳密にしたほうがいいということで、技術度がそもそも高いのに、これだと技術的に不十分な先生も混じってしまうという御指摘だと思います。妥当な意見かと思いますが、いかがでしょうか。これは腎摘のほうも泌尿器科医は「泌尿器科専門医」という形でしょうか。
○小原医師 おっしゃるとおりで、腎がんの手術を想定されておりますので、専門の知識および技術が必要であると考えます。
○山口座長 分かりました。それでは、診療科の所は、「泌尿器科」ではなくて「泌尿器科専門医」、「移植外科」のほうも「移植外科専門医」という資格にするということでよろしいでしょうか。
○医政局研究開発振興課専門官 そのように訂正いただくよう、申請医療機関に依頼いたします。

○山口座長 ほかにございませんか。では、今、申し上げましたことを変更するということで、様式等9号についてはお認めすることといたします。
 次に、主担当の藤原構成員より、お手元の差し替え版で、概要の説明と実施体制の評価についての御説明をお願いいたします。
○藤原構成員 資料1-2差し替え版を御覧ください。私は実施体制の評価、斎藤先生に2つ目の実施体制の評価、小原先生にも実施体制の評価をしていただき、倫理的観点からは田島先生、プロトコール等の評価は柴田先生にお願いしていますので、まず斎藤先生、小原先生、田島先生、柴田先生の御意見をお伺いした上で、私の総合評価にしたいと思います。
 私の実施体制の評価です。ほかの委員も御指摘されていますが、プロトコールにも書いてあるのですが、この試験は徳洲会グループが力を入れてやっているのですが、徳洲会グループのプロトコールの特に研究の倫理審査というのは、グループ全体の共同倫理審査委員会でやることになっているのですが、今回のプロトコールを見ると、一部は参加施設の研究倫理審査委員会にも参画するようなプロトコールの立て付けになっています。
 その中で、今朝、宇和島徳洲会病院のホームページにいって、研究倫理審査委員会のサイトがあるか、研究のアクティビティはどうかを確認したのですが、何も記載がなく把握しようがないと思いました。そこで、研究倫理審査委員会は、現在、医学系研究倫理指針に基づいて、AMEDに全国の倫理審査委員会の登録をするサイトがあるので、そちらにいって、もう一度確認してみました。そこで見たところによると、徳洲会の宇和島徳洲会病院以外の傘下の病院は委員の名簿、設置要綱などに加えて、審査実態が分かるような議事要旨もきちんとアップされていましたが、残念ながら宇和島徳洲会については委員名簿と委員会の設置規程はきちんと書いてあるのですが、議事要旨が全然出ていないので、どうしたことなのかと思っています。
 設置規程を今朝読んだのですが、随時開催になっていますので、もしかしたら倫理審査委員会は最近ずっと開かれていないのではないかという懸念もありますので、そういうところでこの研究が進んで、途中でプロトコールの内容、患者のエントリー、ドナー、レシピエントの選択のところで迷ったときに、研究倫理審査委員会がリアルタイムに開催され、チェックできるかどうかというのに懸念を持っている、これが不適にしている理由です。引き続いて、斎藤先生、小原先生からお願いいたします。
○斎藤技術専門委員 技術専門委員の斎藤です。ここに書いてあるように、全て適としましたが、あくまでも条件付き適ということで、コメント欄を御覧ください。症例登録の判断をする際の修復腎移植検討委員会に、当該技術の関係学会が推薦する泌尿器科専門医である外部委員が参加している必要があるという考えです。内部の審査については、藤原先生から指摘されたように、実態がなかなか動いていないというところで、ドナーとなる腎がんの患者の利益を守るためにも、特に反対されている学会の先生方に参加していただき、日本の標準医療としての判断をしていただく、あくまでも身内だけではやらないということを条件にしたいと思います。
 もう1つです。試験開始後、10症例程度は1例ごとにしっかりと監査すべきであるということです。先ほどの案件でも「必要なし」と書いてありましたが、最初の10症例はきちんとした管理の下に行われることが必要かと思います。
 修正を経た最終版のドナー組入基準では、患者が集まることは比較的困難だろうという印象を私は持っています。今、da Vinciの腎部分切除が日本で保険適用され、年間に1,000例以上が行われていますので、この先進医療に回ってくる患者が限りなく少ないという認識を持っています。今の標準的な医療では、かなり大きな腎がんも取れますので、腎摘をして外で修復するという必要は感じません。要するに、患者の体の中で十分に安全性を持って取りきれるというのが標準的な医療と考えていますので、百歩譲ると数例あるのかもしれませんが、そういう情報をドナーとなる腎がんの患者に与えることが一番大事だと思いますので、その症例の選択においては外部委員、しかもしっかりとした、この技術に対して反対声明を表明しているような学会の先生方に入っていただいて、この症例はやってもいいという御墨付きでやらざるを得ない技術だという意見です。ですので、条件付きの適という返事です。以上です。
○山口座長 続いて、有識者の小原委員より、実施体制の評価についての御説明をお願いいたします。
○小原医師 私は実施責任医師等の体制は適、実施医療機関の体制は不適、医療技術の有用性等は適としました。今、斎藤先生からほとんどのお話があったのですが、申請内容では、小経腎がん、7cm以下という腫瘍を対象にしていますが、標準治療であるロボット支援腎部分切除術の適応と重なっています。すなわち本技術の適応となるような症例はほとんどないのではと思われました。
 技術的にも問題はありますが、検証が十分に行われたうえで評価が実施されることで、技術の部分では適にしました。ただし、これまでに藤原先生、斎藤先生がおっしゃっているとおり、倫理の面で、ドナーとレシピエントの関係というのは、通常行われている生体腎移植あるいは献腎移植とは全く異なりますので、公平性と公正性を担保するためには、症例登録の際には全くこの体制には関わらない外部機関で、学会が認めるような専門医あるいは認定医、指導医といった方々の判断を1例ずつ仰ぐ必要があるのではないかと考え、実施医療機関等の体制に関しては不適とさせていただきました。以上です。
○山口座長 続いて、本日御欠席の副担当の田島構成員の倫理的観点からの評価について、事務局より御説明をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 田島先生の御評価について説明いたします。同意に係る手続、同意文書、補償内容について、いずれも適ということです。
 コメントは、「3通の説明文書について、事前の指摘事項に対し概ね所要の修正がなされ、問題点が解消したと目されるので、適と評価した。補償については保険加入により対応されているので適とした。患者相談の対応は整備されている」ということです。以上です。
○山口座長 続いて、柴田構成員より試験実施計画書等の評価について御説明をお願いいたします。
○柴田構成員 評価表の3ページ目を御覧ください。いずれの項目も適と判断しました。資料1-3に、2017年7月14日に提出された回答書以降、本日に至るまでの回答のやり取りがとじられています。2017年7月14日付けの照会事項回答を踏まえても、提出された計画は本技術を評価するために適切に定められたものとは言えず、不適との前回の判断を適と変更することは困難でした。しかしながら、その後の照会-回答を経て、実施計画書等の評価の観点からは大きな問題は解決したと判断し、いずれの項目も適といたしました。項目数が多いので、全てについてここで御説明することはできませんが、幾つか主立ったところについて御説明いたします。
 資料1-3の69ページを御覧ください。今回の先進医療を実施するに当たって、それを正当化するための根拠として挙げられている先行研究のデータのまとめ方についての項目です。これは田島先生からの御指摘のあった同意説明文書の中での記載の在り方についての話です。下のほうを見ていただくと、術後1年の腎移植の生着率は91.6%で、12名の患者の中で11名が腎生着であるという数字です。また、5年を経過している患者の腎生着率は77.8%、術後5年経過した9名の患者のうち7名の方が生着であるということです。この説明は、これから移植を受けようとされる術前の方に対する説明ですので、分母が12名であったり9名である数字を出すのは、説明のためのデータの要約の仕方として不適切です。
 具体的には、テクニカルな話は省略しますが、分かりやすく書くと70ページのような形になります。先行研究では全部で13名の方が参加していますが、1名は術後肺炎で亡くなっています。もう1名は術後1年以内に腎機能廃絶になっています。2名は術後1年以降5年未満で、腎機能廃絶になっています。2名は、術後1年以降、転帰が確認されていないという形で、結局13名のうち、術後5年時点で腎生着が確実に確認されているのは13名中7名であるということです。ここであえて数字は出していませんが、77.8%という数字と13名中7名という数字が、いかに印象の違うものであるかというのは御理解いただけると思います。
 このように、統計学的にデータをまとめる際に、データをまとめた結果の使い方が不適切であると患者に対して間違った印象を与えることになるので、そこはしっかりとあるがままの情報を提供した上で、同意を取っていただく必要があると思います。
 2点目です。先ほど、2名の方が転帰不明であるという回答がありましたが、それについて66ページの回答の2段落目を御覧ください。本件は、平成24年(2012年)8月の第67回先進医療専門家会議においても評価されており、そこでいろいろと厳しい御指摘があったという経緯をたどったものですが、その場でも専門家の先生から、「長期的な評価が必要な試験であるので、1年以降の長期間のフォローアップもできるように変更すべき」との指摘がなされていました。臨床試験の方法論の観点からも、既に参加された患者に再同意を取っていただくなどして、より長い期間の追跡を試みることもあり得ると思います。その再同意の段階で、患者が拒否されるということはあり得ると思いますが、実際にはそのような対応はされていなかったという残念な結果で、先ほど13名中7名の生着が確認されているということを申し上げましたが、もう2名、もしかしたら13例中9名まで生着がなされているのかもしれませんが、その後の経過が5年間はフォローできていないので、現時点で確実なのは13名中7名にとどまるということです。
 このように、この試験の計画に当たっても、あるいは先行研究の計画の変更等に当たっても、第三者の目で指摘されたことに対して、十分な対応がなされないまま先行研究が続けられた、あるいは今回の申請の研究が計画され、研究倫理委員会で承認された上で申請されているというのは、残念に思うところがあります。きちんと研究倫理審査委員会で、前回の先進医療専門家会議の際に指摘されたようなことをクリアして申請がなされていれば、この審査の期間はもう少し短くなったのではないかと考える次第です。
 3点目です。先ほどお話したように、実際にいろいろな所に引用されている生着率の成績というのは過大評価である可能性があるので、実際にはこれを始めた結果、期待したとおりの成績が出ない可能性もあります。42例を予定登録数としていますが、その42例を登録して5年間追跡した後に結果が出るということでは、万が一成績が芳しくなかった場合に患者に不利益を与えることになりますので、途中で問題があると分かったときには早期に無効中止をしていただくような基準を設けていただくことにしました。先方の検討の結果、21例中4例の非生着例が確認された場合には、そのまま有効だと結論が出る可能性がないので、その段階で試験を中止するということが計画に盛り込まれています。21例中4例という条件は、21例に至る前の段階で4例の非生着例が確認できたときには、もうそこで止めるべきという条件に相当しますので、テクニカルな部分の記載も整備していただいています。今の点が、照会事項のつづりの55ページの行です。
 最後の指摘ですが、32ページを御覧ください。実は先行研究の要約の段階で、どのような条件の患者を解析対象から外されているのかについていろいろお伺いしました。先ほどの13例については分母をきちんと特定できる形で御回答は頂いているのですが、そのような形で、転帰が不明なものを分母から除くであるとか、入れるのか入れないのかという点が曖昧なまま報告がなされている点がありましたので、そういうところはしっかりと確認できるような形で記載の整備をしていただいています。先ほどの91%、77%という数字自体が悪いとは申しませんが、そのような数字を誤解されるような形で使うことは避けていただくべきと考えますので、このような点は丁寧に指摘しました。
 そのほか、臨床試験の方法論の観点から非生着、生着というイベントの判定基準、そのようなもの、CRF(Case Report Form)の記載事項等についても修正していただくように改訂を求め、それらについては基本的には7月以降にしっかりと対応していただきましたので、現時点では臨床試験の方法論の観点からは適だと考えています。以上です。
○山口座長 主担当の藤原構成員より、事前のまとめと総合評価について御説明をお願いいたします。
○藤原構成員 資料1-2の一番最後のページの総評を御覧ください。今までにいろいろな先生方の御意見を頂いても、条件付き適というのが、この申請の評価には適切だと考えています。
 どのような条件が付けているかですが、まず読み上げますと、この試験期間は9年となっていますので、「長期間にわたることが予測される臨床試験であり、過去のずさんな研究運用の反省も踏まえ」と。このずさんな研究運用というのは先ほど柴田委員もおっしゃっていましたが、本申請が最初に上がったのは2012年8月23日です。それから4年後の2016年8月25日、この先進医療技術審査部会に2回目が掛かりました。その間のプロトコールの変化はなく、8月25日に私も述べたのですが、前の先進医療の専門家会議で指摘された事項はほとんど何も反映されず、そのまま4年後の8月25日の審査に掛かりました。この4年間は何をされていたのかはよく理解できないのですが、それを私ども今回の審査を担当した委員が丁寧に変更をお願いして、今日に至っており、さらにその中間では、今年の3月16日にも審議をしておりますが、その段階でもいろいろなコメントが残っており、さらにこの10月、半年掛けていろいろなところの修正をお願いして今日に至ったということで、こういう記載にいたしました。
 条件に戻りますが、徳洲会グループの共同倫理審査委員会、傘下医療機関の施設倫理審査委員会の各々が、その構成と運営をしっかりとしていただきたい。これは何度も皆さん方がおっしゃっているように、腎部分摘除がかなり日本的、あるいは世界的に標準治療として普及している中でこの試験を行っていただくので、第三者的にその研究の進捗を管理するという研究倫理審査委員会の役割は非常に大きいと思います。したがって、こういう条件を1つ付けました。
 それから、レシピエント判定委員会、修復腎移植検討委員会というのが、レシピエントやドナーのところで非常に大事な役割を示すので、その方々にも第三者性に十分配慮していただいた運営をしていただければ、この試験は適切に進むのではないか。
 一番大事なのは先ほど柴田委員がおっしゃっていた、4例の無効例が出たときに迅速に止めていただくことです。これをきちんと研究倫理審査委員会がフォローしておかないと、誰も止めずに5例目の無効例が出現したという事態は、倫理的には許されないのでそこの注意もお願いしたいと考えます。以上です。
○山口座長 御討議をお願いいたします。
○真田構成員 ただいま御発表いただいた条件を鑑みますと、これを議論する委員会の第三者性、公正性、公平性というのが1つの大きなポイントであるというのは、首尾一貫して変わっていないと思います。そこで斎藤先生あるいは小原先生からもほぼ同じ御指摘を頂いているのかと思いますが、当該技術の関係学会が推薦する泌尿器科専門医の外部委員が参加することで、修復腎移植検討委員会の公平性、公正性を担保してくださいということを御指摘いただいていると思います。
 ただ、私が懸念しているのは、今までこの技術が長くいろいろと議論になった背景の1つとして、本案件にはいろいろな学会が関係されていると思うのですが、それらの間の議論の調整というか意見の集約に時間が掛かっていて、そこをクリアするのに大変な紆余曲折があったと認識しています。今回、関係学会に仮に御推薦いただくという場合に、その選定過程にも紆余曲折が想定されるとは思うのですが、そこにすごく労力や時間が掛かるようなことがあると、ほかのところはかなり詰めていただいていても、時間的に進みにくいのではないかと予測されます。そこについては関係学会の調整などについて、あるいはそのほかフレキシブルな意見がもしかしたらあるかもしれませんが、どのような御見解かというのをお聞かせいただければと思います。
○山口座長 小原先生への御質問ですか。
○真田構成員 はい。
○山口座長 これは大事なところで、「関係学会」ということだと分からなくなるので、ある程度具体的に言わないと難しいのではないかと思うのですが、いかがですか。
○小原医師 先生が御指摘された関連学会とは、泌尿器科学会、日本移植学会、日本腎臓学会、透析学会、日本臨床腎移植学会の5つの学会であり、話が平行線になっていると認識しております。
 今回、この技術が適用になったとしても、関連学会の先生方がどう考えるかというのは私も何とも言えませんが、先生がおっしゃるように、ずっと反対の方向で進んだ場合には、この技術自体が第三者の外部評価が難しい部分はあるかと思います。しかし、申請内容を見ると、徳洲会グループ内でのみ実施していると思われますので、こういった指摘をさせていただいた次第です。
 4年前に比べて変わった部分はあるかとは思うのですが、やはり第三者性の担保という部分、すなわち公平性、公正性の部分で、まだ不足しているのではないかと考えております。
○山口座長 反対している学会ということではなくて、公正な判断ができる学会という解釈でよろしいでしょうか。反対しているから入れるのだというのではなくて。
○小原医師 そうです。
○山口座長 そういう意味では、今言われたような5つの学会の中から選ぶのが適当ではないかということですよね。
○小原医師 はい。
○山口座長 あるいは、その5つの学会で協議してもらって出してもらうという考え方はどうでしょうか。
○斎藤技術専門委員 正にそういうことで、5学会から5名出すというのではなくて、そこで検討していただいて、代表の委員を1人なり2人なり出していただくということで、公平性を担保することが大事かと思います。
○山口座長 そういう条件を付けてはいかがかということですが、真田先生はどうでしょうか。
○真田構成員 そこをスムーズに御指名を頂いて、それに皆さんが納得される、あるいは公正な判断が進むということであれば、私はそれでいいのかなと思います。
○医政局研究開発振興課長 もちろん推薦いただければと思うのですが、それが結構大変な立場になる先生になる可能性があるので、決まらないような状況がずっと続くというのは、我々も困るというところもあるので、その場合はまた先生方に御相談して指名していただくとか、どなたか委員を派遣するとか、そういう次の手を考えた上で、外部性を担保して進めるというようなことでいかがでしょうか。まずは推薦をお待ちしますが、それがなかなか難しいようであればこの会で決めて、外部性を担保した形で進めていただくというような。
○山口座長 確かに5つの学会のコンセンサスを得るというのは結構大変なプロセスです。例えば外科系の学会であったら外科学会でいいと思うのです。細かな技術的なことで、こういう倫理的な問題などは監視だと思うので、例えば移植学会から適切な人を推薦してもらうというような形にしたほうが実際的だし、ここまで遅れたのですから迅速にやろうと思ったら、そういう形態を取るのが合理的かと思いますがいかがでしょうか。ということは、こちらである程度依頼して決めるという形でよろしいということですか。
○医政局研究開発振興課長 依頼した上でと。ただ、なかなか進まないようであれば、こちらで検討させていただくということにさせていただければ有り難いです。
○山口座長 非常に重要なポイントだと思うのです。技術的なことは委員の皆様に御苦労いただいて、かなりよろしくないものをきれいにしたので、是非少しでも恩恵を受ける人がいたらいいと思うのですが、そういう倫理的な問題はどうしても手を抜くことはできないということで、これはもめた原因でもあるので、そこはかっちりとしたやり方でいいと思うのですが、いかがでしょうか。藤原先生いかがですか。
○藤原構成員 プロトコールを見ますと、その辺のドナーやレシピエントの考え方を徳洲会傘下の医療機関の研究倫理審査委員会に掛けるという記載もあるので、スムーズに進むのであれば施設の倫理審査委員会ではなくて、徳洲会グループの共同審査委員会のような所で一括して全部審査をしてあげて、進捗も管理するというのであればハンドリングもしやすいし、スムーズに進むということもあると思うのですが、そこは事務局としてはどうですか。
○医政局研究開発振興課専門官 徳洲会グループの倫理委員会に関しては、先ほど藤原先生の今朝の御指摘に対して、メールベースで回答を頂きました。今朝の段階では宇和島徳洲会は独自の倫理委員会でということでしたが、指摘があれば徳洲会グループの共同倫理審査委員会で審査するように対応することは可能だということでした。きちんとした形で報告いただく必要はあるとは思いますが、メールベースではそのような返答を頂いていることを御報告いたします。
○山口座長 今の倫理審査委員会のことについては、そこはきちんと確認した上で、藤原先生の御指摘に従ったやり方でやるようにという訂正でよろしいでしょうか。
 先ほどの学会からの推薦というのは、修復腎移植検討委員会の委員の話ですよね。
○医政局研究開発振興課専門官 はい。
○山口座長 では、1つ目と2つ目の問題は、これで解決したと思うのですが。
○田代構成員 今の点、大きな方向性はそれでよいと理解しているのですが、私も藤原先生からの指摘を受けて、徳洲会グループはセントラルIRBで研究計画の審査をしているので、どうして施設の倫理委員会が出てくるのかと思って研究計画書を見てみました。ここでいう施設の委員会は研究の審査ではなく、臓器移植などの際に出てくる一例一例のドナーの適格性などを施設の中できちんと見ようという、その「倫理委員会」の役割を施設に任せているという形だと思うのです。
 ですので、全体としては、もし施設でやるのであれば緊急開催なども含めて、移植の可否がきちんと判断できるというところで見ていただいて、それを施設ではなくて別の所に持っていくというのであれば、それなりの対応が必要ではないかと思います。実際、今のセントラルIRBのほうは研究計画全体の審査のみで、そういった一例一例の移植の可否などを審査する仕組みは持っていないと思います。少なくとも対応すべき機能をはっきりしていただいたうえで、一例一例の可否を判断する場面は適切な仕組みでやれるようにという趣旨で良いですよね。
○医政局研究開発振興課専門官 そのように承知しております。
○山口座長 解決していないのは、1例ごとにしっかりと監査すべきということで、これをどこがやるかということも含めて、1つの御提案は研究者側のほうで監査したらいいのではないかということですが。あるいはフォーマットを決めて、きちんとした報告書のフォーマットを示して、こちらに出させてしっかりと見るという方法もあると思うのですが、いかがでしょうか。
 1例ごとにしっかりと監査すべきということを明確におっしゃいましたが、斎藤先生、どういう形がよろしいですか。
○斎藤技術専門委員 やはり、厚労省側で一例一例を評価して、それに我々技術委員が関わることはやぶさかではございませんが、やはりドナーの権利が守られているか、日本の標準的医療が行われているかを判断させていただくというのが一番大事だと思います。
○山口座長 ということは、ある程度フォーマットを決めて提出させて、こちらで見るということですね。
○斎藤技術専門委員 そういうことです。
○山口座長 これについて何か御意見はありますか。少し大変かと思いますが、今までの経緯がありますので、そこまでやったほうがいいという御意見です。伊藤先生から何かございますか。
○伊藤構成員 今後こういう技術が出てきたときに、再生医療のiPSの網膜移植のときに一例一例見ていましたが、あれと同じことをするとすると、研究の進捗が大変遅くなるのではないか。特にドナーの手術が遅くなるような状況は避けないといけないと思います。こちらで迅速に判断できるからうちに任せろと言うのかとどうか、厚労省サイドとして責任が取れるのかというのが気になります。特にドナーが遅くなることについての不利益が発生するのは避けないといけないと思います。
○山口座長 これは治療が終わった後の報告ですから、その遅れはないと思います。症例も全例やるわけではなくて、この御提案では最初10例ということですので、これは全例にはならないと思います。10例という症例数も含めて、何か御意見はありますか。5例もやれば十分という御意見もあるかもしれませんが。
○真田構成員 前例がほぼないので、5例とか10例というのを最初から提示するのは難しいと思うのです。ですから、一例一例判断するのであれば、例えば何例か積み重ねたところで、この会議で「これならもういいよね」という話になれば、そこで打ち止めてもいいですし、そこは今から具体的な数を決めるというよりは、一例一例チェックすることから始めて、どの辺でリリースするかは後で決めるということでもいいかもしれないと思いました。
○山口座長 では、何例ぐらいでその目安を立てるかということは、どうしても。
○真田構成員 そこは、この試験に特異的な事情もあるかもしれませんが、先進医療としてお受けする際には、「数例」という言い方をしてお願いしているものがほとんどですので、「数例」というと一般的には3~5例ぐらいを言うのかもしれません。その辺りが集まってきたところで、これでもう少し見るか、あるいはもう充分かを御判断いただくのもいいのではないかと思います。
○山口座長 最初の判断ができるミニマムの数字でどうだろうか、という御提案ですね。
○真田構成員 はい。
○山口座長 3~5例でいいのではないかということかと思います。そこでストップするわけではなくて、もう少し見なさいということであれば続けてやるということですね。では、5例ですかね。5例はきちんと見て、そこで判断するということですね。慎重にやるべきだという意見もありますので、5例ということです。石川先生から何かありますか。
○石川構成員 先生方の熱心な御指摘でこういう技術をやるということで、座長がおっしゃったように、これがクリアできて1人でもいい結果が出れば、それはそれでいいと思いますので、これでいいのではないでしょうか。
○山口座長 では、5例をめどに報告していただいて、そこで判断するということにしたいと思います。
 そのほか、条件を付けなくてはいけないということで、ほかに何かございますかこの中にレシピエント判定委員会というのがあるのですが、主体が何かはっきりしないところがあります。これは本当に要るのかどうかということも含めて、御意見がありましたらお願いいたします。
 事前に、修復腎移植検討委員会は本当の委員会なのですが、そこにいく前に、事務作業的なことを基準にのっとって決めて、それを提案するという形になっています。そのときに、本当にその検討のプロセスがきちんと伝わって、本当の委員会のほうで検討されるかどうかについては懸念があると思います。例えばそこで駄目だとしたけれども、それがきちんと伝わるのかどうか、その辺の詳細がレシピエント委員会のほうではっきりしないところがあると思うのですが、どうでしょうか。
○藤原構成員 私どもが審査の途中でレシピエント選定委員会の名簿を頂いたのですが、これは市立宇和島病院の方とか愛媛の腎臓病の患者会の方とか、愛媛県の方だけで構成されていて、宇和島徳洲会のためにあるのかなというような委員名簿だったので、事務局には事前に「COIは大丈夫ですか」という話も聞いております。もし徳洲会グループ全体で臨むのであれば、このレシピエント選定委員会のメンバーはもう少し広げて、いろいろな地域の人が入っているというのも大事かなと思います。もしこれを続けるのであればです。
○山口座長 このことに何か御意見はございますか。この辺りは問合せ中のところもあるので、そこを確認して決めたいと思いますが。
○松山構成員 お聞きしたいのですが、その点に関して、臓器移植のコーディネーション、いわゆる臓器移植ネットワークの場合と今回のレシピエント委員会、その場合とのcandidateの登録の仕方とか、candidateの選択の仕方はどう違うのでしょうか。科学ベースできっちりと選択されているのだったら、これは正に適切だと思うのですが、例えば身内、同じ地方の人だと、知り合いだったりすることが結構多かったりして、バイアスはかからないだろうか、と。そこは少し今の議論の中でも懸念したところです。
○山口座長 ありがとうございました。ほかにありませんか。これはもともと事務局があって、そこが本当はやるべきことだと思うのですが、そこがこういうレシピエントの委員会をつくって、そこで下ごしらえして本委員会に出す形になっているのです。それが実務上はやりやすいのではないかと思うのです。現場の近くの人でそれをやってしまって、それをすっと順に出してしまえば、大した議論もなしに終わってしまうという可能性はあると思うのです。ですから、そういう意味で広げるというのは、いい御提案だと思うのです。いかがですか。そういう見方から、御回答いただいた後に訂正してもらう形でよろしいでしょうか。特に外部委員を入れるということは、地域の外ですね、広い範囲でやるということ。それでは、今の条件については、今の3点、よろしいでしょうか。
○松山構成員 コメントというか確認をさせていただきたいと思います。今回、技術的に有用性があるという形で適と斎藤先生、小原先生から頂いていますが、この委員会では、これが過去に遡って有用であったという判断ではないということをまず確認させてください。
 過去、先進医療に返る前に、頭初に病気腎移植と言われていたころに、尿管がんの症例もあったりして、さすがにそれはというところが、実は私はあった。今、今回、核出術で取れるような腎がんにフォーカスが絞られてきて、よりサイエンスベースでacceptableなところになってきたという話である。それだけではなくて、ドナーサイドで取り残したがんがあるのではないかという議論は、人の手で取るものなので、あり得ないことではない。これに関しては、外科的な部分に関しては、斎藤先生、小原先生にも検討いただいていますが、加えてオプジーボなど、非常にシャープに腎がんに効く薬剤が出てきて、10年前とかなり様相が変わってきて、そういうことも含めての有用性であると私は判断しているのです。こういう私の感覚は間違いであるのか、これでいいのか、これでいいと言っていただければ有り難いのですが、御確認をさせてください。
○山口座長 何か御意見はありますか。
○医政局研究開発振興課長 基本的には、先ほどの松山先生のそのとおりだと思っておりますし、先ほど斎藤委員とか小原先生からお話のあったように、標準治療という話を非常にきっちりお話されました。ですから、現在のその時点での標準治療をしっかり見せた上でその患者さんごとにしっかり考えていかなくてはいけないし、そういう意味での研究プロトコールだと思っております。
○山口座長 松山先生に賛成という御意見だと思います。
○松山構成員 ありがとうございます。
○山口座長 何か御異論がある方がありましたら。上村先生、何か。
○上村構成員 これだけ議論をした上で進むわけですから、慎重に進んでいくことを望みます。先ほど5名、こちらでチェックをしながらという話があったのですが、必要に応じてそこはモニタリング、プロトコール上のモニタリングではないですが、そういった安全性や有効性も含めてですが、きちんとした形で管理をしていくということが、必須の条件になるかと感じております。
○山口座長 ありがとうございました。そのことは、藤原先生から御指摘もあったとおりで、きっちりやってもらうようにということは、やはりやらなくてはいけないということです。全体を通してほかに何かありますか。
○関原構成員 斎藤先生に確認したいのですが、現在大半の手術は、da Vinciで切除できるということですが、同意文書等にはそういう記載は一切なく、患者はこの事実が分からない。ドナーの対象者の適否がスコアで示されています。10以上4~9、4以下の難易度スコアでもって手術ができる、部分切除は困難という基準は本当に現在のda Vinciの適否に合致しているのかどうかが、私は先ほどの御説明を伺って少し疑問に思いました。同意書の3ページの記述で大丈夫なのでしょうか。
○斎藤技術専門委員 正に御指摘のとおりで、先生が一番疑問に思っていらっしゃるのは、ほかの優良機関が付いてこないと。全国のあちこちで、これもやりたいとか、普通、先進だったら数箇所は出てきますよね。そういうことがないということは、日本の泌尿器科の標準的な医療としては、余り頭に浮かばない技術だというのがベースなのです。ですから、そういう意味で、先生がおっしゃるとおり、同意書にもう少し分かりやすいことで、本来は小径の腎がんについては、今、da Vinci手術が標準であることでもきちんと書いていただければ、ドナーに対してはより優しいかという印象は持っております。
 要するに、先ほどからの議論のとおり、大分、何年にもわたってだんだん技術がここに劇的に変化したわけですよね。その変化したことに追い付いていないということなのです。そこら辺を患者さんにきちっと表現したほうが親切かという印象は持ちます。もちろん、徳洲会の中でも藤沢とかda Vinciを置いてある所はありますので、逆に関西方面だけでやるのではなくて、徳洲会の中でもそういうda Vinciのオペをやっている関東方面の先生方も入って、より標準的な医療に近付けるのが一番大事だと思います。その中で、これは体外に取り出して修復しなくてはいけないという判断も出てくると思いますので、中でももう少しそういう検討が必要だと思います。そこら辺は先生が御指摘のとおりだと思います。時代の流れでかなり変わってきていますので、それに対応した分かりやすい同意書も作る必要があるかと思います。
○山口座長 ありがとうございました。
○関原構成員 そういたしますと、修復腎移植検討委員会というメンバーの中にda Vinciを使ってやる人がいて、それで、これはda Vinciでできるぞという人がいないと。そんな経験者のいない委員会では、スコアを見せ、説明・同意を求められても、患者としてはこの話は分からないですね。そこが一番引っ掛かっているところです。
○山口座長 そういう意味で大きな学会の高い見地から、少しそういう点も含めて分かる方に出てもらうことが必要かと思います。広く普及しているのであれば、当然知っているべきです。あと、標準かどうかは別にして、広く普及しているとか、そういう言葉でもいいですから、da Vinci手術について、説明の所に少し加えていただくという形でいかがでしょうか。
○藤原構成員 関原委員がおっしゃったのは、患者様へというドナー説明文書の所ですが、実際にプロセスとしては、その前に小径腎腫瘍の治療法、手術法についてというものを患者さんに説明して、その中で腎摘とか、部分腎摘とか、その中にロボット手術とか、いろいろ書いてある。それを踏まえて、患者様、ドナーの所に書いてあるのですが、2ページに「治療法として、腎摘が最適であると判断され、腎摘を選択された方にこの研究を説明します」という2段階プロセスなので、今のドナーへの説明プラス最初に患者さんに説明する小径腎腫瘍の治療法、手術法の所に、しっかり書いておいていただくのが大事かと思います。
○山口座長 よろしいですか。ほかにありませんか。ありがとうございました。それでは、整理番号68については、本日、今も申し上げましたようにたくさんありますが、指摘事項にお答えを頂ければ適とするということで、条件付き適ということにします。
 続いて、総括報告書の評価について、事務局より説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料2-1、77ページを御覧ください。先進医療Bの総括報告書に関する評価を頂くのは、告示1、パクリタキセル腹腔内投与及び静脈内投与並びにS-1内服併用療法です。申請医療機関は、東京大学医学部附属病院です。審査担当構成員は、主担当が上村構成員、副担当が大門構成員です。
 試験の概要を御覧ください。この試験は、腹膜播種の胃癌に対して、標準治療としてS-1とシスプラチンの併用療法がありますが、それを対照として、S-1の内服、パクリタキセル静脈投与、パクリタキセル腹腔内投与の併用療法の有用性を評価する臨床試験です。本試験は、1年前に主要評価項目である2年生存割合が出まして、その時点で総括報告書が提出されております。その後1年が経過しまして、今回、副次評価項目の3年全生存割合が出たということで、再度、総括報告書の提出がありました。1年前の結果では有意差がありませんでしたが、副次評価項目の3年全生存割合になりますと、プロトコール治療群が21.9%、対照群が6%ということで、有意差が生じたということです。詳細は、評価委員の先生方からお願いします。以上です。
○山口座長 ありがとうございました。本技術の評価について、主担当の上村構成員から御説明をお願いします。
○上村構成員 ただいま、事務局から御説明があったとおりです。これは2年までの評価がもともとの主要評価ということであったわけですが、残念ながらその主要評価では優越性が示されなかったということです。示されなかったとはいいますが、傾向としては、統計的には有意ではなかったわけですが、ある程度の優越性が示唆されるような状態ではありました。いろいろな研究者のほうで感度解析と言われるような解析をされているのですが、一貫して優越性に関しては一定の方向が見られていたというところで、今回の主解析部分に関する登録完了後の3年後の追跡調査の結果が出てきたことになります。結果的には、両群間の生存割合には一貫した差が見られているということで、この部分だけを見れば、今回出てきた部分だけを見れば、優越性が示唆されているということになります。
 研究者も既に指摘されていますが、この試験のもともとの問題点としては、標準治療、B群に割り付けられた患者さんの中で6名の方が治療を辞退されて、更に6名の方が規定外の腹腔内化学療法にスイッチしたという事例があったこととなります。私からもう1つ指摘させていただきたいのは、B群のプロトコール治療が、中央値で3コースぐらいだったということで、これはこれまでにヒストリカルに出されていたプロトコール数、コースの数に比べると若干少なめだったことは、研究者も指摘しているとおりです。今回の結果としては、FAS、PPS、ITT共に有意な差が認められたということで、両群における生存期間の差ということであれば、より明らかな結果が出てきたことになります。特に、長期生存という観点で見ますと、3年の全生存割合がA群では21.9%、B群では6%ということで、これは有意差は付いているのですが、ここでは比較的大きな差が見られたことになります。
 安全性については、これは新しい情報はほとんど出てきていませんが、A群でgrade3以上の白血球数の減少とか、好中球数の減少といったものが有意に高いことが報告されていますが、許容範囲であると考えます。また、非血液毒性はいろいろなものが出ていますが、ここに関しても両群間に臨床的に意味がある差はないと考えています。ポート留置についても比較的安全に施行されているということで、ここに関しては前回の評価と変わらないということです。
 技術的な成熟度としては、当該分野を専門として経験を積んだ医師又は医師の指導の下にあれば、実施できるのではないかと考えています。結果的には一定の優越性が示されたということで、今後、1つの治療の選択肢となり得ることを示すものではないかと考えております。
○山口座長 ありがとうございました。続いて、大門構成員から御評価をお願いします。
○大門構成員 上村構成員に御説明いただいたとおりですので、私からは82、83ページのコメント欄に従い簡潔にコメントをお伝えしたいと思います。本試験は先般の総括報告書で示されましたように、FAS対象の主解析では、全生存期間において統計的な有意な差は示されませんでしたが、先ほどご説明のあったいわゆる探索的な感度解析としてのPPS対象の解析、腹水量を調整した解析では、統計的に有意な差が示されていました。これらの結果を踏まえまして、先般の総括報告書に関する評価結果は、私はBとしておりました。一方で、今般、最終解析の結果が出て、総括報告書に追記がされたのですが、具体的には主解析の1年後の追跡調査に基づく最終解析では、統計的な有意な差が示されました。これらの結果を踏まえますと、優越性は先般の報告以上に示唆されているように考えられると思います。
 しかしながら、より明瞭に差が付いたようには見えたのですが、優先すべきは主解析の結果だと思いますので、主解析完了後に提出された総括報告書の評価結果と同様Bと変わらずとさせていただきました。
 また、安全性に関しては、主解析後に何か有害事象は生じませんでしたかということを照会事項で確認させていただいたのですが、何か特筆すべきものはないということでしたので、これも先般の総括報告書の評価結果と変わらずとしてBとさせていただいています。技術的成熟度についても同様です。以上です。
○山口座長 ありがとうございました。もし、上村先生からもまだ追加がありましたら。
○上村構成員 この治験の結果が薬事承認申請の効率化に資するかどうかに関しても、少し考察を加えております。先進医療Bとして実施されていたフェーズ3試験なのですが、これは陽性対照群を設置して、そことのランダム化比較試験という中で、全生存期間を主要評価項目として評価したというところは、非常に評価できる部分だと思います。何かとオープンラベルの試験が多い中で、こういったことにチャレンジされたということで、長い間掛けてこれだけのデータを出されていますので、ここに関しては薬事承認申請の効率化に関しては資するものがあると考えております。
○山口座長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に何か御質問などはありますか。
○藤原構成員 この試験はきれいにフェーズ3をやって、勝って、いいのですが、もともとのレジメンとしてパクリタキセルの腹腔内投与が静脈内投与に比べていいかというデータはないのです。確か従前、この先進医療会議で評価されて、パクリタキセルのIPがパクリタキセルの静脈内投与に比べていいかどうかを検討した第3相試験では、主解析では差が出なくて、サブアナリシスで、若干差が出るというところから、患者申出療養にいって、皆さん大変な思いをしたかと思うのです。このデータが出たからといって、IPが優れていることにはならなくて、多分、今、IPの承認がないというのが、一番患者さんたちとか現場が混乱しているところなので、そこについて薬事審査の承認申請の効率化に資すると言われても、多分、医薬局としては、IPをどうやって、意味があるのかと、静脈内投与の効能がある中でIPの意味があるかどうかを考えるのは、なかなか難しいと思うのです。そこについて事務局は医薬さんに何かおっしゃるのですか、それともこれは患者申出療養にいくのですかね。
○山口座長 何かコメントできますか。
○医政局研究開発振興課長 医薬にはもちろん情報提供はさせていただいていますし、基本的には、お話という意味では、前の報告書のときから医薬には情報共有という形でさせていただいております。
○藤原構成員 そうなると、先進医療から薬事承認にフェーズ3をもっていったという事例は、これまで多分ないので、一番最初の事例になって、非常に大事なケースになるかもしれないのですが、そこは私どもも待っていればいいということですね、見て。IPの投与は非常に大切なので、IPをどうするかはよく分からないのですが。
○医政局研究開発振興課長 ただ、薬事承認自身は、別のルートもありますが、基本的には申請がないと承認できないという、そもそもの話がもちろんありますので、そこの問題はなかなかいかんともし難いところは若干あるとは思います。
○山口座長 ほかにありませんか。これは先進医療になったのは、極めて予後が悪くて、10%も助からない病気で、今の標準治療といっても、全然満足できない状態の中で、同等かあるいは少しいいという成績が出たら、これはまた何らかの試験をやってずるずるやるよりも、広くできるようにして、それを検証するという形に持っていくのがいいと、それが先進医療をやった意味があるということになるのではないでしょうか。そういう意味で、私は今回の評価は割と甘くてよかったと思っているのです。ここで杓子定規にやられると、全部バツになってしまって、先進医療は何かそういうところも勘案されて作られた制度と、私自身は個人的には理解しているのですが。
○上村構成員 確かに厳密に言うと大門先生がおっしゃるとおりで、主解析で外していますので、そこは譲れない結果だと思うのですが、この試験をやっている最中から患者さんが腹腔内投与のほうを選ばれると、そういった事例も出てきている。それは決して誉められることではないと思うのですが、では、もう1回これをやり直して、IPとIVとの比較試験とかを、3年、4年掛けてやることも不可能ではないと思うのですが、そこに費やすリソース。人的なリソース、お金もそうですが、患者さんのそれだけ3年、4年という時間を費やすことになりますので、そこは少し考えていく必要があるのかと思っています。
○山口座長 これは反省すべきは、参加施設のどこかにIPが圧倒的にいいのではないかという気持ちが残っていて、こちらにコンバートしたいと言ったときに、きちっと説明したかどうかで、少し甘かったのではないかと、こういうことは随分疑われますよね。そういう気持ちが臨床試験をスポイルしてしまうというか、そういういい反省にはなったのではないかと思うのです。そういう意味も含めて余りAなどは付ける必要はないと思いますが、Bぐらいの評価が私も妥当ではないかと思います。この趣旨に沿って報告するということでよろしいですか。
(異議なし)
○山口座長 どうもありがとうございました。今の御審議いただいた結果を取りまとめて、先進医療会議に御報告します。続いて、総括報告書の評価について、事務局から御説明をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料2-4、89ページを御覧ください。こちらは告示27、S-1内服投与、オキサリプラチン静脈内投与及びパクリタキセル腹腔内投与の併用療法です。申請医療機関は、先ほどと同様、東京大学医学部附属病院です。審査担当構成員は、主担当が伊藤構成員、副担当が手良向構成員です。
 本試験は、先ほどの告示1との違いですが、S-1内服とパクリタキセルの腹腔内投与は同じですが、オキサリプラチンの静脈内投与にパクリタキセルの静脈内投与が変わっております。その意味としましては、概要にありますが、腹膜播種が制御される一方で、原発巣や他臓器転移が進行することがあるため、更なる生存期間延長のために、より強力な全身化学療法を腹腔内投与と併用したレジメンがよいのではないかという仮説に基づいて行われたということです。
 主要評価項目は1年全生存割合、副次評価項目は奏効率、腹腔洗浄細胞診陰性化率及び安全性です。結果及び御評価については、先生方にお願いいたします。以上です。
○山口座長 ありがとうございます。では、本技術の評価について、主担当の伊藤構成員から御説明をお願いします。
○伊藤構成員 東京大学が腹腔内投与の試験をたくさんやっており、これらをどう評価したものかと悩んで、代表研究者に質問しました。その結果が96、97ページに書いてありますが、先ほど評価されたのがB1の試験で、これは既に2016年にPhoenix-GC試験として結果が公表されている試験だと思います。この試験はS-1/パクリタキセルに変えてS-1/オキサリプラチンという、胃がんの標準療法にパクリタキセルの腹腔内投与を足した試験として評価されたものです。
 この試験は、オープン試験ですので、どう評価をするのかは大変難しいと思いました。実は今日、B1の試験が評価されることを知らないままにこの評価表を書かせていただいておりますので、公表されているPhoenix-GC試験と比べております。
 藤原先生も言われているとおりで、Phoenix-GC試験は主要評価項目の全生存率で差が付かなかったというところに1つ問題はあると思います。Phoenix-GC試験と比較するのは難しいのですが、生存期間中央値が14.2か月で、パクリタキセル静注+S-1の投与よりも、生存期間単独で見ると短い状況です。これは研究代表者が述べているとおり、副作用が強くてリピートするのが難しかったことが、1つの影響になっているのだろうと思います。
 ただ、一方で、本試験における腹腔の細胞診の陰性化率は、84%で、それに伴って化学療法後の胃切除ができたのは、60例中21例で、胃がんのガイドラインからみると、腹腔内播種があるときには、基本的には手術は無理でしょうと言われているのに、手術ができた。かつ、評価時の生存率は、手術された人が8例で、手術されなかった人が6例、評価期間が20数か月で3年満たない状況ではありますが、それでもやはり20%を超える方が、その段階では生存をしている状況で、多分、効果として期待できるところがある。5年生存率が10%以下、7.8%という過去のデータから考えれば、期待し得る結果が出てきているのかと思っております。安全性とか技術的な成熟度に関しては数多くの症例で実施されていて、安定していると思います。統計的な点は、手良向先生にきちんと見ていただきましたので、御意見を頂いた上で最後のまとめをさせていただければと思います。
○山口座長 手良向先生、お願いします。
○手良向構成員 私の評価は、まず有効性ですが、これは単群試験なので比較可能性は担保されていないのですが、デザインのときに対照としたS-1/シスプラチンの1年生存割合が54%です。これに対しては、本研究では非常に高い72%です。これは統計学的に有意なのですが、タブレットの38ページを見ていただければ分かるように、1年直後に生存率が50%近く、一気に落ちている感じです。2年になりますと、28%に落ちています。これがS-1+シスプラチンの24%とほとんど同じぐらいで、そのような生存曲線になっています。先ほど御説明のありましたS-1/パクリタキセルの成績は45%ですので、それよりは低いという結果です。
 したがって、ここではCという評価にして、従来と同程度であると判断しました。生存率が落ちた理由ですが、オキサリプラチンの副作用のため、治療の継続が難しいことが1つの理由と、本研究責任者の先生はそういう考察をされています。安全性については、オキサリプラチン特有の有害事象は出ていますが、それについては許容範囲であると思います。技術的成熟度についてはAとしました。以上です。
○山口座長 ありがとうございました。もし、伊藤構成委員から追加がありましたらお願いします。
○伊藤構成員 東京大学では、複数の治療薬のコンビネーションを腹腔内投与と併せて実施されているというふうに認識しております。今回の試験は、Phoenix-GC試験に勝っていないので、従来の試験よりも勝っているという話ではなく、従来の医療技術と同程度という話だろうと思いますが、一方でPhoenix-GC試験と併せて考えますと、パクリタキセル腹腔内投与が有用である可能性はあるのではないかと思います。
 最終的なゴールである、先ほどから議論が出ている薬事承認の話ですが、投与経路が違うところではあるのですが、この技術を何らかの形で薬事承認に持ち込む道は、随分データとしては蓄積をしてきているので、可能ではないかという印象を持ちます。ほかの動いている試験などと併せて腹腔内投与の妥当性については、例えば未承認薬問題検討会とか、別の枠組みで考える道はあるのではないかと感じております。評価としては以上です。
○山口座長 ありがとうございました。何か御質問、御意見はありませんか。
○伊藤構成員 もう1つ付け加えさせていただければ、今回は標準的な化学療法にIP療法を加えてかなり強力な化学療法がされた。ただ、強力にやることが必ずしも患者さんの生命予後を良くするものではないことも一方では見えているので、全体のコンビネーションとして治療を考える必要とか、今回の試験結果は複数のエビデンスの可能性を提示してくれているのではないかと思いました。
○山口座長 ありがとうございました。何かほかにありませんか。これはオキサリプラチンを使いたいという気持ちがあったと思うのです。でも、意外に良くなかったということで、もともとパクリタキセル、タキサン系は腹腔内の移行性がIVでもいいので、これだけを見ると、IVする薬剤としては白金系は適切でないという結論になるのでしょうか。
○伊藤構成員 だから、これの解釈が、代表研究者の方々は、腹腔内の細胞が散っているような状況だと、ほかに遠隔転移もあるし、かなり強力な化学療法をやるべきと思われているとは感じます。ただ、この試験だけを評価する限りは、強力な化学療法イコール患者の生命予後を良くするものではないことを示している気はします。
○山口座長 ありがとうございました。ほかにありませんか。特に何もないようでしたら、今の結果を取りまとめて先進医療会議に御報告したいと思います。続いて、先進医療Bの継続の可否に関わる審議結果の報告について、事務局からお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料3-1、103ページを御覧ください。先進医療Bの継続の可否に係る審議結果の報告です。本件は告示番号31、申請医療機関は九州大学病院、適応症は全身性エリテマトーデス(SLE)です。研究の目的は、SLEと診断され、初回ステロイドホルモン治療を受ける患者において、クロピドグレル硫酸塩、ピタバスタチンカルシウム、トコフェロール酢酸エステルの3剤を併用投与し、ステロイド性の大腿骨頭壊死症の発生抑制効果を検討するものです。この度目標症例150例に対して、最初の5症例の評価が終わりましたので、その御報告を頂いて、御担当の山本構成員、柴田構成員に事前のご評価を頂きました。
 その結果、安全性などを踏まえ、試験の継続に関しては問題ないという御評価を頂き、試験は継続いただいております。また5症例中1例に関しては同意撤回などがあり、その経過についてのご指摘がありました。全てのご指摘に対し記載されております通りにご回答いただいております。以上です。
○山口座長 何か御質問はありませんか。それでは特にないようですので、告示番号31については、ただいま御報告いただいたとおり、試験を継続していただきたいと思います。続いてもう1件の先進医療Bの継続の可否に係る審議結果をお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料3-3、111ページを御覧ください。こちらは告示番号54番、FOLFIRINOX療法です。東京大学医学部附属病院からの申請です。適応症は胆道がんです。本件も最初の3症例の評価が終わり、その報告です。上村構成員、手良向構成員に御評価を頂きました。
 本ケースは、最初の3症例のうちの1症例がDLTがあって、もう1症例はDLTが起こらず、残りのもう1症例が、コリン作動性症候群という用量依存性でない副作用により、試験が継続できなかったということで、それを3例目に入れないでもう1例、4例目を入れて評価をしたいということで申請がありました。今回、それについて御評価を頂いています。
 その評価の指摘事項は、117ページから経過が書いてあります。少し御説明しますと、まずこの4症例目を入れる考え方もありますが、「保守的に2例目をDLT相当と見なし、3例追加するという選択肢もあると思います。そういった検討はされましたか」という質問に対して、それは検討していないのですが、回答にありますように2例目に発現したコリン作動性症候群は用量依存性ではなく、申請者が定義したDLTとは重篤度が異なるということで、これはやはり含まずに4例目を入れるのが望ましいと判断したということです。
 これに関しては、構成員の先生方に御了承いただいておりますが、追加の指摘事項で、DLTの評価を1コース目の投与を完遂例と定義することは、その1コース目の途中で、1コースは3日間内服ですが、その途中でDLTが発現したときに、それが評価対象とならないのは問題ではないですかという質問がございまして、その質問3に対して御回答いただきました。そういうケースはDLTとして取り扱って個別に効果安全性評価委員会で審議して、対応、検討するということです。
 この内容を踏まえて、続いて資料4-1、121ページにあるように、この件に関する試験計画書の変更がありました。おめくりいただいて、122ページの中ほどに主な変更内容として、先ほどのDLTの評価対象例を定義し直すといったことが記載されています。この変更についても御討議いただければと思います。以上です。
○山口座長 ありがとうございました。何かこの変更について御意見はありませんか。あるいは御質問。122ページの主な変更内容のこの1)、2)、3)のところですね。一応やり取りがあったのは、こういう回答ですけれども、よろしいですか。特に御発言なければよろしいですか。それでは告示番号54の変更については、認めることといたします。そしてただいま御報告いただいたとおりに、試験の継続を頂き、4例目の結果あるいは更に追加の3例の結果を再度報告していただきたいと思います。続いてもう1件の先進医療Bの試験実施計画の変更について事務局からお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料4-2、123ページを御覧ください。筑波大学附属病院からの申請で、告示番号76番、陽子線治療です。適応症は前立腺がんです。試験計画の変更内容について、124ページを御覧ください。主な変更内容が被験者の除外基準の変更や、観察及び検査スケジュール表にそれぞれの項目を追加等があります。他は記載整備等です。
 下に変更申請する理由がございまして、(1)番目に関しては、全身的治療は要しないが、照射領域の難治性の炎症性疾患が存在した場合に除外するためということで、より安全性に配慮した変更となっています。また(2)の3)で、「胸腹部CT」を「腹部・骨盤CT」に変更するということで、これで胸部CTが撮られなくなりますので、その理由を次の126ページから詳細に御説明いただいています。
 内容を簡単に御説明しますと、CTの主な目的はリンパ節転移診断ですが、その最も頻度が高い部位が骨盤内で、それゆえNCCNガイドラインでも病期診断に胸部~腹部のCTは含まれていません。おめくりいただいて、127ページ、肺転移は胸部CTを省略することで、胸部単純X線写真のみでは診断能が低下する可能性もあります。けれども本研究では、骨盤部CT、骨シンチで転移がないと判断された症例に胸部CTを行わなかったことで、肺転移を見逃す可能性は極めて低く、NCCNガイドラインでも必須診断には含まれていません。内容は以上です。
○山口座長 何か御質問はありませんか。あるいは御意見はありませんか。124ページのこの被験者の除外基準、これはいいと思うのですけれども、この検査スケジュールの胸部CTを省くというのは、これは最初から分かったことなのに、なぜここにきて、どういう不都合があって省くのか。頻度が低いからということなら、最初から頻度は低いので、変更の理由にはちょっとならないような気がするのですけれども。いかがでしょうか。どうぞ。
○藤原構成員 私も委員長と同じ印象を持ちまして、このLancet Oncol.の2015年の論文に、そのCTのところを英語でどう表現しているのかよく分からないのですけれども、私ども診療でやるときに、胸腹部CTと出したら、通常は骨盤、鼠径までしっかり撮って、骨盤内まで見ますので、腹部CTに骨盤部も当然含まれて、いつも見ていると思っていたので、わざわざ骨盤部CTと書いている意味が分からないので、ちょっとそこを確認してほしいのですが。
○医政局研究開発振興課専門官 承知いたしました。そのように再度確認させていただきまして、胸部CTを省かない方向でできないかということで確認させていただきます。ありがとうございます。
○山口座長 他にありませんか。それでは今のところをちょっと変えていただくということで、告示番号76の変更は認めることといたします。次にがん遺伝子パネル検査の試験を行う医療機関の要件及び同意説明文書の検討案について、事務局から御説明お願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料5、129ページを御覧ください。経緯にありますが、これまで先進医療技術審査部会で御報告してきたとおり、がん遺伝子パネル検査の先進医療における申請書類の受付開始は、本年の11月以降を想定して進められています。現在、様々な会議体において、がん遺伝子パネル検査を行う医療機関の要件や、患者の同意説明についての考え方、がんゲノム情報レポジトリー(仮称)等について検討が進められております。
 がんゲノムコンソーシアム懇談会の報告書に基づいて、先進医療に申請いただく医療機関や、試験の内容はこれらの要件に準拠していただく必要があります。この度、昨日の第10回がん診療提供体制のあり方に関する検討会において、がんゲノム医療中核拠点病院(仮称)及びがんゲノム医療連携病院(案)の指定要件が示されましたので、別添にて御報告いたします。こちらは申請医療機関にも参考にしていただきたいと考えています。
 今回の検討事項ですが、がん遺伝子パネル検査の試験を行う医療機関の要件について、先進医療に申請する医療機関は、がんゲノム医療中核拠点病院(仮称)の指定要件を満たしている必要があり、かつ、がんゲノム医療中核拠点病院(仮称)に申請予定であることとしてはどうか。また協力医療機関は、がんゲノム医療連携病院(案)の指定要件を満たしている必要があり、がんゲノム医療連携病院(案)にも申請をしていただく予定であることとしてはどうかと御提案させていただきます。
 また先進医療の審査が、がんゲノム医療中核拠点病院(仮称)やがんゲノム医療連携病院(案)の指定に時間的に先行しますので、先進医療に承認された医療機関がそれらの病院には指定されなかったということが起こり得ます。その場合、その医療機関でがん遺伝子パネル検査の継続が難しくなってしまいますので、試験登録された患者様への不利益をできる限り避けるためにも、これらの病院が指定される前の運用として、申請医療機関には指定要件に関する資料を併せて御提出いただき、医療機関の要件については厳格に審査を行っていただくとしてはどうかと御提案させていただきます。
 もう1件は、がん遺伝子パネル検査の試験における同意説明文書についてです。患者への同意説明については、先進医療会議にご報告、承認いただきました、がん遺伝子パネル検査のプロトコールの必須項目及びその基本的な要件案において、2段階同意の考え方などを提示してきたところです。その後も、部会構成員の先生方及び事務局にて、より詳細な説明項目案を別添のとおり検討しています。この内容について御審議いただきたいと思います。
 内容につきまして、160ページ、161ページを御覧ください。こちらはまだ検討中の段階ですが、先進医療において、がん遺伝子パネル検査に申請いただいて、その同意説明文書を作成する際の留意点の案でございます。
 まだ案ですけれども、現時点で最低限必要と考えられる説明項目を示すことを意図しています。また今後がん遺伝子パネル検査は、保険診療下で臨床実装されることを見据えて、診療用ガイドラインの作成が別途進められていると伺っています。それらが発表された折には、その内容にも沿った同意説明文書を御作成いただきたいと考えています。
 基本的な考え方として、がん細胞だけの変異を調べる検査の場合、原則として「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の対象となり、指針で規定されている説明事項等を遵守すること。これに対して、がん細胞と生殖細胞系列の変異を同時に調べる検査の場合には、併せて「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」の規定を遵守していただきたいということです。
 その他盛り込むべきがん遺伝子パネル検査に特徴的な説明項目についても、幾つか項目立てて挙げています。この内容に関して、御審議いただきたいと思います。以上です。
○山口座長 ありがとうございました。ただいまの御説明に何か御質問がありませんか。
○藤原構成員 160ページ、「はじめに」の所の下から3行目、「診療用ガイドラインの作成が別途進められている」と書いてあるのですけれども、これが具体的に何を指しているのかが、ちょっとよく分からないのです。今私が所属している臨床腫瘍学会とか癌治療学会とか、癌学会では、3学会合同で10月11日付けで、「次世代シークケンサー等を用いた遺伝子パネル検査に基づくがん診療ガイダンス」というのを発出したところなのですが、これを指しているのでしょうか。であればもう具体的にその名前を書いたほうがいいと思うのですが。
○山口座長 いかがでしょうか。これはもっともなことで、ガイドラインは誰かがガイドラインと言えばガイドラインですから、明確にしないとちょっとまずいのではないでしょうか。
○医政局研究開発振興課専門官 そのようにさせていただきます。
○山口座長 それを指して、これを作っているわけですよね。
○藤原構成員 3学会合同のガイダンスのことを言っているのですよね。
○医政局研究開発振興課長 私どものほうでは、診療の際に、同意をどのように取っていくかというところで、今いろいろ議論等、調整をさせていただいていると聞いています。ちょっとそこを確認した上で、名称ですとかいつ頃出るとかそういうことも含めて、記載をさせていただきたいと思います。
○藤原構成員 3学会のガイダンスの中にも、遺伝子パネル検査を行う際の説明と同意という項目があるのですけれども、そこでは駄目だということなのですかね。それは詳細等を調べていただいて。
○医政局研究開発振興課長 そうですね。
○山口座長 これは発表されたらということですから、そのときにこういうものということが明確になるわけですよね。他にありませんか。
○藤原構成員 もう1点、基本的な考え方の所で、今回は先進医療の同意説明文書としての要件の留意点を書いているのですけれども、基本的な考え方の○の2個目の後段で「臨床検査として実施する場合は、指針の精神は尊重されるべきものの、基本的に研究倫理指針の対象外であるが、日本医学会による「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」(2011年)を遵守する必要がある」と記載されています。
 今回のがん遺伝子パネルというのは、一部Germ-lineの、遺伝性の腫瘍に関係する遺伝子が載っているパネルが多いと思うのですけれども、その一部のところを取り出して、「遺伝学的検査・診断に関するガイドラインを遵守」と書かれても。我々がんの診療をやっている人間にとっては、遺伝性腫瘍は本当にまれな腫瘍で、それ以外の9割以上は普通にsomatic mutationの患者さんを診ているわけで、そこを遺伝学的検査という遺伝診療、例えば神経難病とか代謝疾患とか小児の遺伝病対象のガイドラインも一緒に遵守しろと言われても、現場が混乱するだけだと思うのです。他の記載にはならないのですか。
 例えば今日、来る前に、医学会の遺伝学検査のガイドラインの内容を見てきましたけれども、個別の診療については、日本医学会加盟の分科会のそれぞれのガイダンス等に従ってもいいですよ、というかそこでしっかり考えなさいということも書いてある。先ほども申し上げたがんの3学会合同で、診療ガイダンスというのを出していて、そこに同意説明文書に関しても記載があるわけですから、がんの学会が出している診療ガイダンスに沿って同意説明文書を書くという記載にならないものか。あるいは日本医学会も書きますけれども、3学会合同のガイダンスもここに併記するとか。ちょっと遺伝性腫瘍に引きずられすぎのような感じがします。
○山口座長 いかがですか。
○医政局研究開発振興課長 検討させていただきます。
○山口座長 確かに大多数を占めるものは関係ないわけですから、現場が大変かもしれませんね。重要な御指摘ありがとうございました。他にありませんか。
○石川構成員 これは先進医療ということで、将来的にはこの文章の「はじめに」の所にある2つ目の○の「保険診療下で臨床実装されることを見据え」ということだと思うのですけれども、実際は、保険のところに収載されていないわけですから。その間は患者負担が一定発生するという確認でよろしいですね。
 そうすると、160ページの下の所、「盛り込むべきがん遺伝子パネル検査に特徴的な説明項目について」の、1つ目の・と2つ目の・の内容なのですけれども、「がん遺伝子パネル検査の主な目的は、一人ひとりの患者に固有のがんの遺伝子の特徴を分析し」とあります。それを治療選択に反映させる。ところが、2つ目の所では「治療選択に役立つ情報が得られない可能性があること。また候補となる薬剤が見つかったとしても、それが適応外であったり未承認であったりするために実際には使用できない可能性があること」と。これはちょっと矛盾する書き方になっていて、これを例えば先進医療でやるときには、患者負担が相当発生するということをどうやって説明するかという、非常に難しいところだと思うのです。そういう点で、倫理的なところから専門の方がいるのでお聞きしたいと思うのです。
○田代構成員 今の石川先生の御指摘は非常に重要です。2番目の少し引いた言い方、なかなかうまくいかない場合があるということに関しては、1つにはテレビの報道などがあって、がん遺伝子パネルに対する期待が非常に高まっていることがあります。
 もちろんうまく見付かる場合もあるのですけれども、見付からない場合が生じるということを、事前に説明しておく必要があるのではないかということで、若干1つ目の・と2つ目3つ目という、ちょっと引いたような見付からない場合がある、うまくいかない場合があるということを強調したような言い方になっているのだと思います。少し過剰な期待になってもよくないので、限界があるということをはっきり書くということが大事なのかなということで理解しています。ただし書き方はまだ工夫する必要はあると思います。
○石川構成員 そうすると、要するにこれのパネル検査の意義というのは、例えば同じようながんの方に対して、この研究を積み重ねていけば非常に有効な治療の手がかりになる可能性があるとか、かなり未来的なそういうことを書かないと、まずいのではないかと思うのです。そういうことを納得した上で、自費料金としてそれでも納得してやっていただけるかどうかということを、リアルに語らないと駄目なのではないかと思うのです。
 あるいはこのことについては、本当に国の施策として大事なのだから、これは自費分を補助するという方向でいくという、大胆なことを考えない限りはなかなか難しいと思うのですが、どうでしょうか。
○田代構成員 少なくとも先進医療で出してくる限りは、臨床研究として全て出されてくるので、そういった意味では必ず研究の説明文書の冒頭には研究の意義、目的ということで、未来に向けて皆さんに参加していただくことで、どういったメリットが将来的に生まれるかということは語られると思うのです。しかし、それ以上にそこに関して費用負担を求めるということについては、確かに様々な考え方があるのかなとは思います。それが現実どのぐらいの費用になるのかということも併せて、出てきたものを見ながら検討せざるを得ないのかなと考えています。
○山口座長 石川先生、この・の1つ目のほうはこれでできると書いてあるわけではなくて、目的は患者の治療選択であって、人に伝わる遺伝子変異を発見することが主要な目的ではないということを、言いたいだけだと思うのです。2つ目のほうは、だけれども必ずしも見付かるわけではないと書いてあるので、それほど齟齬があるとは思えないのですけれども。
○石川構成員 そうですか。私は1つ目の・は子孫のことはどうでもいいと思っているのですね。どうでもよくて、これは治療選択に役立てるということを1つ目で表現していると思っています。ところが2つ目で見付からないこともありますということも書いてあるわけです。そうすると患者さんにとっては賭けみたいなものだということで、それでもがんによっては結構な額になると思うのです。その辺をどういうふうにするのかということだと思います。
○田代構成員 ありがとうございます。今山口先生に指摘していただいて思ったことですが、確かに最初の・のところは、私自身も含めてそうですが、一般の立場の人間で遺伝子検査と聞くと、ほぼ100%遺伝子性疾患のことを考えてしまうところがあり、ここで言われているようなsomaticな解析ということとの違いが分からないので、それをまず分かりやすく伝える必要があるだろうというのが1点目です。
 今の石川先生の御指摘に関して言うと、恐らくそこに関しては当センターでもそうですけれども、日本でも既に解析は行われているので、具体的にどのぐらいの頻度でどういうものが見付かってきているのかということを併せて示していく。その上で患者さんがそれでも自分はやってみたいというのであれば、入るという形になっていくのかなと、お話を伺って思いました。
○山口座長 事務局、御意見ありますか。
○医政局研究開発振興課長 はい、この辺の文は確かワーキンググループで相当議論していただきました。そもそもパネル検査に関しては、今までずっと研究でやられてきて、この検査自身についてはsomaticの話とかがありますけれども、プラス患者御自身に何らかの利益がある可能性があるのだということは、まず第1点目に言って、ただそうは言っても見付からない可能性がある。そういう話をしないとまずい。まず本人の利益になる可能性があるということと、メリットデメリットをちゃんと示さないといけないということで、ここをいろいろ議論しながら作っていった記憶があります。
 確かにお金は非常に掛かるのですけれども、ただ期待だけさせるというのもちょっと、そこはやっぱり御自身にメリットとデメリットを示した上で選んでいただくということになるのではないかと思います。
○山口座長 石川先生の御発言の趣旨は、恐らく全然役に立たなかった人に大枚、お金をはたかせていいのか、何かそれを救済するような措置はできないかということでしょうか。
○石川構成員 いいですか。実は前に先進医療でBHD症候群でしたか、それの保険に向けての遺伝子診断というのが出ましたね。あれは将来はこのBHD症候群の、これだったら保険収載の道を作るということが目的だということだったのです。それで出てきたと思います。
 ところが昨日、私は小児慢性特定疾患の会議にも出ているのですけれども、そこにはおびただしい数の遺伝子に関わる病気があるわけです。そうするとそういうものが保険収載されるというときに、全部先進医療に出てきたら困ると私は言ったのです。すごいお金が掛かる。だけど全部お母さん方にそれを請求するのかというとそうではなくて、症候群だったら症候群で大体の診断をして、それで遺伝子診断しなくてもいいという選択もあるわけです。
 今回はがんのところでどのぐらい遺伝子検査をやったら益があるかということについて、余り分からない段階で、結構な額が掛かることを聞いていますので、その辺は同意の取り方が非常に難しいのではないかと、ここに来るまでのところでずっと考えてきたことなのです。
 一部ではそんなのはやらなくても治療は始まるという病気もいっぱいあるわけです。小児慢性のことのようにです。そういうことを言いたいわけです。
○藤原構成員 実際に遺伝子パネルを使って診療、研究をやっている側からすると、今のところ自由診療でこのパネル検査をやっている大学はたくさんあるのですけれども、そうすると70万から100万ぐらい取られるのです。一方で私どものがんセンター中央病院では、研究段階なので患者さんからはお金は頂きませんというのでやっています。
 これが先進医療に入ってくると、保険外併用療養費になりますので、大学のような完全自由診療で100万近くやっている所と、私どものような完全無料でやっている所とは、かなり擦り合せが難しくなるというのがあるので、石川先生がおっしゃるように、これが未来型の医療を実践するものであれば、予算措置を何かしてもらうと助かるとは言っているのですが、ここで言っても変わりませんので、大変だという想像はしています。
 それから実際にパネルを使って、効果というかいい薬と出会う確率というのはそれほど高くなくて、10%とか20%程度なのですね。これは世界的にいろいろなデータが出ています。それがマスコミ等の報道を通じて、遺伝子パネル検査をやったら完璧です、いい薬が必ず見付かりますというようなことがされているのは、先ほど田代委員がおっしゃったように、現場が混乱している1つの要因でもありますし、今自由診療をやっている大学病院の中では、遺伝子パネルの検査をぱっと返して、後は知りませんと。そういう人たちが私どもの病院のセカンドオピニオンに来られて、遺伝子パネルの検査の結果をもらったのですけれども、どうしたらいいのでしょうという相談も来たりするのです。
 そういう意味で、この先進医療をしっかり進めていただいて、その辺をちゃんと是正した上で保険にどう入れていくかというのを考えるいいチャンスかなと、私は思っています。
○山口座長 ありがとうございました。他にございませんか。ちょっと時間が押していますが、まだ御意見がありましたら、是非お聞かせいただきたいと思います。
○伊藤構成員 前から言っているのですけれども、Germ-lineとsomatic、生殖細胞と体細胞変異のことをきちんと一般の人たちに説明しない限りは混乱するし、Germ-lineの管理の仕方と体細胞変異の管理の仕方は全然違うではないですか。そこも同意説明文書に入らないのは間違いかなと。
もう少し前段の部分をきちんとしていただいて、するべきかと思いますし、それによってその後の情報の管理の仕方が随分変わるような気がします。どこまでやって、例えば生殖細胞でも全く開示しませんということであれば、管理が楽になるのではないかという気がします。
○山口座長 今のお話は恐らく盛り込むべき要件。これを書いても分からないので、ここに盛り込まなくてはいけないのは、きちんとそういったベーシックな言葉を説明することと、そういうことを1つ入れていただければいいわけですね。
○伊藤構成員 はい。
○山口座長 他にございませんか。まだあるかもしれませんが、今の同意説明文書の項目につきましては、本日出ました意見を参考にして、さらに検討を進めていただきたいと思います。ありがとうございました。
 続きまして今日配付された2つ目の資料ですけれども、先進医療Bにおける試験実施計画変更の遅延について、事務局から説明をお願いします。
(真田構成員一時退席)
○医政局研究開発振興課専門官 はい、お願いいたします。机上配布資料を御覧ください。少し時間が押しているので急ぎます。告示番号44番、周術期カルペリチド静脈内投与による再発抑制療法で、大阪大学附属病院からの申請です。事案の概要ですが、申請医療機関が症例登録期間の延長届を昨年12月に当該施設内のIRBで認定されておりましたが、その期間延長の変更届が当部会に報告されておりませんでした。その報告遅延の御報告です。その問題が発覚した時点で、試験の登録を中断しているということです。この報告を受け、省内で検討し、やはり類似の例を踏まえ、実施医療機関におきましては、当該技術以外も含め、先進医療が適切に実施されているかの自主点検等を求めていくべきだろうと判断し、この件に関しても原因究明や再発防止策の検討などを実施するよう求めてはどうかと御提案したいと思います。御審議をよろしくお願いいたします。
○山口座長 ありがとうございました。ただいまの御説明について、何か御質問はありませんか。ちょっと、これは簡単に、そうですかというわけにはいかないと思います。ほかの手本となるべき施設ですし、もともとしっかりしているはずですので、そういう所で、なぜこれが起きたのか。これから、何か欠陥があるとしたらどういうところを変えなければいけないのかということは、しっかり御報告いただき、御指摘する形で進めたいというような御提案ですが、何か、御質問はありますか。急に入ってきましたので、私も十分理解していないところもあるかもしれませんが。それでは、今の事務局の御提案のとおりでよろしいでしょうか。それでは原因究明や再発防止策などについて、御報告いただくことといたします。では、真田委員にお戻りいただいてください。
(真田構成員着席)
○山口座長 真田先生、どうもありがとうございました。
 それでは、協力医療機関の追加に移ります。事務局より、御説明をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料6-1、163ページを御覧ください。告示番号74の技術につきまして、協力医療機関の追加申請がありました。詳細は資料6-2、165ページにあります。事務局において、いずれも先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件を満たしていることを確認いたしました。協力医療機関の追加として、御承認いただきたく存じます。特に御意見がなければ、手続を進めさせていただきます。以上です。
○山口座長 それでは、手続をお進めください。
 では次に、先進医療Bの取下げについて、事務局から御説明をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 資料7、167ページを御覧ください。告示番号10番、11番及び18番の技術につきまして、先進医療Bの取下げ申請がありました。取下げ理由は、告示番号10及び11につきましては、いずれも予定症例の登録、観察が全て終了したためで、総括報告書の作成準備中とのことです。また告示番号18につきましては、予定症例が終わっておりませんが、同一の内容の医師主導治験が開始となったための取下げということでございます。特に御意見がなければ、手続を進めさせていただきます。
○山口座長 10、11は終了したということで、18については医師主導治験が開始となったので、取り下げたいということですが、何かございますか。よろしいでしょうか。それでは、手続を進めてください。
 それでは、続きまして先進医療として実施されている技術の保険導入等に係る検討方法について、事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発振興課専門官 はい、よろしくお願いします。資料8、169ページを御覧ください。こちらは、報告事項です。背景として、これまでは、先進医療Aの全技術および先進医療Bで試験が終了し、かつ、総括報告書が提出された技術につきましては、先進医療会議において医療技術の科学的評価とともに、保険導入の適切性について評価を行っておりました。一方で、その他の新規医療技術の保険導入に係る評価及び既存技術の再評価については、関連学会等からの提案を踏まえ、医療技術評価分科会(医技評)において検討されているところです。
 現状と課題を御覧ください。このように、現在2つの評価主体で評価が実施されております。医技評は、全分野、網羅的に横断的な視点から、2年に1度、集中的に検討しております。先進医療会議では、先進性の高い新規医療技術について、保険外併用療養としての実施の適切性等の検討を、原則毎月開催される会議で行っており、保険導入の適切性に関する検討を2年に1度行っております。この現状を踏まえまして、統一的な考え方の下で、より分野横断的・網羅的に検討される必要があるのではないかと考えられます。
 そこで、次の対応方針ですが、以上の課題を踏まえ、幅広い技術を集中的に審議する体制を取っている医技評に評価主体を一本化してはどうかという提案がなされました。また先進医療会議においては科学的根拠等に基づく保険導入の適切性に係る評価を取りまとめ、その評価を医技評に報告することとし、保険導入の可否については先進医療会議からの評価も踏まえて、医技評において他の技術とともに網羅的に検討することとなる、とされました。これらの案が了承されました。
○山口座長 ありがとうございました。何か御質問ありますか。今まで、この先進医療会議と医療技術評価と、保険収載が2列で並んで動いておりました。保険収載の観点というのは、やはり医療技術評価会のほうが、現実の問題として社会的なニーズやいろいろな観点から評価できるわけです。どうしても先進医療は、やはり科学的な見地が主体で、そういうことは余り考えないと言ったらおかしいですが、やや不十分なところがあったと思います。一方で、この医療技術評価がいいかというと、先進医療みたいに新しい技術について、やはり知識が十分でない方もおり、なかなか自分たちだけで判断することができない場合があります。ですので、きっちりと科学的な評価を先進医療が責任をもって出して、それを基に医療技術評価会で一本化して評価するということですよね。
○医政局研究開発振興課専門官 はい。
○山口座長 そういう意味では、私も、こういうことに関わった立場からすると非常に合理的でやりやすいのではないかと思います。
○藤原構成員 1点だけ。これは仕組みとしてはいいのですが、私が一番懸念するのは、先進医療会議では重粒子線、陽子線の話をしましたが、むしろda Vinciの手術の評価が医技評にいったときに薄まることを懸念しています。ですから、ここで我々がこの評価をするときには割りといろいろなことを考えながら評価表を書いていますが、評価表の中に、いいですよとか一言入ってしまうと、それがそのまま医技評。この前先進医療会議で医技評も担当されている福井先生が、たくさんあるので細かくは見れないんですけどねというようなこともおっしゃっていましたから、そうすると一部の言葉に引きずられて、例えばda Vinciも、この前胃がん非劣性試験の結果がそんなにすばらしいデータではなかったですが、それは医技評の中で薄まってしまって、もうda Vinciは適応拡大していいのではないかという議論に流れていくことを懸念するので、実際に保険導入の評価の際には、できれば、このような先進医療会議をorganizeしてくれた保険局や研発課がその辺にちょっと、くぎを刺すとかをお願いしたいと思います。
○山口座長 ありがとうございました。そういう意味では、むしろ先進医療だけで評価をしていくと、どうしてもいいのではないかという話になりがちですが、やはり現場はちょっと違う意見を持っているので、むしろ、そういう意味ではブレーキが掛かるのではないかと、今、理解しています。ほかに、何かございませんか。
○真田構成員 私は逆に、入口で保険収載を希望する方々が、これは先進医療をやってもやらなくても医技評に出すことは可能で、最終的には医技評で評価されるということだとすれば、そこで敢えて先進医療をやるべきかやらざるべきかというところに関する判断に、技術の特性にもよる面もありますが、非常に悩まれるのではないか、あるいはそのメリットの判断が難しくなるのではないかということを想定していて、当然先進医療をやればデータとしては、よりかっちりとしたもの、より表に出るものが出てくるのでそれはいいのですが、それを最初にやったほうがいいのかあるいは敢えてやらなくてもいいのかというところを、ある程度体系的に判断できるような基準などがあったほうがいいのか、その辺が少し悩ましいなと考えていたのですが、この辺について、事務局のご見解はいかがでしょうか。
○山口座長 何か、コメントはありますか。
○医政局研究開発振興課長 そこはちょっと、いろいろ書くところで悩まれるところではあるとは思いますが、私どもとしてはこの先進医療の枠組みの中でしっかり技術を評価するということに関しては非常に重いものがあると思いますし、そこを医技評の中で、ある程度の重みを持って受け止めていただきたいと考えていますので、そのような形でやっていただきたいです。このようにきちんとした、しっかりしたプロトコールの上でやっていただいたデータということに関しては、重みを持って受け止めてもらい、それが、やはり先進医療というきちっとした形で進めていく意味だと思いますので、それは理解して、それを一遍やっていただければ、ある程度先生方にも理解していただけるのではないかと思います。
○山口座長 大した技術ではないのに先進医療で評価してもらったら、そのままいくのではないかと考えている人が出さなくなるので、いいのではないかと思いますが。
○石川構成員 かつて、何といいますかコンピューターソフトといいますか、スマートフォンのソフトで、そういうのがあったと思うんです、糖尿病の。それもありましたが、あれは結局、保険のところまでいかなかった。要するにここで認められなかったのだと思いますが、と同時に、ここを通らずに遠隔診療みたいな感じのものが知らないうちに私たち、この先進医療のところでは全然知らないうちに通っていることもあるんです。ですから、そこの住み分けはすごく難しくて、ただ、それは、もう既に保険診療になっていますので、ある面では同じような類似のものが、どんどんどんどんなっていく可能性がある。私からすれば、大変驚異に感じているところがあるので、そこら辺の一番の入口のところのゲートキープは誰がやるかということは非常に大事だと、あえて言いたいと思います。
○山口座長 貴重な御意見、ありがとうございます。ほかにございませんか。それでは、私がもたもたしていて時間が10分過ぎてしまいましたので、ここで打ち切りたいと思います。どうもありがとうございました。
 それでは本日の議題は以上ですが、何か特に御発言はございますか。本日は大変重い議題が多かったので、もう少し遅れるかと思いましたが、私としてはやや早めに終わったなと勝手に思っておりますが、どうぞお許しください。では、次回の日程を事務局からお願いします。
○医政局研究開発振興課専門官 はい。次回の日程ですが、11月16日木曜日、16時から18時までの予定とさせていただきます。場所については、別途御連絡させていただきます。また、本日の議事録については作成次第、先生方に御確認をお願いし、その後公開させていただきますので、併せてよろしくお願いいたします。
○山口座長 それでは、第63回先進医療技術審査部会を終了いたします。ありがとうございました。

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