ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会薬価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第136回議事録(2017年7月26日)
2017年7月26日 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第136回議事録
○日時
平成29年7月26日(水)10:15~11:29
○場所
厚生労働省講堂(低層棟2階)
○出席者
中村洋部会長 野口晴子部会長代理 関ふ佐子委員 田辺国昭委員 |
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 宮近清文委員 |
松本純一委員 今村聡委員 遠藤秀樹委員 安部好弘委員 |
加茂谷佳明専門委員 吉村恭彰専門委員 上出厚志専門委員 |
<事務局> |
鈴木保険局長 谷内審議官 濱谷審議官 迫井医療課長 眞鍋医療課企画官 |
矢田貝保険医療企画調査室長 中山薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他 |
○議題
○薬価制度の抜本改革について
○議事
○中村部会長
ただいまより第136回「中央社会保険医療協議会 薬価専門部会」を開催いたします。
まずは本日の委員の出欠状況について御報告します。
本日は全員が御出席です。
次に、薬価専門部会に属する委員に異動がございましたので御報告します。
7月11日付で中川俊男委員が退任され、その後任といたしまして、7月12日付で今村聡委員が発令されております。よろしくお願いいたします。
また、7月11日付で松原謙二委員が退任され、後任として松本純一委員に当部会に所属していただくことになりました。よろしくお願いいたします。
なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
(カメラ退室)
○中村部会長
それでは、議事に入らせていただきます。
今回は、薬価制度の抜本改革について、これまでの議論のまとめを行いたいと思います。
事務局より資料が提出されておりますので、説明のほう、お願いします。
薬剤管理官、お願いします。
○中山薬剤管理官
それでは、資料の御説明をさせていただきます。
薬-1の資料をごらんください。「薬価制度の抜本改革について(その12)」ということでございます。
2コマ目「薬価制度の抜本改革に係る議論」につきましては、本年に入りましてから、1月11日が最初でしたけれども、検討テーマごとの議論を月2回のペースで続けてきたということでございます。
その途中で、5月17日には関係団体からの意見聴取を行いましたが、議論としては計11回行いました。
今回と次回におきまして、これまでの議論のまとめということを2回に分けて行わせていただきたいと思っております。
したがいまして、今回はその前半部分、2コマ目の赤で囲った部分についての議論をまとめさせていただくとともに、これまでいただいた御意見などについて、御回答できる部分については御回答する資料を添付しているという状況でございます。
3コマ目、まず、今回の抜本改革の中で大きな柱の一つとなりますが、効能追加等に伴う市場拡大への柔軟な対応ということになろうかと思いますけれども、これについて、最初のテーマとして議論をいたしました。
その際、提出した検討課題が3コマ目でございますけれども、「(1)対象となる医薬品の範囲」「(2)薬価の引下げの方法」「(3)販売数量の把握」ということで、NDBの活用ということがあり得るのではないかということもお示しさせていただきました。
さらに「(4)制度の導入時期」ということで、平成30年度薬価改定に先駆けて、本制度を前倒しで実施するというようなことについてもどう考えるかというような点についてもお示しさせていただいたという状況でした。
4コマ目、それに対しまして主な委員の意見というものでございますけれども、【1号側委員】からは
○対象品目については、少なくとも現行の市場拡大再算定に該当するような品目は対象 とすべき。また、引き下げの程度についても、少なくとも現行の市場拡大再算定と同 程度は行うべき。
という意見をいただいております。さらに3つ目の○ですけれども、
○販売数量の把握にあたってNDBを活用することは効果的である。NDBを使うと、どのぐ らい把握に遅れが出るのか。
という意見もいただいております。
【2号側委員】からは
○NDBでは補足できないものもある。NDBよりもIMS(民間調査会社)のデータを活用す る方が効率的だと考える。
○NDBとIMSのデータについて、把握できる数量などについてどのぐらいの違いがあるの か。
といった意見をいただいているところでございます。
【専門委員】からは、2つ目の○ですけれども、
○平成29年度の経営計画を立てている中で、前倒しによる実施は、予見性の観点から危 惧を抱いている。
という意見もいただいています。
【関係団体意見陳述】におきましては、
○ 効能追加によって売上が一定規模以上へと急速に拡大した場合など、薬価算定時の前 提条件が明らかに変化している品目であって、かつ医療保険財政への影響が大きい品 目に限り、年4回の新薬収載の機会を活用して薬価を機動的に見直す必要性は理解で きる。
という意見をいただいているという状況です。
5コマ目、いただいた御意見を踏まえまして「IMSデータとNDBの特徴比較」という資料を、今回新たに添付させていただいております。
IMSデータにつきましては、データの収集元は日本医薬品卸売業連合会に加盟している企業を中心として、IMS社が契約している企業でございます。一方、NDBは保険者ということになろうかと思います。
データ量につきましては、IMSのほうが国内で流通する全医療用医薬品の96%ということでございますが、後発品市場における金額ベースのデータカバー率は76.7%であるという状況です。NDBにつきましては、全レセプトデータの98.6%ということになります。
データ整理に要する期間としては、IMSデータは半月程度ということで、1月販売実績は2月中旬にデータ提供可という状況です。一方で、NDBは、速報データは2~3カ月程度ということで、1月診療分は4月に速報データを提供可という状況です。
その他といたしましては、NDBにつきましては、DPCなど技術量に薬剤費が包括されているものについては、薬剤費部分の費用を正確に算出できないという部分はございます。薬剤費全体の1割程度と推計されます。
このような、それぞれいい点、悪い点などはあるという状況かと思いますけれども、最終的にはIMSについてのデータ利用時の注意点ということで、データ利用に当たっては、利用企業、団体ごとのライセンス契約が必要ということと、データの第三者への開示は原則不可ということになっておりますので、個別製品の再算定に活用することはなかなか難しい状況であるということでございます。
6コマ目「外国平均価格調整」につきましては、これも1月25日にお示しをした論点ですが、「(1)参照すべき外国価格について」といった点ですとか、あるいは「(4)再算定との関係について」ということで
○世界に先駆けて日本で上市された医薬品は、収載後、外国で設定された薬価と著しく 異なる場合があり得るが、このような場合の外国価格との調整について、外国価格と の乖離、革新性等を踏まえどう考えるか。
といったような点も挙げさせていただいたという状況です。
これに対しまして7コマ目にございますけれども、主な委員の意見といたしまして、【1号側委員】からは、
○米国は薬価が自由価格・民間保険である一方、日本は公定価格・医療保険が主である 中、米国価格を参照するのは違和感があり、諸外国の制度も踏まえるべきであると考 える。
○世界に先駆けて日本で上市された医薬品に対するイノベーションの評価に配慮しつ つ、諸外国との価格差の適正化も重要。
○最高価格の除外規定について、たとえば3倍→2倍に変えた場合、薬価算定にどれだ け影響があるのかについてシミュレーションすべきではないか。
○米国価格を調整から除外することについては、慎重に検討すべき。
という御意見をいただきました。
【2号側委員】からは、
○米国のリストプライスは参考とはするが、調整に用いるべきではない。
○米独仏は外国価格調整をしているのか。米国を参照しているのか。
といった意見もありました。
【専門委員】からは、
○現在参照している4か国は新薬創出国ということで選ばれていると理解。一方、米国 の価格については、医療保険制度の違いやリストプライスということを踏まえると、 課題があることは認識。
というような意見もいただいています。
【関係団体意見陳述】では、
○米国の価格として現在参照しているAWPが不適当ということであれば、公的医療保険 制度メディケア・メディケイドにおいて償還価格の算定基準に用いられるASP及びNAD ACを参照することを検討するべき。
という意見をいただいております。
こうした意見を踏まえまして、8コマ目「外国価格における算定価格と最高価格の比」という新しい資料をお出ししています。
これにつきましては、下に小さく書いてある※のところにありますが、「H26.4~H29.5に収載した成分が対象(複数国の価格があるもののみ)」ということですけれども、全96成分ありますということでございます。
外国価格において、最高価格が最低価格の3倍を超えたものにつきましては、左の半分程度ですけれども、全体の46%ということになっています。2倍を超えるものといたしますと、20%ほどふえまして67%程度になります。
9コマ目、外国価格、新薬価格の決定時に参照する外国の価格がどうなっているかということでございます。
ドイツの一番右を見ていただきますと、ドイツは最初は自由価格ということですけれども、早期有用性評価を行って、その結果、有用性ありとなった場合は欧州諸国15カ国の価格を参照して薬価を決めていくという手続を踏むことと承知しております。
フランスにつきましては、英国、ドイツ、スペイン、イタリアを参照するということでございます。
全体として言えますことは、英国、ドイツ、フランスにおいては、米国価格を新薬価格決定時に参照はしていない状況であるということでございます。
10コマ目「薬価算定方式の正確性・透明性」の中で、類似薬効比較方式についての議論でございます。
1つ目の検討課題としては、類似薬効比較方式において、化学合成品と抗体医薬品を類似薬として、比較薬として選定するというものについてどう考えるか。お互い化学合成品を抗体医薬品の比較薬にするとか、また、その逆もあるのですけれども、そういったものについてどう考えるかという点。
さらに外国平均価格調整の適用ということで、類似薬効比較方式(1)については同じ効果を持つ類似薬と1日薬価を合わせるということ、それによって市場での公正な競争を確保するという観点で実施しているにもかかわらず、最終的に合わせたにもかかわらず、外国平均価格調整による価格の調整を行うことについてはどう考えるかというような点を挙げさせていただきました。
11コマ目については原価計算方式でございますけれども、原価計算方式につきましては医薬品産業の特性から言いまして、
1医薬品を上市することについての成功確率が極めて低いこと
2売上高に対する研究開発費比率が他の産業に比べて突出して高いこと
3新薬については極めて成功確率が低いといった状況の中、原価計算方式においては、 承認申請、PMSや供給に必須な費用以外の費用は評価されないこと等の状況を踏まえ、営業利益率の在り方についてどう考えるか
といった点を挙げさせていただきました。
(2)にありますとおり、「正確性・透明性の向上」といった点では、
○原価計算方式における正確性・透明性を向上させるため、可能な限り、製造経費等を 明確にした上で薬価算定を行えるよう促す仕組みを設けることについてどう考える か。
ということについても挙げさせていただいております。
これらについて、主な委員の意見として12コマ目でございますが、【1号側委員】からは、
○類似薬効比較方式でも外国平均価格調整は妥当。薬価を決めるには2つぐらいの物差 しは必要。
○製薬企業の研究開発費に対する各種補助金や税制上の優遇措置を示して欲しい。
○営業の秘密には十分配慮するという担保も必要である一方で、妥当性・信憑性を担保 するために製造原価を明確にした上での薬価算定が行われるよう促すべきであり、透 明性の向上が重要。
○妥当性・信憑性等が担保され適正な価格を導いた場合には、収載後の外国平均価格は 必要性に乏しい。
○研究開発コストが高く、成功率が低いといった製薬企業の特殊性を理解はできるが、 原価計算で積み上げる営業利益率は他産業と比較しても高すぎる。
という意見もいただきました。
【2号側委員】からは、
○原価計算方式による算定手順、算定内容について、具体的に提示してほしい。
○原価計算方式において、原薬の輸入を含めた輸入医薬品については、特に、外国で販 売されておらず日本で初めて医薬品が上市され、輸入価格の妥当性の評価が困難とな るような場合、収載後に、外国平均価格調整を適用すべきである。
○営業利益率につきましては、新薬メーカーの平均を用いるなど、十分に手当てされて いる。
○製薬企業は大きなリスクを抱えている中、努力されていることは理解しており、得ら れた利益をバイオ製品やiPS等に投資し、国民に適切な医薬品が供給されることで還 元すべき。
という意見もいただきました。
【専門委員】からは、
○外国平均価格調整ルールは算定薬価と欧米主要国との間で著しい乖離が生じた場合 の補正であり、外国価格との関連によって類似薬とかなりの価格差が発生することに ついては、その妥当性は低い。
○製薬企業の特殊性として、医薬品が副作用によって販売停止となるリスクや、販売に 至らない医薬品開発のコストなどがある。さらに安定供給の責務が40、50年と続くも のである。また、近年、研究開発シーズが枯渇しており、成功するかはわからない中、 新たなシーズを購入したり、ベンチャーを買収はしたりする必要がある。
というような状況についても御意見をいただいております。
【関係団体意見陳述】では、
○製造総原価は、まさに企業秘密であり、市場競争への影響を踏まえると、一般に公表 することはできないもの。
○薬価算定組織に対しては開示しており、薬価算定の透明性の向上に資する検討に前向 きに取り組みたい。
という意見もいただきました。
13コマ目、1号側委員から各種補助金や税制上の優遇措置を示してほしいという御意見もいただいておりますので、参考として資料を載せさせていただいております。
13コマ目は「試験研究を行った場合の法人税制額等の特別控除の拡充」ということで、平成29年度施行の新税制の内容でございますが、その中で真ん中あたりにありますとおり、試験研究費の額が平均売上金額の10%を超える場合についての上乗せ措置である、いわゆる高水準型といわれるもので、そういったものは製薬企業が活用できる制度として位置づけられるとのことですけれども、これについては2年間延長したというような措置などを含む特別控除の拡充が平成29年度から実施されているということです。
14コマ目「希少疾病用医薬品等開発振興事業について」ということで、希少疾病用医薬品、医療機器等に指定されたものについての試験研究助成金の交付が医薬基盤・健康・栄養研究所により行われています。
15コマ目にありますとおり、これは平成27年度からということで、AMEDにおいて企業等を対象にして希少疾病用医薬品指定を受ける前に、受ける可能性のある品目の開発費の補助事業が新たにできているという状況についても資料をつけさせていただきました。
16コマ目以降は原価計算方式の薬価算定シミュレーションで、個別の内容についてはお示しできませんが、一般論として、できるだけお示しをさせていただいたということですが、まず、原価計算方式としましては、16コマ目にあるように「1原材料費」「2労務費」「3製造経費」といったものについて、これを「4製造製品原価」と呼びますけれども、それぞれの内訳、さらに「5一般管理販売費」「6営業利益」「7流通経費」「8消費税」ということで挙げていまして、それぞれの細目についても細かく見て、確認をした上で薬価算定をしているという状況です。
17コマ目以降は「1原材料費」「2労務費」「3製造経費」ということで3つに分けておりますが、それぞれ、「1原材料費」で言えば、有効成分とか賦形剤、あとは添付文書、個装箱、段ボール箱といったようなものなどについて、量や単価などのデータを細かく出していただくという形をとっているということでございます。
一方で、17コマ目の真ん中の赤い四角に囲ってあるとおり、「他社からの輸入品の場合や、海外本社が製造し、国内には製剤化されたものを輸入している場合は、多くの場合、その内訳は示されない」。輸入価格とか、移転価格といったようなものが示されるような形になっているというところがあります。
ここの妥当性については、17コマ目の右上の赤で囲ったところにありますとおり、「輸入品の場合、日本以外への輸出価格を確認し、日本向けの輸出価格の妥当性を確認」といった手続をしているということであります。
そういったことによって「1原材料費」「2労務費」「3製造経費」などについては確認をしているということでございます。
20コマ目以降は「5一般管理販売費」として、研究開発費などについての資料をおつけしています。
21コマ目にあるとおり、「5-1 研究開発費」につきましては、基礎研究費、臨床研究費、PMS費など、大きく分けるとこうした費用をまず分類いたしまして、それぞれについて細かく見ているということになります。また、こうした研究開発費につきましては、売り上げに応じた償却をするという形の原価の積み上げの仕方をします。
したがいまして「販売見込み(数量)」を出していただくということです。
ここについての妥当性の確認は重要ですので、21コマ目の右にありますとおり、「患者数の見込みについては、根拠資料の詳細の提出を求め、推定の妥当性を確認。人口動態調査や厚労省や学会等の患者調査、民間調査会社の各種データ、製薬企業の市場調査といった資料を組み合わせて推計することが多い」というような状況であります。
22コマ目「5-1 研究開発費(細目)(臨床研究費の例)」ということで、臨床研究費の細目として、各試験、それにかかった費用の分類で、それぞれかかった金額を細かく挙げていただくという資料を出していただいているということであります。
ただ、その場合、22コマ目の右上にありますとおり、
・承認された効能・効果に直接関係しない適応に関する試験
・承認申請資料として提出されなかった試験
に係る費用は、計上を認めない(非臨床試験についても同様)。
という形で見ているということですとか、次にありますとおり、
・症例が組み入れられなかった病院に対する委託費等については査定。また、各委託先 の病院に対し、契約症例数で費用を支払っていたとしても、薬価算定上は実施症例数 の費用分のみを計上
という形で確認をしているということであります。
23コマ目「5-1 研究開発費(細目)(PMS費の例)」、市販後の調査のための費用の例ということですけれども、この中には大きく分けて2つありまして、市販直後調査と呼ばれるものと製造販売後調査と呼ばれるもので、これはいずれも薬事上の法令の義務ということで位置づけられているものです。
その中でも、例えば市販直後調査で「MR労務費」というものがあるわけですけれども、そういったものに関しては薬事制度の中で、通常求められている回数、最初の半年間で8回ということですけれども、それに照らして妥当か確認するなどのことを行っています。
24コマ目「5-2 研究開発費以外の一般管理費・販売費(細目)」ということで、「MR訪問」で出されてくるというような場合があり得るわけですけれども、ただ、ここについては市販直後調査とか製造販売後調査以外のMR訪問は、実質的な販売促進活動なので、その費用は全て認めないという立場で確認をしているということであります。
以上のようなことを積み上げまして、25コマ目にありますとおり、研究開発費総額を出して、先ほど触れさせていただきました償却期間での予想販売数量で割り返すことによって、1規格当たりの研究開発費を出すというような形をとっているということでございます。
なお、26コマ目に念のため資料としておつけさせていただきましたけれども、「MR活動における安全対策と販売促進の区別について」ということで、安全対策として認められるMR活動費については、「市販直後調査」「使用成績調査(製造販売後調査)」、これはいずれも薬事の規制の中で義務として位置づけられているものということなので、そういった費用については認めている。ただ、それ以外のMR活動費については、原則として計上を認めないという立場で確認をしているということでございます。
27コマ目「薬価調査について」という議論もいただいております。
最初に薬価調査について議論を行っていただいたのが2月8日になりますが、その際には「検討課題1 中間年の調査について」ということで、どのような調査を行うことが適当かといったようなこと。
さらに「検討課題2 薬価調査の正確性や調査手法について」ということで、正確性の検証のためには、公表事項を拡大すべきではないかという点。
「(2)調査手法の検証」ということで、現在、行われている調査手法について効率性の観点から見直すべき部分があるのではないかということを示させていただいたということで議論をいただきました。
検討課題2に該当する部分については、3月29日にもう一度議論を行っていただいておりまして、薬価調査結果の正確性の担保ということで、どのようなことが考えられるかといった点と、薬価調査の調査手法については論点の最初にありますとおり、調査の効率性の観点から、本調査については都道府県を経由せず厚生労働省から直接調査客体に調査票を配布して回収を行うこととしてはどうかなどの点を挙げさせていただいて御議論いただきました。
29コマ目については「薬価調査の正確性や調査手法について」ということで、【1号側委員】からは、
○販売側と購入側の両面から調査すれば、データ突合して正確性を担保できるが、一方 の調査で正確性が担保されない可能性があるので、慎重に検討すべき。
という意見がございました。
【2号側委員】からは、
○販売側からの調査の正確性が担保されているのであれば、購入側の負担も踏まえて購 入側の調査のあり方を検討すべき。
といったような意見がございました。
【関係団体意見陳述】では、
○価格交渉に重大な悪影響を及ぼしかねない薬価調査結果の公表事項の拡大は反対で ある。
○単品単価契約が推進するような施策や9月までに妥結した価格が年度後半の価格交 渉で大きく変動しないような仕組みについて検討いただきたい。
といったような御意見をいただいております。
次に、薬価調査の中でも「中間年の調査について」ですけれども、これは30コマ目をごらんください。
【1号側委員】からは、
○これまで薬価調査を行っていた年の間の年における調査手法の検討は、当該間の年に 対する改定内容に沿って並行して検討すべき。
○本調査と当該間の年における調査において、基準や考え方については同様として行う べき。例えば当該間の年における調査については、調査客体の抽出率を変更するなど、 基本的に本調査と同様の考え方で実施すべき。
というような御意見をいただきました。
【2号側委員】からは、
○当該間の年における調査は、極力負担の少ないやり方で簡便な方法で実施すべき。正 確性の若干のずれは、本調査の際に正確に調査して対応すべき。
というような御意見がありました。
【関係団体意見陳述】では、
○特定の卸業者のみを調査対象として公表した場合、取引先を調査対象外の卸業者へ変 更されるなど、流通に歪みを生じかねない。
○日本医薬品卸売業連合会の卸業者のみを調査客体とした場合、取り扱いのない品目が あるため、品目の漏れがないような調査にする必要がある。
○当該間の年における調査に当たっては、卸業者の負担の少ない調査とすべき。
といった御意見をいただきました。
31コマ目、中間年の薬価改定の議論もいただいたところであります。
これについては、昨年末の基本方針で乖離の大きい品目についての薬価改定を中間年は行うという方針が示されているということで、その点についてどう考えるかといったことをお示しさせていただきました。
後発品の価格帯というのは、3価格帯ございますけれども、中間年の場合、乖離の大きい品目についての改定を行うということで、価格帯の中で改定の対象となるもの、ならないものが混在するという状況が想定されるということで、その価格帯についてどう考えていくべきかといったような点もお示しして議論をいただきました。
32コマ目にありますとおり、【1号側委員】からは、
○薬価改定の対象となる品目については、製薬企業の予見性の確保やルールの公平性と いった観点から、具体的な数値基準を示すことは別としても、一定の考え方があった 方が望ましい。
といった意見をいただきました。
これに対して、先に【専門委員】のほうを御紹介させていただきますけれども、
○具体的数値基準については、例えば、一定率という示し方となった場合、市場におけ る価格交渉のメルクマールになってしまうことが懸念される。
といった意見が出ました。
戻りまして【2号側委員】からは、
○バイイングパワーが小さい薬局への影響を考慮すべき。
○後発品の使用促進について、阻害されることのないようにすべき。
という意見をいただきました。
【関係団体意見陳述】では、
○価格乖離の大きな品目を改定するための調査とし、薬価改定の範囲は極力限定すべき。
といった意見が出たということでございます。
資料の説明は以上でございます。
○中村部会長
ありがとうございました。
これまでの議論のまとめとともに、新しいデータ資料のほうも事務局から提出いただきました。
それでは、ただいまの御説明に関しまして、何か御質問等ありましたらお願いします。
今村委員、お願いします。
○今村委員
きょうからの参加ということになりますので、今までの議論の御説明をいただいて、まだちょっと触れられていないのかなと思ったことについて若干御質問をさせていただきます。
何点かありますので、一つ一つ確認をさせていただきたいのですが、16ページ目の「原価計算方式の薬価算定シミュレーション(仮想例)」ということで、ある程度仮想してわかりやすくお示しをいただいたということだと思います。
1番から5番については原材料費や労務費等、非常に詳細に仮想で書いてあって、なるほど、こういうことで計算されているのだなということがわかるのですが、6番目から8番の部分、これは合わせて30%ぐらい、全体の原価の中の3分の1を占める結構大きな金額になるわけですけれども、例えば仮に「7流通経費」の左の欄を見ますと「製造業者」でなくて「卸業者」というコメントがついています。
これはもともと原価を計算するのに、薬をつくる会社のコストということだと思うのですけれども、ここで「7流通経費」といっている、この「卸業者」と書いてある「平均的な流通経費(7.3%)」というのは、薬-1参考の7ページ目「原価計算方式」のところで注を見ると、「<注3>流通経費率」ということで、平成25~27年の3年の平均が7.3%になるという記載になっていますけれども、この流通経費率と言っているもの、そのものがそもそも何なのかが明確ではない。
だから、3年をきちんと平均してこの数字をという、これは何となく根拠がありそうだなと見えるのですけれども、実態のこの流通経費率というのは何を言っているのですか。
○中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○中山薬剤管理官
流通経費につきましては、端的に申し上げますと、実際、卸業者の方々の売上高から売上原価を引いた部分で、いわゆる粗利と言われている部分でございまして、これについて、厚生労働省医政局経済課において、それぞれの卸売業者の方々に調査を行いまして、その平均値を出せるものですから、その値を利用させていただいているという状況です。
○中村部会長
今村委員、お願いします。
○今村委員
そうすると、卸業者さんの売上総利益率をここに入れているということですね。そういう理解でよろしいですか。
○中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○中山薬剤管理官
そのとおりです。
○中村部会長
今村委員、お願いします。
○今村委員
そうすると、例えば卸業者さんは大変厳しい時代もありましたけれども、昨今は比較的利益率が上がってくる。卸業者さんの利益率が上がれば上がるほど、原価計算方式の薬価が高くなるという理屈ですね。
○中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○中山薬剤管理官
そこについては先ほど申し上げたとおりで、売上高から売上原価を引いた、いわゆる粗利の部分がここに入っているということでありまして、その中には当然のことながら卸売業者さんの中の人件費ですとか、さまざまな、ジェネリック医薬品がどんどんふえる中、そういったものの管理をするためのコストとか、そういったものも全て含んでいるということです。
最終的に残った部分は、営業利益という部分になると思いますけれども、その辺については卸売業者さんの中でいろいろ合理化しながら、ただ、まだ手間のかかる部分もふえるといったようなものの中で推移しているということかと思っています。
今回お示ししていないのですけれども、実際の流通経費率につきましては、読み上げさせていただきますけれども、平成25年度以降で数値を見ますと7.1%、6.8%、6.8%、7.0%です。
平成29年度は7.3%ということになりますけれども、おおむね横ばいで推移してきているという状況にあるということもつけ加えさせていただきたいと思います。
○ 中村部会長
今村委員、お願いします。
○ 今村委員
例えば新しい薬をつくったと、それを卸業者さんを通して、医療機関や薬局に販売していただくために一定の経費がかかるということは理解をしております。
ただ、その薬の原価の中に卸業者さんの努力だとか、先ほどの御説明のような卸業者さんのさまざまな利益が、ここの原価に入るということは何かちょっと違和感があって、例えば経費であれば、一定の金額が経費としてかかるという計算ならばまだ理解できるのですけれども、例えば昔の、卸業者さんの営業利益率が非常に悪かったときは、この数字は3年平均で、もっとうんと低い数字になっていたのだと思うのです。
そうすると、卸業者さんの努力によって、卸業者さんの営業利益が上がったら新しい薬の原価が上がるという仕組みになるということは何となく理解しづらいのですけれども、それはいかがなのですか。
○ 中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○ 中山薬剤管理官
そこについては、仮に努力によってコストを一部削減した場合には、実態を私は十分承知しておりませんけれども、実際のところは売上高の部分から若干その価格を下げるということもあり得ると思いますし、さまざまな要因によって、実際にかかるコストを相殺するといいますか、そういった形の努力をされているという部分もいろいろあると思いますので、あくまで売上高から売上原価を引いたものとしての位置づけで、かつ各卸売業者さんの平均値を活用することが一番妥当であるという判断のもとで、こういった算定をしてきているということでございます。
○中村部会長
今村委員、お願いします。
○今村委員
何度聞いても、実態がそうなので同じ御説明しかいただけないのだと思うのですけれども、一般的な医療費を払う国民の方からすると、薬の会社が新たな薬をつくると、そのときに、こういう原価がかかっていますということで価格が決まるということはわかるのですけれども、流通に一定の経費がかかるにしても、そこの利益率が原価にそのまま乗ってくるということは何となくちょっと違和感がありますねということだと思います。
例えば新しい薬で、原価として1,000億円の売り上げが出る薬だったら、7%がその分の、卸業者さんのためのコストということになるわけで、少しこの辺は御検討いただけないのかなというのは、初めて参加の私の素直な感触です。
これは、もうこれ以上言っても同じ御説明なので結構ですから、そういうことを御指摘申し上げたということだけ御理解いただければと思います。
2点目は、先ほど1号側から税金や補助金等はどういうものがあるかということで仕組みはお示しいただいたのですけれども、一体どれだけ税額が控除されたのか、どれだけ補助金が出ているのかという金額を、ぜひ次回お示しいただければと思います。
最後の質問ですけれども、薬価調査の中で、これは診療所や病院、薬局等に、一体お薬が幾らで納入されているかという薬価の調査をされるのだと思うのですけれども、その際に税抜き価格で調査をするということになっているのだと思いますけれども、消費税が5%から8%に値上げされたときに、日本医薬品卸売業連合会のほうで価格表示カルテルが結ばれた。
どういうことかというと、例えば、今、108円の薬価のうち、8%分の8円は消費税分です。この8円を外して100円の部分から幾ら値引いて買っていますか。例えば10%を引けば90円になります。これが税抜き価格になる。でも、108円のまま10%引いて税抜き価格というと、8円は税金ではありませんので、あくまで補填として乗っている分ですから、108円から10%引くと97円20銭になる。
医療機関や薬局が、どちらの価格で書くかによって薬価の数字が全く変わってきてしまうのですけれども、実態として、どのような回答がされているのでしょうか。
○中村部会長
経済課長、お願いします。
○三浦医政局経済課長
記載に当たりましては、税抜き、税込みの記載欄を設けまして、様式上はどちらかを選択して書いていただくというようになっております。
○中村部会長
今村委員、お願いします。
○今村委員
その場合の税込みと言っているのは、我々が払うときに消費税を払った分を入れてという意味ですよね。
○中村部会長
経済課長、お願いします。
○三浦医政局経済課長
おっしゃるとおりでございます。
○中村部会長
今村委員、お願いします。
○今村委員
そのときに、さっき私が申し上げたように、価格交渉で消費税の補填分の8円を外して、100円から幾ら引いたというと、10%引くと90円になるわけですね。その価格は税抜き価格になるのですか。それとも税込み価格になるのですか。
少なくとも税込みではないですよね。でも、税抜き価格と言えるのですか。
○中村部会長
経済課長、お願いします。
○三浦医政局経済課長
今のお尋ねの件で申し上げますと、100円のものを1割値引きを、価格交渉をして下げました、90円で買いましたという、その90円自体は税抜きの金額になります。
○今村委員
ただ、薬価は108円でしょう。
○三浦医政局経済課長
薬価は108円です。
○今村委員
薬価が108円のものを90円で買ったということになると、それは10%引きではないですよね。
○三浦医政局経済課長
実際の取引では、この90円に対して、また8%が乗った取引がされるのではないかと思います。
○今村委員
もちろん取引はそうなのですが、その場合は税込み価格で97円20銭のほうに書くのではないのですか。
○中村部会長
経済課長、お願いします。
○三浦医政局経済課長
97円20銭のほうは税込みの金額のものを選択した上でそちらに書いていただくことになろうかと思います。ですので、90円と書かれる場合には、税抜きの金額として、その取引金額で妥結をしたという記載をいただくことになろうかと思います。
○中村部会長
今村委員、お願いします。
○今村委員
つまり、その辺の現場の理解がまだ十分でないので、108円から引いて、10%引けば97円20銭になりますので、そこにまた8%掛けて、実際に払っているところも結構あるわけです。
つまり、現場の消費税の取り扱いがきちんと整理されないまま、税抜き、税込みといっても、正確な数字が出てこないのではないですかということを伺っていて、そこはきちんとできているのですかという確認したいのです。
なぜこんなことを申し上げるかというと、現場からは非常に消費税の負担が重いといって、本来、きちんと薬価の中に補填されているはずなのに、補填されていないという苦情が非常に多いのです。だから、そこの理解がないままに薬価調査をすると、間違った、混乱した数字が出ているのではないかという危惧を持っているということです。その辺はいかがですか。
○中村部会長
経済課長、お願いします。
○三浦医政局経済課長
その点に関しましては、前回の消費税の引き上げの際にも、今村委員におっしゃっていただいたようにカルテルを組みながら説明をしっかりしていこうということはやったと承知をしておりますが、御指摘のような声が現場であるとすれば、もっとしっかりと説明ができるようにいろいろ工夫について考えてみたいと思います。
○中村部会長
そのほかに御質問、御意見等はございますでしょうか。
𠮷 森委員、お願いします。
○ 𠮷 森委員
今の原価計算方式についてでございますけれども、今回、薬-1の16ページ以降に具体的な製薬企業さんからの提出資料のイメージを示していただいたので、実際に企業の皆様からかなり多くのデータが提出されているということは一定程度理解をしました。
そこで、実際に製薬企業の皆さんの提出データと、例えば16ページにございます薬価算定シミュレーションで、この様に薬価算定をされているのだろうと思いますが、算定後の増減の価格、項目の差異がわかれば、具体的にどのような項目について、今後見直していくべきなのかなど、
透明性の観点から言えば、その差異を提出いただくような資料があれば我々も検討しやすいのではないかというように思いますので、事務局におかれては、この算定シミュレーションと実際にそれぞれ提出されている各項目の数値との差額、そういう資料を提出いただけるのかどうか、これは質問でございます。
○中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○中山薬剤管理官
確認ですけれども、実際に企業から提出された薬価についての積み上げと、実際にこちらが、これは不必要であると考えて、そこからは査定という言葉がいいかどうかはわかりませんけれども、そうした後との差異という意味ですか。
○中村部会長
𠮷 森委員、お願いします。
○ 𠮷 森委員
例えば16ページで1から各項目がございますね。これを算定するに当たっての基礎資料として、それぞれ製薬企業さんから、ある製薬についての資料が出ていると思いますが、その数値と、こうやって算定した数値、それは当然ながら差が出ているのだろうと思います。
先ほどいろいろと解釈の仕方もある、それぞれの決め方もある中で算定しているのだろうと思いますけれども、その差額は当然出ているのだろうと思います。それが大きいのか小さいのか、見せ方にもよりますでしょうけれども、具体的な数値でなくても、この部分の乖離は非常に大きい項目だということがわかれば、それは何なのだろう、どういう解釈をして、どうなのだろうということがわかれば、薬価算定を抜本的に見直していく中で、その解釈がおかしいのか、何がおかしいのかがよくわかるのだろうと考えますので、そういうような差異を示すような資料が出せるのかどうかという質問です。
○中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○中山薬剤管理官
個別の企業の情報についてどこまでお示しできるかというところもありますし、実際に我々のほうで、企業からの希望、こういった積み上げがしたいのだという希望が来るわけですけれども、それ以前に、医政局経済課のほうでもいろいろと企業に対する指導も行った上で出してくるというような流れもあるということなので、どういう形で出せるのか、どのあたりが企業の希望と差異が大きいのかということをイメージとして見ることができるのかという御指摘だと思いますので、そういった形ができるのかどうかということについては少し検討をさせていただきたいと思います。
○中村部会長
そのほか、いかがでしょうか。
加茂谷専門委員、お願いします。
○加茂谷専門委員
今、御議論をいただいております原価計算方式の実際の話でございますけれども、ここにお示しをいただいておりますように、例えば労務費一つとりましても、一律の係数で算定をされることになっております。
直接当該新薬にかかったものとして他の品目と分けられない費用は、企業の方でそもそも計上しない場合や、あるいは相当厳しく査定をされるというのが実態でございます。
そういった意味では、必ずしも実際にかかった費用そのもので認められているわけではなく、この原価計算方式で算定される薬価が、まさに当該新薬の原価そのものであるということではないということに御理解を賜りたいと思います。
言い過ぎかもしれませんが、一定のモデル原価を算定していると捉まえていただくほうが妥当ではないかと、専門委員の立場では認識をしています。
そういった観点からも、あくまでも原価計算方式による算定は、類似薬がない場合にやむを得ずと申しましょうか、限定的に用いる算定方式だということを専門委員の立場でコメントをさせていただきます。
○中村部会長
こちらは何かいいですか。
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
原価計算方式に関して新たな資料が示されましたので、細かいところも含めていくつか質問をさせていただきます。
資料を見た全体的な印象としては、原価計算方式というのは、まず企業の言い値ありきなのだという感覚を正直覚えました。
スライド21ページの「○5-1 研究開発費」は、研究開発費の総額を償却期間の販売見込み数量で割り出しているということですが、前回も私は申し上げたのですが、この数字が妥当であったのかどうかについて、検証されたことがあるのかというところをまずお聞かせいただきたいと思います。
次に、この償却期間をどう見るかというところについてです。特許期間は販売を独占するわけですから、私は償却期間の8年ではなく、特許期間で見るべきだと思うのですが、なぜ償却期間を用いているのかというところについて、教えていただきたいと思います。
○中村部会長
まとめて薬剤管理官、お願いします。
○中山薬剤管理官
実際に原価計算をして、薬価を算出した当初の患者数見込みについて、それを、その後振り返って見た場合に妥当であったかというような検証は実際はありません。
その辺については、実際に何年か先に類似薬が出てきたと、当初は予期しなかった類似薬が出てきたなどの理由によって、患者数の見込みが変わり得るというようなこともあり得ると思います。大きくふえるような場合については、再算定というような形での薬価の見直しを行うことで対応してきたということかと思います。
償還期間という考え方ですけれども、これにつきましては、特許期間というものが、我々としては基本的には正確に知り得ない、企業の秘密の部分があるということとともに、この中にはPMS費ということで、市販後に対する調査の実施が経費として含まれているということもあります。
したがって、そういったことと関連して、再審査期間の8年または10年という形が主ですけれども、そういったものを償却期間として置くということでこれまで対応してきたということでございます。
○中村部会長
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
特許期間はわかるのではないのですか。
○中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○中山薬剤管理官
後発品が販売されるまでの実際の期間は、正確には知り得ない情報かと思います。いろいろと企業、後発の企業の方も、先発の企業との間で、その特許期間という考え方でのいろいろな紛争もあり得るというような状況なので、正確な意味では知り得ないという形になるかと思います。
○中村部会長
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
特許期間が10年の医薬品があれば、10年は販売権を独占するわけですから、10年間の販売見込み数を計上すべきだと思うので、ぜひそこは精査していただきたいと思います。
次に、PMSについてです。まだ発生していない費用を収載時にあらかじめ想定して薬価の中に入れるということですが、PMSとはどのようなものが対象となっているかを見ると、MRの交通費や謝礼など、一般的な企業活動を行う上での経費であると思われるようなものも、研究開発費として計上されておりますが、これはいかがなものかと思います。
医薬品によってPMSの内容は異なると思うので、企業の申告ベースで行うのではなくて、医薬品の種類などによってPMS費の基準を置くというやり方のほうが妥当ではないかと思っています。
○中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○中山薬剤管理官
ここでお示ししておりますPMS費に関しましては、26コマ目にも資料としておつけさせていただいたとおり、市販直後調査及び使用成績調査ということで、薬事上の法令の義務として行わなければいけない調査です。
まず、市販直後調査に関しましては、症例上、販売後6ヶ月間ということで、まずやらなければいけない期間が定められ、かつ当初2ヶ月間は月に2回ずつ、その後4ヶ月間は月に1回ずつということで、規定上やるべき内容が定められています。
その内容に照らして、本当に必要な経費と言えるのかどうかということを確認するということをやっています。
使用成績調査(製造販売後調査)につきましても、薬事上の法令の規定に基づくものです。
これにつきましても、承認を受けた際に、症例数としては、この場合、オプジーボの例が書いてありますけれども、使用全例を対象に目標症例数850例としてというような形になっていますが、何症例実施するということは、承認される際に決まるものです。それに照らして、それだけやるに当たっての経費として本当に必要なのかどうかということをしっかり確認するという手続をとっているということでありますので、あくまで企業がやりたいだけやっているというようなことでは全くないということでございます。
謝礼につきましては、基本的にそうだというように考えておりますけれども、企業とそれぞれPMSを実施していただく医療機関との間の契約という形の中で位置づけられていると思いますので、医療機関に対して謝礼が支払われるということになろうかと思います。
○中村部会長
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
今のご説明を聞いても、違和感があります。市販直後調査や使用成績調査は国が定めたことであり、当然やるべきことであるにもかかわらず、なぜ謝礼などが医療機関に対して行われるのでしょうか。しかも、それを国民が負担しなければいけないというのはおかしいのではないかと思います。
交通費やシステム構築費なども、医薬品ごとに計上されていますが、これらについては企業の一般的な活動に対する経費であって、医薬品の研究開発費として薬価に反映され、国民が負担するというのはおかしいのではないかと思いますので、PMS費については、例えば、調査の回数が決まっているのであれば、その回数に対してどれぐらいの費用が必要なのかという基準を設けるといった考え方を取るべきではないかなと思います。
もう一つ疑問に思ったことは、労務費の3,818円についてです。これはどのように算出されていて、一般の業種とどれだけの乖離があるかということは把握されていますでしょうか。
○中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○中山薬剤管理官
労務費につきましては、業界の平均的な賃率をとっているということで、薬-1参考の7コマ目<注1>というところをごらんいただきますと、「労務費単価:『毎月勤労統計調査』及び『就労条件総合調査』」が厚生労働省で行われているということですが、ここの平均値を用いるということで出させていただいています。
○中村部会長
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
医薬品業界の平均を用いているということですね。
○中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○中山薬剤管理官
医薬品製造業の平均ということになります。
○中村部会長
幸野委員、お願いします。
○幸野委員
営業利益率についても、医薬品業界は他の産業と比べて突出した営業利益率を確保しており、それも優良企業34社の平均を用いているということで、かなり高い数値になっています。正確な数字はわかりませんが、労務費に関しても、他産業と比べると人件費は高いのではないかと思いますので、一般的な業種との比較も行うべきではないかと思います。
以上です。
○中村部会長
先程の議論で、幸野委員が一定の基準を持って、というお話をされていましたけれども、基本的には企業が提出したものに対して一定の基準を持って審査をして査定しているという理解でよろしいですね。
薬剤管理官、お願いします。
○中山薬剤管理官
あくまで国で定めた規定に基づいて実施しなければいけないものにかかる費用という観点からの視点で見ているということかと思います。
○中村部会長
今村委員、お願いします。
○今村委員
幸野委員から営業利益率のお話があったので次回以降のお願いということで事務局にデータをお願いしたいのですが、これは医薬品産業の営業利益率の平均ということで出てきているのだと思うのですが、医薬品産業は必ずしも医療用の医薬品だけの利益ではない、さまざまなそうでない利益も含めて利益ということになっているのだと思うのです。
その割合が私はよくわからない。全く無視していいような小さなものなのか、あるいは少なくとも10%程度は医療用の医薬品以外の利益も入っているのかどうかということがわからないので、まず割合がどうかということと、経年的に変化するものなのかどうなのか。
例えば5年なら5年、常に一定の割合ということであれば、それも一定のルールをつくってしまうことも可能なのではないかと思うので、次回そういったデータをお示しいただければと思います。5年程度の推移をお示しいただければありがたいと思います。
○中村部会長
これはデータの依頼ということですね。
松本純一委員、お願いします。
○松本純一委員
先ほど 𠮷 森委員も言われたように、原価計算方式の非常に詳細な資料を出していただきました。
ただ、残念なのが、労務費も、今も話題になっておりましたが、18ページにあるように非常に詳細なのですけれども、加茂谷専門委員はこれは違うのだと聞こえるような御意見でございました。これは、この薬剤には関係ないのだということです。
せっかく事務局から用意していただいた資料ですけれども、信用度が相当落ちてしまいました。
先に今村委員からも指摘がございましたが、16のスライドの卸業者の流通経費が、薬価を算定する際に反映されるということが、きょうはマスコミの方もおられるので、本当にこれは国民が納得できることなのかどうかということを問いたいと思います。
繰り返しになりますけれども、この労務費というのは、事務局としては正しいという自信があって出されたのですよね。
○中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○中山薬剤管理官
これについては、個別の企業においてそれぞれの事情があって、それぞれまた違ったものになりますけれども、一般的な例として示すという形で、これは妥当な例であるという形で出しました。
加茂谷専門委員が おっしゃったのは、恐らくそれ以外にも付加的にかかるような部分も実際はあるのだということをおっしゃりたかったのではないかと思いますし、この標準的な例を否定しているということではないのではないかというように考えております。
流通経費につきましての御指摘もいただきましたけれども、薬価自体が、医薬品製造業が製造販売してから医療機関、薬局において、患者様にわたるまでの費用ということで、それを薬価として償還するわけですから、その過程において卸業者の方々にかかる費用を計上するということは当然なのではないかというように考えます。
○中村部会長
今村委員、お願いします。
○今村委員
もうやめようと思っていましたけれども、今のお話を聞いて再度申し上げますけれども、経費がかかること自体は私もそのとおりだと思います。
ただ、それが卸の利益率という数字を使うことが適切かどうか。実際にどれだけ経費がかかっているから、これだけの経費を乗せるということは当然だと思いますけれども、全然違った要素で卸の利益率が上がったら、この数字がふえていくということはなかなか納得しづらいのではないかということを申し上げているということだけ御理解ください。
○中村部会長
松本純一委員、お願いします。
○松本純一委員
同じことですけれども、中間業者というのは、製造業者から仕入れて、それを使用者に販売するわけです。そこの差益を利益とするわけです。そこに当然、必要経費として、ここにありますように流通経費が入るわけですという理解を私はしておりましたが、薬剤管理官はどうも違うようです。
それと、やはり問題にしたいのは18の資料は一般的なものであると思います。ただ、16のスライドにある「2労務費」は、シミュレーションとして、ある一つの薬剤を想定したときに、それをつくるのにこれだけかかったのだというように、どうしてもとると思います。専門委員は、その薬剤をつくった労務費ではないのだと、薬剤管理官は非常に優しく理解をされたようですけれども、私はそうはとれませんでした。
○中村部会長
加茂谷専門委員、お願いします。
○加茂谷専門委員
私の先ほどの発言で誤解を与えてしまったことに関して、お詫びを申し上げたいと思います。原価計算方式を否定しているものでは全くありません。類似薬がない場合に、現行ルールにおいては原価計算方式で算定されることについては致し方ないと思っております。
先ほど薬剤管理官からもフォローしていただきましたけれども、私の発言の趣旨といたしましては、原価計算方式で算定される数値が、その医薬品、新薬の原価そのものなのだということではないということを御認識いただきたいということでございます。
一定のモデル原価ということを先ほどお話しさせてもらいましたけれども、モデル原価を算定しているということと捉えるべきではないのかなということで、例えば研究開発費につきましても、一般管理販売費につきましても、我々がもっとかかっていると思っている部分については、かなりばっさりと査定をされることもあるということを踏まえて、先ほどの発言をさせていただきました。
繰り返しになりますが、今の算定方式そのものを否定しているものではありませんし、信頼をしていないわけではないということを述べさせていただきます。
○中村部会長
松本純一委員、お願いします。
○松本純一委員
そのモデル原価ということが全然イメージできないので、その辺を詳しく図式化して、ぜひ教えてください。
○中村部会長
御意見、御質問等、ほかにはいかがでしょうか。
宮近委員、お願いします。
○宮近委員
少し細かな内容で申しわけないのですけれども、薬-1のシートの7ページで「外国平均価格調整:主な委員の意見」ということで、過去の論議の内容を書いていただいているのですけれども、【1号側委員】の内容で、一番上の○で「米国は薬価が自由価格・民間保険である一方、日本は公定価格・公的医療保険が主である中、米国価格を参照するのは違和感があり、諸外国の制度も踏まえるべき」ということで、違和感があるということについて強調しているわけです。
【1号側委員】の最後の4つ目の○ですが「米国価格を調整から除外することについては、慎重に検討すべき」ということで、違和感はあるけれども、やはり慎重に検討すべきだという論調にもとられかねない書きぶりになっています。4つ目の○については、論議をした当時の背景がありまして、御記憶だろうと思うのですけれども、米国においてトランプ政権が誕生して間もないころで、経済的ないろいろな摩擦が考えられる中で、米国価格を調整からダイレクトに外すというようなことがあるといろいろな問題が起こる可能性がありますねということで、1号側委員が発言した内容でございます。したがって、この点が余り強調され過ぎると、1つ目の○の米国価格を参照することについて違和感があるということが消えてしまいますので、この書きぶりについては少し検討をお願いしたいと思います。
事実は事実なのですけれども、このように率直に書いてしまうと、後々読むと少し誤解を与えかねませんのでよろしくお願いします。
以上です。
○中村部会長
こちらは1号側委員の意見ですので、実際の書きぶりも含めて事務局と確認をしていただければと思います。
𠮷 森委員、お願いします。
○ 𠮷 森委員
今の7ページの一番上の○は私が当時申し上げたとおりで、今回、9ページに諸外国の調査をしていただきましたけれども、ヨーロッパ各国、英国、ドイツ、フランス、各国とも新薬決定時に参照する外国に米国を入れていないということになっていますし、こういうようにある程度コントロールされている国でも米国を参照していない。
したがって、我が国も当然ながら今後の議論の中では、それをきちんと受けとめるべきだということが、この資料で明らかになったというように思います。
したがって、今、宮近委員からもありましたけれども、米国の価格は参考にするとしても、調整の参照対象としては用いるべきではないということが1号側委員の意見でございます。
以上です。
○中村部会長
そのほか、御意見ありますでしょうか。
安部委員、お願いします。
○安部委員
資料の5ページ目で、データの特徴、比較を御説明いただきました。
薬剤管理官のほうからデータ利用の注意点などがあって、IMS等のデータを使うのは非常に難しい状況だという御説明もございました。
この中で「データ整理に要する期間」という比較がありまして、IMSは半月、速報データは2~3カ月ということで、これは卸売販売業者の販売データと実際に病院や薬局で使われてレセプトデータになって、それが集計されて上がってくる。その時期を考えますと、当然期間は変わってくる、仕方がない部分があるのでありますが、今後NDBからとるデータをより早くとするような、施策というか、計画があるかどうかお聞きしたいと思います。
○中村部会長
薬剤管理官、お願いします。
○中山薬剤管理官
実態としては、今、お示ししたような時間がかかるということで、まずそこから始めるしかないかなという状況で、特に何か短くするための方策があるかと言われると、私は今、持ち合わせておりません。
○中村部会長
ほかに御意見等ございますでしょうか。
経済課長、お願いします。
○三浦医政局経済課長
先ほどから、松本純一委員、今村委員のほうから流通経費のお話で出ておりましたけれども、流通経費について薬剤管理官からも御説明申し上げておりますとおり、売上高から売上原価を引いている、いわゆる粗利でありまして、純利ではありません。
ですので、そこから例えば安定供給に関するコストですとか、さまざまなものが差っ引かれたものが実際の利益となりますので、利益率ということとは完全には一致しない数字となっておりますことを訂正させていただければと思います。
○中村部会長
今村委員、お願いします。
○今村委員
ありがとうございました。
そこはよく理解できましたので、今、3年で計算平均値を出されているということですけれども、できればさっき私が申し上げたように、昔の、10年間ぐらいの数字を出していただきたいのです。
卸さんの利益率が非常に低かったときが多分あるのです。そのころの3年というと、ここの数字に入ってくるのは、2とか2.5とか、そういった数字になっているのではないかと思うのです。だから、過去のトレンドも含めて、ぜひ次回出していただければと思います。
○中村部会長
多分先ほど経済課長が言われたのは、粗利と営業利益率は違うということかと思います。
経済課長、そうですよね。
○三浦医政局経済課長
その点はおっしゃるとおりでございます。
今、今村委員がおっしゃったことについても、どのようなことができるか考えてみたいと思います。
○中村部会長
粗利と営業利益、あるいは純利益を一度整理したものを出していただいたほうが、よりわかりやすいと思いますので、次の時に整理したものを出していただければと思います。お願いします。
あと年度ごとのデータもほしいということですね。
○今村委員
そうですね。10年ぐらいのデータがあれば大変ありがたいです。
○中村部会長
よろしくお願いいたします。
ほかはよろしいでしょうか。
加茂谷専門委員、お願いします。
○加茂谷専門委員
専門委員から1点お願いをさせていただきたいと思います。
次回、新薬創出等加算、長期収載品、後発品に関しまして、論点整理が出されるとのお話が冒頭にございました。
この論点整理に当たりまして、現時点における我が国の医薬品マーケットがどのような状況になっているのか、並びに新薬創出等加算の適用品目を有する企業が、どのような国内開発を進めているのか等々につきまして、御許可をいただければ、専門委員の立場で資料を提示させていただき、報告をさせていただきたいと思っております。
御検討いただければ幸いです。
○中村部会長
報告については検討させていただくということで、ほかには御意見いかがでしょうか。
ありがとうございました。
次回も引き続きまして、薬価制度の抜本改革についての論点整理を行いたいと思います。
本日予定された議題は以上になります。
次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますのでよろしくお願いいたします。
それでは、本日の薬価専門部会はこれにて閉会といたしたいと思います。
どうもありがとうございました。
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ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会薬価専門部会)> 中央社会保険医療協議会 薬価専門部会 第136回議事録(2017年7月26日)