ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医薬・生活衛生局が実施する検討会等> 薬害を学び再発を防止するための教育に関する検討会> 第18回薬害を学び再発を防止するための教育に関する検討会(2019年3月26日)

 
 

2019年3月26日 第18回薬害を学び再発を防止するための教育に関する検討会

○日時

平成31年3月26日(火) 15:00~17:00

 

○場所

経済産業省別館231会議室
東京都千代田区霞が関1-3-1
 

○議題

1 薬害教育教材に関するアンケート調査(平成30年度分)の結果について(報告)
2  薬害教育の実践例について
3  薬害に関する資料収集・整理について(報告)

○議事

 ○衞藤座長 皆様、こんにちは。定刻になりましたので、ただいまより第18回「薬害を学び再発を防止するための教育に関する検討 会」を開催いたします。
皆様にはお忙しい中、御出席いただきまして、どうもありがとうございます。
まず、委員の出欠状況につきまして、事務局より御報告をお願いいたします。
○医薬品副作用被害対策室長補佐 事務局です。
本日は、望月委員から御欠席の御連絡をいただいております。
そして、医薬・生活衛生局長は、この後、公務のために退席する予定でございます。
以上でございます。
○衞藤座長 議事に入る前に、委員の交代について御紹介いたします。
くすりの適正使用協議会の藤原委員の異動に伴い、同協議会副理事長の高橋洋一郎様に交代になりました。
高橋様から一言御挨拶をお願いいたします。
○高橋(洋)委員 くすりの適正使用協議会の高橋でございます。
普段からお世話になっております。私どもの活動の中でご協力できることもあるかと思います。またいろいろ御助言をいただければと存じます。今後ともよろしくお願いいたします。
○衞藤座長 よろしくお願いいたします。
次に、前回の検討会を開催いたしました平成30年3月以降に事務局に人事異動がございましたので、事務局から報告をお願いいたします。
○医薬品副作用被害対策室長補佐 事務局の人事異動につきまして御報告いたします。
医薬・生活衛生局総務課長の鳥井でございます。
○総務課長 鳥井でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○医薬品副作用被害対策室長補佐 医薬・生活衛生局総務課医薬品副作用被害対策室長の安中でございます。
○医薬品副作用被害対策室長 安中でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○医薬品副作用被害対策室長補佐 以上でございます。
○衞藤座長 また、本日は、薬害教育教材に関する議題がございますので、前回に引き続き文部科学省の方にも御参加いただいております。
事務局から御紹介をお願いいたします。
○医薬品副作用被害対策室長補佐 文部科学省からの御出席者につきまして御報告いたします。
まず初めに、初等中等教育局教育課程課課長補佐の高瀬様。
○文部科学省初等中等教育局教育課程課長補佐 高瀬でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○医薬品副作用被害対策室長補佐 同じく初等中等教育局健康教育・食育課健康教育調査官の小出様。
○文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課健康教育調査官 小出でございます。よろしくお願いいたします。
○医薬品副作用被害対策室長補佐 以上でございます。
○衞藤座長 それでは、カメラによる撮影についてはここまでといたします。御退室をお願いいたします。
それでは、本日の検討会の議題について報告いただくとともに、資料の確認をお願いいたします。事務局からよろしくお願いします。
○医薬品副作用被害対策室長補佐 まず、本日の検討会の議題についてです。本日は、1点目といたしまして、薬害教育教材に関する今年度分のアンケート結果について御報告いたします。その上で、2点目といたしまして、今年度もモデル的に複数の学校に薬害に関する授業を実施していただきましたので、その概要を報告するとともに、薬害教育に関する本年度及び来年度の取り組みについて整理いたしましたので、それについて先生方に御議論いただければと考えております。3点目といたしまして、薬害資料に関する研究班の今年度の活動状況を御報告し、あわせて薬害の歴史展示コーナーの設置に関する予算案について御報告いたします。
次に、本日配付の資料につきまして御説明いたします。まず、本日の検討会の配席図、議事次第、名簿を配付しております。お手元にございますでしょうか。
続きまして、資料1といたしまして、「薬害教育教材に関するアンケート調査(平成30年度)の結果について」。資料2といたしまして、「薬害教育の実践例について」。資料3といたしまして、「薬害教育に関する本年度及び来年度の取組について」。資料4といたしまして、「薬害資料データ・アーカイブズの基盤構築」研究報告。資料5といたしまして、「平成31年度医薬関係予算案の概要(抜粋)」。
また、お手元に参考資料といたしまして、カラーの印刷物で「薬害を学ぼう」のテキスト、「薬害を学ぼう」教員用指導の手引、「『薬害を学ぼう』指導の手引き」の簡略版、「実践事例集」。以上を配付しております。
不足等がございましたら、事務局までお申しつけください。
○衞藤座長 ありがとうございます。
それでは、本日の議題に入ります。最初の議題は、平成30年度の「薬害を学ぼう」に関するアンケート調査結果についてです。事務局において昨年度に引き続き薬害教育教材に関するアンケート調査を実施したとのことですので、その結果について事務局から説明をお願いいたします。
○医薬品副作用被害対策室長 資料1をごらんください。薬害教育教材に関するアンケート調査の結果を御報告いたします。調査対象としましては、昨年と同様に、全国1万1000カ所余りの中学校といたしました。薬害教育教材を送付する際にあわせてアンケート調査についても同梱したものでございます。発送の時期といたしましては、4、調査方法の①にありますとおり、昨年の6月28日から順次発送しております。事務局への御回答については、9月末までに御回答いただくようにお願いしたものでございます。
結果の概要でございます。5の(1)をごらんください。回収率につきましては、1,138カ所の学校から回答いただきまして、率としては10%ちょうどとなっております。昨年が11.5%、一昨年が8.1%ということでございましたので、昨年よりは少し下がっているということでございます。
この部分について、はっきりとした原因を申し上げることは難しいのですけれども、昨年同様に学校薬剤師との連携ということで、昨年も御報告いたしましたが、発送に当たりまして、日本薬剤師会を通じて学校薬剤師の方にもこういったアンケートをしているということを周知していただくという取り組みは同様に行ってまいりましたが、残念ながら昨年と比べて回収率が下がってしまったという状況にございます。
2ページ目からが具体的な回答の内容になってございます。問1、送られた資料の使用予定でございますが、授業で使用する予定というところが40.9%、また、配布予定となっていますのが51.4%ということで、数としては若干減っておりますが、ほぼ同じぐらいの水準になってございます。
使われる場合の教科あるいは単元というものについてもお伺いしておりますが、傾向としては昨年と同様で、社会科が55.5%、保健体育が33.9%ということで、この2つで大半を占めております。単元としましては、多い順に「人権」、4番目の「医薬品の適正使用」、その2つ下の「薬物乱用」、こういった単元で取り上げていただくことが多くなっております。
問2としまして、教材の発送時期でございます。一昨年度は4月発送で、昨年度は6月発送としております。今回も6月発送といたしましたが、「ちょうどよい」という回答が8割弱でございました。「早すぎる」という回答が12%程度ということで、若干「ちょうどよい」が少なくなって、「早すぎる」というのが少し増えておりますけれども、全体の傾向としては余り変わらないのではないかと考えております。
それぞれの理由ですけれども、「早すぎる」という御意見については、公民、消費者についての学習が秋からであるということが理由として挙げられています。4番目として、1学期はいろいろな行事が多いので、総合的な学習の時間を確保するのが難しいといった御指摘もございました。
一方、少数ではございますが「遅すぎる」という意見もございまして、人権の問題については中学3年の6月に扱うことが多いので、早目の教材の提供が望ましいということで、御意見をいただいております。
3ページをごらんください。「指導の手引き」についても同封して送付させていただいておりますが、その内容につきまして、「内容が適切」という御意見が65.7%。「内容が難解」というお答えが6.5%。「やさしすぎる」という意見はほとんどございませんで、「使っていない」という御意見が23.4%ということで、若干活用していないという数字が昨年よりふえていることは残念な結果となっておりますが、全体の傾向としては昨年と同様の内容となってございます。
それぞれの理由についてもお伺いしておりますが、「内容が難解」という御意見をいただいた方につきましては、用語の解説はとても参考になる。図や表がもう少しあると視覚的に理解しやすくなるのではないかという御指摘でございます。また、3つ目にありますが、中学3年生向けにしては内容が専門的で難しいのではないかという御意見や、なかなか身近に捉えることが難しいので、興味関心を引くのが難しいという御指摘もございました。
「使っていない」という御意見につきましては、1こまの授業時間としてはなかなか確保しづらいといったものとか、消費者保護という文脈で取り扱う場合に、授業時間を十分確保できないといった御指摘がありました。
その他としましては、薬害そのものを知らない世代なので、もう少し詳しい説明があるといいのではないか。逆に、もう少しシンプルにしていただかないと、短い時間の中で指導するのは難しいのではないかといった御指摘がございました。
4ページ目でございます。視聴覚教材についても御案内をさせていただいております。
「授業等で使用(予定)」という御回答が19.3%。「使用の予定はない」という御回答が77%ということで、昨年未記載がかなりありましたので、①②ともに回答数はふえているという状況でございます。
「授業で使用(予定)」とお書きいただいた学校から主な意見を拾ってみましたところ、学級でテレビに映して見せたことで、通常の授業よりも関心が高まっているように感じた。あるいは生の声を聞くことにより薬害の恐ろしさや正しい使用法についての理解が深められたといった御意見もありました。下のほうでございますが、生徒らは「被害者の声」を真剣に聞いていたということで、薬害がどのようなものかを考える上で大切な教材であるということ。また、被害者のお話が心にしみましたといった御回答をいただいております。
授業での活用方法、工夫した点について自由記載をいただいております。主なものを下に抜粋しております。まず、社会科の中で活用いただいた例といたしましては、「指導の手引き」に授業の流れと用語解説があるので、活用できたという御指摘。②としましては、消費者問題の一例として取り上げていただいているということで、注文としましては、加工しやすいデータの形で提供されると、より一層使用しやすいのではないかという御指摘をいただいております。また、被害者の人権あるいは企業の社会的責任という観点も必要ではないかという御指摘でございました。5ページに参りますと、特に人権の単元で活用がされているという御指摘をいただいております。
(2)保健体育科で活用されている事例でございますが、こちらも「手引き」やデータ資料が整っているので、指導する上で助かったという御指摘。子供たちが今後どうしていくべきか、どう対応すべきかといった点にもう少し踏み込んでいければということの御意見もいただいております。
一方、「時間がない」とお答えいただいた内容については、内容については大変興味深いし、議論もしてみたいのだけれども、日程的に余裕がないといった御意見がありました。また、従前からございますが、中学3年生については入試対策などもありまして、時間的余裕がないといった御意見もありました。一方、④のように「実践事例集」を初めて送付いたしましたので、今後の授業に活用できる内容なので、勉強になりましたという御指摘もいただいております。
「内容が難しい」という意見については、先ほどと少し重複しますが、1単位時間の学習内容としてはテーマが重く、内容も多いということであります。また、義務教育でなく、高校レベルで扱うほうがいいのではないかという御指摘もいただいているところでございます。
資料の構成につきましては、薬害の被害者の方が身近にいらっしゃらないということで、こうした資料をきっかけに生徒が知るのはよいことだと思うし、正しい情報を選択しようとする力も培うことができるという御意見をいただいております。また、写真やイラストが効果的に使われ、被害者の声も掲載されているのでわかりやすい。⑤にありますように、補助資料もあって使いやすいといった御意見をいただいたところでございます。
6ページ目は、その他の御意見でございます。配布するだけでも生徒にとっては効果的であったという御意見とか、あるいは逆に注文ということになりますが、DVDを見てから話し合おうと思うと50分の授業時間では終わらないので、少し授業の進め方、時間配分に工夫が必要だと感じているといったところ。4番目には、大人も知らないことがたくさんありましたということで、先生にとっても得るところがあったという御意見をいただいているところです。
今年度のアンケート結果につきましては以上でございます。
○衞藤座長 ありがとうございます。
ただいま御説明がありました調査結果に関しまして、委員の皆様から御質問や御意見がありましたら、挙手でお願いします。いかがでしょうか。特にございませんでしょうか。大平委員、よろしいですか。
○大平委員 急に回されてしまったのであれなのですが、関心度が全体としては少し落ちているのかなと感じました。取り上げているところは、きちっとその反応があるのですけれども、使っていないというところがあるというのが少し問題点だなと思いました。使ってみると、反応としてはいい反応が得られているというふうに感じました。もう少し使っていただけるように工夫するということが大事かなと思いました。
○衞藤座長 済みません。
そのほかいかがでしょうか。では、栗原委員、お願いします。
○栗原委員 4ページの下の②「加工しやすいデータの形で提供していただけると」というのは、一体どういう意味なのでしょう。どういうふうに理解されていますか。というのが1点。
昨年度7校でしたか、報告書が同じ様式でまとめられて、それがウエブ上に公開されていますが、本年度は何校になるのでしょうか。ごめんなさい。それは後の質問ですね。先ほどの1点だけでやめておきます。
○衞藤座長 どうぞ。
○医薬品副作用被害対策室長 では、御回答いたします。加工しやすいデータというのは、PDFのような形ではなくて、例えば一部分とか、あるいは部分的にこの画像とかを使えるような形で提供していただきたいという御意見だと理解しております。この後の資料の中にも出てまいりますが、どういう形で御提供できるかというのを来年度の実施に当たっては考えていきたいと思っております。
また、大平委員から御指摘がありました関心度が落ちているというところについては、私どもも同じ問題意識を持っておりまして、各学校に発送するわけですけれども、きちんと箱を開封してしかるべき先生に見ていただかないといけないと思っておりますので、これまでは文書としては学校の校長先生宛て、あるいは発送の伝票としては学校の事務局宛てという形になっているかと思うのですが、そこを例えば教務主任様という形で、しかるべき教科の割り振りをしていただけるようにそのあたりを少し工夫するとか、あるいは毎年こうしてアンケートでとっておりますので、例えばその結果がどういうふうに生かされているのかといったようなフィードバックも含めて、回収率を上げていくようなことをしていきたいと考えております。
○衞藤座長 では、栗原委員、お願いします。
○栗原委員 教材の送付先、事務局宛てというお話がありましたが、あるいは肝炎の関係者から聞いたら事務長宛てになっていたとか、昔の話ですけれども、中学校で事務長。高校では事務長がありますが、中学校ではないと思うのですが、今はどうなのかわかりませんが、それよりも、メインは社会科ですから、先ほど教務主任とおっしゃいましたけれども、「教務主任」と書くのだったら、社会科御担当者、あるいは社会科主任という方がいるかもしれませんが、そういうふうに書いてもらうほうがいいのではないかということは、前からここで発言しましたけれども、そのときに、いや、それはできないということを言われたような記憶がありますが、いかがなのでしょうか。
○衞藤座長 どうぞ。
○医薬品副作用被害対策室長 お答えいたします。実は昨年も同じ御意見をいただいておりまして、確かに社会科で扱っていただいている学校が半数を超えているわけですが、一方で、保健体育の分野でも3分の1の学校で扱っていただいていることもありまして、社会科だけに限定するのも難しいのかなと思っているところでございます。このあたり、うまく伝わるように工夫ができればと思っているのですが。
○衞藤座長 栗原委員、どうぞ。
○栗原委員 そうおっしゃるなら、社会科とか保健体育とかを併記したらいいわけで、ひょっとしたら、教務主任であったりすると、その人の判断で保健の先生のほうに回されて、社会科のほうに行かないということもあり得ますからね。意外と単純な問題ではないでしょうか。
○衞藤座長 よろしいですか。
○医薬品副作用被害対策室長 ほかの部分で扱っていただいている学校もあるのであれなのですが、いずれにしても併記をする、あるいは代表者、どなたかを設定するにしても、それぞれの学校の状況に応じて、実際にやっていただける先生のところに届くようにしなければいけないとは思っております。送り方についてはまた工夫をさせていただきたいと思っております。
○衞藤座長 よろしいでしょうか。
ほかに御意見。高橋寛委員、どうぞ。
○高橋(寛)委員 簡単でいいので教えていただきたいのですけれども、5年間やって、回収率がそこに出ているのですが、これは記名式で戻されているのですけれども、回答されてきている学校というのはいつも同じものなのか、その辺はどんなものでしょうか。
○医薬品副作用被害対策室長 申しわけございません。今、手元に資料がないものですから、確認をして御回答させていただきたいと思います。確かに同じ学校で同じような率が続いていますので、同じ学校ばかりだとすると、さらなる工夫が必要なのかなと感じているところであります。
○衞藤座長 そのほかいかがですか。
手嶋委員、どうぞ。
○手嶋委員 私の知り合いの教師も「薬害を学ぼう」というのが来ているのはわかっているのですけれども、誰が責任を持って生徒に見せるということがわからないまま放置しているような学校が多いのではないかと思います。結局、責任の不在ですね。全く。そういうのをじかに教師から聞いたことがあります。今も教師であります友人から、来ているのだけれども、立場ではないから自分ではどうにもできないということを言っていました。
○衞藤座長 そのほかの御意見、いかがですか。では、花井委員、どうぞ。
○花井委員 先ほどの栗原委員の発言なのですけれども、1つの意見として、事務長があるかどうか。僕も中学校の現場がわからないのではっきりしたことは言えないのですが、社会科とか何とか科に御活用くださいというのを大きな字で書いて送ったらどうでしょうか。何々の授業、何々の授業、何々の授業などに御活用くださいなどという平文で大きな文字で書いて、学校の実践的に集約できるポストに送るとか、そういう工夫をしてみて。活用してくださいと表書きにでかく書くというのも一つの考えだと思うので、また検討してみてください。
○衞藤座長 ありがとうございます。
そのほかございますか。よろしいでしょうか。
それでは、この資料についての質疑応答は以上で終わりといたします。後ほどの議題とも関連する部分があると思いますので、何かありましたらそのときに御発言いただいても結構でございます。
それでは、次の議題「薬害教育の実践例について」に移ります。今年度も昨年度に引き続き実際に授業を実施いただく取り組みを行ったということですので、実施された授業の内容と、あわせて今年度及び来年度の取り組みについてまとめたということですので、事務局から御説明をお願いいたします。
○医薬品副作用被害対策室長 それでは、資料2「実践例について」という束をごらんください。1番目の東海大学付属仰星高校につきましては、昨年度の末に開催しております。昨年の検討会での御報告に間に合いませんでしたので、今回1番で入れさせていただきました。平成30年度につきましては、2番の麗澤高校から5番の岡垣中学校まで4校でモデル事業を実施していただきました。それぞれの内容につきまして、概略を御説明させていただきます。
1ページおめくりいただきまして、東海大学付属仰星高校の取り組みでございます。高校1年生を対象に、「いのち」に関する複数講座の中の一講座として実施をしていただきました。学習目的としましては、薬害被害者による講演を通して、命について考え、自他を大切にできる人格形成に寄与するということで、具体的にはいしずえの増山ゆかり様による講演を実施されました。講演の主な概要につきましては以下に書いておりますが、例えば薬害は人災であるといった御指摘。あるいは次の○にありますように、サリドマイドの問題は、海外で回収し販売中止となった後も日本で販売され続けられ、被害者がふえたということ。また、御自身の経験として、医師から診断を受け、誕生日を迎えるのは難しいと言われていた。あるいは一番下にありますが、入店を断られるような差別の体験があったといった御講演でございました。
2ページに参りまして、大人になった後、医薬品を輸入する会社に就職をされ、通訳としても活躍されたといった内容について御講演がございました。
この講演を聞いた生徒さんの感想については、1つ目、全く身近にいない存在の人を知ることができたということ。また、なぜ外国のようにすぐに販売中止をしなかったのだろうと疑問に思ったという意見。あるいは命について考えさせられた。また、自分とは少し違うだけで差別をすることをなくしていこうと思ったといったそれぞれの感想が寄せられているところでございます。
3ページ目は今年度からの取り組みでございます。麗澤高校で、高校2年生の保健「医薬品と健康」の単元において取り扱っていただきました。学習目的として、薬害への理解を深める、正しい医薬品の利用の仕方、副作用が疑われたときの対応法について知見を深めるということでございます。
授業の流れとしましては、薬が原因で健康を害した例について考えさせた後、薬害とは医薬品の使用で起こった有害の事象のうち社会問題となったものであるという説明が行われました。サリドマイド被害者の増山様の証言映像を見せるということと、その後、お薬手帳の役割、薬の種類、正しい薬の服用の仕方などについて、先生から説明がありました。また、医薬品の作用として予期できない副作用もあるのだという説明の後、副作用を国に報告する制度、あるいは健康被害を受けた方に対する補償の仕組みや、薬の承認制度があるといった内容について授業が行われております。
授業を受けた生徒の感想としましては、印象に残ったこととして、救済制度があることを知りましたということ。また、過去に薬害があって問題になった薬が今、別の効用で使われているというところが非常に印象に残ったという感想もありました。また、普通に売られた薬で赤ちゃんに影響が出てしまった話が印象に残ったということもありました。
授業でよかった点としては、映像などを通じて被害に遭った方の話を聞くことができたということ。薬害についてどんなことがあったのか、実際の内容を知ることができたという感想が寄せられております。
授業の指導案につきましては5ページ目からになっております。内容については後ほど御参照いただければと思いますが、1点コメントいたしますと、5ページの2番、単元と関連薬害ということで、実は麗澤高校のほうでは、今回2年生が「医薬品と健康」というところでしっかり扱っていただきましたが、それ以前に高校1年次においても「性感染症・エイズとその予防」というところで薬害HIVについて触れられましたし、また、高校2年次の「結婚生活と健康」ということで、妊娠の話を一連ずっと御説明される中に、サリドマイドの被害についても触れていただいたという経緯がございます。
7ページ目からが実際に資料で使われたスライドでございます。後ほど御参照いただければと思います。
12ページ目が岐阜県の今須中学校の取り組みでございます。もともと人権教育に非常に熱心に取り組まれている学校ということで、今回は5時間使ってかなり充実した内容の授業を行っていただきました。対象は中学3年生、社会科の「人権と共生社会」というところで行われたものでございます。
授業の流れとしましては、過去にどのような薬害事件があったかを学んだ後、被害者の講演を聞き、それがどのような人権侵害につながったのか、弁護士を交えて考える。その上で、薬害が起こった原因、起きないための仕組みを考えるというものでございます。
1時間目の授業ですが、まずサリドマイドによる胎児の障害について先生から説明があり、先生のほうで配布された資料をもとに、それ以外の薬害についても生徒がそれぞれ調べて、その内容をクラスで共有するという取り組みを行っておられます。
13ページでございます。その後、2時間目の授業で、こちらも増山様による講演を実施していただきました。後ほども出てまいりますが、生徒さんの感想の中では、実際にどのように傘を開いているのか、あるいは生徒に手を使わずに本のページをめくってみてもらうといったことで、障害を持った場合の気持ちというのを実際体感することができたということで、このあたりが非常に印象に残ったという感想をいただいております。
3時間目では、その講演をもとにして周囲の生徒と振り返る。そしてどのような人権が侵害されているのかというのを生徒自身で考え、またグループで話し合い、その内容を発表するという取り組みが行われました。その後、弁護士による解説が行われ、内容を深めていくという取り組みが行われております。
14ページの中段にありますのが弁護士による解説のシーンでございます。
その後、4時間目としまして、配布資料、別の配布資料をもとに、サリドマイドによる被害が発生・拡大した原因について考え、発表していくということで、15ページにかけましてその内容が記載されております。15ページ目の上の段、1962年の販売停止後も被害者が出ていることについて、生徒と質疑応答をしながら内容を深めていったというものでございます。
5時間目としまして、医薬品の承認や販売、あるいは処方、服用の流れについて説明があり、薬害の起きない社会の仕組みについてグループで考え、発表するという取り組みが行われております。
16ページ目です。5時間目の最後に、同席いたしました厚労省医薬・生活衛生局の職員によりまして実際の制度がどうなっているのかということを御説明し、先生から最後に締めの質問があって、一連の授業が終了したという内容になっております。
17ページ、18ページに生徒の感想が載っておりますけれども、授業で印象に残った内容としては、1万人近い被害が出ていたということや、危険性を知りつつも回収が十分行われていなかったということ。また、生まれてくる子が飲んだ本人ではなくて、そこから生まれてくる子供に障害が出るということもあるのだということが非常に印象に残ったというコメントがありました。3番目に、国の回収がおくれて不徹底だったところが印象に残っているという意見もありました。
授業でよかった点としましては、増山さんの話を聞いて障害者の立場になって体験したり、ビデオを見てその苦労がわかった。相手の立場に立って考えることの大切を知ることができた。また、増山さんに対する過去の差別的な行為について、さまざまな権利侵害に当たるのだということがわかったということで、中学3年生の授業でありますが、やはり5時間かけたということもありまして、非常に内容の深い感想が寄せられていると感じております。この内容につきましては、別添7のところにございますが、教育雑誌の「読売教育ネットワーク」にも関連の記事が掲載されております。
以降、指導計画、授業で使われました資料について添付しておりますので、後ほどごらんいただければと思います。
27ページが「読売教育ネットワーク」の取材の結果でありまして、先生のコメントもついております。これも後ほど御参照ください。
28ページからが青森山田中学校における取り組みでございます。こちらは中学校1年生・2年生の総合的な学習の時間で薬害を取り上げていただきました。1年生のクラスは、「薬害を学ぼう」というパンフレットに沿いまして1時間の授業を実施した後に、被害者の講演を実施したというものでございます。
今回、主に2年生の内容について御報告させていただきたいと思っております。2年生の学習目的としましては、こちらもサリドマイドの薬害を題材としまして、使い方を注意すれば病気を治癒するために使用することができるものであるということと、再び被害を発生させることのないよう、使用するべきではないという2つの価値観について、討論形式で授業をするという取り組みでございました。
中段、1時間目の内容については、まずはタブレット端末等を用いて薬害について個人で調べるということを行いました。その後、2時間目にテーマごとの話し合いで、4グループに分かれまして、サリドマイドに関する訴訟の内容。また、出生期から幼少期までの被害者の生活。3番目として学生時代から現在までの生活。4番目としてサリドマイドが新たな治療薬として用いられていることについて。これらにつきまして、教師が用意した資料をもとに個人で調べ、その後グループで話し合い、まとめるという取り組みが行われております。
30ページに4グループによる討論の内容を記載しております。1から3は被害者の状況について調べたグループと、4番は新たな治療に用いられているという内容について調べたグループに分けまして、サリドマイドの使用の是非について討論したということでございます。○が1から3番のグループ、●が4番のグループでございますが、サリドマイドを認めないと多発性骨髄腫を治せないので、認めるべきだという意見。一方で、サリドマイドは実際に過去に被害者が出ているので、被害者のことを考えると、新薬を待つほうがいいのではないか。それぞれの立場から討論が行われたというものでございます。
その後、31ページにありますとおり、4時間目としまして増山さんの講演が行われております。増山さんに同席いただいた上で、各グループがまとめた内容を発表し、その後、講演を聞きましたということです。その授業の内容については、毎日新聞、東奥日報において掲載されております。
実際授業を受けた生徒の感想としましては、印象に残ったこととしては、薬害と副作用の違いがよくわかったということ。一番重要なのは、副作用が起きたということよりも、むしろそれを放置してしまったということだと。責任問題について11年もかかったということが驚きであるという意見がありました。また、薬害というのは単なる副作用ではなくて、起きてしまった後の対応が問題であるという意見も出ております。
32ページ、授業でよかった点としては、自分たちで調べ、被害者からの意見を比べて、両方やることでサリドマイドの問題について深く知ることができたということ、実際に被害者に会って話を聞いたことが非常によかったという意見がありました。
その他としましては、自分たちで調べたことのほかに、インターネットなどでもわからない被害者の生の気持ち、考えが聞けたので、授業を受ける前と後では考えが大きく変わりましたという意見も寄せられております。
33ページから35ページは関連の資料になりますので、後ほどご覧いただければと思います。
最後に、今年度4番目の取り組み、福岡県岡垣中学校の取り組みを御紹介させていただきます。中学3年生の公民の時間で行いました。消費者保護という観点から薬害の歴史を学ぶとともに、その発生の共通点の理解をする。また、薬害を防ぐための社会の仕組みと、消費者としてどのような役割を果たせばよいのかというのを考えることを目的としております。
1時間目としましては、それまで学習されてきた製造物責任や企業の社会的責任といったことの復習の後に、薬の研究開発、承認、審査、販売といった流れを説明した後、C型肝炎訴訟を題材に新聞記事を提示しております。「薬害を学ぼう」のパンフレットを活用して薬害について個人で書き出す作業を行いました。その後、副作用とは何かを先生から説明し、副作用と薬害の違いについてグループで話し合うことを行っております。
36ページから37ページにかけまして、スモン、サリドマイドに関する解説本を読みまして、国、製薬企業、医療機関、消費者がそれぞれ何をすべきであったのかということを4グループに分かれて議論し、その結果を発表しております。薬害がきっかけでできた制度の説明や、関係者はそれぞれどんな役割を果たすべきかということも議論しております。
そうした事前学習の後、2時間目で薬害肝炎全国原告団の山口美智子様からの講演がございました。この講演の内容につきましては、地元のテレビニュースにおいて紹介されているところでございます。山口様の講演のほうでは、C型肝炎について、外見ではわからない。自覚症状が出てくるのも時間がたったころなので、気づいたころには手おくれになってしまう。御自身の経験として、インターフェロンを1日置きに2年間注射し、その結果、ウイルスは除去されたけれども、それでもなおがんになる可能性があって、検査を受け続けなければならない。こうした被害については、精神的、肉体的被害以外にも、経済的、社会的な被害、負担というのがあるのだということの御説明がありました。
38ページに参りまして、社会的負担ということで、地域によっては差別、偏見があった。特に自分にとって大きかったのは社会的負担であって、小学校の先生をされていましたが、最終的には子供に対して責任を持つことが難しいということで、退職を決意されたという御自身の経験を語っていただきました。また、薬害肝炎についてということで、裁判におけるお話をしていただいたということでございます。
39ページにそのころの話ということで、山口様の次男の方の弁論のスピーチが流されまして、これは生徒の皆さんにとっても非常に共感を呼んだということでございます。当時中学2年生だった次男の方が弁論大会でC型肝炎を題材にスピーチを行ったということで、このときまさにインターフェロンの治療中であったということでございます。スピーチの概要としては、母がC型肝炎と闘い始めて14年。幼いころ兄からおまえが生まれなかったら、こんな病気にはならなかっただろうというきつい言葉を言われたことを覚えている。病気をかわってあげることはできないけれども、治療がうまくいくことを祈る。自分にできることとしては、少しでも母の助けになろうという趣旨の話がされまして、これを実際山口さんも聞かれて、山口さん自身も非常に大きなショックを受けたということで、本人だけではなくて、被害者家族も一緒に苦しんでいるということを知ってほしいということで、このエピソードが紹介されました。
最後に、39ページの一番下にありますが、命の大切さ、人間としての尊厳について考えてほしいということで、講演をくくられております。
40ページのほうに生徒の感想が出ておりますが、薬害が起こるたびに法の整備や救済制度が整備されていったこと。また、山口さんのお子様のスピーチが非常に印象に残りましたということ。特に社会的被害の大きさに驚きましたという感想がありました。
授業でよかった点については、薬害が起こらないために、消費者の立場から薬に関する情報を得ることが大切だということがよく理解できたということ。41ページに参りまして、薬害の被害者が具体的にどのようなことに苦しんでおられたのかを知ることができたので非常によかったという意見が寄せられております。
42ページ以降はこの授業で活用された資料やワークシートでございます。
資料3についても続けて御説明してもよろしいでしょうか。
○衞藤座長 はい。
○医薬品副作用被害対策室長 今、申しましたように、本年度は4校で実践事例をまとめることができました。資料3は、今年度、来年度における薬害教育について、私どもとしてどのような取り組みをしていきたいのかというのを、先ほどの実践例、アンケートの結果も踏まえてまとめたものでございます。
まず、今年度行いました取り組みにつきましては、最初に申しました実践事例の周知ということで、「薬害を学ぼう」とその他の資料を各中学校に6月に配布いたしまして、その際に昨年度実施されました実践事例についても「実践事例集」として配布いたしました。また、ホームページ上にも掲載したところでございます。
その後、教科書会社に対しても説明会を行っております。3ページ目以降に別添1というスライドを何枚か用意しておりますが、こういった資料を用いまして教科書会社向けの説明会を開催いたしました。中学校や高校の公民あるいは保健といった関係で教科書会社の方にお集まりいただいて、説明会を実施したところでございます。
モデル事業の実施率向上に向けましては、3番目のところにありますが、教材の見本とともに、モデル事業実施校の募集のチラシを送らせていただきました。チラシにつきましては最後の8ページにございます。実際このチラシを見た3校から連絡をいただきまして、モデル事業の実施につながったところでございます。ことしも本年2月に教材の見本を送付した際にこのチラシを同封させていただいております。先ほど手嶋委員からも御指摘がありまして、授業を実施するのに先生のほうの負担があるということでありましたけれども、授業実施を御検討いただける場合には、御連絡いただければ、事前の打ち合わせとか、あるいは授業の準備に当たっての調整ですとか、資料の提供をさせていただきますという御提案をしているところでございます。
1ページ目に戻っていただきまして、実施率向上に向けた取り組みの2つ目でございます。教員を対象にした研修会などについて、実際研修会をさせていただけないかということで、2つの自治体のほうに御相談に伺いました。ただ、残念ながら今年度に関しては研修会の実施にはつながっておりませんが、こうした取り組みを今後も模索していきたいと考えているところであります。
4番目は御報告でありますが、昨年度実施していただいたところが引き続き今年度も実施しましたという御連絡をいただいているところが3校ございまして、筑波大学付属中学校、尼崎小田高等学校と先ほどの東海大学付属大阪仰星高校でございます。
2ページ目でございます。こうしたアンケート結果や実践例を踏まえまして、来年度としては引き続きこうした教材を送付させていただくとともに、アンケートでも編集可能な教材が使いやすいという御意見をいただきましたので、どういう形で提供可能か検討していきたいと考えております。
実践事例の周知につきましても、今年度それぞれ工夫を凝らされたモデル事業ができましたので、この実践例を追加して送付させていただきたいと考えております。いろんな授業のパターンが蓄積されてきておりますので、非常に活用していただきやすくなっているのではないかと考えております。
先ほど申しましたが、教員向けの研修会については、2自治体で実施してみましたけれども、なかなかうまくいかなかったこともありましたので、アプローチ方法も含めて引き続き検討していきたいと考えております。
資料の説明は以上でございます。
○衞藤座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局からの説明に関しまして御質問や御意見がありましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。館委員、どうぞ。
○館委員 今回の実践事例を見させてもらいまして、非常に力の入った、かつ生徒にとっても学ぶ意義を感じさせるような実践例ではなかったかなと感じております。こういった実践が積み重なって、それが紹介されることというのは、こういった授業に取り組もうという意識を先生方に持たせる大きな材料になっていくのではないかと考えています。
そういったアプローチと同時に、教科書会社の方々に厚生労働省のほうから働きかけがあったという話がありまして、これは非常に影響が高いのではないかと感じています。本日中学校の教科書を3冊ほど持ってきまして、東京都においてはシェアの大きい3社なのですが、教科書の中に薬害のことがどこまで入っているかなということでみてみますと、公民的分野で言いますと、本当に数行ぐらいの扱いでしかないのです。ですから、教科書会社に薬害のさまざまな情報が入ってきますと、教科書会社が少しそういうものを入れていこうかということを考える要因になると思いますし、影響力はあるなと感じました。
ただ、中学校で扱うということで言いますと、先ほどから何度も話が出ていますように、薬害の授業が主に扱われるのは消費者保護と人権のところなのです。人権のところと言っても、基本的には平等権のところ、さまざまな偏見や差別をどうするかという課題として取り上げられる例があるのですが、教科書に載っているのは部落差別、アイヌに対する差別、在日の人たち、あるいは外国人労働者、男女差別、障害者差別などが、詰まっているのです。その中に例えば薬害に対してということは考えられなくはないとは思いつつも、今日、紹介された実践事例や補足資料を見ていたときに、新学習指導要領の記述というのが別添資料1の6ページに載っているのですが、6ページの2段落目、公共のところには「薬害問題」という言葉が入っていたり、下のほうの保健のほうにもどんぴしゃりのテーマが学習指導要領上に載っているわけです。ですから、今後薬害を扱うのだったら、このあたりが中心になるのではないかなということを強く感じました。
私も実は中学校に長い間いまして、事例で紹介されていた筑波大学付属中学校にいた者ですが、その中学校の実践の右下の記述にありますように、「私たちと経済」という1つの単元で扱われるかどうかぐらいなのに対して、高校の公共、保健というものはダイレクトにそのテーマを取り上げています。このことを考えますと、こういった公共や保健において、かなり意識的に厚労省が教科書会社へのPR等も含めた働きかけをすると、きっと効果があると思います。特に保健などは本当に大事な大事な教材になると思いますので、そんな働きかけも今後あっていいのかなと思います。
ちょっと長くなりましたけれども、新しい学習指導要領ではカリキュラムマネジメントといって、総合と例えば社会科とか公共とか、そういったものをうまくトータルで。それぞれの教科とも時間数が足りなくて、その割には教える内容が多いという状況の中で、カリキュラムをお互いに調整しているというカリキュラムマネジメントという言葉が入ってきたわけですが、総合学習などが時間的に比較的余裕があるということを考えますと、そういったところとリンクさせながら、高校を中心にしながら、中学校でも薬害教育を広げていくことができるかなと感じました。
以上です。
○衞藤座長 ありがとうございます。
そのほか。栗原委員、どうぞ。
○栗原委員 資料3の2番の教科書会社向けの説明会云々というのは、1年前のこの場で話題になっていたことだったでしょうか。可能なアプローチを模索していただいて、どんどん積極的にやっていただいているという好例ではないかと思います。ただ、後でお聞きしたいのは、この場での会社側の反応はどうなのかなということ。もし何かあればお聞きしたいということが1つです。
それから、この種のパンフレットは、非常に関連性のあるところで言えば、健康局サイドのハンセンのパンフレットが先行していたわけです。あれも毎年配布されているかどうか、私自身、確認はしていませんけれども、少なくともそういうものがあるわけです。そして、社会科の分野ではいろんな省庁からたくさんのパンフレット類は行くと思うのです。その中でこの教材に目を向ける教師をいかにふやすか、そこにかかっていると思うのです。担当している社会科の先生がこの問題に関心を持ってくれるかどうかだと思うのです。
例えば文科省の方もおいでいただいているので。もっとも、我々被害者団体のほうは8月にお会いするたびにいろんなお願いもしてきていますが、社会科の指導主事、都道府県レベルの指導主事さんを集められることがあるのですかね。そういった場を通じてこの実践例をその方たちに手渡しいただくなり、この場での議論などもお伝えいただくなり。ウエブ上でも公開され、教材配布のときに現場にも事例集が行くわけですけれども、幾重にも網をかけていっていただきたいなと思います。
以上です。
○衞藤座長 ただいまの御発言に関して何かレスポンスはありますでしょうか。
○医薬品副作用被害対策室主査 私、医薬品副作用被害対策室の飯田と申します。
教科書会社の説明会の状況について御質問いただきましたが、当日は御説明を差し上げた後に複数の御質問をいただきまして、非常に関心を持っていただけたのではないかと考えております。
○栗原委員 あるいは教科書会社が実践校を知った場合に、教科書会社は決して教科書だけでなくて、教師向けの指導書、解説書をつくりますから、そういったものの編集の参考として、あるいは実践経験のあるところに取材に行く可能性もありますね。そういったところも期待をしてお取り組みいただけたらと思いますが。
○医薬品副作用被害対策室主査 実際に次期の教科書の改訂の際に結果というのが見えていくのかなと思っておりますが、実際教科書にどのように反映されたかとか、そういったあたりは見ていきたいかなと思っております。
○衞藤座長 ありがとうございます。
では、大平委員、どうぞ。
○大平委員 お聞きしたいのですけれども、実践例の中でこの5校の内訳ですが、公立と私立と分かれていると思うのです。公立が幾つになるのか教えていただきたい。
それから、教育委員会との関係というのはどういう接点を持っているのか、教えていただきたいと思います。
○衞藤座長 事務局からお願いいたします。
○医薬品副作用被害対策室長 資料2の表紙をごらんいただきますと、3番の今須中学校と5番の岡垣中学校は公立です。あとが私立の学校になっております。
教育委員会との関係という御質問でございますが、先ほど資料の中でも触れましたが、モデル事業実践のチラシで募集をしましたところ、直接コンタクトがあったところが3校ございます。あとは、私ども、ある意味コネ、つながりで一本釣りのような形でお願いしておりまして、そういう意味では組織立ってお願いをしてきたというものではございません。現状はそういうふうになっております。
○大平委員 私立だと自由な裁量とかそういうのがきくと思うのですけれども、公立学校ですと、教育委員会の指導によっての問題点があると思うのですが、そういう点で、今、教育委員会というのは力が強いので、教員委員会を通じてこの指導をきちっとやっていただけるような方法というのは、これは文科省のほうにお願いする話なのかもしれませんけれども、指導主事のいろいろな集まりとか、各教育委員会の責任者にこういった資料について理解していただけるような場を一つ一つのところで持っていただけると、少し学校の取り組みとしては門戸が開けるのではないかなと思うのです。ぜひそういうのをやっていただきたい。
公立学校で展開されると関心度が大きくなり、力になると思うので、できるだけ教育委員会を通してのいろいろな働きかけというのは。各校各校の取り組みに頼っているだけではなかなか広がりが難しいかなというのがありますので、そこは少し考えていただければありがたいと思います。
○衞藤座長 文部科学省の高瀬様からお話をお願いします。
○文部科学省初等中等教育局教育課程課長補佐 御意見どうもありがとうございます。
文部科学省といたしましても、薬害について子供たちにしっかり理解していただくというのは非常に重要なことであると思っておりまして、従前から厚労省さんと連携して事務連絡を発出して、このパンフレットを周知したり、教育委員会の指導主事の方が集まる会議などにおいて、こういったパンフレットに関すること、研修に関すること、いろいろ周知はしてきたという状況ではあるのですけれども、今回の新学習指導要領にも先ほど御指摘いただいたように薬害について解説のほうに言及がございますので、そういったところも紹介しながら、事例集とかパンフレットがどうやって使われるかということをきちんと指導主事の方々に周知をして、文科省のホームページ等々でも周知をしてまいりたいと思っております。
○衞藤座長 ありがとうございました。
栗原委員、どうぞ。
○栗原委員 文部科学省にお尋ねしますが、こういった教材を使った授業の研究、研究のテーマとして取り上げていただいて、そして全国の中学校に手を挙げてもらうという可能性はないですか。
○文部科学省初等中等教育局教育課程課長補佐 まさに研究みたいなものは、学校とか教育委員会などでたくさんやられている状況でございますので、そういったことを促すという観点から厚労省さんのほうでモデル事業等々もやっていただいているという状況だと思いますので、モデル事業の周知あるいは実践事例の周知などを通じて研究等々もしていただくということがすごく有効なのかなと思っておりますので、引き続き厚労省さんと連携してどういったことができるかということを考えたいなと思います。
○衞藤座長 小出さん、お願いします。
○文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課健康教育調査官 健康教育・食育課の小出と申します。
保健教育のほうで、私どもの課のほうでは学校保健・安全研究大会という全国大会を開催しています。申しわけございません。間違いました。
薬事衛生研究協議会というのがありまして、そちらのほうで医薬品の分科会というものをやっています。その中で各学校での実践事例みたいなものを発表していただいていまして、一昨年、高校の発表者の方が薬害に関しても医薬品の授業の中で取り扱うということを全国大会の中で発表していただいたという事例はございます。主に参加者というのは学校薬剤師、医師の方とか養護教諭、数は少ないのですけれども保健体育の教諭、小、中、高校の先生方が集まってその話を聞いていただく、そういう会の中でも発表がございました。ということを御報告させていただきたいと思います。
○栗原委員 済みません。もう一度今おっしゃった研究会の名称をお願いします。
○文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課健康教育調査官 全国薬事衛生研究協議会ですね。済みません。全国学校環境衛生がつきますね。全国学校環境衛生・薬事衛生研究協議会です。ちょっと長いのですけれども。
○栗原委員 ここは社会科の先生は関係ないですか。
○文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課健康教育調査官 ここは保健の領域になります。
○栗原委員 中学校の教員も対象なのですか。
○文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課健康教育調査官 はい。小、中、高です。養護教諭の方が半分ぐらいを占めると思います。
○衞藤座長 よろしいですか。
○栗原委員 毎年この研究会があるわけですね。そういう場合も事例集などを配布いただくとか、御検討いただけたらと思いますが。
○文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課健康教育調査官 検討させていただければと思います。
○衞藤座長 ほかに御発言ございますか。手嶋委員、どうぞ。
○手嶋委員 養護教諭の方々の前で講演したことがあるのです。だから、一日そういう協議会というのが各地で行われているのではないですか。
○文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課健康教育調査官 養護教諭の集まる会ですか。
○手嶋委員 そうですね。福岡のほうの市民センターで一度講演したことがあるのですけれども、養護教諭の方々と言われましたね。
○文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課健康教育調査官 やっていますね。
○手嶋委員 だから、そういう方たちの間でも薬害被害者として講演をやっていますので、それが全国規模であるなら、ぜひ呼んでいただきたいなと思います。私が思うには、モデル事業なのですけれども、モデル事業として5校というのは、まだ少ないのではないかなと思っております。ぜひもう少し広げていってほしいなと思っています。済みません。
○衞藤座長 事務局のほう、どうぞ。
○医薬品副作用被害対策室長 今、手嶋委員からありましたように、モデル事業の実践校をもう少しということで、私どももそう思っておりますので、来年度も引き続き今年度同様の取り組みをして実践事例の蓄積をしていければと思っております。
それから、先ほど学校薬剤師のことも少しお話が出ましたが、今年度もパンフレットを送付する際に、日本薬剤師会のほうとも御相談をして、学校薬剤師の方にもこういうアンケートを行っているということをお伝えし、回収率を上げようという取り組みは引き続き実施いたしました。その際に少し教えていただいたこととしては、学校薬剤師の方はまさに学校の環境衛生のほうも担当されておりまして、プールが始まる前の5月ぐらいの時期に、新年度が始まって学校と最初コンタクトをとる機会があると伺いました。そのころまでにこちらサイドで行っている取り組みを学校薬剤師に伝えれば、学校と学校薬剤師の連携の中で話題になることもあるのではないかという御意見をいただいておりまして、教材の発送が6月なので、時期的には少しずれているのですけれども、そういうチャンネルも使えないかというのは今後考えていきたいと思います。
○衞藤座長 ありがとうございました。
では、花井委員、矢倉委員という順番でお願いします。
○花井委員 実践例と国の取り組みについてですが、非常に地道にやってきて、積み重ねてきたというところで、国におかれても教科書会社にも足を運んでいただいて、着実に成果はあるかなとは思います。数字的に横ばいというところが気になるところでありますけれども、この実践例を見て思うところなのですが、一つ一つはすばらしいなと思うのですが、考えてみると、先ほどの保健分野での扱い方とか、消費者教育における扱い方とか、切り口が多様であることも事実であって、サリドマイドであれば障害者問題ということも関連してきていて、確かに薬害問題という問題が一つの分野にきちっとはまらないところが、ある意味扱いにくさでもあるわけですが、今回いろいろに扱えるということを示していることもあるというので、ぜひぜひこういったことをもうちょっと。
私もことし25年ぶりに高校生の前で話をしてきたのですけれども、25年前は時間をもらったので、ギターを担いでいって歌を歌ったりして、いろいろ和ましてからやったのですが、今回は60分間座学でということなので、60分間座学でやると、切り口に苦労したところもありますし、ああいう切り口でよかったのかというところもありますので、いろんな実践例の中から扱いやすさというのが出てくることが大事だと思うので、これをふやしていくことは非常にいいと思いました。
これはここで扱うような話でなくて、印象なのですけれども、高等教育では医学部とか薬学部の学生さんとかと25年以来、つき合うわけですが、年々一般的な教養という力が落ちてきていて、医学部の高学年であっても一般のリベラルアーツが不足しているような話で、それが現在、厚労関係であれば、臨床研究の問題をやるときに、基礎がないところで苦労するという実情があって、中高で教養というものの中で薬害を扱えないかなと思って工夫はしたのですけれども、そういう意味では、総合的学習というところも結構大きいのかなと思います。なので、総合的学習、保健、社会というところでいろんな扱い方ができる形で薬害のモデルが増えていけば、ああ、これはやったほうがいいというふうに現場の先生方に思っていただけるかなと思いました。感想です。
文科省さんに伺うのですが、どこも忙しいというか、窮屈なわけですね。どんどん窮屈になっていると思うのですけれども、今後窮屈になる方向なのですか。それとも横串を刺したような学習はしやすくなる環境になるのですか。全体の方向としては。
○衞藤座長 高瀬様、お願いします。
○文部科学省初等中等教育局教育課程課長補佐 御指摘いただいたとおり、先生方の勤務時間が非常に長いということは実態としてございまして、何とか先生方の勤務負担を軽減するということはやっていかなければいけないということで、学校の働き方改革ということで我々も取り組んでいるところでございます。
その中で、授業時数には限りがあるところもございますし、子供たちの時間も有限である中で、教えるべきことは、おっしゃっていただいたとおり、リベラルアーツも含めていろいろあるという中で、どうしたら短い時間でも子供たちにきちんと理解してもらえて、自分たちが何をやっていけるかということを考えていくきっかけにきちんとしてもらうためにどういう授業が望ましいかということは、まさに先生方の創意工夫を集めた実践事例みたいなものをきちんと周知しながら、研究をしていくということが一番大事であると思っております。
先生方の授業時間が確保できるようになるか、これから授業時数をふやせるかというと、正直これ以上授業時数をふやすのは結構難しいところもあるとは思っておりますけれども、その中でいかに効果的にやっていくかということを一緒に考えていく必要があるかなというのがこちらの見解かなと思っております。
○衞藤座長 ありがとうございました。
では、矢倉委員、お願いします。
○矢倉委員 毎年この調査結果を見るたびに、ああ、全然普及されていないなという思いがありまして、これをどう打開していくのかという観点がもう一つ見えてこない。例えばこれは文科省でお世話にもなっているわけですが、薬被連が大学に被害者の実態を話に行きますね。最近、私はちょっと体調が悪くて減っているのですけれども、そのときに200人からの生徒さんが一遍に聞くことができるのですよ。そのときにこういうことを聞いたことがあるのです。「薬害を学ぼう」とか、厚労省からこういう副読本が出ているのですけれども、あなたたちはこれを知っていますか、知っている方は手を挙げてくださいと言ったら、誰も手が挙がらないのです。ということは、これが配布されていないのか、どうなっているのか、そこにもう一つ大きな疑問を持っているわけです。
薬害の話をしまして、私はスモンですが、スモンだけでなくて、最後にいろんな薬害の話もついでにするわけですけれども、生徒はそんなに薬害がたくさんあったのかとびっくりしているのですよ。そんなにあったのかと。そうですよという話をするのですが、これは教育の問題だと思うのです。文科省がもうちょっとしっかりして、指導をきちっとできるような体制に持っていってもらわなかったら、厚労省はこれをつくります、文科省はまあまあ、いいかげんというか、やっておられるのでしょうけれども、やはり問題は教育ですね。教育の中でいかに薬害を位置づけていくかということの捉え方が文科省の中でしっかりできていないのではないか。私はそういう危惧を思うのです。
これは余談になりますけれども、お医者さんに行くことがあるのですが、60代のお医者さんになると、もうスモンなんて御存じないのです。スモンって何、はあと言ってびっくりするのですね。
一番知っていらっしゃるのはエイズとか、サリドマイド程度はよく御存じなのですけれども、それ以外の薬害についてはほとんど御存じない。それが現実なのですね。現代のお医者さんでも60代になったら。教育をちゃんと受けていないのです。だから、そこら辺をもうちょっと画期的な方法を生み出していただいて、教育に普及できるような努力をしていただきたいなと思います。
以上です。
○衞藤座長 ありがとうございました。
では、事務局から。
○医薬品副作用被害対策室長 御意見ありがとうございます。
私どももモデル教育の実践をしてみて、あるいはアンケートを見て、先生方はいろんなことを教えなければいけない中で、そもそも医薬品の仕組み自体を理解していただくということに一つハードルがあるということと、それに加えて、過去にあったさまざまな薬害、その背景とか被害の実情を深く理解して生徒に教えるというのは、大変負担のかかることだろうと思っております。私どもはモデル事業を行うに当たっては、そのあたりをサポートさせていただきますよということも申し添えて募集をしているわけですが、なかなか広がっていっていないのかなという実情があります。
一方で、各被害者団体の皆様方も積極的に講演という形で授業の中でお話をいただくような取り組みもありますので、必ずしもこのモデル事業だけが薬害教育の実践例ではないと思っています。もっともっとたくさんあると思っています。まだそういったところとの連携は十分とれていないわけですけれども、そういった団体のほうでの取り組みなども参考にさせていただきながら、なるべく先生の負担にならないような形で、有意義な授業を実施していけるのかなというふうにやってみたいと思っています。
どうしてもモデル、実践例ということで全国に御紹介しますとなると、先生方のハードルも相当上がりますので、立派な授業をしなければということで、確かに実践例は非常に立派な例が多いのですが、これだけ授業時間を捻出できないということもあると思いますし、こちらに応募いただくにはハードルが高くなってしまっている面があるかもしれません。そのあたりの工夫というのはこれからも引き続き考えていきたいと思っています。
また、学校薬剤師様もそうですが、薬剤師さんの教育の中では薬害ということも扱っていただいていますし、そういう意味では、地域にそういった薬の正しい使い方について知見のある人がいらっしゃるわけですから、そうしたところとの連携とか、実際の教育現場での御活躍の場ということがもし検討できれば、一つの打開策になっていくのかなと思っておりますが、まだ具体的な方策というのは考えついていないところもあるのですけれども、そういったいろんな地域の資源も活用しながら、事業の取り組みが広がっていくように今後とも考えていきたいと思っております。
○衞藤座長 ありがとうございます。
栗原委員、どうぞ。
○栗原委員 私は、学校の現場の状況から見て、先ほど矢倉さんのほうから話がありましたが、いろんな方法も講じていただいているし、肯定的に捉えています。とにかく実践例に社会科の先生たちが出会う機会をつくっていくことが大事だと思いますし、文科省さんは、花井さんの話ではないですけれども、教員に余裕を与えていただくことこそ早道ではないかと思うのです。済みません。
きょう報告いただいた実践校とか、あるいは昨年度の実践校とかにお伝えしたいなと思うのが、例えば中学校の場合、先に保健の授業で適正使用を学んでおいて、そして社会科で授業ということ。単に1つの教科ではなくて、保健と社会が協議して、連携をとって進めていくような状況が生まれてほしいなという希望があります。ぜいたくな希望かもしれませんけれども、そんなことを考えています。
以上です。
○衞藤座長 ありがとうございます。
大平委員、どうぞ。
○大平委員 ここにいらっしゃる先生たちはみんな、かなり玄人的な感じでいろいろなことを知っているのですけれども、一般の教育で受ける人たちというのは、余り知らない人たちを対象にするわけです。ですから、それについて被害者の方も参加する。それから、できればこういった問題について見識のあるお医者さんとか薬剤師さんとかが一緒にサポートして講演するとかそういうことをして、一般的にわかりやすいようなお話をするような機会というのは、ぜひ検討していただきたいなと思うのです。
そうしないと、私たちはHIVのことで就労を進めているのですけれども、結局、私たち当事者が話すということも大事なのですが、それを補完する意味で医師とかそういう方たちが一緒に話していただくとすんなり導入されていく。そういうのが背景としてはあったものですから、経験的な話なのですけれども、そういった意味で、もう少し薬害について医師の方たちも関心を持ってもらうようにして、お医者さんたちがそういったところでお話しする、それから薬剤師さんもきちっと薬の具体的なことについてとか、そういうのを易しくお話しするということは、一緒に参加することの中では大事かなと思います。
ですから、先生一人で全て責任を持ってやるという展開だけではなくて、いろんな人が加わって薬害教育を進めていくというのが大事かなと思いますので、これは私見ですけれども、そういうのを理解していただけたらありがたいなと思います。
○衞藤座長 どうぞ。
○大臣官房審議官(医薬担当) ただいまの話ですが、実は私ども厚労省で今回薬機法の改正案を国会に提出しているのですが、その目的は、薬剤師がもっと患者さんに向いて、あるいは健康な方にも向いて仕事をしてくださいということを実現するために制度改正をやろうとしている。ちょうどそういう法改正をやろうとしているのですが、既に5年前の法改正の段階で法律の中に「国民の役割」というのを書いていて、日本国民たるもの、薬について正しく使うということや、あるいは薬についての理解を深めるということも役割なのですよということを法律に書いているのです。私も講演に行く機会があって、法律に書いているということを知っていますかといろんな方に聞くのですけれども、知らないと言う人が圧倒的に多くて、このこと自体をとっても、もっと薬についての基本的な理解をいろんな方にしていただくようにするために、どういう人材を育てたらいいのか、そういう話だと思うのです。
矢倉さんがおっしゃっているように、学校の教育の中でやっていくのに、なかなか進まない。でも、学校の教育で1回やったからといって、それで生徒たちがすぐわかるか、一生それを覚えていられるかというと、多分忘れてしまう。そういうことに対して、薬をなりわいとしているような仕事をずっとやっている職種、薬剤師が日本には30万人以上いるのです。こういう人たちをそういう薬の問題に関する一般の国民の理解を深めるためにもっと活用するというのも本気で考えてもいいのではないか。こういう切り口の部分もあると思います。
学校教育において学校薬剤師がいます。学校薬剤師をうまく活用してくださいねというのもぼちぼち考え始めてはいるのですが、それだけではなくて、学校で習う機会があったときに、町の中の薬剤師というのもいるのですよと。薬剤師に薬のことを聞けばちゃんと教えてくれる、手がかりを提供するということも、薬というものに対する理解をちゃんとした上で、さらにそれがどんな問題を起こしたか、人権の問題ということについても知る機会を持ってもらうというふうに展開できるのではないかと思います。
こういうことを進めていく上で、今回ちょうど法改正案も国会に提出しますし、そういう機会を捉えて、いろんな人材をうまく生かしていく中で、特に薬に関する素養、知識を専門的に勉強している職種は活用しないともったいないなと思っています。こういう機会を捉えて、学校の教育においても薬剤師をうまく活用してくださいということをお願いして、御相談をして、実現に向けて何か取り組みをしていきたいなと思っておりますので、ちょっと補足をさせていただきました。このような方向も一つの切り口としてあるのではないかなと思っております。
○衞藤座長 ありがとうございました。
さまざまな観点からの御意見をいただいて大変有意義だと思いますけれども、後の議題もありますので、この議題についての質疑はそろそろ打ち切りたいと思います。
本日皆様からいただいた御意見につきましては、事務局において整理をしていただいて、必要に応じて皆様に御相談をさせていただきたいと思っております。最終的には座長の私のほうに御一任をさせていただければと思いますが、よろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○衞藤座長 ありがとうございます。
では、そのように進めたいと思います。
それでは、3番の「薬害に関する資料収集・整理について(報告)」ということで、直近の状況の御報告を事務局からお願いいたします。
○医薬品副作用被害対策室長 ありがとうございます。
それでは、議題3、資料4と5を続けて説明させていただきます。資料4につきましては、薬害資料データ・アーカイブズの基盤構築の研究班の藤吉先生からいただいたものでございます。昨年度も藤吉先生のほうからお話しいただきましたが、今回は先生が御出張中ということでありまして、書面での報告となっております。
今年度の取り組みとしましては、アンダーラインを引いているところを中心に活動されています。大きく3つありまして、まずは(1)奈良女子大学の島津先生を班長とする文書資料調査班、関西学院大学の佐藤先生を班長とする被害者インタビュー映像調査班を中心とした研究になっております。それ以外に薬害被害の当事者の方へのフィードバックも取り組んでおられます。
まず、文書資料調査班でございますが、島津班長のもと、奈良女子大学、京都大学の大学院生を中心とする作業メンバーによって、薬害資料の調査、整理、目録作成をされています。大阪の人権博物館で受け入れられています福岡スモンの資料につきましては、ファィルレベルでの目録作成を終えて、一点ずつの目録作成を進めておられるという状況でございます。まだ公開できる状況までは至っていないということでございますが、引き続き整理を進めていただいています。また、一番下の行になりますが、研究班と日本アーカイブズ学会との共催による研究集会も開催され、研究者のみならず、被害当事者の方々とも意見交換をする機会を持っていただいております。
インタビュー映像の調査班のほうにつきましては、佐藤班長のもと、関西学院大学の大学院生を作業メンバーとして、インタビュー映像の研究方法の検討、それから厚労省のほうから提供しておりますインタビューの文字起こしをしたものについて、特殊な記号を付与するなどして発話の分析が可能となるような取り組みを進めていただいております。また、厚労省で行っております被害者のインタビュー映像の撮影に佐藤班長も同席いただいている状況でございます。
3番目の薬害被害当事者への活動報告会ということで、研究活動の現状の見通しについて報告をし、フィードバックを受ける取り組みを行っていただいております。具体的には、昨年の秋から薬害肝炎の団体の東京、東北、名古屋の事務所を訪問していただきまして、原告団の方、弁護団の方に研究班の活動内容を御報告していただいております。また、資料の保存と活用についての意見交換も実施されております。
これまで薬害被害者団体連絡協議会の世話人会での活動報告ということが中心でありましたが、今年度に入りまして個別の当事者団体に直接出向いて報告することができたということで、引き続きこうした取り組みを続けていくということで、研究班の方向性をまとめていただいております。
続きまして、資料5でございます。平成31年度の予算案は、現在国会で審議中ではございますが、その中に薬害資料の関係の予算が盛り込まれておりますので、御報告をさせていただきます。「薬害の歴史展示コーナー」の設置経費ということで、1300万円を予算案に計上しております。これにつきましては、薬害肝炎の検証委員会の最終提言であります「薬害再発防止のための医薬品行政等の見直しについて」におきまして、薬害研究資料館を設置すべきという御意見があり、その後の協議においてもそういった議論がなされてまいりました。このような経緯を踏まえまして、薬害の歴史、教訓への理解を深め、社会の認識を高めるという目的で、医薬品医療機器総合機構の施設内に「薬害の歴史展示コーナー」を設置するということを考えております。これにつきましては、まだ資料の保存の機能はございませんが、まずそういう団体や国で持っている資料について展示をして、社会の認識を高めていくということを主たる目的として設置するものでございます。予算が無事成立いたしましたら、設置に向けて準備、検討を進めてまいりたいと考えております。
御報告は以上でございます。
○衞藤座長 ありがとうございました。
報告事項ではありますけれども、御意見や御質問等がありましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。特にございませんか。では、栗原委員、どうぞ。
○栗原委員 資料4に関してですが、研究班と被害者団体をつなぐという役割で協力者としてかかわっておることから、最近の状況、「福岡スモン」と記載されていますが、その資料について若干補足させてもらいますと、2015年10月に緊急に資料を確保する必要があるということで、段ボール箱30箱分が大阪人権博物館に移送されました。さらに、現在の事務所が入っているビルが来年6月に耐震構造の関係で取り壊しになるということで、それを見据えてさらに19箱ほど発送準備が終わった段階であります。ですから、福岡スモン基金という1つの団体で50箱ほどになるわけですが、2015年の回収のときに相当捨てざるを得なかったという状況もありますので、本来もっと多かったわけです。
それから、最も高齢化が進んでいるスモンの被害者団体は、きょうあすにでも持ち切れなくなるという状況に接しているということです。だから、PMDAの歴史展示コーナーは一つの前進ではありますけれども、保管場所が緊急に必要な状況であるという現実があります。そのことだけお伝えしておきます。
○衞藤座長 ありがとうございます。
ほかに御意見、御質問ありますか。よろしいですか。
それでは、来年度も活動状況について御報告くださいますようにお願いいたします。
以上で本日の議題は全て終了いたしました。
次回の日程等について、事務局からお願いいたします。
○医薬品副作用被害対策室長補佐 次回につきましては、事務局より追って日程調整をいたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○衞藤座長 それでは、これで本日の検討会を終了いたします。
長時間にわたりお疲れさまでございました。ありがとうございました。
 

 

 

(了)

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