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2017年9月21日 第7回社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」議事録
社会・援護局
○日時
平成29年9月21日(木)14:00~17:00
○場所
都市センターホテル
5階会議室(オリオン)
○出席者
宮本 (部会長) | 駒村 (部会長代理) |
朝比奈 (委員) | 浦野 (委員) |
大西 (委員) | 大野 (委員) |
岡崎 (委員) | 岡部 (委員) |
奥田 (委員) | 勝部 (委員) |
菊池 (委員) | 小杉 (委員) |
生水 (委員) | 新保 (委員) |
竹田 (委員) | 平川 (委員) |
渡辺 (委員) | 成田参考人 (福田委員代理) |
前河参考人 (松井委員代理) |
○議題
(1)生活困窮者自立支援制度の現状と課題
(2)自立相談支援のあり方
(3)就労支援のあり方
(4)家計相談支援・生活福祉資金のあり方
○議事
○竹垣課長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから、第7回「社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、大変お忙しいところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
本日は、石橋委員、松本委員は御欠席です。渡辺委員、駒村代理はおくれてお見えになる予定です。
また、本日は、福田委員の代理として、川崎市健康福祉局長の成田参考人、松井委員の代理として、大阪府福祉部社会援護課長の前河参考人にお越しいただいています。
成田参考人、前河参考人の御出席につきまして、部会の御了承をいただければと思いますが、いかがでございましょうか。
(「異議なし」と声あり)
○竹垣課長 ありがとうございます。
それでは、これ以降の進行を宮本部会長にお願いしたいと思います。
カメラございましたら、御退室をお願いいたします。
宮本部会長、よろしくお願いいたします。
○宮本部会長 それでは、第7回になりますが、社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会を始めさせていただきます。
今日も、まだ大変暑い中ですけれども、お集まりいただき、どうもありがとうございます。ただ、予報によりますと、30℃を超える真夏日も今日が最後ということで、明日から急に秋めいてくるのかもしれません。私たちの議論も、晩秋を目途にまとめていかなければならないという段取りでございます。今後ともよろしく御協力をお願いしたいと思います。
前回第6回の部会では、各論点について、現場の方からも大変リッチな中身の御報告、ヒアリングをさせていただき、また、それに関して皆さんから充実した議論を重ねていただきました。本日の部会からは、こうした議論の蓄積を踏まえて、さらに個別に論点も絞りつつ、議論を深めてまいりたいと思います。
本日は、生活困窮者自立支援制度の現状と課題、それから、自立相談支援のあり方、それから就労支援のあり方、さらに家計相談支援、生活福祉資金のあり方、この4つの論点について議論をしていきたいと思っています。大変幅広い中身ではございますけれども、まず、事務局のほうから、この4つの議論をまとめて説明をしていただいた上で質疑応答という形をとらせていただきたいと思います。
繰り返しませんけれども、それでは、事務局のほうから4つの論点について御説明をお願いしたいと思います。
○本後室長 それでは、御説明させていただきます。本日からの資料は、「現状・課題」というパートと、「考え方」「論点」、こういう形で整理をさせていただいております。特に「考え方」と「論点」ということを中心にお話をしたいと思います。
まず、資料1でございます。これは生活困窮制度の現状と課題ということで、まさに現状と課題、これまで第1ラウンドのときにお出しした資料を整理したものでございます。これは現状と課題の整理ということなので、御説明は省略させていただきます。
資料2でございます。「自立相談支援のあり方について」ということでございます。まず1ページ目、(関係機関・地域との連携)。自立相談の1つ目のテーマでございます。1ページ目は現状と課題ということですけれども、2ページ目から「考え方」でございます。支援を必要とする人が相談に来るのを待つのではなく、支援を必要とする人に「届く」ようにすることも重要。アウトリーチの視点が基本ですと。そのために、広報に力を入れてきた。それから、真に支援が必要な人に対して支援を行える取組を検討していくことが重要です。
その上で、(関係機関との連携)というところでございます。支援実施機関の主導による把握だけではなく、さまざまな関係機関からその把握する生活困窮の端緒となる事象を抱える人を確実につなげていくことが必要である。
それから、1つ●を飛ばしまして、生活困窮の端緒となる情報を把握した機関、自立相談支援機関を設置する自治体内で滞納情報等を持つ部署(税・国保・介護保険・住宅・水道等)、それから、その自治体以外の行政機関、これは市に対して見ると県、あるいは国ということになりますけれども、児童相談所、県営住宅の担当、保護観察所等、それから民間、そういうところがあります。こうした機関で自立相談支援機関への相談に来られたその方御本人に勧めていただくことにより、自立相談機関につなげていく仕組みが必要ではないか。
それから、3ページ目でございます。子どもについては、本人のみならず、家庭にも生活にかかわる課題が生じていることを学校が把握している場合もあります。学校や教育委員会から自立相談支援機関への相談を進めることも入り口としては有効ではないか。こうしたことから、特に、自立相談支援機関を設置する自治体内の関係部署では、生活困窮の端緒を把握している場合には、自立相談支援事業の利用を積極的に進めるべき。
それからもう一つ、(地域との連携)ということでございます。「我が事・丸ごと」の地域共生社会の実現に向けた取組、地域力を強化するための取組が進められています。この取組が進むことで、地域で把握している課題を抱える世帯が自立相談支援機関につながってくることが期待されます。自立相談支援機関がこうした地域から浮かび上がってくる課題をしっかり受けとめることが期待されている。
4ページ目、ここからが「論点」でございます。自立相談支援機関を設置している自治体の関係機関が生活困窮の状況を把握した場合に、自立相談支援事業の積極的な利用勧奨を行うことを、例えば努力義務化するなどして、促進することについてどう考えるか。
それから、地域で把握している情報が適切につながってくることを促すため、改正社会福祉法の体制との連携について、明確にすることをどう考えるかということでございます。
それから、5ページ目からが自立相談支援のあり方の2つ目、情報共有の仕組みでございます。
6ページ目が「考え方」。本人の同意がとれず、他部局・機関と情報共有ができていない。それから、自立相談支援機関に相談には来ていないが、他のさまざまな部局、機関に相談に来ている。あるいは、同一の世帯のさまざまな人がさまざまな部局、機関に相談に来ているが、世帯としては共有されていない、そういうケースが存在します。
そうしたケースの中では、生命や身体の危機が予想されるということではなくても、世帯として状況を把握して初めて困窮の程度が理解できるというケースがある。情報共有を行うことにより緊急度が高いということを踏まえた相談を行うことが可能になります。
他方で、納税情報については厳しい守秘義務を課しているということでありますので、より一層慎重な対応が求められる。本人の同意なく得られた個人情報については、本人との関係では同意なく得られた情報であることを十分に認識した上で支援を行うことが重要ということでございます。
「論点」ですが、例えばということで、「支援調整会議」の仕組みを活用し、構成員とその守秘義務を設けることで、個人情報を共有できる仕組みを設けることをどう考えるかということでございます。
それから、自立相談の3番目のテーマ、「断らない」相談支援の実現というところでございます。
8ページ目が「考え方」。生活困窮者自立支援法において、「現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者」とされている生活困窮者の定義のもとで、「断らない」支援の実践が目標とされている。
そこは今後とも徹底しなければいけないということですけれども、制度施行後の状況を見ると、現に経済的に困窮しているわけではないが、社会的孤立の状態にあるために、生活に影響を与える出来事をきっかけに困窮状態に至ってしまう危険性にある人、それから、高齢期になって生活困窮に陥ることが懸念される人、そういう人について、早期的・予防的な対応を行うことが重要ということが認識されるようになっています。
それから、生活困窮者自立支援は、生活困窮者の自立と尊厳の確保、それから、地域づくりにつなげていくことといった観点を重要ということで目標としている。
こういったことを踏まえて、多様な関係者の間での理念の共有を一層図るためにできることは何かということでございます。
それから、自立相談支援の最後でございます。4番目、自立相談支援事業の体制というところです。「考え方」の部分、自立相談支援事業の人員について、人口規模ごとに補助基準単価は定められているが、人員の配置に関する基準は設けられていない。自治体によってその配置に差が出てきている一方、人員配置に関する一定の基準を設けるべきという意見がございました。
都道府県による支援については、管内における実施機関の広域支援が求められている。それから、相談員をバーンアウトさせないという観点からの相談員に対する支援も必要という指摘もございました。
「論点」でございます。自立相談支援事業を行うために適切な人員配置のあり方をどう考えるか。都道府県が、基礎自治体では対応しづらい相談員に対する育成や支援、ネットワークづくりなどを行う必要性について、どう考えるか。自立相談支援事業と、任意事業である就労準備支援事業や家計相談支援事業をあわせて実施する場合に、より効果的・効率的な支援とするにはどのような工夫が必要か。
最後のテーマは、これから続けて御説明します就労支援、家計相談と関係するテーマでございます。
続きまして、資料3、「就労支援のあり方について」でございます。これは最初に「現状・課題」を3ページにわたって記載しております。
4ページ目をお開きいただければと思います。まず、就労準備支援事業に関する項目でございます。就労準備支援事業の全国での実施ということで、引きこもりや長期間就労することができていないなど、直ちに一般就労することが難しい人、そういう人は規模の小さい自治体でも存在します。
こうした支援は全国どの地域でも提供されるべきという観点から、就労準備支援事業を必須化すべきという意見が多かった一方で、地域によっては、需要が少なかったり、マンパワーや委託事業者の不足といった実情もある。
就労準備支援事業のあり方としては、ガイドラインで示されている「定員15人以上」の要件を緩和するとともに、例えば、日常生活自立、社会生活自立、就労自立それぞれに応じた多様な支援メニューを全て用意するのではなく、就労体験の中での一括実施、障害福祉サービス事業所とのタイアップによる実施、被保護者就労準備支援事業との一体的実施、都道府県が主導し都道府県内の自治体での同一の事業者での実施といった工夫も検討され得る。
一番下の●です。生活困窮者に対する就労準備支援事業と被保護者就労準備支援事業を一体的に実施している自治体が57%、こうした一体化のさらなる推進を検討する必要があるのではないか。
それから5ページ目。これは就労準備支援事業の対象者の要件についても御議論がありました。年齢要件について、高齢者でも就労を求めるニーズが高い。それから、生涯現役社会の観点ということで、施行規則に定める2号要件のあり方も含め、検討する必要がある。
それから、資産・収入要件についても、予防・早期的な対応も可能とする観点から、必要以上に限定しないということが重要。2号要件のあり方も含め検討する必要があります。
それから、就労準備の利用に当たって、交通費の支給ができるようにすべきという意見がございました。利用者個人に対する交通費を支給するという場合には、個人給付、個別給付に近い形態になることを十分に踏まえつつ、支援のあり方を検討する必要があるのではないか。
それから、1年間という利用期間の制限につきましても、少しずつステップアップしていく人もいることを考えると、利用期間の延長を求める意見もございました。
こうしたことを踏まえて、6ページ目、「論点」でございます。就労準備支援事業について、全国的に実施する必要性をどう考えるか。就労準備支援事業の対象とすべき層について、どう考えるかということでございます。
それから、7ページ目からが認定就労訓練でございます。
8ページ目が「考え方」。認定就労訓練事業については、認定件数をふやしていくことが必要。そのため、都道府県等が認定する仕組みに、就労体験先の開拓等により企業等とのかかわりの深い市等がかかわる形が有効ではないか。それから、認定就労訓練事業を実施する事業所に対する経済的インセンティブ支援や、事業者における支援ノウハウの支援を求める声が強くございました。
こういったことを踏まえて、「論点」でございます。認定手続に市等がかかわるような仕組み、経済的インセンティブの活用や事業者に対する支援ノウハウの支援、準備申請手続の簡素化の必要性についてどう考えるかということでございます。
9ページ目、これは無料職業紹介についてです。「考え方」のところです。地方自治体による無料職業紹介については、就労体験の事業所で一般就労に移行しようとする場合等において、地方自治体自身が職業紹介を行えるようになることで、就労体験からのスムーズな一般就労移行が可能となる。一方で、求人については、その内容の適法性、正確性の確保に留意する必要があります。
ということで、「論点」でございます。ハローワークとの連携の強化や、地方自治体による無料職業紹介事業の実施の促進により、就労体験から一般就労へのスムーズな移行を可能にすることをどう考えるかということでございます。
それから、10ページ目からが生活保護受給者への就労支援でございます。
11ページ目が「考え方」です。生活保護受給者に対する就労支援については、参加率や就労・増収率などの点で生じている地域間格差は解消していくべきである。
その地域間格差の要因については、対象者の選定基準や支援方法について差が生じている。それから、委託先となる地域資源が十分でない地域があることなどが考えられる。
このため、効果的な支援方法について事例を収集して分析を行い、さまざまな取組のモデルを示すことが考えられます。また、地域資源が不十分であったり、対象者が少ない地域では、生活困窮者自立支援との一体的な実施や、都道府県単位での広域的な実施等により、事業の効率的な実施を推進することも考えられます。
さらに、就職後の離職防止のため、障害者のジョブコーチによる支援と同様に、継続的な取組を強化していくことが効果的であると考えられます。
それから、就労自立給付金につきましては、就職後すぐに保護を脱却する人については適用されないといった課題が存在しています。
12ページ目、「論点」でございます。就労支援への参加率向上に向けて、効果的な支援を行う自治体の取組事例の調査を行い、対象者の類型化や効果的な支援のモデル的な方法を検討することについて、どう考えるか。
それから、効果的・効率的なインセンティブとなる仕組みとする観点から、就労自立給付金のあり方をどう考えるかということでございます。
以上が就労に関する論点。
続きまして、資料4でございます。家計相談支援・生活福祉資金。
2ページ目からが「考え方」でございます。家計の状況が把握できない人や中長期的な生活設計を立てた上で日々の生活を組み立てることが難しい人、こういう人は規模の小さい自治体も含めてどの自治体でも存在します。
家計相談は、家計に関する課題のより踏み込んだ相談に応じる。生活の再生に向けた意欲を引き出した上で、自ら家計管理できるようになるといった専門性を有するもので、自立相談支援で行うことができている家計面の支援とは専門性やアプローチが異なるものです。そうした専門性を伴った支援が真に必要となる場合には、自立相談支援事業の中では行いにくい状況があります。
それから、高齢の生活困窮者、子どもがいる生活困窮の世帯について、細やかな支援を行う必要です。
それから3ページ目でございます。こうした支援は全国どの地域でも提供されるべきであるという観点から、家計相談支援事業を必須化すべきという意見が多かった一方で、地域によっては、需要が少なかったり、マンパワーや委託事業者の不足といった実情もあります。これは就労準備支援事業における課題と同じ課題でございます。
自治体の規模、それから実際に求められる専門的なニーズの質や量に応じ、複数の自治体にまたがって広域で効率的に事業を実施するといった工夫も検討され得るのではないかということでございます。
それから、生活保護受給者については、生活保護受給中から家計管理のスキルを身につけ、円滑に安定した家計管理に移行することにより、自立後に、再び生活保護の受給に至ることを防止する。あるいは、高校卒業後に進学する子どもがいる世帯が進学費用等を用意する際に相談支援を検討することが考えられます。
こういったことを踏まえて、家計相談支援事業に求められているニーズに効率的に対応するための方策についてどう考えるか。それから、全国的に実施する必要性をどう考えるかということでございます。
続きまして、生活福祉資金に関してでございます。6ページ目。生活福祉資金貸付制度については、機動的な貸付に対するニーズ及び償還の確保の必要性の両方の課題を満たす視点が必要。それを前提にしつつ、貸付要件、貸付決定までの期間、手続等について、運用面での改善をしていくことが求められている。
それから、年金担保貸付事業の廃止の中での位置づけということも指摘されております。
当座の資金ニーズについては、制度化、財源的な支援を求める声がある一方で、多くの自治体で工夫して実施されているということで、一律の制度で各自治体のニーズに沿った柔軟な対応が確保できるのかという課題がある。
こうしたことを踏まえて、「論点」でございます。償還の確保を前提としつつ、機動的・迅速な貸付が行えるよう、運用面で必要な見直しを行う必要があるのではないか。それから、年金担保貸付事業の受け皿として、家計面での相談も踏まえつつ、生活福祉資金貸付制度で対応することについてどう考えるかということでございます。
以上が自立、就労、家計までの資料でございます。
参考資料についても簡単に御説明させていただきたいと思います。参考資料の2ページ目以降、これは地域との関係ということで、参考として前回の社会福祉法の改正についての資料を載せてございます。
それから、7ページ以降、前回、奥田委員から支援調整会議ということで御指摘がございましたので、用意させていただきました。支援調整会議は、プラン案を共有したり、プラン案の適切性を協議する場ということであります。同時に、その協議を通して支援の質を担保するとともに、地域に不足する社会資源について把握し、社会資源の創出に向けた検討を行っていく、そういう場にもなり得るということで、8ページ目、岩見沢市さんの事例。これは個別ケース検討のための定例開催とともに、月1回はネットワークづくりのための定例開催をしているという事例。
それから、9ページ目は横浜市さんの事例。これは、随時開催の個別会議とともに、定例開催という形で年2回から6回、より広げた観点で検討している例。
10ページ目の国立市さんの事例は、月1回の定例開催の中で個別事例もやりながら、庁内全ての福祉部署が参加する会議という形にしている。
こういった例がございます。御議論の参考にしていただければと思います。
説明の最後でございます。机上配布資料の中で、石橋委員提出資料、今日ご欠席の石橋委員から資料を提出いただいておりますので、それを簡単に御紹介させていただきたいと思います。
任意事業の必須化について御意見でございます。小規模自治体では、対象者やニーズが少ないことのほか、社会的資源や人材が確保できないことから、事業として実施することが困難な場合があります。一方で、就労準備や家計管理に関する支援の重要性は認識しており、事業として実施していない自治体であっても、自立相談支援事業等の中で同様の支援を行うなど、利用者の相談内容に合わせて柔軟に対応しています。
こうしたことから、現在、任意とされている事業については、全国一律に必須化するのではなく、任意事業として、各自治体が取り組みやすくなるような仕組みの見直しを行った上で、地域の実情に合わせて、各自治体が柔軟に選択できる仕組みにすべきと考えるということでございます。
説明については以上でございます。
○宮本部会長 説明、どうもありがとうございました。それでは、以上の事務局の説明を踏まえて議論に入っていきたいと思います。
今日は、以上の4つの論点、議題についてまとめて議論していくわけですけれども、ヒアリングもないということもあって、議論の時間は比較的多目にとってあります。2時間以上ございます。こんなことを申し上げると皆さんの議論がとまらなくなる可能性もございますので、あくまで、いつもどおり、お一人3分をめどに、もちろん複数回の御発言ということにもなろうかと思いますが、それぞれの御発言は論点を絞って、かつ、先ほど申し上げたように、そろそろ議論をまとめていかなければいけない、そういうステージでもございますので、この制度のバージョンアップを目指した実現可能な建設的な御意見という方向でお話をいただければと思います。
4つの論点はそれぞれ密接に連関してございますが、大きくは、前半部分に生活困窮者自立支援制度の現状と課題、それから、自立相談支援のあり方をめぐる議論、そして、休憩を挟みますけれども、その後、就労支援のあり方と家計相談支援、生活福祉資金のあり方について議論をしていきたいと思います。
それでは、どなたからでも。
その前に、前回の皆様からの宿題に対して事務局がお答えいただいた部分もございますけれども、ちょうど奥田委員が真っ先に赤札を立ててございます。奥田委員の宿題でもございました。今の御回答でよろしいでしょうか。もしよろしければ、そこについてのコメントも含めて御発言をお願いしたいと思います。
○奥田委員 すみません。前回のリクエストに応えてくださって、本当にありがとうございます。それぞれやはりやり方があるのだなあと思いながら見ておりました。
それはそれで、後で支援調整会議のところでもお話ししたいと思うのですが、「断らない」相談支援の実現というところで考え方が述べられていまして、このような視点を踏まえて、その理念の共有を一層図るためにはどうするかということですが、私は本当に単純で、法文の中に生活困窮者とは誰かということが書かれている2条ですか、の中に、社会的孤立状態にある者ということを明記するということしかないのではないかと。
さらに、それは2つのものがあるのではなくて、経済的困窮がやはり社会的孤立を招く要因となるというのは誰しもわかることで、例えば生活保護世帯の高校進学率は、北九州の場合、一般世帯に比べて10ポイント落ちるのですね。経済的困窮が社会的孤立という状態、社会参加が難しくなるということは明らかですし、また、私は逆もまた真なりと思うのです。
最初の現状のところで、単身化がこれからどんどん進むということはもう既に述べられているわけで、そういう中で、例えば私のいつものおセンチな言い方で言うと、人は何のために働くか。それって、お金のためだとか、食べるためだとかいうことは当然あるのですけれども、私は、究極的には、人は誰のために頑張るかという関係の問題というのは非常に大きいし、人を動機づけていくというのは、社会的関係の中で自分の役割というものを見出す。それが地域共生社会が目指すところの、助けられた人が今度助ける人になっていくとか、そういう意義も十分に、この全体の中で今焦点化している、語られているわけですから、やはり孤立が働く意欲であったり働く動機というものにブレーキをかけてしまう。これは両者が一体となって問題解決にいくというのが、私は現場としてはそれしかないと思うのですね。
ですから、第2条において、「現に経済的に困窮し」のみならず、社会的孤立状況にある、もしくはそのおそれのある者ということを明記することが一番理念の徹底になると単純に考えています。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。この第2条、つまり、生活困窮者の定義の問題ですけれども、事務局にちょっと確認しますけれども、この問題は今日の論点の一部であるという理解でよろしいでしょうか。
○本後室長 はい。
○宮本部会長 大変大事な問題から入っていただきましたけれども、ほかにいかがでしょうか。
それでは、生水委員、お願いいたします。
○生水委員 今、奥田委員からご発言がありました生活困窮者の定義に社会的孤立を入れることには大賛成です。それと、自立相談支援のあり方について意見を述べます。
まず、4ページの努力義務化について、これは連携を推し進める根拠となるので、この努力義務の文言が入ることには大賛成です。
それと、6ページの「論点」にある、「支援調整会議」の枠組について、守秘義務の枠組を整備し個人情報を共有できる仕組みは、現場で求められることですので、これは必要です。
そして、9ページの自立相談支援事業を行うための人員配置のあり方については、これは一定の基準を設けることで反対に積極的に人員配置を推し進める自治体の頭打ちにならないように留意すべきだと考えます。
それと、机上配布資料を出させていただいておりますので、こちらをごらんください。家計相談支援を含めた都道府県の体制について意見を述べさせていただきます。
お手元の資料の上段、こちらは消費生活センターの体制の一例を挙げております。消費生活センターというのは、消費者保護を目的とした都道府県、市町村の行政機関であって、設置については消費生活相談員の配置を規定しています。消費生活センターの設置については、都道府県は義務であって、市町は努力義務ですが、相談窓口設置については、義務的事業なので、国内全ての市町村に相談窓口が設置されています。都道府県センターは、相談業務のほか、人材育成である消費生活相談員の研修会の実施や各市町の窓口への情報提供、助言指導をするなど、市町の相談業務をサポートする役割を担っています。
また、消費生活相談員が配置されていない相談窓口については、都道府県の相談員が巡回して相談をサポートしているなどの事例もあります。
下の段をごらんください。これを家計相談支援事業に置きかえた図です。例えば、各都道府県単位で、(仮称)都道府県生活困窮者支援サポートセンターを設置します。このセンターについては、独力で家計相談支援事業を実施できない市町村に対して、例えば週1回、2回程度による巡回相談により家計相談支援をサポートすること。また、各自治体で実施している家計相談支援事業の後押しをすべく、人材育成や研修、相談支援など家計相談支援サポート事業を実施していきます。これによって、必須事業とした場合においても、事業をする上で一番の課題であります人材確保や専門性が担保されるので、全国的に家計相談支援事業を実施することができるのではないかと考えます。
また、あわせて、就労準備支援や一時生活支援等、広域での実施が効率的と思われる事業を含めて、全般的な生活困窮者支援に関し各市町に対して総合的なサポートを行うことで、自治体間の格差の解消につながるのと、それと市を越えて移動する相談者についても対応が可能となります。
この仕組みの中で、家計相談支援員を専門職として位置づけるのか、また家計相談支援員の配置をどのように規定していくか、この検討が必要だと思います。家計相談支援員の相談は専門的なので、専門職として位置づけることで、定期的に巡回して相談を受ける根拠となります。また、効率的・効果的な支援の工夫としては、家計相談支援と自立相談支援とが一体的に相談を行うことで、個人情報の共有や相談の継続性など相談者の負担がなく、相談連携がスムーズに行えるのではないかと考えます。
このサポートセンターについては、家計相談のノウハウを持つ団体や弁護士、司法書士、社会保険労務士など地域の民間資源をフル活用して、一緒に相談体制の仕組みをつくっていくことが必要だろうし、また、地域で活動する民間団体を支援し、育てていくことにもつながるものだと思います。
以上です。
○宮本部会長 どうもありがとうございました。家計相談支援については、都道府県単位でのセンター設置という大変具体的な御提言もいただきました。おそらく、都道府県の役割については、また別な形でまとめて議論する機会はあると思いますけれども、今日の議論とも切り離せないことも事実でございます。
前河参考人のほうからも札が上がってございまして、当然都道府県の立場ということがかかわってくると思いますので、それでは、ここで前河参考人、よろしくお願いします。
○前河参考人 よろしくお願いします。自立相談支援のあり方について、論点に沿って、できるだけ簡潔に御説明させていただきます。
最初の「自立相談支援のあり方(関係機関や地域との連携強化)」のところですが、法律上の利用推奨の努力義務については明記することが非常に有効だと考えます。
また、改正社会福祉法第106条の3の規定の体制との連携によって、両制度の施行、運用上の相乗効果が期待されることから、明確に位置づけることが望ましいと考えます。
次の情報共有の仕組みですが、これにつきましても、情報共有及び守秘義務についての法的枠組の設定については有効と考えます。
あと、理念の共有の問題ですが、ほかの法律、たとえば児童福祉法では、児童福祉の理念を第1条に掲げておりまして、例えばですが、現在、ホームページに掲載されている生活困窮者自立支援制度の理念の内容を要約して、法律上明記することにより、理念の共有化が図られるのではないかと考えます。
次に、自立相談支援事業の体制の件ですが、第2回の部会でも発言しましたとおり、大阪府内自治体における職員配置の格差や職員配置と相談件数との相関関係から考慮すると、支援対象者がお住まいの地域にかかわらず、必要な人に必要な支援を届けるためには、配置基準の設定が必要であると考えます。
あと、広域自治体の立場としてですが、都道府県における広域支援の位置づけの明確化ですとか誘導策の必要について述べてきておりますが、広域自治体による研修、情報提供、情報共有を通じた相談員の育成支援、広域自治体レベルでの関係機関との連携調整、事業の広域実施のリーダーシップは非常に重要と考えます。大阪府では、資料にこれまでも紹介いただいていますように、広域就労支援事業を実施しておりますが、家計相談事業については広域実施はしておりませんが、こうした広域支援の枠組については家計相談支援事業においても非常に有効であると考えます。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。生水委員の御提案にもかかわって、都道府県側からリーダーシップ発揮についての大変積極的な御意見もいただきました。
ここで少し自治体からの御意見というのをまとめてお伺いしておこうかなとも思います。岡崎委員、よろしくお願いいたします。おそらく、その情報共有等については菊池委員からも一言あるのではないかと思いますので、その後で、菊池委員もよろしくお願いいたします。
○岡崎委員 高知市です。
内部の、例えば税の情報とか滞納情報の話が実際出ておりますので、取り扱っている立場から少し申し上げたいと思います。専門的になりますが、いわゆる滞納処分の関係では2種類ありまして、差し押さえができます強制徴収債権と言われていますが、差し押さえ可能な債権と、差し押さえできない非強制徴収債権、これは例えば、一番わかりやすいのは、市営住宅の住宅費なんかは滞納処分できない非強制徴収債権というふうに2種類に分かれています。
高知市の場合、情報の一元化ということもありまして、滞納処分の債権管理室というのを、税務事務所の中に債権管理室という室を設けていまして、先ほどの強制徴収債権、差し押さえ可能な債権、税とか国保とか保育料とか、こういうものが中心ですが、そこで一元管理はしております。
ただ、住宅の使用料とか水道料とかそういうものについては、一元管理が今できていませんので、一元管理をしていく手法そのものは多分あると思いますし、生活相談支援センターと情報を共有化するというのは不可能ではないと思いますが、そのときには、先ほど御説明にもありました支援調整会議が一つの場所になりますので、支援調整会議の中には、市社協さんを含めまして民間の方々も入りますので、支援調整会議に守秘義務をどうやってかけるかという、立法の技術的な課題があるかなと思います。立法技術のハードルが高いのか低いのか、ちょっとわかりませんけれども、支援調整会議の中には民間の方々も入りますので、どういう形で守秘義務を課すことができるか、技術的な問題になりますので、また厚生労働省のほうでも検討していただいたらと思います。
それと、例えば市と町村でマンパワーの不足というのは、前回も、地方都市の中では当然マンパワーが不足しているというお話をしましたが、特に町村部で、今日ご欠席ですけれども、町村会のほうからも意見出ていますように、必須事業にした場合に、人が足らないとかノウハウがわからないとかいうことが多分出てくると思います。
それで、都道府県ごとに少し組織が違うと思いますので一律には言えないのですが、高知県の場合、例えば町村に関しては、福祉事務所は県の所管になっていますけれども、町村部の福祉事務所と保健所を1つにしています。福祉保健所という組織にして、これは多分有効に機能していると思いますが、福祉事務所と保健所を一つの場所に置いています。もちろん権限が異なりますので、縦の権限はそれぞれありますけれども、名称は福祉保健所ということにしています。そこにケースワーカーとか保健師とかスタッフがいますので、そういうところが町村部を現実的な生活保護とか保健業務、カバーしています。そういうところがバックアップする仕組みというものが必要です。県からのバックアップですが、町村で全ての必須事業に持ち込んだときに、やはりマンパワーがいないのではないかと思いますので、都道府県によって形態が違うと思いますので一律にはいかないと思いますけれども、そのように県がバックアップできるような組織のつくり込みとか、そういうものを少し考えていければと思います。
それから家計相談は、確かにいろんな専門的なノウハウが必要になりますし、家計相談で非常に実績を出されているNPOとかもございます。ただ、それぞれの都市によってそういうところがあるかどうか、ちょっと分かれていきますので、高知市の場合は、家計相談はまだ始めたばかりですが、ファイナンシャルプランナーのような形で相談員の業務を委託して入ってもらっていますけれども、例えば支援を受ける方からしますと、いろんな人が入ってくると、やはり人間関係があります。やり方はいろいろあると思いますが、やりやすいのは、いろんな生活支援の相談員の方々が入り込んでいますし、例えば市社協は市社協で、地域福祉コーディネーターのような形で、我々のところでも今十数人いると思いますが、地域で社協がコーディネーターの配置をしていますので、そういうところをまずはスキルアップしていくというところも一つのやり方かなと思います。知らない人が入ってくるとまた警戒するので、日常的に生活相談を受けている方のところを少しスキルアップしていくというのも一つのやり方があるのではないかと思います。
とりあえず、その3点ぐらいお話をしておきたいと思います。
○宮本部会長 ありがとうございました。情報の一元化についても、あるいは都道府県のバックアップの具体的な体制についても、高知市及び高知県の経験に基づいて大変興味深い御発言をありがとうございました。
先ほど菊池委員にと申し上げたのですけれども、大野委員からも赤札上がってございまして、民生委員、児童委員の情報の共有化の問題というのは大変大きくあります。そこにかかわるでしょうか。
では、大野委員から先にお話をいただけるでしょうか。
○大野委員 ありがとうございます。
まず、自立相談支援のあり方の情報共有についてということで、お願いを含めて発言させていただきたいと思います。
福祉分野における支援においては、個人情報の共有がなくては効果的な支援は困難であるということは事実だと思います。もちろん、私たち民生委員、児童委員には守秘義務が課せられているわけですが、地域住民との信頼関係を構築する中では、情報を守るということの重要性は十分理解はしているのですけれども、必要な支援のためにどの情報を、どの範囲の情報を誰が共有するのか、また必要な場合は本人同意を誰がとるのかなどということを含め明確にしておかないとトラブルにならないとも限らない。
また、全民児連が昨年実施しましたモニター調査によりますと、民生委員が行政から提供されている個人情報としましては、ひとり暮らし高齢者の情報が68.5%、高齢者のみの世帯の情報が60.5%、生活保護受給者の情報は60.6%と比較的高いのですが、その一方、障害者(児)の情報は15.2%、ひとり親世帯の情報は16.7%と偏りがございます。
私たちが活動する中で、行政から十分に情報が提供されていないため、障害児のいるひとり親家庭など、リスクを抱えがちな世帯の訪問活動などに支障が出ているという指摘が委員の中からもあります。民生委員として、支援を必要としている人を自立相談支援機関につなげるために、情報提供のあり方をぜひ検討していただきたいとお願い申し上げます。
また別件ですが、千葉県市川市の無料低額宿泊施設で管理者が入居者に暴力を振るって殺害したという報道がありました。先般も、秋田県横手市で生活保護受給者が多く居住しているアパートの火災もありました。生活困窮者向けの住宅や施設、また、そこで働いている人材などについても、質の担保をどう図るのかという視点も重要だと感じておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
以上でございます。
○宮本部会長 どうもありがとうございました。民生委員、児童委員の御苦労について、大変よくわかりました。
自治体からの御発言、少しまとめていただいておりますが、成田参考人、ここではよろしゅうございますか。
○成田参考人 はい。後半のほうで発言したいと思います。
○宮本部会長 了解いたしました。
それでは、いろいろ論点も煮詰まってまいりますけれども、特に情報の共有化等、菊池委員から、当初から大分啓発的な御意見もいただいております。ここで一言よろしいでしょうか。
○菊池委員 ありがとうございます。
そのことも含めて3点発言をさせていただきます。
1つ目は、関係機関、地域との連携強化についてですが、自立相談支援事業の積極的な利用勧奨の努力義務化と。それから、ことし、社会福祉法が改正されて、106条の2と106条の3という2つの条文が入りましたが、とりわけ市町村の包括的な支援体制の整備にかかわる106条の3をさらに整備していくという方向性には賛成であります。
2つ目に、部会長から御指名のございました情報共有に関してですが、以前から述べさせていただいているように、納税情報に係る地方税法22条の扱いには慎重であるべきであると考えております。ただ、今回ございましたように、支援調整会議の仕組みを法律上明記し、関係者間で個人情報を共有する仕組みを設けることには賛成であります。
これまで、児童養護の世界の要保護児童対策協議会というものが参考例としてあるということですが、生活困窮者という対象者が広く一般的な仕組みを設けるというのは非常に大きな意義があると考えます。そうした一般化された生活困窮者支援の中でそうした仕組みができるということになりますと、ちょっと先走った話ですけれども、次の段階としては、やはり生活困窮者の一定数が高齢者であるということ、それから、高齢化の進んだ地域においてはとりわけ地域包括ケアシステムとの連携が今後課題となってくると思われることからしますと、地域包括ケアにおける地域ケア会議等の個人情報共有の仕組み、私、自治体の方等から伺うに、この地域包括ケアにおける個人情報保護の要請が地域での情報共有を阻害しているという話をよく聞くところでして、この地域包括のほうでの情報共有の仕組みの構築というものも、これは介護保険の話になってきますけれども、さらにその次の課題となって浮かび上がってくるのだろうと。その意味でも、今回この生活困窮の中でこうした支援調整会議といった仕組みが法律上できるということは、一里塚としての大変大きな意義があるのではないかと思います。
3点目ですが、「断らない」相談支援の実現という観点から、先ほど奥田委員、生水委員からもございましたけれども、私もこれまで何度も申し上げてきましたが、生活困窮者の定義を広げることがぜひとも必要ではないかということであります。
この辺は法律の解釈の問題なので、私がまだ煮詰まっていない解釈をいろいろ申し上げても、最終的に事務局に内閣法制局とのやりとりで頑張っていただくしかないのですけれども、若干述べさせていただくと、生活保護との関連では、相談支援が生活保護法の給付内容、ひいては憲法25条1項にいう実体的・定量的な最低生活の保障の権利内容には当然には含まれないという点を確認する必要があろうかと思います。
むしろこの相談支援というのは、生活保護法1条にいう自立の助長にかかわる、いわば手続的な給付という性格を持っており、これは私の解釈としては、憲法で言えばむしろ13条に根拠を置くと見ることもできるものかと思います。内閣法制局に13条と言っても多分首をひねるだけだと思いますけれども、そこは私の私見です。
そうだとしますと、こうした相談支援につきましては、指導指示と結びついたものとして、保護受給者については生活保護法を根拠として行われるのはもちろんですが、生活保護受給者の相談支援が基本にあって、その上に生活困窮者の相談支援が乗っかるという論理必然的な関係にはないのではないか。地域福祉の推進、地域共生社会の観点からは、むしろ生活困窮者自立支援を、こうしたいわゆる手続的給付に係る、より包括的な一般法として位置づけることも可能ではないかということです。もっとも、こうした相談支援を生活保護法4条2項のいわゆる他法他施策の優先との兼ね合いでどう理解するかという問題は残ります。
4条2項に「この法律による保護」という文言があるのですが、「この法律による保護」には相談支援は含まれないというのが素直な条文解釈、文言解釈のようでもあります。生活保護自立支援プログラムが他法他施策ではないという東京地裁の判決もあります。そうだとすると、生活保護法上の相談支援と生活困窮者自立支援法上の相談支援は、憲法上、あるいは生活保護法の位置づけ上、論理必然的に対象者の範囲を連結させなければならないということにはならないのではないかということです。その意味では、生活困窮者自立支援の対象者の範囲を広げることも可能ではないかと思うわけです。
ただし、生活困窮者自立支援の各事業が生活保護法上の他法他施策に含まれるか否か、当然には明確ではない。むしろ、私述べたように、含まれないと見る解釈もあり得ること。また、指導指示と結びついた相談支援という生活保護受給者固有の性格もあるということからしますと、生活困窮者自立支援の事業を生活保護受給者が利用できるようにする、あるいは生活保護受給者向けの事業を義務化するためには、やはり法律上明文化しておくことがよいのではないかと考えます。
以上です。
○宮本部会長 3点にわたって非常に明快な御議論、ありがとうございました。情報共有の論点について法律学的な観点からおまとめいただいたのもさることながら、最後に、「断らない」相談支援について、これまた、社会保障上、非常に明確な整理をしていただきました。
この最後の論点、「断らない」相談支援について少し膨らませていきたいと思うのですけれども、これも私の勝手な見通しで話を進めておりますが、おそらく勝部委員、それから朝比奈委員、このあたりにかなりかかわってくるのかなあと思います。勝部委員、朝比奈委員の順番でよろしくお願いいたしたいと思います。
○勝部委員 ありがとうございます。
「断らない」相談というところで今お話しいただいたわけですけれども、基本的に、困窮者支援のところで社会的孤立の状況にあるということ、これは何らかの形でも明文化いただきたいと切に思います。今、さまざまな制度が契約に変わりました。契約に変わったことで、本人が契約をしないという状況になった方たちがみんな、支援拒否の対象者として孤立していっています。本人がオーケーを出さない限り、ケアマネージャーもかかわれない、ヘルパーも入れない、そしていろんなサービスがかかわっていけないというところで、そういう人たちが制度の狭間に陥っています。ですので、むしろそういうサービス体系の中では、「断らない」福祉というところをしっかりと位置づけていく意味があるということで、この意味というのはとても重要だと思っております。
それから2点目ですが、では実際にその「断らない」福祉をどうやって実現していくのかというのが人材の確保ということになるわけですけれども、体制のところでありますが、アウトリーチや「断らない」支援を実践するためには、支援者の専門性の確保というのが重要だというのはこの間ずっと議論してきたということなのですが、その根底になりますのが、相談員が継続して働けることが大切。任期付きで1年単位の契約であったり、それから、3月までは相談者で、4月からは相談を受ける側に変わっていくような、こういう体制の不安定なままではこの事業の発展というのがなかなか見込まれないと思いますので、この労働環境をどう整えていくかということについてもしっかりと次の改正の中では考えていくべきではないかということを思います。
3点目ですが、生水委員が家計相談の支援事業との関連で図を出していただいたわけですけれども、これは家計のみにかかわらず、生活困窮者支援全体の事業を都道府県レベルでサポートする体制をしっかりつくっていくことが必要ではないかということを改めて申し上げたいと思います。
1つは、地域間格差が行われています。私の町ではアウトリーチはしません、私の町ではそういう相談を受けることはできませんということが各自治体ではっきり明言されている中では、そこにお住まいの方々は同じ法のもとで平等な支援を受けることができないということになりますので、都道府県段階で一定の調整をしていく、あるいはできないところに対してのバックアップ体制をしっかり持っていくという調整が必要だということ。
それから、相談を受けたいと思っている方々も、市町村段階、特に町村になれば顔が見え過ぎて相談をしたくないという問題も出てきますので、地元でなくても、もう一度相談できる体制をつくっていくというところでは、このたびの議論の中では、都道府県の役割が非常に不明確だったと思いますので、これだけ事業が広がっている段階では、就労の調整の問題、それから転居、それから事例検討、スキルアップの問題も含めて、都道府県のサポート体制というのをしっかりと明確に位置づける必要があるのではないかと思います。
最後に、先ほど菊池委員がおっしゃった支援調整会議の中での個人情報の共有というのは非常に重要な観点で、セルフネグレクト状態にある人の問題をどのように取り上げていくのかということについて、個人情報だから言えないということでみんながそれぞれの機関で話をとめているようでは本当の支援にはならないと思いますので、「断らない」支援の実現のためにも、そこは一歩踏み込んだ体制をつくるべきだと思います。
○宮本部会長 ありがとうございました。特に2番目の「断らない」相談支援というのは、社会保障法的にも非常にチャレンジングな手続給付というその一方で、断れない相談支援がもたらす支援員にとってのしんどさという、これは勝部委員が一貫して指摘されてきていらっしゃることでございまして、これを私どもの報告書の中でもどのようにすくい上げていくのかということは考えていかなければいけないとも思います。
朝比奈委員、よろしくお願いいたします。
○朝比奈委員 朝比奈です。
「断らない」相談支援ということについては、今回、このこと自体が議論のテーマとして取り上げられたということがとても重要だと思っております。と申しますのは、困窮者支援というのは、これまで支援の対象として取り上げられてこなかった人たちに焦点を当てていくという画期的な制度ですので、それを実施していく中でさまざまな狭間の問題や、複合した複雑な課題を抱えたまま孤立して取り残されている人たちが取り上げられてきたという文脈だと思うのですけれども、だとすると、「断らない」相談支援というのは、市町村の全体としての仕組みの中で「断らない」ということだと思うのですね。
その文脈で言うと、生活困窮ということがまず法律の定義で取り上げられ、社会的孤立もぜひそこに取り上げていこうということは私も大賛成ですけれども、生活困窮や社会的孤立の兆しが見えた人は全部自立相談支援が受けるのかというと、それは違うだろうと思っております。
前回も前々回も申し上げたかもしれないですけれども、例えば中学校区に1カ所整備が進んでいる地域包括支援センターが高齢者の孤立や困窮の問題を取り上げないのかということにもなってくると思いますし、地域の仕組み全体の中で「断らない」相談支援の体制や社会的孤立や困窮に目を向けていくということが重要なのであって、実行部隊としての自立相談支援がそれを全て担うということではなくて、逆に、そうした状況をつくることが、勝部さんが以前から指摘されている自立の相談員が非常にしんどい思いをすることになると。
私も現場に身を置いている中で感じておりますが、職員がしんどくなるのは、困難な課題にぶつかったときだけではなくて、そのことに一緒に取り組める連携機関、仲間が見つからないときにしんどくなってくるので、困難な課題というのはたくさんあるのですけれども、そこに地域の関係機関が力を合わせて取り組んでいくのだということが非常に重要だろうと思っております。
それと、先ほど生水さんから御提案の都道府県センターで、勝部さんも非常にいい仕組みだとおっしゃられて、私も大賛成です。この中にぜひ、相互スーパーバイズの仕組みを取り入れたらどうかと。要するに、他自治体の自立相談支援機関なり家計相談支援のスタッフがほかの自治体に一緒に事例検討に入ったりサポートに入ることで、相互交流が進んで、先駆的な実践を実際に学ぶことができたり、新しい課題に目を向けるということにもなりますので、そうしたことがらも含めた都道府県の機能を構成するための実際上の仕組みづくりが求められていると思います。今後、研修を担っていくなどの役割が都道府県に期待されていますが、やはり研修の中身にリアリティが伴わないといけない。そういう意味では、都道府県がどうやって各市の事業をバックアップするための実際上の手足を持つかということが非常に重要になってくると思いますので、そんなことも含みながら御検討いただきたいと考えております。
○宮本部会長 ありがとうございました。都道府県の支援体制については、生水委員の家計相談支援の話から始まって、勝部委員が、それを広げるべきだと主張され、今、朝比奈委員は、相互スーパーバイズという、市町村との連携を含めた構想を示されました。だんだん議論の輪郭を明確にしてきたのかなあと思います。
さらにもう一つ、「断らない」相談支援については、地域共生社会論的な広がりの中で考えていかなければいけないという大変大きな問題提起をいただきました。そのあたり、後段の部分ですね。地域共生社会論的な視角から、今度の報告書をどのように、そことの有機的なつながりを確保しながら書き上げていくのかということも、ぜひ皆さん、お知恵を絞っていただきたいと思います。
今、比較的現場に近いところから2つ、「断らない」相談支援についてお話をいただきましたけれども、岡部委員のほうから、また少し学術的な観点も踏まえてお話をいただければと思います。
○岡部委員 学術的と言われるとちょっと厳しいと思いますけれども、自立相談支援に関連して、3点、お話したいと思います。
1点目は、生活困窮者自立支援法の目的に関連することで、どこまで守備範囲にするかというお話になるかと思います。それで、今お話がありましたように、最低限度の生活を維持することができないおそれのある者というのは経済的困窮がありますね。それと社会的孤立ということの2つが出たかと思います。そうなった場合に、奥田委員から出ましたように、経済的な困窮の方は社会的な孤立の傾向がある。そうなると、この生活困窮者自立支援法そのものは、住民に最も身近な地域でさまざまな生活課題を抱えている方に対応します。その中で経済的な困窮の方に対応するということと社会的孤立の人を対応しますということだと、3つぐらい類型化できるのではないかと考えます。
1つは、経済的困窮でないけれども、社会的孤立のある人、2つは、経済的困窮のある人、3つは、今お話に出ている経済的困窮で社会的孤立のある人。それを全て包含するような形になりますと、先ほど朝比奈委員が言ったように、この生活困窮者自立支援法の守備範囲にするのかどうかということがあるかと思います。その関連でいきますと、同じように、先ほど地域包括の話が出ましたけれども、行政機関として、福祉の総合機関として福祉事務所があります。それらとの差別化をどう図るかということは一定考えなければいけない。
2点目。その関係でいきますと、この自立相談支援というのは、大きく2つあると思います。1つは、今お話が出ているのは個別的な相談を総合的ないろんな観点から全部受け総合的な相談の窓口として考える。これは、生活の困窮の実態把握から発見して相談につなげていくということを考えるということと、もう一つは、個別相談と密接につながる、地域の支援がうたわれている。
地域支援というと、地域の社会資源をどうつくっていくか、福祉財源をどうつくっていくか、チームアプローチであるとかネットワークをどうつくっていくかが地域支援と非常に密接につながってくる。そういうことをどのように考えたらいいのか。それを自立相談支援機関の中で一括してやるということなのか、それはセパレート(分離)で考えるのかが1つ論点になるのではないか。個別性と地域性という2つの機能を持つということが自立相談機関の中に持つか持たないか、またはそれのウエート(重みづけ)をどうするのかという話になってくるのかなと思います。
3点目は体制の問題です。地域の最も身近なところの場で相談を受ける、あるいは地域づくりをするということになると、迅速性、直接性、専門性が担保されてなければいけないということになります。人員体制の問題は、自立相談機関の中の専門職種の方、3種類ありますが、その体制で、そのことができるのかと言ったならば、現行の中ではこれを実行するには難しい。そうなると、専門性を持った職員の配置をもっとふやさなければいけない。個別支援と地域支援と両面できるような総合的なコーディネートをする職員の方、そして、職員のよりそうことのスキルアップを図っていくということが必要なのではないか。
人員配置の関係でいくと、この理念と実際的に行う体制は明らかに乖離があり、人的な充足と質的担保を図る体制は何らかの基準を設けないと実効性のあるものにならないのではないか。
その関連で情報共有の関係は、総合相談の観点からすると、情報の流通、共有化がまず先にあり、それから総合相談が始まりますので、情報をきちんと受けとめることと総合相談を一体で行うこと。それと、それを振り分け(スクリーニング)も自立相談支援機関の中で果たさなければいけない。そういうことも含めて、法的な整備と、その振り分けをする、見立て(アセスメント)ができる質の高い職員配置をしていただきたいこと、そして「断らない」支援というのは、解決ということでなく、相談を受けるだけで、これは十分一つの成果だということを再度発言したいと思います。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。自立相談支援について、先ほど来、地域の中の膨らみ、広がりで考えていくと。個別的な相談と地域資源の開発等、そういった広がり、膨らみの中で考えていくという議論が深まりつつあります。ここはぜひ社会福祉協議会の観点から、浦野委員、いかがでしょうか。
○浦野委員 機会をいただきましてありがとうございます。
まず情報共有について少し発言させていただきますけれども、これについてはもう皆様方が発言されているとおりで、何らかの仕組みとして、情報共有がちゃんとできるようにするということをぜひお願いしたいと思います。
それから、「断らない」というこの制度の非常に重要なポイントでございますけれども、それには、これも皆さんから御意見出ているように、きちんとした人員の質と量、そして雇用環境というようなこと、これが非常に重要だと。となると、当然その裏づけとなるのはお金、予算の問題がありますので、この予算というものをきちんと確保していただきたいということをお願いしたいと思います。
一方で、生活困窮という問題は、ある意味では全ての社会福祉の原点にあった課題であります。そういう意味では、日本全国に山ほどあるというのは変ですが、さまざまな社会福祉施設があるわけです。保育所を含めてですね。そういうところがまず相談を受けるということを一種の常識としていく。うちは保育所ですとか、うちは介護施設ですとかいうことではなくて、共通として社会福祉施設であると。そして、地域のさまざまな、この生活困窮とか孤立とかを含めて生活課題を抱えている人に対しては、全て対応できるとは言いませんけれども、社会福祉施設がまず一時的に対応する。これはやはり自立相談支援機関にもつながなければ、うちだけでは無理だというものはつないでいくというような形で、全ての社会福祉施設の共通責務というような位置づけを一方でしていただくと、相当の厚みが出るのではないかと思っております。
以上でございます。
○宮本部会長 ありがとうございました。自立相談支援機関のミッションを確定しつつ、それをディフューズしていくといいますか、地域の中でともにしょっていく、そうした立体的な問題提起ということになりますでしょうか。おそらく、そうした地域的な観点からの議論となりますと、竹田委員からもここで一言お願いいたします。
○竹田委員 ありがとうございます。
先ほど来、議論されております社会的孤立は、この観点から申し上げますと、特に制度全般の中で、高齢者が増えている、高齢の生活困窮が増えていくとなると、その社会的孤立からとじこもり、または介護予防とか認知症予防ということで、結局、地域包括支援センターもそういった一部の機能を担っている中で、どこまでその機能と役割を整理していくかというところも非常に大きな論点になっていくのではないかと思っています。また、「断らない」相談という中で、自立相談支援機関だけが断らないというわけではなくて、他制度、その他含めて、相談機関として相談を断らないということが重要になっていくのではないかと思っています。そうしますと、地域包括支援センターも、一定程度は生活困窮の問題もきちんと正面から捉えて対応していく、そういったところの機能強化も必要ではないかと思っています。
関連機関と地域との連携強化で言いますと、ここ最近、自分自身のケースの中で、年金を滞納しているという方が何人かいらっしゃって、いざ受給するというときにもらえないということもあって、そういった観点から年金事務所との連携ももう少し強化できていけないものなのかと改めて感じたところです。
あと、これまでの議論のところで出ておりました社会福祉法第106条の3の規定については、包括的な相談支援体制の整備を市町村の努力義務としておりますし、また積極的な自立相談支援機関の利用勧奨ですとか、これまで出ております情報共有の形を突き進めていくと、自立相談支援機関の機関ではないにしろ、機能の一部を町村にも少し置くような形にした方がより広がりのある形になっていくのではないかと思います。確かにその全ての機能を担うというのは人材の観点から難しいというのは、これまでの部会の意見の中でも出ておりましたが、一方で、より地域の住民の近いところでそういった相談を受けていくという機能も必要ではないかなと感じています。
「断らない」という相談の中で、やはり理念として対応していくためには、人材の部分をしっかりとやっていく必要もあると思っていますし、また、先ほど来出ている情報共有の仕組みの観点で言いますと、全てのケースでおそらく情報共有するということにはならないのかなあと思っておりまして、仕組みとして作っていくということでは賛成ですけれども、具体な対象像ですとか、そういったところをもう少し詰められるとより実効性のあるものになっていくのではないかと思います。全ての人を支援調整会議で検討ということでもならないですし、そのあたりをもう少し詰められればいいのかなと、これまで伺いながら考えたところです。
私からは以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。
続きまして、平川委員、さらに大西委員、よろしくお願いいたします。早いものでありまして、あっという間に、議論始めてから1時間以上たっております。もしよろしければ、そのお二人の発言、ごめんなさい、小杉委員を3番目にしていただいて、そこで一旦休憩としていきたいと思います。
それでは、平川委員からお願いします。
○平川委員 ありがとうございます。
自立相談支援のあり方のペーパーを見させていただきまして、相当意見が反映されているのかなと思っています。その中でやはり一番大きな課題は、今までも意見が出ましたけれども、実施体制をどう強化していくのかということかと思っています。相談員の専門性の問題や処遇の問題、それによる相談内容の経験や質の問題も問われてくるのではないかと思いますので、それと体制を整備していくというのが課題かと思います。
その中の一つとして、9ページに、人員配置に関する基準というところについてのテーマかと思いますので、個人的には、基準を設けるというのは、地方自治体の自主性、地方分権の観点から、どうなるかという面もあります。一方で、財源を確保していく手段ということからしても、基準というのは一定程度考えていく必要があるかもしれません。
また、相談員の皆さんから、研修の機会、スキルアップの機会というのがまだまだ足りないという声も多く聞きます。育成、研修の機会についても、実施自治体もそうですが、都道府県の支援というのも重要ではないかなと思っているところであります。
そういった中で、ただ、この事業を実施するに当たりまして、この事業が毎年度、地方自治体の入札という形で委託事業所が選定されるという形になっています。入札そのものは、ある意味、地方自治体の制度としてはしようがない面もあるのかもしれませんけれども、この入札が、事業を受ける立場にとってみれば、安定的に事業を実施していけるかどうかというその不安感につながっていっている。それが相談員などの雇用の問題にもかかわってきてしまっているという問題もありますので、その辺、もう一つ工夫が必要ではないのかなと思っているところであります。
それからあと、関係機関との連携のところでさまざまな課題があるかと思います。この中で、フードバンクの関係が記載なかったかなと思っています。緊急的な食料の支援ということからしても、フードバンクの役割というのは重要かと思いますし、地域によっては、地域包括支援センターの中にミニフードバンクを置いているところもあると聞いておりますので、そういう観点も重要ではないのかなと思っているところであります。
そういうところを見てみますと、やはり高齢者の貧困の問題というのもそういうところにもあらわれているのかなと思いますし、高齢者支援と生活困窮者の自立支援の問題についてどうつながりをつけていくのかということが大きな課題なのかなと思っているところであります。
以上でございます。
○宮本部会長 ありがとうございました。事務局にお尋ねしますけれども、フードバンクの話は一時生活支援等で何か別建てで議論する機会はありますでしょうか。
○本後室長 ご意見を踏まえまして、今後の資料に反映していきたいと思います。
○宮本部会長 了解しました。
続きまして、大西委員、お願いできますでしょうか。
○大西委員 2点ほどちょっとお話をしたいと思います。
先ほどから何回も出ておりますが、相談員の人員配置についてはできるだけ具体的に検討していただきたいと思っています。「断らない」相談の実現というところに結びつくのですが、私の法人では、今、大阪市内で3カ所の相談事業を社協とともにやっておりまして、大体、月平均で90~100件の相談があります。それを2人で対応しています。相談件数の全国的な平均から見るとどうなのかわかりませんが、中には相談件数の多さからちょっと後回しに対応すると、「あなたたちは相談聞くだけか」というようなことを言って机を蹴って出ていかれる方がおられる。先ほどの引きこもりの話のように支援のために出かけようと思っても、誰か1人は福祉事務所に残らなければいかんわけですよね。これではうまく回らないのが実態です。スキルの問題もありますが、人員的な問題というのは相当大きいのではないかという思いを持っています。
それから、相談事業には、私どもの法人の救護施設から職員を派遣しているのですが、先ほどからも出ていますが、その相談員の段階だけでワンストップというのはなかなか難しいと思います。必ずバックアップする何かがなかったら、なかなか事は進まないと思います。その相談員と私どもの運営する救護施設との連携というのは大変濃く、日常的にお互い情報共有して、できる範囲を救護施設で対応するということをやっておるわけです。先ほど部会長からお話もありましたが、今出ております地域共生社会に結びつくかと思うのですが、この間、社会福祉法人のあり方のところでちょっとだけ机上資料を出させてもらったのですが、大阪では、今、41市町村のうち31市町村で社会福祉施設連絡会というのを立ち上げております。生活困窮者のことも全部含めてですが、その立ち上げた組織と、大阪ではレスキュー事業というのをやっているのですが、これは社会福祉法人がお金を出し合って府内の困窮者に対応する事業なのですが、そこと、今言いました施設連絡会、そしてこの相談員をバックアップする社会福祉法人、そのネットワークをしっかり構築することによって相当前へ進むのではないかという思いを持っています。
それが、行き着くところ、大野委員さんのところなんかを含めて、福祉委員さん、いろんなところが連携することによって相当な共生社会というのが見えてくるのではないかという思いを持っていますので、大阪の例を出して、手前みそですが、意見としたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
○宮本部会長 ありがとうございました。今の大西委員の御発言、大変リアルな問題として受けとめたのですけれども、考えてみますと、情報共有を守秘義務を踏まえて支援調整会議などでかちっとやっていくという方向と、もう一つ、「断らない」相談支援ということで間口を広げていくということは、実は同じ方向で進めなければいけないのですけれども、矛盾する面もございまして、そこをいかに両立させていくのか、地域全体で荷をしょっていくということですね。この相談支援について、要対協などにならいながらきちっとした枠をはめていくということと、場合によってはこれが別な方向を向いてしまいかねないという点もございまして、ここをどのように両立させていくのかという問題も、今の御発言には含まれていたのかなと思いました。
それでは、小杉委員、お願いいたします。続いて、新保委員も挙げていらっしゃるので、最後にお願いします。
○小杉委員 ほんの一言ですけれども、「断らない」支援ということをやった場合に、地域包括ケアとか福祉事務所とか、そうしたほかの支援との役割分担をどうするかということ、これは非常に大事だと思います。地域の若者サポートステーション、昔々、若者の孤立の契機になるのが中退問題だということで、そのために学校の中に支援委員が入り込むという支援をして、そこそこ成果を上げてきたときもあったのですが、二重だ、無駄だと言ってさっぱりと切り捨てられたという過去の非常に嫌な思い出がございまして、今は少し変わってきたのですけれども、やはり地域に厚みのある支援層は絶対必要だと思うのですが、それはある見方から見れば重層は無駄なのですね。そこをちゃんと切り抜けるためには、やはり機能と役割についてきちんと整理した形に持っていかないと、ここだけの話でなく、全体として機能と役割をきちんと整理しないと、あとどこで足をすくわれるかわからないと思います。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。
最後になりますが、新保委員、よろしくお願いします。
○新保委員 資料2の8ページの一番下の「論点」のところで、理念の共有を一層図るためにできることは、委員の先生方皆さんおっしゃっていたとおりで、やはり理念をきちんと法律の中に書き込んでいただくことだと思います。
次に、9ページの自立相談支援事業の体制の「論点」の3つ目のところです。「自立相談支援事業と、任意事業である就労準備支援事業や家計相談支援事業を併せて実施する場合に、より効果的・効率的な支援とするにはどのような工夫が必要か」というところです。自治体や支援機関の皆様からは、任意事業であるこれらを始めたときに、本当に支援が充実していく。支援がダイナミックに展開して、質量ともに非常に効果が上がっているということは聞いているところです。実際にこれらを一緒にやっていくことの効果というものが、何かデータ、統計的に示していただけるものがあれば、示していただきたいと思います。
あと、今後の議論だと思うのですが、就労準備支援事業につきましては非常に多様なやり方を、各自治体、支援機関が工夫しながらやられていまして、委託先がなくてもできるようなさまざまな取組方もあるかと思います。それについては、先ほど生水委員もおっしゃってくださったようなサポートセンターというものができていくことによって、広げていくことができるのではないか。また、家計相談支援事業も、この制度が始まってから一つの専門事業として支援員の養成も始まっており、だんだんその支援員さんたちが育ってきているところかなと思います。
そういう意味でも、私自身は、これらの事業は自立相談支援事業と一体的にやっていくことで、非常にこの制度の支援の効果を実質的に上げていくことができると考えております。必須化を望みたいところですけれども、この効果についてはできればもう少し見える化して、皆さんと共有できるといいのではないかと思うところです。
最後は、朝比奈委員がおっしゃってくださったことですけれども、やはり困窮者支援制度一本の縦割りにしないということ、このことは常に意識しておきたいことだと思いました。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。今のデータについてのお願いというのは、事務局に依頼するということでよろしいでしょうか。
最後になりますけれども、駒村委員からも一言あります。
○駒村部会長代理 ありがとうございます。
今までの議論を聞かせていただいて、平川委員、勝部委員、浦野委員からもお話があったと思いますけれども、この制度の一番大事な、サービスの質の部分を左右するのは支援員の能力というか質ということだと思います。適切なカウンセリングと、不安を除去してあげて、なおかつ適切な情報を提供するということであるわけですけれども、それなりのきちんとした経験、それから知識や研修、資格といったもの、それからもう一つは心の余裕。相談する方が心の余裕がなければ、適切な相談はできないと思います。そういう意味では、先ほどからも議論がありましたように、来年、自分たちがどうなるかわからないみたいな環境ではなくて、継続的に自分たちの雇用の見通しもできるような仕組みがとれないかというのが1つ重要かなと思います。
それから、家計相談支援の専門性という言葉がありましたけれども、ここもどこまでの専門性、研修でどこまでを目標にしていくのか、質のばらつきが今後なくなるように、研修の充実というのを進めていただきたいと思いました。
それから、「断らない」相談の議論で、社会的孤立というところに広げていくと。これはもともとこの制度を議論したときから、初めからそれを期待していたわけですけれども、法律の議論の中で少し守備範囲が経済的な部分に狭められているということがあるわけでして、再び、これは日本の法律に社会的孤立というのを定義した法律があるのかどうか、ちょっとわかりませんけれども、そこにトライしていただきたいなと思います。予防的早急な対応を行うことが重要ですと書いてあるのですが、そのとおりだと思います。
ちょっと事務局にお願いというか、あるのですけれども、積極的に広めていきましょうという文脈のわりには、「真に必要な」という表現が非常にたくさんあって、これはあまり限定的な意味で使われているのではないなあということを期待したいと思いますので、この「真に必要な」という言葉、あまり使うと少し狭めるようなイメージも持ちますので、その辺は、表現ぶり、気をつけていただきたいなと。今後これをたたき台にして法律的な議論に入っていくと思いますので、重要な資料になると思いますので、その辺はお願いしたいなと思います。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。「社会的孤立」という言葉が法律に入るのが初めてかどうか、これは菊池委員、いかがですか。社会福祉法に今度入ったというのが初めてなのですかね。ひょっとしたら、本格的に組み込まれるとしたらこれが初めてでしょうか。
○菊池委員 「社会的孤立」が日本で一般的にも使われるようになったのは比較的最近ですし、ましてや法概念としてというのは、まだ練れてないというのは事実だと思います。
○宮本部会長 そうなると、一層、非常に画期的な一歩になるのかなあと思います。
もう一つ、事務局に、どのような形の資料になるかはちょっとわからないのですけれども、今日、皆さん、大体のところで支援調整会議を中心に、これをともかく全ての自治体に形式的に設置を義務づけるということでないとは思いますが、支援調整会議等を中心に情報が収斂していくような体制。ただし、今おっしゃった菊池委員も強調したように、税法22条の例外規定というのは維持していくということですけれども、どこからどんな情報の入り方はオーケーで、どこからどんな情報の入り方は税法22条に抵触してしまうのか、そのあたり、少し具体的な幾つかの事例等が御紹介いただけると、委員の皆さんも少し具体的に議論しやすくなるのかなあと思います。どんな形の資料になるかわかりませんけれども、何か参考になるものがあればぜひお願いしたいと思います。
さて、ここで、お約束どおり、休憩に入ります。いつも、休憩と申し上げても非常に短い休憩でお手洗いに行くのがやっとという、そういう休憩になってしまうのですけれども、今日は、この部会としてはやや贅沢に10分弱の休憩。よろしいでしょうか、事務局の皆さん。
それでは、48分ぐらいまで休憩をとらせていただきたいと思いますので、各自一息ついていただければと思います。48分から再開いたします。
(休 憩)
○宮本部会長 皆さん、大変ルールを守っていただいて、48分に席にお戻りいただきました。それでは、後段の議論に入っていきたいと思います。
申し上げたとおり、きれいに切り分けることは難しいかとは存じますが、3番目の就労支援のあり方、それから4番目の家計相談支援及び生活福祉資金のあり方にかかわって議論を深めていきたいと思います。
それでは、前のラウンドでまだ御発言いただいてない方もいらっしゃいますので、成田参考人から口火を切っていただけるでしょうか。
○成田参考人 川崎市、成田でございます。
私のほうから、3点発言させていただきたいと思います。
初めに、本日の議事の(3)就労支援のあり方の関係でございます。川崎市に関しましては、生活困窮者の支援として、だいJOBセンターというところを民間に委託して取組をしております。ここからは、ここを拠点として、地域性もございますので、川崎南部のだいJOBセンター、そして北部のほうの区役所への出張相談といった形で、大変効果的な取組をしておりまして、例えば昨年度の就労支援の就職状況は79%と大変高い確率を保っております。
そうした中で、職業相談員、それからハローワークの端末の設置、これは民間のビルなものですから、いわゆる設置は基本的には対象外になるというようなことが今現状ございます。ただ、他都市の取組でも、やはり民間のビルでやっていらっしゃるところもございますので、ぜひ、例えば本市のように、市が直接借り上げているような場合は設置可能とするというようなことを御検討いただけると大変ありがたいなと思っております。
それから2点目でございますが、(4)の家計相談の関係でございます。本市、このだいJOBセンターの相談者のうち、65%は家計に関する課題を持っていらっしゃるということで、非常にこの家計相談支援事業は重要であると考えております。本市の場合は、任意事業としての家計相談事業は実施しておらず、自立相談支援事業の一環として行っております。そうした関係もございまして、居住家計の支援員は、家計だけでなくて、居住の課題に関する支援も担当しているため、マンパワー的に家計支援が十分に行き届いていないといったことが課題となっております。ぜひ必須化をこの事業に関してはお願いしたいなと考えております。
その上で、この家計相談支援事業は、自立相談支援事業ともともと別事業であるということで、例えば自治体によっては、その家計相談を利用する場合に、新たに家計相談事業の申し込みを行って、家計相談の支援員とまた別の方が対応するという、要するに、別事業なので、自立相談と家計相談は違う人が対応するというような形になる可能性があるのですね。そうすると、また同じことの相談を違う人にするのですかみたいな話になって、そこがなかなか取組がもう一歩進まないところの課題なのかなと思いますので、そういった意味では、その運用面においても柔軟な対応をしていただけるとありがたいなと考えております。
3点目でございますが、個人情報の関係です。川崎市の場合は、地域包括ケアシステムの構築を目指して、平成28年度に、各区の福祉事務所と保健所支所、つまり、保健福祉センターの中に地域見守り支援センターという組織を新たに設置いたしました。ここの保健師をはじめとする社会福祉職等の専門多職種が積極的に地域に出ていくという形を新たな取組として始めています。その中で、個別支援、つまり、地域の中での個人の課題をそこが要するに聞いてきて、それを専門の機関、あるいは専門の部署につなげる、さばいてつなげるという積極的なアウトリーチの取組を今やっております。
それから、2点目は地域力の向上ということがやはりこれから非常に重要であるということで、自助、互助、共助、公助の取組を今進めているわけですが、そういう中で、地域の方からちょっと言われることは、つまり、例えば御本人の、地域の中のその個人の、例えば介護があるかないか、障害があるかないかといった情報を、要するに地域に積極的に出してもらいたいという声がよく聞かれてくるようなことが出てまいりました。これは両極端あって、出してもらってもできないから困るという地域の声もあるし、やるから出してよという声もあるのですね。
この話というのは、先ほどのいろんな会議の中での専門機関がこの個人情報をどう取り扱うという課題ももちろんあるのですが、もう一つ、今度さらに深めて、地域にそういった情報を出していくことができるのかといったことも今後出てくる課題なのかなあと個人的には感じていまして、ぜひこの場で発言させていただきたいと思いまして発言させていただきました。
以上でございます。
○宮本部会長 ありがとうございました。自治体サイドから家計相談支援の必須化をという力強い声をいただきました。しかも、特に自立相談支援との重複を避けつつというところもポイントなのかなあと伺いました。流れ的に、また少し自治体からの御発言を最初にまとめてお伺いしておこうかなと思います。
岡崎委員、お願いいたします。
○岡崎委員 少し前段の議論に戻るかもしれないのでちょっと恐縮ですが、第7回の参考資料のほうのページ3ですね。こういう表もよく使われるのですが、厚生労働省が地域の課題丸ごとというお話が随分出てきていますし、全体の相談の業務の中身がどこまでやるかというのは課題になります。ある意味、我々自治体もどうしようかなというところがあるのですが、この2つの絵というのは一つのモデルになると思いますので、先ほど岡部委員さんからも地域のコミュニティのお話が出ました。私どもも、例えば地域コミュニティをもう一回再構築していくかということと、下の図は、このあたりは支援調整会議のイメージの図ということになると思いますが、一定、地域のコミュニティは一応形成されていますけれども、これまで引っ張ってこられた地域コミュニティ、特に町内会等を引っ張ってこられた方々がかなり御高齢になって、70代後半、もしくは80になっていますので、今、我々、地域コミュニティの再構築というのをやっています。
ここの絵で言うと、こういう団体を網羅した緩やかな地域コミュニティの地域連携会議というのを今年中にほぼ全中学校区で組み上げるということになります。地域にはいろんな団体が実は活動していまして、もちろん、民生委員さん、地区社協、町内会、こういうところが主体で動いていますが、ほとんど縦割りで、横の連携がこれまでなかったので、一回緩やかに集まる場所というのを正式に、オフィシャルにつくろうということで、地域コミュニティの再構築という目的で地域連携会議という名称で組み上げていまして、今年度中に、多分、全中学校区で組み上がってくる予定です。
ただ、個人情報の絡みで言うと、ここにはなかなか個人情報を出しにくいので、個人情報をどうするかという議論は、先ほどから出てきています支援調整会議のような場で、一定、守秘義務を制度的に組み込みながらやっていく。この下の図のこのあたりがそれぞれの専門家が集まってくる支援調整会議のようなイメージだと思いますので、ここに守秘義務をどうやってかけていくかというところかなと思いますが、地域コミュニティが崩壊すると、ここにはまで行き着きません。地域コミュニティの形成というのはすごく大事なので、地域福祉計画とか地域福祉活動とかいろいろ言われていますけれども、2種類、形成していくイメージでないと多分いかんのかなと思っています。
それで、その中学校区に1人ぐらいずつですが、地域福祉コーディネーターを市社協に置いていますので、今、十数人おるはずですが、例えば市社協の地域福祉コーディネーターはこの上のほうの地域内連携軸の中にも顔を出しますし、当然、何か問題があれば下のほうの支援調整会議のほうへも顔を出すと。そういう2層の地域の形の組み上げ方というのが要るのではないかと思いまして、今議論しているのはもちろん下の部分だけですけれども、前段として結構上のほうも大事なので、発言しておきたいと思います。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。地域の重層構造、コミュニティの形成、そのあたり、どのように念頭に置きながらここでの議論を進めているかということで、大変大事な御示唆をいただきました。
自治体からということになりますと、生水委員、引き続いてお願いいたします。
○生水委員 ありがとうございます。
今の岡崎委員からの御意見と同じですが、支援調整会議については、野洲市では月1回、全てのプランチェックを行っていて、ここではがっつり個人情報を取り扱っておりますので、構成員のメンバーを、弁護士、ハローワーク、そして自立相談支援機関の職員、相談員と固定しております。
そのほかに、地域連携ということで、さまざまな他制度にかかわる方をメンバーに交えて行う場合においては、我が事・丸ごと推進事業における多機関の協働による包括的支援体制構築事業を活用して多くの方々に参加いただく会議を開催しています。その中では、介護保険事業での生活支援整備体制事業であるとか、制度をテーマに取り上げて行うため、メンバーを固定せずさまざまな方々が会議に参加することから、ここでは個人情報は扱わないという取り扱いにしております。
あと、就労支援のあり方についての論点においては、就労準備支援事業について、既に仕組みが整備されている障害施策の仕組みを活用できるようにする必要性があるのではないかと思います。
もう一つ、就職先の開拓や定着支援が課題になっているので、特定求職者雇用開発助成金の仕組みをもっと活用することが効果的だと思っているのですが、これが取組がなかなか進んでいないのが実情です。この取組が進まない要因を調査・分析していただいて、現場でどうすればもっと活用できるか、取組が進むようになるかということをぜひとも検討いただきたいと思います。
それと、2つ目、生活福祉資金貸付制度のあり方の論点については、機能的、迅速な貸付をするためには、現在貸付の決済権が都道府県の社会福祉協議会になっているのを、これを市社協の身近な窓口で貸付決済ができるようにすることが必要ではないかと思います。また、貸付の申請窓口を自立相談支援機関においても可能として、受ける窓口を広げることが必要ではないかと考えます。
それと、年金担保貸付事業の受け皿として、生活福祉資金貸付制度で対応することについては賛成です。年金担保貸付制度が廃止になった場合に、約9割の方がかわりの借り入れ先が難しいと回答されているところから、高金利の借金をして多重債務にならないためにも、しっかりとここを生活福祉資金で賄っていくということが必要だと考えます。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。岡崎委員のほうから、空間的な重層構造についてお話しいただいた後、生水委員のほうからは、がっつり情報共有をしていく部分とわりと広げていく部分の情報共有の密度の重層構造のお話もいただきました。このあたり、大変示唆的なのではないかと思います。
前河参考人、お願いできますでしょうか。
○前河参考人 論点に沿って述べさせていただきます。
まず、就労準備支援事業のあり方のところですが、全国的に実施する必要性については、もちろん感じているところですが、それを進めていく上では、実施が進んでいない現状の課題に応じた対応、具体的には補助率のアップ、具体的な実施方法、ノウハウですとか委託先についての情報共有、例えばガイドラインですとか事例集の作成、広域実施、交通費等の必要経費の何らかの予算化が必要ではないかと考えます。
また、その対象者につきましても、対象者の年齢、収入、資産要件等については、緩やかなほうがいいのではないかと思います。低年期、無年金の問題もありまして、高齢者の就労ニーズが高くなっていることですとか、資産があってもフローが少ない世帯ですとか、借金等により増収が必要な層に対応可能にする必要があるのではないかと思います。
期間についても、引きこもり、障害、対人関係面の課題等、長期的な支援を要する層が多くなっておりまして、期間の制限につきましては、対象者の状態に応じて緩和できるようにするなどの運用改善が必要ではないかと考えます。
次に認定就労訓練事業ですが、この認定につきましては、認定後の支援を考えた際に、一般市や町村が認定にかかわる仕組みは非常に有効ではないかと思います。府内、一般市のほうからもそういう意見が出ております。その際に、広域自治体が技術的支援、情報提供、共有の仕組み、または研修等を行う広域支援を行うこととしてはどうかと考えます。
また、経済的支援につきましては、実態的には、かなり必要経費について事業所が負担されているというところもありまして、こちらは予防として、大阪府としてもさせていただいています。実際の事業を進めていく上での仕組みをガイドライン化するかとか、事業所と自治体の交流の場づくりを大阪府としては進めておりますが、これらの取組を進めていくことが重要ではないかと思います。
また、手続関係の簡素化につきましては、現在、大阪府でも多くの事業所の方が認定していただいているのですが、例えば社会福祉法人が多く認定していただいていまして、法人が複数の事業所を持って、それぞれが申請しているという実態がありますので、法人単位での申請、認定ができるような仕組みがあれば非常に簡素化されるのではないかと思います。
あと、無料職業紹介事業につきましては、府内の実施機関に対しましては市町村会議の場で職業紹介上の実施についての推奨、広域就労支援事業の研修会でもテーマにするなどの取組をしております。現在、大阪府内におきまして実施しておりますのが、自治体単位では17カ所、自立相談支援機関では15カ所となっておりまして、こうした無料職業紹介事業の取組を進めるとともに、ハローワークとの連携強化は非常に重要であると考えます。
また、生活保護受給者への就労支援のモデル的な方法の検討というところですが、生活保護制度の国と地方の実務者協議の場でも御紹介させていただいたのですけれども、府内の実施機関で非常に取組を進めているところがありまして、具体的に言いますと高槻市になりますが、こちらでは、生活保護と生活困窮者の一体的支援、それから、ハローワークの常設設置をされております。その上ですが、市独自で就労支援の手引きを作成されていまして、こういった取組を参考にしつつ、モデル化していくことによって全国的にそういったことを参考に進めていくことができるのではないかと思います。
あと、就労自立給付金につきましては、府内でも給付実績が多い自治体の取組状況を確認しますと、被保護者への制度周知ですとか実施機関内の職員の制度理解が進んでいるということがありまして、こういった取組を進めることでこの制度を推進していけるのではないかと考えます。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。就労支援の都道府県サイドからの支援、あるいは広域実施について具体的な論点を示していただいた後ですので、おそらく小杉委員からのお話も就労支援にかかわるのではないかと思います。小杉委員、よろしくお願いします。その後、労働組合の観点も踏まえて、平川委員、よろしくお願いいたします。
○小杉委員 では、私、就労支援関係で3点お話しさせていただきたいと思います。
第1点、今の前河参考人の話とかなり重なるのですが、認定訓練事業所をどう増やすかというときに、やはり簡素化というのは必要だと。特に考えておりますのは、今、社会福祉法人に対しての審査の部分がかなり軽減できるのではないかと思っています。と申しますのは、私、この訓練事業所のガイドラインの設計に参加させていただいたのですが、そこで一番、ガイドラインで認定という形に持っていった一つの理由は、生産活動を全く無給でするということになりますので、となると、もしいろいろな方が入ってきたら、まさに労働力の搾取が行われかねないと。
そういう事態を考えたときに、やはりきちんとしたものであるということを、その認定ができるような主体が認定しなければならないということで、都道府県単位というようなレベルが必要だし、認定における設定をかなりいろんな面からしなければならないということですが、ただ、そういうことを考えますと、対象が社会福祉法人ということであれば、きちんと行政の目が入っているわけなので、その点を考えれば、少し簡素化できるのではないか。とすると、その部分についてはこれからもっと増えることが期待できるのではないかなあと思います。これが1点目です。
2点目は、やはり対象者を広げるという方向ですね。65歳以上はもちろんですけれども、予防的早期というのは非常に重要だと思っています。実際に相談に来られた方が、一定期間の就労準備をしたほうがいいと思われる方でも、明日、もうすぐ困るという状況ですと、目の前の低賃金で非常に単純な労働でも、何しろやるしかないので、そこしかないという話になってきてしまうのですが、まだ生活にある程度余裕がある段階ですと、時間をかけた訓練というのができる。場合によっては、この就労準備の後に求職者支援訓練とか何か、そちらにもつないで、場合によっては資格をとるところまでいけば、かなり安定した、自立した仕事につくというステップになり得るわけですね。そのためにはやはり早い段階に来てもらえるということが大事で、そうできるような支援であってほしい。就労準備のためには、生活がぎりぎりまで行く直前で何とか来てもらえればもっと選択肢が広がるのではないかということで、広げる要件に準ずるというところを幅広く解釈していただきたいなと思います。
3点目は、その就労支援事業の全国的な実施というのはぜひ必要なので行ってほしいと思います。それにはやはり条件として、生水委員が最初に挙げられましたような都道府県のバックアップ体制は必要だと思います。また、体験先とか、あるいはその先につなげる訓練事業所ですね。そういうものについての、ある意味ではマッチングというのが実は必要なのですね。
個々の相談に来られる方のそれぞれの状況によって、体験するとか、実際に訓練に入る、どういうものをどのタイミングでしたらいいかというのは非常に微妙なもので、その関係を調整しなければならないのですが、そのためにはやはり幅広い事業所を経験できる場所が必要で、となると、そういう情報をある程度のところで持たなければならない。かつ、労働というのは基礎的な自治体の中だけで起こるわけではないので、基本的に都道府県関係でも移動するくらいの幅広い範囲で労働というのは可能なので、場合によっては農業をやってないところで、農業の体験のためにある地域に動くということも考えられるわけで、そういう意味では、どうしても必須だけれども、より幅広い観点からマッチングやら何やらのサポートができる体制が必要だと。そこで少なくとも都道府県のレベルでのサポート体制が必要ではないかと思います。
以上です。
○宮本部会長 大変ありがとうございました。平川委員、お願いいたします。
○平川委員 ありがとうございます。
2点ほど話をしたいと思いますが、自立相談支援のあり方の2ページ目の一番下の●の「自立相談支援機関を設置する自治体内で滞納情報等を持つ部署」と書いてあって、その次に「自立相談支援機関を設置する自治体以外の行政機関(児相、県営住宅担当)と書いてあるのですけれども、児相は政令市、中核市、都道府県でやっていますし、県営住宅は県でやっていますけれども、要するに自立相談支援機関が県である場合もありますので、この辺、文言整理をしていただければと思います。それが1点目です。
2点目、就労支援の関係です。5ページ目のところで、利用者個人に対する個別給付というのが記載されております。これまでの意見を踏まえて入れていただいたのかなと思っています。個別給付については、交通費もそうですけれども、さまざまな就労に必要な物品の購入であるとか、もしくは、場合によってはスーツであるとか、そういうさまざまな個人に対する支援というのが必要だと思います。そういった意味で、交通費が一番代表的だと思いますけれども、就労に必要なのは個別の給付、もしくは貸与ということについてはしっかりと検討すべきではないかなと思っています。
ただ、個別給付が本当にこの制度の中で制度上できるかどうなのか、これは率直に、どういうやり方があるのかというのは私も思いつかないので、ぜひともその辺は前向きに検討いただきたいなと思っています。
もう一つ、生活福祉資金と絡んで、現場では、例えば労金の基金を活用して、ある意味、民間の資金ですけれども、そういう資金を活用して生活に役立てるような資金を給付していくという事例もありますので、できれば、そういう事例、民間の機関の資金を活用したものもあるのだということについてもどこかに記載があればいいのかなと思います。
以上でございます。
○宮本部会長 ありがとうございました。最後の個別給付の具体的な方法については、地域ごとに行われている民間の多様な方法を含めて幾つかのメニューみたいのを事務局にお願いをしましょうか。
○平川委員 そうですね。国の制度でやれるのかどうなのか、もしかしたら地方単独事業でやったほうがやりやすい面もあるかもしれませんので、その辺も含めて制度的に研究していただければと思います。
○宮本部会長 では、そのあたり、事務局、フィージブルというか、実現可能な、給付と言っていいのかわかりませんけれども、そうした経済的な支援のありようについて、何かメニューのようなものをお示しいただけるといいかなあと思います。
それでは続きまして、勝部委員、朝比奈委員、お願いできるでしょうか。
○勝部委員 就労準備の件につきまして、これは全国的な就労準備事業の実施というのが必要だと思います。ただし、ガイドラインで示されている定員の枠が15人というのはかなりハードルが高くて、実質的にやり出すと、うちなんか、どんどん人が来てしまって、今度、定員が増え過ぎていくと、また2カ所目、3カ所目ということになるのも、これもまたハードルがしんどくなるというところがあるので、この辺の緩和がもう少しできないかということ。
それから、支援の期間が1年というのは、長らく引きこもっていたり社会性が身についていないとかいう人たちにとっては非常に短い。一人一人の状況に合わせた延長も可能にしていくということについてはぜひ盛り込んでいただきたいということ。それから、就労準備という言葉が、就労というのがまだすごくハードルが高く思う人たちも多くいるので、居場所のようなものも、これは制度の中のものにするのか、社会資源の開発の中でやっていくのかというのはあるのですけれども、存在としてそういうことをしっかりと位置づけていくということについても、この間、ステップアップしていく、徐々にアウトリーチから外に出てきて、だんだんというところのステップとしては必要であるということをどこかに明記していただきたいと思います。
それから、生活福祉資金のことを先ほどから、社協はこの話になると悪者になっているのですけれども、貸し渋りをしているみたいな印象があるようで、いつもこの場で、この話になるときに嫌なのですけれども、実際は県単位での貸付ということになっていますので、基本的には、貸付ですから、返せる人にしか貸さないという話になります。ここには大野委員がおられますけれども、民生委員さんたちの世帯更生運動の中でできてきたという歴史があって、民生委員さんとセットで、いわゆる自立支援をしていくという方法論で動いてきたのですが、都市部においては、民生委員の皆さん方とのつながりの希薄化など、支援の難しさや世間体の問題とかで貸付が進まないという問題もあります。今、その辺の条件が大分変わってきたということもあって、自立ということとこの貸付というのが、実はもともとのスタートしたときと変わってきているということがあるので、これは単独事業で今までやってきていたのですが、今回、貸すまでのスピーディさを求めるということであれば、例えば困窮者の支援の相談窓口が意見書のようなものを書いて、この方についての今後の支援を一緒にやっていくということがセットの事業みたいなものにしっかりコミットしていくようなことができれば、非常にこの貸付との連動というのはやりやすいのではないかなと思うのですけれども、受け手の側は貸してもらいたいだけで、いろいろ言われたくないという人も実際にいるのも事実なので、例えば、そんなにいちいち、毎月毎月訪問されたり、そんなことという話も出てくるのですけれども、性格上、この福祉貸付というのはそういう意味合いであるということで、位置づけをしっかりとするのであれば、そこはそこでやりようがあるのではないかと思います。
ただ、当面のところの苦しさをサポートすることについては、各自治体、相当努力してきていますので、今も6割近いところは自前の、低額ですけれども、貸し付けられるような仕組みであったり、浦野さんのところが御協力いただいているようなレスキュー事業的なものも今ふえているので、そことの関連もありますので、何でもすぐ貸したらいいという話でもないのかなと。そこはちょっと整理しておく必要があるのかなと思います。
それから、日常生活自立支援事業に関しても、ここでもいつも、我々、生活困窮と家計支援のところのちがいがいろいろ出てくる話なのですけれども、日常生活自立支援事業の利用者のかなりの人たちが生活保護を受けている人たちであるという実態であったり、体制が非常に不十分であるという問題であったりということもありますので、家計支援という問題が非常に重要であるということは今回の困窮者支援のところではっきりしてきたわけですから、家計をどう見ていくかというのは一体的にいろいろと考えていく必要があるのではないかなと思います。
○宮本部会長 ありがとうございました。おそらくここでは誰も勝部さんや浦野さんが貸し渋っているとは思ってないと思いますので、御安心いただいていいのではないかと思いますし、本当に大事な御指摘で、生活福祉資金、これは50年代に世帯更生資金として立ち上がったときはまさに自立支援、起業支援だったわけですね。それがだんだんそこから離れてしまったことが今日の事態にもつながっているという皮肉なめぐり合わせになっているように思います。これをどのように再生させていくのかということになろうかと思います。
朝比奈委員、よろしくお願いします。
○朝比奈委員 就労支援について何点か申し上げたいと思います。
千葉の仲間からも少し意見聴取をしてまいりました。まず、就労準備を必須とすべきかという点についてですが、これまで各委員から御発言あったとおり、今の就労準備の枠組をどうするかということと大きくかかわってくると思いますけれども、あともう一つが、生活困窮者の就労準備を必須とするということにとどめるのか、生活保護受給者のほうの就労準備をどうするのか、そこもあわせて考えていく必要があるのではないかと思っております。
それから、年齢や資産、収入の取り扱いなどについては、そもそもが自立相談支援によるアセスメントを経て、支援調整会議で決定して、自治体が給付をするという手続が用意されていますので、その中で判断すべき事柄かなと思いますから、そもそもの要件自体は不要かと思っております。
一方で、年齢制限が撤廃されたときに、当然、高齢者の就労支援も含んでいくことになると思うのですけれども、あわせて、先ほども障害者の就労支援のこれまでの蓄積も活用すべきだという御意見がありました。各地域で、高齢・障害・困窮等々の枠組を超えた就労支援の基盤づくりというのが求められていると思います。開拓を受ける企業側からすると、いろんな方角からいろんな人たちが開拓に来るということになって、もう少しテーブルを一つにしてシェアしていくようなアプローチ、考え方が必要なのではないかなと。
困窮者のサイドから障害者のサイド等々に働きかけしているのですけれども、障害者の就労支援は、特に障害者の雇用助成制度などに守られてきておりますので、困窮者とつながっていこうというモチベーションがあまり感じられない。そこについて、ぜひ国からも両方に声かけしていただくような働きかけが必要かなと思っております。
それから就労訓練についてですけれども、手続的なことについて何らか緩和できるようなやり方を考えるということも含めて、もう一つ、多様な人材を大切にするような優良企業だという捉え方で、例えば一般市場で求人募集をするときにも、何らかそういうことがアピールできるような、そんな仕組みが考えられないかという声が幾つか上がっております。それから、そうした枠組を広げていくためにも、企業の中に就労支援担当者も、もちろん人数が多くなってくれば非常に重要になってくるかと思うのですが、その抱え込みを防ぐという観点からも、もう少し外側から働きかけていくというような体制づくりが必要なのではないか。
その他事業の中に、都道府県のアドバイザーですとか就労訓練事業所の育成員などが位置づけられていますけれども、その他事業まで目配りして事業を構想できる自治体というのはかなり限られておりますので、このあたり、もう少し全面的に出していくようなことも必要かと思っております。
一方で、認定就労訓練を使ったその後ということもありますし、それから、一般雇用で就職した場合も、全国共通して、定着支援をどうしていくかということが大きな課題になっておりますので、そうした観点から、自治体による無料職業紹介ということがとても重要になってくると思います。そういう意味では、ハローワークとの、ある意味、役割分担とかすみ分けということも含めて、自治体の無料職業紹介ならではの部分、固有性ですね。そこと先ほどの高齢者、障害者、困窮者等を含めた横断的な就労支援の体制づくりなどが一体的に展開できるような体制が必要かと思います。
最後に、ハローワークの担当者の方からのご意見ですが、特開金の名称を変えてほしいと。企業に働きかけるときに、最初にそこでつまずくと伺っておりますので、そこについても御検討をお願いしたいと思います。
○宮本部会長 ありがとうございました。いずれも大事な論点で、朝比奈委員、もし御意見おありでしたら、例えば障害者の就労支援との連携が大事だけれど、ただ、先方が一歩先行ってしまっているがゆえに、こちらからなかなかつながっていくことが難しいということになりますか。つなげ方について、何か御示唆できるところがもしあればお願いしたいのですけれども。
○朝比奈委員 1点は、もちろん、各地域でも取組が進んでいるところがあるかと思うのですけれども、一般の就労移行支援事業所等に一部、生活困窮者に準じた取り扱いとして認めていただくことで、その就労準備的な枠組を身近な地域の中で、それから、既存の就労移行支援事業所はさまざまなプログラムを持っていますから、オリジナルで困窮者でつくらなくても、それを活用していくということは十分可能性としてあり得るということと、そうした形で場を1つにすることで、生活困窮という人がどういう人たちなのかということが、障害者の就労支援関係者にも理解が進んでいくと思います。
その上で、要するに障害者支援と生活困窮者支援では対象者に理解が進まず実は非常に重なりがあるのだというところを私たちはわかっているのですが、障害者支援の関係者のサイドでは生活困窮者が誰なのかというところでなかなか理解が進まないというところが1つ大きいのと、もう一つは、制度の問題もあると思うのですが、障害者の就労支援が長く障害者雇用促進法の中にとどまっていて、障害があることをオープンにしない就職活動などについて非常に消極的であったり懐疑的であったりする、そこをどうしたら突破できるかという、そのあたりかなと思っております。
○宮本部会長 ありがとうございました。
引き続きまして、それでは、奥田委員、お願いできますでしょうか。その後、渡辺由美子委員もお願いいたします。
○奥田委員 すみません。何点かです。
まず1つは、ちょっと前の議題というか、総合相談、相談事業のほうに絡むのですけれども、この事業全体に係ることですが、私は、東日本以降、公益財団法人をつくりまして、今そこの代表もしているのですが、まだ東北でずっと20名ほどスタッフがやっていまして、いよいよもう今年から来年にかけて、仮設からの移行の最終版に入るということで、新たに10月から、石巻でもその移行支援の事業をするのです。
ただ、熊本でもそうだったのですが、結局、災害において起こっている事象と、実はその前からあった潜在的なものが拡大して出てくるという、この2つが災害なのですね。至るところは一緒で、生活再建なのですね。その生活再建時点でどういう状況になるかというと、生活困窮状況になっている。
にもかかわらず、災害時の対応に、ほぼこの事業、つまり、生活困窮者自立支援制度というものとのコミットがほとんどないというのが現場の実感だと私は思うのです。どうも災害とは違うと生活困窮者のほうも思っているかもしれないし、災害対応の人たちも、「そんな制度あったの?」というような形。でも、これは結局、仮設から復興支援住宅なんかに移ったとしても、これからが勝負で、生活そのものなのですね。特に復興支援事業が終わったときにぶつっと切れてしまうのではなくて、どうソフトランディングさせて次のところに引き継いでいくか。まさに切れ目のない、「断らない」相談というものが今発揮されるというのが、私は、この災害ステージが大きいと思います。
ですから、来年以降の見直しの議論の中にも、災害時にこの相談事業所が中核となって地域のネットワークの中で活躍していけるような、そういう想定をそもそも持っていたほうがいいと。確かに、災害によって起こった事柄かその他の要因かというのは、厳密に言うと違うかもしれませんが、起こっている現象は一緒なので、対応も一緒ですね。出口も。ですから、ぜひこれは、災害時のところをどうするのか。その災害担当の大臣が内閣府におられると思うのですが、ここも居住のところで厚生労働省と国交省の縦割りをどう乗り越えるかというのが、次々回ぐらいの議論で再び出ると思いますが、この災害のところなんかは、私はこの制度は非常に使えると思っています。ただ、これだけで全てを引き受けるのは無理ですよ。朝比奈さんおっしゃるとおりで。ただ、こういうことが日常的にネットワークづくりなりしておけば、災害時にも当然役に立つし、総合支援なのだから、全ていけるということがまず1つです。
2つ目、最初に宿題のところで、支援調整会議の資料、ありがとうございました。そのときはあまり発言しなかったのですが、私がやはり気になっているのは、支援調整会議が庁内連携だけで終わってない、もっと広がりのあるものになるべきだというのが1つと、もう一つは、支援調整会議の目的の4で、社会資源の充足化状況の把握と開発に向けた検討ということで、社会資源の創造ということが言われているわけですが、私のこの資料を見た感覚で言うと、もしくは今までの議論を聞いていると、社会資源の云々と言うときには、まだネットワークづくりでとまっていると思うのですね。本当の意味での資源の創造というところまでなかなかいかない。
そのときに、では何が使えるかと思ったときに、今回の就労の資料の7ページに、認定就労訓練事業所の立ち上げの費用を国が2分の1で負担するという、国庫負担率が2分の1ついているのですよという説明があって、地方自治体が半分出せということでしょうけれども、これは認定就労訓練事業所のみならず、社会資源をつくっていくための費用負担なりをやはりやらないと、就労訓練事業所の開発がなかなか進まない、インセンティブがないという話もそうですが、今あるところに補助金出していくという考え方もあるでしょうけれども、やはりこれに合った形の社会資源としての何かをつくっていくということも要るのではないか。それが支援調整会議で幾つかの自治体はそういうための会議とケースの会議と分けてやっているということが明らかに今回出たわけですから、だったら、社会資源の創造のための手段というか、使える道具を与えてあげないと、ネットワークづくりというのは、もともとある人たちのネットワーク、これも必要だけれども、そこをもう一歩進めるためには何が必要かと思いました。
3つ目が、2号要件です。何人もおっしゃったのですけれども、私はやめたらいいと思います。これはプラン立ててちゃんとやっているのだからどうかと思いますし、年齢に関しては、高齢者の問題が出てきたので、これももう要らないだろうと。それから、収入に関しては、世帯収入なので、正直、世帯に収入があっても、世帯の中の関係性の問題とかさまざまなものがあって、それだけではかれないものがあります。さらに親が高齢化していって、長く引きこもりになっている状態で、今のところ、世帯収入はあっても、その親御さんがいずれいなくなったというときに、やっと対象になると。それは予防的な観点からしたらやはりおかしいのではないか。それだったら、状況に応じて、世帯収入云々だけで決めないで、プランで決めていく。それにおいてはもう2号要件やめたらどうだろうかと考えました。
その次、4点目が利用期間。これも皆さんおっしゃっているのですが、私は、社会的孤立を理念として明確にうたったらどうですかと今日最初に申し上げたのですが、そこの観点から言うと、1年でどうのというようなレベルの人を超えてくるケースが非常に多くなると思います。私は、岡部先生もおっしゃいましたけれども、相談というのは2つの機能があって、1つは問題解決、もう一つは相談そのものなのだという、この相談そのものにおける相談支援ということを考えると、実は1年で結果を出すというような形だけでははかれない。そのために、社会的孤立という言葉を2条に入れてほしいということを言っているわけですから、これは中身が変わらないと意味がない。
そうなると、中間就労とか準備支援という言葉の概念もちょっと考えたほうがいい。すなわち、この部分が一つの社会的受け皿になりますよ。ここから先は。ある一定期間。30年もと言われたらちょっと困るかもしれないけれども、実際にそこを中間として一般就労にいくという絵をどれだけ描いても、中間部分で実は5年10年かかる人が絶対出てくる。今もう出ている。そうなると、中間という概念自体を、社会的孤立というテーマからすると有効な概念なのだろうかと。受け皿とか居場所とかいう話が出ていますけれども、そういう意味で言うと、1年で切るというのはいかがなものか。ただ、プラン中心ですから、延長するにはリプランが必要だ。最初から5年のプラン立てられたら困ると私は思います。それよりかは、プランは半年ごとぐらいにリプランしていくということを前提に、どこまで延長するかという議論が必要だと思います。
それと、家計の必須化ですけれども、私は賛成です。必須化したほうがいいと思います。ただ一方で、前々回ぐらいから言っているのですが、家計支援という自立的なものをベースとした支援と、あと、なかなか自己判断できないという、成年後見人とか権利擁護とかいうこの間のニーズが必ず出てきます。例えばカジノ法で、アディクションの問題どうするのみたいな話がもう今出てきているわけで、依存とか云々の話のときに、日常的な金銭管理のニーズが多分出てくる。これをやはりちゃんと法的にも枠組の中で正当にやらないと、ややこしい事件がいっぱい起こって、権利侵害につながると、もしくは窃盗等にもなりかねないということで、家計の必須化は前提だけれども、家計と後見人制度、社会的な擁護みたいなところとの、権利擁護との間のものが必要だ。
カジノ法とかのアディクションのことにしても、医療的なケアだけの議論をしていたらだめだと思います。医療ケアは必要だけれども、一方で社会的なケアとか体制が必要なのですね。だから、お医者さんだけ頑張っても、アディクションの問題は解決しません。そうなると、この制度の中で、このアディクション問題も含めてどうしていくのかというのが非常に大事。
最後に個別給付の問題ですけれども、私はちょっと違う観点で、現物給付なり個別給付というものが法の上でどうなのかとか、平等なのかという議論はあるとしても、ケアの面からいくと、やはり私は出していくということが、ケアしやすいというか、ケアの観点というのも入れてほしいと思うのですね。自治体によっては、特に生活保護と同じ枠でやっているわけですから、こっちの人は保護からお金が出ていて、こっちは出ないという話になったときに、実際のお金の問題以上のリスクを、現場がぎくしゃくしてしまう。そのあたりも含めて、私はやはり一部給付は考えたほうがいいと思います。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。
次に渡辺委員と申し上げたのですけれども、駒村委員のほうから、密接に関連してというお話がございましたので、よろしくお願いします。
○駒村部会長代理 ありがとうございます。
今の奥田委員のお話とほとんど重なる部分ですけれども、資料3の就労の3ページの対象者についてと、それから、5ページの利用期限の長期化という話になるわけですけれども、先ほどの議論でありましたように、社会的孤立の対象者を入れていくということになれば、この資産要件みたいなものは当然見直していくべきだろうと思います。
ちょっと別の角度からの意見になりますけれども、先日ある新聞で、アメリカの25歳から54歳の男性の労働参加率がどのように変化しているのかという、研究というか、資料がありました。これは分子は人口で、分母が失業者と就労者ですから、これが下がっているということは別に失業率上がっているというわけではないと。つまり、働けない人が、働かない人というか、労働市場に入らない人がどうなっているか。それが90年には、アメリカの場合、男性のいわゆる働き盛りの人の93%が労働市場に参加していたわけですけれども、現在はこれが88%まで低下してきていると。この背景は何があるのかというと、これはアメリカ特有の問題で、さまざまな本も出ておりますけれども、薬物依存みたいな問題、依存症の問題、精神的な問題というのは大きな課題になってきているのではないか。
ちょうど同じころにイギリスのレイヤードという、これはLSEの経済学者が心理療法の方と一緒に書いた本で、これも非常に刺激的な本で、日本の経済学者はあまりこういう書き方しないのですけれども、精神的な課題が社会にもたらす問題について、先進国全般、非常に軽視しているということですね。精神的な課題によってどれだけ経済的なコストが発生しているのか、医療的なコストが発生しているのか、社会的なコストが発生しているのかということを非常に丁寧に分析しているということになります。
こういったことを見ると、日本でこの議論が直ちにそのまま使えるかどうかというのはわかりませんが、日本も決して他人ごとではなくて、この20年間の、先ほど申し上げた、いわゆる働き盛りの男性の労働力率、97%の後半ぐらいだった数字がじわりじわりと下がっているのは間違いない。95台ぐらいまで下がってきていると。この中には引きこもりみたいな形で長期の社会的な孤立状態で仕事から離れていた方もいらっしゃると思います。
こういう方を対象にしていく以上、やはり1年で効果出るのかということは考え直さなければいけない。もちろん対象者によるわけでありまして、初めから2年3年というわけにいかないと思います。1年からどのぐらい見直すかというのは、先ほど奥田さんがおっしゃったように、まさに個別の問題であり、なおかつ実証的な問題だと思いますので、1年というのは、今言ったような精神的な課題を持った方の就労までの行き着くルートというのはそれなりのもので、長いものもあるかと思いますので、見直したほうがいいのではないかと思います。
強調したいのは、精神的なサポートも、就労、あるいは自立までのプロセスの中では大事な期間であるということを強調したいと思います。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。
続きまして、渡辺由美子委員、そして菊池委員、そんな順番でお願いいたします。
○渡辺委員 おくれて参りまして申しわけございませんでした。
前段の議論に参加できなかったので、1点だけ、生活困窮者自立支援制度の現状と課題といいますか、これに関して述べさせていただきますと、非常によい事業だなあということで、それまでは本当に生活困窮な方たちは生活保護にならなければ支援がないというところから、非常に予防的な措置が入り、子どもとか若者とかに関して言えば、学習支援で貧困連鎖を断ち切るだとか、その就労の支援があるというところで、とても画期的な制度だと思います。これはしっかりと評価をするべきだと思いますし、これをさらに拡充していくことが大事だと思っております。
その中で、課題にも出ているように、まだ周知が少ないということで、特に若者とかそういったところでは、困っていても、なかなか支援の場に行かない。私たちのところでも、高校中退しているような方たちというのがどこに行ったらいいのかわからないということがあるので、その困ったときに家族以外にも支えてくれる場所があるのだということの周知をどうしていくかということはもう少ししっかりと、例えば高校の場で、もし何か困ったことがあったらここに行こうとか、若年のシングルマザーみたいなところもいる中では、保健所だとかそのようなところでお知らせしていくとか、ネットカフェで伝えるとか、そのような周知の工夫が必要なのかなということは思っております。
就労支援等々に戻りますと、まず2番目に関しては、もう皆さんがおっしゃっているように、本当に資産要件ですとかそういったものはなくして、やはり予防していくことが非常に重要なので、リスクのある方にはしっかりと早目に対応していくということをやっていくことが重要だと思います。そういう中で、交通費の支給という、その訓練を受けるために障害になっているものがあればそれをできるだけ排除して、重篤化する前に早目に自立につなげていくということの観点で、どうしていくかということで制度をつくっていったほうがよいかと思っています。
次に、就労訓練とか職業紹介の雇用する場に関して言いますと、一方で非常に労働需要が逼迫していて、私どものところにもいろんな御相談が来ます。例えば、今来ているのでは、ヘアとかメイクとかをやってくれる人をやりたいので、訓練は自分たちでするけれども、若年のお母さんたちは企業が研修を
頑張るので、お子さんたちの学習支援ができないかとか、お母さんたちの高卒認定を応援できないかみたいな御相談があったりして、そういう中では、企業側にとっても、採用するために非常に莫大なコストをかけているので、それを鑑みれば、その方たちのトレーニングみたいなことを企業側も少しやっていくということでは十分折り合いがつくところもあると思うので、そういう中では、企業の方の協働ですとか協力みたいなことをもう少し訴えていくということはあるのかなと思っています。
4点目が、生活保護の就労自立給付金のインセンティブの設計で、早く出た方にインセンティブがないというところでは、これは本当にインセンティブがあるとそこのところでモチベーションが上がるというのは確実にありますし、それによって本当に、特に若い方だとかこれからの方たちというのはいけると思うので、そこのところはもう少しインセンティブが出るような設計をしたほうがより早い自立にはつながるのかなと思っています。
最後、5番、家計相談支援の必須化というのは、私はこれも賛成で、学習支援にいらっしゃるようなお母さん方を見ていても、なかなかお上手でないだろうなという方も多い中で、前回のビデオを見ても非常にそのようなところでは有効性があると思うので、家計相談をしっかりと入れていくということとか、また特に次の世代に伝わるということですね。ちゃんとお母さんとかお父さんがやっているのを見ると、子どもの世代もそうやって家計を管理するのだということは伝わっていくと思うので、そういう意味でも、家計相談支援ということは非常に重要だと思うので、必須化をしていったほうがいいと思います。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。
続いて、菊池委員、よろしくお願いいたします。
○菊池委員 大方、もう皆さんの議論で尽きているのですけれども、私も、就労準備支援事業及び家計相談事業は必須事業化していくということに賛成です。ただ、その義務化の仕方として、3本、きっちりそれぞれについて要件を満たした上でやらなければいけないということなのか、ある程度自治体の裁量とか多様性を認めながら、3つのメニューを組み合わせて取り組んでいくようにするのかという、その辺は工夫の余地があるのかなとは思っています。
それから、就労支援の年齢要件については、これも基本的には不要ではないかと思います。さらに資産・収入要件についても、先ほどお話し申し上げた法2条の法の対象者の範囲をどう考えるかということ。広げる方向性で考えるのであれば、基本的には資産・収入要件というのは考えなくていいのではないかと思うのですが、ただ、そうなると、これは日本の社会保障制度一般に言える話ですけれども、公費で運営する制度について、費用負担の問題はどうするかということを考える必要があるかもしれません。そこは私もまだ詰めて考えていないところです。
それから、利用期間の制限についてですが、私は、この部会の前の検討会のときに、相談支援の権利性という、法的な議論ですけれども、権利と言えるのかというのをちょっと考えてメモとして出させていただいたことがあります。相談支援は事業として行われるという点と、それから、先ほど申し上げたように、実体的な給付というよりは、手続的な給付という面があることからしますと、個別の給付と同じような意味での権利性を認めるのはちょっと難しい面があるのかなと言わざるを得ないように今は思っています。利用できる資源の有限性ですとか、あるいは支援の仕組みを一定程度定型化するのにもそれなりの合理性があるということからしますと、期間制限を設けること自体は不合理とは言えないと思います。
ただ、とはいえ、利用者の方の自尊、セルフリスペクトというか、セルフエスティームというか、その基盤が失われないように、尊厳をもって扱われるということの法的な意味での利益というのが、私が、よく引き合いに出す憲法13条を持ち出すまでもなく、やはり尊重されてしかるべき、法益だと思われますので、先ほど奥田委員もおっしゃいましたけれども、無条件ではないにせよ、継続に向けた必要性が一定程度認められる、客観的に認められるということであれば、当初のプランと照らして再評価をして、再アセスメントして、期間延長を認めていくという道はやはりつくるべきではないかと思います。
自尊と言うとちょっと強いというか、何と表現したらいいのか難しいですけれども、要するに自分が自分らしく生きられることへの支援ということで、自分らしくというのは、誇りを持って。誇りと言ってもちょっと強過ぎますね。自己肯定感を持って生きられるという、そういった基盤をつくっていきましょうというのがやはりこの困窮者支援法で明らかになったというか。生活保護でも自立支援プログラムのあたりからそういった方向性の議論というのはあったと思うのですが、自己肯定感を持って生きられるとか、そこまでは到達していなかったのかなと。そういう議論が生活困窮者支援で改めてというか、初めて浮き彫りになったという意味で、相談支援とは何かというのを法的にというか、規範的に考えていくと、1つは、私の言葉で言うと、手続的な権利とか保障という性格と、もう一つがやはり自尊の基盤の確保というか、自己肯定感を持って生きられるということの支援というか、そういうことが残ってきたかなあと。すみません。ひとり言っぽくて申しわけありませんでした。
以上です。
○宮本部会長 大変中身の濃いひとり言でありまして、しっかり聞かせていただきました。
実はもう会議開始後3時間近くになってございまして、ただ、皆さん、前半以上に発言の量も密度も濃くなっておりまして、ここにいる皆さん、10分間の休憩でこれだけバッテリーが充電されてしまうのはすごいなと思います。ただし、まだご発言回ってない方が何人かおられて、これはきちっとお話をしていただきたいとも思ってございます。
岡部委員、それから浦野委員、竹田委員の順番でよろしくお願いいたします。
○岡部委員 4点、意見を述べます。
1点目。生活保護受給者の就労支援で、就労自立給付金のあり方についてですけれども、この制度の周知が被保護者の方々にあまりまだ浸透していないということがありますが、相当成果が出ています。周知していただくということがよいのではないか。
2点目は、生活困窮者自立支援制度の就労準備の関係については、これはぜひ必須化をお願いしたい。どの地域においても、働く準備をしてくれる場があるということが必要ではないかと考えます。
それと、期限の関係でいきますと、就労自立を目指すということも1つあるのでしょうが、引きこもりであるとか長期間働いていない方については、やはり日常生活であるとか社会生活をあわせて行っていかなければなりませんので、一定期間かかる。そのため、必須事業の中で生活の総合的な支援の一環として就労支援ということを考えていただくことが必要なのではないか。
あと、就労に関しては、労働につくというこの労働はペイドワークというのが強くでていますが、多様な働き方という観点からとらえれば、その中の一つに居場所としても就労支援事業があるということで考えていただきたい、それこそ、子どもの学習支援から高齢者まで、働くということをいろんな角度から考えていくことになります。稼働者、若者から高齢者まで、エイジレスで就労準備というのを考えていただくのがいいのではないか。
3点目です。生活困窮者自立支援制度の家計の相談支援について、これも同じような観点から、子どもから高齢者まで、これは働くということは収入に入るという「入り」の話ですが、これは「出る」のほうで、生活の管理という側面で家計管理が重要な要素ですので、これも必須化をぜひお願いしたいとい。
4点目は、生活資金の貸付制度と年金担保、年担の話が出ました。通常、お金を貸すとなると何らかの担保が必要です。生活資金の貸付は人の担保。不動産融資はモノがありますけれども、その中でお金を貸すということは、債権回収がありますので、相当慎重にやらざるを得ない。しかしながら、その中で一定の成果が上がっているということがありますので、この貸付事業の中に相談支援も含めて、その中に家計管理も含めてやっているという実態があるということをお伝えしたい。また、年金担保貸付の受け皿が、生活資金の貸付制度というものが非常にいいのですが、年金は厚年、国年と老齢年金であり、労災年金も入っていますので、貸付総額は相当大きい。
年金の対象者は高齢者が中心になってきます。その中での家計管理は、先ほど高齢者の年金の方の家計管理、それと、若者、稼働者の家計管理がありますので、これはやはり必須化に向けて行っていただきたい。それと、生活福祉資金貸付制度は民生委員の相談活動の重要な制度資源のツールです。社会福祉協議会が民生委員のもとでこの審査を行っている。これについても、家計管理と同時に、また生活資金は慎重にやっていただきたい。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。
続きまして、浦野委員、お願いいたします。
○浦野委員 ごく手短に。
まず、認定就労訓練事業の事業所数がまだまだ少ないという状況でございます。まだ何百という世界ですので、何千ぐらいにしなければいけないと思っています。その中で社会福祉施設をいかに使っていくかということで、これは私が言う前に小杉委員がおっしゃっていただいたのですけれども、社会福祉施設、社会福祉法人の場合には、定期的に行政指導監査を受けています。問題があればそこでもうわかるということがありますので、重大な問題のない社会福祉施設であれば、もう手を挙げたら認めるぐらいのところまでいってもいいのではないか。前年の指導監査でめちゃくちゃだったよというところは、そこはバツというような話で、そこは指導監査のレベルでちゃんと見ているということでいいのではないかと思っています。
一方で、これは社会福祉施設に限って言えば、私どもがきちんともっともっと周知をしなければいけないということもあるのですけれども、一般的にも、こういう制度に協力してくださいという周知が、一般企業に対してもまだまだ十分になされてないのかなと思っておりますので、そこをぜひ強化していっていただきたいなと思います。
それから、家計管理支援など任意になっている事業の必須化ということについては、委員の皆様方も必須化の方向の御意見が非常に多いようです。私もそのとおりだろうと思います。ただ、一方、例えば先ほど来の御発言の中にも、自立相談支援の担当者から例えば家計相談支援の人にかわると、そこでまた人がかわってしまって、そこがハードになるというお話がありました。
私は、このことは、実は自立相談支援のあり方そのものが伴走型になっているのかということを逆に言っているのではないかなという、ちょっと心配があります。自立相談支援の窓口できちんとしたクライアントとの信頼関係を構築して、その自立相談支援の窓口がまさに伴走して専門的なケアを受けましょうということは十分に可能なのだろうと思います。もちろん、自立相談支援の窓口でできる相談であればそれでいいのですけれども、これは医療でいうホームドクターと専門医との関係というのとも全く同じですから、ホームドクターとして、これはやはり専門医に診てもらったほうがいいよと言って、ホームドクターとの信頼関係がきちんとできていれば、専門医を紹介されてもそんなに問題はないわけです。そういうことをもうちょっとしっかり踏まえる必要があるのではないかなと思いました。
以上です。
○岡部委員 部会長、1点だけちょっとすみません。就労準備の中で、交通費の支給等の旅費の支給の観点があるのですけれども、菊池委員がおっしゃったように、生活保護の中で旅費の支給であるとかいうのは、資力調査、ミーンズテストを個人世帯でやっているのですね。もしこれを就労の関係とか子どもの関係等でやった場合については、個人、あるいは世帯の、資力調査まではいかなくても、インカム・テストをやるのか。もし個人に対して支払うということはそういう根拠を示さなければいけないということがありますので、逆に言うと、1つ事業体にお出しするとか、何らかの仕組みを別につくらないと、そことの整合性が立たないということをお伝えしたいと思います。
○宮本部会長 ありがとうございました。そのあたり、事務局にもメニューをお示しくださるようにお願いしていたところでもございます。それを踏まえてまた議論を深めていきたいと思います。
最後になりますが、竹田委員、お願いいたします。
○竹田委員 では、手短に1点だけ述べさせていただきたいと思います。
これまでの事業の必須化の議論の中にも出ておりますが、例えば生活保護を受給されていて、かなり滞納が生じたりしている観点から言うと、やはり家計相談支援というのが必要であったり、一方で、高齢者の就労支援ニーズというのは必ずしも生活に困窮されている方だけではないということを考えますと、このあたりの家計相談とか就労支援については、他制度との連続性とか予防的な関わりを、必ずしも生活困窮にならない前に、もう少し家計のチェックをしてみるとか、就労の相談をしてみるとか、そういったことも予防的な関わりの中で、連続性を持ち、もう少し横断的な観点で検討していただくとより効果的ではないかなと考えたところです。
以上です。
○宮本部会長 ありがとうございました。最後は少し急がせてしまって大変申しわけありませんでした。
私の不手際もあって少し時間をオーバーしましたが、今日は大変充実した議論を重ねていただきました。皆さん、基本的には、事業の必須化、それから2号要件の廃止、年齢要件の廃止、定義の拡大と、これは見方によってはこれから財務当局ともきちっと話を通していかなければいけないのですけれども、何か対象を広げているように見えますが、そうではなくて、真の支援対象を捉えるための措置なのだということですね。広げているようでいて、これこそが地域を活性化させていく、締めていく、その道筋なのだと。このことをどのようにきちっと表現していくのかということはこれからの議論のテーマになっていくのかなあと思います。そのあたりも皆さんのお知恵を拝借したいと。非常に各方面に説得力のある報告書にしていくために、皆様のお知恵を引き続き拝借したいと思います。
それでは、事務局から次回の案内をお願いいたしたいと思います。
○竹垣課長 次回は、10月12日木曜日の14時からを予定しております。場所は追ってお知らせいたします。
以上でございます。
○宮本部会長 それでは、今日も長い時間どうもありがとうございました。
<委員名の漢字表記について>
岡崎委員の「おかざき」の「さき」のつくりの上部は、一部ブラウザ上で正しく表示されないために、便宜上「崎」の字で表示しています。正しくは「大」ではなく「立」ですので、あしからずご了承ください。
ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 社会保障審議会(生活困窮者自立支援及び生活保護部会)> 第7回社会保障審議会「生活困窮者自立支援及び生活保護部会」議事録(2017年9月21日)