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2017年6月28日 中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会 第41回議事録

○日時

平成29年6月28日(水)9:47~10:24

 

○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)

○出席者

荒井耕部会長 中村洋部会長代理 田辺国昭委員 関ふ佐子委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 間宮清委員 宮近清文委員 松浦満晴委員
松本純一委員 松原謙二委員 万代恭嗣委員 猪口雄二委員 遠藤秀樹委員 安部好弘委員
日色保専門委員 昌子久仁子専門委員 上出厚志専門委員 加茂谷佳明専門委員
<参考人>
福田敬参考人 池田俊也参考人
<事務局>
鈴木保険局長 谷内審議官 濱谷審議官 迫井医療課長 眞鍋医療課企画官
矢田貝保険医療企画調査室長 中山薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○費用対効果評価の制度化に向けた検討事項について

○議事

 

○荒井部会長

 ただいまより、第41 回「中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会」を開催いたします。

 まず、本日の委員の出欠状況について報告します。本日は、榊原委員が御欠席です。

 なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。

(カメラ退室)

○荒井部会長

 それでは、議事に入ります。

 本日は「費用対効果評価の制度化に向けた検討事項について」を議題といたします。

 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いします。

 眞鍋企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 企画官でございます。

 それでは、費-1を用いて御説明をさせていただきたいと思います。

 まず、今回は、制度化に向けた検討(その5)ということでございまして、2コマ目でございますが、こちらはこれまでの議論の経過を取りまとめてございます。2月8日に今後の進め方についておおむね御審議いただきまして、御了解いただきました結果、3月から5月、6月というように、アプレイザルを2回、そしてまた、その議論を踏まえた論点を提示させていただいたところでございます。今回以降、対象品目、医療技術の選定のあり方、費用対効果評価の反映方法等について御議論いただくということでございまして、今回は対象品目、医療技術の選定のあり方、その反映方法について論点として資料を用意させていただいてございます。

 おめくりいただきまして、3枚目でございます。今も申し上げましたけれども、一連の流れの中で今回の検討対象といたしますのは、対象の選定基準のところと、それから評価結果の活用のところでございます。

 4枚目、対象の選定の考え方についてでございます。試行的導入における対象の選定基準を同様に対象から除外する要件、そして対象とする要件とに分けて考えることにしてはどうかというようにしてございまして、4コマ目の下の四角ですが、対象から除外する要件としましては、治療の開発を阻害しない等の観点から、新規及び既収載ともに評価対象から除外する要件として、1、2は試行的導入と同様でございますが、治療法が十分に存在しない希少な疾患に対する治療に用いるもの。そして、医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議、または医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会における検討結果を踏まえた、社会的ニーズの高い、こういった製品であります。この2つが試行的導入での除外基準でございます。

 また、これまでの議論を踏まえまして、新たに3、4といたしまして、小児疾患に対する治療に用いるもの、基礎的医薬品、不採算品再算定、最低薬価の対象である医薬品、及び不採算品目の償還価格見直しの対象である医療機器。これらに下線を引かせていただいておりますけれども、こちらを新しく除外基準としてはどうかというように御提案をするものでございます。

 5枚目をごらんください。さらに除外する対象といたしまして、複数の品目に同じ価格が設定されている等の場合には、その取り扱いについて検討が必要ということでございまして、以下の品目については、制度化に当たっては当面除外することとしてはどうかというものでございます。

 医薬品につきましては後発品でございます。御存じのとおり、価格帯ごとに複数の品目に同じ薬価が設定されているものということでございます。また、後発品のある先発品ということでございまして、こちらは今、ちょうど薬価部会におきまして、価格算定のあり方の議論が行われておりますので、それを踏まえた検討が必要ということでございます。

 医療機器につきましても、1つの機能区分に複数の品目が含まれている場合の当該品目もございますので、こういったものも当面除外することとしてはどうかと考えてございます。

 以上、4コマ目、5コマ目が除外の基準でございまして、6コマ目が対象とする要件でございます。

 医療保険財政への影響度を重視する観点から、新規、そして既収載ともに評価の対象とする要件としては、以下の1、2、両方を満たすものを基本とすることとしてはどうかとしております。1として、革新性が高い品目(補正加算のある品目等)。2として、市場規模の大きな(市場規模が一定程度を超える)品目ということでございます。

 その際、この「市場規模が一定程度を」ということでございますが、この基準につきましては対象となる品目数や費用対効果評価に係る体制等を勘案しながら検討することとして、一定の市場規模としてはどうかとするものでございます。

 ただし、この市場規模が一定程度を超えない場合であっても、著しく高額な品目等について薬価算定組織及び保険医療材料等専門組織の御意見を踏まえながら柔軟な対応ができるようにしてはどうかというように御提案をしております。

 また、効能追加等で収載後に市場規模が一定の額以上拡大したものも対象とすることとしてはどうかと考えております。

 以上が医薬品・医療機器の選定の考え方でございます。

 7コマ目が、高額な医療機器を用いる医療技術に関する考え方でございます。こちらに関しましては、新規、そして既収載ともに、28 年度から現在行っております具体例を用いた検討における選定の考え方と、それから先ほど申し上げました、医薬品及び医療機器における除外要件等を踏まえまして、この下にある1)、2)のように考えております。

 1)の除外する要件としては、治療法が十分に存在しない希少な疾患を対象とするもの。そしてまた、医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会における検討結果を踏まえ厚生労働省が行った開発要請または公募に応じて開発されたもの。そして、小児疾患に対するもの。これらを除外してはどうか。

 一方、2)の対象とする要件として、1、2を掲げさせていただいてございます。診療報酬項目において高額な医療機器が包括的に評価されていること。既存技術との比較(置きかえ)が明確な技術ということで、これは医療機器を用いる既存技術に対する増加分の費用・効果を適切に評価する観点ということでございますけれども、こういった1、2を対象とする要件としてはどうか。

 以上、1)、2)とすることを基本とすることとしてはどうかと考えてございます。

 ここまでが対象とする要件の御提案でございます。

 8コマ目以降が活用方法についての御提案でございますけれども、(1)評価結果の活用の原則と書かせていただいております。これまでの議論におきまして、費用対効果評価の結果を償還の可否の判断に用いることについて、次のような指摘がなされてございます。

 破線で囲っておりますけれども、仮に償還しないこととする場合には、これまで薬事承認されたものを保険適用してきたという従来の原則を根本的に変えることになるけれども、その合意はまだ得られていないのではないか。また、日本の保険制度は国民皆保険でありフリーアクセスを基本としていることを考えると、医薬品等にアクセスの制限が加わるということは受け入れがたいのではないか。また、先進国であるイギリスにおいても原則として償還の可否の判断に使うこととしながら、近年はその結果を償還価格へ反映する考え方が制度として組み込まれているということでございまして、こういった海外における経験も踏まえますと、評価の結果は償還価格へ反映させるほうがよいのではないかという御意見があったところでございます。

 こういったことを踏まえまして、下の○でございますが、原則として有効性・安全性等が確立した医療は保険給付の対象とされてきたことを踏まえまして、この費用対効果評価の結果は原則として保険償還の可否の判断には用いず、価格の調整に用いるという位置づけとしてはどうかというように御提案するものでございます。

 9コマ目でございます。その方法ということですが、1つ目の○で、医薬品及び医療機器の新規収載品についての費用対効果評価結果を用いた価格調整の時期については次のような論点が考えられるということで、黒丸を4つお示ししてございます。

 現在は試行的導入の状況でございますけれども、企業による分析及び再分析に1年以上を要しているという現状がありまして、現行の保険収載のスケジュールに影響させずに費用対効果評価を行うことは困難であると思っておりまして、この評価結果のために、かえって保険収載のスケジュールをおくらせることになりましたら、それは新たにラグを生じることになると考えております。

 2つ目の黒丸ですが、このため、費用対効果評価の導入によりラグを生じさせないために、一度、薬価、材料価格を設定して、保険適用し、その後、後から費用対効果評価の結果を用いた価格調整を行う方法が考えられるということでございます。ただし、この場合は流通や医療現場への影響があり得るだろうと思っております。

 一方で、費用対効果評価は国民皆保険の持続性及びイノベーションの推進の観点から、一定の基準に該当する品目のみを対象として導入するものであることから、一定のラグを許容し、医薬品及び医療機器の新規収載品については保険収載時に、同時に調整を行うという方法もあり得るというところでございます。

 また、今後、評価手法への習熟や制度運用の効率化、評価対象品目のうち既収載品の割合が低下していくに従って、評価結果を活用した価格調整までの期間は短縮できることも期待できると考えてございます。

10 コマ目でございます。以上のような論点を踏まえながら、私ども事務局として御提案しますのは、この制度化に当たっては、当面は費用対効果評価の導入によるラグを生じさせないという観点から、一度、薬価、材料価格を設定し保険適用して、その後に費用対効果評価の結果を用いた価格調整を行うこととしてはどうかと考えております。

 その次の○ですが、この対象となる新規収載品の保険収載時の価格設定のあり方、また、評価結果を用いた価格調整の具体的な方法については、医薬品については薬価専門部会、機器については保険医療材料専門部会でそれぞれ検討することとしてはどうかと。

 同様に、高額な医療機器を用いる医療技術における点数調整の方法については総会において検討することとしてはどうかというように提案するものでございます。

 最後のページ、これは医薬品及び医療機器の新規収載品に係るイメージでございます。企業が薬事承認取得後、保険適用希望書を作成し、通常のルートで薬価算定組織、そしてまた材料組織のほうで価格算定案を決定いたします。そして、中医協総会において御審議いただきまして了承を得るということになるわけですが、その際に費用対効果評価の候補として決定するということでございます。決定しましたら、企業がこの費用対効果評価に係るデータを用意し、それが費用対効果評価専門組織においてデータ提出、公的な立場による再分析、そして総合評価(アプレイザル)という過程を経て、費用対効果評価結果が出るわけですが、この結果に基づいて価格を調整するということでございます。そういう流れでお示ししているものでございます。

 費-1の説明は以上でございます。

 なお、費-1参考は、試行的導入における対象品目の選定及び反映方法について、参考として用意しているものでございます。

 事務局からの御説明は以上でございます。

○荒井部会長

 ありがとうございました。

 ただいまの説明に関して御質問等がありましたら、お願いします。

○松原謙二委員

 意見ですが、8ページ目のところ。これが一番大事です。これまで十分議論してきましたが、保険適用においては評価結果を用いるべきではない。むしろ、検討結果を、保険財政が破綻しないために、償還価格で調整すべきということを申し上げてきていました。英国でも同じような考えになっています。つまり、皆保険制度を守りながら、誰もがよい医療を受けられるためには、やはり保険の適用をした上で、余りにも高ければ価格調整ができるという仕組みを確立することが大事です。その観点から見ますと、やはりドラッグ・ラグやデバイス・ラグが出ないためには、速やかに保険に導入した後で、これを調整して値段を変えるというやり方を御提示いただいたことについては大変賛同するところであります。皆保険制度を守り、そして保険財政が破綻しないように注意しながら、みんながよい医療を受けられる、そういったことに評価が使われるのは賛成であります。

 ただ、前回も申し上げましたけれども、皆さんにアンケートをとって、テレビや洗濯機の値段のように、この金額でいかがかというやり方については、病気というものはその人にとっては何としてでも克服したいものでありますので、そういった観点をテレビや洗濯機と同じような感じでやるのは、どうも違和感があります。そこのところの改正が必要です。

 以上です。

○荒井部会長

 松本委員、どうぞ。

○松本委員

 6枚目のスライドです。先ほどの総会でも確認をさせていただきましたが、この一番下の行に、「効能追加等により収載後に市場規模が一定の額以上拡大したものも対象とする」とあります。これは費用対効果評価の対象にもするということだとは思いますが、先ほど、薬価を決める場合と同じように機器も材料の部会で一定のルールを考えると言われたので、同じように市場拡大再算定のように、機器にもそういうものを取り入れる提案をされるつもりなのかどうか、お聞かせください。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 具体的には材料部会での御議論になるかと思っておりますけれども、経過を申し上げれば、前回の改定時もそういう御提案を検討すべきではないかということで、ただ、最終的な判断としては見送ったところでございます。また、今後、事務局からの御提案の中には、そういうことも入って、具体的には材料部会で御検討いただくことになろうかと思ってございます。

○松本委員

 プラス、費用対効果評価もすると理解します。

○荒井部会長

 吉森委員、お願いします。

○吉森委員

 まず、対象選定の要件については、この費用対効果制度というのは初めて導入される制度ですので、安定的運用を目指すという意味では事務局の御提案要件は妥当と考えております。今後、この運用状況を見て、適用要件を再検討していくということは当然やるべきだと思います。

 また、活用方法についてですが、やはり原則、有効性・安全性などが確立した医薬品・医療機器を保険適用の対象としているという前提ですので、まずは償還の可否よりも、薬価収載後の価格調整に用いるということでよいと考えます。

 しかし、今後この制度が安定的に運用され、この御提案にも書いてあるように評価の期間が短縮されて、この制度の効果があらわれてくるタイミングでは保険収載の可否の材料として用いることも検討してもよいのではないかと考えます。

 その上で、新規収載品に係る費用対効果評価の価格調整における当面の運用について、費用対効果の結果を反映する時期については、ドラッグ・ラグ、デバイス・ラグの観点などを勘案しますと、まずは保険適用して、今後は毎年、薬価調査を行い、年4回の新薬収載のタイミングで薬価を見直すこととされておりますから、そのタイミングを見て、費用対効果評価の終了後、できるだけ速やかに価格に反映できるように、この年4回の収載タイミングで価格の反映を行っていくべきだと考えます。

 また、手続面ですが、今回お示しいただいた費用対効果の対象選定の考えでは、革新性が高く市場規模の大きな品目となっておりますけれども、こうした品目については、例えば医薬品であれば市場拡大再算定などの対象にもなってくる可能性は十分考えられますので、その際、医療現場に不要な混乱を生じさせないという意味からも、価格調整と費用対効果の価格への反映が同時に行えるような工夫等を検討していくべきだと考えます。

 以上、意見です。

○荒井部会長

 ありがとうございました。

 安部委員、お願いします。

○安部委員

 費用対効果評価を行う上で、やはりドラッグ・ラグ、デバイス・ラグにつながっては、イノベーションの確保等々、さまざまな議論と相入れないと思いますので、事務局の提案のように、一度、薬価、材料価格を設定し、保険適用した後から、市場規模などを見つつ、費用対効果の評価をすることが妥当かと思います。

○荒井部会長

 ありがとうございました。

 万代委員、お願いします。

○万代委員

 今回、事務局からお示しいただいた対象の選定等、評価結果の活用方法についての御提案については、大筋では私も合意するところでございます。

 ただ、6ページのスライドにただし書きがございます。その中で、市場規模が一定程度を超えない場合であっても、著しく高額な品目等についても対応するということで、この趣旨については賛成ではあります。ただし、特に保険医療材料等につきましては、費用対効果によって償還価格が一定程度審議されて抑えられるというような可能性もありまして、その場合のマーケットプライスとの差というものも問題になるかなということを、問題意識として持ってございます。もちろんマーケットプライスをこの中医協の場でどうこうということにはならないとは思いますけれども、結果としてマーケットプライスと償還価格との間で差が出て現場が混乱するということも十分にあり得ると考えますので、そこのところには丁寧に対応していくということも必要かと思います。もう少し具体的に申し上げれば、例えば現場が使いたいのに、なかなか価格の面で折り合わなくて使えないといったことも考えておく必要があるかと思ってございます。

 もう一つは、価格調整の方法ということで、これについても先ほど申し上げたように、おおむね賛成ではございますが、前回、アプレイザルのところでも申し上げましたように、ものの考え方が比較的、我が国の保険制度にとって新しい考え方ですので、こういった方法で費用対効果の導入をするということについては賛成ですが、しつこいようですけれども、やはり国民への周知ということも、ぜひ、事務局で丁寧に行っていただきたい。そのように思います。

 以上でございます。

○荒井部会長

 ありがとうございました。

 間宮委員、どうぞ。

○間宮委員

 価格調整の方法ですが、ラグを生じさせないというのは、これは患者側としても賛成するところでありますけれども、企業による分析及び再分析に1年以上を要しているというところが、ちょっとひっかかりました。実際、状況を見て1年以上かかっているということがわかっているとは思うのですけれども、今後の活用方法のイメージとして、データを作成するのを待つのは大体どれくらいの期間なのか、そこがちょっと気になっています。期限を切るのか、データがそろうまでいつまでも待つのか、そのあたりはちょっと気になるなと思いました。

 以上です。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 まず、試行的導入の状況ですが、これは昨年度、平成28 年度に開始したものでございまして、 28 年度4月に対象品目を選んでお示しして御了解いただいたものでございます。企業にとっては、そこからが準備ということでしたので、時間がかかったということがございます。

 そこから準備をということでしたので、1年と。これは、私どもとしては、このぐらいの目安でやってくださいということを申し上げて、おおむねそれに従ってやっていただけていると思っております。

 今後のことでございますけれども、このようにルール化してまいりますれば、企業のほうも事前の準備が整うようなこともあると思いますし、私どもも経験を積んでいけばアドバイスの確度も上がってくると思っておりますので、短縮される方向で行くだろうと思っておりますが、具体的にそれが何カ月というのは、まだちょっと申し上げられないということは御理解いただければと思います。

○荒井部会長

 幸野委員、お願いします。

○幸野委員

 意見と質問を申し上げたいと思います。

 まずは8ページの、費用対効果評価の結果を保険償還の可否判断に使用するかどうかという論点についてです。いろいろと御意見が出ていますが、当面の間は価格調整に用いるということで進めて、一定程度、この制度が定着した際に、例えば高額医薬品や高額な医療機器、それから高額な医療技術についての保険償還の可否判断に用いるという考えもあるかと思いますので、今の段階でこの考え方を排除しないほうが良いのではないかと思います。

 また、11 ページの新規収載品の費用対効果評価の結果の反映までの流れについてです。2ステップで価格を決めるということはやむを得ないとは思うのですが、我々としては、費用対効果の評価期間はなるべく短いほうがいいと考えています。保険収載の際に、この医薬品については費用対効果評価を行うという条件つきで収載されるので、眞鍋企画官が言われたように、企業にはデータ提出期限を設けて、なるべく短期間で行うということが必要だと思います。費用対効果評価の結果が出てからは速やかに価格に反映させるべきであり、年4回の薬価改定のタイミングに合わせて価格に反映させる仕組みが必要ではないかと思います。

 次に、6ページに関連して質問がございます。先般、骨太の方針が示され、この中で費用対効果評価については、「第三者的視点に立った透明性の高い組織・体制をはじめとするその実現のあり方を検討し、本年中に結論を得る」と明記されておりますが、この透明性の高い組織とは、何を指していると解釈すべきでしょうか。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 きょう、資料としては骨太の方針を御用意しておりませんが、今、幸野委員に読み上げていただいたような記載があることは我々も承知しておりまして、それはまさにこの費用対効果評価の体制を整備するための組織の体制整備というような文脈で書かれているものと承知しております。

○幸野委員

 評価の体制を拡大して、この費用対効果評価の規模をどんどん拡大していくというようにも捉えられるのですが、6ページにあるように、対象となる品目数は最初はそれほど多くなくても、体制を拡大し、対象品目数を増やしていくということになれば、それによって市場規模をどれぐらいにするのかということにも関連してくると思います。このように、組織体制の整備による対象品目数の拡大に応じて市場規模も検討していくとの考え方のもとに進めていくということでよろしいのでしょうか。また、最初はどれぐらいの市場規模とするのかについても、イメージがあれば教えていただきたいと思います。

○眞鍋医療課企画官

 6コマ目の真ん中の行、体制についてのお尋ねですが、まさに私どもが今言えることとしては、私どもは今、13 品目をやらせていただいておりますが、当然、これを踏まえて既収載品、それから新規収載品、一定の数を対象としなければいけないと思ってございます。そういう意味では体制をさらに充実させて、より多くの品目を対象とするということは、私どもとしては方針としてお示ししてよろしいかと思うのですが、具体的に目安というか、そういったものはまだ、今、私ども政府としても予算要求、組織要求の段階ですので、幾らぐらいというのも勘案しながら、また体制も勘案しながら、ここに関しましては決めさせていただきたいということで、今、目安というものを申し上げるのは困難であることを御理解いただければと思います。

○幸野委員

 骨太の方針では、本年中に結論を得るとされていますが、本年中に体制をどこまで整備させていくのかということと、それによって対象となる品目の市場規模も変わってくると思いますので、これらを同時並行で議論していくと理解してよろしいでしょうか。

○眞鍋医療課企画官

 はい、そのとおりです。

○幸野委員

 わかりました。

○荒井部会長

 松原謙二委員どうぞ。

○松原謙二委員

 今、保険者さんの委員が、これを償還の対象とするかどうかについても考えておくというようなことをおっしゃったのですが、世界の中で、非営利の保険者さんだけで運営していて、必要なものが全て適用できるのは日本国だけです。その結果として、国民の皆さんは給与の中から強制的にその費用を引かれるわけであります。

 そこのところから鑑みて、どのような治療も一応全ての人が、安全性・有効性があれば使えるのだと。このことこそが、非営利の保険者さんに全てを委ねている一番大きな要素であります。それをみずから外されるということをおっしゃると、営利のところに入らねばならないというところから、日本国の国民皆保険制度は崩れてまいります。十分にそこを踏まえた上で、採用はするけれども年に4回改定する機会があれば、データを見て、その費用が高過ぎれば安くすれば済む話です。有効性・安全性が確立されたら保険として採用されるという前提のもとに信頼されているということを、もう少し重く受けとめて考えていただきたいと思います。

 以上です。

○荒井部会長

 幸野委員、どうぞ。

○幸野委員

 私もすぐに保険償還の可否判断に用いるべきとは思っていないのですが、やはり一方で考えておかなければならないのは、これからの保険財政はもっと厳しくなるということです。そのような中で、高額な医薬品や医療機器、医療技術がどんどん出てきますが、こういった新しい評価制度ができたことを踏まえ、皆保険制度を維持していくためにも、費用対効果評価制度が定着した際には、保険償還の可否判断に用いることも考えられるのではないかという主旨で発言いたしました。

○荒井部会長

 松原謙二委員、どうぞ。

○松原謙二委員

 その旨を踏まえて、採用するけれども、データによって、費用を安くしていくという方法が一番いいと思います。対象にしないということになったときには、収入の多い人しか受けられない、あるいは別の保険に入らねばならないという話になり国民皆保険の根底が崩れますので、そこのところは十分に御理解いただいて、そして、財政に迷惑はかけないように、費用を安くするための武器として使うのがふさわしいと思います。

○荒井部会長

 加茂谷専門委員、お願いします。

○加茂谷専門委員

 価格調整を行うタイミングについて、年4回というお話がありました。タイミングについては、これからの議論と認識しているが、事務局に確認をさせていただきたいと思います。

○荒井部会長

 眞鍋企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 今回御提示しておりますのは、まずは適用し、その後、価格調整に用いることとしてはどうかということでございまして、実際にそれを私どもとして、どのタイミングでということは、今、事務的に詰めているところでございます。それは今後また案を御提示して御議論いただこうと思っております。

○荒井部会長

 上出専門委員、どうぞ。

○上出専門委員

 一点、質問をさせていただきたいと思います。本日の御説明、並びに議論の中で、新規収載品の対象要件や活用方法のイメージは大変クリアになったかと思っております。

 一方、既収載品についても対象にするということですので、既収載品についてどのようなものを対象としていくのか。6ページに示されている1、2をそのまま適用するのか、もしくは最下段にあります効能追加等によって市場拡大したものを対象とするのか、その辺についてお考えがあれば教えていただきたいと思います。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 資料の中で明確に書かせていただいていると承知しておりますが、まず、4ページ、5ページ、6ページでございます。除外する要件、対象とする要件、ともに「新規収載品及び既収載品とも」と書いてございますので、共通の基準を両方に適用する。新規収載、既収載、両方ともに適用するというようにお示しをしているところでございます。

○上出専門委員

 既収載品の中には、過去に収載になったものについては、この費用対効果評価のためのデータを取得するのが困難なものもあるかと思います。

 4ページ目の下段の脚注のところに、「既収載品とは、平成30 年3月 31 日以前の一定期間に」と書いてございますが、この「一定期間」について何かお考えがあれば教えていただきたいと思います。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 4ページの下の新規収載、そして既収載の、それぞれの定義についてのお尋ねでございますけれども、この「一定期間」につきましては、先ほどの「一定の額」などと同じことで、今後の体制も踏まえて私どもは検討したいと思ってございまして、ここに関しましても、今後、御提示したいと思っております。

○上出専門委員

 ありがとうございます。

○荒井部会長

 中村部会長代理、どうぞ。

○中村部会長代理

 確認というか、もしかしたら意見になるかもしれませんが、6ページ目の対象とする要件で、「革新性が高い品目」と「市場規模の大きな品目」の両方の要件を満たすということが基本になっていると思います。特に既収載品をイメージしているのですが、革新性は高くないけれども市場規模が大きな品目は対象としないという理解でしょうか。それとも柔軟に、革新性が高くなくても市場規模が大きな品目を対象とすることがあるのかどうかの確認をさせていただければと思います。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 まず、この費用対効果評価が導入される趣旨に鑑みますと、高額な医療機器や医薬品や医療技術が出てきている中で、こういう費用対効果評価を導入しましょうということに鑑みますと、まず、この1と2を、まずは導入のときには基本とするというように考えてございます。今の御指摘に関しましては、その後、制度が定着していく中で、あるいは今後の御議論だろうと思いますけれども、どのようなバリエーションがあるかというのはまた御検討いただくことになるのではないかと思っております。

○荒井部会長

 よろしいでしょうか。

 ほかに御意見等もないようでしたら、本件については、本日の御意見を踏まえ、御提案いただいた方向で事務局において検討を進めることとしてよろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○荒井部会長

 ありがとうございました。

 本日の議題は以上です。

 次回の日程につきましては、追って事務局より連絡しますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、本日の費用対効果評価専門部会はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

 

 

(了)
<照会先>

保険局医療課企画法令第1係

代表: 03-5253-1111(内線)3288

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