ホーム> 政策について> 審議会・研究会等> 医政局が実施する検討会等> 医師の働き方改革に関する検討会> 第4回医師の働き方改革に関する検討会 議事録(2017年11月10日)




2017年11月10日 第4回医師の働き方改革に関する検討会 議事録

○日時

平成29年11月10日
15:00~17:00


○場所

厚生労働省(中央合同庁舎第5号館)9階 省議室


○議事

○乗越医師・看護師等働き方改革推進官 それでは、定刻になりましたので、ただいまより第4回「医師の働き方改革に関する検討会」を開催します。

 構成員の皆様におかれましては、大変お忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。

 初めに、本日の御出欠について報告いたします。島田構成員、ハイ構成員から所用により御欠席との御連絡をいただいております。荒木構成員が所用により途中で御退席をされます。

 また、ハイ構成員の代理といたしまして、ハイズ株式会社医療戦略部長の田中利樹様に参考人として御出席いただくことにつき、お諮りしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(首肯する委員あり)

○乗越医師・看護師等働き方改革推進官 ありがとうございます。

 それでは、田中参考人、よろしくお願いいたします。

 続きまして、資料の確認をさせていただきます。議事次第の後に座席表、構成員名簿。資料1。資料2が1から4に分かれております。資料2-1と2-2が日本医師会の資料になります。間に参考資料が挟まれております。それから、資料2-3、全国医学部長病院長会議ヒアリング資料。資料2-4、四病院団体協議会ヒアリング資料。資料2-5、全国自治体病院協議会ヒアリング資料になっております。

 参考資料として、第3回検討会における主な意見。参考資料2といたしまして、8日に行われました中医協の資料として横断的事項その4、勤務環境改善についての議論が行われておりますので、その資料についての抜粋の資料がついております。

 不足する資料、乱丁、落丁ございましたら、事務局にお申しつけください。

 ここでカメラの方は退席をお願いいたします。

(報道関係者退室)

○乗越医師・看護師等働き方改革推進官 以降の議事運営につきましては座長にお願いをいたします。

 それでは、岩村座長、よろしくお願いいたします。

○岩村座長 それでは、早速議事を進めてまいりたいと存じます。

 本日の議題は、お手元の議事次第にございますように、「1.医療機関における勤務環境改善の取組について(ヒアリング等)」と「その他」ということになっております。

 前回に引き続きまして、本日は、医療機関における勤務環境改善の取り組みに関して認識を深めていくという目的で、ヒアリングを中心に進めてまいりたいと考えております。

 そこで、参考人といたしまして、公益社団法人全国自治体病院協議会会長の邉見先生にお越しいただいております。邉見先生、お忙しい中をまことにありがとうございます。

○邉見参考人

 よろしくお願いします。

○岩村座長 このほか、構成員の中から市川構成員、今村構成員、馬場構成員、山本構成員にそれぞれプレゼンテーションをお願いするということにしておりまして、御準備をいただいているところでございます。

 ヒアリングの参考となる資料を事務局のほうで用意していただいていますので、まずそれについての説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○花咲医療勤務環境改善推進室長 それでは、私のほうから資料1について御説明させていただきます。時間を確保します関係で非常に駆け足になりますが、その点御容赦ください。

 では、資料1をごらんください。おめくりいただきまして、1ページ目でございます。平成2610月施行の医療法に基づきまして、医療従事者の勤務環境改善に関する枠組みが規定されております。具体的には、真ん中の図にございますように、個別の医療機関内でPDCAサイクルを回して勤務環境改善に取り組んでいただくこと。都道府県には医療勤務環境改善支援センターを設置していただきまして、個別の医療機関等に対してその支援を行うことがスキームとして規定されております。

 勤務環境改善支援センターは、右にございますように、労務管理に関するアドバイザーと医業経営に関するアドバイザー、2種類のアドバイザーを併置しております。

 2ページ目につきましては、これまでの医療界において取り組まれてきた状況について御紹介しております。

 日本医師会の取り組みにつきましては、後ほど御紹介いただけると思います。

 続きまして、3ページ目でございます。基本的な考え方といたしまして、医療法が改正される際の医療部会の意見を御紹介しております。

 4ページ目につきましては、関係の条文をお示ししております。

 続きまして、5ページ目をごらんください。先ほど医療法に基づきましてPDCAサイクルを回していただくと申し上げましたが、そのPDCAサイクルの進め方につきまして、骨格部分として告示で指針を定めております。また、それでは十分なので、具体的な導入方法を示すためのものといたしまして、6ページ以下にございますような導入の手引きを定めております。

 7ページを飛ばしていただきまして、8ページ目でございます。ここで言う「勤務環境」は、今、この検討会で御議論いただいています長時間労働の削減といったテーマから、生活習慣病対策としての健康診断の受診率向上等、さまざまなメニューが念頭におかれております。

 9ページ以下をごらんください。医療機関における勤務環境改善の取り組み状況といたしまして、委託事業の中で実施しておりますアンケート調査の結果を御紹介いたします。平成28年7月から8月にかけて行わせていただいたものでございます。

10ページ目をごらんください。まず、医師の方々に対して行いましたアンケートの結果でございます。医師自身の認識といたしまして、労働時間の管理方法について聞きましたところ、「労働時間を管理していない」と答えられた方が16.2%となっております。

 右のグラフをごらんください。所定労働時間数等の認知のほか、一番下、時間外労働時間数の申告状況についても聞いております。「申告していない」とお答えになった方が4割強となっております。

 おめくりいただきまして、11ページでございます。申告しない理由についてもお伺いしております。一番上「自分の都合や、自分のこだわりのために残業したいから」が一番多く、以下「申告しても認められないことが多いから」等の理由が続いております。

 続きまして、12ページ以下は、病院に対して、取り組み状況の認識とか実際の取り組み状況についてお伺いしているものでございます。ここで1点お断りしておきたい点がございます。これは医療機関において医師に特化して何らか取り組んでいるかどうかを聞いたものではございません。医療機関内で全ての医療従事者に関しての取り組み状況なり認識についてお伺いしているものでございます。

 左の現状認識です。勤務環境改善自体が「重要な課題である」「やや重要な課題である」と認識されている病院が9割を超えています。ただ、一方で、1割弱で「重要な課題ではない」と捉えられております。

 右半分をごらんいただきまして、具体的な取り組みの状況です。「職種を問わず取り組んでいる」というのが、全体で見ますと6割弱。病床規模ごとに見ますと、大規模になるほど職種を問わず取り組んでいらっしゃる病院が増えてまいります。

 続きまして、13ページ以下をごらんください。具体的な項目ごとに取り組み状況を御紹介しています。まず、左に施設票と書かれた青いグラフと赤いグラフですけれども、青いグラフは病院における実施率を示しております。また、赤いグラフにつきましては、実施している病院の中で効果が高いと評価されている割合を示しております。

 下半分の医師票、緑のグラフは、みずからの勤務先で未実施ではあるが実施してもらいたいと思う割合を項目ごとに示しております。

 上の表に戻りまして、病院における実施率が高くて、かつ病院が効果も高いと認識していらっしゃる取り組みは、補助職の配置、休暇の取得促進、時間外労働の削減等となっております。

 一方で、医師が自分の勤務先で未実施であるが実施してほしいと考えていらっしゃる取り組みとしては、休暇の取得促進、当直明けの勤務者に対する配慮、夜勤等の処遇の充実等が挙げられております。

 続く14ページは、産業保健やワーク・ライフ・バランスに関する項目の取り組み状況について、お示ししたものでございます。衛生委員会の設置等は、規模によっては法定事項ということもあり、実施率が高くなっております。

 両立支援の取り組みに関して申し上げますと、院内保育所の整備につきましては、実施は45.7%となっておりますけれども、病院側の認識としては効果が高いと認識されております。この2ページを総じて申し上げますに、医師が勤務する病院で未実施であるが実施してほしいと考えていらっしゃる取り組みは、労働時間管理、勤務負担軽減に関するものが上位に挙げられているかと思います。

 続きまして、15ページ、16ページは、具体的な医療機関における医師の勤務負担軽減に関する取り組み事例をまとめたものでございます。15ページは、医師事務作業補助者の導入によって医師負担軽減を図った病院の事例でございます。

16ページは、交代制勤務の導入や当直翌日を休日にする等によりまして連続勤務時間を短縮するような取り組みをされた病院の例を御紹介しております。

17ページでは、各都道府県に設置されております医療勤務環境改善支援センターの実施体制を御紹介しております。

18ページにつきましては、設置形態、都道府県が直接やっていらっしゃるところもあれば、委託されているところもありますので、そういったものを御紹介しております。

19ページをごらんください。具体的な勤務環境改善支援センターの活動状況について御紹介しています。医療勤務環境改善支援センターの業務といたしましては、医療勤務環境改善マネジメントシステムの周知・啓発や、その導入・定着支援というものがございますが、左のグラフのとおり、「説明会・セミナー等の開催」というのは9割を超えておりますが、まだまだ具体的な医療機関への訪問という割合は低くなってしまっております。

 今後は周知に加えまして、個別の訪問支援や相談対応などを強化していく必要があるかと考えております。

20ページでは、全国のセンターの中から岐阜県の医療勤務環境改善支援センターの取り組みを御紹介しております。岐阜県の勤務環境改善支援センターでは、管内の医療機関全てを訪問するという計画を立てられて、実際に年間2030病院訪問されているとのことです。実際に訪問されたときに、勤務環境改善の意欲がある病院に対して、モデル病院になりませんかと声がけをして、実際に支援を行っているということでございます。

 具体的に支援センターの支援によって、医師も含めまして有給取得率が増加した病院の事例を右半分にお示ししております。

 駆け足になりましたが、以上です。

○岩村座長 ありがとうございました。

 それでは、続けて、ヒアリングに入りたいと存じます。今、事務局のほうから資料1の説明がありましたけれども、5名の方のお話を伺った後で、まとめて質疑の時間をとりたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

 それでは、まず市川構成員からお話を伺いたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○市川構成員 日本医師会の市川でございます。

 きょうは、日本医師会の働き方に関する取り組み、特に健康支援を中心にお話をさせていただきます。

PP

 これが日本医師会の組織、特に働き方に関する組織でございまして、一番左側の産業保健は、医師の健康支援を中心としたものであります。勤務医組織ということで、勤務医委員会は勤務医の勤務状況等に関する改善等を中心にする。女性医師支援は、後ほど今村構成員のほうからお話しさせていただきます。

 特に産業保健の真ん中のところにございます「平成20年度~27年度 勤務医の健康支援に関する検討委員会」をつくりまして、勤務医の健康に関する取り組みをやっております。

PP

 こちらが健康支援の検討委員会の1年目から8年までを表にしたものでございまして、2年目に第1回勤務医1万人アンケート調査を実施しました。3年目に職場環境ワーキングショップをスタートいたしまして、5年目に「勤務医の労務管理に関する分析・改善ツール」。これは後でお話しします。8年目には「勤務医の健康支援のための15のアクション」というものを行っております。

PP

 左側がアンケートの結果でございまして、睡眠時間6時間未満が41%。自宅待機、月に8回が20%。2人に1人が、休日、月に4日以下等、かなりハードな仕事を勤務医の先生がしているということがアンケートでわかりました。

 それに対しまして、右側にございますように、勤務医の健康を守る7カ条、医師が元気に働く7カ条は、皆様方のお手元の資料1、2をごらんいただきたいと思います。医師が元気に働く7カ条といたしまして、「睡眠時間を充分確保しよう」「週に1日は休日をとろう」「頑張りすぎないようにしよう」等、このような提案をしております。

 勤務医の健康を守る病院7カ条といたしましては、同じく1番から7番までございまして、「医師の休息が、医師のためにも患者のためにも大事と考える病院」。3番目「暴力や不当なクレームを予防したり、組織として対応する病院」「医療過誤に組織として対応する病院」、これで健康を病院として守っていこうということでございます。

PP

 これですね。

PP

 2番目の医師の分析・改善ツールというのがございます。

PP

 これは資料3をごらんいただきたいと思います。6ページ、7ページをごらんいただきますと、1番から7番までございまして、まず1番が労働時間管理に関する勤務医への周知ということで、2番目が労働時間の適正把握、これを各管理者の先生方がチェックいたしまして、右のページの一番下にございますように、チャートにやっていきます。作成方法といたしましては、1(マルイチ)各分野において「はい・該当しない」と回答した数を分析チャートにプロットし作成します。ですから、1番の労働時間管理に関する勤務医の周知で「はい」及び「該当しない」がそれぞれの部分である場合は、それを合計点数としてチャートにプロットしておきます。そして、管理者がどのくらい労働管理をしっかりしているかと。

 あと、実際に何が労働時間かということも書いてあります。11ページに労働時間の把握、労働基準法の労働時間とは何かという解説があります。これを見ながら実際にやっていただければということでございます。

PP

 これに関しまして、ワークショップをやりまして、最初の赤字のところを読んでいただきますと、労働管理分析・改善ツールの記入を実習のときにやりまして、その解析をおよそ60分間やります。その後に「ケーススタディの進め方」をして、全部で4時間半かけてやります。今まで27カ所で行いまして、約700名の産業医とか病院管理者の先生方に参加していただいております。

PP

 平成20年に行ったアンケートをもう一度平成27年に行っておりまして、青字の部分「当直日の平均睡眠時間4時間以下」が49%から39%、マイナス10%。「半年以内に不当なクレームを経験」が45%から37%ということで、減っております。

 それに対しまして、「主観的健康観」というのはほとんど変化がない。「自殺や死を毎週/毎日具体的に考える」も、5.7%から3.6%、変化があると考えてもいいのですけれども、まだ3.6%の方が思っている。「抑うつ症尺度QIDS中等度以上」ということがまだ6.5%ある。このようなところの改善をしなくてはいかぬということであります。

PP

 これが資料5でしたか、「勤務医の健康支援のための15のアクション」というものがございますが、これは何かといいますと、メンタルヘルス、自殺願望、労働生産性、勤務継続意思など4つのファクターを、これらをチェックすることによって出てくる。全部で15ございまして、そちらの項目というのは、アンケートを同時にやりまして、5番、採血、静脈のルート確保を医師以外が実施というのが多いのですけれども、下のほうのいわゆる女性医師への柔軟な勤務制度、復帰研修整備と、手術前の当直・オンコールの免除というものは、平成27年度の段階ではまだほとんどされていない。この辺のところが、先ほどお話ししましたメンタルヘルスとか労働生産性とか勤務の持続性などにも影響を及ぼしているのではないかということです。ですから、この辺のところの改善が今後も必要になってくるのではないかということでございます。

PP

 産業保健委員会は、国の働き方改革実行計画、平成29年3月に閣議決定される前から会長諮問、1年前に既に「医療機関における産業保健活動推進のための具体的方策-医療の質と安全の向上を目指して-」ということで諮問を頂いております。これは来年の3月にまとめられるということでございます。

 日本医師会といたしましては、事前に医師の働き方に関して、特に健康面に関しては注意を払っているということでございます。

PP

 これは、先ほどお話ししました勤務医委員会が毎年、全国医師会勤務医部会連絡協議会というのをやっております。そこで、ことしの1021日に北海道で行われたときに、「ほっかいどう宣言」といたしまして、医師の働き方改革の議論が、地域医療を守り、地域格差是正につながる仕組みの構築の上になされることを求める。勤務医が多様な働き方を選択・実現できるよう、世代間ギャップを相互に理解し、就労環境を改善する。医師としてのみずからの義務を自覚し、生きがいを感じながら働き続けられる環境の整備に努める。要するに、地域医療を守るために勤務医が健康で、仕事に生きがいを持てるような環境をつくってくださいということを、勤務医部会の勤務医の先生方がこういうふうに提案されているということでございます。

PP

 2番目といたしましては、労働時間短縮。勤務時間の新たな規制というものはどういうふうに及ぶか。

PP

29年9月から10月に、勤務医委員会が都道府県の担当理事へ全部で7項目ヒアリングを行っています。

 一番最初、救急医療への影響といたしましては、大学病院で派遣を制限せざるを得なくなる。2番目が、医師の確保の人件費が要って、病院の経営が苦しくなるのではないか。二次救急を担っている中小病院が多いのですが、そこが医師の労働短縮をしますと救急の縮小や閉鎖が行われ、基幹総合病院に集中して、負担が増すではないか。医師確保のために集約化が不可欠となって、医師や患者さんが一極集中するため、地域社会がそれによって耐えられるか。そういう意見がございます。

PP

 外来診療の縮小などの病院機能の低下といたしましては、やはり縮小せざるを得ないとか、手術とか検査、カンファレンスなどの業務のために、外来診療の縮小を余儀なくされる。

 日曜、平日の昼間に設定するために、夜間の外来が制限されるために、患者さんが昼間かなり来るのではないか。

 これがなかなか問題でして、高度医療への影響・長時間手術などは、途中で時間ですよと言って執刀医がかわってしまうことによって、医療安全上の危惧があるのではないか。

 高度医療を提供できる医師の数は限られているので、手術数が減少するのではないか。

 高度医療を担う医師は特化させる必要があるために、外来とか当直を免除する。ほかの部分に負担がかかるのではないか。

 患者数や手術数など診療できる範囲に制限がかかる可能性がある。

 最後には、時間短縮によって手術時間に影響を及ぼしますから、医療事故のリスクの増大が懸念されるのではないという危機感がございます。

PP

 僻地への影響も、中核病院が派遣を担っているのですけれども、医師派遣に支障が起きるのではないか。

 時間外の診療拒否が起きるため応召義務も問題が生じてしまう。地域医療の崩壊ということです。

 研修医が各病院に行っているのですが、研修医に対しても、特に教育等が制限される。ですから、研修医の質が低下するのではないか。

 特に研修医の先生というのは時間外の救急とか外来を診ることが多いものですから、数が減ってしまうと臨床能力が低下する。十分な研修時間がとれずに、研修医の質が低下する危険性があるということがございます。

 その他は、ちょっとおもしろいのですけれども、1番目の、研修後に時間外の拘束が少ないマイナー科に進む割合がふえているが、このことが地域医療崩壊に関連している。時間外労働の制限はこの現状によい影響をもたらすと考える。要するに、時間制限を入れることによってマイナー科に行かなくなるのではないか。これもなかなかおもしろい意見だと思います。

PP

 これは「医師の働き方改革検討会」、日本医師会が29年6月21日につくったのです。ここの委員会がつくられるということで、それに対して日医も何らかの対応をするということでつくったのです。会長諮問、「医師の勤務環境改善のための具体的な方策-地域医療体制を踏まえた勤務医の健康確保策を中心に-」ということで、要するに、地域医療を守ると同時に、勤務医の先生方の健康も確保していこうという話でございます。

PP

 まだ結論は出ていないのですが、骨子案といたしましては、「勤務医のワーク・ライフ・バランスの実現」「勤務医の労働安全衛生の充実(労働安全衛生法との関わり)「地域医療を守る」、この3つを同時に検討している最中。

 日本医師会といたしましては、医師の労働時間規制に関しましては、医師が労働者であるということが問題ではなくて、一番なのは医師が健康であること。自分のため、家族のため、そして同時に、目の前にいる患者さんに対して、健康でなければ、きちっとした対応ができない。その辺のところを中心に考えております。

 以上でございます。ありがとうございました。

○岩村座長 市川構成員、大変ありがとうございました。

 それでは、引き続きで恐縮でございますけれども、今村構成員からお話を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

○今村構成員 ありがとうございます。

 私は、女性医師支援センターのセンター長という立場でお話を申し上げたいと思います。

PP

 厚労省の委託事業として日本医師会が設置しております女性医師支援センターと日本医師会内の男女共同参画委員会が共同で女性医師の勤務環境の現況に関する調査というものを実施いたしまして、先ごろ結果をまとめましたので、本日はこの調査結果について御説明をさせていただきたいと思います。

 本調査は、女性医師支援センターが8年前にも実施したもので、今回8年ぶり、2回目の調査となります。

PP

 3ページをごらんください。対象は病院に勤務する女性医師ということで、2017年2月から3月で、有効回答数が1万373名ということになります。

PP

 これは全国の病院勤務医師の25%に当たります。大変多くの方から御回答いただけたことになります。なお、本調査は、女性医師の労働時間のみに着目したものではなくて、あくまで女性医師の支援という観点から、どのような課題があるかを総合的に調査したものであるということを御承知おきいただきたいと思います。

PP

 4ページをごらんください。回答者を年齢階級別に見ますと、一番多いのが30代。そして40代、50代です。若干20代の回答が少な目となっております。

PP

 5ページをごらんください。今回の調査では、子供の年齢を直接聞いていないために、便宜上小学生以下の子供が同居している場合を「子育て中」とし、中学生以上の子供が同居していると回答した方は「子育ての経験者」として分類をいたしております。この分類で子育て中の女性医師が全体の約3分の1を占めております。

PP

 6ページをごらんください。これは勤務先の機関規模でありますけれども、20代の方は研修医がほとんどということで、大規模な病院の勤務医が多い。年代が上がるにつれて中小規模の病院で働く医師がふえるという状況にあります。

PP

 7ページをごらんください。1週間の実働勤務時間数を40時間以内、40時間超、48時間超、そして60時間以上、65時間以上に区分をしています。週60時間以上というのは、月に換算しますと超過勤務が月85時間以上になり、この状況が2カ月以上続いた場合に、いわゆる過労死ラインに当たるわけです。また、週65時間以上は、月換算で100時間超えになり、これが1カ月あれば、自動的に過労死と認定されるラインとなります。

 今回の調査を見る限り、20代、30代を中心にかなりの長時間勤務があります。また、50代、60代になりましても半数またはそれ以上の方がかなり長時間勤務をされているという実態が明らかになっています。

PP

 8ページをごらんください。宿日直・オンコールを年齢階級別に見ますと、20代では研修医が多いということもあり、宿日直・オンコールがないところで働いている方は極めて少ない。3~4回、5~6回とかなり数をこなしていらっしゃる医師が大勢いらっしゃいます。

PP

 9ページをごらんください。1週間の実勤務時間数を診療科別に見ると、診療科によって状況がかなり異なっており、外科、脳神経外科、泌尿器科といった外科系の診療科でどちらかというと長時間勤務者が多い。特に救急科はいわゆる過労死ラインと言われる時間数を超えた医師の割合がかなり多くなっております。

PP

10ページをごらんください。宿日直・オンコール。前回の調査はここを分けておりませんので、今回もこれは一緒に上げております。この回数につきましては、救急科は特殊かもしれませんけれども、産婦人科においては月5回か6回、ないし7回以上という方がかなり多い状況で、勤務環境、働き方は非常に厳しいということがわかります。

PP

11ページをごらんください。通常、宿直は大半の時間眠ることができて、何かあった場合には起きて対応するというものですが、しかし、医師の場合には、宿直と言いながらほとんど夜間勤務をしている場合が多い。しかも、宿直の翌日の勤務体制は通常勤務というのが圧倒的に多いという状況にあります。

 こういった中で、半数以上が宿直の翌日に仮眠、半日あるいは1日休みが比較的とれている診療科が麻酔科。また、救急科や小児科においてはも半日あるいは1日休みがとれたりという回答が一定の割合でございました。

PP

12ページをごらんください。コンビニで一人で勤務するのを「ワンオペ」と言っているそうですけれども、それに近い状況で、家庭内で夫と同居しないで子供を育てている方の割合は全体で13%あります。小学生を子育て中の女性医師では18%に上っている。子育て環境としてもかなり厳しい中で激務をこなしていることがわかります。

PP

13ページをごらんください。子育て中に問題になる状況が2つあります。一つは子供が例えば熱を出したときのような子供の緊急時の対応です。調査結果からは、本人が休暇をとってというのがおおむね半分となっておりますが、かなり親や親族を頼っているという状況です。子育て経験者では、かつては御本人が休みをとることは難しかったのか、親に預けるというのが一番多かったという結果です。

PP

14ページをごらんください。もう一つの問題は、患者さんや病院の状況で緊急に呼び出された場合の対応についてです。緊急呼び出しに対しては、断るか、ほかの先生に頼むという方もかなりの率に上っていますが、子供の緊急時と違って、緊急呼び出しの場合には、夫や親に子供を任せて緊急対応を頑張っているということのようです。

PP

15ページをごらんください。仕事を続けるために職場でどんなことが必要かということを複数回答で聞いた結果を見ますと、宿日直の免除、医師の増員、時間外勤務の免除、そして主治医制の見直し、代診医師派遣制度、二交代勤務制度といった勤務環境の見直しに関する要望がいろいろ出ております。

PP

 一方で、保育の環境から仕事を続けるために何が必要かということでは、病児保育を挙げられた方が一番多く、そして保育施設、男性の家事・育児参加、学童保育といったような順番で並んでいます。

 なお、昨今重要視されておりますタスク・シフトでございますけれども、回答の各選択肢は、平成21年調査を踏襲した都合上、タスク・シフトに関係する項目が選択肢になかったということによるものと思われます。この点は御了承いただければと思います。

PP

17ページです。女性医師の割合はますます高まっております。今後さらにその割合が高まることが予想されます。出産・育児のみならず、医師業務との両立、キャリア形成確保のための支援も大変重要であると思っております。

PP

19ページですが、今回の調査は病院勤務医だけを対象としておりますけれども、研究者、また、診療所勤務の女性医師など、この調査対象を広げることも必要なのかもしれないと考えております。

 今回の調査結果も医師の働き方の見直しの参考にしていただければと考えております。

PP

 最後のページになります。報告書、きょうお手元に冊子を置いておりますし、また、PDFファイル、女性医師支援センターのホームページから取得できますので、ぜひともごらんいただければと思います。

 どうも御清聴ありがとうございました。

○岩村座長 今村構成員、大変ありがとうございました。

 それでは、続きまして、山本構成員にお話をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○山本構成員 ありがとうございます。

 全国医学部長病院長会議では、医師の勤務環境改善策の取り組み状況についての緊急調査を行いましたので、その結果を御報告申し上げます。

PP

80の大学病院が加盟しておりますが、73の大学病院から回答を得てございます。

PP

 全ての施設は500床以上であるし、75%の病院は三次の救急告示病院でございます。

PP

 体制でございますが、36協定を締結していない施設は13.7%であります。労基法上の宿日直勤務の許可申請を行わず宿日直勤務しているところが8.2%。労働時間の管理方法でありますが、ICカード等客観的な方法で管理しているのは11%にすぎません。

PP

 これはちょっと不思議なのですが、衛生管理者を選任していない、あるいは衛生委員会を設置していない施設が2.7%とございますが、これは多分間違いではないかと思います。学校法人か国立大学病院でありますので、全てにある。ここはちょっと調査が必要かと思います。しかしながら、衛生委員会をやってはいるものの、医師の長時間労働を議題としたことは半分の施設でしかない。半分の施設では、ほかの職種は議論するけれども、医師については議論していないというところでございます。

PP

 労働条件でありますが、半数近くのところで専門業務型裁量労働制の医師を雇用しています。これは全員がというわけではなくて、そういう医師が存在するということであります。また、7割近い病院では変形労働制も採用しているというところでございます。

PP

 1回の勤務当たりの最長連続労働時間を定めているのは9.6%にすぎません。また、勤務時間短縮に向けて働きかけをしている内容でありますが、声かけが50%というところです。それから、当直明けに何らかの勤務の配慮を行っているところは37%。週当たり当直上限回数を定めている施設も4割弱。これは私自身、驚きでございます。

PP

 主治医体制でありますが、入院診療は原則複数主治医制をとっているところが半数近くであります。26%のところでは完全主治医制でありますけれども、一部の診療科で複数主治医制をとっている。

 夜間急変時、あるいは時間外・休日における御家族への説明、みとり対応などにつきまして、これを当直医が行っているというところは、夜間急変については半数以上のところが行っていますが、休日の御家族への説明とかみとり対応というのは、3割ぐらいの施設で当直医が行っている。残りは担当医が出てきて対応しているということだと思います。

 7割の施設では外来診療、一般外来患者をとにかく減らす方向で取り組みをしている。3割のところでは、減らすと経営に影響があると考えるのか、行っていないということであります。

PP

10ページでございます。土曜日の一般外来の取りやめを実施済みの施設は9.6%。国立大学病院は、もともと土曜日はやっていないというところがございます。

 午後及び夜の一般外来の取りやめを実施済みの施設は、それぞれ1.4%というところでございます。

PP

11ページはハード面での整備でありますが、8割の病院では敷地内に寮あるいは職員住宅が整備されている。敷地がかなり余裕があるということが背景にあるかと思います。

 一方で、十分な休養がとれる仮眠室があるのは15.1%ですし、また、医師がいつでも預けられる24時間保育が院内あるいは近隣にあるのは1割程度という数字でございます。

PP

12番であります。ここが大学病院の特徴でございまして、医師の出席義務のある委員会の数、大体平均で67会議、平均回数は年間356回、時間は52.8分ということです。会議の開催方法見直しは17.8%で、その検討も4割ぐらいでやっております。私のところでも3年前に3割減らしましたけれども、3年間でまたもとに戻っておりますので、もう一回3割減らそうということを今、言っている最中。厚労省あるいは文科省からのご指導が入るたびに委員会がまたふえるということがございます。

PP

 短時間勤務医師の雇用については、半数の病院では雇用しておりますし、また、女性医師について短時間勤務で雇用しているのは、9割で行っているというところであります。

 ベテラン医師に本来免除されている当直や救急等に従事するように業務変更、年寄りも担ぎ出しているところは約2割、検討中も入れると4分の1の施設になるというところでございます。

PP

14ページは、医師との業務分担でございますが、3割、3分の1の施設で特定看護師が勤務しております。また、医師事務作業補助者は7割のところ。この間の診療報酬改定で大学病院にもようやく医師事務作業補助の加算がつきましたので、今、急速に広がっているというところでございます。外来配置の医師事務作業補助は8割に及ぶというところでございます。

PP

 看護師が行っている業務でありますが、点滴の実施、静脈ラインの確保、尿道カテーテルの留置及び静脈注射の実施は、原則実施が大体5割から65.8%。一部のみ実施というのを入れますと85%になります。

PP

16ページです。一方で、特定行為についてでございますが、左側は看護師全体が行っている業務、右側は特定看護師がいる病院に限定した場合でありますけれども、どちらの場合も特定行為について原則実施としている施設はほとんどありません。

 また、特定看護師を採用している施設においても、特定行為を原則実施あるいは一部のみ実施としている合計の実施率は、おおむね30%以下という数字でございます。

PP

17ページは医師事務作業補助者のことであります。73施設中67施設で医師事務作業補助者を配置しておりますし、業務の内容としては、診断書あるいは保険会社からの診断書、あるいは主治医意見書の代筆及び代行入力などが行われているところでございます。

PP

18ページは、その他の職種、医師との業務分担ということでありますけれども、処方薬の説明・服薬指導などは原則医師以外のその他の職種が実施している施設は65.8%。半数以上の施設で集中治療科等によるICU等の重症患者の24時間管理を原則実施しているところが半数ぐらいございます。ICUで集中治療科の医師が管理するというところでございます。

PP

 そのほかの効率的な医療提供体制に向けた取り組みでありますが、タブレット等を用いた予診の実施が大体4割。そのほか、診断支援ソフトウエア、あるいは遠隔画像診断システムの導入というのは、導入検討中というところを合わせると半分ぐらいになるだろうということで、この辺の取り組みについては比較的進んでいるという状況でございます。

PP

 さて、勤務環境改善策の効果でありますが、勤務改善策を実施している施設で実際に短縮されたあるいは効果は限定的というのを含めて、何らかの効果があったという施設は8割弱。一方で、勤務改善策により医師の勤務時間が短縮しないと回答した施設は12.3%ございます。

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21ページ以降に今後に向けてということですが、36協定の締結や断続的な宿直または日直勤務の許可申請が必要な施設については、適切な対応を徹底していきたいと考えているところでございます。

 また、大学病院の医師は、教育・研究・診療が一体となった働き方であることが特徴でございます。そういうこともあって、専門業務型裁量労働制の医師を雇用する施設も半数程度ございます。

 こういうことがあるので労働時間管理がなかなか難しいということで、ICカード等の客観的な記録を行っているところは1割強にすぎない。

 また、短時間勤務等の女性医師を雇用しているところは9割を超えておりますので、これは引き続き取り組みを進めていきたいと考えております。

 看護師への業務移管でありますけれども、点滴の実施あるいは静脈ラインの確保などの原則実施の割合というのは5割から65%ということで、決して高くありません。したがって、タスク・シフティングの余地がまだまだかなりあるのではないかと考えられます。

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 特定看護師が勤務しているところは32.9%であります。また、特定看護師の勤務している施設にもかかわらず、ドレーンの抜去等については、原則実施と一部のみ実施を合わせても4.2%にすぎないという数字であります。引き続いてタスク・シフティングを進めていくと同時に、この点については行政の御支援もお願いしたいというところでございます。

 先ほど申し上げましたように、非常に会議が多いというのが大学病院の特徴であります。我々も必死に見直しをしているところですが、なかなか大変というところがございます。

 医師事務作業補助者については、おかげさまで進んでおりますので、これは充実させたいというところです。

 とにかく外来患者数は減らしていきたいというところ。これも各病院が取り組んでいます。

 タブレット等を用いた予診等の実施も40%以上、あるいは診断支援ソフトウエア、あるいは遠隔画像診断システムの導入も進めていきたいと考えているところでございます。

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23ページは、私どもの希望も書いてございますが、勤務改善策を実施しても医師の勤務時間がなかなか改善しないというところが12%ございます。勤務環境改善によって勤務時間の短縮はそれなりに可能であるということが示されたのではないかと思います。

 繰り返しになりますけれども、大学病院の医師というのは、教育と研究、診療というのがモザイクと書いてありますが、どちらかというと紙の裏表のような状態にありますので、切り分けというのは非常に困難だと思います。そのような働き方の特性を十分に御配慮いただきたいというところであります。

 そして、大学病院の意思というのは、安月給でも大学で一生懸命仕事をする、半ばちょっとあほみたいなやつらでございますが、意欲を持ってやっていますので、ぜひその意欲に応えられるような体制を御考慮いただきたいというところであります。

 医師事務作業補助については診療報酬で御配慮いただいたところでございますけれども、他職種へのタスク・シフティングがまだ十分でありませんので、その辺、国からも制度的あるいは財政的な御支援をしていただきたいというお願いでございます。

 以上でございます。ありがとうございます。

○岩村座長 山本構成員、大変ありがとうございました。

 それでは、続きまして、馬場構成員にお話をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○馬場構成員 馬場でございます。

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 それでは、四病院団体協議会の医師の勤務環境改善策の取り組み状況についての緊急調査の結果について、御報告させていただきます。

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 今、山本構成員からAJMCの調査の報告がありましたけれども、同様の調査を四病院団体協議会でも行いました。四病院団体協議会は、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会、日本精神科病院協会、この4つからなりまして、5,118の施設へ発送させていただきました。回収数が639施設で、回収率が12.5%。調査内容は、基本属性、勤務環境改善策の取り組み状況、勤務環境改善策の効果といったものについて調べております。

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 4ページは回答施設の属性ですけれども、設置主体につきましては、医療法人、市町村等から広く回答を得ております。医療法人が約半数ということになっております。

 病床の規模は、小さい病院から大きい病院まで、2049というところから、1,000床以上というところまで広く回答を得ております。救急告示病院ですけれども、過半数を占めております。

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 5ページ目は、勤務環境改善の状況。労働条件、体制・システムについてですが、36協定を締結していない施設が14.9%、36協定を締結しているが特別条項を締結していない施設が34.0%ございました。特別条項ありの場合は、上限時間は比較的長い時間になっている。労基法上の宿日直勤務の許可申請を行わず、宿日直勤務としている施設が19.2%ございました。労働時間管理方法で、ICカード等客観的な方法で記録を行っている施設は34.3%でございました。

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 6ページは、労働衛生管理、体制・システムについてですけれども、常時使用する労働者が50人以上で、衛生管理者を選任していない施設、あるいは衛生委員会を設置していない施設、こういったものが4.4%ございました。

 過去1年間の衛生委員会等で医師の長時間労働を議題としたことがない施設が69.0%に上りました。産業医の選任状況とかはほぼ100%に近い数字ですし、産業医を選任している場合は院長以外ということで、健康診断、ストレスチェックについてもほぼ全ての施設で行われているという状況でございます。

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 労働条件、体制・システムということで、7ページになります。こちらのほうでは診療科、雇用形態等による勤務実態の差異を踏まえて、異なる36協定を締結している施設は4.7%にすぎませんでした。

 就業規則等の定めで勤務時間の繰り上げ・繰り下げを行っている施設が9.1%、変形労働制を採用している病院が12.8%、フレックスタイム制は、わずか1.9%ということでございます。

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 8ページです。続きになりますが、1回の勤務当たりの最長連続労働時間を定めている施設が8.6%、インターバルを定めている施設が3.8%、勤務時間短縮に向けまして病院から早く帰宅する積極的に促している施設が10.2%、声かけしている施設が33.5%で、合計43.7%に上ります。当直明けに何らかの勤務の配慮を行っている施設が54.1%ということでございます。

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 9ページです。入院診療あるいは外来診療の体制について調べておりますが、入院診療におきましては、原則複数主治医制をとっている施設が13.6%、原則完全主治医制だが一部の診療科で複数主治医制をとっている施設が27.9%ということでございます。

 主治医のかわりに夜間に当直医が夜間急変時の対応を行っている病院が64.5%。時間外、休日における御家族への説明を行っている病院が50.5%。みとり対応を当直医が行っている施設が59.2%。やはり御家族への説明という部分においてはなかなか主治医のかわりをしにくいというところがあるみたいです。

 外来診療では、一般外来患者を減らす取り組みを行っている施設が26.0%でございますし、初診時の選定療養費の設定を行っている病院が32.7%ということでございます。

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10ページは外来の状況ですけれども、土曜日の一般外来の取りやめを実施済みの施設が10.6%。今後実施予定が1.9%。

 午後の一般外来の取りやめを実施済みの施設が9.1%。今後実施予定が0.8%。

 夜診あるいは夕診の一般外来の取りやめを実施済みの施設が6.1%。今後実施予定が0.5%ということでございます。

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11ページのほうはハード設備でございます。病院敷地内や近隣に寮・職員住宅が整備されている施設が52.1%。

 十分な休養がとれる当直以外の仮眠室が院内にあるのが27.2%でございますが、十分ではないがあるというのを加えますと64.0%になります。

 医師がいつでも預けられる24時間保育所が院内や近隣にあるのは、それぞれ18%、10.8%ということになっております。

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12ページは、院内各種委員会、会議ということで、大学病院ほどではありませんので、会議数が平均21。開催回数が平均154.3回、開催時間は平均41.1分です。それでも年間100時間がこれにとられている。

 会議の開催方法を見直した施設が11.4%、検討中は23.9%なのですけれども、これらの会議は診療報酬で縛りがあったり、あるいは医療の質を担保するため、あるいはチーム医療を推進するためということで、どんどんふえていっても、なかなか減らないというのが現状です。

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13ページからはタスク・シェアリング、タスク・シフティングに関する取り組みについてまとめております。短時間勤務の医師を雇用している施設が32.6%。雇用したいが該当者がいないというのが13.9%。短時間等による女性医師を雇用している施設が38.7%。雇用したいが該当者がいないが17.2%。ベテラン医師に本来免除されている当直や救急等に従事するように業務変更を行った施設が21.1%ございます。

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14ページは、医師と業務分担を行う職種ということのまとめになっております。特定行為を行います特定看護師のほうが勤務している施設は8.5%にすぎませんでした。増員希望の施設は33.7%ありますので、今後増加してくることは期待できるかと思っております。

 病棟配置の医師事務作業補助者が勤務している施設が30.5%、外来配置の医師事務作業補助者が勤務している施設が54.3%。これは診療報酬上で医師事務作業補助者は医師の補助以外はしてはならないという決まりになっておりますので、なかなか病棟配置のほうは外来配置に比べて困難という状況になっております。

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15ページは、看護師等が行っている業務についてです。こちらのほうは比較的軽微な医療行為、点滴の実施、静脈ラインの確保、尿道カテーテルの留置、静脈注射の実施などについてまとめられておりますが、原則実施の割合が72.184%。一部のみ実施を加えますと90%以上になりますが、逆に言いますと、これらの施設しかこれらの軽微なやつでもまだ進んでいないということも言えるかもしれません。特定看護師が勤務している病院ではこれ以上にタスク・シフティングが進んでいる場合が多いということが言えます。

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16ページは、特定行為についてまとめられております。特定行為につきましては、タスク・シェアリングが行われているのが、原則実施はおおむね10%以下ですが、特定看護師を採用している施設、先ほど申し上げましたように少ないのですけれども、こちらのほうの施設におきましては、特定行為の原則実施、一部のみ実施の合計の実施率は1550%ぐらいということで、特定看護師を採用することで医師の業務が減少するということは言えるのかなと思っております。

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17ページは、医師事務作業補助者が行っている業務です。代表的な業務として診断書を代筆してもらう、あるいは民間保険会社からの診断書を代筆してもらう、あるいは介護保険の主治医意見書のほうを代筆もしくは代行入力してもらうということですけれども、全体で見ましても6割強の病院でこれらの業務が実施されておりますし、医師事務作業補助者を配置している病院に限りますと、約9割の施設でこちらのことが実施されております。

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18ページは、その他の職種あるいは医師間のタスク・シェアリングということで、処方薬の説明・服薬指導は、原則医師以外のその他職種が実施している施設が55.2%。

 集中治療科等によるICU等の重症患者の24時間管理を原則実施している施設は7.7%。これは集中治療科の医師がそもそも少ないということによるものだろうと思います。

PP

19ページは、各種システムです。タブレット等を用いた予診等の実施、あるいは電子署名システムの導入等ですけれども、こちらのほうの取り組みも一定程度はあるということが言えるかと思います。

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 勤務環境改善策の効果でございますけれども、勤務改善策により医師の勤務時間が短縮せずと回答した施設が7.5%。短縮された、あるいは効果が限定的とかを含めまして、何らかの効果があったとする施設が64.5%。勤務改善策をさらに実施する予定がないと回答したが施設が21.9%。そのうちさらに実施できない理由が、改善効果が少ないと見込まれるが59.3%。経営的メリットが少ないが33.6%でございました。

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 まとめになります。36協定自体を締結していない施設が15%、特別条項を締結していない施設は34%に上ります。これは病院団体としても、協定等の締結が必要な医療機関。もちろん必要でなくて締結していないものもあるかもしれませんけれども、締結が必要な医療機関につきましては、責任を持って実施を徹底していきたいと考えています。

 宿日直勤務につきましては、労働基準法上の許可申請を行わず、宿日直勤務として対応している医療機関が一部ありますが、これは今の一般的な医療機関の宿日直の実態と現在の労働基準法の宿日直基準が余りにもかけ離れていることがその一因であると考えております。救急対応などを行っている医療機関の宿日直の実態に合った宿日直の仕組みが必要なのではないかと考えております。もし宿日直勤務、拘束時間全てを労働時間として計算するのであれば、それでも医療提供体制維持が可能な労働時間上限設定をしなければ地域医療が崩壊すると思います。非常に厳しい昭和24年に決められた労働基準法上の宿日直基準と、それから全てを超過勤務として扱うというものの中間に当たるような新しい宿日直勤務の類型、そういったものも考えていかなければならないのではないかと考えております。

 診療科の差異を考慮した36協定の締結、就業規則や労働協約の定めによる診療時間の繰り上げ・繰り下げ、変形労働制による医師の雇用、1回の勤務当たり最長連続労働時間の定め、インターバルの定め、当直明けの配慮、週当たり当直上限回数の定め、病院から早期帰宅の促し等、よい取り組みに関しましては、病院団体といたしまして、ほかの施設にも普及させていきたいと思っています。

PP

 短時間等による女性医師を雇用している施設が38.7%、雇用したいが該当者がいないが17.2%でありまして、病院団体といたしましても、出産・子育て期間の女性医師への配慮として、短時間勤務等による女性医師の雇用をさらに進めていく必要があると考えています。

 点滴や静脈ラインの確保など軽微な医療行為につきましては、看護師がおおむね実施しているということが示されました。こういった行為につきましては、医師の負担軽減を推進する観点から、一層タスク・シフトを進めていきたいと考えております。

 特定行為業務を特定看護師が実施している施設は一部に限られておりますが、特定看護師のいる病院におきましては、ある程度タスク・シフティングが進んでいるということが言えます。また、軽微な医療行為につきましても、特定看護師がいる施設のほうがタスク・シフトが進んでいるということが言われています。ただし、特定看護師のいる施設の割合が8.5%にすぎませんので、今後これを広げていくためには行政の支援が必要だと考えています。

PP

 医師事務作業補助者が勤務している施設におきましては、約9割で診断書の代筆等が実施されております。医師事務作業に関してはタスク・シフトがかなり進んでいるとしておりますが、他の施設に広げていくためには、診療報酬の拡充などの行政の支援が必要だと考えています。

 土曜日の外来、午後の外来、あるいは夜診・夕診、今後こういったものの取りやめが10%程度の施設であると思われます。今後医師の時間外労働の上限規制が行われると、一般診療が縮小されまして、地域医療提供体制の維持が困難になることが懸念されます。

 経営上のメリットがない、労働時間削減の改善効果が少ないとの認識が、勤務環境改善策が普及しない要因となっておる部分もありますので、病院団体といたしまして、好事例を積極的に広報していきたいと思っております。

 以上です。

○岩村座長 ありがとうございました。

 それでは、最後になりますけれども、邉見参考人にお話をいただきたいと思います。

○邉見参考人 全国自治体病院協議会の邉見でございます。お時間をいただきまして、ありがとうございます。

 今までの4人の方は働き方改革まで突っ込んでお話しされましたが、私たちは、いろんな地方にもありまして、現状を調べたいということでアンケート調査をした、その結果だけなので、ちょっと突っ込みが少ないかと思いますけれども、現状を知っていただきたいということで、お話しさせていただきます。

PP

 実は私、20世紀の後半の医療審議会というのも出ていまして、2001年に厚生省と労働省が一緒になると、それで医師の働き方、この問題は解決するのではないかと思いましたけれども、17年間、厚生労働省が合併してもこの問題は解決していないということに非常に不満を持っておりました。というのは、この問題は何年かに1回、太陽の黒点運動と連動するがごとく問題になって、いつも解決できずに行ってしまっていたのです。だから、今回こそ最後のチャンスではないかと思いますので、よろしくお願いいたします。

 我々自治体病院というのは、23区内にあります都立病院もありますが、北は利尻島、稚内市立病院、南は八重山群島、石垣島の沖縄県立八重山病院、それから対馬海峡の50キロ向こうは朝鮮半島という対馬にもありますし、お産ができなくなって有名な隠岐の島にもあります。

PP

 全病院数は8,400ぐらいですが、自治体病院はその11%、931施設ございます。都道府県立あるいは市町村立、あるいは小さいところが寄って病院組合をつくった組合立も入れまして931です。ベッド数は、日本全土では156万ありますけれども、我々のところは大型の病院が多いということもありまして、ベッドは22万床余りということでございます。

PP

 これはどんなことをやっているかと。十数%の病床数で一番やっているのが僻地です。僻地医療拠点病院というのが62%。これはパーセントでございます。第一種、第二種が59%、49%。やはり感染症です。SARSがはやったとき、近畿地方が中心にはやりましたけれども、神戸中央市民病院あるいは兵庫県立尼崎病院などはSARSを積極的に入れて、周りの病床を閉めて、経営が悪くなったということもございます。それから、がんとか周産期、あるいは救急、もう一つ大きいのは、災害拠点病院が50%ぐらいございます。

PP

 医師の働き方改革は、我々の仲間であります新潟市民病院の不幸な事例もありまして、あるいは大きな病院、神戸中央市民病院とか静岡市民病院、沖縄県立病院、岩手県立中央病院等が労働基準局の監査に入られましたので、我々も早く改善しないといかぬのではないかということで、現状を調べるためにアンケートを7月、8月、お盆前ぐらいまでに終わりました。

879会員病院に出しまして、回答数は49.7%、437病院でございます。目的は、時間外労働の実態と、もし他の業界と同じような時間外労働規制が適用された場合に診療体制がどうなるでしょうかということをお聞きしました。結論としましては、医療提供体制の縮小等による患者サービスの低下など地域医療の崩壊を招く可能性があるということを危惧する声が多く寄せられました。

PP

 これがバックグラウンドです。49.7%の各病床数。500床以上の病床が一番多く回答していますし、99床以下は少ない。事務局が少ないとか、医師も忙しい、それから今までアンケート地獄だと。やっても何もしてくれないではないかと怒って、私に直接電話をかけてくる人もおりました。

PP

 初期臨床研修医が時間外勤務手当を支給されたのを時間外としておるのです。だから、手当で行っているやつはだめなのです。これが今回しまったなと後で思っているのですけれども、当直という考えで手当を出しているところと時間外としておるところが全然違いますので、全体としてはおかしいかもわかりませんが、やはり大きいところほど仕事が多いという感じにはなっています。

 ただ、後で出てきますように、小さいところは、研修医は違いますけれども、中堅医師を皆、管理職にしてしまっているので、時間外手当を出していないというところもございます。ただ、大きい病院ほど業務がいろいろあるということだと思います。研修医はこういうふうになっています。

PP

 これが非管理職医師。多分ここが一番中堅どころで、若い人は研修医ですが、一番上のほうは管理職の医師になっていますので、中堅の働きどころも、1カ月平均34.8時間、あるいは最長はどれぐらいかといいますと、75.9時間ということで、60時間を超えております。

PP

 これが時間外勤務の時間数別の医師数の割合ということですが、このように非管理職医師のほうは、28.3%が60時間以上、初期研修医は15.1%が60%。ただ、100時間以上の人は3%と6%余りございます。

PP

 どんな科が多いかといいますと、これは意外だと思ったのですけれども、3つとも整形外科になっています。今、老人が多くなって、夜に家庭内で転んで骨折とか、そういうのがふえているのというのが一つ。それから老人人口が多くなりまして、外来患者の主訴が肩凝り、腰痛、膝痛、あるいはリウマチみたいな全身痛とかありまして、整形外科の需要が物すごくふえている。

 もう一つは訴訟対策です。夜、何かあって、レントゲン写真を撮って、当直医が内科の場合は、一応訴訟回避のために整形外科を呼んで、骨折があるかないかを診てもらうというところが非常に多くなっています。訴訟社会が田舎のほうにも来ている、中小病院にも来ているということかもわかりません。

PP

 常勤医師に占める管理職は、やはり小さいところが多くて、赤いのがそうなのですけれども、99床以下は4割近くが管理職になっているということで、100床以上の病院は13%ぐらい。

PP

 平均当直ですけれども、初期研修医は大体3.4回になっています。

PP

 オンコールは、非管理職の当直が4.6、オンコールが5.6で、働き盛りの人は大体月10回ぐらい自治体病院では拘束があるということになっております。

PP

 これは夜間・休日の緊急対応がどういうふうになるかといいますと、真ん中の赤いところ、当直や待機・オンコール、院内の当直か院内待機が5割以上というところ。ベッド数に関係なく、ほとんどがこのような状況になっております。

PP

 夜間・休日の緊急対応に管理職医師はどうしているかといいますと、これも先ほどとほとんど変わりません。院内当直か院内待機でございます。

PP

 夜間に入院患者が急変した場合、主治医で対応するか、当直で対応するか。これもちょっと意外だったのですが、当直医が対応しておるところが多い。これは臨終を含んでおりません。主治医が意外と少なかった。

PP

 臨終の場合は、主治医が青いところですが、大きい病院は主治医体制がしっかりしているのか、5割近くが主治医が臨終に立ち会うということでございます。小さいところは、当直の人もやっている。院内におられる方が対応しているというところが多いようです。

PP

 もし労基法の範囲内で稼働させた場合に、アンケートよりもこちらのほうが本当の声が聞こえるのかなと思って出させていただきました。救急患者の受入体制が心配になるとか、診療所にダウンサイジングしなくてはいけない。200床以下ですから。二次救急を縮小するとか、在宅訪問診療を減らすとか、一次救急を取り下げるとか、急性期から慢性期へ変更しないといけないとか、病床数を減らしたり、外来数を減らしたり、夜間・休日の当直を次の日休みにした場合には、外来や入院患者の規模を縮小しないといけない。

PP

 次のページは、医師の増員をしないといけないというのがかなりのところにあります。今の診療を守るためには医師を何人かふやすとか、あるいは手術の科、長いところはもっとふやさなくてはいけないというところがございます。

PP

200床以上の場合でも200床以下と余り変わらないのですが、診療科によっては患者さんの制限、診療規模縮小、臨時や緊急手術、時間外診療を2~3割は減らさなくてはいけない。外来を週5日間開いているのを3日ぐらいに減らさなければならないとか、病床数を3~4割減らさなくてはいけないとか、二次救急業務の維持困難とか、現在手術を年間4,000件やっているが、2,000ぐらいに減らさなくてはいけないというところがございます。

PP

 次のページにもほぼ同じようなことを書いておりますけれども、夜間・休日の救急対応が一番問題になっておりまして、もう三次救急病院にみんな送ったらどうかという意見もございました。ただ、そうすれば、三次救急のところがパンクするのではないかと心配しております。

PP

 一番上の当直と時間外ですが、奈良県立医大の産婦人科の最高裁の訴訟で、当直というのは電話番ぐらいで、今の自治体病院の当直は時間外であるという裁判が出ておりますので、仕方ないところなのですけれども、もし全部の小さな病院にまでそういうところが入ってきて同じようなことになりますと、外科系、麻酔科、循環器科、小児科、こういうものがなかなか維持できないのではないかというところが多いです。

PP

 これは北海道のある病院ですが、各診療科の平均時間外労働をもとに積算すると、内科41%、循環器内科33%、整形外科23%、消化器外科24%、脳神経外科17%、泌尿器科15%、麻酔科25%、放射線診断科47%の診療縮小が必要となります。これは北海道の砂川市立病院です。こういうかなり厳しい感じの意見がございました。

PP

 医師の増員。田舎の診療科は一人医長が多いので、こういうところが非常に困るだろう。その人が当直した場合は、次の日は誰もいないということになりますので、医師をふやさなくてはいけないとか、診療報酬を上げなくてはいけないということになるかと思います。

PP

 我々は、理事会等々、これに対する委員会でいろいろ話し合いましたところ、医師の応召義務、医師は診を請われれば、不在の場合か、酩酊状態か、自分が大きな病気以外は断れないという応召義務がありますが、もしこれが労働量規制でもう超過勤務になりますからといった場合、断れるのかどうか。それから、救急でも自分の専門外ですと言って断れるのかということも含めて、応召義務は大分昔に決まったものですから、今の時代にそぐわないのではないかという意見が大分出ました。

 業務と自己研さんについては、大学病院などは全くわからないと思いますけれども、我々のところでも問題になりました。これは、多分労働基準局の人と話をしても、なかなかかみ合わないと思うので、我々がこんなのはどうでしょうかという具体例、これは労働ではないのですかというのを出さないといけないのではないかと考えております。

 この問題を解決するには、医師の診療科偏在、地域偏在、あるいは機能分化等々、ほかの周辺整理をやっていただいてからやらないと、角を矯めて牛を殺すみたいな感じになってしまってはいかぬのではないかなと思います。

 最後としまして、国民や患者さんや家族、社会全体が主治医制というものを日本のいい風土として持っていると思うのです。田舎へ行けば行くほど、あの病院に診てもらうのでなく、あの先生に診てもらうというのがありますので、医師の働き方を考える場合には、病院が主治医ですよと。夜は主治医の先生は来られないかもわかりませんということをわかっていただけるようにしないといかぬのではないかなと思います。

PP

 これは参考で、学会とか自己研さんはどのようにしているかということです。

PP

 管理者要件ですけれども、偏在対策には管理者要件を入れていただかないと、30年間、プロフェッショナルオートノミーという名のもとに、国民皆保険はあっても、国民皆医療ではなかったという現実があるわけです。それを地域の人々は大変不満に思っております。東京の方々にはわからないかもわかりませんけれども、地方の人たちは皆、怒っております。

PP

 これが我々の協議会で、前世代の尾身茂先生などとも相談してつくったようなものですが、都道府県へある程度医師が多いところから送っていただいて、その都道府県の中で二次医療圏で少ないところへは行っていただくというシステムをつくったらいいのではないかなと思っています。ただ、強制配置というのはいけませんので、インセンティブをつけたり、卒後初期臨床研修みたいに緩やかなマッチングみたいなものがいいのではないかと思っております。

 以上です。ありがとうございました。

○岩村座長 邉見参考人、お忙しい中を大変ありがとうございました。

 それでは、今まで御意見、御発表いただきました市川構成員、今村構成員、山本構成員、馬場構成員、そして邉見参考人の御報告の内容、さらには、一番最初に説明がありました事務局資料についての御質問あるいは御意見などがありましたら、お出しいただきたいと思います。ただ、時間が大分押しておりますの、御発言いただく際にはポイントを絞って簡潔にお話しいただくよう、お願いを申し上げます。

 それでは、いかがでございましょうか。では、渋谷構成員、どうぞ。

○渋谷構成員 2点ほど。最初、市川先生のほっかいどう宣言、資料1の13ページ。医師の働き方改革の議論が地域医療を守り、地域格差是正につながる仕組みと連動すべきだと。本当にその通りだと思います。先ほど邉見先生がおっしゃった働き方改革は、地域偏在・需給の問題というのは表裏一体だということは、ビジョン検討会の結論と同じで、その通りだと思います。私は先々週、北海道の日高のほうに実際行きまして、現場の先生が地域医療、機能分化に転換していく中で奮闘しているのを拝見し、その思いを強くしました。

 ただ、逆に、働き方改革をきちんとしないと需給・偏在の問題も解決しないと思っています。例えば医師需要と偏在について、先日の医師需給分科会では僻地勤務と管理者要件というものが出ましたけれども、管理者のコンピテンシーと僻地勤務というのは基本的に全く関係ないことです。インセンティブなら別に構わないと思うのですが、それが偏在対策になるのか大いに疑問です。働き方の改革もしないで、ともかく僻地勤務を強要する発想は、ビジョン検討会の結論と逆行しますし、効果はないと考えます。

 先ほどの今村先生の女性医師の話、あのアンケートはすばらしいと思いました。今村先生の資料の15ページ、女性医師が仕事を続けるためには何が希望かというのを見ると、診療報酬とか医療費等というのはほとんどなくて、要は、働き方なのですよ。そういう働き方の改革をしないでで、女性医師が地域に行くか、若い医師が行くのですかと思うわけです。それはビジョン検討会が目指した自己犠牲を強いるシステムからの脱却と逆行する動きだと思います。

 ですから、地域偏在と働き方改革というのは表裏一体なのですけれども、働き方改革のきちんとした議論というものが需給分科会、医師の需給・偏在というものにフィードバックされて、それらがお互いに有機的に現場に役に立つものを出して、若い人、女性医師に対してきちんとしたメッセージを出さない限り、邉見先生がおっしゃったように、幾らやっても変わらないですよ。やはり構造的な問題だと思っております。

 2つ目です。先ほどの大学病院と四病院協会のアンケートはすばらしいと思っていまして、これから生産性を上げていくということでは、働き方改革の本丸というのは、柔軟な働き方とか、地域におけるリソースの最適化とか、タスク・シフティング、タスク・シェア、テクノロジーの活用だと思うのですが、その中でもタスク・シフト、シェアというのはまだまだ進める余地がすごくあることがデータで示されました。

 実際に特定行為をやっている看護師さんもふえていますけれども、そうした中でもっともっとふやすことも考えられますし、さらにフィジシャンアシスタントの検討もしていただきたいです。先ほど邉見先生がおっしゃっていましたが、現状を維持するためには医師が足りない、労基が入ったら現状から縮小しなければいけない。だからこそ生産性を上げるためにはどうしたらいいかという知恵を我々は絞らなければいけない。そうした中で、タスク・シフト、タスク・シェアというのは絶対欠かせないと思うのです。

 特に、今、山本先生のほうからありましたけれども、特定看護師が広がってはいるのですけれども使われていないとか、なかなか認知されていないとか、機会とかそうしたものもどうやっていったらいいか。阻害要因、大学だったら労働組合の問題もあるでしょうけれども、そうしたものもどうしたら克服できるかを調べてほしい。

 それから、タスク・シフトが実際進んで、医師の負担が減って、患者のアウトカムがよくなるというものも実証してほしいなと。それによって全ての病院においてタスク・シフト、タスク・シェアが進んでいってほしいなと思っています。

 現状に関しては、きょう邉見先生のプレゼンで非常によくわかって、現場の非常に切実な声を聞きましたけれども、では、次にどうしていくか、どういうふうに生産性を上げていくかということに関しては、自治体病院においても、このアンケート、タスク・シフトとか36協定をどれだけ結んでいるかを含めて、ぜひこのアンケートを自治体病院のほうでもやっていただいて、シェアしていただけるとありがたいなと思いました。

 ありがとうございます。

○岩村座長 ありがとうございます。

 それでは、今村構成員、どうぞ。

○今村構成員 済みません。ヒアリングを受けた者が質問するのも何ですけれども、山本先生の委員会のお話というのがありまして、私もいろんなところで委員会に参加しなければいけない、非常に大変だというお話があるのですが、診療報酬に位置づけられてどうしても開催しなければいけない委員会というのが、この67の中で大部分なのか、一部なのか、その辺をもしわかれば教えていただきたい。

 あとは、今の渋谷構成員のお話にありました、いわゆるタスク・シフト、シェアの中で、特定看護師、せっかく時間をかけて資格を取られた方が実は働けていないというのは、なぜそうなっているかという要因が、今の時点でわかっていれば教えていただきたい。

 もう一点は、渋谷構成員からお金の話ではないということは、まさしくそのとおりだと思うのですけれども、実質上、この委員会の中でも、ある程度の財政的な支援がないと、例えばメディカルクラークを雇用することができないとか、さまざまなところでお金がかかるわけです。時間外労働をすれば、その対価もきちんと払わなければいけない。恐らくここに集まっておられる方たちは、診療報酬なり何なりの財政的な支援は当然必要だろうと思っていると思いますけれども、私は中医協の委員なものですから先般参加していたときに、いわゆる1号側からは、医師の働き方と診療報酬などというのは関係ないのだ、これは切り分けて議論するべきだというのが非常に強い主張としてあった。それはかなり激しくやり合いました。これは労働側の方たちも御参加になっておられますし、診療報酬の改定のこの時期にメッセージとして必要なものは必要だということを誰かが言わなければいけないので、この委員会なり何なり厚労省がきちんと御配慮いただいて、そこをしっかりと主張していただきたいと思っています。

 以上です。

○岩村座長 ありがとうございました。

 それでは、山本構成員のほうに御質問でしたが、いかがでございましょうか。

○山本構成員 これは医師の出席義務のあるというくくりでアンケートをとっていますので、この中で診療報酬上必須とされるものというのは、数はわかりかねます。感覚的には半分ぐらいかなと考えます。ただ、組織が非常に大きいと、上からトップダウンでぽんと落として、それで済むということではなくて、いろいろコンセンサスを形成するのに必要である。あるいは医療安全上の方向性を徹底する。あるいは臨床研究も同じですけれども、大きな組織が一つの方向性を定める上では、どんどんふえていくというのが実情と考えております。

○岩村座長 今村構成員、よろしいでしょうか。

○今村構成員 はい。またこれも厚労省のほうで調べていただければ。

 もう一点、今の特定看護師がなぜ活用できないのか。どういうことが原因、ボトルネックになっているのか。これはすごく大事なことだと思っていて、わかる範囲で。今わからなければ結構なのですけれども、わかればお願いします。

○山本構成員 千葉大自身に特定看護師がいないので、ちょっとわかりかねます。ただ、一つ言えることは、特定看護師ではなくて、フィジシャンアシスタントは、今、各病院で独自に導入できるようにはなっているのですけれども、ただ、制度的な裏づけがない、あるいはガイドラインとかもないということで、各病院の責任でやらなければいけないというところも今、明らかにネックになっています。私のところでも今、いろいろ提案をしていますが、看護部側からは一体法的な裏づけはどうなっているのだということを言われて、一方、特定看護師で行こうとすると、非常に研修に時間がかかるという問題もあると考えています。

○岩村座長 よろしいでしょうか。

 では、黒澤構成員からお手が挙がっていましたので、どうぞ。

○黒澤構成員 ヒアリングの、衝撃的といいますか、非常に印象に強いプレゼンテーションが続いたと思います。私は邉見先生のアンケートの結果が一番印象に残りましたが、アンケートをしている自由意見というか、そういうところに地方自治体病院の苦しい窮状。そうなのでしょうけれども、労働基準法に適用をかけると、自分たちの苦しさより、むしろ患者さんが困りますよとか、医療が成り立たないとか、そちらのほうを心配した声になっているというのが、涙が出るくらいで、医者は自己犠牲と言いますが、自己犠牲というよりも、医者のプロ意識みたいな、そういうことではないかなと思いました。

 結局、この検討委員会でやるべきことは、働き方改革ということで医療を規制するというよりも、医療、医師、医療者、そういう人を支援するという観点でやるべきだと強く思いました。

 そういう意味で、例えばタスク・シフティングとかタスク・シェアということは、効率ということを考えると、例えば医師の働く時間が少なくなったとすれば医療の提供量が確実に減るわけで、それを補うということに関しては絶対必要なことだと思いますので、それを行政がどのように支援していくかということ。

 もう一点、資料1の14ページ、「安全衛生管理に関する組織体制及び規定を整備している」というのが、これは法律で決まっていますので、84.3%と高いのですけれども、効果を実感していない、効果が高いと評価されていない。と申しますのは、これは先ほどの病院のヒアリングでもわかりますように、大学病院と一般の病院でありましたが、産業医がいるところはほぼ100%に近いところですが、例えば医師の長時間労働の面談をしているところが、大学病院ですら40何%、一般病院に行きますと10何%しかやられていない。ですから、こういうところも行政が支援という意味でできるところではないかと思いますので、ぜひそういう観点で議論を進めるべきかなと強く感じました。

○岩村座長 ありがとうございます。

 それでは、中島構成員、どうぞ。

○中島構成員 質問です。先ほどの今村先生に対しての補足なのですが、大学病院における特定行為修了者の実地行為が少ないというのは、一つは看護部長の裁定によるものというところが多いのと、もう一つは、特定行為を研修医のほうの研修に優先させるという考えがあって、実際に自分の大学病院で特定行為の研修をやっていたとしても、そこを卒業した病院の看護師が一度もやっていないという現状もあります。

 反面、地域の僻地で特定行為をやっている方、例えば65歳の院長先生と自分だけでやっているようなところは、もうくたくた、ワーク・ライフ・バランスも何もないとおっしゃっているぐらい、先生と一緒に、先生が不在のときも、病院内で急変があればすぐ呼ばれてフィジカルアセスメントをしているような状況があるので、地域の特徴とか大学病院なりの特徴が先生の発表であったのかなと思いました。

○岩村座長 ありがとうございます。

 先ほど邉見参考人がお手を挙げていらしたと思いますが。どうぞ。

○邉見参考人 先ほどの黒澤構成員の意見、ごもっともだと思います。我々も大変だ大変だと言っているばかりではだめで、我々は、特定看護師の養成には各医療団体のトップを切りまして機関決定で進めようということをしております。これは医師が足らないからナースに頑張ってもらおうというのではなくて、チーム医療の一環として。これから田舎は人がどんどん減ります。医師のできることはナースに、ナースのできることはヘルパーに、ヘルパーにできることは患者家族に、患者家族にできることは患者本人にやってもらおうとまで思っております。だから、チーム医療はどんどん進めようと思っております。

 ありがとうございました。

○岩村座長 ありがとうございます。

 先ほど三島構成員からお手元が挙がっていたと思います。どうぞ。

○三島構成員 三島でございます。

 今回、今村構成員が発表された中の「ワンオペ育児」だったり、そういったワードがすごく印象に残ったのですけれども、やはり時間外の呼び出しとか、長時間がある科を子育てを念頭に置いている女性医師が選びにくい。潜在的にそういったものがキャリアに対してネガティブな選択をしていくというのはすごく感じていますし、それでは多様なキャリアパスを選ぶということの大きな阻害になっていると、私も周囲の女性医師の状況などを見て思っています。

 そういったいろいろな制約のある人たちがライフサイクルに合わせて支え合う仕組みというところで考えると、個人に頼るのではなくて、チームでどう支えていくかという仕組みを考えることが大事だと改めて思いました。

 ただ、いろいろなビジョンとか制度というのはすごく大事だと思うのですが、現場の当事者がしっかり参加して知恵を絞ることも重要と思います。先ほど渋谷先生もおっしゃったのですけれども、現場で実際どういう運用のルールでどんな仕組みをつくっていくかという、もっと現場のモデルの発信が必要なのかなと思っています。

 その中で、先生方の今回の御発表から病院の規模、地域、機能によって、チーム医療のあり方も違ってくるのではないかと思っています。そういった具体的な働き方の地域モデルや現場からのイノベーションを、医療者自身が、特にこれからの医療を担う若手医師でありますとか患者さんを巻き込んで考えていく必要があると思います。それに関してのいろいろな行政の支援が必要なのではないかと思っています。

 ですので、勤務環境改善支援センターのお取り組みなどに関しても、ぜひ当事者、現場の若手医師等をもっと巻き込んだ取り組みについて、積極的に支援をいただければと思っております。

 以上です。

○岩村座長 ありがとうございました。

 それでは、お手が挙がっておりました戎構成員、それから岡留構成員、お願いいたします。

○戎構成員 タスク・シフティングの件について御意見させていただこうと思います。幾つかの資料の中にも御提示くださったように、タスク・シフティングの看護師が行っている業務というところなのですが、点滴の実施、静脈ラインの確保、尿道カテーテルの留置等々に関しては、私はやらない環境で育ったことがないので、現在行われていないことがあったというのは、これを提示していただいて知ったところです。

 行っていない病院に関しては、それぞれの施設の看護部、医療安全のそういった視点から行わないとか、何かしらのルールが発生していると思いますので、これに関しては何も申し上げることはないのですけれども、特定行為に関してなのですが、看護師がバックグラウンドで特定行為を行っていますので、医行為を行う上では先生方の指導が必要になってきます。教育の現場でも先生方からの指導をいただけないと教育をしていけないという現状と、症例がないと、経験を積んでいかなければ、やはり患者さんに安全な手技を提供することが難しいのかなと思っております。

 もう一つ私が思いますのは、現在、診療看護師というのが日本の中におりますけれども、こちらはバックグラウンドがナースで、アメリカにはナースプラクティショナーという者がおりまして、これもナーシングがバックグラウンドです。

PAに関して言うと、メディカルがバックグラウンドですので、看護師にナースエード、看護助手がおるように、医師にもフィジシャンアシスタントというものが位置づけとしてあっていいのかなと思っています。フィジシャンアシスタントになる者が必ずしもナースのバックグラウンドを持っている必要はないのかなと思っておりますし、新しい位置づけのプロフェッショナルをつくるというのは、医療の現場でタスクをどんどんシェア、シフトをしていく上では非常に有効な手なのではないかなと考えております。

 以上です。

○岩村座長 ありがとうございました。

 それでは、岡留構成員、どうぞ。

○岡留構成員 先ほどからいろんな方々の御発表があったのですが、特に僕ら病院団体としては、地域医療に最も影響のある救急と産科、外科系、この3つの領域が本当にどういう状態になっているのか、もう少し詳しい実態調査というか、もう少し掘り下げたデータが要るのではないかという感じがしたわけです。大体のアウトラインで、皆さん、大体流れがこうなっているなと。先ほど黒澤委員がおっしゃいましたように、そういうことになるわけですけれども、現場のもう少し詳しい実態。これは事務局へのお願いかもしれませんが、そういう詳しいデータがもしあるとすれば、それをお示しいただけないかなと感じがするのですが、いかがでしょうか。

○岩村座長 事務局のほう、いかがでしょうか。

○堀岡医師養成等企画調整室長 厚労省の場合、医療施設調査とか、三次救急なども含めたそういったものに関する調査というのはいろいろ行われておりますし、先日、厚生労働科学研究班の中で10万人調査もやっていただきましたが、そういったものでどういうものが分析できるのかというのは少し考えてみたいと思います。

○岩村座長 岡留構成員、いかがでございましょうか。

○岡留構成員 ぜひお願いしたいなと思います。僕ら医療界としては、この3つが一番フォーカシングというか、時間外労働になると必ずここの科が出てくると考えているわけです。ですから、そういうものの本当の生の状態を各構成員にお教えいただいて、御理解いただいて、次のステップに進んでいければいいかなという考えがちょっとしたものですから、お願いしたわけです。

 以上です。

○岩村座長 ありがとうございました。

 ほかにはいかがでございましょうか。では、遠野構成員、どうぞ。

○遠野構成員 勤務環境改善支援センターに関してなのですけれども、各県に設置してありますし、私たちは県立病院なので、何とか協力していい方向に向かいたいと思っています。しかし、なかなか医師へのかかわり方が難しく、当院では過重労働によると思われる、ナースの離職も結構ありますので。新人ナースを対象にセンターの職員に来ていただいて、こういう仕組みがあるとか、何か困ったら、また、病院で相談しにくかったら、こういうセンターに相談もできるとかそういった形の講演会ぐらいしかやっていないです。また、厚労省のホームページの「いきサポ」のサイトも時々見ているのですけれども、医師以外の職員の改善例が多いようです。先ほどの勤務環境改善支援センターが関わった、岐阜県の病院で職員全体及び医師の勤務体系が改善したという事例の報告を聞きまして、厚労省へのお願いなのですが、医師への絡み方、岐阜県の病院のようないい例があったら、情報を集めて「いきサポ」などに情報提供をしていただきたいです。それを参考にして、我々も医師へも積極的に関わり、労働環境改善取り組みたいと思いますので、よろしくお願いします。

○岩村座長 では、事務局、お願いします。

○花咲医療勤務環境改善推進室長 今、先生がおっしゃったように、医師の検討を行っているところですので、「いきサポ」に載っている事例に関しましても、医師に関する事例をなるべく積極的に載せられるようにしたいと今、作業を進めているところでございます。

○岩村座長 よろしいでしょうか。

○遠野構成員 はい。

○岩村座長 それでは、工藤構成員、どうぞ。

○工藤構成員 ありがとうございます。

 きょうは、いろいろ調査結果を教えていただき、ありがとうございます。きょうの結果をお聞きして、ますます、この検討会では医師の働き方というものを何とかしなければならないと思いました。現状が余りにも過酷である、長時間労働であるといった状況を踏まえて、何とかしなければならないのだということを再認識するデータであったかと思います。

 現状、労働時間を削減なりしていけば、医療機関の財政もしくは医療の提供体制が厳しくなるということであったかと思います。ただ、今の状況をそのままに医師は特殊だから、もしくは仕方がないからといって、長時間労働を認めていけば、医師そのものが医療機関に入ってこなくなる、そういう危惧があるからこそ働き方改革をしなければならないのだという思いをさらに強くしたというところです。感想になりますが、そういうことを紹介しておきたいと思います。

○岩村座長 ありがとうございました。

 ほかにはいかがでしょうか。では、鶴田構成員、どうぞ。

○鶴田構成員 医療が高度化すれば、当然仕事量が多くなるし、高齢化とともに医療の対象となる患者さんが多くなる。一方では総量規制の流れがあります。働き方改革をどう考えるかの観点からは、今村先生が提示された中の幾つかでは医師個人の働き方のレベルから病院もしくは医療機関の働き方のレベルに上げて考えることも考えられる。私は、国民の理解のレベルまで考えて働き方改革は考えないといけないのではないかと思います。そうした場合に、どういう医療をすることが国民に対して必要な医療なのかということも考えないといけないだろうし、患者さんも受診のあり方とかを含めて考えないと、医師の働き方改革にはつながらないのではないでしょうか。例えば主治医制の見直しであるとか、死亡宣告をするときに主治医が来ないといけないのかとか、チーム医療で当直医がやるとか、いろいろあると思うのですが、そのことも国民が許容してくれないといけないと思うのです。

 したがって、ここで議論するときにどこまで議論するかをある程度項目として考えておくべきで、ただ医師の勤務時間だけというのでは違うのだろうなと思います。患者さんの不利益も了解してもらった上で勤務時間をこうします。そのかわり、医療費を含めてこういうことになりますを国民は受容しないといけないと思います。そこまでの議論が必要かなという気がします。

 今村先生が説明された15ページの一番下の診療報酬とか医療費等の意識が余りないというのは、医療費とか診療報酬は本人には余り関係なくて、病院の管理者に関係するような話なので、個々の医師に聞いた場合には診療報酬、医療費などの問題は余り出てこないのかなという感じはします。個々の医師のとっては、給与であり、医療費全体の診療報酬とかはあまり問題ではないので低い位置にあるのではないでしょうか?病院管理者の観点からすると、自治体病院の経営に携わる身からすると、診療報酬、医療費などは今、非常に大変だと思います。

○岩村座長 では、今村構成員、どうぞ。

○今村構成員 私も前から国民の理解というのは必要だと。だから、今、鶴田委員がおっしゃったように、どういうレベルの医療がどのように提供されるか、合意があるかどうかというのはすごく大事だとは思いますけれども、国民の理解が大事だというのは、多分ここにいらっしゃる方は誰も反対しないのだと思うのですが、誰がどのように国民に理解してもらうかという方法論が全く欠けていて、では、厚労省がそれをやるのか、医療機関が行うのか、あるいは保険者が行うのか、全ての関係者が行うのかというのは、きちんと方向性を出さないと、幾ら言っていても同じところで堂々めぐりになるので、そこは国民にしっかり理解してもらうための運動というのも。国民皆保険というのは物すごく大事なものであって、これが崩壊したら終わりなので、何とかそこは考えていただきたい。

 勤務環境改善支援センターについては、こんなにいい仕組みが医療法の中に位置づけられているのに、現場がこういう存在があるということを全く理解していないし、そして使われなければ、勤務環境改善支援センターで働いている方たちも意欲が湧かないという悪循環に陥っているわけです。もともとたてつけ上、2つの財源を使って労働基準局と医政局の予算で行っていて、なおかつ社会保険労務士と経営コンサルタントが2つ事業をやっていますと。これが連携ができていない。なおかつ勤務環境改善支援センターが活躍しても、どうやっても医師不足のために病院経営がうまくいかない、環境が改善しなければ、医師を派遣するしかないわけであって、それが地域医療支援センターと連携しましょうと言っても、連携ができていない。連携が重要だというのはみんなわかっているけれども、具体的にどう連携するかということがないままに制度が動いているので、これはぜひとも厚労省にそういうものが機能するような仕組みをしっかりと考えていただきたいと思います。

 以上です。

○岩村座長 鶴田構成員、どうぞ。

○鶴田構成員 今、私が述べたのは、国民の理解ということについては、みんな理解するとして、この検討会で議論して今回の報告書に書くのかどうか。それを具体的な話として書くのはどうですかという意味で、皆さんに問うたという理解をしていただければと思います。

○岩村座長 ありがとうございます。

 ほかにはいかがでしょうか。では、片岡構成員、どうぞ。

○片岡構成員 きょうは、それぞれの発表者の皆様から非常に網羅的なすばらしい貴重なデータをいただきまして、ありがとうございます。

 先ほど構成員の方から、個別事例についても掘り下げたような、そういったデータを今後またいただけたらいいのではないかという御意見があったと思うのですが、イージェイネットというNPO法人が2005年から働きやすい病院機能評価(HOSPIRATE)という病院の働きやすさということを評価するという活動を行っておられます。私もサーベイヤーとして参加したことがあるのですが、非常に細かい内容まで現地調査含め評価しております。個別事例という観点では、そういったこともまた参考になるのではないかと思いましたので、補足いたしました。

 以上です。

○岩村座長 ありがとうございます。

 そのほかはいかがでございましょうか。では、森本構成員、お願いします。

○森本構成員 きょうは、たくさんの方からアンケート調査なども含め御報告いただきまして、ありがとうございました。その中で少し気になったことがあります。アンケートは、実態としてそういうものだということなので、それに意見を言うつもりも余りありませんが、勤務時間の把握などは、少なくとも事業者が行わなければならないものであるということです。長時間労働などに関しても、例えば労働契約法の安全配慮義務など、事業者が使用者に関して配慮しなければいけないこととして、医師でなくとも法律で定められているという事項があります。これらについては、どのような事業であろうと守らなければならないということだけが前提にあるのだということだけ少し押さえる必要があると思いました

 自治体病院協議会からのヒアリング資料で参考1「自己研鑚や学会の事前準備に伴う時間外(超過)勤務手当の支給に関する考え方」を提出していただきましたが、これについて、ぜひどこかの機会で医療界の中ではこのような受けとめ方が一般的なのかどうなのか、そのようなことについても議論をしていただきたいという要望です。お願いできればと思います。

○岩村座長 ありがとうございました。

 そのほか、いかがでございましょうか。では、福島構成員、どうぞ。

○福島構成員 きょうはいろんなアンケートを拝見しまして、ドクターの働き方改革を進めていくと、医療提供体制に大きな影響があるということがわかりました。社会全体への影響を考えた改革モデルのようなものの検討が必要であろうと思います。

 皆さんおっしゃっているように、国民の負担ということも考えた国民へのシェアということも必要だろうと思います。

 応召義務と時間外規制との関連性を考える場合であっても、ドクターの労働時間の把握法、具体的な例というものがないと、それが労働時間に該当するのかどうかという判断がつかないということをよく耳にします。ですから、具体的な例を示して、それが労働時間に当てはまるのかどうかというものを判定する仕組みのようなものを提示することも必要ではないかと思いました。

 以上です。

○岩村座長 ありがとうございます。

 よろしゅうございますか。では、赤星構成員、どうぞ。

○赤星構成員 きょうは、さまざまなデータを拝見して、若手として救急で働いている身としては、どれも非常に実感が伴うというか、確かにそうだなと思うようなデータばかりで、大変よかったと思います。

 確かに勤務時間に制限、何時間までとつくると医療が崩壊するということも、このデータからいろいろとお示しいただいて、ただ、きょう議論している中で感じたのは、制限時間を設けなくても、周りから例えばタスク・シフティングとかそういうことで我々の勤務時間を削減できる方法がまだまだたくさんあるということがわかったので、そういうところから成立していけたらいいのかなということを強く実感しました。

 以上です。ありがとうございます。

○岩村座長 ありがとうございました。

 では、豊田構成員、どうぞ。

○豊田構成員 参考人の皆様、ありがとうございました。

 お話を伺っていると、今発言された先生方のお話と同じですけれども、単に働く時間を短くするだけではだめだという医師の真面目な考えや思いが反映されていると感じました。だからこそほかの職種の人たちが、医師が過重労働になっていないかと定期的に声をかけたりするような仕組みが必要だと思いました。医師本人は一生懸命やることが大事だと思われているわけですから、ほかの立場からのサポートが必要ではないかと思いました。

 支える仕組みは、ハード的な側面の外から支える仕組みと院内で出来ることに分かれると思うのですけれども、私自身は、病院の中で医療安全室に所属して、患者相談窓口の担当者を担っているのですが、患者さんから医師の相談があると、当然医師にそのお話をします。そうすると、医師は患者さんが納得されていないこと、内容に満足されていないということに対して強く意識されていることがよくわかります。一つの事例が深い悩みになることがあり、それが他の仕事に影響するということもありますので、相談をし合えるような部屋があるとわかると、医師も積極的に活用できると思いました。この業務は患者サポートですが、実際は医療者のサポートにもつながっていると感じています。実際に活用できている実例もありますので、院内で医師に対する支援体制をしっかりつくっていくといいのではないかと思いますので、このようなことも今後の検討の中に入れていただきたいと思います。

 以上です。

○岩村座長 ありがとうございました。

 お許しいただいて、最後に一言私のほうからコメントをさせていただきたいと思います。きょう、5人の方々に大変貴重なデータについての御説明をいただきました。まことにありがとうございました。ちょっと感じたのは、山本構成員と馬場構成員の御説明の中であればよかったなと思うのは、一つは、病院の勤務医の方々の勤務時間の長さといったものについてのデータがあると、もう少し理解に深まりが出たかなという気がいたしました。それは今回の調査ではとっていないということだったのでしょうか。

○山本構成員 あくまでも管理者へのアンケートということなので、個別の集計というのはしていません。

○岩村座長 そうですか。

 あと、得られたデータの解釈というのは慎重にやる必要があるかなという気もちょっといたしました。例えば馬場構成員の御報告の中で、宿日直のところで届け出をしていないという例がありましたが、普通に読むと、届け出をしているほうが多いので、通常はうまくいっているということなのではないか。ただ、他方でもう少しきちっとデータを解釈しようとすると、例えば36協定を結んでいない病院との重なりがどの程度あるのかとか、実際に宿日直をやっているかどうかとか、そういったこととのデータをかみ合わせて考える必要があるかなという気もいたしました。そこはいかがでしょうか。

○馬場構成員 そうなのです。ただ、ここの選択肢の中で「労基法の宿日直の許可申請を行わず、宿日直勤務として対応している」ということのほかに、一番最初に「労基法の宿日直勤務に当たるものとして対応している」と。これが微妙なところで、要するに、届け出ているという表現ではないので、管理者がどのように理解しているかということにも若干左右されているので、本当は少しこの部分から「宿日直勤務の許可申請を行わず、宿日直勤務として対応している」のほうへ数字が移行する可能性があると思っています。

○岩村座長 いずれにしても、もうちょっとデータをきちっとクロス集計するなりしないと、なかなか解釈は導けないかなと思いました。

 以上でございます。

 それでは、大変長い時間になってしまいましたけれども、これまで御報告、質疑応答で御参加いただきました市川構成員、今村構成員、山本構成員、馬場構成員、そしてわざわざお越しいただきました邉見参考人につきましては、本当にありがとうございました。拍手で感謝の意を表していただければと思います。(拍手)

 最後になりましたけれども、次回の日程等につきまして、事務局からお願いできればと思います。

○乗越医師・看護師等働き方改革推進官 次回の検討会の日程等につきましては、調整の上、改めて御連絡をさせていただきます。

○岩村座長 ありがとうございました。

 それでは、きょうは、司会の不手際でちょっと時間が過ぎてしまいましたけれども、長い時間にわたりましてありがとうございました。これで終了とさせていただきます。


(了)

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