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2017年7月12日 中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会 第43回議事録

○日時

平成29年7月12日(水)11:02~12:38

 

○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)

○出席者

荒井耕部会長 中村洋部会長代理 田辺国昭委員 関ふ佐子委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 間宮清委員 宮近清文委員 松浦満晴委員
松本純一委員 松本吉郎委員 万代恭嗣委員 猪口雄二委員 遠藤秀樹委員 安部好弘委員
日色保専門委員 昌子久仁子専門委員 上出厚志専門委員 加茂谷佳明専門委員
<参考人>
福田敬参考人 池田俊也参考人
<事務局>
鈴木保険局長 渡辺審議官 伊原審議官 迫井医療課長 眞鍋医療課企画官
矢田貝保険医療企画調査室長 中山薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○費用対効果評価の制度化に向けた検討事項について

○議事

 

○荒井部会長

 ただいまより第43回(中央社会保険医療協議会 費用対効果評価専門部会」を開催いたします。

 まず、本日の委員の出欠状況について報告します。本日は、榊原委員が御欠席です。

 次に、費用対効果評価専門部会に属する委員に異動がございましたので御報告します。

 7月11日付で松原謙二委員が退任され、その後任といたしまして本日付で松本吉郎委員が発令されております。

 引き続き、厚生労働省におきまして異動がございましたので、事務局より紹介をお願いします。

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 企画官でございます。

 それでは、厚生労働省より異動の御報告をさせていただきます。

 まず、保険局でございますけれども、保険局につきましては、先ほどの総会で御紹介申し上げたとおりでございます。

 続きまして、医政局における異動でございますけれども、三浦明経済課長でございます。

○三浦医政局経済課長

 よろしくお願いいたします。

○眞鍋 医療課企画官

 小林秀幸医療機器政策室長でございます。

○小林医政局医療機器政策室長

 よろしくお願いいたします。

○眞鍋医療課企画官

 以上でございます。

○荒井部会長

 ありがとうございました。

 なお、会議冒頭のカメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。

(カメラ退室)

○荒井部会長

 それでは、議事に入ります。

 本日は(費用対効果評価の制度化に向けた検討事項について」を議題といたします。

 事務局より資料が提出されておりますので、費-2及び費-3について説明をお願いします。

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 企画官でございます。

 それでは、費-2及び費-3を用いまして御説明をさせていただきます。

 費-2でございますけれども、今回は、制度化に向けた検討(その7)でございまして、まず、支払い意思額について御説明をさせていただきたいと思ってございます。その後、費-3といたしまして、これまでの議論のまとめ(案)を御説明させていただきたいと思ってございます。

 まず、費-2の2こま目でございますけれども、本年、2月8日に今後の進め方について御議論をいただきまして、おおむね進め方について御了解いただきまして、それに沿いまして各回で論点を提示して進めてきたところでございます。

 本日は7月12日でございまして、支払い意思額について、そして、これまでの議論のまとめ(案)を御提示させていただきます。

 そして、その下の四角にありますように、次回は関係団体等からの意見聴取を行いたいと考えているところでございます。

 3枚目でございます。今回の検討対象につきましては、アプレイザルで用いるものということをお示ししているものでございます。

 4こま目(支払い意思額とは」でございますけれども、下に(1)(2)がございますけれども((1)支払い意思額とは」ということで、3つの○で内容をお示ししてございます。

 財やサービスの対価として、ある特定の金額を支払うことの是非を調査するものであるということでございまして、医療のほかの取り組みでも用いられることがあると。基本的には一般集団を対象として社会全体の視点から実施をするものであるということでございます。

 ((2)総合的評価における支払い意思額の活用について」でございます。

 対象品目の総合評価に当たりまして、費用効果分析により算出されました増分費用効果比、これをICERと申しますが、これを評価する必要がございます。この基準の値を設定する方法といたしまして、効果の単位でありますQALYに係る支払い意思額や、一人当たりのGDP等の経済指標等を参考とする方法がございます。

 これまでの当部会における検討におきましては、ICERを評価する基準なる値といたしましては、支払い意思額を基本とし、そのほか、国民一人当たりのGDP等の他の目安も勘案するとされたところでございます。また、その支払い意思額につきましては、厚労科研費の調査の結果を参考することを提案したところでございます。

 5枚目に行かせていただきまして、その調査方法でございますが、以前お示ししたものに幾つか追記をさせていただきまして、また全体でお示ししておるものでございます。

 公的医療保険の立場の支出の観点から調査を行うものでございまして、全国の市区町村のうち人口比例で100地点以上を調査地点として無作為抽出を行う。

 そして、住民基本台帳を用いて性・年齢を層別因子として無作為に抽出し、3,000人以上を対象に調査を行う。

 住所地を訪問し、面接調査を実施するというものでございます。

 調査票の案は、参考資料として別途おつけしておりますけれども、定性的に御説明をさせていただきますと、完全な健康状態で1年間生存すること、これを1QALYという効果としておりますが、これを可能とする医薬品・医療機器等の新しい治療法が開発され、その治療法に係る費用の総額がX円であるというときに、公的保険から支払うべきと考えるかどうかを(はい」または(いいえ」の選択肢で尋ねるものでございます。

 これまでの御議論でございますけれども、特定の疾患や医薬品・医療機器に限定するものではなく、あくまで一般論として完全な健康状態で1年間生存すること。こういう効果を得ることの治療に係る費用の総額について尋ねるものであるということと、治療の費用に応じまして自分の支払う保険料が増加する可能性も考慮して回答していただくものでございます。

 そして、あらかじめ設定した金額の組み合わせに基づきまして得られた回答に応じて金額を上下させ、再度、同様の質問をするものでございます。そして、各金額について(はい」と答えた方の割合を算出し、受諾確率曲線、これは次の次のスライドで御説明を申し上げますが、これを作成するものでございます。

 支払い意思額に影響すると考えられる収入とか健康上の問題等もあわせて調査し、必要に応じて補正を行うということでございます。

 6こま目までにつきまして、さまざまな指摘をいただいてございます。それを、主なものにつきまして事務局で取りまとめたものが6こま目でございます。

 まず、○が幾つか並んでございますけれども、調査の対象者となる方々の収入、罹患歴、価値観等によって値は異なると思われる。さまざまな立場の方から意見を聞くべきだ。ある程度知識がある人を対象に調査をすべきだ。公的医療保険からの支出の観点から調査をするべきではないか。公的医療保険から支払う場合と、全額自己負担の場合とでは、支払い意思額の結果が異なってくるのではないか。費用対効果評価の制度化後、平成30年度以降の状況を踏まえて、この調査を継続して実施することも検討が必要ではないか。調査に当たっては、回答者が先ほどの効果を可能にすることの解釈や、公的保険からの支払いが自分の支払う保険料に影響することも理解して回答できるように工夫すべきではないか。実施及び結果については広く周知する必要があるのではないか。事前に広報することによって、戦略バイアスが生じる可能性があるのではないかという指摘があったところでございます。

 7こま目の受諾確率曲線についてでございますけれども、こちらのスライドの左側のグラフがございますけれども、いわゆるX軸に金額をとっております。そして、いわゆる縦の軸、Y軸に(はい」と答えた方の割合をとってございまして、イメージをしていただけると思うのでありますが、安い金額を御提示すると(はい」と答える方の割合が高い。そして、より高い金額を提示すると、その方々の割合は減ってくるということでございまして、こういうX軸・Y軸を置きますと、右肩下がりになだらかに下がってくるような曲線になることが想定されるわけであります。この曲線を描くための調査でございます。

 右側に行きまして、これを5段階のICERの評価に当てはめていくわけでございますけれども、この○、△、□の値に関しましては、調査結果を用いまして私どもから案を御提示させていただきたいと思いますが、ある一定の割合の方々が払ってよいというところと、多くの方々が払ってよいというところ、そして少ない方々のみが払ってよいというところにつきまして、そこを閾値といたしまして、段階として1、2、3、4、5、費用対効果がよい、悪いという段階をつけていこうと活用するものでございます。

 8こま目でございますけれども、7こま目の右側のグラフを反時計回りに90度回転させた図を8ページの左側のチャートに持ってきております。これで費用対効果の評価の段階といたしましては下から1、2、3、4、5となりまして、少ない割合の方が支払いを許容する額というのは悪い方向へ、多くの方々が支払う許容額というのは費用対効果がよいと、そのような段階として活用していこうというものでございます。

 9こま目、今後の対応についてということで、これが御提案でございますけれども、費用対効果評価では公的の立場からの費用を分析し、その結果は公的医療保険からの支払い反映されることから、支払い意思額についても公的医療保険からの支出の観点から調査を行ってはどうか。

 増分費用効果比(ICER)は、原則として1QALY当たりの費用(円/QALY)で示されますことから、支払い意思額についても同様に、完全な健康状態で1年間生存することを獲得するための治療費として調査をしてはどうか。

 今年度実施をいたします13品目を当てて試行的導入をさせていただいておりますが、この対象品目の総合評価(アプレイザル)では、支払い意思額については、先ほど申し上げた厚労科研費で実施される国内の支払い意思額に関する調査の結果を参考として用いることとしてはどうか。

 また、制度化後の総合的評価(アプレイザル)で用います支払い意思額については、試行的導入の結果を踏まえて検討することとしてはどうかとしてございます。

 その下に、過去にお示しした資料からの抜粋でございますけれども、ICERの解釈についてでございますが、1QALY当たりのICERの解釈方法の一つとして、基準となる値と比較して、医療技術の費用対効果を評価することがあるということでございまして、一律の値を機械的に運用しているという国はないのですけれども、目安となる値を保持している国はあるということでございます。

 およそ目安となる値の設定方法としては、下記の方法などが考えられるということでございまして、1、2、3とございますけれども、一般的に広く受け入れられている既存の医療にかかる費用を目安とするもの。

 2といたしまして、これが支払い意思額でございますけれども、例えば日本では1QALY当たり500600万円程度という、大日ら、Shiroiwaらの調査報告がございます。

 3といたしまして、海外の状況でありますけれども、WHOでは一人当たりGDPの1~3倍程度、そして日本の一人当たりGDPの大きさは、2013年では380万円程度がございましたが、直近のでは400万円程度となっていると承知をしてございます。

 また、イギリスNICEでは2~3万ポンドが費用対効果が推奨されるというレベルであるということでございます。

 アメリカでしばしば参照される5~10万ドルというのは、アメリカの一人当たりGDPが、2013年のものでありますが5万3,000ドルであることを考えますと、0.91.9倍程度という諸外国の例を御紹介させていただいたこともございます。

 次に参考資料を御説明させていただきます。

 調査票の案でございますけれども、1ページ目は性・年齢をお聞きし、また、雇用形態についてお聞きするものでございますが、2ページ目に今回の支払い意思額の調査の具体的な内容がございます。

 (説明文をよくお読みいただき、状況を想定してお答えください」というリード文の後に、ある方の病気に対する治療法につきまして説明する。これから質問する内容については医療機関の窓口での料金、ふだんお支払いいただく一部自己負担という窓口でのお支払いではなく、国の制度である公的医療保険として支払う医療費(一部自己負担も含む)についての質問でありますということを前提として、公的医療保険から支払われる治療法の費用に応じて、負担する保険料も増加する可能性があるということも踏まえまして、以下の質問にお答えくださいというものでございます。

 状況設定は、ある方が病気にかかっていらっしゃいます。死が迫っているという状況で、しかし、この病気に対する新しい治療法が開発された。そのため、この治療を受ければ完全に健康な状態で1年間だけ寿命を延ばすということができる。この治療法の費用を公的医療保険から支払おうと考えています。

Q4といたしまして、(この治療法に対し公的医療保険として支払う費用は、治療全体で一人○円です。この場合、この費用を公的医療保険で支払うべきだと思いますか?」というときに(はい」と答えた方が次のQ5a、(いいえ」と答えた方はQ5bに行くものでございます。そういうふうに質問が進んでいくものでございます。○円と提示したときに(はい」と答えた方に対しては、Q5aで、治療全体で○円よりも高い金額を御提示して、先ほど(はい」と答えたものよりも高い金額を提示して、この費用であったときに公的医療保険で支払うべきだと考えるかどうかをさらに尋ねるものでございます。

 (はい」と答えた方に関しての質問はここまでで終わりで、次に(いいえ」と答えた方に関してはQ5bに参りまして、(いいえ」と答えた方でございますので、先ほど御提示した○円よりも低い△円になったら、この費用を公的医療保険で支払うべきだと思いますかどうか。そして(はい」と(いいえ」で答えていただくものでございます。

 この2段階の調査を行うということでございまして、まず、○円という額を提示し、その(はい」(いいえ」によって、その○を上げ下げしたものについて(はい」(いいえ」を聞いて、この金額に関する質問は終わるというものでございます。

 次に3ページ目でございますが、その理由をお聞きしております。それぞれ(見あう治療であると思ったから」などの選択肢がございます。

 また、Q8には、こちらについて、どのぐらいの自信があるかということについてもお聞きをするものでございます。

 次に4ページ目以降が、回答者に関する属性をお聞きするものでございますけれども、まずQ9は、世帯収入、年収をお聞きするもの。Q10が扶養家族の人数。Q11がお住まいの都道府県です。

 5ページ目でございますけれども、最終学歴、婚姻状況、健康上の問題を抱えているかどうかということをお聞きします。

Q15以下は、EQ-5Dと呼ばれる、いわゆるQOLをはかる方式として確立された一つの聞き方ということでございますけれども、移動の程度、身の回りの管理、ふだんの活動、痛み/不快感、不安/ふさぎ込みについて尋ねるものでございまして、必要に応じて、このQ9以降のものは補正に用いるというものでございます。

 以上が支払い意思額に関する御説明でございまして、次に、次回ヒアリングを考えてございますので、それに向けて、これまでの議論の取りまとめを行ったものでございます。先ほどの支払い意思額以外のところについて取りまとめを行ってございます。

 対象の選定からこちらの活用の方法まで、論点としてお示しをしておりますが、まず、2こま目でございますが(1.対象の選定の考え方について」でございます。医薬品、医療機器についてでございますけれども、対象から除外する要件といたしまして1から4まで掲げさせていただきました。

 このうち、1治療法が十分に存在しない希少な疾患に対する治療に用いるもの。

 2医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議または医療ニーズの高い医療機器等の検討会でございますが、こちらは試行導入の基準と同一であります。

 さらにこれまでの議論を踏まえまして、3小児疾患に対する治療に用いるもの。

 4基礎的医薬品、不採算品再算定等を追加しております。これについては除外してはどうか。

 さらに複数の品目に同じ価格が設定される等の場合につきましては、当面対象から除外することとしてはどうか。5医薬品でありましたら、後発品及び後発品のある先発品。

 医療機器におきましては、1つの機能区分に複数の品目が含まれている場合の当該品目についても除外してはどうかとお示しをしました。

 これは除外基準でございまして、次に選ぶ基準、対象とする要件でございますが、3こま目で、医療保険財政への影響度を重視する観点から、新規及び既収載ともに要件としては1、2、革新性が高いものである。つまり補正加算があるような品目であるということでございますが、それに加えて市場規模の大きな品目を基本としてはどうかと御提案をしてございます。

 その際、基準につきましては、対象となる品目数、私どもの評価に係る体制等を勘案しながら検討することとし、一定の市場規模としてはどうかと御提案しております。ただし、一定程度を超えない場合であっても、著しく高額な品目等につきましては、それぞれ薬価算定組織、保険医療材料等専門組織の意見等を踏まえて、柔軟な対応ができるようにしてはどうか、つまり、対象とすることができるようにしてはどうかと提案をしてございます。また、効能追加等で、収載後に市場規模が一定の額以上拡大したものも対象としてはどうかと御提案をしております。

 4こま目でございますけれども、こちらは高額な医療機器を用いる医療技術でございますけれども、こちらも今、試行的導入におきましては具体例を用いた検討を行っているところでございましたが、こちらも除外要件、対象とする要件を、先ほどの医薬品、医療機器のものを参考に除外要件、対象とする要件を基本としてはどうかとお示しをしてございます。

 こういう御提案につきまして、当部会における主な意見でございますけれども、まとめたものが5枚目でございます。

 対象の選定の考え方でございますけれども、制度化し、安定的運用を目指すということで、事務局から提案された要件につきましては、制度化を目指すところにつきましては妥当と考えるけれども、運用状況を見て、適宜再度検討していく必要があるのではないか。また、市場規模が一定程度を超えない場合であっても、著しく高額な品目等について対応することは賛成である。しかし、この償還価格は、費用対効果評価によって抑制される場合には、償還価格と市場価格との間に差が出る。現場での価格交渉等で折り合いがつかないような場合が想定されるという懸念もあるのではないかということでございます。

 制度化に当たっては、当初は数十品目から開始し、今後の体制の充実に伴いまして、対象品目数を拡大していくことがよいのではないか。対象品目数及び評価体制の充実について、引き続き検討が必要なのではないかと意見があったところでございます。

 次に、(2.総合的評価(アプレイザル)について」でございます。

 アプレイザルにつきましては、6枚目のスライドの下の2つ目の○の中に、1、2、3という要素を分解してお示ししているものでございます。

 まず、1が科学的な観点からの検証でございまして、企業における分析、また、再分析グループによる妥当性を検証するもの。

 2は、倫理的、社会的に影響等に関する検証で、ICERによる分析のみでは適切な評価ができないものに関して考慮するべき要素をお示しして検討を行うものでございます。

 3は、総合的評価におきましては、それらを踏まえまして、定性的な1つの評価結果をお示しするということで御提案をしたものでございます。

 7こま目は、先ほど申し上げた科学的な観点からの検証でございますので、詳細な説明は省かせていただきます。

 8こま目は、倫理的、社会的影響等に関する検証で、考慮すべき要素として一定のものをお示ししたものでございますけれども、下の表にありますように、ICERによる分析の特性を踏まえた要素として、ICERではなかなか十分に評価し切れないという御指摘があるものにつきましては1、2、3。そして、その他の要素として4、5、6と、計6つの要素をお示ししてございます。また、個別の品目を評価する中で、考慮すべきと考えられる要素が出てきた場合は、適宜検討するとしてはどうかと御提案を申し上げました。

 9こま目でございますけれども、先ほどの支払い意思額調査のところでも用いたチャートが出てきてございますので、5段階の評価を行う際に、支払い意思額を用いてはどうかということを再度、御説明しているものでございます。

10こま目は総合評価でございますけれども、増分費用効果比(ICER)の5段階の評価が(費用対効果が悪い」あるいは(費用対効果がとても悪い」であっても、倫理的・社会的影響等に関する観点から考慮すべき要素があるという場合には、一定の配慮をするということを可能としてはどうかということでございます。

 また、ICERの値が、一定の幅でお示しいただくこともあろうかと思いますけれども、その場合は代表的な値を評価することを基本とすることを提案させていただいております。

11こま目は、アプレイザルの結果の示し方でございますけれども、対象品目の評価結果の具体的な値づけに対する反映ですが、それは薬価部会、材料部会で御議論いただくことになるわけでございますが、費用対効果評価の結果として記載する事項については、破線の四角の中にある1.2.3.の事項をお示しすることとしてはどうかと御提案しているところでございます。企業の分析、再分析、アプレイザルの概要と総合評価ということでございます。

 こういう総合的評価(アプレイザル)につきまして、当部会における主な意見は次のとおりということで取りまとめさせていただいておりますが、ICERの算出が困難な場合の取り扱いについてはさらに検討が必要ではないか。

 倫理的、社会的影響等に関する観点は、その考慮すべき要素は現段階では厳密に定めないようにすべきではないか。

 具体的に何を評価するのか、また、定量的にどの程度の評価をするのか、あらかじめ決めておく必要があるのではないか。

 イノベーション等について、従来の価格決定ルールとの関係の整理が必要ではないか。

 示された要素については、対象の選定の段階で除外するといった考慮もできるのではないか。

 次に、評価結果のまとめ方につきましては、中医協においても別途議論すべきではないか。また、議論の透明性を確保することは重要ではないかという御指摘をいただいたところでございます。

 次に、活用方法でございます。13こま目、1つ目の○の2行目でございます。制度化に当たっては、この評価結果の活用は、原則として保険償還の可否の判断には用いず、価格の調整に用いる位置づけとしてはどうかということでございます。

 2つ目の○でございますが、新規収載品については、制度化に当たりましては、ラグを生じさせないという観点から、当面は一度、薬価材料価格を設定して保険適用をし、後から費用対効果の結果を用いた価格調整を行うこととしてはどうかと御提案をしたものでございます。

14こま目でございますが、評価の期間でございます。

 対象の選定から価格調整までの期間については、円滑な制度運用、そして関係者の予見可能性のため、一連の作業のそれぞれについて、標準的な処理期間をあらかじめ定めることとしてはどうか。

 その際には、分析等を行うために必要な期間を確保する観点。諸外国で既に費用対効果評価が実施されている品目は、それなりのデータがあろうかということも考慮してはどうかということでございます。

 2)といたしまして、評価結果を迅速に反映する観点。

 3)といたしまして、関係者が価格改定に対応するまでの期間を確保する観点を踏まえ、これは試行的導入、諸外国における状況も参考にしながら引き続き検討することとしてはどうかとしております。

 価格調査のタイミングが15こま目でございます。価格調整のタイミングについては、下の●が3つございますが、このような論点を踏まえながら、引き続き検討してはどうかとしておりまして、1つ目の●でございますが(国民皆保険の持続性」(イノベーションの推進」を両立する観点から、可能な限り早期に価格に反映することが求められている。

 2つ目の● 一方で、その価格改定については、次のような影響が想定されるということで、システム改修を含めた請求事務や在庫調整の対応。妥結交渉のやり直し。 経営計画の見直し。

 3つ目の●といたしまして、現在検討されております薬価制度の抜本改革におきまして、以下のような保険収載・価格改定が想定されていて、医薬品、医療機器の費用対効果に係る価格調整のタイミングについてはこれらの機会を活用することが現実的ということで、新規収載品の保険収載時。今は最大年4回。そして、改定年の間の年における価格改定時。そして、改定年の価格改定時でございます。

 高額な医療機器を用いる医療技術につきましても、これは技術料であることから、今後、そういうことも踏まえて引き続き検討することとしてはどうかと御提案を申し上げました。

 こういう価格調整のタイミング等につきまして、当部会における主な議論は次のようにまとめてございます。

 まず、活用方法についてでございますが、結果は価格調整に用いることとし、必要な治療は全て保険適用すべきなのではないか。

 また、制度化に当たっては価格調整に活用するということでよいが、将来的に償還の可否の判断に用いることについては排除すべきではないのではないかという御指摘がありました。

 また、評価期間につきましては、できるだけ短くするべきではないか。そのために評価期間については、それぞれの処理期間に一定の期限を設けるべきではないか。

 制度化後、実際にどのように運用できるのかまだわからない。制度をスムーズに導入するには、当初は、ある程度の処理期間が必要なのではないか。

 価格調整のタイミングにつきましては、その選定のタイミング、特に新規の場合でございますが、製品によって異なりますため、年4回の薬価の見直しと時期を合わせて調整を行う。そして、そういうことで結果を速やかに反映させるべきではないか。

 頻回に価格改定を行えば、現場の混乱を招く可能性があって、慎重に対応すべきではないか。

 緊急に対応するものと、費用対効果評価のように計画的に行うものでは位置づけが異なるのではないか。制度化に当たっては、まずは2年に1回の改定年の価格改定時、もしくは改定年及びその中間年における価格改定時に価格調整を行うべきではないかという御指摘をいただいたところでございます。

 このように取りまとめさせていただきまして、これを踏まえまして、次の業界からの意見聴取に臨みたいと考えているものでございます。

 長くなりましたが御説明は以上でございます。

○荒井部会長

 ありがとうございました。

 ただいまの説明に関して、御質問等がありましたら、お願いします。

 松本純一委員、お願いします。

○松本純一委員

 費-2の資料で5こま目ですが、一番下の行に(補正を行う」とあります。補正に関して(必要に応じて」とありますが、どのようなときに必要とされるのでしょうか。また、その補正の仕方には一定の法則があるのでしょうか。

○荒井部会長

 参考人、お願いします。

○福田参考人

 参考人の福田でございます。お答えさせていただきます。

 この収入との関連につきましては、まず収入等についての御回答をいただきますので、それと回答値の間で、統計学的に有意な関連があるかどうかを分析いたします。それによって有意な関連があって補正が必要ということであれば、日本の国民の一般的な所得に合わせる形で補正をすることを想定しております。

○松本純一委員

 それは、その調査をする方の主観ですか。

○福田参考人

 収入に関してですか。

○松本純一委員

 はい。幾らだったらこういう補正をするという基準があるのでしょうか。

 健康状態というのも同じことですか。

○福田参考人

 はい。必要があればそのような形をとると思いますが、健康状態よりもやはり収入や年齢だと思っています。

○松本純一委員

 6こま目についてもお聞きします。

 いちいちこれは最もだと思います。特に5番目は世相の反映なんかもありますので、1回だけの調査ではなく、何回もやるのは必要だと思うのですけれども、それぞれに(ないか」と、クエスチョンマークはついていませんがクエスチョンで書いてあります。これには、こういう議論があったというだけで、これに対する回答はおつけいただくということではないのでしょうか。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 6こま目につきまして、ここで当部会における議論についてということでまとめさせていただいたものでございます。確かに一つ一つに対する対応表は今回つくってはございませんが、まず1つ目のさまざまな立場の方から意見を聞くべきではないかということに関しましては、私どもとしては、無作為抽出することによりまして、日本全体の人口を代表性のある形で、さまざまな立場が含まれる形で調査を行ってはどうかと考えてございます。

 また、知識がある方を対象にすべきではないかという御指摘に関しましては、調査方法の中で、対面で調査員も伺ってということでございますので、そこである程度の説明ができるのではないかと思ってございます。

 また、公的医療保険からの支出の観点から調査をすべきではないか、そして、また次の全額自己負担の場合で異なってくるのではないかということに関しましては、公的保険からの観点で調査を行うと御提案をさせていただいているところでございます。

 次に、支払い意思額の調査を継続して実施することも検討が必要ではないかというところに関しましては、今後の対応の中で、制度化後、再度また検討することとしてはどうかとオプションを広い形で持たせていただくことで御提案をさせていただきたいと思っているところでございます。

 下から3つ目の○でございますが、回答者が、完全に健康な状態で1年間生存することを可能にするということの解釈や保険料に影響することも理解して回答できるというものに関しましては、説明文で丁寧に御説明するとともに、やはり御質問があれば調査員の方が丁寧に説明していただく工夫が必要ではないかと考えておりますし、するべきだろうと考えてございます。

 また、調査の実施、結果につきましては、広く周知する必要があるのでないかということでございますけれども、当然、その結果につきましては、この中医協でも、私どもとしてきちんと公開させていただくと考えているところでございます。

 以上のように私どもとしては考えさせていただきました。きょう御提案の中に、ちりばめて御説明をさせていただいたつもりでございましたが、一対一になっていなくてわかりづらかったところに関しましては、おわびを申し上げたいと思います。

 以上です。

○荒井部会長

 引き続きお願いします。

○松本純一委員

 引き続いてですけれども、9こま目、これも先ほどの6こま目と同様なのですけれども、一つ一つの(どうか」に、どういうふうにお答えされるのでしょうか。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 まさに9こま目は、私どもが本日、このように進めさせていただいてはどうかと御提案をさせていただいているものでございまして、中医協の場でこれについて御議論いただければと思っているものでございます。

○荒井部会長

 松本委員、どうぞ。

○松本純一委員

 費-2の資料では最後になりますけれども、10こま目の参考資料ですが、2006年、2010年の調査は、規模とか方法とか公的医療保険をどうするかなど、どのような調査だったのかというのは、今後、そういう資料は出されるのでしょうか。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 この10こま目の資料自体は、何度かこの部会でも出させていただいたものでございますが、今、御指摘いただいた、例えば2、3、あるいは2のところで、文献で根拠があるものに関する背景資料の提出に関する御指摘だと承ってございます。もちろん私どもは、必要と御指摘いただければ、きょういただいたと受けとめまして、今後、その背景、あるいは調査の内容につきまして、御説明させていただくことは可能でございますし、させていただこうと思ってございます。

○荒井部会長

 引き続きどうぞ。

○松本純一委員

 何千人、これがされたかどうかはわかりませんが、先ほどの質問の中で、いわゆる補正というもののイメージが、調査をされた結果で、この方に対してはこういう補正をしてこういう結果になったとか、具体例を出していただくと非常にわかりやすいと思うのです。今までの回答ですと、なかなかイメージが湧かないものですから、それをぜひお願いしたいと思います。

 費-2の資料については、また後でします。

○荒井部会長

 ほかの方はどうでしょうか。

 吉森委員、お願いします。

○吉森委員

 今の松本委員と同じでございますけれども、費用対効果は今回初めて導入する制度でございますし、今後も試行的導入の結果を踏まえて不断な見直しをしていくと理解をしておりますけれども、最初の導入段階においては、このアプレイザルの根幹をなしております科学的観点からの1QALY当たりのICERの解釈方法の一つとしての医療技術の費用対効果の妥当性を評価する評価軸としての支払い意思額の調査は重要なポイントであると考えておりますので、この意思額の調査が適切に行えるのかどうかという点は、大いに不安がございますし、その活用方法についても、今の松本委員の意見と同様でございます。

 また、この費-2の6ページの、先ほど企画官から回答がそれぞれございましたけれども、下から3つ目の○、調査に当たっては云々とありますけれども、ここについては実際に調査員となる方へのマニュアルの整備、研修の実施等々、十分に行う必要がございますし、それに加えて調査対象となる方へのより丁寧な説明が必要だろうと考えております。

 特に費-2の参考の調査票を拝見しますと、公的保険から支払うべき金額については、我々患者の立場から言えば、ふだん余り意識をしていないということではないのかと思いますので、この調査票の2ページの最初に、よく読んでと書いておりますけれども、患者の自己負担で考えた場合にはどの程度の金額になるかとか、公的保険からの支払いが、自分の支払っている保険料に及ぼす影響、どれぐらいのパーセンテージでどうなのかといった点も踏まえ、調査員から別途、丁寧に説明することが必要ではないかと思いますし、回答者の皆さんには理解をしていただいて回答をしていただく必要があるのだろうと思います。

 また、その次の状況設定でございますけれども、病気で死が迫っている患者が、完全に1年だけという条件をつけていますけれども、健康状態で生存できる治療方法に対してどうなのかという設定に対しては、私の考え過ぎかもしれませんけれども、一般的には、1年だけとは切っているものの、完全に治癒し、健康な生活ができて、さらには費用は公的医療保険からの支払いであるならば、金額は別に問わないのだろうと考える人が多いのではないかと考えます。つまり支払い額にバイアスがかかるのではないかと懸念する次第です。

 そこで、ここの状況設定については、曖昧なものという感覚がしないでもないので、もし可能であるならば、これはもう少しかみ砕いて、この基準の解釈を、例えば1年だけというところの解釈を丁寧に示す工夫をするなど、検討が必要ではないかと思いますので、御検討いただければと思います。

 以上、意見です。

○荒井部会長

 意見ということで、よろしいでしょうか。

 引き続き幸野委員、お願いします。

○幸野委員

 本日初めて、支払い意思額調査の調査票が示されましたので、これについて意見と質問をさせていただきます。

 まず意見としては、保険者の立場から申し上げにくいことですが、国民は公的医療保険について余り理解できておらず、自分が保険料をいくら支払っているのかということも正確に言えない人がほとんどだと思います。国民が、今の医療保険財政がどういう状況にあるかということも全くわかっていない中で、公的医療保険から幾ら支払うのかという調査に回答しなければいけないというのは、本当に良いのかと疑問に思います。

 回答者に対して、例えば、今の医療保険財政の現状や、仮にこの医療に500万円を支払うと、患者数を勘案すると自分の保険料がこれぐらいの金額に上がるかもしれないといったことまで丁寧に説明しないと、正確な回答は出てこないと思います。それだけの説明が、この何千人の回答者に対して同じようにできるのかというところがまず疑問として残ります。

 それと質問ですが、受諾確率曲線は、Q4Q5aQ5bをもとに描かれるということでよろしいのでしょうか。

○荒井部会長

 参考人、お願いします。

○福田参考人

 ありがとうございます。

 まず、御質問の後ろのほうからお答えさせていただきますけれども、受諾確率曲線を描くためには、原則としてはQ4及びQ5、あるいはQ5aQ5bです。この回答に従ってつくっていきます。

 ただ、先ほど御質問もありましたけれども、これが年齢とか収入とかに関連することは、分析をいたしまして、それによって受諾確率曲線を関数の形で、数式で推計いたしますので、そのときに年収とか年齢とかの補正を反映することで推計をするということでございます。

○幸野委員

 わかりました。

 これで受諾確率曲線が描けたとして、支払を許容する人の範囲の○%、△%というのは、どうやって決めるのでしょうか。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 ○、△、□と今おっしゃっていただいているのは、例えば、こちらの費-2で申し上げますと7こま目、8こま目にあります○、△、□のことだと理解して御回答申し上げますが、これに関しましては、私どもから受諾確率曲線が出た後に、それぞれ何%、そして幾らの方々のところでこの線を引くかというのは、この部会において私どもが御提案を申し上げようと思ってございます。また、その決め方としては、今のところはこちらの支払い意思額調査と一人当たりGDPを勘案してとなってございますので、そういうものを勘案してお示しすることを予定しております。

○幸野委員

 わかりました。

 支払いを許容する人の割合に、Q6以降の設問が何か影響するということがあるのでしょうか。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

Q6以降の設問の影響という御質問の意味を、図りかねているところはありますけれども、基本的には先ほど福田参考人から御説明がありましたとおり、この受諾確率曲線を数式に置いて描いていただく。それとあとは支払い意思額については、一人当たりGDPと勘案いたしまして、先ほどの○、△、□については決定していくというものでございます。Q6以降は、受諾確率曲線を描く場合に、補正として用いるかどうかが、統計的に処理されて活用されるものと理解しております。

○荒井部会長

 幸野委員、どうぞ。

○幸野委員

 回答者に与えられる情報は限定的だと思うので、Q6Q7で、(これだけの情報では判断できないから」を選択する場合もたくさん出てくると思います。そのような中で出た回答も自動的に受諾確率曲線に用いるというのはいかがなものかと思うので、何か補正する方法を考えるべきだと思います。

○荒井部会長

 参考人、何かありますか。

○福田参考人

 ちょっと御説明が不足しておりましたけれども、そういう意味でいうと確かにQ6Q7、あるいはQ8のお答えによっては、分析を一部分の集団で行うとかということもあわせてやる必要があると思います。

○荒井部会長

 ほかにありますか。

 松本純一委員、どうぞ。

○松本純一委員

 今、お二人の委員の方が言われたように、やはり公的医療保険を使うということの理解が、どれだけの人ができるかということで、結局自己負担分は最高で3割で、自分が今、大体保険料が何千円で、それがどれぐらい上がるのかというのがイメージできる人がどれほどいるのか。だから、何が言いたいのかと言えば、自己負担分で考える人とか、保険料の増加が想像できる人がどれだけいるか。それでまた支払い意思額というのは変わってくるはずなので、こういうものも本来は補正をしなければいけないと思いますが、この補正こそ、まず主観でしかできないと思うのです。だから、まずは少なくとも、なぜ公的医療保険で考えなければいけないのか。幾ら払えるかということでなぜいけなかったのかというのが非常に疑問なのです。

 今、幸野委員も聞かれた○、△、□ですけれども、これは幾らから始めるかというパターンがいろいろあると思うのですけれども、何パターンぐらい考えられているのか。具体的な金額はなかなか言いづらい部分があるかもしれませんが、その辺は用意はどれぐらいあるのですか。その辺をお聞きしたいです。

○荒井部会長

 参考人、お願いします。

○福田参考人

 御質問がありました金額の設定なのですけれども、範囲とかは御提示はしないようにいたしますけれども、複数段階で、一般的にこれまででやられている研究などにおきましても、10個程度以下ぐらいではないかとは思います。

○荒井部会長

 松本純一委員、お願いします。

○松本純一委員

 それは出発点が10パターンという、それが例えば幾らから幾らというのは、私もなかなか想像できないのですけれども、先ほどの費-2の10こま目を見れば、日本だと1QALY当たり500万~600万と書いてあるから、その辺が中心になるのかもしれませんけれども、以前、企画官のお答えの中に(例えば」と言いながら、それが万かどうかはともかくとして、100から聞いたときに(はい」と答えたら200にする。(いいえ」と答えたら50にするという言い方で、倍々ゲームなのか、あるいは半々でいくのかというイメージをしたのですけれども、その辺は、例えば10パターンあって、上が相当の金額になったときに、それも倍々にしていくのか、その辺は同じように、1つのパターンといいますか、最初の金額を決めたら、そこは同じようにみんな聞いていくのか、2点お願いします。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 まず最初の御質問につきましては、私のこれまでの御説明に関するものでございますので、私から御説明をさせていただきますが、確かに私から(例えば」という前提つきではありましたが、1つの額を提示し、その後、半分にしたり倍にしたりということで御説明をしたことはあったように記憶をしてございます。

 ただ(例えば」とお示しをしたつもりでございまして、全てが倍または半額というつもりではございませんでした。そこに関しましては、そういう誤解を与えて大変申しわけなかったと思ってございます。

 あと、この金額、最初の設定と、それから上げた場合、下げた場合、(はい」と答えた場合、(いいえ」と答えた場合に、何を次に幾らを提示するかに関しましては、学問的にというか、これまでの調査をもとに専門的な学術的な観点も踏まえて決定していただくべきものであろうかと思ってございますので、そこに関しては参考人に委ねたいと思ってございます。

○荒井部会長

 参考人、お願いします。

○福田参考人

 ありがとうございます。

 設定に関しましては、今、企画官からの説明どおりで、最初に提示した額を必ず2倍にするとかではなく、当然、最初の額が高い場合には2倍までに行かない金額での提示と、各金額、最初の値に応じてという設定を予定しております。

○荒井部会長

 松本委員、お願いします。

○松本純一委員

 それで、例えば倍、半分というのは、例えばだと言うことができるからいいのです。どんどん行く、どんどん下げると最初に言われた。これを見ると、2回しか質問をしない。それはどうなのですか。

○荒井部会長

 企画官のほうでお願いします。

○眞鍋医療課企画官

 何回繰り返すかというところに関しまして、私の理解が十分でなかったということで、そこはおわびをして訂正をさせていただきたいと思います。

○荒井部会長

 松本委員、どうぞ。

○松本純一委員

 この曲線の中で(はい」と答えないとプロットされないのですね。逆ですか。

 だから(いいえ」になったときに、その場合の(はい」がプロットできるのですか。

○福田参考人

 何割の方がその設定に対して(はい」と答えたかという情報を使います。

○松本純一委員

 2回しか聞かないとそうなのですけれども、そうすると最初から(いいえ」だったら、最初の金額が(いいえ」だったらプロットされないわけですか。

○福田参考人

 2回目が、もう少し下がった金額でもう一度聞くことになります。

○松本純一委員

 だから、2回目も(いいえ」だったら、その人はプロットされないということですか。

○福田参考人

 2つの金額情報に対しまして、両方が(いいえ」だったという情報を使って推計するということになります。

○松本純一委員

 結局、プロットできるまで聞いていくのではなくて、だから上の場合は、2回しか聞かないわけですから、限界はわからないわけですね。幾らまで支払えるかという、支払い意思額は限度額ではないですし、ここなら払えるという意味での意思額という解釈になるわけですね。

○荒井部会長

 参考人、お願いします。

○福田参考人

 済みません。説明が不足して失礼いたしました。

 今回やっているものは、二項選択法という、1つの金額を提示して、それに対してイエスかノーで払うべきかどうかを答える形をとっていて、この形ですと、御指摘のとおり回答者個人ごとの最大支払い意思額を推計することはできません。あくまでも集団としての受諾確率曲線を推計するために、そのデータを使っていくことになります。

 個人について最大意思額を聞くという方法もあるのですが、質問を繰り返していくという方法も過去において行われてはいるのですが、これの場合には非常に回答に時間がかかるという点と、あと、それをどこから開始をするかという、開始点のバイアスがかかるという指摘がされておりますので、最近、こういうような調査で多く行われているのは二項選択という、金額を提示してイエスかノーで答える、しかも、それを二段階程度でおさめるというのが主流の方法になっております。

○荒井部会長

 松本吉郎委員、お願いします。

○松本吉郎委員

 何人かの委員の方がおっしゃいましたとおり、状況設定がいろいろ複雑な問題を抱えていますけれども、要するに感覚的なもので答えてくださいということだと思いますが、その感覚が私どもの感覚と近いのか、それとも全く離れたものとして出てくるのかもわからない状況の中で、またさらに補正が入る。しかも、この出てきたものを利用するのに、これがどの程度の支払い意思額が影響するかということも全くわからない。きょう初めてアンケート様式が出まして、多少見えてくるものはありますけれども、例えば、Q15以下の質問の、健康状態等も補正に用いるということを企画官はおっしゃいましたけれども、この辺もなかなか透明性がない部分でもありますし、いずれにしましてもこの支払い意思額につきましては、今言った状況をもう一度きちんと補正も含めた上で、透明感を持って提示していただいた上でしっかりとした議論をしないと、なかなか進みにくいのではないかと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

○荒井部会長

 松本委員、お願いします。

○松本純一委員

 費-3で、10こま目は例Cが2つあるのですけれども、それがよくわからないということと、15こま目の最初の○の3番目の●でポツが3つあるのですけれども、この順番は、まず改定年の価格改定時が一番上で、間の年における価格改定時というのが真ん中で、新規収載品の保険収載時(最大年4回)が3番目に来るべきではないかという、これはひとり言と聞いていただいてもいいです。

13こま目なのですけれども、2つ○がありますけれども、上の○は賛成といいますか、そうだなと思います。下の○なのですけれども、(当面は、一度、薬価、材料価格を設定して保険適用し」云々とあります。今、薬価の抜本改革を進めていく中で、これはちょっと踏み込み過ぎのような感じがするのですけれども、薬剤管理官、これはよろしいですか。

○荒井部会長

 薬剤管理官、お願いします。

○中山薬剤管理官

 お答えします。薬価制度の抜本改革では、その収載時の薬価の設定の仕方とか改定の仕方について、全般的に御議論いただきながら、年末に向けて、必要な見直しについて結論を得ていくということとなっています。この中で、当然のことながら、費用対効果評価に基づく価格調整の仕方についても、関連づけながら一体的に検討していくということになると考えております。

 もう少し具体的に言いますと、費用対効果評価に基づく価格調整があるということを前提とした収載時の薬価設定の仕方とか、実際の価格調整の仕方ということを含めて検討していくこととなると考えておりまして、この内容については特段、問題はないと考えております。

○荒井部会長

 松本委員、お願いします。

○松本純一委員

 企画官にもお尋ねしますが、今、薬剤管理官は、特に薬価の抜本改革にとって費用対効果評価も一つの手法であるということですけれども、企画官も同じお考えですか。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 材料価格の担当企画官として申し上げます。

 先ほど中山管理官が薬剤についてお答えされたのと同じで、材料につきましても同じようなスタンスで考えているところでございます。ただ、材料に関しましては、抜本改革のような基本方針は出ておりませんが、私どもは当然、この費用対効果評価を踏まえまして、材料価格の設定の仕方については検討していかなくてはいけないと考えております。

○荒井部会長

 松本委員、どうぞ。

○松本純一委員

14こま目ですけれども、試行的導入及び云々を参考にしながらという文面がございます。改めてお尋ねしますが、試行的導入の結果を待たずに本格導入を検討することの意義をもう一度御説明をお願いいたします。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 これも御案内のことでございますけれども、試行的導入につきましては、昨年度から開始ということで、これまでの長い検討を踏まえて導入されたものでございます。その後、私どもの検討とは別のところでも薬価の抜本改革の基本方針が取りまとめられ、また、この費用対効果が、今後の価格の調整の一つの重要なツールなるのではないかという議論がありということでございますけれども、費用対効果評価につきまして制度化をする。その検討を加速化して、そのあり方について、今年中に結論を得るとされたところでございます。

 私どもといたしましては、使えるものにつきまして、価格に反映させるというところにつきましては、その考えを参考にしながら、使えるものは迅速に反映させていくようなことをさせていただきたいと思っているところと、それから、確かにこの試行的導入につきまして、当初の予定であれば、結果を御説明し、また平成30年以降、その結果を踏まえて、あり方を検討した上で、次に本格的導入ということを考えておったわけでございますが、先ほど申し上げたような内容でございまして、私どもとしては、この検討結果をできる限り御提示させていただきながらということではあるのですけれども、私どもとしては来年度、制度化させていただきたいと思っているところでございます。

○荒井部会長

 松本委員、お願いします。

○松本純一委員

 今、期限を切るというのはどうもはやりのようでございますが、期限を切っても、最後の行にありますように、何度も言いますが、試行的導入も参考にしながら、その結果を参考にしながらという文面があるのですから、途中経過はなかなか出しにくいのかもしれませんけれども、そういうことを我々も参考にしながら決めていくのが筋だと思いますので、お尻を切ったとしても、お尻は延ばしていかないと結果を出すのにまずいのではないかと思います。

 しかも、先ほど来の話で、支払い意思額についてのこととか、アプレイザルの際の倫理的、社会的影響に関する観点というものについての説明に、私自身納得していない状況の中で、これをどんどん進めていく、進めるということに関して否定するものではないのですけれども、進め方に懸念があるということを言わせていただきます。

○荒井部会長

 間宮委員、お願いします。

○間宮委員

 調査票の状況設定のところですけれども、この聞き方で、本当に一般の国民の皆さんが判断できるのかなというのを少し疑問を抱いていて、この状況だと、聞かれたほうがかなり疑問をいろいろ抱くのではないかと思うのです。その疑問を抱いたまま答えるということは、本当にその人の意思が反映されているのかどうか、実際、反映されるかどうかというのは疑問だと思っていて、この状況設定だと、死が迫っていて、治療法が開発されたから1年間だけ命を延ばすことができる。では、それを使い続けたとしても、1年たったら死んでしまうという、死ぬことが前提ということだったりとか、実際、この対象の人の年齢とか、それまでの状況というのも大分疑問が出てくると思うのです。そうすると、これは対面の調査なので、調査員に対して、これはどういうことなのみたいなことでいろいろ質問をすると思うのです。それに調査員が、皆さん同じように答えていただかないと、その辺はばらつきが出てきてしまうということからいえば、予想される質問とその答え、いわゆるQ&Aを整備する必要があるのではないかと思いますし、これは試行的導入ですから、これをやった結果、どういうことがわかったかということを後で検証するためには、この状況設定に対してどんな質問があったのかとか、どんな疑問を対象になる方が抱いたのかということもきちんと残しておくべきだと思いますし、それを残して、次の試行的導入の以降に、それを反映させていくことが必要なのかと思います。

 それとQ14なのですけれども(あなたは現在健康上の問題を何か抱えていますか」ということで聞いていますけれども、これは(あなた」、御自身だけになっているので、御自身だけのことでの答えだけなのか、あなたは健康上の問題を抱えているかという質問と、あと御家族でという質問もあってもいいのかと思います。やはり、家族に健康上の問題を抱えている方がいらっしゃったら、その方の回答はまた変わってくるのかなと思います。

 以上です。

○荒井部会長

 ありがとうございました。

 先ほど手を挙げていたので、幸野委員、どうぞ。

○幸野委員

 また、質問がございます。費-3の8ページの倫理的、社会的影響等に関する検証については、前回、限定して基準を設けるべきではないと申し上げたところです。私の理解不足もあると思うのですが、ここに示されている6つの基準がどうも納得できません。例えば、5番のイノベーションの観点について、費用対効果評価の対象とする要件は、医薬品、医療機器ともに革新性の高い品目となっているため、既に保険収載の際にイノベーションの評価がされているにもかかわらず、なぜ費用対効果評価でも考慮する必要があるのかということが理解できません。また、6番目の(小児の疾患を対象とする治療」については、対象から除外する要件になっているのにもかかわらず、考慮するという矛盾があります。これは私の理解不足かもしれないので、ご説明いただきたいと思います。

 この他に12ページで、費用対効果評価専門組織における評価結果のまとめ方については、評価結果を中医協においても別途議論すべきではないかと記載されていますが、費用対効果評価専門組織における評価の検討経緯は、中医協において公開されるということでしょうか。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 企画官でございます。

 まず、8ページのアプレイザルの考慮要素でございます。済みません。この資料の構成について、御説明を申し上げたつもりだったのですけれども、十分に至らなかったということで反省をしております。

 まず、これは事務局がこれまでこのように御提案をさせていただいて、それにつきまして、この部会で御指摘いただいたものを当部会における主な意見としてまとめているものでございます。こちらの8ページ、アプレイザルの考慮すべき要素につきましても、何回か前の部会で私どもが提案したものそのままです。とりあえず、当時これで提案しましたということで御提示をしておりまして、その上で、例えば12こま目の中で真ん中にございますけれども、従来の価格決定ルールとの関係の整理が必要ではないか。まさにこれは幸野委員の御指摘を受けて、今後、これを踏まえて検討していくという内容でございます。

 また、小児でございますけれども、これはたしか安部委員からの御指摘だったと思いますけれども、これを受けまして、その後の選定基準のほうで除外要件に入れさせていただいているように、そこは反映させております。そのような構成になっているということで、御理解を賜れればと思っております。

 それから、12こま目に関する御質問でございました。評価結果について別途議論すべきではないか。こちらも当部会でいただいた御意見でございまして、これを受けまして、どのような形として私どもが設定するかは、まだ引き続き、私どもで検討させていただきたいと思ってございます。きょうここで、これについてこうしたいと御提案をしているものではございません。

○荒井部会長

 幸野委員は特にいいですか。

○幸野委員

 それでしたら意見として言わせていただきますが、この倫理的、社会的影響等に関する検証については、やはりイノベーションや小児の疾患を対象とする治療については考慮要素から除外すべきだと思います。

 また、費用対効果評価専門組織で検討された総合的評価の結果については、できれば公開して議論すべきだと思います。

○荒井部会長

 ありがとうございました。

 松本吉郎先生、お願いします。

○松本吉郎委員

 試行的導入後の検証期間の必要性については、先ほど、松本純一先生からもお話がありましたけれども、もう何回も述べさせていただいたとおりです。やはり、そういったことを鑑みますと、例えば本格導入があった後に、15ページにあります価格調整のタイミングについてでございますけれども、少なくとも当初、3カ月に1回ということになれば、挙がってきたものがそれぞれ一つ一つ係っていくことになりますので、少なくとも当初の段階は、相対的にある程度の品目を見比べてみるという作業が、初めての経験ですので、どうしても必要になると思います。それを考えれば、ある程度の品目がたまってから、初回は少しじっくり時間をかけて、1年ぐらいかけて検討するという考えが私は妥当だと思いますけれども、この点についてはいかがでしょうか。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 今、いただいた御指摘も含めて、価格調整のタイミングにつきましては、ここにお示ししてあるようにさまざまな御意見があるかと思います。私どもとしては、委員の納得を得ながら進めていくのが必要だと思っておりますので、今いただいた指摘も含めて、私どもはあり方を検討させていただきたいと思います。

○荒井部会長

 安部委員、お願いします。

○安部委員

 調査票のQ6Q7について教えていただきたいのですが、Q6Q4Q5で(はい」と言った金額が一定出て、それに対して具体的な理由を聞いているのですが、例えば□円、○円という具体的な金額が出ている方で、Q6で2に○をつけた方というのは、何か具体的な金額に対する影響が起きるものかということと、同様にQ7で(いいえ」という数字が出る中で、Q7の2に○をつける人は、ほとんどこの質問からはあり得ないようには思えるのですが、仮にここに○がついたときに、何らかの受諾確率曲線とか支払い意思額に対する影響が起き得るのかということを教えていただければと思います。

○荒井部会長

 参考人、お願いします。

○福田参考人

 ありがとうございます。

 今の御質問の点なのですけれども、例えばQ6で、2のそれより高くてもいいという回答があったとしても、それを金額に置きかえるということは予定しておりません。あくまでも回答いただいたものをイエス、ノーの把握に使う。Q7についても同様です。

○荒井部会長

 遠藤委員、お願いします。

○遠藤委員

 1点は、今回の調査でいうと、1回の調査で全て満足しようという雰囲気の議論なのですけれども、実際には国民周知されていない中で、なかなか難しいものかなと考えております。部会の意見としても、議論の中で出ているように、1回やってみた、その結果が出た、その影響が見えてきた、国民がわかってきた、また、継続的な調査を続ける。しかも、これは研究ではなくて、あくまでも薬価、その他を決める重要な値となるものだと思いますので、継続的な調査が必要なのではないかなと意見として持っております。

 それから、お尋ねですけれども、10のスライドのところに、先ほど、日本の過去の問題については資料が後ほど提示されるという話なのですけれども、その中で、既に行われた調査の中で、当然、問題点、課題があったのではないかと思うのですけれども、そういったものが生かされてこの設問になっているのでしょうか。どういった課題があったかということは既に出ているのでしょうか。

○荒井部会長

 参考人、お願いします。

○福田参考人

 御指摘ありがとうございます。

 調査を設計するに当たって、当然過去のものを利用してやっておりますので、過去の、特に国内での質問の仕方とか、調査対象の選択方法とかは参考にしております。その中で、例えば質問方法については、過去のものについても1QALY増加に対して幾ら払うかということなのですが、おおむねここに記載しているような、完全に健康な状態で1年間だけ寿命が延びるという言い方で回答が返ってきておりますので、そこについては同じようなものを踏襲すればいいのではないか。

 過去の研究においては、直接的に幾らまで最大払いますかという質問をしているものもあるのですが、これはやはり回答がしにくいということですので、今回のような二項選択法、金額を御提示してイエス、ノーで答えるという形式をとっております。

 サンプルの抽出に関しては、実は過去のものについては、必ずしも住民基本台帳から抽出してというものではございませんので、今回は代表性を重視して、そのようなアプローチをとる予定でございます。

○荒井部会長

 万代委員、お願いします。

○万代委員

 幾つか質問をお願いいたします。

 まず、費-2の参考の質問票の件で、参考人の先生にお願いするのがよいかと思いますけれども、先ほど福田参考人から2段階で設定したというお話でございました。それを3段階ではどうなのか、あるいは10段階ではどうなのかという、そういった比較の研究、あるいは段階については2段階も3段階も変わらないのか、そういうような結果がございますのでしょうか。

○荒井部会長

 福田参考人、お願いします。

○福田参考人

 基本的な形式としては、二項選択法という1回だけ聞くという形式か、それを繰り返して最終的に最大一致点を求めるかという2つの方法が従来とられておりまして、何段階も聞いていって、3回以上ということでありますけれども、それについてはバイアスがあるということが指摘されておりますので、イエス、ノーで一回聞くというのが、基本的にはバイアスが一番少ない方法と考えられています。

 ただし、一回だけの質問を1人にて、イエスかノーかの回答だけですと、回答者数が相当多く必要になってきますので、その点を考えて2段階程度ならそのようなバイアスがないのではないかということで推奨されています。私の知る限り、それを3回と比較したというものはないのではないかと思われます。

○万代委員

 わかりました。

 それともう一つ、費-2の9ページの(6.支払い意思額に関する今後の対応について」ということで、○の3番目については、これまでの議論でもございましたが、福田先生の結果を参考として用いることとしてはどうかと書いてございまして、10枚目のスライドの2には日本の研究結果がございますが、そこに福田先生のお名前がないということは、あえて書いていないということと解釈してよろしいのでしょうか。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 費-2の10こま目のスライドの中の2に関するコメントだと思いますけれども、たしか2つ目の2010年のShiroiwa et alのこの中には、たしか共著として福田先生のお名前があったと記憶しております。First authorが白岩先生だったということです。

○万代委員

 わかりました。

 そうしますと、結果を参考というのは、ここの金額という意味では、スライドの10枚目の2の金額が参考になるということでよろしいでしょうか。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 金額の設定に関しましては、まさにこれから調査を行って、御議論いただいて決める。これは、過去に行われた実績としてこれがあると、参考としてお示ししたものでございます。これを用いて決めるというものではないと承知をしております。

○万代委員 

 そうしますと、スライドの9枚目に戻って○の3の、アプレイザルについても、今、専門組織でやっていると認識はしておりますけれども、そこの専門組織でのアプレイザルにおいて、福田先生の結果を参考として用いて、アプレイザルを行うという作業となると理解すればよろしいのでしょうか。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 今、試行的導入で対象としている13品目に関しましてでございますが、今後、総合的評価(アプレイザル)について作業を進めるようになります。そのあり方につきましては、まさに当部会で御議論いただいて、先ほどの調査に基づきます、受諾確率曲線を用いた段階の評価、そしてまた、倫理的、社会的影響等につきまして、これも今後、論点を提示して御説明をさせていただきたいと思っておりますけれども、この部会で御了解をいただきましたやり方に沿いまして、専門組織におきまして、総合的評価(アプレイザル)を行っていただくことになります。

○万代委員

 そうしますと、少なくとも福田先生の結果を、この部会で今後、具体的な数値を用いて検討していくと理解すればよろしいのですね。

 そうしますと、次の9ページの4番目の○ですけれども、本格導入の後の意思額については、(試行的導入の結果を踏まえて、検討する」と書いてございますので、現行、この調査票ができて、調査票に基づく支払い       意思額がある程度算出されるということになりますけれども、その支払い額については、どこで用いることになるのでしょうか。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 まず、試行的導入、今、13品目対象と申し上げましたが、それと、制度化後に対象とする、ここでは数十という御指摘をいただいておりますけれども、品目で分けて考えいただきたいと思ってございまして、まず、試行的導入に当てております13品目に対して、福田先生に今後やっていただく支払い意思額調査をもとにした評価軸というか物差しで当てはめていただこうと思ってございます。

 そして制度化後は、また新しい基準で、数十品目となっておりますけれども、お示ししていますが、当てて対象とするということでございますので、そこに今般、福田先生の行う支払い意思額の調査を用いるかどうかにつきましては、試行的導入に適用した結果を踏まえて、そのまま用いるかどうか、あるいは、先ほど間宮委員からの御指摘もありましたけれども、そういうことも踏まえて、再度、何例か検討するかどうかということは、私どもとして、その余地は残しているということを書いたものでございます。

○万代委員

 (制度化後」と書いてございますので、もう少し具体的にお伺いすると、そうしますと、現在の調査票で出た結果については、次年度以降用いるという意味なのか、それとも結果が出次第、この部会で提示されて、それについても議論するということなのかを教えていただきたいと思います。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 今回、行わせていただきたいという提案しております調査結果は、まずは試行的導入の対象13品目対して、それの評価に活用させていただきたいというものでございます。

 制度化後、そのまま活用するかどうかは、また、そのときの結果を見て検討させていただきたいと思っております。

○荒井部会長

 ありがとうございました。

 先に宮近委員、どうぞ。

○宮近委員

 費-2のシートの5について質問したいのですけれども、ここでは支払い意思額の調査についてとありまして、私は調査の対象にできるだけ偏りがないようにするために質問をさせていただきたいのですけれども、○の2つ目に(人口比例で100地点以上を調査地点として無作為に」とあります。この100地点は具体的に何を指しているのでしょうか。これは町なのかエリアなのか市なのか。そういったことについて少し具体的に御説明いただければと思います。これがまず1点目の質問です。

 2点目の質問は3つ目の○にあります(住民基本台帳を用いて、性・年齢を層別因子として無作為に」云々とありますけれども、これは住民基本台帳にどういうことが記載されているか定かにわかりませんけれども、例えばそこに税の支払いの有無とか、社会保険の適用とかいったものを層別因子の中に加えることによって、例えば、質問調査票のQ3の(現在のあなたの雇用形態について、当てはまるものを1つ選んでください」という項目について、偏りなく事前にフィルターをかけられるのではないかと思うのですけれども、その点についてはいかがでしょうか。

 それから、これはほかの委員の先生からも御質問があったのですけれども、一番下の○で(必要に応じて補正を行う」ということですけれども、この補正の意味合いを、統計学的な係数を用いたり、いろいろな数式を用いて補正をしようとしているのか、数字に余りにもイレギュラーな想定外なものが出てきたら再度調査をしようとしているのか、その点についてお伺いしたいと思います。

 以上、3点についてよろしくお願いします。

○荒井部会長

 参考人でよろしいですか。

○福田参考人

 はい。お答えさせていただきます。

 まず、地点に関しましてですけれども、100地点の1つの地点の単位は市区町村という単位でございます。これが全国の中から100以上の場所を選んで、住民基本台帳が市区町村単位で構成されておりますので、そこの住民票の台帳から抽出をするということであります。

 それから、抽出の際に、社会保険の状況等に関するものが使えるかということなのですが、住民基本台帳に載っている情報といたしましては、住所地、氏名のほかに、生年月日と性別だけですので、その段階で選別をするというのは難しいということになります。なので、性・年齢についてを層別因子にするということにしております。

 それから、補正に関してなのですけれども、この性・年齢を層別に抽出をしますので、例えば男性の20代という区分の数が決まりますので、それを調査いたしますが、それを全国の性・年齢階級別の人口分布に合わせるような形で最終的に推計をしていくという形になります。

 収入、あるいは健康状態等に関しましては、まずは関連があるかどうかの分析をして、これが統計的に関連があるようであれば全国の収入分布等に合わせて補正をしていくという形になると思います。なので、必ずしも個別の回答についての補正をするということではなく、集団としての平均といいますか、受諾確率曲線を出すときに、それらのものを補正して推計の式をつくるという考え方でございます。

○荒井部会長

 よろしいですか。

 吉森委員、お願いします。

○吉森委員

 この支払い意思額の調査について、今、各委員の皆さんの御質問にもありましたけれども、今回、初めてこの調査票なるものが出てきたということと、それぞれこの調査票の意味するところ、標準的な軸をつくるための金額というのは最終的な結果であって、その結果を出すためにいろいろな補正をするということなのですが、ここにいろいろ回答者の背景とか、いろいろなものを聞いているのがどう生きて、どういうふうに考えてどうしようかというところが、多分、皆さん、腹に落ちていないというか理解ができていないのだろうと思うのです。

 ですから、今、それぞれ先生も御質問をされていますけれども、この調査について、こういうコンセプトで、こういう形で、こういう調査票の意味するところをもってやるんだということ。

 もう一つは10ページにありますけれども、過去の例だとおっしゃいましたけれども、過去にいろいろな調査をしている、各国でも調査をしている、それはこういう調査です。こういうコンセプトに基づいて、それはこういうところは参考にしているけれども、今回はこういうコンセプトなのでこういうふうにやるんだよというところを、これは御提案なのですが、ここでもう一度開示をいただいて進めるということが必要ではないか。今、お話を聞いていて、御回答を福田先生からいただいたので、皆さんが納得されればそれでいいですけれども、なかなかいま一つしっくりこないものですから、調査をする前に、ぜひそういう場を設けていただければありがたい。

 それともう一つは、これが本格的な制度化の試行的導入に対するICERの評価として使うのでしたら、枠組みをつくった後に、制度化を進めるということであるならば、枠組みをつくった後に導入がどういうふうに生かされるのかというところもあわせて御説明いただかないと、何のために導入しているんだ、制度は制度で走っているんだということになりかねないと思いますので、その一つの入り口としての調査は、私だけかもしれませんが、もう少し理解できるように開示していただくとありがたいと思います。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 企画官でございます。

 今の吉森委員の御指摘も含め、また、松本純一委員からも、過去の調査の分析というか概要の提示、あるいはほかの委員からも何をそこから学び、この調査に反映させてきたのかという御質問があったと承知をしてございます。それにつきましては、できれば私どもとして、御議論していただきやすく、そして理解していただきやすいものを再度まとめて御提示をさせていただきたいと思っております。

○荒井部会長

 松本純一委員、お願いします。

○松本純一委員

 そこで費-2の2こま目ですが、7月中旬以降に、関係団体等からの意見聴取とございますが、今、この状況の中でどういう意見を聴取されるのか、イメージがなかなか湧きにくい部分があるのですけれども、事務局としてお願いします。

○荒井部会長

 企画官、お願いします。

○眞鍋医療課企画官

 企画官でございます。

 きょうは支払い意思額についての御説明、御議論と、そして費-3でこれまでの議論のまとめをお示しをさせていただいてございます。

 議論のまとめにおきましては、例えば、対象の選定の考え方について、そしてまた、総合的評価(アプレイザル)について。そして、また、費用対効果評価の結果の活用方法について。中では、例えば価格の調整に用いる位置づけとか、価格調整のタイミングとかにつきまして、これまで事務局が提案させていただいたものをまとめさせていただいているものでございます。こういったことに関しまして、業界団体からの意見を聴取させていただきたいと思っているところでございます。

○荒井部会長

 松本委員、お願いします。

○松本純一委員

 関係団体が意見を発表するのならお聞きしますけれども、この状況の中でどういう聴取ができるかなと思うと、私自身、非常に疑問なのです。

○荒井部会長

 医療課長、お願いします。

○迫井医療課長

 医療課長でございます。

 御審議、いろいろ多岐にわたりまして御指摘もいただいておりますが、大変ありがたく思っております。

 私どもとしては、進め方の話もありますので、私から事務局の認識をお伝えしたいと思いますけれども、きょう、支払い意思額の調査に改めて時間をいただきましたのは、まさにこの御議論のとおり、今回、もちろん、これは初めてやる話でございますので、我々なりに努力はしてきているつもりではありますが、非常にまだまだ課題が多い、わかりにくい、さまざまな御指摘をいただいております。先ほど、企画官が申し上げましたとおり、これにつきましては改めて、もう一度のみならず、何度かきっちりいただいた御指摘なり、さまざまな整理についてはやらせていただいて、引き続き御議論いただこうと思っております。

 一方で、支払い意思額の調査は、基本的には適切に調査を行って、参照値、言ってみれば制度を運用するに当たって必要なデータを得るという側面でございますので、大きく議論を分けるとすれば、制度の骨格、仕組みについての議論も平行してやっていただく必要がございます。ですから、両方がそろって初めて合意をいただいた上で制度運用することは間違いないことでございますので、必ず片方だけ、特に支払い意思額の調査につきまして、まだまだ御指摘があるうちにそれを運用するということにはなりません。なりませんが、両者を並行して作業させていただくこともまた必要だと思いますので、先ほど松本委員の御指摘は重く受けとめさせていただくとともに、現段階ではありますけれども、やはり関係者の意見を聴取することはそれなりに必要なことだろうと思っておりますので、できますれば今回いただいた御指摘をまとめつつ、次回は関係者の意見聴取をさせていただいて、それからきょうの御指摘を含めてさらに議論を進めさせていただければと事務局としては受けとめているということでございます。

○荒井部会長

 間宮委員、お願いします。

○間宮委員

 調査票の調査方法について気になっているのですけれども、これは対面でやるということですけれども、質問の内容はデリケートな質問が結構多いのです。設問ごとに調査員が質問していくのか、それとも最初に説明して、疑問点がないようにして、その上で書いてくださいということでやるのか、そのあたりが気になっているのですけれども、どういう予定になっていますか。

○荒井部会長

 参考人、お願いします。

○福田 参考人

 ありがとうございます。

 調査方法なのですけれども、訪問して調査をするということでありますが、今回、対象数がかなり多く予定しておりますので、調査員もたくさんの数が必要になります。そこで調査員による説明等のばらつきを減らすために、原則としては、この書かれている文言を見ていただいて、そこで回答していただくという形式を想定しています。

 御疑問があれば、もちろん聞いていただくのはいいのですが、例えば個別の健康状態等の状況については、調査員からはお答えをしない形になると思います。

○荒井部会長

 専門委員、お願いします。

○加茂谷専門委員

 時間が押している中で済みません。一言だけ専門委員の立場でコメントさせていただきます。

 先ほど幸野委員から、アプレイザルにおいて考慮すべき要素からイノベーションと小児は除外すべきではないかというお話がありました。その点に関しまして、御指摘のとおり、革新性の高い品目が本件の対象ではありますけれども、費用対効果評価においては、その革新性そのものを評価するわけではなく、あくまでも費用対効果が良いのか悪いのかという点を評価するだけでございます。

 あわせて小児におきましても、成人効能と同様に、小児の効能を取得している品目もございます。そういった意味で、総合的評価(アプレイザル)において、そのイノベーションや小児対象といったものは、必須の考慮すべき要素と認識しているということを、専門委員の立場で意見として申し述べます。

○荒井部会長

 ほかには特にないでしょうか。

 よろしいですか。

 ほかに御意見等もないようでしたら、本件については、本日の御意見を踏まえ、御提案いただいた方向で事務局において検討を進めることとしてよろしいでしょうか。

((はい」と声あり)

○荒井部会長

 ありがとうございました。それでは、そのようにしたいと存じます。

 本日の議題は以上です。

 次回の日程につきましては、追って事務局より連絡しますのでよろしくお願いします。

 それでは、本日の費用対効果評価専門部会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。

 

(了)
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