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2017年7月12日 中央社会保険医療協議会 総会 第356回議事録

○日時

平成29年7月12日(水)9:59~10:58


○場所

厚生労働省講堂(低層棟2階)


○出席者

田辺国昭会長 中村洋委員 松原由美委員 荒井耕委員 関ふ佐子委員
吉森俊和委員 幸野庄司委員 平川則男委員 間宮清委員 宮近清文委員 松浦満晴委員
松本純一委員 今村聡委員 松本吉郎委員 万代恭嗣委員 猪口雄二委員 遠藤秀樹委員
安部好弘委員
横地常広専門委員 菊池令子専門委員 岩田利雄専門委員
<事務局>
鈴木保険局長 渡辺審議官 伊原審議官 迫井医療課長 眞鍋医療課企画官
矢田貝保険医療企画調査室長 中山薬剤管理官 小椋歯科医療管理官 他

○議題

○部会・小委員会に属する委員の指名について
○歯科用貴金属価格の随時改定について
○横断的事項(その2)について

○議事

○田辺会長

 それでは、定刻でございますので、ただいまより第356回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。

 まず、委員の出席状況について御報告いたします。本日は、榊原委員、野口委員、丹沢専門委員が御欠席でございます。

 次に、委員の交代について御報告いたします。

 中川俊男委員、松原謙二委員におかれましては、7月11日付で辞任され、後任として本日付で、今村聡委員、松本吉郎委員が発令されております。

 なお、各委員からは「みずからが公務員であり、高い倫理観を保って行動する」旨の宣誓をいただいております。

 それでは、まず、新しく委員となられました今村委員より、一言御挨拶をお願いいたします。

 よろしくお願いいたします。

○今村委員

 皆様、おはようございます。ただいま御紹介をいただきました、今村聡と申します。

 貴重な時間を頂戴いたしまして、就任に当たって少し御挨拶をさせていただきたいと思っております。

 私は大学病院等で麻酔科、集中治療室の勤務を延べ15年ほどした後に、現在、東京で内科の開業医をしております。在宅医療も行いつつ、かかりつけ医としても早いもので既に25年ほど経過しております。

 区の医師会を6年、都の医師会を3年、そして、日本医師会の役員を12年務めさせていただいておりますけれども、さまざまな仕事にかかわらせていただく中で、この中医協の委員としては全く新人でございますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 殊に30年の診療報酬改定の議論は、既に、かなり進行している途中からの参加になりますので、皆様の議論の足手まといにならないように努めてまいりたいと思っております。

 さて、今さらながらの話で恐縮ですけれども、診療報酬は医療の全てを決定する要因ではないということは当然ですけれども、日本の公的皆保険制度の根幹をなす部分であることは間違いのない事実であります。医療を受ける患者さんや国民の立場からすると、これは負担の話にもなってまいりますし、また医療を提供する立場からすると、医業経営の原資となるべきものとなります。消費税の引き上げが延期されるなど、厳しい財政の制約の中での改定となるわけですけれども、病める患者さんに、良質で公平な医療を提供するため、また、医療機関が安定して運営していけるためという、極めてバランスが求められる難しい改定になってくると思っております。

 委員の皆様、それぞれ立場は異なっていますので、当然、意見がさまざまに対立することもしばしばあろうかとは思っておりますが、国民が安心して医療を受けられる環境づくりという点については、皆様と同じ方向を向いているのだろうと信じております。

 ぜひとも前向きな、そして忌憚のない意見交換が委員の皆様とできることを期待して、就任の御挨拶とさせていただきます。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

○田辺会長

 どうもありがとうございました。

 次に、松本吉郎委員より、一言御挨拶をお願いいたします。

 よろしくお願いいたします。

○松本吉郎委員

 日本医師会の常任理事の松本吉郎と申します。

 私は埼玉県で、現在、皮膚科と形成外科の診療所を開設して28年になります。

 これまで地元の大宮医師会の役員を22年、現在は会長を務めておりますので、さまざまな現場の第一線の声を拾い上げながら、これまでいろいろな活動をしてまいりました。また、埼玉県の役員を4年経まして、昨年から日本医師会の常任理事として就任いたしました。現在、産業保健、労働衛生、共同利用施設、医師の働き方改革に関する担当等をしております。

 日本の医療を支えて、国民の命と健康を守るという中医協の理念を守るために、これまで培ってまいりました経験を生かし、また、現場感覚に基づいて、しっかりとした議論に加わってまいりたいと存じます。どうぞ、よろしくお願いいたします。

○田辺会長

 どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。

 引き続き、厚生労働省におきまして異動がございましたので、事務局より御紹介をお願いいたします。

 医療課長、よろしくお願いいたします。

○迫井医療課長

 医療課長でございます。

 引き続きまして、厚生労働省におきまして人事異動がございました。御紹介を私からさせていただきます。

 まず、鈴木俊彦保険局長でございますが、異動に伴う公務のため、少しおくれてまいりますので、到着次第、後ほど改めて御紹介をさせていただきます。

 次に、伊原和人大臣官房審議官(医療介護連携担当)でございます。

○伊原審議官

 よろしくお願いいたします。

○迫井医療課長

 渡辺由美子大臣官房審議官(医療保険担当)でございます。

○渡辺審議官

 よろしくお願いします。

○迫井医療課長

 依田泰保険局総務課長でございます。

○依田総務課長

 よろしくお願いします。

○迫井医療課長

 以上でございます。

○田辺会長

 どうもありがとうございました。

 それでは、早速、議事に入らせていただきます。

 初めに、委員の交代に伴いまして、部会及び小委員会に属する委員につきましても異動が生じます。

 部会、小委員会に属する委員につきましては、社会保険医療協議会令第1条第2項等の規定によりまして、中医協の承認を経て、会長が指名することとされております。委員のお手元に総-1として、新しい中医協の委員名簿とともに、異動のある部会及び小委員会の名簿の案をお配りしております。

 今村委員におかれましては、前任の中川委員の所属しておりました診療報酬基本問題小委員会、薬価専門部会、松本純一委員の所属しておりました調査実施小委員会に所属していただき、松本純一委員におかれましては、松原謙二委員の所属しておりました薬価専門部会に所属していただきたいと思います。

 また、松本吉郎委員には、前任の松原謙二委員の所属しておりました調査実施小委員会、費用対効果評価専門部会、中川委員の所属しておりました保険医療材料専門部会に所属していただきたいと思いますが、そのように指名することとしてよろしゅうございますでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

○田辺会長

 ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきます。

 次に、報告事項でございますけれども「歯科用貴金属価格の随時改定について」を議題といたします。

 事務局より資料が提出されておりますので、事務局より御説明をお願いいたします。

 歯科医療管理官、よろしくお願いいたします。

○小椋歯科医療管理官

 歯科医療管理官でございます。

 資料の総-2をごらんください。「歯科用貴金属価格の随時改定について」でございます。

 歯科用の治療を行う際の貴金属につきましては、金、パラジウム、銀の素材の価格が相場により変動いたしますので、6カ月ごとに価格の見直しを行っているものでございます。

 現在の告示価格と比較いたしまして、プラス5%、マイナス5%を超えた場合に、告示価格の変更を行っております。

 2ページ目をごらんください。「歯科用貴金属価格の随時改定について」ということで、表がございます。

 上に1から7まで数字が振ってございますけれども、1、2、3につきましては過去の告示価格でございます。

 4は現在の告示価格であり、5は、現在の貴金属の価格に基づきまして試算をした価格でございます。

 4と5を比較した変動率を6に示してございます。その変動率を見ていただきますと、6番目、7番目の金属につきましては5%を超えておりますので、こちらの金属の価格につきましては、平成2910月からは7番目の価格で行いたいと考えております。

 説明は以上です。

○田辺会長

 どうもありがとうございました。

 ただいまの説明に関しまして、何か御質問等ございましたらよろしくお願いいたします。

 よろしゅうございますでしょうか。

 ほかに御質問等もないようでございますので、本件に係る審議はこのあたりにしたいと存じます。

 次に、次期診療報酬改定に向けた議論として「横断的事項(その2)について」を議題といたします。

 事務局より資料が提出されておりますので、事務局より御説明をお願いいたします。

 医療課長、よろしくお願いいたします。

○迫井医療課長

 医療課長でございます。

 それでは、お手元の総-3、総-3参考、主には総-3をごらんいただきながら御審議をお願いしたいと思っております。

 「横断的事項(その2)」ということで「診療報酬に係る事務の効率化・合理化及び診療報酬の情報の利活用等を見据えた対応について」でございます。

 1ページ目、「1.検討の趣旨」ということで、3つの内容にまとめてございます。

 まず1点目、前半でございますけれども「レセプト請求の現状」でございます。

 御案内のとおり、診療報酬の算定はいろいろな項目、行為、薬価、材料といったものを報酬の算定告示といたしまして規定をしております。

 数はかなり多数にわたっておりまして、診療行為で申し上げますと約5,000。薬価が約1万6,000。材料については約1,000区分となっておりまして、それぞれ算定する条件とか施設基準、留意事項として定められておりますのが1つ目のです。

 2つ目、3つ目のですが、こういった請求に関しましては、算定告示等を参照していただきまして、各保険医療機関が、まずは地方厚生(支)局に対しまして、さまざまな届け出、報告を行っていただいて、次に審査支払機関に対しましてレセプトを提出していただく形になっております。この内容につきましては、年々、医療の高度化・多様化に伴いまして増大、複雑化していることは常々御指摘いただいております。

 医療機関にとってこういった算定の請求に係る各種報告、あるいは事務手続が一定の負担になっているのが実態でございます。これがまず前提であります。

 次に1ページ目、下半分でございますが、2点目のまとめとして「診療実績に関するデータ」でございます。

 近年、医療資源が限られている中で、いかに効率的に医療を提供するのか、質の向上を図るのかといった観点で、保健医療に係るデータの分析を行っていくことが基本的には求められておりますし、不可欠であるという認識でございます。

 こういったデータにつきましては、レセプトに加えまして、厚生労働省に診療の実績に関するデータの提出もいただいているということでございます。

 2つ目のでございますが、こういったデータにつきましては、審査支払い以外について、主には診療報酬改定の影響の評価等に活用しているということでございますけれども、一番典型的な例は、例示でDPC病院、DPCのデータでございますけれども、診療実績データは医療機関別の集計表としても公表しております。それぞれの御自身の病院のマネジメントへの活用ということもさることながら、さまざまな医療の標準化等につながっているという御指摘、御評価をいただいているところでございまして、あるいは研究者、報道機関もそうだと思いますけれども、医療の提供内容を分析することで、アウトカムに関する新たな指標の開発を行うということで診療内容の質の向上に資する分析も一定程度できるということでございます。

 このようなレセプトデータを初めとする診療報酬に係るさまざまな情報は、単に報酬請求ということではなくて、効果的・効率的な医療の提供のために活用されるのが実態でございます。

 2ページ目の3つ目のブロックでございますが「効率化・合理化の取組」でございます。こういったさまざまなデータの提出に係る、あるいはレセプトの請求に係る事務、これは効率化・合理化をしていく取り組みも当然求められるものでございまして、これまで一定の期間をかけながら少しずつ徐々に進めてきているのが実態でございます。

 これはすなわち、保険医療機関の負担を軽減することと、医療をいかに効果的・効率的に提供するのか、医療の質を向上させるのかということを念頭に行ってきているものでございますが、こういったことについて引き続き効率化、あるいは合理化、そしてさらに情報の利活用を進めていくことについては検討していく必要があるのではないかということは、私どもの問題意識でございます。

 最後のでございますけれども、こういった検討、あるいは取り組みを進めていくに際しまして、大幅な見直しを行いますと、これは現に医療を提供していただきながら審査支払いを行っておりますので、保険医療機関、あるいは審査機関、保険者、システムの改修に大きな影響が当然生じるということですので、来る平成30年度の診療報酬改定において、そういった対応を行うということだけではなく、大幅な見直しについて、やはり大きな負担があるということを念頭に置きますと、それ以降の診療報酬改定も見据えて、複数の改定での対応を検討するということが必要ではないのかという問題意識でございます。

 ここまでが背景であります。

 2ページ目の真ん中ら辺からですけれども2つ目。では、今、現状と課題がどんなふうになっているのかをまとめてございます。

 大きく2つまとめていますけれども、「(1)診療報酬に係る事務の効率化・合理化について」でございます。

 まず、現状、それからこれまでの取り組みをまとめてございます。これが2ページ目の下半分でございます。

 2つがございますが、今、御説明しましたとおり、告示とか通知等を参照いたしまして、ポツが3つ書いてございますが、地方厚生局に対して各種報告を行う。それから、審査支払機関に対してレセプトを出していただいて請求をしていただく。それから、特にDPC病院を念頭に置いていますけれども、診療実績データをいただいているのが実態。これは先ほど御説明したとおりでございます。

 こういったことにつきまして、2ページ目の下から次のページにかけまして、次のような取り組みをこれまで行ってきたということでございます。

 まず、2ページ目の一番下ですけれども(a)、施設基準とか告示・通知等に関します明確化でございます。これは算定に当たりまして告示・通知を参照していただくわけですけれども、その内容につきまして曖昧な記述もあるという御指摘。あるいはその判断に苦慮するという御指摘があるのは従来からずっと指摘されているところであります。

 あるいは、3ページ目になりますけれども、診療報酬改定作業が一定程度見えてきた段階で、次の年度の請求にすぐ反映されますので、告知・通知、疑義解釈を早くいただきたいという御指摘があるということでございます。

 それらに対しましては、一定程度、その内容の明確化、あるいはなるべく早くということを行ってきたのが1つ目の実態でございます。

 3ページ目の(b)でございますけれども、施設基準等の省略可、あるいは簡素化であります。先ほどから御説明しておりますとおり、各種の施設基準の届け出等々につきましては、改定のごとに重複した内容、あるいは届け出の省略を基本的には対応を図ってはきているということでございます。

 それからオンライン化ということで、さまざまな施設基準の届け出、あるいは報告の受理といったものに関しましてはオンライン化をできないのかという問題意識を持っておりまして、システムの開発とか実用化に向けた検討を現在進めているということでございます。

 3点目ですけれども(c)でありますが、レセプト自体も過去は紙ベースで進んできたということでございますが、ここに記載のとおり近年では電子化、オンライン化の請求を実現してきておりまして、オンライン請求の義務化、それから平成27年実績でいきますと、ここに書いてございますとおりオンライン請求、電子請求が一定程度進んでおりまして、病院だけで見ますとほぼ全数に近い形でオンライン請求になっているということでございます。ここまでがこれまでの取り組みでございます。

 3ページ目の下半分、2、課題でございます。

 まず、(a)でまとめておりますのは医療機関、現場の負担軽減という視点でございます。

 3つ○がございますけれども、まず、先ほどから御説明しておりますとおり、複数の届け出様式につきましては、重複する項目があるという御指摘は常々ございます。

 それから、届け出項目、手続等にさらに合理化する余地があるのではないかということでございます。

 それから、冒頭にも申し上げましたが、告示あるいは通知等、報酬算定に当たっての記載が曖昧なために判断に苦慮するということは引き続きいただいている。これにつきましては明らかに課題として我々としては認識をいたしているところでございます。

 次に2つ目のでございますが、診療報酬算定におきましては、診療に係るプロセスを示していただくということで、様式等をお示ししております。あるいは指定された手法によって、計算式等でございますけれども、評価をすることを求められているものが診療報酬算定の中にはございます。これらの記載、あるいは評価を求めた内容につきましては、もともと診療録に既に記載されていることもございます。あるいは、必ずしも様式等に別途記載する必要がないものもあるわけでございますが、こういったものに関する指摘もいただいております。

 それから、実際に患者さんの状態の記載とか評価の情報が、実際に活用されることが重要なのだけれども、有効に活用されて医療の質の改善に資するという指摘がある一方で、こういった活用については現場の負担にもつながっているという両面があるということでございます。したがいまして、その内容とか必要性について、改めて精査する必要があるのではないかという指摘をいただいているということでございます。

 3ページ目の最後のでございますが、既存のデータを、以上のような記載、あるいは活用につきまして、実際に活用できるように、あるいは入力の手間を省いて事務の負担の軽減につながるような取り組みが必要なのではないかという指摘をいただいております。

 4ページ目の上のでございますけれども、こういった観点で改めてレセプトについて見てみますと、レセプトの様式につきましては長らく大きな見直しは行ってきておりません。レセプトの記載事項の中には、例えば摘要欄ということで、フリーテキストによって記載をしなければいけない、あるいは記載を求めていることがございます。レセプトに別の資料を添付するという、これは症状詳記にも当たりますけれども、そういったものが求められているケースもございます。当然、こういったことは負担、あるいは事務処理が効率的に行えないという御指摘にもつながっているということでございます。あるいは訪問看護の療養費のレセプト、これは電子化もなされていないのが実態でございます。

 最後の(b)、この課題のまとめですけれども、このような背景も含めて、今般、社会保障診療報酬支払基金の「支払基金業務効率化・高度化計画」は、先般、本年7月4日に取りまとめられましたけれども、今後、この計画で示されました工程表に沿って、検討を進めていく必要がございます。これにつきましては、今回、御紹介にとどめて、ここで御議論していただくものではないという認識でございます。

 今までのが診療報酬に係る事務でありますけれども、後半、(2)、4ページ目の下からです。真ん中辺からでございますけれども、診療報酬に係る情報の利活用という側面で、どのような取り組みがなされ、どのような課題があるかでございますが、4ページ真ん中辺から1、まず、現状と取り組みでございます。

 (a)として、まずレセプトのデータについてですが、4ページにが3つございます。

 レセプトのデータにつきましては、情報の利活用といたしまして、レセプトデータ、特定健診をあわせまして匿名化処理を行って、いわゆるNDB(ナショナルデータベース)として集積されておりまして、さまざまな政策的な調査、分析に用いられているということでございます。

 2つ目のでございますけれども、このNDB(ナショナルデータベース)データにつきましては、医療の質の向上とか学術研究の発展ということで第三者提供がなされておりまして、昨年の10月からはNDBのオープンデータということで基礎的な集計表を作成して公表しているという取り組みが行われているということでございます。

 最後のですが、今度は保険者におきましては、レセプトのデータベース等をもとに、被保険者に対する保健指導を行うなどのデータヘルスの取り組みが進められているということでございます。

 5ページに参りまして、診療実績に関する現状でございます。

 5つがございますけれども、これは冒頭に申し上げましたとおり、DPCのデータを主に念頭に置いておりますけれども、DPCの制度は平成15年から始まっております。これは先ほどから何度も御説明しております請求事務とは別に診療の内容につきまして、制度導入の影響について評価をするという考え方でございます。ですから、こういった基礎資料として活用されておりますので、制度の改善に利用されているということでございますけれども、3つ目のですが、平成24年の診療報酬改定では、このDPCの病院にとどまらず、急性期全般にこういった分析・評価を行うということを推進するという観点から、出来高病院に対しても一定のデータを提出していくということで、データ提出加算が創設されております。さらにそれが平成26年改定におきましては、幾つかの入院料につきまして、診療実績データの提出を要件化していることになっておりまして、こういったデータを活用することで相当数の病院の診療実績データの分析ができるようになったということです。

 最後のですが、平成24年度からは外来診療に関する様式の追加もなされており、それから、平成26年度では、先ほどちょっと触れましたけれども、療養病棟、あるいは地域包括ケア病棟等の追加もなされているということでございます。

 5ページの下半分、課題でございますが、まず、レセプトに関しましては、先般取りまとめられたということでございますけれども「国民の健康確保のためのビッグデータ活用推進に関するデータヘルス改革推進計画・工程表」におきまして、これらの中核的なデータという位置づけになっておりまして、保健医療のデータプラットフォームを構築いたしまして、ビッグデータ利活用を推進していく、保険者による取り組みをさらに支援をしていく、という取りまとめがなされております。

 2つ目のですが、レセプトは基本的には冒頭から申し上げておりますとおり、診療報酬を請求するためのものというのが基本的な位置づけで、こういった性格が強かったわけでございますけれども、きょう御説明しておりますとおり、データの分析・活用をすることで、より効果的・効率的な医療の提供、あるいはこういったことがシステム全体の改善につながるということでございまして、引き続きこういったことを推進していく必要があるという問題意識でございます。

 このレセプトデータの利活用を推進するという観点から、今のレセプトの様式、あるいは主傷病の選択等について、具体的にどのような課題、あるいは指摘があるのかということを簡単にまとめておりますけれども、ここに記載しておりますけれども、これは例でございますけれど、6ページの上半分、かぎ括弧がついてございます。例ですが、例えばレセプトの住所情報は、現行のレセプトには患者さんの住所情報はございません。特に被用者保険におきましては居住地の情報はございませんので、例えば患者さんがどの医療機関を受診しているのかといった受診行動の観点、居住地情報をもとにしたデータ分析ができないという課題が指摘されております。

 2つ目の例といたしましては傷病名、あるいは診療行為のコード体系といったものの標準化の関係でございますけれども、診療行為は医学的、医療の内容についての記載でございますので、コードの体系が一定程度必要になるわけですが、例えばここに書いてございます、主には臓器、あるいは診療の分野、手術手技等のいろいろな要素の組み合わせで体系化、コード化がなされるということなのですけれども、実際には実臨床の場でどのような診療が行われているかという、多様性を反映したさまざまな記載のやり方があり得るわけで、このような実臨床に即したコード体系になっているのかという指摘が従来からございます。そういったことからしますと、医療の内容を分析するための、現在のコード体系、あるいは診療行為の記載ぶりと実際の実臨床との世界とでは、必ずしも一致がない、あるいは活用しづらいという指摘がございます。

 ポツの2つ目ですが、例えば傷病名や診療行為は、国際的にはさまざまな標準化された用語や分類といったものがございますので、標準的なものとの整合をとる、あるいはそういったものを普及していくことが求められているということでございます。例示的に破線で書いてございますけれども、厚労省の標準規格のものとか、国際的な診断名の分類とかもございます。

 6ページの下、(b)でございますけれども、診療実績データは、急性期入院医療の診療実績が含まれております。一方で、データの形式がさまざまだということでございまして、関連づけた分析が必ずしも容易ではないとの従来からの御指摘があります。

 7ページにかけてでございますが、上から2つがございますけれども、例えば、急性期入院医療から、療養病棟への入院、あるいは外来診療に患者さん自身は移っていくわけではございますけれども、そういったほかの診療の分野とか外来診療にデータの形式、提出等は拡大されているのですけれども、その内容やデータ項目の視点が急性期入院医療の視点になっていますので、診療内容についての分析がなかなか難しいのが実態、現状でございます。

 今後、こういったそれぞれの分野、固有の調査項目につきましては、こういった課題とか視点を踏まえまして、将来的な分析、利活用を推進するためにさらにいろいろ検討していくことが求められているということでございます。

 最後でございますが7ページ、長くなって恐縮ですけれども、今後の対応方針といたしまして3つでまとめてございます。

 最初の2つのが基本的な問題意識でございまして、まず、きょう御説明しましたとおり、保険医療機関の負担軽減、あるいはさまざまな業務の効率化・高度化、あるいは利活用を推進するということで、先ほどまとめさせていただいた現状と課題について対応していくということがまず基本になります。

 2つ目のでございますけれども、その検討に際しましては、システムの影響も非常に大きく絡むわけではございますので、来年、平成30年度の改定といいますと、もう1年もございますので、そういった視点で見ますと平成30年改定でできるだけのことはするということでございますが、それだけではなくてそれ以降の改定も含めた段階的な対応を検討する必要があるのではないかということであります。特に、ということで記載させていただいておりますのは、審査支払基金のシステム刷新も具体的には一定のスケジュールが組まれておりますので、こういったシステム改修の動きと連動して対応を考えていくことが求められているということでございます。

 こういったことを踏まえまして最後のでございますけれども、本日、御説明しました告示・通知の内容の明確化、あるいは届け出・報告の簡略化、それから添付書類の省略可といったことを進めることで、事務の効率化・合理化、それからデータの診療実績にかかわる利活用の推進、平成30年度改定での対応と、それ以降について区別をしながら、この秋を目途に具体的に検討を進めさせていただいたらどうかという御提案であります。

 最後の3行でありますが、その際に、届け出・報告等の簡略化、あるいは省略可、これは従来から少しずつ進めてきていることではございますけれども、現場の負担感として必ずしも改善されていないのではないのかという御指摘を何度もいただいておりますので、今回の取り組みにつきましては、最終的に定量的な、数値的な、最終的にはどの程度可能なのかということも含めて取り組んでまいりたいと考えてございます。

 事務局からの説明は以上でございますが、保険局長が到着いたしましたので、ここで御挨拶をさせていただこうと思います。

○鈴木局長

 鈴木でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

○迫井医療課長

 なお、保険局長におきましては、公務の関係で、この後、途中で退席させていただきますので、あらかじめ申し上げておきます。

 以上でございます。

○田辺会長

 どうもありがとうございました。

 ただいまの説明に関しまして、何か御質問等ございましたら、よろしくお願いいたします。

 では、吉森委員、お願いいたします。

○吉森委員

 ありがとうございます。

 7ページの「3.今後の対応方針(案)」についての意見でございますけれども、診療報酬にかかわる事務の効率化・合理化及び情報の利活用の観点での考え方、方向性は、十分理解できます。推進すべき取り組みだと思います。

 そこで意見ですけれども、まず、検討の進め方についてでございます。7ページの3の2つ目のに御指摘のとおり、保険者への影響においてでございますけれど、我々医療保険者もレセプトの再審査や、近年、重症化予防など、レセプトデータを活用したデータヘルス事業を強力に推進しておりまして、今回の検討の結果においては、システムのみならず業務面でも大きな影響が出るのは必然のことだと考えられます。特に私ども協会けんぽは、一つの保険者で加入者が現在、約3,800万人と規模が極めて大きいということでありますので、いざシステムを改修することになっても相応の期間と費用が見込まれるのは当然のことでございます。このため、この検討に当たっては対応コンセプトを明確にしていただいて、十分な時間的余裕を持って、システム開発者も含めた関係者で十分細部まで詰めた上で対策を講じていくことが必要であろうと思います。また、加えて、その際のシステムのスペックなどについては費用対効果を検証する必要があることから、まずは必要最低限のスペックでスタートし、その後の必要性を勘案して、必要があれば拡張していける形で取り組むべきではないかと思います。

 また、保険者だけではなくて医療機関などにも与える影響を踏まえれば、段階的に対策を実施していくということは十分理解できますので、そこである程度、今後の見通しを立てるためにも、秋ごろに検討を進めるということではございますけれども、平成30年度改定までにと、その後の対応に対する事項とに具体的に内容を区分していただいた上で、その後の対応に資するものについては、平成32年度の支払基金のシステム刷新も踏まえて、おおむね何をどの時期までに結論を出すのか、工程表をきちんと明確にして推進すべきだと思います。

 以上、意見です。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 松本純一委員、お願いいたします。

○松本純一委員

 吉森委員の御意見、賛成をさせていただきます。ここにありますように、我々もシステム刷新は相当影響があります。

 全般に事実を積み重ねた形で書かれておりますが、検討する必要があるのではないかとされている項目がたくさんあるという記載がございました。その中で平成30年改定に合わせてするもの、あるいはそれ以降にするものというのは、分けてするということは、その項目一つ一つを具体的に並べて、これはいつまでにする、これはこれ以降にするという議論をしていかないとなかなか進まないと思います。

 あと、大幅な見直しという表現もございました。その「大幅」というのは、項目がたくさんということを「大幅」というのか、項目を1つに絞って、深く行うというのを「大幅」とおっしゃっているのか、あるいは両方と答えられるのか、その辺のところを御質問させていただきます。

○田辺会長

 医療課長、お願いいたします。

○迫井医療課長

 医療課長でございます。

 「大幅」という意味は、確かに少し曖昧な部分もありますので若干補足をさせていただきますと、御説明の中で触れましたとおり、基本的には改定と改定の間で、中医協でさまざまな御審議をいただいておりますので、例えばこういったレセプトの中身につきましての議論は、もちろん過去に全くやったことがないというわけではありませんが、目の前に大体、長くて2年、少なければ半年というタイムスパンの中での検討になりますので、ある程度事務的に、実務的に対応できる範囲でということが必ず制約になってきたというのが実態でございます。

 例えば、その項目の数もさることながら、そもそもの記載の考え方とか、記載する順番といったことも含めて、例えばゼロベースで見直すことは少なくとも今までやってきたことはないという理解でおりますので、中長期的な視点で見ますと、必ずしも次の改定でできることではないけれども、本来、レセプトの考え方とか情報の利活用という観点で、どうやっていくのが望ましいのかということを制約なしに考えていただくという意味で「大幅」という表現を使わせていただいたということでございます。

○田辺会長

 松本純一委員、お願いいたします。

○松本純一委員

 重ねてお伺いします。

 先ほども言いましたけれども、検討する必要とされる項目というものは、一つ一つ事務局が示されるのか。あと、指摘があるとの記載があるとございましたが、その指摘事項についても事務局が一つ一つつまびらかにされるのか。その辺は、我々が言って、それを議題にしていくのか。それとも、事務局が羅列するのか。その辺の進め方をお願いいたします。

○田辺会長

 医療課長、お願いいたします。

○迫井医療課長

 医療課長でございます。

 御指摘のとおり、きょう例示的に幾つかお示しはしましたが、具体的な内容とか網羅的にこういったことは基本的にはお示ししておりませんで、言ってみれば、きょうはキックオフといいますか、こういったことの検討を始めさせていただくという御提案であります。

 今から一定の作業を事務局でさせていただいて、本文中にも記載しておりますけれども、秋口をめどに具体的な御提案をしますので、それについての審議、確認、あるいは意見をまた改めていただくということを繰り返しながら進めさせていただきたいと考えております。

 事務局からは以上でございます。

○田辺会長

 よろしゅうございますか。

 今村委員、お願いいたします。

○今村委員

 この診療実績にかかわるデータの利活用というお話ですけれども、今、厚生労働省関係だけで11ぐらい、多分いろいろなビッグデータがあって、例示としてDPCデータとかNDBという言葉がありますけれども、それ以外にもいろいろ現場で情報を出さなければいけないものは多分いろいろあるのだろうと、例えばがん登録とかです。これは厚労省以外の、例えば環境省だと中皮腫登録というのもありますし、それから学会ごとにさまざまな、今、データを集めている現状をきちんと全体を把握した中で、それではレセプトとどういうふうに関係していくのかということが見えないと、今回のは保険医療機関の負担軽減というお話がある中で、また新たな仕事がふえていくのも効率的ではないと思っておりますので、ぜひとも事務局で御準備をいただくときに、今、申し上げたような一覧、特にどういうデータあって、そしてどういうふうにそれが利活用されているのかということも含めてお調べいただいて、委員の中で共通の理解を得た上で議論したいと思っております。

○田辺会長

 松本吉郎委員、お願いいたします。

○松本吉郎委員

 5ページにありますように、平成26年度からは急性期以外のデータもとるということで、診療情報に含まれてきておりますし、なかなかこれが事務の負担になっているという意見もございます。

 また、6ページの上にありますように、今後の例示として示されましたけれども、レセプトの住所情報等も、これも確認作業という点ではなかなか大変な面もございます。

 さらにまた、7ページの上にあるように、今後も急性期以外のデータもしっかりと、難しい中でとっていきたいということがございます。

 先ほど吉森委員もおっしゃいましたとおり、こういった負担を考えますと、段階的に進めていくということは非常に大事な観点でございますし、また、特に過疎地や、あるいは地方の中小病院につきましては、なかなかインフラの整備が進んでいないこともございますので、こういったデータをとっていくことに対しましては、十分な準備期間をいただきたいということと、これに対しては何か担保がいただけるのかどうか、お考えがあるかどうかということもお聞きしたいと思います。

○田辺会長

 医療課長、お願いいたします。

○迫井医療課長

 医療課長でございます。

 松本吉郎委員の御指摘は当然であろうと理解をいたしておりまして、特に診療報酬の請求に係る、診療実績も含めて、データの収集ということで今回整理をさせていただいておりますけれども、現場では、診療されて、その診療の原資を診療報酬請求していただいて、それを実際に医療機関の運営としてやっていただくということを、継続的に行っていただくことが前提になりますので、当然、現場の方々、あるいは審査、支払いも含めてですけれども、実務との御相談をしながら、診療に支障が生じる、あるいは請求事務に支障が生じるということは基本的には避けるべきだと理解しておりますので、十分、そこは御相談、御理解を得ながらやっていきたいと考えております。

○田辺会長

 よろしゅうございますか。

 猪口委員、お願いいたします。

○猪口委員

 実際、今、診療報酬の改定があるたびに、どんどん説明の本が分厚くなっていっている状況で、特に病院はいろいろな絡みがありますので、通知が出てから、現場に4月から適用させるというのは本当に大変な事実があります。

 そこで、この施設基準とかが合理化される、もしくはオンライン化されるということについては大賛成をしたいと思います。これは要望ですが、事務的な部分、届け出の部分以外にも、本体の中でも合理化できるものがあれば合理化できる、そして効率的に、もちろん医療の質を上げることが前提ですけれども、そういう方向に向かえたらいいなと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 幸野委員、お願いいたします。

○幸野委員

 我々は保険者として、診療報酬に係る事務の効率化等について異論はありません。また、毎年のように医療課にはレセプト様式を改善してほしいという要望書を出しており、今般、これが議論の俎上に上がりましたので、ぜひ見直しを実現していただきたいと思います。

 この説明資料にありますように、レセプトは診療報酬の請求という目的だけではなく、医療の質の分析等のために活用されるものに変わりつつありますが、いかんせん今の様式では、これが分析しにくくなっているのが現状です。今のレセプトは1カ月分の様々な病名に対する医療行為や投薬が全て1枚の紙に集約されているので、どういった疾病に対してどのような医療行為や投薬が行われているのかという、医療費の分析ができないのが我々の一番の悩みであり、ぜひこれは見直していくべきだと思います。

 見直しにあたっては、今すぐ実施できる事項や、かなり大がかりで時間がかかるものがあるため、段階的に見直しを行うという方向は賛成です。例えばこの資料にもありますように、患者の住所情報の付記があれば、地域医療構想の策定時において、もっと有意に分析ができたのではないかと思いますし、また、患者の漢字と仮名の表記が統一されれば、医科レセと調剤レセの突合も可能となると思われます。その他、コンピューターチェックを進めるために、摘要欄がテキスト化されているのをコード化していくことも必要ですが、これについては大がかりな作業となります。今、例を挙げさせていただいたように、形式的なことから時間を要するものまでありますので、段階的に進めていく必要はあると思います。

 一方、支払基金改革の工程表では、コンピューターチェックの寄与度を上げるということも示されておりますので、段階的に数年かけて見直していくことも必要ですが、ある程度、支払基金改革を考慮する必要もあると思います。改革工程表を見ると、平成32年にはシステム刷新が行われますので、レセプト様式の見直しについては、遅くとも平成34年ぐらいまでには終えている必要があるのではないかと思います。

○田辺会長

 ありがとうございます。

 松本純一委員、お願いいたします。

○松本純一委員

 中医協でする議論と審査支払機関の改革の工程表に合わせることと、全く次元の違う話だと思います。なぜ我々中医協の委員、あるいは中医協で、審査支払機関の工程に合わせてやらなければいけないのか。これは全く違う話です。幸野委員のお気持ちはわかりますけれども、これは議論が違うと思います。

○幸野委員

 支払基金改革も考慮して検討すべきという趣旨ですので、支払基金の改革に合わせなければならないという意味での発言ではございません。

○田辺会長

 遠藤委員、お願いいたします。

○遠藤委員

 事務の効率化とか合理化、また、診療報酬の情報の利活用ということについては十分理解しているつもりですけれども、これらの議論は、歯科の場合ですと小規模な診療所が大半なわけですけれども、それが小規模なところにどう影響するか、なかなかはっきり見えないところではあります。小さなところは急に大きな変革をされても対応しにくいところもありますので、先ほどから段階的にという意見もありますけれども、小規模なところにどう影響するか、そういった場合にはそれなりの配慮をしていただきたいと思います。

 それに絡んで1つは、3ページの「レセプトのオンライン請求の推進」ということですけれども、我々歯科のほうでは電子化の推進ということで、媒体とオンラインを一括で進めていたわけですけれども、そういった意味では電子化は90数%いっていますけれども、オンラインは低いという現状でございます。ただ、これについてここではオンライン請求の推進ということに限定して挙がっているわけで、その辺の考え方と、さらにオンラインについては、これからいろいろリンクされるのか、例えば、被保険者の確認といったものを想定して、このような形でやられているのか、医療機関としてはそういったオンラインのメリット、電子化だけではなくてということの意味合いはどのようにお考えなのかお聞きしたいです。

○田辺会長

 医療課長、お願いいたします。

○迫井医療課長

 医療課長でございます。

 ここの3ページあたりの記載は、総論的な部分と現状の事実関係を、表現は悪いですが大ざっぱにまとめさせていただいているということでございます。

 冒頭の御指摘も含めて、基本的には現場の実態に大きな影響があるということを強く認識した上で、診療とか請求実務に影響が強過ぎて現場が回らなくなるということを御提案するつもりは基本的にはございませんので、あくまで今までの取り組みを前提として、それを新しく、こういったことができるのではないか、こういったことが課題なのではないかということを検討していただきながら進めていくというのが基本的なスタンスでございますので、今まで積み重ねてきたことと全く乖離した、新しい提案をしていくことを前提としているわけでは必ずしもございませんので、よく御相談をさせていただきながら進めさせていただきたいと思っております。

○田辺会長

 万代委員、お願いいたします。

○万代委員

 意見を申し上げます。

今回、横断的事項ということで2つのテーマをいただきましたが、それに対しまして、スピード感については少し温度差がございます。具体的には、前半の診療報酬に係る事務の効率化・合理化については大賛成でございますので、これは迅速なスピード感で進めていくべきと思っております。

 一方、診療報酬の情報の利活用につきましては、基本的な方針は賛成でございますし、これまでの委員の皆様がおっしゃったような現場の対応、システムの改修も含めた対応についての現場の負担感が当然増すことが予想されますので、それについては段階的な導入ということもそのとおりかと思います。

 そこで一つ、6ページにレセプトデータの利活用を推進するということで例示がございます。当然、ビックデータの利活用については時代の要請でございますし、そちらの方向に向かっていくべきと思いますが、一方でDPCのようなデータ、既にかなり洗練されたデータがあるという状況ですので、7ページには、もちろん急性期医療以外の医療内容についての分析が難しいという認識がございますけれども、実際、こういったレセプトデータにいろいろな要素を追加したときに、どういったことを目標にしたいのかということもあらかじめ設定した上での新たな情報の盛り込みということをしないと、手間ばかりかかって結果がなかなか得られないことにもなりかねないと危惧します。その点では、今後、具体的な内容が出てくるということでございますので、そのときに議論ということになろうかと思いますが、そのように考えてございます。

 一番最後の7ページで、定量的な目標値を定めて取り組んでいくことも検討ということでございまして、これはぜひ必要でございますが、これにつきましても先ほど申し上げたスピードの差が私は必要かなと思いますので、今後も具体的な議論で導入に関する温度差についてはぜひ議論していきたいと思っております。

 以上でございます。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 今村委員、お願いいたします。

○今村委員

 済みません。繰り返しになりますけれども、先ほど要望という形で申し上げたので、余り厚労省からしっかりとしたお返事をいただかなかったのですけれども、今、万代委員もおっしゃったことは、先ほど私が申し上げたことと同じ意味かと思いましたけれども、今、厚労省はさまざまに、例えば科研費とかAMEDの予算を使って、アウトカムデータをどのように収集して、それをどう利活用するかという研究もされているわけだと理解します。したがって、これからのいろいろな政策をしていく上で、やはりエビデンスに基づいてやっていただきたいと思っていますので、今、現在、税金を使ってそういうさまざまな研究をしているのであれば、そういう研究成果も、どういった研究が何の目的のために今走っているのかという一覧も出していただいて、そういう成果についてもこういった検討の場で活用していく方向性でやっていただきたいと思っております。

○田辺会長

 医療課長、お願いいします。

○迫井医療課長

 医療課長でございます。

 大変失礼しました。御指摘につきましては、うなずいていたつもりなのですが、言葉で発しておりませんでしたので、改めまして、それはしっかりと整理した資料提出も含めて対応させていただきたいと思っております。御指摘ありがとうございました。

○田辺会長

 ほかはいかがでございましょうか。

 平川委員、お願いいたします。

○平川委員

 質問が2点ございまして、5ページ以降、情報の利活用に係る課題がるる書いてありますけれども、課題というのが今後の対応方針のほうには、その課題をどう解決するのかというのは記載がないのですけれども、この課題というのは、今後、解決する方向の対応方針として示されていくのかどうかが1つです。

 あと、2つ目は、支払基金のシステム刷新が書いてありますけれども、当然、これは国保連合会のほうにも大きな影響があると思いますけれども、国保連合会のほうの対応についてお聞きしたいと思います。

○田辺会長

 医療課長、お願いいたします。

○迫井医療課長

 医療課長でございます。

 まず、後段の御指摘、御質問は、先ほど松本委員、幸野委員との間のやりとりも含めまして、改めて別の場でということでございますので、この場で私のほうからコメントをさせていただくことは差し控えさせていただきたいと思っております。

 前段の御質問でありますが、これも何人かの委員からの御指摘にもつながるのですが、7ページ、先ほど平川委員が御指摘の、課題は羅列してあるけれども、それに対応した具体的な対応がないではないかというのは、全くもってそのとおりでありますが、これは7ページの、今回こういう御提案という7ページの3ポツの3つので、1つ目の、2つ目ので、こういったことを踏まえて具体的なということなのですが、2の現状と課題に羅列をしておりますような、これは例示も含めてなのですが、こういった課題があるということを含めて、具体的な作業をして御提案をしますということでございますので、今回、具体的な対応案がないではないかというのは、全くもってそのとおりでありますが、これを作業させていただいて具体化をした上で、秋口に御提案をさせていただくと事務局では段取っているということでございます。

○田辺会長

 よろしゅうございますか。

 ほかはいかがですか。

 安部委員、お願いします。

○安部委員

 事務の効率化・合理化については賛成をいたします。その中で、レセプトのオンライン化なども進めなければいけない課題だと思いますが、実際にオンライン化している状況で、例えば、請求の前に事務的なエラーなどをASPを使ってチェックできるといった機能は非常に実際使ってみると有用だと感じておりますが、単純な事務的なものだけではなくて、その範囲を広げて、請求前に医療機関や薬局で正しい請求ができるようなチェック機能というものを充実させることがオンライン化を進めるために非常に重要ではないかと思います。具体的な内容は今後の検討課題となると思いますが、そういった点については推進していただきたいと思います。

 以上です。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 菊池専門委員、お願いいたします。

○菊池専門委員

 専門委員の菊池です。

 事務の効率化・合理化及び診療報酬の情報の利活用については、保険医療機関の負担軽減や医療の効率化、質の向上の観点から非常に重要ですので、具体的な検討を進めていただきたいと思います。

 看護職にとっても診療報酬の項目が細分化されるに従って、それに付随する記録や書類作成業務が発生し、在院日数短縮化による入退院関連業務、事務も増えることから、記録や書類にかかる時間、労力が一定程度かかっております。それぞれの記録や書類は、必要があって作成されていると考えていますので、対応方針案に示されていますように通知等の明確化、報告等の簡略化・省略化を引き続き進めていただき、また、ICT化推進による業務負担軽減なども引き続き進めていただきたいと思います。

 看護の立場からはさらに、訪問看護療養費のレセプト電子化について早急に進めていただきたいと思います。4ページの7行目にありますように、医療保険の訪問看護療養費のレセプトはいまだ電子化されていない現状です。これは事務の合理化・効率化という観点から大きな課題です。

 また、地域包括ケアシステムの中で、地域医療や人々の生活を支える訪問看護ステーションの実態が、レセプトデータからはつかめない、レセプトデータの利活用ができないということでもあります。医療計画などさまざまな計画や施策が、データをもとに検討されるのに、訪問看護のデータだけがないというのは大きな問題だと考えております。

2014年の本会調査によりますと、介護報酬は、既に訪問看護ステーションのうち、55%がオンラインで報酬請求を行っており、8割近くのステーションが利用者の基本情報を電子化して管理していると答えております。今般、改正された医療計画作成指針において、訪問看護ステーションの役割が新たに明記されたということもありますので、早急に医療保険の訪問看護療養費のレセプトの電子化を課題として認識し、進めていただきたいと思います。

 以上です。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかはいかがでございましょうか。

 松本吉郎委員、お願いします。

○松本吉郎委員

 これまでも常にそうだったと思いますけれども、合意のしっかりとなされたものに関しては、今回のことに関しましてもある程度のスピード感を持って進めていただくことは本当にいいことだと思いますけれども、現場の意見も含めて、まだ調整が必要なところも非常に多いと思いますので、その点に関しましては慎重に進めていただきたいと思います。

○田辺会長

 ありがとうございました。

 ほかはいかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。

 ほかに御質問等もないようでございますので、本件に係る質疑はこのあたりとしたいと存じます。

 本日の議論を踏まえまして、引き続き次回以降、さらに議論を進めてまいりたいと思います。

 本日の議題は以上でございます。なお、次回の日程につきましては、追って事務局より連絡いたしますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、本日の総会は、これにて閉会といたします。どうも御参集ありがとうございました。

 


(了)
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代表: 03-5253-1111(内線)3288

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