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2017年11月20日 第2回放課後児童対策に関する専門委員会 議事録
子ども家庭局子育て支援課健全育成推進室
○日時
平成29年11月20日(月) 10:00~12:00
○場所
厚生労働省 共用第7会議室(6階)
○出席者
委員
柏女委員長 | 池本委員 | 植木委員 |
小野委員 | 金藤委員 | 清水委員 |
中川委員 | 野中委員 |
オブザーバー
西川文部科学省地域学校協働推進室長 |
山田和江氏(学童クラブ「清明っ子」代表兼放課後児童支援員) |
事務局
吉田子ども家庭局長 | 成田大臣官房審議官 | 長田総務課長 |
川鍋子育て支援課長 | 鈴木健全育成推進室長 |
○議題
1.第1回の議論を踏まえた論点について
2.意見交換(フリートーキング)
○議事
○鈴木健全育成推進室長 清水委員から、先ほど電車の遅延でちょっとおくれることの連絡が入っております。文科省のオブザーバーの方もちょっとおくれていますが、とりあえず全員おそろいになりましたので、定刻前なのですけれども、開催したいと思います。
ただいまから、第2回「放課後児童対策に関する専門委員会」を開催いたします。
委員の皆様には、お忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
また、前回専門委員会の中で、災害後の生活を立て直すためには子どもを預ける場所が非常に重要であるという御意見や、被災地のクラブを支援した際には重要となる視点をどう考えるかという発言がございましたということで、被災地でクラブを実施している学童クラブ「清明っ子」代表兼放課後児童支援員で、福島県の学童クラブ連絡協議会会長でもあります、山田代表にオブザーバーとして今回出席をいただいております。
○山田氏 皆さん、おはようございます。
ただいま御紹介いただきました、福島県福島市から参りました、学童クラブ「清明っ子」代表並びに放課後児童支援員をしております、山田和江と申します。よろしくお願いいたします。
このような会議に出席させていただいて大変光栄に思うと同時に、大変緊張しております。皆様のお話を伺わせていただいて勉強させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○鈴木健全育成推進室長 それでは、議事に移りたいと思います。
委員長、よろしくお願いします。
○柏女委員長 ありがとうございます。おはようございます。
きょうは委員の方がお1人御欠席、でも、新しく山田代表がオブザーバーとして参加をしてくださることになりました。前回はとても活発な御議論をいただきまして、たくさんの論点を提示していただきました。きょうはもう一度フリートーキングという形にさせていただいておりまして、さらに事務局で整理をしていただいた論点に加えて新しい論点があるかないか、それを提示していただくことと、これまでに提示した論点のさらなる深掘りをすることがきょうの大きなテーマになっております。次回にはその論点の議論の整理という形で1つにまとめるという形になりますので、ぜひきょうは幅広な深い御意見を頂戴できればと思います。
初めに、事務局から資料の確認についてお願いしたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○鈴木健全育成推進室長 それでは、お手元に配付させていただいております資料の確認をさせていただきます。
資料1、「第1回の議論を踏まえた整理(総括表)」となっております。
資料2-1、「柏女委員長提出資料」。
資料2-2、「植木委員提出資料」。
資料2-3、「野中委員提出資料」になっております。
参考資料1、「放課後の生活を支えている施策について」の一覧をつくっております。
参考資料2、「第10回遊びのプログラム等に関する専門委員会資料抜粋」をつけております。
参考資料3、「関係法令抜粋」になっております。
机上配付資料が2種類ございます。
資料の欠落等がございましたら、事務局までお申しつけください。
以上でございます。
○柏女委員長 よろしいですか。皆さん、ありますでしょうか。もしも途中で落丁等がありましたら、言っていただければ取りかえさせていただきたいと思います。
それでは、資料1「第1回の議論を踏まえた整理(総括表)」について事務局から御説明をいただければと思います。そして、それを受けてさらなる議論を続けていきたいと思います。
それでは、事務局からよろしくお願いいたします。
○川鍋子育て支援課長 それでは、資料1の1ページをごらんいただきたいと思います。
左側の枠ですが、「第1回で示した論点」で、前回事務局で議論の柱立てということでお示ししたものが左側でございます。右側については、前回の各委員の御意見、御議論を踏まえて、どういう形で構成したかということでごらんになっていただければと思います。まず、1つは大きく理念的なものも含めて総論というものがあるだろうと思いますので、総論について1つ立てて、そのほかに各論として1~4まで4つに分けております。1番目が量の議論、2番が類型・形の議論、3番目が質の議論、4番目がその他という構成の資料でございます。
2ページ目に、まず、総論ということで、特に今回の議論の論点としてかなり大切な部分であろうと思われるものについてはアンダーラインを引かせていただいています。総論としては、子どもの主体性の視点とか、生きる力を育てるという視点が重要であること。放課後の位置づけについて、遊びを通して自立を育む観点や子どもの成長発達の面から捉え直す必要があるという御意見でございます。
各論に入りますが、3ページ、量の議論。(1)放課後子ども総合プランの検証や子供教室との連携のあり方についての御意見をここに集約しております。
4ページから、類型、形、形態の議論。(1)過ごしやすさや安全面の配慮についての放課後の居場所のあり方ということで、各委員からの御意見、御発言としては、右側のところに書いてありますが、アンダーラインのところは居場所のアメニティー(人や設備等)について議論していく必要がある。それから、上のところは薄く波線のアンダーラインが入っていると思うのですが、この波線については、特に省令の設備運営に関する基準がございますが、そういったところに多分関係するのではないか、または体制面で議論するときに必要なキーワードになるのではないかということで、波線のアンダーラインはそういう視点で引かせていただいています。そういう意味では、支援員の専門性というところだと思います。(2)年齢や時間等に対応した児童の過ごす場所という論点で、家庭的学童という仕組みも検討できないか。ノルウェーとの比較でいきますと、高学年までに自立ができるようにするにはどうすればよいか検討が必要ということ。放課後児童支援員を巡回して支援あるいは指導するスーパーバイザー的な人が必要ではないかという御意見です。
5ページに入りますと、今度は3番目の柱で質の議論。(1)自立(社会性)を育む視点からの児童の過ごし方については、右側に御意見があります。支援員は、子どもにとって評価をする学校の先生や親でもなく、友達のような横の関係でもない斜めの関係で、そのような大人が子どもの育ちを育んでいくことが非常に重要であるという御意見。放課後児童クラブは子どもにとって居心地がよくて過ごしやすい場所である必要があるという御意見。海外では、放課後は子どもが自主的に行って過ごす場所になっている。子どもたちが、体験で得た知識を知恵に変えていく必要があり、それができる場が放課後であるという御意見です。
6ページに行きまして、これも引き続き質の議論ですが、放課後児童クラブは学校の延長ではない場である。放課後児童クラブを認定する仕組み、イギリスではそういう仕組みをつくっていること。体制面の議論として、波線のアンダーラインで「従うべき基準」により資格を保障して子どもの権利を守っていく必要があるという御意見。アンダーラインですが、質の確保については、人的な面、物的な面、ソフト面(プログラム面)といった面から検討が必要であること。評価の仕組み(自己評価、子どもの目線から見た評価など)の検討が必要であるという御意見。体制的な話でいくと、複数の職員がいて、子どもを守っていく必要がある。部屋で遊ぶ時間、外で遊ぶ時間、子どもによって異なるので、両方を保障していくためには支援員の複数配置が必要であるということです。放課後児童健全育成の設備運営に関する基準は、子どもの最善の利益を守るという視点からできている。その中でも「従うべき基準」は地域の実情を考慮するというものではなくて、子どもの最善の利益を守るという視点から最低限守らなければならないものとして位置づけられたものであって、子どもを守る根幹であるという御意見です。
7ページですが、引き続き質の議論です。今度は放課後児童支援員の養成も含めて、大学を卒業した後に新しい人材を確保していくのが議論が必要である。認定児童厚生員の資格取得研修の科目の中には、認定資格研修と重複しているところがある。認定資格研修の一部免除について検討していく必要があること。それから、児童厚生員の養成校で行われている科目についても一部免除ができないか議論が必要であるという御意見。資質の向上の研修のあり方についても検討していく必要がある。それから、認定資格研修受講後、一定期間が過ぎたら、資格更新講習のようなものを受講する仕組みも必要ではないか。外国籍の子どもへの配慮を検証に盛り込むべきという御意見。
8ページですが、(6)の論点で、子どもの最善の利益を保障する観点からのクラブのあり方についてです。要支援家庭の親が昼間いないにもかかわらず、クラブに入る手続をしないがために行けない、あるいは、利用料が払えなくて行けずに、放課後子供教室に通っているといった問題があるため、クラブは子どもが行きたいときに行ける場所にしていく必要があるのではないか。2つ目のところのアンダーラインで、放課後児童クラブは、子どもにとって行くか行かないかを選べる場ではなくて行かなければならない場である。そのような行かなければならない場であるがゆえに、子どもたちへの配慮が必要ということ。(7)の論点ですが、これは施策の連携についての御意見です。放課後児童クラブの活動について、子ども、親、地域が連携してやっていけるような仕組みを検討する必要がある。放課後の生活を保障している施策(放課後児童クラブ、放課後子供教室、児童更生施設、プレーパーク等)といった全体像を見て、どこが欠けているかを議論する必要があるということ。児童福祉法6条の3の放課後児童健全育成事業の規定でございますが、その議論だけではなくて、児童福祉法第40条は児童更生施設の規定の観点も含めて議論していく必要がある。遊びのプログラムの専門委員会と重なる部分があるため、両方あわせて検討していく必要があるという御意見です。
最後になりますが、「その他」ということで、これも大事な視点かと思いますが、ソーシャルワークの視点を入れていく必要があるということです。
資料の説明は、以上になります。
○柏女委員長 ありがとうございます。
それでは、議論の進め方なのですけれども、今、論点整理を資料1で出していただきました。これもできれば1周したいと思います。各論点を10分ないし15分ぐらい補足の御意見をいただいたりしながら1周をして、また全体的な御意見を頂戴するという形にしたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。そのようにさせていただきたいと思います。
資料1、2ページの総論という論点のところは、何か御意見、御質問があれば挙手をお願いしたいと思います。なお、オブザーバーの山田代表、西川室長にもぜひ御発言を遠慮せずにお願いしたいと思います。それでは、何かございましたらお願いしたいと思います。
私のほうで先に意見書を出していますので、それがちょうど総論のところに当てはまるものですから、私から少し御意見を出させていただいて、その後でまた皆様方に御意見を頂戴できればと思います。
まず、前回、総論のところで子どもの権利条約に従って子どもたちを養育することが児童福祉法第1条に書かれていることを考えれば、子どもの権利条約というものはどんな人間観あるいは子どもの育成支援観というものを持っているのかということは明確にされなければいけないのではないだろうかという話を申し上げました。それとの関係で、子どもの権利条約の中の人間観とはどんなことなのだろうかと私なりに考えたことを、そこにペーパーとして提示をさせていただきました。
詳しくはお読みいただければと思うのですけれども、児童福祉法の1条、2条を提示した上で、真ん中よりちょっと下のところですけれども、きょうは条約の条文を用意してくださっております。関係法令ということで、参考資料3に児童の権利に関する条約がございますが、条約の3条は、子どもの最善の利益を保障しようとする大人の責務を強調します。一方で、第12条は、子どもの年齢及び成熟度に従って子どもの意見を尊重すべきことを規定しており、本条約が発達的な視点を持っている。つまり、年齢や成熟度に応じて大人のあり方を変えていくことをここで言っているわけですので、発達的な視点を示しているということです。そして、年齢あるいは成熟度が高まっていくに従って、主体的に生きて、自分の意見を持てるような人間として育っていくことを願っているということ、つまり、子どもの自己決定力の育成と尊重という視点があるかと思います。
その下のパラグラフですけれども、子どもが自己の意見を持つことができるように成長するためには、幼少期から自分で考え、自分で決定するという体験が必要とされる。つまり、主体性と自己決定力を育むことが、条約の精神から見た育成観となるのではないだろうかということをここで申し上げております。
裏をごらんいただきまして、2行目からですけれども、子どもはみずから自己の可能性を最大限に発揮しようとする主体的存在であり、それを支え、保障する保育者のかかわり、支援者のかかわりがあることで自己の意見を持つことができるなど、主体的に生きることができるように成長するとともに、他者の存在をも尊重することができるようになる。
一人一人の子どもの尊厳を大切にし、一人一人の子どもが今このときを主体的に生き生きと過ごすことを目指し、一人一人の可能性が最大限に発揮できるよう側面的に支援し、また、子どもたちに寄り添うことを大切にする保育育成支援が、福祉の視点から見た育成観だと思います。それは決して指し導くというニュアンスの強い「指導」ではなく、横からあるいは後ろから寄り添っていく「支援」、「援助」、支え援助するというものではないかと思います。こうした保育者のかかわりが子どもの主体性を育て、また、ほかの子どもの主体性をも尊重する「共生」を育んでいくのだと思うと書かせていただきました。こうした人間観が根底にある必要があるのではないだろうかと思います。
前回、この総論を考える上で一番大事な点として3つあると申し上げさせていただきました。1つは子どもの権利条約、2つ目が共生社会、3つ目は文部科学省が提唱している生きる力という3つを考えなければいけないということを申し上げさせていただきましたので、残りの2つ、生きる力については、西川室長が御専門ですけれども、1996年に中央教育審議会がこの生きる力の定義をしています。自分で課題を見つけ、みずから学び、みずから考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力。2つ目に、みずからを律しつつ、他人とともに強調し、他人を思いやる心や感動する心など、豊かな人間性を持つこと。3つ目に、たくましく生きるための健康や体力。こうしたものを兼ね備えるものが生きる力ということを、私だけではなく、これは学校教育全体を通じての目標になりますので、大学では「学士力」と呼んでこの3つを育てていくことを重視しております。これも大切なことだと思います。3つ目は、厚生労働省が推進をしている共生社会を構成できる人間像。自己肯定感が高く、異なる他者とともに生きることのできる、そんな人間像をあわせて目標としていかなければならないのではないかと思います。3つはそれぞれ重複してはおりますけれども、こうした視点も大事にしていくことが、これまでの昭和30年代の健全育成像から今の時代を生きていくための健全育成像として、新たな像として語られなければならないのではないかと思っております。
私からの意見は、以上です。
もしもほかにございましたら、お願いしたいと思います。
池本委員、お願いします。
○池本委員 私も柏女先生と全く同じといいますか、特に今回、新制度で放課後児童クラブのスタッフが「指導員」から「支援員」へといつの間にか名前が変わっていて、そのことが現場にもどこまで浸透しているかということもありますし、一般的な保護者にも意味がきちんと伝わっていないように思っています。そこはその意味をきちんと強調して、意識啓発とか、そのあたりも強調していただければと思います。
以上です。
○柏女委員長 ありがとうございます。
放課後児童クラブの設備運営基準をつくる専門委員会でこのことが議論になり、そして、指し導くという視点ではなく、横や後ろから寄り添い支えていくという視点が大事なのではないかということで名称変更に至った経緯がございます。
中川委員、お願いいたします。
○中川委員 その「放課後児童支援員」への名称変更なのですけれども、現場の受けとめ方は、確かに池本委員がおっしゃったように当初はどういうことなのかなという議論がありましたし、それに対して答えていくことが求められました。
先ほど柏女座長からのお話があったように、今、放課後児童クラブに問われている現場職員の資質、専門性、考えた方の大きな転換の時期が来ている。それを放課後児童支援員の認定資格研修の中でしっかりと全ての職員が共有できるような状況をつくっていこう。これが放課後児童支援員の認定資格研修の意味合いだったろうと思うのです。この認定資格研修の中で、とりわけ放課後児童クラブにおける子どもの育成支援ということで科目が設定されていて、この中で、放課後児童クラブの職員に、今、何が求められているのかということがしっかりと明らかにされたのではないか。
実際、現場の中でも、この認定資格研修を受講することによって、考え方、取り組みに対する姿勢そのものも徐々に変わりつつあるのが現状ではないか。ここをしっかりと推進していくことが今は問われているのではないかと思います。
○柏女委員長 ありがとうございます。
放課後児童支援員の業務そのもの全体を「育成支援」という言葉で表現しようということになったのは、放課後児童クラブ運営指針を作成するときに、「放課後児童支援員」と名称を変更したことについて業務をどう捉えたらいいかということで、育成支援という業務を新たに提案しようということになりました。それを定着させていくということになるかと思います。育成支援の中身そのものも価値を転換させていかなければいけないという面はあるかと思います。
ほかはどうでしょうか。
植木委員、お願いします。
○植木委員 子どもを支援していくという考え方に賛成です。まさに放課後児童クラブというのは、子どもの自主性、社会性、及び創造性を育むこと。したがって、それは導くというよりは、柏女先生が言われたように、寄り添っていく。そういった意味では支援していくという内容、あるいは意味合いが大変重要であると思われます。
ただし、その際に子どもの権利の視点を忘れてしまう、あるいはこれが抜かれてしまうと、これは支援することにはならないだろう。寄り添い支援を考えていくためには、子どもの権利あるいは子どもの意見表明権、そういったことを重視しながら子どものまさに自主性、主体的に生きるということが実現するのではないかということを思います。
以上です。
○柏女委員長 ありがとうございます。
そのほか、金藤委員。
○金藤委員 柏女委員長から先ほどお話しいただいた、子どもの権利条約、共生社会、生きる力を育むという観点は、全く同意いたしますし、大変重要な観点だと思います。
そのときに、総論として、放課後児童クラブだけを考えるのではなく、子どもたちを地域全体で育む仕組みづくりが非常に重要になってくるのでなはいかと思っております。これまでの前回のお話でも、体験を通した遊び、地域との連携ということは複数の委員から出ていたと思います。そのときに、ぜひ文部科学省との連携をお進めいただきたいと願っております。
きょうお示しいただいた参考資料1「放課後の生活を支えている施策について」の5ページをごらんください。文部科学省のほうにお願いし、この資料を入れていただいております。
平成18年に教育基本法が改正されまして、第13条に学校・家庭・連携による教育の推進という新たな条文がつけ加えられております。その後、さまざまな政策が進められておりますが、特に平成25年中央教育審議会の答申を経て、現在、このような地域学校協働活動推進事業が進められております。この図の一番ベースにあるものですけれども、各学校に地域学校協働本部という組織をつくりまして、そこには、地域の方々はもちろんのこと、保護者、企業、NPO、文化団体、スポーツ団体等も含められております。そのような組織が、学校と連携してさまざまな体験や学びの機会を提供していく。それは修学前の段階から小学校、中学校、高等学校というところまで視野に入れて政策を展開していこうとされております。現在、このような放課後を支援する地域の組織、地域学校協働本部というものは、既に全国に5,168も立ち上がってきております。これは今後さらに各学校ごとに立ち上げようとしておりますし、また、学校側には、平成25年度の中教審答申を経て、地域学校連携担当の職員・教員を置くことも明記され、進められておるところでございます。
このように、非常に地域と連携した組織づくりが進んでおります。従って、こちらの放課後児童クラブで出てくる地域と連携してさまざまな体験活動を提供しようというものがもし別の組織として生まれてしまいますと、地方公共団体が非常に混乱するだろうと思いますし、また、学校も困惑するだろうと思われます。放課後児童クラブも、現在、小学校を場として実施されているものが2016年の統計で54.1%となっておりますし、また、その他26%強のものの中には、学校に非常に近い場所に児童クラブを置いて実施している現状があると思いますので、ぜひこの地域学校協働活動の推進事業と連携をしていただいて、省庁の垣根を越えて取り組んでいただきたいと切に願っております。
ただ、個人して少し危惧を抱いておりますのは、ボランティアベースでは地域学校協働本部は持続可能性が弱いと思っております。そこで組織づくり等にぜひ文部科学省で御尽力いただき、また、働く場としての放課後支援という人的面への財源確保と執行という意味では厚生労働省で御支援いただくことが実現すれば、本当に子どもにとっての利益に結びついていくのではないかと思います。
文部科学省の西川室長もいらっしゃるので、もし補足等があればぜひお願いしたいと思います。
○柏女委員長 お願いします。
○西川文部科学省地域学校協働推進室長 文部科学省の地域と学校の連携協働を担当しております、西川と申します。機会をいただきまして、ありがとうございます。
今、金藤先生から御説明いただきました、お手元の参考資料1の5ページにあります地域学校協働につきましては、今、お話がありましたように、大きな意味では、教育政策の中で、学習指導要領という10年に1度教科書の内容とか義務教育の中で教えることを定めている指針がありますけれども、その中の一つのキーワードが社会に開かれた教育課程で、従来はどちらかというと学校の中に閉じて、もっと言うと教室の中に閉じて担任の先生だけが行ってきた教育を、もっと地域・社会にあるさまざまなリソースを活用しながら、もっと外に開かれた教育をしていこうという流れの中で出てきていますのが、この地域と学校の連携という考え方でございます。
その中で、ここでは協働本部と言っておりますけれども、実際にどんなものなのかといいますと、地域学校協働活動推進員と法律上は定められておりますけれども、わかりやすく言うとコーディネーターさんの役割をされる、主として地域住民の方が、学校のこともよくわかっていて、地域のこともよくわかっていて、例えば、イメージでいいますと元PTAの役員の方とか、中には元教員という方もいらっしゃいますけれども、そういった地域と学校の両方をよくわかっている方が、学校として地域にやってほしいこと、また、逆に地域から学校にお願いしたいことをコーディネートして、いろいろな活動を企画して実行していただくという広い概念の中の一部として、我々として放課後子供教室を位置づけております。
そういう関係では、放課後子供教室は、学校や自治体の判断でやるべきと判断すればやるものでありますし、またそのやり方についてもどういった方がかかわってやるのかという部分は非常に自由度の高い設定になっておりますものですから、先生から御指摘がありましたように、ボランティアベースでの活動ということではありますけれども、各地域の工夫で、さまざまな体験活動でありましたり、昔遊びのようなものでありましたり、中には学習支援といったものも含めて、さまざまな工夫の中で活動がされているところでございます。
政府全体としては、児童クラブと一体型ということで、あくまでそれぞれに存在するのですけれども、例えば、子供教室が行っている体験活動に児童クラブのお子さんも参加されたいという場合には、一緒にプログラムに参加していくという意味での一体型というものを政府として推進しているわけでありますけれども、どうしてもキャパシティーの問題で、参加したい子が全員参加できるわけではないとか、指導者の数、指導者といいますか、あくまでボランティアなのですけれども、かかわっている方の人数などによって、どれぐらいが実際に体験活動を一緒にできているのかといった実態につきましては、非常に多様なものがございます。ですので、私どもとしてもなるべくそういった学校教育も含めた学校と地域と学童クラブ、子供教室の連携ということも引き続き検討させていただきたいと思っております。
1点、もしできれば御議論いただきたいと思っておりますのが、一体型と言いながら事実上ほぼ一体的に運営されているようなケース、昼間は子供教室と児童クラブのお子さんが同じ場で活動しているようなケースが実態としてあるかと思いますので、そういった一体化しているケースのあり方などにつきましても、どういったものが理想なのか。自治体の中に存在しているものがありますけれども、政府としてはあくまで子供教室と学童は別々のものであるという位置づけで考えておりますので、そこを今後どうしていくかということも話し合いの中に入れていただけたらいいと思います。
少しお時間いただきまして、恐縮です。ありがとうございます。
○柏女委員長 ありがとうございました。
今の論点は恐らく類型のところに入っているかと思いますので、そこのところでまた御意見を頂戴できればと思います。
総論の中で、今、金藤委員と西川室長の御意見の中にあったことですけれども、地域との関係をどうしていくのかということと、もう一つ、省庁の垣根を越えた行政間の連携については、連携のあり方とかは総論の中に加えておいたほうがいいのではないかと思い入りました。育成支援とか、どのような子どもたちが育つようにしていくのかということと同時に、地域社会との関係のあり方です。それから、省庁間や行政間の連携のあり方は総論の中に加えておく必要があるかと思いました。その中で幾つかは各論の中で議論されるのだろうと思いました。
ほか、総論関係はよろしいでしょうか。
よろしければ、次の論点、量的拡充、正式に読み上げれば「女性の就業率の高まりや働き方の多様化、保育の受け皿整備が進む中、学童期の放課後の受け皿をどのように増やしていくか」という論点になります。これについての御意見を頂戴できればと思います。その中で、先ほど西川室長からありましたけれども、放課後子ども総合プランの検証とか放課後子供教室との連携のあり方についてがございますけれども、これについては議論の深掘りといいましょうか、具体化の意見をいただけると今後の議論に新しい論点としてしっかりと位置づけることができるかと思いますので、お願いしたいと思います。どなたからでも結構です。15分ぐらい時間がとれそうな感じですけれども、いかがでしょうか。
どうぞ、植木委員、お願いします。
○植木委員 放課後子ども総合プランにおける一体型あるいは一体化という概念も出てきましたけれども、恐らくこの「一体型」と言った場合には、放課後児童クラブと放課後子供教室、双方が連携する。もう少し詳しく言うと、何か有機的な連携みたいですね。つまり、双方が連携することによって、双方のよさが引き出されて、ひいては子どもたちの最善の利益につながっていくということなのだろうと捉えているわけであります。
そういった意味では、「一体化」と言った場合には、双方の垣根が曖昧になって、結果的にはそれぞれのよさが失われていくことにもなりかねないのではないかという懸念があります。そういった意味では、この放課後子ども総合プランの中にある2つの事業をどのように連携していくかということを、さらに議論を深めていくことが必要なのではないかと思います。
以上です。
○柏女委員長 ありがとうございます。
実際に現場でやったり見聞きしていることで、何か御意見とかはありますか。
中川委員、お願いします。
○中川委員 私どもの児童館は、放課後児童クラブを実施している児童館なのですけれども、学校内に設置されております。ですから、放課後子供教室、京都では「まなび教室」と呼んでおるのですけれども、放課後まなび教室と放課後児童クラブが1つの小学校の中で場所を変えて実施されているという形態になります。
今は、私どもは一体化よりも連携という形で放課後児童クラブと放課後まなび教室・子供教室との関係を考えている状況でございます。それはなぜかと言いますと、京都におきまして放課後子供教室が全小学校で実施をされることになったときに、一部の放課後児童クラブに登録をされている保護者の方が、学校内で放課後子供教室・まなび教室が実施されるならば、放課後児童クラブは必要ないかなと。放課後児童クラブは利用料をいただいておりまして有料でございましたので、まなび教室につきましては無料であることもあって、そちらへ行かれる保護者の方のお考えはありました。ところが、しばらくたちますと戻ってこられるのです。それはなぜかと聞きますと、まずは毎日確実に実施されていないところもある。土曜日などは、なかなか実施は難しい。あるいは夏休み等の長期休業中についてはほとんど実施されていないようなところもあるということで、放課後児童クラブに登録をする要件のある子どもの家庭、保護者からすると、なかなかそのニーズに応え切れていないことが、徐々に実際に利用される中で明らかになってくるということが一つは大きな要素としてございました。
ですから、放課後児童クラブと放課後まなび・子供教室は、同じ小学生を対象にしているのだけれども、性格が違う。特に放課後児童クラブに登録する状況にある子どもにとっては、そこだけではなかなか使い勝手はどうなのかなという御判断もあって、放課後児童クラブのほうにお戻りになってくるというケースがございました。
ただ、放課後児童クラブの子どもにとって、放課後まなび・子供教室は、意味もない、関係性もないのかと言うと、必ずしもそうではないということも徐々にわかってきました。それは放課後の子どもの過ごす場所の選択肢の一つとして、放課後児童クラブの子どもにとっても放課後まなび・子供教室はあるのだと。実態的には、例えば、うちの放課後児童クラブの子どもたちも放課後まなび・子供教室へ行って、そこで学習を済ませて帰ってくるというパターンもありますし、また、私どもは児童館でもありますので、放課後まなび・子供教室の子どもたちがランドセル登館ということで、ランドセルを持ったまま児童館を利用して、そこで放課後児童クラブの子どもたちとの交流を深める。そもそも自由来館の子どもの場合には一旦家庭へ帰ってもらって、そこで保護者の了解へ得て児童館へ遊びに来るというのが一般的なパターンなのですけれども、放課後子供教室、まなび教室に登録している子どもさんには、保護者が望まれるならば、そのまま児童館も利用できますという仕組みをつくっております。
ですから、今は連携という形なのですけれども、子どもたちにとって放課後まなび教室・子供教室、放課後児童クラブ、児童館という、いろいろな選択肢、オプションがあることによって、それだけ子どもたちの放課後の生活が豊かになっていくのではないかという思いを持っているところでございます。
○柏女委員長 金藤委員、お願いします。
○金藤委員 私の考え方としては、理想は一体的な運営を目指すべきであろうと思っております。
放課後子供教室は、土日や長期休暇中はやっていないというケースももちろんございますけれども、非常に熱心に取り組んでいるところは200日以上開催し、長期休暇中ももちろん土日もやっているところが出てきております。青森県で一体的に実施されている事例などを訪れてヒアリング調査をさせていただいた経験もございますけれども、どちらが放課後子供教室のお子さんでどちらが児童クラブのお子さんか全くわからないという形で、また一律の料金を徴収して、それも非常に安価なものですけれども、実施されておりました。
どのような料金を徴収するかということについては、私どもは諸外国のように所得水準に応じた料金の収集があっていいのではないか。一律でいいというわけではないと思っております。日数の放課後子供教室の少なさというところは、放課後子供教室がまさに今後さらに改善していくべきところでしょう。放課後子供教室も学童も、子どもにとっては、一体的な運営によって遊べるあるいは学びの空間がより広がるということでプラスだと思いますし、別々に置いていいものとは思っていないと考えております。
また、指導者につきましても、これも非常に重要な課題だと思いますけれども、別々にあればいいというものではなく、理想は最終的には一体的に人材育成をしていくべきではないかと考えております。
○柏女委員長 ありがとうございます。
野中委員、お願いします。
○野中委員 このテーマについて別の視点から申し上げたいと思うのですが、同じ厚生労働省の所管の事業の中で、ほぼ今の議論に類似した問題を長年抱えて検討してきて、一定の整理がついてきたという事情があります。それは児童館と放課後児童クラブとの関係です。児童館は、御存じのとおり全ての地域の子どもを対象にして行っていますから、設立当初、厚生労働省が補助金を始めた昭和38年以後を考えても、当時の留守家庭児童なり、さまざまな子どもたちを中心としながら事業を進めていきましたので、当然放課後児童クラブのニーズを中に含んだ事業展開をしてきました。
一方で、放課後児童クラブが都市児童健全育成事業やさまざまな形での民間の取り組みも含めて取り組まれていまして、結果として児童館と放課後児童クラブの関係はやや揺れ動いた時期があったわけですけれども、現在は、児童館のガイドラインに示されているように、児童館の中で放課後児童クラブを行う場合は放課後児童クラブのガイドラインに沿って行う、今の設備運営基準なり運営指針に沿って行うということと、あわせてその児童館のさまざまな活動にも十分な連携をとるということがつくられてきています。これが今までの一つの教訓ではないかと思うのです。
子どもが放課後の中で生活をしていくときに、当然複数のさまざまな事業や活動を同時に利用することは十分あり得ることだと思います。例えば、児童図書があれば、子どもの図書のニーズに沿ってそういう取り組みもしていくし、学習的な意味で補助的なことが必要であれば、そういう学習補助や、塾的なものとか、スポーツとかという取り組みもされるわけですし、子どもの過ごし方に関わる事業については、それぞれに発生の原因と守備範囲というものがあって、それらが共同していくことはとても大事なことだと思うのです。
こういう経験から考えますと、この子どもの放課後の過ごし方全般と放課後児童クラブとのかかわりを検討する際の視点につきましては、放課後児童クラブの役割と担うべき範囲について明確にすることと、子どもの放課後に関連する事業や活動のそれぞれの実情を知って、そことの連携や協力、あるいは融合という部分ができるものをどうするかということについての節度を持った検討が必要なのではないかと考えております。
今、施策を急速に発展させなければいけないという事態と、待機児の問題とか、そういうものも含めて効果を急ぐということがあるのだろうと思いますけれども、長期的に見ていくと、そういう部分のところを丁寧にやっていかないと子どもが滑り落ちるのではないかと思うのです。
後でもう一度資料提供したいと思うのですけれども、個別のケアが必要なお子さんは、今、たくさんふえています。そういうところにそれぞれの持っている事業のよさをしっかり生かしながら、協力して支え合っていく視点を持っていくことが一番大事なのではないか。そういう考えを持っております。
以上です。
○柏女委員長 ありがとうございます。
中川委員、よろしくお願いします。
○中川委員 お話を聞いていまして、現場からしますと、正直なところ、なかなか一体化は難しいのではないかと。それはなぜかと言いますと、よく知られていますように、子どもの放課後は4つの場面があると言われています。学習の場面、体験の場面、交流の場面、生活の場面、とりわけ最後の生活の場面が放課後児童クラブにとっては大変重要なところであろうと思っております。ここで基本的な生活習慣などを子どもたちは身につけていく。放課後児童クラブはそういう場面であるだろうと思っているわけなのです。そうしますと、かなり丁寧なしつらえも必要になってきます。例えば、一人一人の子どもが帰ってきたときに、自分たちが帰ってくる場所としての所属感をしっかり持ってもらうために、靴箱を用意したりとか、あるいは、子どもたちはそこで生活をするわけですから、ロッカーも必要になってきます。ランドセルを入れるロッカーであったり、着がえを入れるロッカーであったり、タオルを入れるロッカーであったり、これは個別に必要になってくるわけなのです。そういうことを放課後児童クラブでは大変重要に考えまして、それこそ設備運営基準が示す子ども1人当たりの面積基準であったり、あるいは職員の配置基準であったり、全てそこに、子どもたちに対してしっかり丁寧な支援ができるようにということで私たちは取り組んでいるわけです。もし例えば一体化ということになったときに、大変多くのほかの放課後児童クラブ以外の子どもたちと一緒に過ごすことになったときに、そういう生活の保障、生活の場としての保障が果たしてできるのだろうかという疑問も、当然我々放課後児童クラブの事業に携わっている者からしますと、あるわけでございます。
ですから、一体化をするということになったときに、その問題をどう解決していくのかという視点が絶対に必要なのではないかと考えております。
○柏女委員長 小野委員、お願いします。
○小野委員 私たちが放課後児童支援員として日々子どもたちと向き合う中で、育成支援という言葉が運営指針の中で生まれて、本当に健全な育成の達成及び生活の支援ということが私たちの仕事の中身として大きく位置づけられてきたということをこの間感じているのですけれども、私たちは「学童保育クラブ」と言っているので「学童クラブ」という言葉も使わせていただきたいと思うのですけれども、学童クラブに子どもたちは「ただいま」と言って帰ってきます。私たち支援員は、子どもたちを「おかえり」と言って迎え入れます。まず、子どもたちは学校から家庭に帰っても「ただいま」と帰りますね。でも、お家に帰ってもお父さん、お母さんはお仕事で不在になっているということも含めて考えて、放課後児童クラブは「ただいま」と子どもたちが帰ってくる場であるわけです。それこそ放課後子供教室などには、子どもたちは出かけていく場、自分たちで行きたいから行く場として行く場所になって、「いってきます」と言って出かける場になるわけですね。子どもたちが「いってきます」と出かける場は、一旦「ただいま」と帰ってくる場があってこそ「いってきます」ができるのだと私は考えています。
そういう部分では、学童保育クラブの中に子どもたちが「ただいま」と帰ってきて、そこで生活をしていくということは、いつも子どもたちは元気いっぱいで「いってきます」と外で走って遊びますという子どもたちばかりではなくて、午前中の授業をいっぱい頑張って学習をしてきていろいろな経験をしながら帰ってきて、「ただいま」と言って、ほっと一息、そこのランドセルを置いて、ふっと座り込んで、きょう、こんなことがあったのと指導員のそばに来て話をし始める子どももいます。そこに行かずにすとんと座り込んで好きな自分の本をちょっと読み始めたり、ほっとしたりのんびりしたりするという時間帯も、子どもたちには必要になってくる放課後の時間帯の一場面ではあると思うのです。
好きなことをやりたい、自分がやりたいことをやっていく。またどこかの場面で遊びの大切さとかを考える場面もあると思うのですが、遊びというのは、本当に自分がやりたいことを見つけて、本当に決めて自分でやっていくみたいなことが守られなければ遊びとは私は言えないと思っています。本当にこれは極論なのですけれども、ドッジボール大会を子どもたちとやろうと子どもたちが企画をしました。大会をするから練習をしよう、きょうはドッジボールで遊ぼうよと子どもたちが誘い合ってドッジボールで遊びます。遊んでいると私も思っています。みんなでやりました。それでは、ドッジボールの時間はおしまいと言うと、わーい、これからまた遊んでいいのと子どもたちは言うのですよね。ドッジボールをやっている時間帯は遊びではなくて、ドッジボールの取り組みに向かってやっている、課題をやっているという感覚が子どもの中にはあるのだなと。なので、そういう取り組みの後に、もう好きなことをやっていいの、遊んでいいのなどという言葉を聞くと、子どもたちに遊びを保障していくということはこういうことなんだなと、自分たちのやりたい遊びを自分たちで決められる、そういう時間帯をちゃんとつくってあげることが大切なんだなということを、放課後の時間、子どもとかかわる中で感じている部分があります。
ですので、一体化の部分も、それしかない、そこだけに行くとかということで進められてしまうと、子どもたち自身が自分たちで、学童保育クラブ・放課後児童クラブも行かなければならないところではありますが、そこに行って、そこに自分たちの生活があるんだ、居場所があるんだということを実感できる環境をちゃんと整えていく、それが役割なんだということを今回は示されてきていますので、そこをきっちり保障していくことをしつつ連携をしていくことが必要なのではないかと考えています。
以上です。
○柏女委員長 ありがとうございます。
野中委員、お願いします。
○野中委員 補足をしたいのですが、いろいろな地域の子どもの生活を見てきたときに、例えば、人口減少地域や中山村等の場合、地域の中に1つ中心となる子どもの生活や遊びが満たされる場所があれば、そこにしっかりした支援員なり子どもの援助ができる方がいれば、放課後児童クラブを必要としている子どもも、そうではなく保護者が家にいる家庭の子どもも全部一緒にそこで過ごしてカバーできているという地域もあります。それは、そこの集落、自治体の中での子どもの人数とか環境にもよるのだろうと思います。それから、例えば、学校の統廃合が進んで、かつての分校等のところにはバスが通うという地域になってきますと、学校の近くに一つにそういった施設、主に児童館なのですが、そういうものがあって、学校が終わった後、子どもたちはそこで過ごして、一定の時間で夕方に高学年も全部帰ってきたときにバスで送るという形をとっていまして、それは保護者が働いている、働いていないにかかわらず、地域の子どもの環境によってそうするというところもあります。
都市部のように保護者の状況とか環境によって事業を細分化することが必要なところについてはそういう方向もあるでしょうし、さまざまなことがあることは前提として私どもは把握しておく必要があるのではないか。国の施策として、例えば、放課後児童クラブをやるといったときに、そういうマクロの部分でしっかりカバーできる、本当に児童福祉的な視点で地域のことを見られるということを示すということは大事ですけれども、個別の施策の細かいところに行ったときには、そういうものをどう融合させていくのか、あるいはカバーしていくのかということは、現実に考える必要があるのではなかろうかとも思いますので、議論をするときに、前の委員会のときにも議論があったと思うのですけれども、どこをもって一般化するかということと、一般化した場合にそこからカバーし切れないものをどのようにフォローするかということについての視点はどうしても抜け落ちそうな気がしますので、可能であればこの議論の中でそういうものも視野に入れていただければありがたいと思います。
○柏女委員長 ありがとうございます。とても貴重な御意見を皆様方から頂戴できたかと思います。
まずは、最初に基本的な整理としてオール・オア・ナッシングで考えないことが大事だということは、野中委員からお話がありました。その上で地域性も考慮しながら考えていかなければいけないということです。
その上で考えるべき原則としては、放課後児童クラブと放課後子供教室が目的と機能は違うということがある。でも、一緒にできる可能性のあるところも場合によってあるだろう。そうした考え方を基本に置いていくことが大事という意見が総体ではないかと思いました。私も、私の友人が放課後子供教室を長くやっていて、そこへ時々行くのですけれども、放課後子供教室とともに、そこには放課後児童クラブが空き教室を使って一つはあります。そこに時々行きますと、必ず数人の子どもたちが、放課後子供教室はみんなにいろいろなプログラムがあるので、そこへほとんどが行っているわけですけれども、先ほど小野委員がおっしゃっていたように、やはり行かない子どもたちが何人かいて、そして、この子はきょうは甘えんぼさんなのと、支援員の方がその子がべたべたして背中のほうに乗っかっているのを黙って見ていたり、させたままにしていたり、あるいはパニックになって泣いている子どもたちやぐあいの悪い子どもを支援員が見ているということが残っています。この子たちは、帰りたくても帰れない。そんな状況に置かれている子どもたちを誰かが見ていくということが、先ほどあった生活の保障という点では大事かと思います。
それでは、次に行きたいと思います。続いては「放課後の児童の受け皿について、現行の放課後児童クラブや放課後子供教室以外の居場所づくりが必要か」、類型という点です。
この点について何か御意見がございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
清水委員、お願いします。
○清水委員 各委員の大変貴重な御意見を伺いましたけれども、昨今、幼児教育の無償化という話が出てきておりまして、その範囲が無認可の保育所も対象になると、当然働く家庭の保護者が就労ということになって、認可・無認可問わず、保育あるいは幼児教育のところに期待を寄せられていることになります。当然、それは小学校に行っても保護者の就労の状況は変動しない。むしろ小学校に上がったので、子育てが一段落ついたというところでさらに就労に向かうことは当然予想がされます。そうなると、例えば、今までの議論の中でも、一体型とか、それぞれの類型という枠では収まらなくなるであろうという事態が、近い将来想定されることになります。類型を広げるとかはいろいろありますけれども、幼児教育で言えば認可・無認可みたいな議論で少し広く考えないと、小学校に子どもたちが上がったときに、それでは、どうするのかというところを、抜本的に、今までの概念にとらわれないような考え方をしないと、対応ができなくなってくるのではないかというところがまず一つ心配があること。
もう一つが、これは制度上で大人が話をしていることなのですけれども、実際にそれぞれの施設で過ごしている子どもたちがどういう思いで生活をしているのだろうか、通っているのだろうか、というところを大人としては真剣に取り上げていかないと、子どもたちの視点が一方では置き去りにされて、制度上の話とか大人の理論で物事が進んでいくというのは、どこかで子どもの意見表明というわけではないですけれども、丁寧に子どもの声も聞いておく必要性があるのではないかと考えております。
以上です。
○柏女委員長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。
池本委員、お願いします。
○池本委員 放課後の居場所というか、支えている施策ということで資料を今回おつくりいただいているのですけれども、自分の子どもなどのことを思いますと、塾とか、公園とか、図書館とか、道路とか、私も本当に道路で遊べたらいいなといつも思っているので、そこを放課後だけ子どもの遊び場に変えられないかとかは常に親として思っているところなのですが、そうすると、文科省と厚労省だけではなくて、経産省とか、そういったところまで含めて検討が必要ではないか。
あとは、スポーツクラブとかですね。イギリスのスポーツクラブなどを調べますと、どこにスポーツクラブがあって、それはどのように安全性が確保されていてとか、全部ネットで親が見られるのですけれども、私が自分の子を入れようとすると、どこにクラブがあるかとか、それが一体誰がやっていてどのぐらいのお金がかかるとか、何にも情報がないのです。要するに口コミだけで預けるということになっているのですが、それが親としてとても不安なところがあって、例えば、塾とか、お稽古とかも含めて、それがみんな利用している割には質とか安全性についてどうなっているのかというところもありますので、そこを認定するということでなくても、例えば、親としてどのように選ぶかといったこととか、情報提供があるとよいと思います。海外だと図書館が子どもの居場所になっているとか、地域の農園とか牧場みたいなところに放課後に子どもが通うとか、そういうもう少し広い議論ができたらと思っております。
○柏女委員長 ありがとうございます。
とても大切な視点です。今、公園の使い方が非常に問題になっていて、保育所がたくさんできてきていますけれども、保育所の子どもたちが遊べる場がないので、園庭がなくて保育所をつくっているので、そうすると公園が取り合いになっている。高齢者の方々のゲートボールの会場にもなったり、公園をどうやって、何曜日に何時から何時まで誰が使うかとか、そういう調整をしなければならなくなってきている。
そうすると、子どもたちが遊べる場がどんどん追いやられてしまう、子どもたちが自由に遊べる時間がなくなってしまうということで、僕たちは一体どこに行ったらいいのかという声も私がいる流山では聞かれて、公園緑地課で調整してくれないかという話になっております。本当に大事なことだと思います。
金藤委員、お願いします。
○金藤委員 今、池本委員がおっしゃったように、図書館を含めてさまざまな教育学習施設が地域にございますので、そういう多様な居場所をより安全で豊かな経験ができる場として開いていくことはとても重要な観点だと思います。それとともに、先ほどごらんくださいと申し上げた資料の次のページを見ていただきたいのですけれども、放課後子ども総合プランは、既に放課後子供教室と児童クラブを一体型でやっているところが全国に平成28年度時点で3,799カ所もあるという事実を踏まえて、先ほど野中委員がおっしゃったように、基本は児童クラブの子どもたちはそこで生活をして、気が向くときだけ放課後子供教室へ行くのだということを原則とするのではなく、地域の実情に即していろいろなパターンがあっていいと思います。実際にこのような一体型は全国4,000カ所ぐらいにふえてきているわけですから、それを含めて質的な向上を目指す議論を進めていただきたいと思っております。
○柏女委員長 ありがとうございます。
大事な視点になるかと思います。両方を含めてどう質を向上させていくかというところになるかと思います。
ほかにはいかがでしょうか。
植木委員、お願いします。
○植木委員 子どもたちの放課後の居場所は何が必要かということですけれども、新しい居場所を開発していくという視点も大変重要なのですけれども、一方で、既存の居場所を整理して、それが子どもの最善の利益についてどんな効果があってどのように機能しているかということの整理も一方では必要かと思われます。この後の議論のところで、児童厚生施設とかプレーパークとかは連携のところで出てきますけれども、そういった意味では、既存の児童館とか、そういった現在機能している子どもたちの居場所がどのような種類があって、それがどのように機能しているかということを踏まえた上で、新しい居場所をどのように開発していくかということが必要かということが1つです。
もう一つ、この中で、スーパーバイザー的なものが必要だという言葉が入っております。これに関しては、放課後児童クラブの対象が6年生まで拡大されて、あるいはさまざまな課題を抱えている子どもたちが児童クラブに入ってくる。その中で放課後児童支援員がその対応に苦慮しているということをよく聞きます。とはいえ、放課後児童クラブの職員もそんなに多いわけではありませんので、そういった意味では、そういった苦慮する放課後児童支援員を支援する支援者支援の視点、仕組みがひいては質の底上げにもつながっていくのではないかと思われます。
以上です。
○柏女委員長 ありがとうございます。
ほかはどうでしょうか。
池本委員、お願いします。
○池本委員 先ほどの居場所のところで言い忘れたのですけれども、高齢者の施設と放課後児童クラブがセットになったところも幾つかある。あとは企業の中に学童があるとか。自分のことを思い出すと、要するに放課後にずっとただ校庭で遊んでいたという記憶があるのですけれども、いつの間に授業が終わったらすぐに帰らなければいけないということになったのか。この間、地方に行きましたら、その自治体の中でも学校によって放課後に遊べる学校とそうではない学校があると。もしみんなが遊べるようにすれば、もっと子どもたちにとっては楽しい場所になるのではないかと思いますので、そこも何かデータとかがあれば拝見したいと思っております。
○柏女委員長 それでは、そうしたデータはまた文科省と御検討いただいて、次回にお願いしたいと思います。
小野委員、どうぞ。
○小野委員 先ほど金藤委員から「一体型」のお話がありましたので、その前の論議の中で「一体化」のような言葉も出ていましたので、「一体化」、「一体型」、幾つかの言葉の中でイメージをどう持っていくのかというのはすごく気になるところではあるのです。一体型ということのイメージでいけば、先ほどの放課後児童クラブに子どもたちが「ただいま」と帰ってきてそれこそ放課後子供教室には「いってきます」と行く場所というイメージで、連携のイメージを私自身は持っています。一体型という部分でも、基本的には放課後児童クラブと放課後子供教室は、変な話、同じ小学校内の敷地内の中にあったり、同じ隣同士ということもあり得るかもしれませんが、それぞれが独立しながら一つの場にあるというイメージで私自身は一体型を受けとめています。
イメージというのは怖いなと思うので、少し自分のイメージだけはしっかりお伝えしておこうと思って発言しました。
○柏女委員長 ありがとうございます。
先ほど山田代表に言いかけましたけれども、東日本大震災もあり、かつ、原発の事故のあった後の子どもたちの育成、放課後の生活の場として、何かお感じになっていることとかがあったら、ぜひ御意見を頂戴したいのですけれども。
○山田氏 済みません。全然準備をしていなかったものですから。
○柏女委員長 後からでもいいですよ。
○山田氏 それでは、後で。済みません。
○野中委員 場をつなぎますので、お考えください。
関連することで2つ申し上げたいのですが、1つは、今、一番必要なのは情報提供を充実することではないかと思うのです。放課後児童クラブを今回のように制度改革をした際に、市町村に子どもの放課後児童クラブと関連する情報も提供するようにとされたと思うのですけれども、今回のこの議論を含めて思いますと、ある意味では放課後児童クラブに直接関連するものでなくても、子どもの放課後の過ごし方に関するさまざまな情報、金藤委員がおっしゃいましたように、今、文科省を中心に取り組みをされていますけれども、そういうことも含めて、例えば、今、児童館は全国に4,637カ所ございますけれども、そういう情報も一緒にミックスをして、あるいはもっと民間の取り組みもあっていいと思います。今はそういう情報をそれぞれがそれぞれのところで発信しているところでとどまっていますから、ある意味で市町村が中心になって、子どもの過ごし方として、よりその子どもの生活や発達と関連して健全なものを市町村で情報提供していくということで、ニーズに合わせた形でそれが活用できるという方向にすることはとても大事な気がしまして、それぞれの内容をどうするかとか関連をどうするかということももちろんすごく大事なことなのですが、今、一番急がれるのは情報提供を充実するという面もあるのではないかと、お話を伺って感じました。
もう一点、ここの今回のまとめの中に、家庭的な雰囲気での放課後児童クラブ、そういう小規模なもののご提案があったと思うのですけれども、この点に関しまして、御存じだと思いますが、2006年(平成17年)12年ほど前に「生活塾の普及促進に関する研究会」というものを当時の職業家庭両立課で検討した経緯がございます。これは、「人生経験豊かな退職者や子育てを終えたベテラン主婦などが小学生を預かり、親にかわっておやつや食事を与えたり挨拶などの基本的な生活習慣を身につけることなどを支援する取り組み」ということでこの生活塾が提案されていまして、これと放課後児童クラブとの関連とか、あるいファミリーサポートセンター、その他の子どもの預かりに関する事業との関連を含めて総合的に検討された経緯がございます。そのときは小規模運営における子どもの安全やセキュリティーの問題とか、子どもの活動範囲とか、そういうものとのかかわりの中で配慮すべきことがあるのかないのかということも含めて細かな検討をされていたような記憶がありますので、そういう過去の資料等も参考にしながら、この問題をお考えいただければありがたいと思います
○柏女委員長 ありがとうございます。
今の件は、ぜひまた過去の経緯等を集めていただいて情報提供をいただければと思います。山田さん、いいですよ。まだ50分ありますから、途中で割って入っていただいても結構ですので、お願いいたします。
次に移らせていただいてよろしいでしょうか。時間も押してきております。
次が、いわゆる質の関係、これまでも意見は幾つか出てきてはおりますけれども、3番のところです。「子どもの自立(社会性)や様々な体験を提供するための体制(対応)をどのようにするか」「現行の放課後児童クラブの基準で十分か」「2の居場所の形態(類型)の基準をどのようにするか」、こうしたことについて、質の確保という観点からかなり幅広の論点が7つほど挙がっておりますので、どこでも結構ですので、よろしくお願いしたいと思います。
いかがでしょうか。
清水委員、お願いします。
○清水委員 山田先生につなげられるかと思うのですけれども、今、厚労省の中では恐らく保育士養成のカリキュラムの変更について多分議論されていて、その中身が出てきています。今までなかった内容が安全管理です。危機管理と安全管理という項目は恐らく「子どもの保健」という科目に恐らく盛り込まれるだろうと考えられます。養成校もその準備をしなくてはいけないということで、今までいろいろな教科目の中でいろいろな角度から子どもの安全管理とか危機管理、いわゆるリスクマネジメントを取り扱ったものが、恐らく「子どもの保健」という教科の中で中心として取り扱いを行うことになるかと思います。そうしますと認定研修などの件についても恐らくこことの連動性が求められてくるのではないかと思います。例えば、安全管理上の配慮事項とか、考えなくてはいけないことは認定研修に盛り込むべき内容かと思っております。その辺のことを山田先生からお聞きしたいと思います。
以上です。
○柏女委員長 ありがとうございます。
意見がまとまったらぜひぱっと言ってください。手を挙げてください。
ほかはいかがでしょうか。
池本委員、お願いします。
○池本委員 今の安全管理にも関連するのですけれども、私は保護者として利用する立場で感じておりますのは、親も安全を求めるのでスタッフの方が物すごく厳格にやろうとしていて、子どもの活動が、親としてこれでいいのかと。例えば、アレルギー一つとってみても、本当に絶対に事故を出してはいけないから、その子は別メニューで別室で食べさせるとなっているような動きもあったり、遊びについても、例えば、一輪車を子どもがやりたくても、スタッフが見られないので何曜日しかやってはいけない。うちの子はその日はいけないので、なぜできないのかと文句を言っていました。そのように、もうちょっと子どもたち自身に責任を持たせて、子ども自身に危機管理をさせるというところまでやって、できるだけ子ども自身の活動に制限が入らないような形もやっていかなければいけないなと。イギリスなどですと、逆に大人がいないとどこにも行ってはいけないということで、それが子どもの発達に影響を及ぼしているという本なども出ていますけれども、今、日本もそのような方向に向かっていると思っているということも申し上げたいと思います。
○柏女委員長 ありがとうございます。
ほか、どうでしょうか。
私から1つなのですけれども、今、放課後の子どもの生活を保障するということを考えていったときに、そこに必要される専門性を整理しなければいけないのかなと思いました。
1つは、育成支援の直接に携わるプレーワークがあるかと。プレーワークの専門性は一体何だろうか。
2つ目が、保護者とうまく連携をとっていく、あるいはその保護者の相談に乗ったりするという保護者支援の視点。
3つ目が、いわゆるソーシャルワークです。子どもの居場所と考えたときに、ネグレクトされたり虐待されたりしている子どもたちもいるわけで、その子どもたちのための居場所づくりをどうするかと同時に、それをどうやって発展し、そして関係機関と協働していくのかというソーシャルワークの専門性、こうした専門性というものも整理しながら、どの分野ではどの専門性が大事にされるか、どの分野はどの専門性が大事にされるかということも整理していかないといけないのかなと思いました。全部が一律であっていいわけではないだろうと思いましたので、意見として述べさせていただきます。
ほか、どうでしょうか。
金藤委員、お願いします。
○金藤委員 今、委員長がおっしゃったことはとても重要な観点だと思いますので、ソーシャルワーカーが何度も出てきておりますけれども、それはとても重要だと思います。それと同時に、学校もこれからスクールソーシャルワーカーとスクールカウンセラーを両方置くということで政策が進められておりますので、そういったネグレクトとか虐待ということに対してのカウンセラー的な機能の専門性という点も持っておくというのが、ソーシャルワーカーとしての機能とともに必要かと考えております。
もう一つ、多様な地域の学習資源、あるいは企業とかNPOとか、専門家を招いて多様なプログラムを提供するとすれば、それができる連絡調整能力、そういう専門性、まさにコーディネートの機能を入れておく必要があるだろうと思いました。アメリカの放課後プログラムを支援しているNPOの組織に調査に行ったときに、指導者の専門性についてうかがいました。指導者はたとえ、凧を揚げていても、凧を揚げながら物理を考えさせられるような支援員が必要なのだということをおっしゃいました。また、より学年の上がった子どもたちの中には、放課後に何をしたいかと言うと、何もしたくないと。何もしたくないけれども何がしたいかと言ったら、ショッピングモールに買い物に行きたいと。買い物に行って何がしたいかと言ったら、マニキュアが買いたいと言ったと。そこから、マニキュア、いいではないの、買いに行ってやろうではないのと言って、そこからマニキュアは一体何でできているのかと、それで化学の勉強に発展させるのだということをおっしゃられるのを聞きまして、大変すばらしいなと思いました。放課後支援は、居場所としての居心地のよい空間をつくるとともに、そこで提供される遊びが学びにつながっていく。また、正規の授業にもつながっていくものを意識できるような力量を持つ支援員の育成を期待したいと思います。
○柏女委員長 ありがとうございます。
中川委員、お願いします。
○中川委員 先ほど池本委員の御発言の中で、子どもの安全に重きを置き過ぎるために、子どもが十分遊べていないのではないかとありました。私は、管理者の立場から、非常に耳の痛い、なるほどと思う部分もございます。1日放課後児童クラブが終わって、事故やけががなかった、よかったと思うのは率直なところでございます。ただ、一方で、子どもたちが帰ってきてからどれだけ子どもたちの思いに沿って思い切り体を動かしたり、いろいろなことに子どもたちが時間を費やすことができたかという、そこの振り返りも同時にしなければならないと思っているのです。
現場の実態から言いますと、職員の人数と子どもの活動のあり方が大変関係してくるのです。たまたま職員に急に欠員が出て体制が難しいときなどは、少し屋内での活動を中心にしようかなと。あるいは、1日の職員の出欠状況などを見ながら、子どもの活動のあり方がいろいろ変化するというのは事実であろうと思っています。
ですから、子どもたちがしっかりと放課後生き生きと過ごせるためには、まずはしっかりとした職員配置が必要なのではないかというのが率直な私の思いであります。そういう観点からしましても、複数配置の問題も、ここは子どもたちがいかに生き生きとクラブで放課後を過ごすことができるか。そこを観点に複数配置の問題なども考えていくべきではないかと思います。
○柏女委員長 ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。
野中委員、お願いします。
○野中委員 放課後児童クラブにおける質の問題を考える際の前提のようなことになると思うのですが、実際に子どもが放課後児童クラブでどのように過ごしているかということに関する初歩的な資料を提供したいと思います。資料2-3「放課後児童クラブにおける子どもの遊び及び生活の実際に関する資料」を用意しました。
この資料の出どころ等については前文で書いたとおりです。実際に放課後児童クラブの運営に当たっては地域や児童クラブの実情に合わせた創意工夫が必要になってくるわけですけれども、その際の共通の土台として実際に放課後児童クラブで子どもたちがどのように過ごしているのかということと、そこでの放課後児童クラブでの子どもたちと放課後児童支援員のかかわりはどのようなものなのかということを、運営指針の解説書の中から抽出してお示ししたものです。
1点目は、放課後児童クラブの中で行われている子どもの行為や活動ということで7点ほど示していますが、この中で強調したかったのは、2点目の「くつろぐ」というところです。遊びや生活に必要なことをするとか、自主的に学習をする、集団で生活をするために必要なことをする、静養も含めてさまざまなことをする中で、子どもが放課後の生活の中で疲労の回復や気分転換のための休息、子ども同士の語らいや団らん等という、くつろぐ時間は、放課後児童クラブの場合、余り意識されないできた経緯があるのではないかと思いました。第1回目の委員会のときにお示しした「子どもの生活時間調査」の中でも、放課後児童クラブに通っている子どもの団らんの時間がほかの子どもに比べてやや少なかったという実際もあります。子どもの放課後の生活の意味合いから考えて、今、申し上げたようなところをしっかり生活の中に組み込んで保障していくことの大事さを感じましたので、トータルとしてこういう活動を行っているということを運営指針の解説書の中に示したといういきさつがございます。
1年間を通した子どもの生活の特徴は、1ページから2ページにわたって示しました。子どもは1年間の4月から3月までを通しておおむねこういう中で生活しています。運営指針の解説書の中では、こういう生活の年間の大きな流れと特徴を捉えながら、その時々の子どもの様子を見ながら生活に見通しを立てていくということと、そういう生活の過ごし方の見通しについてはあらかじめ保護者にも伝えて、子どもがどのように放課後児童クラブで過ごしているのかを放課後児童クラブと保護者が共有できるようにすることの必要性も一緒に書いてあります。
3点目、放課後児童クラブで過ごす子どもの集団の特徴ということで、特徴的なものを2点だけ書きましたが、1つは放課後児童クラブの場合は、学年ごとに区切られているとか、あるいは1年ごとで子どもたちが全部入れかわるとかということではなくて、何年かで繰り返していきますね。その中で、例えば、1年生のときは一番年下になるわけですね。2年生になると年上の子も年下の子もできる。3年生になると、もっと年下の子がふえてくるということで、4年生、5年生までになってきていけば、自分が一番上になる。子ども同士の関係で言うと、子ども自身の中で、兄弟姉妹が経験するようなものを一人っ子であっても全部が経験していくことがあるということと、こういうさまざまな過程にある子どもが一緒に過ごすことになります。大人の目から見たら異年齢の子どもの育ち合いみたいなものがいいのだとよく言うのですけれども、必ずしもそうならない面もいっぱい含んでなっていくということも含めて、子どもの生活を見るときには、こういうことの中に一緒に放課後指導支援員がいるのだということを捉える必要があるということを示しました。
次に、特に配慮を必要とする子どもの育成支援の例なのですが、運営指針では、第1章の総則と3章、4章等でこの必要性を記述していますし、優先的な利用の必要な子どもについても厚生労働省から通知が出されているわけですけれども、実際にどういことがその場面で行われているかということの事例を紹介しました。資料の後のほうに「いつもの、ありのままの仲間たちが支えた日々」という実践の記録、月刊雑誌に出ていたものなのですが、出版社、編集元の了解と、当事者の了解を得ましたので、ここに紹介させてもらいました。ぜひお読みいただきたいと思います。途中から不登校になって放課後児童クラブにも行き渋りが起きた子どもを、家庭と学校とクラブの子どもたちと放課後児童支援員等でどう支えていったかという数年間の記録です。短い中でもリアルに書かれています。このような実践が全国いろいろなところで取り組まれているわけです。一人一人の子どもの権利を考えるといったときに、こういう実践を伴っていかないと実体化していかないと思います。
問題は、こういうものが施策を考える際に可視化されているかどうかということだと思います。こういうところを私たちの議論の中でもイメージとして持っていかないと、実際には入り口のことだけが議論されていて、結果的に入った子どもの中でこういう困難を抱えた子どもが見落とされるのです。見えなくなるのです。見ないと思えば見えないわけですね。気づく努力をしてそこで初めてできるわけで、このケースについても、放課後児童支援員がこれは学校の問題だと考えたり家庭の問題だと考えたりしてしまったら、このようなかかわりは放課後児童クラブではできないのです。それを子どもたちと一緒に取り組んでいくということが児童福祉の事業としての放課後児童クラブの一番の基底にあるものではないかと思うのです。
私は、「子どものころ大人を、自分が一番信頼できると思ったときはどういうときか」という質問を学生にしたことがあるのですが、共通して1番に上げられていたのは、「自分のことではなくて誰かが困っているときに一生懸命になってくれている大人(先生)がいると、その人は信頼できると思った」と。何かができるではなくて、とにかくあたふたしてでも何でもいいから一生懸命になってくれていれば、その大人は信頼できると思ったということが1番でした。10年間調べて学生の回答の中でこの答えが共通して1番でした。これは放課後児童クラブでも同じだと思います。
認定資格は、放課後児童支援員に与えられた形をとっていますけれども、放課後児童支援員のためのものではなくて、子どもを守るために必要な大人の責務としてその資格を与えているということが原点だと思いますし、今回、放課後児童クラブのことを考えるときには、こういう子どもの生活の視点から考えていくことが大事なのではないかと思います。
放課後児童クラブの入り口だけではなくて、入った子どもが必要な期間を楽しく過ごせるということにどう目を向けるかということが、放課後児童クラブの質を考える一番の判断基準ではないかと思いますので、そういう点でこの基礎的な資料を示させていただきました。
○柏女委員長 ありがとうございます。
とても貴重なお話だったと思います。放課後生活を保障するサービスは多様に用意されなければいけないけれども、その中に放課後児童クラブは第2種社会福祉事業として規定されている。つまり、100人のうちの1人2人のところに中心を置くのが社会福祉事業。社会福祉事業ではない居場所があったって当然それはいいわけで、そうしたそれぞれが持っている機能を一番大事にしなければいけないということの一つの例として挙げていただいたかと思います。ありがとうございました。
どうぞ、池本委員、お願いします。
○池本委員 評価のところでは、こちらの配付された中では自己評価とか子どもの目線から見た評価の検討が必要という表現になっていたのですけれども、実際に第三者評価をやっている自治体などもありまして、個人的にはそのあたりまで含めてそういう仕組みをつくったらどうかということ。つくる際に、いろいろ海外の例を見ていると2パターンがあって、一つはそのクラブだけを評価する。同じイギリスの中でもスコットランドはそういう形で評価していますが、イングランドのほうは学校の評価の中にそういうものを含めて評価する。だから、学校の中に放課後の居場所とかというところまでも含めて評価するというやり方もありますので、個人的にはそういう学校評価の中にそういったものを含めてやっていくこともあり得るのではないか。そうすると、先ほどの地域協働みたいなことがうまく機能して、必要なものが整備されているかといったことが表に出てくるのかなと思っております。
○柏女委員長 放課後児童クラブ、児童館の第三者評価基準なども、国として持っているものもあれば各都道府県でやっているものもあるかと思いますので、そうした情報も次回またお知らせいただければと思います。ほかはいかがでしょうか。
金藤委員、お願いします。
○金藤委員 今の池本委員がおっしゃったイギリスの学校評価にも関連するのですけれども、その評価した結果を情報公開してほしいということです。イギリスでは全てインターネットで評価が情報公開されております。それは日本でもぜひ今後そういった児童クラブ等にも適用していただきたいと思っておりますので、それを御検討いただければと思います。
また、質ということでは、児童クラブではとかく低学年の子どもたちのことが議論の対象となりますけれども、制度的には6年生まで参加できるようになっているということなのに、なぜ高学年の児童は来ないのかということをもっと真剣に受けとめて考えるべきではないかと思っております。そこは取り組める活動の質の問題があるのではないかということです。
また、前回も出ておりました、入りたくても入れない子どもたちの中には、親が手続をしないというだけではなく、両親ともに就労証明書を出せない場合に入れないという子どもたちもおり、家に保護者はいない。もちろんおじいちゃん、おばあちゃんもいない。子どもだけで置かれているという割合が、日本は、最もと言っていいくらい先進国では多いという統計もございます。そういう子どもたちをどうするのかということも議論の対象外にしないでいただければと思っております。また、特に子どもの数が多い首都圏では、入ったばかりなのに、2年生でもう出なくてはならないと、出ることが求められているということを聞いております。それもどうしていったらいいのかということを検討の一つとして加えていただきたいと思っております。
○柏女委員長 ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。
中川委員、お願いします。
○中川委員 高学年児童の受け入れの問題なのですけれども、確かに私どものクラブでも高学年の子どもの数は少ないです。ちなみに6年生はゼロでございます。5年生も1桁です。そこは、放課後児童クラブが高学年の子どもにとって魅力あるものであるかどうかということももちろん大きな要素としてあるのですけれども、それ以上に、家庭の御判断、子どもの気持ちみたいなものが、放課後児童クラブをどうするかというときに大変重要であるのではないかと思っております。
例えば、高学年の子どもさんになってくると、習い事がふえてくる。塾へ行きたい。あるいは、保護者の方も、子どもももうしっかりしてきたかなと。そろそろクラブもいいかなと。自分で家に帰って留守番もできるようになってくるし、子ども自身の交流範囲も広がってくる。そんな中でも、まず、平日に帰ってくる時間が遅いのですね。高学年になると授業が遅くまであるものですからほとんどクラブで過ごす時間がない等々、いろいろな複合的な理由で、高学年の子どもさんについては、低学年の子どもさんに比べると需要が少ないのかなと。そんな中でも、どうしても家庭の事情等、あるいはその子どもさんの状況によって、続けざるを得ない、続けることになるという子どもさんについては、しっかりと高学年としてのフォローアップができるような活動内容が求められていることは事実であろうと思いますし、そこはしっかりとやっていく必要があるとは思っております。
○柏女委員長 5年生、6年生の過ごし方については、子ども・子育て支援制度の計画をつくるときに調査をしなければならないことになっているので、私も、自分の地元の自治体、それ以外のところでも見ますと、大体5年生、6年生で放課後児童クラブに通いたいというのは、5年生で10%ちょっとぐらい、6年生で1桁、6%とか7%、5%とか、その辺で大体それは共通しているようです。思春期に入ろうとする子どもたちが、言ってみれば、野中委員の資料の中にも拘束されていると感じることがあるという子どもたちの意見も載っていましたけれども、そういう環境の中で育つことが本当に子どもの健全育成上大切なのかということを考えると、この子どもたちの回答は健全だとも思いました。それぞれの特性、放課後子供教室はもちろん5、6年の子どもたちが楽しく充実して過ごせる場所だろうとは思っています。
4番の「その他」、全体にわたっての御意見でも結構です。あと15分ぐらい時間をとれるかと思いますので、何かございましたらお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
植木委員、お願いします。
○植木委員 「その他」のところで、「ソーシャルワークの視点」というキーワードがありますけれども、別途、遊びのプログラム等に関する専門委員会があるのですけれども、そちらでは児童館でいわゆるソーシャルワーク、つまり、社会資源との連携の中でよいプログラム、あるいは健全育成上必要なプログラムを行っている事例がたくさん挙がっております。今日的な社会的な課題に対応するプログラムも見受けられます。そういった意味では、子どもの放課後の生活を支えるという機能の一部としてのこの児童館のプログラムを、少しこの専門委員会でも御紹介いただいて、そうすると参考になるのではないかということが1つ。
もう一点、昨年、厚生労働省の子ども・子育て支援推進調査研究事業を行いました。何を行ったかというと、地域の児童館が果たす役割と機能についての研究です。そこでもやはりソーシャルワークの視点について調査をいたしました。そこでは、利用者が増加する児童館、5年前に比べて児童館の利用者が増加する児童館は社会資源との連携が多いという関連性がそこで明らかになっております。もっとも利用者が増加するということが子どもの最善の利益にどうつながっていくかという検討は必要ですけれども、いずれにしましても、活動的である児童館についてはソーシャルワークの視点がある児童館ということが1点明らかになっておりますので、そういった意味では放課後児童クラブ等においても、ひょっとしたらソーシャルワークの視点を取り入れることで放課後児童クラブの活性化につながる可能性があることも示唆されるのではないかと思います。
以上です。
○柏女委員長 ありがとうございます。
ここは大切な論点になるかと思いますけれども、放課後児童クラブの運営指針や設備運営基準をつくるときに、ソーシャルワーク機能をどこまで現行の人的配置の中で期待するかというところではかなり議論になって、なかなかソーシャルワークを前面に打ち出すことは難しいという結論に落ちついた経緯があります。そんなことも含めて、今後、考えていかなければならないことではないかと思いました。ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。
中川委員、お願いいたします。
○中川委員 4のところにも出てくるのですけれども、放課後児童クラブを支える人材が重要であると。支援員の賃金が安い。私なども管理者の立場から人事にも携わっているわけなのですけれども、いかに放課後児童クラブを担っていただく人材を確保するか。一方で、一旦確保した人材に定着していただくか。その確保と定着が現場では非常に大きな課題になっております。保育園の保育士さんが足りないという話は御承知のとおりですけれども、放課後児童支援員についてもなかなか人材の確保・定着化が難しいという状況があることはしっかりと押さえておく必要があるだろうと思いますし、そのことを解消するためにはどんな方策が求められているのか。これもこの委員会の中で議論できたら大変ありがたいと思っております。
○柏女委員長 ありがとうございます。
大切なことですね。忘れてはいけないことだと思います。
ほかはいかがでしょうか。遠慮しないで堂々と手を挙げてください。何回でも構いません。
○池本委員 余りまとまりがないのですけれども、出ていなかった話として、民営化により自治体によって本当にやり方がばらばらで、全部公営のところから全部民営化するところ、東京都も区ごとに並べたら100%から0%のところまであったりしますし、その辺をどう考えたらいいのか。それから、既存の施設の民営化とあわせて完全な認可外学童のようなものも出てきていて、例えば、英語でやる学童的なものとか、そういうものは制度上は届け出を出すことになっているのですが、その届け出がどのぐらい出ているのか。たくさんあるのに一つも届け出がないというお話もあったりして、認可外保育だとそこにきちんと市町村が行ってチェックするということがあるので、保護者としても届け出ていないようなところがあったら市町村に言えば市町村が行ってくれるというのはあるのですけれども、学童の認可外学童のようなものに対するチェックが今どのようになっているのかというのも不安に思っているところですので、その辺の実態も知りたいというところです。
もう一つ、先ほど高学年の話がありましたけれども、私は女子大生に自分の学童の体験などを書いてもらったら、男性の指導員が本当に嫌だったと。居心地のよさとかといったときに、高学年になると男性に対する嫌な感じがあるので、それが女子にとっては問題になります。遊びについても女子向け、男子向けというものがあって、その辺の配慮が実態はどうなっているのか。高学年になればそのあたりも配慮が必要であるし、実際にいろいろ事件も起こっている。そのあたりも、質としては考えなければいけないと思います。
あと一点はその他なのですけれども、先ほど金藤先生がおっしゃった、海外のように、所得で料金を取るようにすれば誰でも行けるのではないかということと、もう一つの就労要件があるから、就労証明が出せないからというお話があって、そこは今回ここで議論できるのかわからないのですけれども、子どもたちが基本的に誰でも行ける、その保育料については所得によってという仕組みにもし日本がなると、また全然違った形になると思って、そこはどうなるのかなと思って聞いておりました。
○柏女委員長 認可外の問題と利用料のこともぜひ論点に加えていく必要があると思います。認可外の関連で言えば、きょうの配付資料「放課後の生活を支えている施策について」というもので、その1、その2で大きく8つ挙がっていますけれども、その1の1ページ目の右側のプレーパークだけ、公的なかかわりのないままに民間の方々が一生懸命やってくださっているという活動があるかと思います。ここをどのように考えていったらいいのか。認可外の児童館も町中に結構出てきていて、空き家や空き部屋を市が借りて、そこにNPOの方々に入っていただいて放課後の居場所にするとかといった認可外のものも、いわば認証保育所みたいな、市は独自に認めているのだけれども国の制度ではないといったものも出てきたりしていますので、少し活動を整理する必要はあるかと思います。いずれも大事な居場所なのだろうと思っています。
ほかにございますでしょうか。
清水委員、お願いします。
○清水委員 柏女委員長がおっしゃった3つの視点で、プレーワークの専門性、保護者支援、ソーシャルワークの視点なのですけれども、恐らくこれを支えるのは養護という視点なのかなと思います。保育所保育のところですと、養護と教育が一体化したもの。小学校になった途端に養護というところが、切れはしないですけれども、クローズアップされない。でも、こういった遊びとか放課後の生活の基盤を支えているものは、保護者とか家庭における養護、あるいは小学校の教員かもしれません。けれども、養護というものが非常に重要になるので、この3つを支えるところが養護という視点なのかなと思うところが1つ。
プレーワークの専門性については、保育者養成のところでは確かに遊びに関する授業はかなりやられているかと思いますが、小学校の教職課程を持っているところは別としても、放課後児童クラブで小学生の遊びを取り扱う機会は余りないと思います。発達過程からいっても、保育所や幼稚園、幼児教育の遊びを取り扱うことはかなり多いと思います。小学校の低学年ぐらいまではそれで対応できますが、中・高学年はなかなか難しいのかなと思います。このプレーワークの専門性に関して豊かな知見があるのが、児童館のところかと思います。そういったところはかなり連携ができる部分ではあるかと思っております。
以上です。
○柏女委員長 ありがとうございます。
時間も大分迫ってまいりましたけれども、ほかにいかがでしょうか。余り山田さん山田さんと言うのもプレッシャーになってしまうのであれですけれども、また後で意見書でも結構ですという逃げ道をつくっておきます。山田代表、いかがでしょうか。
○山田氏 せっかくの機会ですので、ちょっと的外れなお話もさせていただくかと思うのですけれども、福島県福島市学童クラブ「清明っ子」といいまして、平成14年9月に保護者からの要望で開設いたしました。ことしの9月で丸15周年になって、まだ歴史の浅い学童であります。この間に、虐待の子がいたりとか、障害のあるお子さんがほかの学童で断られてうちの学童に来たとか、ネグレクトの子がいたりとか、いろいろな子どもさんがこの15年間におりました。その中でいろいろ悩むところはあるのですけれども、もちろん子ども支援は重要なところなのですけれども、親支援も私たちの中では重要なことかと思って、これまでにいろいろ親と悩み、先生、指導員と共に悩み、それぞれ頑張って、円満にといいますか、解決をしてきました。その中には、保護者と指導員だけではなくて、学校と地域との連携も物すごく重要で、それで解決していきたと自負しているところです。
先ほど安全管理のことについてのお話もあり、中川先生と同じ、私も代表という立場で、遊ばせたいのだけれどもどうしても規制せざるを得ない場面があります。今、小学校の4年生が野球をやりたいということがありまして、今まで野球については許可をしていませんでした。それは指導員の中でいろいろ話をしていく中で、野球がいいのか、また、それをやってどういうふうに私たちがかかわっていけるのかということで悩み、野球をずっと禁止しておりましたが、子どもたちからの意見もあり、子ども会議の中でぜひ野球をやりたいというあれがありました。その中でいろいろ考えて、結果、キャッチボールだけは許可いたしました。でも、今度はキャッチボールだけでは満足できない。先ほども遊びという話がありましたけれども、遊びを支援するものなのだけれども、果たして支援になっているのかすごく葛藤がありまして、キャッチボールだけなのですけれども、野球を許可はした。その後、ティーボールをやろうということになりまして、またそれについて少しステップアップしたかと思っておりますが、ふだんの遊びの中でどれだけ私たちが子どもたちの居心地のいい場所としてどうかかわっていったらいいか、遊びをどういうふうに子どもたちに提供していったらいいかというのはすごく日々悩むところで、どうしても安全管理のことが頭にあると、どこまでを規制していいか、どこまでを子どもたちの自主性で積極的にかかわらせていいかというのは日々悩むところです。
まとまらない話ではありますけれども、安全管理、子どもたちの育成支援、親の育成支援と、日々勉強しているところです。
以上です。
○柏女委員長 ありがとうございました。
あと5分くらいなので、もしも御意見がございませんようでしたら、きょうは局長にずっとお聞きいただいておりましたので、感想をお聞きできればと思うのですけれども、よろしいでしょうか。
○吉田子ども家庭局長 いきなり振られました、事務局の子ども家庭局長でございます。
前回、今回と続けて御議論いただいて、それぞれの論点について総じての御意見をいただいた。これを少し整理させていただいて、我々事務局としては委員長とも御相談させていただいて、次回以降の議論につなげさせていただきたいと思っております。
あえて感想というお話でございますが、総論の部分について、これまでの児童健全育成あるいは権利条約から流れる子どもに対してどう向かうかというところ。もちろん生活支援あるいは児童福祉というアプローチ、生きる力をつくるという教育という視点、出発点が必ずしも1つではないと思いますけれども、そこから結ぶ像は1つであるべきでありましょうし、そこから取り組みについての歩み寄り、あるいは協働はこれから本格化すると思っておりますので、それぞれの事情、事情を持ちながら、あるいは現場におけるいろいろな御苦労、御工夫は踏まえさせていただいた上で、今後の議論の中でこの専門委員会として議論を集約していただければ我々事務局としてはありがたいと思います。冒頭から申しておりますように、我々行政の立場からすると、文科省さんにも御協力いただいておりますが、一緒になって進める。現場においてもいろいろな声が聞こえてまいりますが、それぞれの御担当の中で協働ができるように、我々国のレベルからも働きかけをさせていただきたいと思っております。
また、全体としての量の問題あるいは類型の問題につきましては、これからきょうの御議論も踏まえて、我々は我々としていろいろ考えさせていただきたいと思います。1点、踏み出したことを申し上げますと、質の御議論、先ほどの中川委員、あるいは池本委員の御議論に尽きているかと思うのですが、我々は中にいて日々悩んでいるものの一つがここの部分であります。これは決して放課後児童クラブに限るものではありません、ヒューマンサービス全体にそうなのですが、いわゆるサービスの質と言われる抽象的なものをどのように受けとめるか。それも先ほど見える化・言語化という話がございましたが、どうするかというところは本当に悩ましいところでございます。もちろん機能とか目的に照らしてということが評価の基本でありましょうから、目的とか機能のところの整理が必要であることもまず難儀な一つでありますし、我々は、ユーザーあるいは税金を御負担いただいている方々に対する身の証として、どうしても、まず、いわゆる構造基準、構造であり、プロセスであり、アウトカムと進んでいくときに、まずは構造を評価するというところになりがちではありますが、構造のバックにあるであろうそれぞれの置かれた状況、環境の違いを評価するのも必要なわけでありまして、結果、構造ではなくてアウトカムで評価すべしというところまでは総論で一致するのですが、それでは、どうすればいいんだというところについては、いろいろな御意見を伺いながらも我々自身がまだ確とした頭ができている状況ではございません。
今日も幾つか御意見をいただきましたし、多分このメンバーの皆様方ですので、我々も行政としての過去の蓄積を整理してまいりますが、それぞれ研究とか実践とかいろいろな場における過去の論理や諸外国の状況なども知見をお持ちかと思いますので、事務方としてそれは積極的に受け取らせていただいて、整理をして、この場においても御議論をし、これはいろいろな方からいろいろな切り口で広く御意見をいただきますし、ある程度納得をいただけるような形でいませんと、こういう基準しかないというわけにもいきませんし、この基準では不十分だと言われたときに、どういうふうにきちんと御納得をいただくかという意味からも、この手の議論は大事だと思います。全体としてこの専門委員会でいただいている委員の皆さん方の時間に限りのある中で、そればかりを専らやるというわけにもいきませんが、本来ならばそれぐらい問題としては深い問題かとは思いますので、この専門委員会としての検討の中でも我々事務方としてもうまく準備をさせていただいて、先生方の御意見をいただいて、一定の方向を御示唆いただければありがたいということを感想として持ちました。
長くなりましたが、以上でございます。引き続き、3回目以降をよろしくお願い申し上げます。
○柏女委員長 ありがとうございました。
目的と機能の違いを踏まえながら、全体の放課後対策という傘をどうつくっていくのかということになるかと思います。そのときにでき上がった傘が本当にパッチワークのようになっているのではなくて、それぞれが溶け合っていくような、そんな傘になればいいなと思いながら伺わせていただきました。評価の点については、社会的養護関係は全体の評価をしていてそれが今は3順目に入っていますので、この中で現場の先生方の意識も随分変わってきていることが確認はできておりますので、そこも適宜参考にしていただくといいかと思いました。
最後に何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
御協力をいただいておりまして、12時に終わることができました。きょう出された委員からの御意見については、事務局で論点等への反映をぜひお願いしたいと思います。また、幾つか資料についてという御要望も委員からありましたので、それらについても可能な範囲で御用意いただければと思います。
それでは、次回の予定について、事務局から御連絡をお願いしたいと思います。
○鈴木健全育成推進室長 次回について、12月4日、月曜日の10時から12時までの開催を予定しております。開催場所については追って連絡しますので、よろしくお願いいたします。
本日は、これにて終了いたします。各委員におかれましては、大変お忙しい中、ありがとうございました。
○柏女委員長 12月4日、10時からということでございます。どうぞよろしくお願いいたします。きょうはありがとうございました。
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